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「水泳のあとに肩が痛む……これって水泳肩?」 「水泳肩ってリハビリやストレッチで治るの?」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 水泳肩は、水泳による肩の使いすぎやフォームの崩れなどが原因で起こります。放置すれば痛みが慢性化し、日常生活や競技に支障をきたすこともあります。 しかし、正しく対処すれば症状の改善は可能です。 本記事では、水泳肩の特徴的な症状や原因、治療法を詳しく解説しています。自宅でできる対処法や再発防止も紹介しているので参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 水泳肩の痛みが治らず悩んでいる方や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 水泳肩とは 水泳肩は、泳いでいる時や泳いだ後に肩が痛む症状を指します。 1978年に医学界で初めて命名された用語で、当初は水泳による肩の痛みだけを表していました。(文献1) しかし、現在は水泳以外でも肩に違和感や痛みを感じる症状全般を含む呼び方に変化しています。 以下の記事では、肩の痛みが関係する病気について解説しています。視野を広げて肩の痛みの原因を探したい方は参考にしてみてください。 水泳肩の主な症状 水泳肩で現れる代表的な症状は以下の表のとおりです。 症状の種類 特徴 違和感・引っかかり感 肩を回すとゴリゴリといった不快な感覚や引っかかりがある 肩の痛み 水泳中や安静時にもズキズキした痛みが現れ、程度は軽い違和感から激痛まで幅がある 動かしにくさ 腕を上げたり、後ろに回す動作が難しくなり、日常生活にも支障をきたすことがある 腫れ・熱感 強い炎症により肩が腫れ、熱を持ち、赤くなるなどの症状を伴う これらの症状に心当たりがある方は水泳肩の可能性が高いです。 無理にトレーニングを続けず、症状が現れたら医療機関を受診しましょう。 症状が悪化すると、インピンジメント(衝突症候群)で骨や筋肉が肩の中でぶつかって痛む状態や、関節唇損傷で肩の軟骨が傷ついた状態になるなど、重篤な疾患に発展する恐れがあります。 水泳肩になる主な原因 水泳肩を引き起こす主な原因には以下の2つがあります。 肩の使いすぎ フォームが悪い それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 肩の使いすぎ 肩の使いすぎは水泳肩を引き起こす代表的な原因です。(文献1) 水泳動作により肩関節が反復して使われることで、筋や腱に過剰なストレスがかかり、炎症反応を引き起こすためです。 とくに、長時間の練習や高強度のトレーニングを続けると、肩周辺の組織が十分に回復する時間がとれなくなります。 また、急激に練習量を増やした場合も、肩への負担が急激に高まり障害のリスクが上昇します。 適切なタイミングで休息をとり、練習量は段階的に増やしていきましょう。 フォームが悪い 泳ぎのフォームが悪いと肩関節に異常な負担をかけ、水泳肩の発症リスクを高めます。 肩の動きが不自然になると、特定の筋肉や腱に過度な負荷が集中し、炎症や損傷を引き起こします。 たとえば、以下の要因です。 腕の入水角度が悪い 肩の回転が不十分 体幹が不安定 肩だけで推進力を生み出そうとすると過度な負担がかかります。 正しいフォームを習得し、肩にかかる負担をおさえましょう。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチ 水泳肩の痛みを軽減するためには、適切なストレッチが効果的です。 ストレッチを行うことで肩周辺の筋肉の柔軟性が向上し、血流が改善されて痛みの軽減につながります。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチは以下のとおりです。 小胸筋(胸の上の方で肩の前にある筋肉)のストレッチ 肩の内旋(内側にねじる)ストレッチ 肩甲骨まわりのストレッチ 日常的にストレッチを行うことで、水泳肩の予防効果も期待できます。 ただし、強い痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士の指導を受けながらストレッチを行いましょう。 水泳肩の代表的な治し方と治療期間 水泳肩の治療法と治療期間を理解できれば、症状に応じた選択が可能になります。 水泳肩の主な治療法には以下の4つの方法があります。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 各治療法の特徴と適応について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は水泳肩の症状が軽度〜中程度期の治療として選択される方法です。 痛みの段階に応じて以下の治療を行います。 安静にする 湿布などで冷却する 消炎鎮痛剤を内服する ステロイド注射をする 保存療法の治療期間は、症状や治療内容によって個人差があります。 リハビリ リハビリテーションは水泳肩の機能回復と再発予防が期待できます。 理学療法士による専門的な指導のもと、主に肩関節の可動域改善や筋力強化などの運動療法を行います。 初期段階では痛みの軽減と炎症の抑制をして、徐々に筋力トレーニングや動作練習を加えていくのが一般的です。 また、正しい泳ぎのフォームの習得や、水泳復帰のための段階的なトレーニングも含まれます。 リハビリ期間は個人差があるため、競技復帰までの期間も個々に異なります。 手術 水泳肩が重症化すると、肩の腱板が切れてしまう腱板断裂に至り、手術を検討する必要があります。 腱板が断裂すると、肩を動かすたびに強い痛みが出るだけでなく、筋力が入らず腕が思うように上がらなくなるケースも見られます。 こうした状態では、切れた腱板をつなぎ直す関節鏡視下手術と呼ばれる内視鏡手術が一般的です。 手術の入院期間は2日から5日程度で、手術後は数カ月間リハビリを通じて機能の回復を目指します。 再生医療 再生医療は人間の組織を活用した治療法です。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」では、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 当院では両方の治療法を提供していますので、具体的な治療内容を知りたい方は当院までお気軽にお問い合わせください。 水泳肩の原因と治し方を知って適切に対処しよう 水泳肩は適切な知識と対処法を理解できれば、効果的に治療をはじめられます。 しかし、痛みがある状態で無理に水泳を続けてしまうと、将来的に手術が必要となる場合があります。 水泳肩の主な治療法は以下の4つです。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 痛みを感じたら無理をせず、医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。 症状が改善しない水泳肩の損傷に対しては手術や再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 水泳肩に関するよくある質問 水泳肩は肩のどこの部分が痛い? 水泳選手に多い肩の痛みは、主に棘上筋と呼ばれる筋肉の腱に炎症が起こることが原因とされています。(文献1) 棘上筋の場所は、肩甲骨上部から上腕骨の上端にかけて付着する筋肉です。 棘上筋周辺の筋肉や腱に炎症が生じると、腕を上げる動作や回旋動作で痛みが増強します。 また、重症化すると肩甲骨周辺や首筋にまで痛みが広がる場合があります。 関連記事:肩が痛い!医師が詳しく解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩は治らない怪我ですか? 水泳肩は適切な治療により改善できるスポーツ障害です。 早期発見と正しい治療により回復が期待できます。 関連記事:水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩に効くトレーニングはありますか? 水泳肩の改善には肩甲骨周辺の筋力強化とバランス調整が効果的です。 とくに、ローテーターカフと呼ばれる深層筋群の肩甲骨まわりのトレーニングに取り組むことが水泳肩に効くと報告されています。(文献2) 具体的には、軽い負荷でのチューブトレーニングやダンベルなどを使用し、体幹の安定性を高めるエクササイズなどがあります。 ただし、痛みがあるときは無理をせず、医療機関を受診し適切な指導のもとでトレーニングを段階的に進めることが大切です。 参考文献 (文献1) Biomechanical Considerations in the Competitive Swimmer’s Shoulder|Sports Health (文献2) Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder|Eur J Investig Health Psychol Educ
2025.07.31 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
デスクワークやスマートフォンの使用が増え、「肩甲骨が動かない」「硬い」と感じる人が増えています。肩甲骨は上下、内側・外側への回旋、前傾・後傾など多方向に滑らかに動くのが本来の姿です。しかし、肩甲挙筋、大菱形筋、小菱形筋、僧帽筋などが硬くなると「可動域制限」が生じます。 初期は痛みを感じにくく、肩こりや首こり、猫背、呼吸の浅さなどの不調を見過ごしがちです。本記事では、肩甲骨が動かない原因やセルフチェック、改善方法、受診の目安までをわかりやすく解説しますので、参考にしてください。 肩甲骨が動かない・肩の可動域制限のお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 肩甲骨が動かない原因 肩甲骨の動きが制限されると、肩こりや首の痛みだけでなく、姿勢全体の乱れにもつながります。ここからは、肩甲骨が動かなくなる主な原因を詳しく解説します。日常生活の中で気をつけるポイントを知り、予防や改善へつなげていきましょう。 姿勢が悪い 猫背や巻き肩といった悪い姿勢は、肩甲骨の動きを妨げる大きな要因です。長時間のデスクワークやスマートフォンの操作によって、頭や肩が前に出た姿勢が習慣化すると、胸の筋肉は短縮し、背中の筋肉は引き伸ばされて弱くなります。 その結果、肩甲骨が外側に開いたまま固定され、動かしづらくなります。姿勢のクセは肩や首の負担を増やし、肩こりや頭痛などの症状を引き起こしがちです。慢性的な痛みを防ぐには、正しい姿勢を心がけ、こまめに肩甲骨を動かすストレッチを取り入れることが大切です。 筋肉が硬い・バランスが悪い 肩甲骨の動きは周囲の多くの筋肉によって支えられています。僧帽筋、肩甲挙筋、大菱形筋、前鋸筋などが硬くなったり、筋力が低下したりすると、肩甲骨の動きが制限されます。過度の緊張状態やアンバランスな使い方が続くと、特定の筋肉だけに負担がかかり、柔軟性や協調性が失われます。 日常生活で肩甲骨を大きく動かす機会が減っていることも、筋肉の問題を悪化させる原因です。改善にはストレッチや適度な運動で筋肉の柔軟性を保ち、バランスよく使う習慣が重要です。 ストレス・呼吸が浅い ストレスを感じると、無意識に肩に力が入り、呼吸が浅くなりがちです。浅い呼吸が続くと肩や胸まわりの筋肉が常に緊張した状態になり、肩甲骨の動きが制限されます。呼吸に関わる胸郭の動きが硬くなると、肩甲骨の滑らかな可動性にも悪影響を及ぼします。 深くゆったりとした呼吸を意識することは、心身のリラックスだけでなく、肩甲骨周囲の筋肉を柔らかく保つためにも大切です。リラックス法を取り入れ、呼吸を整える習慣を心がけましょう。 肩甲骨が動かない状態を放置するリスク 肩甲骨の動きが悪い状態を放置すると、首や肩の筋肉に過度な負担がかかり、「常にこっている」「だるい」「重い」といった慢性的な不快感を引き起こします。マッサージなど一時的な対処では改善しにくくなる場合もあります。猫背や巻き肩、スマホ首、ストレートネックなど姿勢の崩れを招き、見た目の印象が悪化するだけでなく、呼吸や内臓への負担も大きいです。 肋骨や胸郭の動きが制限されることで呼吸が浅くなり、酸素の取り込み不足による疲れやすさや睡眠の質の低下にもつながります。肩甲骨の痛みや動かしづらさを感じたら、当院へお気軽にご相談ください。 肩甲骨が動かない場合の自宅でできるストレッチ 肩甲骨が硬いと感じるときは、肩甲骨周囲の筋肉をほぐし、動きを良くするストレッチを自宅でも行いましょう。無理のない範囲で続けると、可動域の改善や肩こりの予防が期待できます。 肩甲下筋のマッサージ 肩甲下筋(肩甲骨の前面に付着している大きな筋肉)が硬くなると肩甲骨の動きが制限され、肩こりや可動域の低下を招きます。自宅でできるセルフマッサージを試してみましょう。 片手を反対の脇の下に深く入れる 肩の前側(脇のすぐ奥)に指を押し当てる 痛気持ち良いポイントを探し、円を描くようにゆっくり押し回す 30秒ほど続ける 呼吸を止めず、リラックスした状態で行う (文献1) 筋肉をほぐすことで肩甲骨周囲の緊張が和らぎ、徐々にスムーズな動きができるようになります。普段のケアに取り入れて、肩こりや動きの悪さを予防します。 広背筋のストレッチマッサージ 広背筋(胸郭下部後方の大部分を占める広くて平らな筋肉)が硬いと肩甲骨の動きが悪くなり、猫背や肩こりを助長します。以下の方法で自宅でも簡単にケアしましょう。 仰向けになり、テニスボールを肩甲骨の下あたりに置く ゆっくり体を前後に動かしながら広背筋をほぐす 1分ほど繰り返す 痛みが強い場合は無理をせず調整する (文献1) 筋肉の緊張を和らげると、肩甲骨の可動域が改善され、姿勢も整いやすくなります。毎日のセルフケアにおすすめです。 大胸筋のストレッチ 大胸筋(胸部の大きな筋肉)の硬さは巻き肩や猫背の原因となり、肩甲骨の外側固定を招きます。以下のストレッチを取り入れましょう。 壁の横に立ち、肘を90度に曲げて手を壁につける 体を反対側にゆっくりひねる 大胸筋をしっかり伸ばす 20~30秒キープし、左右交互に行う (文献1) 胸の筋肉をゆるめることで肩甲骨が内側へ戻りやすくなり、自然な姿勢を保ちやすくなります。呼吸を止めずリラックスしながら行いましょう。 肩甲骨が動かない場合の受診目安 肩甲骨の動かしづらさが続き、痛みやしびれ、日常生活に支障が出てきた場合は、自己流のケアだけでなく医療機関への相談を検討してください。以下のような症状が出現した場合は、受診が必要です。 痛みが強い場合 しびれがある場合 四十肩や五十肩の疑いがある場合 痛みが強い 肩甲骨周囲の痛みが強く、以下のように日常生活に支障が出ている場合は受診を検討します。 肩の突然の強い痛み、とくに夜間に痛みが増す 腕を動かそうとすると鋭い痛みが走る 着替えや洗髪など日常動作が困難になる こうした症状は、炎症や神経の圧迫など原因がさまざまです。放置すると痛みが慢性化しやすく、可動域の制限や筋力低下を招くこともあります。早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 しびれがある 肩甲骨付近のしびれは、以下のような神経の圧迫や血流障害などが原因の可能性があります。 頸椎や胸椎の歪みからくる神経圧迫 斜角筋、小胸筋など周囲筋肉の過度な緊張や締め付け 長時間の同じ姿勢や負荷による血流障害 しびれは肩甲骨周囲だけでなく、腕や手先にまで広がることもあります。軽いしびれでも放置せず、専門医の診察を受けて原因を特定し、適切な治療やリハビリで改善を目指しましょう。 四十肩や五十肩の疑いがある 痛みとともに肩の動きが制限されてきた場合、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の可能性があります。以下のような症状の場合は要注意です。 腕を上げたり後ろに回す動作がつらい 着替えや髪を結ぶなど日常生活動作が困難 痛みが徐々に増し、動かせる範囲が狭くなる 進行すると拘縮(固まり)や痛みが長期化しやすいため、早めの受診が重要です。医療機関では痛みを和らげる治療やリハビリを行い、可動域を取り戻します。肩の動きや痛みの変化に気づいたら、医療機関の受診をおすすめします。 肩甲骨が動かない場合の治療法 肩甲骨の動きが制限され、痛みや不調が続く場合は医療機関での専門的な治療が有効です。以下のような主な治療法をご紹介します。 内服・注射 リハビリテーション 温熱療法・冷却療法 再生医療 内服・注射 痛みや可動域制限を軽減するため、まずは内服薬での治療を行います。鎮痛剤や漢方薬などを用いて痛みや炎症をコントロールし、肩甲骨周囲の筋肉が動きやすい状態をつくります。薬による治療は、リハビリやストレッチを進めるための基本です。 症状に応じて以下のような注射療法を組み合わせて行い、即効性のある痛みの緩和を図ります。 筋肉を動きやすくするハイドロリリース 拘縮部位へのマニュピュレーション エコーガイド下でのブロック注射 患者様一人ひとりの状態やご希望を踏まえ、医師が治療プランを提案します。 リハビリテーション リハビリは肩甲骨の動きを取り戻すために欠かせない重要な治療法です。理学療法士が一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた以下のようなプログラムを提案し、無理なく続けられるようサポートします。 肩甲骨周辺の筋肉を柔らかく保つストレッチ 筋力を強化するためのトレーニング 肩甲骨の位置や動きを正しく導く運動療法 セルフケアの方法も丁寧に指導し、再発予防までを見据えた包括的なケアを行います。定期的な通院での経過確認や目標設定も大切にし、患者様と二人三脚で改善を目指します。 温熱療法・冷却療法 肩甲骨周囲の痛みや緊張を和らげるため、温熱や冷却を使った物理療法を行います。 温熱療法の効果は以下のとおりです。 患部を温め血行を促進 筋肉の緊張を和らげて動きを改善 慢性的なこりや硬さをほぐし、リハビリ効果を高める 冷却療法の効果は以下のとおりです。 患部を冷やして炎症を抑制 急性期の痛みを軽減 腫れや負担を抑え回復を促す 症状や痛みの程度、時期に応じて医師や理学療法士が適切に選択し、温熱と冷却を組み合わせて治療します。定期的な評価をしながら、再発予防を含めた治療を行います。 再生医療 進行した肩の障害や腱板損傷など、従来の治療で十分な効果が得られない場合に、再生医療といった新しい選択肢もあります。再生医療には以下のような特徴があります。 自身の脂肪組織から採取し培養した幹細胞を投与 幹細胞が腱板などの組織を再生し、痛みや可動域制限を改善 手術を回避できる可能性がある身体への負担が少ない治療法 患者様ごとに適応や効果は異なるため、診察時にしっかりと評価を行い、治療方針を提案します。当院では、治療のリスクや期待できる効果についてもわかりやすくご説明します。再生医療に興味がある方、不安をお持ちの方もぜひ一度ご相談ください。患者様のより良い生活を取り戻すためのお手伝いをいたします。 肩甲骨が動かない原因を解明させ適切に対処しよう 肩甲骨が動かないのは、多くの人が抱える身近な悩みです。可動域の制限は肩こりや首こり、猫背などの姿勢悪化、呼吸の浅さ、頭痛などさまざまな不調を引き起こします。早めのセルフケアやストレッチを習慣づけると、予防や改善につながります。 ただし、痛みが強い、動きが著しく制限される、しびれを感じるといった場合は自己判断で放置せず、医療機関へ相談してください。原因を正しく解明し、自分に合った治療やリハビリを受ければ、根本的な改善と再発予防の大きなポイントになります。 当院にも、肩甲骨の動きの悩みを抱えた患者様が多く通っています。専門家と一緒に取り組むことで、より快適な生活を取り戻しましょう。 参考文献 文献1 腕が後ろに回らない原因とは?効果的なマッサージ方法も|西荻窪きりん堂接骨院南口院
2025.07.31 -
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「片麻痺の影響で肩が外れかけていると言われたけど、普段どんな動きを避ければいいの?」 「介護のときに腕を引っ張ってしまっていないか心配…」 このように不安を抱える方は多いでしょう。 片麻痺のある方は、肩の筋肉の働きが弱まることで、肩関節の亜脱臼が起きやすくなります。そのため、腕を無理に引っ張る・ぶら下げる・肩より高く上げすぎるといった行為は避けるべきです。 これらの禁忌を知らずにいると、痛みが悪化したり、肩の可動域がさらに制限されたりする可能性があります。だからこそ、本人・介護者ともに正しい知識を身につけておきましょう。 本記事では、片麻痺による亜脱臼の原因や避けるべき禁忌行為を解説します。リハビリ方法も紹介しているので、片麻痺の亜脱臼に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。 片麻痺と亜脱臼の関係性 肩関節の亜脱臼は、ラグビーやバスケなどの接触が多いスポーツでみられやすいケガです。 しかし、スポーツによるケガだけでなく、脳卒中後の後遺症である片麻痺に伴って生じることがあります。とくに、脳卒中を発症して間もない弛緩性麻痺の時期に起こりやすいとされています。 弛緩性麻痺とは、体を動かそうとしても筋肉がうまく働かず、常に脱力して腕がだらりと垂れ下がってしまう状態です。 肩周りの筋肉が緩むと腕の重さを支えきれなくなり、重力によって腕全体が下方向へ引っ張られます。この持続的な力が肩の関節を正常な位置からずらしてしまい、亜脱臼を引き起こすのです。 また、感覚障害や半側空間無視(脳損傷により片側の空間を認識できなくなる症状)があると、麻痺側の肩が体の下敷きになっていても気づかず、亜脱臼につながる場合もあります。ある研究では、片麻痺の患者様の約35%に肩関節亜脱臼が見られたとの報告もあります。(文献1) 亜脱臼があるからといって必ずしも痛みが出るわけではありません。実際に、亜脱臼のある方の約50%は痛みを訴えないとの報告もあります。(文献2) その他の脳卒中における後遺症についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 【禁忌】片麻痺の亜脱臼でやってはいけない3つの行為 片麻痺によって亜脱臼が起きている場合、やってはいけない行為は以下の3つです。 腕を高く上げすぎる 腕をぶら下げる 腕を無理に引っ張る これらの行為に共通しているのは、肩関節や肩周囲の筋肉に負荷がかかる動きである点です。症状を悪化させないために日常生活でこの3つの行為を避けるよう意識しましょう。 腕を高く上げすぎる 麻痺側の腕を肩より高い位置まで無理に上げすぎる行為は避けるべきです。麻痺の影響で肩周りの筋肉が緩み、関節が不安定な状態になっているためです。 この状態で腕を高く上げると、肩関節が前方に引っ張られ、亜脱臼や脱臼を引き起こす危険性が高まります。 しかし、弛緩性麻痺で肩の亜脱臼を起こしている方は、自力で高く腕を上げられません。そのため、腕を高く上げすぎる動作は、介助者が着替えや洗体などを介助する際に注意が必要です。 腕を動かすときは、痛みや違和感のない範囲にとどめましょう。 腕をぶら下げる 麻痺側の腕をだらりとぶら下げたままにしておくことも、亜脱臼を悪化させる原因です。 とくに弛緩性麻痺の場合、腕の重さを支える筋肉が十分に働かず、立ったり座ったりしている間、常に腕の重みで肩関節が下へ引っ張られます。この状態が長く続くと、肩周りの筋肉や靭帯が伸びてしまい、関節のずれが大きくなる可能性があります。 たとえば、以下のような場合は腕が落ちてしまったり、ぶら下がったりしないようにしましょう。 車いすに座っているとき ベッドで横になっているとき クッションやテーブルの上に腕を置くなど、常に腕を安定した位置に保つ工夫が必要です。 腕を無理に引っ張る 本人だけでなく、家族や介護者の方が麻痺側の腕を無理に引っ張る行為も避けるべきです。 ベッドからの起き上がりや移乗介助の際に、腕をつかんで引っ張ってしまうと、肩関節周囲の組織が伸び、亜脱臼を悪化させる恐れがあります。 介助の際は、肘と手首のあたりを優しく支え、腕全体を肩関節の方へそっと押し込むように意識しながら動かしてください。 また、感覚障害で腕の位置がわかりにくくなっている場合も少なくありません。お腹の上やテーブルの上など、本人の視界に入る場所に腕を置いてあげることで、安心感にもつながります。 片麻痺の亜脱臼に対する4種類のリハビリ 片麻痺に伴う肩関節の亜脱臼に対しては、以下の4種類のリハビリがおこなわれます。 ポジショニング 装具療法 電気治療 運動療法 これらの方法を患者様の状態に合わせて組み合わせ、専門家の指導のもとで進めていくのが一般的です。 ポジショニング|腕を正しい位置に置く ポジショニングは、麻痺側の腕を常に正しい位置に保ち、肩関節に負担をかける禁忌姿勢を避けて関節を保護する基本的なアプローチです。 姿勢ごとのポジショニングのポイントを以下の表にまとめました。 姿勢 ポイント 椅子や車椅子に座っているとき 机やクッションに腕をのせて、だらりと垂れ下がらないようにする 仰向けで寝ているとき 体の横に対して、腕が中央に来るように枕やクッションで高さを調整する 横向きで寝ているとき 抱き枕やタオルなどを使い、腕が体の下敷きになったり、前に落ちたりするのを防ぐ 適切なポジショニングは肩への持続的な負荷を減らすため、亜脱臼の悪化以外に痛みの緩和やむくみの軽減にもつながります。 装具療法|アームスリング固定による疼痛の軽減 装具療法は、三角巾やアームスリングといった装具を用いて、肩関節を安定した位置に固定する方法です。麻痺側の腕が垂れ下がることで生じる亜脱臼の悪化や、それに伴う痛みの増強を防ぐ目的でおこなわれます。 脳卒中治療ガイドライン2021では、スリングは有用な場合もあるものの、その効果は装着している間に限られるとされています。(文献3)長期間の固定は肩や肘を動かす機会を奪うため、関節が硬くなる「拘縮」を招く原因になりかねません。 安易に装具を使用するとリハビリの妨げになる可能性もあるため、自己判断での装着は避けましょう。 理学療法士や作業療法士など専門家の評価のもと、必要な時間や場面を見極めて適切に使用する必要があります。 電気治療|電気刺激による筋の強化 電気治療は、麻痺で動きにくい肩周りの筋肉に電気で刺激を送り、筋肉の収縮を促して再教育を図る治療法です。筋肉の収縮は、肩関節を本来の位置に引き上げる助けとなります。 電気治療では、主に神経筋電気刺激が用いられ、脳卒中治療ガイドライン2021でも、肩関節亜脱臼への神経筋電気刺激は妥当とされています。(文献3) 電気治療はリハビリの一環として、他の運動療法と組み合わせて実施されるのが一般的です。 ただし、片麻痺の亜脱臼に対する神経筋電気刺激は、脳卒中の発症から間もない急性期・亜急性期での有用性は示されたものの、発症後6カ月以降の慢性期では明確な差はなかったとの報告もあります。(文献4) 運動療法|肩関節周囲の筋力強化 運動療法は、肩関節を支える筋力を強化し、関節の安定性を取り戻すための治療法です。 自動運動(自分で動かす運動)や他動運動(他の人に動かしてもらう運動)を通じて、筋力低下を防ぎ、関節が硬くなる拘縮を予防します。 肩関節を支える筋肉の中でインナーマッスルの1つである回旋筋腱板は、上腕骨を肩甲骨に引き付けて安定させる役割を担います。回旋筋腱板をバランスよく鍛えることは、肩の安定性を高めるために欠かせません。 ただし、無理な運動はかえって肩を痛める原因になりかねません。必ずリハビリの専門家の指導のもと、痛みや違和感のない範囲でおこないましょう。 片麻痺の亜脱臼における禁忌事項を把握して悪化を防ごう 片麻痺の亜脱臼に対して、やってはいけない禁忌事項を理解せずにいると、意図せず亜脱臼を悪化させてしまう危険性があります。とくに感覚障害や半側空間無視がある場合は、本人が異変に気づきにくいため家族や介護者の方の正しい知識と協力が欠かせません。 肩関節を本来あるべき位置に保つためにも、専門家の指導のもとでリハビリに取り組み、日頃から腕の位置に気を配って正しい姿勢を心がけましょう。 運動麻痺のような脳卒中の後遺症に対する治療法として再生医療も選択肢の1つです。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 片麻痺と亜脱臼に関するよくある質問 片麻痺の亜脱臼は改善しますか 適切なリハビリテーションの継続は、片麻痺の亜脱臼の改善が期待できる方法の1つです。 たとえば、神経筋電気刺激を受けた患者様は、受けなかった場合よりも亜脱臼の程度が小さくなったとの研究報告が存在します。(文献5)また、麻痺からの回復段階が進むにつれて、亜脱臼の改善が見られたとの報告もあります。(文献6) 専門家と相談しながら、自分の状態に合ったリハビリに取り組んでいきましょう。 亜脱臼を放置するとどうなりますか 片麻痺に伴う亜脱臼を放置すると、さまざまな問題につながる恐れがあります。 まず、時間の経過とともに関節が固まり、元の位置に戻すのが難しくなると考えられます。また、肩周囲の筋肉に負担がかかり続け、肩を支える重要な腱板の断裂を引き起こす可能性も低くありません。 ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例の多くで腱板断裂が合併していたとの報告もあるため、亜脱臼は放置せずに適切な治療を受けましょう。(文献7) 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 参考文献 (文献1) 猪飼哲夫,米本恭三ほか 「脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討-経時的変化について-」 リハビリテーション医学 29 (7) , pp.569-575 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/29/7/29_7_569/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) Leonid Kalichman,Motti Ratmansky 「Underlying pathology and associated factors of hemiplegic shoulder pain」 American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation 90 (9) , pp.768-780 , 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21430513/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中ガイドライン2021[改訂2025]」, 2025年 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf(最終アクセス2025年6月16日) (文献4) Jae-Hyoung Lee,Lucinda L Bakerほか 「Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis」 Clinical Rehabilitation 31 (11) , pp.1431-1444 , 2017 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343442/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献5) Sandra L. Linn,Malcolm H. Granatほか 「Prevention of Shoulder Subluxation After Stroke With Electrical Stimulation」 Stroke 30 (5) , pp.963-968 , 1999 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10229728/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献6) 武富由雄 「脳卒中片麻痺における肩関節の亜脱臼と運動 機能回復段階に関する一考察」 肩関節 16 (2) , pp.218-220 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/16/2/16_218/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献7) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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「肩の亜脱臼ってどうやって治すの?自分でも治せる?」 「肩を動かすと痛みと違和感がある…これって亜脱臼?」 このような疑問や不安を抱える方は多いでしょう。 結論からお伝えすると、肩の亜脱臼は保存療法・リハビリ・手術などを組み合わせることで治療可能です。 一方で、亜脱臼を自分で治す情報もありますが、関節の損傷や慢性的な肩の不安定性につながるリスクがあります。 リスクを未然に防ぐためにも、正しい治し方を理解しておきましょう。 本記事では、肩関節亜脱臼の症状や治し方、放置したときのリスクについて詳しく解説します。脱臼との違いについても紹介するので、肩の痛みや違和感でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】肩関節亜脱臼と脱臼の違いについて 亜脱臼とは、肩の関節が正常な位置から部分的にずれた状態を指します。 肩関節の亜脱臼は関節が外れかかった後、自然に元の位置へ戻る場合がある点が大きな特徴です。そのため、「外れかかった」や「抜けかけた」と表現されることもあります。 肩関節の亜脱臼が起きた際には、瞬間的に鋭い痛みや腕が抜けるような感覚を覚えることがあります。 しかし、すぐに肩関節が元の位置に戻るため、肩がはっきりと外れたといった自覚がないケースも少なくありません。自分では亜脱臼だと気づかず、肩の違和感やだるさとして感じている場合もあります。 一方で、脱臼とは肩関節が本来の位置から完全に外れてしまった状態を指します。 ケガによって生じる肩関節の脱臼の多くは、腕の骨である上腕骨が肩の前方へ外れるタイプです。とくに以下のようなコンタクトスポーツで発症しやすい傾向にあります。 柔道 ラグビー アメリカンフットボール 亜脱臼は脱臼に比べて症状が軽く、気づかないケースも少なくありません。しかし、亜脱臼を放置すると症状の悪化や別の疾患に移行する可能性があるため、早期に治療する必要があります。 肩関節亜脱臼の治し方|全治までの期間も紹介 肩関節の亜脱臼の治療には主に以下の3つの方法が挙げられます。 保存療法 リハビリ 手術 保存療法とリハビリを中心にした治療が一般的です。しかし、これらの方法で状態がよくならない場合や、脱臼を繰り返す場合には手術が検討されます。 それぞれの治療方法を見ていきましょう。 保存療法|徒手整復と固定 亜脱臼によって肩関節が外れかかった際は、まず専門家による徒手整復(手技により関節を元の位置に戻す処置)がおこなわれます。患者様を仰向けに寝かせた状態で腕をゆっくりと持ち上げていく方法は、痛みが少なく、関節を整復できると知られています。 整復後は再脱臼を防ぐため、肩関節の固定が必要です。固定期間について明確なエビデンスはありませんが、患者の年齢や損傷程度に応じて1〜3週間おこなうケースが一般的です。 また、内旋位固定(従来の三角巾による固定)は、再発の可能性が高いと指摘されています。ある研究では、内旋位固定での再発率が42%であったのに対し、外旋位固定(気をつけの姿勢から、肘を直角に曲げ、脇を少し開いた状態で固定)では26%であったとの報告があります。(文献1) そのため最近では、肩を少し外に開いた状態で固定する外旋位固定を推奨する病院も少なくありません。 リハビリ|インナーマッスルや肩甲骨周囲 一定期間の固定が終了した後は、肩関節の機能回復を目的としたリハビリを開始します。リハビリは自己判断でおこなうと、痛みの悪化や他の筋肉を損傷する恐れがあるので、必ず医師や専門のリハビリスタッフの指導のもとで進めましょう。 適切なリハビリテーションは、肩関節の以下の能力を改善させ、安定性の獲得に大きく寄与すると報告されています。(文献2) 筋力 可動域 深部感覚 まずは硬くなった関節の可動域を広げる訓練から始め、痛みのない範囲での振り子運動から慎重に進めていきます。その後、状態を見ながら徐々に肩の安定性を高めるための筋力トレーニングへ移行します。 肩関節の安定性を高めるためには、インナーマッスル(回旋筋腱板)や、肩甲骨の動きに関わる周囲の筋肉をバランス良く鍛えるのが重要です。 回復の程度によりますが、スポーツへの復帰の目安はノンコンタクトスポーツ(テニスやゴルフなど、身体接触のないスポーツ)で4~6カ月、コンタクトスポーツ(バスケやラグビーなど、身体接触があるスポーツ)で6~8カ月と報告されています。(文献3) 手術|反復性肩関節脱臼の場合 保存療法やリハビリテーションをおこなっても、脱臼や亜脱臼を繰り返してしまうケースがあります。このように脱臼が習慣化してしまった「反復性肩関節脱臼」の状態では、手術も選択肢の1つです。 手術の目的は、脱臼の際に損傷した組織を修復し、肩関節の構造的な安定性を取り戻すことです。 現在おこなわれている手術では、損傷した関節唇と呼ばれる軟骨組織を修復する「鏡視下Bankart(バンカート)法」が選択されることが多くなっています。この手術は、関節鏡を用いるため小さな傷で済み、体への負担が少ない点が特徴です。 脱臼に対する手術の種類については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 肩関節の亜脱臼は自分で治せるのか? 肩の関節が外れかかった際、自然に元の位置へ戻ることもあります。このため「自分で治せるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で関節を戻そうとする行為はおこなわないでください。 無理に関節を動かしたり、入れようとしたりすると、肩の周囲にある重要な神経や血管を傷つけてしまう恐れがあります。また、肩を支えるインナーマッスルである腱板を新たに損傷する原因にもなりかねません。 たとえ痛みがおさまり、自然に関節が戻ったように感じられたとしても、見えない部分で骨や軟骨が傷ついている可能性も考えられます。肩に違和感を覚えた際は自己判断で対処せず、必ず整形外科などの専門的な医療機関を受診しましょう。 肩関節の亜脱臼を放置するリスク 肩関節の亜脱臼は、自然に戻ることがあるため軽視されがちですが、放置するとさまざまなリスクを伴います。 その理由は、時間が経過すると周囲の筋肉が硬直してしまい、関節を元の位置に戻すのが難しくなるためです。場合によっては、麻酔をかけて整復処置をおこなわなければならないケースもあります。 また、一度損傷した関節の支持組織は緩み、肩が不安定な状態になりやすいです。その結果、わずかな動作で再脱臼や亜脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」に移行しかねません。このような状態は以下のような症状を引き起こすリスクを高めます。 慢性的な痛み 関節の変形 神経損傷 とくに、脱臼を繰り返すと肩を支える腱板を損傷する可能性が大きくなります。ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例22例のうち、19例で腱板断裂が認められたとの報告もあります。(文献4) 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 肩関節亜脱臼の治し方を知って適切な治療を進めよう 肩関節の亜脱臼は、関節が外れかかった状態を指し、自然に戻るため自分では気づかないケースも少なくありません。 しかし、一度起きた亜脱臼を放置すると、脱臼が習慣化して症状が悪化し、将来的には手術が必要となる可能性もあります。 肩関節亜脱臼の主な治療法は以下の3つです。 徒手整復や固定による保存療法 可動域訓練と筋力トレーニングによるリハビリ 保存療法とリハビリでも効果が見られない場合の手術の検討 肩に抜けそうな感覚や痛み、違和感を少しでも覚えた際は、自己判断で済ませずに専門の医療機関を受診してください。医師による診断のもと、自分の状態に合った治療を進めましょう。 肩の亜脱臼はスポーツ外傷としてもよく見られますが、スポーツで筋肉や靭帯を損傷した場合は、再生医療の選択肢も考えられます。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 肩関節亜脱臼と治し方に関するよくある質問 亜脱臼の痛みはどのくらい続きますか 肩関節亜脱臼や脱臼の痛みが続く期間は、関節が外れた程度によって異なります。 関節が外れかかった状態である亜脱臼の場合、痛みは1週間程度で落ち着くのが一般的です。一方で、関節が完全に外れてしまった脱臼の場合は、整復をおこなった後も2〜3週間ほど痛みが続くことがあります。 いずれの場合も、受傷後の1〜3週間程度は症状を悪化させないために安静を保ちましょう。痛みが強い際には、医師の判断のもとで痛み止めの薬を使用する場合もあります。 ただし、痛みの感じ方には個人差があるため、症状が長引く場合は必ず医療機関に相談してください。 肩の脱臼は動かせますか 肩関節が完全に脱臼した場合、自分で腕を動かすのは困難です。 脱臼の瞬間から激しい痛みに襲われ、腕をほとんど持ち上げられなくなったり、特定の位置から動かせなくなったりします。 このような状態で無理に動かそうとすると、かえって状態を悪化させる危険が伴います。肩の周囲を通っている重要な血管や神経を新たに傷つけてしまい、しびれなどの後遺症が出る可能性も否定できません。 たとえ亜脱臼で動かせるように感じても、自己判断で動かすのは避けるべきです。肩に異常を感じたら、動かさずにできるだけ早く専門の医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 井樋栄二 「最新原著レビュー:肩関節脱臼後の外旋位固定は再脱臼率を低下させる−無作為化比較試験」 整形外科 61 (4) , pp.378-380 , 2010年 https://www.pieronline.jp/content/article/0030-5901/61040/378 (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) 尼子雅敏,田村吏沙 「肩関節脱臼の治療戦略とリハビリテーションの役割」防医大誌 47 (1) , pp.1-10 , 2022年 https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2022/03/47-1_001-010.pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 岩堀 裕介,花村 浩克ほか 「スポーツ選手の反復性肩関節前方脱臼の術後リハビリテーション」特集『より安全なスポーツ復帰をめざすリハビリテーション診断・治療』56 (10) , pp.752-763 , 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/10/56_56.752/_article/-char/ja/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献4) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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肩関節の脱臼は、スポーツや転倒などで発生する一般的な外傷です。 繰り返す脱臼に悩む場合、手術治療が検討されますが、「どんな後遺症があるのか」「リハビリはどのくらい必要か」といった不安を抱える方も多いでしょう。 本記事では、肩脱臼手術の種類や後遺症リスク、リハビリ期間、そして日常生活への復帰に関する情報をわかりやすくご紹介します。 手術を検討されている方や、これから手術を受ける予定の方は参考にしてください。 肩脱臼手術後に発症しやすい主な後遺症 肩脱臼手術は、脱臼癖のある肩関節を安定させるための有効な治療法ですが、どんな手術にも後遺症が生じる可能性があります。手術の成功後も、後遺症が発生する可能性について事前に理解しておきましょう。 ここでは、肩脱臼手術後に起こりうる主な後遺症と、対処法について解説します。 痛みの発生 手術方法が関節鏡を使った低侵襲なものであっても、手術後にはある程度の痛みを感じることがあります。これは手術による組織の修復過程で生じる自然な反応です。 痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、適切な痛み止めによって和らげることができます。医療機関では、以下の治療および内服薬の処方を行っています。 神経ブロック注射 点滴 退院後の内服薬 など 痛みは通常、時間の経過とともに徐々に軽減していきますが、強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。 また、リハビリテーションの進行に合わせて痛みの性質も変化する場合があります。 急性期の痛みが落ち着いた後も、筋肉や関節を動かすことで一時的に痛みが出ることもありますが、これは回復過程の一部であることが多いです。 適切な痛み止めの使用と、無理をしない範囲でのリハビリにより、痛みをコントロールしながら回復を目指しましょう。 再脱臼・不安定感 肩脱臼手術の主な目的は関節の安定性を取り戻すことですが、手術後にも再脱臼のリスクや不安定感を感じる場合があります。 術後1年以内の再脱臼は約10%といわれており、とくに手術で再建した靭帯がまだ十分な強度を獲得していない回復初期には注意が必要です。(文献1) この時期に無理な動作や過度なスポーツ活動を行うと、再脱臼を引き起こす可能性があります。関節の安定性を回復し再脱臼を防ぐためには、医師の指示に従って適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 手術後は再建された組織が成熟する重要な時期であり、指示された範囲を超える動作は避ける必要があります。回復期間中は、肩に負担をかけない寝方や日常生活での動作の工夫も大切です。 感染症 手術部位の感染は稀ではありますが、起こり得る合併症の一つです。統計的には手術全体のおよそ0.1%の頻度で発生するとされています。(文献1) 感染の兆候としては、手術部位の著しい腫れや赤み、熱感、痛みの増加、発熱などがあります。感染症が疑われる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。感染の程度によっては、抗生物質の投与だけでなく、再手術による洗浄などの処置が必要となる場合もあります。 肩脱臼手術の種類と後遺症リスクについて 繰り返す脱臼に悩む方には、手術による治療が検討されます。 現在、肩脱臼に対していくつかの手術法が確立されており、一人ひとりの状態や活動レベルに応じて適した方法が選択されます。 それぞれの手術には特徴と後遺症リスクがありますので、手術を検討する際の参考にしてください。 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 肩脱臼の手術として最も一般的に行われているのが、この関節鏡下関節唇形成術(Bankart法)です。関節鏡という細い内視鏡を使用して行われるため、皮膚の切開が小さく済み、術後の回復も比較的早いといった利点があります。 具体的な手術方法としては、関節窩(肩甲骨のくぼみ部分)の端にアンカーと呼ばれる特殊なネジや糸の塊を埋め込み、そこから伸びる糸を損傷した関節唇(関節の縁にある軟骨)に通して結ぶことで、関節の安定性を回復させます。 しかし、どんな手術にもリスクはあり、この場合は周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性や、手術後も再脱臼してしまうリスクが存在します。(文献2) 完全な回復には時間がかかり、リハビリテーションは通常6〜12カ月程度必要とされます。(文献3)この期間中はリハビリの進行度合いに合わせて、徐々に日常生活やスポーツ活動へ復帰していくことになります。 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) この手術法は、Bankart法を行った後にも再脱臼してしまったケースや、ラグビーや格闘技などの接触性の高いスポーツをする方など、脱臼リスクが通常より高い患者様に適応されることが多いです。 肩甲骨の突起である烏口突起と、そこにつく共同腱(烏口腕筋腱と上腕二頭筋短頭腱)を肩甲骨関節窩の前方に移行させることで、強力な物理的なストッパーとして機能させる方法です。再脱臼の予防に非常に効果的であり、多くの場合全身麻酔下で行われます。 一般的なリスクとして、手術後に移行した烏口突起の骨がうまく定着しないケースや、周辺の神経や血管の損傷リスクも考慮しなければなりません。 術後のリハビリテーションは4〜10カ月程度必要とされ、肩の機能回復とともに段階的に活動レベルを上げていきます。(文献3) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法はBankart法に追加して行われる補助的処置で、再脱臼のリスクをさらに減らすことを目的としています。 腱板疎部閉鎖術は、肩甲下筋腱と棘上筋腱の間にある比較的薄い膜(腱板疎部)を縫い縮めることで、肩関節前方の圧力を高め、前方への脱臼を防ぐ効果があります。 レンプリサージ法は、上腕骨頭の後ろ側にできた陥没部分(ヒルサックス病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。骨頭の陥没部分を埋めることで、関節窩の縁がひっかかって脱臼を起こすリスクを減らします。 追加処置を行っても完全に再脱臼リスクがなくなるわけではなく、統計的には約7.5%の確率で再発の可能性があるとされています。(文献4) 肩脱臼手術後のリハビリ期間と内容 肩脱臼手術の成功には、適切なリハビリテーションが不可欠です。手術によって修復された組織を保護しながら、段階的に肩の機能を回復させていくことが重要となります。 リハビリの進行は回復状況や手術の種類によって異なりますが、一般的には以下のような期間と内容で進めていきます。それぞれの時期に適した運動と生活上の注意点を理解し、焦らずに回復を目指しましょう。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 手術直後から1カ月間は、手術部位の保護と炎症の軽減がもっとも重要な時期です。この期間は、肩関節を安静に保つために専用の装具(アームスリングなど)を装着して固定します。過度な動きは避け、傷の治癒と炎症の改善を促進することが目的となります。 リハビリの内容は以下のとおりです。 手首や肘、指などの周辺関節の可動域を維持するための軽いエクササイズ 肩の痛みを軽減するためのアイシング むくみを防ぐためのポジショニング など 基本的に安静が中心ですが、デスクワークなどの軽作業は医師の許可があれば可能になることもあります。ただし、装具を外しての作業や重いものを持つなどの負荷をかける動作は避ける必要があります。傷の状態や痛みの程度を観察しながら、医師やリハビリ専門家の指導のもとで無理のない範囲で活動を行いましょう。 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 手術から1カ月が経過すると、徐々に肩の動きを回復させていく時期に入ります。主な目的は、関節可動域の改善と筋力の回復です。医師の判断により装具を外し始め、より積極的なリハビリを開始します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 肩関節の前方・後方・側方への可動域訓練 肩甲骨周囲の筋肉のトレーニング など 初期は他動的な運動(理学療法士などが補助して行う運動)から始め、徐々に自動運動へと移行していくでしょう。軽い抵抗をかけた筋力トレーニングも導入され、肩の安定性を高めるための回旋筋腱板の強化が重視されます。 この時期になると、日常生活動作のほとんどが可能になり、軽負荷のスポーツや作業にも徐々に復帰できるようになってきます。ただし、投げる動作や腕を頭上に挙げる動作など、肩に大きな負荷がかかる活動はまだ控えなければなりません。 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ 術後3カ月を過ぎると、より機能的なリハビリに移行していく時期です。この期間の主な目的は、肩関節の安定性向上とアジリティ(素早く正確に動かす能力)の回復です。可動域訓練をさらに進め、ほぼ全方向への動きを回復させることを目指します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 より高負荷の筋力トレーニング 肩関節の協調性を高めるためのエクササイズ など スポーツ選手の場合は、競技特異的な動作の練習も徐々に取り入れていくでしょう。投球動作や水泳のストロークなど、肩に負担のかかる動きを段階的に練習し、パフォーマンスの回復を図ります。 この時期になると、多くの患者様がスポーツや重労働への完全復帰を目指せるようになります。 まとめ|後遺症なく日常へ戻るために 肩脱臼の手術後、後遺症なく日常生活やスポーツに復帰するためには、いくつかの重要なポイントがあります。 まず、手術が本当に必要かどうかの適応を正確に見極めることが大切です。脱臼の頻度や重症度、年齢、活動レベルなどを考慮し、専門医との十分な相談を通じて判断してください。 次に、一人ひとりの状態に適した術式の選択も重要です。関節鏡下関節唇形成術や烏口突起移行術など、それぞれの手術法の特徴とリスクを理解した上で手術に臨みましょう。術後は時期に応じた計画的なリハビリテーションを着実に実施しなければなりません。 肩脱臼の手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 肩脱臼手術の後遺症に関するよくある質問 肩脱臼の手術の成功率は? 肩脱臼手術の成功率は一般的に90〜95%と高い数値が報告されています。(文献5) これは「再脱臼を防止できる確率」を示しており、多くの患者様が安定した肩関節を取り戻せることを意味します。成功率は年齢、活動レベル、手術方法、リハビリへの取り組みによって変動もありますが、適切な術後ケアにより満足のいく結果につながることが多いです。 肩脱臼の手術をした後はどうなるのか? 手術後は肩の安静と保護のため、アームスリングなどの装具の装着が必要です。固定期間後、医師の指導のもと徐々に可動域訓練を開始し、その後段階的に筋力トレーニングも取り入れていきます。 リハビリは術式により4~12カ月継続し、肩の機能回復を図ります。(文献5) 参考文献 文献1 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院「鏡視下関節形成術(鏡視下バンカート修復術)」 https://www.matsunami-hsp.or.jp/iryou_jyohou/info/hanpuku/ (最終アクセス:2025年5月15日) 文献2 CiNii「鏡視下バンカート修復術の術後5年以上の長期成績」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390852174974630144 (最終アクセス:2025年5月15日) 文献3 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日) 文献4 J-STAGE「Remplissage法を補強として用いた鏡視下Bankart修復術の手術成績」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/41/3/41_683/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月15日) 文献5 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう) 」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_katakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日)
2025.05.21 -
- 腱板損傷・断裂
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あなたは今、肩の痛みや動かしにくさに悩んでいませんか? 40代、50代で多く発症する四十肩・五十肩は、実は30代や60代でも発症する可能性があり、夜間の痛みが特徴的な、決して他人事ではない身近な症状です。 「まさか自分が…」と驚く人も多いこの肩の痛みは、シャツを着替えたり、髪を洗ったりする動作が辛くなります。 2023年の国民生活基礎調査によると、肩こりや肩の痛みを訴える人は増加傾向にあり、その背景には長時間のデスクワークや運動不足などが考えられます。 この記事では、四十肩・五十肩の特徴的な症状や、その原因となるメカニズムを、医師の解説を通して詳しく解説します。 夜間の激痛に悩まされ、熟睡できない日々を送っているあなたも、この記事で紹介する治療法によって、快適な睡眠を取り戻し、再び日常生活を楽しめるようになるかもしれません。 今すぐ、あなたの肩の悩みを解消する第一歩を踏み出しましょう。 四十肩・五十肩の特徴と症状 四十肩・五十肩は、肩の痛みと動かしにくさを特徴とします。 この症例は、私たち整形外科医には非常によくある相談です。 医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、中年以降に多く発症することから、40代で発症すると四十肩、50代で発症すると五十肩という風に、おおよその年齢で呼び分けられています。 ただ、この年齢はあくまで目安です。30代前半でも、60代後半でも発症する可能性は十分にあります。 私自身も、30代で四十肩のような症状を経験したことがあります。 主な症状と痛みの部位 四十肩・五十肩の主な症状は、肩の痛みと可動域制限、そして炎症です。 痛み: 痛み方にはいくつかのパターンがあります。 初期には、肩を動かしたときにズキンとするような鋭い痛みを感じることが多く、安静時でも鈍い痛みが続く場合もあります。 痛みの部位は肩関節の周囲だけにとどまらず、腕や首、時には背中まで広がることがあります。特に特徴的なのは、夜間に痛みが増強する「夜間痛」です。 安静にしているはずの睡眠中に痛みが激しくなり、起きてしまうこともあります。 可動域制限: 肩関節の動きが悪くなることを「可動域制限」と言います。 具体的には、腕を真上に上げること(挙上)、後ろに回すこと(外旋・内旋)、体の前で腕を交差させること(水平内転)などが難しくなります。 腕の動きが制限されることで、日常生活での動作が苦痛になります。 炎症: 肩関節周囲の組織で炎症が起きているため、炎症に伴う腫れや熱感を伴う場合もあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 可動域制限のメカニズム 四十肩・五十肩で可動域制限が起こるメカニズムは、肩関節周囲の組織の炎症と癒着が主な原因です。 私たちの肩関節は、肩甲骨の関節窩という受け皿のような部分に、上腕骨頭というボールのような部分がはまり込む構造をしています。 この関節は関節包という袋状の組織で包まれており、滑液という潤滑油の役割を果たす液体で満たされています。 四十肩・五十肩では、この関節包に炎症が起き、厚く縮んでしまいます。風船がしぼんで硬くなるイメージです。 関節包が硬く縮むことで、肩関節の動きが制限されてしまうのです。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着してしまいます。 例えるなら、くっつきにくいはずの食品ラップ同士がくっついてしまうような状態です。こうなると、さらに可動域制限が強くなります。 肩関節の動きが悪くなると、日常生活での様々な動作に支障をきたすだけでなく、動かすこと自体が怖くなり、さらに動かさなくなってしまう、という悪循環に陥る可能性があります。 結果として、肩関節の拘縮がさらに進行してしまうのです。 糖尿病との関連性 糖尿病は、四十肩・五十肩のリスクを高めると言われています。高血糖の状態が続くと、血管が傷つきやすく、血流が悪くなります。 肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。 また、糖尿病の方は痛みを感じにくい場合があり、四十肩・五十肩の症状に気づきにくく、重症化しやすいという側面も持っています。 糖尿病の方は、日頃から肩のストレッチなど、肩のケアを心がけ、異変を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。 四十肩・五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで、痛みの軽減や可動域の改善、そして日常生活の質の向上に繋がります。 四十肩・五十肩の原因と診断 四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態です。 肩関節周囲炎は、肩関節を包む関節包という組織が炎症を起こし、厚く縮んでしまうことが原因で起こります。 まるで風船がしぼんで硬くなるように、関節包が硬く縮むことで肩関節の動きが制限されてしまうのです。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着を起こし、食品ラップ同士がくっついてしまうような状態になります。 原因となるリスクファクター 四十肩・五十肩の原因ははっきりと解明されていませんが、加齢、肩関節の使いすぎ、糖尿病などの病気が関係していると考えられています。 加齢:加齢に伴い、肩関節周囲の組織は老化し、炎症や癒着が起こりやすくなります。 肩関節の負担:野球やバレーボールなどのスポーツ、重い荷物を持つ作業など、肩関節に負担をかけることも要因となります。 糖尿病:糖尿病の方は、そうでない方に比べて四十肩・五十肩を発症するリスクが高いことが知られており、高血糖の状態が続くと血管が傷つきやすく、血流が悪くなることが原因の一つと考えられています。 肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなると考えられています。 甲状腺機能障害:さらに、甲状腺機能障害も四十肩・五十肩のリスクを高める要因として知られています。 甲状腺ホルモンは、体の代謝を調節する重要なホルモンですが、このホルモンのバランスが崩れると、様々な体の機能に影響を及ぼします。 肩関節周囲の組織も例外ではなく、甲状腺機能障害によって炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。 診断に用いる検査方法 四十肩・五十肩の診断は、主に問診と診察によって行われます。医師は、肩の痛みの程度や、腕をどのくらい動かせるかなどを確認します。 具体的には、腕を前や横に上げたり、後ろに回したりする動作で、どの程度まで動かせるかを調べます。 レントゲン検査:レントゲン検査を行う場合もありますが、これは他の病気を除外するために行うもので、四十肩・五十肩自体をレントゲンで診断することはできません。 四十肩・五十肩は、肩関節の炎症や癒着が原因で起こりますが、これらの変化はレントゲンには写らないからです。 MRI検査:MRI検査では、肩関節周囲の組織の状態を詳しく調べることができ、炎症や癒着の程度を評価することができます。 超音波検査:同様の変化は超音波検査でも観察でき、超音波検査は画像ガイド下注射療法に特に有用です。 しかし、MRI検査や超音波検査は必ずしも必要ではなく、多くの場合は問診と診察だけで診断が可能です。 他の肩の疾患との違い(腱板断裂、頚椎症など) 四十肩・五十肩は、腱板断裂や頚椎症などの他の肩の疾患と症状が似ていることがあり、鑑別が重要です。 腱板断裂:腱板断裂は、肩の上腕骨を支えている筋肉が、切れてしまう病気です。腱板断裂では、腕を特定の方向に動かしたときに強い痛みを感じることがあります。 また、夜間に痛みが強くなることもあります。 四十肩・五十肩のように肩の動きが制限されることもありますが、腱板断裂の場合は、力を入れても腕を上げられない、腕がだらんと下がってしまうといった筋力低下の症状が見られることもあります。 頚椎症:頚椎症は、首の骨や椎間板が変形することで、肩や腕に痛みやしびれが出る病気です。 頚椎症の場合、首を動かすと神経が圧迫されることで、手のしびれや動かしにくさなどの症状が現れたり、強くなることもあります。これらの症状の違いを把握することで、どの病気が疑われるかを判断することができます。 ▼肩がズキズキと痛いときに考えられる原因について、併せてお読みください。 四十肩・五十肩の治療選択肢 四十肩・五十肩の治療は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。 それぞれの治療法の特徴を理解できるよう、わかりやすく説明しましょう。 保存療法の種類と効果 保存療法とは、手術をせずに痛みや炎症を抑え、腕を動かせるようにする治療法です。 具体的には、薬物療法、注射療法、理学療法、装具療法などがあります。これらの治療を複合的に行うことが多いです。 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるための薬を内服したり、外用薬として患部に塗ったりします。 消炎鎮痛剤は、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげます。 注射療法: 肩関節に直接、薬剤を注射する方法です。ステロイド注射は、強力な抗炎症作用で炎症を抑え、痛みを素早く軽減します。 ただし、ステロイド注射は、何度も繰り返すと腱を弱める可能性があるため、使用回数には注意が必要です。 ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を果たし、関節の動きを改善します。 理学療法: 理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレ、温熱療法などを行い、肩の可動域を広げ、日常生活動作の改善を目指します。 理学療法は、四十肩・五十肩の治療において最も重要な要素の一つです。特に、肩甲骨の動きを改善する運動は効果的です。 私の経験では、肩関節は複雑なので、やはりリハビリ治療を行うことで、治療期間はずいぶん短縮できる例が多かったです。 装具療法: 安静時や夜間就寝時に、肩関節を固定する装具を装着することで、痛みを和らげ、関節を保護します。 保存療法の効果は、症状の程度や個人差があります。保存療法を3~6ヶ月行った後も症状の改善が見られず、日常生活に支障が出る場合は、手術療法が検討されます。 医学文献では、保存的治療で多くの患者が改善すると報告されています。 手術療法の適応とリスク 保存療法で十分な効果が得られない場合や、関節が著しく硬くなってしまった場合、手術も考えないといけません。 手術療法には、麻酔下での関節モビライゼーションや関節鏡下関節包遊離術などがあります。 麻酔下での関節モビライゼーション: 全身麻酔下で肩関節を動かし、硬くなった関節包を強制的に剥がす方法です。 別名、マニプレーションとも言います。 関節鏡下関節包遊離術: 小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、癒着した関節包を切開する方法です。 傷が小さく、術後の回復も早いというメリットがあります。 手術療法は、保存療法よりも短期間で効果が高いとされていますが、合併症のリスクも存在します。合併症には、骨折、神経麻痺、感染症などがあります。 手術をしない新しい治療(再生医療) ご自身の身体にある幹細胞を使って、日帰り、簡単な注射だけで、手術以上の効果の見込める再生医療という治療があります。 肩の手術後は肩関節が固まる現象がよくみられます。そういうこともあって、私たち整形外科医は、よほど辛かったり、動きが悪いという以外は、肩の手術はあまり積極的に患者様には勧めていません。 しかし、リペアセルクリニックでは、肩に特化した再生医療を行うことで、多くの患者様を笑顔にしてきました。再生医療についてこちらで詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 https://youtu.be/WQGHzkzEFnY?si=5xtDnXSQg1poljkp https://youtu.be/yj1LZ3318_E?si=G0Kpui969PdFwggA 痛みの軽減とリハビリテーションの重要性 四十肩・五十肩の治療において、痛みの軽減とリハビリテーションは非常に重要です。 痛みは、日常生活の動作や睡眠を妨げ、生活の質を低下させます。 痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な薬物療法や注射療法を受けるようにしましょう。 リハビリテーションは、肩関節の可動域を回復し、筋力を強化するために不可欠です。 理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレなどの運動療法を行い、肩の機能回復を目指します。無理のない範囲で、日常生活でも積極的に肩を動かすように心がけましょう。 早期に適切な治療を開始することで、痛みの軽減や機能回復を促進し、日常生活への復帰を早めることができます。 焦らず、医師や理学療法士と相談しながら、治療を進めていきましょう。 参考文献 Fields BKK, Skalski MR, Patel DB, White EA, Tomasian A, Gross JS and Matcuk GR Jr. "Adhesive capsulitis: review of imaging findings, pathophysiology, clinical presentation, and treatment options." Skeletal radiology 48, no. 8 (2019): 1171-1184. Dang A and Davies M. "Rotator Cuff Disease: Treatment Options and Considerations." Sports medicine and arthroscopy review 26, no. 3 (2018): 129-133. Redler LH and Dennis ER. "Treatment of Adhesive Capsulitis of the Shoulder." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 27, no. 12 (2019): e544-e554. Fernández Martínez AM, Alonso DR, Baldi S, Arregui OB and Marcos MTC. "Frozen Shoulder." Techniques in vascular and interventional radiology 26, no. 1 (2023): 100882. Cho CH, Bae KC and Kim DH. "Treatment Strategy for Frozen Shoulder." Clinics in orthopedic surgery 11, no. 3 (2019): 249-257. "凍結肩(癒着性関節包炎):臨床医のためのレビュー"
2025.02.09 -
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心当たりがないのに、肩が急に痛くなったことはありませんか? 痛みの原因には色々な要素が重なります。 四十肩・五十肩も一つの原因です。 最近では20~30代でも発症するケースが増えており、長時間の座り仕事や、携帯の長時間使用など、日常生活での肩への負担増加が原因の一つと考えられています。 そういった問題に対して、医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の痛みを予防し、快適な毎日を送るためのヒントが満載です。 右肩(左肩)がズキズキと痛い 肩の付け根がズキズキ痛むと、日常生活にも支障が出てしまい不安になりますよね。痛くて腕が思うように動かなくなったり、夜間痛も現れます。 寝返りも辛いと言われる方もいます。そうなると寝不足になりますよね。 そして、一番注意しなければいけないのは、肩関節が固まることです。これを関節の拘縮といいます。拘縮になると、長期間の治療とリハビリが必要となります。 今までの経験上、痛みが出てきて早期に治療することで、治療期間がかなり短縮できた患者さんが多くおられました。 この記事では、痛みの原因としてどのようなものがあるのかを、現場で診療にあたる医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の付け根がズキズキ痛む原因6選 肩の付け根のズキズキとした痛みは、様々な原因で起こりえます。それらをしっかりと鑑別して、適切に治療できれば、ほとんどの方は痛みが激減します。 痛みの種類や、他にどんな症状があるかによって原因が推測できますので、ご自身の症状をよく観察し、医療機関を受診する際の参考にしてみてください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 肩腱板損傷(断裂) 肩の周りにある筋肉が擦り切れたり、断裂して痛みが出る病気です。主に棘上筋というものが擦り切れてしまいます。 経験上、転倒などの外傷や、高いところの荷物の上げたり下げたりする動作が原因となることが多かったです。 筋肉の炎症(腱板炎、石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。 炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化など様々です。 例えば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。 また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすいです。 腱板炎の特徴として、腕を特定の方向に動かした時や、夜中に痛みが出やすいです。 石灰沈着性腱板炎は、40代~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす病気です。 なぜ石灰が沈着するのかはまだ分かっていません。血流の問題や、年齢などが関係していると考えられています。 この疾患はかなり痛みが強く、特徴として何もしていないのに、痛みが強くでます。そして、指で肩を押すと、痛い箇所がはっきりわかります。 その指の奥に、石灰の沈着が存在します。そして、腕を動かさない時にも痛みがあります。 関節の異常(肩関節周囲炎、変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎は、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれます。腕が動かしづらくなり、痛みが出ます。 まれに肩から腕にかけて痺れが出るので、頸椎椎間板ヘルニアなどと間違われることもよくあります。 肩関節周囲炎は、加齢とともに肩関節や靭帯が緩くなって、関節のバランスが崩れることで発症します。 40代~50代に多く見られますが、最近は20代や30代の若い世代でも発症するケースが増えています。 これは、長時間座り仕事や携帯の長時間使用などが原因とされています。 変形性肩関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨同士が擦れて、痛みや炎症が生じる病気です。 主に加齢が原因ですが、若い頃に怪我をしたとか、重労働をしていたなどが原因となります。 初期は、動かさなくてもジンジンと鈍い痛みが続きますが、関節の変形が進むとさらに痛みが増します。 そして動きも悪くなっていきます。末期になると、ゴリゴリ音もなることが多いです。 肩関節周囲炎との比較として、変形性肩関節症は、肩関節のレントゲン写真で骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起や、関節裂隙の狭小化などの変化が確認できる点が挙げられます。 ▼その他、肩の痛みで疑うべき病気について、併せてお読みください。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、神経の圧迫が原因で起こる場合もあります。 胸郭出口症候群は、首から腕にかけて走る神経や血管が、鎖骨そのもので圧迫されたり、肋骨周りで押されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、だるさなどの症状が現れます。 神経や血管が押されてしまう理由として、首の筋肉の緊張、鎖骨や肋骨の変形、姿勢の問題などがあります。 なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶことが多い人などに多く発症する傾向があります。 携帯を触る時も、姿勢が悪くなりがちで、神経や血管が圧迫されやすいため注意が必要です。 姿勢や生活習慣が大きく関わっているため、改善することで症状が和らぐ可能性があります。 ▼胸郭出口症候群の可能性は?セルフチェック法について、併せてお読みください。 頸椎椎間板ヘルニア 脊髄の神経が、圧迫されることで首や肩、そして腕にかけて痛みが出ます。 肩が痛いという患者さんで、肩の検査をしても何もわからなかったが、首のMRIで原因が頸椎椎間板ヘルニアによるものと診断される方も比較的多くおられました。 頸椎椎間板ヘルニアについてはこちらをご覧ください。 ▼頸椎椎間板ヘルニアの症状や治療法について、併せてお読みください。 内臓疾患(狭心症、胆石症など) 肩の付け根の痛みは、内科領域のサインである場合もあります。 狭心症や心筋梗塞、胸部大動脈解離症などでは、肩や背中に放散する痛みが出ることがあります。 命に関わる重篤な病気である可能性もあるため、早急に医療機関を受診することが重要です。 また、胆石症などの胆嚢の病気でも、肩への関連痛が認められます。 胆石症では、脂肪分の多い食事を摂取した後に、右肩甲骨の裏側に激しい痛みが生じることがあります。 そのほかに胸の痛みや吐き気、発熱などの症状が出てきます。 肩の痛みと同時に他の症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。 その他(外傷、腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、転倒や衝突などによる外傷が原因で起こることもあります。 例えば、腱板断裂は、転倒した際に肩に強い衝撃が加わることで起こることがあります。 高齢者の場合は骨が脆くなっているため、軽微な外傷でも骨折してしまう可能性があります。 また、スポーツ中に肩に強い力が加わった場合などは、脱臼や靭帯損傷などを起こすことがあります。 まれに、腫瘍が原因で肩の痛みが出ることがあります。腫瘍の場合は、痛み以外にも、しびれや腫れ、発熱などを伴うことがあります。 肩の付け根の痛みに効果的な対処法 肩の痛みは、原因や痛みの種類によって適切な対処法が異なってきます。 適切な対処をすることで、痛みの悪化を防ぎ、より早く回復できる可能性が高まります。 痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することで痛みを一時的に和らげることができます。 鎮痛剤は、痛みを感じる神経の働きを抑えることで痛みを軽減する効果があります。 飲み薬タイプ、貼り薬タイプ、塗り薬タイプなど様々な種類があるので、ご自身の使いやすいタイプを選びましょう。 胃腸の弱い方は、胃への負担が少ないタイプのものを選ぶと良いでしょう。 ▼市販の痛み止め、特徴や効果とは?併せてお読みください。 冷湿布と温湿布がありますが、痛みが強い急性期には冷湿布を使用し、痛みが慢性化している場合は温湿布を使用するのが一般的です。 血流が良くなり、筋肉の緊張が和らぐ効果が期待できます。 ただし、湿布薬を貼ったまま長時間放置すると、皮膚がかぶれたりする可能性があるので注意が必要です。 市販薬を使用する際には、用法・用量を守り、決められた量以上使用しないようにしましょう。 また、他の飲んでいる薬がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談することをお勧めします。 妊娠中や授乳中の方、持病のある方は、医師や薬剤師に相談してから使用してください。 これらの市販薬は、あくまで一時的な対処法です。 家庭でできるケア(ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法など) 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法などがあります。 ストレッチ:ストレッチは、肩や首の周りの筋肉をやわらかくして、痛みを和らげ、腕の動く範囲を広げる効果が期待できます。 入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。 ただし、痛みがある時に無理にストレッチを行うと、逆効果となるので注意しましょう。 マッサージ:マッサージをすることで肩や首の筋肉をほぐし、血液の流れを良くして炎症を早く治めようとしてくれます。 炎症とは、痛いという物質が痛いところに溜まることなので、血流が良くなれば、悪い物質が流れてなくなるという原理です。 肩甲骨を意識して、肩甲骨を上下左右に動かすようにマッサージすると効果的です。 ただし、痛みが強い場合はマッサージを避け、炎症が落ち着いてから行うようにしましょう。 温罨法:温罨法は、温めたタオルなどを肩に当てることで、血流を促し、痛みや炎症を鎮める効果があります。 温罨法は、慢性的な痛みや、筋肉の張りが強い時に有効です。 冷罨法:冷罨法は、冷やしたタオルなどを肩に当てることで、痛みを和らげる方法です。 痛みが強い急性期には冷罨法が適しています。 これらのケアを行っても痛みが改善しない場合は、医師と相談しましょう。 特に、熱がある時や痺れが伴うときは要注意です。早いうちに受診することが重要です。 注射、リハビリテーション、手術など 問診、視診、触診、レントゲン検査などの画像検査によって診断をつけます。 痛みが強い場合は、注射によって炎症や痛みを抑える治療が行われます。 ステロイド注射は強力な抗炎症作用があり、短期間で効果を発揮しますが、効果の持続期間は限られています。 また、頻回に注射を行うと、副作用のリスクも高まるため、医師の指示に従って適切な頻度で注射を受ける必要があります。 肩関節が固くなって拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリを行い、関節の動きを改善していきます。 運動療法は、多くの場合、手術と同等またはそれ以上の効果を示すことが報告されています。 肩の腱板断裂(損傷)では、痛みが強く日常生活が困難であるか、腕が上がらない時は手術が必要となります。 近年では、関節鏡を用いた低侵襲手術が主流となっており、負担が少ない手術が可能です。 しかし、整形外科医の間では、正直、肩の鍵盤の手術はできるだけしたくないものです。 理由は、手術をしてもあまり痛みが取れなかったり、さらにわるくなる場合がよくあるのです。 手術の後、肩の関節が固まってしまったり、縫合した腱板が再断裂する確率も高いのです。 そういった悩みを解決してくれたのは、実は再生医療なのです。 入院、手術の必要がなく、手術よりも治療成績がいい。みなさんいいと思いませんか?こんないい話があるのか?と疑ってしまいますよね。 私が、約10年再生医療に携わった結果、肩の再生医療には希望があると確信しています。ぜひこちらの動画をご覧ください。 <肩腱板損傷の症例動画> https://youtu.be/JtMLjwP174M 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活での注意点(姿勢、運動、睡眠など) 日常生活では、できるだけ意識して、正しい姿勢を保つように心がけましょう。 姿勢が悪いと、どうしても猫背になり、さらに症状が悪化してしまいます。 デスクワークの方、パソコン作業が多い方は、1時間に1回程度は休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を5分でもいいので行うといいでしょう。 適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めます。 ウォーキングや水泳など、肩に負担の少ない運動を継続して行うことが大切です。 ただし、痛みがある場合は、早い目に医師に相談してから行うようにしましょう。 睡眠不足は、痛みや炎症を助長させる可能性があります。質の良い睡眠を十分に取るように心がけましょう。 また、痛みが強い側の肩を下にして寝ないように注意することも大切です。抱き枕などを使用して、楽な姿勢で寝るように工夫してみましょう。 痛みの予防 痛みがあると、肩や腕はよく使うので、日常生活がとても苦痛になりますよね。 私も診療で多くの患者さんを診ていますが、肩の痛みは放っておくと悪化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 肩が上がらなくなったり、夜も眠れなくなったり…想像するだけでも恐ろしいですよね。 ですが、肩の痛みは予防できるんです!適切な運動習慣、デスクワーク時の姿勢改善、ストレッチやマッサージ。 これらのケアを意識的に行うことで、健康な肩を維持し、痛みを予防できる可能性が高まります。 適切な運動習慣 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。特に、肩甲骨を意識しましょう。 肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕の様々な動きをサポートする重要な役割を担っています。 実はこの肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。 周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩甲骨の動きを良くするおすすめの運動をいくつかご紹介します。 肩回し体操: 腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。 前方向と後ろ方向を10回ずつ行いましょう。痛い時は、無理せず回せる範囲で行ってください。 肩甲骨はがし: 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。 10回繰り返しましょう。これは肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。 腕立て伏せ: 肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えることができる非常に効果的な運動です。 10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 また、適切な運動習慣を継続することで、肩甲骨の運動機能が改善され、肩関節疾患の発生リスクを低減できるという研究結果もあります(Ludewig PM and Reynolds JF. 2009)。 デスクワーク時の姿勢改善 長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする大きな原因となります。 猫背の姿勢では、肩甲骨が外側に広がり、肩関節への負担が増加し、痛みが発生しやすくなります。 次のようなことを心がけるといいでしょう 背筋を伸ばし、顎を引く: 顎を引くことで、自然と背筋が伸びやすくなります。 肩の力を抜いてリラックスする: 肩に力が入っていると、筋肉が張ってしまい、どうしても痛みが出やすくなります。 目線は正面に向ける: 目線が下に向いていると、猫背になりやすくなります。 足の裏全体を床につける: 足の裏全体が床についていると、姿勢が安定しやすくなります。 肘は90度を維持する: 肘の角度が適切だと、肩への負担を軽減できます。 こまめに休憩をとる: 長時間同じ姿勢を続けると、逆に疲れが出て、痛みも増してしまいます。1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをする。 ストレッチやマッサージによるケア ストレッチやマッサージは、かなりの効果が見込めます。お風呂上がりなど、身体か温かい時に行うとより効果的です。 いつも私が外来で教えているストレッチを紹介しますね。以下のものがあります。 肩回し: 前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 首のストレッチ: 首をゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒します、それぞれ10秒間キープします。 腕のストレッチ: 片腕を胸の前に伸ばし、反対の手で肘を押さえて10秒間キープします。反対側も同様に行います。 このストレッチは、肩周りの筋肉を柔らかくする効果があります。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。 特に、肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛み予防に繋がります。 これらのケアを日常生活に取り入れ、肩の痛みを予防し、健康な肩を維持していきましょう。 まとめ 肩の付け根のズキズキとした痛み、不安になりますよね。その痛み、放っておくと悪化してしまうかもしれません。 この記事では、肩の痛みについてできるだけ、わかりやすく説明しました。 自宅でもできる予防やストレッチ、治療法、そして予防策まで幅広く説明しましたので、参考にしてください。 市販薬や家庭でのケアで様子を見るのも一つの方法ですが、なかなか痛みが取れない時は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 また、日常生活での予防も重要です。正しい姿勢を保つ、適度な運動をする、ストレッチやマッサージを行うなどするように心がけましょう。 肩の痛みを予防し、健康な毎日を送るためにも、この記事を参考に、ご自身の肩の状態に合ったケアを始めてみてくださいね。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Kibler WB, McMullen J. "Scapular dyskinesis and its relation to shoulder pain." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 11, no. 2 (2003): 142-51. Ludewig PM, Reynolds JF. "The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 39, no. 2 (2009): 90-104. "回旋腱板関連肩痛:評価、管理、そして不確定要素." Manual therapy 23, no. (2016): 57-68.
2025.02.04 -
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2024シーズンからメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手は、右肩の怪我により離脱を余儀なくされています。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手は、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」は「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使すると周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」は一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーション、または重症の場合は手術が行われてきました。しかし、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えてほしいものです。なぜなら、選手生命を護ることができるからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、大腿骨頭壊死のステージ分類や治療法について詳しく解説します。 大腿骨頭壊死とは、太ももの先端部分である大腿骨頭の血流が悪くなり、骨の一部が壊死してしまう病気で自然に治癒することは基本的にありません。 壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2:レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3:骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4:軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する点です。 ステージ3までは、関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 関節同士の隙間がなくなると、大腿骨頭壊死から変形性股関節症になる点を理解しましょう。 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死の治療には、幹細胞治療やPRP治療などの再生医療もあげられます。 再生医療における「幹細胞治療」は、自身の幹細胞を使い、損傷した組織や細胞の修復を手助けする方法です。 「PRP療法」も再生医療の1つで、血液に含まれる血小板を用いて治療を行います。 どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。また、再生医療では手術や入院を必要としません。 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
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主に野球に取り組むアスリートに多く見られる、インピンジメント症候群。 肩の痛みや違和感などを引き起こし、投球や送球動作に大きな影響を与えます。 特徴として、完治までに数カ月単位の時間がかかる点があげられるでしょう。 発症してから競技復帰するまで、相当長いリハビリ期間を取る必要があります。 しかし、「リハビリの方法がわからない」「少しでも早く治したい」と考えている人も多いでしょう。 本記事ではインピンジメント症候群発症時のリハビリ方法を詳しく解説します。合わせて、予防法も解説しているので参考にしてください。 インピンジメント症候群のリハビリの目的と有効なストレッチ 野球やバトミントンなどオーバーヘッドスポーツで生じやすいインピンジメント症候群。 投球動作で肩に痛みが生じる、いわゆる「野球肩」の一種として知られています。 インピンジメントとは「衝突」の意味で、インピンジメント症候群は、肩の関節を構成する骨同士が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれたりして痛みが生じる状態です。 インピンジメントを引き起こす原因はさまざまで、原因に合わせたリハビリの実施が必要です。 今回は、インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について解説します。 インピンジメント症候群のリハビリ目的 肩の関節は、背中にある肩甲骨と腕の骨である上腕骨、鎖骨によってできています。 上腕骨の先端にある球状の上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩甲骨のくぼみにはまるように作られる肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)が、一般的に肩関節と呼ばれる関節です。 インピンジメント症候群は、以下のような要因で、肩関節の正常な動きが妨げられるため生じます。 関節周辺の組織が固くなり上腕骨頭の位置がずれる 猫背になり肩甲骨の動きが悪くなる 筋力が低下して上腕骨頭が正常とは異なる動きをする これらの要因を改善して、インピンジメントを生じさせない動きを取り戻すのがリハビリの目的です。 また、リハビリでは、インピンジメント症候群により生じた炎症の回復を補助する目的も含まれます。 次からは具体的なリハビリの内容を紹介します。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|炎症への対応 肩を動かさなくても痛みがでる場合や、夜間に痛みがでる場合は、インピンジメントにより肩周辺の組織に炎症が生じている可能性があります。 そのような状態では、積極的な運動よりも、炎症や痛みを和らげる対応が優先されます。 そのため、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)をおこない、肩にかかるストレスを軽減させるのが大切です。 ポジショニングは、肩や肘の下にタオルなどを入れて痛みがないポジションを作ります。 振り子運動 また、運動では振り子運動により、自重を使った関節の運動を実施して、肩への負担をかけないようにします。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|猫背を改善するリハビリ 猫背になると、肩甲骨の動きが妨げられるため、正常な肩関節の動きが生じずに、インピンジメントを引き起こしやすくなります。 肩の痛みがあり肩関節を動かしにくいときでも、猫背を改善するリハビリは、肩関節を動かさずに実施できるため、積極的に取り組みましょう。 具体的な方法は以下の通りです。 ストレッチポールでのストレッチ ストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開いて背中をストレッチします。 cat & dogストレッチ 四つ這いで背中を丸めたり、反らしたりする「cat & dog」の運動もおすすめです。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|肩関節の動きを改善するリハビリ インピンジメントを起こす原因の1つが、肩の関節周辺にある組織の柔軟性低下です。 とくに肩の後ろの組織が固くなると、上腕骨頭が前方にずれてしまい、正常な肩関節の運動ができません。 その結果、インピンジメントが生じやすくなります。 そこで、肩の後ろで関節を覆っており、動きの制限になりやすい後方関節包(こうほうかんせつほう)のストレッチを紹介します。 クロスボディストレッチ 1つ目の方法は座った状態または立った状態でおこないます。 具体的な方法は以下の通りです。 1, 痛みのある方の腕を肩の高さまで上げる 2, 反対の手で肘を掴んで体の内側に引きよせる 3, 肩の後ろが伸ばされるのを確認しながら30秒キープする 痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。 スリーパーストレッチ 2つ目の方法は横向きに寝て行うストレッチです。 具体的な方法を解説します。 スリーパーストレッチ 1, ストレッチする方の肩が下になるように横向きに寝る 2, 腕を肩の高さに合わせるように脇を開く 3, 肘を直角に曲げる(前ならえ) 4, 反対の手で立てた前腕をゆっくり内側に倒す 5, 限界まで倒した状態で30秒キープする 強く抑えるように倒すと痛みが出やすいので、ゆっくり力を入れずに倒しましょう。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|腱板機能を改善するトレーニンング 腱板(ローテーターカフ)は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ以下の4つの筋肉をまとめた呼び方です。 腱板とは 棘上筋(きょくじょうきん) 棘下筋(きょくかきん) 肩甲下筋(けんこうかきん) 小円筋(しょうえんきん) 肩関節をおおうように位置しており、肩関節を安定させて、スムーズに動かせるようにする役割を持っています。 そのため、腱板をうまく使えないと、肩関節が不安定になり、正常な関節の運動ができず、インピンジメントを引き起こします。 そこで、腱板の機能を改善するリハビリを紹介します。 棘上筋トレーニング 腱板の1つである棘上筋のトレーニングを紹介します。 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す 負荷をかける場合は、500mlのペットボトルやチューブを使用しましょう。 腱板は関節を安定させるインナーマッスルですので、負荷は軽めにして20〜30回を目安に3〜4セットおこないましょう。 チューブがあるなら、以下の棘上筋トレーニングも導入できます。 1, 鍛えたい方の手でチューブを握る 2, 鍛えたい方の手と逆の足でチューブを踏んで固定する 3, 3〜5秒かけて、肘を伸ばしたまま、チューブを持ち上げる 4, 3〜5秒かけて、元の場所に戻す 1セット15回として、3〜4セットほどおこないましょう。 スピードを上げると効果が落ちるので注意してください。また、腕を過度に挙上すると、別の筋肉を使ってしまい、棘上筋のトレーニングになりにくいことを覚えておきましょう。 棘下筋・肩甲下筋トレーニング 棘下筋と肩甲下筋は、お互い対照的な働きをする筋肉です。 そのため、棘下筋のトレーニングと反対の動きをすると肩甲下筋のトレーニングになります。 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す 脇を開くと、ほかの筋肉が働いてしまうため、棘下筋、肩甲下筋のどちらのトレーニングでも、脇を開かないように注意しましょう。 棘下筋トレーニングと同様、チューブなどを使い、軽めの負荷で、頻度を多くおこないましょう。 1〜2kgのダンベルがあれば、以下のトレーニングも実施できます。 1, 体の側部を床につける形で寝転がり、膝と背中を曲げる 2, 鍛えたい方の腕の肘をつけて、下腕を地面に対して垂直の角度で曲げる 3, ダンベルを持ち、胸の近くまで持ち上げる 4, ダンベルが床につく手前まで下げる 3と4を15回繰り返すのを1セットとし、3〜4セットおこないます。 とくに肩甲下筋を鍛えたいときは上記のトレーニングがおすすめです。 まとめ:インピンジメント症候群の改善には地道なリハビリとストレッチが重要 インピンジメント症候群は肩の柔軟性低下や腱板機能の低下、悪い姿勢によって、正常な関節の運動ができないことで生じます。 そのため、リハビリにより、原因となっている部分を改善して、肩関節の正常な運動を可能にする必要があります。 本記事では、原因ごとに基本的なリハビリ方法を紹介しました。 より効果を高めるためには、整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による指導を受けましょう。 また完治には数カ月単位の時間がかかるため、地道にリハビリに取り組む姿勢が重要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▶治療方法の選択肢のひとつとして、こちらの動画も是非ご覧ください。 https://youtu.be/B4Vx0of7CsE?si=ypxnq2LyGBRckfpx ▼肩のスポーツ障害、ゴルフ肩に関して解説しています ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法 ▼インピンジメント症候群の原因や症状を解説 野球肩|インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群に関するQA 本記事ではインピンジメント症候群に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。 インピンジメント症候群はどれくらいで治るか 再発を防止するにはどうすれば良いか インピンジメント症候群に効くツボはどこか それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 インピンジメント症候群はどれくらいで治るか リハビリと保存療法をおこなう限り、十分に改善されるまで2カ月ほどかかります。 ただし症状が重篤な場合、さらに時間がかかるかもしれません。 また3カ月以上経っても十分な改善が見られない場合、手術などを検討します。 いずれにせよインピンジメント症候群の治療には時間がかかるため、焦らず着実にリハビリを進めるのが重要です。 再発を防止するにはどうすれば良いか インピンジメント症候群を予防するには、以下のポイントをおさえます 医師の指示のもと、投球、送球のフォームを見直す アイシングや休息を十分におこなう 入念なウォームアップやクールダウンを習慣づける 肩周りの筋肉を鍛え、剛性を保つ ストレッチを習慣づけて、柔軟性をつける 医師の指示のもと、上記の実施を目指しましょう。 また再発防止にはチームやトレーナーの協力も欠かせません。 状態を共有し、再発の要因となるトレーニングは避けるなどの配慮をおこないましょう。 インピンジメント症候群に効くツボはどこか インピンジメント症候群に効くツボとして以下が挙げられます。 肩髃(けんぐう)/肩甲骨の端、肩峰のやや前下方 肩井(けんせい)/首のつけ根と肩先の中間 肩髃や肩井を指圧すれば症状が改善する可能性があります。 しかしツボを刺激してインピンジメント症候群を治す試みは一般的ではなく、効果の程度も明確ではありません。 ツボの指圧よりも、一般的なリハビリや保存療法に集中するのを推奨します。
2023.03.24 -
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、手術や入院なしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15