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あなたは今、肩の痛みや動かしにくさに悩んでいませんか? 40代、50代で多く発症する四十肩・五十肩は、実は30代や60代でも発症する可能性があり、夜間の痛みが特徴的な、決して他人事ではない身近な症状です。 「まさか自分が…」と驚く人も多いこの肩の痛みは、シャツを着替えたり、髪を洗ったりする動作が辛くなります。 2023年の国民生活基礎調査によると、肩こりや肩の痛みを訴える人は増加傾向にあり、その背景には長時間のデスクワークや運動不足などが考えられます。 この記事では、四十肩・五十肩の特徴的な症状や、その原因となるメカニズムを、医師の解説を通して詳しく解説します。 夜間の激痛に悩まされ、熟睡できない日々を送っているあなたも、この記事で紹介する治療法によって、快適な睡眠を取り戻し、再び日常生活を楽しめるようになるかもしれません。 今すぐ、あなたの肩の悩みを解消する第一歩を踏み出しましょう。 四十肩・五十肩の特徴と症状 四十肩・五十肩は、肩の痛みと動かしにくさを特徴とします。この症例は、私たち整形外科医には非常によくある相談です。医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、中年以降に多く発症することから、40代で発症すると四十肩、50代で発症すると五十肩という風に、おおよその年齢で呼び分けられています。 ただ、この年齢はあくまで目安です。30代前半でも、60代後半でも発症する可能性は十分にあります。私自身も、30代で四十肩のような症状を経験したことがあります。 主な症状と痛みの部位 四十肩・五十肩の主な症状は、肩の痛みと可動域制限、そして炎症です。 痛み: 痛み方にはいくつかのパターンがあります。 初期には、肩を動かしたときにズキンとするような鋭い痛みを感じることが多く、安静時でも鈍い痛みが続く場合もあります。 痛みの部位は肩関節の周囲だけにとどまらず、腕や首、時には背中まで広がることがあります。特に特徴的なのは、夜間に痛みが増強する「夜間痛」です。 安静にしているはずの睡眠中に痛みが激しくなり、起きてしまうこともあります。 可動域制限: 肩関節の動きが悪くなることを「可動域制限」と言います。 具体的には、腕を真上に上げること(挙上)、後ろに回すこと(外旋・内旋)、体の前で腕を交差させること(水平内転)などが難しくなります。 腕の動きが制限されることで、日常生活での動作が苦痛になります。 炎症: 肩関節周囲の組織で炎症が起きているため、炎症に伴う腫れや熱感を伴う場合もあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 可動域制限のメカニズム 四十肩・五十肩で可動域制限が起こるメカニズムは、肩関節周囲の組織の炎症と癒着が主な原因です。 私たちの肩関節は、肩甲骨の関節窩という受け皿のような部分に、上腕骨頭というボールのような部分がはまり込む構造をしています。この関節は関節包という袋状の組織で包まれており、滑液という潤滑油の役割を果たす液体で満たされています。 四十肩・五十肩では、この関節包に炎症が起き、厚く縮んでしまいます。風船がしぼんで硬くなるイメージです。関節包が硬く縮むことで、肩関節の動きが制限されてしまうのです。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着してしまいます。例えるなら、くっつきにくいはずの食品ラップ同士がくっついてしまうような状態です。こうなると、さらに可動域制限が強くなります。 肩関節の動きが悪くなると、日常生活での様々な動作に支障をきたすだけでなく、動かすこと自体が怖くなり、さらに動かさなくなってしまう、という悪循環に陥る可能性があります。結果として、肩関節の拘縮がさらに進行してしまうのです。 糖尿病との関連性 糖尿病は、四十肩・五十肩のリスクを高めると言われています。高血糖の状態が続くと、血管が傷つきやすく、血流が悪くなります。肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。 また、糖尿病の方は痛みを感じにくい場合があり、四十肩・五十肩の症状に気づきにくく、重症化しやすいという側面も持っています。 糖尿病の方は、日頃から肩のストレッチなど、肩のケアを心がけ、異変を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。四十肩・五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行うことで、痛みの軽減や可動域の改善、そして日常生活の質の向上に繋がります。 四十肩・五十肩の原因と診断 四十肩・五十肩は、医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩関節の周囲に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態です。 肩関節周囲炎は、肩関節を包む関節包という組織が炎症を起こし、厚く縮んでしまうことが原因で起こります。まるで風船がしぼんで硬くなるように、関節包が硬く縮むことで肩関節の動きが制限されてしまうのです。 炎症がさらに進むと、関節包や周囲の組織が癒着を起こし、食品ラップ同士がくっついてしまうような状態になります。 原因となるリスクファクター 四十肩・五十肩の原因ははっきりと解明されていませんが、加齢、肩関節の使いすぎ、糖尿病などの病気が関係していると考えられています。 加齢に伴い、肩関節周囲の組織は老化し、炎症や癒着が起こりやすくなります。また、野球やバレーボールなどのスポーツ、重い荷物を持つ作業など、肩関節に負担をかけることも要因となります。糖尿病の方は、そうでない方に比べて四十肩・五十肩を発症するリスクが高いことが知られており、高血糖の状態が続くと血管が傷つきやすく、血流が悪くなることが原因の一つと考えられています。肩関節周囲の組織も血流が悪くなることで、炎症が起こりやすくなると考えられています。 さらに、甲状腺機能障害も四十肩・五十肩のリスクを高める要因として知られています。甲状腺ホルモンは、体の代謝を調節する重要なホルモンですが、このホルモンのバランスが崩れると、様々な体の機能に影響を及ぼします。肩関節周囲の組織も例外ではなく、甲状腺機能障害によって炎症が起こりやすくなり、四十肩・五十肩を発症しやすくなると考えられています。 診断に用いる検査方法 四十肩・五十肩の診断は、主に問診と診察によって行われます。医師は、肩の痛みの程度や、腕をどのくらい動かせるかなどを確認します。具体的には、腕を前や横に上げたり、後ろに回したりする動作で、どの程度まで動かせるかを調べます。 レントゲン検査を行う場合もありますが、これは他の病気を除外するために行うもので、四十肩・五十肩自体をレントゲンで診断することはできません。四十肩・五十肩は、肩関節の炎症や癒着が原因で起こりますが、これらの変化はレントゲンには写らないからです。 MRI検査では、肩関節周囲の組織の状態を詳しく調べることができ、炎症や癒着の程度を評価することができます。同様の変化は超音波検査でも観察でき、超音波検査は画像ガイド下注射療法に特に有用です。しかし、MRI検査や超音波検査は必ずしも必要ではなく、多くの場合は問診と診察だけで診断が可能です。 他の肩の疾患との違い(腱板断裂、頚椎症など) 四十肩・五十肩は、腱板断裂や頚椎症などの他の肩の疾患と症状が似ていることがあり、鑑別が重要です。腱板断裂は、肩の上腕骨を支えている筋肉が、切れてしまう病気です。腱板断裂では、腕を特定の方向に動かしたときに強い痛みを感じることがあります。 また、夜間に痛みが強くなることもあります。四十肩・五十肩のように肩の動きが制限されることもありますが、腱板断裂の場合は、力を入れても腕を上げられない、腕がだらんと下がってしまうといった筋力低下の症状が見られることもあります。 頚椎症は、首の骨や椎間板が変形することで、肩や腕に痛みやしびれが出る病気です。頚椎症の場合、首を動かすと神経が圧迫されることで、手のしびれや動かしにくさなどの症状が現れたり、強くなることもあります。これらの症状の違いを把握することで、どの病気が疑われるかを判断することができます。 ▼肩がズキズキと痛いときに考えられる原因について、併せてお読みください。 四十肩・五十肩の治療選択肢 四十肩・五十肩の治療は、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれの治療法の特徴を理解できるよう、わかりやすく説明しましょう。 保存療法の種類と効果 保存療法とは、手術をせずに痛みや炎症を抑え、腕を動かせるようにする治療法です。具体的には、薬物療法、注射療法、理学療法、装具療法などがあります。これらの治療を複合的に行うことが多いです。 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるための薬を内服したり、外用薬として患部に塗ったりします。消炎鎮痛剤は、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげます。 注射療法: 肩関節に直接、薬剤を注射する方法です。ステロイド注射は、強力な抗炎症作用で炎症を抑え、痛みを素早く軽減します。ただし、ステロイド注射は、何度も繰り返すと腱を弱める可能性があるため、使用回数には注意が必要です。ヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を果たし、関節の動きを改善します。 理学療法: 理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレ、温熱療法などを行い、肩の可動域を広げ、日常生活動作の改善を目指します。理学療法は、四十肩・五十肩の治療において最も重要な要素の一つです。特に、肩甲骨の動きを改善する運動は効果的です。 私の経験では、肩関節は複雑なので、やはりリハビリ治療を行うことで、治療期間はずいぶん短縮できる例が多かったです。 装具療法: 安静時や夜間就寝時に、肩関節を固定する装具を装着することで、痛みを和らげ、関節を保護します。 保存療法の効果は、症状の程度や個人差があります。保存療法を3~6ヶ月行った後も症状の改善が見られず、日常生活に支障が出る場合は、手術療法が検討されます。医学文献では、保存的治療で多くの患者が改善すると報告されています。 手術療法の適応とリスク 保存療法で十分な効果が得られない場合や、関節が著しく硬くなってしまった場合、手術も考えないといけません。 手術療法には、麻酔下での関節モビライゼーションや関節鏡下関節包遊離術などがあります。 麻酔下での関節モビライゼーション: 全身麻酔下で肩関節を動かし、硬くなった関節包を強制的に剥がす方法です。別名、マニプレーションとも言います。 関節鏡下関節包遊離術: 小さな切開部からカメラと特殊な器具を挿入し、癒着した関節包を切開する方法です。傷が小さく、術後の回復も早いというメリットがあります。 手術療法は、保存療法よりも短期間で効果が高いとされていますが、合併症のリスクも存在します。合併症には、骨折、神経麻痺、感染症などがあります。 手術をしない新しい治療(再生医療) ご自身の身体にある幹細胞を使って、日帰り、簡単な注射だけで、手術以上の効果の見込める再生医療という治療があります。肩の手術後は肩関節が固まる現象がよくみられます。そういうこともあって、私たち整形外科医は、よほど辛かったり、動きが悪いという以外は、肩の手術はあまり積極的に患者様には勧めていません。 しかし、リペアセルクリニックでは、肩に特化した再生医療を行うことで、多くの患者様を笑顔にしてきました。再生医療についてこちらで詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 https://youtu.be/WQGHzkzEFnY?si=5xtDnXSQg1poljkp https://youtu.be/yj1LZ3318_E?si=G0Kpui969PdFwggA 痛みの軽減とリハビリテーションの重要性 四十肩・五十肩の治療において、痛みの軽減とリハビリテーションは非常に重要です。痛みは、日常生活の動作や睡眠を妨げ、生活の質を低下させます。痛みが強い場合は、我慢せずに医師に相談し、適切な薬物療法や注射療法を受けるようにしましょう。 リハビリテーションは、肩関節の可動域を回復し、筋力を強化するために不可欠です。理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋トレなどの運動療法を行い、肩の機能回復を目指します。無理のない範囲で、日常生活でも積極的に肩を動かすように心がけましょう。 早期に適切な治療を開始することで、痛みの軽減や機能回復を促進し、日常生活への復帰を早めることができます。焦らず、医師や理学療法士と相談しながら、治療を進めていきましょう。 参考文献 Fields BKK, Skalski MR, Patel DB, White EA, Tomasian A, Gross JS and Matcuk GR Jr. "Adhesive capsulitis: review of imaging findings, pathophysiology, clinical presentation, and treatment options." Skeletal radiology 48, no. 8 (2019): 1171-1184. Dang A and Davies M. "Rotator Cuff Disease: Treatment Options and Considerations." Sports medicine and arthroscopy review 26, no. 3 (2018): 129-133. Redler LH and Dennis ER. "Treatment of Adhesive Capsulitis of the Shoulder." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 27, no. 12 (2019): e544-e554. Fernández Martínez AM, Alonso DR, Baldi S, Arregui OB and Marcos MTC. "Frozen Shoulder." Techniques in vascular and interventional radiology 26, no. 1 (2023): 100882. Cho CH, Bae KC and Kim DH. "Treatment Strategy for Frozen Shoulder." Clinics in orthopedic surgery 11, no. 3 (2019): 249-257. "凍結肩(癒着性関節包炎):臨床医のためのレビュー"
2025.02.09 -
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心当たりがないのに、肩が急に痛くなったことはありませんか?痛みの原因には色々な要素が重なります。 四十肩・五十肩も一つの原因です。 最近では20~30代でも発症するケースが増えており、長時間の座り仕事や、携帯の長時間使用など、日常生活での肩への負担増加が原因の一つと考えられています。 そういった問題に対して、医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の痛みを予防し、快適な毎日を送るためのヒントが満載です。 右肩(左肩)がズキズキと痛い 肩の付け根がズキズキ痛むと、日常生活にも支障が出てしまい不安になりますよね。痛くて腕が思うように動かなくなったり、夜間痛も現れます。寝返りも辛いと言われる方もいます。そうなると寝不足になりますよね。そして、一番注意しなければいけないのは、肩関節が固まることです。これを関節の拘縮といいます。拘縮になると、長期間の治療とリハビリが必要となります。 今までの経験上、痛みが出てきて早期に治療することで、治療期間がかなり短縮できた患者さんが多くおられました。この記事では、痛みの原因としてどのようなものがあるのかを、現場で診療にあたる医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の付け根がズキズキ痛む原因6選 肩の付け根のズキズキとした痛みは、様々な原因で起こりえます。それらをしっかりと鑑別して、適切に治療できれば、ほとんどの方は痛みが激減します。痛みの種類や、他にどんな症状があるかによって原因が推測できますので、ご自身の症状をよく観察し、医療機関を受診する際の参考にしてみてください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 肩腱板損傷(断裂) 肩の周りにある筋肉が擦り切れたり、断裂して痛みが出る病気です。主に棘上筋というものが擦り切れてしまいます。経験上、転倒などの外傷や、高いところの荷物の上げたり下げたりする動作が原因となることが多かったです。 筋肉の炎症(腱板炎、石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化など様々です。 例えば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすいです。腱板炎の特徴として、腕を特定の方向に動かした時や、夜中に痛みが出やすいです。 石灰沈着性腱板炎は、40代~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす病気です。なぜ石灰が沈着するのかはまだ分かっていません。血流の問題や、年齢などが関係していると考えられています。この疾患はかなり痛みが強く、特徴として何もしていないのに、痛みが強くでます。そして、指で肩を押すと、痛い箇所がはっきりわかります。その指の奥に、石灰の沈着が存在します。そして、腕を動かさない時にも痛みがあります。 関節の異常(肩関節周囲炎、変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎は、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれます。腕が動かしづらくなり、痛みが出ます。まれに肩から腕にかけて痺れが出るので、頸椎椎間板ヘルニアなどと間違われることもよくあります。肩関節周囲炎は、加齢とともに肩関節や靭帯が緩くなって、関節のバランスが崩れることで発症します。40代~50代に多く見られますが、最近は20代や30代の若い世代でも発症するケースが増えています。これは、長時間座り仕事や携帯の長時間使用などが原因とされています。 変形性肩関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨同士が擦れて、痛みや炎症が生じる病気です。主に加齢が原因ですが、若い頃に怪我をしたとか、重労働をしていたなどが原因となります。初期は、動かさなくてもジンジンと鈍い痛みが続きますが、関節の変形が進むとさらに痛みが増します。そして動きも悪くなっていきます。末期になると、ゴリゴリ音もなることが多いです。肩関節周囲炎との比較として、変形性肩関節症は、肩関節のレントゲン写真で骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起や、関節裂隙の狭小化などの変化が確認できる点が挙げられます。 ▶四十肩、五十肩の違いについて、併せてお読みください。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、神経の圧迫が原因で起こる場合もあります。胸郭出口症候群は、首から腕にかけて走る神経や血管が、鎖骨そのもので圧迫されたり、肋骨周りで押されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、だるさなどの症状が現れます。神経や血管が押されてしまう理由として、首の筋肉の緊張、鎖骨や肋骨の変形、姿勢の問題などがあります。 なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶことが多い人などに多く発症する傾向があります。携帯を触る時も、姿勢が悪くなりがちで、神経や血管が圧迫されやすいため注意が必要です。姿勢や生活習慣が大きく関わっているため、改善することで症状が和らぐ可能性があります。 頸椎椎間板ヘルニア 脊髄の神経が、圧迫されることで首や肩、そして腕にかけて痛みが出ます。肩が痛いという患者さんで、肩の検査をしても何もわからなかったが、首のMRIで原因が頸椎椎間板ヘルニアによるものと診断される方も比較的多くおられました。頸椎椎間板ヘルニアについてはこちらをご覧ください。 内臓疾患(狭心症、胆石症など) 肩の付け根の痛みは、内科領域のサインである場合もあります。狭心症や心筋梗塞、胸部大動脈解離症などでは、肩や背中に放散する痛みが出ることがあります。命に関わる重篤な病気である可能性もあるため、早急に医療機関を受診することが重要です。 また、胆石症などの胆嚢の病気でも、肩への関連痛が認められます。胆石症では、脂肪分の多い食事を摂取した後に、右肩甲骨の裏側に激しい痛みが生じることがあります。そのほかに胸の痛みや吐き気、発熱などの症状が出てきます。 肩の痛みと同時に他の症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。 その他(外傷、腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、転倒や衝突などによる外傷が原因で起こることもあります。例えば、腱板断裂は、転倒した際に肩に強い衝撃が加わることで起こることがあります。高齢者の場合は骨が脆くなっているため、軽微な外傷でも骨折してしまう可能性があります。また、スポーツ中に肩に強い力が加わった場合などは、脱臼や靭帯損傷などを起こすことがあります。 まれに、腫瘍が原因で肩の痛みが出ることがあります。腫瘍の場合は、痛み以外にも、しびれや腫れ、発熱などを伴うことがあります。 肩の付け根の痛みに効果的な対処法 肩の痛みは、原因や痛みの種類によって適切な対処法が異なってきます。適切な対処をすることで、痛みの悪化を防ぎ、より早く回復できる可能性が高まります。 痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することで痛みを一時的に和らげることができます。 鎮痛剤は、痛みを感じる神経の働きを抑えることで痛みを軽減する効果があります。飲み薬タイプ、貼り薬タイプ、塗り薬タイプなど様々な種類があるので、ご自身の使いやすいタイプを選びましょう。胃腸の弱い方は、胃への負担が少ないタイプのものを選ぶと良いでしょう。 冷湿布と温湿布がありますが、痛みが強い急性期には冷湿布を使用し、痛みが慢性化している場合は温湿布を使用するのが一般的です。血流が良くなり、筋肉の緊張が和らぐ効果が期待できます。ただし、湿布薬を貼ったまま長時間放置すると、皮膚がかぶれたりする可能性があるので注意が必要です。 市販薬を使用する際には、用法・用量を守り、決められた量以上使用しないようにしましょう。また、他の飲んでいる薬がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談することをお勧めします。妊娠中や授乳中の方、持病のある方は、医師や薬剤師に相談してから使用してください。 これらの市販薬は、あくまで一時的な対処法です。 家庭でできるケア(ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法など) 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法などがあります。 ストレッチは、肩や首の周りの筋肉をやわらかくして、痛みを和らげ、腕の動く範囲を広げる効果が期待できます。入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。ただし、痛みがある時に無理にストレッチを行うと、逆効果となるので注意しましょう。 マッサージすることで肩や首の筋肉をほぐし、血液の流れを良くして炎症を早く治めようとしてくれます。炎症とは、痛いという物質が痛いところに溜まることなので、血流が良くなれば、悪い物質が流れてなくなるという原理です。肩甲骨を意識して、肩甲骨を上下左右に動かすようにマッサージすると効果的です。ただし、痛みが強い場合はマッサージを避け、炎症が落ち着いてから行うようにしましょう。 温罨法は、温めたタオルなどを肩に当てることで、血流を促し、痛みや炎症を鎮める効果があります。温罨法は、慢性的な痛みや、筋肉の張りが強い時に有効です。 冷罨法は、冷やしたタオルなどを肩に当てることで、痛みを和らげる方法です。痛みが強い急性期には冷罨法が適しています。 これらのケアを行っても痛みが改善しない場合は、医師と相談しましょう。特に、熱がある時や痺れが伴うときは要注意です。早いうちに受診することが重要です。 注射、リハビリテーション、手術など 問診、視診、触診、レントゲン検査などの画像検査によって診断をつけます。 痛みが強い場合は、注射によって炎症や痛みを抑える治療が行われます。ステロイド注射は強力な抗炎症作用があり、短期間で効果を発揮しますが、効果の持続期間は限られています。また、頻回に注射を行うと、副作用のリスクも高まるため、医師の指示に従って適切な頻度で注射を受ける必要があります。 肩関節が固くなって拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリを行い、関節の動きを改善していきます。運動療法は、多くの場合、手術と同等またはそれ以上の効果を示すことが報告されています。 肩の腱板断裂(損傷)では、痛みが強く日常生活が困難であるか、腕が上がらない時は手術が必要となります。近年では、関節鏡を用いた低侵襲手術が主流となっており、負担が少ない手術が可能です。しかし、整形外科医の間では、正直、肩の鍵盤の手術はできるだけしたくないものです。理由は、手術をしてもあまり痛みが取れなかったり、さらにわるくなる場合がよくあるのです。手術の後、肩の関節が固まってしまったり、縫合した腱板が再断裂する確率も高いのです。 そういった悩みを解決してくれたのは、実は再生医療なのです。入院、手術の必要がなく、手術よりも治療成績がいい。みなさんいいと思いませんか?こんないい話があるのか?と疑ってしまいますよね。私が、約10年再生医療に携わった結果、肩の再生医療には希望があると確信しています。ぜひこちらの動画をご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活での注意点(姿勢、運動、睡眠など) 日常生活では、できるだけ意識して、正しい姿勢を保つように心がけましょう。姿勢が悪いと、どうしても猫背になり、さらに症状が悪化してしまいます。デスクワークの方、パソコン作業が多い方は、1時間に1回程度は休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を5分でもいいので行うといいでしょう。 適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めます。ウォーキングや水泳など、肩に負担の少ない運動を継続して行うことが大切です。ただし、痛みがある場合は、早い目に医師に相談してから行うようにしましょう。 睡眠不足は、痛みや炎症を助長させる可能性があります。質の良い睡眠を十分に取るように心がけましょう。また、痛みが強い側の肩を下にして寝ないように注意することも大切です。抱き枕などを使用して、楽な姿勢で寝るように工夫してみましょう。 痛みの予防 痛みがあると、肩や腕はよく使うので、日常生活がとても苦痛になりますよね。私も診療で多くの患者さんを診ていますが、肩の痛みは放っておくと悪化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。肩が上がらなくなったり、夜も眠れなくなったり…想像するだけでも恐ろしいですよね。 ですが、肩の痛みは予防できるんです!適切な運動習慣、デスクワーク時の姿勢改善、ストレッチやマッサージ。これらのケアを意識的に行うことで、健康な肩を維持し、痛みを予防できる可能性が高まります。 適切な運動習慣 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。特に、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕の様々な動きをサポートする重要な役割を担っています。 実はこの肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩甲骨の動きを良くするおすすめの運動をいくつかご紹介します。 肩回し体操: 腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行いましょう。痛い時は、無理せず回せる範囲で行ってください。 肩甲骨はがし: 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。10回繰り返しましょう。これは肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。 腕立て伏せ: 肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えることができる非常に効果的な運動です。10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 また、適切な運動習慣を継続することで、肩甲骨の運動機能が改善され、肩関節疾患の発生リスクを低減できるという研究結果もあります(Ludewig PM and Reynolds JF. 2009)。 デスクワーク時の姿勢改善 長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする大きな原因となります。猫背の姿勢では、肩甲骨が外側に広がり、肩関節への負担が増加し、痛みが発生しやすくなります。 次のようなことを心がけるといいでしょう 背筋を伸ばし、顎を引く: 顎を引くことで、自然と背筋が伸びやすくなります。 肩の力を抜いてリラックスする: 肩に力が入っていると、筋肉が張ってしまい、どうしても痛みが出やすくなります。 目線は正面に向ける: 目線が下に向いていると、猫背になりやすくなります。 足の裏全体を床につける: 足の裏全体が床についていると、姿勢が安定しやすくなります。 肘は90度を維持する: 肘の角度が適切だと、肩への負担を軽減できます。 こまめに休憩をとる: 長時間同じ姿勢を続けると、逆に疲れが出て、痛みも増してしまいます。1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをする。 ストレッチやマッサージによるケア ストレッチやマッサージは、かなりの効果が見込めます。お風呂上がりなど、身体か温かい時に行うとより効果的です。 いつも私が外来で教えているストレッチを紹介しますね。以下のものがあります。 肩回し: 前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 首のストレッチ: 首をゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒します、それぞれ10秒間キープします。 腕のストレッチ: 片腕を胸の前に伸ばし、反対の手で肘を押さえて10秒間キープします。反対側も同様に行います。このストレッチは、肩周りの筋肉を柔らかくする効果があります。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。特に、肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛み予防に繋がります。 これらのケアを日常生活に取り入れ、肩の痛みを予防し、健康な肩を維持していきましょう。 まとめ 肩の付け根のズキズキとした痛み、不安になりますよね。その痛み、放っておくと悪化してしまうかもしれません。 この記事では、肩の痛みについてできるだけ、わかりやすく説明しました。自宅でもできる予防やストレッチ、治療法、そして予防策まで幅広く説明しましたので、参考にしてください。 市販薬や家庭でのケアで様子を見るのも一つの方法ですが、なかなか痛みが取れない時は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 また、日常生活での予防も重要です。正しい姿勢を保つ、適度な運動をする、ストレッチやマッサージを行うなどするように心がけましょう。肩の痛みを予防し、健康な毎日を送るためにも、この記事を参考に、ご自身の肩の状態に合ったケアを始めてみてくださいね。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Kibler WB, McMullen J. "Scapular dyskinesis and its relation to shoulder pain." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 11, no. 2 (2003): 142-51. Ludewig PM, Reynolds JF. "The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 39, no. 2 (2009): 90-104. "回旋腱板関連肩痛:評価、管理、そして不確定要素." Manual therapy 23, no. (2016): 57-68.
2025.02.04 -
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野球選手の肩の怪我で多い野球肩には種類があります!原因と最新治療法について メジャーリーグのドジャース山本由伸選手の肩の怪我は、最新の治療方法である「再生医療」で治療できる可能性が高いといえます。 投球やバッティングなど、腕の動作を繰り返す野球選手にとって「肩の怪我」は珍しいことではありません。 肩に問題を生じたら速やかに治療を開始する必要がありますが、どのような原因で、どのような症状を呈するのかについて知っておくことも重要です。 そこで、野球選手の肩の怪我の原因や症状、治療法について解説します。また、最近注目を集めている再生医療についてもご紹介します。 野球選手の肩の怪我は野球肩が原因の可能性が高い! 野球選手の肩の怪我の主な原因は「野球肩」によるものであると考えられます。 野球肩とは、野球の投球動作のように腕を大きく振る動作を繰り返すことにより、肩関節に関わる腱や筋、骨が損傷や炎症を起こしている状態の総称です。 そして、野球肩には種類があります。 野球肩の種類 腱板損傷 上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー) 動揺性肩関節症(ルーズショルダー) 肩甲上神経損傷 インピンジメント症候群 「腱板損傷」とは 肩の中にある筋肉の腱の複合体である腱板が損傷を起こしている症状で、日常生活における肩の痛みにより生活の質を大きく落とす可能性が高いです。 「上腕骨骨端線離開」とは 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 「肩甲上神経損傷」とは、 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、或いは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 「インピンジメント症候群」とは、 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 メジャーの山本由伸選手の肩の怪我は再生医療で早期回復を目指せる 野球選手の肩の怪我はさまざまで、その症状次第で適切な治療法は異なります。そして、概ね数週間から、長ければ年単位での肩の安静が必要です。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は有名野球選手も利用実績のある治療法であり、手術や入院を避けることができるため、体への負担が少なく、治療にかかる期間が短めであるというメリットがある治療法です。 肩の症状を早く改善し、スポーツへの早期復帰を目指せる可能性がある治療法として、画期的な方法です。最近非常に注目されています。 もしも、早くスポーツに復帰したいと考えるのであれば「再生医療」を検討してみる価値が大いにあります。 まとめ・野球選手の肩の怪我で多い野球肩の種類!原因と最新治療法について 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法を解説します 骨壊死とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなってしまった結果、骨の一部分が壊死してしまう病気です。ただ、怪我などの外傷による血管の障害や、アルコール、ステロイド使用者などに原因不明で生じることがあります。 この記事では、「骨頭壊死」と「骨壊死」のそれぞれについて解説し、重症度を決める分類方法やステージの内容について詳しく解説していきます。 骨壊死と骨頭壊死症 骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。代表的な部位としては、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節、肩関節についてはそれぞれ、大腿骨頭、上腕骨頭という部位があるので骨頭壊死という病名がつきますが、膝関節は骨頭という部位がないので骨壊死という病名となります。 大腿骨頭壊死の原因と重症度分類 大腿骨頭壊死の原因 股関節を構成している大腿骨頭を栄養している血管が障害されることによって生じます。 原因不明の特発性と股関節の骨折や脱臼などの外傷、放射線治療、潜函病などによって発症する場合があります。 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である特発性骨頭壊死では壊死の範囲によって重症度分類がありType A~Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きく、大腿骨頭が潰れてしまうリスクが高くなりType Aが軽症でCになるとより重症となります。Type CはさらにC-1とより重症なC-2に分けられます。 それぞれの内容(基準)について解説します。 特発性骨頭壊死、重症度分類(基準) Type A:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重がかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重がかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 初期には壊死部分が潰れていき、進行すると軟骨がすり減ることによって「変形性関節症」になってしまいます。ステージは1〜4に分けられるので、それぞれについて簡単に解説します。 大腿骨頭壊死の進行度についての分類 ステージ1:レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる場合 ステージ2:レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない時期 ステージ3:骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている時期 ステージ4:軟骨がすり減り、変形性関節症となっている時期 これらの重症度、ステージ分類とご本人の年齢や社会生活の状況、希望などを考慮して治療方針が決定されます。 軽症なタイプであれば保存治療で治る方もいますが、重症なタイプや末期のステージでは手術を要する場合もあります。 上腕骨頭壊死について 次に上腕骨頭壊死について解説してまいります。 上腕骨頭壊死の原因 肩関節を構成している上腕骨頭という部分を栄養している血管が障害されることによって骨が壊死してしまう病気です。 原因は、「外傷性」と「非外傷性」に分けられます。外傷性には上腕骨の骨折、脱臼などがあり、非外傷性にはステロイドの使用やアルコール、鎌状赤血球症、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患などがあります。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 病型の分類にはCruess分類が最も使われています。 上腕骨頭壊死に対する治療法は、このステージ分類、壊死の範囲、患者の年齢、症状、全身の健康状態などの要因によって決まります。保存治療で治る方もいますが、進行してステージ末期になると人工関節が必要となる場合もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる場合 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める段階 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている場合 膝関節骨壊死について ここからは、膝関節の骨壊死ついて記してまいります。 膝関節骨壊死の原因 膝関節の骨壊死も同じように、何らかの原因で骨が壊死してしまう病気で、膝関節では大腿骨側によく起こります。 高齢の方によく起こりますが、変形性膝関節症などの膝の痛みと比べて安静にしていても痛みが強いことが特徴です。 原因はまだはっきりとわかっていませんが、肥満やステロイド薬の使用の他、軽微な骨折が原因となる場合もあります。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 いくつかのステージ分類が提唱されていますが、代表的なものを1つ紹介します。 膝関節骨壊死のステージ分類 ステージ1:レントゲンで異常がみられない時期 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられるもの ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいるもの ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている時期 骨壊死に対する治療法・保存療法から人工関節置換術へ いずれの骨壊死でも、初期の段階では異常が見つからない場合があります。 しかし、症状が進行すると壊死した部分が潰れてしまい、結果として変形性関節症を起こしてしまいます。関節が変形してしまうと、保存治療の効果は限られているので、基本的には「人工関節置換術」が選択されます。 人工関節を避ける再生医療 しかし、最近では手術に至らないようにする治療として「再生医療」があります。再生医療は導入されたばかりの最新の治療法であり、ご自身の細胞から培養した幹細胞などを直接関節内に投与することで組織の修復を促します。 それによって骨や軟骨の再生が起こり、症状がよくなる可能性があります。 https://youtu.be/ic_6QaEU5NU?si=p8rKJMhU5cjRfNE6 ▶当院は再生医療の専門院です。治療について詳しく知りたい方は動画をご覧ください。 骨壊死についてQ&A 普段、 骨壊死について患者様からよくお聞きする質問から以下を抜粋しました。 Q . 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 A . 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なので、飲まないことはおすすしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けることができます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送ることが予防に必要と言えるでしょう。 Q . レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 A . 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないことがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRIでは早期に病気を見つけることができます。 痛みが強く心配な場合はMRIなどの精密検査について担当の医師と相談することをおすすめします。 まとめ・骨壊死、骨頭壊死|重症度の基準とステージ分類、治療法について 骨壊死は骨を栄養している血流が途絶えることによって発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 大腿骨頭や上腕骨頭、膝関節によく起こり、初期のレントゲンでは異常がみつからない場合がほとんどです。放置して症状が進行すると骨切り術や、人工関節などの手術が必要になりますが、最近では骨や軟骨の再生を促す再生治療も行われ始めています。 手術に至らないようにするためにも早期に病院で診断してもらい、治療について医師と相談していくことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にして下さい 参考文献 https://www.cancertherapyadvisor.com/home/decision-support-in-medicine/shoulder-and-elbow/osteonecrosis-of-the-humeral-head/ https://radiopaedia.org/articles/cruess-classification-of-humeral-head-osteonecrosis https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562286/
2023.10.02 -
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
主に野球に取り組むアスリートに多く見られる、インピンジメント症候群。 肩の痛みや違和感などを引き起こし、投球や送球動作に大きな影響を与えます。 特徴として、完治までに数カ月単位の時間がかかる点があげられるでしょう。 発症してから競技復帰するまで、相当長いリハビリ期間を取る必要があります。 しかし、「リハビリの方法がわからない」「少しでも早く治したい」と考えている人も多いでしょう。 本記事ではインピンジメント症候群発症時のリハビリ方法を詳しく解説します。合わせて、予防法も解説しているので参考にしてください。 インピンジメント症候群のリハビリの目的と有効なストレッチ 野球やバトミントンなどオーバーヘッドスポーツで生じやすいインピンジメント症候群。 投球動作で肩に痛みが生じる、いわゆる「野球肩」の一種として知られています。 インピンジメントとは「衝突」の意味で、インピンジメント症候群は、肩の関節を構成する骨同士が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれたりして痛みが生じる状態です。 インピンジメントを引き起こす原因はさまざまで、原因に合わせたリハビリの実施が必要です。 今回は、インピンジメント症候群の具体的なリハビリ方法について解説します。 インピンジメント症候群のリハビリ目的 肩の関節は、背中にある肩甲骨と腕の骨である上腕骨、鎖骨によってできています。 上腕骨の先端にある球状の上腕骨頭(じょうわんこっとう)が肩甲骨のくぼみにはまるように作られる肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ)が、一般的に肩関節と呼ばれる関節です。 インピンジメント症候群は、以下のような要因で、肩関節の正常な動きが妨げられるため生じます。 関節周辺の組織が固くなり上腕骨頭の位置がずれる 猫背になり肩甲骨の動きが悪くなる 筋力が低下して上腕骨頭が正常とは異なる動きをする これらの要因を改善して、インピンジメントを生じさせない動きを取り戻すのがリハビリの目的です。 また、リハビリでは、インピンジメント症候群により生じた炎症の回復を補助する目的も含まれます。 次からは具体的なリハビリの内容を紹介します。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|炎症への対応 肩を動かさなくても痛みがでる場合や、夜間に痛みがでる場合は、インピンジメントにより肩周辺の組織に炎症が生じている可能性があります。 そのような状態では、積極的な運動よりも、炎症や痛みを和らげる対応が優先されます。 そのため、肩のアイシングや安静時のポジショニング(肩の位置の調整)をおこない、肩にかかるストレスを軽減させるのが大切です。 ポジショニングは、肩や肘の下にタオルなどを入れて痛みがないポジションを作ります。 振り子運動 また、運動では振り子運動により、自重を使った関節の運動を実施して、肩への負担をかけないようにします。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|猫背を改善するリハビリ 猫背になると、肩甲骨の動きが妨げられるため、正常な肩関節の動きが生じずに、インピンジメントを引き起こしやすくなります。 肩の痛みがあり肩関節を動かしにくいときでも、猫背を改善するリハビリは、肩関節を動かさずに実施できるため、積極的に取り組みましょう。 具体的な方法は以下の通りです。 ストレッチポールでのストレッチ ストレッチポールの上に仰向けで寝て、胸を開いて背中をストレッチします。 cat & dogストレッチ 四つ這いで背中を丸めたり、反らしたりする「cat & dog」の運動もおすすめです。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|肩関節の動きを改善するリハビリ インピンジメントを起こす原因の1つが、肩の関節周辺にある組織の柔軟性低下です。 とくに肩の後ろの組織が固くなると、上腕骨頭が前方にずれてしまい、正常な肩関節の運動ができません。 その結果、インピンジメントが生じやすくなります。 そこで、肩の後ろで関節を覆っており、動きの制限になりやすい後方関節包(こうほうかんせつほう)のストレッチを紹介します。 クロスボディストレッチ 1つ目の方法は座った状態または立った状態でおこないます。 具体的な方法は以下の通りです。 1, 痛みのある方の腕を肩の高さまで上げる 2, 反対の手で肘を掴んで体の内側に引きよせる 3, 肩の後ろが伸ばされるのを確認しながら30秒キープする 痛みがある場合は無理をしないようにしましょう。 スリーパーストレッチ 2つ目の方法は横向きに寝て行うストレッチです。 具体的な方法を解説します。 スリーパーストレッチ 1, ストレッチする方の肩が下になるように横向きに寝る 2, 腕を肩の高さに合わせるように脇を開く 3, 肘を直角に曲げて前腕を立たせる 4, 反対の手で立てた前腕をゆっくり内側に倒す 5, 限界まで倒した状態で30秒キープする 強く抑えるように倒すと痛みが出やすいので、ゆっくり力を入れずに倒しましょう。 インピンジメント症候群のリハビリとストレッチ|腱板機能を改善するトレーニンング 腱板(ローテーターカフ)は、肩甲骨と上腕骨をつなぐ以下の4つの筋肉をまとめた呼び方です。 腱板とは 棘上筋(きょくじょうきん) 棘下筋(きょくかきん) 肩甲下筋(けんこうかきん) 小円筋(しょうえんきん) 肩関節をおおうように位置しており、肩関節を安定させて、スムーズに動かせるようにする役割を持っています。 そのため、腱板をうまく使えないと、肩関節が不安定になり、正常な関節の運動ができず、インピンジメントを引き起こします。 そこで、腱板の機能を改善するリハビリを紹介します。 棘上筋トレーニング 腱板の1つである棘上筋のトレーニングを紹介します。 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す 負荷をかける場合は、500mlのペットボトルやチューブを使用しましょう。 腱板は関節を安定させるインナーマッスルですので、負荷は軽めにして20〜30回を目安に3〜4セットおこないましょう。 1セット15回として、3〜4セットほどおこないましょう。 チューブがあるなら、以下の棘上筋トレーニングも導入できます。 1, 鍛えたい方の手でチューブを握る 2, 鍛えたい方の手と逆の足でチューブを踏んで固定する 3, 3〜5秒かけて、肘を伸ばしたまま、チューブを持ち上げる 4, 3〜5秒かけて、元の場所に戻す 1セット15回として、3〜4セットほどおこないましょう。 スピードを上げると効果が落ちるので注意してください。 棘下筋・肩甲下筋トレーニング 棘下筋と肩甲下筋は、お互い対照的な働きをする筋肉です。 そのため、棘下筋のトレーニングと反対の動きをすると肩甲下筋のトレーニングになります。 1, 腕を体の横につけて、親指が上になるようにする 2, 肘を伸ばしたままで、体から腕が離れるように上げる 3, バレーボール1個分程度まで上げた後で元に戻す 脇を開くと、ほかの筋肉が働いてしまうため、棘下筋、肩甲下筋のどちらのトレーニングでも、脇を開かないように注意しましょう。 棘下筋トレーニングと同様、チューブなどを使い、軽めの負荷で、頻度を多くおこないましょう。 1〜2kgのダンベルがあれば、以下のトレーニングも実施できます。 1, 体の側部を床につける形で寝転がり、膝と背中を曲げる 2, 鍛えたい方の腕の肘をつけて、下腕を地面に対して垂直の角度で曲げる 3, ダンベルを持ち、胸の近くまで持ち上げる 4, ダンベルが床につく手前まで下げる 3と4を15回繰り返すのを1セットとし、3〜4セットおこないます。 とくに肩甲下筋を鍛えたいときは上記のトレーニングがおすすめです。 まとめ:インピンジメント症候群の改善には地道なリハビリとストレッチが重要 インピンジメント症候群は肩の柔軟性低下や腱板機能の低下、悪い姿勢によって、正常な関節の運動ができないことで生じます。 そのため、リハビリにより、原因となっている部分を改善して、肩関節の正常な運動を可能にする必要があります。 本記事では、原因ごとに基本的なリハビリ方法を紹介しました。 より効果を高めるためには、整形外科を受診して、医師や理学療法士などの専門家による指導を受けましょう。 また完治には数カ月単位の時間がかかるため、地道にリハビリに取り組む姿勢が重要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ ▶治療方法の選択肢のひとつとして、こちらの動画も是非ご覧ください。 https://youtu.be/B4Vx0of7CsE?si=ypxnq2LyGBRckfpx ▼肩のスポーツ障害、ゴルフ肩に関して解説しています ゴルフ肩(スイングショルダー)とは?その原因と治療法 ▼インピンジメント症候群の原因や症状を解説 野球肩|インピンジメント症候群とは、その原因、症状と治療法 インピンジメント症候群に関するQA 本記事ではインピンジメント症候群に関して解説しました。ここではよくある質問に回答します。 インピンジメント症候群はどれくらいで治るか 再発を防止するにはどうすれば良いか インピンジメント症候群に効くツボはどこか それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 インピンジメント症候群はどれくらいで治るか リハビリと保存療法をおこなう限り、十分に改善されるまで2カ月ほどかかります。 ただし症状が重篤な場合、さらに時間がかかるかもしれません。 また3カ月以上経っても十分な改善が見られない場合、手術などを検討します。 いずれにせよインピンジメント症候群の治療には時間がかかるため、焦らず着実にリハビリを進めるのが重要です。 再発を防止するにはどうすれば良いか インピンジメント症候群を予防するには、以下のポイントをおさえます 医師の指示のもと、投球、送球のフォームを見直す アイシングや休息を十分におこなう 入念なウォームアップやクールダウンを習慣づける 肩周りの筋肉を鍛え、剛性を保つ ストレッチを習慣づけて、柔軟性をつける 医師の指示のもと、上記の実施を目指しましょう。 また再発防止にはチームやトレーナーの協力も欠かせません。 状態を共有し、再発の要因となるトレーニングは避けるなどの配慮をおこないましょう。 インピンジメント症候群に効くツボはどこか インピンジメント症候群に効くツボとして以下が挙げられます。 肩髃(けんぐう)/肩甲骨の端、肩峰のやや前下方 肩井(けんせい)/首のつ付け根と肩先の中間 肩髃や肩井を指圧すれば症状が改善する可能性があります。 しかしツボを刺激してインピンジメント症候群を治す試みは一般的ではなく、効果の程度もよくわかっていません。 ツボの指圧よりも、一般的なリハビリや保存療法に集中するのを推奨します。
2023.03.24 -
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競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、手術や入院なしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 肩が痛む時に診断される病気として、「五十肩(四十肩)」と「腱板断裂」とがあります。 『なんだか最近肩が痛いな、年齢のせいかな』『最近肩を動かし過ぎたせいかな』『時間が経てばそのうち治るかな、様子をみよう』などと考え、五十肩(四十肩)だろう…と思って放置していると、実は腱板断裂で治療が必要な状態ということもあります。 そこで、腱板断裂と五十肩はどう違うのかについて比較していこうと思います。 ちなみに「四十肩も五十肩も基本的に同じ」ものです。この名称は、40代〜50代で発症することが多いため、四十肩または、五十肩という名称で呼ばれています。 五十肩(四十肩)とは?!(肩関節周囲炎) 年齢を重ねると肩の動きが悪くなって、手をあげる時や、髪の毛を洗う時などに肩が痛みを感じたり、肩の動きが悪くなったり、肩が強張ることがあります。これを世間では四十肩・五十肩と言いますが、『肩関節周囲炎』という診断名が正式名称です。 原因は、『四十』『五十』と言う文字の通り、加齢による影響と、過度に肩を使ったりした際の過労と言われています。それらの原因が、肩関節を構成している骨や軟骨、靭帯、腱などを痛めて肩関節の周りの組織に炎症を起こすことが原因と言われています。 四十肩で動きが悪くなる原因としては、肩関節の動きをよくするための袋(肩峰下滑液包)や関節を包み込んでいる袋(関節包)が、『くっつくこと』と言われています。 四十肩は、世間でも『そのままにしておいても時が来れば治る』と考えられているように、自然に治ることもあります。しかし放置しておくと、先ほど述べたような関節の周りにある『袋のくっつき』が強くなって余計に動かしにくくなることもあるのです。 そのため、症状の進行に合わせて様々な治療を用いることがあります。三角巾などで安静を保つことも治療法の一つです。また、炎症をおさえる薬を使用することもあります。 炎症をおさえる薬は内服をしたり、肩に注射をしたりします。その他には、温めたり、入浴などといった温熱療法を行ったり、関節がかたくなるのを予防したり、筋肉をつけたりといったリハビリが治療のために必要なこともあります。しかし、これらの治療でよくならない時は手術が必要なこともあります。 腱板断裂とは 腱板断裂も中年以降の肩の病気として有名です。腱板断裂はその診断名が表しているように『腱板』が『断裂する=切れて裂ける』病気です。 四十肩と異なり肩の関節の動きが悪くなることは少なく、肩をあげることは可能であることが多いですが、肩の運動痛、肩の夜間痛といった症状は多いと言われています。 腱板断裂で病院に来る患者さんの理由としては、夜も肩に痛みがあり眠れないというのが、いちばん多いようです。また、肩をあげる時に肩の前で『ジョリジョリ』という音が聞こえるという症状がみられることもあります。 腱板断裂の原因としては外傷のことは少なく、はっきり原因がないのに、日常生活の中で少しずつ断裂が起きていくと言われています。利き腕に多いと言われているので、肩を過度に使い過ぎることも原因の一つなのではないかと言われています。 腱板断裂の治療については、三角巾を用いて安静を保つことが大事です。1週間から2週間を安静で保つことで70%は改善するとも言われています。また、肩にヒアルロン酸や副腎皮質ホルモンの注射を打ったりすることもあります。それらの症状で改善しない時は手術が適応となることもあります。 手術では関節鏡という機械を使用して行うものと、直接切って開いて行うものとあります。 関節鏡を用いる手術の方が、傷口は小さく、手術の後の痛みも少ないです。しかし、断裂が大きくなると、縫うことが、関節鏡による手術では難しくなり、直接切り開く方法を取られることが多いです。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い 腱板断裂と四十肩は非常に似ています。症状も似ていますし、発症する年齢もどちらも四十代〜五十代の中年世代が多いです。 腱板断裂と五十肩では何が違うのか 自分でわかる範囲内の症状としては、先ほど触れたように『腱板断裂は四十肩に比べて、肩の動きが悪くなることが少ない』『腱板断裂は四十肩に比べて夜間の痛みが多い』『腱板断裂ではジョリジョリという音が聞こえる』と言った程度でかなり似ています。 診断の場面でも、身体診察だけではどちらの疾患かわからないことが多いのです。そこで実際の診療では、腱板断裂、四十肩どちらも、レントゲンやM R Iを行って診断していきます。 腱板断裂ではレントゲンを撮影して、肩峰という骨と骨頭の間が狭くなっていたりします。 また腱板断裂ではM R Iを撮影すると骨頭の上が白く光ったりします。一方で、四十肩を診断する時は、レントゲンやM R Iなどで、このような所見がないことを確認することが大事と言われています。 まとめ・腱板断裂と五十肩(四十肩)はどう違うのか 何度も述べているように、自分でわかる症状では腱板断裂と四十肩はかなり似ています。『四十肩と思って放置していたら、実は腱板断裂だった』『症状がどんどん悪くなっていってしまい治療が遅れた』『治療が遅れたため、なかなか良くならずに手術が必要になってしまった』などのことはよく耳にします。 腱板断裂と四十肩は症状が似ていても、別々の病気です。自分の判断でどちらかと決めずに、手遅れになる前に、症状が出た際は早めに専門科に相談するのが良いでしょう。 以上、腱板断裂と四十肩はどう違うのかについてご説明させて頂きました。参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で腱板損傷を治療する 腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらもご参考にしてください 五十肩・四十肩の腕を上げると肩関節が痛む症状におすすめの治療法
2022.06.10 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「肩が痛くて夜眠れない……」 「肉体労働をしているから早く症状を改善したい」などと悩んでいませんか。 その症状、石灰沈着性腱板炎の可能性があります。 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や発症原因、治療法などを解説します。 「できる限り早く改善したい」と考えている方は、治療までの期間も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。 石灰沈着性腱板炎とは 石灰沈着性腱炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)とは、筋肉や腱にカルシウムが沈着して起こる病気です。 石灰沈着性腱板炎に発症するのは、40〜50代の女性が多く、女性ホルモンが関係していると言われています。 部位的には体のどこにでも起こる可能性がありますが、通常は「肩の腱板」で起こる症例が多く「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 腱板は、上腕を肩につなぐ筋肉と腱の集まりです。 腱板にカルシウムが蓄積すると、腕の可動域が制限されるだけでなく、激しい痛みも生じるようになります。 石灰沈着性腱板炎の症状 石灰沈着性腱板炎の症状は主に、ひどい肩の痛みに伴って腕を動かせなかったり、眠れなかったりする方がいます。 石灰沈着性腱板炎の痛みは夜間に突発的に生じるケースが多いため、痛みで起きてしまうこともあります。 なお、石灰沈着性腱板炎の症状には、出現時期によって特徴や痛みの感じ方が異なるため、以下の表で詳しくまとめました。 時期 出現時期(発症後) 痛みの特徴 急性期 1〜4週間 ・針で刺されたような痛みがある ・安静にしていても痛む ・日常生活がままならない方もいる 慢性期 6カ月〜 ・特定の動きをする際に筋肉痛のような痛みがある ・後ろに手を回せない 上記のように、悪化すると痛みで腕を動かせない、髪をとかす、洗濯物を干すなどの腕を上げる動作で痛みを伴うケースもあります。 石灰沈着性腱板炎の原因 石灰沈着性腱板炎が発症する主な原因は、肩の使い過ぎとリン酸カルシウムの結晶化です。 それぞれ石灰沈着性腱板炎が発症する原因を、詳しく解説していきます。 原因1:肩の使い過ぎ 石灰沈着性腱板炎は、肩に負担のかかる動作を頻繁にしていると起こりやすい病気です。 重い荷物を持ち上げたり、野球やテニスのようなスポーツをしていたりする方は石灰沈着性腱板炎が生じやすい傾向にあります。 学生時代に野球やテニスをしており、社会人になっても続けている方は、腱板への負担が大きくなるため注意が必要です。 日常生活での洗濯やパソコン作業でも、肩にストレスがかかります。また、加齢に伴う腱の柔軟性の低下も発症しやすくなる要因です。 肩の使い過ぎではなく、加齢による痛みを疑っている方は、以下の五十肩・四十肩に関する記事もあわせてご覧ください。 原因2:リン酸カルシウムの結晶化 石灰沈着性腱板炎が発症する原因の1つに、腱板へのリン酸カルシウムの沈着があります。 ただし、なぜリン酸カルシウムの沈着が起こるかはまだ解明されていません。 リン酸カルシウムの結晶は、最初はミルク状ですが、徐々に歯磨き粉のような状態を経て、最終的に硬く大きくなります。 なお、リン酸カルシウムの沈着は、遺伝的素因や糖尿病などの代謝性疾患に伴うと知られています。 石灰沈着性腱板炎の診断方法 石灰沈着性腱板炎の診断方法はまず、腕を上げたり、腕を回したりして、可動域の制限を確認します。可動域制限の診察終了後、カルシウムの沈着やその他の異常がないか調べるために、画像検査を行います。 超音波検査を利用するケースもあり、X線検査では見逃された小さな沈着物を見つけ出せるのが特徴です。 石灰化した沈着物の大きさや場所を正確に評価するためにCT検査を、腱板断裂が合併していないか確認するためにMRI検査をする診断方法もあります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎の治療法と予後 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、手術をせずに治療できます。 ここからは石灰沈着性腱板炎の治療法と、予後について解説していきます。 薬物療法 石灰沈着性腱板炎の薬物療法では、炎症や痛みの緩和を目的に、以下の薬を処方しています。 薬ごとの種類や特徴は以下の通りです。 薬の種類 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ・薬物療法の第一選択肢 ・炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる ・ロキソニンやボルタレン、湿布などが該当する ・痛みが軽度なら内服薬、重い場合は外用薬が適用されるケースが多い 鎮痛剤 ・非ステロイド性抗炎症薬では痛みがある場合に処方される ステロイド薬 ・痛みに対する強めの薬 ・肩への局所麻酔するケースもある ・長期使用は腱を弱める可能性があるため要注意 理学療法(リハビリ) 薬物療法で痛みに十分対処したのち、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法(リハビリ)をおこないます。 リハビリの種類 詳細 ストレッチ ・肩の可動をスムーズにするため実施 ・実施しないと肩の動きが制限や痛みが発生しやすい 筋肉トレーニング ・肩周辺の関節や筋肉強化が目的 ・関節の安定につながり再発予防が期待できる 運動療法 ・ボールやタオル、ゴムバンドなどを使った運動 ・日常生活の動作をスムーズにさせるために実施 手術をしない場合は、肩の動きを回復するために穏やかなリハビリを行います。振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われているリハビリです。 時間をかけて、アイソメトリック運動や軽い負荷をかけた運動などを行う場合もあります。 リハビリについては、以下の記事で具体的な方法を紹介しているので、あわせてご覧ください。 注射療法 石灰沈着性腱板炎の注射療法は、薬物療法や理学療法で改善されなかった場合に検討される治療法です。直接的に肩へ注射する治療法のため、高い効果が期待できる反面、長期的な使用には注意が必要です。 注射の種類 詳細 ステロイド注射 ・痛みに対する強めの薬 ・即効性はあるがステロイド薬同様、長期使用する上で注意が必要 ヒアルロン酸注射 ・肩の関節の可動域をスムーズにしたいケースでおこなう 局所への注射だけでなく、急性期にミルク状のリン酸カルシウムを吸引するケースもあります。肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去できます。 針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながらおこなうケースもある治療法です。 手術療法 薬物療法や理学療法などで石灰沈着性腱板炎の改善が見られない場合は、リン酸カルシウムの沈着物を除去するための手術が治療法として挙げられます。とくに慢性期で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要となります。 手術では、関節鏡手術を実施しており、術後1週間以内には日常生活に復帰できるケースが大半です。 しかし、痛みが続いて日常生活が制限される場合もあります。術後の完全回復に向けてリハビリを実施しますが、患者様によっては3カ月以上かかる可能性もあるのです。 石灰沈着性腱板炎の予後 石灰沈着性腱板炎は痛みを伴うことがありますが、早期に治癒しやすい病気です。 最終的に自然に消失する傾向はあるものの、治療せずに放置すると合併症を引き起こす可能性もあります。 石灰沈着性腱板炎の合併症には、腱板断裂や四十肩などを含みます。 早期の治癒に向け、適切な治療を施していきましょう。 石灰沈着性腱板炎には再生医療が1つの選択肢になる 石灰沈着性腱板炎の治療は、再生医療で改善が期待できます。 従来の治療法では、10%の方が手術をしなければならず、痛みを抑えるためにおこなっても、傷跡が気になる方がいるでしょう。 最近では手術をしない治療法である再生医療を選ぶ方もいます。再生医療は、体への負担が少ない治療法のため、石灰沈着性腱板炎を含めた病気で実施されています。 石灰沈着性腱板炎の治療において、従来の保存療法や手術療法に加えて、再生医療も治療の選択肢の一つとして挙げられます。 再生医療では、患者様自身の幹細胞を用いて、組織の修復を促す治療を行います。この治療法は手術のように大きな切開を必要としないため、体への負担が比較的少ないことが特徴です。 再生医療について興味がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎かも!?|肩の痛みが続く場合は適切な診断を 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や原因、治療法などを解説しました。 石灰沈着性腱板炎は腱板断裂や四十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていない方もいます。 仮に、肩の痛みがなかなか治らない、肩の痛みの原因を知りたいなど、肩の痛みにお悩みの方は、無理をせず医療機関を受診しましょう。 治療の選択肢としては、薬物療法や手術の他に再生医療という選択肢もあります。 再生医療の診療を行う当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎に関するよくある質問 石灰沈着性腱板炎がコーヒーと関係するのは本当? 石灰沈着性腱板炎とコーヒーは、直接的な因果関係については現状、証明されていません。 「普段コーヒーをよく飲むから不安…」と感じる必要はありません。 しかし、コーヒーをミルクと混ぜて飲む方はリンを多く含んでいるため、以下の食品も含めて注意しましょう。 カップラーメン 冷凍食品 食品添加物を含む食品 食事の内容が直接関係していなくても、なるべくビタミンやCやEが豊富な野菜・果物の摂取が推奨されています。 石灰沈着性腱板炎になった場合は仕事を休む必要があるの? 石灰沈着性腱板炎になった場合、痛みが激痛であれば仕事を休むのがおすすめです。とくに肩を使う動きの多い肉体労働をしている方は、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。 治療法や個人の回復力にもよりますが、2〜3カ月の休業が伴うケースがあります。しかし、長期の休業は経済的な負担がかかるものです。 長期休業になるため、医師の診断書をもとに休業補償を受けられるか、会社に確認しておきましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。 事前に相談しておきたい方や治療の流れなどが気になる方は、気軽にご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 石灰沈着性腱板炎はどのくらいで治る? 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、薬物療法で改善しています。 薬物療法や注射療法を実施して、約3カ月で改善される方もいれば、4年経過しても痛みが残ったケースもあります。(文献1) なかには、痛み止めの内服で2週間程度で改善される方もいるため、治療期間は人によって異なると把握しておきましょう。 参考文献 (文献1) Wolk T, Wittenberg RH. Calcifying subacromial syndrome: clinical and ultrasound outcome of non-surgical therapy. Z Orthop Ihre Grenzgeb. 1997;135(5):451-457. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9446439/ ▼肩が痛む症状についてこちらのご覧ください
2022.06.06 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 五十肩について、そもそも「五十肩(四十肩)」という言葉は、正式な病名ではなく、ぎっくり腰などと同様に日常会話で用いられる俗称です。 五十肩(四十肩)になると、肩甲骨と上腕骨で構成されている肩関節部に痛み症状が出現するため、腕を色々な方向に挙上するような動作が難しくなり、特に肩関節を外側に回旋させる際には強い疼痛※を自覚することになります。この状態になると、ただ肩に痛みがあるだけでなく、普段なら簡単に行えるような動作が難しくなり、日常生活に支障をきたして不便を感じる場合も少なからず存在します。 今回は、この「五十肩(四十肩)」とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ※疼痛:医学用語で「痛み」のこと 五十肩(四十肩)の原因 五十肩(四十肩)は、肩関節にある腱板組織が損傷して関節包領域まで炎症が広がることによって発症すると考えられています。その背景には、加齢に伴って筋肉や腱などの筋骨格系組織における柔軟性や伸展性が失われて健常に動作できなくなることが原因と考えられていますが、実際には本疾患の明確な原因は判明していないところが本当です。 一般的に五十肩(四十肩)は、「肩関節周囲炎」と言われることが多いのですが、詳細には腱板組織に炎症が起こる「腱板炎」や、上腕二頭筋の一部に炎症が認められる「上腕二頭筋長頭腱炎」、あるいは腱板疎部と呼ばれる肩前方部位に炎症が惹起される「腱板疎部炎」も含まれています。 五十肩(俗称)の正式な病名 肩関節周囲炎 腱板炎 上腕二頭筋長頭腱炎 腱板疎部炎 五十肩(四十肩)の症状 五十肩(四十肩)における典型的な症状としては、肩関節や上腕部を真上に挙上(上げる)する、腕を背中に回す、肩を開いて回旋させるときに全方向への動作で痛みが出て、可動域が制限されることを自覚します。 特に初期段階から肩の痛みが出現しやすいのが肩の前方部に位置する腱板疎部と呼ばれる部位であり、五十肩(四十肩)を罹患した直後では肩関節の前方部分に疼痛症状を自覚するケースが多いと言われています。 また、五十肩(四十肩)では「炎症期、凍結期、回復期」とい3段階の順で症状が変動していくと考えられており、最初は強い炎症に伴う痛み症状を認めたのちに肩関節の拘縮症状が引き起こされ、次第にその拘縮具合も軽快していくとされています。 典型的な症状の進行 炎症期 凍結期 回復期 一方で、このような3段階にわたるといった典型的な症状様式に進行していくケースは必ずしも多くないとも推察されます。 個々の事例によって初期から痛みが強くない場合もあれば、強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合もあります。また、特に対策を行わずとも自然に、数ヶ月の単位で症状が改善する場合があったり、その反対に年単位で症状に苦悩されるといったケースもあります。 症状は様々 初期から痛みが強くない場合 強度の拘縮所見を呈して日常生活に支障をきたす場合 自然に数ヶ月単位で症状が改善する場合 年単位で症状に苦悩される場合 五十肩(四十肩)おすすめの治療方法 ここからは、「五十肩(四十肩)に対する治療」「治し方」について解説してまいります。 まずは、肩関節部の強い痛みによって夜も眠れない、或いはほとんど肩を動かせない状態と判断された場合には、その強い炎症を鎮めるために消炎鎮痛剤などの薬物を服用することをお勧めすることになります。 具体的には、炎症を抑える作用があるステロイドを主に肩関節内に関節注射として投与する、あるいは副作用がそれほど強くない非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み薬として投薬することが多いです。 肩関節部の強い炎症がある程度落ち着いて痛みといった症状が比較的改善された段階になり、肩関節の可動域制限が認められた場合、肩が拘縮した状態を改善させるために、リハビリテーションを実践することになります。 これらのリハビリテーション加療を実施しても、どうしても可動域が改善せずに疼痛症状がしつこく付きまとってくる場合には、関節鏡下授動術と呼ばれる内視鏡を用いた比較的低侵襲な手術を検討することになります。 肩関節部の可動域が悪化している原因は炎症に伴って癒着して肥厚した関節包であると考えられていますから、関節包の状態を実際に観察しながら電気メスで患部を切開することで、術後には肩関節の可動域がほぼ正常範囲まで改善することが期待されます。 五十肩の治療 痛み:炎症を抑える関節内注射や、消炎鎮痛剤の服用 痛みが治まればリハビリの実施 リハビリで改善しない場合、手術が選択肢となる まとめ・五十肩・四十肩|腕を上げると肩が痛む症状、原因と治療法について 今回は、五十肩(四十肩)とはどのような病気なのか、五十肩を発症すると多くの場合、痛くて、ある一定の限度以上に上げることができなくなります。 そんな場合の原因、症状、おすすめの治療方法や治し方について詳しく解説してきました。 一般的に、年齢を重ねるごとに誰しも肩関節が昔のようにスムーズに動作できなくなり、関節痛を覚えることがあるかと思いますが、このような症状を呈する状態を「五十肩(四十肩)」と呼んでいます。 本状態における特徴的な所見として、肩関節部の痛みと共に肩を挙上する、あるいは水平に保つ動作をするのが困難となるため、洗濯物が干しづらくなる、もしくは背中のファスナーが開けられないなど日常生活に支障が出現します。 もしも、普段の生活で肩を動かした際に痛みを覚える、以前のようにスムーズに腕を背中側に回せない、肩が挙上しにくいなどの症状を自覚している人は、症状が悪化する前に専門医療機関を受診してご相談されることをお勧めいたします。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肩の痛み、以下も参考にされませんか 石灰沈着性腱板炎とは、肩が痛む原因と症状、治療法について
2022.05.25 -
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肩の痛みで疑うべき病気の種類|検査方法、治療とは 肩の痛みは、肩関節疾患を抱えた患者さんの自覚症状として最も多いと言われています。肩が痛む患者さんを診察する際には、いつから、どのような動作で、どこが、どう痛むかなど具体的に詳しく問診したうえで診察や検査を進めます。 その上で疼痛といった症状の原因となる疾患を診断し、確実な治療に結び付けることが大切になります。そこで、今回は、肩の痛みで疑うべき疾患とは何なのか、それらの病気に対する検査および治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説してまいります。 肩の痛みで疑うべき肩の病気 一般的に肩の痛みを引き起こす関連疾患は整形外科でも色々な可能性が挙げられますが、広く知られている代表的な病気は、「肩関節周囲炎(別名:五十肩)」、「肩蜂下インピンジメント症候群」、「腱板断裂」といた3つの病気です。 1.肩関節周囲炎 肩関節周囲炎という疾患は、40~60歳代の中高年齢層でよく経験されるいわゆる「五十肩(四十肩)」と呼ばれている状態のことを指しており、この病気は特に誘因になるような契機がないものの、肩の痛みといった症状が出現して知らぬ間に肩を挙げることができないといった可動域制限を認めます。 2.肩蜂下インピンジメント症候群 肩蜂下インピンジメント症候群では、日常生活で頻繁に肩関節を動作させることで肩甲骨の先端部に位置している肩峰と腱板の間に存在している肩峰下滑液包が炎症を引き起こすことによって強い肩の痛みを生じる状態を意味しています。 インピンジメント症候群には、肩峰と棘上筋間で肩峰下包が挟まれるエクスターナル型、あるいは棘上筋の関節包面が後上方関節唇と衝突するインターナル型の2種類があり、野球の投球動作やテニスのサーブ動作などオーバーハンドスポーツ競技者で多く認められます。 3.腱板断裂 腱板断裂という疾患は、中高年齢層の方に罹患率が高く、加齢と同時に喫煙、外傷、スポーツなどの要因によって発症することが知られており、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉腱から構成される腱板が断裂することで肩の痛みを引き起こします。 肩の痛みで代表的な病名 肩関節周囲炎(別名:五十肩または四十肩) 肩蜂下インピンジメント症候群 腱板断裂 肩の痛みで疑われる病気と検査方法 肩の痛み、肩関節部を構成する軟部組織におこる炎症に伴う痛みといった症状や、運動制限を特徴とする肩関節周囲炎は自然治癒すると思われがちですが、実際のところは放置すると痛みや拘縮が強くなり症状が慢性化することが多いため、早期的に診断することが重要です。 病院などの医療機関では、専門医による問診、画像検査、可動域を測定することなどを実施して肩関節周囲炎を診断できることが多いです。 一般的には、本疾患ではレントゲン検査上で異常所見を認めないとされており、個々の患者さんの経過や状況に応じて肩関節部の軟部組織状態を精密に評価するために関節造影検査やMRI検査をあわせて実施するケースもあります。 肩蜂下インピンジメント症候群の診断と検査 肩蜂下インピンジメント症候群に対する検査は、問診や肩関節部におけるテスト法、MRI検査、超音波検査などが有効的とされております。 特に、超音波検査を実施することで肩峰下滑液包と腱板の腫脹、腱板断裂の有無を調べることが出来ますし、肩を外転する際に腱板や滑液包の肩峰下への滑動状態やすべり具合を判定することが可能となります。 腱板断裂の診断と検査 腱板断裂においては、診断が遅れてしまうと治療による症状改善が難しくなってしまう可能性があり、早期発見および早期治療が重要な鍵になります。 実際の診察場面では、肩の痛みの場所や症状、肩がどのような動きで痛みを感じるのか確認する外転テスト、ドロップアームテストなどを施行すると共に、レントゲン検査、MRI画像検査などを実行されることが多いです。 これらの画像的な精密検査によって肩関節部の腱板断裂以外の石灰性腱板炎を始めとする疾患との鑑別も可能となります。 肩の痛みで疑われる病気と治療方法 研究によると肩の痛みといった症状が改善することで身体的側面から健康に関連する生活の質(Quality Of Life)が向上する可能性があることが示されています。 肩の痛みに対する治療は、一般的に個々の症例における年齢、職業、生活環境などの要素や患者さん自身の希望を検討したうえで決定することになります。 肩関節周囲炎の治療 肩関節周囲炎に対する治療方法は、まず痛みを自覚している炎症期においては三角巾を用いて上肢を安静に保つ、あるいは消炎鎮痛薬を服用することが考慮されます。 また、症状が比較的強いときには肩関節の患部内に局所麻酔薬を注入して、癒着した関節包組織を開大させる手技法も症状改善に有用であると考えられています。 そして、肩の痛みがある程度軽減して肩部の動作制限が症状の主体である拘縮期においては、リハビリテーションを中心とした関節可動域の訓練を実施します。 万が一これらの保存治療でも奏功しない難治例に対しては、全身麻酔下で鏡視下関節包切離術などの根治的外科的処置が実施される場合もあります。 肩蜂下インピンジメント症候群 肩蜂下インピンジメント症候群では、肩の痛み症状を呈している直接の原因とされてる関節包などの拘縮度を解消するためのストレッチング、あるいは上腕骨頭が上方に向かないようにするためのインナーマッスルを中心とした筋力増強トレーニングが実践されます。 仮に痛みが非常に強い場合や前述した運動療法が著効しないケースでは、滑液包内に炎症を抑制する作用を有する副腎皮質ステロイド剤を注入することもあります。 そして、副腎皮質ステロイド剤の注入を頻回に繰り返しても肩の痛み症状が継続される際には、関節鏡視下に関節包切離処置や肩峰下除圧術などが実施されることになります。 腱板断裂 腱板断裂に対する有用な治療方法としては薬物療法や理学療法が知られています。 特に、加齢に伴う腱の変性による腱板断裂を認める際には、まず保存療法が行われることがほとんどであり、非ステロイド性抗炎症薬を内服あるいは外用する、そして副腎皮質ステロイド剤を関節内注入することを検討します。 また、患部を温熱療法で温める、ストレッチやトレーニングによって肩関節部の可動域を広げて筋力強化に繋げる理学療法もお勧めされます。 若年者における外傷に伴う腱板断裂やスポーツによって引き起こされた断裂病変に対しては、肩峰下除圧術や腱板修復術が実践されることもあります。 まとめ・肩の痛みで疑うべき病気の種類|検査方法、治療とは 今回は肩の痛みで疑うべき病気とは何なのか、それらの病気に対する検査および治療方法などについて詳しく解説してきました。 「肩が痛い」、「肩が挙上できない」などの症状を自覚して日常生活においてお困りの方は、専門の医療機関などで早期的に診察や検査を受けて、保存療法や手術療法など様々な治療アプローチによって症状改善を図るように心がけましょう。 また、これら整形外科的な治療以外にも「再生医療」という新しい治療法も注目を得ています。興味があれば以下のリンクからご参照ください。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=YQsu_VT2ZGqSNB2v 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で肩の痛みを治療できることをご存知ですか 肩の痛みは、再生医療により手術や入院を避けて改善することができます ▼腱板損傷、腱板について参考して頂けます 五十肩・四十肩の腕を上げると肩が痛む症状におすすめの治療法
2022.03.16