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関節の腫れや痛み、朝のこわばりが続いて「もしかしてリウマチ?」と、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。 関節リウマチは自己免疫の異常によって関節に炎症が起こる慢性疾患で、進行すると関節の破壊や変形につながるケースがあるため注意が必要です。 本記事では、関節リウマチの特徴や原因、診断方法、治療の選択肢などをわかりやすく解説します。 症状の悪化を防ぎながら生活の質を維持したい方、予防したい方は参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、治療の選択肢の一つ「再生医療」の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチとは 関節リウマチとは、自己免疫の異常によって関節の滑膜(関節を包む薄い膜)に炎症が起こり、腫れや痛み、こわばりを生じる慢性疾患です。 炎症が続くと軟骨や骨が破壊され、関節の変形や機能障害が進行します。 手指や手首、足首など小さな関節から症状が現れるケースが多く、全身の倦怠感や微熱を伴うことも少なくありません。 とくに女性に多く、30〜50歳代での発症が目立つのが特徴です。 関節リウマチの治療には長い期間を要する場合があるものの、早期に診断・治療を開始すれば、関節の破壊を予防して日常生活の質を維持できる可能性があります。 なお、似ている言葉に「リウマチ熱」がありますが、リウマチ熱は溶連菌感染が原因で起こる病気であり、関節リウマチとの関係性はありません。 関節リウマチの初期症状 関節リウマチは、発症初期から指の関節のこわばりや関節の腫れといった、体に特徴的なサインが現れます。 もっとも多いのが指の関節のこわばりで、とくに朝起きた直後に手指が動かしにくくなる「朝のこわばり」が典型的な初期症状です。 こわばりは30分以上続く場合もあり、症状が進むと日常動作に支障をきたします。 また、関節の腫れも初期からよく見られる症状です。 手指や手首、足首などの小関節が赤く腫れて押すと痛みを伴うほか、倦怠感や微熱、食欲低下など全身症状が併発するケースもあります。 炎症によって関節が熱を持ち、左右対称に症状が出るのも特徴です。 指や手首の違和感や腫れが数週間以上続く場合は、早めにリウマチ専門医を受診しましょう。 初期段階で適切な治療を開始すれば、関節破壊や変形の進行防止を目指せます。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状についてさらに詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 関節リウマチの原因・メカニズム 関節リウマチを発症する原因には、おもに以下3つの要因が考えられています。 自己免疫疾患 滑膜(かつまく)の炎症 遺伝的な素因 関節リウマチは自己免疫疾患の一種であり、本来は体を守る免疫が誤って自分自身の組織を攻撃し、発症します。 関節を覆う滑膜が標的となり、炎症が持続するのが特徴です。 滑膜は関節の動きを滑らかに保つ役割を持ちますが、炎症によって厚く腫れると関節内に炎症細胞や異常な組織が増殖します。 炎症が続くと組織が軟骨や骨を破壊し、関節の破壊や変形を引き起こすのです。 さらに、炎症物質が血流を介して全身に広がると、倦怠感や微熱、貧血などの全身症状を伴うケースもあります。 発症には遺伝的な素因も関与しており、特定のHLA遺伝子型を持つ人では発症リスクが高いことが知られています。 ただし、遺伝だけでなく喫煙や感染症、ホルモンバランスの変化など環境要因も複雑に関係している点も見逃せません。 また、やや専門的になりますが、体内で炎症が起こると「IL-6」や「TNFα」などのサイトカインという物質が過剰に分泌され、さらに炎症を悪化させる点も押さえておきましょう。 なお、関節リウマチの原因については以下の記事でも詳しく解説しています。 関節リウマチになりやすい人 関節リウマチは誰にでも発症の可能性がありますが、特定の年齢層や生活習慣を持つ人で発症率が高いことが知られています。 遺伝的素因と環境要因の組み合わせが影響しており、生活習慣や性別、年齢によってリスクが異なるのです。 ここでは、関節リウマチになりやすい人の特徴を解説します。 30~50代の女性 関節リウマチを発症する男女比は約1:4と女性に多く、とくに30〜50代の発症が目立ちます。(文献1) 女性が多い背景には、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。 女性ホルモンのエストロゲンには免疫調整作用がありますが、分泌が減少すると免疫異常が起こりやすくなるのです。 妊娠や出産、更年期などでホルモンバランスが変化する時期には、関節リウマチの早期発見に敏感になることも対策の一つといえるでしょう。 喫煙している人 喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高める重要な要因の一つと考えられています。 タバコの煙に含まれる有害物質が免疫細胞を刺激し、自己抗体の産生を促進するとされているのです。 また、喫煙は発症後の病状悪化や治療効果の低下とも関連します。 禁煙すればリスクを低下させる効果が期待できるため、予防や症状管理の観点からも有効です。 喫煙が関節リウマチに与える影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。 関節リウマチの診断基準 関節リウマチの診断には、米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が2010年に策定した分類基準が用いられます。(文献2) 診断は以下の表のように臨床所見と血液検査、症状の持続期間を点数化し、合計6点以上で関節リウマチと診断されます。 項目 内容 点数 関節の腫脹 1関節〜10関節以上で加点 0〜5 血清学検査 RFや抗CCP抗体の有無・値 0〜3 炎症反応 CRPや赤沈(ESR)の異常 0〜1 症状の持続期間 6週間以上で加点 0〜1 ただし、上記の診断基準は、あくまで早期から治療を開始するための目安であり、必ずしもすべての症例に当てはまるわけではありません。 実際には、医師による総合的な判断によって診断されます。 関節リウマチの検査 関節リウマチの検査では、症状の確認に加えて複数の検査を組み合わせます。(文献1) 早期発見・治療のためには、血液検査や画像検査などを総合的に評価することが重要であるのが理由です。 ここでは、関節リウマチのおもな検査方法を紹介します。 血液検査 血液検査は、炎症の有無や自己抗体の存在を調べるために行われます。 代表的な検査項目は以下の通りです。 検査項目 目的 リウマトイド因子 自己抗体の値を確認するため 抗CCP抗体 免疫異常の有無をチェックするため CRP(C反応性タンパク) 関節リウマチによる関節炎の度合いを確認するため 赤沈 慢性炎症の有無を評価するため 以下の記事では、関節リウマチにおける血液検査の種類や数値について医師が詳しく解説しています。 尿検査 尿検査は関節リウマチそのものの診断よりも、病気や治療による腎機能への影響を確認する目的で行われ、蛋白尿や潜血の有無を調べて腎臓の健康状態を評価します。 とくに、抗リウマチ薬や生物学的製剤を使用している場合は、副作用の早期発見に有用です。 画像検査 画像検査は、関節や骨の状態を直接評価する方法です。 X線やCT検査は、おもに治療開始後の関節破壊を評価するために行われます。 MRIは、より早期の炎症や骨の損傷を捉えられるのに役立ち、超音波検査は滑膜の炎症や関節液の貯留をリアルタイムで観察可能です。 上記のさまざまな画像検査の組み合わせにより、発症初期から進行度までを的確に把握し、治療方針を決定します。 関節リウマチの治療 関節リウマチの治療は、日常生活の質を維持しながら関節の破壊を防ぐことが主な目的です。薬による治療が中心ですが、生活習慣の改善や自然療法、さらには再生医療まで選択肢は広がっています。 ここでは、「薬物療法」「自然療法」「再生医療」について見ていきましょう。 薬物療法 関節リウマチの治療は、炎症を抑えて関節破壊を防ぐのが目的であり、薬物療法が基本です。 以下のような薬を用います。 抗リウマチ薬:免疫の異常を根本的に抑える 非ステロイド性抗炎症薬:炎症や痛みを軽減する 副腎皮質ステロイド:急性期の症状緩和に用いる また、近年は生物学的製剤やJAK阻害薬など、特定の炎症物質に作用する治療薬も選択肢となっています。 関節機能を長く保つには、これらの薬を症状や進行度に応じて組み合わせ、早期に治療を開始することが必須です。 関節リウマチの薬については、以下の記事でも取り上げています。 「薬を飲まないとどうなのか」なども詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。 自然療法 関節リウマチの治療には、以下の3つの方法による自然療法もあります。 方法 内容 炎症コントロール 抗炎症食材(青魚、野菜など)を積極摂取し、炎症を悪化させる赤身肉、加工食品は控える 腸内環境の改善 免疫細胞の約7割が集まる腸を整えることで、免疫システム全体の正常化を図る。プロバイオティクスや消化酵素の補充が有効。 免疫システムの調整 ホルモンバランスの調整、デトックス、薬用キノコ(椎茸など)による免疫バランスの正常化を行う。 これらのアプローチは数ヶ月単位の継続が必要ですが、体質改善を目指せます。 再生医療 再生医療では、患者様自身の幹細胞や血液を利用する治療法です。 治療法 内容 幹細胞治療 患者様から幹細胞を採取・培養して患部に投与 幹細胞が他の細胞に変化する「分化能」という能力を活用する治療 PRP療法 患者様の血液から血小板を濃縮した液体を作製して患部に投与 血小板に含まれる成長因子が炎症を抑える働きを活用する治療 PRP療法は炎症に対するアプローチであり、根本的な原因に対する治療ではないという点には注意が必要です。 以下では関節リウマチに対する再生医療について紹介しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチのしてはいけない10項目 関節リウマチでは、日常生活での工夫が症状の悪化や関節破壊の進行を防ぐうえで重要です。 とくに以下に挙げた10項目は、関節に負担をかけたり、炎症を悪化させたりする可能性があります。 1.激しい運動を避ける 2.関節を冷やさない 3.和式トイレを使わない 4.高さのある枕を使用しない 5.体重増加に気を付ける 6.正座しない 7.重い物を持たない 8.ストレスを溜めない 9.喫煙しない 10.加工食品の摂取を控える 激しい運動や重い物を持つ動作は、関節に大きな負担をかけます。 また、冷えや過剰な体重は炎症を悪化させる要因となるため、十分に注意しなければなりません。 日々の生活習慣においては喫煙や加工食品の摂取を避け、ストレスをためないように心がけることも大切です。 避けるべき生活習慣を見直すことは、結果的に炎症や関節破壊の進行を抑え、日常生活の質を維持しやすくなります。 とくに症状が不安定な時期は、無理をせず関節をいたわる生活を心がけましょう。 関節リウマチのしてはいけない生活習慣については、以下の記事でも詳しく解説しています。 より理解を深めたい方はチェックしてみてください。 まとめ|関節リウマチは早期に対処しよう 関節リウマチは自己免疫の異常で関節に炎症が起こり、進行すると関節破壊や変形を引き起こします。 しかし、早期診断と適切な治療により、症状の改善や進行抑制を目指すことも可能です。 指や手首のこわばり、腫れが続く場合には放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。 また、関節の機能を守るための生活習慣の見直しも欠かせません。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。 再生医療についての疑問や気になる症状があれば、以下のLINEボタンからお気軽にお問い合わせください。 関節リウマチに関するよくある質問 何科を受診すれば良いですか? 関節リウマチが疑われる場合は、専門的に診療できるリウマチ科を受診しましょう。 また、整形外科や内科から専門医を紹介してもらう方法もあります。 関節リウマチに市販薬はありますか? 薬局では痛み止めを購入できますが、長期的な症状緩和を目的に市販薬を使い続けることは避けてください。 かえって症状を悪化させる恐れもあるため、必ず医師の診断と治療を受けましょう。 関節リウマチは発熱しますか? 関節リウマチでは、炎症の影響で微熱や発熱を伴う場合があります。 発熱が続くなら感染症の可能性も考慮し、早めに受診し医師の診断を受けましょう。 参考文献 (文献1) 関節リウマチ|大正製薬 (文献2) 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)|慶應義塾大学病院 健康情報ひろば・KOMPAS
2025.08.31 -
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- 内科疾患
「最近、手や膝が痛むようになってきた」 「更年期の影響だと思っていたが、もしかするとリウマチなのではないか?」 更年期に入り、関節痛に悩まされている方の中には、このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 ご家族にリウマチの方がいる場合は、とくに不安が強いのではないでしょうか。更年期関節痛とリウマチには、発症年齢や関節痛以外の症状などの違いがあります。 本記事では、更年期関節痛とリウマチの違いや治療法、セルフケアについて解説します。両者の違いを理解して適切な治療を受けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違い この章では、更年期関節痛とリウマチの違いについて説明します。 更年期関節痛とは 更年期関節痛とは、更年期に伴う身体症状の1つです。 近年になって、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、関節痛や腫れ、しびれが生じることが明らかになりました。エストロゲンには、関節や腱を保護する滑膜の腫れを抑える働きがあります。エストロゲン減少により生じた関節痛や腫れなどが、更年期関節痛と呼ばれます。 主な更年期関節痛は、以下のとおりです。 関節痛の種類 特徴 へバーデン結節 手指の第1関節に症状が現れる ブシャール結節 手指の第2関節に症状が現れる 母指CM関節症 親指の付け根に症状が現れる ばね指 曲げた手指が伸ばしにくくなる ドケルバン病 親指側の手首が痛む 手根管症候群 手のひらが痛んだりしびれたりする 手の関節だけではなく、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる場合もあります。 以下の記事では、ブシャール結節について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 リウマチとは 関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。 関節内の滑膜が自分の免疫によって攻撃されたために、手指の関節痛や腫れ、朝のこわばりといった症状が現れます。進行すると関節の変形や破壊が見られるようになります。 免疫システムの異常や、喫煙をはじめとする環境要因、遺伝的要因が発症に関与していると考えられていますが、現時点で原因は特定されていません。 関節リウマチについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いを見分けるポイント 更年期関節痛とリウマチの違いを以下に示します。 更年期関節痛 関節リウマチ 発症年齢と性別による違い 40~50代の女性に多い 閉経前後の10年間に発症しやすい 30~50代の女性に多い 60代以上で発症する場合は、性別による差は少ない。 症状による違い 手指以外にも、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる 関節の腫れは見られない、もしくは軽度 更年期が過ぎると自然に軽減する 関節痛以外の症状としては、体のほてり、発汗、動悸、イライラなどが見られる 手指の関節痛が特徴的(膝や足にも症状が出る場合もある) 関節の腫れやこわばり、熱感などが見られる 徐々に進行し、関節の変形や破壊が生じるケースもある 関節痛以外に、微熱や食欲不振、倦怠感などが見られる 更年期関節痛では時間の経過とともに症状が軽減するケースが多い一方で、関節リウマチは症状が徐々に進行する点が大きな違いといえるでしょう。 更年期関節痛の治療とケア方法 更年期関節痛の治療やケア方法は、主に以下のとおりです。 ホルモン補充療法 薬物療法 日常生活におけるセルフケア ホルモン補充療法 更年期で減少したエストロゲンを補充する治療法です。 子宮を摘出された方の場合はエストロゲンのみを補充しますが、それ以外の方は、エストロゲンと黄体ホルモンを併用します。子宮がある方の場合、エストロゲンのみを補充すると、子宮内膜が異常に増殖する「子宮内膜増殖症」のリスクがあるためです。(文献1) 薬物療法 ホルモン剤以外の薬物療法では、アスピリンやロキソニンといった消炎鎮痛剤や漢方薬などが多く用いられます。 関節痛以外の症状がある場合は、向精神薬や自律神経調整薬も処方されます。 日常生活におけるセルフケア 痛みのない範囲でのストレッチやマッサージは、セルフケアとしておすすめです。血行が促進されて、関節が動きやすくなります。ただし、強く痛むときは安静にしましょう。 バランスの良い食事や適度な運動、睡眠などで生活リズムを整えることもセルフケアの1つです。規則正しい生活は、ホルモンバランスを整えることにつながります。(文献2) 食事においては、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンや、ホルモンバランスを整える働きがあるビタミンEなどを積極的に摂りましょう。ビタミンEが多く含まれる食品は、かぼちゃやほうれん草、アーモンドなどです。(文献3)、(文献4) 更年期関節痛のセルフケアについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 リウマチの治療とケア方法 関節リウマチの治療の中心は薬物療法です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などが主に用いられるほか、ステロイド剤や非ステロイド性の消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 関節の変形や破壊が進んだ場合は、手術も選択肢に含まれます。 セルフケアとして第一に挙げられるのは禁煙です。それ以外のセルフケアとしては、栄養バランスの良い食事や適度な運動、休息などが挙げられます。 関節リウマチの治療や予防策については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関わらず早めの受診を心がけよう 更年期関節痛とリウマチは原因や発症時期、症状に違いはあるものの、どちらも関節痛が続く疾患です。 更年期関節痛の場合は更年期が終わると徐々に回復しますが、リウマチは進行性であるため、放置しておくと関節の変形や破壊などの症状も現れます。 どちらの場合でも早期発見および、早期治療が大切です。関節痛が続いている方は、整形外科やリウマチ科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関するよくある質問 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はありますか? 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はあります。 更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲン減少によりさまざまな心身の症状が発生する時期です。エストロゲンは、免疫系にも影響を与えるホルモンで、炎症を抑える働きがあります。 エストロゲン減少で免疫のバランスが崩れると、リウマチを発症するリスクが高まります。関節痛がある場合は、原因に関わらず、早急に医療機関を受診しましょう。 更年期障害による関節痛はいつまで続きますか? 更年期障害による関節痛は、更年期が終わると徐々に回復に向かいます。しかし、関節痛の原因が更年期ではなくリウマチの可能性もあります。 更年期関節痛とリウマチを同時に発症している場合もあるため、関節痛が続くときは放置せず、早急に医療機関を受診しましょう。 (参考文献) (文献1) 東京医科大学病院 薬剤部「お薬のしおり 更年期障害について」2022年 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/240.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 全国健康保険協会 栃木支部「ホルモンバランスを整えてグッドコンディションを手に入れよう!」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/file/060911104606.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 公益財団法人中国労働衛生協会「更年期の健康課題」2024年 https://churou-wp.sub.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2024/02/2201f33f600bac8744116a4596d7c057.pdf (最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) 国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所「ビタミンE」「健康食品」の安全性・有効性情報, 2020年11月5日 https://hfnet.nibn.go.jp/vitamin/detail176/#002 (最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
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「関節リウマチで治療を受けているけれど、最近いつもと違う症状が出てきた」 「関節リウマチの合併症にはどのようなものがあるのだろう?」 関節リウマチの治療を受けている方の中には、合併症に関する不安を抱えている方も多いことでしょう。関節リウマチの合併症には、間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などがあります。 本記事では、関節リウマチの合併症および原因、予防のポイントなどを解説します。合併症に関する疑問や不安解消のきっかけになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの主な合併症 関節リウマチの主な合併症として挙げられる7つの疾患を以下に示します。 間質性肺炎 骨粗しょう症 シェーグレン症候群 貧血 アミロイドーシス 肝機能障害 腎機能障害 間質性肺炎 間質性肺炎とは、肺の間質(肺胞壁および肺胞を支える組織)を中心に炎症をきたす疾患です。炎症が進むと、肺全体が固くなります。 主な症状は、息苦しさや乾いた咳(痰を伴わない咳)などです。 進行すると呼吸不全の状態になるケースもありますが、呼吸不全まで進まない種類の間質性肺炎もあります。 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨量の減少や骨質の劣化などが原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。骨粗しょう症の患者数は、全国で約1,280万人といわれています。(文献1) 骨粗しょう症には閉経後骨粗しょう症や続発性骨粗しょう症などの種類があり、関節リウマチ合併症由来のものは、続発性骨粗しょう症に分類されます。 骨粗しょう症自体は、自覚症状を感じにくい疾患です。症状がないまま徐々に骨が弱くなり、腰椎や大腿骨の骨折などを引き起こす可能性があります。 大腿骨の骨折は、歩行困難や寝たきりを引き起こす大きな原因の1つとされています。 骨粗しょう症については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群は、関節リウマチと同様、自己免疫疾患の1つです。(文献2) 涙腺や唾液腺などの慢性的な炎症が起こり、ドライアイやドライマウス、鼻の乾燥などの症状が現れます。 関節リウマチの合併症は二次性シェーグレン症候群と呼ばれており、他の合併症が見られないものは、一次性シェーグレン症候群と呼ばれます。一次性シェーグレン症候群には、病変が全身に及ぶタイプも存在します。(文献2) 貧血 関節リウマチの方は、慢性的な炎症や抗リウマチ薬の副作用などにより、貧血を合併しやすい状況です。 貧血にはさまざまな種類があり、関節リウマチによるものは、鉄分が足りなくなることで起こる小球性低色素性貧血に分類されます。 関節リウマチと貧血の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 アミロイドーシス アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が、脳や心臓、腎臓、消化管、神経などのさまざまな臓器に付着し、機能障害を起こす疾患です。 アミロイドーシスには、複数の臓器にアミロイドが付着する全身性と、特定の臓器にアミロイドが付着する限局性があります。 また、アミロイドーシスは遺伝性と非遺伝性にわかれており、多くの患者は非遺伝性です。関節リウマチ合併症によるものも、非遺伝性アミロイドーシスに分類されます。 肝機能障害 関節リウマチに合併する肝機能障害の多くは、薬剤性のものです。とくに、抗リウマチ薬であるメトトレキサートの副作用で肝機能障害が起こりやすいとされています。 リウマチの薬の影響でB型肝炎やC型肝炎のウイルスが活性化し、無症状の方が発症する場合もあります。 自己免疫疾患の一つである関節リウマチでは、他の自己免疫疾患を合併するケースも少なくありません。肝臓疾患としては、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などがあります。 腎機能障害 関節リウマチ合併症としての腎機能障害は、ネフローゼ症候群や腎不全などアミロイドーシスに関係しているものが多い状況です。抗リウマチ薬や消炎鎮痛剤の副作用による腎機能障害もあります。 腎機能障害の症状としては、全身の倦怠感やむくみ、タンパク尿などが挙げられます。 関節リウマチと腎機能障害の関係については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチの合併症が生じる原因 関節リウマチの合併症が生じる原因としては、疾患そのものに加えて薬の副作用が挙げられます。 間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などは関節リウマチ由来の合併症であり、肝機能障害は、薬の副作用であることが多い状況です。 腎機能障害には、アミロイドーシスに由来するものや薬の副作用によるものがあります。 関節リウマチの合併症予防と早期発見のポイント 関節リウマチの合併症予防および早期発見のポイントは、主に以下の2つです。 生活管理 定期的な受診 生活管理 関節リウマチ悪化予防のために一番望ましい行動は、禁煙です。(文献3)寝る前や食後の歯磨きや、歯科検診などの歯周病予防も欠かせません。歯周病は関節リウマチ発症や悪化に関係するためです。 貧血や骨粗しょう症といった合併症予防のためには、カルシウムや鉄分の多い、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。 関節リウマチは抗リウマチ薬やステロイド剤の影響で、感染症を引き起こしやすいとされています。(文献4)手洗いやうがいといった日頃からの感染予防に加えて、必要に応じて各種予防接種を受けましょう。 定期的な受診 合併症の予防や早期発見のためには、定期的に医療機関を受診し、必要な診察および検査を受けることが大切です。いつもと違う症状があるときは、ためらわずに受診し、主治医へ状況を伝えましょう。 症状がないときに受診や内服を中断すると、関節リウマチそのものが悪化してしまい、合併症のリスクも高まります。自己判断での服薬中断は避けてください。 関節リウマチの薬については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチで合併症を引き起こさないためにも継続的な治療が大切 関節リウマチの合併症は、疾患そのものによるものから薬の副作用まで多くの種類が存在します。 合併症予防および早期発見・治療のためにも、日頃から薬の内服を続け、いつもと違う症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。いつもと違う症状を放置しないことが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチおよび合併症についても、お気軽にご相談ください。 関節リウマチの合併症に関するよくある質問 関節リウマチの合併症で亡くなることはありますか? 関節リウマチ合併症の中でも、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの心血管イベントを発症すると、重症の場合亡くなることもあります。(文献5) 関節リウマチは、関節だけではなく血管にも炎症を起こすことがあるため、血管の狭窄や血栓が発生しやすい状況です。そのため心血管イベントにつながる可能性が高いとされています。 合併症の1つである間質性肺炎も、重症化したり急激に悪化したりすると命に関わる場合も少なくありません。(文献6) シェーグレン症候群を治療しないとどうなりますか? シェーグレン症候群を治療しないと、別の病気を発症していることに気づけないリスクがあります。 シェーグレン症候群は現段階では完治が難しいものの、予後は良好とされる疾患です。しかし、経過観察中に間質性肺炎や腎不全、リンパ腫を発症する場合もあります。(文献2)そのため発症後は、定期的な治療や経過観察が必要です。 関節リウマチの合併症で多いのは何ですか? 関節リウマチの合併症はさまざまであるため、どれが一番多いとの断定は難しい状況です。 合併症の1つである間質性肺炎は、関節リウマチ患者の約10~30%に見られています。(文献6) それ以外の合併症としては、肝機能障害や腎機能障害、骨粗しょう症、貧血、シェーグレン症候群、各種感染症などがあります。 (参考文献) (文献1) 公益財団法人 骨粗鬆財団「病気について」 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/faq/faqabout.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 順天堂大学医学部附属順天堂医院「シェーグレン症候群」膠原病・リウマチ内科 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease03.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマチ・膠原病を心配したら」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/general/collagen-diseases/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) ファイザー株式会社「日常生活の注意点 関節リウマチと感染予防」リウマチeネット https://www.riumachi.jp/life/caution/infectionprevention(最終アクセス:2025年5月22日) (文献5) 公益財団法人日本リウマチ財団「心血管イベント」リウマチ情報センター https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/complications/shinkekkan_event/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献6) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「肺炎,間質性肺炎」,2015年6月1日 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/ra-complications/ip.html(最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
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「手の指が腫れていて、こわばる感じがする」 「これは関節リウマチの症状なのだろうか」 「血縁者にリウマチ患者がいるので、遺伝したのではないか」 関節リウマチと思われる症状と遺伝に関して、お悩みの方もいらっしゃることでしょう。 関節リウマチ発症には遺伝的要素もありますが、確実に遺伝するものではありません。環境要因も発症に関係するためです。 本記事では、関節リウマチと遺伝の関係性やその他の要因、予防法などについて解説します。 遺伝に関する疑問が解消できますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチと遺伝の関係 関節リウマチは、自分の免疫が関節の滑膜を攻撃することで関節炎を引き起こす疾患です。 関節リウマチを発症する原因は現在も完全には解明されていません。しかし、関節リウマチを含む自己免疫疾患には遺伝的な背景があるとされています。 親が関節リウマチである場合、子の発症リスクは約3倍になるといった報告もあるほか、患者の三親等以内の血縁者は33.9%の確率で発症するとされています。(文献1)(文献2) 三親等以内とは、子や孫、ひ孫、きょうだい、甥、姪といった範囲です。親や祖父母、曾祖父母、おじ・おばも三親等以内の血縁者に入ります。 一卵性双生児での発症一致率は12~15%程度、二卵性双生児やきょうだい間の発症一致率は2~4%程度とされています。(文献3) しかし、関節リウマチは確実に遺伝する疾患ではありません。遺伝的背景に加えて環境要因も関係するためです。血縁者に関節リウマチ患者がいても発症しない場合がありますし、血縁者に関節リウマチ患者がいない方でも発症するケースがあります。 関節リウマチと遺伝の関係については、下記の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチの発症に関わる遺伝子 関節リウマチの発症に関わる遺伝子は、主に以下のとおりです。 HLA PTPN22 PADI4 CCR6 IL2RA TNFAIP3 TYK2 IRF5 IRAK1 CD40 この中でも、関節リウマチ発症に比較的大きな影響を持つのがHLA遺伝子(ヒト白血球抗原遺伝子)です。 HLA遺伝子は、クラスⅠからクラスⅢまでの3領域にわかれます。(文献4)クラスⅡの1つ「HLA-DRB1遺伝子」が関節リウマチと深い関係にあるとの研究結果が示されています。(文献5) 関節リウマチにおける主な検査 関節リウマチにおける主な検査は、血液検査や画像診断などです。 血液検査では免疫反応や炎症反応を調べ、画像診断では関節の炎症や破壊の状況を直接調べます。 関節リウマチの遺伝子検査は一部の民間遺伝子解析サービスで実施されていますが、医療機関で診断に用いられているケースはまれであると考えて良いでしょう。 一部の自己炎症性疾患に対して、遺伝子検査を実施している医療機関もあります。 関節リウマチの検査については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 【遺伝で諦めない】関節リウマチの予防法 関節リウマチ発症の予防法として考えられるのは、主に以下の3つです。 禁煙 歯周病予防 食生活改善 喫煙および受動喫煙は、関節リウマチ発症に大きな影響を及ぼすとされており、禁煙は大切な予防行動です。 歯周病菌も関節リウマチ発症に関与している可能性が高いとされています。(文献6)そのため、毎日の口腔ケアや定期的な歯科検診といった歯周病予防の実践も、関節リウマチ予防には大切です。 食生活改善のためには、サバやサンマ、鮭などの魚介類や大豆製品を積極的に摂ると良いでしょう。これらの食品には、関節リウマチの発症予防効果があるとされる多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。 関節リウマチにとって、望ましくない行動もあります。以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 遺伝の有無にかかわらず関節リウマチの症状がある場合は早めに医療機関を受診しよう 関節リウマチの発症には遺伝的要素も含まれていますが、関節リウマチを遺伝性疾患と断定することは困難です。 関節リウマチ発症には環境要因も関係しているため、血縁者にリウマチ患者がいない場合でも発症するケースがあるためです。 手や指の関節痛や腫れなど、関節リウマチと思われる症状が見られた場合は、遺伝関係の有無に関わらず、早めに医療機関を受診しましょう。まずはかかりつけ医に相談し、リウマチ科や膠原病科、整形外科などにかかることが望ましい流れです。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しております。関節リウマチについて、不安や疑問がある方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチと遺伝に関するよくある質問 関節リウマチになりやすいのはどのような人ですか? 日本での関節リウマチ患者数は60万人〜100万人程度といわれており、人口の約0.5%から1%が関節リウマチ患者とされています。(文献2) 関節リウマチは女性に多い疾患であり、男女比は1対4程度です。 年齢で見ると、最も多いのは30代から50代とされてきました。しかし近年では、65歳以上で発症する「高齢発症関節リウマチ」も増えています。高齢で発症する場合、男女差は目立たない状況です。 関節リウマチ発症における遺伝以外の要因とは何ですか? 関節リウマチ発症における遺伝以外の要因として挙げられるものの中で、もっとも関係性が高いものは喫煙です。 喫煙は、関節リウマチの活動性を上昇させて、治療の効果も弱めます。喫煙歴がある方や現在喫煙中の方の場合、男性では2~3倍、女性では1.2~1.3倍程度発症率が高くなるとされています。(文献7) 歯周病も関節リウマチとの関連が注目されている要因です。 歯周病によって、口腔内を含めた体内のタンパク質がシトルリン化される可能性があります。(文献8)タンパク質がシトルリン化された結果作られる物質が、抗CCP抗体です。 抗CCP抗体は関節リウマチ発症に関連するとされています。 参考文献 (文献1) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター 京大リウマチ通信「関節リウマチと遺伝」2024年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/11/83433e4de1a85b5be643adaaefd24e8e.pdf(最終アクセス:2025年5月21日) (文献2) 厚生労働省「『リウマチ等対策委員会報告書』について」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4411&dataType=1&pageNo=1&(最終アクセス:2025年5月21日) (文献3) 山本一彦.「関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩Ⅰ.病因 1.関節リウマチの遺伝的要因」『日本内科学会雑誌』101(10), pp.2818-2823, 2012 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/10/101_2818/_pdf(最終アクセス:2025年5月21日) (文献4) 藤尾圭志.「関節リウマチのゲノム医療の入り口としてのHLA遺伝子」『臨床リウマチ』33(2), pp.92-98, 2021 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/33/2/33_92/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月21日) (文献5) Kwangwoo Kim, et al.(2016). Imputing Variants in HLA-DR Beta Genes Reveals That HLA-DRB1 Is Solely Associated with Rheumatoid Arthritis and Systemic Lupus Erythematosus.PLOS ONE, 11(2), pp.1-7. https://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0150283&type=printable(最終アクセス:2025年5月21日) (文献6) Anna Krutyhołowa, et al. (2022).Host and bacterial factors linking periodontitis and rheumatoid arthritis. Frontiers in Immunology,13,pp.01-17. https://www.frontiersin.org/journals/immunology/articles/10.3389/fimmu.2022.980805/full(最終アクセス:2025年5月21日) (文献7) 川人豊「関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩Ⅰ.病因 2.環境的要因」『日本内科学会雑誌』101(10), pp.2824-2829, 2012 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/10/101_2824/_pdf(最終アクセス:2025年5月21日) (文献8) 山本一彦「関節リウマチの発症:遺伝要因と環境要因」『日本温泉気候物理医学会雑誌』77(10), pp.20-21, 2013 https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki/77/1/77_20/_pdf(最終アクセス:2025年5月21日)
2025.05.30 -
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「健康診断の血液検査でリウマチの数値が高いと指摘された」 「リウマチの数値が高い上に、関節が痛んだり腫れたりしている」 「関節リウマチの血液検査の内容を知りたい」 このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、関節リウマチの血液検査にはさまざまな種類があります。血液検査で異常がなくても関節リウマチと診断される場合も少なくありません。 本記事では関節リウマチの血液検査について詳しく紹介します。 お悩みの症状が関節リウマチに関係しているかの目安がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチにおける血液検査の種類 関節リウマチにおける血液検査の種類は、主に以下の3つです。 免疫に関する検査 炎症に関する検査 その他の血液検査 免疫に関する検査 ここでは免疫に関する検査として、リウマトイド因子と抗CCP抗体、MMP-3について説明します。 リウマトイド因子 リウマトイド因子とは、リウマチの診断および治療に有効な検査値で、一般的な基準値は15IU/ml以下です。(文献1) リウマトイド因子が50や100といった高値を示し、関節症状がある場合、リウマチである可能性が高いとされています。 ただし、関節リウマチ以外でも高値を示すこともあるため、この検査だけでリウマチと確定させることは難しいでしょう。 抗CCP抗体 抗CCP抗体とは、関節リウマチの診断や予後の予測に関する検査値で、一般的な基準値は4.5U/ml未満です。(文献2)、(文献3) 検査値が高く、関節症状がある場合、関節リウマチの可能性がきわめて高いといえるでしょう。他のリウマチ因子とは異なり、リウマチ以外の疾患で高値を示すことはまれであるため、関節リウマチの診断に有効な検査です。 抗CCP抗体の数値が高い場合は、関節リウマチの中でも関節や骨の破壊が進みやすいタイプであることを意味します。 MMP-3 MMP-3は、関節リウマチにより炎症を起こしている滑膜で多く分泌される酵素であり、リウマチによる軟骨破壊の程度をあらわします。 MMP-3 の基準値は、以下のとおりです。 男性:36.9~121.0 ng/ml 女性:17.3~59.7 ng/ml (文献3) 関節リウマチの初期段階から上昇するといわれていますが、関節リウマチ以外の疾患やステロイド内服時でも高値を示す場合もあります。 関節リウマチ以外でMMP-3 が高値を示す疾患として挙げられるのは、全身性エリテマトーデスやリウマチ性多発筋痛症などです。 炎症に関する検査 ここでは炎症に関する検査として、CRPと赤血球沈降速度について説明します。 CRP CRPは、全身の急性炎症を示す指標です。 正常値は0.3mg/dl未満であり、炎症が強いときには10mg/dlを超える場合もあります。(文献3)、(文献4) 炎症や組織の破壊が起きたときに、白血球の仲間であるリンパ球や単球、マクロファージが炎症性サイトカインを分泌します。炎症性サイトカインにより肝臓の細胞が刺激された結果分泌されるタンパク質が、CRPです。 CRP値が高値を示す疾患は、関節リウマチ以外に複数存在します。主な疾患としては、以下のようなものが挙げられます。 肺炎 ウイルス性肝炎 腎盂腎炎 そのため、CRP値のみでの関節リウマチ診断は難しいといえるでしょう。 赤血球沈降速度 赤血球沈降速度は慢性炎症の指標です。 細長いガラス管の中に抗凝固剤(クエン酸)を加えた血液を入れて、1~2時間立てておきます。この間に、赤血球が沈んだ深さを検査値とします。 正常値は以下のとおりです。(文献3) 男性:1時間に10㎜未満 女性:1時間に20㎜未満 炎症が起こっているときは赤血球の沈む速度が速くなり、関節リウマチ患者では50㎜前後といわれています。(文献4) その他の血液検査 その他の血液検査として挙げられるのは、主に以下の4項目です。 貧血検査 肝機能検査 腎機能検査 肺機能検査 貧血検査 関節リウマチ患者は慢性的な炎症が原因で、貧血傾向にあります。これは炎症性サイトカインが原因で鉄分の吸収が抑制されるためです。 抗リウマチ薬(メトトレキサート)の副作用で貧血が出現する場合もあります。 貧血の程度を測るための検査値が、赤血球数やヘモグロビン値、血色素量などです。WHO(世界保健機構)の定義によると、成人男性ではヘモグロビン値13.0g/dl以下、成人女性ではヘモグロビン値12.0g/dl以下が貧血とされます。 貧血に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 肝機能検査 関節リウマチ患者は、メトトレキサートをはじめとした薬の副作用により肝機能が低下する場合があるため、定期的に検査を実施します。 主な肝機能検査は、AST(別名GOT)やALT(別名GPT)です。医療機関ごとに異なりますが、どちらかの検査値が100U/Lを超えた場合は、内服薬を調整するケースが一般的です。(文献5) B型肝炎およびC型肝炎ウイルス検査を実施するケースもあります。肝炎ウイルスは感染しても無症状のことが多いのですが、リウマチの薬により免疫力が低下して、ウイルスが活性化する場合もあるためです。 関節リウマチと薬の関係については以下の記事でも解説しますので、あわせてご覧ください。 腎機能検査 関節リウマチ患者は薬の副作用により腎機能が低下する場合があるため、血液検査で経過を観察します。 主な腎機能検査は、クレアチニンやeGFRです。基準値は医療機関によって異なりますが、クレアチニン値が高い、もしくはeGFR値が低いと腎機能低下の疑いがあります。 リウマチのコントロールが不良の場合、「アミロイドーシス」と呼ばれる合併症を引き起こす可能性があります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が過剰に作られて、さまざまな臓器に付着した結果起こる疾患の総称です。 腎臓でアミロイドーシスが起きると、ネフローゼ症候群や腎不全を発症する場合があります。 肺機能検査 関節リウマチの合併症および副作用の1つとして、呼吸器疾患があります。重要な呼吸器疾患の1つが間質性肺炎(肺線維症)です。 一般的な肺炎は細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こりますが、間質性肺炎は、肺胞の壁に当たる部分(肺胞壁)や肺胞を支える組織に炎症が起きます。その結果、肺全体が固くなります。 間質性肺炎の度合いを表す血液検査の1つが、KL-6です。医療機関ごとに異なりますが、一般的な基準値は500U/ml未満です。KL-6が高い場合は、間質性肺炎の発症もしくは悪化が考えられます。 関節リウマチにおける血液以外の検査 関節リウマチにおける血液検査以外の検査としては、画像検査があります。具体的には、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査などです。 レントゲン検査では関節周囲の骨が薄くなる骨粗しょう症や、骨が削られたように欠ける骨びらんなどの状況がわかります。 超音波検査では炎症の状態がリアルタイムに把握できるほか、骨の状況も高感度で確認可能です。 MRI検査では、関節周囲の筋肉や軟骨などの炎症や腫れを確認できます。 血液検査で異常なしでも関節リウマチを発症している場合がある リウマトイド因子や抗CCP抗体などの血液検査が陰性であっても、関節リウマチと診断されるケースがあります。主に挙げられるのが、血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症です。 血清反応陰性関節リウマチの症状や治療法は、一般的な関節リウマチと同様です。血液検査が陰性であるため、超音波検査で関節の腫れや炎症を確認します。 60歳以上で発症する関節リウマチの場合、血清反応陰性例が多いとされています。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は、両肩周囲のこわばりや痛みで発症し、手指や足指の腫れや関節痛が少ないのが特徴的です。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は関節リウマチと異なり、少量のステロイド剤が治療に使われます。ステロイド剤の量は患者の状況によって調整します。リウマチ性多発筋痛症も高齢での発症が多い疾患です。 関節リウマチの治療については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 血液検査の理解を深めて関節リウマチの改善に努めよう 関節リウマチにおける血液検査は、免疫や炎症に関する項目に加えて、貧血や肝機能、腎機能、肺機能などに関する項目があります。貧血や肝機能などの検査は、薬の副作用や合併症に関連したものです。 関節リウマチの場合、血液検査だけではなく画像診断も大事な指標です。 また、血液検査で異常なしであってもリウマチを発症しているケースもあります。関節痛や腫れ、変形など、リウマチと思われる症状でお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの方が日常で避けるべき行動について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。血液検査の結果に疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチと血液検査に関するよくある質問 関節リウマチの有無は検査後にすぐわかるものですか? 関節リウマチの有無は、検査後すぐにわからないことが多いとされています。 血液検査、とくにリウマトイド因子や抗CCP抗体などは検査結果が判明するまでに数日から1週間程度かかるためです。 画像検査においても、レントゲン検査や超音波検査はすぐに結果がわかりますが、MRI検査の場合は結果がわかるまで数日かかることがあります。 これらの状況から見ても、関節リウマチの有無は検査後すぐにはわからないと考えた方が良いでしょう。 関節リウマチの検査は何科を受診すれば良いですか? リウマチ科や膠原病内科、整形外科などのリウマチ専門医がいる科の受診が望ましいでしょう。 近くの医療機関にこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科を受診して、専門医への紹介状を書いてもらうことをおすすめします。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマトイド因子標準化のガイドライン」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news110817/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチに関わる血液の検査結果の見方」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/01/ra2013011702.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 順天堂越谷病院「膠原病・リウマチの検査」2020年 https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/49a86a7ddc1e3f5f01e26b8a369af6e8.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) Doctors Me 「健康診断の血液検査項目「CRP」 知っておきたい数値の意味」 https://doctors-me.com/column/detail/4886(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター「京大リウマチ通信 リウマチで注意する血液データ」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/05/ra201303.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 桑名正隆.「高齢者における診断・治療の進歩:関節リウマチ」『日本内科学会雑誌』111(3), pp.454-460, 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/3/111_454/_pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
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「関節リウマチと診断されて薬を飲み始めた」 「自分が今飲んでいる薬は、どのような効果があるのだろう」 「リウマチの薬は一生飲み続けるものだろうか」 このような疑問や不安を抱えている方も多く、とくに、関節リウマチと診断されて間もない方にとっては切実な問題です。 本記事では、関節リウマチの薬に関して詳しく解説します。 病気の進行が落ち着く「寛解状態」を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの薬は主に5種類 関節リウマチの治療で用いられる薬は、主に以下の5種類です。 抗リウマチ薬 生物学的製剤 JAK阻害剤 非ステロイド性消炎鎮痛剤 副腎皮質ステロイド剤 抗リウマチ薬 抗リウマチ薬には、免疫異常や、関節の炎症およびリウマチの活動性を抑制するはたらきがあります。 メトトレキサート 抗リウマチ薬の第一選択肢がメトトレキサートです。一般的に抗リウマチ薬は、効果が出るまで1~2か月程度かかりますが、メトトレキサートは2~3週間程度で効果が出るといわれています。(文献1) メトトレキサートは、1週間に1日もしくは2日だけ内服する薬です。副作用軽減のために、内服日の2日後に葉酸を内服します。 メトトレキサートの副作用として挙げられるのは、口内炎や貧血、肝機能異常、間質性肺炎などです。 メトトレキサート以外の抗リウマチ薬 メトトレキサート以外の主な抗リウマチ薬を以下に示します。 薬剤名 特徴 内服方法 副作用 サラゾスルファピリジン 軽症から中等症の患者に有用 メトトレキサート内服不可の患者に用いられる 内服開始後1~2か月程度で効果が出る 朝食後と夕食後に1錠内服 1錠は250mgもしくは500㎎ 皮疹 かゆみ 発熱 肝機能障害 ブシラミン 日本で開発された抗リウマチ薬 軽症から中等症の患者に有用 内服開始後1~3か月程度で効果が出る 1日50㎎もしくは100㎎から開始 通常は1日100~200mg 消化器症状 皮疹 肝機能障害 腎機能障害 タンパク尿が出た場合は内服中止 タクロリムス 日本で開発された免疫抑制剤の一種 2005年に関節リウマチへの適応が認められた 血中濃度測定が保険適応になっている 夕食後に内服 成人は1回2錠(3㎎) 高齢者は1回1錠(1.5㎎) 腎機能障害 耐糖能異常 下痢 腹痛 (文献1) タクロリムス内服時にグレープフルーツを食べたり、他の薬剤を内服したりすると、血中濃度が必要以上に上昇する場合があります。 生物学的製剤 生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質を応用して作られた薬の総称です。 関節リウマチは、免疫に関わる物質であるサイトカインが通常より増えて、関節の炎症や破壊が生じる疾患です。 生物学的製剤は、点滴や皮下注射によって、サイトカインおよびサイトカインを産み出す細胞の働きを抑えます。これにより炎症を和らげ、関節痛や腫れなどの症状を軽減させる仕組みです。 サイトカイン産生細胞には、炎症を引き起こすTNF-αや炎症に関与するIL-6などがあります。 主な生物学的製剤を以下に示します。 薬剤名 特徴 投与方法 投与間隔 インフリキシマブ TNF-αに作用する 点滴 4~8週間に1回 エタネルセプト TNF-αに作用する 皮下注射 1週間に2回 アダリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 ゴリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 4週間に1回 セルトリズマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 トシリズマブ IL-6に作用する 点滴 4週間に1回 サリルマブ IL-6に作用する 皮下注射 2週間に1回 アバタセプト T細胞に作用する 点滴 4週間に1回 T細胞とは、白血球の仲間であるリンパ球の1つであり、免疫機能をつかさどる細胞です。 生物学的製剤については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 JAK阻害薬 JAK阻害薬は、分子標的型のリウマチ治療薬であり、関節に炎症を起こす分子「JAK」の働きを抑える効果があります。2013年3月にトファシチニブが日本で承認され、同年7月に発売されました。(文献2) 生物学的製剤は注射もしくは点滴での投与ですが、JAK阻害薬は内服可能な薬です。 トファシチニブ以外の主なJAK阻害剤としては、以下のようなものが挙げられます。(文献2) バリシチニブ ベフィシチニブ ウパダシチニブ フィルゴチニブ JAK阻害薬の副作用では、帯状疱疹の発症リスクが高いとされています。加えて、悪性腫瘍や狭心症、心筋梗塞などにも注意が必要です。 JAK阻害薬は費用が高額であるため、医療保険で自己負担3割の方の場合、毎月5万円程度の医療費が発生します。 非ステロイド性消炎鎮痛剤 主な非ステロイド性消炎鎮痛剤は、アスピリンやロキソニン、インドメタシンなどです。プロスタグランジンと呼ばれる、炎症を引き起こす物質の産生を抑えて、関節痛や腫れを軽減させる役割があります。 効き目が速い点が特徴ですが、関節変形を抑える効果は期待できないとされています。 主な副作用は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍や、腎機能低下などです。 最近では、COX-2阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤が使用可能になりました。(文献3) 副腎皮質ステロイド剤 関節リウマチでは、症例により少量のステロイド剤を用いるケースがあります。主なステロイド剤は、プレドニンやリンデロン、デカドロンなどです。 炎症を抑える作用や免疫抑制作用が強く、はやく効果が出ます。しかし、骨粗しょう症や消化性潰瘍など、副作用も多いこともあり、リウマチ治療においては補助的な役割です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤の使用により、ステロイドを減量もしくは中止する例も増えています。 関節リウマチにおける薬物療法の目的 関節リウマチにおける薬物療法の目的は、「症状を抑えること」から「寛解導入」に移行しています。寛解とは、病気の進行が落ち着いている状態です。 現在、関節リウマチ治療の最終ゴールは、以下3点の達成・維持とされています。 臨床的寛解(炎症がほぼ消えた状態) 構造的寛解(関節破壊の進行が抑えられている状態) 機能的寛解(身体機能の低下がみられない状態) 関節リウマチは進行性の疾患であり、進行を止めることは難しいと考えられていました。その考えに変化が生じたのは、2000年前後です。 1999年に抗リウマチ薬の1つであるメトトレキサートが保険適用され、2003年には生物学的製剤が国内で発売開始されました。これらの変化により、関節リウマチの進行を抑えられるようになったのです。 リウマチの薬を飲まないとどうなるのか 副作用が怖い、症状が改善されたなどの理由により、自己判断でリウマチの薬を飲まなくなる方も少なくありません。しかし、自己判断で薬を中止すると、症状が悪化する可能性が高まります。 とくに、メトトレキサートを中心とする抗リウマチ薬のみの治療を受けている場合は、自己判断で中止すべきではありません。内服をやめた場合、症状の悪化率が倍になったという研究データもあります。 日本リウマチ学会による「関節リウマチ治療ガイドライン2014」を要約すると、減薬の優先度は以下のとおりです。 ステロイド 生物学的製剤 抗リウマチ薬 薬を飲むことに不安や疑問がある方は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談しましょう。 関節リウマチの薬について理解した上で治療を受けよう 節リウマチの薬は、免疫に関係して関節の炎症を抑えたり、関節痛や腫れ、変形を軽減したりする効果があります。 関節リウマチは進行性の疾患ですが、新たな薬の開発が進んでいることもあり、寛解を目標にできるようになりました。しかし、寛解を目標にできるのは、指示どおりに薬を内服している場合です。 自己判断で薬を減らしたり止めたりすると、病気に良くない影響を与えます。副作用が不安である、症状が軽減されたなどの理由で、薬の減量や中止を考えている方は必ず主治医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの薬や治療について疑問や不安のある方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの薬に関するよくある質問 関節リウマチの薬が効かず症状が改善されない場合もありますか? 薬物治療の効果が得られないケースもあり、その場合は薬を見直します。 抗リウマチ薬の内服を始めて3か月経過しても効果が不十分であれば、量を増やすか、生物学的製剤に切り替えます。 生物学的製剤を投与する場合も、3~6か月程度の経過観察が必要です。経過観察の結果、効果が不十分と判明したときは、他の生物学的製剤やJAK阻害剤に変更します。 内服・投与治療による効果が見られない場合は、手術療法も選択肢に入ります。 リウマチの治療費が高すぎると感じます。医療費の補助はありますか? 生物学的製剤やJAK阻害剤などは薬代が高いため、医療保険で自己負担3割の方の場合、1か月の医療費が3万円以上になることも少なくありません。(文献4) 医療費を軽減する主な制度が、高額療養費制度です。1か月の医療費が所定の自己負担上限額を超えたときに、加入している医療保険から上限を超えた分が支給されます。 高額療養費制度について詳しく知りたい方は、加入している健康保険組合やお住まいの市区町村役場などにお問い合わせください。通院先の医療機関で確認できる場合もあります。 参考文献 (文献1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「関節リウマチ」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease01.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献2) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「JAK阻害薬(ジャックそがいやく)」 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/medication/biologics/jak.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター「非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)」 https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/dtherapy/nsaids/(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 松野博明.「医療費を考慮した関節リウマチの治療」『臨床リウマチ』34(4), pp.268-274, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/34/4/34_268/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月16日)
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「手の関節痛やこわばりのために病院を受診したら、関節リウマチと診断された」 「関節リウマチの原因は何だろう」 「なぜ自分が発症したのか知りたい」 このようにお考えの方も多いことでしょう。 関節リウマチは自己免疫疾患の1つですが、原因ははっきりと解明されていません。 本記事では、関節リウマチの原因と考えられる三要素や治療法などについて解説します。関節リウマチの概要がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの原因 関節リウマチとは、自己免疫疾患や膠原病の1つであり、好発年齢は30代から50代とされています。女性に多く、患者数は男性の約4倍といわれています。 関節リウマチ発症の仕組みは現在もはっきりと解明されておらず、原因不明です。(文献1) その中でも原因として考えられるものは、主に以下の三要素です。 免疫システム 環境要因 遺伝的要因 免疫システム 関節リウマチは自己免疫疾患の1つに含まれます。 体内の免疫システムに異常が起こり、関節中の組織である「滑膜」が免疫細胞によって攻撃され、炎症を起こすことが知られています。(文献2) 関節の炎症を引き起こす物質は、「サイトカイン」と呼ばれる免疫細胞から作られるタンパク質です。サイトカインの中でも、IL-6(インターロイキン6)やTNF-α(腫瘍壊死因子α)の影響が大きく、これらが過剰に生み出されると炎症が悪化します。 炎症の結果起こる症状として挙げられるのが、関節痛や腫れ、朝のこわばりなどです。関節以外の症状としては、微熱や倦怠感などが見られます。 関節リウマチの概要や症状については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 関連記事 関節リウマチの全貌!症状、治療、診断基準まで徹底解説 関節リウマチの初期症状は?チェックリスト付きで現役医師が解説 環境要因 関節リウマチと関連する環境要因は、主に以下のとおりです。 喫煙 ウイルス感染 細菌感染 歯周病 腸内細菌叢 喫煙は多くの研究において、関節リウマチの発症リスクを高め、治療効果を弱める因子であると示されています。(文献3) 遺伝的要因 ヒトの遺伝子の中でも、HLAと呼ばれる「ヒト白血球型抗原」が、関節リウマチの発症に関する代表的なものとされています。 それ以外にも、免疫に関わる遺伝子がリウマチ発症に関係しているとされています。リウマチ発症に関係するといわれる遺伝子は、主に以下のとおりです。 PADI4 CCR6 TNFAIP3 家系調査では、三親等以内に関節リウマチ患者がいる方は、発症率が33.9%との結果が示されました。(文献4)三親等以内とは、自分から見て以下の間柄に該当する方です。 親 祖父母 曾祖父母 おじ・おば 兄弟姉妹 子ども 孫 ひ孫 甥・姪 関節リウマチと遺伝の関係は下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 発症の原因?関節リウマチと各要因の関係性 この章では、関節リウマチと関係があると考えられるストレス、飲酒、性格の3つの要因について解説します。 関節リウマチとストレスの関係性 現時点では、ストレスが関節リウマチ発症の原因である明確なデータは示されていません。 しかし、ストレスは免疫機能の低下を引き起こすため、リウマチ発症に間接的な影響を及ぼすとも考えられます。規則正しい生活を心がけ、十分な休養をとり、身体的ストレスの軽減が大切です。 精神的ストレス軽減のためには、好きなことをする時間をとる、気の許せる友人と話すなど、自分なりのストレス解消法を持つことが大切です。関節リウマチの患者会に参加して、同じ病気を持つ方と気持ちをわかち合うのも1つの方法でしょう。 関節リウマチと飲酒の関係性 現時点では、飲酒が関節リウマチ発症を引き起こす明確なデータは示されていません。 米国の研究結果では、1日のアルコール含有量換算10g未満の飲酒は、関節リウマチの発症リスクを軽減する効果が期待できると示されています。アルコール含有量10g未満とは、少なめのグラスワイン1杯(約120ml)や日本酒0.5合程度です。 ただし、抗リウマチ薬であるメトトレキサートの副作用には、肝機能障害が含まれます。メトトレキサートは通常、1週間に1・2回服用するものですが、内服日は禁酒が望ましいでしょう。 主治医から飲酒を禁止されている方は、その指示を守りましょう。 関節リウマチと性格の関係性 関節リウマチの原因の中に、個人の性格は含まれません。しかし、ストレス耐性が低い方は、小さなことでもストレスをためやすいため、免疫力の低下を招きやすいといわれます。 神経症的傾向がある方は、関節リウマチ発症後、患部の様子を気にして何度も触れることが多く、病状を悪化させやすいといわれています。神経症的傾向とは、ストレスを感じやすく感情の浮き沈みが激しい性格傾向のことです。 我慢強い性格の方は、関節リウマチの症状が出現しても治療を受けずに我慢してしまい、重症化しやすい可能性があります。 関節リウマチの治療方法 関節リウマチの主な治療方法としては、薬物療法と手術療法が挙げられます。 薬物療法 関節リウマチの治療で使われる主な薬は、免疫異常に働きかける抗リウマチ薬と、関節痛を和らげる薬です。抗リウマチ薬の代表が、メトトレキサートです。メトトレキサートを最大限使っても効果が出ない場合は、生物学的抗リウマチ剤を注射します。(文献5) また、炎症性サイトカインの産生を阻害する効果を持つ、JAK阻害剤を内服するケースもあります。くわえて、炎症緩和のため少量のステロイド剤を併用する場合も少なくありません。 関節リウマチの薬に関しては下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 手術療法 関節リウマチで変形した関節を使いすぎると、変形がますます強まり、関節破壊も進みます。関節リウマチで手術対象となるのは、関節破壊が進み、変形や可動域制限が著しくなった場合です。 関節リウマチ患者に対して行われる手術は、主に以下のとおりです。(文献6) 人工関節置換術 頚椎および腰椎の手術 手指の腱断裂再建手術 外反母趾矯正手術 足関節固定術 人工関節置換手術を実施する部位としては、膝や股関節、足、肘、指などが挙げられます。 関節リウマチの悪化を防ぐ5つの生活習慣 関節リウマチの悪化を防ぐために大切な5つの生活習慣を以下に示します。 生活習慣 詳細 禁煙 喫煙は関節リウマチを悪化させる大きな要因であるため、禁煙が望ましい。 バランスの良い食事 関節リウマチの方は貧血や骨粗しょう症になりやすい。鉄分・カルシウム・ビタミンDを中心にバランスの良い食事を心がけよう。 適度な運動 ウォーキングやリウマチ体操などが望ましい。関節可動域の維持もしくは改善、痛みの軽減、筋力維持が期待できる。 適度な休息 関節リウマチは関節だけではなく全身が慢性的に消耗しやすい。疲れたときには、休憩や昼寝などで適度な休息を取ろう。 内服管理 自己判断で薬を減らしたり中止したりすると、症状の悪化につながる。指示通りに内服し、減量や中止を希望するときは、主治医に必ず相談しよう。 バランスの良い食事については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 原因や治療法を知り関節リウマチの悪化を防ごう 関節リウマチの原因は、免疫システムの異常、環境要因、遺伝的要因の複合的な相互作用によると考えられますが、現時点では完全に解明されていません。 とくに、30代から50代の女性で、関節の腫れや痛み、原因不明の微熱や倦怠感などがある方は、早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチと診断された場合は、薬物療法を続けつつ、悪化防止の行動につとめることが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。 以下の記事は、実際の関節リウマチ治療事例です。 関連記事:症例紹介 関節リウマチの症例 メール相談やオンラインカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「関節リウマチとは」東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターホームページ, 2023年10月13日 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/about-rheumatism.html(最終アクセス:2025年5月14日) (文献2) 兵庫医科大学病院「関節リウマチ」兵庫医科大学PRESENTSもっとよく知る!病気ガイド https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/8(最終アクセス:2025年5月14日) (文献3) 川人豊「関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩Ⅰ.病因 2.環境的要因」『日本内科学会雑誌』101(10), pp.2824-2829, 2012 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/10/101_2824/_pdf(最終アクセス:2025年5月14日) (文献4) 湯川リウマチ内科クリニック「関節リウマチと遺伝」 https://yukawa-clinic.jp/knowledge/basicknowledge/genetic.html(最終アクセス:2025年6月5日) (文献5) 富山大学附属病院「最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ」富山大学附属病院ホームページ https://www.hosp.u-toyama.ac.jp/amc/topic13/(最終アクセス:2025年5月14日) (文献6) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチの手術について」京都大学医学部附属病院リウマチセンター https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/surgery(最終アクセス:2025年5月14日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「両手の関節がこわばっている気がする」 「朝になるとこわばりが強くなる」 「もしかしたら関節リウマチなのではないか」 手足や指などの関節に腫れやこわばりといった症状があると、関節リウマチを疑う方も多いことでしょう。医療機関で、「関節リウマチの疑いがある」と説明された方もいらっしゃるのではないでしょうか。 関節リウマチは、免疫異常により関節に炎症が生じる疾患です。しかし、関節炎症は他の疾患でも起こり、関節リウマチには確定的な診断基準が存在しません。そのため関節リウマチは、症状や各種検査所見などを総合的に判断した上で診断されます。 そこで本記事では、関節リウマチの診断で用いられる分類基準や、各種検査の役割について詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 関節リウマチの診断基準について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 関節リウマチの診断基準 関節リウマチには、単一の症状で確定診断できる診断基準が存在しません。(文献1) そこで使われるのが、分類基準と呼ばれるものです。従来は、1987年の米国リウマチ学会による基準が用いられていました。しかし、この基準では早期のリウマチ患者を診断できないケースがあったため、2010年に新たな分類基準が発表されました。詳しい内容は、次の章で説明します。 なお、分類基準はあくまで診療の目安として用いられるものです。実際は、医師が患者の症状や発症経過、検査結果などを総合的に判断した上で診断すると知っておきましょう。 関節リウマチの概要や症状などは、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチの診断スコア|2010年分類基準の内容 2010年に、米国および欧州リウマチ学会が合同で新しい分類基準を発表しました。この分類基準は、関節の腫れや炎症があり、それらの症状が他の疾患で説明がつかない場合に適用されるものです。(文献1)(文献2)関節症状、血液検査、症状の持続期間について点数を合計し、6点以上であれば、関節リウマチの可能性が高いとされます。 関節症状の評価 関節症状については、症状が出ている関節の部位と数を数値化して評価します。詳細を表に示しました。(文献1)(文献2) 症状が出ている関節の部位と数 点数 大関節1か所 0点 大関節2~10か所 1点 小関節(大関節症状の有無を問わない)1~3か所 2点 小関節(大関節症状の有無を問わない)4~10か所 3点 11か所以上の関節(小関節1か所以上を含む) 6点 大関節とは、足や膝、ひじ、肩、股関節などを指します。小関節は、手や足の指、手関節などです。 血液検査で調べる項目 血液検査では、血清学的検査と炎症反応の2種類を調べます。(文献1)(文献2) 血清学的検査の項目は、リウマトイド因子と抗CCP抗体の2種類です。詳細を表に示しました。 検査結果 点数 2種類とも陰性 0点 1種類が陽性かつ、数値が基準値の3倍以下 2点 1種類が陽性かつ、数値が基準値の3倍より大きい 3点 炎症反応の項目は、CRP値と赤血球沈降速度の2種類です。詳細を表に示しました。 検査結果 点数 2種類とも正常値 0点 2種類のうちいずれかが異常値 1点 症状の持続期間 症状の持続期間も点数にカウントされます。詳細を表に示しました。(文献1)(文献2) 症状の持続期間 点数 6週間未満 0点 6週間以上 1点 診断における挑戦と注意点 早期の関節リウマチでは、典型的な症状や血液検査の異常が見られないことがあり、診断が難しい場合もあります。 また、他の関節疾患との区別も重要です。専門医は、豊富な経験をもとに総合的に判断します。 診断後も、定期的に患者の状態をモニタリングし、治療方針を適宜見直すことが必要です。 また症状や検査結果の変化を見逃さず、適切な治療を続けることが重要です。 血液検査および画像検査の役割 関節リウマチの主な検査としてあげられるのが、血液検査と画像検査です。この章では、各検査の役割を紹介します。 血液検査 免疫に関する検査としては、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体などがあります。 リウマトイド因子陽性は、リウマチ患者の約70~80%に見られます。しかし、リウマトイド因子は膠原病や肝臓病などリウマチ以外でも陽性を示すことがあるため、単独での診断は難しい状況です。(文献3) 抗CCP抗体もリウマチ患者の約70~80%で陽性を示します。リウマトイド因子とは異なり、リウマチ以外で陽性になることは少ないとされています。(文献3) 炎症に関する検査としてあげられるものが、CRPや赤血球沈降速度です。CRPは、全身の急性炎症を表す指標であり、赤血球沈降速度は、慢性的な炎症の指標です。この2つはリウマチ以外の炎症性疾患でも高値を示します。そのため、炎症の検査単独で関節リウマチを診断するのは難しいといえるでしょう。 関節リウマチの血液検査については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 画像検査 画像検査としては、単純X線検査、MRI検査、関節超音波検査などがあげられます。(文献4) X線検査で確認できる所見は、主に以下のとおりです。 関節周辺の軟骨の腫れ 関節付近の骨の萎縮 関節の変形 骨びらん(関節周囲の骨が破壊される所見) 骨びらんは、リウマチの進行とともに見られる所見です。(文献4) MRI検査では、関節の内部を覆う滑膜や骨の炎症などを調べます。MRI画像を有効に活用すると早期診断に役立ちます。 超音波検査は、骨びらんの有無や滑膜の厚み、血流などを調べることにより、関節破壊や炎症の状況を確認できる検査です。診察で確認できなかった関節の炎症を診ることも可能とされます。 検査所見は診断における重要な指標ですが、症状や発症経過も大切な判断材料です。検査結果が正常でも症状が持続する場合は、再度医療機関を受診してください。 関節リウマチの診断基準を知った上で正しい診断を受けよう 関節リウマチの診断では、主に2010年分類基準が用いられます。しかし、この基準は関節リウマチの特徴を把握するための目安であり、確定診断に用いるものではありません。分類上の数値や検査所見に加えて、医師による総合的な診断が必要です。 検査結果が正常であっても症状が続く場合は、自己判断せず再度医療機関を受診しましょう。 関節リウマチは、早期診断と早期治療が重要であり、進行を防ぐためにも、早めの受診が望ましいといえます。 当院、リペアセルクリニックではメール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの診断基準や現在の症状について疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの診断基準に関するよくある質問 関節リウマチの検査は何科で受けるものですか 基本的には、リウマチ科や膠原病科、もしくはこれらの科を標榜している整形外科です。自宅近くにこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科医を受診しましょう。リウマチの疑いがある場合は、かかりつけ医が紹介状を書いてくれるケースが多いため、それを持って専門の科を受診する流れになります。 公益財団法人日本リウマチ財団や、公益社団法人日本整形外科学会のホームページで専門医を探すことも可能です。 関節リウマチは検査をしたらすぐにわかりますか 関節リウマチは、検査をしたらすぐにわかるものではありません。関節リウマチの症状は、他の疾患による症状と類似していることも多く、診断が容易ではないためです。 レントゲンや超音波検査などは、検査結果がすぐに出ますが、MRI検査や各種血液検査は、結果が出るのに数日かかります。検査結果に加えて、患者の症状や医師の診察所見も加えて診断するため、確定診断には時間がかかると覚えておくと良いでしょう。 参考文献 (文献1) 関節リウマチの診断|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献2) 関節リウマチと診断するための基準|リウマチe-ネット (文献3) 診断のための検査|公益財団法人日本リウマチ財団 (文献4) 関節リウマチの画像診断|臨床リウマチ
2024.07.22 -
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こり、痛みや腫れを起こす病気です。 進行すると関節の変形や機能の障害を残してしまいます。 関節リウマチでは膝の痛み、膝の腫れも多い症状です。 膝が痛いとき、変形性膝関節症と考え「年のせいでは?」と悩んでいる方もいるでしょう。 もし関節リウマチだった場合に放置していると、悪化してしまう可能性もあります。 この記事では関節リウマチによる膝関節炎の症状や治療法について解説していきます。 膝の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてみてください。 膝の関節炎とリウマチの違い 関節炎とリウマチの違いは、大きく分けると以下の通りです。 関節炎 さまざまな原因で関節に起こる炎症の総称 リウマチ 関節炎を起こしている症状の1つ たとえば関節リウマチでは、自分の体を細菌やウイルスから守る免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こります。 関節リウマチが起こると痛みや腫れを感じるでしょう。 関節リウマチは無治療のままで放置してしまうと、関節が変形など機能的な障害をきたすので注意しましょう。 以下の記事では関節炎の1つ「化膿性関節炎」について解説しています。 治療法や再発予防もまとめたので、具体的な症状なども把握しておきたい方は、ぜひご覧ください。 リウマチが発症する主な原因や症状 関節炎とリウマチの違いが理解できても「気づかないうちに痛みを感じるようになった」方もいるでしょう。 ここからは、リウマチになる主な原因と症状を順番に解説していきます。 関節リウマチの主な原因 関節リウマチの多くは40〜60歳代頃の中高年女性に発症します。 正確な原因はまだ明らかになっていませんが、自己免疫疾患とも言えるでしょう。 自分の組織に対して攻撃する抗体が作られてしまい、関節内の滑膜にリンパ系の細胞が集まって炎症性の物質が作られるのが原因とも考えられています。 【リウマチの発症が疑われるサイン】 起床時に関節部分がこわばっているように感じる 関節が腫れている 関節が熱っぽい 力が入りにくい 日常生活の作業が上手くいかない 家族にリウマチの患者がいる など 上記の症状が感じられる方はリウマチになっている可能性があるので、しっかり検査しておきましょう。 発症には遺伝的な要因や喫煙、歯周病などが関連しているとわかっています。 発症すると関節炎によって痛みや腫れを起こし、進行すると関節の変形を生じてしまうため、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の症状 関節リウマチで多い症状は手や足の指の腫れ、痛み、朝のこわばりなどです。 膝関節で滑膜が増殖して炎症を起こすと膝関節炎をきたしてしまいます。 膝関節炎の主な症状は以下の通りです。 膝が腫れる 膝に水が溜まる 歩くときや階段での痛みを感じる 膝が曲がらない など 膝の痛みは膝裏に起こるケースが多く、曲げ伸ばしのときに音が生じた経験もあるでしょう。 炎症が強い場合には安静にしていても歩けないくらいの激痛が生じる場合もあるので注意してください。 なお、リウマチはあくまで関節炎の1つなので、以下の表で似ている症状をまとめました。 病名 主な症状 膠原病(こうげんびょう) 関節に痛みを感じたり血管症などの症状がある 線維筋痛症 手足の関節だけでなく筋肉に激痛を感じるケースがある 比較的女性が発症しやすい 関節炎とリウマチの違いについてだけでなく、細かい症状の違いや治療法などが気になる方は、以下の記事で詳しく解説していきます。 膝関節炎を放置するリスク 膝の関節炎を放置しておくと、関節の軟骨がなくなってしまうだけでなく、徐々に関節の変形が進んでいきます。 日常生活を送る上で「多少の痛みだから」と放置しすぎてしまうと、膝の曲げ伸ばしが難しくなるので注意してください。 骨同士のぶつかりだけで痛みを感じる可能性もあるので、症状が悪化してしまいます。 関節の変形を生じさせないためにも、早期の発見と治療が大切です。 リウマチによる膝関節炎の診断方法 リウマチの診断は問診、身体診察と血液検査、画像検査などを組み合わせて総合的に行います。関節が腫れて、痛む病気は複数あり、検査だけで関節リウマチと診断できない場合があるからです。 関節リウマチの診断基準を使用して診断を行うので、専門家である医師の診断が必須となります。 現在では2010年に米国、欧州リウマチ学会が合同で発表した分類基準を使用するケースが大半です。(文献1) 以下の4項目についてそれぞれ点数をつけ、合計して6点以上であれば関節リウマチと診断します。 診断基準 症状がある関節の数 症状が続いている期間 血液検査での炎症反応の数値 血液検査でのリウマトイド因子や抗CCP抗体の数値 血液検査では、リウマトイド因子や抗CCP抗体が重要で、多くの関節リウマチで陽性になります。 しかし、両方とも陰性でも関節リウマチと診断されたり、陽性でも関節リウマチではなかったりもします。 炎症反応は活動性を反映する指標ですが、リウマチ以外でも上昇する可能性もあるので診断結果は要チェックです。 画像検査は診断基準には含まれませんが、単純レントゲン写真では「骨びらん」と呼ばれる骨の異常な透過性がみられる場合があります。 関節エコーやMRI検査も滑膜炎の範囲、程度を評価するのに有用です。 リウマチによる膝関節の治療法 リウマチによる膝関節の治療法は、日常生活で応急処置をする方法はもちろん、専門医からお薬を処方してもらう方法などがあります。 ここからは、自宅でできる応急処置から薬物治療などの治療法を解説していきます。 体や関節を保温する 膝の関節炎だけでなく、体の関節が動かしにくいと感じた場合、患部を保温すると効果が期待できます。 冬場はもちろん、夏場の冷房があたるのも避け、長袖や長ズボンを着用しておくのがおすすめです。 患部を保温しておくと関節部分の血液がよく流れ、こわばりなどの症状を軽減する効果が期待できるのです。 関節が腫れている場合は炎症が起きている可能性があるので、保温以外の治療法を選択する必要があります。 以下の記事では、関節リウマチの初期症状や治療を詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 食事や姿勢などの私生活を見直す 関節リウマチの患者様は、食生活だけでなく姿勢改善などを普段から実施してもらうのがおすすめです。 症状を悪化させないためにも、以下のポイントには要注意です。 砂糖や加工食品を摂取しすぎない 激しい運動を控える 首に負担をかけない 同じ姿勢を長時間とる 重いものを持つ 正座をする 喫煙をする ストレスを溜める など 詳しい改善項目は、以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。 専門医から抗リウマチ薬を処方してもらう リウマチの治療法は基本的に薬物治療です。 リウマチと診断した早期から、抗リウマチ薬を開始し、痛みの程度に応じて炎症を抑えるステロイドや、鎮痛薬を併用します。 薬物治療を開始しても膝関節炎の症状が続く場合にはサポーターを使用したり、膝関節に注射をしたりする方法があります。 日本リウマチ学会による2020年のガイドラインから代表的なお薬を以下の一覧でまとめました。(文献2) 抗リウマチ薬 メトトレキサート(第一段階) 生物学的製剤やJAK阻害薬(第二段階) 関節リウマチはこれまで治療が難しく、関節の変形が進行してしまう患者様も多かったのですが、現在では薬剤の種類も多くなっています。 効果が高いお薬もあるため、適切に治療すれば症状を抑えられます。 しかし、膝の関節炎が治まらず、関節の変形や破壊が進行した場合、人工関節置換術などの手術治療が行われるので不安に感じている方もいるでしょう。 膝の痛みは現在、⼿術をしなくても治療できる時代になっているので、気になる方は気軽にお問い合わせください。 まとめ・関節炎とリウマチの違いを把握して適切な治療を行おう! 関節リウマチによる膝関節炎は、日常生活に大きな影響を与える深刻な疾患です。 膝の痛みや腫れを放置すると、関節の変形や機能障害が進行し、歩行困難や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。 しかし、早期発見と適切な治療を行えば、症状の進行を抑え生活の質を維持できます。 関節リウマチの診断には、問診や身体診察、血液検査、画像検査が用いられるので、専門医による診断が必須です。 リウマトイド因子や抗CCP抗体の検査結果が重要な診断指標となり、診断基準に基づいて総合的に判断されます。 自己判断で治療を中断したり放置したりせず、定期的な診察と検査を受けるよう心がけましょう。 日常生活では関節に負担をかけないように注意し、適度な運動やストレッチを取り入れるのも大切です。 関節リウマチの早期発見と適切な治療を通じて、健康的で快適な生活を維持しましょう。
2023.09.10 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
- お皿付近に違和感
「関節リウマチになったらやってはいけないことはある?」 「関節リウマチで食べてはいけないものは?」 関節リウマチの症状を改善したくて、日常生活で何に気をつければ良いか知りたいと考えていませんか? 痛みやこわばりでつらい思いをしないで済むよう、できることがあるならやっておきたいですよね。 結論、関節リウマチとうまく付き合うために日常生活の中で避けてほしいことがあります。 本記事では、関節リウマチの患者様が避けるべき10項目を紹介します。 本記事を参考にしていただき関節リウマチの症状軽減を目指すとともに、日々の生活を快適に過ごせるように意識してみてください。 関節リウマチのしてはいけない10項目とは? 関節リウマチの患者様がしてはいけない10項目は以下の通りです。 症状を悪化させないために、紹介した10項目を避けるよう心がけてみてください。 ①砂糖や加工食品の摂りすぎ https://youtu.be/4LeBKWd3w2s?si=qFEX9A8IULDRFirM 関節リウマチの症状を悪化させる可能性がある食べものとして、以下があります。 砂糖入りの飲食物 赤身の肉 加工食品 また、不飽和脂肪酸のn-3系とn-6系の摂取するバランスが崩れることも関節リウマチの痛みと関わっているので、バランスの良い食事を意識することが大切※です。 ※出典:PMC PubMed Central 以下に根拠となる研究をご紹介します。 砂糖入りの飲食物 砂糖入りの飲みものは、以下2つの研究から関節リウマチの悪化因子であり、発症リスクを高める因子でもあることが報告されています。同時にデザートもリウマチの悪化因子だと報告があるので、注意が必要です。 217人の関節リウマチ患者を対象とした、自己申告による研究があります。20種類の食品のうち、最も関節リウマチの症状が悪化したと報告されたのは砂糖入りの炭酸飲料とデザートでした。 ※文献1:PMC PubMed Central アメリカの約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、砂糖入り炭酸飲料と関節リウマチの発症リスクの関連性を評価しています。毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%高いことがわかりました。 ※文献2:PMC PubMed Central 赤身の肉 関節リウマチを悪化させる可能性がある食べものとして赤身肉の報告があります。 217人の関節リウマチを有する患者を対象とした研究において「赤身肉を食べると関節リウマチの症状が悪化する」と報告した人の割合は、20種類の食品の中では高い方でした。 ※文献1:PMC PubMed Central 関節リウマチの新規患者88名とそうでない176名を比較した研究では、患者群の方が赤身肉の摂取量が高い結果でした。 ※文献3:PubMed 加工食品 加工食品の摂取量が多いと、関節リウマチ患者の心血管系疾患のリスクが高くなる可能性が報告されています。 56人の関節リウマチ患者の摂取している食品を加工レベル別に評価した結果、糖分・塩分・脂肪を多く超加工食品の摂取量が多いほど患者の心疾患リスクが上がりました。 ※文献4:SPRINGER NATURE Link 関節リウマチと食べものについてはさまざまな研究が行われていますが、いずれも摂取量の多いことが問題になっています。 関節リウマチの症状を悪化させないためにも、同じものを極端に食べすぎず、バランスの良い食事を心がけましょう。 ②激しい運動 痛みが強く出ているときは、激しい運動を避けるべきです。炎症が起きている関節に負担がかかることで、症状が悪化する場合があります。 ただし、関節の動きを良くするためにも適度な運動は推奨されています。治療を続ける中で痛みがコントロールできている場合は、適度に体を動かし、手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持しましょう。 関節リウマチは、関節だけでなく全身に症状が出やすい病気です。運動は無理のない範囲で行い、疲れたら休憩や昼寝など適宜休息をとりましょう。 ③体や関節を冷やす 体や関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。 寒い季節はもちろん、夏も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。温まって関節の血液の流れがよくなると、こわばりや痛みをやわらげる効果が期待できます。 ただし、関節が腫れて熱感があるときは炎症が起きている可能性もあるので、温めないようにしましょう。 ④首に負担をかける行動 関節リウマチが進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限をきたします。 過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、呼吸障害が起こる可能性があるのです。 首に負担がかかる動作の一つに起居動作が挙げられます。朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰かけてから立つ習慣をつけましょう。朝は不用意に首を回さないようにし、首の運動は医師の診察を受けた上で行うことが重要です。 ⑤肥満 肥満だと膝や股関節などの主要な関節に過剰な負担がかかり、炎症が悪化する可能性があります。体重管理を適切に行うことで関節への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐよう心がけましょう。 体重管理の観点からバランスの取れた食事と適度な運動が重要です。 ⑥同じ姿勢を長時間とる 同じ姿勢を長時間保つのは同じ部位に負担をかけてしまいます。定期的に姿勢を変えて、関節に負担がかかりすぎないようにしましょう。 特にデスクワークや座りっぱなしの仕事では、適度に休憩をとったり、ストレッチを行ったりすることが重要です。 ⑦重いものを持つ 関節リウマチの好発部位は、手指や手首の関節です。重いものを持つと過剰な負担をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。 日常生活では重いものを持つ機会をできるだけ避け、必要な場合は道具などを利用して負担を軽減しましょう。 症状があるとうまくものが持てないこともあるので、周囲のサポートを得るのも大切です。 ⑧正座をする 正座は膝関節に大きな負担がかかるので可能な限り避けましょう。とくに、正座を長時間続けるのは、膝や足首の可動域が制限され血行不良を招きやすいので、関節の痛みや腫れを引き起こす可能性があります。 正座を避けて椅子に座る、膝を伸ばして楽な姿勢をとるようにしましょう。 関節リウマチによる膝の関節炎について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ⑨喫煙をする 関節リウマチの患者様は、禁煙が勧められます。喫煙は関節リウマチの症状を悪化させるだけでなく、病気を進行させる要因になり、死亡リスクが上がる可能性も報告されています。 とくに死亡リスクに関しては、リウマチの診断後に禁煙した人は喫煙を継続した人よりも死亡リスクが低くなると報告されていました。(文献6) 今更だと思わずに、早めに禁煙に取り組みましょう。 関節リウマチと喫煙の関係性を詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 ⑩ストレスを溜める 手がこわばってものがつかみにくいなど、関節リウマチの患者様は日常生活の不自由さからストレスを感じやすいです。ストレスが溜まることで自律神経の乱れやメンタルに不調をきたしてしまうことから、健康的な生活から遠ざかる可能性があります。 リラクゼーションや適度な運動を取り入れて、ストレスを溜めないことが、関節リウマチの治療を後押ししてくれます。 関節リウマチかも?と思ったら早めに受診しよう 関節リウマチかもしれないと思ったら、早めに整形外科を受診しましょう。 関節リウマチは、進行すると関節の変形や機能障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす病気です。始めは軽い痛みや腫れであっても、時間が経つにつれて悪化し、治療が遅れると回復しづらくなります。 関節リウマチを疑う症状として、以下のようなものがあります。 服のボタンが外しづらい びんの蓋が閉められない 床に落としたものが拾えない 朝起きたときにベッドから起き上がれない 早期に受診し適切な治療を開始すれば、薬物療法やリハビリテーションで関節の損傷を抑えつつ症状をコントロールすることが可能です。 もとに戻らないほど関節が変形してしまう前に、早めに整形外科へご相談ください。 関節リウマチではない膝の痛みは変形性膝関節症かも?詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチに関するよくある質問 関節リウマチに関するよくある質問をまとめて紹介します。 関節リウマチとはどんな症状ですか? 関節リウマチの症状には、関節の動かし始めがスムーズにいかない「こわばり」や腫れ・痛みなどがあります。 関節リウマチは免疫機能の異常によって骨や軟骨・関節の破壊が起こることが原因とされています。万が一「関節リウマチかも?」と思ったら早めに受診しましょう。 関節リウマチの症状について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチは生物学的製剤で本当に治せますか? 生物学的製剤で効果があれば、休薬しても症状が落ち着いている状態を目指せます。 関節リウマチの原因である免疫異常の改善が期待できる上、炎症を抑える効果もあるため、進行を抑えながら症状をコントロールできます。 関節リウマチで使われる生物学的製剤について詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。 関節リウマチになりやすい性格はありますか? 関節リウマチになりやすい性格は、ありません。 ただ、我慢強い性格の人は治療開始が遅れたり、神経質でストレスを感じやすい人は治療が難航したりする可能性があります。違和感があったら早めに受診し、不安があれば専門医に相談しましょう。 再生医療の幹細胞治療に関する詳細は以下をご覧下さい 関節リウマチのしてはいけない10項目を守ろう 関節リウマチの患者様には、してはいけない10項目を避けて、健康的な食事とライフスタイルを心がけましょう。 重症化すると、普段の生活もままならなくなってしまう可能性があります。 治療と並行して関節の負担を減らし、症状をコントロールできるよう、普段の生活から意識してみてください。 万が一、関節リウマチの治療をしていても膝の痛みがよくならない場合は、他の疾患が隠れているかもしれません。 再生医療が適応になる可能性がありますので、お困りの場合は当院へご相談ください。
2022.08.19 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 関節リウマチ
- 膝の慢性障害
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水を抜く方法は「病院」と「セルフケア」で2種類ありますが、自分でできるストレッチやマッサージは負担軽減の側面が大きいため、根本的な改善に至らないこともある点には注意が必要です。 この記事では【医師監修】のもと、病院で行われる膝の水を抜く処置の具体的な流れや注意点、そしてご自身でできるストレッチ・マッサージといったセルフケア方法を詳しく解説します。 「癖になるって本当?」「自分でできることはないの?」といった疑問にもお答えしていきますので、あなたの膝の悩みを解消するための一歩として、ぜひ最後までお読みください。 また、リペアセルクリニック公式YouTubeでも「膝の水を抜く方法」について詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法は?ストレッチやマッサージ方法を紹介 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 ①パテラセッティング:膝のお皿周りの筋肉を刺激する パテラセッティングは、膝を支える重要な筋肉である太もも前側(大腿四頭筋)を、比較的膝関節に負担をかけず安全に鍛えることができる基本的な運動です。 この運動は、膝関節自体を大きく動かさずに大腿四頭筋を刺激できるため、膝に痛みがある場合でも比較的行いやすいトレーニングです。 膝のお皿(膝蓋骨)が少し上に動くのを確認しながら行うと効果的です。 ② 太もも前側(大腿四頭筋)のストレッチ:膝を支える筋肉の柔軟性を高める 膝の曲げ伸ばしに大きく関わる太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばし、柔軟性を高めることで膝への負担を軽減するストレッチです。 膝自体に痛みがある場合は、曲げる角度を調整するか、このストレッチを控えてください。 筋肉が温まっているお風呂上りなどに行うとより効果的です。 ③ お尻周りのストレッチ:股関節から膝への負担を軽減する お尻周りの筋肉(殿筋群)の柔軟性を高めることで股関節の動きをスムーズにし、結果的に膝への負担を軽減する効果が期待できるストレッチです。 股関節や膝に痛みがある場合は、無理のない範囲で行いましょう。 デスクワークの合間などにも手軽に取り入れやすいストレッチです。 ④ 膝周り・太もものマッサージ:血行を促進し筋肉をほぐす 膝周りや太ももの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで、膝の不快感の軽減や動きの改善をサポートするマッサージです。 マッサージは、筋肉がリラックスしている入浴中や入浴後に行うのが効果的です。 オイルやクリームを使うと滑りが良くなり、肌への負担も軽減できます。 注意点:痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。 むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 膝に水が溜まる原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
2022.06.29 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 関節リウマチ
人工関節置換術、膝の手術を決断する前に知っておくべきこと 膝関節に変形や炎症が起きたりする病気があると、膝に人工関節を入れなくてはいけない状態になることもあります。それが膝への人工関節置換術という名称の手術になります。その手術を決断する前に、手術の流れや合併症、手術に備えて準備するべきことなどを知ることは非常に大事です。 膝関節とは まず、膝関節とは何かについて述べていきます。膝関節は3つの骨で支えられています。太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、いわゆる膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の3つです。 その3つの骨と、太ももの筋肉である大腿四頭筋と、膝の腱である膝蓋腱で膝関節をつくっています。これらの3つの骨と筋肉、腱が支え合うことで、私たちが、走ったり、飛んだり、座ったりするときに安定するようになっています。 膝関節の病気 膝関節の病気については様々なものがあります。変形性膝関節症、膝靭帯損傷、関節リウマチなど様々な病気があります。また、スポーツ外傷でも膝の慢性的な障害を起こしたりします。それらの病気の中で、変形性膝関節症や関節リウマチは、変形や炎症が強くなった時に、人工膝関節置換術という、人工関節のための手術を行う必要のある病気です。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝が痛くなり水が貯まる病気です。最初は歩き始めに痛い程度ですが、徐々に階段を登ることが難しくなり、最終的には、休んでいる時も痛みが取れなくなるような病気です。 変形性膝関節症では、膝が変形して、伸ばすことができなくなります。変形性膝関節症の治療法は、症状が軽いうちは、炎症を抑える薬を飲んだり、膝関節にヒアルロン酸の注射をしたり、リハビリを行なったりします。しかし、重症になると、人工関節の手術をするか否かの選択が必要になります。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節内にある『滑膜』とよばれる組織が、異常に増えることが原因で、関節の中に炎症が起きる病気です。関節リウマチでは身体の中のいろいろな関節が破壊されるので、膝だけでなく、手や足など様々な関節に変形を起こします。 関節リウマチの治療は、抗リウマチ薬や、炎症を抑える薬、免疫抑制剤、ステロイド剤などの薬を飲むことが一番大事です。お薬の治療に併用して、ヒアルロン酸の関節内注射やリハビリなどが行われることもあります。 関節リウマチも治療が遅れたりして重傷になると、人工関節のための手術を行うか同課の選択が必要になります。 膝の人工関節とは 膝の人工関節は、金属や、ポリエチレンやセラミックなどで作られます。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で、変形し傷ついた膝関節を取り出して、手術によって膝用の人工関節を変わりに入れます。悪くなってた関節を置換えるイメージです。 この人工関節は、膝の動きを再現するために3つの部品から作られています。人工関節の3つの部品は、実際の膝を構成している3つの骨(大腿骨部、脛骨部、膝蓋骨部)の部分をそれぞれ担当しています。 人工関節置換術/手術 膝の人工関節を入れるためには人工関節置換術という手術が必要です。手術が必要ということは、もちろん入院も必要です。昨今の新型コロナウイルスの関係で、入院生活は、家族や友人との面会が制限されているところが多いです。 入院前に入院生活のために必要な物品や、家族や友人との連絡手段を事前に決めておく必要があります。手術は全身麻酔をかけて眠った状態で行われます。そのため、麻酔から覚めて、目が覚めると手術が終わっている状態になります。 手術自体は、膝の皮膚を切り開いて、骨が見える状態になったら、器械を使って傷のある膝の部分を削り、人工関節の形に合わせて残りの骨の形を調整します。形の調整ができたら人工関節をはめ込みます。しっかりと固定できていることを医師が確認したら、縫い合わせます。 手術の傷口にたまった血液を出すための管を入れて傷口をふさぎ手術が終わります。手術の時間は、平均2−3時間程度のことが多いですが、もともとの病気や膝の状態に応じて手術の時間は変わってきます。 人工関節置換術の術後 手術が終わればすぐに退院できるという訳ではありません。手術した関節を安定させるために、リハビリを開始します。リハビリは手術後の状態に応じて開始時期が異なりますが、早ければ手術翌日から段階的に始めることが多いです。 リハビリは、寝たまま膝を伸ばしたりして筋力をつけることから始まり、だんだんと平行棒などを使用したり、歩行器などで歩く練習などへと移行していくのが一般的です。 外来通院でリハビリを実施できる患者さんは退院が早くなりますが、外来に通院するのが難しい患者さんは、手術した病院からリハビリ専門の病院に転院してリハビリを行うことになります。 そのため入院期間は患者さんによって異なりますが、多くは2週〜4週くらいのことが多いです。 人工関節置換術(手術の合併症) 人工関節置換術を行うことで一番気をつけなくてはいけないのが、手術した場所に悪い菌が感染することです。感染すると、腫れたり、発熱したりします。 手術した場所に感染が起きると抗生物質による治療が行われますが、多くの場合、再び手術のやり直しが必要になることがあります。そのほかには麻酔によるアレルギー反応や、手術によって身体が防御反応を示し、血液が固まりやすい状態になることから血栓症の心配もあります。 手術中はもちろん、手術後にじゃ身体を動かすことができないことから、血の流れが滞ることで静脈内に血栓という血液が固まったものができる事がああります。これが深部静脈血栓症です。この血の塊が血液の中に混じって肺へ移動することで、肺の血管を詰まらせることがあります。これを肺塞栓症といい、生命の危機にもかかわりかねないため注意が必要です。 その他、術後としては、人工関節のゆるみや、歩けるようになったことで逆に転倒し、脱臼や、その周りの骨を骨折するという心配もあります。もちろんこれらのリスクには予防法があります。手術に際しては主治医から説明を受け、十分に納得して挑んで頂ければと思います。 人工膝関節置換術/手術の一般的なリスク 細菌による感染症(抗生物質、再手術) 麻酔によるアレルギー反応 肺塞栓症、深部静脈血栓症 人工関節は、緩むことがある 転倒による脱臼や骨折の可能性 その他 まとめ・膝の人工関節、手術を決断する前に知っておくべきこと 人工関節にするには、手術が必要なため入院が必要です。入院期間は短くはなってきましたが1か月ほどは見ておきたいものです。また、手術を行うことによる合併症のリスクもあります。できれば膝に違和感を感じたり、痛みを感じるようになった時は早めにリハビリや投薬などの保存的治療を受けて手術を避けることが一番です。 ただ、既に症状が進んでしまった場合は、しっかりと説明を受けて納得して手術を受けましょう。 ですが近年は医学が発達、「再生医療」という新しい先端医療を選択できる道ができました。この方法なら手術が不要で、入院も不要という興味深い方法です。 https://youtu.be/N1DJGcURhsg?si=rMtZGgghatI3U2n0 ▶山や川が好きな患者様。再生医療(幹細胞治療)を体験されたご友人にお薦めされご来院。 手術に不安をお待ちの方は、当院のような再生医療専門の医療機関に問い合わせてみても良いでしょう。いずれにしても人工関節になると、元には戻せないだけによく理解してお取組みください。 また、昨今は新型コロナウイルスの関係で面会が制限されています。家族と会えない数週間は、患者さんにとって、とても寂しくつらい期間です。手術のために入院する患者さんは、家族や友人とビデオ通話ができるように準備などをしてのぞむのも一つ方法ではないかと思います。 以上、膝への人工関節置換術、その手術を決断する前に知っておくべきことについて記載させていただきました。参考にしていただけると幸いです。 ▼ 再生医療が膝関節の治療を変える! 手術不要、入院も必要ない日帰りで治療する膝関節症の新たな選択肢、再生医療
2022.06.21