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「潰瘍性大腸炎は性行為でうつると聞いたが本当か?」 「潰瘍性大腸炎を患うと一生性行為ができないというのは本当?」 潰瘍性大腸炎は難病のひとつであり、性行為で感染するという噂を聞いて心配する声が多くあります。血便や粘膜の炎症がある難病と聞くと感染症を思い浮かべ、周囲に相談しにくく、悩みをひとりで抱えてしまう患者も少なくありません。 しかし、結論として潰瘍性大腸炎は性行為でうつる難病ではありません。本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない理由を医学的根拠に基づいて詳しく解説します。 記事の最後には、潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【結論】潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない うつらない理由 詳細 潰瘍性大腸炎は体内の免疫異常によって起こるため感染しない 免疫システムが腸管を誤って攻撃することで炎症が起こる自己免疫性疾患であり、外部から人へうつる性質を持たない状態 潰瘍性大腸炎の発症に関わる感染性の病原体が存在しないため他人にうつらない 細菌やウイルスといった伝播性病原体が確認されておらず、性行為や日常接触で感染を媒介する要素がない状態 潰瘍性大腸炎は免疫異常が関与する非感染性の疾患であり、性行為を含む日常的な接触で他者に感染することはありません。 血便や炎症といった症状から「人にうつるのでは」と心配される方がいますが、病原体が存在しないため伝播の可能性はありません。 ただし、腹部症状や治療に伴う体調変化、通院などが性生活に影響を及ぼすことはあります。パートナーとのコミュニケーションを大切にしながら、無理のない範囲で日常生活を送ることが重要です。 感染症ではなく免疫の異常が原因のため 潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症を起こす疾患ですが、細菌やウイルスによる感染症ではありません。免疫機能の異常により自己の粘膜を攻撃することで炎症が持続すると考えられています。 そのため、インフルエンザや感染性胃腸炎のように接触で伝播することはありません。性行為を含む日常生活において相手に感染させる心配はありません。 「炎症」という言葉から感染を連想しやすいですが、これは免疫学的機序に基づく非感染性の病態です。 他者に伝播する病原体は存在しないため 潰瘍性大腸炎は、細菌やウイルスのように他者へ広がる病原体が原因ではなく、免疫機能の異常によって腸の粘膜に炎症が続く疾患です。 性行為での接触や体液の共有によって相手に伝わる仕組みは存在しません。また、家族や同居者間で連続して発症する傾向も認められておらず、生活環境や接触とは無関係です。 潰瘍性大腸炎が性行為でうつるといわれる要因 誤解される理由 詳細 血便=感染症と連想されやすいこと 血便を細菌感染と誤認し血液接触で感染すると考えてしまう状況 SNS・口コミで感染症と混同されること IBD(炎症性腸疾患)が感染性腸炎と名称が似ており誤情報が拡散しやすい状況 同居・接触でうつると誤解されること 接触や生活を共有で感染すると考えがちな誤認 性行為=感染リスクと感じやすいこと 粘膜接触がある行為を感染源と誤って捉えてしまう状況 潰瘍性大腸炎は免疫の異常によって腸に炎症が生じる疾患であり、細菌やウイルスが原因ではありません。そのため、性行為や日常生活の接触で他者にうつることはありません。 しかし、血便や「腸炎」という言葉から感染症を連想してしまい、SNSの誤情報や噂話などで感染性と混同されることがあります。 潰瘍性大腸炎が性行為に与える影響 性行為に与える影響 詳細 腹部の違和感や腸の動きによる不快感 炎症による腹部圧迫感や腸の動きによる痛みが刺激で増強しやすい状態 排便の不安による精神的な負担 便意や漏れへの不安が緊張を高め行為への心理的抵抗につながる状況 治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下 免疫調整薬・ステロイド等の影響や疾患による自己肯定感低下が性への関心を弱める状態 潰瘍性大腸炎は性行為で感染することはありませんが、腹部症状や体力低下、心理的変化が性生活に影響を及ぼす可能性があります。 活動期には腹部膨満感や排便への不安から行為に集中できないことがあり、治療薬の副作用で気分の落ち込みを経験する方もいます。 これらは疾患に伴う身体的・精神的変化であり、感染リスクとは異なる問題です。症状が安定した時期を選び、無理のない体位を工夫するなど、自身の体調に合わせた対応が大切です。 腹部の違和感や腸の動きによる不快感 潰瘍性大腸炎では腸粘膜の炎症により腹部膨満感や重さが生じやすく、性行為中の体位変換で症状が意識されることがあります。 炎症によって腸が敏感になると蠕動運動を感じやすくなり、腹部圧迫を伴う姿勢で違和感が増強する場合があります。またガスの貯留も腹部不快感の一因です。 排便が近い感覚があるときは心身の緊張が高まり、行為への集中が妨げられることもあります。これらは炎症に伴う身体反応であり、症状の程度に応じた配慮が必要です。 排便の不安による精神的な負担 排便に対する不安が強まり、性行為への意欲や集中力に影響することがあります。排便が近い感覚や急な便意への心配は緊張を生み、行為に支障をきたすことがあります。 「相手に迷惑をかけたくない」という思いから、心理的負担が増加し行為を避けるようになり、性生活やパートナーとの関係に影響を及ぼします。 治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下 潰瘍性大腸炎の治療では、薬の影響や病気に伴う心理的負担が性への意欲に影響することがあります。 治療薬による気分の変動や体調の揺れ、慢性症状によるストレス、自己イメージの低下などが関心を弱める要因になります。 これらの変化が続く場合には、医師と相談し治療内容を調整することが大切です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎患者が性行為を行う際の注意点 注意点 詳細 体調が落ち着いている時期を選ぶ 寛解期など腸の炎症や腹部症状が安定している時期を選ぶことで負担を減らす状況 腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ 腹部圧迫を避け横向き姿勢など無理のない体勢で違和感を抑える状況 治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく 薬の作用や体調の揺れを共有し無理のない進め方を調整しやすくする状況 性行為を行う際は、体調に配慮したタイミングと姿勢の選択が欠かせません。 活動期は腸の動きが不安定で腹部の違和感が強まりやすいため、症状が落ち着いた寛解期を選ぶことで負担を軽減できます。 具体的には、腹部を圧迫しない体勢を選び、治療薬の影響や体調の変化については事前にパートナーへ伝えておくと良いでしょう。 潰瘍性大腸炎が相手に感染することはありませんが、身体の状態には波があるため、自分のペースを尊重した対応が大切です。 体調が落ち着いている時期を選ぶ 潰瘍性大腸炎は症状が変動しやすいため、性行為は体調が落ち着いている時期に行うことが重要です。 活動期は腹部の張りや違和感が強まり、姿勢の変化で不快感が増えることがあります。また、排便回数の増加や急な便意への不安が緊張を高め、行為に集中しにくくなります。 さらに、症状が強い時期は体力低下や疲労感が出やすく、無理がききにくい状態です。一方、寛解期は腹部症状や排便が安定し、心身に余裕が生まれるため、より自然にパートナーとの時間を過ごしやすくなります。 腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ 潰瘍性大腸炎は腸に炎症があるため、性行為の際に腹部への負担が不快感につながりやすく、姿勢や動作の工夫が欠かせません。 腹部が敏感な状態では圧迫により違和感が強まり、腹圧が高まる姿勢では張りや痛みが出やすくなります。 急な動作を避けて柔らかく動き、腹部への圧迫が少ない姿勢を選ぶことで身体的負担が軽減され、パートナーと無理なく快適に過ごせるようになります。 治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく 潰瘍性大腸炎の治療中は、薬の作用や体調の変化が性行為に影響することがあるため、気になる点を事前にパートナーへ伝えることが大切です。 ステロイド剤などは気分や体調に変動をもたらすことがあり、相手の理解があれば無理のないタイミングを選びやすくなります。 症状は日によって変動しやすく、腹部膨満感や疲労、排便への不安が強い日は行為に集中しにくくなります。事前に懸念点をパートナーに共有しておくことは良好な関係維持につながるでしょう。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療について詳しく解説しています。 片桐作成KW:潰瘍性大腸炎の治療 潰瘍性大腸炎患者は無理のない性行為を心がけよう 潰瘍性大腸炎は性行為で相手に感染することはありませんが、症状の変動や治療の影響で体調や気持ちが変化します。 寛解期を選び、腹部への負担が少ない姿勢で進めることで負担が軽減されます。パートナーと状況を共有し、無理のないペースで行うことが大切です。 また、潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、自己細胞を用いた「再生医療」による治療をご検討ください。 再生医療とは、患者さまの細胞や血液を用いて、損傷した組織の再生・修復を促すことで潰瘍性大腸炎の症状改善を目指す治療法です。 実際に、再生医療による幹細胞治療によって、4年間にわたって治療を継続していた難治性潰瘍性大腸炎が改善した症例があります。 >>再生医療によって難治性潰瘍性大腸炎が改善した症例(50代男性)はこちら 当院リペアセルクリニックでは、潰瘍性大腸炎に対して患者さまの幹細胞を用いた再生医療をご提案しています。 「潰瘍性大腸炎がなかなか治らない」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎は性機能に影響を与えますか? 症状の悪化時や一部の治療薬の影響で性欲低下や勃起不全がみられることがあります。 一方、寛解期には多くの患者が通常の性生活を送れており、医師と相談すれば治療調整で対応可能です。 適切な治療とコミュニケーションがあれば、性機能に大きな支障が出ない場合もあります。 潰瘍性大腸炎と診断されましたが妊活を行なっても大丈夫でしょうか? 潰瘍性大腸炎の患者でも妊活は問題なく行えます。ただし、活動期の妊娠は流産や早産のリスクがやや高まるため注意が必要です。 治療薬の多くは妊娠中も使用可能です。自己判断で治療薬の中断は避け、医師と相談しながら継続することが重要です。 潰瘍性大腸炎は子どもに遺伝しますか? 潰瘍性大腸炎は、親から必ず遺伝する疾患ではありません。しかし、遺伝的素因が発症リスクの一因となることが示されています。 複数の遺伝子多型が免疫応答や腸管の性質に影響する可能性が報告されています。(文献1) また、近親者に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある場合は一般集団より発症リスクが高まるという研究結果があるため、注意が必要です。(文献2) ただし、家族歴があっても発症しない人のほうが圧倒的に多く、発症は遺伝要因と食生活・腸内細菌・生活習慣などの環境要因が組み合わさって決まると考えられています。(文献3) 潰瘍性大腸炎のパートナーと性行為を行う際に気をつけるべきことはありますか? 潰瘍性大腸炎のパートナーとの性行為では、相手の体調を尊重し、無理のないタイミングを選ぶことが重要です。 体調や不安を共有して理解を深め、腹部への負担が少ない姿勢や穏やかな動きを心がけましょう。 参考文献 (文献1) Genetic update on inflammatory factors in ulcerative colitis: Review of the current literature|PMC PubMed Central® (文献2) Familial and ethnic risk in inflammatory bowel disease|PMC PubMed Central® (文献3) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター
2026.02.15 -
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「潰瘍性大腸炎になりやすい性格はあるのか」「性格が原因で潰瘍性大腸炎になることはあるのか」など、疑問に思う方もいるでしょう。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、下痢や腹痛、血便などを繰り返す疾患です。真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすい傾向がありますが、現時点で性格自体が潰瘍性大腸炎の直接的な原因であるという科学的根拠はありません。 今回は、潰瘍性大腸炎になりやすい性格について解説します。主な原因や日常生活において気をつけるべきポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 性格は関与している?潰瘍性大腸炎の原因について 潰瘍性大腸炎の発症には、性格が直接関与するわけではありません。主な原因としては、免疫の異常や遺伝的要因、腸内細菌バランスの乱れなどが影響する可能性が指摘されています。しかし、医学的に見てどれも決定的な要因とは言えません。(文献1) 性格についても、あくまで潰瘍性大腸炎の症状に影響があると考えられている程度です。ストレスを感じやすい人は症状が悪化しやすい傾向があるものの、性格が発症の直接的原因ではないと考えられます。そのため、潰瘍性大腸炎を発症した場合においても、性格が原因だと考えすぎず、適切な治療によって症状を管理することが大切です。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格 ここでは、潰瘍性大腸炎になりやすい性格としてあげられるタイプを紹介します。 真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすく、症状が悪化するリスクがあると考えられます。性格自体が潰瘍性大腸炎の直接的な原因ではありませんが、自己管理のための参考に知っておくと安心です。 ストレスを感じやすい ストレスを感じやすい性格の人は、潰瘍性大腸炎の症状が悪化しやすい可能性があります。 実際に性格が直接的な原因となるわけではありませんが、心理的負担が免疫や腸の働きに影響する点は示唆されています。ストレスを感じやすい人は意識的にリラックスや趣味の時間を取り入れ、症状管理を心がけることが大切です。 些細なことが気になる 些細なことが気になる性格の人は、物事を深く考え込み、ストレスを溜めやすい傾向があります。 ストレスの蓄積は腸に負担をかけ、潰瘍性大腸炎の症状悪化につながる可能性があるため注意が必要です。普段から物事をあまり深く考え込みすぎないよう意識し、些細なことが気になるときは、気持ちを切り替える工夫を取り入れることが大切です。 真面目で責任感が強い 真面目で責任感の強い人も、つい無理をして心身に負担をかけてしまう傾向があります。 心身の負担によって腸の調子が乱れると、潰瘍性大腸炎の症状が悪化するリスクにつながります。真面目な人ほど意識的に適度な休息や趣味の時間を日常に取り入れ、心身の負担軽減に努めることが大切です。 潰瘍性大腸炎の原因として考えられるもの 潰瘍性大腸炎は、原因が完全には解明されていない疾患です。しかし、いくつかの要因が発症や症状悪化に関与していると示唆されています。 ここでは、潰瘍性大腸炎の原因として考えられるものをそれぞれ見ていきましょう。 免疫異常 潰瘍性大腸炎の原因の一つとして、免疫異常があります。これは、本来はウイルスや細菌から身体を守る免疫が、誤って自分の大腸粘膜を攻撃してしまう状態のことです。その結果、大腸の内側に炎症や潰瘍が生じ、下痢や血便、腹痛などの症状が現れます。 免疫異常が起こる明確な理由は解明されていませんが、食生活やストレス、腸内細菌の乱れなどが関与すると考えられています。この場合、免疫調整薬を用いて過剰な免疫反応を抑え、炎症を鎮めることで症状の安定や再燃予防を目指すのが一般的です。 遺伝的要因 潰瘍性大腸炎は遺伝性の病気ではありませんが、家族に同疾患や炎症性腸疾患のある人は発症しやすい傾向があると報告されています。(文献2)ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではなく、食生活の変化や腸内細菌の乱れ、喫煙などの環境要因が免疫の異常反応を引き起こし、腸の炎症につながることもあります。 そのため、遺伝的リスクがある場合でも、生活習慣の見直しや定期的な受診によって発症の予防や早期発見が可能です。 腸内環境の乱れ 潰瘍性大腸炎の発症や悪化には腸内環境の乱れが関与すると考えられています。腸内細菌のバランスが崩れると免疫や腸の炎症に影響し、症状悪化の原因となるからです。 腸内環境を乱す主な要因には、食生活の偏りや強いストレスなどがあげられます。そのため、症状管理には野菜や発酵食品で善玉菌を増やしたり、脂肪や糖質の過剰摂取を控えたりするといった栄養面での工夫がポイントです。さらに、適度な運動やストレス対策を取り入れることで、腸内環境の改善につながります。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人が気をつけるべきポイント 潰瘍性大腸炎はストレスや生活習慣による影響を受けやすい疾患です。そのため、日常生活における工夫が症状管理に役立ちます。 ここでは、潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人が気をつけるべきポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。 ストレスを軽減する 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は、ストレスによって症状が悪化しやすい傾向があります。心身の負担を減らすためにも、日頃から以下のような点に気をつけましょう。 十分な睡眠を確保する 趣味やリラックスできる時間を持つ 悩みを抱え込まずに相談する ストレスを完全には避けられなくても、日々の習慣によってストレスをうまく発散することが、症状の安定や再燃予防につながります。 規則正しい生活を心がける 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は、生活リズムを整えることが症状管理のポイントです。生活リズムが乱れると自律神経が不安定になり、腸の働きにも影響を及ぼすからです。 潰瘍性大腸炎の症状悪化を防ぐためには、朝食を欠かさず摂ったり、就寝・起床時間を一定に保ったりするなど、規則正しい生活を意識しましょう。生活習慣を整えることは腸の健康維持だけではなく、再燃リスクの低減にもつながります。 早めに医療機関を受診する 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人ほど、症状が現れたら早めに医療機関を受診しましょう。腹痛や下痢、血便などの症状を自己判断で放置すると、病状が悪化しやすくなるため注意が必要です。 潰瘍性大腸炎の主な治療法は、栄養療法・薬物療法・手術療法・再生医療の4つです。潰瘍性大腸炎は、早期に診断・治療を受けることで炎症の進行を抑え、症状の改善が期待できます。また、適切な治療によって生活の質を維持しやすくなるメリットもあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の治療について相談したい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は悪化する前に医療機関を受診しよう 潰瘍性大腸炎は原因が完全には解明されていません。性格についても直接の原因ではありませんが、真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすく、症状悪化のリスクが高まる可能性があります。 潰瘍性大腸炎の発症には免疫異常や遺伝的要因、腸内環境の乱れなどが関係しており、生活習慣やストレス管理が症状の安定に役立ちます。生活の質の維持や再燃予防のためにも、症状が現れたら悪化する前に医療機関を受診しましょう。 しかし、治療を続けていても症状が安定せず、寛解維持が難しいケースもあります。 そのような方に対する選択肢の一つとして、近年では再生医療という治療法があります。 再生医療とは、患者さまご自身の幹細胞を活用し、炎症によって傷ついた組織の修復環境を整えることが期待される治療法です。 実際に薬物療法やG-CAP療法を継続しても寛解維持が難しかった難治性潰瘍性大腸炎の患者さまが当院(リペアセルクリニック)の再生医療を受けられ、その後の経過観察において担当医が内視鏡所見の変化を確認した症例もございます。 ▶ 実際の難治性潰瘍性大腸炎に対する症例はこちら 潰瘍性大腸炎の症状がなかなか安定しない方や、既存治療以外の選択肢について知りたい方は、まずは当院へご相談ください。 潰瘍性大腸炎に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎のときは食事に気をつけるべきですか? 潰瘍性大腸炎では、食事の管理が症状の安定や治療のサポートに役立ちます。とくに活動期は腸が敏感になっているため、脂質や刺激物を控え、消化に良い食事を選ぶことが大切です。 また、一度に大量に食べるより、少量を分けて摂取することで腸への負担を軽減できます。こうした食事の工夫が、潰瘍性大腸炎の症状管理につながります。 潰瘍性大腸炎の悪化サインは? 次のような症状が現れたら、潰瘍性大腸炎が悪化しているサインです。 下痢や血便の増加 腹痛や腹部の不快感の強まり 発熱や倦怠感 こうした兆候を感じたら、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、再燃リスクを軽減できます。 参考文献 (文献1) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献2) 難病の潰瘍性大腸炎の発症に関連する3つの遺伝子を発見 - 遺伝的な要因を背景にした、粘膜免疫応答の調整異常が発症原因と突き止める -|理化学研究所
2026.02.15 -
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「潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは何か」「食事で症状はどこまでコントロールできるのか」など、疑問を持っている方も多いでしょう。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、下痢や腹痛、血便などの症状を繰り返すのが特徴です。症状の強さには波があり、活動期と寛解期を繰り返します。 食事管理は潰瘍性大腸炎の症状を和らげ、腸への負担を減らすために重要ですが、あくまで治療を補助する役割です。そのため、症状に応じて、医師の指示のもとで適切な治療を受けることが基本です。 今回は、潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることをわかりやすく解説します。食事以外で意識したいことや治療法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の食事で気をつけること 潰瘍性大腸炎の食事は、何を食べるかだけでなく、どのようなタイミング・状態で食べるかも重要です。活動期と寛解期では、食事で気をつけることがそれぞれ異なります。 活動期の食事 潰瘍性大腸炎の活動期は、下痢・腹痛・血便などの症状が強く、腸が敏感になっている時期です。活動期の食事では、腸を休ませることを優先して以下の点を意識しましょう。 脂質や食物繊維を控える 消化に良い調理法を選ぶ 少量を回数多く食べる 刺激物や冷たいものを避ける 脂質や不溶性食物繊維は腸への刺激となりやすいため、活動期には控えることが大切です。また、調理法は、煮る・蒸す・茹でるなど、消化しやすい方法を選ぶことで腸への負担を軽減できます。一度に多くの量を食べると腸に負担がかかるため、少量ずつ回数を分けて摂取すると良いでしょう。 寛解期の食事 潰瘍性大腸炎の寛解期は、症状が落ち着き腸の状態が比較的安定している時期です。この時期に過度な食事制限を続けると、栄養不足や体力低下につながる可能性があるため注意が必要です。 主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を意識する 食物繊維や脂質も体調を見ながら少しずつ再開する 寛解期に栄養状態を整えることは、体力の回復だけでなく、再燃予防につながる効果も期待できます。潰瘍性大腸炎の食事は、症状にあわせて食べられるものを徐々に増やしていくことを心がけるのがポイントです。 【一覧】潰瘍性大腸炎のときに食べてはいけないもの 症状や個人差によって異なるものの、以下の食品は腸への負担が大きく、潰瘍性大腸炎のときには避けたほうが良いとされています。 避けたほうが良いもの 具体例 脂っこいもの 揚げ物、ラーメン、スナック菓子など 辛いもの・刺激物 キムチ、唐辛子、スパイス料理など アルコール ビール、ワイン、焼酎など カフェインが多い飲み物 コーヒー、エナジードリンクなど 不溶性食物繊維が多い食品 ごぼう、れんこん、きのこ、生野菜など とくに活動期は、これらの食品が症状悪化の引き金になる可能性があるため注意が必要です。 潰瘍性大腸炎の食事選びのポイント 潰瘍性大腸炎のときは何を食べたら良いのか、ここでは、食事選びのポイントを見ていきましょう。 主食 主食はエネルギー源として重要な要素です。しかし、活動期は腸への刺激を最小限にすることを優先する必要があります。 精製された穀類は消化吸収がよく、腸への負担を抑えやすいのが特徴です。活動期は白米やおかゆ、うどんなど、消化が良いものを中心に選びましょう。一方で、玄米や雑穀は消化に負担がかかる場合があるため控えめにするのがポイントです。 寛解期に入ったら、パンやパスタ、雑穀など、食物繊維を含む主食も少量から試しましょう。体調に問題がなければ徐々に種類を増やしていくようにしてください。 肉・魚 たんぱく質は体力維持や粘膜修復に欠かせない栄養素です。白身魚や鶏むね肉、ささみなどは脂質が少なく活動期でも比較的安心して食べられます。脂質が多い肉や加工肉(ベーコンやソーセージなど)は避け、焼くよりも煮る・蒸すなどの調理法を意識しましょう。 寛解期には適量であれば赤身肉を食べても問題ありません。急に脂質を増やさないよう、少しずつ食事の幅を広げていきましょう。 野菜・果物 野菜や果物はビタミンやミネラルの供給源です。しかし、不溶性食物繊維が多いと腸を刺激する場合があるため注意が必要です。活動期には、煮る・蒸すなどして柔らかくした野菜を選び、生野菜や皮・種の多い食材は避けてください。 栄養バランスを整えるためにも、寛解期に入ったら食物繊維の多い野菜や果物も少量から取り入れていきましょう。 お菓子・飲料 潰瘍性大腸炎のときは、食事だけでなくお菓子や飲み物の選び方にも注意が必要です。脂質や糖分が多い洋菓子、炭酸飲料、アルコールは腸を刺激しやすく、症状の悪化を招くリスクがあります。そのため、摂取はできるだけ控えるようにしましょう。 一方、和菓子やゼリーなど脂質が比較的少ないお菓子であれば、体調を見ながら取り入れやすいといえます。無理のない範囲で、腸への負担が少ないものを選ぶことが大切です。 潰瘍性大腸炎で食事以外に意識したいこと 潰瘍性大腸炎の症状の安定には、食事管理に限らず日常生活の過ごし方も影響します。生活リズムの乱れや治療の中断、感染症などは再燃のきっかけになることもあるため注意が必要です。ここでは、潰瘍性大腸炎の方が食事以外で意識したいポイントを3つ解説します。 生活リズムを整える 潰瘍性大腸炎では、規則正しい生活リズムを保つことが症状の安定につながります。不規則な生活や睡眠不足、強いストレスは腸内環境を乱し、炎症を悪化させる要因になるからです。 潰瘍性大腸炎のときは、次のような点を意識して生活リズムを整えましょう。 夜更かしを避けて十分な睡眠時間を確保する 食事や就寝時間をできるだけ一定にする ストレスを溜め込まないよう適度に休息をとる 日々の生活リズムを整えることは、潰瘍性大腸炎の再燃予防や体調管理において重要なポイントの一つです。 定期的に通院する 潰瘍性大腸炎では、症状が落ち着いている寛解期であっても定期的な通院が欠かせません。症状がなくても腸の炎症が完全に治まっていない場合があり、自己判断で治療を中断すると再燃のリスクが高まります。 医師から処方された薬は指示通り継続して服用し、下痢や腹痛、血便などの変化を感じた場合は早めに受診してください。定期的な通院や医師への相談が、長期的な症状の安定につながります。 感染症予防に努める 潰瘍性大腸炎の方は、日頃から感染症予防を意識する必要があります。風邪や胃腸炎などの感染症は、体への負担となり、潰瘍性大腸炎の再燃を引き起こすきっかけになることがあるため注意が必要です。 感染症予防のためには、外出後の手洗いやうがいを徹底するとともに、医師と相談した上で必要に応じたワクチン接種を検討すると良いでしょう。日常的な感染症対策が、潰瘍性大腸炎の症状安定につながります。 【食事とあわせて確認】潰瘍性大腸炎の治療法 潰瘍性大腸炎の主な治療法として、栄養療法や薬物療法、手術療法、再生医療の4つがあります。食事管理は治療を支える大切な要素です。 しかし、食事管理だけでは十分な改善につながらない場合もあります。そのため、症状に応じて医師と相談しながら適切な治療法を選択することが重要です。 治療法 目的や特徴 治療内容 栄養療法 体力維持と栄養状態の改善を図る補助的治療 ・食事内容を調整し、腸への負担を軽減 ・必要に応じて経腸栄養・静脈栄養を実施 薬物療法 炎症を抑え、症状の寛解と維持を目指すための治療 5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを使用 手術療法 内科的治療が効かない場合の根治的治療 重症例や合併症がある場合に、大腸を切除して回腸嚢肛門吻合術などを実施 再生医療(文献1) 損傷した腸粘膜の修復・再生を促すための治療 ・幹細胞などを用いて炎症で傷ついた腸粘膜の修復を促す方法 ・難治性症例で注目されているが、実施施設は限定的 潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法を中心に、症状の寛解と再燃予防を目指すのが一般的です。栄養療法は治療をサポートする重要な役割を果たし、薬物療法で十分な効果が得られない場合には、手術療法が検討されるケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎は食事管理に気をつけて適切な治療につなげよう 潰瘍性大腸炎の症状を和らげ、再燃を予防するには、活動期と寛解期で食事の内容や量を調整する必要があります。 活動期には脂質や刺激物を控え、寛解期には栄養バランスを整えることが大切です。 また、症状の安定には食事管理だけでなく、定期的な通院や適切な治療の継続も欠かせません。 しかし、食事療法や薬物療法を続けていても、腹痛や血便、下痢などの症状を繰り返し、寛解維持が難しいケースもあります。 そのような方に対して、再生医療も新たな選択肢の一つになります。 再生医療は患者さまご自身の幹細胞を活用し、炎症によって傷ついた組織の修復環境を整えることが期待される治療法です。 実際に当院(リペアセルクリニック)には、薬物療法やG-CAP療法を続けても寛解維持が難しく、以下のような症状に長年悩まされていた患者さまがご相談に来られています。 繰り返す腹痛 粘液を伴う血便 突然の強い便意による外出への不安 頻回の下痢 しかし、当院の再生医療を受けられた後の経過観察で、担当医が内視鏡所見の変化を確認した症例もございます。 ▶ 難治性潰瘍性大腸炎の症例はこちら 潰瘍性大腸炎の症状がなかなか安定しない方や既存治療以外の選択肢について知りたい方は、まずは当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 潰瘍性大腸炎の食事に関するよくある質問 食事制限はいつまで続ける必要がありますか? 食事制限を続ける期間に明確な決まりはありません。症状が強い活動期には、腸を休ませる目的で食事制限が必要になりますが、寛解期には、体調を見ながら少しずつ通常の食事に戻していくケースがほとんどです。 潰瘍性大腸炎の食事管理については、自己判断せず、主治医と相談しながら進めていくことが大切です。 栄養補助食品を利用しても良いですか? 食事量の減少や食事制限によって、十分な栄養がとれない場合には、栄養補助食品が役立つこともあります。ただし、潰瘍性大腸炎の方にとっては、脂質が多い食品や腸を刺激する成分を含む製品などが症状悪化につながる可能性もあるため注意が必要です。 栄養補助食品の利用を検討する際は、事前に医師へ相談すると安心です。 (文献1) 潰瘍性大腸炎 - 診療と研究の最前線 -|日本消化器病学会
2026.02.15 -
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「下痢や血便が続いている」 「腹部に違和感や痛みを感じる」 市販薬を服用しても症状が改善せず、慢性的な不調に不安を感じていませんか。こうした症状の背景には、難病指定されている炎症性腸疾患のひとつ「潰瘍性大腸炎」が潜んでいる可能性があります。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じ、再発を繰り返す慢性疾患です。しかし、早期に診断を受け、適切な治療を行うことで、症状をコントロールしながら安定した生活を送ることができます。 本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎について詳しく解説します。 潰瘍性大腸炎の初期症状 潰瘍性大腸炎の原因 潰瘍性大腸炎の治療法 潰瘍性大腸炎における注意点 記事の最後には、潰瘍性大腸炎についてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎とは 項目 内容 疾患の概要 大腸の粘膜に炎症やびらん、潰瘍が生じる慢性の炎症性腸疾患。症状が悪化する活動期と、落ち着く寛解期を繰り返す経過。日本では難病に指定され、長期的な医療管理が必要な疾患 主な原因 免疫の異常による大腸粘膜への過剰な炎症反応。遺伝的体質や生活環境、腸内細菌の乱れなどが複雑に関与する多因子性の疾患 注意すべきポイント 症状が軽くても定期的な受診・検査が必要。進行により重症化する可能性があるため、医師の指示に沿った治療継続が重要 (文献1) 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍が生じる炎症性腸疾患のひとつです。炎症は主に直腸から始まり、大腸全体に広がることもあります。 原因は明らかではありませんが、免疫の異常反応や腸内環境、遺伝的要因などが関与すると考えられています。症状は血便や下痢、腹部膨満、倦怠感など多様で、寛解と再燃を繰り返すことが特徴です。 日本の患者数は約166,060人(平成25年度末の医療受給者証および登録者証交付件数の合計)で、人口10万人あたり約100人と報告され、米国の約半分にとどまっています。(文献1) 医療受給者証交付件数は年々増加傾向にあり、早期診断と長期的な管理が重要とされています。 潰瘍性大腸炎になりやすい人 発症しやすい人の特徴 内容 若年〜成人期 10〜30代の若い世代に多い発症傾向。60代以降の発症は少ないものの、加齢に伴いみられることもある慢性疾患 家族歴がある人 親や兄弟などの近親者に潰瘍性大腸炎や炎症性腸疾患(IBD)がある場合に高まる発症リスク。遺伝的体質を背景に持つ傾向 腸内環境・生活環境の影響を受けやすい人 腸内細菌の乱れや食生活の偏り、高脂肪食、都市型の生活習慣などによる影響。抗生物質の使用歴も関連要因 免疫応答や腸バリア機能に傾きがある人 腸粘膜の防御機能が弱く、免疫が過剰に反応しやすい体質。アレルギー体質や自己免疫疾患の既往を持つ人に多い傾向 潰瘍性大腸炎は、10〜30代の若い世代を中心に発症が多くみられる疾患です。明確な原因は解明されていませんが、免疫の異常反応や腸内環境、生活習慣、遺伝的要因などが複雑に関与すると考えられています。 とくに、近親者(親・兄弟・子ども)に潰瘍性大腸炎や類似の炎症性腸疾患(IBD)がある場合には、発症リスクが高まることが報告されています。体質や環境が重なって発症に至る多因子性の疾患です。 潰瘍性大腸炎とクローン病の違い 比較項目 潰瘍性大腸炎 クローン病 発症場所 大腸(とくに直腸)に限局し、炎症が連続して広がる 口から肛門までの消化管全体に発生し、飛び飛びに炎症が起こる 炎症の深さ・形態 炎症は大腸粘膜の表層にとどまり、浅い潰瘍やびらんが連続してみられる 炎症が腸壁の深部まで及び、深い潰瘍や縦走潰瘍、石畳状の粘膜変化を呈する 主な症状 下痢、血便、腹痛、発熱、倦怠感 下痢、腹痛、体重減少、発熱、倦怠感、口内炎や肛門周囲の症状 合併症 大腸がん、貧血、関節炎など 腸閉塞、瘻孔、膿瘍、栄養障害など 病変の範囲と連続性 大腸粘膜に連続性のある炎症 消化管全域に不連続性の炎症 (文献3) 潰瘍性大腸炎とクローン病は、いずれも免疫の異常が関与する炎症性腸疾患です。潰瘍性大腸炎は大腸に限局し、直腸から連続的に広がる炎症が特徴です。炎症は粘膜の表層にとどまり、浅い潰瘍を形成します。主な症状としては血便が多くみられます。 一方、クローン病は口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起こり得る疾患です。炎症は腸の深層まで及び、非連続的に深い潰瘍を形成します。主な症状としては腹痛や体重減少が目立つ傾向があります。 また、瘻孔や腸管狭窄などの合併症を伴うこともあります。両疾患とも正確な診断と個々に適した治療が必要です。 潰瘍性大腸炎の初期症状 初期症状 詳細 血便・下痢が続く 大腸の炎症による血便や水様便が続く状態 腹部の不快感・張り 炎症やガスによる腹部の膨満感や違和感 排便回数の増加・残便感 排便回数が増え、すっきりしない感覚が続く状態 倦怠感・微熱などの全身症状 炎症や貧血によるだるさや微熱がみられる状態 潰瘍性大腸炎の初期には、血便・下痢・腹部の張りなどの消化器症状が中心に現れます。発症初期は風邪や一時的な腸炎と区別がつきにくいこともありますが、症状が長引く場合は注意が必要です。 腸粘膜の炎症が進行すると、排便回数の増加や、全身のだるさ、微熱などが出ることもあります。症状は軽度から重度まで幅があり、良くなったり悪化したりを繰り返すのが特徴です。慢性化すると大腸の機能低下を招くため、早期の受診・治療が必要です。 血便・下痢が続く 潰瘍性大腸炎では、大腸の粘膜が炎症により傷つくことで出血し、赤い血液や粘液が便に付着します。ゼリー状に見えることもあり、痔など他の疾患と見分けがつきにくい場合があります。 腸の炎症により排便回数が増えて下痢が続くことがあり、重症の場合は脱水を起こすおそれがあるため注意が必要です。 血便や長引く下痢は潰瘍性大腸炎の初期症状の可能性があります。自己判断せず早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。 腹部の不快感・張り 腹部の不快感は、潰瘍性大腸炎による腸の炎症で腸の動きが乱れ、ガスや便が滞ることで生じる重苦しさや張りを指します。腸内にガスが溜まると腹部膨満感が生じます。痙攣や炎症によりガスの排出が妨げられ、鋭い痛みではなく鈍い違和感が持続したり強弱を繰り返すのが特徴です。 これらの症状は活動期に悪化しやすく、放置すると重症化する恐れがあります。腹部の不快感や張りが続く場合は、早めに医療機関を受診し、医師の指導のもとで適切な治療と生活管理を行うことが重要です。 排便回数の増加・残便感 潰瘍性大腸炎では大腸の粘膜炎症により腸が過敏となり、便を十分に貯められなくなることで排便回数が増えることがあります。 排便後に便が残っているように感じる残便感は、炎症によって腸の感覚や動きが変化することで生じます。排便回数の増加や残便感が続く場合、炎症の悪化が考えられるため、医師への相談が大切です。 倦怠感・微熱などの全身症状 潰瘍性大腸炎では大腸の炎症により免疫が慢性的に活性化し、エネルギー消耗や栄養吸収の低下、貧血などが重なることで、休んでも疲れが取れない倦怠感やだるさが生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。 活動期には微熱が続くことがあり、これは感染症ではなく、腸の炎症が原因です。また、血便による鉄分不足や食欲低下により、貧血や体重減少を伴う場合もあります。 これらの症状は風邪や疲労と見分けにくいものの、腸の炎症が全身に影響している可能性があります。倦怠感や微熱が長く続く際は、早期に消化器内科を受診しましょう。 潰瘍性大腸炎の原因 原因 詳細 免疫異常(腸内での過剰な免疫反応) 腸の粘膜に免疫細胞が過剰に集まり、自己の腸組織を攻撃してしまう自己免疫反応。免疫物質(TNFαやサイトカイン)の過剰産生による炎症の持続 遺伝的・環境的要因 潰瘍性大腸炎になりやすい遺伝的体質に、食生活の欧米化やストレス、衛生環境の変化などが重なって起こる発症リスクの上昇 腸内環境の乱れ 腸内細菌のバランスが崩れ、免疫の調節がうまく働かなくなる状態。抗生物質の使用や食生活の影響による腸内フローラの異常 潰瘍性大腸炎は、免疫異常による自己免疫的な炎症反応が大腸粘膜に生じる疾患です。発症には遺伝的背景だけでなく、生活環境や食生活の変化も関与しています。 とくに腸内の細菌バランスの乱れが炎症を悪化させることが知られています。このように、複数の要因が複雑に絡み合っているのが特徴です。改善には早期の診断と治療、生活習慣の見直しが欠かせません。 免疫異常(腸内での過剰な免疫反応) 潰瘍性大腸炎の原因のひとつである免疫異常とは、本来ウイルスや細菌から身体を守る免疫が誤って自分の大腸粘膜を攻撃してしまう状態を指します。 この過剰な免疫反応により大腸の内側に炎症が生じ、ただれや潰瘍が発生します。その結果、下痢・血便・腹痛などの症状を引き起こします。 なぜ免疫が異常を起こすのかは完全には解明されていません。しかし、遺伝的要因や食生活、ストレス、腸内細菌の乱れなどが関与すると考えられています。 治療では、免疫調整薬を用いて免疫の過剰反応を抑え、炎症を鎮めることで症状の安定と再燃の予防を図ります。 遺伝的・環境的要因 潰瘍性大腸炎は遺伝性の疾患ではありませんが、家族に同疾患や炎症性腸疾患を持つ人がいる場合は、発症しやすい体質的な傾向があるとされています。複数の関連遺伝子が報告されていますが、遺伝だけで発症が決まるとは限りません。(文献4) 環境要因として、食生活の欧米化や腸内細菌の乱れ、ストレス、生活リズムの不規則化、喫煙などが免疫の異常反応を誘発し、腸の炎症を引き起こすとされています。 このように、潰瘍性大腸炎は遺伝的体質と環境的要因が重なって発症すると考えられています。そのため、日常生活の見直しも疾患の管理に欠かせません。 腸内環境の乱れ 腸内には数百兆個の細菌が生息し、腸内細菌叢(腸内フローラ)として消化や免疫機能に重要な役割を果たしています。 健康な腸内では善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれていますが、潰瘍性大腸炎ではこの均衡が崩れ、悪玉菌の増加と善玉菌の減少により慢性的な炎症と腸粘膜の防御機能低下を招きます。 腸内環境を整えるには食生活の見直しが大切です。野菜や発酵食品を積極的に摂取し、脂肪や糖質の過剰摂取を控えましょう。適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理も腸内環境の改善に役立ちます。 潰瘍性大腸炎の治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑え、症状を改善するための薬剤を用いる治療法 栄養療法・食事管理 腸に負担をかけず、栄養状態を保つための食事調整 手術療法 内科的治療で効果がない場合に行う外科的治療法 再生医療 幹細胞を利用して炎症や損傷した腸粘膜を修復する治療法 潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法が中心で、腸の炎症を抑えて症状の寛解と維持を目指します。栄養療法や生活習慣の調整も再発予防に欠かせません。薬物療法で十分な効果が得られない場合は、外科的治療が検討されます。 近年は再生医療も難治例への新たな選択肢として期待されていますが、実施できる医療機関は限られており、すべての患者に適用できるわけではありません。治療法の選択は医師と相談し、継続的に行うことが大切です。 薬物療法 薬物療法は潰瘍性大腸炎治療の基本であり、腸の炎症を抑えて症状を改善し、再発を防ぐ効果があります。5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤は、腸粘膜に直接作用して炎症やただれを鎮め、腹痛や血便などの症状を和らげます。 また、寛解期を維持することで再燃を防ぎ生活の質を保てる上、5-ASA製剤は局所的に作用するため副作用が比較的少ないのが特徴です。 症状が重い場合は、ステロイドや免疫調節薬、生物学的製剤を併用し、免疫の異常反応をより強力に抑えます。早期からの薬物治療により、重症化や手術のリスクを軽減が期待されます。 栄養療法・食事管理 区分 詳細 栄養療法の役割 体力維持と栄養補給を目的とした補助的治療 寛解期の食事 バランスの良い食事を規則的に摂取 活動期の食事 脂肪・繊維・刺激物を控え腸への負担を軽減 栄養補給法 経腸栄養や静脈栄養による体力回復 生活習慣の管理 睡眠・ストレス軽減・適度な運動の継続 潰瘍性大腸炎では、腸の炎症により下痢や血便が続くことで体力や栄養が低下しやすくなります。栄養療法は炎症そのものを治すものではありませんが、体力維持や栄養補給を目的とした重要なサポート療法です。 寛解期にはバランスの取れた食事を心がけ、活動期には脂肪分や繊維、刺激物を控え、腸への負担を減らします。食事摂取が困難な場合は、経腸栄養や静脈栄養による管理を行います。また、十分な睡眠、ストレス管理、適度な運動も症状の安定に役立ちます。 手術療法 手術が検討される場合 詳細 大腸に穴が開く・大量出血が止まらない場合 腸の穿孔(せんこう)や重度出血による命に関わる危険な状態 重症例や劇症例で薬物療法が無効な場合 強い炎症が続き、薬での改善が見られない状態 巨大結腸症(中毒性巨大結腸症) 炎症により大腸が異常に膨張し、破裂の危険がある状態 大腸がんや高異型度腫瘍が見つかった場合 がんや前癌病変の発生による外科的切除の必要性 薬物療法で改善しない重症例や合併症を伴う場合は、病変部の大腸を切除し小腸で便を一時的に貯める袋(回腸嚢:かいちょうのう)を作って肛門につなぐ回腸嚢肛門吻合術(かいちょうのうこうもんふんごうじゅつ)による根治を目指します。 術後は排便回数が一時的に増えますが、長期追跡研究では、409名の患者で平均1日6回、夜間2回程度の排便で機能が維持されたと報告されています。(文献5) 再生医療 項目 詳細 目的 炎症で傷ついた腸粘膜の修復促進と組織再生の支援 対象 薬物療法で十分な改善が得られない難治性潰瘍性大腸炎 期待されること 腸粘膜の再生による長期的な病状安定と生活の質の維持 実施に関して 実施できる医療機関が限られており、医師との相談が必要 (文献6) 再生医療とは、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した組織の修復・再生を目指す治療法です。 潰瘍性大腸炎に対する再生医療では、炎症で損傷した腸粘膜の修復を促すことを目的としています。 特に薬物療法で十分な改善が得られない難治性の症例において、将来的な治療選択肢として注目されています。 実際に、薬物療法やG-CAP療法を続けても寛解維持が困難だった難治性潰瘍性大腸炎が再生医療によって改善した症例があります。 >>再生医療によって難治性潰瘍性大腸炎が改善した症例(50代男性)はこちら 再生医療による治療は医師の判断のもとで行われ、症状や状態に応じた適切な計画が必要です。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ再生医療専門である当院リペアセルクリニックにご相談ください。 潰瘍性大腸炎における注意点 注意点 詳細 薬剤の自己中止を避ける 症状が落ち着いても医師の指示なく薬を中断しないこと。再燃や悪化を防ぐための継続的な服薬管理 生活習慣を整える 規則正しい食事・十分な睡眠・適度な運動を心がけること。ストレス軽減と腸への負担軽減 定期的に受診・検査する 症状の変化や炎症の再発を早期に把握するための定期的な通院と検査 感染症に注意する 免疫抑制薬使用時の感染リスクへの配慮。手洗いやうがい、ワクチン接種などによる予防対策 潰瘍性大腸炎の治療を続ける上で、日常生活での注意が大切です。薬は症状が落ち着いても自己判断で中止せず、医師の指示に従って継続することが再燃予防につながります。 規則正しい生活や十分な休養、バランスの取れた食事を意識し、腸への負担を減らします。また、定期的な受診と検査で炎症の確認も欠かせません。 免疫抑制薬を使用している場合は感染症のリスクが高まるため、手洗いやワクチン接種などの予防を心がけましょう。 薬剤の自己中止を避ける 潰瘍性大腸炎は、症状が落ち着いている寛解期でも腸の炎症が完全に消失しているわけではありません。薬を自己判断で中止すると炎症が再び悪化し、再燃を繰り返すことで重症化する可能性があります。さらに、大腸がんの発生リスクや緊急手術の可能性も高まります。 治療には5-アミノサリチル酸(5-ASA)などの抗炎症薬を継続的に服用することが重要です。症状が軽くても自己判断で中断せず、不安がある際は医師に相談しましょう。 生活習慣を整える 潰瘍性大腸炎では、過労や睡眠不足、ストレスが再燃の要因となるため、生活習慣を整えることが症状の安定につながります。 十分な睡眠と休息を確保し、体調に応じて無理のない生活を心がけることが大切です。ストレスは症状悪化の引き金となるため、趣味やリラックス法で心身を整え、寛解期には軽い運動やストレッチを取り入れて体力と腸の働きを保つことが推奨されます。 食事は脂質や刺激物を控えて栄養バランスを重視し、定期的に医師の診察を受けて治療と生活管理の両面から病状を安定させることが再発予防に欠かせません。 定期的に受診・検査する 検査項目 詳細 問診・診察 下痢や血便、腹痛、発熱などの症状確認による治療効果と副作用の評価 血液検査 炎症の程度(CRP・白血球数)、貧血や栄養状態、薬剤副作用の確認 便検査 便中カルプロテクチンによる炎症の評価と感染性腸炎の除外 大腸内視鏡検査 炎症範囲や粘膜治癒、大腸がん合併の有無を確認 腹部X線検査(レントゲン) 腸内ガスの貯留や腸管合併症の有無を補助的に評価 CT検査 重症例での穿孔や合併症の確認目的で実施。潰瘍性大腸炎の直接評価は限定的 (文献6) 潰瘍性大腸炎では、定期的な受診と検査により炎症の再燃や合併症を早期に発見し、適切な治療へつなげることが大切です。血液検査では炎症や貧血、栄養状態を、便検査では腸の炎症マーカーや感染の有無を確認します。 大腸内視鏡検査は粘膜の治癒状態や発がんリスクを評価するため、発症から数年経過後は年1回以上が推奨されます。(文献7) また、寛解期でも自己判断で通院や治療を中断せず、症状の変化を記録・申告が大切です。バイオ医薬品や免疫抑制剤使用中は高頻度のモニタリングが必要です。 感染症に注意する 潰瘍性大腸炎では、治療に免疫抑制剤や生物学的製剤を使用することが多く、免疫機能が低下して感染症にかかりやすくなります。 さらに、腸の炎症や潰瘍によって腸壁のバリア機能が低下し、細菌やウイルスへの抵抗力も弱まります。発熱や悪寒、倦怠感、腹痛、下痢の悪化など感染を疑う症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 感染予防として、手洗い・うがい・マスクの着用と換気の徹底に加え、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種も推奨されます。免疫抑制薬使用中は主治医と連携し、体調変化に注意しながら治療を継続することが大切です。 潰瘍性大腸炎でお悩みの方は当院へご相談ください 潰瘍性大腸炎は、症状をコントロールしながら長期的に付き合っていく必要のある慢性疾患です。薬物療法の継続や食事管理によって炎症の再燃を防ぎ、症状の安定を図れます。 症状の改善がみられない場合や体調の変化を感じたときは、自己判断で治療を中断せず、医療機関を受診することが大切です。 潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。 潰瘍性大腸炎に対しては、再生医療による腸粘膜修復の研究が進められており、幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促すことで、炎症による粘膜障害を改善できる可能性があります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎についてよくある質問 潰瘍性大腸炎は感染しますか? 潰瘍性大腸炎はウイルスや細菌による感染症ではなく、免疫が腸粘膜に過剰反応して炎症を起こす自己免疫性疾患のため、家族や周囲に感染する心配はありません。 潰瘍性大腸炎で早死にすることはありますか? 潰瘍性大腸炎は、重篤な合併症がある場合を除き、適切な治療と管理を続けていれば一般の方と死亡率に大きな差はありません。(文献2) 重症例や炎症が長く続く場合は、大腸がんなどの合併症リスクが高まるため注意が必要です。しかし、多くの患者は再燃と寛解を繰り返しながらも、適切な治療により長期にわたり安定した生活を送れます。 潰瘍性大腸炎と診断されましたが障害者手帳の取得はできますか? 潰瘍性大腸炎は指定難病に含まれており、症状の程度や生活への影響によっては障害者手帳を取得できる場合があります。詳細は以下の表をご覧ください。 項目 詳細 対象 指定難病であり、中等症以上や頻繁な通院・生活支障がある場合 支援内容 医療費助成、税制優遇、就労支援などの公的支援 申請条件 医師の診断書と必要書類の提出による審査 注意点 症状や治療状況により取得可否が判断される 相談先 居住地の自治体窓口および主治医 とくに中等症以上の方や、頻繁な通院が必要な方、日常生活や仕事に支障がある方が対象です。 手帳を取得することで、医療費助成や税制優遇、就労支援などの公的支援を受けられます。申請には医師の診断書が必要であり、症状や治療経過が重要な判断要素です。 軽症でも医療費負担が大きい場合は助成対象となることがあります。不明点がある場合は、医師や自治体窓口に相談しましょう。 潰瘍性大腸炎の患者は性行為を行ってはいけませんか? 潰瘍性大腸炎は感染症ではないため、性行為によってパートナーにうつる心配はありません。基本的に性行為は問題ありません。 ただし、下痢や出血、腹痛などの症状が強い時期は、体調や腹部への刺激で不快感が生じやすいため、無理を避けて体調が落ち着いてから行うことが望ましいです。 ステロイドや免疫抑制薬を使用中は体調管理に注意が必要です。心配な場合は医師へ相談し、適切なタイミングを確認しましょう。 潰瘍性大腸炎を患っている芸能人はいますか? 潰瘍性大腸炎を公表している有名人は以下の方々です。 氏名 職業 詳細 高橋メアリージュン 女優 2014年に潰瘍性大腸炎を公表し、闘病を乗り越えて活動を継続 井澤こへ蔵 俳優 「トイレは1日40回」と語り、疾患と向き合う経験を発信 天羽希純 アイドル 痛みで動けないほど辛い時期を告白し、同じ疾患の人を励ます発言 疾患を抱えながらも治療と向き合い、活躍を続けている姿は多くの患者に希望を与えています。 参考文献 (文献1) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献2) 潰瘍性大腸炎死亡例の検討|日本大腸肛門病会誌 54:579-582,2001 (文献3) Ulcerative Colitis vs Crohn's Disease|UCLA Health (文献4) 難病の潰瘍性大腸炎の発症に関連する3つの遺伝子を発見―遺伝的な要因を背景にした、粘膜免疫応答の調整異常が発症原因と突き止める―|理化学研究所 (文献5) The effect of ageing on function and quality of life in ileal pouch patients: a single cohort experience of 409 patients with chronic ulcerative colitis|PubMed (文献6) 炎症性腸疾患のモニタリング―非侵襲性バイオマーカー|J-STAGE (文献7) Surveillance for dysplasia in patients with ulcerative colitis: Discrepancy between guidelines and practice|PMC PubMed Central®
2026.02.15 -
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「線維筋痛症の方が食べてはいけないものとは?」 「症状を和らげる食べ物はある?」 線維筋痛症とは、体のさまざまな部位に痛みやこわばり、疲労感などが現れる原因不明の病気です。関節リウマチと同様、女性の発症が多い傾向です。 本記事では、線維筋痛症の症状に配慮し、控えた方がよい可能性がある食べ物をはじめとして以下を解説します。 症状を和らげる食べ物 食事内容や食べ方に関する注意点 1日の食事例 具体的にどのような食品を避けるべきか推奨されるのかを解説しています。線維筋痛症の症状の悪化や改善につながる可能性のある食品について知りたい方は参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節の痛みなどの症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 線維筋痛症の方が食べてはいけないもの一覧【6つの食品カテゴリー】 線維筋痛症において、摂取を控えた方がよい可能性がある食品の一例を紹介します。 食品カテゴリー 例 糖質の多い食品 清涼飲料水、ケーキ、菓子パン 加工油脂 マーガリン、ショートニング、サラダ油 精製された穀物 パン、白米、うどん 乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズ アルコール・カフェイン飲料 ビール、コーヒー 添加物の多い食品 インスタント食品、スナック菓子 それぞれの食品について詳しく解説します。 糖質の多い食品|清涼飲料水、ケーキ、菓子パン 線維筋痛症の発症または悪化には、糖化が関連していると考えられています。糖化とは、食事から摂取した余分な糖質が体内のたんぱく質と結びつき、細胞を劣化させる現象です。 糖化は血糖値スパイクにより進行しやすいです。血糖値スパイクとは、食後の血糖値が急激に上昇・下降する現象であり、糖質の多い食事が原因で引き起こされます。 糖質が多く血糖値スパイクを起こしやすい食品を挙げると、以下のようなものがあります。 清涼飲料水 ケーキ 菓子パン スナック菓子 白米 血糖値スパイクを予防するには、早食いや運動不足の改善も重要です。 加工油脂|マーガリン、ショートニング、洋菓子 線維筋痛症は、体に明らかな炎症や損傷が見られない原因不明の病気とされていました。しかし、近年では脳や脊髄内の炎症が原因の可能性があるとの報告があります。(文献1)加工油脂に含まれるトランス脂肪酸は、体内の炎症を促進する成分の1つです。 トランス脂肪酸は、主に以下のような食品に含まれています。 マーガリン ショートニング スナック菓子 インスタント食品 洋菓子 揚げ物 牛乳やサラダ油などにも、微量のトランス脂肪酸が含まれています。気になる方は、トランス脂肪酸がほとんど含まれていないオリーブオイルなどに置き換えましょう。 精製された穀物|パン、白米、うどん 精製された穀物は、食物繊維が少なく消化と吸収が早いため血糖値が上昇しやすい特徴があります。血糖値が上昇しやすい食品を摂取すると糖化を促進させて、病状に悪影響を与えるおそれがあります。 精製された穀物とは以下のような食品です。 パン 白米 うどん 血糖値の急上昇を予防するには、主食を玄米や全粒粉パンなどに置き換えることが望ましいです。 乳製品|牛乳、ヨーグルト、チーズ 乳製品を控えることは、線維筋痛症の症状の改善につながる可能性が示唆されています。ただし、明確な因果関係が得られているわけではなく、すべての人に当てはまるものではありません。 乳製品の一例を挙げると以下のようなものがあります。 牛乳 ヨーグルト チーズ バター 生クリーム カルシウムの十分な摂取は大切です。医師と相談しながら自身の体調に合わせて摂取しましょう。 アルコール・カフェイン飲料|ビール、コーヒー アルコールやカフェインは、睡眠の質を低下させて痛みの感受性を高めるとされています。 とくに就寝前は以下のような飲料を避けてください。 アルコール飲料 ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、ブランデーなど カフェイン飲料 コーヒー、エナジードリンク、紅茶、緑茶など 添加物の多い食品|インスタント食品、スナック菓子 以下のような添加物が含まれる食品は、線維筋痛症の症状を悪化させるおそれがあります。 インスタント食品 加工肉 清涼飲料水 菓子パン スナック菓子 コンビニ弁当 実際に線維筋痛症患者様37人を対象に食品添加物を除外した食事を4週間続けてもらったところ、84%の方の症状が一定改善したと報告があります。(文献2) 一方、添加物と線維筋痛症の症状に因果関係はないとの報告もあります。双方の報告がありますが、添加物の多い食品は、糖質やトランス脂肪酸が多く含まれているケースが多いため、取り過ぎは控えましょう。 線維筋痛症の症状を和らげる食べ物一覧 線維筋痛症の症状を和らげる可能性がある食べ物として、以下のようなものが挙げられます。 ビタミンDが豊富な食品 マグネシウムが豊富な食品 食物繊維が豊富な食品 オメガ-3脂肪酸が含まれる食品 抗酸化物質が含まれる食品 ただし、これらは過剰に摂取すれば良いわけではありません。医師と相談しながらバランス良く摂取するのが重要です。それぞれについて詳しく解説します。 ビタミンDが豊富な食品 ビタミンDが足りていないと、線維筋痛症の症状が悪化するおそれがあります。実際に、ビタミンD不足の女性に対して、20週間ビタミンDを摂取してもらったところ痛みが軽減されたとの報告があります。(文献3) ビタミンDが豊富な食品の一例は以下の通りです。 サンマ サケ ブリ イワシの丸干し 干し椎茸 乾燥きくらげ 以上のようにビタミンDは、魚類やきのこ類に豊富に含まれています。 マグネシウムが豊富な食品 マグネシウムは、痛みの緩和に役立つ可能性が示唆されています。ただし、研究結果は一貫性がないため注意が必要です。 マグネシウムが豊富な食品は以下のようなものが挙げられます。 カボチャの種(ロースト) アーモンド(ロースト) カシューナッツ(乾煎り) 豆乳(プレーン) ほうれん草(ボイル) 積極的に摂取するかは医師と相談してからにしましょう。 食物繊維が豊富な食品 食物繊維は、線維筋痛症の症状の改善に役立つ可能性が示唆されています。 食物繊維が豊富な食品は以下が挙げられます。 さつまいも 切り干し大根 ごぼう かぼちゃ たけのこ ブロッコリー ひじき これらは一食あたり食物繊維が2〜3gと豊富に含まれているためおすすめの食品です。(文献4) オメガ-3脂肪酸が含まれる食品 オメガ-3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、線維筋痛症の痛みの改善に有効である可能性が示唆されています。 実際に、フィッシュオイル(EPAとDHA混合)1,500mg/日を4週間摂取したところ、痛みや疲労、抑うつ症状が改善したとの報告があります。(文献2) オメガ-3脂肪酸が豊富な食品は以下のような青魚や貝類です。 イワシ サバ サンマ カニ カキ 魚介類以外では、亜麻仁油やエゴマ油などにも豊富に含まれています。 抗酸化物質が含まれる食品 抗酸化物質の摂取は、線維筋痛症の症状の改善に有効と報告があります。抗酸化物質には、細胞を傷つける酸化ストレスを抑制する働きがあるためです。抗酸化作用がある具体的な栄養は、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどです。 これらのビタミン類が豊富に含まれている食品は以下のようなものが挙げられます。 にんじん かぼちゃ キャベツ ブロッコリー トマト 小松菜 ほうれん草 その他にも、抗酸化物質の1つであるコエンザイムQ10も有効とされており、青魚や牛肉、豚肉、ナッツ類に含まれています。 線維筋痛症における食事の注意点 線維筋痛症における食事の注意点として、以下が挙げられます。 主食を低GI食品に置き換える 早食いをしない 食物繊維から摂取する 良質なたんぱく質を摂取する 炭水化物は最後に食べる それぞれについて詳しく解説します。 主食を低GI食品に置き換える 低GI食品は血糖値の急上昇を予防できます。GIとはGlycemic Index(グリセミックインデックス)のことであり、食品が血糖値に与える影響を数値化したものです。 GIは低いほど血糖値の上昇がゆるやかで、以下のように分類されています。 分類 GI値 食品 高GI食品 70以上 白米、白パン、スナック菓子、ジャガイモ、里芋、にんじんなど 中GI食品 56〜69 オートミール、ライ麦パン、サツマイモ、パイナップル、アイスクリームなど 低GI食品 55以下 玄米、雑穀米、全粒粉パン、そば、豆乳、牛乳、バター、いちご、リンゴなど とくに主食を玄米や雑穀米、全粒粉パンなどに置き換えることはおすすめです。 早食いをしない 早食いは、血糖値を急上昇させ血糖値スパイクを引き起こすリスクがあります。血糖値スパイクは糖化を進行させて線維筋痛症を悪化させるおそれがあります。 噛む回数は1口30回が望ましいです。「白米ではなく噛みごたえのある玄米を主食にする」などの工夫をすれば、自然と噛む回数を増やせます。 食物繊維から摂取する 食物繊維が豊富な食品などを最初に食べると、血糖値の急上昇を抑制できます。食物繊維を先に摂取すると消化管を通る時間が延長されて、その後に摂取する主食などの糖質の吸収もゆるやかになるためです。 インスリンの分泌量も減少するため、糖尿病予防に効果的です。食事は野菜やきのこ、海藻から食べましょう。 良質なたんぱく質を摂取する 良質なたんぱく質は、線維筋痛症に有益な効果があると示唆されています。良質なたんぱく質とは、アミノ酸がバランス良く含まれている食品のことです。 肉類や魚介類、卵類、大豆などの一般的な食品から摂取できます。これらの食品をバランス良く摂取するのが重要です。 炭水化物は最後に食べる 炭水化物を最後に食べることで血糖値の上昇を緩やかにできます。 具体的には以下の順番で食べると血糖の急上昇を抑えられます。 順番 食事内容 1.食物繊維 野菜、きのこ、海藻など 2.たんぱく質 魚類、肉類、大豆製品、卵など 3.炭水化物 米類、麺類など 線維筋痛症の方が食べてはいけないものを避ける1日の食事例 線維筋痛症の方が控えた方がよい可能性のある食べ物を避ける食事例として、以下のようなメニューが挙げられます。 朝食 血糖値を安定させる低GIメニュー 昼食 抗炎症作用のある食材を取り入れたメニュー 夕食 消化に優しく睡眠の質を高めるメニュー 間食・飲み物 避けるべきものと代替品 それぞれの具体的なメニュー例とポイントについて解説します。 朝食|血糖値を安定させる低GIメニュー 血糖値の急上昇を予防する食事は、糖化を予防して線維筋痛症の悪化予防が期待できます。 メニュー例 玄米おにぎり、味噌汁(わかめ・豆腐)、焼き鮭、ほうれん草のおひたし ポイントは以下の通りです。 白米ではなく玄米を選び血糖値の急上昇を防ぐ 鮭でオメガ-3脂肪酸とビタミンDを摂取する 味噌汁の具材で食物繊維とマグネシウムを補う 昼食|抗炎症作用のある食材を取り入れたメニュー 炎症を抑制する食事は、線維筋痛症の悪化予防に役立ちます。 メニュー例 雑穀米、サバの塩焼き、ブロッコリーとトマトのサラダ(オリーブオイル)、きのこの味噌汁 ポイントは以下の通りです。 青魚(サバ)で抗炎症作用のあるオメガ-3脂肪酸を摂取する ブロッコリー・トマトで抗酸化物質を補給する ドレッシングは市販品を避けオリーブオイルと塩で代用する 夕食|消化に優しく睡眠の質を高めるメニュー 睡眠の質を高める食事は、痛みの感受性を低下させる効果が期待できます。 メニュー例 玄米、鶏むね肉のソテー、温野菜(かぼちゃ・にんじん)、わかめスープ ポイントは以下の通りです。 夕食は消化に負担のかからない鶏むね肉を選ぶ 温野菜で体を冷やさず胃腸への負担を軽減する 就寝3時間前までに食べ終え睡眠の質を確保する 間食・飲み物|避けるべきものと代替品 間食や飲み物は以下のように置き換えましょう。 避けるべきもの 代替品 スナック菓子 素焼きアーモンド、くるみ 清涼飲料水 ルイボスティー、白湯、麦茶 菓子パン・ケーキ バナナ、ベリー類、高カカオチョコ(70%以上) コーヒー(過剰摂取) カフェインレスコーヒー、ハーブティー ポイントは以下の通りです。 空腹時は血糖値が乱れやすいためナッツ類で良質な脂質を補う カフェインは1日1〜2杯程度に抑え午後以降は控える 甘いものが欲しいときは果物や高カカオチョコで代用する まとめ|食生活を改善して線維筋痛症の症状を和らげよう 糖質の多い食品や加工油脂、精製された穀物などを避けることは、線維筋痛症の症状の改善が期待できます。具体的な対策としては、主食は低GI食品である玄米や雑穀米、全粒粉パンに置き換えるなどがあります。 ビタミンD不足の方は、十分に摂取することで症状の改善に役立つことがわかっています。体に必要な栄養が含まれる特定の食品を極端に減らすまたは増やせば良いわけではありません。医師と相談しながら自分に合った食事内容に調整するのが重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、関節の痛みなどに対して再生医療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご連絡ください。 線維筋痛症における食事に関するよくある質問 Q.食事療法だけで痛みは改善する? 線維筋痛症の症状は、食事療法だけで改善は期待できません。薬物療法や運動療法によって症状をコントロールするのが一般的です。 Q.サプリメントは痛みの改善に効果がある? ビタミンDなどのサプリメントに一定の有効性が示されています。とはいえ、栄養は食事からの摂取が基本です。サプリメントの利用は医師に相談してからにしましょう。 Q.食べてはいけないものは絶対に摂取してはいけない? ここまで紹介した食品は完全に禁止するものではありません。症状が改善するかどうかは個人差があります。医師と相談しながら栄養バランスの整った食生活を心がけることが重要です。 参考文献 (文献1) 線維筋痛症における慢性疼痛発症メカニズムの解明 ~固有感覚異常による疼痛誘導とミクログリアによる疼痛記憶~|名古屋大学 研究成果発信サイト (文献2) 線維筋痛症診療ガイドライン2017|日本線維筋痛症学会 (文献3) 線維筋痛症|厚生労働省 (文献4) 食物繊維の必要性と健康
2026.01.31 -
- 脊椎
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「最近背中が痛い」 「背中の右側が痛む」 「じっとしていても背中の痛みが続く」 このように、背中の痛みに関する悩みを抱えている方も多いことでしょう。 背中の痛みでは、「どの部分が痛むか」によって原因が異なる場合があります。多くの場合、筋肉の緊張や神経痛などが原因ですが、内臓疾患が原因であるケースも少なくありません。 本記事では、背中の痛みを右側・左側・中央に分けて、原因や医療機関受診の目安などを紹介します。症状別に「受診すべき診療科」も紹介しますので、背中の痛みに悩まれている方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 背中の痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 背中の右側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の右側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 背中の右上が痛むときの主な原因は、主に以下のとおりです。 筋膜性疼痛症候群 肩甲骨周囲筋の過緊張 頸椎ヘルニアや頚椎症など頸椎由来の疾患 筋膜性疼痛症候群とは、「筋肉のこり」が原因でさまざまな症状を引き起こす疾患です。筋肉内に硬いしこりのようなものが存在し、触れると痛みが生じます。いわゆる「トリガーポイント」と呼ばれるものです。筋膜性疼痛症候群は、比較的多くの人が経験する筋肉痛でもあります。(文献1) 肩甲骨周囲筋としてあげられるものは、僧帽筋(そうぼうきん)や菱形筋(りょうけいきん)、肩甲挙筋(けんこうきょきん)などです。これらの筋肉が過度に緊張しているときにも、右背部痛が発生します。 頸椎ヘルニアや頚椎症など、頚椎(首の骨)由来疾患による右背部痛は、首の動きによって痛みの状況が変わる点が特徴です。 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胆石発作や胆嚢炎など(発熱を伴う場合もある) 肺炎や胸膜炎など(咳や発熱を伴う、呼吸により痛みが悪化する) 帯状疱疹(発疹を伴いピリピリ痛む) 右上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 首・肩を動きにより痛みが増減する(筋骨格系の可能性) 深呼吸や咳で悪化する(肺や胸膜、肋間神経の可能性) 食後の悪化や吐き気・発熱がある(胆道系の可能性) 食後に痛みが悪化する、吐き気や発熱などがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア、変形性胸椎症など胸椎由来の疾患 姿勢不良(猫背や巻き肩)による筋緊張 肋間神経痛の症状やセルフケアに関する詳細と、再生医療による胸椎椎間板ヘルニア治療事例を以下の記事で紹介しております。あわせてご覧ください。 【関連記事】 肋間神経痛のセルフチェック方法!胸椎椎間板ヘルニアの症状との違いも医師が解説 胸椎椎間板ヘルニア術後の痺れ完全消失!片足ジャンプも可能に! 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胸膜炎や肺炎(呼吸困難や咳、発熱など) 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 チクチクする痛みや電気が走るような痛みがある(神経痛の可能性) 深呼吸や咳、くしゃみで悪化(肋間神経痛や肺炎、胸膜炎などの可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗(虚血性心疾患の可能性) 胸痛や息苦しさなどがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋肉の負荷であるとされています。 腰方形筋(ようほうけいきん)や脊柱起立筋などの緊張 腰や背中の筋膜性疼痛 中腰や片側の体重をかけた姿勢 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。主なものとしてあげられるのが、腎盂腎炎や尿路結石です。発熱や悪寒、倦怠感、血尿、排尿時痛を伴います。 右下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 動作や姿勢による増減、圧痛がある(筋骨格系の可能性) 発熱や悪寒、強い倦怠感がある(腎盂腎炎の可能性) 排尿時の違和感や血尿、頻尿がある(尿路結石の可能性) 発熱や排尿に関する症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 背中の左側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の左側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 背中の左上が痛む場合の主な原因は、以下に示した筋骨格系や頚椎の不調などです。 肩甲骨周囲筋の緊張 筋膜性疼痛症候群 頸椎由来の痛み 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 大動脈解離(突然の激痛) 肺や胸膜の炎症(呼吸困難や咳、発熱など) 左上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 圧痛あり、姿勢により痛みの度合いが変わる(筋骨格の可能性) 冷汗や息切れ、吐き気、胸部症状などがある(循環器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、吐き気、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア 姿勢不良による筋緊張 また、循環器疾患や呼吸器疾患、帯状疱疹などが原因の可能性もあります。 左中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 呼吸や咳で悪化する(肋間神経痛や胸椎由来の可能性) 皮膚のピリピリした感じや発疹などを伴う(帯状疱疹の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗などがある(循環器や呼吸器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋骨格系の不調です。 腰背部の筋肉に強い負担がかかっている 体幹に偏りがある 日常生活動作のクセが影響している また、腎泌尿器系疾患や、膵炎、胃・十二指腸潰瘍といった消化器系疾患が原因の可能性もあります。 左下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 食後や空腹時などに悪化する(消化器系疾患の可能性) 吐き気や嘔吐がある(消化器系疾患の可能性) 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 強い吐き気や発熱がある場合、食事との関連が明確である場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肝臓に水ぶくれが生じた状態(肝嚢胞)でも、背中に痛みが生じる場合があります。以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 背中の中央部が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の中央部が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央上部が痛む原因は、主に以下のようなものです。 姿勢不良による筋緊張が続いている 胸椎上部の可動域が低下している また、圧迫骨折や進行がんが原因の可能性もあります。圧迫骨折は高齢者に多く、転倒や外傷後に痛むケースが多いとされます。 背中の中央上部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 転倒や外傷後に痛むが出ている(圧迫骨折の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 転倒や外傷の既往、体重減少などの症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 胸の高さでの背部痛は肋間神経痛や胸椎由来の痛みなどが主な原因です。しかし、胸部症状を伴う場合や食事との関連がある場合は、内科疾患を考慮する必要があります。 胸の高さでの背部痛の原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 胸痛や息切れ、冷汗などを伴う(循環器及び呼吸器疾患の可能性) 食事により悪化や改善が見られる(消化器疾患の可能性) 胸痛や呼吸困難などの症状がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央下部が痛む場合、多くは腰背部筋への負担や良くない姿勢が原因とされます。しかし、痛みが長引いたり全身症状があったりする場合は別の原因も考慮する必要があります。 背中の中央下部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 長引く痛みや全身症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みが長引く・広がる場合の受診目安 背中の痛みには、場所がはっきりしないものや広範囲に渡るものがあります。具体例を以下に示しました。 背中全体に重さやだるさ、鈍痛がある 日によって、もしくは時間帯によって、痛む場所が変わる 姿勢や日常生活動作などの影響を受けやすい 検査を受けても、明確な異常が見つからない このような場合、「どこが痛いか」だけで原因を判断するのが難しいことが多いとされます。そのため、「どれくらいの期間、痛みが続いているか」の視点も大切です。 急性の筋肉痛は1〜2週間で軽快する場合が多いため、2週間以上続く、もしくは当初より悪化している場合は医療機関受診を検討しましょう。 発熱やしびれ、胸部症状などがある場合は、自己判断で様子を見ないで早めに受診しましょう。 背中の痛みがある場合に受診すべき診療科 背中が痛む原因は多岐にわたります。受診先に迷った場合は、まず整形外科やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう方法が一般的です。 背部痛が強い場合や全身症状がある場合は、早めに受診しましょう。 整形外科 背部痛の主な原因は筋肉や関節・背骨などの筋骨格系であるため、整形外科が最初の相談先となることが多い状況です。 整形外科受診の目安となる症状を以下に示しました。 動作や姿勢で痛みが変化する 押すと痛み(圧痛)が生じる 重さやだるさ、張りを伴う 内科 背中の痛みに加えて、発熱や全身のだるさ、体調不良などを伴う場合は、内科での相談が適しています。 内科受診の目安となる症状を以下に示しました。 発熱や倦怠感が続いている 食欲不振や体調の変化を伴う 痛みの原因がはっきりしない 循環器内科・消化器内科・泌尿器科などの専門科 背中の痛みに加えて、胸の痛みや息苦しさ、動悸、吐き気などの症状を伴う場合は、循環器内科や消化器内科などの専門科受診が必要です。排尿時の異常や血尿がある場合は、泌尿器科が受診先となります。 これらの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。 救急外来 以下のような症状がみられる場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 強い背部痛や胸痛がある 息苦しさや意識障害を伴う 急激な痛みの悪化や強い体調不良がある 背中の痛みに対するセルフケアと予防のポイント 早急な医療機関受診のサインがなく、痛みが軽い場合に限り、セルフケアで様子を見る選択肢があります。 セルフケアのポイントは、主に以下のとおりです。 痛みが強くならない範囲で、軽い運動を心がける 長時間同じ姿勢を続けず、定期的に姿勢を変える 急な動作や過度な負荷を避ける 日常生活において、背部痛を予防する工夫もあります。 デスクワークのときやスマートフォンを操作するときは、姿勢が崩れないように意識しましょう。十分な休息を取り、疲労を溜め込まないことも大切です。 セルフケアや予防行動を続けても痛みが改善しない場合、もしくは痛みが長引く場合は、一度医療機関を受診しましょう。 背中の痛む場所や随伴症状に応じて適切に対処しよう 背中の痛みは、痛む場所によって考えられる原因や注意するポイントが異なります。 多くの場合、筋肉や関節、姿勢など筋骨格系が関与しており、動作や姿勢の改善で痛みが軽減するケースも少なくありません。 その一方で、発熱や強い倦怠感、胸痛、呼吸困難などを伴い、早めの受診が必要となるケースもあります。 そのため、痛みの部位に加えて、症状の経過や随伴症状の確認も必要です。 軽度な痛みであれば、日常生活での姿勢の見直しや無理のないセルフケアによって改善が期待できる可能性もあります。 ただし、痛みが2週間以上続く、一度は治まったが再発した、痛みが悪化しているといった場合は、医療機関受診が必要です。 背中の痛みは原因や状態によって適切な受診先が異なります。まずはかかりつけ医や整形外科を受診してみましょう。胸の痛みや息苦しさ、意識障害などを伴う場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 リペアセルクリニックでは、公式LINEやメール相談、オンラインカウンセリングを実施しております。背中の痛みで不安を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。 場所別の背中の痛みに関するよくある質問 背中の痛みが内臓由来かどうかの見分け方はありますか? 以下のような状況では、内臓由来の可能性があります。 体勢を変えたり安静にしたりしても痛みが続く 吐き気や食欲不振、発熱、呼吸困難、胸痛などの症状を伴う このような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みで急死することもありますか? 急性大動脈解離が原因で背中が痛む場合、突然死(急死)の可能性があります。大動脈解離が起こると、血液の循環が破綻してしまい、脳梗塞や心筋梗塞などのきわめて危険な状態を引き起こすためです。 激しい背中の痛みが起きた場合は早急な治療が必要であるため、迷わずに救急外来を受診してください。 参考文献 (文献1) 筋・筋膜性疼痛症候群|一般社団法人日本ペインクリニック学会
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アセトアミノフェンは、解熱鎮痛剤を代表する成分です。しかし、実際にどのような効果があるのかわからない方もいるでしょう。症状を緩和させるためには、効果を理解した上で自分に適しているものを選ぶことが大切です。 本記事では、アセトアミノフェンの効果を解説します。作用の仕組みや正しい服用方法についてもまとめているので、アセトアミノフェンの効果が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 薬を服用しているのに症状が緩和されずお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果 アセトアミノフェンは、熱や痛みを抑える効果が期待できます。ここでは、アセトアミノフェンの主な効果を3つ解説します。 どのような症状が出た場合に、アセトアミノフェンを服用すべきか知りたい方は、参考にしてください。 疾患の鎮痛 アセトアミノフェンには、患部の痛みを和らげる効果が期待できます。脳の中にある発熱や痛みの情報を伝える物質を抑える作用があるため、アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬として使用されています。 鎮痛の効果が期待できる主な疾患は、以下の通りです。 頭痛 耳痛 症候性神経痛 腰痛症 筋肉痛 打撲痛 捻挫痛 生理痛 歯痛 歯科治療後の疼痛 変形性関節症 アセトアミノフェンは頭痛や生理痛、関節など、さまざまな痛みを緩和したい場合に使用されます。 急性上気道炎の解熱・鎮痛 急性上気道炎とは、鼻から喉にかけての気道となる上気道で起こる炎症のことで、いわゆる風邪を指します。風邪の症状がある場合は、解熱・鎮痛剤の使用が有効です。 アセトアミノフェンには、熱や鎮痛を抑える作用があるといわれており、医薬品として開発され100年以上にわたり世界中で使用されています。 発熱時に服用すると、熱を下げてくれるだけでなく、汗をかきやすくして体外へ熱を逃す働きを持っているのも特徴です。解熱鎮痛効果が期待できるアセトアミノフェンは、多くの市販薬で利用されています。 小児科領域の解熱・鎮痛 アセトアミノフェンは、子どもの解熱鎮痛剤としての効果も期待されている成分です。一般的に、解熱鎮痛剤は高熱や意識障害などを伴うインフルエンザ脳症を引き起こすリスクがあるため、15歳未満の服用が禁止されています。 しかし、アセトアミノフェンは脳症のリスクが低いため、乳児から使用できます。ただし、子どもの場合は年齢によって使用量が異なるため、服用する量を確認しておくことが大切です。 アセトアミノフェンにおける効果の仕組み アセトアミノフェンの効果の仕組みは、完全に解明されていません。しかし、解熱・鎮痛効果の仕組みとしては中枢神経系に作用してプロスタグランジン合成やカンナビノイド受容体系、またはセロトニン作動系などに影響を及ぼすと考えられています。(文献1) 脳の視床下部には体温調節中枢があり、発熱や痛みを引き起こす原因として「プロスタグランジン(PG)」と呼ばれる物質が関与しています。プロスタグランジンが脳の体温調節中枢に伝わることで、体の各部分で体温を上げるよう指示を出し、発熱が生じるのです。 アセトアミノフェンには、プロスタグランジンの生成を阻害する作用があり、熱や痛みを抑制する効果があるといわれています。また、体温調節中枢に作用して熱を体外へ逃がしやすくする点も、アセトアミノフェンの特徴です。 アセトアミノフェンとイブプロフェン・ロキソニンにおける効果の違い アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソニンはいずれも解熱鎮痛剤が配合されている成分です。各成分には、次の違いが生じます。(文献2)(文献3)(文献4)(文献5) アセトアミノフェン イブプロフェン ロキソニン 分類 解熱鎮痛薬(非サリチル酸系) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 効果の持続時間 4~6時間ほど 4~8時間ほど 4~6時間ほど 効き目の強さ 比較的穏やか 比較的穏やか 比較的強い 主な効果 解熱・鎮痛 解熱・鎮痛・抗炎症作用 鎮痛・抗炎症作用 胃への負担 少ない 胃粘膜を直接刺激する 胃粘膜への直接刺激が少ない 小児への使用 可能 15歳未満の使用は禁止 15歳未満の使用は禁止 アセトアミノフェンとイブプロフェン、ロキソニンを比較したところ、アセトアミノフェンは抗炎症作用の効果がほかと比べて弱いといえます。ただし、アセトアミノフェンは胃への負担が少なく、小児でも服用できるのがほかの成分と違う点です。 【関連記事】 ロキソニンの効果は?効く・効かない痛みから副作用まで現役医師が解説 【医師監修】イブプロフェンとは何の薬?成分の特徴やアセトアミノフェンとの違いを解説 アセトアミノフェン服用時のポイント アセトアミノフェンは、小児でも服用できる成分です。しかし、服用する際は注意点を理解しておく必要があります。 ここからは、アセトアミノフェンを服用する際のポイントを2つ解説するので、参考にしてください。 用法・適量を守る アセトアミノフェンを服用する際は、過剰摂取は避け、用法・適量を守りましょう。効き目の強さが比較的穏やかなため、早く効果を得ようと多めに服用してしまう方もいます。 しかし、過剰摂取は副作用のリスクが生じます。成人の場合、以下の用法および用量を守って服用することが大切です。(文献1) 症状 用量 疾患における鎮痛 1回:300~1,000mg 1日総量:4,000mg 急性上気道炎 1回:300~500mg 1日総量:1,500mg また、乳児および幼児の1回の用法・用量は以下の通りです。 体重 1回用量 5kg 50~75mg 10kg 100~150mg 20kg 200~300mg 30kg 300~450mg 小児の場合、体重1kgあたり1回10〜15mgを服用します。年齢や症状によって異なりますが、1日総量は60mg/kg が上限目安で成人の用量を超えないようにしましょう。 効果時間にあわせて服用する アセトアミノフェンは、4〜6時間おきの服用を推奨します。効果の持続時間は4〜6時間で、ロキソニンやイブプロフェンと比べてやや短い傾向にあります。 アセトアミノフェンの効果を得るためには、適切なタイミングでの服用が重要です。なお、小児の場合も成人同様に、効果の持続時間は4〜6時間ほどが目安になります。 アセトアミノフェンが逆効果となる服用方法 アセトアミノフェンは、服用方法によっては逆効果となる場合があるため注意が必要です。ここからは、アセトアミノフェンを服用する際の注意点を解説します。 副作用などを招かないためにも、正しい服用方法を理解しておきましょう。 アルコールやほかの薬との併用 アセトアミノフェンを服用する際は、飲み合わせによっては逆効果となる可能性があります。飲み合わせによっては、副作用のリスクが生じるためです。 アルコールと一緒に摂取した場合、肝障害を引き起こすリスクが高くなります。アセトアミノフェンとの併用に注意すべき薬は、以下の通りです。 リチウム製剤 チアジド系利尿剤 クマリン系抗凝血剤 カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド 抗生物質 いずれの薬もアセトアミノフェンとの併用により副作用が生じた事例が報告されています。アセトアミノフェンと同じ成分が含まれている薬との併用も、副作用を引き起こしやすくなるため、確認のうえ服用しましょう。 高用量での長期投与 1日の総量1,500mgを超える服用を、長期間行うのは逆効果となります。アセトアミノフェンを長期間、過剰摂取した場合、肝障害を引き起こすリスクが生じるためです。また、高用量服用すると、腹痛や下痢などの症状を引き起こしやすくなります。 アセトアミノフェンは、熱や痛みといった症状を緩和する成分です。熱や痛みを治療するものではないため、自己判断で服用を続けるのは副作用を招く可能性があります。 アセトアミノフェンは用法・用量を守って服用することで、副作用のリスクを抑えつつ解熱鎮痛効果が期待できます。 使用を禁忌とする患者の服用 アセトアミノフェンの使用を禁忌とする患者が服用した場合、症状を悪化させたり効果減弱につながったりする可能性があるため注意しなければなりません。次の患者は、アセトアミノフェンの使用が禁忌とされています。(文献6) 消化性潰瘍のある患者 重篤な血液の異常のある患者 重篤な肝障害のある患者 重篤な腎障害のある患者 重篤な心機能不全のある患者 アスピリン喘息のある患者 アセトアミノフェンを効果的に服用するためにも、禁忌に該当しないか確認することが重要です。 アセトアミノフェンの効果が弱いと感じたときは医療機関へ アセトアミノフェンの効果が弱いと感じたときは、医療機関を受診しましょう。慢性的な頭痛や腰痛などの症状は、市販薬を使用すれば治ると思って放置してしまいがちですが、命にかかわる大病が潜んでいる可能性もあります。 効果がないからといって、用法・用量を超える服用をせず、症状が長引く場合は専門家に相談するのをおすすめします。アセトアミノフェンの効果が弱いと感じた方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 症状に関するお悩みをお持ちの方は、専門カウンセラーへ相談も可能です。アセトアミノフェンの効果が弱く、症状が緩和されない場合は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果を理解した上で正しく服用することが重要 アセトアミノフェンには、疾患や急性上気道炎、小児科領域の解熱・鎮痛などの効果が期待できます。胃への負担が少なく、子どもでも使用できるため、アセトアミノフェンは年齢問わず幅広く使用されている解熱鎮痛薬です。 アセトアミノフェンの効果を得るためには、適切な用法・用量で服用する必要があります。解熱鎮痛剤の代表となるアセトアミノフェンの効果を理解し、正しく服用しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。アセトアミノフェンの効果について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アセトアミノフェンの効果に関するよくある質問 効果が出るまでにどれくらい時間がかかりますか? アセトアミノフェンを服用してから効果が出るまでには、30分〜1時間程度かかります。薬は胃腸で分解・吸収されて血液から全身に運ばれるため、数分で効果が出るわけではありません。 服用した量や体格によっても、効果が出るまでの時間は異なります。なお、アセトアミノフェンを空腹時に飲むのは極力避け、食後の服用を意識しましょう。 副作用はありますか? アセトアミノフェンは、これまでに以下の副作用が見られた事例があります。 アナフィラキシー 喘息 肺炎 嘔吐 腹痛 下痢 食欲不振 過敏症 異常が見られた場合は、服用を中止しましょう。特に、子どもが服用する際は、様子を見ておく必要があります。 参考文献 (文献1) 解熱・鎮痛剤 - 日本薬局方 アセトアミノフェン|一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC) (文献2) Alternating acetaminophen and ibuprofen for pain in children|PMC (文献3) Nonsteroidal anti-inflammatory drugs and upper and lower gastrointestinal mucosal damage|PMC (文献4) 医薬品インタビューフォーム|あゆみ製薬株式会社 (文献5) ロキソニン錠60mg,添付文書|厚生労働省 (文献6) アセトアミノフェンを含有する製剤(医療用)の 「使用上の注意」の改訂について|厚生労働省
2026.01.31 -
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朝になると腹痛が起こるのに、日中はとくに問題がなく「病気なのか」「様子見で良いのか」と判断に迷ってしまうことはありませんか。 学校や仕事の前に毎日のように腹痛が起こると、不安やストレスを感じ、誰にも相談できずに悩んでいる人も多いでしょう。 朝だけ起こる腹痛には、過敏性腸症候群(IBS)をはじめ、自律神経の乱れや朝の食習慣など、いくつかの原因が考えられます。原因に適した対策をすることが大切です。 本記事では、朝だけ腹痛が起こる原因と対策、セルフケアの方法や早めに受診すべきサインを紹介します。 朝だけの腹痛に不安を感じている方は、自分の症状を見極めるための参考として、ぜひ本文を読み進めてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。朝だけの腹痛について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛が朝だけ起こる主な原因 朝だけ腹痛が起こる背景には、いくつかの代表的な原因が考えられます。ここでは、朝の腹痛と関係が深い次の3つの原因を紹介します。 朝の食習慣 機能性ディスペプシア 過敏性腸症候群(IBS) 生活習慣によるものから、胃腸の機能に関わる疾患まで幅があり、人によって当てはまる理由はさまざまです。「自分の場合はどれに近いのか?」を意識しながら読み進めてみてください。 朝の食習慣 朝食が刺激となり、朝に腹痛が引き起こされるケースが挙げられます。 たとえば、以下のように冷たい飲み物や脂質が過剰な食事が朝の習慣となっている場合、胃腸に負担がかかりやすく腹痛を招くことがあるため、注意が必要です。 起きてすぐに冷たい牛乳やアイスコーヒーを飲む 菓子パン・揚げ物など高脂質なメニューの朝食をとる 食習慣が原因となっている場合、飲み物を常温にする・朝食のメニューを軽めにするなど、食事内容を見直すことで改善するケースもあります。 ただし、腹痛が繰り返し起こる場合や不安がある場合には、医療機関への相談も検討しましょう。 機能性ディスペプシア 機能性ディスペプシアは、胃や上部消化管に内視鏡検査などで明らかな異常(器質的病変)が見つからないにも関わらず、上腹部の痛みや不快感が続く状態を指します。「食後の膨満感や早期満腹感・胸焼けなどの症状が、3か月以上続くこと」が診断の目安です。(文献1) また、就寝中は胃の消化活動が低下する傾向にあるため、夕食の内容や時間帯によっては翌朝まで胃に負担が残ってしまうことがあります。その結果、起床時に胃酸の刺激による痛みや胸焼けを強く感じ、朝の不調として自覚されるケースも少なくありません。 過敏性腸症候群(IBS) 過敏性腸症候群(IBS)は、内視鏡検査や血液検査などで明らかな異常が見つからないものの、下痢や便秘といった便通トラブルと腹痛が繰り返し起こる状態です。 症状は毎日続く、良くなったり悪くなったりを繰り返すなどさまざまで、こうした状態が3か月以上続くと診断の目安とされます。(文献2) これらの特徴に加え、朝の通勤・通学時など精神的な緊張が高まる場面で症状が悪化しやすい傾向があります。 排便によって一時的に腹痛が軽快することも多い一方で、トイレに行けない状況への不安がさらなるストレスとなり、症状を長引かせる要因になり得ます。 朝だけの腹痛の原因で多い「過敏性腸症候群(IBS)」とは 朝だけ腹痛が起こる原因として多いのが、過敏性腸症候群(IBS)です。IBSは症状が時間帯によって変わりやすく、朝や通学・出勤前などに腹痛が出やすい特徴があります。 本章では、その原因や分類についてより詳しく解説します。 過敏性腸症候群が起こる原因 過敏性腸症候群が起こる代表的な要因の一つがストレスです。 精神的な緊張や不安は自律神経を介して腸の運動や知覚に影響を与え、腹痛や便通異常が引き起こされやすくなります。過敏性腸症候群の人は、ストレスの影響で胃腸の調子が悪化しやすいことが知られています。 その他、過敏性腸症候群に関連すると報告されている原因の例は、以下の通りです。(文献2) 原因 補足 内臓の知覚過敏 腸の神経が敏感になり、わずかなガスや腸の刺激に対しても、脳が過剰に「痛み」として受け取ってしまう 微細な粘膜の炎症 軽微な炎症により、腸の神経が過敏となり痛みが出る可能性がある 遺伝 特定の遺伝子多型を持っていると、内臓の知覚過敏やストレスに反応しやすくなる可能性が指摘されている 過敏性腸症候群は、単一の要因に限らず、これら複数の要因が重なって発症・悪化すると考えられています。 過敏性腸症候群の分類 過敏性腸症候群は、便の状態や症状のあらわれ方によって、主に以下のタイプに分類されます。(文献2) 分類 主な症状 下痢型 軟便や水のような便が多い 便秘型 硬い便が多い 混合型 硬い便も軟らかい便も、どちらも一定以上ある 分類不能型 上のどれにも当てはまらない 腹痛の有無だけでなく「下痢が多いのか」「便秘が続いているのか」といった便通の状態を日頃から意識して観察することが大切です。 症状のタイプによって、生活上の工夫や治療の考え方が異なるため、自分の傾向を把握することが適切な対処につながります。 「過敏性腸症候群かも?」と感じた方は、毎日便の状態を確認・記録するようにしましょう。 腹痛が朝だけ起こる「過敏性腸症候群(IBS)」の対処法 過敏性腸症候群の対処では、悪化のきっかけを減らして日常生活への影響を小さくしていくことが大切です。具体的な対処法は以下の3つが挙げられます。 症状の原因食品の摂取を控える 学校や職場に相談する 消化器内科に受診する 過敏性腸症候群の症状が気になる方は、できることから一つずつ試してみてください。 症状の原因食品の摂取を控える 過敏性腸症候群では、特定の食品が腹痛や便通異常を引き起こしやすいことがあります。牛乳やミルクなどの乳製品・カフェイン飲料などが代表的なものです。これらは腸の動きを刺激し、症状を悪化させる場合があります。 朝の腹痛が気になる場合はこのような食品を控え、症状に変化があるかを観察してみるのも一つの方法です。 近年では、こうした食品を控える「低FODMAP食」を意識した食事が、IBS症状の緩和に役立つ可能性が示されています。(文献2) 低FODMAP食への置き換え例は、以下の通りです。 食品の分類 高FODMAP食品(NG例) 低FODMAP食品(OK例) 乳製品 牛乳やヨーグルト アーモンドミルク 果物 りんごや梨 バナナやミカン ただし、低FODMAP食がすべての人に有効とは限りません。無理に制限せず、自分の体調や症状に合うかどうかを確認しながら取り入れていきましょう。 学校や職場に相談する 過敏性腸症候群では、急な便意により頻繁にトイレへ駆け込むケースが多いものです。その影響で遅刻したり、授業や仕事の途中で席を外したりしてしまうケースも少なくありません。こうした状況が続くと、周囲に気を遣い、人間関係に不安を感じてしまうこともあるでしょう。 しかし、無理に我慢したり周囲に気を遣いすぎたりするのは、症状を悪化させる一因となりえます。 信頼できる相手に症状の特性を伝え、理解や配慮を得ると心理的な負担が軽くなることがあります。 過敏性腸症候群は外見からわかりにくい症状だからこそ、一人で抱え込みすぎず、周囲の理解を得ておくことも大切です。 消化器内科に受診する 過敏性腸症候群は、消化器内科が専門分野です。症状について詳しい検査や受診をしたい場合、まずは消化器内科の受診を検討すると良いでしょう。 近隣に専門医がいない場合は、まずはかかりつけの内科に相談してみましょう。必要に応じて専門医を紹介されるケースもあります。 過敏性腸症候群は自己判断が難しい疾患の一つです。医療機関を受診することで、症状や経過に応じた検査や治療方針について相談できるほか、生活上の注意点について助言を受けることもできます。腹痛が朝だけであっても、繰り返し続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 また腹痛の治療やケア方法については以下の記事にて詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。 【今すぐできる】朝だけの腹痛を和らげるセルフケア 朝だけ起こる腹痛は、日常生活の工夫によって和らぐこともあります。ここでは、今日から無理なく取り入れやすいセルフケアを紹介します。 生活リズムを整える 起床時間や就寝時間が日によって大きく乱れると、体内時計がうまく働かなくなり、自律神経の切り替えがスムーズに行われにくくなります。 自律神経は腸の動きを調整する役割も担っているため、自律神経のバランスが崩れると腸が過剰に動いたり、逆に動きが鈍くなったりして、腹痛が起こりやすくなることがあるのです。 生活リズムを整えるためには「起きる時間や寝る時間を大きく変えない」ことがポイントです。次のような工夫を取り入れると、生活リズムが乱れにくくなります。 平日と休日で起床時間を大きくずらさない 朝の行動をある程度ルーティン化する 寝る1時間前にはスマートフォンの使用を控える こうした工夫で生活リズムを整えることで、腸の動きが一定に保たれやすくなり、朝の腹痛を和らげる助けになることがあります。無理のない範囲で、できることから実践してみてください。 ストレスを和らげる習慣を始める 日常のストレスは腸の働きに影響を与え、腹痛などの症状を引き起こすことがあります。そのため、自分なりのストレス解消法を持っておくことが大切です。 普段の生活では、軽い運動やストレッチ・入浴・好きな音楽を聴くなど、リラックスできる習慣を取り入れると良いでしょう。 また、プレゼンや重要な予定がある朝など、緊張で症状が出やすい場合は深呼吸や気持ちを落ち着かせるルーティンを決めておくのも一つの方法です。 こうした工夫を続けることで、緊張やストレスが和らぎ、朝の腹痛の軽減につながることがあります。ストレスを感じやすいと自覚している方は、ぜひ日常に取り入れてみてください。 腹痛のストレスケアとして「ツボ押し」も効果が期待できる場合があります。詳しい方法は以下の記事をご覧ください。 朝だけの腹痛ですぐに受診すべきケース 朝だけ腹痛が起こる場合でも、次のような症状を伴う場合は、様子を見ずに早めに医療機関を受診することが重要です。 原因不明の体重減少や血便、発熱の症状がある 腹痛の程度が徐々に強くなっている 夜間にも下痢や腹痛が起こり、眠れない状態が続いている 1か月以上にわたり、下痢の症状が続いている これらの症状がみられる場合は、過敏性腸症候群以外の疾患が隠れている可能性があります。場合によっては早急な治療が必要となることもあるため、できるだけ早く受診するようにしましょう。 腹痛が朝だけ起こる原因を見極めて適切な対処をしよう 朝だけ起こる腹痛には過敏性腸症候群をはじめ、生活習慣やストレスなど、さまざまな原因が関係している可能性があります。原因を一つに決めつけず、自分の症状の特徴や生活状況を振り返ることが大切です。 セルフケアで和らぐ場合もありますが、症状が続く場合や不安が強い場合は、医療機関に相談することをおすすめします。無理に我慢せず、本記事を参考に自分に合った対処法を選んでいきましょう。 なお「まずは専門的な意見を聞いてみたい」「受診の目安を知りたい」方に向けて、当院リペアセルクリニックでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を公式LINEで行っています。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 朝だけ起こる腹痛に関するよくある質問 過敏性腸症候群は子供にも起こることはありますか? 過敏性腸症候群は大人だけでなく、小学生の子供や思春期の年代でも起こることがあります。とくに学校生活での緊張や人間関係、環境の変化などがストレスとなり、腹痛や便通異常として現れるケースも少なくありません。 朝の登校前に腹痛を訴える場合、その背景に過敏性腸症候群が関係している可能性も考えられます。 腹痛が繰り返し続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 過敏性腸症候群かどうかを自分で確かめる方法はありますか? 次の項目に当てはまるものが多い場合は、過敏性腸症候群の可能性が考えられます。ご自身の症状と照らし合わせながら、確認してみましょう。 腹痛が繰り返し起こる 前触れなくトイレに行きたくなる 排便により腹痛が和らぐ 下痢や便秘を繰り返す 過敏性腸症候群かどうかを正確に判断するためには、医師による診察が必要です。こうした兆候が続いている場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。 参考文献 (文献1) 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021―機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版|日本消化器病学会 (文献2) 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)|日本消化器病学会
2026.01.31 -
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「お腹が痛い上に下痢が止まらない」 「下痢を伴う腹痛が数日続いてつらい」 腹痛を伴う下痢は、誰もが一度は経験したことのある身近な症状です。トイレからなかなか出られず、日常生活に支障が出るほどつらいと感じる方も多いでしょう。 腹痛の原因はさまざまで、食生活の乱れやストレス、食あたりなどがきっかけになることがあります。ただし、症状が何日も続く場合や、下痢に加えて発熱・血便がみられる場合は注意が必要です。 本記事では、現役医師が下痢を伴う腹痛について詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛を伴う下痢について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛を伴う下痢が続く原因 下痢が続く原因 詳細 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 病原体感染や汚染食品による腸炎 薬・アルコール・食事など刺激 薬の副作用や飲食物刺激による腸管反応 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 自律神経の乱れによる腸機能の不安定化 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 慢性炎症による下痢の遷延(せんえん) 腹痛と下痢が続く背景には、腸の一時的な炎症から慢性疾患まで幅広い原因があります。外食や生ものを食べた後に急に症状が始まった場合は感染症が疑われます。 また、薬の副作用・アルコール・脂っこい食事などの刺激によって腸が過敏に反応し、下痢が続く場合は注意が必要です。 腹痛を伴う下痢は、ストレスが続くことで腸の動きが乱れ、過敏性腸症候群のように検査で大きな異常が見つからないのに症状が続くケースもあります。 血便・体重減少・発熱を伴いながら長引く場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病など腸の炎症性疾患も考慮が必要です。原因によって対処法は異なるため、経過と症状の組み合わせから見極める視点が大切です。 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 腹痛を伴う下痢が数日続く場合、原因として最も多いのが感染症です。代表例は、腸に病原体が感染して起こる感染性胃腸炎や、汚染された食品を介して発症する食中毒です。 感染性胃腸炎では、下痢に加えて吐き気・嘔吐・腹痛・発熱などがみられ、ノロウイルスは典型例として知られています。感染症といっても原因はさまざまで、症状の強さや持続期間は病原体や体調により変わります。 外食や生もの摂取後の発症・周囲に同様の症状がいる・急に下痢が始まった・嘔吐や発熱を伴うといった状況は重要な手がかりです。血便や強い腹痛がある場合は早急に受診しましょう。 以下の記事では、感染症をきっかけに発症する可能性のあるギランバレー症候群について詳しく解説します。 【関連記事】 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?原因・症状・治療法を医師が解説 【医師監修】ギランバレー症候群の原因となる食べ物を紹介|調理・食事で意識すべき予防法も解説 薬・アルコール・食事など刺激 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症だけでなく、薬・アルコール・食事による腸への刺激が原因となる場合があります。とくに抗菌薬は腸内細菌にも影響し、腸内環境の乱れから下痢が起こりやすくなります。 抗菌薬を服用した後に起こる下痢(抗菌薬関連下痢)は珍しくありません。 多くは軽症ですが、腹部症状を伴って服用中から服用後まで下痢が続く場合があり、下痢時のアルコール摂取は腸への刺激と脱水の進行につながるため注意が必要です。脂っこい食事や香辛料なども症状を長引かせる要因になります。 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 感染症が否定的でも腹痛と下痢が続く場合、原因として過敏性腸症候群が挙げられます。過敏性腸症候群の特徴は、単なる下痢ではなく腹痛と便通変化(下痢・便秘など)がセットで続き、腹痛が排便と関連して起こる点です。 排便前に腹部症状が強まり、排便後に軽くなる場合もあり、排便に伴う腹痛や排便習慣の変化が典型的とされています。 過敏性腸症候群はストレスが原因と断定できない一方で、ストレスや不安、生活環境の変化で悪化しやすいことが知られています。睡眠や休養を十分にとること、リラクゼーションや規則正しい生活リズムを整えることが症状の安定につながる場合があります。 症状は体質として波があり、良い時期と悪い時期を繰り返しやすい点も特徴です。 以下の記事では、朝だけ腹痛が起こる原因や対処法について詳しく解説しています。 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症や過敏性腸症候群だけでなく、腸に慢性的な炎症が起こる炎症性腸疾患(IBD)も原因として考えます。炎症性腸疾患には主に潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれ、症状が長引きやすい点が特徴です。 潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢と腹痛が典型で、難病情報センターでも下痢・血便・腹部症状が代表的と説明されています。 クローン病は慢性的な下痢と腹部症状に加え、発熱・食欲低下・体重減少など全身症状を伴う場合があります。潰瘍性大腸炎との違いとして、血便・発熱・体重減少など炎症を示すサインの有無が手がかりになります。 腸の炎症性疾患が疑われる場合は、悪化する前に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腸の炎症性疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 腹痛を伴う下痢の対処法 対処法 詳細 水分補給をこまめに行う 脱水予防のための少量頻回の水分摂取 消化に良い食事を心がける 胃腸負担を減らすための低脂肪で刺激の少ない食事 身体を温めて十分な休養をとる 腸の安静維持と回復促進のための保温と休息 原因疾患を治療する 感染症や慢性疾患など原因に応じた治療の実施 腹痛と下痢の対処は脱水予防・腸の安静・原因に応じた対応が基本です。まずは水分と電解質の補給を優先し、食事は無理せず消化の良いものに絞ります。 冷えや疲労は症状を悪化させやすいため保温と休養も欠かせません。自己判断の下痢止めは感染症では回復を遅らせる場合があるため注意しましょう。 腹痛を伴う下痢が改善しない場合や、血便・発熱がある場合は早急に受診が必要です。 以下の記事では、腹痛の治し方について詳しく解説しています。 水分補給をこまめに行う 腹痛を伴う下痢が続くと、便と一緒に水分だけでなくナトリウムやカリウムなどの電解質も失われ、脱水(体液バランスの崩れ)を起こしやすくなります。脱水が進むと、だるさや口渇が出やすく、回復も遅くなります。 水分補給は一気飲みを避け、少量をこまめに摂るのが基本です。下痢や嘔吐があるときは水より経口補水液(ORS)が役立つ場合もあります。 消費者庁資料では、経口補水液はWHOが提唱する経口補水療法に用いる飲料として整理されています。(文献1) 消化に良い食事を心がける 腹痛を伴う下痢があるときは腸が過敏になっており、脂っこい食事や刺激物で症状が悪化・長期化しやすくなります。回復期は、腸を休ませる目的で消化に良い食事を選ぶことが重要です。 目安は低脂肪・低食物繊維・薄味で、おかゆ・うどん・食パン・バナナ・脂身の少ない鶏肉や白身魚などを無理のない範囲で取り入れます。 揚げ物・香辛料・乳製品に加え、アルコール・カフェインも避けましょう。CDC(米国疾病予防管理センター)もノロウイルスでは脱水予防の観点からアルコール・カフェインを避ける方針を示しています。(文献2) 食べられないほど症状が強い場合は無理に食事を取らず、水分と電解質の補給を優先しましょう。 以下の記事では、食生活改善について詳しく解説しています。 身体を温めて十分な休養をとる 腹痛を伴う下痢が続くと、炎症や脱水の影響で体力を消耗しやすく、回復が遅くなります。感染性胃腸炎などは自然に軽快する場合も多い一方、回復には休養による体力維持が欠かせません。 無理に動くと消化管への負担が増え、腹部症状が長引く要因になります。腸を休ませる意味でも、基本は自宅で安静にし、水分補給を優先しましょう。 身体が冷えると腹痛や下痢が悪化する人もいるため、冷房や薄着を避けて身体を温めることも有用です。感染性胃腸炎が疑われる場合は、通勤・通学を控えることで周囲への感染拡大を防げます。 原因疾患を治療する 腹痛を伴う下痢は病名ではなく症状のため、回復には原因疾患の治療が欠かせません。 原因が感染症の場合でも対応は一律ではなく、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎では水分補給を中心とした支持療法が基本です。 CDC(米国疾病管理予防センター)もノロウイルスに抗菌薬は有効でないと明記しています。一方で、旅行者下痢症など一部のケースでは状況により抗菌薬を検討する場合があります。(文献2) 整腸剤や下痢止めは症状緩和に役立ちますが、細菌感染や炎症性腸疾患が原因の場合は対症療法だけで長期化・悪化することがあるため、症状が続くときは自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。 以下の記事では、腹痛の原因疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病の治療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説 【医師監修】クローン病の治療薬一覧|副作用や服用時の注意点を解説 腹痛を伴う下痢に関する注意点 注意点 詳細 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 水分・電解質喪失による脱水リスクの増大 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 炎症性疾患や重症感染症を示す可能性 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 病原体排出遅延による症状遷延リスク 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 接触感染予防のための衛生管理徹底 腹痛と下痢は身近な症状でも、脱水や重い感染症、炎症性腸疾患が原因となっている場合があります。自己判断で様子見を続けると、体力と水分が失われます。 水分が取れない・血便・発熱が続く・意識がぼんやりする場合は速やかに医療機関を受診しましょう。下痢止めの自己使用は感染症の回復を遅らせる可能性があります。 下痢の背景に感染症が隠れていることもあるため、家庭内感染を防ぐ目的で、手洗い・消毒・食品管理を徹底しましょう。 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 腹痛を伴う下痢では水分と電解質が失われて脱水を起こしやすく、倦怠感・口渇・尿量低下などが出て回復が遅れるおそれがあるため注意が必要です。 とくに水分が摂れない・飲んでも吐く状態は危険なサイン早急に医療機関を受診してください。 基本は経口補水液(ORS)による補給で、WHO(世界保健機関)の下痢治療ガイドでも脱水予防・改善の基本として経口補水を中心に示しています。(文献3) 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 腹痛を伴う下痢に血便(鮮血・粘血便)が混ざる場合、腸粘膜の炎症や出血を伴う細菌性腸炎、炎症性腸疾患などの可能性があり、様子見は推奨できません。 便が黒い、タール状の黒色便は胃や十二指腸など上部消化管出血が疑われます。MSDマニュアルでは、黒色便は緊急事態として扱う必要があるとされています。(文献4) 発熱を伴う下痢は感染症、とくに細菌性腸炎を含めた評価が必要です。腸管出血性大腸菌では腹痛や水様性下痢に加えて血便が重要所見となり、重篤な合併症につながる場合があります。 血便・黒色便・発熱がある場合は様子見で問題ない下痢の範囲を超える可能性が高いため、医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、血便や発熱の原因である大腸がんについて詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】大腸がんとは?|症状・原因・検査について詳しく解説 大腸がんの症状チェックリスト|検査・治療法も解説 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 下痢止め(止瀉薬)は症状を抑える一方、原因によっては使用が逆効果になる可能性があります。感染性胃腸炎や食中毒では、腸が病原体や毒素を排出しようとして下痢が起こる面があり、腸の動きを無理に止めると回復が遅れたり悪化したりする恐れがあります。 とくに発熱や血便を伴う下痢では自己判断で使わないのが基本です。IDSA(米国感染症学会)の診療ガイドラインでも、ロペラミドなどの止瀉薬は「免疫が保たれた成人の水様便(発熱なし・血便なし)では使用が検討され得る」一方で、「発熱や炎症性下痢では避けるべき」と整理されています。(文献5) 迷う場合は下痢止めに頼らず、水分補給を優先し、医療機関を受診しましょう。 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 項目 大切なポイント 手洗い 石けんと流水による手洗いの徹底(手指消毒剤のみでは不十分) 消毒 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)による環境消毒の実施(ドアノブ・蛇口など接触部位) 食品取り扱い 症状がある人は調理を避けることの徹底(二枚貝の十分な加熱、器具の洗浄・熱湯消毒) 感染性胃腸炎(とくにノロウイルスなど)は、吐物や便に含まれる病原体が手指や環境を介して広がりやすく、家庭内でも二次感染が起こり得ます。 対策の基本は石けんと流水による手洗いであり、手指消毒剤だけでは十分に効きにくいとされているため、厚労省も食事前・トイレ後などの手洗いを強く推奨しています。(文献6) 消毒は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)が基本です。東京都マニュアルでは手すり・ドアノブ・蛇口などを0.02%で拭く方法が示されています。(文献7) 厚労省の資料では、ノロウイルスにエタノールや逆性石けんは効果が乏しいため、塩素系消毒を推奨しています。(文献8) 食品面について、症状がある方は調理を避けることが重要です。また、東京都保険医療局は二枚貝を中心部まで加熱し、器具の洗浄や熱湯消毒を徹底するよう示しています。(文献9) 腹痛を伴う下痢の原因を理解して適切に対処しよう 腹痛と下痢が続くときは、まず脱水を防ぐための水分・電解質補給を優先し、消化に良い食事と休養で腸を休ませながら経過をみましょう。 ただし、症状が長引く場合、食あたりや一時的な胃腸炎だけでなく、抗菌薬など薬剤の影響や過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎・クローン病など炎症性腸疾患が関与していることもあります。 自己判断で下痢止めを使い続けると回復を遅らせる可能性があるため、血便・黒色便・発熱、水分が摂れないなどの警戒サインがないかを確認し、必要に応じて早めに消化器内科を受診しましょう。 改善しない腹痛を伴う下痢の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、下痢の原因となる疾患に対し、再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病などの難治性疾患を対象に、損傷した組織の修復や炎症の調整に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来の治療と比べて副作用が少ない可能性が示唆されている一方、有効性には個人差があるため、適応や治療内容は病状に応じて慎重に検討する必要があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腹痛を伴う下痢に関するよくある質問 腹痛を伴う下痢に対して市販薬と処方薬だとどのくらい効果に差がありますか? 市販薬は下痢回数や腹部不快感の軽減を目的とする対症療法が中心で、感染や炎症そのものの改善は目的としていません。 市販薬と処方薬の目的の違いや効果は以下の表を参考にしてみてください。 区分 目的・効き方 代表例 注意点 市販薬 症状の一時的な軽減 ロペラミドなど止瀉薬、ビスマス製剤 原因治療ではない点、感染性疑い時の悪化リスク 処方薬 原因に応じた治療 細菌性への抗菌薬、炎症性疾患に対する治療 医師判断による適応選択の必要性 処方薬は原因に合わせた治療選択が可能で、細菌性腸炎などでは経過短縮が期待される場合もあります。発熱や血便がある場合は自己判断の下痢止め使用を避け、早期受診を優先することが基本です。 下痢は出し切った方が良いと聞きましたが本当ですか? 感染性胃腸炎が疑われる下痢は病原体や毒素を排出する側面があるため、下痢止めで無理に止めない方が良い場合があります。 とくに発熱や血便がある場合は、悪化の恐れがあるため避けることが基本です。一方、発熱・血便のない成人の水様便では状況により使用を検討できます。 下痢に効くツボを押すと症状は和らぎますか? ツボ押し(指圧)で下痢そのものが止まる・治ると断定できる十分な根拠は現時点ではありません。一方で、過敏性腸症候群などストレス関連で下痢が続くタイプでは、鍼(アキュパンクチャー)で症状が軽くなる可能性が示された研究もあります。 しかし、偽鍼(プラセボ)との差がはっきりしないため、エビデンスの確実性は低めと整理されています。(文献10) ツボ押しはあくまで補助的手段として位置づけ、基本は水分補給を優先することが重要です。血便・発熱・脱水・強い腹痛・症状の長期化がある場合は自己判断に頼らず、早急に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腹痛とツボの関係性について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 経口補水液の知識|消費者庁 (文献2) Norovirus|CDC (文献3) Diarrhoea Treatment Guidelines (文献4) 消化管出血|MSDマニュアル家庭版 (文献5) IDSA 2017 Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Infectious Diarrhea|IDSA (文献6) ノロウイルスに関するQ&A|厚生労働省 (文献7) 社会福祉施設などにおけるノロウイルス対応標準マニュアルダイジェスト版|東京都福祉保健局 (文献8) ノロウイルスによる食中毒|厚生労働省 (文献9) 感染性胃腸炎について|東京都保険医療局 (文献10) Irritable Bowel Syndrome and Complementary Health Approaches: What the Science Says | NIH National Center for Complementary and Integrative Health
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「クローン病の薬の服用について不安がある」 「クローン病の薬の効果を知りたい」 クローン病と診断されたばかりの方は、薬の服用や副作用などに不安を抱きやすいものです。 また、クローン病の治療薬は種類が多く、それぞれの効果や違いがわかりにくいため、どの薬を選べば良いのか悩む方もいます。 本記事では、クローン病の治療薬を一覧で紹介し、効果の違いに加えて副作用や服用時の注意点も解説します。記事の最後には、クローン病の治療薬に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病の治療薬一覧 治療薬 詳細 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) 腸の炎症を抑える薬 ステロイド 強い炎症を短期間で抑える薬 免疫調節薬・免疫抑制薬 免疫反応を抑えて炎症を抑える薬 生物学的製剤 炎症に関わる物質を標的にする薬 JAK阻害剤 炎症の伝達経路を抑える内服薬 抗菌薬 感染や合併症の治療に用いる薬 クローン病の薬は、炎症を抑える・免疫の過剰反応を整える・再燃を防ぐなど目的が異なります。 軽い炎症では腸の炎症を抑える薬から始まり、症状・内視鏡所見・合併症の有無でステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤、JAK阻害剤へ段階的に検討します。 肛門病変や膿瘍などを伴う場合は、抗菌薬を併用することもあります。薬の種類が増えるほど副作用や感染症のリスクも高まるため、服用は必ず医師の指示に従うことが大切です。 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) ポイント 詳細 副作用が比較的少ない 免疫抑制が強すぎない治療の選択肢 軽症例で選択されやすい 診断初期や病勢が落ち着いている場合の選択肢 一部の患者で効果が期待できる 一定数の患者に効果が期待できる薬剤の位置づけ 他治療と併用しやすい 栄養療法などと組み合わせるベース薬としての活用 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、腸の炎症を抑える目的で用いられる薬です。免疫を強く抑えないため比較的副作用が少なく、軽症例や診断初期で検討されることがあります。 ただし効果には個人差があり、すべての患者に有効とは限りません。そのため、治療の柱として使うかは病状に応じた判断が必要です。 5-ASA製剤の副作用 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、比較的副作用が少ない薬とされていますが、胃の不快感・吐き気・下痢などの消化器症状、頭痛、発疹・かゆみといった症状がみられる場合があります。 多くは軽度で調整により落ち着くこともありますが、自己判断で治療薬を中止せず医師に相談しましょう。 まれに腎障害(間質性腎炎)が報告されており、初期は症状が出にくいため定期的な腎機能チェック(採血・尿検査)が欠かせません。 頻度は低いものの急性膵炎もあり、上腹部の強い痛み・吐き気・背中への放散痛があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。 ステロイド ポイント 詳細 炎症を速やかに抑えやすい 活動期の強い炎症を短期間で鎮める寛解導入薬としての位置づけ 長期使用を基本としない 副作用リスクを踏まえた短期使用前提の治療の選択肢 病変に応じた使い分け 全身型と腸管作用型(例:ブデソニド)を選べる薬剤特性 維持療法へつなぐ役割 免疫調節薬・生物学的製剤などが効くまでの橋渡しとしての活用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は抗炎症作用が強く、クローン病の活動期(症状が強い時期)に起きている腸の強い炎症を速やかに抑え、腹痛・下痢・発熱などの症状を短期間で改善し、寛解導入を目的に用いられます。 難病情報センターでも、中等症以上で使用される治療薬として整理されています。(文献1) 一方で副作用が増えやすいため長期使用は基本とせず、ACGガイドラインでも維持療法には推奨されていません。(文献2) 全身に効くプレドニゾロンに加え、腸管で作用しやすいブデソニドなどがあり、軽〜中等症の回盲部病変ではブデソニド9mg/日が寛解導入に推奨されています。(文献3) ステロイドの副作用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は炎症を強力に抑える一方で、副作用が出やすい薬です。 服用開始後の早い段階から、食欲増加・体重増加、むくみ、胃の不快感、にきび、不眠、気分の変化(イライラ・不安感など)がみられる場合があります。 高用量・長期使用では免疫が抑えられて感染症にかかりやすくなるほか、骨粗鬆症、血糖上昇(糖尿病の悪化・発症)、白内障・緑内障などのリスクが高まります。 高熱・息苦しさ・強い抑うつ・視力変化・黒色便などがあれば、早急に医療機関を受診しましょう。 ステロイドは抗炎症作用が強い薬であるため、副作用が疑われる症状が出た場合でも自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整することが基本です。 ガイドラインでも、ステロイドは寛解導入に重要な治療薬である一方、過量投与や長期使用は避けるべきとされています。 免疫調節薬・免疫抑制薬 ポイント 詳細 再燃予防と寛解維持 炎症が落ち着いた後の再燃を防ぐ維持療法としての位置づけ ステロイド依存の回避 ステロイド減量・中止を支えるステロイドスパリング薬としての役割 生物学的製剤の補助 併用による効果安定化や治療効果低下リスクの軽減 中長期の病勢コントロールに向いている 効果発現が緩やかな維持療法向け薬剤特性 免疫調節薬・免疫抑制薬(主にチオプリン製剤:アザチオプリン、6-MPなど)は、クローン病でいったん炎症が落ち着いた後に、再燃を防いで寛解を長く保つ寛解維持を目的として用いられることが多い治療薬です。 難病情報センターでも、中等症以上の治療として免疫調節薬(アザチオプリン)が挙げられています。(文献1) ステロイドは寛解導入に有効である一方、長期使用で副作用が増えるため減量・中止を目指す必要があり、免疫調節薬はステロイドスパリング(ステロイドの減量・中止を支える役割)として重要です。 また、効果はすぐに出る薬ではなく、安定するまで時間がかかるため、中長期の病勢コントロールに向く薬として位置づけられます。 免疫調節薬・免疫抑制薬の副作用 免疫調節薬・免疫抑制薬(アザチオプリン、6-MPなど)は、再燃予防を目的に中長期で用いられる薬ですが、吐き気・下痢などの消化器症状、だるさ、発疹・かゆみ、軽度の脱毛といった副作用がみられる場合があります。 重い副作用としては、骨髄抑制(白血球・血小板低下)や肝機能障害があり、自覚症状が乏しいこともあるため定期的な採血が欠かせません。 免疫低下に伴う感染症にも注意し、高熱や咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 まれに膵炎も起こり得るため、上腹部の強い痛みと吐き気があれば受診が必要です。 長期使用では悪性腫瘍(皮膚がん・リンパ腫など)のリスク増加が報告されていますが、リスクは低いとされています。ECCOガイドラインでも、チオプリン併用によるリンパ腫リスクは低いものの考慮すべきとされています。 生物学的製剤 ポイント 詳細 炎症の原因を標的にできる TNF-αやIL-12/23などを狙って炎症を抑える治療機序 中等症〜重症の中心治療 難治例や病勢が強い場合に検討される治療の選択肢 ステロイド依存の回避 寛解導入から維持まで見据えた治療設計とステロイドスパリング 合併症への治療選択肢 瘻孔や肛門病変など腸管合併症への治療成績が期待される薬剤群 寛解維持と将来リスク低減 再燃予防とQOL(生活の質)維持、入院・手術リスク低減を目指す治療目的 生物学的製剤は、炎症を引き起こす物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的にして腸の炎症を抑える治療薬で、中等症〜重症のクローン病で中心的に用いられます。 難病情報センターでも、難治例に対して抗TNFα抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)、抗IL-12/23抗体(ウステキヌマブ)、抗接着分子抗体(ベドリズマブ)などが使用されると整理されています。(文献1) ステロイドだけでは病勢や再燃を十分に抑えきれない場合にも、寛解導入から維持までを見据えた治療として位置づけられ、ECCOガイドラインでも中等症〜重症治療の中核とされています。(文献4) 瘻孔や肛門病変などの腸管合併症に対しても生物学的製剤は有用です。2025年改訂の診断基準・治療指針では肛門病変に対する治療としての位置づけが見直されています。(文献5) 生物学的製剤の副作用 生物学的製剤は、炎症に関わる物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的として腸の炎症を抑える治療薬ですが、免疫に影響するため副作用として感染症に注意が必要です。 比較的起こりやすい症状として、かぜ症状(鼻水・のどの痛み・咳)、発熱、だるさ、頭痛、注射部位の赤みや腫れ(皮下注)、点滴中の違和感(点滴製剤)などがみられます。 重い感染症として肺炎などがあり、抗TNF製剤では潜在性結核の再活性化、B型肝炎などの再活性化に注意が必要です。点滴中の息苦しさやじんましんなどアレルギー反応が起こる場合もあります。 薬ごとにリスク傾向が異なるため、体調変化があれば自己判断で中断せず医師へ相談することが大切です。 JAK阻害剤 ポイント 詳細 内服で治療できる選択肢 JAK-STAT経路を抑えて炎症シグナルを制御する分子標的薬 既存治療で効果不十分な場合に検討 中等症〜重症で5-ASA・免疫調節薬・生物学的製剤などが十分効かないケースの治療選択肢 寛解導入と維持の両面で使用 活動期の症状改善と再燃予防を視野に入れた治療設計 JAK阻害剤は、炎症に関わるサイトカインの情報伝達(JAK-STAT経路)を抑える分子標的薬(低分子化合物)で、注射や点滴の生物学的製剤とは異なり内服で治療できる選択肢です。 難病情報センターでも、従来治療が無効な場合の治療選択肢として挙げられています。(文献1) クローン病で用いられるJAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は寛解導入と寛解維持の両面を想定した治療として位置づけられています。 日本でも既存治療で効果不十分な中等症〜重症の活動期クローン病に対し、導入・維持療法として適応追加承認が取得されました。(文献6) JAK阻害剤の副作用 JAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は内服で炎症を抑える一方、免疫に影響するため副作用に注意が必要です。 実際に、ウパダシチニブ(RINVOQ)の添付文書(米国FDA)では、クローン病における主な副作用(5%以上)として上気道感染・貧血・発熱・にきび・帯状疱疹・頭痛などが挙げられています。(文献7) JAK阻害剤は帯状疱疹のリスクが高いことが指摘されており、重い感染症や血栓症にも注意が必要です。高熱や息苦しさ、片脚の腫れ・痛み、胸痛がある場合は早めに医療機関へ連絡し、自己判断で中断せず医師へ相談して対応する必要があります。 抗菌薬 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシンなど)は、クローン病そのものの炎症を長期的にコントロールする主役の薬ではなく、肛門病変や感染が疑われる合併症に応じて併用される補助療法です。 とくに腸管の炎症が強いと膿瘍を形成する場合があり、この場合は抗菌薬が治療に組み込まれ、必要に応じてドレナージや手術も検討されます。 難病情報センターでも、治療の一部として抗菌薬投与が行われることがあると記載されています。(文献1) 肛門瘻孔では生物学的製剤に加えて抗菌薬を併用し、分泌物などの症状緩和を図ることがあり、ECCO/ESPGHANのガイドラインでも推奨が示されています。(文献8) 一方で完全治癒に至らないことも多く、期間を決めて使うことが重要です。 抗菌薬の副作用 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシン等)は一定期間の併用が多い一方、吐き気・腹部不快感・下痢・食欲低下などの消化器症状がみられる場合があります。 メトロニダゾールでは口の苦み(金属味)が出ることもあります。まれに末梢神経障害(しびれ・ピリピリ感)に注意が必要です。 フルオロキノロン系(シプロフロキサシン等)では、非常にまれですが腱炎や腱断裂が報告されており、英国MHRAも腱痛など重大な副作用が疑われる場合は早期中止と医師への相談を推奨しています。(文献9) また、メトロニダゾール服用中はアルコールを避けることが重要です。NHSでも飲酒により吐き気・腹痛・ほてり・動悸などが出る可能性が示されています。(文献10) クローン病の治療薬を服用する際の注意点 注意点 詳細 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) 中断や飲み忘れによる再燃リスク増加と治療効果低下の可能性 副作用と併用薬の注意点を知っておく 副作用の早期発見と相互作用回避のための事前把握 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する 感染症の重症化予防と早期対応の必要性 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 潜在感染の評価と再活性化予防のための検査・ワクチン確認 薬の効果を十分に引き出すには、治療を継続し、体調の変化を早めに医師へ共有することが大切です。 クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残る場合があり、自己判断で中断したり飲み忘れたりすると再燃につながる可能性があります。 副作用の兆候を見逃さず早めに相談し、併用薬・ワクチン・感染症リスクは薬剤により異なるため治療前後の検査も含めて確認しましょう。 以下の記事では、クローン病の寿命について詳しく解説しています。 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残ることがあるため、自己判断で薬を中断したり飲み忘れたりすると寛解維持が崩れて再燃しやすくなります。 実際、治療中止後は再燃しやすく、薬剤差はあるものの中断後に50%以上が再燃する可能性があるとするレビューも報告されています。(文献11) いったん再燃するとステロイド導入や生物学的製剤・JAK阻害剤への切り替え、入院などより強い治療が必要になりやすい点にも注意が必要です。 難病情報センターでも手術率の高さが示され、再燃予防の重要性が強調されています。(文献1) 副作用と併用薬の注意点を知っておく クローン病の治療薬には、免疫に作用する薬(免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など)も含まれるため、副作用と併用薬の注意点を事前に理解しておくことが重要です。 副作用は早い段階で気づいて対応できれば重症化を防げる場合が多く、体調変化を医師に共有することが治療継続につながります。 発熱・だるさ・下痢・腹部症状などは副作用・感染症・再燃のいずれでも起こり得るため、判断を誤ると受診が遅れたり、自己中断で再燃を招いたりするおそれがあります。 市販薬を含む併用薬によって症状の悪化や副作用が増える場合があり、とくにNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン等)は自己判断での使用を避けましょう。 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する クローン病の治療では、ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など免疫反応を抑える薬が用いられるため、感染症が重症化しやすい点に注意が必要です。 通常なら軽く済む風邪でも肺炎などへ進行する場合があり、発熱・咳・強いだるさが出た場合は医療機関を受診しましょう。 これらの症状は感染症だけでなく、副作用や再燃でも起こり得るため、自己判断で様子見を続けたり薬を中断したりすると、対応が遅れて病状が不安定になる恐れがあります。 早期に相談することで、投与の延期可否・採血や画像検査の必要性・抗菌薬や抗ウイルス薬の要否を迅速に判断できます。 とくに結核など見逃したくない感染症もあるため、咳が長引く場合は放置しないことが重要です。 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 生物学的製剤やJAK阻害剤など免疫を抑える治療では、体内に潜んでいた感染症が再活性化する場合があるため、治療前後の検査と予防接種の確認が欠かせません。 とくに潜在性結核やB型肝炎は、発症してから気づくと重症化しやすく、治療開始前にスクリーニング(血液検査や胸部画像などで感染の有無を確認)しておくことで、予防治療や専門医との連携を含めた治療計画につながります。 結核では問診に加え、胸部X線やIGRA(血液検査で結核感染を調べる検査)などを用い、肝炎はHBs抗原・抗体などで確認します。 治療開始後は生ワクチンが接種できなかったり効果が弱まったりする可能性があるため事前に接種計画を立て、治療後も採血や感染兆候の確認を続けて副作用や感染を早期に把握しましょう。 クローン病の治療薬と併用して行われる治療法 治療法 詳細 栄養療法 腸管負担軽減と低栄養是正を目的とした栄養補給 精神療法 不安やストレスの軽減による療養継続とQOL(生活の質)支援 外科治療 狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など合併症への根治的対応 再生医療 既存治療で十分な効果が得られない場合の補助的選択肢検討 クローン病は薬だけで完結しない病気であり、栄養状態の立て直し・ストレス対策・合併症への外科的対応などを組み合わせて、再燃を減らしQOL(生活の質)を保ちます。 併用療法は薬の効果を支える・合併症を減らす・治療を続けやすくする目的で選び、とくに体重減少や貧血がある場合は栄養面の介入が回復の土台になります。 症状が落ち着かないときも、併用療法の見直しが欠かせません。なお、再生医療は適用できる医療機関が限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前に医師と相談が必要です。 栄養療法 ポイント 詳細 腸の負担を減らしつつ栄養確保 腸管刺激の回避と必要栄養の補給 低栄養・体重減少の改善 回復力維持と治療基盤の安定化 活動期の症状改善を補助 薬効支援と腸管負担軽減の併用 狭窄など合併症への対応 腸閉塞リスク回避と適切なエネルギー確保 再燃予防の補助 寛解維持に向けた補助的介入 栄養療法は、腸を休ませながら必要な栄養を確保し、薬物療法の効果を支える治療です。 活動期の体重減少や低栄養を整えることで回復力が保たれ、合併症リスクの低減にもつながります。 狭窄が疑われる場合にも有用ですが、自己流の制限は低栄養を招きやすいため、医師・管理栄養士と相談して進めることが大切です。 精神療法 クローン病は慢性疾患で、再燃への不安や食事・仕事への影響が続きやすく、不安や抑うつなど心理的負担を抱えやすい病気です。 クローン病はストレスが直接の原因ではありませんが、心理的負担が強いと腹部症状が増したように感じたり睡眠が乱れたりして、QOL(生活の質)の低下や療養継続の難しさにつながることがあります。 精神療法(心理的サポート)は炎症を直接治す治療ではないものの、不安の整理や対処を支え、服薬・通院の中断を防いで治療を継続させる点で有用です。 外科治療 項目 内容 狭窄・閉塞への対応 瘢痕主体の狭窄や腸閉塞リスクに対する通過障害の改善 膿瘍・瘻孔などの合併症 排膿(ドレナージ)や切除を含む外科的介入の必要性 薬で抑えきれない限局病変 再燃を繰り返す病変部の切除による症状の安定化 肛門病変の治療 痔瘻や肛門周囲膿瘍に対する薬物療法と外科治療の併用 手術の位置づけ QOL(生活の質)を守るための治療選択肢 クローン病の手術は、薬で治しにくい狭窄や閉塞、膿瘍・瘻孔などの合併症に対して有効な選択肢です。 病変が限局して再燃を繰り返す場合は、切除により生活が改善することもあります。 とくに肛門病変は薬と外科の併用が基本となりやすく、手術は病状の悪化ではなく生活の質を守るための治療計画の一部です。 再生医療 再生医療は、クローン病治療の基本である薬物療法に代わる標準治療ではなく、病状や合併症によっては併用療法の選択肢として検討される治療法のひとつです。 とくに肛門部の瘻孔など一部の病態では、脂肪由来の細胞を用いた治療について研究・臨床応用が進み、複数の報告もみられます。 適応は既往・合併症・検査結果などで判断するため、自己判断で薬を中断せず医師との相談の上で検討します。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 治療薬で改善しないクローン病は当院へご相談ください 薬を継続していても下痢や腹部症状が改善しない、再燃を繰り返す、副作用がつらいといった場合は、治療方針の見直しによって改善の糸口が見つかる可能性があります。 背景には、炎症の残存に加え、狭窄や膿瘍などの合併症、薬剤反応の個人差、服薬不良(飲み忘れを含む)、感染症の併発など、複数の要因が関与する場合があります。症状だけで原因を判断することは難しいため、検査結果も踏まえた評価が重要です。 クローン病の治療について不安がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は治療薬と比較して全身性の副作用リスクが相対的に低い可能性があり、炎症や組織環境に関与する機序を通じて病態にアプローチする点が特徴とされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病の治療薬に関するよくある質問 クローン病の治療薬の服用は一生続きますか? クローン病の治療薬は、基本的に再燃を防ぎ寛解を維持するため、長期的な継続が必要です。 症状が落ち着いていても腸に炎症が残ることがあるため、自己判断で中断しないことが重要です。 しかし、病状に応じて薬は減量・変更できる場合があります。 クローン病に対して治療薬が効かないときはどうすれば良いですか? クローン病の治療薬が効かないときは自己判断で中止せず医師への相談が必要です。 検査で再燃や炎症を確認した上で内服状況・投与条件・薬剤調整や変更、必要なら合併症治療も検討します。 クローン病は治療薬なしでも改善しますか? クローン病は寛解と再燃を繰り返しやすい慢性疾患であり、市販薬だけで炎症をコントロールして長期的に状態を維持することは、基本的に期待しにくいと考えられます。 自然寛解の報告はあるものの例外的です。自己判断で処方薬を中止したり市販薬で様子を見続けたりせず、医師と治療方針を相談しましょう。 クローン病は市販薬で改善しますか? 市販薬だけでクローン病の腸の炎症を改善することは難しいです。 クローン病は慢性炎症性腸疾患であり、治療の中心は処方薬(ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤など)です。 市販薬は症状を一時的に和らげる目的で役立つ場合がありますが、使用前に医師へ相談する必要があります。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn's Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献3) Updated 2025 ACG clinical guideline for the management of Crohn's disease|AMERICAN COLLEGE OF GASTROENTEROLOGY (文献4) ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn's Disease: Medical Treatment|JCC (文献5) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針|厚生労働省 (文献6) アッヴィ、「リンヴォック®錠」(ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病患者さんの治療薬として日本における適応追加承認を取得|日経バイオテク (文献7) This label may not be the latest approved by FDA. For current labeling information, please visit https://www.fda.gov/drugsatfda (文献8) Consensus guidelines of ECCO/ESPGHAN on the medical management of pediatric Crohn's disease|PubMed (文献9) Fluoroquinolone antibiotics: reminder of the risk of disabling and potentially long-lasting or irreversible side effects|GOV.UK (文献10) Side effects of metronidazole|NHS (文献11) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「クローン病と診断され、将来が心配」 「クローン病は長生きできないのではないか?」 クローン病と診断されて動揺する方は多くいます。合併症や手術の話を目にすると「このまま悪化するのでは」と不安になるでしょう。 結論として、クローン病が直ちに短命につながる根拠は乏しく、寿命への影響は病勢(炎症)のコントロール状況によって左右されます。 ただし、適切な治療や予防を行わなければ病状が悪化するおそれがあるため、継続的な管理が欠かせません。 本記事では、現役医師がクローン病の寿命について詳しく解説します。死亡率を医学的根拠に基づいて解説し、記事後半にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病と寿命の関係性 寿命との関係性 詳細 クローン病が寿命に与える影響は限定的 適切な治療継続により、寿命への影響が大きくなりにくい疾患 クローン病患者の平均寿命 治療環境の改善により、一般人口と大きく変わらない水準に近づいている可能性がある クローン病は慢性疾患ですが、診断されたからといって直ちに短命に結びつくわけではありません。 近年は治療の選択肢が増え、病状評価の精度も向上したことで、炎症を抑えながら生活を整えやすくなってきています。 寿命への影響は病気そのものよりも、再燃を放置して合併症を招くかどうかで差が生じます。病状のコントロールが不十分なほどリスクが高まる点に注意が必要です。 クローン病が寿命に与える影響は限定的 日本の公的情報において、クローン病は「診断後10年の累積生存率96.9%」とされ、生命予後は良好と整理されています。(文献1) 寿命への影響が問題となるのは病気そのものより、炎症のコントロール不良が続き、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など)や感染症、長期炎症に伴うがん、血栓症を重ねて重症化する場合です。(文献2) さらに長期データでも、一般集団と大差がないとする報告があります。(文献3) クローン病患者の平均寿命 クローン病は発症年齢が若く、治療法・重症度・合併症・生活習慣によって経過が大きく異なるため、平均寿命を一律に示すことは困難です。 寿命の理解では「平均寿命」より「生存率」で見るとわかりやすく、国内の公的資料では診断後10年の累積生存率は96.9%とされています。(文献4) 死亡リスクが問題となるのは、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)・感染症の重篤化・がん・血栓症などが重なった場合であり、炎症をコントロールし再燃・合併症を防ぐ治療継続が重要です。(文献1) 医学的根拠に基づいたクローン病の死亡率 評価項目 日本での研究データ ここからわかること 診断後5年の累積生存率 99.2% 5年間で亡くなる方が少ない傾向 診断後10年の累積生存率 96.9% 10年間で高い生存率の傾向 全体の解釈 生存率が高い 国内研究における死亡リスクの低さ 注意点 年代・治療状況・重症度で変動 数字の断定回避と傾向理解 (文献6) クローン病の死亡リスクは大きく高いとは言いにくい一方で、一般集団よりやや高い可能性を示す研究もあります。 評価には標準化死亡比(SMR)が用いられ、メタ解析ではSMR 1.52(一般集団より約1.5倍)と報告されています。(文献7) クローン病・潰瘍性大腸炎を含むIBDのメタ解析でも、SMRの上昇が示されています。(文献8) 一方で差が小さい、または大きな差がないとする報告も複数あり、「寿命を大きく短くする病気ではない」とガイドラインは整理しています。(文献5) 日本の長期フォロー研究では、診断後10年の累積生存率96.9%、5年で99.2%と報告され、国内で生命予後は良好と考えられます。(文献6) クローン病で死亡率が上がるといわれている背景 死亡率が上がるといわれている背景 詳細 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管穿孔や腹膜炎、膿瘍形成など重篤化につながる合併症の発生 感染症・血栓症などの全身合併症 重篤感染症や血栓塞栓症による致命的転帰のリスク 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 長期炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇と生活習慣による病勢悪化 クローン病で死亡率が上がるといわれる背景には、炎症のコントロール不良に伴う合併症の重症化があります。 具体的には、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症による腹膜炎や感染拡大、免疫抑制や低栄養を背景とした重篤感染症、血栓塞栓症などが挙げられます。 さらに長期罹患では、慢性炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇や、喫煙など生活習慣の影響も重要です。 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管合併症の種類 ポイント 狭窄 腸閉塞(イレウス)による緊急入院・手術リスク 穿孔 腹膜炎・敗血症に直結し得る緊急手術リスク 膿瘍 腹腔内感染の重症化(敗血症)リスク 瘻孔 感染反復による難治化・全身状態低下リスク (文献10) クローン病は、病気そのものが直接命に関わることは多くありません。ただし、炎症が長期間コントロールできない状態が続くと腸壁が傷み、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)が起こりやすくなります。 狭窄は腸閉塞から緊急入院・手術につながり、穿孔や膿瘍は腹膜炎や敗血症(血液の感染)へ進展する可能性があります。 瘻孔も感染や炎症の遷延を介して重症化に関与し、結果として死亡リスクが高まる場合があるため、注意が必要です。(文献11) 感染症・血栓症などの全身合併症 全身合併症 要点 感染症(肺炎など) 肺炎など感染で重症化すると、命に関わることがある 治療薬と感染リスク 免疫に作用する薬で感染しやすくなる場面があり、予防(ワクチン・検査)が大切 敗血症 感染が全身に広がると、短期間で重症化しやすい 血栓症 入院・脱水・手術が重なると血栓ができやすい 肺塞栓 血栓が肺に詰まると、急に呼吸や血圧が悪化することがある クローン病の死亡リスクが問題になるのは、病気そのものよりも合併症や全身状態の悪化が引き金になる場合です。 肺炎・敗血症などはIBD患者の死亡リスク増加に関連することが報告されているため、それらの管理が欠かせません。(文献12) クローン病の治療ではステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など免疫に作用する薬が用いられ、病勢を抑える一方で状況によっては日和見感染を含む感染症リスクが上がるため、ワクチンや感染スクリーニングを含む予防が推奨されています。(文献13) また、感染が敗血症へ進むとショックや臓器障害を伴い短期間で重篤化し、IBDでは転帰不良の可能性も示唆されています。(文献14) また、静脈血栓塞栓症は入院・脱水・手術が重なるほど起こりやすく、アジアのIBD患者で術後に発症が増えることも報告されています。(文献15) 静脈血栓塞栓症の中でも肺塞栓は呼吸循環が急激に悪化する可能性があり、院内死亡や予後不良との関連も示されています。(文献16) 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 項目 要点 長期罹患とがん 炎症が長いほど、がん(とくに大腸がん)のリスクが上がる 内視鏡の重要性 大腸に炎症がある場合、定期的な内視鏡検査で早期発見が重要 生活習慣(喫煙) 喫煙は病状を悪化させやすく、再燃や手術のリスクを上げる 喫煙の影響の大きさ 喫煙者は再発が約2倍、手術再発が約2.5倍とされる 食事・栄養・飲酒 極端な制限や栄養不良、過度の飲酒は体力低下につながりやすい クローン病では慢性炎症が長く続くほど腸粘膜に負担がかかり、悪性腫瘍のリスクが高まります。とくに大腸に炎症が及ぶタイプでは、罹患期間が長いほど大腸がんリスクが上昇するため、定期的な内視鏡によるサーベイランスが推奨されています。(文献17) 生活習慣の影響も重症化リスクに関与し、有力なエビデンスがあるのが喫煙です。(文献18) 喫煙は再燃・手術・術後再発と関連し、メタ解析でも臨床再発は約2倍、手術再発は約2.5倍と報告されています。生活習慣は直接死亡率を高めるよりも、病勢のコントロール不良を招き、合併症の発生や重症化を通じて予後不良に関与する点に注意が必要です。(文献19) 極端な食事制限や栄養不良、過度の飲酒も間接的に病勢管理を不利にする可能性があります。(文献20) クローン病で寿命を縮めないための予防法 寿命を縮めないための予防法 詳細 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) 炎症の再燃予防と重症化回避のための治療継続 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える 病勢悪化因子の回避と低栄養予防による体力維持 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ 再燃・合併症の早期発見と重症化の予防 クローン病で寿命への影響を最小限にするには、炎症を安定して抑え、再燃を防ぐことが基本です。 治療は自己判断で中断せず、医師の方針に沿って継続しましょう。禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることも大切です。 定期検査を受け、症状の変化があれば早期に受診することで、合併症の重症化を防ぎやすくなります。 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) クローン病で治療を継続し再燃を防ぐ(自己中断しない)ことが大切です。 症状が落ち着いても腸の炎症が完全に消えているとは限らず、自己判断で治療を止めると再燃(ぶり返し)が起こりやすいためです。 難病情報センターでも、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)や免疫調節薬は症状が改善しても再燃予防のために継続投与されると明記されています。(文献1) 再燃を繰り返すほど腸管ダメージが蓄積し、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や手術につながりやすく、再燃・再発予防の重要性が指摘されています。(文献1) 研究でも中断後に再燃率が上がることが示され、ECCOのレビューでは治療中止後に再燃リスクが累積し、2年で約30%、5年で50〜75%が再燃すると推定されています。(文献21) 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える クローン病で寿命への影響を最小限にするには、治療継続に加えて禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることが重要です。 喫煙は病勢悪化や再燃に関与するだけでなく、ACG(米国消化器病学会)のガイドラインでも術後再発のリスク因子として挙げられており、長期的に入院・手術のリスクを高め、結果として合併症(感染症など)を招きやすくなります。(文献22) クローン病は低栄養になりやすく、栄養状態の低下は感染症や回復遅延を通じて重症化リスクを高めます。 自己流の極端な制限は低栄養を助長する可能性があるため、必要な栄養を確保する方針が重要です。NHSでも食事を大きく変える際は医療チームの助言を得るよう促されています。(文献11) 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ クローン病は症状が軽くても腸の奥で炎症が進行し、狭窄・瘻孔やがん化など重篤な合併症リスクが高まる場合があるため、症状だけで病勢を判断できません。 定期的な内視鏡検査や画像検査で炎症の広がりや粘膜治癒の程度を評価し、必要に応じて治療を調整することが合併症予防につながります。 腹痛増悪・下痢悪化・発熱・体重減少・肛門部痛などの再燃サインを放置すると、穿孔や膿瘍形成から緊急手術・敗血症に至るおそれがあるため、早期受診が欠かせません。 寿命を縮めないための実践ポイントとして、寛解期でも1〜2年ごとの内視鏡と定期外来を基本とし、長期経過例ではがんサーベイランス(定期的ながんのチェック)として年1回以上の大腸内視鏡を検討します。(文献9) クローン病で寿命を縮めないための治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑えて再燃を防ぎ、合併症リスクを下げる治療選択 栄養療法 低栄養の予防と腸管負担の軽減による病勢の安定化 手術療法 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤合併症の回避を目的とした外科的対応 再生医療 炎症や後遺症の改善を目指す治療選択肢のひとつ クローン病で寿命への影響を抑えるには、炎症を適切にコントロールし、再燃と合併症を防ぐ治療計画が大切です。 中心となるのは薬物療法で、必要に応じて栄養療法を併用し、低栄養予防や腸管負担の軽減を図ります。 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤な合併症が疑われる場合は、手術療法が必要となる場合もあります。 再生医療は選択肢のひとつですが、実施できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前確認が必要です。 薬物療法 観点 要点 治療の位置づけ 寛解維持と再燃予防を目的とした治療の柱 合併症予防 腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)リスクの低減 予後への影響 入院・手術リスク低下による長期予後の改善 術後管理 術後再発抑制による再手術・重症化の回避 (文献1) クローン病は完治を目指すよりも、炎症を抑えて寛解を維持し、再燃や合併症を防ぐことで長期の生活と生命予後を守る病気です。 その中心が薬物療法であり、難病情報センターでも「活動性をコントロールして寛解を維持し、再燃・再発を予防すること」が治療目的と整理されています。 薬で再燃を抑えられれば、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や緊急入院・手術のリスクを下げ、感染症を含む重症化の連鎖を避けやすくなります。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 栄養療法 取り組み内容 目的 具体例(体言止め) 腸を休ませる 腸管刺激の軽減と炎症沈静化 経腸栄養の活用(栄養剤中心の摂取) 栄養を補う 低栄養・体重減少の予防 必要カロリー・たんぱく質の確保 寛解を保つ 再燃予防と長期安定化 在宅経腸栄養の併用 継続しやすくする 長期管理の実効性向上 薬物療法との併用と生活に合わせた調整 (文献4) 栄養療法は、クローン病で寿命への影響を抑える上で重要な治療のひとつです。 炎症が長引くと低栄養や体力低下を招き、感染症や合併症のリスクが高まります。とくに経腸栄養は腸を安静にして炎症を鎮め、病変改善や腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍など)の予防に寄与します。 低栄養を防いで回復力を支え、寛解維持の一部として長期管理に組み込みやすいのも利点です。 以下の記事では、クローン病における食事について詳しく解説しています。 手術療法 手術が必要になりやすい状況 手術の目的(体言止め) 寿命との関係 狭窄(腸閉塞)・穿孔 腸閉塞解除と穿孔による腹膜炎・敗血症の回避 致命的合併症回避による生命予後の保全 膿瘍・瘻孔(穿通型) 感染源コントロールと膿瘍・瘻孔による重症化の抑制 敗血症など重篤感染の予防による死亡リスクを低減 薬物・栄養療法で改善しにくい重症例 病変処置による症状改善と全身状態の立て直し 低栄養・炎症遷延の改善による合併症リスクを低減 腸管切除が必要な場合 腸管温存を意識した外科的介入 短腸症候群など長期合併症の回避による長期安定化 (文献1) クローン病は薬物療法・栄養療法が基本ですが、狭窄による腸閉塞や穿孔、膿瘍・瘻孔などの腸管合併症が進行した場合、手術が生命予後を守るために必要となる場合があります。 手術は病変を直接処置して腹膜炎や敗血症など致命的な経過を回避し、症状改善を通じて栄養状態や体力の回復にもつながります。 再生医療 再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)は、クローン病において寿命を直接延ばす治療として確立しているわけではありません。 ただし、クローン病では再燃の反復や合併症の進行が、感染症や手術の増加、栄養状態の悪化を介して長期的な健康状態に影響する場合があります。 そのため再生医療は、病状や目的に応じて長期管理の一環として検討される治療選択肢のひとつと位置づけられます。 なお、クローン病の生命予後は比較的良好とされ、日本の長期追跡研究では診断後10年の累積生存率96.9%が報告されています。(文献6) 寿命を考える際は、生存率データを踏まえつつ、再燃・合併症を減らす治療継続が重要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 クローン病と寿命の関係を理解し適切な予防策を講じよう クローン病において寿命を縮める主因は、病名そのものではなく炎症が長く続く状態と合併症の見逃しです。 治療を継続し、禁煙と栄養管理で体力を守り、定期検査で病勢を客観的に把握することが大切です。この積み重ねが入院や手術のリスクを減らし、生活や仕事の計画も立てやすくします。 クローン病について不安を感じている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は治療薬と比べて全身的な副作用のリスクが比較的低いとされます。さらに、炎症や組織修復といった病態に直接アプローチできる可能性がある点も特徴です。 手術を伴わないため、感染症や後遺症のリスクが小さく、強い痛みの心配も少ないとされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と寿命の関係に関するよくある質問 クローン病が完治した人はいますか? クローン病は慢性の炎症性腸疾患であり、現時点の医療で完治(再発しない状態)を達成することは一般的ではありません。 治療は、症状が落ち着いた寛解状態をできるだけ長く維持することを目標に行います。 クローン病で食べてはいけないものはありますか? クローン病において絶対に食べてはいけない食品は基本的にありません。 ただし悪化しやすい食品は個人差が大きいため、脂っこい物・香辛料・食物繊維の多い食品・乳製品などは無理せず調整し、医師と相談しながら食事内容を整えます。(文献23) クローン病で「人生終わった」と感じていますがどうすれば良いでしょうか? 人生終わったと感じるのは、診断直後としてごく自然な反応です。 ただしクローン病は治療で病勢をコントロールできる病気であり、寛解を維持しながら仕事・結婚・旅行など、これまでと同じような生活を続けている方も多くいます。 不安が強いこと自体も遠慮せず医師に相談し、つらさが長引く場合は心療内科やカウンセリングの併用も検討しましょう。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会 (文献3) Crohn’s disease-specific mortality: a 30-year cohort study at a tertiary referral center in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) 96 クローン病|難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 (文献5) Evidence-based clinical practice guidelines for Crohn’s disease, integrated with formal consensus of experts in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献6) Long-term Follow-Up Study of Crohn's Disease in Japan. The Research Committee of Inflammatory Bowel Disease in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Meta-analysis: mortality in Crohn's disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献8) Crohn's disease and ulcerative colitis are associated with elevated standardized mortality ratios: a meta-analysis |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献9) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)ではどのような内視鏡検査が行われますか?|一般社団法人 日本消化器視鏡学会 (文献10) Therapeutic strategies in Crohn’s disease in an emergency surgical setting|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) Crohn's disease|NHS (文献12) Infection-related hospitalizations are associated with increased mortality in patients with inflammatory bowel diseases|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) ECCO Guidelines on the Prevention, Diagnosis, and Management of Infections in Inflammatory Bowel Disease|JCC (文献14) SEPSIS IN THE SETTINGS OF INFLAMMATORY BOWEL DISEASE: STUDYING THE OUTCOMES OF OVER EIGHT-MILLION PATIENTS|OXFORD ACADEMIC (文献15) Risk of venous thromboembolism in Asian patients with inflammatory bowel disease: a nationwide cohort study | Scientific reports (文献16) Impact of venous thromboembolism on mortality in hospitalized patients with inflammatory bowel disease: analysis of the MIMIC-IV database, 2008 to 2022|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献17) Colorectal cancer surveillance in inflammatory bowel disease: Practice guidelines and recent developments|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献18) Crohn's disease patients who quit smoking have a reduced risk of reoperation for recurrence|ScienceDirect (文献19) The effect of smoking after surgery for Crohn's disease: A meta-analysis of observational studies|PubMed (文献20) Risk Factors for Postoperative Recurrence of Crohn’s Disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献21) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology (文献22) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn’s Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献23) クローン病の食事療法|高野病院 栄養科
2026.01.31 -
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「クローン病における食事制限を知りたい」 「クローン病患者が避けるべき食品や食材を知りたい」 クローン病と診断され「何を食べて良いかわからない」「食事で症状が悪化しないか不安」と悩んでいませんか。 医師から食事管理を勧められても、どこまで制限すべきか迷う方は少なくありません。クローン病の食事制限は病状や時期に応じて柔軟に調整できます。 活動期は低脂肪・低残渣・低刺激を意識し、寛解期は体調を見ながら食品の幅を少しずつ広げられます。 本記事では、現役医師がクローン病の食事制限について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【症状別】クローン病の食事制限の目安 食事制限の目安 詳細 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 低脂肪・低残渣・低刺激を基本とした食事。脂質や不溶性食物繊維、香辛料など刺激となる食品を控える 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 体調に合わせた食品の段階的な拡大。合わない食品の把握と再燃を防ぐための調整 クローン病の食事制限は一律の禁止ではなく、病状に合わせて調整します。下痢や腹痛が強い活動期は腸が刺激に敏感なため、低脂肪・低残渣・低刺激の食事を心がけ、揚げ物・脂身・不溶性食物繊維の多い食品・香辛料・アルコールは控えましょう。 症状が落ち着く寛解期は、体調を観察しながら食事の幅を段階的に広げ、合わない食品を把握しつつ栄養バランスを整えることが重要です。 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 項目 目安 食事の基本 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事 控えたい食品 揚げ物など脂質が多い食品、きのこや海藻など不溶性食物繊維が多い食品、香辛料やアルコールなどの刺激物 食べやすい工夫 おかゆやうどんなど柔らかい主食、豆腐や白身魚など脂の少ないたんぱく源、加熱して柔らかくした野菜 食べ方のポイント 少量頻回、よく噛む、熱すぎず冷たすぎない温度、水分補給 注意点 過度な制限の回避、栄養不足への配慮、医師や管理栄養士への相談 活動期は腸の炎症により刺激に敏感になり、食事内容で症状が変動しやすい時期です。低脂肪・低残渣を基本とし、揚げ物や不溶性食物繊維、刺激物は控えましょう。 ただし過度な制限は栄養不足を招くため、消化しやすい調理法を選び、症状が強いときは医師や管理栄養士に相談しながら食事内容を調整することが大切です。 以下の記事では、クローン病の症状のひとつである腹痛を伴う下痢について詳しく解説しています。 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 項目 目安 基本方針 栄養バランス重視への切り替え、過度な制限の回避 脂質の考え方 控えめを基本とした適量摂取、脂っこい食事が続く状態を避ける 食物繊維の戻し方 少量からの段階的な再開、狭窄がある場合の慎重な調整 増やしたい食品 たんぱく質の確保、主食による体重維持、野菜・果物は調理法を工夫、水分摂取の意識 食べ方の注意点 暴飲暴食の回避、急な増量の回避、夜遅いドカ食いの回避、外食の偏りを予防 個人差への対応 合わない食品の把握、食事内容と摂取量、症状の記録 寛解期は炎症が落ち着く一方、制限を続けすぎると低栄養や体重減少につながりやすい時期です。栄養バランスを軸に食事の幅を段階的に広げ、脂質は控えめを基本に適量を確保します。 食物繊維は少量から戻し、狭窄が疑われる場合は医師の指導に沿った調整が欠かせません。合わない食品は個人差が大きいため、記録による見極めも有用です。 クローン病で制限を検討したい食品 制限を検討したい食品 詳細 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 消化吸収の負担増大、下痢や腹痛の悪化リスク。揚げ物、脂身、ラーメン、バター、生クリームなど控えることを推奨 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 腸への物理的刺激、腹部症状の悪化リスク。狭窄がある場合の詰まりリスク。きのこ、ごぼう、れんこん、もやし、こんにゃく、海藻、ナッツなどに注意 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 腸管刺激による腹痛や下痢の誘発リスク。香辛料の強い料理、濃い味付け、冷たい飲食物、炭酸など控えることを推奨 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 下痢の誘発リスク、腸の負担増大。アルコールの回避推奨。乳製品の乳糖による不調リスク。甘いものの摂りすぎによる下痢のリスク クローン病における食事内容によっては、下痢や腹痛などの症状が悪化することがあります。 とくに脂質の多い食品は消化吸収の負担となりやすく、食物繊維の多い食品は腸を刺激したり、狭窄がある場合は詰まりの原因になったりするため注意が必要です。 香辛料や冷たい飲食物、アルコールや乳製品、甘いものも症状を誘発することがあります。体調に応じて控え方を調整しましょう。 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 控えたい食品の部類 具体例 揚げ物 唐揚げ、とんかつ、天ぷら、フライドポテト 脂身が多い肉 豚バラ、牛カルビ、ベーコン、ソーセージ こってり系の料理 ラーメン、カレー、シチューなど 乳脂肪が多い食品 生クリーム、バター、チーズの食べ過ぎ 脂質の摂りすぎが下痢や腹部症状を引き起こしやすく、とくに活動期は腸の炎症により消化吸収が低下するため脂質が負担となります。 小腸に病変がある場合は脂肪の吸収能力が落ちるため、揚げ物・脂身の多い肉・こってりした料理・乳脂肪の多い食品は控えましょう。 ただし食べることを禁止するのではなく、症状と摂取量に応じた調整が基本です。寛解期は油を完全に避けず、鶏むね肉・赤身肉・白身魚を茹でる・蒸す・煮る調理法で負担を軽減します。 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 控えたい食品の分類(不溶性食物繊維が多いもの) 具体例 きのこ類 しいたけ、えのき、しめじなど 根菜 ごぼう、れんこんなど 海藻類 わかめ、昆布など 豆類 大豆、枝豆、ひよこ豆など ナッツ・種子類 アーモンド、ごまなど 精製度の低い穀物 玄米、全粒粉パンなど その他 こんにゃく、もやしなど 活動期に食物繊維を摂りすぎると腸への刺激となり、下痢や腹痛が悪化する場合があります。狭窄がある場合は残渣が詰まりやすく、腸閉塞のような症状を起こすおそれがあるため注意が必要です。 きのこ・根菜・海藻・豆類・ナッツ・玄米などは控え、寛解期は状態に応じて適量に調整します。野菜は加熱して細かく刻むなど調理法を工夫し、狭窄が疑われる場合は自己判断で増やさず医師に相談することが大切です。 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 刺激になりやすい食品・飲み物 具体例 香辛料・辛い料理 唐辛子、カレー、キムチ、麻辣系、スパイスが強い料理 炭酸・カフェイン 炭酸飲料、濃いコーヒー、エナジードリンク 冷たい飲食物 氷入りドリンク、冷たい牛乳、アイス、冷たい麺類 活動期のクローン病では、香辛料や冷たい飲食物といった刺激になりやすい食品に注意が必要です。活動期は腸の炎症により敏感な状態です。 そのため、刺激の強い飲食物をとると腸が反応し、下痢や腹痛が悪化する場合があります。ガイドでも「刺激物の少ない食事」が推奨されています。(文献1) 香辛料・炭酸飲料・カフェイン・冷たい飲食物は症状がある時は控え、常温の飲み物や薄味を中心とした食事に調整しましょう。 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 控えたい嗜好品 具体例 アルコール ビール、チューハイ、ワイン、日本酒、ハイボールなど 乳製品 牛乳、アイス、ヨーグルト、チーズなど 甘いもの(高糖質) ケーキ、菓子パン、清涼飲料水、ジュース、糖分の多いお菓子 クローン病は腸が過敏になりやすく、活動期はアルコール・乳製品・甘いものといった嗜好品により下痢や腹痛が悪化する場合があります。 アルコールは腸管を刺激し、乳製品は乳糖不耐による不調を招き、高糖質の食品は浸透圧性下痢の原因となります。 一律に禁止するのではなく、活動期は基本的に控え、寛解期は少量から試して体調に合わなければ無理に摂取しないことが重要です。 クローン病における食事のポイント 食事のポイント 詳細 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事。揚げ物や脂身、不溶性食物繊維、刺激物の控える。消化しやすい形への調理 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 食事の幅の段階的な拡大。たんぱく質と主食を中心とした栄養の確保。過度な制限による低栄養の予防 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) 少量頻回による腸への負担軽減。よく噛む習慣。常温から温かい飲食物の選択。下痢時の水分補給の意識 合わない食品は記録しておく 食事内容と量の記録。摂取後の便回数や腹痛の記録。体質に合わない食品の特定と回避 クローン病の食事管理は一律の制限ではなく、病状に応じた調整が基本です。活動期は腸が刺激に敏感なため低脂肪・低残渣を意識し、消化に負担となる食品は控えます。 寛解期は過度な制限を避け、栄養バランスを整えながら食事の幅を段階的に広げましょう。少量頻回の食事やよく噛むといった食べ方の工夫も有効です。合わない食品は記録し、自分に合った選び方を見つけてください。 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) クローン病の活動期は腸粘膜に炎症があり、下痢や腹痛が出やすく、普段は問題ない食事でも刺激となり症状が悪化する場合があります。 この時期は腸の負担を減らすため、低脂肪・低残渣の食事が基本です。 脂質は消化吸収が低下した状態で下痢を強めやすく、小腸病変がある場合は吸収不良も起こるため、揚げ物や脂身は控えましょう。 食物繊維の多い食品は残渣が増えて腸を刺激し、狭窄があると詰まるリスクもあるため注意が必要です。制限は一時的な工夫であり、回復に合わせて食事の幅を広げます。 調理は茹でる・蒸す・煮るを基本とし、少量頻回の食事、刺激物を控えることが大切です。 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 寛解期は、症状を悪化させない範囲で食事の幅を広げ、体力や栄養状態を立て直す時期です。活動期のような厳しい制限を続けると、低栄養・体重減少・筋力低下を招き、体調管理が難しくなります。 脂質や食物繊維も必要な栄養素のため完全に避けず適量を意識し、主食でエネルギーを確保しつつ、魚・肉・卵・豆腐などでたんぱく質を補うことが大切です。 野菜や果物は体調に合わせて加熱や刻みで調整し、水分も十分に摂取します。新しい食品は少量から試し、暴飲暴食や脂っこい外食が続かないよう工夫しましょう。 また、合わない食品には個人差があるため、症状に応じた調整が欠かせません。 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) クローン病は腸に炎症がある時期ほど消化吸収が低下し、腸が過敏になるため、食事内容だけでなく食べ方でも症状が左右されます。 一度に多く食べる・早食いする・冷たいものを一気に摂るといった行動は、腸の動きを強めて下痢や腹痛を悪化させやすくなります。 症状が不安定な時期は、1回量を減らして1日4〜6回に分ける少量頻回を意識し、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。 狭窄がある場合は大きい食塊が負担となるため、噛む回数はとくに重要です。冷刺激で症状が出る方もいるため、氷入り飲料・冷たい麺類・アイスは控えめにし、常温から温かい飲食物を選びましょう。 合わない食品は記録しておく 合わない食品を記録しておくことが重要なのは、クローン病の食事対応が患者ごとに異なり、一律の正解がないためです。 クローン病は炎症の部位(小腸・大腸など)や狭窄の有無、消化吸収の状態が人によって異なり「この食品は食べてはいけない」と一律には決められません。 自分の身体に合う・合わないを見極めることが大切です。IBD患者向け資料でも食事は個別性が高く、体調に合わせた調整が必要とされています。(文献1) 食事と症状の関係は時間差・量・調理法によって変わるため、食べたもの・量・食後の症状を簡単に記録すると再燃の引き金を把握しやすくなります。 クローン病の食事療法と合わせて行う予防法 予防法 詳細 禁煙・飲酒を控える 喫煙による再燃リスクの上昇、腸管刺激となる飲酒による症状悪化のリスク、禁煙と節酒で体調安定を意識 治療を中断せず継続する 自己判断による中断の回避、寛解維持を目的とした治療の継続、再燃と合併症予防の意識 定期検査で状態を確認する 症状が少ない時期の炎症評価、再燃の早期発見、治療方針調整のための経過観察 クローン病の再燃予防には、食事療法に加えて日常管理を整えることが大切です。喫煙は病状を悪化させやすく、飲酒も腸への刺激となるため、禁煙と節酒が欠かせません。 症状が落ち着いていても自己判断で治療を中断せず、寛解維持のために継続しましょう。定期検査で炎症の状態を確認し、再燃を早期に捉えて治療方針を適切に調整することが、長期的な安定につながります。 禁煙・飲酒を控える 予防の観点 内容 禁煙が重要な理由 喫煙による再燃リスク上昇、合併症増加のリスク 飲酒を控える理由 アルコールによる腸管刺激、下痢や腹部症状の悪化リスク 時期別の目安 活動期の禁酒寄り対応、寛解期の少量からの試行 食事療法との関係 喫煙と過度の飲酒による食事療法効果の阻害、再燃予防の生活習慣としての基盤 クローン病では、禁煙と飲酒の調整が再燃予防の土台になります。喫煙は病状を悪化させやすく、入院や手術が必要になるリスクを高めるため、禁煙が推奨されます。 飲酒は腸への刺激となり下痢や腹痛を招くことがあるため、活動期は避けることが大切です。 治療を中断せず継続する ポイント 内容 基本の考え方 症状が落ち着いても完治ではない慢性疾患の特性 継続の目的 再燃予防、長期の寛解維持、炎症コントロール 中断のリスク 症状再発リスク、入院リスク、合併症リスク 継続に含まれること 服薬の継続、定期受診、必要時の検査 クローン病は慢性疾患であり、症状が落ち着いても腸の炎症が消失しているとは限りません。寛解期でも治療を継続し、再燃を防ぎながら長期的な寛解維持を目指すことが重要です。 自己判断で治療を中断すると炎症が再燃し、下痢や腹痛の再発・入院・狭窄や瘻孔などの合併症リスクが高まります。治療の継続は服薬だけでなく、定期受診や必要な検査、生活習慣の見直しも含めて、再燃予防に欠かせません。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 定期検査で状態を確認する 検査項目 確認項目 血液検査 炎症の目安、貧血の有無、栄養状態の評価 便検査 腸の炎症の目安、再燃リスクの把握 内視鏡(大腸カメラなど) 粘膜の炎症評価、潰瘍の有無、狭窄の有無 画像検査(CT、MRI、腸管エコーなど) 腸の壁の炎症評価、腸管外病変の評価、全層性炎症への対応 クローン病は、下痢や腹痛などの症状が落ち着いていても腸の炎症が残っている場合があり、体感だけでは再燃の兆候を見逃すおそれがあります。 寛解期でも定期検査で炎症の程度や狭窄・瘻孔などの合併症を確認し、悪化を早期に捉えることが大切です。 血液検査や便検査に加え、内視鏡で粘膜を直接評価し、必要に応じてCT・MRI・腸管エコーで腸壁や腸管外病変まで確認します。 以下の記事では、クローン病と寿命の関係性について詳しく解説しています。 食事で改善しないクローン病は当院へご相談ください 食事を工夫しても下痢や腹部症状が続く場合は、「食べ方の問題」だけで判断せず、炎症の悪化も疑うことが大切です。体重減少、発熱、血便、夜間の下痢、食事量の低下が続くときは、治療の見直しが必要な可能性があるため早めの受診を検討しましょう。 食事で改善しないクローン病の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病に対して、炎症や組織修復に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来治療と比べて副作用が少ない可能性は示唆されていますが、有効性には個人差があり、適応や治療内容は医師と相談の上、慎重に判断する必要があります。ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と食事に関するよくある質問 クローン病にヨーグルトが効くと聞きましたが本当ですか? ヨーグルトがクローン病を治す、または再燃を防ぐといった効果は、現時点で十分な根拠があるとはいえません。 体質に合えば取り入れても構いませんが、乳製品で下痢や腹痛が出る場合は無理に続けないことが大切です。 以下の記事では、クローン病と関わりのある大腸(ポリープ)とヨーグルト(乳製品)の考え方について詳しく解説しています。 クローン病における食事制限は自己流でも問題ありませんか? 自己流の食事制限は、症状の悪化や低栄養(貧血・体重減少など)につながるおそれがあります。 クローン病の食事は活動期・寛解期や狭窄の有無、体質によって適切な内容が異なるため、医師や管理栄養士と相談しながら調整することが基本です。 参考文献 (文献1) 炎症性腸疾患(IBD)2023|日本消化器病学会
2026.01.31







