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「最近、手足が妙にしびれる」 「手足にピリピリした違和感に不安を覚えている」 手足のしびれやピリピリとした感覚、気になっていませんか。その手足のしびれには重大な病気のサインが隠れているかもしれません。 たかが手足のしびれと放置すると、症状が悪化し、重症化する恐れがあります。本記事では、手足のしびれとピリピリ感の関係に加え、以下の内容を解説します。 手足のしびれとピリピリ感の原因 手足のしびれとピリピリ感の治し方(治療法) 手足のしびれとピリピリ感は脳卒中の可能性 記事の最後には、手足のしびれ・ピリピリ感についてよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までお読みいただき、症状改善の一助となれば幸いです。 手足のしびれとピリピリ感の関係性 症状 しびれ(感覚鈍麻・感覚消失) ピリピリ感(異常感覚) 自覚される感覚 感覚が鈍い、麻痺したような感覚。触れてもわかりにくい、あるいはまったく感知しない ピリピリ・ジンジン・チクチクするような、実際には刺激がないのに感じる異常な感覚 日常例との比較 正座を長時間した後、足の感覚がなくなるような状態 正座の後、血が戻ってくるときのジンジンした感じ 発生する仕組み 神経の信号が正常に伝わらなくなり、感覚の低下や消失が起こる 神経が過敏になり、実際には存在しない刺激をあるものとして誤認する 主な原因 神経の圧迫・損傷・炎症・血行不良など、末梢神経の機能障害 しびれと同様の原因で起こる(神経の異常興奮や回復途中も含む) 症状が出現するタイミング 圧迫や障害が長引いた場合に出やすい。慢性的な場合も 圧迫の初期段階や、血流再開・回復途中で出やすい 放置によるリスク 感覚障害が進行し、神経の損傷が回復しにくくなる可能性がある 神経の異常を知らせる初期サインであることが多い (文献1) 手足のしびれやピリピリ感は、脳神経系や糖尿病の可能性があります。 しびれ(感覚鈍麻・感覚消失)とピリピリ感(異常感覚)はいずれも神経系に異常をきたしている症状ですが、放置しておくと、症状が進行したり重症化したりする恐れがあります。 また、しびれとピリピリ感は一緒に出ることも、どちらかだけ出ることもありますが、どちらも神経への異常が原因で起こり、どちらも重大な病が隠れている可能性が高いです。症状を放置すると最悪の場合、後遺症になる恐れがあるため、放置せず医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、手足がしびれる病気について詳しく解説しています。 手足のしびれとピリピリ感の原因 手足のしびれとピリピリ感にはさまざまな原因が考えられます。その中には重大な病が隠されている可能性もあるため、早期発見が重要です。 手足のしびれとピリピリ感の原因は以下の5つです。 一時的なもの 整形外科的な症状 内科的な症状 脳神経系の症状 糖尿病の症状 しびれの原因を解説します。 以下の記事では、手足がしびれる原因について詳しく解説しています 【関連記事】 手足のしびれの原因となる病気の症状や予防法を解説!前兆も紹介 寝起きに手足のしびれが起きる原因とは?自分でできる対処法もあわせて紹介 一時的なもの 日常生活の中で、手足がしびれたりピリピリしたりする症状は誰にでも起こり得ます。一時的に神経や血管が身体の重みなどで圧迫されることで起こります。 また、血行不良のほかには、寒さや激しい運動や発汗、過労・ストレスなどが挙げられます。一時的なしびれでも症状が毎日のように出る、あるいは数時間続くような場合は、重大な病気のサインかもしれません。 症状が悪化する前に、早めに医療機関を受診しましょう。 整形外科的な症状 病名 原因となる部位 主な症状が出る部位 症状の特徴 椎間板ヘルニア(頚椎/腰椎) 首・腰の椎間板が飛び出し神経を圧迫する 頚椎:首〜腕・指 腰椎:腰〜足 しびれ、動かしにくさ、 しびれのような感覚が続く 脊柱管狭窄症(頚椎/腰椎) 背骨の神経の通り道が狭くなる 頚椎:手・腕・足 腰椎:足・腰・お尻 歩くとしびれや違和感が出て、休むと楽になる 手根管症候群 手首の神経(正中神経)圧迫 親指〜薬指の一部 手のしびれ、細かい動作がしにくくなる 肘部管症候群 肘の神経(尺骨神経)圧迫 小指・薬指 指のしびれ、手を使うと悪化することがある 足根管症候群 足首の神経(後脛骨神経)圧迫 足の裏・足指 足裏のしびれ、熱感や冷感、ピリピリした感覚 胸郭出口症候群 首〜肩の神経・血管が圧迫される 肩・腕・手 しびれ、だるさ、冷感、力が入りにくい 手足のしびれやピリピリ感の原因として、運動器(骨・関節・筋肉・靭帯)の異常が神経を圧迫、または刺激し、しびれや違和感が症状として現れることがあります。頚椎や腰椎のヘルニア、脊柱管の狭窄(きょうさく)などが代表的です ヘルニアなどの症状は、骨や関節、筋肉などの構造に問題があることが原因で起こるため、整形外科での検査が必要です。 内科的な症状 病名・原因 症状の原因 主に症状が出やすい部位 症状の特徴 糖尿病性神経障害 高血糖により末梢神経が損傷される 足の裏・足指(左右対称に出やすい) しびれ、違和感、感覚が鈍くなる。気づかずケガをすることも ビタミンB12不足 神経の働きを保つ栄養素が不足 手足全体 しびれ、感覚異常。貧血や疲れも伴うことがある 甲状腺機能異常 代謝の低下やホルモンバランスの乱れが神経に影響 手足、筋肉 しびれ、冷え、筋肉痛。機能低下・亢進どちらでも起こることがある 閉塞性動脈硬化症など血管系の病気 動脈の血流が悪くなり、神経や組織に酸素が届かない 手足(とくに足) 冷え、しびれ、違和感。歩くと悪化し、休むと楽になることもある 自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群など) 免疫が誤って神経を攻撃し、炎症・障害が起こる 手足(左右対称に進行) 急速なしびれ、筋力低下。重い場合は呼吸障害もある その他 薬の副作用、腎臓病、肝臓病、膠原病など多岐にわたる 個人差あり 慢性的なしびれや違和感が持続し、全身疾患がある 内臓の不調やホルモンの乱れでも、神経に異常が出て手足がしびれたりピリピリしたりする症状があります。たとえば、神経の働きに欠かせないビタミンB群などが不足すると、末梢神経の機能が低下し、しびれを感じることがあります。 ビタミンB群の不足や甲状腺ホルモンの異常は、末梢神経の働きが低下し、しびれを引き起こすことがあります。肝臓や腎臓の機能が低下すると体内に老廃物がたまり、神経に悪影響を及ぼすため、早期発見が重要です。 脳神経系の症状 病名・原因 原因のしくみ 主に症状が出やすい部位 症状の特徴・例 脳卒中(脳梗塞・脳出血) 脳の血管が詰まったり破れたりして脳細胞が損傷する 片側の手足、顔、視覚、言語 片側のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、急な視力低下など。突然起こる 一過性脳虚血発作(TIA) 一時的に脳への血流が低下する 片側の手足や顔、視覚、言語 脳卒中と似た症状が一時的に出現。通常は24時間以内に回復 脳腫瘍 脳内にできた腫瘍が周囲の脳を圧迫する 手足、視覚、言語、中枢神経機能全般 徐々に進行するしびれや麻痺、頭痛、吐き気、視野異常などがみられる その他の脳神経系疾患 神経への炎症や損傷、脱髄など 手足・感覚神経・運動神経 多発性硬化症、脊髄損傷、重度の末梢神経障害などでしびれや運動障害が出ることがある (文献2) 脳や脊髄といった中枢神経に異常がでると、手足の感覚に大きく影響します。具体的には、脳卒中や脊髄の病気では、突然のしびれや力が入らないといった症状が起こることがあります。 脳神経にかかわるしびれは、命に関わることもある重大な病気のサインです。脳神経の症状は進行がゆっくりな病もあり、違和感が徐々に広がります。 年齢を重ねるにつれてリスクが高まるため、違和感を放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病の症状 糖尿病に関する項目 内容 発症のメカニズム 高血糖状態が長期間続くことで、神経や血管が損傷し、とくに末梢神経が障害される(糖尿病性神経障害) 手足に症状が出やすい理由 手足は血流が届きにくいため、糖尿病の影響を受けやすい 主な自覚症状 足の裏や指先から始まる左右対称のしびれ、ピリピリ感、感覚の鈍さが現れる 症状の進行パターン 初期は軽い違和感やしびれだが、放置すると神経障害が進行し、歩行障害や日常生活の支障につながる その他にみられる影響 感覚が鈍くなることで、ケガや火傷に気づきにくくなる (文献3) 糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで神経が傷つきやすくなり、しびれやピリピリ感が出やすくなります。足先から始まり、徐々に広がるのが特徴です。 症状の初期段階では、軽い違和感にとどまっていても感覚が徐々に鈍くなり、ケガや感染症に気づきにくくなります。糖尿病は生活習慣病であり、発見が遅れると手足の壊死や失明を引き起こす恐れがあります。 糖尿病とすでに診断されている方は、手足のしびれに対して、とくに注意が必要です。 手足のしびれとピリピリ感の治し方(治療法) 治療法 内容 治療の対象となりやすい状態 期待される効 補足・注意点 薬物療法 薬剤(飲み薬・貼り薬など)で症状を和らげる 初期症状、違和感、血行不良など 違和感の軽減・しびれ軽減、血行促進 医師の指示に従い服用し、副作用に注意する 理学療法 運動・温熱・電気刺激などで身体の機能を改善する 神経圧迫、血行不良、筋肉・関節の問題 血行促進、緊張緩和、圧迫軽減 医師の指導のもと行い、自己判断はしないようにする 神経ブロック 神経の近くに注射し、痛みや興奮を抑える 強い違和感、原因神経が特定できる場合 強い違和感を素早く軽減する 効果は一時的なこともあるため、医師と要相談 手術療法 手術で神経圧迫の原因を取り除く 他の治療で改善しない、原因が明らかな重症の場合 神経圧迫の根本的改善 身体への負担・リスクがあるため、医師と要相談 再生医療 自身の細胞などで神経の修復・再生を促す 手術で起こりうる後遺症などを避けたい場合 損傷した神経機能の回復 再生医療を取り扱っている医療機関が限られている 手足のしびれとピリピリ感じる症状は正しい治療法で改善できます。手足のしびれを感じた際は、早期発見と正しい治療の継続が大切です。 手足のしびれとピリピリ感の治療法は以下の5つです。 薬物療法 理学療法 神経ブロック 手術療法 再生医療 治療法について解説します。 薬物療法 薬剤の種類 主な目的 特徴・処方例 神経修復薬 損傷した末梢神経の修復を促進し、神経機能を改善する 主にビタミンB群(B1、B6、B12など)が処方される。神経の栄養補給に役立つ 神経痛治療薬 過敏になった神経の興奮を抑え、違和感やピリピリ感を緩和する 抗けいれん薬(プレガバリンなど)や抗うつ薬(デュロキセチンなど)を使用する 血流改善薬 血管を広げて血流を改善し、神経への酸素・栄養供給を助ける プロスタグランジン製剤などが用いられる。とくに血行不良が原因の場合に有効 漢方薬 体全体のバランスを整え、血流や神経の働きを調整する 体質や症状に応じて処方される(例:当帰芍薬散、八味地黄丸など) 薬物療法は、しびれやピリピリ感の原因や症状に応じて、薬剤が用いられます。原因によって処方内容が異なるため、自己判断ではなく医師の指示に従いましょう。 薬剤によっては副作用が生じることもあるため、服用中は定期的な診察を行いながら処方します。 理学療法 療法分類 主な内容 期待される効果 運動療法 ストレッチ、筋力トレーニング、軽い有酸素運動など 筋肉の柔軟性向上、血行促進、筋力アップ、神経への負担軽減 物理療法 温める、電気をあてる、マッサージするなど 血行改善、違和感の緩和、筋肉の緊張緩和、筋力改善 日常生活動作(ADL)指導 正しい体の使い方・姿勢の指導、杖や装具など福祉用具の活用 神経への負担軽減、日常生活動作の改善 理学療法では、リハビリやストレッチ、電気治療などを通じて神経や筋肉の機能を回復させる治療法です。筋肉のこわばりなどが原因で神経が圧迫されている場合に有効です。 理学療法を実施する場合は、自己判断ではなく、医師の指導のもと無理のない範囲で行いましょう。 神経ブロック ブロックの種類 注射する箇所 主な対象・効果 末梢神経ブロック 手足など、原因となる神経の近く 特定の神経の圧迫によるしびれ・違和感の軽減 硬膜外ブロック 背骨の中、脊髄神経の周辺 腰のヘルニアなど、脊髄神経の圧迫によるしびれ・違和感の軽減 星状神経節ブロック 首の付け根あたり 血行不良が原因と考えられるしびれ・違和感の軽減 (文献4) 神経に局所麻酔薬などを注射し、神経の興奮を一時的に止める治療法です。強いしびれやピリピリ感が長引いている場合や、薬が効きにくいときに神経ブロック療法が選ばれます。 神経からの異常な信号の伝達を一時的に遮断し、症状を和らげるのが目的です。症状を抑えるだけでなく、血行を改善させる効果も期待できます。 注射する場所や薬の種類は、原因や症状の部位によって異なります。神経ブロック注射は注射箇所に傷や感染の症状がある場合、注射ができません。神経ブロック注射を検討する際は、該当箇所に注射が可能かどうかを医師に確認しましょう。 手術療法 手術の種類 主な目的・内容 対象となる状態 神経剥離術 神経への圧迫を取り除く 手根管症候群、肘部管症候群など、神経が締め付けられている状態 脊椎手術 脊髄(神経の束)への圧迫を取り除く 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、背骨で神経が圧迫されている状態 神経修復術 損傷した神経を修復する(つなぐなど) 事故や怪我などで神経が切れたり、傷ついたりしている場合 薬剤やリハビリなどの保存療法で効果が不十分な場合や、検査で神経の圧迫がはっきりしている場合、手術が選択肢になります。 たとえば椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症では、神経を圧迫している椎間板や骨を取り除く手術が必要です。 手根管症候群では、神経の通り道を広げるために、靭帯を切開する手術が行われることがあります。手術には種類ごとのメリットやリスクがあるため、医師の説明をよく聞き、検討した上で治療方針を決めることが大切です。 再生医療 再生医療は体内の細胞の力を利用し、傷んだ神経や組織の修復を目指す治療法です。 再生医療は自分の細胞を使うため、薬や手術よりリスクが少ないのが特徴です。ただし、現時点では、まだ対応している医療機関が限られています。再生医療での治療を検討されている方は、事前に取り扱いのある施設での受診が必要です。 以下の記事では、当院「リペアセルクリニック」の再生医療について詳しく解説しています。 手足のしびれとピリピリ感は脳卒中の可能性あり! 脳卒中は進行すると、運動障害、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などの後遺症が出る恐れがあります。 脳卒中の危険性がある初期症状は以下の7つです。 片側の手足や顔にしびれ・力が入らない ろれつが回らない・言葉が出にくい 激しい頭痛を伴う めまい・ふらつき・歩行困難などが頻繁に起こる ものが二重に見える 意識障害を引き起こしている 排泄のコントロールができない 脳卒中の可能性を示す初期症状を解説します。 以下の記事では、脳卒中の前兆や見逃してはいけないサインを詳しく解説しています。 片側の手足や顔にしびれ・力が入らない 片側の手足や顔だけにしびれが出たり、力が入りにくくなったりする場合は、脳の血管に異常が起きているサインです。 突然、力の入らない症状が現れた場合、すぐに救急車を呼ぶもしくは、すぐに医療機関を受診しましょう。 脳卒中の発見が遅れるほど、後遺症のリスクが高まるため、すぐに行動に移すことが重要です。 ろれつが回らない・言葉が出にくい 話そうとしてもうまく言葉が出なかったり、ろれつが回らなくなったりするのも、脳卒中の可能性があるサインです。 本人はいつも通り話しているつもりでいるため、自身では気づきにくく、周囲が最初に異変を察知することも少なくありません。 急に会話の意味がわからなくなったり、相手とのやりとりがうまくかみ合わなくなったり変化が見られた場合は、脳や神経の異常が疑われることもあり、注意が必要です。 激しい頭痛を伴う これまでに感じたことのないような突然の激しい頭痛がある場合も、脳内の出血や血管のトラブルが疑われます。 とくにしびれやピリピリ感と同時に起こる場合は、ただの偏頭痛では済まない可能性があります。脳卒中の中でも、くも膜下出血など重大な症状のケースもあるため、違和感があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。 めまい・ふらつき・歩行困難などが頻繁に起こる 強いめまいや、体がふらついてまっすぐ歩けない、立っていられないといった症状も、脳卒中の 可能性があります。 激しい回転性のめまいやふらつき、物が二重に見えるなどの症状が急に現れた場合は、脳卒中の可能性があります。しびれを伴うときはとくに注意が必要です。 ものが二重に見える 視界が急にぼやけたり、ものが二重に見えたりするのも、脳の機能に異常が疑われる症状です。突然、片方の眼球が思うように動かせなくなったり、左右の目の焦点が合わなくなったりすることで、物がダブって見えることがあります。 急に物が二重に見えるようになった場合は、単なる目の疲れなどと自己判断せず、医療機関を受診する必要があります。 意識障害を引き起こしている しびれやピリピリ感があるだけでなく、意識がもうろうとする、呼びかけに反応しにくいといった変化が見られる場合は、脳卒中の症状が疑われます。 呼びかけに対して反応がなかったり、傾眠(眠り込んでしまい、起こしてもすぐにまた眠ってしまう)だったりが頻繁に起こる場合は、非常に危険な状態です。 家族や周囲にいる方が異変に気づいた場合は、本人が平静を装っていても、迷わず救急車を呼ぶことが重要です。 排泄のコントロールができない 突然、尿意や便意を感じずに漏らしてしまう(失禁)、あるいは逆に尿や便が出せなくなるといった排泄のコントロールができない症状も脳卒中の可能性があります。 脳卒中の症状によって、排泄をコントロールする脳の機能が働かなくなり、引き起こされます。 しびれやピリピリ感と同時に現れる場合は、症状が進行しており、危険な状態です。すぐに医療機関を受診する必要があります。 手足のしびれ・ピリピリ感は放置せず医療機関へ相談を 手足のしびれ・ピリピリ感は放置せずに医療機関を受診しましょう。症状が軽度に感じられても、重大な病が隠れている可能性があります。 症状が軽く見えても、進行すると後遺症になることや、重症化して手遅れになるケースがあります。手遅れになる前に早めの受診が大切です。 「これくらいのしびれで相談していいのかな?」と迷っている方も、「リペアセルクリニック」へどうぞお気軽にご相談ください。 当院では、わずかな症状でも丁寧にお話をうかがい、一人ひとりに合った適切な治療法をご提案します。 手足のしびれ・ピリピリ感にお悩みの方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 手足のしびれ・ピリピリ感についてよくある質問 手足のしびれ・ピリピリ感を予防のために気をつけることはありますか? 手足のしびれ・ピリピリ感を予防するには、適度な運動やバランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの軽減が大切です。 姿勢に気をつけ、体を冷やさないよう心がけましょう。生活習慣病の管理や禁煙・節酒も予防に役立ちます。 手足のしびれ・ピリピリ感は何科を受診すべき? 症状によって異なりますが、まずは内科や神経内科の受診をおすすめします。 何科を受診すれば良いのか悩まれている方は、当院「リペアセルクリニック」へ「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、お気軽にお問い合わせください。 参考資料 (文献1) Mark Freedman, et al.(2023).Numbness.MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com(最終アクセス:2025年4月11日) (文献2) 日本神経学会「脳神経内科の主な病気」一般社団法人 日本神経学会 https://www.neurology-jp.org/public/disease/shibire_detail.html(最終アクセス:2025年4月11日) (文献3) 一般社団法人 日本臨床内科医会「手足のしびれ・痛み」日本臨床内科医会 https://www.japha.jp/general/byoki/numbness.html(最終アクセス:2025年4月11日) (文献4) 「激しい両足痛を伴う糖尿病性神経障害に対し腰部持続硬膜外ブロックが著効した1症例」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt1994/30/11/30_11_1315/_pdf(最終アクセス:2025年4月11日)
2025.04.30 -
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- 手部
スマートフォン操作やパソコン作業などの繰り返し動作で起こる病気に腱鞘炎があります。「ばね指」や「ドケルバン病」といった症状が進行すると、日常生活に支障をきたす場合もあります。 初期は保存療法で改善するケースもありますが、症状が重い場合はステロイド注射が効果的です。しかし、痛みや副作用、注射後の生活など不安も多いでしょう。 この記事では腱鞘炎の注射治療について詳しく解説します。腱鞘炎でお困りの方は参考にしてください。 腱鞘炎とは 腱鞘炎は、指や手首にある腱(筋肉と骨をつなぐ組織)と腱鞘(腱を包む保護組織)の間で摩擦が起こり、炎症を引き起こす疾患です。繰り返しの動作や過度の使用によっての発症が多く、とくに親指や手首に痛みや腫れ、動かしにくさといった症状が現れます。 ひどくなると、指を曲げる際にひっかかる感覚や「バネ指」と呼ばれる状態になることも。適切な休息と治療を行わないと、日常生活や仕事に大きな支障をきたす可能性があります。 ばね指(弾発指・屈筋腱腱鞘炎) ばね指は、指を曲げ伸ばしする際に特徴的な「ばね現象」と呼ばれる引っ掛かりが生じる症状です。この状態は、指を曲げるための屈筋腱と、それを包む腱鞘との間で炎症が起こることで発生します。 炎症によって腱が腫れて太くなり、腱鞘の一部である「滑車(プーリー)」と呼ばれる狭い部分を通過する際に引っかかるようになります。とくに手のひら側の親指や人差し指、中指の付け根に痛みが現れることが多く、朝起きたときに指が曲がったままになっていることも多いです。 進行すると、指を曲げる際にカクッと音がしたり、反対の手で助けないと伸ばせなくなったりする場合もあります。 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) ドケルバン病は、親指を伸ばしたり広げたりする際に使われる2本の腱(長母指外転筋腱と短母指伸筋腱)とその腱鞘に炎症が生じる疾患です。主に手首の親指側、手の甲に腫れや痛みが現れ、親指を動かす度に手首に鋭い痛みを感じます。 この症状は、繰り返しの動作や過度の使用が原因で発症が多く、とくにスマートフォンで長時間テキスト入力をする際の親指の動きが関連していることから、インターネット上では「テキストサム損傷」とも呼ばれています。 痛みが悪化すると、ペットボトルのキャップを開けるといった日常動作も困難になることがあり、早期の適切な処置と休息が重要です。 腱鞘炎の注射治療は「ステロイド」が一般的 腱鞘炎の症状を早期に改善するため、多くの医療機関では炎症を抑える目的でステロイド注射が行われています。主に「トリアムシノロン」や「ケナコルト」といったステロイド薬と局所麻酔薬を組み合わせて使用するケースが多いです。(文献1)(文献2) 注射は痛みのある指の付け根部分に直接行われ、腱鞘の炎症を効果的に抑制します。治療後、当日から翌日にかけて一時的に痛みが強くなることがありますが、通常は数日以内に症状が軽減します。 効果がまったく見られない場合は、腱鞘炎以外の疾患を考慮する必要があるでしょう。症状が再発した場合には、再度の注射治療や、症状が重い場合には手術も選択肢となります。 注射治療が選ばれるタイミング 腱鞘炎の治療において、注射療法が選択されるのは主に以下のようなタイミングです。 まず、安静やサポーター、湿布などの保存療法を試みても症状の改善が見られない場合に、次の方法として検討されます。痛みや腫れなどの炎症症状が強く、日常生活に著しい支障をきたしている場合にも、早期の症状改善を目的として選ばれる場合があります。 とくにばね指やドケルバン病などの特定の腱鞘炎では、ステロイド注射が高い効果を示すことが知られており、積極的に用いられます。手術による治療も選択肢となる場合でも、注射治療を先に試みたいと考える患者の希望がある場合にも適応となります。 症状の程度や生活への影響を考慮し、医師と相談しながら適切なタイミングでの治療の選択が重要です。 腱鞘炎の注射は痛いのか 腱鞘炎の治療として行われるステロイド注射は、多くの患者さんが不安に感じる点です。痛みの程度は個人差がありますが、適切な処置と工夫によって、不快感を最小限に抑えられます。 注射時の痛みの感じ方 腱鞘炎の注射治療では、針を腱鞘内に直接挿入するため、針が刺さる瞬間や薬剤が注入される際に痛みを感じる場合があります。とくに炎症が激しい部位では、組織が敏感になっているため、健康な組織と比べてより強い痛みを感じやすい状態です。 注射に対する心理的な恐怖や緊張が、実際の痛みを増幅させることもあります。脳は不安や恐怖があると痛みの感覚をより強く処理する傾向があるため、リラックスした状態で臨むことで体感する痛みが軽減するでしょう。 個人の感覚によっても痛みの感じ方は大きく異なり、同じ処置でも「ほとんど痛くなかった」と感じる方もいれば、「かなり痛かった」と感じる方もいます。 痛みを和らげる工夫 医療現場では、腱鞘炎の注射による痛みを軽減するためにさまざまな工夫が行われています。まず、注射前に局所麻酔をして、患部の感覚を一時的に鈍らせます。 たとえば、ばね指の治療では手根管への麻酔、ドケルバン病では橈骨神経浅枝への麻酔を先行して行うと、本注射時の痛みを大幅に軽減できるでしょう。 27ゲージなどの細い針を使用すると、皮膚や組織への侵襲を最小限に抑え、針を刺す際の痛みを軽減する効果があります。近年では、超音波ガイド下での注射が普及しており、医師は腱鞘の正確な位置に針の誘導が可能です。(文献3) 周囲の神経や血管などの重要な組織を避けながら、必要最小限の刺激で処置を完了できます。 腱鞘炎における注射の効果・持続時間 腱鞘炎の治療として行われるステロイド注射は、適切に施術された場合、多くの患者さんの症状の改善につながります。しかし、その効果の現れ方や持続期間には個人差があり、患者さんそれぞれの状態によって異なることを理解しておくことが大切です。 即効性 ステロイド注射は比較的早期に効果が現れるのが特徴です。多くの場合、注射後数日以内に痛みや腫れといった炎症症状の軽減を実感できます。ステロイド薬の抗炎症作用により、腱鞘の腫れが引き、腱の動きがスムーズになることで症状が改善します。 中には注射直後から痛みが和らぐケースもありますが、一般的には数日程度で効果が現れ始めることが多いでしょう。注射の際に併用される局所麻酔の効果と、ステロイドによる炎症抑制効果は区別して考える必要があります。局所麻酔の効果は数時間で消失しますが、その後にステロイドの効果が持続的に働きます。(文献4) 効果の持続期間 ステロイド注射による症状改善の持続期間は、一般的に数週間から数か月程度と言われています。臨床データによれば、注射を受けた患者さんの約70〜80%が、1週間後頃から症状が半減する効果を経験しています。(文献5) ただし、その持続期間には個人差があり、数か月以上効果が持続する方もいれば、数週間で効果が薄れてくる方もいるでしょう。統計的には、1回の注射効果が1年以内に減弱する割合は約50%程度と報告されています。(文献5) 効果の持続期間は、腱鞘炎の種類や重症度、患部の使用頻度、個人の体質などによって変わってきます。 効果が出にくい場合 腱鞘炎の注射治療で効果が乏しい場合、注射位置の不正確さや、ドケルバン病での腱鞘内構造、慢性化による線維化などが原因として考えられます。 ステロイド注射をしても改善がみられない場合は、腱鞘切開の日帰り手術が検討されるでしょう。手指の過度な使用を控える生活習慣の見直しや、装具による固定も効果的です。個々の状態に合わせた治療方針を専門医と相談しながら進めることが重要です。 腱鞘炎における注射の副作用・リスク ステロイド注射は腱鞘炎の治療に効果的ですが、他の医療処置と同様に一定の副作用やリスクが伴います。これらを理解した上で治療を受けることで、より安全で効果的な治療につながります。 副作用やリスクを防ぐ方法 腱鞘炎のステロイド注射による副作用を防ぐには、注射回数の制限が重要です。同じ部位への注射は通常2〜3回までとし、短期間での繰り返しは避けるべきでしょう。(文献4) 注射間隔を3〜6か月程度空けると、ステロイドの局所蓄積によるリスクを減らせます。効果が持続している間は次の注射を急がず、経過観察します。 副作用の出現や症状の再発を繰り返す場合は、早めに医師に相談し、手術や装具療法など他の治療法を検討しましょう。医師との適切なコミュニケーションを通じて、自分に合った治療法の選択が重要です。 関連記事:ステロイド注射による腱鞘炎への効果はいつから感じられる?効果の持続期間や再発の可能性も解説 腱鞘炎の注射をしても改善しない場合 腱鞘炎の治療としてステロイド注射をしたにもかかわらず、十分な効果が得られない場合や症状が再燃する場合があります。このような状況では、治療方針の見直しが必要となり、複数の選択肢が検討されます。 再注射 ステロイド注射で十分な効果が得られないとき、再度の注射を検討する場合があります。ただし、ステロイド注射は同じ部位への投与を3回程度までが医学的に推奨されています。頻繁な注射によって腱の変性や断裂のリスクが高まる可能性があるためです。(文献4) 再注射をする場合は、前回の効果や副作用の有無を医師に伝え、慎重な判断が大切です。 手術 ステロイド注射で十分な効果が得られない場合や、症状が繰り返し再発する場合には、手術治療が選択肢となります。 初期から症状が強く、関節が硬い、指がまったく伸びない・曲がらないといった機能障害がある場合や、注射治療を3〜5回以上繰り返しても症状の改善が見られない場合には、手術による腱鞘の切開が効果的な場合があります。患者さん自身が手術を希望される場合にも検討されるでしょう。(文献5) 手術は多くの場合、局所麻酔下で日帰りで行われ、腱の動きを妨げている腱鞘を切開します。 関連記事:腱鞘炎の痛みから解放されたい!慢性化して薬や注射が効かない場合は手術の選択も! 再生医療 近年では、従来の注射治療や手術に加えて、再生医療の技術を応用した新しい治療法も注目されています。再生医療とは、患者さん自身の幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液から血小板を分離して作製した多血小板血漿(PRP)を注射するPRP療法などです。 再生医療は、組織修復や再生を促進する効果が期待されており、従来の治療で効果が不十分な場合の選択肢となります。ただし、保険適用外の治療も多く、費用や有効性については医療機関によって異なるため、専門医との十分な相談が必要です。 腱鞘炎でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 腱鞘炎の注射は医師と相談してから決めましょう 腱鞘炎の治療においては、まず安静やサポーター、湿布などの保存療法を試みることが基本です。しかし、治療を続けても症状の改善が見られない場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたしている場合には、ステロイド注射治療も選択肢の一つとなります。 注射治療は効果的である一方、回数制限や副作用のリスクもあるため、自己判断せず必ず医師と相談しましょう。医師は症状の程度や進行状況、生活背景などを総合的に判断し、適切な治療法を提案してくれます。 注射が効かない場合の手術や再生医療についても、専門医の適切なアドバイスを受けることが重要です。 リペアセルクリニックでは、あなたの症状に合わせた治療プランをご提案します。再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。 腱鞘炎の注射に関するよくある質問 腱鞘炎の注射の後にお風呂に入っても良いですか? 腱鞘炎の注射を受けた当日の入浴やシャワーは避けることが望ましいです。 注射部位は一時的に皮膚のバリア機能が低下しており、細菌が侵入して化膿する可能性があります。翌日以降は、注射部位を清潔に保ちながら通常通りの入浴が可能ですが、注射直後は医師からの具体的な指示に従うことが大切です。 不安がある場合は、医療機関に確認すると良いでしょう。 腱鞘炎の注射は妊娠中でも打てますか? 妊娠中の腱鞘炎に対するステロイド注射は、一般的に安全とされています。腱鞘炎の治療で使用される局所ステロイド注射は、使用量が少なく局所的に作用するため、お腹の赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。 腱鞘炎の注射は何回打てますか? 腱鞘炎のステロイド注射について、一般的には「3回まで」と説明されることが多いですが、実際には明確な決まりはありません。重要なのは注射の回数よりも、注射と注射の間に適切な間隔を空けることです。(文献6) 参考文献 文献1 築地皮膚と手のクリニック「腱鞘炎(4)〜指の腱鞘炎の治療〜」築地皮膚と手のクリニックホームページ https://hifu-te.jp/blog/%E8%85%B1%E9%9E%98%E7%82%8E%EF%BC%884%EF%BC%89%E3%80%9C%E6%8C%87%E3%81%AE%E8%85%B1%E9%9E%98%E7%82%8E%E3%80%9C/(最終アクセス:2024年4月11日) 文献2 間庭整形外科「腱鞘炎」間庭整形外科ホームページ https://maniwa-seikei.com/%E8%85%B1%E9%9E%98%E7%82%8E(最終アクセス:2024年4月11日) 文献3 古東整形外科・リウマチ科「腱鞘炎に対する注射はこうして工夫しています!」古東整形外科・リウマチ科ホームページ https://koto-orthopaedics.com/injection-of-tendonitis/(最終アクセス:2024年4月11日) 文献4 鶴橋整形外科クリニック「2mm切開術で腱鞘炎の日帰り手術!痛みやダウンタイムを最小限に抑える最新治療」鶴橋整形外科クリニックホームページ、2025年4月4日 https://tsuruhashi-seikeigeka.com/2mm%E5%88%87%E9%96%8B%E8%A1%93%E3%81%A7%E8%85%B1%E9%9E%98%E7%82%8E%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%B8%B0%E3%82%8A%E6%89%8B%E8%A1%93%EF%BC%81%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%82%84%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF/(最終アクセス:2024年4月11日) 文献5 千葉市立青葉病院「ばね指(弾発指・屈筋腱腱鞘炎)」千葉市立青葉病院ホームページ https://hospital.city.chiba.jp/aoba/department/section/orthopedics/hand_surgery/trigger_finger/(最終アクセス:2024年4月11日) 文献6 まえだ整形外科・手のクリニック「ばね指の注射は何回まで出来る?」まえだ整形外科・手のクリニックホームページ、2020年5月3日 https://maeda-seikei.jp/blog/%e3%81%b0%e3%81%ad%e6%8c%87%e3%81%ae%e6%b3%a8%e5%b0%84%e3%81%af%e4%bd%95%e5%9b%9e%e3%81%be%e3%81%a7%e5%87%ba%e6%9d%a5%e3%82%8b%ef%bc%9f/(最終アクセス:2024年4月11日)
2025.04.30 -
- 足部、その他疾患
- 手部、その他疾患
- 手部
- 足部
- その他、整形外科疾患
「足のしびれや自律神経の乱れを感じる」 「足にピリピリ感があり、日常生活に影響をきたしている」 最近、原因不明の足のしびれやピリピリ感はありませんか。日常生活や仕事にも影響が出始めると不安になりますよね。 とくに忙しい毎日を送っていると、足のしびれや自律神経の乱れがストレスによるものではないかと気になることでしょう。 それらの原因不明の症状は、末梢神経障害によるものかもしれません。 本記事では、末梢神経障害の症状とともに以下の内容について解説します。 末梢神経障害の原因 末梢神経障害の治療法 末梢神経障害を再発しないための注意点 末梢神経障害を放置せず、症状と原因を正しく理解し、早めに医療機関を受診しましょう。 末梢神経障害とは 区分 主な症状 感覚神経の障害 しびれ・冷感・灼熱感、感覚の低下、ピリピリ・チクチクする異常感覚 運動神経の障害 筋力低下、筋萎縮、歩行困難、運動機能の低下 自律神経の障害 発汗異常、立ちくらみ・めまい、便秘・下痢、排尿障害、動悸 症状の特徴 手足の先から始まる、左右対称に出る、徐々に進行する (文献1) 末梢神経障害とは、脳や脊髄から枝分かれした神経が傷つき、感覚や運動、自律神経の働きに異常が起きる状態のことを指します。 主に糖尿病やビタミン欠乏、ストレス、生活習慣の乱れなどが原因で引き起こされます。症状を放置すると徐々に進行し、重症化する恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。 以下の内容では、末梢神経障害に対してタリージェは効果があるのかを解説しております。 末梢神経障害の症状 症状の種類 概要 足のしびれ・冷感・灼熱感 足先にしびれや冷たさ、焼けつくような感覚が現れる 筋力低下 力が入りにくくなり、歩行時につまずきやすくなる 感覚の異常 触れた感覚が鈍くなる、逆に過敏になる 自律神経に異常をきたす 発汗や血圧、消化・排尿などの機能に影響が出ることがある 末梢神経障害の症状は多岐に渡ります。主な症状は以下の4つです。 足のしびれ・冷感・灼熱感 筋力低下 感覚の異常 自律神経に異常をきたす 少しでも違和感を覚えた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 足のしびれ・冷感・灼熱感 症状 内容の概要 足のしびれ 神経の障害で足の感覚が鈍くなり、しびれが起こる 足の冷感 自律神経の障害により血流が悪化し、冷たく感じる 足の灼熱感 足が焼けるように熱く感じられる 感覚神経がダメージを受けると現れる代表的な症状です。足先や足裏にジンジン、ピリピリといったしびれを感じたり、正座の後のような感覚が続いたりします。 また、実際の温度とは関係なく、足が冷たく感じたり熱く感じたりする症状が現れることもあります。 症状の持続性には個人差がありますが、少しでも違和感を覚えた場合は、医療機関を受診しましょう。 筋力低下 症状 内容の概要 筋肉の萎縮 神経の損傷によって筋肉が細くなり、見た目にも痩せてくることがある 歩行困難 足の筋力が低下し、ふらつきや転倒が起きやすくなる 日常生活動作の困難 手の筋力が弱まり、物をつかむ・ボタンを留めるなど細かな作業がしにくくなる (文献2)(文献3) 運動神経がダメージを受けると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、筋力が低下します。筋力が低下すると足の場合、スリッパが脱げやすくなったり、つま先が上がらずにつまずきやすくなります。 手の筋力であれば、物を落としやすくなり、私生活に支障をきたすでしょう。進行すると、歩行が不安になったり、物を持つことが困難になったりする可能性があります。 感覚の異常 症状 概要 しびれ(感覚鈍麻) 触れた感覚が鈍くなり、とくに手足の先に出やすい 違和感 焼ける・刺す・電気が走るような違和感など、多様なタイプの症状が現れる 異常感覚(錯感覚) 触れていないのに触れたように感じる 感覚過敏 軽い刺激でも強い不快感を覚える 温度感覚の異常 冷たさ・熱さに対する感覚が鈍くなる、または過敏になる 振動感覚の異常 携帯のバイブレーションなど、小さな振動を感じにくくなる 位置感覚の異常 ふらつきや物にぶつかりやすくなることも (文献4) しびれや冷感・灼熱感以外にも、さまざまな感覚の異常が現れます。 触った感じが鈍くなる感覚鈍麻が起こると、やけどや怪我をしても気づきにくくなることがあります。逆に軽い刺激に対して過敏になるアロディニアと呼ばれる状態になることもあり、症状はさまざまです。 感覚の異常は、QOL(生活の質)を低下させる原因になるだけでなく、症状によっては後遺症が出る可能性があります。 自律神経に異常をきたす 自律神経は、血圧、体温、発汗、消化、排泄など、自分の意思とは関係なく体の機能を調整する神経のことを指します。 具体的な症状としては、起立性低血圧や発汗異常、消化器症状、排尿障害など、全体にさまざまな不調が現れるため、重症化する前に早期発見が必要です。 また、自律神経とストレスの因果関係に関して、現時点で明確なエビデンスがありません。 研究段階ではあるものの、ストレスが末梢神経障害を引き起こす原因であるといわれているため、生活習慣に気をつける必要があります。 末梢神経障害の原因 原因 概要 ストレス 自律神経の乱れが血流や神経機能に影響を与え、感覚異常やしびれを引き起こすことがある 糖尿病(糖尿病性神経障害) 高血糖状態が神経にダメージを与え、しびれや感覚異常、違和感などの症状を引き起こす 過度なアルコール・喫煙 長期的な摂取は神経の栄養不足や血流障害を引き起こし、神経の働きを低下させる ビタミンB12欠乏 免疫異常や遺伝性の神経疾患、ウイルス感染などが神経を攻撃・障害し、末梢神経に異常をきたすことがある 末梢神経障害の原因は、主に糖尿病や過度なアルコール摂取・喫煙など生活習慣から来るものや遺伝的なものといわれています。 これから紹介する内容が当てはまる方は、末梢神経障害を発症させないためにも生活習慣の見直しが必要です。 ストレス性によるもの 要因 概要 自律神経の乱れ ストレスにより交感神経が過剰に働き、血管収縮や筋緊張が起こり、神経への血流が悪化する 炎症反応の促進 ストレスが炎症性物質の分泌を促進し、慢性的な炎症が神経を傷つける可能性がある 違和感の感受性亢進 脳の違和感を汲み取る領域が影響を受け、症状を感じやすくなる 生活習慣の乱れ ストレスが睡眠・食事・運動に影響し、神経への負担や回復力低下を招くことがある 過度な精神的ストレスが、直接的に末梢神経障害を引き起こすエビデンスはありません。 しかし、ストレスは血行不良や免疫機能の低下、睡眠不足などを招き、間接的に神経の健康に影響を与える可能性が指摘されています。 他に明らかな原因がなく、精神的な負荷を感じる時期に症状が悪化するような場合は、ストレスの関与が疑われるでしょう。 精神的な負荷が引き金になり、末梢神経障害を引き起こしている可能性を感じた場合は、ストレス環境から距離を取り、休息を取りましょう。 糖尿病(糖尿病性神経障害) 障害の種類 概要 感覚障害 足先のしびれ、ピリピリするような違和感など 運動障害 足に力が入らない、筋力の低下など 自律神経障害 立ちくらみ、便秘、発汗異常など (文献4) 糖尿病で長期間、血糖値が高い状態が続くと、細い血管がダメージを受けて血流の悪化や、糖代謝の異常によって神経細胞そのものが変性する神経障害が引き起こされます。 足先のしびれや感覚鈍麻から始まることが多く、進行すると筋力低下や自律神経症状も現れ、日常生活に大きな支障をきたします。 糖尿病を患っている方は、とくに足先のしびれや感覚鈍麻の症状に注意が必要です。 過度なアルコール摂取・喫煙 要因 概要 アルコールの毒性 神経細胞に直接ダメージを与え、長期摂取で変性や破壊を引き起こす ビタミンB群の欠乏 吸収阻害により神経の維持に必要な栄養素が不足し、障害リスクが高まる 肝機能障害 栄養代謝が妨げられ、神経細胞に必要な成分の供給が不足する 血管収縮・血流低下 ニコチンが血管を収縮させ、神経への酸素・栄養供給が不足し機能が低下する 酸化ストレス増加 神経細胞が酸化ダメージを受けやすくなり、障害のリスクが上がる 長期間にわたる過度なアルコール摂取は、神経毒性やアルコール代謝に伴う栄養障害により、末梢神経障害を引き起こします。 また、喫煙もニコチンによる血管収縮作用や血行不良を引き起こし、神経への酸素や栄養の供給を妨げるため、末梢神経障害のリスクがあります。 普段からお酒を飲む習慣がある、タバコを普段から吸う方は、末梢神経障害の症状に注意が必要です。 ビタミンB12欠乏症 原因 概要 摂取不足 動物性食品を控えた食事や偏った食生活により、ビタミンB12が不足する 吸収不良 胃や小腸の疾患により、ビタミンB12の吸収がうまくいかなくなる 薬剤の影響 一部の薬(メトホルミン、PPIなど)がビタミンB12の吸収を妨げることがある (文献4) ビタミンB12は、神経細胞の髄鞘を維持したり、神経伝達物質の合成を助けたりする役割があります。 偏った食生活でビタミンBの不足や、胃の切除手術後、特定の胃腸疾患などによってビタミンB12の吸収が妨げられると、欠乏症となり末梢神経障害を引き起こす恐れがあります。 普段から偏った食事や胃腸に疾患を持つ方は、ビタミンB12が不足しないよう工夫しましょう。 自己免疫疾患・遺伝性疾患・感染症 分類 代表疾患 特徴・メカニズム 自己免疫性 ギラン・バレー症候群 感染後に免疫が神経を攻撃すると、急に手足が動かしにくくなることがある CIDP(慢性型) 髄鞘を慢性的に攻撃し、筋力低下やしびれがゆっくり進行する 遺伝性 CMT(シャルコー・マリー・トゥース病) 遺伝子の異常で筋力や感覚に障害が出る、手足の変形を伴うこともある 感染症 帯状疱疹 ウイルスが神経にダメージを与えることで、神経痛が起こる その他(HIV、ライム病など) 神経を直接傷つけたり、免疫を介して障害を起こすことがある (文献5)(文献6)(文献7) 自己免疫疾患である、ギラン・バレー症候群やCIDPは、免疫が誤って末梢神経を攻撃し、障害を引き起こします。 遺伝子異常による家族性ニューロパチーや帯状疱疹後神経障害、ライム病、HIV感染などの感染症も原因となることがあります。 自己免疫疾患が疑われる場合は、専門の医療機関での検査が必要です。 末梢神経障害の治療法 治療法 概要 薬物療法 神経の過敏性を抑える薬(抗てんかん薬、抗うつ薬など)や、違和感の軽減を目的とした薬を使用 栄養療法 ビタミンB群や必要な栄養素を補い、神経の修復や維持をサポート 手術療法 神経の圧迫が原因の場合、圧迫部位を除去・緩和するための手術が行われる 再生医療 幹細胞や再生因子を用いて、傷ついた神経の修復や機能回復をめざす治療法 末梢神経障害の改善には、複数の治療法を組み合わせた適切な治療が必要です。以下で詳しく解説します。 薬物療法 分類 主な薬剤 概要 糖尿病性神経障害 血糖コントロール薬(メトホルミンなど) 血糖値を管理し、神経への負担を軽減 メコバラミン(ビタミンB12製剤) 神経の修復や維持に必要なビタミンB12を補う 自己免疫性神経障害 免疫グロブリン製剤、ステロイド薬 自己免疫による神経の炎症を抑える 免疫抑制薬(アザチオプリンなど) 免疫の過剰な働きを抑制し、神経への攻撃を防ぐ ビタミン欠乏性神経障害 ビタミンB1、B12、葉酸など 不足しているビタミンを補い、神経の機能回復を促す 症状に対する治療薬 プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチン 神経の興奮を抑え、しびれや神経障害性疼痛を緩和 抗けいれん薬(カルバマゼピンなど) 神経の過剰な信号を抑え、不快感を軽減 (文献8) 症状緩和を目的とし、しびれや不快な感覚を抑える薬が用いられます。 末梢神経障害の症状によって処方される薬剤が異なり、服用は医師の指示に従いながら服用し、自己判断で量を増減させたり中止したりしてはいけません。 薬剤の服用でも改善が見込めない場合や副作用が出た場合は、医師に相談しましょう。 栄養療法 栄養素 主な役割 多く含まれる食品例 ビタミンB群 神経の修復・機能維持 豚肉、レバー、魚、卵、緑黄色野菜 タンパク質 神経や筋肉の材料となる 肉、魚、大豆製品、卵 食物繊維 血糖コントロールや便通の改善 野菜、果物、海藻、きのこ類 抗酸化物質 神経の酸化ストレスを軽減・保護 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンB12 神経の構造維持・修復に関与 レバー、貝類、魚、乳製品 シスチン・テアニン 疼痛の緩和に関与するとされるアミノ酸 肉類、魚介類、玉ねぎ、緑茶(※食品によって含有量に差) (文献9) 末梢神経障害では、ビタミンB群(B1、B6、B12など)の補給が大切です。医師や管理栄養士の指導のもと、個々の状態に合わせた栄養管理を行います。 栄養療法を行う場合は、医師の指導に従い、偏った栄養補充は行わないようにしましょう。 手術療法 項目 概要 目的 神経の圧迫除去、損傷した神経の修復 代表的手術 神経剥離術、神経縫合・移植術、脊椎手術、胸郭出口症候群手術 メリット 薬やリハビリで改善しない症状の改善、根本原因の除去が可能 デメリット 手術リスクあり(感染・出血など)、術後リハビリが必要な場合もある、手術が適応外の場合もある 手術の適応例 圧迫や損傷が明確、重度の麻痺、薬剤療法などで症状が改善しない場合 症状が改善しない場合、その圧迫を取り除くための手術が選択肢に入ります。手術療法では、神経圧迫の除去や、神経の修復などが行われます。 手術が適応となるケースは限定的であり、術後もリハビリや後遺症が出る可能性もあるため、患者と医師の慎重な判断が必要です。 再生医療 損傷した神経細胞や組織の修復・再生を目指す再生医療は、末梢神経障害に対して、有効な治療法です。再生医療では、骨髄や脂肪から採取した幹細胞を損傷した神経組織に移植し、症状の改善を目指します。 薬剤療法で起こりうる副作用や、手術を必要としないのが魅力です。 再生医療については、以下の記事で解説しております。 末梢神経障害を再発しないための注意点 注意点 概要 血糖のコントロール 高血糖を防ぐことで、神経へのダメージを抑える ビタミンB群と栄養バランス 神経の修復・維持に必要な栄養素を不足なく摂取する アルコール・喫煙を控える 神経への直接的ダメージや血流悪化を防ぐ 適度な運動 血流促進・筋力維持により神経の機能を保つ ストレス管理・良質な睡眠 自律神経のバランスを整え、神経への負担を軽減する 末梢神経障害の治療後や、症状を悪化させないためには、原因への対処を継続するとともに、神経に負担をかけない生活習慣を心がけることが重要です。 末梢神経障害が再発しないための注意点を解説します。 血糖のコントロールを徹底する 方法 内容の概要 食事療法 バランスよく規則正しく食べる、食物繊維・低GI食品を積極的に摂取する 運動療法 有酸素運動(例:ウォーキング、水泳)を無理なく継続する 薬物療法 医師の指示で血糖降下薬を服用 定期検査 血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を定期的に測定 糖尿病性神経障害の予防・進行抑制において重要なのは、血糖値を良好な範囲に維持することです。 医師の指示に従い、食事療法、運動療法、必要であれば薬物療法を継続し、定期的に血糖値をチェックしましょう。 継続的な血糖コントロールは、末梢神経障害の再発予防だけでなく、糖尿病との合併症などへの予防にもつながります。 ビタミンB群の摂取と栄養バランスを整える ビタミン 主な働き 不足時のリスク B1(チアミン) 糖質をエネルギーに変換、神経細胞のエネルギー源を供給 神経の炎症など B6(ピリドキシン) 神経伝達物質の合成、神経の興奮を抑制 しびれの発生など B12(コバラミン) 神経細胞の修復・再生をサポート 神経の変性・破壊、重度な神経障害のリスク ビタミンB群(とくにB1、B6、B12)は神経の機能維持に重要な役割を果たします。これらのビタミンを多く含む食品(豚肉、レバー、魚介類、豆類、緑黄色野菜など)を意識的に摂取しましょう。 特定の栄養素に偏った食事ではなく、全体的な栄養バランスが取れた食事を心がけることが大切です。 アルコール摂取と喫煙を控える アルコールは神経に直接的なダメージを与える可能性があります。喫煙は血行を悪化させ神経への栄養供給を妨げます。神経の健康を維持するためには、できる限りアルコール摂取を控え(節酒)、禁煙が大切です。 末梢神経障害の予防と症状改善のためにも、神経細胞を傷つける過度のアルコール摂取や、血管を収縮させるタバコは控えましょう。 適度な運動を日常に取り入れる 運動による効果 概要 血行促進 神経に酸素と栄養を届け、機能低下を防ぐ 筋力維持 筋力低下を防ぎ、神経への負担を軽減 血糖コントロール 血糖値を安定させ、神経へのダメージを軽減 ストレス軽減・自律神経調整 ストレスを和らげ、自律神経のバランスを整える 神経再生の促進 神経成長因子(NGF)の産生を促し、神経の修復や再生を助ける ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの適度な運動は、血行を促進し、神経への酸素や栄養の供給を改善する効果が期待できます。 運動を行う場合は、怪我に注意し、無理のない範囲で行うことが大切です。運動の内容は、医師の指示に従うようにしましょう。 ストレス管理や睡眠の質を高める 項目 主な方法 ストレス管理 リラックス時間の確保(入浴・音楽など)、適度な運動、専門家への相談 睡眠の質向上 規則正しい生活リズム、寝る前のスマホ・カフェイン・アルコールを避ける 過度なストレスや睡眠不足は、自律神経の乱れを招き、血行や免疫力を低下させ、神経症状を悪化させる原因になります。 趣味や入浴、瞑想など、自分に合った方法でリラックスし、ストレスをため込まないことが大切です。 規則正しい生活と十分な睡眠で、神経の修復を促しましょう。 末梢神経障害の症状がある方は早めに医療機関を受診しよう 足のしびれや感覚の異常、力の入りにくさなど、末梢神経障害を疑う症状がある場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。 末梢神経障害は放置すると症状が進行し、悪化する恐れがあります。 少しでも末梢神経障害の疑いのある方は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。「再生医療」で末梢神経障害の改善を促します。 末梢神経障害の症状でお悩みの方は、「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考記事 (文献1) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「末梢神経障害」 https://www.pmda.go.jp/files/000145962.pdf(最終アクセス:2025年4月9日) (文献2) Michael C. Levin, et al.(2023)Weakness.MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com/professional/neurologic-disorders/symptoms-of-neurologic-disorders/weakness (Accessed: 2024-04-09) (文献3) Michael Rubin, et al. (2022).Peripheral Neuropathy.MSD MANUAL Professional Version https://www.msdmanuals.com/professional/neurologic-disorders/peripheral-nervous-system-and-motor-unit-disorders/peripheral-neuropathy (Accessed: 2024-04-09) (文献4) Larry E. Johnson, et al. (2024). Vitamin B12 Deficiency.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/disorders-of-nutrition/vitamins/vitamin-b12-deficiency (Accessed: 2024-04-09) (文献5) Michael Rubin, et al. (2024). Guillain-Barré Syndrome (GBS).MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/guillain-barr%C3%A9-syndrome-gbs(Accessed: 2024-04-09) (文献6) Michael Rubin,et al. (2022). Charcot-Marie-Tooth Disease.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/charcot-marie-tooth-disease(Accessed: 2024-04-09) (文献7) Kenneth M. Kaye, et al. (2023). Shingles.MSD MANUAL Consumer Version https://www.msdmanuals.com/home/infections/herpesvirus-infections/shingles(Accessed: 2024-04-09) (文献8) ガン科学療法を受ける患者さんへ末梢神経障害『東邦大学医療センター薬学部』, pp.1-2, 2020年 https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/sinryoka/yakuzai/ue7s91000000a3px-att/massyousinnkeisyougai.pdf(最終アクセス:2025年4月9日) (文献9) 木田 耕太「神経疾患における栄養療法,その基礎知識」, pp.1-5, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_8/_pdf(最終アクセス:2025年4月9日)
2025.04.30 -
- 手部、その他疾患
- 手部
スマホ操作やキーボード入力の繰り返しで手首や指に激痛が走る腱鞘炎。日常生活の中で頻繁に起こるこの症状の効果的な治し方を知りたい方も多いのではないでしょうか。 腱鞘炎の治療は安静が基本であるとともに、ストレッチや温冷療法などさまざまな方法があります。 加えて、今後の再発を防ぐために自宅で簡単にできる予防法もあるため、知っておくのがおすすめです。 本記事では腱鞘炎の治し方について徹底解説します。自宅でできる対処法や予防法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。 腱鞘炎の治し方 腱鞘炎は手や指の使い過ぎで、手指の筋肉と骨を繋ぐ腱を包む腱鞘(けんしょう)で炎症が起きる症状です。腱鞘炎になると、手の甲や指に痛みや腫れが生じたり、しなやかな曲げ伸ばしが難しくなったりします。 腱鞘炎は日常生活に支障をきたすケースも多いため、症状を和らげて早く回復するための正しい治し方を知ることが重要です。 本章では、腱鞘炎の治し方について解説しますが、腱鞘炎の種類や症状を知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。 指や手首を安静にする 腱鞘炎の治し方で最も基本的な方法が、指や手首を安静にして過ごすことです。 腱鞘炎は指や手首の使い過ぎによって生じるため、まずは症状が出ている部位に極力負担をかけないようにします。治療に専念しているときは、症状の出ている部位とは逆側の指や手首を使うことが大切です。 例えば、右の親指が患部の場合は、左手を使うようにします。やむを得ず患部のある側の手を使わなければならないときは、できるだけ短い時間で済ませるようにしましょう。 ただし、安静にしている期間が長引くと、筋肉や腱の可動域が狭まる場合があります。 ある程度痛みが引いてきたら、少しずつ動かす機会を増やすことが大切です。 状況に応じた温冷療法 腱鞘炎の治療では、症状の段階に合わせた温冷療法が効果的です。 発症から2〜3日の急性期には冷却が推奨されます。氷嚢やアイスパックを薄いタオルで包み、15分程度患部に当てると、炎症による腫れや痛みを抑えられます。 一方、急性期を過ぎて症状が落ち着いてきたら温熱療法に切り替えましょう。温めることで血行が促進され、痛みの緩和や筋肉・腱の柔軟性回復につながります。 個人の症状や体質によって最適な方法は異なるため、判断に迷う場合は必ず医師に相談してください。 痛みを緩和するストレッチ 腱鞘炎になった際、痛みの緩和にストレッチも効果的です。 指や手首のストレッチは筋肉をほぐして痛みを和らげるだけでなく、血行を促す効果があるとされています。ストレッチは、リラックスした状態で行いましょう。 ここでは、指のストレッチと手首のストレッチの2つを紹介します。 指のストレッチ 指の痛みを緩和するストレッチは、次の手順・方法で進めます。 痛みのある手の掌を下に向ける 指を1本ずつ反対側の手で持ち、手の甲側にゆっくり反らす 指が伸びるのを感じたら、10~30秒程度キープ キープ後はゆっくり戻す 他の指も同様に動かす なお、指のストレッチは1日に2,3セット行うのがおすすめです。 ただし、あまりにも痛みが強いときは、無理をせずに安静にしてください。 手首のマッサージ 続いて手首のマッサージは、以下の手順で行います。 痛みのある手を机などの上に置く 反対側の手で痛みの生じている手の指を持ち、10秒程度反らせる 反らした指を元に戻す 手首のマッサージも、1日に複数セットやることが推奨されています。 痛み止めや装具の活用 腱鞘炎の治療では、痛み止めや装具も活用される手段です。 痛み止めには、ローションや塗り薬、湿布などの外用鎮痛消炎薬と、飲み薬のような内服薬があります。両方とも腱鞘炎による痛みや炎症を抑える目的で使用され、とくに痛みが増すときは外用鎮痛消炎薬と内服薬を併用するケースも多いです。 一方、装具については、サポーターがよく使われます。ただ、手や指は生活でよく使う部位であるため、完全には固定せず、指や手首の関節を覆うタイプを使用するのが一般的です。関節を覆うタイプであれば、指や手首を動かせる範囲を限定させながら、関節への負担を軽減します。 ステロイド剤注射治療 もし、痛み止めや装具を活用しても強い痛みが続くときは、ステロイド剤注射による治療も手段の1つです。 ステロイド剤注射は、炎症が見られる腱鞘に直接注射する形で、ステロイド剤を注入します。 ステロイド剤注射を行った場合、個人差はありますが2~3週間程度で症状の緩和が見られ、効果は3カ月から半年にわたって継続するケースが多くあります。 なお、糖尿病を抱えている方については、注射によって血糖値が上昇するリスクがあるため、注意と医師による慎重な判断が不可欠です。 手術による治療 腱鞘炎を痛み止め・装具やステロイド剤注射などの方法を用いても、症状が緩和しなかったり繰り返されたりする場合、手術を検討します。 腱鞘炎向けの手術は「腱鞘切開」が一般的です。症状の進行で腫れて分厚くなった鞘の部分を切り開きます。なお、局所麻酔を施した状態で行われるとともに、所要時間も10~20分程度と短めです。 腱鞘炎を予防する方法 指や手首に慢性的な痛みをもたらす腱鞘炎は、できれば事前に予防したいと感じる方もいるかと思います。 腱鞘炎を予防する方法は色々とあり、日常生活の中で簡単に実践できるものばかりです。 指や手首への負担を軽減する 腱鞘炎を予防するには、まず指や手首への負担を軽減することが大切です。 特に現代人は日常的にスマホを使う方が非常に多いため、スマホの操作が原因で腱鞘炎になる方も多くいます。 スマホの使用による腱鞘炎を予防するには、スマホを片手ではなく両手で持つのがポイントです。 片手で操作すると、持っている側の親指や手首に継続的な負担がかかるため、腱鞘炎を発症するリスクが高まります。 日頃片手でスマホを使っているのであれば、両手で持ったり操作したりする癖を付けるだけでも、腱鞘炎のリスクを下げられます。 また仕事やプライベートでパソコンを使う際も、手首の部分をクッションで支えるのがポイントです。 加えてスマホやパソコンを長時間利用する時は、こまめな休憩も腱鞘炎の予防に役立ちます。 スマホやパソコンを使う際、タイプ操作だけでなく前かがみの姿勢も腱鞘炎を誘発することがあるためです。 サポーターやテーピングもおすすめ 腱鞘炎の予防には、サポーターやテーピングもおすすめできます。 サポーターやテーピングは、特にテニスや野球のような手や指を使うスポーツ競技の場合、事前に手首などに巻いておくことで筋肉や腱への負担を和らげられる点がメリットです。 加えてテーピングは、関節を動かせる範囲を限定する分、腱を痛めたりけがを防いだりするのに効果を発揮します。 手首や指のストレッチで柔軟性を向上 日常生活の中で腱鞘炎を予防するには、手首や指のストレッチを心掛けることも大切です。 日頃からストレッチを行うことで、指や手首の腱の柔軟性を高めるとともに、指の付け根の腱を広げることによって圧迫を和らげる効果も期待できます。 特に指や手首をよく使うスポーツや仕事・作業に従事する方は、始める前の準備体操の時間などにストレッチの癖を付けておくと、腱鞘炎になる可能性を下げられます。 腱鞘炎の治療選択肢のひとつ「再生医療」について 腱鞘炎の治し方の選択肢として、再生医療もあります。 腱鞘炎の治療では、患者様自身から採取した血液の血小板を濃縮した「多血小板血漿(PRP)」を注射する方法がとられます。 手術によらない方法であるとともに、所要時間も最短30分程度である点も特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、腱鞘炎に対する治療として再生医療を行っています。 腱鞘炎の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ|腱鞘炎を治すには安静にして医療機関を受診しよう 腱鞘炎の治し方は、基本的には患部を安静にしつつ、医療機関を受診するのが基本です。 加えて、温冷療法や痛み止め・装具による治療も用いられるほか、症状が深刻な場合はステロイド剤の注射や手術も用いられます。 また、日常生活でもスマホの使い方に気を付けるなどの、腱鞘炎を予防できる方法もさまざまです。 ほかにも、最近では再生医療も腱鞘炎の治療で選べます。 腱鞘炎の治し方は簡単にできるものが非常に多いため、安静を心がけながら医療機関で医師の指導に従いつつ実践してみてください。 腱鞘炎の治し方に関するよくある質問 腱鞘炎がなかなか治らない理由は? 腱鞘炎がなかなか治らず、症状が長引くのは、いつの間にか指や手首を使いすぎているのが原因です。 特にスマホやパソコンを意識しないままに多く使い、それがきっかけで症状が長期化しているケースがよく見られます。 スマホやパソコンの操作は、タッチパネルやキーボード上でタイプ打ちするため、同じような動作の繰り返しで腱鞘炎に繋がりやすいです。 スマホなどを長時間操作しがちであれば、まずは操作する時間を減らすことをおすすめします。 腱鞘炎の治し方でやってはいけないことは? 腱鞘炎の治療中は、指や手を無理に動かすことはやってはいけません。 炎症が落ち着かない状態で無理に動かすと、症状がより悪化する可能性があるためです。 指の曲げ伸ばしや重いものの持ち運びはもちろんのこと、患部を押したり無理なストレッチを行ったりすることも避ける必要があります。 腱鞘炎の湿布の貼り方は? 腱鞘炎の治療で湿布を貼る際、患部の場所によって方法はさまざまです。 患部が指である場合は、湿布を小さめの大きさにカットしたうえで、包帯やテープで補強するように貼ります。 特におすすめの場所が指の第二関節です。腱鞘炎の発症時に炎症が起こりやすい靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)と呼ばれる部位があるため、湿布によって痛みを和らげられることがあります。 手首が患部であるときは、湿布をX字型に切って患部に交差する場所が来るように貼るのがポイントです。もし湿布だけで貼りつかないときは、上からテープや包帯で補強すると良いでしょう。 腱鞘炎の治し方で親指のマッサージはOKですか? 腱鞘炎の治し方で、親指をマッサージしても問題ありません。 ただし、親指の付け根部分を反対側の指の先ではなく、指の腹の部分や手のひらで優しく押したり揉んだりするのがコツです。
2025.04.27 -
- 手部、その他疾患
- 手部
第二関節を曲げると違和感がある 指が思うように曲がらない ある日突然、第二関節を曲げると感じたことの無い違和感に襲われ、不安を抱えながら過ごしている方もいらっしゃることでしょう。 その症状は、ブシャール結節と呼ばれる第二関節の病である可能性があります。ブシャール結節は、指の第二関節(PIP関節)に起こる変形性関節症の一種です。 放置しておくと、関節の変形や炎症が拡大し、重症化する恐れがあります。 第二関節が痛む「ブシャール結節」の病状について 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の初期症状 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の原因 ブシャール結節の治し方 ブシャール結節を再発させないための対策 指の第二関節が痛む方からよくある質問 本記事では、指を曲げると痛い第二関節が、ブシャール結節である可能性について解説します。記事の最後には、指の第二関節が痛む方からよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」とは 項目 詳細 主な症状 第二関節の腫れ・変形、こわばり、痛み、動きの悪化、粘液嚢腫 原因 加齢、遺伝、女性ホルモン減少、指の酷使 診断 X線検査 治療 薬物療法、装具療法、リハビリ、手術(重度の場合) 日常生活の注意点 指の酷使を避け、適度な休息とストレッチ ブシャール結節とは、指の第二関節に起こる変形性関節症の一種であり、主な症状としては、関節のこわばりや違和感、水ぶくれのような炎症が起こります。 2025年現在の医学では、明確な原因が解明されておらず、症状改善のエビデンスも乏しい病です。 しかし、ホルモンバランスの乱れや、加齢に伴う変化が原因との研究も進んでおり、女性が発症しやすい病といわれています。 ブシャール結節は、放置すると重症化するリスクが高いため、早期発見が大切です。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の初期症状 症状 詳細 指の第二関節の違和感 軽度の違和感、こわばり、腫れなど 指の第二関節の腫れやこわばり 関節が太くなったように感じる、曲げ伸ばしがしにくい 指の第二関節の動きが悪くなる 以前のようにスムーズに指を動かせない 指の第二関節が変形する 関節がコブのように膨らむ、指が曲がったままになる ブシャール結節は、指の第二関節に腫れやこわばりが現れる病気です。初期症状に気づき、早めに対処すれば、症状が悪化するのを防げます。 ブシャール結節の初期症状について、解説します。 指の第二関節に違和感がある 違和感の種類 具体例 ズキズキするような違和感 第二関節がズキズキ、チクチクする こわばり 関節が硬く感じる、曲げ伸ばしがしにくい 腫れ 関節が太くなったように感じる、指輪がきつく感じる 感覚の変化 しびれ、ピリピリ感、触ると違和感がある その他 関節が熱を持っているように感じる、引っかかるような感覚がある 指第二関節に違和感を覚える主な理由としては、関節軟骨の変性と炎症です。明確な原因は判明していないものの、加齢や指の酷使により軟骨が摩耗、変形で生じるものといわれています。 また、関節を包む関節包や靭帯が硬くなり、動きを制限されるのも違和感を覚える原因です。 ちょっとした疲れと見過ごされやすく、放置しておくと重症化する恐れがあります。症状を進行させないためにも、早期発見と医療機関の受診が大切です。 指の第二関節の腫れやこわばり 変化 詳細 症状 滑膜(かくまく)の炎症 軟骨摩耗 → 滑膜刺激 → 炎症 → 関節液過剰分泌 関節の腫れ 骨棘(こつきょく)の形成 関節不安定化 → 骨過剰形成(骨棘) 関節動作の制限 → こわばり 関節周囲組織の変化 炎症・骨棘形成 → 靭帯・腱の硬化 → 柔軟性低下 関節のこわばり悪化 ブシャール結節初期の腫れやこわばりは、関節軟骨の変性と炎症が主な要因です。明確な原因は解明されていませんが、加齢や指の酷使により軟骨が摩耗し、変形が生じるものといわれています。 関節の状態が不安定になり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成されることで、炎症やこわばりを発症させ、関節周囲の靭帯や腱などの組織を硬くし、柔軟性を低下させます。 指の第二関節の動きが悪くなる 原因 詳細 結果 軟骨の減少と変形 軟骨の摩耗と変形により、関節の隙間が狭まり可動域が制限される スムーズな動きが妨げられる、可動域の制限 関節周囲の炎症 軟骨のすり減りにより、関節周囲に炎症が起こる 腫れや痛みによる動きの制限 骨棘(こつきょく)の形成 関節の変形が進むと、骨棘と呼ばれる骨の突起が形成される 物理的な動きの妨げ、可動域の制限 軟骨の減少と変形は関節の隙間を狭め可動域を制限し、炎症は腫れや違和感を引き起こし、動きを妨げます。 症状が進行すると骨棘(こつきょく)が形成され、症状悪化につながるため、医療機関の受診が必要です。 指の第二関節が変形する 原因 詳細 結果 軟骨の摩耗 関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接接触しやすくなる 関節の隙間がなくなる 骨棘(こつきょく)の形成 軟骨の摩耗が進むと、関節周囲に骨の突起(骨棘)が形成される 関節の変形が進行する 炎症による関節包のゆるみ 関節の炎症により、関節を包む関節包がゆるむ 関節が屈曲方向に曲がり始める 粘液嚢腫(ねんえきのうほう)の発生 関節の炎症により、関節包壁がゆるみ、粘液嚢腫ができる 関節が腫れ、変形する 遺伝的要因・ホルモンバランスの乱れ 原因は明確ではないものの、遺伝やホルモンバランスの乱れが関与している可能性がある 関節の変形を促進する ブシャール結節の初期に変形が現れるのは、軟骨の摩耗、骨棘(こつきょく)の形成、関節包のゆるみ、粘液嚢腫(ねんえきのうほう)の発生が複合的に作用するためです。 変形の症状は、ホルモンバランスの影響を受けやすい女性が受けやすいといわれています。しかし遺伝やホルモンバランスの乱れが直接関与しているかは、明確なエビデンスはありません。 指の第二関節が痛む「ブシャール結節」の原因 原因 詳細 手先の酷使 デスクワーク、スマホ操作、家事など、指に負担のかかる作業の繰り返し 加齢に伴う変化 関節軟骨の摩耗、関節周囲組織の変性 ホルモンバランスの乱れ 更年期、妊娠・出産時のホルモン変動 腎臓機能の低下 腎機能低下に伴う代謝異常、関節への影響 ブシャール結節の明確な原因は判明しておらず、確証的なエビデンスが存在しません。 ただし、原因は主に手先の酷使や、ホルモンバランスの乱れといわれています。ブシャール結節が発症する原因について解説します。 手先の酷使 手先の酷使は、関節軟骨への過剰な負荷と微細な損傷の蓄積を招きます。デスクワークやスマホ操作など、指先を長時間酷使する作業は、第二関節に繰り返しストレスを与えるため、注意が必要です。 関節へのストレスが蓄積すると、軟骨が徐々に摩擦を起こし、変形をきたします。酷使による炎症が慢性化すると、関節の安定性が損なわれ、変形を進行させる原因になります。 加齢に伴うもの 加齢に伴う変化 詳細 影響 軟骨の摩耗 弾力性低下、摩耗 関節の動きが制限される、炎症・違和感が生じる 骨の変化 骨密度低下、骨棘形成 関節の動きを妨げる、変形を引き起こす 関節周囲組織の変化 靭帯・腱の柔軟性低下、関節の不安定化 関節に負担がかかる、変形が進行する 加齢はブシャール結節を進行させる原因の一つです。 加齢は、関節軟骨の質的変化と修復能力を低下させます。長年の使用により軟骨は徐々に摩耗し、弾力性を失い、軟骨の損傷が進行しやすくなります。この状態が続くと、関節に過剰な負荷がかかり、重症化につながります。 ホルモンバランスの乱れ 原因 詳細 関連性 女性ホルモンの減少 更年期におけるエストロゲンの減少 関節の炎症や変形を促進する可能性 妊娠・出産時のホルモン変化 妊娠や出産に伴うホルモンバランスの変動 関節の状態に影響を与える可能性 ブシャール結節が進行する原因は、ホルモンバランスの乱れです。とくに40代以降の女性に多く見られます。 40代以降になると、女性ホルモンであるエストロゲンが変動し、軟骨の代謝や関節の柔軟性を維持する役割が衰えるため、関節の変形や炎症が起こりやすくなると考えられています。 しかし、ホルモンバランスの乱れがブシャール結節の直接的な原因であるエビデンスは、まだ確立されていません。 腎臓機能の低下 要因 腎臓の働き 腎機能低下時の影響 ブシャール結節への影響 ミネラルバランスの乱れ 体内のミネラルバランスを調整 カルシウムやリンなどのミネラルバランスが崩れる 関節軟骨の変性や骨棘の形成が促進され、ブシャール結節の発症や進行につながる 炎症性物質の蓄積 老廃物や炎症性物質を排出 老廃物や炎症性物質が蓄積しやすい 関節に炎症や変性を引き起こす ホルモンバランスの乱れ ホルモンを産生 ホルモンバランスが乱れる 関節の健康に影響を与える 腎臓は体内のバランスを整える大切な役割を持っています。腎機能が低下すると、ミネラルの調整がうまくできず、カルシウムやリンのバランスが崩れ、関節の変化を引き起こす原因になります。 しかし、腎臓機能低下とブシャール結節の関連性について明確なエビデンスはないのが現状です。 ブシャール結節の治し方 治療法 概要 具体的な方法 期待できる効果 保存療法 手術をせずに症状を和らげ、関節の機能を維持する治療法 薬物療法(抗炎症薬など)、理学療法(ストレッチ・筋トレ)生活習慣改善(体重管理・食事療法) 症状を和らげ、関節の負担を減らし、進行を遅らせる 手術療法 保存療法で改善しない場合に行う手術による治療法 関節固定術(関節を固定する)関節形成術(変形を整える) 症状の軽減、関節の変形改善、生活の質の向上 再生治療 身体の回復力を活かし、関節の機能を再生させる治療法 PRP療法(血小板を活用)幹細胞治療(損傷組織の修復) 症状が軽減し、関節の機能を再生・修復する可能性がある 現代の医療では、ブシャール結節を治す(完治)ための治療はありません。しかしブシャール結節の進行を遅らせ、症状を改善していくことは可能です。 ブシャール結節を改善させる、有効な治療法を解説します。 保存療法 治療法 目的 具体的な方法 注意点 安静・関節の保護 関節への負担を軽減し、炎症を抑制 指の酷使を避け、テーピングやサポーターで関節を保護 保護具は適切なサイズを選び、長時間の使用は避ける 薬物療法 症状を緩和し、炎症を抑制 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を使用、関節内にステロイド薬を注射 薬は医師の指示に従い、副作用に注意する 物理療法 関節の動きを改善し、違和感を緩和 温熱療法、マッサージ、ストレッチなど 違和感がある場合は中止し、医師に相談する 保存療法は、ブシャール結節の進行を遅らせることが目的です。初期の段階では安静にし、必要に応じて、テーピングやサポーターで関節を保護します。 また、医師の診断に基づいた薬物療法と、関節の硬直を防ぐ温熱療法やマッサージを組み合わせることで、ブシャール結節の症状改善を目指します。 保存療法では、薬剤の副作用や、ストレッチなどによる違和感が出る可能性もあるため、少しでも異変を感じた場合はすぐに中止し、医師に相談しましょう。 手術療法 手術の種類 手術の概要 有効な症状 メリット デメリット 関節授動術 変形した骨や滑膜を切除し、関節の動きを改善する 比較的初期の変形が軽度な場合 関節の動きが改善し、違和感が軽減 手術リスク(感染症、神経損傷)があり、効果に個人差がある 人工関節置換術 変形した関節を人工関節に置き換え、機能を回復させる手術 重度の変形や痛みがある場合 重度の変形や痛みの改善が期待でき、生活の質が向上する リハビリが必要、人工関節の耐久性に限界がある 手術療法は、ブシャール結節の症状が改善されない場合に検討されます。手術の有無や内容は、患者の症状や生活状況を考慮した上で、医師が判断します。 手術を受ける前に、医師と十分な相談をした上で、メリット・デメリットを理解しておくことが大切です。また、手術は保存療法で改善しないときの最終手段です。 手術を検討する場合は、術後のリハビリ期間なども考慮しましょう。 再生治療 再生医療は、PRP療法や幹細胞治療など、自身の組織を活用し関節機能の改善を目指す治療法です。損傷した軟骨や組織の修復を促し、違和感の軽減などの効果が期待されます。 自身の細胞を用いるため、アレルギー反応のリスクが低く、手術療法と比べて、身体への負担も少ないのがメリットです。 再生医療を受ける際は、医師と相談した上で、検討するようにしましょう。 以下の記事では当院の再生医療について詳しく紹介しています。 ブシャール結節を再発させないための対策 指の酷使を避ける 指の関節を温める 適度な運動とストレッチ 食生活に気をつける ブシャール結節を再発させないためには、これから紹介する対策と実践が大切です。結節を再発させないための対策について解説します。 指の酷使を避ける ブシャール結節を再発させないためには、指の酷使をさけることが大切です。長時間のスマホの操作や、パソコン作業は指を長時間酷使しやすい状況であり、再発の危険性があります。 また、指に負荷のかかる重い荷物を持ち上げたり、押さえたりする作業も控えましょう。指への負担を防止ためにも、必要に応じてサポーターやテーピングを検討しましょう。 指の関節を温める 指の関節を適度に温めることで、血行を促進させます。温めることで、関節の柔軟性が向上し、再発防止につながります。 ただし、急性期の炎症がある場合は、温めることで症状が悪化する可能性があるため、注意しましょう。 適度な運動とストレッチ 運動の種類 方法 期待できる効果 指のストレッチ 指をゆっくり伸ばし、数秒間キープする、無理のない範囲で繰り返す 関節の柔軟性を高め、こわばりを防ぐ 軽い握力トレーニング 柔らかいボールやスポンジを軽く握り、ゆっくりと力を入れたり抜いたりする 指の筋力を維持し、関節への負担を減らす 関節回し運動 指の関節を円を描くようにゆっくり回し、柔軟性を高める 関節の動きをなめらかにし、症状を軽減す 温めながらの運動 温かいお湯に手を浸しながら、指をゆっくり開閉する リラックスした状態で血流を促せる 軽度な運動や負荷のかからない程度のストレッチは、ブシャール結節を再発させない手段として有効です。 また、運動やストレッチを行う際は、運動前後のウォーミングアップと運動後のクールダウンをセットで行います。 運動やストレッチは自己流ではなく、医師の指示に従い、違和感があれば中止しましょう。 食生活に気をつける ブシャール結節を再発させないためには、バランスの良い食生活を意識しましょう。とくに、関節の健康維持に必要なカルシウムやビタミンDなどを中心にバランスの良い食事を取り入れます。 また、ブシャール結節にはエクオール含有食品が有効とされていますが、現在発表されているエビデンスは確証が低いため、過信は禁物です。(文献1)(文献2) エクオール含有食品を摂取する場合は、個人差があり、すべての人に効果はありません。実施する場合は医師と相談し、あくまでも補助的な治療法であることを認識しておきましょう。(文献3)(文献4) 指の第二関節が痛い方は躊躇なく医療機関を受診しよう 指の第二関節が痛い方は躊躇なく医療機関を受診しましょう。指の第二関節を曲げると痛い症状は、ブシャール結節である可能性が高く、放置しておくと重症化につながります。 また、指の第二関節の痛みがなかなかひかない方は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。再生医療は、ブシャール結節の進行を抑え、回復を促します。ブシャール結節をはじめとする指の異常にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて当院へお気軽にお問い合わせください。 指の第二関節が痛む方からよくある質問 指の第二関節が痛いのですがブシャール結節以外の可能性もありますか? 関節リウマチ、ヘバーデン結節などの症状である可能性もあります。 関節リウマチは、免疫機能が関節を攻撃し、炎症を引き起こす病気であり、ヘバーデン結節は、指の第一関節(指先から一番近い関節)にできる骨の隆起です。 いずれの症状も、早期発見と早期治療が必要なため、医療機関を受診する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチ、ヘバーデン結節の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 関節リウマチの全貌!症状、治療、診断基準まで徹底解説 手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について ブシャール結節は何科を受診すれば良いですか? ブシャール結節は、手外科または整形外科の受診が推奨されます。いずれも、ブシャール結節だけでなく、関節リウマチやヘバーデン結節など、類似した症状を鑑別してくれます。 手外科専門医が見つからない場合や、まずは一般的な診察を受けたい場合は、整形外科を受診するのがおすすめです。 ブシャール結節は男性でも発症しますか? 男性でも発症する可能性があります。発症率は女性に比べて低めです。しかし、男性ホルモンの影響や遺伝的要因、指の酷使などが原因で発症する可能性があります。 しかし、エビデンスが存在しないため、明確な原因は不明です。 ブシャール結節の症状改善にはどのくらいかかりますか? 症状や改善にかかる時間、選択する治療法で異なるため、明確な基準がありません。気になる方は医療機関を受診しましょう。 ブシャール結節と診断されましたが入浴は問題ないでしょうか? 湯船に浸かるのは、問題ありません。入浴時は、ぬるま湯(38〜40度程度)に設定し、ゆっくり浸かるようにしましょう。 また、入浴は炎症が酷い場合などは控えましょう。 参考文献 (文献1) 医療法人社団ミッドタウンクリニック「吉形医師のエクオール含有食品を用いた研究論文が、医学専門誌に掲載されました」Tokyo Midtown Clinic, 2018年5月9日 https://www.tokyomidtown-mc.jp/academic/2018050913814/(最終アクセス:2025年3月17日) (文献2) 公益社団法人女性の健康「エクオール│エストロゲン様作用を持つ食品成分」公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会 https://www.meno-sg.net/hormone/healthcare/1906/(最終アクセス:2025年3月17日) (文献3) 石見 佳子,東泉 裕子.「腸内細菌が作り出す大豆イソフラボン代謝産物の有用性と安全性 エクオールの可能性」『化学と生物』, pp.1-4, 2013年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/51/2/51_74/_pdf(最終アクセス:2025年3月17日) (文献4) 内山成人.「大豆由来の新規成分 エクオール の最新知見」『シリーズ─研究小集会(第20回)大豆部会』pp.1-8, 2015年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/62/7/62_356/_pdf(最終アクセス:2025年3月17日)
2025.03.31 -
- 手部、その他疾患
- 手部
ブシャール結節は変形関節症の一種で、関節が腫れて痛みが出たり指が曲がりにくくなったりする症状が見られます。症状が悪化すると関節が変形するだけでなく、日常生活に支障をきたす可能性があります。 症状を悪化させないためには、指先に負担をかける行動を避けることが大切です。本記事では、ブシャール結節でやってはいけないことを解説します。 似た病気のヘバーデン結節との違いや症状緩和を図るマッサージ法も紹介するので、回復へ向けた治療プランが知りたい方は参考にしてください。 ブシャール結節でやってはいけないこと ブシャール結節でやってはいけないことは、ヘバーデン結節と共通しています。ヘバーデン結節はブシャール結節と似た病気で、いずれも指の関節に起こる変形性関節症になります。 ブシャール結節でやってはいけないことは、以下の通りです。 指先に過度な負荷をかける 重いものを持つ 患部を過度に温める ブシャール結節の症状回復には、指先に負担をかける行動を避けるのが重要です。指先を使う必要があるときは、テーピングで固定してできる限り負担をかけないようにしましょう。 ブシャール結節とヘバーデン結節の違い ブシャール結節とヘバーデン結節は似た病気ですが、発生部位や症状などに違いが見られます。主な違いは、以下の4つです。 発症部位 症状 発生頻度 原因 混同されがちなブシャール結節とヘバーデン結節の違いを以下で詳しく解説します。 発症部位 ブシャール結節とヘバーデン結節の発症部位は、以下の通りです。 ブシャール結節 ヘバーデン結節 人差し指から小指までの第2関節(PIP関節:近位指節間関節) 人差し指から小指までの第1関節(DIP関節:遠位指節間関節) ブシャール結節とヘバーデン結節は、発症する関節に違いが見られます。症状が見られる関節に注目すると、発症部位がどちらか判断できます。とはいえ、どちらか見極めるのは難しいため、発症した際は早めに医療機関を受診しましょう。 症状 ブシャール結節とヘバーデン結節における症状の違いは、以下の通りです。 ブシャール結節 ヘバーデン結節 第2関節の腫れ・痛み・変形 第1関節の腫れ・痛み・変形 ブシャール結節とヘバーデン結節の症状は似ていますが、発症する部位に違いがあります。ただし、痛みはブシャール結節の方が強いため、日常生活に支障が出やすい点に注意が必要です。 いずれも変形が進行すると関節を動かしにくくなり、ペンや箸が使えない、もしくはペットボトルの蓋を閉められないなど、物を強く握る動作が困難になります。 また、ブシャール結節とヘバーデン結節は骨の変形が進むと、関節近くにミューカスシストと呼ばれる水ぶくれができる場合があります。 ミューカスシストが破れたり潰れたりすると、感染症により骨髄炎が発症する可能性がある点も押さえておきましょう。 発生頻度 発生頻度は、ブシャール結節よりヘバーデン結節の方が高い傾向にあります。一般的には、ヘバーデン結節が発症し、進行によりブシャール結節が生じるケースが多く見られます。 ただし、ヘバーデン結節とブシャール結節は自己判断しにくい病気です。双方を見極める際は、問診や触診、レントゲン検査を行い診断します。 症状が見られた際は、自己判断せず早めに専門機関へ受診しましょう。なお、当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ヘバーデン結節とブシャール結節どちらかわからずお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 原因 ブシャール結節とヘバーデン結節は、いずれも原因が明確にわかっていません。しかし、主な原因は以下のように考えられています。 加齢による関節の老化 遺伝的な要因 女性ホルモンの原因 指の酷使 ほかの病気により併発 など ブシャール結節とヘバーデン結節は40歳以降の女性、とくに閉経後の女性に多く発症することから、女性ホルモンが影響している可能性が指摘されています。 女性は閉経すると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し、腱や関節に炎症が起きやすくなります。このことから、ブシャール結節とヘバーデン結節の原因の1つとして女性ホルモンが考えられます。 また、ブシャール結節とヘバーデン結節はピアニストや調理師など指先に負担がかかる仕事をしている場合にも、発症しやすいといわれています。 ブシャール結節をほっとくとどうなる?放置するリスク ブシャール結節を放置すると症状が悪化し、以下のリスクが生じます。 関節が変形する ミューカスシストが生じる 日常生活の動作が困難になる テレビのリモコンが押せなかったり、包丁が握れなかったりと日常生活に影響を与えます。また、ブシャール結節は重症化すると手術が必要です。 指を曲げる機能を担う腱を切除するほか、変形がひどい場合は人工関節置換術などを行う場合もあります。ブシャール結節は放置すると症状が進行する可能性もあるため、重症化を避けるためにも早期治療が大切です。 ブシャール結節の症状緩和を図るマッサージ法 ブシャール結節を発症した際に症状緩和を図る方法として、マッサージが効果的です。症状回復へ向けた代表的なマッサージ法は、以下の4つです。 手のひらを開閉する動きを繰り返す 関節を押す 関節を曲げ伸ばしする 手の甲の皮膚を伸ばす マッサージ法のやり方を以下で解説するので、ブシャール結節の早期回復を図れるよう無理のない範囲で取り入れましょう。 手のひらを開閉する動きを繰り返す 手のひらを開閉する動きを繰り返すと、水かき部分の筋肉を鍛えられます。水かき部分とは、指と指の間の皮膚部分で、マッサージを取り入れると関節痛を緩和する効果が期待できます。 やり方は、以下の通りです。 平らな場所に指を閉じた状態で手のひらをつける 指と指の間をできる限り大きく広げた状態をキープする 1と2の動作をゆっくり繰り返す 開閉の動きは、無理のない範囲でゆっくり時間をかけて行うのがポイントです。 関節を押す 関節を押すマッサージは、指の変形を防ぐのに効果的です。ブシャール結節が進行して指が変形すると、手術が必要になる場合もあるため症状が悪化しないよう取り入れましょう。 やり方は、以下の通りです。 平らな場所に痛みがある方の手のひらをつける 手をつけたら指を軽く広げる もう片方の手で上から指関節を抑える 手のひらでゆっくりプレスしたままキープする 1から4の動作を繰り返す 指先に過度な負荷をかけると逆効果となるため、強く押しすぎないよう注意しながら行うのがポイントです。 関節を曲げ伸ばしする 関節を曲げ伸ばしするマッサージでは、可動域を広げられます。ブシャール結節では、指の曲げ伸ばしの可動域が狭くなると痛みが生じるため、マッサージにより広げる訓練を取り入れるのが効果的です。 やり方は、以下の通りです。 痛みを感じる手を軽く握る 指を広げ、親指以外の4本を付け根から直角に曲げた状態で伸ばす 親指以外の4本指の第1関節と第2関節を曲げる 1から3の動作を繰り返す 指を動かしすぎず、無理のない範囲でゆっくりマッサージするのがコツになります。 手の甲の皮膚を伸ばす 手の甲の皮膚を伸ばすマッサージでは、指関節における筋肉の柔軟性を高められるため可動域を広げられる効果が期待できます。曲げ伸ばしの可動域が狭くなり痛みが生じないよう、柔軟性を高めましょう。 やり方は、以下の通りです。 壁に手をつけるように指先を上向きにした状態で伸ばす 片方の手で手のひら側から手の甲側へ向けて指関節を伸ばす 30秒程度行い元に戻す 1~3の動作を繰り返す 気持ち良いと感じる程度に、手のひらの筋肉をゆっくり伸ばすのがポイントです。 ブシャール結節における再生医療の可能性 ブシャール結節は症状が悪化し、変形がひどい場合は人工関節置換術と呼ばれる手術が必要になる可能性もあります。再生医療は、人工関節または手術を避けたい場合の選択肢の1つです。 再生医療の1つ「分化誘導」による関節治療では、幹細胞を神経や骨といった特定の組織に分化するように誘導します。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を冷凍せず投与に合わせて都度培養し、生存率を高めています。また、再生医療は入院が不要で日帰りで治療を受けられる点が特徴です。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、ブシャール結節の治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ・やってはいけないことを理解しブシャール結節の悪化を防ごう ブシャール結節でやってはいけないことには、指先に過度な負担をかけたり重いものを持ったりする行動が挙げられます。似た病名となるヘバーデン結節も同様の行動を避けることが、症状緩和へ向けた対策になります。 ブシャール結節を放置すると関節が変形するほか、日常生活に支障をきたすリスクが生じる点に注意が必要です。症状の進行状況によっては手術を要する場合もあるため、早期治療が大切といえます。 また、手術を避けたい場合の治療法には、再生医療があります。ブシャール結節を発症した際にやってはいけないことへの理解を深め、早期回復へ向けて症状を悪化させないようにしましょう。 ブシャール結節でやってはいけないことに関するよくある質問 ブシャール結節とコーヒーの関係性は? ブシャール結節の発症とコーヒー摂取との間に直接的な因果関係は、現在のところ科学的に証明されていません。 一部ではヘバーデン結節とコーヒー摂取の関連性について言及されることがありますが、明確な医学的根拠に基づくものではありません。 ただし、ヘバーデン結節とカフェインには相関関係が報告されています。カフェインには血流を悪くする可能性があるといわれており、ヘバーデン結節やブシャール結節の原因の1つに血行不良が考えられています。そのため、カフェインを含む飲み物を避けるのも予防策の1つです。 ブシャール結節は難病指定されていますか? ブシャール結節は難病指定されていません。発症原因が明確になっていませんが、ブシャール結節は指の関節における変形関節症です。難病指定されている結節性硬化症とは異なる病名のため、混在しないよう注意しましょう。 ブシャール結節は治りますか? ブシャール結節は指関節の軟骨がすり減り、変形により痛みや腫れなどの症状を引き起こす変形性関節症の一種です。完全に元の状態に戻す根本的な治療法は現状確立されていませんが、症状の進行を抑制し、痛みを軽減させるさまざまな治療法は存在します。 症状が進行すると日常生活に支障が出てくる場合もありますが、適切な治療と予防により症状の進行を遅らせて痛みの緩和が期待できます。 治療法としては、まず保存療法で症状の回復を図り、改善が見られない場合は手術を行うのが一般的です。
2025.03.31 -
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ドケルバン病とは、手首の親指側に位置する腱鞘で起こる炎症です。しかし、腱鞘炎とどのような違いがあるのかわからず、戸惑う方も多いでしょう。 腱鞘炎は炎症が起こる部位によって病名が異なり、ドケルバン病はその一種で手首の親指側に痛みが生じる場合に起こる病気です。 本記事では、ドケルバン病と腱鞘炎の違いを解説します。腱鞘炎の一種となるバネ指との違いもまとめているので、腱鞘炎について正しく理解したい方は参考にしてください。 ドケルバン病と腱鞘炎の違い ドケルバン病と腱鞘炎の違いは、以下の通りです。 ドケルバン病 手首の親指側に位置する長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)と短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)と呼ばれる腱鞘で起こる炎症 腱鞘炎 体中に位置する腱鞘で起こる炎症の総称 つまり、ドケルバン病は腱鞘炎の一種になります。手首の親指側に痛みを感じる場合は、ドケルバン病の可能性が高いといえます。腱鞘炎は炎症が起こる部位によって病名が異なることを覚えておきましょう。 【腱鞘炎の一種】ドケルバン病とバネ指の違い 手や手首の腱鞘炎は、ドケルバン病とバネ指の2つが代表的です。ドケルバン病とバネ指の違いは、以下の4つです。 症状 発症部位 原因 治療期間の目安 項目別に違いを解説するので、ドケルバン病とバネ指の異なる点を知りたい方は参考にしてください。 症状 ドケルバン病とバネ指における症状の違いは、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 親指を動かしたり力を入れたりすると親指側の手首に痛みを感じる 親指側の手首まわりが腫れる 親指側の手首まわりに力が入らなくなる 指が伸ばしにくいと感じる 指を動かす際に引っかかりを感じる 指が曲がらなくなる ほかの指も動かしにくくなる ドケルバン病とバネ指は、いずれも指の動かしにくさを感じる場合があります。ただし、ドケルバン病の方が、指を動かした際に痛みを伴いやすい点が違いになります。 いずれの症状が見られたとしても、指が動かしにくかったり伸ばしにくかったりする場合は、放置せず早めに治療を受けましょう。 発症部位 ドケルバン病とバネ指は、発症部位に違いが見られます。主な発症部位は、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 手首の親指側に位置する腱鞘あたり 親指・中指・薬指のAIプーリー(手のひらの付け根あたり) バネ指は、主にA1プーリーと呼ばれる組織で発症します。症状が悪化するとAIプーリーで引っ掛かりを感じ、押すと痛みを伴いやすい点がバネ指の特徴です。 ただし、バネ指を放置すると関節が硬くなって動かしにくくなる拘縮(こうしゅく)を引き起こします。 拘縮は、指の付け根から1番目の関節で起こる点も押さえておきましょう。腱鞘炎を疑った場合は、痛みや違和感を覚える部位をチェックしてみると、ドケルバン病とバネ指どちらか判断できます。 原因 ドケルバン病とバネ指を引き起こす主な原因は、以下の通りです。 ドケルバン病 バネ指 原因 手指の酷使やホルモンバランスの変化により、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱で腱鞘炎が起こり、靭帯性腱鞘内(じんたいせいけんしょうない)でスムーズに動かせなくなる 手指の酷使やホルモンバランスの変化により、腱と靭帯性腱鞘の間に炎症を起こし、滑りが悪くなる 好発しやすい人の特徴 更年期の女性 妊娠出産期の女性 手指を使うスポーツ・仕事をしている人 糖尿病患者 リウマチ患者 透析患者 など ドケルバン病とバネ指は、いずれも手指の使い過ぎによって発症します。なかには、スマートフォンの使い過ぎが原因の症例も見られます。 ドケルバン病とバネ指は原因から見極めにくいため、どちらの症状が発症しているか判断する際は医療機関で検査・診断しましょう。 治療期間の目安 ドケルバン病とバネ指の治療期間は症状によって異なり、数週間〜数カ月が目安になります。早期治療した場合は、4週間〜6週間ほどで症状の改善が期待できます。 早期回復には、安静に過ごすことが大切です。とはいえ、乳幼児をお世話したり手指を使う仕事をしていたりと、なかには安静に過ごすのが難しい方もいます。 手や指を使う必要がある際は、テーピングを使用してできる限り負担を軽減しましょう。安静にしていても症状の回復が見られない場合は、医療機関に相談するのがおすすめです。 【腱鞘炎】ドケルバン病を放置すると生じるリスク 腱鞘炎の一種となるドケルバン病を放置すると、症状が重症化して痛みにより指を動かせなくなる場合があります。放置により重症化した場合、日常生活において以下の支障をきたす可能性があるため注意が必要です。 箸が持てなくなる ペットボトルの蓋が開けにくくなる 硬貨を持てなくなる タオルが絞れなくなる フライパンが持てなくなる など ドケルバン病をはじめとする腱鞘炎は、慢性化しやすいだけでなく手や指に影響を及ぼすため、仕事や日常生活に支障をきたす可能性があります。 手や指に違和感を覚えた際は仕事や日常生活に影響を与えないよう、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けております。ドケルバン病の症状回復が見込めずお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 腱鞘炎の重症度(チェックポイント) 腱鞘炎は安静に過ごしているうちに、症状の回復が見込める場合もあります。しかし、注意しなければ手術が必要になるほど重症化するケースも珍しくありません。 腱鞘炎の重症度をチェックするポイントは、以下の通りです。 日常生活に支障をきたす 手首の腫れが悪化している 指の動きに異常をきたしている 手にしびれがある 症状の悪化を防ぐためにも、ご自身に該当するものがないかチェックしていきましょう。 日常生活に支障をきたす 手首や指の痛みが強く、日常生活で支障が出ている場合は症状が進行している可能性が考えられます。症状の進行が考えられる主な状況は、以下の通りです。 痛みで眠れない 物を持ち上げると痛い ペンを握ると痛い 仕事や家事に影響を及ぼすほどの痛みを感じる場合は、悪化しているケースがあります。症状が進行しないためにも、生活に支障をきたしているときは早めに医療機関を受診するのがおすすめです。 手首の腫れが悪化している 安静にしているにもかかわらず、手首の腫れが悪化している場合は炎症が強くなっている可能性があります。一般的に、腱鞘炎は治療を進めていくと炎症が引いて痛みが軽減するためです。 症状の改善が見込めない場合、悪化により次第に手首や指の動きが制限されるケースも少なくありません。症状の回復にも時間がかかってしまう可能性があるため、腫れが引かないときは放置せず医療機関を受診しましょう。 指の動きに異常をきたしている 指の動きに異常がある場合は、腱鞘炎が悪化している可能性が考えられます。指や手首がスムーズに動かず、動作が困難な状態だと保存療法での改善が見込めない場合もあるためです。ひどい場合は、起床時に指が曲がったまま伸びないケースも珍しくありません。 また、指を曲げた際、引っかかるような感覚があるときも注意が必要です。腱鞘炎は症状が進行してしまったり慢性化したりすると、手術が必要になるケースがあります。 手術を避けるためにも、初期症状の段階で治療を適切に行うことが重要です。 手にしびれがある 腱鞘炎において、手のしびれを感じた場合は注意が必要です。手のしびれや麻痺の症状が見られた場合は、神経が圧迫されている可能性が考えられます。 症状が進行しているケースがあるため、手にしびれを感じた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。 しびれにより指の力を入れられず、けがをするリスクも生じます。 腱鞘炎でしびれによる違和感を覚えた場合は、重症度が高い可能性が考えられるため、自然に治ると放置せず医療機関に相談するのが重要です。 腱鞘炎の症状が悪化した際は再生医療を検討するのも手段の1つ 腱鞘炎の症状が悪化し、日常生活に支障を及ぼす場合に適した治療法の1つが再生医療です。再生医療の1つとなるPRP療法は、血液に含まれる血小板成分を抽出する治療法になります。ご自身の血液を利用するため体への負担が少ないだけでなく、手術や入院が不要です。 PRP療法は手術を避け、日常生活を送りながら腱鞘炎の治療を受けたい場合に適した治療法になります。 「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 ドケルバン病と腱鞘炎の違いを理解して適切な治療を受けよう ドケルバン病は腱鞘炎の一種で、炎症が起こる部位によって病名が違います。腱鞘炎はドケルバン病とバネ指に分類され、症状や発症部位に違いが見られます。 いずれも一般的には安静にすると自然治癒が期待できますが、日常生活に支障をきたしたり手がしびれたりした場合は症状が進行している可能性があるため注意が必要です。 重症度が高いと手術を行う必要もあるので、違和感を覚えた場合は医療機関を受診しましょう。また、保存療法で改善が見込めない場合は再生医療を検討するのも手段の1つです。 ドケルバン病と腱鞘炎の違いを理解して、適切な治療プランを検討しましょう。
2025.03.31 -
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ドケルバン病は腱鞘炎の一種で、手首を中心に痛みを引き起こします。この痛みで悩んでいる方のなかには、「病院へ行くべきか」と疑問を持つ方も多いでしょう。 日常生活で手を使わずに過ごすことは難しく、ドケルバン病を放置すると症状が悪化するリスクが高まります。適切な治療を受けるためにも、手首に痛みを感じる場合は、悪化する前に病院に行くべきです。 今回は、ドケルバン病になったら病院へ行くべき理由や放置するリスクを解説します。簡単にできるセルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 ドケルバン病は悪化する前に病院へ行くべき ドケルバン病は悪化する前に治療を始めることで、痛みや症状を軽減し、回復を早められます。ドケルバン病の具体的な受診目安は、以下の通りです。 手首に強い痛みを感じる 手首から親指の付け根まで痛みが広がっている 痛みや症状が1〜2週間ほど続く ドケルバン病の初期には、痛みを感じる動作をやめると症状が改善する場合がほとんどです。しかし、再び動作をしたときに、あらためて痛みが現れるケースも珍しくありません。痛みが強く、日常生活に支障をきたすようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。 ドケルバン病の原因やセルフチェック方法を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 ドケルバン病になったら病院へ行くべき理由 ドケルバン病になったらなぜ病院へ行くべきなのか、主な理由は以下の3つです。 痛みを繰り返す可能性があるため 別の疾患との区別が難しいため 症状によって注射療法や手術療法を必要とするため 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 痛みを繰り返す可能性があるため ドケルバン病は痛みを繰り返す可能性が高く、なかなか自然治癒に至らない疾患です。そのため、できるだけ早めに病院へ行き、適切な治療を受けることをおすすめします。 日常生活では手首や親指を使う動作が多く、その分、ドケルバン病による痛みは繰り返したり長引いたりしやすくなります。 また、症状が悪化すると、日常生活や仕事にも支障が出るようになるため注意が必要です。 別の疾患との区別が難しいため ドケルバン病の症状は、ほかの疾患と類似しているため、病院へ行って診断を受けておくと安心です。 たとえば、ドケルバン病と似たような症状の疾患として、リウマチや細菌感染症などが挙げられます。仮にリウマチのように手の関節痛を引き起こす疾患である場合、重症化すると関節の腫れ、手や指の変形などが生じる可能性があります。 ドケルバン病を含む腱鞘炎と別の疾患を区別することは簡単ではありません。ドケルバン病が疑われる場合は、自己判断をせず、病院へ行くようにしましょう。 症状によって注射療法や手術療法を必要とするため ドケルバン病の初期には、安静と痛みのコントロールで症状が改善する場合がほとんどです。しかし、保存療法で症状が改善しない場合には、注射療法や手術療法を検討する必要があります。 ドケルバン病の症状の程度に応じて、以下のようにさまざまな治療法があります。 治療法 症状の程度 治療内容 安静 軽度 患部を安静にする 装具(サポーターなど)を使って手首を固定する 薬物投薬 軽度 湿布や塗り薬で炎症を抑える 抗炎症薬(ロキソニンやカロナールなど)を内服する ステロイド注射 中度 腱鞘内ステロイド注射をして炎症を抑える 症状に応じて複数回にわたって注射する 手術 重度 腱鞘切開手術をおこなう 手首の親指側の腱鞘を露出させ、腱の通っている方向にあわせて切開する 症状や痛みの程度によって適切な治療法が異なるため、医師に相談の上、自分に合った方法を選択しましょう。 ドケルバン病は放置するほど完治までに時間がかかる ドケルバン病は放置するほど、症状が悪化し、完治までに時間がかかります。 たとえば、ドケルバン病の症状が現れているにもかかわらず手首を使い続けると、親指や前腕にも痛みが広がる可能性があります。また、関節が固まって動かしにくくなり、手術が必要になるリスクも少なくありません。 ドケルバン病は早期に治療を始めれば、保存療法で症状の改善が見込める疾患です。日常生活や仕事への影響を長引かせないためにも、ドケルバン病は放置しないようにしてください。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。ドケルバン病の症状がなかなか改善せずにお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ドケルバン病と腱鞘炎の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。 ドケルバン病の主なセルフケア方法 ドケルバン病ですぐに病院へ行けない場合や、少しでも痛みをやわらげたい場合は、以下のようなセルフケアがおすすめです。 セルフマッサージをする 指や手首のストレッチをする テーピングやサポーターを使用する 自宅で気軽にできる方法ばかりなので、ぜひ参考にしてください。 セルフマッサージをする ドケルバン病による炎症を抑えるためには、軽いセルフマッサージが効果的です。手首や親指の付け根を優しく揉みほぐすことで血行が促進され、痛みの軽減が期待できます。 具体的には、1回あたり30秒前後、1日3回を目安に親指の付け根周辺を反対の手のひらで軽くマッサージしましょう。手首や親指をマッサージする際は、力を入れすぎず、リラックスした状態でおこなうことがポイントです。 手首や指のストレッチをする ドケルバン病のセルフケア方法として、手首や指のストレッチがあります。軽いストレッチは、手首や親指周辺の筋肉、関節の可動域を保つことにつながり、痛みを予防する効果が期待できます。 ドケルバン病に有効なストレッチ方法は、主に以下の3つです。 手首のストレッチ 手のひらを前に向ける 反対の手で指先を掴む ゆっくりと手首を後方に引っ張る 親指のストレッチ 手のひらを上に向ける 反対の手で親指を軽く引っ張る 手首の回転運動 手のひらを下に向ける ゆっくりと手首を回転させる 時計回りと反時計回りにそれぞれおこなう なお、痛みを感じたらすぐにストレッチを中止してください。とくに痛みが強い場合は、無理にストレッチをすると症状が悪化する可能性があるので注意しましょう。 ドケルバン病のストレッチ方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 テーピングやサポーターを使用する テーピングやサポーターの使用も、ドケルバン病のセルフケア方法の一つです。痛みがある場合は、テーピングやサポーターで親指や手首を固定すると、無理な動きから関節を保護し、炎症の悪化を防げます。 とくに家事や仕事などで手を使う動作が避けられないケースでは、サポーターの使用によって、日常生活における負担を軽減できます。 また、テーピングは市販の伸縮性があるもので十分です。親指の第2関節から手首の親指側に1本、親指の第1関節からもう1本テープを貼り、患部を固定します。 テーピングやサポーターを使用し、患部にかかる負担を減らせると、症状の改善が期待できます。 ドケルバン病の治療における再生医療の可能性 保存療法やステロイド注射などで症状の改善がみられない場合は、再生医療による治療も選択肢の一つです。再生医療には、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液を利用するPRP療法などがあります。 リペアセルクリニックでは、関節の炎症に対する再生医療をおこなっています。当院の幹細胞治療では、米粒2〜3粒ほどの脂肪から十分な量の細胞を培養できるため、従来の治療法と比較して身体への負担が少なくて済む点が特徴です。 再生医療による治療法や具体的な症例については、以下のページで詳しく解説しています。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。ドケルバン病の治療法でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 まとめ・ドケルバン病の受診目安を把握して病院を受診しよう ドケルバン病は、初期であれば患部の安静や痛みのコントロールによって、症状の改善が期待できます。しかし、痛みが強い場合や、症状が1〜2週間ほど続く場合には、自己判断せずに病院を受診するようにしてください。 ドケルバン病は悪化すると、手首や指の関節が固まって動かしにくくなったり、痛みの範囲が広がったりして、ステロイド注射や手術が必要になる可能性があります。 セルフケアに取り組みながらもなかなか症状が改善しない場合は、早めに病院へ行きましょう。
2025.03.31 -
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「ストレッチでドケルバン病の痛みは改善する?」「どんなストレッチをすればいい?」と悩んでいませんか? ドケルバン病の症状を和らげるには、日ごろから手首や指のケアを意識することが大切です。日常的にストレッチを取り入れると痛みの緩和が期待できます。 本記事では、自宅や職場などで手軽にできるストレッチ方法を紹介します。さらに、ストレッチを行う際の注意点や予防法も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 ドケルバン病とは ドケルバン病は狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)とも呼ばれ、腱鞘炎の一種です。手首の親指側にある2本の腱が通っている、腱鞘というトンネル状の組織が炎症を起こし、痛みが生じます。 指の腱鞘炎の一種である「ばね指」とは異なり、指の曲げ伸ばしで引っかかる症状はなく、親指の付け根や手首の痛みが主な特徴です。 ドケルバン病の主な症状 親指を動かすと、親指側の手首が痛む 親指側の手首が熱を持つ 手首の親指側が腫れる ドケルバン病になる原因 親指・手の使いすぎ 女性ホルモンの変化 ドケルバン病になりやすい人の特徴 手や指をよく使う仕事をしている人 手や指をよく使うスポーツをする人 長時間スマートフォンを片手で操作する人 妊婦や更年期の女性 ドケルバン病になる人は女性の割合が多く、中でも妊娠出産期や更年期の時期であり、女性ホルモンの変化が関係しています。 美容師やピアニスト、ゴルファーなど、手や親指を酷使する職業の人はドケルバン病になりやすいとされています。また、スマートフォンを親指で操作する習慣もドケルバン病を引き起こす一因です。 日ごろの何気ない動作で手や手首に負担をかけているかもしれません。手首が痛くなったら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。 ドケルバン病においてストレッチは有効なのか ドケルバン病の治療は安静が基本ですが、ストレッチも有効です。ストレッチは腱の働きを高め、腱鞘を広げて圧迫を取り除き、柔軟性を改善する効果があります。 逆に手首や親指を動かさないよう安静にしすぎても関節が衰えてしまい、動きが悪くなってしまう場合もあるので注意が必要です。 ドケルバン病は手を使う頻度が多ければ多いほど、発症しやすく治りにくくなります。痛みを放置していると、手を動かせなくなるケースもありますので日ごろのケアが大切です。 無理をせず、できる範囲で適度なストレッチをして、症状の緩和を目指しましょう。 ドケルバン病のストレッチ方法3選 ドケルバン病の症状を和らげる効果が期待できる、手軽なストレッチを3つ紹介します。場所を選ばず、いつでもできてコストもかからないので、仕事の合間や休憩時間に取り入れて習慣にしましょう。 ストレッチ自体はドケルバン病の根本的な治療にはなりませんが、無理のない範囲で続けると、手首の負担を減らし、症状の悪化を防ぐのに役立ちます。 指のストレッチ方法 ドケルバン病を防ぐための、血行を良くする指のストレッチは以下の通りです。できる限りリラックスした状態でストレッチを行いましょう。 痛みの症状がある方の手首を反らす 手の指を一本持つ 指を10秒間甲側へ反らす 他の指も同様にストレッチする 1~4を2、3回繰り返す このストレッチでは指の筋肉がほぐれ、腱の負担が軽くなります。継続して行うと柔軟性が向上し、手や指の負担を軽減する効果が期待できます。 手首のストレッチ方法 次は、手首周りの血行をよくするストレッチ方法です。以下の手順でストレッチをしてみましょう。 手首の痛みがある方の腕を前に伸ばす 手のひらを下に向ける 反対側の手で指をつかむ ゆっくりと手前へ引っ張る 10秒間伸ばしゆっくりと戻す また、以下のストレッチ方法もあります。 手を机やテーブルに置く 反対の手で人差し指から小指をつまむ 10秒間ゆっくり反らせる 反対側の手も同様にストレッチする いずれも複数回、繰り返しストレッチしてみましょう。自宅や職場などでも簡単に行えるので可能な範囲で取り入れることが大切です。 腕のストレッチ方法 ドケルバン病はひどくなると腕にも痛みが広がります。腕のストレッチは、手首を反らす動きや手を握るときに使う長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)を伸ばすことが重要です。この筋肉は親指側の手首を支える役割があり、ドケルバン病において負担がかかりやすい腕の筋肉の一つです。 椅子に座る 右ひじを伸ばして前に出す 右手のひらをお腹の方向に向ける 左手で指の付け根をつかむ 右手は楽にして力を抜き左手を手前に引っ張る 反対側の手も同様に行う 長橈側手根伸筋のストレッチには筋肉の緊張をほぐす効果があるため、ドケルバン病の痛みを和らげる効果が期待できます。ストレッチは、入浴後の全身が温まった状態で行うとより効果的です。 【悪化する?】ドケルバン病のストレッチで注意すべきポイント ドケルバン病においてストレッチは症状緩和の効果に期待ができますが、方法や強さに注意が必要です。 ストレッチを行う際に注意すべきポイントは下記の通りです。 リラックスした状態でゆっくり行う 素早く繰り返さない 無理に伸ばさない 痛みが強いときは無理に行わない ストレッチのやり方を間違えてしまったり、無理に引っ張ったりすると、悪化してしまう可能性もあります。痛みを伴わず、気持ちよく伸びている程度でストレッチを行いましょう。痛みが出た場合はすぐにストレッチをやめて、手首を休めることが大切です。 ドケルバン病になったらやってはいけないこと ドケルバン病になったら避けるべき行動は、以下の通りです。 長時間手を使う 重いものを持ち上げる 痛みを放置する 以下で、それぞれ見ていきましょう。 長時間手を使う パソコンやスマートフォンの長時間の継続的な作業は避けましょう。パソコンの作業においては、マウスに手を置いてクリックをしたり、キーボードで文字を入力したりする動作が指や手首の負担につながります。スマートフォンの片手操作も指に負担をかけています。 長時間手を使う作業をする場合は、反対の手を使う工夫をして、利き手の負担を減らすことが大切です。 また、こまめに休憩をはさみ、手首や指を軽く動かしたり、ストレッチを取り入れたりすると負担が和らぎます。 重いものを持ち上げる 重いものを持ち上げる動作は、指や手首への負担が大きくなります。とくに赤ちゃんを抱っこして頭を支える際に、親指を広げて支えると負担がかかり、発症の一因にもなっています。育児や介護において人を抱き上げる機会が多い人は注意が必要です。 重いものを持ち上げたり運んだりするときは、手を体幹に引き寄せて、必要に応じて両手を使いましょう。 痛みを放置する ドケルバン病の痛みは放っておかないようにしましょう。初期症状は軽いかもしれませんが、治療タイミングが遅くなると完治に時間がかかるケースも少なくありません。指や手首の痛みや腫れ、熱、動かしづらさなどの初期症状が出たらなるべく動かさないようにします。 また、症状があるのに放置すると痛みの範囲が広がり、手首だけではなく、前腕にも痛みが広がる可能性もあります。 痛みや違和感が出たら、無理をせずに早めに病院を受診してください。早めに適切な対処をすると悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。 ドケルバン病におけるストレッチ以外の予防法 ドケルバン病にはストレッチを継続的に行う以外に下記の予防法があります。日々の生活の中で気を付けるようにしましょう。 手首と親指を長時間使わないようにする パソコンを長時間作業するときは1時間に一度休憩をはさむ スマートフォンは両手で操作する サポーターをつける ドケルバン病を予防するためには、手や指を酷使しないことが大切です。普段から長時間同じ作業をしないように意識し、マウスの代わりにテンキーを使ったり、キーボードの位置を調整したりして、手首にひねりが加わらないようにします。 また、サポーターで手首の過度な動きを制御したり関節を保護したりすると、症状緩和の効果が期待できるでしょう。 ドケルバン病はストレッチで症状の改善を図ろう ドケルバン病は症状が軽傷のうちに、ストレッチを意識的に取り入れることで痛みの改善や予防が期待できます。手首や指の血行を良くし、筋肉の緊張をほぐすと、痛みが和らぐ可能性があります。 また、ドケルバン病では手首と指を安静にすることも大切です。長時間手や指を使う作業をするときは、こまめに休憩をとり、利き手を酷使しないように心がけましょう。 ストレッチを続けても痛みが改善しない場合や、かえって悪化する場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
2025.03.31 -
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乾癬性関節炎かもしれないけど、何科を受診するべきかわからない 乾癬性関節炎の症状別の受診先を知りたい 関節に腫れや違和感、皮膚の発疹に爪の変化が現れ、乾癬性関節炎の症状かもしれないと思っても、何科を受診するべきかわからないとお悩みではないでしょうか。 乾癬性関節炎とはどんな症状なのか 【症状別】乾癬性関節炎の受診先 乾癬性関節炎の診断基準 乾癬性関節炎になった場合の治療法 乾癬性関節炎は症状によって受診先が変わります。また、乾癬性関節炎についても詳しく紹介します。 乾癬性関節炎でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。 乾癬性関節炎とは 原因 説明 免疫異常 自己免疫の働きが過剰になり、関節や皮膚に影響を与えることがある 遺伝的要因 家族に乾癬や関節炎のある場合、発症リスクが高まる可能性がある 環境要因 感染症や気候の変化などが影響し、症状が出ることがある 皮膚の乾癬 乾癬を発症している人は、関節の症状が現れることがある 乾癬性関節炎(PsA)は、乾癬(皮膚の疾患)と関節炎が合併した疾患です。日本人では乾癬を発症した方の10~15%に発症すると言われています。(文献1) 症状は多岐に渡り、以下に分類されます。 末梢関節:手足の指の第1関節(DIP関節)を中心に、左右非対称に多関節が侵される 腱付着部炎:アキレス腱や膝蓋腱など、腱・靭帯といった骨に付着する部位に違和感が生じる 指趾炎:手足の指がソーセージの様に腫れることがあり、特に足の第3・4趾によく見られる 脊椎関節炎:背骨や仙腸関節に炎症が起こり、腰痛を発症する(安静時に強くなり、動き出すと改善する) 爪病変:爪の一部の剥離、肥厚、凹みなどの変化が見られる (文献1)(文献2) 2025年現在時点では、乾癬性関節炎が引き起こされる明確な原因やエビデンスは存在せず、根本的な治療法も見つかっていません。 (文献3) 症状が進行し、関節の変形などが引き起こされ、日常生活に支障をきたす可能性があります。 症状の種類としては、関節・皮膚・その他の症状(爪や眼など)があります。症状が合併する可能性もあり、早期の診断と適切な治療が大切です。 【症状別】乾癬性関節炎の受診先 症状 推奨される受診科 説明 皮膚症状 皮膚科 皮膚の発疹や爪の変化が主な症状の場合は、皮膚科を受診 関節症状 リウマチ科(膠原病科) 関節の腫れやこわばりが主な場合は、リウマチ科(膠原病科)を受診 皮膚症状と関節症状の両方 科が連携している医療機関 皮膚症状と関節症状が両方ある場合、専門科が連携している医療機関を選ぶのが望ましい 乾癬性関節炎の受診先は、症状によって異なります。そこで本項目では、症状別で乾癬性関節炎の受診先を解説します。 また、乾癬性関節炎の初期症状について詳しく知りたい方は以下の関連記事をご確認ください。 皮膚症状の場合|皮膚科 乾癬性関節炎の症状が主に皮膚の場合、皮膚科の受診が推奨されます。 乾癬の発症から時間が経過していない場合、別の皮膚病である可能性も高いです。皮膚科を受診する際は、皮膚の症状だけでなく、関節の違和感についても伝えましょう。 関節症状の場合|リウマチ科(膠原病科) 乾癬性関節炎では、関節の腫れ、こわばり、動かしたときの違和感などが現れます。 関節の違和感は炎症によるもので、放置すると関節の変形や可動域の制限につながります。 リウマチ科であれば、関節の炎症や変形を適切に診断し、ダメージを抑えるための治療を受けられます。 関節の違和感に悩まれている方は、早めにリウマチ科を受診し、治療を受けることが大切です。 皮膚症状と関節症状の両方がある場合|科が連携してる医療機関 乾癬性関節炎の関節症状は、関節リウマチと似ている部分が多いです。そのため、皮膚科とリウマチ科が連携している医療機関への受診が推奨されます。(文献3) 乾癬性関節炎は、皮膚科とリウマチ科の両方の診療が必要な疾患です。乾癬の治療と関節の炎症の管理を並行しないと、治療のバランスが崩れることがあります。 また、科が連携している医療機関であれば、皮膚もしくは関節に異常をきたした場合に早期に察知し、適切な治療を受けやすくなります。 関節リウマチについては、以下の記事で詳しく解説しています。 乾癬性関節炎の診断基準 項目 詳細 点数 現在の乾癬 皮膚または爪に活動性の乾癬病変がある 2点 乾癬の既往歴 過去に医師によって乾癬と診断されたことがある 1点 乾癬の家族歴 家族(一親等、二親等)に乾癬の人がいる 1点 爪の病変 爪に特徴的な変化(陥凹、剥離、肥厚など)がある 1点 指炎 指全体がソーセージのように腫れている 1点 リウマトイド因子陰性 リウマトイド因子が陰性である 1点 レントゲン所見 手足のレントゲンで特徴的な骨の変化がある 1点 乾癬性関節炎の診断基準の1つとして、CASPAR分類基準(Classification Criteria for Psoriatic Arthritis)があります。(文献3) CASPAR分類基準は表の項目で計算し、当てはまるごとに点数が加算されて、合計で3点以上に乾癬性関節炎と評価されます。 CASPAR分類基準の中でも、現在の乾癬が当てはまる場合は2点加算され、それ以外の項目は1点加算です。 ただし、CASPAR分類基準は診断方法の1つであり、診断は臨床症状や他の検査結果も総合的に判断され、症状の有無を医師が判断します。 CASPAR分類基準で、3点以上の方は医療機関を受診しましょう。 乾癬性関節炎になった場合の治療法 治療法 有効な理由 薬物療法 炎症を抑える薬や免疫を調整する薬により、関節や皮膚の症状を管理しやすくなる 運動療法 関節の可動域を維持し、筋力を保つことで、関節の機能低下を防ぐ 食事療法 抗炎症作用のある食品を摂取し、体内の炎症を抑え、症状の悪化を防ぐ可能性がある (文献4) 2025年現在、乾癬性関節炎の明確な治療法は見つかっていません。しかし、適切な治療を行うことである程度症状をコントロールし、日常生活や仕事への支障がない状態を目指せます。 主な治療法としては、薬物療法、運動療法、食事療法の3つがあり、症状によって治療法が異なります。 治療法について、詳しく紹介します。 薬物療法 薬の種類 代表的な薬 役割 注意点 鎮痛薬 アセトアミノフェン NSAIDs(イブプロフェン ロキソプロフェン 違和感を和らげる NSAIDsは胃腸障害に注意が必要 疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs) メトトレキサート サラゾスルファピリジン レフルノミド 関節の進行を遅らせる 効果が出るのに時間がかかり、定期的な検査が必要 生物学的製剤 TNF阻害薬 (インフリキシマブ、アダリムマブなど) IL-17阻害薬 (セクキヌマブ、イキセキズマブなど) JAK阻害薬(トファシチニブなど) 炎症を抑える 感染症のリスクに注意が必要 (文献3) 薬物治療は医師の診断のもと薬が処方されます。薬の種類によって、役割や症状改善の効果に違いがあるものの、乾癬性関節炎の改善が望めます。 薬物治療を行う際は、自己判断で薬の量や飲むペースを決めずに医師の指示に従います。 また、副作用が出た場合は使用を中止し、医師へ相談しましょう。 運動療法 運動の種類 目的 具体例 解説 ポイント 関節可動域訓練 関節の動きを良くする 関節をゆっくり動かすなど 関節の柔軟性を保ち、動きをスムーズにします 負荷のかからない範囲で行い、違和感があれば、すぐに中止する 筋力強化訓練 関節を支える筋肉を強化する 軽いダンベル操作など 関節の動きを安定させる 無理のない回数から始め、徐々に増やしていく 有酸素運動 健康状態を改善させる ウォーキングや水泳など 心肺機能を高め、全身の血行をよくする 長時間続けられる、軽い運動を選ぶこと (文献1)(文献3) 運動療法は関節の動きの改善や筋肉強化に役立ち、乾癬性関節炎の症状を軽減できます。 運動療法を行う場合は、自己判断ではなく、医師の指示のもと行うようにしましょう。 また、どの運動を行う場合でも負担が少ないものを選び、無理のない範囲で徐々に慣らしていくのが大切です。 もし、運動療法中に違和感や腫れが発生した場合は運動を中止し、医師に相談しましょう。 食事療法 栄養素 役割 食品の具体例 推奨される食品 オメガ3脂肪酸 炎症を抑える 青魚(サバ、イワシ、マグロ)、亜麻仁油、えごま油 抗酸化物質 関節のダメージを軽減 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 ビタミンD 免疫調整、骨の健康維持 魚介類、卵、きのこ類 カルシウム 骨の健康維持 乳製品、小魚、緑黄色野菜 食物繊維 腸内環境を整え、免疫調整 野菜、果物、海藻、きのこ類 栄養素 起こりうる症状 食品の具体例 避けるべき食品 飽和脂肪酸 炎症悪化の可能性 肉の脂身、バター、ラード トランス脂肪酸 炎症を引き起こす可能性 加工食品、揚げ物、マーガリン 精製された炭水化物 血糖値の急上昇、炎症悪化の可能性 白米、パン、麺類、菓子類 過剰な糖分 炎症悪化の可能性 炭酸飲料、菓子類、果物ジュース グルテン グルテン過敏症の場合、炎症悪化の可能性 小麦、ライ麦、大麦 乾癬性関節炎を治す食べ物はありません。しかし、食事で症状の改善は目指せます。 大事なのは、推奨されている食事を普段の食事で、継続的に取り入れることです。 乾癬性関節炎の改善に役立つ食事としておすすめなのが、塩分控えめの和食料理です。 逆に乾癬性関節炎を悪化させる特定の食品はありませんが、過剰な糖分や精製された炭水化物は太りやすく、乾癬悪化につながります。 特定の食品を摂取、避けるだけでは 乾癬性関節炎の改善にはつながらず、食事の取り方に気を付ける必要があります。 具体例としては、腹八分目の食事や暴飲暴食を避けるなどです。乾癬性関節炎だからといって厳密に食べるべき、食べてはいけない食品はなく、バランスの良い食事を日頃から意識すること大切です。(文献5) 乾癬性関節炎の疑いがある方は皮膚科・リウマチ科で早めの受診を 乾癬性関節炎の疑いがある方は、早めの皮膚科・リウマチ科の受診をおすすめします。 乾癬性関節炎の疑いがあるものの、どの科を受診して良いのかわからず診療を躊躇われている方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、乾癬性関節炎の回復を促します。 辛い乾癬性関節炎の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」 一般社団法人 日本リウマチ学会 ホームページ, 2022年5月22日 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年3月12日) (文献2) 朝比奈 昭彦「癬性関節炎の不可逆的関節破壊進行阻止のための早期発見と治療を目指した診療ガイドライン策定に関する研究」『厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)』pp1-170, 2019年 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2018/201811014B.pdf(最終アクセス:2025年3月12日) (文献3) 日本リウマチ学会「乾癬性関節炎(PsA)」 https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/kansenseikansetsuen/(最終アクセス:2025年5月16日)最終アクセス:2025年3月12日) (文献4) 朝比奈昭彦ほか,「乾癬性関節炎診療ガイドライン 2019」『日本皮膚科学会ガイドライン』pp1-59, 2019年 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/PsAgl2019.pdf(最終アクセス:2025年3月12日) (文献5) S Upala&A Sanguankeo(2025).Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis,PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25920774/(Accessed:2025-03-12)
2025.03.31 -
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「最近なぜか、寝起きに手足がしびれている」 「病気が原因ではないかと不安」 このようなお悩みを抱えている方も多いことでしょう。 寝起きに手足がしびれる原因は、寝ているときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 この記事では寝起きに手足がしびれる原因を中心に解説します。 日常生活の中で行える対処法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれる原因としてあげられるのは、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 息を吸ったり吐いたりを繰り返した結果、血液中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに自分でおこなえる主な対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに、手足が動かない、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があります。命に関わることもあるので、ためらわず救急車を呼びましょう。 糖尿病を治療している中で、徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 手足がしびれ解消のためには、セルフケアや治療が大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中や糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 手足のしびれでお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。整形外科の中でも脊椎(背骨)疾患の治療を行っているところが望ましいでしょう。 整形外科や神経内科などの受診歴がない場合は、主治医に相談しましょう。主治医に紹介状を書いてもらうことで、受診がスムーズに進みます。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。脳血管疾患の可能性が高く、一刻を争います。 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
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突然ですが、手足のしびれや筋力低下を感じたことはありませんか?もしかしたら、それはギラン・バレー症候群の初期症状かもしれません。 聞き慣れない病名かもしれませんが、年間10万人あたり1~2人が発症する身近な病気で、2021年のLancet誌では世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因と報告されています。 免疫システムが誤って自分の神経を攻撃してしまうこの病気、実は風邪や下痢といった感染症がきっかけで発症することも。 重症化すると呼吸困難に至るケースもありますが、早期発見・早期治療で後遺症を最小限に抑えることが可能です。 この記事では、ギラン・バレー症候群の症状、原因、治療法、予後まで、詳しく解説します。正しく理解し、もしもの時に備えましょう。 ギラン・バレー症候群を理解する3つのポイント ギラン・バレー症候群は、あまり聞き慣れない病名かもしれません。しかし、誰にでも起こりうる可能性のある病気であり、決して他人事ではありません。 正しい知識を持つことで、早期発見・早期治療につながり、後遺症を最小限に抑えることができるのです。 この章では、ギラン・バレー症候群を理解するための3つのポイントを、わかりやすく丁寧に解説します。 ギラン・バレー症候群とは? ギラン・バレー症候群は、自分の免疫システムが誤って自分の末梢神経を攻撃してしまう自己免疫疾患です。通常、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る大切な役割を担っています。 しかし、ギラン・バレー症候群では、この免疫システムが正常に機能せず、味方であるはずの神経を攻撃してしまうのです。 この攻撃によって末梢神経が炎症を起こし、神経を覆うミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されたりします。 その結果、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらなくなり、手足のしびれや筋力低下といった症状が現れます。 ギラン・バレー症候群は、世界中で年間10万人あたり1~2人が発症すると言われており、年齢や性別を問わず、誰にでも起こりうる病気です。 小児から高齢者まで、どの年齢層でも発症の可能性があり、男性にやや多い傾向が見られます。 2021年のLancet誌の報告によれば、ギラン・バレー症候群は世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因であり、多くの患者さんが進行性の運動弱化の前に、上気道感染症などの先行感染症を経験するとされています。 ギラン・バレー症候群は、一般的には急速に症状が進行しますが、自然に回復していくことが多いのも特徴です。 多くの患者さんは数ヶ月で回復に向かいますが、約20%の方は1年後も何らかの後遺症が残る可能性があります。また、再発する可能性も2~5%程度存在します。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ギラン・バレー症候群の原因とメカニズム ギラン・バレー症候群の明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの場合、風邪や下痢などの感染症がきっかけとなって発症すると考えられています。 例えば、カンピロバクター・ジェジュニという細菌による食中毒が、ギラン・バレー症候群の引き金になることが知られています。 2022年のInternational Journal of Molecular Sciencesに掲載された研究では、ギラン・バレー症候群の約3分の1はカンピロバクター・ジェジュニ感染が原因であると報告されています。 これらの感染症に対して、私たちの体は免疫システムを活性化させ、体内に侵入してきたウイルスや細菌を攻撃します。 しかし、この免疫反応が過剰に起こったり、制御が効かなくなったりすると、本来攻撃すべきでない自分の神経を攻撃してしまうことがあるのです。 これがギラン・バレー症候群の発症メカニズムの一つと考えられています。 具体的には、病原体の表面構造と神経の構成成分が類似している場合、免疫システムがこれらを誤認識し、神経を攻撃してしまう「分子模倣」という現象が関与していると考えられています。 カンピロバクター・ジェジュニ関連のギラン・バレー症候群では、この分子模倣によって引き起こされる自己抗体媒介性免疫プロセスが関与している強力な証拠があるとされています。 ギラン・バレー症候群を引き起こす可能性のある感染症には、カンピロバクター・ジェジュニ以外にも、サイトメガロウイルスなどのヘルペスウイルス、マイコプラズマ属の細菌、腸管系のウイルスなどが挙げられます。 また、ジカウイルス感染症やCOVID-19の後に発症するケースも報告されています。 さらに、免疫チェックポイント阻害薬という、一部のがん治療薬の副作用として発症するケースもあるため、注意が必要です。 患者さんの約60%で、抗ガングリオシド抗体という物質が血液中に見つかることが知られています。 これは、免疫システムが神経の特定の部分を攻撃している証拠と考えられています。 ギラン・バレー症候群の種類と分類 ギラン・バレー症候群は、大きく分けて「脱髄」が優勢なタイプと、「軸索」が侵されるタイプの2つに分類されます。 脱髄が優勢なタイプ:神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が壊れてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。 代表的なものとして、急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)が挙げられます。これはギラン・バレー症候群の中で最も一般的なタイプです。 軸索が侵されるタイプ:神経線維そのものが傷ついてしまうことで、神経の情報伝達が阻害されます。 代表的なものとして、急性運動軸索神経障害(AMAN)が挙げられます。 また、フィッシャー症候群(またはミラー・フィッシャー症候群)と呼ばれるタイプも存在します。 これは、眼球運動障害、体のバランスがとりにくくなる運動失調、腱反射の消失といった症状が見られますが、手足の筋力低下はあまり見られないという特徴があります。 2013年のNeurologic clinics誌に掲載された論文では、このフィッシャー症候群を含め、純粋感覚型変異、自律神経症状の限定的な発現、咽頭・頸部・腕神経叢型パターンなど、他のまれな表現型の変異についても報告されています。 これらの種類によって、症状や経過、予後が異なる場合があるため、正確な診断が重要です。 ギラン・バレー症候群の症状と診断 ギラン・バレー症候群は、初期症状が他の病気と似ていることが多く、診断が難しい場合があります。 風邪のような軽い症状だと安易に考えて放置してしまうと、後遺症が残ってしまう可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。 この章では、ギラン・バレー症候群の代表的な症状と、どのように診断されるのかについて詳しく解説します。 初期症状:しびれや筋力低下 ギラン・バレー症候群の初期症状は、両手足の指先にしびれやチクチクするような感覚が現れることが多いです。 まるで手袋や靴下を履いているような感覚で、左右対称に症状が現れる点が特徴です。 患者さんの中には、「最初は足が少しジンジンするだけだったのに、数日のうちに両足全体がしびれて、歩くのもつらくなった」と訴える方もいます。 このように、症状の進行は非常に速く、数時間から数日のうちに急速に悪化していく場合もあるため注意が必要です。 また、しびれと同時に、筋力低下も現れ始めます。具体的には、次のような症状が現れることがあります。 ボタンを留める、箸を使うといった細かい動作が難しくなる。 ペットボトルの蓋を開けられない。 文字を書くのが困難になる。 歩行がふらつく。 階段の上り下りが難しくなる。 これらの初期症状は、風邪や疲れなど、他の原因によるものと勘違いしやすいので注意が必要です。 特に、症状が急速に悪化する場合は、ギラン・バレー症候群の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診することが大切です。 症状の進行:歩行困難や呼吸麻痺 ギラン・バレー症候群の初期症状が現れてから数日~数週間で、筋力低下はさらに進行し、手足の麻痺へと繋がっていきます。 「最初は足がしびれる程度だったのが、今では杖がないと歩けない」というケースも珍しくありません。 症状が進行すると、歩行が困難になるだけでなく、日常生活における様々な動作に支障をきたすようになります。 例えば、衣服の着脱、食事、洗面、トイレといった動作が一人では行えなくなることもあります。 さらに重症化すると、呼吸に必要な筋肉や、食べ物を飲み込むための筋肉も麻痺し、呼吸困難や嚥下障害を引き起こす可能性があります。 最悪の場合、人工呼吸器の装着や経管栄養が必要となるケースもあり、まさに生命の危険に晒される状態となります。 2015年のPrimary care誌の報告によれば、認識されず、または治療されなかった場合、ギラン・バレー症候群は著しい罹患率と死亡率につながる可能性があります。 診断方法:神経伝導検査や髄液検査 ギラン・バレー症候群の診断は、患者さんの症状や経過、神経学的診察、神経伝導検査、髄液検査などの結果を総合的に判断して行います。 2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、腰椎穿刺と電気生理学的検査は、診断を裏付け、脱髄型と軸索型のGBSを鑑別するのに役立つと報告されています。 神経伝導検査:神経伝導検査では、神経に電気刺激を与えて、その伝わる速度や反応を測定します。ギラン・バレー症候群では、神経の伝導速度が遅くなったり、反応が弱くなったりするといった異常が見られます。 これは、神経線維を覆っているミエリン鞘という部分が損傷を受けたり、神経線維そのものが障害されていることを示しています。 髄液検査:髄液検査では、腰椎穿刺という方法で採取した髄液を調べます。 ギラン・バレー症候群の特徴的な所見として、髄液中のタンパク質が増加している一方で、細胞数は正常であるという「蛋白細胞解離」が見られます。これは、神経に炎症が起こっていることを示唆する重要な指標です。 ギラン・バレー症候群と類似する疾患との鑑別 ギラン・バレー症候群は、他の神経疾患と症状が似ている場合があり、鑑別が難しいケースもあります。 特に、重症筋無力症、ボツリヌス症、ポリオ、ダニ麻痺症、ウエストナイルウイルス感染症などは、ギラン・バレー症候群と似たような症状を示すことがあります。 これらの疾患とギラン・バレー症候群を鑑別するためには、症状の持続時間や対称性、感覚異常の有無、自律神経症状の有無など、様々な要素を考慮する必要があります。 医師は、これらの要素を詳細に確認することで、正しい診断を下し、適切な治療方針を決定します。 例えば、重症筋無力症は、ギラン・バレー症候群とは異なり、筋力低下が日内変動を示すことが多く、また、眼瞼下垂や複視などの眼症状を伴うことが多いです。 ボツリヌス症は、眼球運動障害や嚥下障害、構音障害などの症状が特徴的で、ギラン・バレー症候群のように四肢の筋力低下が対称性に起こることは少ないです。 このように、それぞれの疾患に特徴的な症状や経過を把握することで、鑑別が可能となります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ギラン・バレー症候群の治療法と予後 ギラン・バレー症候群は、適切な治療を行うことで多くの場合回復に向かう病気です。 しかし、重症化すると呼吸困難など生命に関わる危険性もあるため、早期の診断と治療開始が非常に重要です。 ここでは、ギラン・バレー症候群の治療法と予後について、より詳しく解説していきます。 治療方法:免疫グロブリン療法や血漿交換 ギラン・バレー症候群の治療の中心は、免疫グロブリン療法と血漿交換です。 これらの治療は、免疫システムの働きを調整することで、誤って自分の神経を攻撃している状態を鎮め、症状の改善を促します。 2021年のLancet誌の報告によれば、免疫グロブリン療法と血漿交換は同等の効果があり、どちらの治療法も発症早期に開始することが重要であるとされています。 免疫グロブリン療法:免疫グロブリン療法は、健康な人の血液から精製された免疫グロブリンを、点滴で投与する方法です。 免疫グロブリンは、過剰に反応している免疫システムのバランスを整え、神経への攻撃を抑える働きがあります。 点滴による投与のため、入院が必要となるケースが多いです。 副作用として、まれに頭痛、発熱、吐き気、血管痛などがみられることがあります。 これらの副作用は一過性であることがほとんどですが、気になる症状が現れた場合は、速やかに医師に相談することが大切です。 血漿交換:血漿交換は、血液中の液体成分である血漿を専用の機器で取り出し、神経を攻撃している抗体などを含む血漿成分を除去し、代わりに新しい血漿やアルブミン製剤を補充する方法です。 この治療法も入院が必要となります。 副作用としては、血圧の低下、アレルギー反応、出血、血栓塞栓症、低カルシウム血症などがみられることがあります。 免疫グロブリン療法と血漿交換は、どちらも有効な治療法ですが、患者さんの状態やアレルギーの有無、合併症の有無などによって、どちらが適しているかは異なります。 医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。 2014年のNature reviews. Neurology誌に掲載された論文では、静脈内免疫グロブリンと血漿交換は効果的な治療法であることが証明されていると報告されています。 リハビリテーション:機能回復のための運動療法 ギラン・バレー症候群では、筋力低下や麻痺といった症状がみられるため、リハビリテーションも治療の重要な一部です。 リハビリテーションの目的は、低下した身体機能の回復を促し、日常生活への復帰をスムーズにすることです。 リハビリテーションの内容は、患者さんの病状の進行度や年齢、体力、合併症の有無などを考慮して、個別に設定されます。 初期段階で症状が重い時期には、関節の拘縮を防ぐため、関節可動域訓練や寝たきり状態を防ぐための体位変換などが中心となります。 症状が軽快してくると、筋力トレーニングや歩行訓練、日常生活動作訓練など、より積極的な運動療法が開始されます。 理学療法士や作業療法士などの専門家と連携しながら、無理のない範囲でリハビリテーションに取り組むことが大切です。 焦らず、少しずつ身体機能の回復を目指していくことが重要です。 予後:後遺症や再発の可能性 ギラン・バレー症候群の予後は、多くの場合良好で、数ヶ月から1年程度で回復に向かいます。 2015年のPrimary care誌の報告では、多くの症例は後遺症を残さずに回復しますが、そうでない場合は、著しい持続的な衰弱が残る可能性があるとされています。 しかし、患者さんによっては後遺症が残る場合もあり、軽度の筋力低下やしびれ、倦怠感などが挙げられます。また、稀に再発することもあります。 予後は、発症時の症状の重さ、治療への反応、年齢、基礎疾患の有無など、様々な要因によって影響を受けます。 重症例や高齢者の場合、後遺症が残る可能性が高くなる傾向があります。 再発は2~5%程度とされています。再発した場合も、初回と同様の治療が行われます。 最新の治療法と研究 ギラン・バレー症候群の治療法は、現在も研究開発が続けられています。新しい治療薬の開発や、既存の治療法の改良など、様々な研究が行われています。 例えば、補体阻害剤などの新しい治療薬の臨床試験が進行中です。これらの治療薬は、神経へのダメージをさらに軽減する効果が期待されています。 また、国際的な共同研究も盛んに行われており、ギラン・バレー症候群の病態解明や新たな治療法の開発に役立てられています。 2021年のLancet誌の報告では、全てのギラン・バレー症候群患者への治療アクセス改善と、神経損傷の程度を制限できる効果的な疾患修飾療法の開発が必要であるとされています。 ギラン・バレー症候群の日常生活の注意点 ギラン・バレー症候群を発症すると、日常生活に様々な支障が出てきます。症状が落ち着くまでは、無理をせず安静にすることが大切です。 また、日常生活を送る上での工夫も必要になります。 日常生活の注意点: 転倒のリスクを減らすために、手すりや杖などを活用する。 入浴時には、滑り止めマットを敷いたり、浴槽の縁に手すりを取り付けたり、シャワーチェアを使用するなど転倒防止に努める。 トイレには、補助便座や手すりなどを設置する。 衣服は、着脱しやすいものを選ぶ。ボタンやファスナーの代わりに、マジックテープやゴム紐を使用するのも良いでしょう。 食事の際は、介助が必要な場合は家族などに手伝ってもらう。食事内容も、食べやすいように工夫する。 また、精神的なサポートも重要です。不安や恐怖、焦りを感じやすい時期なので、家族や医療従事者と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。 周囲の理解とサポートが、回復への大きな力となります。 まとめ ギラン・バレー症候群は、末梢神経が自分の免疫システムに攻撃される自己免疫疾患です。 手足のしびれや筋力低下といった症状が現れ、進行すると歩行困難や呼吸麻痺に至ることもあります。 原因は明確には解明されていませんが、感染症がきっかけとなることが多いと考えられています。 治療は免疫グロブリン療法や血漿交換、リハビリテーションなどがあり、多くの場合、数ヶ月から1年で回復に向かいます。 しかし、後遺症が残る場合や再発の可能性もあるので、早期発見・早期治療が大切です。少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。 症状が改善した後も、日常生活で無理をせず、周りのサポートを受けながら、焦らずに回復を目指してくださいね。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Shahrizaila N, Lehmann HC, Kuwabara S. "Guillain-Barré syndrome." Lancet (London, England) 397, no. 10280 (2021): 1214-1228. Finsterer J. "Triggers of Guillain-Barré Syndrome: Campylobacter jejuni Predominates." International journal of molecular sciences 23, no. 22 (2022): . Dimachkie MM, Barohn RJ. "Guillain-Barré syndrome and variants." Neurologic clinics 31, no. 2 (2013): 491-510. van den Berg B, Walgaard C, Drenthen J, Fokke C, Jacobs BC, van Doorn PA. "Guillain-Barré syndrome: pathogenesis, diagnosis, treatment and prognosis." Nature reviews. Neurology 10, no. 8 (2014): 469-82. Ansar V, Valadi N. "Guillain-Barré syndrome." Primary care 42, no. 2 (2015): 189-93. ギラン・バレー症候群ガイドライン2023
2025.02.10