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思うように力が出ない 休んでも疲れが取れない トレーニング量を増やしたものの、思ったような結果につながらず不安に感じる方もいるでしょう。 オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングによって心身に不調が生じ、パフォーマンスが低下してしまう状態を指します。 症状は軽度の疲労感から精神的な不調まで多岐にわたり、対処が遅れると回復に長期間を要するため注意が必要です。 今回は、オーバートレーニング症候群の重症度別の症状や原因、治し方について詳しく解説します。症状のチェックリストも紹介するので、オーバートレーニング症候群が疑われる方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 オーバートレーニング症候群について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 オーバートレーニング症候群の症状【重症度別】 オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニングによる疲労が十分に回復しないまま蓄積し、慢性的なパフォーマンス低下や体調不良を引き起こす状態です。 単なる「疲れ」や一時的な「スランプ」とは異なり、自律神経のバランスまで乱れてしまうのが特徴です。 オーバートレーニング症候群の症状は、進行度に応じて異なります。ここでは、症状を3段階に分けて詳しく解説します。 軽症|パフォーマンスの低下 軽症の場合、オーバートレーニング症候群によって運動時のパフォーマンスは下がりますが、明らかな体調不良は感じません。運動後の回復に時間がかかり、翌日まで疲れが残るケースもみられます。 症状の具体例は以下のとおりです。 以前は問題がなかったランニング距離で息が上がる 記録が伸びない 運動時の集中力が続かない この時期は「練習不足かもしれない」と誤解しがちですが、実際には疲労の蓄積が原因である可能性が高いです。全力で取り組もうとしても身体がついてこず、以前よりすぐに息が上がる場面も増えてしまいます。 軽症の段階で十分な休養を取れば比較的早く回復できるため、無理に続けず身体の変化に気づくことが大切です。「最近、調子が戻らない」と感じた時点で、トレーニング量を見直しましょう。 中等症|疲労症状 中等症に進行すると、体が慢性的に疲れた状態となり、運動中だけでなく日常生活にも明らかな支障が出始めます。 症状の具体例は以下を参考にしてください。 十分な睡眠をとっても疲れが抜けない 朝起きた瞬間から身体が鉛のように重く感じる 軽いジョギングでも息切れする 立ちくらみや動悸が起こる回数が増える 中等症では、運動だけでなく生活全体の質が低下しやすくなります。自律神経のバランスが乱れ、回復力そのものが低下しているため、トレーニングを続けると悪化しやすい点が特徴です。 「体調がいつもと違う」と感じる程度ではなく、「治りにくい疲れ」に変化している場合は早急な休養が必要です。中等症はそのまま放置すると重症化する可能性が高いため、症状が現れている方は、迷わず休養を確保しましょう。 重症|精神・心理症状 オーバートレーニング症候群が重症化すると、身体だけでなく心にも負担が積み重なり、精神的な不調が強く現れます。 具体的な症状は、以下のとおりです。 気分の落ち込み 不眠 食欲不振 集中力の低下 運動へのモチベーション低下 日常生活にも影響が及ぶため、仕事や学業などに対する意欲や集中力が低下し、人間関係に支障をきたすケースも珍しくありません。 オーバートレーニング症候群が重症化した場合、無理に運動を続けると回復に長い時間がかかるため注意が必要です。重症の症状を放置せず、医師や専門家による適切なアプローチによって回復に努めるのが大切です。 オーバートレーニング症候群の原因 オーバートレーニング症候群の原因は、単に「運動量が多い」だけではありません。 原因は単一ではなく、トレーニング内容の急激な変化や生活習慣、精神状態などが複雑に絡み合い発症します。ここでは、発症の引き金となる主な4つの原因を解説するので、参考にしてください。 トレーニングによる負荷の増加 オーバートレーニング症候群の主な原因は、身体の適応能力を超えたトレーニングによる負荷の増加です。 「大会が近いから」と練習量を急激に増やしたり、十分な準備期間を経ずに高強度のメニューを取り入れたりすることが引き金となります。 トレーニングの強度や量、頻度が同時に高まる状況はとくに危険です。身体は徐々に負荷へ適応するため、急激な変化には対応しきれません。 結果として、筋肉や関節、神経系へのダメージが修復不能なレベルまで疲労が蓄積し、パフォーマンス低下を招いてしまいます。 休養・睡眠不足 運動と同じくらい重要である「回復」がおろそかになるのも、オーバートレーニング症候群の原因です。 休養日を設けずに連日トレーニングを行ったり、睡眠時間が不足したりすると、身体は修復の機会を失います。とくに、睡眠中は傷ついた組織を修復する成長ホルモンが分泌される貴重な時間です。 睡眠不足は肉体的な疲労回復を遅らせるだけでなく、自律神経の乱れにも直結します。 「休養もトレーニングの一部」である意識が欠如し、焦りから休息を犠牲にする行為は、オーバートレーニング症候群を招きます。 栄養不足 消費エネルギーに対して摂取エネルギーが不足している状態は、発症リスクを高める原因の1つです。運動で大量のエネルギーを消費しているにもかかわらず、食事量が足りていなければ、身体の回復は追いつきません。 とくに、筋肉の修復に必要なタンパク質や、エネルギー源である糖質が不足すると不調を感じやすくなります。タンパク質や糖質が不足すると、身体は自らの筋肉を分解してエネルギーを産生します。 また、極端なダイエットや偏った食事制限も、回復に必要なビタミンやミネラルの欠乏を招き、疲労を蓄積させます。 精神的ストレス オーバートレーニング症候群の原因として見落とされがちなのが、精神的なストレスです。脳が感じるストレスは、自律神経系や内分泌系を通じて身体機能に悪影響を及ぼします。 「絶対に記録を出さなければならない」というプレッシャーや、職場・人間関係でのトラブルなどが重なると、身体的な負荷がそれほど高くなくても発症するケースがあります。 真面目で責任感が強い性格の方ほど、精神的な不調を我慢して運動で発散しようとしますが、かえって心身の許容量を超え、症状を悪化させる場合も珍しくありません。 オーバートレーニング症候群の治し方 オーバートレーニング症候群を治すには、体と心の回復を優先する必要があります。具体的には、無理な運動を控えて十分な休養を確保するのが大切です。 ここでは、オーバートレーニング症候群の回復に欠かせない3つの方法について具体的に解説するので、参考にしてください。 当院では、公式LINEにて簡易カウンセリングを実施しておりますので、お気軽にご相談ください。 休養の確保 休養は、オーバートレーニング症候群の改善において最も重要な要素です。身体は運動後に回復しながら強くなるため、休みを十分に取らなければ疲労が蓄積し、症状が長引きます。 軽い不調を感じた段階で強度を下げるか、一時的にトレーニングを休む判断が必要です。実際に、数カ月間競技活動から離れて休養を確保するだけで、回復が得られる場合もあります。(文献1) ただし、症状によっては、まったく身体を動かさないと逆効果になるケースも考えられるため「どの程度の休養が必要か」「軽度のトレーニングであれば続けても問題がないか」など、医師やトレーナーと相談しながら治療しましょう。 また、睡眠の質を高める工夫も欠かせません。就寝前のスマートフォン操作を控えたり、ぬるめのお湯に浸かったりして、副交感神経を優位にする環境を整えてください。身体が修復モードに入る夜間に、深く質の高い眠りを確保するのが重要です。 ストレス管理 オーバートレーニング症候群を治すには、身体的な疲労だけでなく、精神的なストレスを取り除くのも重要です。背景に心理的要因や環境適応などの問題があると、休養だけでは回復しにくいといわれています。(文献1) 真面目な性格の方ほど「早く治さなきゃ」「仲間に置いていかれる」と自分を追い込みがちですが、焦りが新たなストレスとなり、回復を妨げてしまいます。まずはトレーニングの記録や数値へのこだわりを一旦捨て、心身を解放するのが大切です。 精神的ストレスはオーバートレーニング症候群の原因の1つであり、症状を悪化させる要因にもなります。気分の落ち込みが続いたり、やる気がでない状態が長引いたりする場合は、精神科医やスポーツ心理士に相談してみてください。カウンセリングのほか、必要に応じて薬物療法を受けるのもおすすめです。 早期回復のためにも、心の状態を軽視せず、症状に合わせた専門的なサポートを受けましょう。 バランスの良い食事 オーバートレーニング症候群を治すためには、バランスの良い食事が欠かせません。食事を通して必要な栄養素を補うと、疲労の回復や免疫力向上の助けになります。具体的には、以下の栄養素を意識的に摂取しましょう。 栄養素 効果 ビタミンB群 エネルギー代謝を助ける 疲労回復をサポートする ビタミンC 疲労を引き起こす活性酸素を抑える 摂取量により、抗酸化作用が見られる 豚肉や大豆製品などに多く含まれるビタミンB群は、エネルギー代謝を助けて疲労回復を強力に促す働きがあります。また、レモンやグレープフルーツなどに含まれるビタミンCには、疲労の原因を除去し、疲労回復に役立つといわれています。 食欲が落ちている場合は、うどんや雑炊など消化の良いものを少量ずつ回数に分けて食べるなど、胃腸への負担を減らす工夫も大切です。無理なダイエットや偏食は避け、1日3食しっかり食べ、身体の回復機能を内側からサポートしましょう。 オーバートレーニング症候群のチェックリスト オーバートレーニング症候群を早期に発見するには、日々の体調や気分の変化に注意するのが大切です。オーバートレーニング症候群が疑われる場合は、以下の項目に該当するかセルフチェックしてみましょう。 最近トレーニングの強度を上げた 練習しているのに成績が上がらない 軽いジョギングでも疲れるようになった トレーニング後の筋肉痛が長く続くようになった 睡眠の質が低下し、熟睡できた感じがしない 起床直後の心拍数が普段より増加している トレーニングのやる気が出ない 食欲が低下した 気分が落ち込みやすくなった 毎日運動しないと不安を感じる 運動していないときでも疲労感がある 頭痛や立ちくらみが頻繁に起こる 貧血や感染症などが原因ではないにもかかわらず、複数の症状が該当する場合は、オーバートレーニング症候群が疑われます。 また、身体の不調を感じたときは、心拍数や血圧をチェックしてみるのもおすすめです。 疲労症状が強まると起床時の心拍数が増加するため、起床直後の心拍数をチェックすることで疲労状態を把握しやすくなります。起床直後の心拍数が1分あたり10回以上増えている場合は、オーバートレーニング症候群を疑いましょう。 上記の症状が2週間以上続く場合は、単なる疲れではない可能性があります。自己判断で放置せず、専門医へ相談してください。 オーバートレーニング症候群かもと感じたら早めに受診しよう オーバートレーニング症候群は運動熱心な方ほど陥りやすく、トレーニング量と回復のバランスが崩れると発症します。放置すると重症化する可能性があるので注意が必要です。 「疲れ方がいつもと違う」「運動していなくても疲労感が続いている」と感じたら、休養したりトレーニングを軽くしたりして対応しましょう。 オーバートレーニング症候群は、軽症であれば比較的早く回復できますが、重症化すると復帰に時間がかかります。早期発見するには、セルフチェックリストを活用しながら、身体と心のサインを見逃さないのが大切です。 自己判断で放置せず、症状に応じて早めに医療機関を受診しましょう。 オーバートレーニング症候群に関するよくある質問 オーバートレーニング症候群の診断方法は? オーバートレーニング症候群は、一般的には以下の指標を総合的に判断して診断されます。 安静時心拍数の増加 安静時血圧の上昇 運動後血圧の回復の遅れ 競技成績の低下 オーバートレーニング症候群には明確な検査法が確立されていません。医師による問診や身体所見、血液検査などを用いて総合的に診断されます。 オーバートレーニング症候群は一般人でも発症する? オーバートレーニング症候群は、プロのアスリートだけでなく、健康維持を目的に運動している一般の方や学生でも発症します。 オーバートレーニング症候群を発症するのは、スポーツ選手や部活動をしている学生だけではありません。 とくに、急に運動強度を上げた方や、仕事や家庭のストレスが多い中でトレーニングを続けている方は、発症しやすくなるため注意が必要です。 運動は健康の維持に欠かせない習慣ですが、過剰なトレーニングは逆効果になる可能性があるため注意しましょう。 オーバートレーニング症候群はどのくらいで治る? オーバートレーニング症候群は、軽症・中等症であれば1〜3カ月程度での回復が期待できます。しかし、重症化すると半年〜1年かかるケースもあり、長期にわたる休養と治療が必要です。 治癒にかかる期間は、症状の重症度や発症からの期間、休養への取り組み方によって大きく異なります。 重症化を防ぐためにも、自己判断で無理を重ねず、医師や専門家のアドバイスを受けましょう。 オーバートレーニング症候群は何科を受診すれば良い? オーバートレーニング症候群が疑われる場合は、スポーツ内科の受診がおすすめです。 ただし、地域によってはスポーツ内科の専門外来がないケースも考えられます。スポーツ内科が近くにない場合、症状に応じて整形外科や一般内科、婦人科などを受診しましょう。 目安として、2週間程度運動を控えても症状が改善されない場合は、早めに医療機関を受診してください。 オーバートレーニング症候群とうつ(鬱)の関係性は? オーバートレーニング症候群は、身体的な疲労だけでなく精神面にも強い影響を及ぼす点が特徴で、うつ症状と似た状態が現れることがあります。 慢性的な疲労が続くと自律神経のバランスが崩れ、気分が落ち込みやすく、意欲低下や集中力の低下が目立つようになります。症状が進むと、運動への興味が失われたり、日常生活に支障が出るケースもあるため注意が必要です。 ただし、うつ病と完全に同じ病態ではないため、適切な診断とケアを受けるのが重要です。 参考文献 文献1 Vol. 31 No. 3, 2023.「オーバートレーニング症候群:理解と対応」|日本臨床スポーツ医学会誌 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/31-3/376-378.pdf
2025.07.31 -
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インフルエンザが治ったはずなのに咳や倦怠感が続いているという方は、ウイルスが体内からいなくなっても後遺症が出ている可能性があります。 この記事では、インフルエンザにおける後遺症の原因や症状、合併症について詳しく解説します。 また、セルフケアの方法や治療法についても紹介しているので、ぜひインフルエンザ後遺症を治すための参考にしてください。 長期間続く倦怠感など、インフルエンザの後遺症でお悩みの方は再生医療による治療も選択肢の一つです。 \インフルエンザの後遺症に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、インフルエンザの長引く後遺症の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 インフルエンザの後遺症で身体がだるい 長引く後遺症に悩まされている インフルエンザが治った後も後遺症に悩まされている方は、新たな治療選択肢として再生医療が有効です。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼インフルエンザの後遺症治療に注目の再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる インフルエンザに後遺症はある?どんな症状が出るのか インフルエンザ後遺症とは、インフルエンザの急性期症状が治まった後も、4週間以上にわたって倦怠感、咳、関節痛といった症状が続く状態の総称です。 ウイルスが体から排除された後に症状が現れたり、長引いたりする点が特徴です。中には慢性疲労症候群の診断基準に該当する方も報告されています。(文献1) インフルエンザの合併症との違い インフルエンザ後遺症と合併症は、以下の点が異なります。 タイミング 症状 治療法 合併症 発熱がある急性期 肺炎症状 インフルエンザ脳症 抗ウイルス薬 集中治療 後遺症 解熱した回復期 倦怠感 呼吸器症状 対症療法 生活指導 合併症の代表例であるインフルエンザ脳症は、国内で年間100例以上報告されており、後遺症が出る割合も決して低くありません。致死率が約15%、後遺症率が約25%との報告もあります。(文献2) また、合併症が重度だった症例ほど後遺症を長引かせるリスクが高いとする研究報告もあります。(文献3) コロナウイルス後遺症との違い インフルエンザ後遺症とコロナウイルス後遺症は、リスクの程度や症状の傾向に違いがあります。 名古屋工業大学の平田晃正教授らの研究グループによると、インフルエンザ感染後に咳や頭痛で医療機関を受診するリスクは、感染していない人と比べて1.8倍程度との結果です。 一方、新型コロナウイルス感染後に咳で受診するリスクは、感染していない人と比べて8.20倍とインフルエンザよりも高い結果が見られました。(文献4) 症状としては、コロナウイルス後遺症では多臓器にわたる全身性の症状が目立つ傾向にあります。一方で、インフルエンザ後遺症は主に呼吸器や疲労が中心です。 コロナウイルス後遺症については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 【関連記事】 コロナ後遺症はいつまで続く?倦怠感や症状について現役医師が解説 コロナの後遺症を劇的に改善させる方法を再生医療医が解説 また、コロナウイルス後遺症に対する治療法として、再生医療があります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼インフルエンザの後遺症治療に注目の再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる インフルエンザ後遺症の主な原因 インフルエンザ後遺症を引き起こす原因は1つではなく、主に以下の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。 免疫機能の過剰な反応の残存 ウイルスによる気道粘膜の損傷 二次的な細菌感染の併発 高熱などによる自律神経の乱れ 隔離生活に伴う精神的なストレス インフルエンザウイルスに対抗するために活性化した免疫がウイルス排除後も活動を続け、炎症を引き起こす物質を放出し続けることで倦怠感や疲労感につながります。 また、ウイルスで傷ついた気道の粘膜は再生に時間を要するため、咳が出やすい状態が長引く可能性があります。 近年の再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、インフルエンザの後遺症による炎症抑制や症状改善が期待できます。 長引くインフルエンザの症状にお悩みの方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼インフルエンザの後遺症治療に注目の再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる インフルエンザの主な後遺症一覧 インフルエンザ後遺症では、主に以下のようなさまざまな症状が現れます。 系統 主な症状 呼吸器系 乾いた咳、息切れ、声枯れ 全身症状 倦怠感、微熱、関節痛、寝汗 神経・感覚 頭痛、めまい、集中力の低下、嗅覚・味覚の低下 耳鼻科系 副鼻腔炎に伴う鼻水・顔面痛、耳の閉塞感 精神面 不眠、気分の落ち込み(発熱による睡眠リズムの乱れが誘因) これらの症状は、いずれか1つだけが現れるよりも、複数の症状が重なって現れることが少なくありません。 例えば、長引く咳に加えて強い倦怠感が続いたり、頭痛と集中力の低下が同時に見られたりするケースです。 症状が改善しない、あるいは悪化するような場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 長期間続く倦怠感など、インフルエンザの後遺症でお悩みの方は先端医療の一つである再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ インフルエンザの後遺症を早く治したい 長引く後遺症に悩まされている 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、インフルエンザの後遺症改善が期待できます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼インフルエンザの後遺症治療に注目の再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる インフルエンザ後遺症の治療法 インフルエンザ後遺症の症状は、多くの場合、時間の経過とともに自然と落ち着いていきます。しかし、症状が長引いたり、悪化したりするケースは少なくありません。 インフルエンザ後遺症に対する治療は以下のような方法が挙げられます。 対症療法 薬物療法 生活習慣の見直し 1つずつ解説していきます。 対症療法 インフルエンザ後遺症の治療は、現れているつらい症状を和らげる対症療法が基本です。 倦怠感や微熱が続く場合は、無理をせず十分な休息を取り、水分と栄養をしっかりと補給するのが最優先です。必要に応じて、解熱鎮痛薬が処方されることもあります。 関節痛や筋肉痛が続く場合は、消炎鎮痛剤の使用や、症状に応じた適切な治療が検討されます。 鼻水や顔の痛みなど、副鼻腔炎や中耳炎が疑われる際は、耳鼻咽喉科で鼻の洗浄やネブライザー治療といった処置を追加します。 薬物療法 症状を和らげるための薬物療法も選択肢の1つです。急性期を過ぎてもウイルスの増殖が続いていると医師が判断した場合には、抗インフルエンザ薬の投与期間を延長する場合があります。 長引く鼻水や咳に対しては、症状を抑えるために抗ヒスタミン薬や鎮咳薬などが処方されます。咳が止まらず咳喘息のような状態に移行したケースでは、気管支を広げる吸入β2刺激薬や炎症を抑える吸入ステロイド薬を数週間にわたって使用する場合も少なくありません。 これらの治療で十分な改善が見られない場合には、別系統の薬を追加で検討されるケースもあります。 また、コロナウイルス後遺症の症例に対してですが、漢方薬が慢性疲労・食欲不振を緩和したとの報告もあります。(文献5) 生活習慣の見直し インフルエンザ後遺症から回復するには、薬による治療だけでなく、日々の生活習慣の見直しも必要です。まずは、十分な休養を取り、体に負担をかけないようにしましょう。 タンパク質やビタミンなどを含むバランスの良い食事を心がけ、睡眠は7時間以上確保すると、自律神経の働きを整える効果が期待されます。 体力が少し戻ってきたら、軽いストレッチや腹式呼吸といった呼吸リハビリを取り入れるのも、呼吸筋の疲労感を和らげるのに役立ちます。アルコールや喫煙は炎症を長引かせるリスクがあるため、症状が落ち着くまでは控えましょう。 インフルエンザ後遺症に関するよくある質問 インフルエンザ後遺症に関するよくある質問と回答を紹介します。 インフルエンザ後遺症の症状はいつまで続きますか? インフルエンザ後遺症は大人と子どもどちらも発症しますか? インフルエンザが治った後も後遺症に悩まされている方は、ぜひ参考にしてください インフルエンザ後遺症の症状はいつまで続きますか? インフルエンザ自体の発熱やのどの痛みといった症状は、通常1週間程度で落ち着きます。しかし、その後に出てくる後遺症がいつまで続くかについては、以下の要素によって異なるため一概にはいえません。 症状の種類 本人の回復力 治療方法 とくに倦怠感や睡眠障害といった症状は、免疫力の低下や日々のストレスなどが影響して長引く傾向があります。 咳に関しては、もし8週間以上続くようであれば「慢性咳嗽」と診断されます。(文献6)症状が長引く場合は、一度医療機関を受診してみましょう。 インフルエンザ後遺症は大人と子どもどちらも発症しますか? インフルエンザ後遺症は、年齢に関わらず大人も子どもも発症する可能性があります。とくに、まだ免疫機能が十分に発達していない子どもは、大人に比べてウイルス感染の影響を受けやすく、後遺症につながりやすいと考えられています。 また、高齢の方は、肺炎や心筋炎といった重い合併症を発症しやすく、その治療が終わった後も息切れなどの呼吸器症状が長く残ってしまうケースが少なくありません。 予防接種は、インフルエンザの重症化を防ぐだけでなく、後遺症の発生リスクを減らす効果が期待されます。 まとめ|インフルエンザ後遺症の理解を深めて適切な治療を進めよう インフルエンザが治った後にも、倦怠感、咳、関節痛といった症状が後遺症として現れている可能性があります。 免疫の過剰反応や自律神経の乱れなど、さまざまな要因が絡み合って生じます。 呼吸器症状から精神的な不調まで多岐にわたるため、つらい症状が長引いている場合は、かかりつけ医や専門の医療機関に相談しましょう。 また、インフルエンザの後遺症を早く治したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、炎症抑制や症状の改善が期待できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ インフルエンザの後遺症を早く治したい 長引く後遺症に悩まされている 現在受けている治療で期待した効果が得られていない インフルエンザが治った後も後遺症に悩まされている方は、新たな治療選択肢としてご検討ください。 「具体的な治療法を知りたい」「後遺症を早く治したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼インフルエンザの後遺症を治したい方はご連絡ください! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 参考文献 (文献1) インフルエンザ感染後に発症した慢性疲労症候群に漢方治療が有効であった1例|日本東洋医学雑誌 (文献2) インフルエンザの臨床経過中に発生する脳炎・脳症の疫学及び病態に関する研究(総括研究報告書)|厚生労働科学研究成果データベース (文献3) The post‐infection outcomes of influenza and acute respiratory infection in patients above 50 years of age in Japan: an observational study|National Library of Medicine (文献4) 新型コロナ インフルより“後遺症”リスク高い 名古屋工業大|NHK (文献5) Course of General Fatigue in Patients with Post-COVID-19 Conditions Who Were Prescribed Hochuekkito: A Single-Center Exploratory Pilot Study|Multidisciplinary Digital Publishing Institute (文献6) 咳嗽に関するガイドライン(第2版)|日本呼吸器学会
2025.07.31 -
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「健康診断で脂質異常症を指摘されたけれど、とくに症状もないし……」 「最近、手足がしびれることがある。もしかして何かの病気と関係があるのかな?」 このように、健康診断の結果や気になっている手足のしびれに関して、不安に思われている方もいらっしゃることでしょう。 実は、脂質異常症そのものが直接「しびれ」を引き起こすことは、あまりありません。 しかし、だからといって安心はできません。 脂質異常症を放置していると、動脈硬化や糖尿病といった深刻な病気につながり、それが原因でしびれが現れることがあるのです。 本記事では、脂質異常症がどのようにして手足のしびれに関わるのか、そのメカニズムを専門医が詳しく解説します。 あわせて、ご自身でできる生活習慣の改善方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 脂質異常症が関連する「しびれ」のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 脂質異常症でしびれる?基礎知識から症状まで専門医が解説 脂質異常症と診断されても、多くの場合、自覚症状がないため軽く考えてしまうかもしれません。 しかし、この病気は静かに進行し、重大な合併症を引き起こす可能性があります。 まずは脂質異常症とはどのような病気なのか、そしてなぜ「しびれ」と結びつけて考えられがちなのか、基本的な知識から確認していきましょう。 脂質異常症の定義と種類 脂質異常症とは、血液の中に含まれる脂質、具体的には「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が基準値より多い状態や、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールが基準値より少ない状態を指します。 血液中の脂質は、細胞膜やホルモンの材料になるなど、体にとって不可欠なものですが、そのバランスが崩れることが問題なのです。 主な種類は以下の3つのタイプに分けられます。(文献1) 脂質異常症のタイプ 説明 高LDLコレステロール血症 「悪玉」コレステロールが多い状態。増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化の原因になります。 低HDLコレステロール血症 「善玉」コレステロールが少ない状態。善玉コレステロールは余分なコレステロールを回収する働きがあるため、少ないと動脈硬化が進みやすくなります。 高トリグリセライド血症 中性脂肪が多い状態。これも動脈硬化の要因となるほか、急性膵炎のリスクを高めることがあります。 これらの診断基準となる具体的な数値は、健康診断の結果などで確認できます。 ご自身の数値を把握し、どのタイプに当てはまるかを知ることが大切です。 なぜ「しびれ」が直接的な症状ではないのか? 「脂質異常症が原因で手足がしびれる」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、結論からいうと、脂質異常症そのものが神経に直接作用して「しびれ」を引き起こすことは、ほとんどありません。 では、なぜ「しびれ」と脂質異常症が結びつけて考えられるのでしょうか。 その背景には、脂質異常症が引き起こす動脈硬化が大きく関係しています。 動脈硬化によって血管が硬く、狭くなると、手足の末端まで十分な血液が届きにくくなります。 この血流の悪化が、結果として神経に栄養や酸素を十分に供給できなくなり、しびれが感じられることがあるのです。 つまり、「脂質異常症→動脈硬化→血流障害→しびれ」という流れで症状が現れることはありますが、「脂質異常症 → しびれ」という直接的な関係ではないことを理解することが重要です。 そのため、「しびれ」を感じる場合、その裏には単なる血行不良だけでなく、脂質異常症がもたらす血管の深刻な変化が隠れている可能性を考える必要があります。 脂質異常症の一般的な自覚症状 脂質異常症が「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれる最大の理由は、病気がかなり進行するまで、ほとんど自覚できる症状が現れない点にあります。 痛みやかゆみ、倦怠感のようなわかりやすいサインがないため、健康診断で数値を指摘されても、つい放置してしまいがちです。 しかし、症状がないからといって、体の中で問題が起きていないわけではありません。 水面下で動脈硬化が静かに進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こすリスクをはらんでいます。 まれに、脂質異常症が重症化した場合や、遺伝的な要因が強い家族性高コレステロール血症などでは、特徴的な身体的サインが現れることがあります。 黄色腫(おうしょくしゅ): コレステロールが皮膚の下にたまってできる、黄色いできものや膨らみです。目のまぶたや、肘、膝、お尻などに見られることがあります。 アキレス腱黄色腫(けんおうしょくしゅ): アキレス腱が太く、硬くなります。これもコレステロールが沈着することによって起こります。 これらの症状は、脂質異常症がかなり進行しているサインかもしれません。 しかし、このような症状が現れる前に、定期的な健康診断で血液の数値をチェックし、異常があれば早期に対策を始めることがなによりも重要です。 脂質異常症がしびれの症状を引き起こすメカニズム 脂質異常症自体がしびれの原因になることは稀ですが、放置すると引き起こされるさまざまな合併症が、間接的に「しびれ」の症状をもたらすことがあります。 ここでは、その代表的なメカニズムを3つの観点から詳しく解説します。 動脈硬化による血流障害としびれの関係 糖尿病性神経障害としびれの関係 その他の合併症としびれの関係 ご自身の「しびれ」が、どのような体の変化によって起きているのかを理解する手がかりにしてください。 動脈硬化による血流障害としびれの関係 脂質異常症の最も深刻な影響の一つが、動脈硬化を促進してしまうことです。 動脈硬化とは、血管が弾力性を失い、硬く、もろくなってしまう状態を指します。 血液中に増えすぎた悪玉コレステロール(LDL)は、血管の内壁に入り込んで酸化され、プラークと呼ばれるお粥のような塊を形成します。 このプラークが血管の内側を狭くし、血液の流れを妨げるのです。 とくに、手や足の先にあるような細い血管(末梢血管)では、この影響が顕著に現れます。 動脈硬化によって血流が悪くなると、末梢の神経細胞に必要な酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。 その結果、神経が正常に機能できなくなり、「ジンジンする」「ピリピリする」といった「しびれ」や、足先が冷たく感じるといった症状が現れます。 さらに動脈硬化が進行すると、閉塞性動脈硬化症(ASO)という病気に至ることもあります。 この病気では、歩くと足が痛くなり、休むと楽になる特徴的な症状(間歇性跛行)が現れ、重症化すると足の組織が壊死してしまう危険性もあります。 糖尿病性神経障害としびれの関係 脂質異常症と糖尿病は、生活習慣の乱れという共通の土台を持つため、非常に密接な関係にあり、併発しやすいことが知られています。(文献2) 脂質異常症を放置していると、インスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性という状態を引き起こし、糖尿病の発症リスクを高める可能性があります。 そして、糖尿病の三大合併症の一つとして知られるのが糖尿病性神経障害です。 これは、糖尿病による高血糖の状態が長く続くことで、全身の神経、とくに手足の末梢神経がダメージを受ける病気です。 高血糖は、以下の2つのメカニズムで神経障害を引き起こし、しびれの原因となります。 神経細胞への直接的なダメージ:血液中の過剰な糖が、神経細胞内で代謝される過程でソルビトールという物質に変わり、これが神経細胞内に蓄積して神経の働きを妨げます。 神経への血流障害:高血糖は、神経に栄養を送る細い血管の動脈硬化も促進します。これにより血流が悪化し、神経細胞が酸欠・栄養不足に陥り、機能が低下します。 この糖尿病性神経障害によるしびれは、多くの場合、足の裏や指先から始まり、徐々に体の中心に向かって広がっていく特徴があります。 その他の合併症としびれの関係 動脈硬化や糖尿病のほかにも、脂質異常症が関与すると、しびれを引き起こす可能性のある病気が存在します。 例えば、甲状腺機能低下症もその一つです。 甲状腺ホルモンは全身の代謝をコントロールする重要なホルモンですが、このホルモンの分泌が低下すると、脂質代謝にも異常が生じ、脂質異常症を悪化させることがあります。 同時に、甲状腺機能低下症では、体のむくみ(粘液水腫)が神経を圧迫したり、神経そのものの働きが鈍くなることで、しびれや感覚の低下といった症状が現れることがあります。 また、肝臓は脂質代謝の中心的な役割を担う臓器です。 そのため、脂肪肝や肝硬変など、肝機能に障害が生じると脂質異常症を招きやすくなります。 肝機能の低下が進行すると、体内の毒素が十分に処理されなくなり、神経に悪影響を及ぼしてしびれを感じることもあります。 このように、脂質異常症は単独の問題ではなく、体のさまざまな機能と関連しあっています。 そのためしびれの症状がある場合は、こうした他の病気が隠れていないか多角的に原因を探ることが大切です。 脂質異常症改善のための生活習慣の見直しと実践方法 脂質異常症の治療の基本は生活習慣の改善です。 日々の少しの心がけが、血液中の脂質のバランスを整え、将来の大きな病気を防ぐことにつながります。 ここでは、すぐに始められる実践的な方法を3つの柱に分けてご紹介します。 食生活の改善ポイント 効果的な運動習慣の取り入れ方 禁煙・節酒の重要性 忙しい毎日の中でも無理なく続けられるヒントを見つけて、健康な体を取り戻しましょう。 食生活の改善ポイント 脂質異常症を改善するための第一歩は、毎日の食事を見直すことです。 とくに意識したいのは、摂取する「油の種類」と「食物繊維」です。 まず、「控えるべき油」と「積極的に摂りたい油」を知りましょう。(文献3) 油の種類 解説 控えるべき油 飽和脂肪酸:肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどに多く含まれます。悪玉コレステロール(LDL)を増やす原因。 トランス脂肪酸:マーガリン、ショートニングなどを使用するお菓子やパン、揚げ物などに含まれます。悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロール(HDL)を減らす原因。 積極的に摂りたい油 不飽和脂肪酸:青魚(サバ、イワシ、アジなど)に含まれるEPAやDHA、オリーブオイルやナッツ類に含まれるオレイン酸などが代表的です。これらは中性脂肪を減らしたり、悪玉コレステロールを減らしたりする働きが期待できます。 次に、コレステロールの吸収を穏やかにする「食物繊維」を十分に摂ることが大切です。 食物繊維 解説 水溶性食物繊維 海藻、きのこ、こんにゃく、大麦などに豊富です。腸内でコレステロールの吸収を妨げる働きがあります。 不溶性食物繊維 野菜、豆類、きのこ類に多く含まれます。便通を促し、腸内環境を整えます。 まずは、食事の最初に野菜や海藻のサラダ、きのこのスープなどを一品加えることから始めてみてはいかがでしょうか。 効果的な運動習慣の取り入れ方 食事改善と並行した定期的な運動は、脂質異常症の改善に効果的です。中性脂肪を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やす直接的な効果が期待できます。 特に推奨されるのは、ウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動です。 体脂肪をエネルギーとして燃焼し、脂質代謝を改善します。少し汗ばむ強度で1回30分以上が目標です。 まずは階段の利用や一駅分のウォーキングなど、日常で体を動かす機会を増やしましょう。 有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせると、さらに効果が高まります。筋肉量増加により基礎代謝が上がり、エネルギー消費しやすい体質になります。 無理のない範囲で週3回以上が理想です。(文献4) 禁煙・節酒の重要性 食事や運動と同じくらい、あるいはそれ以上に脂質異常症の改善と合併症予防に重要なのが、禁煙と節酒です。(文献5) 禁煙について タバコの有害物質は血管内壁を傷つけ、動脈硬化を促進します。また善玉コレステロール(HDL)を減らし、悪玉コレステロール(LDL)を酸化させて血管壁への蓄積を促します。 脂質異常症患者の喫煙は動脈硬化リスクを著しく高めるため、自力での禁煙が困難な場合は禁煙外来の利用を検討しましょう。 節酒について 過度の飲酒は肝臓での中性脂肪合成を促進し、高トリグリセライド血症の直接の原因となります。 高カロリーなおつまみも脂質異常症を悪化させるため、食べすぎには注意が必要です。 厚生労働省が示す適度な飲酒量は1日あたり純アルコール約20gです。これはビール中瓶1本、日本酒1合、ワイングラス1杯弱に相当します。 飲まない日を設けて、肝臓を休ませるのも大切です。 脂質異常症の症状|しびれへの再生医療のアプローチ 脂質異常症が進行し、動脈硬化によって手足の血流が悪化して「しびれ」などの症状が現れた場合、生活習慣の改善や薬物療法と並行して、新たな治療の選択肢が検討されることがあります。 その一つが「再生医療」という治療法です。 再生医療は、患者様自身の幹細胞や血液を使う治療法で、入院や手術を伴わないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を用いた再生医療を提供しております。 公式LINEでは、再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。 脂質異常症の症状でしびれを感じたら医療機関へ 今回は、手足のしびれと脂質異常症の関係について解説しました。 脂質異常症そのものが直接「しびれ」を引き起こすことはまれである一方、放置すると動脈硬化や糖尿病といった合併症につながり、結果として「しびれ」が現れる可能性があります。 このように自覚症状がないまま進行することが多いため、健康診断での数値チェックと、症状が出る前からの生活習慣の改善が非常に重要です。 もし、あなたが健康診断で脂質異常症を指摘されており、かつ手足のしびれにお悩みであれば、それは体からの危険信号かもしれません。 自己判断で放置せず、なるべく早く専門の医療機関を受診して原因を調べてもらいましょう。しびれの症状は、時として重篤な病気のサインである可能性もあります。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。お悩みの症状がある方は、ぜひ一度ご登録ください。 参考文献 (文献1) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会 (文献2) 糖尿病診療ガイドライン2024|日本糖尿病学会 (文献3) 日本人の食事摂取基準2020年版|厚生労働省 (文献4) 健康づくりのための身体活動基準2023|厚生労働省 (文献5) 喫煙・飲酒とHDLコレステロールの関連解析|J-MICC研究
2025.07.30 -
- 内科疾患
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「健康診断で脂質の数値を指摘されたけれど、脂質異常症と高脂血症って何が違うの?」「放っておくとどうなるのだろう」と、健康診断の結果を見て不安を感じた方も多いのではないでしょうか。 脂質異常症と高脂血症は、よく混同されがちな言葉ですが、近年、医療の現場では「脂質異常症」が正式な病名として使われています。 脂質異常症は、自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 本記事では、脂質異常症と高脂血症の違いから原因や基準値、予防・治療法、そして再生医療まで解説します。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。脂質異常症に関連する「しびれ」などの症状についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症と高脂血症の違い【結論:同じ病態の旧称と新称】 脂質異常症と高脂血症は基本的に同じ病態を指しますが、現在では「脂質異常症」が正式な診断名で、「高脂血症」は古い呼び方です。 かつては、血液中のコレステロールや中性脂肪が基準値より高い状態を総称して「高脂血症」と呼んでいました。 しかし、研究が進むにつれて、脂質の中でも「HDLコレステロール(善玉)」のように、基準値より「低い」状態が体に悪影響を及ぼす脂質があることがわかってきました。(文献1) このような脂質の異常を包括的に捉えるべく、2007年に日本動脈硬化学会が診断名を変更し、脂質の量が基準値から外れた状態をすべて含める形で「脂質異常症」という名称が使われるようになったのです。 【比較表】脂質異常症と高脂血症の診断範囲の違い 現在の正式な診断名である「脂質異常症」は、以前使われていた「高脂血症」よりも、より広い異常を対象としています。 以下の表では、脂質異常症と高脂血症の違いを整理しました。 脂質の種類 脂質異常症 (現在の診断名) 高脂血症(以前の考え方) HDLコレステロール (善玉) 低いことが問題 (基準に含まず) LDLコレステロール (悪玉) 高いことが問題 高いことが問題 トリグリセライド (中性脂肪) 高いことが問題 高いことが問題 このように、悪玉コレステロールや中性脂肪の増加に加え、善玉コレステロールの減少も含む状態を脂質異常症と呼びます。 より広い範囲の異常を的確に捉えるべく、高脂血症から脂質異常症へ診断名が変更されたわけです。 なぜ「高脂血症」から「脂質異常症」に名称変更されたのか 診断名が「高脂血症」から「脂質異常症」へ変更された理由は、病態の理解が進み、名称が実態と合わなくなったのが理由です。 以前は、LDLコレステロールや中性脂肪が基準より高い状態のみを問題とする「高脂血症」という名称が一般的でした。しかしその後の研究により、HDLコレステロールが基準より低い状態も、動脈硬化性疾患の重大なリスク因子であることが判明したのです。 したがって、「高脂血症」という表現では、「脂質が高い状態」のみが問題とされているような誤解を招く恐れがありました。このような背景を受け、2007年に日本動脈硬化学会は診断名を「脂質異常症」へと変更したわけです。 現在では、脂質値が高い場合だけでなく、低い場合も含めた異常として明確に捉えられるようになり、より適切な疾患管理と予防の啓発が可能になっています。 脂質異常症(高脂血症)の種類|基準値の違い・主な原因 脂質異常症は、血液中の脂質値が基準範囲から外れることで診断され、血液検査によって主に以下3つのタイプに分類されます。 高LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 高トリグリセライド血症(中性脂肪) ここでは、それぞれの特徴と日本動脈硬化学会が定めている診断基準値を解説します。 ご自身の健康診断の結果と見比べながら、どのタイプに当てはまる可能性があるのかを確認してみましょう。 高LDLコレステロール血症 高LDLコレステロール血症とは、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が基準値を超えて多くなった状態を指します。 LDLコレステロールが増加すると、血管の内壁に入り込み「プラーク」と呼ばれる塊を形成し、動脈硬化を進行させるため注意しなければなりません。プラークが破れると、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こす危険が高まるのです。 診断の基準は、空腹時の血液検査でLDLコレステロール値が140mg/dL以上とされています。(文献2) 主な原因は、肉の脂身やバターなど動物性脂肪の摂りすぎや慢性的な運動不足、さらには遺伝的な体質などが挙げられます。 低HDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症は、血管内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割をもつHDLコレステロール(善玉)が基準より少ない状態です。 HDLコレステロールが不足すると、血管内にコレステロールが蓄積しやすくなり、動脈硬化の進行を抑えにくくなります。 診断基準は、空腹時の採血でHDLコレステロール値が40mg/dL未満の場合です。(文献2) 喫煙習慣、運動不足、内臓脂肪型肥満といった生活習慣が主な要因とされており、生活習慣の改善が治療の基本になります。 高トリグリセライド血症(中性脂肪) 高トリグリセライド血症は、血液中の中性脂肪「トリグリセライド」が基準を上回る状態を指します。 中性脂肪は体のエネルギー源ですが、過剰に蓄積されると内臓脂肪として蓄えられ、動脈硬化のリスクを大きく高める要因となるため注意が必要です。 診断基準では、空腹時の血液検査においてトリグリセライド値が150mg/dL以上が異常とされます。(文献2) 白米やパンなど糖質の多い食事や過度の飲酒、過食、運動不足などが主な原因であり、バランスの取れた食事と生活習慣の見直しが重要です。 脂質異常症を放置するリスクとは?動脈硬化と関連疾患 脂質異常症を「症状がないから問題ない」と軽視することは、重大な疾患につながる危険な行為です。 脂質異常症は、進行しても自覚症状がほとんど現れないため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。血管内にコレステロールが沈着し、プラークと呼ばれる塊を形成して血管を狭くする「動脈硬化」という血管の老化現象を静かに進行させているのです。 プラークが破れると血栓ができ、血流が遮断されて命に関わる疾患を引き起こす恐れがあります。 脂質異常症を放置した結果、動脈硬化を原因として発症する主な疾患には以下のようなものがあります。 影響を受ける場所 主な病名 心臓 狭心症、心筋梗塞 脳 脳梗塞、脳出血 足の血管 閉塞性動脈硬化症(痛み、しびれ) 腎臓の血管 腎機能の低下 これらの疾患は、発症すると命に関わるだけでなく、日常生活にも大きな支障を及ぼします。 健康診断で脂質異常症が指摘された場合は、身体からの重要な警告として真摯に受け止め、早期に生活習慣の改善や対策を始めることが大切です。 脂質異常症(高脂血症)の治療法 脂質異常症の治療において最も重要な目的は、単に検査値を下げるのではなく、動脈硬化の進行を抑制し、将来的な心筋梗塞や脳卒中の予防につなげることです。 治療の基本は、病態の根本にある生活習慣の改善であり、以下の3つのアプローチが柱となります。(文献3) 食事療法 運動療法 薬物療法 まずは食事や運動の改善から開始し、それでも脂質値のコントロールが困難な場合や動脈硬化のリスクが高いと判断される場合には、薬物療法の併用が推奨されます。 では、以下で詳しく見ていきましょう。 食事療法|コレステロールを下げる脂質異常症(高脂血症)に良い食べ物 脂質異常症の管理では、日々の食事内容の見直しが治療の基本です。バランスの取れた食習慣で、血中脂質の改善と動脈硬化の予防につなげていきましょう。 以下では、控えるべき食品と積極的に摂取したい食品の例を挙げましたので、参考にしてみてください。 【控えるべき食品】 肉の脂身やバターなどに多い飽和脂肪酸 マーガリンや加工食品に含まれるトランス脂肪酸 精製された糖質(ご飯、パン、菓子類) アルコール類 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉)の増加を促進し、過剰な糖質とアルコールは中性脂肪の上昇に関係するため注意が必要です。 【積極的に摂取したい食品】 野菜、海藻、きのこ類に豊富な食物繊維 青魚やオリーブオイルに多く含まれる不飽和脂肪酸 水溶性食物繊維はコレステロールの吸収を抑制し、不飽和脂肪酸は血中脂質のバランスを整える作用があります。無理なく食習慣を改善するためにも、まずは1日1食からの見直しを意識してみましょう。 運動療法|脂質異常症の改善に効果的な運動 運動療法は、食事療法と並んで脂質異常症の改善に欠かせない要素です。有酸素運動には、HDLコレステロール(善玉)の増加とトリグリセライド(中性脂肪)を減少させる効果があります。 以下のように、手軽に始められる運動がおすすめです。 ウォーキング 軽いジョギング 水泳や自転車などの有酸素運動 「ややきつい」と感じる強度で、1回30分以上、週に3日以上を目標にしましょう。 忙しい場合は、10分×3回でも同等の効果が期待できます。たとえば、「一駅分を歩く」「エレベーターではなく階段を使う」など、日常の中に自然な形で運動を取り入れることから始めましょう。(文献5) なお、心臓病や膝関節に既往症がある方は、運動を開始する前に必ず医師の指導を受けてください。 薬物療法|脂質を下げる薬の種類と作用 食事療法や運動療法を継続しても脂質の数値が基準値まで改善しない、あるいは心筋梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが高いと医師が判断した場合には、薬物療法が検討されます。(文献4) ただし、薬物療法は生活習慣の改善を補助する手段であり、心筋梗塞の既往がある方や糖尿病を合併している方を除き、治療の主軸ではありません。自己判断での服薬中止や調整は避け、必ず医師の指示に従いましょう。 脂質異常症の治療で使用される主な薬剤には、以下の種類があります。 薬の種類 作用の概要 スタチン系薬剤 肝臓でのコレステロール合成を抑える、最も基本的な薬です。 フィブラート系薬剤 肝臓での中性脂肪の合成を抑え、分解を促します。 EPA・DHA製剤 青魚の油の成分で、中性脂肪の合成を穏やかに抑えます。 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(エゼチミブ) 小腸でのコレステロールの吸収を妨げます。 なお、いずれの薬剤にも副作用の可能性があり、筋肉の痛み、脱力感、肝機能の異常などが見られるケースがあります。薬を服用している間に体調の変化を感じた場合には、速やかに主治医に相談しましょう。 脂質異常症の薬については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方は参考にしてみてください。 脂質異常症(高脂血症)の予防法|今日からできる生活習慣の改善 脂質異常症は、将来的な動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高める疾患ですが、発症の多くは日々の生活習慣と密接に関連しています。 とくに、偏った食事や運動不足、喫煙、肥満といった要因は血中脂質の異常を引き起こしやすく、早期からの対策が必要です。 ここでは、今日から始められる4つの具体的な改善策を紹介します。 食事を管理する 脂質異常症の予防には、毎日の食事内容の見直しが欠かせません。 過剰なカロリーや飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の摂取は、LDLコレステロールや中性脂肪を増加させ、動脈硬化のリスクを高めます。 また、糖質やアルコールの摂りすぎも中性脂肪の上昇につながるため、控えめにしましょう。 なかでも、以下の5点が重要です。 カロリー摂取量を適正に保つ 飽和脂肪酸(肉の脂身、バターなど)を控える トランス脂肪酸(マーガリン、加工食品など)を避ける 甘いもの・炭水化物の過剰摂取を控える アルコール摂取を減らす さらに、野菜や海藻、青魚などを積極的に取り入れると、コレステロール吸収の抑制や脂質バランスの改善が期待できます。 身体活動・運動に取り組む 運動不足は、HDLコレステロールの低下や中性脂肪の上昇につながり、脂質異常症の進行要因となるため要注意です。 有酸素運動には、脂質代謝を改善し、心血管疾患のリスクを下げる効果が認められています。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を「ややきつい」と感じる強度を目安に行いましょう さらに、運動の「質」と「量」をより明確に把握するための指標として、「メッツ(METs)」が役立ちます。メッツは、身体活動の強度を数値化した単位で、安静時のエネルギー消費量を「1メッツ」と定義し、それに対して何倍のエネルギーを消費するかを表します。 たとえば、普通の歩行は約3メッツ、軽いジョギングは約6メッツとされており、活動の強度を客観的に評価する際に有用です。 厚生労働省のガイドライン(2023年案)では、生活習慣病予防のために「週23メッツ・時以上」の身体活動を推奨しています。(文献5)これには、3メッツの活動を週に約8時間、または6メッツの活動を週に約4時間などが該当します。 無理なく減量する 過体重や肥満は、LDLコレステロールや中性脂肪の増加、HDLコレステロールの低下に直結するリスク因子です。 しかし、急激な減量や過度な食事制限は健康を損なう恐れがあるため、無理のないペースでの減量が推奨されます。 実際、無糖尿病の肥満者40人を対象にしたランダム化比較試験では、体重のわずか5%の減少で肝臓や脂肪組織、筋肉のインスリン感受性が大きく改善し、心血管疾患のリスク因子が良好な方向に変化したと報告されています。(文献8) 体重を少し減らすだけでも、脂質代謝に良い影響をもたらす可能性があるため、適切な食事制限と定期的な運動を組み合わせて無理なく体重を管理しましょう。(文献6) 禁煙する 喫煙は、HDLコレステロールを低下させる要因の一つであり、脂質異常症の悪化や動脈硬化の進行に関与します。たとえタバコの本数が少なくても、血管内皮機能に与えるダメージは大きく、予防の観点から禁煙は不可欠です。 各国の合計45本の研究を対象とした大規模なメタ解析では、禁煙によってHDLコレステロールが平均0.06 mmol/L(約2.3 mg/dL)上昇することが確認されました。(文献7) 禁煙は単に肺への負担を減らすだけでなく、脂質代謝の改善にも明確な効果が期待できます。禁煙は、脂質異常症の予防・治療において欠かせない取り組みです。 まとめ|脂質異常症(高脂血症)は早期発見と継続的な対策が重要 脂質異常症は、LDLコレステロール(悪玉)の上昇だけでなく、HDLコレステロール(善玉)の低下や中性脂肪の増加など、血中脂質の広範な異常を指す病態です。 放置すると、血管の老化が静かに進行し、動脈硬化を通じて心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる疾患を引き起こすリスクが高まります。 脂質異常症は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がほとんど現れないまま進行する点に注意が必要です。症状がなくても年に1回は健康診断を受け、自分の脂質値を把握しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に応用されている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 脂質異常症(高脂血症)に関するよくある質問 略語の「dL」と「hl」とは何ですか? 「dL」はデシリットル(deciliter)の略です。 1dLは100mLに相当し、血液検査ではコレステロールや中性脂肪などの濃度を「mg/dL(ミリグラム・パー・デシリットル)」で表しています。 一方、「hl」は「hyperlipemia(高脂血症)」の略で、血中脂質の異常(現在の脂質異常症)を指す医療現場での略語です。日本の診断名としては、2007年以降「脂質異常症」という名称が公式に用いられています。 脂質異常症と高コレステロール血症の違いは? 脂質異常症は、LDLコレステロールが高い状態だけでなく、HDLコレステロールが低い状態や中性脂肪が高い状態も含めた総称です。 一方、高コレステロール血症はコレステロールやLDLコレステロールが高い状態を指す名称で、脂質異常症のうち「コレステロール値の高値」に焦点を当てています。 2007年の動脈硬化性疾患予防ガイドラインの改訂で「高脂血症」は「脂質異常症」に名称変更され、より幅広い脂質異常を包括する定義となりました。 脂質異常症(高脂血症)と糖尿病の関係は? 脂質異常症と糖尿病は、いずれも動脈硬化のリスク因子です。両者が合併するとその影響は相乗的になり、動脈硬化の進行がさらに加速します。 糖尿病患者はインスリン抵抗性の影響で中性脂肪が増え、HDLコレステロールが低下しやすくなるため、両疾患の管理を連携して行うことが重要です。 参考文献 (文献1) 脂質異常症(高脂血症)|日本医師会 健康の森 (文献2) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会 (文献3) 脂質異常症|厚生労働省 e-ヘルスネット (文献4) 脂質異常症治療のエッセンス|日本医師会編 (文献5) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省 (文献6) Effects of Moderate and Subsequent Progressive Weight Loss on Metabolic Function and Adipose Tissue Biology in Humans with Obesity|PubMed (文献7) The effect of quitting smoking on HDL-cholesterol - a review based on within-subject changes|Biomarker Research (文献8) In obese patients, 5 percent weight loss has significant health benefits|WashU Medicine(Washington University School of Medicine in St. Louis)
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脂質異常症は、自覚症状がないため、知らず知らずのうちに進行してしまう疾患です。 しかし、そのまま放っておくと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などといった重篤な病気につながる可能性があります。 その一方で「どの薬を選べば良いのか」「副作用が心配」といった声も多く聞かれるのが現状です。 本記事では、脂質異常症の薬物治療について詳しく解説いたします。 薬の種類や効果、副作用のリスク、服用期間、そして薬に頼らない選択肢まで、専門医の視点からお伝えします。 ぜひ記事を最後まで読んで、脂質異常症薬への理解を深めましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脂質異常症に関連する「しびれ」などの症状についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脂質異常症とは?その診断基準と薬の必要性 まず脂質異常症がどのような状態を指すのか、その診断基準について解説します。 そして、なぜ早期の診断と適切な治療が重要なのか、放置した場合のリスクについても詳しくお伝えします。 ご自身の健康状態を正しく理解し、適切な治療につなげるための参考にしてください。 脂質異常症の診断基準について 脂質異常症とは、一定の基準値よりもLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高い、または、HDL(善玉)コレステロールが低い状態です。 脂質異常症の診断では、まず採血による血液検査でLDLコレステロール値とHDLコレステロール値、中性脂肪値の測定から行います。 採血前日は、高脂肪食や高カロリー食を控え、禁酒し、12時間以上の絶食を行った状態の採血が必要です。 これらの値が下記いずれかに該当すると「脂質異常症」と診断されます。(文献1) LDL(悪玉)コレステロール値が140 mg/dL以上の場合 なお、LDLコレステロールが120〜139mg/dLは境界域といわれ、糖尿病や高血圧の合併がある場合は治療が必要となることがあります。 HDL(善玉)コレステロール値が 40 mg/dL未満の場合 中性脂肪が150 mg/dL以上の場合 ただし、単に数値が基準を超えればすぐに投薬するわけではありません。 診断の際には、年齢・性別・既往歴(心筋梗塞や脳卒中の経験)、家族歴(家族性高コレステロール血症の疑い)、喫煙歴、高血圧や糖尿病などの合併症も総合的に評価します。 この基準値に応じて、薬物治療のタイミングや方法が決まるので、ご自身の目標値については、医師にご相談ください。 脂質異常症治療薬の必要性と放置するリスク 脂質異常症は、自覚症状がないため、健康診断などで発見されることが多いです。 治療せずに放置すると、HDLコレステロールの減少やLDLコレステロールの増加により、動脈の壁に脂肪の塊(プラーク)を作ってこびりつき、その結果、動脈硬化になります。 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や狭心症、脳卒中や脳梗塞などの重篤な病気になるリスクが高まります。 脂質異常症の薬について|主要な薬剤の種類 脂質異常症の治療には、主に以下の薬が使われます。 薬剤の種類 主な効果・特徴 スタチン系製剤 血液中のLDLコレステロール値を低下させる 1日1回の経口投与 PCSK9阻害薬 (エボロクマブ) 血液中のLDLコレステロール値を低下させる スタチン系製剤でLDLコレステロール値が十分に低下しない場合や、家族性高コレステロール血症、スタチン不耐の患者に使われる 皮下注射で、通常2週間に1回または1カ月に1回投与 自宅での自己注射が可能 siRNA薬 (インクリシラン) 血液中のLDLコレステロール値を低下させる スタチン系製剤でLDLコレステロール値が十分に低下しない場合や、家族性高コレステロール血症、スタチン不耐の患者に使われる 皮下注射で、通常6カ月に1回投与 医療機関でのみ投与 ベムペド酸 血液中のLDLコレステロール値を低下させる スタチン系製剤で副作用が出たり、LDLコレステロール値の低下が不十分な場合に使われる 1日1回の経口薬 その他の脂質改善薬 エゼチミブ(小腸でのコレステロール吸収を阻害する薬) フィブラート系製剤 EPA製剤 陰イオン交換樹脂 スタチン系製剤 スタチン系製剤は、肝臓でコレステロールが作られる際に働く「HMG-CoA還元酵素」という酵素の働きを阻害し、体内のコレステロール合成を抑えます。 その結果、血液中のLDL(悪玉)コレステロールが減少し、動脈硬化の進行を抑える効果が期待できます。 スタチン系製剤の特徴は、その種類や服用量によってコレステロールを下げる効果の強さが異なることです。 大きく分けて「スタンダードスタチン」と、スタンダードスタチンより作用が強い「ストロングスタチン」の2種類があります。 どの種類や量を使うかは、患者様の検査結果や病気のリスク、副作用の出方などによって、医師が総合的に判断します。 これらのスタチン系製剤の多くは、1日1回の服用が可能な経口薬です。 主な副作用には、以下の症状が挙げられます。 筋肉痛や筋力低下 消化器症状(胃の不快感、吐き気、便秘) 発疹 肝機能障害 少しでも体の異変を感じたら、自己判断で薬の服用を中止せず、速やかに医師に相談してください。 PCSK9阻害薬 PCSK9阻害薬は、スタチン系製剤の服用が難しい場合、スタチン系製剤と併用で検討される薬剤です。 肝臓で作られるPCSK9タンパク質の働きを阻害することで、血管からLDLを肝臓に取り込む受け皿であるLDL受容体を増加させます。この作用によって、血中のLDL(悪玉)コレステロールを下げられます。(文献2) PCSK9阻害薬は、スタチン系製剤では⼗分に LDLコレステロール値が低下しない方や家族性⾼コレステロール⾎症の方、冠動脈疾患、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患を経験し、再発予防が必要な方に有効な治療薬です。 日本で現在使用されているPCSK9阻害薬には、エボロクマブ(レパーサ)やアリロクマブ(プラルエント)などがあります。 投与は皮下注射で投与され、通常は2週間に1回、または月に1回の頻度で投与されます。 自宅での自己注射が可能なため、通院の負担を軽減できます。 副作用には、疼痛、紅斑、発疹などの反応を引き起こす可能性があります。副作用が出たら速やかに医師に相談してください。 siRNA薬(インクリシラン) siRNA薬は、肝臓で産生される特定のタンパク質、PCSK9の生成を抑えることでコレステロールを低下させる薬剤です。 siRNA薬はこのPCSK9の数を減らすことで、血液中のLDLコレステロール値を下げる効果を発揮します。 以下のような患者様にsiRNA薬は有効な治療薬とされています。 スタチン系製剤だけではLDLコレステロール値が十分に低下しない方 家族性高コレステロール血症の方 すでに心臓や脳の動脈硬化疾患をお持ちでコレステロール管理が不十分な方 siRNA薬は、皮下注射で投与され、成人には初回に300mgを投与し、その後3カ月に2回目の投与を行います。 それ以降は6カ月ごとに定期的に投与されます。この薬はPCSK9阻害薬と違い、医療機関でのみ投与可能なため、自己管理による投与忘れの心配はありません。 siRNA薬の副作用には、注射した部位に疼痛、紅斑、発疹などの反応を引き起こす可能性があります。 副作用が出た場合は、速やかに医師に相談してください。 ベムペド酸 ベムペド酸は、スタチン系製剤で副作用が出たり、LDLコレステロール値の低下が不十分な場合に処方されることがある薬剤です。 作用としては、肝臓に存在するATPクエン酸リアーゼという酵素を阻害し、コレステロールの合成を抑制します。 この酵素は肝臓に多く存在する酵素で、肝臓のコレステロール合成が減ることで、血中のLDLコレステロールが下がる効果が期待できます。 1日1回の経口薬で、日本では2024年11月26日に大塚製薬が製造販売承認申請を行っており、承認されれば処方される可能性があります。(文献3) ベムペド酸の副作用には、痛風・胆石症の発症率の上昇、血清クレアチニン・尿酸・肝酵素レベルが上昇する可能性があります。 その他の脂質改善薬(エゼチミブ、フィブラート製剤、EPA製剤、陰イオン交換樹脂) 脂質異常症の治療には、これまでにご紹介したスタチン系製剤やPCSK9阻害薬、siRNA薬以外にも、患者様の状態や脂質のタイプに合わせて、様々な薬剤が用いられます。 ここでは、その他の脂質改善薬について、その作用と特徴を解説します。 エゼチミブ(小腸コレステロールトランスポーター阻害剤) エゼチミブは、小腸におけるコレステロールの吸収を阻害します。 その結果、血液中のLDLコレステロールや総コレステロールの濃度が低下する薬で、1日1回の経口服用薬です。 スタチン系製剤を服用できない人の治療にも使用されますが、スタチン併用でLDLコレステロール値を下げることが報告されています。 エゼチミブの主な副作用には、発疹や消化器症状(便秘、下痢、腹痛、腹部膨満、吐き気、嘔吐)などがあります。 このような症状が現れた場合は、医師に相談してください。 フィブラート系製剤 フィブラート系製剤は、中性脂肪を下げる働きがあり、LDLコレステロールを減少させるとともに、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果も期待できる薬で、1日1回の経口服用薬です。 スタチン系製剤と併用すると副作用として、筋肉の細胞が破壊される横紋筋融解症などの症状が起こるリスクが高まります。そのため、治療上併用する場合は医師の指導のもとでの服用が重要です。 EPA製剤(イコサペント酸エチル) EPA製剤は、血液中の中性脂肪を低下させ、血行を改善する効果があります。 EPA製剤には、サプリメントとして市販されているものと、高脂血症治療薬として処方される医療用医薬品の2種類ありますが、高脂血症治療薬として処方されるものは医師の診断と処方箋が必要です。 EPA製剤の主な副作用には、発疹や消化器症状(下痢、腹部の不快感、吐き気、嘔吐)などが報告されています。 陰イオン交換樹脂 陰イオン交換樹脂は、腸内で胆汁酸と結合して体外に排出させることで、血中コレステロール値を低下させる効果を持つ薬剤です。 スタチン系製剤が使用できない症例や併用薬として処方されてます。 陰イオン交換樹脂の主な副作用には、発疹や消化器症状(便秘、下痢、食欲不振、吐き気)があります。 飲み合わせや服用時の注意点 脂質異常症薬と他の薬や食品との飲み合わせや、日常生活で気を付けるべき点について解説します。 スタチン系製剤(アトルバスタチンとリピトール)+グレープフルーツジュース グレープフルーツに含まれる成分が薬の分解を妨げ、血中濃度が高くなり、薬の効果が強くなりすぎてしまう可能性があります。(文献4) グレープフルーツジュースの影響は、数日間におよぶこともあるといわれているため、薬を服用している間はグレープフルーツジュースを飲まないように注意しましょう。 同じ柑橘系の果物でも、みかんやオレンジは一緒に食べても影響を与えないと言われています。 スタチン系製剤+フィブラート系製剤 中性脂肪を下げる目的で併用されることがありますが、筋肉障害のリスクがやや高まります。(文献6) クレアチンキナーゼ(CK:筋肉の損傷を示す検査値)測定を定期的に行い、異常があれば片方を減量・中止することもあります。 EPA製剤+抗凝固薬 EPA製剤には血液をサラサラにする作用があり、抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用中の方は出血傾向があるので注意が必要です。出血を伴う医療行為(抜歯、外科手術など)を行う場合には医師に相談しましょう。 胆汁酸吸着樹脂と他の経口薬 胆汁酸吸着樹脂は、他の薬剤の吸収を遅延・阻害する可能性があるため、服用時間を2時間以上空ける必要があります。 服用する薬剤の種類や量によっては、さらに時間を長く空ける場合もあるため、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。 脂質異常症の薬は一生飲み続ける?服用期間と中断の可能性 脂質異常症の薬は、多くの場合、長期的に服用を続けることが推奨されます。 しかし、必ずしも一生飲み続けなければならないわけではありません。 服用期間の目安は、患者様お一人おひとりの病状やリスク、生活習慣の改善状況によって異なります。 また、脂質異常症の原因は、家族性高コレステロール血症など遺伝的な要因を除き、食生活の偏りや運動不足、喫煙、アルコールの過剰摂取、他の疾患(糖尿病や肥満など)だといわれています。 治療の基本は生活習慣の見直しであり、薬を服用している間も食事・運動・減量・禁煙といった取り組みが欠かせません。こうした改善が進めば、薬の減量や将来的な服薬中止につながる可能性もあります。 重要なポイントとして、血液検査の結果、コレステロール値が改善しても自己判断で服用を中止しないでください。 事例をあげると、フランスの研究では、75歳以上の高齢者が予防のために服用していたスタチンを中止した場合と、継続した場合で比べると、中止した時の方が心血管イベントによる入院リスクが増加したことがわかっています。(文献5) 脂質異常症の薬に関するお悩み事はためらわずに医師へご相談ください ここまで脂質異常症と薬の治療について紹介しました。 コレステロールの数値や薬について、疑問や不安が生まれるのは当然のことです。 脂質異常症は、放置すると心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気につながる可能性があるため、生活習慣の改善が非常に重要です。 一方で、薬による治療も大切です。LDL(悪玉)コレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬など、薬によって効果や特徴は異なりますが、医師は患者様を診断し処方する薬を選定します。 飲み合わせによってはさらに悪化する可能性もあるため、事前に医師にどのような薬を服用しているか伝え、副作用が起きるような場合も医師に早く相談しましょう。 脂質異常症の治療は、一人で抱え込むものではありません。 不安を抱えたまま治療を続けるのは精神的な負担にもなりますので、小さなことでもためらわず、医師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献2) レパーサ皮下注140 mgペン 添付文書|PMDA (文献3) 高コレステロール血症治療薬「ベムペド酸」製造販売承認申請について|大塚製薬 (文献4) 薬物間相互作用―グレープフルーツジュースとスタチン|日本臨床薬理学会誌 (文献5) Statin discontinuation and cardiovascular events in 75-year-olds|European Heart Journal (文献6) Incidence of hospitalized rhabdomyolysis with statin-fibrate therapy|PubMed
2025.07.30 -
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「最近目がかすむようになった」 「視界がぼやける感じがする」 糖尿病と診断されている中で、このような症状が出てきて「糖尿病で失明する」と聞き、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 実際に、糖尿病の合併症として視力障害が存在します。 しかし、血糖値のコントロールや定期的な眼科受診による経過観察で視力を回復させることや悪化を防止させることは可能です。 本記事では糖尿病と失明の関係や、視力低下への対処法などを紹介します。 視力に対する不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。 糖尿病で失明する原因 糖尿病は全身の血管に影響を及ぼす慢性疾患であり、目の組織にも深刻な障害を引き起こします。 失明に至るのも決してまれではなく、進行するまで自覚症状が乏しいため、発見が遅れるケースも少なくありません。 失明を防ぐには、糖尿病が視覚にどのような影響を及ぼすのかを正しく理解することが重要です。 ここでは、糖尿病によって引き起こされる主な失明の原因と、その他の関連疾患について解説します。 糖尿病網膜症 糖尿病網膜症は、高血糖による網膜の血管障害(糖尿病性細小血管症)によって発症する、糖尿病で失明に至る主な原因の一つです。 進行の程度に応じて、以下の3段階に分類されています。 単純糖尿病網膜症:網膜の毛細血管がこぶ状になり、血液や脂質が漏れ出して網膜に付着する 増殖前糖尿病網膜症:毛細血管が閉塞し、網膜や神経への血流が不足する 増殖糖尿病網膜症:もろい新生血管が破れて出血を起こしたり、網膜剥離が生じたりして、視力が大きく低下する 糖尿病網膜症は失明に至る危険性がある怖い病気であり、少しでも異常を感じたら眼科を受診しましょう。 糖尿病網膜症については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。 視覚障害につながるその他の疾患 糖尿病が原因で視覚障害につながる、その他の疾患については以下の表にまとめました。 疾患名 特徴・症状 予後 糖尿病視神経症 網膜症の有無に関係なく発症する視神経の循環障害。突然の高度な視力障害が現れる。片眼性が多い。 不良 糖尿病眼球運動障害 眼球を動かす筋肉が障害され、物が二重に見える(複視)。 良好 糖尿病ぶどう膜炎 ぶどう膜の前部に炎症が起こる。点眼治療で軽快するが、長期化することもある。 経過により異なる 糖尿病角膜症 角膜表面が障害され、知覚低下により傷や感染に気づきにくい。涙の分泌も減少傾向。 感染などの管理が重要 糖尿病黄斑浮腫 網膜の中心「黄斑」にむくみが発生し、視力が低下する。 治療により改善可能 その他の合併症 屈折異常や白内障など、糖尿病により発症または悪化する眼疾患。 種類により異なる 糖尿病による失明の前兆 糖尿病網膜症の特徴として、失明の危険がある重大な疾患にもかかわらず、症状が現れにくい点が挙げられます。 高血糖が持続している場合、眼底検査で異常が見られなくても、網膜の毛細血管はすでに損傷を受け始めている場合があるのです。 とくに単純糖尿病網膜症や増殖前糖尿病網膜症では、出血や毛細血管の閉塞が進んでいても、自覚症状が出ないケースがあります。 自覚症状がないまま病状が進行して増殖糖尿病網膜症になると、新生血管や硝子体出血が起こって以下のような症状が現れます。 物が見えづらい ぼんやりと見える 視野に黒い影が見える(飛蚊症) 明暗の見え方が鈍くなる 視界に光がチカチカする 硝子体出血や網膜剥離が「黄斑」に及ぶと、視力を回復できなくなって失明に至る恐れがあります。 これらの症状が見られた場合は、速やかに眼科を受診しましょう。 また、前兆が現れる前に進行している場合もあるため、自覚症状がなくても年1回の眼科検診が推奨されます。 糖尿病による視力低下への対処法 糖尿病による視力低下を防ぐには、症状が現れる前の段階からの的確な対処が重要です。 視力障害は糖尿病の進行とともに現れる可能性があり、対処が遅れて適切な治療が行われないと、視力が大きく低下するケースがあります。 しかしながら、早期発見と治療を実施すれば重症化を防ぎ、視力の維持または改善を目指すことは可能です。 糖尿病網膜症に対する治療法は進歩しており、状態に応じた適切な対応が視力を守る鍵となります。 ここでは、視力低下への具体的な対処法を2つの側面から詳しく解説します。 早期発見と早期治療 糖尿病網膜症による視力障害を防ぐには、早期発見と早期治療が欠かせません。 米国眼科学会の報告によれば、糖尿病網膜症の患者の約90%が早期に治療を受けることで、重度の視力低下を防げるとしています。(文献1) ただし、治療の効果を期待できるのは、定期的に眼科検診を受けている場合に限られる点に留意しておきましょう。 アメリカ国立眼科研究所も、血糖コントロールと眼科での適切な治療が失明予防の鍵であると示しています。(文献2) 網膜は一度損傷を受けると元に戻すのが難しいため、治療は回復ではなく進行を抑えるのが目的になります。 したがって、異常が出る前からの検査と治療が極めて重要です。 視力回復につながる主な治療法 糖尿病網膜症による視力障害の進行を抑え、視力の維持・回復を目指す治療法には、以下のような選択肢があります。 レーザー治療 抗VEGF薬注射 硝子体手術 レーザー治療は新生血管の発生を防いだり、すでにできた血管を退縮させたりするのが目的です。 「汎網膜光凝固(はんもうまくひかりぎょうこ)」という方法では、酸素が足りない部分の細胞をレーザーで処理し、悪い血管の増えすぎを防ぎます。 視力低下前の予防的治療としても有効で、失明率を低下させる効果が期待できると考えられています。 抗VEGF薬注射は、ものを見るうえで大事な「黄斑」部分が腫れてしまう「黄斑浮腫」という症状に対する治療法です。 目の中に直接注射してむくみを沈める治療法で、見え方の改善が期待されます。 硝子体手術は、目の奥の「硝子体」からの出血やにごりを取り除き、網膜の機能改善を目的とする手術です。 糖尿病による失明を防ぐために必要なこと 糖尿病による失明を防ぐには、眼科での定期的な検査と全身の健康管理が不可欠です。 とくに、眼の自覚症状がない段階から最低でも年1回の眼底検査を受け、主治医の指示に従って治療を進めていきましょう。 定期検査によって網膜の状態を客観的に把握でき、早期の適切な治療で失明のリスクを大きく減らすことが可能です。 さらに、日頃から生活習慣病に注意し、血糖値・血圧・脂質の適切なコントロールも欠かせません。 血糖値・血圧・脂質の数値は糖尿病網膜症の発症・進行に深く関与しており、バランスのとれた健康管理が視力を守る基本となります。 糖尿病の合併症を防ぐ生活習慣病については、以下の記事も参考にしてください。 糖尿病による失明を防ぐためにも自己管理を徹底しよう 糖尿病による失明は、適切な対策により予防可能です。 糖尿病の影響から視力を守るためには、まず血糖・血圧・脂質のコントロールを徹底することが基本となります。 また、眼の自覚症状がなくても、定期的な眼科での検査も大切です。 異常を感じた際には放置せず、すぐに受診することが早期発見・早期治療につながります。 今回の記事を参考に、日常的な自己管理と定期的な検査で大切な視力を守りましょう。 リペアセルクリニックでは、糖尿病に対する再生医療にも対応しています。 公式LINEでは、無料オンライン診断を実施しているので、糖尿病治療中で視力低下や失明に関する不安を抱えている方はご相談ください。 糖尿病と失明に関するよくある質問 糖尿病網膜症の検査にはどのようなものがありますか? 糖尿病網膜症では、以下のような検査が行われます。 屈折検査 眼底検査 眼圧測定 細隙灯顕微鏡検査 糖尿病患者は網膜症と診断されていなくても、年1回の眼科受診が推奨されています。 視力低下や失明を未然に防ぐためにも、定期的に検査を受けましょう。(文献3) 糖尿病による失明は突然起こりますか? 糖尿病による視力低下や失明は通常ゆっくりと進行し、初期には自覚症状がないケースも少なくありません。 進行した網膜症が原因で硝子体出血や網膜剥離が起きると、急激な視力低下に至る場合もあるため注意が必要です。(文献4) 視力が低下すると、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼす上、患者本人のみならず家族への負担も大きくなります。 症状の有無に関わらず、定期的な眼科での検診が大切です。 参考文献 (文献1) Rodríguez A, et al. (2024). The Role of Early Detection in Preventing Vision Loss from Diabetic Retinopathy. Journal of Diabetic Complications & Medicine, 9(5), pp.1―2. (文献2) National Eye Institute「Diabetic Retinopathy」 (文献3) 国立国際医療研究センター「網膜症」 (文献4) 公益社団法人 日本眼科医会「糖尿病網膜症による視力低下―予防と治療― ~運転免許証や仕事を失わないために~」
2025.06.30 -
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「血液のがん」と聞いて、不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。 目に見える腫瘍を形成せず症状が分かりづらいため、正しい理解と早期発見が極めて重要です。 本記事では、血液がんの基礎知識から種類別の特徴・原因・症状・治療法、さらには生存率や罹患割合といったデータまで、信頼性の高い情報に基づいて詳しく解説します。 血液がんと診断された方やご家族の不安を少しでも軽減したい方は、参考にしてください。 血液がんの種類一覧表 血液がんの主な種類と症状を表にまとめました。 それぞれの発症する原因や症状、治療については種類をクリックして詳細をご覧ください。 血液がんの種類 主な症状 白血病 発熱・倦怠感・出血・感染症・リンパ節の腫れ 悪性リンパ腫 発熱・倦怠感・寝汗・体重減少・リンパ節の腫れ 多発性骨髄腫 骨の痛み・腰痛・免疫機能の低下・貧血・高カルシウム血症 白血病とは 白血病とは、血液をつくる細胞に異常が起こり、正常な血液が作れなくなる病気です。 本来なら、血液のもとになる細胞(造血幹細胞)は成長して赤血球や白血球などになりますが、白血病ではその細胞が異常なまま増え続けてしまいます。 その結果、体に必要な正常な血液が足りなくなり、貧血や感染にかかりやすくなるなど、さまざまな症状があらわれます。 白血病は、以下のように急性・慢性に分類されています。 急性骨髄性白血病(AML) 急性リンパ性白血病(ALL) 慢性骨髄性白血病(CML) 慢性リンパ性白血病(CLL) 白血病の原因 白血病の原因は未だ完全には解明されておらず、明確な原因を特定できないケースが一般的です。 たとえば、以下のような多因子が関与しているとされています。 放射線やベンゼンなどの化学物質への長期曝露 遺伝的要因や先天性疾患(ダウン症など) がん化の引き金となる染色体異常 既存の血液疾患 これらの要因が複合的に作用し、造血細胞ががん化すると考えられています。 白血病の症状 白血病では、がん化した未熟な血液細胞が正常な働きを阻害し、さまざまな症状が現れます。 血液をつくる働きが弱まる「造血障害」、がん細胞が他の臓器に広がる「臓器浸潤」、そして体全体に影響する「全身症状」の3つに分けてご紹介します。 <造血障害による症状> 貧血症状:赤血球減少による疲労感・息切・顔色不良・倦怠感・めまい・動悸 出血傾向:血小板減少による、あざや鼻血、歯茎出血 免疫低下:正常な白血球が不足による、発熱・咳・口内炎・感染症 <臓器浸潤による症状> 肝臓・脾臓・リンパ節が腫大 中枢神経(脳・脊髄)や皮膚への浸潤で関連症状(頭痛、神経症状、皮疹など) 播種性血管内凝固症候群を合併して出血 <全身症状> 発熱、倦怠感、体重減少、食欲不振、不明熱 上記のような症状があるケースでは、血液検査や骨髄検査によって白血病かどうかを医師が診断します。 白血病の治療 白血病の治療法は種類や病期などさまざまな要因で異なり、複数の治療アプローチの検討が必要です。 以下に代表的な治療法の特徴をまとめました。 化学療法 急性白血病の標準治療。抗がん剤を計画的に投与します。 分子標的療法 慢性骨髄性白血病には、がん細胞の増殖を抑える薬(イマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬)が使われます。 造血幹細胞移植 再発リスクが高い型や完全寛解に至らない場合、ドナーからの同種移植が検討されます。(年齢・体力・適合性を総合判断) 治療方針は、以下の内容に応じて専門医が判断します。 病型 リスク分類 患者の全身状態 年齢 合併症の有無 遺伝子異常の有無 急性の白血病の場合は、速やかな集中治療が必要です。 慢性白血病は、長期管理と治療開始のタイミングの調整がポイントになります。 悪性リンパ腫とは 悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化し、リンパ節や全身の臓器に腫瘤を形成する血液がんの一種です。 なかでも、リンパ球が異常に増える「非ホジキンリンパ腫」は悪性リンパ腫の約90%を占め、とくに高齢者に多く見られます。 リンパ節にしこりができる「ホジキンリンパ腫」は、若年層にも発症しやすい傾向があります。 悪性リンパ腫の原因 悪性リンパ腫は、リンパ球という血液の細胞に遺伝子の異常が起こり、リンパ球が死なずに増えすぎてしまうのが発症の原因です。 歳をとったり、体に炎症が長く続いたり、放射線をたくさん浴びたりすると、異常が起きやすくなるケースがあります。 また、以下のような特定のウイルスや菌に感染することで発症する場合もあります。 HTLV-1 ピロリ菌 また、免疫力が弱い人や自己免疫の病気がある人もなりやすく、悪性リンパ腫にかかる可能性が高まるとされています。 悪性リンパ腫の症状 悪性リンパ腫では、はじめに「痛みのないしこり」が体にできるのが特徴です。 とくに、以下の部分にしこりができます。 首 わきの下 足のつけ根 また、病気が進んでくると、以下のような症状も現れます。 38度以上の熱が続く 体がだるくなる 食べているのに体重が減る 夜にたくさん汗をかく さらに進行すると、がんが肺や気道を圧迫して息苦しさを感じたり、脳や神経に広がって手足が動かしにくくなったり、意識がぼんやりすることもあります。 また、肝臓や肺に広がった場合には、肌や目が黄色くなる黄疸(おうだん)や呼吸がしづらいといった症状が出るケースもあります。 悪性リンパ腫の治療 悪性リンパ腫は病型や病期、患者の状態、悪性度、臓器浸潤の状況などによって適した治療法が異なります。 以下に、代表的な治療法をまとめました。 化学療法(標準治療) 抗がん剤を使用する、悪性リンパ腫の中心となる治療法 放射線療法 病気の広がりが少ない場合、化学療法に加えて行う放射線を利用した治療法 造血幹細胞移植 自分自身や他人から健康な血液のもとになる細胞(幹細胞)を移植する治療法 CAR-T療法(細胞療法) 患者自身の免疫細胞(T細胞)に特別な働きを持たせて、がん細胞だけを攻撃させる治療法 分子標的療法・免疫療法 薬剤の点滴などにより、がん細胞の特定の部分だけを狙って攻撃する治療法 支持療法 吐き気をおさえたり、感染症を防いだりするための予防的治療法 上記の治療法を状態に合わせて選択し、さまざまな治療法も組み合わせながらトータルで治療戦略を採ることが重要です。 多発性骨髄腫とは 多発性骨髄腫は、体の中で抗体(ばい菌から体を守る物質)を作る「形質細胞」が、がん化して増えてしまう血液のがんの一つです。 がん化した細胞が「Mタンパク」と呼ばれる異常なタンパク質をたくさん作り、正常な血液の働きを邪魔するようになります。 多発性骨髄腫の原因 多発性骨髄腫のはっきりした原因は、まだよくわかっておりません。 形質細胞の中で遺伝子に異常が起こったり、染色体(細胞の中にある遺伝情報)が入れ替わったりすることで発症すると考えられています。 また、放射線や化学物質などに長くさらされると、発症するリスクが高くなります。 多発性骨髄腫の症状 病気が進むと、以下のような症状が現れます。 貧血:赤血球が減って体がだるくなったり、息切れや動悸がしたりする 骨のトラブル:背中や腰の骨が弱くなり、痛みが出たり、骨折したりする 腎臓の障害:異常なタンパク質が腎臓にダメージを与えて、腎臓の働きが悪くなる カルシウムの異常:血液中のカルシウムが増えすぎて、のどが渇きや便秘、吐き気、ひどいときは意識がもうろうとする 病気かどうかは、血液検査や骨の検査などで医師が診断します。 骨の痛みや腎臓の障害は日常生活に大きな影響を与えるため、早めに見つけて治療を始めることが重要です。 多発性骨髄腫の治療 多発性骨髄腫は、さまざまなタイプのがん細胞が体の中に広がる性質があります。 ひとつの治療だけではなく、いくつかの方法を組み合わせてコントロールしていくことが大切です。 ここでは、代表的な治療法を紹介します。 経過観察 症状がなく内臓などに影響が出ていない初期の段階では、しばらく様子を見る場合があります。 化学療法 初期治療や再発時に用いられる抗がん剤治療です。 症状緩和療法 骨がもろくなって痛みが出る骨病変や貧血になった場合は、症状を緩和する薬物療法や輸血治療を行います。 薬物療法 患者の状態に合わせて、免疫を調整する薬やがん細胞を分解する働きのある薬を組み合わせます。 自家末梢血幹細胞移植 65歳以下または臓器機能が良好な患者に対し、生存期間の延長を目指す治療法です。いったん自分の血液のもとになる細胞を取り出して保存しておき、治療のあとに細胞を戻します。 QOL支援を含む維持療法 薬の量をコントロールしながら、生活の質を保つケアを行う治療法です。 新規治療・臨床試験 再発すると治りにくいタイプの骨髄腫に対する新薬開発など、新しい治療法の研究も進んでいます。 多発性骨髄腫は無症候の早期段階では経過観察が基本ですが、症状や臓器障害が現れた場合は薬物療法、もしくは必要に応じて移植を併用します。 【種類別】血液がんの余命・生存率 血液がんの種類別の5年相対生存率から余命を見てみましょう。 国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計」(文献1)によると、以下の通りとなっています。 血液がんの種類 男性の5年相対生存率 女性の5年相対生存率 白血病 43.4% 44.9% 悪性リンパ腫 66.4% 68.6% 多発性骨髄腫 41.9% 43.6% ただし、上記はあくまでデータ上の統計です。 白血病は進行が早い病型もあり、治療を受けない場合には急速に悪化するケースもあります。(文献2) また、100種類以上の病型がある悪性リンパ腫や多発性骨髄腫、数年単位で進行する病型から数日で進行する悪性度の高い病型まで、患者によって再発率や予後はさまざまです。(文献3)(文献4) まとめ|血液がんの種類別の違いを知っておこう 血液がんは、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫といった複数の疾患を含む総称であり、それぞれに異なる特徴・原因・症状・治療法があります。 現代の標準治療と新規療法の組み合わせにより、長期生存や生活の質の維持が可能となってきていますが、なにより速やかな診断と早期の治療開始が大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 再生医療について疑問があれば、お気軽にご相談ください。 血液がんの種類に関するよくある質問 血液がんの種類別の罹患割合は? 国立がん研究センターの統計によれば、全がんに占める血液がんの罹患割合は約7~8%程度です。 白血病は約1.8%、悪性リンパ腫は約4.2%、多発性骨髄腫は約1.0%と報告されています。(文献1) 血液がんで珍しい種類は? 慢性骨髄性白血病(CML)は、日本では年間10万人あたり約1.5人と罹患率が低く、白血病全体の約20%に留まる希少ながんです。 初期は無症状の例が多く、健康診断などで偶然発見されるケースが約85%を占め、自覚症状が乏しいことで知られています。(文献5) 血液がんの初期症状は種類によって違う? 血液がんの初期症状は、種類によって以下のような特徴があります。 急性白血病:発熱・倦怠感・出血傾向といった全身症状が急速に出現するケースが多い リンパ腫:痛みを伴わないリンパ節腫脹が初期に現れ、B症状(発熱・体重減少・夜間発汗)が見られる 多発性骨髄腫:初期は無症状が多く、進行すると骨痛や貧血、高カルシウム血症が出ることがある 種類ごとの症状の違いに着目し、気になる症状があれば早めに医療機関で専門医に相談しましょう。 高齢者が発症しやすい血液がんは? 多発性骨髄腫は、高齢者に多く見られる血液がんです。 骨髄中の形質細胞ががん化して骨折・貧血・腎障害などを引き起こしやすく、高齢者では発症率と重症化のリスクが高まる傾向があるとされています。(文献6) 血液のがんと言われたら、どうしたらいい? 血液がんの診断を受けたら、まず血液内科専門医による正確な診断と病期評価(血液検査、画像検査、生検など)を受けてください。 その上で、治療方針(化学療法・免疫療法・移植・支持療法など)を専門医と相談し決定しましょう。 また、治療中や治療後も定期的なフォローアップと生活支援体制の整った医療機関で継続的にケアを受けることが大切です。 正確な情報を得ながら、自分に合った治療や支援体制を整えていきましょう。 参考文献 (文献1) 国立研究開発法人国立がん研究センター「最新がん統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年6月17日) (文献2) ユビー病気のQ&A「急性骨髄性白血病の場合、治療した時と治療しなかった時の予後はどうなりますか?」 https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/p_nryf-eta(最終アクセス:2025年6月17日) (文献3) ユビー病気のQ&A「寛解後の再発率や余命は(生存率)はどのくらいですか?」 https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/29ntt-g_47(最終アクセス:2025年6月17日) (文献4) ユビー病気のQ&A「多発性骨髄腫の余命はどれくらいですか?」 https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/8ob0jwqk3bv(最終アクセス:2025年6月17日) (文献5) 順天堂大学医学部附属順天堂医院血液內科「慢性骨髄性白血病」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/ketsuekinaika/disease/disease07.html(最終アクセス:2025年6月17日) (文献6) 国立がん研究センター「多発性骨髄腫の原因・症状について」 https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/multiplemyeloma/001/index.html(最終アクセス:2025年6月17日)
2025.06.30 -
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尿毒症は腎機能が著しく低下することで起こる深刻な病態です。 「症状に気づいたときには既に進行していた」というケースも多く、早期の発見と適切な対応が重要になります。 本記事では、尿毒症の基本知識から症状の見分け方、治療法、日常生活でできる予防策までわかりやすく解説します。 腎機能に不安をお持ちの方やご家族の方は、ぜひ参考にしてください。 尿毒症とは?腎機能低下で起こる危険な状態 尿毒症とは、腎機能が著しく低下した危険な状態です。通常であれば尿として排出されるはずの老廃物や毒素が体内に蓄積され、全身にさまざまな悪影響を及ぼします。 尿毒症の症状は多岐にわたり、意識障害や呼吸困難、心不全など重篤なものも含まれます。 腎機能の低下が進行する中で異常に気づかず放置した場合、命に関わるリスクも高まるため、早期に対応することが極めて重要です。 尿毒症の原因 尿毒症の主な原因には、以下のような疾患があります。 慢性腎臓病 糖尿病性腎症 高血圧性腎障害 急性腎障害 長期の薬剤使用 疾患が進行すると腎臓への血流が低下し、糸球体(腎臓で血液をろ過する小さな毛細血管の束)と呼ばれるろ過装置が損傷され、老廃物の排出能力が低下していきます。 腎臓の損傷は通常、時間をかけて徐々に進行しますが、気づいたときには重度の腎不全に至っているケースも少なくありません。 上記の疾患や状況によって腎機能が損なわれると、尿毒症の発症リスクが高まります。 日頃から生活習慣病を適切に管理し、尿毒症の予防につなげていきましょう。 尿毒症の症状 ここでは、尿毒症の症状と初期と末期にわけてそれぞれ解説します。 初期症状 尿毒症は症状が現れずに進行することが多いため、初期段階での体調の変化を見逃さないことが大切です。 とくに、以下のようなサインに注意しましょう。 全身の倦怠感 食欲の低下 吐き気や嘔吐 頭痛や集中力の低下 皮膚のかゆみ これらの症状は、一般的な体調不良と区別がつきにくいのが難点です。 慢性的に続く場合や複数が重なる場合には、腎機能の検査を受けましょう。 末期症状 尿毒症が進行して末期になると、体内に蓄積した毒素が神経系へ影響を及ぼし、錯乱やけいれん、昏睡などの神経症状が現れやすくなります。 また、腎機能の低下により体内の水分バランスが崩れ、体液が過剰に貯留する恐れもあります。 結果として、肺に水がたまる「肺水腫」が発生して呼吸困難や重度のむくみを伴うと、緊急の治療が必要なケースもあるため注意が必要です。 尿毒症の診断基準 尿毒症の診断には、腎機能の指標となる血液検査の数値が重要です。とくに、以下の項目が基準として用いられます。 血清クレアチニン値 筋肉から出る老廃物の血液中の濃度 正常値:男性0.65~1.07mg/dL、女性0.46~0.79mg/dL 血中尿素窒素 タンパク質が分解された時に出る老廃物の血液中の濃度 正常値:8~20mg/dL eGFR 腎臓のろ過能力を数値化したもの 60未満で慢性腎臓病、15未満で透析が必要な段階 上記の値が異常で、かつ自覚症状が認められる場合に尿毒症と診断されます。 血清クレアチニン値と血中尿素窒素の値が上昇し、eGFRが大きく低下しているときには、腎機能が著しく低下している状態です。 さらに、症状の評価には神経症状や消化器症状、呼吸器症状などの有無も考慮され、総合的な診断が行われます。 とくに、eGFR(推定糸球体ろ過量)は腎機能の評価において重要な指標の一つです。 病期の診断と食事・運動療法の決定に用いられており、eGFRが30mL/分/1.73m²未満(正常値の約30%未満)の場合は活動制限が厳しくなります。(文献1) 尿毒症の治療方法 尿毒症の治療は、腎機能のさらなる悪化を防ぎつつ、体内に蓄積した毒素を除去するのが目的です。 では、詳しく見ていきましょう。 生活習慣の改善 尿毒症の進行を抑えるには、日常生活の中で腎臓にかかる負担を減らす工夫が欠かせません。 具体的には、以下のような生活習慣の見直しが推奨されます。 適切な水分摂取 脱水を防ぎ、腎臓のろ過機能を維持するために重要です。ただし、心不全やむくみがある場合は医師の指示に従いましょう。 有酸素運動の継続 軽度の運動は血圧と血糖のコントロールに寄与し、腎機能の維持を促進します。 禁煙・節酒 腎血流への悪影響を避けるため、喫煙と過度な飲酒は避けるべきです。 体重管理 肥満は腎臓に余分な負担をかけるため、適正体重の維持が求められます。 これらの生活習慣は、腎機能の維持や尿毒症の進行予防に大きな関連性があります。 継続的に実践し、長期的な健康維持につなげていきましょう。 食事療法 尿毒症の進行を抑えるうえで、食事療法は極めて重要な役割を果たします。 腎臓の負担を軽減するため、以下のような食事管理が基本です。 たんぱく質の制限 過剰なたんぱく質摂取は老廃物を増やすため、適量を守る必要があります。 塩分の制限 高血圧を悪化させると腎機能を低下させる要因となるため、1日6g未満が推奨されます。(文献2) カリウムとリンの管理 血中濃度のバランスが崩れると不整脈や骨疾患を引き起こすため、野菜や乳製品などの摂取量に注意が必要です。 たとえば、納豆はカリウムやリンを多く含むため、腎機能が低下している方は医師の指導に従って摂取量を調整する必要があります。 薬物療法 尿毒症の治療において、薬物療法は症状の緩和や合併症の予防に役立ちます。 腎機能の低下にともって多様な身体機能に障害が現れるため、それぞれの症状に対応した薬剤の使用が必要です。主に、以下のような薬が用いられます。 高カリウム血症に対する薬 ポリスチレンスルホン酸カルシウムなどのカリウム排泄促進剤 高リン血症対策 リン吸着薬(セベラマーなど)により血中リン濃度を調整 貧血治療 エリスロポエチン製剤や鉄剤 代謝性アシドーシス補正 炭酸水素ナトリウムの投与で血液のpHを正常化 浮腫や高血圧への対応 利尿薬や降圧薬の併用 薬剤は症状の進行を抑えるほか、透析導入までの期間を延ばす目的でも使用されます。 ただし、腎機能に応じた適正な用量調整が必要であり、医師の管理のもとでの投与が不可欠です。 透析 腎機能が著しく低下し、日常生活に支障をきたす状態になると、透析療法の導入が検討されます。 透析には主に以下2つの方法があります。(文献3) 血液透析(HD) 週2~3回、1回4時間程度の頻度。血液を体外に取り出し、人工膜を使って老廃物や余分な水分を除去 腹膜透析(PD) 自宅で行える方法。腹腔内に透析液を注入し、腹膜を介して老廃物を交換 なお、透析の導入時期はeGFRが10未満、もしくは以下のような症状が見られたときが目安となります。 食欲不振や体重減少 高度なむくみや息切れ 神経症状(混乱、けいれんなど) 透析は腎臓の代替手段であり、尿毒症の進行による命に関わる症状を回避するために不可欠な治療法です。 患者の生活スタイルや身体状態に応じて、医師と相談しながら選択しましょう。 尿毒症を予防するための早期発見ポイント 尿毒症は腎機能が著しく低下して顕在化する病態ですが、実際には初期段階で体のさまざまな部位に兆候が現れるケースがあります。 以下のような日常生活の中で感じるわずかな変化にも注意を払い、腎機能の健康を保つための第一歩としましょう。 むくみ(浮腫)が起こっていないか 腎機能が低下すると、体内の余分な水分を十分に排出できなくなり、手足や顔、足首まわりにむくみが現れる場合があります。 靴下の跡がいつまでも残る、指で押すとへこみが戻りにくいなどの症状は、浮腫の典型的なサインです。 むくみが日常的に見られるなら、腎機能の検査を受けましょう。 尿量が低下していないか 腎臓の機能が低下すると尿を十分に作れなくなり、1日の尿量が減少する場合があります。 排尿の回数が減る、トイレに行っても少量しか出ないといった変化は、体内に老廃物や水分が蓄積されている状態かもしれません。 そのまま放置すると尿毒素の濃度が上昇して尿毒症のリスクが高まるため、日常的に排尿量を意識することが大切です。 夜間尿が頻繁になっていないか 夜間に何度も目が覚めてトイレに行くようになった場合、腎機能の低下による尿濃縮能力の低下が考えられます。 通常、夜間は尿量が少なくなりますが、腎臓の働きが悪くなるとこの調節ができず、頻繁に排尿したくなるのです。 高齢者に見られやすい症状ではありますが、腎疾患の初期症状としても重要であり、回数が増えていると感じたら検査を受けましょう。 頻尿が増えていないか 日中にトイレに行く回数が明らかに増えたなら、腎機能の異常が疑われます。 腎臓が適切に尿を濃縮・調整できなくなると尿量が増えたり、排尿の感覚が不安定になったりするので注視しましょう。 一般的に、日中8回以上を頻尿とすることが多いですが(文献4)、個人差があるため一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえません。(文献5) 急な尿意が増加している場合は、腎機能検査を受けるきっかけとして捉えるべきです。 体にだるさがないか 倦怠感や体の重さは、尿毒症の初期段階で現れる代表的な全身症状です。 腎機能が低下すると老廃物の排出が不十分となり、血液中に毒素が蓄積されて体の代謝が乱れ、疲労感が強くなります。 十分に休息をとっても改善しないだるさが続くなら、単なる疲労ではなく腎機能低下のサインかもしれません。 貧血になっていないか 腎臓は赤血球をつくるホルモンを分泌する役割を持っています。 腎機能が低下するとホルモンが不足し、腎性貧血(腎臓から分泌されるホルモン不足による貧血)を引き起こすことがあるのです。 息切れや動悸、顔色の悪さ、疲れやすさといった症状が見られる場合は、貧血の有無を確認するためにも受診しましょう。 体がかゆくないか 腎機能の低下によって体内に尿毒素が蓄積すると、皮膚に刺激を与えて原因不明のかゆみを引き起こすケースがあります。 とくに背中や腕、下肢にかゆみを感じる場合、乾燥とは異なる内部要因が関与しているかもしれません。 皮膚の症状は見落とされがちですが、腎機能の異常を示すシグナルになるため、持続的なかゆみには注意が必要です。 まとめ|腎機能の保護を意識した生活を心がけましょう 尿毒症は、腎機能が著しく低下して全身に深刻な影響を及ぼす疾患です。 原因となる慢性腎臓病や糖尿病、高血圧の適切な管理、そして日常生活における食事や運動、水分摂取の見直しが尿毒症の予防に役立つ可能性があります。 倦怠感・むくみ・排尿の変化など、初期のサインを見逃さず、早期に医療機関を受診することが重要です。 腎臓を守る意識を持ち、日々の生活を丁寧に過ごしていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療による治療を行っています。 再生医療について疑問があれば、お気軽にご相談ください。 尿毒症に関するよくある質問 ここでは、尿毒症に関して多くの方が抱く疑問に対して回答しています。 正しい知識を得て、早期対応や適切な治療選択に役立ててください。 尿毒症は余命に関わりますか? 尿毒症は、進行すると生命に関わる重大な状態に陥る可能性があります。 腎臓が老廃物を排出できなくなると体内に毒素が蓄積し、脳や心臓を含む重要な臓器に影響を及ぼすのです。 そのまま放置すれば、命に直結する危険性がある点に留意しておきましょう。 高齢者が尿毒症になった場合の注意点は? 高齢者が尿毒症を発症するケースでは、脱水や感染症に対する抵抗力の低下、認知機能の変化など特有のリスクが存在します。 体の水分量や電解質バランスの調整が難しくなりやすいため、透析治療や薬物療法の管理に注意が必要です。 また、高齢者は自覚症状が出にくく、発見が遅れることも少なくありません。 定期的な血液検査と家族の観察が重要であり、医療スタッフと密に連携しながらきめ細やかな対応が求められます。 尿毒症は治りますか? 尿毒症自体は進行性の腎不全の結果として生じるため、完治が難しい面があります。 ただし、早期の治療開始により、症状の進行を抑える効果は期待できます。 とくに、糖尿病や高血圧などの原因となる疾患の適切な管理が重要です。 また、透析や薬物療法で体内の毒素を除去すれば、日常生活への影響を軽減できる場合があります 尿毒症は苦しさを感じますか? 尿毒症の症状には、頭痛・吐き気・倦怠感・呼吸困難・意識障害などがありますが、苦しさの感じ方は患者によって異なるため一概にはいえません。 一般的に、進行するにつれて体調の悪化を強く感じるようになります。 とくに末期になると、神経症状や肺水腫による呼吸困難などが出現し、生活の質が著しく低下します。 尿毒症は苦しさを伴う疾患と認識したうえで、早期に対応していきましょう。 尿毒症と糖尿病に関連性はありますか? 糖尿病は、尿毒症を引き起こす一般的な原因の一つです。 長期間にわたって血糖コントロールが不十分な状態が続くと、腎臓の血管が損傷を受けて「糖尿病性腎症」を発症します。 疾患が進行すると腎機能が著しく低下し、最終的に尿毒症に至るケースがあるため注意が必要です。 犬や猫が尿毒症になる原因・症状は? 一般的な獣医学的知見に基づくと、犬や猫も人間と同様に腎機能が低下すると尿毒症を発症する場合があります。(文献6) 犬は慢性腎不全や中毒性物質の摂取が原因となるケースがあり、症状としては食欲不振、元気消失、嘔吐、口臭などが見られます。 猫の場合は慢性腎臓病が主な原因で、進行すると脱水、体重減少、貧血、痙攣などが現れます。 治療には食事療法や輸液、投薬などが行われますが、やはり早期発見が重篤化を防ぐ鍵です。 参考文献 (文献1) 日本腎臓学会「腎疾患患者の生活指導・食事療法に関するガイドライン」 https://jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/39_1.pdf (最終アクセス:2025年6月13日) (文献2) 日本高血圧学会「減塩・栄養委員会」 https://www.jpnsh.jp/com_salt.html(最終アクセス:2025年6月13日) (文献3) 国立循環器病研究センター「腎不全」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/renal-failure/(最終アクセス:2025年6月13日) (文献4) 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「頻尿の原因は?」 https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/23.html(最終アクセス:2025年6月13日) (文献5) 日本排尿機能学会「尿が近い、尿の回数が多い ~頻尿~」 https://www.urol.or.jp/public/symptom/02.html?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年6月13日) (文献6) 動物医療センター赤坂「犬と猫の慢性腎臓病」 https://amc-akasaka.com/clinicalcases.php?eid=00007(最終アクセス:2025年6月13日)
2025.06.30 -
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鉄剤を飲んでも胃がムカムカする、なかなか効いている実感がないと感じていませんか。そんな悩みを抱える貧血の方には、体への負担を抑えながら効率的に鉄分を補える「点滴治療」が選ばれるケースもあります。 本記事では、貧血に対する点滴治療の内容やメリット、受けられる条件、服薬との違いまでをわかりやすく解説します。 貧血の点滴とは 貧血の点滴は、主に鉄欠乏性貧血に対して行われる治療法です。食事療法や内服薬だけでは思うように数値が上がらない時や、胃腸が弱くて鉄剤が飲みにくい時などに選択されます。 点滴治療の良いところは、何といっても効率の良さです。口から摂る鉄分は胃腸での吸収に時間がかかりますが、点滴なら血管に直接投与するので、短期間でしっかりと鉄分を体に届けられます。 内服薬で胃もたれや消化器症状を起こしやすい人にとっても、体への負担が少ない治療方法と言えるでしょう。 貧血の点滴の種類 鉄分が不足している場合、食事や飲み薬だけでは改善が難しい場合があります。 そのようなときに用いられるのが「鉄剤の点滴」です。胃腸障害がある方や、内服で効果が出にくい方に有効とされています。 ここでは、現在よく使われている2種類の鉄剤点滴「フェインジェクト」と「モノヴァー」について、それぞれの特徴やメリット・注意点をご紹介します。 フェインジェクト フェインジェクトは、高濃度の鉄を含む比較的新しいタイプの静脈注射薬で、1回の点滴で500mg(週1回)、最大3回(3週間)で合計1,500mgまで鉄分を補給できるのが特長です。(文献1)従来の鉄剤に比べて副作用が少なく、鉄欠乏性貧血の改善を短期間で目指せます。 項目 詳細 投与量・スケジュール 1回500mg、週1回投与、最大3回(3週間)で合計1,500mgまで 投与時間 希釈なし:5分以上で血管内注射 希釈あり:6分以上で点滴 通院回数 最大3回(週1回ペース) 適応対象 経口鉄剤が困難または不適当な場合 主な特徴 ・週1回の投与で効果が期待できる ・通院回数が少ない ・投与時間が短い (文献1) 内服薬による胃の不快感や吐き気などの副作用に悩まされていた方にも選ばれやすい治療法です。 ただし、まれに発疹や関節痛、重篤なアナフィラキシーなどの副作用が報告されているため、アレルギー歴のある方は必ず医師に伝えましょう。安全に治療を受けるためには、医師の指示に従う必要があります。 モノヴァー モノヴァーは、長年にわたり多くの医療現場で使用されている実績ある鉄剤の点滴薬です。鉄欠乏性貧血の治療において信頼性が高く、比較的安定した効果が期待できます。 項目 詳細 投与量・スケジュール 週1回1000mg(体重50kg未満は20mg/kg)を上限 または週2回500mgを上限 投与時間 週1回(1000mg):15分以上で点滴 週2回(500mg):2分以上で血管内注射 総投与量上限 2000mg(体重50kg未満は1000mg) 投与期間 最大2週間(週1回なら計2回、週2回なら計4回) 主な特徴 ・海外で長期使用実績あり(40ヵ国以上) ・慎重な経過観察が可能 ・投与方法の選択肢が多い (文献2) 鉄分の補給を内服薬ではまかないきれない場合や、経過を見ながら慎重に治療を進めたい方に向いています。 ただし、アレルギー反応(アナフィラキシー)のリスクがあるため、医師の管理のもとで慎重に使用されなければなりません。妊娠中の方には原則として使用を避ける場合もあるため、治療前に医師との十分な相談が必要です。 貧血の点滴治療が向いている人 貧血の治療ではまず鉄剤の内服が基本となりますが、体質や症状によっては点滴による治療がより適している場合もあります。 貧血の点滴治療が向いている人は以下のとおりです。 胃の不快感や吐き気、便秘などの副作用が強い人 鉄欠乏が進行していて、今すぐに鉄分を補う必要がある人 出血による急激な鉄不足がある人 胃切除や吸収不良症候群など鉄が上手く吸収できない人 医師の診断のもと、体調やライフスタイルに合わせて、最適な治療法を選びましょう。 貧血の点滴のメリット・デメリット 貧血治療において、鉄剤の点滴は内服薬に比べて早く効果を得られる方法として注目されています。 しかし、すべての人にとって最適な治療法とは限らず、メリットがある一方で注意すべきデメリットも存在します。 項目 メリット デメリット 効果・即効性 ・血管内に直接投与 ・短期間で効果実感・消化管吸収を待たない ・即効性とリスクは表裏一体 ・効果が出すぎる場合あり 副作用・安全性 ・胃腸への刺激なし ・消化器症状の心配なし ・発疹、関節痛などの軽度反応 ・まれに重篤なアレルギー反応 ・医療機関での管理必須 利便性・負担 ・通院回数が少ない ・時間的負担軽減 ・投与中の観察が必要 ・医療機関への通院必須 適用範囲 ・胃腸が弱い方も使用可能 ・重度貧血に有効 ・妊婦や基礎疾患者は要注意 ・費用負担が高い ここでは、貧血点滴の主な利点とリスクについて詳しくご紹介します。 貧血の点滴のメリット 鉄剤の点滴治療には、内服薬では得られにくい即効性といった大きなメリットがあります。経口摂取では消化管での吸収が必要ですが、点滴は鉄を直接血管内に投与するため、速やかに全身に行き渡ります。 胃腸への刺激が少ないため、鉄剤内服による胃痛・吐き気・便秘などの副作用に悩んでいる方にも使用可能です。 フェインジェクトのような高濃度鉄剤では、1回の投与で必要量をまかなえることもあり、通院回数を抑えられる点も利便性が高いポイントです。時間的な負担が少なく、短期間で効果を実感したい方にとって、点滴治療は有効な治療方法といえるでしょう。 貧血の点滴のデメリット 一方で、鉄剤の点滴には副作用のリスクが伴います。 代表的なものとしては、発疹、関節痛、吐き気などの軽度な反応から、まれにアナフィラキシーのような重篤なアレルギー反応が生じるケースも報告されています。そのため、点滴治療は医療機関での適切な管理のもとで行わなければなりません。 点滴中や直後に体調の変化がないか観察する必要があり、一定の時間が必要です。 妊婦や基礎疾患のある方など、使用に慎重を要する場合もあるため、事前に医師と十分な相談をしましょう。 即効性と引き換えにリスクも伴うため、メリットとデメリットを理解した上で治療方針を選ぶ必要があります。 貧血の点滴を受けるまでの流れ 貧血の点滴は、即効性のある治療法ですが、誰でもすぐに受けられるわけではありません。 まずは医師の診察と血液検査を受け、必要性をしっかり判断した上で、以下の流れで治療が行われます。 医療機関で血液検査をする 医師が点滴が必要か判断する 点滴をする 効果の観察 ここでは、点滴治療を希望する場合にどのようなステップを踏むのか、順を追ってわかりやすくご説明します。 1.医療機関で血液検査をする 点滴治療の前には、まず血液検査で貧血の有無とその重症度、種類を確認します。 主に調べるのはヘモグロビン(Hb)、フェリチン(体内に蓄えられた鉄の量)、血清鉄、TIBC(総鉄結合能)、MCV(赤血球の平均容積)などの項目です。 ヘモグロビンが正常値でも、フェリチンが低い「隠れ貧血」の場合もあり、健康診断では見落とされやすいため、詳しい血液検査が重要です。 検査データをもとに、鉄分が不足しているかどうか、点滴が必要かを判断します。自覚症状があまりなくても、疲れやすさや立ちくらみが続く場合は、早めの検査がおすすめです。 6月執筆予定「貧血 数値」 2.医師が点滴が必要か判断する 血液検査の結果が出たら、医師が数値と患者様の症状、体質、既往歴などをふまえて治療方針を決定します。 点滴が選ばれるのは、内服薬によって強い吐き気や胃痛などの副作用が出た場合や、重度の鉄欠乏で迅速な補正が必要な場合です。胃の切除や吸収障害などで経口鉄剤が効きにくい人も対象になります。 点滴治療には「フェインジェクト」と「モノヴァー」の2種類がありますが、どちらが適しているかは、患者様の体質や症状、治療の緊急度などを総合的に判断して医師が選びます。希望がある場合は、診察時に遠慮なく相談してみましょう。 3.点滴をする 点滴は、処置室または点滴室で医療スタッフが行います。使用する薬剤により所要時間は異なり、フェインジェクトであれば約6分、モノヴァーは15分以上かけてゆっくりと投与します。(文献3)(文献4) 点滴中はリクライニングチェアやベッドでリラックスして過ごすことが多く、初回や体調に不安がある場合は、医師がそばで様子を観察する場合もあります。副作用の予防のため、点滴後も数分〜数十分安静にして経過観察するケースが一般的です。 まれにアレルギー反応が出ることもあるため、初回はとくに注意深く見守られます。点滴当日は、できるだけ時間に余裕をもって受診すると安心です。 4.効果の観察 点滴後は、治療の効果を確認するため、一定期間ごとに再度血液検査をします。 数日から数週間後にヘモグロビン値やフェリチン値がどのように変化したかを確認し、改善が見られれば治療の効果があったと判断されます。疲労感、立ちくらみ、動悸など自覚症状の変化も大切な評価ポイントです。 必要に応じて追加の点滴をする場合や、他の治療法への切り替えを検討する場合もあります。鉄の貯蔵量が回復していない場合は、定期的な点滴が必要になるケースもあるでしょう。 無理なく通える頻度での治療の継続が、根本的な改善につながります。 貧血の点滴は医師と相談をしよう 貧血の点滴治療は、鉄分を効率よく補給できる即効性の高い方法ですが、すべての方に必要なわけではありません。内服薬が合わない方や、重度の貧血で早く改善したい方にとっては、有効な治療法となります。 ただし、点滴には副作用のリスクや費用負担も伴うため、安易に自己判断せず、必ず医師と相談した上で治療方針を決めましょう。 「疲れが取れない」「立ちくらみが続く」「動悸がする」などの症状がある場合、貧血が原因の可能性もあります。また、健康診断で異常がないと言われた場合でも、詳しい血液検査を受けると「隠れ貧血」が見つかるケースもあります。 症状の原因を明らかにするためにも、早めに医療機関を受診しましょう。貧血でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 貧血の点滴に関するよくある質問 フェインジェクトとモノヴァーはどちらが安全? 副作用のリスクがより少ないとされているのは、比較的新しい薬剤であるフェインジェクトです。 従来のモノヴァーと比べてアレルギー反応の頻度が低いといった報告もあり、体への負担が軽減されている点が評価されています。 ただし、どちらもまれにアナフィラキシーなどの重篤な副作用を起こす可能性があるため、安全性は医師の判断と適切な管理のもとで点滴します。 どの点滴を使用するかは自分で選べますか? 基本的には、血液検査の結果や体調、アレルギー歴、既往症などをもとに、医師が患者様に適した薬剤を判断します。希望があれば診察時に伝えることは可能ですが、安全性や効果の面から、自己判断ではなく医師のアドバイスに従うことが大切です。 ご不安な点は、遠慮せずご当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 貧血の点滴にかかる時間は?日帰りできる? 基本的に貧血の点滴は日帰りで受けられます。 フェインジェクトであれば6分〜、モノヴァーは15分以上かけた投与が一般的です。(文献3)(文献4)初回は副作用の確認のため、少し長めに時間を確保しておくと安心です。 貧血の点滴は保険適用ですか?料金の目安を知りたい 鉄剤の点滴は、医師が治療の必要性を認めた場合、健康保険が適用されます。 自己負担割合が3割の方であれば、血液検査も含めて点滴1回あたりの自己負担額はおおよそ3,000円〜5,000円程度になることが多いです。(文献5) ただし、使用する薬剤や医療機関によっても差があるため、事前に受付や医師へ確認するのがおすすめです。自由診療で受ける場合は全額自己負担となり、費用は大きく異なります。 参考文献 (文献1) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フェインジェクト静注500㎎」2023年8月 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3222404A1021_1_04/(最終アクセス:2025年6月24日) (文献2) 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「モノヴァー静注500mg/モノヴァー静注1000mg」2022年3月 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3222404A1021_1_04/(最終アクセス:2025年6月24日) (文献3) ふくろう訪問クリニック「貧血を1回の点滴で治療できます。」2023年5月31日 https://fukurou.fukuoka.jp/column/790/(最終アクセス:2025年6月13日) (文献4) ELSEVIER「フェインジェクト静注500mg」 https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=68048(最終アクセス:2025年6月13日) (文献5) 新宿駅前クリニック「貧血」 https://www.shinjuku-cli.com/naika/service_13.html(最終アクセス:2025年6月13日)
2025.06.30 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「最近、疲れやすい」「立ちくらみやめまいが増えた」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。これらの症状は単なる疲労やストレスと思われがちですが、実は貧血が原因の可能性があります。 さらに、貧血の背景には胃がんや腎不全、子宮筋腫などの重大な病気が隠れている場合もあるため、軽視してはいけません。 この記事では、貧血の原因となりうる病気や症状のチェックリスト、受診の目安などを解説します。貧血の症状が気になる方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。 再生医療について興味がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 貧血の原因は病気?なぜ自分が貧血になるのかを理解しよう 貧血の主な原因と、それに関連する主な病気は以下の通りです。 貧血の主な原因 主な病気・病態 栄養不足 鉄欠乏性貧血・巨赤芽球性貧血 出血 胃潰瘍・胃がん・子宮筋腫 血液を作る力の低下 再生不良性貧血・慢性腎不全・白血病 自身の貧血が病気のサインではないかと不安に感じる方は、貧血の原因を知り、日常生活での対策や医療機関での検査につなげましょう。 栄養不足が原因の貧血 栄養不足は貧血の大きな原因の一つで、不足する栄養素によって主に以下の2種類に分けられます。 種類 鉄欠乏性貧血 巨赤芽球性貧血 概要 鉄分不足により身体に酸素が行き渡りにくくなる貧血 ビタミンB12や葉酸不足で、正常な赤血球を作れなくなる貧血 主な要因 月経 妊娠・出産 胃潰瘍 痔 胃の摘出手術 偏った食事 アルコールの過剰摂取 主な症状 疲れやすさ 息切れ 顔色の不良 爪の変形(端が反る) 疲労感 しびれ ふらつき 息切れ 対策 血液検査で確認 鉄剤の内服 食生活の見直しも大切 血液検査や内視鏡検査で確認 ビタミンB12や葉酸の補給 原因が病気の場合は治療も 鉄欠乏性貧血は栄養不足が原因と考えがちですが、背景に病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。 出血によって起こる貧血 出血は貧血の重要な原因の一つです。体内で継続的に出血が起こると、血液中の鉄分が失われ、やがて鉄欠乏性貧血を引き起こします。 とくに慢性的な出血は自覚症状が少ないことが多く、気づかないうちに貧血が進行してしまう場合があります。以下のような病気・病態では慢性的な出血が起こりやすいため注意が必要です。 項目 月経過多子宮筋腫・子宮内膜症 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 胃がん・大腸がん 主な症状 月経の出血量が多い 強い生理痛 動悸や息切れ みぞおちの痛み 胃の痛み 黒色便 倦怠感 胃の痛み 黒色便 受診すべき科 婦人科 消化器内科 消化器内科 注意ポイント 月経量が増加すると体内の鉄が不足し鉄欠乏性貧血を引き起こす場合がある 自覚症状が少なくても慢性的に出血している場合がある 初期は症状が乏しい 貧血と共に上記に該当する症状がある方は、早めに専門医に相談して血液検査や必要な検査を受けましょう。 血液をつくる働きが低下して起こる貧血 骨髄や臓器の機能低下によって赤血球が十分につくられないタイプの貧血もあります。 血液をつくる働きが低下して起こる貧血は、以下の通りです。 病気 特徴 ポイント 再生不良性貧血 骨髄が血液成分を十分に作れなくなる 赤血球・白血球・血小板の数が減少する 感染症や出血リスクが高い 早期治療が必要 白血病 血液のがんの一種 白血球が異常に増え続ける 血液のがんの一種 白血球が異常に増え続ける 多発性骨髄腫 骨髄でがん化した細胞が増える 血液の正常な機能が妨げられる骨の内部にあり血液を作る場所(骨髄)でがん化した細胞が増える 高齢者に多い 貧血の症状以外に感染症やむくみなどが現れる 腎性貧血 腎臓の機能が落ち、赤血球を十分に作れなくなる 慢性腎臓病の人はとくに注意 症状がゆるやかに進行する病気もあり、疲れやすさや息切れを見過ごすことも少なくありません。 慢性的な疲労や息切れが続く方、腎臓の病気を抱えている方、健康診断の数値が気になる方は早めに医療機関で相談することも大切です。 そもそも貧血は病気なの? 貧血は病気ではありません。貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足し、体に必要な酸素や栄養が十分に届かない状態を指します。病名ではなく症状の状態名であり、疲れやすさ、めまい、立ちくらみなどが主な症状です。 血液検査でヘモグロビン値や赤血球数を調べることで診断できます。自身が貧血かどうか知りたい方や気になる症状がある方は、血液検査を受けて適切な治療や生活の改善につなげましょう。 貧血の症状チェックリスト 貧血は初期段階では気づきにくいこともありますが、体はさまざまなサインを出しています。 以下のチェックリストで、ご自身の症状を確認してみましょう。 疲れやすい・倦怠感がある 顔色が悪いと言われる 動悸や息切れがする めまい・立ちくらみがある 爪がスプーンのように反っている 症状を確認し、早めの受診や日常生活での改善行動に役立てましょう。 以下の記事では、貧血の症状や貧血で倒れる原因などを解説していますので、あわせてご覧ください。 【関連記事】 貧血の症状一覧|原因や治療法についても医師が詳しく解説 貧血で倒れるのはなぜ?原因・対処法や病院に行くべきタイミングを医師が解説 貧血の受診目安 貧血の受診目安は、以下の通りです。 慢性的な立ちくらみや息切れ 経血量が多い日には、ナプキンやタンポンを1~3時間ごとに取り替える 血液検査でヘモグロビン値が男性は13g/dL未満、女性は12g/dL未満(文献1) 貧血は消化管の異常が隠れている場合もあるため、必要に応じて消化管の検査を受けるのが重要です。 また、慢性的な月経過多は本人が異常に気づきにくい傾向にあります。自身の月経量を振り返って確認してみましょう。 血液検査でヘモグロビンや赤血球数などの数値が低い場合は、早めに内科や婦人科、消化器科を受診しましょう。 貧血の予防法 疲れやすさや立ちくらみ、めまいに対して食事や生活習慣で改善できるのか疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。 日常生活で無理なく取り入れられる貧血予防の方法を、症状やライフスタイルに寄り添いながらわかりやすく解説します。 鉄分を効率よく摂る食品と組み合わせ 鉄分を効率よく摂れる食品は、下記の通りです。 豚レバー あさりの水煮缶 牛もも肉(赤身) 小松菜 ほうれん草 納豆 また、鉄分を摂るときは、ビタミンCを含む食材や動物性たんぱく質と一緒に食べると、より吸収が良くなります。(文献2)(文献3)ビタミンCはパプリカやピーマン、ゴーヤ、ブロッコリーなどに多く含まれ、たんぱく質は鶏ささみや豚ロース、豚ももなどから効率よく摂取できます。 一方で、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンという成分が鉄の吸収を妨げる可能性があるため、鉄分を多く含む食事の前後30分程度は控えましょう。 食事で鉄分を補っても疲れやめまいが続く場合は、別の病気が隠れている恐れがあるため、早めに血液検査を受けましょう。医師と相談して原因を特定できれば、適切な対策につながります。 生活リズムの見直し 貧血改善には、鉄分やビタミンの摂取だけでなく、生活習慣の見直しも重要です。 以下のポイントを意識しましょう。 禁煙する:喫煙は鉄の吸収を阻害し、貧血になりやすい 十分な睡眠を確保:睡眠が足りていないと鉄の吸収がうまくいかず、貧血を招く一因となる 軽い運動やストレッチを取り入れる:内臓の働きが整い、鉄の吸収効率が上がるほか、赤血球の生成も促されやすくなる 趣味や休息の時間を作る:ストレスがたまると鉄分の吸収が下がる恐れがある 食事から鉄分やビタミンを補うだけでなく、睡眠・運動・ストレス管理といった日々の生活習慣を整えることが、貧血改善には欠かせません。生活習慣の中で、できることから1つずつ見直してみましょう。 貧血と病気の関係を正しく理解して早めの対処をしよう 「疲れやすい」「めまいがする」といった症状は、単なる体調不良ではなく体からの重要なサインかもしれません。症状チェックで当てはまる項目があれば、まずは血液検査を受けて原因を確かめましょう。 貧血は、胃がんや大腸がんなど重大な病気の前触れの可能性があります。食事や生活習慣の見直しに加え、定期健診で早めに発見・対処することが健康維持につながります。 気になる症状がある方は、早めに内科や産婦人科へご相談ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、がんの再発予防や免疫力のサポートを目的とした免疫細胞療法を行っています。免疫細胞療法について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 貧血の病気に関してよくある質問 男性が貧血になる原因は? 男性が貧血になる主な原因は、以下のとおりです。 胃潰瘍や胃がんなどによる消化管からの出血 栄養不足 慢性疾患(腎臓病やがん)による赤血球の減少など 中高年の男性では、自覚のない慢性的な出血が背景にあるケースが多く、貧血が重大な病気のサインの場合もあります。倦怠感や息切れが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 貧血が続くとどんな病気になる? 貧血が続くと、全身の酸素供給が不足した状態が長引き、慢性的な疲労感や集中力の低下、息切れ、動悸などが悪化していきます。 重度になると日常生活に支障をきたすだけでなく、心臓や脳に負担がかかり、心不全やめまい・失神を引き起こすリスクもあります。原因となる病気の発見が遅れることにもつながるため、早期の検査と治療が大切です。 貧血に良い食べ物は? 貧血に良い食べ物には、鉄分・ビタミンB12・葉酸など、赤血球の生成を助ける栄養素を含むものがあります。たとえば、以下のような食品が効果的です。 赤身の肉やレバー(鉄分が豊富で吸収率も高い) あさりやかきなどの貝類(ヘム鉄を多く含む) ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(植物性鉄分・葉酸が豊富) 卵や乳製品(ビタミンB12を含む) 柑橘類やブロッコリー(鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富) バランスの良い食事とあわせて、必要に応じて鉄剤の補給も検討しましょう。 参考文献 (文献1) 貧血について|国立研究開発法人国立がん研究センター (文献2) ビタミンC|厚生労働省eJIM (文献3) 鉄の吸収に関する研究|J-Stage
2025.06.30 -
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「医療ボトックスの効果を知りたい」 「医療ボトックスを打ち続けると、どうなるのか心配」 医療ボトックスを検討しているものの、「副作用が心配」「一度始めたらやめられなくなるのでは」と不安を感じていませんか。ボトックス治療は主に医療目的で使用され、症状の緩和や生活の質の向上に効果が期待できます。 一方で、「続けるうちに効きにくくなる」「中止すると症状が戻り悪化する」といった情報に不安を感じる方も少なくありません。正しい知識を持ち、自分に合った治療かどうか、慎重に判断しましょう。 本記事では、現役医師が医療ボトックスについて詳しく解説します。 医療ボトックスの効果 医療ボトックスを打ち続けるとどうなるのか 医療ボトックスをやめるとどうなるのか 医療ボトックスの副作用 医療ボトックスの治療期間 本記事の最後には、医療ボトックスに関するよくある相談について回答していきますので、ぜひ最後までご覧ください。 医療ボトックスとは 医療ボトックスは、ボツリヌス菌由来のタンパク質(ボツリヌス・トキシン)を少量注射し、筋肉の過剰な緊張や動きを一時的に抑える治療法です。 主に痙攣、筋肉のこわばり、多汗症、顎関節症、歯ぎしりなどの症状改善や機能回復を目的として用いられ、美容目的とは異なり、症状によっては健康保険の適用もあります。 効果は通常、注射後1〜2週間で現れ、1〜2カ月でピークに達します。その後、3〜6カ月ほど持続し、徐々に効果が薄れていきます。効果を維持するには、3〜6カ月ごとに注射を継続するのが一般的です。効果の持続期間や治療間隔には個人差があるため、実施前に医師への相談が不可欠です。 以下の記事では、脳梗塞に対してのボトックス効果について詳しく解説しています。 医療ボトックスの効果 期待できる効果 詳細 筋肉の過剰な緊張や痙縮の緩和 神経伝達の遮断による筋肉の収縮抑制 眼瞼けいれん・片側顔面けいれんの改善 けいれんを起こす筋肉の動きの抑制 多汗症の治療 発汗を促す神経信号の遮断による汗の抑制 顎関節症や歯ぎしりの緩和 咬筋の過活動抑制による顎や歯への負担軽減 医療ボトックスは、過剰に働く筋肉や神経の異常な伝達を一時的に抑えることで、症状を緩和する治療法です。もともとは眼瞼けいれんや斜視などの神経疾患に対して開発されましたが、現在では痙縮、顔面けいれん、多汗症、顎関節症、歯ぎしりなど、幅広い症状に対して効果が認められています。 注射により筋肉や汗腺の働きを抑え、日常生活への支障を軽減することが期待されます。効果は3〜6カ月程度持続します。効果や持続期間には個人差があるため、医師と相談の上で継続的に治療することが重要です。 筋肉の過剰な緊張や痙縮の緩和 適応疾患 症状の特徴 ボトックスの作用 期待される効果 痙性斜頸 首の筋肉が勝手に収縮し、頭が傾く・ねじれる状態 異常な筋肉の動きを抑制 姿勢の改善、違和感や不快感の軽減 脳性麻痺による運動障害 手足の筋肉がこわばり、動かしにくくなる状態 筋肉の緊張を和らげ、動きをスムーズにする 関節の可動域改善、歩行や手の動作の向上 脳卒中、脳性まひ、脊髄損傷などの後遺症では、筋肉がこわばり、思うように動かせなくなる痙縮(けいしゅく)と呼ばれる症状が現れることがあります。医療ボトックスは、過剰に収縮している筋肉への信号を一時的にブロックすることで筋肉の緊張を緩和する治療法です。 この作用により、関節の動かしやすさが改善し、日常動作がスムーズになるケースもあります。リハビリの効率が高まり、より効果的な訓練が可能となるのも利点のひとつです。また、強い筋緊張によって起こる違和感や変形、皮膚トラブルを防ぐ効果も期待されています。 このような症状に対するボトックスの効果は3〜4カ月ほど続き、時間の経過とともに効果が薄れ、徐々に元の状態に戻ることがあります。 再発を防ぐには、症状に応じて定期的な注射を検討することが大切です。適切なタイミングと用量で継続することで、生活の質の向上が見込めます。 眼瞼けいれん・片側顔面けいれんの改善 疾患名 症状の特徴 ボトックスの作用 期待される効果 眼瞼けいれん まぶたのけいれん、勝手に閉じてしまう状態 眼輪筋の異常収縮の抑制 まぶたの開けやすさの改善、けいれんの軽減 片側顔面けいれん 顔の片側の筋肉のピクピクとした不随意な動き 顔面筋の過剰な緊張やけいれんの抑制 表情のゆがみの軽減、不快感の改善 眼瞼けいれんは、まぶたが無意識にピクピク動いたり、強く閉じてしまう症状で、まぶしさや目の疲れ、視界の遮りを引き起こすことがあります。片側顔面けいれんは、顔の片側にけいれんが生じ、笑ったり話したりすると症状が強まるのが特徴です。いずれも筋肉の異常な収縮が原因とされ、医療ボトックスは有効な治療法です。 けいれんを起こしている筋肉にボトックスを注射することで、神経から筋肉への信号を一時的に抑え、不随意な動きを一定期間抑える効果があります。 効果は注射後2〜5日で現れ始め、2〜4週間で最大となり、2〜4カ月持続します。症状や筋肉の反応を見ながら、定期的に治療を行うことで、日常生活の不便を大きく軽減できる可能性があります。 多汗症の治療 医療ボトックスは、多汗症の原因となる神経の働きを一時的に抑え、汗の分泌を軽減する治療法です。脇や手のひらなど汗が気になる部位に注射することで、2〜3日後から効果が現れます。 効果は通常4〜9カ月続くため、再発時には定期的な治療が必要です。手術とは異なり、傷跡が残らず日常生活への影響もほとんどありません。発汗を抑えることで、日常の不快感や精神的なストレスの軽減に大きく役立ちます。 顎関節症や歯ぎしりの緩和 症状・効果 ボトックス治療の作用 顎関節症の緩和 咬筋の緊張を抑制し、顎関節への負担軽減。違和感や開口障害、クリック音の改善 歯ぎしり・食いしばりの軽減 無意識の歯ぎしり・食いしばりの減少。歯や顎関節へのダメージ予防 歯の摩耗や補綴物の破損予防 噛む力の抑制による歯のすり減りや詰め物・被せ物の破損リスク低減 顔の輪郭の変化 咬筋のボリューム減少によるエラ張りの改善。フェイスラインのすっきり感 効果の持続 効果は通常3~6カ月持続。時間経過とともに徐々に元の状態へ戻る。定期的な再注射で効果維持 治療の特徴 治療時間は短く、ダウンタイムほとんどなし。個人差あり 顎関節症や歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中の強い食いしばりや日中の無意識な筋緊張によって、顎やこめかみの違和感、咬筋の発達、歯のすり減りなどを引き起こす症状です。 これらに対して医療ボトックスを用いることで、噛む筋肉である咬筋の過剰な収縮を一時的に抑え、食いしばりや歯ぎしりの頻度や強さを軽減できます。 咬筋の緊張が緩和されることで、顎の違和感や開口障害が改善し、歯や関節への負担も軽減します。効果は3~6カ月程度持続し、筋緊張の軽減によりフェイスラインがすっきりする場合もあります。 治療を受ける際は、目的や副作用を十分に理解し、医師と相談しながら進めることが重要です。 医療ボトックスを打ち続けるとどうなる? 打ち続けると起こりうるリスク 詳細 効果の変化と抗体形成のリスク 抗体の産生により薬剤が効きにくくなる可能性 表情の変化や筋力低下の可能性 周囲の筋肉への影響による違和感や動きの制限 効果の減弱と元の状態への回帰 薬の効果が切れることで症状が再発する可能性 副作用のリスク 内出血・違和感・頭痛・倦怠感などが現れる可能性 医療ボトックスは効果の持続期間が限られているため、症状のコントロールには定期的な注射が必要です。ただし、長期間の治療に対して効果が薄れたり副作用が蓄積されたりすることに不安を感じる方も少なくありません。 実際には、ボトックスは時間とともに体外に排出されるため、成分が身体に蓄積することはありません。ただし、稀に抗体による効果の減弱、または表情の変化・筋力低下などの副作用が起こる可能性があります。そのため、治療は医師と相談の上、適切な間隔と投与量で行うことが求められます。 効果の変化と抗体形成のリスク 医療ボトックスは、筋肉の動きを一時的に抑えることで、しわやエラ張り、食いしばりなどの改善に用いられます。効果は通常3〜6カ月持続し、薬剤が分解されると徐々に筋肉の動きが戻るのが特徴です。継続的に適切な間隔(目安は3カ月以上)で治療を受けることで、効果が期待できます。筋肉が萎縮することで1回ごとの効果が長く続く場合もあります。 短期間に頻繁な注射を繰り返すと、ボトックスに対する抗体ができて効果が弱まるため、自己判断で注射の間隔を詰めるのは避け、必ず医師の指示に従うことが大切です。また、効果の変化には筋肉の状態や生活習慣も関係するため、定期的に診察を受け、治療間隔や投与量を調整しながら無理のない継続治療を行いましょう。 表情の変化や筋力低下の可能性 ボトックスは、筋肉の動きを一時的に抑えることでしわやたるみを改善しますが、同じ部位に繰り返し注射を行うと、表情筋の動きが制限されやすくなります。笑顔が不自然に見えたり、表情が乏しく感じられたりするのは、筋肉が長期間動かないことで徐々に萎縮し、筋力が落ちるためです。 また、咬筋などの大きな筋肉に繰り返し注射をすると、フェイスラインがすっきりする一方で、噛む力が弱くなるといった筋力低下も起こる可能性があります。額や目元などの部位では、表情のバリエーションが減ることもあります。 ボトックスの効果は3~6カ月程度持続し、回数を重ねることで効果が長く続く傾向がありますが、治療の頻度が高すぎると、副作用や表情の不自然さが目立ちやすくなります。そのため、3〜4カ月以上の間隔を空けることが、自然な表情と筋力を保つためには、重要です。 無理に回数を増やすのではなく、医師と相談の上、適切な量とタイミングで治療を継続することが、健康的で自然な仕上がりを保つポイントです。 効果の減弱と元の状態への回帰 医療ボトックスの効果は通常3〜4カ月程度持続し、時間とともに徐々に消失します。治療を中止すると、抑えられていた筋肉の活動が回復し、もともとの症状が元に戻る可能性があります。 たとえば、痙縮やけいれん、多汗症、食いしばり・歯ぎしりなどが再び現れることがあります。これは、薬の効果が切れて神経と筋肉の伝達が元に戻るためです。中には、再開後すぐに十分な効果が得られにくいケースもありますが、多くは再投与によって症状が再び緩和されます。 一方で、治療を中断しても症状が軽度のまま維持される場合もあるため、無理に継続せず一度経過を観察する選択も可能です。症状の戻り方には個人差があるため、医師と相談しながら、症状の経過に応じて柔軟に治療方針を決めていくことが大切です。 副作用のリスク 副作用の種類 内容と注意点 注射部位の腫れ・内出血・むくみ 針を刺すことで一時的に現れる反応。通常は数日〜1週間で自然に消失 アレルギー反応 発疹、赤み、かゆみ、息苦しさなど。ごく稀に発症し、早めの医師相談が必要 表情の違和感・筋力低下 筋肉の動きが抑制されることで起こる違和感や噛む力の低下。過剰投与でリスク増加 左右差や皮膚のたるみ 筋肉の使い方の偏りや注射の入り方による影響。個人差あり 頭痛・めまい・吐き気 一部の方に起こる全身症状。多くは軽度かつ一時的 嚥下障害・呼吸困難 首や咽頭周囲への注射、大量投与でごく稀に報告される重篤な副作用 医療ボトックスには、副作用のリスクがあります。注射部位に腫れや内出血、赤み、軽い違和感が出ることがありますが、これらは一時的で自然におさまることがほとんどです。まれに、隣接する筋肉に薬剤が拡がることで、意図しない筋力低下や表情の変化が起こることもあります。 また、ボトックスに対してアレルギー反応を示す人もごく少数ながら存在し、息苦しさや発疹などが現れる場合もあります。副作用の有無や治療前後の体調変化に気づいた際は、速やかに医療機関へ相談することが大切です。 医療ボトックスをやめるとどうなる? やめると起こりうる症状 詳細 もとに戻る可能性がある 抑えられていた症状の再発 見た目の変化に対する違和感 シワや輪郭の戻りによる印象の変化 筋肉の活動が再開する けいれんや緊張など筋肉の動きの再出現 医療ボトックスを中止すると、薬の効果が切れるのに伴い、神経と筋肉の伝達が徐々に元の状態へ戻ります。その結果、けいれんや痙縮、過度な発汗、歯ぎしりなど、これまで抑えられていた症状が再発する可能性があります。 ただし、症状が悪化するというよりは、治療前の状態に戻ると考えるのが一般的です。症状の戻り方や強さには個人差があり、すぐに再発する場合もあれば、一定期間は落ち着いた状態が続くこともあります。また、長期間治療を継続していた方ほど、効果が切れた際に見た目や感覚の変化に強い違和感を感じることがあります。 治療を継続するか中止するかは、症状の経過や日常生活への影響を踏まえ、医師と相談しながら柔軟に判断することが大切です。 もとに戻る可能性がある ボトックスは、筋肉にA型ボツリヌストキシンを注射し、神経と筋肉の伝達を一時的に遮断することで、筋肉の動きを抑え、しわ・エラ張り・食いしばりなどの症状を軽減する治療です。 ただし、効果は一時的で、通常3〜6カ月程度で薬剤が分解され、神経伝達が回復します。すると筋肉が再び動き始め、治療前の状態に戻る可能性が高くなります。 元に戻る現象は、ボトックスが筋肉を破壊するのではなく、動きを一時的に抑える仕組みであるためです。たとえばエラボトックスを中止すると、咬筋が再び発達し、エラ張りや食いしばりが戻ることがあります。治療を中止しても症状が悪化したり、老化が進むことはありません。 また、長期間(数年〜十数年)ボトックスを継続したごく一部のケースでは、筋肉の動きが弱まる廃用性萎縮に似た状態が起こることがありますが、非常に稀です。多くの場合は中止により自然回復します。継続治療を希望する場合は、症状や目的に応じて医師と相談し、適切なタイミングと頻度での治療が推奨されます。 見た目の変化に対する違和感 医療ボトックスの効果は3〜6カ月ほどで徐々に消失し、筋肉の動きが元に戻ります。それに伴い、しわやエラの張り、フェイスラインなどが治療前の状態に近づいていきます。 これはボトックスの効果が自然に切れた結果であり、異常ではありません。治療中の若々しく整った見た目に慣れていると、効果が切れて元の状態に戻ったときに老けた印象や疲れた印象を受けやすくなります。見た目が悪化したわけではなく、治療前の状態に戻っただけです。 また、長期間ボトックスを続けていた場合は、筋肉の動きが抑えられていた分、効果が切れたときに違和感を強く感じやすくなります。こうした見た目の変化は副作用ではなく、心理的なギャップによるものです。治療を中止する際は、あらかじめ医師と相談し、必要に応じて他の治療を検討することで、違和感を抑えながら自然な変化に対応できます。 筋肉の活動が再開する 医療ボトックスの効果は一時的で、3〜6カ月ほどで神経と筋肉のつながりが回復し、抑えられていた筋肉の活動が再開します。これは、神経から筋肉への信号をブロックするボトックスの作用が切れ、神経枝が再生するためです。 筋肉の動きが戻ると、けいれんや痙縮、歯ぎしりなどの症状が再び現れることがありますが、これは自然な反応であり異常ではありません。もともと症状が強かった人では、変化に違和感や不安を覚えることもあります。 ボトックスは筋肉を壊す薬ではないため、基本的に機能は元に戻ります。ただし、長期間にわたる連続使用では、まれに筋肉が使われにくくなり、萎縮が見られることもあります。再治療が必要かどうかは、症状や生活への影響を見ながら判断し、医師と相談の上で治療方針を決めることが大切です。 医療ボトックスの副作用 副作用 詳細 局所的な副作用 注射部位の腫れ・赤み・内出血・違和感など 筋力低下や動作の制限 力が入りにくい・動かしづらい感覚の一時的出現 全身的な副作用 頭痛・倦怠感・吐き気・まれにアレルギー反応など 医療ボトックスは高い治療効果が期待できる一方で、副作用の可能性もあります。多くは軽度かつ一時的なもので、注射部位の腫れ、赤み、内出血、違和感などが見られますが、通常は数日以内に自然に改善します。 注射する部位や筋肉の範囲によっては、表情が不自然に感じられたり、噛みにくさ、飲み込みにくさが出ることもあります。さらに、非常にまれではありますが、アレルギー反応、全身のだるさ、頭痛、吐き気などが起こるケースもあるため注意が必要です。これらの症状が現れた場合は、早めに医師へ相談することで適切に対応できます。 また、以下のような方にはボトックス治療は推奨されません。(文献1) 神経筋接合部の障害(例:重症筋無力症)を持つ方 妊娠中または授乳中の女性(影響が十分に明らかになっていないため) 副作用への理解を深め、体調や持病に応じて医師と十分に相談しながら治療を進めることが、医療ボトックスの活用につながります。 局所的な副作用 副作用の種類 主な原因 詳細 腫れ・内出血 注射針の刺激・血管損傷・身体の反応 注射時の物理的刺激による反応。多くは軽度で数日以内に自然に消退する 刺激・違和感 皮膚や筋肉への刺激・注入圧 注射直後に生じやすい一時的な感覚。数時間から数日で改善 赤み・かゆみ・発疹 アレルギー反応や炎症反応 ごく稀に発生する。軽度で短期間の経過が多い 副作用の対策 技術・衛生管理・事前の体調確認 適切な治療とリスク管理で副作用の頻度や重症化を最小限に抑えることが可能 医療ボトックスの局所的な副作用は、注射による物理的な刺激や体の自然な防御反応が原因で起こることがほとんどです。腫れ、内出血、違和感などは一時的な症状であり、通常は数日以内に自然に治まります。まれにかゆみや発疹、赤みが見られることもありますが、これらも軽度で、アレルギー反応としてはごく稀なケースです。 副作用を最小限に抑えるには、施術者の技術や衛生管理、アレルギー歴の確認が不可欠です。副作用が長引く場合や不安を感じた際は、早めに医師へ相談することが重要です。 筋力低下や動作の制限 ボトックスによる筋力低下や動作の制限は、神経から筋肉への信号が一時的に遮断されることで起こります。これは、しわを目立たなくするために筋肉の動きを抑える作用によるものです。 その結果、注射部位の筋肉に力が入りにくくなることがあります。ただし、これらの反応は一時的であり、時間の経過とともに自然に回復します。 これらは薬の効果が持続する2~4カ月間の一時的な変化です。ただし、左右差や違和感が強い場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 全身的な副作用 副作用の種類 原因・仕組み 特徴・注意点 頭痛 神経伝達の変化・炎症反応・筋緊張バランスの乱れ 多くは軽度で一時的。数日以内に自然に軽快 アレルギー反応 ボツリヌストキシンや添加物への免疫反応 発疹、かゆみ、腫れ。稀にアナフィラキシーなどの重篤反応 呼吸困難・嚥下困難 薬剤の過量・全身への広がり・基礎疾患の影響 重症筋無力症や呼吸器疾患のある方はとくに注意。異常を感じたら早期受診が必要 倦怠感・だるさ 神経や筋肉への作用による一時的な全身的影響 軽度で自然に回復することが多い 心臓への影響 ごく稀に報告される自律神経系や循環器系への影響 不整脈や心不全の既往がある方は慎重な判断が必要 医療ボトックスは主に局所に作用する治療ですが、ごく稀に全身的な副作用が現れることがあります。頭痛や倦怠感は比較的よく見られますが、多くは軽度で数日以内に自然に改善します。 稀にアレルギー反応として発疹やかゆみが出ることがあり、重症の場合はアナフィラキシーを起こす可能性もあるため注意が必要です。また、薬剤が広がることで呼吸や嚥下に関わる筋肉に作用し、呼吸困難や全身の筋力低下を引き起こすことがあります。 とくに、神経筋疾患や呼吸器疾患のある方には慎重な対応が求められます。症状が強く現れたり長引いたりする場合は、速やかに医師へ相談してください。 医療ボトックスの治療期間 項目 内容 効果発現時期 注射後2週間ほどで効果出現。1〜2カ月目にピーク 効果持続期間 通常3〜4カ月持続。その後徐々に消失 治療間隔・頻度 3〜4カ月ごとに年数回の注射が一般的 抗体形成リスク 過度な頻度での投与は抗体形成による効果減弱リスク増加 治療の目的 一時的な症状改善。根本治癒目的ではない 治療計画の調整 症状や目的、個人差に応じて調整。医師との継続的な相談が不可欠 (文献2) 医療ボトックスの効果は、注射後2週間ほどで現れ始め、1〜2カ月目に効果のピークを迎えます。効果は通常3〜4カ月持続し、その後徐々に消失します。症状の改善を継続したい場合は、3〜4カ月ごとに年数回の注射を繰り返すことが一般的です。ボトックスはあくまで一時的な治療であり、根本治癒を目的とするものではありません。効果を持続させるには、長期的な治療と定期的な経過観察が必要です。 治療間隔や期間は、症状や目的、個人差に応じて調整されます。無理のない治療計画を立てるためにも、医師との継続的な相談が重要です。 医療ボトックスで改善しない症状に再生医療という新たな選択肢 医療ボトックスは多くの神経筋疾患や過活動による症状に対して効果が期待できますが、すべての症状に適応するわけではありません。 たとえば、筋肉の損傷が進んでいる場合や、神経に重度の障害がある場合には、ボトックス単独では十分な改善が得られないことがあります。こうしたケースで注目されているのが再生医療です。 再生医療は、自己の幹細胞などを用いて損傷した組織や神経の修復を目指す治療法です。ボトックスでは改善が難しい症状に対して、新たな選択肢として注目されています。ただし、すべての症状が再生医療で改善するわけではなく、治療の適応や効果は症状によって異なります。 医療ボトックスに関するお悩みは、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、医療ボトックスに関するご相談に対応しており、症状やご希望に応じて再生医療のご提案も可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 医療ボトックスに関するよくある相談 医療ボトックスに関しての相談はどの診療科へするべきでしょうか? 医療ボトックスは、適応となる症状や疾患によって相談先の診療科が異なります。対応する診療科は以下を参考に受診ください。 主な症状・疾患 対応する診療科 顔面けいれん・眼瞼けいれん 神経内科、脳神経外科 手足の痙縮(脳卒中後など) リハビリテーション科、整形外科 多汗症(腋窩・手のひら・足の裏など) 皮膚科、形成外科、耳鼻咽喉科 咬筋の緊張・食いしばり・歯ぎしり 歯科口腔外科、矯正歯科 美容目的(表情じわ、エラ張りなど) 美容皮膚科、美容外科 ボトックス治療を実施しているかどうかは医療機関によって異なるため、事前にホームページや電話で確認するとスムーズです。 医療ボトックスの治療を受ける前に確認すべきポイントはありますか? 医療ボトックスの治療を受ける前に以下の7点をしっかり確認しましょう。 確認項目 内容 1.信頼できる医療機関か 症例数、製剤の種類、衛生管理、アフターケア体制を確認する 2.カウンセリングの内容 希望や不安を伝え、リスクや副作用の説明をしっかり受ける 3.持病や服薬の申告 神経筋疾患、重い心疾患、肝障害がある場合は治療できないことがある 4.妊娠・授乳の有無 妊娠中・授乳中・妊娠希望の方は治療を避ける 5.当日の体調管理 発熱や不調がある日は治療を延期する 6.薬や飲酒の管理 飲酒は控える。抗凝固薬や一部の薬は事前に医師へ申告する 7.治療前の準備 顔のバランスや筋肉の状態を医師が確認してから注射を行う 上記以外にも不安な点がある場合は、医師に事前に相談することが大切です。 医療費控除は適用されますか? 医療ボトックスが医療費控除の対象となるかどうかは、治療目的か美容目的かによって判断されます。医療費控除の対象となるケースとしては、歯ぎしり、食いしばり、顎関節症、多汗症など、医師の診断に基づく治療目的のボトックスは、医療費控除の対象です。確定申告時に、診断書や治療内容が記載された領収書を提出することで、控除を受けられます。 一方、医療費控除の対象外となるケースは、小顔やしわ取り、ガミースマイル改善など、美容を目的とした治療は医療費控除の対象にはなりません。また、医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額(通常10万円)を超えた場合、その超過分が控除されます。 治療目的であることを証明できるよう、診断書や領収書は必ず保管しておきましょう。 参考資料 (文献1) アッヴィ合同会社 アラガン・エステティックス「医療用医薬品 : ボトックスビスタ」 KEGG データベース, 2025年3月 https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056431(最終アクセス:2025年06月16日) (文献2) 医療法人社団永生会「ボツリヌス(ボトックス)療法」医療法人社団永生会 https://www.eisei.or.jp/clinic/eiseiclinic-gairai/botulinum/(最終アクセス:2025年06月16日)
2025.06.29 -
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「ALS(筋萎縮性側索硬化症)は食べ物が原因なのでは?」 「化学調味料は身体に有害と聞いたけど、実際どうなのか?」 外食や加工食品を頻繁に摂取する人の中には、「食べ物がALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因ではないか」と不安を抱く方もいるでしょう。なかでも、化学調味料がALSを引き起こす噂が広まっており、不安に感じる方も少なくありません。 本記事では、ALSの原因と食べ物との関係について、現役医師が科学的根拠に基づいて解説します。記事の最後には、ALSの原因となり得る食べ物に関するよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 ALSと食生活の関係性は?科学的に見た因果関係 項目 内容 明確な原因食の有無 現時点でALSの原因となる特定の食品は確認されていない グルタミン酸の影響 神経細胞に影響を及ぼす、興奮毒性の可能性が一部で指摘されている グルタミン酸ナトリウムの評価 通常の摂取量であれば、健康リスクはないと評価されている 食品添加物のリスク 適量であればALSを含む神経疾患との因果関係は認められていない 推奨される食生活 極端な摂取を避け、栄養バランスの取れた食事を継続する (文献1)(文献2) ALSと食生活の関連についてはさまざまな説がありますが、現在の科学的知見では、特定の食べ物がALSの原因になる証拠は確認されていません。うま味成分として使われるグルタミン酸や味の素に含まれるグルタミン酸ナトリウムも、通常の摂取量であれば健康への悪影響はないとされています。 ただし、ALSの発症には遺伝や環境要因などが複雑に関与しており、日常的な食生活で過度に心配しすぎる必要はありません。神経の健康維持には、バランスの良い食事を心がけることが大切です。 ALSの原因になりうる食べ物 食品・調味料 詳細 グルタミン酸を含むうま味調味料 味の素などに含まれるグルタミン酸ナトリウム。通常の摂取量では健康リスクはないとされているが、ALS患者の一部ではグルタミン酸の代謝異常が指摘されていることもある BMAAを含む可能性がある食品 藍藻類(シアノバクテリア)に含まれる神経毒性物質。特定地域での摂取との関連が報告されているが、日本の食環境での曝露リスクは極めて低いとされる 鉛や水銀などの重金属を含む食品 一部の大型魚介類などに含まれることがある。過剰摂取で神経に影響を与える可能性があるが、通常の食生活で可能性は低い 現在のところ、特定の食品がALSを引き起こす明確な科学的根拠はありません。一方では、神経毒性物質との関連が一部研究で示唆されています。たとえば、うま味調味料に含まれるグルタミン酸、藍藻由来のBMAA、一部の魚介類に含まれる重金属などがあげられます。 ですが、通常の摂取量でリスクが高まるとは考えにくく、食事に過度な不安を抱える必要はありません。普段からバランスの良い食生活を意識することが大切です。 グルタミン酸を含んでいる調味料 項目 内容 グルタミン酸毒性仮説 脳や脊髄でグルタミン酸が過剰になると運動神経細胞が過剰に刺激され、細胞死を招く仮説があるが、現時点では因果関係を裏付けるエビデンスは不足している ALS患者のグルタミン酸異常 脳脊髄液や細胞外液でグルタミン酸濃度が高い傾向。アストロサイトや受容体の異常も関与しているのではないかといわれている グルタミン酸ナトリウムとの関連 食品添加物として広く利用。摂取がALSリスクになるとの誤解が生まれやすい 明確な科学的根拠 通常の食事や調味料の使用量でALSリスクが上がる明確な証拠はない (文献1)(文献3) ALSの発症メカニズムのひとつに、グルタミン酸毒性仮説があります。これは、神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰に存在することで神経細胞が過度に刺激され、細胞死が引き起こされる考え方です。 ALS患者の一部では脳脊髄液中のグルタミン酸濃度の上昇や、グルタミン酸を回収するアストロサイトの機能低下が確認されています。 こうした背景から、うま味調味料に含まれるグルタミン酸ナトリウムとの関連が取り沙汰されることがありますが、経口摂取されたグルタミン酸が直接脳に影響するわけではありません。現時点では、グルタミン酸の摂取がALSリスクを高める科学的証拠はありません。 BMAA(β-N-メチルアミノ-L-アラニン)を含む食品 項目 内容 神経毒性作用 BMAAは運動ニューロンの興奮性受容体を介して毒性を示し、長期間の摂取で神経細胞死を引き起こす可能性がある 疫学的観察 グアム島や紀伊半島南部などでALS・PDCが多発し、BMAAを含む食物(ソテツやそれを食べた動物)が伝統的に摂取されてきた 生体内蓄積の報告 グアムのALS・PDC患者の脳内にBMAAが高濃度で蓄積している例が報告されている 動物実験での再現 BMAAを投与されたラットでは神経変性や運動障害が認められ、ALSモデル動物として利用される 科学的限界 すべてのALS患者にBMAA蓄積があるわけではなく、地域や食習慣に依存した限定的なリスク因子と考えられている (文献4)(文献5)(文献6)(文献7) BMAA(β-N-メチルアミノ-L-アラニン)は、藍藻や一部の珪藻が産生する天然の神経毒性アミノ酸で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経疾患との関連が指摘されています。グアム島や紀伊半島南部などでは、BMAAを含む植物やそれを食べた動物を摂取する文化があり、患者の脳内からBMAAが検出された例も報告されています。 動物実験でも神経障害を引き起こすことが確認されていますが、すべてのALS患者に該当するわけではありません。日本の一般的な食生活ではBMAAへの曝露はごくわずかであり、現時点では普遍的なリスク因子である確定的な結論は得られていません。 鉛や水銀などの重金属を含む食品 項目 内容 重金属の神経毒性 鉛や水銀は神経細胞の機能障害や炎症、酸化ストレス、ミトコンドリア障害、タンパク質の異常蓄積などを引き起こすことが報告されている 疫学調査・症例報告 鉛や水銀への曝露とALS発症リスクの上昇を示す研究や、ALS患者の生体試料で重金属濃度が高いケースが報告されている 地域性や生活習慣との関連 特定地域で飲料水や食事を通じた重金属曝露が多く、ALS患者の血液や髪の毛から高濃度の鉛や水銀が検出されている 他疾患との関連 鉛や水銀はALSだけでなく、アルツハイマー病など他の神経変性疾患との関連も指摘されている 因果関係の整理 重金属曝露とALS発症リスクの相関関係は示されているが、直接的な因果関係を証明するデータは現時点でない 食品を通じた曝露例 大型魚介類(マグロ、カジキ等)に水銀、土壌汚染を受けた野菜や穀物に鉛が蓄積することがある (文献8)(文献9)(文献10) 鉛や水銀などの重金属は神経への毒性が強く、長期間体内に蓄積すると神経細胞の障害や酸化ストレス、ミトコンドリア異常などを引き起こすことが知られています。これらの重金属が神経変性に関与する可能性が示唆されており、魚介類や飲料水などを通じた環境因子との関連も指摘されました。 特定地域では、飲料水や食事を通じて重金属に曝露される機会が多く、疫学調査でも重金属曝露とALS発症率の相関が報告されています。また、米国神経学会第69回年次総会で発表された予備研究によると、魚に含まれる水銀の摂取量が多いグループでは、ALSの発症率が少ないグループの2倍に上昇する調査結果もあります。(文献10) ただし、これらの研究は相関関係を示しているにとどまり、重金属がALSの普遍的な原因であるとは断定できません。通常の食生活でリスクは高くありませんが、汚染源を避けた食品選びが大切といえます。 ALSを予防・抑制するための食習慣 食習慣 詳細 注意点 高カロリー・高脂肪食の摂取 進行に伴う体重減少を補う目的でカロリー摂取を意識する。オリーブオイルや魚の脂に含まれる良質な脂肪が推奨されている 栄養バランスを考慮し、自己判断での極端な摂取は避け、医師や管理栄養士の指導のもとで行うこと 高GI・高GL食品の摂取 糖質によるエネルギー確保の手段として、一部で取り入れられている 糖尿病や血糖異常がある場合はリスク増大。医師と相談しながら適切な範囲で活用する 食物繊維と水分の摂取 運動量低下による便秘予防として、野菜や果物、海藻類の摂取が推奨されている 摂り過ぎは下痢や腹部膨満の原因になるため、適量を守り医療者の助言を得ること 嚥下機能に応じた食事形態の調整 嚥下障害に対応し、誤嚥を防ぐためにとろみ付けやきざみ食などの工夫を行う 誤嚥性肺炎のリスクを避けるため、医師や言語聴覚士の評価を受けて実施する ALSの進行に伴い、体重減少や便秘、嚥下障害などの栄養面での問題が生じやすくなります。これに対しては、高カロリー・高脂肪の食事、食物繊維と水分の十分な摂取、嚥下機能に応じた食事形態の調整が有効とされています。 これらの食事法がALSの進行を確実に抑える明確な根拠はなく、過剰な摂取や自己判断での食事変更は避けるべきです。ALSの栄養管理は、医師の指導のもと、個々の状態に合わせて適切に行うことが重要です。 高カロリー・高脂肪食の摂取 項目 内容 代謝亢進によるエネルギー不足 ALS患者の多くが代謝亢進状態となり、通常より多くのエネルギーが必要。高カロリー・高脂肪食で不足分を補う 体重減少と生命予後の関連 体重減少が進行や生命予後の悪化に関与する。高カロリー・高脂肪食で体重維持や増加を目指すことが重要 進行の速い患者への効果 高脂肪食の追加で生存期間延長や体重維持が認められた臨床試験の報告あり。とくに進行が速い患者で有効性が示唆 脂質代謝異常との関連 ALSでは脂質代謝異常が進行の予測因子。高カロリー・高脂肪食による栄養療法が生命予後改善に寄与する可能性 (文献11)(文献12) ALSでは発症初期から代謝が活発になり、通常より多くのエネルギーを消費するのが特徴です。間接カロリーメーターによる測定でも、約40%の患者が病初期に代謝亢進状態にあり、1日の総消費エネルギー量は25〜40kcal/kgと高いことが報告されています。(文献12) この代謝亢進は生命予後不良の予測因子とされ、エネルギー不足による体重減少や筋力低下を防ぐため、高カロリー・高脂肪食の摂取が推奨されることがあります。とくに進行が速い患者では体重維持や生存期間延長が期待されていますが、根本的なエビデンスは十分ではありません。 また、過剰摂取は糖尿病や脂質異常症など他の病気を引き起こす可能性もあるため、医師の指導のもとで行うことが大切です。 高GI・高GL食品の摂取 項目 内容 ALS患者の代謝特性 安静時でもエネルギー消費が多く、体重減少が進行因子となる傾向 高GI・高GL食品の特徴 白米やパン、じゃがいもなど。短時間で血糖とエネルギーを上げやすい食品群 摂取の意義 少量で効率よくエネルギーを補える利点がある。進行抑制との関係が示唆されている 注意点 根本的なエビデンスは乏しく、過剰摂取で生活習慣病リスクもあるため、医師の指導が必要 (文献11) ALSでは病気の影響により代謝が亢進し、体重減少が進行や予後の悪化に関与するとされています。高GI・高GL食品(白米、パン、じゃがいもなど)は、消化吸収が速く、短時間で効率的にエネルギーを補えるため、食事量が限られがちなALS患者にとって有用と考えられています。近年の研究では、これらの食品を多く摂取していた患者で進行が緩やかだった報告もあります。(文献11) ただし、こうした栄養戦略の有効性については根本的なエビデンスがまだ十分とはいえず、過剰摂取は糖尿病や肥満など他の疾患リスクを高める可能性もあります。自己判断での摂取は避け、医師や管理栄養士と相談しながら、個々の状態に応じた適切な量を取り入れることが重要です。 便秘予防のための食物繊維と水分の摂取 項目 内容 ALSと便秘の関係 筋力低下・活動量減少・嚥下障害による便秘発生 便秘の影響 QOL低下、不快感、食欲不振の原因 食物繊維の効果 水溶性:便をやわらかくし善玉菌増加 不溶性:便のかさ増・腸運動促進 水分摂取の効果 便をやわらかくし排便をスムーズに。脱水は便秘や食欲低下の悪循環原因 摂取の注意点 食物繊維は水分と一緒に摂取、過剰摂取は便秘悪化の恐れ 便秘対策の基本 バランスの良い食事、十分な水分、適度な運動、排便習慣の確立 (文献2)(文献13) ALSでは筋力の低下や活動量の減少により、便秘が起こりやすくなります。便秘は日常生活の質(QOL)を下げるだけでなく、食欲不振や不快感の原因にもなるため、予防と対策が重要です。水溶性食物繊維は便をやわらかくし、不溶性食物繊維は腸の動きを促すことで、排便を助けます。これらの効果を高めるには、1日2リットル程度の水分摂取が目安です。 ただし、食物繊維を摂りすぎると便秘が悪化するおそれがあるため、過不足のないバランスが大切です。排便習慣の確立や適度な運動もあわせて取り入れることで、ALS患者の便秘予防とQOL向上に役立ちます。 嚥下機能に応じた食事形態の調整 項目 内容 誤嚥・窒息リスクの軽減 嚥下機能に応じたとろみ付けや刻み食による誤嚥防止 栄養・水分摂取量の確保 疲労や食事量減少への対応として食形態を工夫 QOL(生活の質)の維持 食べやすさを保ちつつ、食事の満足感を維持 進行抑制・予後の改善 低栄養・体重減少の予防による進行リスクの抑制 工夫の具体例 ペースト状・とろみ付き・ゼリー状の活用による飲み込みやすさの向上 (文献14)(文献15) ALSの進行に伴い、多くの患者で嚥下障害が現れ、誤嚥や窒息、低栄養、脱水のリスクが高まります。固形食や水分の摂取が困難になるため、ペースト状やゼリー状、とろみをつけた食事へ調整することで、無理なく摂取できるようになります。 嚥下の負担を軽減することで、食事量や水分量の維持が可能となり、体重減少や予後の悪化を防ぐ一助になります。とくに、細かく刻んだ食事よりも、まとまりのある形態の方が飲み込みやすい場合も多く、個々の状態に応じた工夫が重要です。食事形態の調整は、栄養状態の管理だけでなく、生活の質を保つためにも早期からの対応が求められます。 ALSの原因となりうる食べ物を把握して食生活に気をつけよう 現在、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症に直接関与する特定の食品や添加物は、科学的に明確には特定されていません。 そのため、特定の食品を過剰に避けるのではなく、栄養バランスの取れた食生活を継続することが、健康的な体調管理において重要です。疑わしい症状や不安がある場合は、医師に相談し、適切な検査や指導を受けましょう。 また、症状の進行や体調の変化に応じた適切な栄養管理を行うことで、日常生活の質(QOL)を維持しやすくなります。 食生活の不安や疑問がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。当院では、ALSに関する具体的な栄養指導や、患者様一人ひとりに合わせた食事支援を行っております。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ALSの原因になる食べ物についてよくある質問 紀伊半島でALSの発症が多いのは飲食物と関係があるのでしょうか? 紀伊半島南部、とくに古座川地区や穂原地区は、世界的にALSの多発地域として知られています。この地域では、遺伝子変異による家族性ALSに加え、グアム島型に類似した病理を示す孤発性ALSの症例も報告されています。(文献16) グアム島では、ソテツの実に含まれる神経毒BMAAや、それを摂取した動物の食用が発症リスクと考えられてきました。一方、紀伊半島においては、水や特定の食品などの飲食物とALSの関連を示す明確な証拠は、これまでの疫学調査では確認されていません。(文献4) 現時点では、紀伊半島でのALS多発には遺伝的要因や地域特有の病理が関与していると考えられており、環境要因や生活習慣を含めたさらなる研究が必要とされています。 ALSの原因は食べ物以外に何がありますか? ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、食べ物だけでなく、さまざまな要因が複雑に関与して発症すると考えられています。まず、ALSの約90%は孤発性(遺伝とは関係のない発症)であり、約10%は家族性で、SOD1、C9orf72、FUS、TARDBPなどの遺伝子変異が関与しています。 また、紀伊半島やグアム島など特定地域で発症率が高いことも、環境要因の存在を示唆していますが、明確な原因物質は特定されていません。(文献4) さらに、神経細胞の老化、グルタミン酸の代謝異常、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、タンパク質分解の異常など、生物学的・分子的な異常もALSの発症に関与していると考えられています。現在では、遺伝的要因・環境因子・加齢など、複数の要素が長期にわたり相互作用する多因子モデルが有力視されており、ALSは、単一の原因で発症する疾患ではないと考えられています。 以下の記事では、ALSの原因について詳しく解説しております。 特定の栄養素の不足がALSの発症に影響を与えることはありますか? 特定の栄養素の不足がALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症リスクを直接的に高めるという明確な証拠は、現時点では確認されていません。ただし、栄養不良や特定の栄養素の欠乏が、ALSの進行や生命予後に悪影響を及ぼすことは多くの研究で示されています。(文献17) ALS患者の一部では、嚥下障害や筋力低下、代謝亢進の影響により、エネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。 筋力や免疫機能の低下、全身状態の悪化を招き、症状の進行や予後の悪化につながる可能性があります。たとえば、たんぱく質やエネルギー不足は筋肉量の低下を招き、ビタミンB群、鉄、亜鉛、カルシウムなどの欠乏は神経・筋機能に悪影響を及ぼすとされています。また、L-アルギニンなどのアミノ酸補給により、体重維持や予後改善が期待される報告もあります。(文献17) 参考資料 (文献1) 公益財団法人長寿科学振興財団「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因」健康長寿ネット, 2016年7月25日 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/als/shindan.html(最終アクセス:2016年06月16日) (文献2) 中島健二ほか.「筋萎縮性側割索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」『南江党』, pp.1-311, 2023年 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/als_2023.pdf?20231212(最終アクセス:2016年06月16日) (文献3) 柴田 亮行ほか.「筋萎縮性側索硬化症における興奮性神経毒性に関する研究」『新潟大学脳研究所「脳神経病理標本資源活用の先端的共同研究拠点」共同利用・共同研究報告書』, pp.1-2 https://www.bri.niigata-u.ac.jp/uploads/2013/07/2220%E6%9F%B4%E7%94%B0H24.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献4) 小久保康昌.「紀伊半島の家族性認知症-パーキンソン症候群における」『厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)三重県南部に多発する家族性認知症-パーキンソン症候群 発症因子の探索と治療介入研究班(分担)研究報告書』, pp.1-47 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123151/201231159A_upload/201231159A0012.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献5) JTS 国立研究開発法人科学技術復興機構「J-GLOBAL」BMAAの新たな科学:シアノバクテリアは神経変性疾患に関与しているか?, 2021年3月 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202250044503100(最終アクセス:2016年06月16日) (文献6) 草間(江口)國子.「天然物に由来する運動神経疾患に関する研究―ニューロラチリズムを中心に―」, pp.1-7, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/139/4/139_18-00202/_pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献7) 株式会社エクスメディオ「L-BMAA処理ラットで見られる形態計測および神経化学的変化」Bibgraph(ビブグラフ), 2015年4月22日 https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/26002186?click_by=rel_abst(最終アクセス:2016年06月16日) (文献8) Free Peter E A Ash, et al. (2023) Heavy Metal Neurotoxicants Induce ALS-Linked TDP-43 Pathology. Oxford Academic https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30371865/(最終アクセス:2016年06月16日) (文献9) 紀平 為子.「科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書」『科研費』, pp.1-6, 2013年 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22590967/22590967seika.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献10) Mercury in Fish, Seafood May Be Linked to Higher Risk of ALS. American Academy of Neurology: Neurology Resources | AAN https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/1522(最終アクセス:2016年06月16日) (文献11) 日本神経摂食嚥下・栄養学会「ALSにおける栄養療法 UP TO DATE(2013/07)」日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会, 2013年 https://www.jsdnnm.com/column/als%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%A0%84%E9%A4%8A%E7%99%82%E6%B3%95%E3%80%80up-to-date%EF%BC%88201307%EF%BC%89/?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2016年06月16日) (文献12) 株式会社日本医事新報社「筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する栄養療法について」日本医事新報社, 2024年6月17日 https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_24463(最終アクセス:2016年06月16日) (文献13) 著者名,著者名.「ALS(筋 萎縮性側索硬化症)」『特集:神経筋疾患における入工呼器 治療のリスクマネジメント』, pp.1-3, 2002年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/56/5/56_5_271/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2016年06月16日) (文献14) 兵庫県難病相談センター「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」兵庫県難病相談センター https://agmc.hyogo.jp/nanbyo/ncurable_disease/disease05_shiryo.html(最終アクセス:2016年06月16日) (文献15) 清水 俊夫.「筋萎縮症側索硬化症(ALS)の嚥下障害,栄養障害とその対策*」『特集/シンポジウム18:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療の最前線–4』, pp.1-5,2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/40/4/40_580/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2016年06月16日) (文献16) 小久保康晶ほか.「紀伊半島南部に多発するALSとALS-parkinsonism-dementina complexに関する診療マニュアル」, pp.1-31, 2019年 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/als_pdc.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献17) 公益財団法人難病医学研究財団「筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)」難病情報センター, 2023年 https://www.nanbyou.or.jp/entry/52(最終アクセス:2016年06月16日)
2025.06.29







