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健康診断で「尿酸値が高い」と指摘され、不安に感じていませんか? 「痛風になったらどうしよう」「日常生活で何に気を付ければ良いの?」といったお悩みを持つ方もいらっしゃることでしょう。 尿酸値が7.0mg/dLを超えると、痛風のリスクが高まるだけでなく、さまざまな生活習慣病にもつながる可能性があります。 ですが、ご自身の尿酸値の状態を正しく理解し、適切な対策を行うことで、健康な毎日を送ることは十分に可能です。 本記事では、尿酸値の基準値や高くなる原因、そして具体的な治療法について、わかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 尿酸値や痛風について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 尿酸値が高いと痛風発作のリスクが上昇! 尿酸値が高い状態、いわゆる「高尿酸血症」は、痛風発作を引き起こす要因です。 健康診断などで尿酸値の高さを指摘されたものの、自覚症状がないため放置してしまう方も少なくありません。 しかし、尿酸値が高い状態が続くと、ある日突然、足の指の付け根などに激しい痛みが走る痛風発作が起こる可能性があります。 ご自身の尿酸値がどのくらい危険な状態なのか、正しく理解しましょう。 8.0mg/dLは危険?尿酸値の診断結果を見てみよう 結論、尿酸値8.0mg/dLは注意が必要な状態です。 血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると、高尿酸血症と診断され、合併症がある場合は8.0mg/dLを越えると治療が検討されます。(文献1) この状態は、血液中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化し、関節などに蓄積しやすくなることを意味します。 尿酸の結晶が関節に溜まると、痛風発作と呼ばれる激しい痛みを引き起こしてしまいますので、以下の表で、ご自身の尿酸値がどのレベルに該当するか確認してみましょう。 尿酸値(mg/dL) 評価 状態 7.0以下 正常値 とくに問題ありませんが、生活習慣には注意しましょう。 7.1~7.9 要注意 高尿酸血症の状態です。生活習慣の見直しが必要です。 8.0~8.9 危険 痛風発作のリスクが高い状態です。専門医への相談をおすすめします。 9.0以上 非常に危険 いつ痛風発作が起きてもおかしくない状態です。直ちに医療機関を受診してください。 (文献2)(文献3) 尿酸値が高い状態は、痛風だけでなく、腎臓の機能低下や尿路結石、さらには心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクも高めることが知られています。 尿酸値が高いことによる体への具体的な影響については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。 尿酸値の基準値|痛風になりやすいライン 尿酸値の基準値は、一般的に7.0mg/dL以下とされています。この数値を超えると「高尿酸血症」と診断され、痛風やその他の生活習慣病のリスクが高まります。 尿酸値が9.0mg/dLを超えると、痛風発作が起こる可能性が非常に高くなりますが、尿酸値が7.0mg/dLを超えたからといって、すぐに痛風になるわけではありません。 高尿酸血症の状態が長く続くことで、徐々に尿酸の結晶が関節に蓄積し、ある日突然痛風発作として症状が現れます。 そのため、自覚症状がなくても健康診断で尿酸値の高さを指摘された場合は、早期に生活習慣の改善に取り組むことが重要です。 男女別|尿酸値の基準値 尿酸値の基準値は、男女で若干異なります。 一般的に、男性の方が女性よりも尿酸値が高くなる傾向があります。 性別 基準値(mg/dL) 男性 3.7~7.8 女性 2.6~5.5 (文献4) 男性の尿酸値が女性より高い理由は、男性ホルモンに尿酸の排泄を抑える働きがあるためです。 一方、女性ホルモン(エストロゲン)には、腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあります。そのため、女性は男性に比べて尿酸値が低く痛風になりにくいとされています。(文献5) しかし、注意が必要なのは閉経後の女性です。閉経を迎えると女性ホルモンの分泌が減少し、尿酸値が上昇しやすくなります。 その結果、閉経後の女性は痛風のリスクが高まるため、女性も食生活や運動習慣に気を配ることが大切です。 年代別|尿酸値の基準値 尿酸値に、年代別の明確な基準値は設けられていません。しかし、年齢を重ねるにつれて尿酸値は上昇する傾向にあります。これは加齢に伴う腎機能の低下が影響していると考えられています。 腎臓は尿酸を体外へ排出する重要な役割を担っているため、その機能が低下すると、体内に尿酸が溜まりやすくなるのです。 実際に、日本の国民健康・栄養調査によると、高齢になるほど血清尿酸値の増加が報告されています。(文献5) とくに、40代以降の男性や閉経後の女性は、尿酸値が高くなりやすい傾向があるため、定期的な健康診断でご自身の数値を把握し、生活習慣を見直しましょう。 若い世代であっても、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどにより尿酸値が高くなるケースも増えていますので、油断は禁物です。 尿酸値が高くなる原因 尿酸値が高くなる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。 プリン体の過剰摂取 尿酸の排泄低下(腎機能低下) 飲酒 肥満・メタボリックシンドローム ストレスや過度な運動 遺伝的要因 尿酸は、私たちの体内で「プリン体」という物質が分解されて作られる老廃物です。通常であれば、尿酸は腎臓から尿と一緒に排泄され、体内の量は一定に保たれています。 尿酸が過剰に作られたり、うまく排泄されなくなり、血液中の尿酸値が上昇する原因について解説します。 プリン体の過剰摂取 尿酸の元となるプリン体は、細胞の核に含まれる成分で、私たちの体内でも生成されますが、食事から摂取されるものも少なくありません。 とくに、レバーや魚卵、干物など、プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると、体内で作られる尿酸の量が増え、尿酸値が上昇する原因となります。 一般的に、食品100gあたりに含まれるプリン体が200mg以上のものはプリン体の多い食品とされています。(文献1) 日常的にこれらの食品を好んで食べている方は、注意が必要です。 以下に、プリン体を多く含む食品の例をまとめましたので、ご自身の食生活を振り返ってみてください。 食品カテゴリ 食品カテゴリ プリン体含有量(mg/100g) 肉類 豚レバー 284.8 鶏レバー 312.2 牛レバー 219.8 魚介類 マイワシ干物 305.7 大正エビ 273.2 イサキ白子 305.5 アンコウ肝 399.2 魚卵 イクラ 15.7 スジコ 2.9 その他 干し椎茸 379.5 ビール酵母 2995.7 ただし、プリン体の摂取を極端に制限する必要はありません。大切なのは、バランスの取れた食事を心がけ、プリン体の多い食品は控えめにすることです。 プリン体と尿酸値の関係については、こちらの記事も参考にしてください。 尿酸の排泄低下(腎機能低下) 体内の尿酸は、約70%が腎臓から尿として排泄されます。(文献1) そのため、腎臓の機能が低下すると、尿酸を十分に排泄できなくなり、体内に蓄積して尿酸値が上昇します。 腎機能が低下する原因はさまざまですが、加齢のほか、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が大きく関わっています。 これらの病気は、腎臓の血管にダメージを与え、徐々に腎機能を悪化させてしまうのです。 また、一部の降圧薬や利尿薬なども、尿酸の排泄を妨げることがあります。 現在、なんらかの薬を服用している方で尿酸値が高い場合は、一度かかりつけの医師に相談してみることをお勧めします。 腎機能の低下は自覚症状が現れにくいため、定期的な健康診断で腎臓の状態をチェックすることが非常に重要です。 飲酒 アルコールは、尿酸値を上げる大きな要因の一つです。 その理由は、主に3つあります。 理由 説明 アルコールが尿酸値を上げる アルコールが肝臓で分解される際に、尿酸の元となるプリン体が生成され、体内の尿酸量が増加します。 アルコールが尿酸の排泄を妨げる アルコールは腎臓からの尿酸排泄を抑制します。 とくに、ビールはプリン体を多く含むため、尿酸値を上げやすいお酒として知られています。 利尿作用による脱水 アルコールの利尿作用により体内の水分が失われ、血液が濃縮されることで一時的に尿酸値が上昇します。 お酒の種類に関わらず、アルコールの摂取量が多いほど尿酸値は上がりやすくなります。 休肝日を設けるなど、適度な飲酒を心がけることが大切です。 肥満・メタボリックシンドローム 肥満、とくに内臓脂肪が多いメタボリックシンドロームの状態は、尿酸値を上昇させることがわかっています。 内臓脂肪からは、インスリンの働きを悪くする物質が分泌され、インスリンの働きが悪くなると、体は血糖値を下げるためにより多くのインスリンを分泌しようとします。 この血液中のインスリンが過剰になった状態(高インスリン血症)が、腎臓での尿酸の排泄を妨げ、結果的に尿酸値を上げてしまうのです。 また、肥満の方は、過食や運動不足の傾向があり、それ自体が尿酸値を上げる原因にもなります。 肥満を解消し、適正体重を維持することは、尿酸値のコントロールにおいて非常に重要です。 BMI(肥満度を表す体格指数)が25以上の方は、まずは減量から始めてみましょう。 BMIの計算方法:体重(kg) ÷ {身長(m) × 身長(m)} ストレスや過度な運動 意外に思われるかもしれませんが、生活習慣全般の乱れによるストレスや激しい運動も尿酸値を上げる一因となることが示唆されています。 また、短距離走や筋力トレーニングといった、息が上がるほどの激しい運動(無酸素運動)を行うと、体内でエネルギーが大量に消費されます。 このとき、エネルギーの燃えカスとしてプリン体が多く作られ、結果として尿酸値が一時的に上昇します。 ですが、もちろん健康維持のために運動は欠かせません。 ウォーキングやジョギング、水泳といった、軽く汗ばむ程度の有酸素運動であれば、肥満の解消にもつながり、尿酸値の改善に効果的です。 ご自身の体力に合わせて、無理のない範囲で運動を続けましょう。 遺伝的要因 生活習慣に気をつけていても、尿酸値が高くなってしまう場合があります。 その背景には、遺伝的な要因が隠れていることもあります。 尿酸を体内で作る能力や、腎臓から排泄する能力には個人差があり、これらは遺伝によってある程度決まると考えられています。 実際に、家族に痛風の患者様がいる方は、そうでない方に比べて痛風になりやすいとされています。(文献1) ご自身の体質を理解し、人一倍、食生活や運動習慣に気をつけることが重要です。 食事と痛風の関係については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。 痛風と高尿酸値の治療法 尿酸値が高いと指摘された場合、どのような治療法があるのでしょうか。 高尿酸血症や痛風の治療の基本は、生活習慣の改善です。 具体的には、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つが柱となります。 食事療法:プリン体を含む食品を控え、バランスの良い食事を心がける。 運動療法:有酸素運動を中心に肥満の改善を目指す。 薬物療法:生活習慣の改善で効果が不十分、または痛風発作の既往がある場合に尿酸降下薬を使用。 食事療法では、プリン体を多く含む食品を控え、バランスの取れた食事を心がけることが基本です。 また、水分を十分に摂取し、尿の量を増やすことで、尿酸の排泄を促せます。 運動療法では、ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、肥満の解消を目指します。 これらの生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合や、すでに痛風発作を起こしたことがある場合には、尿酸値を下げる薬(尿酸降下薬)を用いた薬物療法が行われます。 治療法の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 【関連記事】 痛風治療と生活習慣の見直してみる?!今すぐ始める具体的ステップ 尿酸値を下げて腎臓の健康を守る!今すぐ始めたい痛風・腎臓病予防の生活習慣 まとめ|尿酸値が高いときは放置せず早めに医療機関へ! 尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症は、痛風発作のリスクを高めるだけでなく、腎機能低下や尿路結石、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の危険性も上昇させます。 とくに尿酸値8.0mg/dL以上の方や、痛風発作の既往がある方は、早急な対応が必要です。自覚症状がないからといって放置せず、健康診断で異常を指摘された場合は、専門の医療機関を受診しましょう。 食事療法や運動療法といった生活習慣の改善は、尿酸値をコントロールする基本です。高尿酸血症は腎機能の低下や動脈硬化のリスクを高め、放置すると全身の健康に影響を及ぼします。 痛風発作による関節の痛みだけでなく、高尿酸血症に伴う生活習慣病は、ひざや股関節など他の関節疾患のリスクも高めることが知られています。 当院「リペアセルクリニック」では、変形性ひざ関節症や股関節症など、加齢や生活習慣によって生じる関節疾患に対して再生医療を提供しています。 膝や股関節の痛みでお悩みの方は、当院の公式LINEで発信している再生医療の情報をご確認してください。 尿酸値と痛風に関するよくある質問 尿酸値が高いと必ず痛風になりますか? 尿酸値が高い「高尿酸血症」の状態であっても、必ずしも全員が痛風になるわけではありません。 痛風発作を起こすのは、高尿酸血症の方の一部です。 しかし、尿酸値が高い状態が長く続くほど、また、数値が高ければ高いほど、痛風発作のリスクは確実に上昇します。 自覚症状がないからといって安心せず、尿酸値が高いと指摘されたら、将来の痛風発作を予防するために、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。 尿酸値は下がっても再び上がることはありますか? あります。食事療法や薬物療法によって一度尿酸値が下がっても、治療を中断したり、生活習慣が元に戻ってしまったりすると、再び尿酸値は上昇します。 薬物療法は、高血圧の薬と同様に、継続して服用することで尿酸値をコントロールするものです。 自己判断で薬をやめてしまうと、尿酸値が再上昇し、痛風発作を繰り返す原因となります。 医師の指示に従い、根気強く治療を続けることが重要です。 尿酸値が高いと痛風以外にも病気のリスクはありますか? 高尿酸血症の方は、痛風以外の病気リスクもあります。 血液中に溶けきれなくなった尿酸の結晶は、関節だけでなく、腎臓や尿路にも蓄積します。 腎臓に蓄積すると腎機能が低下する「痛風腎」に、尿路に蓄積すると激しい痛みを伴う「尿路結石」になることがあります。 さらに、高尿酸血症は、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病を合併しやすく、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる動脈硬化性疾患のリスクを高めることも明らかになっています。(文献1) 参考文献 (文献1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版|日本痛風・尿酸核酸学会 (文献2) 高尿酸血症・痛風の診断と治療|日本内科学会雑誌 (文献3) 共用基準範囲に関するガイドライン|公益社団法人 日本臨床検査標準協議会 (文献4) Analysis of a Japanese Health Insurance Database|Journal of Clinical Medicine (文献5) 国民健康・栄養調査結果|厚生労働省
2025.06.29 -
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「熱中症になりやすい人は、どのような体質か」と疑問に思う方もいるでしょう。熱中症になりやすいのは、子どもや高齢者、持病がある方など、体温調整がうまく働きにくい体質や状態にある方たちです。 本記事では、熱中症になりやすい人の特徴や体質に加えて、具体的な予防・対策について解説します。熱中症になりにくい人の共通点や、よくある質問にも回答しているので、ぜひ参考にしてください。 熱中症になりやすい人の特徴 熱中症になりやすい人は、子どもや高齢者、肥満体質の方などです。ここでは、それぞれの特徴を解説するので、参考にしてください。 子ども 子どもは大人より、熱中症になりやすい傾向があります。基礎代謝が高く、体温が上がりやすい体質に加えて、発汗量を調整する汗腺がまだ未発達のため、体内に熱がこもりやすくなっています。 たとえば、夏の公園や校庭などで夢中になって遊んでいると、暑さや体温の変化に気づかず、突然ぐったりしてしまうケースも少なくありません。 また、照り返しによって地面に近いほど気温が高くなるため、外出時はベビーカーに載っている乳幼児にも注意が必要です。 このように、子どもは大人よりも体温調節が苦手なため、夏場や暑い環境ではとくに、熱中症リスクが高まります。 高齢者 高齢者は、熱中症になりやすい人の代表的な例です。加齢に伴い、発汗などの体温調整機能や体内の水分量が低下するためです。水分不足だと、汗をかく量が低下し、余分な体の熱が放出されにくくなります。また、暑さや喉の渇きを感じにくくなることも熱中症のリスクを高める要因です。 室内にいてもクーラーを付けずに過ごしていたり、喉が渇いていないと感じて水分を摂らなかったりする場合があります。こうした状態が続くと、気付かないうちに熱中症になっているケースもあります。 一人暮らしで体調の変化を周囲に伝えにくい場合は、対処が遅れて重症化する恐れもあるため注意が必要です。 肥満の人 肥満体型の方も熱中症になりやすい傾向にあります。皮下脂肪を多いため体内の熱を外へ逃がしにくく、体重が重い分、体を動かす際に多くのエネルギーを消費して熱として溜まりやすくなります。 くわえて、体温を下げるために大量の汗をかくことで、水分不足を起こしやすくなる点も一因です。 たとえば、暑い日に外を歩いているだけでも、体内に熱がこもりやすく、汗の量が増えて脱水症状に陥る可能性もあります。 暑い日は、通気性の良い服装を選んだり、日傘、帽子を使ったりして、体に熱がこもらないように工夫しましょう。 持病がある人 高血圧や糖尿病、腎不全などの持病は、熱中症リスクを高める要因の一つとされています。これらの疾患は、体温調整機能の乱れを起こしやすいリスクがあるためです。さらに、服用している薬によっては、発汗の抑制や利尿作用によって水分が失いやすくなり、熱中症リスクを高めます。 血圧の薬や利尿剤を服用している人は、汗が出にくくなったり、水分が過度に排出されたりして脱水症状を起こすケースもあります。 複数の薬を服用している高齢者の方はとくに注意が必要です。 運動不足や体調不良の人 運動習慣がないと、熱中症になりやすい傾向があります。運動不足によって筋肉量が減ると、心臓に血液を送る働きが低下し、熱が体に溜まりやすくなるためです。 日ごろあまり体を動かしていない人が暑い日に少し外出しただけで、ふらつきや軽い熱中症の症状を起こすケースも少なくありません。 また、寝不足や疲労が蓄積しているときも、熱中症になる可能性が高まります。体調が万全でないと、体温調整機能がいつも通り働かなくなるためです。 たとえば、二日酔いや下痢などで体内の水分が減っている場合には、脱水症状を引き起こしやすくなります。 熱中症になるリスクを下げるためには、運動習慣をつくり体調管理を意識することが大切です。 熱中症の主な原因とリスクを高める要因 熱中症の主な原因とリスクを高める要因には、そのときの環境や作業状況などが関わってきます。以下で、それぞれ見ていきましょう。 環境の要因 熱中症の原因となるのは、環境が大きく関わります。高温多湿や輻射熱、無風といった条件下での作業は体に熱がこもりやすく、発症リスクが高まります。 窓を閉め切った室内でエアコンを使わずに掃除や片づけなどの家事をしていたところ、気付かないうちに体が熱をため込み、めまいや吐き気を感じるケースも少なくありません。 熱中症は気温や湿度だけでなく、風通しの悪さや室内の状況などによっても引き起こされます。暑さを感じにくい場所でも油断をせず、室温や湿度を確認しながら、温度調整や休憩を取り入れることが大切です。 作業時の要因 長時間の屋外での作業や体力的に負担の大きい業務も熱中症リスクを高める要因です。休憩を十分にとれなかったり、水分補給ができない状態が続いたりすると体内に熱が溜まりやすくなります。 さらに、通気性の悪い制服や防護服の着用も注意が必要です。送風機能のある作業着や通気性の良い素材の服を着用するようにしましょう。 個人の要因 個人の体調や体質も、熱中症リスクを高める要因の一つです。屋外作業に慣れておらず、暑熱順化(体が暑さに慣れること)ができていなかったり、二日酔いで水分が不足していたりと原因はさまざまです。 発熱や風邪などの症状があるときは、もともと体温が上がっているため、気温の変化を受けやすくなります。 少しでも体調に違和感を覚えたら、こまめに水分補給をし、無理せず休憩をとることが重要です。 熱中症になりやすい人が講じるべき対策と予防 熱中症になりやすい人は、普段から暑さに負けない体づくりや工夫が求められます。ここでは、講じるべき対策と予防について解説するので、熱中症になりやすい人は、参考にしてください。 暑さに負けない体づくりをする 熱中症を予防するには、暑さに負けない体づくりが欠かせません。適度な運動やバランスのとれた食事、十分な睡眠など、日ごろの体調管理を意識すると、熱中症になりにくい体づくりにつながります。 また、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給をしましょう。冷房や扇風機を上手に使い、寝苦しい夜も睡眠環境を整えると、夜間の熱中症予防にもつながります。さらに、質の良い睡眠は体力の回復を促すため、予防にも効果的です。 暑くなる前から無理のない範囲でウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れると、体力の維持や暑さへの順応にも効果が期待できます。 暑さに対する工夫をする 暮らしのなかに取り入れられる小さな工夫でも、暑さ対策としては有効です。適度な空調で室温を保ったり、衣服の素材を工夫したりすると熱中症リスクを軽減できます。 麻や綿といった通気性の良い服を選んだり、吸水性や速乾性に優れたインナーを身に付けたりすると汗をかいても快適に過ごせるのでおすすめです。また、外を歩くときはなるべく日傘や帽子を活用し、日陰を歩くようにしましょう。冷却グッズを取り入れるのも、暑さ対策として効果的です。 日々の小さな心がけが、熱中症予防につながります。 こまめな休憩と水分補給をする こまめな休憩と水分補給は熱中症対策には不可欠です。炎天下での屋外作業や高温多湿な環境では、体温が上昇しやすく、大量の汗をかくと体内の水分や塩分が失われやすくなります。 また、暑さが厳しい日は、テレビや天気予報のWebサイトで公開されている「熱中症警戒アラート」や「暑さ指数(WBGT)」も参考にして、活動時間やタイミングを工夫すると効果的です。 こまめに休憩をとり、定期的に水分と塩分を補給しましょう。 熱中症になりにくい人の特徴 熱中症になりにくい人には、日ごろの生活習慣や体の状態に共通点があります。主な特徴は以下のとおりです。 朝食をしっかり摂っている 睡眠時間が安定している 適度な運動を続けていて筋肉量がある 朝ごはんを食べないと、一日のエネルギーが不足し、体温調整機能がうまく働きません。朝食をしっかり摂ると、体内時計が整い外部の環境に順応しやすくなります。 また、睡眠時間が安定している人は、自律神経が整いやすく外気温の変化に適切に反応できます。さらに、筋肉量が多い人は体内の水分保有量が多く、発汗による脱水のリスクが低いため、熱中症を防ぎやすいでしょう。 食事では、夏野菜や果物、豚肉などを取り入れて汗で失われやすい栄養素を補うことも大切です。 熱中症になりやすい人はリスクを把握して備えよう 熱中症になりやすい人は、あらかじめリスクを把握しておきましょう。炎天下での長時間作業や締め切った部屋での家事などは、とくに注意が必要です。また、高血圧や糖尿病などの持病がある方も、体温調整が難しくなるためリスクが高まります。 日ごろから体調管理や適度な運動を心掛け、こまめに水分補給をとり、熱中症になりにくい体づくりを心掛けましょう。 【関連記事】 熱中症で脳梗塞のリスクが高まる?症状の見分け方と予防のポイント5選 熱中症の主な後遺症一覧|原因や治療方法を現役医師が解説 熱中症と「なりやすい」に関するよくある質問 女性は熱中症になりやすいですか? 女性は男性と比べて、熱中症になりやすい傾向があります。理由としては、水分を貯める役割を担う筋肉量が男性よりも少ないためです。 また、月経時には出血とともに水分も失われやすくなります。さらに、更年期による女性ホルモンの変化も一因です。自律神経が乱れやすくなり、体温調整機能がうまく働かず、熱中症のリスクが高まります。 一度熱中症を経験するとなりやすいのはなぜですか? 熱中症は一度経験したからといって、繰り返しなりやすくなるものではありません。しかし、「熱中症になりやすい」と感じている場合は、筋肉量の低下や暑熱順化ができていない可能性があります。 熱中症を防ぐためには、あらかじめ暑さに慣れておくことが大切です。とくに、冷房の効いた室内でデスクワークをしている方は注意してください。無理のない範囲でウォーキングを取り入れたり、一駅分歩いてみたりと、日常のなかで暑さに慣れる工夫をしてみましょう。 熱中症になりやすい時期はいつですか? 熱中症になりやすいのは、7月~8月の気温が高くなる時期です。とくに、真夏日(最高気温が30度以上)に患者数が増え始め、猛暑日(最高気温が35度以上)には急増する傾向があります。 また、梅雨の晴れ間や梅雨明けの蒸し暑い日にも注意が必要です。体が暑さに慣れていない時期は、気温や湿度の変化に対応しづらく、熱中症リスクが高まります。
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「頭がズキズキするけれど、体調不良から起こる頭痛か熱中症のサインかわからない」 「少し休んでも痛みが改善されない」 熱中症が引き起こす頭痛は、疲れや寝不足などと混同されやすいため、受診のタイミングに迷う方もいるでしょう。単なる疲れと見逃されがちですが、放置すると重症化する危険があります。 本記事では、熱中症と頭痛の関係や見分け方を詳しく解説します。すぐに実践できる対処法や、日頃から心掛けたい予防策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 【重症度別】頭痛症状はどこに当てはまる?熱中症との関係性 熱中症による頭痛は、中等度の症状に該当し、ほかにも吐き気や嘔吐・倦怠感(けんたいかん)などが挙げられます。 熱中症とは日射病や熱射病の総称で、気温が高い環境で運動や仕事などを行った際に体温調節がうまくできなくなり起こる病気です。とくに、成長途中の子どもや、身体機能が低下しやすい高齢者は注意が必要です。 熱中症は、軽度から重度まで複数の症状がみられます。重症度別に症状を解説するので、参考にしてください。 また、熱中症の影響を受けやすいのは、どのような人か知りたい方はこちらの記事もチェックしてください。 軽度 軽度の熱中症は、発汗により体内の水分や塩分などの電解質が失われ始める段階で、主な症状は以下のとおりです。 めまい・立ちくらみ こむら返り 筋肉痛 大量の発汗 体内の水分が失われると血液量が減少し脳へ送られる血液の流れが不安定になるため、急に立ち上がった際にめまいや立ちくらみ(熱失神)を起こす場合があります。 熱中症では、汗とともに失われるのは水分だけでなく、筋肉の正常な収縮に不可欠なナトリウムなどの塩分も含まれます。塩分が欠乏すると、ふくらはぎや足の指、腹部などに痛みを伴うけいれんを指すこむら返り(熱けいれん)が起こるケースも珍しくありません。 軽度の熱中症で「頭痛」が主症状となるのは稀です。ただし、ズキズキと脈打つような激しい痛みではなく、脱水による血流の変化からくる「頭が重い感じ(頭重感)」を訴える場合もあります。 中等度 中等度の熱中症は「熱疲労」ともいわれ、頭痛に加えて以下の全身症状が現れます。 頭痛 気分の不快 吐き気・嘔吐 倦怠感 虚脱感 熱中症による頭痛は、体温の上昇に対処しようと脳の血管が過度に拡張するのが主な原因です。拡張した血管に心臓が血液を送り込むたびにズキズキと脈打つような拍動性の痛みを感じます また、体が熱を逃せるよう消化器系への血流を抑えるため胃腸の働きが低下し、強い吐き気や嘔吐を引き起こすケースも珍しくありません。体はエネルギーを使い果たし、立っていられないほどの倦怠感や虚脱感に襲われます。 集中力や判断力も著しく低下するため、自分自身で的確に対処するのが困難になり始めるのも中等度の特徴です。 中等度の熱中症は、意識がはっきりしていても臓器障害を起こしている場合があります。重症化すると命の危険につながるため、自己判断で様子を見ないよう注意してください。 重度 重度の熱中症は「熱射病」と呼ばれ、体温が上がりすぎたために以下の症状が現れます。 高体温 けいれん 意識障害 手足の運動障害 重度では体温調節を司る中枢機能が失われ、体温が40度を超えると発汗しなくなり体表に激しい熱感が残るのが特徴です。 重度の熱中症では高体温により、熱に弱い神経細胞が直接的なダメージを受けます。その結果、全身のけいれんや昏睡状態を引き起こす場合があります。 重度では頭痛を訴えていた中等度の段階とは異なり、痛みを感じたり、伝えたりする行動自体ができないほど、中枢神経系が深刻な影響を受けているといえます。 熱中症で起こる頭痛の特徴 熱中症が引き起こす頭痛には、日常的な片頭痛や風邪などの頭痛とは性質が異なり、以下の特徴があります。 拍動性の痛みを感じる 倦怠感・吐き気・嘔吐などを伴う なかでも特徴的なのは、心臓の拍動に合わせてズキズキと脈打つ拍動性の痛みです。頭全体が締め付けられるように感じたり、ガンガンと響くような重い痛みを伴ったりする場合も少なくありません。 頭痛だけが単独で現れるのは珍しく、倦怠感・吐き気・嘔吐など、全身状態の悪化を示す症状が伴う点も大きな特徴です。 上記の特徴が見られた際は、熱中症を疑い速やかな対応が求められます。 熱中症による頭痛の見分け方 熱中症による頭痛か否かを見分けるには、以下の状況と身体の変化を確認することが重要です。 状況 全身症状 ・高温多湿の場所に長時間いた ・激しい運動や屋外作業をしていた ・水分が十分に足りていなかった ・体温上昇や発汗の異常、脱水症状がみられる ・めまいや吐き気、倦怠感が伴う ・涼しい場所での安静や水分補給で症状が改善する 炎天下や蒸し暑い屋内で活動したあとに頭痛が出現した場合、まずは熱中症を疑います。 熱中症による頭痛は、ズキズキとした拍動性の痛みとして現れる場合が多く、体温が上昇して異常な発汗がみられる、全身に脱水の兆候が同時にみられます。また、めまいや吐き気・強い疲労感を伴うケースも多いため、全身症状の条件がそろえば熱中症が引き起こされる可能性が高まるでしょう。 涼しい場所で休み、水分とともに塩分などの電解質を補給して症状が和らぐようであれば、熱中症が原因であると考えられます。 ただし、重度では安静や補水でも改善しないケースがあるため、症状が徐々に悪化していく場合や症状が改善しない場合は、迷わず医療機関を受診してください。 熱中症の症状で頭痛が起きた際の対処法3選 熱中症による頭痛が発症した場合、迅速かつ的確な対応が症状の悪化を防ぐ鍵となります。ここでは、頭痛が起きた際の具体的な対処法を紹介します。 自己判断で放置してしまうと重症化する危険もあるため、理解を深めておきましょう。 涼しい場所へ移動する まずは、体温を上げる環境から離れるのが最優先です。屋外にいる場合は、直射日光を避けられる日陰や、可能であれば冷房が効いた室内や車内へ速やかに避難してください。 室内で発症した場合でも、窓を閉め切った暑い部屋から、風通しの良い涼しい部屋へ移動します。 自力で移動できる場合でも、めまいや立ちくらみ、一時的な失神によるふらつき・転倒を起こす可能性があるため、注意してゆっくり移動しましょう。自力で移動できない場合、周囲に人がいるなら協力を仰ぎ、迅速に安全な場所へ避難するのが大切です。 体を冷やす 涼しい場所へ移動したら、次は積極的に体を冷やす処置を行います。 ベルトやネクタイ、体に密着する衣服を緩めて、風通しを良くしてください。濡らしたタオルやハンカチを体に当てて、うちわや扇子などであおぎ、体温を下げます。 冷やす際は保冷剤や氷のう・冷えたペットボトルなどにハンカチを巻き、以下の部位に当てましょう。 首筋 わきの下 足の付け根 上記のような太い血管が皮膚の近くを通っている場所を冷やすと、効率的に全身の血液を冷やせて効果的です。 水分・塩分を補給する 脱水と電解質の不足が熱中症を引き起こすため、水分とともに塩分などの電解質の補給が欠かせません。 スポーツドリンクや経口補水液が望ましいですが、無ければ水でも良いのでゆっくり飲みます。一度に大量の水分を摂ると胃腸に負担がかかるため、こまめに少しずつ摂取すると良いでしょう。 ただし、吐き気や嘔吐を伴う場合は、無理に飲まないでください。また、意識がはっきりしない人に無理矢理飲ませると、誤って気道に水分が流れ込む可能性があるため、注意が必要です。 熱中症による頭痛症状が現れた際の受診目安 熱中症によって頭痛症状が引き起こされた際の受診目安は、以下のとおりです。 応急処置をしても改善がみられない 自力で水分を摂れない 嘔吐を繰り返している 意識障害がある 頭痛が軽度であり水分補給や休息によって速やかに軽快するなら、自宅で経過をみても問題ありません。 ただし、涼しい場所へ移動し十分に水分・塩分を補給しても改善がみられない場合や、症状が悪化する際は医療機関の受診が必要です。とくに、水分を自力で摂取できない、嘔吐を繰り返してしまう場合は、点滴での水分・電解質の補給が必要になる可能性があります。 呼びかけへの反応がおかしい、ろれつが回らない、けいれんを起こすなどの意識障害の兆候が見られる際は、救急車の要請を検討してください。 熱中症によって頭痛が生じた際、自己判断で様子を見るだけでは危険な場合もあるため、注意しましょう。 受診するかお悩みの際は、ぜひご相談ください。 熱中症による頭痛の予防法 熱中症による頭痛の予防法は、以下のとおりです。 高温多湿の環境では無理せずこまめに休憩する 服装に注意する こまめに水分・塩分を補給する 高温多湿の環境では無理な運動や長時間の外出を避け、適切に休憩を取り入れるのが基本です。睡眠不足や風邪など、体調が優れない場合は気温が高くなる日中の外出は控えましょう。 また、日差しを直接浴びないよう帽子や日傘を活用し、通気性の良い淡い色の服装を心がけると体温の上昇を抑えられます。 熱中症予防には、こまめな水分・塩分補給も欠かせません。喉の渇きを感じる前から水分や電解質を補うと、脱水を未然に防げます。とくに、大量の発汗が予想される場合には、スポーツドリンクや経口補水液の利用が効果的です。 ほかにも、十分な睡眠と食事を取って体調を整え、暑さに耐えられる体づくりも大切です。自分の体調や周囲の気温変化に注意を払い、早めの予防行動を意識できると、頭痛を含む熱中症の発症を大きく減らせます。 熱中症による長引く頭痛は当院へご相談ください 熱中症が引き起こす頭痛は中等度の症状であり、ズキズキとした拍動性の痛みや倦怠感・吐き気などを伴うのが特徴です。 熱中症による頭痛が疑われる場合は、涼しい場へ移動し体を冷やして適切な水分・塩分の補給が対処法の基本です。 ただし、対処法を行っても症状が改善しない場合は、重症化している可能性があります。また、症状が続く際は後遺症も考えられるため、自己判断で経過をみるのではなく、当院にご相談ください。 熱中症は稀に後遺症を残すケースがあります。後遺症については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、参考にしてください。 熱中症と頭痛に関するよくある質問 熱中症で夜になってから頭痛を起こすことはある? 熱中症による頭痛は、日中の高温環境で受けたダメージが蓄積され、時間をおいて症状として現れるケースがあるのも事実です。 とくに、日中の屋外活動後、体温が高い状態で水分補給が不十分だった場合、夕方から夜にかけて頭痛や倦怠感が出るケースは珍しくありません。 軽度の熱中症でも、体が脱水状態に傾くと遅れて頭痛を起こす場合があるため、夜間でも症状が強ければ油断せず、水分・塩分の補給や体を冷やし、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 熱中症で頭痛薬を飲んでしまった場合の対処法は? 既に頭痛薬を飲んでしまった場合は、体調変化に注意しつつ熱中症への基本的な対処を行ってください。 熱中症による頭痛に対して、自己判断で頭痛薬を飲むのは推奨されません。薬で頭痛を抑えても、原因である脱水や高体温は改善されず、かえって症状の悪化に気づきにくくなる危険があるためです。 また、一部の解熱鎮痛薬は、脱水状態の腎臓に負担をかける可能性もあります。熱中症に対する対処法を実施したあとも症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、どの薬を飲んだか必ず医師へ伝えましょう。
2025.06.29 -
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「熱中症の後遺症はなぜ起きるのか」「どのような後遺症があるのか」と気になっている方も多いのでしょう。 熱中症は、高体温や脱水によって後遺症を起こす可能性があり、中には脳細胞や神経に重篤な症状を引き起こすケースも存在します。 本記事では、熱中症による後遺症の症状や原因、治し方について詳しく解説します。 熱中症後の体調不良に悩んでいる方や予防策を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 また、熱中症の後遺症に関するお悩みを今すぐ解消したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 \熱中症の後遺症に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、熱中症による後遺症の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 長引く熱中症の後遺症を早く治したい 熱中症後に脳や神経に障害を引き起こしている 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは熱中症の後遺症治療について無料相談! 熱中症の後遺症とは?どんな症状が残るのか 熱中症は、重症化すると命に関わるだけでなく、適切な治療を受けて一時的に回復しても、体の機能や神経系に影響が残る場合があります。 後遺症は数日〜数週間続くこともあれば、まれに長期間続くこともあります。 以下は、熱中症の主な後遺症の例です。 頭痛 ズキズキ・締め付けられるような痛みが続く 食欲不振・倦怠感 体のだるさや食欲の低下 めまい・ふらつき 回転感や足元の不安定感 臓器の障害 心臓・肝臓・腎臓などの機能低下 中枢神経障害(高次脳機能障害)による認知機能の変化 記憶力や判断力の低下、情緒の変化 自律神経の乱れ・体温調節障害 体温がうまくコントロールできず、ほてりや冷えが続く 日常生活に影響を及ぼす症状はもちろん、重篤な症状を引き起こすリスクもあるため、注意が必要です。 熱中症の後遺症について詳しく見ていきましょう。 頭痛 熱中症から回復した後も、慢性的な頭痛に悩まされるケースがあります。 頭痛を起こす原因としては、熱中症によって脳の血管が一時的に収縮したり、脱水による影響が残ったりすることが考えられます。 とくに、頭痛が長く続いたり、頻繁に発生したりする場合は、単なる体調不良と片付けてしまうケースも少なくありません。 熱中症の後に日常生活に支障をきたすほどの頭痛が続く場合は、医療機関を受診し、医師の診断と適切な治療を受けましょう。 食欲不振・倦怠感 熱中症の後遺症として、食欲不振や強い倦怠感が続く場合があります。 これは、熱中症によって体内の水分や電解質のバランスが崩れ、自律神経に影響が出るためです。 食欲がない状態が続くと、必要な栄養が摂れず、さらに倦怠感が悪化する悪循環に陥るケースもあります。 熱中症後に食欲不振や倦怠感が生じる際は、無理せず消化の良いものを摂取し、十分な休息をとりましょう。 症状が長引く場合は、医療機関へ相談してください。 めまい・ふらつき 熱中症による脱水や脳への血流不足が原因で、回復後もめまいやふらつきが続くケースがあります。 これらの症状は、三半規管や脳の機能に一時的な障害が残っている可能性があるためです。 症状は立ちくらみのような一瞬のものから、フワフワとした浮遊感が続くものまでさまざまです。 めまいやふらつきが続くと、転倒によるけがのリスクも高まります。 症状が改善しない場合や悪化がみられる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。 臓器の障害 重度の熱中症の場合、体温が異常に高くなることで肝臓や腎臓などの臓器に深刻なダメージが及ぶことがあります。 たとえば、腎臓機能が低下して急性腎不全を起こしたり、肝細胞が破壊されて肝機能が悪化したりするケースです。 こうした臓器障害は、熱中症からの回復後も長期的な影響を及ぼすことがあり、場合によっては定期的な検査や治療が欠かせません。 さらに、重症例では永久的な機能障害が残る可能性もあるため、重症熱中症の既往がある方は、医療機関での定期的な検査が必要です。 中枢神経障害(高次脳機能障害)による認知機能の変化 熱中症の後遺症の中でも重篤なものの1つが、中枢神経障害や高次脳機能障害です。 これは、熱中症により脳への血流が不足し、神経細胞が損傷を受けることが原因です。 症状としては、記憶力や判断力の低下、感情の起伏が激しくなる、神経が過敏になる、さらにはけいれん発作などがあげられます。 こうした障害は、発症から時間が経つほど回復が難しくなり、場合によっては永久的に機能が失われる可能性があります。 そのため、少しでも異変を感じた場合は早急に医療機関を受診し、必要な検査や治療を受けることが大切です。 自律神経の乱れ・体温調節障害 熱中症を経験した後、一部の方に自律神経の乱れが残る場合があります。 自律神経は、体温や心拍、血圧、発汗などを自動的にコントロールする神経で、暑さや寒さに対する体の反応を調整するものです。 重度の熱中症では、脳や脊髄の視床下部など、自律神経の中枢がダメージを受けることがあり、その結果、体温調節機能が低下します。 主な症状は以下のとおりです。 以前より暑さや寒さに弱くなる 急に汗が出なくなる、または過剰に汗をかく めまい・立ちくらみが起こりやすくなる 倦怠感や集中力の低下が続く このような体温調節障害は、日常生活にも影響を与える可能性があります。 症状が長引く場合は、神経内科や自律神経外来での検査・治療が推奨されます。 回復のためには、十分な休養と水分・塩分補給、生活リズムの安定が重要です。 また、徐々に体を暑さに慣らすことで、体温調節機能の改善が期待できます。 熱中症の後遺症に関するお悩みを今すぐ解消したい方は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 ▼まずは熱中症の後遺症治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 熱中症の後遺症が起こる原因 熱中症は、体温が異常に上昇した状態が続くことで、体や脳に深刻なダメージを与える病気です。 とくに脳は高温に弱く、わずか数分〜十数分の高体温でも神経細胞に障害が生じることがあります。 さらに高温状態が長く続くと、そのダメージは回復しにくく、後遺症として残ってしまう可能性があります。 ここでは、熱中症の後遺症を引き起こす主な原因を3つ解説していきます。 高体温による脳細胞・神経へのダメージ 高体温の状態が続くと、脳の細胞や神経は大きな負担を受けます。 とくに体温が41℃を超えるような状況では、脳のたんぱく質が変性しやすくなり、神経伝達が正常に行われなくなる可能性があります。 これにより、意識障害やけいれん、記憶障害などの症状が現れることがあるのです。 さらに、脳細胞は一度損傷すると再生が難しいため、後遺症として記憶力や集中力の低下などが残るケースもあります。 そのため、高体温が疑われる場合は早急な体温の低下と医療機関での対応が重要です。 脱水と動脈硬化による血栓・脳梗塞のリスク 脱水は血液の水分量を減らし、血液をドロドロの状態にさせます。 このような状態は血栓(血の塊)ができやすく、動脈硬化が進んでいる場合には血流がさらに悪化します。 結果として脳の血管が詰まり、脳梗塞を引き起こす危険性が高まるのです。 とくに高齢者や生活習慣病を抱えている方は、熱中症による脱水が重大な合併症のきっかけとなるため注意が必要です。 なお、熱中症によって引き起こされる脳梗塞の後遺症改善や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 ホルモンバランスや臓器機能の乱れ 熱中症により体温が異常に上昇すると、体は生命維持のために防御反応を起こします。 防御反応を起こす際、「サイトカイン」と呼ばれる生理活性物質が過剰に生成されます。 サイトカインは、炎症反応を調整する重要な役割を持つタンパク質です。 通常サイトカインは健康を保つ上で重要な役割を持っていますが、過剰に生成されるとバランスが崩れ、炎症の悪化や脳・臓器への異常を引き起こす原因となります。 この状態が続くと臓器機能の低下やホルモンバランスの乱れが長引き、後遺症につながる可能性があるため注意が必要です。 早めの受診が命を救う|迷ったときは救急車を 熱中症や熱中症の後遺症は、初期対応が遅れるほど重症化しやすく、脳や臓器に長く影響を残す危険があります。 とくに意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が鈍い、吐き気やけいれんがある場合は、一刻を争う状態です。 自己判断で様子を見るのではなく、迷ったらすぐに救急車を呼んでください。 医療機関での迅速な処置によって、回復の可能性は大きく高まります。 早期の受診は、命を守るだけでなく、後遺症を予防する最も確実な方法です。 熱中症の後遺症が残りやすい人の特徴とリスク要因 熱中症の後遺症は誰にでも起こり得ますが、とくに以下のような条件に当てはまる方はリスクが高くなります。 高齢者や乳幼児など、体温調節機能が未発達または低下している人 → 発汗や血流による放熱がうまくできず、体温が上がりやすい。 心疾患や糖尿病などの持病を持っている人 → 循環機能や代謝が制限され、体温管理が難しくなることがある。 暑さに慣れていない、または急激に気温が上がった環境にいる人 → 汗のかき方や血流の調整が間に合わず、体温が急上昇しやすい。 屋外での肉体労働やスポーツを長時間行う人 → 筋肉運動による発熱が多く、さらに直射日光や高温環境で熱がこもりやすい。 水分補給や塩分補給が不足している人 → 発汗で失った水分・塩分を補えず、脱水や電解質バランスの乱れを起こしやすい。 これらに当てはまる場合、軽症の熱中症でも油断は禁物です。 体調の変化を見逃さず、早めに涼しい場所で休息を取り、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 高齢者や既往症がある人は注意が必要|軽症でも油断は禁物 高齢者や心疾患、糖尿病、腎臓病などの既往症がある人は、体温調節機能や循環機能が低下しているため、熱中症の影響を受けやすくなります。 軽症であっても回復に時間がかかり、後遺症が出るリスクが高まるため、症状が軽くても自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。 また、後遺症が出てしまった場合は、再生医療による治療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、熱中症によるさまざまな後遺症の改善が期待できます。 手術や入院不要で治療できるため、身体への負担も少なく、高齢者の方にもお選びいただける治療法です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 長引く熱中症の後遺症を早く治したい 熱中症後に脳や神経に障害を引き起こしている 身体への負担の少ない治療を受けたい 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは熱中症の後遺症治療について無料相談! 一度熱中症になると再発リスクが上がる? 熱中症を一度経験すると、その後しばらくは体温調節機能が十分に回復せず、再び熱中症を起こしやすくなるといわれています。 とくに発症から数週間は、同じ環境下で再発する可能性が高いため、炎天下での作業や運動は避け、水分・塩分補給や休憩をこまめに行うことが重要です。 熱中症の後遺症は治る?治療と回復までの目安 熱中症の後遺症に対する治療は、症状の程度によってアプローチが異なります。 めまいや倦怠感など比較的軽度な症状の場合、十分な休息と水分・塩分補給が基本となります。 経口補水液などで体内の電解質バランスを整えることが大切です。 必要に応じて、頭痛や吐き気などの症状を和らげるため、投薬治療が行われるケースもあります。 一方、脳機能への影響や神経障害など重度の後遺症に関しては、現時点で根本的に治す方法は確立されていません。 ただし、症状の軽減や機能回復を目指すため、継続的なリハビリテーションが可能です。 理学療法や作業療法、認知機能訓練など、専門家による継続的なケアが、失われた機能の回復につながる可能性があります。 また、近年では再生療法による後遺症の治療も提供されています。 リペアセルクリニックでも再生療法を提供しているため、気になる方はぜひご相談ください。 いずれのケースでも、症状が長引く場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診し、専門医の診断のもと適切な治療を開始するのが重要です。 自然回復するケースと長引くケースの違い 熱中症の後遺症が軽度の場合、数日から1週間程度で自然回復することが多いですが、重度の場合は症状が数ヶ月続くこともあります。 軽い頭痛や倦怠感、集中力の低下などは、十分な休養と水分・塩分補給を行うことで改善が期待できます。 しかし、重度の熱中症によって脳や神経、腎臓などにダメージが及んだ場合、自律神経の乱れや慢性的な疲労、記憶力の低下、めまいなどの症状が数週間から数か月続くケースがあります。 とくに高齢者や基礎疾患を持つ方は回復が遅れやすく、後遺症が長期化しやすいです。 症状が長引く場合は「そのうち治る」と自己判断せず、早めに医療機関を受診して必要な検査や治療を受けることが大切です。 熱中症の後遺症に関するお悩みには、再生医療も選択肢の一つです。 \熱中症の後遺症に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、熱中症による後遺症の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 長引く熱中症の後遺症を早く治したい 熱中症後に脳や神経に障害を引き起こしている 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは熱中症の後遺症治療について無料相談! 病院は何科を受診すれば良い? 熱中症の後遺症が疑われる場合は、症状に合わせて受診する診療科を選ぶことが大切です。 頭痛・めまい・倦怠感などの全身症状がある場合 まずは内科(一般内科)を受診しましょう。 熱中症後の全身状態をチェックしてもらい、必要に応じて精密検査を行います。 しびれ・手足の動かしづらさ・言葉の出にくさなど神経症状がある場合 脳神経内科や神経内科の受診がおすすめです。 脳や神経系に異常がないかを確認できます。 物忘れ・集中力の低下・情緒不安定などの精神的な症状がある場合 精神科や心療内科の受診が適切です。 必要に応じて心理士や作業療法士によるサポートも受けられます。 当院では、熱中症の後遺症にお悩みの方の診察が可能です。 熱中症の後遺症が疑われる方や、症状を早く治したい方は、再生医療をご検討ください。 再生医療専門クリニックであるリペアセルクリニックでは、お電話で無料相談を承っております。 ▼まずは熱中症の後遺症治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 後遺症の治し方と回復のための生活習慣 熱中症の後遺症を改善するには、医療機関での治療に加えて、日常生活でのセルフケアが重要です。 回復を促すための生活習慣のポイントは次の通りです。 十分な睡眠を取る 睡眠は自律神経や脳の回復に欠かせません。 できるだけ規則正しい時間に就寝・起床するようにしましょう。 栄養バランスの取れた食事 たんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取することが、体力の回復や神経機能の改善につながります。 とくにビタミンB群やマグネシウムは神経の働きを助けます。 適度な運動 体調が安定してきたら、軽いストレッチやウォーキングなどから始めましょう。 血流が改善され、疲労回復が促進されます。 水分補給を意識する 後遺症がある間も、体は水分不足の影響を受けやすくなります。 こまめな水分補給を心がけてください。 ストレスをためない 精神的なストレスは自律神経の乱れを悪化させる可能性があります。 深呼吸や軽い瞑想など、リラックスできる時間を作ることが大切です。 こうした生活習慣を取り入れることで、熱中症の後遺症からの回復を早め、再発の予防にもつながります。 熱中症の後遺症を防ぐポイント 熱中症の後遺症は、長期にわたり生活に影響を及ぼす可能性があります。 後遺症を起こさないためには、熱中症を予防するのが大切です。 もし熱中症になったとしても、重症化を阻止すれば、重篤な後遺症のリスクを軽減できます。 ここでは、熱中症の後遺症を防ぐポイントを2つ紹介します。 熱中症を予防する 熱中症の後遺症を根本的に防ぐためには、熱中症そのものにならないことが大切です。 具体的には、以下の予防策が挙げられます。 こまめな水分・塩分補給をする 暑さを避ける 吸収性や速乾性に優れた衣服を着用する 気温が高い時期は、のどが渇いていなくても定期的に水分を摂りましょう。 とくに汗をたくさんかくときは、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分やミネラルも補給するのが大切です。 吸湿性や速乾性に優れた素材の服を選んだり、日傘や帽子を着用したりするのも熱中症対策に効果的です。 暑さによる体調不良が疑われる場合は、無理をせず涼しい場所で涼みましょう。 体調変化の早期察知と正しい対処が重要 熱中症は、発症後の初期対応の速さが後遺症の有無を大きく左右します。 たとえ軽い症状であっても、「いつもと違う」体調の変化を感じたら放置しないことが大切です。 めまい、倦怠感、頭痛、吐き気、集中力の低下などが見られたら、まずは涼しい場所で休み、水分と塩分を補給しましょう。 「ただの体調不良かもしれない」「様子を見れば治るはず」と自己判断して対応が遅れると、重症化して後遺症が出るリスクが高まります。 些細な体調不良でも放置せず、念のため医療機関を受診するのが大切です。 まとめ|熱中症の後遺症は早期対処と予防が大切 熱中症の後遺症として、頭痛や食欲不振、めまいなどの比較的軽い症状から、臓器の障害や高次脳機能障害といった重篤な症状までさまざまです。 重症化すると生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。 後遺症は、熱中症によってホルモンが過剰に生成されたり、血栓ができたり、臓器や神経が損傷を受けることによって発生します。 予防の基本は、そもそも熱中症にならないことです。 気温の高い日や湿度が高い日は、こまめに水分や塩分補給を行い、通気性の良い衣服を身に着け、直射日光を避けるなどの対策を心がけましょう。 また、頭痛やめまい、倦怠感などの体調不良を感じた際は、無理はせず休憩を取り、必要に応じて医療機関を受診してください。 なお、熱中症の後遺症に対しては再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、熱中症によるさまざまな後遺症の改善が期待できます。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 長引く熱中症の後遺症を早く治したい 熱中症後に脳や神経に障害を引き起こしている 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼熱中症の後遺症治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる
2025.06.29 -
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「健康診断で不整脈の疑いがあると指摘された」 「病院を受診した方がよいのだろうが、怖い気持ちもある」 「不整脈に良い食べ物があるなら、まずはそれを試してみたい」 不整脈を患っている方の中には、このように考えている人もいるでしょう。 不整脈の抑制に効果のある食べ物や飲み物は存在します。一方で、摂りすぎると不整脈を悪化させてしまう食品も複数あるため、食事の管理は非常に大切です。 本記事では、不整脈と食事の関係について紹介します。食事での注意に加えて、病院受診の目安についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 不整脈に良い食べ物・飲み物一覧 不整脈を良くするためには、心臓の筋肉に良い食事や、不整脈の原因のひとつでもあるストレスを軽減する食事を摂ることが大切です。 不整脈に効果のある栄養素や、その栄養が多く含まれる食品を紹介します。 カリウムが多く含まれているもの カリウムは、人体に必要なミネラルの1つです。 ナトリウムを排出する働きがあるため、摂りすぎた塩分を調節する役目を担っています。 細胞や神経、筋肉が正常に機能するためにも必要な物質で、心臓の筋肉(心筋)の収縮にも関与しています。 カリウムの濃度が低下するとこういった働きに影響がでるほか、不整脈を起こすリスクも上がります。不整脈のほかにも脱力感、食欲不振などを起こす可能性があるため、積極的にとるようにしましょう。 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、カリウムの目標摂取量は男性3,000mg/日、女性は2,000mg/日です。(文献1) カリウムが多い食品として、 バナナ(1本につき454mg) ほうれん草1/4束(生で621mg茹でて311mg) 干し芋(2枚588mg) などがあります。 ただし、カリウム濃度が高くなりすぎても不整脈を招くことがあるため、食べ過ぎないようにしましょう。 マグネシウムが多く含まれているもの マグネシウムは筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整に役立ちます。 心臓の筋肉が収縮するにはカルシウムも必要な要素になります。マグネシウムはカルシウムと競合することで、心臓の収縮をちょうど良い強さに調整しているのです。 また、マグネシウムは心臓の拍動を穏やかにし、不整脈の発生を防ぐ働きもあります。 マグネシウムの1日の推奨平均摂取量は男性で約350mg、女性で約300mgとされています。(文献1) マグネシウムは以下の食べ物などに多く含まれています。 乾燥カットわかめ(1人分10gにつき460mg) 殻付きあさり(10個あたり100mg) 納豆(1個につき100mg) ノンカフェイン飲料 カフェインが含まれていない飲み物は、心拍への刺激が少ないため、不整脈が気になる方にとってはおすすめです。 寝る前にコーヒーやアルコールを飲む人は、ノンカフェイン飲料に切り替えると睡眠の質が高まり、不整脈のリスクの1つであるストレス軽減につながります。 ノンカフェインの飲み物としては、麦茶やルイボスティー、黒豆茶、小豆茶、白湯などがあげられます。 嗜好品としてコーヒーが好きな人は味が似ているデカフェをコーヒーの代用として飲むのもおすすめです。 スーパーやデパート、コンビニなどで購入できます。自分の好きな味を模索するのも良いでしょう。 不整脈のために避けたい食べ物・飲み物 不整脈を良くするためには、摂取量を減らすべき食べ物・飲み物を理解し食事の調整を行うことが重要です。 以下で紹介している避けたい食べ物・飲み物は、過度な摂取を控えれば食べても問題はありません。 塩分が多い食品 塩分を過剰に摂ってしまうと、心臓で「アルドステロン」と呼ばれるホルモンが作られやすくなります。 アルドステロンは、心臓の筋肉を硬くしたり、不整脈を誘発することが知られています。 また、塩分そのものが、心臓の正常な電気のリズムを乱す原因となり、不整脈が起こりやすい状態を作り出します。 塩分を摂りすぎると、体内の塩分濃度を下げるために血液中の水の量が増えます。その結果血液量が増加すると、心臓への負担が増えてしまい血管にも強い圧力がかかってしまうのです。 1日の適正な食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。 塩分の多い食品は以下の通りです。 カップ麺などの超加工品 ハム、ソーセージなどの加工食品 パスタ料理(ミートソースやカルボナーラなどの味の濃いソース) 漬物 塩魚(塩鮭、塩さばなど) 重要なのは、1日当たりの適正量を守ることです。極端な塩分制限は心身のストレスになる可能性があるため控えましょう。 動物性脂肪が多い食品 脂質の摂り過ぎは肥満や生活習慣病の原因となります。とくに動物性脂肪が多い食品は飽和脂肪酸が多く含まれており、血中コレステロールの増加や、心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを高めてしまいます。 肥満および心疾患は、不整脈を引き起こす大きな原因になります。動物性脂肪が多い食品は食べ過ぎないように心がけましょう。 動物性脂肪は 脂身の多い肉 乳製品、バターやラードを多用した料理(菓子パンや洋菓子など) などに多く含まれています。 カフェイン飲料 カフェインは心臓を直接刺激して心拍数を増やし、心臓の収縮力を高める作用があります。アドレナリンのような興奮物質(カテコールアミン)の放出を促すためであるといわれています。 適量であれば不整脈の原因にはなりませんが、一日の推奨摂取量を越えると心臓の細胞に直接働きかけ、電気活動を乱してしまうことがあります。 その結果、頻脈(心拍が速くなること)、心室細動(命に関わる危険な不整脈)を引き起こすリスクが高まってしまうのです。 日本においては、カフェインの1日摂取量の目安は示されていませんが、カナダ保健省では健康な成人の場合最大400mg/1日(コーヒーをマグカップ3杯)までと設定しています。(文献2) エナジードリンクやコーヒーの多量摂取は控えましょう。 アルコール アルコールの多量摂取は心筋細胞の損傷や、自律神経を不安定にするため注意が必要です。 大量のアルコールを摂取すると、心臓に急性の電気的変化を引き起こし、心房細動と呼ばれる不整脈の発症リスクを高めてしまいます。 適切な飲酒量は、1日あたりの平均純アルコール量で男性は40g未満、女性は20g未満とされています。 純アルコール20gとは、日本酒1合、ビール500ml、缶チューハイ350ml程度の量です。 不整脈に良い食べ物を無理なく生活に取り入れる工夫 不整脈に良い食べ物を新たに取り入れることが難しいと感じる人もいるでしょう。 不整脈に良い食事習慣を長く続けるためには、少しずつ取り入れることが大切です。 普段の朝食にカリウムが豊富なバナナやマグネシウムが含まれる納豆をプラスする。 漬物を食べる量を今までより減らす。 寝る前に飲むものをノンカフェインのお茶や白湯に切り替える。 習慣としてコーヒーを飲んでいる人はノンカフェインのコーヒーに変える。 調味料を減塩タイプのものに変える。 普段の生活の中で少しずつ取り入れ、無理なく食生活を変えていきましょう。 不整脈予防・改善にはバランスの良い食事と治療が大切 不整脈に良いものを食べることから始める食生活の改善は、生活習慣病予防の観点から見ても非常に大切なことです。 不整脈の症状を改善するためには「カリウム」「マグネシウム」を食事の中で取り入れましょう。 一方で、「カフェイン」「塩分」「動物性油脂」「アルコール」は過剰に摂取すると不整脈のリスクを高めます。 心室細動と呼ばれる不整脈を引き起こすこともあり、命の危険に及ぶ場合もあります。 食生活を変えてもあまり効果を感じない、症状が長期化するといった場合は、ほかの原因も考えられます。 必要に応じて医療機関を受診しましょう。 不整脈の現状を正しく知り、食生活の改善や必要な治療といった適切な対処を行うことが症状を良くする第一歩です。 不整脈に良い食べ物に関するよくある質問 不整脈に良い飲み物の中にトマトジュースは含まれますか? トマトはカリウム量が多く(1個当たり315mg)、トマトジュースには200mlあたり546mgのカリウムが含まれています。 トマトジュースは生のトマトよりカリウム量が多いので、1日1パック程度にとどめましょう。 慢性の腎臓病がある方は、カリウムを摂り過ぎると高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、トマトジュースは控えてください。 カリウム濃度が高すぎても不整脈が起こりやすくなってしまうため、適量を見極めることが重要です。 また、普段塩分を摂りすぎている方は減塩タイプのトマトジュースを摂りましょう。 不整脈に効くサプリメントはありますか? 不整脈に直接作用するサプリメントはありません。 カリウムやマグネシウムなど、不整脈に良い栄養を補うサプリメントは市販されています。 しかし、サプリメントは足りない栄養素を補助するものであり、サプリメントを過剰摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性があります。 マグネシウムのサプリメントの過剰摂取は下痢や吐き気、カリウムの過剰摂取は不整脈や心電図異常、四肢のしびれなどを引き起こす可能性があります。 サプリメントの摂取を希望される方は、医師や薬剤師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年)策定検討会報告書」 2024年 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf(最終アクセス:2025年6月26日) (文献2) 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html(最終アクセス:2025年6月26日)
2025.06.29 -
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「最近ストレスがたまっている」 「脈が飛ぶ感覚が頻繁に起こる。これはストレスによる不整脈ではないか」 「病院では異常なしといわれたが、やはり不安である」 不整脈の症状がある方の中には、このような不安を抱えている方もいるでしょう。 不整脈は心疾患が原因で起こることもありますが、「とくに異常なし」「ストレスが原因」と診断されることもよくあります。 明確な原因が見つからないと「具体的にはどのように治せばいいのか」「良くなっているのかどうかわからない」といった悩みが発生し、さらに不整脈を悪化させてしまう可能性もあります。 本記事では、ストレス性不整脈の治し方を解説します。 ストレスが心臓に与える影響や、早急に受診すべきタイミングも紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。 ストレスと不整脈の関係性 不整脈が起こる原因として、ストレスは強く関係しています。 この項目ではストレスがどうして心臓に影響を与えるのか、そのメカニズムを説明します。また、心疾患が原因となる不整脈とのちがいについても解説します。 ストレスが心臓に与える影響 強いストレスは自律神経の乱れにつながり、不整脈を引き起こす原因となります。 自律神経は交感神経と副交感神経の2つの神経系によって構成されています。 ストレスを受けると、活発時や緊張時に優位になる交感神経が働き、心拍数や脈拍が多くなってしまいます。 通常の状態であれば副交感神経優位に切り替わり、心拍数は正常値に戻っていきますが、強いストレス状態が続き交感神経が働き続けると、心臓に負担がかかってしまいます。 その結果、不整脈、心臓の違和感、胸の痛みといった症状を引き起こしてしまうのです。 不整脈は頻脈(脈が速くなる)や期外収縮(胸が痛い、不快感を感じる)といった比較的軽度なものがほとんどです。 しかし、放置すると心不全や脳梗塞といった重篤な疾患を発症する場合もあるため注意が必要です。 ストレス性不整脈と心疾患による不整脈の違い ストレス性不整脈と心疾患による不整脈の違いを症状だけで見極めるのは非常に難しいです。 ストレスを解消しても不整脈が治らない場合、原因が違う場所にある可能性も考えられます。 いずれにせよ放置は危険なので、まずは専門の医師に相談を行いましょう。 ストレス性不整脈 ストレス性不整脈の場合、精神的・身体的なストレスが引き金となり、自律神経のバランスが崩れることで発症します。代表的なものは「期外収縮」で、正常な拍動の間に不規則な拍動が現れます。気づかない方も多い症状です。 ストレス性不整脈の場合、原因となっているストレスを解消したり、生活習慣を改善すれば症状が緩和されることがほとんどです。 心疾患による不整脈 心筋梗塞や狭心症、心臓弁膜症、心不全といった心疾患が原因で引き起こされる不整脈もあります。 心疾患による不整脈は長期間続く傾向にあり、動悸や息切れ、めまい、失神といった合併症状を伴うこともあります。 治療は重症度によっても変わりますが、薬物療法やカテーテルアブレーション、ペースメーカーの植込みなど、専門的な医療介入が必要となる場合もあります。 ストレス性不整脈の治し方 ストレスが原因で起きている不整脈の場合、原因であるストレスを解消しない限り完全に治ることはありません。不整脈が治らないことへの焦りや不安がさらに症状を悪化させることもあります。 ストレス性不整脈を治すポイントは、「ストレスをためこまない」「生活習慣を見直す」「睡眠の質を向上する」ことです。 それぞれ詳しく解説していきます。 ストレスをためこまない工夫をする 日々のストレスをためこまないため、日常生活での工夫が大切です。深呼吸や瞑想、ヨガなど、意識的にリラックスできる時間を作ると、副交感神経が働きやすくなります。 仕事や家事が忙しく常に慌ただしい生活を送っている方は、日々のやらなくてはいけないことから少し離れる時間を作ってみてください。 例えば、読書や旅行など自分の好きなことに没頭したり、ウォーキングや散歩など体を動かしたりすることでストレスの軽減につながります。 また、日記をつけたり、そのとき感じた感情をメモに書き留めておくと、心の中が整理され不安や焦燥感が軽減されることもあります。 それでもストレスが減らない、人間関係がストレスの原因になっている場合は、家族や友人、必要に応じて心理カウンセラーや医師などの専門家に相談してみましょう。 人と対話をすると、自分でも思いがけない感情を言葉にできることがあります。そういった対話の中で見つけた感情こそ、ストレス緩和の糸口になるかもしれません。 生活習慣を見直す ストレスと上手に付き合うためには、毎日の生活習慣をととのえることが大切です。 とくに重要視されるのは「食事」「運動」「睡眠」です。それぞれの気を付けるべきポイントをまとめました。 栄養バランスの良い食事 栄養バランスの良い食事は心臓疾患の予防になります。 無理な食事制限などは行う必要はありませんが、ジュースなど砂糖が多く含まれる食品、スナック菓子やカップ麺といった超加工食品は減らしましょう。 一方で野菜や魚、肉、大豆などの良質なたんぱく質を多く取り入れてください。 また、主食は精製されていないものを取り入れてみると効果が高まります。 普段食べている白米や白いパンは、「精製」という処理を経ています。精製を行うことで、原材料に本来含まれていた繊維質、ビタミンB、ミネラルといった心疾患の予防に有効な栄養素が失われてしまうのです。 主食を玄米や全粒粉を使ったパンなどに切り替えてみるのも良いかもしれません。 適度な運動 日常生活の中で無理のない範囲で体を動かすことが推奨されています。 運動習慣がない方や不整脈による症状がつらい方は、医師と相談のうえで軽いランニングやサイクリング、ウォーキングや散歩などから始めてみてください。 身体を動かすことに慣れ、医師の許可も出た場合は筋力トレーニングもおすすめです。いきなり高負荷の運動は避け、腕立て伏せやスクワットなど手軽に始められる自重トレーニングからはじめましょう。 ウォーミングアップとクールダウンの時間、水分補給は欠かさず行ってください。 筋力トレーニングは心理的ストレスの改善にも有効です。筋力トレーニングを行うことによって分泌される神経伝達物質が気分を安定させることがさまざまな研究で証明されています。 アルコールやカフェインの摂取を控える アルコールやカフェインの過度な摂取は、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。 適量を守り、規則正しい生活を送りましょう。 成人の1日当たりの適正飲酒量は純アルコールで約20g程度です。 ビールだと500ml、缶チューハイで350ml、ワインで200ml程度に換算されます。 また、喫煙はストレスに関係なく心臓や血管への負担を増やします。 喫煙をしている方は自分が一日あたり何本吸っているのかを理解し、できる限り禁煙を目指しましょう。 睡眠の質を高める 睡眠の質を高めることは、食事や運動と同様に心身の健康を保つ上で非常に重要です。 スマートフォンやパソコンは体内時計に影響を及ぼすブルーライトが発せられているため、就寝前の使用は控えることが望ましいです。 また、寝室環境の整備も睡眠の質を向上するために必要です。寝室や寝床の中は静かで暗い環境を保ちましょう。季節にもよりますが、室温は13~29度、湿度は40~60%程度が適切だといわれています。 また、就寝前の時間の使い方も重要です。就寝90分ほど前に、ぬるめのお風呂につかると身体が温まり眠りやすくなります。そのほか、好きな音楽を聴く、軽い読書をするといった自分がリラックスできることを取り入れることも望ましいです。 寝酒はかえって眠りを悪化させる可能性があります。適量以上の飲酒はできる限り避けましょう。 医療機関を受診すべき不整脈のサイン 不整脈の症状を感じた場合、早急に専門の医師を受診しましょう。 不整脈は突然死のリスクもあります。放置してしまうと血栓の発生や脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高まります。 不整脈の症状が続いている、もしくは頻度が増えている 胸痛や息切れ、めまいなどの症状が伴う もともと心疾患がある これらに該当する場合は早急に医療機関にかかり、適切な治療を受ける必要があります。 上記に該当しないものの、健康診断で「精密検査が必要」と言われた方も、早急に受診しましょう。 【緊急性のない場合】ストレス性を含む不整脈の対処法 期外収縮など緊急性の低い不整脈の場合でも、はやく治療したい方もいるでしょう。ストレス性の不整脈だと診断された場合、病院では日常生活指導を受けられます。 もし、それだけでは不安な場合、医師と相談の上、抗不整脈薬の内服や、カテーテルアブレーション治療を受ける選択肢もあります。 カテーテルアブレーションとは、足の付け根の静脈から細いカテーテル(管)を心臓まで送り込み、不整脈の発生源となる部位にカテーテルの先端を当てて、高周波電流で焼灼する手術です。 カテーテルが不整脈発生部位に届くようであれば、この治療を受けることができます。 ストレス性不整脈はセルフケアと適切な医療でコントロールしよう 不整脈は心疾患が原因で起こる場合、ストレスが原因で起こる場合で大きく2つに分かれます。 ストレスが原因であったり、一過性の場合は、生活習慣を見直すことで症状が改善される可能性があります。食生活の見直しや日常的な運動、睡眠をしっかり取り、健康な体づくりを心がけましょう。 ストレスが多い生活をしている自覚がある方は、ストレスをためないよう生活を工夫したり、人に相談するなどして抱えているストレスを減らす必要があります。 それでも不安が残る場合には、医療機関を受診して適切な治療を受ける方法もあります。専門の医師に相談し、ストレス性不整脈の軽減に努めましょう。 ストレス性不整脈に関するよくある質問 不整脈の症状で脈が飛ぶ場合すぐに病院で治療すべきですか? 一拍だけ脈が飛ぶ、一瞬胸がドキッとするといった症状の主な原因は「期外収縮」であることが多いです。 心臓に電気を送る部分である洞結節と呼ばれる部位とは別の場所から、やや早いタイミングで心臓に電気が流れることにより起こります。 期外収縮は年齢や体質、ストレスの影響などで起こることが多い症状だといわれています。 持病で心疾患を患っている、脈が飛ぶ以外の症状がある場合は急ぎ病院にかかる必要がありますが、心当たりがない場合は急いで治療する必要はありません。 一方、症状が長期間で起こっている場合や不安が強い場合は、一度精密検査を受けるべきでしょう。 動悸を抑える薬はありますか? 市販薬では存在しません。 動悸を抑える「抗不整脈薬」はありますが、医師が処方する必要があります。 不整脈や息切れに効果があるとされる市販薬はありますが、あくまで一時的に症状を緩和するのみで、不整脈に直接作用するものではありません。 一時的に症状が治まったために病院受診が遅れると、知らず知らずのうちに悪化する可能性もあります。薬を内服したい場合は、医療機関を受診しましょう。
2025.06.29 -
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「高齢の親を病院に連れて行ったら低カリウム血症と診断されました」 「低カリウム血症って何ですか?どんな治療が必要なのでしょうか?」 このような疑問をお持ちの方もいるでしょう。 低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が正常値より低くなった状態です。 高齢者が低カリウム血症になる主な原因は、食事量の減少や薬の副作用などが挙げられます。 本記事では、高齢者が低カリウム血症になる主な原因や症状、治療法についてわかりやすく解説します。入院が必要になるケースや、入院にかかる費用も紹介しているので、参考にしてみてください。 高齢者が低カリウム血症になりやすい4つの原因 低カリウム血症は、以下のような高齢者の身体的変化や生活習慣の変化が原因で発症しやすくなります。 食事量の減少 薬の副作用 消化器疾患の影響 ホルモンの過剰分泌 順番に見ていきましょう。 食事量の減少 高齢者では、加齢による嚥下機能の低下や嗅覚・味覚の機能低下といった身体的変化により食欲がなくなる方も多いです。食欲がなくなれば、当然ながら食事量が減少します。 カリウムは食材に含まれる栄養素です。そのため、食事量が減少すると、カリウムの摂取量も減り、カリウム不足に陥りやすいです。 薬の副作用 低カリウム血症は、薬の副作用が原因で発症するケースもあります。 低カリウム血症の原因として注意すべきなのが、利尿作用のある薬です。カリウムは尿や汗とともに体外に排出される性質があります。そのため、利尿作用のある薬を摂取すると、体内でカリウム不足が起こりやすいです。 例えば、心不全の治療には利尿薬がよく処方されます。(文献1) 心不全では、心臓のポンプ機能が低下して血液をうまく送り出せなくなり、体内に水分が溜まりやすくなります。そのため、利尿薬を服用して余分な水分を排出し、うっ血の改善を図るのです。 また、高血圧の治療にも利尿薬が使用されます。(文献2)体内の不要な水分を尿として排出すれば、血圧を下げる効果があるからです。 高齢者は加齢とともに、心不全や高血圧といった病気にかかりやすく、薬が処方される機会も増えます。利尿作用の薬を服用している場合は、低カリウム血症のリスクも高まることを理解しておきましょう。 消化器疾患の影響 低カリウム血症の原因として、消化器感染症が影響する場合もあります。消化器感染症には、嘔吐や下痢といった症状を伴うケースが多いです。 嘔吐や下痢により体内のカリウムが失われるため、低カリウム血症を引き起こしやすくなります。 嘔吐や下痢を起こす代表的な疾患として、胃腸炎や食中毒が挙げられます。 高齢者になると免疫力が低下して、下痢や嘔吐の症状が長引くケースも少なくありません。その結果、体内のカリウム不足が深刻化する可能性があるのです。 ホルモンの過剰分泌 アルドステロンというホルモンの過剰分泌が原因で、低カリウム血症を発症することがあります。 アルドステロンとは、体内の水分を調整する働きのあるホルモンです。(文献3) 副腎からアルドステロンが過剰につくられる病気は「原発性アルドステロン症」と呼ばれ、水分の調整機能の乱れからカリウム不足につながります。 高血圧患者のおよそ5〜15%が原発性アルドステロン症という報告もあります。(文献4) 高齢者は血管の弾力性が低下して、高血圧になりやすいです。そのため、原発性アルドステロン症を発症する機会も増えて低カリウム血症のリスクが高まります。 高齢者が低カリウム血症になったときの主な症状 ここでは、高齢者が低カリウム血症になったときの主な症状について解説します。 主な症状は以下の3つです。 筋肉のだるさ・こわばり 不整脈 息苦しさ 低カリウム血症の症状は、加齢による身体変化と捉えて見過ごされやすいです。 早期治療につなげられるよう、症状の理解を深めましょう。 筋肉のだるさ・こわばり 筋肉のだるさ・こわばりは、低カリウム血症の症状の1つです。カリウムは、筋肉を収縮させる役割を担っています。そのため、体内のカリウムが不足していると、筋肉機能に異常が生じます。 だるさ以外にも、以下のような症状が現れます。 筋肉痛 つっぱり感 力がぬける感じ 参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル低カリウム血症|厚生労働省 高齢者は、加齢による筋肉の衰えとして、筋肉異常の変化を見過ごしがちです。 筋肉のだるさやこわばりは、転倒による怪我につながりやすいので、早期治療で症状の改善を図りましょう。 不整脈 低カリウム血症になると、不整脈の症状も現れる場合があります。 カリウムは、心臓の収縮やリズムの維持に役割を果たしています。よって、カリウムが不足すると、正常な心臓の動きを保てなくなり不整脈を誘発してしまうのです。 不整脈は加齢とともに増加する病気です。(文献5) 加齢に伴う老人性不整脈か、低カリウム血症による不整脈かによって、治療方針が変わってきます。不整脈になったら、発症した原因を特定して適切な治療を進めていく姿勢が大切です。 息苦しさ 低カリウム血症では、息苦しさも症状として現れます。 カリウムは呼吸筋を動かす機能に関与しているため、体内のカリウムが不足すれば、呼吸がうまくできなくなるのです。 重篤な場合は、呼吸筋障害による呼吸不全を引き起こします。(文献6) 呼吸不全は生命に関わる危険性を高めます。ただの息切れだろうと軽く考えずに、低カリウム血症の可能性も念頭に置いて早期受診を心がけましょう。 高齢者が低カリウム血症になったときの治療法 高齢者が低カリウム血症になったときの治療法は、症状の程度や発症した原因によって決まります。 ここでは代表的な以下3つの治療法を解説します。 食事やサプリメントでカリウムを補う 点滴や薬でカリウムを摂取する 薬の服用を中断する ご自身の状況に合った治療法を探してみてください。 食事やサプリメントでカリウムを補う 軽度の低カリウム血症であれば、食事やサプリメントで不足したカリウムを補えます。 以下の表は、カリウムが多く含まれる食品の一部を紹介したものです。 食品名(100g当) カリウム量(単位:mg) アボカド 590 バナナ 360 ほうれん草 690 納豆 690 木綿豆腐 110 刻み昆布 8,200 参考:食品成分データベース|文部科学省 特にカリウム含有量が多いのは、刻み昆布です。刻み昆布は乾燥させて商品化されているものが多く「すき昆布」の料理で良く使われる食品です。 また、ほうれん草や納豆にもカリウムが多く含まれます。カリウムが不足しているときは、ほうれん草の和え物を作ったり、食後のデザートにバナナを食べたりすると良いでしょう。 ドラッグストアで販売されているサプリメントで、カリウムを補給する方法もあります。サプリメントを使用する際は、容量・用法・用途を守り、医師や薬剤師に相談してから服用しましょう。 なお、カリウムは脳梗塞の予防や再発防止につながる栄養素でもあります。以下の記事では、脳梗塞の方向けに理想の食事を紹介しているのであわせてご覧ください。 薬や注射でカリウムを摂取する 通院している方は、カリウムの内服薬による治療を受けます。他の疾患との兼ね合いで内服が困難な方や、症状が重い方は、カリウムを注射で投与します。 注射は、カリウム製剤を血中に直接投与するため、体内に速やかに吸収されます。また、量を調整できるため、医師の判断のもと、足りないカリウムを効果的に補えます。 薬の服用を中断する 薬の影響で低カリウム血症になった場合は、薬の服用を中断する場合があります。 利尿作用のある薬は、尿とともにカリウムが流れてしまうため、服用に配慮が必要な薬剤です。 以下は、利尿作用のある薬が処方される病気や症状とその効果です。 疾患 利尿作用による効果 高血圧症 排尿によって体液量を減らすことで血圧を下げる効果がある 心不全・腎疾患による浮腫 余分な水分を排出して浮腫を改善する効果がある(文献7) 参考:高血圧治療における利尿薬の用量について|厚生労働省 担当医との相談のもと、持病と低カリウム血症の両方を考慮した治療方針を決定しましょう。 高齢者が低カリウム血症になる原因を知って適切な治療を受けよう 食事量が減少する傾向にある高齢者は、日頃からカリウム不足にならない食生活への配慮が必要です。また、持病の治療で利尿作用のある薬を飲んでいる方は、カリウムが失われる機会が多いため、服薬の継続については医師と相談しましょう。 低カリウム血症には、筋肉のだるさや息苦しさといった、加齢と混同しやすい症状が現れます。症状を見逃すと、状態が悪化してしまうリスクがあるため、本記事を参考に、低カリウム血症の判断力向上に役立ててみてください。 また、高齢の方や生活習慣の乱れがある方は、低カリウム血症以外に糖尿病や肝臓疾患といった他の病気のリスクも高まります。 これらの疾患の治療の選択肢として、再生医療があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 高齢者の低カリウム血症に関するよくある質問 低カリウム血症は治る病気ですか? 頻繁な排尿や大量の下痢といった、一時的なカリウム不足の状態であれば、早期治療で回復が見込めます。症状の長期化や重篤化している場合は、長期的な治療が必要になるケースもあります。 低カリウム血症で入院することはありますか? カリウム値が大幅に低下したり、症状が悪化したりした場合は、入院する可能性があります。 国立がん研究センターの日本臨床腫瘍研究グループが公表している、低カリウムの重症度(グレード)を示した定義表では、カリウム値が3.0-2.5mEq/Lの場合を「入院を要する」と定義しています。(文献8) 低カリウム血症で入院する場合の期間や費用を教えてください 入院期間は症状の程度によって異なりますが、症状が軽度の方は数日〜1週間程度で退院できたという報告があります。 低カリウム血症における入院費用を提示する病院の情報は確認できなかったため、各病院に問い合わせをお願いします。 なお、公益財団法人生命保険文化センターの調査結果によると、入院1日あたりの入院費用は平均約20,700円です。(文献9) 参考文献 (文献1) 絹川 真太郎「慢性心不全の薬物治療」日本内科学会雑誌109巻2号 P207〜214 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/2/109_207/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献2) 国立循環器病センター高血圧腎臓内科 河野雄平 「高血圧治療における利尿薬の用量について」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1022-11c.pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献3) 長瀬 美樹,藤田 敏郎ら「3)アルドステロンと生活習慣病」日本内科学会雑誌 第97巻 臨時増刊号・平成20年 2 月20日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/Suppl/97_94b/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献4) 西川 哲男,大村 昌夫ら「2)高血圧症患者の 5~15% は原発性アルドステロン症?」日本内科学会雑誌 第97巻 臨時増刊号・平成20年 2 月20日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/Suppl/97_94b/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献5) 森 拓也「老人性不整脈」日農医誌62巻2号 136〜143項 2016.7 P136〜143 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/65/2/65_136/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献6) 吉田 雄一,柴田 洋孝ら「低カリウム血症と内分泌疾患」日本内科学会雑誌 109 巻 4 号 P718〜726 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/4/109_718/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献7) 木村玄次郎「9.利尿薬を使い分ける」日本内科学会雑誌 第102巻 第 9 号・平成25年 9 月10日 P2413〜2417 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/9/102_2413/_pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献8) 国立がん研究センター日本臨床腫瘍研究グループ「共用基準範囲対応CTCAE v5.0 Grade定義表」P1〜6 https://jcog.jp/assets/ChgJCOG_kyouyoukijunchi-CTCAE_50_20190905.pdf (最終アクセス2025年6月22日) (文献9) 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査/直近の入院時の1日あたりの自己負担費用」 https://www.jili.or.jp/research/chousa/8946.html (最終アクセス2025年6月22日)
2025.06.29 -
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「低カリウム血症って本当に治るの?」 「入院が必要なほど重い病気なのか知りたい」 血液検査の結果をきっかけにカリウム不足と言われ、不安になる方も多くいます。 結論から言えば、低カリウム血症の多くは、原因を見極めて適切な治療を受ければ回復が見込める病気です。 とはいえ、放置すると重症化し、入院や深刻な合併症につながるリスクもあります。本記事では、低カリウム血症はどのような病気で、どのように治療すれば治るのかについて解説します。 初期症状や原因、入院の基準や入院期間の目安を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 【結論】低カリウム血症の完治は可能 低カリウム血症は早期発見と早期治療により治る疾患です。 また、カリウムは嘔吐・下痢によっても体外に流れ出てしまいます。そのため、体調不良で嘔吐・下痢が続き一時的なカリウム不足の状態であれば、早期治療で回復が見込めます。 なお、低カリウム血症と似ている症状でギランバレー症候群があります。ギランバレー症候群の詳しい症状や原因については以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。 低カリウム血症を早く治すためのポイント 低カリウム血症の早期回復には、以下2つの要素を取り入れることで効果的な治療が可能です。 初期症状の段階から治療を始める 原因を特定する 低カリウム血症を早く治すためのポイントを見ていきましょう。 初期症状の段階から治療を始める 初期症状での治療開始が、低カリウム血症の早期回復につながります。 初期症状にも含まれる低カリウム血症の主な症状は以下のとおりです。 筋肉痛 手足のだるさ 筋肉のこわばり 手足の力が抜ける感じ 心臓のリズムが乱れる(不整脈) 参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル低カリウム血症|厚生労働省 初期症状を見逃してしまうと、呼吸不全や筋肉の麻痺などの重篤な合併症につながるリスクもありますので、早めに医療機関を受診しましょう。 原因を特定する 症状の原因を特定すると、早い段階で適切な処置をおこなえるため低カリウム血症を早く治せます。 原因を特定せずに自己判断で間違ったケアを進めてしまうと、症状をさらに悪化させてしまうケースもあります。 低カリウム血症を発症する主な原因は以下のとおりです。 下痢や嘔吐 薬の副作用 食事の偏りや絶食ダイエット 加齢 副腎疾患 自身の症状にあてはまる原因がないか特定していきましょう。 下痢や嘔吐 下痢や嘔吐で消化管から急激なカリウムが喪失します。 胃腸炎による下痢では、体内水分や電解質(カリウム)が失われるためです。 下痢や嘔吐による低カリウム血症は、水分とカリウムの同時補給で改善できます。また、経口補水液の使用により、入院せずに外来治療で回復も可能です。 とはいえ、症状が続く場合は早めに受診して、適切な補液治療を受けましょう。 薬の副作用 利尿薬やステロイド薬が腎臓からのカリウム排泄を増加させます。 利尿薬では服用開始から数週間で血清カリウム値が低下する場合もあります。しかし、薬剤による低カリウム血症は、薬の調整により速やかに改善可能です。 自己判断で薬を中止せず、医師と相談して薬の変更や減量をおこなうことで、副作用を回避できます。 食事の偏りや絶食ダイエット 極端な食事制限によりカリウム摂取量が不足し、体内貯蔵量が枯渇します。 1日のカリウム摂取量は成人男性では2,500mg、成人女性で2,000mgが必要とされています。(文献1) 栄養を意識した正しい食生活により、低カリウム血症は改善可能です。野菜や果物を意識的に摂取しバランスの良い食事を心がけて、健康的なダイエットをおこないましょう。 加齢 加齢により腎機能が低下し、カリウムの調節能力が弱くなります。65歳以上では腎機能が低下するとされています。(文献2) 定期的な血液検査により、早期発見と予防的治療が可能です。年齢に応じた健康管理を続けて、元気な毎日を過ごしていきましょう。 【関連記事】 血圧の正常値とは?内科医師が詳しく解説! 高齢者が低カリウム血症を発症する原因は?症状や治療法を医師が解説 副腎疾患 副腎からのホルモン分泌異常がカリウムバランスを崩します。 クッシング症候群などの疾患では、アルドステロンが増えることで腎臓に働きかけ、カリウムを体の外に出してしまいます。 このような場合でも、薬によって血圧やカリウムの値を整えることが可能です。 専門の医師と連携しながら治療を進めれば、改善が期待できるでしょう。 低カリウム血症の代表的な治療法 低カリウム血症の治療法は、発症原因や症状の程度に応じて異なります。 代表的な治療法は以下のとおりです。 カリウム量が多い食事を摂る サプリメントや内服薬を飲む 点滴を打つ 重症度や原因疾患の種類によっては入院治療する 自身の体の状態に適した治療法を医師と相談して決めていきましょう。 カリウム量が多い食事を摂る カリウム豊富な食事により、軽度の低カリウム血症は自然に改善されます。 以下は、カリウムが豊富に含まれる食材の一例です。 食品名(100g当) カリウム量(単位:mg) アボカド 590 バナナ 360 納豆 690 木綿豆腐 110 刻み昆布 8,200 参考:食品成分データベース|文部科学省 カリウムの多い食品としては野菜や果物、大豆や海藻類などがあります。意識してカリウム量が高い食事を摂取すれば、低カリウム血症の症状改善が期待できるでしょう。 サプリメントや内服薬を飲む 中等度の低カリウム血症に対しては、医師の指導のもとで薬物療法が効果的です。 たとえば、内服薬には塩化カリウムを含む飲み薬や、カリウムの排出を抑えるカリウム保持性利尿薬などが使われます。 また、ドラッグストアで購入できるサプリメントで補う方法もあります。服用を始める前に、必ず医師や薬剤師に相談し、使用量や飲み方を守りましょう。 注射を打つ 注射は、カリウム製剤を直接血管へ入れる方法です。注射は、体内への吸収が早い特長があり、不足している量に応じて細かく調整できるため、効率的にカリウムを補給できます。 特に、血中のカリウム濃度が2.5mEq/L未満の場合、命に関わる危険な状態です。この際、緊急処置として注射を打つ治療が進められます。 重症度や原因疾患の種類によっては入院治療する カリウム値が大幅に低下したり、症状が悪化したりした場合は、入院する可能性があります。 以下は、国立がん研究センターの日本臨床腫瘍研究グループが公表している、低カリウムの重症度(グレード)を示した定義表の一部です。 Grade 血清カリウム値 症状 治療 1 3.0mEq/L以上 なし なし 2 3.0mEq/L以上 ある 必要 3 3.0~2.5mEq/L ある 入院を要する 4 2.5mEq/L以下 ある 生命を脅かす 出典:JCOG共用基準範囲」に基づくGrade 定義|日本臨床腫瘍研究グループ カリウム値が3.0-2.5mEq/Lの場合を「入院を要する」と定義しています。入院により根本原因の精密検査と専門的治療も同時に実施できます。 低カリウム血症の初期症状を見逃さず早期受診を心がけよう 低カリウム血症は筋力の低下やだるさなど、一見よくある症状から始まるケースが多い病気です。しかし、初期サインを見逃さずに早めに対処すれば、外来治療のみでの改善も期待できます。 症状が続いたり、なんとなく体調がすぐれなかったりする場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。 また、高齢の方や生活習慣の乱れがある方は、低カリウム血症以外に糖尿病や肝臓疾患といった他の病気のリスクも高まります。 これらの疾患の治療の選択肢として、再生医療があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 低カリウム血症は治るのか?に関するよくある質問 低カリウム血症を治すためにおすすめの食事を教えてください カリウムは、野菜や果物、豆類に多く含まれます。 以下の表は、カリウムが多く含まれる食品の一部を紹介したものです。 食品名(100g当) カリウム量(単位:mg) 刻み昆布 8,200 ほうれん草 690 納豆 690 バナナ 360 木綿豆腐 110 参考:食品成分データベース|文部科学省 カリウムを豊富に含む食品の中でも、特に含有量が多いのが刻み昆布です。「すき昆布」の煮物を食べると、効率良くカリウムを摂取できます。 また、ほうれん草の副菜を食事に取り入れたり、デザートとしてバナナを選んだりするのもカリウム補給におすすめです。 低カリウム血症の治療で入院になった場合の期間と費用の目安を教えてください 入院の期間は症状の重さによって異なりますが、軽い場合は数日から1週間ほどで退院できた例もあります。 低カリウム血症に特化した入院費用の目安は公表されていないため、詳しく知りたい方は直接医療機関に問い合わせてみてください。 なお、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、入院1日あたりの平均費用は約20,700円とされています。(文献3) 参考文献 (文献1)厚生労働省「日本人の食事摂取基準」,2020年 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (最終アクセス2025年6月16日) (文献2) 日本老年医学会雑誌「高齢者の慢性腎臓病(CKD)」,2014年 https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/review_51_5_385.pdf (最終アクセス2025年6月16日) (文献3) 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査/直近の入院時の1日あたりの自己負担費用」 https://www.jili.or.jp/research/chousa/8946.html (最終アクセス2025年6月16日)
2025.06.29 -
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「手足がだるい」「筋肉がこわばる」などの症状が続いている場合は、低カリウム血症を発症している可能性があります。 カリウムは筋肉や神経、心臓の働きに関わる重要なミネラルです。血中濃度が下がりカリウムの量が減ると体にさまざまな不調を引き起こします。 重症化すると不整脈による胸痛や呼吸困難、さらには命に関わる合併症に至ることもあるため、決して軽視できない状態です。 本記事では、低カリウム血症の主な症状や原因に加え、治療法や入院の基準・期間、再発予防のポイントまでを詳しく解説します。 現在、症状に心当たりがある方や、家族の体調に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。 【重症度別】低カリウム血症の主な症状 低カリウム血症の症状は血清カリウム値によって異なります。 ここでは、重症度に応じた主な症状を以下の2つに分けて解説します。 軽度〜中等度の場合 重症化した場合 それぞれの段階で現れる症状の違いを把握して、早期発見につなげましょう。 軽度〜中等度の場合 軽度から中等度の低カリウム血症では、主に以下の症状が現れます。 筋肉痛 手足のだるさ 筋肉のこわばり 手足の力が抜ける感じ 心臓のリズムが乱れる(不整脈) 参考:重篤副作用疾患別対応マニュアル低カリウム血症|厚生労働省 具体的には、階段を上る際に息切れしやすくなったり、重いものを持ち上げにくくなったりします。 これらの症状のサインが出た場合はカリウム不足の可能性があるため、放置しないで適切な治療を行うことが大切です。 なお、低カリウム血症と似たような症状でギランバレー症候群という病気があります。ギランバレー症候群の症状や原因については以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。 重症化した場合 低カリウム血症が重症化した場合の代表的な症状は、以下のとおりです。 胸痛 息苦しさ 意識障害 血清カリウム値が2.5mEq/L未満になると、四肢麻痺や呼吸筋麻痺といった重篤な症状を引き起す可能性があります。(文献1)命に関わる危険性が高い状態なので、症状が現れたらすぐに医療機関を受診してください。 低カリウム血症の原因 低カリウム血症の主な発症原因は以下の3つです。 薬の副作用 食事や生活習慣 慢性疾患や体の機能低下 これらの複数の原因が重なって低カリウム血症を発症する場合もあります。ご自身が該当する原因を特定し、治療方針を考える姿勢が大切です。 薬の副作用 特定の薬剤の使用が低カリウム血症を引き起こす原因の一つです。 体内のカリウムバランスを崩しやすい薬剤は以下のとおりです。 利尿薬 尿と一緒にカリウムを放出 ステロイド薬 インスリンの作用による細胞外から細胞内へのカリウムの取り込み インスリン アルドステロン作用によるカリウムの排泄促進 参考:電解質異常低カリウム血症|特定非営利活動法人日本集中治療教育研究会看護部会 服用中の薬剤について医師と相談し、定期的な血液検査でカリウム値をチェックしましょう。 以下の記事では利尿薬の効果や副作用に触れているので、あわせてご覧ください。 食事や生活習慣 偏った食事や不適切な生活習慣が低カリウム血症の発症リスクを高めます。 極端なダイエットや偏食により、カリウムを含む食品の摂取量が不足するためです。 たとえば以下の行動が、体内のカリウム喪失を促進します。 野菜や果物を避けた食事 加工食品中心の食生活 過度な飲酒 嘔吐を繰り返す摂食障害 バランスの取れた食事と規則正しい生活習慣を心がけることが予防の基本となります。 慢性疾患や体の機能低下 腎臓や消化器系の慢性疾患が低カリウム血症の背景にあります。 慢性腎不全や副腎機能亢進症などの疾患では、カリウムの調節機能が低下するためです。 原発性アルドステロン症では過剰なホルモン分泌によりカリウムが失われます。(文献2) 慢性的な下痢や嘔吐を伴う消化器疾患も同様の問題を引き起こします。 基礎疾患の適切な管理と並行して、カリウム値の定期的なモニタリングが重要です。 低カリウム血症の治療法 低カリウム血症の治療は重症度に応じて段階的に行われ、適切な方法選択が大切です。 主な治療法は以下のとおりです。 カリウムが豊富な食品を摂取する サプリメントや飲み薬で補給する 注射薬で補給する 症状や血液検査の結果に基づいた治療法を選択していきましょう。 カリウムが豊富な食品を摂取する 食生活の改善によりカリウムが豊富な食品を摂取することで、低カリウム血症の治療につながります。 以下は、カリウムが豊富に含まれる食材の一例です。 食品名(100g当) カリウム量(単位:mg) アボカド 590 バナナ 360 ほうれん草 690 納豆 690 木綿豆腐 110 刻み昆布 8,200 参考:食品成分データベース|文部科学省 毎日の食事にこれらの食品を意識的に取り入れて、自然な形でのカリウム補給を目指しましょう。 サプリメントや飲み薬で補給する 中等度の低カリウム血症では、医師の処方による薬物療法が効果的です。 経口カリウム製剤やカリウム保持性利尿薬により、効率的にカリウム値を改善できます。代表的な薬剤は、塩化カリウム徐放錠やK.C.L. エリキシル® (塩化カリウム)などです。 ドラッグストアで買えるサプリメントでカリウムを補う方法もあります。 ただし、カリウムのとり過ぎは体に負担をかけるおそれがあるため、使用前に医師や薬剤師に相談し、決められた量と使い方を守りましょう。 注射薬で補給する 注射によるカリウム補給は、カリウムを血管に直接入れる方法で、体内にすばやく吸収されるのが特徴です。必要な量を細かく調整できるため、医師の判断により効率よく不足分を補えます。 血液中のカリウム値が2.5mEq/L未満の場合や、心電図に異常が出ている場合は、緊急の対応が必要になり、注射薬の投与が検討されます。 低カリウム血症の入院基準と入院期間 低カリウム血症の入院判断は血清カリウム値と症状の重篤度により決定されます。 国立がん研究センターの日本臨床腫瘍研究グループが示している重症度の目安では、血液中のカリウム濃度が3.0〜2.5mEq/Lの場合、「入院が必要なレベル」と定義しています。(文献3) カリウム濃度の数値だけでなく、四肢の麻痺や呼吸困難などの重篤な症状がある場合も緊急入院の対象です。 入院期間は症状の程度によって異なりますが、症状が軽度の方は数日〜1週間程度で退院できたという報告があります。重度の場合は、長期的入院が必要となる可能性があります。 低カリウム血症の症状が出たら早めに受診を心がけよう 筋肉の異常や動悸、脱力感などが続く場合は、体内のカリウム不足が影響しているかもしれません。 低カリウム血症の症状は日頃の疲れや加齢による体調不良と似ているため、見逃されやすいケースが多いです。そのため、不調が続くときは低カリウム血症を疑う視点を持ち、早めに専門機関を受診することが大切です。 なお、高齢の方や生活習慣の乱れがある方は、低カリウム血症以外に糖尿病や肝臓疾患といった他の病気のリスクも高まります。 これらの疾患の治療の選択肢として、再生医療があります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 低カリウム血症や症状に関するよくある質問 低カリウム血症は治療すれば治りますか? 低カリウム血症は適切な治療により改善できる疾患です。 軽度から中等度の場合、食事療法や内服薬により数日から数週間で正常値に回復します。ただし、原因となる基礎疾患がある場合は、その治療も並行して行う必要があります。 治療後も定期的な検査により再発を防ぎ、長期的な健康管理を続けていく意識が大切です。 低カリウム血症の治療期間はどれくらいですか? 治療期間は重症度と原因により大きく異なります。 軽度の場合、食事療法や経口薬により短期間での改善が多く見られます。ただし、中等度~重症例や慢性疾患が原因の場合は、入院治療や長期的な管理が必要になる場合もあります。 個人差があるため、医師と相談しながら治療計画を立て、焦らずに治療を継続していきましょう。 低カリウム血症は高齢者が発症しやすいですか? 高齢者は若年者と比較して低カリウム血症を発症するリスクが高い傾向にあります。 加齢により腎機能が低下し、カリウムの調節能力が衰えたり、高血圧・心疾患の治療で利尿薬を服用する機会が多かったりするためです。 また、食事摂取量の減少や消化吸収能力の低下も影響を与えます。 高齢の方は定期的な血液検査と適切な食事管理により、予防と早期発見に努めることが重要です。 参考文献 (文献1) Richard A Oram,Timothy J McDonaldほか「Investigating hypokalaemia」, BMJ 2013; 347: f5137 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24065427/ (最終アクセス2025年6月18日) (文献2) 難病情報センター13 内分泌疾患「原発性アルドステロン症」 https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/kenkyuhan_pdf2014/gaiyo031.pdf (最終アクセス2025年6月15日) (文献3) 国立がん研究センター日本臨床腫瘍研究グループ「共用基準範囲対応CTCAE v5.0 Grade定義表」P1〜6 https://jcog.jp/assets/ChgJCOG_kyouyoukijunchi-CTCAE_50_20190905.pdf (最終アクセス2025年6月15日)
2025.06.29 -
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「健康診断で心電図に異常があると指摘された」 「ときどき動悸がする」 「親も不整脈で治療していたため、自分も不整脈になったのではないか」 このような不安をお持ちの方も多いことでしょう。 心臓は電気的興奮により動き、全身に血液を送るポンプの役割を果たします。不整脈とは、電気的興奮のリズムや心拍数が一定しない状態を指します。 不整脈の原因は複数あるため、「不整脈になりやすい人の特徴」と一言であらわすことは難しいものです。不整脈の種類も複数あり、問題なく普通の生活を送れるものから、命に関わるものまでさまざまです。 本記事では、不整脈になりやすい人の特徴について、体質や生活習慣などの観点から説明します。 主な予防方法も解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 不整脈になりやすい人の特徴は主に5つ 不整脈になりやすい人の特徴は、主に以下の5つです。 加齢 肥満 生活習慣 疾患および薬の影響 遺伝 加齢 年齢を重ねると、不整脈が生じやすくなります。原因は、刺激伝導系および周辺組織の老化です。 心筋と呼ばれる心臓の筋肉は、適切なタイミングで一定に動くための電気信号システムが備わっています。これが刺激伝導系です。 しかし、年齢を重ねると、刺激伝導系および周辺組織が衰えたり硬くなったりします。そのため、心臓内で電気信号がうまく伝わらないことが増えてしまい、不整脈が生じやすくなるのです。(文献1) 一般的には、60歳以上になると不整脈が増えるといわれています。(文献2) しかし、不整脈のうち期外収縮と呼ばれるものは、30代を過ぎる頃からほとんどの方に認められます。(文献3) 期外収縮とは、不整脈の中でもよく見られるタイプで、一定のタイミングから若干外れた心臓の収縮により発生するものです。 肥満 肥満は高血圧や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす原因の1つです。生活習慣病により不整脈が生じやすくなるだけではなく、肥満そのものが、不整脈の大きな要因であると示されています。 イギリスの文献においても、「体重を減らすことが不整脈の予防や改善につながる」と記されています。(文献4) 生活習慣 不整脈の原因としてあげられる主な生活習慣は以下のとおりです。 睡眠不足 疲労 ストレスの蓄積 カフェインの過剰摂取 喫煙 過度の飲酒 これらの生活習慣により活性化されるのが、自律神経の1つである交感神経です。 交感神経が活性化されると、日中に不整脈が起こりやすくなります。もう1つの自律神経である副交感神経が活性化されると、就寝中に不整脈が発生しやすくなります。(文献5) 睡眠不足や疲労、ストレスの蓄積などは、自律神経の乱れや不整脈そのものを引き起こしやすい生活習慣です。 不整脈とストレスの関係は以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 過度の飲酒習慣は、発作性の心房細動と関連があるとされています。 心房細動とは、心臓上部の心房が1分間に400~600回も不規則に動く不整脈です。発作性心房細動は、短時間だけ発生して元に戻るものを指します。(文献6) 心房細動は、心臓が不規則に動くために血流が悪くなり、血栓が生じやすい不整脈です。心房にできた血栓が全身を流れると、脳の血管を詰まらせる原因になります。その結果生じる疾患が脳梗塞であり、心疾患が由来であるため「心原性脳梗塞」と呼ばれます。 心原性脳梗塞に関しては、以下の記事をご参照ください。 疾患および薬の影響 不整脈の原因の中でも比較的多いものは、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心不全、先天性心疾患といった心臓疾患です。 心臓疾患以外に加えて、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症も、不整脈を引き起こす原因の1つです。 甲状腺機能低下症は徐脈性不整脈、甲状腺機能亢進症は頻脈性不整脈(心拍数の増加)と関連があるといわれています。 徐脈性不整脈は心拍数が減少するもので、以下のような種類があります。 洞不全症候群 房室ブロック 徐脈性心房細動 頻脈性不整脈とは心拍数が増加するもので、主なものは以下のとおりです。 発作性上室性頻拍 心房細動 心房粗動 心室頻拍 心室細動 風邪薬や抗うつ薬、心疾患の薬によって不整脈が生じる場合もあります。不整脈と診断された方で、該当する薬を内服されている方は、必ず担当医師に伝えましょう。 遺伝 心臓の電気的な活動をつかさどる遺伝子の変異により起こる不整脈の総称が、遺伝性不整脈です。 主な遺伝性不整脈としては、以下のようなものがあげられます。 先天性QT延長症候群 ブルガダ症候群 カテコラミン誘発多形性心室頻拍 QT短縮症候群 早期再分極症候群 遺伝性不整脈は、無症状のこともありますが、心室頻拍や心室細動といった命に関わる可能性もあります。 突然死の原因になるケースもあるため、適切な診断・治療が求められる不整脈です。 命に関わる不整脈 不整脈の中には、命に関わるものも存在します。 代表的なものは以下の3つです。 心室細動 心室頻拍 完全房室ブロック 心室細動 心室細動とは、心臓の下部である心室が非常に早く不規則に興奮して、小刻みに震えてしまう状態です。この状況では、心臓が拍動しなくなるため、全身に血液を送れなくなります。 全身に血液を送り出せなくなるため脳の血流も低下し、めまいや失神を起こし、意識を失います。迅速な救命処置や治療を行わないと命に関わる、最も危険な不整脈です。 心室頻拍 心室頻拍とは、心室が速く脈を打ち過ぎて血圧がほとんど出なくなる不整脈です。症状としては、強い動悸や胸痛、めまい、失神などがあげられます。 心室頻拍の大部分は重度の心疾患を抱えている方に発生し、心室細動を引き起こす場合もあります。 完全房室ブロック 房室ブロックと呼ばれる不整脈の中で最も重症なものです。 房室ブロックとは、心房からの電気信号を心室に伝える房室結節での連絡が途絶えてしまい、心室の脈がなくなるものです。房室ブロックはⅠ度からⅢ度に分類されており、完全房室ブロックと呼ばれるⅢ度は、房室結節での連絡が完全に途絶えています。(文献7) このまま放置すると心停止に至る可能性があるうえ、脈を速くする有効な内服薬がないためペースメーカー埋め込み手術が必要です。 不整脈にならないために気をつけること 不整脈にならないために気をつけると良い3つのポイントを以下に示しました。 食生活の見直し 適度な運動 持病の管理 食生活の見直し 食生活の見直しは、不整脈予防にとっても大切なものです。 バランスの良い食事を心がけましょう。具体的には、以下の3点がまんべんなくそろっている食事です。 主食(ご飯やパン、麺類など炭水化物の供給源) 主菜(肉や魚、卵などタンパク質の供給源) 副菜(野菜や果物、きのこ類などビタミンやミネラル、食物繊維の供給源) 不整脈に良い食べ物としては、バナナやほうれん草などのカリウムが多いもの、海藻類や豆類などマグネシウムが多いものがあげられます。 不整脈に悪い食べものとしては、塩分や動物性脂肪が多い食品などがあげられます。カフェイン飲料の過剰摂取も好ましくありません。 不整脈と食生活の関係は、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 適度な運動 ウォーキングや水泳など、中程度の運動30分を週2.5時間以上行うことで、心血管疾患の予防や不整脈抑制の効果があるとされています。ただし、運動習慣がない方が急に運動したり、既に心疾患がある方が運動したりすると、不整脈が引き起こされる可能性があります。 運動習慣がない方、既に心疾患がある方は、運動を始める前に医師に相談しましょう。 アメリカの論文では、体重を10%減少させた方や体重減を維持させた方は、減らなかった方より、不整脈が起きない確率が6倍も高くなったとのデータが示されています。論文上では、体重減少により重症の心房細動が軽症になったケースも示されていました。(文献8) 同じ論文では、飲酒の習慣がある心房細動患者が禁酒したことで、不整脈の再発が大幅に減ったとの研究結果が示されています。加えて、禁煙が心房細動の予防戦略として強く推奨されています。 持病の管理 心疾患をはじめ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある方は、医師から指示を受けた薬の内服を続けて、治療を継続しましょう。 血圧の管理は、不整脈予防に効果的といわれています。 不整脈が繰り返し発生している方や、動悸・息切れといった症状がある方は、必ず医師に相談してください。 不整脈になりやすい人の特徴を理解して予防に努めよう 不整脈になりやすい人の特徴としては、「高齢である」「家族歴がある」「心疾患や高血圧、糖尿病などがある」といったことがあげられます。また、肥満や喫煙、飲酒といった生活習慣も関係するといわれています。 これらの特徴に少しでも当てはまる方は、生活習慣の改善や疾患の管理などできる範囲で不整脈の予防に努めましょう。 中には命にかかわる不整脈もあるため、強い胸痛や動悸、呼吸困難などの症状が出た場合は、早急に病院を受診してください。症状がない場合でも、心電図検査で異常を指摘された方は、ホルター心電図や運動負荷心電図、心臓エコーなどの詳しい検査を受けることが望ましいでしょう。 現在不整脈でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しております。 参考文献 (文献1) 森拓也.「老人性不整脈」『日本農村医学会雑誌』65(2), pp.136-143, 2016 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/65/2/65_136/_pdf(最終アクセス:2025年6月22日) (文献2) 独立行政法人国立病院機構岩国医療センター「不整脈とは?」独立行政法人国立病院機構岩国医療センターホームページ https://iwakuni.hosp.go.jp/junkanki-ab-huseimyaku.html(最終アクセス:2025年6月22日) (文献3) 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「不整脈」国立研究開発法人国立循環器病研究センターホームページ, 2023年09月22日 https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/arrhythmia/(最終アクセス:2025年6月22日) (文献4) Kiran Haresh Kumar Patel, et al.(2022).Obesity as a risk factor for cardiac arrhythmias.BMJ Medicine, 1, pp.1-13. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36936556/(最終アクセス:2025年6月22日) (文献5) 渡部智紀.「自律神経と不整脈」『自律神経』56(4), pp.221-223, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ans/56/4/56_221/_pdf(最終アクセス:2025年6月22日) (文献6) 日本不整脈外科研究会「不整脈とは 心房細動」日本不整脈外科研究会ホームページ https://plaza.umin.ac.jp/~arrhythm/arrhythmia/atrium/index.html(最終アクセス:2025年6月22日) (文献7) 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター「房室ブロック」独立行政法人国立病院機構大阪医療センターホームページ https://osaka.hosp.go.jp/department/cvm/kakushikkan/fuseimyaku/ba/boushitsu/index.html(最終アクセス:2025年6月22日) (文献8) Mina K. Chung, et al. (2020).Lifestyle and Risk Factor Modification for Reduction of Atrial Fibrillation: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation, 141(16) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32148086/(最終アクセス:2025年6月22日)
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健康診断で「貧血の疑い」と言われた、あるいは血液検査の結果を見ても「どの数値が貧血を示しているのか」「自分の数値は正常なのか」分からずに不安を感じていませんか? 普段から疲れやすさやめまいを感じていて、貧血ではないかと気になっている方も多くいらっしゃいます。 この記事では、貧血に関わる血液検査の数値の見方や基準値をわかりやすく解説します。数値の見方を理解し、ご自身の状況を把握しましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。再生医療について詳しく知りたい方は、公式LINEにご登録ください。 貧血の数値でわかる重症度 血液検査で貧血かどうかを調べるときに最も重要な項目が「ヘモグロビン」です。健康診断の結果表では以下のように表記されています。 Hb HGB 血色素量 ヘモグロビン どの表記でも同じ検査値を指しており、この数値を見ることで貧血の有無や重症度を判断できます。 世界保健機関(WHO)が定義しているヘモグロビン濃度の基準は、次の通りです。 対象者 貧血なし 軽度貧血 中等度貧血 重度貧血 6~59ヶ月の小児 11.0 g/dL以上 10.0~10.9 g/dL 7.0~9.9 g/dL 7.0 g/dL未満 5~11歳の小児 11.5 g/dL以上 11.0~11.4 g/dL 8.0~10.9 g/dL 8.0 g/dL未満 12~14歳の小児 12.0 g/dL以上 11.0~11.9 g/dL 8.0~10.9 g/dL 8.0 g/dL未満 非妊娠女性(15歳以上) 12.0 g/dL以上 11.0~11.9 g/dL 8.0~10.9 g/dL 8.0 g/dL未満 妊娠女性 11.0 g/dL以上 10.0~10.9 g/dL 7.0~9.9 g/dL 7.0 g/dL未満 男性(15歳以上) 13.0 g/dL以上 11.0~12.9 g/dL 8.0~10.9 g/dL 8.0 g/dL未満 (文献1) 上記のWHO基準に加えて、ヘモグロビン値ごとの症状の現れ方や治療の必要性は以下が目安です。 ヘモグロビン値 主な症状・体への影響 11〜12 g/dL ほとんど自覚症状なし 9〜10 g/dL 頭痛・だるさ・肩こり・動悸や息切れ 7〜8 g/dL 治療として輸血が必要になることがある 6 g/dL以下 息切れや息苦しさなど心不全の症状が現れることが多い 数値や症状はあくまで目安であり、年齢や持病の有無によって症状の現れ方は変わります。気になる場合は医師に相談しましょう。 血液検査における数値|貧血の基準値 健康診断や血液検査の結果を見ても、数字の意味がわからず不安を抱く方は多いのではないでしょうか。 ヘモグロビンの他にも、ヘマトクリットなどの基準値と意味を理解できれば、自分の数値がどの範囲にあるかを判断しやすくなります。 この項目では、各検査項目の数値の見方と貧血との関係について詳しく解説します。 血色素量(ヘモグロビン:Hb) ヘモグロビンは赤血球に含まれる鉄分を持つタンパク質で、体内で酸素を運ぶ重要な役割を担っています。血液検査でヘモグロビン値を確認すれば、貧血のリスクや体への影響を判断できます。 対象 基準値 15歳以上の男性 13g/dL未満 15歳以上の女性 12g/dL未満 (文献1) 症状がなくても数値が少しずつ下がっている場合は注意が必要です。 ヘマトクリット(Ht) ヘマトクリットは、血液の中で赤血球がどのくらいの割合を占めているかを示す数値です。血液の中には主に赤血球が含まれているため、ヘマトクリットを見ると赤血球がどのくらいあるかがわかります。 年齢や性別によって基準値が異なりますが、数値の目安は以下のとおりです。 対象 基準値 男性 40.7~50.1% 女性 35.1~44.4% (文献2) ヘマトクリット値は月経による鉄分の損失や、男性ホルモンによる赤血球産生の違いがあるため、女性の方が男性よりもやや低い傾向にあるのが一般的です。 ヘマトクリット値が低下していると、赤血球が不足していることを示し、貧血の可能性があります。また、数値が高いときは脱水や多血症など、赤血球が相対的に増えている状態が考えられます。 赤血球数(RBC) 赤血球数(RBC)は、血液の中にどれくらい赤血球があるかを示す検査値です。赤血球は体のすみずみに酸素を運ぶ役割を持っているため、不足すると体に影響が出やすく、多すぎてもリスクがあります。 赤血球数の基準値の目安は以下のとおりです。 対象 基準値 男性 435~555×10⁶/μl 女性 386~492×10⁶/μl (文献2) 男性の方が女性よりも数値が高めになるのは、男性ホルモンが赤血球を作る働きを活発にする点や、女性は月経で鉄分を失いやすい点が関係しています。 赤血球数が低いと、酸素を運ぶ力が不足している状態で、貧血の可能性があります。そのため、鉄分の不足や出血の有無もあわせて調べることが大切です。 また、基準値を超えて赤血球数が多い場合は、多血症が考えられます。とくに喫煙者や高地に住んでいる方は高めに出やすい傾向があります。生活習慣や体調を見直し、必要に応じて精密検査を受けましょう。 MCV(平均赤血球容積) MCVは赤血球1個あたりの大きさを示す検査値で、貧血の種類や原因を判断する手がかりになります。 MCVの基準値の目安は、以下の通りです。 対象 基準値 男性・女性 83.6〜98.2fl (文献2) MCVの数値が低い場合は赤血球が小さく、鉄が不足している可能性があります。鉄剤の補充などで数値の改善が期待できます。 一方、MCVの数値が高い場合は赤血球が大きく、ビタミンB12や葉酸不足が主な原因です。必要に応じて栄養補給や治療が検討されます。 MCVの数値は単独ではなく、他の血液検査と組み合わせて判断するのが重要です。数値の傾向を把握すれば、貧血の種類や必要な対応を見極めやすくなります。 MCH / MCHC(赤血球中のヘモグロビン量・濃度) MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)とMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)は、赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量と濃度を示す検査値で、貧血のタイプや原因を把握する手がかりになります。 MCHとMCHCの数値の目安は以下のとおりです。 MCH(平均赤血球ヘモグロビン量) MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度) 男性・女性:27.5~33.2pg 男性・女性:31.7~35.3g/dL (文献2) MCHとMCHCの数値が低い場合、赤血球1個に含まれるヘモグロビンが少ないことを意味し、鉄欠乏性貧血や慢性疾患による貧血が疑われます。 また、MCHとMCHCの数値が高いときは赤血球中のヘモグロビンが濃く、脱水や血液疾患が関係している場合があります。 MCH・MCHCは、赤血球1個あたりの酸素運搬能力を知る手がかりです。数値の変化は疲れやすさや息切れなどの症状として現れることがあります。 フェリチン(貯蔵鉄) フェリチンは体内に鉄分を貯蔵するタンパク質で、主に肝臓や骨髄などに存在します。 血中のフェリチン値は体内の鉄分の貯蔵量を反映するため、鉄欠乏や鉄過剰の診断において重要な指標です。 フェリチンの基準値範囲は以下のとおりです。 対象 基準値 男性 25~280 ng/ml 女性 10~120 ng/ml (文献2) ヘモグロビン値が正常でも、フェリチン値が低い場合は隠れ貧血や鉄欠乏の可能性があります。体内の鉄分が少なくなっている状態で、早めの対策が重要です。 一方、フェリチン値が高い場合は白血病や肝臓障害、感染症などが関係している可能性があります。 フェリチン値は、貧血リスクの判断材料だけでなく生活習慣の見直しにも役立ちます。 血清鉄(Fe) 血清鉄(Fe)は、血液中に存在する鉄分の量を示す検査値です。血中の鉄分は主にトランスフェリンと呼ばれるタンパク質と結合して体内を運ばれ、鉄分の利用状況を把握する手がかりになります。 血清鉄の基準範囲は、以下の通りです。 対象 基準値 男性・女性 40〜188μg/dL (文献2) 血清鉄値が低い場合は鉄欠乏性貧血の可能性があり、逆に高い場合は急性肝炎や急性白血病などが関係しているときがあります。 また、炎症性疾患や感染症で血清鉄が低下する場合があるため、ほかの検査値も踏まえて総合的に判断する必要があります。 【貧血のタイプ別】数値の見方 貧血にはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴的な数値の傾向があります。自分の血液検査の結果と照らし合わせることで、どのタイプの貧血の可能性があるかを把握しやすくなります。 各タイプの特徴的な数値や注意点を一つずつみていきましょう。 鉄欠乏性貧血の特徴 鉄欠乏性貧血では、血液検査で特徴的な数値の変化が現れます。 主な傾向は以下の通りです。 ヘモグロビン(Hb):低下 平均赤血球容積(MCV):低下 平均赤血球ヘモグロビン量(MCH):低下 フェリチン(貯蔵鉄):低下 総鉄結合能(TIBC):上昇 上記の数値パターンは、鉄不足によって赤血球が小さく色が薄い状態になることを示しています。フェリチンの低下は体内の鉄貯蔵量の枯渇を、総鉄結合能(TIBC)の上昇は体が鉄分を取り込もうとしている状態です。 血液検査の数値を総合的に見ることで、鉄欠乏性貧血のリスクや体への影響を判断する目安になります。 隠れ貧血(潜在性鉄欠乏) 隠れ貧血は、一般的な血液検査では見つかりにくい貧血の前段階で、ヘモグロビン値が正常範囲内でも、体内の鉄貯蔵量が不足している状態を指します。 自覚症状がほとんどないことも多く、見過ごされやすいため注意が必要です。 主な数値の傾向は以下の通りです。 Hb(ヘモグロビン):正常範囲内 フェリチン(貯蔵鉄):低下 フェリチン値が低い場合、体内の鉄分が枯渇し始めており、将来的に貧血へ進行する恐れがあります。とくに、女性は月経による鉄分損失があるため、男性よりも注意深い観察が必要です。 定期的にフェリチン値をチェックしておくと、自覚症状が出る前の早期段階で鉄欠乏を発見でき、食事やサプリでの補給など適切な対策につなげられます。 悪性貧血(ビタミンB12欠乏)の特徴 ビタミンB12欠乏による悪性貧血では以下の特徴が見られます。 ヘモグロビン(Hb):低下 平均赤血球容積(MCV):上昇 葉酸:低下 ビタミンB12:低下 ビタミンB12や葉酸は赤血球の正常な形成に必要な栄養素で、不足すると赤血球が大きくなるのが特徴です。 血液検査の数値が上記に当てはまる方は、赤血球の形成に関わる栄養が不足している可能性があります。 必要に応じて医師に相談し、適切な治療を受けたり生活習慣の見直しをしたりしましょう。 慢性疾患に伴う貧血の特徴 慢性疾患に伴う貧血は、次のような基礎疾患が原因となることがあります。 感染症 悪性腫瘍 関節リウマチ 心不全 腎疾患 主に、慢性的な炎症によって鉄分がうまく利用されず、赤血球が作られにくくなる傾向にあります。血液検査ではフェリチンが正常から高値を示すことが多く、体内に鉄分はあるものの、ヘモグロビンの合成に使われにくい状態を反映しています。 根本的な改善には、原因となる疾患の治療が重要で、単純な鉄剤補充だけでは十分な効果が得られにくいことが特徴です。 血液検査の数値を総合的に見ながら、医師と相談して適切な対応を検討しましょう。 貧血の数値改善法 貧血の数値改善法は主に以下の2つです。 鉄剤内服・注射での治療 生活習慣の見直し 血液検査で貧血が疑われても、原因や程度は人によって異なります。改善のためには、医師の診断にもとづいた治療と日常生活での工夫の両方が重要です。 鉄剤内服・注射での治療 鉄欠乏性貧血と診断された場合、基本となる治療は鉄剤による補充です。一般的には内服薬が用いられますが、症状や数値によって注射が選ばれるケースも見られます。 副作用としては、便秘・下痢・吐き気・胃の不快感などがみられることがあります。 治療の優先度や検査の必要性を含め、自分の状態に合った方法を選ぶことが大切です。 生活習慣の見直し 軽い貧血の場合は、毎日の食事や生活の工夫で良くなる場合があります。 具体的なポイントは、下記の通りです。 食事:鉄分を多く含む食品を普段の食事に取り入れる。ビタミンCやたんぱく質を一緒に摂取すると鉄分の吸収が良くなる。 飲み物の工夫:食事中のコーヒーや緑茶、清涼飲料水は鉄分の吸収を妨げるため食事の前後は控えると効果的 睡眠と休養:夜更かしを避ける、休日にしっかり体を休めるなど体の回復を意識する 鉄分は、どのように組み合わせて食べるかで吸収率が変わります。赤身肉やレバーなどの動物性食品には鉄分が多く含まれているので、積極的に摂取しましょう。 一方、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンや、清涼飲料水や加工食品に添加されることが多いリン酸塩は、鉄分の吸収を妨害する要因になるので注意が必要です。 さらに、睡眠不足はホルモンや自律神経のバランスを乱し、血液をつくる働きを妨げることがあります。夜更かしを避け十分な睡眠をとることは、貧血改善の基盤となります。 小さな工夫を積み重ねることで、数値改善につながる可能性があります。無理のないところから始めてみましょう。 貧血の受診目安 健康診断で貧血を指摘されたら、症状がなくても内科や婦人科を受診しましょう。必要に応じて、治療が推奨される場合もあります。 高齢の方では、年齢のせいと見過ごされやすい軽いめまいや疲れやすさが、実は進行した貧血のサインとなっている場合があります。 血液検査の数値は目安のひとつにすぎず、体調の変化やライフステージによって必要な対応は変わります。 数値にとらわれず、違和感を覚えたら早めに医師へ相談しましょう。 貧血と数値の関係性を理解して適切に対処しよう 血液検査の数値を確認することで、貧血の程度や必要な対処法を把握できます。 数値を見る際のポイントは、以下の通りです。 ヘモグロビンや赤血球数が基準値よりどのくらい下がっているか把握する 鉄分の貯蔵量(フェリチン)を把握する 症状がなくても再検査や医師相談が必要な場合がある 上記を把握しておくことで、自分に必要な行動を選べます。 軽い疲れやめまい、息切れもサインになることがあるので、数値だけでなく体調の変化にも注意しましょう。 健康管理では、貧血だけでなく様々な体の不調に早めに気づくことが大切です。 当院「リペアセルクリニック」のLINEでは、関節の痛みや脳梗塞、糖尿病など再生医療に関する情報をお届けしています。貧血の治療は対象外ですが、幅広い健康管理の参考として、ぜひご登録ください。 参考文献 (文献1) 貧血の診断と重症度評価のためのヘモグロビン濃度|WHO IRIS (文献2) 臨床検査基準値一覧血液検査 2016年6月版|国立がん研究センター中央病院臨床検査部
2025.06.29 -
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「立ちくらみがして、そのまま倒れてしまった」「急に視界が暗くなって意識が遠のいた」 そんな経験に心当たりはありませんか?とくに女性に多い貧血は、放っておくと日常生活に支障をきたすばかりか、転倒やケガなどの事故にもつながりかねません。 本記事では、貧血で倒れてしまう原因や前兆となるサイン、倒れそうになったときの対処法、そして受診すべきタイミングについて、わかりやすく解説します。「また倒れたらどうしよう」といった不安を少しでも軽くできるよう、ぜひ参考にしてください。 貧血で倒れる原因 貧血による失神や倒れる症状には、さまざまな原因があります。もっとも多い鉄欠乏性貧血から、血圧の変化による起立性低血圧、さらには重篤な疾患に伴う貧血まで、背景はさまざまです。原因を理解すると、適切な対処と予防が可能になります。 鉄欠乏性貧血 日本で最も多くみられる貧血は鉄欠乏性貧血です。以下は検査項目における体内鉄分量の平均的な数値になります。 検査項目 数値 ヘモグロビン 2g(男性)、1.5g(女性) フェリチン 1g(男性)、0.6g(女性) ヘモジデリン 300mg ミオグロビン 200mg 組織酵素(ヘム鉄および非ヘム鉄) 150mg トランスフェリン 3mg (文献1) 鉄欠乏性貧血の主な原因は以下のとおりです。 単純な鉄の摂取不足 過多月経や慢性出血 腸の吸収不全 男性の場合:胃・十二指腸潰瘍、大腸がんなど消化器系の出血が中心 鉄欠乏性貧血はとくに女性に多く、症状は以下のとおりです。 動悸・息切れ めまい・立ちくらみ 耳鳴り 疲れやすさ 頭が重い感覚 顔色が青白い 集中力の低下 女性は月経による鉄分の損失が多いため、とくに注意が必要です。症状が続く場合は医療機関での検査をおすすめします。 起立性低血圧(脳貧血) 起立性低血圧は脳貧血や立ちくらみとも呼ばれ、血液の異常ではなく血圧の急激な低下が原因で起こります。症状は以下のようなタイミングで現れることが多いです。 朝の急な立ち上がり時 長時間の立位後 座位や臥位から急に立ち上がった際 起立性低血圧になりやすい人の特徴として、以下の要因が考えられます。 長時間立ちっぱなしの状況が多い 低血圧体質 睡眠不足が続いている 水分不足状態 特定の薬を服用中(降圧薬など) 対策としては、急な体位変換を避け、ゆっくりと立ち上がることが重要です。十分な水分摂取と適度な休息を心がけ、症状が頻繁に起こる場合は医師に相談しましょう。薬剤性の可能性もあるため、服用中の薬についても医師へ伝えることが大切です。 その他の疾患 慢性疾患やその他の疾患に伴う貧血は、基礎疾患の炎症や代謝異常により引き起こされる二次性の貧血です。原因となる主な疾患は以下のとおりです。 心不全 慢性腎臓病 全身性自己免疫疾患(関節リウマチ、SLEなど) 感染症(慢性感染症) がん(悪性腫瘍) 二次性の貧血は原疾患の治療が重要で、鉄剤の補充だけでは改善しにくいのが特徴です。基礎疾患による慢性炎症が鉄の利用を阻害するため、根本的な原因疾患の管理が必要となります。 中高年以降で原因不明の貧血が続く場合は、隠れた慢性疾患の可能性も考慮し、総合的な検査が重要です。 貧血で倒れる前のサイン 貧血では、倒れる際に前兆となるサインがあります。 感覚系の異常として、回転性のめまいやふらつき、体のバランス感覚の低下が現れます。「キーン」「ボーッ」といった耳鳴りにより外の音が遠く感じられたり、目の前が真っ暗になる、視野にちらつきが見えるなどの視覚異常も要注意です。 循環器系の症状では、心臓がバクバクする動悸や息切れ、呼吸が浅くなる症状が見られます。急に全身が冷えて冷や汗をかき、顔色が悪くなる顔面蒼白も典型的なサインです。 その他の症状として、おなかがムカムカする吐き気や腹部不快感、血の気が引くような手足の冷感や脱力感があります。集中できない、頭がフワフワするといった意識の朦朧や頭重感も現れます。 これらの症状が現れたら、すぐに座ったり横になったりすることが重要です。無理をせず、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。 貧血で倒れそうになったときの対処法 貧血の症状が現れて倒れそうになった際は、冷静に適切な対処が重要です。無理して動き続けると症状が悪化し、転倒や怪我のリスクが高まります。以下の手順に沿って、段階的に対応しましょう。 安全確保する まず最優先に行うべきは安全な場所の確保です。立っていると転倒の危険があるため、無理をせずその場でしゃがんだり、可能であれば横になったりして安全な体勢を取りましょう。 階段や道路、電車のホームなど危険な場所にいる場合は、周囲の人に助けを求めながら安全な場所への移動が大切です。頭を打つような転倒を避けるため、壁や手すりがある場所でゆっくりと体勢を低くしましょう。 一人でいる場合でも、慌てずに周囲の状況を確認し、転倒リスクの少ない場所で休息を取ることを心がけてください。安全確保は何よりも優先されるべきです。 服を緩める 安全な体勢が確保できたら、次に血流の改善を図りましょう。ベルトやネクタイ、襟元のボタンなど、体を締め付けている衣類をゆるめることで血行を促進し、症状の緩和につながります。 首周りや腹部を締め付けているものは、血液循環や呼吸を妨げる可能性があるため優先的に緩めましょう。靴のひもやブーツなども、きつく感じる場合は緩めてください。 可能であれば静かで人の少ない場所に移動し、安静に過ごすことが重要です。騒がしい環境は症状を悪化させる可能性があるため、落ち着いて休める環境を確保しましょう。リラックスした状態で休息を取ると、徐々に症状の改善が期待できます。 水分や糖分を補給する 意識がはっきりしている場合は、適切な水分や糖分補給をしましょう。脱水が貧血症状を悪化させる場合があるため、水やスポーツドリンクの摂取が効果的です。糖分不足も症状に関係する場合があるので、飴やジュースなども有効です。 ただし、意識がもうろうとしている場合は絶対に飲食させてはいけません。誤嚥の危険があり、窒息や肺炎のリスクが高まります。無理に口に含ませることは避けてください。 意識が戻らない、けいれんが起こる、呼吸困難などの重篤な症状が見られる場合は、迷わず119番通報をしましょう。これらは緊急事態のサインであり、専門的な医療処置が必要です。軽視せず、適切な判断を心がけてください。 貧血で倒れた場合の受診目安 貧血による失神や倒れるなどの症状が起きた場合、その後の対応が重要です。軽微な症状であっても、背景に重大な疾患が隠れている可能性があるため、受診の必要性を正しく見極める必要があります。以下の基準を参考に、適切な医療機関への相談を検討しましょう。 受診が必要なケースは 緊急性の高い場合は、以下のような症状がみられます。 繰り返し倒れる 失神の時間が長い けいれんがあった 頭を打った 呼吸が乱れている 意識がはっきりしない など このような状況では即座に医療機関を受診してください。 日常生活への影響が大きい場合も受診の目安となります。仕事や学校生活に支障をきたすような症状が継続する場合は、その時点で病院の受診が必要です。 貧血の原因は鉄欠乏症だけでなく、がんなどの重大な疾患が潜んでいる可能性もあります。とくに中高年で急に貧血症状が現れた場合や、通常の鉄分補給で改善しない場合は、詳しい検査が必要です。軽視せず早期の受診を心がけましょう。 何科に受診するのか 貧血症状で医療機関を受診する際は、まず内科がおすすめです。内科では血液検査や基本的な診察を通じて、貧血の原因を特定し、適切な治療方針を決定できます。 年齢や性別による選択肢として、子どもの場合は小児科、女性の場合は産婦人科でも対応可能です。女性の貧血は月経過多や婦人科疾患が原因となる場合が多いため、産婦人科での相談も良いでしょう。 受診科に迷った場合は、まずかかりつけの医療機関に相談をおすすめします。症状に応じて適切な診療科を案内してもらえます。 貧血でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 貧血で倒れないための予防策 貧血による失神や倒れる症状を予防するには、日常生活での対策が重要です。食事や水分摂取、生活習慣の改善を通じて、体の状態を整えることで貧血リスクを大幅に軽減できます。以下のポイントを意識して、継続的な予防に取り組みましょう。 食事の見直し 基本的な食習慣の改善として、バランスの良い食事を1日3回規則正しく摂取しましょう。よく噛んで食べることで消化吸収を促進し、栄養素の効率的な利用につながります。 鉄分を多く含む食品(レバー、赤身肉、ほうれん草、小松菜など)を積極的に摂取しましょう。同時にタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)やビタミン類(とくにビタミンC、B12、葉酸)も重要です。ビタミンCは鉄の吸収を促進するため、一緒に摂ることが効果的です。 18歳以上の鉄の食事摂取基準(1日あたり)は以下のとおりです。 成人男性:7.0mg 成人女性:6.0mg(月経あり:10.5mg)(文献2) 注意点として、コーヒーや紅茶の飲みすぎは鉄の吸収を阻害するため控えめにし、食事と時間をずらしての摂取がおすすめです。 水分と塩分の適切な摂取 起立性低血圧の予防には、とくに朝の水分補給が重要です。起床時は血液が濃縮されているため、コップ1杯の水を飲むと血液循環を改善できます。立ち上がる際は急に動かず、ゆっくりと段階的に体勢を変えましょう。 夏場や運動時は発汗により脱水が進みやすいため、こまめな水分補給が必要です。スポーツドリンクなどで適度な塩分も同時摂取が効果的です。 食事後は消化のために血液が胃腸に集中し、起立性低血圧になりやすくなります。食後は急な立ち上がりを避け、ゆっくりとした動作を心がけてください。日常的に十分な水分摂取を維持すると、血液循環の改善と貧血症状の予防につながります。 睡眠・ストレス・運動習慣を整える 自律神経の安定が脳貧血予防のポイントです。質の良い睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを維持すると、自律神経のバランスが整い、血圧や心拍数の調整機能が正常に働きます。 適度な運動も効果的で、軽いウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は血液循環を改善し、心肺機能を向上させます。激しい運動は避け、継続可能な範囲で行いましょう。 ストレス管理では、リラックスや趣味の時間を作ると、心身の緊張が和らぎます。慢性的なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、貧血症状を悪化させる可能性があります。深呼吸や瞑想、軽いヨガなども自律神経の安定に役立つでしょう。 生活習慣を総合的に改善すると、貧血による失神リスクを大幅に軽減できます。 貧血で倒れる頻度が多い方は放置厳禁! 頻繁に倒れる症状が続く場合は、背景に重大な疾患が隠れている可能性があります。鉄欠乏性貧血以外にも、慢性疾患や悪性腫瘍による貧血、血液疾患などが原因となることがあるため、繰り返す症状は必ず医療機関で詳しい検査を受けてください。 貧血の原因や症状は一人ひとり異なるため、個々の状況に応じた適切な治療が必要です。自己判断による対処では根本的な解決にならず、症状の悪化や合併症のリスクもあります。専門的な診断と治療を受けることで、効果的な改善が期待できます。 貧血でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 MSDマニュアル プロフェッショナル版「鉄欠乏性貧血」MSDマニュアル プロフェッショナル版 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/11-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E5%AD%A6%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%85%AB%E7%98%8D%E5%AD%A6/%E8%B5%A4%E8%A1%80%E7%90%83%E7%94%A3%E7%94%9F%E4%BD%8E%E4%B8%8B%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%B2%A7%E8%A1%80/%E9%89%84%E6%AC%A0%E4%B9%8F%E6%80%A7%E8%B2%A7%E8%A1%80(最終アクセス:2025年6月9日) 文献2 厚生労働省「鉄の食事摂取基準(mg/日)」厚生労働省ホームぺージ https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4aq.pdf(最終アクセス:2025年6月9日)
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