関節リウマチの発症後に避けて欲しいこと!
目次
関節リウマチを発症後に、避けて欲しいことを解説します
関節リウマチは、関節の痛みや腫れ、そして運動制限を引き起こす慢性的な自己免疫疾患です。この病気と向き合うためには、医師の指導のもとで適切な治療を受けることが重要ですが、日常生活の中で避けるべき行動や気をつけるべきことも多くあります。
関節リウマチの原因は、自己免疫疾患とみなされる「炎症性疾患」です。特定の食品や飲料を避けること、また特定の運動や生活様式を避けることは関節リウマチの人々の症状を緩和し、全体的に生活の質を向上させる可能性があります。
そこで、この記事では、関節リウマチを発症した方が避けるべきこと、やってはいけないこと、注意すべき点について、飲食品、また生活様式についてそれぞれの観点から紹介します。
関節リウマチで避けて欲しい食事とは
まず、関節リウマチには食事に注意が必要様です。症状を悪化させる可能性のある飲食品があるからです。ここでは、それについてご紹介しましょう。
砂糖に注意
砂糖の摂取は、元気な人であってもある程度の制限はすべきですが、関節リウマチを患っている場合は特に注意が必要です。
217人の関節リウマチを有する患者を対象とした、自己申告による研究では、20種類の食品のうち、砂糖入りの炭酸飲料とデザートを摂取することが、関節リウマチの症状を悪化させることと関係があると報告しています。
さらに、約19万人の女性を対象とした大規模な疫学調査では、毎日1缶程度以上の砂糖入り炭酸飲料を摂取している人は、全く飲まない、あるいは毎月1缶未満程度しか摂取しない人に比べ、リウマチ因子陽性の関節リウマチを発症するリスクが63%上昇していました。
つまり砂糖は、「関節リウマチの悪化因子」であるだけなく、「発症リスクを高める因子」でもある可能性があるということです。なお、砂糖は、キャンディー、炭酸飲料、アイスクリームだけでなく、バーベキューソースやドレッシングなどのようにあまり目立たない食料品にも含まれているので注意が必要です。
加工肉と赤身肉に注意
赤身肉や加工肉も、関節リウマチを悪化させる可能性のある食品として知られています。
前述の217人の関節リウマチ患者を対象とした研究でも、赤身の肉は共通して関節リウマチの症状を悪化させることが分かっています。
さらに、約2万5千人を対象に詳しく調査した研究でも、赤肉の大量摂取は関節リウマチの危険因子である可能性があると判定されています。
高度に加工された食品に注意
ファーストフードや朝食用シリアルなどの加工食品は、精製された穀物や砂糖、保存料、その他炎症を引き起こす可能性のある成分を多く含んでおり、すべて関節リウマチの症状を悪化させる可能性があります。
また加工食品を多用した欧米型の食生活は、炎症や肥満などの危険因子を助長し、関節リウマチの患者における心筋梗塞や脳卒中など、心血管系の疾患を発症する可能性が高くなることもわかっています。
特定の植物油に注意
植物油に多く含まれる「オメガ6系脂肪」が多く、魚油やエゴマなどに含まれる「オメガ3系脂肪」が少ない食事は、関節リウマチの症状を悪化させることがあります
これらの脂肪は健康維持に必要なものです。しかし、西洋系の食事に含まれる油はオメガ6系が多く、オメガ3系が少なすぎるため、双方の比率がアンバランスとなり、炎症が増加する可能性があります。
植物油などのオメガ6系脂肪を多く含む食品の摂取を減らし、脂肪分の多い魚などのオメガ3系脂肪を多く含む食品の摂取を増やすと、関節炎の症状が改善される可能性があります。
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関節リウマチで避けておきたい運動や生活様式とは
次に、関節リウマチの方の症状を悪化させる可能性のある運動や生活様式をご紹介します。
過度な運動は避けましょう
関節リウマチの方々に、適度な運動は推奨されています。しかし、痛みを堪えなければできないほどの過度な運動は避けるべきです。
よく関節リウマチの方が痛みを訴えると、安静にすることを指導されます。しかしここでいう「安静」とは「まったく動かさない」」ということではありません。
むしろまったく運動しないことによって、各関節を支える筋肉の力が低下したり、筋肉が萎縮したりして、結果として関節が固まってしまって動かせなくなってしまう、拘縮を生じることがあります。
そこで手足の筋力や関節の可動域(動かせる範囲)を維持するために、適度な運動を行うことはとても重要なことです。
ただ関節が腫れたり、熱感があったりするときは、内服だけでなく冷湿布をし、安静にし、重い荷物を長時間持ったり、長時間歩いたりなど、関節に負担がかかることは避けるようにしましょう。
関節リウマチは、関節だけでなく全身が消耗する病気です。そのため、全身と関節の安静が必要です。夜、十分な睡眠をとるとともに、日中も疲れたら休憩や昼寝など適時休息をとることが大切です。心身の疲れを溜め込みすぎないように心がけましょう。
体や関節を冷やしすぎてはいけません
関節を冷やしすぎると関節痛が強くなったり、関節が動かしづらくなったりすることがあります。
寒い時期だけでなく、夏の時期も冷房の風が直接あたるのを避け、長袖や長ズボン、ブランケットなどで関節部位の保温を心がけましょう。ただし、関節が腫れて熱感があるときは、関節の炎症が起きている可能性もがありますので、その際は温めないようにしましょう。
首に負担のかかる行動を避ける
関節リウマチは、進行すると頚椎の炎症を起こし、頸部痛や頸部の運動制限を来します。そのような状況で、過度に首に負担がかかる行動をすると、頚椎の亜脱臼を起こして脊髄神経を圧迫し、四肢の痺れや麻痺、また呼吸障害をきたす可能性があります。
したがって、朝はできる限りベッドから急に立ち上がらず、一度腰を掛け間を置いて立つ習慣をつける。そして朝は不用意に首を回さないようにすることです。
また運動する時も首の運動は原則として禁止しましょう。首の骨に異常のないことが医師の診察のもと確認できていれば、指導を受けながら首の運動をすることは構いません。
まとめ・関節リウマチの発症後に避けて欲しいこと!
関節リウマチを患っている場合、健康的な食事とライフスタイルが症状の改善に役立つ可能性があります。
特に食事や、生活様式は症状の管理に大きな影響を与えます。加工度の高い食品、赤身の肉、揚げ物、砂糖を多く含む食品など、特定の食品や飲料を避けるべきであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
これら砂糖や加工食品の摂取を制限し、赤身肉や加工肉も控えれば炎症の悪化を防ぐことができます。
また、適切な運動と休息を取ることも重要です。関節の負担を減らし、筋力や可動域を維持することで、関節リウマチの症状を和らげることができます。
適切な食事と生活様式の選択は、関節リウマチ患者の生活の質を向上させる上で不可欠です。
是非、健康的な生活を送ることができるよう、この記事を参考にしていただけましたら幸いです。
以上、関節リウマチしてはいけないことについて記させていただきました。
No.085
監修:医師 坂本貞範
当院の再生医療は、自己脂肪由来の幹細胞治療を推進しています
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- 参考文献
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5563270/
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- https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/art.20731
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- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5817233/