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手根管症候群を自分で治す!ストレッチとマッサージでセルフケア 本記事では、手根管症候群に対する、自分でできるケアの方法を中心にご紹介します。 家事に追われている主婦や、妊娠中の女性、手をよく使う建築業の方など、手の痛みや痺れに悩まされている人にはぜひ読んでいただきたいです。 手根管症候群とは 手根管症候群とは、手根管を形成する掌の小さい骨の集まり(手根骨)と、手根骨に蓋をするようにつく横手根靭帯の間に、正中神経(指を動かすための神経)が挟まり圧迫された状態をいいます。 手根管症候群の症状 神経が圧迫されることにより、親指から薬指の一部分に痺れや痛みを発します。 また、夜間から明け方にこの症状が強くなることが多く、場合によっては寝ている途中に覚醒してしまうほどです。 手を振ったり、手の形を変えることで症状が和らぐのも特徴の一つです。 圧迫の程度がひどく、長期間症状が続くと、親指の付け根の筋肉が萎縮してしまい、指先で物を掴む動作(ピンチ動作)が難しくなることがあります。 手根管症候群の原因 手根管症候群は、原因がよく分かっていない特発性のものが多く、妊娠・出産時期や更年期の女性に多いとされています。 手の屈伸動作の繰り返しや骨折などのケガから続発して発症するとも考えられており、家事動作が多い主婦、重労働で手に力を入れる建築関係の人にも見られます。 手根管症候群が疑われた場合やるべきこと 手根管症候群の初期症状は、手指の痺れや痛みですが、我慢できないほどではないため見過ごされやすい疾患です。 そのため、医療機関に相談に来た際には、手のひらの筋肉の萎縮が進んでいる状態で手術が必要となるケースも少なくありません。 上記に挙げたような症状がみられたら、迷わず専門の医療機関へ相談してみましょう。 手の指の痺れは、頸や肩周り、肘周囲で起こる他の神経障害との見分けもつきにくいため、原因を探ることは大切なことです。 自分でできる手根管症候群のセルフケア 次に、手根管症候群になった際、自分でできるケアついてご紹介します。 初期の手根管症候群や、筋肉の張りにより症状が出ている場合などは効果がでやすいため、試してみる価値ありです。 温めるのと冷やすのはどっちがいい? 手根管症候群に対しては、温めた方(温熱療法)が有効である場合が多いです。 手根管症候群のような神経を圧迫している場合、同時に血管も圧迫しており循環が悪くなっているケースがあります。 そのため、温めて循環を促すことで症状が緩和されるでしょう。 ただ、熱を帯びている場合はかえって痛みを増強させてしまうこともあるため、患部の状態を確認して行うようにしてください。 湿布の貼り方は?サポーターは有効? 結論から言えば、どちらも少なからず効果はあります。 湿布は痛み止め成分が入っているため、痛みが強い場合は一時的に軽減させる効果があります。 また、サポーターに関しては、手首を固定するサポーターだと安静を保つことができるため、症状が強い場合には効果的です。 手根管症候群は、手首や手指を使い過ぎて発症するとも考えられているため、サポーターにより動きに制限をつけることで使い過ぎを防いでくれます。 痛みが強い場合は、手首から手のひらにかかるところに湿布を貼り、その上からサポーターをすることを推奨します。 手根管症候群のセルフケアの方法を紹介 それでは自分で行うストレッチやマッサージの方法をいくつかご紹介していきます。 手関節屈曲筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・橈側手根屈筋 ・尺側手根屈筋 ・浅指手根屈筋 ・深指手根屈筋 ①手のひらから手指にかけて把持し、その手で、手首を手の甲側に反らす ②その状態を保ったまま、ゆっくり肘を前方に伸ばす ③前腕につっ張り感を感じたところで、20〜30秒キープ 手関節伸展筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 ・長橈側手根伸筋 ・短橈側手根伸筋 ・尺側手根伸筋 ・総指伸筋 ・示指伸筋 ①手の甲から指先までを軽く包み込むよう把持し、手首を手のひら側へ曲げ、ゆっくり肘を伸ばす ②前腕の外側部分に張りを感じたところで20〜30秒キープ 手指の腱のエクササイズ 手根管を通る腱の動きを滑らかにする運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節から曲げていく ③①の状態に戻すように指を伸ばしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 手内在筋(手のひらの筋肉)のエクササイズ 虫様筋(手のひらにある筋肉)の運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節は伸ばしたまま、第三関節(指の付け根)から指全体がお辞儀をするように曲げる ③直角近くまできたら、①の状態に戻るよう起こしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 横手根靭帯のマッサージ ①手首と手のひらの境目ぐらいを反対の手の親指、人差し指で押さえ、つまむようにそれぞれの指を近づけていく ③次にそれぞれの指を離すように広げていく ④これを繰り返し行う セルフケアの注意点 簡単なセルフストレッチやエクササイズを紹介しました。 気をつけてほしいところは、無理に強い力で行わない、ということです。強い力の方が、効果が出やすいと思っている人も多いかもしれません。 しかし、ストレッチやマッサージは、強い力や、痛みが出るほどの伸張感で行ってしまうと、かえって硬くなることがあります。これが防御性収縮と呼ばれるものです。 いずれのケアも、力の入れ過ぎには注意し、効いているのか効いていないのか分からないくらいの力加減で行うようにしましょう。 どうしても症状がとれない場合は? これまで紹介したセルフケアは、手根管症候群の初期の状態では効果を示すことはありますが、重症化したものだと十分な効果は得られません。 「痺れや痛みがつよくなってきた」 「力が入らず箸を落としてしまう」 など、症状が顕著になった場合は、手術療法の適応になることもあります。 このような場合では、専門医に相談し、詳しい検査、治療を受けることを推奨します。 まとめ・手根管症候群を自分で治す!マッサージとストレッチでセルフケア 今回は、手根管症候群に対し、自分でできるケアの方法をお伝えしました。 同じような症状でも、一人一人原因が違います。 セルフケアを行うと同時に、負担になっている動作はないか、普段の生活を振り返り、改善していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。
2023.01.13 -
- 手根管症候群
- 手部
手根管症候群とは、手首から指先にかけて走る正中神経が、手根管(しゅこんかん)という手首にある小さな管で圧迫されることにより、手のひらや指(親指から中指にかけての部分)にしびれや痛みが生じる疾患です。 手根管症候群は、薬物療法(消炎鎮痛剤の服用や湿布の使用)や保存療法(手首の運動制限や炎症を抑えるためのステロイド注射)などを試みても改善が見られない場合に、手術が検討されます。 本記事では、手根管症候群の手術後の生活について解説します。手根管症候群の手術を控えていて、術後の見通しを立てたい方はぜひ参考にしてみてください。 手根管症候群の手術後で日常生活に戻れるタイミング 手根管症候群の代表的な手術は、「手根管開放術」と「母指対立再建術」の2種類があります。回復期間がそれぞれ異なるため、日常生活に戻れるタイミングを把握しておきましょう。 手根管開放術の場合 根管開放術は、手のひらを切開し神経圧迫のもとになっている靭帯を切って、圧迫を解放する手術です。 切開する範囲が比較的小さく、局部麻酔で実施できるため、日帰り手術が可能です。 術後は傷の保護と安静のため、約1週間ほど手術部位をギブスで固定します。ギブスが外れ、傷口の治癒や痛みの軽減が確認できれば日常生活に戻れます。 母指対立再建術の場合 母指対立再建術は、手首や指にある腱や筋肉を採取して、親指の付け根に移植する手術です。 手根管症候群の影響で親指を動かす筋肉が痩せてしまい、物を掴むのが難しい状態になったときに検討される手術です。 母指対立再建術の場合は、全身麻酔を必要とし、1〜2週間ほど入院します。手術後は、1カ月ほど手術部位を固定します。そのため、手を自由に動かして日常動作ができるようになるには最低でも1カ月程度かかると覚えておくと良いでしょう。 腱や筋肉の損傷に効果的な治療法の1つに「再生医療」があります。 人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 手根管症候群の手術後に生活で気をつけるべき3つのこと 手根管症候群の手術後に生活で気をつけるべきことを解説します。 抜糸するまでは安静にして過ごす 傷口に水がかからないようにする 症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える これらの点に注意して生活を送り、着実に回復させていきましょう。 1.抜糸するまでは安静にして過ごす 手根管症候群の手術は、切開した部分を医療用の糸で最後に縫います。傷口を縫合して、切開した部分が元通りに閉じるのをサポートしているのです。そのため、抜糸までの期間は安静に過ごすことが求められます。 抜糸前は、傷口が完全にふさがっておらず、糸で傷口を保護している状態です。 この状態で、無理に手を動かしたり、重い物をもったりすると傷口が広がって再び縫合処置が必要になる場合もあります。 スムーズな回復のためにも、抜糸して完全に傷口がふさがるまでは安静に過ごしましょう。 2.傷口に水がかからないようにする 手術後の傷口は、皮膚が再生してふさがる過程にあります。この過程は水分の影響を受けやすいため、水がかかると傷口の修復が遅れる可能性があります。 傷口がふさがるまでは、食器洗いや洗濯といった水を使う家事は極力控えましょう。 3.症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える 手術後、無理に手を動かすと、回復が遅れたり、傷口が開いたりする可能性があります。そのため、症状が落ち着くまでは、以下のような手を使う仕事や家事は控えるようにしましょう。 ・包丁を握る ・重い物をもつ ・タオルを絞る ・パソコンを打つ 手根管開放術の場合は、手首の固定は約1週間、母指対立再建術の場合は、約1カ月なので、手首が固定されている最中はとくに安静が必要です。 ただし、固定期間や傷口の回復ペースには個人差があります。医師と相談しながら、日常生活を開始する適切な時期を決めていくのが望ましいでしょう。 以下の記事では、手根管症候群が疑われるときにやってはいけない動作や注意点を解説しています。詳細が気になる方は、参考にしてみてください。 まとめ|手根管症候群の手術後は安静に過ごして早く日常生活に戻ろう 手根管症候群の手術は、手首や親指の付け根などを切開するため、傷が残ります。そのため術後は傷の治癒のため、安静に過ごす必要があります。 回復期間は、傷口が開いたり、手首に負担をかけたりするような動作や家事は控えましょう。適切な安静期間の確保が、術後の回復を早め、日常生活の早期復帰を可能にします。 腱や筋肉の損傷が起きたときは「再生医療」の治療法が効果的です。本来なら手術しなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。 詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 手根管症候群の手術後で生活に関するよくある質問 最後に手根管症候群の手術後の生活に関するよくある質問と回答をまとめます。 手根管症候群の手術後に仕事復帰できるのはいつですか? 仕事復帰の時期は、手術の種類と個人の回復状態によって異なります。手根管開放術の場合は1週間程度の固定期間のあと、母指対立再建術の場合は1カ月程度の固定期間を経てからの復帰となります。 ただし、仕事復帰の時期は、手術の種類と個人の回復状態によって異なります。また、仕事の内容によっても復帰時期は変わってくるので、担当医と相談しながら適切な時期を決めていくのが良いでしょう。 腱や筋肉の損傷に効果的な治療法の1つに「再生医療」があります。身体にメスを入れない治療法で、今注目を浴びています。 どんな怪我や病気が再生医療の対象なのかを知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 手根管症候群の手術後にリハビリはおこないますか? 手根管症候群の手術後にはリハビリをおこなうのが推奨されます。作業療法士の指導のもと適切なリハビリをおこなえば、症状の回復を効果的に促進できます。 手根管症候群の術後におこなわれる代表的なリハビリは、以下のとおりです。 リハビリの種類 目的 可動域訓練 手首と指の動きの改善 ストレッチ 手首や手指の柔軟性や血液循環の向上 マッサージ 手の筋や腱を伸ばして関節拘縮の予防 リハビリに積極的に取り組めば、機能回復が進んでより早く日常生活に戻れるでしょう。 以下の記事では、手根管症候群の方が自分でできるストレッチやマッサージを紹介しています。セルフケアの方法が知りたい方は、あわせてご覧ください。 手根管症候群の手術後は痛みがいつまで続きますか? 手根管症候群の手術後の痛みが消えるまでには、3〜6カ月ほどかかります。手術の種類や個人差によっても痛みの感じ方は異なるので、目安として覚えておきましょう。 痛みは、時間とともに軽減していきます。痛みが長くなる場合や強い痛みが続く場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。 手根管症候群の手術後の安静期間はどれくらいですか? 安静期間は手術の種類によって異なります。 手根管開放術の場合は約1週間、母指対立再建術の場合は約1カ月の固定期間が必要です。 この期間は傷の治癒のため、極力安静を保ちましょう。無理に手首や手を動かすと回復が遅れる可能性があります。
2022.12.28 -
- 手根管症候群
- 手部
「最近、手や手首にしびれを感じるけど、忙しくて病院に行く時間がない…」 このように思いながらも、手や手首に負担をかける動作を続けている方もいるでしょう。 手のしびれは「手根管症候群」の初期症状かもしれません。 手根管症候群の場合、症状を放置すると治りにくくなる可能性があります。また、手の動きが制限されると、日常生活のあらゆる場面で支障が出て不便です。 しかし、医師の指示のもと正しい対処法を行えば、症状の悪化を防げます。手根管症候群の正しい知識と対処法を知り、悪化しないよう予防・改善に取り組みましょう。 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこととして、次の4点があげられます。 手に負担のかかる姿勢や動作を行う 違和感がある箇所をストレッチやマッサージで無理に伸ばす 自己判断で痛み止めの薬を使う 症状が続くのに放置する 手に負担のかかる姿勢や動作を繰り返し行うことで、手根間症候群の悪化を招くリスクがあります。また、明らかに症状が続いているのに放置すると、手の動きが制限されて元に戻らないこともあるので注意が必要です。 手に負担のかかる姿勢や動作を行う 手に負担のかかる姿勢や動作には、次のものがあります。 手を酷使する 手を握りしめる パソコンのキーボードを打つ 手をねじる 手を酷使したり握りしめたりすることで、手の負担が増え症状が悪化しやすいです。また、パソコンのキーボードを打つ動きは手首を繰り返し使うため、手首にある手根管内を圧迫して炎症を悪化させるリスクがあります。 これらの動きを繰り返すことで、手首にある手根管内を通る正中神経が圧迫を受けます。正中神経は手首や指を曲げる動きや、親指から薬指の感覚をつかさどる神経であるため、圧迫されると動きの制限やしびれを伴う危険性があるでしょう。 違和感のある箇所をストレッチやマッサージで無理に伸ばす 手首に違和感があるからといって、自己流でストレッチやマッサージを行うことはおすすめしません。 手首の内部にある手根管には正中神経をはじめ、指を動かす多数の筋肉が通っています。適切な知識がない状態でストレッチやマッサージを行い手を伸ばしすぎると、かえって手首の負担になり、症状を悪化させる可能性があるでしょう。 手根管症候群が疑われた際は、手首を無理に動かそうとせず、安静に過ごすことが大切です。 自己判断で痛み止めの薬を使う 痛みが治らない場合でも、自己判断で市販の鎮痛剤や抗炎症薬を使うことはおすすめできません。市販薬は自分の体質や症状に合わず、効果がみられない場合があります。また、副作用などの予期せぬ影響が出ることも考えられます。 薬で痛みを抑えられたとしても、手根管症候群が改善するわけではありません。医師の指示なしに痛み止めの服用は避けましょう。 症状が続くのに放置する 症状が続いているのに、「放っておけば治るだろう」と自己判断で放置するのは避けましょう。手根管症候群は軽度であれば自然に治ることはありますが、生活の中で手や手首に負担のかかる動作が多いと症状が改善されず治りにくくなります。 また、自分では自覚しにくい緩やかなスピードで症状が進行していく場合もあります。症状が進行すると手の運動機能や感覚機能に影響を及ぼし、治療が困難になる場合もあるため注意が必要です。 そもそも手根管症候群とは?発症する原因も紹介 手根管症候群とは、手首にある手根管で、その部分を通過する正中神経を圧迫してしまう病気です。正中神経を長く圧迫すると、神経の修復ができなくなったり、正中神経が支配している筋肉にも影響を及ぼし治療が難しくなったりしてしまいます。 手根管症候群を発症する原因にはほかの病気が隠れていることもありますが、手首のケガや手の使い過ぎ、女性ホルモンの乱れなどでも起きることがあります。 手根管症候群の症状|正中神経が傷つくとどうなる? 正中神経は手首を通って手に分布します。正中神経は手のひら側の親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分を担う感覚機能と、親指を動かす母指球筋の動きを担当する運動機能をもつ神経です。 そのため、正中神経が障害されると、担っている感覚の範囲でしびれや痛み、進行すれば触っている感覚が鈍くなる知覚麻痺が現れます。また、運動機能の障害で母指球筋が痩せて、親指の付け根の盛り上がりがなくなり、親指を動かすのに障害が出ます。 とくに、小さなものをつまむような動き(親指と人差し指で物を拾い上げる、服のボタンをかける、など)が、やりにくくなり、日常生活に影響が出るでしょう。 正中神経は手首よりも上(肩寄り)では、前腕の回内や手首を曲げるといった役割も担っていますが、手根管症候群では手首の部分で傷つくため、手首より上の動作の障害は現れません(手首より上の症状がある場合は別の病気が考えられます)。 手根管症候群でやってはいけないことを避けるための対処法 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないことは以下の通りです。 手に負担のかかる姿勢や動作を行うことが多い場合 ストレッチやマッサージをするか迷った場合 痛み止めの薬を使うか迷った場合 症状が続くのに放置している場合 それぞれの場合で症状を悪化させないための方法を紹介します。 手に負担のかかる姿勢や動作を行うことが多い場合 手に負担のかかる姿勢や動作が多い場合の対処法は次の通りです。 手を酷使することが多い方 手を握りしめることが多い方 パソコンのキーボードを打つことが多い方 手をねじることが多い方 手を酷使することが多い方 手根管症候群の治療の1つには「安静」があります。手根管症候群の原因はいくつかありますが、手の使いすぎの可能性もあります。できる限り症状のある手は休めましょう。 仕事などで、どうしても手を使わなければならない人や、朝起きたときに症状が強い人は寝ている間に手根管症候群を悪化させる格好になっている可能性があるので、その場合は装具(サポーターやスプリントとも呼びます)を装着するのも良いでしょう。 装具の一部は自分で購入できますが、合わないものを使ったり、使い方が違ったりするとかえって病状を悪化させる可能性があるので、整形外科を受診して手に入れることをおすすめします。 💡 場合によっては、装具の費用の一部が療養費としてあとから返還される制度を利用することもできます。 参考 厚生労働省「療養費の支給対象となる既製品の治療用装具について」の一部改正について 手を握りしめることが多い方 握りこぶしを作るのはもちろん、柄の細い道具は手首の負担になるので、包丁やフライパンなどは柄の太いものにし、フライパンを持ち上げるときなどはできれば両手で行いましょう。 また、手指や指などの小さな関節よりも、肘や肩などの大きな関節を使った方が手首への負担が減ります。たとえば買い物をするときは買い物カゴを手で持たず、肘にかけることで手首を守れるでしょう。重い荷物の場合は、無理せずカートを利用することもおすすめです。買い物袋は手で持たず、両肩にかけるリュックサックなどを使うことでも、手への負担を減らせます。 パソコンのキーボードを打つことが多い方 手首をまっすぐにするために、専用のパームレストを使ったり、手首の下にたたんだタオルを敷いて手首の位置を整えます。 また、長い時間キーボードを打ったりマウスを操作したりしても、手首の負担は増えます。さらに長時間のパソコンの使用は、首や腰、目の疲れにも影響を及ぼすでしょう。仕事などでパソコンを使うことが多い場合は、継続的な作業はなるべく避け、定期的に休憩をはさむように心がけてください。 手をねじることが多い方 雑巾を絞る動作などは手首に負担がかかります。どうしても絞る動作が必要なときは、タオルを半分の長さにして輪になった部分を丈夫な水道などにひっかけ、両手もしくは症状がない方の手で絞りましょう。 手をねじる動作は日常生活の中でも予想以上に多いです。手をねじる動作にはペットボトルの蓋を開けたり、蛇口をひねったり、ドアノブをまわしたりするなどの場面もあげられます。 ペットボトルオープナーや、丸型ドアノブをレバー式に変える補助具などを使用して手首を守る工夫を施すのも一つの手です。 ストレッチやマッサージをするか迷った場合 手根管症候群でストレッチやマッサージを行うか迷った場合は、医師に相談しましょう。 医師の診断を受けず、自己判断でストレッチやマッサージを行うと、症状を悪化させる可能性もあります。 リハビリ専門職がいる病院やクリニックなら、医師からの許可を得て理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフに適切な運動方法を指導してもらうのがおすすめです。 医師や専門の医療スタッフから正しい方法を教わり、自身での施術に役立ててください。 痛み止めの薬を使うか迷った場合 手根管症候群は痛みが出やすい病気です。痛み止めの薬を使用するか迷った場合、速やかに医師の診察を受けましょう。 自己判断で市販の痛み止めを使用し痛みが治ったとしても、根本的な治療が行われていなければ一時的な痛みの軽減にしかなりません。症状の悪化を防ぐためにも、医師から適切な薬を処方してもらいましょう。 症状が続くのに放置している場合 手根管症候群は続くと正中神経や母指球筋が元に戻らなくなる可能性があります。自分でできる限りのことを行っても症状が続く場合は、整形外科で早めに診てもらいましょう。 手根管症候群が疑われるときに受診する科と検査内容 手根管症候群の可能性がある場合、受診するのは整形外科です。 基本的には正中神経を圧迫するような状態を再現して症状が現れるか、親指の付け根の筋肉が痩せていないか等を確認することで、ほとんど診断は可能です。 ただし、手首にコブができた可能性がある場合はエコーやMRI検査を追加したり、診断に迷うときには正中神経に電気を流して障害の具合を調べる筋電図検査などを追加する場合があります。また、手根管症候群の原因としてほかの病気が隠れている可能性がある場合は、血液検査などを追加することもあります。 【重症度別】手根管症候群と診断された場合の治療の流れ 手根管症候群は痛みやしびれ、筋肉の状態など症状の程度によって治療法が異なります。軽度の手根管症候群の場合には以下のような治療で経過をみます。 内服薬:ビタミンB12や消炎鎮痛剤 外用薬:痛み止めの成分の入ったシップや塗り薬 装具:手首を固定するサポーターやスプリント 手根管の炎症が強い場合には手首に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあるでしょう。 これらの治療で改善しない場合や手根管周辺に腫瘤がある場合、また母指球筋がやせている場合には手術療法が必要になることもあります。カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術など、できるだけ傷が小さく、早く日常生活に戻れるように手術も進歩しています。 まとめ|手根管症候群が疑われるなら一度ご相談ください 指のしびれや痛み、物をよく落とすようになったら、手根管症候群の可能性があります。早い段階では手術なしで治療できるので、手根管症候群の可能性があれば、すぐに整形外科で診てもらいましょう。 仕事などで手を酷使する人は、とくに我慢して使い続けると親指の力がなくなり手術が必要になったり、親指の力が戻らない場合もあります。手首に負担のかかる動作はできるだけ避け、どうしてもそのような動作が避けられない場合は病院で装具などについて相談しましょう。 以上、「手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと」について紹介しました。参考になれば幸いです。
2022.10.14 -
- 手根管症候群
- 手部
手根管症候群とはどんな病気?症状と治療法をわかりやすく解説! 手根管症候群をご存知でしょうか? 手根管症候群は、手のしびれを訴えて病院を受診する人の中で最も多い病気です。 手根管症候群の可能性があるのは以下のような症状がある人です。 ・しびれや痛みが親指、人差し指、中指、そして薬指の半分(親指側)の範囲に現れる ・朝起きたときに症状が強く現れ、手をぶらぶらと振ると症状が軽くなる ・手のひらを上にして机の上に腕を置き、手首を上向きに90度程度曲げると、指の痛みやしびれが現れる 手根管症候群は放置すると親指の付け根の筋肉が痩せてしまい、小さいものをつまんだりする動作ができなくなります。 手根管とは 手根管は手のひら側の手首の部分にあります。具体的には手の骨(手根骨)の手のひら側に横手根靱帯という靱帯が横向きにあり、この手根骨と横手根靭帯の間のすき間を正中神経という神経と、指を動かすための9本の腱が通り抜けています。 手根管とはこの正中神経と9本の腱が通り抜けるトンネルのような部分です。 手根管症候群では横手根靭帯が浮腫んだり厚みが増すことで、トンネル部分が狭くなり、正中神経を圧迫することによって症状が現れます。またまれですが手根管にコブができて正中神経を圧迫することもあります。 正中神経とは 正中神経は腕にある主要な3本の神経(正中神経・橈骨神経・尺骨神経)のうちの1つです。 正中神経には痛みや物に触れた感じを伝える感覚神経と、筋肉を動かす運動神経が混ざっています。 感覚神経 親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分の領域を担っています。 運動神経 手の範囲では、主に親指を動かす母指球筋を担当しています。 (正中神経は手根管よりも肩側ではその他に前腕の回内や手首を曲げるといった役割も担っています) 手根管症候群になる可能性のある病気 手根管症候群になる可能性のある病気としては、以下のようなものが挙げられます ・手首の骨折 ・手根管内の腫瘍 ・リウマチによる滑膜炎 ・アミロイドーシス ・甲状腺機能低下症 ・痛風 ・透析患者 しかし、手根管症候群になったら、上記のようないずれかの病気が必ずあるわけではなく、むしろ手根管症候群で最も多いのは、原因不明の「特発性」です。 手根管症候群は、妊娠や出産時期、更年期の女性にも多くみられます。これは女性ホルモンの乱れによって手根管部が浮腫み、正中神経を圧迫するためと考えられています。 その他にも、 ・パソコンをよく使う人 ・工具のドライバーをよく使用する人 ・振動する機械をよく使う人 など、仕事で手を酷使する人に多いという説もあり、上記のような仕事をする人は発症する可能性があるため注意が必要です。 手根管症候群の症状 手根管症候群の初期には人差し指、中指がしびれたり痛くなります。進行すると親指から薬指の半分(親指側)までしびれます。同じ範囲の感覚が鈍くなることもあります。これは正中神経の範囲です。 しびれや痛みは明け方に強く感じることが多く、手を振ったり、指の曲げ伸ばしをすると症状が軽くなります。人によっては手がこわばる、と表現する人もいます。 手根管症候群の初期症状があらわれているにもかかわらず、この症状を放置すると親指の付け根にある筋肉(母指球筋)がしぼんで、親指の動きに制限がでてきます。 例えば、小さなものを親指と人差し指でつまみにくくなる、親指と人差し指で〇をつくることができない、などです。 こんな症状はありませんか? ・ボタンがつまみにくい ・小銭を拾いにくい ・物をよく落とす ・親指と人差し指でOKサインがつくれない ・親指の付け根部分の筋肉のふくらみが減ってきた このような症状を自覚したら、医療機関にて相談してみることをお勧めします。その際に行われる検査について以下で見て行きましょう。 手根管症候群の検査 整形外科を受診すると、手首や手を動かして正中神経障害の症状が現れるかどうかを調べます。 ティネルサイン 手首を打腱器などで叩いて、正中神経の範囲の指にしびれや痛みを感じるかどうか調べる。 ファレンテスト 左右の手の甲を合わせて、手首を90°曲げたままにし、1分以内に正中神経の領域にしびれや痛みが現れるかをみる。これらの検査で確定診断できない場合は筋電図検査を行うこともあります。 筋電図検査 正中神経に電気を流して電気の伝わる速度を調べる。また、手根管にコブができている可能性がある場合は画像検査を追加します。 超音波検査/MRI 手根管部の腫瘤の有無を確認します。 手根管症候群の治療 手根管症候群と診断されたら、消炎鎮痛剤やビタミンB12、シップや塗り薬などの薬物療法、その他に手首を固定する装具の着用や運動制限などを行います。 炎症が強い場合には手根管内に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあります。 これらの治療で改善しない場合や腫瘤がある場合、母指球筋が痩せている場合には手術療法が必要なこともあります。最近はできるだけ傷が小さくて済むような、カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術などが主流です。 母指球筋の萎縮が強い場合は別の場所から腱を移動する母指対立再建術を行なうこともあります。 まとめ・手根管症候群とはどんな病気?症状と治療法をわかりやすく解説! 今回は、手根管症候群についてご紹介しました。 手のしびれを感じた場合に多くみられる症状が手根管症候群です。特に指先が上手く使えないことが多くあり、色々な病気が疑われるところですが、実際は突発性、原因が不明なことが多くなります。いずれにしても手にしびれや、指先が思うように動かせないなど、こちらで記した症状以外でも何か疑われることが1つでも感じた場合は、医療機関、整形外科等にて早めの診断が重要です。 比較的初期であれば飲み薬や、手首の安静などで症状が改善することが多くありますが、症状が進むと手術が必要になることもあり、重々注意しなければなりません。 以上、手根管症候群について記しました、参考になれば幸いです。
2022.09.26