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「手や指先が、ずっと痛んだりしびれたりしている」 「整形外科を受診したところ、手根管症候群と診断された」 「何が原因で私は手根管症候群になったのだろう」 手根管症候群と診断された方の中には、このような疑問や悩みを持たれている方も少なくありません。手は日常生活で頻繁に使う部位であるため、不調が続くと生活に大きく支障をきたします。 手根管症候群の多くは原因不明です。しかし中には、女性ホルモンの乱れや手の使い過ぎにより発症する方もいます。 本記事では、手根管症候群を発症する原因および、悪化させる原因について解説します。 治療方法についてもよくある質問内で紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 手根管症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 手根管症候群発症の主な原因 手根管症候群は、手首から手の中にある正中神経と呼ばれる神経が圧迫されて、さまざまな症状が生じる疾患です。多くの場合、発症の原因は不明です。 手根管症候群の概要や症状については、以下の記事をご覧ください。 【関連記事】 手根管症候群とは|症状・原因・治療法からセルフチェックのやり方まで現役医師が解説 手根管症候群の症状とは?セルフチェックの仕方や治療方法を現役医師が解説 女性ホルモンの乱れ 手根管症候群の原因の1つとして、女性ホルモンの乱れがあげられます。この疾患は女性に多く、とくに妊娠・出産期や更年期など、女性ホルモンのバランスが乱れやすい時期での発症が多いためです。 女性ホルモンが乱れると、関節や腱の周りにある滑膜(かつまく)が増加します。滑膜が増えると、手首内の限られた空間である手根管内の圧力が高まり、圧迫に弱い正中神経(せいちゅうしんけい)が平たく押しつぶされます。その結果生じるのが、指のしびれや痛みといった症状です。 手の使い過ぎ 仕事やスポーツ、パソコンおよびスマホの長時間使用、家事などによる手の使い過ぎも、手根管症候群の原因です。 手を使いすぎると、腱を覆う腱鞘(けんしょう)がむくんだり、炎症を起こしたりします。腱鞘のむくみや炎症も正中神経の圧迫につながり、手根管症候群を引き起こすきっかけとなります。 基礎疾患の影響 腎臓疾患や糖尿病、甲状腺機能低下症といった基礎疾患も、手根管症候群発症に影響する要因の1つです。 腎臓疾患患者の中でも、人工透析を受けている方は、手根管症候群を引き起こしやすい状況です。人工透析により、アミロイドと呼ばれる変性タンパク質が沈着し、手根管が狭くなることで手根管症候群を引き起こしやすくなります。(文献1) 血液透析の合併症に関する論文では、透析歴10年以上の患者の場合、手根管症候群合併例が多いと記されていました。(文献2) 糖尿病の合併症である神経障害を有する方の場合、少しの圧迫でも正中神経にダメージが生じてしまい、手根管症候群を発症しやすいとされています。また甲状腺機能低下症患者では、約7%で手根管症候群の発症が報告されています。(文献1) 手根管症候群予防のためには、定期的な診察や血糖値・甲状腺ホルモン値の管理が重要です。 手根管症候群を悪化させる原因 手根管症候群を悪化させる原因としてあげられるのは、主に以下の3点です。 手を酷使する 症状を放置する 症状があっても対症療法で済ませてしまう 手根管症候群を発症した場合に、やってはいけないことも存在します。 以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 手を酷使する スマホ操作時の「フリック入力」や、手首を酷使する長時間のパソコン操作は手首に負担をかけるため、手根管が圧迫されやすくなります。 1週間に20時間以上パソコンのマウス操作は、手根管症候群を悪化させるとされています。(文献1) 手根管症候群悪化の要因としてあげられるその他の動作は、主に以下のとおりです。 頻回に手首を曲げたり伸ばしたりする タオルや雑巾をしぼる 瓶のふたを開ける 症状を放置する 指のしびれや痛みといった症状を放置すると、徐々に悪化する可能性があります。 症状が悪化すると、親指の付け根の筋肉がやせてきて、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。具体的には、箸を使う、字を書く、衣服のボタンをかけるといった動作が難しくなるといった状況です。 さらに進行すると、手の感覚が低下して、痛みや熱さに気づかなくなる可能性もあります。 症状があっても対症療法で済ませてしまう 痛みやしびれといった手根管症候群の症状があった場合、市販の痛み止めを飲んだり湿布を貼ったりする対症療法で済ませる方も少なくありません。 しかし、対症療法だけでは根本的な治療にはなりません。手根管症候群と思われる症状が現れた場合、必ず医療機関を受診し、自分の症状に合った治療を受けましょう。 手根管症候群の原因を知り発症や悪化を防ごう 手根管症候群は原因不明のことが多い疾患ですが、女性ホルモンの乱れや手の使い過ぎ、人工透析や糖尿病などの影響も原因として考えられます。 手の使いすぎは、症状悪化の原因でもあるため、手首に負担をかけない、基礎疾患の治療を続けるなどの予防行動が必要です。 症状を放置したり、自己判断による対症療法で済ませたりする行為は適切ではありません。手の痛みやしびれ、感覚低下といった症状が現れた場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 リペアセルクリニックでも手根管症候群に関する相談を受け付けています。原因や治療法について知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 メール相談やオンラインカウンセリングにも対応しております。 手根管症候群の原因に関するよくある質問 男性に多い手根管症候群の主な原因はなんですか? 男性の場合、主な原因として基礎疾患の影響があげられます。 日本整形外科学会の公式英文誌では、男性患者では、糖尿病や高血圧、人工透析の並存率が女性より有意に高いとのデータが示されました。(文献3) 男性では、手を多く使う力仕事や、手首骨折後、変形した状態での治癒も手根管症候群に関連するとされています。 手根管症候群が気になるときは何科を受診すると良いですか? 手根管症候群の主な受診先は整形外科です。 整形外科の中でも、手の外科専門医の診察を受けることが望ましいでしょう。手の外科専門医とは、手根管症候群をはじめとする、手や指、肘関節を専門に診断・治療する医師です。 一般社団法人日本手外科学会ホームページでは、手外科の専門医名簿がありますので、検索してみることをおすすめします。 手の外科専門医が近くにいない場合は、整形外科を受診して、症状や経過について相談しましょう。 手根管症候群の治療方法はどのようなものですか? 保存的治療として、消炎鎮痛剤やビタミンB12などの内服薬および湿布薬が処方されます。 また、手の負担軽減のため、仕事や家事を控えて安静にする、サポーターや装具で手首を固定するといった日常生活面の指導も治療の一環です。 保存療法での回復が難しい場合は、手術適応となります。主な手術方法は、内視鏡を用いた手根管開放術や、小切開による直視下手根管開放術などです。 治療法の選択は症状の程度や生活への影響を踏まえて、医師と相談しながら決めていきましょう。 参考文献 (文献1) 標準的神経治療:手根管症候群|日本神経治療学会 (文献2) 血液透析の長期合併症とその対策|国立医療学会誌「医療」 (文献3) Differences in characteristics of carpal tunnel syndrome between male and female patients|Journal of Orthopaedic Science
2025.08.31 -
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「手根管症候群はどのような症状が現れるのか」などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。 手根管症候群では、主に親指から中指にかけて痛みやしびれが出たり、夜中や明け方にひどくなったりする症状が現れます。症状が悪化すると親指の付け根の筋肉が痩せ、日常生活に支障をきたす可能性があるため早めの受診が大切です。 本記事では、手根管症候群の主な症状を解説します。また、自宅で簡単にできるセルフチェックの方法やよくある質問にも回答しているので、参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 手根管症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 手根管症候群の症状 手根管症候群では、主に親指から中指にかけてのしびれや痛み、細かい作業のしづらさなど、さまざまな症状が現れます。 ここでは、よく見られる症状の特徴を解説します。 原因も含めた包括的な内容に関しては、「手根管症候群とは|症状・原因・治療法からセルフチェックのやり方まで現役医師が解説」の記事をご覧ください。 指にしびれや痛みが出る 手根管症候群の主な症状の一つは、親指や人差し指、中指のしびれや痛みです。手首を通っている「手根管」と呼ばれるトンネルがなんらかの原因で狭くなり、中を通っている正中神経が圧迫されることによって起こります。 しびれや痛みは薬指や小指には出にくく、親指から中指にかけて集中するのが特徴です。スマートフォンの操作やパソコン作業、洗顔など日常的な動作のなかで「ビリビリする」「感覚が鈍い」といった違和感に気づく場合があります。 しびれや痛みの症状に気づいたときは、ほかのサインにも注意することが大切です。 夜中や明け方に症状がひどくなる 夜中や明け方に指の痛みやしびれがひどくなるのも、手根管症候群の症状の一つです。寝ている間は無意識に手首が曲がった状態になりやすく、その状態のまま長時間過ごすと、手根管内の神経が圧迫されやすくなります。 朝起きたときに指先がジンジンしていたり、夜中にしびれで目が覚めたりするケースもあります。手を振ると症状が和らぐと感じる人もいるでしょう。 このように、時間帯によって症状が変化するのも手根管症候群の特徴の一つです。 冷たい刺激に過敏になる 手根管症候群では、冷たいものに触れたときに、痛みやしびれを感じやすくなる場合もあります。手首の神経が圧迫され、手や指の感覚が過敏になってしまうためです。 たとえば、冷たい水で食器を洗っている際にピリピリした痛みを感じたり、冬場に手が冷えるとしびれが強まったりするケースがあります。 手根管症候群では冷たさに対する感覚にも変化が生じる場合があるため、気になる症状があれば、早めに医療機関に相談してみましょう。 親指の筋肉が痩せて細かい作業が困難になる 手根管症候群が進行すると、親指の付け根にある筋肉(母指球)が痩せ、細かい作業が難しくなる場合があります。筋肉の働きをコントロールする神経が長時間圧迫されると、うまく働かなくなり、信号が伝わりにくくなった部位が徐々に使われなくなるためです。 以下のような細かい動きがしづらくなる場合があります。 人差し指と親指でOKサインがしにくい ボタンを留めるのが難しい 小銭をつまみにくい スマートフォンの操作がしづらい 手根管症候群の症状が悪化する前に対処することが大切です。日常生活に支障が出る前に整形外科などを受診してください。 手根管症候群の症状に当てはまる?セルフチェック方法 ここでは、手根管症候群のセルフチェック方法を紹介します。症状に心当たりがあるかどうか、確認してみてください。 チェックリスト 手根管症候群では、主に以下のような症状が現れます。一つでも当てはまる場合は、放置せず早めに専門医へ相談しましょう。 親指から中指にかけて痛みやしびれがある 薬指の半分と小指には痛みやしびれが出ない 夜中や朝方に痛みやしびれが強く出る 手がこわばって動かしにくい OKサインがつくりにくい 握力が低下していると感じる キャップ付きの容器を開けにくくなった 冷たい水に触れると痛みを感じる 手や指が思うように動かず、細かい作業がしづらい 指先の感覚が鈍い、または過敏になっている 放置すると症状が進行し、回復に時間がかかる場合があります。気になる症状があれば、早めに整形外科などの医療機関へ相談してください。 ファレンテスト ファレンテストは、手根管症候群かどうかを自宅で簡単にチェックできる方法の一つです。 以下の手順で試してみてください。 両手の甲を合わせる そのまま1分間キープする 指のしびれや痛みが出るか確認する 手の甲をぴったりと合わせ手首を90度ほどに曲げます。力を抜いた状態で1分間キープして、痛みやしびれが出るかチェックしましょう。両手の甲を合わせているときに、親指から中指にかけてしびれや痛みが出る場合は、手根管症候群の可能性があります。 ファレンテストはあくまで簡易的な目安です。違和感があれば、自己判断せずに受診しましょう。 チネル徴候 チネル徴候は、手首を軽く叩いたときにしびれや痛みが出るかを確認する簡易テストです。以下の手順で行います。 手のひら側の手首を上に向ける 手首の中央あたりを指で軽くトントンと叩く 親指から中指にかけてしびれや痛みが出るかを確認する 手首の中央には、正中神経が通っている手根管が通っています。この部分を軽く叩いたときに電気が走るようなしびれを感じる場合は、手根管症候群の可能性があります。 チネル徴候は自宅で簡易的に行える方法です。しかし、ほかの神経障害でも似た反応が見られるため、自己判断はしないようにしましょう。手根管症候群は早期発見・早期治療が重要です。 手根管症候群の症状緩和・改善を促す治療方法 手根管症候群の症状を緩和・改善するには、保存療法や手術療法、再生医療などの方法があります。以下でそれぞれ解説するので、参考にしてください。 保存療法 手根管症候群では、まず保存療法から始めるのが一般的です。神経の圧迫によって起こる痛みやしびれを抑えるために薬物治療が行われます。 炎症を和らげる目的で、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)やビタミンB12製剤、湿布が処方される場合があります。また、手首に直接ステロイド注射をし、局所的に炎症を抑える方法は、手根管症候群の症状が強い患者に施される保存療法の一つです。(文献1) 症状が軽いうちに保存療法を始めると、手術を回避できる可能性が高まります。気になる症状があれば、早めの対処を心がけましょう。 手術療法 手根管症候群では、保存療法を行っても痛みやしびれが改善しない場合、手術による治療が検討されます。手術では、正中神経を圧迫している手根管を広げる処置(手根管開放術)を行い、痛みやしびれの原因を取り除きます。 最近では、手首の切開を最小限に抑えた内視鏡手術も選択肢の一つです。体への負担が少なく、回復も比較的早いとされています。 手術はすべての患者に必要ではないものの、保存療法で効果が出ないときや日常生活に支障が出る場合には有効な選択肢といえるでしょう。 再生医療 手根管症候群の症状が保存療法での改善が見られないとき、再生医療も選択肢の一つです。再生医療は、自身の血液や幹細胞などを活用して、神経や組織の修復・再生を促す治療法です。 当院の幹細胞治療では、患者の体から少量の脂肪を摂取するだけで、十分な数の幹細胞の培養ができます。そのため、体への負担が少なく、術後の回復が早いといわれています。 手術に抵抗がある場合や保存療法でも改善が見られない方にとって、再生医療は有効な選択肢です。再生医療による具体的な治療法や症例については以下のページをご覧ください。 なお、リペアセルクリニックではLINEやお電話での相談を行っています。手根管症候群の症状でお悩みの方は、気軽に相談してください。 手根管症候群の症状が現れたら早急に医療機関を受診しよう 手根管症候群では、親指から中指にかけてのしびれや痛みが現れ、夜中や明け方に強まる傾向があります。症状が進行すると、親指の付け根の筋肉(母指球)が痩せ、細かい作業がしづらくなり日常生活に支障をきたす可能性も少なくありません。 手根管症候群の症状が軽いうちであれば、飲み薬や湿布などの保存療法で緩和するケースもあります。少しでも手のしびれや痛みなどの違和感があったら、我慢せず整形外科などの専門医へ相談しましょう。 手根管症候群の症状に関するよくある質問 手根管症候群の初期症状はどのようなものですか? 手根管症候群の発症初期は、症状の範囲や痛みを感じるタイミングが限られているケースが多く見られます。たとえば、人差し指や中指だけがしびれる、明け方にだけ痛む、手を使いすぎたときのみに症状が出るといった傾向があります。 初期症状の段階ではほかの病気との判別が困難なため、少しでも気になる変化があれば、早めに医療機関で診察を受けてください。 手根管症候群の原因は何ですか? 手根管症候群は、特発性のものが多く原因不明とされています。妊娠・出産・更年期の女性に多く見られる傾向がある点が特徴です。 加齢やホルモンバランスの変化、関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能低下などの疾患が背景に存在するケースもあります。また、手を酷使する作業やスポーツなども、発症の一因になるといわれてます。 ただし、これらの要因がすべての人に当てはまるわけではありません。 どのような症状が出たら病院に行くべきですか? 親指・人差し指・中指のどれかにしびれが出た、夜間や早朝に痛む、指を使った細かい作業がしづらくなったなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。細かい作業がしづらくなる状態も症状が進行しているサインの可能性があります。 手根管症候群の症状を放置していると、筋肉が痩せて回復が困難になるケースもあります。「そのうち治るだろう」と自己判断せずに、医師の判断を仰ぐことが大切です。 参考文献 (文献1) 標準的神経治療・手根管症候群|日本神経治療学会
2025.08.31 -
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「手根管症候群と診断され、リハビリをしているが効果はあるの?」 「自宅でもできるリハビリ方法を知りたい」 手根管症候群に対してリハビリを受けていても、効果があるのか不安に思う方もいるでしょう。軽度〜中程度の手根管症候群では、継続的にリハビリを行うと症状の緩和が期待できます。 本記事では、自宅でも取り組めるリハビリ方法や手術後に行うリハビリの流れについて解説します。日常生活で避けるべき習慣についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEにてオンライン診断を実施しております。再生医療に関する情報提供もしておりますので、手根管症候群でお悩みの方はぜひご登録ください。 手根管症候群におけるリハビリ方法3選 手根管症候群は、手首にある「手根管(しゅこんかん)」と呼ばれるトンネル状の構造内を通っている正中神経という神経が圧迫されて発症する神経障害です。症状には、親指・人差し指・中指などのしびれや痛み、筋力低下などが現れます。 手根管症候群によって生じるしびれや痛みなどの改善には、薬物療法や装具療法に加え、ご自身で行うリハビリテーションが欠かせません。リハビリは圧迫された正中神経への負担を物理的に軽減し、手根管内部の組織の柔軟性を取り戻して、本来の手の機能を取り戻すのが目的です。 自宅で実践できる3つのリハビリ方法を具体的に紹介するので、参考にしてください。 手根管症候群の症状については、こちらの記事に詳しくまとめていますので、ぜひご覧ください。 手首のストレッチ 手根管症候群の症状軽減には、手首の柔軟性を高めるストレッチが重要です。ストレッチ方法は、以下のとおりです。 腕を肩の高さに上げる 親指を内側に入れて握り、小指側に手首を曲げる 手首と指を曲げてカタカナの「コ」の字にし、反対側の手で手前に引く 手首を反らせて壁に固定し、反対側の手で上から押す 2〜4の動作は10秒ほど保持し、反対側も同様に行います。急に強く引っ張ると逆効果になるため、呼吸を止めずにゆっくりと行うのがポイントです。 ストレッチは1日数回ほど無理のない範囲で行い、痛みを感じた際はすぐに中止しましょう。 腱のグライディングエクササイズ 腱のグライディングエクササイズは手指の動きをスムーズにするのが目的で、複数の指の形を切り替えながら腱の動きを変える方法です。具体的な方法は、以下を参考にしてください。 手首と指をまっすぐに伸ばす 指を反らせる 親指は伸ばしたまま、他の指を曲げて拳をつくる 親指以外の第1・2関節は伸ばし、第3関節を曲げる 親指以外の第3関節を伸ばし、第1・2関節を曲げる 腱のグライディングエクササイズは指を段階的に動かし、それぞれ10秒ほど保持するのを3セットほど行います。 動作の途中で違和感がある場合は無理に続けず、痛みが出ない範囲で行うのが重要です。繰り返し行うと腱の動きが滑らかになり、手のしびれや痛みの軽減につながるケースも多くみられます。 手の筋力トレーニング 手根管症候群の症状が長期化すると、親指の付け根にある母指球筋という筋肉が痩せてしまい、物をつまんだり、瓶の蓋を開けたりする力が弱くなります。手の筋力トレーニングは、弱ってしまった筋肉を鍛え、日常生活に不可欠な手の機能を取り戻すのが目的です。 手の筋力トレーニングとして、以下が挙げられます。 洗濯ばさみを指でつまむ 柔らかいゴム製のボールやスポンジを握る 手根管症候群では、手指の筋力低下が進行すると握力や日常動作に支障が出るため、早期からの筋力維持が欠かせません。無理に力を加えるのではなく、軽い負荷で回数を多くする方が神経への負担が少なくトレーニングできます。 症状が安定してきた段階から取り入れ、少しずつ手の機能を取り戻していきましょう。 手根管症候群の術後に行われるリハビリ 軽度〜中程度の手根管症候群では、装具療法や薬物療法・リハビリなどの保存療法が行われますが、改善しない場合は手術が行われるケースもあります。 神経の圧迫を取り除く手根管症候群の手術後は、症状の改善が期待されますが、すぐに手の機能が完全に回復するわけではありません。術後には適切なリハビリを行い、可動域の確保や筋力の回復、神経の滑走性改善などを目指すのが重要です。 術後の回復には段階があり、術後すぐに始めるべきリハビリと、ある程度回復したあとに取り組むべきリハビリのように時期によって内容は異なります。ここでは「術後早期」と「術後回復期」に分けて、それぞれのリハビリ内容について詳しく解説します。 術後早期 術後早期のリハビリでは、手術による腫れやむくみを最小限に抑え、手首の傷に過度な負担をかけずに指関節が硬くなるのを防ぐのが目的です。具体的なリハビリ内容は、以下のとおりです。 関節可動域訓練(前腕と手指中心) マッサージ 関節可動域訓練とは、関節の動きを維持したり改善したりするのを目的とした訓練を指します。手術を行ってまもない段階では、前腕と手指を中心に関節可動域訓練を行います。 指を「グー」「パー」に動かしたり、手のひらを内側と外側にひねったりする運動を行いますが、痛みや腫れが出ない程度にしてください。マッサージも前腕と手指中心に行うと、血液循環の向上や維持に効果的です。 術後早期の段階では、まだ手首自体を意図的に曲げ伸ばしする運動は行いません。あくまで指を優しく動かして血行を促し、本格的な回復に向けた土台を作るのが重要になります。 術後回復期 術後数週間が経過した回復期は傷口の安定や炎症の軽減が進み、より積極的なリハビリが可能です。具体的には、以下のリハビリを行います。 マッサージ 関節可動域訓練(手指と手首中心) マッサージは、ギプス固定期間に低下した皮膚の柔軟性や手首の動きを良くする目的で、前腕や手指・傷口の周囲を中心に行います。 術後回復期の関節可動域訓練は、手のひらを手前に倒したり反らしたりして、手首を屈曲・伸展させましょう。ほかにも、手首の動きやつまみ動作の訓練をするために、手指と手首の運動を重心的に行うケースが多いです。 また、日常生活での動作を少しずつ再開し、手にかかる負荷を確認しながら使い方を調整するのも重要です。症状の程度や回復速度には個人差があるため、医師や作業療法士と連携しながら適切なペースでリハビリを継続するのが回復への近道となります。 手根管症候群になったらやってはいけない事 手根管症候群の症状を改善へ導くには、リハビリと並行して日常生活の見直しが欠かせません。とくに、神経への圧迫を助長するような動作や生活習慣を続けると、せっかくの治療効果が十分に得られない場合もあります。 手根管症候群を発症した際は、避けるべき行動を把握しておくと、症状の悪化や再発を防ぐのに役立ちます。以下に挙げる3つの行動は、見過ごされがちですが、神経への負担を大きくしやすいため注意が必要です。 ただし、症状が続く方は無理せず早めに整形外科を受診しましょう。当院では、LINEでの相談も可能ですので、お気軽にご相談ください。 手根管症候群になったらやってはいけない事や対処法に関しては、以下の記事に詳しくまとめていますので、ご覧ください。 長時間パソコンやスマートフォンを操作する 長時間にわたるパソコンのキーボード入力やスマートフォンの操作は、手首を曲げた不自然な位置で指を動かし続けるため、手根管症候群の症状を進行させる代表的な原因です。とくに、手首を手のひら側に深く曲げた状態は、手根管の内圧を高めてしまい、神経の圧迫を強めます。 対策としては、以下の方法が挙げられます。 1時間に1度は作業を中断し、手首を優しく伸ばすストレッチをする パソコンの操作時はリストレストを置いて手首の角度を水平に保つ 自然な形で握れるマウスを選ぶ スマートフォンは両手で持ち、手首を曲げすぎないようにする 連続した作業時間を意識的に減らし、道具で手首の負担を軽減すると、症状緩和につながるでしょう。 家事で手を酷使する 洗濯や掃除・料理などの家事全般は、手首に強い負担をかける動作が多いため注意が必要です。とくに、以下の動作は手根管周囲の組織を強く緊張させ、神経の圧迫を助長しやすくなります。 タオルや雑巾を絞る フライパンを振る 重い買い物袋を持つ すべての家事を休むのは難しいですが、意識的に休憩を挟んだり、片手で重いものを持たずに両手で支えたりする工夫が大切です。ほかにも、以下の対処法も検討すると良いでしょう。 便利な調理器具を活用する 1度に行う作業量を減らす 手首の負担を軽減するサポーターやスプリントを使用する 日々の動作の中に潜む負担を見つけて軽減していく姿勢が、症状の改善につながります。手根管症候群の症状がある場合は、作業時間や方法を工夫するのが重要です。 痛みを我慢して使う・放置する 手根管症候群の初期段階では、軽いしびれや違和感を放置してしまう方が少なくありません。しかし、痛みやしびれを我慢して手を使い続けると、正中神経に持続的なダメージが加わり、症状が進行してしまう恐れがあります。 進行すると、感覚麻痺や筋力低下に至り、手術が必要になるケースもあります。症状を感じた際の対処方法は以下のとおりです。 痛みやしびれを感じたらすぐに作業を中止する 適切なリハビリや生活習慣の見直しを行う また、違和感を感じた時点で、早めに医師へ相談するのが重要です。リハビリの一環としてストレッチを指導されるケースもありますが、無理に行うと悪化する可能性があるため、注意しましょう。 手根管症候群と診断されたらリハビリを取り入れて症状の改善を目指そう 手根管症候群は、手のしびれや痛みを引き起こす疾患ですが、適切なリハビリを取り入れると症状の緩和や再発防止が期待できます。 手首のストレッチや腱のグライディングエクササイズ、筋力トレーニングなどは、自宅でも継続しやすい運動です。術後には段階的なリハビリが必要であり、無理のない範囲で進めるのが大切です。 治療だけでなく、日常生活においても手の酷使や誤った使い方は避けた方が良いでしょう。正しいケアと早期対応が重要ですが、自己判断せず症状が改善しない場合はぜひご相談ください。 また、手根管症候群に関して詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。 手根管症候群のリハビリに関するよくある質問 手根管症候群におけるリハビリを行う上で、よくある質問をまとめました。ここでは、リハビリ期間や手術後の開始時期などの質問について、解説します。 回復のペースには個人差があるため、あくまで一般的な目安として参考にしてください。 手根管症候群のリハビリ期間はどれくらいですか 手根管症候群のリハビリ期間は、軽症であれば数週間〜1カ月程度で症状が落ち着く場合がありますが、中等度以上では3カ月以上必要になるケースもみられます。 保存療法でも改善がみられないと、手術による治療を検討する症例も珍しくありません。 手根管症候群の手術後は、神経や筋肉の回復が緩やかに進むため、さらにリハビリ期間が長期にわたる場合もあります。 リハビリ期間は、症状の程度や発症からの経過、生活習慣によって個人差があります。自己判断でリハビリを途中でやめてしまうと再発や悪化のリスクが高まるため、医師やリハビリ担当者と相談しながら根気よく続けるのが大切です。 手根管症候群の術後はいつからリハビリを開始しますか? 手根管症候群の術後にリハビリを始める場合、開始時期は実施した手術方法によって、以下のように異なります。 手術方法 リハビリ開始時期 手根管開放術 術後1週間〜 母指対立再建術 術後1カ月〜 手根管開放術は手のひらを切開し、圧迫されている正中神経を解放するために行われる手術方法です。傷口の範囲が小さく、局所麻酔下で手術するため、術後は帰宅できます。 通常2〜4cmほどの範囲を切開しますが、内視鏡を使用するとさらに傷口は小さくなります。術後はギプスで固定しますが、傷口も小さいため1週間ほど固定し、回復していればリハビリが可能です。 母指対立再建術は手首や指の腱や筋肉を採取し、親指の付け根に移植する手術方法です。手術は全身麻酔下で行われるため1〜2週間ほどの入院が必要となり、術後は1カ月ほどの固定期間を経て、リハビリを開始します。 傷の回復に応じて、手首の動きや握力回復を目的としたリハビリも段階的に取り入れていきます。無理に進めると炎症や痛みを悪化させる可能性があるため、主治医の指示に従いリハビリを進められると、回復が期待できるでしょう。 術後の経過について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
2025.08.31 -
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指のしびれや痛みが見られ、手根管症候群を疑う方もいるでしょう。手根管症候群は神経障害の1つで、親指や人差し指、中指にしびれや痛みが生じる場合があります。症状が進行すると物が上手くつまめないなど日常生活に支障をきたすため、早めの治療が必要です。 本記事では、手根管症候群とはどのような疾患か、症状や原因などを解説します。治療法やセルフチェック方法も紹介するので、指のしびれや痛みの回復が見込めずお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 手根管症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 手根管症候群とは 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とは、指や手のひらにしびれや痛みが生じる疾患です。手指や手首の動きに関わる正中神経が、手根管と呼ばれる手首周辺に位置する狭い管の中で圧迫されることで症状を引き起こします。手根管症候群の好発年齢は50代以上で、女性に多い疾患です。 なお、類似症状として腱鞘炎がありますが、両者には次のような違いが見られます。 疾患名 特徴 手根管症候群 手根管が圧迫されることで起こる神経障害 腱鞘炎 腱鞘が炎症を起こして腱がスムーズに通過できなくなることで起こる炎症 手根管症候群と腱鞘炎には症状にも違いが見られるため、各疾患の特徴を理解しておきましょう。 【関連記事】 手足のしびれの原因となる病気の症状や予防法を解説!前兆も紹介 【医師監修】腱鞘炎とは|症状・原因・治療法から重症度のチェック方法まで解説 手根管症候群の症状 手根管症候群を発症すると、次のような症状が見られます。 親指や人差し指、中指にしびれや痛みが生じる 夜間や明け方に症状が強くなる 冷たい刺激に手の感覚が過敏になる 指がつまみづらいなど細かい作業がしにくくなる 手がむくんでいるような感じがする とくに代表的な症状は、人差し指や中指を中心としたしびれや痛みです。なかには、手のひら全体に痛みを伴うケースもあります。 また、症状が進行するとボタンが上手くかけられなくなったり財布から硬貨を掴みにくくなったりと、日常生活へ影響を及ぼします。症状が見られた場合は、悪化しないためにも早めに受診しましょう。 手根管症候群の原因 手根管症候群は、正中神経と呼ばれる神経の圧迫が原因です。しかし、原因不明で発症するケースも多く見られます。 手根管症候群の発症要因として以下が考えられます。(文献1) 女性ホルモンの乱れによる滑膜の増加 家事や仕事による手の酷使 基礎疾患の影響 女性の場合、妊娠や出産、閉経によって症状が見られるケースも少なくありません。育児や家事などで手を酷使している場合や、パソコン・スマートフォンの使い過ぎは手根管症候群を引き起こす可能性が考えられます。 また、関節リウマチや人工透析、甲状腺機能低下症も手根管症候群との関連性があるといわれています。 【関連記事】 【医師監修】手根管症候群の原因とは?悪化を招く習慣を含めて解説 関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 症状でみる手根管症候群のセルフチェック方法 手根管症候群は、セルフチェックも可能です。ここでは、手根管症候群のセルフチェック方法を4つ紹介します。 手根管圧迫テスト ティネル徴候 ファーレン徴候 つまようじテスト 症状の疑いがある方は参考の上、実践してみてください。 手根管圧迫テスト 手根管圧迫テストは、手根管部分を軽く圧迫する検査方法です。手根管は手首の中央部に位置し、骨と靭帯に囲まれたトンネル状の空間をいいます。 検査方法の順番は、以下の通りです。 手のひら側を上に向けた状態でテーブルに置く 検査者は手根管を指で軽く圧迫する 30秒ほど圧迫する 30秒ほど圧迫している間に、親指から薬指にかけてしびれや鈍痛などの症状が見られた場合は、手根管症候群の可能性が高いと考えられます。 ティネル徴候 ティネル徴候とは、指や診察用のハンマーを使用して手根管を刺激する検査方法です。検査は、次の手順で行います。 リラックスした状態で手のひら側を上に向けたままテーブルに置く 片方の手を使って手首の真ん中あたりを軽く叩く 軽く叩いた際、親指から薬指の指先にかけてしびれを感じたら手根管症候群の可能性が考えられます。ティネル徴候は、手根管症候群だけでなく、肘部管症候群や腓骨神経麻痺などの疑いもあるため、検査で電気が走るようなしびれを感じた際は、専門機関を受診しましょう。 ファーレン徴候 ファーレン徴候とは、手首を曲げて行う検査方法です。検査は、次の手順で行います。 立位もしくは座位で行う 胸の前で手の甲同士を合わせる 手の甲を押しつけながら両手首を曲げ、1分ほどキープする 1分ほど両手首を曲げている間に親指から薬指にかけて、しびれや痛みが出る、もしくは症状が悪化する場合は手根管症候群の可能性が考えられます。ファーレン徴候を実施する際は、手首を直角に曲げるのがポイントです。 つまようじテスト つまようじテストは、親指から薬指を刺すときにしびれや鈍痛があるか診断する方法です。検査は、次の手順で行います。 親指から薬指の先をつまようじで軽く刺す 小指の先をつまようじで軽く刺す 小指の先を刺すの感覚を比較する 親指から薬指の先と、小指の先を刺したときの感覚に違いがあれば、手根管症候群の可能性があります。 手根管症候群におけるやってはいけないこと 手根管症候群の可能性があるときにやってしまうと、症状を悪化させてしまう動作があります。悪化を招くリスクがあるため、手根管症候群の疑いがある場合は以下の動作を避けましょう。 ねじったりパソコンのキーボードを打ったりと手に負担のかかる動作を行う ストレッチやマッサージで手首を無理に伸ばす 自己判断で市販の鎮痛剤や抗炎症薬を使用する 症状を放置する 知識がない状態でストレッチやマッサージを行うと、かえって手首や指に負担がかかり、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。また、自然に治ると思って放置するのは避けてください。 手根管症候群が進行すると、日常生活に支障をきたすため、症状が続く場合は早めに診てもらいましょう。 手根管症候群の治療法 手根管症候群の治療法は、進行状況によって異なります。ここでは、主な治療法を3つ解説します。 薬物療法 サポーターなどの装具治療 手術療法 手根管症候群の治療法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 薬物療法 手根管症候群の治療法には、内服薬もしくは手首へステロイド剤の注射が行われます。内服薬には、ビタミンB12を使用するケースが一般的です。 ビタミンB12には、末梢神経の保護・再生効果が期待できるため、手根管症候群の治療に効果的です。また、ステロイド注射では炎症を抑え、痛みやしびれの緩和が期待できます。ステロイド注射の持続期間は人によって異なるため、定期的な注射が必要になる場合もあります。 サポーターなどの装具治療 一般的に、手根管症候群は手の使い過ぎが原因と考えられるため、安静にすることが大切です。作業量の調整も治療法の1つですが、仕事や家事で手を使わなければいけない場合は、サポーターなどの装具治療が行われます。 サポーターなどの装具を利用すると手首の負担を軽減できるため、症状の緩和が期待できます。手首を固定すると正中神経への圧迫軽減の効果が期待できるので、夜間や明け方のしびれや痛みを緩和したい場合に効果的です。 手術療法 手根管症候群は、薬物療法やサポーターなどの装具治療で安静にするのが主な治療法です。しかし、症状の回復が見られない場合は、手術を行います。 手根管症候群の術式は、手根管開放術と母指対立再建術の2つが一般的です。各術式には、以下の違いが見られます。 術式 概要 手根管開放術 手のひらを切開し神経圧迫のもとになっている靭帯を切って、圧迫を解放する手術 母指対立再建術 手首や指にある腱や筋肉を採取して、親指の付け根に移植する手術 症状の進行状況によって手術は異なり、回復期間にも違いがあります。 手根管症候群の手術後におけるリハビリ内容 手根管症候群の手術後は、早期と回復期でリハビリ内容が異なります。治療後すぐは、関節可動域訓練を実施します。関節可動域訓練では前腕と手首を動かし、筋肉の伸張性低下を防ぐのが目的です。 回復期には、手の動きや指のつまみ動作を重点的に行います。洗濯や料理、食事などで必要となる動作となるため、早い段階で日常生活に戻れるようリハビリを実施します。症状の早期回復には、術後のタイミングにあわせて適切なリハビリの実施が重要です。 手根管症候群を自分で治すことはできる?放置するリスク 手根管症候群は自分で治すことは難しいですが、適切なセルフケアにより症状緩和が期待できます。有効なセルフケア方法は、以下の通りです。 手関節屈曲筋や手関節伸展筋を伸ばすストレッチをおこなう 手のひらの筋肉や手根管を通る腱の動きを滑らかにするエクササイズをする 横手根靭帯のマッサージをする ストレッチ以外にも、安静に過ごしたりサポーターを使用したりするのもおすすめです。症状が軽減しないまま放置すると、感覚が鈍くなるなどのリスクが生じます。 また、ストレッチのやり方を間違えると症状を悪化させる可能性もあるため、手根管症候群の疑いがある場合は医療機関で適切な治療を行いましょう。 再生医療は手根管症候群の症状回復が見込めない場合の選択肢 手根管症候群の痛みやしびれを放置すると、日常生活に支障を及ぼします。損傷した指の神経治療には、再生医療も選択肢の1つです。 再生医療とは、患者自身の脂肪組織から幹細胞を分離・培養し、静脈内投与により組織修復や機能回復を目指す治療法です。幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を取るため、身体の負担を最小限に抑えられます。 また、入院が不要な点も再生医療の特徴です。当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けておりますので、手根管症候群の症状回復が見込めずお悩みの場合は、お気軽にお問い合わせください。 手根管症候群の症状回復には早期治療が重要 手根管症候群は症状が進行すると、物が上手く掴みにくくなるなど日常生活にも支障をきたす疾患です。症状が悪化し手術を行う場合、入院が必要になる場合もあります。 手根管症候群の症状回復には早期治療が重要なため、セルフチェックを実施し、疑いが見られた場合は専門機関への受診を検討しましょう。 万が一症状の回復が見込めない場合は、改善策として再生医療を検討するのもおすすめです。手根管症候群の症状や原因を理解し、早期対策を図りましょう。 手根管症候群に関するよくある質問 手根管症候群の手術後はすぐ日常生活に戻れますか? 手根管症候群の代表的な手術は、手根管開放術と母指対立再建術の2種類で、手術によって日常生活に戻れるタイミングが異なります。 手根管開放術はギブスが外れ、傷口の治癒や痛みの軽減が確認できれば日常生活に復帰可能です。母指対立再建術は手術後1カ月ほど手術部位を固定するため、日常動作ができるようになるまでには1カ月ほどかかります。 手根管症候群の手術を受ける場合の入院期間はどのくらいですか? 手根管症候群の手術は、症状によって入院期間が異なります。症状が軽い場合は、1泊もしくは日帰りが可能です。物を掴むのが難しいほど症状が悪化している場合は、1〜2週間ほど入院が必要な手術を行う場合があります。 手根管症候群は何科を受診すればいいですか? 手根管症候群は手のしびれや痛みを伴う疾患のため、整形外科を受診しましょう。近くに神経外科がない場合は、脳神経外科や形成外科で受診しても問題ありません。 ただし、整形外科は専門性がわかれているため、手外科専門医がいる整形外科で診てもらうのが適しています。 参考文献 文献1 標準的神経治療:手根管症候群|日本神経学会
2025.08.31 -
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「寝起きに手足がしびれ原因は?」 「しびれの原因が病気ではないか不安」 寝て起きただけなのに手足のしびれを感じたことがある方には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 寝起きの一時的な手足のしびれは、寝ている時の姿勢によるものがほとんどですが、まれに神経系疾患や脳血管疾患の前兆である可能性があります。 とくに脳血管疾患だった場合は、早期回復や重症化を防ぐために初期対応が重要なので、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれる原因としてあげられるのは、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますのであわせてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 二酸化炭素が過剰に吐き出されることで血中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに自分でおこなえる主な対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに、手足が動かない、ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があります。命に関わることもあるので、ためらわず救急車を呼びましょう。 糖尿病を治療している中で、徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 手足がしびれ解消のためには、セルフケアや治療が大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 手足のしびれでお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。 \無料相談はこちらから/ 0120-706-313 (受付時間:9:00〜18:00) 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。 脳血管疾患の可能性が高く、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 ▼まずは無料で電話相談 >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
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「手や足のしびれが続いて困っている」 「何か病気があるのだろうか?」 このようにお悩みの方も多くいらっしゃることでしょう。 手足のしびれを引き起こす病気はさまざまです。なかには原因がわからないものもあります。 本記事では、手足のしびれを引き起こす病気を中心に解説します。 しびれが続くときの受診先や、病気の予防法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 手足のしびれの原因となる病気 手足のしびれを引き起こす病気は、以下の5つです。 脳神経系の病気 脊髄(脊椎)神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 その他の病気 それぞれの病気について解説します。 脳神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脳神経系の病気としては、主に以下のようなものがあげられます。 脳梗塞 脳出血 一過性脳虚血発作 脳腫瘍 ここで紹介する症状がある場合は、すぐに救急車を呼んで脳神経外科を受診しましょう。 脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、酸素および栄養不足のため、脳細胞が死んでしまう病気です。 手足のしびれのほかに、手足が麻痺して動かない、ろれつが回らないといった症状が見られます。意識障害を起こすこともあります。 脳梗塞は命に関わる病気でもあるため、これらの症状が現れたら早急に医療機関を受診しましょう。 脳梗塞の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳出血 脳の血管が切れて出血した結果、脳細胞が障害を受ける病気です。 手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないなど、脳梗塞と同じような症状のほか、激しい頭痛や吐き気といった症状も見られます。 脳出血も命に関わる病気であるため、早急な受診が必要です。 脳出血の症状に関しては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 一過性脳虚血発作 一時的に脳の血流が悪くなり、酸素や栄養が不足する病気です。 手足のしびれや麻痺、感覚の低下といった症状が出ますが、通常は24時間以内に消失します。(文献1) 一過性脳虚血発作は、脳梗塞や脳出血の前触れともいわれています。症状が現れてすぐに消えた場合でも、放置せずに医療機関を受診しましょう。 脳腫瘍 その名のとおり脳に発生する腫瘍で、脳そのものにできる「原発性脳腫瘍」と、他の臓器から転移した「転移性脳腫瘍」にわかれます。 症状は、手足のしびれや麻痺、頭痛、吐き気などです。視野が狭くなったり、視力が低下したりといった眼科症状が見られる場合もあります。 脊髄(脊椎)神経系の病気 手足のしびれを引き起こす脊髄(脊椎)神経系の病気は、主に以下のとおりです。 変形性頚椎症 頚椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 後縦靱帯骨化症 変形性頚椎症 頚椎(首部分の背骨)内の椎間板の高さが減ったり、椎骨(背骨の一部)に骨のとげができたりするといった変化が生じる病気です。 首や肩が痛むほか、手の神経が圧迫されることにより、手のしびれも出てきます。 頚椎椎間板ヘルニア 頚椎をつないでいる椎間板が変形して飛び出し、脊髄や神経根が圧迫される病気です。 手や腕、首、肩にしびれや痛みが生じたり、足のもつれや歩行障害などが出たりします。首を動かすと痛みが強くなります。 以下の記事で、頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を解説していますので、あわせてご覧ください。 脊柱管狭窄症 腰椎(腰部分の背骨)の変形により神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される病気です。50代から80代の方に多いとされています。 手足のしびれ以外には、間欠性跛行や膀胱直腸障害などの症状が見られます。 間欠性跛行や膀胱直腸障害といった症状については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 後縦靱帯骨化症 頚椎の後ろにある、背骨を安定させる靱帯(後縦靱帯)が骨のように硬く変化して脊髄を圧迫するもので、厚生労働省が定める指定難病の1つです。(文献2) 症状としては、肩こりや手のしびれ、こわばり、痛みなどがあります。病気が進行すると、箸が使いにくい、字が書きにくいといった症状も出てきます。 末梢神経系の病気 手足のしびれを引き起こす末梢神経系の病気としてあげられるのは、手根管症候群や足根幹症候群などです。 手根管症候群 手根管と呼ばれる手首のトンネル部分で神経が圧迫されて、手指のしびれや痛みが発生する病気です。 中高年の女性に多く、進行すると親指の筋肉が痩せてしまい、ものを掴みにくくなります。 足根管症候群 足根管と呼ばれる内くるぶしのトンネル部分で、神経が圧迫されたり傷ついたりするために、足裏や足首にしびれや痛みが生じる病気です。 足の痛みはピリピリとした感じのもので、立ったり歩いたりしたときや、特定の靴を履いたときに生じます。足の冷えや感覚異常を伴う場合もあります。 内科系の病気 内科系の病気によっても、手足のしびれが生じます。代表的なものが、糖尿病性神経障害や閉塞性動脈硬化症です。 糖尿病性神経障害 糖尿病の合併症の1つが、神経障害です。 神経障害は、高血糖が続いたことで血流が悪くなり、手先や足先まで酸素や栄養を含んだ血液が届きにくくなるために起こります。 神経が障害された結果、手足のしびれが生じます。 閉塞性動脈硬化症 動脈硬化により血管が狭くなる、もしくは詰まるために血流が悪くなる病気です。手足の血管が狭くなったり詰まったりすると、しびれや冷たい感覚が生じます。 足の血管に閉塞性動脈硬化症が起こり、進行すると、間欠性跛行と呼ばれる歩行状態になります。 間欠性跛行とは、歩いているうちに足に痛みやしびれが生じて、休憩すると治まるものです。 その他の原因 ビタミン欠乏や更年期障害、うつ病、精神的ストレスなどが原因で手足のしびれが生じる場合もあります。 手足がしびれる病気の前兆をチェックする方法 手足のしびれはさまざまな病気の前兆として現れることがあります。 しびれの特徴からどのような疾患の可能性があるのかをチェックしましょう。 疾患名 しびれの特徴 脳血管疾患 (脳梗塞や脳出血) 片方の手足だけがしびれる 手足が麻痺する、ろれつが回らない、意識障害がある 変形性頚椎症 全体的に手がしびれる 首の後ろを動かすと手のしびれが悪化する 頚椎椎間板ヘルニア 手足のしびれに痛みを伴うことがある 手根管症候群 手の親指や人差し指、中指がしびれる 手首を酷使したあとにしびれが生じる 手足のしびれと病気の前兆について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 手足がしびれるときに受診する病院 手足のしびれが起きる原因はさまざまです。しびれのために病院を受診する際は、しびれ以外の症状や、現在かかっている病気などから受診する科を決めましょう。 ここでは、3つの科について解説します。 脳神経外科 手足のしびれ以外に、片側の手足が動かない、ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの症状がある場合は、脳梗塞や脳出血の可能性があります。 この場合の受診先は脳神経外科です。脳梗塞や脳出血の場合は、一刻も早い治療が必要なため、救急車を呼んで早急に受診しましょう。 整形外科 手足のしびれ以外に、腰や手足の痛み、間欠性跛行などの症状がある場合は、整形外科を受診しましょう。 受診時には、医師が状況を把握しやすいように、症状がある部位や出現時期などを伝えると良いでしょう。 内科 糖尿病や高血圧、高脂血症といった内科疾患があり、しびれ以外に症状がない場合は、内科(かかりつけ医)を受診しましょう。 とくに糖尿病治療中で手足のしびれが生じている場合は、神経障害を起こしている可能性が高いため、早めの受診が必要です。 手足がしびれる病気の予防法 手足がしびれる病気の種類はさまざまです。ここでは、3種類の病気について予防法を解説します。 脳神経系の病気 末梢神経系の病気 内科系の病気 脳神経系の病気の予防法 脳梗塞や脳出血、いわゆる脳卒中の予防で大切なことは、高血圧の予防・改善です。高血圧の予防・改善には、日常的な減塩を心がけることが効果的です。 また、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病のほか、喫煙、過度な飲酒なども脳血管を痛めます。生活習慣病予防のためにも、バランスの良い食事や適度な運動を心がけましょう。 脳卒中は再発予防も大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症治療・再発予防として再生医療(幹細胞治療)を行っております。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 末梢神経系の病気の予防法 ここでは手根管症候群の予防について解説します。 手根管症候群の予防や悪化防止のために大切なのは、手を酷使しないことです。とくに、手首を曲げる動作は、神経の通り道である手根管を狭くしてしまいます。 パソコン作業が多い方や、工具(ドライバー)を仕事でひんぱんに使う方は、手首を休める時間を意識して取りましょう。 糖尿病や甲状腺機能低下症の方は、手根管症候群を発症しやすいといわれています。定期的に検査を受けて、病状を確認しましょう。その上で、手首のしびれが見られた場合は、放置せずに整形外科を受診してください。 内科系の病気の予防法 内科系の病気の中でも、糖尿病は生活習慣の改善で予防できます。 糖尿病予防の主なポイントは次の通りです。 栄養バランスの良い食事や腹八分目を心がける ウォーキングやサイクリングといった適度な運動を続ける 適正体重を保つ 毎年健康診断を受ける 喫煙者は禁煙を検討する アルコールは適量を守る 糖尿病患者の方は、病気を放置せずに治療を継続しましょう。 再生医療は、糖尿病治療における新たな選択肢です。 糖尿病治療としての再生医療については、以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 まとめ|手足のしびれの病気が疑われる際は早めに病院へ 手足のしびれを引き起こす病気は数多くありますが、原因がわからないものも少なくありません。 脳血管疾患のように命に関わる病気が原因のこともあるため、手足のしびれが続くときは放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、しびれの原因となる脳卒中やヘルニア、糖尿病などに対して再生医療を行っています。手足のしびれでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 手足のしびれの病気に関するよくある質問 皮膚の表面がピリピリする原因は? 主な原因は、痛みを伝える神経が損傷されるために起こる神経障害性疼痛や、帯状疱疹などです。 神経障害性疼痛の場合は、痛み止めやブロック注射などの治療があります。帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の内服、もしくは点滴がメインの治療法です。 手足のしびれの治し方は? 原因になっている病気がある場合は、その病気を治療します。同時に、しびれをおさえる治療も行います。 しびれの主な治療法としては、消炎鎮痛剤やビタミン剤の内服があげられますが、病気によっては手術が必要です。 しびれが続くときは、医療機関で適切な治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い」国立研究開発法人 国立循環器病研究センターホームページ, 2024年9月27日 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cvmedicine/tia-torikumi/ (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2)難病情報センター「後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)」難病情報センターホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/98 (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.30 -
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「最近、手がしびれる…」そう感じたことはありませんか? 手のしびれでよく思いつくのは、首のヘルニア、脳梗塞や脳出血などでしょう。 しかし、他にも、『これ知っておけばよかった』という病気もあります。 今回は、手のしびれを引き起こす5つの主な原因と、そのメカニズムを分かりやすく解説します。 最近は、スマホやパソコンを長時間使う環境が増えてきましたよね。あと重たいものをよく持つ方も、注意が必要です。 さらに、ご自身でもある程度、セルフチェックできるような項目も紹介します。 手のしびれの原因5選とメカニズム 「最近、手がしびれるなぁ…」と感じて、不安を抱えていませんか?手のしびれは、人生で一度は経験することがあるぐらい、よく見られる症状です。 軽いしびれだからと言って、放っておくと後々治療しにくくなることもあります。 神経の障害というものは一度傷ついてしまうと、一生後遺症として残ることもよく見られます。 今回は、手のしびれの原因で、私が診察でよく経験してきた、5つの病気について、詳しく説明したいと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。 頚椎症・椎間板ヘルニア まず、首の骨(頚椎)に原因がある場合があります。 頚椎症:頚椎症は例えるなら、長年使い続けた家の柱や梁が歪んだり、ひびが入ったりするようなものです。 加齢とともに、首の骨も変形したり、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のとげができたりします。 その結果、首の骨の近くを通る神経が圧迫され、手のしびれを引き起こします。特に、長時間のパソコン作業などで猫背姿勢になっている方は要注意です。 椎間板ヘルニア:椎間板ヘルニアは、背骨の間にあるクッション材(椎間板)が、まるでパンパンに膨らんだ風船のように飛び出し、神経を圧迫する病気です。 若い方でも、急に重いものを持ち上げた時などに発症することがあります。 ぎっくり腰のように、激しい痛みやしびれに突然襲われることもあります。 頸椎のヘルニアだと、手と足がしびれる可能性があり、腰椎ヘルニアだと、手のしびれは出ませんが足はしびれることはあります。 胸郭出口症候群 次に、胸郭出口症候群について説明します。 胸郭出口症候群は、首から腕、指先へと伸びる神経や血管の通り道である「胸郭出口」が狭くなり、神経や血管が圧迫されて手のしびれや痛み、だるさなどを引き起こします。 胸郭出口は、鎖骨と肋骨の間の狭い通路のような場所です。なで肩の方や、重い荷物を持つことが多い方は、この通路がさらに狭くなりやすい傾向があります。 神経や血管の通り道が、圧迫されて狭くなることで、しびれや冷感などの症状がでてきます。 整形外科の外来では、この胸郭出口症候群の症例は少ないので、医師からしても、なかなか診断に至るまで、時間がかかることがよくあります。 そして、診断されたら、私はまずリハビリと筋トレをしっかりやっていただいてます。経験上、リハビリと筋トレすることで、多くの方は治っています。 手根管症候群 手首にも、手のしびれを引き起こす原因が潜んでいます。 手根管症候群は、手首の手根管と呼ばれるトンネルの中で、正中神経という神経が圧迫されることで起こります。 この神経は、親指、人差し指、中指、そして薬指の半分に感覚を伝える役割を担っています。 手根管症候群になると、これらの指にしびれや痛み、時には腫れぼったい感じも現れます。特に、妊娠中や更年期を迎えた女性に多く見られます。 これは、ホルモンバランスの変化によって手根管が腫れやすくなるためと考えられています。また、手をよく使う仕事や趣味を持つ方にも発症しやすいです。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 末梢神経障害 末梢神経は、脳や脊髄から体の各部につながる神経のネットワークです。 末梢神経障害は、このネットワークが障害されることで、手足のしびれや痛み、感覚の異常などが現れます。 糖尿病やビタミン不足などが原因となることが多く、両手両足にしびれが現れることが多いです。 私の経験では、糖尿病を持っている方は、頚椎や腰椎のヘルニアによるしびれがでやすい方が多かったです。 やはり、糖尿病では神経が障害を受ける分、しびれやすくなるのでしょう。 脳卒中 最後に、最も注意が必要な原因として脳卒中があります。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の機能が障害される病気です。 手のしびれだけでなく、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害など、重篤な症状が現れます。 手のしびれが片側だけに現れる場合や、他の神経症状を伴う場合は、脳卒中の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診する必要があります。 脳出血を起こしても、小さかったり、初期の時は、ほとんど症状が現れない場合が多く、少し進行して、歩くときに膝折れがする、しびれが出てきたなどを感じて、病院に行く方もよくおられました。 その時点で、CTやMRIをとらなければ、見過ごされることも考えられますので、疑いがあれば、CTやMRIを、医師に相談して撮影してもらいましょう。 手のしびれは、様々な原因で起こります。原因によって治療法も異なりますので、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。 手のしびれの前兆とセルフチェック 「最近、手がしびれる…」と感じたら、放っておかずに、まずはセルフチェックしてみましょう。 手のしびれは、誰しも一度は経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインである可能性も潜んでいます。 早期発見・早期治療のためにも、ご自身のしびれをよく観察し、セルフチェック項目を確認することで、適切な医療機関の受診につなげることができます。 しびれの場所・範囲・時間帯 しびれの場所 手のしびれを感じた時、まず確認すべきことは「どこがしびれているか」です。 親指、人差し指、中指にしびれがある場合は、手根管症候群の可能性が考えられます。これは、手首にある神経の通り道が狭くなることで、神経が圧迫されて起こる病気です。 Point! 薬指の内側と外側を、指でなぞってみてください。もし中指側だけが痺れているなら、高い確率で手根管症候群と思われます。 そして、両手の母指球筋を比べてみて、平らになって、筋肉が痩せていると注意です。これがみられたら、進行した手根管症候群となります。 経験上、痺れが弱くても、母指球筋が小さくなっていたら、手術をして、これ以上悪くならないようにした方がいいでしょう。 進行すると、服のボタンが付けにくくなったり、お箸が持ちにくくなります。そうなると、手術しても、後遺症として戻らなくなる確率が高くなるのです。 一方、小指や薬指にしびれがある場合は、肘部管症候群の可能性も考えられます。これは、肘の神経の通り道が狭くなることで起こるしびれです。 よく、椅子などに肘の内側をぶつけると、指まで痺れることがありますよね。それは、肘部管症候群の原因である尺骨神経によるものです。 また、手の甲側がしびれる場合は、橈骨神経麻痺の可能性も考えられます。橈骨神経麻痺は、腕の外側から手の甲にかけて走る神経が圧迫されることで起こります。 例えば、腕枕をして寝てしまった後に、手がしびれている経験はありませんか? これは、橈骨神経が圧迫されたことによる一時的な麻痺によるものと考えられます。ひどい場合は、手のひらがだらんと垂れて、動かなくなることもよくみられます。 『朝起きたら、いきなり手が動かない』と心配されますが、2〜3ヶ月ほどリハビリなどをして様子を見れば、ほとんどの方は治ります。 急に手が動かなくなると、脳の病気かな?とかなり驚きますよね。。。 しびれの範囲 しびれの範囲も重要なポイントです。 もし、しびれが手全体に広がっている場合は、頸椎症や胸郭出口症候群などの、首や肩の神経が圧迫される病気が原因かもしれません。 手根管症候群では、手首より先の方しかしびれは出ません。 さらに、片方の手だけがしびれる場合は、脳卒中の可能性も考えられます。 脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、手足の麻痺や言語障害など、命に関わる危険な症状を引き起こす可能性があります。 もちろん、頚椎症でも、片方だけのしびれもよくみられます。 しびれの時間帯 しびれが続く時間にも注目しましょう。 一日中しびれが続いているのか、特定の時間帯だけなのか、あるいは一時的なものなのか。こうした時間的な変化も、診断の重要な手がかりとなります。 例えば、夜間や早朝にしびれが強くなる場合は、手根管症候群の可能性が高くなります。 動作との関連性(特定の姿勢、動作で悪化など) 次に、手のしびれと、特定の姿勢や動作との関連性をチェックしてみましょう。 例えば、パソコン作業やスマートフォン操作など、手首を酷使する作業の後でしびれが悪化する場合は、手根管症候群の可能性があります。 また、首を後ろに反らすと手のしびれが悪化する場合は、頸椎症の可能性が高まります。 逆に、腕を頭の上に上げることでしびれが軽減する場合は、胸郭出口症候群の可能性も考えられます。 日常生活の中で、どのような姿勢や動作がしびれを悪化させるのか、または軽減させるのかを把握することは、原因を特定する上で非常に重要です。 随伴症状(痛み、感覚異常、脱力など) 手のしびれとともに、他の症状が現れることもあります。これらの随伴症状も、原因特定の重要な手がかりとなります。 例えば、しびれとともに、鋭い痛みを感じる場合は、神経腫瘍の可能性も考えられます。 神経腫瘍とは、神経に発生する腫瘍のことで、良性のものから悪性のものまで様々な種類があります。 稀なケースでは、指の神経に叢状(そうじょう)シュワン腫という良性腫瘍が発生し、鋭い痛みやしびれを伴うことがあります。 また、しびれとともに脱力感や、感覚が鈍くなるなどの症状が現れる場合は、神経の損傷がより深刻な状態である可能性があります。 その他、手のむくみや冷感なども、しびれの原因疾患によっては伴うことがあります。 過去の病歴 過去の病歴も、手のしびれの原因を特定する上で重要な情報です。 糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、末梢神経障害という合併症を引き起こし、手のしびれにつながる可能性があります。 また、過去に神経系の疾患を患ったことがある場合も、再発や新たな病気が隠れている可能性も考慮に入れる必要があります。 健康診断の結果や過去の治療歴なども含め、できるだけ詳細な情報を医師に伝えましょう。 ▼高血圧の症状はありませんか?併せてお読みください。 危険信号(麻痺の進行、意識障害など) 手のしびれとともに、麻痺の進行や意識障害、ろれつが回らない、激しい頭痛などの症状が現れた場合は、一刻を争う事態です。 これらは脳卒中のサインである可能性が非常に高く、緊急の医療処置が必要となります。 また、片側の手足だけがしびれる、顔の半分がしびれる、言葉が出てこない、呂が回らないといった場合も、脳卒中の前兆である可能性があります。 これらの症状が現れた場合は、直ちに救急車を呼ぶか、近くの医療機関に連絡してください。 手のしびれの治療法と予防ケア 「手のしびれ」と聞くと、つい軽く考えてしまいがちですが、実は様々な原因が潜んでおり、中には放置すると深刻な事態を招く病気も存在します。 早期発見・早期治療が何よりも重要です。適切な治療とケアによって、しびれを軽減し、快適な日常生活を取り戻せる可能性は十分にあります。 ここでは、手のしびれの主な治療法と、日常生活での予防ケアについてご説明します。 薬物療法 手のしびれの原因や症状に合わせて、様々な薬が用いられます。 例えば、神経の炎症や痛みを抑える薬、血行を改善する薬、神経の働きを助けるビタミン剤などがあります。 神経の炎症が強い場合は、ステロイド薬を使う場合もあります。これは、強力な消炎効果を持つ薬ですが、副作用にも注意が必要です。 また、糖尿病性の神経障害には、血糖コントロールを改善する薬も重要です。 しびれに効く薬は、最近色々と出てきてはいますが、しびれは薬でなかなか治りにくい部類となります。 どの薬を使うかは、医師があなたの症状や体質を考慮して慎重に判断しますので、自己判断で薬を飲んだり、やめたりすることは絶対に避けてください。 理学療法・作業療法 薬物療法だけでなく、理学療法や作業療法も重要な役割を担います。 理学療法:理学療法では、ストレッチやマッサージ、温熱療法などによって、硬くなった筋肉や関節を柔らかくし、血行を促進することで、しびれを和らげます。 胸郭出口症候群では、両腕の重みを支える筋肉をしっかり鍛えることが大切です。 作業療法:作業療法では、日常生活動作の練習や、自助具(日常生活を補助する道具)の使用指導などを通して、しびれがあっても支障なく生活できるようサポートします。 例えば、手根管症候群の患者さんには、手首のストレッチや、手首を安静に保つための装具の使用指導が行われます。 装具療法 手首や指を固定するサポーターや、頸椎を支えるコルセットなどの装具は、患部を安静に保ち、神経への負担を軽くしてくれます。 特に、手根管症候群や腱鞘炎など、手首の使い過ぎが原因で起こるしびれには効果的です。 装具の種類や使用方法も様々ですので、医師や理学療法士の指導のもと、自分に合った装具を選び、正しく使用することが大切です。 例えば、就寝時に手首を固定する装具を装着することで、夜間のしびれを軽減できる場合があります。 手術療法 多くの場合、薬物療法、理学療法、装具療法などの保存療法で症状が改善します。 しかし、神経の圧迫が非常に強い場合や、保存療法で効果が見られない場合には、手術が必要となることもあります。 例えば、手根管症候群では、母指球筋が痩せてきたり、服のボタンが付けにくくなる巧緻障害などが出た場合は、速やかに、神経を圧迫している靭帯を切開して神経を解放する手術が必要です。 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアが原因の場合は、首の骨の手術が必要になることもあります。 我々の手術の基準として、筋力低下、尿が出にくいなどの膀胱直腸障害となります。しびれに関しては、我慢ができないぐらいなら、手術を選択することもあります。 手術療法は最終手段であり、患者さんの状態に合わせて慎重に判断されます。 日常生活での注意点と予防法 日常生活での心がけも、手のしびれの予防や改善に大きく貢献します。 長時間同じ姿勢を続けることや、手首や指に負担がかかる作業を繰り返すことは避けましょう。 パソコン作業やスマートフォンの操作をする際は、こまめに休憩を取り、ストレッチをすることを心がけてください。 また、デスクワークをする際は、正しい姿勢を保ち、椅子や机の高さを調整することも重要です。 正しい姿勢を保つことで、首や肩への負担を軽減し、胸郭出口症候群などの予防にもつながります。 栄養バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠も、健康な神経を維持するために不可欠です。 そして、もし手のしびれを感じたら、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 MacGillis KJ, Mejia A, Siemionow MZ. "Hand compression neuropathy: An assessment guide." The Journal of family practice 65, no. 7 (2016): 462-71. Saeki Y, Hattori Y, Mane SA, Doi K. "Plexiform Schwannoma of Digital Nerve." The journal of hand surgery Asian-Pacific volume 28, no. 5 (2023): 609-613. Thapa L, Amatya R, Maharjan S, Gaurishankar N, Shrestha AM, Bhattarai S, Singh SN, Gongal DN, Devkota UP. "Cheiro-Oral Syndrome." Kathmandu University medical journal (KUMJ) 16, no. 62 (2018): 196-198. Slouma M, Zarrouk Z, Maatoug F, Dhahri R, Amorri W, Gharsallah I, Metoui L, Louzir B. "Fibrolipoma of the Median Nerve: An Overview." Current rheumatology reviews 18, no. 4 (2022): 298-304.
2025.02.15 -
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「手根管症候群の痛みやしびれを自分で治す方法はある?」 結論、自分で完治させる方法はないため、セルフケアでは症状緩和を目的とした「手関節のストレッチ」や「サポーターの使用」を行いましょう。 医療機関の治療では症状に応じて、手術で神経の圧迫を取り除く治療が検討されるケースも。 しかし「手術をしたくないからセルフケアだけ」という方も少なくありません。 今までは手術によって痛みやしびれを取る治療が一般的でしたが、近年では手術せずに神経損傷を改善できる可能性がある再生医療が注目されています。 当院(リペアセルクリニック)の公式LINEをご登録いただいた方限定で「再生医療の基礎がわかるガイドブック」を無料で配布しています。 物を掴んだり細かい作業ができなくなり日常生活に影響を及ぼす前に、再生医療がどのような治療か知っておきましょう。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ 手根管症候群を自分で治す方法を紹介 手根管症候群を治したい場合、自分で気できる方法として手指と手首のストレッチやマッサージがあります。この章では、ストレッチやマッサージの具体的なやり方についてご紹介します。 手関節のストレッチ 手根管症候群の原因である手関節にはさまざまな筋肉がたくさんついています。 また、曲げる方向によって働く筋肉がそれぞれ違います。この章では手関節のストレッチの方法と、筋肉について詳しく説明していきます。 手関節屈曲筋のストレッチ 手関節屈曲筋は手首を手のひら側に曲げる筋肉の総称です。手首を反らす方向に曲げると、手関節屈曲筋を伸ばすことができます。対象となる筋肉と、ストレッチの具体的な方法については以下の通りです。 【対象となる筋肉】 橈側手根屈筋 尺側手根屈筋 浅指手根屈筋 深指手根屈筋 ①手のひらから手指にかけて把持し、その手で、手首を手の甲側に反らす ②その状態を保ったまま、ゆっくり肘を前方に伸ばす ③前腕につっ張り感を感じたところで、20〜30秒キープ 手関節伸展筋のストレッチ 【対象となる筋肉】 長橈側手根伸筋 短橈側手根伸筋 尺側手根伸筋 総指伸筋 示指伸筋 ①手の甲から指先までを軽く包み込むよう把持し、手首を手のひら側へ曲げ、ゆっくり肘を伸ばす ②前腕の外側部分に張りを感じたところで20〜30秒キープ 手指の腱のエクササイズ 手根管を通る腱の動きを滑らかにする運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節から曲げていく ③①の状態に戻すように指を伸ばしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 手内在筋(手のひらの筋肉)のエクササイズ 虫様筋(手のひらにある筋肉)の運動 ①手指をまっすぐ伸ばした状態から始める ②指の第一、第二関節は伸ばしたまま、第三関節(指の付け根)から指全体がお辞儀をするように曲げる ③直角近くまできたら、①の状態に戻るよう起こしていく ④これを10〜20回繰り返し行う 横手根靭帯のマッサージ ①手首と手のひらの境目ぐらいを反対の手の親指、人差し指で押さえ、つまむようにそれぞれの指を近づけていく ③次にそれぞれの指を離すように広げていく ④これを繰り返し行う 手根管症候群はストレッチだけでなく、他にも自分でできる対処法があります。安静を意識することや手を使う頻度を見直すことは、症状の緩和につながる可能性があります。ストレッチ以外の具体的な方法は次の通りです。 なるべく安静にする作業量を見直す 手根管症候群は、日常生活や仕事などで手をよく使う人になりやすい傾向があります。手指の曲げ伸ばしを伴う作業や、手首の動きが多い作業を繰り返し長い時間行うと、手根管内にある正中神経が圧迫されやすくなります。手を使う頻度をできるだけ減らし、手指や手首に負担をかけないようにすることが大切です。 サポーターを使用する 仕事や家事などで手を休めたり作業量を減らしたりすることがどうしても難しい場合は、サポーターや装具を使用することも検討しましょう。サポーターや装具を使用することで、手にかかる負担を軽減できます。サポーターや装具を選ぶ際は、自分に合ったものを選ぶことが大切です。どのようなものを選べば良いか迷った場合、まずは病院に相談することがおすすめです。 手根管症候群を自分で治す際の注意点 手根管症候群を自分で治すための、簡単なセルフストレッチやエクササイズを紹介しました。 自分でストレッチをやる際、力加減には十分に気をつけなければなりません。強い力を出せば、効果が出やすいと思っている人も多いかもしれませんが、ストレッチやマッサージは、強い力や、痛みが出るほどの伸張感で行ってしまうと、かえって硬くなることがあります。これが防御性収縮と呼ばれるものです。 いずれのケアも、力の入れ過ぎには注意し、効いているのか効いていないのかわからないくらいの力加減で行うようにしましょう。 手根管症候群の痛みが治らない場合の治療法 手根管症候群の痛みについて自分で治す方法でも改善しない場合、薬物療法やステロイド注射など病院で受ける治療を検討する必要があります。 薬物療法 病院で手根管症候群の診断が下されたら、消炎鎮痛剤や非ステロイド性抗炎症薬、ビタミンB12などの飲み薬、塗布薬といった薬物療法で保存的に治療を行います。薬物療法の主な目的は、痛みや腫れを軽減させ、炎症を抑えることです。また、ビタミンB12には末梢神経痛を改善させる効果があります。 軽症の場合は薬物療法や、サポーターや装具を使った保存療法で対応していきます。 ステロイド注射 副腎皮質ステロイドの注射を使用して、腱の炎症を抑える場合もあります。内服による薬物治療は、大量に摂取すると胃や肝臓、腎臓に負担をかけてしまうので、注射で直接手根管に薬剤を入れていきます。手根管はとても狭いため、注射を打つには正しい解剖の知識と技術が必要です。 万が一神経に針が刺さってしまうと、神経を痛めてしまうため、注射を行う際はエコーと呼ばれる超音波検査機器を使用します。エコーを使って神経の場所を確認し、神経をよけながらステロイドを注入していきます。軽症の場合、ステロイド注射により痺れの症状が改善しやすいです。 手術療法 痛みや痺れが治らず薬物療法やステロイド注射でも効果がみられない場合や、親指の付け根の筋肉である母子球が痩せてしまった萎んでしまった場合は手術療法を検討します。具体的な手術は大きく分けて手根管開放術と鏡視下手根管開放術の2種類です。手根管開放術では横手根靭帯を切開し、正中神経の圧迫を取り除きます。 また、鏡視下手根管開放術は皮膚に小さな穴をあけて内視鏡を挿入し、圧迫を取り除いていく手術です。どちらの手術も日帰りで行えます。鏡視下手根管開放術の方が、傷が小さく、術後の痛みが少ないことが特徴です。 まとめ|自分で治す以外の選択肢も知っておこう 手根管症候群を自分で治す方法として、ストレッチやマッサージをお伝えしました。 ストレッチやマッサージは手軽にできるメリットがありますが、やり方を間違えると症状を悪化させるリスクも少なくありません。 また、症状が重度の場合、ストレッチやマッサージだけでは症状の改善は見込めないでしょう。 病院やクリニックなどの医療機関で早めにみてもらった方が、症状が早く治る可能性があります。痛みや痺れなどは、日常生活や仕事にも支障を及ぼすため、症状が続くのであれば医療機関を早めに相談しましょう。 近年では、損傷した指の神経治療に先端医療である再生医療が注目されています。 手根管症候群が悪化して日常生活に影響を及ぼす前に、再生医療がどのような治療かぜひご覧ください! 手根管症候群についてよくあるQ&A 手根管症候群について、よくある質問を以下にまとめています。 Q.手根管症候群は自然に治りますか? 手根管症候群は継承の場合、自然に治ることがあります。原因がはっきりとわかっているもの以外は、まずは手首の安静やできる範囲でのストレッチ、抗炎症薬やビタミン12の投与といった保存的治療で経過をみていきます。安静だけで自然に治る人も少なくありません。妊娠がきっかけで手根管症候群になった場合、出産後には治っている場合がほとんどです。 ただし、症状が進行してしまった場合手術が必要となります。安静にしていても症状の改善がみられなければ、ただちに医療機関を受診することが必要でしょう。 Q.手根管症候群の際に湿布はどこに貼れば良いですか? 手根管症候群で湿布を貼る場合、手首から手のひらにかかるように貼りましょう。とくに痛みが強く感じる部分に直接貼ることがおすすめです。湿布には痛みを緩和させる鎮痛作用が期待できます。 さらに湿布の上からサポーターや弾性包帯で手首を固定することで、手首の使い過ぎを防ぐことができます。手根管症候群は手指や手首の使い過ぎが原因で起こり、動かすことによって症状が悪化する可能性があるため、湿布で痛みを取りながらできるだけ安静にしましょう。
2023.01.13 -
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手根管症候群の手術を受けた後、いつから手が自由に使えるようになるのか不安に思ったり疑問を感じていらっしゃるのではないでしょうか。 手術後はギプスでの固定や傷口のケアなど、普段とは異なる生活への戸惑いもあるかもしれませんが、回復期間を安静にして過ごすことで早期復帰が可能です。 この記事では、手根管症候群の手術後について、回復までの期間の目安や日常生活での注意点、そして少しでも早く元の生活に戻るためのポイントを分かりやすく解説します。 また、当院(リペアセルクリニック)は手術以外の選択肢として注目を集める「再生医療」を専門とするクリニックです。 現在LINE限定で再生医療に関する無料のガイドブックを配信していますので、根本的な治療が期待できる医療技術に興味がある方は是非ご入手ください。 \公式LINEでは再生医療の情報や改善症例を公開中!/ 手根管症候群の手術後で日常生活に戻れるタイミング 手根管症候群の代表的な手術は、「手根管開放術」と「母指対立再建術」の2種類があります。回復期間がそれぞれ異なるため、日常生活に戻れるタイミングを把握しておきましょう。 手根管開放術の場合 根管開放術は、手のひらを切開し神経圧迫のもとになっている靭帯を切って、圧迫を解放する手術です。 切開する範囲が比較的小さく、局部麻酔で実施できるため、日帰り手術が可能です。 術後は傷の保護と安静のため、約1週間ほど手術部位をギブスで固定します。ギブスが外れ、傷口の治癒や痛みの軽減が確認できれば日常生活に戻れます。 母指対立再建術の場合 母指対立再建術は、手首や指にある腱や筋肉を採取して、親指の付け根に移植する手術です。 手根管症候群の影響で親指を動かす筋肉が痩せてしまい、物を掴むのが難しい状態になったときに検討される手術です。 母指対立再建術の場合は、全身麻酔を必要とし、1〜2週間ほど入院します。手術後は、1カ月ほど手術部位を固定します。そのため、手を自由に動かして日常動作ができるようになるには最低でも1カ月程度かかると覚えておくと良いでしょう。 腱や筋肉の損傷に効果的な治療法の1つに「再生医療」があります。 人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や期待できる効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 ▼ご家族と確認できる再生医療のガイドブックも配信中 >>公式LINEを確認する 手根管症候群の手術後に生活で気をつけるべき3つのこと 手根管症候群の手術後に生活で気をつけるべきことを解説します。 抜糸するまでは安静にして過ごす 傷口に水がかからないようにする 症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える これらの点に注意して生活を送り、着実に回復させていきましょう。 1.抜糸するまでは安静にして過ごす 手根管症候群の手術は、切開した部分を医療用の糸で最後に縫います。傷口を縫合して、切開した部分が元通りに閉じるのをサポートしているのです。そのため、抜糸までの期間は安静に過ごすことが求められます。 抜糸前は、傷口が完全にふさがっておらず、糸で傷口を保護している状態です。 この状態で、無理に手を動かしたり、重い物をもったりすると傷口が広がって再び縫合処置が必要になる場合もあります。 スムーズな回復のためにも、抜糸して完全に傷口がふさがるまでは安静に過ごしましょう。 2.傷口に水がかからないようにする 手術後の傷口は、皮膚が再生してふさがる過程にあります。この過程は水分の影響を受けやすいため、水がかかると傷口の修復が遅れる可能性があります。 傷口がふさがるまでは、食器洗いや洗濯といった水を使う家事は極力控えましょう。 3.症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える 手術後、無理に手を動かすと、回復が遅れたり、傷口が開いたりする可能性があります。そのため、症状が落ち着くまでは、以下のような手を使う仕事や家事は控えるようにしましょう。 包丁を握る 重い物をもつ タオルを絞る パソコンを打つ 手根管開放術の場合は、手首の固定は約1週間、母指対立再建術の場合は、約1カ月なので、手首が固定されている最中はとくに安静が必要です。 ただし、固定期間や傷口の回復ペースには個人差があります。医師と相談しながら、日常生活を開始する適切な時期を決めていくのが望ましいでしょう。 以下の記事では、手根管症候群が疑われるときにやってはいけない動作や注意点を解説しています。詳細が気になる方は、参考にしてみてください。 まとめ|手根管症候群の手術後は安静に過ごして早く日常生活に戻ろう 手根管症候群の手術は、手首や親指の付け根などを切開するため、傷が残ります。そのため術後は傷の治癒のため、安静に過ごす必要があります。 回復期間は、傷口が開いたり、手首に負担をかけたりするような動作や家事は控えましょう。適切な安静期間の確保が、術後の回復を早め、日常生活の早期復帰を可能にします。 手術後の回復について、または「なかなか症状が改善しない」「手術以外の方法も検討したい」といったお悩みはありませんか? リペアセルクリニックでは、身体への負担を抑えながら治療を可能とした、ご自身の細胞を用いる再生医療(幹細胞治療)をご提供しています。 再生医療専門の『リペアセルクリニック』では、詳しい治療方法や効果が気になる方や、再生医療に関するご質問やご相談をLINEでもお受けしております。 ▼無料のオンライン診断も実施中 >>公式LINEはこちら 手根管症候群の手術後で生活に関するよくある質問 最後に手根管症候群の手術後の生活に関するよくある質問と回答をまとめます。 手根管症候群の手術後に仕事復帰できるのはいつですか? 仕事復帰の時期は、手術の種類と個人の回復状態によって異なります。手根管開放術の場合は1週間程度の固定期間のあと、母指対立再建術の場合は1カ月程度の固定期間を経てからの復帰となります。 ただし、仕事復帰の時期は、手術の種類と個人の回復状態によって異なります。また、仕事の内容によっても復帰時期は変わってくるので、担当医と相談しながら適切な時期を決めていくのが良いでしょう。 腱や筋肉の損傷に効果的な治療法の1つに「再生医療」があります。身体にメスを入れない治療法で、今注目を浴びています。 どんな怪我や病気が再生医療の対象なのかを知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 手根管症候群の手術後にリハビリはおこないますか? 手根管症候群の手術後にはリハビリをおこなうのが推奨されます。作業療法士の指導のもと適切なリハビリをおこなえば、症状の回復を効果的に促進できます。 手根管症候群の術後におこなわれる代表的なリハビリは、以下のとおりです。 リハビリの種類 目的 可動域訓練 手首と指の動きの改善 ストレッチ 手首や手指の柔軟性や血液循環の向上 マッサージ 手の筋や腱を伸ばして関節拘縮の予防 リハビリに積極的に取り組めば、機能回復が進んでより早く日常生活に戻れるでしょう。 以下の記事では、手根管症候群の方が自分でできるストレッチやマッサージを紹介しています。セルフケアの方法が知りたい方は、あわせてご覧ください。 手根管症候群の手術後は痛みがいつまで続きますか? 手根管症候群の手術後の痛みが消えるまでには、3〜6カ月ほどかかります。手術の種類や個人差によっても痛みの感じ方は異なるので、目安として覚えておきましょう。 痛みは、時間とともに軽減していきます。痛みが長くなる場合や強い痛みが続く場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。 手根管症候群の手術後の安静期間はどれくらいですか? 安静期間は手術の種類によって異なります。 手根管開放術の場合は約1週間、母指対立再建術の場合は約1カ月の固定期間が必要です。 この期間は傷の治癒のため、極力安静を保ちましょう。無理に手首や手を動かすと回復が遅れる可能性があります。 また、手術後の状態が良くない方や安静期間を過ぎた後も回復しない場合、当クリニックが提供する再生医療もご検討ください。 再生医療とは人間が持つ本来の力を引き出す治療方法で、手術後の後遺症にも改善が認められたケースは多く存在します。 現在の状態についてご不安な方は専門のスタッフが丁寧にお答えしますので、まずはお気軽にお電話ください。 また、LINEでも無料相談を受け付けているだけでなく改善症例も合わせてご案内しておりますので、実際どのような治療が行われているのか気になる方はLINEをご確認ください。 >>公式LINEはこちら
2022.12.28 -
- 手根管症候群
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「手根管症候群による手首の痛みやしびれがなかなか治らない」 上記のような方は、知らず知らずのうちに手根管症候群を悪化させてしまう動作をしている可能性があります。 本記事では、手根管症候群が疑われる方がやってはいけないことについて詳しく解説します。 また、当院の公式LINEでは、手術せずに損傷した神経を治療できる再生医療に関する情報を配信しています。 「手術は怖いから避けたい」「手首の痛みやしびれを早く治したい」という方は、ぜひご参考ください。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼損傷した神経治療に注目されている再生医療の情報は以下からご覧ください! 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこと 手根管症候群が疑われるときにやってはいけないこととして、次の4点があげられます。 手に負担のかかる姿勢や動作を行う 違和感がある箇所をストレッチやマッサージで無理に伸ばす 自己判断で痛み止めの薬を使う 症状が続くのに放置する 手に負担のかかる姿勢や動作を繰り返し行うことで、手根間症候群の悪化を招くリスクがあります。また、明らかに症状が続いているのに放置すると、手の動きが制限されて元に戻らないこともあるので注意が必要です。 手に負担のかかる姿勢や動作を行う 手に負担のかかる姿勢や動作には、次のものがあります。 手を酷使する 手を握りしめる パソコンのキーボードを打つ 手をねじる 手を酷使したり握りしめたりすることで、手の負担が増え症状が悪化しやすいです。また、パソコンのキーボードを打つ動きは手首を繰り返し使うため、手首にある手根管内を圧迫して炎症を悪化させるリスクがあります。 これらの動きを繰り返すことで、手首にある手根管内を通る正中神経が圧迫を受けます。正中神経は手首や指を曲げる動きや、親指から薬指の感覚をつかさどる神経であるため、圧迫されると動きの制限やしびれを伴う危険性があるでしょう。 違和感のある箇所をストレッチやマッサージで無理に伸ばす 手首に違和感があるからといって、自己流でストレッチやマッサージを行うことはおすすめしません。 手首の内部にある手根管には正中神経をはじめ、指を動かす多数の筋肉が通っています。適切な知識がない状態でストレッチやマッサージを行い手を伸ばしすぎると、かえって手首の負担になり、症状を悪化させる可能性があるでしょう。 手根管症候群が疑われた際は、手首を無理に動かそうとせず、安静に過ごすことが大切です。 自己判断で痛み止めの薬を使う 痛みが治らない場合でも、自己判断で市販の鎮痛剤や抗炎症薬を使うことはおすすめできません。市販薬は自分の体質や症状に合わず、効果がみられない場合があります。また、副作用などの予期せぬ影響が出ることも考えられます。 薬で痛みを抑えられたとしても、手根管症候群が改善するわけではありません。医師の指示なしに痛み止めの服用は避けましょう。 症状が続くのに放置する 症状が続いているのに、「放っておけば治るだろう」と自己判断で放置するのは避けましょう。手根管症候群は軽度であれば自然に治ることはありますが、生活の中で手や手首に負担のかかる動作が多いと症状が改善されず治りにくくなります。 また、自分では自覚しにくい緩やかなスピードで症状が進行していく場合もあります。症状が進行すると手の運動機能や感覚機能に影響を及ぼし、治療が困難になる場合もあるため注意が必要です。 そもそも手根管症候群とは?発症する原因も紹介 手根管症候群とは、手首にある手根管で、その部分を通過する正中神経を圧迫してしまう病気です。正中神経を長く圧迫すると、神経の修復ができなくなったり、正中神経が支配している筋肉にも影響を及ぼし治療が難しくなったりしてしまいます。 手根管症候群を発症する原因にはほかの病気が隠れていることもありますが、手首のケガや手の使い過ぎ、女性ホルモンの乱れなどでも起きることがあります。 手根管症候群の症状|正中神経が傷つくとどうなる? 正中神経は手首を通って手に分布します。正中神経は手のひら側の親指、人差し指、中指、そして薬指の親指側半分を担う感覚機能と、親指を動かす母指球筋の動きを担当する運動機能をもつ神経です。 そのため、正中神経が障害されると、担っている感覚の範囲でしびれや痛み、進行すれば触っている感覚が鈍くなる知覚麻痺が現れます。また、運動機能の障害で母指球筋が痩せて、親指の付け根の盛り上がりがなくなり、親指を動かすのに障害が出ます。 とくに、小さなものをつまむような動き(親指と人差し指で物を拾い上げる、服のボタンをかける、など)が、やりにくくなり、日常生活に影響が出るでしょう。 正中神経は手首よりも上(肩寄り)では、前腕の回内や手首を曲げるといった役割も担っていますが、手根管症候群では手首の部分で傷つくため、手首より上の動作の障害は現れません(手首より上の症状がある場合は別の病気が考えられます)。 手根管症候群でやってはいけないことを避けるための対処法 手に負担のかかる姿勢や動作を行うことが多い場合 ストレッチやマッサージをするか迷った場合 痛み止めの薬を使うか迷った場合 症状が続くのに放置している場合 それぞれの場合で症状を悪化させないための方法を紹介します。 手に負担のかかる姿勢や動作を行うことが多い場合 手に負担のかかる姿勢や動作が多い場合の対処法は次の通りです。 手を酷使することが多い方 手を握りしめることが多い方 パソコンのキーボードを打つことが多い方 手をねじることが多い方 手を酷使することが多い方 手根管症候群の治療の1つには「安静」があります。手根管症候群の原因はいくつかありますが、手の使いすぎの可能性もあります。できる限り症状のある手は休めましょう。 仕事などで、どうしても手を使わなければならない人や、朝起きたときに症状が強い人は寝ている間に手根管症候群を悪化させる格好になっている可能性があるので、その場合は装具(サポーターやスプリントとも呼びます)を装着するのも良いでしょう。 装具の一部は自分で購入できますが、合わないものを使ったり、使い方が違ったりするとかえって病状を悪化させる可能性があるので、整形外科を受診して手に入れることをおすすめします。 💡 場合によっては、装具の費用の一部が療養費としてあとから返還される制度を利用することもできます。 参考 厚生労働省「療養費の支給対象となる既製品の治療用装具について」の一部改正について 手を握りしめることが多い方 握りこぶしを作るのはもちろん、柄の細い道具は手首の負担になるので、包丁やフライパンなどは柄の太いものにし、フライパンを持ち上げるときなどはできれば両手で行いましょう。 また、手指や指などの小さな関節よりも、肘や肩などの大きな関節を使った方が手首への負担が減ります。たとえば買い物をするときは買い物カゴを手で持たず、肘にかけることで手首を守れるでしょう。重い荷物の場合は、無理せずカートを利用することもおすすめです。買い物袋は手で持たず、両肩にかけるリュックサックなどを使うことでも、手への負担を減らせます。 パソコンのキーボードを打つことが多い方 手首をまっすぐにするために、専用のパームレストを使ったり、手首の下にたたんだタオルを敷いて手首の位置を整えます。 また、長い時間キーボードを打ったりマウスを操作したりしても、手首の負担は増えます。さらに長時間のパソコンの使用は、首や腰、目の疲れにも影響を及ぼすでしょう。仕事などでパソコンを使うことが多い場合は、継続的な作業はなるべく避け、定期的に休憩をはさむように心がけてください。 手をねじることが多い方 雑巾を絞る動作などは手首に負担がかかります。どうしても絞る動作が必要なときは、タオルを半分の長さにして輪になった部分を丈夫な水道などにひっかけ、両手もしくは症状がない方の手で絞りましょう。 手をねじる動作は日常生活の中でも予想以上に多いです。手をねじる動作にはペットボトルの蓋を開けたり、蛇口をひねったり、ドアノブをまわしたりするなどの場面もあげられます。 ペットボトルオープナーや、丸型ドアノブをレバー式に変える補助具などを使用して手首を守る工夫を施すのも一つの手です。 ストレッチやマッサージをするか迷った場合 手根管症候群でストレッチやマッサージを行うか迷った場合は、医師に相談しましょう。 医師の診断を受けず、自己判断でストレッチやマッサージを行うと、症状を悪化させる可能性もあります。 リハビリ専門職がいる病院やクリニックなら、医師からの許可を得て理学療法士や作業療法士などのリハビリスタッフに適切な運動方法を指導してもらうのがおすすめです。 医師や専門の医療スタッフから正しい方法を教わり、自身での施術に役立ててください。 痛み止めの薬を使うか迷った場合 手根管症候群は痛みが出やすい病気です。痛み止めの薬を使用するか迷った場合、速やかに医師の診察を受けましょう。 自己判断で市販の痛み止めを使用し痛みが治ったとしても、根本的な治療が行われていなければ一時的な痛みの軽減にしかなりません。症状の悪化を防ぐためにも、医師から適切な薬を処方してもらいましょう。 症状が続くのに放置している場合 手根管症候群は続くと正中神経や母指球筋が元に戻らなくなる可能性があります。自分でできる限りのことを行っても症状が続く場合は、整形外科で早めに診てもらいましょう。 手根管症候群が疑われるときに受診する科と検査内容 手根管症候群の可能性がある場合、受診するのは整形外科です。 基本的には正中神経を圧迫するような状態を再現して症状が現れるか、親指の付け根の筋肉が痩せていないか等を確認することで、ほとんど診断は可能です。 ただし、手首にコブができた可能性がある場合はエコーやMRI検査を追加したり、診断に迷うときには正中神経に電気を流して障害の具合を調べる筋電図検査などを追加する場合があります。また、手根管症候群の原因としてほかの病気が隠れている可能性がある場合は、血液検査などを追加することもあります。 【重症度別】手根管症候群と診断された場合の治療の流れ 手根管症候群は痛みやしびれ、筋肉の状態など症状の程度によって治療法が異なります。軽度の手根管症候群の場合には以下のような治療で経過をみます。 内服薬:ビタミンB12や消炎鎮痛剤 外用薬:痛み止めの成分の入ったシップや塗り薬 装具:手首を固定するサポーターやスプリント 手根管の炎症が強い場合には手首に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあるでしょう。 これらの治療で改善しない場合や手根管周辺に腫瘤がある場合、また母指球筋がやせている場合には手術療法が必要になることもあります。カメラを用いた鏡視下手根管開放術では、できるだけ傷が小さく、早く日常生活に戻れる治療が行われます。 まとめ|手根管症候群が疑われるなら一度ご相談ください 指のしびれや痛み、物をよく落とすようになったら、手根管症候群の可能性があります。早い段階では手術なしで治療できるので、手根管症候群の可能性があれば、すぐに整形外科で診てもらいましょう。 仕事などで手を酷使する人は、とくに我慢して使い続けると親指の力がなくなり手術が必要になったり、親指の力が戻らない場合もあります。手首に負担のかかる動作はできるだけ避け、どうしてもそのような動作が避けられない場合は病院で装具などについて相談しましょう。 当院(リペアセルクリニック)の公式では、手根管症候群を手術せずに治療できる再生医療に関する情報を配信しています。 手首の痛みやしびれの改善がみられた症例も公開しているため、ぜひご参考ください。 >>公式LINE限定の情報はこちらから
2022.10.14 -
- 手根管症候群
- 手部
「手首が痩せてきた」「手がしびれる、痛みがある」と自覚症状があり、病気にかかっていないか心配な方もいるでしょう。 これら症状が出ているとき、可能性が高いのは「手根管症候群」です。 手根管症候群は、手を酷使する方や妊娠中の女性、更年期の女性に多い傾向があります。また、原因不明のケースもあります。初期なら適切な対処で改善しやすいですが、進行すると手術が必要なこともある病気です。 この記事では、手根管症候群の症状の特徴や治療方法を紹介します。自宅でできるセルフケアの方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。 手根管症候群とは 手根管症候群は、手のしびれを訴えて病院を受診する方の中で非常に多い病気です。 手のひらの付け根にある「手根管」が狭くなり、中を通る神経が圧迫されることで、手指のしびれや痛みが現れます。しびれるのは親指から薬指の半分までで、薬指の小指側の半分と小指はしびれないのが特徴的です。 軽症ならば自然に治るケースもありますが、放置すると親指の付け根の筋肉が痩せ、小さいものをつまむ動作ができなくなります。 手根管とは 手根管は手のひら側の手首の部分にあります。具体的には手の骨(手根骨)の手のひら側に横手根靱帯という靱帯が横向きにあり、この手根骨と横手根靭帯の間のすき間を正中神経という神経と、指を動かすための9本の腱が通り抜けています。 手根管とはこの正中神経と9本の腱が通り抜けるトンネルのような部分です。 手根管症候群では横手根靭帯が浮腫んだり厚みが増すことで、トンネル部分が狭くなり、正中神経を圧迫することによって症状が現れます。またまれですが手根管にコブができて正中神経を圧迫することもあります。 正中神経とは 正中神経は腕にある主要な3本の神経(正中神経・橈骨神経・尺骨神経)のうちの1つです。物に触れた感覚や痛みを伝える感覚神経としての役割と、筋肉を動かす運動神経としての役割をあわせ持ちます。 手における正中神経の担当範囲は以下の通りです。 感覚 親指、人差し指、中指、薬指の親指側半分 (これらの指の手のひら側) 運動 親指を動かす (親指の付け根の筋肉「母指球筋」を担当) 正中神経が障害されると、担当範囲の指の感覚が鈍くなったり、親指を動かしにくくなったりします。 なお正中神経は、前腕をひねって手のひらを下に向ける動きや、手首を曲げる動きなども担当しています。しかし、手根管症候群で動きに影響が出るのは、親指だけです。 参考:正中神経麻痺|日本整形外科学会 手根管症候群の症状|罹患者に多いサインも紹介 手根管症候群の症状は、以下のように進行していきます。 初期:人差し指と中指のしびれ・痛みが出る。 中期:親指から薬指の親指側半分までしびれが広がる。同じ範囲の感覚が鈍くなることもある。 末期:親指の付け根の筋肉がやせる、親指を動かしにくくなる。 しびれや痛みは明け方に強く感じることが多く、手を振ったり、指を曲げ伸ばしたりすると症状が軽くなります。人によっては「手がこわばる」と表現する方もいます。 手根管症候群の初期症状が現れているにもかかわらず、症状を放置すると親指の付け根にある筋肉(母指球筋)がしぼんで、親指の動きに制限が出てきます。このとき現れる具体的な症状は、以下のようなものです。 ボタンがつまみにくい 小銭を拾いにくい 物をよく落とす 親指と人差し指でOKサインがつくれない 親指の付け根部分の筋肉のふくらみが減ってきた このような症状や手のしびれ・痛みを自覚したら、医療機関にて相談してみることをおすすめします。 参考:手根管症候群|日本整形外科学会 手首が痩せるなど手根管症候群の疑いがあるときやってはいけないこと 手根管症候群を疑う症状がある場合は、以下のことを避けましょう。 初期:人差し指と中指のしびれ・痛みが出る。 中期:親指から薬指の親指側半分までしびれが広がる。同じ範囲の感覚が鈍くなることもある。 末期:親指の付け根の筋肉がやせる、親指を動かしにくくなる。 手に負担のかかる姿勢や動作をしていると、手根管が圧迫され、症状が悪化しやすくなります。無理なストレッチやマッサージも、悪化の要因となる場合があるため避けましょう。 自己判断で痛み止めを使うのもおすすめできません。薬で痛みを抑えても、手根管症候群自体が改善するわけではないからです。放置せず整形外科で診察を受け、根本的な原因を治療するのが大切です。 以下の記事では、手の負担を減らす具体的な工夫も解説しているので、ぜひ参考にしてください。 手根管症候群の検査方法 整形外科を受診すると、手首や手を動かして正中神経障害の症状が現れるかどうかを調べます。簡単な検査で確定できない場合は、追加で検査を実施することが多いです。 ここでは手根管症候群を診断するための以下の検査について説明します。 ティネルサイン ファレンテスト 筋電図検査 超音波検査/MRI ティネルサイン ティネルサインとは、神経が損傷している部分を指や打腱器などで叩いたときに、神経の支配領域に異常感覚が生じる現象です。傷ついた神経が再生する過程で一時的に敏感になり、叩打に反応すると考えられています。 手根管症候群を疑う場合は、手首の手根管のある部分を叩いて反応を見ます。叩いたときに正中神経の範囲の指にしびれや痛みを感じれば、手根管の部分で神経が損傷している可能性が高いです。 参考:Tinel徴候 脊椎脊髄ジャーナル 28巻4号 (2015年4月発行) ファレンテスト ファレンテストは、手根管症候群の症状を誘発させるテストです。方法は、まずオバケのまねをするように、両手を手首からだらんと垂らします。そして左右の手の甲を合わせ、手首が90°曲がるようにしっかり保持します。 手首をしっかり曲げることで、手根管の内圧が上昇し、症状が出やすい状態となります。この状態で1分以内にしびれや痛みが現れれば、ファレンテスト陽性であり、手根管症候群の可能性が高いといえます。 筋電図検査 筋電図検査は、上記の検査で確定診断できない場合に行うことがあります。神経および筋肉の電気的活動を調べる検査で、2種類の検査方法があります。 ひとつめの神経伝導検査は、神経を電気が伝わる速度を調べる検査です。皮膚の上から正中神経に微弱な電流を流し、支配下の筋肉や感覚神経の反応を記録します。 もうひとつの針筋電図検査は、筋肉の異常を調べる検査です。筋肉に細い電極を刺し、力を抜いたときと力を入れたときに発生する電気的活動を記録します。 参考:筋電図検査 超音波検査/MRI 超音波検査/MRIは、手根管にコブ(腫瘤)ができている可能性がある場合に追加する画像検査です。超音波検査では、手根管の部分に超音波を出すプローブを当てて、内部を観察します。 MRI検査では専用の装置に横たわり、コイルと呼ばれる機器に手を入れて撮影します。体内に金属が入っている方は検査できない場合があったり、撮影中に手を動かしてはいけなかったりと注意点もありますが、超音波検査よりも詳細な画像が得られます。 参考:骨軟部 手根管症候群になったときのセルフケア方法 ここでは手根管症候群と診断されたときのセルフケアについて紹介します。初期の手根管症候群である場合や、筋肉の張りによって症状が出ている場合などは、セルフケアの効果が出やすいです。痛みやしびれに悩んでいる方は、以下のようなセルフケアを試してみると良いでしょう。 セルフケア 効果・ポイント 注意点 患部を温める 血流を改善(神経と同時に血管も圧迫されていることが多いため) 患部が熱を持っていれば冷やす方が良い場合も 湿布 痛み止め成分により痛みを軽減 効果は一時的 サポーター 手首の安静を保てる。湿布と併用可能 手首を固定できるタイプを選ぶ ストレッチ 筋肉や腱の動きを改善して症状を軽減 力を入れすぎると逆効果。痛みが出ないようやさしく行う マッサージ 手根管の靭帯をほぐす 力を入れすぎると逆効果。痛みが出ないようやさしく行う これらのセルフケアは、以下の記事で詳しく解説しています。ストレッチやマッサージの方法は写真で見やすく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 なお、手根管症候群が重症化している場合は、セルフケアの十分な効果は得られません。しびれや痛みが強くなってきたり、手に力が入らなくなったりしていれば、手術療法も検討が必要となります。 手根管症候群になる可能性のある病気 手根管症候群になる可能性のある病気としては、以下が挙げられます。 手首の骨折 手根管内の腫瘍 リウマチによる滑膜炎 アミロイドーシス 甲状腺機能低下症 痛風 透析患者 しかし、手根管症候群になった場合、上記のような病気によって誘発される可能性よりも、むしろ原因不明で突発的に起こることが多いです。 手根管症候群は、妊娠や出産時期、更年期の女性にも多いです。これは女性ホルモンの乱れによって手根管部が浮腫み、正中神経を圧迫するためと考えられています。 その他にも、以下のような仕事で手を酷使する方に多い説もあります。 パソコンをよく使う人 工具のドライバーをよく使用する人 振動する機械をよく使う人 上記のような動作の業務が多い方は、手根管症候群を発症する可能性があるため注意が必要です。 手根管症候群の治療 手根管症候群と診断されたら、消炎鎮痛剤やビタミンB12、シップや塗り薬などの薬物療法、その他に手首を固定する装具の着用や運動制限などの処置が一般的です。 炎症が強い場合には手根管内に炎症を抑えるステロイドなどの注射を行うこともあります。 これらの治療で改善しない場合や腫瘤がある場合、母指球筋が痩せている場合には手術療法が必要なこともあります。最近はできるだけ傷が小さくて済むような、カメラを用いた鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術などが主流です。 母指球筋の萎縮が強い場合は別の場所から腱を移動する母指対立再建術を行なうこともあります。 手根管症候群の手術後にすぐ日常生活へ戻れる? 手術後の安静期間は、手術の種類によって異なります。すぐに日常生活へ戻れる場合もあれば、1〜2週間ほどの入院と約1カ月の安静が必要なケースもあります。 手根管症候群の代表的な手術は、手根管開放術と母指対立再建術です。入院の必要性と、安静期間の目安は以下の通りです。 手術名 入院必要性 安静期間の目安 手根管開放術 (局所麻酔で可能) 日帰り可能 1週間程度 母指対立再建術 (全身麻酔で行う) 1〜2週間入院 最低1カ月程度 手根管開放術の場合、手のひらの手術部位を、術後1週間ほどギプスで固定します。ギブスが外れ、傷口の治癒や痛みの軽減が確認できれば日常生活に復帰可能です。 母指対立再建術の場合は、手首や指にある腱や筋肉を親指の付け根に移植するため、傷口も複数カ所にわたります。手術部位の固定は1カ月ほどです。 どちらの手術でも、術後は以下の3点に注意が必要です。 抜糸するまでは安静にして過ごす 傷口に水がかからないようにする 症状が落ち着くまでは手を使う仕事や家事は控える また、手術後の痛みが消えるまでには3〜6カ月ほどかかります。手術の種類や個人差によっても異なりますが「痛みを気にせず日常生活を送れるまでには数カ月かかるかもしれない」と頭に入れておきましょう。 以下の記事では、手術の内容や術後の注意について詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。 手首が痩せてしびれる症状に心当たりがあれば当院へご相談ください 今回は、手首が痩せる病気について紹介しました。 手首の痩せや手のしびれを感じた場合に、多くみられる病気が手根管症候群です。初期であれば飲み薬や、手首の安静などで症状が改善することが多くありますが、症状が進むと手術が必要になることもあるので重々注意しなければなりません。手のしびれや指先が思うように動かせないなど、上述の症状以外でも何か疑われることが1つでもあれば、医療機関、整形外科等にて早めに診断してもらいましょう。 当院でも手首の痩せや手のしびれの相談を承っています。一般的に手術が必要とされる症状でも、身体にメスを入れない再生医療で治療可能なケースもありますので、お気軽にお問い合わせください。
2022.09.26