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糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 糖尿病には、その発症状況から、いくつかのタイプがあることが判明しています。ただ、その中でも自己免疫の異常によって引き起こされる「1型糖尿病」は、完全に予防できる方法が発見されていません。 その一方で、日頃の生活習慣が関与している「2型糖尿病」、あるいは妊娠を契機に発症する「妊娠糖尿病」は生活習慣やライフスタイルを見直すことで、それらの発症自体や、症状悪化を一定の割合で回避または改善することが可能です。 そこで本稿では、この2型糖尿病について、その改善方法を記してまいります。(以下に記す「糖尿病」の表記は、2型糖尿病を指すものとします) 糖尿病は、規則正しい食生活の改善は勿論のこと、日常から意識して身体を動かすなどの運動を実践することが大切です。それにより、ストレスも発散できるように努めることが重要です。 運動を行うことにより、心身共に健やかに保つことが改善はもちろん、予防にも効果的です。以下、糖尿病を改善し、予防に有効な「運動に関する情報」を詳細に紹介してまいります。 1型糖尿病 ・治療、予防が難しい 2型糖尿病 妊娠糖尿病 ・予防が可能 ・生活習慣やライフスタイルを見直す ・規則正しい食生活 ・適度な運動(ストレス発散) 糖尿病を予防し、改善に効果的な運動 運動を継続的に実行することは、食事による療法と並んで糖尿病における治療の基本となっています。 特に「2型糖尿病」における発症要因として、「肥満体形」「過食傾向」「運動不足」の関与が強く疑われており、運動することでエネルギーを消費し、ストレスも解消し、肥満を撃退できるのみならず、運動を行えば筋肉活動量が向上して「インスリン機能を改善」ずる効果を期待できます。 糖尿病の発症要因 ・肥満体形 ・過食傾向 ・運動不足 糖尿病の改善効果をあげるための心掛け 運動を行うタイミングについて食事を摂取した直後は、なるべく控えたほうが良いものの、食後1時間程度を経過してから行うことができれば、食事から取り込まれたブドウ糖や脂肪成分の利用を効率的に促進することができ、血糖値を有効的に下げられる可能性があります。 食後に血糖値をさげるために ・食後1時間程度、経過後に運動を行う ・ブドウ糖、脂肪成分を効率的に促進できる ・血糖値を有効的に下げられる可能性が高い 血糖値を良好にコントロールしてその状態を維持するには、運動と食事は両輪での対策が必要です。治療効果としては、どちらか一方が欠けてもうまく制御することができません。 注意したいのは、「毎日運動しているから!」という理由で、入念な食事療法を怠ることです。その反対も同じです。「食事療法しているから」と運動を避けるのは避けたいものです。 片方だけを頑張るのではなく、食事も運動も双方を取り入れて有効な予防、回復効果を目指しましょう。 運動 + 食事 = 予防、改善(どちらかに偏らないバランスが大切) 運動の方法 糖尿病の運動療法について、ダンベルや、重りなど、器具を用いて筋肉に負荷をかけるようなトレーニングジムで行う運動(レジスタンス運動)よりも、一般的で手軽にできるウォーキングや、ジョギング、水泳などの全身を使った有酸素運動が適しています。 なぜならば有酸素運動を継続して実践することでインスリンの働きがよくなり血糖値を上手く調整しやすくなるからと考えられています。 したがって、糖尿病における運動療法は、まずは運動不足を改善させる有酸素運動から始めるべきです。その上で余裕が出てくれば次のステップとして、身体に負荷をかけるレジスタンス運動を検討すれば良いと思われます。 具体的な、有酸素運動(ウオーキングやジョギング等)については、少なくとも週に3回は、一回当たり40分~60分間程度行うことが理想です。 これは通常、「糖の代謝が改善する期間」が運動してから、およそ半日から3日間前後持続することから導いたもので、血糖値を上手く制御するためには運動行為を1週間のなかで3日間は実践することが理想的だからです。 有酸素運動の実施 ・週に3回(一回当たり40分~60分間程度) 現在が運送不足の状態として、一念発起し、一気にやり始めるのではなく、毎日少しずつ取り組まれ、週3回、行うことを目指しましょう。無理は禁物ですがコツコツとした継続は、大きな力になってくれます。 運動の長さは、このような有酸素運動では、週当たり150分(2時間30分)以上、一回あたり50分を確保するのが理想ですが、無理は禁物です。可能な時間から徐々に行い、最終的にそうなることを目標にしましょう。継続は力です! 運動の開始時間 食事後1時間程度経過してから 効果的にするために 運動だけに偏らない、食事療法も一体で行う 運動内容 ウオーキング、ジョギング等の有酸素運動 回数 週3回を目途、間隔を3日空けない 時間 一回当たり30分~60分程度 1型糖尿病の場合には、2型糖尿病と異なってインスリンを分泌する膵臓細胞が壊れてしまうことで発症するため、インスリン機能そのものの回復を期待できるような治療効果は期待できません。 いかし、運動することで心身の健全な発達やストレス解消に貢献するため、けして無駄ではありません。 糖尿病の運動療法の効果 このような運動療法の効果は数々考えられており、運動することで血液中のブドウ糖が筋肉にとり込まれやすくなることでブドウ糖などの利用が促される結果、血糖値が下がる現象が認められます。 特に2型糖尿病では低下したインスリン機能が改善すると言われています。 また、このような運動は糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症の改善にも役立ち、エネルギー消費のバランスが安定化することで減量に繋がって肥満を防止することにも貢献します。 さらに運動を実行すれば加齢に伴って起こる筋肉の衰弱や、骨粗鬆症を改善できる期待を持てるばかりか、それ以外に心肺機能が高まるのみならず爽快感が向上してストレスを解消させる効果をも併せて考慮できるのです。 実際に、運動療法を実践する場合は、事前に準備運動やストレッチを丹念に行って軽い動作から開始し、徐々に運動強度を高めていくように意識しましょう。 実施にあたっては、適宜体調に合わせて、無理をしないように継続できる運動の種類を選択するように心がけましょう。 運動療法の効果 ・ブドウ糖が筋肉にとり込まれ血糖値が下がる ・低下したインスリン機能が改善する ・高血圧や脂質異常症の改善にも役立つ ・エネルギーの消費で肥満の防止 ・加齢による筋肉の改善 ・骨粗鬆症の改善を期待 ・心肺機能が高まる ・ストレスの解消効果 まとめ・糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 今回は糖尿病を予防して改善するための運動について詳しく紹介しました。 糖尿病の発症を防ぎ、症状を改善させるために運動は有効的であり、特に有酸素運動である歩行運動をする際には1日あたり1万歩以上を目標にして、1週間に少なくとも3日間以上の頻度でウォーキングエクササイズを実行することがお勧めされています。 いつでも、どこでも、一人だけでも実践しやすい歩行運動などは常日頃から多忙でまとまった時間が確保できない方でも通勤や通学中などでも行うことが可能ですし、どこまで運動強度を上げていいか不安に感じる患者さんはかかりつけ医ともよく相談してみましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼糖尿病の合併症|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下、食生活の改善についてもご参考にしていただけます 糖尿病|食事で予防、食生活のチェックや見直しで悪化や合併症を防ぐ
公開日:2024.10.07 -
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肝臓の重要な働きと注意すべき気について解説 肝臓とは、人間が生きて行く上で重要な働きを有する大切な臓器であることはご存知かと思います。では、肝臓がなぜ重要でどのような働きを行っているかご存知でしょうか? 肝臓は、人体の腹部内において右上の肋骨に位置する臓器であり、成人では約1kg以上もの重量がある臓器で体重の50分の1にあたるほどの存在感があります。 肝臓という臓器の役割は、栄養素などを含めて様々な物質を化学的に変化させる機能を有していて人間の身体の中で最大の代謝機能を司る重要な臓器です。 この臓器は、日々何千という生体酵素を介して500種類以上の複雑な代謝過程を起こしており、肝臓が元気であることは、その他のすべての器官や臓器にとっても非常に重要なことと言えるのです。 そこで今回は、「肝臓の役割」と「肝臓に関する主な病気」に関して詳しく解説していきます。 肝臓の働きと役割 肝臓は多くの働きをする臓器ですが、その中でも大きく4つの事項に分けることができます。ただ、肝臓の働きは多岐にわたります。 本稿では働きを便宜上4つに分けて示しましたが代謝と備蓄を別にとらえたり、免疫を含めなかったり、色々な面から解説されています。そのため、肝臓の働きを4つと限定するものではないのでご注意ください。 肝臓の4つの役割 1.胆汁を作る(脂肪成分を消化するための液体) 2.代謝、栄養素(エネルギー)を貯える 3.有害な同素等の中和、解毒 4.免疫機能 1)胆汁を作る 胆汁は、食べ物の中に含まれる脂肪成分などを消化するために必要な液体の分泌物であり、おおむね黄緑色の色調を呈しています。 胆汁は、肝臓における細胞から絶えず分泌されており、肝細胞レベルでは脾臓から運搬されてきたビリルビンという黄色の色素性成分を水に溶けやすいように変化させています。 2)栄養素を貯えて変化させる 普段私たちが摂取している多くの食べ物はそのままの状態では身体に吸収されませんので、有効な栄養素として効率よく吸収できるように肝臓で代謝することが必要になります。 肝臓は糖や脂質における代謝という観点においても中心的な役割を果たしている臓器のひとつです。例えば、炭水化物から摂取されるブドウ糖成分をグリコーゲンという物質に変化させた状態で体内に貯えることができます。 その上で、必要な時に合わせてエネルギーとして使用できるよう肝臓外の体内へ送り出す機能も有しています。 更に骨髄という場所で赤血球などの血液成分を作成するために必要な物質である葉酸やビタミンB12を貯蔵し、必要時に分配する役割も担っています。 ほかにも、たんぱく質から摂取されるアミノ酸成分からアルブミンとフィブリノゲンという物質を作って血中に循環させる機能を持っています。 3)解毒作用を有している 肝臓は生体にとって極めて重要な機能を司っており、体内に侵入した毒物を分解して毒性のない物質に変換することが出来ます。例えば、飲酒時のアルコールを中和したり、喫煙では、ニコチンを人体にとって無害なものへと中和して解毒する作用を有しています。 また、体内に乳酸が余分に溜まると倦怠感を自覚すると言われていますが、肝臓内においてはその乳酸成分をグリコーゲンに変化させることが出来ます。 4)免疫細胞が活躍 肝臓内においてクッパー細胞と呼ばれる重要なセル成分が生体に入ってきた異物を貪食する、あるいはナチュラルキラー(NK)細胞がウイルスに感染した細胞や老廃物を処理するなど免疫機構にとって重要な細胞に対して肝臓は指令する重大な働きを担っているのです。 肝臓の注意が必要な病気とは ここでは、肝臓に関連する非常に怖い病気について、いくつか紹介していきます。 急性肝炎 まずは、「急性肝炎」に関してご説明いたします。この病気は、肝炎ウイルスやアルコール、薬剤などの影響によって肝臓内に存在する細胞が破壊されて強い炎症所見を呈するものです。 例えば、「アルコール性肝炎」は、飲酒の習慣化し、その量が多い場合に起こりやすい疾患です。肝臓に脂肪が蓄積されることで炎症が起こります。また、飲酒の習慣が内にも関わらずアルコール性肝炎似ている症状で肝臓に脂肪が蓄積し炎症が起こす「非アルコール性肝炎」というものもあります。 肝炎ウイルス(A・B・C・E型/Dもあるが日本ではあまり見られない)に感染する「ウイルス性肝炎」の場合、数週間から数カ月経過して身体の倦怠感、食欲不振、白目や皮膚が黄染される黄疸などの症状が出現すると言われています。 これらの疾患では、原因となっている「飲酒をやめる」、原因となる「ウイルスを排除」する、原因となっている「薬剤を中止」するなどの対応ができれば、数カ月単位で症状が改善していく傾向があります。 慢性肝炎 次に、「慢性肝炎」に関して説明します。この病気は、急性肝炎とは異なりおよそ半年以上に渡って肝臓自体の炎症が継続している状態を指しています。 主な発症要因としては、急性肝炎が完全に治りきらない状態が続くために引き起こされますが、本疾患における自覚症状が非常に軽微であるために健康診断の血液検査でたまたま発見されることのほうが多いと言われています。 仮にそのまま放置すると肝硬変や肝臓癌などに移行することもあると問題視されているため、健康診断の数値などに対して十分に注意を払う必要があります。異常な数値がみられる場葵は早期に病院等、医療機関の早期受診をお勧めします。 肝硬変 そして、次に「肝硬変」という病気を紹介したいと思います。 この病気は皆さんもよく耳にする機会が多いかもしれませんが、慢性肝炎などによって肝臓内の細胞が破壊されて修復再生を繰り返すうちに、肝臓組織が繊維化されて固くなってしまう特徴を有していることから名づけられた疾患です。 肝臓における重要な機能や役割が低下して、元の正常な状態に改善できなくなってしまい、肝細胞癌など悪性腫瘍病変に進展してしまうことも十分に考えられます。 初期にはほとんど有意な症状を認めないことが多いですが、進行するにしたがって倦怠感や吐き気、あるいは体重減少など多彩な症状が出現することが知られています。 さらに病状が悪化すると、四肢の浮腫像や腹部膨満感、そして全身が黄色く染まる黄疸と呼ばれる症状などが自覚されることになります。 肝臓病の例 ・急性肝炎 ・慢性肝炎 ・アルコール性肝炎 ・非アルコール性肝炎 ・ウイルス性肝炎 ・肝硬変 ・肝臓がん まとめ・肝臓の病気は怖いのでくれぐれもご注意ください 今回は、肝臓の役割と肝臓に関する主な病気に焦点を当ててご紹介してまいりました。肝臓という臓器は身体にとって非常に重要な役割を数多く有している大切な臓器です。組織を修復する能力や代償する機能にも優れています。 今回、代表的な肝臓の病気をご紹介しましたが、皆様ご存じの通り、肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。通常、わたしたちは体のどこかに異常があると、何かしらかの痛みを自覚するなど、様々な自然反応が出現します。 これに対して、肝臓は非常に我慢強く、多少の異常が起こっても症状が乏しい特徴があります。そのため、病変の存在に気付きにくく、知らぬ間に病状が進行していることが往々にしてあります。 ある意味、非常に怖い臓器なのです。注意して見守ってやらねばなりません。 したがって、定期的な健康診断などを受診して自分の肝臓が正常に機能しているかどうかを評価することは大変重要なことですし、実際に肝臓病になって出現する症状は個々で異なる場合も考えられますので、不安であれば主治医や肝臓専門医に相談しましょう。 また自身で予防できることとして、「暴飲暴食などの習慣化を避ける」だけでも一部の肝臓病は避けることができます。もの言わぬ臓器だけに自分自身を労わる気持ちをもって生活を見直し、管理するようにしましょう。 肝臓の病気は怖いのでくれぐれもご注意ください。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病の新たな治療法として注目を浴びています
公開日:2024.10.07 -
- 肝疾患
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肝臓の数値に異常がある場合!肝機能障害の原因と対策を解説 健康診断などにおいて肝臓の数値が悪い、あるいは肝臓の機能が低下(肝機能障害)していると指摘された人はいませんでしょうか。 日本人間ドック学会によると、ドック受診者の中でおよそ3割の方が肝機能の障害や肝臓数値の異常を指摘されていると報告されています。 肝機能障害とは、何らかの原因によって肝臓にある細胞が障害を受けて炎症が起こることで細胞が破壊されてしまう病態のことを意味します。 肝機能障害を引き起こす原因は、B型やC型の肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、過剰な脂質の摂取や肥満、そして自己免疫の異常など非常に多岐にわたります。 肝機能障害によって肝臓の機能が著しく低下する状態が続くと「肝硬変」や「肝臓癌」を発症するリスクも高くなります。顕著な肝障害を呈する場合には「食道静脈瘤」や「肝性脳症」など命に関わる重篤な合併症を併存しやすくなります。 今回は、肝臓の機能障害(肝機能障害)を引き起こす原因を中心に詳しく解説していきます。 肝臓の数値異常・肝機能障害の数値 普段、職場で受診する定期健康診断などで肝機能障害を指摘され、不安に思われている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。 肝臓の機能障害が起こされると健診の血液検査項目で肝臓数値異常として表示されることになります。これは、肝臓の細胞内に含まれるAST(GOT)や、ALT(GPT)といった指数で表示されます。 これらは肝臓の細胞に含まれる酵素のことで、肝臓がダメージを受けると、この酵素が血液中に漏れ出てくるため、その量をもって肝臓のダメージを数値化して計ることができます。 ダメージが大きいほどASTや、ALTの数値は増え、数値が著しく大きな場合は「脂肪肝」「慢性肝炎」「急性肝炎」「アルコール性肝炎」などに罹患している可能性があります。 AST(GOT)とは AST(GOT)は「アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ」という酵素です。主に肝臓に存在しますが、心臓、腎臓、筋肉などにも含まれていて、ASTは細胞がダメージを受けると血液中にこの酵素が放出されることから、この数値が上昇すると、肝臓や他の臓器に問題がある可能性があると判断されています。 AST(GOT)が高くなる原因 ・ 肝炎や肝硬変などの肝臓疾 ・ 心筋梗塞 ・ 筋肉の損傷や破壊 ALT(GPT)とは ALT(GPT)は「アラニンアミノトランスフェラーゼ」という酵素です。主に肝臓に存在して肝細胞が破壊されると血液中に放出されます。ALTの値は、肝臓の健康状態を知る重要な指標となります。 ALT(GPT)が高くなる原因 ・ 肝炎や肝硬変 ・ 脂肪肝 ・ アルコール性肝障害 AST(GOT)、ALT(GPT)はどれも肝臓の健康状態を示す重要な指標です。 これらの数値が高くなった場合は、肝臓に負担がかかっている可能性があります。生活習慣の見直しや適度な運動、定期的な健康診断を通じて、肝臓の健康を維持することが必要です。 肝機能障害の原因 一般的にこういった肝臓の機能障害は、何が原因となって引き起こされるのでしょうか。 慢性的に認められる肝機能障害の原因として有名なのは、「B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎」「アルコール性肝炎」「脂肪性肝炎」「自己免疫性肝炎」などが挙げられます。 これらの代表的な肝機能障害の原因によって、長期間にわたり肝臓に炎症が継続することで、肝臓の細胞は徐々に破壊され、その部位に硬い組織が蓄積して形成されていきます。 また近年、現代の飽食や運動不足といった背景から引き起こされる肥満や、糖尿病などの生活習慣病から発症する非飲酒者における脂肪肝といった非アルコール性脂肪性肝機能障害といった例も増加しているといいます。 欧米ではアルコール(飲酒)が原因の肝臓の機能障害が多いと言われています。 一般的に、エタノールを1日に男性は30g以上(ビールで換算すれば750ml、日本酒で計算すれば1合半相当に該当)、また女性は20g以上、アルコールを接収すると肝臓の機能障害を引き起こすと考えられています。 アルコール関連の肝機能障害は、慢性的な過剰飲酒によって生じることが知られており、脂肪肝炎をはじめとして急性肝不全、肝硬変、肝がんなど多彩な病型を呈することが報告されています。 その一方で、わが国では肝炎ウイルスの感染によるものが多く、特に肝機能障害の原因となる肝炎ウイルスの中でも「C型肝炎(以下、HCV)」と「B型肝炎(以下、HBV)」が多く見られます。それに次いで飲酒が主たる原因となります。 通常では、肝炎を引き起こすウイルスの中にはA型、B型、C型、E型の4種類が存在しますが、HBVの場合には輸血歴や出産歴、注射針の使い回しや性行為によって感染し、HCVでは、輸血や血液製剤、あるいは体に入れ墨を施す行為などによって感染することが知られています。 ウイルス感染による肝炎 感染原因の一例 C型肝炎(HBA) 輸血歴、出産歴、注射針の使い回し、性行為 B型肝炎(HCV) 輸血、血液製剤、入れ墨 また、薬剤によって肝機能の障害が起こる可能性があることも忘れてはいけません。 通常、基礎疾患の治療目的であったとしても、その薬物の副作用によって肝臓に障害が起こることがあります。具体的に肝障害の原因となる薬剤の代表例としては抗生物質や解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬など多岐に渡ります。 その他、原発性胆汁性胆管炎などで胆汁がスムーズに排出されなくなる、あるいは中年以降の女性に発症しやすい自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、または慢性心不全などの病気を契機に肝機能障害に陥ることもあります。 肝炎を引き起こす感染以外の原因の一例 アルコール、飲酒 抗生物質、解熱鎮痛剤、精神神経薬、抗がん剤、漢方薬等 自己免疫性肝炎などにおける免疫異常、慢性心不全 肝臓の機能障害は将来的に肝硬変や肝臓癌に移行するリスクが高い状態と考えられているため、常日頃から肝障害の原因となるものを認識しておく必要があります。 改善策 肝機能を改善するためには、以下のような生活習慣の見直しが必要です。 1. 飲酒量を減らす アルコールの過剰摂取は、肝臓に大きな負担をかけます。週に2日は休肝日を設けましょう、飲酒量を抑えることが重要です。 2. 健康的な食生活 バランスの取れた食事を心がけ、あしょう。特に野菜や果物を多く摂取することで肝機能の改善に役立ちます。脂肪分の多い食品や加工食品の摂取を控えましょう。 3. 適度な運動 適度な運動は体重管理にも役立ち、脂肪肝の予防になります。無理のない範囲で、毎日の散歩や軽い運動を取り入れると良いでしょう。 4. 定期的な健康診断 定期的に健康診断を受けましょう。肝機能の状態を把握し、早期に問題を発見することができます。 5. 体重管理 肥満は肝臓に負担をかけるため、適正体重を維持することが大切です。肥満ぎみならダイエットを心がけましょう。 まとめ・肝臓の数値に異常がある場合、肝機能障害の原因と対策 今回は特に肝機能障害の原因に焦点を当ててご説明してきました。 肝臓はその一部が線維化して働けなくなってしまっても、残っている細胞が代わりに機能を受け持つことで、しばらくは自覚症状がほとんど出ません。それゆえに、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。 一般的に自覚症状が出にくく、症状の出現に気づいた時には肝臓の機能障害がかなり進行していたという場合も決して珍しくありません。したがって、健康診断などで肝臓の数値に異常があった場合には自覚症状がないからという理由だけで放置すると深刻な病気に進行する懸念があることを認識すべきです。 肝臓の機能障害は、肝臓の様々な病気やお酒などによって肝臓の細胞が破壊され続けることでも起こります。心配であれば、病院や、最寄りの内科クリニックや、消化器内科などをの専門医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。 以上、肝臓の数値にドキッ!機能障害を引き起こす原因について記載させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼肝臓に関わる病気|最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、肝臓病(肝炎、肝硬変)の新たな治療法として注目を浴びています ▼肝臓の働きについて以下もご参考になれます 肝臓の重要な働きと注意したい症状と病気について
公開日:2024.10.07 -
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脂肪肝の改善に向けて その原因と症状、治療法について解説します 肝臓に中性脂肪が貯留した状態を「脂肪肝」と言います。この疾患はメタボリック症候群に合併しやすいことが指摘されており、放置すると肝炎などを引き起こして重症化するため注意が必要です。 脂肪肝とは、一言で言うと肝臓内に中性脂肪を始めとした脂質成分などが異常蓄積する状態を指しており、通常では日々の生活習慣において栄養バランスの偏った食生活や慢性的な運動不足などが原因で引き起こされます。 一般的に、脂肪肝という病気には飲酒をしすぎる場合に発症するアルコール性、あるいはアルコールを多量に摂取していないけれども引き起こされる非アルコール性脂肪性肝疾患(略称:NAFLD)に分類されます。 このNAFLDは、さらに細かく分けると病状があまり進行しない種類の非アルコール性脂肪肝(略称:NAFL)と、その逆に肝炎へ進展しやすいことが問題視されている非アルコール性脂肪性肝炎(略称:NASH)に分類されます。 脂肪肝 アルコール性 ・過度の飲酒が原因 非アルコール性脂肪性肝疾患 ・略称:NAFLD ・飲酒を原因としない 非アルコール性脂肪肝/略称:NAFL ・症状が進行しずらい 非アルコール性脂肪性肝炎/略称:NASH ・肝炎に進行しやすい 脂肪肝は基本的には無症状のままで経過することが多く、健康診断などで初めて指摘される方も少なくありませんが、本疾患を放置しすると約1~2割の頻度で「肝炎、肝硬変、肝細胞がん」へと病状が悪化するケースも散見されるため注意が必要です。 この病気は生活習慣と関連して発症することが多いことが判明しており、肝硬変などに進行していない状態であれば普段の生活習慣を見直すことで肝臓の機能が改善することも十分に期待できます。 今回は、脂肪肝とはどのような病気なのか、その原因、症状、検査、脂肪肝を改善するための情報を中心に詳しく解説していきます。 脂肪肝の原因 脂肪肝を引き起こす主要な原因としては過食と多量の飲酒習慣です。 それ以外にも、糖尿病、基礎疾患に対するステロイド剤の長期服用、栄養障害による代謝異常なども本疾患を発症させる原因になることが判明しています。 導入でも触れましたが、特にアルコールではなく過度の食事摂取などが原因で脂肪肝から肝炎や肝硬変に進展するタイプを「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」と呼称しており、近年では年々罹患率が増加していることから特に注目を浴びています。 アルコール性の脂肪肝に関しては当然のことながら過剰な飲酒習慣が継続されることによって発症すると伝えられている一方で、非アルコール性の脂肪肝ではその背景に肥満やメタボリックシンドロームなどが潜在して引き起こされることが通常です。 その他にも、やせ過ぎ、遺伝的な代謝疾患、妊娠を契機として様々な原因や経過によって脂肪肝が引き起こされることも報告されています。 脂肪肝の原因の一例 ・過食 ・過度の飲酒 ・糖尿病 ・ステロイド剤の長期服用 ・栄養障害(代謝異常) ・肥満、メタボリックシンドローム ・痩せすぎ、遺伝的代謝疾患、妊娠 ・その他 脂肪肝の症状 脂肪肝の初期には、ほとんど自覚症状はなく、顕著な症状が現れにくい状態でもあります。脂肪肝が悪化して、やがて肝炎を起こして肝硬変に進行して初めて食欲不振や倦怠感、右上腹部痛などの有意な症状が出現するようになる傾向があります。 これらの病気が進行すると、手足の浮腫所見や体が黄色く染まる黄疸、あるいは腹水貯留などの症状が出現しますし、仮に肝臓への血流が停滞して門脈圧が上昇しすぎると食道静脈瘤を形成して命に係わる場合も考えられます。 このように、脂肪肝は進行すると重篤で致命的な症状が現れる可能性がある疾患ですので、無症状でも指摘された際には放置することなく医療機関を受診するように心がけましょう。 脂肪肝の状況 近年の肥満人口の増加に伴って過剰な栄養摂取による脂肪蓄積を原因とする非アルコール性脂肪性肝疾患 (non‐alcoholic fatty liver disease:略称NAFLD) が世界的にみて患者数が増えていると言われています。 NAFLDの中でも単純な脂肪肝の場合には一般的に予後良好とされています。 ところが、肝臓レベルでの炎症や線維化を主徴とする過度のアルコール摂取歴が関与しない脂肪性肝炎 (non‐alcoholic steato‐hepatitis: 略称NASH)については肝硬変や肝細胞癌に進展する重症なタイプであると考えられています1)。 脂肪肝の検査 仮に健康診断などで脂肪肝を指摘されて医療機関を受診して実施された血液検査で肝数値などの異常所見が認められた場合には、肝臓の状態をより詳細に精査するために腹部超音波検査やCT検査、MRI検査などを始めとした画像をもって評価が実行されるでしょう。 それ以外にも肝細胞を採取する肝生検という処置が行われて、それによって得られた細胞の特性を顕微鏡で詳しく調査することによって病気の進展度や悪性所見の有無などが確実にアセスメントすることができます。 基本的には、摂取したエネルギーが消費するエネルギーを上回ると余分なエネルギーが自然に発生して中性脂肪につくり替えられて肝臓にも貯蔵されることが知られていることから、肝細胞の30%以上で中性脂肪が沈着していると原則脂肪肝と診断されます。 ▼肝臓の再生医療について再生医療というアプローチもあります。 肝臓(肝炎・肝硬変)の再生医療・幹細胞治療 脂肪肝の改善に向けて 脂肪肝は、その原因や発症機序によって治療方針が異なります。生活で注意すべき視点も柔軟に変化させる必要があります。アルコールが原因で脂肪肝に罹患した場合には、当然ですが日々の生活においてアルコール摂取量を減らすことが肝要です。 また、非アルコール性脂肪性肝疾患のように肥満やメタボリックシンドロームなどが背景として存在している際は、運動して減量する、食事量を調整するなどの対策が必要となります。 脂肪肝の治療では、一度生活習慣を是正出来たとしても元通りの生活リズムに戻ってしまうと脂肪肝が再発してしまうこともあり、日常的に運動療法や食事治療などを楽しむ心意気を持ちながら、決して無理しない範囲で継続することがキーポイントとなります。 脂肪肝を指摘された際には、放置せずに早めに医療機関を受診して確実な治療に結び付けることが重要な視点となります。 アルコールが原因で脂肪肝に罹患した場合の改善ポイント ・日々の生活においてアルコール摂取量を減らす 肥満やメタボリックシンドローム(非アルコール性脂肪性肝疾患)の改善ポイント ・運動して減量する、食事量を調整する 生活習慣の見直しで好転しても元の生活リズムに戻らないようにする改善ポイント ・日常的に運動療法、食事治療を楽しみ無理せず継続できるよう心がける まとめ・脂肪肝の改善に向けて その原因と症状、治療法について 今回は脂肪肝とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療、そして改善のポイントについて解説いたしました。 脂肪肝は、肝臓に中性脂肪や脂質などの成分が蓄積する状態でバランスが偏った食生活や運動不足が原因で発症します。 健康診断や人間ドックで肝機能の数値で異常が発見されることが多く、初期の段階ではほとんど自覚症状が無いのが特徴的ですが病状が進行すると倦怠感、腹部膨満感、食欲不振などの有意症状が出現する場合もあります。 この病気に対する基本的な治療策としては、主に生活習慣の改善、食事療法や運動療法になります。 そのたには定期的に主治医や、かかりつけ医と相談しながら肝機能の数値を検査して自分の状態を適切に把握していくことが改善に向けての重要な観点になります。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼以下にも脂肪肝に関する記事がございます 脂肪肝を改善するために食べてはいけないもの
公開日:2024.10.07 -
- 関節リウマチ
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関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 関節リウマチで悩まれている人はいませんか?この関節リウマチの治療方法で使われる薬物療法も日々進歩を重ね、現在では「生物学的薬剤」による治療が行われるようになってきました。 そこで、今回は関節リウマチに悩んでいる人が知りたい以下の疑問点について解説してまいります ・生物学的薬剤は効果があるのか? ・生物学的薬剤はどの程度、効果を期待できるのか ・生物学的薬剤に副作用の心配はないのか 関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは 生物学的薬剤とは、科学的に合成されたものではなく、バイオテクノロジー技術を駆使して生体がつくる物質を薬剤として使用するものです。2003年から日本でも使われるようになりました。 これは、それまで使用されていた抗リウマチ薬で効果がなかった人にも効果があるなど、今では関節リウマチの薬物療法の切り札的存在になっていいる薬剤です。 今や多くの種類の生物学的薬剤が使われるようになってきました。使用に際しては患者さんの状態、「基礎疾患があるか」「高齢であるか」を踏まえて医師が適切なものを使い分けることで、より高い効果が期待できるようになっています。 医師が状態を鑑みて判断 ・基礎疾患があるか ・高齢であるか 効果|炎症を抑える 生物学的薬剤は、関節リウマチによる炎症を抑える効果を期待できるものです。関節リウマチは免疫の異常によって起こり、症状としては体内の細胞や組織を攻撃して炎症を起こし、腫れや痛みを生じさせるものです。 その際に、身体にはサイトカインという物質が多く分泌されていて、このサイトカインが炎症を広げていくことで更に炎症が悪化していくことになります。 これに対して生物学的薬剤は、このサイトカインの働きを抑える効果が期待でき、炎症を抑制し、関節リウマチの症状が悪化することを抑える効果があります。 効果|関節が破壊されるのを抑制 生物学的薬剤の大きな特徴は、関節リウマチによって関節が破壊されていくのを抑制する効果が優れている点です。関節リウマチは、免疫の異常によって起こり、炎症が生じると関節の内側を覆う滑膜が腫れあがり、関節や骨を破壊します。 生物学的薬剤は、この破壊を抑制する効果が期待できるのです。また、破壊を抑制するだけでなく、破壊された関節や骨を修復する効果も期待できることも分かってきています。 ただし、破壊された関節や骨が完全に修復されるというわけではなく、既に完全に破壊されてしまった関節や骨には効果が期待できません。つまり、生物学的薬剤による治療は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。 生物学的薬剤の効果 ・炎症を抑える ・関節の破壊を防ぐ ・崩壊した関節を修復(早期治療が条件) 関節リウマチ治療の生物学的製剤に副作用はあるか 生物学的製剤を使ったリウマチ治療はとても有効です。しかし、治療を受けてみようと思っている人なかには、副作用が心配だという人も少なくないでしょう。そこで、リウマチ治療に使用される生物学的製剤にはどのような副作用があるのかについて解説します。 また、副作用に対して自分で予防できることについても紹介します。 副作用|感染症に注意 生物学的製剤を使った関節リウマチの治療による副作用で注意したいのは「感染症」です。リウマチは免疫の異常によって、体内の組織や細胞を攻撃してしまうのが原因と考えられています。 そのため、免疫の働きを抑える効果がある生物学的製剤を使用するわけですが、免疫の働きを抑えると、体内に侵入したウイルスや細菌などを攻撃して身体を守るという免疫本来の働きも抑制されてしまいます。 その結果、肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなります。そのため、仮に感染症になった場合は、治りにくくなってしまいかねません。こうした感染のリスクを抑えるために医療機関は、生物学的製剤の治療前に採血を行い感染症の原因となるウイルスや細菌の有無をチェックします。 これら感染症に対して自分ができる予防法としては、手洗いや、うがいを小まめに行ったり、マスクを付ける等があります。また、咳や熱が出たという場合は、症状が軽くてもできるだけ早めに医師に伝えることが大切です。 副作用|アレルギー 生物学的製剤を使ったリウマチ治療では副作用としてアレルギーが出る可能性もあります。例えば、生物学的製剤のなかの1つであるレミケードにはマウスのタンパクが含まれているので、それが体質に合わずにアレルギー反応が出ることがあります。 また、他の種類のエンブレルは人のタンパクなので、大きなアレルギー反応が出ることは、ほぼありませんが、それでも体質が合わずに「アレルギー反応」が出る可能性があります。 副作用|注射時 関節リウマチ治療での主な副作用は感染症とアレルギーですが、注射時に副作用が出ることもあります。関節リウマチ治療の生物学的製剤の投与方法には点滴注射や皮下注射がありますが、点滴注射では頭痛や発疹、皮下注射では注射箇所に赤みや腫れなどの症状が出ることがあります。 しかし、こうした症状が出た場合でも多くは一時的で、すぐに治まります。そのな場合、心配や不安があれば、すぐ医師に相談しましょう。 まとめ・関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 以上、関節リウマチの治療方法として生物学的薬剤に期待できる効果と副作用について紹介しました。生物学的薬剤は、従来使われていた抗リウマチ薬よりも高い効果を期待することができます。 しかし、治療を受けるのが遅れると期待するほど回復しないなど、思うような効果が得られないこともあるので我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう 関節リウマチ治療に使用される生物学的製剤の副作用について、副作用は必ず出るものではありません。医師も事前の検査で患者に合った生物学的製剤を使用するなど副作用のリスクを極力抑えた状態で治療を行います。 ただ患者自身も、どのような副作用があるかを把握しておくことは大切です。心配な症状が出たら、すぐに医師に相談できるからです。少しでもリスクを減らすために、医師に自分の状態をしっかりと伝える、そして予防できることはしっかりとおこなうことも大切です。 そして、関節リウマチは、早期治療が非常に大切です。身体や関節に異変、違和感を感じたら放置しないで早めに医療機関を受診することをおススメいたします。
公開日:2024.11.06 -
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妊娠糖尿病|出産で胎児や母体への影響、治療と予防について 妊娠中には、いろいろと気を付けなければならないことがあります。妊娠糖尿病もその1つです。 例えば、妊娠中に母親が糖尿病になったら、生まれてくる子供(胎児)や母体にどういう影響があるのか不安ですよね。この記事では、妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの症状や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法について解説します。 妊娠中の糖尿病は3種類 妊娠中に起こる糖尿病には以下の3つの種類があります。 妊娠糖尿病 1)妊娠糖尿病:程度の軽い糖代謝異常 2)糖尿病合併妊娠:糖尿病の発症後の妊娠 3)妊娠中の明らかな糖尿病:妊娠糖尿病よりも高い基準の数値で糖尿病を発症 妊娠糖尿病は、妊娠中に糖尿病を発見あるいは発症した程度の軽い糖代謝異常のことをいい、糖尿病合併妊娠とは妊娠前から糖尿病を発症していた人が妊娠した状態をいいます。 また、妊娠中の明らかな糖尿病とは、妊娠糖尿病の基準よりも数値が高く糖尿病の基準を満たす、妊娠前に糖尿病に罹患していたかもしれない、ものになります。 これら3つの糖尿病について、発症の時期にわけて詳しく見ていきましょう。 1)妊娠糖尿病 妊娠糖尿病とは妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことで、糖尿病にはいたらない程度の軽いものをいいます。「明らかに糖尿病である」と妊娠中に診断された場合は妊娠糖尿病に含めません。 すい臓ではインスリンという血糖値を下げる働きのあるホルモンが作られます。 しかし、妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの働きが抑えられます。また、インスリンを破壊する酵素も胎盤から分泌されます。そのため、妊娠中は血糖値が上がりやすくなってしまいます。 妊娠糖尿病を発症すると、母体だけでなくお腹のなかの胎児も高血糖になるため、さまざまな合併症が現れる可能性があります。妊娠糖尿病の具体的な症状は後述します。 2)糖尿病合併妊娠 妊娠前から糖尿病を発症している患者が妊娠することを糖尿病合併妊娠といいます。 高血糖状態で妊娠・出産をすると奇形を持った子供が生まれやすくなるといわれています。特に胎児の臓器は妊娠4~9週で作られますので、妊娠初期に血糖値が高いと奇形が起こりやすくなるのです。 糖尿病患者の方が妊娠を望む場合は妊娠前に血糖コントロールに努め、妊娠しても良い状態かどうかを医師に確認するなど、計画的に妊娠することが大切です。 3)妊娠中の明らかな糖尿病 妊娠中の明らかな糖尿病とは、妊娠糖尿病よりも程度が重く、糖尿病の基準を満たすものをいいます。妊娠中の明らかな糖尿病には以下のようなものがあります。 明らかな糖尿病とは ・妊娠前に見逃された糖尿病 ・妊娠中に発症した1型糖尿病 ・妊娠中の糖代謝の変化の影響で生じた糖代謝異常 妊娠糖尿病の診断方法と診断基準 妊娠糖尿病は、スクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験の2段階の検査で判断します。 スクリーニング検査 妊娠糖尿病のスクリーニング検査はすべての妊婦を対象に妊娠初期と中期に行う検査で、妊娠糖尿病の可能性がある人を抽出する目的で行われます。 妊娠初期の随時血糖値の基準は検査施設によって95mg/dlまたは100mg/dlと異なります。また、妊娠中期の随時血糖値の基準は100mg/dl、50gブドウ糖負荷試験の基準は140mg/dlとなります。 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性と判断された方は次で説明する75gブドウ糖負荷試験に進みます。 日本産科婦人科学会が推奨している妊娠糖尿病スクリーニング検査 ・妊娠初期:随時血糖値 ・妊娠中期:随時血糖値あるいは50gブドウ糖負荷試験 75gブドウ糖負荷試験 妊娠糖尿病スクリーニング検査で陽性が出た場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷試験では、以下の基準を1つでも満たした場合に妊娠糖尿病と診断されます。 試験基準 ・空腹時血糖値 ≧92mg/dl ・1時間後の血糖値 ≧180mg/dl ・2時間後の血糖値 ≧153mg/dl 妊娠糖尿病の母体・胎児への影響 妊娠糖尿病は母体や胎児に大きな影響をおよぼします。具体的にどのような影響があるのでしょうか。 出産と母体への影響 妊娠糖尿病を発症して高血糖状態が続くと、以下のような合併症を発症したり、出産に影響をおよぼす可能性があります。 母体への影響 ・羊水過多 ・感染症(腎盂腎炎や膀胱炎など) ・妊娠高血圧症候群 ・低血糖 ・腎症 ・網膜症 ・神経障害 ・流産 ・早産 ・帝王切開の確率が上がる ・肩甲難産など 胎児への影響 妊娠中に高血糖状態が続くとお腹のなかの胎児も高血糖になり、以下のような合併症を引き起こすことがあります。 胎児の影響 ・子宮内胎児死亡 ・新生児低血糖 ・巨大児 ・低出生体重児 ・多血症 ・特発性呼吸促拍症候群 ・頭蓋内出血 ・鎖骨骨折 ・頭血腫 ・上腕神経麻痺など 妊娠糖尿病の治療 妊娠糖尿病と診断されたら、「血糖値コントロール」に取り組まねばなりません。ただし、妊娠中は運動療法を行うことが難しいため、主として「食事療法」と「薬物療法」を行うことになります。 食事療法で注意すべき点 妊娠糖尿病の治療は食事療法で血糖コントロールを行うことが基本になります。 妊娠中は食後高血糖を起こしやすい傾向がありますが、空腹時は血液中の糖が胎児のエネルギー源として使用されるため、糖尿病ケトアシドーシスを起こしやすくなります。また、妊娠中は乳房・子宮の発達や胎児の発育のため必要なエネルギーが増えます。 これらを踏まえ、妊娠糖尿病の患者は、健康な妊婦に必要なエネルギーから30%程度カットしたエネルギーを目安とします。これ以上のエネルギーをカットすることは絶対に避けましょう。 薬物療法で注意すべき点 食事療法を行っても血糖値のコントロールがうまくいかない場合は薬物療法を行います。妊娠中の薬物療法では経口血糖降下薬ではなく、インスリン治療を行うことになります。 通常のインスリン療法では血糖値コントロールがうまくいかないという場合はインスリンの基礎量や追加量を補充する方法を取ることがあります。これを強化インスリン療法(インスリンの頻回注射療法やインスリン持続皮下注入療法のこと)といいます。 妊娠糖尿病での間食について 1日当たりのエネルギー量内であれば、おやつと食事に分割して食べることも可能です。また、同じエネルギーの食事を分割して食べることで高血糖を防ぎやすくなります。妊娠糖尿病で食事療法を行う際のおやつはヨーグルトやフルーツなどが良いでしょう。 なお、おやつや間食を摂ることについては医師や患者の状態によって判断が異なります。おやつを食べる場合は必ず医師と相談してから食べるようにしましょう。 妊娠糖尿病の予防法 妊娠糖尿病を予防できれば、母体や胎児への影響を減らすことにつながります。妊娠中はインスリンの分泌量が増えます。そのため空腹状態をなるべく作らないことが大切です。空腹を感じた場合は、野菜や豆類、鶏のささみなど良質のたんぱく質を摂るようにしましょう。 また、食事は食べる順番も大切です。野菜から食べ始め、汁物、メイン、炭水化物という順番で食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。 妊娠糖尿病は通常の糖尿病と同様に、生活習慣だけでなく遺伝的要素も関係するといわれています。そのため上記で紹介したような方法を取り入れたにも関わらず妊娠糖尿病を発症したという場合も、あまりストレスに感じる必要はありません。 出産後、妊娠糖尿病の影響 授乳中の食事は妊娠前の摂取エネルギーに約450kcal程度増やすことを目安にします。これは授乳のための付加エネルギーですので、授乳が終われば元の摂取エネルギーに戻しましょう。 また、産後はインスリンの必要量が減ります。妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの働きが抑えられたり、インスリンが胎盤によって分解されるため、インスリンの必要量が増えます。 しかし、産後はこれらの影響がなくなるため、必要なインスリン量が減ることになります。どの程度減らすかは患者ごと異なりますので、血糖値の測定結果を見て決めることになります。 インスリンは母乳に影響がありませんが、飲む薬のなかには母乳に混ざりこんでしまうものもあります。妊娠前は飲み薬による治療を行っていたという人も、産後はインスリン治療を継続しましょう。 また、妊娠糖尿病患者の方は、正常な妊婦と比べて将来糖尿病を発症する確率が約7倍といわれています。産後6~12週間後にブドウ糖負荷試験を受け、妊娠糖尿病が治っているか確認し、その後も定期的に検査を受けることが重要になります。 まとめ・妊娠糖尿病|出産で胎児や母体への影響、治療と予防について 妊娠前や妊娠中に糖尿病と診断されたときの対処法と母体や胎児への影響について説明しました。 妊娠糖尿病は、妊娠中に発症する糖代謝異常であり、母体や胎児にさまざまな影響を及ぼします。発症すると母体だけでなく、胎児にも影響をおよぼします。また、妊娠中は運動療法が困難なうえ、使用できる薬が限定されるため、治療は慎重に行う必要があります。 妊娠糖尿病は3つの種類に分かれ、それぞれの発症時期や基準が異なります。診断方法はスクリーニング検査と75gブドウ糖負荷試験によって行われます。 治療法としては、食事療法や薬物療法があります。特に妊娠中は運動療法が難しいため、食事やインスリン治療が主な方法となります。また、妊娠糖尿病の予防法や産後の管理についても紹介しています。 妊娠糖尿病は、母体や胎児にさまざまな合併症を引き起こす可能性があり、正しい管理が重要です。産後も適切な管理が必要であり、定期的な検査や医師との相談が大切になります。 また、糖尿病患者が妊娠を望む場合は血糖コントロールに努め、医師と相談しながら計画的に妊娠することも重要です。 妊娠糖尿病患者は産後の糖尿病発症率が高いため、産後も定期的に検査を受けましょう。 以上、妊娠糖尿病に関する原因や治療法、出産に対する胎児への影響と注意すべき点、合わせて予防について記しました。 参考にしていただければ幸いです。 ▼糖尿病|最新の再生医療(幹細胞治療)は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼女性の糖尿病に関するリスクを理解する 糖尿病|女性は要注意!なぜ更年期から発症するリスクが高まるのか?
公開日:2024.10.07 -
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糖尿病|食事や運動で進行を遅らせて事実上の完治を目指すには 2017年国民健康・栄養調査によると、男性の18%、女性の11%が「糖尿病」と疑われていることがわかりました。これは男性6人中1人が糖尿病という計算になります。それだけ多くの人が糖尿病に悩まされていることになります。 では、糖尿病は、「治る」のでしょうか? 糖尿病は、一度発症すると医学的に完治することは難しいと言われていますが「食事療法」と「運動療法」で「薬物療法」に頼らずとも健康な人と同等の状態を維持できる可能性があります。 糖尿病と診断され「糖尿病を発症した後に治った人はいるのか」と気になる方に、糖尿病を改善するためにできる治療方法や薬について紹介します。 糖尿病の治療 ・食事療法 ・運動療法 ・薬物療法 糖尿病の症状を改善させて進行を遅らせるために 糖尿病とは、何らかの原因よってインスリンが働かない、あるいは分泌されないことによって高血糖が続いてしまう病気です。 糖尿病に症は成因によって1型と2型に分けられます。1型糖尿病はインスリンを分泌するすい臓のβ細胞が破壊されるため、現代の医学では機能を回復させられる見込みがありません。したがって、インスリン製剤を生涯にわたって投与し続ける必要があります。 一方、生活習慣の悪化などから発症する2型糖尿病なら、β細胞の早期治療に取り組めむことで機能の改善が期待でき、健康な人と同様の生活が送ることが可能になります。 さらに1型、2型のどちらに対しても症状が初期である段階で、医療機関できちんとした治療を行えば合併症の発症を遅らせることが可能になります。 1型糖尿病 ・インスリンを分泌する「すい臓」のβ細胞が破壊される ・現代医学では機能の回復は難しい ・インスリン製剤を継続して投与する必要 2型糖尿病 β細胞の早期治療に取り組めむ 機能の改善が期待でき健常者と同様の生活が可能 ※1型、2型共に初期であるなら医療機関での治療で合併症を遅らせられる可能性がある 体重のコントロールの必要性!肥満の悪循環を知る 糖尿病の寛解を目指す臨床試験「DiRECT」がイギリスで行われ、次のことがわかりました。 食事療法と運動療法をしっかり行い、体重をコントロールすることで2型糖尿病患者の半数近くは「事実上の完治」を維持できる では、なぜ食事療法と運動療法と体重コントロールだけで、薬物を使わず「事実上の完治」を達成できたのかを解説します。暴飲暴食や運動不足が続くと、全身に脂肪がたまり、肝臓にも脂肪がたまります。脂肪がたまった肝臓は働きが低下します。 肝臓の働きが低下するとインスリンへの体の反応が鈍くなることがわかっています。これを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が強まると、体は大量のインスリンを必要とするようになります。 すると、すい臓は「フル稼働」でインスリンをつくろうとするので、次第に疲弊してインスリンの分泌に支障をきたすようになります。インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまるので、インスリン抵抗性がさらに強まることになります。 この悪循環を断ち切るには、食生活と運動不足を改善し、脂肪がたまらないように肥満を解消する必要があるのです。 糖尿病の悪循環(断ち切ること) ・暴飲暴食、運動不足で全身に脂肪がたまる ・肝臓に脂肪がたまり、肝臓の働きが低下 ・インスリン抵抗性が発生:インスリンへの体の反応が鈍くなる ・インスリン抵抗性が強まる:大量のインスリンが必要となる ・すい臓が「フル稼働」でインスリンをつくる ・疲弊し、インスリンの分泌に支障をきたす ・インスリンの分泌が減ると、さらに肝臓に脂肪がたまる ・インスリン抵抗性がさらに強まる>ますます悪化 糖尿病の悪循環を断ち切るには肥満の解消が必要 2型糖尿病の症状は、上記の悪循環を断ち切ることが必要性をご理解いただいたでしょうか。 悪循環のメカニズムを知れば、「体重コントロール(脂肪を減らす)」によって症状を緩和できることが理解できると思います。体重コントロールとは、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に近づけることです。 糖尿病の場合、標準体重と比べて、やせている人より、太っている人のほうが問題になるため、肥満の解消が課題になります。そして標準体重がわかったら、次に適正なエネルギー摂取量を求め、それ以上に食べすぎないようすることが大切です。 栄養バランスを考えたり、運動や睡眠の改善も重要です。では、具体的にどのような方法で肥満を解消(ダイエット)すれば良いのかみていきます。 脂肪は、食事量のコントロールで減らす ダイエットの原則は「入りを減らして」「出を増やす」ことです。まずは食べる量を減らして、入りを減らすようにしましょう。具体的には次のような方法で食事量(摂取エネルギー)を減らしましょう。 糖尿病患者の理想の食生活ポイント ・糖質やカロリーの低い食事を摂る ・1日3食、規則正しい時間に摂る ・1日の活動量に合わせた適正なエネルギー量の食事をする ・栄養バランスの取れた食事をする 食事量が多い人は、食事量を適正エネルギー量に調整しましょう。 1日の適正エネルギー量は、人によって異なり、「標準体重×身体活動量」で算出できます。 標準体重と身体活動量 ・標準体重=身長(m)×身長(m)×22 ・身体活動量 軽い労作(デスクワークが多い)25~30kcal/kg 普通の労作(立ち仕事が多い)30~35kcal/kg 重い労作(力仕事が多い)35~kcal/kg 運動で脂肪を減らし、インスリンを活発化させる 体重を管理し、「入りを減らす」ことができたら、次は「出を増やす」ことに取り組みましょう。 運動でを行うことで脂肪を燃焼させれば体内の脂肪を減らすことができます。 また、運動にはインスリンの働きを良くする効果があるとされているので、その意味でも糖尿病患者の方は運動に取り組む必要があります。おすすめしたい運動は、ウォーキングやジョギング、水泳やサイクリングなどの有酸素運動と、スクワットや腹筋、ダンベル体操などの筋肉トレーニングです。 運動の重要性 ・運動:脂肪を燃焼させ、脂肪量を減らす ・運動:インスリンの働きが活発化 ・運動:1回あたり20~60分、週3~5回が理想 睡眠でストレスを軽減させる 食事、運動による肥満解消と併せて、睡眠を十分にとることが重要です。睡眠によってストレスを解消することが大切です。睡眠不足が続くと、空腹時の血糖値が上昇し、インスリンの分泌が減ることがわかっています。。これは、ストレスが加わると血糖値を上昇させるホルモンが分泌されるためです。 糖尿病を改善したいなら、7~8時間は睡眠時間を確保したいところです。 それ以外にも趣味を持つことや、旅行など、自分に合った方法を取り入れて、ストレスの解消に努めましょう。 ストレスの改善を目指す ・睡眠不足:血糖値が上昇、インスリンの分泌が減少する ・ストレス:血糖値を上昇させるホルモンを分泌させる それでも難しければ薬物療法があります ここまで、食事療法と運動療法や生活習慣の重要性について解説してきました。これらの対処を行っても糖尿病の症状が改善しない場合は薬物療法に移行せねばなりません。 糖尿病は、空腹時血糖値以外に、HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)など、さまざまな指標を用いて判断します。HbA1c(%)は「糖が結合したヘモグロビン量÷すべてのヘモグロビン量」で算出します。ヘモグロビンは赤血球内にあるたんぱく質のことをいい、細胞に酸素を送る働きを担っています。 つまり、HbA1cが高いと血中内の糖が多いということになります。以下の薬は血中内の糖を減らす効果を有するので、これらを服用・投与することでHbA1cの低下が期待できるのです。 薬物療法|HbA1cを減少させるための薬 ・DPP-4阻害薬 ・スルホニル尿素(SU)薬 ・速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) ・ビグアナイド薬 ・チアゾリジン薬 ・α-グルコシダーゼ阻害薬 ・SGLT2阻害薬 まとめ・糖尿病|食事や運動で進行を遅らせ事実上の完治を目指すには 「糖尿病は、一度発症すると完治しない」と、よく言われています。しかしイギリスの臨床試験では「生活習慣を改善することで事実上の完治」まで持っていくことが可能であることが示されているのです。 食事療法や運動療法を通じて症状を改善し、進行を遅らせることが可能です。特に2型糖尿病では、肥満や不健康な生活習慣が悪循環を生み出し、症状を悪化させることがあります。 この悪循環を断ち切るためには、食事のタイミングや、量をコントロールして、更に運動を行うことで脂肪を減少させることに取り組むことが重要です。 また、ストレスは血糖値を上昇させてしまうため、睡眠や適度な運動、趣味や旅行などストレスを溜めない習慣を持つことも大切です。 薬物療法でも症状の改善が期待できますが、できる限り生活習慣の見直しを行い、けして諦めることなく、糖尿病の改善に努めましょう。 以上、2型糖尿病の完治は困難であっても食事や運動を行い、ストレスを開放することができれば進行を遅らせ、事実上の完治を目指すことが可能であることをご説明いたしました。 実行にあたっては医師の指導を受けながら、病状の管理に取り組むことが重要です。 以上、参考にしていただければ幸いです。 ▼糖尿病|最新の「幹細胞治療」は、以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼よろしければ以下もご覧ください 糖尿病患者数の推移と地域差、患者を増やさないためにできること
公開日:2024.10.07 -
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糖尿病に地域差!多い県と少ない県から分かる患者にならないためにできることを解説します 日本において糖尿病は、国民病などと不名誉な呼ばれ方をされていますが、日本以外の国はどうなのでしょうか。また、国内でも糖尿病を発症しやすい地域や発症しにくい地域はあるのでしょうか。 この記事では、日本と世界での糖尿病患者数の推移や特徴、日本国内での糖尿病発症率の地域差について解説します。 糖尿病の患者数の推移 米国の疾病対策予防センターは、2015年時点で米国の人口の約9%(3,030万人)が糖尿病、34%(8,410万人)が糖尿病予備群と報じています。しかし、糖尿病の有病者において約23.8%(720万人)は糖尿病と診断されているわけではないことも報じています。 これは糖尿病有病者の約4人に1人が「自分は糖尿病である」ということを知らないということになります。また糖尿病予備群(糖尿病前症や前糖尿病ともいう)の人は88%が糖尿病のことを知らず、自分の健康状態を理解していないことが浮き彫りになりました。 そこで糖尿病患者数の推移を世界と日本に分けて以下の項目ごとに説明していきます。 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2)日本の糖尿病の患者数の推移 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群 1)世界の糖尿病の患者数の推移 2016年4月の世界保健機関(WHO)の発表によると、2014年までに世界の糖尿病の有病者人口は4億2,200万人に達したことがわかっています。このまま対策を取らない場合、2025年までに世界の糖尿病有病者人口は7億人以上に増えると予測されています。 4億2,200万人のうち、約2分の1は中国、インド、米国、ブラジル、インドネシアに集中しています。 2)日本の糖尿病の患者数の推移 厚生労働省によると2017年10月時点の日本の糖尿病患者数は328万人を超えていることが報告されています。また、一貫して高齢の糖尿病患者数が増え続けていることもわかっています。 一方、日本を含む西太平洋地域では男性は40~59歳、女性は50~59歳で糖尿病と関連する原因による死亡率が高くなっています。 3)糖尿病の患者数として数えられていない予備群も多数 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人患者の数は2016年時点で推計1,000万人を超えたことがわかりました。これは2012年の前回調査よりも50万人増えていることになります。 また、日本透析学会によると1983年に5万3,017人だった透析患者数が2016年には32万9,609人にまで増加しており、原因疾患の約4割が糖尿病性腎症であることがわかっています。 地域別、糖尿病の患者数 糖尿病は地域によって患者数に差があることをご存知でしょうか。日本の場合、厚生労働省の「2016年人口動態統計月報年報」によると、人口10万人に対して糖尿病による死亡率が最も高いのは青森県、最も低いのは愛知県ということがわかっています。 日本や世界の地域による糖尿病患者数について以下の項目にわけて見ていきます。 1)患者数が地域 2)地域の特色 3)国別 1)糖尿病の患者が多い県 前述の厚生労働省のデータによると、日本国内で糖尿病患者数が多い都道府県は以下となります。 糖尿病患者数が多い県 ・青森県 ・秋田県 ・福島県 ・香川県 ・徳島県 糖尿病死亡率の高い都道府県には青森や秋田など雪国が多いことがわかります。これは雪国という土地柄ゆえに生じる運動不足や健康診断の受診率の低さなどが原因として考えられます。 反対に、全都道府県のうち糖尿病死亡率が最も低かったのは、愛知県で7.7人でした。 愛知県では糖尿病指導者の養成に乗り出しており、糖尿病の発症リスクの高い人に対して早期発見や適切な保健指導が行えるような仕組みづくりを進めています。 糖尿病の患者数が最も少ない県 ・愛知県 2)地域の特色と糖尿病の関係 日本国内では、都道府県や地域によって野菜や食塩の摂取量など食文化にも差があります。このような食文化の違いも糖尿病の患者数の違いと関係していると考えられています。 例えば、成人の一日の平均野菜摂取量(g)は男女ともに長野県が最も多く、野菜摂取量の少ない徳島県や香川県と比較して100g以上の差があることがわかっています。 一方、食塩の一日の平均摂取量(g)は男女とも山形県が最も多く、食塩摂取量の最も少ない沖縄県と比較して3g以上の差があることがわかります。 3)国別の糖尿病の患者数 IDE(International Diabetes Federation/国際糖尿病連合)によると、2017年時点での成人(20〜79歳)における世界の糖尿病人口は約4億2,500万人にのぼることがわかりました。これは世界の成人人口の約8.8%が糖尿病であるという結果になります。 特に糖尿病患者数の多い国は以下となります ・中国 ・インド ・米国 ・ブラジル これらの国では、経済発展が進んだことによる食生活の欧米化や予防医療という概念が定着していないことなどが糖尿病の患者数が多い原因と考えられています。 糖尿病の患者数を増やさないために 平成23年、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の第11回医療情報化に関するタスクフォースにおいて、厚生労働省健康局総務課生活習慣対策室は「厚生労働省における生活習慣病対策について」という資料を作成し、国民の健康寿命の延伸を実現するための基本方針を示しています。 また、世界規模においても糖尿病患者数を増やさないためのさまざまな取り組みが行われています。 糖尿病などの生活習慣病患者数を増やさないための動き 「厚生労働省における生活習慣病対策について」のなかで、厚生労働省は「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)の推進について」「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針について」に基づき、健康寿命の延伸を実現するための基本方針として以下の項目を挙げています。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための基本方針 ・一次予防の重視 ・健康づくり支援のための環境整備 ・目標等の設定と評価 ・多様な関係者による連携のとれた効果的な運動の推進 これらの基本方針に対して以下の9分野で70項目の具体的な目標設定を行っています。糖尿病を増やさないため、例えば、「栄養・食生活」分野では「野菜の1日当たり平均摂取量350g以上」「身体活動・運動」分野では「日常生活における歩数(男性)9,200歩以上」といったものがあります。 糖尿病など生活習慣病を増やさないための目標項目 1.栄養・食生 2.身体活動、運動 3.休養、こころの健康づくり 4.たばこ 5.アルコール 6.歯の健康 7.糖尿病 8.循環器病(脳卒中を含む) 9.がん 糖尿病の患者数を増やさないため、WHOの動き 1948年に始まった世界保健機関(WHO)による世界保健総会では、1950年から毎年4月7日を「世界保健デー」として定めており、2016年には世界保健デーのテーマに糖尿病が選ばれています。 これに際し、国際糖尿病連合(IDF)理事長のショウカト セイデコット氏は「糖尿病がもたらす問題が世界でより深刻になっている」と述べ、糖尿病のスクリーニング検査の必要性を強く訴えています。 まとめ・糖尿病が多い県と少ない県!発症に地域差!患者を増やさないためにできること 糖尿病患者数の推移や日本国内外の地域による糖尿病発症率の特徴や対策について見てきました。国や地域によって、食生活の欧米化や検診率に差があり、それによって糖尿病の患者数も変わる傾向があります。 糖尿病は早い段階で発見し、治療に取り組むことができれば健康な人と変わらない生活を送ることができる病気です。 糖尿病の患者数の多い地域に住んでいたとしても、早い段階で食習慣を改善し、積極的に検診を受けることを心がければ、糖尿病を予防し、進行を遅らせることにつながります。 以上、糖尿病が多い県や国、発症に地域差がああること。患者を増やさないためにできることについて記してまいりました。 参考にしていただけると幸いです。 ▼糖尿病|最新の幹細胞治療は以下をご覧下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目されています ▼以下もご覧ください 妊娠糖尿病|その治療法や、出産への影響について
公開日:2024.10.07 -
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糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 糖尿病と診断されてしまったらどうしますか? 当然、治したい、その治療に取り組みたいと思って当然です。糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」という二つの治療方法があります。 どちらにも取り組むべきで、どちらかに偏らないことが大切になります。治療には、どちらも必要ということです。 食事療法は、カロリーを制限する治療法であり、運動療法は、その名の通り、運動を行う治療法です。実は、この運動療法について糖尿病の治療であっても運動をしてはいけないケースがあるのです。 糖尿病の人にこんな話をすると「自分は運動しても良いのだろうか」と不安になることでしょう。 そこで「糖尿病で運動療法を行ってはいけない人」とは、どんな人か、その中でも「制限付きなら可能」という場合もあり、それはどんな人か」について解説しましょう。 糖尿病の運動療法|やってはいけない人 糖尿病治療の基本は先にも記しましたが「食事療法」と「運動療法」です。しかし、運動の種類や強度によっては「血圧を上げるなどのリスクがある」ものがあります。 運動療法を始める前に、自分自身が運動療法を禁忌(やってはいけない)とされているかどうかを主治医に確認する必要があります。 以下に当てはまる場合は、運動療法が難しいことがあります。 運動療法が難しい人 ・増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している ・レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している ・第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上) ・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある ・高度の糖尿病自律神経障害がある ・1型糖尿病でケトーシスがある ・代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性) ・急性感染症を発症している ※禁忌とは:悪化したり、副作用の危険性があるため、してはいけない、すべきではないこと。 糖尿病の運動療法|制限付きなら良い人 運動することを禁忌とはされていないものの、制限や注意をすれば運動療法として取り組んで良いという一部制限付きの糖尿病患者もおられます。いずれの療法も医師と相談し、その指導のもと運動をうまく取り入れることができれば糖尿病治療に効果的です。 では、どのような人が対象になるのか見ていきましょう。 インスリン治療中の人 何度も申し上げますが糖尿病の治療は「食事療法と運動療法」の両輪が基本です。それでも改善しない場合は「薬物治療」に進むことになります。糖尿病の薬物療法として、体の外からインスリンを補う「インスリン治療」というものがあります。 インスリンによる薬物治療を受けている場合、血糖値が低い、寝起きや食前に運動をすると、空腹時ということで低血糖を引き起こす可能性があります。その意味で運動は、血糖値が高くなる食後に行うのが理想です。 いずれにしても薬物治療中の運動は、主治医等に適切な指示を受けるようしてください。 薬物治療中の運動は慎重に行う必要があります 運動は、空腹時にご注意ください。血糖値が低い寝起きや、食事前の運動は低血糖を起こしやすいため、血糖値が高くなる食後に行うようにしましょう。 単純網膜症の人 糖尿病の合併症の1つで恐れられている症状に「糖尿病網膜症」があります。糖尿病網膜症は病気の進行度によって単純糖尿病網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症に分かれます。 糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また低血糖になることで眼底出血が引き起こされることもわかっているため注意が必要です。軽度の場合は運動療法を取り入れても差し支えありませんが、状況によっては運動が制限されたり、禁止されることがあります。 単純糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症の初期段階です。後述する増殖前網膜症と増殖網膜症と混同しないようにしましょう。 増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人 増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。 頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。 増殖網膜症:運動以外、日常生活でも力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げるような行為は避ける 糖尿病神経障害の人 糖尿病神経障害では、「感覚神経障害」と「自律神経障害」を招くことがあります。感覚神経障害の場合、足に負担をかけにくい「自転車エルゴメーター」や「水泳」などの運動が望ましいとされています。 自律神経障害の場合:日常生活以外で運動を行うことは禁忌(禁止) 重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人 心血管疾患がある方やそのリスクのある方が運動療法を行う際は負荷心電図などの評価が必要です。負荷心電図は運動負荷心電図ともいい、運動中の心電図を観察するものです。 どのくらいの運動なら問題がないのか?あらかじめチェックする 腎症を患っている人 「糖尿病性腎症」は病期によって5段階にわかれます。従来は糖尿病性腎症の患者の方に対して運動を制限する傾向がありました。 しかし、適度な運動は持久力などの運動耐容能を向上させ、脂質代謝などを改善させることから、現在は病期に応じた運動を行うことを推奨しています。 第3期B(顕性腎症後期)まで進行した場合:運動療法を制限する必要がある。 ケトーシス状態の人 空腹時血糖値が250mg/dl以上(高血糖)、ケトーシス状態の場合は運動することは制限されます。ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上のことをいいます。 高血糖の状態:運動すると糖代謝が悪化。食事療法と薬物療法で血糖値をコントロールしながら運動を行う。 運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要 ここまで説明したように、糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させることがあります。そのため運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けることが大切です。 糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェック基本項目 ・問診:自覚症状 → 糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬 → 家族の既往歴 → 現在の生活状態や運動習慣 ・血液検査:空腹時血糖 →HbA1c ・診察:内科診察 → 血圧 → 脈拍数 → 身体計測(身長、体重、腹囲) → 肥満度 ・尿検査:蛋白・ケトン体 ・心電図:安静時心電図 運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。 まとめ・糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人 今回は、糖尿病で運動療法を行ってはいけないケースと、制限付きであれば運動を行っても良いケースについて説明しました。 また、運動療法の実施にあたってはメディアカルチェックが大切であることもご説明しました。 尚、禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで悪化させたり、副作用などのリスクがあるという意味で用いられています。 糖尿病の治療は自己判断で行うのではなく医療機関の指導を受けて適切に行うようにしましょう。今回は、糖尿病の治療で運動療法が禁忌とされる患者さんや、運動制限が必要な患者さんについてご説明しました。 糖尿病は、治らない病気と言われています。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達してきたことにより、かなり症状の改善が図られたり、恐ろしい合併症を避けられるようになってきました。 糖尿病の再生医療に興味がある方は以下を参考にしてください。 ▼以下もご参考下さい 糖尿病(2型)完治は困難、ただし改善や進行を遅らせはできる! ▼糖尿病の最新治療法である幹細胞治療は以下をご参照下さい 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として垣生方面から多大な注目を浴びています
公開日:2024.10.07 -
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糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について 糖尿病に関して「糖尿病は治らない病気」、「糖尿病は一生付き合っていかなばならない病気」などと言われることを聞かれたことはありませんか?本当にそうなら治療を続ける気力もなくなりかねませんね。 確かに「糖尿病は完治しない病気」です。 だとしても治療によっては「健康な人と変わらない状態を保つことは可能」ということを理解いただくことが大切です。 そこで、以下「糖尿病がなぜ治らない」かについて説明し、糖尿病と診断後の「治療法」や糖尿病を発症しないための「予防法」をご紹介いたします。 糖尿病はなぜ治らない? 日本では糖尿病患者のほとんどが生活習慣病の一つである「2型糖尿病」患者といわれています。 2型糖尿病は、体質などの「遺伝的要素」と「生活習慣」が組み合わさることで発症します。治療によって血糖値が正常値に戻ったとしても、血糖値の上がりやすい体質(遺伝的要素)や年齢は変わりません。 そのため、「生活習慣」を変えない限り、治療を中止すればすぐに治療前の状態に戻ってしまいます。つまり、糖尿病には「治る」「治らない」という概念自体がないのです。 もちろん、血糖値のコントロールを行うことで健康な人と変わらない状態に保つことは可能です。そういう意味で、糖尿病治療は「血糖値をコントロールし、健康な状態を保つためのもの」と前向きに考えることが大切です。 血糖値のコントロール ・健康な人と変わらない状態に保てる ・健康な状態を保つためのもの また、糖尿病は、発症原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別され、治療法も異なります。それぞれどういう特徴があるのか以下で見ていきます。 2型糖尿病とは 日本の糖尿病患者の約9割は、2型糖尿病といわれます。 2型糖尿病は体質などの遺伝的要素と乱れた食習慣などの生活習慣が組み合わさることで発症する病気です。通常、食事を摂ると、すい臓からインスリンが分泌され、血糖値を下げます。 2型糖尿病は、過食や運動不足によってインスリンの分泌量が低下したりインスリンが効きにくくなり、高血糖状態が続くことで発症します。 初期の段階で乱れた生活習慣を改善できれば、血糖値を健康な人と同じ状態に戻すことは十分可能です。しかし、糖尿病が進行してしまうと健康な状態に戻すことは困難になります。そのため、初期段階で治療に取り組むことが大切です。 ・初期なら ・生活習慣で改善できる > 血糖値を健康な人と同じ状態に戻す ・進行後 ・健康な状態に戻すことは難かしくなる 1型糖尿病 1型糖尿病は、何らかの原因で「すい臓」にあるβ細胞が破壊されて発症する病気です。 インスリンはβ細胞から分泌されるため、1型糖尿病はほとんどインスリンを分泌できなくなります。β細胞が破壊される原因は正確にはわかっていませんが、原因の1つに免疫異常(自己免疫)があると考えられています。 1型糖尿病は現代医学では「治らない」といわれている病気です。発症すると一生付き合っていかなければなりません。一方、1型糖尿病の治療方法は日夜進んでいます。 最近では「再生医療」や「膵島移植(ランゲルハンス島)」などの研究も行われています。将来的には「1型糖尿病は治る病気」となる可能性もゼロではありません。 糖尿病の症状 ここまで糖尿病は、大きく分けて2つの種類があって、「完治しない」「治らない」病気といわれる理由についてご説明しました。では、糖尿病になると、どのような症状が現れるのでしょうか。以下にまとめました。 2型糖尿病は初期の段階では「自覚症状がほとんどありません」ただし、進行すると以下のような症状がゆっくりと現れます。 2型糖尿病の症状 ・疲労感 ・皮膚の乾燥、かゆみ ・手足の感覚低下 ・感染症 ・頻尿 ・目のかすみ ・性機能の低下 ・傷が治りにくい ・空腹感やのどの渇き 1型糖尿病と2型糖尿病の大きな違いは発症原因や、症状の現れ方です。 いずれの糖尿病(1型、2型共に)の場合も高血糖による症状が現れます。 ただし、1型糖尿病は「突然」次のような症状が現れる特徴があります。 1型糖尿病の症状 ・強いのどの渇き ・頻尿 ・急な体重減少 ・重度の疲労感 糖尿病の予防方法 2型糖尿病は、遺伝的要素と生活習慣が組み合わさることで発症します。そのため、食事療法と運動療法で生活習慣の改善に努めることが糖尿病の予防法であり、病気の進行を食い止めることにもつながります。 糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。 食事療法 糖尿病の食事療法では以下のポイントを押さえて行うことが大切です。 食事 ・摂取カロリーを抑える ・栄養バランスの良い食事を取る ・一日3食をしっかり食べる 身体活動量の目安 ・軽労作(デスクワークが多い職業など) 25~30 kcal/kg標準体重 ・普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30~35 kcal/kg標準体重 ・重い労作(力仕事が多い職業など) 35~ kcal/kg標準体重 食品交換表 ・1日の摂取カロリー(エネルギー摂取量)は以下の計算式が目安となります。 ・エネルギー摂取量(kcal)=身体活動量 (*1) ×標準体重(*2) ・カロリー計算 ・*1身体活動量(kcal) ・*2標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 「食品交換表」というものをご存知でしょうか? 上記でカロリー計算の結果、適切な摂取カロリーがわかっても、どのような食品を、どれだけ食べれば良いのか分からないと思います。 そんな場合は「糖尿病食事療法のための食品交換表」を利用していただく方法があります。糖尿病治療の考え方や食事療法の基本的な考え方が分かりやすく解説されています。 また昨今、ネット上にはカロリー計算できるアプリを紹介しているサイトもありますので使いやすいものを選ばれても良いでしょう。 運動療法 糖尿病の予防に効果的な「運動療法」なのですが、実は運動を積極的に行うと食欲が増すため、かえって糖尿病を招いたり、症状が悪化することもありえるので注意が必要です。 そのため、糖尿病の予防や治療は「食事療法」と合わせて「運動療法」をセットすることが大切です。運動療法を行う際は以下の点に注意して行いましょう。 運動療法の始め方 ・軽い有酸素運動から始める ・継続して運動を続けることが重要 ・週3日は運動の時間を確保 NEAT(非運動性熱産生) NEATとは、「運動以外の日常生活活動で消費されるエネルギー」を意味し、掃除や洗濯、通勤や階段の昇り降りなどで消費するエネルギーのことを指します。 すでに糖尿病の症状がある方や持病がある方など、運動に制限がある人もいます。運動療法を取り入れる際は医師に相談してから行うようにしましょう。また、日頃、まとまった時間が取れずに運動ができないという人もいるでしょう。 このような場合、NEAT(非運動性熱産生)を高めることを心がけると良いでしょう。 NEATを高めるために ・エレベーターではなく階段を利用する ・通勤時に一駅前で降りて歩く ・歩幅を大きくする ・その他、身体を動かすことを心がけよう まとめ・糖尿病はなぜ治らない!種類と症状、治療と予防法について ここでは、糖尿病が治らないといわれる理由について説明しました。 「糖尿病は治らない」と考えてしまうと治療に積極的に取り組めません。糖尿病の治療は「血糖値をコントロールすることで健康な状態を保つためのもの」と考え、前向きに治療に取り組むことが大切です。 上記に記したような症状や異変を感じたら、積極的に医療機関を受診するように致しましょう。糖尿病の予防や治療の基本は「食事療法」と「運動療法」が基本です。食事療法は、カロリーを計算して食べるものに気を付けましょう。 また運動療法は、やりすぎるとかえって食欲が増してしまい食事療法がう無くいかない可能性があります。食事と運動のどちらにも偏ることのないよう取り組むことが大切です。 以上、糖尿病は治らないのは本当か?その種類と症状、治療と予防法について、糖尿病は治らない怖い病気だということを知っていただき、ぜひとも普段の生活から予防(食事・運動)を心がけて健康な生活を送ることが大切であることをご理解下さい。 ▼糖尿病でお困りに再生医療の幹細胞治療という方法があります 再生医療は、糖尿病の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下もご参考くください 糖尿病|適正エネルギーを知り血糖値コントロールから改善を目指す
公開日:2024.10.07 -
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糖尿病の合併症・悪化を防ぐために考えて欲しいこと 糖尿病の食事療法は、血糖値を正常にコントロールしながら、合併症の発症や悪化を防止することが目的になります。 糖尿病だからと、「食べてはいけないもの」というものは特にありません。それよりも、エネルギーや栄養素をバランスよく食事に取り入れることが大切なのです。 糖尿病で注意すべきは合併症! 糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こす恐れがある病気です。「失明の原因となる糖尿病性網膜症」、「人工透析の原因となる糖尿病性腎症」など、日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出てしまう人も沢山います。 気を付けたい糖尿病の合併症 ・糖尿病性網膜症(失明の原因) ・糖尿病性腎症(人工透析の原因) また、血糖値のコントロールだけでなく、「高血圧や脂質異常症などの動脈硬化の原因となる病気」も糖尿病の悪化に繋がる可能性がありますこのため、糖尿病の治療では血糖値の上昇だけでなく、高血圧や脂質異常症を防ぐために食事のバランスを整える必要があるのです。 糖尿病の合併症を防ぐ!1日のエネルギー量を見直す 糖尿病になった場合、まずは食事について1日のエネルギー量が多すぎないか?それとも少なすぎていないか?確かめてみまることが必要です。手順としては、自分にとっての適正体重(BMI)を知り、太り過ぎずていないか?やせ過ぎていないか?という面から最も健康とされる体重を知ることができます。 以下で、ご自身の適正体重(BMI)を知りましょう。 適正体重の求め方 1)1日に必要なエネルギー量を求めましょう。 ご自身の身長を次の式にあてはめれば簡単に計算していただけます。 BMI: 適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 2)エネルギー量を求めましょう 適正体重に自分の日常生活の身体活動レベルをかけることで自分の適性エネルギー量を求めることができます。 身体活動レベルの目安と、適性エネルギー量を求める計算方法は次の通りです。 身体活動レベル 1日の適性エネルギー量は、年齢や性別によっても変わってきます。 本記事の記載はあくまでも目安の量と考えて詳しく知りたい場合は主治医、管理栄養士、糖尿病療養指導士に相談しましょう。 デスクワーク、主婦など 25~30×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 立ち仕事が多い 30~35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 力仕事が多い 35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal) 食物繊維が多い食品を取り入れる 糖尿病の合併症を防ぐには、糖尿病を改善することが必要です。そのためには、「食物繊維」が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。食物繊維には、食後の血糖値上昇を抑え、便通を改善させる効果があります。 さらに、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)には、血中コレステロールの上昇を抑える効果があり、糖尿病の治療にとって重要となります。食物繊維の目標は、18~64歳においては、男性は1日21g以上、女性は1日18g以上といわれています。(日本人の食事摂取基準2020年版より) 食物繊維を多く含む食品には、野菜(特に根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖質も多いので食べ過ぎに注意が必要)が挙げられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。 また、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)を多く含む食品は、カボチャ、オートミール、大根、大豆、キノコ、果物などが挙げられます。 食物繊維の摂取目標(18~64歳) ・男性 1日21g以上 ・女性 女性は1日18g以上 糖尿病を改善するために ・食物繊維 ・野菜(特に根菜類 ・海藻 ・キノコ ・大豆、 ・果物(糖分の過剰摂取に注意) ・水溶性食物繊維が多い ・カボチャ ・オートミール ・大根 ・大豆 ・キノコ ・果物(糖分の過剰摂取に注意) 極端な糖質制限は悪影響 食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。炭水化物には、食後の血糖値を上昇させ、エネルギーとなる糖質と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑え、エネルギーにならない食物繊維があります。 そのため、血糖値をコントロールするためには、食事中にどれだけ糖質が含まれるかを知っておくのは重要です。しかし、だからといって糖質制限ダイエットや糖質制限食を行うのはお勧めしません。 極端な糖質制限は腎症や動脈硬化に繋がる恐れがあり、逆効果となってしまうためです。糖質を全く食べないのではなく、ご飯やパンを食べる前に食物繊維の多い野菜を食べるなど、糖質を多く食べ過ぎないようにバランスを整える、と考えましょう。 塩分のとり過ぎに注意 高血圧を予防するために、塩分のとり過ぎには注意しましょう。高血圧があると、動脈硬化の原因となり、糖尿病の合併症が進行しやすくなります。 塩分の適正な量として、男性は1日8g未満、女性は1日7g未満といわれています。ただし、高血圧症や腎症がある人の場合は1日6g未満が良いとされているので、気になる人は主治医に相談しましょう。 塩分の多い食品には、肉や魚の加工食品、漬物や佃煮などが挙げられます。なるべく食べないようにメニューを変更するか、少しの量だけ食べるようにしましょう。 塩分摂取目安( 取り過ぎは高血圧 ⇒ 合併症の危険性増 ) ・男性 1日あたり8g未満 ・女性 1日あたり7g未満 ・高血圧症や腎症がある場合 1日あたり6g未満 (男女とも) 脂質のとり過ぎに注意しましょう 脂質が多過ぎる食事は、脂質異常症を引き起こす恐れがあり、動脈硬化の原因となります。 脂質には、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を上昇させる飽和脂肪酸と、逆に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる不飽和脂肪酸があります。 脂質異常症の予防には、脂質の中でも飽和脂肪酸の多い食品を控えめにし、不飽和脂肪酸の多い食品に置き換えをすることが重要になります。飽和脂肪酸の多い食品には肉、卵、チーズなどが挙げられます。 不飽和脂肪酸は魚や大豆に多く含まれています。(EPAやDHAもこれにあたります。)肉料理中心の食生活になっている人は、魚や大豆のメニューを取り入れてみましょう。 まとめ・糖尿病の合併症・悪化を防ぐために考えて欲しいこと 糖尿病の合併症には注意が必要です。食事においては、エネルギー量の見直しを行い、食物繊維を多くとるように心がけましょう。 また、塩分、脂質をとり過ぎないようにして動脈硬化を防止するのが大切です。ただし、急激な食事制限はかえって糖尿病の進行を悪化させる可能性があるので、あくまでバランスのとれた食事をする、と考えるようにしていきましょう。 また、本記事の内容はあくまでも目安となるものです。注意頂きたいのは既に糖尿病の合併症がある人です。なぜなら合併症の症状によって適正な栄養素の量が変わってくるためです。 食事に関しては必ず主治医に相談するようにしてください。 糖尿病の悪化からくる合併症を防ぐために考えて欲しいこと、お取組み頂きたいことについて記しました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 ▼ 糖尿病に関する再生医療は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力を活かした糖尿病の最先端の医療です ▼こちらもご覧ください 糖尿病1型と2型の違い?それぞれの原因と治療法を詳しくご説明
公開日:2024.10.07 -
- 肘関節
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性を解説 股関節、膝関節、肘関節、指関節、足関節における関節疾患の多くは比較的ゆっくりと症状が進行するため、本人は症状に苦しんでいるにもかかわらず、ただ単に年齢によるものというだけで見過ごされてしまうことが往々にしてあります。 ところが、知らず知らずのうちに病気の進行が悪化してしまうと、関節患部に強い痛みや熱感を自覚して、日常生活において歩く、座る、投げる、持つ、立つなどの基本的な動作能力が低下して必要な動きが制限されてくる恐れがあることをご存知でしょうか。 このような関節の症状が出たのちに、保存療法等、種々の治療を繰り返しても元には戻りにくく、徐々に症状は進行します。そして、最終的に提案されるのが手術療法になります。 人工関節置換術 この手術が「人工関節置換術」として知られているものです。この手術は、読んで字のごとく、疾患によって悪くなって異常がある関節部分を取り除いたのちに、人工の関節に置き換える手術です。 例えば変形性膝関節症や、関節リウマチなど膝関節疾患を治療する際には、その代表的な手術療法のひとつとして人工膝関節置換術が挙げられるという具合です。 人工関節の置換術が可能な部位は膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節となっていて、置換える人工関節そのものも年々進歩しています。 材料的には主としてチタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレンなどで構成されています。 人工関節置換術は、関節の疾患がもとになって起こっている疼痛の原因となっている部分を取り除くことを主眼としているため、他の治療法と違って、患者さんの慢性的症状である痛みを和らげる効果を期待するものです。 そこで今回は、そのような人工関節の手術に関して知っておきたい安全性と危険性について解説したいと思います。 人工関節置換術 治療可能部位 材料 膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節 チタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレン 人工関節の手術|安全性について 人工関節置換術という手術療法は、各種の関節症、例えば変形性関節症や関節リウマチを患われている患者様に対して関節の痛みを緩和して日常生活をより快適に送れる事を目的とする治療手段として普及しています。 今や各種の関節症に対する人口関節置換手術でのアプローチは年間に約20万例前後という件数が報告されるまでになりました。このように比較的メジャーになってきた人工関節の手術は、術式としては確立されていて、置換える人工物の素材も進歩を遂げています。 ただし、手術を安全に確実に実践するためには、当たり前のことながら整形外科の専門医を始めとして、医療従事者の専門性が問われ、人工関節の特性や、軟骨などの組織が破綻するメカニズムに対する知識が不可欠です。 これら関節の再建方法などについて熟知している専門性が大切であり、これまでの経験、知見、熟練の度合いが手術に影響するとされています。 また、人工関節置換術においては、言うまでもありませんが手術そのものの安全性を高く施行するだけでなく、術前や術後における全身管理や、術後の安定した段階で早期に、個人に沿ったリハビリテーションを計画し、適切に行えることが非常に重要です。 これらの人工関節手術を安心して受けるためには、術後の体制、いわゆる人工関節の緩み、異物感染、関節脱臼やインプラント周囲組織の骨折を含めた様々な合併症が起こった際に迅速かつ、確実に対応できる医療体制の存在、あり方が必要不可欠です。 また術後のリハビリテーションに関しては、術前に担当の看護師や理学療法士などのリハビリの専門部門が積極的に患者さんに接触し、術後の早期に状態を見極めながら関節機能を中心とした全身状態の改善を目指さなければなりません。 万が一にもリハビリテーションが予定とは異なり順調に進まない時には、自宅への退院とは別途、リハビリ専門施設へ転院するような連携調整、あるいは自宅退院後の各種生活支援についてメディカルソーシャルワーカーに相談する必要があるでしょう。 このように「人工関節の安全性」は、専門性、術前、術後、リハビリなどをすべて含めて判断すべきだと考えます。 安全性は、総合的に判断 ・専門医(経験、知見、習熟度) ・術前の全身管理 ・術後の対応、フォロー ・リハビリ計画 人工関節の手術|危険性について 人工関節置換術は、疼痛症状を緩和して関節の機能の回復を望める手術である一方、関節以外の他手術と同様に一般的なリスクとして、全身麻酔に伴う合併症や、深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症、あるいは輸血に関する問題点などがあります。 また、人工物や手術部分の感染、患部周辺の血管や骨組織、神経などの二次的な損傷、あるいは手術中における予測不能なことがが引き起こされる懸念も考えられます。 そして、人工関節手術の術直後においては傷口の疼痛が非常に強いことが懸念されており、関節部の機能回復を阻害するのみならず、手術を受けた患者さんの満足度とも直接的に関連すると言われています。 他にも心配なのは、人工関節の耐久性です。人工物ですので永久に使えるものではないからです。いつまで使えるかということに関しては、患者さん自身の生活背景などの使い方にもよりますが概ね15年前後であると考えられています。 人生100歳時代の現代、耐久性という面から、将来に人工関節を入れかえるため、再手術の可能性があることを知っておくべきです。その際は、年齢的にも術式的にも、あらゆる面で最初より、難しさがが増す可能性があります。 従来、人工関節置換術は、およそ60歳以上の高齢者を中心に適応がある手術とされてきましたが、近年では個々の価値観やクオリティ・オブ・ライフ/QOL(*)が尊重される時代となり、2回目の手術を勘案して50歳前後でもより快適な人生を過ごすために本手術を選択される方もいらっしゃいます。 (*)クオリティ・オブ・ライフ/QOL 治療を受ける患者さんの肉体的なことはもちろん、精神的なことや社会的、そして経済的など、すべてを含んだ生活の質を指す言葉です。 今回の場合では手術そのものや、その後の副作用などでリハビリを行っても手術前と同じようには生活できなくなる危険性あります。 そのことを理解した上で手術の利点と危険性に関して医師とよく相談し、リハビリも含めた治療内容全般にわたって理解するようにしましょう。そして、家族や周りの理解や、協力を得られるよう相談し、慎重に決定されることをお勧めします。 最後に手術を選択した場合の入院期間について、概ね1か月は最低必要で、年齢的なものや、術後の状態により2か月~必要な場合もあるため、日程的な融通が必要な手術です。 今回は、人工関節への置換手術について不安を感じておられる方への術前のアドバイスとして記してまいりましたが、治療法としては、「再生医療」という先端医療分野があることも知っておきましょう。 その特徴は、手術も入院も不要という治療方法で自分の自己治癒力を引き出す最先端医療です。興味がある方は、お問い合わせください。いずれにしましても先生と話し合って、聞きたいことを聞き、納得して進んでください。 まとめ・人工関節の手術で知っておくべき安全性と危険性 股関節や膝関節は、下半身の体重を支えながら日常生活で立つ、歩くなどの基本的動作を実践するうえで極めて重要な関節です。肩関節や肘関節が障害を受けると荷物が持てないなど非常に支障をきたして日常生活が大変不便になります。 その意味でも日々の健康を保ち快適な暮らしを送り続けるためにも、関節に負担の少ない優しい生活を過ごすように意識しましょう。 仮に関節症の疾患で、人工関節置換術を勧められた場合は、選択肢としてこちらの記事で記したような将来の再手術の可能性、手術そのものの危険性や、入院期間が長くなるといった手術であること知ったうえで臨んでください。 リスクは、どのような手術であっても伴うものです。ただ、上手くいけば関節の痛みが緩和されて、関節の機能が元通りに再生されるのみならず、普段の歩き方や、身体のバランスを整備することが可能な治療法です。 これからの時代、健康寿命を延伸して自分らしい快適な生活を営むためにも、関節疾患は、放置することなく、治療方法について整形外科の専門医もしくは専門院を受診して相談されるこをお勧めします。 安全性 ・術式としては確立 ・多様な部位に対応 ・素材の進歩 危険性/リスクを理解 ・クオリティ オブ ライフ ・専門医の相談、納得感 ・家族の理解、支え ・人工関節の耐久性 → 年齢から再手術の可能性を念頭に ・長期入院 → 1か月~2か月 ・リハビリ → 長期計画 ・手術としての危険性(合併症、その他) ・手術部位の疼痛 以上、人工関節手術に関する安全性と危険性について記しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07