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「お腹が痛い上に下痢が止まらない」 「下痢を伴う腹痛が数日続いてつらい」 腹痛を伴う下痢は、誰もが一度は経験したことのある身近な症状です。トイレからなかなか出られず、日常生活に支障が出るほどつらいと感じる方も多いでしょう。 腹痛の原因はさまざまで、食生活の乱れやストレス、食あたりなどがきっかけになることがあります。ただし、症状が何日も続く場合や、下痢に加えて発熱・血便がみられる場合は注意が必要です。 本記事では、現役医師が下痢を伴う腹痛について詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛を伴う下痢について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腹痛を伴う下痢が続く原因 下痢が続く原因 詳細 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 病原体感染や汚染食品による腸炎 薬・アルコール・食事など刺激 薬の副作用や飲食物刺激による腸管反応 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 自律神経の乱れによる腸機能の不安定化 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 慢性炎症による下痢の遷延(せんえん) 腹痛と下痢が続く背景には、腸の一時的な炎症から慢性疾患まで幅広い原因があります。外食や生ものを食べた後に急に症状が始まった場合は感染症が疑われます。 また、薬の副作用・アルコール・脂っこい食事などの刺激によって腸が過敏に反応し、下痢が続く場合は注意が必要です。 腹痛を伴う下痢は、ストレスが続くことで腸の動きが乱れ、過敏性腸症候群のように検査で大きな異常が見つからないのに症状が続くケースもあります。 血便・体重減少・発熱を伴いながら長引く場合は、潰瘍性大腸炎やクローン病など腸の炎症性疾患も考慮が必要です。原因によって対処法は異なるため、経過と症状の組み合わせから見極める視点が大切です。 感染症(感染性胃腸炎・食中毒) 腹痛を伴う下痢が数日続く場合、原因として最も多いのが感染症です。代表例は、腸に病原体が感染して起こる感染性胃腸炎や、汚染された食品を介して発症する食中毒です。 感染性胃腸炎では、下痢に加えて吐き気・嘔吐・腹痛・発熱などがみられ、ノロウイルスは典型例として知られています。感染症といっても原因はさまざまで、症状の強さや持続期間は病原体や体調により変わります。 外食や生もの摂取後の発症・周囲に同様の症状がいる・急に下痢が始まった・嘔吐や発熱を伴うといった状況は重要な手がかりです。血便や強い腹痛がある場合は早急に受診しましょう。 以下の記事では、感染症をきっかけに発症する可能性のあるギランバレー症候群について詳しく解説します。 【関連記事】 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?原因・症状・治療法を医師が解説 【医師監修】ギランバレー症候群の原因となる食べ物を紹介|調理・食事で意識すべき予防法も解説 薬・アルコール・食事など刺激 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症だけでなく、薬・アルコール・食事による腸への刺激が原因となる場合があります。とくに抗菌薬は腸内細菌にも影響し、腸内環境の乱れから下痢が起こりやすくなります。 抗菌薬を服用した後に起こる下痢(抗菌薬関連下痢)は珍しくありません。米国を代表するMayo Clinic(メイヨークリニック)の報告によると、抗菌薬使用者の約5人に1人に生じるとされています。(文献1) 多くは軽症ですが、腹部症状を伴って服用中から服用後まで下痢が続く場合があり、下痢時のアルコール摂取は腸への刺激と脱水の進行につながるため注意が必要です。脂っこい食事や香辛料なども症状を長引かせる要因になります。 ストレス・体質(過敏性腸症候群など) 感染症が否定的でも腹痛と下痢が続く場合、原因として過敏性腸症候群が挙げられます。過敏性腸症候群の特徴は、単なる下痢ではなく腹痛と便通変化(下痢・便秘など)がセットで続き、腹痛が排便と関連して起こる点です。 排便前に腹部症状が強まり、排便後に軽くなる場合もあり、MSDマニュアルでも排便に伴う腹痛や排便習慣の変化が典型的とされています。(文献2) 過敏性腸症候群はストレスが原因と断定できない一方で、ストレスや不安、生活環境の変化で悪化しやすく、日本消化器病学会の患者向けガイドでも心理面に配慮した対応が示されています。(文献3) 症状は体質として波があり、良い時期と悪い時期を繰り返しやすい点も特徴です。(文献2) 以下の記事では、朝だけ腹痛が起こる原因や対処法について詳しく解説しています。 腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など) 腹痛を伴う下痢が続く場合、感染症や過敏性腸症候群だけでなく、腸に慢性的な炎症が起こる炎症性腸疾患(IBD)も原因として考えます。炎症性腸疾患には主に潰瘍性大腸炎とクローン病が含まれ、症状が長引きやすい点が特徴です。 潰瘍性大腸炎は血便を伴う下痢と腹痛が典型で、難病情報センターでも下痢・血便・腹部症状が代表的と説明されています。(文献4) クローン病は慢性的な下痢と腹部症状に加え、発熱・食欲低下・体重減少など全身症状を伴う場合があります。潰瘍性大腸炎との違いとして、血便・発熱・体重減少など炎症を示すサインの有無が手がかりになります。 腸の炎症性疾患が疑われる場合は、悪化する前に医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腸の炎症性疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎とは|症状・原因・治療法を解説 【医師監修】クローン病とは|初期症状や原因まで詳しく解説 腹痛を伴う下痢の対処法 対処法 詳細 水分補給をこまめに行う 脱水予防のための少量頻回の水分摂取 消化に良い食事を心がける 胃腸負担を減らすための低脂肪で刺激の少ない食事 身体を温めて十分な休養をとる 腸の安静維持と回復促進のための保温と休息 原因疾患を治療する 感染症や慢性疾患など原因に応じた治療の実施 腹痛と下痢の対処は脱水予防・腸の安静・原因に応じた対応が基本です。まずは水分と電解質の補給を優先し、食事は無理せず消化の良いものに絞ります。 冷えや疲労は症状を悪化させやすいため保温と休養も欠かせません。自己判断の下痢止めは感染症では回復を遅らせる場合があるため注意しましょう。 腹痛を伴う下痢が改善しない場合や、血便・発熱がある場合は早急に受診が必要です。 以下の記事では、腹痛の治し方について詳しく解説しています。 水分補給をこまめに行う 腹痛を伴う下痢が続くと、便と一緒に水分だけでなくナトリウムやカリウムなどの電解質も失われ、脱水(体液バランスの崩れ)を起こしやすくなります。脱水が進むと、だるさや口渇が出やすく、回復も遅くなります。 水分補給は一気飲みを避け、少量をこまめに摂るのが基本です。下痢や嘔吐があるときは水より経口補水液(ORS)が役立つ場合もあり、CDC(米国疾病予防管理センター)も市販の経口補水液が軽度の脱水に最も役立つと説明しています。(文献5) 消費者庁資料では、経口補水液はWHOが提唱する経口補水療法に用いる飲料として整理されています。(文献6) 消化に良い食事を心がける 腹痛を伴う下痢があるときは腸が過敏になっており、脂っこい食事や刺激物で症状が悪化・長期化しやすくなります。回復期は、腸を休ませる目的で消化に良い食事を選ぶことが重要です。 目安は低脂肪・低食物繊維・薄味で、おかゆ・うどん・食パン・バナナ・脂身の少ない鶏肉や白身魚などを無理のない範囲で取り入れます。 揚げ物・香辛料・乳製品に加え、アルコール・カフェインも避けましょう。CDC(米国疾病予防管理センター)もノロウイルスでは脱水予防の観点からアルコール・カフェインを避ける方針を示しています。(文献7) 食べられないほど症状が強い場合は無理に食事を取らず、NIDDKもウイルス性胃腸炎では水分と電解質の補給を優先することを示しています。(文献8) 以下の記事では、食生活改善について詳しく解説しています。 身体を温めて十分な休養をとる 腹痛を伴う下痢が続くと、炎症や脱水の影響で体力を消耗しやすく、回復が遅くなります。感染性胃腸炎などは自然に軽快する場合も多い一方、回復には休養による体力維持が欠かせません。 無理に動くと消化管への負担が増え、腹部症状が長引く要因になります。腸を休ませる意味でも、基本は自宅で安静にし、水分補給を優先しましょう。 身体が冷えると腹痛や下痢が悪化する人もいるため、冷房や薄着を避けて身体を温めることも有用です。感染性胃腸炎が疑われる場合は、通勤・通学を控えることで周囲への感染拡大を防げます。 原因疾患を治療する 腹痛を伴う下痢は病名ではなく症状のため、回復には原因疾患の治療が欠かせません。MSDマニュアルでも「下痢は症状であり、可能なら基礎疾患(原因)を治療する」とされています。(文献9) 原因が感染症の場合でも対応は一律ではなく、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎では水分補給を中心とした支持療法が基本です。 CDC(米国疾病管理予防センター)もノロウイルスに抗菌薬は有効でないと明記しています。一方で、旅行者下痢症など一部のケースでは状況により抗菌薬を検討する場合があります。(文献10) 整腸剤や下痢止めは症状緩和に役立ちますが、細菌感染や炎症性腸疾患が原因の場合は対症療法だけで長期化・悪化することがあるため、症状が続くときは自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。 以下の記事では、腹痛の原因疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病の治療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説 【医師監修】クローン病の治療薬一覧|副作用や服用時の注意点を解説 腹痛を伴う下痢に関する注意点 注意点 詳細 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 水分・電解質喪失による脱水リスクの増大 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 炎症性疾患や重症感染症を示す可能性 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 病原体排出遅延による症状遷延リスク 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 接触感染予防のための衛生管理徹底 腹痛と下痢は身近な症状でも、脱水や重い感染症、炎症性腸疾患が原因となっている場合があります。自己判断で様子見を続けると、体力と水分が失われます。 水分が取れない・血便・発熱が続く・意識がぼんやりする場合は速やかに医療機関を受診しましょう。下痢止めの自己使用は感染症の回復を遅らせる可能性があります。 下痢の背景に感染症が隠れていることもあるため、家庭内感染を防ぐ目的で、手洗い・消毒・食品管理を徹底しましょう。 脱水症状に注意する(水分が摂れない場合は早期に受診) 腹痛を伴う下痢では水分と電解質が失われて脱水を起こしやすく、倦怠感・口渇・尿量低下などが出て回復が遅れるおそれがあるため注意が必要です。 MSDマニュアルでも、下痢の警戒所見として尿量低下・強い口渇・脱力や活気低下などの脱水所見が挙げられています。(文献11) とくに水分が摂れない・飲んでも吐く状態は危険なサインです。MSDマニュアルは受診が必要な警戒サインとして水分を保持できない(飲めない)ことを挙げています。(文献12) 基本は経口補水液(ORS)による補給で、WHO(世界保健機関)の下痢治療ガイドでも脱水予防・改善の基本として経口補水を中心に示しています。(文献13) 水分が摂れない場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。 血便・黒い便・発熱などがある場合は早期に受診する 腹痛を伴う下痢に血便(鮮血・粘血便)が混ざる場合、腸粘膜の炎症や出血を伴う細菌性腸炎、炎症性腸疾患などの可能性があり、様子見は推奨できません。 便が黒い、タール状の黒色便は胃や十二指腸など上部消化管出血が疑われます。MSDマニュアルでは、黒色便は緊急事態として扱う必要があるとされています。(文献14) 発熱を伴う下痢は感染症、とくに細菌性腸炎を含めた評価が必要です。腸管出血性大腸菌では腹痛や水様性下痢に加えて血便が重要所見となり、重篤な合併症につながる場合があります。 血便・黒色便・発熱がある場合は様子見で問題ない下痢の範囲を超える可能性が高いため、医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、血便や発熱の原因である大腸がんについて詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】大腸がんとは?|症状・原因・検査について詳しく解説 大腸がんの症状チェックリスト|検査・治療法も解説 下痢止めの自己使用は注意(感染性胃腸炎では悪化の可能性) 下痢止め(止瀉薬)は症状を抑える一方、原因によっては使用が逆効果になる可能性があります。感染性胃腸炎や食中毒では、腸が病原体や毒素を排出しようとして下痢が起こる面があり、腸の動きを無理に止めると回復が遅れたり悪化したりする恐れがあります。 とくに発熱や血便を伴う下痢では自己判断で使わないのが基本です。IDSA(米国感染症学会)の診療ガイドラインでも、ロペラミドなどの止瀉薬は「免疫が保たれた成人の水様便(発熱なし・血便なし)では使用が検討され得る」一方で、「発熱や炎症性下痢では避けるべき」と整理されています。(文献15) 迷う場合は下痢止めに頼らず、水分補給を優先し、医療機関を受診しましょう。 家庭内感染を防ぐ(手洗い・消毒・食品取扱い) 項目 大切なポイント 手洗い 石けんと流水による手洗いの徹底(手指消毒剤のみでは不十分) 消毒 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)による環境消毒の実施(ドアノブ・蛇口など接触部位) 食品取り扱い 症状がある人は調理を避けることの徹底(二枚貝の十分な加熱、器具の洗浄・熱湯消毒) 感染性胃腸炎(とくにノロウイルスなど)は、吐物や便に含まれる病原体が手指や環境を介して広がりやすく、家庭内でも二次感染が起こり得ます。 対策の基本は石けんと流水による手洗いであり、手指消毒剤だけでは十分に効きにくいとされているため、厚労省も食事前・トイレ後などの手洗いを強く推奨しています。(文献16) 消毒は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)が基本です。東京都マニュアルでは手すり・ドアノブ・蛇口などを0.02%で拭く方法が示されています。(文献17) 厚労省の資料では、ノロウイルスにエタノールや逆性石けんは効果が乏しいため、塩素系消毒を推奨しています。(文献18) 食品面について、症状がある方は調理を避けることが重要です。また、東京都保険医療局は二枚貝を中心部まで加熱し、器具の洗浄や熱湯消毒を徹底するよう示しています。(文献19) 腹痛を伴う下痢の原因を理解して適切に対処しよう 腹痛と下痢が続くときは、まず脱水を防ぐための水分・電解質補給を優先し、消化に良い食事と休養で腸を休ませながら経過をみましょう。 ただし、症状が長引く場合、食あたりや一時的な胃腸炎だけでなく、抗菌薬など薬剤の影響や過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎・クローン病など炎症性腸疾患が関与していることもあります。 自己判断で下痢止めを使い続けると回復を遅らせる可能性があるため、血便・黒色便・発熱、水分が摂れないなどの警戒サインがないかを確認し、必要に応じて早めに消化器内科を受診しましょう。 改善しない腹痛を伴う下痢の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、下痢の原因となる疾患に対し、再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病などの難治性疾患を対象に、損傷した組織の修復や炎症の調整に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来の治療と比べて副作用が少ない可能性が示唆されている一方、有効性には個人差があるため、適応や治療内容は病状に応じて慎重に検討する必要があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腹痛を伴う下痢に関するよくある質問 腹痛を伴う下痢に対して市販薬と処方薬だとどのくらい効果に差がありますか? 市販薬は下痢回数や腹部不快感の軽減を目的とする対症療法が中心で、感染や炎症そのものの改善は目的としていません。 市販薬と処方薬の目的の違いや効果は以下の表を参考にしてみてください。 区分 目的・効き方 代表例 注意点 市販薬 症状の一時的な軽減 ロペラミドなど止瀉薬、ビスマス製剤 原因治療ではない点、感染性疑い時の悪化リスク 処方薬 原因に応じた治療 細菌性への抗菌薬、炎症性疾患に対する治療 医師判断による適応選択の必要性 (文献20) 処方薬は原因に合わせた治療選択が可能で、細菌性腸炎などでは経過短縮が期待される場合もあります。発熱や血便がある場合は自己判断の下痢止め使用を避け、早期受診を優先することが基本です。 下痢は出し切った方が良いと聞きましたが本当ですか? 感染性胃腸炎が疑われる下痢は病原体や毒素を排出する側面があるため、下痢止めで無理に止めない方が良い場合があります。 とくに発熱や血便がある場合は、悪化の恐れがあるため避けることが基本です。一方、発熱・血便のない成人の水様便では状況により使用を検討できます。 下痢に効くツボを押すと症状は和らぎますか? ツボ押し(指圧)で下痢そのものが止まる・治ると断定できる十分な根拠は現時点ではありません。一方で、過敏性腸症候群などストレス関連で下痢が続くタイプでは、鍼(アキュパンクチャー)で症状が軽くなる可能性が示された研究もあります。 しかし、偽鍼(プラセボ)との差がはっきりしないため、エビデンスの確実性は低めと整理されています。(文献21) ツボ押しはあくまで補助的手段として位置づけ、基本は水分補給を優先することが重要です。血便・発熱・脱水・強い腹痛・症状の長期化がある場合は自己判断に頼らず、早急に医療機関を受診しましょう。(文献9) 以下の記事では、腹痛とツボの関係性について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) Antibiotic associated diarrhea|Mayo Clinic (文献2) 過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアル家庭版 (文献3) 過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023|日本消化器病学会 (文献4) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献5) About Norovirus|CDC (文献6) 経口補水液の知識|消費者庁 (文献7) Norovirus infection |MAYOCLINIC (文献8) Treatment of Viral Gastroenteritis (“Stomach Flu”) |NIH National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (文献9) Diarrhea|MSD Manual Professional Version (文献10) Norovirus|CDC (文献11) 成人の下痢|MSDマニュアル家庭版 (文献12) 子どもの脱水|MSDマニュアル家庭版 (文献13) Diarrhoea Treatment Guidelines (文献14) 消化管出血|MSDマニュアル家庭版 (文献15) IDSA 2017 Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Infectious Diarrhea|IDSA (文献16) ノロウイルスに関するQ&A|厚生労働省 (文献17) 社会福祉施設などにおけるノロウイルス対応標準マニュアルダイジェスト版|東京都福祉保健局 (文献18) ノロウイルスによる食中毒|厚生労働省 (文献19) 感染性胃腸炎について|東京都保険医療局 (文献20) Diarrhea|MAYOCLINIC (文献21) Irritable Bowel Syndrome and Complementary Health Approaches: What the Science Says | NIH National Center for Complementary and Integrative Health
2026.01.31 -
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「クローン病の薬の服用について不安がある」 「クローン病の薬の効果を知りたい」 クローン病と診断されたばかりの方は、薬の服用や副作用などに不安を抱きやすいものです。 また、クローン病の治療薬は種類が多く、それぞれの効果や違いがわかりにくいため、どの薬を選べば良いのか悩む方もいます。 本記事では、クローン病の治療薬を一覧で紹介し、効果の違いに加えて副作用や服用時の注意点も解説します。記事の最後には、クローン病の治療薬に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病の治療薬一覧 治療薬 詳細 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) 腸の炎症を抑える薬 ステロイド 強い炎症を短期間で抑える薬 免疫調節薬・免疫抑制薬 免疫反応を抑えて炎症を抑える薬 生物学的製剤 炎症に関わる物質を標的にする薬 JAK阻害剤 炎症の伝達経路を抑える内服薬 抗菌薬 感染や合併症の治療に用いる薬 クローン病の薬は、炎症を抑える・免疫の過剰反応を整える・再燃を防ぐなど目的が異なります。 軽い炎症では腸の炎症を抑える薬から始まり、症状・内視鏡所見・合併症の有無でステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤、JAK阻害剤へ段階的に検討します。 肛門病変や膿瘍などを伴う場合は、抗菌薬を併用することもあります。薬の種類が増えるほど副作用や感染症のリスクも高まるため、服用は必ず医師の指示に従うことが大切です。 5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸) ポイント 詳細 副作用が比較的少ない 免疫抑制が強すぎない治療の選択肢 軽症例で選択されやすい 診断初期や病勢が落ち着いている場合の選択肢 一部の患者で効果が期待できる 一定数の患者に効果が期待できる薬剤の位置づけ 他治療と併用しやすい 栄養療法などと組み合わせるベース薬としての活用 (文献1)(文献2) 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、腸の炎症を抑える目的で用いられる薬です。免疫を強く抑えないため比較的副作用が少なく、軽症例や診断初期で検討されることがあります。 ただし効果には個人差があり、すべての患者に有効とは限りません。そのため、治療の柱として使うかは病状に応じた判断が必要です。 5-ASA製剤の副作用 5-ASA製剤(メサラジンなど)は、比較的副作用が少ない薬とされていますが、胃の不快感・吐き気・下痢などの消化器症状、頭痛、発疹・かゆみといった症状がみられる場合があります。 多くは軽度で調整により落ち着くこともありますが、自己判断で治療薬を中止せず医師に相談しましょう。 まれに腎障害(間質性腎炎)が報告されており、初期は症状が出にくいため定期的な腎機能チェック(採血・尿検査)が欠かせません。(文献3) 頻度は低いものの急性膵炎もあり、上腹部の強い痛み・吐き気・背中への放散痛があれば、早めに医療機関を受診することが大切です。(文献4) ステロイド ポイント 詳細 炎症を速やかに抑えやすい 活動期の強い炎症を短期間で鎮める寛解導入薬としての位置づけ 長期使用を基本としない 副作用リスクを踏まえた短期使用前提の治療の選択肢 病変に応じた使い分け 全身型と腸管作用型(例:ブデソニド)を選べる薬剤特性 維持療法へつなぐ役割 免疫調節薬・生物学的製剤などが効くまでの橋渡しとしての活用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は抗炎症作用が強く、クローン病の活動期(症状が強い時期)に起きている腸の強い炎症を速やかに抑え、腹痛・下痢・発熱などの症状を短期間で改善し、寛解導入を目的に用いられます。 難病情報センターでも、中等症以上で使用される治療薬として整理されています。(文献2) 一方で副作用が増えやすいため長期使用は基本とせず、ACGガイドラインでも維持療法には推奨されていません。(文献5) 全身に効くプレドニゾロンに加え、腸管で作用しやすいブデソニドなどがあり、軽〜中等症の回盲部病変ではブデソニド9mg/日が寛解導入に推奨されています。(文献6) ステロイドの副作用 ステロイド(副腎皮質ステロイド)は炎症を強力に抑える一方で、副作用が出やすい薬です。 服用開始後の早い段階から、食欲増加・体重増加、むくみ、胃の不快感、にきび、不眠、気分の変化(イライラ・不安感など)がみられる場合があります。 高用量・長期使用では免疫が抑えられて感染症にかかりやすくなるほか、骨粗鬆症、血糖上昇(糖尿病の悪化・発症)、白内障・緑内障などのリスクが高まります。(文献7) 高熱・息苦しさ・強い抑うつ・視力変化・黒色便などがあれば、早急に医療機関を受診しましょう。 ステロイドは抗炎症作用が強い薬であるため、副作用が疑われる症状が出た場合でも自己判断で中断せず、医師と相談しながら調整することが基本です。 ガイドラインでも、ステロイドは寛解導入に重要な治療薬である一方、過量投与や長期使用は避けるべきとされています。(文献8) 免疫調節薬・免疫抑制薬 ポイント 詳細 再燃予防と寛解維持 炎症が落ち着いた後の再燃を防ぐ維持療法としての位置づけ ステロイド依存の回避 ステロイド減量・中止を支えるステロイドスパリング薬としての役割 生物学的製剤の補助 併用による効果安定化や治療効果低下リスクの軽減 中長期の病勢コントロールに向いている 効果発現が緩やかな維持療法向け薬剤特性 免疫調節薬・免疫抑制薬(主にチオプリン製剤:アザチオプリン、6-MPなど)は、クローン病でいったん炎症が落ち着いた後に、再燃を防いで寛解を長く保つ寛解維持を目的として用いられることが多い治療薬です。 難病情報センターでも、中等症以上の治療として免疫調節薬(アザチオプリン)が挙げられています。(文献2) ステロイドは寛解導入に有効である一方、長期使用で副作用が増えるため減量・中止を目指す必要があり、免疫調節薬はステロイドスパリング(ステロイドの減量・中止を支える役割)として重要です。(文献2) また、効果はすぐに出る薬ではなく、安定するまで時間がかかるため、中長期の病勢コントロールに向く薬として位置づけられます。(文献9) 免疫調節薬・免疫抑制薬の副作用 免疫調節薬・免疫抑制薬(アザチオプリン、6-MPなど)は、再燃予防を目的に中長期で用いられる薬ですが、吐き気・下痢などの消化器症状、だるさ、発疹・かゆみ、軽度の脱毛といった副作用がみられる場合があります。 重い副作用としては、骨髄抑制(白血球・血小板低下)や肝機能障害があり、自覚症状が乏しいこともあるため定期的な採血が欠かせません。 免疫低下に伴う感染症にも注意し、高熱や咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 まれに膵炎も起こり得るため、上腹部の強い痛みと吐き気があれば受診が必要です。 長期使用では悪性腫瘍(皮膚がん・リンパ腫など)のリスク増加が報告されていますが、リスクは低いとされています。ECCOガイドラインでも、チオプリン併用によるリンパ腫リスクは非常に低いものの考慮すべきとされています。(文献10) 生物学的製剤 ポイント 詳細 炎症の原因を標的にできる TNF-αやIL-12/23などを狙って炎症を抑える治療機序 中等症〜重症の中心治療 難治例や病勢が強い場合に検討される治療の選択肢 ステロイド依存の回避 寛解導入から維持まで見据えた治療設計とステロイドスパリング 合併症への治療選択肢 瘻孔や肛門病変など腸管合併症への治療成績が期待される薬剤群 寛解維持と将来リスク低減 再燃予防とQOL(生活の質)維持、入院・手術リスク低減を目指す治療目的 生物学的製剤は、炎症を引き起こす物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的にして腸の炎症を抑える治療薬で、中等症〜重症のクローン病で中心的に用いられます。 難病情報センターでも、難治例に対して抗TNFα抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ)、抗IL-12/23抗体(ウステキヌマブ)、抗接着分子抗体(ベドリズマブ)などが使用されると整理されています。(文献2) ステロイドだけでは病勢や再燃を十分に抑えきれない場合にも、寛解導入から維持までを見据えた治療として位置づけられ、ECCOガイドラインでも中等症〜重症治療の中核とされています。(文献11) 瘻孔や肛門病変などの腸管合併症に対しても生物学的製剤は有用です。2025年改訂の診断基準・治療指針では肛門病変に対する治療としての位置づけが見直されています。(文献12) 生物学的製剤の副作用 生物学的製剤は、炎症に関わる物質(TNF-α、IL-12/23など)を標的として腸の炎症を抑える治療薬ですが、免疫に影響するため副作用として感染症に注意が必要です。 比較的起こりやすい症状として、かぜ症状(鼻水・のどの痛み・咳)、発熱、だるさ、頭痛、注射部位の赤みや腫れ(皮下注)、点滴中の違和感(点滴製剤)などがみられます。 重い感染症として肺炎などがあり、抗TNF製剤では潜在性結核の再活性化、B型肝炎などの再活性化に注意が必要です。点滴中の息苦しさやじんましんなどアレルギー反応が起こる場合もあります。 薬ごとにリスク傾向が異なるため、体調変化があれば自己判断で中断せず医師へ相談することが大切です。 JAK阻害剤 ポイント 詳細 内服で治療できる選択肢 JAK-STAT経路を抑えて炎症シグナルを制御する分子標的薬 既存治療で効果不十分な場合に検討 中等症〜重症で5-ASA・免疫調節薬・生物学的製剤などが十分効かないケースの治療選択肢 寛解導入と維持の両面で使用 活動期の症状改善と再燃予防を視野に入れた治療設計 JAK阻害剤は、炎症に関わるサイトカインの情報伝達(JAK-STAT経路)を抑える分子標的薬(低分子化合物)で、注射や点滴の生物学的製剤とは異なり内服で治療できる選択肢です。 難病情報センターでも、従来治療が無効な場合の治療選択肢として挙げられています。(文献2) クローン病で用いられるJAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は寛解導入と寛解維持の両面を想定した治療として位置づけられています。 日本でも既存治療で効果不十分な中等症〜重症の活動期クローン病に対し、導入・維持療法として適応追加承認が取得されました。(文献13) JAK阻害剤の副作用 JAK阻害剤(例:ウパダシチニブ)は内服で炎症を抑える一方、免疫に影響するため副作用に注意が必要です。 実際に、ウパダシチニブ(RINVOQ)の添付文書(米国FDA)では、クローン病における主な副作用(5%以上)として上気道感染・貧血・発熱・にきび・帯状疱疹・頭痛などが挙げられています。(文献14) JAK阻害剤は帯状疱疹のリスクが高いことが指摘されており、重い感染症や血栓症にも注意が必要です。高熱や息苦しさ、片脚の腫れ・痛み、胸痛がある場合は早めに医療機関へ連絡し、自己判断で中断せず医師へ相談して対応する必要があります。 抗菌薬 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシンなど)は、クローン病そのものの炎症を長期的にコントロールする主役の薬ではなく、肛門病変や感染が疑われる合併症に応じて併用される補助療法です。(文献15) とくに腸管の炎症が強いと膿瘍を形成する場合があり、この場合は抗菌薬が治療に組み込まれ、必要に応じてドレナージや手術も検討されます。 難病情報センターでも、治療の一部として抗菌薬投与が行われることがあると記載されています。(文献2) 肛門瘻孔では生物学的製剤に加えて抗菌薬を併用し、分泌物などの症状緩和を図ることがあり、ECCO/ESPGHANのガイドラインでも推奨が示されています。(文献16) 一方で完全治癒に至らないことも多く、期間を決めて使うことが重要です。 抗菌薬の副作用 抗菌薬(メトロニダゾール、シプロフロキサシン等)は一定期間の併用が多い一方、吐き気・腹部不快感・下痢・食欲低下などの消化器症状がみられる場合があります。 メトロニダゾールでは口の苦み(金属味)が出ることもあります。まれに末梢神経障害(しびれ・ピリピリ感)に注意が必要です。 フルオロキノロン系(シプロフロキサシン等)では、非常にまれですが腱炎や腱断裂が報告されており、英国MHRAも腱痛など重大な副作用が疑われる場合は早期中止と医師への相談を推奨しています。(文献17) また、メトロニダゾール服用中はアルコールを避けることが重要です。NHSでも飲酒により吐き気・腹痛・ほてり・動悸などが出る可能性が示されています。(文献18) クローン病の治療薬を服用する際の注意点 注意点 詳細 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) 中断や飲み忘れによる再燃リスク増加と治療効果低下の可能性 副作用と併用薬の注意点を知っておく 副作用の早期発見と相互作用回避のための事前把握 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する 感染症の重症化予防と早期対応の必要性 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 潜在感染の評価と再活性化予防のための検査・ワクチン確認 薬の効果を十分に引き出すには、治療を継続し、体調の変化を早めに医師へ共有することが大切です。 クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残る場合があり、自己判断で中断したり飲み忘れたりすると再燃につながる可能性があります。 副作用の兆候を見逃さず早めに相談し、併用薬・ワクチン・感染症リスクは薬剤により異なるため治療前後の検査も含めて確認しましょう。 以下の記事では、クローン病の寿命について詳しく解説しています。 自己判断で中断しない(飲み忘れ含む) クローン病は症状が落ち着いていても腸の炎症が残ることがあるため、自己判断で薬を中断したり飲み忘れたりすると寛解維持が崩れて再燃しやすくなります。 実際、治療中止後は再燃しやすく、薬剤差はあるものの中断後に50%以上が再燃する可能性があるとするレビューも報告されています。(文献19) いったん再燃するとステロイド導入や生物学的製剤・JAK阻害剤への切り替え、入院などより強い治療が必要になりやすい点にも注意が必要です。 難病情報センターでも手術率の高さが示され、再燃予防の重要性が強調されています。(文献2) 副作用と併用薬の注意点を知っておく クローン病の治療薬には、免疫に作用する薬(免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など)も含まれるため、副作用と併用薬の注意点を事前に理解しておくことが重要です。 副作用は早い段階で気づいて対応できれば重症化を防げる場合が多く、体調変化を医師に共有することが治療継続につながります。 発熱・だるさ・下痢・腹部症状などは副作用・感染症・再燃のいずれでも起こり得るため、判断を誤ると受診が遅れたり、自己中断で再燃を招いたりするおそれがあります。 市販薬を含む併用薬によって症状の悪化や副作用が増える場合があり、とくにNSAIDs(ロキソニン、イブプロフェン等)は自己判断での使用を避けましょう。 発熱・咳・強いだるさがあるときは早めに医療機関へ連絡する クローン病の治療では、ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤・JAK阻害剤など免疫反応を抑える薬が用いられるため、感染症が重症化しやすい点に注意が必要です。 通常なら軽く済む風邪でも肺炎などへ進行する場合があり、発熱・咳・強いだるさが出た場合は医療機関を受診しましょう。 これらの症状は感染症だけでなく、副作用や再燃でも起こり得るため、自己判断で様子見を続けたり薬を中断したりすると、対応が遅れて病状が不安定になる恐れがあります。 早期に相談することで、投与の延期可否・採血や画像検査の必要性・抗菌薬や抗ウイルス薬の要否を迅速に判断できます。 とくに結核など見逃したくない感染症もあるため、咳が長引く場合は放置しないことが重要です。 治療前後の検査と予防接種を確認する(結核・肝炎など) 生物学的製剤やJAK阻害剤など免疫を抑える治療では、体内に潜んでいた感染症が再活性化する場合があるため、治療前後の検査と予防接種の確認が欠かせません。 とくに潜在性結核やB型肝炎は、発症してから気づくと重症化しやすく、治療開始前にスクリーニング(血液検査や胸部画像などで感染の有無を確認)しておくことで、予防治療や専門医との連携を含めた治療計画につながります。 結核では問診に加え、胸部X線やIGRA(血液検査で結核感染を調べる検査)などを用い、肝炎はHBs抗原・抗体などで確認します。 治療開始後は生ワクチンが接種できなかったり効果が弱まったりする可能性があるため事前に接種計画を立て、治療後も採血や感染兆候の確認を続けて副作用や感染を早期に把握しましょう。 クローン病の治療薬と併用して行われる治療法 治療法 詳細 栄養療法 腸管負担軽減と低栄養是正を目的とした栄養補給 精神療法 不安やストレスの軽減による療養継続とQOL(生活の質)支援 外科治療 狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など合併症への根治的対応 再生医療 既存治療で十分な効果が得られない場合の補助的選択肢検討 クローン病は薬だけで完結しない病気であり、栄養状態の立て直し・ストレス対策・合併症への外科的対応などを組み合わせて、再燃を減らしQOL(生活の質)を保ちます。 併用療法は薬の効果を支える・合併症を減らす・治療を続けやすくする目的で選び、とくに体重減少や貧血がある場合は栄養面の介入が回復の土台になります。 症状が落ち着かないときも、併用療法の見直しが欠かせません。なお、再生医療は適用できる医療機関が限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前に医師と相談が必要です。 栄養療法 ポイント 詳細 腸の負担を減らしつつ栄養確保 腸管刺激の回避と必要栄養の補給 低栄養・体重減少の改善 回復力維持と治療基盤の安定化 活動期の症状改善を補助 薬効支援と腸管負担軽減の併用 狭窄など合併症への対応 腸閉塞リスク回避と適切なエネルギー確保 再燃予防の補助 寛解維持に向けた補助的介入 (文献2) 栄養療法は、腸を休ませながら必要な栄養を確保し、薬物療法の効果を支える治療です。 活動期の体重減少や低栄養を整えることで回復力が保たれ、合併症リスクの低減にもつながります。 狭窄が疑われる場合にも有用ですが、自己流の制限は低栄養を招きやすいため、医師・管理栄養士と相談して進めることが大切です。 精神療法 クローン病は慢性疾患で、再燃への不安や食事・仕事への影響が続きやすく、不安や抑うつなど心理的負担を抱えやすい病気です。 クローン病はストレスが直接の原因ではありませんが、心理的負担が強いと腹部症状が増したように感じたり睡眠が乱れたりして、QOL(生活の質)の低下や療養継続の難しさにつながることがあります。 精神療法(心理的サポート)は炎症を直接治す治療ではないものの、不安の整理や対処を支え、服薬・通院の中断を防いで治療を継続させる点で有用です。 外科治療 項目 内容 狭窄・閉塞への対応 瘢痕主体の狭窄や腸閉塞リスクに対する通過障害の改善 膿瘍・瘻孔などの合併症 排膿(ドレナージ)や切除を含む外科的介入の必要性 薬で抑えきれない限局病変 再燃を繰り返す病変部の切除による症状の安定化 肛門病変の治療 痔瘻や肛門周囲膿瘍に対する薬物療法と外科治療の併用 手術の位置づけ QOL(生活の質)を守るための治療選択肢 (文献20) クローン病の手術は、薬で治しにくい狭窄や閉塞、膿瘍・瘻孔などの合併症に対して有効な選択肢です。 病変が限局して再燃を繰り返す場合は、切除により生活が改善することもあります。 とくに肛門病変は薬と外科の併用が基本となりやすく、手術は病状の悪化ではなく生活の質を守るための治療計画の一部です。 再生医療 再生医療は、クローン病治療の基本である薬物療法に代わる標準治療ではなく、病状や合併症によっては併用療法の選択肢として検討される治療法のひとつです。 とくに肛門部の瘻孔など一部の病態では、脂肪由来の細胞を用いた治療について研究・臨床応用が進み、複数の報告もみられます。 適応は既往・合併症・検査結果などで判断するため、自己判断で薬を中断せず医師との相談の上で検討します。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 治療薬で改善しないクローン病は当院へご相談ください 薬を継続していても下痢や腹部症状が改善しない、再燃を繰り返す、副作用がつらいといった場合は、治療方針の見直しによって改善の糸口が見つかる可能性があります。 背景には、炎症の残存に加え、狭窄や膿瘍などの合併症、薬剤反応の個人差、服薬不良(飲み忘れを含む)、感染症の併発など、複数の要因が関与する場合があります。症状だけで原因を判断することは難しいため、検査結果も踏まえた評価が重要です。 クローン病の治療について不安がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は治療薬と比較して全身性の副作用リスクが相対的に低い可能性があり、炎症や組織環境に関与する機序を通じて病態にアプローチする点が特徴とされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病の治療薬に関するよくある質問 クローン病の治療薬の服用は一生続きますか? クローン病の治療薬は、基本的に再燃を防ぎ寛解を維持するため、長期的な継続が必要です。 症状が落ち着いていても腸に炎症が残ることがあるため、自己判断で中断しないことが重要です。 しかし、病状に応じて薬は減量・変更できる場合があります。 クローン病に対して治療薬が効かないときはどうすれば良いですか? クローン病の治療薬が効かないときは自己判断で中止せず医師への相談が必要です。 検査で再燃や炎症を確認した上で内服状況・投与条件・薬剤調整や変更、必要なら合併症治療も検討します。 クローン病は治療薬なしでも改善しますか? クローン病は寛解と再燃を繰り返しやすい慢性疾患であり、市販薬だけで炎症をコントロールして長期的に状態を維持することは、基本的に期待しにくいと考えられます。(文献21) 自然寛解の報告はあるものの例外的です。自己判断で処方薬を中止したり市販薬で様子を見続けたりせず、医師と治療方針を相談しましょう。 クローン病は市販薬で改善しますか? 市販薬だけでクローン病の腸の炎症を改善することは難しいです。 クローン病は慢性炎症性腸疾患であり、治療の中心は処方薬(ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤など)です。 市販薬は症状を一時的に和らげる目的で役立つ場合がありますが、使用前に医師へ相談する必要があります。 参考文献 (文献1) The use of 5-aminosalicylates in Crohn’s disease: a retrospective study using the UK Clinical Practice Research Datalink|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献2) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献3) American Gastroenterological Association Institute Guideline on the Management of Mild-Moderate Ulcerative Colitis|NIHNational Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) About mesalazine|NHS (文献5) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn’s Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献6) Updated 2025 ACG clinical guideline for the management of Crohn’s disease|AMERICAN COLLEGE OF GASTROENTEROLOGY (文献7) Appropriate Use and Complications of Corticosteroids in Inflammatory Bowel Disease: A Comprehensive Review|Clinical Gastroenterology and Hepatology (文献8) Steroids|NHS (文献9) ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn's Disease: Medical Treatment|JCC (文献10) Comparative Risk of Serious Infections With Biologic Agents and Oral Small Molecules in Inflammatory Bowel Diseases: A Systematic Review and Meta-Analysis|Clinical Gastroenterology and Hepatology (文献11) ECCO Guidelines on Therapeutics in Crohn’s Disease: Medical Treatment|JCC (文献12) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針|厚生労働省 (文献13) アッヴィ、「リンヴォック®錠」(ウパダシチニブ水和物)について、既存治療で 効果不十分な中等症から重症の活動期クローン病患者さんの治療薬として日本における適応追加承認を取得|abbvie (文献14) This label may not be the latest approved by FDA. For current labeling information, please visit https://www.fda.gov/drugsatfda (文献15) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)|一般社団法人日本大腸肛門病学会 (文献16) Consensus guidelines of ECCO/ESPGHAN on the medical management of pediatric Crohn's disease |JCC JOURNAL of CROHN’S and COLITIS (文献17) Fluoroquinolone antibiotics: reminder of the risk of disabling and potentially long-lasting or irreversible side effects|GOV.UK (文献18) Side effects of metronidazole|NHS (文献19) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献20) SURGERY FOR CROHN'S DISEASE|CROHN’S&COLITIS UK (文献21) Spontaneous remission of Crohn's disease following a febrile infection: case report and literature review |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2026.01.31 -
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
「クローン病と診断され、将来が心配」 「クローン病は長生きできないのではないか?」 クローン病と診断されて動揺する方は多くいます。合併症や手術の話を目にすると「このまま悪化するのでは」と不安になるでしょう。 結論として、クローン病が直ちに短命につながる根拠は乏しく、寿命への影響は病勢(炎症)のコントロール状況によって左右されます。 ただし、適切な治療や予防を行わなければ病状が悪化するおそれがあるため、継続的な管理が欠かせません。 本記事では、現役医師がクローン病の寿命について詳しく解説します。死亡率を医学的根拠に基づいて解説し、記事後半にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病と寿命の関係性 寿命との関係性 詳細 クローン病が寿命に与える影響は限定的 適切な治療継続により、寿命への影響が大きくなりにくい疾患 クローン病患者の平均寿命 治療環境の改善により、一般人口と大きく変わらない水準に近づいている可能性がある クローン病は慢性疾患ですが、診断されたからといって直ちに短命に結びつくわけではありません。 近年は治療の選択肢が増え、病状評価の精度も向上したことで、炎症を抑えながら生活を整えやすくなってきています。 寿命への影響は病気そのものよりも、再燃を放置して合併症を招くかどうかで差が生じます。病状のコントロールが不十分なほどリスクが高まる点に注意が必要です。 クローン病が寿命に与える影響は限定的 日本の公的情報において、クローン病は「診断後10年の累積生存率96.9%」とされ、生命予後は良好と整理されています。(文献1) 寿命への影響が問題となるのは病気そのものより、炎症のコントロール不良が続き、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔など)や感染症、長期炎症に伴うがん、血栓症を重ねて重症化する場合です。(文献2) さらに長期データでも、一般集団と大差がないとする報告があります。(文献3) クローン病患者の平均寿命 クローン病は発症年齢が若く、治療法・重症度・合併症・生活習慣によって経過が大きく異なるため、平均寿命を一律に示すことは困難です。 寿命の理解では「平均寿命」より「生存率」で見るとわかりやすく、国内の公的資料では診断後10年の累積生存率は96.9%とされています。(文献4) 海外レビューでは死亡比(SMR)1.29程度とする報告もあり、差があるとしても大きくはないという整理が一般的です。(文献5) 死亡リスクが問題となるのは、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)・感染症の重篤化・がん・血栓症などが重なった場合であり、炎症をコントロールし再燃・合併症を防ぐ治療継続が重要です。(文献1) 医学的根拠に基づいたクローン病の死亡率 評価項目 日本での研究データ ここからわかること 診断後5年の累積生存率 99.2% 5年間で亡くなる方が少ない傾向 診断後10年の累積生存率 96.9% 10年間で高い生存率の傾向 全体の解釈 生存率が高い 国内研究における死亡リスクの低さ 注意点 年代・治療状況・重症度で変動 数字の断定回避と傾向理解 (文献6) クローン病の死亡リスクは大きく高いとは言いにくい一方で、一般集団よりやや高い可能性を示す研究もあります。 評価には標準化死亡比(SMR)が用いられ、メタ解析ではSMR 1.52(一般集団より約1.5倍)と報告されています。(文献7) クローン病・潰瘍性大腸炎を含むIBDのメタ解析でも、SMRの上昇が示されています。(文献8) 一方で差が小さい、または大きな差がないとする報告も複数あり、「寿命を大きく短くする病気ではない」とガイドラインは整理しています。(文献9) 日本の長期フォロー研究では、診断後10年の累積生存率96.9%、5年で99.2%と報告され、国内で生命予後は良好と考えられます。(文献6) クローン病で死亡率が上がるといわれている背景 死亡率が上がるといわれている背景 詳細 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管穿孔や腹膜炎、膿瘍形成など重篤化につながる合併症の発生 感染症・血栓症などの全身合併症 重篤感染症や血栓塞栓症による致命的転帰のリスク 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 長期炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇と生活習慣による病勢悪化 クローン病で死亡率が上がるといわれる背景には、炎症のコントロール不良に伴う合併症の重症化があります。 具体的には、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症による腹膜炎や感染拡大、免疫抑制や低栄養を背景とした重篤感染症、血栓塞栓症などが挙げられます。 さらに長期罹患では、慢性炎症に伴う悪性腫瘍リスクの上昇や、喫煙など生活習慣の影響も重要です。 腸管合併症による致死的リスク(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔) 腸管合併症の種類 ポイント 狭窄 腸閉塞(イレウス)による緊急入院・手術リスク 穿孔 腹膜炎・敗血症に直結し得る緊急手術リスク 膿瘍 腹腔内感染の重症化(敗血症)リスク 瘻孔 感染反復による難治化・全身状態低下リスク (文献10) クローン病は、病気そのものが直接命に関わることは多くありません。ただし、炎症が長期間コントロールできない状態が続くと腸壁が傷み、腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)が起こりやすくなります。 狭窄は腸閉塞から緊急入院・手術につながり、穿孔や膿瘍は腹膜炎や敗血症(血液の感染)へ進展する可能性があります。 瘻孔も感染や炎症の遷延を介して重症化に関与し、結果として死亡リスクが高まる場合があるため、注意が必要です。(文献11) 感染症・血栓症などの全身合併症 全身合併症 要点 感染症(肺炎など) 肺炎など感染で重症化すると、命に関わることがある 治療薬と感染リスク 免疫に作用する薬で感染しやすくなる場面があり、予防(ワクチン・検査)が大切 敗血症 感染が全身に広がると、短期間で重症化しやすい 血栓症 入院・脱水・手術が重なると血栓ができやすい 肺塞栓 血栓が肺に詰まると、急に呼吸や血圧が悪化することがある クローン病の死亡リスクが問題になるのは、病気そのものよりも合併症や全身状態の悪化が引き金になる場合です。 肺炎・敗血症などはIBD患者の死亡リスク増加に関連することが報告されているため、それらの管理が欠かせません。(文献12) クローン病の治療ではステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など免疫に作用する薬が用いられ、病勢を抑える一方で状況によっては日和見感染を含む感染症リスクが上がるため、ワクチンや感染スクリーニングを含む予防が推奨されています。(文献13) また、感染が敗血症へ進むとショックや臓器障害を伴い短期間で重篤化し、IBDでは転帰不良の可能性も示唆されています。(文献14) また、静脈血栓塞栓症は入院・脱水・手術が重なるほど起こりやすく、アジアのIBD患者で術後に発症が増えることも報告されています。(文献15) 静脈血栓塞栓症の中でも肺塞栓は呼吸循環が急激に悪化する可能性があり、院内死亡や予後不良との関連も示されています。(文献16) 長期罹患(りかん)による悪性腫瘍のリスクと生活習慣の影響 項目 要点 長期罹患とがん 炎症が長いほど、がん(とくに大腸がん)のリスクが上がる 内視鏡の重要性 大腸に炎症がある場合、定期的な内視鏡検査で早期発見が重要 生活習慣(喫煙) 喫煙は病状を悪化させやすく、再燃や手術のリスクを上げる 喫煙の影響の大きさ 喫煙者は再発が約2倍、手術再発が約2.5倍とされる 食事・栄養・飲酒 極端な制限や栄養不良、過度の飲酒は体力低下につながりやすい クローン病では慢性炎症が長く続くほど腸粘膜に負担がかかり、悪性腫瘍のリスクが高まります。とくに大腸に炎症が及ぶタイプでは、罹患期間が長いほど大腸がんリスクが上昇するため、定期的な内視鏡によるサーベイランスが推奨されています。(文献17) 生活習慣の影響も重症化リスクに関与し、有力なエビデンスがあるのが喫煙です。(文献18) 喫煙は再燃・手術・術後再発と関連し、メタ解析でも臨床再発は約2倍、手術再発は約2.5倍と報告されています。生活習慣は直接死亡率を高めるよりも、病勢のコントロール不良を招き、合併症の発生や重症化を通じて予後不良に関与する点に注意が必要です。(文献19) 極端な食事制限や栄養不良、過度の飲酒も間接的に病勢管理を不利にする可能性があります。(文献20) クローン病で寿命を縮めないための予防法 寿命を縮めないための予防法 詳細 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) 炎症の再燃予防と重症化回避のための治療継続 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える 病勢悪化因子の回避と低栄養予防による体力維持 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ 再燃・合併症の早期発見と重症化の予防 クローン病で寿命への影響を最小限にするには、炎症を安定して抑え、再燃を防ぐことが基本です。 治療は自己判断で中断せず、医師の方針に沿って継続しましょう。禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることも大切です。 定期検査を受け、症状の変化があれば早期に受診することで、合併症の重症化を防ぎやすくなります。 治療継続し再燃を防ぐ(自己中断しない) クローン病で治療を継続し再燃を防ぐ(自己中断しない)ことが大切です。 症状が落ち着いても腸の炎症が完全に消えているとは限らず、自己判断で治療を止めると再燃(ぶり返し)が起こりやすいためです。 難病情報センターでも、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)や免疫調節薬は症状が改善しても再燃予防のために継続投与されると明記されています。(文献1) 再燃を繰り返すほど腸管ダメージが蓄積し、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や手術につながりやすく、再燃・再発予防の重要性が指摘されています。(文献1) 研究でも中断後に再燃率が上がることが示され、ECCOのレビューでは治療中止後に再燃リスクが累積し、2年で約30%、5年で50〜75%が再燃すると推定されています。(文献21) 禁煙と栄養管理で体調の土台を整える クローン病で寿命への影響を最小限にするには、治療継続に加えて禁煙と栄養管理で体調の土台を整えることが重要です。 喫煙は病勢悪化や再燃に関与するだけでなく、ACG(米国消化器病学会)のガイドラインでも術後再発のリスク因子として挙げられており、長期的に入院・手術のリスクを高め、結果として合併症(感染症など)を招きやすくなります。(文献22) クローン病は低栄養になりやすく、栄養状態の低下は感染症や回復遅延を通じて重症化リスクを高めます。 自己流の極端な制限は低栄養を助長する可能性があるため、必要な栄養を確保する方針が重要です。NHSでも食事を大きく変える際は医療チームの助言を得るよう促されています。(文献11) 定期検査と早期受診で合併症を防ぐ クローン病は症状が軽くても腸の奥で炎症が進行し、狭窄・瘻孔やがん化など重篤な合併症リスクが高まる場合があるため、症状だけで病勢を判断できません。 定期的な内視鏡検査や画像検査で炎症の広がりや粘膜治癒の程度を評価し、必要に応じて治療を調整することが合併症予防につながります。 腹痛増悪・下痢悪化・発熱・体重減少・肛門部痛などの再燃サインを放置すると、穿孔や膿瘍形成から緊急手術・敗血症に至るおそれがあるため、早期受診が欠かせません。 寿命を縮めないための実践ポイントとして、寛解期でも1〜2年ごとの内視鏡と定期外来を基本とし、長期経過例ではがんサーベイランス(定期的ながんのチェック)として年1回以上の大腸内視鏡を検討します。(文献23) クローン病で寿命を縮めないための治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑えて再燃を防ぎ、合併症リスクを下げる治療選択 栄養療法 低栄養の予防と腸管負担の軽減による病勢の安定化 手術療法 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤合併症の回避を目的とした外科的対応 再生医療 炎症や後遺症の改善を目指す治療選択肢のひとつ クローン病で寿命への影響を抑えるには、炎症を適切にコントロールし、再燃と合併症を防ぐ治療計画が大切です。 中心となるのは薬物療法で、必要に応じて栄養療法を併用し、低栄養予防や腸管負担の軽減を図ります。 狭窄・穿孔・膿瘍など重篤な合併症が疑われる場合は、手術療法が必要となる場合もあります。 再生医療は選択肢のひとつですが、実施できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、事前確認が必要です。 薬物療法 観点 要点 治療の位置づけ 寛解維持と再燃予防を目的とした治療の柱 合併症予防 腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔)リスクの低減 予後への影響 入院・手術リスク低下による長期予後の改善 術後管理 術後再発抑制による再手術・重症化の回避 (文献1) クローン病は完治を目指すよりも、炎症を抑えて寛解を維持し、再燃や合併症を防ぐことで長期の生活と生命予後を守る病気です。 その中心が薬物療法であり、難病情報センターでも「活動性をコントロールして寛解を維持し、再燃・再発を予防すること」が治療目的と整理されています。 薬で再燃を抑えられれば、狭窄・穿孔・膿瘍・瘻孔などの腸管合併症や緊急入院・手術のリスクを下げ、感染症を含む重症化の連鎖を避けやすくなります。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 栄養療法 取り組み内容 目的 具体例(体言止め) 腸を休ませる 腸管刺激の軽減と炎症沈静化 経腸栄養の活用(栄養剤中心の摂取) 栄養を補う 低栄養・体重減少の予防 必要カロリー・たんぱく質の確保 寛解を保つ 再燃予防と長期安定化 在宅経腸栄養の併用 継続しやすくする 長期管理の実効性向上 薬物療法との併用と生活に合わせた調整 (文献4) 栄養療法は、クローン病で寿命への影響を抑える上で重要な治療のひとつです。 炎症が長引くと低栄養や体力低下を招き、感染症や合併症のリスクが高まります。とくに経腸栄養は腸を安静にして炎症を鎮め、病変改善や腸管合併症(狭窄・穿孔・膿瘍など)の予防に寄与します。 低栄養を防いで回復力を支え、寛解維持の一部として長期管理に組み込みやすいのも利点です。 以下の記事では、クローン病における食事について詳しく解説しています。 手術療法 手術が必要になりやすい状況 手術の目的(体言止め) 寿命との関係 狭窄(腸閉塞)・穿孔 腸閉塞解除と穿孔による腹膜炎・敗血症の回避 致命的合併症回避による生命予後の保全 膿瘍・瘻孔(穿通型) 感染源コントロールと膿瘍・瘻孔による重症化の抑制 敗血症など重篤感染の予防による死亡リスクを低減 薬物・栄養療法で改善しにくい重症例 病変処置による症状改善と全身状態の立て直し 低栄養・炎症遷延の改善による合併症リスクを低減 腸管切除が必要な場合 腸管温存を意識した外科的介入 短腸症候群など長期合併症の回避による長期安定化 (文献1) クローン病は薬物療法・栄養療法が基本ですが、狭窄による腸閉塞や穿孔、膿瘍・瘻孔などの腸管合併症が進行した場合、手術が生命予後を守るために必要となる場合があります。 手術は病変を直接処置して腹膜炎や敗血症など致命的な経過を回避し、症状改善を通じて栄養状態や体力の回復にもつながります。 再生医療 再生医療(自己脂肪由来幹細胞治療)は、クローン病において寿命を直接延ばす治療として確立しているわけではありません。 ただし、クローン病では再燃の反復や合併症の進行が、感染症や手術の増加、栄養状態の悪化を介して長期的な健康状態に影響する場合があります。 そのため再生医療は、病状や目的に応じて長期管理の一環として検討される治療選択肢のひとつと位置づけられます。 なお、クローン病の生命予後は比較的良好とされ、日本の長期追跡研究では診断後10年の累積生存率96.9%が報告されています。(文献6) 寿命を考える際は、生存率データを踏まえつつ、再燃・合併症を減らす治療継続が重要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 クローン病と寿命の関係を理解し適切な予防策を講じよう クローン病において寿命を縮める主因は、病名そのものではなく炎症が長く続く状態と合併症の見逃しです。 治療を継続し、禁煙と栄養管理で体力を守り、定期検査で病勢を客観的に把握することが大切です。この積み重ねが入院や手術のリスクを減らし、生活や仕事の計画も立てやすくします。 クローン病について不安を感じている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は治療薬と比べて全身的な副作用のリスクが比較的低いとされます。さらに、炎症や組織修復といった病態に直接アプローチできる可能性がある点も特徴です。 手術を伴わないため、感染症や後遺症のリスクが小さく、強い痛みの心配も少ないとされています。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と寿命の関係に関するよくある質問 クローン病が完治した人はいますか? クローン病は慢性の炎症性腸疾患であり、現時点の医療で完治(再発しない状態)を達成することは一般的ではありません。 治療は、症状が落ち着いた寛解状態をできるだけ長く維持することを目標に行います。 クローン病で食べてはいけないものはありますか? クローン病において絶対に食べてはいけない食品は基本的にありません。 ただし悪化しやすい食品は個人差が大きいため、脂っこい物・香辛料・食物繊維の多い食品・乳製品などは無理せず調整し、医師と相談しながら食事内容を整えます。(文献24) クローン病で「人生終わった」と感じていますがどうすれば良いでしょうか? 人生終わったと感じるのは、診断直後としてごく自然な反応です。 ただしクローン病は治療で病勢をコントロールできる病気であり、寛解を維持しながら仕事・結婚・旅行など、これまでと同じような生活を続けている方も多くいます。 不安が強いこと自体も遠慮せず医師に相談し、つらさが長引く場合は心療内科やカウンセリングの併用も検討しましょう。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 日本消化器病学会 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会 (文献3) Crohn’s disease-specific mortality: a 30-year cohort study at a tertiary referral center in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) 96 クローン病|難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班 (文献5) Long-term prognosis in Crohn's disease: an epidemiological study of patients diagnosed more than 20 years ago in Cardiff|WILEY Online Library (文献6) Long-term Follow-Up Study of Crohn's Disease in Japan. The Research Committee of Inflammatory Bowel Disease in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Meta-analysis: mortality in Crohn's disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献8) Crohn's disease and ulcerative colitis are associated with elevated standardized mortality ratios: a meta-analysis |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献9) Evidence-based clinical practice guidelines for Crohn’s disease, integrated with formal consensus of experts in Japan|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献10) Therapeutic strategies in Crohn’s disease in an emergency surgical setting|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) Crohn's disease|NHS (文献12) Infection-related hospitalizations are associated with increased mortality in patients with inflammatory bowel diseases|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) ECCO Guidelines on the Prevention, Diagnosis, and Management of Infections in Inflammatory Bowel Disease|JCC (文献14) SEPSIS IN THE SETTINGS OF INFLAMMATORY BOWEL DISEASE: STUDYING THE OUTCOMES OF OVER EIGHT-MILLION PATIENTS|Gastroenterology (文献15) Risk of venous thromboembolism in Asian patients with inflammatory bowel disease: a nationwide cohort study | Scientific reports (文献16) Impact of venous thromboembolism on mortality in hospitalized patients with inflammatory bowel disease: analysis of the MIMIC-IV database, 2008 to 2022|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献17) Colorectal cancer surveillance in inflammatory bowel disease: Practice guidelines and recent developments|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献18) Crohn's disease patients who quit smoking have a reduced risk of reoperation for recurrence|ScienceDirect (文献19) The effect of smoking after surgery for Crohn's disease: A meta-analysis of observational studies|ResearchGate Logo (文献20) Risk Factors for Postoperative Recurrence of Crohn’s Disease|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献21) Discontinuation of therapy in inflammatory bowel disease: Current views|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology (文献22) ACG Clinical Guideline: Management of Crohn’s Disease in Adults|CLINICAL GUIDELINES (文献23) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)ではどのような内視鏡検査が行われますか?|一般社団法人 日本消化器視鏡学会 (文献24) クローン病の食事療法|高野病院 栄養科
2026.01.31 -
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「クローン病における食事制限を知りたい」 「クローン病患者が避けるべき食品や食材を知りたい」 クローン病と診断され「何を食べて良いかわからない」「食事で症状が悪化しないか不安」と悩んでいませんか。 医師から食事管理を勧められても、どこまで制限すべきか迷う方は少なくありません。クローン病の食事制限は病状や時期に応じて柔軟に調整できます。 活動期は低脂肪・低残渣・低刺激を意識し、寛解期は体調を見ながら食品の幅を少しずつ広げられます。 本記事では、現役医師がクローン病の食事制限について詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【症状別】クローン病の食事制限の目安 食事制限の目安 詳細 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 低脂肪・低残渣・低刺激を基本とした食事。脂質や不溶性食物繊維、香辛料など刺激となる食品を控える 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 体調に合わせた食品の段階的な拡大。合わない食品の把握と再燃を防ぐための調整 クローン病の食事制限は一律の禁止ではなく、病状に合わせて調整します。下痢や腹痛が強い活動期は腸が刺激に敏感なため、低脂肪・低残渣・低刺激の食事を心がけ、揚げ物・脂身・不溶性食物繊維の多い食品・香辛料・アルコールは控えましょう。 症状が落ち着く寛解期は、体調を観察しながら食事の幅を段階的に広げ、合わない食品を把握しつつ栄養バランスを整えることが重要です。 活動期(下痢・腹部症状が強い時期) 項目 目安 食事の基本 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事 控えたい食品 揚げ物など脂質が多い食品、きのこや海藻など不溶性食物繊維が多い食品、香辛料やアルコールなどの刺激物 食べやすい工夫 おかゆやうどんなど柔らかい主食、豆腐や白身魚など脂の少ないたんぱく源、加熱して柔らかくした野菜 食べ方のポイント 少量頻回、よく噛む、熱すぎず冷たすぎない温度、水分補給 注意点 過度な制限の回避、栄養不足への配慮、医師や管理栄養士への相談 (文献1)(文献2) 活動期は腸の炎症により刺激に敏感になり、食事内容で症状が変動しやすい時期です。低脂肪・低残渣を基本とし、揚げ物や不溶性食物繊維、刺激物は控えましょう。 ただし過度な制限は栄養不足を招くため、消化しやすい調理法を選び、症状が強いときは医師や管理栄養士に相談しながら食事内容を調整することが大切です。 以下の記事では、クローン病の症状のひとつである腹痛を伴う下痢について詳しく解説しています。 寛解期(症状が落ち着いてきている時期) 項目 目安 基本方針 栄養バランス重視への切り替え、過度な制限の回避 脂質の考え方 控えめを基本とした適量摂取、脂っこい食事が続く状態を避ける 食物繊維の戻し方 少量からの段階的な再開、狭窄がある場合の慎重な調整 増やしたい食品 たんぱく質の確保、主食による体重維持、野菜・果物は調理法を工夫、水分摂取の意識 食べ方の注意点 暴飲暴食の回避、急な増量の回避、夜遅いドカ食いの回避、外食の偏りを予防 個人差への対応 合わない食品の把握、食事内容と摂取量、症状の記録 (文献1)(文献3) 寛解期は炎症が落ち着く一方、制限を続けすぎると低栄養や体重減少につながりやすい時期です。栄養バランスを軸に食事の幅を段階的に広げ、脂質は控えめを基本に適量を確保します。 食物繊維は少量から戻し、狭窄が疑われる場合は医師の指導に沿った調整が欠かせません。合わない食品は個人差が大きいため、記録による見極めも有用です。 クローン病で制限を検討したい食品 制限を検討したい食品 詳細 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 消化吸収の負担増大、下痢や腹痛の悪化リスク。揚げ物、脂身、ラーメン、バター、生クリームなど控えることを推奨 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 腸への物理的刺激、腹部症状の悪化リスク。狭窄がある場合の詰まりリスク。きのこ、ごぼう、れんこん、もやし、こんにゃく、海藻、ナッツなどに注意 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 腸管刺激による腹痛や下痢の誘発リスク。香辛料の強い料理、濃い味付け、冷たい飲食物、炭酸など控えることを推奨 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 下痢の誘発リスク、腸の負担増大。アルコールの回避推奨。乳製品の乳糖による不調リスク。甘いものの摂りすぎによる下痢のリスク クローン病における食事内容によっては、下痢や腹痛などの症状が悪化することがあります。 とくに脂質の多い食品は消化吸収の負担となりやすく、食物繊維の多い食品は腸を刺激したり、狭窄がある場合は詰まりの原因になったりするため注意が必要です。 香辛料や冷たい飲食物、アルコールや乳製品、甘いものも症状を誘発することがあります。体調に応じて控え方を調整しましょう。 脂質の多い食品(揚げ物・脂身など) 控えたい食品の部類 具体例 揚げ物 唐揚げ、とんかつ、天ぷら、フライドポテト 脂身が多い肉 豚バラ、牛カルビ、ベーコン、ソーセージ こってり系の料理 ラーメン、カレー、シチューなど 乳脂肪が多い食品 生クリーム、バター、チーズの食べ過ぎ (文献1) 脂質の摂りすぎが下痢や腹部症状を引き起こしやすく、とくに活動期は腸の炎症により消化吸収が低下するため脂質が負担となります。 小腸に病変がある場合は脂肪の吸収能力が落ちるため、揚げ物・脂身の多い肉・こってりした料理・乳脂肪の多い食品は控えましょう。 ただし食べることを禁止するのではなく、症状と摂取量に応じた調整が基本です。寛解期は油を完全に避けず、鶏むね肉・赤身肉・白身魚を茹でる・蒸す・煮る調理法で負担を軽減します。 食物繊維の多い食品(きのこ・根菜・海藻など) 控えたい食品の分類(不溶性食物繊維が多いもの) 具体例 きのこ類 しいたけ、えのき、しめじなど 根菜 ごぼう、れんこんなど 海藻類 わかめ、昆布など 豆類 大豆、枝豆、ひよこ豆など ナッツ・種子類 アーモンド、ごまなど 精製度の低い穀物 玄米、全粒粉パンなど その他 こんにゃく、もやしなど 活動期に食物繊維を摂りすぎると腸への刺激となり、下痢や腹痛が悪化する場合があります。狭窄がある場合は残渣が詰まりやすく、腸閉塞のような症状を起こすおそれがあるため注意が必要です。 きのこ・根菜・海藻・豆類・ナッツ・玄米などは控え、寛解期は状態に応じて適量に調整します。野菜は加熱して細かく刻むなど調理法を工夫し、狭窄が疑われる場合は自己判断で増やさず医師に相談することが大切です。 刺激になりやすい食品(香辛料・冷たい飲食物など) 刺激になりやすい食品・飲み物 具体例 香辛料・辛い料理 唐辛子、カレー、キムチ、麻辣系、スパイスが強い料理 炭酸・カフェイン 炭酸飲料、濃いコーヒー、エナジードリンク 冷たい飲食物 氷入りドリンク、冷たい牛乳、アイス、冷たい麺類 (文献4) 活動期のクローン病では、香辛料や冷たい飲食物といった刺激になりやすい食品に注意が必要です。活動期は腸の炎症により敏感な状態です。 そのため、刺激の強い飲食物をとると腸が反応し、下痢や腹痛が悪化する場合があります。ガイドでも「刺激物の少ない食事」が推奨されています。(文献2) 香辛料・炭酸飲料・カフェイン・冷たい飲食物は症状がある時は控え、常温の飲み物や薄味を中心とした食事に調整しましょう。 下痢を誘発しやすい嗜好品(アルコール・乳製品・甘いもの) 控えたい嗜好品 具体例 アルコール ビール、チューハイ、ワイン、日本酒、ハイボールなど 乳製品 牛乳、アイス、ヨーグルト、チーズなど 甘いもの(高糖質) ケーキ、菓子パン、清涼飲料水、ジュース、糖分の多いお菓子 (文献5) クローン病は腸が過敏になりやすく、活動期はアルコール・乳製品・甘いものといった嗜好品により下痢や腹痛が悪化する場合があります。 アルコールは腸管を刺激し、乳製品は乳糖不耐による不調を招き、高糖質の食品は浸透圧性下痢の原因となります。 一律に禁止するのではなく、活動期は基本的に控え、寛解期は少量から試して体調に合わなければ無理に摂取しないことが重要です。 クローン病における食事のポイント 食事のポイント 詳細 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) 低脂肪・低残渣・低刺激を意識した食事。揚げ物や脂身、不溶性食物繊維、刺激物の控える。消化しやすい形への調理 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 食事の幅の段階的な拡大。たんぱく質と主食を中心とした栄養の確保。過度な制限による低栄養の予防 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) 少量頻回による腸への負担軽減。よく噛む習慣。常温から温かい飲食物の選択。下痢時の水分補給の意識 合わない食品は記録しておく 食事内容と量の記録。摂取後の便回数や腹痛の記録。体質に合わない食品の特定と回避 クローン病の食事管理は一律の制限ではなく、病状に応じた調整が基本です。活動期は腸が刺激に敏感なため低脂肪・低残渣を意識し、消化に負担となる食品は控えます。 寛解期は過度な制限を避け、栄養バランスを整えながら食事の幅を段階的に広げましょう。少量頻回の食事やよく噛むといった食べ方の工夫も有効です。合わない食品は記録し、自分に合った選び方を見つけてください。 活動期は腸に負担をかけない(低脂肪・低残渣) クローン病の活動期は腸粘膜に炎症があり、下痢や腹痛が出やすく、普段は問題ない食事でも刺激となり症状が悪化する場合があります。 この時期は腸の負担を減らすため、低脂肪・低残渣の食事が基本です。 脂質は消化吸収が低下した状態で下痢を強めやすく、小腸病変がある場合は吸収不良も起こるため、揚げ物や脂身は控えましょう。 食物繊維の多い食品は残渣が増えて腸を刺激し、狭窄があると詰まるリスクもあるため注意が必要です。制限は一時的な工夫であり、回復に合わせて食事の幅を広げます。 調理は茹でる・蒸す・煮るを基本とし、少量頻回の食事、刺激物を控えることが大切です。 寛解期は栄養バランス重視(制限しすぎない) 寛解期は、症状を悪化させない範囲で食事の幅を広げ、体力や栄養状態を立て直す時期です。活動期のような厳しい制限を続けると、低栄養・体重減少・筋力低下を招き、体調管理が難しくなります。 脂質や食物繊維も必要な栄養素のため完全に避けず適量を意識し、主食でエネルギーを確保しつつ、魚・肉・卵・豆腐などでたんぱく質を補うことが大切です。 野菜や果物は体調に合わせて加熱や刻みで調整し、水分も十分に摂取します。新しい食品は少量から試し、暴飲暴食や脂っこい外食が続かないよう工夫しましょう。 また、合わない食品には個人差があるため、症状に応じた調整が欠かせません。 食べ方で負担を減らす(少量頻回・よく噛む・温かいもの) クローン病は腸に炎症がある時期ほど消化吸収が低下し、腸が過敏になるため、食事内容だけでなく食べ方でも症状が左右されます。 一度に多く食べる・早食いする・冷たいものを一気に摂るといった行動は、腸の動きを強めて下痢や腹痛を悪化させやすくなります。 症状が不安定な時期は、1回量を減らして1日4〜6回に分ける少量頻回を意識し、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。 狭窄がある場合は大きい食塊が負担となるため、噛む回数はとくに重要です。冷刺激で症状が出る方もいるため、氷入り飲料・冷たい麺類・アイスは控えめにし、常温から温かい飲食物を選びましょう。 合わない食品は記録しておく 合わない食品を記録しておくことが重要なのは、クローン病の食事対応が患者ごとに異なり、一律の正解がないためです。 クローン病は炎症の部位(小腸・大腸など)や狭窄の有無、消化吸収の状態が人によって異なり「この食品は食べてはいけない」と一律には決められません。 自分の身体に合う・合わないを見極めることが大切です。IBD患者向け資料でも食事は個別性が高く、体調に合わせた調整が必要とされています。(文献2) 食事と症状の関係は時間差・量・調理法によって変わるため、食べたもの・量・食後の症状を簡単に記録すると再燃の引き金を把握しやすくなります。 クローン病の食事療法と合わせて行う予防法 予防法 詳細 禁煙・飲酒を控える 喫煙による再燃リスクの上昇、腸管刺激となる飲酒による症状悪化のリスク、禁煙と節酒で体調安定を意識 治療を中断せず継続する 自己判断による中断の回避、寛解維持を目的とした治療の継続、再燃と合併症予防の意識 定期検査で状態を確認する 症状が少ない時期の炎症評価、再燃の早期発見、治療方針調整のための経過観察 クローン病の再燃予防には、食事療法に加えて日常管理を整えることが大切です。喫煙は病状を悪化させやすく、飲酒も腸への刺激となるため、禁煙と節酒が欠かせません。 症状が落ち着いていても自己判断で治療を中断せず、寛解維持のために継続しましょう。定期検査で炎症の状態を確認し、再燃を早期に捉えて治療方針を適切に調整することが、長期的な安定につながります。 禁煙・飲酒を控える 予防の観点 内容 禁煙が重要な理由 喫煙による再燃リスク上昇、合併症増加のリスク 飲酒を控える理由 アルコールによる腸管刺激、下痢や腹部症状の悪化リスク 時期別の目安 活動期の禁酒寄り対応、寛解期の少量からの試行 食事療法との関係 喫煙と過度の飲酒による食事療法効果の阻害、再燃予防の生活習慣としての基盤 (文献2) クローン病では、禁煙と飲酒の調整が再燃予防の土台になります。喫煙は病状を悪化させやすく、入院や手術が必要になるリスクを高めるため、禁煙が推奨されます。 飲酒は腸への刺激となり下痢や腹痛を招くことがあるため、活動期は避けることが大切です。 治療を中断せず継続する ポイント 内容 基本の考え方 症状が落ち着いても完治ではない慢性疾患の特性 継続の目的 再燃予防、長期の寛解維持、炎症コントロール 中断のリスク 症状再発リスク、入院リスク、合併症リスク 継続に含まれること 服薬の継続、定期受診、必要時の検査 (文献6) クローン病は慢性疾患であり、症状が落ち着いても腸の炎症が消失しているとは限りません。寛解期でも治療を継続し、再燃を防ぎながら長期的な寛解維持を目指すことが重要です。 自己判断で治療を中断すると炎症が再燃し、下痢や腹痛の再発・入院・狭窄や瘻孔などの合併症リスクが高まります。治療の継続は服薬だけでなく、定期受診や必要な検査、生活習慣の見直しも含めて、再燃予防に欠かせません。 以下の記事では、クローン病の薬について詳しく解説しています。 定期検査で状態を確認する 検査項目 確認項目 血液検査 炎症の目安、貧血の有無、栄養状態の評価 便検査 腸の炎症の目安、再燃リスクの把握 内視鏡(大腸カメラなど) 粘膜の炎症評価、潰瘍の有無、狭窄の有無 画像検査(CT、MRI、腸管エコーなど) 腸の壁の炎症評価、腸管外病変の評価、全層性炎症への対応 (文献7)(文献8) クローン病は、下痢や腹痛などの症状が落ち着いていても腸の炎症が残っている場合があり、体感だけでは再燃の兆候を見逃すおそれがあります。 寛解期でも定期検査で炎症の程度や狭窄・瘻孔などの合併症を確認し、悪化を早期に捉えることが大切です。 血液検査や便検査に加え、内視鏡で粘膜を直接評価し、必要に応じてCT・MRI・腸管エコーで腸壁や腸管外病変まで確認します。 以下の記事では、クローン病と寿命の関係性について詳しく解説しています。 食事で改善しないクローン病は当院へご相談ください 食事を工夫しても下痢や腹部症状が続く場合は、「食べ方の問題」だけで判断せず、炎症の悪化も疑うことが大切です。体重減少、発熱、血便、夜間の下痢、食事量の低下が続くときは、治療の見直しが必要な可能性があるため早めの受診を検討しましょう。 食事で改善しないクローン病の症状は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病に対して再生医療を用いた治療を行っています。再生医療は、標準治療(薬物療法や手術など)で十分な効果が得られないクローン病に対して、炎症や組織修復に関わる仕組みを通じて症状の改善を目指す治療法です。 従来治療と比べて副作用が少ない可能性は示唆されていますが、有効性には個人差があり、適応や治療内容は医師と相談の上、慎重に判断する必要があります。ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と食事に関するよくある質問 クローン病にヨーグルトが効くと聞きましたが本当ですか? ヨーグルトがクローン病を治す、または再燃を防ぐといった効果は、現時点で十分な根拠があるとはいえません。 体質に合えば取り入れても構いませんが、乳製品で下痢や腹痛が出る場合は無理に続けないことが大切です。 以下の記事では、クローン病と関わりのある大腸(ポリープ)とヨーグルト(乳製品)の考え方について詳しく解説しています。 クローン病における食事制限は自己流でも問題ありませんか? 自己流の食事制限は、症状の悪化や低栄養(貧血・体重減少など)につながるおそれがあります。 クローン病の食事は活動期・寛解期や狭窄の有無、体質によって適切な内容が異なるため、医師や管理栄養士と相談しながら調整することが基本です。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 炎症性腸疾患(IBD)2023|日本消化器病学会 (文献3) IBD-INFO 潰瘍性大腸炎・クローン病の情報サイト | IBDとは (文献4) What Should I Eat with IBD?|CROHN’S & COLITIS FOUNDATION (文献5) Diet and Nutrition - Eating and Drinking with IBD|Crohn's and Colitis Canada (文献6) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針|厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和4年度分担研究報告書 (文献7) 炎症性腸疾患に対する検査法の進歩 (文献8) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)ではどのような内視鏡検査が行われますか?|一般社団法人日本消化器内視鏡学会
2026.01.31 -
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「大腸ポリープの予防にヨーグルトが効くのかを知りたい」 「ヨーグルトに期待できる作用を知りたい」 大腸ポリープを指摘され、食事で予防できないかと考える方は少なくありません。腸に良いとされるヨーグルトについても、どれを選べば良いか、毎日どの程度摂れば良いか、糖分や脂質は大丈夫かと迷うのは自然なことです。 ヨーグルトは腸内細菌のバランスを整える上で役立つ可能性がある食品で、食生活改善の補助として有用です。 一方で、ヨーグルトだけで大腸ポリープを予防できるとは言い切れません。再発予防の基本は、体重管理・運動・飲酒や喫煙の見直しを含む生活習慣全体の改善に加え、定期的な大腸内視鏡検査で早期に発見・切除することです。 本記事では、現役医師が大腸ポリープの予防にヨーグルトは効果があるのかについて詳しく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープ予防に期待できるヨーグルトの効果 ヨーグルトの効果 詳細 腸内環境を整え便通を改善する作用 善玉菌の補給による腸内環境の改善、便通の安定化 カルシウムなど栄養素による大腸がんリスク低下の可能性 カルシウム摂取による腸粘膜刺激の軽減、リスク低下の可能性 健康的な食習慣への入口として活用できる 間食の置き換えによる食習慣改善、継続しやすい健康習慣の導入 ヨーグルトは大腸ポリープ予防の主役ではありませんが、腸内環境を整える補助として役立つ可能性があります。乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵乳は、腸内細菌のバランスに働きかけ、便のかたさや回数の乱れを整えるきっかけになります。 便秘が続くと腸内に便が長くとどまりやすく、腸への負担が増えるため生活習慣の見直しが必要です。加えて、ヨーグルトはカルシウムやたんぱく質の摂取源にもなり、食事全体の質を上げる助けになります。 腸内環境を整え便通を改善する作用 ヨーグルトに含まれる乳酸菌(ビフィズス菌、L.カゼイ菌など)は腸内で善玉菌が増えやすい環境をつくり、腸内のpH(水素イオン濃度)を下げることで、菌のバランスを整える働きが期待されます。 これにより悪玉菌(クロストリジウムなど)の増加が抑えられ、腐敗産物や発がん性物質の産生が減る可能性があります。 便通が整って便の滞留が減ると、大腸粘膜が有害物質に触れる時間を短くできる可能性があるため、ヨーグルトは腸内環境を整える補助策として大腸ポリープ予防に期待できるでしょう。 カルシウムなど栄養素による大腸がんリスク低下の可能性 ヨーグルトに含まれるカルシウムは、腸内で胆汁酸や脂肪酸などと結合し、粘膜への刺激となり得る物質を減らす働きが期待されます。 その結果、大腸上皮細胞の過剰な増殖が起こりにくくなり、ポリープ形成の初期段階を抑える可能性があります。また、発酵により生じる共役リノール酸(CLA)などの乳脂肪酸には、腸粘膜の炎症を和らげる作用が示唆されています。 さらに、カルシウムはビタミンDと関わり、吸収や利用が高まる点も特徴です。これらはあくまで補助的な要素であり、生活習慣の改善と定期的な内視鏡検査が基本となります。 健康的な食習慣への入口として活用できる ヨーグルトの効果 詳細 ポリープが大きくなりにくい可能性 ヨーグルトに含まれる成分(ラクトフェリン)で、ポリープの増大が抑えられた報告 身体の防御機能(免疫)を支える可能性 免疫の働きに関わる反応が高まった可能性の報告 ヨーグルトだけで効果が出るとは限らない 研究では成分の錠剤を使用しており、ヨーグルトの摂取量では差が出にくい場合 予防の基本は生活習慣全体の見直し 食事全体の改善・運動・体重管理・定期検査が基本で、ヨーグルトは補助的な位置づけ (文献1) ヨーグルトを朝食や間食に取り入れると、甘い菓子や脂質の多い食品の置き換えになりやすく、果物や全粒穀物なども組み合わせやすくなります。 手軽で続けやすいため、食生活を整える入口として活用でき、生活習慣全体の改善につながる利点があります。 一方で注意点として、ヨーグルトを食べても生活習慣の土台が崩れていると効果は限定的です。 予防の本筋は、食事全体(食物繊維を増やし、加工肉・飲酒を減らす)、運動、体重管理、検査であり、ヨーグルトはあくまで改善を始めるきっかけや補助として位置づけることが大切です。 大腸ポリープを予防するヨーグルトの選び方 ヨーグルトの選び方 詳細 無糖・脂質量・カルシウムなど「成分」で選ぶ 砂糖不使用(無糖)タイプの選択、脂質やカロリーの確認、カルシウム量が多い製品の優先 乳酸菌・ビフィズス菌など「菌の種類」で選ぶ 乳酸菌やビフィズス菌入り製品の選択、機能性表示食品など菌種が明記された商品の活用 継続しやすいヨーグルトを選ぶ 毎日無理なく続けられる味・価格・量の製品選択、食事に取り入れやすい形状(カップ・ドリンク等)の活用 ヨーグルトは成分、菌、続けやすさで選ぶのが大切です。基本は無糖タイプで、加糖は砂糖量が増えやすく習慣化するとカロリー過多につながります。 脂質は食事全体で調整できれば低脂肪にこだわる必要はなく、カルシウムやたんぱく質量は栄養表示で確認しましょう。 菌は個人差があるため、便通など体調の変化で合うものを選び、価格や味も含め無理なく継続できる製品が適しています。 無糖・脂質量・カルシウムなど「成分」で選ぶ ヨーグルトは成分を意識して選ぶことが大切です。加糖タイプは砂糖が加えられている商品が多く、間食として続けると糖分・カロリーが増え、体重増加につながる可能性があります。 脂質は濃厚なほど多くなりやすいため、体重が気になる方や脂質制限が必要な方は低脂肪・無脂肪も選択肢です。 また、乳製品の摂取は大腸がんリスク低下と関連する報告があり、その中心はカルシウムの作用と考えられています。(文献2) ただし、ヨーグルトはあくまで生活習慣改善の一部であり、飲酒や加工肉の過剰摂取、運動不足がある場合は効果が限定的です。 乳酸菌・ビフィズス菌など「菌の種類」で選ぶ ヨーグルトを選ぶ際は、菌の種類に注目することが大切です。乳酸菌やビフィズス菌は一括りではなく、菌種・菌株によって期待できる働きが異なります。 大腸ポリープ予防におけるヨーグルトは主役ではないものの、腸内環境の維持(便通の安定)は土台になります。 実際に、乳酸菌やビフィズス菌を含む製品が、便秘傾向の成人で排便回数を増やし、腸管通過時間を短縮したとするメタ解析があります。(文献3) 一方で、菌によって効きやすい人と効きにくい人が出る、相性の差がある点も重要です。腸内細菌のタイプや食事内容、便通傾向によって反応は変わるため、自分に合う菌を見つける視点が必要です。(文献4) 継続しやすいヨーグルトを選ぶ ヨーグルトは続けられるものを選ぶことが大切です。大腸ポリープの予防はヨーグルトだけで決まるものではなく、食事・運動・体重管理など日々の生活習慣の積み重ねが基本です。 腸に良い習慣として無理なく続けられる形で取り入れることに意味があるため、味が合わない、価格が高い、準備が面倒といった理由で続かなければ、効果は期待しにくくなるでしょう。 無糖ヨーグルトを間食の菓子類の代わりにする、朝食に加えて欠食を減らすなど、食生活を整えるきっかけにもなります。 酸味の好みや食べ方、お腹との相性(乳糖不耐など)も踏まえ、自分に合う商品を選びましょう。 大腸ポリープを予防するためのヨーグルトの食べ方 ヨーグルトの食べ方 詳細 無糖ヨーグルトを毎日続けやすい量で取り入れる 無糖タイプの選択、毎日続けられる量の習慣化、間食の置き換えとしての活用 食物繊維と組み合わせて腸内環境を整える 果物・オートミール・きな粉・ナッツ等の組み合わせ、食物繊維摂取による便通の安定化、腸内環境のサポート 体質に合わせて調整し生活習慣と検査もセットで考える 乳糖不耐など体質に合わせた調整、下痢・腹部膨満が出る場合の量の見直し、食事・運動・体重管理と定期内視鏡検査の併用 ヨーグルトは毎日少量から始めることが基本です。無糖ヨーグルトを食事に取り入れ、まずは1日100〜200gを目安に、体調に合わせて調整しましょう。 腸内環境を整えるにはヨーグルトだけに頼らず、オートミールや果物、海藻、豆類など食物繊維を組み合わせることが大切です。 乳製品で下痢や腹部不快が出る場合は、量を減らす、別の発酵食品に切り替えるなど無理のない方法を選びましょう。 無糖ヨーグルトを毎日続けやすい量で取り入れる 大腸ポリープ予防を意識してヨーグルトを取り入れるなら、基本は無糖タイプです。加糖ヨーグルトは健康的に見えても糖分(遊離糖)が増えやすく、WHOは遊離糖の摂取を総エネルギーの10%未満(可能なら5%未満)に減らすことを推奨しています。(文献5) そのため、糖分の摂りすぎを避けやすい無糖を選ぶのが大切です。また、無糖ヨーグルトは間食の置き換えに使いやすく、食習慣の改善につながります。 食べ過ぎは総摂取カロリー増加につながるため、続けやすい適量を意識しましょう。 さらに、プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌など)を含む食品が、便通の改善(排便回数や腸管通過時間)に一定の効果を示したメタ解析もあり、毎日の継続が腸のコンディション維持に役立つ可能性があります。(文献3) 食物繊維と組み合わせて腸内環境を整える ヨーグルトを腸内環境のために活用するなら、食物繊維と組み合わせることが重要です。食物繊維は消化されず大腸まで届き、善玉菌のエサとなって腸内環境の土台を作ります。 ヨーグルトの乳酸菌・ビフィズス菌を活かすには、腸内で増えやすい環境づくりも欠かせません。便通が整うと腸内の停滞が減り、日常の不快感や排便負担の軽減にもつながります。 WCRFも食物繊維の摂取が大腸がんリスク低下と関連すると整理しています。(文献6) ただし、急に増やすとお腹の張りや下痢を招くため、全粒穀物や野菜、豆類から無理なく増やすことが重要です。 なお、ヨーグルトは補助的な位置づけであり、生活習慣の改善と定期検査が基本です。(文献7) 体質に合わせて調整し生活習慣と検査もセットで考える ヨーグルトは腸内環境を整える補助になりますが、腸の反応には個人差があり、合わない食べ方は下痢や腹部不快などにつながることがあります。 乳糖不耐などでお腹がゆるくなる場合は、無理に続けず、量を減らす、別の発酵食品に切り替えるといった調整が必要です。また、予防の中心は生活習慣と検査です。 大腸ポリープ予防は腸内環境だけでは決まらず、国立がん研究センターも禁煙、飲酒を控える、バランスの良い食事、運動、適正体重の維持など生活習慣の重要性を明示しています。(文献8) さらに、ポリープは無症状のことも多く、食事だけでは防ぎきれないため、切除歴がある人はとくに内視鏡のフォローアップが欠かせません。(文献9) 大腸ポリープ予防のためにヨーグルトを食べるときの注意点 注意点 詳細 ヨーグルトだけでは予防できないことを理解する 予防の基本は生活習慣全体の見直し(食事・運動・体重管理・禁煙・節酒)と定期検査の継続 無糖タイプを選び適量を守る 加糖タイプによる糖分・カロリー増加の回避、食べ過ぎによる体重増加予防 体質に合わない場合は無理に続けない 乳糖不耐などによる下痢・腹部膨満への配慮、量の減量や別の発酵食品への切り替え検討 ヨーグルトは腸内環境を整える補助になりますが、これだけで大腸ポリープを防ぐことはできません。 食事・運動・体重管理・飲酒など生活習慣の改善が基本です。選ぶなら無糖を基本とし、加糖の習慣化や食べ過ぎは糖分・カロリー過多につながるため適量を守りましょう。 乳糖不耐などで不調が出る場合は無理に続けず、別の発酵食品や食物繊維で調整し、定期検査も併せて行うことが大切です。 以下の記事では、大腸ポリープ切除後の注意点についても詳しく解説しています。 ヨーグルトだけでは予防できないことを理解する ポイント 内容 大腸ポリープの発生は「腸内環境」だけで決まらない 食事・飲酒・運動・体重(肥満)など複数要因の影響 ヨーグルトは「補助」であり単独効果には限界がある 腸内環境サポートとしての位置づけ、予防の決め手になりにくい現実 「食べているから大丈夫」という誤解がリスクになる 飲酒や運動不足、加工肉中心などの見直し不足につながる危険 (文献1)(文献8) ヨーグルトは腸内環境を整える助けになりますが、それだけで大腸ポリープを防げるわけではありません。 発生や再発には、食事内容、飲酒、運動、体重など生活習慣が複合的に関わります。「食べているから安心」と考えるより、禁煙や節酒、バランスの良い食事、適度な運動、体重管理を合わせて行うことが大切です。 無糖タイプを選び適量を守る 実践ポイント 目的 具体例 注意点 無糖タイプの選択 糖分過多の回避 無糖ヨーグルトの選択、必要に応じて果物を少量追加 加糖タイプによる糖分上乗せリスク 適量の継続 カロリー過多・体重増加の回避 毎日なら食べ過ぎ回避の習慣化 「腸に良さそう」でも過量摂取による逆効果リスク 目安量の理解 量のイメージ作り 1回100〜200g程度の目安 個別事情による調整余地、厳密な推奨量ではない位置づけ (文献10)(文献11) ヨーグルトは無糖を基本とし、甘味は果物少量で調整する選択が糖分過多の予防に有用とされています。 大腸ポリープは生活習慣の影響が大きい領域のため、食べ過ぎによる体重増加には注意しましょう。 量は乳製品の一般的な提供量を参考に100〜200g程度を目安とし、体格・活動量・他の食事内容に応じた調整が大切です。 体質に合わない場合は無理に続けない ヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ可能性がありますが、腸の反応には体質差があり合う・合わないが分かれます。 合わない状態で無理に続けると、下痢や腹部不快感が続き、かえって生活の質を下げるおそれがあります。 とくに乳糖不耐症がある場合、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が不足し、乳糖が十分に消化されません。分解されなかった乳糖が大腸へ進むことでガスの発生や下痢、腹部膨満感が起こりやすいと整理されています。(文献12) 予防は継続が重要なため、合わないと感じたら無理をせず、食事全体の見直しや運動、体重管理など予防の本筋に戻ることが大切です。 【ヨーグルトと併せて取り入れたい】大腸ポリープの予防法 予防法 詳細 食生活を整える 野菜・食物繊維を増やす意識、脂っこい食事や加工肉を控える工夫、飲酒量の調整 運動習慣と体重管理を意識する ウォーキングなどの軽い運動の継続、体重増加を防ぐ意識、無理のない筋トレの併用 定期的な内視鏡検査で早期発見につなげる 定期的な大腸内視鏡の受診、ポリープの早期発見と切除、医師の指示に沿った検査間隔の遵守 ヨーグルトを取り入れる際は、生活習慣の見直しも併せると予防効果を活かしやすくなります。 食生活では野菜・海藻・豆類・きのこなどで食物繊維を増やし、加工肉や揚げ物、甘い飲料は控えめにします。 運動は歩行など軽いもので十分なため、継続と体重管理を意識しましょう。大腸ポリープは無症状のことが多く、定期的な内視鏡検査と組み合わせることが重要です。 食生活を整える 大腸ポリープ(大腸がん)の予防では、ヨーグルトだけに頼らず、食事全体を整えることが土台です。 ヨーグルトは補助であり、腸内環境を整えるには食物繊維をセットで意識することが欠かせません。 食物繊維は大腸まで届き、便通改善や整腸作用をもつと厚生労働省で整理されています。ヨーグルト(プロバイオティクス)を活かすためにも、野菜・海藻・豆類・全粒穀物などを取り入れることが大切です。(文献13) またWCRFは、加工肉が大腸がんリスクを上げる要因として強い根拠で評価され、飲酒もリスク増加に関係すると報告しています。(文献6) さらに国立がん研究センター(JPHC研究)でも、食生活パターンと大腸がんリスクの関連が示されており、単品ではなく食事の形(パターン)が重要としています。(文献14) 運動習慣と体重管理を意識する 予防法 詳細 有酸素運動 腸の動き(蠕動)の促進、便通の改善、有害物質の腸内滞留時間の短縮 筋力トレーニング 内臓脂肪の減少、基礎代謝の維持、血糖バランスの改善サポート BMI(体重)管理 肥満の是正、炎症に傾きやすい状態の抑制、生活習慣リスクの低減 運動習慣の継続 食事・検査と組み合わせた予防行動の定着、再発リスクの長期的な抑制支援 (文献15)(文献16) 運動は腸の動きを促し、便が腸内に長く滞留する状態を減らすことで、大腸への負担を軽くする助けになります。 加えて、筋トレや体重管理は肥満に関連するリスクを下げる要素です。ヨーグルトは腸内環境の補助として活用し、食事改善と定期的な内視鏡検査と併せて継続することが、予防につながります。 以下の記事では、大腸ポリープができやすい人の特徴について詳しく解説しています。 定期的な内視鏡検査で早期発見につなげる 大腸ポリープの予防では、ヨーグルトで腸内環境を整えることに加え、定期的な内視鏡検査で早期発見・切除することが重要です。 ポリープは無症状のまま進行することが多く、検査で直接確認して対応する流れが予防につながります。 とくに40歳以上や家族歴がある場合はポリープができやすく、ヨーグルトだけでは遺伝・加齢要因をカバーできません。 そのため、検査で状態を把握し、結果に応じて食事・運動など生活習慣改善の方向性を調整することで、予防精度を高められます。 ヨーグルトはあくまで補助として位置づけ、検査と組み合わせて継続することが大切です。 大腸ポリープにおけるヨーグルトの効果を把握し適切な予防に講じよう ヨーグルトは大腸ポリープ予防の補助として、腸内環境を整える習慣づくりに役立ちます。選び方は無糖を基本に、成分表示で糖分・脂質・カルシウムなどを確認し、菌は体質との相性で判断します。 食べ方は毎日少量から始め、食物繊維と組み合わせると続けやすくなるでしょう。一方で、乳製品が合わない人は無理に続けず、別の発酵食品や食物繊維の工夫へ切り替えることが大切です。 大腸ポリープについて不安がある方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 ヨーグルトを含む食事改善は、大腸ポリープの再発予防を考える上で有用な可能性があります。一方で、食事だけでは改善が難しい後遺症や合併症が続く場合には、幹細胞を用いた再生医療を治療選択肢のひとつとして検討できます。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープとヨーグルトに関するよくある質問 ヨーグルトが苦手なのですが代わりとなる食材はありますか? ヨーグルトが苦手でも、腸内環境を整える方法はほかの食材で十分に補えます。意識したいのは、腸内細菌を支える発酵食品と、腸内細菌のエサになる食物繊維の2点です。 ヨーグルトが苦手な方におすすめの代わりとなる食材は以下を参考にしてみてください。 食品の種類 代表例 詳細 発酵食品(腸内環境のサポート) 納豆、味噌(味噌汁)、ぬか漬け・キムチ、チーズ 善玉菌を補う食習慣、腸内環境のサポート目的 食物繊維が多い食品(腸内細菌のエサ) 野菜・海藻・きのこ、豆類(大豆・ひよこ豆など)、全粒穀物(オートミール・玄米など) 腸内細菌のエサの補給、便通の改善、腸内環境の土台づくり とくに食物繊維は、大腸の健康維持や便通改善に役立つ要素です。 乳製品にこだわらず、食事全体の改善に加え、必要に応じた内視鏡検査を組み合わせることが予防において大切です。 大腸ポリープの予防以外にヨーグルトで期待できる効果はありますか? ヨーグルトは大腸ポリープ予防の主役ではありませんが、腸内環境を支える補助として日常の健康管理に役立つ可能性があります。 乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品については、メタ解析で排便回数の増加や腸管通過時間の短縮効果が報告されています。(文献3) また、食物繊維と組み合わせると取り入れやすく、カルシウム補給や間食の置き換えにも有用です。一方、乳糖不耐などで腹部症状が出る場合は無理に続けず、体質に合う方法を選びましょう。 参考文献 (文献1) 母乳やヨーグルト、大腸ポリープ抑制効果 (文献2) DAIRY AND CANCER | World Cancer Research Fund (文献3) Effects of probiotic-containing products on stool frequency and intestinal transit in constipated adults: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献4) Probiotics and prebiotics|World Gastroenterology Organisation Global Guidelines (文献5) Reducing free sugars intake in adults to reduce the risk of noncommunicable diseases|World Health Organization (文献6) Diet, nutrition, physical activity and colorectal cancer|World Cancer Research Fund International (文献7) 食物繊維(しょくもつせんい)|厚生労働省 (文献8) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)|がん情報サービス (文献9) 日本消化器病学会 大腸ポリープ診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)|日本消化器病学会 (文献10) Consumption of Dairy Products and Colorectal Cancer in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) |NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) 生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の普及に係る実施の手引|平成27年9月厚生労働省健康局 (文献12) 乳糖不耐症|MSDマニュアル家庭版 (文献13) 食物繊維の必要性と健康|厚生労働省 (文献14) 食生活パターンと大腸がんとの関連について |国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献15) 身体活動量と大腸がん罹患との関連について |国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献16) 肥満指数(BMI)と大腸がんリスク | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
2026.01.31 -
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「大腸ポリープの疑いと診断された」 「生活習慣病や肥満と診断されたことがある」 健診結果に「便潜血陽性」や「大腸ポリープ疑い」と記載されていませんか。大腸ポリープに対して不安を感じている方も多いでしょう。 大腸ポリープは、遺伝的な体質に加えて食生活などの生活習慣も関係しており、これらの要因が重なると発生しやすくなります。 本記事では、現役医師が大腸ポリープができやすい人の特徴を詳しく解説します。 記事の最後には、大腸ポリープができやすい人からよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープができやすい人の体質 大腸ポリープができやすい人 詳細 年齢が50歳以上 加齢による大腸粘膜の変化と発生リスク上昇 生活習慣病や肥満と診断されている 糖尿病・脂質異常症・肥満に伴う炎症や代謝異常の影響 家族に大腸がんやポリープの病歴がある 遺伝的体質・生活習慣の共通による発症リスク増加 大腸ポリープ既往・遺伝性疾患 再発しやすい体質、遺伝性疾患(FAP・リンチ症候群など)の関与 大腸ポリープは、生活習慣だけでなく体質の影響も受けます。年齢を重ねるほど発生しやすくなり、肥満や生活習慣病があるとリスクが上がる傾向です。 家族に大腸がんやポリープの病歴がある場合は、遺伝的な要因も疑われます。また、過去に大腸ポリープを切除した方は、同じ環境が続くと再びできやすくなります。 まずは自分が当てはまるかを整理し、必要なら内視鏡検査で状態を確認することが再発予防に欠かせません。 年齢が50歳以上 50歳以上は、大腸ポリープの主要なリスク要因です。主な理由は、加齢に伴う細胞の変異蓄積と腸内環境の変化であり、発生率は40歳頃から上昇し、50歳以降で急増します。 年齢を重ねるほど大腸粘膜細胞のDNA修復能力が低下し、ポリープの元となる腺腫性病変が増えます。 疫学データでも発症のピークは60代です。さらに、生涯にわたる微小炎症や微量の発がん物質への累積暴露が50歳以降に顕在化し、発生確率を高めます。 生活習慣病や肥満と診断されている 生活習慣病や肥満がある方は、大腸ポリープができやすい傾向です。 とくに糖尿病などの生活習慣病がある人は、ない人に比べて大腸がんのリスクが高いことが知られており、2型糖尿病の人は大腸がんになりやすいことが示唆されています。(文献1) また、肥満、内臓脂肪は慢性的な炎症やホルモン環境の変化を招きやすく、大腸粘膜の細胞増殖に影響してポリープの土台になり得るため、注意が必要です。 NCI(米国国立がん研究所)も、肥満が複数のがんリスクを高め、その中に大腸がんが含まれると示しています。(文献2) 家族に大腸がんやポリープの病歴がある 家族に大腸がんや大腸ポリープの病歴がある場合、大腸ポリープのリスクは1.4〜3.9倍に上昇します。 とくに一等親(親・兄弟・子)で複数診断があると顕著です。遺伝的要因と生活環境の両面が関与しています。 また、一等親にポリープ歴があると、APC遺伝子変異などの遺伝的感受性を共有しやすく、海外の研究でも一等親1回のSIR1.4倍が確認されました。(文献3) さらに一等親が複数診断だとリスク2.4倍、早期がん3.9倍、一等親2回以上で1.8倍、二等親でも複数で有意上昇のため、通常より早い検診が推奨されます。 大腸ポリープ既往・遺伝性疾患 大腸ポリープの既往がある方は、ポリープができやすい性質を持つ場合があり、再発しやすい傾向があります。 ただし将来のリスクは一律ではありません。米国ガイドラインでは、ポリープの数・大きさ・病理(異型の強さなど)に応じて次回の内視鏡検査間隔を変えるよう推奨しており、性質が強いほど再発しやすい可能性を示しています。(文献4) また、遺伝性疾患として家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群があり、NCIのPDQでも多数のポリープや大腸がんに関わる重要な体質要因と整理されました。(文献5) さらに10個以上の多発や若年で繰り返す場合は遺伝要因を疑う契機となるため、医師へ相談が推奨されます。(文献6) 大腸ポリープができやすい人の食事 食事内容 詳細 肉類・脂っこい食事が多い 動物性脂肪・加工肉の多摂取による腸内環境悪化と炎症促進 野菜・食物繊維が不足している 便量低下・便秘傾向による腸内滞留時間延長と発がん物質接触の増加 飲酒量が多い アルコールによる粘膜刺激と代謝産物(アセトアルデヒド)増加の影響 食事は大腸ポリープのリスクに関わる重要な要素です。肉や揚げ物が多い食生活、野菜や食物繊維の不足、飲酒量の多さが重なると、腸内環境が乱れやすくなります。 とくに外食が多い方は、脂質と塩分が増え、食物繊維が不足しがちです。体質と感じていても、食事内容を見直すことで改善につながる点が見つかる場合があります。 完璧を目指すより、頻度と量を調整し、続けられる形に落とし込むことが再発予防につながります。 肉類・脂っこい食事が多い 肉類や脂っこい食事が多いと、大腸ポリープのリスクが高まる可能性があります。 赤身肉に多いヘム鉄は、腸内で有害な化合物の生成を促して粘膜を傷つけ得るため、刺激が続くと粘膜細胞の過剰増殖を介してポリープ形成に関与する可能性があります。 そのため、保存・加工由来の要素が加わりやすい加工肉は、できるだけ控えめにすることが基本です。(文献7) WCRFは、大腸がんと過体重・肥満の関連を明確にし、脂っこい食事が肥満や生活習慣病を介してリスクを高め得ることを示しました。 肉類や脂っこい食事を完全に避けるのではなく、頻度の調整や置き換えを基本とし、赤身肉は週あたりの摂取量350〜500gを目安に、加工肉は控えめにすることが推奨されます。(文献8) 野菜・食物繊維が不足している 野菜・食物繊維が不足している食生活は、大腸の病気リスクと関連が指摘されています。 研究では、食物繊維の少ない食事が大腸がんリスク上昇と関係する可能性が示されました。(文献9) 食物繊維には便のかさを増やして腸の動きを助ける働きがあり、不足すると便が減って腸内にとどまりやすくなります。さらに腸内細菌の環境が乱れやすく、腸粘膜に影響が出る可能性もあります。 国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)でも、食物繊維の摂取量が多いほど一律に低リスクとは限りません。一方で摂取量が極端に少ない人でリスクが高くなる可能性が示されています。(文献10) 飲酒量が多い 飲酒量が多いほど、大腸ポリープができやすい背景になります。 国立がん研究センター(JPHC研究)の評価では、アルコール摂取量が15g/日増えるごとに大腸がんリスクが約10%増えると推定しました。(文献11) アルコールは代謝の過程でアセトアルデヒドを生じ、DNAに不利な影響を与え得る点をNCIも整理しています。(文献12) また、WCRFは、アルコールと大腸がんの関連について30g/日(約2ドリンク)以上で結論が出ていると示しました。(文献13) ACSは飲むなら男性2杯/日、女性1杯/日以下を上限としつつ、がんリスクの観点では飲まないのがもっとも望ましいとしています。(文献1) 受診すべき大腸ポリープのサイン 大腸ポリープのサイン 詳細 便の異常(血便・黒っぽい便) 粘膜からの出血や消化管出血による便色変化の可能性 便通の変化(便秘・下痢・便が細い) 腸内環境の変化や腸管狭窄による排便パターン変化 体調の変化・健診異常 貧血症状(だるさ・めまい)や便潜血陽性などの検査異常 大腸ポリープは自覚症状が乏しいこともありますが、便にサインが現れる場合があります。 たとえば、血便や黒っぽい便、便が細くなるなどの便性状の変化、便秘・下痢といった便通の乱れが続くときは注意が必要です。また、健診で便潜血陽性や貧血を指摘された場合も見逃せません。 大腸の不調は一時的なものと捉えがちですが、確認が遅れるほど不安が長引きます。気になる変化がある場合は早めに医療機関へ相談し、必要に応じて検査を受けましょう。 便の異常(血便・黒っぽい便) ポイント 詳細 腸管内での出血 ポリープ表面のこすれや炎症による出血混入 血の色で出血部位の目安が変化 鮮血は肛門に近い部位からの出血の可能性、黒っぽい便は腸内移動による血液酸化の可能性 少量でも繰り返す出血は要注意 痔以外(ポリープ・がんなど)による出血の可能性 便だけでは原因特定が困難 痔・ポリープ・別疾患の鑑別に内視鏡確認が必要 (文献14)(文献15) 血便や黒っぽい便は、腸の中で出血が起きているサインの可能性があります。鮮血は肛門に近い部位、黒っぽい便は出血した血液が腸内を移動して酸化した場合に見られます。 少量でも繰り返す出血は痔と決めつけず、原因確認のため内視鏡検査で評価することが重要です。 便通の変化(便秘・下痢・便が細い) ポイント 詳細 腸管内腔の狭窄 ポリープ・腫瘍の増大による便通過の妨げ 腸運動の不安定化 便秘の持続、下痢の出現、便秘と下痢の反復 細い便の鑑別の必要性 便秘・食事量・腸のけいれん性運動による影響の可能性 進行に伴う症状化 早期無症状からの便通異常出現、放置による見逃しリスク (文献14)(文献15) 便秘や下痢、便が細いといった変化は、腸の通り道が狭くなる場合や腸の動きが乱れる場合に起こります。 細い便だけで重大な病気と決まるわけではありません。しかし、急な変化が続くときは原因の確認が必要です。 大腸の病気は早期に症状が出にくいため、便通の変化が続く場合は医療機関へ相談しましょう。 体調の変化・健診異常 体調の変化や健診異常(貧血・便潜血陽性)は、大腸ポリープや腫瘍による目に見えない出血の疑いのあるサインです。 便潜血検査は便中の微量の血液を検出でき、自覚症状が出る前の異常発見につながります。 出血が慢性的に続くと鉄が失われ、鉄欠乏性貧血となって、だるさ・息切れ・動悸・めまいが現れる場合があります。 大腸の病変による出血は時間をかけて貧血(赤血球数の低下)につながり、血液検査での貧血が最初のサインになることもあるため、健診結果を放置しないことが大切です。(文献16) また、便潜血陽性は無症状でも起こりえ、がん情報サービスも症状がないからと過信しないように注意喚起しています。(文献17) 大腸ポリープを予防・再発させない方法 予防・再発させない方法 詳細 生活習慣を見直す 食生活の改善、運動習慣の確立、禁煙・節酒の徹底 体重・腸内環境を管理 適正体重の維持、便通の安定、食物繊維摂取による腸内環境の調整 定期的に内視鏡検査を受ける 早期発見・早期切除による大腸がん予防、再発リスクに応じた検査間隔の設定 大腸ポリープの予防と再発防止では、日々の生活を整えることと、定期的に状態を確認することが大切です。 体質はすぐに変えられませんが、食事の内容や体重管理、腸内環境は工夫次第で改善が見込めます。 加えて、内視鏡検査で早い段階で見つけて対処できれば、将来的なリスクを抑えやすくなります。 生活習慣を見直す 大腸ポリープの中には、将来的にがん化し得る腺腫が含まれるため、予防には生活習慣の見直しが欠かせません。 喫煙・飲酒・運動不足・肥満は大腸がんのリスク因子として知られており、結果としてポリープができやすい背景になります。 とくに喫煙は腸の細胞にダメージを与え、ポリープ形成の土台になり得るため禁煙が基本です。 飲酒も量が増えるほどリスクが積み上がるため、種類にかかわらず、控えめが基本といえます。さらに運動不足と肥満は炎症やインスリン抵抗性を介して腸に不利に働くため、日常的な運動習慣と体重管理が欠かせません。 体重・腸内環境を管理 大腸ポリープの予防・再発防止には、体重と腸内環境の管理が重要です。肥満、とくに内臓脂肪が多い状態は大腸がんのリスク要因として知られており、腺腫性ポリープとも関連が深いため体重管理が再発予防の土台になります。 内臓脂肪が増えると慢性炎症や代謝異常が続きやすく、インスリン抵抗性から高インスリン状態となり、腸粘膜の細胞増殖に不利に働く可能性があります。 腸内細菌は食物繊維から短鎖脂肪酸を産生して腸粘膜の健康維持に関与すると考えられるため、便秘が続く場合は食物繊維不足や運動不足など生活習慣の乱れを点検し、生活全体を見直すことが必要です。 定期的に内視鏡検査を受ける 大腸ポリープ(とくに腺腫)は切除して終わりではなく、別の部位に新しくできることがあります。 そのため、再発の早期発見には定期的な大腸内視鏡検査が欠かせません。便潜血検査は異常を拾うきっかけになりますが、確定診断には内視鏡が必要です。 内視鏡は発見と同時に切除できる点が大きな利点です。検査の間隔は一律ではなく、ポリープの数・大きさ・病理など性質に応じて調整します。 症状が出にくい病変も多いため、受診を先延ばしにせず、医師と相談しながら適切なタイミングで検査を受けることが大切です。 大腸ポリープができやすい人の特徴を理解して再発・予防に徹しよう 大腸ポリープができやすい背景には、年齢や家族歴といった体質的要因に加え、食事内容や体重管理など生活習慣の影響もあります。 どちらか一方が原因と決めつけるのではなく、複数の要因が重なるほどリスクが高まると捉えると理解しやすいでしょう。 大腸ポリープの症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、大腸ポリープの検査や治療だけでなく、患者様一人ひとりの状態に応じた再発予防の提案を心がけています。 また、術後の経過の中で排便機能の変化や粘膜のダメージなど、生活の質(QOL)に影響する症状が続く場合には、必要に応じて再生医療という選択肢も視野に入れたご提案が可能です。 再生医療はすべての方に適用できる治療ではありませんが、症状や既往、検査結果を踏まえ、適応の有無や期待できる効果をご案内いたします。 ご質問やご相談は、「LINE」もしくは「メール」「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープができやすい人からよくある質問 大腸ポリープの再発率はどのくらいですか? 大腸ポリープは切除後も再び見つかることがあり、これは「取り切れていない」という意味ではなく、時間の経過とともに別の部位に新しくできるケースがあるためです。 再発しやすさは、ポリープの大きさや数、性状、家族歴、生活習慣などで変わります。 大規模コホート研究に基づく再発率の目安は、以下の表を参考にしてください。 大腸ポリープの再発率 詳細 1年以内:10.9% 微小残存・早期再生 3年以内:38.2% 再発が見つかりやすい時期 5年以内:52.6% 累積多発化 (文献18) 大規模コホート研究では再発率の目安として、1年以内10.9%、3年以内38.2%、5年以内52.6%と報告されており、経過とともに累積リスクが高まります。 そのため、一律の数字だけで判断せず、医師から案内される検査間隔を守ることが重要です。切除歴がある方は便潜血検査だけで済ませず、定期的に内視鏡で確認することで早期に対応しやすくなります。 以下の記事では、大腸ポリープの切除後について詳しく解説しています。 大腸ポリープができやすい体質でも食事改善に意味はありますか? 体質(加齢や家族歴など)は変えられませんが、食事は改善可能な要因です。 赤身肉・加工肉・飲酒を控え、食物繊維を十分にとることで、大腸ポリープの再発リスク低下につながる可能性があります。 以下の記事では、大腸ポリープの予防とヨーグルトの効能について詳しく解説しています。 大腸ポリープ予防のためにお酒や脂っこいものはどの程度までなら良いですか? 大腸ポリープ予防の観点では、飲酒や脂っこい食事はゼロが理想ですが、続けられる範囲で量と頻度を決めて減らすことが大切です。 赤身肉は摂取量を意識し、ベーコン・ソーセージなどの加工肉はリスクが上乗せされやすいため、できるだけ控えることが基本となります。 参考文献 (文献1) Colorectal Risk Factors | American Cancer Society (文献2) Obesity and Cancer|NIH NATIONAL CANCER INSTITUTE (文献3) 大腸がんのリスクは、親族の大腸ポリープ診断の頻度と関連している。|PubMedCLOUD (文献4) Recommendations for follow-up after colonoscopy and polypectomy: A consensus update by the US Multi-Society Task Force on colorectal cancer|US MULTI-SOCIETY TASK FORCE (文献5) Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®) |PubMedCLOUD (文献6) Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Meat and cancer | World Cancer Research Fund (文献8) Limit consumption of red and processed meat | Recommendation evidence | World Cancer Research Fund (文献9) Fibre, wholegrains and cancer | World Cancer Research Fund (文献10) 食物繊維摂取と大腸がん罹患との関連について | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (文献11) 飲酒と大腸がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん対策研究所 (文献12) Alcohol and Cancer Risk|NIH NATIONAL CANCER INSTITUTE (文献13) Alcoholic drinks and the risk of cancer|World Cancer Research Fund International (文献14) 大腸がん(結腸がん・直腸がん)| がん情報サービス (文献15) 大腸がんについて | NCCJ国立がん研究センター 東病院 (文献16) Colorectal Cancer Signs and Symptoms|American Cancer Society (文献17) 大腸がん検診について|がん情報サービス (文献18) Surveillance Patterns and Polyp Recurrence following Diagnosis and Excision of Colorectal Polyps in a Medicare Population|AACR
2026.01.31 -
- 内科疾患
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「大腸ポリープの切除(内視鏡治療)が控えている」 「大腸ポリープ切除後が不安」 大腸ポリープ切除後は、仕事への復帰の目処や何日休むべきかを迷う方が多くいます。 出血やお腹の張り、違和感が続くと、「経過は順調なのか」と不安になることもあるでしょう。初めて切除を受けた場合は、医師の説明を聞いていても、日常生活での判断に悩みやすいものです。 本記事では、現役医師が、大腸ポリープ切除後について詳しく解説します。また、記事の最後にはよくある質問をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腸ポリープについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腸ポリープ切除後は何日休むべき? 休暇期間 詳細 デスクワーク中心の場合は翌日から復帰できることが多い 身体への負担が少ないため翌日復帰が可能なケースが多い 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は2〜3日の休養が目安 腹圧や体力負担を考慮した2〜3日程度の休養目安 重労働や力仕事がある場合は1週間程度の休養が必要 強い腹圧や出血リスクを避けるため、1週間前後の休養が目安 大きなポリープ・複数切除時は1週間以上の休養を考慮 切除範囲が広い場合の出血予防を優先した長めの休養を検討 休養の目安は、切除の方法(生検か切除か)、ポリープの大きさ、切除数、止血処置の有無、普段の仕事内容で変わります。 多くは日帰りで終わりますが、切除部は数日かけてかさぶたのような状態になるため、便の刺激や血圧上昇で出血しやすい時期があります。 まずは当日〜翌日は予定を詰めず、飲酒・長風呂・激しい運動・重い物を持つ作業は避けた上で、体調を見ながら復帰を判断しましょう。抗血栓薬を服用している方、便秘傾向の方、過去に出血経験がある方は慎重な計画が必要です。 デスクワーク中心の場合は翌日から復帰できることが多い 大腸ポリープ切除後は、切除部位が粘膜の浅い「小さな傷」であることが多く、経過が順調なら早期に日常生活へ戻れます。 とくにデスクワークのような座って行う仕事は身体的負担が小さく、体幹や腹部に強い力がかかりにくいため、後出血や穿孔などのリスクを高めにくい点が特徴です。 医療情報でも軽作業は翌日から2日で復帰できる例があります。術後管理の目安として、軽い仕事は翌日から数日後に復帰可能である一方、重い作業や腹部に力が入る動作は数日から1週間程度の休養が推奨されています。 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は2〜3日の休養が目安 立ち仕事や軽い身体活動がある場合は、2〜3日の休養が目安です。大腸ポリープ切除後の粘膜は一時的に傷の状態になっており、術後数日は後出血などが起こりやすい時期とされます。 そのため、安静期間として2〜3日は無理な身体負荷や腹圧がかかる動作を控えることが、出血リスクを下げる一般的な目安です。 立位での作業や歩行は、座位よりも腹部への圧力や血圧の変動が大きくなります。切除部位への刺激が増えて合併症リスクがやや高まる可能性があります。 また、倦怠感や腹部の張りなど軽い不調が出ることもあり、2〜3日の休養は体調変化を落ち着ける実用的な期間です。 重労働や力仕事がある場合は1週間程度の休養が必要 重労働や力仕事がある場合は、術後1週間程度の休養が目安です。内視鏡でポリープを切除すると腸粘膜に一時的な傷ができます。 見た目が落ち着いても修復は途中段階です。無理をすると後出血などの合併症につながるおそれがあるため、注意が必要です。 重い物を持つ、強く踏ん張るといった動作は腹圧を上げ、切除部位の止血部に負担がかかりやすくなります。 実際に、負担の大きい作業は数日から1週間ほど控えるよう示す案内もあります。ただし、切除した大きさや数、体調、出血の有無で必要な休養は変わるため、最終的には医師の指示を優先しましょう。 大きなポリープ・複数切除時は1週間以上の休養を考慮 大きなポリープを切除した場合や複数個を同時に切除した場合は、1週間以上の休養を見込むことが大切です。切除範囲が広いほど腸粘膜の傷も大きくなり、止血や修復に時間がかかるため、術後早期の出血リスクが高まる傾向があります。 また切除部位が多いと、腸の動きや腹圧の変動による刺激を受けやすく、出血や不快感、合併症につながるおそれがあります。 必要な休養期間は、切除した部位や大きさ、止血状況、体調によって変わるため、医師の指示に従うことが大切です。 大腸ポリープ切除後の痛みが続く期間 期間の目安 起こりやすい状態・ポイント 術後1〜3日 張り感・軽い違和感・ゾクゾク感の自然軽快、内視鏡送気と切除部位反応の影響 術後数日〜1週間 切除部位の修復過程に伴う軽い不快感、周囲炎症による一時的な違和感 1週間以上続く場合 個人差や切除方法によって長引くことがあり、続く場合は医師へ相談 早期相談が必要なサイン 発熱、耐え難い腹痛、症状の悪化、強い症状の持続による合併症の疑い 大腸ポリープ切除後は、お腹の張り感や軽い違和感などが出ることがあります。これは内視鏡で空気(炭酸ガス)を入れることや、腸粘膜が切除された部位の反応によるものです。多くの場合は術後1〜3日で徐々に落ち着きます。 また、切除部位は体内で「傷」として修復が進むため、周囲の炎症反応により不快感が数日続くことは一般的な経過と考えられます。 一方で発熱や強い腹部の違和感、症状の悪化や長期化がある場合は合併症も否定できないため、早急に医療機関を受診しましょう。 大腸ポリープ切除後の注意点 注意点 詳細 食事・飲酒・水分摂取 消化にやさしい食事の選択と刺激物回避、十分な水分補給、一定期間の禁酒 入浴・運動・日常生活の制限 長風呂の回避とシャワー中心、重い物を持つ作業や運動の制限、腹圧がかかる動作の回避 服薬管理と移動・旅行の制限 抗血栓薬など内服の指示遵守、服薬再開時期の確認、長距離移動や旅行の延期を検討 大腸ポリープ切除後は、切除部位の出血や腸への刺激を避けるため、生活面の配慮が重要です。食事は消化にやさしい内容を基本とし、アルコールや刺激物は一定期間控え、水分も十分に摂取しましょう。 また、入浴や運動は腹圧や血流変化で出血リスクが高まる可能性があるため、無理のない範囲に制限します。服薬中の方は自己判断で中止せず、移動や旅行も含め医師の指示に沿って調整しましょう。 以下の記事では、大腸ポリープができやすい人について詳しく解説しています。 食事・飲酒・水分摂取 大腸ポリープ切除後の粘膜は「傷」の状態であり、刺激の強い食品や固い食品は粘膜への負担が大きくなり、出血や不快感の原因になることがあります。 そのため、最初の数日から1週間程度は消化が良く、お腹に負担の少ない食事を心掛けることが一般的に勧められています。刺激物や高脂肪食は腸の動きを活発にして傷に負担をかける可能性があるためです。 また、大腸内視鏡前の下剤や前処置で身体が一時的に脱水状態になることがあり、術後も脱水が続くと便が硬くなって排便時に腹圧が上がりやすく、切除部位に負担がかかることが示唆されます。水分をこまめに補給することは便の通りをスムーズにし、腸の回復を助ける基本的なケアです。(文献1) 加えて、術後の出血や違和感は多くの場合は経過の一部ですが、刺激が強い食事やアルコールは症状を悪化させる可能性があるため、術後数日から1週間程度は控える必要があります。これにより、術後の不快な症状や合併症リスクの軽減につながるとされています。 入浴・運動・日常生活の制限 大腸ポリープ切除後は、腸粘膜に切除部位という小さな傷があります。湯船に浸かるなどで体が温まり血行が良くなると、切除部位の血流も増え、術後の出血リスクが高まる可能性があります。 そのため、当日はシャワー中心にして、湯船に浸かる入浴は数日から1週間程度控えるのが一般的です。また、術後の数日から1週間は、日常生活で腹圧がかかるような動きや長時間の立ち仕事、力仕事、重い荷物の運搬などを控えることが推奨されます。 こうした活動は腸粘膜に負荷をかけ、出血や創部への刺激につながる可能性があるためです。これらの制限は、切除後の出血や穿孔などの合併症を予防し、回復を促すことを目的としています。 術後直後は腸粘膜が治癒過程にあり、血行や腹圧の急激な変化に弱い状態であるため、術後数日から1週間を目処に体調を見ながら段階的に通常の生活へ戻すことが一般的な臨床指導です。 服薬管理と移動・旅行の制限 大腸ポリープ切除後は、担当医が抗血栓薬(血液を固まりにくくする薬)や非ステロイド系鎮痛薬(NSAIDs)の中止・再開を指示することがあります。 これらの薬は血液の凝固能に影響し、止血が安定するまで出血リスクを高めることが示唆されているためです。診療ガイドラインでも、こうした薬の再開については医師の指示が重視されています。(文献1) 患者さんごとに状況が異なるため、自己判断で再開しないことが大切です。また、術後しばらくは長時間の運転や遠方への移動を控え、出血などの症状が出た際に速やかに受診できる環境を優先します。 とくに大きいポリープ切除や複数個の切除があった場合、治癒期間が約2週間程度必要とするケースもあります。こうした状況では、海外旅行や国際線の搭乗は、気圧変化や長時間拘束で体調に影響が出る可能性があるため、切除部位の治癒状況を踏まえて計画することが大切です。(文献2) 大腸ポリープ切除後の受診すべき症状 受診すべき症状 詳細 出血の症状(鮮血・黒色便) 便に混じる鮮血や黒色便の出現、出血量の増加や持続、めまい・ふらつきを伴う出血の可能性 腹部の違和感や張りが強い場合 強い腹部膨満感や違和感の持続、増悪する腹痛、吐き気を伴う腹部症状の可能性 発熱・だるさなどの全身症状 発熱の持続、強い倦怠感、寒気や食欲低下など全身状態悪化のサイン 大腸ポリープ切除後は、軽い出血やお腹の張りがみられることもありますが、鮮血便や黒色便が続く場合は後出血の可能性があります。 また、腹部の違和感や張りが強い状態が続く場合は、腸への負担が大きいサインです。さらに、発熱や強いだるさを伴うときは感染など合併症も否定できません。 自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関へ相談しましょう。 出血の症状(鮮血・黒色便) 大腸ポリープ切除後の出血は、比較的よくみられる合併症のひとつです。切除部位は腸内の「傷」にあたるため、腸の動きや便の刺激でかさぶたがはがれると出血することがあります。 便に鮮血が混じる場合は、切除部位から活動性の出血が起きている可能性があり、量が多い、繰り返す場合は止血処置が必要になることもあります。 また、黒色便(タール便)がみられる場合、消化管出血の可能性があるため、早めに医療機関へ相談しましょう。 腹部の違和感や張りが強い場合 受診の目安 詳細 よくある経過 検査時の送気による一時的な張り感、ガス貯留感 受診を検討 張り感の増悪、部位がはっきりした不快感、改善しない持続症状 緊急性が高い所見 強い腹痛、腹部全体の強い膨満、動けないほどの不快感 併発で要注意 発熱、嘔吐、冷汗、ぐったり感などの全身症状 (文献3) 術後の軽い張りは、内視鏡で空気や炭酸ガスを入れた影響による一過性症状で、数日で軽快することが一般的です。 一方、張りが強い、局所的に続く、時間とともに悪化する場合は、穿孔や炎症、切除後凝固症候群(PPCS)など合併症の可能性も否定できません。発熱や嘔吐を伴うときは早めの受診が重要です。 発熱・だるさなどの全身症状 大腸ポリープ切除後に発熱・だるさなどの全身症状が現れる場合、合併症のサインであるため医療機関への受診が必要です。 切除部位の影響で腸壁に傷が及び、炎症が広がる(穿孔など)と発熱や強い倦怠感を伴うことがあります。 また、後出血が続くと貧血傾向となり、ふらつき・動悸・強いだるさにつながる場合もあります。 さらに術後の粘膜は傷の状態で、感染や炎症が起きると寒気や発熱として現れることがあり、ガスによる張りは多くが24〜48時間で軽快する一方、改善しない・悪化する場合は合併症評価が必要です。(文献4) 大腸ポリープ切除後の違和感は当院にご相談ください 切除後の過ごし方は、ポリープの大きさや切除方法で変わり、同じ症状でも判断が分かれることがあります。症状が許容範囲かどうか迷う時間が長いほど、不安も強くなります。 大腸ポリープ切除後の違和感が続いている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、大腸ポリープ切除後の出血の量、便の色、腹部症状の経過、服薬状況などを確認し、受診が必要か、生活調整で対応できるかを具体的に案内します。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 大腸ポリープ切除後に関するよくある質問 大腸ポリープ切除後にコーヒーを飲んでも大丈夫ですか? 目安(時期) コーヒーの飲み方 当日 できれば控える、飲むなら薄めを少量 翌日〜3日程度 体調が良ければ少量から再開 大腸ポリープ切除後のコーヒーは、多くの場合、少量であれば飲んでも大きな問題はありません。ただし、カフェインは胃腸への刺激や脱水につながることがあるため、当日〜数日は控えましょう。 当日はできるだけ避け、飲む場合は薄めを少量にとどめましょう。翌日から3日程度は体調が良ければ少量から再開できます。 大腸ポリープ切除後に死亡するケースはありますか? 大腸ポリープ切除後に命に関わるケースは非常にまれです。重篤化し得る合併症は主に大量出血(後出血)と穿孔(腸に穴があく)による腹膜炎で、適切な治療が遅れると危険とされています。 外来大腸内視鏡97,091人の報告では、出血1.64/1000人、穿孔0.85/1000人、死亡0.074/1000人(概算で約14,000人に1人)で、高齢・男性・切除既往・低症例数の医師がリスク増と関連しました。(文献5) 参考文献 (文献1) Colonoscopy: What to Expect at Home|Alberta (文献2) Colonoscopy Information Leaflet - United Lincolnshire Hospitals|NHS (文献3) 大腸内視鏡検査による後腹膜血腫を契機に発症した 遅発性大腸穿孔の1例 (文献4) Colonoscopy (C1) aftercare advice|Patient information factsheet (文献5) Bleeding and Perforation After Outpatient Colonoscopy and Their Risk Factors in Usual Clinical Practice - ScienceDirect
2026.01.31 -
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急な腹痛で「今すぐ少しでも楽になりたい」と思い、手や足のツボを探してこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。 ツボ押しは、軽い腹痛や違和感がある際のセルフケアとして役立つ可能性があります。 この記事では、腹痛に使われる代表的なツボとその押し方や生活習慣から胃腸の調子を整えるポイント、医療機関を受診する目安までをわかりやすく解説します。 なお、大腸がんやクローン病、胃腸障害などの後遺症による腹痛はリペアセルクリニックの公式LINEで相談することも可能です。再生医療の情報提供と簡易オンライン診断も実施しておりますので、ぜひご登録ください。 腹痛を和らげる代表的な5つのツボ 腹痛や胃腸の不調を感じた際、セルフケアとして取り入れやすいのがツボ押しです。ここでは、消化器系への働きかけや、症状の緩和に役立つとされる代表的な5つのツボを紹介します。 中脘(ちゅうかん) 足三里(あしさんり) 天枢(てんすう) 梁丘(りょうきゅう) 合谷(ごうこく) それぞれのツボは場所や期待できる役割が異なります。ご自身の症状や痛みの種類に合わせて、適切な場所を刺激してみましょう。 また、腹痛の治し方について全般的に知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 中脘(ちゅうかん)|みぞおちとおへその中間にあるツボ 中脘は、体の中心線上でみぞおちとおへそのちょうど中間に位置しており、胃の疾患治療において重要なツボの一つと考えられています。 食べすぎによる不快感や胃痛、食欲不振など、胃に関わる症状全般に対して、消化活動を助ける効果が期待できます。(文献1) ツボを押す際は、仰向けになって膝を立て、腹部の緊張を解いた状態で行うのが理想的です。人差し指と中指を揃えてツボに当て、息をゆっくり吐きながら優しく沈めるように押してください。(文献2) 強すぎる刺激は避け、心地よいと感じる強さで5〜10回程度繰り返しましょう。 足三里(あしさんり)|膝の下・すねの外側にあるツボ 足三里は、膝下の外側にあり、胃腸全体の調子を整える働きがあるツボです。胃痛や胃もたれ、食欲不振の改善など、胃腸の働きを整えるだけでなく、体力回復や倦怠感のケアにも有用とされています。 椅子に座った状態で親指をツボに当て、残りの指でふくらはぎを支えるようにすると力が入りやすくなります。「痛気持ち良い」と感じる強さで押し込み、5秒ほど止めてからゆっくり離す動作を数回繰り返してください。左右両足に対して行うことを推奨します。(文献2) 天枢(てんすう)|おへその左右・指3本分外側にあるツボ 天枢は、おへその中心から左右に指3本分ほど離れた場所に位置し、胃腸の働きのなかでも特に腸の機能調整に関わりが深いとされています。 便秘や下痢といった便通異常や、お腹の張り(膨満感)が気になるときに試したいツボの一つです。 刺激する際は仰向けの姿勢になり、人差し指・中指・薬指の3本を揃えてツボに当てます。(文献2) 腸の流れをイメージしながら、お腹を沈めるようにゆっくりと「の」の字を書くように円運動でマッサージしてください。強く押しすぎず、腹部が温まるような感覚で行うのがポイントです。(文献3) 梁丘(りょうきゅう)|膝の外側・やや上にあるツボ 梁丘は、太ももの前面にあるツボで、膝のお皿の外側上端から指3本分ほど上がった筋肉の溝に位置します。慢性的な症状よりも、急に襲ってくる腹痛や下痢の症状を一時的に抑えたい場合のツボとして知られているのが特徴です。 座った状態、もしくは仰向けの状態で、膝の外側のくぼみに親指を当てます。そこから指3本分太ももの方向に上がった場所が梁丘です。 急な痛みに対応する場合、少し強めの圧で5秒程度押し続け、パッと離す動作を数回繰り返しましょう。 深呼吸を忘れず、リラックスしながら行うことが大切です。(文献2) 合谷(ごうこく)|手の親指と人差し指の骨が合わさる付け根にあるツボ 合谷は手の甲側で親指と人差し指の骨が合わさるV字のくぼみ(やや親指寄り)にあるツボです。 万能のツボという別名を持つほど応用範囲が広く、ストレス性の胃腸不調のほか、頭痛や歯痛などの鎮痛目的でも頻繁に用いられます。 反対の手の親指をツボに当て、人差し指の骨の下に潜り込ませるようなイメージで強めに押してください。5秒ほど押して離す動作を数回繰り返すと、ズーンとした響きを感じられます。 なお、合谷のツボは子宮収縮を促す作用があるとも言われているため、妊娠中の方への強い刺激は推奨されません。(文献2) 腹痛を和らげるツボを押す時の注意点 ツボ押しは薬を使わず手軽にできるセルフケアですが、誤った方法で行うと、筋肉を傷めたり体調を崩したりする可能性があります。安全かつ効果的に実践するために、以下の3つのポイントを意識してください。 刺激は「痛気持ち良い程度」を目安にする 食事の直後や妊娠中は避ける ツボ押し後に体調が悪化したら医療機関に相談する 刺激は「痛気持ち良い程度」を目安にする ツボの刺激は、痛みを我慢するほど強く押すのではなく「痛気持ち良い」程度の圧で行うことが基本です。 強すぎる刺激は筋肉の線維を傷つけたり、防御反応による緊張(揉み返し)を招いたりするおそれがあります。 ツボを刺激するときは呼吸を意識しましょう。息をゆっくり吐きながら沈めるように押し、息を吸うときに力を抜くのがポイントです。(文献4) このリズムで行うことで余分な力が抜け、深部まで適切な刺激が届きやすくなります。決して無理はせず、心地よい範囲で行いましょう。 食事の直後や妊娠中は避ける ツボ押しは血行を促進したり、内臓機能に働きかけたりするため、体の状態によっては負担となるケースがあります。以下のようなタイミングや体調のときは、無理に行わず休息を優先するか、医師の判断を仰ぐようにしましょう。(文献2) 食後すぐ・満腹時 妊娠中 発熱時や体力が著しく低下しているとき 飲酒後 重篤な疾患の治療を受けているとき とくに食後の腹痛に対してツボ押しを行う場合は、消化活動が落ち着くまで30分〜1時間ほど時間を空けることが推奨されます。また、皮膚に傷や炎症がある場合も、患部への刺激は避けてください。 ツボ押し後に体調が悪化したら医療機関に相談する 万が一ツボ押しを試しても痛みが治まらない、あるいは実施後に吐き気やめまい、痛みの増強が見られる場合は、直ちに中断してください。 腹痛の背景には、虫垂炎や胃潰瘍、腸閉塞といった早急な治療が必要な疾患が隠れている可能性も否定できません。 セルフケアだけで対処しようとせず、自身の体調変化を冷静に観察することが重要です。いつもと違う痛みや冷や汗を伴う場合や、不安を感じる際は、速やかに内科や消化器科などの医療機関を受診しましょう。(文献2) 【ツボ以外】腹痛を改善するためのポイント ツボ押しによるケアは一時的な痛みの緩和に役立ちますが、症状を繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。 胃腸の不調を招きにくい健やかな状態を保つために、まずは以下の3つのポイントを意識してみましょう。 体を冷やさない 腸にやさしい食事を心がける 質の高い睡眠や休息をとる 体を冷やさない 冷えは万病の元と言われるように、体の冷えは腹痛の誘因となることがあります。 体が冷えると血管が収縮して血流が悪くなり、胃腸の働きが低下してしまうためです。その結果、消化不良や腸の蠕動(ぜんどう)運動の乱れが生じ、痛みや不快感につながると考えられています。 体を冷やさないために、日頃から以下のような対策を取り入れてみましょう。 腹巻や使い捨てカイロを活用し、お腹周りを温める 冷たい飲料を避け、常温以上のものを飲む習慣をつける 首、手首、足首などの血管が集まる部位を冷やさない また、入浴時はシャワーだけで済ませず、湯船に浸かって全身を温めると、血行が促進され胃腸の緊張もほぐれやすくなるでしょう。 腸にやさしい食事を心がける 慢性的な腹痛に悩んでいる場合、普段の食事が知らず知らずのうちに胃腸へ負担をかけている可能性があります。 特に不調を感じるときは、香辛料などの刺激物や脂っこい料理、消化に時間のかかる繊維質の多い食材は控えましょう。 消化を助けるためには、食材選びと食べ方の両面で工夫が必要です。 工夫の視点 具体的なポイント 食材選び うどん、白身魚、豆腐、お粥など、脂質が少なく柔らかいものを選ぶ 調理法 揚げる・炒めるよりも、煮る・蒸すといった調理法を優先する 食べ方 一度に大量に食べず、よく噛んで唾液と混ぜ合わせるようにする こうした食事療法を行っても「空腹時の痛みが治まらない」「下痢や便秘を繰り返す」といった状態が続く場合は、十二指腸潰瘍や過敏性腸症候群などの疾患が隠れているケースも考えられます。(文献5) 質の高い睡眠や休息をとる 胃腸の運動や消化液の分泌は、自分の意思とは無関係に働く自律神経によってコントロールされています。 しかし、過度なストレスや慢性的な睡眠不足が続くと交感神経が優位になり続け、自律神経のバランスが崩れやすくなります。これにより、胃腸の機能低下や、胃酸過多による粘膜の荒れなどが引き起こされることがあるのです。 「検査では異常がないのに腹痛が続く」といったケースでは、自律神経の乱れが関与していることが少なくありません。 不調を感じるときは無理をせず、リラックスできる時間を確保して心身を休めましょう。十分な睡眠は副交感神経を優位にし、胃腸の修復機能を高めることにつながります。 ツボを押しても改善しない慢性的な腹痛は当院へご相談ください ツボ押しは日々の体調管理に役立つ一方で、痛みの根本原因を解消する治療行為ではありません。セルフケアで改善しない場合や、以下のような症状が見られるときは、速やかに医療機関を受診してください。(文献6) 突然の激しい痛みや、長時間治まらない痛み 発熱、嘔吐、血便などを伴う場合 便が細い、貧血気味であるなどの身体的変化 腹痛の背景には、胃潰瘍や逆流性食道炎のほか、胃がんや大腸がんといった重大な疾患が隠れていることもあります。症状だけで原因を特定することは困難であり、適切な診断には内視鏡などの専門検査が必要です。(文献7) 長引く腹痛や少しでも不安な症状がある方は、自己判断で放置せず、医療機関に相談することをおすすめします。 大腸がんやクローン病、胃腸障害などの後遺症による腹痛は当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。公式LINEからもお問い合わせいただけます。 また、大腸がんの症状については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 腹痛へのツボ刺激は日常ケアのひとつ!長引く症状は医療機関を受診しよう 腹痛に対するツボ刺激は、軽い不調や一時的な違和感に対するセルフケアのひとつです。無理のない強さで行い、体調の変化をみながら取り入れていくとよいでしょう。 一方で、腹痛が長く続く場合や、痛みが強い場合、血便や発熱などの症状を伴う場合は、ツボによるセルフケアだけで判断せず、医療機関で原因を確認することが大切です。 腹痛の背景に病気が隠れている可能性もあるため、早めの相談を検討してみてください。 当院リペアセルクリニックでは、後遺症による腹痛に関するご相談を受け付けています。公式LINEからもお問い合わせいただけますので、気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。 腹痛に効くツボに関するよくある質問 お腹のガス抜きに効くツボは? お腹の張り(腹部膨満感)やガスがたまっている感覚があるときは、天枢(てんすう)や合谷(ごうこく)に加え、以下のツボも有効とされています。 腹結(ふっけつ):おへその斜め下あたりにあり、便秘やガスによる腹部膨満の軽減を目的に使われる 気海(きかい):おへそから指2本分下あたりにあり、ガスによる腹部の不快感やハリの軽減に使われる これらのツボを刺激することで、滞ったお腹の巡りが整いやすくなると考えられています。 ただし、ガスがたまりやすい背景には、早食いによる空気の嚥下やストレス、便秘といった生活習慣が原因となっているケースも少なくありません。ツボ押しとあわせて、食事をよく噛んでゆっくり食べる、食物繊維が多い食品を控えるといった根本的な対策も意識してみましょう。 以下の記事もあわせてご覧ください。 腹痛を今すぐやわらげたいとき、即効性があるツボはありますか? 比較的即効性が期待できるとして知られているのが「梁丘(りょうきゅう)」です。膝の外側上部にあるこのツボは、胃腸の急激な動きや痛みを鎮めるためのツボとして、応急処置的に用いられています。(文献2) 一方で、ツボの効果には個人差があり、虫垂炎や腸閉塞といった緊急性の高い疾患が原因の場合は効果が見込めないこともあります。冷や汗が出るほどの激痛や、発熱、血便などを伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。 参考文献 (文献1) 「“秋”のツボ」|四国医療専門学校 (文献2) 胃痛に効くツボ6選|詳しい場所の探し方・押し方・注意点|東洋医療専門学校 (文献3) 【症状別】胃腸の不調に効くツボを紹介|神戸医療福祉専門学校 (文献4) 「正しいツボの押し方」|四国医療専門学校 (文献5) おなかが痛い、胃が痛い|愛知学院大学歯学部附属病院 (文献6) 突然お腹が痛い…こんな症状は要注意!|神戸大学医学部附属病院 (文献7) 大腸がんの症状について|国立がん研究センター中央病院
2026.01.31 -
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突然の腹痛は誰にでも起こりうる症状です。 主な原因は便秘や食あたり、食べ過ぎ、ストレス、月経痛など多岐にわたりますが、症状の改善がみられず長引いている場合、別の疾患が隠れている可能性があります。 この記事では、即効性が期待できる腹痛の原因別対処法や病院を受診すべき危険なサイン、腹痛が起きやすい人の予防法を解説します。 考えられる原因に合わせた対処法をまずは試し、改善しない場合は医療機関を受診しましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛について気になることがある方は、お気軽にご登録ください。 【原因別】腹痛の治し方 腹痛の原因が明確な場合、状態に適したケアを行うことで、痛みの緩和に即効性が期待できます。 それぞれの対策を実施する前に、まずは衣服やベルトを緩めて腹部への圧迫を減らしてください。膝を曲げて横になると、痛みが軽減することもあります。 会社のオフィスや電車内などの横になれない場所で腹痛が生じたときは、背もたれに深く腰掛ける、前かがみで机や膝に手をついて体を丸めるなどの姿勢をとると、痛みが和らぐかもしれません。 楽になれる姿勢がとれたら、本章で紹介する原因別の対処法をとってみましょう。 便秘|温罨法・腹部マッサージで腸の動きを促す 便秘による腹痛は、腸内に停滞した便やガスが腸を内側から圧迫することで生じます。 腹痛の原因である便やガスが排出されれば痛みが軽減されるため、マッサージや温熱刺激で腸の動きを促すことが有効です。(文献1) 治し方 概要 腹部マッサージ へそ周りを「の」の字を書くように優しくマッサージする (痛みが強いときはさする程度で良い) 温罨法(おんあんぽう) 温タオルやカイロなどで腹部をあたためる へその両脇、指3本分の位置にある「天枢(てんすう)」と呼ばれるツボも、便秘に良いといわれています。(文献2) 便秘を放置してしまうと腸閉塞といった合併症を引き起こしかねません。排便のない状態が1週間以上続いている、腹痛が強い、対処法を試しても改善しないなどの場合は、消化器内科の受診を検討してください。 食あたり・ウイルス感染|胃腸を休めて脱水を防ぐ 食あたりやウイルス感染による腹痛は、細菌やウイルスが腸に感染して炎症を起こすことで生じます。脱水が進むと症状が悪化するため、水分と電解質の補給を優先し、できる限り横になって体力消耗を防ぎましょう。 また、嘔吐や吐き気があるときに無理に食事をとると、嘔吐を繰り返し脱水を引き起こすおそれがあります。症状が落ち着くまで固形物は避け、胃腸を休ませてください。 内関(ないかん)という手首内側の横じわの中央から肘に向かって指3本分のところにあるツボも、吐き気を伴う腹痛に効果があるといわれています。(文献3) 水分摂取ができないほど症状が強い場合は、迷わず医療機関を受診してください。 食べ過ぎ|右向きで横になる 胃に大量の食べ物が入ると消化が追いつかず、胃が膨張して腹痛が生じます。以下のような方法で胃から腸へスムーズに食べ物を送り出すと、腹痛の軽減が期待できます。(文献4) 対処法 詳細 右向きで横になる 胃の出口(幽門)が右側にあるため、右を下にすると消化を助けやすくなる 胃を休める 消化不良の状態で食べ物を追加すると負担が増すため、胃を十分に休ませる 中脘(ちゅうかん:みぞおちとおへその中間)のツボを優しく押す 消化機能の改善によって腹痛が和らぐ効果が期待できる 暴飲・暴食によって手術が必要となったケースも報告されているため、激しい腹痛や嘔吐がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。(文献5) 特定の食事や飲み物|胃を保護して刺激を避ける 胃粘膜を直接刺激する飲食物は、胃酸分泌を過剰にします。胃酸過多によって胃粘膜が傷つくと炎症や痛みが生じるため、刺激物を避けて胃を休めることが重要です。 とくに以下のような食材で腹痛を訴える方は少なくありません。 辛いもの(唐辛子、わさび、カレーなど) 脂っこいもの(揚げ物、焼肉、ラーメンなど) 炭酸飲料 カフェインを含む飲み物 アルコール 特定の食品で頻繁に腹痛が起こる場合、食物アレルギーや好酸球性消化管疾患の可能性があります。(文献6) なかでも牛乳で腹痛が起きやすい場合は「乳糖不耐症」もしくは「牛乳アレルギー」も考えられます。繰り返す場合は消化器内科やアレルギー専門医を受診してください。(文献7) 緊張・ストレス|深呼吸でリラックスする 緊張やストレスによる腹痛は、自律神経の乱れが原因です。 ストレスがかかると自律神経のバランスが乱れ、腸の動きが過剰になったり逆に停滞したりするケースがあります。こうしたストレスが引き金となり、慢性的な腹痛や下痢、便秘を繰り返す疾患は「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」と呼ばれています。(文献8) 緊張状態にある腸を落ち着かせるには、以下のような対策が有効です。腸の緊張をほぐすことで、腹痛の緩和に即効性が期待できる可能性があります。 治し方 概要 深呼吸をする 自律神経のバランスを整え、腸の過剰な動きを抑える リラックスできる環境でゆったりする 交感神経の緊張を緩和し、ストレスによる腸の異常な動きを改善する 過敏性腸症候群は、朝の通勤・通学前や大事な会議・試験の前など、決まった時間帯やストレスの高い場面で症状が出るケースが少なくありません。繰り返す場合は医療機関の治療が必要となる場合もあるため、消化器内科への相談を検討してみてください。(文献8) 月経|下腹部を温める 月経に伴う腹痛(月経困難症)は、子宮内膜から分泌される「プロスタグランジン」が子宮を強く収縮させたり、強い子宮の収縮によって血流が低下したりするために生じるといわれています。(文献9) そのため、子宮の血流の改善によって痛みの緩和が期待できます。 治し方 概要 下腹部を温める 血行を改善することで子宮の過剰な収縮が緩和される 鎮痛剤(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)を服用する プロスタグランジンの生成を抑え、子宮収縮による痛みを軽減する 30分ほどで効くケースもあり、即効性を期待しやすい 軽い運動をする 血流促進によって骨盤周りの血液循環が改善され、痛みの緩和が期待できる 月経痛の緩和には、内くるぶしの一番出っ張っている部分から、指4本分膝寄りにある三陰交(さんいんこう)というツボが効果を示すかもしれません。(文献10) なお、激しい痛みによって日常生活に支障がある場合、子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科系の疾患が隠れている可能性もあります。一度婦人科で相談してみると良いでしょう。 腹痛ですぐに病院を受診すべきケース 急激に発症した激しい腹痛を総称して「急性腹症」といいます。(文献11)腹痛の総称であるため、腹痛以外に伴う症状もさまざまです。 腹痛に加えて以下の症状がある場合には、緊急性の高い疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。 気が遠くなりそうなほど腹痛が激しい 痛みが軽くならない、どんどん強くなる 吐血や嘔吐、血便がある 熱がある 腹部が硬い、張りが強い これらは胃・十二指腸や肝臓・胆のうなどの消化器系の臓器に異常が起きているサインである可能性も考えられます。速やかに医療機関を受診するか、動けない場合は救急車を呼びましょう。 腹痛を予防するための生活習慣 特定の場面や飲食物で腹痛が起きやすい場合、生活習慣の見直しで予防できる可能性があります。日常的に腹痛に悩まされている方は、自身の生活習慣を振り返りつつ、できることから対策してみましょう。 食生活の見直し 胃腸への負担を減らし、腹痛のリスクを下げるためには、日々の食習慣を見直すことが重要です。主な対策として、以下があげられます。(文献12)(文献13) 規則正しい食事時間を守る(朝・昼・夕の3食) よく噛んでゆっくり食べる 暴飲暴食を避ける 刺激物(辛い・冷たい・脂っこいものなど)を控える 食物繊維(そば、さつまいも、ごぼう、海藻類など)を適度に取り入れる アルコール・カフェインは適量にとどめる また、スマートフォンやテレビを見ながらの「ながら食べ」は、咀嚼がおろそかになりやすく、食べ過ぎや消化不良の原因となります。(文献14) 食事の時間は味や香りを楽しみ、リラックスして過ごすよう心がけましょう。 ストレスケア ストレスは自律神経に影響を与え、腸の動きを乱す原因となります。即効性はやや薄いものの、過敏性腸症候群をはじめとするストレス性の腹痛を防ぐには、以下のような日常的なストレスケアが必要です。 十分な睡眠をとる 趣味の時間を確保する リラクゼーション(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を取り入れる これらを実践しても腹痛が繰り返される場合は、消化器内科や心療内科で専門的な治療を受けることを検討しましょう。 適度な運動 運動によって血行が良くなると、胃腸の働きが活性化し、便秘による腹痛の予防効果が期待できます。また、適度な運動はストレス発散にもつながり、自律神経の乱れからくるお腹の不調にも役立ちます。 まずは、1日5〜10分、軽い散歩やストレッチから始めてみましょう。慣れてきたら徐々に時間や強度を増やしていくのがポイントです。 運動時間や内容は体調に合わせて調整し、習慣化することを意識してください。 特にデスクワークが多い方は腸の動きが停滞しやすいため、意識的に体を動かす時間を作りましょう。 腹痛の治し方は原因ごとに異なる!改善しないときは医療機関に相談しよう 腹痛の多くは、即効性が期待できる対処法を試すことで、痛みが和らぎます。便秘や食べ過ぎ、ストレスなど、原因がはっきりしている場合は、本記事で紹介した対処法をすぐに実践してみましょう。 ただし、対処法を試しても症状が改善しない場合や、徐々に痛みが強くなる場合は、自己判断せず消化器内科を受診してください。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腹痛を繰り返す、症状が長引いているといった気になる症状がある方は、お気軽にご登録ください。 腹痛の治し方に関するよくある質問 急な腹痛に市販薬を服用しても良いでしょうか? 以下のように腹痛の原因が特定できており、症状が軽度の場合は、市販薬の使用も即効性が期待できる選択肢の一つです。 食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃もたれ あきらかな便秘 月経痛(生理痛) ただし、市販薬を使用しても改善しない場合や、発熱や血便などを伴うケースでは、早めに消化器内科を受診してください。 重大な病気が原因だった場合、発見が遅れるリスクがあります。 腹痛があるときにしてはいけないことはありますか? 腹痛がある際に以下の行動をとると、症状を悪化させたり診断を困難にしたりする可能性があります。 激しい運動 刺激物の摂取 入浴(炎症性疾患の場合) 虫垂炎が疑われる場合の温罨法 原因不明の激しい痛みに対する鎮痛剤の多用 とくに激しい腹痛や発熱を伴う場合は、自己判断での対処を避け、速やかに医療機関を受診しましょう。 腹痛で考えられる疾患は何ですか? 腹痛を引き起こす主な疾患には、以下のようなものがあげられます。(文献15) 分類 主な疾患 消化器系 急性虫垂炎、胃・十二指腸潰瘍による穿孔、急性膵炎、憩室炎、腸閉塞など 心血管系 急性冠症候群、心筋炎、心外膜炎、大動脈解離、大動脈瘤破裂など 呼吸器系 肺炎、胸膜炎、膿胸、気胸、肺動脈血栓塞栓症など 筋骨格系 椎間板ヘルニア、腸腰筋膿瘍、神経根症、脊椎の変形性関節症、ACNES(前皮神経絞扼症候群)など 泌尿・生殖器系 精索捻転、精巣上体炎、ヘルニア嵌頓、痔核、痔瘻など 血液・膠原病 IgA血管炎(Henoch-Schönlein purpura)、全身性エリテマトーデス、鎌状赤血球症、急性白血病、食物アレルギー 内分泌代謝 糖尿病性ケトアシドーシス、急性副腎不全、甲状腺機能亢進症、ポルフィリア、尿毒症など 感染症 帯状疱疹、連鎖球菌咽頭炎、水痘、結核、toxic shock syndromeなど その他 急性緑内障、腹性片頭痛、精神疾患、熱中症、排卵痛など 腹痛の原因は多岐にわたるため、自己判断が難しいケースも少なくありません。激しい痛みや長引く症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 参考文献 文献1 便秘のセルフケア・・・がん治療中も快適に|北海道医療センター 文献2 セルフケアですっきり!便秘・下痢に効くツボ|東洋医療専門学校 文献3 漢方・鍼灸だよりNo.23|東海大学医学部付属病院東洋医学科 文献4 第30回パワー不足を解消する漢方(鍼灸)|東海大学 文献5 急性胃拡張による胃壊死をきたした上腸間膜動脈症候群の1例|山名浩樹ら 文献6 食後の腹痛が頻繁におこります。アレルギーの可能性もあるのでしょうか?|藤田医科大学総合アレルギーセンター 文献7 「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」|一般社団法人長野県医師会 文献8 過敏性腸症候群|関西医科大学附属病院 文献9 (1)月経困難症 |日本産婦人科医会 文献10 毎月憂うつ…月経痛やPMSに鍼灸が効く?|森ノ宮医療大学 文献11 急性腹症 | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 文献12 噛むことが大切な4つの理由|神奈川県歯科医師会 文献13 食物繊維の必要性と健康|厚生労働省 文献14 糖尿病を防ぐ食生活~「ちょっと血糖値が高め」の方へ~|とうきょう健康ステーション 文献15 急性腹症ガイドライン2015第IX章急性腹症の鑑別診断|日本腹部救急医学会、日本医学放射線学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本産科婦人科学会、日本血管外科学会
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左脇腹の痛みが突然起こると「危険な症状ではないか」「病気が隠れているのでは?」と不安になる方も多いでしょう。 つるような痛みやチクチクした違和感、動くと痛む症状など、似た経験をしたことがある人は少なくありません。 左脇腹の痛みは原因が多岐にわたり、緊急を要する場合もあれば、様子を見ながら受診を検討できるケースもあります。落ち着いて症状を観察し、緊急性の有無を見極めることが大切です。 本記事では、左脇腹の痛みで考えられる原因や受診の目安について詳しく解説します。今あらわれている症状から、今取るべき対応を冷静に判断するための参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。左脇腹の痛みについて気になる点があればぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【セルフチェック】左脇腹の痛みで受診すべき目安 左脇腹の痛みには、すぐに医療機関を受診すべきケースと、緊急性は高くないものの早めに相談した方が良いケースがあります。 ここでは、左脇腹の痛みで注意したい症状を中心に、受診の目安を解説します。痛みの強さや経過、ほかに伴う症状をもとに、今すぐ受診が必要かどうかを見極めましょう。 すぐに受診すべきケース 次のような症状がみられる場合は、緊急性が高い可能性があるため、早めに医療機関を受診することが重要です。 我慢できないほど強い痛みが急に出た場合 発熱、吐き気、嘔吐、冷や汗などを伴う場合 時間の経過とともに痛みが強くなっている場合 安静にしても痛みがまったく軽減されない場合 日常生活が困難になるほどの痛みがある場合 状態によっては、早期の治療が必要となるケースも考えられます。自己判断せず、できるだけ早く医師の診察を受けてください。 必要に応じて受診すべきケース 以下のような症状は、緊急受診のサインではないケースが多いものの、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 軽度の痛みが数日以上続いている場合 つるような痛みやズキズキする痛みを繰り返す場合 動くと痛む、伸ばすと痛む状態が改善しない場合 痛み以外に違和感や体調不良が続いている場合 痛みの原因に心当たりがなく不安が強い場合 朝だけ腹痛が起こるなど、一定のパターンがある場合 これらは緊急性は高くないものの、早めに医療機関へ相談することで、原因の特定や今後の対応を考えやすくなるケースが多い傾向です。 症状が続く場合や気になる点があるときは、無理に我慢せず受診するようにしましょう。 また、左脇腹の痛みは、大腸がんをはじめとする重篤な病気が背景にあるケースもゼロではありません。より詳しい情報を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 左脇腹の痛みで考えられる主な原因 左脇腹の痛みは、病気だけでなく、姿勢やストレスなど日常生活の過ごし方が影響して起こることもあります。 ここでは、左脇腹の痛みで比較的よくみられる原因について解説します。思い当たる節のある方は参考にしてみてください。 筋肉や姿勢 長時間同じ姿勢で座り続ける、片側だけで荷物を持つなど体の使い方に偏りがあると、脇腹周辺の筋肉に負担がかかりやすくなり、筋肉痛のような症状を感じるケースも少なくありません。 また、筋肉が緊張してつるような痛みや一時的な違和感があらわれるケースもあります。特にデスクワークの方や、無意識に同じ側へ重心をかけている方は、日頃の姿勢や体の使い方を一度振り返ってみましょう。 これらが原因で左脇腹の痛みが出ている場合、安静にすることや姿勢を見直すことで改善が期待できます。 ただし、痛みが長引いたり強くなったりする場合には、別の原因が関係している可能性もあるため、自己判断せずに医療機関の受診を検討しましょう。 ストレスや自律神経の乱れ ストレスが続くと体が緊張状態になり、自律神経のバランスが乱れると、左脇腹をはじめとする腹痛を引き起こす場合があります。自律神経は、腸の動きと深く関係しているためです。(文献1) ストレスや自律神経の乱れによる腹痛の代表例として、「過敏性腸症候群(IBS)」が挙げられます。過敏性腸症候群とは、強いストレスや緊張などが原因で腹痛や下痢・便秘症状を繰り返す状態です。(文献2) ただし、腹痛の原因がすべてストレスによるものとは限りません。症状の出方や経過には個人差があるため、痛みが続く場合や悪化する場合には、経過を観察しながら医療機関で相談することを検討しましょう。 なお、朝だけ腹痛が出るパターンも、ストレスや自律神経の乱れが一因となっている可能性があります。詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 消化器や内臓の異常 左脇腹の周辺には、胃や腸などの消化器、腎臓などの泌尿器が位置しています。これらの内臓が関係している場合、筋肉の痛みとは異なり、鈍い痛みや持続的な違和感として症状があらわれることがあります。 また、発熱や吐き気、食欲不振など、ほかの症状を伴う場合には注意が必要です。内臓由来の痛みが疑われるときは、病気が関係している可能性も考えられます。 左脇腹の痛みで考えられる病気の種類 左脇腹の痛みは、さまざまな病気が関係している可能性があります。原因を大きく整理することで、自分の症状を客観的に捉えやすくなるでしょう。 本章では、左脇腹の痛みから考えられる病気の種類について解説します。 ただし、紹介している内容はあくまで可能性の一例です。痛みの位置や感じ方だけで原因や病気を特定することは困難なため、症状が続く場合や不安がある場合は医療機関へ相談してください。 胃腸(消化器)の病気 胃や腸などの消化器が関係する場合、左脇腹から上腹部・下腹部にかけて痛みを感じることがあります。 考えられる疾患 痛むことが多い部位の例 症状の傾向 胃炎・胃潰瘍 左上腹部から脇腹 食後に腹部が痛むケースが多い 急性膵炎 左脇腹からみぞおち 痛みが徐々に強くなるケースが多い 過敏性腸症候群 左脇腹を含む腹部 腹痛や便通異常を繰り返すケースが多い 痛みの感じ方は多岐にわたり、鈍い痛みやズキズキする痛みだけでなく、チクチクした違和感としてあらわれることも少なくありません。 腎臓(泌尿器)の病気 腎臓や尿路に異常がある場合、背中から左脇腹、腰にかけて痛みを感じることがあります。筋肉の痛みと異なり、動作による影響を受けにくいのが特徴です。 以下は、左脇腹の痛みに関連して考えられる泌尿器系の疾患と、痛みが出やすい部位や症状の傾向の一例です。 考えられる疾患 痛むことが多い部位の例 症状の傾向 尿路結石 脇腹から背中 ・強い痛みを感じるケースがある ・血尿や吐き気を伴うことがある 腎盂腎炎 左脇腹や背中・腰 ・発熱やだるさなどの全身症状を伴うことがある ・膀胱炎に似た症状(残尿感や排尿痛など)を伴うことがある 腎外傷 脇腹 脇腹の痛みのほか、血尿を伴うことがある 泌尿器の病気が関係している場合、左脇腹の痛みだけでなく、血尿や排尿時の違和感など、尿に関する症状を伴うことも少なくありません。 腎臓の病気が疑われるときは、脇腹の痛みとあわせて、尿の変化にも目を向けてみましょう。 筋肉・神経の病気 筋肉や神経が関係する場合に可能性のある病気は以下の通りです。 考えられる疾患 痛むことが多い部位の例 症状の傾向 肋間神経痛 脇腹付近・胸から背中 鋭い痛みを感じることが多い 帯状疱疹 全身(脇腹に多く見られる) 皮膚にピリピリする痛みを感じたり水疱ができたりするケースが多い 肉離れ 足の筋肉・腹筋 筋肉が切れる感覚や音で気づき、その後痛みを感じるケースが多い 筋肉や神経が関係する場合は、動かしたときや姿勢を変えたときに痛みが強くなることがあります。筋肉や神経からくる病気の可能性を疑う際は、整形外科への受診を検討しましょう。 【女性の場合】婦人科系の病気 女性の場合、女性ホルモンの影響や体調の変化によって、左脇腹や下腹部に痛みを感じることがあります。 女性ホルモンに関する痛みには婦人科系の疾患が関係している可能性もあるため、注意が必要です。可能性のある疾患と症状の傾向は、以下のとおりです。 考えられる疾患 痛むことが多い部位の例 症状の傾向 子宮筋腫 左下腹部から脇腹 下腹部で圧迫痛を感じることもある 子宮外妊娠 下腹部から脇腹 下腹部の激しい痛みや不正出血を伴うことがある 子宮内膜症 下腹部 生理中に痛みが強くなるケースがある 婦人科系の疾患は、月経周期やホルモンバランスが影響することもあります。痛みが続く場合や強くなる場合は、早めに婦人科へ相談しましょう。 左脇腹の痛みを和らげるための対処法 左脇腹の痛みの原因が緊急を要する病気でない場合、生活習慣や体の使い方を少し工夫するだけで、不快な症状が軽減される可能性も少なくありません。 本章では、自宅ですぐに取り組める具体的な対処法について解説します。 また、東洋医学的なアプローチとしてツボ押しが痛みの緩和に役立つこともあります。詳細な方法は以下の記事も参考にしてください。 姿勢や動き方を見直して痛みの悪化を防ぐ 筋肉疲労や神経圧迫が痛みの原因となっている場合、患部への物理的な負担を減らすことが第一の対処法となります。 特にデスクワークや長時間の運転など、同じ姿勢が続くと血行不良を招き、筋肉が凝り固まって痛みを悪化させる要因となりかねません。 日頃から以下のポイントを意識し、特定の部位に負荷が集中しないよう心がけることが大切です。 痛みが出る動作は無理に続けない 長時間同じ姿勢を避け、適度に姿勢を変える 急な動きや無理なストレッチを控える 寝る姿勢を工夫する 痛みが強い時は安静が原則ですが、動ける範囲で姿勢を調整することは、筋肉の過度な緊張を解くうえで有効です。無理のない範囲で、日々の生活動作を見直してみてください。 自分に合ったリラックス方法を取り入れる 精神的なストレスや緊張状態が続くと、自律神経のバランスが乱れ、痛みに対する感受性が高まってしまうことがあります。 特に左脇腹には大腸の一部が存在するため、ストレスによる腸の蠕動(ぜんどう)運動の異常が、痛みの引き金になるケースも珍しくありません。以下のような習慣を取り入れ、ストレスをため込まないよう心がけることが大切です。 ウォーキングなどで血行を促し、筋肉をほぐす 瞑想や深呼吸で、意識的に呼吸を整え、心の緊張を和らげる ぬるめのお湯にゆっくり浸かり、副交感神経を優位にする 就寝前のスマホを控え、質の高い睡眠を確保する 自身のライフスタイルに合わせ、継続しやすい方法を取り入れていきましょう。 左脇腹の痛みの対処法とあわせて、より詳しい治療法やケア方法を知りたい方は、以下のページもご覧ください。 左脇腹の痛みの原因と症状をチェックして適切に対処しよう 左脇腹の痛みは、筋肉や姿勢、ストレスなど日常生活が関係している場合もあれば、消化器や腎臓など病気が関係していることもあります。自己判断で決めつけず、まずは症状を整理し、緊急性があるかどうかを確認することが大切です。 痛みが軽く一時的なものであれば、姿勢の見直しやリラックスなどのセルフケアで様子を見る選択も考えられます。ただし、痛みが続く場合や不安が強い場合は、早めに医療機関へ相談するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療に関する情報提供や簡易的なオンライン診断を行っています。腹痛の症状について気になることや不安がある方は、情報収集の一つとして、公式LINEのご案内も参考にしてみてください。 左脇腹の痛みに関するよくある質問 左脇腹がつるように痛むのはなぜですか? 左脇腹がつるように痛む原因のひとつに、筋肉の緊張や神経への刺激が挙げられます。長時間同じ姿勢を続けていたり、急な動きによって筋肉が緊張したりすると、脇腹周辺に一時的なつっぱり感やつるような痛みを感じることがあります。 また、腹部にガスがたまることでも、腸が内側から押されるような感覚が生じ「つるような違和感」としてあらわれる場合も少なくありません。特に食生活の乱れやストレスが続いていると、こうした症状が起こりやすくなることがあるため、注意が必要です。 痛みが頻繁に起こる場合や強くなる場合は他の原因が関係している可能性もあるため、医療機関への受診も検討してみてください。 お腹の左側が痛むのはストレスが原因ですか? お腹の左側の痛みは、ストレスが関係しているケースも少なくありません。ストレスが続くと自律神経のバランスが乱れて腸の動きに影響が出て腹痛や違和感としてあらわれることがあるためです。 ただし、左側の腹痛がすべてストレスによるものとは限りません。筋肉や姿勢の影響、消化器や泌尿器の不調など、他の原因が関係しているケースもあります。痛みが続く場合や、発熱・吐き気などの症状を伴う場合は、ストレスだけと決めつけず、医療機関で相談することも大切です。 参考文献 (文献1) 自律神経と消化器症状|本郷 道夫 (文献2) 日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)|日本消化器病学会
2026.01.31 -
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大腸がんの治療中に「何を食べれば良いのか」「手術前後で食事はどう変わるのか」と悩む方は少なくありません。 医師から食事制限のアドバイスをされても、具体的にどのような食材を選べば良いのかわからず、不安を感じることもあるでしょう。 食事管理は大腸がん治療を支える重要な要素のひとつです。適切な食事を心がけることで体への負担を抑え、回復を後押しできます。 本記事では、治療段階ごとの食事の注意点や取り入れたい食品・避けたい食品、さらに取り入れやすいレシピまで解説します。正しい食事管理を知り、より適した治療を行うための参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる方は今すぐ登録して、内容をチェックしてみてください。 大腸がんにおける「食事」の重要性 大腸がんの治療では、手術や抗がん剤といった医療行為だけでなく、日々の食事が体調や回復を左右する重要な要素となります。 ここでは、大腸がんの治療段階ごとに、食事でとくに気をつけたいポイントを解説します。本章を参考に、該当する治療段階の食事の注意点を把握しましょう。 手術前後|腸への負担軽減と合併症(腸閉塞)予防 大腸がんの手術前後は、腸への負担を抑え、腸閉塞などの合併症を防ぐことが重要です。 手術前は、過度な食物繊維や高脂肪食、胃腸に負担のかかる食品を控え、消化の良い食事を心がけましょう。手術前日は食事を中止することが多いため、医師の指示の確認が必要です。 手術後は腸が回復途中のため、引き続き腸への刺激を避けた食事管理が必要です。入院中は流動食から始めて徐々に常食へ移行しますが、その後も海藻やきのこ、ごぼうなど食物繊維を多量に含む食品や揚げ物、刺激物は控えましょう。 退院後も術後3カ月程度は腸の動きが不安定なため、水分を十分に摂り、よく噛んでゆっくり食べることが大切です。とくに便秘や下痢の症状が生じているときは、こまめな水分補給を心がけましょう。 抗がん剤治療中|副作用による食欲不振対策・体力の維持 抗がん剤治療中は、薬の副作用として食欲不振や味覚の変化などが起こりやすく、普段どおりの食事が難しくなる場合があります。 副作用が強い日は無理に食べようとせず、こまめな水分補給が優先されます。また、抗がん剤の副作用は人によって異なるため、症状に合わせて以下のように食事の摂り方を工夫するのもおすすめです。 症状 対応方法の例 食欲低下 1回量を少なめにし、回数を増やして少量ずつ食べる 味覚異常 甘さや酸味など、味覚の変化に合わせた味付けを試す このような対策を取り入れながら、無理のない範囲で栄養不足を防ぎ、体力の維持を心がけましょう。 予防・再発防止|発症リスクを下げるための腸内環境づくり 大腸がんの予防や再発防止を目的とする場合、腸内環境を整える生活習慣と食事が重要です。過度な飲酒や喫煙は大腸がんの発症リスクを高めるため、できるだけ控えましょう。 食事面では、カルシウムや食物繊維の適切な摂取が、腸内環境の改善や大腸がんリスク低下につながるとされています。(文献1)(文献2) ただし、治療中や術後は腸閉塞を招く恐れがあるため、食物繊維には注意が必要です。治療中は控え、医師の許可が出てから予防・再発防止として取り入れるようにしましょう。 また、ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉の過剰摂取は控えることが推奨されます。加工肉に含まれる亜硝酸塩や、調理・加工の過程で生成される発がん性物質が大腸に悪影響を及ぼすリスクがあるためです。 予防や再発防止の観点から、加工肉の摂取は意識的に減らしていきましょう。 大腸がんの治療・予防におすすめの食事 治療や予防のための食事では、消化が良く栄養バランスの整った食品を選ぶことが大切です。とくに治療中や術後は、腸への負担を抑えながら、体力の回復や維持に役立つ食材を意識して取り入れましょう。 以下は、大腸がんの治療中や術後におすすめの食品例です。 食品群 おすすめの食品例 たんぱく質類 ・鶏ささみ ・卵 ・乳製品(ヨーグルト・牛乳など) 果物 ・バナナ ・桃 ・りんご ※缶詰を使う、軟らかく加熱調理するなどの工夫がおすすめ 主食 ・おかゆ ・うどん ・食パン とくに術後は腸への負担を考慮しながら、消化に良く体力の回復に役立つ食品を毎食に少しずつ取り入れるようにしましょう。 また、大腸がんの予防には全粒穀類(玄米やオートミールなど)、食物繊維を含む食品、乳製品などを積極的に取り入れるのもおすすめです。 大腸がんの治療・予防のために避けたい食事 大腸がんの治療中や術後、また予防・再発防止を意識する段階では、腸に負担をかける食事を避けることが重要です。治療・予防のいずれの場合でも、以下のような食品は腸への負担となりやすいため、過度な摂取は控えましょう。 高脂肪食(揚げ物、脂身の多い肉など) アルコール・カフェインを含む飲み物 辛味や塩味が強い刺激物 その他、とくに注意したいのが食物繊維を過剰に含む食品です。海藻類・きのこ類・ごぼう・たけのこなどは食物繊維が豊富で、予防の観点では有用とされています。(文献2)ただし、治療中や術後は腸内で詰まりやすく、腸閉塞のリスクを高める恐れがあるため控えましょう。 また、大腸がんの予防の観点では、赤肉と呼ばれる牛、豚、羊、馬、ヤギの肉も、過剰摂取を控えるべきとされています。 病状や治療内容によって必要な食事制限は異なります。医師や管理栄養士から個別に指示がある場合は、それを最優先で守るようにしましょう。 大腸がんの食事でおすすめのレシピ ここからは、治療や目的の段階に応じたおすすめレシピの一例をご紹介します。 手術前後の場合 抗がん剤治療中の場合 発症予防・再発防止が目的の場合 それぞれの体調や治療状況に合わせ、毎日の食事づくりの参考にしてください。 手術前後の場合 大腸がんの手術後は、消化に負担をかけない食品から始め、腸の回復を促す段階的な食事が大切です。とくに食物繊維や消化の悪い食品は控える必要があります。 以下は、手術前後に取り入れやすい消化に優しいメニューの一例です。 分類 メニュー例 主食 おかゆ、食パン 主菜 ロールキャベツ、魚の塩焼き 汁物 ポトフ、味噌汁 食事は1日3食を基本に、小分けにして少量ずつ摂ると腸への負担がさらに軽減します。退院後も腸の状態に合わせて少しずつ通常の食材や食感へ戻していきましょう。 医師や管理栄養士から個別に栄養指導があった場合は、その内容・方針を厳守してください。 抗がん剤治療中の場合 抗がん剤治療中は、副作用として食欲不振や味覚の変化、吐き気などが出やすく、普段の食事が負担に感じられることがあります。 治療中で食事に支障を感じている場合は、症状に合わせて食べやすいメニューを選ぶことが大切です。以下は、症状別に取り入れやすいレシピの一例です。 症状 おすすめのレシピ例 食欲不振・吐き気 ・麺類 ・豆腐や卵料理 ・塩分抑えめの漬物や酢料理 味覚障害 ・蒸し野菜(好みの味のソースやタレをかける) ・酢料理 ・だしを効かせた料理 また、調理の際は食材を細かく刻んだり、とろみをつけたりすることで、のど越しが良くなり摂取しやすくなります。 副作用が強いときは体調に合わせて食べられそうなものを選び、少量を数回に分けて食べることを心がけましょう。 発症予防・再発防止が目的の場合 大腸がんの発症予防や再発防止を目指す場合、腸に負担をかけにくい食品を基本に、栄養バランスの整った食事を継続することが大切です。 糖質や脂質を過度に摂り過ぎないよう注意しながら、たんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランス良く取り入れましょう。 以下は、予防を意識したメニューの一例です。 分類 メニュー例 主食 雑穀ご飯、玄米入りご飯 主菜 焼き魚、豆腐ハンバーグ 副菜 納豆、温野菜 汁物 具材を豊富に入れた味噌汁 大腸がんの発症または再発予防を目的とした食事は、日々の食習慣の積み重ねが大きく影響します。無理に特別な食品を増やさずに毎日の食事でバランスを意識し、手に入れやすい食材で続けられる食生活を心がけましょう。 正しい食事管理で大腸がんの治療を支えよう 正しい食事管理は、大腸がんの治療や合併症の予防、生活の質を支える重要な要素です。手術前後や抗がん剤治療中など、それぞれの段階に合った食事を選び、必要な栄養を補う食習慣を身につけましょう。 本記事でご紹介した内容が、ご自身やご家族の治療中・治療後の食生活を支える一助になれば幸いです。 栄養管理や治療後の体調に不安のある方は、再生医療を専門とするリペアセルクリニックの公式LINEでの無料相談もご活用ください。 大腸がんの食事についてよくある質問 食事が原因で大腸がんになることはある? 大腸がんは、特定の食品を「1つ食べたら必ず発症する」といった単純な原因で起こるものではありません。ただし、長年にわたる食習慣は、発症リスクに影響する懸念があるとされています。(文献3) たとえば以下のような食事を多く摂る生活が続くと、発症リスクが高まる可能性が考えられます。 ハムやソーセージなどの加工肉 糖質・甘味料が過剰に含まれた飲み物(清涼飲料水等) 揚げ物やステーキなどの高脂肪食 これらの食品を日常的に摂り過ぎないよう意識し、栄養バランスの整った食事を心がけることが、大腸がん予防につながります。 なお、大腸がんの原因については以下の記事にてより詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。 大腸がんの予防におすすめの食事は? 予防におすすめの食事は以下の通りです。 おすすめの食事 具体例 食物繊維が豊富な野菜・果物 ※ 大腸がんの治療中や術後など、腸に負担をかけたくない時期は控える ・野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) ・根菜類(にんじん、ごぼうなど) ・果物(バナナ、りんごなど) カルシウム・ビタミンDが豊富な食材 ・牛乳 ・小魚 発酵食品 ・納豆 ・味噌 ・ヨーグルト 大腸がんの予防は、一時的な食事制限ではなく、日々の食習慣の積み重ねでリスクを下げていくことが大切です。 バランスの良い食事は、体の免疫力や回復力を高める土台にもなります。無理なく続けられる食品選びと調理方法を意識し、健康な食生活を目指しましょう。 生活習慣の改善は大腸がん予防の基本ですが「体の内側から免疫機能を高めたい」とお考えの方には、再生医療を活用する選択肢もあります。 リペアセルクリニックでは、免疫細胞の働きに着目した再生医療(免疫細胞療法)に関する情報提供を行っております。再生医療についての情報は、公式LINEで受け取ることができます。「まずは情報だけ知りたい」「自分や家族の状態でも相談できるのか不安」とお考えの方は、ぜひ登録してみてください。 大腸がんの手術後、食事制限はいつまで続きますか? 大腸がんの手術後の食事制限は、一般的に3カ月程度が目安です。術後は腸の機能がまだ十分に回復していないため、食物繊維を多量に含む食品や消化しにくい食べ物は控えましょう。 手術直後の入院中から重湯やおかゆなどの消化の良い食事から開始し、腸の状態を確認しながら段階的に食事内容を進めていくのが一般的です。問題がなければ、徐々に普通食へと戻します。 ただし、食事制限が必要な期間は、切除した腸の範囲や手術方法、術後の回復状況によって個人差があります。食事について医師から指示があれば、必ず従いましょう。 参考文献 文献1 Dietary calcium, vitamin D, and the risk of colorectal cancer - PubMed 文献2 食物繊維摂取と大腸がん罹患との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 文献3 Dietary patterns and colorectal cancer risk in middle-aged adults: A large population-based prospective cohort study - PubMed
2026.01.26 -
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なぜ「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見があるのでしょうか。それは高齢になるほどに、腸閉塞や腸穿孔などの合併症のリスクが高まるためであると考えられます。 本記事では「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見がある理由の詳細をはじめとして以下を解説します。 高齢者の検査のリスク 検査を受ける必要性 検査を受けられない人 検査の流れと費用 大腸がんの予防方法 検査を受けるべきかどうかは、その人の健康状態によって異なります。リスクを考慮した選択をするために本記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな病気の治療に応用されている再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 がん予防に関する再生医療について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEをご利用ください。 なぜ「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見があるのか 「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見がある理由は、高齢者に対する内視鏡検査は、身体に与える負担や合併症のリスクが高いためと考えられます。 年齢が上がるほどリスクも増加し合併症の発生率は50〜64歳の方と比較して、75〜85歳の方は3倍ほど高いとの報告があります。(文献1)検査の利益がリスクを上回らない場合もあるため、慎重な選択をしなければなりません。 高齢者の大腸内視鏡検査のリスク 高齢者は大腸内視鏡検査により、以下のような合併症のリスクが高まるため、慎重に判断する必要があります。 腸閉塞 腸管穿孔 敗血症 それぞれの合併症について詳しく解説します。 腸閉塞 腸閉塞とは、なんらかの原因により腸管が塞がれてしまった状態のことです。もともと腸が狭くなっている方は、検査前に下剤や腸管洗浄剤を服用することで腸閉塞が誘発されるリスクがあります。 腸閉塞を疑う症状は以下の通りです。 冷汗 腹痛 吐き気・嘔吐 腹部の張り とくに自宅で下剤を服用する場合は、これらの徴候が見逃されるおそれがあります。検査前に腸管の通過障害がないか確認が必要です。 腸管穿孔 腸管穿孔とは、胃や腸に穴があいてしまった状態のことです。前処置で行う下剤や腸管洗浄剤を服用したことにより、腸管の内圧が急激に上昇して引き起こされることがあります。 腸管穿孔が起きると以下のような症状が現れます。 激しい腹痛 腹部の張り 吐き気・嘔吐 発熱 こちらも腸管の通過障害がリスクとなるため、検査の前に評価をしなければなりません。 敗血症 敗血症とは、感染症がきっかけとなり体の防御反応が過剰に働いてしまうことで、全身に深刻な影響が及ぶ状態を指します。 進行すると意識障害や全身への血流低下などが現れ、命に関わる危険な状態になるおそれがあります。大腸内視鏡検査においては、腸閉塞や腸管穿孔が起きた際に敗血症が発症するリスクがあります。 腸閉塞や腸管穿孔により、腸管を保護する機能が壊れてしまい、腸管の細菌や毒素が体内に巡ってしまうためです。敗血症のリスクもあるため、腸閉塞や腸管穿孔を疑う症状には十分な注意が必要です。 65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受ける必要性 大腸がんの発症率は40歳代あたりから上昇します。とくに50歳代以降からは年齢が上がるにつれて、発症率が高くなっています。(文献2)しかし、65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受けるかどうかの必要性は、本人の健康状態と医師の判断によります。 なお、国立がん研究センターによる有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(2024年度版)においては、大腸内視鏡検査を対策型検診(公共政策として行う検診)として実施しないことを推奨しています。(文献1) これは年代関係なく初回の大腸内視鏡検査が「異常なし」であったにも関わらず、大腸内視鏡検査を継続的に受けることは、得られる利益よりも不利益が上回るためです。さらに、利益と不利益に関する情報について検査を受ける人と医療者で、適切に共有して判断できる仕組みを整えることが必要だと言われています。 大腸内視鏡検査を受けられない人 以下に該当する方は、腸閉塞や腸管穿孔のリスクがあるため大腸内視鏡検査を受けることは困難です。 急激に発症した腹痛がある方 腹膜に炎症がある方 腸管の通過障害がある方 そのほかにも、検査への協力が困難な障害者や認知症の患者様は、検査方法を個別に検討する必要があります。 一般的な大腸内視鏡検査の流れと費用 大腸内視鏡検査には、入院して下剤を服用する院内法と自宅で下剤を服用する在宅法があります。 下剤や腸管洗浄剤を服用して、準備が整ったら以下のように検査は進みます。 検査着に着替えて検査室に案内してもらう 腸の働きを抑える鎮痙剤(ちんけいざい)を注射する 体の左側を下にして検査台に横になる 肛門から内視鏡を挿入して腸管内を観察する 鎮痛剤や鎮静剤を投与した場合は、検査終了後にリカバリールームで1時間ほど安静にする 検査が始まると内視鏡を適切に挿入するために体の向きを変えたり、腹部を押さえたりすることもあります。強い痛みが現れた際は医師に伝えてください。 検査自体は通常15〜30分程度で終了します。便潜血検査で陽性となり、医師が検査を必要と判断した場合は保険が適用され自己負担は3割になります。費用は医療機関によって異なるため、受診予定の医療機関のホームページなどを確認してください。 大腸がんの予防方法 大腸がんの予防方法として以下が挙げられます。 定期的に検診を受ける 食生活の乱れを改善する 免疫力を高める それぞれの詳細を解説します。 定期的に検診を受ける 大腸がんを予防するには、定期的に検診を受けることが重要です。便潜血検査では、微量な出血でもポリープを発見できる可能性があるためです。がん化するおそれのあるポリープを早期に発見して、取り除くことができれば大腸がんの予防につながります。 日本においては、40歳以上の方は年に1回の便潜血検査が推奨されています。(文献3)便潜血検査で陽性反応が出た場合は、大腸内視鏡検査や大腸CT検査が選択肢として挙げられます。 食生活の乱れを改善する 大腸がんは食生活と密接に関連しており、食生活の改善で予防できる可能性があります。 以下のポイントを参考にして食生活の改善を心がけましょう。 食生活の改善のポイント 詳細 食物繊維を十分に摂る ・十分な量の食物繊維の摂取は大腸がんの予防効果があるとされている ・しかし、多数ある食物繊維に関する研究結果は一致していない 肉類の過剰摂取は避ける ・赤身肉を多量に摂取すると大腸がんのリスクが高まる ・赤身肉の摂取量は週に500gまでとする 加工肉の摂取は極力避ける ・ソーセージやハム、ベーコンなどはがんのリスクを高める ・1日50gの摂取で大腸がんのリスクが1割増加すると報告がある お酒を飲み過ぎない ・毎日2合以上お酒を飲む人は飲まない人と比較して、2.1倍の大腸がんのリスクがある ・飲酒しないことが最も良いとされている (文献4)(文献5)(文献6) そのほかにも適正体重の維持や適度な運動習慣も重要とされています。 免疫力を高める 免疫力が低下すると、発生したがん細胞を消滅させることができなくなり、がんの発症リスクが高まります。免疫力を高めるには、前述した食生活の改善などが重要です。 また、免疫力を高める食生活の一例として以下が挙げられます。 炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取する 青魚に豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の摂取割合を増やす 強い抗酸化作用のある緑黄色野菜や淡色野菜などを積極的に摂取する ほかにも、免疫力を高める再生医療という選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、がん予防のために免疫力を高める再生医療を行っています。詳しくは、以下のページをご覧ください。 まとめ|65歳以上の方で大腸内視鏡検査を受けるかは医師に相談しよう 65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受けるべきかは、本人の健康状態と医師の判断によって異なります。年齢が上がるほどに、検査時の腸閉塞や腸管穿孔、敗血症などのリスクが高まります。これらのリスクを考慮して、自身で納得できる判断をしなければなりません。 また、入院をする院内法を選択すれば、合併症を疑う症状が現れた際に迅速な対応ができます。しかし、自宅で下剤を服用して検査を受ける在宅法の場合は、医療機関に到着するまで対応が遅れることを考慮する必要があります。これらの検査の受け方も十分に検討しましょう。 65歳以上の大腸内視鏡検査に関するよくある質問 Q.高齢者が受けるには入院が必要? 大腸内視鏡検査では、自宅で下剤を服用する在宅法と、入院して下剤を服用する院内法を選択できます。院内法では、医療者が患者様の状態を確認できるため、合併症が疑われた際に迅速な対応が可能です。 Q.70、80、90歳代でも受けるべき? 70歳以上の方が受けるべきかどうかは、その人の健康状態と医師の判断によります。検査による利益と不利益を考慮して、医師と相談しながら検討する必要があります。 Q.異常なしから何年後に受けるべき? 大腸内視鏡検査を受けたあと「異常なし」と診断された場合は、通常の検診に戻ります。ポリープが発見された場合は、数や大きさによって大腸がんのリスクが高まるため、1〜5年後の間で再度大腸内視鏡検査を受けることを推奨されます。 Q.何歳まで受けられるのか? 日本の場合は年齢制限を設けていません。任意であれば何歳でも受けることができます。しかし、高齢であるほどに事前の診察と医師との相談が重要になります。 参考文献 (文献1) 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版|国立がん研究センター (文献2) 大腸がんとは|国立がん研究センター (文献3) 大腸がん検査について|国立がん研究センター (文献4) がん予防|厚生労働省 (文献5) 大腸がん予防及び治療後の再発予防のための食事|耳原総合病院 (文献6) 米飯摂取と大腸がんとの関連について|がん対策研究所
2026.01.26







