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「慢性的な腰痛が辛い」 「市販の鎮痛剤を飲んでいるけれど、このまま飲み続けて良いのだろうか?」 「病院で薬を処方してもらう方が良いような気がする」 慢性腰痛に悩まれている方の中には、さまざまな薬を内服されている方もいらっしゃるでしょう。 慢性腰痛は発症から3か月以上続く腰痛であり、薬が効きにくいとされます。 本記事では、慢性腰痛に使われる主な薬や薬が効きにくい理由を中心に解説します。薬以外のセルフケアや医療機関での治療内容についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 薬を飲んでも続く慢性腰痛にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛に使われる薬の種類と効果 本章では、慢性腰痛治療に使われる3種類の薬とそれぞれの効果について解説します。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 抗炎症作用や鎮痛・解熱作用がある薬剤の総称で、広い意味ではステロイド剤以外の抗炎症薬すべてを含みます。一般的には、腰痛をはじめとする体の痛みや発熱の治療に使用される解熱鎮痛薬とほぼ同義語です。(文献1) 薬品名としては、以下のようなものがあげられます。 アスピリン インドメタシン イブプロフェン 副作用として多く見られるのが、胃痛や吐き気、嘔吐といった消化器症状および腎機能障害、喘息発作などです。 神経障害性疼痛治療薬 神経や脊髄、または脳の損傷および機能障害による痛み(神経障害性疼痛)を治療するための薬です。これらの薬の中には、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や三環系抗うつ薬など、うつ病治療に用いられるものもあります。 主な薬としてあげられるものは、以下のとおりです。 プレガバリン(リリカ) デュロキセチン ミロガバリン(タリージェ) イミプラミン これらの薬には、眠気やめまい、ふらつきといった副作用があります。 以下の記事ではタリージェについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 麻薬鎮痛薬(オピオイド) オピオイドは、脳や脊髄、末梢神経にあるオピオイド受容体に結合し、痛みの伝達を抑制する薬剤です。がんによる痛みや、神経損傷後の慢性的な痛みなどに作用します。(文献2) オピオイドには弱オピオイドと強オピオイドがあり、慢性腰痛治療で用いられるのは主に弱オピオイドです。弱オピオイドは、強オピオイドよりも身体への依存性が低いとされています。 弱オピオイドの主な薬としては、コデインリン酸塩、トラマドールなどがあります。 オピオイドの副作用は便秘や吐き気、体のかゆみ、眠気などです。 慢性腰痛に薬が効きにくい理由 慢性腰痛とは、発症から3か月以上経過した腰痛です。腰痛の慢性化には、筋肉や脳、神経などが関わります。(文献3) 痛みへの不安から必要以上に安静にしたため筋肉が硬直し、かえって腰痛が長引くケースもあります。中枢神経が興奮状態にあり、常に痛みの信号を伝え続けるために腰痛が慢性化する場合も少なくありません。婦人科疾患を含む内臓疾患由来の腰痛や、心因性の腰痛もあります。(文献4) 原因が不明な状況で薬を飲んでいても、その薬が原因と合致するとは限りません。そのため、慢性腰痛は薬が効きにくいとされています。 慢性腰痛の概要や治療法などは、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛薬の効果を高めるセルフケア 慢性腰痛において薬の内服は、大切な治療の一環です。薬の効果を高めるためには、日常生活面でのケアも必要です。 主なセルフケアを以下に示しました。 姿勢の改善 ストレッチを含む運動 充分な睡眠 ストレスへの対処 セルフケアの中でも、比較的手軽にできるものがストレッチです。仕事や家事の合間に、無理のない範囲で試してみましょう。 下記の記事では、慢性腰痛向けのストレッチを紹介しております。あわせてご覧ください。 慢性腰痛で医療機関を受診すべきサイン 慢性腰痛で薬を飲んでいても、以下のようなサインが生じた場合は、早急に医療機関を受診してください。(文献5) 腰から下がしびれる 足の力が入りにくい 排尿や排便異常を伴う 夜間や安静時にも強く痛む 発熱や体重減少を伴う 薬を飲んでも改善しない、もしくは痛みが増している 慢性腰痛発症前に、背中を痛めたことがある これらの症状がある場合、脊柱管狭窄症や感染性脊椎炎、腰椎圧迫骨折、内臓疾患などが疑われます。 痛みが長引いたり症状が悪化したりする場合は放置せず、整形外科や内科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 慢性腰痛における薬以外の治療 薬の内服で慢性腰痛が回復しない場合の選択肢としては、運動療法や心理療法、手術療法、再生医療などがあげられます。 再生医療とは、けが、もしくは病気で機能が低下した組織や臓器、細胞を元通りにするための治療法です。再生医療のうち、ヒトの体内でいろいろな役割を果たせる幹細胞を活用したものが、幹細胞治療と呼ばれるものです。 脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛も、再生医療の対象になります。 当院、リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を使用した「自己脂肪由来幹細胞治療」を実施しております。 腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアの手術後も腰痛に悩む80代の男性が、再生医療により症状が改善した治療実績もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 薬で改善しない慢性腰痛は医療機関を受診しよう 慢性腰痛は、原因やタイプによって効果的な薬が異なります。主な薬としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や神経障害性疼痛治療薬などがあり、症状に応じて使い分けることが大切です。 ただし、薬は痛みを和らげる手段の1つに過ぎません。慢性腰痛の背景には、筋肉のこわばりや神経過敏、ストレスなど、複数の原因が関係しています。薬の内服と並行して、生活習慣の改善に努めましょう。 薬を飲み続けても良くならない場合や痛みが増している場合は、放置せず早急に医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療を選ぶことが慢性腰痛改善の第一歩です。 薬で改善しない慢性腰痛でお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 慢性腰痛と薬に関するよくある質問 慢性腰痛は病院に行くべきですか? 慢性腰痛は医療機関を受診すべきです。慢性腰痛にはさまざまな原因があり、長く放置していると命に関わる重大な疾患を見逃すこともあります。 受診先の第一候補は整形外科であり、その他には内科や婦人科、心療内科などがあげられます。整形外科で異常が見つからない場合は、腰痛以外の症状を見ながら他の診療科を受診しましょう。 腰痛は痛み止めの薬を飲まない方がいいのですか? 腰痛の場合は、我慢せずに痛み止めを服用してください。痛みを我慢し過ぎると神経が過敏になり、後から薬を飲んでも効果が得られにくくなることがあります。 ただし、痛み止めを服用しても症状が改善しない場合に、自己判断で服用量や回数を増やすことは避けてください。過剰な服用は消化器障害や腎機能障害などのリスクを高めます。 薬を適切に服用しても腰痛が続く場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) NSAIDsとは|独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター (文献2) オピオイド|一般社団法人日本ペインクリニック学会 (文献3) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献4) 急性腰痛と慢性腰痛痛みが長引く理由慢性腰痛の治療|滋賀医科大学 (文献5) 腰痛における3つの診断的トリアージ|公益社団法人日本理学療法士協会
2025.12.13 -
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「慢性的な腰痛が続いていて辛い」 「腰痛にはストレッチが良いと聞いたのだが、どのようなものがあるのだろうか?」 このようにお考えの方も多いことでしょう。 ストレッチは慢性腰痛に効果的ですが、方法を間違えてしまうと逆に腰痛が悪化する場合もあります。 ストレッチの際は注意事項を守り、正しい方法で行うことが必要です。 本記事では、腰痛のタイプ別ストレッチに加えて、各タイプに共通して実践可能なストレッチなどを紹介します。ストレッチ以外の生活習慣も解説しますので、慢性腰痛にお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛およびストレッチについて知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛にストレッチが良い理由と実施時の注意点 慢性腰痛とは、発症後3カ月以上続く腰痛のことです。脊椎およびその周辺運動器や神経に由来するもの、内臓が原因のもの、心因性のものなど原因はさまざまです。(文献1) ストレッチは運動療法の一環であり、慢性腰痛に対して強く推奨されています。(文献1) ストレッチの効果としては、筋肉の柔軟性を保つ効果や疲労回復、リラクゼーションなどがあります。ストレッチ実施時の主な注意点を、以下に示しました。(文献2) 息を止めずにゆっくりと体を動かす 体を動かすときは反動やはずみをつけない ストレッチで伸ばしている筋肉に意識を向ける 20秒から30秒程度伸ばす 腰痛が強いときは行わない 慢性腰痛については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛向けのストレッチ 慢性腰痛向けのストレッチは、主に以下の5タイプです。 長時間同じ姿勢タイプ 重労働タイプ 反り腰タイプ 猫背タイプ 心因性タイプ 全タイプに共通して実践可能なストレッチもありますので、あわせて紹介します。 下記の記事では、坐骨神経痛のストレッチについて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 長時間同じ姿勢タイプ 文字どおり、デスクワークや立ち仕事などで長時間同じ姿勢を続けている方に多いタイプです。同じ姿勢をとり続けることで筋肉が凝り固まり、血流が悪くなるために腰痛が引き起こされます。 長時間同じ姿勢タイプの方に適したストレッチは、太もも裏やお尻を伸ばすものです。 椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばしてかかとを床につけてから、背筋を伸ばして前屈する 椅子に座り、片足を反対側の足の上に載せてから背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒す ストレッチの際は、太もも裏やお尻の伸びを意識してみましょう。 重労働タイプ 介護や看護、運送など、人の体を抱えたり重い荷物を持ったりする職業の方に多いタイプです。 中腰や急に体をひねる動作などが多く、常に腰に負担がかかりやすい状況です。腰への負担が筋繊維の損傷につながり、腰痛が慢性化していきます。 重労働タイプの方向けのストレッチは、太ももやふくらはぎ、上半身などを伸ばすものです。 片方の足をお尻につけて太ももの前側を伸ばす 上半身をゆっくりと90度まで曲げる 片方ずつふくらはぎを伸ばす いずれのストレッチも、椅子や手すりにつかまりながら行いましょう。 反り腰タイプ 立った姿勢で腰を反らせる傾向がある方や、ヒールの高い靴を頻繁に履く方に多いタイプです。 骨盤が前に傾き、腰椎が反りすぎてしまうため、腰の筋肉が常に緊張しています。背筋や太もも前の筋肉である大腿四頭筋が硬く、腹筋も弱くなっているのが特徴です。 反り腰タイプの方向けのストレッチは、前ももや背中の柔軟性を改善するものです。 両膝を立てた仰向けの姿勢で、ゆっくりとお尻を上げながら背骨を動かしていく 四つん這いになり、深呼吸しながらゆっくりと、背中を丸める動作と反らす動作を繰り返す 猫背タイプ 間違った姿勢(座り方や歩き方)で過ごしている方や、運動不足により姿勢を保つ筋力が低下している方に多いタイプです。 猫背の方は骨盤が後ろに傾いている状況も多くみられます。腰痛以外に、肩こりや首こり、呼吸の浅さを感じる方も少なくありません。 猫背の方向けのストレッチは、胸を開くタイプのものです。 両手を背中の後ろで組み、肩甲骨を寄せて胸を開く 両手を肩に載せて、肘で大きく円を描くように前から後ろへ回す 心因性タイプ 仕事や家庭でのストレスや緊張が強い方、睡眠不足の方に多いタイプです。精神的な緊張は交感神経を優位にし、筋肉のこわばりや血流低下を生じさせます。 ストレスから筋肉が緊張し、痛みが慢性化している状況です。 心因性タイプの方向けのストレッチは、リラックスできるタイプのものです。 仰向けの姿勢で、両膝を胸に抱えて20秒キープする そのまま膝を左右にゆっくり倒し、体幹をねじりながらゆっくり深呼吸する 全タイプに共通して実践可能なストレッチ 全タイプに共通して実践可能なストレッチとしてあげられるのが、「これだけ体操®」です。(文献3) 「これだけ体操®」は、東京大学医学部附属病院の特任教授であり、医学博士の松平浩氏により考案されました。いずれもシンプルな動きのストレッチです。 2つの体操を表に示しました。 体操の種類 身体の動かし方 腰を反らす ・足を肩幅より開いて立ち、両手をお尻に当てる ・指は下向きにそろえる ・息を吐きながら上体をゆっくり反らして約3秒間キープ ・その後、元の姿勢に戻す 腰をかがめる ・足を肩幅より広げて、椅子に浅く腰かける ・膝に手を当てて深呼吸する ・腕を足もとに垂らして、フーッと息を吐きながらゆっくり背中を丸める ・3秒間この姿勢をキープして元の姿勢に戻す 慢性腰痛を防ぐストレッチ以外の習慣 慢性腰痛を予防するストレッチ以外の習慣において大事なポイントは、長時間同じ姿勢をとらないことです。とくに、長時間座りっぱなしの状態は、腰に強い圧力がかかり、腰回りの筋肉が常に緊張してしまいます。ときどき椅子から立ち上がり、本記事で紹介したストレッチを実践しましょう。 ストレッチと並行して、適度な運動も慢性腰痛に効果的です。ウォーキングや体幹トレーニングなどで筋力を維持し、正しい姿勢を保てるようにしましょう。 睡眠も重要なポイントです。睡眠不足は体の痛みを回復するプロセスを阻害します。また体にとってもストレスであり、わずかな痛みでも強く感じる原因になります。可能な限り、6時間以上の睡眠を心がけましょう。 慢性腰痛と生活習慣の関係については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ストレッチで改善しない慢性腰痛は医療機関を受診しよう ストレッチは、筋肉の柔軟性回復やリラクゼーションなど慢性腰痛に対して、さまざまな効果を発揮するものです。慢性腰痛にはそれぞれタイプがあるため、自分のタイプに合ったストレッチにより、慢性腰痛の回復が期待できます。 しかし、ストレッチで治らない、もしくはストレッチにより痛みが強くなるときは、無理に続けると悪化する可能性があります。この場合はストレッチを中止した上で医療機関を受診し、慢性腰痛の原因を明らかにして適切な治療を受けましょう。 慢性腰痛の治療法としては、ストレッチを含めた運動療法や薬物療法、心理療法、手術療法、再生医療などがあります。 リペアセルクリニックでは、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛に対して再生医療を実施しております。 メール相談やオンラインカウンセリングにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 慢性腰痛とストレッチに関するよくある質問 即効性のある慢性腰痛向けストレッチはありますか? 比較的即効性のあるストレッチとして、ここでは2種類紹介します。 1つ目は椅子に座ってのストレッチです。椅子に浅く腰かけて、背中を丸める動作と胸を反らす動作を繰り返しましょう。ストレッチの際は息を止めず、ゆっくりと深呼吸してください。 もう1つは立った姿勢でのストレッチです。立ったまま両足を肩幅に開き、両手を腰に当てます。骨盤を中心にして、大きく円を描くように腰を回しましょう。目安としては、左右ともに10回ずつです。 絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは何ですか? 強い痛みを我慢したり、反動をつけたりするストレッチは行わないでください。筋肉や靱帯を損傷する可能性があるほか、腰椎に強い負担をかけてしまうためです。 前屈すると痛い方の場合は前屈のストレッチが禁忌であり、反らすと痛い方の場合は反らす姿勢のストレッチが禁忌です。 腰やおしり、太ももにしびれがある方は、ストレッチで過度に伸ばさないようにしましょう。過度に伸ばすと神経に負担がかかり、しびれを増強させるためです。 腰痛のストレッチで寝ながらできるものはありますか? 寝ながらできる腰痛のストレッチは、主に以下の3つです。 膝を抱えながらゆっくりと深呼吸するストレッチ 片膝を曲げ、反対側に曲げるストレッチ 両膝を立て、片足にタオルをかけた状態で頭の方へ伸ばすストレッチ ストレッチの際は、呼吸を止めない、痛みやしびれが出たときはすぐに中止するなどを念頭に置いておきましょう。 参考文献 (文献1) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献2) 別添職場における腰痛予防対策指針|厚生労働省 (文献3) 腰痛に関する新たな常識!重症化を防ぐために|公益社団法人日本理学療法士協会
2025.12.13 -
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「3カ月以上腰痛が続いている」 「整形外科を受診したけれど異常なしと診断された」 「このまま治らないのではと不安である」 このようなお悩みを抱えている方も多いことでしょう。 慢性腰痛とは、発症から3カ月以上続く腰痛を指します。原因は整形外科疾患だけではなく、内科疾患や心因性のものも含まれます。そのため受診先医療機関も患者様ごとに異なるのです。 本記事では、慢性腰痛の概要を中心に、原因や放置のリスク、セルフケア、治療法などを解説します。慢性腰痛でお悩みの方のヒントになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛とは 慢性腰痛とは、発症から3カ月以上経過した腰痛を指します。慢性腰痛の経過は、急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)よりも良くない状況です。(文献1) 腰痛患者は非常に多く、2022年(令和4年)の国民生活基礎調査によると、腰痛の有病率は人口千人あたり、男性91.6で女性が111.9でした。男女とも腰痛の有訴者率が第1位です。(文献2) 腰痛の原因は、主に以下のとおりです。 脊椎由来 脊椎周辺の運動器由来 神経由来 内臓由来 血管由来 心因性 腰痛は、原因がはっきりしている「特異的腰痛」と原因不明の「非特異的腰痛」に分けられます。腰痛のうち85%は非特異的腰痛と言われています。(文献3) 慢性腰痛の主な原因 慢性腰痛の原因疾患としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 脊柱管狭窄症 腰椎椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 腰椎圧迫骨折 がんを含む各種内臓疾患 これらの疾患に加えて、良くない姿勢や運動不足、肥満、ストレスなども慢性腰痛の原因に含まれます。 慢性腰痛が続く理由 腰痛が慢性化する理由は、筋肉や神経、脳などさまざまです。 痛みへの不安から長期間安静にしていると、筋肉が硬くなり、かえって痛みが増すことも少なくありません。また、末梢神経から痛みの信号を受ける中枢神経が常に興奮状態にあると、痛みの信号を脳に伝え続けてしまいます。 慢性腰痛が続く理由については、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 慢性腰痛を放置するリスク 慢性腰痛を放置すると、複数のリスクが生じます。 主なリスクは以下のとおりです。 回復に時間がかかる 痛みを避けるため腰以外の部分に負担がかかり、新たな痛みが生じる 重大な病気(とくに内臓疾患)の発見が遅れる可能性がある 適切な治療の機会を失い、痛みが継続・悪化する可能性がある 慢性腰痛を放置するリスクは身体面だけではありません。慢性腰痛自体が、仕事に深刻な影響を与えるものであり、放置すれば労働能力の低下や失業につながるリスクがあります。(文献4) 腰痛を放置するリスクについては、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関連記事:腰痛の放置は危険?病院へ行くタイミングや症状チェックリストを紹介 【自宅でできる】慢性腰痛の対策 自宅で出来る慢性腰痛の対策としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 正しい姿勢を意識する 適度な運動を行う ストレスをためない生活習慣を心がける 正しい姿勢を意識する 椅子に座るときや物を持ち上げるとき、寝た姿勢から起き上がるときなど、身体を動かすときはそれぞれの正しい姿勢があります。正しい姿勢を常に意識して身体を動かすことが必要です。 椅子に座るときの正しい姿勢は、主に以下のとおりです。 いすに深く腰掛けて背筋を伸ばす 足裏全体が床に届くように椅子の高さを調整する 前傾姿勢を避ける 物を持ち上げる場合は、腰を下ろして前かがみの姿勢になり、重心を低くしましょう。前かがみになるときは、腹筋に力を入れてください。その上で、荷物をできるだけ体の近くに引き寄せてから持ち上げましょう。 寝た姿勢から起き上がるときは、一度体を横に向けた後、肘をついてからゆっくり起き上がります。 適度な運動を行う 適度な運動の例としては、ストレッチや体幹トレーニング、全身運動などがあげられます。 ストレッチおよび体幹トレーニングの例を、以下に示しました。 お尻の上げ下げ 軽い腹筋運動 両足の曲げ伸ばし 四つ這いになり片足をお尻の高さまで上げる(両足とも実施) 立った姿勢での前後屈 立った姿勢で上半身を左右に倒す 全身運動としての代表的なものは、1日15〜20分程度のウォーキングです。 いずれの運動も、週3〜4日程度のペースで続けることが理想的です。ただし、痛みがあるときには休みましょう。 以下の記事でも慢性腰痛向けのストレッチを紹介していますので、あわせてご覧ください。 ストレスをためない生活習慣を心がける ストレスは脳機能の不具合を引き起こすほか、身体症状を引き起こす場合があります。その中の1つが腰痛です。 また、ストレスにさらされ続けると、脳内で痛みを抑制する機能が働きにくくなります。そのため、わずかな痛みでも強く感じたり、痛みが長引いたりします。 ストレスと腰痛に関連する重要な概念が、恐怖回避思考です。(文献5)これは、「また腰痛になるのでは」といった不安や恐怖から過度に腰をかばってしまう思考および行動を指します。 不安や恐怖を含めたストレス解消のためには、十分な睡眠や適度な運動を心がけましょう。家族や親しい友人に悩みごとを打ち明けることも、ストレス解消の一環です。ただし、飲酒や喫煙でのストレス解消は好ましくないため控えましょう。 慢性腰痛で受診すべき診療科 慢性腰痛の原因は多岐に渡るため、受診すべき診療科もさまざまです。この章では、腰痛の状況に合わせた診療科を表形式で紹介します。 診療科 主な診察内容 整形外科 骨や神経、筋肉のトラブルの有無を診察できる。 動かすと腰が痛む、腰や足がしびれる、関節や筋肉に不安がある場合の受診先。 内科 内臓疾患に関する検査や診察ができる。 腰痛のほか、腹痛や発熱、倦怠感などの症状がある場合の受診先。 婦人科(女性限定) 子宮や卵巣、ホルモンバランスの検査および婦人科系疾患の有無を診察できる。 月経が不順である、月経が止まった、腰痛に加えて下腹部痛もあるといった場合の受診先。 心療内科・精神科 精神心理面の検査や診察、カウンセリングなどを行う。 原因が不明の慢性腰痛がある、強いストレスがあるといった場合の受診先。 ペインクリニック 痛みの診断と治療を行う診療科。 薬物療法やブロック注射、低侵襲手術療法などを行う。 既に受診中の医療機関がある場合は、そこからの紹介状を受け取って受診しよう。 下記の記事では、更年期と腰痛の関係について解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛の治療法 慢性腰痛の治療法としては、以下のようなものがあげられます。 薬物療法 運動療法 心理療法 手術療法 再生医療 薬物療法 慢性腰痛治療に推奨される薬物のうち、主な3つを表に示しました。 薬剤名 効果 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの濃度を高める働きがある。 痛みを抑制する経路「下行性疼痛抑制系」を活発にして痛みを抑える。 弱オピオイド オピオイドとは麻薬性の鎮痛薬。 弱オピオイドは、軽度から中等度の痛みに用いられるもので、鎮痛作用に有効限界がある (有効限界:一定量を超えると、それ以上量を増やしても痛みが軽減されないこと) 非ステロイド性抗炎症薬 体内で炎症を引き起こす物質(プロスタグランジン)の生成を抑え、炎症や痛みを抑える薬。 熱を下げる作用もある。 慢性腰痛に使われる薬については、下記の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 運動療法 慢性腰痛の場合、運動療法が強く推奨されています。(文献1) 運動療法の効果としては、以下のようなものがあげられます。 腰痛軽減 筋力向上 持久力向上 運動機能改善 健康状態改善 生活の質向上 ただし、運動内容や基礎疾患の有無によっては腰痛が悪化する可能性もあるため、運動を始める際には主治医に相談しましょう。 心理療法 慢性腰痛の心理療法として代表的なものが、認知行動療法です。認知行動療法は、他の慢性腰痛治療と同様に、運動機能改善や生活の質向上、恐怖回避思考の変容などに効果があります。(文献1) 認知行動療法の具体的な方法としては、行動活性化や認知再構成などがあります。 行動活性化とは、生活リズムの改善や、喜びおよび楽しみを感じられる行動の選択などです。認知再構成とは、つらい感情が沸いたときの思考パターン(自動思考)を見つけて、考え方を見直すことを指します。 認知行動療法は、精神科や心療内科といった医療機関や民間のカウンセリングルームなどで受けられます。 手術療法 神経の圧迫による慢性腰痛に関しては、手術療法は有効な治療法になります。 手術の対象疾患は、主に以下のとおりです。 腰部脊柱管狭窄症 椎間板ヘルニア 変形性腰椎症 主な手術方法は、以下のとおりです。 リゾトミー(高周波熱凝固法) 脊椎固定術 全内視鏡下脊椎手術 慢性腰痛の手術療法については、下記の2記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関連記事 慢性腰痛には手術が有効?治療法ごとの費用・期間・リスクも紹介 リゾトミー(Rhizotomy)とは?慢性腰痛に効果的な手術方法を詳しく解説 再生医療 腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛の場合、再生医療も選択肢となります。 再生医療の1つが、さまざまな細胞に変化する能力を持つ幹細胞を用いた治療です。 幹細胞治療は、患者様の腹部の脂肪から幹細胞を採取し体外で培養してから体内に戻すもので、拒絶反応やアレルギー反応が起こりにくい治療法です。 1年前から腰部脊柱管狭窄症に悩む60代の女性が、再生医療を実施して症状が改善した治療実績もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 慢性腰痛は放置せず医療機関を受診しよう 慢性腰痛は、脊椎や周辺の運動器疾患、神経疾患、婦人科疾患、内臓疾患由来によるものや、心因性のものなどさまざまです。 放置すると、痛みの継続・悪化に加えて、腰痛に隠された疾患を見逃すリスクがあります。 自宅でできるセルフケアを実施しつつ、自分の痛みに合った診療科を受診し、適切な治療を受けましょう。薬物療法や運動療法、心理療法、手術療法のほか、再生医療も慢性腰痛治療の選択肢です。 慢性腰痛でお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 慢性腰痛に関するよくある質問 慢性腰痛とヘルニアの違いは何ですか? 慢性腰痛は3カ月以上継続する腰痛の総称です。ヘルニアとは、臓器や組織がなんらかの原因で弱くなり本来の位置から脱出した状態を指します。 慢性腰痛と関係するのは、腰椎椎間板ヘルニアです。腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎(背骨)にある椎間板と呼ばれる組織が本来の位置から飛び出して神経を圧迫し、痛みを引き起こします。また腰椎椎間板ヘルニアは、臀部から下肢(膝から下)の痛みも引き起こします。 慢性腰痛は病院に行くべきですか? 慢性腰痛は放置せずに病院を受診すべきです。放置すると心身両面で大きなリスクが生じてしまいます。 原因に合った治療により慢性腰痛も改善可能であるため、必ず医療機関を受診しましょう。診療科としては、整形外科や内科、婦人科、心療内科、ペインクリニックなどがあります。 参考文献 (文献1) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献2) 2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省 (文献3) 腰痛を予防していつまでも笑顔に|公益社団法人日本理学療法士協会 (文献4) Chronic Low Back Pain: A Narrative Review of Recent International Guidelines for Diagnosis and Conservative Treatment|PubMed Central® (文献5) 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳|厚生労働省
2025.12.13 -
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「冬になると腰が痛む」 「毎年寒さによる腰痛に悩まされている」 冬は血流が悪くなり筋肉がこわばりやすくなるため、起床時やデスクワーク後に腰痛が起こりやすくなります。 放置すると慢性化や、別の疾患が隠れている場合もあります。冷え性、運動不足、同じ姿勢で作業することが多い方はとくに注意が必要です。 本記事では、現役医師が寒さによる腰痛について詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 寒さによる腰痛について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 寒さによる腰痛とは 項目 内容 筋肉・靭帯・関節のこわばり 寒さによる筋肉・靭帯の硬化、柔軟性低下、支持筋の働きの鈍化 血流低下・循環の悪化 末梢血管収縮による血流・栄養供給の低下、疲労物質排出の遅延 神経の過敏化 冷えによる神経の感受性上昇、痛覚閾値低下、神経への負担増加 姿勢の乱れ・活動量低下 寒さによる前かがみ姿勢、肩すぼめ姿勢、運動不足による筋力・柔軟性低下 既存疾患・体質の影響 腰椎疾患・筋力低下・冷え体質などの悪化、寒冷環境との相互作用 冬季は寒冷刺激により神経の感受性が高まり、痛覚閾値が低下することで腰痛が生じやすくなります。冷えによる血管収縮や筋緊張は神経根や末梢神経に影響し、神経伝導速度の低下や知覚過敏が報告されています。(文献1) さらに寒さは、前かがみ姿勢や運動量低下を招き、腰部への負荷を増大させる要因です。(文献2) 腰椎変性やヘルニア、冷え体質などの基礎要因を持つ方では症状悪化が顕著で、寒冷環境にさらされることで腰痛が悪化しやすいことも報告されています。(文献3) 以下の記事では、腰痛について詳しく解説しています。 【関連記事】 更年期の腰痛はなぜ起こる?原因・セルフケア・治療法を解説 慢性腰痛には手術が有効?治療法ごとの費用・期間・リスクも紹介 寒さによる腰痛の原因 原因 詳細 筋肉のこわばりと血流低下 寒さによる筋肉の硬化、柔軟性低下、血管収縮による循環不良 神経の過敏化と自律神経の乱れ 冷えによる神経の過敏化、痛覚閾値低下、交感神経優位による筋緊張増加 姿勢不良と筋バランスの乱れ 前かがみ姿勢・肩すぼめ姿勢の増加、活動量低下による筋力・柔軟性低下 寒さによる腰痛は、気温低下に伴う複数の身体変化が重なって生じます。まず、冷えによって筋肉が硬くなり柔軟性が低下することで、腰部の筋肉や靭帯に負担がかかりやすくなります。 また、寒冷刺激による神経の過敏化と痛覚閾値の低下は、通常より痛みを感じやすくする要因です。 さらに自律神経が乱れ、交感神経が優位になることで筋緊張が増し、不快感の悪化を招きます。寒さを感じると前かがみ姿勢や肩をすぼめる姿勢を取りやすく、活動量も減りがちです。 このような姿勢不良や筋バランスの乱れが腰部への負荷を高め、これらの要因が複合的に作用することで冬季の腰痛が増加します。 筋肉のこわばりと血流低下 原因 詳細 筋肉のこわばり 寒さによる筋肉収縮、腰部筋の硬化、血管圧迫による酸素・栄養供給低下 血流の低下 低温による血管収縮、血行不良による酸素・栄養不足、疲労物質蓄積 血行不良による疲労物質の蓄積 老廃物・疲労物質の排出遅延、筋緊張・こわばりの増強、慢性腰痛の助長 身体の防御姿勢の悪化 寒さで生じる縮こまり姿勢、腰部への過負荷、筋・関節へのストレス 寒さによる腰痛は、筋肉のこわばりや血流の低下が重なることで起こりやすくなります。寒冷環境では筋肉が収縮し硬くなり血管が圧迫されることで、酸素や栄養の供給が滞ります。 また、血流低下で老廃物が排出されにくく筋緊張が強まる上、寒さで縮こまる姿勢が続いて腰部への負担が増えることが、痛みを助長する要因です。 神経の過敏化と自律神経の乱れ 低温環境では筋肉が硬くなり神経が圧迫されることが、腰痛の原因です。寒さは神経を敏感にし、自律神経のバランスを崩すため、腰痛が悪化しやすくなります。 また、寒冷刺激により交感神経が優位になると血管が収縮し、血流が低下することで筋肉への酸素や栄養供給が不足し、こわばりや違和感が生じやすくなります。 血流の悪化は疲労物質の排出も妨げ、筋肉の緊張をさらに強める要因です。寒さで生活リズムが乱れると自律神経のバランスが崩れ、痛みの感じやすさにつながります。 これらの変化が重なることで冬季は腰痛が悪化しやすくなるため、適度な保温と生活習慣の調整が重要です。 姿勢不良と筋バランスの乱れ 原因 詳細 寒さによる身体の防御反応 寒さで生じる縮こまり姿勢、背骨・腰部筋への不自然な負荷、筋バランスの乱れ 筋肉のアンバランス 過度に働く筋肉と使われにくい筋肉の偏り、腰部負担の増加、痛みの誘発 血流の悪化と筋肉のこわばり促進 姿勢不良による血行不良、酸素・栄養不足、筋硬化・こわばり・疲労感の増強 動作の制限と慢性化リスク 筋バランスの乱れによる可動域制限、姿勢悪化の連鎖、慢性腰痛への移行 寒いと無意識に背中が丸まりやすく、これが腰への負担を増やします。筋肉の使い方に偏りが生じて、腰・背中・腹部のバランスが崩れることで、慢性的な腰の不調につながります。 暖房の効いた室内でも長時間同じ姿勢で作業を続けると血流が滞るため、こまめな姿勢の切り替えやストレッチが効果的です。 寒さ・冷えからくる腰痛の症状 症状 詳細 腰の重だるさや動作時の違和感 筋肉のこわばりによる重だるさ、動き始めの引きつり感、前後屈時の違和感 下半身の冷えやしびれ 血流低下による冷感、神経過敏化による軽度のしびれ、足腰の感覚低下 寒い環境で悪化し慢性化しやすい 冷えによる筋緊張増加、神経反応性の亢進、繰り返す痛みの慢性化 寒い環境では無意識に肩をすくめて背中を丸めやすく、この姿勢が続くと腰椎に過度な圧力がかかり、腰の筋肉や椎間板に負担が集中します。 さらに、寒さで活動量が減ると腰を支える筋肉のバランスが崩れ、腹筋・背筋・臀筋の弱まりによって腰椎の安定性が低下し、腰痛が起こりやすくなります。 とくに長時間のデスクワークでは骨盤が後傾しやすく寒さで姿勢が崩れやすくなるため、適度な運動やストレッチを取り入れて正しい姿勢を保つことが腰痛予防に有効です。 腰の重だるさや動作時の違和感 寒さによって腰の重だるさや動作時の違和感が生じるのは、筋肉と血流、自律神経の変化が重なるためです。 低温環境では筋肉が収縮して硬くなり血管が圧迫されることで血流が悪化し、酸素や栄養が不足して疲労物質が蓄積します。実際、「寒冷環境では腰・背中の筋肉が緊張しやすい」という報告もあります。(文献4) この筋肉のこわばりと柔軟性の低下が腰の重だるさや動作時の違和感を生じさせる要因です。加えて、寒さは自律神経のバランスにも影響し、血管収縮による血流悪化を助長して不調を強めます。 下半身の冷えやしびれ 寒さで下半身に冷えやしびれが生じるのは、血流低下と神経機能の乱れが関与するためです。 低温環境では血管が収縮して下半身への血流が不足し、筋肉や神経への酸素・栄養が届きにくくなることで冷感やしびれが起こりやすくなります。 また、腰や骨盤まわりの筋肉がこわばると坐骨神経を圧迫し、しびれが出やすくなります。 これらの状態が続くと神経機能が低下して症状が慢性化しやすく、糖尿病や血管疾患のある方は悪化しやすいため注意が必要です。 寒い環境で悪化し慢性化しやすい 寒い環境では血流が悪化し筋肉が緊張し続けるため、疲労物質が溜まり痛みが慢性化しやすくなります。 また、寒さから身を守るために身体を縮める姿勢が続くと腰部の筋肉や関節に負担がかかり、症状の悪化を招きます。 寒冷刺激による交感神経の亢進で血管が収縮して血流不良が助長されることや、冬季の活動量減少に伴う筋肉の柔軟性低下・こわばりの進行が、腰痛の慢性化を招く一因です。 これらの要因が重なることで、寒さによる腰痛は悪化・慢性化しやすくなります。適度な運動や保温、ストレス対策を心がけることが大切です。 寒さ・冷えからくる腰痛の対処法 対処法 詳細 身体を温めて血流を改善する 蒸しタオル・入浴・カイロによる腰部の保温、温熱での血行促進、筋緊張の緩和 ストレッチや軽い運動で筋肉をほぐす 股関節・腰部のストレッチ、軽いウォーキング、可動域向上による筋柔軟性改善 服装と生活習慣で冷えを防ぐ 重ね着・腹巻き・防寒アイテムの活用、室内温度調整、冷えを避ける生活環境づくり 寒さや冷えによる腰痛の対処には、血流を促し筋肉の緊張を和らげる工夫が大切です。蒸しタオルや入浴、カイロなどで腰部を温めると血行が改善し、痛みの緩和につながります。 また、ストレッチや軽いウォーキングは血流を改善し、筋肉のこわばり予防に効果的です。 さらに、重ね着や腹巻きなどの防寒対策、室内温度の調整といった生活習慣の工夫で冷えを避けることも欠かせません。これらを組み合わせることで、寒さによる腰痛の悪化防止が期待できます。 身体を温めて血流を改善する 寒さが腰痛を悪化させる背景には、筋肉のこわばりや血流低下が関与しており、これらを和らげるには温める対処が有効です。 温めることで血流が良くなり、腰の筋肉や関節が柔らかく動きやすくなります。 実際、温めた後にはストレッチや動作時の快適さが向上するという報告もあります。(文献5) 筋肉内に蓄積した疲労物質の排出と重だるさの軽減には、温熱による血流促進が欠かせません。 ストレッチや軽い運動で筋肉をほぐす 寒い環境では筋肉が収縮して硬くなりやすく、血流も低下するため、ストレッチや軽い運動で筋肉をほぐすことが大切です。 ゆっくりと無理のない範囲で身体を動かすことで筋肉の柔軟性が高まり、こわばりや疲労の軽減につながります。急激な動作は負担となるため、ウォーキングや穏やかなストレッチを深呼吸とともに行うことが効果的です。 また、腰部だけでなく大腿部や股関節、下腿部など下半身全体を動かすことで血行が改善し、腰部への負担が軽減されます。 こうした運動の継続により、寒さによる筋肉の硬直を防ぎ、腰痛の慢性化予防にもつながります。 服装と生活習慣で冷えを防ぐ 対処法 詳細 腰部と下半身を重点的に温める 腰・下半身の保温、厚手タイツ・腹巻き・保温インナーの活用、衣類による冷え防止 カイロや温熱ベルトを使う 貼るカイロや温熱ベルトによる腰部保温、外出時の血行促進、適切な使用方法の徹底 足元の冷え対策を行う 靴下・防寒スリッパの使用、足元からの冷え防止、下肢冷却の予防 生活習慣で身体を冷やさない工夫をする 温かい飲食物の摂取、適度な運動、血行促進、睡眠・ストレス管理 重ね着や調節可能な服装で体温管理 温度調節しやすい重ね着、風を通しにくい素材の選択、外気温変化への対応 寒さによる腰痛を防ぐには、腰部と下半身を集中的に温めることが効果的です。 保温性の高いインナーや腹巻き、タイツなどを活用すると冷えを予防できます。また、カイロや温熱ベルトで腰を温めると血流が促され、こわばりの軽減にもつながります。 足元からの冷えも腰痛を悪化させるため、靴下や防寒スリッパの着用も有効です。あわせて温かい飲食物を取り入れ、適度な運動で血行を保つことも大切です。 重ね着を活用し体温調整しやすい服装を選ぶことで、寒冷環境での腰痛予防に役立ちます。 寒さ・冷えの腰痛で医療機関を受診すべきサイン 受診すべきサイン 詳細 温めても改善しない場合 温熱で緩和しない持続痛、動作時の強い痛み、数日続く改善不良 しびれや感覚の異常がある場合 下肢のしびれ・冷感・脱力、感覚低下、坐骨神経の圧迫が疑われる症状 発熱や全身の不調を伴う場合 発熱・倦怠感・悪寒など全身症状、感染症や内臓疾患が疑われる状態 寒さや冷えによる腰痛が温めても改善せず強い痛みが続く場合は、筋肉以外の原因が関与している可能性があります。そのため、早期の受診が必要です。 また、足のしびれや脱力、感覚の低下がみられる場合は、坐骨神経への圧迫など神経障害が疑われます。 さらに、発熱や強い倦怠感を伴う腰痛は感染症や内臓疾患の可能性があるため、早めの受診が必要です。 これらのサインがみられる場合は、早めに医療機関で適切な評価を受けることが大切です。 温めても改善しない場合 受診すべき理由 詳細 筋肉や血流以外の疾患の可能性 内臓疾患・神経圧迫・深部組織の異常など、医療機関での診断を要する疾患の存在 痛みが激しい・持続する場合 温熱や安静で改善しない強い痛み、長期化する腰痛、症状悪化のリスク 背中や脚のしびれ・麻痺がある場合 下肢しびれ・筋力低下・排尿排便障害など重度神経障害の可能性 発熱や悪寒を伴う場合 感染症・内科疾患の関与、全身症状を伴う腰痛、早期受診の必要性 症状が急激に悪化した場合 突然の激痛、歩行困難、脱力など緊急性の高い症状の出現 温めても改善しない腰痛には、筋肉のこわばり以外の深部疾患や神経障害が隠れている可能性があります。 強い痛みが続く場合や脚のしびれ・麻痺、排尿排便障害がみられる場合は、神経の重大な圧迫が疑われ、早急な診断が必要です。 また、発熱や悪寒を伴う腰痛は感染症や内科疾患のサインであり、放置すると重症化する危険があります。突然の激痛や歩行困難が生じた際も緊急受診が推奨されます。 以下の記事では、慢性腰痛が治らない原因について詳しく解説しています。 しびれや感覚の異常がある場合 受診すべき理由 詳細 しびれは神経障害の重要なサイン 冷えによる筋硬直で神経が圧迫される可能性、下肢のしびれ・冷感の出現、神経障害進行の危険性 感覚異常は進行性疾患の可能性 感覚鈍麻・チクチク感・麻痺など、神経損傷や深刻な疾患の疑い、早期診断の必要性 坐骨神経痛など神経症状との関連 寒さで悪化する坐骨神経痛、腰〜脚の痛み・しびれへの発展、医師への相談を推奨 長引くしびれは生活の質を低下させる 歩行障害・転倒リスク増加、日常動作への影響、症状進行の危険性 自己判断では見逃しやすい 神経伝導検査・画像検査の必要性、正確な原因特定と適切な治療の重要性 (文献6) しびれや感覚異常は寒さによる一時的な症状と思われがちですが、神経の圧迫や機能低下が背景にある場合も多く、早期受診が重要です。 筋肉の硬直や坐骨神経痛の悪化により、下肢のしびれ・冷感・感覚鈍麻が現れることがあります。 これらを放置すると症状が進行し、歩行障害や転倒リスクが増加して生活の質を大きく損なう可能性があります。 神経障害は自己判断が困難なため、原因を特定し、早期に適切な治療を受けることが大切です。 以下の記事では、しびれや感覚の異常がある場合に考えられる腰の疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 胸椎椎間板ヘルニアとは?原因や症状を専門医が解説 頚椎椎間板ヘルニアのレベル別症状は?軽度から重度まで医師が解説 発熱や全身の不調を伴う場合 受診すべき理由 詳細 感染症や内科的疾患の可能性 腎盂腎炎・膿瘍・帯状疱疹などの潜在疾患、放置による症状悪化、重篤化の危険性 炎症反応増加による全身症状 熱・倦怠感・ふらつきなど全身炎症反応の出現、緊急性を伴う疾患の可能性 重篤な疾患の可能性 化膿性脊椎炎・骨折・がんの骨転移など重大な疾患、早期診断の重要性 症状の持続・悪化への注意 自己治療による進行リスク、感染拡大・神経障害の危険、基礎疾患保有者の高リスク 発熱や全身倦怠感を伴う腰痛は、単なる冷えや筋肉疲労ではなく、疾患の可能性があります。 腎盂腎炎や膿瘍、帯状疱疹などの感染症では、腰痛に加えて発熱や倦怠感が現れ、放置すると重症化するリスクがあります。 また、化膿性脊椎炎や骨折、悪性腫瘍の骨転移など重大な疾患でも同様の症状を呈することがあり、早期診断が予後を左右するため、症状が持続または悪化する場合は、自己判断せず速やかに医療機関を受診することが重要です。 以下の記事では、発熱や全身の不調を伴う腰痛の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 化膿性脊椎炎の後遺症|手足のしびれ・痛みのリハビリと再発リスクを下げる方法 ぎっくり腰に前兆はある?なりそうなときの対処法も解説【医師監修】 改善しない寒さによる腰痛は医療機関を受診しよう 冷えによる腰の不調は多くが生活習慣の改善で軽快しますが、症状が長引く場合は医療機関を受診しましょう。原因を見極めることで適切な治療ができ、早期受診は根本原因の特定に役立ちます。 寒さによる改善しない腰痛でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腰痛に対して再生医療を用いた治療を行っています。 寒さによる腰痛では、筋肉や神経への負担が繰り返され、椎間板や神経組織に慢性的なダメージが残る場合があります。 こうした背景に対して、再生医療(幹細胞治療)は損傷した組織の修復を目指す治療選択肢のひとつです。ただし、すべての腰痛に適応されるわけではなく、効果には個人差があるため、適応の判断や他の治療法との比較を含め、医師と相談しながら慎重に検討することが大切です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 寒さで起こる腰痛に関するよくある質問 寒さ・冷えで起こる腰痛はツボを刺激すれば治りますか? ツボ刺激(指圧・経穴治療)は、慢性腰痛に対して痛みの軽減や機能改善を示した報告があります。(文献7) また、自己で行う指圧が痛みや疲労感の改善に有効とする研究もあります。(文献8) しかし、寒さ・冷えによる腰痛は筋肉のこわばりや血流低下、姿勢の乱れなど複数の要因が重なるため、ツボ刺激だけで十分とは言えません。 また、現時点のエビデンスは改善を示す一方で、単独治療として確立された効果には至っていません。(文献9) 寒さで起こる腰痛は接骨院や整体で改善しますか? 寒さによる腰痛は接骨院や整体院で筋緊張の緩和や姿勢改善により和らぐことがあります。しかし、慢性化や重度の症状には限界があり、根本治療に至らないため、医療機関を受診しましょう。 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、感染症など重大な疾患が潜む可能性もあるため、まずは総合診療科または整形外科で評価を受ける必要があります。 しびれなどの神経症状があれば神経内科や脊椎専門医、発熱や全身症状があれば内科の受診を検討してください。 寒さで起こる腰痛は体質や遺伝と関係がありますか? 寒さによる腰痛には体質や遺伝的要素が関与する可能性があり、椎間板や骨格の形状、血管反応性や自律神経機能には遺伝の影響がみられます。 冷えやすい体質では血行不良や筋肉のこわばりが生じやすく、代謝や寒冷刺激への反応にも個人差があります。 ただし、寒さと腰痛の直接的な因果関係における遺伝的要因は明確ではなく、寒冷環境下での筋・神経・血管反応の遺伝的規定性を示すエビデンスは現時点では限られています。(文献10) 参考文献 (文献1) Why Cold Weather Worsens Nerve Pain—And What to Do About It|MS Pain & Migraine Logo (文献2) Common Causes of Back Pain and How to Get Relief in the Winter|Michigan Neurology Associates & Pain Consultants (文献3) The association between cold exposure and musculoskeletal disorders: a prospective population-based study|PMC PubMed Central® (文献4) From the Doctor’s Desk: Back Pain in Winter: Why Does it Happen and How to Avoid it|BONE & JOINT (文献5) Heat vs Cold: What works better?|UNC Health Appalachian Exapnd Search (文献6) 神経痛が起こるメカニズム|社会福祉法人 恩賜財団 済生会(おんしざいだん さいせいかい) (文献7) Clinical Efficacy and Safety of Acupressure on Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis|PMC PubMed Central® (文献8) Self-Administered Acupressure for Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlled Pilot Trial|PubMed® (文献9) Acupuncture for chronic nonspecific low back pain|PubMed® (文献10) Cold exposure and musculoskeletal conditions; A scoping review|PMC PubMed Central®
2025.12.13 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「後縦靭帯骨化症のリハビリはどのようにして行われるのか?」 「後縦靭帯骨化症のリハビリの効果を知りたい」 後縦靭帯骨化症では、首や手足のしびれ、動かしにくさによって生活機能が低下し、不安を抱える方が多くいます。 自己流の運動は症状を悪化させる可能性があり、医療機関での評価に基づかないまま、自宅で行える範囲を判断するのは困難です。適切なリハビリには、病状の進行度に応じた運動療法と、避けるべき禁忌動作の理解が欠かせません。 本記事では、現役医師の監修のもと、後縦靭帯骨化症のリハビリ内容に加えて、禁忌事項や評価方法についても詳しく解説します。最後に、後縦靭帯骨化症のリハビリに関するよくある質問も紹介しますので、ぜひご一読ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 後縦靭帯骨化症でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 後縦靭帯骨化症におけるリハビリの目的と効果 目的と効果 詳細 筋力強化による脊椎の支持と負荷軽減 首・背中周囲の筋力向上による脊椎の支持力強化、骨化部位への負担軽減 関節の可動域維持と姿勢改善による機能向上 首や肩・体幹の柔軟性維持、姿勢バランスの改善による可動域確保 日常生活の自立支援とQOLの維持・向上 歩行・更衣・家事などの動作効率改善、疲労軽減による生活の質向上 後縦靭帯骨化症のリハビリは、脊椎や神経への負担を軽減し、日常生活機能を維持することを目的とします。骨化による神経圧迫は可動域の低下やしびれを招くため、筋力・柔軟性の維持と姿勢の安定が重要です。 痛みや疲労を悪化させる動作を避けつつ、生活動作を円滑に行う訓練を行います。医師の適切な指導のもとリハビリを継続することで、機能維持とQOL向上が期待できます。 以下の記事では、後縦靭帯骨化症の寝たきりを抑えるための方法を詳しく解説しています。 筋力強化による脊椎の支持と負荷軽減 後縦靭帯骨化症に対して体幹や肩甲帯の筋力強化を行うと、背骨を支える「筋肉のコルセット効果」が高まり、骨化部位への負荷が減少します。これにより神経圧迫の悪化を防止できます。 そのため、姿勢や歩行など日常動作の安定にも効果的です。また、筋力が低下しているとリハビリで得た可動域改善・歩行改善・神経症状の軽減が定着しにくく、再び筋力低下と動作制限の悪循環に陥る可能性があります。 適切な筋力強化は、歩行スピードや握力、立ち上がり動作などの改善を長期的に維持し、症状再悪化を防止する基盤です。 実際、術後や保存療法のリハビリにおいて、筋・骨・神経の機能が相互に改善する可能性が報告されています。(文献1) 関節の可動域維持と姿勢改善による機能向上 後縦靭帯骨化症は、関節や筋肉の硬さにより姿勢が前傾しやすく、首・肩・腰の可動域が低下することで日常動作にも支障が生じます。 リハビリでは、ストレッチや姿勢調整を通して関節可動域を維持し、筋肉や靭帯の拘縮を防ぐことが重要です。可動域が保たれることで首や脊椎の動きが滑らかになり、基本動作の負担が軽減されます。 また、正しい姿勢は骨化部位や脊椎への過度な負荷を防ぎ、神経圧迫の悪化や痛みの増強を抑える効果があります。 さらに、可動域と姿勢が整うことで歩行や立位の安定性が高まり、長期的な神経症状の悪化リスクを低減できます。日常生活では長時間同じ姿勢を続けないようにし、適切な座り方や立ち方を意識することが症状管理に役立ちます。 日常生活の自立支援とQOLの維持・向上 目的・効果 詳細 日常動作の安定と自立支援 筋力・バランス向上による歩行や立位、起き上がりの安定、転倒リスクの軽減 生活動作の工夫と環境整備の支援 正しい姿勢や動き方の指導、福祉用具活用や住宅改修による生活環境の改善 生活の質(QOL)の維持・向上 身体機能維持による不安軽減、精神的安定、社会参加や趣味継続による満足度向上 (文献2) リハビリの最終的な目的は、できる限り自立した生活を続けることです。後縦靭帯骨化症では、手足のしびれや力の入りづらさが進行すると、着替えや歩行などの動作が難しくなる場合があります。 理学療法や作業療法では、生活動作の練習や補助具の活用を通じて、日常生活を無理なく行えるよう支援します。 厚生労働科学研究費補助金・脊柱靭帯骨化症研究班が実施した研究では、ADLの制限がQOLと強く関連し、とくに移動動作(立ち上がり・歩行)や入浴・更衣の制限が生活の質の低下に直結することが報告されています(文献3) そのため、身体面だけでなく心理面のサポートも重要です。継続したリハビリは、QOL(生活の質)の維持・向上に役立ちます。 後縦靭帯骨化症におけるリハビリの評価方法【事前の状態チェック】 評価方法 詳細 神経・運動機能の評価 手足のしびれ・感覚の低下、筋力、反射、歩行バランスの確認による神経障害の把握 日常動作・姿勢のチェック 歩行・立ち上がり・更衣などの動作確認、姿勢の傾きや負担のかかる動きの観察 画像検査による評価 MRI・CT・X線を用いた骨化の範囲や神経圧迫の確認、脊椎アライメント評価 リハビリを始める前には、医師や理学療法士が症状の進行度や神経の状態を把握することが欠かせません。 後縦靭帯骨化症の場合、骨化の部位や神経圧迫の程度によって適切な運動が異なります。医師や理学療法士が神経機能や姿勢、日常動作の可否などを総合的に評価します。 これにより、無理な運動を避けながら、個々の症状に合わせたリハビリ計画を立てられます。 神経・運動機能の評価 神経・運動機能の評価は、後縦靭帯骨化症におけるリハビリ計画の基礎となる重要な工程です。医師や理学療法士が手足のしびれや感覚鈍麻、筋力低下、反射異常、歩行の安定性などを詳細に確認します。 とくに頸椎に骨化がある場合は握力や指先の巧緻動作も重要な指標です。これらの情報から、医師は神経がどの程度圧迫されているかを把握し、実施できる運動量や避けるべき動作を判断します。 また、評価結果は個々の症状に応じたリハビリ目標の設定にも役立ち、症状の変化を継続的に追うことでプログラムを適切に調整します。 日常動作・姿勢のチェック 評価方法 詳細 日常生活の動作障害を早期に発見するため 着替え・歩行・起き上がりなどの困難動作の把握、リハビリ方針の明確化 不良姿勢や過度な負担を見つけるため 頭部前方位や猫背など姿勢のゆがみの確認、負担軽減に向けた生活改善 患者の自立度やQOLの評価に役立つ 日常動作の自立度の把握、支援や環境調整の検討、生活の質向上への貢献 日常動作と姿勢のチェックは、後縦靭帯骨化症の症状による生活上の困りごとを早期に把握し、適切なリハビリ計画を立てる上で欠かせません。 とくに姿勢のゆがみや長時間同じ姿勢を続けることは、脊柱や神経に過度な負荷をかけ、症状悪化につながる可能性があります。 立位姿勢が手術成績に影響する報告もあり、姿勢評価は治療効果の向上にも関わります。(文献4) 画像検査による評価 評価方法 詳細 骨化の範囲と程度を正確に把握するため レントゲン・CTによる骨化部位と進行度の確認、骨化形状の把握 神経圧迫の状況を確認するため MRIによる脊髄・神経根の圧迫度や変化の評価 治療方針やリハビリ計画の立案に不可欠 骨化進行度と神経圧迫所見に基づく保存療法と手術療法の判断材料 リハビリプログラムを設計・調整するための資料となる 骨化の長さ・厚さ、脊柱管占拠率、脊椎配列、神経圧迫所見などに基づく個別リハビリ計画の作成 後縦靭帯骨化症の治療では、骨化の範囲や神経圧迫の有無を画像検査で正確に把握することが、治療方針やリハビリ計画の決定に不可欠です。 CTは骨化の形状や広がりを詳細に確認でき、MRIは神経への圧迫状況を評価するのに優れています。さらに、骨化の厚さや脊柱管占拠率、頸椎・腰椎の配列などの情報は、リハビリの強度や動作範囲を設定する基盤となります。 実際、占拠率は神経症状や術後成績との関連が報告されており、個別のリハビリプログラム作成に大切な指標です。(文献5) 後縦靭帯骨化症におけるリハビリ方法【評価をもとに行う運動】 リハビリ方法 詳細 柔軟性とバランスを高めるストレッチ・体幹運動 首・肩・腰の可動域維持、体幹の安定性向上、姿勢保持能力の改善 四肢と体幹の筋力トレーニング 手足と体幹の筋力強化、脊椎支持力の向上、負担分散による症状悪化予防 歩行・日常動作の訓練 歩行安定性の向上、立ち上がり・階段動作の改善、生活自立度の向上 後縦靭帯骨化症のリハビリでは、症状や神経の状態を踏まえて柔軟性・筋力・動作能力を総合的に高めることが重要です。 まず、ストレッチや体幹運動で首や腰の可動域を保ち、姿勢を安定させます。次に、四肢と体幹の筋力強化により脊椎の支持力を高め、負担を分散して症状悪化を防ぎます。 さらに、歩行や立ち上がりといった日常動作の訓練を行うことは生活動作の安定と自立度向上を図る上で欠かせません。これらを組み合わせることで、症状の安定と効果的な機能改善が期待できます。 柔軟性とバランスを高めるストレッチ・体幹運動 リハビリ方法 詳細 柔軟性とバランスを高めるストレッチ 筋肉の柔軟性維持、拘縮予防、血流促進、疲労軽減、動作効率の向上 体幹運動(バランス運動) 姿勢安定、脊柱負担の軽減、神経圧迫軽減、歩行・立位の安定、転倒予防 後縦靭帯骨化症では、神経圧迫により筋肉がこわばりやすく、関節の動きが制限されるため、ストレッチと体幹運動はリハビリを行う上で欠かせません。 首・肩・背中・腰のストレッチは筋肉の柔軟性を保ち、拘縮を防ぐことで動作のしやすさを維持します。また、血流促進や疲労軽減にも役立ち、継続により身体全体の連動性が高まります。 体幹を中心としたバランス運動は姿勢を安定させ、脊柱への負担を減らすことで神経圧迫の軽減に寄与します。 バランス能力の向上は歩行や立位の安定を高めて転倒を予防し、自立度の維持にも役立ちますが、痛みや違和感がある場合は無理をせず中止しましょう。 四肢と体幹の筋力トレーニング 評価・訓練項目 詳細 体幹筋の強化 脊椎支持力の向上、脊柱への負担軽減、神経圧迫悪化の予防 四肢の筋力維持・強化 つかむ・歩く・立つなどの基本動作の安定、自立度向上、転倒予防 筋萎縮・筋力低下への対処 神経障害による筋力低下の抑制、機能回復の促進、QOL向上 後縦靭帯骨化症では、体幹と四肢の筋力を適切に維持・強化することが、脊椎の保護と日常生活動作の安定に不可欠です。 軽い負荷を用いた筋力トレーニングは、腹部や背部の体幹筋を鍛え、脊椎を支える力を高めることで過度な負担を軽減し、神経圧迫の悪化を防止する効果があります。 また、肩甲骨を動かす運動や手足の筋力強化は、つかむ・歩く・立つといった基本動作を支え、自立度向上や転倒予防に寄与します。 神経障害により筋力が低下しやすい患者では、継続的なトレーニングが筋萎縮の進行を抑え、機能回復を促す上でも大切です。 歩行・日常動作の訓練 評価・訓練項目 詳細 基本動作の習得と動作の安定化 歩行・起立・移乗の安定、転倒リスクの軽減、自立生活の確保 日常動作のスムーズな連結と適応力の向上 動作間の連続性向上、実生活への適応力強化、動作効率の改善 QOL改善のための自立支援 社会参加の促進、精神的自信の向上、生活の質全体の維持・向上 (文献6) 歩行訓練では、バランス感覚の回復と下肢筋力の維持を目指します。歩幅やリズムを整え、安定した歩行動作を習得していきます。 必要に応じて杖・歩行補助具の使用や、着替え・家事などの日常動作を取り入れたリハビリも症状の改善に欠かせません。 実生活に近い環境で練習することで、自立した生活を続けやすくなります。 後縦靭帯骨化症のリハビリにおける禁忌事項 禁忌事項 詳細 頸椎への過度な負荷や急な動作を避ける 首を強く反らす・ひねる動作の回避、急激な方向転換や勢いのある運動の制限 しびれや脱力など神経症状が強いときは運動を中止する 痛み増悪・感覚異常・脱力の出現時の運動中断、症状悪化の予防 医師の許可なく頸椎牽引や強いマッサージを行わない 頸椎牽引を自己判断で行うことの禁止、強圧マッサージや過度な指圧の回避、頸椎への負担軽減 後縦靭帯骨化症では、頸椎周囲の神経が圧迫されやすいため、リハビリ中の負担管理が欠かせません。 とくに首への強い負荷や急な動作は、神経症状の増悪につながる可能性があります。また、しびれや脱力などの症状が強く現れた場合は、運動を続けることで障害が進む恐れがあるため、中止が必要です。 さらに、頸椎牽引や強いマッサージは状態により逆効果となることがあり、自己判断ではなく、医師の判断が求められます。 頸椎への過度な負荷や急な動作を避ける 後縦靭帯骨化症では、骨化した靭帯が脊髄や神経根を圧迫しているため、頸椎への過度な負荷や急な動作は症状悪化の大きな要因となります。 首を急に反らせたり強くねじる動作は、圧迫をさらに強め、新たなしびれや麻痺を引き起こす可能性があります。リハビリでは、動作を小さくゆっくり行い、無理に可動域を広げようとしないことが基本です。 違和感や痛みを感じた場合は直ちに中止し、首へのストレスを最小限に抑えることが重要です。また、日常生活でも重い荷物を持ち上げるなど頸椎に負担がかかる行動は避ける必要があります。 しびれや脱力など神経症状が強いときは運動を中止する 禁忌事項・観点 詳細 神経症状悪化のサインを見逃さないため しびれ・脱力の増強による神経機能悪化の兆候把握、症状進行や回復遅延の防止 リスクの高い運動を中断する 脊髄・神経圧迫増大の可能性の回避、転倒や重度症状の予防 適切な治療方針の再評価につながる 医師の診察によるリハビリ計画の見直し、治療選択の検討、長期的機能維持への対応 後縦靭帯骨化症では、しびれや脱力の増強は神経への負担が高まっている重要なサインです。この状態で運動を続けると、神経障害が進行し、しびれの悪化や動作機能の低下につながる可能性があります。 そのため、運動中に症状が強まった際には中止し、早急に医師へ相談しましょう。症状の変化を適切に把握することで、リハビリ計画の変更や治療方針の見直しが行われ、長期的な機能維持に役立ちます。 医師の許可なく頸椎牽引や強いマッサージを行わない 後縦靭帯骨化症(OPLL)では、骨化によって脊柱管が狭くなり、脊髄や神経根が常に圧迫されやすい状態です。そのため、頸椎牽引や強いマッサージを行うと、骨化部や狭窄部に「ずれ」や動的ストレスが加わり、症状悪化のリスクが高まります。 牽引や強いマッサージは、首の椎体や椎間関節、靭帯、神経構造に「引き伸ばす力」や「回旋・側屈・伸展」といった動きを加えることになり、非常に危険です。 研究によると、OPLLの頸椎に回旋操作(マニピュレーション)を行うと脊髄・硬膜・神経根への応力が著しく増えることが確認されています。(文献7) また、医師や理学療法士がリハビリを開始する際は、画像検査や神経・運動機能、姿勢評価を行い、適切な運動内容や強度を決定することが重要です。 OPLLでは保存療法の範囲や手術適応の判断を慎重に行うべきと報告されており、医師の指導なく牽引や強いマッサージを行うことは避ける必要があります。(文献8) 【リハビリと併用できる】後縦靭帯骨化症の治療法 治療法 詳細 薬物療法 痛み・しびれの軽減、筋緊張の緩和、炎症の抑制 装具療法 頸椎の安定補助、動作時の負担軽減、姿勢保持のサポート 神経ブロック療法 痛みの一時的軽減、神経周囲の炎症緩和、リハビリ実施時の負担軽減 再生医療 組織修復の促進、慢性痛の緩和、機能改善の可能性 後縦靭帯骨化症では、リハビリと併行して複数の治療を組み合わせることで、症状管理や機能維持がより効果的になります。 薬物療法は痛みやしびれ、筋緊張を和らげ、装具療法は頸椎の安定を補助します。また、神経ブロック療法は強い痛みを一時的に軽減し、リハビリを進めやすくします。 近年注目される再生医療は、組織修復や慢性痛の改善が期待されますが、提供施設が限られ、すべての症状に適用できるわけではありません。そのため、実施している医療機関で適応の可否を医師に相談する必要があります。 薬物療法 目的・効果 詳細 痛みや炎症を緩和するため NSAIDsによる頸部・肩の痛み軽減、神経周囲の炎症抑制 筋肉の緊張を緩和し動きを助ける 筋弛緩薬による筋緊張の軽減、可動域改善 神経症状の改善をサポート 神経障害性疼痛薬やビタミンB群製剤によるしびれ・神経痛の緩和、神経機能改善 症状進行の抑制・QOL維持に貢献 症状管理による日常生活の負担軽減、リハビリ効果の向上 薬物療法は、後縦靭帯骨化症で生じる痛み・炎症・筋緊張・神経症状を和らげ、日常生活を送りやすくする上で重要な役割を担います。 NSAIDsは痛みや炎症を抑え、筋弛緩薬は筋肉のこわばりを緩和します。また、神経障害性疼痛薬やビタミンB群製剤はしびれや神経痛の軽減に有効です。 薬物療法自体は骨化を治すものではありませんが、症状を抑えることでリハビリに取り組みやすくなり、QOLの維持にも大きく寄与します。 装具療法 目的・効果 詳細 脊椎の安定化と固定による負担軽減 頸椎カラーによる不要な動きの制限、骨化部位・神経への負荷軽減、痛みの軽減 神経の圧迫進行を防ぐサポート 首の姿勢安定、脊髄・神経根圧迫の増悪予防、反り動作の抑制 安静保持と日常生活のサポート 日常動作時の頸部保護、運動療法併用の補助、症状管理の支援 保存療法としての進行予防・手術回避の支援 神経圧迫リスクを高める動きの抑制、症状安定化、進行抑制による手術回避支援 装具療法は、後縦靭帯骨化症における保存療法の重要な柱であり、頸椎の不要な動きを制限することで骨化部位や神経への負荷を減らし、症状悪化の抑制に寄与します。 首の姿勢が安定することで神経圧迫の進行を防ぎ、日常生活での負担軽減にもつながりますが、OPLLでは手術が必要となる例もあります。保存療法(リハビリ・薬物療法・装具)は、症状の安定や進行抑制が期待できる手段です。 装具療法はこの保存療法の重要な一翼を担い、神経圧迫リスクを高める動きを抑えることで、重症化や手術適応を回避するための管理を支える役割を果たします。(文献9) 神経ブロック療法 後縦靭帯骨化症(OPLL)では、骨化により脊髄や神経根が圧迫され、しびれや脱力などの神経症状が生じやすくなります。 神経ブロック療法(硬膜外ブロック・神経根ブロック)は、神経周囲に局所麻酔薬やステロイド薬を注入し、炎症や痛み、過剰な興奮を抑える治療です。 実際に、頸椎OPLL患者で神経ブロックを行った症例では、6か月後にJOAスコアや愁訴スコアが有意に改善したとの報告があります。神経ブロック療法により症状のピークを和らげることで、理学療法や体幹訓練、可動域訓練をスムーズに開始できるようになります。(文献10) 再生医療 再生医療は、回復が難しい脊髄神経損傷に対して、幹細胞などを用いて神経機能の改善を目指す治療法です。 後縦靭帯骨化症では、しびれや脱力といった神経症状の改善が報告され、QOL(生活の質)の向上につながる可能性があります。 とくに従来の治療では改善が乏しい難治性症状への新たな選択肢として注目されています。また、リハビリテーションとの併用により効果が高まると考えられており、神経再生と機能回復を同時に促す治療戦略として期待されています。 以下の記事では、後縦靭帯骨化症に対して再生医療を適用した事例を紹介しています。 リハビリで改善しない後縦靭帯骨化症は医療機関を受診しよう リハビリを続けても症状が改善しない場合や、しびれ・脱力が強まる場合は、骨化の進行が疑われます。放置すると神経障害が固定化する恐れがあります。そのため、早期の受診が重要です。 医療機関では画像検査や神経評価を行い、手術や再生医療を含めた治療方針を提案します。自己判断での中断や過度な運動は避け、医師の指導のもと適切に進めることが大切です。 リハビリで改善しない後縦靭帯骨化症についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、後縦靭帯骨化症に対して再生医療を用いた治療を行っています。 後縦靭帯骨化症に対する再生医療は、患者自身の幹細胞を用いて損傷した組織の修復を促し、身体に備わる治癒力を高めることで改善を図る治療法です。細胞レベルでの再生を後押しすることで、神経症状の緩和や機能回復につながる可能性があり、従来の治療に加わる新たな選択肢です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 後縦靭帯骨化症のリハビリに関するよくある質問 後縦靭帯骨化症はカイロプラクティックで治せますか? 後縦靭帯骨化症(OPLL)は、カイロプラクティックのみで治療できる疾患ではありません。 靭帯が骨化して脊柱管を狭め、脊髄や神経根を圧迫する構造的な病態であり、進行する可能性もあります。 そのため、治療の中心は整形外科による保存療法や、症状に応じた手術療法の検討が必要です。カイロプラクティックは補助的に利用されることはありますが、単独での治癒は期待できません。 後縦靭帯骨化症は指定難病ですか? 後縦靭帯骨化症(OPLL)は指定難病に該当し、一定の条件を満たせば医療費助成の対象になります。 助成を受けるには、画像検査で骨化が確認され、神経障害による運動機能障害が日常生活に支障をきたす、または重症度分類に該当することが必要です。なお、手術を行う場合は、これらの条件に当てはまらなくても助成が認められるケースがあります。(文献11) 後縦靭帯骨化症は国の支援制度を適用できますか? 後縦靭帯骨化症(OPLL)は国の指定難病に該当し、条件を満たせば医療費助成などの公的支援を利用できます。 医療費助成は自動的には受けられず、画像検査での骨化確認、日常生活に支障をきたす神経症状や運動機能障害の有無、医師の診断書を含む申請書類の提出、自治体での手続きが必要です。 後縦靭帯骨化症(OPLL)で受けられる支援の詳細は、以下のとおりです。 支援項目 詳細 難病医療費助成制度 重症度基準該当時の医療費上限設定、自己負担軽減 障害者手帳・障害年金 税控除・交通機関割引などの各種支援、条件満たす場合の障害年金受給 リハビリの日数制限の除外 医療保険でのリハビリ継続利用、発症後150日制限の対象外 申請に必要な手続き 医師の診断書提出、自治体窓口での申請手続き 支援制度の適用を検討する際は、主治医またはお住まいの市区町村の保健福祉窓口へ相談することが大切です。 参考文献 (文献1) A Randomized Controlled Trial for the Intervention Effect of Early Exercise Therapy on Axial Pain after Cervical Laminoplasty|PMC PubMed Central® (文献2) 後縦靭帯骨化症のケア|健康長寿ネット (文献3) [Updates on ossification of posterior longitudinal ligament. Quality of life (QOL) of patients with OPLL]|PubMed® (文献4) Different standing postures are the influencing factors for the efficacy of laminoplasty in the treatment of K-Line (−) patients with ossification of the posterior longitudinal ligament|Springer Nature Link (文献5) Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament: A Review of Literature|PubMed® (文献6) 運動負荷と記録で科学的なトレーニングを実現する歩行トレーニングロボットとその事例|(46)医機学 Vol.92,No5(2022) (文献7) Effects of cervical rotatory manipulation on the cervical spinal cord complex with ossification of the posterior longitudinal ligament in the vertebral canal: A finite element study|frontiers (文献8) Conservative management of ossification of the posterior longitudinal ligament|Neurosurg Focus 30 (3):E2, 2011 (文献9) Conservative Treatment and Surgical Indication of Cervical Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament|PubMed® (文献10) 神経ブロック療法で治療を行った頸椎後縦靭帯骨化症8症例について (文献11) 後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)|難病情報センター
2025.12.13 -
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症と診断されて、「処方された薬の効果を知りたい」「どのような種類があるのか気になる」といった方もいるでしょう。脊柱管狭窄症は、骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、圧迫されることで痛みやしびれを引き起こす病気です。 本記事では、脊柱管狭窄症の薬の種類と効果について解説します。あわせて、薬の効果が十分に現れない場合の治療法や、自宅でできるストレッチ方法も紹介するので、参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しています。脊柱管狭窄症について気になる症状があれば、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脊柱管狭窄症における痛みの原因 脊柱管狭窄症の痛みは、神経が圧迫されると起こります。骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が、加齢に伴う骨や靱帯の変化、椎間板の変性などによって狭くなり脊髄神経や血管が圧迫されやすくなるためです。 長く歩くと足のしびれや痛みが強くなり、少し休むと和らぐといった「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が代表的な症状です。腰を丸めて歩くと症状が軽くなるケースもあります。 脊柱管狭窄症は神経の圧迫によって起こるものです。そのため、治療では痛みの原因である神経の圧迫や炎症を和らげることが重要になります。 脊柱管狭窄症で処方される薬の種類と効果 脊柱管狭窄症では、神経の圧迫によって生じる痛みやしびれを和らげるために、症状に合わせてさまざまな薬が処方されます。 ここでは、神経の興奮を抑えたり痛みを和らげたりする薬の種類と効果を紹介するので、参考にしてください。 神経痛を抑える薬 脊柱管狭窄症において、神経の圧迫で生じるしびれや強い痛みが続く場合に処方されるのが、神経痛を抑えるタイプの薬です。神経の興奮を鎮め、落ち着かせる働きがあります。 主に処方される薬の種類と効果を下表にまとめました。 薬の名称 主な効果 注意点 リリカ(プレガバリン) 痛みの伝達を抑えて症状を和らげる 眠気やふらつきが出る場合がある タリージェ(ミロガバリン) 神経の興奮を抑え、痛みの過剰な反応を鎮める めまいや眠気が起こる場合がある メチコバール(メコバラミン) 損傷した神経の修復を助ける 皮膚のかゆみや食欲不振などが起こる場合がある 副作用や効果の現れ方には個人差があるため、服用中に強い眠気や体調の変化が見られる場合は医師へ相談することが大切です。 痛みを和らげる薬 脊柱管狭窄症と診断されると、炎症や痛みを抑えるために非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)が処方されます。神経の圧迫による痛みが強い場合や、腰の炎症を伴うときに使用されるケースが多い治療薬です。 主な薬の種類と効果を下表にまとめました。 薬の名称 主な効果 注意点 ロキソニン(ロキソプロフェン) 炎症や痛みを抑えて症状を和らげる 胃の不快感や胃痛が起こる場合がある イブプロフェン 炎症を抑え、発熱や痛みを軽減する 胃への刺激が強いため、空腹時の使用は避ける カロナール(アセトアミノフェン) 痛みを和らげ、発熱を抑える まれに肝機能に影響が出る場合がある カロナール(アセトアミノフェン)は、比較的胃腸への負担が少ないとされている薬です。服用の際は、医師や薬剤師の指示に従い、気になる症状があれば早めに相談しましょう。 血流を改善する薬 脊柱管狭窄症の治療では、神経への血流を改善し、酸素や栄養を届けるための薬が使われるケースもあります。血管を広げて循環を促すことで、痛みやしびれの軽減を目指します。 主な薬の種類と効果を下表にまとめました。 薬の名称 主な効果 注意点 オパルモン(リマプロストアルファデクス) 血管を拡張して神経への血流を改善し、しびれや痛みを和らげる 腹痛や食欲不振などの消化器症状や、まれに肝機能障害が起こる場合がある プロスタグランジンE1製剤 血流を促し、神経の働きを改善する 下痢や吐き気、まれに低血圧を引き起こす場合がある プロスタグランジンE1製剤については、腰部脊柱管狭窄症患者における投与で血流や神経の働きの改善が見られたと報告されています。(文献1) 血流を改善するタイプの薬は、痛みの原因そのものを取り除くわけではありません。そのため、効果を感じるには時間がかかるケースもあります。自己判断で中止せず、症状の変化を感じたときは医師に相談しましょう。 脊柱管狭窄症で薬が効かない場合の治療方法 脊柱管狭窄症において、薬の効果が十分に得られない場合は、神経ブロック注射や手術などの治療が検討されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。 理学療法 理学療法は、症状の軽減だけでなく、痛みが出にくい身体づくりを目指す治療法です。脊柱管狭窄症は神経の圧迫によって症状が現れるため、薬で痛みを抑えるだけでは再発する可能性があります。 体を支える筋肉を鍛え、姿勢や動作のバランスを整えて神経への負担を減らすことが大切です。ストレッチや筋力トレーニングなどを日常的に取り入れると、筋肉の柔軟性や支える力が高まって腰への負担を軽減できるでしょう。 薬による治療と併用すると、より高い効果が期待できます。 神経ブロック注射 神経ブロック注射は、薬だけでは十分な効果が得られない場合に行われる治療法です。脊柱管狭窄症では、神経が圧迫されて過敏な状態になり、しびれや強い痛みが続くケースがあります。 痛みの原因となっている神経まわりに麻酔薬や非ステロイド薬を注入し、神経の炎症や興奮を抑えるのが神経ブロック注射です。即効性がある一方で、効果の持続には個人差があり、繰り返し行う場合もあります。 神経ブロック注射は、薬で改善しにくい症状を和らげたい方にとって、体への負担を抑えながら痛みの軽減を目指せる治療法です。 手術 脊柱管狭窄症が進行し、薬やブロック注射などの方法でも症状が改善しない場合は、手術による治療が検討されます。神経が強く圧迫された状態が続くと、しびれや歩行障害が悪化して日常生活に支障が出る恐れがあるためです。 狭くなった脊柱管を広げて神経の圧迫を解除する「除圧術」と背骨を安定させるための「固定術」が代表的な手術方法です。 手術は高い効果が期待できる一方で、体の負担やリスクも伴います。治療方針については、医師と十分に相談しながら検討しましょう。 再生医療 脊柱管狭窄症の症状が保存療法では十分な効果が見られない場合、再生医療も選択肢の一つです。再生医療では、患者自身の血液や幹細胞を活用して、体の修復機能を高めることを目指します。 代表的なものに、自己の幹細胞を用いる「幹細胞治療」や血液中の成分を活用する「PRP療法」があります。 当院の幹細胞治療では、少量の脂肪を摂取するだけで十分な幹細胞の培養が可能です。そのため、体への負担が少なく術後の回復が比較的早いとされています。 再生医療は、手術に抵抗がある方や薬で十分な改善が見られない場合の新たな選択肢です。 幹細胞治療によって脊柱管狭窄症が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 【手術せずに改善!】 腰椎脊柱管狭窄症 70代男性 【手術せずに改善!】 腰椎脊柱管狭窄症 70代女性 脊柱管狭窄症で薬とあわせて取り入れたいセルフケア方法 脊柱管狭窄症は薬による治療とあわせて、日常生活でできるセルフケアを取り入れることが大切です。体を動かすと筋肉の柔軟性が高まり、血流が促進されて神経への負担を和らげやすくなります。 適度な運動やストレッチを行うと、筋肉を柔らかく保ち、可動域を広げる効果が期待できます。下記は簡単にできるストレッチ方法の一例です。 仰向けに寝て、片方の足首を反対のひざにかける 両手で脚を抱え、ひざを胸のほうへゆっくり引き寄せる お尻の筋肉が伸びているのを感じながら、20~30秒キープする 反対側も同じように行う また、コルセットなどの装具を使用して腰の安定を保つのも効果的です。長時間の座りっぱなしを避け、30分に1度は立ち上がって歩くように意識しましょう。 セルフケアを続けることで、症状の悪化や再発予防にもつながります。 脊柱管狭窄症は薬だけに頼らずセルフケアを組み合わせよう 脊柱管狭窄症は、神経の圧迫によってしびれや痛みが起こる病気です。薬による治療では、痛みや炎症を抑えたり血流を改善して神経の働きを助けたりする効果が期待できます。 ただし、薬だけで根本的な改善が難しい場合もあるため、理学療法やブロック注射、手術などの治療を検討するケースもあります。 あわせて、ストレッチや生活習慣の見直しなどのセルフケアを継続することも大切です。治療とセルフケアを組み合わせると、症状の安定や再発予防につながるでしょう。 脊柱管狭窄症の薬に関するよくある質問 脊柱管狭窄症に効く漢方薬はありますか? 脊柱管狭窄症の治療で使われる漢方薬としては、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」「八味丸(はちみがん)」などが挙げられます。腰痛や下肢の冷えなどの症状に対して処方される場合があり、神経痛や血流の改善を目的に併用されるケースもあります。 ただし、明確な科学的根拠が十分に示されているわけではないため、使用を検討する際は医師や薬剤師に相談することが大切です。 脊柱管狭窄症に効く市販の薬はありますか? 痛みや炎症に対しては、ロキソニンSやイブなど、市販の鎮痛薬を使用できる場合があります。これらの市販薬は、一時的に症状を和らげる効果が期待できますが、神経の圧迫そのものを改善する薬ではありません。 また、長期間の服用は胃腸障害などの副作用を起こす恐れがあるため、使用は一時的な対応に留め、症状が続く場合は医師に相談しましょう。 脊柱管狭窄症の薬リリカにはどのような副作用がありますか? リリカ(プレガバリン)には、眠気やめまい、ふらつきなどの副作用が現れる場合があります。服用を始めて数日以内に症状が出るケースがあり、多くは時間の経過とともに落ち着いてきます。 ただし、副作用が強く出て日常生活に支障を感じる場合は、自己判断で中止せず医師に相談してください。薬の量を調整したり、別の薬に変更したりすると、副作用の症状が落ち着く場合もあります。 参考文献 (文献1) 腰部脊柱管狭窄症に対するプロスタグランディンE1の効果|水俣市立湯之児病院 整形外科
2025.12.13 -
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「歩くと足がしびれて休まないと進めない」 「このまま歩けなくなったらどうしよう」 年齢を理由に放置していたら症状が進み、今さら治療しても手遅れなのではと不安に思う方もいるでしょう。 脊柱管狭窄症は、放置すると神経への圧迫が進み、回復が難しくなる疾患です。しかし、早期に治療を始めれば症状の改善が期待できます。 本記事では、脊柱管狭窄症が手遅れになるリスクについて詳しく解説します。治療法や予防法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックでは、電話相談も実施しております。脊柱管狭窄症の症状が手遅れなのか不安な方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 脊柱管狭窄症を放置して手遅れになるリスク 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されて起こる疾患です。 脊柱管狭窄症を放置すると、神経への圧迫が徐々に強まり、日常生活に深刻な支障をきたすようになります。最初は腰や脚の軽いしびれ程度でも、進行すると歩行困難や排尿障害など取り返しのつかない症状へと悪化するケースもあるため、注意が必要です。 脊柱管狭窄症を放置すると起こるリスクを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 歩行障害 脊柱管狭窄症が進行して手遅れに近づくと現れる症状の1つが「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」の悪化です。間欠性跛行とは、歩いて足に痛みやしびれが生じた際に、少し前かがみで休むと症状が和らぎ再び歩けるようになる状態です。 初期では15分ほど歩けた状態でも、放置すると10分、5分と連続して歩ける時間が短くなっていきます。最終的には、家の近所のゴミ出しやスーパーでの短い買い物など、ごくわずかな距離でさえ、途中で何度も立ち止まらなければ移動できなくなります。 この状態は、単に移動が不便になるだけではありません。外出そのものが億劫になり、自分の足で好きな場所へ行けるという、当たり前だった自由が失われる深刻な障害です。 足の筋力低下・麻痺 神経への圧迫が長期間にわたって続くと神経そのものがダメージを受けるため、足の筋力が徐々に低下し、やがて麻痺に至る危険性があります。 初期症状のサインの具体例は、以下のとおりです。 自分では意識していないのにスリッパが脱げる カーペットの縁など、何もないはずの場所でつまずく 症状がさらに進行すると、足首がだらりと垂れ下がったままになる「下垂足(かすいそく)」という状態になり、歩行が著しく難しくなります。最終的には、足がほとんど動かせなくなり、車椅子が必要になるケースも珍しくありません。 転倒による骨折のリスクも格段に高まり、自立した生活を維持するのが困難になる「手遅れ」といえる状態です。 強い痛み 脊柱管狭窄症は慢性的な痛みが続きますが、進行すると症状が一層強くなり、安静にしていても痛みやしびれが続くようになります。 脊柱管狭窄症の痛みは長時間立つ・歩く・背筋を伸ばすなどの動作で増し、座るとやや楽になるのが特徴です。 しかし、放置すれば痛みが慢性化し、夜間も眠れないほど強まる場合があります。安静にしていても激しい痛みが続くため、良質な睡眠を妨げたり、日常生活に影響を及ぼしたりと、心身ともに疲弊する原因につながります。 神経への圧迫が長期間続くと、神経自体の機能が低下し、治療しても痛みやしびれが残る「神経障害性疼痛」を引き起こすケースも少なくありません。 脊柱管狭窄症が進行すると、強い痛みへの恐怖から身体を動かすのを避けるようになり、結果として筋力低下や症状を悪化させます。 排尿・排便障害 脊柱管狭窄症が進行すると、膀胱や直腸のコントロールが難しくなり、排尿・排便障害を引き起こします。排尿・排便障害の原因は、脊柱管のもっとも下部に位置する神経の束である「馬尾(ばび)神経」の圧迫です。 具体的な症状は、以下のとおりです。 尿意を感じにくい トイレが近くなる 残尿感がある 失禁 便意を感じられない 便秘 排尿・排便に関する症状が出現した場合、手術などの治療を早急に受ける必要があります。放置すれば、自力での排泄が困難になる可能性もあるため、ただちに専門医による診断と治療が必要です。 【手遅れになる前に確認】脊柱管狭窄症の重症度評価 脊柱管狭窄症は、症状の進行度や代表的な症状である「間欠性跛行」を目安に軽度から最重度まで4段階に分けられます。それぞれの進行度と症状は、以下のとおりです。 進行度 主な症状 歩行能力の目安 軽度 ・腰や足に痛みやしびれが出る ・少し休めば回復する 30分以上は連続で歩ける 中等度 ・間欠性跛行の症状がはっきりと現れる ・少し休まないと先に進めない 10〜20分程度の歩行で休憩が必要 重度 ・安静時でも腰や足に痛みやしびれが現れる ・足に力が入りにくい ・何もないところでつまずく 10分未満の歩行で間欠性跛行が生じる 最重度 ・足の痛みやしびれ、筋力低下が見られる ・排尿・排便障害が現れる 5分未満の歩行で間欠性跛行が生じる 軽度の症状では「年のせい」と放置するケースも珍しくありません。しかし、放置して症状が重度以上に進行した場合、神経組織は回復が難しいほどのダメージを受け始めています。 神経は一度深く傷つくと、手術しても完全に元通りになるのが難しくなるため、早期に適切な対応できるか否かが治療後の経過に大きく左右します。放置して手遅れになる前に、早めに整形外科を受診しましょう。 脊柱管狭窄症の治し方 脊柱管狭窄症の治療は、症状の重さや生活への影響度に応じて選択されます。軽度〜中等度の段階では、保存療法を中心に痛みの軽減や機能回復を目指します。(文献1) 改善が見られない場合や神経障害が進行している重度以上では、手術療法の検討が必要です。近年では、再生医療を取り入れた治療法も登場し、体への負担を抑えながら回復を促す選択肢が広がっています。 それぞれの治療方法について解説するので、参考にしてください。 保存療法 保存療法は、脊柱管狭窄症の軽度〜中等度の症状に対して行われる基本的な治療で、神経の圧迫を和らげ、痛みやしびれを軽減するのを目的としています。具体的な治療方法を以下にまとめました。 治療方法 治療内容 薬物療法 消炎鎮痛剤や血流改善薬・ブロック注射などで痛みやしびれを抑える 装具療法 コルセットを装着し、姿勢を安定させて狭窄を起きにくくする 理学療法 熱を利用して、痛みの軽減や筋肉の緊張緩和・血流を改善する リハビリ 姿勢の改善や背筋・腹筋の強化を通じて脊柱への負担を軽くする 薬物療法では、痛みに対して内服薬や湿布などの消炎鎮痛剤が処方されます。症状の程度により、血流を改善して症状を和らげる血流改善薬や、神経の炎症に働きかけるブロック注射も用いられるケースも多いです。 コルセットを装着する装具療法では、姿勢を安定させて狭窄を起きにくくできるため、痛みの軽減が期待できます。 ほかにも、温熱療法を用いた理学療法や、腹筋・背筋を鍛えて背骨を支える力を高めるリハビリも脊柱管狭窄症に対する保存療法の1つです。 保存療法は狭くなった脊柱管を元に戻す治療ではありませんが、症状を上手にコントロールし、日常生活の支障を減らすのを目的としています。 手術療法 保存療法を数カ月続けても症状の改善が乏しい場合や、あるいは歩行障害が著しく日常生活に大きな支障をきたしている場合に検討されるのが手術療法です。手術療法には、主に以下の2つが挙げられます。 手術の種類 内容 除圧術 狭くなった脊柱管内の骨や靭帯を取り除き、神経への圧迫を解消する 固定術 不安定な脊柱管やゆがんだ背骨を金属製のスクリューやボルトで固定する 除圧術は、狭窄の原因となっている骨や靭帯の一部を切除し、物理的に神経の圧迫を取り除く方法です。固定術は、背骨の不安定性を改善する方法で、除圧術と併用されるケースもみられます。 近年では内視鏡を用いた手術も普及し、体への負担が少なく入院期間も短縮されています。手術により歩行機能の改善や痛みの軽減が期待できる一方、回復には一定期間のリハビリが欠かせません。 医師と十分に相談し、手術の適応を慎重に判断するのが重要です。 手術療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 再生医療 再生医療は、自身の脂肪から抽出した成分を利用して、組織の修復能力を高め、痛みの改善を目指す新しい治療の選択肢です 当院では、脂肪から採取した幹細胞を脊髄腔内に直接注射する「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を実施しています。脊髄腔ダイレクト注射療法は、抗炎症作用や組織修復作用を持つ注入成分によって、神経周囲の環境を改善し、痛みやしびれを和らげる効果が期待されている治療法です。 体への負担が少なく、手術を避けたい方や高齢者にも適しています。脊柱管狭窄症に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断を実施しております。脊柱管狭窄症の症状にお悩みの方は、ぜひご登録ください。 脊柱管狭窄症を手遅れにしない予防法 脊柱管狭窄症の進行を食い止め、手遅れにしないためには、以下の生活習慣を見直すのが重要です。 正しい姿勢で背中への負担を減らすように意識する 適度な運動を習慣化する 腰への負担を減らす 腰を反らす姿勢は脊柱管を狭めるため、できるだけ正しい姿勢を心がけましょう。日常生活では、少し前かがみの姿勢を意識するのが有効です。 次に、腹筋や背筋といった体幹の筋肉を鍛えると、背骨を支える天然のコルセットの役割を果たし、腰への負担を大きく軽減します。なかでも、ウォーキングや水泳など、腰に負担をかけずにできる運動がおすすめです。 また、腰への負担を減らすように意識するのも、重要です。長時間同じ姿勢を避けたり、重いものを持つ際は腰を曲げないようにしたりと地道に努力すると、症状の進行を食い止める効果が期待できます。 脊柱管狭窄症は手遅れになる前に受診しよう 脊柱管狭窄症は、放置するほど神経への圧迫が進み、歩行障害や排尿障害など手遅れな状態に陥る恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療で多くの症状は改善が期待できます。症状の重症度を見極め、保存療法・手術療法・再生医療などを状況に合わせて選択するのが大切です。 日常生活では、正しい姿勢や腰に負担がかからないように意識し適度な運動を習慣化すると、手遅れな状態に進行するのを防げます。「年のせいかも」と自己判断で放置せず、違和感を感じたら整形外科を受診しましょう。 脊柱管狭窄症の手遅れな状態に関するよくある質問 脊柱管狭窄症は手術しないで治すことができますか? 脊柱管狭窄症の症状のうち、軽度から中等度では、薬物療法・リハビリなどの保存療法で症状の改善が期待できます。 ただし、狭くなった脊柱管を物理的に元通りに広げて完治させるのは、手術以外の方法では困難です。とくに、歩行障害や排尿障害が現れた場合は、神経の損傷が進んでいる可能性があり、保存療法での回復が難しくなります。 手術が必要な状態まで脊柱管狭窄症が進行しないようにするためにも、早めの受診が欠かせません。 脊柱管狭窄症の手術後に後遺症はありますか? 脊柱管狭窄症の手術後、多くのケースでは歩行障害や痛みの改善を実感しますが、まれに後遺症が残る場合があります。後遺症の症状は以下のとおりです。 手術後の痛み しびれや焼けるような痛み 手術後は、傷口だけでなく、周辺筋肉・関節などにも痛みが現れるケースがあります。また、手術時に神経が刺激されるため、しびれや痛みを伴う場合があるのも事実です。 手術は神経の圧迫を除去する目的で実施されますが、傷ついた神経を完全に回復できるわけではありません。ただし、後遺症は時間とともに改善するケースも多く、リハビリを継続すると機能回復を促せます。 痛みが強い場合は、我慢せずに主治医に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 腰部脊柱管狭窄症の診断治療|日本医科大学整形外科学教室
2025.12.13 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
中心性脊髄損傷とは、主に頚髄の中心部分が傷つくことで腕の麻痺やしびれが現れる脊髄損傷の一つです。転倒や交通事故などが原因で起こりやすく、とくに高齢者に発症するケースが多く見られます。 本記事では、中心性脊髄損傷の症状や原因、診断方法などを解説します。治療期間の目安やよくある質問もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。中心性脊髄損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 中心性脊髄損傷とは 中心性脊髄損傷とは、主に首にあたる頚髄の中心部が損傷し、手足の麻痺やしびれが現れる脊髄損傷の一種です。頚髄の中心部分には上肢の神経が多く通っているため、この部分が傷つくと腕や手の動きに障害が出やすくなります。 脊髄の損傷程度によっては、適切なリハビリの継続により日常生活動作の回復が期待できます。 中心性脊髄損傷は上肢に症状が現れやすい点が特徴です。診断後は早期に治療方針を決定し、継続的にケアを進めることが重要です。 【関連記事】 軽度の脊髄損傷とは|知っておきたい症状・治療法と後遺症の可能性を医師が解説 脊髄損傷急性期とは|症状回復の重要な期間といわれる理由や治療法を医師が解説 中心性脊髄損傷の症状 中心性脊髄損傷の主な症状には、上肢の麻痺や手・指のしびれ、感覚障害などがあります。以下でそれぞれ見ていきましょう。 上肢の麻痺 中心性脊髄損傷では、下肢よりも上肢に麻痺が現れやすい点が特徴です。脊髄は部位ごとに支配する身体の領域が決まっており、頚髄は上肢の機能と深く関わっています。脊髄の中心部が損傷すると、上肢へ向かう神経の伝達が妨げられるため、腕の動作や力の入りにくさが生じやすくなります。 物を持ち上げたり腕を動かしたりといった動きが難しくなり、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。上肢の麻痺は中心性脊髄損傷の代表的な症状であり、特徴を把握することが治療やリハビリ方針の判断に役立ちます。 手や指のしびれ 手や指のしびれが生じるのも中心性脊髄損傷の症状の一つです。上肢に向かう感覚の神経は脊髄を通って伝わるため、この部分が傷つくと感覚が鈍くなったりしびれが現れたりします。 また、以下のような動作が困難になり日常生活に支障が出る場合があります。 ボタンを留める 箸を使う 細かな物をつまむ など なお、感覚や巧緻性(細かい動作を行う能力)の変化を確認する方法の一つが「10秒テスト」です。左右の手それぞれで10秒間グーパー動作を繰り返し、回数を測定します。20回を下回る場合、巧緻運動障害の可能性があります。 手や指のしびれの程度を把握することで、適切な治療につなげやすくなるでしょう。 感覚障害 中心性脊髄損傷では、手指を中心に温度や痛みの感じ方が変化し、感覚が鈍くなるケースがあります。感覚に関わる神経は脊髄を通って伝達されるため、損傷があると刺激を正しく受け取りにくくなるのです。 触れたときの感覚が弱くなったり、痛みを感じにくくなったりする変化がみられます。また、損傷の範囲によっては、排尿や排便といった自律的な働きにも影響を及ぼすケースがあります。 感覚が鈍くなるとケガに気づきにくくなるため、日常の動作では注意が必要です。 中心性脊髄損傷の原因 中心性脊髄損傷の原因は以下のとおりです。 転倒 交通事故 加齢に伴う脊柱管の狭窄 スポーツ中の接触や外傷 など 頚髄は衝撃の影響を受けやすく、強い外力が加わると中心部が損傷しやすくなります。転倒や交通事故は幅広い年代でみられる要因の一つです。とくに高齢者は加齢による脊柱管の狭窄があると、損傷が起きやすくなります。また、重い物を持ち上げた際の負荷が引き金になるケースも少なくありません。 外部からの衝撃だけでなく、加齢による頸椎の変化も関与するため、自身の年齢や生活環境に応じたリスクを理解しておくことが重要です。 中心性脊髄損傷の治療期間の目安 中心性脊髄損傷の治療期間は、受傷後おおむね半年〜1年が目安とされています。脊髄の機能は時間の経過とともに安定していき、回復が期待できる期間は限られているためです。 とくに受傷後数カ月〜1年の間は、動作や感覚の改善がみられるケースがありますが、その後は大きな変化が出にくくなります。ただし、年齢や損傷範囲によって回復の経過には個人差があります。 中心性脊髄損傷の診断方法 中心性脊髄損傷の診断方法には、MRIによる画像診断に加えて反射テストや知覚検査などの神経学的検査を実施するのが一般的です。以下で代表的な検査を解説するので、参考にしてください。 MRIによる画像診断 中心性脊髄損傷の診断には、MRIによる画像診断が欠かせません。MRIは脊髄や周囲の構造を詳細に描出でき、損傷の状態を正確に評価できるためです。 脊柱管狭窄症や後縦靭帯骨化症(こうじゅんじんたいこっかしょう)の有無を確認できるほか、脊髄内部の信号変化を評価すると、損傷の範囲や重症度を把握できます。また、MRIは脊髄の圧迫や腫れの状態も評価できるため、手術適応を検討する際にも有効です。 MRIによる画像診断で得られる所見は、治療方針を検討する際の重要な情報です。 神経学的検査 神経学的検査では、反射・筋力・感覚の変化を確認し、神経損傷の範囲や程度を評価します。脊髄に損傷があると、反射の異常や筋力低下、感覚の鈍さが生じるため、身体の反応を調べることで影響の度合いが把握できます。 神経学的検査の例を下表にまとめました。 検査名 内容 反射テスト 腱や指を刺激し、反射の強さや異常反射を確認する 徒手筋力テスト 上肢の筋肉を動かす力を6段階で評価する 知覚検査 触覚・温度覚・痛覚の変化を調べる 巧緻性の評価 指先の器用さや細かな動作を確認する 上記のような複数の検査を組み合わせることで、神経の状態を総合的に判断しやすくなります。 中心性脊髄損傷の治療法 中心性脊髄損傷は早期の治療が重要です。主な治療法は、保存療法・手術療法・再生医療の3つで、損傷の程度や治療目的に応じて適切な方法が選ばれます。ここでは、それぞれの治療法を解説するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 中心性脊髄損傷の初期治療では、安静や頸椎の固定、薬物治療などの保存療法が基本です。受傷直後は脊髄への負担を最小限に抑え、炎症や腫れを広げないように管理することが重要です。 また、状態が安定した段階でリハビリを開始し、動作や筋力の改善を図ります。リハビリは機能の維持や改善に有効です。 高齢者においてもリハビリを継続した症例では歩行機能の維持が確認されており、訓練継続の有効性が報告されています。(文献1)受傷直後から適切な保存療法を進めることが大切です。 手術療法 中心性脊髄損傷では、脊柱管の狭窄や骨の変形により神経が圧迫されている場合に手術療法が検討されます。 骨の変形が強い場合や脊柱管が著しく狭窄しているケースでは、脊髄の圧迫を解除するために除圧術や固定術が行われます。ただし、中心性脊髄損傷は保存療法で改善が見られる例も多く、すべての患者に手術が推奨されるわけではありません。 手術療法は、年齢や損傷の範囲、日常生活への影響などを踏まえて慎重に判断されます。医師と相談しながら適切な治療方法を検討することが大切です。 再生医療 再生医療は、中心性脊髄損傷の治療法の一つです。自分の幹細胞を利用することで、身体が本来持つ再生能力を引き出し、炎症の抑制や組織の修復を目指します。 代表的な方法に、自己の幹細胞を用いる「幹細胞治療」や、血液中の成分を活用する「PRP療法」があります。当院では、おへその横からごく少量の脂肪を採取するだけで幹細胞を培養できる治療を採用しており、身体への負担が少ない点が特徴です。 術後の回復が比較的早いとされているため、手術に抵抗がある方や薬では十分な改善が見られない場合の選択肢として検討されます。 幹細胞治療によって頚髄損傷が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 中心性脊髄損傷は治療とリハビリの早期開始が重要 中心性脊髄損傷は、転倒や交通事故などの衝撃により頚髄の中心部が損傷し、上肢の麻痺やしびれ、感覚障害などが現れる疾患です。高齢者では脊柱管の狭窄が発症の要因になっているケースもあります。回復は受傷後半年から1年間が目安とされており、この期間にどれだけ機能改善を図れるかが重要です。 薬物治療やリハビリを早期に開始し、継続して取り組むことで日常生活への影響を軽減します。医療機関と相談しながら、自分に合った治療法を選択することが大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。中心性脊髄損傷で気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 中心性脊髄損傷に関するよくある質問 中心性脊髄損傷のリハビリに禁忌事項はありますか? 中心性脊髄損傷のリハビリでは、損傷部位に強い負荷がかかる動作や、頸部に過度な負担がかかる姿勢は避けたほうがよいとされています。また、血流が悪くなるような不自然な姿勢を長時間続けることも控えてください。 リハビリは本人の損傷状態に合わせた強度で進めることが重要です。医師や理学療法士の指導のもとで適切な運動量を調整しながら進めましょう。 中心性脊髄損傷にステロイドは効果がありますか? 脊髄損傷には、衝撃で神経細胞が直接傷つけられる「一次損傷」と、その後に起こる炎症反応によってさらに組織が傷つく「二次損傷」があります。神経機能の回復には二次損傷の予防が大事であり、その予防にステロイドが期待されています。 ただし、ステロイドは副作用が強く、効果にも個人差があるため、必ずしもすべての患者に有効とは限りません。医療者の間でも有効性について意見が分かれる部分があるため、使用には慎重な判断が必要です。 参考文献 (文献1) 中心性頸髄損傷リハビリテーションの実学|日本リハビリテーション医学会 学術集会
2025.12.08 -
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- 脊椎、その他疾患
腰からお尻、脚全体にかけて痛みを感じる場合、坐骨神経痛の可能性が考えられます。坐骨神経痛は、その名のとおり、坐骨神経と呼ばれる末梢神経に痛みやしびれをきたす状態です。 痛みやしびれを放置すると、日常生活に支障をきたす可能性もあるため、違和感を覚えた際は早めに専門機関を受診しましょう。 本記事では、坐骨神経痛の概要や原因、症状について解説します。治療法や痛みを和らげる方法もまとめているので、坐骨神経痛の疑いがある方はぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 坐骨神経痛に関する気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 坐骨神経痛とは 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは、腰からお尻、太ももから膝にかけて伸びている坐骨神経にあらわれる痛みの症状です。 坐骨神経は、腰椎と仙椎から出る神経根がいくつか集まってできる神経をいいます。 この神経が圧迫や炎症などの障害を受けると、お尻から脚にかけて痛みやしびれが生じます。坐骨神経痛は病名ではなく、こうした症状の総称です。 坐骨神経痛の原因 坐骨神経痛は好発年齢が幅広く、原因もさまざまです。主な原因には、以下の3つが考えられます。 腰部脊柱管狭窄症 腰椎椎間板ヘルニア 梨状筋症候群 ここでは、各症状の特徴を紹介するので、坐骨神経痛の原因が知りたい方はぜひ参考にしてください。 腰部脊柱管狭窄症 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)とは、背中にある神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫するときに生じる症状で、坐骨神経痛を発症する原因の1つです。原因はさまざまですが、主に加齢によって脊柱が変形し、神経を圧迫して発症するケースが多い傾向にあります。 腰部脊柱管狭窄症は、お尻から脚全体にかけて痛みやしびれなどの神経症状が生じます。悪化すると歩行が難しくなり、手術が必要になる可能性もあるため、気になる症状が見られた際は早めに医療機関に相談しましょう。 腰椎椎間板ヘルニア 坐骨神経痛は、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアが原因で生じる可能性もあります。腰椎椎間板ヘルニアは、背骨と各骨の間に存在し、クッションの役割を持つ椎間板と呼ばれる部位が圧迫されて痛みやしびれを発症する疾患です。 腰椎とは背骨のことで、5つの骨から成り立っています。ヘルニアは椎間板の飛び出し方によって種類が異なり、以下3つに分類されます。 正中型(せいちゅうがた)ヘルニア 傍正中(ぼうせいちゅう)ヘルニア 外側(がいそく)ヘルニア また、腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルは、軽度から重度までさまざまです。中等度レベル以降は、日常生活に支障をきたす場合があるため、軽度だからといって放置せず重症化する前に治療や改善を図る必要があります。 【関連記事】 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルと種類を医師が解説!手術するべき? 腰椎椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の違いを解説|疼痛期間や治し方を紹介 梨状筋症候群 梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)とは、脊椎の下部にある仙骨や尾骨全面から、太ももの骨の最上部に伸びている筋肉が圧迫されて痛みを発症する神経障害です。腰椎椎間板ヘルニアと症状が似ているため混同されやすいですが、梨状筋症候群では仙腸関節炎や椎間関節障害が原因で発症する報告もあります。(文献1) 梨状筋症候群は、デスクワークや運転など、長時間座っているときやゴルフや草むしりといった中腰で梨状筋に負担がかかる場合に、起こりやすい疾患です。また、梨状筋症候群は腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに比べると、稀な疾患になります。 MRIやレントゲンなどの検査で見つけることが難しいため、原因がはっきりしない坐骨神経痛の場合は梨状筋症候群が原因の可能性も考えられます。 筋肉の衰え 坐骨神経痛の原因には、下肢筋肉の衰えも考えられます。腰回りやお尻を中心とした足腰の筋肉が衰えると、背骨を支える力が弱まり、坐骨神経に負担をかけるためです。 筋肉は、20歳をピークに1年に1%ずつ減少するといわれています。(文献2)そのため、加齢に伴う筋力低下も、坐骨神経痛の原因の1つです。 なお、足腰の筋力低下はロコモティブシンドロームの原因にもつながります。ロコモティブシンドロームになると、要介護や寝たきりになるリスクが高まるため、日頃から予防を心がけましょう。 坐骨神経痛の症状 坐骨神経痛の症状は人によって異なりますが、主に腰からお尻、脚全体にかけて、痛みやしびれが生じます。主な症状は、以下の通りです。 お尻や脚が痛くて眠れない 長時間立っていられない お尻の痛みにより長時間座り続けていられない 腰を反らすと痛みやしびれが生じる 中腰やかがむと痛みが強くなる 坐骨神経痛は、片肢に症状が出るケースがほとんどです。しかし、なかには両肢に症状が見られる場合もあります。症状が悪化すると日常生活に影響を与えるため、疑いがある方は早めに受診しましょう。 坐骨神経痛でやってはいけないこと 坐骨神経痛の発症や疑いがある場合、下肢に負担をかける動作は避けましょう。無理に負担をかけてしまうと、症状を悪化させる可能性があるためです。 坐骨神経痛でやってはいけないことには、次の行動が挙げられます。 重いものを持ち上げる 激しい運動をする 長時間座る 前屈みや背骨をねじる 体重を増やす など ただし、過度な安静はかえって回復を遅らせることがあるため、痛みの程度に応じて日常生活を送ることが大切です。 症状が強い場合や、どの程度動いてよいかわからない場合は、医師に相談しましょう。 坐骨神経痛の治療法 坐骨神経痛の治療法は、保存療法が一般的です。しかし、症状レベルによって治療法は異なるため、専門医に相談の上、適切な治療を行う必要があります。 坐骨神経痛では、主に次の治療法を行います。 薬物療法 神経ブロック療法 理学療法 認知行動療法 装具療法 手術療法 症状が重度の場合、手術療法が検討される場合もあります。治療には手術療法だけでなく、薬物療法や神経ブロック療法などの選択肢もあるため、自分に合った治療法を検討しましょう。 また、坐骨神経痛に対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。坐骨神経痛に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 【関連記事】 坐骨神経痛が死ぬほど痛いときはどうする?痛みの原因や治療法を医師が解説 坐骨神経痛の痛みを和らげるブロック注射とは?効果や費用など医師が解説 坐骨神経痛を和らげる方法 ここでは、坐骨神経痛を和らげる方法を6つ紹介します。 湿布を貼る 市販薬を服用する 温める ツボを押す ストレッチを行う 寝方を変える 痛みの緩和を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。 湿布を貼る 坐骨神経痛は、湿布を貼ることで症状の緩和が期待できます。しかし、湿布の貼る場所を間違えると、十分な効果を得られない可能性があるため、適切な位置を理解しておくことが大切です。 坐骨神経痛の痛みを軽減するのに効果的な場所は、以下の位置になります。 腰の下部 梨状筋 太ももの裏側 ふくらはぎ 湿布は、痛みやしびれを感じる部位にあわせて適切な位置に貼りましょう。また、湿布の種類は症状にあったものを選ぶのがポイントです。 市販薬を服用する 坐骨神経痛の痛みを和らげるためには、市販薬を服用するのも専門機関へすぐに行けない場合の対処法になります。坐骨神経痛に用いられる痛み止めは複数あり、その1つにタリージェがあります。 タリージェとは、坐骨神経痛の痛みを和らげるために処方される医薬品の1つです。末梢神経障害や、脊髄疾患による痛みに対して効果が期待できます。 ただし、タリージェは痛みの緩和が目的のため、服用したからといって症状が改善されるわけではありません。また、副作用がある点に留意の上、服用を検討する必要があります。 温める 坐骨神経痛は、患部を温めると痛みの緩和が期待できます。患部を温めることで、血行促進や神経の圧迫緩和などの効果が期待できるためです。 坐骨神経痛の場合、以下の部位を温めましょう。 腰部 お尻 太ももの裏側 温める際は湯船に浸かったり、使い捨てカイロを使ったりして痛みの緩和を図る方法があります。ただし、温めるのが良いのは慢性症状の場合です。発症の初期段階となる急性炎症期には、炎症を抑えるために冷やす必要があります。 ツボを押す 坐骨神経痛の痛みを和らげる方法には、ツボ押しがあります。ツボ押しでは血流や神経、筋肉など、体の働きにアプローチできるためです。 坐骨神経痛に効果的なツボは、以下の8つです。 部位 ツボの位置 お尻 環跳(かんちょう):お尻のやや外側 承扶(しょうふ):お尻の下に位置する横じわ中央部 手部 腰腿点(ようたいてん):手の甲にある人差し指と中指の間、および薬指と小指の間 合谷(ごうこく):親指と人差し指の付け根・親指にぶつかる部分 下肢 委中(いちゅう):膝裏の中央部 陽陵泉(ようりょうせん):膝の外側にある大きな骨の下部分 殷門(いんもん):太もも裏側の中央寄り 金門(きんもん):外くるぶしの後ろ上方・アキレス腱の外側 痛みを感じる部位のツボを押すと、症状緩和が期待できます。 ストレッチを行う ストレッチでは硬くなった筋肉をほぐせるため、神経への圧迫を軽減できます。坐骨神経痛を悪化させないためにも、ストレッチで血流を促すのが重要です。 痛みを和らげる方法には、次のようなストレッチがあります。 ハムストリングのストレッチ 梨状筋のストレッチ お尻のストレッチ ストレッチは体が温まっているときにやると効果的なため、お風呂上りに取り入れるのもおすすめです。ただし、ストレッチ中に痛みやしびれを感じた場合は、すぐに中断しましょう。 寝方を変える 坐骨神経痛により眠れない場合は、寝方を工夫するのが対処法です。症状が和らぐ寝方には、次の3つが挙げられます。 仰向けで膝を立てる 横向きで両膝の間にクッションを入れる 痛みを感じる部位を上に向ける 寝返りを打つ際は、仰向けの姿勢で両膝を立て、股関節を深く曲げるのがポイントです。腹筋に軽く力を入れ、上半身と下半身を同時に動かすと、寝返りで痛みを感じにくくなります。 また、体を冷やすと血行不良により痛みを感じやすいため、体を温めて眠るのも坐骨神経痛の痛みを緩和する方法です。 再生医療は坐骨神経痛の回復が見込めない場合の選択肢 坐骨神経痛の痛みやしびれを放置すると、日常生活に支障を及ぼします。下肢の神経治療には、再生医療も選択肢の1つです。 再生医療では、脂肪由来の幹細胞を用いて治療を行います。幹細胞治療とは、自身の身体から採取した幹細胞を外部で増殖させ、所定の量に達したら再び身体に戻す治療法です。幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を取るため、身体の負担を最小限に抑えられます。 また、入院・手術を必要とせず日帰りの手術が可能な点も、再生医療の特徴です。ただし、幹細胞治療は幹細胞の培養に1カ月ほどかかります。手術せず治療を受けたい場合に、再生医療はおすすめです。 https://youtu.be/zYow3yFsNgw?si=lKQHoW3B5dgCm2po 坐骨神経痛は放置せず専門機関への受診が重要 坐骨神経痛は、下肢に生じる症状の総称です。好発年齢は幅広く、原因も人によって異なります。症状にはお尻から脚全体にかけての痛みやしびれがあり、悪化すると日常生活に支障をおよぼすため注意が必要です。 坐骨神経痛の疑いがある場合は重いものを持ち上げたり、長時間立ちっぱなしになったりといった行動は避けましょう。また、症状によって適切な治療を受けることが重要なため、痛みを感じた場合は早めに専門機関へ受診するのがおすすめです。 保存療法でも回復が見られない場合は、再生医療を選択するのも手段の1つになります。自分にあった治療方法で、坐骨神経痛の症状回復を目指しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。坐骨神経痛について気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 坐骨神経痛に関するよくある質問 坐骨神経痛は何科を受診すれば良いですか? 下肢に痛みやしびれが生じる場合、整形外科もしくは神経内科を受診しましょう。整形外科では、MRIやX線などを使用して神経の状態を確認した上で、原因を診断します。 また、神経内科の場合は、神経伝導検査や節電図検査などの神経系の検査から坐骨神経の異常や原因を特定します。 坐骨神経痛のときは歩いた方が良いですか? 坐骨神経痛のときは、歩いた方が良い場合と、悪い場合があります。症状が比較的軽度のときや、医師・理学療法士から勧められたときは、歩くなど積極的に体を動かすのがおすすめです。 ただし、歩くだけで痛みが生じるときや、日常生活に支障が出ているときは歩かず適切な治療を検討する必要があります。 坐骨神経痛による足のしびれの治し方はありますか? 坐骨神経痛による足のしびれは、セルフケアで痛みを緩和できる場合があります。主なセルフケアは、以下の3つです。 適度に運動する 正しい姿勢をとる 体を温める 症状に適したセルフケアにより、痛みを緩和できる場合もあるため、足の痛みにお悩みの方はぜひ実践してみてください。 参考文献 (文献1) J-STAGE|梨状筋症候群における発症機転についての考察 (文献2) 労働者健康安全機構|⾻格筋量増やすポイント
2025.11.26 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「背中や腰がズキズキ痛む」「発熱が続いて体を動かすのもつらい」などの症状に悩んでいる方は、化膿性脊椎炎を患っている可能性があります。 化膿性脊椎炎とは、細菌の感染によって脊椎や椎間板が炎症を起こす疾患です。早期に治療をおこなえば回復が見込めますが、放置すると骨の破壊や神経障害などを伴い、長期的な治療が必要になるケースもあるため注意が必要です。 今回は、化膿性脊椎炎の症状や原因、治療法をわかりやすく解説します。完治期間の目安や再生医療の可能性についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 化膿性脊椎炎とは 化膿性脊椎炎とは、主に細菌感染によって脊椎やその周囲の組織に炎症が起こり、骨の破壊や膿の形成が進行する疾患です。発症部位は腰椎が最も多く、次いで胸椎、頚椎にもみられます。 化膿性脊椎炎は、高齢者や基礎疾患がある方、免疫が低下している方の発症リスクが高い傾向にあります。 化膿性脊椎炎の主な病型 化膿性脊椎炎の主な病型は、急性発症型、亜急性発症型、慢性発症型の3つです。痛みの程度や発熱の有無など、それぞれの病型の特徴を下表にまとめました。 病型 特徴 急性発症型 腰背部の激しい痛みと高熱を伴う 発症直後から腰背部痛や高熱によって動けなくなる 亜急性発症型 腰背部の痛みと微熱を伴う 原因不明または直近の病気が完治した後に微熱が続く 慢性発症型 腰背部の軽微な痛みと間欠的な発熱を伴う 腰背部痛が慢性的に続く 化膿性脊椎炎は、同じ疾患でも病型によって症状の現れ方が異なります。痛みが軽い場合でも炎症が広がっている可能性があるため、自己判断で放置せず、違和感を感じた時点で早めに医療機関を受診しましょう。 化膿性脊椎炎の症状 化膿性脊椎炎を発症すると、主に以下のような症状が現れます。 頚部痛、背部痛、腰痛などの痛み 発熱 倦怠感 背部の腫れや圧痛 神経症状(しびれ、筋力低下、歩行障害) 排尿・排便障害 前述のとおり、化膿性脊椎炎の代表的な症状は腰背部痛や高熱です。しかし、化膿性脊椎炎が進行すると、膿が形成されて神経を圧迫し、麻痺症状が現れる可能性もあります。また、重症化すると排尿や排便障害を引き起こすケースもあるため注意が必要です。 化膿性脊椎炎の原因 化膿性脊椎炎の主な原因は細菌感染です。多くの場合、血液の流れを介して細菌が脊椎に到達する「血行性感染」によって発症します。血液中に侵入した細菌が椎体や椎間板に感染すると、炎症して骨の破壊や膿の形成を引き起こします。 原因菌として最も多いのは黄色ブドウ球菌です。ほかにも、大腸菌や緑膿菌、肺炎球菌などが原因となる場合があります。これらの細菌は、皮膚の傷口や尿路、肺炎、手術や注射の際の感染など、体内のさまざまな部位から血液の流れに乗って脊椎に到達するケースが一般的です。 また、以下のような方は感染リスクが高くなるため注意が必要です。 高齢者 糖尿病や腎不全などの基礎疾患がある方 長期間ステロイドや免疫抑制剤を使用している方 免疫力が低下している方 人工関節やカテーテルなどの医療機器を使用している方 これらの要因が重なると、体内で細菌が繁殖しやすくなり、脊椎への感染リスクが高まります。とくに原因不明の背中の痛みや微熱が続く場合は、初期の化膿性脊椎炎が疑われるでしょう。 化膿性脊椎炎における完治期間の目安 化膿性脊椎炎の完治までの期間は、一般的に約6週間が目安とされています。(文献1)ただし、感染の進行度や病型、治療開始のタイミングや基礎疾患の有無によって回復までの期間には個人差があります。 発症から早期に適切な治療を開始できた場合は、6〜8週間程度の静養で回復するケースも珍しくありません。一方で、感染が広がって骨や椎間板の破壊が進行している場合には、長期の入院や手術が必要になる場合もあります。 化膿性脊椎炎は、早期発見と迅速な治療が予後を左右する疾患です。腰背部痛や発熱が長引く場合は放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 化膿性脊椎炎の診断基準 化膿性脊椎炎は、問診と身体所見に加えて血液検査や画像検査、細菌学的検査を組み合わせて診断するケースが一般的です。(文献2) 血液検査 血液検査では、体内で感染や炎症が起きていないかを詳しく調べます。 化膿性脊椎炎が疑われる場合、CRP値(C反応性タンパク)が診断基準の一つになります。CRP値が上昇している場合は、体内で細菌感染や炎症が起きていると判断できるためです。 なお、血液データは化膿性脊椎炎の経過観察に活用し、治療効果の判定にも役立てられます。 細菌学的検査 細菌学的検査では、椎間板や椎体周囲の組織、あるいは血液から採取した検体を培養し、感染の原因となっている細菌を特定します。これにより、どの抗菌薬が最も効果的かを判断でき、治療の精度を高めることが可能です。 また、培養結果は感染の広がりや再発リスクの評価にも役立ちます。化膿性脊椎炎の治療では、細菌学的検査を基に抗生剤の種類や投与期間を決定し、より安全で効率的な回復を目指します。 画像診断 画像診断は、化膿性脊椎炎の早期発見と治療方針の決定に不可欠です。 とくに、MRI検査は椎間板や椎体の炎症、周囲組織への膿瘍形成の有無を詳細に把握でき、初期段階でも感染部位の変化を検出できる点が特徴です。一方、X線検査は骨の破壊や変形など進行した病変を確認するのに有効ですが、初期の炎症や微細な損傷は映りにくいため、早期診断にはMRIが推奨されます。 化膿性脊椎炎の診断後には、これらの検査結果を総合して治療計画が立てられます。 化膿性脊椎炎の治療法 化膿性脊椎炎の治療の目的は、主に感染の制御と脊椎の安定化です。以下で、化膿性脊椎炎の主な治療法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 抗生剤の投与 化膿性脊椎炎の基本治療は、抗生剤を使った保存療法です。(文献2)抗生剤の投与によって原因菌を早期に抑制できると病変の進行を防げます。 投与方法 治療初期には点滴で集中治療をおこなう 症状が落ち着いたら内服薬に切り替える場合もある 投与期間 通常6週間以上にわたって投与する 症状や感染の広がりによって投与期間を延長する場合もある 抗生剤の選択 血液検査や細菌培養の結果を参考に抗生剤を選択する 治療の経過に応じて抗生剤を変更する場合もある 化膿性脊椎炎の治療では、発症初期に適切な抗生剤を使用して症状の改善を図ると、骨や神経へのダメージを最小限に抑えられます。ただし、抗生剤の投与はアレルギー反応や消化器症状といった副作用のリスクもあるため、定期的に治療効果を確認しながら治療を進める必要があります。 コルセット療法 コルセット療法は、化膿性脊椎炎の治療において脊椎への負担や痛みを軽減するための補助的手段です。装具を使って背中や腰を固定すると、炎症部位の安静を保てるほか、日常動作や歩行時の痛みを和らげられます。 ただし、コルセットを長期間使用すると体幹の筋肉を十分に使わずに姿勢を支えることになるため、関節の柔軟性や筋力の低下を招くリスクがある点に注意が必要です。 そのため、医師や理学療法士の指導のもとで使用期間やコルセットの締め付け具合を調整し、必要に応じてリハビリテーションを組み合わせる必要があります。 リハビリテーション 化膿性脊椎炎の治療では、理学療法士や作業療法士が介入してリハビリテーションをおこないます。とくに、回復期のリハビリテーションは日常生活への復帰に向けて欠かせません。炎症が落ち着いたあとも、筋力の低下や関節の硬さが残る場合があり、放置すると動作制限や再発のリスクが高まるためです。 急性期はまず安静を保ち、主にベッド上で手足の関節を軽く動かす運動から始めます。その後、関節可動域訓練や段階的な歩行訓練を実施し、筋力やバランス機能を回復させます。また、日常生活での安全な動作や姿勢の指導も実施し、自宅復帰を目指す流れが一般的です。 継続的なリハビリテーションにより、再発リスクを抑えつつ、早期の日常生活への復帰が期待できます。 手術療法 化膿性脊椎炎によって麻痺症状が現れたり骨破壊が進行したりしている場合は、手術療法も検討されます。抗生剤の投与で改善が難しい症例においては、手術によって脊椎の安定化や感染の進行防止を図る必要があるためです。 化膿性脊椎炎における手術療法には、主に2つの方法があります。 手術方法 内容 脊椎固定術 病変部の脊椎を金属などで固定する 脊椎の安定化や変形防止などを目的におこなう 経皮的病巣掻爬洗浄術(けいひてきびょうそうそうはせんじょうじゅつ) 感染部位の膿や壊死組織を除去する 感染の進行防止や炎症の軽減などを目的におこなう なお、手術後も抗生剤の投与を継続することで、化膿性脊椎炎の再発防止と回復促進につながります。 化膿性脊椎炎の治療における再生医療の可能性 近年、化膿性脊椎炎の治療においても再生医療が注目されています。再生医療には、幹細胞を採取・培養して注射する幹細胞治療や、血液から血小板を分離して作製した多血小板血漿(PRP)を利用するPRP療法があります。 再生医療は、手術せずに化膿性脊椎炎を治したい方や従来の治療法で期待した効果が得られない方の選択肢になるでしょう。 ただし、保険適用外の治療も多いため、専門医との十分な相談が必要です。なお、当院の幹細胞治療では、米粒2〜3粒ほどの脂肪から治療に必要な量の細胞を培養でき、身体への負担が少なくて済みます。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。化膿性脊椎炎の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 化膿性脊椎炎は早めに受診して重症化を防ごう 化膿性脊椎炎は、細菌感染により脊椎や周囲組織に炎症が起こる疾患で、腰痛や発熱、手足のしびれなどの神経症状が現れます。 化膿性脊椎炎が疑われる場合は、早期に検査し、適切な治療を受けることが重症化の予防につながります。化膿性脊椎炎の治療は、抗生剤の投与をはじめ、コルセット療法やリハビリテーションなどの保存療法が基本です。ただし、重症化した場合には、必要に応じて手術療法や再生医療などを検討しなければなりません。 症状の改善と日常生活へのスムーズな復帰を目指すためにも、化膿性脊椎炎は早めに受診して重症化を防ぎましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。化膿性脊椎炎の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 化膿性脊椎炎に関するよくある質問 化膿性脊椎炎になると後遺症が出ますか? 化膿性脊椎炎では、手足のしびれや痛み、運動能力や筋力の低下、排尿障害などの後遺症が出る場合があります。(文献3)とくに、膿の形成によって神経が圧迫されている場合は症状が長引く傾向にあります。 化膿性脊椎炎の後遺症を防ぐためには、早期に適切な抗生剤治療やリハビリをおこない、日常生活への影響を最小限にすることがポイントです。 化膿性脊椎炎で寝たきりになることがありますか? 化膿性脊椎炎は、治療が遅れると激しい腰背部の痛みや発熱に加え、神経障害が進行して歩行が困難になり、長期間寝たきりになるリスクがあります。とくに、高齢者や基礎疾患がある方は重症化しやすいため注意が必要です。 しかし、早期に適切な抗生剤治療やリハビリテーションをおこなうことで、症状の改善や回復が期待できます。 参考文献 (文献1) 化膿性脊椎炎の診断におけるMRIの有用性:3例報告|日臨救急医会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/20/6/20_757/_pdf (文献2) 四肢麻痺を呈した頸部化膿性脊椎炎の1例|日救急医会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/18/9/18_9_671/_pdf (文献3) 化膿性脊椎炎と診断されて手術に至った30症例の検討|日本ペインクリニック学会誌 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/32/6/32_24-0044/_pdf/-char/ja
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側弯症(そくわんしょう)とは、背骨が左右に曲がり、ねじれが加わった状態を指します。 とくに、思春期の子どもに多く見られ、見た目に明らかな変化が出る一方で、痛みが少ないため見過ごされるケースも少なくありません。 進行して症状が重度になると、生活に支障が出る恐れもあり注意が必要です。 本記事では、側弯症の定義や種類、症状、診断方法、治療法、日常生活での注意点までを詳しく解説します。 正しい知識を身につけて、子どもの健やかな成長を支えてあげましょう。 なお、側弯症の進行に伴う神経症状や手術後の神経損傷に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。 側弯症とは 背骨が本来のまっすぐな状態から左右に曲がり、ねじれも加わって骨格が変形する状態が「側弯症」です。 とくに、成長期の子どもに多く見られ、放置すると曲がりが進行し、姿勢の悪化や将来の健康に影響を及ぼす可能性があるため注意しなければなりません。 学校検診の前屈検査で発見されることが多く、早期発見が治療の鍵です。 側弯症には、大きくわけて以下のような種類があります。 種類 特徴 特発性側弯症 原因不明。全体の約6~7割を占め、思春期の女子に多く見られる(文献1) 先天性側弯症 背骨の形成異常により、生まれつき曲がっている 神経・筋原性側弯症 脳性麻痺や筋ジストロフィーなどに伴って起こる 側弯症の種類によって対応が異なるため、専門医による正確な診断が必須です。 側弯症の原因 側弯症の原因はひとつではなく、いくつかのタイプに分類されます。 種類によって発症の背景が異なるため、適切な治療を行うには原因の特定が欠かせません。 構築性脊柱側弯症 特発性側弯症 ・原因が明らかではない側弯症 ・10〜15歳の女子に多く、成長期に急速に進行する場合がある 症候性側弯症 ・先天的な背骨の奇形や、筋ジストロフィー・脳性麻痺などの病気に伴って起こる ・基礎疾患への対応も必要 機能性側弯症(構築性ではない側弯症) ・背骨自体に異常はなく、姿勢や脚長差、痛みなど一時的な要因で背骨が曲がって見える ・原因が解消されると、自然に改善する 上記のように、側弯症が構造的な問題によるものか、一時的な状態かを区別し、原因に応じた対処が大切です。 側弯症の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。 側弯症の症状 側弯症は、進行しても痛みを感じにくい特性があります。 本人や家族が気づかないまま、見過ごされるケースも少なくありません。 ただし、見た目に明らかな変化が現れる場合もあり、以下のような代表的な外見上の変化を見逃さないように注意しましょう。 肩の高さが左右で異なる 肋骨や肩甲骨の片側が突出して見える ウエストラインが左右で不均等になっている 骨盤の高さが左右非対称になっている 上記のような変化は、学校の前屈検査や保護者によるセルフチェックで気づくケースが多く、早期発見のきっかけになります。 なお、側弯症が進行して背骨の湾曲で胸郭が変形すると、以下のような健康上の問題が起こる可能性があるため注意が必要です。 肺が圧迫され呼吸が浅くなる、息切れしやすくなる 心臓や肺の機能が低下する また、胃や腸が圧迫されて消化不良や便秘を引き起こすなど、まれに消化器系に重度な影響が生じるケースもあります。 大人の側弯症の症状 大人の側弯症は、思春期に発症して成長後もゆっくりと進行するケースと、大人になってから新たに発症するケースに分けられます。 大人になってから発症するケースは、加齢に伴う骨や椎間板の変性、姿勢の崩れなどが原因です。 背骨のゆがみにより体のバランスが崩れ、以下のような症状が現れる場合があります。 腰や背中の慢性的な痛み 長時間の立位や歩行での疲労感 身体の左右差による服のずれ 神経圧迫による足のしびれや筋力低下 大人の側弯症は、見た目の変化よりも日常生活への影響が現れやすい点が特徴です。 痛みや不調を感じた場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 側弯症の症状や治療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。 側弯症の診断 側弯症の診断では、まず問診と身体検査を行い、X線で背骨の湾曲の程度を確認するレントゲン検査で確定診断されます。 身体検査は、背中の左右差や隆起の有無を観察する「前屈検査(前屈テスト)」が基本です。 レントゲン検査では背骨の曲がりの程度を示す「コブ角」という角度を測定し、湾曲の程度を数値化することで、治療方針を決定します。 なお、全国の中学校では2016年度から「運動器検診」が導入されており、検診をきっかけに医療機関を受診する児童生徒が増加しています。(文献2) とくに、成長期の子どもは側弯症が進行しやすいため、学校検診の結果を軽視せず、整形外科で正確な評価を受けましょう。 側弯症の治療法 側弯症の治療は、発症年齢や側弯の進行度によって異なります。 主に「思春期特発性側弯症」と「変性側弯症」に分けて治療方針が立てられ、次の治療法があります。 装具治療:進行を抑える目的で使用され、成長期の子どもに有効 運動療法:筋肉のバランスを整えるリハビリやストレッチ 手術:重度の湾曲や症状が進行した場合に検討 以下で、それぞれ詳しく解説します。 思春期特発性側弯症の治療法 思春期特発性側弯症は、成長期に突然現れる原因不明とされる側弯症です。 多くは痛みがなく、学校検診がきっかけで発見されるケースが少なくありません。 治療方針は主に、背骨の曲がりの角度「コブ角」によって決まります。 軽度(おおむね20度未満):定期的な経過観察 中等度(おおむね20〜40度):装具による治療 重度(おおむね40度以上):進行防止のため、進行状況で個別に手術を検討(文献3) とくに、成長期の子どもは軽度な状態で早期に治療を開始することで、進行を抑えられる可能性が高くなります。 中程度の場合は、装具を使用しながら日常生活を過ごせます。 ただし、重度になると手術が検討されるため、やはり早期発見と治療が欠かせません。 変性側弯症の治療法 変性側弯症は、加齢による椎間板や関節の変形が原因で、背骨が徐々に曲がっていく病気です。 中高年に多く見られ、慢性的な腰痛や神経症状を伴うケースがあり、状態に応じて以下のような対処法が検討されます。 初期〜中等度:痛みの緩和を目的とした薬物療法や運動療法 重度または神経症状あり:神経の圧迫を除去する手術を検討 治療は、症状の程度や日常生活への影響をもとに個別に判断されます。 定期的な整形外科の受診とあわせて、筋力を維持するための運動が進行予防に役立ちます。 側弯症でやってはいけないこと|腰痛に注意 側弯症は、軽度であれば日常生活に大きな制限はありませんが、日常の行動が腰痛を発症させる場合があります。 とくに、中高年の変性側弯症では、以下のような行動を避けてください。 避けるべき行動 理由 長時間の同じ姿勢 座りっぱなしや前かがみの姿勢は、背骨に負担をかける 過度な運動や重い荷物の持ち運び 左右非対称な負荷が、背骨をさらにゆがませる可能性がある 柔軟性の低いマットレスや寝具 体にフィットしない寝具は、腰や背中に悪影響を与えることがある 上記のような行動を避けるのとあわせて、痛みが出ている場合は無理せず整形外科で適切な指導を受けましょう。 側弯症でやってはいけないことについては、以下の記事も参考にしてみてください。 まとめ|側弯症が気になるから早めに受診しよう 側弯症は、正しく理解して適切に対処すれば、日常生活に大きな支障をきたさずに過ごせます。 とくに思春期特発性側弯症は、成長期に進行を抑えることが重要です。 学校検診やセルフチェックを通じて早期に気づいたら、整形外科を受診してください。 もし側弯症と診断されても、過度に不安になる必要はありません。 今回の記事を参考にしていただき、正しい知識と行動で改善を目指しましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、側弯症の進行に伴う神経症状や手術後の神経損傷に対して再生医療による治療を行っています。 公式LINEでは、再生医療に関する情報や簡易オンライン診断をご利用いただけますので、 ぜひ登録してお試しください。 側弯症に関するよくある質問 側弯症に美人が多いという噂は本当ですか? 「側弯症の人は美人が多い」という説には、医学的な根拠は一切ありません。 思春期特発性側弯症は、やせ型の女子に多い傾向があるため、体型的な特徴からそのようなイメージが広まった可能性があります。 このような噂は一部の印象に過ぎず、科学的なデータに基づくものではない点を理解しておきましょう。 側弯症は老後に悪化することはありますか? 側弯症は、老後に悪化するケースがあります。 思春期に発症した側弯症が軽度でも、高齢期に入ると背骨や椎間板の変形により、少しずつ湾曲が進行する場合があるのです。 加齢による筋力の低下と、姿勢の悪さが主な要因となります。 定期的な整形外科でのチェックと適度な運動、正しい姿勢を保つ意識が大切です。 側弯症は寿命に影響しますか? 側弯症そのものが、直接寿命を縮めるという医学的根拠はありません。 しかし、進行して重度になると、肺や心臓の機能低下、慢性的な腰痛や姿勢の悪化による活動量の低下など、間接的に健康に影響を及ぼす可能性があります。 とくに、高齢期に入ってからの側弯症悪化は、転倒や骨折のリスクにもつながるため注意が必要です。 早期発見と適切な治療、日常生活での管理が健康寿命を延ばすことにつながります。 側弯症はスポーツ禁止ですか? 側弯症だからといって、スポーツが全面的に禁止されるわけではありません。 むしろ、適度な運動は筋力の維持や姿勢の安定に役立つとされています。 医師による個別の指示がある場合を除き、痛みがなければ問題ありません。 ただし、片手で行うスポーツや左右非対称な動きが多い競技(テニス、ゴルフ、野球の投球など)は、背骨に偏った負荷がかかる傾向があります。 運動を継続する際は整形外科医と相談しながら、体に無理のない範囲で行いましょう。 側弯症でクッションを活用できますか? 長時間の座位が続くと、背骨に負担がかかりやすくなります。 姿勢を安定させるための骨盤サポートクッションや低反発クッションを使用すると、腰や背中への負担を軽減できる場合があるので試してみましょう。 ただし、クッションは補助的なアイテムとして活用するものであり、根本的な治療には医師の診断と指導が欠かせません。 関東地方で側弯症の名医を教えてください。 側弯症に関する治療実績が豊富な医師は存在しますが、「名医」と断定することは難しいのが現状です。 信頼できる医療機関を探すには、日本側彎症学会の公式サイトが参考になります。(文献4) 専門医が所属する医療機関一覧が掲載されており、関東地方などの地域や病院名から検索が可能です。 参考文献 (文献1) 「側弯症」|日本整形外科学会 (文献2) 学校での運動器検診|運動器の健康・日本協会 (文献3) SRS|Surgery (文献4) 医療機関一覧|日本側彎症学会
2025.10.15 -
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「化膿性脊椎炎はどれくらいで完治する?」 化膿性脊椎炎と診断された方の中には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、化膿性脊椎炎の完治期間は早いケースで6週間が目安です。 しかし、細菌感染によって炎症を起こす化膿性脊椎炎では、背骨に感染が広がる可能性があるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。 治療が遅れると神経損傷などの後遺症リスクが高まるため、早期回復を目指しましょう。 化膿性脊椎炎を早く治したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、化膿性脊椎炎による炎症を抑制し、早期改善が期待できます。 化膿性脊椎炎の痛みやしびれを早く治したい 手術せずに化膿性脊椎炎を治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、手術や入院不要で治療を受けられるため、体への負担が少ない治療法として多くの方に選ばれている治療法です。 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは化膿性脊椎炎の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 化膿性脊椎炎の完治期間は最低6週間が目安 アメリカのガイドラインによると、化膿性脊椎炎の治療期間は6週間としています。(文献1)そのため、完治期間も最低6週間は必要です。 しかし実際には、化膿性脊椎炎の完治期間は病状により異なります。 2008年から2012年までに化膿性脊椎炎と診断され、抗菌薬投与した患者41例を参考にすると以下の通りです。なお、1週目までの感染症の程度を示すCRP値の改善率が中央値以上の方を「良好群」、中央値以下の方を「不良群」と定義しています。 病状 症例数 治療期間の平均 良好群 20例 約38日 不良群 21例 約70日 (文献2) 以上のように不良群は、明らかに治療期間が延長しています。 【関連記事】 【医師監修】化膿性脊椎炎とは|症状・原因・治療法から完治期間の目安までわかりやすく解説 化膿性脊椎炎の入院期間の目安 化膿性脊椎炎の入院期間について、2001年から2009年までの9年間における化膿性脊椎炎患者100例の調査内容を参考に、以下の表にまとめました。 症例数 入院期間の目安 27例 1カ月以内 33例 1〜2カ月 22例 2〜3カ月以内 9例 3カ月以上 (文献3) 発症から受診までの期間が短いほど入院期間は短い傾向であるため、完治するまでの時間も短くなると考えられます。 しかし、近年の治療では患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させる再生医療によって、化膿性脊椎炎の早期改善が期待できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 化膿性脊椎炎の痛みやしびれを早く治したい 手術や入院をせずに化膿性脊椎炎を治したい 再生医療は日帰りで治療を行えるため、手術や長期間の入院をせずに化膿性脊椎炎の改善を目指せます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼化膿性脊椎炎を早く治したい方は再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 化膿性脊椎炎の発症部位別の治療期間 化膿性脊椎炎の発症部位別の治療期間について、2007年から2018年の11年間における入院加療をした化膿性脊椎炎患者117例の調査内容を参考に、以下の表にまとめました。 発症部位 症例数 治療期間の目安 頚椎 17例 約53日 胸椎 28例 約66日 腰椎 76例 約63日 (文献4) 発症部位別の治療期間に明らかな差はありません。 化膿性脊椎炎の原因菌別の治療期間 化膿性脊椎炎の原因菌別の治療期間について、2007年から2018年の11年間における入院加療をした化膿性脊椎炎患者117例の調査内容を参考に、以下の表にまとめました。 原因菌の種類 治療期間の目安 MRSA 約151日 MSSA 約48日 連鎖球菌 約48日 大腸菌 約64日 不明群 約44日 (文献4) 原因菌別で見ると、MRSAが他の菌と比較して明らかに治療期間が延長しています。 化膿性脊椎炎の病型別の治療期間 化膿性脊椎炎の多くは抗菌薬の投与により70〜90%で症状の改善が期待できますが、それぞれ治療期間の目安は異なります。(文献5) ここからは、病型別の治療期間の目安を解説します。 急性発症型 急性型の治療期間の目安は約72日です。(文献4)急性型は、高熱や激しい頚部痛、背部痛、腰痛などで発症するタイプです。 急性型の化膿性脊椎炎は、以下のような痛みが突然現れます。 夜も眠れないほどの痛み 座れないほどの痛み 歩けないほどの痛み 以上のような症状が現れたら急性型を疑い整形外科を受診してください。急性型は、亜急性型と慢性型と比較すると発症する割合は少ない傾向にあります。 亜急性発症型 亜急性型の治療期間の目安は約42日です。(文献4)亜急性型は37度台の微熱や頚部痛、背部痛、腰痛などで発症するタイプです。痛みや発熱が軽度であるからといって、放置すると重症化する恐れがあります。 以下のような症状がある場合は医療機関を受診してください。 体勢を変えても腰痛などが治まらない 背中をたたくと背部痛などが増す 長期間にわたり腰痛がある また、亜急性発症型は脊椎カリエスと間違えやすい傾向です。脊椎カリエスとは結核菌が原因で、発症する部位や症状が異なります。脊椎カリエスの場合は、微熱や食欲不振、倦怠感などの症状が現れますが、腰痛などが起きることは少ないです。 慢性発症型 慢性発症型の治療期間の目安は約55日です。(文献4) 慢性型は、発熱は見られず軽微な腰背部痛のみで発症するなど、気づきにくい特徴があります。 とくに糖尿病などの免疫機能が下がる病気を持っている方で、長期間の腰や背中の痛みに悩まされている方は、慢性型を疑い一度医師に相談しましょう。 なお、慢性型は亜急性型と同様に脊椎カリエスと間違えやすい傾向にあります。 化膿性脊椎炎は、糖尿病や慢性腎疾患を持っている方、高齢者などの免疫機能が低下している方は、悪化のリスクが高いです。疑われる症状が現れたら速やかに医療機関を受診してください。 化膿性脊椎炎の治療方法 化膿性脊椎炎の治療方法には保存療法と手術療法があります。それぞれの詳細を解説します。 保存療法 化膿性脊椎炎の治療は、保存療法が原則です。保存療法において重要な点は以下の通りです。 保存療法 詳細 適切な期間の抗菌薬の投与 適切な診断と適切な期間の抗菌薬の投与が重要。抗菌薬の投与が4週間未満であると再発率が25%に上るとの報告があるため。(文献1) 安静の保持 安静の保持は骨破壊防止と感染の鎮静化につながる。骨破壊とは細菌感染により脊椎が破壊されること。骨破壊が進むと後遺症を残す恐れもある。 手術療法 手術療法には以下のようなものがあります。 手術療法 詳細 脊椎固定術 感染部位をスクリューとロッドで固定して、骨の安定性を高めて骨破壊を防ぐ。感染を抑える働きもある。 経皮的病巣掻爬洗浄術 (けいひてきびょうそうそうはせんじょうじゅつ) 感染部位に溜まっている膿や炎症している組織を掻き出して洗浄する治療。 以下の状態となっている場合は、手術療法が検討されます。 2〜3週間実施した保存療法に効果が見られない 麻痺症状が現れている 骨破壊が進んでいる 麻痺症状や骨破壊の進行であれば手術の適応判断が容易です。しかし、保存療法の効果が見られない場合の手術の適応判断は難しいと言われています。 化膿性脊椎炎を早く完治させたい方は再生医療も選択肢の一つ 化膿性脊椎炎をいち早く治したい方は、先端医療である再生医療による治療を検討してみましょう。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、化膿性脊椎炎の早期改善が期待できます。 また、患者さまの細胞や血液のみを使うことで拒絶反応やアレルギーリスクが少ない治療法です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 化膿性脊椎炎の痛みやしびれを早く治したい 手術せずに化膿性脊椎炎を治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は「化膿性脊椎炎を手術せずに治したい」「現在の治療で期待した効果が得られていない」という方の新たな選択肢となる可能性があります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼化膿性脊椎炎を早く治したい方は再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ|化膿性脊椎炎の完治期間は病状により変動する 化膿性脊椎炎の完治期間は、病状により治療期間は大きく変動し、早いケースで6週間が目安となります。 細菌感染によって炎症を起こす化膿性脊椎炎では、背骨に感染が広がる可能性があるため、適切な治療を継続することが重要です。 また、近年の治療では、化膿性脊椎炎を早く治せる可能性があるとして、再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、化膿性脊椎炎の早期改善を目指せます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 化膿性脊椎炎の痛みやしびれを早く治したい 手術せずに化膿性脊椎炎を治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 「化膿性脊椎炎を手術せずに治したい」「現在の治療で期待した効果が得られていない」という方の、新たな選択肢として再生医療を検討してみましょう。 具体的な治療法については、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼化膿性脊椎炎を早く治したい方は再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 参考文献 (文献1) 化膿性脊椎炎の診断におけるMRIの有用性:3例報告|日臨救急医会誌 (文献2) 化膿性脊椎炎における治療開始初期のCRP値改善率と保存的治療期間との関係について|日本脊椎脊髄病学会 (文献3) 当院における化膿性脊椎炎100例の検討|昭和医会誌 (文献4) 当院における化膿性脊椎炎の集学的治療 ―11年間11 例の検討―|日本脊椎脊髄病学会 (文献5) 保存治療に抵抗する急性型化膿性脊椎炎の予後予測|日本脊椎脊髄病学会
2025.07.31







