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外反母趾とは、母趾(足の親指)が小趾(足の小ゆび)側に曲がることで、痛みや腫れを引き起こす症状です。女性が外反母趾になりやすいといわれますが、立ち仕事が多い方や自分の足に合っていない靴を履いている男性でも母趾が変形してしまいます。 外反母趾の治療法について以下のような不安はありませんか? ・予防のための対策が分からない ・悪化を防ぐための対策が分からない ・痛みが強い場合に手術が必要か分からない この記事では、外反母趾の治療法をどのように選択してよいか分からないとお悩みの方について解説しています。 外反母趾は適切な治療法を選択することで悪化を予防できます。 また、今すでに外反母趾による痛みが強くお困りの方でも、適切な治療法を選択できるようになりましょう。 外反母趾の非外科的(手術しない)治療法 外反母趾の治療法の1つに、手術せず症状を改善する『非外科的治療法』があり、具体的には以下の3つです。 1. インソール(オルソティックス)の使用 2. 足の運動や体操・ストレッチ 3. 日常生活で気をつけること 非外科的治療法は、外反母趾の程度が軽度から中等度の場合に有効です。外反母趾の悪化を防ぐためにも日頃からの予防がとても大切です。 ここでは、上記3つの非外科的治療法について詳しく解説します。 1. インソール(オルソティックス)の使用 インソール(オルソティックス)の使用は、外反母趾の予防や症状の改善に有効です。なぜなら、外反母趾の原因には、足の骨が弓状に並んで形成されたアーチの崩れが関係しているからです。また、足のアーチが崩れる原因には、加齢や肥満、運動不足や足に合わない靴の使用が挙げられます。足の縦アーチが崩れると『扁平足』、足の横アーチが崩れると『開張足』となり、それぞれ外反母趾を引き起こす要因です。 このため、インソールを使用することで、足のアーチをサポートするため、アーチの崩れを防ぎます。また、足全体に圧力を分散し母趾にかかる負荷を軽減するため、立っている時や歩く時の痛みを和らげる効果もあります。 足のアーチの崩れを予防する目的であれば、市販のインソールを購入するだけでも足のアーチの崩れ防止効果を実感でき、靴屋またはスポーツショップで数千円で購入できます。しかし、すでに外反母趾による痛みがある方の場合は、オーダーメイドのインソールを使用しなければ症状を改善できない可能性があるのです。オーダーメイドのインソールは数万円と高額ですが、足型を測りその方の足に合うようにインソールを作成するため、市販の物よりも足をサポートするため痛みの軽減につながります。 インソールの使用は最も簡単に行える対策ですが、あくまで症状の緩和や予防の一環であり、根本的な治療法ではないことを理解しておきましょう。 2. 足の運動や体操・ストレッチ 外反母趾の予防や痛みや進行を緩和するためには、以下2つの足の運動やストレッチが有効です。 ・足ゆびを開く運動 ・足指でタオルを引き寄せる運動 『足指を開く運動』は、自分の力で足指で「パー」の形を作ることです。足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 また、『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できるのです。 外反母趾に対する足指の体操・ストレッチでは『Hohmann(ホーマン)体操』が推奨されています。ホーマン体操では、幅の広いゴムを両足の親指にかけ、かかとを合わせたまま両足のつま先を開き5〜10秒間キープさせ、20回ほど繰り返します。この体操では小指側に曲がった母趾を元の位置に戻す効果があります。ゴムがない場合は、自分の手で母趾を元の位置に戻すように動かすだけでも同様の効果を得られるのです。 これらの運動やストレッチは、日常生活の中で簡単に取り入れることができますが、すぐに効果が出ないため、日頃からの継続が大切です。 3. 日常生活で気をつけること 外反母趾の発症や進行は、以下3つの生活習慣が大きく影響しています。 ・幅の狭い靴の着用 ・長時間の立ち仕事 ・乱れた食生活 幅の狭い靴、特に革靴やハイヒールを頻繁に履くことは、母趾が小指側へ押し付けられてしまうため、外反母趾のリスクを高めます。そのため、幅が広く適切な大きさの靴を選ぶことが大切です。またハイヒールの場合は、かかとの低い靴を使用することが推奨されています。 また、長時間の立ち仕事や歩行は足のアーチの崩れの原因となるため、適度な休息が必要です。仕事により長時間の立ち仕事が避けられない方の場合は、インソールを使用することで足のアーチを支えてくれるため、外反母趾の予防につながります。 上記に加えて、外反母趾の予防や改善を図るためには、食生活についても注意が必要です。外反母趾の原因の1つに”肥満”が挙げられているので、体重の増加は足のアーチの崩れにつながり、外反母趾を発症、悪化させる可能性があります。そのため、バランスの良い食事を行い、体重を増やさないように注意しましょう。 外反母趾の外科的(手術)治療法 外科的(手術)治療法は、外反母趾の症状が重度である場合や、痛みが強く日常生活に支障が出ている際に選択されることが多いです。 ここでは外科的治療法にかかわる以下3つの事柄について紹介します。 1. 手術の種類と適応 2. 手術のメリットとリスク 3. 手術後に行うリハビリテーション それぞれ詳しく解説していきます。 1. 手術の適応と種類 外反母趾は重度になると手術の適応となりますが、具体的な指標は以下の通りです。 ・母趾の見た目が気になる。 ・母趾の付け根が痛く日常生活が大変になる ・母趾の付け根が飛び出し靴が合わなくない 上記の場合には手術の適応となることが多いですが、手術にはリスクが伴います。外反母趾の手術に伴うリスクについては次項で解説します。そのため、手術を受ける際にはリスクをしっかり把握した状態で臨みましょう。 また、外反母趾の外科的治療法には多くの種類が存在し、大きく分けると以下の3つに分類されます。 ・遠位骨切り術 ・骨幹部骨切り術 ・近位骨切り術 それぞれ母趾の付け根の骨を切りアライメントを矯正する手法ですが、骨を切る場所により上記のように術式が異なります。一般的に、外反母趾が軽度から中等度の場合には『遠位骨切り術』、重度の場合には『骨幹部骨切り術』または『近位骨切り術』が選択されるのです。 2. 手術のメリットとリスク 外反母趾の手術により、痛みの改善や見た目の改善を図ることができます。痛みが改善されることで、日常生活を快適に過ごせるようになり、運動やウォーキングを楽しめるようになります。また、母趾の付け根の出っ張りが解消されるため、好きな靴を履けるようになり、おしゃれを楽しめるようになるかもしれません。 しかし、手術には以下のリスクがあることも理解しましょう。 ・感染症 ・骨の癒合には個人差があること ・痛みや変形の再発 感染症のリスクは、外反母趾の手術に限った話ではなく、手術する際には必ず伴うリスクです。手術後に骨が癒合するまでには時間がかかり、特に骨粗鬆症の方の場合はさらに時間を要します。 また、手術後に一部の方は外反母趾が再発する可能性があり、術式による再発の可能性は以下の通りです。 ・遠位骨切り術の再発率:2.5〜19% ・近位骨切り術の再発率:10〜15% このように、外反母趾の手術を行う際には、メリットとリスクを理解したうえで医師と十分に話し合い、治療法を選択することが重要です。 3. 手術後に行うリハビリテーション 外反母趾の手術後は、積極的に母趾を動かしたり体重をかけたりできないため、手術後すぐは患部の腫れや痛みを抑えるため、冷却パッドの使用や軽度のストレッチから始めます。 リハビリテーションは理学療法士の指導のもと、横になった状態や座った状態で太ももやふくらはぎの筋力トレーニングを行います。また、松葉杖を使用して自力で移動できるように歩行練習も行うのです。 リハビリテーションでは、運動療法だけでなく正しい靴の選び方もお伝えし、外反母趾の再発の予防にもつとめます。 退院まで手術後から約3週間ですが、その後は定期的に外来で受診しリハビリテーションの継続が必要です。手術後2〜3カ月経過すると、手術部の腫れがなくなり骨の癒合も完了するため、靴を履いて歩くことができますが、長時間歩くことは難しい状況です。この段階のリハビリテーションでは、母趾に負担のかからない正しい歩き方を指導します。 手術後、約4カ月経過すると立ち仕事や長時間の歩行が可能になり、約6ヶ月を経過すると運動ができるようになり、日常生活への支障がなくなります。 外反母趾の治療法を選ぶ際に検討すべきこと 外反母趾の治療法を選ぶ際には、以下の3つを検討しなければいけません。 ・外反母趾の症状や日常生活への影響度合い ・外科的治療にかかる時間や費用 ・治療法の効果やリスク 外反母趾の症状が軽度で日常生活への影響が少ない場合には、非外科的(手術しない)治療法を選択します。非外科的治療法では効果をすぐに実感できない場合もありますが、運動やストレッチを継続することで、外反母趾の悪化を予防できます。 外反母趾の程度が重度の場合は医師から外科的(手術)治療法を勧められますが、治療にかかる時間や費用、手術の効果やリスクの検討が必要です。これらを判断して、手術を行うのか行わないのか、行う場合はいつ行うのかを医師としっかり相談しましょう。 まとめ・自分に合った外反母趾の治療法を選択できるようにしましょう 外反母趾の治療法を選択する際には、非外科的治療と外科的治療法のそれぞれで行うことを理解しなければいけません。 非外科的治療では、足の運動やストレッチ、インソールを使用使用すると、足のアーチ崩れを予防できます。また、日常生活では幅の広い靴を履き食生活を整えることでも外反母趾の予防につながります。 外科的治療法を行う際は以下の3つ内容を把握しましょう。 ・手術の種類と適応 ・手術のメリットとリスク ・手術後に行うリハビリテーション このような場合には外科的治療法を選択することを視野に入れなければいけませんが、外反母趾の手術に限らず、手術にはリスクが伴います。そのため、手術を行うにはメリットとリスクを十分に理解したうえで医師と話し合い、最終的な判断を下すことが大切です。 外反母趾の治療法には非外科的治療と外科的治療法の2種類ありますが、それぞれの特性を理解したうえで自分の症状に合った治療法を選択しましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 吉野匠,初期の外反母趾は運動でよくなると聞いたが・・・,吉野整形外科 同友会グループ,ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方,2020年1月号 仁木久照,専門医インタビュー,外反母趾の痛み・変形は早期治療が大切です。放置しないで足の外科医に相談を,人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト 湯浅慶朗,湯浅慶朗の「一生自分で歩く足育塾」1,外反母趾の原因は足の筋力低下!治療方法や改善策は?,まいにち好きがみつかるハルメク365 滝正徳,専門医インタビュー,外反母趾の痛みは我慢しないで専門医へ 靴選びなどの工夫で緩和されることもあります,人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト
2024.11.20 -
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外反母趾とは、母趾(足の親ゆび)の付け根の関節(MTP関節)が小指側に20°以上曲がっている状態であり、約3割の大人に認められています。MTP関節の曲がりが20°〜30°の場合は軽度、30°〜40°の場合は中等度、40°以上の場合は重度と分類されています。 この30年で外反母趾になる方は最大8倍にも増加し、外反母趾に悩む方が増えている背景の1つには、靴を履く習慣が関係しているのです。 外反母趾について以下のような心配なことはないでしょうか? ・日常の生活自体が大変になりそう ・立ち仕事が大変になりそう ・ウォーキングやランニングが楽しめなさそう この記事では、外反母趾を予防するための正しい知識を身につけ、原因や生活習慣、予防策について解説しています。 将来、自分の足が外反母趾になるのを防ぐためにも、適切な対策を行えるようになりましょう。 外反母趾を引き起こす3つの原因 外反母趾には、一般的に以下の3つの原因があります。 ⓵遺伝子的要因 ②不適切な靴の履き方 ③足の構造的な問題 それぞれ、先天的な要因と後天的な要因があります。先天的な要因については変えられませんが、後天的な要因については対策可能です。外反母趾になる原因を減らすためにも理解していきましょう。 ⓵遺伝的要因 人間の足指の長さは遺伝により決まり、外反母趾になる可能性が異なります。 足の構造は3種類あり、それぞれの特徴は以下の通りです。 ・ギリシャ型:親指よりも人差し指が長い(全体の25%) ・エジプト型:親指が人差し指よりも長い(全体の70%) ・スクエア型:足指全体的に同じ長さ(全体の5%) 上記3つの方の中でも「エジプト型」が外反母趾になりやすいと言われています。 なぜなら、体重がかかった際に親指が一番長いため小指側に曲がりやすいからです。日本人の7割はエジプト型であるため、外反母趾になりやすい足の構造をしています。 ただし、ギリシア型やスクエア型の場合でも外反母趾にはなる可能性があるので注意しましょう。 ②不適切な靴の履き方 男女ともに足指を圧迫するつま先の細い不適切な靴の履き方をすると外反母趾の原因となります。 なぜなら、足指が圧迫されると、親指が小指側へ曲げられてしまうからです。 不適切な靴とは、男性の場合は「つま先の細い革靴」、女性の場合は「つま先の細いハイヒール」のことです。 特につま先の細いハイヒールを履いている女性の方は注意が必要です。親指が小指側に曲がるのを抑えるための靭帯があり、足指が真っ直ぐの場合、靭帯は機能を果たします。しかし、ハイヒールを履きかかとが高く、足指が反った状態では靭帯が緩んでしまうため、外反母趾を引き起こしやすくなります。 このため、外反母趾を予防するための靴を選ぶ際には、自分の足に負担がかからない幅の広い靴であることが大切です。詳しくは、下記の『適切な靴の選び方』で紹介しますので、ぜひご参考ください。 ③足の構造的な問題 足の縦アーチがつぶれると「扁平足」、横アーチがつぶれると「開帳足」になると、外反母趾の原因となります。 足の縦アーチとは「土踏まず」のことで、体重の分散や歩く時のバランスに欠かせない足の構造です。外反母趾は、筋力低下や加齢、肥満により引き起こされます。扁平足になると、立っている時の重心が母趾側(土踏まず)にかかるため、母趾が小指側へ押されてしまいます。その結果、母趾内転筋が短縮してしまい、外反母趾となるのです。 足の横アーチには、足裏にある血管や神経を体重の圧迫から防ぎ、体重がかかったときのエネルギーをバネのように機能する役割があります。また、足の横アーチがつぶれると横中足靭帯が緩んでしまうため開帳足が引き起こされます。その結果、母趾内転筋が緩んでしまうため、外反母趾となってしまうのです。 そのため、外反母趾を防ぐためにも、足のアーチが崩れるのを予防しましょう。 生活習慣による外反母趾への影響 外反母趾の原因は3つあると分かりましたが、生活習慣と外反母趾にはどのような関係があるのでしょうか? 外反母趾は座る時間が長かったり、立っている時間がなかったりすると発症しやすいといわれています。 特に以下の2つが外反母趾の発症に大きく関わります。 ・運動不足による足の筋力低下 ・職業と生活習慣の影響 生活習慣と外反母趾は大きく関係しているため、予防するためにもしっかり理解していきましょう。 運動不足による足の筋力低下 運動不足により足だけでなく体全体の筋力が低下します。 厚生労働省の発表によると、筋力を維持するためには1日に以下の運動量が必要と言われています。 ・成人の場合:8,000歩以上 ・高齢者の場合:6,000歩以上 しかし、成人の1日の平均歩数は6,278歩、60歳以上の場合は50%以上が6,000歩未満と大半の方が運動不足です。日本人が平日1日座っている時間は、男性38%、女性33%であり、世界20カ国における平日の総座位時間を調査した研究でも、日本人の総座位時間は世界的にみてかなり長いと言われています。 また、運動不足になると足の縦アーチを支えている「長母趾屈筋」・「長趾屈筋」・「前脛骨筋」・「後脛骨筋」の4つの筋肉も低下するため、扁平足になりやすく、外反母趾の要因となります。 日本における歩数の経年変化 6000/歩以上歩いている高齢者の割合 職業や足に負担のかかる靴の着用 立ち仕事が多いオフィスワーカーの方やつま先の細い靴を履く習慣がある方は、外反母趾になる可能性が高いので注意が必要です。 なぜなら、立ち仕事が多い場合には体重により足の縦アーチがつぶれやすくなってしまうからです。また、つま先が細い靴を履く習慣がある方は、靴が母趾を圧迫するため外反母趾の要因となります。特にハイヒールの場合の親指への負担は以下のようにかかっています。 ・かかとの高さが4cmの場合:裸足と比較して1.5倍 ・かかとの高さが9cmの場合:裸足と比較して3倍 上記のようにハイヒールのかかとが高いほど、母趾には大きな負荷がかかっています。そのため、職業柄ハイヒールを履かなければいけない方はかかとの低い物を選ぶことが大切です。 外反母趾の予防策と改善策 外反母趾を予防するためには以下の3つが有効です。 ・足に合った適切な靴を選ぶ ・インソールを使用して足の負担を軽減する ・足の筋力強化や体操を行う また、現在すでに外反母趾で痛みがある方でも上記の3つを行うと症状の改善を図れる可能性があります。 足に合った適切な靴を選ぶ 外反母趾を防止するためには適切な靴選びが重要です。靴を選ぶ際には以下3つの項目を満たしているか確認しましょう。 ・つま先に1cmほどの余裕があること ・つま先が細くなくゆとりがあること ・スニーカーのようなかかとが低い靴であること ただし、女性の方で仕事や冠婚葬祭でハイヒールやパンプスを履かなければいけない場合は、ヒールが低くつま先にゆとりがある物を選び、履いている時間を最低限にしましょう。 適切な靴のサイズを知るためには、自分の足の大きさを把握することが重要です。自分の足のサイズを知っているつもりでも測ってみると少し誤差があるかもしれません。適切な大きさの靴を選ぶためにも、自分の足の大きさを一度測ってみましょう。また靴を選ぶ際にはサイズの他に幅も大切です。靴の幅は一般的に『E』で表記され、Eから5Eまでの5段階あり、数字が多くなるほど幅広い靴になります。ただし、Eでも幅が広い場合は『D』というEよりも幅が狭いサイズもあります。さらに大切なことは『靴の購入前には試し履きする』ことです。靴のサイズや幅を確認しても、メーカーによりサイズ感は少し異なり、自分の足に靴がフィットするか分かりません。自分の足に合わない靴を履き続けることで外反母趾の原因となるため、靴の購入前の試着は重要です。 インソールを使用して足の負担を軽減する 日常生活や仕事で長時間立っている方は、足のアーチをサポートするインソール(中敷)に変更してみましょう。 なぜなら、足裏の筋力がしっかりしていても立っている時間が長ければ、体重により足のアーチがつぶれてしまうからです。 靴を購入したときにはインソールが敷かれていますが、平らな形状で足のアーチはサポートされません。外反母趾が軽度の場合、市販されているインソールで十分に対応可能です。足のアーチをサポートするインソールは靴屋さんやスポーツショップで購入できます。インソールの価格は数千円と高く感じますが、一生使う足を保護できると思えば安い金額です。 ただし、外反母趾の変形が強い場合にはインソールを変更しただけでは痛みを予防できないため、専用の靴の作成や手術が適応になる可能性があります。 足の筋力強化や体操の運動療法を行う 外反母趾を予防、改善するためには以下2つの足指の筋力強化が有効です。 ・足指を開く運動 ・足指でタオルを引き寄せる運動 足指を開く運動は、自分の力で足指を外側へ広げ「パー」の形を作り「母趾外転筋」という筋肉を強化するトレーニングです。母趾外転筋を鍛えることで、母趾が小指側に曲がるのを抑えるため外反母趾の予防につながります。 足指でタオルを引き寄せる運動は、タオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離すを繰り返しタオルを自分の方に引き寄せます。この運動により「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」の筋肉が強化され、縦アーチがつぶれにくくなり、扁平足や外反母趾の予防につながるのです。 また、筋力強化の運動ではないですが、外反母趾にはHohmann(ホーマン)体操も有効です。Hohmann(ホーマン)体操はのやり方は以下の通りです。 ゴムひもを両方の親指にかける 両方のかかとを合わせた状態で足先を広げる ゴムが張った状態で10秒数える 上記の『3』を20回繰り返す Hohmann(ホーマン)体操では、小指の方に曲がった親指を正しい位置に戻す方向へ動かします。Hohmann(ホーマン)体操を行うことで、軽度か中等度の外反母趾の改善を図れます。 外反母趾の原因を理解して適切に予防していきましょう 外反母趾になる方は、この30年で最大8倍にも増加している疾患であり、以下3つの原因により引き起こされます。 ・遺伝子的要因 ・足の構造的な問題 ・不適切な靴の履き方 遺伝的要因では足指の長さが関係し、日本人の70%は親指が人差し指よりも長い『エジプト型』に該当します。エジプト型では、親指が小指側へ曲がりやすいため外反母趾になりやすい傾向にあります。 また、足の構造的な問題では『扁平足』や『開帳足』が外反母趾の原因です。どちらも筋力低下や加齢、肥満により引き起こされる可能性があるので、日頃からの運動習慣が欠かせません。 特に、不適切な靴の履き方と足の構造的な問題については、しっかり対策を講じることで予防可能です。 靴を選ぶ際にはつま先にゆとりがあり、スニーカーのようにかかとが低い物が望ましいです。 今後も、足の痛みを軽減し外反母趾にならないためにも、外反母趾についてさらに理解していきましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 厚生労働省政策統括官(統計・情報政策、労使関係担当),令和2年患者調査傷病分類編(傷病別年次推移表),2020 久光製薬株式会社,外反母趾,日本の足外科学会,2022-11 佐賀県理学療法士会,4人に1人!?身近に潜む糖尿病と怖い合併症運動で出来ることは!!,佐賀県理学療法士会広報誌,2022-3-31 健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂 に関する検討会,健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023,厚生労働省,令和5年11月27日 井上敏生,日本フットケア学会雑誌,16版,(一社)日本フットケア・足病医学会,2018,p.145-147
2024.11.18 -
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外反母趾は足の親ゆびが小指側に曲がる症状で、親指の付け根が腫れ上がったり、痛みが出現したります。外反母趾の原因には遺伝的な足指の長さが関係していますが、足に適さない靴の着用や運動不足などの生活習慣も関係しています。しかし、外反母趾は適切に対処することで予防可能です。 では、外反母趾の予防について以下のようなお悩みはありませんか? ・どのような靴を選ぶと良いか分からない ・どのように運動やストレッチを行うと良いか分からない ・日常生活で気をつけることを知りたい この記事では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方や簡単に行える運動・体操、日常での足への配慮について解説しています。 外反母趾になると痛みによりウォーキングやランニング、スポーツなどの趣味活動ができなくなる可能性があります。これからも楽しく痛みなく生活するためにも、外反母趾の予防を適切に行えるようになりましょう。 外反母趾を予防するための正しい靴の選び方 外反母趾を予防するためには、自分の足に適した靴を着用しなければいけません。自分の足に適した靴を着用しなければ「扁平足」や「開張足」さらには「外反母趾」になってしまう確率が高まります。 ここでは、外反母趾を予防するために以下2点について解説します。 ・靴選びのポイント ・避けるべき靴の特徴 それぞれ以下で詳しく解説します。 靴選びのポイント 靴選びは外反母趾を予防する上で非常に重要なポイントであり、予防するためには以下の4つを満たした靴を選びましょう。 ・かかとの芯がしっかりしていること ・靴底が固く、適切な位置で屈曲すること ・自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと ・ハイヒールやパンプスのヒールは4cm以下であること 上記が満たされない靴の場合は、歩いている時に足を地面に接地した際にかかとが不安定になり、外反母趾を助長する可能性があります。 また、靴を購入する際は必ず試着を行いましょう。靴の大きさや幅はメーカーにより多少異なるため、同じ靴のサイズであっても少し大きく感じたり、小さく感じたりする場合があります。このため、靴のサイズや幅の表記だけでは判断せず、実際に履いてみて自分の足にフィットしているのか確認することが大切です。 避けるべき靴の特徴 前項では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方について解説しました。 ここでは、外反母趾を助長する可能性がある避けるべき靴の特徴を4つ紹介します。 ・靴のサイズが大きすぎること ・つま先が窮屈な靴 ・幅が広すぎる靴 ・ハイヒールやパンプスのヒールの高さが4cm以上 靴のサイズが大きすぎる場合は靴の中で足が滑ってしまい、「浮き指」や「屈み指」という足ゆびの変形につながる恐れがあります。足指が変形すると足のアーチの変形にもかかわるため、外反母趾のリスクを高めます。 つま先が窮屈な靴の場合は靴が親指を小指側へ圧迫するため、外反母趾を助長する可能性があります。そのため、幅の広い靴の着用が推奨されていますが、幅が広すぎてもいけません。靴の幅が広すぎると、靴のサイズが大きすぎる場合と同様に、靴の中で足が滑ってしまい足のアーチの変形に繋がるため外反母趾を助長する可能性があります。 また、ヒールが高い場合はつま先に体重がかかりやすくなり、外反母趾を助長してしまいます。以下の表ではヒールの高さによるつま先とかかとの体重の割合を紹介します。 かかとにかかる割合 つま先にかかる割合 ヒールの高さ3cm 50% 50% ヒールの高さ8cm 20% 80% 以上のような特徴を持つ靴を避け適切な靴を選ぶことで、外反母趾の予防が可能です。 外反母趾を予防するために簡単にできる運動や体操 外反母趾は、足の構造や日常生活の習慣が影響し、時間をかけて進行する足の変形症状の1つです。そのため、症状が現れてから対策を始めるのではなく、日々の生活の中で予防することが大切です。ここでは外反母趾を予防するために簡単にできる以下の2点について解説します。 ・外反母趾を予防するためのストレッチ ・足アーチの崩れを予防するための運動 『外反母趾を予防するためのストレッチ』は、親指が小指側へ変形するのを抑える効果があります。また、『足のアーチの崩れを予防するための運動』は、外反母趾の主な要因の1つである足の形状の変化を防ぐために重要な方法です。これらの運動を定期的に行うことで、外反母趾の予防を期待できます。 外反母趾を予防するためのストレッチ 外反母趾を予防するためには以下3つのストレッチが有効です。 ・Hohmann(ホーマン)体操 ・手で足の親指を広げるストレッチ ・母趾内転筋のストレッチ Hohmann(ホーマン)体操はのやり方は以下の通りです。 ゴムひもを両方の親指にかける 両方のかかとを合わせた状態で足先を広げる ゴムが張った状態で10秒数える 上記の『3』を20回繰り返す Hohmann(ホーマン)体操では、小指の方に曲がった親指の付け根の関節を正しい位置に矯正する方向へ動かします。Hohmann(ホーマン)体操を行うことで、軽度か中等度の外反母趾の改善を図れます。 手で足の親指を広げるストレッチは、Hohmann(ホーマン)体操と同様に足の親指の関節を外側へ広げますが、ゴムではなく自分の手を使用して広げます。施行時間や回数はHohmann(ホーマン)体操と同じです。 母趾内転筋のストレッチでは、自分の手で母趾内転筋を直接圧迫してストレッチします。母趾内転筋が固くなると足の親指が小指側へ引っ張られてしまい、外反母趾の要因となってしまいます。手でストレッチが難しい方は、座った状態でゴルフボールやテニスボールを足の下に入れて、全体的にコロコロ転がすだけでもストレッチ効果を得られます。 上記のストレッチはどれも簡単に行えるので、隙間時間で実践してみましょう。 ただし、既に外反母趾により痛みが強い場合には整形外科の病院への受診をおすすめします。 足のアーチの崩れを予防するための運動 足のアーチは筋肉により維持されているため、筋力が低下するとアーチが崩れやすくなります。ここでは、足のアーチを支える筋肉を鍛えるための運動メニューを2つ紹介します。 ・足指を開く運動 ・足指でタオルを引き寄せる運動 『足指を開く運動』は、自分の力で足指で「パー」の形を作ることです。足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 また、『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できるのです。 これらの運動は、空いた時間に簡単にでき、特別な器具も必要ないため、誰でも始めやすいです。自宅での運動だけでなく、職場や外出先でも行えるため、日常的に取り入れやすいのも大きなメリットです。 外反母趾を予防するために日常で欠かせない足への配慮 外反母趾を予防するためには、日々の生活の中で足への配慮を意識することも大切です。 ここでは以下の2点について解説します。 ・職場での足の休息法 ・足の健康を守るための日常の工夫 長時間の立ち仕事は足に負担をかけ、外反母趾を引き起こす可能性があります。また、継続的に足への配慮を心がけることで、外反母趾の予防に効果的です。どちらも、すぐにでも実践できるので、ぜひ参考にしてみてください。 職場での足の休息法 長時間の立ち仕事では、足のアーチを支える筋肉が疲労してしまい、足のアーチの崩れにつながる可能性があるため、適度に休憩して筋肉を休ませる必要があります。 また、立った状態でかかとを上げてつま先立ちをすることで「下腿三頭筋」や「ヒラメ筋」が刺激され、足への血流が良くなり疲労しにくくなります。 さらに、職場での靴選びも重要です。外反母趾を予防するためには、上記で解説したような靴を履きましょう。大切な項目ですので、以下で再度確認します。 ・かかとの芯がしっかりしていること ・靴底が固いこと ・自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと 以上のような職場での足を休めるための工夫、正しい靴を選ぶことで外反母趾の予防につながります。 足の健康を守るための日常の工夫 日常生活の中で外反母趾を予防するためには、足のアーチ(土踏まず)をサポートするインソール(中敷)に変更することが有効です。 なぜなら、インソールは足のアーチをを支えてくれるからです。 足のアーチが崩れる原因はさまざまありますが、インソールを変更することでそれぞれの要因に対処できます。 靴を購入した際にはインソールが敷かれていますが、平らな形状で足のアーチをサポートする機能がないものが一般的です。そのため、靴屋さんやスポーツショップで販売されている足のアーチをサポートする機能があるインソールの購入がおすすめです。インソールだけで数千円しますが、将来、外反母趾を予防できることを考えると高い買い物ではありません。 ただし、既に外反母趾により痛みが出現している場合は、インソールを変更しても痛みを改善することは難しい場合が多くあります。この場合は、医療機関へ受診し医師に相談しましょう。 まとめ・外反母趾の対策をしっかり行い予防しましょう 外反母趾は適切に対策を行うと予防できる疾患であり、以下3つを実践することが大切です。 ・自分の足に合った靴を選ぶこと ・足のストレッチや運動を行うこと ・日常から足へ配慮すること この30年で外反母趾になる方は最大8倍にも増加し、外反母趾に悩む方が増えている背景の1つには、靴を履く習慣が関係しているといわれます。外反母趾は女性に多い関節の変形ですが、男性も外反母趾にならないとは限りません。このため、外反母趾を予防するためには適切な靴選びが必須です。 また、外反母趾の原因には筋力低下や疲労も関係しています。外反母趾を予防する運動では『足指を開く運動』と『足指でタオルを引き寄せる運動』を行うことで、足のアーチを支える「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」を強化できます。 日常から足へ配慮するには、自分の足に適した靴を履くことやインソールを使用することです。 上記のように、適切な対処を行うことで外反母趾は予防できます。足の健康を長期間保ち、ウォーキングやランニング、スポーツなどの活動を楽しみたい方は、今から少しずつ外反母趾の予防を実践していきましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 渡辺淳,外反母趾は重症化する前に足の外科医に相談を!治療選択肢は広がっています,人工関節ドットコム.
2024.11.15 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れない方はいるのではないでしょうか?元の生活に戻るために、モートン病の症状を和らげる方法を探している方も多いと思います。この記事では、モートン病に対するツボの効果はあるのか解説していきます。東洋医学と従来の治療を組み合わせて症状を改善していきましょう。 モートン病とは モートン病は、足趾(あしゆび)の間のしびれ、疼痛、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。 足の中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。原因は、つま先立ちのような姿勢を長時間続けることです。中年以降の女性に多く発症すると言われています。つま先立ちの姿勢は、足趾に繋がる神経をあっぱくするため神経障害を発症します。モートン病の診断には、感覚検査、チネルサインの有無、つま先での痛みの増強、画像検査、筋電図検査などを用いて総合的に判断されます。 モートン病はツボで治る? モートン病自体はツボで治りませんが、モートン病による痛みを和らげる可能性があります。そもそもツボとは、経穴(経穴)とも言われ身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病では、承山・下承山・築賓・漏谷という主に4つのツボがあります。これらのツボはモートン病の痛み軽減に効果的とされています。 <押し方> 両手の親指を重ねて、承山を3〜5秒かけてゆっくり押します。 押す強さは、痛気持ちいいぐらい 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山は、ふくらはぎの中央にあり、足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くと言われており、多くの症状に対応できる万能なツボです。つま先立ちをしたときにふくらはぎにできるくぼみの位置です。 「下承山」の特徴 下承山は、承山から指の幅3本分下がったところにあります。足底の痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられるツボです。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、ふくらはぎのふくらみの内側にあるツボです。腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられます。下半身全体の血流が良くなると言われ、手足の冷えに対する効果もあります。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、脛の内側の真ん中にあり骨の近くにあります。腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられることが多いです。 ツボ押しの注意点 ツボ押しでは、強く押しすぎたりすごく痛い強さで押すのは避けましょう。また、強く押すことで血圧が下がることもあるため、1か所10秒までが良いです。心地よいと感じる強さで刺激するのが大切です。 ツボ押しにプラスするべき治療 ツボ押しのみでは効果が不十分な場合があります。そのため、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入の3つを補助的に行うのが効果的です。以下で具体的に解説します。 ①ストレッチと運動 モートン病の痛み改善は、ストレッチや運動が効果的です。モートン病による横アーチの低下に伴って偏平足を併発しやすいです。偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出現するため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられます。これらは一時的な対症療法なため、運動療法によりアーチを高めるか足底挿板が重要です。 モートン病で重要な横アーチを高めるために、足内在筋を鍛えるのが大切です。足内在筋とは、足の裏にある筋肉で、足趾の動きやアーチ形成に関与しており、足の指を使った運動で鍛えられます。足外在筋とは、下腿の骨から足底に渡って付着する筋肉で、足関節の動きに関与しています。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。例えば、幅が広く指先が圧迫されにくい靴を選びましょう。また、インソールは横アーチの形状をサポートし、負荷を分散するものが良いです。インソールの種類でロッカーソールというタイプがあり、一般的なインソールより足趾が屈曲しない構造のため、圧迫されにくい特徴があります。 ③インソール・足底挿板の挿入 靴の変更では、ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴を選択します。つま先が狭い靴やヒールが高い靴は前足部が圧迫されて、モートン病の症状が悪化しやすいです。そのため、踵が低くつま先にゆとりがある靴を使用しましょう。また、クッション性のあるインソールを別で購入するかオーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は、義肢装具士に依頼してオーダーメイドで自分の足に合ったものを作成します。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。また、代わりの物としてインソールの購入もおすすめです。インソールは市販で売られており、オーダーメイドではない商品が多いため、専門店のスタッフにどの商品が良いか相談してみましょう。 再発予防のための生活習慣 モートン病は再発する可能性もあります。そのため、足のケアや定期的な受診など生活習慣に気を付けましょう。具体的な内容は、以下で解説します。 足のケア 長時間立っていたり歩いたりすることでモートン病の症状は悪化しやすいです。そのため、足が痛かったり疲れているときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチは低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な受診 モートン病が良くなってからも定期的に受診すると再発防止につながります。モートン病では、保存療法でも手術療法でも再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 従来の治療と代替療法を組み合わせて痛みを和らげましょう。 モートン病に効果的なツボや、合わせて行うと良い治療方法について解説しました。ツボは解明されていない現象も多いですが、実際に効果があったという人がいるのも事実です。今回、ご紹介したモートン病に効果的なツボを試してみてください。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人も少なからずいます。そのため、治療後も足のケアや定期的な受診を行うのが大切です。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 長田瑞穂,林典雄,中宿伸哉,笠井勉,モートン病の足部タイプと足底挿板療法,骨・関節系理学療法 福岡整形外科病院,モートン病とは 梅﨑泰侑,川村大地,菅原陸,新岡大和,遠藤陽季,川口徹,篠原博,足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果,理学療法科学 38(6):444-450,2023 三森 経世,関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開,日本内科学会雑誌 第97巻 第10号・平成20年10月10日
2024.10.23 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病は足趾の付け根が立位や歩行などで痛くなる疾患です。日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。モートン病に対しては、インソールや靴の変更など保存療法を中心として改善する場合が多いです。 この記事では、モートン病で行われる治療方法と症状が悪化しないための注意点について解説しています。また、再発予防対策についても触れています。足の痛みで悩んでいる方は、ぜひご覧ください。 モートン病の概要 モートン病は、足趾(そくし)間のしびれ、疼痛、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。中年以降の女性に多く発症すると言われています。原因は、つま先立ちのような姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足趾に繋がる神経を圧迫するため神経障害を発症します。モートン病の診断には、感覚検査・チネルサインの有無・つま先での痛みの増強・画像検査・筋電図検査などを用いて総合的に判断されます。 モートン病の治療 モートン病の治療は、 ①薬物療法 ②手術療法 ③保存療法 の3つが主軸となり、補助的な選択肢として代替治療もあります。症状が軽い場合には、保存療法と薬物療法で症状が改善する場合が多いです。一方で、薬やインソールの効果が見られなければ、手術で障害部位を切除します。 ①薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。近年では、動注治療という治療法も広がりつつあります。各治療方法の特徴について以下で解説します。 消炎鎮痛剤の効果・副作用 消炎鎮痛剤は、非ステロイド性抗炎症薬炎症(NSAIDs)とも言われ、炎症がある組織に局所的に作用して痛みを改善します。ロキソニンやボルタレン、アスピリンなどがNSAIDsです。副作用には、消化器症状、腎機能障害などがあります。また、長期投与により胃潰瘍を引き起こす可能性があるため、薬の飲みすぎには注意です。 ステロイド注射の効果・副作用 ステロイド注射は、強力な抗炎症・鎮痛効果があり、炎症や痛みが激しい場合に使用が検討されます。効果は1回の投与で数週間から数か月持続し、痛みの改善効果が高いです。ただ、複数回投与すると副作用として腱や関節軟骨が弱くなる場合があります。 局所神経ブロック注射の効果・副作用 局所神経ブロック注射は、薬物療法より全身への影響が少なく即効性が高いです。他の鎮痛薬と異なるのは、一時的な麻酔効果だけでなく麻酔が切れた後も痛みを軽減します。日帰りで実施も可能なため、忙しい方などにおすすめです。ただ、副作用として出血や感染、神経障害が生じる可能性もあるため、ブロック注射後は数十分は安静にしましょう。 動注治療の効果・副作用 動注治療とは、動脈に直接薬剤を注射する治療法で、異常な新生血管を閉塞させ、炎症や痛みを緩和するものです。慢性的な炎症では、異常な新生血管や神経が増殖していて痛みを増強している可能性があります。ほとんど副作用はないですが、内出血や薬剤アレルギーが起こる場合があります。日本では保険適用ではないのでご注意ください。 ②手術療法 手術療法は、運動療法や薬物療法でも改善しない場合に選択されます。主に、神経乖離・神経腫摘出・深横中足靭帯など疼痛部位の周辺組織の切離です。原因となっている部位自体を取り除くことで、症状の改善を図ります。そのうち、神経を取り除く手術では、手術後はそこから先の感覚はなくなってしまい、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 ③保存療法 保存療法では、足底挿板の作成・靴の変更が実施されます。足底挿板や靴は日常的に着用するため、適切なサイズのものを作成しましょう。以下で具体的な内容を解説します。 足底挿板の作成 足底挿板は、義肢装具士に依頼してオーダーメイドで自分の足に合ったものを作成します。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。また、代わりの物としてインソールの購入もおすすめです。インソールは市販で売られており、オーダーメイドではない商品が多いため、どんなものが良いか医師や専門店のスタッフに相談してみましょう。 靴の変更 靴の変更では、ソールが柔らかい靴、ヒールが低い靴を選択します。つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫されて、モートン病の症状が悪化しやすいです。そのため、踵が低くつま先にゆとりがある靴を使用しましょう。また、市販で売られている靴はインソールが薄いことが多く、衝撃吸収効果が得られにくいです。そのため、よりクッション性のあるインソールを別で購入するかオーダーメイドで注文するのが良いでしょう。 代替療法 代替療法では、ツボやマッサージなどが行われます。ツボでは、承山・下承山・築賓・漏谷という主に4つのツボが効果的とされています。いずれも下肢に存在するツボで、痛みの軽減や血流の改善に繋がります。ツボは東洋医学の分野であり、明確なエビデンスはほとんどなく施術者の主観による治療が多いです。一方で、効果がある人もいるのは事実です。 モートン病の再発リスクはある? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診することで、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 症状が悪化しないための日常生活での注意点 症状が悪化しないための注意点は3つあります。 ・長時間同じ姿勢を取らない ・ハイヒールや幅の狭い靴は避ける ・インソールを挿入する 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。特にハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 インソールを挿入する モートン病による痛みを緩和するには、幅が広く指先が圧迫されにくい靴を選びましょう。前足部の幅をひもやベルトで調整できる靴が良いでしょう。また、インソールは横アーチの形状をサポートし、負荷を分散するものが良いです。インソールの種類でロッカーソールというタイプがあり、一般的なインソールより足趾が屈曲しない構造のため、圧迫されにくい特徴があります。 再発防止対策のために自宅でできること モートン病は、保存療法や手術療法に関わらず再発する人も少なからずいます。そのため、再発防止対策を知っておきましょう。 具体的には、ストレッチ・足裏の運動・セルフケアの3つが大切です。 ストレッチ モートン病では、障害部位への負担軽減とアーチの維持が重要です。モートン病でおきやすい横アーチの低下は、偏平足も同時に起きやすいです。偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出現しやすいため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられます。しかし、ストレッチは一時的な対処方法なため、運動療法によりアーチを高めるか足底挿板が重要です。 足裏の運動 モートン病で重要な横アーチを高めるためには、足内在筋(足の裏の筋肉)を鍛えるのが大切です。足内在筋とは、足の裏にある筋肉で、足趾の動きやアーチ形成に関与しています。足外在筋とは、下腿の骨から足底に渡って付着する筋肉で、足関節の動きに関与しています。以下にアーチを高めるための運動を3つ紹介します。 やり方 段差でタオルギャザー 前足部をタオルのうえに乗せて立ち、足趾を使ってタオルを手前に引き寄せるのが一般的なタオルギャザーです。このやり方では、外在筋が主に働きます。 モートン病に対して行うなら、指先のみはみ出して段差の上に立ち その状態で足趾を曲げます。そうすると、より内在筋を使った運動が可能です。 指広げ運動 親指と小指を広げた状態で固定し、人差し指から薬指までを浮かすことで足の内在筋を鍛えます。親指と小指が一緒に浮かないように注意します。 指上げ運動 親指のみ地面につけた状態で、他の指を上にあげます。この運動では、小趾外転筋・短母趾屈筋・母趾内転筋などの筋肉を鍛えられます。 定期的な受診が大切 モートン病が良くなってからも定期的に受診すると再発防止につながります。モートン病では、保存療法でも手術療法でも再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 適切な治療とケアにより症状を緩和しましょう モートン病は、保存療法・薬物療法・手術療法を軸として、多くの場合症状が改善します。特に、足底挿板の挿入は毎日の歩行や立ち仕事を助けるため、常に症状の軽減効果が得られます。一方で、症状が改善しても一定期間後に再発するリスクがあるのも事実です。再発を防ぐためには、日常的な足の運動やストレッチ、自分の足に合った靴やインソールの挿入などが足のケアが大切です。また、定期的に受診すると早期発見・早期治療につながります。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 長田瑞穂,林典雄,中宿伸哉,笠井勉,モートン病の足部タイプと足底挿板療法,骨・関節系理学療法 福岡整形外科病院,モートン病とは 梅﨑泰侑,川村大地,菅原陸,新岡大和,遠藤陽季,川口徹,篠原博,足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果,理学療法科学 38(6):444-450,2023 厚生労働省,市販の解熱鎮痛薬の選び方 三森 経世,関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開,日本内科学会雑誌 第97巻 第10号・平成20年10月10日
2024.10.21 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病によるつらい痛みで悩んでいませんか。モートン病は自宅でのマッサージにて症状の緩和が期待できます。 モートン病による足の指や足裏の痛みは、自宅でマッサージを行うことで症状の緩和が期待できます。症状を放置すると歩行が難しくなる場合もあるため、早めのケアや専門機関の受診をおすすめします。 この記事では、モートン病に効果的なマッサージやセルフケアについて解説します。 今回紹介しているマッサージを実践して、足の痛みから解放されましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病のマッサージ方法3選 モートン病の症状軽減に効果的なマッサージを3つご紹介します。 青竹踏みマッサージ 足指のマッサージ 足首のマッサージ いずれも自宅の隙間時間でできるマッサージ方法です。モートン病の症状でお悩みの方は、上記のマッサージ方法を実践してみてください。 青竹踏みマッサージ 青竹踏みは、縦に半分に割った竹を踏むことで足裏をマッサージする方法です。本物の竹を用意するのが難しい場合、100円ショップにてプラスチック製の青竹の購入が可能です。 実際には、下記の3ステップで行います。 1.裸足になって青竹の上に乗る 2.青竹の上で足踏みをする 3.1.~2.を数分繰り返す 青竹踏みマッサージには、以下のような効果が期待できます。ぜひ青竹踏みマッサージを実践してみてください。 血の巡りを良くする 浮腫みを軽減する 冷え性を軽減する ストレスを解消する モートン病の症状にも効果的なマッサージです。足裏を刺激するため、痛みが強い場合は無理のない範囲で行いましょう。 足指のマッサージ モートン病に効果的な足指のマッサージは、以下の2つです。椅子または床に座りながら行ってみてください。 期待できる効果 方法 指圧マッサージ 足指をほぐす 1.痛みが出ているカ所の足裏と足の甲を手の指で挟める 2.心地良い圧で押す 3.上記を30~50回繰り返す 横アーチのマッサージ つま先立ちで重心がかかっている部分の負担を軽減する 1.足指をぎゅっと強く握る 2.足裏のしわが寄っている部分に両手の親指を当てる 3.親指に強めに圧をかけ、外側に滑らせる 4.上記を数回繰り返す モートン病の症状がつらく、足の指がうまく曲がらない方もいるかもしれません。その場合は、手で足の指を押すようにサポートして曲げると、少し楽に曲げられるでしょう。 また、痛みや熱感がつらい場合は無理して行わないようにしてください。 3:足首のマッサージ 足首のマッサージも、モートン病の症状緩和におすすめです。以下の5ステップで実践してみてください。 1・立った状態で、手で床を押す 2.右足を後ろに下げ、踵を床につける 3.左足に重心を乗せ、膝を曲げる 4.3.の状態で数秒キープ 5.左右の足を交代し、2.~4.を同様に行う つま先を外に向けると、モートン病が悪化する可能性があります。つま先はまっすぐ前に向けるように意識して行ってみてください。 足首を動かせる範囲が狭いと、モートン病で痛みが出ている部分に負担がかかりやすくなります。そのため、足首のマッサージにて足首の可動域を広げると、足の前側の負担が和らいで痛みの改善が期待できるでしょう。 モートン病の痛みに効果的なマッサージ以外の方法3選 モートン病の症状の緩和に効果的なセルフケアは、以下の3つです。 湿布の貼付 靴の変更 ツボ押し モートン病の症状で悩まれている方は、前述で紹介したマッサージとあわせて実践してみてください。 湿布の貼付 モートン病による痛みがつらい場合は、消炎鎮痛効果のある湿布剤またはテープ剤の使用がおすすめです。痛む場所や足裏の上にあるアーチ部分に直接貼付しましょう。 また、貼り薬のタイプには以下の2種類が存在します。 貼り薬の種類 特徴 メリット 湿布(パップ剤) 外側が布になっているジェル状の張り薬 貼る部分がジェル状になっており、皮膚への負担が少ない テープ剤 ガムテープのようにペラペラな貼り薬 粘着力が強く、関節のような動かす部分にも密着する 靴や靴下を履いて仕事をする方には、テープ剤がおすすめです。その反面、かぶれやすいデメリットも存在するため、気になる方は湿布(パップ剤)を使用しましょう。 消炎鎮痛効果のある貼り薬は、多くの薬局やドラッグストアで販売されています。痛みや炎症がつらい場合は、貼り薬の使用も試してみてください。 靴の変更 モートン病の改善には、いつも使用している靴の見直しも大切です。ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴に変えてみましょう。 つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫され、モートン病の症状が悪化しやすくなります。そのため、踵が低くつま先の幅がゆったりしている靴に変えると症状の軽減が期待できます。 また、以下の方法も足に負担をかけないためおすすめです。 スニーカーのような靴の幅を足やベルトで調整できる靴にする クッション性のあるインソールを靴に入れる 市販で売られている靴のインソールは薄いものが多く、衝撃から足を十分に保護できない可能性があります。市販のインソールでも痛みが続く場合はオーダーメイドで注文するのも一つの手です。 ツボ押し ツボ押しは、モートン病の根本的な改善にはつながりません。しかし、痛みを緩和する可能性がはあります。 とくに以下の3つは、モートン病に効果的なツボであるといわれています。 承山(しょうざん) 位置:つま先立ちをしたときに、くぼみができる位置 期待できる効果:足の痛みやしびれ 築賓(ちくひん) 位置:ふくらはぎのふくらみの内側で、内くるぶしから指7本くらい上の位置 期待できる効果:下半身の血行促進 漏谷(ろうこく) 位置:内くるぶしの上部から指8本くらい上のむこうずねの後ろ側にあるへこみ 期待できる効果:足底の痛み モートン病に対するツボの効果を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてください。 つま先立ちが続くとモートン病になりやすい つま先立ちが続くと、足底の前の部分に負担がかかりモートン病になりやすい傾向があります。 つま先立ちにより足指の付け根が圧迫されると、そこに通っている神経も傷ついてしまいます。その結果、モートン病が発症する可能性があるのです。 モートン病になりやすい一因として、下記のような行動があります。 踵の高いハイヒールやパンプスを履く 長時間にわたり中腰の作業を行う バレエのようなつま先立ちが続くスポーツをする 思い当たる方は、上記の行動を避けるようにしてみてください。 モートン病の初期症状は「足指間の痛みやしびれ」 モートン病は、しびれや痛み・灼熱感などの神経症状が足の指の間にあらわれる病気です。 つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足指につながる神経の圧迫が要因として考えられています。 モートン病は、足の中指や薬指の間に症状があらわれる場合が数多く見られます。ただし、人差し指と中指、薬指と小指の間などに発症することも少なくありません。 モートン病になりやすい人は、ハイヒールをよく履く女性や、長時間にわたる立ち仕事をしている方です。日頃の靴や仕事環境を見直すことで改善につながる可能性が期待できるでしょう。 モートン病を放置すると痛みが足全体に行きわたる モートン病を放置して悪化すると、痛みやしびれが足全体にいきわたり、最悪歩行困難に陥る場合もあります。また、立っているときだけではなく、静止状態のときにも痛みやしびれを強く感じることもあるでしょう。 モートン病を発症した初期は歩行が難しくなるほどではなく、少し違和感がある程度の場合が多くみられます。そのため、ひどくなるまで放置されてしまうことも少なくありません。 症状によっては、痛みがある部分を切開する手術をする可能性もあります。場合によっては神経を取り除いて痛みの緩和を試みます。その結果、取り除いた神経がある指先の感覚がなくなり、日常生活に支障が出るリスクもあるでしょう。 そのため、モートン病の症状が見られた際は、重症化する前に早めの対処が大切です。 マッサージをしても改善しない場合は受診の検討を マッサージやセルフケアをしても症状が改善されない、または何度も繰り返される場合は、受診をおすすめします。 我慢できないほど症状が強くなっている場合は、セルフケアのみでは症状が緩和されにくいほど悪化している可能性があります。また、モートン病以外の病気の疑いも考えられるでしょう。そのため、専門家による診断や治療が適切です。 病院では、以下のようなモートン病の検査が行われます。 マルダーテスト:足指の間の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、痛みがある確認する MRI検査:骨以外にも神経や靭帯の様子まで画像検査できるため、モートン病による障害部分を確認できる モートン病の治療法では以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は、下記のコラムも参考にしてください。 まとめ|モートン病の症状を緩和させて足の痛みから解放されましょう モートン病の症状は、マッサージやセルフケアで早期の緩和が期待できます。しかし、放置すると歩行困難になり手術するリスクも否定できません。 マッサージやセルフケアで改善が見られない場合は、放置せず早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング モートン病についてよくある質問 モートン病のときにやってはいけないことはありますか? モートン病が疑われるときは、長時間の立ちっぱなしや歩行は避けるようにしましょう。足に負担がかかり続けてしまい、痛みがあらわれる要因になります。 とくに、モートン病のときには、足にかかる衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすい状態です。 仕事でやむを得ず長時間立たなければならない場合もあるかもしれません。その際は、ヒールの低い靴へ変えたり、靴の中にインソールを入れたりすると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病になったら何科を受診したら良いですか? 整形外科への受診をお勧めします。整形外科では主に足のような運動器官の病気やけがを専門領域としています。そのため、モートン病も整形外科の専門領域のため、適切な処置をしてくれるでしょう。 病院では、モートン病に対して以下のような治療を行います。 足底挿板の作成 運動療法 薬物療法(痛みが強いときはブロック注射をする場合もあり) モートン病の治療について詳しく知りたい方は、下記のコラムも参考にしてください。
2024.10.14 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「足のしこりがガングリオンではないか心配」 「ガングリオンの実際の画像はどんなもの?」 とお悩みではないでしょうか。 突然、関節にしこりがあらわれると「なにこれ!」とびっくりし、心配になるかもしれません。 ガングリオンとは、関節にしこりができる病気であり、良性腫瘍のため治療の緊急性は高くありません。ただし、足にしこりがあり歩きにくさや違和感がある場合や、しこりが大きくなり痛みが生じている場合は早めの治療が大切です。 今回の記事では、ガングリオンでしこりができる原因や足にできたときの症状、治療法を画像付きで詳しく解説します。足にしこりができてお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。 足にできるガングリオンの具体例を画像付きで紹介 足にしこりができた場合、脂肪腫や粉瘤の可能性もあるため、自己判断でガングリオンと見分けるのは難しいことです。 また、目視だけでは判断ができないため、医師の判断で画像検査や吸引検査などを受けることをおすすめします。 この章では、足にできたガングリオンの一例をご紹介します。 また、足に発生するガングリオンは、内くるぶしや外くるぶし、足の甲、裏、ゆびの関節に起こりやすいのが特徴です。具体例として以下のようなエピソードがあります。 ガングリオンは関節にできる良性腫瘍 ガングリオンとは、関節周囲に発生する「コブのようにふくらんだ良性腫瘍」です。良性腫瘍のため症状がなく、しこりが気にならない程度なら積極的に治療をしなくても問題ありません。 しかし、ガングリオンの特性として大きくなってくる可能性があるため早めの診断や治療が必要です。また、しこりができた場所によっては、目立つため見た目が気になるという方もいます。 さらに、ガングリオンは20代~50代の女性に発症しやすいですが、足や関節をよく動かす方が発症と関係しているわけではありません。そのため、職業や趣味、生活スタイルは直接的にガングリオンができる原因と関係はないとされています。 また、治療を繰り返しても再発しやすいというのもガングリオンの特徴です。 ガングリオンの2つの検査方法 ガングリオンは医師による診察での視診・触診などで予測が可能です。 加えて、適切な治療のために「画像検査」と「吸引検査」により脂肪腫や粉瘤などの他の疾患との鑑別を行います。 本章では、「画像検査」と「吸引検査」について詳しく解説します。 画像検査 MRIや超音波検査によって、本当にガングリオンなのか、また体の表面からは触れられない隠れたガングリオンがあるかどうかが確認できます。画像検査では、痛みや違和感といった症状を感じていないガングリオンも見つけられます。 液状の内容物が見られるかや、しこりの大きさと周囲の組織との位置関係などから他の疾患との鑑別を行います。 吸引検査 しこりに注射を刺し、内容物がゼリー状であればガングリオンと診断されます。内容物を確認することで、ガングリオンと診断できます。 ガングリオンの原因は主に関節に負担がかかること ガングリオンが形成される原因について、残念ながら詳しくは解明されていません。 関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などの損傷をきっかけにできるのではないかと考えられています。転倒やケガなどで足の関節を痛め、関節に強い負担がかかる場合や、姿勢などの問題で関節に継続的な負担がかかっている場合、足にしこりができやすい状態といえます。 繰り返し足に負荷がかかるのは、以下のような状況です。 ケガ 一部分に負荷がかかる歩き方や姿勢 激しいスポーツ 合わない靴をはき続ける 立ちっぱなしや歩きすぎ これらの状況は、繰り返し足に負荷がかかっているといえますが、だからといって必ずしもしこりができるわけではありません。「しこりができるきっかけになるかもしれない」程度の要因ととらえておきましょう。 ガングリオンは進行に伴い痛みが出現 ガングリオンが原因でできたしこりは、基本的に症状はありません。しかし、大きくなることで、違和感や痛み、しびれなどを訴える方が多いです。 しこりが大きくなると関節周囲の神経や血管を圧迫するためです。ガングリオンは進行すると、主に以下のような症状があらわれます。 痛み しびれ 圧迫感 運動障害 また、関節を圧迫するために、違和感や不快感、関節の動かしにくさを感じるでしょう。たとえば、靴が入らなくなる、歩きにくい、しゃがみにくいなど、悪化すると日常生活にも影響を及ぼします。 ガングリオンと似ている症状は内容物や部位で判断する しこりがあらわれる病気は他にもありますが、ガングリオンとほかの病気には症状の違いがあります。 なかでも、紛瘤や脂肪腫はしこりのように皮膚が膨らみ異物感があり、見た目はガングリオンと似ていますが、しこりの内容物やできる部位に違いがあります。 紛瘤 しこりの内容物は垢や皮脂などの老廃物 良性の腫瘍だが放置すると悪化する 炎症を起こし痛みや悪臭がする 脂肪腫 背中や肩、首への発生が多い 痛みはなくゆっくりと大きくなる 内容物は脂肪 まれに悪性のものがある 腱鞘巨細胞腫 手足の腱鞘への発生が多い 良性腫瘍 痛みはない 染色体異常により起こるともいわれている 上記いずれにおいても、治療が必要な場合、一般的には手術で取り除きます。 しこりの存在に気づいていても症状がない場合、「痛くないし平気だろう」と、様子をみて受診を後回しにしてしまうことがあります。しかし、別の病気との鑑別も必要なため、しこりの存在に気づいたら、一度医療機関を受診しておくと安心でしょう。 足のガングリオンの2つの治療法 ガングリオンの治療は、主に以下の2つの方法でおこなわれます。 1. 非侵襲的治療(保存的療法) 2. 侵襲的治療(手術療法) ここでは、各治療法や、自然治癒の可能性、治療効果や費用について紹介していきます。 非侵襲的治療(保存的療法) まず、保存的療法における自然治癒の可能性や、治療方法、その効果について解説します。 自然治癒の可能性 ガングリオンは、30%~40%は自然に消失するといわれており、治療をしなくても自然治癒の可能性があります。しこりは、大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、その経過の中で自然に治癒するケースがあります。 ガングリオンならば、良性腫瘍のため目立った症状がなければ経過観察でも良いでしょう。 注射治療の方法と効果 ガングリオンの治療は、まず、注射器で内容物の吸引治療がおこなわれます。 <注射器でおこなう吸引治療の特徴> 注射器で穿刺してガングリオンの内容物を吸引し排出する 内容物の排出後は圧迫固定が必要 外来でできる処置のため侵襲が少ない ガングリオンの袋は残るため再発の可能性がある 注射の針程度の傷しかつかないため、比較的痛みも少ない処置といえます。傷跡も残らず痛みも少ないため、外来で処置が可能です。 内容物の吸引をしたあとにステロイドの注入をおこなう場合があります。これは、患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果を期待しておこなう処置です。ステロイドの注入は必ずおこなうわけではなく、医師の診察と判断により実施が検討されます。 一般的に、まずは注射器での内容物の吸引治療をおこない、再発を繰り返す場合には手術療法が検討されます。 侵襲的治療(手術療法) ここでは、手術の詳細や費用について解説します。 手術の詳細と費用 手術療法では、以下の2つの手術方法があります。 腫瘤だけでなく、関節包や腱鞘の一部も一緒に切除する方法 皮膚を小さく切り開き、関節専用の内視鏡で腫瘤につながっている関節包を切除する方法 手術自体は、日帰りでできる場合も多く、手術時間は20分~30分程度で終わります。 ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、まれに治療が難しいケースがあります。そのような場合には、日帰り手術ではなく入院治療が必要です。術後2週間後に抜糸をおこない、術後3週間程度は激しい動きは控え安静にしましょう。 手術には以下のようなリスクがあります。 感染を起こす 神経を傷つける 傷跡がのこる 手術といわれると、治療に対して不安が大きくなりますよね。医師からの説明をよく聞き、わからないことは手術の前に確認しておくと安心です。不安な気持ちがあることも伝えておきましょう。 一般的な手術の費用は以下の通りです。 負担割合 負担金額 1割負担 約3,000円前後 3割負担 約9,000円前後 そのほか、診察代や検査代、処方箋代などがかかります。手術部位によっても費用が異なるため、詳しくは手術を受ける病院に確認してください。 ガングリオンは治療後再発の可能性もある ガングリオンは治療法により再発率が変化します。 注射治療では約半数、手術療法では約10%の方が再発するといわれています。 再発を繰り返すと、治療や手術に伴う体への侵襲や医療費がかかる部分も懸念されるため、治療のあとは予防に力を入れていきましょう。 ガングリオンの2つの予防法 ガングリオンの原因ははっきりと解明されていないため、確実な予防策はありません。しかし、対策をすれば、発症のリスクを下げることができます。 ここでは、ガングリオンの発症予防や悪化予防のためにできる日常生活での注意点や、スポーツをするときの注意点について解説します。 日常生活での注意点 足のガングリオンは、合わない靴をはき続けたり、歩き方や姿勢が悪かったりすると、一部の関節に負担がかかります。そのような状態はガングリオンを発症するきっかけになったり、すでにあるガングリオンを悪化させたりする可能性があります。靴はサイズの合った履きやすい靴を選び、歩き方や姿勢にも気をつけましょう。 ガングリオンを強い力でマッサージするのも良くありません。軽くさする程度なら問題ありませんが、力を加えマッサージをおこなうと、痛みが悪化したりしこりが大きくなったりする可能性があります。 また、痛みが出てきた場合には、無理に動かさず安静にしましょう。患部に熱感がある場合には炎症が起きている可能性が考えられます。保冷剤や濡らしたタオルで冷やし、早めに医療機関を受診しましょう。 スポーツ時の注意点 スポーツをするときには、関節に負担をかけないようにし、ケガに気をつけましょう。 ガングリオンは、関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などを損傷した場合にできると考えられています。ケガがきっかけでガングリオンができる可能性があるため、スポーツをする前にはしっかり準備運動やストレッチをしてから始めましょう。 また、ケガをしにくい体作りも大切です。関節の柔軟性を高めるストレッチや筋トレを取り入れ、ケガをしにくい強い関節をつくりましょう。 ガングリオンは早期発見と治療が大切 ガングリオンは良性の腫瘍ですが、早期発見するに越したことはありません。しこりが大きくなる前に治療ができれば、痛みやしびれなどの症状を起こさずに済みます。 また、まれにガングリオンではなく悪性腫瘍だったケースもあります。しこりがあると感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。 ガングリオンは、適切な治療と管理をおこなえば再発のリスクを下げられます。ただし、ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、治療が難しいケースがあります。 いくつものガングリオンが、ブドウの房のようにできた症例もあり、必ずしもできたガングリオンがひとつとは限りません。 受診する医療機関は、整形外科が一般的です。そのほか、形成外科、皮膚科、外科でも治療が受けられます。適切な治療を受けるためには、医療機関を受診し、担当の医師と治療方針について十分話をしておく必要があるでしょう。 まとめ|足のガングリオンは良性腫瘍だが適切な治療と管理を要する ガングリオンは関節に負担がかかることで、関節液が漏れ出しゼリー状に固まりしこりができます。 合わない靴や歩き方、姿勢の悪さは、足の関節に負担がかかり、ガングリオンができるきっかけになります。足の関節に負担がかからないよう気を付けるとともに、関節の柔軟性を高め、負担がかかっても耐えられる関節をつくることが大切です。 良性腫瘍のため治療はしなくても問題はありません。しかし、痛みやしびれなどの症状が出てきた場合には、早めに整形外科を受診し適切な検査と処置を受けましょう。 もしガングリオンのようなしこりがあって不安な場合には、当院のメール相談や オンラインカウンセリングをお気軽にご利用ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング 参考文献一覧 日本整形外科学会|「症状・病気をしらべる ガングリオン」 日本手外科学会「手外科シリーズ ガングリオン」 日本医放会誌 第59巻第7号「関節周囲の嚢胞性病変―ガングリオンと滑液包炎―」 メディカルノート「ガングリオン」 徳島県医師会「足のガングリオン」
2024.09.16 -
- 足部、その他疾患
- 足部
スポーツなどで起こりやすいとされるアキレス腱断裂は、足首を動かすことが困難になり、日常生活が大きく制限されてしまいます。 アキレス腱断裂では、保存療法と手術どちらでもリハビリが必要ですが、実際にどんなリハビリをするか気になる人もいるのではないでしょうか。 実はリハビリをすすめていく上で、必ず守らないといけない注意事項や効果的な方法があるため、実際にリハビリを進めていく際には注意が必要です。 そこで本記事では、アキレス腱断裂をした後のリハビリメニューや治療法などを詳しく解説します。アキレス腱断裂をしてその後のリハビリメニューや治療法が気になる方はぜひ最後までチェックしてください。 アキレス腱断裂でのリハビリメニューは「アキレス腱以外の部位も行う」 アキレス腱断裂をした後のリハビリで重要なポイントは以下の3つです。 治療は手術と保存療法がある どちらの場合でもアキレス腱以外の部位を怪我した直後から動かす 患部は装具を使ってゆっくりと動かしていく アキレス腱断裂の治療は、外科的にくっつける手術と自然治癒を待つ保存療法の2択ですがどちらもリハビリが欠かせません。 とくにアキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)といった部位は、怪我した直後から積極的に動かすようにしましょう。 手術・保存療法どちらの場合でも、アキレス腱に負担をかけないために、踵を挙げた状態で固定する装具を装着してリハビリを行います。 なお、当院リペアセルクリニックでは手術・保存療法のほか再生医療の提供も可能です。もし気になる方はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング また、アキレス腱治療における再生医療については、以下の記事でも解説していますので、ぜひチェックしましょう。 アキレス腱以外のリハビリは「足首以外を弱らせないため」に大切 アキレス腱断裂後のリハビリでは、足首以外の筋力を維持するために、アキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)などを積極的に動かします。とくに問題がなければ、怪我した直後から動かしていくメニューが一般的です。 とくにアキレス腱断裂の場合、足首以外の関節を装具で固定するケースも多くあります。関節を保護しすぎて動かす量が減ると、下肢筋力が大きく低下してしまう可能性も考えられます。 社会復帰を早めるためにも、足首以外の筋力強化は積極的におこないましょう。 足首が固まらないことを優先する アキレス腱断裂では、アキレス腱の再生を促す目的で、足首を固定する期間を設けるケースがほとんどです。足首が固まってしまい可動域が制限されることが多いため、リハビリでは足首の可動域を維持することが大切です。 具体的には、装具を使ってアキレス腱に負担がかからないようにしながら体重をかける練習や、足首周囲のマッサージを積極的におこないます。 アキレス腱に負担がかからない範囲で足首のリハビリをおこなうことで、足首の可動域制限を最小限にとどめることが大切です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱】 アキレス腱断裂後におこなうアキレス腱のリハビリメニューには、以下の4つがあります。 足首を反らして可動域を広げる運動 アキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 体重を乗せる練習 スポーツや社会復帰に向けた動作練習 これらのリハビリは、アキレス腱への負担を考慮しながら進める必要があります。痛みが出たら即中止し、無理をしないようにこころがけてください。 関節可動域運動足首を反らして可動域を広げる運動 足首の関節が固まらないように、関節可動域運動(かんせつかどういきうんどう:ROM運動)を行います。 つま先を上に持ち上げるような動き(背屈運動:はいくつうんどう)はアキレス腱が伸ばされるため、慎重に始めて再断裂を予防するのが大切です。 アキレス腱の強度が高まれば、立ってアキレス腱を伸ばすようにストレッチをして関節の動きを改善します。 Step1 ・自分でゆっくり動かす ・アキレス腱の組織が癒着しているのをはがす Step2 ・最初はつっぱり感があり、痛みも出やすい ・優しく行うのが重要です Step3 ・徐々に理学療法士によるマッサージやストレッチを加えながら関節を動かす ・アキレス腱の柔軟性を改善します。 筋力トレーニングアキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 アキレス腱が十分修復されてくれば、日常の動作やスポーツに必要な筋力を戻すためのトレーニングを実施します。 まずはゴムバンドなどを使用して体重をかけない状態で負荷をかけましょうていきます。筋力や痛みの有無に合わせて、体重をかけた状態でのトレーニングに移行します。最初は無理をせず、徐々に負荷を高めていくことが重要です。 トレーニング 1. 座って踵上げ(座位カーフレイズ)から始める ⇩ 2. 両脚で立っての踵上げ(両脚カーフレイズ) ⇩ 3. 片足で立っての踵上げ(片脚カーフレイズ) 荷重練習体重を乗せる練習 アキレス腱の修復状況に合わせて、体重をかける時期や量を調整します。体重を乗せる練習は装具を使って、アキレス腱が無理に伸ばされないようにこころがけてください。 なお、保存療法に比べ、手術療法の方が早くから体重をかけることができます。 荷重は装具を使用しながら調整します。装具については、後ほど詳しく解説します。 動作練習スポーツや社会復帰に向けた動作練習 アキレス腱の強度や筋力が十分になれば、装具を外してのウォーキングやジョギング、ランニング、ジャンプといった動作を実施していきます。 スポーツ動作は複雑な動きや強い瞬発力を必要とするため、短くても6カ月ヶ月程度の期間が必要です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱以外】 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニューとして、以下の4つをご紹介します。 足趾の強化(タオルギャザー) 太ももの筋力強化 膝を伸ばす運動 お尻の外側の筋力強化 これらの運動は、体重がかかったときにアキレス腱の働きを補助する筋肉を鍛えるメニューです。これらのリハビリを行うことで、アキレス腱の負担軽減につながります。 いずれもアキレス腱への負担がかかりにくい運動であり、アキレス腱断裂後、早期から実施可能です。 しかし、慣れないうちは足首に力を入れてしまうこともあるかもしれません。もしリハビリの実施中に痛みを感じた場合は、無理せず中止してください。 足趾の強化(タオルギャザー) 用意するもの:フェイスタオル等やや厚手のタオル 1.裸足で立位または椅子に座り、指先でタオルをたぐり寄せる。 2.たぐり寄せたタオルを指先で元の位置に広げる。 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 1セット10回を1日3セット程度から開始して、余裕があれば増やします。実践する際にはタオルを引き寄せるときに指を大きく動かすことが重要です。また、足首を反らしながら指を曲げてしまう人が多いため、つま先を床につけたままおこなう意識を持ってください。 太ももの筋力強化運動 用意するもの:バスタオル(またはクッション) 1.仰向けになり、まっすぐに伸ばした膝裏に丸めたタオルを挟む。 2.膝裏でタオルを力強く押すと同時に、つま先は上に持ち上げる。(5 秒ほど) 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 体重がかかったときに踏ん張って体を支えてくれる太もも(大腿四頭筋)の筋力強化運動です。1セット10回で1日3セット程度を目安に進めていきましょう。 ポイントはしっかりと膝を伸ばしながら足を持ち上げることで、膝を伸ばす意識を持てば太ももの筋肉に大きく刺激が入ります。また、足首に力を入れてしまう人が多いため、足首の力は抜くようにしてください。 膝を伸ばす運動 用意するもの:背もたれのある椅子か机などつかまれるもの 1.立位で椅子の背もたれなどに摑まり、片足を後ろに引き、膝を伸ばす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 後ろに引いた足の膝を伸ばして太ももの筋肉(大腿四頭筋)に刺激を入れる運動です。1セット10回で1日3セットを目安におこないます。体重をかけることで太ももの筋肉により強い刺激が入るでしょう。 この練習をするときはアキレス腱保護のため装具を必ず装着してください。体重をかけることで痛みを感じるようであれば、無理をしないように気をつけましょう。 お尻の外側の筋力強化 1.横向きになり、上側の足をゆっくりと持ち上げ、ゆっくりと下ろす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 立ったときに骨盤を横から支えてくれるお尻の筋肉(中臀筋)を鍛える運動です。1セット10回を2〜3セットを目安におこないましょう。 ポイントとして足を上げ下ろしする角度が大切です。骨盤より前で足を上げ下ろしすると太ももの筋肉に力が入りやすいので、足を骨盤と同じ角度か少し後ろに引く気持ちで上げ下ろしするとお尻への刺激が入りやすいでしょう。 日常生活やスポーツへの復帰を早めたいなら「手術」も検討する もし早期の社会復帰・スポーツ復帰をしたいと考えているならば、手術を受けることも検討しましょう。 手術ではアキレス腱を縫合するため、再生を早められるほか、保存療法による自然治癒よりも強固に修復できるためです。 アキレス腱断裂後に早く日常生活やスポーツに復帰したい人は、主治医と相談の上、手術も視野に入れても良いかもしれません。 本章ではアキレス腱断裂後のリハビリにかかる経過を、保存療法をおこなったケースと手術をしたケースでそれぞれご紹介します。 保存療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜2週間 ・体重はまったくかけてはいけない ・患部以外のトレーニングの実施 2週間〜6週間 ・足首を下に向けた状態で固定 ・床に触れる程度から体重をかけ始める ・4周目以降に全体重をかけ始める ・足首をゆっくり自分で動かす 6週間〜8週間 ・足首をストレッチする 8週間〜12週間 ・徐々に筋力トレーニングを開始 ・ゴムバンドなどを使ったトレーニングを開始 ・筋力が向上すれば座位カーフレイズ開始 ・両脚カーフレイズ、片脚カーフレイズを段階的に実施 3カ月〜4カ月 ・装具を外してウォーキングやジョギングを開始 4カ月〜6カ月 ・ランニングやジャンプ開始 6カ月〜 ・スポーツ復帰 アキレス腱断裂後、保存療法を行う場合は、受傷からアキレス腱の修復状況に合わせて、段階的にリハビリメニューを変更していきます。 アキレス腱の修復状況や痛みの程度、合併症の有無などによって、上記のメニューのようにいかない場合もあるため、都度強度の調整が重要です。 受傷直後はギプス固定をして、足首が完全に動かないようにしばらく固定をする場合もあります。あくまでもアキレス腱の修復や再断裂の予防が最優先ですので、医師や理学療法士としっかり連携をとり、リハビリを進めていくのが大切です。 手術療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜4週間 ・体重はまったくかけない。 ・患部以外のトレーニングの実施 ・痛みに合わせて徐々に足首の運動を実施 ・徐々に体重をかける量を増やしながら荷重する 4週間〜6週間 ・つま先を下に向ける ・徐々に戻していき、全体重をかけていく 6週間〜8週間 ・立った状態 ・ストレッチや足首の筋力トレーニングを始める ・筋力がつけば両足カーフレイズを実施(両手支持から始める) 8週間〜3カ月 ・装具を外してのウォーキング開始 ・片脚カーフレイズで筋力を向上させる 3カ月〜5カ月 ・ジョギングやランニング ・ジャンプなどを段階的に実施 5カ月〜 ・スポーツ復帰を目指す アキレス腱断裂後、手術を行う場合は、保存療法よりも早期に体重を乗せるリハビリをはじめます。 手術療法は比較的アキレス腱の修復が早く、体重を早くかけられるようになります。そのため、保存療法よりも早く社会復帰・スポーツ復帰が可能です。 メリットは手術でアキレス腱を強固に修復でき、スポーツ復帰が早いことです。しかし、費用や手術での感染・神経損傷リスクはデメリットといえるでしょう。 なお、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生治療に取り組んでいます。興味がある人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング また、アキレス腱断裂後の手術については以下の記事でも解説しています。手術を検討している人はぜひチェックしてください。 まとめ|アキレス腱断裂後のリハビリメニューは下肢全体を鍛えよう!治療法で悩んだら受診がおすすめ アキレス腱断裂後のリハビリメニューは、断裂したアキレス腱以外の部位も含めて下肢全体を鍛えるように行う必要があります。 また、アキレス腱断裂後のリハビリ内容や経過は、保存療法か手術療法によって異なります。治療方法は医師としっかり相談して、個人個人のライフスタイルに合わせて選択してください。 いずれの治療方法でも、アキレス腱の修復を待ちながら、段階的にリハビリを進めて、日常生活やスポーツに復帰することが大切です。 ちなみに、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生医療をおこなっています。保存療法の選択肢として検討してみたい人は、お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 本記事を参考にアキレス腱断裂後のリハビリについての理解を深めて、医師や理学療法士と連携しながら回復を目指しましょう。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング アキレス腱断裂についてよくある質問 アキレス腱断裂は手術が必要ですか? A:必ず手術というわけではありません。 アキレス腱断裂では必ずしも手術が必要ではなく、保存療法という選択肢もあります。しかし手術をした方がスポーツ・社会復帰が早くできるため、ライフスタイルに合わせて治療方法を選択してください。 アキレス腱断裂後はどんなリハビリをしますか? A:足首だけでなく、下肢全体で運動を進めていきます。 アキレス腱断裂後はアキレス腱に負担がかからないように、股関節や膝などを動かしていきます。アキレス腱の修復度をみながら、足首も徐々に負荷をかけていき、無理せず動かすことが重要です。なお、リハビリも手術をした方が経過が早く進みます。
2023.06.13 -
- 足部、その他疾患
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アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は中高年の方によく起こる代表的なスポーツ外傷です。 仕事やスポーツへの早期復帰を希望する場合には従来は手術治療がよく選択されてきました。一方で、手術治療を選択してもケガをする前の状態まで戻るには長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症など手術自体の合併症などの問題がありました。 その中で、最近では最新医療である「再生医療」が注目されてきており、アキレス腱断裂でも治癒を促進する治療として「自己多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma; PRP)療法」が行われてきています。 再生医療を行うことで、手術をしない場合でも早期に仕事復帰、スポーツ復帰が可能になると期待できますし、手術の合併症のリスクも回避することができます。 この記事では、最新医療として期待されている、アキレス腱断裂に対するPRP療法での再生医療について解説していきます。 アキレス腱断裂に対するPRP治療について PRP療法は、患者さんから採血した血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を患者さんの傷んでいる場所に注射する再生医療です。 PRPは、採血した血液を特殊な血液分離機器を用いて精製することで、通常の血液に比べて血小板や様々なサイトカインや成長促進因子を含んでいることがわかっています。 再生医療と聞くと、「自分の細胞を培養して投与する複雑な治療?」と想像されるかもしれませんが、PRP療法は精製したPRPを局所に注射するだけですので、身体への負担が少なく、短時間で終わるため、外来で受けることが可能です。 PRP治療のメリット ・身体への負担が少ない ・治療が短時間で終わる ・外来で受けることが可能 簡単かつ、自分の組織のため安全なので、普及しつつある治療法なのです。 PRP療法のメリット、デメリット PRP療法は、入院、手術が不要なばかりか、外来で治療ができるため、とても有効です。 メリット 1.副作用が少ない ・自分から採取した組織で治すため、アレルギー症状などの拒絶反応などを引き起こしにくい ・副作用もほとんどありません 2.身体を傷つける心配がない ・身体への負担は、採血と精製した組織の注射だけ ・手術などで身体にメスを入れる必要がありません 3.外来で治療が可能 ・PRP療法は、通院による治療が可能です。 ・実施後すぐ日常生活に戻れる ・負担が非常に少ない治療法です デメリット 1.効果の個人差 ・PRP療法の効果には個人差があります ・ヒトの血液の中には様々な因子が含まれており、その量には個人差があります ・精製過程で割合も変化するので、効果に個人差があることは知っておく必要があります。 2.処置部位の痛み ・注射をするという医療行為の特性として、注射をした後の数日間は、痛みや腫れ、赤みなどの症状が出ることがある ・心配な場合には一度治療された病院を受診されるすることをおすすめします。 アキレス腱断裂に対するPRP療法の有効性 PRP療法は最新の治療のため、現在様々な研究が行われ効果が検証され始めています。 一般的にアキレス腱などの腱は腱自体への血流が乏しいので治りにくく、復帰に時間を要するのですが、PRPを投与することで腱の修復を早くすることができます。複数の研究をまとめたシステマティックレビューというエビデンスレベルの高い論文では、PRP療法を行った場合、足関節の可動域が他の治療と比べて良好であるという報告がなされています。(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34731144/) PRP療法を行うことで最短で治りつつ、機能的にも良好な成績が得られると考えられています。 再生医療に対するよくある質問 再生医療は、まだまだ馴染みのない治療方法です。そこでよく質問される内容から抜粋して以下に記しましたのでご参考美してください。 Q1.PRP療法は他にどのような疾患に適応がありますか。 A:PRP療法は様々な疾患で受けることができます。アキレス腱断裂のほかに、半月板や膝の靭帯損傷、ジャンパー膝などの腱の炎症、変形性膝関節症や変形性股関節症などの軟骨が摩耗する疾患、五十肩など痛みを伴う整形外科の疾患の多くに適応があります。 飲み薬や注射でも治らず、手術しかないと言われている方で手術をせずに治したい方、はやく痛みを和らげたい方は、適応があるか是非医療機関にご相談してみてください。 Q2.PRP療法はどこで受けることができますか。 回答:2023年5月時点ではPRP療法は自由診療ですので、行っている施設は限られています。当院では最新の再生医療としてPRP療法に加えて、独自の細胞培養技術を用いた自己脂肪由来幹細胞治療も行っています。 治療についてのご相談は、経験豊富な医師、アドバイザーが無料で行っており、内容についてご納得していただいた上で治療を受けることができます。 ご予約は電話、メール、WEBで可能ですので、治療について悩んでいる方は是非お気軽にご相談ください。 ▶リペアセルクリニック「メール・WEBで相談する」 まとめ・アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は特に中高年に多く見られるスポーツ外傷で、従来は手術が一般的な治療法とされてきました。しかし、手術には長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症のリスクが伴うために最新医療の一つであるPRP(自己多血小板血漿)療法という再生医療が注目されています。 PRP療法は、患者自身の血液から抽出した「多血小板血漿」を用いる再生医療です。この方法は、血小板や成長因子を多く含むPRPを患部に注射することで、自然治癒力を高め、腱の修復を促進します。手術を避けられるため、体への負担が少なく、入院することなく、短時間で外来で受けられる利便性があります。 PRP療法のメリットには、アレルギーや拒絶反応のリスクが少なく、副作用がほとんどないことが挙げられます。また、注射のみで済むため、入院はもちろん手術の必要がなく、治療後すぐに日常生活に戻れる点も大きな利点です。しかし、効果には個人差があり、注射部位の痛みや腫れが数日続く可能性もあります。 PRP療法はアキレス腱の修復を早め、他の治療法に比べて足関節の可動域の改善が期待できるとされています 。腱の血流が乏しいために治癒が遅れがちなアキレス腱断裂に対して、PRP療法は有効な治療法となり得ます。 再生医療はまだ新しい分野であり、疑問や不安を持つ方も多いかと思ことでしょう。中でもPRP療法はアキレス腱断裂以外にも、膝や肩の靭帯損傷、変形性関節症など、多くの整形外科疾患に適用されています。治療できる医療機関は厚生労働省の認可が必要で限られていますが、再生医療専門クリニックである当院にご相談いただければ詳しくご説明させて頂きます。 アキレス腱断裂の治療法として、手術以外の選択肢を探している方や、早期の回復を望む方は、PRP療法をご検討されてはいかがでしょうか。 手術や入院をせずに早くケガを治したいなど、興味のある方はぜひお気軽に当院にご相談ください。 ▼アキレス腱が切れてしまう前に知るための方法は以下をご覧ください 【アキレス腱断裂】アキレス腱が切れる予兆の症状とその原因
2023.06.08 -
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アキレス腱断裂の予防と再発予防策を医師が解説 アキレス腱断裂の予防には、ふくらはぎの柔軟性を保ち、使いすぎを防ぐようにするのが大切です。また、アキレス腱断裂後は、適切なトレーニングをして再発予防をします。 本記事では、アキレス腱断裂の予防方法や再発予防策を紹介します。日頃からスポーツをする方はもちろん、運動不足でスポーツを始めようとする方も、アキレス腱断裂の予防にぜひ参考にされてください。 アキレス腱断裂とは?原因や症状を解説 「アキレス腱断裂」とは、踵にあるアキレス腱が、スポーツや仕事などで生じる負担で断裂する怪我です。 まずはアキレス腱断裂がどのような怪我なのかを解説して、断裂が生じる原因を紹介します。 アキレス腱断裂の原因 30〜40歳代のスポーツ実施中によく見られます。また、加齢によってアキレス腱が老化したり、使いすぎて負担が蓄積したりすることがアキレス腱断裂の原因です。 アキレス腱は足首の後ろ側にあり、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋が合流して踵につく部分の腱です。腓腹筋とヒラメ筋は合わせて下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と呼び、つま先立ちを可能にします。 スポーツなどの動作で、下腿三頭筋が強く働いたり、急にアキレス腱が伸ばされたりしたときの衝撃で断裂してしまいます。 アキレス腱断裂の症状 アキレス腱が断裂すると、誰かに足をけられたような感覚や「ブツッ」というアキレス腱が切れた音を自覚する場合があります。 また、断裂により次のような症状がみられます。 1 ,歩行障害 2 ,断裂部の痛み 3 ,つま先立ちが困難 4 ,断裂部がへこむ それぞれの症状について解説します。 1 ,歩行障害 断裂した直後は、うまく踏ん張れず、歩くことが難しくなります。しかし、しばらくするとべた足で歩ける場合も少なくありません。 2 ,断裂部の痛み 断裂部の痛みがありますが、強い痛みは一時的でその後は痛みが少ないこともあります。 また、断裂部を抑えると痛みがあります。 3 ,つま先立ちが困難 つま先立ちは下腿三頭筋の強力な筋力が必要になります。そのため、アキレス腱断裂により下腿三頭筋の力がうまく発揮できなくなると、つま先立ちが難しくなります。 体重をかけずにつま先を下に向けるよう足首を動かすことは可能です。 4 ,断裂部がへこむ 完全にアキレス腱が断裂すると、断裂した部分がへこんだように見えるのが特徴です。しかし、部分的な断裂だと、腫れによりへこみがあまりわからない場合もあります。 アキレス腱断裂の予防 アキレス腱が切れやすい人の特徴は、アキレス腱の老化による柔軟性や筋力の低下が挙げられます。そのため、柔軟性や筋力を保つことがアキレス腱の予防に大切です。 具体的には次のような方法があります。 ・下腿三頭筋のストレッチ ・下腿三頭筋の筋力トレーニング ・日常生活やスポーツ時の工夫 それぞれの方法やポイントについて解説しますので、実践可能なものから取り入れましょう。 下腿三頭筋のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性を高めアキレス腱にかかる負担を減らすようにしましょう。下腿三頭筋は腓腹筋とヒラメ筋が合流した筋肉です。それぞれの筋肉によってストレッチの方法が違うので注意しましょう。 まずは腓腹筋のストレッチ方法を紹介します。 腓腹筋のストレッチ 1. 立った状態で左足を後ろに引く 2. 右足の膝を曲げながら体重を前にかけていく 3. 左足の膝は伸ばして踵を地面から離さないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右変えて同じようにする。 次にヒラメ筋のストレッチ方法です。 ヒラメ筋のストレッチ 1. しゃがんだ状態で左脚を立てて片膝立ちになる 2. 左足に体重をかけるように前に重心を移動させる 3. 左足の踵が地面から離れないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右変えて同じようにする。 ヒラメ筋は膝を曲げながらストレッチをかけるのがポイントです。膝を曲げると腓腹筋が緩んだ状態になるので、ヒラメ筋を単独でストレッチできます。 下腿三頭筋の筋力トレーニング 下腿三頭筋のトレーニングとしては、立った状態でゆっくり踵の上げ下ろしをする「カーフレイズ」が有名です。 カーフレイズ 膝を伸ばした状態と曲げた状態の両方で行うと、腓腹筋、ヒラメ筋を両方鍛えることができます。 バランスがとりづらい方は椅子やテーブルを持って行うと良いでしょう。 10回を最初の目標にして、ふくらはぎが疲れない程度に取り組みましょう。 日常生活やスポーツ時の工夫 日常生活で運動不足を解消して、散歩や前述のストレッチや運動でアキレス腱を若々しい状態に保つことが大切です。 また、スポーツ時に急に激しい運動をするのではなく、事前のストレッチや軽めの体操など取り入れ、アキレス腱にいきなり強い負荷をかけないようにしましょう。 アキレス腱断裂の再発予防 一度アキレス腱が断裂すると、修復まで腱がもろい状態ですので再断裂のリスクをともないます。そこで再発予防の方法を解説します。 適切なトレーニングの実施 アキレス腱の修復の状態に合わせて、適切なトレーニングやケアをする必要があります。アキレス腱断裂には手術をする場合と、手術をしない保存療法の場合があります。どちらの場合でも、いきなり激しいトレーニングは禁物です。 最初は怪我した部分以外からトレーニングを行い、徐々に下腿三頭筋に負荷をかけて筋力を戻していきます。そして、必要に応じてスポーツ動作の練習をしていき、競技復帰を目指します。 再発を予防するためには、整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家の指導のもとで、適切なトレーニングを実施しましょう。 アキレス腱へ無理な負荷をかけない 激しい運動を控えたり、ストレッチなど事前の準備なく運動をしないようにしたりなどアキレス腱へ無理な負担をかけないようにしましょう。 サポーターやテーピングを活用して、アキレス腱にかかる負担を軽くするのも良いでしょう。 まとめ・アキレス腱断裂を予防するために日頃からストレッチや運動を心がけよう アキレス腱の断裂を予防するために、下腿三頭筋のストレッチや筋力トレーニングを日頃から行い、柔軟性や筋力を保つようにしましょう。 また、運動不足で急に激しい運動をしたり、ストレッチをせずにスポーツをすることは避けましょう。 再断裂のリスクは不適切なトレーニングや無理な運動で高まります。医師や理学療法士などの助言をしっかり受けて、適切な方法でスポーツなどに復帰するようにしましょう。 本記事で紹介したストレッチや運動は誰でも簡単に実践できます。運動不足を感じる方は、アキレス腱断裂予防のために、今日から実施しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
2023.06.01 -
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アキレス腱断裂の主な治療には「手術」と「保存療法」の2種類があります。どちらの選択をとっても、適切なケアをおこなえば回復を目指せます。 手術を選択した場合、回復に向けてダイレクトにアプローチできるため、スポーツや仕事復帰の期間が保存療法ほど長くかかりません。しかし、手術費用や手術後における合併症のリスクを考慮する必要があります。 本記事では、アキレス腱断裂の手術の流れや費用について解説しています。保存療法との違いも紹介しているので、アキレス腱断裂の治療方針を検討中の方は参考にしてみてください。 アキレス腱断裂の治療法は手術もしくは保存療法【どっちを選択すべき!?】 アキレス腱断裂の治療法には、主に「手術」と「保存療法」の2種類があります。適切な治療をおこなえば、どちらの治療法を選択しても回復が期待できます。 ただし、治療方法の判断基準は、本人の回復目的と医師の考えがあるため完全な正解はありません。 手術は保存療法よりも仕事やスポーツの早期復帰が期待できます。しかし、手術費や術後の合併症リスクといった懸念点があるため、慎重に検討する必要があるでしょう。 一方で、保存療法は、手術費用や合併症のリスクにおける心配は少ないものの、仕事やスポーツへの復帰に時間がかかる傾向にあります。 双方のメリット・デメリットを理解した上で、医師と相談しながら自分に合った治療法を選択していきましょう。 手術と保存療法については以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。 現在、アキレス腱断裂の治療法の1つとして「再生医療」が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 無料相談も受け付けていますので「再生医療でアキレス腱断裂をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 アキレス腱断裂における手術の流れ【3つの過程で解説】 ここでは、アキレス腱断裂における手術の流れを3過程にわけて解説します。 ・手術決定〜入院|入院期間はおよそ4〜10日 ・入院〜手術|手術時間はおよそ1〜2時間 ・退院後のリハビリテーション|リハビリ期間はおよそ4〜5カ月 1過程ずつ見ていきましょう。 1.手術決定〜入院|入院期間はおよそ4〜10日 手術が決まれば、具体的な日取りを決めていきます。 入院期間はおよそ4〜10日なので仕事や学校など、考慮したい事情がある場合は必ず伝えましょう。 入院オリエンテーションで入院中の生活、注意点などの説明がありますので、わからないことがある場合は積極的に聞いてください。 術前検査や、全身麻酔の場合は麻酔科の診察もありますので、治療中の病気などがあれば必ず申告しましょう。 2.入院〜手術|手術時間はおよそ1〜2時間 手術より前の日に入院する場合と、手術当日に入院する場合があります。合併症や治療中の病気がある場合には、前もって入院するケースが多くなります。 入院・手術が近づいてきたら飲酒は避けたほうが良いでしょう。食べるものなどに制限はありませんが、「手術前〇時間は絶食」などの指示は必ず守ってください。 手術時間はおよそ1〜2時間で、手術が終わったあとは合併症に気をつけながら経過観察します。 3.退院後のリハビリテーション|リハビリ期間はおよそ4〜5カ月 入院した直後から日常生活、スポーツの復帰まで継続したリハビリテーションが必要になります。 以下は、術後のおおまかなスケジュールです。 術後1週まで ・足関節が動かないようギプスで固定する ・ヒールをつけて歩くなど、固定したところ以外はしっかり動かす 術後2週頃 ・固定を外し、装具を装着する ・少しずつ足首を動かす練習をおこなう 術後1カ月頃 両足での底屈動作(つま先立ち)の練習を開始する 術後2カ月頃 ・片足での底屈動作(つま先立ち)の練習を開始する ・装具がとれて、軽いジョギングを開始する 術後3カ月頃 ランニングを開始する 術後4〜5カ月頃 スポーツ動作の練習を再開する それぞれの動作、運動を開始するタイミングは施設により異なりますが、最短でのスポーツ復帰は4~5カ月程度に設定している施設が多い傾向にあります。 せっかく受けた手術を無駄にしないためにも、していいこと・してはいけないことを確認し、しっかりと守りましょう。 アキレス腱断裂後のリハビリメニューについてはこちら▼ アキレス腱断裂の手術・入院にかかる費用相場 手術・入院にかかる費用は、どのような術式、麻酔法にするかで差があります。 3日間の入院で10万円ほど、7日間の入院で20〜30万円ほどは最低かかると見ておいた方が良いでしょう。食事代や個室を利用する場合は差額ベッド代がかかります。 【入院や手術に掛かる費用】 ・3日間の入院で10万円ほど ・7日間の入院で20〜30万円ほど ・食事や個室(差額ベット)は別途 収入により高額療養費制度を利用できます。しかし、一旦は負担分を窓口で支払う必要があるので注意が必要です。 ギプス固定後の治療用装具はオーダーメイドで作成するので、こちらも8万円前後かかります。保険適応になりますが、一旦全額を支払う必要があります(支払先は装具屋さんです)。 そこから手続きをおこなえば差額が還付され、実質負担は医療費の負担割合と同等になる仕組みです。 まとめ|アキレス腱断裂における手術の理解を深めて治療に臨もう アキレス腱断裂の手術は、仕事やスポーツの復帰を早めたり、再発リスクを低減したりする効果があります。 しかし、手術費用や術後における後遺症のリスクの懸念点があるため、治療法の選択は慎重におこないましょう。 「手術以外でアキレス腱断裂の早期回復を図りたい!」という方には「再生医療」がおすすめです。 切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 無料相談も受け付けていますので「再生医療でアキレス腱断裂をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング アキレス腱断裂の手術についてよくある質問 アキレス腱断裂の手術についてよくご質問いただく内容を以下に記載しました。 アキレス腱断裂の手術後、仕事復帰までどれくらいの期間がかかりますか? アキレス腱断裂の手術後、一般的に3カ月程度で仕事に復帰できるケースが多いです。しかし、具体的な復帰時期は、仕事の内容によって変わります。 たとえば、事務作業のように座っておこなう仕事であれば、松葉杖や装具を使って歩けるようになった段階で仕事に復帰できる可能性があります。 しかし、走ったり、重い物を運んだりするような負担のかかる仕事の場合は、筋力や機能が回復するまで待たなくてはなりません。 現在、アキレス腱断裂の治療法として「再生医療」が注目されています。 人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 アキレス腱断裂の手術後、歩けるまでどれくらいの期間がかかりますか? 歩行が可能になるのは、ギプスを外して装具を着用できるようになってからです。ギプスが外れるのは術後1〜2週間以降なので、歩行もその時期から段階的に開始します。 装具を使用してすぐの段階では、足元が安定せず、踵が高くなりがちです。そのため、歩行の際には松葉杖を併用するのが良いでしょう。 アキレス腱断裂における全治期間の解説はこちら▼ アキレス腱断裂手術の麻酔はどのようなものですか? 全身麻酔もしくは腰椎麻酔でおこなわれることが多いです。経皮的縫合術では侵襲が少ないために局所麻酔でおこなうケースもあります。 全身麻酔や腰椎麻酔の場合には、麻酔科医による麻酔がおこなわれるケースもあります。 手術の前に喫煙はしても良いですか? 喫煙をしていると、酸素の取り込みが少なくなります。 とくに全身麻酔をおこなう際には、痰の増加、肺炎や無気肺(肺の一部に空気が入らない状態)のリスクになります。 傷の治りも遅くなる可能性があるので、手術が決まった際にはその日から禁煙しましょう。
2023.05.29 -
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アキレス腱が切れる前兆はあるのかな。 アキレス腱に違和感があるけれど、どうしたら良いか知りたい。 この記事を読んでいるあなたは、「自分の感じる違和感は、アキレス腱が切れる前兆なのでは」と不安に思っているのではないでしょうか。 結論、アキレス腱の違和感や腫れなどは、切れる前兆の可能性があります。正しい対処をすれば日常生活やスポーツ制限の緩和、重症化リスクを減らすことに期待できます。 本記事では、アキレス腱が切れる前兆や予防法について、詳しく解説します。 記事を最後まで読めば、アキレス腱に違和感があるときの正しい対処法がわかり、大きなケガを予防できるでしょう。 アキレス腱が切れる3つの前兆 アキレス腱が切れる前兆は、主に以下の3つです。 アキレス腱に違和感がある・腫れている ふくらはぎやかかとが痛む 足のむくみがひどい 本章を参考に、アキレス腱断裂の基本的な知識を確認しておきましょう。 アキレス腱に違和感がある・腫れている アキレス腱の違和感や腫れがあるときは、アキレス腱が傷ついたり周囲に炎症が起きたりしている可能性があります。 この症状を「アキレス腱炎」や「アキレス腱周囲炎」といい、これらはアキレス腱の強度を落とし、断裂の原因となります。(文献1) 具体的には、以下のような症状がある場合は、アキレス腱が切れる危険信号です。 アキレス腱の周りが全体的に腫れている コブ状に盛り上がって腫れている 違和感や痛みは、最初は立っているときやスポーツのときだけですが、症状が進行すると安静時にも出るようになります。 アキレス腱炎の症状やリスクについては、以下の記事も参考にしてください。 ふくらはぎやかかとが痛む アキレス腱はふくらはぎの筋肉とかかとの間に位置しています。そのため、アキレス腱の傷や炎症は、ふくらはぎやかかとの痛みとしてあらわれるケースもあります。 安静状態からの動き出しや、朝(起床時)の一歩目に痛みを感じる人は珍しくありません。 ふくらはぎやかかとに痛みがある場合は、アキレス腱自体に違和感がなくても、切れやすい状態と覚えておきましょう。 足のむくみがひどい ひどい足のむくみも、アキレス腱が切れる前兆かもしれません。 むくみとは、体内を循環する血液やリンパ液の流れが悪い状態です。血液の流れが悪いとアキレス腱へ十分な血液が供給されず、ストレスを受けたアキレス腱が十分に修復されません。 結果として、アキレス腱の傷ついた状態が続き、断裂を起こしやすくなるのです。 アキレス腱が切れやすくなる原因は? アキレス腱が切れやすくなる原因は、主に以下の3つです。 加齢 激しいスポーツ 長時間の立ち仕事 原因がわかれば、適切な対処がしやすくなります。順番にみていきましょう。 加齢 年を重ねるごとに、アキレス腱断裂のリスクは高まります。年を重ねると徐々にアキレス腱のコラーゲン組織が硬くなり、柔軟性が低下するためです。 健常なアキレス腱は約1トンもの張力に耐えられるといわれますが、老化してもろくなると日常生活の何気ない動作で切れることもあります。 とくに高齢になってからのアキレス腱断裂は、アキレス腱の老化が原因のケースも多くみられます。 激しいスポーツ 激しいスポーツは、年齢にかかわらずアキレス腱断裂の原因になりやすい傾向があります。 若い人や運動に慣れたトップアスリートでも、ジャンプやダッシュの繰り返しがアキレス腱を傷め、そのまま運動を続けるうちに切れてしまうケースがあります。 とくに、以下のようなスポーツはジャンプや急な動きが多く、アキレス腱に大きな負荷をかけがちです。 サッカー バレーボール バドミントン バスケットボール また、中高年に人気の登山やランニングも、足を蹴りだすときにアキレス腱やその周囲に繰り返し負担をかけるスポーツです。(文献2) 長時間の立ち仕事 加齢や過度なスポーツ以外にも、アキレス腱断裂の危険性を高める要因があります。それは、長時間の立ち仕事です。 長時間の立ち仕事はアキレス腱にストレスをかけ続けます。その結果、アキレス腱が傷ついたり、炎症を起こしたりします。 日常生活でもアキレス腱に負荷がかかる場合があるため、少しの違和感を見逃さないことが大切です。 アキレス腱断裂の予防法3選 アキレス腱断裂の予防法は、主に以下の3つです。 違和感がある場合は安静にする 日常的にストレッチをおこなう 早めに整形外科を受診する 本章の内容を生活に取り入れ、アキレス腱の断裂を防ぎましょう。 違和感がある場合は安静にする アキレス腱周囲炎の治療の基本は安静です。痛みや腫れなどの違和感がある場合は、負荷のかかるスポーツや動作を控え、安静にしましょう。 また、以下のような靴を選び、アキレス腱への負担を軽減する方法もあります。 靴底やかかと部分に厚みのある靴 靴底のクッション性が高い靴 かかと部分の芯(カウンター)がしっかりしている靴 サイズの合った靴 アキレス腱の痛みをセルフケアする方法や予防のポイントは、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 日常的にストレッチをおこなう 日常的なストレッチはアキレス腱の柔軟性を高め、断裂予防に効果的です。とくに、下腿三頭筋のストレッチや筋力トレーニングを日常的におこなうと良いでしょう。 アキレス腱断裂をした人は、ストレッチをしていなかったという研究もあります。アキレス腱への負荷を軽減して断裂を防ぐために、ぜひ日常的なストレッチを取り入れてみましょう。 アキレス腱断裂の予防法や再発防止策については、以下の記事もご覧ください。 早めに整形外科を受診する アキレス腱断裂の予防に重要なのは、早めに整形外科を受診することです。 一度アキレス腱が断裂すると、手術やギプス固定による長時間の治療が必要になります。そのため、断裂にいたる前の適切な処置が大切です。 ステロイドの注射を希望する人もいますが、ステロイドが逆にアキレス腱断裂のリスクを高める可能性があるため行いません。 まずは整形外科を受診し、専門医の正しい指示を仰ぎましょう。 まとめ|アキレス腱が切れる前兆がみられたら早めに医療機関に相談しよう 本記事では、アキレス腱が切れる予兆の症状や原因、予防法などを詳しく解説しました。 アキレス腱断裂は、日常生活の中で誰にでも起こりうるケガです。一度断裂すると、元の生活に戻るまでには長期間の治療を必要とします。 アキレス腱断裂には前兆があるため、注意すべき症状を知り適切な対策を取れば、断裂のリスクを下げられるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、筋・腱・靭帯のスポーツ外傷に対する再生医療・PRP治療を提供しております。 再生医療による治療は慢性化したアキレス腱炎にも利用でき、スポーツへの早期復帰が期待できるでしょう。 この記事がアキレス腱断裂の予防に役立ち、運動や生活制限のない快適な毎日を送るきっかけになれば嬉しく思います。 アキレス腱断裂についてよくある質問 「服用しているとアキレス腱断裂を起こしやすい薬」があると聞いたのですが、本当ですか。 フルオロキノロン系の抗菌薬を長期間服用していると、アキレス腱の変性を誘発し断裂が起こりやすくなるという報告があります。しかし、抗菌薬は必要時に短期間処方されることが多いので、日常的に心配しすぎる必要はありません。ただし、長期間に及ぶ場合は注意が必要です。 アキレス腱断裂テストは簡単にできますか。 整形外科の診察でも使われるアキレス腱断裂テスト(トンプソンテスト)は、比較的簡単に行えます。ただし、1人でおこなうのは困難なため、誰かに手伝ってもらうのが良いでしょう。 1. うつ伏せになり、膝を曲げる 2. そのまま力を抜いた状態でふくらはぎを握って圧迫し、足首が動くかどうか確認する 3. アキレス腱が切れていない場合は、足首が下向きに動きますが、切れていると動きません。 アキレス腱炎のセルフチェックについては以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 参考文献一覧 文献1 小田 俊明, 川上 泰雄, 片岡 弘之, 横田 秀夫, 姫野 龍太郎, ジャンプ時にアキレス腱組織に生じる局所ひずみ・応力の推定, バイオメカニクス研究, 2012, 16 巻, 2 号, p. 54-63 文献2 城下 貴司, アキレス腱炎に対する臨床的治療展開の検討, 理学療法学Supplement, 2007, 2006 巻, Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集), セッションID 270, p. C0270
2023.05.22