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下肢の痛みやしびれがあった際、坐骨神経痛と診断される場合があります。なかには、腰椎椎間板ヘルニアを患っているのに坐骨神経痛と診断されて違いがわからず戸惑う方もいるのではないでしょうか。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛は混在しやすいですが、定義に違いがあります。本記事では、腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いについて解説します。 坐骨神経痛を引き起こす主な疾患や治療法も紹介するので、ヘルニアとの違いを正しく理解したい方は参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違い 腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアと坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の違いは、以下の通りです。 名称 特徴 腰椎椎間板ヘルニア 腰の痛みやしびれを伴う病名 坐骨神経痛 腰の痛みやお尻から脚にかけてしびれを伴う症状 腰椎椎間板ヘルニアは病気の名称で、坐骨神経痛は症状を指します。つまり、腰椎椎間板ヘルニアが要因で神経が圧迫されて、腰の痛みやしびれを伴う坐骨神経痛が生じるのです。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛は混同されがちですが、定義が異なるため違いを理解しておきましょう。 坐骨神経痛を引き起こす主な疾患 坐骨神経痛を引き起こす原因は、腰椎椎間板ヘルニアだけではありません。主な疾患は、以下の3つです。 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 腰椎すべり症 発症する原因や主な症状や好発年齢についてまとめたので、参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアとは骨と骨の間にある腰椎椎間板に負担がかかり、椎間板の中心核となる髄核(ずいかく)が外に飛び出し神経を圧迫した状態のことです。主な症状は、以下の通りです。 お尻から足首にかけて痛みとしびれが生じる 脚に力が入りにくくなる 陰部や肛門にしびれが生じる 尿や便が出しにくくなる 腰椎椎間板ヘルニアが発症する原因には、重いものを持ち上げたり同じ姿勢を続けたりして背骨に負担をかける行為が挙げられます。また、体重増加も腰椎椎間板ヘルニアを引き起こす原因の一つです。 腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は、20代〜40代になります。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される状態のことです。主な症状は、歩行や運動による痛みです。 脊柱管狭窄症は、運動により神経へ血流が不十分になると痛みを引き起こします。安静にしていると神経への血流が安定するため、症状はありません。 また、脊柱管狭窄症の原因は以下の通りです。 腰に負担がかかる作業や肥満などにより、腰椎に負担がかかり神経が圧迫される 骨粗鬆症が原因で骨が変形する 骨や椎間板により神経が圧迫される 好発年齢は50代〜80代くらいで、男性に多く見られます。 腰椎すべり症 腰椎すべり症とは、腰椎のずれにより脊柱管の中を通る神経が圧迫される状態のことです。主な症状は歩行や運動による痛みで、脊柱管狭窄症と症状が似ています。 痛みを引き起こしても、安静にしていると再び歩行や運動が可能です。 腰椎すべり症の原因には、加齢による椎間板の変化が考えられます。また、激しい運動により疲労骨折した部分が分離し、ずれが生じて引き起こされる場合もあります。 腰椎すべり症は脊柱管狭窄症と症状が似ていますが、発症の原因が異なる点を押さえておきましょう。 なお、腰椎すべり症の好発年齢は、40歳以上になります。 椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の疼痛期間 椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の疼痛期間は、1〜3カ月ほどが目安となります。種類や症状の進行によって異なりますが、ヘルニアは一般的に手術をしなくても自然に痛みが緩和されます。 しかし、長期間しびれや筋肉のけいれんなどの神経障害が現れる可能性も少なくありません。また、下肢に力が入らない、もしくは尿や便が出ない場合は早急に受診する必要があります。 症状の回復が見込めない際は手術治療が必要になる可能性があるため、放置せず担当医に相談しましょう。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の治し方 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の治し方は症状によって異なります。主な治し方は、以下の5つです。 保存療法 薬物治療 ブロック治療 理学療法 手術治療 各治療法の特徴を以下で解説するので、ご自身に合った治療プランを検討する参考にしてください。 保存療法 腰椎椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛の初期症状では、保存療法が適用される傾向にあります。保存療法は原因を取り除くのではなく、症状の改善や緩和を目指す治療法です。 具体的な治療法としては患部を安静に保ち、痛みが引くのを待ちます。坐骨神経痛は運動により痛みが悪化する可能性があるため、症状が回復するまでスポーツは控えましょう。 また、安静にする際は症状を悪化させないよう、重いものを持つ行為や急な動作をしないように注意が必要です。腰椎椎間板ヘルニアが原因となる坐骨神経痛ではコルセットの装着も、保存療法の1つになります。 薬物治療 薬物治療とは、医薬品を使用して症状の回復を図る保存療法の一つです。痛みやしびれなどのつらい症状が続く場合は、安静にしていても不調を招く可能性があるため薬物治療をおこないます。 薬物治療では、痛みを抑制させる内服薬で症状の回復を促します。 症状が重い場合、神経痛の強い薬剤投与をおこなうケースもありますが、副作用がある点に注意が必要です。また、薬物治療では、経過観察で症状を見ながら処方量を調整します。 ブロック治療 ブロック治療とは坐骨神経の周辺に薬を直接投与し、痛みや炎症を抑える保存療法の一つです。神経を抑制させ、痛みを感じる部分をほぐして血行を促進させるのがブロック治療の特徴になります。 なお、ブロック治療では主に局所麻酔薬を使用します。局所麻酔薬は即効性があり、継続的な治療により効果の持続時間が長くなるため、痛みの予防に効果的です。 中長期的に症状を軽減させたい場合は、ブロック治療が適しています。 理学療法 理学療法とは、運動機能の維持や改善を目的に物理的な手段を使用しておこなう保存療法の一つです。物理的な手段には、以下の方法が用いられています。 運動療法 温熱療法 電気療法 光線療法 一般的に坐骨神経痛では、腰の痛みを軽減させたあとに腰椎周辺の筋トレやストレッチを取り入れます。理学療法では、医師や理学療法士の指導をもとに、症状に適した療法を進めていきます。また、運動療法で腰椎周辺の筋力を強くしていくのも、坐骨神経痛の症状回復に効果的です。 手術治療 保存療法で症状の回復が見られなかった場合は、手術治療がおこなわれます。坐骨神経痛の主な術式は、以下の通りです。 術式 手術内容 内視鏡下腰椎椎間板摘出術 開創して内視鏡でヘルニア部分を確認して切除 経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術 皮膚に小さな穴を開け内視鏡を通してヘルニア部分を確認して摘出する 内視鏡下腰椎椎弓切除術 内視鏡の管を通して椎弓(ついきゅう)の一部や肥厚した黄色靭帯を切除 内視鏡下腰椎椎体間固定術 内視鏡とX線透視装置を使用して椎体間を固定して脊椎を整形 術式は症状の進行状態によって異なるため、医師と相談しながらご自身に適した治療プランを検討しましょう。 痛みを感じた際にヘルニアと坐骨神経痛でやってはいけないことの違い 坐骨神経痛では、体を冷やしすぎないよう注意が必要です。腰や足を冷やしてしまうと、筋肉が固まりやすいだけでなく、神経を圧迫する可能性があります。 ただし、椎間板ヘルニアの痛みを伴う場合に身体を温めると炎症が悪化して、痛みを強くするケースがあるため注意しましょう。 また、坐骨神経痛ではやってはいけないことは以下の通りです。 重いものを持ち上げない 長時間座り続けない ハムストリングスストレッチをおこなわない 前かがみにならない 背骨をねじりすぎない やわらかすぎるマットレスを使用しない 太りすぎない 坐骨神経痛で悪化を防ぐためには、やってはいけないことを避けて生活を送ることが大切です。 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛が治らない場合に検討したい再生医療 再生医療は、腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛が治らない場合の選択肢の一つです。分化誘導による関節の再生医療では、幹細胞を神経や骨といった特定の組織に分化するように誘導します。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を冷凍せず投与に合わせて都度培養し、生存率を高めています。また、再生医療は入院が不要です。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 腰椎椎間板ヘルニアにおける再生医療の症例 50代の女性は、腰椎椎間板ヘルニア手術の後遺症により、以下の症状に悩まされていました。 左足のしびれ 歩行障害 下肢のだるさ 尿漏れ 再度MRI検査を受けたところ、術前にあった腰椎椎間板ヘルニアは綺麗に取れていたものの、新たに中枢の方で脊柱管の狭窄が見つかったそうです。損傷した神経の回復を促す治療法の一つに、幹細胞治療があります。幹細胞は早期治療が重要なため、初診後すぐ治療をおこないました。 幹細胞治療では、脊髄内に直接幹細胞を2回点滴投与しました。1回目の投与後数日で、困難であった階段昇降ができるようになり、左足のしびれや尿漏れの改善がみられたそうです。 また、2回の投与終了後、投与前は両脚上げをするのも困難だった筋力が、2か月で抵抗を加えても楽に上げられるまでに改善しました。 そのため、歩行は安定し、足元を見なくても不安なく歩けるようになった事例となります。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを理解して最適な治療を検討しよう 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛には、定義に違いがあります。病名となる腰椎椎間板ヘルニアが要因で神経が圧迫されて、腰の痛みやしびれを伴う坐骨神経痛の症状が生じるのです。 種類や症状の進行によりますが、ヘルニアは一般的に手術をしなくても自然に痛みが緩和されるため、1〜3カ月ほどで症状の回復が見込めます。 腰椎椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛の初期症状では保存療法をおこない、回復が見込めない場合は手術が選択されます。手術を躊躇している方は、再生医療を選択するのも一つです。腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを理解した上で、適した治療プランを検討しましょう。
2025.03.01 -
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「腰痛やしびれで受診したら、椎間板ヘルニアと言われて今後が不安」 「若い女性でも椎間板ヘルニアになることはあるの?」 このような悩みや疑問をお持ちではありませんか。 椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある「椎間板」という組織が変形して飛び出し、神経や脊髄を圧迫する病気です。比較的男性に多いと言われていますが、若い女性がかかるケースもあります。 当記事では、若い女性が椎間板ヘルニアになる原因や、治療法、やってはいけないことなどを詳しく解説します。記事を最後まで読めば、今後に必要な注意点がわかり、ヘルニアの治療をよりスムーズに進められるようになるでしょう。 若い女性に多い椎間板ヘルニアの原因【10代20代】 椎間板ヘルニアは、背骨にある椎間板への負担によって起こるケースが多く見られます。 若い女性によく見られる椎間板ヘルニアの原因は、以下のとおりです。 激しいスポーツによる首や腰への負荷 姿勢の悪さ たばこを吸う習慣 腰に負荷がかかる仕事 本章の内容をもとに、自分に当てはまるものがないかチェックしておきましょう。 なお、椎間板ヘルニアについては、以下の記事で詳しく紹介しています。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアとは?原因や症状を専門医が解説 頚椎椎間板ヘルニア!原因と症状 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルと種類を医師が解説!手術するべき? 激しいスポーツによる首や腰への負荷 激しいスポーツにより首や腰への負荷が続くと、椎間板ヘルニアを引き起こすケースがあります。(文献1) 女性の場合、格闘技や柔道、ラグビーなどの激しく身体をぶつけ合うスポーツを楽しむ方は比較的少ないでしょう。しかし、以下のようなスポーツは、若い女性における椎間板ヘルニアの原因となる可能性が考えられます。 スキー ゴルフ 器械体操 スノーボード 陸上競技(投てき) しかし、スポーツと椎間板ヘルニアの関連性は、明らかになっていない部分もあります。(文献2) 何が原因なのかははっきりしないケースもあるため、スポーツにおいても無理をしすぎず、違和感があれば早めに受診するようにしましょう。 スポーツと椎間板ヘルニアの関係については、以下の記事でも紹介しています。 姿勢の悪さ 以下のような日々の姿勢の悪さが積み重なり、椎間板ヘルニアにつながるケースもあります。 猫背 反り腰 長時間の前傾姿勢(スマートフォンやパソコンの操作時) また、座りっぱなしや立ちっぱなしなど、ずっと同じ姿勢でいることも椎間板ヘルニアの原因となります。 仕事上やむを得ない場合は、こまめに姿勢を変えて負担をやわらげると良いでしょう。 たばこを吸う習慣 喫煙は、全身の血流を悪化させたり椎間板を変性させたりするため、椎間板ヘルニアの原因となりえます。(文献3) 腰椎椎間板ヘルニアとたばこのリスクについて、いくつかの研究報告を紹介します。(文献2) 喫煙量が多いほどリスクが高い 過去に喫煙していた人よりも、現在も喫煙を続けている人の方がリスクが高い また、たばこは椎間板ヘルニアに限らず、高血圧や糖尿病、がんなどのリスク因子でもあります。(文献4) 将来の健康リスクを減らすためにも、たばこは早めにやめることをおすすめします。 腰に負荷がかかる仕事 「仕事で重いものを持ちあげる」「毎日のカバンが非常に重い」などの原因が、椎間板ヘルニアの発症につながるケースもあります。 若い女性が椎間板ヘルニアになりやすい仕事の例は、以下のとおりです。(文献5) 仕事 理由 引越し・物流業 重いものを持つ機会が多いため 医療職・介護職 人を持ち上げる、無理な姿勢を取るなどの機会が多いため タクシーやトラックの運転手 座りっぱなしになる機会が多いため 身体の負担をやわらげる器具の研究は進められているものの、仕事による負担を完全になくすことは難しいのが現状です。しかし、以下の工夫を取り入れれば、腰への負担を軽減しやすくなります。(文献6) 疲れをためない 作業しやすい衣服や靴を選ぶ 同じ姿勢が続かないようにする 必要に応じて腰部保護ベルトを使用する \まずは当院にお問い合わせください/ 若い女性の椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアは、数カ月で自然に改善するケースもあります。そのため、手術せずに回復するケースも珍しくありません。 代表的な治療法を、以下の表にまとめました。 治療方針 治療法 保存的治療 痛みをやわらげながら、症状が軽減するのを待つ 薬物治療 注射 リハビリ 手術療法 手術でヘルニア自体や椎間板の飛び出た部分を切除する 手術 再生医療 傷ついた脊髄を再生させて、痛みやしびれを改善する 幹細胞治療 本章では、若い女性によくおこなわれる椎間板ヘルニアの治療法について順番に説明していきます。 薬物治療 薬物治療とは、痛みや炎症を抑え、ヘルニアが自然に小さくなるのを待つ方法です。良く使われる薬は、以下のとおりです。 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や神経障害性疼痛治療薬 消炎鎮痛薬の湿布や塗り薬 薬は1種類でなく、組み合わせて使用するケースもあります。 ブロック注射 飲み薬で十分な効果が得られない場合、麻酔薬やステロイドで神経の痛みや炎症をやわらげる「神経ブロック治療」と呼ばれる注射をおこなうケースがあります。 ブロック注射も、飲み薬と同様にヘルニア自体を小さくするものではなく、痛みをやわらげて自然な回復を待つ治療法です。 ブロック注射については、以下の記事で詳しく解説しています。 リハビリ 椎間板ヘルニアでは、痛みや痺れをやわらげる「リハビリ」をおこなうケースもあります。 よくおこなわれるリハビリは、以下のとおりです。 運動療法:筋肉をやわらげるストレッチやトレーニング 物理療法:電気療法・温熱療法・冷却療法・牽引療法など 生活指導:負担のかからない生活を送るための指導 リハビリは、薬物療法と一緒におこなうケースもあります。 椎間板ヘルニアのリハビリについては、以下の記事で詳しく紹介しています。 【関連記事】 頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】 頸椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法|目的や期間・注意点を徹底解説 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を解説 手術 飲み薬や注射、リハビリなどの保存療法で良くならない場合は、手術を検討します。また、足に力が入らない、排尿・排便障害があるなどの場合は早急な手術が必要になるケースもあります。 椎間板ヘルニアの代表的な手術は、以下のとおりです。 手術名 特徴 MED(内視鏡下ヘルニア摘出術) 一般的に広くおこなわれている手術 「内視鏡」というカメラ付きの器具を使用して、ヘルニアを取り除く PELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術) MEDよりも筒の細い内視鏡を使用する手術 ヘルニアが小さい、椎体の変形が少ない場合に適用可能 局所麻酔での手術も可能 日帰りで済むこともあり、身体への負担が少ない PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術) レーザーで椎間板の内部を焼き、圧力を下げて神経の圧迫を軽減する手術 メスを使わない手術方法 健康保険の適用外 それぞれの手術については、以下の記事で詳しく説明しています。 【関連記事】 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは ヘルニア治療:PELD手術のリスクと副作用 胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について 再生治療 椎間板ヘルニアによって神経が圧迫・損傷された場合、再生医療(幹細胞治療)も選択肢のひとつです。 飛び出たヘルニアによって神経が傷付くと、強い炎症を起こしたり、痛みや痺れが起こったりします。再生医療(幹細胞治療)とは、損傷した組織の修復をうながす「幹細胞」を使い、神経の回復を試みる治療法です。 手術をしても痛みやしびれが治まらない方は、検討してみてはいかがでしょうか。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアによる脊髄損傷に対して、再生医療(幹細胞治療)を提供しています。治療にご興味のある方は、「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 椎間板ヘルニアの再生医療については、以下の記事で詳しく説明しています。 若い女性の椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 若い女性の椎間板ヘルニアでやってはいけないことは、以下のとおりです。 重いものを持つなど、腰・背中に大きな負担を掛ける 腰・背中に負担のかかる姿勢で長時間過ごす 無理な運動や激しいスポーツをする たばこを吸う 若い女性は、日常生活のなかで気付かないうちに椎間板に負担を掛けているケースがあります。 医師の指導に従い、生活習慣を見直すことが回復につながるでしょう。 椎間板ヘルニアの治療中や治療後にやってはいけないことは、以下の記事でも紹介しています。 【関連記事】 腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことは?避けたい習慣も医師が解説 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【首の負担を減らす】 まとめ|若い女性の椎間板ヘルニアは早めに受診しよう 椎間板ヘルニアは比較的男性に多い病気ですが、若い女性がかかるケースもあります。「若いから大丈夫」「仕事が忙しい」などと違和感を放置すると、症状の悪化につながり、大きな後遺症が出るケースも考えられます。 違和感に気付いたら、早めに整形外科を受診して悪化を防ぎましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアによる神経損傷に対して再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。傷ついた神経が修復できれば、痛みやしびれの軽減が期待できます。 手術をしても良くならない、後遺症が出て困っているなどの方は、「メール相談」または「オンラインカウンセリング」まで、気軽にご相談ください。 若い女性の椎間板ヘルニアによくある質問 若い女性で椎間板ヘルニアになるのは珍しいですか? 椎間板ヘルニアは、男性に多く見られる病気ですが、若い女性でも日常生活や仕事の関係で発症するケースもあります。 一度治っても、負担のかかる生活習慣を続けると再発する可能性もあります。一度椎間板ヘルニアになったら生活の見直しをおこない、負担の少ない生活を心がけましょう。 椎間板ヘルニアになると一生治らないのですか? 椎間板ヘルニアは、症状が軽ければ自然に軽減して治るケースもあります。 しかし、症状が重くなって神経を傷めると、しびれや痛み、排尿障害などが長く続く可能性も考えられます。 症状が続いている方や、歩けないほどの強い痛みやしびれなどがある方はすぐに受診しましょう。 椎間板ヘルニアを早く治す方法はありますか? 椎間板ヘルニアは、数カ月で自然に吸収されるケースもありますが、早く治すための方法は症状・原因によって異なります。 医師の指示した服薬やリハビリ、生活上の注意を守ることが、早い回復の近道といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 日本ペインクリニック学会「ペインクリニック治療指針改訂第6版」 https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-17.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン策定委員会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021改訂第3版」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス2025年2月21日) (文献3) くまもと禁煙推進フォーラム「腰と骨のために「禁煙を!」https://square.umin.ac.jp/nosmoke/material/TS_bone.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 厚生労働省「喫煙と糖尿病」e-ヘルスネット,2024年03月18日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-004.html(最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) Chan,Feng-Kai.Physicians as well as nonphysician health care professionals in Taiwan have higher risk for lumbar herniated intervertebral disc than general population. Medicine vol. 97,1 (2018). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29505537/(最終アクセス:2025年2月21日) (文献6) 中央労働災害防止協会,介護事業・運送事業における腰痛予防テキスト作成委員会「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」平成22年10月 https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/001179217.pdf(最終アクセス:2025年2月21日)
2025.02.28 -
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病院で4番5番の椎間板ヘルニアといわれ、具体的な症状が知りたい方も多いのではないでしょうか。 4番5番(L4-L5)の椎間板ヘルニアは、お尻や太もも、ふくらはぎの痛みやしびれを感じることが多い疾患です。 進行すると歩行困難や排尿トラブルを引き起こし、日常生活に支障をきたす可能性があるため、早めの対策が重要です。 本記事では、椎間板ヘルニア4番5番の症状・原因・治療法について、医師の視点から詳しく解説します。適切な対策を取るために、ぜひ最後までご覧ください。 椎間板ヘルニア4番5番の主な症状4選 腰の痛みや足のしびれが続く場合、椎間板ヘルニアの可能性があります。 とくに4番5番(L4-L5)では、さまざまな要因によりヘルニアが発生しやすい傾向にあります。 4番5番のヘルニアで挙げられる、代表的な症状は以下のとおりです。 臀部の痛み・下肢の痛み・しびれなどの知覚障害 筋力低下に伴う歩行障害 排尿困難・排便困難 すねの外側に痛みが走る 本章では、これらの症状について詳しく解説し、悪化を防ぐためのポイントも紹介します。 臀部の痛み・下肢の痛み・しびれなどの知覚障害 4番5番の椎間板ヘルニアでは、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが生じることが多いです。(文献1) これは、ヘルニアによる神経の圧迫が原因です。 痛みは座っているときや長時間歩いたときに強くなる傾向があり、立ち上がる際や階段を降りるときに違和感を覚えるケースもみられます。 また、しびれが続くと、足の感覚が鈍くなることもあります。 症状を軽減するには、医師の指導のもと適切なストレッチを行い、姿勢の改善や休憩を取り入れるなど、専門的な対策が重要です。 筋力低下に伴う歩行障害 4番5番の椎間板ヘルニアが進行すると、足の筋力が低下し、歩行が困難になる場合があります。(文献2) これは、神経の圧迫が続くことで筋肉に十分な指令が伝わらなくなるためです。 主な症状として、歩行時につまずきやすくなる、足が思うように上がらないといった変化が見られます。 進行すると、日常生活に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。 早めにリハビリや適切な運動を取り入れることで、筋力低下の予防対策にもつながります。 そのため、症状が悪化する前に、専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。 排尿困難・排便困難 4番5番の椎間板ヘルニアが重症化すると、膀胱や直腸をコントロールする神経に影響を及ぼし、排尿や排便がうまくできなくなるケースがあります。(文献1) 具体的には、尿意があっても排尿できない、逆に頻尿になるといった症状です。 また、便秘や便意があるのに排便できないといったトラブルも起こるケースがあります。 これらの症状が見られる場合、緊急性が高いため、速やかに医師の診察を受ける必要があります。 進行すると神経の損傷が回復しにくくなるため、早期の診断と適切な治療が重要です。 少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 すねの外側に痛みが走る 4番5番の椎間板ヘルニアでは、すねの外側や足の甲に鋭い痛みが走ることがあります。(文献2) これは、神経の圧迫が特定の領域に影響を与えるためです。 すねの痛みは、歩行時や長時間立っているときに強くなる傾向があります。 また、感覚が鈍くなったり、触れた際に違和感を感じる場合もあります。 症状が悪化しないよう、医師の指導を受けながら適切なケアを行いましょう。 椎間板ヘルニア4番5番の原因 椎間板ヘルニアは、とくに4番5番(L4-L5)で発生しやすい傾向があります。その理由は以下の3つです。 腰の動きが大きく負担が集中するから 加齢の影響により椎間板が劣化しやすいから 神経を圧迫しやすいから 本章を参考に、4番5番の椎間板ヘルニアが起こる原因について理解しておきましょう。 腰の動きが大きく負担が集中するから 4番5番は、腰の中でもとくに動きが大きい部分です。体を前に曲げたり、ひねったりするときに大きな負担がかかります。 さらに、この部位には上半身の重みが集中するため、椎間板にかかる圧力も強くなります。 長時間の座り姿勢や重いものを持ち上げる動作も、腰への負担をさらに増やす要因です。(文献2) 無理な動作を避け、日常生活の中でも腰を守る意識を持つようにしましょう。 加齢の影響により椎間板が劣化しやすいから 椎間板は、加齢とともに水分が減少し、弾力を失っていきます。(文献2)その結果、クッションの役割が低下し、ヘルニアが発生しやすくなります。 とくに4番5番は負担が大きく、他の部位よりも早く劣化しやすい傾向にあるのが特徴です。 加齢による影響を最小限に抑えるには、適度な運動やストレッチが重要です。 また、食事や生活習慣の見直しも劣化を遅らせるポイントになります。骨や軟骨の健康を維持するために、カルシウムやビタミンDを意識した食生活を心がけましょう。 神経を圧迫しやすいから 4番5番の椎間板ヘルニアは、神経を圧迫しやすいのが特徴です。 神経が圧迫されると、腰痛だけでなく、足のしびれや筋力低下などの症状が現れます。 とくに、圧迫が長期間続くと症状が慢性化し、回復に時間がかかる場合があります。少しでも異変を感じたら、早めに専門医の診察を受けることが大切です。 また、神経の負担を軽減するために、適切な姿勢を保ち、腰に過度な負担をかけないよう心がけましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 椎間板ヘルニア4番5番の症状を改善する治療法 椎間板ヘルニア4番5番(L4-L5)の症状は、適切な治療を行うことで改善が期待できます。 主な治療法には、薬やストレッチを用いる保存療法、内視鏡手術や固定術などの手術療法、近年注目されている再生医療があります。 治療法 概要 期待される効果 保存療法 薬物療法やストレッチを中心に痛みを軽減 痛みの緩和、炎症の抑制 手術療法 内視鏡手術や固定術により圧迫を除去 神経の圧迫を解消し、症状を根本改善 再生医療 幹細胞やPRP療法で椎間板の回復を促進 自然治癒力を高め、負担を軽減 症状の程度や生活習慣に合わせて、適切な治療法を選びましょう。 保存療法(薬物療法・ストレッチ) 軽度の椎間板ヘルニアは、保存療法によって症状が緩和されるケースが多くあります。(文献3) 痛みが強い場合は消炎鎮痛薬や神経ブロック注射が用いられます。 また、腰への負担を減らすストレッチやリハビリも効果的です。体幹を強化する運動や適度なストレッチは、継続することで再発予防にもつながります。 痛みが軽減しない場合や症状が悪化する場合は、医師と相談しながら適切な治療を検討しましょう。 手術療法(内視鏡手術・固定術) 保存療法で改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、手術も選択肢に入れます。(文献4) 代表的な手術は、内視鏡手術と固定術の2つです。 内視鏡手術は、皮膚を大きく切開せずにヘルニアを取り除く方法で、術後の回復が早く、体への負担が少ないのが特徴です。 一方、固定術は不安定になった椎骨を固定し、神経の圧迫を解消する方法です。重度のヘルニアや再発リスクが高い場合に行われる場合が多くあります。 専門医と十分に相談し、どのような手術を受けるべきか検討しましょう。 椎間板ヘルニアの内視鏡手術の1つである「PELD(PED)」について、以下の記事でも解説しています。手術を検討している方は参考にしてください。 【関連記事】 腰椎椎間板ヘルニアのPELD(PED)内視鏡下手術とは 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット 再生医療 近年、椎間板ヘルニアの治療法として、自己の細胞を活用し、傷ついた椎間板の修復を促す「再生医療」が注目されています。 代表的な方法として、幹細胞治療やPRP療法(多血小板血漿療法)があります。手術と比較すると体への負担が少なく、椎間板の機能回復が期待できます。 ただし、再生医療は新しい技術のため、すべての医療機関で受けられるわけではありません。治療を希望する場合は、実績のある医療機関を選び、医師と十分に相談しましょう。 ヘルニアの再生医療については以下の記事もご覧ください。 まとめ|4番5番の椎間板ヘルニアの症状を理解して適切な対策をしよう 椎間板ヘルニア4番5番(L4-L5)の症状は、腰や足の痛み、しびれ、筋力低下など多岐にわたります。 悪化すると日常生活に影響を及ぼすため、早めの対策が重要です。 治療法には、保存療法・手術療法・再生医療などがあり、症状に応じた選択が求められます。また、日々の姿勢改善や適度な運動を取り入れると再発予防につながります。 4番5番の椎間板ヘルニアについて正しい知識を持ち、腰の健康を守りましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニア4番5番の症状に関するよくある質問 腰椎の4番5番でヘルニアが起こる原因は何ですか? 椎間板ヘルニアは、腰の動きが大きく負担が集中するため、4番5番で発生しやすい傾向があります。 また、加齢による椎間板の劣化や神経の圧迫も関係しています。 さらに、姿勢の悪化や長時間の座り姿勢もリスクを高める要因です。 椎間板ヘルニア4番5番の症状に効果的なストレッチはありますか? 適度なストレッチは、腰への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐのに有効です。 とくに、太もも裏の筋肉を伸ばすハムストリングスストレッチや、体幹を鍛えるプランクがおすすめです。 ただし、痛みが強い場合は無理をせず、医師と相談しながら行いましょう。 椎間板ヘルニアのストレッチは以下の記事でも解説しているので、あわせてチェックしておきましょう。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニアの手術や、術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) Mindsガイドラインライブラリ_腰のしくみと腰椎椎間板ヘルニアに 関する基本的な話 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/p00029_chapter1.pdf (最終アクセス:2024年2月22日) (文献2) おおつか整形外科_腰椎椎間板ヘルニア https://otsuka-seikei.com/blog/wp-content/uploads/2024/09/3c57fe49b99a17519e8b8f8c4297e7e4.pdf(最終アクセス:2024年2月22日) (文献3) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会_腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第3版 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf(最終アクセス:2024年2月22日) (文献4) 稲沢市民病院_腰椎椎間板ヘルニア https://www.inazawa-hospital.jp/media/4-youtuiherunia.pdf(最終アクセス:2024年2月22日)
2025.02.28 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「椎間板ヘルニアは自然に治るの?」「どれくらいの期間かかる?」 このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。 多くの人が悩む椎間板ヘルニアですが、実は自然治癒するケースも少なくありません。しかし、放置していると症状を悪化させる危険性もあるため注意が必要です。 本記事では、自然治癒までの期間や、治癒を早める方法を解説します。 また、自然治癒が難しいケースも紹介しているので、症状が気になる方はぜひ最後までご覧ください。 椎間板ヘルニアが自然治癒するまでの期間は「約3カ月」 椎間板ヘルニアは、軽度であれば手術をせずに自然治癒するケースが多く、一般的に症状が落ち着くまでの期間は約3カ月とされています。(文献1) ただし、痛みの程度や生活習慣によって回復のスピードには個人差があります。 60%以上が自然に回復する 自然治癒後も再発の可能性がある ここでは、自然治癒の可能性や再発のリスクについて詳しく解説します。 60%以上が自然に回復する 椎間板ヘルニアは、必ずしも手術が必要な疾患ではありません。 研究によると、約60%以上の人が自然に回復するとされています。(文献2) これは、飛び出した椎間板が体内で吸収され、炎症が治まることで神経の圧迫が軽減されるためです。 時間の経過とともに痛みが和らぎ、日常生活に支障がなくなるケースも多く見られます。 ただし、すべてが自然治癒するわけではないため、症状が継続する場合は医療機関を受診しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルをセルフチェックする方法は、以下の記事も参考にしてください。 自然治癒後も再発の可能性がある 椎間板ヘルニアが自然に治ったとしても、再発のリスクは残ります。 これは、一度ダメージを受けた椎間板が完全に元の状態に戻るわけではなく、再びヘルニアが発生しやすい状態になっているためです。 再発の主な原因としては、姿勢の悪さ・運動不足・腰への過度な負担が挙げられます。 とくに、デスクワークが多い人や重い荷物を持つ機会が多い人は注意が必要です。 椎間板ヘルニアの自然治癒が難しい2つのケース 椎間板ヘルニアは多くの場合、自然治癒に期待できます。 しかし、すべての椎間板ヘルニアが自然治癒するわけではありません。以下のようなケースでは自然治癒が難しく、適切な治療が求められることがあります。 長期的に症状が続き慢性化している場合 急激な進行で麻痺や排尿・直腸障害がある場合 本章では、自然治癒が難しい2つのケースについて詳しく解説します。 長期的に症状が続き慢性化している場合 椎間板ヘルニアの症状が長期間続く場合、自然治癒が難しい場合があります。(文献2) とくに、3カ月以上経っても痛みやしびれが改善しない場合は、慢性化しているかもしれません。 椎間板ヘルニアが慢性化すると、神経の圧迫が長期化し、回復が遅れるリスクが高まります。 長期間症状が続く場合は、整形外科で診察を受けることが重要です。 急激な進行で麻痺や排尿・直腸障害がある場合 椎間板ヘルニアの症状が急激に悪化し、麻痺や排尿・直腸障害が現れた場合は、自然治癒を待つのは危険です。 神経が強く圧迫されている状態であり、放置すると後遺症が出るリスクがあるためです。 また、排尿や排便が困難になる場合は「馬尾(ばび)症候群」(神経の束が障害を受けることで起こる症状)の可能性があり、緊急手術が必要になるケースもあります。(文献1) このような症状が現れたら、一刻も早く医療機関を受診しましょう。 椎間板ヘルニアで自然治癒を早めるセルフケア4選 椎間板ヘルニアの自然治癒には時間がかかりますが、正しいセルフケアを取り入れることで、回復を促せる可能性があります。 主なセルフケアは以下の4つです。 ストレッチ 負担の少ない運動 コルセットの着用 生活習慣の改善 ストレッチ ストレッチで筋肉をほぐし、血流を促進することで、神経の圧迫を和らげられます。 腰や太もも周りの筋肉を伸ばすストレッチは、自然治癒を促すだけでなく、痛みを軽減する効果も期待できるでしょう。 また、仰向けに寝て片膝を胸に引き寄せるストレッチや、ゆっくりと前屈するストレッチも椎間板ヘルニアに効果的です。 胸椎椎間板ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事でも解説していますので参考にしてください。 負担の少ない運動 適度な運動は筋力を維持し、症状の悪化を防ぐのに役立ちます。 とくに、水中ウォーキングやヨガなどの負担が少ない運動が効果的です。 また、運動によって腹筋や背筋を鍛えられれば、腰の負担を軽減でき、ヘルニアの再発防止にもつながるでしょう。 急な動きや重い負荷をかける運動は逆効果になる可能性があるため、無理のない範囲で行うことが重要です。 コルセットの着用 コルセットの着用で腰が安定し、椎間板ヘルニアの自然治癒を促せる可能性があります。 また、ヘルニアの痛みが強いときにコルセットを使えば、姿勢をサポートしてくれるため、楽に過ごせるでしょう。 コルセットの圧迫により腰の動きが制限され、ヘルニア部分への負荷を抑えられるのもメリットです。 生活習慣の改善 椎間板ヘルニアの自然治癒を早めるには、生活習慣の見直しも欠かせません。 日常生活の姿勢に注意し、腰に大きな負担をかけないようにしましょう。長時間のデスクワークや猫背の姿勢は、椎間板ヘルニアの症状を悪化させるため注意が必要です。(文献3) また、喫煙は椎間板ヘルニアの症状を悪化させることがわかっています。(文献1) 椅子に座る際は、背筋を伸ばし、腰をサポートするクッションを活用すると負担を軽減できます。 まとめ|椎間板ヘルニアは自然治癒までの期間を理解して受診を検討しよう 椎間板ヘルニアは、多くの場合、約3カ月で自然治癒するとされています。 しかし、回復のスピードには個人差があり、適切なセルフケアによって症状の軽減が期待できます。 ストレッチや軽い運動、コルセットの着用、生活習慣の改善を取り入れることで、症状の悪化を防ぎながら回復を促せます。 ただし、症状が長引いたり、麻痺や排尿障害などの異常が現れたりした場合は、早めに医療機関を受診してください。 自然治癒を目指しながら、適切な対処法を実践し、健康的な生活を取り戻しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニアの手術後に、後遺症にお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニアの自然治癒に関するよくある質問 椎間板ヘルニアでやってはいけないことは何ですか? 椎間板ヘルニアの回復を妨げる行動として、無理な動作や長時間同じ姿勢を続けることが挙げられます。 とくに、腰に負担のかかる動作には注意が必要です。 たとえば、重い荷物を持ち上げる、急な動きをする、長時間座り続けるといった行動は、症状を悪化させる可能性があります。 また、激しい運動や無理なストレッチも、神経を圧迫し痛みを悪化させる原因となるため避けるべきです。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは以下の記事でも解説しています。気になる方は、あわせてチェックしておきましょう。 椎間板ヘルニアで休職期間は平均どのくらい必要ですか? 休職期間は、症状の程度や仕事の内容によって異なります。 保存療法で仕事にも影響がでない場合は、数日から数週間で復帰できる可能性もあるでしょう。 ただし、重度の場合や手術が必要になった際には入院期間やリハビリも含めると、平均で3〜6週間ほどと考えられます。 椎間板ヘルニアで手術したあとの休職期間については以下の記事で解説しているのでチェックしてみてください。 リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニアの手術や、術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会_腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第3 版 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf (最終アクセス:2024年2月21日) (文献2) 春日井市民病院_腰椎椎間板ヘルニアの治療 春日井市民病院 情報誌Vol.16 平成26年11月25日https://www.hospital.kasugai.aichi.jp/byouin/torikumi/kohoshi/documents/trinity_vol16.pdf (最終アクセス:2024年2月21日) (文献3) 時津直子ほか.「腰椎椎間板ヘルニア患者における姿勢と疼痛について」『第43回日本理学療法学術大会 抄録集』2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2007/0/2007_0_C0989/_article/-char/ja/(最終アクセス:2024年2月23日)
2025.02.28 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
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椎間板ヘルニアと診断され、座ると腰がズキズキする 椎間板ヘルニアで座れなくて辛い 椎間板が外に突出し、神経を圧迫すると腰や脚に不快感を引き起こすのが椎間板ヘルニアの特徴です。 不快感や違和感をずっと腰に抱え、座ることもままならない状態は不安でいっぱいかもしれません。しかし椎間板ヘルニアは座り方を工夫すれば、長時間は難しくとも、ある程度座ったときの違和感や不快感を軽減できます。 椎間板ヘルニアと診断され、お悩みの方に向けて本記事では、椎間板ヘルニアの座り方を解説します。 椎間板ヘルニアにおける座位が辛いと感じる理由 椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が変形して外に飛び出してしまい、飛び出した部分が坐骨神経に当たり、腰や手足の痺れ、違和感などの症状を引き起こします。 椎間板ヘルニアのときに座ると辛いと感じる理由としては、姿勢は腰椎にかかる圧力を増加させるためです。 座ることで椎間板が圧縮され、突出した部分が坐骨神経を刺激し、症状を悪化させます。腰痛の中でも椎間板ヘルニアは最も重症度が高いといわれており、放置や無理な負荷をかけてしまうと神経麻痺などの重篤な障害を引き起こす可能性があります。 椎間板ヘルニアの負担を和らげる床の座り方 座り方のポイント 内容 背筋をまっすぐに保つ 背中をまっすぐに保つことで、腰椎にかかる圧力を減らし、症状の悪化を防げます。 クッションを使う 腰部にクッションを使うことで、背骨の自然なカーブを支え、圧力を分散させて負担を軽減します。 長時間同じ姿勢で座らない 長時間座り続けると圧力が増加するため、定期的に姿勢を変えることで、腰の負担を軽減できます。 重心が偏らないようにあぐらをかく あぐらをかくことで、骨盤が安定し、腰椎への負担が分散されます。姿勢を均等に保ちやすくなります。 椎間板ヘルニアの負担を和らげるには床の座り方が重要です。ポイントを意識し、座ることで腰にかかる負荷を軽減できます。 自宅でも簡単にできる方法なので、ぜひ実践いただけますと幸いです。 1.背筋をまっすぐに保つ 椎間板ヘルニアの負担を和らげるには背筋をまっすぐに保つことが大切です。 猫背や前かがみの姿勢は腰椎に負担をかけます。負担をかけないためにもまっすぐな姿勢を保つことで、坐骨神経への刺激を軽減し、症状の悪化を防げます。 背筋をまっすぐに保つためには、まず骨盤を正しい位置に保つことが大切です。床に座ったときに、骨盤が後ろに倒れていないか、前に傾きすぎていないかを確認しましょう。 背筋をまっすぐに保つと、腰の筋肉が無理なく使われるため、筋肉の疲労も軽減されます。(文献1)正しい姿勢を保つことで、腰椎への負担が軽減され、ヘルニアの症状を和らげられます。 2.クッションを使う クッションを使うことで、座面の圧力を分散させ、腰椎にかかる負担を軽減できます。腰の部分にクッションを当てることで、背骨のS字カーブを自然に保てます。 応急処置程度であれば、家庭用のクッションで問題ありません。 後述で解説しますが、クッションを使用したからといって長時間座るのは禁物です。クッションを使用する場合でも、30分に1回程度は立ち上がり、負担のかからない程度に動くようにしましょう。 3.長時間同じ姿勢で座らない 長時間同じ姿勢で座り続けることで、腰にかかる圧力が高くなります。腰にかかる圧力が強くなると坐骨神経を刺激してしまい、症状が悪化する可能性があります。 症状を悪化させないためにも、同じ姿勢はできるだけ避け、30分に1回程度は立ち上がり、無理のない範囲でストレッチなどを行いましょう。 ストレッチや軽く動くことで、腰部の血行が促進され、筋肉の緊張を緩和できます。 4.重心が偏らないようにあぐらをかく 普段無意識に重心が片方に傾く人は要注意です。重心が一方に傾くことで、腰や脚などにかかる圧力が強くなり、坐骨神経への負担が高くなります。その対策として、あぐらをかく座り方は有効です。 あぐらをかく姿勢は重心が左右均等に分散され、腰椎への負担が軽減されます。あぐらをかく際は片足だけを上げるような座り方は禁物です。 片足だけをあげることで重心が傾くため、骨盤の歪みを引き起こす可能性があります。あぐらをかくことで、腰への圧力を減らし、長時間座っても疲れにくくなるメリットがあります。 椎間板ヘルニアの負担を和らげる椅子の座り方 座り方のポイント 内容 背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶ 背もたれが腰部をしっかり支え、骨盤が自然に前傾する椅子を選ぶと、腰の圧力が軽減され、ヘルニアの症状が和らぎます。 足の裏全体を床につける 足の裏を床につけ、膝が直角になるように調整し、骨盤が安定。腰椎にかかる負担が分散されます。 背筋をピンと伸ばす 背筋を伸ばし、自然な姿勢を保つことで腰椎に過度な圧力がかかるのを防ぎ、ヘルニアの症状が悪化しにくくなります。 長時間椅子に座り続けない 1〜2時間ごとに立ち上がり、軽いストレッチや歩行で、腰の筋肉が緊張しすぎず、ヘルニアの症状が悪化しにくくなります。 椎間板ヘルニアの負担を和らげるには椅子の座り方も重要です。 椅子に座る際は足がふらつくものを選ぶのではなく、足の裏全体が床につくものや、背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶのが大切です。 以下でポイントを詳しく解説します。 1.背骨のS字カーブが維持できる椅子を選ぶ 椎間板ヘルニアを和らげるためには、背骨の自然なS字カーブを保つ椅子を選びましょう。背骨が正しい位置でサポートされることは、腰にかかる負担を減らすために役立ちます。 背もたれが腰部をしっかり支え、骨盤が自然に前傾するような椅子を選ぶことで、腰部の圧力が軽減され、ヘルニアの症状を抑えられます。 椅子の背もたれの高さや角度を調整できるものを選ぶと、さらに効果的に腰をサポートでき、おすすめです。 2.足の裏全体を床につける 足が宙でふらつくと骨盤が不安定になり、腰椎に不均等な圧力がかかりやすくなります。 椅子に座る際は足の裏全体が床につくものを選びましょう。高さを調整できるものがおすすめです。理想の高さとしては、太ももとふくらはぎの角度が90度くらいになるようにするのがポイント。 足が床からういてしまう場合は足台を使い、足が底につくようにすると良いでしょう。 3.背筋をピンと伸ばす 背もたれにもたれかかりすぎず、背筋をまっすぐに伸ばすことで、腰の圧力が軽減され、ヘルニアの症状が和らげます。 床の座り方同様に姿勢が猫背であったり、前のめりだったりすると腰椎に過度な圧力がかかり、坐骨神経を圧迫する可能性があります。 椅子に座った際はまっすぐな姿勢を意識し、腰に負荷をかけないよう意識しましょう。 4.長時間椅子に座り続けない 床に座るとき同様に長時間椅子に座り続けることはせず、30分に1回は立ち上がり、軽くストレッチをしたり、負荷のかからない程度に動くようにしましょう。 長時間椅子に座り続けることで、坐骨神経を圧迫する可能性があります。デスクワークだと、時間を忘れ長時間椅子に座ってしまうこともあるでしょう。 時間を忘れそうなときはタイマーをつけたり、立ち上がる時間を決めたりすれば、長時間座りっぱなしの状態を防げます。 椎間板ヘルニアのNGな座り方 NGな座り方 起こりうる影響 猫背や前かがみの姿勢 背骨のS字カーブが崩れ、腰椎に負担が集中し、椎間板が後方へ突出しやすくなる。 足を組んで座る 骨盤が左右どちらかに傾き、腰椎のバランスが崩れて片側に負担が集中。筋肉の緊張が偏り、ヘルニアの悪化リスクが高くなる。 長時間同じ姿勢で座る 腰椎の圧力が持続的に増加し、血流が悪化。筋肉の緊張が強まり、腰への負担が増す。 椎間板ヘルニアの症状を悪化させないためには、正しい座り方が大切です。 癖になっている人は意識して座るようにするだけで、腰にかかる負担を軽減できます。 以下でNGな座り方を詳しく解説します。 1.猫背や前かがみの姿勢 猫背や前かがみの姿勢は、腰椎に余計な負担をかけます。長時間猫背や前かがみの姿勢を維持すれば、椎間板への圧力が増し、ヘルニアの症状が悪化につながります。 とくに前かがみの姿勢を続けると、椎間板の後方(背中側)へ圧力がかかり、内部の髄核(ゼリー状の部分)が外へ押し出されやすくなります。 また、猫背姿勢は肩こりや首こり、頭痛などを招く恐れがあるため、注意が必要です。普段猫背や前かがみで座るのが癖になっている人は、背筋をまっすぐに保つように意識しましょう。 2.足を組んで座る 足を組んで座ることで、骨盤が歪み、背骨のS字カーブが崩れ、腰に負担がかかります。 足を組むと骨盤が左右どちらかに傾き、腰椎のバランスが崩れて片側に負担が集中します。片側に負担がかかることで、筋肉の緊張が片方に集中し、椎間板ヘルニア悪化のリスクが高くなるでしょう。 椎間板ヘルニアを悪化させないためにも足を組まず、背もたれを活用しつつ、背骨のS字カーブを保つことや、こまめに姿勢を正すことが大切です。 また、足を普段組むことが癖になっている人は両足を地面につけることを意識し、習慣化するのがおすすめです。 3.長時間同じ姿勢で座る 同じ姿勢で長時間座り続けると、腰にかかる負担が増え、椎間板ヘルニアの症状が悪化する可能性があります。症状の悪化を防ぐためには、定期的に立ち上がったり、姿勢を変えたりするのが大切です。 軽く立ち上がることで腰周りの筋肉がほぐれ、血流がスムーズになります。その結果、腰への圧力が分散され、長時間座ることで生じるこわばりや疲労を防ぎやすくなります。 長時間座るのが常態化している人はタイマーをセットするなど、椅子から離れる時間を決めておくと良いでしょう。 椎間板ヘルニアの症状を改善する方法 方法 内容 保存療法 初期治療として一般的。薬物療法や理学療法で症状を和らげる。 手術療法 保存療法で改善しない場合や重症時に実施。摘出手術や内視鏡手術で神経の圧迫を解消する。術後のリハビリが重要。 姿勢の改善・適度な運動 正しい姿勢を維持し、腰椎を支える筋肉を鍛えることで症状の悪化を防ぐ。 座り方以外にも、椎間板ヘルニアの症状を改善する方法があります。 初期症状としては保存療法が一般的であり、改善しない場合に手術療法が用いられます。 以下で椎間板ヘルニアの症状を改善する方法を詳しく解説します。 1.保存療法 治療法 内容 薬物療法 症状に応じて鎮痛剤、抗炎症薬、神経の働きを助ける薬を処方。症状の軽減や神経修復を促進する。 理学療法 理学療法士の指導でストレッチ・運動・マッサージを実施。血行を促進し、症状を和らげる。 安静 症状が重い場合は安静が必要。炎症が治まるが、長期間の安静は筋力低下につながるため注意。 椎間板ヘルニアの初期治療として、保存療法から始めるのが一般的です。保存療法は手術を行わずに症状を和らげることが目的です。 保存療法には主に薬物療法・理学療法・安静の3つがあります。保存療法を6週間〜3カ月ほど続け、症状が改善すれば、手術は行いません。 しかし、期間内に改善が見込めない場合や、悪化した場合は手術療法を検討する必要があります。 椎間板ヘルニアの保存療法・手術療法については以下の記事でわかりやすく解説しております。 2.手術療法 手術法 特徴 メリット デメリット 従来の手術法 背中側から切開し、椎弓や椎間板を除去。 根本的な治療が見込める。 皮膚・筋肉・骨に負担が大きく、入院期間が長い(2〜3週間) PELD 7mmの細い筒を使い、内視鏡でヘルニアを摘出。 低侵襲、局所麻酔や日帰り手術、回復が早い。 適応できる症例が限られる(大きなヘルニア・脊柱管狭窄症には不向き) MED 内視鏡を使用し、やや大きめの器具で摘出。 複数の椎間に対応しやすく、実施病院が多い。 筋肉や骨への負担がPELDより大きい。 保存療法で改善が見られない場合や症状が重篤な場合、手術療法が検討されます。手術療法の内容は、摘出手術や内視鏡手術で神経の圧迫を解消するものです。 手術療法には従来の背中側から切開し、椎弓や椎間板を除去する手法の他にPELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術)とMED(内視鏡下ヘルニア摘出術)と呼ばれるものがあります。 それぞれメリットデメリットが存在するため、手術療法を実施する際は医師に相談するのがおすすめです。手術後は日常生活を不自由なく送るために、リハビリを行います。 以下の記事では椎間板ヘルニアの手術療法について詳しく解説しています。 3.姿勢の改善や適度な運動 椎間板ヘルニアの症状を予防するためには、姿勢の改善と適度な運動が不可欠です。とくに適度な運動は身体の柔軟性や筋力の強化、持久力の増強、有酸素運動能力の向上などが期待できます。(文献2) 実践しやすい運動例としては、以下の3つが挙げられます。 体幹トレーニング(プランクやドローインなど) ストレッチ(太ももや腰回りの筋肉をほぐす) ウォーキング(無理のない範囲で継続する) どれも無理のない範囲で行える運動で、ヘルニアの予防・症状の軽減につながります。(文献3)(文献4) 座ると辛い椎間板ヘルニアは当院にご相談ください 座ると辛い椎間板ヘルニアですが、座り方を意識するだけで腰にかかる負担を軽減できます。 椎間板ヘルニアは座り方を意識するのも大切ですが、症状改善に向けて保存療法や適度な運動を取り入れることも忘れてはいけません。 もし、椎間板ヘルニアで悩みを抱えているのであれば、当院「リペアセルクリニック」にお気軽にご相談ください。当院「リペアセルクリニック」では、手術を必要としない再生医療を提案できます。 椎間板ヘルニアで毎日が不安な方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 公益財団法人中国労働衛生協会「NHKテキスト きょうの健康10月号.2021、WHO身体活動・座位行動ガイドライン」2023年 https://churou-wp.sub.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2023/11/62df06838dfbcc1fceb62b758b9eb0e0.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日) (文献2) 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」2018年 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日) (文献3) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会「腰痛診療ガイドライン改訂版」2019年 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf(最終アクセス:2025年2月24日) (文献4) 厚生労働省「腰痛予防のための運動指導」 https://www.mhlw.go.jp/content/000656471.pdf(最終アクセス:2025年2月24日)
2025.02.28 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
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腰に違和感を感じる 腰の違和感のせいで生活に支障をきたしている 腰の違和感はぎっくり腰の前兆であると同時に、椎間板ヘルニアの可能性もあります。ぎっくり腰と椎間板ヘルニアは放置しておくと症状が悪化する恐れがあり、対処方法が異なるのです。 また、ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの症状は酷似している点も多く、見分け方が難しい側面もあわせもっています。 そこで本記事では、以下について解説します。 ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違い ぎっくり腰と椎間板ヘルニアが併発する可能性 ぎっくり腰になったときの対処法 ヘルニアになったときの対処法 ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いを知ることで適切に対処できます。ぜひ最後までご覧いただき、ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの違いを理解しましょう。 ぎっくり腰とヘルニアの違いとは? 項目 ぎっくり腰(急性腰痛症) 椎間板ヘルニア 発症の仕方 急な動作、重い物を持つ、前かがみの姿勢、朝起きたときなど 椎間板の変性、加齢、長期間の負担、急激な負荷や外傷 主な症状 急に訪れる腰痛(ある瞬間に発生) 徐々に悪化する場合と急激に悪化する場合がある 神経症状 基本的に神経症状はない あり(脚のしびれ・感覚異常・筋力低下など) 診断方法 問診・身体診察が基本 神経学的所見+MRI・CT・X線など画像検査(文献1)(文献2) 治療方法 安静・鎮痛薬・物理療法・ストレッチなど 保存療法(薬・理学療法)、改善しない場合は手術を検討する必要あり ぎっくり腰とヘルニアの症状には上記のような違いがあります。どちらも発症の仕方や症状が似ている部分はありますが、一般的にヘルニアの方が重い症状です。 ぎっくり腰とヘルニアの症状について詳しく解説していきます。 ぎっくり腰の症状 前提としてぎっくり腰の原因は特定できませんが、以下3つの要因で症状が引き起こされます。 筋肉疲労の蓄積 急な動作や重い荷物を持つなど 骨格の歪み ぎっくり腰の症状としては、腰にズキッとした違和感を感じ、動くのが難しい状態のことを指します。(文献3) 病院での診断方法は主に問診・身体診察が基本です。治療方法としては安静・鎮痛薬・物理療法・ストレッチなどが挙げられます。 以下記事ではぎっくり腰の症状を詳しく解説しております。ぎっくり腰は自己判断や放置にリスクが伴いますので、早めの受診がおすすめです。 ヘルニアの症状 ヘルニアの症状には種類があります。その中でも代表的なのは椎間板ヘルニアです。 主な症状は手足のしびれや筋力の低下などの違和感や腰痛のようなズキッとした感覚に襲われます。 ぎっくり腰は問診・身体診察が基本なのに対し、代表的な椎間板ヘルニアは神経学的所見+MRI・CT・X線など画像検査が必要です。(文献1)(文献2)保存療法(薬・理学療法)で改善しない場合は手術も視野に入れる必要があります。 以下記事ではヘルニアの症状について詳しく解説しております。ヘルニアに対しての自己判断はリスクが高いため、早期発見が大切です。 ぎっくり腰とヘルニアは併発する可能性がある 起因 併発の仕組み 症状の特徴 ヘルニア 椎間板ヘルニアによる神経圧迫や腰部の負担増加が原因でぎっくり腰を発症する可能性あり。 長時間座っていると違和感が増すことが多い。 ぎっくり腰 ぎっくり腰で急激な腰の負担がかかり、椎間板が損傷してヘルニアを引き起こすことがある。 ぎっくり腰の違和感が長引き、脚にしびれや違和感が出ることがある。 ぎっくり腰とヘルニアは互いに影響し、併発する可能性があります。併発するケースを解説するので、参考にしていただけますと幸いです。 ヘルニアが原因でぎっくり腰を発症する場合 ヘルニアが原因でぎっくり腰を発症するケースは主に椎間板ヘルニアによる神経圧迫や腰部の負担増加です。椎間板ヘルニアの症状があると、腰の筋肉が緊張しやすくなったり、腰のストレスがかかりやすくなります。 そのため、急な動作や前かがみになった際にぎっくり腰を発症しやすくなります。椎間板ヘルニアの方は急な動作や重い荷物を持つなど、腰にストレスのかかる動作には注意が必要です。 ぎっくり腰が原因で椎間板ヘルニアを発症する場合 ぎっくり腰で腰にかかる負荷が大きくなると、椎間板(背骨のクッション部分)にも強い圧力がかかり、椎間板の内部を傷つけることになります。 椎間板の内部に負荷がかかることで、髄核(ゼリー状の組織)が飛び出してしまい、椎間板ヘルニアの発症につながります。 ぎっくり腰が長引く・違和感を感じる際は椎間板ヘルニアを併発する前に早めの受診が大切です。 ぎっくり腰になったときの対処法 ぎっくり腰になったときの対処法は以下の5つです。 楽な姿勢で安静にする 市販の鎮痛剤や鎮静成分を含む湿布を使用する 負担のかからない程度に適度に動く 15分程度の患部の冷却 医療機関の受診 ぎっくり腰になったときは重いものを持ち上げたり、姿勢を急に変えたりする行動は控えましょう。 以下で対処法を詳しく紹介します。 また、ぎっくり腰の原因や治療については以下の記事で詳しく解説しています。ぎっくり腰にお悩みの方はぜひ参考にしていただけますと幸いです。 1.楽な姿勢で安静にする ぎっくり腰になったときは無理な姿勢は取らず、腰に負担のかからない楽な姿勢をとることが大切です。 ぎっくり腰になった人の大半は仰向けで脚を伸ばして寝るのが難しい状態といえます。 発症直後、腰に違和感を感じるときは腰に負担がかからない楽な姿勢をとるようにする、膝の下にクッションを入れ、腰と膝を軽く曲げて寝る、膝を軽く曲げて横向きに寝るなどが有効です。 大半の場合、症状は1週間ほどで和らぎますが、改善が見られない場合は当院の受診をおすすめします。 2.市販の鎮痛剤や鎮静成分を含む湿布を使用する 応急処置として、湿布やロキソニンなどの市販薬の使用が効果的です。 湿布を選ぶ際は鎮静成分が含まれている、ロキソプロフェン・ジクロフェナク・インドメタシンなどの成分が含まれているものを選びましょう。(文献4) 湿布の中には鎮静成分が含まれていないもの(例:保湿成分メインの湿布や局所刺激成分のみの湿布など)もあるので、不安な方は薬局に相談するのがおすすめです。 また、湿布で肌荒れやかゆみを感じる場合はすぐに使用を中断する様にしましょう。 3.負担のかからない程度に適度に動く ぎっくり腰になったときは負担のかからない程度に適度に動くことも大切です。腰痛を気にするあまり動かないでいると、筋力低下や慢性化のリスクがあります。 どうしても動けないときに無理する必要はないものの、簡単な家事や近くのものを取りに行く程度であれば、回復を促進してくれます。症状が軽減した段階で適度に動くことは、筋肉の硬直を防ぐために重要です。 無理のない範囲で少しずつ、身体を動かすようにしましょう。 4.15分程度の患部の冷却 方法 内容 目安時間 冷却(初期対応) 氷嚢や冷却パックをタオル越しに使用する 15〜20分おき、1時間おきに繰り返す 症状が引いたら 入浴や蒸しタオル、カイロで血行促進 症状の軽減後に行う ぎっくり腰で炎症を起こした患部の冷却は応急処置としても有効な手段です。楽な姿勢で身体への負担を減らし、症状始めの48時間ほどは患部を冷やすと炎症を抑えられます。 氷嚢や冷却パックをタオル越しに15〜20分冷やします。この流れを1時間おきに繰り返しましょう。症状が引いてきた段階で入浴や蒸しタオル、カイロを使って血行を促進し、筋肉の強張りを和らげられます。 ただし症状が引いてきた段階で血行がよくなるという理由で入浴や蒸しタオルで温めすぎるのは逆効果です。温めすぎると引いた炎症が再発する可能性があるので、注意が必要です。 5.医療機関の受診 治療法 内容 薬物療法 消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える 理学療法 ストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する(文献5) 神経ブロック療法 症状を感じる神経に局所麻酔薬やステロイドを注射し、一時的に症状を抑える 椎間板内酵素注入療法 椎間板に酵素(コンドリアーゼ)を注入し、飛び出た髄核を縮小させる 手術療法 突出した椎間板を取り除く手術を実施する(内視鏡手術や除圧術など) ぎっくり腰が改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。自己判断での対処はリスクを伴います。 なかなか改善しない、治るのか不安と感じているなら、医師に相談すれば不安が解消できるかもしれません。 少しでも気になることがあれば、医師に相談し、ぎっくり腰の改善に前向きな気持ちになれます。前向きな気持ちは治療にとっても大切です。 早くから治療を始めた方が効果を得やすいため、気になる場合は気軽にご相談ください。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。 ヘルニアになったときの対処法 治療法 内容 薬物療法 消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える 理学療法 ストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する(文献5) 神経ブロック療法 症状を感じる神経に局所麻酔薬やステロイドを注射し、一時的に症状を抑える 椎間板内酵素注入療法 椎間板に酵素(コンドリアーゼ)を注入し、飛び出た髄核を縮小させる 手術療法 突出した椎間板を取り除く手術を実施する(内視鏡手術や除圧術など) ヘルニアになったときの対処法は以下の5つ。 薬物療法 理学療法 神経ブロック療法 椎間板内酵素注入療法 手術療法 これから紹介する対処法は、必ず医師の診断を受けた上で行いましょう。 1.薬物療法 薬物療法とは消炎鎮痛剤(NSAIDs)や筋弛緩剤を使用し、炎症を抑える療法です。 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第 3 版によると腰椎椎間板ヘルニアにより生じる腰下肢痛に対する薬物療法として、世界各国で鎮痛薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などによる治療が一般的に行われています。(文献5) しかし、薬物の効果が現在の医学研究において信頼性の高い証拠(エビデンス)がまだ見つかっていません。 薬物療法は根本的な治療ではなく、あくまで対症療法として有効です。薬物療法は根本的な解決ではなく、症状を一時的に和らげるものであることは覚えておきましょう。 2.理学療法 理学療法とはストレッチやリハビリを行い、筋力を強化して負担を軽減する療法です。腰椎椎間板ヘルニアの治療では、運動療法(筋力トレーニング・ストレッチ・持久力強化)が効果的とされています。 ただし、この療法は発症を防ぐ1次予防としての効果は十分に証明されていません。 一方で、再発を防ぐ2次・3次予防として期待を寄せられており、運動を続けることでVAS値の軽減、休業期間の短縮、再発率の低下が期待されています。 コルセットについては、ヘルニア発症自体を防ぐ効果(1次予防)は証明されていません。しかし回復の手助けや、再発防止に役立つとされています。(文献5) また、認知行動療法(不安やストレスを軽減する心理療法)はヘルニアの再発防止に効果があると期待されています。 3.神経ブロック療法 神経ブロック療法の種類 特徴 硬膜外ブロック療法 脊髄を包む膜(硬膜)の外側にある空間に局所麻酔薬を注入する。炎症を抑える効果もある 神経根ブロック療法 X線画像を見ながら、圧迫されている神経に局所麻酔薬と抗炎症薬を直接注入する ブロック療法(椎間板造影) X線画像を用いて障害された椎間板を特定し、そこに局所麻酔薬と抗炎症薬を注入する 神経ブロック療法とは症状の原因になっている神経の部位やその周りに細い特殊な神経ブロック針で局所麻酔などを注入する療法です。 神経ブロック療法は一時的な療法や診断には有効ではあるものの、根本的な治療として有効であるエビデンスが存在しないため、リハビリや生活習慣の改善と併用が推奨されています。(文献5) 4.椎間板内酵素注入療法 コンドリアーゼと呼ばれる酵素を椎間板内に注入し、髄核を化学的に溶解して神経の圧迫を軽減する療法です。 慶應義塾大学病院の医療・健康情報サイトによると椎間板内酵素注入療法の成績は、治療後13週で有効率は約70%のデータがあります。(文献6) 椎間板内酵素注入療法の所要時間はおおむね30〜60分で、3時間の安静後にゆっくり歩行を開始します。手術の時間は30〜60分程度で、入院は1日程度で短期間なのもメリットです。 注意点としては、アナフィラキシー(かゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛、吐き気などの消化器症状、視野が狭くなるなどの視覚症状)を引き起こさないために、コンドリアーゼの投与は生涯に1度のみ投与が許可されています。 神経や血管、消化管に近い部位を針で刺すため、損傷のリスクがあります。国内第Ⅱ/Ⅲ相試験及び第Ⅲ相試験(薬剤発売前の臨床試験)では、一時的な腰痛や下肢痛の悪化が約30%報告されています。 しかし、2019年の時点では椎間板内酵素注入療法で死亡した事例は報告されていません。椎間板内酵素注入療法を受ける際は、必ず医師と相談し、過去にコンドリアーゼの投与歴がないことを確認した上で進めましょう。 5.手術療法 椎間板ヘルニアの治癒は原則、薬物療法、理学療法、神経ブロック療法などの保存療法が中心で行われます。しかし3か月間の保存療法で改善されない場合や3カ月も待機できない場合には手術が推奨されています。 手術ではLOVE法と呼ばれる一部骨を削った後に脊髄をよけてヘルニアを切除する手術を行い、手術後1〜2日で歩行練習やリハビリを開始します。 薬物療法、理学療法、神経ブロック療法でも症状が改善しない場合は、医師に相談し、手術を検討するのも1つの方法です。 腰に違和感を感じる方は早めの受診がおすすめ 腰に違和感を感じる方はぎっくり腰・間板ヘルニアに限らず早めの受診をおすすめします。ぎっくり腰と椎間板ヘルニアの症状には似た部分も多いものの、対処法が異なります。 ぎっくり腰が原因で間板ヘルニアを併発することもあれば、ヘルニアが原因で併発することもあるので、少しでも不安に感じた方は早めに当院に相談ください。 当院「リペアセルクリニック」では、ぎっくり腰・椎間板ヘルニアをはじめとする症状に対して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 再生医療(幹細胞治療)は損傷した椎間板や神経組織の再生を目指し、症状の軽減や機能の回復を期待できます。 腰に関するちょっとした悩みでも当院「リペアセルクリニック」にご相談いただけますと幸いです。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 松本守雄ほか「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」pp.1-132 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献2) 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン(改訂第 3 版)」2018年 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf(最終アクセス:2025年2月21日) (文献3) 公益社団法人日本整形外科学会「症状・病気をしらべる https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/acute_low_back.html(最終アクセス:2025年2月21日) (文献4) 厚生労働省 「鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む)製品群No. 57」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0117-9d36.html¥(最終アクセス:2025年2月21日) (文献5) 伊藤俊一 「エビデンスに基づく理学療法 ―理学療法診療ガイドラインを読み解く―」 連載第9 回 腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン」『理学療法学 第 42 巻第 6 号』pp.1-6,2015年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/42/6/42_42-6kikaku_ito_toshikazu/_pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月21日) (文献6) 「腰椎椎間板ヘルニアの新たな治療 ~コンドリアーゼによる椎間板髄核融解術~ ―整形外科―」慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトKOMPAS ,2019年3月1日 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/presentation/201903_02.html?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月21日)
2025.02.28 -
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お尻や足に、電気が走るような痛みやしびれを感じたことはありませんか?もしかしたら、それは「梨状筋症候群」のサインかもしれません。 現代社会のデスクワーク中心の生活は、知らず知らずのうちに梨状筋への負担を増大させて、痛みやしびれを引き起こす疾患です。 放置すると慢性化し、日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性もあります。 この記事では、セルフチェックの方法、そして具体的な治療法まで、医師が分かりやすく解説します。 つらい痛みやしびれから解放されるための第一歩を、この記事で踏み出してみませんか? 梨状筋症候群の症状と原因5選 お尻や足に痛みやしびれがある場合、梨状筋症候群の可能性があります。 梨状筋症候群は、お尻の奥深くにある梨状筋という筋肉が、坐骨神経を圧迫することで起こる症状です。 痛みやしびれの症状 梨状筋症候群の痛みやしびれは、お尻から太もも、ふくらはぎ、そして時には足先まで広がり、まるで電気が走るようなピリピリとした感覚や、ジーンと響くような感覚、焼けるような痛みなど、症状は人それぞれです。 これらの症状は、長時間座っていたり、股関節を動かしたりすることで悪化し、同じ姿勢を続けていると、さらに症状が強まる場合があります。 このような症状が現れた場合、日常生活にも支障をきたす可能性があります。 症状の種類 感じ方 範囲 具体的な日常生活への影響例 ピリピリする 電気が走るような感覚 お尻から足先まで 靴下の素材がチクチクと感じたり、足先が常に痺れて違和感がある ジーンとする 重いものが乗っているような感覚 お尻からふくらはぎまで ふくらはぎが重だるく、長時間の歩行が困難になる 焼けるような痛み 熱いものが当たっているような感覚 お尻から太ももまで 座っているとお尻から太ももにかけて熱く感じ、落ち着いて座っていられない このような症状は、当初は軽い違和感程度から始まり、徐々に増悪するケースが多いです。 初期の段階では、「少し疲れているだけだろう」と安易に考えてしまいがちですが、放置すると慢性化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性がありますので、早めの対応が重要です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「腰の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 臀部から太もも、ふくらはぎにかけての痛み 梨状筋症候群では、お尻の奥にある梨状筋が坐骨神経を圧迫することで、臀部から太もも、そしてふくらはぎにかけて痛みを感じることがあります。 梨状筋は、股関節を外側に回す働きをする筋肉です。この筋肉が硬くなったり、腫れたりすることで、近くを通る坐骨神経を圧迫し、症状が出ます。坐骨神経は、人体で最も太い神経であり、腰から足先まで繋がっています。 梨状筋症候群は、比較的まれな疾患であるものの、坐骨神経痛の原因の一つとして無視できない存在です。診断が難しい場合が多く、他の疾患との鑑別が重要になります。 例えば、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症なども坐骨神経痛を引き起こす可能性があるため、これらの疾患との鑑別が必要となります。 かかりつけ医から、『坐骨神経痛の原因は、腰のヘルニアが原因と言われた』とよく外来に来られる患者様がいました。 よく調べてみると、この梨状筋症候群だったということは多々ありました。整形外科医でも、中々判断するのは難しい疾患となります。 ▼椎間板ヘルニアについて、こちらでも分かりやすく解説しています。 長時間座っていると悪化する痛み 梨状筋症候群の痛みは、長時間座っていることで悪化することがあります。 デスクワークや車の運転などで長時間同じ姿勢を続けていると、梨状筋が圧迫され、坐骨神経への刺激が強まります。 特に、足を組んだり、片方に体重をかけたりする姿勢は、梨状筋への負担が大きくなるため、注意が必要です。 こまめに立ち上がったり、ストレッチをしたりすることで、筋の緊張を和らげ、症状をやわらげることができます。 現代社会では、デスクワークやスマートフォンの使用など、長時間座っている機会が増えています。そのため、梨状筋症候群のリスクも高まっていると考えられます。 長時間座っている際には、1時間に1回程度は立ち上がって歩いたり、身体を動かしたりしましょう。 股関節の動きに伴う痛み 梨状筋症候群では、股関節を動かすと痛みが増強することがあります。この梨状筋は、股関節を内側や外側に回したり、曲げ伸ばししたりする際に活躍する筋肉です。 この時に、梨状筋が伸縮し、坐骨神経を刺激します。特に、股関節を外側に回す動きは、梨状筋を強く収縮させるため、痛みを感じやすいです。 階段の上り下りや、足を組む動作など、日常生活での動作でも痛みが出現する可能性があります。 梨状筋症候群のセルフチェックと診断 お尻や足に痛みやしびれがあると、日常生活にも支障が出てつらいですよね。もしかしたら、それは「梨状筋症候群」かもしれません。 梨状筋症候群は、お尻の奥深くにある筋肉「梨状筋」が、近くを通る坐骨神経を圧迫することで起こる病気です。 今回は、梨状筋症候群のセルフチェック方法や医療機関における診断方法について詳しく解説します。 梨状筋症候群のセルフチェック方法 ご自身で梨状筋症候群の可能性をチェックする方法をいくつかご紹介します。これらのセルフチェックは、あくまで梨状筋症候群の疑いがあるかを調べるためのものです。 セルフチェックで陽性反応が出ても、必ずしも梨状筋症候群であるとは限りません。確定診断のためには、医療機関を受診し医師の診察を受けることが重要です。 FAIRテスト(股関節屈曲、外転、内旋テスト)とPace徴候は、梨状筋症候群のセルフチェックとして広く知られています。 FAIRテスト:FAIRテストでは、仰向けに寝て片方の足をもう片方の足の上に組み、上の足の膝を外側に倒していきます。 この時、お尻や太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが出たら、梨状筋症候群の可能性があります。 このテストは、梨状筋が緊張・短縮することで坐骨神経が刺激され、神経のインパルスが妨げられることで症状が出現するというメカニズムに基づいています。 Pace徴候:Pace徴候では、痛みのある側の足を組んで座り、そのまま上半身を前に倒します。 お尻や太ももに痛みやしびれが増強する場合、梨状筋症候群の可能性があります。 これらのセルフチェックは、梨状筋の緊張や炎症によって坐骨神経が圧迫されることで生じる痛みやしびれを誘発することで、梨状筋症候群の可能性を探るものです。 しかし、これらの症状は他の疾患でも起こり得るため、鑑別診断が重要です。 例えば、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症も同様の症状を引き起こす可能性があります。 鑑別診断:坐骨神経痛との違い 梨状筋症候群は、坐骨神経痛の一つの原因です。 坐骨神経痛とは、腰からお尻、太ももの裏、ふくらはぎ、足にかけて伸びている坐骨神経が何らかの原因で刺激され、痛みやしびれなどの症状が現れる状態を指します。 梨状筋症候群以外にも、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腫瘍など、様々な病気が坐骨神経痛を引き起こす可能性があります。 ▼坐骨神経痛を和らげるストレッチについて、併せてお読みください。 梨状筋症候群の治療法と治る期間 ここでは、梨状筋症候群の具体的な治療法と、どれくらいの期間で治るのかについて、詳しく解説します。 どの治療法が自分に合っているのか、不安に思っている方も、ぜひ参考にしてみてください。 梨状筋症候群の治療期間 梨状筋症候群の治療期間は、症状の重さや治療法、そして個人差によって大きく異なります。 多くの場合、保存療法と呼ばれる手術をしない治療で、2ヶ月ぐらい経てば、かなり軽快するという報告があります。 具体的には、初期段階で症状が軽い場合は数週間から数ヶ月で、ほとんどが軽快します。 しかし、症状が重い場合や慢性化している場合は、数ヶ月から半年以上かかる場合もあります。 さらに、日常生活での姿勢や体の使い方が悪ければ、さらに治癒期間は長くなります。 梨状筋症候群は、他の疾患、例えば腰椎椎間板ヘルニアなどと症状が似ている場合があり、誤診される可能性も否定できません。 そのため、医療機関を受診し、医師の診察を受けることが重要です。 保存療法:ストレッチや薬物療法 梨状筋症候群の治療は、多くの場合、保存療法から始めます。 梨状筋症候群は、梨状筋の緊張や炎症が原因で起こることが多いため、保存療法では、主に梨状筋の緊張を和らげ、炎症を抑えることを目的とします。 具体的には、ストレッチ、薬物療法、温熱療法、注射などがあります。 ストレッチ:ストレッチは、梨状筋を伸ばすことで、神経への圧迫を軽減し、症状の改善を図ります。 理学療法士による坐骨神経モビライゼーションや梨状筋リリースといった専門的な手技も有効です。 股関節の屈曲角度が90度以上と90度未満のストレッチ方法があり、症状や身体の状態に合わせて適切な方法を選択することが重要です。 薬物療法:薬物療法では、痛みや炎症を抑える薬を服用します。痛み止めや消炎鎮痛剤など、症状に合わせて医師が適切な薬を処方します。 温熱療法:温熱療法は、温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果が期待できます。ホットパックや温湿布などを使用します。 注射療法:注射療法では、梨状筋や坐骨神経周囲に局所麻酔薬やステロイド薬を注射します。 痛みを軽減し、炎症を抑える効果が期待できます。近年では、ボツリヌス毒素注射も効果的であると報告されています。 ボツリヌス毒素は、筋肉の過剰な収縮を抑制する効果があり、梨状筋の緊張を和らげ、坐骨神経への圧迫を軽減します。 手術療法の適応 梨状筋症候群の手術療法は、保存療法を数ヶ月間継続しても症状が改善しない場合や、他の疾患が疑われる場合に検討されます。 しかし、梨状筋症候群で手術が必要となるケースは非常に稀です。 家庭でできるストレッチと注意点 梨状筋症候群の代表的なストレッチとして、仰向けに寝て、片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、両手で太ももを抱えてゆっくりと胸に引き寄せる方法があります。この姿勢を30秒ほど維持し、反対側も同様に行います。 ストレッチは無理のない範囲で行いましょう。ストレッチは、朝起きた時やお風呂上がりなどが効果的です。 また、ストレッチだけでなく、日常生活での姿勢や体の使い方にも気を配ることが重要です。 長時間の同じ姿勢を避け、適度な運動を心がけることで、梨状筋症候群の予防や再発防止にも繋がります。 椅子に座っている時に足を組む癖がある方は、梨状筋への負担が大きくなるため、意識的に足を組まないようにしましょう。 また、立ち仕事が多い方は、適度に休憩を取り、股関節周りのストレッチを行うことをおすすめします。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「腰の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Kirschner JS, Foye PM, Cole JL. "Piriformis syndrome, diagnosis and treatment." Muscle & nerve 40, no. 1 (2009): 10-8. Probst D, Stout A, Hunt D. "Piriformis Syndrome: A Narrative Review of the Anatomy, Diagnosis, and Treatment." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 11 Suppl 1, no. (2019): S54-S63. Kim B, Yim J. "Core Stability and Hip Exercises Improve Physical Function and Activity in Patients with Non-Specific Low Back Pain: A Randomized Controlled Trial." The Tohoku journal of experimental medicine 251, no. 3 (2020): 193-206. Ahmad Siraj S, Dadgal R. "Physiotherapy for Piriformis Syndrome Using Sciatic Nerve Mobilization and Piriformis Release." Cureus 14, no. 12 (2022): e32952.
2025.02.09 -
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腰や首の痛み、痺れ、悩んでいませんか? それは、背骨のクッションである椎間板が潰れ、神経を圧迫する椎間板ヘルニアかもしれません。 ぎっくり腰のような激しい痛みから、長時間デスクワークによる慢性的な痛みまで、その症状は様々です。 実は、トップアスリートでも椎間板ヘルニアの有病率が高いという報告もあるほど、身近な疾患なのです。 この記事では、椎間板ヘルニアの代表的な症状5選と原因や保存療法・手術療法といった治療法まで、詳しく解説します。 もしかしたら、あなたの痛みや痺れの原因がわかるかもしれません。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=OXYtRw-021UiEI73 椎間板ヘルニアの症状と原因5選 椎間板ヘルニアは、背骨同士のクッションとなる椎間板が、まるで潰れて神経を圧迫するような状態です。腰や首に発症し、多くの人が悩まされています。 この椎間板ヘルニアによって引き起こされる代表的な症状5つと、その原因について、詳しく説明していきます。 ①腰痛:急性期の特徴と慢性期の特徴 腰痛は、椎間板ヘルニアの最も代表的な症状です。 「ぎっくり腰」のように、突然激しい痛みが生じる場合(急性期)と、徐々に痛みが強くなっていく場合(慢性期)があります。 急性期:急性期は、重量物を持った時や、急に体をひねったときなどに起こりやすく、その場で動けなくなるほどの激痛を伴うこともあります。 私の患者さんでも、くしゃみをした瞬間、激痛で動けなくなり救急車で運ばれてきた方がいました。 慢性期:慢性期は、加齢に伴って椎間板がすり減ったり、長時間のデスクワークや悪い姿勢などによって、じわじわと症状が現れることが多いです。 まるで、長年使い続けたクッションが、少しずつへたっていくように、椎間板も徐々に変性していきます。 初期は軽い違和感程度ですが、放っておくと重症化し、日常生活に支障をきたすようになることもあります。 特徴 急性期 慢性期 痛みの始まり方 突然 徐々に 痛みの程度 激しい 軽い~中等度 期間 数日~数週間 数ヶ月~数年 原因 急な動作、重量物を持つ 加齢、長時間のデスクワーク、悪い姿勢など ②下肢の痛みやしびれ:坐骨神経痛との関係性 椎間板ヘルニアは、腰だけでなく、臀部や太ももの後ろから、ふくらはぎ、足先など、下肢にも痛みやしびれを引き起こすことがあります。 これは、飛び出した椎間板が、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」という神経を圧迫するためです。 坐骨神経痛の症状は、おしりから太ももにかけての痛み、ふくらはぎの外側や足の裏のしびれ、足首や足指の動きが悪くなるなどがあります。 これらの症状は、片側の足に現れることが多く、咳やくしゃみをすると痛みが強くなることがあります。 特に、トップアスリートでは、一般人口よりも椎間板ヘルニアの有病率が高いという報告もあります。 これは、脊柱への継続的な圧力と、微小外傷の蓄積が原因と考えられています。アスリートに限らず、普段から、腰の負担を軽減するため、姿勢や運動を心がけることが大切です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ③排尿・排便障害:重症例での症状 椎間板ヘルニアが重症化すると、まれに排尿や排便のコントロールが難しくなることがあります。 これは、「馬尾神経」と呼ばれる、膀胱や直腸の働きをコントロールする神経が圧迫されることで起こります。 尿が出にくい、残尿感がある、便が出にくい、便秘になるなどの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。 馬尾症候群は、緊急手術が必要な重篤な状態です。 早期発見、早期治療が予後を大きく左右するため、少しでも異変を感じたら、ためらわずに専門医に相談することが重要です。 ④遺伝的要因:家族歴との関連 椎間板ヘルニアは、遺伝的要因が直接的に関係しているという明確なエビデンスは、現在のところありません。 しかし、家族に椎間板ヘルニアになった人がいる場合、椎間板の構造や強度などが似ている可能性があり、将来的に発症するリスクが少し高くなる可能性も考えられます。 ⑤加齢や生活習慣:肥満や喫煙の影響 加齢:加齢は、椎間板ヘルニアの大きなリスク要因の一つです。年齢を重ねると、椎間板の水分が減少すると、もろくなってしまい、ヘルニアになりやすくなります。 これは、乾燥したスポンジがもろくなりやすいのと同じようなイメージです。 肥満:肥満もリスクを高める要因です。過剰な体重は、椎間板に大きな負担をかけるためです。 喫煙:喫煙は、椎間板への血流を悪くし、椎間板の変性を促進するため、間接的にヘルニアのリスクを高める可能性が指摘されています。 日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などを心がけることで、椎間板ヘルニアのリスクを軽減することができます。 特に、肥満の方は、適切な減量指導を受けることで、椎間板への負担を軽減し、症状の改善を期待できます。 椎間板ヘルニアの検査と治療法4選 椎間板ヘルニアの検査方法と治療法について、不安を少しでも和らげ、治療に前向きに取り組めるよう、わかりやすく解説します。 検査で何がわかるのか、どんな治療の選択肢があるのか、一緒に見ていきましょう。 画像診断:MRI、CT、レントゲンの役割と使い分け 椎間板ヘルニアの検査には、主にMRI、CT、レントゲンといった画像診断を用います。 それぞれの検査の特徴を、身近なもので例えて説明します。 MRI検査: MRI検査は、強力な磁石と電波を使って体の内部を、まるでゼリーの中身を見るように鮮明に画像化します。 飛び出した椎間板の状態や、神経がどれくらい圧迫されているかを正確に把握できます。特に、神経根症状を伴う腰椎椎間板ヘルニアの診断においては、MRIが不可欠です。 CT検査: CT検査は、X線を使って体の断面を撮影し、輪切りにした野菜のように内部構造を写し出します。 MRI検査ほど鮮明ではありませんが、骨の輪郭をとらえるのが特徴で、椎間板ヘルニアに伴う骨の異常や、ヘルニアの石灰化の有無などを確認するのに役立ちます。 レントゲン検査: レントゲン検査は、X線を使って骨を撮影する、健康診断などでもよく用いられる検査です。 椎間板ヘルニア自体はレントゲンに写りませんが、骨の変形や異常がないかを確認し、他の骨の病気を除外するために用います。 これらの検査を組み合わせて行うことで、より正確な診断が可能になります。 保存療法:薬物療法、理学療法、安静の重要性 椎間板ヘルニアの治療は、まず保存療法から始めます。保存療法は、手術をせずに痛みやしびれなどの症状を和らげることを目的とした治療法です。 薬物療法: 痛みや炎症を抑える薬、神経の働きを助ける薬、筋肉の緊張を緩和する薬などを、患者さんの症状に合わせて処方します。 鎮痛剤は、痛みを感じにくくする効果があり、炎症を抑える薬は、腫れや熱感を抑えることで痛みを軽減します。 神経の働きを助ける薬は、神経の修復を促進し、しびれなどの症状を改善する効果が期待できます。 理学療法: 専門の理学療法士による指導のもと、ストレッチや運動、マッサージなどを行います。 硬くなった筋肉を柔らかくすることで血行を促進し、痛みを軽減する効果があります。 安静: 痛みが強い時期には、安静にすることが重要です。安静にすることで、炎症が治まり、痛みが軽減されます。 しかし、長期間の安静は、筋力低下や体力低下につながるため、医師の指示に従って適切な安静期間と活動量を調整することが大切です。 北米脊椎協会(NASS)のガイドラインでも、適切な安静の重要性が強調されています。 これらの保存療法を6週間から3ヶ月ほど続け、それでも症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合には、手術療法を検討します。 手術療法:適応と種類、術後のリハビリテーション 保存療法で効果が得られない場合や、重度の神経麻痺がある場合などには、手術療法を検討します。 手術の主な目的は、飛び出した椎間板を取り除き、神経の圧迫を解消することです。 手術の適応: 排尿・排便に障害が出たり、日常生活に支障が出るほどの神経麻痺がある場合は、緊急手術が必要になることもあります。 特に、馬尾症候群の場合は、24~48時間以内の緊急手術が必須です。それ以外の場合でも、保存療法を数ヶ月試しても症状が改善しない場合は、手術の適応となることがあります。 具体的な適応は、医師が患者さんの症状や検査結果などを総合的に判断します。 手術の種類: 椎間板ヘルニアの手術には、顕微鏡手術、内視鏡手術など、いくつかの種類があります。 顕微鏡手術は、顕微鏡を使って患部を拡大して行うため、より精密な手術が可能です。 内視鏡手術は、小さな傷で行えるため、体への負担が比較的少ないというメリットがあります。 どの手術法が適しているかは、ヘルニアの状態や患者さんの状態によって異なります。 胸椎椎間板ヘルニアのように、稀なケースでは、ヘルニアの位置や石灰化の有無によって、胸腔内切開術や後外側切開術などのアプローチを選択する必要もあります。 術後のリハビリテーション: 手術後は、早期からリハビリテーションを開始することが重要です。 リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチ、歩行訓練などを行い、日常生活への復帰を目指します。 手術は体に負担がかかるため、手術のメリットとデメリットをよく理解し、医師と十分に相談した上で、手術を受けるかどうかを判断することが大切です。 しかし、手術をしても、しびれや痛みが残ったり、『手術前よりも後遺症がひどくなった』という方も一定数おられます。 術後の後遺症の場合は、神経は一度損傷すると、戻らないことがあると、医師はよく言います。 そんな方に、リペアセルクリニックでの国内ではほとんど行われていない、脊髄腔内にダイレクトに幹細胞を投与する再生医療を行なっています。詳しくはこちらで説明しています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 <実際に行った、患者様の声> https://youtu.be/zRaQYBJNrS8?si=dz3vaREdJJnD65HL https://youtu.be/3yN5q8_ATpc?si=YNTbuXIalfV4Z0Me 他の疾患との鑑別:坐骨神経痛、脊柱管狭窄症との違い 椎間板ヘルニアは、坐骨神経痛や脊柱管狭窄症といった他の疾患と症状が似ていることがあります。 坐骨神経痛: 坐骨神経痛は、腰からおしり、太ももの裏側、ふくらはぎにかけて伸びる坐骨神経が圧迫されることで起こる症状です。 椎間板ヘルニアが坐骨神経痛の原因となることもありますが、梨状筋症候群など、他の原因で坐骨神経痛が起こることもあります。 脊柱管狭窄症: 脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る脊髄神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫されて起こる病気です。 加齢に伴う骨や靭帯の変化によって脊柱管が狭くなることが主な原因です。 椎間板ヘルニアと同様に、腰痛や足のしびれ、痛みなどの症状が現れますが、間歇性跛行(しばらく歩くと足が痛くなり、休むと痛みが治まる)といった特徴的な症状がみられることもあります。 これらの疾患は症状が似ているため、必ず、専門医による適切な診断を受けることが大切です。 ▼脊柱管狭窄症について、併せてお読みください。 参考文献 Yamaguchi JT and Hsu WK. "Intervertebral disc herniation in elite athletes." International orthopaedics 43, no. 4 (2019): 833-840. Danazumi MS, Nuhu JM, Ibrahim SU, et al. "Effects of spinal manipulation or mobilization as an adjunct to neurodynamic mobilization for lumbar disc herniation with radiculopathy: a randomized clinical trial." The Journal of manual & manipulative therapy 31, no. 6 (2023): 408-420. Kögl N, Petr O, Löscher W, et al. "Lumbar Disc Herniation—the Significance of Symptom Duration for the Indication for Surgery." Deutsches Arzteblatt international 121, no. 13 (2024): 440-448. Court C, Mansour E and Bouthors C. "Thoracic disc herniation: Surgical treatment." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S31-S40. "[Guideline for diagnosis, treatment and rehabilitation of lumbar disc herniation]." Zhonghua wai ke za zhi [Chinese journal of surgery] 60, no. 5 (2022): 401-408. van der Windt DA, Simons E, Riphagen II, et al. "Physical examination for lumbar radiculopathy due to disc herniation in patients with low-back pain." The Cochrane database of systematic reviews , no. 2 (2010): CD007431. Kreiner DS, Hwang SW, Easa JE, et al. "An evidence-based clinical guideline for the diagnosis and treatment of lumbar disc herniation with radiculopathy." The spine journal : official journal of the North American Spine Society 14, no. 1 (2014): 180-91. Zhang AS, Xu A, Ansari K, et al. "Lumbar Disc Herniation: Diagnosis and Management." The American journal of medicine 136, no. 7 (2023): 645-651.
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この記事を読んでいる方は「椎間板ヘルニアのPLDD手術で失敗したらどうなるのだろう」と不安になっているのではないでしょうか。 椎間板ヘルニアのPLDD手術は、メスを使わないため出血が少なく、全身麻酔の必要もないため、患者さんの負担の少なさが特徴です。しかし、適応できるヘルニアは限られ、自分の状態に合うかをよく見極める必要があります。 本記事では、椎間板ヘルニアのPLDD手術について、失敗と言われる例や失敗を防ぐポイント、失敗した際の対処法などを詳しく解説します。記事を最後まで読めばPLDD手術の注意点がわかり、より失敗の少ない施術を検討できるでしょう。 【効果なし?】ヘルニアのPLDDが失敗だったと言われる3つの例 椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。その治療法として、経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD:Percutaneous Laser Disc Decompression)が注目を集めています。 しかし、PLDDはすべての患者さんにとって最適な治療法とは限りません。 「ヘルニアのPLDDが失敗だった」と言われる主な例は以下の3つです。 十分な効果が得られずに痛みが続く 合併症や後遺症が起こる ヘルニアが再発する 本章の内容をもとに、PLDDが失敗だったと言われる例を確認しておきましょう。 なお、PLDD手術の詳細は、以下の記事で詳しく説明しています。 十分な効果が得られずに痛みが続く もともと効果が期待できない人が手術を受けた場合、術後も痛みが続いて「PLDDに失敗した」と思う可能性があります。 PLDDはレーザー照射により椎間板の内圧を下げて、ヘルニアによる圧迫を改善する手術です。適するヘルニアの大きさや症状には限りがあり、残念ながら他の手術法の方が良い方におこなわれて「効果がなかった」となるケースもあります。 PLDDが適するヘルニアの種類については、記事の後半で説明します。 合併症や後遺症が起こる PLDDはリスクが少ないと言われていますが、以下のような合併症が起こるケースもあります。 手術後の感染 レーザーの影響による骨壊死 レーザーの誤照射や針による損傷 どんな手術にもリスクは存在します。メリットだけでなくデメリット・リスクなども事前によく確認するようにしましょう。 ヘルニアが再発する 手術後に痛みが改善しても、その後ヘルニアが再発して「PLDDは失敗だった」と思うケースも考えられます。 PLDDの治療成功率は約70%で比較的高い傾向ですが、約5%の確率で再発するといわれています。(文献1) ただしPLDD以外の手術であっても、手術後の再発リスクはゼロではないことが多いでしょう。 手術を受ける前に再発リスクについて確認し、PLDDを受けるべきか検討することが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアのPLDDにおける後遺症の治療に再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。従来の点滴による投与方法のほかに、より神経の再生にアプローチしやすい「脊髄腔内ダイレクト注射」も選択可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ヘルニアのPLDD手術で失敗しないためのポイント3選 リスクが少ないといえども、PLDD法が失敗する可能性はあります。治療を後悔しないために大切な内容は、以下のとおりです。 自分のヘルニアにPLDD手術が適しているかチェックする 費用や期待できる効果を事前に確認する 手術後の注意点を守る 本章の内容をもとに、PLDDの失敗を防ぐための知識を身に着けておきましょう。 自分のヘルニアにPLDD手術が適しているかチェックする 椎間板ヘルニアには、PLDDが適するものと適さないものがあります。 ここからの内容をもとに、自分のヘルニアが、PLDDに適しているかどうかを確認しましょう。 症状が似ている「脊柱管狭窄症」とヘルニアの見分け方については、以下の記事をごらんください。 PLDDが適している可能性が高いケース 椎間板ヘルニアに対してPLDDが適する可能性が高いケースは、以下のとおりです。(文献2) 内容 詳細 神経根の圧迫による症状である 以下の典型的な症状がある: 下肢への放散痛(坐骨神経痛) 腕への放散痛など 画像診断でヘルニアが確認され、症状と一致する 椎間板の突出が神経根を圧迫しているのが明確である とくに椎間板が全体的に膨らんだような形になっているヘルニア(膨隆型:ぼうりゅうがた)は良い適応 保存的治療(薬物療法、物理療法など)で十分な改善が見られない 数週間から数カ月の保存的治療後に効果が不十分な場合、PLDDを検討することがある 医師の説明を良く聞き、相談した上で手術を受けるか検討するようにしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアについては、以下の記事で詳しく解説しています。 PLDDが適していない可能性が高いケース PLDDが適さない可能性が高いケースは、以下のとおりです。 内容 理由・解説 椎間板の破裂や大きな脱出がある PLDDは椎間板の小さな突出に対して効果的だが、大きな脱出や破裂には適さないため 重度の椎間板狭窄や脊椎管狭窄がある PLDDによる改善が難しく、他の手術的治療が必要な可能性があるため 椎間板感染症や腫瘍がある PLDDの適応外であるため 椎間板以外の原因による症状がある 椎間板ヘルニア以外の原因で症状が出ている場合は、PLDDが適さないため 例) 筋肉の緊張 関節の問題など PLDDの適応は状態や症状によって異なるため、専門医による詳細な診断と評価が欠かせません。他の治療方法との比較検討も含めて、専門医と十分に相談しましょう。 PLDD以外の手術法については、以下の記事で詳しく説明しています。 費用や期待できる効果を事前に確認する PLDD手術を受ける前は、以下の4点を確認しておきましょう。 費用 期待できる効果 副作用 治療後の経過観察やリハビリの必要性 痛みがつらいときは、「早く痛みを取り除きたい」という一心で手術を決断しがちです。しかし、手術後のトラブルや失敗を減らすには、費用や副作用、術後のケアなども事前に確認すべきです。 気になる点は必ず質問し、疑問を残さないようにしましょう。 PLDDの費用については、以下の記事で解説しています。 手術後の注意点を守る PLDDは、身体に与える負担が小さい治療です。しかし、治療後には以下のような注意点を守る必要があります。 術後は安静にし、医師の指示に従って徐々に活動を再開する 痛みやしびれが再発した場合は、早めに医師に相談する 定期的な通院やリハビリなどのフォローアップを受け、症状の変化に注意する 手術後の不十分なケアによる再発防止にも、注意点は大切な役割を果たします。 PLDDの有効性や手術後の痛みについては、以下の記事も参考にしてみてください。 ヘルニアのPLDDで失敗したら再生医療を検討しよう PLDDは、ヘルニアによる短期的な痛みの軽減に有効であると考えられます。しかし、変性した椎間板そのものの修復はできません。 PLDDの他に、椎間板ヘルニアに対する治療選択肢としては、再生医療があります。 再生医療の一つである「幹細胞治療」は、身体から採取した幹細胞を培養して投与する治療法です。椎間板ヘルニアによる神経損傷や変性した椎間板に対する治療として実施されています。 また、PLDDと再生医療を組み合わせることで、椎間板ヘルニアの痛みの軽減と椎間板の修復・再生の両方を目指すアプローチとなる可能性があります。。 ただし、再生医療は治療費が高額になる可能性があるため、費用と効果のバランスを考慮する必要があります。 まとめ|ヘルニアのPLDDで失敗しないためのポイントを知っておこう PLDDは、椎間板ヘルニアの治療に有効な選択肢ですが、すべての患者さんに適するわけではありません。 治療を受ける前には、自分の状態がPLDDに適するかを理解し、医師と十分に相談することが重要です。また、治療後の適切なケアとフォローアップも欠かせません。 患者さんご自身が積極的に情報を収集し、自分に適した治療法を選択することが、後悔しないための鍵となるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアにおけるPLDDの失敗や後遺症に関して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 もし術後の後遺症にお困りであれば、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」にご相談ください。 PLDDのヘルニア手術の失敗が気になる人によくある質問 PLDDを失敗しない名医を探す方法はありますか? どんな手術にもリスクはあります。 そのため、「絶対失敗しない名医」ではなく、「自分が信頼できる医師」を探す方が現実的ではないでしょうか。 医療機関を探す際は、以下のポイントを確認しましょう。 病院や医師の実績 納得できる説明がされたか なお、PLDDは自由診療のため、金額をはじめとする詳細は医療機関によって異なります。他の手術方法も念頭に置き、自分に合う治療法・医師を探してみてください。 PLDDが失敗する確率はどのくらいですか? 文献によってばらつきがありますが、PLDDが有効な症例に対して行った場合の成功率は75~89%というデータがあるため、失敗する確率は11~25%程度とわかります。(文献3) しかし、効果がなく、失敗する確率が高いヘルニアの人にPLDDがおこなわれる可能性を考えると、正確な失敗率は何とも言えません。 自分の症例にどの程度の確率でPLDDの効果が期待できるかは、医師へ確認してみるのが良いでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、PLDD手術の失敗例や後遺症に対して再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。相談は無料で受け付けておりますので、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」まで気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 石井克典ほか,椎間板ヘルニア髄核組織の光学特性の算出と経皮的レーザー椎間板減圧術の最適波長に関する一考察.2010;31(2):152-157 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/31/2/31_2_152/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日) (文献2) 中溝 寛之ほかレーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsoa1989/10/2/10_2_229/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月17日) (文献3) Hellinger J. ,Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD),Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10204439/(最終アクセス:2025年2月17日)
2024.03.15 -
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腰椎椎間板ヘルニアによる慢性的な痛みやしびれに悩む方の中には「手術は避けたいが、痛みを改善したい」と思う方も多いでしょう。 放置すると症状が悪化し、歩行困難や日常生活への影響が深刻になることもあるので、適切な治療を選んで早めに対処することが重要です。とくにPLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、低侵襲で回復が早い治療法として注目されています。 手術よりも身体的負担が少なく、日帰りも可能ですが、効果や後遺症のリスクも気になるでしょう。 この記事では、PLDDのメリット・デメリット、後遺症の可能性、費用感について詳しく解説します。治療方法の参考にしてください。 メリット・デメリットを理解するための PLDD治療に関する基礎知識 PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーを使用して椎間板内の圧力を低下させ、神経への圧迫を軽減する治療方法です。 具体的には、皮膚とその下の筋肉に局所麻酔を施した後、非常に細い針(0.4㎜)を背中から椎間板に挿入します。その針の中にレーザーファイバーを通し、レーザーを照射して椎間板内の髄核の一部を蒸発させます。この過程により、椎間板が縮小するため圧力が下がり神経への圧迫が軽減する手術です。 PLDDは主に頚椎や腰椎のヘルニア治療に用いられ、従来の手術に比べて侵襲性(体への負担)が低いのが特徴です。 PLDD治療のメリット PLDD治療のメリットは4つあります。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない 再生医療とPLDD治療を併用しやすい それぞれ詳しく解説します。 直接神経に触れない治療のため安心して受けやすい PLDD治療は、直接神経に触れることなく施術を行えるのがメリットです。レーザーファイバーを椎間板内に直接挿入し、神経から十分に距離をとった状態で処置を行うため、手術中の神経損傷を起こしにくく安全性が高いとされています。 従来の外科手術に比べて出血も少なく、身体への負担が軽減できるため、高齢者や体力に不安がある方でも安心して受けやすい治療法です。また、局所麻酔で行うため、全身麻酔ほどのリスクがありません。 ただし、すべてのヘルニアに適応できるわけではなく、効果にも個人差があるため、事前の画像診断や診察による適応判断が重要です。 切開をほとんど伴わず手術後に日帰りできる PLDD治療は、直径0.4㎜程度のレーザーファイバーを挿入するだけであり、切開をほとんど伴わない治療法です。施術時間は30〜60分程度と短く、多くの場合は手術当日に退院できます。 皮膚を大きく切開しないので感染症のリスクが低く、術後の回復もスムーズです。術後の痛みも少なく、歩行や軽い日常動作はすぐにできます。入院が不要なため、以降の仕事や家庭への影響はほとんどありません。 保存療法でなかなか改善しない方、高齢で大がかりな手術が難しい方などにおすすめの治療方法です。 局所麻酔で手術可能なので身体への負担が少ない PLDD治療は、局所麻酔で手術が可能なため、身体への負担が少ない治療法です。全身麻酔のリスクを避けられるため、手術中の負担を軽減できます。高齢者や全身麻酔が困難な方でも、安心して治療を受けることが可能です。 局所麻酔による手術は、術後の回復が早く、長時間の入院も不要です。とくに持病を抱えている方や体力に不安がある方に適しています。全身麻酔が不要なため、術後の体調管理も容易です。痛みが比較的少なく、社会復帰もスムーズに進められます。 身体への負担を抑えながら、効果的な治療を受けたい方におすすめです。 再生医療とPLDD治療は併用しやすい PLDD治療は、レーザーで椎間板の圧力を下げて神経の圧迫を和らげやすい低侵襲の治療法です。再生医療と組み合わせることで、さらに治療効果を高められます。 PLDD後にPRP(多血小板血漿)や幹細胞を注入すると、椎間板の修復が促進され、炎症の軽減や組織の再生が期待できます。PLDDは皮膚を小さく穿刺するだけで負担が少ないため、再生医療との相性が良好です。 細胞の修復能力を活用することで術後の回復が早まり、痛みの再発リスクも抑えられます。ヘルニアの再発を防ぎつつ、椎間板の機能を維持したい場合、PLDDと再生医療の併用が有効です。 \まずは当院にお問い合わせください/ PLDD治療のデメリット(リスク) PLDD治療のデメリットは以下の5つがあります。 効果が即効性に乏しい 治療にかかる費用が全額負担になる ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある 手術後に後遺症が出ることがある ヘルニアが再発するリスクがある それぞれ解説します。 効果が即効性に乏しい PLDDは即効性に乏しい点がデメリットです。手術後すぐに症状が改善するわけではなく、1週間程度経過してから徐々に効果が現れます。完全に改善するまでには2〜3カ月ほどかかることが一般的です。ヘルニアの状態によっては、痛みの軽減が十分でない場合も考えられます。 レーザーによる椎間板の減圧が少しずつ進むため、即効性を求める方には向いていません。日常生活への影響を抑えながら治療を受けられる反面、効果を実感するまでに時間が必要です。そのため、改善までの期間を考慮した治療計画を立てることが大切です。 治療にかかる費用が全額負担になる PLDDの治療費は自己負担となり、保険が適用されません。病院によって費用は異なりますが、30〜50万円程度が相場です。自由診療のため、高額療養費制度は利用できません。 治療を検討する際は、費用と想定される効果を考慮し、納得した上で選ぶことが大切です。クレジットカード払いや医療ローンを利用できる場合もあるため、支払い方法について事前に確認すると安心でしょう。 また、PLDD治療費は他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合、医療費控除の対象となり還付金を受け取れる可能性があります。ただし、医療費控除を受けるには確定申告が必要なので注意してください。 ヘルニアの状態・種類によって治療を適用できない場合がある PLDDは、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。ヘルニアの状態や種類によっては、治療を行えないか効果が限定される場合があります。 たとえば、椎間板の変性が進んでいると、PLDDのレーザー照射による減圧が十分に機能しない可能性が高いです。 また、大きく突出したヘルニアや、神経を強く圧迫しているケースでは、手術が必要になる場合もあります。骨の変形を伴うヘルニアや脊柱管狭窄症がある場合も、適応外となる可能性があります。 このようなケースがあるため、事前に画像診断を受けることが大切です。適用範囲に制限がある点を理解した上で治療を検討しましょう。 手術後に後遺症が出ることがある PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は低侵襲な治療法ですが、手術後に後遺症が出ることがあります。主な後遺症は以下の通りです。 症例 概要 神経障害 神経の損傷や圧迫によるしびれや感覚異常が生じることがあります。 炎症の持続 手術後の炎症が長引き、痛みが続くケースもあります。 症状の再発 PLDDは根治治療ではなく、時間の経過とともに症状が再発することがあります。 椎間板の損傷 レーザーによる熱ダメージで椎間板が脆くなり、損傷が広がる可能性があります。 感染症 低侵襲手術とはいえ、感染リスクが少なからずあります。 PLDDは侵襲性が低いものの、少なからず後遺症のリスクがあります。 これらの後遺症に対し、再生医療が適用できます。再生医療の幹細胞治療やPRP療法(多血小板血漿療法)などにより、損傷した組織の回復を促すことが可能です。症状に応じた適切な治療を受けることで、改善が見込めます。 ヘルニアが再発するリスクがある PLDDの有効率は、文献によって異なりますが、約70%と報告されています(文献1)。一方、一般的に行われる椎間板切除術では、術後5年で再発率が1.5〜8.5%です(文献2)。単純な比較はできませんが、PLDDはこれらより治療成績が劣ると考えられます。 PLDDは、椎間板の内圧を下げることでヘルニアの圧迫を改善する治療法です。しかし、ヘルニアが後縦靭帯を突き破っている場合、すでに椎間板内圧が低下しているため、レーザーで髄核を焼いてもヘルニアが縮小しません。そのため、PLDDの適応は保存療法が効かず、後縦靭帯を破っていないヘルニアに限られます。 頸椎・腰椎ヘルニア・狭窄症の治療や後遺症には再生医療をご検討ください 頸椎・腰椎のヘルニア・脊柱管狭窄症は、十分な改善が得られず手術後も後遺症が出ることがあります。 当院リペアセルクリニックでは、幹細胞を脊髄の損傷部位へ直接投与する再生医療を提供中です。この治療法は、国内ではほとんど届出されていない先進的な治療方法で、損傷部位の神経修復を目的としています。 脊髄の神経が損傷し、慢性的なしびれや痛みが続く方におすすめです。リハビリと組み合わせることで、症状の改善や生活の質の向上も期待できます。 従来の治療で十分な改善が見られなかった方、治療後に後遺症が出てお悩みの方はぜひ当院の再生医療をご検討ください。 PLDD治療のデメリットが気になる方は再生医療もご検討ください PLDDは、低侵襲で回復期間が短いため日帰りで手術を受けられるのがメリットの治療法です。 検討する際は適応やリスクを十分に理解し、他の治療法と比較することが重要です。再生医療と組み合わせることを選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。 当院では、脊髄損傷や椎間板の変性に対する再生医療として、自己脂肪由来幹細胞治療や脊髄腔内ダイレクト注射療法により直接投与する方法を提供しております。 椎間板ヘルニアや術後の後遺症にお悩みの方は、一度リペアセルクリニックまでご相談ください。 参考文献 (文献1) 佐藤 正人ほか.「レーザー照射が椎間板細胞に与える影響ーPLDDへの警鐘ー」『日本レーザー医学会誌』 31(2),pp.146-151, 2010. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/31/2/31_2_146/_pdf/-char/ja (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版」2021年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (最終アクセス:2025年3月20日)
2024.03.12 -
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ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!? PLDDは、頚椎および腰椎の椎間板ヘルニアの手術のなかでも最小と言っていいほど体への負担が少ない術式です。 しかし、どんなに画期的な手術であっても、術後に後遺症が残る可能性はゼロではありません。特に懸念すべきは神経障害による痺れ、痛み、麻痺などの症状です。 神経障害を改善するために行なった手術で神経障害が悪化してしまうのは不幸なことです。こうした術後後遺症に対して、最新治療である「再生医療」が吉報となるかもしれません。 本記事では、PLDDの概要と起こりうる術後後遺症、そして後遺症に対する最新治療についてご説明します。 椎間板ヘルニアの機序と治療、手術になるのはどんな時? 脊椎の中には、 太い神経の束である脊髄が走っています。脊髄からは運動や感覚を司る神経が出ています。重なる脊椎と脊椎の間には椎間板というクッション材が挟まっており、 椎間板の中央部には柔らかいゲル状の「髄核」があります。 椎間板ヘルニアとは 、この髄核が椎間板の外に飛び出す疾患です。飛び出したヘルニアが脊髄から伸びる神経の根本を圧迫してしまうと、「びりっ」とした痛みを感じるようになります。 症状が進行すると神経へのダメージが大きくなり、感覚障害や麻痺を起こしたり排尿障害が起こることもあります。しかし、重症化することはごく稀です。椎間板ヘルニアの多くは自然に縮小していく疾患 です。 たとえば、 腰椎椎間板ヘルニアは症状がある人の60%以上で吸収されると言われています。頚椎でも腰椎でもほとんどの椎間板ヘルニアと診断された方は、手術を受けることはありません。3ヶ月ほどの保存療法で自然と痛みが取れてくるのです。 では、不幸にも良くならなかったらどうなるのでしょう。保存療法でも改善しない痛みが続く場合や、麻痺・排尿障害をきたす場合は手術が行われます。 手術となると、「全身麻酔が大変」「術後は安静にしなければならない」「傷の痛みに耐えながら回復を待つ 」というイメージがあるかもしれません。 しかし、そのイメージと全く異なり、体への負担を最小限に抑えられる術式があります。それは、PLDD:Percutaneous Laser Disc Decompressionです。日本語では「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれています。 PLDDってどんな手術? PLDDはレーザーを用いて椎間板の中央部にある髄核に照射して 、椎間板内の圧力を減少させる手術です。髄核が焼かれた後の空洞は縮もうとするため、時間経過とともにヘルニアは自然と小さくなっていきます。 椎間板内にレーザーを照射するのみであれば、メスや針・糸は不要です。細い針を刺せばレーザーファイバーを通すことができます。そのため、PLDDを行ってもほんの小さな刺し傷しか残りません。 安静も短くて済むため、日帰り手術をしている医療機関 も少なくありません。 PLDDの合併症について 体への負担の少なさについて強調されがちなPLDDですが、医療行為である以上は治療の合併症とは切っても切り離せない関係にあります。 特に深刻な術後後遺症を残すのが神経障害です。本来は神経の圧迫を改善するための手術なので、時間経過とともに痺れ・痛みなどは良くなるはずです。症状が術後に悪化している場合には神経障害の可能性が考えられます。 神経障害が起こる要因にはいくつかの可能性があります。ひとつはレーザーファイバーを入れる際に針で神経を傷つけてしまうことです。 次に、レーザーの誤照射により、神経がレーザーに当たってしまう可能性も否定できません。他に懸念されるのは、レーザーの熱などの間接的な要因でも神経障害が起こる可能性です。 実際にレーザー照射を直接受けていないはずの近くの骨が壊死を起こしてしまった例が報告されています。 術後後遺症の神経障害に対する再生医療の可能性とは 最新の再生医療である「幹細胞治療」がPLDD術後後遺症への新たな希望となるかもしれません。 従来、神経が傷ついてしまうと完全にもとに戻すことは難しいとされてきました。そのため椎間板ヘルニアの術後後遺症が残ってしまっても、薬やブロック注射などの対症療法を行うことしかできませんでした。 しかし、最新治療の幹細胞治療が神経を回復させてくれるのではないかと期待されています。幹細胞治療では、どんな細胞にも変化できる万能細胞の「幹細胞」 を使用します。幹細胞を投与することにより、傷ついた組織の再生が促されるのです。 まとめ・PLDD術後後遺症に対する最新治療とは! PLDDの概要と合併症のリスク、そして術後後遺症に対する最新治療についてご説明しました。 合併症が起こらないことが一番ですが、万が一起こってしまった時にどのような治療の選択肢があるか知っておくことは重要です。 当院では、PLDDをはじめとした椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、幹細胞治療を行っております。当院ではフレッシュで生き生きとした細胞を多く届けることができるように2つの工夫をしております。 ひとつは細胞の保存や輸送のプロセスにおけるものです。細胞を凍結せずに保存・輸送を行なっているのです。多くの病院の細胞加工室では細胞を保存、輸送する際に凍結してしまいます。 しかし、冷凍された幹細胞は弱くなり、 解凍時の生存率が大きく低下します。 当院では細胞の凍結を行わないため、新鮮で強い細胞が投与可能なのです。 もうひとつは細胞の投与方法です。当院では損傷した脊髄に対して直接幹細胞を投与できる「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行なっております。従来は脊髄の障害があるときの幹細胞投与は点滴でした。 当院では点滴の他に「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行うため、脊髄に届く幹細胞の数がより多くなります。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDをはじめ、椎間板ヘルニアの手術における術後後遺症でお悩みであれば、一度当院へご相談ください。 参考文献 日本整形外科学会 パンフレット 「整形外科シリーズ2 腰椎椎間板ヘルニア」 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. Tonami H, et al. AJR Am J Roentgenol 173 : 1383―1386, 1999. ▼以下もご欄になりませんか PLDDの有効性と術後の痛みや経過について
2024.03.08 -
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PLDD治療と費用、再生医療の可能性について解説します 椎間板ヘルニアは多くの人々が抱える健康問題であり、その治療法は常に進化を続けています。そこで近年、注目を集めているの先進医療をご紹介いたします。それが「PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression )」といわれるもので日本語に直すと「経皮的レーザー椎間板減圧術」といわれるものです。 この治療法は、レーザーを用いて椎間板の圧力を軽減し、痛みを和らげるもので、従来の手術に比べて身体への負担が少ないことが特徴というものです。 本記事では、PLDDについてと、その治療メカニズムと併せて気になる健康保険の適用や医療費控除の適用、費用に関する解説をします。 また後遺症の治療における再生医療の可能性について詳しく解説します。 PLDDとは PLDDは、1980年代初頭に開発されたレーザーを用いた最新の治療法です。主に頚椎や腰椎の椎間板ヘルニアに対して行われます。 治療は局所麻酔のもと、針を椎間板に挿入し、レーザーを照射して椎間板内の圧力を低下させ、ヘルニアを小さく縮ませることで神経の圧迫を押さえて痛みを軽減させるものです。 この方法の大きな利点は、局所麻酔下で行うことができるので入院の必要がなく、日帰りで行えるため、患者の負担が少ないことです。従来の外科手術に比べて侵襲が少なく、術後の回復も早いという利点もあります。また針を刺して行うため傷口が大きくならない点も利点です。 手術もレーザー用の注射痕程度になるため、感染による合併症の心配も少ないと言えます。 PLDDが最も適応するのは、「膨隆型(ぼうりゅうがた:椎間板が膨らんだような形になり、神経を少し圧迫しているタイプのヘルニア)」とされています。 ただし、椎間板の変性が進んでしまったケースでは、PLDDを行っても椎間板ヘルニアの症状が改善しないことがあるようです。 PLDDの利点 治療:レーザーによる手術 入院:不要(日帰りで可能) 手術痕:レーザーを照射するための針穴のみ 手術:局所麻酔 手術:合併症(細菌感染等)の可能性が低い レーザー治療の仕組み PLDD治療は、局所麻酔のもとで行われます。まず、針を椎間板に挿入し、その後レーザーをファイバーを通して照射します。レーザー光によって椎間板内の水分が蒸発し、ヘルニアが縮小するため、神経への圧力が減少します。これにより、神経根への圧迫が緩和され、痛みが軽減されるという仕組みです。 治療時間は約30分程度で、多くの場合は日帰りでの治療が可能です。 PLDDの費用と保険適用の現状 PLDDの費用は、クリニックによって異なりますが一般的には30万円から50万円程度が相場とされています。現在、PLDDは日本では健康保険の適用外となっています。そのため、治療費は全額自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。 医療費控除とは、一定期間内に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分について所得税から控除される制度です。PLDDの治療費も、他の医療費と合わせて年間10万円を超える場合は医療費控除の対象となる可能性があります。しかしながら、医療費控除を受けるためには確定申告が必要です。 健康保険:適用外 費用感:30万円~50万円 先進医療とPLDD 頚椎椎間板ヘルニアに対するPLDDは、厚生労働省による先進医療の指定を受けていましたが、数年前に取り消されています。 その理由としては、PLDDは日本での普及がまだ進んでいないからといったものです。 しかし、その後もPLDDの効果や安全性については多くの臨床研究によって実証されており、今後は保険適用の対象となることが 期待されています。 PLDDはどんな病院で受けられるのか PLDDを受けられるクリニックは全国にありますが、施設によって技術や設備に差があります。 治療を受ける際には、事前に情報を収集し信頼できる施設 を選ぶことが重要です。また、治療後のフォローアップ体制も確認しておくと安心です。 後遺症の治療と再生医療 PLDD治療は、傷口も少なく身体に与える負担はとても小さい治療です。そのため、PLDDそのものによる後遺症はほとんどないと考えられます。 その一方で、ヘルニアそのものによる症状が残ることもあり、後遺症となってしまう場合があります。このようなヘルニアの後遺症に対しては、脊髄神経の再生を目的とする再生医療 による治療が有効な場合があります。 再生医療では、患者自身の幹細胞を用いて損傷した脊髄神経の再生を目指します。具体的には、患者様ご自分の血液や脂肪を採取し、培養「自己間葉系幹細胞 」として損傷部位に投与するものです。 この自己間葉系幹細胞 には、脊髄神経の再生を促したり 、部分的に再生したりするといった能力があるとされますが、厚生労働省の許認可が無ければできない先端医療です。 脊髄の再生医療では、手術やPLDD治療ではできない、脊髄神経そのももの再生が可能となるのです。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE まとめ・PLDD治療と費用、再生医療の可能性について 今回は、PLDDはどのようなものなのか、費用、保険適用、医療費控除、どのような病院で受けられるのか、そして後遺症の治療における再生医療の可能性について解説しました。 PLDDは、レーザーを活用した医療技術として、椎間板ヘルニア の治療に新たな選択肢を提供しています。費用は自己負担となりますが、医療費控除の対象となる可能性があります。 治療を検討する際には、クリニック選びやフォローアップ体制にも注意が必要です。PLDDは今後、さらなる普及と発展が期待される治療法です。 一方で、PLDDを行っても頚椎あるいは腰椎の椎間板ヘルニアによる後遺症が残ってしまうこともあります。こうした場合には、再生医療による治療も選択肢として上がります。 当院では、脊髄損傷 に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。 これは、自分の脂肪組織や血液から幹細胞を抽出、培養し、点滴で静脈注射、 あるいは当院独自技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内 ダイレクト注射療法もあります。 再生医療にご興味のある方や、治療を考えたいという方は、 ぜひ一度当院までご相談ください。 参考文献 レーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233. Hellinger J. "Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD)." Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31. 【保険適用外の手術費用の補助】保険適用外の手術(ヘルニアのレーザー手術)を受けたのですが、その費用(約50万円)は高額医療費として一部支給されないのでしょうか?また、支給を受けるためにはどのような手続きが必要になるのでしょうか? | よくある質問 | 日本アイ・ビー・エム健康保険組合 既存の先進医療に関する保険導入等について 平成 22 年1月 20 日 先進医療の各技術の概要|厚生労働省 Mochida J, et al. "Regeneration of intervertebral disc by mesenchymal stem cells: Potentials, limitations, and future direction." European Spine Journal,2006 Aug;15(Suppl 3): 406–413. ▼以下もご参照いただけます ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!?
2024.03.07