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ヘルニア治療のPLDD手術で適応もしくは不適応となる症例とは

ヘルニア治療のPLDD手術で適応もしくは不適応となる症例について

椎間板ヘルニアは、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。その治療法として、PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression;経皮的レーザー椎間板減圧術)が注目を集めています。しかし、すべての患者さんにとって最適な治療法とは限りません。

本記事では、PLDD法を受ける際に後悔や失敗がないようにするためのポイントについて解説します。

PLDD失敗

PLDD法とは

PLDD法は、レーザーを使って椎間板の飛び出した部分を蒸発させ、圧迫されていた神経の圧力を解放する手術です。メスを使わないため出血が少なく、全身麻酔の必要もないため、患者さんの負担が少ないのが特徴です。多くの場合、日帰り手術が可能です。

しかし、PLDD法でも失敗するリスクはあります。治療を受けたことを後悔しないためにも、頚椎または腰椎椎体ヘルニアに対するPLDD法について、良い適応となる症例と、逆に不適応となる症例について知っておくことが大切です

PLDDが適している場合とは

では、ここからはPLDDの良い適応について解説します。

  • ①症状が神経根の圧迫によるものである

  • 下肢への放散痛(坐骨神経痛)、腕への放散痛などが典型的な症状です。
  • ②画像診断(MRIなど)でヘルニアが確認され、症状と一致する

  • 椎間板の突出が神経根を圧迫していることが明確に示されている必要があります。
  • 特に、PLDDは膨隆型(ぼうりゅうがた)というタイプで、椎間板が全体的に膨らんだような形になっているヘルニアに良い適応といわれています。
  • ③保存的治療(薬物療法、物理療法など)で十分な改善が見られない

  • 通常、数週間から数ヶ月の保存的治療後に効果が不十分であれば、PLDDを検討することがあります。

PLDDが適していない場合とは

逆に、PLDDが不適切な症例について述べていきます。

PLDD治療の適応は患者さんの状態や症状によって異なるため、専門の医師による詳細な診断と評価が必要です。治療の選択にあたっては、他の治療方法との比較検討も含めて、医師と十分に相談することが重要です。

  • ①椎間板の破裂や大きな脱出がある

  • PLDDは椎間板の小さな突出に対して効果的ですが、大きな脱出や破裂には適していません。
  • ②重度の椎間板の狭窄や脊椎管狭窄がある

  • これらの状態はPLDDで改善することが難しく、他の手術的治療が必要な場合があります。
  • ③椎間板感染症や腫瘍がある

  • これらの病態はPLDDの適応外です。
  • ④椎間板以外の原因による症状がある

  • 例えば、筋肉の緊張や関節の問題など、椎間板ヘルニア以外の原因で症状が出ている場合、PLDDは適切とは言えません。

PLDD治療を受ける前に確認すべきこと

上記の説明を理解した上で、さらにPLDD法を受ける前に以下のことを確認しておきましょう。

  • ・詳細な診断と検査を受け、PLDD法が自分に適しているか確認する
  • ・治療費用や、期待できる効果、さらに副作用について医師と十分に話し合う
  • ・治療後の経過観察や、 リハビリの必要性について理解する

治療後の注意点

PLDDは、身体に与える負担が小さい治療です。しかし治療後には以下のような注意すべき点もあります。

  • ・術後は安静にし、医師の指示に従って徐々に活動を再開する
  • ・痛みやしびれが再発した場合は、早めに医師に相談する
  • ・手術を受けた病院に定期的に通院したり、リハビリを受けるなどのフォローアップ を受け、症状の変化に注意する

PLDDと再生医療

PLDD法は短期的な痛みの軽減に有効であると考えられます。一方、変性した椎間板そのものを修復することはできません。

椎間板の修復や再生を目指す治療として、再生医療も有効な治療法といえます。厚生労働省に許認可が必要な治療法ですが、徐々に治療できる施設が広がってきており、その効果も期待されていますさらに、術後後遺症としての神経障害に対しても有効な治療となりえる治療法です。

再生医療とは

再生医療とは、損傷した組織や臓器の機能を回復させるための最新医療技術です。

再生医療の一つである幹細胞治療は、椎間板ヘルニアにおいても研究が進められています。椎間板ヘルニアによる神経損傷や、変性した椎間板の修復にも効果が期待されています。

そこで、PLDDと再生医療とを組み合わせることが、椎間板ヘルニアの治療において、痛みの軽減と椎間板の修復・再生を目指すアプローチとなる可能性があります。PLDD法で椎間板内の圧力を減少させ、痛みを軽減した後、幹細胞治療などの再生医療技術を用いて椎間板の修復や再生を促進するのです。

幹細胞治療では、患者自身から採取した幹細胞を損傷した椎間板に注入し、椎間板の細胞の増殖や組織の修復を促すことが期待されています。例えば、幹細胞治療としては、例えば骨髄由来自己幹細胞や、脂肪由来自己幹細胞などがあります。

このような組み合わせ治療は、椎間板ヘルニアの根本的な治療として期待されています。しかし、再生医療についても治療費が高額になる可能性があるため、経済的な負担も考慮する必要があります。

脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。

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まとめ・ヘルニア治療のPLDD手術で適応もしくは不適応となる症例

PLDD法は、椎間板ヘルニアの治療において有効な選択肢の一つですが、すべての患者さんに適しているわけではありません。

治療を受ける前には、自分がPLDD法の良い適応かどうかを理解し、医師と十分に相談することが重要です。また、治療後も適切なケアとフォローアップが必要です。

患者さんご自身が積極的に情報を収集し、自分に最適な治療法を選択することが、後悔しないための鍵となります。また、再生医療の進展にも注目が集まっています。

椎間板ヘルニアそのものに対しても、さらにPLDDの後遺症に対しても、将来的な治療の選択肢として検討することが望まれます。

▶万が一、手術後に後遺症が残ってしまった場合には、再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度当院にご相談ください。

 

No.179

監修:医師 坂本貞範

参考文献

レーザーによる経皮的椎間板減圧術 (PLDD法) の経験.中四整会誌.1997;10 (2): 229-233.

Hellinger J. “Technical aspects of percutaneous laser disc decompression (PLDD).” Lasers in Surgery and Medicine, 1999.Dec;16(6):325-31.

 

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