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「走るたびにすねの内側がズキズキとする」 「足の痛みが日に日に強くなっている」 その症状はシンスプリントかもしれません。シンスプリントは、部活動やランニングに励む人が一度は経験することが多い代表的なスポーツ障害です。運動による負担の蓄積が骨膜の炎症を引き起こす主な原因です。初期対応を誤ると競技への復帰まで時間がかかることもあります。 本記事では、シンスプリントについて現役医師が詳しく解説します。 シンスプリントの原因 シンスプリントの初期症状 シンスプリントの治し方(治療法) シンスプリントはどこで診てもらうべきか シンスプリントの予防方法 記事の最後にはシンスプリントに関する質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 シンスプリントについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 シンスプリントとは 項目 内容 主な原因 筋肉の使い過ぎや足の構造・靴の問題によって骨膜に負担がかかること 症状の特徴 運動時や安静時に、すね内側へ広がる鈍い痛みが生じる 治療と予防のポイント 安静と運動量の調整を行い、ストレッチや靴の見直しで再発を防ぐことが重要 (文献1) シンスプリントは、すねの内側下方に生じる運動関連の骨膜炎で、脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。ランニングやジャンプ動作を繰り返すスポーツで発症しやすく、陸上競技、バスケットボール、サッカーなどの競技者に多くみられます。 原因は、下腿の筋群が脛骨の骨膜を過度に引っ張ることで、繰り返しストレスが加わり、微小な損傷と炎症が起こるためです。 初期には運動開始時の軽い違和感にとどまりますが、放置すると疲労骨折に移行する可能性があります。早期の発見と適切な対応が、競技復帰を早める鍵となります。 シンスプリントの原因 原因 詳細 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 長時間の練習や繰り返し動作による骨膜への過剰な負担 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 下腿や体幹の筋力不足、柔軟性低下による衝撃吸収力の低下 足部アライメントやフォームの乱れ 扁平足や回内足、誤ったランニングフォームによる負担の偏り 環境・個体差による影響 硬い路面、不適切な靴、成長期や体質による負荷の蓄積 シンスプリントは、骨膜に繰り返し負担がかかることで発症するスポーツ障害です。長時間の練習や急激な運動量の増加は骨膜へのストレスを高めます。 筋力や柔軟性の低下、足部のアライメント異常、環境要因などが重なり、骨膜への負担が蓄積してシンスプリントを発症すると考えられます。 以下の記事では、シンスプリントの原因について詳しく解説しています。 オーバーユース(過度な練習や反復動作) 原因 詳細 骨膜への繰り返しストレス 走行やジャンプ動作の反復による脛骨骨膜への牽引ストレスと微細損傷の蓄積 修復と負荷のバランスの乱れ 急激な運動量の増加や休養不足による修復機能の低下とダメージの慢性化 特定動作の反復による負担集中 長距離走や方向転換動作の繰り返しによる脛骨内側への局所的ストレスの集中 シンスプリントの主な原因は、運動負荷の過剰と回復期間の不足による不均衡です。急激なトレーニング量の増加や休息を取らない反復運動によって骨膜に小さな損傷が繰り返し起こり、累積したストレスが炎症を引き起こします。 運動量の急増や硬い路面での長時間の運動などによるオーバーユースが、シンスプリント発症の主な要因とされています。 筋力・柔軟性・体幹機能の不均衡 原因 詳細 筋力不足 ふくらはぎや足底の筋力低下による衝撃吸収力の低下と骨膜への負担集中 柔軟性低下 下腿後面やアキレス腱の硬さによる骨膜への牽引ストレスの増大 体幹機能低下 体幹の不安定さによるフォームの乱れと下肢への負担の偏り シンスプリントの原因は、筋力・柔軟性・体幹機能のバランスが崩れることです。ふくらはぎや足底の筋力が不足すると衝撃を十分に吸収できず、脛骨への負担が増加します。 さらに、柔軟性の低下により骨膜への牽引力が強まり、微細な損傷が起こりやすくなります。体幹の不安定さによってランニングフォームが乱れると、片側のすねに過剰な負担が集中します。 足部アライメントやフォームの乱れ 原因 詳細 足部アライメント異常 扁平足や過回内による足のアーチ機能低下と脛骨内側の負担増加 フォームの乱れ 体幹の不安定さや偏った接地による同一部位への繰り返し負荷 微小外傷の蓄積 小さなストレスの反復による骨膜・筋付着部の損傷蓄積と炎症誘発 シンスプリントの発症には、足部のアライメント異常やフォームの乱れが大きく関与しています。扁平足や過回内では足のアーチ構造が崩れ、着地時の衝撃を十分に吸収できず、脛骨内側に負担が集中して骨膜炎を起こしやすくなります。 ランニングやジャンプ動作で体幹が不安定になり接地が偏ると、毎回のステップで同じ部位に強いストレスがかかり、とくに片脚への荷重の偏りが炎症を助長します。 こうした不適切な動作が繰り返されることで、骨膜や筋付着部に微細な損傷が蓄積し、炎症が慢性化します。予防には、正しいフォームの習得や、インソール・靴による足部アライメントの補正が不可欠です。 環境・個体差による影響 原因 詳細 運動環境の影響 硬い路面や不整地でのトレーニングにより、着地時の衝撃が増し、足部に負担が集中 運動量・強度の急激な変化 トレーニング量や強度の急増による筋肉・骨膜への過剰負荷と疲労蓄積 個体差(足の形状・筋力など) 扁平足や回内足、筋力不足や柔軟性低下による骨膜へのストレス増大 身体的・技術的要因の複合効果 体幹の不安定やフォームの乱れと環境・個体差が重なることで発症リスク上昇 シンスプリントの発症には環境要因と個人の身体特性が関与しています。硬い路面や不整地での練習、クッション性の低いシューズは着地時の衝撃を増大させます。 運動量の急激な増加、扁平足や回内足などのアライメント異常、筋力不足や柔軟性低下が過剰な負荷と疲労蓄積の原因です。体幹の不安定性やフォームの乱れが加わると、発症リスクはさらに高まります。環境調整と身体機能改善の両面から対策を講じることが重要です。 シンスプリントの初期症状 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 ランニングやジャンプ動作時に感じるすね内側の鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動後に現れる鈍い痛みや重だるさ、不快感の持続 すねの圧痛・筋肉の張り すね内側を押したときの痛みや、ふくらはぎ全体の張りやこわばり シンスプリントの初期には、運動時のすね内側に鈍い痛みや違和感が現れます。症状が進行すると運動後にも重だるさや不快感が残るようになります。 また、すねの内側を押すと痛みを感じ、ふくらはぎの筋肉に張りやこわばりがみられます。初期段階で適切に対応すれば改善が期待できるため、早期発見と休養が重要です。 以下の記事では、シンスプリントの症状チェックのやり方を詳しく解説します。 運動時の痛み・違和感 初期症状 詳細 運動時の痛み・違和感 運動開始直後の骨膜および筋腱移行部への牽引ストレスによる鈍い痛みや違和感 運動後の痛み・不快感 運動終了後の休息時にも続く違和感や圧痛 骨膜・軟部組織のストレス 骨膜や周囲軟部組織への繰り返しの牽引ストレスや衝撃による微細な炎症・ストレス反応 シンスプリントは、すねの骨膜に繰り返しストレスがかかることで起こる障害です。ランニングやジャンプなどの運動により骨膜に微小な炎症が生じ、とくに運動開始直後に痛みや違和感が現れます。 初期段階では体が温まると症状が軽減することがありますが、これは異常反応のシグナルと捉えるべきです。症状が進行すると運動後や安静時にも違和感や圧痛が残るようになります。この段階での違和感を軽視せず、運動量の調整や医療機関を早めに受診することが重要です。 運動後の痛み・不快感 要因 詳細 骨膜・軟部組織への微小炎症 運動による繰り返しストレスで骨膜や筋付着部に炎症が起こり、運動後に痛みや不快感が出現 筋肉疲労と牽引ストレスの残留 ヒラメ筋や後脛骨筋の疲労により柔軟性が低下し、骨膜への牽引力が持続・増強 血流変化による炎症の顕在化 運動後の血流変化で炎症が表面化し、安静時に痛みを感じやすくなる状態 シンスプリントは、すねの骨膜やその周囲組織に繰り返しストレスがかかることで発症する障害です。運動後に痛みや不快感が強くなることが初期段階の典型的なサインです。 運動を続けることで、骨膜や筋付着部には微小な炎症が生じ、疲労した筋肉が硬くなることで骨膜への牽引ストレスが残りやすくなります。実際、シンスプリントは「繰り返しストレスによって発生する足の痛み・不快感」とされ、運動後に症状が強くなることが知られています。(文献2) また、運動中は血流が活発になり炎症反応を感じにくい一方で、運動を終えると筋肉の緊張緩和や循環の変化によって炎症が顕在化し、痛みや不快感が現れやすくなります。 運動直後よりも安静時のほうが痛みを感じやすくなるため、この段階で生じる違和感を放置せず、早めに休養を取り医療機関を受診することが重要です。 すねの圧痛・筋肉の張り シンスプリントでは、繰り返しの運動によって脛骨周囲の骨膜が引っ張られ、脛骨内側の骨膜炎により圧痛が生じます。また、ふくらはぎの主にヒラメ筋や後脛骨筋が疲労して硬くなると、筋肉の柔軟性が低下し、骨膜への牽引ストレスが増加します。これが筋肉の張りや痛みの原因となり、運動中や運動後に症状が強まります。 炎症が進行する前段階では、動作時や直後に押すと痛む、筋肉が硬いといった違和感が先行することが多く、これらは早期発見の重要なサインです。 炎症の拡大が疑われる場合、自己流のマッサージや強いストレッチは避けてください。違和感が続く場合は、整形外科での診察と適切な治療を受けることが重要です。 シンスプリントの症状進行と持続痛について 段階 状態 症状の特徴 初期段階 運動中・運動後に痛みが出現 休息により症状が軽減することが多い状態 進行段階 炎症・微細損傷の慢性化 運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存 重症段階 組織の修復能力を上回る負荷が継続する状態 安静時にも痛みが出現し、日常生活への支障 シンスプリントは、すねの骨膜や周囲組織に繰り返しストレスが加わることで発症します。初期段階では運動中や運動後に痛みが出現しますが、休息により症状が軽減することが多い状態です。しかし、適切なケアを行わず負荷を続けると、炎症や微細な損傷が慢性化し、症状が進行します。 骨膜や筋腱は休息や修復反応によってダメージを回復させる能力がありますが、修復が追いつかないほど負荷が加わり続けると、損傷と炎症が累積します。進行段階では運動中の痛みが強まり、休息後も症状が残存するようになります。 重症化すると安静時にも痛みが生じて日常生活に支障を来し、持続痛や強い局所痛がある場合は疲労骨折へ進展するおそれもあるため、早期対応が重要です。 シンスプリントの治し方(治療方法) 治し方(治療方法) 詳細 安静と運動調整 痛みの原因となる運動を一時的に中止し、運動量や強度を段階的に調整する休養と負荷管理 炎症抑制・物理療法 炎症や痛みを抑えるためのアイシング、超音波療法、低出力レーザー治療などの実施 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 下腿や体幹の柔軟性・筋力を整え、再発予防を目的とした段階的リハビリの実施 テーピング・装具(インソールなど) 足部アライメントを整え、衝撃や負担を軽減するためのテーピングやインソールの使用 薬物療法 炎症や痛みを緩和するための消炎鎮痛剤や外用薬の使用 再生医療 慢性化した場合に用いられる、自己修復を促すPRP療法(多血小板血漿注入)などの再生治療 シンスプリントの治療は、まず安静と運動量の調整により炎症の悪化を防ぎます。急性期にはアイシングや超音波などの物理療法で痛みと炎症を抑え、回復期にはストレッチや筋力トレーニングで柔軟性と安定性を取り戻します。 足部アライメントを整えるためのインソールやテーピングも有効です。症状が強い場合は薬物療法を併用し、慢性化例では再生医療を検討する場合もあります。ただし、再生医療は適用できる医療機関が限られており、患者の症状によっては適用できないケースもあるため、事前に医師との相談が不可欠です。 以下の記事では、治らないシンスプリントの治療法について詳しく解説しています。 安静と運動調整 シンスプリントの治療において、安静と運動調整が基本です。過度な練習や反復動作で生じた炎症は、運動を続けると悪化するため、安静により炎症を鎮静化させ、組織の修復を促します。運動を完全に止めるのではなく、症状を悪化させない範囲での運動量や内容の調整が大切です。 練習強度を下げる、回数を減らす、水泳や自転車など衝撃の少ない運動へ切り替えることで、体力を維持しながら回復を図ります。発症初期には患部に負担をかけない軽いストレッチや上半身トレーニングが推奨されます。 症状が軽快しても違和感が消えてから数日経過し再発がないことを確認した上で段階的に負荷を増やし、無理な練習継続による慢性化を避ける計画的な復帰が重要です。 炎症抑制・物理療法 シンスプリントは脛骨の骨膜に炎症が生じるため、炎症抑制と物理療法が治療の中心です。急性期には患部を安静にし、アイシングや非ステロイド性抗炎症薬で炎症を鎮めます。超音波療法などの物理療法は血流を改善し、組織修復を促進します。 症状が軽減したらストレッチや筋力強化運動を段階的に行って筋肉や骨膜の回復を促し、痛みが消えた後も急に運動強度を戻すと再発のリスクが高まるため、医師の指導に従い、段階的に運動量を増やすことが重要です。 ストレッチ・筋力トレーニング・リハビリ 項目 目的・内容 注意点 ストレッチ 筋肉や腱の柔軟性向上、関節可動域の拡大、怪我予防、血流促進 痛みの手前で止める、反動をつけない、怪我部位は専門指導のもとで実施 筋力トレーニング 筋力・持久力の向上、姿勢安定、関節保護、骨密度維持、代謝改善 正しいフォームの維持、負荷の段階的増加、呼吸を止めない、持病は医師に相談 リハビリテーション 機能回復、痛みや拘縮・筋萎縮の改善、日常・スポーツ復帰支援 過負荷を避ける、医師の計画に基づく実施、痛み時は中止、継続の徹底 ストレッチ、筋力トレーニング、リハビリテーションは、シンスプリントの根本的な改善に不可欠です。ストレッチはヒラメ筋や後脛骨筋を柔らかくし、骨膜への牽引力を軽減して痛みを和らげ、再発を防ぎます。 筋力トレーニングは足部アーチのサポート力や体幹の安定性を向上させ、運動時の負担を分散します。リハビリテーションでは痛みの程度に応じて運動負荷を段階的に調整し、筋肉や骨膜の耐久性を向上させます。これらは医師や理学療法士の指導のもと、個々の症状に応じて実施が重要です。 以下の記事では、シンスプリントに対して有効なリハビリ方法を解説しています。 テーピング・装具(インソールなど) 項目 目的・効果 注意点 テーピング 関節や筋肉の安定化、損傷部位の保護、痛みの軽減、フォーム補正 強く巻きすぎない、長時間の使用を避ける、皮膚トラブルに注意、根本治療ではなく補助的手段 装具 関節の安定・保護、変形や再発の予防、動作補助、痛み軽減、歩行や姿勢の改善 長時間使用による筋力低下に注意、医師の指示に従う、装着部の皮膚状態を確認 インソール 足部アライメントの矯正、荷重分散、歩行・ランニング効率の改善、スポーツ障害の予防 サイズや靴との相性を確認、定期的な見直し、合わない場合は使用を中止 テーピングとインソールは、シンスプリントの症状軽減と再発予防に有効な補助手段です。適切なテーピングは脛骨周囲の筋肉や骨膜を適度に圧迫し、筋肉の振動や骨膜への牽引力を抑制することで、痛みの軽減と炎症の進行予防に役立ちます。 また、足部の安定性を高め、床からの衝撃や不均等な負担を分散させることで、患部へのストレスを軽減します。さらに、テーピングは関節の過度な動きを制限し、筋肉や関節の過負荷を防ぐため、スポーツ活動時の怪我予防や再発予防に効果的です。 インソールは足部アーチをサポートし、歩行や運動時の足全体のバランスを整えることで、骨膜への負担を軽減します。これらの補助手段は、根本的な治療ではありませんが、ストレッチや筋力トレーニングと併用することで、症状の改善と長期的な再発予防が期待されます。 以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピング方法について詳しく解説しています。 薬物療法 シンスプリントは脛骨の骨膜や筋腱付着部の炎症により発症するため、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による炎症抑制が症状軽減に有効です。内服薬や外用薬は炎症と痛みを軽減し、日常生活やリハビリを行いやすくします。 ただし、薬物療法は過度な炎症反応をコントロールして自然治癒を助ける補助的な役割です。安静、物理療法、リハビリテーションと組み合わせることで効果が最大化されます。 薬物療法は短期間の使用が推奨されるため、市販薬を自己判断で長期間使用することは避け、医師の指示に従って服用してください。根本的な改善のためには、薬物療法に加えて運動量の調整や筋力・柔軟性の改善など、包括的なアプローチが欠かせません。 再生医療 シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋腱付着部に繰り返しストレスが加わり、炎症や微細な損傷が生じる状態です。多くは安静や運動調整で改善しますが、症状が慢性化したり再発を繰り返したりする例も存在します。 難治性の症例では、脂肪由来幹細胞による組織修復促進や血小板に含まれる成長因子による抗炎症作用が期待される再生医療が治療の選択肢となる場合があります。 ただし、再生医療を実施できる医療機関は限られており、患者の症状や状態によっては適用できないケースもあるため、治療を検討する際には医師への相談が不可欠です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 シンスプリントはどこで診てもらうべき? 項目 医療機関(整形外科) 整体・接骨院 診断 医師が診察・画像検査で原因を特定 画像検査ができず診断不可 対応内容 医学的治療・リハビリの計画 筋肉調整やマッサージ中心 適応範囲 炎症・骨膜障害・疲労骨折など幅広く対応 軽度の筋緊張緩和のみ (文献3) シンスプリントが疑われる場合、整形外科またはスポーツ整形外科の受診が基本です。自己判断でストレッチや湿布のみで対応すると、炎症が悪化して回復が遅れる可能性があります。 整形外科では問診・触診に加え、レントゲンやMRI検査などで疲労骨折との鑑別診断を行います。これにより症状の進行度を正確に評価し、適切な治療方針を決定します。 とくにスポーツ整形外科では、アスリートや運動習慣のある方を対象に、再発予防まで含めた包括的なリハビリを提供します。理学療法士が筋肉の柔軟性や体幹バランスを評価し、段階的な運動再開をサポートします。 なお、接骨院や整体などでの施術は一時的に症状が軽減したように感じられることがありますが、根本的な改善につながる医学的根拠は十分に確立されていません。まずは医療機関での正確な診断を受けることが重要です。 シンスプリントの予防方法 予防方法 詳細 運動量と休養の調整 運動量や強度を段階的に増やし、疲労を蓄積させないスケジュール管理。十分な休養日を設け、筋肉や骨膜の回復を促すバランス調整 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) 下腿筋群のストレッチや筋力トレーニングによる衝撃吸収力の向上。ランニングフォームや着地動作の改善による負担分散 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) クッション性やフィット感に優れたシューズの選択。インソールによる足部アライメントの補正。硬い路面や傾斜地での練習回避 シンスプリントの予防には、運動負荷と身体機能、環境要因への多角的なアプローチが必要です。まず、急激な運動量の増加を避け、十分な休養を確保することで組織の修復を促します。 次に、下腿筋群や体幹の筋力強化、ストレッチによる柔軟性向上、正しいランニングフォームの習得を行い、衝撃吸収能を高めて負荷を適切に分散させます。 クッション性に優れたシューズの選択や足部アライメントに合わせたインソールの使用、硬い路面を避けた練習環境の見直しも重要です。これらの要素を総合的に実践することで、シンスプリントの発症リスクを効果的に低減できます。 運動量と休養の調整 シンスプリントの予防には、運動量の段階的調整と適切な休養の確保が基本となります。加えて、筋力強化やストレッチによる柔軟性向上、正しいフォームの習得といった身体機能の改善により、下腿への負担を軽減できます。 さらに、足に合ったシューズやインソールの活用、硬い路面の回避など外的環境を整備することも重要です。これらの対策を総合的に実践することで、シンスプリントの発症・再発リスクを抑制し、継続的な運動が可能になります。 身体機能の改善(筋力・柔軟性・フォーム) シンスプリントの再発予防には、身体機能の総合的な改善が重要です。筋力強化では、ヒラメ筋や後脛骨筋を鍛えることで骨への負担を軽減します。ゴムチューブを用いたふくらはぎのトレーニングや足指でタオルを引き寄せる運動が効果的です。 柔軟性向上ではヒラメ筋を中心としたストレッチを運動前後に習慣化し、フォーム改善では適切な着地方法や膝の角度、姿勢を段階的に習得することで、炎症リスクと脛骨への衝撃を軽減します。 適切な運動量の調整や休養を取り入れながら実践することで、衝撃を吸収する力が高まり、筋肉への牽引ストレスが減少し、荷重のバランスも整いやすくなります。 外的要因への対応(シューズ・インソール・環境) シンスプリントの再発予防には、練習環境やシューズなど外的要因への配慮が重要です。クッション性が低下したシューズや足に合わない靴を使用すると、着地時の衝撃が脛骨へ直接伝わり骨膜への負担が増大します。 競技特性や足型に合ったシューズを選び、定期的に交換することが大切です。扁平足や過回内がある場合は、医療用またはスポーツ用インソールで足のアライメントを補正し、荷重バランスを整えることが有効です。 また、アスファルトなどの硬い路面ばかりで練習せず、芝生やゴムトラックなど柔らかい地面を取り入れることで衝撃を軽減できます。これらの外的要因を見直すことは、身体への負担を減らし再発予防を支える重要な要素です。 シンスプリントを理解して適切な対策を講じよう シンスプリントは、スポーツを続ける人に多く見られる下肢の障害で、脛骨周囲の骨膜や筋肉に炎症やストレスが生じることで発症します。初期の段階で適切に対応すれば回復しやすいため、違和感を放置せず早めにケアしましょう。 運動量の調整やストレッチ、シューズの見直しなど、日常の工夫で負担を軽減できます。症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、整形外科での診断とリハビリが必要です。 シンスプリントの治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、患者さまご自身の細胞や血液成分を用いる再生医療を行っており、損傷した組織の修復をサポートする治療の選択肢としてご案内しています。症状や状態に応じて、適切な方法を検討しご提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 シンスプリントに関するよくある質問 シンスプリントは休養期間を設ければ改善しますか? シンスプリントは、適切な休養を取ることで改善が期待できる場合があります。初期症状であれば約2週間の安静で痛みが和らぐこともありますが、無理な運動再開は再発の原因になります。 症状が続く場合は医療機関での診察やリハビリが必要です。筋力や柔軟性の改善を並行して行うことが回復への近道です。 以下の記事では、シンスプリントの休むべき期間について詳しく解説しています。 家族がシンスプリントになったときはどうすれば良いですか? シンスプリントの回復には、休養とセルフケアに加え、心身のサポートが重要です。お子さまが痛みを抱えているときは、無理に運動を続けさせず安静を保つことが大切です。 症状が落ち着いたら、自転車や水泳など負担の少ない運動に切り替え、段階的に練習を再開しましょう。アイシングやテーピング、インソールの使用も有効です。 思うように動けない時期は焦りや不安を感じやすいため、ご家族が寄り添い、前向きな気持ちで回復に取り組めるよう支えることも大切です。痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 シンスプリントは走りながら治すことはできますか? シンスプリントは脛骨周囲の骨膜や筋付着部に炎症が生じる障害です。痛みを抱えたまま走り続けると疲労骨折へ進行するおそれがあるため、推奨されません。 初期の違和感程度であれば、医師の診断を受けた上で運動強度や距離を調整し、路面やシューズを見直すことで回復を図れます。 治療は安静や物理療法、筋力・柔軟性の向上を基本とし、症状が落ち着いてから段階的に運動の再開が望まれます。 以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) シンスプリント|MSD マニュアル プロフェッショナル版 (文献2) Medial tibial stress syndrome: conservative treatment options|PMC PubMed Central® (文献3) Shin Splint: A Review|PMC PubMed Central®
2025.11.26 -
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「歩くと足の親指の付け根が痛む」 「足の親指が痛くて反らせない」 こうした症状は、種子骨炎のサインかもしれません。 種子骨炎は、地面を踏み込む際などに負荷がかかりやすい足の親指の付け根「種子骨」が炎症を起こしてしまう病気です。 この記事では、種子骨炎が治るまでの期間について治療法や再発予防対策とあわせて解説します。 症状に不安がある方や治療をいつまで続ければ良いのか不安を抱えている方は、ぜひ記事を最後までご覧ください。 また症状を放置すると、炎症の慢性化や骨の変形、関節機能の低下を招くおそれもあります。 重症化すると手術も検討されますが、手術に頼らず、痛みの根本改善を目指すなら再生医療も検討しましょう。 近年注目されている再生医療は、患者さまご自身の細胞や血液を利用して体の自然治癒力を高める治療法で、炎症や損傷を受けた組織の修復を促し、痛みの軽減や機能回復が期待できます。 種子骨炎の気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 種子骨炎はどのくらいで治る?4週間から6週間ほどが目安 種子骨炎は症状の重さにもよりますが、ほとんどの場合約4週間〜6週間ほどで治ります。 種子骨炎は軽度〜中程度であれば、歩くと痛みが出る、赤く腫れる程度です。 手術などは行わず、テーピングやサポーター、痛み止めなどの保存療法で改善する場合がほとんどです。 しかし、重度になると変形や骨壊死といった症状も現れ、手術を伴うケースも多いため、完治まで数カ月かかる場合もあります。 種子骨炎とは? 種子骨炎とは、足の親指の付け根部分にある「種子骨」に炎症が起きる病気です。 ダンスやランニング、長時間の歩行など踏み込む動作を繰り返すことで、足の裏に継続的な負荷がかかることで炎症が生じます。 足のアーチが高い人やハイヒールをよく履く人も種子骨周辺に負荷がかかりやすいため、種子骨炎を起こしやすいです。 放置して負荷をかけ続けているうちは自然に治る可能性は低く、根本的な原因を解決する必要があります。 以下では症状やなりやすい人の特徴を解説していますので、ぜひ参考にしてください。 種子骨炎の主な症状 種子骨炎になりやすい人の特徴 種子骨炎の主な症状 種子骨炎の主な症状は足の親指付け根部分の強い痛みです。 運動中(とくにジャンプの着地時)、歩行中、そのほか靴底の薄い靴やヒールの高い靴を履いた際などにも患部に強く痛みを感じます。患部を押したり、手で親指部分を反らすと強く痛む場合も種子骨炎の可能性が高いです。 まれに患部が熱を持ち、種子骨周辺や親指が赤く腫れてしまうこともあります。 痛みを放置していると疲労骨折や骨壊死に至る可能性もあります。痛みを感じた際は早めに医療機関を受診してください。 種子骨炎になりやすい人の特徴 種子骨炎にかかりやすい人の特徴は以下の通りです。 スポーツ、ダンスなどで長時間足に負担をかけている。 外反母趾や凹足(足のアーチが異常に高い状態)など足の形に問題がある。 ハイヒール、靴底が柔らかくて薄い靴をよく履く。 また、年齢としては小学生〜中学生に多く見られます。大学生以上になると減少する傾向がありますが、大人になっても日常生活の中で発症してしまうことはあるため注意が必要です。 種子骨炎の治療法 種子骨炎の主な治療法は患部を安静にし治療を進める「保存療法」です。必要に応じてアイシングや痛み止め薬を服用します。 ほとんどの人が保存療法によって症状が改善されますが、数カ月症状の改善が見られない場合は手術療法も検討されます。 それぞれの治療法について以下で紹介します。 保存療法 手術療法 保存療法 種子骨炎を治すには、安静が重要です。 運動や長時間の歩行は避ける。 重い荷物は持たない。 上記は治療中に必ず守るべき点です。 そのほか、痛み止め薬の服用、アイシングなどによって炎症を抑えます。 また、テーピングも大切です。母趾の反りを抑えることを目的としたテーピングを施します。 テーピングは誤った方法で行うと逆効果になる可能性もあるため、医師の指導のもと行いましょう。 テーピングのほかにもインソールや、足裏用のサポーターの使用も有効です。痛みがひどい場合、ステロイド注射を打つ場合もあります。 手術療法 保存療法を継続しても症状が改善されない場合、手術療法も検討されます。 手術では、種子骨の全摘出、もしくは部分摘出をします。 しかし、種子骨を取り除くと足のバランスが崩れ、足の変形や可動性の低下が見られる可能性があります。医師と十分な相談をした上で判断しましょう。 種子骨炎の再発予防策 種子骨炎は再発しやすい病気のため、予防のためには足に負担をかけている根本的な原因を取り除くことが重要です。日常生活での工夫により、種子骨炎の再発リスクを下げられます。 具体的な予防方法について以下で解説します。 靴を見直す 種子骨は、スポーツや歩く際にとくに負荷を受けます。 体重がかかるだけでなく、踏み込む動作で地面に力を伝える際にも大きな負担がかかっています。 ハイヒールや靴底が薄い靴を履くことが多い人は、靴を見直す必要があります。 以下を参考に、ご自身に合った靴を選びましょう。 【避けるべき靴】 ハイヒール:仕事で必要な場合は低く太めのヒールを選び、着用時間を短くする 靴底が薄い靴:クッション性が高い靴底の靴に変更する サイズが合わない靴:足先の締め付けがきつい靴や靴の中で足が動く靴 【おすすめの対策】 足のサイズにぴったり合った靴を選ぶ 自分の足に合わせたインソール(中敷き)を作成する 保護パッド付きインソールを使用する 種子骨炎専用のインソールを検討する ハイヒールや靴底が薄い靴を頻繁に履く人は、定期的に靴を見直しましょう。種子骨炎の人向けのインソールなどもあるため、気になる方はぜひ調べてみてください。 足のストレッチ 種子骨炎を防ぐためには、足先の負担を軽減することが重要です。 そのため、ふくらはぎのストレッチを行いましょう。 ふくらはぎが柔らかくなると、足首の可動域が上がり、足先への負担を減らせます。 【立って行うストレッチ】 壁に手をついて片足を大きく後ろに引く 後ろ足のかかとを床につけたまま膝を伸ばす 前足は軽く膝を曲げ、体重を前にかけて後ろ足のふくらはぎを伸ばす 足を入れ替えて反対の足のふくらはぎも伸ばす 【寝転がって行うストレッチ】 床に仰向けに寝転がる 両足を上げて足首をバタバタと上下に動かす 【座って行う場合】 足を組み、ふくらはぎを揉む とくに固くなりやすい下部分、ふくらはぎの膨らみ終わりからかかとにかけてを重点的に揉む まとめ|種子骨炎は4〜6週間の治療期間が必要! 種子骨炎は約4〜6週間で症状が改善されます。 テーピングや痛み止め薬を活用しながら安静にしていれば、ほとんどの人は良くなりますが、もし効果がない場合は注意が必要です。 炎症を放置していると、骨が壊死、あるいは変形を起こしてしまうことがあります。 その場合手術によって骨を摘出しなければならず、症状の改善に数カ月かかることもあります。 また、種子骨炎は再発も多いため、普段の生活の中で予防策を立てることが重要です。 靴底が薄い靴は種子骨への負担を高めるため、クッション性の高い靴やインソールを活用しましょう。足のストレッチも効果的です。足関節の可動域を広げることがケガ予防につながります。 適切な治療と予防対策を継続することで、種子骨炎の再発を防ぎ、快適な日常生活を送りましょう。 種子骨炎に関してよくある質問 種子骨炎に関してよくある質問と回答は、以下のとおりです。 種子骨炎とはどんな病気ですか? 種子骨炎はどれくらいで治りますか? 種子骨炎になってしまった場合気を付けるべきことはありますか? 種子骨炎とはどんな病気ですか? 種子骨炎とは、足の親指の付け根にある「種子骨」が炎症を起こしてしまう病気です。 歩行時やスポーツをした際、足の親指の付け根に強い痛みが起こります。 走ることの多いスポーツ、ダンスをしている人や、足のアーチが高く足の付け根部分に継続的に負荷がかかりやすい人がよくなってしまいます。 種子骨炎はどれくらいで治りますか? 種子骨炎は適切な治療を進めていれば、ほとんどの人が4週間〜6週間で症状が改善します。 種子骨の変形や骨壊死などによって手術が必要な場合、治療期間が数カ月に及ぶ可能性もあります。 種子骨炎になってしまった場合気を付けるべきことはありますか? 種子骨炎になった場合、まずは安静が重要です。運動や長時間歩くことは避け、重い荷物もなるべく持たないようにしましょう。 テーピングや装具のサポートも有効です。テーピングは母趾が反らないよう制限する目的で行います。 親指の根元、土踏まずをつなぐような形でテーピングしますが、自己流で行うとやり方を誤ってしまい足に余計に負担をかけてしまう可能性があります。 テーピングをする場合、医師の指導のもと実施してください。 種子骨炎は再発しやすいため予防が大事です。靴が原因の場合は自分の足に合った靴に見直すことで再発予防になります。また、足周りのストレッチをすることで可動域が上がり、ケガをしづらくなります。
2025.07.31 -
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「第五中足骨骨折はどんな後遺症が起きる?」 初めて第五中足骨骨折を経験した方は、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 第五中足骨骨折は、関節の可動域制限や偽関節(骨がくっつかない)などの後遺症リスクがあります。 本記事では、第五中足骨骨折の後遺症や治療法について詳しく解説しているので、後遺症を予防し、運動能力に戻すためにご参考ください。 また、近年の第五中足骨骨折の後遺症治療には、先端医療である再生医療も選択肢の一つです。 \第五中足骨骨折に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、第五中足骨骨折の後遺症にも改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 第五中足骨骨折や後遺症を早く治したい 日常生活やスポーツに早く復帰したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療について詳しく知りたい方は、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨折の後遺症治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 第五中足骨骨折の後遺症で多いのは可動域の制限 第五中足骨骨折の後遺症で多いのは、以下の可動域の制限です。 後遺症 詳細 足関節の背屈制限 つま先を上に持ち上げる可動域が制限されている状態。 股関節の内旋可動域制限 股関節を内側に回す動きの可動域が制限されている状態。 (文献1) 第五中足骨骨折は、骨融合(こつゆごう:骨がくっ付くこと)が得られにくく、たとえ骨融合しても、再骨折しやすい特徴があります。骨融合が得られないと痛みが発生しやすく、スポーツ復帰も妨げられてしまいます。 近年の治療では、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、第五中足骨骨折の早期改善を目指す再生医療が注目されています。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 第五中足骨骨折を早く治したい 骨折の後遺症に悩まされている 日常生活やスポーツに早く復帰したい 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨折に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 後遺症を起こす恐れのある第五中足骨骨折の合併症 第五中足骨骨折では、遷延癒合(せんえんゆごう)と偽関節(ぎかんせつ)が起きることがあります。 遷延癒合とは、受傷後または手術後3カ月以上経過しても、骨癒合の診断ができない状態です。一方、6カ月以上経過しても骨癒合が診断できない状態を偽関節といいます。 第五中足骨骨折は、適切な治療やリハビリテーションを進めないと、骨癒合が進まず、スポーツ復帰が困難になる場合があります。そのため、第五中足骨骨折は、受傷後からスポーツ復帰に至るまでの適切な治療とリハビリテーションが大切です。(文献1) 医師やリハビリスタッフの指示のもとで進めていきましょう。 第五中足骨骨折の治療方法と期間の目安 第五中足骨骨折の治療方法と期間の目安は以下の通りです。 治療方法 治療期間の目安 保存療法 6〜8週間 手術療法 術後2〜3カ月程度 それぞれの詳細を解説します。 保存療法|6〜8週間 軽度の場合は、6〜8週間のギプス固定や松葉杖による免荷などの保存療法が検討されることがあります。(文献6) しかし、第五中足骨骨折は、前述した遷延癒合や偽関節などが起きやすいです。また、骨癒合を得られたとしても再発のリスクが高い傾向にあります。 そのため、早期のスポーツ復帰を望む方は保存療法が第一選択になるとは限りません。とくにアスリートには手術療法を推奨することがあります。(文献2) 手術療法|術後2〜3カ月程度 手術療法では、スクリューによる髄内固定術(骨の中心部から骨折部位を固定する手術)が一般的です。 スポーツに復帰できるまでの期間は、術後2〜3カ月程度がひとつの目安です。ただし、骨折の程度や個人の治癒能力、競技レベルなどにより大きな個人差があります。(文献2) 手術に使用するスクリューの大きさや設置位置が適切でなければ、遷延癒合や偽関節、再骨折などが起きるリスクが高くなります。術後しばらくの間は、骨折した足を地面に着けて歩けないため、松葉杖で歩行しなければなりません。 早期のスポーツ復帰を望む方やアスリートには、手術療法を推奨することがあります。 スポーツ外傷に活用され始めている再生医療 近年では、筋肉、靱帯、関節などのスポーツ外傷に対して再生医療が活用されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、第五中足骨骨折の後遺症にも改善が期待できます。 患者様自身の幹細胞や血液のみを使用するため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用のリスクが低い治療法です。 また、再生医療は基本的に簡単な注射だけで済むため、手術や入院の必要がない点も特徴といえるでしょう。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 第五中足骨骨折や後遺症を早く治したい 日常生活やスポーツに早く復帰したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨折に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる スポーツ外傷に対する再生医療について知りたい方は、こちらを参照してください。 第五中足骨骨折のスポーツ復帰の目安 治療方法別と骨折型別のスポーツ復帰の目安(文献3)は、以下のとおりです。 治療内容 スポーツ復帰までの期間 保存療法から手術療法 4〜7週間 手術療法(受傷後4週以内) 5〜14週間 骨折型 スポーツ復帰までの期間 新鮮骨折(骨折して期間が短いもの) 7週間 疲労骨折 4〜14週間 遷延癒合・偽関節 5〜7週間 以上の復帰までの期間はあくまで目安です。骨折の状態などにより、個人差があるため参考程度に留めてください。 早期にスポーツ復帰したい場合は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで早期回復を目指せる「再生医療」をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 第五中足骨骨折を早く治したい 日常生活やスポーツに早く復帰したい 骨折の後遺症に悩まされている 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨折に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 第五中足骨骨折の再発防止の対策 第五中足骨骨折の再発防止の対策は以下の通りです。 骨折の原因を理解する リハビリテーションを行う それぞれの詳細を解説します。 骨折の原因を理解する 第五中足骨骨折が起きる原因を理解すれば再発予防につながります。第五中足骨骨折が起きる原因は、以下のようなことが関連していると言われています。 O脚や回外足などの下肢のアライメント(向きや並び)の問題 関節の柔軟性の低下 シューズの摩耗状態 ヒールカウンター(シューズの踵部分)の硬度やフィット感 スパイクのポイントの位置や形状、高さ、摩耗状態 身体動作の原因としては、スポーツにおけるターンやステップの際に、第五中足骨に負担がかかってしまうことが挙げられます。 リハビリテーションを行う 再発を予防するには、継続的に下肢全体の可動域向上を中心としたリハビリテーションを行うことが重要です。その他にも、第五中足骨に不要な負荷を与えないための身体動作の取得や、下肢の筋力トレーニングも有効です。予防エクササイズの一例として、タオルギャザーという方法を紹介します。 椅子に座った状態または立った状態になる タオルを床に広げてその上に足底を乗せる しっかりと足の指の開閉を行いタオルを手繰り寄せる タオルギャザーは、立位バランスの向上に有効とされています。(文献4)医師やリハビリスタッフと相談しながら、治療の経過に沿ったリハビリテーションを進めましょう。 第五中足骨骨折の後遺症における障害認定 交通事故で第五中足骨骨折を受傷した場合は、障害認定を受けられる可能性があります。自動車損害賠償保障法を参考にすると、以下のように記載されています。 等級 後遺症 第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 第14級9号 局部に神経症状を残すもの 第11級9号 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの 第12級12号 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの (文献5) 神経症状は痛みなどのことで、「足指の用を廃したもの」は足の指の機能が著しく損なわれている状態を指します。該当する可能性のある方は、保険会社に問い合わせてみましょう。 まとめ|第五中足骨骨折の後遺症治療には再生医療をご検討ください 第五中足骨骨折では後遺症として、痛みやしびれ、関節可動域の制限などの症状が見られる可能性があります。 適切な治療やリハビリテーションを継続することで、後遺症リスクを軽減できます。 また、第五中足骨骨折や後遺症を早く治したい方は、再生医療による治療をご検討ください。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、第五中足骨骨折や後遺症による痛みの改善に期待できる可能性があります。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 第五中足骨骨折や後遺症を早く治したい 日常生活やスポーツに早く復帰したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 「具体的な治療法を知りたい」「後遺症を早く治したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼まずは骨折に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 参考文献 (文献1) Jones骨折のリハビリテーション|環太平洋大学 (文献2) Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折)|兵庫医科大学病院 (文献3) Jones骨折の13例|西日本整形・災害外科学会 (文献4) タオルギャザー実施時の足底への荷重が立位バランスに及ぼす影響|日本理学療法士協会 (文献5) 後遺障害等級|国土交通省 (文献6) Jones骨折後の体組成成分および下肢周径の経時的変化|理学療法科学学会
2025.07.31 -
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「突然足が動かない」「一時的に力が入りにくい」といった症状があり、不安に思われている方もいるでしょう。足が動かない原因としては、脳梗塞や腰部脊柱管狭窄症、パーキンソン病など、さまざまな疾患が考えられます。なかでも、脳梗塞が原因の場合は、時間が経つと回復の可能性が下がるため、早急な治療が必要です。 本記事では、足が動かないときに考えられる原因や対処法、病院へ行く目安について解説します。足が動かない原因が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞を含む脳卒中の再発予防などの再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 足が動かない原因となる疾患 足が動かないとき、脳梗塞や腰部脊柱管狭窄症など、さまざまな疾患が考えられます。また、突然足が動かなくなるケースもあれば、徐々に動かしにくくなる場合もあるため、それぞれの特徴について解説するので参考にしてください。 脳梗塞 脳梗塞は、足が動かない原因としてとくに注意すべき病気です。脳の血管が詰まり血流が止まることで脳細胞が損傷を受けます。損傷した部位によって、症状の現れ方はさまざまです。 脳の足の運動や感覚をつかさどる部分に損傷が起きた場合、突然足が動かなくなる、しびれるといった症状が見られるケースがあります。 また、片側の手足に力が入らない、ろれつが回らないといった症状を伴う場合も多く、損傷から時間が経つと治癒効果が下がる可能性があります。 突然足が動かない、ろれつが回らないなどの症状が現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。 腰部脊柱管狭窄症 腰部脊柱管狭窄症も足が動かない原因の一つです。主に加齢によって腰の骨が変形し、脊柱管(神経の通り道)が狭くなって足へと伸びる神経が圧迫されます。 その結果、歩行中に足がしびれたり、痛みが強くなって一時的に足が動かなくなったりするケースも少なくありません。これらの症状は、その場で休むと症状が改善する場合が多く、「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれています。 放っておくと進行する可能性があるため、早めに専門医に相談しましょう。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアも考えられる疾患の一つです。腰椎同士のすき間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫することで足に痛みやしびれ、筋力低下などの症状が現れます。 とくに、太ももやふくらはぎ、足先にかけてしびれや痛み、腰のだるさを感じるケースが見られます。神経への刺激が強くなると、足に力が入りにくくなったり、排便や排尿に関わる神経にも影響を及ぼしたりする危険があるため注意が必要です。 重いものを持ち上げたときの急な動作をきっかけに、突然発症する可能性があります。症状は一時的に見えても、神経の圧迫が続くと慢性化する恐れがあるでしょう。 パーキンソン病 パーキンソン病も、足が動かないときに原因となる疾患の一つです。脳内の運動を調整する働きを持つドーパミン(神経伝達物質)が不足すると、体を動かす指令がうまく伝わらず、動作の開始や継続がしにくくなります。 その結果、すくみ足や、立ち上がったときに転倒しやすいといった症状が現れる場合も少なくありません。 また、手足の震えや筋肉のこわばりもパーキンソン病によく見られる症状の一つです。高齢者に多い病気であり、意欲の低下や幻覚のような精神的な症状や睡眠障害など、さまざまな症状が見られます。 パーキンソン病は進行性の病気で徐々に悪化していく恐れがあるため、足がすくんで動かないといった症状がある場合は、早めに専門医に相談してください。 ギラン・バレー症候群 ギラン・バレー症候群も、足が動かない原因として知られる神経疾患の一つです。免疫の異常反応によって末梢神経に炎症が起き、筋肉に指令がうまく伝わらなくなると、足に力が入らなくなったり、しびれを感じたりします。 多くの場合、足から症状が出るケースが多く、次第に腕や手へ広がっていくのが特徴です。急に足が動かなくなった場合、ギラン・バレー症候群の可能性も考えられます。 進行が早く、重症化すると呼吸困難を起こす恐れもあるものの、多くは、時間の経過とともに回復が見込まれる病気です。疑わしい症状がある場合は、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。 ストレスが原因で足が動かないケースもある 足が動かない原因は、脳や神経の病気だけではなく、強いストレスや心理的負担によって引き起こされているケースもあります。精神的な緊張や不安によって自律神経のバランスが乱れると、血流が悪くなったり筋肉が過剰に緊張したりするためです。 その結果、足に力が入らない、震える、しびれるといった症状が現れる場合があります。 さらに、ストレスや葛藤など心理的な要因が身体症状として現れる「転換性障害」といった状態では一時的に足が動かなくなるケースも報告されています。 身体的な異常が見つからない場合は、自分に合ったストレス発散法やリラックス方法を取り入れてみることが大切です。 足が動かないときの対処法 足が動かないときの対処法として、まずは安静にする、冷やすか温めるといった方法があります。さまざまな原因が考えられるため、適切な対処が必要です。 以下で、詳しく見ていきましょう。 安静にする 急に足が動かない症状が出た場合、まずは安静にしてください。無理に動かすと症状が悪化したり、怪我につながったりする恐れがあります。 腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などは、横になって休むと足のしびれが一時的に緩和するケースもあります。 原因がわからないときは無理に足を動かさず体を休め、必要に応じて医療機関の判断を仰ぎましょう。 冷やすか温める 患部を冷やすか温めることも、足が動かないときの対処法の一つです。症状が炎症や血流が原因の場合は、患部を温めるまたは冷却すると改善する場合があります。 打撲や炎症で腫れている場合は冷やすのが基本です。一方、血流が悪くて足がだるい、重い場合には温めて血流を促進するほうが有効です。 ただし、どちらの方法が適しているかは原因によって異なるため、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。 応急処置をする 足が動かない原因が、転倒や外傷によるものであれば、まずは応急処置が重要です。そのまま放置すると、靱帯や神経への損傷が悪化する恐れがあります。 無理に動かさずに、患部の圧迫や固定などの処置が有効です。また、出血がある場合は、清潔な布で止血します。 早期対応がその後の回復に大きく影響するため、応急処置をしたらただちに医療機関を受診してください。 足が動かないときの受診目安 足が動かない原因は、脳や神経の病気、外傷などさまざまな理由があります。とくに、症状が突然現れた場合や、ほかの症状を伴う場合は注意が必要です。 まず、以下のような症状がある場合は、夜間や休日を問わず、速やかに医療機関を受診してください。 突然、左右どちらかの足に力が入らなくなり動かなくなった 突然足が動かなくなり、数分~数十分で元に戻った 転倒などの外傷で足が動かなくなった これらの症状は、脳梗塞や脊髄損傷といった重篤な病気の可能性があるため、早急な対応が必要です。 次に、以下のような症状がある場合は、できるだけ早めの受診を検討しましょう。 足が動かない症状やしびれが継続的に起きる 足の筋肉が落ちてきて、力を入れにくくなった 歩行に支障が出ている 一方で、次のような症状は、緊急性は低いものの、早めに専門医に相談することがおすすめです。 風邪などの感染症のあとに、一時的に足が動かない 症状が軽くても繰り返し起こる場合や、日常生活に支障が出るようであれば、迷わず受診しましょう。 足が動かないときの検査方法 足が動かないときは、神経学的診察やMRI検査などを行い、診断します。それぞれの検査方法を見ていきましょう。 神経学的診察 神経学的診察は、足が動かないときに最初に行われる基本的な検査です。足が動かない原因を探るために、脳神経や筋力、反射、バランスの異常がないかを医師が視診や触診などで確認します。 症状の出ている範囲や程度、左右差の有無などを調べると、中枢神経か末梢神経かどこに異常があるかを推測する手がかりになります。 また、疑われる病気に応じて特定の項目を入念に調べるケースもあり、その後のMRIや血液検査など、詳細な検査の方向性を決める上でも重要なステップです。 MRI検査 MRI検査は、足が動かない原因として考えられる、脳梗塞や脊髄疾患を調べる際に重要な検査です。X線を使わずに磁気と電波で体内を撮影するため、脳や血管、脊椎、関節などの詳細な状態を把握できます。 X線を使用しないため、被ばくの心配がありません。必要に応じて部位を変えて検査しながら、重篤な病気の早期発見に役立ちます。 電気生理学的検査 電気生理学的検査は、神経や筋肉の異常を調べるために行われる検査です。神経伝導検査や筋電図などがあり、神経に微弱な電気刺激を与えて、信号の伝わり方や筋肉の反応を測定します。 足が動かない原因が、神経から筋肉への伝達の異常によるものかどうかを確認するのに役立ちます。検査中に電気刺激の軽い不快感はあるものの、体への負担は少なく、安全性の高い検査です。 血液検査 血液検査は、足が動かない原因が神経や筋肉以外にないかを調べるために行われます。糖尿病やビタミン不足など、内科的な病気によっても足のしびれや筋力低下が起こるケースもあります。 また、ギラン・バレー症候群などの自己免疫性疾患が疑われる場合にも、血液検査をする場合もあります。 血液検査だけで病名が確定するわけではありません。しかし、原因を絞り込む上で重要な検査の一つです。 足が動かないときは早急に医療機関を受診しよう 足が動かない原因には、脳梗塞や腰椎椎間板ヘルニア、パーキンソン病、ストレスなどさまざまなものがあります。足が動かないときは、まずは無理に動かさず、安静にしましょう。炎症が疑われる場合は冷やし、血行不良が考えられるときは温めるなど、状況に応じた対処をします。 ただし、症状によっては、早急な治療が必要になるケースもあります。自己判断せずに、少しでも異変を感じたら早めに医療機関を受診してください。
2025.07.31 -
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「捻挫が治ったと思ったのに、足首に違和感が残っている……」 「痛みの原因が後遺症からくるものなのか判断したい」 このような悩みを抱える方は多いでしょう。 捻挫は一見、軽いケガに思われがちです。しかし、適切な処置やリハビリを行わずに放置してしまうと、後遺症として長く症状が残るケースもあります。 本記事では、捻挫後遺症か判断するためのチェック項目や原因、治し方を詳しく解説しています。 症状が悪化した場合の選択肢も紹介しているので、最後までご覧ください。 捻挫の後遺症によるお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 足首捻挫における後遺症の症状【3つのチェック項目】 捻挫後の後遺症を見極めるためには、以下3つの症状がないかをチェックします。 足首がぐらぐらして安定しない 痛みや腫れが引かない くるぶしを押すと痛い これらの症状が一つでも当てはまる場合は、後遺症の可能性があります。 それぞれの症状の中身を詳しく見ていきましょう。 足首がぐらぐらして安定しない 足首がぐらぐらして安定感がない場合は、捻挫後遺症の可能性があります。 靭帯が伸びきったり部分的に断裂したりすると、関節を支える力が弱くなり不安定になるためです。 たとえば、階段を降りる際にふらつきを感じたり、でこぼこした道を歩くときに足首をひねりやすくなったりします。 足首がゆるむと関節を動かすたびに軟骨などの柔らかい組織と骨がこすれやすくなり、ポキポキといった音が鳴る場合もあります。 痛みや腫れが引かない 捻挫で損傷した靭帯が回復するまでにかかる期間は、少なくとも6週間〜3ヶ月と言われています。(文献1) そのため、捻挫から約3カ月経過しても痛みや腫れが続く場合は、後遺症の可能性があります。 主な症状は、朝起きたときの足首のこわばりや、長時間歩いた後の痛みの増強などです。 また、天気が悪いときや天候が崩れるときは気圧が大きく変動し、体内の神経や血管に影響を及ぼし痛みが出ることもあります。 くるぶしを押すと痛い くるぶし(足首の内側・外側にある骨が突出した部分)を触ったときの痛みは、骨や靭帯の損傷が治癒していないサインです。 以下のようなくるぶしの痛みが続く場合は、後遺症の可能性があります。 物にぶつかったときに痛みがある 靴着用時に圧迫されて痛みを感じる 靴下を脱ぎ着する際に痛みが生じる 該当する症状があれば後遺症を疑い、専門医に相談してみましょう。 以下の記事では、足首捻挫の後遺症セルフチェックリストを紹介しています。後遺症の見逃しを防ぐために役立つので、参考にしてみてください。 関連記事:足首捻挫の後遺症セルフチェックリスト!リハビリ期間を短縮できる再生医療についても解説 | 大阪 リペアセルクリニック 捻挫の後遺症が出る原因 足首捻挫の後遺症が出る主な原因は、初期治療の不備や安静期間の不足です。 捻挫直後の応急処置を怠ったり、適切な治療を受けないまま足首に負荷をかけたりすると、損傷した靭帯が緩んだままになり、関節が不安定な状態で固まってしまいます。 捻挫で痛めた靭帯や筋肉、関節包などの軟部組織は、完全に治癒するまでに約6週間から3カ月の期間を要します。(文献1) そのため、治癒期間中に無理な負荷をかけると、組織の修復が不完全になり慢性的な症状が残りかねません。 また、痛みが引いたからといって早期に運動を再開すると、損傷した組織が十分に修復されず、症状がぶり返す可能性もあります。 以下の記事では足首捻挫を放置するリスクについて解説しています。適切な治療を進める大切さがわかるので、あわせてご覧ください。 関連記事:足首の捻挫を放置したらどうなる?主な後遺症や治るまでの期間について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 捻挫における後遺症の治し方 後遺症の治療方法として、以下3つの治し方があります。 テーピングの使用 ストレッチ リハビリテーション これらの治療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できます。 テーピングの使用 テーピングの使用は足首の安定性を向上させ、再発防止に効果的な治療法です。(文献1) テーピングを適切に巻くことにより関節の可動域を制限し、損傷した靭帯への負担を軽減できます。 一般的なテーピングの巻き方は以下のとおりです。 足首が直角(90度)になるように足首の角度を整える テープはくるぶしの少し下から始め、かかとをぐるっと包み込むように巻く 足の裏から土踏まずを支えるように、テープを斜め上に貼り上げる テープで8の字を描くように、くるぶしのまわりを巻く 足首全体を包み込むようにテープを巻き上げる 強く巻きすぎると血流を妨げる可能性があるため、巻いた部位が冷たくなったり、色が変わったりしない適度な強さで巻きましょう。 ストレッチ ストレッチは関節の柔軟性を回復し、筋肉の緊張をほぐす治療法です。 足首の可動域が制限されると、周辺の筋肉が硬くなり血流が悪化します。 以下に捻挫後遺症の際におすすめのストレッチの種類とやり方を紹介します。 種類 やり方 アキレス腱伸ばし ・足を前後に開いて立つ ・後ろ足のかかとは床につけたまま、体重を前に移動する つま先立ち ・立った状態で母指球(親指の付け根)に体重を乗せる ・そのままかかとを高く上げて、ゆっくり下ろす 足趾ひらき ・椅子に座って足裏を床につける ・親指から小指までしっかり横に広げながら、足の裏全体で床を押す ストレッチの効果はすぐに現れない場合もあるため、継続しておこないましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは筋力と関節機能の回復を目的とした専門的な治療法です。 理学療法士の指導のもと、段階的に負荷を増やしながら足首の機能を回復させます。 治療法としては、テーピングやサポーター(ブレース)を使用して関節の安定性を高める方法が一般的です。(文献2) これらの補助具は、関節への負担を軽減し、回復を促すための手段として、専門的な知識と技術を持つ理学療法士が指導します。 さらに、バランスボードを使った平衡感覚の訓練やゴムチューブを用いた筋力強化する方法もあります。 指導者と相談しながら、自身の状態に合わせたプログラムを実践しましょう。 捻挫の後遺症が悪化した場合の選択肢 後遺症が悪化した際の選択肢として、以下の方法があります。 手術 再生医療 保存的治療で改善が見られない場合は、より高度な治療法を検討する必要があります。 症状の程度や生活スタイルに応じて、適した治療法を選択しましょう。 手術 手術は重度の靭帯損傷や関節不安定性に対する根本的な治療法です。 断裂した靭帯の修復や再建により、関節の安定性が改善されます。 主な手術の種類と内容は以下のとおりです。 手術名 内容 関節鏡 関節の中をカメラで確認し、炎症を起こした滑膜を焼灼、損傷した軟骨を処置する 靭帯縫合術(Bronstrom-Gould変法) ゆるんだ靭帯を縫い縮めて補強し、人工靭帯でさらに強度を持たせる 靭帯再建術 自分の太ももの腱(大腿四頭筋腱)を使って、靭帯を新たに作り直す 担当医の相談のもと、症状の程度や生活スタイルに応じて患者様にあった手術方法が選択されます。 再生医療 再生医療はご自身の細胞を活用する治療法です。 再生医療には「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」はご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 再生医療は、拒否反応やアレルギーのリスクが低く、治療期間を短縮できる可能性があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。 捻挫による後遺症は放置せず早めに対処しよう 捻挫の後遺症は放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたします。 早期の適切な治療により、多くの場合で症状の改善が可能です。 捻挫における後遺症の治し方は以下の3つです。 テーピングの使用 ストレッチ リハビリテーション 本記事ではそれぞれの症状について解説していますので、ご自身の症状に合わせて、治療法を進めてみてください。 捻挫の後遺症が悪化した場合は、手術または再生医療の治療法が選択肢に挙げられます。 再生医療は患者様の細胞を活用した治療法で、副作用が少なく入院なしで治療できる点が特徴です。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 捻挫の後遺症に関するよくある質問 捻挫の後遺症で正座ができない場合もありますか? 捻挫の後遺症により正座ができない場合があります。 後遺症による痛みや可動域の制限により、膝を深く曲げる姿勢が取れなくなるためです。 また、足首の不安定性により、正座の維持が困難になる場合もあります。 以下の記事では正座をすると足首が痛いときのストレッチ法を紹介しています。セルフケアをする際の参考にしてみてください。 関連記事:正座をすると足首が痛い原因まとめ!有効なストレッチも紹介 | 大阪 リペアセルクリニック 足首の古傷が痛む原因は捻挫後遺症の可能性はありますか? 古傷が痛む現象について、はっきりとした原因はまだ解明されていません。 しかし、けがをした部分の組織は、回復後も血行が悪くなりやすいと言われています。 気温の変化や気圧の低下によって血管が収縮すると、さらに血流が悪くなります。 古傷の痛みや違和感を感じたら、医療機関に相談してください。 参考文献 (文献1) スポーツ活動における足関節捻挫―後遺症と捻挫再発予防について―|日本アスレティックトレーニング学会誌 (文献2) 足関節捻挫の病態と治療|日本アスレティックトレーニング学会誌
2025.07.31 -
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「下肢静脈瘤にコーヒーは良くないの?」 「静脈瘤に良くないのなら控えようと思うけれど、ストレスになりそう」 コーヒーを好まれる方の中には、このような不安や悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 結論として、下肢静脈瘤とコーヒーに関する明確な因果関係は、現時点では認められていません。 ただし、コーヒーに含まれるカフェインには注意すべき作用があります。 本記事では、下肢静脈瘤とコーヒーの関係や、下肢静脈瘤の方もコーヒーを楽しむための方法などを解説します。 下肢静脈瘤への不安を解消し、コーヒーを安心して楽しむためにも、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 コーヒーが下肢静脈瘤に関係する医学的根拠は確認されていない 現在の医学的見解では、「コーヒーを飲むことで下肢静脈瘤が悪化する」といった明確な根拠は確認されていません。スウェーデン及びアメリカの研究機関による共同研究においても、コーヒーと下肢静脈瘤発症の関係は不明との結果が示されました。(文献1) この章では、カフェインが持つ作用と下肢静脈瘤の関係性について解説します。 コーヒー(カフェイン)が血管に与える影響 カフェインには血管収縮作用があるとされています。アメリカの論文によると、コーヒーを飲んだときは飲まないときと比較して、脳の血流が速くなり脳血管が収縮しているとの結果が得られました。(文献2) 広島大学の研究では、カフェインは血管内壁の機能を上げて、血管を拡張させる作用があるとの結果が得られました。(文献3) カフェインは血管に少なからず影響を与えますが、静脈瘤の発症および悪化との関連は示されていません。 コーヒー(カフェイン)が持つ利尿作用 コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があります。フランスの論文では、「カフェインは、主に腎臓での血液ろ過機能の抑制により利尿作用を生じさせる」とのメカニズムが示されました。(文献4) そのため、コーヒーを飲み過ぎると体内の水分が減りやすくなります。水分不足により血液が濃くなると、足の血流がさらに滞り、静脈瘤のリスクを間接的に高める可能性があります。 カフェインの利尿作用が、下肢静脈瘤の発症や悪化を招く可能性もゼロではありません。 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむための工夫 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむための工夫として、以下の3つが挙げられます。 コーヒーとは別に水分も補給する 1日3杯を目安に適量飲む 夜間は控えて日中に飲む コーヒーとは別に水分も補給する コーヒーは水分補給にカウントせず、あくまで楽しみの1つと考えましょう。 人体の約60%は水分であり、それを維持するためにも1日2.5リットルの水分摂取が必要です。食事で摂れる水分が約1リットルであり、体内で作られる水分が約0.3リットルであるため、経口摂取する水分は約1.2リットルが目安です。(文献5) コーヒーを適量飲みつつ、その他に水や白湯、ノンカフェインのお茶などで水分を補給しましょう。適切な水分補給は血液の流れをスムーズにし、足のむくみやだるさを予防します。 1日3杯を目安に適量飲む 適切な量を守れば、下肢静脈瘤の方もコーヒーを楽しめます。 一般成人の場合、健康に悪影響を及ぼさないコーヒー摂取量は1日3杯程度です。 ドリップ式のコーヒーでは、マグカップ1杯(237ml)に約100mgのカフェインが含まれます。インスタントコーヒーでのカフェイン量も、ほぼ同量です。カナダ保健省では、健康な成人のカフェイン1日摂取目安量を400㎎としています。コーヒーに換算すると3~4杯程度です。(文献6) カフェインが多く含まれている飲み物の種類とカフェイン含有量を、表に示しました。(文献6) 飲み物 カフェイン含有量 ドリップ式コーヒー 100mlにつき60mg インスタントコーヒー 100mlにつき57mg 缶コーヒー・コーヒー飲料 100mlにつき10mg未満~90mg 玉露 100mlにつき160mg 紅茶 100mlにつき30mg 煎茶 100mlにつき20mg ほうじ茶 100mlにつき20mg ウーロン茶 100mlにつき20mg エナジードリンク 100mlにつき32~300mg この表を参考に、コーヒーを含むカフェイン飲料の1日量を設定すると良いでしょう。 夜間は控えて日中に飲む カフェインには覚醒作用があり、3時間程度持続します。就寝3~4時間前にコーヒーを飲むと、就寝時にも覚醒作用が続き、入眠を妨げたり睡眠が浅くなったりするなど、いわゆる「睡眠の質低下」を招きます。(文献7) そのため、コーヒーを飲むときは睡眠への影響が少ない日中の時間帯を選びましょう。 また、下肢静脈瘤の症状である足のこむら返りやむずむず感、かゆみなどにより睡眠の質が低下することがあります。睡眠不足は全身の健康に影響するため、良質な睡眠の確保が大切です。 コーヒーが体に及ぼす影響と望ましい飲み方については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 【コーヒー以外】下肢静脈瘤でお悩みの方が日常生活で気をつけるべきポイント 下肢静脈瘤でお悩みの方は、長時間の同じ姿勢や締め付けの強い衣服および、靴の着用を避けましょう。 長時間の同じ姿勢や圧迫は、下肢の血流を妨げてしまい、足先から心臓へ血液が戻りにくくなる状況をつくり出します。その結果、下肢静脈に負担がかかり、静脈瘤の発生や悪化を引き起こします。 喫煙も血管の機能障害につながり、下肢静脈瘤に間接的な悪影響を及ぼすため、禁煙につとめましょう。 足をこまめに動かす、圧迫する衣服や靴は控える、禁煙につとめるなどが、日常生活で気をつけるべきポイントです。 下肢静脈瘤でやってはいけないことやセルフケアの方法については、以下の2記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 下肢静脈瘤でやってはいけないことを現役医師が解説|日常生活から意識して悪化を防ごう 【医師監修】下肢静脈瘤を自分で治すことはできるのか|セルフケア方法とあわせて解説 コーヒーと上手に付き合いつつ下肢静脈瘤の予防につとめよう コーヒーが下肢静脈瘤を悪化させる医学的な根拠は存在していません。 カフェインが血管に与える影響は少なからず存在しますが、下肢静脈瘤との関係は現時点では不明です。ただし、コーヒーに含まれる利尿作用によって、体内の水分不足が生じ、下肢静脈瘤に良くない影響を与える可能性があります。 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむためには、コーヒー以外の水分摂取も心がける、適量を守る、夕方以降のコーヒーを控えるなどの工夫が必要です。 コーヒーとの付き合い方に加えて、生活習慣の改善が必要な部分もあります。 好きなコーヒーを無理に我慢せず、本記事を参考にしつつ適度に楽しむ方法を見つけましょう。 その中で、下肢静脈瘤と思われる症状が出現、もしくは悪化した場合は我慢せず、医療機関を受診してください。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。下肢静脈瘤についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 下肢静脈瘤とコーヒーに関するよくある質問 下肢静脈瘤の場合アルコールはよくありませんか? アルコールもカフェイン同様に利尿作用があります。アルコールには、バソブレッシン(抗利尿ホルモン)の分泌を抑制する作用があるためです。 ビールを例にとると、1リットルのビールで1.1リットルの水分が失われるとされています。(文献8) そのためアルコールも、コーヒーと同じように下肢静脈瘤のリスクを間接的に高める可能性があります。 下肢静脈瘤に良い飲み物には何がありますか? 水や麦茶、白湯、ハーブティーなどカフェインが含まれていない飲み物が良いでしょう。 一度にたくさん飲むよりも、少量ずつ何回かに分けて飲む方が望ましいでしょう。人間の身体が吸収できる水分量は30分でコップ1杯ほどとされているためです。(文献9) 参考文献 (文献1) Cardiometabolic, Lifestyle, and Nutritional Factors in Relation to Varicose Veins: A Mendelian Randomization Study|Journal of the American Heart Association (文献2) Vascular effects of caffeine found in BOLD fMRI|Journal of Neuroscience Research (文献3) Effects of Acute Administration of Caffeine on Vascular Function|The American Journal of Cardiology (文献4) Mécanismes de l’effet diurétique de la caféine|médecine/sciences (文献5) 健康のため水を飲もう講座|厚生労働省 (文献6) カフェインと睡眠|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター (文献7) 健康づくりのための睡眠指針 2014|厚生労働省 (文献8) 毎日なんとなく飲んでいる人は要注意! 「お酒」との距離感を考えよう|関東百貨店健康保険組合 (文献9) 不調を防ぐ「水の正しい摂り方」|徳洲会健康保険組合
2025.07.31 -
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「ふくらはぎの血管が浮き出ていて気になる」 「最近、血管がふくらんできているような気がする」 「足のむくみやだるさも出てきた」 このような症状があるときに、下肢静脈瘤を疑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。下肢静脈瘤は自分で治せるものなのか、それとも病院へ行くべきなのか迷われる方も多いことでしょう。 結論として、下肢静脈瘤を自分で治すことは困難であり、医師による治療が必要です。しかし、正しいセルフケアにより症状の悪化を防げます。 下肢静脈瘤は命に関わるものではありませんが、放置するリスクは存在します。 本記事では、下肢静脈瘤を自分で治せない理由や放置のリスク、悪化防止のセルフケアについて紹介します。 下肢静脈瘤を悪化させないためにも、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 下肢静脈瘤は自分で治せない|医療機関で治療が必要 下肢静脈瘤は自分で治せないものです。運動やマッサージ、ツボなど自分で行えるセルフケアはありますが、これらはあくまでも予防および進行を抑えるものです。 下肢静脈瘤は、下肢の静脈圧が上昇し、逆流を防ぐ弁が壊れることで発症します。セルフケアで予防しつつも、発症した場合は医療機関での適切な治療が必要です。治療を受けながらセルフケアを続けることで、進行を抑えることが期待できます。 下肢静脈瘤を治療せず放置すると、さまざまなリスクがあるため放置は禁物です。 放置によるリスクの詳細は、次の章で解説します。 下肢静脈瘤を放置するリスク 下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、自然に治るものではなく、徐々に進行していくため放置は禁物です。この章では、下肢静脈瘤を放置した場合に考えられる、2つのリスクについて紹介します。 静脈瘤性症候群(うっ滞性症候群)の発症 静脈瘤性症候群(うっ滞性症候群)は、下肢のむくみや湿疹、だるさや疲れ、色素沈着といった症状が出てくる疾患です。すねやふくらはぎに潰瘍ができてしまい、そこから強い痛みが生じることもあります。 原因の1つが下肢静脈瘤の放置です。症状改善のために、静脈瘤に対する手術治療が行われる場合があります。(文献1) 表在性血栓性静脈炎の発症 表在性血栓性静脈炎とは、下肢の表在静脈(皮膚のすぐ下にある静脈)で炎症および血栓が生じる疾患です。血栓以外では、皮膚の腫れや痛みなどの症状があります。(文献2) 血栓は静脈の壁にしっかりと付着しており、剥がれにくくなっています。また、表在静脈は筋肉に囲まれていないため、血栓が筋肉によって心臓や肺に押し出されることはありません。 表在性血栓性静脈炎は、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)とは異なり、命に関わることはありません。しかし、表在静脈だけではなく深部静脈に血栓がある可能性も否定できないため、皮膚の腫れや痛みが強い場合は医療機関を受診しましょう。 深部静脈とは、太ももや膝の中心など身体の深い部分を走っている静脈です。深部静脈に血栓ができると重症化しやすく、命に関わる危険もあります。(文献3) 下肢静脈瘤のセルフケア 下肢静脈瘤の予防や悪化防止のためのセルフケアとしては、主に以下の3つが挙げられます。 マッサージを行う ふくらはぎをこまめに動かす 医師の指示通りに弾性ストッキングを着用する マッサージを行う マッサージにより、足のむくみやだるさといった下肢静脈瘤の症状緩和が期待できます。 マッサージの主なポイントを以下に示しました。 足を前に伸ばした姿勢で行う 足先から膝裏(太もも)方向へマッサージする 手のひら全体が皮膚に密着するようにする 強い力を入れないで行う 力を入れ過ぎると逆効果になりますので、さするようにマッサージしましょう。 寝る前や入浴時などを利用して、毎日マッサージをおこなうことをおすすめします。1回につき2~3分で十分です。 ふくらはぎをこまめに動かす ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれています。ふくらはぎの筋肉が縮んだり膨らんだりする作用により、足に下がった血液を心臓に押し戻す役割、いわゆるポンプ作用があるためです。 ふくらはぎの筋肉をこまめに動かして、静脈の血流をスムーズにしていきましょう。 日中は、つま先もしくはかかとの上げ下げやスクワット、階段の昇り降り、ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。 寝る前には、あおむけの姿勢で両足を上げてブラブラさせてみましょう。 寝るときは、枕やクッションを膝下に入れて足を高くすると良いでしょう。 医師の指示通りに弾性ストッキングを着用する 弾性ストッキングとは、下肢静脈瘤治療で用いられる医療用ストッキングです。多くの場合、購入時には医師の処方を必要とします。 弾性ストッキングは日中の着用が推奨されています。日中は立ったり座ったりする時間が長くなり、重力の影響で血液が足の静脈にたまりやすいためです。弾性ストッキングの圧迫作用により血液循環の促進が期待できます。 ストッキング選びや着用方法については、医療機関での指導を受けるようにしましょう。 弾性ストッキングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 下肢静脈瘤は治療とセルフケアで悪化防止に努めよう 下肢静脈瘤は、自分で治すものではなく医師の治療が必要な疾患です。本記事で紹介したセルフケアは「下肢静脈瘤を完全に治すもの」ではなく、「症状の悪化を防ぐもの」であると覚えておきましょう。 日常生活に支障をきたさないためにも、医師による治療とセルフケアの両方が大切です。下肢静脈瘤を放置するとさまざまなリスクで苦しむことになるため、必ず医療機関を受診してください。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを行っています。 下肢静脈瘤の治療やセルフケアについて疑問や不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。 下肢静脈瘤を自分で治すことに関するよくある質問 下肢静脈瘤は何科を受診すると良いでしょうか? 下肢静脈瘤の受診先は主に血管外科です。しかし、地域によっては血管外科がない場合もあります。その際は、心臓血管外科、一般外科、皮膚科、形成外科などを受診しましょう。 該当する診療科が分からない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医に紹介状を書いてもらってから専門の科を受診すると、スムーズに診察を受けられます。 下肢静脈瘤にツボは有効ですか? ツボは根本療法ではなく、対症療法的な位置づけです。東洋医学上では下肢静脈瘤を血流の停滞や血流不足と捉えており、この点にアプローチするためのツボがあります。 主なものとして挙げられるのが、内くるぶしから指4本分上にある「三陰交」というツボです。 それ以外のツボとしては、以下のようなものがあります。 委中(いちゅう):膝関節の後ろ側中央部分 委陽(いよう):委中よりも外側にある膝関節うしろのツボ 陰谷(いんこく):委中よりも内側にある膝関節うしろのツボ ツボは、心地良い刺激を感じる程度の力加減で押しましょう。押すときに息を吐き、離すときに息を吸います。 ツボ押しのポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―5:下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン|日本皮膚科学会雑誌 (文献2) 表在静脈血栓症(表在性血栓性静脈炎)|MSDマニュアル家庭版 (文献3) 深部静脈血栓症って?|日本血管外科学会
2025.07.31 -
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「ふくらはぎや太ももの血管が浮き出てきた」 「これは静脈瘤ではないだろうか」 「そのままにしていても大丈夫なのだろうか」 自分の足の変化を目にして、このような不安を抱えている方も多いことでしょう。 静脈瘤と聞いて、日常生活に支障をきたしたり、血管が詰まって命に関わったりするイメージを抱える方も少なくありません。 基本的に下肢静脈瘤は命に関わるものではなく、治療可能な疾患です。エコノミークラス症候群(急性肺動脈塞栓症)とは異なるものです。 ただし、下肢静脈瘤の悪化を防ぐために、やってはいけないことが複数存在します。 本記事では下肢静脈瘤でやってはいけないことや、悪化防止のためにやるべきことなどを解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 下肢静脈瘤でやってはいけないこと一覧 下肢静脈瘤でやってはいけないことは、主に以下の3点です。 長時間同じ姿勢でいる 締めつけの強い衣服や靴を着用している 望ましくない生活習慣を続けている 長時間同じ姿勢でいる 長時間同じ姿勢でいることは、下肢静脈瘤の発症につながります。 立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいると、下肢筋肉のゆるみや重力の影響で足の血流が滞ってしまいます。 その結果、下肢静脈の血圧上昇および血液逆流を防止する弁の損傷が生じます。弁が壊れると、本来心臓に戻るはずだった下肢の血液は行き場をなくして静脈内にとどまり、静脈瘤を発生させます。 締めつけの強い衣服や靴を着用している ウエストがきついスカートやズボン、締め付けが強いガードルもしくはコルセットなどの着用は、下肢の血流を阻害します。 下肢の血流阻害は、静脈瘤の発生や悪化の原因です。同じ理由で、高いヒールの靴を長時間履き続けることも好ましくありません。ふくらはぎの筋肉の動きを制限し、ポンプ機能を阻害するためです。 市販の着圧ソックスも、選び方を間違えると下肢静脈瘤を悪化させる可能性があります。サイズが小さいものを選んだり、圧力が強いタイプのものを選ぶと、下肢が強く圧迫されるためです。 静脈瘤の予防や軽減のためには、医療用の弾性ストッキングを着用しましょう。医療機関で、自分に合ったサイズや正しい着用方法について指導を受けることが必要です。 望ましくない生活習慣を続けている 喫煙は、血管の健康状態を維持するために非常に重要な役割を持つ、血管内皮機能の障害につながります。(文献1) コーヒーなどのカフェインには利尿作用があるため、摂り過ぎると尿量が増加します。その結果、筋肉に必要な水分やミネラルが不足して、こむら返りを引き起こす可能性もゼロではありません。 健康な成人においては、1日2~3杯のコーヒーまでが健康に悪くないカフェイン摂取量と考えられます。(文献2) 以下の記事では、下肢静脈瘤とコーヒーの関係について解説しています。あわせてご覧ください。 下肢静脈瘤悪化防止のためにやるべきこと 下肢静脈瘤の悪化防止のためにやるべきことは、主に以下の3点です。 適度な運動でふくらはぎの筋肉を鍛える 弾性ストッキングを正しく活用する 就寝時に脚を少し高くする 適度な運動でふくらはぎの筋肉を鍛える ウォーキングやスクワット、かかとの上げ下げ、階段の上り下りといった運動により、ふくらはぎの筋肉が収縮されます。ふくらはぎの筋肉が動くと、足先から心臓までの血流がスムーズになるため、下肢静脈瘤の予防や悪化防止につながります。 具体例を以下に示しました。 職場内の移動手段を、できる範囲でエレベーターから階段に切り替える 自宅から職場が近い方は歩いて通勤する 立ち仕事や座り仕事の方は、休憩中にかかとを上げ下げする WHOの「身体活動および座位行動に関するガイドライン(2020年)」においても、「座りっぱなしの時間を減らすべきである」と推奨されています。座っている時間を身体活動に置き換えることで、健康に良い効果を得られます。運動の強さは問わないとされていますので、今までより体を動かす時間を増やしてみましょう。(文献3) 弾性ストッキングを正しく活用する 弾性ストッキングとは、下肢静脈瘤治療の1つである、圧迫療法で使われるものです。 圧迫療法には、以下のような効果があります。(文献4) ふくらはぎの筋ポンプ作用が強くなる 静脈内の血流が速くなる 静脈での血液逆流が予防できる むくみが改善されるなどの効果がある 弾性ストッキングには、圧迫力やサイズ、形によってさまざまなタイプがあるため、自分に合ったものを選び、医師の指導のもと、正しく着用しましょう。購入時は医師の処方を受けてください。 就寝時に脚を少し高くする 寝るときに、クッションや枕で足を少し高くしてみましょう。重力の関係で、足の血液が心臓に戻りやすくなり、むくみや下肢静脈瘤の予防や改善が期待できます。 足を心臓より高い位置にし、膝を曲げた姿勢にすることがポイントです。膝を伸ばした姿勢で寝ると、足が疲れやすく、静脈還流の面でも望ましくありません。 静脈還流とは、心臓から出た血液が動脈を通って体中に行き渡った後に、静脈を通って心臓に戻ることを意味します。 下肢静脈瘤悪化予防のためのセルフケアについては、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 下肢静脈瘤における受診の目安 この章では、下肢静脈瘤において医療機関を受診すべき症状および、具体的な治療内容について解説します。 医療機関を受診すべき症状 医療機関を受診すべき症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。 足にこぶが見える むくみやだるさがある こむら返りを繰り返す 足が疲れやすい 自分にとって不快な症状が現れて、すぐに治らない場合が受診の目安といえるでしょう。 下肢静脈瘤自体は緩やかな経過で命に関わるものではないため、治療を急ぐ必要はありません。しかし、他の疾患が隠れている可能性もあるため、気になる症状が出てきた場合は早めに受診しましょう。 受診先は、血管外科や内科、皮膚科、形成外科などです。近くに血管外科がない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。 医療機関での治療内容 医療機関で行われる、下肢静脈瘤の主な治療内容を表に示しました。(文献5) 治療内容 詳細 圧迫療法 医療用弾性ストッキング、もしくは弾性包帯を使用して下肢を圧迫する方法。 下肢のむくみやだるさといった諸症状緩和や、静脈瘤の進行防止が目的。 硬化療法 静脈瘤の中に硬化剤を注入し、原因血管を固めて消失させる方法。 外来通院でも可能な方法で、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤など細い静脈瘤において適用となることが多い。 ストリッピング手術 特殊なワイヤーを用いて、静脈瘤の原因血管を除去する方法。 伏在型静脈瘤が主な適応だが、それ以外の静脈瘤に対しても治療の選択肢になりえる。再発も少ない。 高位結紮術 小さく切開した皮膚から静脈を糸で縛り、血液の逆流を止める方法。 日帰り手術が可能である。 血管内焼灼術 皮膚に小さく穴を空けて、そこからカテーテルを通して静脈に熱を加える方法。 熱を加えて血管を閉塞させることで血流や血液の逆流を止める。ラジオ波焼灼術とレーザー焼灼術がある。 治療内容は、下肢静脈瘤の種類や患者の症状によって異なります。 やってはいけないことを理解して下肢静脈瘤の悪化を防ごう 下肢静脈瘤は命に関わるものではなく、治療可能な疾患です。しかし、悪化防止のためには、やってはいけないこと、逆にやるべきことが存在します。 やってはいけないことは、長時間の同じ姿勢や、締め付けの強い衣服や靴の着用、望ましくない生活習慣などです。 やるべきことは、適度な運動や、正しい方法での弾性ストッキング着用、寝るときに足をあげることなどです。 下肢静脈瘤の予防および悪化防止のためにも、やってはいけないことと、やるべきことの両方を意識して、日常生活を送りましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。下肢静脈瘤についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 下肢静脈瘤のやってはいけないことに関するよくある質問 下肢静脈瘤とコーヒーの関係性は? 1日2~3杯程度であれば、大きな影響はないとされています。ただし飲み過ぎると、利尿作用により尿量が増えて、血液が濃くなり、血流が悪くなる可能性があります。下肢静脈瘤に悪影響を及ぼしかねません。 そのため、水分補給の際は水や白湯、ノンカフェイン飲料などの摂取を心がけましょう。 下記の記事も参考にしてください。 下肢静脈瘤におけるマッサージは禁忌ですか? 力を入れたマッサージは逆効果ですが、適度な強さで実施すると足のむくみやだるさなどの症状緩和が期待できます。 足先から膝裏へと、下から上の方向でマッサージしてください。手のひらが皮膚に密着するような体勢でマッサージすると良いでしょう。 太ももに触れるときは、手に力を入れないようにしましょう。 下記の記事も参考にしてください。 参考文献 (文献1) 【第15回禁煙推進セミナー】 〈喫煙による健康被害 個人から社会へ〉2.血管内皮機能|日本循環器学会専門医誌 (文献2) カフェインと睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター (文献3) WHO身体活動・座位行動 ガイドライン (日本語版)|日本運動疫学会 (文献4) 圧迫療法:基礎と理論|日本フットケア・足病医学会誌 (文献5) 下肢静脈瘤|慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト
2025.07.31 -
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「かかとが痛いって言ってるけど、大会まで2週間しかない...」 「このまま休ませるべき?それとも様子を見ながら続けさせても良いの?」 お子さんのかかとの痛みに悩まされている保護者の方は少なくありません。 実は、少年サッカーで急増している"かかと痛"の多くはシーバー病と呼ばれる成長期特有の疾患が原因です。 シーバー病は適切に対処すれば数週間で復帰できる一方で、放置してしまうと半年以上の長期離脱につながるリスクがあります。 本記事では、シーバー病について正しく理解し、お子さんのサッカーを休ませるかどうかの判断がつくようになる具体的な方法をお伝えします。 さらに、復帰を早めるための4つの方法や家庭でできるセルフケア、再発予防策まで詳しく解説します。 お子さんの将来のサッカー人生を守るために、ぜひ最後までご覧ください。 シーバー病でサッカーを休むべき?チェックリストで判断しよう シーバー病でサッカーを休むかどうかの判断は、痛みの程度と日常生活への影響度で決まります。 シーバー病とは成長期の子どもの踵骨(かかとの骨)に起こる炎症で、10歳から15歳のスポーツをする子どもに多く見られる疾患です。(文献1) 痛みの程度によって対応方法が変わるため、以下のチェックリストを使って、お子さんの現在の状態を確認してみましょう。 症状レベル 痛みの特徴 対応方法 復帰目安 軽度 練習後のみ痛む、歩行は正常 軽い練習のみ、アイシング継続 4-6週間(文献2) 中度 練習中も痛む、歩き方がおかしい サッカー休止、セルフケア重視 8-12週間 重度 日常生活でも痛む、足を引きずる 完全休養、医療機関受診 半年以上 とくに注目していただきたいのは歩き方の変化です。 お子さんが普段と違う歩き方をしていたり、足を引きずるような仕草を見せたりする場合は、中度以上の症状と判断してサッカーを休ませることをおすすめします。 また、朝起きたときの一歩目で強い痛みを訴える場合も、症状が進行している可能性が高いため注意が必要です。 判断に迷った場合は、痛みがあるときは休むことで、長期離脱を防げます。 休まずサッカーを続けると悪化するリスクあり かかとの痛みを我慢してプレーを続けることで起こるリスクについてみていきましょう。最も深刻なのは、症状の重症化による長期離脱です。 軽度のシーバー病であれば4週間程度で復帰できますが、無理を続けると重度まで進行し、完全に痛みが取れるまで半年以上かかるケースもあります。 さらに心配なのは、かばう動作により他の部位に負担がかかることです。 かかとの痛みをかばって歩いたり走ったりすると、慢性的に足への負担が増加し、二次的な怪我のリスクが高まります。 実際に、シーバー病を放置した結果、歩行困難になったり、かかとの骨が変形するお子さんも見られます。 また、痛みがある状態でのプレーは集中力を欠き、思わぬ接触事故や転倒につながるでしょう。 成長期の骨は大人に比べて柔らかく、継続的な負荷により骨の変形や成長障害を起こす危険性もあるので、お子さんの将来のサッカー人生を考えると、短期間の休養は決して無駄ではありません。 今しっかり休ませることで、お子さんがより長くサッカーを楽しめるようになります。長期的な視点でお子さんの様子を見守りましょう。 シーバー病からサッカーへの本格復帰を早める4つの方法 シーバー病からの復帰を早めるためには、段階的なアプローチが重要です。 ここでは4つの方法をご紹介します。 これらの方法を組み合わせることで、本格復帰が期待できます。具体的な実践方法と注意点をみていきましょう。 その1.アイシング アイシングは、シーバー病の痛みと炎症を抑える基本的で効果的な方法です。 炎症を起こしているかかとの骨の成長軟骨部分を冷やすことで、血管が収縮し、炎症反応を抑制できます。 氷嚢または冷却パックを使用し、かかと周辺を1回15分〜20分程度冷やしてください。 タオルなどで氷嚢を包み、直接肌に当てないよう注意しましょう。 実施タイミングは、練習後すぐに行なってください。 練習後のアイシングは、運動により高まった炎症反応を速やかに抑制するため非常に重要です。アイシング後は温度感覚が鈍くなるため、お子さんが痛くないと言っても無理な運動は控えましょう。 その2.ストレッチ ふくらはぎと足首周りの柔軟性向上は、シーバー病の改善と再発予防に欠かせません。 筋肉の緊張が踵骨への牽引力を増加させ、シーバー病の症状を悪化させます。 効果的なストレッチ方法をご紹介します。 まず、ふくらはぎのストレッチです。 壁に手をついて立ち 痛い方の足を後ろに下げ かかとを地面につけたまま体重を前にかける ふくらはぎの筋肉が伸びている感覚があれば正しくできています。 30秒間キープし、これを3セット行ってください。 次に、ボールを使った足裏のストレッチです。 テニスボールを用意する 椅子に座った状態で足裏にボールを挟んで痛くない程度に圧迫する 前後に動かす ストレッチは無理のない範囲で毎日継続することが重要です。痛みが強い時期でも、痛みが出ない範囲でストレッチは継続してください。 ストレッチにより筋肉の柔軟性が向上すると、踵骨への負担が軽減されます。 その3.筋力トレーニング 休養期間中の筋力低下を防ぎ、復帰後のパフォーマンス維持につなげるため、適切な筋力トレーニングが重要です。 ただし、かかとに強い負荷をかけるトレーニングは避けるために、体幹部のトレーニングを中心に行いましょう。 まず、地面に座った状態で両膝をかかえ、お腹と太ももの距離を一定にしたまま前後に揺れてください。腹直筋が鍛えられ、姿勢の改善にも役立てられます。 このトレーニングは体幹が鍛えられることと、足に負担が少ないトレーニングですので、シーバー病を患っていてもトレーニング可能です。 トレーニング中に痛みが出現した場合は、すぐに中止し、痛みが完全に治まってから再開しましょう。焦らず段階的に進めることが、本格復帰への近道です。 その4.痛みがなくなってから段階的に強度を上げる 完全に痛みが消失してからの復帰プロセスが、再発防止の鍵となります。いきなり元の練習強度に戻すのではなく、段階的に負荷を上げていきましょう。 まずは平地での軽いウォーキングとストレッチから始め、この段階で痛みが再発しないことを確認してください。 痛みがなければ、ジョギングを行なったり、ボールを使ってドリブルをしてみたりと、サッカーに近い動きを少しずつ取り入れていきましょう。 ここでも痛みや違和感がなければかかとに負担のかかるジャンプやシュートなど、サッカーで使う動きを取り入れてみてください。 すべての段階で痛みがなければ、通常の練習に復帰可能ですが、もし痛みや違和感があれば前の段階に戻ってください。 専門医との相談も重要ですので、復帰時期の判断に迷った場合は医師の意見を求めましょう。 家庭でできるシーバー病のセルフケアと再発予防 シーバー病の治療と再発予防において、家庭でのセルフケアは非常に重要な役割を果たします。 とくに重要なポイントはふくらはぎの柔軟性維持とかかとへの衝撃軽減の2つです。 毎日継続できる簡単で効果的な方法はテーピングとストレッチ、インソールを活用することです。これらを取り入れることで、症状の改善と再発防止の両方を実現できます。 テーピング・ストレッチ テーピングは、かかとへの負担を軽減し、痛みを和らげる効果的な方法です。 正しいテーピングにより、踵骨への牽引力を分散させ、炎症の悪化を防げます。 家庭でできるテーピング方法やストレッチについては、以下の記事にて詳しく紹介しています。興味ある方はあわせてご覧ください。 インソール選び:踵パッド vs. フルカスタム インソール選びは、シーバー病の症状軽減と再発防止において重要な要素です。 市販品とオーダーメイドのカスタム品、それぞれの特徴と効果について詳しく解説します。 まず、市販のインソールの特徴です。 踵パッドタイプは2,000円から3,000円程度で購入でき、すぐに使用できる利便性があります。 衝撃吸収材としてジェルやシリコンが使用されており、かかとへの負担を20-30%軽減できます。 一方、フルカスタムインソールは20,000円から30,000円と高額ですが、個人の足型に完全に合わせて作製されます。 効果と費用の比較表をご確認ください。 項目 市販品(踵パッド) カスタム品 価格 1,000-3,000円 20,000-30,000円 効果 負担軽減 スポーツの特性に合わせた足への負担軽減 子どもの足の形に合わせた足への負担軽減 フィット感 合う形があればフィット 完全個別対応 耐久性 6-12カ月 2年以上 入手期間 即日 60分〜1週間 市販品は軽度から中度のシーバー病に適しており、症状の初期段階では十分な効果が期待できます。 とくに、アーチサポート機能付きの市販品は、足全体のバランスを整え、かかとへの負担を効果的に軽減します。 カスタムインソールは、機能としては申し分ありませんが、コストがかかるため、重度の症状や再発を繰り返すケースで使うと良いでしょう。 足の形状、歩行パターン、体重分布まで考慮して作製されるため、症状改善効果が高く、長期的な再発防止に優れています。 選択の目安として、軽度の症状なら市販品から始め、効果が不十分な場合や重度の症状にはカスタム品を検討してください。 どちらを選ぶにしても、定期的な交換と適切なメンテナンスが効果を維持する鍵となります。 シーバー病の治療方法|保存療法と再生医療について 症状が重度に進行し、セルフケアだけでは改善が困難な場合は、医療機関での専門的な治療が必要です。 シーバー病の医学的治療は、主に保存療法が第一選択となります。 保存療法には、これまでご紹介したアイシング・ストレッチ・インソールに加えて、消炎鎮痛剤の内服や外用薬の使用があります。 痛みが強い場合には、ステロイド注射による局所的な炎症抑制も検討されます。 また、シーバー病に対する治療法には、再生医療のPRP療法もあります。 PRP治療は、患者様自身の血液から血小板を濃縮した成分を患部に注入し、自然治癒力を高める治療法です。 早期復帰を希望される場合には、当院のような再生医療専門医に相談をおすすめします。 治療方法の選択は、症状の程度、お子さんの年齢、競技レベル、家族の希望などを総合的に考慮して決定されますので、お気軽にご相談ください。 まとめ|痛みを放置しない勇気が未来のプレーを守る シーバー病は、正しい知識と適切な対応により、比較的短期間で改善できる疾患です。 本記事でお伝えした判断基準を活用し、お子さんの症状に応じた適切な対応を取ることが重要です。 軽度の症状であれば、アイシング・ストレッチ・インソールの組み合わせで数週間での改善が期待できますが、症状を放置したり、痛みを我慢してプレーを続けさせたりすると、半年以上の長期離脱につながるリスクがあります。 今だけ我慢するような考えは、結果として大切な試合や大会を棒に振ることになりかねませんので、家庭でのセルフケアを継続し、段階的な復帰プログラムを実践して、確実な復帰を果たしましょう。 治療法としては、保存療法の他にPRP療法という再生医療も治療の選択肢です。 お子さまの将来のサッカー人生を守るために、あとで後悔しないために正しい判断ができる手助けになると幸いです。 痛みや症状についてご不安な点がございましたら、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1)済生会「踵骨骨端症(アポフィサイティス)」https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/apophysitis_of_the_calcaneus/ (最終アクセス:2025年5月24日) (文献2)South Dublin Podiatry「How Long Does Sever's Disease Last? A Guide for Parents and Young Athletes」South Dublin Podiatry, 2024年9月23日 https://www.southdublinpodiatry.com/tips-and-advice/b/how-long-does-severs-disease-last-a-guide-for-parents-and-young-athletes (最終アクセス:2025年5月25日)
2025.05.30 -
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「練習中にかかとが痛いっていうけれど、本当に休ませた方が良いの?」「このまま放っておいて悪化したらどうしよう」 お子さんのかかとの痛みで、このような不安を抱えていらっしゃる保護者の方は少なくありません。 シーバー病は、成長期のお子さんに多く見られるかかとの痛みで、正式には「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」といいます。(文献1) とくにサッカーやバスケットボールなど、走ったり跳んだりするスポーツをしているお子さんに起こりやすい症状です。 多くの保護者の方が心配されるのは「いつまで痛みが続くのか」「どうすれば早く治るのか」「いつスポーツに復帰できるのか」という点でしょう。 本記事では、シーバー病を早期に改善するための具体的な方法と、復帰までの期間について専門医の視点から詳しく解説いたします。 適切な対処法を知ることで、お子さんの痛みを軽減し、万全の状態でスポーツへ復帰させましょう。 ぜひ最後までご覧いただき、お子さんの早期回復にお役立てください。 シーバー病を早く治す方法を3ステップで解説 シーバー病の治療は、痛みの程度と時期に応じて段階的に進めることが重要です。 ただ安静にするだけでは、筋力低下を招いてしまい、かえって復帰が遅れる可能性があります。 ここでは、効果的な回復のための3つのステップをご紹介します。各ステップを適切なタイミングで実施し、痛みの軽減と早期復帰を目指しましょう。 ステップ1:安静にして炎症を抑える シーバー病の初期段階では、まず炎症を抑えることが最優先です。シーバー病は基本的に手術を必要とせず、保存療法で改善が期待できます。 発症初期の対応が、その後の回復期間を大きく左右するため、適切な安静期間を設けましょう。 痛みが強い急性期には、以下の対処を行ってください。 対処法 説明 アイシングの実施 練習後や痛みを感じたときは、氷嚢や保冷剤をタオルで包み、かかとに15~20分程度当てて冷やします。 1日に数回実施すると、炎症を抑制し痛みの軽減が期待できます。 運動制限の徹底 痛みがある間は、走る・跳ぶ動作を控え、日常生活でも必要以上の歩行は避けましょう。 学校生活では階段の上り下りを最小限にし、体育の授業は見学をおすす勧めします。 適切な靴選び クッション性の高い靴を選び、硬い地面での活動を避けることで、かかとへの衝撃を軽減できます。 この時期に無理をしてスポーツを続けると、症状が悪化し回復期間が長引く可能性があります。 お子さんには「今しっかり休むことで、早くサッカーに戻れるよ」と説明し、理解を得ることが大切です。 ステップ2:ふくらはぎストレッチ&マッサージ 急性期の痛みが落ち着いてきたら、ふくらはぎの柔軟性を高めるストレッチとマッサージを開始します。 シーバー病の根本的な原因の一つは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が硬くなることで、アキレス腱を通じてかかとの骨に過度な牽引力が加わることです。 ストレッチ種類 手順 壁押しストレッチ 壁に手をつき、痛みのある足を後ろに引いて、ふくらはぎを伸ばします。 30秒間キープし、これを1日3回程度行います。 痛みのない範囲の実施が重要です。 タオルストレッチ 床に座り、足を伸ばした状態でタオルをつま先にかけ、手前に引っ張ります。 ふくらはぎとアキレス腱の伸びを感じながら、30秒間保持します。 ゴルフ(テニス)ボールマッサージ ゴルフボールやテニスボールを足の裏において、ゴロゴロと踏みながら転がしてください。 痛みを感じない範囲で実施しましょう。 これらのケアを継続して筋肉の柔軟性が向上すると、再発リスクの軽減にもつながります。 ただし、ストレッチ中に痛みが増強する場合は、すぐに中止して様子を見ましょう。 ステップ3:テーピングとインソールで負荷分散 痛みが軽減してきた段階で、テーピングやインソールを活用してかかとへの負荷を分散させます。 これらの方法は、日常生活での痛みを軽減し、スポーツ復帰を順調に進めるために有効です。 かかとテーピングの方法としては、50mmの市販の硬めのキネシオテープまたは、伸縮テーピングを用意しましょう。かかとの下から足首にかけてテープを貼り付けます。 かかとのテーピング手順 テープの端を小指の付け根に貼る 足の裏を通り、かかとの内側へ向かうように貼る かかとの内側へと軽く引き上げる 斜め上へと向かうように上げて、足首を巻きつけるように貼って完了 テーピングでかかとへの衝撃を和らげられますが、注意点としてテーピングは1日中貼ったままにせず、就寝時は外すようにしてください。 インソールの活用も重要なポイントです。シーバー病の原因は成長期特有の子どものかかとが軟骨でできていて、脆い状態であることに起因しているからです。 そこで、かかとの衝撃を吸収するインソールを使うことで復帰のサポートや再発予防にもなります。 選び方のコツとしては、足裏のアーチサポートがあることと、かかとにクッション性のあるインソールを選びましょう。 アーチサポートとは、土踏まずの働きを手助けし、かかとにかかる衝撃を分散してくれます。 また、クッション性があるインソールかどうかも確認してください。スポーツに復帰したときを想定し、長時間運動しても足への負担を少なくして万全の状態で競技に復帰しましょう。 インソールは靴のサイズに合ったものを選び、違和感がある場合は無理せず使用を中止してください。 これらの補助具は、完全に痛みがなくなるまで継続して使用をおすすめしますが、シーバー病はあくまで成長期特有の症状です。 症状の改善と身体の成長に合わせて段階的に使用を減らしていきましょう。 シーバー病はどのくらいで治る?回復期間と復帰チェックリスト シーバー病の回復期間は、症状の重症度や発見の早さによって大きく異なります。 適切な治療を行った場合の一般的な回復期間の目安は以下の通りです。 症状の程度 期間 説明 軽症の場合 4~6週間 痛みが軽度で、早期に適切な対処を行った場合は、比較的短期間での回復が期待できます。 中等度の場合 2~3カ月 痛みが顕著で、かかとの痛みが日常生活にも支障をきたしている場合は、やや長期間の治療が必要となります。 重症の場合 6カ月以上 痛みが強く、歩行困難な状態まで悪化した場合は、長期間の治療が必要になることがあります。(文献2) 問題なくスポーツへ復帰するためには、以下の条件をすべて満たすことが重要です。 □ 日常生活で痛みを感じない □ かかとに熱感や腫れがない □ つま先立ちができる □ 軽いジョギングで痛みが出ない □ 方向転換動作で痛みがない □ ジャンプ動作で痛みがない これらの項目がすべてクリアできた段階で、段階的にスポーツ活動を再開します。 まずは軽いランニングから始め、徐々に強度を上げていきましょう。 復帰を急ぎすぎると再発のリスクが高まるため、医師や理学療法士と相談しながら進めることをおすすめします。 身長が伸びる時期との関係 シーバー病が治っても、身長が伸びている間は再発するのか?そんな疑問をお持ちの保護者の方も多くいらっしゃいます。 結論としては、シーバー病は身長が伸びる時期に再発する可能性はありますが、「オーバーユース」の管理をすれば再発予防は可能です。 オーバーユースとは、使いすぎにより、かかとに負荷がかかりすぎることです。 そのため、運動量を調節して適切に負荷を管理するほか、テーピングやインソールなどを使ったセルフケアにより、身長が伸びている時期でも症状をコントロールできます。 「身長が伸びているからシーバー病が再発する」と考える方もいますが、これは誤解で身長が伸びている時期と一致しているだけです。 オーバーユースに注意して、お子さんの成長過程に合わせた長期的な視点でケアを続けましょう。 シーバー病で通院は必要?再生医療×保存療法の選択肢 シーバー病の基本的な治療は手術をしない保存療法ですが、症状の改善が思わしくない場合は専門医への相談をおすすめします。 とくに以下のような状況では、早めの医療機関受診を検討してください。 セルフケアを続けても改善しない 痛みが徐々に強くなっている 日常生活に大きな支障をきたしている 他の部位にも痛みが広がっている シーバー病においては、アキレス腱付着部の炎症や微細な損傷に対して、PRP療法が適用となる場合があります。 PRP療法は、患者様の血液から血小板を濃縮した血漿を抽出し、患部に注入する再生医療の治療法の一つです。 再生医療のメリットとしては、ご自身の血液を使用するため、アレルギー反応のリスクが低く、組織の自然な修復過程を促進できる点です。 ただし、再生医療はすべての患者様に適応となるわけではなく、症状や年齢などを総合的に判断して治療方針を決定します。まずは基本的な保存療法をしっかりと実践し、それでも改善が見られない場合に検討しましょう。 治療選択肢についてご不明な点がございましたら、当院へお気軽にご相談ください。 まとめ|シーバー病からの早期復帰を目指して今すぐ行動を シーバー病からの早期復帰には、早期発見と適切な保存療法の実践が最も重要です。 発症初期の対応が回復期間を大きく左右するため、お子さまがかかとが痛いと訴えた時点で、適切な対処を行なってください。 本記事でご紹介した3ステップ、安静、ストレッチ、負荷分散を段階的に実践し、焦らずに治療に専念しましょう。 また、痛みが軽減したからといって、すぐにスポーツに復帰させるのは危険です。 復帰チェックリストをしっかりと確認し、すべての項目をクリアしてから段階的に活動を再開してください。 それでも改善が見られない場合は、再生医療などの新しい治療選択肢も検討する価値があります。 お子さまの将来のスポーツ活動のために、今できることから始めてみてください。 適切な対処で、シーバー病の改善を目指しましょう。 シーバー病に関するよくある質問 テーピングやインソールは成長への悪影響はありませんか? 短期間使用であれば、成長への悪影響はほとんどありません。 ただし、長期間の継続使用は避け、痛みの根本的な改善を目指すことが重要です。 使用前には必ず整骨院や整形外科に相談し、お子さまの年齢や体重に適した処置を実施してください。 インソールやテーピングはいつまで続ける必要がありますか? インソールやテーピングは、完全に痛みがなくなり、スポーツ復帰が安定するまで継続をおすすめします。 一般的には症状改善後も1~2カ月程度は使用し、徐々に使用頻度を減らしていきましょう。 あくまでかかとへの負担を減らすことが目的ですので、段階的に減らしていくことが大切です。 「成長すれば自然に治る」は本当ですか? 成長が止まれば症状が軽減することは事実ですが、放置すると重症化や慢性化のリスクがあります。 痛くても我慢すれば大丈夫という考えは間違いで、適切な治療を行わないと長期間にわたって痛みが続く可能性があります。 早期の適切な対処が、お子さんの将来のスポーツ活動を守ることにつながります。 参考文献 (文献1)社会福祉法人恩賜財団済生会「踵骨骨端症(セーバー病、シーバー病)」済生会ホームページ, 2015年8月31日 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/apophysitis_of_the_calcaneus/(最終アクセス:2025年5月24日) (文献2)South Dublin Podiatry「How Long Does Sever's Disease Last? A Guide for Parents and Young Athletes」South Dublin Podiatry, 2024年9月23日 https://www.southdublinpodiatry.com/tips-and-advice/b/how-long-does-severs-disease-last-a-guide-for-parents-and-young-athletes (最終アクセス:2025年5月25日)
2025.05.30 -
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「最近、かかとが痛いと子どもが言い出した」「練習後はつま先で歩いている気がする」 このようなお悩みを持たれている保護者の方もいらっしゃることでしょう。 お子さまのかかとの痛みは、多くの場合シーバー病と呼ばれる成長期特有の疾患が原因です。 適切な知識と対処法を身につけることで、お子さまの痛みを和らげ、スポーツを継続できるようになります。 本記事では、シーバー病の原因・症状・治療法から、再発防止やスポーツ復帰のポイント、そして当院で受けられる再生医療まで詳しく解説いたします。 保護者の皆さまが抱える不安を解消し、お子さまの健やかな成長をサポートするための情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。 シーバー病とは?成長期の子どもに多いかかとの痛み シーバー病は、成長期の子どもに特有のかかとの痛みを引き起こす疾患です。 正式には「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」と呼ばれ、10歳前後の活発な男の子に多く見られます。(文献1) この病気の特徴は、踵骨(かかとの骨)の成長板と呼ばれる部分に繰り返し負荷がかかることで炎症が生じ、痛みや腫れを引き起こすことです。 成長期の骨は大人の骨と異なり、踵骨軟骨と呼ばれる軟骨のため、運動による繰り返しの負荷によって炎症を起こしやすくなっています。 シーバー病の痛みは、運動中や運動後に現れることが多く、安静にすると症状が軽減されますが、朝起きたときの一歩目や、長時間座った後に立ち上がるときにも痛みを感じることがあります。 多くの保護者はこのまま放置して大丈夫なのかを心配されていると思いますが、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 適切な対処を行わずに放置してしまうと、痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたす可能性がありますが、正しい知識を手に入れ、対処法を実践すれば多くの場合で症状の改善が期待できます。 シーバー病の原因と発症メカニズム シーバー病の発症には、いくつかの要因が複合的に関与しています。 最も大きな原因は、成長期のかかとの骨に対する過度な負荷です。 アキレス腱・足底腱膜の牽引ストレスとは? アキレス腱や足底腱膜は、かかとの骨に直接付着している重要な組織です。 これらの組織が硬くなったり緊張したりすると、運動時にかかとへの牽引ストレス(引っ張る力)が増加します。 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ太くて強い腱で、走ったり跳んだりする動作のたびに、この腱がかかとの骨を強く引っ張ります。 足底腱膜は、足の裏全体に広がる膜状の組織で、歩行時の衝撃を吸収する役割を担っており、成長期の子どもは、骨の成長に対して筋肉や腱の成長が追いつかないことがあります。 この成長のアンバランスにより、アキレス腱や足底腱膜の柔軟性が低下し、かかとへの牽引ストレスが強くなりやすい状態になってしまします。 このストレスが繰り返されることで、成長期の柔らかい踵骨の成長板に炎症が生じ、シーバー病を発症してしまいます。 また、偏平足や足の形状、不適切な靴の使用なども、かかとへの負担を増加させるリスク要因となります。 とくに、靴選びは重要です。クッション性の乏しい靴や、サイズが合わない靴を使用すると、さらに症状が悪化する可能性があります。 どんな症状が出る?家庭でできるセルフチェック シーバー病の症状を早期に発見するためには、保護者の方が日常的にお子さまの様子を観察することが大切です。 以下のような症状やサインが見られる場合は、シーバー病の可能性を疑いましょう。 チェック項目 症状の詳細 かかとを押したときの痛み 親指でかかとの後ろ側を軽く押して痛がる 朝起きたときの痛み ベッドから起き上がる最初の一歩で痛がる 運動後の痛み 練習や試合の後にかかとを痛がる 歩き方の変化 つま先立ちで歩いたり、歩き方がおかしい 長時間座った後の痛み 椅子から立ち上がるときに痛がる 運動後の痛み 運動後にかかとに痛みを感じるのは、シーバー病の最も典型的な初期症状の一つです。 とくに、サッカーやバスケットボール、陸上競技など、ジャンプや走る動作を繰り返すスポーツに取り組んでいるお子さまに多く見られるので、練習や試合が終わった後にかかとの痛みを訴えたり、つま先立ちで歩いている場合は要注意です。 初期段階では軽い違和感程度かもしれませんが、放置すれば痛みは徐々に悪化し、やがて日常生活にも影響を及ぼす可能性があります。 とくに疲労が蓄積しやすい連続した練習日や、練習量が急に増えた時期には注意が必要です。 ので、お子さまが運動後の違和感を口にした場合は、それを見逃さずに適切な対処を始めることが予防の第一歩となります。 朝一番の痛み 朝起きた直後に感じるかかとの痛みも、シーバー病の代表的な症状の一つです。 これは、睡眠中に筋肉や腱が硬くなり、起床して最初に動作を行うときに成長板への張力が急激にかかることで生じています。 ベッドから起き上がって最初の一歩目に痛みがある場合は、炎症がある程度進行しているサインでもあります。 多くの場合、歩いているうちに痛みは軽減しますが、症状が繰り返すようであれば、セルフケアだけでなく医療機関へ相談しましょう。 朝の痛みを放置すると、日中の活動にも支障をきたすようになり、お子さまの生活の質に大きな影響を与える可能性があります。 歩き方の変化 シーバー病の進行に伴い、お子さまの歩き方に変化が現れることがあります。特徴的な変化は、かかとの痛みを避けるためにつま先歩きをするようになる点です。 痛いかかとに体重をかけることを本能的に避けようとする自然な反応ですが、長期間このような歩き方を続けると症状の悪化を引き起こします。保護者や指導者の方は注意深く観察しましょう。 観察するポイントは以下の通りです。 つま先立ちで歩いている 片足をかばうような歩き方をしている 歩く速度が遅くなった 階段の昇り降りを嫌がるようになった これらの異常が見られた場合には、早期に専門医の診察を受けましょう。 シーバー病はどのくらいで治る?回復までの期間と注意点 シーバー病の回復期間は、症状の程度や対処法の適切さによって大きく異なりますが、一般的には数カ月から1年程度とされています。 ただし、これはあくまで目安であり、個人差が非常に大きい疾患です。 軽度の場合では、適切なケアを行うことで1〜2カ月程度で症状が改善する場合もありますが、症状が進行してから治療を開始した場合や、不適切な対処により症状が悪化した場合は、回復に1年から数年程度かかることもあります。 回復期間を左右する重要な要因として、以下の点が挙げられます。 要因 回復への影響 発見の早さ 早期発見ほど回復が早い 運動の調整 適切な休息で回復促進 成長段階 成長期真っ盛りは時間がかかりがち 個人の体質 治りやすさに個人差がある 早期発見と適切な対処が何より大切です。お子さまのSOSと真剣に向き合ってあげることで、回復期間を大幅に短縮できます。 また、痛みがなくなったからといって完全に治ったわけではありません。 運動を再開する際は、段階的に進めることが重要です。ウォーキングやストレッチからはじめて、徐々に負荷をあげ、最終的には元の運動量に戻しましょう。 そして、シーバー病は成長に伴う疾患であるため、お子さまの成長が完全に終了するまでは再発の可能性も考慮してください。 シーバー病を早く治すための保存療法とセルフケア シーバー病の早期改善には、保存療法とセルフケアの適切な組み合わせが効果的です。 手術が必要になることはほとんどありません。多くの場合で手術をしない保存治療により症状の改善が期待できます。 保存療法の基本は、患部の安静を保ち、必要に応じてアイシングを行い、テーピングやインソールを使用してかかとへの負担を軽減しましょう。 セルフケアとしては、ふくらはぎや足底筋膜のストレッチ、足裏のマッサージが効果的です。これらの方法を組み合わせることで、シーバー病の症状を早期に改善し、再発を防げます。 重要なのは、一つの方法に頼るのではなく、複数のアプローチを並行して行うことです。お子さまの症状や生活スタイルに合わせた組み合わせを見つけましょう。 テーピングとアイシングの使い方 テーピングとアイシングは、シーバー病の症状軽減に非常に有効な手段です。テーピングは、かかとへの負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。 適切な巻き方を習得すると、日常生活や軽い運動時の痛みを大幅に軽減できるため、以下の基本的なテーピングの手順を抑えておきましょう。 基本的なテーピング手順は以下の通りです。 足首の力を抜いて、つま先を内側に入れる。 小指の付け根からテーピングの端を貼り付け、かかとに巻き込んでピンと張る様に貼り付ける。 余った部分は足を巻き込むように斜め上に上げて貼り付ける。 テーピングは毎日交換し、皮膚のかぶれに注意しながら使用してください。 アイシングは炎症を抑え、痛みを軽減するために重要な処置です。運動後や痛みが強いときに、かかと中心に15〜20分程度のアイシングを行うことで、症状の悪化を防げます。 これらの方法を適切に組み合わせて、早期回復を促進しましょう。 ストレッチと靴・インソールの工夫 シーバー病の予防や症状改善には、ストレッチとインソールの工夫が大きな役割を果たします。 アキレス腱やふくらはぎのストレッチは、牽引ストレスの軽減につながり、かかとへの負担を大きく減らします。 足首ストレッチ 椅子に座り、片足をもう片方の太ももの上に乗せて、足首を手でつかみます。 もう片方の手で足の指と手の指を組んで、ゆっくりと大きく足首を回してください。痛みのない範囲で20回程度回したら、逆足も同様に行います。 階段ストレッチ かかとはふくらはぎの筋肉と密接につながっているため、ふくらはぎが硬いとシーバー病のリスクが高まります。 うつ伏せになって腕立て伏せの姿勢を取り、片足をもう片方の足首の上に乗せます。下の足のかかとを床につけることで、ふくらはぎとアキレス腱の心地良い伸びを感じられます。 20秒キープして、逆足も同様に行ってください。 靴に関しては、クッション性が高く踵をしっかりとサポートできる構造のものを選ぶことが重要です。 適切な靴選びのポイントは以下の通りです。 かかと部分にしっかりとしたクッションがある 足のサイズに正確に合っている アーチサポート機能がついている 古すぎずクッション性が保たれている インソールの活用も重要です。市販のクッション性インソールや、必要に応じて医療用インソールの使用を検討してください。 これらの対策を組み合わせることで、症状の改善と再発防止の両方を実現できます。 シーバー病の再発防止とスポーツ復帰時の注意点 シーバー病は適切な治療により症状が改善しても、フォームやトレーニング内容を改善しないままだと再発するリスクが高い疾患です。 再発防止のためには、根本的な原因への対処と、段階的なスポーツ復帰を考えておきましょう。 痛みが無くなったらまずは軽いウォーキングとストレッチからはじめ、問題なければジョギング、そして習っているスポーツの動作練習と移行していき、最終的には通常練習へと復帰するのが理想です。 定期的に痛みの確認を行い、各段階で痛みが出現した場合は前の段階に戻って様子を見ましょう。一般的には1〜2カ月でこれまで通りスポーツができるようになります。 保護者の方は、お子さまがもう大丈夫と言っても、組織の回復には時間がかかることを理解し、長期的な視点でサポートしてあげてください。 また、指導者との連携も大切です。お子さまの状態を正確に伝え、無理をさせないよう配慮を求めてください。 シーバー病の受診のタイミングと当院の再生医療の選択肢 シーバー病の症状が現れた場合、適切なタイミングで医療機関を受診しましょう。 以下のような受診すべき症状がないかチェックしてください。 2週間以上痛みが持続している 歩行にも支障が出ている 片足ではなく両足に痛みがある 安静にしていても痛みが続く 痛みが徐々に強くなっている これらの症状がある場合、セルフケアだけでは改善が困難な可能性があります。 一般的な保存療法で改善しない場合、リペアセルクリニックでは、PRP(多血小板血漿)を用いた再生医療もご案内可能です。 PRP療法の特徴として、以下の点があげられます。 患者さま自身の血液から血小板を濃縮した液体を精製する治療 細胞の代謝プロセスに関与する成長因子を豊富に含む 入院を必要とせず治療期間が短い 副作用のリスクが少ない 当院の再生医療は、お子さまの成長段階や症状の程度を十分に考慮した上で治療プランをご提案します。PRP療法について知りたい方は以下のリンクをご確認ください。 まとめ|シーバー病は早期発見と正しいケアが重要です シーバー病は、成長期の子どもによく見られる疾患ですが、放置してしまうと症状が長引き、お子さまのスポーツ活動や日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 しかし、適切な知識と対処法を実践することによって、多くの場合で症状の改善が期待できる疾患でもあります。 早期発見のためには、運動後の痛み、朝起きたときの痛み、歩き方の変化など、お子さまの日常の変化に注意を払うことが大切です。 家庭でのセルフケアとしては、適切なストレッチ、アイシング、テーピング、そして靴・インソールの工夫をしましょう。 そして、再発を防ぐためには正しいフォームの習得、段階的なスポーツ復帰、そして継続的なリハビリを意識した運動習慣の見直しが必要です。 症状が長引く場合や、通常の治療で改善が見られない場合は、再生医療などの選択肢もあるので、シーバー病でお悩みの方は当院にお気軽にご相談ください。 適切な診断と治療により、お子さまが再び元気にスポーツを楽しめるよう、全力でサポートいたします。 参考文献 (文献1) 済生会「踵骨骨端症(アポフィサイティス)」 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/apophysitis_of_the_calcaneus/ (最終アクセス:2025年5月24日)
2025.05.30 -
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「下肢閉塞性動脈硬化症に対してマッサージはしても良いの?」 「マッサージをしてはならないケースは?」 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する自己流のマッサージは危険です。病状によってはASOを悪化させる恐れもあるためです。ASOを改善するのであれば、適切な運動療法やフットケアが効果的です。 本記事では下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に関して、以下の内容を解説します。 マッサージが禁忌となる3つのケース 効果的な運動療法 セルフケアにおける5つのポイント マッサージが推奨されてないケースを具体的に解説しています。ASOの適切な管理方法を身につけるために役立ててください。 下肢閉塞性動脈硬化症に対するマッサージが禁忌となる3つのケース 前提として、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対して自己流のマッサージは危険です。マッサージにより血流が阻害されてASOを悪化させる恐れがあるためです。 とくに以下のような状況では、運動療法やマッサージは禁忌(きんき:実施してはならないこと)となります。ASOに対するマッサージ方法は医師に相談してください。 深部静脈血栓(しんぶじょうみゃくけっせん)が疑われる 潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 安静時に痛みがある それぞれの詳細を解説します。 1.深部静脈血栓が疑われる 太ももから下側に腫れや赤み、痛みが現れているときは、深部静脈血栓が疑われるためマッサージは禁忌です。(文献1)深部静脈血栓とは、長時間足を動かさないで同一姿勢でいると、足の静脈に血栓(けっせん:血の塊)ができてしまうことです。 血栓が血流に乗ってしまうと、肺の血管を詰まらせて肺塞栓症(はいそくせんしょう)という危険な病気を引き起こす恐れがあります。深部静脈血栓が疑われる際にマッサージをすると、圧迫により血栓が剥がれて肺塞栓症に進展する危険性があります。(文献2) ASOにおいても血栓ができることがあるため注意が必要です。深部静脈血栓が疑われる症状が現れている場合は、速やかに医療機関を受診してください。 2.潰瘍(かいよう)や炎症が起きている 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)のFontaine(フォンテイン)分類におけるⅣ度に該当する場合は、原則運動療法は禁忌です。(文献3)Fontaine分類とは、ASOの重症度をⅠ〜Ⅳ度で評価するための分類です。 このような重症例では皮膚や組織への血流が著しく低下しているため、マッサージによる組織への物理的な圧迫や摩擦が潰瘍や壊死部に対して悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、マッサージの実施も推奨できません。 Ⅳ度は、皮膚や筋肉への血流が不足している最も重い状態です。小さな傷や低温やけどをきっかけに以下のような症状が現れています。 症状 詳細 潰瘍(かいよう) 皮膚や粘膜が深く傷ついている状態 壊死(えし) 細胞の一部が壊れている状態 赤く炎症が起きている場合は、なんらかの感染症が発生している恐れもあります。これらの症状が現れている場合は、マッサージは行わず速やかに医療機関を受診してください。 3.安静時に痛みがある 安静時に痛みがある場合は、Fontaine分類におけるⅢ度に該当します。Ⅲ度も原則運動療法は禁忌です。(文献3)そのため、マッサージの実施も推奨できません。 ASOにおいて、II度とⅢ度の症状を間違えないように注意が必要です。症状の違いは以下の通りです。 分類 症状 II度 一定の距離を歩くと、ふくらはぎが締め付けられるような痛みが現れ歩けなくなる。休むと痛みがなくなり歩けるようになる。この状態を間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ぶ。 Ⅲ度 歩く距離が徐々に短くなり、安静にしていても痛みが持続する。 (文献4) Ⅲ度の症状が現れている場合は、狭窄や閉塞が悪化している状態です。こちらも医療機関を受診して医師の指示に従ってください。 その他の下肢閉塞性動脈硬化症に対する禁忌 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者様は、弾性ストッキングを原則着用してはいけません。ASOの患者様が装着すると、圧迫により血行障害が悪化する恐れがあるためです。弾性ストッキングとはストッキングの圧力により、下肢の筋肉のポンプ作用を高めて血流を促す製品です。 ASOの患者様に対して弾性ストッキングの着用が必要になった際は、医師が慎重に検討します。医療現場では、2011年から2016年の間にASOの患者様に対して、弾性ストッキングを着用させてしまった事例が4件発生しています。(文献5) 万が一のために患者様本人と家族の間でも、ASOを患っている場合は原則弾性ストッキングを着用してはならないことを理解しておきましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症に効果的な運動療法 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する運動療法は、Fontaine分類におけるⅠ度(冷寒やしびれ感がある)、Ⅱ度の方に推奨されています。有効な運動療法は歩行です。間欠性跛行の改善や歩行距離の向上を期待できます。歩行は以下のような流れで実施します。 がまんできる痛みが生じる強度で歩く 強い痛みが出る手前で休む この繰り返しを1回30〜60分行う 歩行は週3回を少なくとも3カ月間の実施が推奨されています。運動療法は「病院で行う監督下運動療法」と「自宅で行う在宅運動療法」があります。 監督下運動療法のほうが間欠性跛行の改善効果が高く、推奨されています。(文献6)自宅で運動療法を行う場合は、医師の指導を受けてからにしましょう。 下肢閉塞性動脈硬化症のセルフケアにおける5つのポイント ASOを管理するには、以下のようなポイントを抑えておくことが大切です。 フットケアを行う 高血圧を改善する 脂質異常症を改善する 血糖値をコントロールする 禁煙をする それぞれの詳細を解説します。 1.フットケアを行う ASOを管理するためには、以下のようなフットケアの実施が大切です。 フットケアの種類 詳細 足を冷やさない 足が冷えると血管が収縮してしまい血流が悪くなるため、以下のような方法で保温する。 靴下や電気毛布で足を温める 入浴や足浴をする 靴下は締め付けがきつすぎないものにする。 傷を作らない 小さな傷から感染症を引き起こすリスクがあるため、以下のことに注意する 足は清潔にして水虫予防をする 傷ができるリスクがあるため深爪しない 靴擦れのリスクを避けるため、足のサイズに合った靴を選ぶ 低温やけどに注意する 低温やけどから感染症を引き起こすリスクがある。電気あんかや湯たんぽ、カイロは直接肌に当てると低温やけどを起こすリスクがあるため、使用する際は間接的に保温する。 (文献4) 巻き爪は傷ができるリスクがあります。巻き爪がある方は形成外科などで治療してもらいましょう。 2.高血圧を改善する 高血圧は、動脈硬化(どうみゃくこうか:血管が弾力性を失っている状態)を引き起こすためASOを悪化させる原因です。ASOの方は以下の血圧値を目標として改善を目指しましょう。 年齢 降圧目標 75歳未満 130/80mmHg未満 75歳以上 140/90mmHg未満 (文献6) 高血圧の管理において減塩はとくに大切です。以下を参考にして減塩をしましょう。 麺類の汁は飲まない 外食や加工食品は避ける 薄味に味付けをする 香辛料や香草野菜、酸味などで味付けをする 調味料は酢やケチャップ、マヨネーズなど塩分が少ないものを上手に利用する 味噌汁などの汁物は具だくさんにして塩分量を減らす 漬物は自家製の浅漬けにして少量にする 3.脂質異常症を改善する 脂質異常症は下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の悪化に関係しています。悪玉コレステロール値や中性脂肪値が高いと動脈硬化を進行させるためです。一般的にASOと脂質異常症を合併している方は、薬物療法が検討されます。(文献6) 薬物療法だけでなく以下のことに注意して、脂質異常症の改善を目指しましょう。 禁煙をする(受動喫煙も避ける) 標準体重を目指す 過食をしない アルコールの過剰摂取をしない 肉類や乳製品、卵黄の摂取を控える 魚類や大豆製品をおかずにする 野菜類や果物類、海藻類、穀類(精製されていない物)の摂取を増やす 脂質異常症を改善するための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 4.血糖値をコントロールする 糖尿病患者様は血糖値のコントロールが重要です。糖尿病は末梢神経障害の発症が多く、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)と併存すると足病変(そくびょうへん:足に起こるトラブルの総称)を生じるリスクがあります。(文献6) 血糖値をコントロールするには、以下のような食習慣の改善が重要です。 ゆっくりとよく噛んで食べる 1日3食規則正しく食べる 食事は腹八分目にする 就寝前に食事や間食をしない 三大栄養素は炭水化物4〜6割、タンパク質2割、脂質2〜3割の割合にする 野菜類、海藻類、きのこ類、大豆製品、乳製品などさまざまな食品をバランス良く食べる 血糖値改善のための運動療法に関しては、医師と相談しながら進めましょう。 関連記事:糖尿病|食事で予防する、食生活を整えて病気の悪化や合併症を防ぐ 関連記事:糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 5.禁煙をする たばこは下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)を悪化させるだけではありません。ASOの治療方法である血行再建術(けっこうさいけんじゅつ:閉塞や狭窄した血管の血流を改善する治療)を実施した患者様の症状を再発させる恐れがあります。(文献4) これは、ニコチンに血管を収縮させる作用があるためです。他にも中性脂肪値を増加させるため、高血圧や脂質異常症、動脈硬化などを悪化させる原因にもなります。一人で禁煙できそうにない場合は、禁煙外来で医師に相談しましょう。 まとめ|下肢閉塞性動脈硬化症のマッサージ方法は医師に相談しよう 前提として下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)に対するマッサージは、自己流で行わず医師に相談しましょう。 深部静脈血栓が疑われる場合や重症度Ⅲ度とⅣ度のASOに対しては、マッサージを実施しないでください。 マッサージよりも、足を「保温する」「清潔にする」「傷を作らない」などのフットケアが大切です。また、高血圧や脂質異常症、糖尿病を合併している方は、それぞれの治療を進めて、食生活や運動習慣を見直してください。 ただし、運動療法の歩行は、病院で医療者の監督の下で実施するのが推奨されています。自宅で行う場合は医師の指導を受けてからにしましょう。 参考文献 (文献1) 冨岡 正雄,佐浦 隆一.「下肢DVT下でのリハビリテーション治療―整形外科疾患―」『Jpn J Rehabil Med』58(7), pp.724-730, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/7/58_58.724/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 厚生労働省「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 林 富貴雄.「III. 治療と管理の実際 1.内科的治療(薬物療法運動療法)」『日本内科学会雑誌』97(2), pp.66-72, 2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/2/97_332/_pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献4) 国立循環器病研究センター「閉塞性動脈硬化症」国立循環器病研究センターホームページ https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-03/(最終アクセス:2025年5月20日) (文献5) 日本医療機能評価機構「【3】下肢閉塞性動脈硬化症の患者への弾性ストッキング装着に関連した事例」日本医療機能評価機構ホームページ https://www.med-safe.jp/pdf/report_2016_4_T003.pdf(最終アクセス:2025年5月20日) (文献6) 日本循環器学会「2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン」日本循環器学会ホームページ https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf(最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.27







