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「関節リウマチってどのような病気?」「関節の痛みや腫れが続いているけど、どうすればいいの?」 このように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 関節リウマチは、関節の炎症と痛みを主な特徴とする慢性的な自己免疫疾患です。適切な治療を受けなければ、関節の変形や機能障害が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあるでしょう。 今回は、関節リウマチの症状や診断基準、最新の治療法に加えて、日常生活での管理方法について詳しく解説します。この記事が、関節リウマチと診断され症状に悩んだり、適切な治療法を探したりするあなたの助けになれば幸いです。 関節リウマチとは? 関節リウマチは、免疫システムの異常により、自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。 関節の炎症が慢性的に続き、痛みやこわばり、腫れなどの症状が現れます。病状が進行すると、関節の変形や機能低下を引き起こし、日常生活の質(QOL:quality of life)に大きく関わってきます。 QOLとは、個人が日常生活において感じる身体的、心理的、社会的な幸福感や満足感を表わす概念です。関節リウマチによる関節の痛みや変形は、日常的な動作に支障をきたし、社会活動への参加を制限するなど、QOLを低下させる可能性があります。 疾患の概要と一般的な症状 関節リウマチは、関節滑膜の炎症を主体とする全身性の自己免疫疾患です。この疾患の特徴は以下のとおりです。 ・炎症が慢性的に持続することで、軟骨や骨の破壊が進行する ・関節の変形や機能障害を引き起こす 関節リウマチの一般的な症状は、関節の症状と全身症状に分けられます。関節の症状には以下のようなものがあります。 ・痛み ・腫れ ・熱感 ・こわばり これらの症状は、とくに手足の小さな関節から始まるケースがほとんどです。 また、全身症状として以下のような症状をともなう場合もあります。 ・倦怠感 ・微熱 ・体重減少 前述のように、関節リウマチは関節の症状だけでなく、全身に影響を及ぼす可能性もある疾患です。 リウマチが体に及ぼす影響 関節リウマチは、関節の炎症と破壊を引き起こすだけでなく、全身のさまざまな臓器に影響を及ぼす可能性があります。 影響 理由 慢性的な炎症反応 関節リウマチでは、免疫システムの異常により、関節だけでなく全身で炎症反応が起こっています。 この炎症反応が長期間続くことで、関節以外の臓器や組織にも影響が及ぶ場合があります。 炎症性物質の全身への拡散 関節の炎症によって生じた炎症性物質(サイトカインなど)が血液を介して全身に拡散します。 これらの炎症性物質が他の臓器や組織に作用し、炎症や損傷を引き起こす可能性があります。 免疫システムの異常による臓器障害 関節リウマチでは、自己免疫反応によって関節が攻撃されますが、この異常な免疫反応が他の臓器にも影響を及ぼすことがあります。 例えば、血管や肺、心臓などの組織に対する自己抗体が生じ、これらの臓器に炎症や損傷が起こる可能性があります。 全身性の炎症による動脈硬化の促進 慢性的な炎症状態は、動脈硬化の進行を促進します。 動脈硬化が進むと、心臓病や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まります。 症状の詳細 関節リウマチの症状は多様で、その現れ方や重症度には個人差があります。また、同じ人でも症状は時期によって変動することがあります。 典型的な症状とその変動性 関節リウマチの代表的な症状は、以下のようなものがあります。 症状 特徴 関節の痛み、腫れ、熱感、こわばり 特に、手や手首、足、膝などの関節に多く見られます。 症状は左右対称に現れることが多いです。 朝のこわばり 朝起きた時に関節のこわばりを感じ、動かしにくいことがあります。 このこわばりが1時間以上続くことが特徴です。 これらの症状は、日内変動を示すことがあります。つまり、一日の中で症状が変化したり、日によって症状の強さが異なったりする場合がほとんどです。 また、症状は悪化と改善を繰り返すことがあり、症状が一時的に良くなったからといって、油断せずに継続的な観察と治療が必要です。 症状の初期識別とその重要性 関節リウマチの早期発見と治療開始は、関節の損傷の進行を抑え、長期的な予後を改善するために非常に重要です。 初期症状は軽度で一時的なものから始まるケースがほとんどです。 しかし、以下のような症状が数週間以上続く場合は、慢性関節リウマチの可能性を考えて、早めに医師に相談しましょう。 ・手足の小さな関節の腫れや痛み ・朝のこわばりが1時間以上続く これらの症状を見逃さず、早期に診断し治療を開始することで、症状の進行を抑え、日常生活動作の維持や生活の質の向上が期待できるでしょう。 診断基準の解説 関節リウマチの診断は、症状や身体所見、血液検査、画像検査などを総合的に評価して行われます。早期診断と適切な治療開始のために、分類基準が作成されています。 リウマチ診断のための基準とプロセス 米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で策定した分類基準では、以下の項目を評価します。 ・影響を受けた関節の数(大きな関節と小さな関節の数) ・血液検査の結果(リウマトイド因子や抗環状シトルリン化ペプチド抗体の有無) ・炎症の指標(CRP値や赤血球沈降速度) ・症状の持続期間(6週間以上) これらの項目に基づいてスコアを計算し、一定以上のスコアになると関節リウマチと診断されます。診断の過程では、問診、身体診察、血液検査、画像検査(X線やMRIなど)を組み合わせて総合的に評価します。 診断における挑戦と注意点 早期の関節リウマチでは、典型的な症状や血液検査の異常が見られないことがあり、診断が難しい場合もあります。 また、他の関節疾患との区別も重要です。専門医は、豊富な経験をもとに総合的に判断します。 診断後も、定期的に患者の状態をモニタリングし、治療方針を適宜見直すことが必要です。 また症状や検査結果の変化を見逃さず、適切な治療を続けることが重要です。 現代の治療法 関節リウマチの治療は、炎症を抑えて症状を和らげたり、病気の進行を防いだりするのを目的とします。早期に診断し、治療をはじめることが大切です。 治療には以下の方法があります。 ・薬物療法 ・非薬物療法 それぞれについて解説します。 薬物療法:DMARDs、生物学的製剤、ステロイド 関節リウマチの治療では、いくつかの種類の薬が使用されます。それぞれの薬には特徴があり、患者さんの状態に合わせて選択されます。 以下の表は、関節リウマチの治療で使われる主な薬の種類と、その特徴をまとめたものです。 薬剤の種類 具体的な薬 特徴と効果 抗リウマチ薬(DMARDs) メトトレキサート(MTX) レフルノミド、サラゾスルファピリジンなど ・第一選択薬 ・炎症と関節損傷を抑える効果が期待される ・MTXが不十分な場合に追加される場合がある 生物学的製剤 TNF阻害薬、IL-6阻害薬など ・炎症を引き起こす物質をブロックし、抗炎症効果を発揮 ステロイド薬 プレドニゾロンなど ・急な炎症時に短期間使用される ・炎症を速やかに抑える効果が期待される これらの薬剤を適切に組み合わせることで、関節リウマチの症状管理と関節の損傷抑制が期待できます。 非薬物療法:物理療法、運動療法、生活習慣の調整 関節リウマチの治療では、薬物療法と並行して、薬を使わない治療法も大切な役割を果たします。非薬物療法は、関節の健康を維持し、日常生活の質を向上させるために重要です。以下の表に各治療法の内容、目的、説明をまとめました。 非薬物療法の種類 内容(例) 目的 説明 運動療法 ・水中での運動 ・ストレッチ ・軽い負荷を使った筋力トレーニング ・関節の動きの維持 ・筋力の維持 ・過度な負担を避ける 水中運動は関節に負担をかけずに運動ができるため用いられます。ストレッチや軽い筋力トレーニングも、関節の柔軟性と筋力を維持するために重要です。 物理療法 ・温熱療法 ・寒冷療法 ・光線療法 ・水治療 ・その他 ・関節の痛みの軽減 ・関節の腫れの軽減 関節の痛みや腫れを軽減し、症状の緩和が期待できます。 作業療法 ・日常動作の練習 ・職場復帰のための訓練 ・日常生活の改善 ・社会復帰の促進 ・手指の過度な負担を避ける 日常生活の動作を練習することで、自立した生活を送るためのサポートを行います。状況によっては職場復帰のための訓練も含まれます。 装具療法 ・頸椎カラー ・手関節装具 ・足関節サポーター ・傷んだ関節の保護 ・変形の予防 ・痛みの軽減 頸椎カラーや手関節装具、足関節サポーターなどを使用することで、関節を保護し、変形や痛みを軽減しやすくします。 生活習慣の工夫 ・疲労のコントロール ・関節に負担をかけない生活 ・適度な体重の維持 ・バランスの取れた食事 ・禁煙 ・症状の改善 ・全身状態の改善 疲労管理や適切な体重の維持、バランスの取れた食事、禁煙などの生活習慣の改善は、症状の改善と全身状態の向上に期待できます。 これらの非薬物療法を適切に組み合わせることで、関節リウマチの症状を上手にコントロールし、日常生活の質を高めることが期待できます。人によって状況は異なるため、専門家の指導を受けながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。 日常生活での管理とサポート 関節リウマチは、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。症状のコントロールと合併症の予防のために、日常生活での適切な管理とサポートが重要です。 日常生活での調整と自己管理のヒント 関節リウマチとうまく付き合っていくには、日常生活での工夫が重要です。関節への負担を減らすために、以下のようなことを心がけてみましょう。 ・関節に負担をかけない動作を心がける ・自助具を活用する ・疲れをためすぎないよう、休息と活動のバランスを取る ・適度な運動を行い、関節の機能を維持する(ただし、やりすぎは禁物) ・バランスの取れた食事を心がける ・禁煙する ・ストレス対処法を身につける 患者サポートと地域リソースの活用 疾患と向き合っていくには、周りの人のサポートがとても大切です。 ・家族や友人に病気のことを理解してもらい、協力を求める ・同じ病気の人と交流し、情報交換や精神的な支え合いをする ・患者会や支援団体に参加し、さまざまな情報やサポートを得る ・医療ソーシャルワーカーや看護師から、利用できる社会資源の情報を得る ・訪問看護やリハビリ、介護サービスなどを上手に活用する まとめと次のステップ 関節リウマチは、適切なケアと上手な病気との付き合い方で、充実した生活を送ることができます。早期発見と早期治療が大切であり、患者さん自身が積極的に病気の管理にかかわることも重要です。 持続可能な管理戦略と医療チームとの連携 関節リウマチの管理は長期戦です。医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、さまざまな専門家からなる医療チームと連携しながら、自分に合った管理方法を見つけていきましょう。 ステップ 内容 1 定期的な通院と検査を続ける 2 治療方針を医療チームと相談しながら調整する 3 体調の変化や副作用、生活上の問題を医療者に伝える 4 セルフマネジメントのスキルを身につけ、主体的に病気と向き合う 情報更新と自己啓発の重要性 医学は日々進歩しており、関節リウマチの治療法も新しい選択肢が増えています。信頼できる情報源から最新の情報を得ることで、自分に合った治療法を見つけやすくなります。 ・主治医や看護師から、新しい治療法や臨床試験について情報を得る ・患者会や講演会に参加し、他の患者さんの経験や専門家の意見を聞く ・関節リウマチの専門団体が発行するパンフレットやWebサイトで、最新の治療ガイドラインをチェックする 関節リウマチと診断されたからといって、諦める必要はありません。適切な治療と生活管理によって、症状をコントロールしやすいでしょう。 ・定期的に通院し、病気の活動性をモニタリングする ・処方された薬は指示通りに服用し、副作用があれば医師に報告する ・疲労を管理し、関節に負担をかけない生活を心がける ・適度な運動とバランスの取れた食事で、全身の健康を維持する また、日常生活での工夫も大切です。 ・困難な作業は家族や友人に助けを求める ・関節に負担のかかる動作を避け、自助具を活用する ・患者会に参加し、同じ病気を持つ人と情報交換やサポートし合う 症状和らげたり、病気の進行を遅らせたりするには、医療チームとの連携と自己管理が重要です。あなたに合った方法を見つけ、必要な調整を行いながら、できる限り自分らしい生活を送ることを目指しましょう。 参考文献一覧 一般社団法人日本リウマチ学会.“関節リウマチ(RA)”.日本リウマチ学会ホームページ 厚生労働省.“第6章関節リウマチ” 厚生労働省.“内科的治療法“ 公益財団法人日本リウマチ財団.“関節リウマチの治療 – リハビリテーション”.リウマチ情報センター.2022-09 公益財団法人日本リウマチ財団.“初めから起こる症状”.リウマチ情報センター.2022-10 公益財団法人日本リウマチ財団.“中期以降の症状”.リウマチ情報センター.2022-10 公益財団法人日本リウマチ財団.“関節リウマチの診断”.リウマチ情報センター.2022-10
2024.07.22 -
- ひざ関節
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- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 ・起床時に関節部分がこわばっているように感じる ・関節が腫れている ・関節が熱っぽい ・力が入りにくい ・日常生活の作業が上手くいかない ・家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 ・膝が腫れる ・膝に水が溜まる ・歩くときや階段での痛みを感じる ・膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 ①症状がある関節の数 ②症状が続いている期間 ③血液検査での炎症反応の数値 ④血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の透亮像がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医から薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどを症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 ・砂糖や加工食品を摂取しすぎない ・激しい運動を控える ・首に負担をかけない ・同じ姿勢を長時間とる ・重いものを持つ ・正座をする ・喫煙をする ・ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- お皿付近に違和感
- 関節リウマチ
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関節リウマチになったらやってはいけないことはある? 関節リウマチで食べてはいけないものは? 関節リウマチかもしれないと思ったらどうすれば良い? 関節リウマチの症状を改善したくて、日常生活で何に気をつければ良いか知りたいと考えていませんか? 痛みやこわばりでつらい思いをしないで済むよう、できることがあるならやっておきたいですよね。 結論、関節リウマチとうまく付き合うために日常生活の中で避けてほしいことがあります。 本記事では、関節リウマチの患者様が避けるべき10項目を紹介します。 最後まで読んで、注意点を守っていただければ関節リウマチの症状で苦しむ時間を減らせるはずですよ。 関節リウマチのしてはいけない10項目を紹介 関節リウマチの患者様がしてはいけない10項目は以下の通りです。 症状を悪化させる食事 激しい運動 体や関節を冷やす 首に負担をかける行動 肥満の状態 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙する ストレスを溜める 症状を悪化させないために、紹介した10項目を避けるよう心がけてみてください。 症状を悪化させる食事【砂糖や加工食品は要注意】 関節リウマチの症状を悪化させる可能性がある食べものとして、以下があります。 砂糖入りの飲みもの・デザート 赤身の肉 加工食品 また、不飽和脂肪酸のn-3系とn-6系の摂取するバランスが崩れることも関節リウマチの痛みと関わっているので、バランスの良い食事を意識することが大切です。 以下に根拠となる研究をご紹介します。 【砂糖入りの飲みもの・デザート】 砂糖入りの飲みものは、以下2つの研究から関節リウマチの悪化因子であり、発症リスクを高める因子でもあることが報告されています。同時にデザートもリウマチの悪化因子だと報告があるので、注意が必要です。 文献1 217人の関節リウマチ患者を対象とした、自己申告による研究があります。20種類の食品のうち、最も関節リウマチの症状が悪化したと報告されたのは砂糖入りの炭酸飲料とデザートでした。 文献2 アメリカの約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、砂糖入り炭酸飲料と関節リウマチの発症リスクの関連性を評価しています。毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%高いことがわかりました。 【赤身の肉】 関節リウマチを悪化させる可能性がある食べものとして赤身肉の報告があります。 文献1 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした研究において「赤身肉を食べると関節リウマチの症状が悪化する」と報告した人の割合は、20種類の食品の中では高い方でした。 文献3 関節リウマチの新規患者88名とそうでない176名を比較した研究では、患者群の方が赤身肉の摂取量が高い結果でした。 【加工食品】 加工食品の摂取量が多いと、関節リウマチ患者の心血管系疾患のリスクが高くなる可能性が報告されています。 文献4 56人の関節リウマチ患者の摂取している食品を加工レベル別に評価した結果、糖分・塩分・脂肪を多く超加工食品の摂取量が多いほど患者の心疾患リスクが上がりました。 【不飽和脂肪酸のバランス】 あまに油や青魚に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸とごま油や卵黄などに多いn-6系不飽和脂肪酸のバランスが、関節リウマチの痛みと相関していることが示唆されています。 文献5 591名の関節リウマチ患者を対象に、n-3系不飽和脂肪酸とn-6系不飽和脂肪酸の摂取量と痛みの関連性を評価すると、n-3系不飽和脂肪酸の量が少なく、n-6系不飽和脂肪酸の量が多いと我慢できないほどの痛みが出る結果でした。 関節リウマチと食べものについてはさまざまな研究が行われていますが、いずれも摂取量の多いことが問題になっています。 関節リウマチの症状を悪化させないためにも、同じものを極端に食べすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。 激しい運動【適度であればOK】 痛みが強く出ているときは、激しい運動を避けるべきです。炎症が起きている関節に負担がかかることで、症状が悪化する場合があります。 ただし、関節の動きを良くするためにも適度な運動は推奨されています。治療を続ける中で痛みがコントロールできている場合は、適度に体を動かし、手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持しましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身が消耗する病気です。運動は無理のない範囲で行い、疲れたら休憩や昼寝など適宜休息をとりましょう。 体や関節を冷やす 体や関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い季節はもちろん、夏も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。温まって関節の血液の流れがよくなると、こわばりや痛みをやわらげる効果が期待できます。 ただし、関節が腫れて熱感があるときは炎症が起きている可能性もあるので、温めないようにしましょう。 首に負担をかける行動 関節リウマチが進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限をきたします。 過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、呼吸障害が起こる可能性があります。 朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰かけてから立つ習慣をつけましょう。朝は不用意に首を回さないようにし、首の運動は医師の診察を受けた上で行うことが重要です。 肥満の状態 肥満だと膝や股関節などの主要な関節に過剰な負担がかかり、炎症や痛みが悪化する可能性があります。体重管理を適切に行うことで関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐよう心がけましょう。 上述の通り、関節リウマチの患者様には、バランスの取れた食事と適度な運動が重要です。 同じ姿勢を長時間とる 関節リウマチの患者様にとって、同じ姿勢を長時間保つのは同じ部位に負担をかけてしまいます。定期的に姿勢を変えて、関節に負担がかかりすぎないようにしましょう。 特にデスクワークや座りっぱなしの仕事では、適度に休憩をとったり、ストレッチを行ったりすることが重要です。 重いものを持つ 関節リウマチの好発部位は、手指や手首の関節です。重いものを持つと過剰な負担をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。 日常生活では重いものを持つ機会をできるだけ避け、必要な場合は道具などを利用して負担を軽減しましょう。 症状があるとうまくものが持てないこともあるので、周囲のサポートを得るのも大切です。 正座をする 正座は膝関節に大きな負担がかかるので、避けるのが勧められます。とくに、正座を長時間続けるのは、膝や足首の可動域が制限され血行不良を招きやすいので、関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。 正座を避けて椅子に座る、膝を伸ばして楽な姿勢をとるようにしましょう。 ▼関節リウマチによる膝の関節炎について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 喫煙をする 関節リウマチの患者様は、禁煙が勧められます。喫煙は関節リウマチの症状を悪化させるだけでなく、病気を進行させる要因になり、死亡リスクが上がる可能性も報告されています。 とくに死亡リスクに関しては、診断後に禁煙した人は喫煙を継続した人よりも死亡リスクが低くなると報告されていました。(文献6) 今更だと思わずに、早めに禁煙に取り組みましょう。 ▼関節リウマチと喫煙の関係性を詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ストレスを溜める 手がこわばってものがつかみにくいなど、関節リウマチの患者様は日常生活の不自由さからストレスを感じやすいです。ストレスが溜まることで暴飲暴食に走ってしまうなど、健康的な生活から遠ざかってしまう可能性があります。 リラクゼーションや適度な運動を取り入れて、ストレスを溜めないことが、関節リウマチの治療を後押ししてくれます。 関節リウマチかも?と思ったら早めに受診しよう 関節リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診しましょう。 関節リウマチは、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす病気です。始めは軽い痛みや腫れであっても、時間が経つにつれて悪化し、治療が遅れると回復しづらくなります。 関節リウマチを疑う症状として、以下のようなものがあります。 服のボタンが外しづらい びんの蓋が閉められない 床に落としたものが拾えない 朝起きたときにベッドから起き上がれない 早期に受診し適切な治療を開始すれば、薬物療法やリハビリテーションで関節の損傷を抑えつつ症状をコントロールすることが可能です。もとに戻らないほど関節が変形してしまう前に、早めに整形外科へご相談ください。 ▼関節リウマチではない膝の痛みは変形性膝関節症かも?詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから まとめ|関節リウマチのときにしてはいけない10項目を守ろう 関節リウマチの患者様には、してはいけない10項目を避けて、健康的な食事とライフスタイルを心がけていただきたいです。 重症化すると、普段の生活もままならなくなってしまう可能性があります。 治療と並行して関節の負担を減らし、症状をコントロールできるよう、普段の生活から意識してみてください。 もう一度、気をつけるべきことを振り返りたい人は「関節リウマチのときにしてはいけない10項目」を確認してみましょう。 万が一、関節リウマチの治療をしていても膝の痛みがよくならない場合は、他の疾患が隠れているかもしれません。 再生医療が適応になる可能性がありますので、お困りの場合は当院へご相談ください。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 関節リウマチに関するよくある質問 Q.関節リウマチとはどんな症状ですか? A.関節リウマチの症状には、関節の動かし始めがスムーズにいかない「こわばり」や腫れ・痛みなどがあります。 関節リウマチは免疫機能の異常によって骨や軟骨・関節の破壊が起こることが原因とされています。万が一「関節リウマチかも?」と思ったら早めに受診しましょう。 ▼関節リウマチの症状について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチは生物学的製剤で本当に治せますか? A.生物学的製剤で効果があれば、休薬しても症状が落ち着いている状態を目指せます。 関節リウマチの原因である免疫異常の改善が期待できる上、炎症を抑える効果もあるため、進行を抑えながら症状をコントロールできます。 ▼関節リウマチで使われる生物学的製剤について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 Q.関節リウマチになりやすい性格はありますか? A.関節リウマチになりやすい性格は、ありません。 ただ、我慢強い性格の人は治療開始が遅れたり、神経質でストレスを感じやすい人は治療が難航したりする可能性があります。違和感があったら早めに受診し、不安があれば専門医に相談しましょう。 関節リウマチが心配な人は「関節リウマチかも?と思ったら」をもう一度振り返ってみてください。 ▼ 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい ▼以下もご覧になりませんか [参考文献] 文献1 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/ 文献2 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4135503/ 文献3 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/art.20731 文献4 https://link.springer.com/article/10.1007/s10067-019-04916-4 文献5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817233/ 文献6 https://acrabstracts.org/abstract/smoking-behavior-changes-after-rheumatoid-arthritis-diagnosis-and-risk-of-mortality-during-36-years-of-prospective-follow-up/
2022.08.19 -
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- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。 また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。 本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 膝の水を抜くストレッチ・マッサージ 膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。 ストレッチ 足上げ運動 1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) 1. 床に足を伸ばして座る 2. 片側の膝下に丸めたタオルやクッションを置く 3. クッション・タオルを膝下で床に押し付ける 4. 3〜5秒経ったら力を抜き、再度3.を行う 5. 数回行ったら左右の足を交換し、2.~4.を同様に繰り返す マッサージ 膝下のほぐし 1. 片側の膝下に両手で親指を添える 2. 強めの力で押し、前後左右に動かす 3. 反対側の足も同様に1.2.を行う 太もものほぐし 1. 椅子に座る 2. 片側の外ももに手のひらを添え、押しながらゆっくり回す 3. 反対側の足も同様に1を行う 4. 両足の前ももに手のひらを添え、足の付け根から膝上まで強い力でほぐす すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。 痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝関節に変形や炎症が起きたりする病気があると、膝に人工関節を入れなくてはいけない状態になることもあります。それが膝への人工関節置換術という名称の手術になります。その手術を決断する前に、手術の流れや合併症、手術に備えて準備するべきことなどを知ることは非常に大事です。 膝関節とは まず、膝関節とは何かについて述べていきます。膝関節は3つの骨で支えられています。太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、いわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の3つです。 その3つの骨と、太ももの筋肉である大腿四頭筋と、膝の腱である膝蓋腱で膝関節をつくっています。これらの3つの骨と筋肉、腱が支え合うことで、私たちが、走ったり、飛んだり、座ったりするときに安定するようになっています。 膝関節の病気 膝関節の病気については様々なものがあります。変形性膝関節症、膝靭帯損傷、関節リウマチなど様々な病気があります。また、スポーツ外傷でも膝の慢性的な障害を起こしたりします。それらの病気の中で、変形性膝関節症や関節リウマチは、変形や炎症が強くなった時に、人工膝関節置換術という、人工関節のための手術を行う必要のある病気です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝が痛くなり水が貯まる病気です。最初は歩き始めに痛い程度ですが、徐々に階段を登ることが難しくなり、最終的には、休んでいる時も痛みが取れなくなるような病気です。 変形性膝関節症では、膝が変形して、伸ばすことができなくなります。変形性膝関節症の治療法は、症状が軽いうちは、炎症を抑える薬を飲んだり、膝関節にヒアルロン酸の注射をしたり、リハビリを行なったりします。しかし、重症になると、人工関節の手術をするか否かの選択が必要になります。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節内にある『滑膜』とよばれる組織が、異常に増えることが原因で、関節の中に炎症が起きる病気です。関節リウマチでは身体の中のいろいろな関節が破壊されるので、膝だけでなく、手や足など様々な関節に変形を起こします。 関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や、炎症を抑える薬、免疫抑制剤、ステロイド剤などの薬を飲むことが一番大事です。お薬の治療に併用して、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリなどが行われることもあります。 関節リウマチも治療が遅れたりして重傷になると、人工関節のための手術を行うか同課の選択が必要になります。 膝の人工関節とは 膝の人工関節は、金属や、ポリエチレンやセラミックなどで作られます。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で、変形し傷ついた膝関節を取り出して、手術によって膝用の人工関節を変わりに入れます。悪くなってた関節を置換えるイメージです。 この人工関節は、膝の動きを再現するために3つの部品から作られています。人工関節の3つの部品は、実際の膝を構成している3つの骨(大腿骨部、脛骨部、膝蓋骨部)の部分をそれぞれ担当しています。 人工関節置換術/手術 膝の人工関節を入れるためには人工関節置換術という手術が必要です。手術が必要ということは、もちろん入院も必要です。昨今の新型コロナウイルスの関係で、入院生活は、家族や友人との面会が制限されているところが多いです。 入院前に入院生活のために必要な物品や、家族や友人との連絡手段を事前に決めておく必要があります。手術は全身麻酔をかけて眠った状態で行われます。そのため、麻酔から覚めて、目が覚めると手術が終わっている状態になります。 手術自体は、膝の皮膚を切り開いて、骨が見える状態になったら、器械を使って傷のある膝の部分を削り、人工関節の形に合わせて残りの骨の形を調整します。形の調整ができたら人工関節をはめ込みます。しっかりと固定できていることを医師が確認したら、縫い合わせます。 手術の傷口にたまった血液を出すための管を入れて傷口をふさぎ手術が終わります。手術の時間は、平均2−3時間程度のことが多いですが、もともとの病気や膝の状態に応じて手術の時間は変わってきます。 人工関節置換術の術後 手術が終わればすぐに退院できるという訳ではありません。手術した関節を安定させるために、リハビリを開始します。リハビリは手術後の状態に応じて開始時期が異なりますが、早ければ手術翌日から段階的に始めることが多いです。 リハビリは、寝たまま膝を伸ばしたりして筋力をつけることから始まり、だんだんと平行棒などを使用したり、歩行器などで歩く練習などへと移行していくのが一般的です。 外来通院でリハビリを実施できる患者さんは退院が早くなりますが、外来に通院するのが難しい患者さんは、手術した病院からリハビリ専門の病院に転院してリハビリを行うことになります。 そのため入院期間は患者さんによって異なりますが、多くは2週〜4週くらいのことが多いです。 人工関節置換術(手術の合併症) 人工関節置換術を行うことで一番気をつけなくてはいけないのが、手術した場所に悪い菌が感染することです。感染すると、腫れたり、発熱したりします。 手術した場所に感染が起きると抗生物質による治療が行われますが、多くの場合、再び手術のやり直しが必要になることがあります。そのほかには麻酔によるアレルギー反応や、手術によって身体が防御反応を示し、血液が固まりやすい状態になることから血栓症の心配もあります。 手術中はもちろん、手術後にじゃ身体を動かすことができないことから、血の流れが滞ることで静脈内に血栓という血液が固まったものができる事がああります。これが深部静脈血栓症です。この血の塊が血液の中に混じって肺へ移動することで、肺の血管を詰まらせることがあります。これを肺塞栓症といい、生命の危機にもかかわりかねないため注意が必要です。 その他、術後としては、人工関節のゆるみや、歩けるようになったことで逆に転倒し、脱臼や、その周りの骨を骨折するという心配もあります。もちろんこれらのリスクには予防法があります。手術に際しては主治医から説明を受け、十分に納得して挑んで頂ければと思います。 人工膝関節置換術/手術の一般的なリスク ・細菌による感染症(抗生物質、再手術) ・麻酔によるアレルギー反応 ・肺塞栓症、深部静脈血栓症 ・人工関節は、緩むことがある ・転倒による脱臼や骨折の可能性 ・その他 まとめ・膝の人工関節、手術を決断する前に知っておくべきこと 人工関節にするには、手術が必要なため入院が必要です。入院期間は短くはなってきましたが1か月ほどは見ておきたいものです。また、手術を行うことによる合併症のリスクもあります。できれば膝に違和感を感じたり、痛みを感じるようになった時は早めにリハビリや投薬などの保存的治療を受けて手術を避けることが一番です。 ただ、既に症状が進んでしまった場合は、しっかりと説明を受けて納得して手術を受けましょう。 ですが近年は医学が発達、「再生医療」という新しい先端医療を選択できる道ができました。この方法なら手術が不要で、入院も不要という興味深い方法です。 https://youtu.be/N1DJGcURhsg?si=rMtZGgghatI3U2n0 ▶山や川が好きな患者様。再生医療(幹細胞治療)を体験されたご友人にお薦めされご来院。 手術に不安をお待ちの方は、当院のような再生医療専門の医療機関に問い合わせてみても良いでしょう。いずれにしても人工関節になると、元には戻せないだけによく理解してお取組みください。 また、昨今は新型コロナウイルスの関係で面会が制限されています。家族と会えない数週間は、患者さんにとって、とても寂しくつらい期間です。手術のために入院する患者さんは、家族や友人とビデオ通話ができるように準備などをしてのぞむのも一つ方法ではないかと思います。 以上、膝への人工関節置換術、その手術を決断する前に知っておくべきことについて記載させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 ▼ 再生医療が膝関節の治療を変える! 手術不要、入院も必要ない日帰りで治療する膝関節症の新たな選択肢、再生医療
2022.06.21 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
膝の痛みは多くの方が悩まされている症状のひとつです。 膝は座る・立つ・歩くといった日常動作に深く関わるため、症状が強くなると日常生活への影響は大きなものになります。とくに「朝寝起きに膝が痛い」といった症状をご経験された方も多いことと存じます。 そこで本記事では、寝起きで生じる膝の痛みを中心に医師の見解からご紹介します。 寝起きに膝が痛む原因 寝起きに膝が痛む症状は「関節リウマチ」と、「変形性膝関節症」疾患の特徴です。それでは、なぜこのような症状が起きるのでしょうか。 関節は骨と骨のつなぎ目ですが、そこにはクッションの役割を果たす「軟骨」と、潤滑油の役割を果たす「関節液」があります。 関節リウマチや、変形性膝関節症といった疾患ではこの軟骨に障害が及んだり、関節液の量の調整がうまくいかなくなったりする結果、しばらく関節を動かさないと朝起きたとき時や、動き始めのとき時にこわばりや、痛みを感じることがあります。 関節を動かしてしばらく経つと、関節液の量が自然に調節されて症状が改善することがあります。ここからは、これらの主な原因となる関節リウマチと変形性膝関節症について解説していきます。 原因①|関節リウマチ 関節リウマチは膝を含む全身の関節に起こる炎症を特徴とする疾患です。その原因には不明なところが残っているものの、関節組織に対する自己免疫の関与が考えられています。 一般的には手足の指の関節から始まることが多く、左右対称制の症状、朝のこわばりなどの典型的な症状が知られています。自己免疫の関与が考えられている関節リウマチですが、関節外に目や血管に症状をきたすこともあります。 関節リウマチの診断 関節リウマチの診断は、関節症状などの病歴だけで判断しません。レントゲン上での関節裂隙の狭小化などの所見、全身の炎症を反映した血液検査でのリウマチ因子・特殊抗体などを総合的に判断してなされます。 関節炎などの症状が出た場合は整形外科などへの受診をまずは考えますが、関節リウマチは膠原病内科やアレルギー内科などが専門となることがあります。適切な診療科も含めて、気になる症状がある場合はかかりつけまたは最寄りの医療機関に相談してみましょう。 関節リウマチの治療 自己免疫の関与が考えられている関節リウマチの治療法は、消炎・鎮痛といった一般的な関節痛にも共通する治療だけでなく、過剰な自己免疫を制御する免疫調整薬の使用が必要になることがあります。 このような治療は専門家の詳細な評価を必要とする場合が多いため、かかりつけ医の意見をよく聞いて治療を進めるようにしましょう。 原因②|変形性膝関節症 変形性膝関節症は主に加齢により発症すると考えられており、膝関節の痛みやこわばり、関節可動域の制限などといった症状が認められます。変形性関節症は膝以外にも手足や脊椎に発症します。 変形性膝関節症の診断 典型的な症状や病歴があれば必ずしも画像などによる検索は必要ではないとされています。 しかし、非典型的な症状を伴う場合には同様の症状をきたす別の疾患を想定して画像検査や血液検査を必要とします。 レントゲンでは関節裂隙の狭小化や骨棘などといった所見を認めることがありますが、血液検査では変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 変形性膝関節症の治療 変形性膝関節症は基本的には加齢による変化であり、痛みの制御を目的とした治療が主となります。具体的には消炎・鎮痛薬の使用を症状に応じて行うことになります。 しかし、加齢による変化そのものは不可逆性です。消炎・鎮痛薬の使用で症状がコントロールできない場合などは人工関節置換術といった手術による治療を考慮する必要もあります。 関節リウマチと変形性膝関節症の違い 関節リウマチ 変形性関節症 ・関節を動かさないと症状が悪化 ・朝のこわばりを発症する ・関節の摩耗で症状が悪化 ・夜の疼痛 今回紹介した関節リウマチと変形性膝関節症は、同じ膝関節の痛みを生じる疾患ですが異なる特徴もあります。 症状については、一般的には関節リウマチは関節を動かさないと症状が悪化する特徴があるため、朝のこわばりが特徴です。一方で変形性膝関節症は疲労が溜まることで筋肉が緩み、関節に圧力が加わるため夜の痛みが特徴と言われています。 また、関節リウマチは全身の炎症を起こすため血液検査で異常が出ることがありますが、変形性膝関節症に特徴的な所見はないとされています。 寝起きの苦痛を解消しよう!膝の痛みの予防・対処法 寝起きに膝が痛む原因や治療法などを理解いただいたところで、本項目では予防や対処法といった具体例を紹介します。 寝起きの膝痛に悩まされている読者の皆さんには必見の内容です。 関節リウマチの予防・対処法 関節リウマチの予防 関節リウマチの対処法 食生活の改善 喫煙習慣の改善 安静にする 関節の保温 関節リウマチの発症を抑えるためにも、食生活の改善は必須です。 体重増加の元となる脂質・糖質類を摂りすぎず、良質なタンパク質の摂取を心がけましょう。また、喫煙もリウマチが発症・悪化する要因とされているため、控えておくべきです。 発症後の具体的な対処法としては、安静治療が基本です。全身を休ませる意識をもって心身の疲れを溜めないよう心がけましょう。また、関節を冷やす行為は悪化の要因となりえます。日頃から適度な保温を意識しましょう。 変形性膝関節症の予防・対処法 変形性膝関節症の予防 変形性膝関節症の対処法 生活習慣の改善 靴の見直し 軽度な運動 サポーターの装着 変形性膝関節症の予防策として、体重管理(適度なダイエット)が挙げられます。体重が増えると、膝への負担が増加するのも必然です。生活習慣の見直しからスタートしてみましょう。 また、普段から履いてる靴が適切なものでないと膝に負担がかかります。ハイヒールやサイズが合っていない靴は極力避ける努力も必要です。 対処法としては、適切かつ軽度な運動やサポーターの装着が挙げられます。運動は膝周りの筋肉を伸ばすストレッチなどが適切で、安静にしすぎて筋力が衰えしまわないよう無理ない範囲で行いましょう。 また、サポーターの装着も膝周りの不安感を解消してくれる心強い味方です。 まとめ|寝起きに膝が痛む方はお気軽に相談ください! 今回の記事では朝起きると膝が痛み、歩きはじめ膝に違和感を感じたときに想定される疾患である関節リウマチと、変形性膝関節症の症状と治療法について解説しました。 二つの疾患は類似点もありますが、診断や治療など、大きく異なる点もあります。より詳しく知りたい場合は既に受診している整形外科、または最寄りの医療機関に問い合わせてみましょう。 また、膝に関するお悩みは当クリニックでも受け付けています。ぜひ、お気軽にご相談ください。 ▼こちらも参考にしてください 膝の裏が痛い?その原因と対策、考えられる病気について
2022.06.17 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じることに繋がります。 【膝の裏が痛い原因の代表例】 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 膝の裏が痛いときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」の他、膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・ベーカー嚢腫(のうしゅ) ・関節リウマチ ・靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下でそれぞれ詳しく解説していきます。 変形性膝関節症 中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減り、膝の内側や膝の裏からふくらはぎにかけて痛くなり正座もしにくくなります。変形が進行してひどくなるとO脚になり、いよいよ歩行困難になると人工関節の手術となります。 膝の関節が硬くなり、膝を伸ばすときに裏が痛くなったりします。 膝の屈伸の時に『ミシミシ』『ゴリゴリ』とした音が鳴る時もあります。 膝に水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛くなります。(文献1) ▶変形性膝関節症についてこちらもご参考にされてください。 半月板損傷 膝関節のクッションの役目があり、スポーツや怪我、加齢に伴って断裂などの損傷が生じます。 膝が伸びなくなるロッキングを起こしたり、正座やしゃがんだり、立ったりするときに膝の裏側が痛くなります。 ベーカー嚢腫 何らかの原因で膝関節が炎症を起こし、増えた関節液が膝の裏の滑液包に流入し袋状のコブになったものを言います。ゴルフボールぐらいの大きさにボッコリ腫れることもあり、大きくなると膝の裏が突っ張った状態になります。 放置していて腫れが治ることもありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くこともあります。 変形性膝関節症、半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▶ベーカー嚢腫についてこちらでも詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症を引き起こします。(文献3) 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 靭帯損傷 膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。 そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 例えば、交通事故に遭う、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど、受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 特に後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばすとピキッとした痛みが出ることが多くみられます。(文献4) 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが、受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏側の筋肉の損傷 膝の裏には膝窩筋があり、身体が硬かったり無理な運動や動きで筋肉や腱が損傷します。 損傷すると次のような症状が出ます。(文献5) ・しゃがむと痛い ・しゃがんで立つと膝の裏が痛い ・膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い ・膝を曲げると膝の裏が痛い ・階段上り下りの時に膝の裏からふくらはぎが痛い 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。 痺れやズキズキした痛みを感じることもあります。安静時に痛みがあるのも特徴です。 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ 同じ姿勢で長時間いたり、肥満や食事の偏りでリンパの流れが悪くなり膝の裏に痛みや腫れが生じます。 リンパ管には体の老廃物を運ぶ役目があり、リンパ節でその老廃物が処理されます。リンパ管の流れが悪くなることで、リンパ節が腫れて痛くなります。 反張膝 太ももの前と後ろの筋肉のバランスが悪かったり、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋の筋力の低下で起こります。 そのため膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、膝の裏が痛くなるのです。 膝の裏が痛いときの治療法 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患に関して触れてまいりました。 ここからはそれぞれの疾患について対処法や治療法を解説していきます。 変形性膝関節症の治療法は幹細胞やPRPによる再生医療 初期の頃は、ヒアルロン酸注射やリハビリ、内服で様子を見ます。 変形が進むと、骨切り術や人工関節置換術などが行われます。最近では幹細胞やPRPによる再生医療も行われていて新しい治療の選択肢として注目されています。 半月板損傷の治療法は手術か再生医療 日常生活に支障が出たり、スポーツ復帰を目指す場合は関節鏡による手術が行われます。断裂部を切除や縫合して治療します。 こちらも新しい選択肢として再生医療が注目されています。 ベーカー嚢腫の治療法は水を抜くか自然に治す 自然に治ることもありますが、膝の裏の腫れや突っ張りや違和感がある時には水を抜くこともあります。 関節リウマチは病勢進行を可能な限り抑制 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 早期に適切な治療を行えば関節の変形も抑えられて、痛みも生活する上で特に困らない程度にもなります。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 膝の靭帯損傷の治療法は手術治療 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療するケースが多く、後十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシング(冷却)を行ってから患部を固定し、患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部の筋を鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 膝の裏が痛い場合のストレッチの仕方 膝の裏をストレッチしたりマッサージを行うことで、筋肉の柔軟性を持たせ血流促進にもつながります。 ふくらはぎの筋肉と太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチやマッサージの仕方を紹介しています。注意点として、ストレッチによる痛みを感じたときには、直ちにかかりつけの医師との相談をお勧めします。 https://youtu.be/WQZfXd6s1iA 膝の裏が痛いときにとるべき行動 結論、膝の裏が痛いときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛い原因(病気)はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけない思いもよらぬ重度なものまで存在します。 また、「そのうち治るだろう」「大した症状ではないだろう」と自身で判断し、膝の痛みを放置してしまうと歩行や日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。最悪の場合には歩くことが次第に困難となり、後に治療したとしても後遺症が残ってしまう可能性もあります。 膝の裏の痛みを軽視せずに最寄りの医療機関に受診するか、リペアセルクリニックに気軽にご相談ください。 まとめ|膝裏の痛みが長引くときは迷わず治療を 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。 膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症、関節リウマチや、膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。膝靱帯損傷した際には早期的にアイシング(冷却)して患部固定で症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 参考文献 文献1^ Øiestad BE, Juhl CB, Culvenor AG, Berg B, Thorlund JB. Knee extensor muscle weakness is arisk factor for the development of knee osteoarthritis: an updated systematic review and metaanalysis including 46 819 men and women. Br J Sports Med. 2022 Mar;56(6):349-355. doi:10.1136/bjsports-2021-104861. Epub 2021 Dec 16. PMID: 34916210. 文献2^ Abate M, Di Carlo L, Di Iorio A, Salini V. Baker's Cyst with Knee Osteoarthritis:Clinical and Therapeutic Implications. Med Princ Pract. 2021;30(6):585-591. doi:10.1159/000518792. Epub 2021 Aug 2. PMID: 34348320; PMCID: PMC8739941. 文献3^ Maderbacher G, Greimel F, Schaumburger J, Grifka J, Baier C. Kniegelenk bei rheumatoiderArthritis – aktuelle orthopädisch-chirurgische Therapieoptionen [The knee joint in rheumatoidarthritis-current orthopaedic surgical treatment options]. Z Rheumatol. 2018 Dec;77(10):882-888.German. doi: 10.1007/s00393-018-0534-2. PMID: 30194490. 文献4^ Schüttler KF, Ziring E, Ruchholtz S, Efe T. Verletzungen des hinteren Kreuzbands [Posteriorcruciate ligament injuries]. Unfallchirurg. 2017 Jan;120(1):55-68. German. doi: 10.1007/s00113-016-0292-z. Erratum in: Unfallchirurg. 2017 Jun;120(6):530. doi: 10.1007/s00113-017-0353-y. PMID: 28058447. 文献5^ Covey DC. Injuries of the posterolateral corner of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2001Jan;83(1):106-18. doi: 10.2106/00004623-200101000-00015. PMID: 11205847.
2022.06.07 -
- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 関節リウマチで悩まれている人はいませんか?この関節リウマチの治療方法で使われる薬物療法も日々進歩を重ね、現在では「生物学的薬剤」による治療が行われるようになってきました。 そこで、今回は関節リウマチに悩んでいる人が知りたい以下の疑問点について解説してまいります ・生物学的薬剤は効果があるのか? ・生物学的薬剤はどの程度、効果を期待できるのか ・生物学的薬剤に副作用の心配はないのか 関節リウマチの治療で使われる生物学的薬剤とは 生物学的薬剤とは、科学的に合成されたものではなく、バイオテクノロジー技術を駆使して生体がつくる物質を薬剤として使用するものです。2003年から日本でも使われるようになりました。 これは、それまで使用されていた抗リウマチ薬で効果がなかった人にも効果があるなど、今では関節リウマチの薬物療法の切り札的存在になっていいる薬剤です。 今や多くの種類の生物学的薬剤が使われるようになってきました。使用に際しては患者さんの状態、「基礎疾患があるか」「高齢であるか」を踏まえて医師が適切なものを使い分けることで、より高い効果が期待できるようになっています。 医師が状態を鑑みて判断 ・基礎疾患があるか ・高齢であるか 効果|炎症を抑える 生物学的薬剤は、関節リウマチによる炎症を抑える効果を期待できるものです。関節リウマチは免疫の異常によって起こり、症状としては体内の細胞や組織を攻撃して炎症を起こし、腫れや痛みを生じさせるものです。 その際に、身体にはサイトカインという物質が多く分泌されていて、このサイトカインが炎症を広げていくことで更に炎症が悪化していくことになります。 これに対して生物学的薬剤は、このサイトカインの働きを抑える効果が期待でき、炎症を抑制し、関節リウマチの症状が悪化することを抑える効果があります。 効果|関節が破壊されるのを抑制 生物学的薬剤の大きな特徴は、関節リウマチによって関節が破壊されていくのを抑制する効果が優れている点です。関節リウマチは、免疫の異常によって起こり、炎症が生じると関節の内側を覆う滑膜が腫れあがり、関節や骨を破壊します。 生物学的薬剤は、この破壊を抑制する効果が期待できるのです。また、破壊を抑制するだけでなく、破壊された関節や骨を修復する効果も期待できることも分かってきています。 ただし、破壊された関節や骨が完全に修復されるというわけではなく、既に完全に破壊されてしまった関節や骨には効果が期待できません。つまり、生物学的薬剤による治療は、できるだけ早めに開始するのがおすすめです。 生物学的薬剤の効果 ・炎症を抑える ・関節の破壊を防ぐ ・崩壊した関節を修復(早期治療が条件) 関節リウマチ治療の生物学的製剤に副作用はあるか 生物学的製剤を使ったリウマチ治療はとても有効です。しかし、治療を受けてみようと思っている人なかには、副作用が心配だという人も少なくないでしょう。そこで、リウマチ治療に使用される生物学的製剤にはどのような副作用があるのかについて解説します。 また、副作用に対して自分で予防できることについても紹介します。 副作用|感染症に注意 生物学的製剤を使った関節リウマチの治療による副作用で注意したいのは「感染症」です。リウマチは免疫の異常によって、体内の組織や細胞を攻撃してしまうのが原因と考えられています。 そのため、免疫の働きを抑える効果がある生物学的製剤を使用するわけですが、免疫の働きを抑えると、体内に侵入したウイルスや細菌などを攻撃して身体を守るという免疫本来の働きも抑制されてしまいます。 その結果、肺炎や結核などの感染症にかかりやすくなります。そのため、仮に感染症になった場合は、治りにくくなってしまいかねません。こうした感染のリスクを抑えるために医療機関は、生物学的製剤の治療前に採血を行い感染症の原因となるウイルスや細菌の有無をチェックします。 これら感染症に対して自分ができる予防法としては、手洗いや、うがいを小まめに行ったり、マスクを付ける等があります。また、咳や熱が出たという場合は、症状が軽くてもできるだけ早めに医師に伝えることが大切です。 副作用|アレルギー 生物学的製剤を使ったリウマチ治療では副作用としてアレルギーが出る可能性もあります。例えば、生物学的製剤のなかの1つであるレミケードにはマウスのタンパクが含まれているので、それが体質に合わずにアレルギー反応が出ることがあります。 また、他の種類のエンブレルは人のタンパクなので、大きなアレルギー反応が出ることは、ほぼありませんが、それでも体質が合わずに「アレルギー反応」が出る可能性があります。 副作用|注射時 関節リウマチ治療での主な副作用は感染症とアレルギーですが、注射時に副作用が出ることもあります。関節リウマチ治療の生物学的製剤の投与方法には点滴注射や皮下注射がありますが、点滴注射では頭痛や発疹、皮下注射では注射箇所に赤みや腫れなどの症状が出ることがあります。 しかし、こうした症状が出た場合でも多くは一時的で、すぐに治まります。そのな場合、心配や不安があれば、すぐ医師に相談しましょう。 まとめ・関節リウマチの治療|生物学的製剤は有効だけど副作用に気をつけて 以上、関節リウマチの治療方法として生物学的薬剤に期待できる効果と副作用について紹介しました。生物学的薬剤は、従来使われていた抗リウマチ薬よりも高い効果を期待することができます。 しかし、治療を受けるのが遅れると期待するほど回復しないなど、思うような効果が得られないこともあるので我慢せずに早めに医療機関を受診するようにしましょう 関節リウマチ治療に使用される生物学的製剤の副作用について、副作用は必ず出るものではありません。医師も事前の検査で患者に合った生物学的製剤を使用するなど副作用のリスクを極力抑えた状態で治療を行います。 ただ患者自身も、どのような副作用があるかを把握しておくことは大切です。心配な症状が出たら、すぐに医師に相談できるからです。少しでもリスクを減らすために、医師に自分の状態をしっかりと伝える、そして予防できることはしっかりとおこなうことも大切です。 そして、関節リウマチは、早期治療が非常に大切です。身体や関節に異変、違和感を感じたら放置しないで早めに医療機関を受診することをおススメいたします。
2022.02.25 -
- 肘関節
- ひざ関節
- 関節リウマチ
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性を解説 股関節、膝関節、肘関節、指関節、足関節における関節疾患の多くは比較的ゆっくりと症状が進行するため、本人は症状に苦しんでいるにもかかわらず、ただ単に年齢によるものというだけで見過ごされてしまうことが往々にしてあります。 ところが、知らず知らずのうちに病気の進行が悪化してしまうと、関節患部に強い痛みや熱感を自覚して、日常生活において歩く、座る、投げる、持つ、立つなどの基本的な動作能力が低下して必要な動きが制限されてくる恐れがあることをご存知でしょうか。 このような関節の症状が出たのちに、保存療法等、種々の治療を繰り返しても元には戻りにくく、徐々に症状は進行します。そして、最終的に提案されるのが手術療法になります。 人工関節置換術 この手術が「人工関節置換術」として知られているものです。この手術は、読んで字のごとく、疾患によって悪くなって異常がある関節部分を取り除いたのちに、人工の関節に置き換える手術です。 例えば変形性膝関節症や、関節リウマチなど膝関節疾患を治療する際には、その代表的な手術療法のひとつとして人工膝関節置換術が挙げられるという具合です。 人工関節の置換術が可能な部位は膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節となっていて、置換える人工関節そのものも年々進歩しています。 材料的には主としてチタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレンなどで構成されています。 人工関節置換術は、関節の疾患がもとになって起こっている疼痛の原因となっている部分を取り除くことを主眼としているため、他の治療法と違って、患者さんの慢性的症状である痛みを和らげる効果を期待するものです。 そこで今回は、そのような人工関節の手術に関して知っておきたい安全性と危険性について解説したいと思います。 人工関節置換術 治療可能部位 材料 膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節 チタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレン 人工関節の手術|安全性について 人工関節置換術という手術療法は、各種の関節症、例えば変形性関節症や関節リウマチを患われている患者様に対して関節の痛みを緩和して日常生活をより快適に送れる事を目的とする治療手段として普及しています。 今や各種の関節症に対する人口関節置換手術でのアプローチは年間に約20万例前後という件数が報告されるまでになりました。このように比較的メジャーになってきた人工関節の手術は、術式としては確立されていて、置換える人工物の素材も進歩を遂げています。 ただし、手術を安全に確実に実践するためには、当たり前のことながら整形外科の専門医を始めとして、医療従事者の専門性が問われ、人工関節の特性や、軟骨などの組織が破綻するメカニズムに対する知識が不可欠です。 これら関節の再建方法などについて熟知している専門性が大切であり、これまでの経験、知見、熟練の度合いが手術に影響するとされています。 また、人工関節置換術においては、言うまでもありませんが手術そのものの安全性を高く施行するだけでなく、術前や術後における全身管理や、術後の安定した段階で早期に、個人に沿ったリハビリテーションを計画し、適切に行えることが非常に重要です。 これらの人工関節手術を安心して受けるためには、術後の体制、いわゆる人工関節の緩み、異物感染、関節脱臼やインプラント周囲組織の骨折を含めた様々な合併症が起こった際に迅速かつ、確実に対応できる医療体制の存在、あり方が必要不可欠です。 また術後のリハビリテーションに関しては、術前に担当の看護師や理学療法士などのリハビリの専門部門が積極的に患者さんに接触し、術後の早期に状態を見極めながら関節機能を中心とした全身状態の改善を目指さなければなりません。 万が一にもリハビリテーションが予定とは異なり順調に進まない時には、自宅への退院とは別途、リハビリ専門施設へ転院するような連携調整、あるいは自宅退院後の各種生活支援についてメディカルソーシャルワーカーに相談する必要があるでしょう。 このように「人工関節の安全性」は、専門性、術前、術後、リハビリなどをすべて含めて判断すべきだと考えます。 安全性は、総合的に判断 ・専門医(経験、知見、習熟度) ・術前の全身管理 ・術後の対応、フォロー ・リハビリ計画 人工関節の手術|危険性について 人工関節置換術は、疼痛症状を緩和して関節の機能の回復を望める手術である一方、関節以外の他手術と同様に一般的なリスクとして、全身麻酔に伴う合併症や、深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症、あるいは輸血に関する問題点などがあります。 また、人工物や手術部分の感染、患部周辺の血管や骨組織、神経などの二次的な損傷、あるいは手術中における予測不能なことがが引き起こされる懸念も考えられます。 そして、人工関節手術の術直後においては傷口の疼痛が非常に強いことが懸念されており、関節部の機能回復を阻害するのみならず、手術を受けた患者さんの満足度とも直接的に関連すると言われています。 他にも心配なのは、人工関節の耐久性です。人工物ですので永久に使えるものではないからです。いつまで使えるかということに関しては、患者さん自身の生活背景などの使い方にもよりますが概ね15年前後であると考えられています。 人生100歳時代の現代、耐久性という面から、将来に人工関節を入れかえるため、再手術の可能性があることを知っておくべきです。その際は、年齢的にも術式的にも、あらゆる面で最初より、難しさがが増す可能性があります。 従来、人工関節置換術は、およそ60歳以上の高齢者を中心に適応がある手術とされてきましたが、近年では個々の価値観やクオリティ・オブ・ライフ/QOL(*)が尊重される時代となり、2回目の手術を勘案して50歳前後でもより快適な人生を過ごすために本手術を選択される方もいらっしゃいます。 (*)クオリティ・オブ・ライフ/QOL 治療を受ける患者さんの肉体的なことはもちろん、精神的なことや社会的、そして経済的など、すべてを含んだ生活の質を指す言葉です。 今回の場合では手術そのものや、その後の副作用などでリハビリを行っても手術前と同じようには生活できなくなる危険性あります。 そのことを理解した上で手術の利点と危険性に関して医師とよく相談し、リハビリも含めた治療内容全般にわたって理解するようにしましょう。そして、家族や周りの理解や、協力を得られるよう相談し、慎重に決定されることをお勧めします。 最後に手術を選択した場合の入院期間について、概ね1か月は最低必要で、年齢的なものや、術後の状態により2か月~必要な場合もあるため、日程的な融通が必要な手術です。 今回は、人工関節への置換手術について不安を感じておられる方への術前のアドバイスとして記してまいりましたが、治療法としては、「再生医療」という先端医療分野があることも知っておきましょう。 その特徴は、手術も入院も不要という治療方法で自分の自己治癒力を引き出す最先端医療です。興味がある方は、お問い合わせください。いずれにしましても先生と話し合って、聞きたいことを聞き、納得して進んでください。 まとめ・人工関節の手術で知っておくべき安全性と危険性 股関節や膝関節は、下半身の体重を支えながら日常生活で立つ、歩くなどの基本的動作を実践するうえで極めて重要な関節です。肩関節や肘関節が障害を受けると荷物が持てないなど非常に支障をきたして日常生活が大変不便になります。 その意味でも日々の健康を保ち快適な暮らしを送り続けるためにも、関節に負担の少ない優しい生活を過ごすように意識しましょう。 仮に関節症の疾患で、人工関節置換術を勧められた場合は、選択肢としてこちらの記事で記したような将来の再手術の可能性、手術そのものの危険性や、入院期間が長くなるといった手術であること知ったうえで臨んでください。 リスクは、どのような手術であっても伴うものです。ただ、上手くいけば関節の痛みが緩和されて、関節の機能が元通りに再生されるのみならず、普段の歩き方や、身体のバランスを整備することが可能な治療法です。 これからの時代、健康寿命を延伸して自分らしい快適な生活を営むためにも、関節疾患は、放置することなく、治療方法について整形外科の専門医もしくは専門院を受診して相談されるこをお勧めします。 安全性 ・術式としては確立 ・多様な部位に対応 ・素材の進歩 危険性/リスクを理解 ・クオリティ オブ ライフ ・専門医の相談、納得感 ・家族の理解、支え ・人工関節の耐久性 → 年齢から再手術の可能性を念頭に ・長期入院 → 1か月~2か月 ・リハビリ → 長期計画 ・手術としての危険性(合併症、その他) ・手術部位の疼痛 以上、人工関節手術に関する安全性と危険性について記しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。
2021.12.20 -
- 関節リウマチ
- お皿付近に違和感
- 内科疾患
関節リウマチは自らの免疫反応の異常で発症!注意したい初期症状と治療法 「関節リウマチ」という病気を耳にしたことがありますか。 この病気は、身体に自己免疫反応の異常で引き起こされます。関節内部には関節を覆っている滑膜と呼ばれる場所に炎症が引き起こされて起こります。 この病気は、 すでに1980年代の時点で確認されていて、発症すると数年以内に関節を破壊し、症状を変化させながら進行していくことが報告されています。しかも1990年頃まで、この関節リウマチに対する有効な薬物治療が存在しませんでした。 関節リウマチは進行すると関節の破壊を伴いながら骨格系の機能障害を引き起こし、日常生活における動作や、能力を極めて低下させていくやっかいな病気です。 現在のところ、わが国では人口の約1%程度の方に発症する可能性があるとされる全身性の自己免疫疾患であり、男女比はおよそ1:3と、女性のほうが男性より多い病気と言われています。 今回は、放置すると危険な「関節リウマチ」という病気の症状や治療法を中心に解説してまいります。 関節リウマチとは、どんな病気なのか? 関節リウマチとは、関節を覆っている滑膜で炎症が慢性的におこり、患部に疼痛(痛み)や腫れ、そして関節の機能障害がおこった結果、身体的な構造に異常をきたしてしまいます。その結果として日常生活が制限され、社会活動への参加を制約せざるを得なくなる怖い病です。 そもそも自己免疫学的な面から滑膜部に炎症が起こってしまうと、滑膜が増殖して周囲の軟骨や骨組織を溶かしてしまうため、関節の患部に長期に渡って炎症がおこります。結果として変化が続き、関節の変形をきたし、関節機能に様々な障害が現れます。 関節リウマチは、本来であれば自分を守るはずの免疫機能が何らかの異常を起こし、関節部位に対して攻撃的に働くことで同部の疼痛(痛み)や炎症を引き起こすと考えられています。 なぜ発症するのか? 実は、詳しい発症原因は現代においても明確になってはいないのですが、どうやら先天性の遺伝的要因と、周辺の環境的要素が複雑に組み合わさって発症するのではないかと考えられています。 昨今の研究によりますと、関節リュウマチの発症に関しては遺伝的要因がおよそ10%程度関与しており、症状を発症しやすい遺伝子として、約100種類程度が存在すると考えられています。 その一方、発症リスクという観点(環境的な原因)として重要視されるのが喫煙歴です。それ以外にも歯周病や、慢性呼吸器感染症など免疫機構などからの複数の要因が挙げられています。 画像検査は、レントゲンを中心に行われ、患部の手足部を実際に撮影して骨の表面が欠けて欠損しているか否か、あるいは骨隙間の距離が縮んでいないかどうかを診断します。 関節リウマチの初期症状 さてここからは、関節リウマチの初期症状について紹介していきます。 一般的に知られている関節リウマチの主な症状としては、「関節のこわばり」や、「関節部の疼痛」に「関節の腫れ」があります。なお、関節のこわばりとは、関節が自分で思ったように動かない機能障害が起こっている状況です。 痛みを発症する関節部位は、全身の中で、あらゆる場所で生じる可能性がありますが、特に手首や手指の関節部で引き起こされる傾向があり、多くの場合には患部はたった一か所だけではなく複数で認めることができます。 もし仮に関節部の炎症が長期間にわたって継続されると、関節の軟骨や骨組織自体が少しずつ破壊されていき、病状が進行すると関節の変形や、関節の脱臼をはじめとして、関節が硬くこわばってしまい曲げ伸ばしが困難になるほどの変化を引き起こしてしまうことになります。 さらに、炎症が強くなると発熱や全身の倦怠感、また体重の減少や、食欲不振といった全身症状を伴うこともあるために日常生活に著しく支障を来すことになりかねません。 注意すべき初期症状 ・関節のこわばり ・関節の疼痛 ・関節の腫れ ・関節の機能障害 関節リウマチの治療法 関節リウマチの治療法は、「薬物療法」や「手術療法」が挙げられます。 それぞれの治療方法にメリットや、デメリットがあり、どれを選択するかは重症度や、合併症の有無、あるいは日常生活でいかに支障が起こっているかという不自由度の具合などを多角的に評価して判断することになります。 一般的には、関節リウマチにおける関節の破壊的な変化は、発症して概ね2年以内という期間で急速に進行することが判明しているため、いったん破壊されてしまった軟骨や骨関節は、元の正常な状態に戻すことができませんので、この疾患に対しては早期診断および早期治療が重要になります。 まずは、関節リウマチという病気がいかなるものかを理解して、適度な運動と安静のバランスを考えながら、食生活などを含めた規則正しい生活習慣を送ることが重要です。 前述した通り、喫煙歴や歯周病の有無が関節リウマチという病気の活動性に影響しているとも考えられているため、患者さんが喫煙している場合には、禁煙の指導を行うことも考えられます。 次に、薬物療法についてお話しします。薬物療法は、関節リウマチにおける治療の中心的存在となっており、関節リウマチ患者における関節部位の炎症を抑えて、症状改善を目指すために行います。 治療薬としては、まずは抗リウマチ薬や、生物学的製剤があります。 この生物学的製剤とは、生物が産生するたんぱく質などの成分を改良して作製された新薬です。目下のところ関節リウマチに対する治療薬として使用できる生物学的製剤は、8種類程度あると言われています。 生物学的製剤に関しては、特に関節破壊を抑制する効果が際立って優れていると言われており、関節リウマチの症状をより軽度な状態に改善して維持することが可能になりました。 また、患者様の中にはいろんな薬物療法などの治療を実施しても関節変形による機能障害が後遺症として残るような場合には、人工関節置換術や滑膜切除術などの手術治療が選ばれることもあります。 まとめ・関節リウマチは自らの免疫反応の異常で発症!注意したい初期症状と治療法 関節リウマチという病気は「自己免疫疾患」のひとつとして捉えられており、例えば手指や手関節部に炎症が起きて、同部に疼痛や変形、腫れが現れる病気です。 近年では、治療法も大きな変貌を遂げており、その大きな役割を担っているのは2003年に初めて登場した生物学的製剤です。 生物学的製剤は、免疫機構において重要な役割を果たす炎症性サイトカインという物質に直接的に作用することで関節リウマチの活動を抑えることができ、従来の他の薬剤に比較して有効性が高いと評価されています。 実際に医療機関などで患者さんが関節リウマチを疑われた際には、血液検査や画像検査と自覚的な症状を診断して総合的に専門医が判断することになります。 いずれにしても関節リウマチは、初期症状を覚えたら放置してはいけない病気です。関節に違和感に感じたら専門の医療機関を早めに受診してください。 何といっても早期発見、早期治療が大原則です。
2021.12.10