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「指がカクッとなる」「朝、指が動かしづらい」「曲げ伸ばしが痛い」 指の不快な状態は「ばね指」かもしれません。家事やパソコン作業など、手をよく使う人に多く見られるのは、ばね指です。軽く見て放置してしまう人もいますが、症状が進行すると手術が必要になる場合があります。 本記事では、ばね指の症状や原因をはじめ、保存療法や注射、手術といった治療法をわかりやすく解説します。 「今の自分の症状にはどんな治療が合っているのか」「病院に行くべきなのか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ばね指の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ばね指の治療法|一覧表 ばね指の治療には、大きく分けて保存治療・注射治療・手術治療・再生医療の4つがあります。 治療法 概要 効果 適応 保存治療 指の安静、テーピング、装具固定、消炎鎮痛薬の内服や湿布などで炎症を抑える方法 症状の軽減や自然治癒を促す 軽症〜中等症、発症初期 注射治療 炎症部位にステロイド薬を注射して腱鞘の腫れを抑える 即効性があり、痛みや動きの改善が期待できる 保存療法で改善がない場合 手術治療 腱の通り道(腱鞘)を切開して動きを改善する外科的治療 高い改善率。再発が少ない 重症例、長期間改善がない場合 再生医療 自分の血液や細胞から抽出した成分を患部に注入し、組織の修復を促す 根本的な回復を目指せる可能性 他の治療で改善が乏しい場合 症状の進行度や日常生活への支障度、既往歴や合併症の有無によって、選択する治療法が異なります。 軽症の場合はまず保存治療から始め、改善が見られない場合に注射や手術を検討するのが一般的です。自己の細胞を利用した再生医療も選択肢の1つになっています。 ばね指の保存治療 ばね指の治療は、症状が軽い場合や発症初期には保存治療から始めるのが一般的です。 保存治療とは、手術を行わずに日常生活での工夫や物理的なケアによって症状の改善を目指す方法です。ここからは、保存治療の方法と特徴を詳しくご紹介します。 安静 ばね指の初期段階では、指をできるだけ使わないようにして安静を保つのが重要です。 指の使い過ぎは腱や腱鞘に負担をかけ、炎症を悪化させます。パソコン作業やスマートフォン操作、手芸やスポーツなど、指を酷使する動作はできる限り控えましょう。 急性期には「RICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上)」が有効で、安静の意識が改善につながります。 安静期間中は手全体の血流を妨げないよう注意し、無理に動かさないことがポイントです。 装具療法 装具療法では、サポーターを装着し、指を固定して腱の動きを制限します。 指を休ませることで炎症が鎮まりやすくなり、痛みや引っかかりが軽減されます。市販のサポーターもありますが、医療機関で作成する装具はフィット感が高く、症状に合わせて調整可能です。 就寝中のみ装着する場合や、日中の作業時に使用する場合など、使用時間は症状や生活習慣によって異なります。 自己判断で長時間固定すると関節が硬くなることがあるため、必ず医師の指示を守りましょう。 ストレッチ ストレッチは、関節の柔軟性を保ち、腱の動きをスムーズにするための大切なケアです。痛みのない範囲で指を曲げ伸ばししたり、反対の手で優しく伸ばすことで、動かしにくさの改善や再発予防が期待できます。 安静や装具療法で一定期間指を使わなかった後は、関節や腱が硬くなりやすいため、医師やリハビリスタッフの指導を受けて正しい方法を行いましょう。 無理に強く伸ばすと炎症を悪化させることがあるため、回数や強さは少しずつ増やしていきます。 冷却・温熱療法 冷却療法(アイシング)は、炎症や腫れが強いときに有効です。氷や冷却パックをタオルで包み、患部に当てることで痛みを和らげます。 温熱療法は血流を促し、組織の修復を促します。温かいタオルや温熱パックを使って手全体を温めると、こわばりが取れやすくなります。 急性期は冷却を優先し、炎症が落ち着いてから温熱へ移行するのが一般的です。どちらも長時間行うと逆効果になるため、適切な時間と頻度を守ることが大切です。 薬物療法 薬物療法では、炎症や痛みを抑えるための薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を飲み薬や塗り薬として使用するのが一般的です。急性期の痛みや腫れを軽減し、日常生活が送りやすくなります。 薬の使用は短期間で効果を発揮することが多いですが、長期使用による胃腸障害や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って適切に使用しましょう。 薬はあくまで症状を抑えるものであり、原因そのものを取り除く治療ではないことも理解しておくことが大切です。 リハビリ リハビリは、指の可動域を回復し、再発を予防するための重要な治療です。手術後や長期間固定を行った後は、指や手首の関節が硬くなっている場合が多く、専門的な可動域訓練が必要となります。 リハビリでは、ストレッチやマッサージ、筋力トレーニングを組み合わせて行い、腱の動きを滑らかにします。 自己流で無理に動かすと炎症が再発する場合があるため、理学療法士や作業療法士の指導を受けながら進めることが望ましいです。 再生医療 再生医療は、患者様自身から採取した幹細胞を培養し、患部に投与する治療法です。幹細胞が持つ、他の細胞に変化する能力「分化能」を利用します。 再生医療では、ご自身の幹細胞を活用するため副作用のリスクが少なく、手術や入院も必要としません。「手術は避けたい」とお考えの方にとって、新たな選択肢となる可能性があります。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療について詳しく知りたい方のために公式LINEで情報提供および簡易オンライン診断を行っております。 詳しくは以下をご確認ください。 ばね指の注射治療 注射治療は、炎症を起こしている腱鞘にステロイド薬を直接注入し、腫れや痛みを抑える方法です。即効性が高く、1回の注射で約60〜90%の方に症状改善がみられます。(文献1)とくに、保存治療で改善が乏しい場合や、早く日常生活に復帰したい場合の選択肢です。 ただし、効果は永続的ではなく、半年後の再発率は約30%、1年後では約50%と報告されています。(文献1)繰り返し注射することで効果が薄れやすく、副作用のリスクもあるため回数には制限があります。 注射はあくまで症状を抑える治療であり、根本的な原因を解消するものではありません。再発を防ぐには生活習慣の見直しや、必要に応じたほかの治療との併用が重要です。 ばね指の手術治療 ばね指が重症化している場合や、保存治療や注射治療でも改善がみられない場合は、手術治療が検討されます。 手術では、腱の通り道である腱鞘を切開して指の動きを改善します。この方法は高い改善率が期待でき、再発も少ないのが特徴です。 代表的な方法には、皮膚を切開して行う「腱鞘切開術」と、皮膚を大きく切らずに行う「経皮的腱鞘切開術」の2つがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、症状や生活スタイルに合わせて医師と相談し、自分に合った方法を選びましょう。 腱鞘切開術 腱鞘切開術は、ばね指の手術治療でもっとも一般的な方法です。局所麻酔を行い、指の付け根部分の皮膚を切開します。 次に、腱が通るトンネル状の組織である腱鞘の一部を切開し、腱の動きを妨げている圧迫を取り除くと、指の引っかかりや痛みが改善され、スムーズに動かせるようになります。 手術は日帰りで行えることがほとんどです。術後は縫合部が治るまで安静を保ち、その後リハビリで可動域を回復させます。再発の少ないのが特徴です。 経皮的腱鞘切開術 経皮的腱鞘切開術は、皮膚を大きく切らずに行う低侵襲の手術方法です。 局所麻酔のもと、エコー(超音波)で腱と腱鞘の位置を確認しながら、針のような細い器具で皮膚の上から腱鞘を切開します。手術時間も短く、術後の痛みや腫れが軽減されやすいのがメリットです。 経皮的腱鞘切開術も日帰りで行えることがほとんどです。適応は症状や医師の判断によって異なります。 ばね指を治療する上でやってはいけないこと ばね指の改善には、治療だけでなく日常生活での注意も重要です。次のような行為は症状を悪化させる原因となるため避けましょう。 やってはいけないこと 理由 無理な伸縮 痛みや炎症がある状態で指を強く伸ばしたり曲げたりすると、腱や腱鞘を傷つけ悪化する 必要以上のマッサージ 自己流で長時間揉むと炎症が助長され、腫れや痛みが強くなる場合がある 放置 症状を放っておくと進行し、最終的に手術が必要になる可能性がある 詳しい注意点や改善のポイントは下記の記事をご覧ください。 ばね指になったら適切な治療方法を選択しよう ばね指は、症状の進行度や生活への支障度に応じて、保存治療・注射治療・手術治療など複数の選択肢があります。早期に適切な方法を選べば、悪化を防ぎ、回復を早めることが可能です。しかし、自分にはどの治療が合っているのかわからない方も少なくありません。 リペアセルクリニックでは、受診前でも情報を得られるよう、LINEで再生医療に関する情報や、ばね指の簡易オンライン診断のご案内を行っています。まずは専門的な知識を得ることが、納得のいく治療の選択につながります。治療に迷ったら、ぜひLINEからお気軽にご相談ください。 ばね指の治療に関するよくある質問 ゴルフのやりすぎでばね指になりますか 手や指を酷使するスイングや練習を繰り返すと、腱や腱鞘に負担がかかり、ばね指になる可能性があります。長時間の練習や、握力を強く使うショットが多い場合は要注意です。 痛みや違和感があるときは無理をせず、安静やストレッチでケアし、早めに医療機関で相談しましょう。 授乳中でもばね指の治療はできますか 授乳中は薬の使用に制限がありますが、固定や軽い指の運動、温めによる血流改善などで対応できます。症状によっては、装具療法やストレッチ、物理療法を中心に治療を進めます。 痛みが強い場合でも、母乳への影響を避けつつ安全な治療法を選べますので、必ず医師に相談してください。 ばね指を自分で治すストレッチ法を教えてください 腱鞘ストレッチや親指の腱鞘ストレッチ、指全体のストレッチが有効です。関節や腱の柔軟性を保つことで、症状の改善や再発予防につながります。痛みのない範囲で行い、無理に伸ばさないことが重要です。 正しい方法や回数は医師や理学療法士の指導を受けるとより効果的です。 詳しくは下記の記事をご覧ください。 ばね指の手術はどのような状態だと選択されますか 痛みで仕事や家事に常に支障がある場合や、弾発現象(カクンと跳ねるような現象)が強く自力で指が伸ばせない場合、固定療法や注射でも改善しない場合に検討されます。症状が長期化して関節が硬くなってきたケースでも、早めに手術を行うことで回復がスムーズになることがあります。 ばね指の原因はビタミン不足ですか? 直接の原因ではありませんが、栄養不足が炎症や回復力に影響し、症状が悪化しやすくなる可能性はあります。ビタミンB群、C、Eなどは腱や神経の健康に関わります。偏った食生活が続くと改善が遅れることがあるため、日常的にバランスの取れた食事を心がけることが大切です。 詳しくは下記の記事をご覧ください。 参考文献 文献1 ばね指の注射は何回まで出来る?|まえだ整形外科・手のクリニック
2025.08.31 -
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「朝、指がスムーズに動かない」「曲げた指が戻らない」「カクンと弾けるような感覚がある」 その症状は、ばね指かもしれません。ばね指は指の腱が炎症を起こし、動かしづらくなる症状です。使いすぎや加齢が原因と思われがちですが、実は「ビタミン不足」も関係している可能性があることをご存じでしょうか。 本記事では、ばね指の症状や原因をわかりやすく解説するとともに、ビタミンBやミネラルなど、ばね指と関係の深い栄養素について詳しくご紹介します。 「病院に行く前に自分でできる対策を知りたい」「食事やサプリで改善できる?」と気になる方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ばね指について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ばね指とは?症状と原因の基本知識 ばね指は、指を曲げ伸ばしする際に腱と腱鞘の間で炎症が起こり、スムーズに動かせなくなる状態です。 初期は軽い痛みやこわばりから始まり、進行すると「カクッ」と引っかかるばね現象が見られるようになります。症状の出方や進行具合は人によって異なり、原因も複数あります。 ここでは、代表的な症状と主な原因について詳しく見ていきましょう。 ばね指の主な症状 ばね指の初期症状は、指の付け根に痛みや腫れ、熱感が現れることです。朝方に症状が強く出やすく、日中は指を動かしているうちに軽くなる場合もあります。 しかし、炎症が続くと腱の動きが妨げられ、指を曲げ伸ばしするときに「カクッ」と引っかかるばね現象が起こります。さらに悪化すると、指がまったく動かせない状態になることも少なくありません。 症状の進行を防ぐためには、早めのケアと生活習慣の見直しが重要です。 ばね指の主な原因5つ ばね指は、手や指の使い方、年齢や体の変化、さらには栄養状態や持病など、さまざまな要因が重なって発症します。 下の表では、代表的な5つの原因とその具体的な内容をまとめました。 主な原因 詳細 手や指の使い過ぎ ・家事やスポーツ、スマホ、パソコン作業などによる酷使 ・日常的に手指を多用すると腱や腱鞘に大きな負荷がかかり、炎症を起こしやすくなる 加齢 ・年齢を重ねると腱や関節の動きが低下 ・少しの負担でも炎症が起こりやすくなり、ばね指を発症するリスクが高まる ホルモンバランス ・50歳前後の女性や妊娠中・産後に多い(文献1) ・女性ホルモンの変動により腱が傷みやすくなり、血流も悪化して発症リスクが上昇 栄養不足 ・鉄、タンパク質、ビタミン不足により腱の健康が損なわれる ・ビタミンB1不足は手のしびれの原因にもなり、さまざまな手指症状に影響 持病の影響 ・関節リウマチ、糖尿病、人工透析などで血流が悪化しやすい ・腱や腱鞘への栄養供給が不足し、ばね指のリスクが高くなる ばね指のセルフチェックや対処法については、こちらの記事もご覧ください。 ばね指とビタミン不足の関係 ばね指は、腱や筋肉、神経の健康状態に大きく影響を受けます。中でもビタミン不足は修復力や血流を低下させ、炎症やしびれを長引かせる要因です。ビタミンB12や食生活の偏り、全体の栄養バランスは回復に直結します。 ここからは、ばね指とビタミン不足の関係と改善ポイントを紹介します。 ビタミンB12の不足 ビタミンB12は、神経の正常な働きや赤血球の生成に不可欠な栄養素です。 不足すると神経の伝達がうまくいかず、手先のしびれや感覚の鈍化が生じることがあります。また、腱や筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなり、炎症や痛みが長引く原因になることもあります。 ビタミンB12が不足する主な原因は、加齢による吸収力の低下、胃の手術歴、偏った食生活などです。高齢者やベジタリアンの方は、意識してビタミンB12を多く含む食品を摂取しましょう。魚介類、レバー、卵、乳製品などを日常的に取り入れると、不足を予防し、ばね指の悪化防止にもつながります。 バランスの悪い食事が体に及ぼす影響 外食やコンビニ食、加工食品中心の生活は、ビタミンやミネラル不足を招きやすく、腱や神経の健康維持に必要な栄養が慢性的に欠ける原因になります。糖質や脂質の過剰摂取は血流を悪化させ、腱や腱鞘への栄養供給を妨げます。 その結果、炎症が治りにくくなったり、再発しやすくなったりします。忙しい生活の中でも、野菜や果物、魚、豆類、海藻などを取り入れたバランスの良い食事の意識が、症状改善や予防のために重要です。 栄養バランスの良い食事が大切な理由 栄養は、体の修復力や免疫力の基盤となる土台です。 腱や筋肉、神経の健康は日々の食事から得られる栄養によって支えられています。不足が続くと組織の修復スピードが落ち、炎症やしびれが長引きやすくなります。 ばね指の改善には、安静やストレッチなど外側からのケアに加え、内側からの栄養補給が欠かせません。 タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラルをバランス良く摂ると、血流や代謝が整い回復が早まります。毎日の食事を見直すことが、予防と改善の両面で効果的です。 ばね指の改善や予防に役立つ栄養と食材 食事は日々の習慣として取り入れやすい改善策です。 ここでは、ばね指に関わる栄養素と、それを含む具体的な食材を紹介します。 ビタミンB12を含む食材 ビタミンB12は神経や血液の健康を維持し、腱や筋肉への栄養供給を助ける重要な栄養素で、以下の食品に多く含まれます。 魚介類(鮭、サンマ、イワシ) レバー 卵 乳製品 植物性食品ではほとんど含まれないため、ベジタリアンや高齢者は不足しやすく注意が必要です。 ビタミンB12は水溶性で加熱や茹でこぼしにより失われやすいため、煮汁ごと食べられる料理(スープや煮込み料理)や、加熱しすぎない調理法を選ぶと効率よく摂取できます。 週数回の魚料理や、卵や乳製品を朝食に取り入れると、日常的に摂取しやすくなります。 血流を促進する食材 血流が良くなると、腱や筋肉の修復が促され、炎症の回復もスムーズになります。血管を広げ、血液をサラサラに保つ働きがあるのは以下の食材です。 納豆 玉ねぎ にんにく しょうが 緑黄色野菜 しょうがやにんにくは体を温める作用があり、冷え性や末端の血行不良の改善にも効果的です。 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、パプリカなど)には、抗酸化作用を持つビタミンCやβカロテンが豊富に含まれ、血管の健康維持に関わります。 緑黄色野菜は、炒め物や煮物、スープなどに加えやすく、日々の食事に取り入れやすいのが特徴です。継続して摂取することが、血流改善を習慣化するためのポイントです。 サプリメントの活用 食事だけで十分な栄養を摂るのが難しい場合、サプリメントを上手に取り入れるのも一つの方法です。 ビタミンB群、鉄、亜鉛は神経や血流の健康維持に欠かせません。忙しい方や食事制限のある方、高齢者では不足しやすいため、補助的に摂取すると症状改善のサポートになります。 ただし、栄養素によっては過剰摂取が健康被害を招くことがあるため、用量を守ることが大切です。可能であれば医師や管理栄養士に相談し、自分に不足している栄養を見極めた上で選びましょう。 ただし、サプリメントはあくまで補助であり、基本はバランスの良い食事の摂取が重要です。 ばね指を和らげるための対処法 症状の軽減には、栄養だけでなく日常のケアも欠かせません。 ここでは、自宅でできる簡単な対処法を紹介します。 ストレッチ 指や手首のストレッチは、腱や腱鞘の柔軟性を高めて引っかかりを軽減します。朝方や作業の合間など、こわばりやすいタイミングに行うのがおすすめです。痛みのない範囲で、指を反らすストレッチやグーパー運動をゆっくり行いましょう。 手首を回す、上下に反らす動きも血流改善に効果的です。しかし、炎症が強いときは無理せず安静にし、落ち着いてから再開しましょう。短時間でも毎日続けると、指の動きがスムーズになり日常動作が楽になります。 詳しいストレッチ方法については、下記の記事をご覧ください。 マッサージ 手のひらや指の付け根をやさしくほぐすと、血流が促進され腱鞘周囲の緊張が和らぎます。クリームやオイルを使って摩擦を減らし、指一本ずつ根元から先端へ、次に手のひら全体、手首へと順に行います。 痛みのある部分は避け、心地良い強さで行うのがポイントです。お風呂上がりなど体が温まっているときに行うとより効果的です。 サポーターやテーピング 患部の動かしすぎを防ぎ安静を保つため、サポーターやテーピングを活用します。指を軽く曲げた状態で固定できるタイプが適しており、初心者は装着が簡単な市販サポーターがおすすめです。 テーピングは動きを細かく制御できますが、誤った巻き方は血流を妨げるため、最初は医療機関で指導を受けると安心です。長時間の装着は関節の硬直や血行不良を招くため、適度に外すことも大切です。 湿布 湿布は痛みや腫れを軽減します。急性期は冷感湿布で炎症を抑え、慢性期は温感湿布で血流を促進します。かぶれを防ぐため、1日1回の貼り替えが基本です。入浴直前や直後は避け、皮膚の状態も確認しましょう。 湿布は対症療法であり、ストレッチや食生活改善など根本対策との併用が重要です。市販品で効果が乏しい場合や長引くときは、医師の診断を受けて適切な治療を行いましょう。 冷却と温熱 急性期は冷却が有効で、炎症や痛みを抑えます。保冷剤や氷嚢をタオルで包み、患部に当てます。慢性期やこわばりには温熱が適しており、蒸しタオルや入浴で温めると血流が促進されます。温めたあとにストレッチやマッサージを行うと効果的です。 症状に合わない方法は悪化の原因となるため、状態を見極めて使い分けることが大切です。判断が難しい場合は医師に相談しましょう。 ビタミン不足によるばね指は食生活を改善しよう ビタミン不足は、腱や神経の修復力や血流を低下させ、炎症が長引いたり症状が悪化したりする要因となります。 ビタミンB群、鉄、亜鉛などは腱や神経の健康維持に不可欠ですが、外食やコンビニ食、偏った食事が多い生活では、不足しやすくなるため注意が必要です。 ビタミン不足が続くと、ばね指の治りが遅くなるだけでなく、再発のリスクも高まります。改善には、肉や魚、卵、野菜、海藻、豆類などをバランス良く組み合わせた食事の継続が大切です。忙しくても栄養を意識した選択を心がけ、必要に応じてサプリメントを補助的に活用するのも良い方法です。 日々の食生活を整えることが、ばね指の症状改善と予防の近道になります。痛みやしびれが長引く場合は、自己判断せず早めに医療機関へご相談ください。 参考文献 (文献1) ばね指とは?症状や原因、自力でできる治し方4選を詳しく解説!|たけだ整体院・整骨院
2025.08.31 -
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「手首にしこりがあって病院を受診したところ、ガングリオンと診断された」 「しこり以外に症状はないが、放置していても大丈夫だろうか?」 「ガングリオンが再発したけれど、このままにしていて良いのだろうか?」 ガングリオンと診断された方や再発した方の場合、このような不安を抱える場合も少なくありません。 ガングリオンは良性のしこりであり、無症状であれば放置していても問題ないものです。 しかし、しこりがガングリオンであるかどうかを確認するためには、医療機関での検査が必要です。そのため、完全に放置するのではなく、一度は医療機関を受診する方が望ましいでしょう。 本記事では、ガングリオンの放置可能なケースと治療を要するケースの違い、治療方法、治療後の再発について解説します。 ガングリオンと悪性腫瘍の違いにも触れていますので、しこりが不安な方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ガングリオンについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ガングリオンにおける放置の可否はケースによって異なる ガングリオンは、関節を包む膜から漏れ出た関節液がゼリー状になってたまった良性のしこりです。多くの場合、手首や指の付け根に発生します。 ガングリオンができた場合、そのまま放置しても良いケースと、早期の治療が必要なケースがあります。この章では両者の違いについて解説します。 以下の記事で、ガングリオンの概要について紹介していますので、あわせてご覧ください。 放置可能なケース しこりのみで痛みやしびれなどの症状がない場合、治療せずに経過を見るだけでも問題はありません。 しかし、手首や指の付け根、足首などにしこりができる疾患は、ほかにも存在します。しこりができた場合は、ガングリオンであるかどうかを確認するために整形外科を受診してください。 整形外科では、MRIや超音波といった画像検査や、しこりに針を刺して内容物を調べる穿刺(せんし)などによりガングリオンの有無を診断します。 治療が必要なケース ガングリオンにおいて治療が必要なケースは、しこり以外になんらかの症状がある場合です。 一例を以下に示しました。 しこりが大きくなっている 痛みやしびれが強い 運動麻痺がある 感覚麻痺がある これらの症状がある場合は、放置せずに医療機関で治療を受けましょう。 ガングリオンの治療方法 ガングリオンの主な治療方法は、保存療法と手術療法です。治療方法の選択は、症状によって異なります。 保存療法 痛みやしびれがない場合は、保存療法が選択肢となります。ガングリオンにおける保存療法の基本は、経過を観察しながら消えるのを待つことです。 しこりに力を加えて押しつぶす圧搾(あっさく)や、しこりに針を刺して内容物を吸引する穿刺吸収(せんしきゅうしゅう)も保存療法に含まれます。 穿刺吸収を複数回行っても内容物がたまるようであれば、手術も選択肢に入ります。 手術療法 手術療法が行われるのは、保存療法を続けても内容物がたまり、しこりが何度もできる場合です。主な手術方法としては、切開法と鏡視下手術があります。 切開法は、ガングリオンそのものを切開して除去する方法です。鏡視下手術は、関節鏡を用いて関節液の漏れにつながっている茎を除去する方法です。 しかし、手術で完全に治るとは限りません。手術により神経や血管の損傷を招いたり、術後に再発したりするケースもあります。 手術を受けるときは、医師や家族と十分に話し合い、納得した上で受けるようにしましょう。 ガングリオンの手術については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ガングリオン再発時は放置せず早めの対応を アメリカ合衆国の論文では、ガングリオンの手術後再発率は1~50%と非常に幅があると報告されています。(文献1) 別の論文では、ガングリオンが再発して2度目の手術を受けた方のうち、15%が再再発したとのデータが示されました。(文献2) ガングリオンは関節だけではなく、骨や筋肉、神経にもできることがあります。ガングリオンができる場所によって症状も異なります。 ガングリオンが再発した部位によっては、初回より痛みやしびれが強くなることがあり、神経や関節に悪影響を及ぼす可能性もあります。そのため、手術や穿刺吸収療法後にガングリオンが再発した場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 ガングリオンを放置する前にまずは医療機関を受診しよう ガングリオンは良性のしこりであり、無症状であれば放置して経過を見ていても問題はありません。 痛みやしびれ、関節の動かしにくさなどの症状が出た場合は、悪性の腫瘍である可能性も否定できないため医療機関を受診しましょう。 しこりが急激に大きくなった、強い痛みがあるといったときは、放置せず早急に受診してください。受診先は、整形外科、もしくは手の専門外科外来です。 無症状のガングリオンでも不安な場合は、医療機関の受診が望ましいでしょう。 ガングリオンをはじめとする手の疾患でお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。 メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 ガングリオンの放置に関連するよくある質問 ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方は何ですか? ガングリオンは、放置していると自然に消えることが多く、大きくなる場合も速度はゆっくりです。 これに対し、悪性腫瘍は急速に大きくなり、しこりが周りと分離して動く場合があります。感触も両者で異なり、ガングリオンは柔らかいものですが、悪性腫瘍は硬くてゴツゴツしている点が特徴です。 以下の記事では、ガングリオンと悪性腫瘍の違いを詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ガングリオンができやすい人の特徴は何ですか? ガングリオンは女性に多くみられ、発症率は男性の3倍程度といわれています。 年齢的には、20代から50代に多い疾患ですが、まれに子どもの発症例もあります。 手を多く使う方が発症しやすいと思われがちですが、必ずしもそうとは言えず、手の使用頻度とガングリオン発症の因果関係は不明です。 ガングリオン発症のメカニズムも、現段階では明らかになっていません。 参考文献 (文献1) Factors Impacting Recurrence Rate After Open Ganglion Cyst Excision|HAND (文献2) Recurrence of Ganglion Cysts Following Re-excision|Archives of Bone and Joint Surgery
2025.08.31 -
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「腱鞘炎とはどのような疾患か知りたい」「手首や指の痛みで日常生活に支障を感じている」といった疑問や悩みをお持ちの方もいるでしょう。 腱鞘炎は、手や指を動かす腱を包む「腱鞘」に炎症が起こる疾患で、軽症であればセルフケアで改善が見込めるケースもあります。しかし、症状が進行すると医療機関での治療が必要になることもあるため、早めの対処が大切です。 そこで今回は、腱鞘炎とは何か、主な症状や原因から治療法までを解説します。重症度チェックやセルフケアの方法もまとめているので、腱鞘炎でお悩みの方は参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱鞘炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱鞘炎とは|主な症状について 腱鞘炎には、「ドケルバン病」と「ばね指」の2種類があります。下表のように、手首に痛みを伴う「ドケルバン病」に対し、指に症状が現れるのが「ばね指」です。 種類 ドケルバン病 ばね指 症状 痛みや熱がある 腫れている 手首に力が入らない 物を掴むときに痛みを感じる 痛みや熱がある 腫れている 指を十分に伸ばせない 朝方に症状が強くなる 腱鞘炎が重症化すると痛みで思うように手や指を動かせなくなり、日常生活に支障をきたします。 箸が持てない フライパンが持てない ペットボトルの蓋を開けられない 硬貨を掴めない タオルが絞れない など かつて、腱鞘炎はスポーツ選手や楽器の演奏者などに多く現れており、一種の職業病とされてきました。しかし、近年はパソコンやスマホの使用などにより、職業を問わず多くの人が腱鞘炎に悩まされています。 腱鞘炎の原因 腱鞘炎の主な原因は手首や指の使いすぎです。同じ動作を繰り返すことで腱と腱鞘に摩擦が生じ、炎症を引き起こします。たとえば、長時間のパソコン作業やスマホ操作、ピアノやギターといった楽器演奏は腱に大きな負担がかかる代表例です。 ほかにも、加齢による腱の柔軟性低下や、更年期や産後のホルモンバランスの変化なども腱鞘炎の発症リスクを高める原因とされています。 腱鞘炎は、症状を無視して手部を使い続けると悪化するため注意が必要です。症状が現れたら、できるだけ安静にして負担をかけないよう心がけましょう。 腱鞘炎の原因となる使いすぎを防ぐための注意点 腱鞘炎にならないためには、原因となる手首や指の使いすぎを防ぐ必要があります。 パソコンやスマホ、ピアノの使用時における注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。 パソコンの使用 腱鞘炎を防ぐためには、長時間のパソコン使用に注意が必要です。キーボードを使ったタイピングやマウス操作を繰り返していると、手首や指に炎症が起こりやすくなります。たとえば、タイピングの際に手首を反らした状態を続けたり、マウスを強く握って操作したりする習慣は大きな負担になります。 パソコン使用時における手首と指の使いすぎを防ぐポイントは、以下のとおりです。 キーボードの高さを調整する リストレストを使用する 30分〜1時間ごとに休憩を取る など 作業環境を整えつつ、意識的に休息を取り入れることで、腱鞘炎の発症リスクを減らせます。 スマホの使用 スマホの使いすぎも腱鞘炎の原因の一つです。片手で長時間スマホを操作し続けると親指の腱に負担が集中し、炎症を引き起こします。とくに、親指での連続スクロールやゲーム操作、寝転びながらの片手持ちはリスクが高い行動だといえます。 腱鞘炎の発症リスクを減らすためにも、スマホの使用時は以下のような対策をしましょう。 両手でスマホを持って操作する スマホスタンドを活用する 時間を区切ってスマホ操作する など 親指を中心に過度な負担をかけない習慣を意識することで、スマホ腱鞘炎を未然に防ぐことが可能です。 ピアノの演奏 ピアノの演奏も腱鞘炎の原因になります。手首や指を使って長時間同じ動作を繰り返すことで、腱と腱鞘に摩擦が生じるためです。とくに、過度な練習や力みすぎた演奏は、手首や指に大きなストレスを与えます。 腱鞘炎を防ぐため、ピアノの演奏時には以下の点に注意しましょう。 適度に休憩をはさむ 演奏前後にストレッチする習慣を取り入れる 正しい姿勢で演奏する 力を抜いてリラックスして演奏する 演奏時の姿勢に注意し、痛みを感じたらすぐに休むようにすると、ピアノ腱鞘炎のリスクを減らせます。 腱鞘炎の重症度チェック 腱鞘炎の重症化を防ぐためには、早期発見が欠かせません。腱鞘炎の重症度は、以下の6段階でチェックできます。 筋肉痛のような痛みを感じる 手首や手を動かしているときに痛みを感じる 安静時にも痛みを感じる 日常生活において頻繁に痛みを感じる 日常生活に支障が出る 強い痛みに悩まされる 腱鞘炎になると、手首や手に筋肉痛のような重みを感じるようになります。動かしているときに痛みが現れるようになると、多くの人が「腱鞘炎かもしれない」と自覚し始める段階です。たまに痛みを感じる程度であれば、安静にしているだけで症状が改善する可能性もあります。 しかし、手首や手を動かしていなくても痛みを感じたり、日常生活に支障がでたりするようになったら、腱鞘炎が重症化しているサインです。腱鞘炎は重症化すると外科的治療が必要になるケースもあります。「このくらいの痛みなら大丈夫だろう」と放置せず、早めに医療機関を受診するようにしてください。 腱鞘炎の治療法 腱鞘炎の治療は、症状の程度によって選択肢が変わります。軽度であれば保存療法で改善が見込めますが、炎症や痛みが強い場合にはステロイド注射や手術を検討するケースもあります。腱鞘炎の代表的な治療法を下表にまとめました。 治療法 内容 特徴 保存療法 患部を安静に保つ 湿布を貼る サポーターで固定する 初期症状の改善効果が見込める 日常生活における工夫が必要になる ステロイド注射 患部にステロイドを注入する 強い痛みを短期間で和らげられる 繰り返しの使用により腱の変性・断裂リスクが高まる 手術療法 腱鞘を切開して腱の動きを改善させる 保存療法やステロイド注射で効果が得られない場合に選択される 再発リスクが低い 腱鞘炎は必ずしも手術が必要な疾患ではなく、多くは保存療法で改善が見込めます。ただし、激しい痛みが続く場合や生活に支障がある場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療法を選択することが大切です。 再生医療による腱鞘炎の治療について 近年は、従来のステロイド注射や手術療法に加えて、再生医療による腱鞘炎の治療も注目されています。再生医療には、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液から血小板を分離して作製した多血小板血漿(PRP)を利用するPRP療法があります。 再生医療は、従来の治療で効果が得られない場合の選択肢になる一方で、保険適用外の治療も多く専門医との十分な相談が必要です。なお、当院の幹細胞治療では、米粒2〜3粒ほどの脂肪から治療に必要な量の細胞を培養できるため、従来の治療法と比べて身体への負担が少なくて済む点が特徴です。 以下のページでは、再生医療による治療法や症例などを詳しく紹介しています。腱鞘炎の治療における再生医療の可能性について知りたい方は、ぜひご覧ください。 腱鞘炎のセルフケア方法 腱鞘炎は、軽度であれば自宅でのセルフケアによって症状を和らげる効果が期待できます。ストレッチや食事改善、ツボ押しなど、日常生活に取り入れやすい方法を実践することで、痛みの緩和や再発予防にもつながります。 以下で、具体的なセルフケア方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 ストレッチ 腱鞘炎のセルフケアとして、以下のような手首や指のストレッチに取り組むことをおすすめします。 部位 ストレッチ方法 手首(指全体) 右腕を前に伸ばす 手のひらを下に向ける 反対側の手で指をつかむ ゆっくりと手前へ引っ張る 10秒間伸ばしてゆっくりと戻す 反対側の手も同様に行う 腕 椅子に座る 右ひじを伸ばして前に出す 右手のひらをお腹の方向に向ける 左手で指の付け根をつかむ 右手は力を抜いて左手を手前に引っ張る 反対側の手も同様に行う 親指 右手首を手の甲側に軽く曲げる 右親指の付け根をできる限り曲げる 左親指で右親指を伸ばすように抵抗をかける 右親指は抵抗に負けないように力を入れて押し合う 反対側の手も同様に行う ストレッチは、基本的に痛みが和らいでいるときに行いましょう。強い痛みを感じる時期に無理してストレッチすると逆効果になりかねません。腱鞘炎を悪化させないよう、医師に相談しながらストレッチに取り組むことをおすすめします。 【関連記事】 ドケルバン病におけるストレッチ方法3選|注意点と予防方法も解説 ばね指を自分で治すストレッチ方法3選【画像付きで解説】 食事改善 腱鞘炎は、食生活の見直しによっても症状の改善が期待できます。具体的には、以下の食材を中心に摂取するよう心がけましょう。 オメガ3脂肪酸が豊富な食べ物(青魚や亜麻仁油など) ビタミンCおよびビタミンEを多く含む食べ物(野菜や果物など) たんぱく質を多く含む食べ物(大豆食品や肉類など) グルコサミンなどのサプリメント 腱鞘炎の改善には適切な治療が欠かせません。しかし、毎日の食生活も症状の改善をサポートする重要な要素であるといえます。腱鞘炎を早く治すためにも、効果的に栄養素を摂取しましょう。 ツボ押し ツボ押しは、血行を促進して腱鞘炎の痛みを和らげる効果が期待できます。腱鞘炎に効く代表的なツボは、以下の5つです。 親指の付け根と手首の境目にある「陽谿(ようけい)」 親指と人差し指の付け根の間にある「合谷(ごうこく)」 手のひらのちょうど真ん中にある「労宮(ろうきゅう)」 手首を内側に折ったときにしわができる部分の真ん中にある「大陵(だいりょう)」 手の甲と手首をつなぐ部分にある「陽池(ようち)」 刺激しすぎず、気持ち良いと感じる程度の力でツボを数秒間押しましょう。その後、ゆっくりと離す動きを繰り返してみてください。リラックスしながらツボ押しすることで、手首や指の痛みやしびれの軽減につながります。 ツボ押しは手軽に取り入れられるセルフケアの一つです。ただし、ツボ押しをしても症状が軽減しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 腱鞘炎とはどのような疾患か理解して重症化を防ごう 腱鞘炎は、主に手首や指の使いすぎによって発症する疾患です。初期の段階であれば、ストレッチや食事改善などのセルフケアによって症状の改善が期待できます。しかし、放置すると炎症が進んで強い痛みを伴い、日常生活にも支障をきたす可能性があるため注意が必要です。 重症化した腱鞘炎の治療には、ステロイド注射や手術療法のほか、再生医療という選択肢もあります。腱鞘炎の症状が長く続き、徐々に悪化していると感じた場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。 腱鞘炎に関するよくある質問 腱鞘炎発症時に腫れる場所はどこですか? 腱鞘炎を発症すると、主に手首の親指側や指の付け根、場合によっては指全体が腫れるケースもあります。 「ドケルバン病」の場合、手首の親指側が腫れて痛みが生じる場合がほとんどです。一方で、「ばね指」の場合は、指の付け根が腫れ、指を曲げ伸ばしする際に引っかかりや痛みを伴う場合があります。 手首や指以外にも腱鞘炎は起こりますか? 腱鞘炎が起こるのは主に手首や指です。しかし、腱を繰り返し使う関節であればほかの部位でも発症する可能性があります。 たとえば、ランニングやジャンプなどによって負担がかかる足首や、スポーツで酷使されるような肩や肘にも腱鞘炎は起こり得ます。特定の部位に痛みを感じたり、動かしにくさが続いたりする場合は、無理をせず医師に相談しましょう。
2025.08.31 -
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手首や足首に、コリコリとしたしこりができていませんか。 それは「ガングリオン」と呼ばれる良性のできものかもしれません。放置しても問題ない場合もありますが、大きくなったり痛みが出たりすると、日常生活に支障が出ることもあります。 本記事では、ガングリオンの症状や原因、治療法までをわかりやすく解説します。安心して適切な対応を取れるよう、基本的な知識を押さえておきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ガングリオンについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ガングリオンとは「ゼリー状の滑液が溜まる良性腫瘍」 ガングリオンは、関節や腱の近くにできるゼリーのような柔らかい腫瘤(しゅりゅう)です。 多くの場合は小指ほどの大きさで、袋の中には関節の動きをなめらかにする「滑液」と呼ばれる液体が入っています。(文献1)(文献2) 若い女性に多く、手首や指の付け根などによく見られます。(文献3) 放置しても体に害はありませんが、痛みや動かしにくさがある場合は、医療機関での治療が必要です。 ガングリオンの症状 ガングリオンの代表的な症状は、皮膚の下に触れるしこりです。しこりの硬さは、ゼリーのように柔らかい場合、ゴムのように硬い場合など個人差があります。(文献1) ガングリオンができても、強い痛みはなく、不快感や違和感程度で経過するケースが一般的です。ただし、神経の近くにできた場合は、神経の圧迫により痛みやしびれが生じ、指先の動かしにくさや軽い麻痺がみられることもあります。 なぜできる?ガングリオンの原因 ガングリオンの代表的な原因は、関節を包む膜である「関節包」や、腱を包む「腱鞘」という部分の性質が変化することです。(文献3) これらが変性して嚢胞という袋状の構造ができ、その中に「滑液(かつえき)」がたまります。この滑液が粘り気のあるゼリー状となってガングリオンが形成されます。(文献1) ただし、ガングリオンが発生する具体的なメカニズムは解明されていない部分もあります。(文献4) 手や指をよく使うと大きくなるケースはありますが、必ずしも手を多く使う人にできやすいわけではありません。 手の使用頻度に関わらず発生するため、ガングリオンは誰にでもできる可能性があるといえるでしょう。 ガングリオンができやすい場所 ガングリオンは、動きの多い関節や腱の周囲に発生しやすい特徴があります。代表的な部位は、以下のとおりです。(文献1) 手首(とくに甲側) 指(付け根や関節) とくに発生しやすい部位は、手の甲です。他の部位よりは頻度は低いものの、手のひら側の指の付け根にできることもあります。 また、良く動かす部位である足にガングリオンができるケースも少なくありません。足にできるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。 また、手指の付け根に痛みが出る場合、「ばね指」のケースもあります。ばね指については、以下の記事をご参照ください。 ガングリオンの治療法 ガングリオンの治療は、大きく2つに分けられます。 保存療法:ガングリオンの袋はそのままにして、様子をみるか中身だけを取り除く治療法 手術:ガングリオンの袋自体を取り除く治療法 本章では、それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は、液体がたまる袋を取り除かない治療方法です。状態によって、そのまま経過を観察する場合と、しこりの液体を針で抜く場合に分けられます。また、関節の安静を保つためにテーピングや装具を使うケースもあります。(文献5) 2種類の保存療法について、順番にみていきましょう。 経過観察|自然治癒に期待 以下のような場合はとくに治療をおこなわず、経過観察をするのも選択肢となります。 症状が軽くて痛みがない 日常生活に支障をきたしていない ただし、途中でガングリオンが大きくなって痛みが出る、不快感から生活に支障が出るなどの場合は、他の治療法を検討します。 穿刺吸引|短期的にしこりを除去 穿刺吸引は、注射器でガングリオンの中身を吸い取る方法です。 医療機関によっては、吸引後にステロイド薬やヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を注入し、治療効果を高める工夫をする場合もあります。(文献5) どの治療法にも再発リスクはありますが、穿刺による治療は手術よりも再発率が高い傾向にあります。 部位ごとの再発率は以下のとおりです。 手関節背側:60〜87% 手関節掌側:57〜83% 掌側靱帯性:約30% また、背側・掌側を合わせた手関節のガングリオン全体で、穿刺の再発率は59%(47~70%)という報告もあります。 再発を繰り返す場合は、次に解説する手術も検討しましょう。 手術|根治・再発防止が目的 手術は、液体がたまる袋そのものを、根元の部分といっしょに取り除く方法です。(文献1) 再発を繰り返す場合や、痛みが強く日常生活に支障がある場合などに検討されます。 ただし、保存療法よりも頻度は低いものの、手術をしても再発リスクは残ります。また、神経や血管の損傷、傷跡が残るリスクもあります。(文献5) 保存療法と手術のどちらが適しているかは、症状や生活への影響を踏まえ、医師とよく相談して決めましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ガングリオンで気になる点がある方は、ぜひお気軽にご登録ください。 なお、ガングリオンの手術については、以下の記事で詳しく紹介しています。 【何科?】ガングリオンを疑う際の受診科目 ガングリオンが疑われる場合、基本的な受診科は整形外科です。 診察では、注射器でしこりの中身を採取し、ゼリー状であればガングリオンと診断されます。外側から触れにくい小さなガングリオンの場合は、超音波検査やMRI検査を行うこともあります。(文献1) ただし、痛みはなく、見た目だけが気になる場合には、皮膚科や形成外科で対応できるケースも少なくありません。 受診先に迷う場合は、医療機関に電話で症状を伝え、診察可能かを確認すると良いでしょう。 ガングリオンが痛いときの対処法 ガングリオンが痛む場合、しこりが神経の近くにできており、神経を圧迫している可能性が考えられます。 症状の程度に応じて、次のように対応しましょう。 症状の程度 対応 痛みやしびれが軽く、腫れがない場合 安静にして様子をみる 初めてできた場合や痛み・腫れが強い場合 早めに医療機関を受診する なお、しこりが大きくなったり痛みが悪化したりする可能性もあるため、ガングリオンがある部分に負担をかけないことも大切です。 ガングリオンが痛いときの対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。 当院「リペアセルクリニック」では、神経損傷に対して再生医療を提供しております。ご興味のある方は、公式LINEへぜひご登録ください。 ガングリオンと悪性腫瘍との見分け方 ガングリオンと悪性腫瘍はどちらも「しこり」ができるという共通点がありますが、特徴には違いがあります。 ガングリオン 悪性腫瘍 硬さ やわらかく弾力があることが多い 硬くてゴツゴツしている 痛み 痛みが無いケースもあるが、神経を圧迫すると痛みが出る 初期は痛みが無いケースもあるが、進行すると痛みが出るケースが多い 大きさの変化 小さくなったり消えたりすることがある 徐々に大きくなる傾向がある ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、見た目や触った感触だけで判断するのは危険です。しこりがある場合は、必ず医療機関を受診して確認しましょう。 ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方については、以下の記事で詳しく紹介しています。 手足の痛みや違和感はガングリオンを疑い早めの受診を心がけよう 手足の関節や腱の周囲にできたしこりは、ガングリオンかもしれません。基本的には良性のできものであるため過度な心配は必要ありませんが、大きさやできた場所によっては神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こすこともあります。 気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療を行う医療機関です。公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。将来的なリスクを減らしたい方や、より詳しい知識を身につけたい方は、公式LINEもぜひご登録ください。 ガングリオンに関するよくある質問 ガングリオンは潰すと治るって本当? 実際、医療機関ではガングリオンをつぶす治療が行われることもあります。(文献1) ただし、炎症が悪化したり、皮膚に傷ができて感染を引き起こしたりする可能性があるため、自己判断で潰すのは避けてください。 ガングリオンは急にできるの? ガングリオンは以下の流れで形成されるため、大きくなるには一定の時間がかかるケースが一般的です。(文献4) 関節にかかるストレスで滑液が漏れ出す 漏れた液が袋状にたまり、少しずつ大きくなる ただし、初期は痛みや違和感がほとんどなく、気づかないケースが少なくありません。そのため、見た目では「急にできた」と感じても、実際は徐々に形成されていた可能性が高いと考えられます。 スマホが原因でガングリオンができることはある? スマホの使用が直接ガングリオンの原因になるかどうかは、現時点では明らかになっていません。 ガングリオンの原因そのものがまだ解明されておらず、スマホとの直接的な関係も確認されていないのが現状です。 ただし、長時間のスマホ操作は手首や指の関節・腱に負担をかけ、痛みや不快感などを引き起こす可能性があります。関節への負担を減らすためにも、スマホの使いすぎは控え、こまめに手を休ませることが大切です。 参考文献 文献1 ガングリオン|日本整形外科学会 文献2 軟部腫瘍|日本整形外科学会 文献3 ガングリオン|日本手外科学会 文献4 Ganglion Cyst|National Library of Medicine 文献5 形成外科診療ガイドライン2021年度版|日本形成外科学会
2025.08.31 -
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「手首の親指側が痛いけど、これって腱鞘炎?」 「ドケルバン病って聞いたけど、どんな病気?」 「病院に行くべきか迷っている……」 このような疑問や不安をお持ちではありませんか。 手首や親指の痛みが続いていても、原因や病名が分からず、どう対処すれば良いか迷ってしまう方も多いかもしれません。 ドケルバン病とは、親指を動かす腱が炎症を起こす腱鞘炎の一種で、産後の女性やデスクワークの方に多くみられます。 本記事では、ドケルバン病の症状や原因、セルフチェック方法、治療・再発予防まで、やさしく解説します。 不安な気持ちを少しでも和らげるためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ドケルバン病をはじめ、日々の違和感やお悩みがある方は、お気軽に公式LINEにご相談ください。 ドケルバン病は手首の親指側に生じる腱鞘炎 ドケルバン病は、手首の親指側にある腱鞘というトンネル部分が狭くなり、中を通る腱がこすれて炎症を起こす病気です。腱鞘炎の一種で、親指の使い過ぎやホルモンバランスの影響によって起こります。 ドケルバン病になりやすい人の特徴 ドケルバン病になりやすい人は、以下のとおりです。 産後・授乳中の女性 更年期の女性 育児や家事で手首を酷使している人 デスクワーク中心でパソコンやスマホをよく使う人 とくに20〜30代と50代の女性に発症が多く、女性ホルモンの変化も関係しているといわれています。(文献1) さらに詳しく知りたい方は、こちらでドケルバン病と腱鞘炎の違いや重症度についても解説しているためご覧ください。 ドケルバン病の症状 親指を動かした際に手首の親指側に痛みが出てきたら、ドケルバン病の可能性があります。 典型的な症状の特徴 代表的な症状は、以下のようなものです。(文献1),(文献2) 親指の付け根〜手首の親指側が痛む 親指を動かすと痛みが増す 腫れを伴うことがある 握る・つまむなどの動作で力が入りにくい 心当たりのある方は医療機関の受診を検討しましょう。 悪化すると日常生活に影響も 痛みを我慢して親指や手首を使い続けていると、日常のさまざまな動作がつらくなってきます。 たとえば、赤ちゃんを抱っこするだけで手首にズキッと痛みが走ったり、ボタンを留めるなど細かな作業が思うようにできなくなったりする可能性があるのです。 また、スマートフォンを持つ手がつらく感じることもあれば、パソコン作業のたびにストレスを感じるようになる方もいます。 こうした状態を放置すると、関節の動きが悪化したり、最悪の場合は腱が切れたりする恐れがあります。違和感を覚えた時点での早めの対応が大切です。(文献3) スマホが原因の腱鞘炎についてはこちらで詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 ドケルバン病の原因 ドケルバン病では、親指を動かす2本の腱(短母指伸筋腱・長母指外転筋腱)が、腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネル内でこすれ合い、炎症を引き起こします。 主な原因は、次のとおりです。(文献2) 原因 具体例 親指や手首の使いすぎ 家事 育児(赤ちゃんの抱っこや授乳) 過度なスマホ操作 パソコンの長時間使用 ピアノの練習 スポーツ ホルモンバランスの変化 妊娠・出産後のホルモン変化 更年期によるホルモン変化 かつては仕事によるパソコンの長時間使用やピアノの練習などで発症する例も多く、「職業病」と呼ばれることもありました。 原因によっては、長期間その動作をやめるのは難しい場合もあるでしょう。 その場合は、使い方の工夫や適切なケアを取り入れながら症状の悪化を防ぐことが大切です。 パソコン作業や楽器演奏による腱鞘炎についてはこちらも参考にしてください。 【関連記事】 パソコン腱鞘炎の症状とは?原因や治し方・予防法も徹底解説! ピアノ腱鞘炎の症状チェック|原因から治療法・予防まで詳しく解説 ドケルバン病の検査・診断 ドケルバン病は、整形外科での診察や問診に加え、痛みの出方を確認するいくつかのテストで診断されます。 代表的なのは、親指を内側に折り込んで手首を小指側に倒す「フィンケルシュタインテスト」や、親指を握り込んでから手首を小指側に曲げる「アイヒホッフテスト」です。 さらに、必要に応じて超音波検査やレントゲンなどの画像検査をしてほかの病気が隠れていないか、併発していないかを確認します。 腱鞘炎の種類と症状については、こちらでも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ドケルバン病の治療法 ドケルバン病の治療は、症状の段階によって選択肢が変わってきます。 保存療法|安静・湿布・装具 まずは手首の安静が基本です。 症状に合わせて、以下のような方法が行われます。 湿布や消炎剤で炎症を抑える 温熱やレーザー治療 シーネや装具による固定 症状が軽い段階なら、これだけでも改善するケースがあります。(文献2) 薬物療法・注射|痛み止めやステロイド注射 炎症が強いときや保存療法で効果がみられない場合の治療は、以下のような薬物療法です。 ステロイド注射 局所麻酔薬の注入 注射で痛みが改善する人もいますが、原因を取り除けていなければ再発する可能性があります。 さらに、ステロイド注射は、何度も繰り返すと感染を起こしたり腱の断裂を引き起こしたりすることもあるため、慎重な治療が必要です。(文献1) 手術療法|腱鞘切開術 保存療法や注射をしても症状が改善しない場合には、腱鞘を切開して腱の通り道を広げる手術が検討されます。(文献2) 多くの場合は日帰りでの対応が可能ですが、親指の近くには大切な知覚神経が走っており、腱の構造にも個人差があるため、経験豊富な医師による手術が望まれます。(文献1) 手術後は当日から手を動かすことが可能です。 ただし、ガーゼ交換の必要や傷を濡らさないなどの注意点があるため、医師の指示に従い段階的に日常生活に戻っていく必要があります。 ドケルバン病のセルフチェック方法【自宅でできる】 手首や親指の痛みが「ドケルバン病かもしれない」と感じたときは、簡単なセルフチェックで目安を知ることが可能です。 以下のテストはいずれも痛みの有無を確認する方法で、自宅でも行いやすいのが特徴です。 また、ドケルバン病のセルフケアについては、こちらの記事に詳しく書かれています。セルフチェックで気になった方はぜひ参考にしてください。 フィンケルシュタインテスト フィンケルシュタインテストは、ドケルバン病の代表的な診断方法のひとつです。 痛みのある手の親指を反対の手で軽く握ります。 その状態で、握った親指を小指側へ引っ張る動作を加えたときに、親指側の手首に鋭い痛みが出る場合は、ドケルバン病が疑われます。(文献2) 痛みが強く出る可能性があるため、親指の力を抜き、ゆっくりと無理のない範囲で行うようにしましょう。 アイヒホッフテスト フィンケルシュタインテストと似ていますが、アイヒホッフテストでは、親指を手の中に入れてグーの形をつくったあと、自力でゆっくりと手首を小指側に倒していきます。 この動作で強い痛みが出た場合も、ドケルバン病が疑われます。 また、医師の間では、フィンケルシュタインテストの「変法」として扱われることもあります。(文献2) 岩原・野末のサイン 岩原・野末のサインは、日本整形外科学会がドケルバン病のセルフチェック法として紹介している方法です。 手首を内側に直角に曲げた状態で、親指を外側にまっすぐ伸ばしたとき、親指の付け根や手首の母指側に痛みや違和感が出るかを確認します。(文献2) 圧痛(押したときの痛み)や腫れがあるかどうかも、あわせて観察すると良いでしょう。 ドケルバン病の悪化を防ぐには早期対処と予防が大切 ドケルバン病は、放っておくと慢性化しやすいため、症状を感じた段階での早めの対処と、日常的な予防が大切です。 ドケルバン病対策のストレッチ 予防や再発防止のために効果的なのが、手首や親指のストレッチです。 無理のない範囲でゆっくりと伸ばすことで、症状の改善や悪化の予防が期待できます。 家事や仕事の合間にこまめにストレッチを心がけましょう。 痛みを感じる動きは避け、心地よく伸びる範囲で行うことがポイントです。 おすすめの方法はこちらで詳しく紹介しています。 ドケルバン病を予防する生活習慣 普段の生活の中で、手首や親指を酷使しすぎないことも大切です。 長時間同じ作業を続けないよう、こまめに休憩を挟みましょう。 スマートフォンやパソコンを使う際は、姿勢や手首の角度にも注意し、できるだけ負担が少なくなるよう意識してみてください。 これらの対策を意識しても痛みが続く、あるいは悪化しているように感じる場合は、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。 ドケルバン病と似た症状の病気には、関節リウマチや感染性腱鞘炎など、進行すると関節や腱に大きな障害を残すものも含まれます。 正しい診断と早期の適切な治療が大切なため、「腱鞘炎かも?」と感じた時点で専門医に相談することをおすすめします。 更年期と関節痛の関係が気になる方はこちらもあわせてご覧ください。 ドケルバン病の改善を目指すなら早めに医療機関を受診しよう ドケルバン病は、育児やデスクワークなど、手首や親指を酷使する日常のなかで起こりやすい腱鞘炎のひとつです。 放っておくと症状が悪化し、日常動作に支障をきたすおそれもあります。 親指の付け根や手首に痛みや違和感があるときは、早めに整形外科など専門の医療機関を受診しましょう。 手首の痛みがほかの原因かも、と思った方は、以下の記事も参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ドケルバン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ドケルバン病に関するよくある質問 ドケルバン病はサポーターやテーピングで治せますか? サポーターやテーピングで親指や手首を固定すると、動かす回数が減り、痛みの軽減につながることがあります。 とくに症状が軽い場合は、自宅でのケアとして有効な方法です。 ただし、こうした対処はあくまで一時的なものであり、根本的な治療にはなりません。 痛みが続いたり、悪化したりしているときは、医療機関で診察を受けることが大切です。 また、症状が改善したあとも、すぐに育児や家事などで親指を酷使すると、再発しやすくなるので注意しましょう。 とくに出産直後の女性に多いドケルバン病は、授乳期が終わると自然に軽くなることもあります。(文献1) 必要に応じて、授乳スタイルや抱っこの方法を見直すのもひとつの方法です。 ドケルバン病はどれくらいで治るの? 治り方には個人差がありますが、一般的には安静や湿布、痛み止めなどの保存療法を続けることで、数週間〜数カ月ほどで症状が落ち着くことが多いとされています。 こうした保存療法で十分な効果が得られないときには、ステロイド注射が選択肢に入ります。 注射後は1週間ほどで痛みが半減するケースも少なくありません。 ただし、保存療法で改善しない場合や再発を繰り返す場合には、手術を検討する必要があります。 手術後は数週間で日常生活に復帰できるケースが多いものの、回復スピードには個人差があるため、無理のないペースでの復帰が大切です。 参考文献 (文献1) 狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)|一般社団法人日本臨床整形外科学会 (文献2) 「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献3) 健康一口メモ~腱鞘炎の予防・対策について~|公益社団法人三重県健康管理事業センター
2025.08.31 -
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「指が引っかかる感じがする」 「朝、手を握ろうとすると動かしにくい」 「ばね指って放っておいても大丈夫?」 そんな不安や疑問をお持ちではありませんか? ばね指とは、指を動かす腱とその通り道(腱鞘)で炎症が起こり、スムーズに指を動かせなくなる状態です。 進行すると、指が曲がったまま動かなくなることもあるため、早めの対処が大切です。 本記事では、ばね指の症状や原因、医療機関での治療方法、自分でできる予防ケアまでわかりやすく解説します。 症状に不安を感じている方が、安心して向き合えるきっかけになれば幸いです。 ばね指が心配だけど、すぐに受診するほどではない……という方も、LINEで気軽に情報を受け取れます。 ばね指について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ばね指とは「腱鞘炎の一種」 ばね指は、指を曲げ伸ばしする際に使われる腱と、その通り道である腱鞘との間に炎症が起こることで、スムーズな動きができなくなる状態です。 腱は筋肉の力を骨に伝える「ひも」のような組織で、腱鞘はそれを包んで滑らかに動かすためのトンネルの役割を担っています。 この腱鞘に炎症が起こり、腱の通り道が狭くなると、引っかかるような動きや痛みが現れるのです。 指が「カクッ」とばねのように弾かれる動きから「ばね指(弾発指)」と呼ばれています。(文献1) ほかの腱鞘炎のことも詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 ばね指の症状 指がどんなふうに変化するのか、代表的な症状をチェックしておきましょう。 <代表的な症状の特徴> 指の付け根に起こる痛み、腫れ、熱っぽさ 朝方のこわばり(起床時に動かしづらい) 指を動かしたときの引っかかり感 「カクン」とばねのような弾かれ感 指が曲がった位置で動かなくなる どの指にも起こりますが、とくに多く見られるのは親指と中指です。(文献1),(文献2) 朝方の指のこわばりが気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。 ばね指を引き起こす原因 ばね指は、次の原因が関与して起こると考えられています。 指や手の酷使による腱の炎症 女性ホルモンの変化 糖尿病や関節リウマチなどの疾患 順番に解説します。 指や手の酷使による腱の炎症 ばね指の主な原因のひとつが、指や手を繰り返し使うことによる負担です。 パソコン作業やスマホ操作、料理、楽器の演奏など、同じ動きを続けることが多い人は、腱と腱鞘の間で摩擦が起こりやすくなるのです。 この摩擦が炎症を引き起こし、腱の動きがスムーズでなくなることが、ばね指の症状につながります。(文献1) 女性ホルモンの変化 女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」は、関節や腱のまわりの状態を保つ役割があります。更年期や産後の授乳期は、このエストロゲンが短期間で大きく変化する時期です。 血中のエストロゲンが低下すると、腱や腱鞘の状態を健康に保てなくなり、炎症(腱鞘炎)が起こりやすくなります。この腱鞘炎が進行すると「ばね指」が発症することがあるのです。(文献3) 加えて、ビタミンB群やビタミンDは、筋肉や関節、腱の健康維持に関わる栄養素です。不足すると、腱や関節のはたらきに影響し、指や手のトラブルが起こりやすくなる可能性があります。(文献4) 糖尿病や関節リウマチなどの疾患 糖尿病や関節リウマチなどの病気も、以下の理由でばね指の原因のひとつです。 (文献5)(文献6) 糖尿病:高血糖により腱・腱鞘が厚くなる変化が起こり、腱の動きが妨げられる可能性がある 関節リウマチ:腱鞘の滑膜成分が炎症に関与している可能性があり、腱鞘炎が高頻度に見られる この結果、腱鞘内での摩擦や炎症が起こりやすくなり、どちらの病気でもばね指の発症リスクが高まるといわれています。透析中の方も注意が必要です。(文献1) ばね指の診断方法 病院において、医師はまず問診と触診で、痛みや引っかかりのある場所を確認します。 腫れや圧痛(押すと痛い場所)、「カクッ」という動作の有無がポイントです。(文献1) 必要に応じて、レントゲンやCTなどの画像検査が行われることもあります。 ばね指の治療法 症状の程度に応じて、治療の選択肢は大きく3つに分かれます。 保存療法|安静・サポーター・薬物療法 まずは安静を保ち、炎症を抑える治療が基本です。 具体的には以下の方法があります。 シーネ(添え木)で固定する 痛み止めを使う ステロイド注射をする 注射によって3カ月以上症状が改善することもありますが、再発の可能性もあるため経過観察が必要です。(文献1) 腱鞘炎の注射治療について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 手術療法|腱鞘切開術 保存療法でよくならない場合や再発を繰り返す場合は、腱鞘の一部を切開する手術(腱鞘切開術)が行われます。(文献1) 局所麻酔で対応可能な日帰り手術が一般的です。 再生医療|幹細胞治療・PRP療法 また、腱鞘炎の治療で近年注目されているのが、体の組織や細胞に着目した再生医療です。 リペアセルクリニックでも、以下のような治療をおこなっています。 幹細胞治療:自身から採取した幹細胞を外部で増殖させ、身体に戻す治療法 PRP療法:自身の血液から血小板を抽出して活用する治療法 ただし、保険適用外(自由診療)となるため、費用や治療内容について医師とよく相談することが大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報を発信しています。ばね指の治療でお悩みの方は、ぜひ登録してみてください。 ばね指を悪化させる「やってはいけないこと」 間違ったケアや行動が、かえってばね指の症状を長引かせることもあります。 次のような行動には注意しましょう。 やってはいけないこと 理由 痛みがあるのに無理に動かす 炎症が悪化し、腱や腱鞘の損傷が進行する可能性がある 指を長時間使い続ける 休まず使うと、腱の回復が追いつかず慢性化しやすくなる 強く揉む・自己流のマッサージ 痛みのある部分を強く押すと、さらに腫れや痛みが悪化することもある 「何が悪化につながるか詳しく知りたい」という方はこちらの記事もあわせてご覧ください。 ばね指の予防に役立つセルフケア方法 ばね指を未然に防ぐための工夫や習慣も大切です。 手を使う作業の前後にストレッチする 作業の前後に手首や指を軽く伸ばすことで、腱の滑りが保たれ炎症予防につながります。 手のひらを上に向けて腕を伸ばし、もう片方の手で指先をそっと上に引く指のストレッチや、親指の腱鞘を伸ばす運動がおすすめです。 痛みのない範囲で行いましょう。 写真付きの詳しいストレッチ方法を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 キーボードやスマホ操作の際は休憩を挟む 料理やパソコン作業など、手を使う作業を長く続けると、腱に負担がかかります。 こまめに休憩を取りながら作業しましょう。 また、スマホを片手で操作しているならば両手で操作する、持ちやすいペンに変えてみる、といった工夫も大切です。 冷えを防ぎ、指先の血流を保つ 冷えは血流を悪くし、腱の柔軟性が失われる原因となり得ます。 気になる場合は、手袋やカイロなどで保温するのもひとつの方法です。 ただし、炎症が強く出ているときは冷やすほうが良い場合もあります。 状況に応じて温冷を使い分けましょう。 ばね指の長引く症状は医療機関を受診して改善させよう ばね指は、手の使いすぎだけでなく、ホルモンバランスの変化や持病など、複数の要因が関係しています。 原因によって最適な治療法も異なるため、正確な診断が大切です。 指の動きに違和感がある、痛みや引っかかりが続くといったときは、迷わず整形外科などの専門医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は再生医療専門クリニックです。公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ばね指について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ばね指に関するよくある質問 ばね指は自分で治すことができますか? 症状が軽い場合は、安静によって改善することもあります。 ただし、痛みが長引いたり、症状が強くなってきたりしたら受診が必要です。 悪化すると手術が必要なケースもあるため、早めに医師に相談しましょう。(文献1) ばね指の原因で女性によくあるものは何ですか? 女性におけるばね指の原因のひとつは、更年期や妊娠・出産などの女性ホルモンの変化により、腱の柔軟性が低下することです。 また、女性に多い指に負担のかかる動作として、以下のような要因も考えられます。 赤ちゃんの抱っこ 授乳や哺乳瓶の保持 子どもを抱き上げる動作 料理や洗濯などの家事 また、事務職・看護師・保育士・美容師などの仕事で手先を酷使することも、ばね指の原因のひとつです。 治療には原因となる負担を減らすことが欠かせませんが、仕事や家事・育児を完全に休むのは難しいものです。 そのため、こまめに休憩を入れたり、周囲の人に協力をお願いしたりして、できるだけ手を休ませる工夫をしましょう。 参考文献 (文献1) 「ばね指(弾発指)」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献2) ばね指|MSDマニュアル家庭版 (文献3) Hands and Fingers Disorder as a Women’s Disease- Why My Hands and Fingers Hurt or Grow Numb|Clinics in surgery (文献4) Exploring the impact of vitamin D on tendon health: a comprehensive review|J Basic Clin Physiol Pharmacol (文献5) Hands in people with diabetes more often affected by trigger finger|LUND UNIVERSITY (文献6) Tenosynovitis|StatPearls
2025.08.31 -
- 手部、その他疾患
- 手部
仕事やゲームなどでパソコンを使っていて、指や手首に耐えられない痛みを感じる方もいるのではないでしょうか。実はパソコン作業による指や手首の痛みは、腱鞘炎の疑いがあります。 日頃のパソコン操作で、指や手首負担がかかって起きる腱鞘炎は「パソコン腱鞘炎」と呼ばれることもある疾患です。パソコンを使うことが多い現代人ならではの病気ともいえるため、特徴や治し方を知っていると重宝します。 本記事では、パソコン腱鞘炎の症状や原因、治し方を解説します。 パソコン腱鞘炎の症状とは? パソコン腱鞘炎になると、指や手首、腕に痛みや引っかかりの症状が現れます。これらの症状は、日常のパソコン作業に大きな支障をきたすため、早期発見・早期対処が重要です。 症状の現れ方は炎症が起きる部位によって異なり、代表的なものに「ばね指」と「ドケルバン病」があります。 それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。 利き腕の指の引っ掛かり・痛み|ばね指 パソコン腱鞘炎でよく見られる症状として、まず「ばね指」が挙げられます。ばね指は、指の付け根部分に発症する腱鞘炎です。 具体的には、「屈筋腱」と呼ばれる指の曲げ伸ばしに欠かせない腱や、それを覆う腱鞘に過度な負担がかかって発症します。とくにパソコン作業では、長時間にわたるキーボードのタイピングやマウスのクリック操作が主な要因です。 指先を使いすぎると屈筋腱と腱鞘が摩擦し、それによって炎症が生じます。炎症が生じると指を曲げ伸ばす際に痛みを感じるだけでなく、引っ掛かりまで起こるのが特徴です。 親指の痛み|ドケルバン病 腱鞘炎でばね指とともに「ドケルバン病」も、パソコン作業が原因で発症します。ドケルバン病は腱鞘炎のなかでも、手首の親指側に生じるのが特徴です。具体的には、手首から親指にかけて伸びる2本の腱と腱鞘に過度な負担がかかって、痛みや熱感が起こります。 パソコン作業中は手首が反った状態が長時間続きやすく、腱や腱鞘に負担がかかることでドケルバン病を発症するリスクがあります。 腕や肩の痛み パソコン腱鞘炎では、腕や肩が痛む場合があります。これはとくに、マウスを使って長時間作業する方に多く見られる症状です。 マウスを使う際、手首を動かす一方、マウスを持つ方の利き腕は常に固定されます。しかも、肘が浮いている状態で固定されるため、首や肩に大きな負担を与える場合も多いです。もし、マウスを使う作業が長時間に及べば、肩や腕に痛みやしびれが生じることがあります。 なお、マウスを使わない場合でも同じ姿勢で長時間のパソコン作業により、上腕二頭筋周辺の腱に炎症が起こって腱鞘炎に発展するケースも少なくありません。 パソコン腱鞘炎のチェック方法 パソコン腱鞘炎やマウス腱鞘炎になっているか、または発症しかけているかを確認するには、セルフチェックが有効です。以下の項目で当てはまるものがないか確認してみましょう。 長時間パソコン作業に従事している パソコンのモニターが真正面にない キーボードまで距離がある・キーボードの手前に書類などが置いてある パソコン作業中に足を組んでいる 受話器を耳や肩で挟みながらキーボード入力している パソコンを使っている時に指や手首などを痛めたことがある 指や手首、腕などに違和感がある 頭痛や目の疲れがある 歩く時間が1日30分に及ばない 休憩時間などにスマホを操作することも多い 以上の項目で当てはまるものが多いときは、パソコン腱鞘炎やスマホ腱鞘炎の疑いがあります。 加えて、医療機関でも使われる方法として、以下の方法でチェックするのもおすすめです。 【ドケルバン病のチェック方法】 フィンケルシュタインテスト:広げた手で親指を内側に折った後、反対側の手で親指を引っ張る フィンケルシュタインテスト変法:親指握った状態でこぶしを作り、手首を小指側に曲げて痛みの有無を確認 【ばね指のチェック方法】 指の付け根部分を軽く押しながら、指を曲げ伸ばす 曲げ伸ばしがスムーズにできないときは、ばね指の疑いがあります。 パソコン腱鞘炎になる原因 パソコン腱鞘炎を引き起こす主な原因は以下の通りです。 過度なタイピング操作 パソコン作業時の姿勢の悪さ マウス操作時の利き手への負担 これらの複数の要因が重なり合って症状が現れるのが一般的です。 それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 過度なタイピング操作 過度なタイピング操作は指先に負担をかけ、パソコン腱鞘炎の原因となります。 とくに業務でのパソコン作業では、成果物の提出やメール対応などの迅速さが求められるため、早いタイピングが必要なケースも多くあります。急ぐあまりエンターキーを強めに押す人も少なくありません。 しかし、早いタイピングや強めのキーボード入力は、自然と指先に大きな負担をかけます。もしパソコン作業が毎日長時間に及ぶと、溜まった負担によって指先の腱鞘炎を発症する原因にもなりやすいです。 パソコン作業時の姿勢の悪さ 「パソコン作業時の姿勢の悪さ」も、パソコン腱鞘炎の主要な原因のひとつです。パソコン作業中は、画面やキーボードの位置を確認しながら入力などしていくため、猫背のような悪い姿勢になることもよくあります。 しかし姿勢の悪い状態で作業を続けた場合、肩や腕、手首などに負担がかかります。 猫背になると肩甲骨周りの筋肉が緊張し、肩や腕の動きが制限されてしまいます。その結果、手首に余計な負担がかかって腱鞘炎を引き起こす場合があります。 また、デスクや椅子の高さやキーボードの位置が自分に合っていないのも、パソコン腱鞘炎の原因のひとつです。とくにキーボードやノートパソコンがあまりにも手前側に置かれている状態は、直接手や手首に大きな負担を与えます。デスクや椅子の高さが合っていない状態も、手首や腕に余計な負担がかかるため、腱鞘炎を引き起こす要素となります。 マウス操作時の利き手への負担 パソコン作業中にマウスを長時間使用することで利き手に負担がかかり、これも腱鞘炎を引き起こす原因となります。クリック操作やスクロール操作では、利き手側の人指し指など特定の指に負担が集中しがちです。 加えて、マウスを操作する際は手首を反らした状態になりやすいため、手首の腱や腱鞘にも負担が集中します。 マウス操作では、両手を使うキーボード入力と異なり、利き手の特定の部位に負担が集中する傾向があります。その結果、人差し指や手首で腱鞘炎が発症するリスクを高めます。 パソコン腱鞘炎でできるセルフケア パソコン腱鞘炎の症状が現れた場合、適切なセルフケアをおこなうことで症状の悪化を防ぎ、回復を促せます。 しかし、セルフケアはあくまで補助的な要素として、症状が重い場合や長期間続く場合は医療機関を受診してください。 ここでは、パソコン腱鞘炎の症状を和らげるために自宅でできる4つの基本的なセルフケア方法をご紹介します。 痛みが出たら手を休ませる サポーターやテーピングで固定 症状に応じた温冷療法 作業中にストレッチを取り入れる これらの方法を組み合わせて実践することで、より効果的な症状改善が期待できます。 痛みが出たら手を休ませる パソコン作業で痛みが生じたときは、無理をせず手を休ませてください。早めに休憩を取れば、痛みが和らぎ症状悪化も防げます。とくに仕事中に痛みなどを感じた際には、1時間から2時間に1度は小休止を取ることをおすすめします。 逆に痛みなどがあるにもかかわらず、放置して作業を続行すると、症状がより悪化しかねません。痛みや腫れを感じたら、まずは安静にすることが大切です。 サポーターやテーピングで固定 パソコン腱鞘炎になった際には、手首や指をサポーターやテーピングで固定するのもおすすめです。サポーターやテーピングで指や手首の動かせる範囲を制限することで、患部の負担を抑えられます。 仕事などで作業を中断できない場合でも、サポーターを活用することで負担を軽減しながら作業を続けられます。 ただし、すでに腱鞘炎の症状が見られる状態であるため、こまめな休憩は欠かせません。 症状に応じた温冷療法 症状に応じた温冷療法も、パソコン腱鞘炎に対するセルフケアでよく使われる方法です。腱鞘炎の症状が見られ始めて間もない急性期には、患部を冷やします。アイスパックや氷嚢などをタオルで巻いて患部に当てると、痛みや腫れを緩和できます。 症状が落ち着く慢性期の場合は、反対に患部を温めます。患部をぬるま湯につけることで血行が改善され、症状が和らいだり腱などの柔軟性が高まったりする効果が期待できます。 作業中にストレッチを取り入れる 作業中の休憩時間にストレッチするのもおすすめです。休憩に合わせてストレッチすることで、痛みが和らいだり、血行の促進で腱の動きをスムーズにできたりします。 業務中でも短時間でできるストレッチをいくつかご紹介しましょう。 【背中のストレッチ】 座った状態で両手を前に突き出す 胸を後ろに引いた状態で背中を丸める この状態を30秒間キープする 【胸のストレッチ】 座った状態で両手を後ろで組む 肩甲骨を引いて胸を張る 背中が丸くならないように腕を上げる 胸が伸びたら、その状態で30秒間キープ 【前腕のストレッチ】 一方の腕を前にまっすぐ伸ばす 手を上側や下側に反らせる(痛みを感じない程度に伸ばす) それぞれの方向で10秒間キープ・5セットおこなう 反対の腕でもストレッチ ただし、これらのストレッチは指先や手首に強い症状や違和感があるときは、無理せずに控えてください。 パソコン腱鞘炎の予防法 パソコン腱鞘炎は長時間のパソコン作業や姿勢の悪さが原因で、指先や手首に発症します。 このため、日頃からパソコンを使った作業の時間や姿勢、作業環境などを見直すことで予防が可能です。 パソコン腱鞘炎の予防法には、主に以下の方法があります。 こまめに休憩を取る 普段から長時間パソコン作業をおこなっている方は、こまめに休憩を取ることが大切です。パソコン腱鞘炎は、指先や手首をいたわることなくパソコン作業で使いすぎると発症します。 1時間から2時間に1度、10分程度の休憩を入れて指や手首を休ませるだけでも、腱鞘炎の予防効果が期待できます。 手指のストレッチを取り入れる こまめな休憩に加えて、手指のストレッチも取り入れましょう。疲労が溜まった手指のストレッチで、血行が促されるとともに手指の腱や腱鞘の柔軟性を高められます。 パソコン腱鞘炎は手指などの腱や腱鞘が硬くなって症状が現れるため、日頃からストレッチを習慣づけることで腱鞘炎の発症を防止できます。手指のストレッチの方法は次のとおりです。 指を1本ずつ、手の甲側に反らしていく それぞれの指で何セットかこなす なお、長時間のストレッチは余計に腱鞘炎のリスクを高めるため、指1本につき10秒程度のストレッチをゆっくりとおこないましょう。 姿勢を改善する パソコン腱鞘炎の予防には、作業中の姿勢の改善も欠かせません。パソコン作業中に背中を丸める姿勢は、肩や腕、指先に負担がかかり、腱鞘炎のリスクを高めます。 姿勢を改善する際のポイントは、次のとおりです。 背筋をまっすぐ伸ばし、あごは軽く引く 椅子には深めに腰かける 肘は直角に曲げる一方、手首は曲げないようにする 足の裏はつま先からかかとまでしっかりつける(膝は90度に・足は組まない) マウスはなるべく身体に近いところに置いて操作 これらを意識して、姿勢を改善してみてください。 予防グッズなどでデスク環境を整える 姿勢の改善とともに、腱鞘炎予防グッズなどでデスク環境を整えることも有効な対策です。具体的に以下の方法があります。 デスクや椅子を適切な高さに調整(デスクは60~72cm、椅子は37~43cmの範囲で) ディスプレイは40cm以上離す(上端部分が目の少し下に来る程度に) ノートパソコンはスタンドで目線の高さを調整 リストレストやアームレストなど手や腕の負担を軽減するグッズの導入 エルゴノミクスマウス(人間工学に基づいたマウス)の活用もあり デスク環境を整えて、体への負担を軽減しましょう。 まとめ|パソコン腱鞘炎では長時間の作業は禁物 パソコン腱鞘炎は長時間のパソコン作業で、指や手首などに疲労が溜まって発症する疾患です。発症すると、仕事や日常生活に影響を与えます。 パソコン腱鞘炎になったときは、なるべく指や手首を安静にして、適度にストレッチすることが重要です。また、予防する方法として正しい姿勢を心掛けたり、デスク環境を整えたりする方法もあります。 パソコンを使うシーンが多い現代人にとって、パソコン腱鞘炎は誰もが発症する可能性のある身近な病気です。作業の合間にこまめに休憩を取るなどして、対策をしましょう。 パソコン腱鞘炎になった場合は、安静にするほかにも再生医療の治療選択肢もあります。 詳しくは、公式ラインで公開している無料の再生医療ガイドブックをご覧ください。 パソコン腱鞘炎でよくある質問 パソコン腱鞘炎が左手に発生することはある? パソコン腱鞘炎は左手に発生することもあります。 キーボードは両手で使用するため、右利きの方でも左手にパソコン腱鞘炎を発症します。とくに、シフトキーやCtrlキー、Tabキーなど左手で操作することが多いキーを頻繁に使う場合は、注意が必要です。 また、左利きでマウスを左手で操作する方は、左手に症状が現れやすくなります。 パソコン腱鞘炎が肘に出てくることはある? パソコン腱鞘炎が肘に現れることはあります。パソコン作業中が原因で肘に現れる腱鞘炎は、「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」と呼ばれる症状です。テニスプレーヤーに多いことで知られるテニス肘は、パソコン操作が日常的な方にとっても身近な存在です。 パソコン作業では、キーボード入力やマウス操作の際に指を頻繁に動かすと、手や手首を反らす動作が増えます。この手や手首を反らす動作に影響を与えているのが、肘の外側の筋肉です。そして日頃からパソコン作業が多くなりすぎると、肘の外側の筋肉に大きな負担がかかり、ついにはテニス肘を発症します。 とくに作業中の姿勢やデスク環境が悪い場合は、猫背などで肘に与える負荷が大きくなる分、テニス肘の発症リスクが高まるため、姿勢には注意が必要です。 パソコン腱鞘炎は労災認定されますか? パソコン腱鞘炎は、症状によっては労災認定されるケースがあります。以下の条件に当てはまる場合は、労災認定の可能性が高いです。 6ヵ月以上にわたって、職場で長時間パソコンを使った反復作業に従事している 業務内容と腱鞘炎の症状に明らかな因果関係がある 専門医による診断がある 発症の時期やきっかけがはっきりしている ただし、業務との因果関係の証明や証拠集めにハードルがあるため、労災認定が難しいケースもあります。
2025.06.30 -
- 手部、その他疾患
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日常的にピアノを弾いている方が指先や手首に痛みを感じるようになったら、その症状はピアノ演奏が原因で発症する、ピアノ腱鞘炎の可能性かもしれません。 ピアノ腱鞘炎は普段の練習のしすぎだけでなく、演奏中のフォームの悪さなどさまざまな原因で起こる病気です。 本記事では、ピアノ腱鞘炎の症状や原因、治療法を解説します。 今後ピアノを長く続けるためにも、ピアノ腱鞘炎のことを理解しておきましょう。 ピアノ腱鞘炎の症状をチェック! 腱鞘炎の中には、ピアノの演奏が原因になる「ピアノ腱鞘炎」もあります。ピアノ腱鞘炎の症状は、主に次のとおりです。 親指の付け根・手首の痛み|ドケルバン病 ピアノ腱鞘炎の症状として、「ドケルバン病」があります。 ドケルバン病は腱鞘炎のうち、手首の親指側にある「短母指伸筋腱」と「長母指外転筋腱」という2本の腱と、それを包む腱鞘が炎症を起こす病気です。 ドケルバン病で炎症が起きる腱や腱鞘は、親指や手首の動きに関係しています。そのため、親指を曲げ伸ばしたり手首を動かしたりする際に、親指の付け根や手首に痛みやしびれを感じるのが特徴です。 指の付け根の痛み・ひっかかり|ばね指 ピアノ腱鞘炎の症状としては、「ばね指」も知られています。ばね指は腱鞘炎でも、各指の付け根部分の手のひら側にある屈筋腱と、それを覆う腱鞘で炎症が起きる病気です。 それぞれの指にある屈筋腱は、指が滑らかに曲げ伸ばしできる役割があります。しかし、ばね指になると屈筋腱で炎症が生じるため、指を曲げ伸ばす際に痛みを感じたり、ひっかかりでうまく動かせなくなったりするのが特徴です。 ピアノ腱鞘炎の原因 腱鞘炎のうち、日常生活でのピアノ演奏をきっかけに発症するものに「ピアノ腱鞘炎」があります。 ピアノ腱鞘炎の原因は、練習などでのピアノ演奏時の正しくない習慣が主です。 過度な練習による指や手首の使いすぎ ピアノ腱鞘炎の原因として、「過度な練習による指や手首の使いすぎ」が挙げられます。 ピアノの演奏では、さまざまな鍵盤を複数の指で押すため、自然と指や手首への疲労が溜まっていきがちです。 オクターブ演奏で少し離れた鍵盤を押そうとして指を大きく広げると、より指に負担がかかります。 ピアノの演奏では多種多様な指の動きが求められる分、練習時間が長いほど指や手首には重い疲労が溜まりやすくなります。 日々の無茶な練習で指や手首を酷使した結果、腱鞘炎を発症してしまうケースも少なくありません。 鍵盤を押すときに力みすぎている 「鍵盤を押すときに力みすぎている」ことも、ピアノ腱鞘炎の原因のひとつです。とくに、演奏中に音の強弱をつけようとして、つい力を入れすぎてしまうシーンが見られます。 しかし、ピアノの音量は鍵盤を押す「速さ(打鍵速度)」で決まるため、力任せにたたいても思うような音にはなりません。 それどころか、指や手首に余計な負担をかけるだけになってしまいます。力んだまま鍵盤を押すクセは無意識に出やすいため、気づいたときには腱鞘炎を発症しているケースもあります。 不適切な姿勢やピアノとの距離 ピアノ腱鞘炎は、「演奏時の姿勢」や「ピアノとの距離」も関係する要素です。 ピアノ演奏では、猫背や肩が上がっている状態などの悪い姿勢は、首や肩に大きな負担がかかります。 腕を支える肩甲骨のスムーズな動きも妨げる分、腕や指先にも気付かないうちに疲労が溜まっていく仕組みです。 加えて、体とピアノの距離が近くても離れていても腱鞘炎の原因になります。 ピアノに近すぎると、自然と背中が丸くなる分、下がってくる頭を支えるために肩や腕に余計な力が入り、手首や指にも負担がかかります。 一方でピアノと離れすぎている場合、腕を余計に伸ばさないといけなくなるため、手首や指先に負担がかかりがちです。適度な距離を保ちましょう。 ピアノ腱鞘炎の治し方 ピアノ腱鞘炎になってしまったとき、どのような治し方があるのかを知っておくと、今後ピアノと長く付き合ううえで役立ちます。 ピアノ腱鞘炎の治し方には、主に以下の方法があります。 痛みを感じたら練習は休む ピアノの練習中に指や手首などに痛みを感じたら、無理せずに練習を休むことが大切です。 長時間連続で練習を続けた場合、指や手首にさらなる負担がかかり、症状が悪化します。こまめに休憩を設けることがポイントです。 患部のテーピングや温熱療法 患部のテーピングや温熱療法も、ピアノ腱鞘炎の治し方のひとつに挙げられます。 テーピングは指や手首の動きを制限しながら、極力負担をかけずに痛みを抑える用具です。 ただし、テーピングによって肌が荒れることもあるため、心配な方にはサポーターの使用をおすすめします。 温熱療法は、すでに腱鞘炎が慢性化している方向けの方法です。練習後にぬるま湯に患部をつけて温めることで、血行の改善や腱鞘炎による症状の緩和などの効果が期待されます。 ただし、炎症が起きている急性期に温めると、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。 なお、腱鞘炎になって間もない場合は、温熱療法ではなく冷却療法が推奨されます。患部を冷やす際には、アイスパックなどをタオルに包んだ状態で患部に当てます。 力を抜いた演奏を心掛ける ピアノ腱鞘炎になったときは、力を抜いた演奏を心掛けることも治し方のひとつです。 腱鞘炎を抱えている状態で力を込めて演奏すると、肩や指先などに過度な負担がかかって、余計に症状が悪化します。 とくに不慣れな曲やフレーズを演奏する際には、つい鍵盤に力が入りがちです。1音ずつ焦らずゆっくりと弾き方に慣れることをおすすめします。 ピアノ腱鞘炎の予防法 ピアノ腱鞘炎には以下のような予防法があります。練習中の方法やフォームを見直したり、ストレッチを取り入れたりして予防を心掛けてください。 練習中に休憩をはさむ ピアノ腱鞘炎を予防するには、練習中に休憩をはさむことが大切です。ピアノ腱鞘炎は長時間にわたって休憩なしで練習するほど、指や手首に疲労が蓄積されます。 このため、途中で休憩をはさめば、指や手首に溜まった疲労を少しでも解消できる分、本格的な腱鞘炎の発症リスクを下げられます。とくに、ピアノ初心者や久しぶりに弾く方は、短時間の練習とこまめな休憩を組み合わせることがおすすめです。 練習中のフォームの見直し ピアノ腱鞘炎を予防するには、練習中のフォームを見直す必要があります。演奏中の姿勢が悪いと、肩や腕、指先などに余計な力がかかる分、腱鞘炎を発症する可能性も高まります。 ピアノ演奏の際の正しい姿勢のポイントは、次のとおりです。 鍵盤の真ん中に椅子を置く 椅子に浅めに腰掛ける(前側3分の1程度) 背筋をぴんと伸ばしつつ、肩やひじは脱力する 手首の角度は鍵盤にまっすぐ伸びている 足はつま先からかかとまで床につける 椅子の高さは肘と鍵盤が同じくらいの高さになるように 手の形は卵をもって折るイメージで ストレッチの習慣を取り入れる ピアノ腱鞘炎を予防するには、指や手首の柔軟性を保つことが大切です。そのために、練習前後にストレッチを取り入れる習慣をつけましょう。 ストレッチによって血行が促進され、筋肉や腱の柔軟性を維持しやすくなります。 腱鞘炎は、指や手首の動きが硬くなることで起こりやすくなるため、日常的なケアが予防につながります。 たとえば、手を開いたり握ったりする「グーパー運動」や、指を1本ずつ甲側に反らすストレッチなどが効果的です。 自分に合う鍵盤のピアノを選ぶ 自分に合う鍵盤のピアノを選ぶことも、腱鞘炎を予防するうえで効果的です。 重いと感じる鍵盤を日常的に押すことも、ピアノ腱鞘炎の発症につながります。鍵盤が重いほど、音を出す際に力をこめる必要があります。 ピアノ腱鞘炎を防止するには、あまり力まずに演奏できる程度の鍵盤を選ぶことが理想的です。もし、今使っているピアノの鍵盤を重く感じるときは、調律師に調律を依頼するか、軽い力で鍵盤を押せるピアノに買い替えを検討しましょう。 電子ピアノにはタッチ調整機能もある 電子ピアノの場合はタッチ(鍵盤)の調整機能もあるため、こちらを選ぶのもひとつの手です。タッチ感度を調整するためのボタンを操作することで、弾くときの力の強弱や音の出方を調整できます。 今使っているピアノの鍵盤の重さに違和感があり、買い替えを考えている方には、タッチ調整機能つきの電子ピアノを選ぶのもおすすめです。 まとめ|ピアノ腱鞘炎になったら無理せず安静にしよう ピアノ腱鞘炎はピアノ演奏のしすぎや、演奏時の姿勢の悪さが主な原因です。 ピアノ腱鞘炎になったときは、練習をすぐにやめて安静にする必要があります。早く演奏を再開したい場合には、姿勢やフォーム、力の入れ方を見直し、患部への負担を減らす工夫も欠かせません。 また、腱鞘炎を予防するためには、日頃からこまめに休憩をとったり、ストレッチを習慣づけたりすることが効果的です。無理のない演奏環境を整えることが、ピアノと長く付き合っていくための第一歩といえるでしょう。 ピアノ腱鞘炎は、適切に対処しないと演奏を長期間休まなければならない場合があります。指先や手首に痛みを感じたら、無理をせず練習を中断し、早めに治療を始めることが大切です。 なお、腱鞘炎の治療法には再生医療という選択肢もあります。腱鞘炎でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 ピアノ腱鞘炎のよくある質問 ピアノ腱鞘炎が治るまでの期間は? ピアノ腱鞘炎が治るまでの期間は個人差はあるものの、早くて3週間から2ヵ月程度、重症化した場合や治療が遅れた場合は、数ヵ月から1年以上かかることもあります。 そのため、なるべく早く治してピアノ演奏を再開するには、痛みを感じてから早い段階で治療を始めることが大切です。 ピアノ腱鞘炎はオクターブも関係ある? ピアノ腱鞘炎はオクターブ演奏で発症する場合もあります。オクターブ練習では無理に手を広げようとするため、指先に負担がかかって腱鞘炎に繋がることがある点に注意が必要です。 ピアノ腱鞘炎は演奏の下手さでなる? ピアノ腱鞘炎は演奏の上手・下手に関係なく発症する人は一定数います。ただし、ピアノの初心者や演奏慣れしていない方の場合、うまく脱力できていなかったり無理な指の広げ方をしたりすることで、腱鞘炎になることがあります。
2025.06.30 -
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日々腱鞘炎に悩まされているものの、忙しいなどの理由でなかなか専門医の診察を受けられない方もいるのではないでしょうか。 腱鞘炎の改善には適切な治療が最も重要ですが、日常の食生活も回復をサポートする要素の一つです。 本記事では、腱鞘炎を早く治す食べ物を、摂取の際の注意点や他にできるセルフケアの方法とともに解説します。 食べ物の力を活用して、腱鞘炎の回復をサポートしていきましょう。 腱鞘炎を早く治すのに効果的な食べ物 腱鞘炎の治療法といえば、患部を安静にしたり薬を使ったりする保存療法が主流です。しかし、腱鞘炎は摂取する食べ物を見直すことでも、改善の効果が期待できます。 腱鞘炎をなるべく早く治すには、とくに以下の食べ物を意識的に摂るのがポイントです。 オメガ3脂肪酸が豊富な食べ物 ビタミンCやビタミンEの多い食べ物 たんぱく質を多く含む食べ物 グルコサミンなどのサプリメント オメガ3脂肪酸が豊富な食べ物|青魚や亜麻仁油など オメガ3脂肪酸は、腱鞘炎など関節の炎症を抑える効果が期待できる栄養素です。 オメガ3脂肪酸を意識的に摂取した場合、炎症を誘発する化合物である「サイトカイン」の生成量を減らせます。 オメガ3脂肪酸は青魚や亜麻仁(あまに)油、豆類・木の実類などに豊富に含まれています。より具体的な食べ物は次のとおりです。 青魚類:サーモン・イワシ・サバ・ニシン・マグロなど 植物由来の油:亜麻仁油・キャノーラ油・大豆油・クルミ油など 豆類・木の実類:クルミ・大豆・アマニ・チアシードなど ビタミンC・ビタミンEの多い食べ物|野菜・果物類など ビタミンCやビタミンEを多く含む食べ物も、腱鞘炎を早く治す際に効果的とされています。ビタミンCやビタミンEは野菜や果物類に多く含まれる栄養素です。 とくに、以下の食べ物から豊富に摂取できます。 栄養素 野菜類 果物類・ナッツ類 ビタミンC パプリカ・ブロッコリー・キャベツ・トマト など 柑橘類・イチゴ など ビタミンE ブロッコリー・ホウレンソウ など アボカド・ピーナッツ・アーモンド など ビタミンCやビタミンEは、ともに抗酸化作用があるため、腱鞘炎を早期に改善する効果が期待されます。 酸化は体内の活性酸素のはたらきによる現象で、酸化が進行すると腱鞘炎の回復に時間がかかりやすくなります。 そのため、抗酸化作用に効果が見込めるビタミンCやビタミンEの摂取も、腱鞘炎を早く治すポイントです。 加えて、ビタミンCやビタミンEの摂取は、腱鞘炎で傷ついた腱の回復を助けます。 たんぱく質を多く含む食べ物|大豆食品や肉類 腱鞘炎を早く治すには、たんぱく質を多く含む食べ物を摂取する必要があります。 たんぱく質は、腱鞘炎の原因である腱や腱鞘、筋肉の損傷を改善するうえで必須の栄養素です。同時にたんぱく質は、腱や腱鞘を構成するコラーゲン繊維の主要な材料の1つでもあるため、腱鞘炎からの早期回復に貢献します。 たんぱく質を多く含む食べ物として、大豆食品や肉類、卵などが代表的です。なかでも、大豆食品に含まれるイソフラボンは、腱鞘炎による痛みを和らげる効果があるとされています。 イソフラボンなどたんぱく質を含む食べ物は、次のとおりです。 大豆食品:納豆・豆腐・豆乳・味噌・油揚げ など 肉類:鶏肉(胸肉・もも肉・ササミ)、豚肉(豚ロース・豚肩肉・豚バラ肉など)、牛肉(牛もも肉・牛ひれ肉 など) 上記以外:卵や低脂肪牛乳 など グルコサミンなどのサプリメント グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントは医療機関の処方薬ほどの効果は見込めません。 しかし、関節痛の初期段階や手や指を使う際の予防や症状の進行を抑える効果が期待されます。 ただし、グルコサミンやエクオールなどのサプリメントの腱鞘炎への効果は医学的に十分実証されておらず、個人差もあるため注意が必要です。 腱鞘炎改善に役立つ食生活の注意点 食べ物で腱鞘炎の改善を図るには、症状に効果的な栄養素を多く摂取することが大切です。その一方で、食生活を通じて腱鞘炎を改善していくには、次の点に注意する必要があります。 脂肪分の多い食べ物は避ける 脂肪分の多い食べ物は腱鞘炎の改善を図るうえで避けるべきです。揚げ物や加工食品などの脂っこい食べ物はカロリーが高い分、体内に余計な熱を持たせることで、炎症のさらなる悪化を招く可能性があります。 加えて、脂肪分の多い食べ物は、胃や腸などでの消化に時間がかかるのも特徴です。胃腸に与える負荷も大きく、腱鞘炎の改善に必要な栄養素を吸収する力が弱まるため、回復に時間がかかります。 なるべく早めに腱鞘炎を改善したいのであれば、まず脂肪分の多い食べ物を過度に摂取する習慣を改善することが大切です。 暴飲暴食は控える 腱鞘炎の改善に効果的な栄養素を多く摂取することは大切ですが、暴飲暴食はNG行為です。暴飲暴食も脂肪分の多い食べ物の過度な摂取と同じく、消化器官に大きな負担をかけてしまいます。 食べすぎや飲み過ぎは、腱や筋肉の回復に欠かせない栄養素の摂取にも時間がかかるとともに、血液など体液の流れにまで悪影響を及ぼす点でも問題です。 体液の流れが悪化すると、腱や筋肉にも栄養素が届きにくくなる分、腱や筋肉が硬くなったり回復に時間がかかったりします。 腱鞘炎に効果がある栄養素を積極的に摂取するのは良いことですが、飲食の量はほどほどにするのがポイントです。 栄養バランスを心掛ける 腱鞘炎を食生活の改善によって早期回復させるためには、バランスの取れた栄養摂取が不可欠です。 腱鞘炎の回復過程では、オメガ3脂肪酸、タンパク質、各種ビタミンなど、多種多様な栄養素が必要となります。 症状が重い場合、患部の修復には通常より多くの栄養素が消費されます。これらの栄養素は細胞内で代謝され、組織修復に必要なタンパク質などの合成材料として利用されるのです。 このように多くの栄養素が通常以上に必要となるため、野菜、肉類、魚類、大豆製品などを幅広くバランス良く摂取することが、腱鞘炎の早期回復において重要な役割を果たします。 冷たい飲み物の飲み過ぎに注意する 冷たい飲み物を飲むと、冷えによって体内の血行が悪化するため、飲みすぎに注意してください。血行が悪化すると、腱や筋肉の修復に必要な栄養素が届きにくくなり、腱や筋肉の柔軟性の低下で回復が遅れます。しかも、腱や筋肉が硬くなるために、痛みが強くなることさえあります。 なお夏場は、暑さの影響でつい冷たい飲み物を摂取しがちになるだけでなく、エアコンの風で体が冷えやすいです。他の季節以上に冷えの影響を受けやすいため、冷たい飲み物の飲み過ぎを控えることがより重要になります。 腱鞘炎を早く治すためのセルフケア 腱鞘炎を早く治す際には、食べ物以外の方法もあります。食べ物の摂取以外にできるセルフケアの主なやり方は、次のとおりです。 なるべく指や手首を安静にする 腱鞘炎のセルフケアでは、極力指や手首を安静にする方法が基本です。腱鞘炎は指や手首の酷使(使いすぎ)で炎症が生まれることで発生します。 そのため、腱鞘炎になったときには、症状が落ち着くまではできる限り指や手首を使わないことが大切です。もし、仕事などでパソコンやスマホを日常的に使う方は、30分から1時間おきに1度は指や手首を休ませてください。 パソコンやスマホの操作が長時間に及ぶと、指や手首に疲労が溜まる分、腱鞘炎を発症するリスクが高まります。 そのため、腱鞘炎のリスクを抑えるためには、こまめな休憩を通じて指や手首に溜まった疲労を少しでも解消することが大切です。なお、スマホを使う際には両手で持つことでも、一方の手の指や手首への負担を減らせます。 サポーターなどで固定するのもおすすめ 指や手首を安静にする際には、サポーターやテーピングによる固定もおすすめです。この方法は、とくに指や手首に痛みが生じているにもかかわらず、仕方なく指などを使わなければいけないときに役に立ちます。 サポーターやテーピングで患部のある指や手首を固定すると、実際に手を使う必要のある状況でも負担を軽減できます。 ストレッチで手指の柔軟性を高める 腱鞘炎のセルフケアでは、ストレッチで手指の柔軟性を高める方法も大切です。腱鞘炎は指の腱や筋肉の柔軟性が下がって血流が悪化した結果、発症します。 逆に手指の柔軟性が高まれば、血流が改善されるとともに、腱や筋肉の回復に必要な栄養素も届きやすくなる分、早期の回復も期待できます。予防の面でも、普段からストレッチで手指や手首の柔軟性を高めておくことが大切です。 手指の柔軟性を高めるストレッチの手順は、以下のとおりです。 手首を甲・腕側に軽く曲げる 指を1本ずつなるべく伸ばし、反対側の手でつまんで甲側に軽く反らす 簡単なので、ちょっとしたスキマ時間に試してみてください。 治らないときは医療機関を受診する 腱鞘炎に効果的な食べ物を食べたり、ストレッチなどでセルフケアしたりしても治らないときは、無理せずに医療機関を受診しましょう。 医療機関では専門医の診察・診断を経て、薬物療法やステロイド注射がおこなわれます。薬物療法は以下の方法が代表的です。 外用鎮痛消炎薬:塗り薬や湿布など、痛みのある部位に直接塗ったり巻いたりする 内服薬:飲み薬として服用 もし、薬物療法でも症状の改善が見込めないときは、ステロイド剤を注射します。症状の出ている腱鞘に直接注射する方法で、数日から3週間程度で症状が緩和します。 ステロイド剤注射でもなお、症状が良くならないときは手術も治療の選択肢です。腱鞘炎の場合は、腱鞘を切り開く「腱鞘切開術」がおこなわれます。炎症で厚くなった腱鞘を切り開いて、腱が以前のように円滑に動くようにする方法です。 腱鞘炎を早く治すには「再生医療」も選択肢のひとつ 腱鞘炎を早く治す場合、「再生医療」という選択肢もあります。 再生医療には主に、幹細胞治療とPRP療法があります。 幹細胞治療は、患者様の幹細胞を採取・培養して患部に投与する治療法です。幹細胞の「分化能」という他の細胞に変化する能力を活用します。 PRP療法では、患者様の血液を採取した後、専用の遠心分離器で血小板を濃縮した液体「多血小板血漿(PRP)」を作製し、患部に注射する方法です。 手術をおこなう必要がなく、治療も最短30分程度で終わります。 再生医療に関して詳しくは、以下をご覧ください。 まとめ|腱鞘炎を早く治す食べものを取り入れて早期改善を目指そう 腱鞘炎を早く治すには、早く治すうえで効果的な栄養素の摂取が欠かせません。オメガ3脂肪酸やビタミン、たんぱく質などが重要となる分、大豆食品や野菜、肉、魚を盛り込んだバランスの良い食事が大切です。 同時に、腱鞘炎を早く治すときは、指や手首を安静にすることやストレッチなども役に立ちます。食べ物の摂取と組み合わせて、腱鞘炎の早期改善を目指しましょう。 腱鞘炎を早く治す食べ物の「よくある質問」 腱鞘炎に効く飲み物は? 腱鞘炎に効果的な飲み物は、食べ物と同じようにビタミンC・Eやたんぱく質を豊富に含んだものがおすすめです。具体的には以下のものがあります。 ビタミンC:青汁・アセロラジュース・グレープフルーツジュース・緑茶類 など ビタミンE:豆乳・アーモンドミルク・麦芽コーヒー・きな粉飲料 など たんぱく質:牛乳・豆乳・飲むヨーグルト・プロテインドリンク など ばね指に効く食べ物は? ばね指は腱鞘炎のうち、指に発症するものです。このため、ばね指に効果的な食べ物を摂取したいときも大豆食品・魚類・野菜などのような、腱鞘炎の改善に効果的とされる栄養素を多く含むものをおすすめします。 腱鞘炎は栄養不足が原因でなるの? 腱鞘炎は栄養不足で発症することもあります。腱や腱鞘は主にコラーゲン繊維で構成されているためです。同時にコラーゲン繊維も、鉄分・たんぱく質・ビタミンEを材料に生成されます。 そのため、体内で鉄分などの栄養分が不足した場合、腱や腱鞘の形成に悪影響を及ぼします。その結果、腱鞘炎を発症しやすくなる仕組みです。 腱鞘炎が治らない理由は? 腱鞘炎がなかなか治らない理由としては、以下のようなものが考えられます。 症状があるにもかかわらず、指や手首を使いすぎている 自己判断による誤ったセルフケア 暴飲暴食による胃腸の働きの低下 ホルモンバランスの乱れ 腱鞘炎を確実に治す方法は? 腱鞘炎の治療には個人差がありますが、次の方法が効果的とされています。 症状の出ている指や手首を安静にする・極力負担をかけない 専門医の診察・治療を受ける 指や手首のストレッチ(痛みを感じる場合、無理をしない) 栄養バランスの取れた食事の摂取 症状の悪化や慢性化を防ぐためにも、早めに医療機関を受診しましょう。
2025.06.30 -
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東洋医学に基づくツボ押しは、特定の部位に適度な圧力をかけることで体の不調を和らげるとされる手技療法です。 腱鞘炎の症状に対しても、日常生活の中で手軽に実践できるセルフケアの一つとして取り入れることができます。 本記事では、部位別の腱鞘炎に効果のあるツボを、腱鞘炎の予防法などとともに解説します。 ツボ押しの他に、腱鞘炎に対する治療法として、再生医療も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 腱鞘炎のツボの押し方【基礎知識】 腱鞘炎のツボ押しをする前に先に押し方を理解しておくと、より効果的にツボを刺激できます。 腱鞘炎のツボを押す際には、まずリラックスした状態で、押したいツボにゆっくりと指圧を加えることがコツです。 ツボを押す際は力を入れ過ぎずに、心地よさ(痛気持ちよさ)を感じられる程度がちょうどよいとされています。同時に指圧を加えたら、5秒程度キープするのもポイントです。 もし、「刺激が足りない」と感じるときには、指圧を加えた状態で円を描いてください。 なお、ツボ押しは、毎日継続的に行うことで、腱鞘炎の症状を和らげる効果が期待できます。 ただし、治療法ではないため、痛みが強かったり症状が落ち着かなかったりするときは、医療機関を受診しましょう。 手にある腱鞘炎のツボ 腱鞘炎の症状を和らげる効果が期待できるツボは、上半身のさまざまな場所にあります。 まずは、手にある腱鞘炎のツボから紹介します。 陽谿(ようけい) 「陽谿(ようけい)」は、親指の付け根部分、手首に近いところにあるツボです。親指の付け根と手首の境目にある穴のような部分です。 ここを刺激することで、手指や手首を使いすぎたときに生じる痛みを和らげる効果があるとされます。 ツボを押す際は、手首の力を抜いてリラックスした状態で、反対の手で手首をつかみながら親指で5秒程度軽く押します。 合谷(ごうこく) 「合谷(ごうこく)」は、親指と人差し指の付け根の間にあるツボです。親指と人差し指の骨が合わさる部分の、少し指先側のくぼみに当たります。 腱鞘炎による痛みを和らげたり、炎症を鎮めたりする効果が期待できるツボです。 加えて、肩こりや目の疲れにも効果があるとされるため、長時間のスマホ操作やデスクワークに休みを入れて刺激することもおすすめできます。ただし、妊娠中の方の場合、東洋医学では合谷への刺激が子宮の収縮を促すとされているため、避ける必要があります。 合谷を押す際には、反対の手の親指で押しながら、優しくじっくりと円を描くように刺激を与えるのがポイントです。 労宮(ろうきゅう) 「労宮(ろうきゅう)」は、ちょうど手のひらの真ん中にあるツボです。具体的には、中指と薬指を掌側に握るように曲げて先端が当たったとき、両方の指の間に位置するツボを指します。 労宮は腱鞘炎の緩和のほか、手や指の疲労を和らげるうえで効果があるとされるツボです。 とくに腱鞘炎でも、指の付け根の痛みや炎症が特徴的な「ばね指」の症状を改善するとされています。 労宮を刺激する際には、反対の手の親指をやや強めに押すのがポイントです。親指を5秒程度押した後に離す動作を、数回繰り返します。 手首にある腱鞘炎のツボ 腱鞘炎の症状改善が期待できるツボは、手首にも複数あります。 手首にある腱鞘炎の主なツボは、次の2ヵ所です。 大陵(だいりょう) 「大陵(だいりょう)」は、手首を内側に折ったときにしわができる部分の真ん中にあります。大陵を刺激すると、手の痛みやしびれを和らげる効果が期待できます。 加えて、大陵は手根管のすぐ上に位置しているため、手根管症候群の症状改善の効果があるとされるツボとしても有名です。 大陵のツボ押しでは、呼吸しながら反対側の手の親指を使って、数回軽く押す状態で刺激します。 陽池(ようち) 「陽池(ようち)」は、大陵と異なり手首でも甲側にあるツボです。手の外側(小指側)の、手の甲と手首を繋ぐ部分にある関節のくぼみに位置しています。 陽池を刺激すると、手首や腕の痛みやしびれを落ち着かせる効果が期待できます。 また、ストレスの緩和効果もあるとされるため、デスクワーク中の休憩時間など、ちょっとした時間があれば試してみてください。 陽池を刺激する際には、反対側の手の親指を使って、1,2分程度サークルを描くように指圧を加えます。 腕・肘にある腱鞘炎のツボ 腕や肘にある腱鞘炎のツボは、手三里・曲池・外関の3つです。 手三里(てさんり) 「手三里(てさんり)」は、肘を直角に曲げたときに内側にできるしわのうち、最も外側にあるものから手首のほうへ指3本分のところにあります。 腕の疲労を回復させたり、首や肩のコリをほぐしたりするうえで効果があるとされるツボです。加えて、手首や指についてもスムーズに動けるようにする効果も期待できます。 手三里を刺激する場合、反対側の手の親指で痛気持ちよく感じる程度にマッサージするのがポイントです。 曲池(きょくち) 「曲池(きょくち)」は、肘の外側にあります。肘を曲げた際にできるしわの、最も外側の端にあるツボです。首から腕に至る血流の改善効果が期待できるため、手に溜まった疲労を軽減や手首の痛み、肩こりを和らげます。 加えて、便秘や下痢にも効果があるとされるので、お通じの悩みがある方にもおすすめです。曲池のツボ押しは、親指で軽く押した状態で、円を描くようにもみほぐします。 外関(がいかん) 「外関(がいかん)」は、腕の外側でも比較的手首に近い部分にあるツボです。手と手首の境目から、指3本分ほど腕の根元側に行ったところに位置しています。手首の神経や肩の痛みを和らげるほか、ストレスが要因の体調不良や自律神経の乱れにも効果的です。 なお、ツボを押すときは、反対側の手の指を使ってゆっくりと押します。その際に息を吐くのもポイントです。 腱鞘炎を予防する方法 腱鞘炎は普段の過ごし方に気を付けるだけでも予防できます。 とくに予防で心掛けたい方法が、以下の2つです。 スマホの片手持ちなどの習慣の改善 腱鞘炎を予防する際は、まずスマホを片手で持つ習慣を改善する必要があります。 スマホを片手で持って同じ手で操作するのは、親指や手首に大きな負担をかけるためおすすめできません。 日々長時間にわたってスマホを操作した場合、指や手首を動かす腱や、腱を覆っている腱鞘に負担がかかって腱鞘炎を発症します。 このため、片手ではなく両手でスマホを持つのがおすすめです。両手でスマホを持つことで、手にかかる負担を分散できます。 加えてスマホを操作する際には、30分から1時間に1度などこまめに休憩を入れることも大切です。意識的にスマホから離れる時間を持つことで、指や手首にかかる負担を軽減できます。 スマホの片手持ち以外にも、スポーツの練習や競技での無理な姿勢を避けることもポイントです。とくに野球やテニスのように手をよく使うスポーツでは、ボールやバットを無茶な握り方で持つと、指や手首に大きな負担がかかります。 正しいフォームを身につけるとともに、練習前後のウォーミングアップやクールダウンを欠かさずに行うことが重要です。 ストレッチなどで柔軟性を高める 腱鞘炎の予防には、ストレッチなどで指や手首の柔軟性を高めるのも効果的です。習慣的にストレッチをおこなうと、筋肉の緊張がほぐれて血流が促進され、腱への負担も軽減されます。すでに腱鞘炎の症状がある方も、ストレッチを取り入れることで症状が軽くなる効果も期待できます。 指や手首のストレッチの方法は、次のとおりです。 指のストレッチ:それぞれの指を1本ずつ手の甲側に反らす動きを、何セットか繰り返す 指のグーパー運動:手を大きく広げた状態からゆっくり握りこぶしを作り、再度広げる動きの繰り返し 手首の前後ストレッチ:片方の手の指を反対側の手で掴んだ状態で、手首をゆったり前後に動かす 手首のストレッチ:机の上に手を置き、反対側の手で指を1本ずつつまみながら反らせてキープする ストレッチを行う際は、痛みを感じない範囲でゆっくりと行うことがポイントです。 腱鞘炎の治療選択肢のひとつ「再生医療」について 腱鞘炎の治療には、「再生医療」の選択肢もあります。 腱鞘炎に対する再生医療では、患者様から採取した幹細胞を使用する幹細胞治療と、血液に含まれる血小板を濃縮した液体を患部に注射するPRP療法が用いられます。 どちらも大きな手術は必要とせず、とくにPRP療法は所要時間が最短30分程度で済むのが特徴です。 腱鞘炎の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。 【関連記事】 腱鞘炎の治し方は?自宅でできる対処法や治療法・予防法を解説 まとめ|腱鞘炎のツボ押しで手軽にセルフケアを始めよう 指や手首の使い過ぎで発症する腱鞘炎は、東洋医学に基づくツボ押しで軽減できます。 腱鞘炎の症状緩和が期待できるツボを押すことで、日々の慢性的な痛みが落ち着くことも多いです。 ツボ押しは日常生活でも気軽にできる方法であるため、腱鞘炎の痛みに悩まされるときはセルフケアの一環としてお試しください。 ただし、ツボ押しでも効果が見られないときは、無理せずに医療機関を受診してください。 腱鞘炎のツボでよくある質問 腱鞘炎のツボはドケルバン病にも効果はある? 腱鞘炎のツボのなかには、手首の腱鞘炎であるドケルバン病に効果が期待できるものもあります。陽谿や外関のような、手首付近にあるツボがおすすめです。 手首マッサージでの腱鞘炎の治し方は? 手首マッサージで腱鞘炎を治す際には、痛みのある手首を反らします。この際に指の部分を反対側の手で握りながら、手首を反らすのがポイントです。 ただし、手首マッサージは正式な治療法ではないため、症状がひどいときは医療機関の受診をおすすめします。
2025.06.30 -
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スマートフォンが生活必需品となった現代では、指や手首の痛みに悩む人が増えています。 その原因のひとつが「スマホ腱鞘炎」です。 腱鞘炎とは、筋肉と骨をつなぐ腱を包む腱鞘に炎症が起こる状態で、痛みや腫れ、動かしにくさを引き起こします。 とくにスマートフォンの操作では、親指を使ったスクロールやフリックなど同じ動作を繰り返すことが多く、腱と腱鞘の摩擦が増え炎症が生じやすいのです。 本記事では、スマホ腱鞘炎の原因や種類、セルフチェック法などを詳しく解説します。 腱鞘炎治療の選択肢の一つにもなっている「再生医療」について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 スマホの使い過ぎは腱鞘炎の原因になる スマートフォンの長時間使用は手指や手首に不要な負担をかけ、「スマホ腱鞘炎(けんしょうえん)」と呼ばれる障害の発症リスクを高めます。 腱鞘炎とは、骨と筋肉をつなぐ「腱(けん)」を包む「腱鞘(けんしょう)」に炎症が起こる状態です。 痛みや腫れ、動かしにくさなどが生じます。 とくにスマートフォンの操作では、親指を使ったスクロールやフリックなど同じ動作を繰り返すため、腱と腱鞘の摩擦が増えて炎症が生じやすくなるのです。 親指を使った反復動作は一般的な腱鞘炎の原因とも重なり、アメリカでは「スマートフォンサム(スマホ親指)」として社会的に注目されました(文献1)。 腱と腱鞘のしくみ 腱と腱鞘は、手の動きをスムーズにする重要な組織です。 腱は、筋肉と骨をつなぐ丈夫な線維組織であり、筋肉が収縮したときにその力を骨に伝える役割を担っています。 一方、腱鞘は腱を包む鞘(さや)のような構造が特徴で、腱の動きをスムーズにし、摩擦を減らすのが役割です。 また、腱鞘の内側には滑液(かつえき)と呼ばれる潤滑液が分泌されており、腱がスムーズに動くのを助けています。 ただし、スマートフォンを操作するとき、親指を曲げたり伸ばしたりする動作を何度も繰り返すことで、親指の付け根に通っている2本の腱と腱鞘の間で摩擦が生じます。 その結果、腱鞘炎が引き起こされるのです。(文献2) 腱鞘炎については、以下の記事で医師が詳しく解説しています。 スマホ腱鞘炎の原因 スマートフォンやパソコンを日常的に使用する現代では、手や指の酷使が当たり前になりつつあります。 その結果、若い世代から高齢者まで、手首や指に痛みを感じる「スマホ腱鞘炎」に悩む人が増加しているのです。 また、単に使いすぎだけでなく、日常生活や体の変化とも深く関係しています。 ここでは、スマホ腱鞘炎を引き起こす代表的な3つの原因を見ていきましょう。 長時間のスマホやパソコンの操作 スマホ腱鞘炎で最も一般的な原因は、長時間にわたるスマートフォンやパソコンの操作です。 とくに、親指や人差し指を頻繁に使う入力動作やスクロール、画面タップなどは、腱に対して繰り返し負荷をかけます。 腱と腱鞘の間に摩擦が起こり、炎症の引き金となるのです。 慢性化すると痛みや腫れが現れ、指の動きがさらに制限されるケースもあります。 指や手首に負担をかけるスポーツ テニスやゴルフなど、手首をひねる動作が多いスポーツも腱鞘炎の原因になります。 手首に急激な力が加わったり、同じ筋肉を繰り返し使ったりすることで、腱に炎症が起こりやすくなるのです。 スマートフォンの使用と同様に、スポーツの過度な負荷と反復動作がリスクである点を理解しておきましょう。 ホルモンの大きな変化 女性特有のホルモンの変動も、スマホ腱鞘炎の誘因となります。 更年期や妊娠・出産など、ホルモンバランスが大きく変化する時期には、腱や腱鞘の柔軟性が低下し、炎症を起こしやすくなる場合があるのです。 出産後や更年期の女性に多く見られ、エストロゲンなどのホルモン低下により、腱鞘がむくみやすくなるとされています。 スマホ腱鞘炎は主に3種類 スマートフォンの長時間使用によって起こるスマホ腱鞘炎には、いくつかのタイプが存在します。 なかでも、多く見られるのが「ドケルバン病」「バネ指」「変形性関節症」の3種類です。 ここでは、それぞれの疾患について詳しく解説します。 ドケルバン病 ドケルバン病は、親指の使い過ぎによって発症する腱鞘炎の一種です。 手首の親指側にある腱鞘と、そこを通過する短母指伸筋腱(たんぼししんきんけん)および長母指外転筋腱(ちょうぼしがいてんきんけん)の間に摩擦が生じ、炎症が起こります。 スマートフォンの片手操作で親指を繰り返し動かすことが主な原因とされており、子育て中の女性や長時間スマートフォンを操作するデスクワーカーなどに多く見られるのが特徴です。 親指を広げる・反らす動作で痛みが増し、進行すると物を握るのが難しくなる場合もあります。 ドケルバン病については以下の記事でも詳しく取り上げているので、参考にしてみてください。 バネ指 バネ指は、指の付け根に発症する腱鞘炎です。 腱が腫れたり、腱鞘が狭くなったり、腱の滑りが悪くなったりなど、引っかかるような動作が見られます。 症状が進行すると、指を伸ばそうとした際に「カクン」とバネのように弾かれる感覚が現れるのが特徴です。 とくに朝方に症状が強い傾向があり、指を動かす際の痛みや違和感が顕著に現れます。 スマートフォンの操作で指を酷使する生活スタイルが背景にあると、バネ指のリスクは高まるとされているため注意が必要です。 変形性関節症 長期間にわたる指関節への負担や加齢によって関節軟骨がすり減り、炎症や変形を起こすのが変形性関節症です。 スマホ腱鞘炎のように手や指を繰り返し使う動作が長期間続くと、関節への慢性的なストレスが蓄積し、軟骨が摩耗しやすくなります。 関節の変形が進行すると、指の曲げ伸ばしが困難になり、日常生活にも大きな支障をきたすケースも少なくありません。 高齢者に多い疾患ですが、近年では若年層にも増加傾向が見られるため要注意です。 スマホ腱鞘炎はどこが痛いのか スマートフォンの長時間使用により、手や腕のさまざまな部位に痛みを感じる場合があります。 どの部位が、どのような原因で痛むのかを正しく把握することが、適切な対策や治療への第一歩です。 ここでは、代表的な痛みの部位を4つに分けて解説します。 親指の付け根が痛くなる スマホ腱鞘炎で最も多いのが、親指の付け根に痛みを感じるケースです。 片手でスマートフォンを持ちながら親指でスクロールや文字入力を繰り返すと、親指を動かす腱と腱鞘が摩擦によって炎症を起こします。 進行すると、ペットボトルのキャップを開ける、物をつかむといった簡単な動作も困難になる恐れがあるため注意しましょう。 小指の付け根が痛くなる スマートフォンを片手で支える際に、小指を画面の端に引っ掛けて持つ不自然なスタイルを続けると、小指の付け根に負荷が集中し、痛みや関節の違和感を引き起こす場合があります。 「スマホ指」とも呼ばれています。(文献3) 小指への過度な圧迫がおもな原因とされ、悪化する前に小指の付け根に負担がかからない持ち方に直しましょう。 手首が痛くなる スマートフォンやパソコンを長時間使用すると手首にかかる負担が蓄積し、腱鞘炎や関節炎を発症する場合があります。 とくに、手首を反らしたまま固定する姿勢は腱と腱鞘の摩擦を増加させ、炎症や腫れを誘発するため注意が必要です。 痛みが悪化すると手首の可動域が制限され、日常動作に影響を及ぼします。 腕が痛くなる スマートフォンを長時間使用し続けると、前腕から肘にかけての筋肉や腱にストレスが蓄積して痛みを引き起こすケースがあります。 「スマホ肘」とも呼ばれ、肘の外側または内側に痛みを感じるのが特徴です。(文献4) 一般的に、物を掴んだときにズキッとした痛みが出る場合が多く、放置すると慢性化するリスクがあります。 スマホ腱鞘炎かも?自分でできるセルフチェック法 スマホ腱鞘炎が気になる方は、自宅で簡単にできるセルフチェック法を試してみましょう。 ここでは、「フィンケルシュタインテスト」と「アイヒホッフテスト」をご紹介します。 テストで痛みを感じた場合はスマホ腱鞘炎の可能性が高いと考えられます。ただし、あくまでセルフチェックなので、強い痛みや症状が続く場合は必ず専門医を受診しましょう。 フィンケルシュタインテスト フィンケルシュタインテストは、スマホ腱鞘炎の診断でよく用いられる方法です。 <フィンケルシュタインテストの手順> 手首が小指側に曲がらないようにまっすぐ固定する 反対の手で親指をつかんで曲げる 親指の力を抜いた状態で、反対側の手を使って曲げる方向に引っ張りましょう。 手首の親指側や親指の付け根あたりに、鋭い痛みが生じた場合はスマホ腱鞘炎の可能性があります。 アイヒホッフテスト アイヒホッフテストは「フィルケルシュタインテスト変法」とも呼ばれ、スマホ腱鞘炎(ドケルバン病)を診断するための有効な方法です。 <アイヒホッフテストの手順> 親指を手のひらの中に入れるように握ります 握った手を、小指側に傾けます テストの際は無理に力を入れず、自然な動きで行いましょう。 痛みの強さは個人差がありますが、通常は痛みをほとんど感じないため、親指の付け根から手首にかけ痛みを少しでも感じる場合はスマホ腱鞘炎の可能性があります。 強い痛みがある場合は、すぐに専門医を受診しましょう。 なお、フィンケルシュタインテストと併せて行うことで、よりテストの精度を高められます。 スマホ腱鞘炎を悪化させる生活習慣 スマホ腱鞘炎は、日常の何気ない使い方で悪化する場合があります。 とくに注意すべき習慣は、スマートフォンの片手操作と、手首で捻って両手で横持ちする動作です。 間違った持ち方が習慣化すると知らないうちに親指や手首に負担がかかり、腱鞘炎のリスクが高まるため注意しましょう。 では、以下で詳しく解説します。 片手で持って片手で操作 片手でスマートフォンを持ちながら親指で操作すると、腱鞘炎のリスクが高まります。 画面全体に届くように親指を大きく外側に広げる必要があり、親指の付け根に過度な負担がかかるのです。 とくに大画面のスマートフォンを使用している場合、親指を無理に伸ばして操作すると、腱にさらなる負担がかかるので注意しましょう。 また、片手操作でスマートフォンの下に小指を添えると関節をねじってしまい、小指の負担が大きくなります。 両手でスマホを持って両方の親指で操作すると、スマートフォンを支える手や指の重さが分散されて負担を軽減できるので、試してみてください。 両手でスマートフォンを持つのが難しい方は、片手の手のひら全体を使って持ち、両手で操作すれば手指にかかる負担を軽減できます。 手首を捻って両手で横持ち スマートフォンを横向きに持って操作する「横持ち」も、腱鞘炎のリスクを高める持ち方です。 横持ちして手首を内側にひねる姿勢が続くと、手首の関節に過度な負担がかかります。 とくに、動画視聴やゲームプレイなどで見られる持ち方なので注意しましょう。 スマートフォンをどうしても横持ちで操作したい方は、「小指でスマホを支えない」「画面をできるだけ立てて持つ」を意識してください。 また、長時間の動画視聴やゲームプレイの際は姿勢に気を配るとともに、適度な休憩を取って手首や指への負担を減らしましょう。 スマホ腱鞘炎の症状を軽くするセルフケア スマホ腱鞘炎は早期に適切なセルフケアを行えば、症状の悪化を防ぎながら回復を目指せる障害です。 ここでは、自宅で取り入れやすい4つのセルフケア方法を紹介します。 マッサージする 手首や指の付け根周辺を優しくマッサージすることで、血行を促進し、炎症部位の回復を助けます。 親指の付け根から手首にかけての筋肉を軽く押し、円を描くようにほぐすと効果的です。 ただし、強く押しすぎると炎症を悪化させる恐れがあるため、痛みがない範囲で行いましょう。 また、入浴後や手を温めた後に行うと、より血流が良くなります。 テーピングする テーピングは、炎症部位にかかる負担を減らすサポート方法です。 親指や手首を安定させるようにテープを巻いて動きを制限すれば、腱や腱鞘へのストレスを軽減できます。 テーピングは市販の伸縮テープを使用し、関節を曲げ伸ばししやすい程度に貼るのがポイントです。 巻き方を誤ると逆効果になる場合もあるため、わからない場合は専門家の指導を受けましょう。 湿布をする 炎症や腫れがある場合は、冷感タイプの湿布で患部を冷やすと痛みが和らぎます。 また、慢性的なこわばりや疲労感が強いときは、温感タイプの湿布で血流を促進するのも有効です。 ただし、使用時は肌に異常が出ないか確認し、長時間貼り続けないように注意しましょう。 スマホ腱鞘炎が悪化したら?治療法と再生医療の選択肢 セルフチェックの結果、スマホ腱鞘炎の可能性が高いと感じた場合、どのような対処が必要でしょうか。 初期段階では、「保存的療法」と呼ばれる手術を行わない治療法が効果的です。 保存的療法では、まず患部に塗り薬や湿布を塗布し、スマートフォンの使用時間を意識的に減らして親指や手首への負担を軽減します。 スマートフォンを操作する際は、正しい姿勢を保ち腱への過度な負荷を避けましょう。 あわせて、手首や指の柔軟性を保つためのストレッチを定期的に行って腱の柔軟性を維持し、炎症の改善を図ってください。 ただし、保存的療法を行っても症状が続く、もしくは日常生活に支障をきたす場合は、手術が必要になるかもしれません。 一般的な腱鞘炎の手術は症状により異なりますが、腱鞘を切開する方法が取られることがあり、おおよそ30分前後が手術時間とされています。 また、手術をしたくない場合には、自己の幹細胞や血液を利用する治療法「再生医療」の選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、腱鞘炎に対する再生医療を提供しております。再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 スマホ腱鞘炎に役立つ予防グッズ スマホ腱鞘炎を防ぐには、手指や手首への負担を軽減するアイテムの活用が効果的です。 スマートフォンの持ちやすさをサポートする「スマホリング」や、滑りを防ぐ「シリコンカバー」などが販売されています。 また、長時間の操作でも手首を固定せずに画面を見られる「スマホホルダー」も便利です。 姿勢の改善にも役立つので、日常的にスマホ腱鞘炎のリスクを下げるためにも試してみてください。 まとめ|スマホ腱鞘炎を予防・改善する習慣を今日から始めよう スマホ腱鞘炎は、現代社会において誰もが発症する可能性がある障害です。 しかしながら、長時間の連続使用を避ける、操作姿勢を改善する、セルフケアや予防グッズを活用するなど、日々の工夫で発症や悪化のリスクを軽減できる可能性があります。 痛みや違和感を感じたら早めに休養を取り、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 万が一、手術が必要なほど悪化した場合には、再生医療という治療法もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断を行っております。 再生医療についての疑問や気になる症状があれば、公式LINEに登録してぜひ一度ご利用ください。 スマホ腱鞘炎に関するよくある質問 受診すべきタイミングは?専門医への相談の目安を知りたい スマホ腱鞘炎は、初期段階では軽い違和感や動かしにくさから始まりますが、放置すると痛みが強くなり、指や手首の動きが制限される場合があります。 以下に当てはまれば、整形外科や手外科などの専門医を早めに受診しましょう。 1週間以上安静にしても痛みや腫れが改善しない 指や手首を動かすと強い痛みが出る 朝起きたときに指がこわばり、曲げ伸ばしが困難 日常生活や仕事に支障が出ている 早期診断と適切な治療により、症状の悪化を防ぎながら回復を早めることも可能です。 腱鞘炎の治し方や予防については、以下の記事でも詳しく解説しています。 腱鞘炎と再生医療の関係は? 腱鞘炎の治療において、近年注目を集めている選択肢の一つが「再生医療」です。 再生医療とは、自分自身の細胞や成分を利用して損傷した組織の修復を促す方法で、慢性化した腱鞘炎や従来の治療で改善が難しいケースの新たな選択肢となっています。 再生医療についてもっと知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 参考文献 (文献1) スマホの使いすぎによる腱鞘炎(けんしょうえん)|大正製薬 (文献2) 「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)について」2023年 |日本整形外科学会 (文献3) 『スマホ指』に要注意!長時間の利用で手指の痛み・変形が起こる?正しい持ち方を解説|メディエイド (文献4) 『スマホ肘』になる人が増加中?スマホ肘の原因と症状、予防方法を解説|メディエイド
2025.05.30