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「肩に不快感や痛みを感じる」 「もしかしたら、肩関節唇損傷かもしれない」 野球やバレーボールなどの肩を酷使するスポーツでは、肩関節唇損傷が多く発生します。肩関節唇は関節を安定させる軟骨組織であり、これが損傷すると肩の不安定感や引っかかり感が生じます。放置すれば競技復帰が遅れるため、医療機関での早期診断が重要です。 本記事では、現役医師が肩関節唇損傷テストの種類と診断の方法について詳しく解説します。記事の最後には、肩関節唇損傷テストに関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩関節唇損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩関節唇損傷テストとは 目的 内容 損傷部位の推定 特定の動作で症状や反応を確認、前方・後方・上方など、どの部位の関節唇に異常があるか予測 画像検査の必要性の判断 徒手検査の反応をもとにMRIなどの精密画像検査が必要かどうかを判断し、不要な検査を回避 症状の再現・確認 患者が普段感じる引っかかり感や不安定感を診察室で再現、医師が症状を客観的に評価 肩関節唇損傷テストは、肩関節内の軟骨組織「関節唇」の損傷を確認するために行う徒手検査です。医師が肩をさまざまな角度に動かし、痛みや違和感の出方から損傷の部位や程度を推定します。 検査時は患者の反応を見ながら慎重に行い、強い不快感があればすぐに中止します。注射や器具を使用しないため身体的負担は少なく、検査時間も数分程度です。一時的に違和感が強まる場合はありますが、損傷の悪化はほとんどありません。 診断は問診・徒手検査・画像検査などを組み合わせて行い、必要に応じて関節鏡検査で最終確認します。検査前は、症状の経過、痛みが出る動作、過去の外傷歴、現在のスポーツ活動レベルを医師に伝えることが大切です。 肩関節唇損傷テストの種類 テストの種類 詳細 O'Brien(オブライエン)テスト 肩を前方90°挙上、内旋させて抵抗を加えた際の反応評価、上方関節唇損傷推定 Crank(クランク)テスト 肩を90°外転・肘90°屈曲し、肩関節に軸圧をかけて内外旋時のクリック音や違和感を確認、上方関節唇損傷推定 Speed(スピード)テスト 肩を90°前方挙上・肘伸展・前腕回外で抵抗を加え、肩前方の違和感有無を確認、上方関節唇損傷推定 Apprehension(不安定性)テスト 肩を90°外転し外旋運動で不安感や抜けそうな感じの有無を判断、前方不安定性や関節唇損傷推定 その他の補助的なテスト リフトオフテストやベリープレステストなど、腱板・他軟部組織の状態確認、複合的判断材料として活用 肩関節唇損傷には複数の徒手検査が用いられます。代表的なものがO'Brien(オブライエン)テスト、Crank test(クランク)テスト、Speed(スピード)テスト、Apprehension(不安定性)テストです。 これらは肩を特定の角度に動かし、関節内で音や不快感が生じるかを確認する検査です。テストによって関節唇の損傷部位(上方・前方・後方)や関節の安定性を評価できます。複数のテストを組み合わせることで診断精度が高まり、より的確な治療計画の立案が可能になります。 O'Brien(オブライエン)テスト 手順 内容 1.姿勢の確認 座位または立位で実施。腕を前方へ90度挙げ、やや内側(水平内転10〜15度)に誘導。肘は伸ばしたままの状態 2.肩の内旋 手のひらを下向きに回し、腕を内側へ寄せた姿勢を保持。拳を下向きにした状態で準備 3.抵抗動作(内旋位) 医師が腕を下方向に押し、患者がそれに抵抗して押し返す動作。痛みや違和感の有無を確認 4.抵抗動作(外旋位) 同じ姿勢で手のひらを上向き(親指を上に)にし、再度下方向への抵抗動作を実施。痛みの変化や症状の差を評価 (文献1) O'Brien(オブライエン)テストは、肩関節唇(SLAP損傷)を確認するための代表的な徒手検査です。腕を前方へ90度挙げ、内旋位(手のひら下向き)と外旋位(手のひら上向き)で抵抗動作を行います。 内旋位で痛みが出て、外旋位で軽減する場合は陽性と判断され、肩の奥の痛みは関節唇損傷、肩上部の痛みはAC関節障害が疑われます。O'Brienテストは有用ですが単独では確定診断にならず、他の徒手検査やMRI、問診と併せた総合的な評価が必要です。 Crank test(クランクテスト) 手順 内容 1.姿勢の確認 仰向けまたは座位で実施。リラックスした姿勢で肩を安定させる準備 2.肩の位置調整 医師が肩を肩甲骨面方向に約160度持ち上げ、肘を90度に曲げた状態で保持 3.軸方向への圧迫 上腕(肩から肘の部分)に軸方向の力を加え、関節を軽く押しつけるように圧をかける動作 4.回旋動作による確認 肩を内旋(手を体側へ)・外旋(外側へ)と回し、関節唇のひっかかり感や痛みの有無を確認 Crank(クランク)テストは、肩関節唇損傷の有無を確認するために行う代表的な徒手検査です。患者が仰向けまたは座位で検査を行い、腕を回旋した際にクリック音や痛みが生じた場合、関節唇の損傷や断裂が疑われます。 Crankテストは、感度91%・特異度93%と高い精度が報告されています。(文献2) ただし、すべての症例に当てはまるわけではなく、O'BrienテストやMRIなど他の検査を併用し、総合的に評価することが重要です。検査は痛みを無理に誘発しないよう、十分な問診と状態把握のもと慎重に実施します。 Speed(スピード)テスト 手順 内容 1.姿勢の確認 立位または座位で実施。肘を伸ばし、前腕を回外(手のひらを上向き)にした状態を保持 2.抵抗動作の実施 医師が腕を前方(前方挙上)に挙げさせ、その状態で下方向に抵抗をかけ、患者がそれに抗して腕を支える動作 3.痛みの確認 抵抗動作中に肩の前方や上腕二頭筋付近に痛みや違和感が出るかを確認 (文献3)(文献4) Speed(スピード)テストは、肩関節唇損傷や上腕二頭筋腱の炎症・障害を確認するために行う徒手検査です。患者は肘を伸ばし、手のひらを上に向けて腕を前方に挙げ、医師が下方向に抵抗を加えます。 この際、上腕二頭筋腱部に痛みが生じる場合は陽性とされ、上腕二頭筋腱炎や関節唇損傷の可能性が考えられます。Speedテストは感度が高く、異常の有無を見極める際に有用ですが、特異度は低く単独での診断は困難です。 そのため、O'Brienテスト、Crank test(クランクテスト)、Yergasonテスト、MRIなどと併用して総合的に評価します。検査中に強い痛みが出た場合は無理をせず中止し、症状に応じて慎重に判断します。 Apprehension(不安定性)テスト 手順 内容 1.姿勢の確認 仰向けまたは安定した座位で実施。必要に応じて肩甲骨を支えるように位置を調整 2.検査肢位 検査側の腕を外転90度、肘屈曲90度の位置に保持 3.外旋動作の実施 手のひらが上・外側を向くように外旋を加える動作。医師が上腕を支えながら慎重に実施 4.不安感の確認 肩が抜けそうな感覚、不安感、違和感の有無を確認。これがアプレヘンション(apprehension=不安感)の指標 5.追加操作の確認 必要に応じて前方への軽い圧迫や、後方への戻し動作(リロケーション操作)を行い、不安感や痛みの変化を確認。肩の安定性を評価 (文献5) (文献6) 肩関節の前方安定性を評価する徒手検査で、肩が抜けそうな不安感を確認します。肩を90度外転・外旋させた際に脱臼への恐怖感や逃避反応があれば陽性と判断され、前下方関節唇損傷や靭帯・関節包の損傷が疑われます。 特異度が高く前方不安定性の検出に有用ですが、感度は低く他の検査やMRIとの併用が必要です。筋緊張や他の肩疾患の影響で結果が誤ることもあり、総合的な評価が欠かせません。 その他の補助的なテスト テスト名 目的 実施法 Yergason(ヤーガソン)テスト 上腕二頭筋長頭腱の炎症・亜脱臼の有無を確認する検査 肘を90度に曲げ、手のひらを下向きに構えた状態で、検査者が前腕を上向きに回す抵抗を加え、痛みや異常な動きを確認 Anterior Slide(アンテリア・スライド)テスト 肩関節唇上方部の損傷を確認する補助的検査 両手を腰に当てて立位または座位で構え、検査者が肩を固定し、肘を前上方へ押して抵抗を確認 (文献7)(文献8)(文献9)(文献10) Yergason(ヤーガソン)テストとAnterior Slide(アンテリア・スライド)テストはいずれも、肩関節唇損傷や上腕二頭筋長頭腱の異常を確認する補助的検査です。 Yergasonテストでは、肘を90度に曲げた状態で前腕を回外させ、肩前方の溝に痛みやクリックが生じれば陽性とされ、腱炎や腱の不安定性が疑われます。 Anterior Slideテストは、両手を腰に当てた状態で上腕骨を前上方に押し、痛みや引っかかり感が誘発されればSLAP病変の可能性が示唆されます。 これらの検査は特異度が比較的高いものの感度は低く、単独では確定診断に至りません。最終的な診断は、他の徒手検査やMRI、関節鏡による評価を併用して行います。 肩関節唇損傷テスト(徒手検査)で陽性の場合に行う画像検査 画像検査 詳細 MRI・MR関節造影(MRA)検査 軟部組織の詳細描写、関節唇損傷や炎症の有無の確認、造影剤使用による診断精度の向上 X線・CT検査 骨構造の確認、脱臼の有無の評価、骨の変形や骨棘の検出 超音波(エコー)検査 リアルタイムでの腱板や関節周囲軟部組織の状態観察、非侵襲で即時評価可能 肩関節唇損傷の評価は複数の画像検査が欠かせません。MRIやMR関節造影(MRA)で軟部組織を詳細に描出し、関節唇損傷や炎症の有無を高精度に確認します。X線やCT検査では骨構造や脱臼の有無、骨の変形や骨棘を評価します。 さらに、超音波(エコー)検査では、腱板や関節周囲の軟部組織をリアルタイムで観察でき、非侵襲的に即時評価が可能です。これらの検査結果を総合的に判断し、治療方針を決定します。 MRI・MR関節造影(MRA)検査|関節唇の状態を確認 画像検査 詳細 MRI検査(非造影) 軟部組織(関節唇、腱板、靭帯など)の描出。軽度損傷は見落とす可能性あり MR関節造影(MRA) 関節内に造影剤を注入し微細損傷を明瞭化。造影剤使用による診断精度向上。注射に対する抵抗感やリスクの確認が必要 (文献11)(文献12) MRI・MRA検査では、関節唇の損傷や変性、靱帯・腱の炎症などを詳細に評価します。造影を用いることで微細な損傷を明瞭に描出できます。検査中は身体を動かさないことが大切です。 また、造影剤使用時は腎機能やアレルギー歴の申告が必要です。最終的な診断は画像所見に徒手検査や症状を加えて総合的に行います。 X線・CT検査|骨構造や脱臼の有無を確認 画像検査 詳細 X線検査(レントゲン) 骨の形状(骨折・変形・骨棘)や関節のずれ・脱臼を確認。軟部組織は写らないが迅速・低コスト CT検査(断層撮影) 骨の詳細な断層評価。骨変化や骨性損傷を詳細に把握。造影CTで関節唇の間接的評価も可能 (文献13)(文献14) 徒手検査で肩関節唇損傷が疑われた場合、骨の状態や関節の位置関係を詳しく確認するには、X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査を行うことがあります。X線検査は、骨折や脱臼、骨変形、骨棘などを確認する基本的な検査で、短時間で実施できる利点があります。ただし、軟部組織は描出できません。 CT検査は骨の詳細構造を立体的に評価でき、骨性損傷や手術前の形状把握に有用です。さらに、関節内に造影剤を注入して撮影する関節造影CT(アルトログラフィー)では、関節唇や靱帯の損傷を間接的に確認でき、より精密な診断が可能です。 超音波(エコー)検査|腱板や軟部組織の状態を観察 項目 内容 目的・役割 肩の腱板(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋など)、滑液包、周囲軟部組織の断裂・損傷・炎症の観察。動作時の組織変化の確認。注射治療時の針位置確認ガイドとしての利用 特徴・利点 リアルタイム観察による動作中の変化の確認。放射線被曝なしで体への負担が少ない。短時間で実施可能な迅速性・簡便性。診療所レベルでも実施可能な汎用性 限界・注意点 肩関節唇は深部構造のため、損傷の直接的確認が困難。検者の技術に依存し、観察角度や体形で視認性に差が出る。MRIやMRAなど他検査との併用が推奨 (文献15)(文献16) 超音波(エコー)検査は、肩の腱板(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋など)や滑液包、周囲の軟部組織の断裂・損傷・炎症をリアルタイムで観察できる検査です。動作時の組織の変化も確認でき、注射治療時の針位置確認にも用いられます。 放射線被曝がなく体への負担が少ない点が特徴で、短時間で実施できる手軽さも利点です。ただし、関節唇のような深部構造の評価は難しく、体形によって精度に差が出るため、MRIなどの併用が推奨されます。 肩関節唇損傷テストで陽性の場合に行う治療法 治療法 詳細 保存療法 安静・物理療法・リハビリによる筋力回復と関節安定化の促進。投球や腕の酷使動作の制限による自然治癒のサポート 薬物療法 鎮痛薬や抗炎症薬の内服・外用による痛みや炎症の軽減。症状が強い場合はステロイド注射を併用する場合あり 手術療法 関節鏡を用いた関節唇の縫合・修復や、断裂部の再固定による安定性の回復。保存療法で改善しない中等度〜重度損傷が適応 再生医療 自己血液由来のPRP(多血小板血漿)や幹細胞を利用した組織修復の促進。自然治癒力を高め、手術を回避または回復を補助する目的 肩関節唇損傷で陽性と判断された場合、症状の程度や生活背景に応じて治療方針を決定します。軽度の損傷は保存療法で回復を目指し、高度な損傷や不安定性を伴う場合は手術を検討します。 近年は再生医療による組織修復も選択肢のひとつです。しかし、実施できる医療機関は限られており、適応は医師と相談して判断します。 以下の記事では、肩関節唇損傷の治療法を詳しく解説しています。 肩関節唇損傷の治し方|効果的な治療法やリハビリ方法について解説【医師監修】 保存療法 区分 目的 内容 注意点 安静・運動制限 炎症増悪防止 投球・オーバーヘッド動作・重い荷物の持ち上げ制限 長期完全安静による拘縮予防。炎症軽減後は軽度可動域訓練 初期段階(炎症軽減期・可動域回復期) 炎症軽減・関節柔軟維持 ゆるやかな関節可動域訓練・ストレッチ・リラクゼーション 無理のない範囲での動作継続 中間期(筋力再構築期) 筋力増強・肩関節安定 腱板筋群・肩甲帯筋群・体幹筋群の強化。姿勢・連動性改善 急な負荷増加の回避 後期(競技復帰準備期) 実践動作獲得・疲労耐性強化 段階的投球動作練習・技術修正・負荷管理 過負荷・痛み出現時の中止 再発予防・動作修正期 再発防止・肩負荷軽減 投球フォーム・姿勢制御の改善トレーニング 継続的なフォーム確認とセルフケア (文献17) 保存療法は、安静・運動制限・理学療法を組み合わせ、損傷部位の自然治癒を促す治療法です。初期には炎症を抑えつつ可動域を保ち、肩周囲の筋力と安定性を回復させます。 軽症から中等症では、適切なリハビリと段階的な運動調整により症状改善と再発予防が期待でき、競技復帰も可能です。 以下の記事では、肩関節唇損傷のリハビリ方法について詳しく解説しています。 薬物療法 薬剤・方法 目的・効果 特徴・注意点 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 痛み・炎症の軽減。関節可動の確保と拘縮予防 内服による不快感や動かしにくさの緩和。リハビリ実施の補助 ヒアルロン酸ナトリウム注射 関節潤滑性の改善と痛みの軽減、組織修復の促進 潤滑液補充による動きの滑らかさ向上。非手術的治療の一環 ステロイド注射 強力な炎症抑制。症状の短期的改善 NSAIDsで効果不十分な場合に使用。過度使用による筋力低下・軟骨障害に注意 薬物療法全体の目的 痛みや炎症の軽減。リハビリ促進。保存療法の補助的役割 症状改善を図り、手術回避および運動再開を支援 (文献18) 肩関節唇損傷に対する薬物療法は、症状の緩和と炎症の抑制を目的とした保存的治療です。主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用し、痛みや腫れを抑えることで、日常生活の質を保ちつつリハビリを円滑に進めます。 薬物療法は炎症を抑えることで理学療法の効果を高め、運動機能の回復を補助します。ただし、長期服用には副作用のリスクがあるため、医師の指示に従った適切な管理が必要です。 薬物療法は補助的手段であり、運動療法や姿勢改善との併用で効果が高まります。 手術療法 肩関節唇損傷の手術療法は、損傷部を修復し肩の安定性と機能の回復を目的とします。主に関節鏡を用いた低侵襲の関節唇修復術が行われます。 損傷の程度に応じて手術法を選択します。術後は安静とリハビリを経て、日常生活は約1カ月、スポーツは3〜6カ月で復帰を目指すのが治療の流れです。 術後は無理な動作や早期の負荷を避けながら、医師の指導下でリハビリを行うことが大切です。 再生医療 再生医療は、患者自身の細胞を利用して損傷した組織の修復を促す治療法です。関節唇や周囲組織の自然治癒を促進し、炎症を抑えながら回復を促進します。症状の軽減に効果が期待でき、場合によっては手術を回避できる可能性もあります。 ただし、すべての症例で効果が得られるわけではないため、医師による適切な診断と治療計画が不可欠です。 以下では、再生医療について詳しく解説しています。 肩関節唇損傷テストの内容を理解したうえで改善を目指そう 肩関節唇損傷は放置すると慢性化しやすい疾患ですが、適切な診断と治療で改善が期待できます。徒手検査や画像検査で原因を特定し、リハビリや薬物療法を組み合わせることで早期回復が可能です。自己判断で放置せず、医師の指導のもとで計画的に治療を行うことが重要です。 肩関節唇損傷についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、損傷組織の修復を促す再生医療も提案しています。従来の治療では難しかった部位へのアプローチが可能な治療法です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩関節唇損傷テストに関するよくある質問 肩関節唇損傷のテストは自分でできますか? 肩関節唇損傷の検査(O'Brienテストなど)は、肩に特定の負荷をかけて評価する徒手検査であり、専門的な知識と技術が必要です。 自己流で行うと症状を悪化させる恐れがあります。違和感や引っかかり感がある場合は、無理に動かさず整形外科を受診してください。 肩関節唇損傷の治療を受けるにはテストを受けなければいけませんか? 肩関節唇損傷の治療には、医療機関での徒手検査やMRIなどの画像検査による正確な診断が必要です。 検査によって損傷の有無や程度を評価し、保存療法や手術療法など治療方針を決定します。自己判断で治療を進めることは避け、医師の診察を受けることが重要です。 肩関節唇損傷テストの結果で復帰時期はわかりますか? 肩関節唇損傷の復帰時期は、損傷の程度や治療法、年齢、体力、リハビリの進行度などにより異なります。 一般的には、保存療法で約3〜6カ月、手術後は日常生活に約1カ月、スポーツ復帰に3〜6カ月が目安です。復帰の判断は医師が総合的に行い、焦らず段階的にリハビリを進めます。 肩関節唇損傷テストで陽性と判断された場合は手術が必要ですか? 肩関節唇損傷テストが陽性でも、まずは安静やリハビリなどの保存療法で改善を図ります。 改善が見られない場合や損傷が重度の場合に手術を検討し、最終的な治療方針は医師が総合的に判断します。 野球やバレーボールの選手に肩関節唇損傷が起こりやすい理由は? 野球やバレーボールなどでは、投球やスパイクなど腕を頭上に大きく動かす動作の反復により、肩関節唇に過度な負荷がかかり、損傷や剥離が生じやすくなります。 さらに、オーバーユースや不適切なフォームも損傷リスクを高めるため、適切な休息とフォーム改善、筋力強化による予防が必要です。 以下の記事では、野球選手の肩関節唇損傷について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) O'Briens Test|Physiopedia (文献2) A prospective evaluation of a new physical examination in predicting glenoid labral tears|PubMed (文献3) Speed's Test | Biceps Pathology Assessment | SLAP Lesion|PHYSIOTUTORS (文献4) How do you do the Shoulder Speed Test? (文献5) Apprehension Test|Physiopedia (文献6) Anterior Shoulder Instability|National Library of Medicine (文献7) Yergason's Test|Cleveland Clinic (文献8) Special Physical Examination Tests for Superior Labrum Anterior-Posterior Shoulder Tears: An Examination of Clinical Usefulness|PMC PubMed Central (文献9) Anterior Slide Test | SLAP Lesions|PHYSIOTUTORS (文献10) Diagnostic Accuracy of History and Physical Examination of Superior Labrum Anterior-Posterior Lesions|PMC PubMed Central (文献11) スポーツ肩における関節唇損傷のMRアルトロ所見|肩関節21巻 第3号409-4 (文献12) 肩関節唇断裂|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献13) X線CT|関節が痛い (文献14) 関節造影検査(アルトログラフィー)|慶應義塾大学病院 KOMPAS (文献15) 超音波医学|J-STAGE (文献16) 肩徒手検査の客観性 超音波画像観察による整形外科的徒手検査の検討 (文献17) 上方関節唇損傷を合併した非外傷性腱板断裂患者の肩関節機能の特徴|J-STAGE (文献18) National Athletic Trainers’Associationポジションステイトメント:オーバーヘッドアスリートにおける上方肩関節唇損傷の評価、治療、予後、および復帰基準|NATA
2026.02.02 -
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「投球時に肩に違和感がある」 「スイング動作で痛みを感じる」 野球選手に多く見られる肩関節唇損傷は、放置するとプレーに支障をきたすおそれがあります。痛みがなくても不安定感が続く場合、復帰時期の判断は難しくなります。多くの選手が「手術を受けるべきか」「リハビリで復帰できるか」で悩みますが、治療法は損傷の程度や競技レベルによって異なります。 本記事では、現役医師が肩関節唇損傷を発症しやすい理由と手術や復帰目安について詳しく解説します。 記事の最後には、肩関節唇損傷で悩む野球選手からよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩関節唇損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 野球選手が肩関節唇損傷を発症しやすい理由 理由 詳細 投球動作・フォームの乱れ 運動連鎖の崩れによる肩関節への過剰負荷 外傷・脱臼の既往 関節の不安定化による再損傷リスクの増大 上腕二頭筋腱への牽引ストレス 投球時の牽引力集中による関節唇への慢性刺激 肩関節唇損傷は、投球やスイングなどで肩を酷使する野球選手に多くみられる障害です。肩関節は可動域が広い一方で構造的に不安定なため、繰り返しの投球動作によって関節内に摩耗や牽引ストレスが蓄積しやすい特徴があります。 とくに投手では、フォームの乱れや筋力バランスの崩れが関節唇への負担をさらに増大させます。加えて、外傷や脱臼の既往がある場合には関節の安定性が低下し、損傷リスクが一層高まります。これらの要因が重なることで、プレー中に肩の違和感や引っかかり感を訴える選手が少なくありません。 投球動作・フォームの乱れ 理由 状況・特徴 影響 運動連鎖の破綻 下半身や体幹の動きが使えず、肩だけで投げる状態 肩関節への負担集中、関節唇への過度なストレス 肘下がりの投球フォーム 肘が極端に下がった投球姿勢 上方関節唇へのせん断力増大、損傷リスク上昇 身体の開きの早さ 上半身が早く打者側に向く動作 肩関節唇損傷リスクの増加、制球の不安定 リリースポイントのばらつき ボールを離す位置の不安定さ 肩関節への負荷不均一、特定部位へのストレス集中 疲労時のフォーム崩れ 連投や試合後半での下半身・体幹機能低下 下肢・体幹が使えず肩主導となる代償動作 柔軟性不足 肩・肩甲骨・胸椎・股関節などの可動域制限 無理な代償動作、関節唇への負担増大 成長期の身体変化 身長や重心の変化によるフォーム不適合 成長に伴う体格変化にフォームが追随できず負担が増加 投球フォームの乱れは、肩関節へ過剰な回旋力や牽引力を生じさせ、関節唇に微細な損傷を蓄積させる原因となります。リリース時の肘下がりや体幹の回転不足は、上腕骨頭が前方へずれやすくなり、関節唇への圧迫ストレスを増大させます。 また、肩甲骨周囲筋の筋力低下や柔軟性の不足も肩の安定性を損なう要因です。これらのフォームの乱れは一過性ではなく、疲労や過度なトレーニングによって慢性化しやすいため、投球動作の分析とリハビリによるフォーム修正が欠かせません。 外傷・脱臼の既往 内容 詳細 再発リスクの上昇 損傷部位の完全回復が難しく、再負荷による再損傷や症状悪化の可能性 二次的な変化や二次損傷の恐れ 関節の不安定性や機能低下による腱板・靱帯への過剰負担、他組織損傷の誘発 外傷や脱臼の既往によるリスク増大 外傷や脱臼による構造的ダメージによる安定性低下、再発のリスク上昇 慢性的な肩痛や可動域制限の継続 関節機能の低下や可動域制限による日常生活・競技動作への支障 (文献1) 肩の脱臼や亜脱臼を経験した野球選手では、関節唇や関節包などの支持組織が損傷し、肩の安定性が低下していることがあります。 そのままプレーを続けると、再脱臼や関節唇の更なる損傷を招くため、外傷歴のある選手は痛みがなくても医療機関で画像検査を受け、関節の状態を確認することが大切です。 肩関節唇損傷の既往は再発や二次損傷のリスクを高めるため、適切な治療と定期的なフォローアップが必要です。予防には肩の柔軟性維持と筋力強化を心がけ、異変を感じた場合は早めに医師へ相談しましょう。 上腕二頭筋腱への牽引ストレス 肩関節唇の上方(SLAP領域)には上腕二頭筋腱が付着しており、この腱に加わる繰り返しの牽引ストレスが関節唇損傷の主な原因とされています。 投球動作では、コッキング期やフォロースルー期に上腕二頭筋腱と関節唇に強い張力が生じ、関節唇の剥離や裂傷を引き起こすことがあります。 とくに肩関節唇損傷は、この付着部への過度な牽引力が関与する代表的な損傷です。上腕二頭筋腱と関節唇は肩関節の安定を支える一体の構造として機能しているため、腱への負荷は関節唇損傷の進行や再発にも影響します。そのため、適切なフォーム指導と肩周囲筋のバランス強化が欠かせません。 肩関節唇損傷を発症した野球選手の復帰率・時期の目安 研究(発表年) 対象・治療法 復帰率(RTS) 成績レベル・復帰レベル(RPP) 復帰までの期間 主な特徴・補足 Paul et al.(2025) プロ野球選手(SLAP修復) 投手82.4%、野手80.6% 投打ともに成績低下なし 約9〜11カ月(投手280日、野手327日) 手術後も高い復帰率。パフォーマンスの維持も確認 Lack et al.(総説) SLAP修復・上腕二頭筋手術 投手40〜80%、野手76.3〜91.3% - - 投手よりも野手の復帰率が高い傾向。治療法により差あり Fedoriw et al.(2014) プロ野球選手(手術/非手術比較) 手術:投手48%、野手85% 非手術:投手40% 手術:投手7%、野手54% 非手術:投手22% - 投手は復帰しても元のレベルに戻る割合が低い傾向 Castle et al.(2023) MLB選手(肩関節唇修復) 投手48%、野手85% 投手7%前後 - 投手は成績復帰が難しい傾向。手術後も再発・成績低下例あり 非手術リハビリ(総説) 保存的リハビリ治療 全体53.7%、完遂者78% 全体42.6%、完遂者72% 約6カ月以内 手術なしでも一定の回復が可能。軽症例では有効 他レビュー(複数報告) オーバーヘッド動作選手全般 約50〜60%(とくに投手で低下) - - 投手では成功率がやや低く、復帰まで時間を要する傾向 (文献2)(文献3)(文献4)(文献5)(文献6)(文献7)(文献8) 肩関節唇損傷を発症した野球選手の競技復帰率(RTS)は、全体でおよそ70〜85%と報告されています。なかでも投手は40〜80%と幅があるのが特徴です。これらは、投球動作に特有の肩への負担が影響していると考えられます。 一方、野手では75〜90%と比較的高い復帰率が示されています。復帰までの期間は平均9〜11カ月(約280〜330日)とされ、リハビリを含めた長期的な治療計画が必要です。 保存療法を選択した場合、約6カ月以内に復帰できる例もありますが、再発や再手術のリスクも残るため、段階的な復帰と医師の指導のもとでのリハビリが必要です。 以下の記事では肩関節唇損傷のテストについて詳しく解説しています。 野球選手の肩関節唇損傷における手術が必要なケース 手術が必要なケース 詳細 保存療法で効果が乏しい場合 リハビリや薬物治療を続けても痛みや可動域制限が改善しない状態 損傷範囲が広く不安定な場合 肩関節唇が大きく裂け、関節の安定性が失われている状態 高い競技レベルと早期復帰を目指す場合 プロ・競技選手として高負荷の投球動作を必要とするケース 合併損傷を伴う場合 腱板損傷や上腕二頭筋腱の損傷を同時に認める状態 肩関節唇損傷では、保存療法を行っても痛みや可動域制限が改善しない場合や、損傷範囲が広く関節の安定性が失われている場合に手術が検討されます。 とくにプロ選手など高い競技レベルでの早期復帰を目指すケースでは、機能回復を優先して手術が選択されることがあります。また、腱板損傷や上腕二頭筋腱損傷などを合併している場合は、関節機能の維持や再発防止のために外科的治療が有効です。 保存療法で効果が乏しい場合 保存療法で効果が乏しい理由 詳細 損傷度が大きすぎる・進行しているため 関節唇が大きく断裂・剥離し、周囲組織も損傷している状態 負荷が肩にかかるため 投球動作によるねじれ・牽引・摩擦などの過大ストレス 肩に他の異常が一緒にあることが多いため 回旋筋腱板損傷や関節包のゆるみ(弛緩)、インピンジメントの併発 診断や治療方針が不確か・リハビリが十分でなかった可能性 原因特定の誤りやリハビリ不足による改善不良 予後を悪くする因子がもともとあるため 過去の損傷歴、可動域制限、筋力低下、年齢・競技レベルの影響 痛みや制限が長く続くと身体が変わるため 筋萎縮や拘縮による可動性低下・機能不全 野球選手には特別なレベルが求められる 全力投球・実戦復帰レベルまでの回復困難 (文献9)(文献10)(文献11) 保存療法では関節唇自体を修復することは難しく、周囲の筋力を強化して肩を支える治療となります。そのため、リハビリを続けても肩の不安定感や投球時の違和感が改善しない場合は、手術を検討します。 投球時の違和感が続き、MRIで関節唇の剥離が確認された場合、手術による修復が有効です。 損傷範囲が広く不安定な場合 手術が必要な理由 詳細 関節唇が大きく剥がれていると肩関節の安定性が著しく低下する 関節唇の断裂・剥離による関節不安定性と脱臼リスクの増大 繰り返す脱臼や亜脱臼を防止するため 関節包や靱帯への再損傷防止のための解剖学的修復 重度の損傷では自然治癒が望めず症状の慢性化を防げない 広範な断裂による慢性疼痛・機能障害の持続 スポーツ特性と年齢を考慮した早期の手術適応 若年投手における肩の安定性維持と競技力確保 関節唇の損傷範囲が広く、肩関節の安定性が低下している場合は、手術による修復が推奨されます。 損傷が大きいと関節唇が本来の役割を果たせず、不安定感や脱臼を繰り返す原因となります。保存療法では改善が難しく、自然治癒も期待できません。そのため、関節鏡視下で関節唇を縫合し、安定化を図ることが重要です。 とくに投手など肩への負荷が大きい選手では、早期の手術により関節の安定性を回復し、再発防止と競技復帰を目指します。手術による修復は、肩の正常な機能を取り戻し、長期的なパフォーマンス維持にもつながります。 高い競技レベルと早期復帰を目指す場合 手術が必要になる理由(求められるレベルが非常に厳しいため) 詳細 競技レベルで求められる肩機能の高さ 投球速度・回転数・マウンドでの安定性を維持する肩機能の確保 日常生活レベルでは不十分な回復目標 全力投球レベルへの回復に必要な構造補強・修復 耐久性・反復ストレスへの対応 シーズン中の反復投球による過大負荷への抵抗性維持 回復許容度・リスク許容度の低さ 微細な不安定性や違和感が成績低下につながる競技特性 構造的限界・不可逆的変化の進行 軟部組織の変性・線維化による柔軟性・安定性の低下 診断・治療の精度の重要性 わずかなずれやアンバランスがパフォーマンスに影響する特性 合併障害・複雑病変の併発 回旋筋損傷やインピンジメントなどの多部位損傷 手術後の復帰率・成功率の限界 SLAP修復後の復帰率50〜70%、エリート復帰率7%前後の報告 (文献12)(文献13) プロや大学レベルなど高負荷な投球を求められる選手では、機能回復を優先して手術を選択する場合があります。 ただし、SLAP修復後の投球動作を伴う選手の復帰率はおおむね50〜70%と報告されており、全員が元のレベルまで戻れるわけではありません。(文献12) とくにエリートやプロレベルでの復帰・成績維持は難しく、エリート水準まで回復できた選手は約7%にとどまるとの報告もあります。(文献13) そのため、術後は安定した可動域の獲得と競技特性に応じた段階的リハビリが重要です。 合併損傷を伴う場合 手術が必要な理由(合併損傷を伴う場合) 詳細 損傷が関節唇単独でなく複合的であるため症状が重い 腱板断裂・靱帯損傷・関節内遊離体などを伴う複合損傷 肩の安定性や可動性に対する影響が大きいため 不安定性や可動域制限の進行による関節変形リスク スポーツ復帰のためには包括的な修復が必要 合併損傷も含めた機能回復による競技パフォーマンス維持 保存療法では症状の改善や再発予防が不十分 痛みや不安定感の残存による再発・機能低下のリスク (文献14) 腱板損傷や上腕二頭筋腱損傷などの合併損傷を伴う肩関節唇損傷では、関節の安定性が大きく低下し、保存療法での改善は困難です。そのため、関節唇の修復と同時に腱板や靱帯の損傷を関節鏡下で包括的に修復し、機能回復と再発予防を図ります。とくに損傷範囲が広い場合や脱臼を繰り返す場合は、手術による安定化が不可欠です。 また、高い競技レベルでの早期復帰を目指す選手では、肩にかかる負荷が大きく、不安定感や疼痛が残るとパフォーマンスに直結して影響するため、より積極的な外科的介入が求められます。適切な手術と段階的なリハビリにより、安定性と可動域が確保された肩を再構築し、早期の競技復帰を支援します。 肩関節唇損傷に合併しやすい腱板断裂に対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。肩の腱板断裂に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 【野球選手向け】肩関節唇損傷のリハビリ方法 リハビリ方法 詳細 保護期|術後0週目〜6週目 肩関節の安静保持と痛み・炎症のコントロール、装具による可動域制限 中等度保護期|術後7週目〜12週目 他動運動から自動運動への移行と軽度の可動域拡大、肩周囲筋の再教育 機能回復期|術後13週目〜20週目 筋力強化と肩甲骨・体幹連動性の改善、日常動作での安定性向上 高度強化期|術後21〜26週 投球動作に近い負荷トレーニングと肩周囲筋群の持久力強化 競技復帰期|術後6カ月〜9カ月 段階的な投球プログラム再開とフォーム修正、実戦復帰に向けた最終調整 (文献14) 肩関節唇損傷の術後リハビリは、肩の安定性と機能を段階的に回復させることが目的です。術後0〜6週は安静と炎症の抑制、7〜12週で可動域の拡大、13〜20週で筋力と体幹の連動性向上を図ります。 21〜26週には投球動作に近い負荷を加え、6〜9カ月を目安に投球を再開し、フォーム修正と再発予防を行いながら実戦復帰を目指します。 以下の記事では、肩関節唇損傷のリハビリ方法について詳しく解説しています。 保護期|術後0週目〜6週目 フェーズ I(保護期) 詳細 この時期の目的 関節唇や縫合部の保護、炎症・腫れ・痛みの抑制、可動域の維持 行う運動・ケア スリング着用による肩の保護、手首・肘・手の軽運動、肩の受動運動(前方挙上90°・外旋30〜40°)、肩甲骨の可動運動、冷却と軽圧迫による炎症管理 避けること 肩の自力運動や抵抗運動、物を持ち上げる・押す・引く動作、上腕二頭筋に負担をかける動作、無理な外旋・後方引き・外転動作 次のステップに進む目安 肩の前方挙上90°・外旋30〜40°の可動確保、痛みや腫れの軽減 (文献14) 術後0〜6週の保護期は、修復した関節唇や縫合部を守りながら炎症や痛みを抑えることが目的です。この時期はスリングを着用し、肩を安静に保ちます。手首や肘の軽い運動、セラピストによる他動運動で可動域を維持し、肩甲骨の動きを保つことが重要です。 一方で、肩を自力で動かす動作、物を持ち上げる動作、上腕二頭筋に負担をかける動作は避ける必要があります。痛みや腫れが落ち着き、肩を前方に90°、外旋30〜40°まで動かせるようになれば、次の段階へ進みます。 中等度保護期|術後7週目〜12週目 フェーズ II(中等度保護期) 詳細 この時期の目的 肩関節可動域の拡大、筋力回復への準備、肩甲骨と体幹の安定性強化 行う運動・ケア 受動運動から補助運動・自動運動への移行、ゴムバンドを用いた軽い抵抗トレーニング、肩甲骨・体幹安定化トレーニング、リズミック安定化による感覚向上 避けること 外旋・外転方向への強い負荷、外転+外旋動作、全力投球やスピードをつけた動作 次のステップに進む目安 正常範囲に近い可動域の回復、痛みのない軽負荷運動の実施、肩甲骨・ローテーターカフの安定性改善 (文献14) 術後7〜12週の中等度保護期は、肩の可動域を広げながら筋力回復の準備を進める時期です。受動運動から補助付き運動、自力での運動へと段階的に移行し、ゴムバンドを用いた軽い抵抗トレーニングで肩周囲の筋肉を鍛えます。さらに、肩甲骨や体幹の安定性を高めるトレーニングを行い、投球動作に必要なバランス感覚を養います。 一方で、外旋や外転など強い負荷をかける動作や全力投球は避け、痛みのない範囲で可動域を回復させることが重要です。 機能回復期|術後13週目〜20週目 フェーズ III(機能回復期) 詳細 この時期の目的 軽い投球動作の導入、全方向への肩の安定化、スポーツ動作への移行準備 行う運動・ケア 全方向への自動運動(AROM)の拡大、ゴムバンドやウエイトによる段階的抵抗トレーニング、肩甲骨・体幹の持続トレーニング、プライオメトリック運動の導入、投球フォームの模倣と軽いキャッチボール準備 避けること 全力投球や強負荷のオーバーヘッド動作、痛みや違和感のある無理な運動 次のステップに進む目安 ほぼ正常な可動域の回復、抵抗負荷での無痛運動、十分な筋力・安定性の獲得による投球動作再開 (文献14) 術後13〜20週の機能回復期は、スポーツ動作への移行を目的とした重要な段階です。肩の可動域を広げながら、抵抗トレーニングで筋力を強化し、肩甲骨や体幹の安定性を高めつつ軽い投球やフォーム練習で実戦復帰に備えます。 この時期は全力投球を避け、痛みや違和感があれば運動を中止し、次の強化期への準備とします。 高度強化期|術後21〜26週 フェーズ IV(高度強化期) 詳細 この時期の目的 肩の筋力・瞬発力の強化、動作スピードへの適応、競技動作への移行 行う運動・ケア 片腕でのプライオメトリック運動、肩回旋筋のスピードトレーニング、投球フォームの確認と補正、段階的なインターバル投球プログラムの実施 避けること 全力投球への急な移行、痛みや違和感を無視した無理な投球 次のステップに進む目安 筋力と安定性の左右差の改善、内旋・外旋筋力バランスの回復、無痛での投球動作の実施、インターバル投球プログラムの完遂 (文献14) 術後21〜26週の高度強化期は、肩の筋力と瞬発力を高め、実戦に近い動作を取り戻す重要な段階です。メディシンボールやゴムバンドを使った片腕のプライオメトリック運動や、肩の回旋筋を素早く動かすトレーニングで動作スピードを高めます。 投球フォームを修正しながら段階的にインターバル投球を進め、スピードと強度を回復させます。全力投球を控えて筋力バランスと安定性を整えることが競技復帰の鍵です。 競技復帰期|術後6カ月〜9カ月 フェーズ V(競技復帰期) 詳細 この時期の目的 全力投球の再開、実戦復帰、肩の筋力・可動域・安定性の維持、再発予防の習慣化 行う運動・ケア マウンドでの全力投球、野手の実戦動作練習、打者を想定した投球や守備・送球練習、筋力と安定性を保つ維持トレーニング(ウエイト・バンド運動) 避けること 痛みや不安定感のある状態での全力投球、急激な練習量・強度の増加、登板間隔を詰めすぎる過負荷 復帰の判断基準 健側と同等の可動域・筋力、段階的投球での無痛、医師・理学療法士・コーチの総合判断による競技参加許可 (文献14) 術後6〜9カ月以降の競技復帰期は、全力投球を再開し実戦に戻る最終段階です。投手はマウンドでの投球、野手は守備や送球を含む実戦動作を取り入れ、実戦感覚を取り戻します。同時に、筋力・可動域・安定性を維持するためのトレーニングを継続し、再発を防ぐことが重要です。 ただし、痛みや不安定感がある場合は無理をせず、練習量や強度を段階的に調整します。肩の状態が健側と同等に回復し、医療チームとコーチが復帰を認めた段階で、競技復帰となります。 【野球選手向け】肩関節唇損傷の再発予防方法 再発予防方法 詳細 筋力・柔軟性の維持と身体機能の向上 肩関節周囲筋・体幹・下半身の強化による動的安定化と柔軟性保持、神経筋協調性・固有受容感覚の向上による再損傷防止 投球量の管理とフォームの改善 投球回数・登板間隔の適正化と、肩への負担を抑える正しいフォーム習得による関節唇へのストレス軽減 段階的復帰と身体の変化への早期対応 リハビリ進行に応じた段階的復帰計画の実施と、痛み・違和感・疲労など身体サインへの早期対応による再発防止 一度損傷した肩関節唇は再発のリスクが高く、復帰後も継続的なケアが重要です。肩や体幹、下半身の筋力と柔軟性を維持し、全身の連動性を高めることで再発を防ぎます。 また、投球量の管理やフォームの改善により、肩への負担を最小限に抑えることが大切です。リハビリ後も段階的な負荷調整と身体の変化への早期対応を心がけ、日常的なメンテナンスで長く競技を続けられる身体を保ちましょう。 筋力・柔軟性の維持と身体機能の向上 再発予防のポイント 詳細 肩関節周囲筋による動的安定化 回旋筋腱板の強化による上腕骨頭の安定保持と関節唇への負担軽減 肩甲骨周囲筋による土台の安定化 前鋸筋・僧帽筋などの機能向上による肩甲骨の安定化と力の伝達効率化 体幹・下半身筋力による全身連動 投球動作におけるエネルギー伝達と肩への負担分散 筋力バランスの維持 外旋・内旋筋のバランス(理想比3:4)による肩前方不安定性の防止 柔軟性による負荷分散 適切な可動域確保による肩関節唇へのストレス軽減 肩甲胸郭関節と胸椎の可動性 肩甲骨と胸郭の滑らかな連動による肩の可動効率向上 下半身・体幹の柔軟性維持 投球時の運動連鎖の改善と上半身への負担軽減 左右差の調整 利き腕・非利き腕の柔軟性バランス維持による再損傷リスクの軽減 固有受容感覚の改善 不安定面でのトレーニングによる肩位置感覚の再教育と制御力向上 神経筋協調性の向上 投球連動動作での正確な筋活動タイミングの再構築 疲労耐性の向上 筋持久力向上によるフォーム維持と過負荷防止 継続的トレーニングの実践 年間を通じた筋力・柔軟性・身体機能の維持管理と再発予防 肩関節唇損傷の再発を防ぐには、筋力・柔軟性・身体機能の維持が欠かせません。とくに回旋筋腱板や肩甲骨周囲筋を中心とした肩の安定性の確保、体幹や下半身の筋力による全身の連動性向上が重要です。 また、可動域の維持と左右差の調整で負担を分散し、固有受容感覚や神経筋協調性を高めることで再発リスクを軽減します。疲労耐性の向上と継続的なトレーニングにより、肩の安定性と競技パフォーマンスを長期的に守ることが大切です。 投球量の管理とフォームの改善 投球量の管理とフォームの改善は、肩関節唇損傷の再発予防に極めて重要です。まず、過剰使用(オーバーユース)ストレスの抑制が基本であり、投球回数や強度が増えるほど関節唇への微小損傷リスクが高まります。 過負荷を避けるため、球数・登板間隔の管理は再発予防の基盤です。たとえば、1試合75球超・シーズン600球超で肩肘障害リスクが上昇するとの報告があります。(文献15) また、ASMIの推奨でも日次の球数制限と休息日の設定が示されています。(文献16) 加えて、動作バイオメカニクスの健全性維持も重要です。肩関節の軌道異常や軸偏位は関節唇(ラブラム)損傷と関連しており、正しいフォームを習得することで可動性と安定性のバランスを保ち、肩への過剰なストレスを防止できます。(文献17) 段階的復帰と身体の変化への早期対応 肩関節唇損傷からの復帰では、治癒期間を守りながら段階的に負荷を高めることが、再発防止のために大切です。術後は関節唇・縫合部が脆弱なため、過負荷を避けつつ段階的リハビリで関節包・腱板などを徐々に強化し、身体の適応時間を確保します。 実際、SLAP修復後のリハビリは複数フェーズにわかれ、軽い抵抗運動から反復運動、プライオメトリクス、投球動作へと進行します。(文献18) また、投球導入時期にストレスを軽減するのも重要です。いきなり全力投球を行うと肩や肘に過大な負担がかかります。 ARTHROSCOPIC SLAP REPAIR CLINICAL PRACTICE GUIDELINEの資料では、術後12〜16週で軽い投球を開始し、6〜8か月で競技復帰を目指す段階的プロセスが推奨されています。(文献19) 肩関節唇損傷でお悩みの野球選手は当院へご相談ください 肩関節唇損傷は、早期の診断と段階的なリハビリテーションにより、野球選手でも競技復帰が十分に期待できる疾患です。ただし、復帰までの期間は損傷の程度や選手個々の競技レベルによって異なります。 治療やリハビリには時間を要しますが、焦らず段階的に進めることが重要です。諦めずに継続することで、競技への復帰を目指せます。 改善が難しい肩関節唇損傷についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、肩関節唇損傷に対して再生医療を用いた治療もご提案しています。再生医療は、損傷した組織の修復を促すことで、従来の治療では難しかった箇所へのアプローチが期待できる治療法です。選手の状態に応じて適応を慎重に判断します。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩関節唇損傷で悩む野球選手からよくある質問 復帰する際のリスクや再手術率はどのくらいですか? 肩関節唇(SLAP)損傷修復後の競技復帰率(RTS:Return to Sport)は、およそ60〜80%と報告されています。(文献12) たとえば、あるシステマティックレビューでは69.6%の選手が競技に復帰したとされています。(文献12) 別のシステマティックレビューでは、再手術率については、SLAP修復後で3〜15%です。(文献20) また、別の報告ではSLAP修復の再手術率は約12%であり、上腕二頭筋腱固定術(BT)では約6%と、より低い傾向が示されています。(文献21) なお、これらの数値は再発率ではなく、再手術が必要となった症例の割合を示しています。復帰後に以前と同等のパフォーマンスを維持できるかは個人差があり、術後のリハビリや肩への負担管理が不可欠です。 中学生・高校生でも手術が必要になりますか? 中学生や高校生などの思春期年代でも、肩関節唇(SLAP)損傷に対して手術が行われるケースがあります。18歳未満の患者1,349例を調査した研究では、約83.8%がSLAP修復手術を受けていました。(文献22) ただし、若年者ではまずリハビリなどの保存療法を優先し、改善がみられない場合に手術を検討するのが一般的です。手術を行った例では、競技復帰率や症状改善が良好だったとの報告もあります。(文献23) 肩関節唇損傷を経験したプロ野球選手は誰ですか? 肩関節唇損傷は、プロ野球選手の間でも発症が報告されています。発症が報告されているのは以下の選手です。 谷岡竜平(元読売ジャイアンツ投手) 福原忍(元阪神タイガース投手) 由規(元東京ヤクルトスワローズ投手) 小久保裕紀(元福岡ダイエーホークス、元ソフトバンクホークス内野手) 斎藤佑樹(元北海道日本ハムファイターズ投手) 肩関節唇損傷は引退に至る例もあるため、競技レベルを問わず適切な治療が欠かせません。 参考文献 (文献1) 投球障害肩のリハビリテーション治療|Jpn J Rehabil Med 2018 (文献2) Return-to-sport and performance outcomes after isolated superior labrum anterior to posterior (SLAP) repair in professional baseball players|PubMed (文献3) Biceps Tenodesis and SLAP Repair Show Similar Outcomes in Overhead Throwing Athletes With Baseball Pitchers Exhibiting Worse Rates of Return to Sport: A Systematic Review|Arthseopy (文献4) Return to play after treatment of superior labral tears in professional baseball players|PubMed (文献5) High Return to Play Rate and Diminished Career Longevity are Seen Following Arthroscopic Shoulder Labral Repair in Major League Baseball Players|Original Article (文献6) Return to Play Following Non-Surgical Management of Superior Labrum Anterior-Posterior Tears: A Systematic Review|ResearchGate (文献7) SLAP Tears in the Throwing Shoulder: A Review of the Current Concepts in Management and Outcomes|ResearchGate (文献8) Return to Sport After Surgery for Throwing Athletes with SLAP Tears|Justin T. Smith, MD, FAANA, FAAOS (文献9) SLAP Lesions: An Update on Recognition and Treatment|MOVEMENT SCIENCE MEDIA JOSPT (文献10) Type II SLAP Lesions in Overhead Athletes: Why the High Failure Rate?|AANA (文献11) Predictive factors associated with failure of nonoperative treatment of superior labrum anterior-posterior tears|ScienseDirect (文献12) Return to Sport After Arthroscopic Superior Labral Anterior-Posterior Repair: A Systematic Review|PMC PubMed Central (文献13) Return to Sport After ArthroscoEditorial Commentary: Outcomes After SLAP Repair and Biceps Tenodesis Are Unpredictable for Throwing Athletes With SLAP Lesions|Arthtscopy (文献14) POST-OP MANAGEMENT OF SLAP REPAIR & BICEPS TENODESIS/TENOTOMY (文献15) Baseball Pitching Biomechanics in Relation to Injury Risk and Performance|PMC PubMed Central (文献16) Updated April 2013|ASMI (文献17) Disabled Throwing Shoulder: 2021 Update: Part 2—Pathomechanics and Treatment|Arthtscopy (文献18) POST-OP MANAGEMENT OF SLAP REPAIR & BICEPS TENODESIS/TENOTOMY (文献19) ARTHROSCOPIC SLAP REPAIR CLINICAL PRACTICE GUIDELINE (文献20) Lower Reoperation and Higher Return-to-Sport Rates After Biceps Tenodesis Versus SLAP Repair in Young Patients: A Systematic Review|PMC PubMed Central (文献21) Repair versus biceps tenodesis for the slap tears: A systematic review|Sage Journals Home (文献22) SLAP TEARS IN THE PEDIATRIC PATIENT: WHO IS TREATING THEM AND WHERE?|PMC PubMed Central (文献23) Return to Play in Adolescent Baseball Players After SLAP Repair|PMC PubMed Central
2026.02.02 -
- 肩関節、その他疾患
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「肩の痛みが続いている」「腕を上げたときに引っかかる感じがする」といった悩みを抱えている方は、肩関節唇損傷の可能性があります。肩関節唇損傷は、肩の安定性を保つために重要な「関節唇」が損傷することで、日常生活やスポーツ動作に支障をきたす疾患です。放置すると悪化し、脱臼や慢性痛につながるため注意が必要です。 今回は、肩関節唇損傷の症状や原因、治し方などをわかりやすく解説します。リハビリ期間と復帰の目安についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 肩関節唇損傷とは 肩関節唇損傷とは、肩関節の安定性を保つ重要な組織である「関節唇」が損傷した状態のことです。 関節唇は肩の受け皿を補強して関節の安定性を保つ組織で、スポーツでの強い腕の振りや反復する動作によって傷つきやすい部位です。 とくに野球やバレーボール、テニスといった腕を頭上に大きく振り上げるオーバーヘッド動作を繰り返す競技では負担が蓄積しやすく、肩関節唇損傷の発生が多いことで知られています。 肩関節唇損傷の症状 肩関節唇損傷の主な症状は、以下のとおりです。 肩の痛み 肩の不安定感 可動域の制限 など とくに腕を振り上げる動作や、背中側に手を回す動作で痛みが強くなる点が特徴です。 また、肩を動かしたときに「引っかかる感じがする」「肩が抜けそうで不安」といった違和感を覚えるケースも少なくありません。ほかにも、動作時に音が鳴ったり、力が入りにくくなったりすることもあります。 なお、これらの症状が続く場合、放置すると悪化することもあるため、早めに医療機関を受診して診断を受けることが大切です。 肩関節唇損傷の原因 肩関節唇損傷は、スポーツによる過度な負担や外傷によって引き起こされます。とくに野球やバレーボール、テニスなどのオーバーヘッド動作を繰り返す競技では、腕を大きく振り上げるたびに肩関節へねじれや牽引の力が加わり、関節唇が徐々に摩耗して損傷しやすくなります。 一方で、転倒して手をついたり相手と衝突したりする際に急激な外力が加わって、関節唇が一気に傷つくことも原因の一つです。また、肩の脱臼を起こした際に関節唇が剝がれるように損傷するケースもあり、これが反復性脱臼につながる場合もあります。 このように、繰り返しの負荷や突発的な外力などが肩関節唇損傷の主な原因となっています。 肩関節唇損傷のテスト方法 肩関節唇損傷が疑われる場合、肩を動かして痛みの出方を確認する徒手検査を実施するのが一般的です。肩関節唇損傷の徒手検査には以下のようなテスト方法があります。徒手検査や問診、画像検査を組み合わせて診断し、必要に応じて関節鏡で最終確認します。 テストの種類 概要 O'Brien(オブライエン)テスト 肩を90°前方挙上・内旋させた状態で抵抗を加え、痛みの有無を確認 上方関節唇損傷推定 Crank(クランク)テスト 肩を90°外転・肘を90°屈曲した状態で肩関節に軸圧をかけ、内外旋時のクリック音や違和感を確認 上方関節唇損傷推定 Speed(スピード)テスト 肩を90°前方挙上・肘伸展・前腕回外した状態で抵抗を加え、関節唇や上腕二頭筋腱の痛みを確認 上方関節唇損傷推定 Apprehension(不安定性)テスト 肩を90°外旋・外転した状態での不安定感や脱臼感を評価する 関節唇損傷推定 なお、複数のテストを併用することで診断の精度が向上し、より適切な治療方針を立てることが可能です。各検査の具体的な方法や特徴については、こちらの記事で詳しく紹介しています。 肩関節唇損傷の治し方 肩関節唇損傷の治療法は、損傷の程度や症状の強さ、患者の生活スタイルやスポーツ活動レベルによって異なります。まずは保存療法で炎症や痛みを抑えつつ機能回復を目指し、必要に応じて薬物療法や手術療法を検討するのが一般的です。 ここでは、肩関節唇損傷の代表的な治療法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 保存療法は、安静や運動制限、理学療法を組み合わせて損傷した関節唇の自然治癒を促す方法です。初期は炎症を抑えることを優先し、安静の確保やアイシングで肩への負担を最小限にします。また、可動域が狭くならないよう、無理のない範囲で軽いストレッチも行うことがポイントです。 痛みが落ち着いてきたら、肩周囲の筋肉を鍛えるトレーニングや、肩甲骨の動きを改善するエクササイズを取り入れ、徐々に肩の安定性を高めていきます。損傷が比較的軽度であれば保存療法のみで症状が改善し、手術を回避できる可能性があります。 薬物療法 薬物療法は、痛みや炎症を抑えてリハビリを円滑に進める保存的治療の一つです。 一般的にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が用いられ、動作時の痛みを抑えることで、リハビリやトレーニングの効果を高められます。また、炎症が強い場合にはヒアルロン酸注射やステロイド注射を併用した治療が行われるケースもあります。 ただし、薬物療法はあくまで痛みや炎症を抑える対症療法であり、関節唇そのものを修復するものではありません。そのため、多くの場合はリハビリやほかの治療と組み合わせて実施します。 手術療法 手術療法は、損傷部を修復して肩の安定性と機能を回復させる治療法です。関節唇の損傷が大きい場合や、競技復帰を目指すスポーツ選手などの場合は、関節鏡手術による修復が選択される場合があります。 関節鏡手術は小さな傷口からカメラと器具を挿入して行う低侵襲手術で、損傷した関節唇を縫合し、肩の安定性を回復させます。術後は肩を一定期間固定して安静を保ち、段階的にリハビリを実施します。完全復帰までには数カ月を要しますが、スポーツ活動を再開したい方にとって有効な選択肢です。 再生医療 肩関節唇損傷の治療法として、従来の治療で十分な改善が見られないケースでは、再生医療が新たな選択肢となりつつあります。主にPRP療法(多血小板血漿注射)や幹細胞治療など、自身の細胞や成分を利用して損傷部位の修復を促す方法が代表的です。 再生医療は、手術せずに肩関節唇損傷を治したい方や早期のスポーツ復帰を目指す方の治療を後押しする治療法です。ただし、医療機関によって実施状況が異なるため、治療を希望する際は医師への相談が不可欠です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。肩関節唇損傷の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩関節唇損傷のリハビリ方法 肩関節唇損傷のリハビリは、以下のように3段階で進めるのが基本です。(文献1) 1.炎症管理 痛みの軽減と可動域の維持 2.可動域拡大 可動域の改善と筋力の強化 3.動作練習 競技動作の練習 手術後の初期は安静を保ち、癒着防止のための軽い運動からリハビリを開始します。1〜2カ月で可動域と筋力の改善を図り、3カ月以降は競技動作の再習得に取り組みます。なお、肩関節唇損傷のリハビリは必ず医師や理学療法士の指導下で進めることが重要です。 肩関節唇損傷のリハビリ期間と復帰の目安 肩関節唇損傷からの回復期間は、損傷の程度や治療内容によって大きく変わります。 手術後の目安としては、日常生活への復帰まで約1カ月、スポーツや激しい運動への復帰には3〜6カ月必要とされています。軽度の損傷で保存療法が中心の場合は比較的早く回復しやすい一方、手術をする場合は一定期間の固定や段階的なリハビリが必須となり、復帰までに時間を要するのが一般的です。 また、筋力や可動域の回復度、痛みの有無によってリハビリの進度も変わるため、自己判断で負荷を増やすことは避けましょう。医師や理学療法士の指導に従って段階的に運動量を調整しながら無理のない復帰を目指すことが、結果として早期復帰につながります。 なお、肩関節唇損傷の再発予防に効果的なセルフケアについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 関連記事:肩が痛いのは病気のサイン?がんの可能性や注意すべき症状を解説 肩関節唇損傷から早期復帰を目指すためには適切な治療法を選択しよう 肩関節唇損傷から早期復帰を目指すためには、早期診断と適切な治療法の選択が欠かせません。軽度であれば保存療法で改善が見込めますが、症状が強い場合や競技復帰を目指す場合は手術療法や再生医療が選択肢となります。 また、肩の安定性を回復させるためには、治療と並行して段階的なリハビリに取り組むことが重要です。自身の症状や治療目的に合わせて適切な方法を選び、無理のないペースで回復を目指しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 肩関節唇損傷に関するよくある質問 野球やバレーボールの選手が肩関節唇損傷になりやすいのはなぜですか? 野球やバレーボールなどのオーバーヘッドスポーツでは、腕を高く振り上げる動作を繰り返すことにより肩関節にねじれや牽引のストレスがかかるため、肩関節唇損傷につながりやすいと考えられます。 こうしたストレスが積み重なると、関節唇が摩耗して微細な損傷が生じやすくなり、結果として肩関節唇損傷につながるリスクが高まります。 肩関節唇損傷を放置するとどのようなリスクがありますか? 肩関節唇損傷を放置すると、肩の不安定感が強まり、脱臼や再損傷を繰り返す可能性が高まるため注意が必要です。また、痛みが慢性化すると肩の可動域が狭くなり、衣服の着脱や荷物の持ち上げといった日常動作にも支障をきたす可能性があります。 肩関節唇損傷を放置すると競技復帰が難しくなるケースもあるため、早期に診断を受け、適切な治療を行うことが重要です。 肩関節唇損傷は手術しなくても治りますか? 軽度の肩関節唇損傷であれば、安静や理学療法などの保存的治療で痛みや機能の改善が見込めます。ただし、損傷した関節唇そのものが自然に元通りに修復されることはありません。 日常生活レベルの動作で問題がなければ保存療法で対応できますが、競技への完全復帰を目指す場合や肩の不安定感が続く場合は、手術療法が選択肢になります。 肩関節唇損傷のときにやってはいけないことはありますか? 肩関節唇損傷を発症した場合、痛みをこらえて肩を無理に動かしたり、自己判断で筋トレや投球を再開したりするのは避けましょう。自己判断で負荷をかけると炎症や損傷を悪化させる可能性があるためです。必ず医師や理学療法士の指示に従い、段階的にリハビリを進めることが重要です。 参考文献 文献1 投球障害肩のリハビリテーション治療|日本リハビリテーション医学会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_pdf
2026.02.02 -
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「肩や首がこって痛い」 「肩甲骨はがしが肩こりに良いと聞くけど本当?」 「自分でもできる?」 肩のこりや痛みでお悩みの方の中には、肩甲骨はがしに興味を持たれている方もいらっしゃることでしょう。肩甲骨はがしは骨をはがすものではなく、肩甲骨周囲の筋肉にアプローチするものです。 正しいやり方で行えばこりの軽減や姿勢の変化などの効果も期待できますが、効果には限界があり、リスクも存在します。 本記事では肩甲骨はがしのやり方や効果、リスクを中心に解説します。 肩こりに悩まれている方の参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩のこりや痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 肩甲骨はがしとは 肩甲骨はがしは骨をはがす施術ではなく、肩甲骨周囲にある硬くなった筋肉をほぐして動かしやすくするアプローチです。肩関節の柔軟性を向上させるものでもあります。 肩甲骨の動きは首や肩、背中の筋肉と連動しており、これらの部分が緊張していると動きがぎごちなくなります。 具体的な症状は主に以下のとおりです。 肩こり 背中の張り 腕の上げにくさ 肩こりの程度が強い場合、頭痛や吐き気を伴う場合もあります。 肩甲骨が硬くなりやすい原因 肩甲骨は、首や肩、背中の筋肉と連動して動く構造です。 しかし、デスクワークやスマートフォン操作などで長時間同じ姿勢が続くと、周囲の筋肉の緊張や血行不良、疲労などが原因で硬くなってしまいます。 その他の原因としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 長時間のデスクワークやスマートフォンの操作 猫背や巻き肩など肩に負担がかかる姿勢 運動不足(肩や背中を動かす機会が少ない) ストレス 冷え 加齢による筋柔軟性の低下 ただし、日常の姿勢や体の使い方を見直すことで、肩甲骨の動きが改善する可能性もあります。 以下の記事では、肩甲骨が動かない原因および放置のリスクについて解説しています。あわせてご覧ください。 肩甲骨はがしの限界について 肩甲骨はがしは、すべての肩や背中の不調に効果があるとは限りません。 肩や背中の不調は、筋肉の緊張だけでなく、関節や神経の疾患、姿勢の影響、ストレスなど、複数の要因が関わっています。(文献1) 肩甲骨はがしは筋肉由来のこりには適していますが、それ以外の原因では効果が得られないこともあります。 「肩こりは、肩甲骨はがしで必ず良くなる」と過信しないことが大切です。 以下の記事では、肩のこりや痛みに関係する病気やけがについて解説しています。あわせてご覧ください。 【始める前にチェック】肩甲骨はがしを実施する際の注意点 肩甲骨はがしは気持ちよく動かせる範囲で行い、痛みを我慢して続ける方法は避けましょう。 強い痛みを伴うストレッチや無理な動きは筋肉や腱に負担をかけ、症状の悪化につながる可能性があります。 主な注意点を以下に示しました。 反動をつけず、ゆっくり動かす 呼吸を止めないで行う 動きや痛みに左右差がある場合、無理に両方を同じ角度まで動かさない 夜間および安静時にも痛みやしびれがある場合は、自己流で続けず医療機関受診を検討しましょう。 座ってできる肩甲骨はがしのやり方 座ったまま行う肩甲骨はがしは、日常生活の合間にも取り入れやすい方法です。簡単に行える方法を2種類ご紹介します。 【方法1】 背筋を伸ばして椅子に座る 両肘を曲げて肩の高さまで上げる 両肘をゆっくり後ろに引き、肩甲骨を寄せる 【方法2】 背筋を伸ばして椅子に座る 両手の指先を肩にのせる 円を描くように肩を前後に回す いずれの場合も「肩甲骨を寄せる、もしくは開く」を意識すると、肩甲骨周囲の筋肉が動きやすくなります。 途中で肩や首に痛みが生じた場合は、無理に続けず中止しましょう。 寝ながらできる肩甲骨はがしのやり方 寝ながら行う方法は、首や腰への負担が少なく、リラックスしながらできる点が特徴です。 実際のやり方を以下に示しました。 仰向けに寝て、両腕を体の横に置く 肘を肩の高さまで上げる 内側に半円を描くように両手を動かす 外側に半円を描くように両手を動かす 仰向けになるときに膝を立てると、腰を傷めにくいでしょう。ただし、途中で肩や首、腰に痛みが生じた場合は、無理に続けず中止しましょう。 タオルを使った肩甲骨はがしのやり方 タオルを使うと、自分の力だけでは動かしにくい部分も含めて、無理なく肩甲骨周囲を動かせます。 実際のやり方を以下に示しました。 フェイスタオルの両端を持つ タオルが首の後ろを通るようにゆっくりと腕を下ろす 肩甲骨の内側が伸びる感覚を意識する 反動を付けずにゆっくりと動かすこと、痛みが生じない範囲で動かすことがポイントです。 肩甲骨はがしで期待できる効果 肩甲骨はがしで期待できる効果は、主に以下の3点です。 筋緊張の緩和 姿勢の改善 呼吸の改善 筋緊張の緩和 肩甲骨はがしは肩関節の運動に含まれます。運動は肩や首まわりの筋肉の緊張を和らげ、こり感を軽くする作用があります。(文献1) 肩甲骨周囲の筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋など)がこる原因は、運動不足や良くない姿勢の影響、長時間の筋緊張による血流低下などです。 肩甲骨はがしで肩回りを動かすことにより筋肉の緊張が和らぎ、血流促進にもつながります。 姿勢の改善 肩甲骨はがしにより肩まわりが動きやすくなると、姿勢が改善する可能性があります。 良くない姿勢の例を以下に示しました。 肩が前に出ている 背中が丸まってしまう 姿勢を意識しても長く保てない 肩甲骨周囲が動きやすくなり肩関節の可動域が広がると、胸が開きやすくなったり背中が自然に伸びやすくなったりします。その結果、猫背や巻き肩といった前かがみ姿勢も改善する可能性があります。 ただし、姿勢改善のためにはストレッチに加えて、日常の立ち方や座り方、作業姿勢を整えることも必要です。 呼吸の改善 肩甲骨はがしにより呼吸状態が改善する可能性があります。 肩甲骨周囲が緊張し猫背や巻き肩などの姿勢が続くと、胸郭(胸まわりの骨格)の動きが制限され、呼吸が浅くなります。具体例を以下に示しました。 深呼吸がしづらい 呼吸が浅い 呼吸時に肩が上がりやすい 肩甲骨はがしで肩甲骨周囲を動かすことで胸郭も動きやすくなり、呼吸がしやすくなる場合があります。 ただし、呼吸器疾患がある方の場合は、原因疾患の治療が必要です。 肩甲骨はがしのリスク 痛みを我慢して肩甲骨はがしを続けると症状が悪化するリスクがあることを知っておきましょう。 症状の悪化としては、以下のようなケースが考えられます。 痛みが増して日常生活に支障が出てきた 関節可動域が狭くなり動かしにくくなってきた 強い痛みを伴う動きは筋肉や腱に過度な負担がかかり、炎症や筋肉の損傷につながる場合があります。 痛いほど効くといった考え方や、痛みを悪化させる運動は避けましょう。 肩甲骨はがしと受診を検討するべきケース 以下のような症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。(文献2) 肩甲骨はがしで症状が悪化している 片側だけの強い痛みが続いている 腕や指にしびれや脱力、感覚異常がある 夜間や安静時にも痛みがある 呼吸時の痛みや胸部症状、発熱などを伴う 受診先の基本は整形外科ですが、胸部症状や発熱などがある場合は内科も選択肢となります。症状が強い場合や急激に悪化した場合は救急外来を受診しましょう。 肩甲骨はがしの正しいやり方と効果・リスクを把握しておこう 肩甲骨はがしは、肩や背中まわりの筋肉を動かしやすくするためのセルフケアです。 本記事では、座ってできるやり方や寝ながらできるやり方、タオルを使ったやり方を紹介しました。正しい方法で行えば、肩こりや姿勢の改善が期待できるケースもあります。 ただし肩甲骨はがしの効果には限界があり、すべての不調に効果があるとは限りません。また、痛みを我慢して肩甲骨はがしを続けると症状が悪化するリスクもあります。 肩甲骨はがしを行っても肩のこりや痛みといった気になる症状が続く場合は、無理して続けず医療機関受診を検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、ぜひご利用ください。 肩甲骨はがしに関するよくある質問 肩甲骨はがしには医学的根拠がありますか? 肩甲骨はがしに関する医学的根拠は、現段階では明示されていません。 肩甲骨周囲の運動やストレッチが、肩の可動域や痛みの軽減に役立つ可能性を示した研究も存在するものの、実際の効果には個人差があります。 肩甲骨はがしの翌日に痛くなるのはなぜですか? 肩甲骨はがしの翌日に生じる痛みの主な理由は、遅発性筋肉痛です。 遅発性筋肉痛とは、運動後数時間から数日経過してから生じる筋肉痛です。肩甲骨はがしを含むストレッチで筋肉を伸ばしたときに生じる場合もあります。 肩甲骨はがし後に痛みが生じたときは、無理をせず休みましょう。 参考文献 (文献1) 肩こり|公益社団法人日本整形外科学会 (文献2) Shoulder pain|NHS
2026.01.31 -
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「肩こりは温めると良いと聞いたのでカイロを貼っているが、効果がわからない」 「カイロを貼っても、肩こりが和らぐのは一時的」 「カイロを効果的に使って、肩こりを和らげたい」 慢性的な肩こりにお悩みの方の中には、このようにお考えの方もいらっしゃることでしょう。 カイロは肩こりにおける有効なセルフケアの1つですが、正しい使い方や注意点を理解する必要があります。 本記事ではカイロで肩こりが和らぐ仕組みや、カイロを使った肩こり改善法を中心に解説します。 より効果的に肩こりを緩和できる方法も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 カイロを始めとする肩こりのセルフケアを詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 カイロの活用と肩こりの関係性 この章では、以下の内容を解説します。 カイロで肩こりが和らぐ仕組み カイロによる肩こり改善の利点と注意点 カイロで肩こりが和らぐ仕組み カイロは身体を局所的に温めるもので、温熱療法の1つに含まれます。 肩こりの主な原因は、血流の悪化と筋肉の緊張です。血流が悪化すると老廃物や疲労物質がたまり、筋緊張が高まります。 とくに冬は、寒さによって血流悪化や筋緊張を引き起こしやすく、肩こりの発症や悪化が多い時期です。 温熱療法では以下のような効果が期待できます。(文献1)(文献2) 皮膚温度の上昇 関節内および筋肉の温度上昇 血管拡張による血流改善 筋肉疲労軽減 血流改善により老廃物がスムーズに排出され、その結果筋緊張が和らぎ、こりや痛みが軽減されることが温熱療法の仕組みです。 冬に肩こりが起きやすい理由については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 カイロによる肩こり改善の利点と注意点 カイロによる肩こり改善の主な利点は、手軽に温熱療法を行えることです。 温熱療法は、筋骨格系の痛みや傷に対する薬を使わないアプローチの1つであり、身体の浅い部分にも深い部分にも適用可能です。カイロは、体の浅い部分に対する温熱療法に含まれます。 カイロ使用時の注意点は、長時間使用による低温やけどのリスクです。電気温熱パッドやホットパック、床暖房などでも、低温やけどが生じやすいとされています。(文献3) もう1つの注意点は、肩こりの原因によってはカイロを使うと悪化する可能性があることです。炎症および外傷による肩の痛みやこりの場合、温めると悪化する可能性があります。カイロ使用前には、必ず肩こりの原因を確認しましょう。(文献4) カイロを含めた温熱療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 カイロを使った肩こり改善法 カイロを使って肩こりを改善するためのポイントは、主に以下の3点です。 肩こりに効果的なカイロを貼る場所 カイロを使う時間と低温やけど予防のポイント 妊娠中や高齢者のカイロ使用における注意点 肩こりに効果的なカイロを貼る場所 肩こりに効果的なカイロを貼る場所は、肩甲骨まわりや首の付け根です。 肩甲骨回りには、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋(りょうけいきん)などの筋肉が存在しています。いずれも、頭や両腕を支える役割を果たすため、負担が大きくこりやすい筋肉です。そのため肩甲骨回りは、肩こりを引き起こしやすい部位です。 肩甲骨回りの筋肉をあたためると、血流がよくなったり筋肉の緊張が和らいだりするため、肩こり改善につながります。 首の付け根には、僧帽筋の上部繊維と呼ばれる部分や肩甲挙筋に加えて、太い血管も存在しています。この部分を温めると血液循環が良くなるため、肩こり改善が期待できるのです。 カイロを使う時間と低温やけど予防のポイント カイロを使う時間は、1回につき4〜6時間程度が目安です。長時間使用は低温やけどのリスクがあるため、避けましょう。就寝時の使用も避けてください。 低温やけどは、心地良いと感じる温度(40~50℃程度)に長時間皮膚が接した結果生じるやけどです。42℃のものに6時間接触していると、細胞が変化するとの報告もあります。(文献5) 低温やけどは、高温のものに触れたときよりも自覚症状が現れにくい点が特徴です。そのため、気づかないうちに皮膚の奥まで損傷しているケースも少なくありません。 カイロによる低温やけどを防ぐため、必ず下着やインナーウェアの上からカイロを貼ってください。 低温やけどのリスクは、温度と接触時間の組み合わせによって変わります。化学製品PL相談センターの報告では、44℃では3〜4時間以上、46℃では30分〜1時間程度で低温やけどが発生する可能性があると示されました。(文献6)これらを考慮して、カイロを使用するときは、1〜2時間おきに肌の状態を確認しましょう。 妊娠中や高齢者のカイロ使用における注意点 妊娠中の方がカイロを使用するときは、背中や腰など、お腹以外に貼るようにしましょう。お腹を温め過ぎると汗が出てしまい、結果として身体を冷やすリスクがあるためです。 高齢者は皮膚が薄く、皮膚感覚も鈍くなっているため、低温やけどを起こしやすく重症化しやすい状況です。(文献7) カイロを長時間使用すると、低温やけどを引き起こす可能性があります。妊娠中の方や高齢者の方も、使用方法や注意書きをよく守ってご使用ください。 カイロを日常生活に取り入れて肩こりを緩和させる工夫 この章では、以下の内容について解説します。 デスクワークや家事の合間でカイロを取り入れる方法 外出時に役立つカイロの使い方 肩こりを悪化させない生活習慣との組み合わせ デスクワークや家事の合間で取り入れる方法 デスクワークで肩や首のこりを感じたときには、首の付け根や肩甲骨の内側にカイロを貼ってみましょう。血流改善や筋緊張緩和の効果が期待できます。 冷房の効いた環境で肩が冷えた場合も、肩にカイロを貼ると良いでしょう。冷えからくる肩こりの改善に役立ちます。 家事の合間や立ち仕事の後にもカイロの使用がおすすめです。洗濯や掃除、料理などの家事や立ち仕事では前かがみの姿勢になることが多く、筋肉もこわばりやすくなります。 デスクワークのときと同様に、首の付け根や肩回りにカイロを貼ると良いでしょう。血流を促され、筋肉疲労の回復に役立ちます。 首肩用の温熱グッズとカイロを併用するのもおすすめの方法です。 外出時に役立つカイロの使い方 外出時にカイロを使う場合も、首の後ろから肩にかけての部分にカイロを貼りましょう。肌に直接貼るのではなく、下着やインナーウェアの上から貼るようにしてください。 貼らないタイプのカイロであれば、マフラーやネックウォーマーのポケットに入れるのも効果的です。冷たい風の侵入を防ぎながら、肩から首の血行を促進できます。 腰にカイロを貼ると、上半身全体の冷えを防げます。温熱効果が腰から上に広がるため、肩回りの筋緊張予防や緩和にもつながるでしょう。 貼らないタイプのカイロを上着やコートのポケットに入れて手先を温めるのもおすすめです。手先を温めると全身の緊張がほぐれるため、肩こり予防の間接的な効果が期待できます。 肩こりを悪化させない生活習慣との組み合わせ 肩こりを悪化させないためには、ストレッチや軽い体操もおすすめです。カイロの温熱効果で筋肉が柔らかくなったタイミングで軽く動かすと、血流が促進されやすくなります。 首回しや肩甲骨回し、背伸びなどを、無理のない範囲で取り入れるのがポイントです。 肩こり予防のためには、正しい姿勢を取ることや長時間同じ姿勢を取らないことを心がけてください。姿勢を整えることで、筋肉の緊張を軽減できます。1時間に1回程度、姿勢をリセットする時間をとると望ましいでしょう。 カイロの使用は、あくまでも補助的なセルフケアであると考えておきましょう。 カイロで一時的に肩こりは緩和できますが、根本的な解消のためにはストレッチや姿勢改善などの工夫が欠かせません。 温めて肩こりを緩和しつつ、根本対策も意識するといったバランスが必要です。 「カイロ」と「カイロプラクティック」の違い カイロは温熱グッズの1つであり、カイロプラクティックは背骨や骨盤の矯正を目的とした施術です。 この2つは語感が似ているため混同されやすいものですが、まったく異なるものであると認識しておきましょう。 カイロプラクティックの特徴 カイロプラクティックは、背骨や骨盤の矯正を目的とした手技療法です。神経や筋肉への圧迫を和らげるアプローチが中心の施術であり、いわゆる「医業類似行為」にあたります。 カイロプラクティックの施術者の資格は、国家資格ではなく民間資格です。 厚生労働省の「医業類似行為に対する取扱いについて」では、カイロプラクティックが適切ではない疾患として、以下のものがあげられています。(文献8) 腫瘍性疾患 出血性疾患 感染性疾患 リュウマチ 筋萎縮性疾患 心疾患 加えて、手技によって症状が悪化する頻度が高いとされる疾患も、カイロプラクティック実施が適切ではないと記されています。 例を挙げると、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などです。 肩こりにおけるカイロとカイロプラクティックの使い分け カイロは、自宅でのセルフケアや寒さ対策に有効です。これに対しカイロプラクティックは、骨格の調整や慢性症状の軽減を目的とした施術です。 両者はアプローチも役割も異なるため、目的に応じて使い分けましょう。カイロを使った温熱ケアを試しつつ、必要に応じてカイロプラクティック施術を活用するのも一つの方法です。 カイロおよびカイロプラクティックを活用しても症状が長引いたり強くなったりする場合は、医療機関を受診して原因を明確にしましょう。 カイロを適切に活用して肩こりの緩和を目指そう カイロは血行促進や筋肉の緊張緩和に役立ち、肩こり緩和の一助となります。しかし、長時間貼り続けたり皮膚に直接貼ったりすると、低温やけどのリスクがあります。 カイロは使用方法や注意書きを守って正しく使用しましょう。 カイロを正しく使いつつ日常生活を工夫することで、効果的な肩こりケアが期待できます。 カイロと似た言葉がカイロプラクティックです。しかし、両者の意味はまったく異なります。カイロプラクティックは、背骨や骨盤の矯正を目的とした施術です。 カイロを適切に活用しても肩こりが長引いたり、強い痛みやしびれを伴ったりする場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。 医師の診察を受けることで、肩こりの背景に潜んでいる病気の有無がわかります。 当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。肩こりにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 カイロの活用と肩こりに関するよくある質問 肩こりでカイロを使う場合寝るときに貼っても良いですか? 寝るときにカイロを貼ることは望ましくありません。体の同じ場所に長時間カイロを貼り続けると、低温やけどを発症する可能性があるためです。 また、寝ている間は熱さや皮膚の異変に気づきにくいため、仮に低温やけどを発症した場合も発見が遅れるリスクがあります。 このような理由があるため、寝るときのカイロ使用は控えましょう。 肩こりは冷やすと温めるどちらが良いですか? 慢性的な肩こりの場合は温める、急性期の肩こりで炎症を起こしているものは冷やすと覚えておきましょう。急性期とは、痛みが生じてすぐの時期です。 急激に肩を使ったために肩が炎症を起こしている場合は、冷やす方が望ましいといえます。炎症が起きているときに温めると、かえって炎症が悪化する可能性があります。 急な肩こりはなんらかの疾患が隠れている可能性があるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 急な肩こりの危険性についてはこちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) Thermotherapy Plus Neck Stabilization Exercise for Chronic Nonspecific Neck Pain in Elderly: A Single-Blinded Randomized Controlled Trial|PubMed Central (文献2) Local Heat Applications as a Treatment of Physical and Functional Parameters in Acute and Chronic Musculoskeletal Disorders or Pain|SciencesDirect (文献3) Early Intervention for Low-Temperature Burns: Comparison between Early and Late Hospital Visit Patients|PubMed Central (文献4) Potential Risks and Contraindications of Heat Therapy|Spine-health (文献5) 熱傷(やけど)に関する簡単な知識|一般社団法人日本熱傷学会 (文献6) 低温やけどに注意|化学製品PL相談センター (文献7) 高齢者のやけどに御注意ください!|消費者庁 (文献8) 医業類似行為に対する取扱いについて|厚生労働省
2025.12.13 -
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「冬になると肩こりがひどくなる」 「肩こりの原因は何だろう」 「実は何かの病気ではないか」 このようにお考えの方も多いことでしょう。 冬は寒さで血行が悪くなったり、筋肉が硬くなったりするために肩こりが起きやすい季節です。また冬の室内環境の影響で肩こりが生じる場合もあります。 本記事では、冬特有の肩こりの原因やセルフケア、受診が必要な症状などについて解説します。 冬に向けた肩こり対策がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 冬の肩こりが気になる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 冬に肩こりが起こりやすい原因 冬に肩こりが起こりやすくなる、または悪化しやすくなる原因は主に以下の4点です。 冷えによる血行不良と筋肉のこわばり 寒さによる姿勢の変化 自律神経の乱れとストレスの影響 室内環境の影響 冷えによる血行不良と筋肉のこわばり 冬になると、寒さの影響で肩周辺の筋肉である僧帽筋がこわばり、肩こりが起こりやすくなります。 僧帽筋は、首の後ろから肩、背中にかけて広がる筋肉です。 寒さによって筋肉が血行不良を起こすと、新陳代謝が低下します。その結果、疲労物質が筋肉にたまり、こわばりを引き起こします。 筋肉のこわばりにより生じる現象が、血管および末梢神経の圧迫です。血管が圧迫されると血流が低下し、さらに筋肉がこわばるという悪循環が生じます。この悪循環により末梢神経がダメージを受けた結果、こりやしびれなどが生じます。 肩こりとは、疲労やストレスによって肩およびあごの筋肉が緊張し、硬くなった状態です。 2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況によると、男性は人口千人に対して53.3人、女性は人口千人に対して105.4人が肩こりを訴えています。(文献1) 下記の記事で、肩こりの治療や予防などについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 寒さによる姿勢の変化 寒くなると、冷えが原因で身体が震えてしまい、肩をすくめる姿勢が増えます。これも肩こりの一因です。 人の体は震えることで筋肉を収縮させ、熱を生み出そうとしています。冷えると身体が震えるのはそのためです。 肩をすくめている姿勢は、言い換えると、肩に力が入った姿勢です。この姿勢が長時間続くと筋肉に無理な負担がかかり、疲れやすくなります。 無理な姿勢は、肩が冷えたときと同様に筋肉の血行不良を引き起こし、結果として肩こりにつながります。 自律神経の乱れとストレスの影響 冬は寒くなったり寒暖差が大きくなったりするため、身体が急激な温度変化に対応できず、自律神経が乱れやすい時期です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、冬は交感神経が優位な状況にあります。 冬の寒さや寒暖差は身体にとって大きなストレスです。ストレスが強い状況でも、交感神経が優位になります。 また、冬になると血管を収縮させたり心臓の動きを早めたりして体内で熱を産生します。血管収縮や心拍数増加は、交感神経のはたらきによるものです。 交感神経が優位になると筋肉の緊張や血流の変化が生じ、肩こりに影響を及ぼします。 室内環境の影響 冬特有の室内環境としてあげられるものが暖房です。暖房をつけると空気が乾燥するため、呼吸が浅くなります。 乾燥した空気は、異物を外に出す機能やウイルスから身を守る機能を低下させます。(文献2)浅い呼吸は、乾燥した空気をなるべく肺に入れないようにするための防御反応です。 浅い呼吸は身体を防御する反面、肩こりをはじめとする筋肉のこわばりを引き起こします。 呼吸が浅いと、筋肉の細胞が酸素不足になるため、呼吸数が増加します。呼吸数の増加は、肩や首周りの筋肉に負担をかける因子の1つです。 加えて、浅い呼吸は交感神経を優位にします。交感神経優位の状況は筋緊張や血流の変化につながり、肩こりに影響を及ぼします。 冬の肩こりでよく見られる症状 冬の肩こりでよく見られる症状は、頭痛やめまい、吐き気などです。睡眠の質低下や全身の疲労感が生じる場合もあります。 頭痛やめまい、吐き気 肩こりのある方に起こりやすい頭痛は「緊張性頭痛」と呼ばれるものです。(文献3)肩や首周りの筋緊張が高まり、血流障害や神経痛が生じるために起こるとされています。頭痛以外の症状は、めまいや吐き気、手のしびれなどです。 緊張性頭痛は、精神的ストレスや天候の変化などでも悪化します。 緊張性頭痛のほかにも、さまざまな種類の頭痛があります。主なものを以下に示しました。 片頭痛 群発頭痛 脳血管疾患による頭痛 脳血管疾患による頭痛は、命に関わる場合もあります。肩こりに加えて、頭痛や吐き気が続く場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 睡眠の質低下および全身の疲労感 肩こりは、肩や首の筋肉が緊張している状態です。筋肉の緊張によりリラックスできず、眠りも浅くなりがちです。肩こりがあると眠っているときも不快感があり、気持ちよく眠れないこともあります。寝返りが打ちづらくなり、睡眠中何度も目が覚める場合もあります。 その結果、もたらされるものが睡眠の質低下です。睡眠の質が低下すると眠りも浅くなり、疲労が蓄積されます。疲労の蓄積は日中の集中力低下や倦怠感を招き、慢性疲労につながります。 韓国の論文では、首や肩の痛みがひどいほど、また肩の動きが不自由なほど、ミドルエイジ(35歳から64歳まで)女性の睡眠の質が低下するとの結果が示されました。(文献4) 【悪化する?】冬の肩こりを放置した際に起こりうるリスク 冬に肩こりを放置すると、慢性化および自律神経への悪影響といったリスクが起こりえます。本章では、それぞれのリスクについて詳しく解説します。 肩こりの慢性化 寒さが続く冬は血流がとどこおり、筋肉の硬直が続きがちです。そのため、肩こりが改善しにくく慢性化しやすい状況です。 マッサージや湿布でケアしても、改善は一時的なケースも少なくありません。 ノルウェーの論文では、肩のこりや痛みがある方は、筋肉・血管の反応性が低下し、痛みが長引きやすい体質になるとのデータが示されました。(文献5) 肩こりの慢性化は、自律神経の乱れを引き起こす可能性があります。日本の研究者による論文では、肩こりを含めた慢性的な筋肉や骨格の痛みは、自律神経の乱れや仕事の生産性低下に影響するとのデータが示されました。(文献6) 自律神経への影響 肩こりや痛みといった症状は身体にとって大きなストレスであり、自律神経を乱す原因の1つです。 肩の痛みや肩関節周囲炎がある方は、自律神経が乱れやすいとの研究データも存在しています。(文献7)肩関節周囲炎、いわゆる五十肩の主な症状は肩関節の痛みや可動域制限(関節の動きが悪くなること)です。 冬の寒さや寒暖差による身体へのストレスも、自律神経の乱れにつながります。そのため、冬は肩こりによって自律神経が乱れる時期といえるでしょう。 自律神経の乱れは、イライラや胃腸の不調、睡眠の質低下など全身にさまざまな悪影響をもたらします。 冬の肩こりを改善・予防するためのセルフケア 肩こりのセルフケアとしてあげられるものは、主に以下のとおりです。 温熱ケア 肩回りの運動 室内環境の整備 生活習慣の改善 温熱ケア 温熱ケアは血行促進や筋緊張の緩和をもたらし、肩こりの改善・予防につながります。 肩の痛みや機能障害を有する患者に高周波治療用深部温熱装置を用いたところ、痛みの軽減や機能回復が認められたとの結果が示されました。(文献8)また、肩関節周囲炎患者に対し、ストレッチと深部加温を実施したところ、ストレッチと表面加温のグループよりも痛みが軽減されたとのデータも存在します。(文献9) 温熱ケアの具体的な方法は、主に以下のとおりです。 入浴で全身を温める 蒸しタオルで肩周囲をピンポイントに温める カイロを肩甲骨まわりに貼る カイロの長時間使用は、低温やけどのリスクがあるため控えましょう。 カイロを使った肩こりのケア方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 肩回りの運動 肩甲骨を動かすストレッチや肩回しは、肩こりのケアとして有効です。肩回りを動かすことで、血流改善や筋肉の柔軟性向上、こりの予防などの効果が期待できます。 温熱療法とストレッチの併用で、肩の痛みが軽減されたとの研究データもあります。(文献9) 具体的な運動の例を以下に示しました。 両肩を前後に大きく回す 両手を肩に当てて、円を描くように動かす 肩をすくめた後、ストンと落とす 強い痛みが出ない範囲で、続けて行うことをオススメします。 室内環境の整備 室内環境で大切なのは、室温と湿度です。湿度を一定に保ち乾燥を防ぐと呼吸が深くなり、肩や首周りの筋肉の負担軽減につながります。 冬の室内は、温度20〜23℃、湿度40〜70%が望ましい環境です。暖房機器と加湿器を併用して室温と湿度を調整しましょう。 暖房でエアコンを使うときは、吹出口からの風が身体に直接当たらないようにしてください。風が直接当たると、血液循環が悪くなり、肩や首のこりが引き起こされやすくなるためです。 生活習慣の改善 生活習慣改善の1つが運動習慣を取り入れることです。ストレッチやウォーキング、ヨガなどを取り入れてみましょう。 運動習慣がある方は、首や肩の痛みのリスクが低いといった研究データも示されています。(文献10) 食生活も肩こりケアの一部です。筋肉疲労回復のため、タンパク質やビタミンB群を含む食品を積極的にとりましょう。タンパク質を多く含む食品は、肉や魚、大豆製品、卵などです。ビタミンB群は、豚肉やレバー、マグロ、大豆などに多く含まれます。 ビタミンB群を多く含む食品は、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 疲労やストレス軽減もセルフケアの1つです。そのためにも、十分な睡眠をとりましょう。6時間以上の睡眠が目安です。 パソコンを使う方は、正しい姿勢を心がけましょう。具体的には以下のとおりです。 背筋を伸ばす 椅子に深く腰掛ける 足裏全体を床につける スマホを操作するときも、背筋を伸ばす、スマホを目の高さにするなどの正しい姿勢を心がけてください。 冬の肩こりで医療機関を受診すべきサイン 冬の肩こりの中には、医療機関を受診すべきものも存在します。主なものは以下のとおりです。 強い頭痛や吐き気、しびれを伴う肩こり 片側に集中する肩こり 再発を繰り返し長引く肩こり 強い頭痛や吐き気、しびれを伴う肩こり 肩こりに加えて、強い頭痛や吐き気、しびれがある場合は、なんらかの疾患が隠れている可能性があります。その1つが頸原性頭痛です。 頸原性頭痛とは、首の関節や筋肉、椎間板といった首の構造的な異常が原因で起こる頭痛を指します。右側だけ、もしくは左側だけなど、首の病変がある方だけに起こる頭痛が一般的です。(文献11) 頭痛や吐き気・しびれを伴う場合は、脳血管疾患の可能性もあります。思い当たる症状があるときは、早急に医療機関を受診しましょう。 片側に集中する肩こり 片側に集中する肩こりも、疾患のサインである可能性が大きいとされます。その1つが頸椎症性神経根症です。 頸椎神経根症は、首の骨(頸椎)から出る神経の根元が炎症を起こしたり損傷したりしたことで、神経の働きに異常が出る疾患です。身体の片側の神経が圧迫されると、片方の肩から腕にかけて痛みやしびれ、筋力低下が生じます。(文献12) 片側に集中する肩こりには、脳血管疾患が隠れているケースもあります。 片側に鋭い痛みを感じ、突然出現する肩こりや、短時間で急速に悪化する突然の肩こりは、脳梗塞の前兆である可能性が高いものです。早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事で、突然の肩こりと脳梗塞の関係を解説しています。あわせてご覧ください。 また、脳梗塞の後遺症改善や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 再発を繰り返し長引く肩こり 温熱療法やストレッチで一時的に改善されてもすぐに再発する慢性化した肩こりは、医療機関受診が望ましいといえます。 肩こりの原因が筋肉の緊張ではなく、なんらかの疾患である可能性が否定できないためです。 肩こりの原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 肩関節周囲炎 脊髄症(頸椎の構造異常) 自律神経失調症 顎関節症 症候性肩こりと呼ばれる、疾患による肩こりの場合は、原因疾患の治療が必要です。 冬は肩こりが起きやすい季節!改善しない場合は医療機関を受診しよう 冬は寒さによる血流悪化や筋緊張、室内の乾燥による浅い呼吸などの影響で肩こりが起こりやすい季節です。肩こりだけではなく、頭痛やめまい、吐き気といった症状や睡眠の質低下をもたらすことも少なくありません。 肩こりを放置すると慢性化し、自律神経に影響を及ぼす場合もあります。 肩こり改善や予防のためのセルフケアが、温熱療法やストレッチなどです。 しかし、強い頭痛や吐き気を伴う肩こりや、片側だけに集中する肩こり、再発を繰り返す肩こりの場合は、早急に医療機関を受診しましょう。なんらかの疾患が隠れている可能性があるためです。 当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。冬の肩こりにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 冬の肩こりに関するよくある質問 冬の肩こりはパジャマも起因となりますか? パジャマの種類によっては、肩こりの原因となりうるものもあります。代表的なものが、フード付きのパジャマです。 パジャマに付いているフードは就寝時に首の下に溜まり、首の動きを妨げる可能性があります。その結果、寝返りがしにくくなり、肩こりや頭痛などを引き起こす可能性を高めます。 パジャマを選ぶときは、フードがないものにしましょう。 冬の肩こりにおすすめのグッズはありますか? 気軽に使えておすすめのグッズは使い捨てカイロや、肩をあたためる専用のサポーター、温熱シートなど、主に温熱ケアに用いるものです。各種通販サイトやドラッグストアなどで購入可能です。 各種温熱ケアグッズは、長時間使用すると、低温やけどを起こす可能性があります。取扱説明書を読んで、正しく使用しましょう。 冬の肩こり以外に寒いと体が痛くなる病気はありますか? 坐骨神経痛や肋間神経痛などのほか、膝関節痛や腰痛などがあげられます。また、冬になると関節リウマチによる関節痛が強まる場合もあります。 主な原因は、寒さによる血行不良や筋肉の収縮による神経の圧迫、自律神経の乱れなどです。 参考文献 (文献1) 2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省 (文献2) Low ambient humidity impairs barrier function and innate resistance against influenza infection|PubMed Central (文献3) 頭痛の原因は?|国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (文献4) The relationship between sleep quality, neck pain, shoulder pain and disability, physical activity, and health perception among middle-aged women: a cross-sectional study|BMC Women's Health (文献5) Work-induced pain, trapezius blood flux, and muscle activity in workers with chronic shoulder and neck pain|PubMed Central (文献6) Impact of Chronic Musculoskeletal Pain on Autonomic Function, Work Productivity, and Mood During Working Hours: A Pilot Cross-Sectional Study on IT Desk Workers|ResearchGate (文献7) Autonomic Nervous System Function and Central Pain Processing in People With Frozen Shoulder: A Case-control Study|PubMed Central (文献8) Effects of a Newly Developed Therapeutic Deep Heating Device Using High Frequency in Patients with Shoulder Pain and Disability: A Pilot Study|PubMed Central (文献9) Effects of deep and superficial heating in the management of frozen shoulder|PubMed Central (文献10) Association between lifestyle and musculoskeletal pain: cross-sectional study among 10,000 adults from the general working population|PubMed Central (文献11) 緊張型頭痛と頸原性頭痛の比較|日本頭痛学会誌 (文献12) What Is Cervical Radiculopathy?|Spine-health
2025.12.13 -
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「水泳のあとに肩が痛む……これって水泳肩?」 「水泳肩ってリハビリやストレッチで治るの?」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 水泳肩は、水泳による肩の使いすぎやフォームの崩れなどが原因で起こります。放置すれば痛みが慢性化し、日常生活や競技に支障をきたすこともあります。 しかし、正しく対処すれば症状の改善は可能です。 本記事では、水泳肩の特徴的な症状や原因、治療法を詳しく解説しています。自宅でできる対処法や再発防止も紹介しているので参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 水泳肩の痛みが治らず悩んでいる方や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 水泳肩とは 水泳肩は、泳いでいる時や泳いだ後に肩が痛む症状を指します。 1978年に医学界で初めて命名された用語で、当初は水泳による肩の痛みだけを表していました。(文献1) しかし、現在は水泳以外でも肩に違和感や痛みを感じる症状全般を含む呼び方に変化しています。 以下の記事では、肩の痛みが関係する病気について解説しています。視野を広げて肩の痛みの原因を探したい方は参考にしてみてください。 水泳肩の主な症状 水泳肩で現れる代表的な症状は以下の表のとおりです。 症状の種類 特徴 違和感・引っかかり感 肩を回すとゴリゴリといった不快な感覚や引っかかりがある 肩の痛み 水泳中や安静時にもズキズキした痛みが現れ、程度は軽い違和感から激痛まで幅がある 動かしにくさ 腕を上げたり、後ろに回す動作が難しくなり、日常生活にも支障をきたすことがある 腫れ・熱感 強い炎症により肩が腫れ、熱を持ち、赤くなるなどの症状を伴う これらの症状に心当たりがある方は水泳肩の可能性が高いです。 無理にトレーニングを続けず、症状が現れたら医療機関を受診しましょう。 症状が悪化すると、インピンジメント(衝突症候群)で骨や筋肉が肩の中でぶつかって痛む状態や、関節唇損傷で肩の軟骨が傷ついた状態になるなど、重篤な疾患に発展する恐れがあります。 水泳肩になる主な原因 水泳肩を引き起こす主な原因には以下の2つがあります。 肩の使いすぎ フォームが悪い それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 肩の使いすぎ 肩の使いすぎは水泳肩を引き起こす代表的な原因です。(文献1) 水泳動作により肩関節が反復して使われることで、筋や腱に過剰なストレスがかかり、炎症反応を引き起こすためです。 とくに、長時間の練習や高強度のトレーニングを続けると、肩周辺の組織が十分に回復する時間がとれなくなります。 また、急激に練習量を増やした場合も、肩への負担が急激に高まり障害のリスクが上昇します。 適切なタイミングで休息をとり、練習量は段階的に増やしていきましょう。 フォームが悪い 泳ぎのフォームが悪いと肩関節に異常な負担をかけ、水泳肩の発症リスクを高めます。 肩の動きが不自然になると、特定の筋肉や腱に過度な負荷が集中し、炎症や損傷を引き起こします。 たとえば、以下の要因です。 腕の入水角度が悪い 肩の回転が不十分 体幹が不安定 肩だけで推進力を生み出そうとすると過度な負担がかかります。 正しいフォームを習得し、肩にかかる負担をおさえましょう。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチ 水泳肩の痛みを軽減するためには、適切なストレッチが効果的です。 ストレッチを行うことで肩周辺の筋肉の柔軟性が向上し、血流が改善されて痛みの軽減につながります。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチは以下のとおりです。 小胸筋(胸の上の方で肩の前にある筋肉)のストレッチ 肩の内旋(内側にねじる)ストレッチ 肩甲骨まわりのストレッチ 日常的にストレッチを行うことで、水泳肩の予防効果も期待できます。 ただし、強い痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士の指導を受けながらストレッチを行いましょう。 水泳肩の代表的な治し方と治療期間 水泳肩の治療法と治療期間を理解できれば、症状に応じた選択が可能になります。 水泳肩の主な治療法には以下の4つの方法があります。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 各治療法の特徴と適応について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は水泳肩の症状が軽度〜中程度期の治療として選択される方法です。 痛みの段階に応じて以下の治療を行います。 安静にする 湿布などで冷却する 消炎鎮痛剤を内服する ステロイド注射をする 保存療法の治療期間は、症状や治療内容によって個人差があります。 リハビリ リハビリテーションは水泳肩の機能回復と再発予防が期待できます。 理学療法士による専門的な指導のもと、主に肩関節の可動域改善や筋力強化などの運動療法を行います。 初期段階では痛みの軽減と炎症の抑制をして、徐々に筋力トレーニングや動作練習を加えていくのが一般的です。 また、正しい泳ぎのフォームの習得や、水泳復帰のための段階的なトレーニングも含まれます。 リハビリ期間は個人差があるため、競技復帰までの期間も個々に異なります。 手術 水泳肩が重症化すると、肩の腱板が切れてしまう腱板断裂に至り、手術を検討する必要があります。 腱板が断裂すると、肩を動かすたびに強い痛みが出るだけでなく、筋力が入らず腕が思うように上がらなくなるケースも見られます。 こうした状態では、切れた腱板をつなぎ直す関節鏡視下手術と呼ばれる内視鏡手術が一般的です。 手術の入院期間は2日から5日程度で、手術後は数カ月間リハビリを通じて機能の回復を目指します。 再生医療 再生医療は人間の組織を活用した治療法です。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」では、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 当院では両方の治療法を提供していますので、具体的な治療内容を知りたい方は当院までお気軽にお問い合わせください。 水泳肩の原因と治し方を知って適切に対処しよう 水泳肩は適切な知識と対処法を理解できれば、効果的に治療をはじめられます。 しかし、痛みがある状態で無理に水泳を続けてしまうと、将来的に手術が必要となる場合があります。 水泳肩の主な治療法は以下の4つです。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 痛みを感じたら無理をせず、医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。 症状が改善しない水泳肩の損傷に対しては手術や再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 水泳肩に関するよくある質問 水泳肩は肩のどこの部分が痛い? 水泳選手に多い肩の痛みは、主に棘上筋と呼ばれる筋肉の腱に炎症が起こることが原因とされています。(文献1) 棘上筋の場所は、肩甲骨上部から上腕骨の上端にかけて付着する筋肉です。 棘上筋周辺の筋肉や腱に炎症が生じると、腕を上げる動作や回旋動作で痛みが増強します。 また、重症化すると肩甲骨周辺や首筋にまで痛みが広がる場合があります。 関連記事:肩が痛い!医師が詳しく解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩は治らない怪我ですか? 水泳肩は適切な治療により改善できるスポーツ障害です。 早期発見と正しい治療により回復が期待できます。 関連記事:水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩に効くトレーニングはありますか? 水泳肩の改善には肩甲骨周辺の筋力強化とバランス調整が効果的です。 とくに、ローテーターカフと呼ばれる深層筋群の肩甲骨まわりのトレーニングに取り組むことが水泳肩に効くと報告されています。(文献2) 具体的には、軽い負荷でのチューブトレーニングやダンベルなどを使用し、体幹の安定性を高めるエクササイズなどがあります。 ただし、痛みがあるときは無理をせず、医療機関を受診し適切な指導のもとでトレーニングを段階的に進めることが大切です。 参考文献 (文献1) Biomechanical Considerations in the Competitive Swimmer’s Shoulder|Sports Health (文献2) Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder|Eur J Investig Health Psychol Educ
2025.07.31 -
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デスクワークやスマートフォンの使用が増え、「肩甲骨が動かない」「硬い」と感じる人が増えています。肩甲骨は上下、内側・外側への回旋、前傾・後傾など多方向に滑らかに動くのが本来の姿です。しかし、肩甲挙筋、大菱形筋、小菱形筋、僧帽筋などが硬くなると「可動域制限」が生じます。 初期は痛みを感じにくく、肩こりや首こり、猫背、呼吸の浅さなどの不調を見過ごしがちです。本記事では、肩甲骨が動かない原因やセルフチェック、改善方法、受診の目安までをわかりやすく解説しますので、参考にしてください。 肩甲骨が動かない・肩の可動域制限のお悩みを今すぐ解消したいとお考えで、再生医療に興味がある方は当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 肩甲骨が動かない原因 肩甲骨の動きが制限されると、肩こりや首の痛みだけでなく、姿勢全体の乱れにもつながります。ここからは、肩甲骨が動かなくなる主な原因を詳しく解説します。日常生活の中で気をつけるポイントを知り、予防や改善へつなげていきましょう。 姿勢が悪い 猫背や巻き肩といった悪い姿勢は、肩甲骨の動きを妨げる大きな要因です。長時間のデスクワークやスマートフォンの操作によって、頭や肩が前に出た姿勢が習慣化すると、胸の筋肉は短縮し、背中の筋肉は引き伸ばされて弱くなります。 その結果、肩甲骨が外側に開いたまま固定され、動かしづらくなります。姿勢のクセは肩や首の負担を増やし、肩こりや頭痛などの症状を引き起こしがちです。慢性的な痛みを防ぐには、正しい姿勢を心がけ、こまめに肩甲骨を動かすストレッチを取り入れることが大切です。 筋肉が硬い・バランスが悪い 肩甲骨の動きは周囲の多くの筋肉によって支えられています。僧帽筋、肩甲挙筋、大菱形筋、前鋸筋などが硬くなったり、筋力が低下したりすると、肩甲骨の動きが制限されます。過度の緊張状態やアンバランスな使い方が続くと、特定の筋肉だけに負担がかかり、柔軟性や協調性が失われます。 日常生活で肩甲骨を大きく動かす機会が減っていることも、筋肉の問題を悪化させる原因です。改善にはストレッチや適度な運動で筋肉の柔軟性を保ち、バランスよく使う習慣が重要です。 ストレス・呼吸が浅い ストレスを感じると、無意識に肩に力が入り、呼吸が浅くなりがちです。浅い呼吸が続くと肩や胸まわりの筋肉が常に緊張した状態になり、肩甲骨の動きが制限されます。呼吸に関わる胸郭の動きが硬くなると、肩甲骨の滑らかな可動性にも悪影響を及ぼします。 深くゆったりとした呼吸を意識することは、心身のリラックスだけでなく、肩甲骨周囲の筋肉を柔らかく保つためにも大切です。リラックス法を取り入れ、呼吸を整える習慣を心がけましょう。 肩甲骨が動かない状態を放置するリスク 肩甲骨の動きが悪い状態を放置すると、首や肩の筋肉に過度な負担がかかり、「常にこっている」「だるい」「重い」といった慢性的な不快感を引き起こします。マッサージなど一時的な対処では改善しにくくなる場合もあります。猫背や巻き肩、スマホ首、ストレートネックなど姿勢の崩れを招き、見た目の印象が悪化するだけでなく、呼吸や内臓への負担も大きいです。 肋骨や胸郭の動きが制限されることで呼吸が浅くなり、酸素の取り込み不足による疲れやすさや睡眠の質の低下にもつながります。肩甲骨の痛みや動かしづらさを感じたら、当院へお気軽にご相談ください。 肩甲骨が動かない場合の自宅でできるストレッチ 肩甲骨が硬いと感じるときは、肩甲骨周囲の筋肉をほぐし、動きを良くするストレッチを自宅でも行いましょう。無理のない範囲で続けると、可動域の改善や肩こりの予防が期待できます。 肩甲下筋のマッサージ 肩甲下筋(肩甲骨の前面に付着している大きな筋肉)が硬くなると肩甲骨の動きが制限され、肩こりや可動域の低下を招きます。自宅でできるセルフマッサージを試してみましょう。 片手を反対の脇の下に深く入れる 肩の前側(脇のすぐ奥)に指を押し当てる 痛気持ち良いポイントを探し、円を描くようにゆっくり押し回す 30秒ほど続ける 呼吸を止めず、リラックスした状態で行う (文献1) 筋肉をほぐすことで肩甲骨周囲の緊張が和らぎ、徐々にスムーズな動きができるようになります。普段のケアに取り入れて、肩こりや動きの悪さを予防します。 広背筋のストレッチマッサージ 広背筋(胸郭下部後方の大部分を占める広くて平らな筋肉)が硬いと肩甲骨の動きが悪くなり、猫背や肩こりを助長します。以下の方法で自宅でも簡単にケアしましょう。 仰向けになり、テニスボールを肩甲骨の下あたりに置く ゆっくり体を前後に動かしながら広背筋をほぐす 1分ほど繰り返す 痛みが強い場合は無理をせず調整する (文献1) 筋肉の緊張を和らげると、肩甲骨の可動域が改善され、姿勢も整いやすくなります。毎日のセルフケアにおすすめです。 大胸筋のストレッチ 大胸筋(胸部の大きな筋肉)の硬さは巻き肩や猫背の原因となり、肩甲骨の外側固定を招きます。以下のストレッチを取り入れましょう。 壁の横に立ち、肘を90度に曲げて手を壁につける 体を反対側にゆっくりひねる 大胸筋をしっかり伸ばす 20~30秒キープし、左右交互に行う (文献1) 胸の筋肉をゆるめることで肩甲骨が内側へ戻りやすくなり、自然な姿勢を保ちやすくなります。呼吸を止めずリラックスしながら行いましょう。 肩甲骨が動かない場合の受診目安 肩甲骨の動かしづらさが続き、痛みやしびれ、日常生活に支障が出てきた場合は、自己流のケアだけでなく医療機関への相談を検討してください。以下のような症状が出現した場合は、受診が必要です。 痛みが強い場合 しびれがある場合 四十肩や五十肩の疑いがある場合 痛みが強い 肩甲骨周囲の痛みが強く、以下のように日常生活に支障が出ている場合は受診を検討します。 肩の突然の強い痛み、とくに夜間に痛みが増す 腕を動かそうとすると鋭い痛みが走る 着替えや洗髪など日常動作が困難になる こうした症状は、炎症や神経の圧迫など原因がさまざまです。放置すると痛みが慢性化しやすく、可動域の制限や筋力低下を招くこともあります。早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。 しびれがある 肩甲骨付近のしびれは、以下のような神経の圧迫や血流障害などが原因の可能性があります。 頸椎や胸椎の歪みからくる神経圧迫 斜角筋、小胸筋など周囲筋肉の過度な緊張や締め付け 長時間の同じ姿勢や負荷による血流障害 しびれは肩甲骨周囲だけでなく、腕や手先にまで広がることもあります。軽いしびれでも放置せず、専門医の診察を受けて原因を特定し、適切な治療やリハビリで改善を目指しましょう。 四十肩や五十肩の疑いがある 痛みとともに肩の動きが制限されてきた場合、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)の可能性があります。以下のような症状の場合は要注意です。 腕を上げたり後ろに回す動作がつらい 着替えや髪を結ぶなど日常生活動作が困難 痛みが徐々に増し、動かせる範囲が狭くなる 進行すると拘縮(固まり)や痛みが長期化しやすいため、早めの受診が重要です。医療機関では痛みを和らげる治療やリハビリを行い、可動域を取り戻します。肩の動きや痛みの変化に気づいたら、医療機関の受診をおすすめします。 肩甲骨が動かない場合の治療法 肩甲骨の動きが制限され、痛みや不調が続く場合は医療機関での専門的な治療が有効です。以下のような主な治療法をご紹介します。 内服・注射 リハビリテーション 温熱療法・冷却療法 再生医療 内服・注射 痛みや可動域制限を軽減するため、まずは内服薬での治療を行います。鎮痛剤や漢方薬などを用いて痛みや炎症をコントロールし、肩甲骨周囲の筋肉が動きやすい状態をつくります。薬による治療は、リハビリやストレッチを進めるための基本です。 症状に応じて以下のような注射療法を組み合わせて行い、即効性のある痛みの緩和を図ります。 筋肉を動きやすくするハイドロリリース 拘縮部位へのマニュピュレーション エコーガイド下でのブロック注射 患者様一人ひとりの状態やご希望を踏まえ、医師が治療プランを提案します。 リハビリテーション リハビリは肩甲骨の動きを取り戻すために欠かせない重要な治療法です。理学療法士が一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた以下のようなプログラムを提案し、無理なく続けられるようサポートします。 肩甲骨周辺の筋肉を柔らかく保つストレッチ 筋力を強化するためのトレーニング 肩甲骨の位置や動きを正しく導く運動療法 セルフケアの方法も丁寧に指導し、再発予防までを見据えた包括的なケアを行います。定期的な通院での経過確認や目標設定も大切にし、患者様と二人三脚で改善を目指します。 温熱療法・冷却療法 肩甲骨周囲の痛みや緊張を和らげるため、温熱や冷却を使った物理療法を行います。 温熱療法の効果は以下のとおりです。 患部を温め血行を促進 筋肉の緊張を和らげて動きを改善 慢性的なこりや硬さをほぐし、リハビリ効果を高める 冷却療法の効果は以下のとおりです。 患部を冷やして炎症を抑制 急性期の痛みを軽減 腫れや負担を抑え回復を促す 症状や痛みの程度、時期に応じて医師や理学療法士が適切に選択し、温熱と冷却を組み合わせて治療します。定期的な評価をしながら、再発予防を含めた治療を行います。 再生医療 進行した肩の障害や腱板損傷など、従来の治療で十分な効果が得られない場合に、再生医療といった新しい選択肢もあります。再生医療には以下のような特徴があります。 自身の脂肪組織から採取し培養した幹細胞を投与 幹細胞が腱板などの組織を再生し、痛みや可動域制限を改善 手術を回避できる可能性がある身体への負担が少ない治療法 患者様ごとに適応や効果は異なるため、診察時にしっかりと評価を行い、治療方針を提案します。当院では、治療のリスクや期待できる効果についてもわかりやすくご説明します。再生医療に興味がある方、不安をお持ちの方もぜひ一度ご相談ください。患者様のより良い生活を取り戻すためのお手伝いをいたします。 肩甲骨が動かない原因を解明させ適切に対処しよう 肩甲骨が動かないのは、多くの人が抱える身近な悩みです。可動域の制限は肩こりや首こり、猫背などの姿勢悪化、呼吸の浅さ、頭痛などさまざまな不調を引き起こします。早めのセルフケアやストレッチを習慣づけると、予防や改善につながります。 ただし、痛みが強い、動きが著しく制限される、しびれを感じるといった場合は自己判断で放置せず、医療機関へ相談してください。原因を正しく解明し、自分に合った治療やリハビリを受ければ、根本的な改善と再発予防の大きなポイントになります。 当院にも、肩甲骨の動きの悩みを抱えた患者様が多く通っています。専門家と一緒に取り組むことで、より快適な生活を取り戻しましょう。 参考文献 文献1 腕が後ろに回らない原因とは?効果的なマッサージ方法も|西荻窪きりん堂接骨院南口院
2025.07.31 -
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「片麻痺の影響で肩が外れかけていると言われたけど、普段どんな動きを避ければいいの?」 「介護のときに腕を引っ張ってしまっていないか心配…」 このように不安を抱える方は多いでしょう。 片麻痺のある方は、肩の筋肉の働きが弱まることで、肩関節の亜脱臼が起きやすくなります。そのため、腕を無理に引っ張る・ぶら下げる・肩より高く上げすぎるといった行為は避けるべきです。 これらの禁忌を知らずにいると、痛みが悪化したり、肩の可動域がさらに制限されたりする可能性があります。だからこそ、本人・介護者ともに正しい知識を身につけておきましょう。 本記事では、片麻痺による亜脱臼の原因や避けるべき禁忌行為を解説します。リハビリ方法も紹介しているので、片麻痺の亜脱臼に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。 片麻痺と亜脱臼の関係性 肩関節の亜脱臼は、ラグビーやバスケなどの接触が多いスポーツでみられやすいケガです。 しかし、スポーツによるケガだけでなく、脳卒中後の後遺症である片麻痺に伴って生じることがあります。とくに、脳卒中を発症して間もない弛緩性麻痺の時期に起こりやすいとされています。 弛緩性麻痺とは、体を動かそうとしても筋肉がうまく働かず、常に脱力して腕がだらりと垂れ下がってしまう状態です。 肩周りの筋肉が緩むと腕の重さを支えきれなくなり、重力によって腕全体が下方向へ引っ張られます。この持続的な力が肩の関節を正常な位置からずらしてしまい、亜脱臼を引き起こすのです。 また、感覚障害や半側空間無視(脳損傷により片側の空間を認識できなくなる症状)があると、麻痺側の肩が体の下敷きになっていても気づかず、亜脱臼につながる場合もあります。ある研究では、片麻痺の患者様の約35%に肩関節亜脱臼が見られたとの報告もあります。(文献1) 亜脱臼があるからといって必ずしも痛みが出るわけではありません。実際に、亜脱臼のある方の約50%は痛みを訴えないとの報告もあります。(文献2) その他の脳卒中における後遺症についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。 【禁忌】片麻痺の亜脱臼でやってはいけない3つの行為 片麻痺によって亜脱臼が起きている場合、やってはいけない行為は以下の3つです。 腕を高く上げすぎる 腕をぶら下げる 腕を無理に引っ張る これらの行為に共通しているのは、肩関節や肩周囲の筋肉に負荷がかかる動きである点です。症状を悪化させないために日常生活でこの3つの行為を避けるよう意識しましょう。 腕を高く上げすぎる 麻痺側の腕を肩より高い位置まで無理に上げすぎる行為は避けるべきです。麻痺の影響で肩周りの筋肉が緩み、関節が不安定な状態になっているためです。 この状態で腕を高く上げると、肩関節が前方に引っ張られ、亜脱臼や脱臼を引き起こす危険性が高まります。 しかし、弛緩性麻痺で肩の亜脱臼を起こしている方は、自力で高く腕を上げられません。そのため、腕を高く上げすぎる動作は、介助者が着替えや洗体などを介助する際に注意が必要です。 腕を動かすときは、痛みや違和感のない範囲にとどめましょう。 腕をぶら下げる 麻痺側の腕をだらりとぶら下げたままにしておくことも、亜脱臼を悪化させる原因です。 とくに弛緩性麻痺の場合、腕の重さを支える筋肉が十分に働かず、立ったり座ったりしている間、常に腕の重みで肩関節が下へ引っ張られます。この状態が長く続くと、肩周りの筋肉や靭帯が伸びてしまい、関節のずれが大きくなる可能性があります。 たとえば、以下のような場合は腕が落ちてしまったり、ぶら下がったりしないようにしましょう。 車いすに座っているとき ベッドで横になっているとき クッションやテーブルの上に腕を置くなど、常に腕を安定した位置に保つ工夫が必要です。 腕を無理に引っ張る 本人だけでなく、家族や介護者の方が麻痺側の腕を無理に引っ張る行為も避けるべきです。 ベッドからの起き上がりや移乗介助の際に、腕をつかんで引っ張ってしまうと、肩関節周囲の組織が伸び、亜脱臼を悪化させる恐れがあります。 介助の際は、肘と手首のあたりを優しく支え、腕全体を肩関節の方へそっと押し込むように意識しながら動かしてください。 また、感覚障害で腕の位置がわかりにくくなっている場合も少なくありません。お腹の上やテーブルの上など、本人の視界に入る場所に腕を置いてあげることで、安心感にもつながります。 片麻痺の亜脱臼に対する4種類のリハビリ 片麻痺に伴う肩関節の亜脱臼に対しては、以下の4種類のリハビリがおこなわれます。 ポジショニング 装具療法 電気治療 運動療法 これらの方法を患者様の状態に合わせて組み合わせ、専門家の指導のもとで進めていくのが一般的です。 ポジショニング|腕を正しい位置に置く ポジショニングは、麻痺側の腕を常に正しい位置に保ち、肩関節に負担をかける禁忌姿勢を避けて関節を保護する基本的なアプローチです。 姿勢ごとのポジショニングのポイントを以下の表にまとめました。 姿勢 ポイント 椅子や車椅子に座っているとき 机やクッションに腕をのせて、だらりと垂れ下がらないようにする 仰向けで寝ているとき 体の横に対して、腕が中央に来るように枕やクッションで高さを調整する 横向きで寝ているとき 抱き枕やタオルなどを使い、腕が体の下敷きになったり、前に落ちたりするのを防ぐ 適切なポジショニングは肩への持続的な負荷を減らすため、亜脱臼の悪化以外に痛みの緩和やむくみの軽減にもつながります。 装具療法|アームスリング固定による疼痛の軽減 装具療法は、三角巾やアームスリングといった装具を用いて、肩関節を安定した位置に固定する方法です。麻痺側の腕が垂れ下がることで生じる亜脱臼の悪化や、それに伴う痛みの増強を防ぐ目的でおこなわれます。 脳卒中治療ガイドライン2021では、スリングは有用な場合もあるものの、その効果は装着している間に限られるとされています。(文献3)長期間の固定は肩や肘を動かす機会を奪うため、関節が硬くなる「拘縮」を招く原因になりかねません。 安易に装具を使用するとリハビリの妨げになる可能性もあるため、自己判断での装着は避けましょう。 理学療法士や作業療法士など専門家の評価のもと、必要な時間や場面を見極めて適切に使用する必要があります。 電気治療|電気刺激による筋の強化 電気治療は、麻痺で動きにくい肩周りの筋肉に電気で刺激を送り、筋肉の収縮を促して再教育を図る治療法です。筋肉の収縮は、肩関節を本来の位置に引き上げる助けとなります。 電気治療では、主に神経筋電気刺激が用いられ、脳卒中治療ガイドライン2021でも、肩関節亜脱臼への神経筋電気刺激は妥当とされています。(文献3) 電気治療はリハビリの一環として、他の運動療法と組み合わせて実施されるのが一般的です。 ただし、片麻痺の亜脱臼に対する神経筋電気刺激は、脳卒中の発症から間もない急性期・亜急性期での有用性は示されたものの、発症後6カ月以降の慢性期では明確な差はなかったとの報告もあります。(文献4) 運動療法|肩関節周囲の筋力強化 運動療法は、肩関節を支える筋力を強化し、関節の安定性を取り戻すための治療法です。 自動運動(自分で動かす運動)や他動運動(他の人に動かしてもらう運動)を通じて、筋力低下を防ぎ、関節が硬くなる拘縮を予防します。 肩関節を支える筋肉の中でインナーマッスルの1つである回旋筋腱板は、上腕骨を肩甲骨に引き付けて安定させる役割を担います。回旋筋腱板をバランスよく鍛えることは、肩の安定性を高めるために欠かせません。 ただし、無理な運動はかえって肩を痛める原因になりかねません。必ずリハビリの専門家の指導のもと、痛みや違和感のない範囲でおこないましょう。 片麻痺の亜脱臼における禁忌事項を把握して悪化を防ごう 片麻痺の亜脱臼に対して、やってはいけない禁忌事項を理解せずにいると、意図せず亜脱臼を悪化させてしまう危険性があります。とくに感覚障害や半側空間無視がある場合は、本人が異変に気づきにくいため家族や介護者の方の正しい知識と協力が欠かせません。 肩関節を本来あるべき位置に保つためにも、専門家の指導のもとでリハビリに取り組み、日頃から腕の位置に気を配って正しい姿勢を心がけましょう。 運動麻痺のような脳卒中の後遺症に対する治療法として再生医療も選択肢の1つです。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 片麻痺と亜脱臼に関するよくある質問 片麻痺の亜脱臼は改善しますか 適切なリハビリテーションの継続は、片麻痺の亜脱臼の改善が期待できる方法の1つです。 たとえば、神経筋電気刺激を受けた患者様は、受けなかった場合よりも亜脱臼の程度が小さくなったとの研究報告が存在します。(文献5)また、麻痺からの回復段階が進むにつれて、亜脱臼の改善が見られたとの報告もあります。(文献6) 専門家と相談しながら、自分の状態に合ったリハビリに取り組んでいきましょう。 亜脱臼を放置するとどうなりますか 片麻痺に伴う亜脱臼を放置すると、さまざまな問題につながる恐れがあります。 まず、時間の経過とともに関節が固まり、元の位置に戻すのが難しくなると考えられます。また、肩周囲の筋肉に負担がかかり続け、肩を支える重要な腱板の断裂を引き起こす可能性も低くありません。 ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例の多くで腱板断裂が合併していたとの報告もあるため、亜脱臼は放置せずに適切な治療を受けましょう。(文献7) 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 参考文献 (文献1) 猪飼哲夫,米本恭三ほか 「脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討-経時的変化について-」 リハビリテーション医学 29 (7) , pp.569-575 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm1964/29/7/29_7_569/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) Leonid Kalichman,Motti Ratmansky 「Underlying pathology and associated factors of hemiplegic shoulder pain」 American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation 90 (9) , pp.768-780 , 2011 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21430513/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会「脳卒中ガイドライン2021[改訂2025]」, 2025年 https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf(最終アクセス2025年6月16日) (文献4) Jae-Hyoung Lee,Lucinda L Bakerほか 「Effectiveness of neuromuscular electrical stimulation for management of shoulder subluxation post-stroke: a systematic review with meta-analysis」 Clinical Rehabilitation 31 (11) , pp.1431-1444 , 2017 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28343442/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献5) Sandra L. Linn,Malcolm H. Granatほか 「Prevention of Shoulder Subluxation After Stroke With Electrical Stimulation」 Stroke 30 (5) , pp.963-968 , 1999 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10229728/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献6) 武富由雄 「脳卒中片麻痺における肩関節の亜脱臼と運動 機能回復段階に関する一考察」 肩関節 16 (2) , pp.218-220 , 1992年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/16/2/16_218/_pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献7) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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「肩の亜脱臼ってどうやって治すの?自分でも治せる?」 「肩を動かすと痛みと違和感がある…これって亜脱臼?」 このような疑問や不安を抱える方は多いでしょう。 結論からお伝えすると、肩の亜脱臼は保存療法・リハビリ・手術などを組み合わせることで治療可能です。 一方で、亜脱臼を自分で治す情報もありますが、関節の損傷や慢性的な肩の不安定性につながるリスクがあります。 リスクを未然に防ぐためにも、正しい治し方を理解しておきましょう。 本記事では、肩関節亜脱臼の症状や治し方、放置したときのリスクについて詳しく解説します。脱臼との違いについても紹介するので、肩の痛みや違和感でお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 【基礎知識】肩関節亜脱臼と脱臼の違いについて 亜脱臼とは、肩の関節が正常な位置から部分的にずれた状態を指します。 肩関節の亜脱臼は関節が外れかかった後、自然に元の位置へ戻る場合がある点が大きな特徴です。そのため、「外れかかった」や「抜けかけた」と表現されることもあります。 肩関節の亜脱臼が起きた際には、瞬間的に鋭い痛みや腕が抜けるような感覚を覚えることがあります。 しかし、すぐに肩関節が元の位置に戻るため、肩がはっきりと外れたといった自覚がないケースも少なくありません。自分では亜脱臼だと気づかず、肩の違和感やだるさとして感じている場合もあります。 一方で、脱臼とは肩関節が本来の位置から完全に外れてしまった状態を指します。 ケガによって生じる肩関節の脱臼の多くは、腕の骨である上腕骨が肩の前方へ外れるタイプです。とくに以下のようなコンタクトスポーツで発症しやすい傾向にあります。 柔道 ラグビー アメリカンフットボール 亜脱臼は脱臼に比べて症状が軽く、気づかないケースも少なくありません。しかし、亜脱臼を放置すると症状の悪化や別の疾患に移行する可能性があるため、早期に治療する必要があります。 肩関節亜脱臼の治し方|全治までの期間も紹介 肩関節の亜脱臼の治療には主に以下の3つの方法が挙げられます。 保存療法 リハビリ 手術 保存療法とリハビリを中心にした治療が一般的です。しかし、これらの方法で状態がよくならない場合や、脱臼を繰り返す場合には手術が検討されます。 それぞれの治療方法を見ていきましょう。 保存療法|徒手整復と固定 亜脱臼によって肩関節が外れかかった際は、まず専門家による徒手整復(手技により関節を元の位置に戻す処置)がおこなわれます。患者様を仰向けに寝かせた状態で腕をゆっくりと持ち上げていく方法は、痛みが少なく、関節を整復できると知られています。 整復後は再脱臼を防ぐため、肩関節の固定が必要です。固定期間について明確なエビデンスはありませんが、患者の年齢や損傷程度に応じて1〜3週間おこなうケースが一般的です。 また、内旋位固定(従来の三角巾による固定)は、再発の可能性が高いと指摘されています。ある研究では、内旋位固定での再発率が42%であったのに対し、外旋位固定(気をつけの姿勢から、肘を直角に曲げ、脇を少し開いた状態で固定)では26%であったとの報告があります。(文献1) そのため最近では、肩を少し外に開いた状態で固定する外旋位固定を推奨する病院も少なくありません。 リハビリ|インナーマッスルや肩甲骨周囲 一定期間の固定が終了した後は、肩関節の機能回復を目的としたリハビリを開始します。リハビリは自己判断でおこなうと、痛みの悪化や他の筋肉を損傷する恐れがあるので、必ず医師や専門のリハビリスタッフの指導のもとで進めましょう。 適切なリハビリテーションは、肩関節の以下の能力を改善させ、安定性の獲得に大きく寄与すると報告されています。(文献2) 筋力 可動域 深部感覚 まずは硬くなった関節の可動域を広げる訓練から始め、痛みのない範囲での振り子運動から慎重に進めていきます。その後、状態を見ながら徐々に肩の安定性を高めるための筋力トレーニングへ移行します。 肩関節の安定性を高めるためには、インナーマッスル(回旋筋腱板)や、肩甲骨の動きに関わる周囲の筋肉をバランス良く鍛えるのが重要です。 回復の程度によりますが、スポーツへの復帰の目安はノンコンタクトスポーツ(テニスやゴルフなど、身体接触のないスポーツ)で4~6カ月、コンタクトスポーツ(バスケやラグビーなど、身体接触があるスポーツ)で6~8カ月と報告されています。(文献3) 手術|反復性肩関節脱臼の場合 保存療法やリハビリテーションをおこなっても、脱臼や亜脱臼を繰り返してしまうケースがあります。このように脱臼が習慣化してしまった「反復性肩関節脱臼」の状態では、手術も選択肢の1つです。 手術の目的は、脱臼の際に損傷した組織を修復し、肩関節の構造的な安定性を取り戻すことです。 現在おこなわれている手術では、損傷した関節唇と呼ばれる軟骨組織を修復する「鏡視下Bankart(バンカート)法」が選択されることが多くなっています。この手術は、関節鏡を用いるため小さな傷で済み、体への負担が少ない点が特徴です。 脱臼に対する手術の種類については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。 肩関節の亜脱臼は自分で治せるのか? 肩の関節が外れかかった際、自然に元の位置へ戻ることもあります。このため「自分で治せるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で関節を戻そうとする行為はおこなわないでください。 無理に関節を動かしたり、入れようとしたりすると、肩の周囲にある重要な神経や血管を傷つけてしまう恐れがあります。また、肩を支えるインナーマッスルである腱板を新たに損傷する原因にもなりかねません。 たとえ痛みがおさまり、自然に関節が戻ったように感じられたとしても、見えない部分で骨や軟骨が傷ついている可能性も考えられます。肩に違和感を覚えた際は自己判断で対処せず、必ず整形外科などの専門的な医療機関を受診しましょう。 肩関節の亜脱臼を放置するリスク 肩関節の亜脱臼は、自然に戻ることがあるため軽視されがちですが、放置するとさまざまなリスクを伴います。 その理由は、時間が経過すると周囲の筋肉が硬直してしまい、関節を元の位置に戻すのが難しくなるためです。場合によっては、麻酔をかけて整復処置をおこなわなければならないケースもあります。 また、一度損傷した関節の支持組織は緩み、肩が不安定な状態になりやすいです。その結果、わずかな動作で再脱臼や亜脱臼を繰り返す「反復性肩関節脱臼」に移行しかねません。このような状態は以下のような症状を引き起こすリスクを高めます。 慢性的な痛み 関節の変形 神経損傷 とくに、脱臼を繰り返すと肩を支える腱板を損傷する可能性が大きくなります。ある研究では、50歳以上の反復性肩関節脱臼の症例22例のうち、19例で腱板断裂が認められたとの報告もあります。(文献4) 症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 【関連記事】 肩腱板断裂(損傷)とは?現役整形外科医師が徹底解説 肩腱板断裂の手術と入院期間について医師が詳しく解説 肩関節亜脱臼の治し方を知って適切な治療を進めよう 肩関節の亜脱臼は、関節が外れかかった状態を指し、自然に戻るため自分では気づかないケースも少なくありません。 しかし、一度起きた亜脱臼を放置すると、脱臼が習慣化して症状が悪化し、将来的には手術が必要となる可能性もあります。 肩関節亜脱臼の主な治療法は以下の3つです。 徒手整復や固定による保存療法 可動域訓練と筋力トレーニングによるリハビリ 保存療法とリハビリでも効果が見られない場合の手術の検討 肩に抜けそうな感覚や痛み、違和感を少しでも覚えた際は、自己判断で済ませずに専門の医療機関を受診してください。医師による診断のもと、自分の状態に合った治療を進めましょう。 肩の亜脱臼はスポーツ外傷としてもよく見られますが、スポーツで筋肉や靭帯を損傷した場合は、再生医療の選択肢も考えられます。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 肩関節亜脱臼と治し方に関するよくある質問 亜脱臼の痛みはどのくらい続きますか 肩関節亜脱臼や脱臼の痛みが続く期間は、関節が外れた程度によって異なります。 関節が外れかかった状態である亜脱臼の場合、痛みは1週間程度で落ち着くのが一般的です。一方で、関節が完全に外れてしまった脱臼の場合は、整復をおこなった後も2〜3週間ほど痛みが続くことがあります。 いずれの場合も、受傷後の1〜3週間程度は症状を悪化させないために安静を保ちましょう。痛みが強い際には、医師の判断のもとで痛み止めの薬を使用する場合もあります。 ただし、痛みの感じ方には個人差があるため、症状が長引く場合は必ず医療機関に相談してください。 肩の脱臼は動かせますか 肩関節が完全に脱臼した場合、自分で腕を動かすのは困難です。 脱臼の瞬間から激しい痛みに襲われ、腕をほとんど持ち上げられなくなったり、特定の位置から動かせなくなったりします。 このような状態で無理に動かそうとすると、かえって状態を悪化させる危険が伴います。肩の周囲を通っている重要な血管や神経を新たに傷つけてしまい、しびれなどの後遺症が出る可能性も否定できません。 たとえ亜脱臼で動かせるように感じても、自己判断で動かすのは避けるべきです。肩に異常を感じたら、動かさずにできるだけ早く専門の医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 井樋栄二 「最新原著レビュー:肩関節脱臼後の外旋位固定は再脱臼率を低下させる−無作為化比較試験」 整形外科 61 (4) , pp.378-380 , 2010年 https://www.pieronline.jp/content/article/0030-5901/61040/378 (最終アクセス2025年6月10日) (文献2) 尼子雅敏,田村吏沙 「肩関節脱臼の治療戦略とリハビリテーションの役割」防医大誌 47 (1) , pp.1-10 , 2022年 https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2022/03/47-1_001-010.pdf (最終アクセス2025年6月10日) (文献3) 岩堀 裕介,花村 浩克ほか 「スポーツ選手の反復性肩関節前方脱臼の術後リハビリテーション」特集『より安全なスポーツ復帰をめざすリハビリテーション診断・治療』56 (10) , pp.752-763 , 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/10/56_56.752/_article/-char/ja/ (最終アクセス2025年6月10日) (文献4) 伊崎輝昌,柴田陽三ほか 「腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する治療成績-鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術の併用法-」整形外科と災害外科 58 (2) , pp.188-191 , 2009年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/58/2/58_2_188/_pdf (最終アクセス2025年6月10日)
2025.06.29 -
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肩関節の脱臼は、スポーツや転倒などで発生する一般的な外傷です。 繰り返す脱臼に悩む場合、手術治療が検討されますが、「どんな後遺症があるのか」「リハビリはどのくらい必要か」といった不安を抱える方も多いでしょう。 本記事では、肩脱臼手術の種類や後遺症リスク、リハビリ期間、そして日常生活への復帰に関する情報をわかりやすくご紹介します。 手術を検討されている方や、これから手術を受ける予定の方は参考にしてください。 しかし、「脱臼を繰り返してしまう」「痛みや不安定感が残っている」といった後遺症に悩まされる方は、再生医療も選択肢の一つになります。 \肩関節脱臼の後遺症に再生医療という新しい選択肢/ 患者様ご自身の血液から抽出した血小板の濃縮液(PRP)を肩の関節や靭帯に注射し、損傷した組織の修復を促すことで、自然治癒力を高め、機能回復を後押しします。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 「早く痛みから解放されたい」「パフォーマンスを取り戻したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングをご利用ください。 肩脱臼手術後に発症しやすい主な後遺症 肩脱臼手術は、脱臼癖のある肩関節を安定させるための有効な治療法ですが、どんな手術にも後遺症が生じる可能性があります。 手術の成功後も、後遺症が発生する可能性について事前に理解しておきましょう。 ここでは、肩脱臼手術後に起こりうる主な後遺症と、対処法について解説します。 痛みの発生 再脱臼・不安定感 感染症 痛みの発生 手術方法が関節鏡を使った低侵襲なものであっても、手術後にはある程度の痛みを感じることがあります。これは手術による組織の修復過程で生じる自然な反応です。 痛みの程度には個人差がありますが、多くの場合、適切な痛み止めによって和らげることができます。医療機関では、以下の治療および内服薬の処方を行っています。 神経ブロック注射 点滴 退院後の内服薬 など 痛みは通常、時間の経過とともに徐々に軽減していきますが、強い痛みが続く場合は担当医に相談しましょう。 また、リハビリテーションの進行に合わせて痛みの性質も変化する場合があります。 急性期の痛みが落ち着いた後も、筋肉や関節を動かすことで一時的に痛みが出ることもありますが、これは回復過程の一部であることが多いです。 適切な痛み止めの使用と、無理をしない範囲でのリハビリにより、痛みをコントロールしながら回復を目指しましょう。 再脱臼・不安定感 肩脱臼手術の主な目的は関節の安定性を取り戻すことですが、手術後にも再脱臼のリスクや不安定感を感じる場合があります。 術後1年以内の再脱臼は約10%といわれており、とくに手術で再建した靭帯がまだ十分な強度を獲得していない回復初期には注意が必要です。(文献1) この時期に無理な動作や過度なスポーツ活動を行うと、再脱臼を引き起こす可能性があります。関節の安定性を回復し再脱臼を防ぐためには、医師の指示に従って適切なリハビリテーションを行うことが重要です。 手術後は再建された組織が成熟する重要な時期であり、指示された範囲を超える動作は避ける必要があります。回復期間中は、肩に負担をかけない寝方や日常生活での動作の工夫も大切です。 感染症 手術部位の感染は稀ではありますが、起こり得る合併症の一つです。統計的には手術全体のおよそ0.1%の頻度で発生するとされています。(文献1) 感染の兆候としては、手術部位の著しい腫れや赤み、熱感、痛みの増加、発熱などがあります。感染症が疑われる場合は速やかに医療機関を受診することが重要です。感染の程度によっては、抗生物質の投与だけでなく、再手術による洗浄などの処置が必要となる場合もあります。 肩脱臼手術の種類と後遺症リスクについて 繰り返す脱臼に悩む方には、手術による治療が検討されます。 現在、肩脱臼に対していくつかの手術法が確立されており、一人ひとりの状態や活動レベルに応じて適した方法が選択されます。 それぞれの手術には特徴と後遺症リスクがありますので、手術を検討する際の参考にしてください。 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 関節鏡下関節唇形成術(Bankart法) 肩脱臼の手術として最も一般的に行われているのが、この関節鏡下関節唇形成術(Bankart法)です。関節鏡という細い内視鏡を使用して行われるため、皮膚の切開が小さく済み、術後の回復も比較的早いといった利点があります。 具体的な手術方法としては、関節窩(肩甲骨のくぼみ部分)の端にアンカーと呼ばれる特殊なネジや糸の塊を埋め込み、そこから伸びる糸を損傷した関節唇(関節の縁にある軟骨)に通して結ぶことで、関節の安定性を回復させます。 しかし、どんな手術にもリスクはあり、この場合は周囲の神経や血管を傷つけてしまう可能性や、手術後も再脱臼してしまうリスクが存在します。(文献2) 完全な回復には時間がかかり、リハビリテーションは通常6〜12カ月程度必要とされます。(文献3)この期間中はリハビリの進行度合いに合わせて、徐々に日常生活やスポーツ活動へ復帰していくことになります。 烏口突起移行術(ブリストー法、ラタジェ法) この手術法は、Bankart法を行った後にも再脱臼してしまったケースや、ラグビーや格闘技などの接触性の高いスポーツをする方など、脱臼リスクが通常より高い患者様に適応されることが多いです。 肩甲骨の突起である烏口突起と、そこにつく共同腱(烏口腕筋腱と上腕二頭筋短頭腱)を肩甲骨関節窩の前方に移行させることで、強力な物理的なストッパーとして機能させる方法です。再脱臼の予防に非常に効果的であり、多くの場合全身麻酔下で行われます。 一般的なリスクとして、手術後に移行した烏口突起の骨がうまく定着しないケースや、周辺の神経や血管の損傷リスクも考慮しなければなりません。 術後のリハビリテーションは4〜10カ月程度必要とされ、肩の機能回復とともに段階的に活動レベルを上げていきます。(文献3) 補助的追加処置(腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法) 腱板疎部閉鎖術、レンプリサージ法はBankart法に追加して行われる補助的処置で、再脱臼のリスクをさらに減らすことを目的としています。 腱板疎部閉鎖術は、肩甲下筋腱と棘上筋腱の間にある比較的薄い膜(腱板疎部)を縫い縮めることで、肩関節前方の圧力を高め、前方への脱臼を防ぐ効果があります。 レンプリサージ法は、上腕骨頭の後ろ側にできた陥没部分(ヒルサックス病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。骨頭の陥没部分を埋めることで、関節窩の縁がひっかかって脱臼を起こすリスクを減らします。 追加処置を行っても完全に再脱臼リスクがなくなるわけではなく、統計的には約7.5%の確率で再発の可能性があるとされています。(文献4) 肩脱臼手術後のリハビリ期間と内容 肩脱臼手術の成功には、適切なリハビリテーションが不可欠です。手術によって修復された組織を保護しながら、段階的に肩の機能を回復させていくことが重要となります。 リハビリの進行は回復状況や手術の種類によって異なりますが、一般的には以下のような期間と内容で進めていきます。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ それぞれの時期に適した運動と生活上の注意点を理解し、焦らずに回復を目指しましょう。 肩脱臼手術後0~1カ月のリハビリ 手術直後から1カ月間は、手術部位の保護と炎症の軽減がもっとも重要な時期です。この期間は、肩関節を安静に保つために専用の装具(アームスリングなど)を装着して固定します。過度な動きは避け、傷の治癒と炎症の改善を促進することが目的となります。 リハビリの内容は以下のとおりです。 手首や肘、指などの周辺関節の可動域を維持するための軽いエクササイズ 肩の痛みを軽減するためのアイシング むくみを防ぐためのポジショニング など 基本的に安静が中心ですが、デスクワークなどの軽作業は医師の許可があれば可能になることもあります。ただし、装具を外しての作業や重いものを持つなどの負荷をかける動作は避ける必要があります。傷の状態や痛みの程度を観察しながら、医師やリハビリ専門家の指導のもとで無理のない範囲で活動を行いましょう。 肩脱臼手術後1カ月~3カ月のリハビリ 手術から1カ月が経過すると、徐々に肩の動きを回復させていく時期に入ります。主な目的は、関節可動域の改善と筋力の回復です。医師の判断により装具を外し始め、より積極的なリハビリを開始します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 肩関節の前方・後方・側方への可動域訓練 肩甲骨周囲の筋肉のトレーニング など 初期は他動的な運動(理学療法士などが補助して行う運動)から始め、徐々に自動運動へと移行していくでしょう。軽い抵抗をかけた筋力トレーニングも導入され、肩の安定性を高めるための回旋筋腱板の強化が重視されます。 この時期になると、日常生活動作のほとんどが可能になり、軽負荷のスポーツや作業にも徐々に復帰できるようになってきます。ただし、投げる動作や腕を頭上に挙げる動作など、肩に大きな負荷がかかる活動はまだ控えなければなりません。 肩脱臼手術後3カ月~6カ月のリハビリ 術後3カ月を過ぎると、より機能的なリハビリに移行していく時期です。この期間の主な目的は、肩関節の安定性向上とアジリティ(素早く正確に動かす能力)の回復です。可動域訓練をさらに進め、ほぼ全方向への動きを回復させることを目指します。 リハビリの内容は以下のとおりです。 より高負荷の筋力トレーニング 肩関節の協調性を高めるためのエクササイズ など スポーツ選手の場合は、競技特異的な動作の練習も徐々に取り入れていくでしょう。投球動作や水泳のストロークなど、肩に負担のかかる動きを段階的に練習し、パフォーマンスの回復を図ります。 この時期になると、多くの患者様がスポーツや重労働への完全復帰を目指せるようになります。 まとめ|後遺症なく日常へ戻るために 肩脱臼の手術後、後遺症なく日常生活やスポーツに復帰するためには、いくつかの重要なポイントがあります。 まず、手術が本当に必要かどうかの適応を正確に見極めることが大切です。 脱臼の頻度や重症度、年齢、活動レベルなどを考慮し、専門医との十分な相談を通じて判断してください。 次に、一人ひとりの状態に適した術式の選択も重要です。関節鏡下関節唇形成術や烏口突起移行術など、それぞれの手術法の特徴とリスクを理解した上で手術に臨みましょう。術後は時期に応じた計画的なリハビリテーションを着実に実施しなければなりません。 しかし従来の治療やリハビリでは十分な改善が得られなかった方には、再生医療も新たな選択肢として注目されています。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脱臼後の肩の痛みや不安定感が長期間続いている方 リハビリや保存療法だけでは改善が見られない方 スポーツや仕事に早く復帰したい方 手術を避けたい、身体に負担の少ない治療を希望する方 肩脱臼の手術後の後遺症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。 肩脱臼手術の後遺症に関するよくある質問 肩脱臼の手術の成功率は? 肩脱臼手術の成功率は一般的に90〜95%と高い数値が報告されています。(文献5) これは「再脱臼を防止できる確率」を示しており、多くの患者様が安定した肩関節を取り戻せることを意味します。成功率は年齢、活動レベル、手術方法、リハビリへの取り組みによって変動もありますが、適切な術後ケアにより満足のいく結果につながることが多いです。 肩脱臼の手術をした後はどうなるのか? 手術後は肩の安静と保護のため、アームスリングなどの装具の装着が必要です。固定期間後、医師の指導のもと徐々に可動域訓練を開始し、その後段階的に筋力トレーニングも取り入れていきます。 リハビリは術式により4~12カ月継続し、肩の機能回復を図ります。(文献5) 参考文献 文献1 社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院「鏡視下関節形成術(鏡視下バンカート修復術)」 https://www.matsunami-hsp.or.jp/iryou_jyohou/info/hanpuku/ (最終アクセス:2025年5月15日) 文献2 CiNii「鏡視下バンカート修復術の術後5年以上の長期成績」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1390852174974630144 (最終アクセス:2025年5月15日) 文献3 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日) 文献4 J-STAGE「Remplissage法を補強として用いた鏡視下Bankart修復術の手術成績」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu/41/3/41_683/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年5月15日) 文献5 独立行政法人 国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう) 」 https://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_katakansetudakyu.html (最終アクセス:2025年5月15日)
2025.05.21 -
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「マッサージを受けても、すぐに肩こりがぶり返す」「痛みがひどくて仕事に集中できない」とお悩みではありませんか。 ひどい肩こりは、単なる疲労ではなく、姿勢や生活習慣、ストレスなど複数の要因が重なって起こる場合が多いです。そのため、原因を正しく理解し、ご自身に合った対処法を選ぶことが改善への近道です。 本記事では、ひどい肩こりが起こる原因から、自宅でできるセルフケア、医療機関での治療選択肢まで詳しく解説します。つらい肩こりを根本から改善するために、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ひどい肩こりが起こる原因 ひどい肩こりを改善するためには、まず原因を知ることが重要です。原因がわかれば、効果的な対処法を選びやすくなります。 肩こりの主な原因は、以下の5つです。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 猫背やストレートネックによる負担 運動不足による血行不良 冷えによる筋肉のこわばり ストレスと自律神経の乱れ それぞれ詳しく解説します。 長時間の同じ姿勢による筋緊張 デスクワークやスマートフォンの操作など、同じ姿勢を長時間続けると、首や肩の筋肉が緊張し続けます。筋肉が緊張した状態が続くと血流が悪化し、疲労物質や老廃物がたまりやすくなります。 その結果、筋肉が硬くなり、こりや痛みが生じるのです。 とくに、肩甲骨周囲の筋肉が動かない状態が続くと、肩全体の動きが制限され、肩こりが慢性化しやすくなります。1時間に1回は席を立ち、肩を回すなどの軽い動作を取り入れることが大切です。 猫背やストレートネックによる負担 猫背やストレートネック(首のカーブが失われた状態)は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、肩こりの原因となります。 成人の頭の重さは約4〜6kgあります。正しい姿勢であれば、背骨全体で支えられますが、頭が前に出た姿勢では、首や肩の筋肉だけで頭を支えなければなりません。 結果的に筋肉の緊張が常態化し、慢性的な肩こりにつながります。日頃から正しい姿勢を意識することが、肩こり予防の基本です。 運動不足による血行不良 運動不足になると筋肉量が低下し、血液を送り出すポンプ機能が弱まります。血行が悪いと筋肉が固まって痛みが出やすくなるため、肩こりが慢性化しやすくなります。 ウォーキングや軽いストレッチなど、日常的な体を動かす習慣が、肩こり予防に効果的です。 冷えによる筋肉のこわばり 体が冷えると血管が収縮し、血流が低下します。血流が悪くなると筋肉に酸素や栄養が行き届かなくなり、筋肉がこわばりやすくなります。 とくに、冷房の効いた室内で長時間過ごす方や、冬場に肩や首を露出する服装をしている方は、肩こりが悪化しやすいです。 冷えを感じやすい方は、「カーディガンやストールで肩を温める」「入浴で体を温める」などの対策が有効です。 ストレスと自律神経の乱れ 精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、筋肉の緊張を高めます。交感神経(体を活動・緊張状態にする神経)が優位な状態が続くと、肩や首の筋肉に力が入りやすくなり、肩こりが悪化しやすくなります。 ストレスが原因の肩こりは、マッサージだけでは改善しにくい場合があります。十分な睡眠やリラックスできる時間を確保し、ストレスを溜め込まない工夫を心がけましょう。 【簡易診断】ひどい肩こりの重症度をチェック 肩こりの症状は人によって異なります。以下の表で、ご自身の症状の重症度を確認してみましょう。 重症度 主な症状 該当する症状例 推奨される対処法 軽度 ・肩の張り ・軽い疲労感 ・デスクワーク後に肩が重い ・もみほぐすと楽になる セルフケア(ストレッチ・マッサージ)で改善可能 中度 ・持続的なこり ・動かしにくさ ・朝起きても肩が重い ・首を回すと痛みがある ・頭痛を伴う セルフケアと生活習慣改善を推奨。改善しなければ医療機関受診を検討 重度 ・強い痛み ・日常生活への支障 ・痛みで眠れない ・腕にしびれがある ・吐き気を伴う 医療機関での受診を検討すべき 軽度であればセルフケアで改善が期待できますが、中度以上の症状が続く場合は、早めに医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりを改善するためのセルフケア 軽度から中度の肩こりであれば、セルフケアで症状の改善が期待できます。ここでは、自宅で実践できる4つのセルフケア方法を紹介します。 マッサージ療法 運動療法(ストレッチ) 温熱療法 生活習慣の改善 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 マッサージ療法 セルフマッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血流を改善する目的で行います。 肩こりに効果的なセルフマッサージの方法は、以下のとおりです。 右手で左肩の筋肉(僧帽筋)を軽くつかむ 痛気持ち良い程度の力で、ゆっくりともみほぐす 首の付け根から肩先に向かって、少しずつ位置をずらしながら行う 30秒〜1分ほど続けたら、反対側も同様に行う なお、強く押しすぎると筋肉を傷める可能性があるため、「痛気持ち良い程度」の力加減を意識しましょう。 また、マッサージはあくまで一時的な対処です。根本的な改善を目指したいのであれば、姿勢の見直しや運動習慣の改善を心がけましょう。 運動療法(ストレッチ) 肩や肩甲骨まわりを動かすストレッチは、血流改善と筋肉の柔軟性向上に効果が期待できます。 具体的な肩甲骨まわりのストレッチ方法は、以下を参考にしてください。 両肩を前後に大きく回す 両手を肩に当てて、円を描くように動かす 肩をすくめた後、ストンと落とす ストレッチは日々の継続が重要です。また、入浴後など「体が温まっているタイミング」で行うと効果的です。 ただし、痛みが強い場合は無理をせず、症状が落ち着いてから行ってください。 温熱療法 肩周りを温めると血管が拡張し、血流が改善されます。血流が良くなると、筋肉に酸素や栄養が届きやすくなり、こわばりが緩和されます。 温熱療法の方法は、以下のとおりです。 方法 やり方 ポイント 入浴 38〜40℃程度のお湯に15〜20分つかる 肩までしっかり浸かる 蒸しタオル 濡らしたタオルを電子レンジで1分ほど温め、肩に当てる やけどに注意し、心地良い温かさで使用 温熱シート 市販の温熱シートを肩に貼る 長時間の使用は低温やけどに注意 ただし、肩に熱感や腫れがある場合は、炎症が起きている可能性があります。その場合は温めずに冷やし、医療機関を受診してください。 生活習慣の改善 肩こりの根本的な改善には、日常生活の見直しが欠かせません。以下の表を参考に、改善策を試してみてください。 改善項目 具体的な対策 姿勢 ・デスクワーク時はモニターの高さを目線に合わせる ・椅子に深く座る 作業環境 1時間に1回は席を立ち、軽いストレッチを行う 睡眠 7〜8時間の睡眠を確保し、自分に合った高さの枕を使用する 運動 ウォーキングや軽い体操など、日常的に体を動かす習慣をつける なお、セルフケアを続けても改善しない場合は、別の原因が隠れている可能性があります。2週間以上症状が続く場合は、医療機関への受診を検討しましょう。 ひどい肩こりが改善しない場合の治療選択肢 セルフケアを続けても改善しない場合は、医療機関での治療が検討されます。ここでは、医療機関での代表的な治療法を2つ紹介します。 薬物療法 注射療法 それぞれの治療法を詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は、痛みや筋肉の緊張を和らげる目的で行われます。医療機関では、症状に応じて以下のような薬が処方されます。 薬の種類 特徴 非ステロイド性消炎薬 (NSAIDs) いわゆる「痛み止め」で、とくに急性期の痛みに効果がある。飲み薬、湿布、坐薬などがある 筋弛緩薬 (きんしかんやく) 筋肉のこわばりを抑える薬。NSAIDsと一緒に処方されることが多い ビタミンB製剤 神経の修復を助ける目的で処方される 血流改善薬 血流を改善し、筋肉への酸素や栄養の供給を促す (文献1) なお、薬物療法は症状を和らげる対症療法であり、根本的な原因を解決するものではありません。医師の指示に従い、適切に使用することが大切です。 注射療法 肩こりの症状が強い場合や、セルフケアで改善しない場合は、神経ブロック注射が検討されるケースがあります。(文献1) 神経ブロック注射は、肩こりの原因と考えられる箇所の神経やその周辺に、麻酔薬やステロイドホルモンを注射する治療法です。 痛みやこりを一時的に和らげ、「痛み→筋肉の緊張→血行不良→さらなる痛み」という肩こりの悪循環を断ち切る効果が期待できます。 ただし、注射療法はすべての肩こりに適応されるわけではありません。医師の診察を受け、症状に応じて適切な治療法が選択されます。 ひどい肩こりは別の病気が関係していることもある セルフケアや一般的な治療で肩こりが改善しない場合、筋肉以外の問題が原因となっている可能性があります。 「肩こりの背景に隠れていることがある疾患」には、以下のようなものがあります。 疾患名 特徴 頚椎椎間板ヘルニア (けいついついかんばん) 首の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する。腕のしびれや痛みを伴うことがある 頚椎症性神経根症 (けいついしょうせいしんけいこんしょう) 加齢により頚椎が変形し、神経を圧迫する。肩から腕にかけての痛みやしびれが特徴 四十肩・五十肩 (肩関節周囲炎) 肩関節の炎症により、動かすと強い痛みが生じる。腕が上がらなくなることもある このような疾患が原因の場合、セルフケアや対症療法だけでは十分な改善が難しいことがあります。そのため、医療機関を受診し、精密な検査を受けることが大切です。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、手術をしない選択肢として「再生医療」を提供しています。再生医療とは、患者様ご自身の細胞が持つ「組織を修復する働き」を利用した治療法です。 肩こりが長期間改善しない方や、上記のような疾患と診断された方は、再生医療も選択肢の一つとして検討してみてください。 また、以下の記事では「頚椎椎間板ヘルニア」の症例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 まとめ|ひどい肩こりは原因に合った治し方を選ぶことが重要 本記事では、ひどい肩こりの原因から、セルフケア、医療機関での治療選択肢まで解説しました。 ひどい肩こりの原因は、姿勢や運動不足、ストレスなど人によって異なります。まずはセルフケアで改善を試み、それでも症状が続く場合は医療機関への受診を検討しましょう。 ご自身の症状や原因に合った対処法を選ぶことが、肩こり改善への近道です。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供や簡易オンライン診断を行っております。 肩こりでお悩みの方は、ぜひご登録ください。 ひどい肩こりに関するよくある質問 ひどい肩こりはマッサージだけで治る? マッサージは筋肉の緊張を和らげ、一時的に症状を軽減する効果があります。ただ、姿勢や生活習慣が改善されなければ、肩こりは再発しやすいです。 マッサージはあくまで対症療法の一つです。根本的な改善には姿勢の見直しや運動習慣の改善、場合によっては医療機関での治療が必要になることもあります。 なかなか治らない肩こりにお悩みの方は、医療機関への受診を検討してみてください。 ひどい肩こりで頭痛や吐き気がある場合は病院に行くべき? 頭痛や吐き気を伴う肩こりは、筋肉の緊張だけでなく、神経の圧迫や血行不良が関係している可能性があります。 とくに、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 頭痛が頻繁に起こる、または強くなっている 吐き気やめまいを伴う 腕や手にしびれがある 市販薬を飲んでも改善しない 放置すると症状が悪化する可能性があるため、自己判断せず専門医への相談をおすすめします。 ひどい肩こりは何科を受診すればいい? 肩こりの受診先は、症状によって異なります。受診先の判断に迷った際は、以下の表を参考にしてください。 症状 受診すべき診療科 肩や首のこり・痛み 整形外科 頭痛やめまいを伴う 整形外科または神経内科 ストレスや不眠が原因と思われる 心療内科 迷った場合は、まずは整形外科への受診をおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの検査で骨や筋肉の状態を確認し、適切な治療法を提案してもらえます。 参考文献 (文献1) わかりやすい病気のはなしシリーズ「肩こり」|一般社団法人「日本臨床内科医会」
2025.02.09







