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「最近つまずきやすくなった」「階段の上り下りがつらい」といった症状で悩んでいませんか。 それは、加齢による筋力の低下からくる「サルコペニア」の初期サインかもしれません。進行すると筋肉がさらに衰え、歩行や立ち上がりなど日常生活に支障をきたすこともあります。 サルコペニアを防ぐには、筋力トレーニングが効果的です。筋肉を定期的に動かすことで進行を抑えられ、結果として健康寿命を延ばすことにもつながります。 この記事では、サルコペニア予防におすすめの筋力トレーニングや注意点、日常生活でできる工夫について解説します。 今日から筋力トレーニングを始め、サルコペニア予防に取り組んでみてください。 サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニング4選 サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニングを4つご紹介します。 椅子スクワット つま先立ち運動 膝の曲げ伸ばし運動 背筋トレーニング 本章を参考に、無理のない範囲で今日からチャレンジしてみてください。 椅子スクワット 椅子スクワットは、下半身を鍛えたいものの、転倒に不安のある方におすすめのトレーニングです。以下の方法を参考に実践してみましょう。 足を肩幅に開いて立ち、椅子の背もたれを両手でつかむ ゆっくりと膝を落とし、しゃがむ 数秒キープしたら、元の立位の姿勢に戻る 数回繰り返す 下半身の筋力低下が気になる方は、ぜひ取り入れてみてください。 つま先立ち運動 つま先立ち運動(ヒールレイズ)は、ふくらはぎの筋肉を鍛えるのに効果的なトレーニングです。以下のステップで行ってみてください。 足を肩幅に開いて立つ 立った状態でかかとを上げる かかとをゆっくりと床に降ろす 1〜3.を10回程度繰り返す 慣れてきたら、片足で行うとさらに効果的です。転倒が心配な方は、壁や椅子の背もたれ、手すりなどに手を添えて行いましょう。 膝の曲げ伸ばし 椅子に座ったまま行える膝の曲げ伸ばし運動です。下半身の筋力を鍛え、膝関節の柔軟性を保つのに効果的です。以下のステップで行ってみましょう。 背筋を伸ばした状態で、椅子に浅く座る 片足の膝をゆっくりと伸ばし、足を前方に上げる 膝が伸びた状態で数秒キープする ゆっくりと膝を曲げらがら足を床に降ろす 反対側の足も同様に、左右交互に10回ずつ行う 長時間のデスクワークの合間や、自宅でテレビを見ているときなど、スキマ時間に始められます。こまめに続けることでより効果が期待できるため、ぜひ今日から取り入れてみてください。 背筋トレーニング サルコペニアを予防するには、背筋を鍛えることも大切です。 タオルを使って自宅で手軽に行える背筋トレーニングをご紹介します。以下の手順で、背筋トレーニングを行ってみましょう。 タオルの両端を持ち、ピンと張る 腕を肩より少し高く上げ、タオルを外側に引っ張るように力を入れる 肘を曲げながら、肩甲骨を寄せるように意識して、腕をゆっくり下ろす 肘を伸ばして再び腕を上げ、2.の姿勢に戻る 2.~4.を10回程度行う 背中の筋肉が衰えてしまうと、姿勢が崩れ、サルコペニアの悪化にもつながってしまいます。(文献1)正しい姿勢を維持するためにも、背筋のトレーニングを日常的に取り入れていきましょう。 サルコペニアに筋力トレーニングが効果的な理由 サルコペニアとは、加齢や生活習慣の影響で体を動かす筋肉量や力が減少する状態です。進行すると筋力の低下により、歩行困難や寝たきりになるリスクも高まります。 サルコペニアの予防には、骨格筋のトレーニングが効果的です。 筋力トレーニングは特別な器具がなくても自宅で行えるものが多く、誰でも今日から始められます。 継続すると、健康寿命を延ばすことにもつながるため、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。 さらに筋トレは、サルコペニアだけではなく、将来的なフレイルやロコモティブシンドロームの予防にも有効です。これらの違いや特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 サルコペニア予防で筋トレをするときの注意点 筋トレをする際には、以下の3つの点に注意が必要です。 こまめに休憩をはさむ 呼吸を止めない 週2~3回ほど定期的に行う トレーニングを始める前に本章の注意点を意識し、無理のない範囲で運動を続けましょう。 こまめに休憩をはさむ 長時間連続で筋力トレーニングをせず、途中でこまめに休憩をはさむことが大切です。疲労や関節への負担を防ぐためにも、体調に合わせてペースを調整しながら取り組みましょう。 たとえば、「20分運動して5分休む」といったリズムがひとつの例です。 運動の強度やその日の体調に応じて、無理のない範囲で柔軟に休憩を取り入れてみてください。 呼吸を止めない 筋トレ中は力む際に息を止めがちですが、常に自然なリズムで呼吸するように意識しましょう。 呼吸を止めて力んでしまうと酸素が不足し、血圧の急上昇や頭痛・吐き気など体調不良を引き起こすおそれがあります。(文献2) 筋トレ中の正しい呼吸法は以下のとおりです。 タイミング 呼吸 力を入れるとき 息を吐く 力を抜くとき 息を吸う このリズムを意識すると、筋トレ中の体への負担を軽減できます。筋トレを行う際は、意識してみてください。 なお、「筋トレ頭痛」の対策方法については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は、あわせてご覧ください。 週2~3回ほど定期的に行う サルコペニアを予防するには、週に2〜3回のペースで筋トレを継続することが効果的です。 筋肉は一度きりの運動では鍛えられません。こまめに運動を重ねることで筋肉に刺激を与えられます。 また、厚労省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」では、成人・高齢者のどちらにも週2〜3回の筋トレを推奨しています。(文献3) 定期的な筋トレは、サルコペニアに加え、座りっぱなしによる代謝低下や筋力低下、糖尿病や高血圧などの合併予防にも効果的です。 忙しい方も1日15〜20分のスキマ時間から始めて、生活の一部に筋トレを取り入れてみてください。 【日常的にできる】筋トレ以外のサルコペニア予防法 忙しくて筋トレの時間が取れない人の場合、日常生活の中に「ながら運動」を取り入れましょう。 サルコペニアを予防するには、時間がなくても、普段から少しずつ体を動かすことが大切です。 活動量が増えることで筋肉に刺激を与えられるため、筋力の低下を防ぐ効果が期待できます。 以下を参考に、毎日の生活に取り入れやすい工夫を実践してみましょう。 エスカレーターやエレベーターではなく、階段を使う 通勤や買い物の際に、敢えて遠回りして歩く いつもより少し早歩きをする これらを意識するだけでも、筋肉を鍛えられ、サルコペニアの予防につながります。 サルコペニア予防には筋力トレーニングを取り入れよう サルコペニアとは、加齢や生活習慣により筋力が低下する状態です。 放置すると、将来的に歩行困難や寝たきりのリスクがあります。 こまめに筋力トレーニングを行うことで筋肉が鍛えられ、サルコペニアの予防につながります。 本記事を参考に、今日からできる運動を実践してみてください。 なお、筋力の衰えが不安な方や、より専門的なケアを希望する方は、専門家に相談するのも一つの選択肢です。 当院「リペアセルクリニック」では、人体に備わる幹細胞を活用した再生医療を提供しています。今なら「メール」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付け中です。 「加齢による体の変化が気になる」「将来に向けて病気予防を始めたい」と感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。 サルコペニアに関する質問 サルコペニアを防ぐ食事は? サルコペニア予防には日頃から栄養バランスの良い食事を意識することが大切です。中でも、筋肉の材料となる「たんぱく質」は意識的に摂取するようにしましょう。 たんぱく質を多く含む食品には、次のようなものがあります。 豚肉 牛乳 卵 豆類 さけ・ます類 体重1kgあたり1g/日以上のたんぱく質の摂取が、サルコペニアの予防に効果的であるとされています。たとえば体重60kgの人の場合、1日あたり約60gのたんぱく質の摂取が必要です。(文献4) まずは、こうした食材を毎食の中に1品でも取り入れることから始めてみましょう。 サルコペニアの判断方法は? サルコペニアは「指輪っかテスト」でセルフチェックが可能です。両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。(文献5) その際、指の輪とふくらはぎの間に隙間ができる場合は、サルコペニアのおそれがあります。 ただし「指輪っかテスト」はあくまで目安です。セルフチェックで不安がある場合は、医療機関にて詳しい検査を受けましょう。 参考文献一覧 文献1 厚生労働省 「サルコぺニア」 e‑ヘルスネット, 最終更新日:2024年1月30日 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-087.html (最終アクセス:2025年6月15日) 文献2 久米 大祐ほか.「間欠的な息止めが運動時の生理応答に及ぼす影響」『体力科学』60(6), pp.641-647, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/60/6/60_6_641/_pdf (最終アクセス:2025年06月17日) 文献3 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」令和6年1月 https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf (最終アクセス:2025年06月15日) 文献4 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」2020年 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00426.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (最終アクセス:2025年6月17日) 文献5 厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 分担研究報告書「新規考案した3種類の簡易スクリーニング法(指輪っかテスト・ピンチカ・第1-2 指間厚) における筋肉減弱症(サルコペニア)を視野に入れた臨床的有用性の検討 ~継続性の高いコミュニティー健康活動を目指して~」 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123011/201217016A/201217016A0006.pdf (最終アクセス:2025年6月15日)
2025.06.29 -
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「サルコペニアの治療は何をすればいいの?」「普段から意識すべきことはある?」と疑問をお持ちではないでしょうか。 病院でサルコペニアと診断されたものの、実際どのような治療をするのかイメージが湧かない方も多いかもしれません。 サルコペニアの治療は「運動」と「栄養」を中心に行います。サルコペニアが進行すると転倒や寝たきりの原因になるため、早期に治療を開始することが大切です。 この記事では、現役医師の見解をもとに、サルコペニアの治療法や受診すべき病院、治療薬の現状までわかりやすく解説します。 できることから一歩ずつ行い、将来の健康を守っていきましょう。 サルコペニアの治療法 サルコペニアの治療は、運動と栄養の2本柱で進めていきます。 筋力トレーニングやウォーキングなどの運動 たんぱく質やビタミンなどの栄養素を摂取 今の生活に取り入れられることがないか、ぜひチェックしてみてください。 また、サルコペニア自体についてや要介護や寝たきりを防ぐ生活については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切になこと フレイルサルコペニアとは|ロコモとの違いや症状・予防法を医師が解説 運動治療|筋肉の量や機能を維持 サルコペニアの改善において、運動は大切な要素のひとつです。 なかでもよく行われているのが、レジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせです。 これらを正しく取り入れることで、筋肉量や身体機能の維持・向上が期待できます。 日常生活に取り入れやすい運動から始める レジスタンス運動は、筋肉に抵抗をかけて鍛えるトレーニング、いわゆる「筋トレ」です。 スクワットや足の上げ下げ、かかと上げなどが代表的で、週2〜3回の頻度で行うと、筋力を保ちやすくなります。(文献1) 一方、有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギングなど、呼吸を意識しながら一定時間続ける運動です。 血流や代謝を促し、筋力だけでなく持久力や全身の機能向上にもつながります。(文献2) どちらも特別な器具や施設がなくても日常生活の中に取り入れやすい点が特徴です。 まずはウォーキングや軽いジョギングなどからスタートし、慣れてきたら筋トレを加えていきましょう。 筋肉の衰えを防ぐ生活習慣・運動については、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。 【関連記事】 介護のリスク!筋肉の衰えが心配な高齢者へ、必要な生活習慣とは サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニング一覧|やり方や注意点を医師が解説 理学療法士の指導の下運動する 運動に不安をもつ方や持病がある方は、理学療法士や医師と相談しながら運動を取り入れましょう。 自己流での運動はケガや悪化の原因になることもあります。 理学療法士や医師の指導のもとで、体の状態に合わせたプログラムを組んでもらうと、より効果的に続けられます。(文献1) 運動を治療として継続していくには、無理なく続けられる環境やサポート体制も大切です。 「自分の状態で何から始めれば良いかわからない」という方こそ、医療機関で相談してみると良いでしょう。 栄養療法|筋力強化を目指す 筋肉を保つには、以下の点を意識しながら必要な栄養をしっかりとることが大切です。 バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ 日々の食事で足りているか、振り返ってみましょう。 バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する 筋肉の材料となるたんぱく質は、年齢とともに必要量が増えると言われています。 目安は、体重1kgあたり1.0g/日以上です。(文献1) 肉・魚・卵・大豆製品などを1日3食にバランスよく取り入れるよう意識しましょう。 また、ビタミンB群はエネルギー代謝や神経の働きを助け、ビタミンCは膝まわりの筋力や身体機能と関わるという報告があります。(文献3) さらにビタミンDには、筋肉の減少を防ぐはたらきもあるとされています。(文献4) 特定の食品や栄養素にかたよるのではなく、いろいろな食材を組み合わせて、バランスよく食べることが大切です。 食欲がわかないときでも、白ごはんにお味噌汁を添えたり、ヨーグルトを1品足したりして、少しでも品数を増やす工夫をしてみましょう。 サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ 「食事だけでは必要な栄養がとれていないかも」と感じるときは、サプリメントや栄養補助食品を使う方法もあります。 実際に、高齢女性を対象とした研究では、アミノ酸のサプリと運動を組み合わせることで、筋力や歩行スピードが改善したとの報告もあります。(文献5) 食事だけで無理なく補えるのが理想ですが、不足を感じるときは、医師や専門家と相談しながら取り入れてみましょう。 サルコペニアの治療薬について 現在のところ、サルコペニアに対して正式に承認された治療薬はありません。 サルコペニアは、2016年にようやく疾患として認められた比較的新しい概念です。 薬の研究や開発は進められているものの、実際に広く使える薬はまだ存在していないのが現状です。(文献6)(文献7) よって、今できるサルコペニア対策として、運動や食事の見直しが大切です。 「薬がないなら何もできない」と思わず、今取り組めることをひとつずつ実践していきましょう。 サルコペニアの治療で受診すべき医療機関 サルコペニアは、以下のような適切な医療機関での相談が大切です。 整形外科・老年科 専門外来 かかりつけ医 自分に合った受診先を確認しておきましょう。 整形外科や老年科 筋肉や骨、関節の不調があるときは、まず整形外科を受診します。 高齢者特有の体調変化が気になる場合は、老年科(老年内科)でも相談できます。(文献8) 「運動機能に不安がある」「筋力の衰えを指摘された」と感じたら、整形外科や老年科で評価を受けてみると今の状態がよりはっきりとわかるでしょう。 サルコペニア外来や長寿サポート外来などの専門外来 病院によっては、サルコペニアやフレイルに特化した外来を設けているところもあります。 これらの専門外来では、医師だけでなく理学療法士や栄養士などがチームとなって治療をサポートしています。 「専門的に診てもらいたい」「生活全体を見直したい」という方は、こうした専門外来のある病院を選ぶのも一つの選択肢です。 かかりつけ医 サルコペニアの疑いがあっても何科を受診すべきか悩んでいる場合、まずは身近なかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。 かかりつけ医は、普段の健康状態をよく知っている存在です。 必要に応じて、整形外科や老年科、リハビリテーション科など、専門的な評価や治療ができる医療機関を紹介してもらうことも可能です。 受診するか迷っている段階でも、一人で抱え込まず、かかりつけ医に相談してみましょう。 サルコペニアの治療は早期対応が大切 「年のせいかも」と思って見過ごしてしまう方が少なくありませんが、サルコペニアは放っておくと徐々に進行し、転倒や骨折、寝たきりのリスクを高めてしまいます。 少しの運動でも疲れやすい、ふくらはぎが細くなってきたなどの変化を感じたら、早めに医療機関で相談しましょう。 日常生活に支障が出てからでは、回復に時間がかかることもあります。「まだ大丈夫」と思えるうちにこそ、治療や予防を始めるタイミングです。 筋力の衰えが気になる方は、リペアセルクリニックの「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご活用いただけます。 まずはお気軽にお問い合わせください。 サルコペニアの治療に関するよくある質問 サルコペニアの初期症状はどのようなものですか? 初期症状として多いのは、「ふくらはぎが細くなった」「よくつまずくようになった」「階段の上り下りがつらい」など、日常の小さな変化です。(文献9) たとえば、以下のような症状もサルコペニアの初期症状の可能性があります。 重たい荷物が前より持ちにくい 椅子から立ち上がるのが大変になった 歩く速度が遅くなった気がする 日常の些細なことがサインになっていることも少なくありません。 思い当たることがあれば、我慢せずに一度かかりつけ医へ相談してみてください。 サルコペニアの治療は病院に行った方が良いですか? サルコペニアの治療をするなら、病院に行くことをおすすめします。 サルコペニアは専門的な評価と治療が必要な病気です。 自己流の運動や食事改善だけでは、思うような効果が出にくかったり、逆に体に負担がかかってしまうケースもあります。 専門の治療を行う医療機関では、筋肉量や身体機能を客観的に測定しながら、適切な運動メニューや栄養指導が受けられます。 「まだ軽い症状だから」と放置せず、できるだけ早く専門家に相談し、将来の介護リスクを減らしましょう。 参考文献 (文献1) 荒井 秀典「フレイル・サルコペニア」『日本内科学会雑誌』107(12),pp2444-2450,2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2444/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献2) 公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2025年2月12日 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/yusanso-undou.html(最終アクセス:2025年6月16日) (文献3) 清水 昭雄,藤島 一郎「高齢者・サルコペニアの栄養療法」『神経治療』39,pp13-17,2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_13/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献4) 亀井康富「ビタミンDは筋肉の萎縮を抑制し、高齢者のサルコペニアを予防・改善する」『あたらしいミルクの研究』2019年度 https://nutrition.life.kpu.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/%E4%BA%80%E4%BA%95%E5%85%88%E7%94%9F%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A63_0323.pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献5) Hun Kyung Kim「Effects of exercise and amino acid supplementation on body composition and physical function in community-dwelling elderly Japanese sarcopenic women: a randomized controlled trial」『J Am Geriatr Soc』60(1),pp16-23,2012 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22142410/(最終アクセス:2025年6月18日) (文献6) 早野元詞「サルコペニアに対する治療薬開発と老化創薬としての事業計画立案」慶応義塾大学 https://www.idp.ori.titech.ac.jp/wp-content/uploads/2021/09/%E6%85%B6%E5%BF%9C%E3%80%80%E6%97%A9%E9%87%8E.pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献7) 一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版のCQとステートメント」日本サルコペニア・フレイル学会ホームページ https://www.jasf.jp/contents/guidelines.html(最終アクセス:2025年6月16日) (文献8) 東大病院「老年病科」東大病院ホームページ https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/rounen/(最終アクセス:2025年6月16日) (文献9) 公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2023年7月14日 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-about.html(最終アクセス:2025年6月16日)
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「最近よくつまずく」 「ペットボトルのキャップが開けにくい」 上記の症状に心当たりがある場合は、サルコペニア(加齢による筋肉量や筋力の低下)の初期症状が疑われます。 サルコペニアは、加齢や運動不足、栄養不足などが重なって進行し、放置すると転倒や要介護リスクが高まる状態です。 本記事では、サルコペニアの初期症状や原因、自宅でできる3つのセルフチェック法、今日から始められる予防策を医師の視点でわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。筋力の低下でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 サルコペニアの初期症状 サルコペニアによって筋力が低下すると、日常生活のなかでさまざまなサインが現れます。代表的な初期症状は、以下のとおりです。 転びやすくなる・頻繁につまずく 歩く速度が遅くなる 横断歩道を青信号の間に渡りきれない ペットボトルのキャップが開けにくい 手すりにつかまらないとなかなか階段を上がれない 手首やふくらはぎが細くなる うまく食べられない・飲み込めない いずれの症状も「歳をとった影響だろう」と軽く考えがちですが、サルコペニアの可能性があります。当てはまる項目が複数ある場合は、早めに生活習慣を見直したり、医療機関への相談を検討したりしましょう。 そもそもサルコペニアとは? サルコペニアとは、加齢や生活習慣などによって筋肉量と筋力が低下し、身体機能の低下が起こった状態を指します。 ここでは、以下の3つを解説します。 サルコペニアを引き起こす原因 サルコペニアになりやすい方の特徴 サルコペニア・フレイル・ロコモの違い それぞれ詳しく見ていきましょう。 サルコペニアを引き起こす原因 サルコペニアの原因やメカニズムは、完全には判明していないものの、加齢・運動不足・たんぱく質不足が主な原因と考えられています。 実際に、75歳から79歳までの男女の約20%、80歳以上では男性の約30%および女性の約半数がサルコペニアに該当します。また、サルコペニアの発症により、将来的な要介護化のリスクが約2倍に高まることも判明しました。(文献1) 人間の筋肉量は20代がピークとされ、年齢を重ねると合成される筋肉が減り、分解される量が増えるため、普段どおりの生活でも筋肉量が低下しやすくなります。 そこに活動量の低下や食生活の乱れが重なると、作られる筋肉量がさらに減り、身体機能の低下が進みやすくなるのです。 サルコペニアになりやすい方の特徴 サルコペニアを発症しやすい方には、以下のような特徴があります。 特徴 内容 高齢でやせ型 食事量が少なく、たんぱく質不足になりやすい 運動習慣がない 筋肉量が減りやすく、サルコペニアのリスクが高まる 食事制限中心のダイエット 若い方でも筋肉量が低下しやすい なお、高齢になると、消化機能の衰えから動物性たんぱく質を避けがちになる点も注意が必要です。 また、サルコペニアは高齢者だけでなく、若い世代にも起こり得ます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 サルコペニア・フレイル・ロコモの違い サルコペニア・フレイル・ロコモは、いずれも加齢による衰えに関する用語ですが、それぞれ意味や範囲が異なります。 種類 状態 特徴 フレイル 心身全体の活力が落ちた状態 些細なストレスでも体調を崩しやすく、精神的にも閉じこもりがちになる サルコペニア 筋肉量と筋力が低下した状態 高齢になると起こりやすく、フレイルの原因にもなる ロコモ 移動機能にかかわる体の衰え 立つ・歩く・座るが難しくなり、進行すると介護リスクが高まる それぞれの違いを理解した上で、自身に必要な対策を検討しましょう。 サルコペニアとパーキンソン病の初期症状の違いやチェック方法 「歩きづらさ」や「動作のぎこちなさ」はサルコペニアでも見られますが、パーキンソン病でも似た症状が現れます。 両者の特徴を比較すると、以下のようになります。 項目 サルコペニア パーキンソン病 主な原因 ・加齢 ・運動不足 ・栄養不足 中枢神経系(脳)の障害 筋力の特徴 筋量・筋力ともに低下 筋量はあるが力を素早く出しにくい 左右差 出にくい 出やすい 動作開始 全体的に遅くなる 動き出しがとくに遅い パーキンソン病の筋力低下は、単純な筋萎縮ではなく、力を素早く発揮しにくいことや左右差が出やすいのが特徴です。動作のぎこちなさや手の震えなどパーキンソン病が疑われる場合は、以下の記事もご確認ください。 自宅でできるサルコペニアの3つのチェック法 サルコペニアのセルフチェックは、自宅でも簡単に実施できます。ここでは、以下3つのチェック法を紹介します。 ふくらはぎの「指輪っかテスト」 椅子からの立ち上がりテスト 開眼片足立ちテスト それぞれ詳しく解説します。 ふくらはぎの「指輪っかテスト」 ふくらはぎの太さは、筋肉量の目安になります。指輪っかテストは、両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲うだけの簡単な方法です。 手順は以下のとおりです。 椅子に座り、利き足ではない方のふくらはぎを露出する 両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲む 指の輪とふくらはぎの隙間を確認する 囲んだときに「隙間ができる」場合は、サルコペニアの可能性があります。「ちょうど囲める」場合も筋肉量が少なめのサインといえるため、運動や食事の見直しを検討しましょう。 椅子からの立ち上がりテスト 下半身の筋力を確かめる代表的な方法が、椅子からの立ち上がりテストです。 手順は以下のとおりです。 肘掛けのない椅子に座り、両手を交差して胸に当て、足は肩幅程度に開く 座った状態から立ち上がり、再び座る動作を繰り返す 5回繰り返すまでにかかった時間を計測する 5回の立ち座りに12秒以上かかる場合は、サルコペニアの可能性があります。また、途中でふらつく、手を使わないと立てない場合も筋力低下のサインです。 なお、椅子からの立ち上がりテストは無理のない範囲で行い、転倒に十分注意しましょう。 開眼片足立ちテスト バランス機能と下半身の筋力を確認できるのが、開眼片足立ちテストです。 手順は以下のとおりです。 素足で、滑りにくい床に立ち、両手を腰に当てる 立ちやすい側の足で立ち、もう一方の足を床から5cmほど上げる 目を開けたまま、立っていられる時間を計測する 立っていられた時間が8秒未満の場合は、サルコペニアの可能性があります。なお、バランスを崩しやすい方は、必ず壁や手すりのそばで行い、転倒予防に配慮してください。 複数のテストで気になる結果が出た方は、医療機関への相談を検討しましょう。 サルコペニアに効果的な予防策3選 サルコペニアは、運動と食事、生活習慣を整えることで予防が期待できます。ここでは、以下3つの予防策を紹介します。 筋力トレーニング たんぱく質とビタミンDを意識した食事 生活習慣を整える それぞれ詳しく解説します。 1.筋力トレーニング サルコペニアの予防には、筋力トレーニングが有効とされています。なかでも転倒に不安のある方におすすめなのが、椅子につかまって行う「椅子スクワット」です。 手順は以下のとおりです。 足を肩幅に開いて立ち、椅子の背もたれを両手でつかむ ゆっくりと膝を落としてしゃがむ 数秒キープしたら、元の立位姿勢に戻る 数回繰り返す 膝がつま先より前に出ないよう意識し、痛みが出る場合は中止しましょう。その他のトレーニング方法を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 2.たんぱく質とビタミンDを意識した食事 サルコペニアを予防するためには、1日3食を基本にしながら、筋肉のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。肉類・魚介類・卵・大豆製品(豆腐、納豆など)から意識して取り入れましょう。 また、身体機能の低下を予防するには、骨を強くするカルシウムも重要です。あわせて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを含む食品も積極的に摂りましょう。 栄養素 含まれる食品 たんぱく質 肉・魚・卵・納豆・豆腐 カルシウム 牛乳・豆腐・小松菜・ほうれん草 ビタミンD きのこ類・鮭・いわし・卵 毎日の食卓に意識して取り入れてみてください。 3.生活習慣を整える 毎日の生活習慣もサルコペニアの予防に大きく関わります。注意したい習慣と、取り入れたい習慣は以下のとおりです。 注意したい習慣 取り入れたい習慣 睡眠不足 生活リズムを整える 閉じこもり 散歩や体操などを習慣化する 不規則な食生活 規則正しい食生活を心がける 強いストレス 地域活動・ボランティアに参加する 喫煙・過度の飲酒 他者との交流を続ける 上記の「注意したい習慣」は、活動量の低下や低栄養、生活習慣病などを招き、サルコペニアやフレイルの要因となります。また、社会とのつながりを持つことも、心身の健康維持に役立ちます。 サルコペニアは何科を受診すべき? サルコペニアが疑われる場合は、以下の医療機関へ相談しましょう。 整形外科・老年科 サルコペニア外来などの専門外来 かかりつけ医 整形外科や老年科では、筋力低下や運動機能の衰えについて診断してもらえます。また、専門外来では、医師に加えて理学療法士や栄養士などがチームで支援するケースも多いです。 なお、何科を受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらいましょう。 サルコペニアの詳しい治療法については、以下の記事もご覧ください。 まとめ|サルコペニアの初期症状を見逃さずに早めの対処を サルコペニアは、つまずきやすさや握力低下、歩行スピードの低下など、日常のささいな変化として現れます。「歳のせい」と片づけずに、指輪っかテストや立ち上がりテストなどで早めにチェックしてみましょう。 また、予防には筋力トレーニングやたんぱく質とビタミンDを意識した食事、規則正しい生活習慣の3つが効果的です。社会とのつながりを保つことも、心身の健康維持に役立ちます。 なお、セルフチェックで気になる結果が出た場合や、日常生活に不安を感じる場合は、整形外科や老年科、かかりつけ医への相談を検討してください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しております。筋力の低下でお悩みの方は、ぜひ一度ご登録ください。 サルコペニアの初期症状に関するよくある質問 サルコペニアの症状が出たら痛みを感じることはある? サルコペニア自体は、基本的に痛みを伴う病態ではありません。筋肉量や筋力が低下しても、それだけで痛みが出ることは少ないとされています。 ただし、サルコペニアによってバランスを崩しやすくなり、転倒・骨折などのケガにつながることで結果的に痛みを感じるケースはあります。とくに高齢の方は、転倒による大腿骨頸部骨折などが寝たきりにつながることもあるため、注意が必要です。 サルコペニアになったら余命に影響する? サルコペニアになると、余命に影響する可能性があります。日本人高齢者を平均約5.8年追跡した研究では、サルコペニアのある人はない人に比べて死亡リスクが男性で2.0倍、女性で2.3倍高いことが示されました。(文献1) また、要介護になるリスクも高まり、同じ研究では要介護発生リスクが男性で1.6倍、女性で1.7倍高くなることも報告されています。 ただし、サルコペニア予備群の段階では、死亡リスクや要介護リスクの有意な上昇はみられませんでした。早い段階で気づいて対策することが、健康寿命を延ばす上で重要です。 参考文献 (文献1) サルコペニアが日本人高齢者の死亡・要介護化リスクを高めることを地域住民調査で実証|東京都健康長寿医療センター
2025.06.29 -
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「体重はあるのに筋力が落ちてきた気がする」 「最近疲れやすくなった」 このように感じている方は、サルコペニア肥満かもしれません。 肥満と筋肉減少が同時に進行する「サルコペニア肥満」になると、日常生活に不便を感じたり、病気のリスクが高まりやすくなったりします。 ただし、早期にリスクに気づいて対策をおこなえば、予防・改善が期待できる状態です。 本記事では、医師の視点からサルコペニア肥満の原因やリスク、予防・改善法を解説します。 「サルコペニア肥満かも」と不安を抱いている方は、セルフチェックで自身のリスクを知ることから始めてみましょう。 サルコペニア肥満とは サルコペニア肥満とは、体脂肪が多い「肥満」に、筋肉量が減少している状態の「サルコペニア」が合併している状態を指します。(文献1) 「肥満」と聞くと太っている人をイメージしがちですが、見た目は普通でも体内では筋肉が減少し、脂肪が多い「隠れ肥満」のようなケースもあります。 そのため、サルコペニア肥満の人がかならずしも太って見えるとは限りません。 筋肉が不足すると、体の基本的な動作にも支障が出やすくなり、次のような不調を感じることがあります。 疲れやすい 歩くときにふらつく 階段を上るのがつらい 重いものが持ちにくい このようにサルコペニア肥満は、見た目では気づきにくいにもかかわらず、日常生活の質を下げる原因となるのです。 サルコペニアについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。 肥満とサルコペニアの関係性|筋肉に与える悪影響 肥満、つまり体の中に脂肪組織が多い状態は筋肉を減らす方向に作用し、サルコペニアの進行を加速させてしまいます。 具体的には、以下の3つのメカニズムが考えられています。 運動不足 筋肉破壊 インスリン抵抗性 ひとつずつ見ていきましょう。 運動不足で筋肉が減少しやすくなる 肥満になると、体を動かすのが億劫になったり、関節に負担がかかったりして、無意識のうちに活動量が減少してしまいます。 筋肉は使用頻度が減ると萎縮し、筋力が低下していきます。 運動不足が続くと筋肉量がみるみる減少し、さらに体を動かすのがつらいと感じるようになるといった悪循環に陥りやすくなります。 筋肉内に脂肪が蓄積して筋力が落ちる 肥満の状態が続くと、全身に脂肪が過剰に蓄積されるだけでなく、筋肉の細胞内や筋肉と筋肉の間にも脂肪が入り込むことがあります。 この筋肉内への脂肪の蓄積は「異所性脂肪(いしょせいしぼう)」と呼ばれており、筋肉の質の低下を招きます。(文献2) 本来はぎっしり詰まっているべき筋肉の繊維の間に脂肪が入り込むことで、筋肉そのものの機能が落ちてしまうイメージです。 これによりインスリンの働きが妨げられたり、体内で炎症が引き起こされたりした結果、筋肉量の減少や筋力の低下が進むと考えられています。 インスリン抵抗性が筋肉の合成を妨げる 肥満は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」を引き起こすことがあります。(文献3) インスリンは、食べたものからエネルギーを身体に吸収させるだけでなく、筋肉の合成にもかかわるホルモンです。(文献4) そのため、肥満によってインスリン抵抗性が生じると筋肉が作られにくく、筋肉量の低下が進む恐れがあります。 サルコペニア肥満が引き起こすリスク サルコペニア肥満は、サルコペニアまたは肥満単体の場合と比べて代謝機能が低下しやすく、健康リスクが高まると言われています。(文献5) 具体的に見ていきましょう。 転倒や骨折のリスクが高まる 筋肉量の減少は、日々生活に欠かせない「動く力」そのものを奪います。 具体的には、以下のような状況です。 階段を上るのが以前よりつらくなった 重いものが持てなくなり買い物が大変になった 歩くスピードが遅くなり、信号を渡りきれないことがある サルコペニア肥満は、バランスを崩して転倒しやすくなる、骨折のリスクを高めるなど、日常生活への支障をきたすケースが多く見られます。 進行すると、一人で買い物に行けなくなる、着替えが困難になるなど、介護が必要な状態につながる危険性も秘めています。 生活習慣病につながりやすくなる 筋肉は、食事から摂った糖を取り込み、エネルギーとして利用する重要な組織です。 筋肉量が少ないと、摂取した糖を効率よく使えなくなり、血液中の糖分が増えて糖尿病のリスクが高まります。(文献6) また、筋肉はエネルギーを多く消費するため、筋肉量が少ないと体のエネルギー消費量である「基礎代謝」が落ち、脂肪が蓄積しやすくなるのも問題です。その結果、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を悪化させる要因にもなります。(文献7) 肥満と相まって、これらの生活習慣病のリスクはさらに増大してしまうのです。 【セルフチェック】サルコペニア肥満のリスクレベル サルコペニア肥満の診断基準は、世界的に統一されたものがなく、自己判断が困難なのが現状です。 しかし、サルコペニア肥満を放置すると将来的なリスクが高まるため、早期の気づきと対策が大切です。 まずは以下のセルフチェック表で、自身のサルコペニア肥満のリスクレベルを知っておきましょう。(文献1)(文献8) サルコペニア肥満と診断するものではありませんので、あくまでも目安としてとらえてください。 チェック内容 方法 サルコペニア肥満を疑う結果 指輪っかテスト ・両手の親指と人差し指で輪っかを作る ・ふくらはぎの一番太い部分を囲む ・隙間ができる場合は筋肉量の減少が疑われる 握力 ・握力計で計測する ・日常生活でチェックする 以下の場合で筋力低下が疑われる <握力の場合> ・男性:28kg未満 ・女性:18kg未満 <日常生活> ・ペットボトルのフタが自力で開けられない ・片足立ちで靴下を履けない 歩行速度 ・日常生活でチェックする 以下の場合で歩行速度の低下が疑われる ・横断歩道が青信号のうちに渡り切れない ・転びやすい、つまずきやすい BMI ・「体重(kg)÷身長(m)2」で計算する ・25以上 体脂肪率 ・体組成計で計測する ・32%以上 腹囲 ・メジャーで簡単に測定できる ・他者に計測してもらうと正確に測れる ・男性:85㎝以上 ・女性:90㎝以上 これらのチェック項目で当てはまるものが複数ある場合、サルコペニア肥満のリスクがあるかもしれません。 医療機関で相談することも検討しましょう。 サルコペニア肥満の予防・解消法 サルコペニア肥満の予防・解消するポイントは、筋肉量を増やして筋力を改善しつつ、体脂肪量の低下を目指すことです。(文献1) 紹介する予防・解消法をいくつか同時におこなうことで、脂肪の減少や筋力の改善に効果が期待できます。(文献9) ぜひ組み合わせて実施してみてください。 筋トレを中心とした運動習慣 筋肉を維持・増加させるためには、筋肉に適度な負荷を与える以下のような筋力トレーニングが効果的です。(文献2) 方法 具体例 筋トレ ・スクワット ・膝伸ばし ・後ろ蹴りだし 有酸素運動 ・ウォーキング ・水泳、アクアビクス ・早歩き ・階段を使用 時間は短時間でも、続けることが大切です。 はじめは10分程度から始め、徐々に時間や回数を増やしていきましょう。 筋肉と代謝を支える食事 筋肉を作るための材料となるタンパク質は、サルコペニア肥満の解消に欠かせません。 ダイエット中でも、タンパク質は不足させないように意識しましょう。 たんぱく質を毎食しっかり摂取する(肉・魚・卵・大豆製品など) 玄米や全粒粉パンなど、血糖値の上がりにくい炭水化物を選ぶ アボカド・ナッツ・青魚など、良質な脂質を適度に取り入れる 野菜や果物からビタミン・ミネラルをしっかり補給する サルコペニア肥満の改善には、バランスの取れた食事に加え、専門家の指導を受けることも重要です。 「この方法で本当にサルコペニア肥満のリスクを下げられる?」と感じたら、当院リペアセルクリニックのメール相談またはオンラインカウンセリングまでお気軽にご相談ください。 サルコペニア肥満を理解してできることから始めよう サルコペニア肥満は、肥満と筋肉の減少が合わさった状態で、見た目では気づきにくいのが特徴です。 早期に気づき適切な対策を始めることで改善できる可能性があります。 まずは自身のリスクを把握し、食事を見直す、体を動かす時間を少し増やすなど、できることから挑戦してみましょう。 「サルコペニア肥満のリスクが高いかもしれない。どうしたら良いの」と一人で悩んでしまうなら、専門家への相談をおすすめします。 当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを通じて、あなたの悩みをサポートしています。 自身の健康状態やライフスタイルに合わせた具体的なアドバイスをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。 サルコペニア肥満に関するよくある質問 サルコペニア肥満の診断基準はありますか? サルコペニア肥満は、診断基準が確立されていません。(文献1) これは、肥満や腹囲の基準が国によって異なることで、共通の基準を設けるのが難しいことが背景にあります。(文献1) しかし、医療機関での身体組成測定や専門家への相談によって、サルコペニア肥満のリスクを知ることは可能です。 ぜひ一度チェックしてみてください。 サルコペニア肥満は高齢者だけでなく若者もなりますか? サルコペニアと診断されるのは、原則的に65歳以上です。(文献8) ただし、病気をはじめとする何らかの原因によっては、若い方がなる可能性もあります。 また、今は問題なくても、以下のような生活をしている方は将来的にサルコペニア肥満になるリスクが高い可能性があるため、注意が必要です。 デスクワーク中心の仕事であるため運動不足である 加工食品中心の偏った食生活を送っている 無理なダイエットをしている 生活習慣が乱れがちな若い層では、見た目は痩せていても体脂肪が多く筋肉が少ない「隠れ肥満」の状態から、サルコペニア肥満に移行するリスクも考えられます。 「若いから」と油断せず、将来的なリスクを回避するためにも、運動習慣を身につけたりバランスの取れた食事を意識したりと準備しておきましょう。 サルコペニア肥満には症状があらわれますか? サルコペニア肥満は、初期にはっきりとした自覚症状があらわれにくいのが特徴です。 しかし、進行すると「疲れやすい」「つまずきやすくなった」「歩くのが遅くなった」といった身体機能の低下を感じる場合があります。 これらのサインに気づいたら、まずは医療機関で相談し、ほかの病気との区別をつけることが大切です。 サルコペニア肥満が女性に多いのはなぜですか? 男性に比べて女性は筋肉量が少なく脂肪量が多いため、サルコペニア肥満になりやすいと言われています。 しかし、サルコペニアの男女差についてはわかっていないことが多く、一概に「女性が多い」とも言い切れません。 とはいえ、女性の閉経後のホルモンバランスの変化は筋肉量の減少に関連する可能性があると指摘されていることから、早期のサルコペニア肥満対策が重要です。(文献10) 参考文献 (文献1) 若林秀隆「サルコペニア肥満」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/6/58_58.627/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献2) 名古屋大学「高齢者の筋肉内への脂肪蓄積は サルコペニアと運動機能低下に関係する」 https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20170209_htc.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献3) 石川耕,横手幸太郎「脂肪組織機能異常とインスリン抵抗性」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/10/102_2691/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献4) 下村吉治「運動後の筋タンパク質合成のためのタンパク質・アミノ酸栄養」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/62/1/62_16/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献5) PubMed「Muscle loss and obesity: the health implications of sarcopenia and sarcopenic obesity」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25913270/(最終アクセス:2025年6月13日) (文献6) 東京大学大学院医学系研究科「筋肉における新しい糖取り込み調節機構の解明―肥満に伴う 2 型糖尿病の病態解明と治療への応用―」 https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20110302.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献7) 山川佳那子ら「若年成人女性における安静時代謝量及び食事誘発性体熱産生と体組成との関連」 http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/bitstream/11173/3181/1/0100_075_002.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献8) 日本サルコペニア・フレイル学会、国立長寿医療研究センター「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00426.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス:2025年6月16日) (文献9) 日本肥満症学会「肥満症診療ガイドライン」 https://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_09.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献10) 熊本大学「骨格筋の発育と再生メカニズムに性差ありーエストロゲン受容体βの機能的重要性を解明ー」 https://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20200821(最終アクセス:2025年6月13日)
2025.06.29 -
- その他、整形外科疾患
「抗がん剤による末梢神経障害は治るのか」「しびれや痛みが続いている」など、不安に感じている方も多いでしょう。 抗がん剤による末梢神経障害は、多くのがん患者様に見られる副作用の一つです。 症状が進行・長期間続くと、歩行が困難になる、細かい作業がしづらくなるなど、生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがあります。 今回は、抗がん剤による末梢神経障害の原因や対処法、治療薬について現役医師がわかりやすく解説します。 また従来の治療法では、末梢神経障害の改善が見られないという方は再生医療も選択肢の一つとして注目されています。 \末梢神経障害の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経に対してアプローチできる新しい治療法で、これまで根治が難しかった抗がん剤による末梢神経障害の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 抗がん剤による末梢神経障害の改善を目指したい 手足のしびれや痛みを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院(リペアセルクリニック)の「静脈注射(静脈点滴)」は、幹細胞を血液を通じて全身に運ばれることで、直接注射できない部位や臓器の修復、機能回復を促進する役割を果たします。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 抗がん剤による末梢神経障害を完全に治すのは難しい 抗がん剤による末梢神経障害は、有効な予防法が確立されておらず、症状を完全に抑えるのが難しい疾患です。(文献1) そのため、症状の進行を抑えたり、日常生活を維持したりするためのケアや対処に努めることが重要です。 なかには、抗がん剤の中止後に症状が改善するケースもあります。 一方で、しびれや痛みが長年にわたって残ることも少なくありません。 抗がん剤による末梢神経障害が疑われる場合は、医師との連携や早期対応が大切です。 また近年では、こうした末梢神経障害に対して、再生医療という新たなアプローチも注目されています。 再生医療とは、患者様ご自身の細胞を用いて、損傷した神経や組織の修復をサポートすることを目的とした治療法です。 https://youtu.be/iHqwMDfKID8?si=BoFAVgEeHtH-nEID 「抗がん剤治療後も、しびれや痛みが続いている方」「日常生活に支障が出ている方」という方は、一度、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 抗がん剤による末梢神経障害の症状 抗がん剤の副作用によって運動神経や感覚神経、自律神経がダメージを受けると、末梢神経障害として以下のような症状が現れます。(文献2) 神経の種類 主な症状 運動神経 手足の筋力低下 細かい動作の困難 歩行困難 など 感覚神経 手足のしびれや痛み 灼熱感 冷感過敏 感覚麻痺 など 自律神経 起立性低血圧 発汗異常 便秘 排尿障害 など なお、症状の現れ方には個人差があり、日常生活や社会活動に支障をきたすケースも少なくありません。 これらの症状に悩まされている方にとって、従来の薬物療法やリハビリに加え、自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療という選択肢も存在します。 当院(リペアセルクリニック)の幹細胞治療では、患者様ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、損傷した神経組織の修復・再生を促します。 【治療の特徴】 幹細胞が損傷した神経組織に働きかけ、機能回復をサポート 患者さま自身の細胞を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低い 日帰り治療が可能で、手術による負担が少ない 抗がん剤による末梢神経障害でお困りの方、日常生活への影響にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 専門スタッフが患者様の症状やご状況を丁寧にお伺いし、再生医療が適応となるか、どのような効果が期待できるかを詳しくご説明いたします。 抗がん剤による末梢神経障害が起こる原因 抗がん剤による末梢神経障害は、薬剤が末梢神経系にダメージを与えることによって生じるとされています。 抗がん剤による末梢神経障害の原因は、すべてが解明されているわけではありませんが、軸索あるいは神経細胞体への影響が考えられます。(文献1)それぞれのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。 軸索障害 軸索障害とは、末梢神経の軸索(じくさく)が抗がん剤の攻撃を受けて生じる障害です。 軸索とは、神経細胞から伸びる長い神経線維のことです。次の細胞に情報を伝達するための役割を担っているほか、軸索には栄養素などを運ぶための微小管(びしょうかん)と呼ばれる細胞骨格があります。 抗がん剤のなかには、がん細胞の微小管を攻撃して増殖を抑える薬があります。このとき、軸索の微小菅が攻撃を受けて正常な働きができなくなると、神経の末端に必要な栄養や酵素が届かず、変性の進行につながりかねません。 長い軸索を持つ神経ほど、抗がん剤によるダメージを受けやすいのが特徴です。そのため、足先や手指などの遠位部を中心に、しびれやチクチク感、痛み、感覚鈍麻といった症状が現れやすくなります。 神経細胞体障害 神経細胞体が直接抗がん剤の攻撃を受けて、障害が生じるケースもあります。 神経細胞体とは、神経の中核部分で、タンパク質の合成や代謝、情報処理といった神経の生命維持に欠かせない機能を担っているのが特徴です。 抗がん剤の攻撃によって神経細胞体に障害が起こると、そのほかの部分も二次的にダメージを受け、神経全体の機能が失われやすくなります。 また、細胞体のダメージは神経再生能力の低下を招くとされています。一度損傷を受けると回復までに長期間を要したり、慢性的な神経障害としてしびれや異常感覚、感覚過敏といった症状が残存したりするケースも少なくありません。 そのため、神経細胞体への影響は、末梢神経障害の予後に大きく関与する重要な要素と考えられています。 末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤の種類 末梢神経障害の症状は、抗がん剤の種類や投与量によって個人差があります。 ここでは、末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤の種類をまとめました。 殺細胞性の抗がん剤 殺細胞性の抗がん剤は、化学物質を用いて細胞増殖が盛んながん細胞を死滅または抑制させる薬のことです。殺細胞性の抗がん剤は、主に以下のような種類があります。(文献1) 一般名 商品名 主な症状 パクリタキセル タキソール パクリタキセル 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ パクリタキセル (アルブミン懸濁型) アブラキサン 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ ドセタキセル タキソテール ワンタキソテール ドセタキセル 手足のしびれ 感覚の鈍さ カバジタキセル ジェブタナ 運動のまひ 感覚のまひ 手足のしびれや痛み ビノレルビン ナベルビン ロゼウス 知覚異常 腱反射減弱 対象になるがんの種類によって、ほかにもさまざまな種類の殺細胞性の抗がん剤があります。なお、殺細胞性抗がん剤は正常な細胞にも影響を及ぼすため、副作用の発生頻度が高い薬です。 分子標的型の抗がん剤 分子標的型の抗がん剤は、がん細胞に特異的に存在する分子を狙って、増殖や生存を抑制する薬です。代表的な分子標的型の抗がん剤として、以下のような薬が挙げられます。(文献1) 一般名 商品名 主な症状 ボルテゾミブ ベルケイド 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ 起立性低血圧 便秘 トラスツズマブエムタンシン カドサイラ 手足のしびれや痛み ブレンツキシマブベドチン アドセトリス 運動のまひ 感覚のまひ 手足のしびれや痛み サリドマイド サレドカプセル 手足のしびれや痛み 起立性低血圧 レナリドミド レブラミドカプセル 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ 起立性低血圧 分子標的型の抗がん剤は、正常な細胞には影響しないとされており、副作用の軽減が期待できます。(文献3) 抗がん剤による末梢神経障害は治る?ケアと対処法 抗がん剤による末梢神経障害では、手足のしびれや痛みなどの症状が現れます。 日常生活において症状とうまく付き合っていくためには、適切なケアや対処が必要です。 抗がん剤による末梢神経障害の対処法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 医師に相談して治療薬を投与する 循環を良くする 寒冷刺激を避ける 転倒やケガに注意する 医師に相談して治療薬を投与する 抗がん剤による末梢神経障害が疑われる場合は、できるだけ早く医師に相談しましょう。 末梢神経障害に対しては、神経障害性疼痛に有効な薬剤による対症療法がおこなわれるのが一般的です。また、抗がん剤による治療中に末梢神経障害が悪化した場合は、原因となる薬剤の投与延期や減量、中止が検討されます。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。抗がん剤治療後に続くしびれや痛みなどでお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 循環を良くする 抗がん剤による末梢神経障害のケアとして、血液の循環を良くするのもポイントです。とくに、末梢部の血流を良くすると、しびれや痛みが軽減する場合があります。 たとえば、入浴時にマッサージをしたり、手を握ったり開いたりする動きを取り入れることで、末梢の血行が促されます。また、無理のない範囲で軽い運動をするのもおすすめです。体調に応じて医師と相談の上、無理のない範囲でマッサージや軽い運動を継続しましょう。 寒冷刺激を避ける 抗がん剤による末梢神経障害は、寒冷刺激によって症状が悪化するケースがあります。とくに、急性の末梢神経障害は、寒冷刺激によって強いしびれや痛みが誘発されるといわれています。 日常生活において以下のような工夫をして、寒冷刺激を避けましょう。 冷たい飲み物を避ける 冬場や冷房の効いた部屋では手袋や靴下で保温する 炊事や洗濯の際はゴム手袋を着用する 皮膚が濡れたときはすぐに水分を拭き取る 冷たい床などに直接座らない 寒冷刺激を避けることは、抗がん剤による末梢神経障害の症状の悪化を防ぐポイントの一つです。 転倒やケガに注意する 抗がん剤による末梢神経障害は、手足のしびれや痛みのほか、筋力やバランス感覚の低下を引き起こす場合があります。そのため、転倒やケガには十分な注意が必要です。 とくに、高齢者の場合、転倒によって骨折すると入院や寝たきりの状態が長期化するリスクもあります。転倒やケガを防ぐためにも、以下のような点を中心に、住環境を見直しましょう。 床に物を置かない コード類をまとめる 滑りにくい靴やスリッパを履く 手すりを設置する 段差を解消する 夜間は足元灯を使用する 神経障害による感覚異常がある場合は、自覚しにくい小さなケガにも注意が必要です。 【症例紹介】末梢神経障害に対する再生医療の可能性 再生医療は、末梢神経障害の治療における選択肢の一つです。 再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって自然治癒力を最大限に引き出し、症状改善を目指す治療法です。 ここでは、両足のしびれに長年悩まされてきた80代男性の症例をご紹介します。 >>症例紹介はこちら 【患者様の情報】 80代男性 40年以上の糖尿病歴 内科主治医より「糖尿病性末梢神経障害」と診断済み 80代の男性は、40年来の糖尿病患者で、内科主治医から糖尿病性末梢神経障害と診断されていました。 薬物療法や食事・運動療法により、血糖値のコントロールはある程度良好でしたが、両足の症状はなかなか改善が見られず、再生医療による治療を決めました。 当院では、患者様の状態に応じた幹細胞治療を行っており、本症例では、1億個の幹細胞を3回に分けて点滴投与。治療前後の状態としては以下の通りです。 治療前の状態 10年以上続く両足のしびれ 知覚鈍麻(感覚の鈍さ) 既存の治療法による効果は限定的 治療後の変化 両足のしびれが大幅に軽減 日常生活の質の向上 健康増進への積極的な姿勢の芽生え 治療に対する前向きな発言 当院の幹細胞治療は、米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取するだけで、十分な量の細胞を培養できるため、身体への負担が少ない点が特徴です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?feature=shared なお、リペアセルクリニックでは、末梢神経障害の治療法でお悩みの方に対して無料電話相談も行っておりますので、ぜひ気軽にご相談ください。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 抗がん剤による末梢神経障害を治すには早期発見・対処に努めよう 抗がん剤による末梢神経障害の症状は、薬の種類や治療期間によって個人差があり、完治が難しい場合もあります。しかし、早期に症状を発見し、適切な対処をおこなうことで、進行を抑えたり症状を軽減したりできます。 抗がん剤による末梢神経症状の主な対処法は、治療薬の投与や日常的なセルフケアなどです。医師の診断のもと、適切なケアや対処法を組み合わせることで、しびれや痛みといった症状を和らげ、生活の質を保つことにつながります。 抗がん剤治療後に手足にしびれや感覚の鈍さが現れた場合は、早めに信頼できる医師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 静岡県立静岡がんセンター「抗がん剤治療と末梢神経障害」 https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2016/02/sonota_mshinkei.pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院「末梢神経障害 -症状とセルフケアについて- 」 https://www.kchnet.or.jp/kchnet/wp-content/uploads/departments/pdf_chemopamphlet_6.pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 横浜市立大学附属病院 化学療法センター「抗がん剤」 https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/section/central_section/chemotherapy/anti-cancer_agent.html (最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.30 -
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「ふくらはぎが重だるく感じることが増えた」 「歩いていると途中で立ち止まることが多い」 足のだるさは、年齢や疲れのせいと考えがちですが、実は閉塞性動脈硬化症と呼ばれる血管の病気が原因かもしれません。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、最悪の場合、足が壊死してしまう恐れがあります。 本記事では、閉塞性動脈硬化症の症状とともに以下について解説します。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 閉塞性動脈硬化症の原因 閉塞性動脈硬化症の診療科 閉塞性動脈硬化症の治療法 閉塞性動脈硬化症は、早期発見と適切な治療により改善が期待できます。本記事では詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 閉塞性動脈硬化症とは 閉塞性動脈硬化症とは足の血管に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。足の動脈が徐々に細くなり、十分な血液が届かなくなることでさまざまな症状を引き起こします。 主な原因としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣が引き金となり、血管が硬く、狭くなることで進行します。閉塞性動脈硬化症は進行すると血液の流れは悪化し、皮膚の色が変化したりただれたりするのが特徴です。重症化すると足の組織が壊死し、切断の可能性も危惧されます。 原因や症状 概要 足の血管の詰まり 足の動脈が狭くなったり詰まったりする 血流が悪くなる 足への血液の流れが悪くなる 動脈硬化が原因 血管に脂肪が溜まり、それが原因で血管が硬くなって発症 生活習慣が影響 高血圧、糖尿病、喫煙などが影響する 初期症状として歩くと違和感を感じる 運動時に足に違和感が走る(間欠性跛行) 症状が悪化する 違和感がひどくなり、安静時でも症状が出るようになる 傷が治りにくくなる 小さな傷も治りにくくなる 皮膚の色が変わる 足の皮膚が青紫色になる(チアノーゼ) 皮膚がただれる 潰瘍(かいよう)ができる 壊死が起こる 足の組織が腐ってしまう 切断のリスク 足を切断しなければならないこともある (文献1) 足の血流障害は全身の動脈硬化のサインでもあり、少しでも足に違和感が出た場合は、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 症状の種類 概要 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 歩行中にふくらはぎが張る・疲れる・力が入らないが、休むと楽になる 足の冷え・しびれが続く 血流が悪くなることで、足が冷たく感じたり、しびれが続いたりする 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 皮膚の血流が悪く、小さな傷が治らず、色が青白く変化するケースがある 足の脈拍の低下・消失 足先の血流が極端に悪くなり、脈が触れなくなることがある 閉塞性動脈硬化症の初期症状の多くは、年齢や疲れのせいと見過ごされてしまいがちです。しかし、歩いていると違和感や足の冷えやしびれが続く場合は閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れた場合は、早めの受診が必要です。 以下の記事では、自分でできる閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法について詳しく解説しています。 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 状態 症状の内容 原因のしくみ 歩き始め ふくらはぎや太ももに違和感・しびれ・張り感 運動時に筋肉が酸素不足になり、違和感が出る 少し休むと改善 数分の休憩で症状が和らぐ・消える 筋肉の酸素需要が減り、一時的に血流が追いつく 再び歩くと再発 同じ場所・感覚でまた症状が現れる 血流が根本的に不足しているため繰り返される 進行すると悪化 歩ける距離が短くなり、日常生活に支障 血管の狭窄が進み、血流不足がさらに深刻になる (文献2) 閉塞性動脈硬化症の初期には、歩くと足に違和感やしびれ、重だるさなどが現れます。ふくらはぎや太もも、お尻に症状が出やすく、休むと治まるため、放置されがちです。しかし、症状を放置すると徐々に進行し、足の血管が狭くなり、運動に必要な酸素や栄養が筋肉に届きにくくなります。 血流不足が深刻化する前に、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、間欠跛行の症状について詳しく解説しています。 足の冷え・しびれが続く 症状の特徴 概要 慢性的な冷え 温めても改善せず、常に足が冷たいと感じる しびれの頻度が増加 ピリピリ・ジンジンとしたしびれが続くようになる 安静時にも感じる 座っている時や寝ている時にも症状を感じる 夜間に悪化しやすい 夜になると冷えやしびれが強くなることがある 左右差があることも 片足だけ、または左右で症状の程度が異なる場合がある 他の症状を伴う可能性 足の皮膚の色が悪くなったり、むくみが出ることがある (文献3)(文献4) 気温とは関係なく、片方の足だけ冷たく感じたり、しびれが続く場合、血流障害を引き起こしている可能性があります。閉塞性動脈硬化症では、血流が悪くなって足先に酸素や栄養が届きにくくなり、その影響で神経に異常が起き、しびれや冷えが生じます。 足の冷え・しびれは年齢からくるものだと思われがちですが、足の左右で温度に差や頻度が多い場合は、閉塞性動脈硬化症を疑うべきサインです。重症化すると足が壊死する可能性があるため、早めの医療機関への受診が大切です。 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 症状の特徴 説明 小さなキズの治癒遅延 切り傷や擦り傷が通常より治りにくい 感染しやすい 傷口から細菌が入りやすく感染しやすい 皮膚の色が悪い(蒼白) 足を高く上げた時などに皮膚が白っぽく見える 皮膚の色が悪い(チアノーゼ) 皮膚が紫色や暗赤色になることがある 皮膚が薄く、つやがある 皮膚が栄養不足で薄く光沢を帯びる 毛が抜けやすい 足の毛が抜けやすくなる 爪の変形・変色 爪が厚くなる、変形・変色する (文献3) 閉塞性動脈硬化症が進行すると、血流が著しく低下し、足の皮膚や組織への酸素供給が不足します。酸素供給が不足するとちょっとした傷でも治りにくくなり、皮膚の色も悪く見えるようになります。足先が白くなったり、紫がかって見える状態はチアノーゼと呼ばれ、重度の血流不足状態です。 また、皮膚の乾燥や光沢、爪の変形も血流低下のサインであり、進行すると皮膚潰瘍や壊死に至る危険性もあります。チアノーゼは皮膚の色の変化として現れるため、足のしびれや歩行時の違和感よりも気づきやすいのが特徴です。皮膚が紫色や暗赤色に変色している場合は、早急に医療機関を受診してください。 足の脈拍の低下・消失 症状の特徴 説明 脈拍の触れにくさ 足の甲や足首で脈が弱くなったり、触れなくなったりする 左右差がある 片足だけ脈が弱い、または触れない場合がある 冷えやしびれを伴う 脈の変化と一緒に冷えやしびれを感じることが多い 皮膚の色や温度の変化 皮膚が青白くなり、足が冷たく感じることがある 運動後の変化 運動後に脈がさらに触れにくくなる場合がある 自己チェックの限界 自分で確認できても正確な判断は難しく、医師の検査が重要 (文献3) 足の甲や足首の脈が触れにくくなる、あるいはまったく触れなくなるのも、閉塞性動脈硬化症のサインです。足の動脈の詰まりが進行すると、足首や足の甲で触れる脈拍が弱くなったり、ほとんど感じられなくなったりするケースがあります。 足の脈拍の変化は自分ではわかりにくいため、医師の診察や超音波検査が必要です。とくに左右の脈に差がある場合や片足だけ脈が感じにくい場合は、動脈の詰まりが疑われます。早めに対応すれば血流を改善でき、重篤な合併症を防止できる可能性があります。 閉塞性動脈硬化症の原因 原因 なぜ関係するのか 防止策 具体的な説明 加齢 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が進行しやすくなる 血管をいたわる生活を心がける 食事の塩分や脂質を控え、適度な運動や定期的な健康診断を習慣にする 糖尿病 高血糖が血管の内側を傷つけ、血管が詰まりやすくなる 血糖値のコントロールが重要 食事療法・運動療法・内服治療などで血糖を安定させ、合併症の予防につなげる 脂質異常症 LDLコレステロールが血管にたまり、プラークとなって血流を妨げる 脂質管理と生活習慣の改善 動物性脂肪を控えた食事と、必要に応じたコレステロール低下薬の服用 喫煙 タバコに含まれる成分が血管を傷つけ、血流を悪くする 禁煙が最大の予防 禁煙外来の活用や代替品(ニコチンパッチなど)を利用して、段階的に習慣を断ち切る 閉塞性動脈硬化症は、動脈の内側にコレステロールなどの脂質がたまり、血管が狭くなる動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化が引き起こされる原因は以下の4つです。 加齢 糖尿病 脂質異常症(高コレステロール血症など) 喫煙 以下では、閉塞性動脈硬化症の原因を詳しく解説します。 加齢 加齢に伴う変化 対策・予防方法 血管内皮細胞の機能低下 抗酸化作用のある食品をとる(野菜・果物)、定期的な検査を受ける 血管壁の弾力性の低下 ウォーキングなどの有酸素運動で血管の柔軟性を維持 酸化ストレスの増加 禁煙やバランスの良い食事で活性酸素を抑える 炎症反応の亢進 規則正しい生活・ストレス管理やEPAやDHAを含む食品 生活習慣病のリスク増加 高血圧・糖尿病・脂質異常症をきちんと治療・管理する (文献3)(文献5) 年を重ねると血管の弾力性が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症を発症し、軽い動作でも足に違和感が出ることがあります。 年齢とともに血管は弱くなりますが、運動や食生活を見直すことで健康を保てます。足の冷えやしびれが気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病 影響の種類 概要 血管を傷つけやすい 高血糖が続くと血管の内壁が傷つきやすくなる 動脈硬化を促進 脂肪が血管壁にたまりやすく、動脈硬化が進行しやすい 末梢血管が障害されやすい 足先など細い血管が多い部分で血流障害が起こりやすい 神経障害を合併しやすい 足の感覚が鈍くなり、違和感に気づきにくくなる 小さな傷に気づきにくく、治りにくい 小さな傷に気づかず、治りにくくなることで悪化しやすい 感染症のリスクが高い 免疫力が低下し、傷口からの感染症リスクが高まる 血管の石灰化が起こりやすい 血管にカルシウムがたまり、血管が硬くなりやすい 他の危険因子を合併しやすい 高血圧や脂質異常症を併発しやすく、動脈硬化が進みやすい (文献6)(文献7) 血糖値が高い状態が続くと、血管の内側が傷つき、脂質や血小板がたまりやすくなります。脂質や血小板がたまると血管が詰まりやすくなります。糖尿病では神経障害も起こりやすく、足のしびれや違和感に気づきにくいため、とくに注意が必要です。 血管と神経の障害が重なると、傷の治りが遅くなり、感染が悪化しやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症のリスクが高まります。糖尿病の方は、足の違和感や傷に気を配り、異常があれば早急に医療機関を受診しましょう。 脂質異常症(高コレステロール血症など) 影響の種類 概要 血管壁への脂質沈着 悪玉コレステロールが血管の内壁にたまりやすくなる プラーク形成の促進 たまった脂質がプラークを作り、血管を狭める 初期症状の発現を早める可能性 動脈硬化が早く進み、若いうちから症状が出ることがある 症状の悪化を加速 血流がさらに悪化し、違和感や歩行障害が進行する 他の危険因子との相乗効果 高血圧や糖尿病などと合併しやすく、リスクがさらに高まる 血管内皮機能の障害 血管の柔軟性が低下し、血栓ができやすくなる (文献8)(文献9) 血液中のコレステロールや中性脂肪が多いと、動脈の内壁に脂質が沈着し、プラークと呼ばれる塊ができやすくなります。プラークは血管を狭め、血流を妨げる原因です。 とくにLDL(悪玉)コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行しやすくなり、閉塞性動脈硬化症を引き起こしやすくなります。脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘された場合は放置せず、食生活の見直しや適切な治療を行うことが大切です。 喫煙 喫煙が与える影響 概要 血管の内側が傷つく タバコの有害物質が血管内皮細胞を傷つけ、血管機能が低下 動脈硬化が進みやすくなる コレステロールなどが沈着しやすくなり、血管が狭くなる 血管が収縮して血流が悪くなる ニコチンの作用で血管が細くなり、足の血流が悪化する 血液がドロドロになる 喫煙により血液の粘り気が増し、流れにくくなる 血栓ができやすくなる 血のかたまり(血栓)ができやすくなり、血管を詰まらせる 症状が早く現れる可能性が高くなる 非喫煙者より若い年齢で冷えやしびれなどの症状が出やすい 症状が急速に悪化しやすくなる 歩ける距離が短くなる、安静時にも違和感が出てくるなど悪化が早い 治療の効果が出にくくなる 薬や治療の効果が弱まり、改善しにくくなる (文献10) タバコに含まれる有害物質は血管の内側を傷つけ、炎症や動脈硬化を進行させます。とくにニコチンは血管を収縮させ、足の血流を悪化させる原因です。 そのため、喫煙者は非喫煙者より閉塞性動脈硬化症の発症リスクが約3〜5倍高く、若年で発症する傾向もあります。動脈硬化の予防や治療には禁煙が不可欠です。(文献11) 閉塞性動脈硬化症は何科を受診するべき? 診療科名 役割・特徴 受診の目安 循環器内科 血流や動脈硬化の評価・管理が可能。動脈の状態を総合的に診断 足の冷え・しびれ・歩行時の違和感などがある場合に最優先で受診 血管外科 動脈の狭窄・閉塞に対する検査・手術(カテーテル治療など)に対応 検査や手術が必要な場合、循環器内科から紹介されることも多い 内科(かかりつけ医) 必要に応じて専門科へ紹介してもらえる 専門科がない場合にまず相談。早期の受診・紹介が重要 整形外科(注意) 神経や筋肉の疾患が専門。血流の問題を見落とす可能性あり しびれや違和感で来院しても、血流障害が見逃されることがある 皮膚科(注意) 皮膚の異常は診られるが、血流の異常に気づかれにくいことがある 足の傷で受診しても、原因が血流障害と判断されにくい 閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、まず循環器内科または血管外科の受診が推奨されます。循環器内科または血管外科では、血管の状態を詳しく調べる検査や適切な治療方針の判断ができます。 とくに足が冷たい、足の色が悪いといった症状がある場合は、末梢動脈疾患の可能性があるため、早期受診が大切です。 どこを受診すべきか迷う場合は、内科やかかりつけ医に相談しましょう。初期診察で必要性があれば、専門科への紹介を受けられます。症状を放置すると潰瘍や壊死など重症化する恐れがあるため、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 「どの診療科に行けば良いのかわからない」とお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。当院では、どんな小さなお悩みにも丁寧に耳を傾け、患者様一人ひとりに寄り添った治療のご提案をいたします。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご利用いただけますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。 閉塞性動脈硬化症の治療法 治療法 内容 適しているケース 注意点・ポイント 保存療法 ウォーキングや生活習慣の見直し 初期の症状がある方 運動を継続が大切。禁煙や減塩も効果的 薬物療法 抗血小板薬や高血圧・糖尿病の治療薬 軽度から中等度の症状がある方 医師の指示に従って服薬を継続が重要 手術療法 カテーテル治療やバイパス手術 血管の詰まりが進行し、日常生活に支障がある方 術式は症状によって異なるため、専門医とよく相談する 再生医療 幹細胞などを用いて血管の再生を促す治療 他の治療が難しく、重症の状態にある方 保険が適用されない場合があり、限られた施設で実施されている 閉塞性動脈硬化症の治療は、症状の進行度や原因となる病気の有無によって異なります。 保存療法 薬物療法 手術療法 再生医療 閉塞性動脈硬化症の治療法は医師の診断と指導のもと行われます。治療法について解説します。 保存療法 取り組み内容 概要 禁煙 最も重要な改善点。喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を進行させるため、禁煙が必須 食事の見直し 塩分や脂質を控えた食事で動脈硬化の進行を抑える 適度な運動 ウォーキングなどの軽めの有酸素運動が血流改善に効果的 体重・血圧・血糖・脂質の管理 生活習慣病の管理を通じて、血管への負担を減らし、病気の進行を防ぐ (文献12) 保存療法とは、薬や手術を用いず、生活習慣の改善などで進行を抑える治療法です。代表的なのが運動療法であり、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行い、血流の改善を促します。また、運動だけでなく、生活習慣の見直しも大切です。 禁煙や高カロリーな食事を控えるなど、動脈硬化の進行を抑える上で基本となります。保存療法は、医師の指導のもとで行うことが大切です。運動や食事制限は無理のない範囲で続け、少しでも違和感があれば、すぐに医師に相談しましょう。 以下の記事では、下肢閉塞性動脈硬化症でやってはいけないマッサージ方法について詳しく解説しています。 薬物療法 治癒カテゴリー 薬剤例 効果の概要 抗血小板薬 アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール 血小板の凝集を抑え血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも有効 血管拡張薬 シロスタゾール、プロスタグランジン製剤 血管を広げて血流を改善し、歩行距離の延長や冷え・しびれに有効 プロスタグランジン製剤 プロスタグランジンE1製剤(注射・点滴) 末梢血流を改善し、潰瘍や壊死などの重症症状を緩和・治癒促進 脂質異常症治療薬 スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチンなど) LDLコレステロールを下げて動脈硬化を予防。心血管リスクの低減にもつながる 高血圧治療薬 ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、β遮断薬 血圧を下げて血管の負担を軽減し、動脈硬化の進行を抑える 糖尿病治療薬 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬 血糖管理に加え血管保護作用もあり、心血管リスクの抑制に貢献 (文献13)(文献14) 閉塞性動脈硬化症の薬物療法は、病気の進行を抑え、症状を和らげるために行います。抗血小板薬は血栓を防ぎ、血流を保つのに役立ちます。 高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合は、それぞれの治療薬も併用します。薬は根本的な治療ではなく、進行を止めることが目的です。薬剤は医師の指示のもと、継続しての服用が大切です。 手術療法 治療法 手術方法 効果・特徴 適応病変 バイパス手術(外科的血行再建術) 閉塞部位の上下をつなぎ、静脈や人工血管で血流のバイパスを作る 長い範囲の血管閉塞に効果があり、歩行距離の改善や潰瘍の治癒、さらには足の切断を回避できる可能性がある 長い範囲の閉塞や血管内治療が難しい場合に向いている 血管内治療(カテーテル治療) カテーテルで血管を内側から広げ、必要に応じてステントを入れる 早期に血流改善が期待でき、違和感や冷えの症状が軽減しやすい 比較的短い範囲の狭窄・閉塞に対して有効 閉塞性動脈硬化症が進行し、薬や運動では十分な改善が見込めない場合、手術療法が検討されます。とくに足の血管が高度に狭くなったり詰まったりしている場合、血液の流れを回復させるには物理的な処置が必要です。 代表的なのがカテーテル治療で、狭くなった血管内に細い管を入れ、バルーンで広げ、金属製のステントを留置する方法です。より重度の場合には、詰まった血管を迂回するバイパス手術を行います。 手術療法は誰にでも適応できるわけではなく、血管や全身の状態を見て慎重に判断する必要があります。また、カテーテル治療後の再狭窄やバイパス手術後の感染などのリスクもあるため、医師とよく相談し、メリットとリスクを理解した上で治療を選ぶことが大切です。 再生医療 再生医療は、薬や手術で改善が難しい場合に検討されます。再生医療は患者自身の細胞を使用し、新たな血管の形成を促す治療です。 再生医療は比較的新しい治療アプローチであり、一部では保険適用外となりますが、重症例における有効性が報告されており現在も研究が進められています。名古屋大学大学院の報告によると、血管内治療やバイパス手術が難しい末期の患者でも、再生医療によって血流が改善し、足の切断を回避できたケースが確認されています。(文献13) また、京都府立医科大学附属病院の資料によると、バージャー病に対する再生医療では、足の切断を1年後・3年後ともに95.5%の確率で回避できたことが示されています。(文献15) 再生医療は限られた医療機関での実施となるため、事前に取り扱いのある医療機関への受診が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れたらすぐに医療機関を受診しよう 閉塞性動脈硬化症の初期症状は見過ごされやすいですが、放置すると壊死を起こし、最悪の場合は足の切断に至ることもあります。 違和感を覚えた場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、動脈硬化は全身に起こるため、足の症状だけでなく心臓病や脳卒中といった重篤な病気につながる可能性もあります。 当院リペアセルクリニックでは、症状や受診科の悩みに丁寧に対応し、必要に応じて幹細胞を使った再生医療で治療をサポートしています。 閉塞性動脈硬化症が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) 肢閉塞性動脈硬化症に対する治療法の評価とQOL日血学会誌 (文献2) 末梢閉塞性動脈疾患|MSD マニュアル 家庭版 (文献3) 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)|日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン (文献4) 臨床研究の概要をできる限り平易な用語を用いて記載した要旨|九州大学病院 (文献5) 動脈硬化は怖い病気のはじまり|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献6) 糖尿病合併症について|一般社団法人日本糖尿病学会 (文献7) 糖尿病|厚生労働省 (文献8) 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会・日本医師会 (文献9) 脂質異常症|国立循環器病研究センター (文献10) 禁煙は動脈硬化予防の第一歩|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献11) Smoking as a risk factor for lower extremity peripheral artery disease in women compared to men: A systematic review and meta-analysis|PLoS One (文献12) 下肢閉塞性動脈硬化症のリハビリテーション|特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ (文献13) 皮下脂肪由来幹細胞で血管病を治療|Angiogenesis (文献14) 閉塞性動脈硬化症(PAD)の薬物療法 〜循環器内科医の立場から〜|日本フットケア学会雑誌 (文献15) 先進医療B 総括報告書に関する評価表(告示旧24)|第154回先進医療技術審査部会
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「歩いていると足がしびれてきて、立ち止まらないと前に進めない」 「ふくらはぎが重だるくなり、少し休むとまた歩けるようになる」 上記のような症状でお困りではないでしょうか。 歩くと足がつらくなり、休むと回復する特徴的な症状は「間欠跛行(かんけつはこう)」と呼ばれます。年齢のせいと見過ごされがちですが、放置すると歩ける距離がどんどん短くなり、日常生活に支障が出てきます。 本記事では、間欠跛行の原因や神経性・血管性の見分け方、治る可能性と治療法、自宅でできるストレッチや日常生活の注意点までを医師監修のもと解説します。歩行時の違和感でお悩みの方はぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。足のしびれや歩きにくさでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 間欠跛行とは 間欠跛行(かんけつはこう)とは、一定の距離を歩くと足やふくらはぎにしびれ・だるさ・違和感が生じて歩けなくなり、少し休むと再び歩けるようになる症状のことです。 歩くと症状が出て、休むと和らぐ状態を繰り返すため、「間欠」と呼ばれます。 ※間欠=一定の時間を置いて、起こったりやんだりすること 具体的な症状は、以下を参考にしてください。 影響の種類 具体的な内容 外出の制限 違和感が出る距離が短くなり、買い物や散歩などの外出が億劫になる 活動量の低下 しびれを恐れて活動量が減り、筋力や体力が低下する可能性がある 精神的な負担 症状の再発への不安が常にあり、ストレスを感じやすくなる 生活の質の低下 趣味や社会活動が難しくなり、生活の満足度が低下する なお、放置すると歩行可能な距離が次第に短くなります。また、症状が進行すると足の潰瘍・壊死を招いたり、心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な合併症につながるおそれもあります。 少しでも異変を感じたら、医療機関を受診してください。 間欠跛行を引き起こす2つの原因と見分け方 間欠跛行の主な原因は、大きく分けて以下の2つです。 脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性) 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性) どちらも「歩くと足がつらくなり、休むと楽になる」という共通点がありますが、原因となる病気や治療法は異なります。 それぞれのタイプの特徴と見分けるポイントを以下で順に説明します。 脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性) 神経性の間欠跛行は、加齢などによって背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、腰の神経が圧迫されることで起こります。代表的な原因となる病気は腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。 脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行の特徴をまとめると、以下のとおりです。 項目 内容 原因 脊柱管が狭くなり腰の神経が圧迫される 代表的な疾患 腰部脊柱管狭窄症 主な症状 ・足のしびれ ・脱力感 ・つっぱるような違和感 楽になる姿勢 前かがみ・座位で軽くなる 特徴 自転車には乗れるが歩行がつらい (文献1) 神経が圧迫されると、歩行中に足のしびれや脱力感が生じ、続けて歩くことが難しくなります。また、前かがみになったり座ったりすると神経への圧迫がゆるむため、症状が軽くなる点が特徴です。 なお、以下の記事では、脊柱管狭窄症術後の症状に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性) 血管性の間欠跛行は、動脈硬化により足の血管が狭くなったり詰まったりして、歩行中の筋肉に十分な血液が届かなくなることで起こります。代表的な原因となる病気は閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう:ASO)です。 閉塞性動脈硬化症による血管性間欠跛行の特徴は、以下のとおりです。 項目 内容 原因 動脈硬化で足の血管が狭くなり血流が不足する 代表的な疾患 閉塞性動脈硬化症(ASO) 主な症状 ・ふくらはぎの重だるさ ・締めつけ感 ・冷感 楽になる姿勢 姿勢に関係なく立ち止まれば回復 特徴 自転車でも足の筋肉を使うと症状が出る (文献2) 血管性の間欠跛行の場合、一定の距離を歩くと、ふくらはぎや太ももに重だるさや締めつけるような違和感が現れます。しかし、立ち止まって休むと血流が回復し、再び歩けるようになります。 また、症状が進行すると、安静にしていても違和感が続き、足先の冷え・皮膚の色の変化・潰瘍などに発展するおそれがあります。なお、高血圧・糖尿病・喫煙などが動脈硬化を進める要因となるため、生活習慣の改善が重要です。 以下の記事では、閉塞性動脈硬化症について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 神経性と血管性の間欠跛行の見分け方 神経性と血管性は症状が似ていても、原因と治療法がまったく異なります。適切な治療を行うためにも、見分けるためのポイントを押さえておきましょう。 両者の代表的な違いは、以下のとおりです。 比較項目 神経性(脊柱管狭窄症) 血管性(閉塞性動脈硬化症) 原因 神経の圧迫・神経の血流障害 足の動脈の狭窄や閉塞 楽になる姿勢 前かがみで楽になる 姿勢に関係なく立ち止まれば楽になる 自転車運転 前傾姿勢のため長時間乗れる 足の筋肉を使うため乗っていても違和感が出やすい 足の脈拍 正常に触れる 弱い、または触れない 症状の現れ方 しびれや脱力感が中心 筋肉の痛み・つっぱり感が中心 なお、簡易的な見分け方として、足の甲にある足背動脈の拍動を確認する方法があります。 足の甲の親指と人差し指の骨の間あたりを指先で軽く押さえ、ドクンドクンと脈拍を感じ取れるか確認してみてください。神経性では脈拍が正常に触れますが、血管性では脈拍が弱い、または触れないことが多いです。 いずれの方法もあくまで目安のため、正確な診断は医療機関での画像検査や血流検査が必要です。 間欠跛行が治る可能性について 間欠跛行は、原因に合った治療を早期に受けることで、歩ける距離が伸び、日常生活に支障がないレベルまで症状を改善できる場合があります。また、運動療法や生活習慣の改善を継続すれば、生活の質も大きく向上します。 ただし、原因疾患そのものを完全にもとの状態に戻すことは難しい場合が多いため、症状の軽減と進行予防が治療の中心となります。とくに血管性では、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を防ぐことも重要な目的です。 間欠跛行の治療法 間欠跛行の治療法には、主に以下の3つがあります。 保存療法 手術療法 再生医療 症状の程度や原因、全身状態によって適した治療法は異なります。自己判断せず、医師と相談しながら選ぶことが大切です。 なお、受診先は原因によって異なります。神経性が疑われる場合は整形外科、血管性が疑われる場合は循環器内科または血管外科を受診しましょう。 原因がはっきりしない初期段階では、まず整形外科を受診して画像検査を受けるのがおすすめです。 それぞれの治療法について以下で詳しく解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに症状の緩和と進行抑制を目指す治療法で、間欠跛行の治療の基本となります。運動療法・薬物療法・生活習慣の改善を組み合わせて、歩行能力の維持と向上を目指します。 保存療法の主な内容は、以下のとおりです。 治療法 内容 期待される効果・ポイント 運動療法 計画的な歩行訓練、下肢筋力トレーニング、ストレッチなど 側副血行路の発達、酸素利用効率向上、歩行距離の延長 薬物療法 抗血小板薬、血管拡張薬、鎮痛薬など(医師の判断で処方) 血流改善、血栓予防、症状の緩和 生活習慣の改善 禁煙、食事改善、体重・血糖・血圧管理、ストレス・冷え対策 動脈硬化の進行抑制、生活習慣病の改善、薬の効果を引き出す 運動療法では歩行訓練によって血流を改善し、歩行可能な距離を少しずつ延ばしていきます。薬物療法では、血液が固まりにくくする薬や血管を広げる薬で症状の軽減を目指します。 また、生活習慣を根本から改善するのも間欠跛行を防ぐ上で大切です。 保存療法はすぐに大きな変化が出るものではありませんが、長期的な継続で歩行能力の維持や改善が見込めます。 手術療法 手術療法は、保存療法で十分な改善が得られない場合や、日常生活に大きな支障がある場合に検討されます。 また、手術の方法は神経性と血管性で異なります。 神経性 神経性(脊柱管狭窄症)の手術には、大きく「除圧術」と「固定術」の2種類があります。 それぞれの手術の違いをまとめると、以下のとおりです。 手術の種類 内容 適応となる主な状況 除圧術 神経を圧迫している骨や靭帯を取り除き脊柱管を広げる 神経の圧迫が強く保存療法で改善しない場合 固定術 除圧に加えボルトなどで骨同士を固定する すべり症など腰椎の不安定性が強い場合 除圧術は、神経を圧迫している骨の一部や厚みが増した黄色靭帯を削り、脊柱管を広げる手術です。近年は内視鏡や顕微鏡を用いた小切開での手術が主流で、筋肉への負担が少なく早期回復が見込めます。 固定術は、背骨のずれ(すべり症)や腰椎の不安定性が強い場合に行われ、除圧した上でボルトやスクリューで骨を固定します。 なお、手術が検討される主な状況は、薬やリハビリを3カ月以上続けても効果が乏しい・歩行距離が数百メートル以下で外出が難しい・足に力が入らないなどの神経脱落症状がある場合です。とくに、尿漏れや便秘といった膀胱直腸障害がある場合は、手術が強く考慮されます。 血管性 血管性の間欠跛行で代表的なのがバイパス手術です。狭くなった血管を迂回するように新しい通り道を作り、足への血流の改善を目指します。 主な特徴は以下のとおりです。 項目 バイパス手術(血管バイパス術) 血栓除去術(血行再建術) 目的 狭くなった血管を迂回して、新たな血液の通り道を作る 詰まった血管から血栓(血のかたまり)を取り除いて血流を再開させる 対象となる状態 慢性的な血流障害(閉塞性動脈硬化症など) 急に血流が止まった場合(急性動脈閉塞など) 使用される血管 自分の静脈(自家血管)または人工血管 既存の血管を利用し、血栓を除去 麻酔・方法 全身または局所麻酔で行い、血管を縫い合わせる 同様に麻酔下で血管を開き、器具で血栓を取り出す 効果 血流の大幅な改善、歩行症状の軽減や重症化の予防 早期の血流回復で壊死や切断リスクを低下させ、症状の改善が見込める 注意点 感染、出血、再閉塞などの合併症リスクあり 同様に合併症や再閉塞のリスクがあり、術後管理が大切 どちらの手術も血流を改善し、歩行時の違和感や足の壊死リスクを軽減する効果が期待できます。ただし、保存療法に比べると体への負担は大きいです。また、感染や出血、バイパス血管の詰まりといった合併症のリスクがあり、入院期間も長くなる傾向があります。 手術を検討する際は、医師とよく相談した上で決めることが大切です。 再生医療 間欠跛行は、神経の圧迫や血管の詰まりが原因で起こる症状です。再生医療では、体が本来持つ修復力を利用して神経や血管の機能回復を目指す治療法であり、しびれや違和感の軽減、血流の改善が期待されます。 再生医療の概要については、以下を参考にしてください。 原因のタイプ 再生医療のアプローチ 期待される効果 神経性(脊柱管狭窄症) 幹細胞などを用いて、傷ついた神経の修復や炎症の抑制 神経の伝達が改善し、しびれや違和感が軽くなる 血管性(動脈硬化) 新しい毛細血管をつくる(血管新生)よう促す治療を行う 足への血流が改善し、歩くときの違和感が緩和される可能性がある なお、再生医療は手術療法と比べ、長期の入院や感染症のリスクが少ないのがメリットです。 以下の記事では、間欠跛行と下肢(足)のしびれに悩まされていた患者様の症例を紹介しています。再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。 間欠跛行に効果的なストレッチとリハビリ方法 間欠跛行のリハビリでは、下肢や股関節まわりの柔軟性を高めるストレッチが有効です。血流が促進され、筋肉の緊張がほぐれるため、歩行時の違和感の軽減が見込めます。 ここでは、自宅で取り入れやすい4つのストレッチを紹介します。 ふくらはぎのストレッチ 太もも裏のストレッチ お尻のストレッチ 股関節のストレッチ なお、ストレッチ中にしびれや強い違和感を覚えた場合は、すぐに中止して医師に相談してください。 ふくらはぎのストレッチ ふくらはぎのストレッチは、歩行時に酷使される下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性を高め、血流を改善する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 壁から一歩分離れて立ち、両手を壁につく 伸ばしたい脚を後ろに引き、かかとを床につけたままにする 前の脚の膝を曲げながら、体を前方に倒す ふくらはぎが伸びている感覚を感じたまま、20〜30秒キープする 反対側の脚も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に、毎日続けてみてください。反動をつけず、ゆっくり伸ばすことがポイントです。 違和感や痛みが出ない範囲で行いましょう。 太もも裏のストレッチ 太もも裏のストレッチは、ハムストリング(太ももの裏側の筋肉)の柔軟性を高め、骨盤の動きをスムーズにする目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 床に座り、片脚をまっすぐ前に伸ばす もう片方の脚は楽に曲げておく 背筋を伸ばしたまま、上半身をゆっくりと前に倒す 太ももの裏が伸びている感覚を感じながら20〜30秒キープする 反対側の脚も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に実施します。背中を丸めすぎると腰に負担がかかるため、胸を張って骨盤から前に倒すイメージで行いましょう。 お尻のストレッチ お尻のストレッチは、臀部の筋肉(大殿筋・梨状筋など)をゆるめ、股関節の動きや神経の通り道への圧迫を軽減する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 仰向けに寝て、両膝を立てる 片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、数字の「4」の形を作る 両手で下側の脚の太もも裏を抱え、ゆっくり胸に引き寄せる お尻が伸びている感覚のところで20〜30秒キープする 反対側も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に実施してください。呼吸は止めず、ゆっくり深呼吸しながら行うと、筋肉がよりほぐれやすくなります。 股関節のストレッチ 股関節まわりのストレッチは、お尻や太ももまわりの筋肉(中殿筋・大殿筋・ハムストリング・梨状筋など)の柔軟性を高め、血行を改善する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 足の裏が床にしっかりつく高さのイスに、やや浅めに腰かける 片方の足首を、反対側の膝の上にそっと乗せる 背中や腰を丸めすぎないように意識し、胸を脚へ近づけるイメージで、上半身を股関節からゆっくり前へ倒す お尻の筋肉が心地よく伸びる位置で止め、30秒〜1分キープする 上半身をゆっくり戻し、反対側の脚でも同じように行う 左右2〜3回ずつを目安に実施してください。なお、痛みで姿勢が取りにくい場合や、姿勢を取ることで症状が悪化する場合は、すぐに中止して医師にご相談ください。 間欠跛行を悪化させない歩き方や注意点 間欠跛行の症状を悪化させないためには、日常の歩き方の工夫が大切です。毎日の歩き方で意識したいポイントは、以下のとおりです。 ポイント 意識したいこと 正しい姿勢で歩く 耳・肩・かかとが一直線になるよう意識し、反り腰や猫背を避ける 小さめの歩幅で歩く 大股を避け、ゆっくりとした歩幅で腰への負担を抑える 違和感が出たらすぐ休む 我慢して歩き続けず、立ち止まる・座る・前かがみで休憩を取る また、歩き方に加えて、日常生活で気をつけたい注意点を以下にまとめましたので、毎日のセルフケアに役立ててください。 項目 内容 無理に歩きすぎない 違和感を我慢すると悪化のリスクがあるため、無理せず休憩を挟む 姿勢に注意する 神経性の場合は前かがみの姿勢が楽になることが多い 禁煙・食生活の改善 喫煙や高脂肪食は動脈硬化を進めるため、生活習慣の見直しが重要 血圧・血糖・コレステロール管理 生活習慣病のコントロールで症状の進行を抑える 適度な運動を継続する ウォーキングなど違和感が出ない範囲での運動が予防と改善につながる 足の状態を毎日チェックする 傷や潰瘍ができていないか確認し、早めに対処する 症状の変化があれば受診 一時的に良くなっても、病気が進行している可能性がある とくに、喫煙や高コレステロールは動脈硬化を進める要因となるため注意が必要です。足に傷や潰瘍がないかを毎日確認し、異常があれば早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ|間欠跛行が疑われる場合は迷わず医療機関へ 間欠跛行は「歩くとつらくなり、休むと楽になる」症状を繰り返すのが特徴で、神経性と血管性の2つのタイプがあります。軽視して放置すると、歩ける距離がどんどん短くなり、重症化すると足の潰瘍や壊死を招きかねません。 しかし、原因に合った治療を早期に始めると、歩行距離の延長や生活の質の向上が見込めます。また、保存療法や手術療法で改善が難しい場合や、手術を避けたい場合は、再生医療という第3の選択肢も検討してみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。間欠跛行でお悩みの方は、ぜひ一度ご登録ください。 間欠跛行の症状に関してよくある質問 間欠跛行は何科を受診するべき? 初期段階では原因の特定が難しいため、まずは整形外科の受診をおすすめします。腰の神経が原因の神経性間欠跛行であれば、整形外科や脳神経外科で画像検査(MRIなど)を受けられます。 なお、動脈硬化がすでに判明している場合や、足の冷感・皮膚の色の変化がある場合は、循環器内科または血管外科の受診が適しています。 間欠跛行の症状は自然に治る? 間欠跛行が自然に治るケースはほとんどありません。 原因となっている神経の圧迫や動脈硬化は時間の経過とともに進行することが多く、放置すると歩行距離がどんどん短くなります。気になる症状がある段階で、医療機関を受診しましょう。 間欠跛行になったら運動はまったくしてはいけない? 無理のない範囲であれば、適度な運動は症状改善に役立ちます。とくにウォーキングやストレッチは、血流を改善し、歩行能力の維持・向上に有効です。 ただし、違和感や痛みが出た場合はすぐに中止し、休憩を挟みましょう。運動の種類や強度は、医師や理学療法士と相談して決めると安心です。 間欠跛行の症状とがんは関係ある? 間欠跛行の主な原因は脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症であり、がんとの直接的な関係はありません。 ただし、がんが神経や血管を圧迫し、間欠跛行に似た症状が現れるケースもあります。原因がはっきりしない場合は、医療機関で精密検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) 「腰部脊柱管狭窄症」『整形外科シリーズ8』|日本整形外科学会 (文献2) 閉塞性動脈硬化症|国立循環器病研究センター
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
骨粗鬆症は治るのか、将来の健康に対して漠然とした不安を抱いていませんか。加齢とともに骨がもろくなる病気とされ「もう治らないのでは」と心配になる方も多いでしょう。 たしかに、骨粗鬆症は完治が難しい病気です。しかし、適切な治療と生活習慣の見直しによって進行を防げば、骨密度の改善や骨折のリスク軽減に期待できます。 この記事では、医師が骨粗鬆症の治療法や薬の種類、さらに食事や運動による予防法までわかりやすく解説します。 本記事を参考に「完治させる」のではなく「これ以上悪化させない」ことに目を向け、骨粗鬆症の治療や予防に前向きに取り組んでみましょう。 骨粗鬆症の完治は難しいが進行を抑えることは可能 骨粗鬆症の治療目的は、完治ではなく、進行を抑えて骨折を防ぐことです。(文献1) 骨は常に「骨吸収(骨を壊す)」と「骨形成(骨を作る)」を繰り返しています。(文献2)加齢やホルモンバランスの変化で骨を作り変えるリズムが崩れると、骨吸収が優位になり、骨密度が低下していきます。これが骨粗鬆症の本質です。 現在の医学では、一度減少した骨密度を完全に若年時の状態に戻すことは困難です。しかし、薬物療法や食生活・運動習慣の改善を継続すると、骨量の減少を抑えたり、骨密度を高めたりすることも可能です。 骨折リスクを減らして健康寿命を延ばすには、骨粗鬆症の完治を目指すよりも、進行を抑えることが大切です。早期から治療と予防に取り組み、骨の健康を守りましょう。 なお、骨粗鬆症の進行を防ぐには、原因を理解しておくことも重要です。原因については、以下の記事にて詳しく解説しています。気になる方は、あわせて参考にしてください。 骨粗鬆症の進行を防ぐ方法 食事や運動により、骨粗鬆症の進行を防ぐ方法として以下の2つがあります。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、日々の食事や運動が進行防止に大切です。ぜひ本章を参考に、生活習慣を見直してみてください。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨の材料となる栄養素を意識的に摂取しましょう。 中でもカルシウム・ビタミンD・ビタミンK・たんぱく質は、骨の形成や維持に欠かせません。骨に必要な栄養素が豊富に含まれている食材として、以下のようなものがあります。 栄養素 食材例 カルシウム 牛乳 えび ビタミンD 鮭 きくらげ ビタミンK ほうれん草 納豆 たんぱく質 卵 豚肉 これらの栄養素を含む食材を、毎日の食事にバランスよく取り入れることが理想です。急に食生活を変えるのが難しい場合は、納豆や牛乳など取り入れやすい1品から始めてみると良いでしょう。 かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨に刺激を与える運動を日常に取り入れることが有効です。 運動で骨に適度な刺激が加わると、骨の形成が促され、骨密度の維持や向上につながります。実際に、50代男性に片脚ジャンプを1年間続けてもらったところ、大腿骨の骨密度が上昇したとの研究結果もあります。(文献3) ただし、骨折の経験がある方や高齢者の場合、無理をせずに医師や理学療法士の指導のもとで安全に行うことが大切です。日常生活に無理のない範囲で、継続しやすい運動を取り入れていきましょう。 骨粗鬆症の治療薬について 病院では、骨粗鬆症の進行を抑える薬を使った治療が一般的に行われています。本章では、病院で用いられる主な治療薬の種類と副作用について詳しく解説します。 納得して治療に取り組むためにも、薬の種類や副作用を知っておきましょう。 薬の種類 骨粗鬆症の治療薬は、大きく分けると「骨の吸収を抑える薬」と「骨代謝を調節する薬」の2種類です。また、骨の代謝バランスを整え、穏やかに両方の作用を助けるものもあります。 それぞれの薬は、患者の年齢や骨折歴、骨密度などをもとに、治療の目的に合わせて選択されます。 代表的な薬は以下の通りです。 薬の種類 代表例 骨の吸収を抑える アレンドロン酸(フォサマック®) デノスマブ(プラリア®) 骨を作る力を促す テリパラチド(フォルテオ®) 骨の代謝を調節する エルデカルシトール(エディロール®) 薬によっては、注射薬や週1回、月1回などの服用で済むものもあり、ライフスタイルに合わせて治療薬を選択できます。どの薬が適しているかは個人によって異なるため、定期的に検査を受け、医師と相談しながら治療を続けましょう。 薬の副作用 骨粗鬆症の薬は副作用リスクもあるため、医師の指導を受けながら正しく使用しましょう。 たとえば、ビスホスホネート系のような骨吸収抑制薬では、まれに「あごの骨に異常をきたす(顎骨壊死・がっこつえし)」の副作用が報告されています。(文献1)そのため、歯科治療を受ける際は、事前に歯科医と連携することが推奨されます。また、内服薬では胃もたれや吐き気などの消化器症状が出ることもあるため、服用方法や体調の変化には注意が必要です。 副作用は必ず起こるものではありませんが、適切に対策を取ることで症状の軽減や予防が可能です。副作用が疑われる場合でも、自己判断で薬を中止するとかえって悪化するおそれがあるため、必ず医師の指示を仰いでください。 なお、骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、食事や運動といった生活習慣の見直しも予防に役立ちます。詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 治療薬にかかる値段の目安 骨粗鬆症の薬には保険が適用されており、多くの場合自己負担は3割です。ただし、薬の種類や投与方法によって費用は異なるため、治療を継続するには経済面の確認も大切です。 たとえば、6カ月に1回の注射薬「デノスマブ(プラリア®)」は、3割負担の場合自己負担額が1回あたり5,000~8,000円程度かかります。 さらに毎日服用が必要な薬でも、月に数千円以上の医療費がかかるケースは珍しくありません。このように、骨粗鬆症の治療には一定の費用がかかるため、経済的な負担を感じる方も多いでしょう。 負担が大きい場合、一定の条件を満たすと「高額療養費制度」という一定金額以上の自己負担額が払い戻される制度を利用できる場合があります。(文献4)費用に不安がある方は、こうした制度を活用すると経済的負担を軽減できるでしょう。 骨粗鬆症は完治を目指すよりも進行を防ぐことが大切 骨粗鬆症の治療目的は完治ではなく、進行を抑えて骨折リスクを減らし、健康寿命をのばすことです。 薬の服用に加え、食事や運動の改善を組み合わせると骨の健康にも良いでしょう。ぜひ本記事を参考に、骨粗鬆症の進行予防に取り組んでみてください。 なお、薬や生活習慣の改善に加え、運動機能の維持も骨粗鬆症対策の一環として重要です。とくに膝や股関節に痛みを抱える方は、日常の運動が制限されてしまうこともあります。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みや半月板損傷などの運動器疾患に対して比較的新しい治療法「再生医療」をご提案しています。「痛みの少ない治療を検討したい」「手術以外の方法を探している」という方は、ぜひメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 骨粗鬆症についてよくある質問 骨粗鬆症はいつまで治療を続ける必要があるの? 骨粗鬆症の治療は長期間に及ぶことが多く、医師の判断に基づいて継続の可否を決めることが大切です。 治療により一時的に骨密度が改善しても、薬の中断により再び骨密度が低下し、骨折リスクが高まる可能性があります。 実際にデノスマブ(プラリア®)による治療を中断した後、急激な骨密度の減少と骨折の発生件数が増えたとの報告もありました。(文献3) 「薬はいつまで続ければ良いのか」と不安になった場合は、自己判断で中断はせず、必ず主治医と相談して今後の治療計画を立てましょう。 骨粗鬆症になったら避けるべきことは? 骨粗鬆症の進行を防ぐには、日常生活での悪習慣を見直すことが重要です。とくに喫煙・過度の飲酒・運動不足は、骨の形成や維持に悪影響を及ぼすリスクがあります。以下に、それぞれの習慣が骨に与える具体的な影響をまとめました。(文献1) 避けるべき生活習慣 骨に与える悪影響 喫煙 骨の材料であるカルシウムの吸収を阻害したり、尿への排出を促したりする 過度の飲酒 カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる 運動不足 骨への刺激が減り、骨の強度が弱くなる まずは「禁煙に挑戦する」「お酒の量を1日1杯までに抑える」「週2回は軽い運動をする」など、無理のない範囲で行動を変えることから始めましょう。 骨粗鬆症の薬には後遺症がありますか? 骨粗鬆症治療薬によって後遺症のような障害が残るケースはごくまれですが、なかには注意すべき副作用も存在します。代表的な例として、以下のようなものが報告されています。 薬の成分の例 重篤な副作用の例 アレンドロン酸(ビスホスホネート系) 顎骨壊死(文献4) デノスマブ 低カルシウム血症(文献5) テリパラチド 骨肉腫(文献6) 定期的な血液検査や歯科受診などにより、重篤な副作用は予防・早期発見が可能です。気になることがある場合は、医師に相談し、治療内容に納得した上で進めていきましょう。 参考文献 文献1 日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」2015年,http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2015_01.pdf 文献2 川口浩.「骨粗鬆症の基礎と最近の話題」『脊髄外科』29巻(3号), p.259-p.266, 2015年,https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/29/3/29_259/_pdf 文献3 藤田 博曉.「骨粗鬆症に対する運動療法」『日本内科学会雑誌』111巻(4号), p765-p771, 2022年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_765/_pdf 文献4 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ベネット錠2.5mg 添付文書」2024年3月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_3999019F1034_1_29 文献5 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プラリア皮下注60mgシリンジ 添付文書」2023年11月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/430574_3999435G1023_1_15 文献6 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フォルテオ皮下注キット600μg 添付文書」2022年10月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2439400G1020_1_18
2025.05.30 -
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骨粗鬆症の予防・改善には、年齢を重ねても無理なく続けられる運動習慣を身につけることが重要です。 運動によって骨に適度な刺激が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、骨密度の低下を抑制しやすくなります。 ただし、骨粗鬆症を抱える高齢者は、転倒や骨折のリスクに注意が必要です。 本記事では、骨粗鬆症に対する運動の効果的な仕組みと具体的な実践メニューに加え、高齢者が注意すべきポイントや、食生活との組み合わせ方も解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、運動の妨げになる関節リウマチなどの治療にも用いられている、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 なぜ運動が骨粗鬆症の予防・改善に効果があるのか 骨粗鬆症の予防や進行の抑制には、日常的な運動が重要です。 人間の骨は常に「骨代謝」という仕組みによって古い骨が壊され、新しい骨がつくられる過程を繰り返しています。 骨代謝を促進する方法のひとつが、運動による刺激です。 運動によって骨に適度な負荷が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、新しい骨の形成が促されます。 たとえば、片足立ちのようなバランス運動や足腰の筋力を鍛えるトレーニングを取り入れると、転倒のリスクを減らし、歩行の安定性を高めることが可能です。 加えて、骨粗鬆症の主な原因を正しく理解し、なぜ運動が必要なのかに納得できれば、予防行動を長く続けるための意識づけにもつながります。 骨粗鬆症の原因や予防策については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。 骨粗鬆症におすすめの運動法|今すぐできる具体例を紹介 骨粗鬆症対策として推奨される運動には、次の4種類があります。 かかと落とし ウォーキング 下半身の筋力トレーニング バランス運動 いずれも骨に適度な刺激を与えることで、骨密度の低下を抑える効果が期待できます。 また、筋力やバランス感覚の維持にもつながり、結果的に転倒や骨折のリスクを軽減できるので、自分の体力や生活スタイルに合わせて少しずつ取り入れてみてください。 かかと落とし かかと落としは、床にかかとを落とす際の軽い衝撃が骨に適度な刺激を与え、太ももの骨を強くする効果が期待できる運動です。(文献1) 以下のように特別な器具は必要なく、自宅でテレビを見ながらでも行えるため手軽に始められます。 やり方は次の通りです。 1.壁や椅子に手を添えて、足を肩幅に開く 2.ゆっくりとつま先立ちになる 3.ストンと音を立てるように、かかとを床に落とす 転倒が心配な場合は、手すりや壁に手を添えて行いましょう。 1日10〜20回を3セット行うのが理想ですが、最初は無理せず少ない回数から始めてください。 慣れてきたら、徐々に回数を増やすと継続しやすくなります。 ウォーキング ウォーキングは、骨に適度な負荷を与えながら全身の健康維持にもつながります。 日常生活の中で通勤や買い物のついでに取り入れられるため、習慣化しやすい手軽さが魅力です。 歩行中にかかる骨への刺激が骨密度の維持や向上を促し、下半身の筋力アップにも貢献します。 その結果、転倒による骨折のリスクを抑える効果も期待できるので、以下のポイントを意識しながら実践しましょう。 背筋をしっかり伸ばす 歩幅を大きくとる 腕をしっかり振る いつもより少し速いペースで歩く 1日30分を週に3〜5回行うのが目安です。 最初は短時間から始め、少しずつ歩く時間を増やすと無理なく継続できます。 下半身の筋トレ 下半身を鍛える筋力トレーニングは、骨に適度な刺激を与えられるため、骨粗鬆症の予防に役立ちます。 筋力を高めることで転倒リスクが下がり、骨折の防止につながるのもメリットです。 高齢者の場合、筋肉量の低下が骨折の要因となるため、以下のような下半身の筋トレを行いましょう。 スクワット 膝の屈伸運動で、太もも全体を鍛える筋トレです。 1.足を肩幅に広げて立ち、安定した姿勢をとります。 2.お尻を後ろに引くことを意識しながら、2~3秒かけてゆっくりと膝を曲げます。 3.同じく2~3秒かけて、膝を伸ばしてゆっくり元の姿勢に戻ります。 カーフレイズ つま先立ちを繰り返して、ふくらはぎを鍛える筋トレです。 1.安定した椅子に座り、膝を曲げた姿勢をとります。 2.足裏を床につけたままつま先で床を押しながら、かかとを持ち上げます。 3.かかとを持ち上げたあと、ゆっくりかかとを下ろしていき、スタート時の姿勢に戻します。 4.同じ動作を10~20回繰り返します。 バランス運動 体のバランスを保つ力を鍛えることで、体幹が安定し、歩行中のふらつきを抑えられます。 体のバランス力を高めると日常生活で転びにくくなるため、とくに骨粗鬆症の方にとっては重要な対策のひとつです。 骨粗鬆症は骨がもろくなるため、わずかな転倒でも骨折のリスクが高まります。 バランス感覚を養い、転倒を未然に防ぎましょう。 自宅で手軽に取り組めるバランス運動として、以下のような方法があります。 バランス運動の例 具体的な方法 片足立ち 壁や椅子に軽く手を添え、片足を上げて数秒間キープする 体重移動 足を肩幅に開き、ゆっくりと左右に体重を移動させる 上体ひねり運動 椅子に浅く腰掛け、両手を広げてゆっくりと上体を左右にひねる こうした運動を続けて平衡感覚が養われると、転倒への不安を減らせます。無理のない範囲で、こまめに取り組んでみてください。 ダンベルなど器具を使った筋トレ ダンベルを使った筋力トレーニングは、骨に適度な負荷をかけることで骨形成を促し、骨粗鬆症の予防に効果がある運動のひとつです。 重いダンベルを使う必要はなく、1〜2kg程度の軽い重量でも回数を重ねることで、骨密度の維持・向上が期待できます。 また、ダンベルの代わりに、水を入れたペットボトルでも代用可能です。 自宅でも手軽に始められるので、有酸素運動と組み合わせて行うと骨への刺激も増大し、予防効果がさらに高まります。 骨粗鬆症の高齢者が運動する際の注意点 骨粗鬆症の方が運動をする際の注意点は、以下の4つです。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 痛みや違和感が出たらすぐに中止する 症状に不安がある場合は事前に医師へ相談する 骨粗鬆症の方は、転倒や骨折のリスクを避けるためにも、安全な運動を心がけることが大切です。 以下で詳しく解説します。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であり、わずかな衝撃でも骨折につながる恐れがあります。 さらに、バランス能力が低下していると、転倒による大腿骨や背骨の骨折リスクがより高まるため注意が必要です。 次のような運動や動作は避けてください。 急な方向転換やひねりを伴うスポーツ 前かがみや強いひねりを加える体勢 重すぎるダンベルを使った無理な筋トレ 少しでも不安がある場合は医師や理学療法士に相談し、自分に合った安全な運動プランを立てましょう。 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 骨粗鬆症予防に運動は効果的ですが、やり方を誤ると逆に体を痛めてしまいます。 とくに高齢者は、筋力や柔軟性の低下により、正しい姿勢を保つのが難しくなる傾向があります。 以下のようなケースに注意してください。 長時間の歩行で膝を痛めるケース 背中を丸めた姿勢でウォーキングして腰を痛めるケース 無理な回数のスクワットで膝に過剰な負担がかかるケース 大切なのは、量より質です。 運動回数や時間にこだわらず、自分の体力や体調に合わせて無理なく続けていきましょう。 痛みや違和感が出たときは中止する 運動中に膝や腰などに痛みや違和感を覚えた場合は、直ちに中止してください。 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であるため、軽い痛みであっても骨や関節の損傷、または骨折・捻挫の兆候かもしれません。 筋肉痛のようなごく軽い違和感であれば問題ありませんが、鋭い痛みや数日続く痛みがある場合は要注意です。 無理せず休養を取り、必要に応じて整形外科で診察を受けましょう。 症状に不安がある場合は医師に相談する 運動は骨粗鬆症の予防や改善に有効ですが、骨の状態や体力には個人差があります。 すべての人に同じ運動が適しているわけではありません。 無理に運動を行うと、かえって骨や関節を痛める原因になります。 少しでも不安がある場合は、運動を始める前に医師に相談しておくと安心です。 とくに、次のような方は医師や理学療法士への相談を強くおすすめします。 過去に骨折を経験したことがある 歩くときにふらつきやすい 心臓病や糖尿病などの持病がある 上記に該当する方は、思わぬけがや病状の悪化を防ぐためにも、必ず専門家の指導を受けながら運動を行ってください。 骨粗鬆症対策では安全を最優先し、自分に合った運動を無理なく継続することが大切です。 骨粗鬆症の予防・改善は運動と食習慣の組み合わせが大切 骨粗鬆症の予防や改善には、運動だけでなく食習慣の見直しも欠かせません。 丈夫な骨をつくるには、カルシウムとビタミンDが必要です。 栄養バランスの良い食事を摂ることで、体内でのカルシウムの吸収や利用効率が高まります。 骨粗鬆症の予防・改善には、とくに以下の食品を日々の食事に取り入れましょう。 <カルシウムが豊富な食品> 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品 小魚・豆腐・納豆・青菜・海藻類など <ビタミンDが豊富な食品> サケ・サンマ・イワシなどの魚 しいたけ・まいたけなどのキノコ類 さまざまな食材を組み合わせながら、1日3食を規則正しく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。 加えて、日光に当たる機会を増やすと、体内でのビタミンD合成も促進されます。 また、喫煙は骨密度の低下を早める要因ですので、骨の健康を守るためにも禁煙しましょう。 以下の記事では、薬を飲まずに骨粗鬆症を予防する方法を解説しています。あわせてご覧ください。 骨粗鬆症を合併しやすいリウマチなどは治療を優先|再生医療も選択肢 関節リウマチなどの疾患を抱えている方は、炎症や治療薬の影響、運動不足などにより骨粗鬆症を合併しやすいことが知られています。 しかし、関節の炎症や痛みが強い場合は、無理に運動を続けるよりも原因となる疾患の治療を優先することが大切です。 関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし、進行すると関節の破壊や変形につながる疾患です。 痛みが強い時期は安静を保ちつつ、医師の管理下で治療を進めていきます。 炎症や痛みを抑えて寛解(日常生活に支障のない状態)を目指す薬物療法を基本に、症状や関節の状態に応じてリハビリテーションや手術療法が選択されます。 また、幹細胞治療やPRP療法などの再生医療も選択肢のひとつです。 再生医療には、自身の脂肪から採取した幹細胞を培養して点滴や注射で投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板を濃縮して患部に注入する「PRP療法」があります。 いずれも自身の細胞や血液を利用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。また、入院や手術を必要とせず、日帰りで受けられます。 以下の記事では、関節リウマチの治療に再生医療を活用した症例を紹介していますので、参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症予防のためにも今日から運動を始めてみよう! 骨粗鬆症の進行を抑えるためには、日常生活に適度な運動を取り入れることが重要です。 骨に適切な刺激を与えると骨密度の維持が促され、筋力やバランス感覚の向上によって転倒リスクも軽減できます。ウォーキングや軽い筋トレなど、できることから少しずつ始めてみてください。 ただし、骨粗鬆症の方は関節や筋肉の機能が低下しており、運動によって膝や股関節に痛みが出る場合があります。 状態によっては手術が必要となるケースもありますが、外科的な治療に抵抗がある方には手術の必要がない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。移動機能に不安がある方は、ぜひお気軽に公式LINEをご利用ください。 骨粗鬆症の運動に関してよくある質問 骨粗鬆症の運動での禁忌事項は? 骨粗鬆症の方が運動する際は、骨折を防ぐための転倒予防が重要です。 運動の効果を最大限に引き出すためにも、以下の点に注意しましょう。 段差のある場所では運動しない 暗くて足元が見えにくい場所は避ける 床に物が散らばっていないか確認する 電源コードやマットの端などに、引っかかるものがないか点検する 上記のポイントを意識するだけで、自宅での運動による転倒リスクを大幅に減らせます。 骨粗鬆症の運動に役立つ厚生労働省のサイトを教えて 厚生労働省が運営する「健康日本21アクション支援システム」は、骨粗鬆症の運動や予防に関する情報を探す際に役立ちます。(文献3) 生活習慣病全般に関する情報とあわせて、健康づくりに関連するツールなどを体系的に網羅しているのが特徴です。 基礎知識から実践方法まで、信頼できる内容を効率よく確認できます。 骨粗鬆症の予防・改善にはどのくらいのペースで運動すればいい? 骨粗鬆症の予防・改善には、週に2〜3回の運動が効果的です。(文献4) 定期的な運動によって骨に適度な刺激が加わり、骨密度や骨質の向上が期待できます。 ただし、運動の頻度が少なすぎると、十分な効果が得られません。 一方で、過剰な運動は疲労やけがの原因となるため、無理のないペースで継続することが重要です。 骨粗鬆症と運動のエビデンスとなる論文はある? 骨粗鬆症と運動の関係については、日本内科学会雑誌に掲載された論文「骨粗鬆症に対する運動療法」で詳しく解説されています。 たとえば、55〜74歳の男女を対象に、週2〜3回の筋力トレーニングを40週間継続した研究では、大腿骨近位部および腰椎の骨密度が上昇したことが報告されています。(文献2) 骨におすすめの食べ物や飲み物は? 骨を強く保つには、以下のようなカルシウム・ビタミンD・ビタミンKが含まれた食材の摂取がおすすめです。 栄養素 働き 主な食材例(文献7) カルシウム 骨量を維持する 魚介類(えびやかに)、牛乳など ビタミンD カルシウムの吸収を補助する キノコ類(きくらげ)、魚介類(かつおやいわし)など ビタミンK 骨代謝のバランスを整える 緑茶類、藻類(わかめやのり)など 毎日の食事で不足しがちな栄養素を意識的に摂取すると、運動との組み合わせで骨の健康維持効果が期待できます。 ただし、カルシウムやビタミンDに関しては過剰症も報告されているため、摂りすぎには注意しましょう。(文献5) かかと落としの効果が出るまでどのくらいかかりますか? かかと落としによる骨粗鬆症予防の効果を実感するためには、ある程度の継続期間が必要です。 骨は常に作り替えられていますが、同じ部位が再び新しくなるまでには1〜4年かかるとされています。 そのため、運動の効果が骨密度に反映されるまでには時間が必要です。(文献6) 短期間で効果を求めるのではなく、日常の中に取り入れて長く続けることが大切です。 骨粗鬆症の予防を目的として運動するなら焦らず、コツコツと習慣にする意識を持ちましょう。 骨密度が高い人の特徴はなんですか? 骨密度を高く保っている人には、以下のような共通する生活習慣があります。 日常的に体を動かす習慣がある カルシウムやビタミンDを意識的に摂取している 栄養バランスのとれた食事を心がけている 階段を利用するなど、日常で自然に身体を動かしている 骨密度は、一般的に20〜30代で最も高くなり、その後は加齢に伴って少しずつ減少していきます。(文献4) 老後を健やかに過ごすためにも、できるだけ早い段階から骨の健康を意識した生活を始めましょう。 参考文献 (文献1) かかと落とし運動で骨密度をあげよう!|やら整形外科 (文献2) 骨粗鬆症に対する運動療法|『日本内科学会雑誌 (文献3) 健康日本21アクション支援システム|厚生労働省 (文献4) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版|日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団 (文献5) 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」|厚生労働省 (文献6) 健康寿命を延ばすためには『骨』にも目を向けて!|東邦大学医療センター (文献7) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
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加齢とともに骨密度は徐々に低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。 丈夫な骨を保つためには、食事を見直してさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 本記事では、骨の健康をサポートするおすすめの食材や栄養素、食べ合わせの工夫、避けたい食品の注意点などをわかりやすく解説します。 さらに、毎日の食事に取り入れやすいレシピも紹介していますので、骨粗鬆症が気になる方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ物 骨を丈夫に保つには、特定の栄養だけでなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 ここでは、なかでも骨粗鬆症予防に効果が期待できる食べ物をご紹介します。 牛乳・乳製品|カルシウムが豊富で骨を強くする カルシウムは、骨や歯の主成分として欠かせない栄養素であり、筋肉の収縮や神経の伝達にも重要な役割を果たしています。 カルシウムが不足すると、骨が弱くなりやすく、将来的に骨粗鬆症のリスクが高まるため、日々の食事で意識して摂取することが大切です。 たとえば、コップ1杯(200g)の牛乳には約220mgのカルシウムが含まれており、成人が1日に必要とするカルシウム量の約3分の1に相当します。(文献1) さらに、チーズやヨーグルトといった乳製品を組み合わせれば、より手軽にカルシウムを補うことが可能です。 骨の健康を守る第一歩として、毎日の習慣にコップ1杯の牛乳を取り入れることから始めてみましょう。 骨を強くする食べ物については、以下の記事でも詳しく解説しています。 肉・魚|たんぱく質がコラーゲンの材料になる 肉や魚などのたんぱく質を意識して摂取すると、骨粗鬆症の予防や治療に役立ちます。 骨はカルシウムとコラーゲンで構成されており、コラーゲンの材料になるのがたんぱく質です。 骨にあるコラーゲンは、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役割を果たし、骨の強さを支える土台になります。 たんぱく質が不足すると、コラーゲンが十分に作られず骨がもろくなりやすいため要注意です。 また、たんぱく質は骨だけでなく筋肉の材料にもなり、転びにくい体作りにもつながります。 毎日の食事で肉や魚からたんぱく質を取り入れて、骨粗鬆症対策に活かしていきましょう。 干ししいたけ・魚の干物|ビタミンDがカルシウムとリンの吸収を促進 干ししいたけや魚の干物を食事に取り入れると、骨粗鬆症対策に重要なビタミンDを補給できます。 ビタミンDは、腸や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きを持ち、血液中のカルシウム維持に関わる栄養素です。 たとえば、以下のような食材に多く含まれています。 イワシの丸干し サンマ カレイ シラス干し 干ししいたけ ビタミンDが不足すると腸からのカルシウムの吸収が少なくなり、低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低下した状態)になりやすくなります。 低カルシウム血症になると骨からカルシウムが溶け出し、骨が弱くなっていくため注意しなければなりません。 干ししいたけや魚の干物を摂取し、ビタミンDを意識した食生活を心がけましょう。 野菜|ビタミンKで骨にカルシウムを定着 カルシウムを十分に摂取していても、骨にしっかりと沈着しなければ骨は強くなりません。 ビタミンKには、カルシウムが骨に取り込まれるのを促進する働きがあり、骨粗鬆症の予防薬としても利用されています。 ビタミンKを多く含む食品には、緑色の葉野菜である小松菜やほうれん草、納豆などがあり、おひたし、みそ汁や炒め物など、日常の食事で無理なく取り入れられます。 毎日の食事に少しずつでも野菜を取り入れて、健康な骨づくりを目指しましょう。 大豆製品|イソフラボンが閉経後の女性に必要 大豆に含まれているイソフラボンには、女性ホルモンに似た作用があります。 女性ホルモンは骨密度の維持に関与しており、閉経後に分泌が減少すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。 イソフラボンは、骨密度の低下を緩やかにする効果が期待できるため、とくに中高年の女性は意識的に摂取したい成分です。 たとえば、味噌汁や納豆など、身近な和食を中心としたメニューを取り入れて、骨を強く保つ食生活を実践していきましょう。 海藻類・アーモンド|マグネシウムが不足すると骨が弱くなる 人の体内には約25gのマグネシウムが存在し、そのうちの50〜60%は骨に含まれています。(文献2) 食事からの摂取が不足すると、骨の中のマグネシウムが溶け出して補う仕組みになっており、この状態が続くと骨の強度が低下しやすくなるため注意が必要です。 マグネシウムは、以下のような食材に多く含まれています。 あおさやあおのり、わかめなど海藻類 米ぬか バジル 純ココア アーモンド これらの食材を毎日の食事に取り入れて、骨の健康を支える土台を整えていきましょう。 【過剰摂取に注意】骨粗鬆症で食べてはいけないもの 食品によっては、カルシウムの吸収を妨げたり、カルシウムの排泄を促進したりする場合があります。 ここでは、骨の健康を守るために、摂取を控えた方が良い食品を見ていきましょう。 インスタント食品や加工食品|塩分が多い食べ物 一般的に、インスタントラーメンやスナック菓子、加工食品などには多くの塩分が含まれているのが特徴です。 塩分を過剰に摂取すると、体内でナトリウムと一緒にカルシウムが尿へ排泄されやすくなり、結果として骨からカルシウムが失われてしまいます。 このような状態が続くと、骨密度の低下につながる恐れがあるため、日常的に塩分の摂取量を意識することが大切です。 加えて、調味料の使い方を見直すなどして、日々の食事で塩分を摂り過ぎないように意識しましょう。 コーヒーや紅茶|カフェインを含む飲み物 コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインを摂取すると、カルシウムの吸収が若干低下するとされています。(文献3) カフェインには、腸からのカルシウム吸収を妨げたり、体外へのカルシウム排出を促したりする作用があるため、過剰に摂取すると体内のカルシウムが不足しやすくなるのです。 具体的に「1日何杯までが適量か」という明確な基準は示されていませんが、1日5杯以上のコーヒーを飲むと骨に影響を及ぼすといわれています。(文献4) 骨の健康を守るためには、飲みすぎを避けて適量を心がけることが大切です。 炭酸飲料|リンを多く含む飲み物 炭酸飲料(ソフトドリンク)の過剰摂取が、骨密度を低下させることが報告されています。(文献5) 炭酸飲料はリン酸やカフェインの含量が高く、カルシウムの吸収を妨げる可能性があるのです。 とくに、成長期の子どもや高齢者にとっては、骨の形成や維持に悪影響を及ぼしかねません。 飲みすぎには注意し、牛乳などのカルシウムを豊富に含む飲み物を積極的に摂取しましょう。 お酒|アルコールは骨を作る細胞を破壊 お酒の飲みすぎは、骨粗鬆症のリスクを高める要因となります。 アルコールは、骨を形成する骨芽細胞を傷つけたり、体内の酸化ストレスを増加させたりすることで、骨の新陳代謝に悪影響を与えます。 その結果、骨の形成が抑制され、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、大量の飲酒は骨密度の減少を招き、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めるため、日常的に飲酒する人や一度に多量のアルコールを摂取する人は注意が必要です。 厚生労働省では、女性の適切な飲酒量を純アルコール量で1日約20gまでと示しており、これはビール500mlまたは日本酒1合に相当します。(文献6) 骨の健康を守るためにも飲酒習慣を見直し、過度な摂取を避けるよう心がけましょう。 骨粗鬆症の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。 骨粗鬆症に必要な栄養素一覧 骨の健康を守るには、摂取すべき栄養がどれくらい必要なのかを把握しておくことも重要です。 次の表では、60代女性に必要な摂取量と実際の平均摂取量を比べています。(文献2)(文献3)(文献7)(文献8) <骨粗鬆症予防で大切な栄養素の目標量と平均摂取量> 栄養素 推奨量・目安量 平均摂取量(60代女性) カルシウム 650mg/日 476mg/日 ビタミンD 9.0μg/日(目安量) 6.6μg/日 ビタミンK 150μg/日(目安量) 236μg/日 たんぱく質 50g/日 68.3g/日 マグネシウム 280~290mg/日 235mg/日 ビタミンKやたんぱく質が足りている一方で、ビタミンDやカルシウム、マグネシウムは不足しがちなことがわかります。 日々の食事では、これらの不足しがちな栄養素を積極的に摂取しましょう。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ合わせ5選 ここでは、毎日の食事に取り入れやすい、骨粗鬆症予防に効果的な食べ合わせをご紹介します。 骨を健康な状態に保つためにも、ぜひ参考にしてみてください。 ヨーグルト × きな粉 ヨーグルトにきな粉を加えるだけで、骨の健康に役立つ栄養素を効率よく摂取できます。 ヨーグルトにはカルシウムとたんぱく質が、きな粉にはイソフラボンと植物性たんぱく質が含まれており、組み合わせると骨の形成や維持に必要な栄養素を一度に補うことが可能です。 また、ヨーグルトの乳酸菌と食物繊維を含むきな粉の組み合わせは、腸内環境の改善にも役立ちます。 骨の健康だけでなく、腸内環境も整えたい方にとっても相性の良い食べ方で、朝食や間食として取り入れやすく、日常的に続けやすいのもおすすめポイントです。 なお、きな粉はそのままだとむせやすいため、ヨーグルトとよく混ぜてから食べるようにすると、高齢者の方でも安心して摂取できます。 納豆 × 小松菜 × 味噌汁 納豆には、たんぱく質やイソフラボン、ビタミンKが豊富に含まれており、小松菜にもビタミンKやカルシウムが多く含まれています。 味噌汁の具にすることで、骨の形成や維持に必要な栄養素をバランスよく補えるのがおすすめポイントです。 納豆はご飯にかけるだけでなく、味噌汁の具として活用したり、ゆでた小松菜などの葉物野菜と和えたりと、さまざまな食べ方で楽しめます。 身近な食材を上手に活用して、毎日の食事に取り入れていきましょう。 鮭 × 干ししいたけ × オリーブオイル 鮭と干ししいたけには、脂溶性であるビタミンDが豊富に含まれており、オリーブオイルと一緒に調理することで吸収率が高まります。 とくに、干ししいたけは、調理前に30分ほど日光に当てるとビタミンDの量が増加するため、日干ししてから使うのがおすすめです。 また、炒め物やホイル焼きなどにすると、おいしく味わいながら手軽に栄養を補えます。 豆腐 × ひじき 豆腐とひじきを組み合わせると、マグネシウム、カルシウム、たんぱく質、イソフラボンなど、骨の形成や維持に欠かせない栄養素をまとめて摂取できます。 白和えや煮物として調理すれば、日々の副菜として食卓に取り入れやすく、栄養バランスを整えるのにもおすすめです。 チーズ × ブロッコリー × 卵 カルシウムとビタミンK、たんぱく質が一皿で摂れる、骨の健康に理想的なおすすめの組み合わせです。 たとえば、チーズ入りのオムレツにブロッコリーを添えるだけで、見た目にも彩りが良く、食欲をそそる一品になります。 簡単に作れるので、朝食や昼食にも取り入れやすいでしょう。 骨粗鬆症におすすめの食べ物を使ったレシピ 骨の健康をサポートする、おすすめレシピの簡単な作り方を紹介します。 手軽に作れる料理ばかりなので、日々の食事にぜひ取り入れてみてください。 白身魚の南部揚げ 白身魚とごまを組み合わせた主菜です。 骨粗鬆症予防には毎日カルシウムを摂ることが大切であり、ごまなどカルシウムを多く含む素材を料理に取り入れると、無理なくカルシウムを補えます。 1.白身魚の骨を取り除き、食べやすい大きさに切る。 2.白身魚の水気をふき取り、薄力粉を薄くまぶす。 3.卵白を溶きほぐし、黒ごまと白ごまを混ぜて衣を用意する。 4.白身魚を卵白にくぐらせ、ごまを全体にしっかりとつける。 5.170度程度の油で、白身魚の両面が色よく揚がるまで揚げる。 6.器に盛りつけ、好みの野菜とともに仕上げる。 ひじき入り肉団子と小松菜のうま煮 ひじきと小松菜を使った煮物です。 海藻類や野菜、肉類を組み合わせており、カルシウムを中心とした栄養素を補給できます。 1.乾燥ひじきを水で戻し、食べやすい長さに切る。 2.小松菜を洗い、茎と葉に分けてから食べやすい長さに切る。 3.鶏ひき肉に塩や調味料を加え、ひじきも混ぜて肉だねをつくる。 4.肉だねを丸めて肉団子を作り、鍋にだしと調味料を入れて煮立てる。 5.肉団子を鍋に加え、火が通るまで煮る。 6.小松菜やほかの具材を加え、全体に味がなじむまで煮詰める。 茹で野菜のヨーグルトソース 水切りヨーグルトを使った、野菜を食べる副菜です。 野菜とともに、ヨーグルト由来のカルシウムを摂りやすく工夫しています。 1.プレーンヨーグルトをあらかじめ水切りしておく。 2.ブロッコリーやかぼちゃ、さやいんげんなどの野菜を一口大に切る。 3.野菜を下茹でし、冷ましておく。 4.水切りヨーグルトにマヨネーズや調味料を加え、ソースを作る。 5.皿に茹で野菜を盛りつけ、ヨーグルトソースをかける。 まとめ|骨粗鬆症におすすめの食べ物でしっかり予防しよう 加齢に伴い、カルシウムやたんぱく質などの栄養素が不足しやすくなり、骨がもろくなりやすくなります。 骨粗鬆症を予防するためには、毎日の食事を通じて必要な栄養をしっかり補うのが基本です。 カルシウムやビタミンDをはじめ、骨を支える栄養素を意識的に摂取することで、将来の骨折リスクを軽減できます。 本記事でご紹介したおすすめレシピや食材の組み合わせを参考にしながら、骨の健康を守っていきましょう。 また、骨の状態に不安がある場合には、早めに医師へ相談することも大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の食事に関するよくある質問 骨粗鬆症におすすめの飲み物はありますか? 牛乳や豆乳は、骨粗鬆症対策として取り入れたいおすすめの飲み物です。 カルシウムやたんぱく質が豊富に含まれており、骨の形成や維持に役立ちます。 とくに、豆乳には大豆由来のイソフラボンも含み、骨密度の低下が気になる女性にとってうれしいポイントです。 たとえば、小松菜やバナナ、牛乳や豆乳、ヨーグルトをミキサーで混ぜてスムージーを作ってみましょう。 カルシウム・ビタミン・たんぱく質・食物繊維などをバランス良く摂取でき、骨の健康維持に効果的です。 忙しい朝にも手軽に栄養補給ができるので、朝食の一杯として栄養たっぷりのスムージーを日常に取り入れてみてください。 骨粗鬆症にお酢は良くないですか? 「酢を摂取すると骨が柔らかくなるのでは?」という疑問を持つ方もいますが、そのような心配はありません。 むしろ、酢にはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。 魚の骨が酢で柔らかくなるのは、加熱調理による物理的な変化であり、酢を摂取したからといって体内の骨が溶けるわけではありません。(文献4) 酢の物や魚の酢煮など、酢を使った料理はカルシウムと相性が良く、骨の健康を支える食事の一部として取り入れるのにおすすめです。 酢でいつもと違う味の変化を楽しみながら、無理なく骨粗鬆症対策を続けていきましょう。 参考文献 (文献1) 大切な栄養素カルシウム|農林水産省 (文献2) マグネシウム|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献3) カルシウム|eJIMサイト(厚生労働省) (文献4) 予防について|日本骨粗鬆症財団 (文献5) アクティブシニア社会の食品開発指針|津志田藤二郎ほか (文献6) 生活習慣病などの情報|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献7) 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省 (文献8) ビタミンKの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
2025.05.30 -
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骨粗鬆症は自覚症状が少ないまま進行し、ある日突然、骨折や慢性的な痛みにつながることもある病気です。 とくに閉経後の女性に多く見られ、背中の曲がりや身長の低下、転倒による骨折など、日常生活にも大きな影響を及ぼすため注意しなければなりません。 本記事では、骨粗鬆症の初期サインや原因、進行によるリスク、予防や治療に役立つ運動・栄養・生活習慣の工夫を詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症はどんな痛み?主な症状 骨粗鬆症の初期は自覚症状が乏しいものの、進行するとさまざまな痛みや変化となって現れます。 とくに背中や腰の鈍い痛み、身長の減少、軽い衝撃での骨折などは、骨がもろくなっているサインかもしれません。 ここでは、骨粗鬆症による代表的な症状と、見逃してはいけない身体の変化について解説します。 背中や腰の鈍い痛みが続く 骨粗鬆症では、骨の強度が低下し、背骨を構成する椎体が体の重みや日常動作による負担でつぶれるように折れる「脊椎圧迫骨折」が起こる場合があります。 圧迫骨折が起こると、寝起きや体動時に慢性的に痛みが続くようになるのが特徴です。 痛みが続くと、体を動かして外出する意欲が低下してしまい、寝たきりや引きこもりの原因にもなります。 骨が弱くなっているため小さな力でも骨折しやすく、気づかないうちに生じているケースも少なくありません。 実際、骨粗鬆症に関連した圧迫骨折の多くは、明らかな外傷がなくても発生するケースがあるのです。(文献1) 身長が縮む・姿勢が悪くなる 骨粗鬆症が進行すると背骨の骨がもろくなり、つぶれるように骨折や変形を起こすことがあります。 次第に背中が丸くなって姿勢も前かがみになりやすく、結果的に身長が数cm縮むケースもあるのです。 とくに、若いころと比べて男性で6cm以上、女性で4cm以上の身長の減少が見られる場合は、脊椎の骨折がすでに進行している可能性が高いとされています。(文献2) 転倒や軽い動作でも骨折するようになる 骨粗鬆症が進行すると、骨がもろくなり、わずかな衝撃でも骨折してしまう場合があります。 とくに、背中・太ももの付け根・手首・腕の付け根・肋骨などが骨折しやすい部位です。 骨折が重なると痛みで動くのがつらくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が進行しないうちの早期予防と、ケアがとても大切です。 骨粗鬆症の初期症状に注意しよう 骨粗鬆症は気づかないうちに進行し、ある日突然骨折して初めて気づくケースも珍しくありません。 しかし実際には、日常の中に初期症状と呼べるサインが隠れている場合があるのです。 ここでは、見過ごしやすい骨粗鬆症の初期症状について見ていきます。 身長が縮む 身長が以前より明らかに低くなっている場合、骨粗鬆症の進行が関係している可能性を否定できません。 骨密度が低下すると背骨に負担がかかりやすくなり、骨折や変形によって徐々に身長が縮んでいく場合があります。 とくに、最近の健康診断や人間ドックで身長の変化を指摘された方は要注意です。 加齢によるものと決めつけず、骨粗鬆症の検査を受けましょう。 猫背が悪化する 背中が丸くなってきたり、姿勢の悪さを感じるようになったりしているなら、骨粗鬆症が進行しているサインかもしれません。 骨が弱くなると背骨に変形が生じやすくなり、前かがみの姿勢になりがちです。 鏡や写真に写った自分の姿が以前より猫背に見えたり、周囲から「腰が曲がってきた」と指摘されたりする場合は、骨の健康状態をチェックするきっかけにしてください。 何気ないことで骨折する 軽く転んだり、段差でつまずいて尻もちをついたりした程度で骨折したなら、骨粗鬆症によって骨がもろくなっている可能性があります。 通常なら骨折しないようなわずかな衝撃で骨が折れる状態は、骨粗鬆症の典型的な特徴のひとつです。 骨折をきっかけに寝たきりになる心配もあるため、思い当たる骨折歴がある方は、早めに整形外科を受診して骨密度をチェックしましょう。 骨粗鬆症はどんな人に多い?主な原因 骨粗鬆症は、閉経後の女性に多く見られます。 閉経をきっかけに、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減るのが原因のひとつです。 エストロゲンは、骨を丈夫に保つために重要なホルモンで、骨の新陳代謝のバランスを整える働きがあります。 ホルモンが減少すると、古い骨を壊すスピードが新しい骨をつくるスピードを上回り、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、閉経前後の時期は骨密度が急激に落ちやすく、気づかないうちに骨粗鬆症が進行してしまうケースも少なくありません。 骨粗鬆症の原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状セルフチェックリスト 骨粗鬆症の予防や進行を防ぐには、早く兆候に気づくことが重要です。まずは自分の体の変化をチェックしてみましょう。 以下のチェックリストは、公益財団法人 骨粗鬆症財団が公開している「骨の健康度チェック表」です。(文献3) 次の項目のうち、当てはまるものの点数を合計すると、骨の健康度がわかるようになっています。 1 牛乳、乳製品をあまりとらない 2点 2 小魚、豆腐をあまりとらない 2点 3 たばこをよく吸う 2点 4 お酒はよく飲む方だ 1点 5 天気のいい日でも、あまり外に出ない 2点 6 体を動かすことが少ない 4点 7 最近、背が縮んだような気がする 6点 8 最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする 6点 9 ちょっとしたことで骨折した 10点 10 体格はどちらかと言えば細身だ 2点 11 家族に「骨粗鬆症」と診断された人がいる 2点 12 糖尿病や、消化管の手術を受けたことがある 2点 13 (女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である 4点 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) <結果の見方> 2点以下 今は心配ないと考えられます。これからも骨の健康を維持しましょう。 改善できる生活習慣があれば、改善しましょう。 3点~5点 骨が弱くなる可能性があります。気を付けましょう。 6点~9点 骨が弱くなっている危険性があります。注意しましょう。 10点以上 骨が弱くなっていると考えられます。 一度医師の診察を受けてみてはいかがですか。 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) ご自身の骨の状態を知る目安として、参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状を放置するリスク3選 骨粗鬆症の症状を放置すると、以下のようなリスクが懸念されます。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 寝たきりや介護が必要な状態になる それぞれ詳しく解説するので、骨粗鬆症の早期発見・早期対策にお役立てください。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 背骨が一カ所でも骨折すると、その部分にかかる負担が大きくなり、周囲の骨まで次々と骨折しやすくなるため注意が必要です。 たとえば、太ももの付け根(大腿骨近位部)を骨折した人のうち、およそ10人に1人が反対側の太ももの骨もその後に骨折しているという報告があります。(文献4) 骨折の連鎖が起こる背景には、もともと骨が弱っていることに加えて、以下が関係しているとされています。 骨折によって転びやすくなる 片側をかばう動作で、反対側に余計な負担がかかる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 骨粗鬆症によって背中や腰が骨折すると、痛みや動きづらさが日常生活にじわじわと影響を及ぼすようになります。 たとえば、掃除・洗濯・買い物といった家事がつらくなったり、重い荷物を持つことに不安を感じたりなど、以前は当たり前にできていた動作が難しくなってしまうことも少なくありません。 また、痛みのせいで外出を控えるようになったり、孫を抱っこしたくてもできなかったりと、行動範囲が狭くなることで生活の質(QOL)が低下します。 骨粗鬆症による骨折は、日々の楽しみや穏やかな暮らしに大きな影響を及ぼしかねないのです。 寝たきりや介護が必要な状態になる 骨粗鬆症による背中や腰の痛み、繰り返される骨折は、日常生活の自由を奪うだけでなく、寝たきりになるリスクを高める要因にもなります。 とくに注意したいのが、太ももの付け根にあたる「大腿骨」の骨折です。 大腿骨の骨折は手術や長期のリハビリが必要になるケースも多く、高齢者にとって身体的な負担が大きくなります。 結果的に、体力や筋力が急激に低下し、自分の足で歩けなくなるケースも珍しくありません。 最終的には、介護が必要な生活へと移行せざるを得ないため注意しましょう。 骨粗鬆症で痛みが出る前に見直したい生活習慣 骨粗鬆症は、骨折して初めて気づくケースが少なくありません。 ここでは、早い段階から取り組みたい生活習慣の見直しについて解説します。 骨に負荷をかける運動 骨粗鬆症の予防には、骨に適度な刺激を与える運動を日常に取り入れましょう。 骨は重力や体重といった外からの刺激を受けることで強くなり、骨密度の維持や向上に役立ちます。 とくに、以下のような運動が効果的です。 ウォーキングや階段の昇り降りといった、自分の体重を支える有酸素運動 片足立ちや椅子からの立ち座り運動など、バランス感覚と筋力を鍛える動き スクワットのように、太ももやお尻まわりの大きな筋肉を使う運動 これらの運動は、体に無理なく骨に刺激を与えられるため、高齢者に適しています。 無理のない範囲で継続して取り組み、筋力と骨密度をしっかり守っていきましょう。 骨に有効な食生活 骨粗鬆症の予防には、栄養バランスの良い食生活も欠かせません。 骨は日々の食事から得た栄養によって作られるため、必要な栄養素が不足すると、運動だけでは十分な骨量を維持するのが難しくなります。 とくに意識して摂りたい栄養素と、代表的な食品は以下の通りです。 カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など ビタミンD:鮭やサバなどの魚、きのこ類、卵など ビタミンK:納豆、ほうれん草などの緑の野菜 たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品、穀類など なかでも、カルシウムの吸収を高めるために、ビタミンDやビタミンKを一緒に摂るのがおすすめです。 一方で、加工食品やアルコールの摂りすぎには注意し、日々の食事のバランスをしっかり整えていきましょう。 日光浴でビタミンDを合成 骨粗鬆症の予防には、食事や運動だけでなく、日光浴によるビタミンDの生成も欠かせません。 ビタミンDには腸からのカルシウム吸収を促し、食事で摂ったカルシウムを効率よく骨に届ける働きがあります。 季節や体調に合わせて、無理のない時間帯に外へ出て、散歩やウォーキングを楽しみながら日光を浴びましょう。 外出が難しく室内で過ごす時間が多い人も、ベランダや窓辺で日差しを浴びるなど、できる範囲から始めても効果が期待できます。 骨粗鬆症で痛みが出たときの治療法 骨粗鬆症の治療には、以下のような方法があります。 外科治療 薬物療法 生活習慣の見直し 進行しないうちにかかりつけ医と相談しながら、適切に治療を進めていきましょう。 では、それぞれ解説します。 外科治療 骨折が見つかった場合は、状態に応じて外科的な治療が行われます。 もっとも一般的なのは、コルセットやギプスなどで骨を固定し、安静に過ごす保存的治療です。 背骨の圧迫骨折では、簡易的なコルセットを数週間着用するだけで症状が改善するケースもあります。 ただし、以下のような場合は手術が検討される場合もあります。 痛みが強い 骨のつぶれが大きい 骨の安定性が保てない 手術には骨を金属で固定する方法や、骨に医療用セメントを注入する方法があります。 どちらも骨の安定性を確保し、早期の回復を促すのが目的です。 薬物療法 骨粗鬆症では、薬による治療も行われます。 使用される薬は主に2種類あり、ひとつは骨の吸収を抑える薬、もうひとつは骨を新しく作る働きを助ける薬です。 どちらも、骨密度の改善や骨折リスクの低下を目指して使われますが、即効性は期待できません。 継続的な使用で徐々に効果が現れるため、根気よく治療を続けることが大切です。 また、自己判断で薬を中断してしまうと、改善していた骨密度が再び低下し、骨折のリスクが高くなる可能性があります。 治療効果をしっかり得るためにも、医師の指示に従いながら、定期的な検査とあわせて継続的に薬を活用していきましょう。 以下の記事では、骨粗鬆症の薬を飲まない治療法を紹介していますので、気になる方は参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症で痛みが出たら早めに受診しよう 骨粗鬆症は、年齢とともに誰にでも起こり得る身近な疾患ですが、正しい知識と日々のケアで予防や進行の抑制が可能です。 運動や食事、日光浴などの生活習慣の見直しと必要に応じた治療により、健康的な毎日を取り戻せます。 「年齢のせい」と放置せず、小さな異変に気づいた時点で早めの対応を心がけましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の症状に関するよくある質問 骨粗鬆症で骨折するとどんな痛みがある? 骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折では、「体動時腰痛」と呼ばれる特有の痛みが現れる場合があります。 寝た姿勢から起き上がろうとする際など、体を動かしたときに鋭い痛みが走るのが特徴です。 一方で、一度立ち上がって姿勢が安定すると、痛みが和らぐことも知られています。 骨粗鬆症で腰痛を発症した場合に緩和する方法はある? 骨粗鬆症では、腰椎の圧迫骨折が原因で腰痛を発症する場合がありますが、痛みを和らげるために鎮痛薬や筋弛緩薬が使われます。 鎮痛薬や筋弛緩薬での治療は、日常生活を少しでも楽に送れるようにするのが目的です。 骨粗鬆症で足の付け根の痛みを感じる場合はある? 骨粗鬆症によって大腿骨頸部(太ももの付け根)を骨折すると、股関節まわりに強い痛みが生じ、立ったり歩いたりがほぼ不可能になります。 無理に動こうとすると痛みがさらに悪化するため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 骨粗鬆症で痛み止め薬を使うのはどんなとき? 骨粗鬆症に伴う痛みが慢性化している場合は、鎮痛薬を使って痛みをコントロールする場合があります。 痛みを和らげることで日常生活の負担を軽減し、他の治療やリハビリテーションにも取り組みやすくするのが目的です。 骨粗鬆症は男性でもなりますか? 骨粗鬆症は女性に多いイメージですが、実際には男性でも発症するケースがあります。 患者の約4人に1人は男性とされており、病気や薬の影響、栄養不足などが重なることで骨密度が低下しやすくなるのです。(文献5) 男性だから大丈夫と思い込まず、少しでも違和感があれば早めに検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) Vertebral compression fractures: Still an unpredictable aspect of osteoporosis|PMC (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨の健康度チェック表|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献4) 骨粗鬆症の診断とガイドラインの変遷|日本内科学会雑誌第111巻第4号 (文献5) 男性の骨粗鬆症|日本医師会日医ニュース
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「同年代の人が骨粗鬆症で骨折して大変そう。自分は大丈夫かな?」 「骨粗鬆症の検査を受けたことがないから、何をするのかわからない」 このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行し、気づいたときには骨が折れやすい状態になっていることもあります。 知らずにそのまま放置してしまうリスクはさらに高まり、実際に骨折して日常生活に影響を及ぼすかもしれません。 だからこそ骨粗鬆症の検査は、自身の骨の状態を知り、早めに適切な対策を始めるための一歩となります。 本記事では、骨粗鬆症の4つの検査方法や検査を受けるべき人の特徴、検査が可能な場所を解説します。 骨の健康について考えるきっかけとなれたら幸いです。 骨粗鬆症の検査方法 骨粗鬆症のおもな検査は、以下のとおりです。 骨密度検査(骨量測定) 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) レントゲン検査 身長測定 これらの検査の結果から、骨粗鬆症の診断や治療方針の決定に必要な情報が得られます。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 骨密度検査(骨量測定) 骨密度検査は、骨の中にどのくらいのミネラル成分が含まれているかを調べる検査です。 一般的に、ミネラル成分が少ないほど骨密度が低いとされ、骨がもろく骨折しやすい状態だと考えられています。 骨密度のおもな測定方法は、以下のとおりです。 骨量の測定方法 説明 使用する機械 DXA(デキサ)法 ・脚の付け根と腰の骨密度を測定する ・精度が高い分、時間がかかる レントゲン(X線) MD法 ・手の骨密度を測る ・簡単だが、精度が下がる QUS法 ・かかとの骨密度を測る ・被ばくせず簡便だが、精度の誤差が大きい 超音波 自身の希望や、医療機関によって検査方法は異なります。 たとえば「少し時間がかかってもしっかりとした検査を受けたい」といった方にはDXA法がおすすめです。一方、「まずは手軽に検査してみたい」と考える方にはQUS法が適しています。 まずは、近くの医療機関にどんな検査があるか問い合わせてみるのが良いでしょう。 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) 血液検査や尿検査では「骨代謝マーカー」とよばれる項目を調べます。 ヒトの骨は、新しい骨が作られ、古い骨が壊されて吸収される「骨代謝」のサイクルを常にくり返しています。(文献1) 骨代謝マーカーは骨の代謝の過程で出てくる物質のことで、これらの数値を調べることで骨の「壊れるスピード」と「作られるスピード」のバランスがどうなっているのかがわかるのです。 おもに以下の項目をチェックします。 骨代謝マーカーの種類 検査項目 説明 骨吸収マーカー ・TRAPC5b(酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ) ・DPD(デオキシピリジノリン) ・NTX(Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド) ・CTX(Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド) ・1CTP(Ⅰ型コラーゲンC末端テロペプチド) <高い場合> 骨吸収(骨の破壊)が進んで骨密度の低下を招くリスクがある <低い場合> 骨の代謝が低下している可能性がある 骨形成マーカー ・BAP(骨型アルカリフォスファターゼ) ・OC(オステオカルシン) ・ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン) ・P1NP(Ⅰ型コラーゲンN-プロペプチド) ・P1CP(Ⅰ型コラーゲンC-プロペプチド) 骨吸収が起こってはじめて骨形成がはじまるため、単独で高くなることは少ない 参考:骨代謝とは|日本骨代謝学会(文献1) たとえば、骨吸収マーカーが高く、骨形成マーカーが正常である場合「骨が壊れるスピードは速くなっているのに、新しく骨が作られるスピードは普段どおり」といった状態を示しています。 つまり、骨の破壊に形成が追いつかず、骨の量が減少しやすい状況です。 骨代謝マーカーの検査は、骨の代謝のどの部分に異常があるのかを明らかにします。 それによって、将来的に骨密度がどのくらい減少しやすいのか、骨折のリスクが高いのかを評価できるのです。 レントゲン検査 レントゲン検査は、骨折や骨の変形の有無、骨の密度を確認するためにおこないます。(文献2) 骨粗鬆症が進行している場合、次のような変化が画像に現れることがあります。(文献3) 背骨が変形している 骨の中の網目模様がはっきり見えない 背骨全体がいつもより黒っぽく見える また、気づかないうちに起きている背骨の小さな骨折を発見するのにも、レントゲン検査は有効です。 たとえば高齢者では、骨粗鬆症によって軽い衝撃で背骨が折れてしまうケースが少なくありません。(文献4) こうした骨折を早期に発見し、治療や予防につなげる役割を果たすのが、レントゲン検査です。 なお、レントゲンによる被ばく線量は少なく、健康への影響もほとんどないと言われているため、過度に心配せず検査を受けてみましょう。 身長測定 身長の測定は、骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や変形を早期発見する手がかりになります。 とくに背骨がつぶれるように変形すると、数センチ単位で身長が縮むことも少なくありません。 いくつかの海外研究では、若いころと比較して身長の低下がある場合、背骨の骨折のリスクが高まると報告しています。(文献2) 25歳頃の身長と比較してどの程度縮んでいるかの確認が、骨粗鬆症の診断に役立ちます。 【検査推奨】骨粗鬆症になりやすい人の特徴 骨粗鬆症は、以下にあてはまる方に起こりやすいと言われています。(文献5) 閉経後の女性 高齢 やせ型 運動不足 喫煙、飲酒 骨折既往歴 ステロイド服用歴 遺伝(家族に骨粗鬆症の人がいる) これらの項目にあてはまるようでしたら、一度、骨の健康状態について検査を受けることをおすすめします。 「自分はどうなのだろう」と少しでも不安に感じたら、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 メール相談やオンラインカウンセリングに対応しているため、来院する手間もかかりません。ぜひご活用ください。 骨粗鬆症の検査は「整形外科」で受けるのが一般的 骨粗鬆症の検査は、整形外科で受けるのが一般的です。 整形外科は「骨の専門家」であり、検査から診断、治療までスムーズに進められるメリットがあります。 整形外科に限らず、内科や婦人科でも検査に対応している場合があります。 とくに女性ホルモンの影響が気になる方は、婦人科で相談するのも選択肢の一つです。 また、自治体によっては健康診断の一環として骨密度検診を実施していることもあり、多くは指定された医療機関や検診センターで検査を受けます。 どこで検査を受けるか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談したり、近くの整形外科のホームページで検査の実施状況を確認してみてはいかがでしょうか。 骨粗鬆症の検査にかかる費用 骨粗鬆症の検査を医療機関で受けた場合にかかる費用の目安は、以下のとおりです。 検査の種類 費用相場 骨密度検査(DXA法) 全額自己負担:約4,500円 3割負担:約1,350円 1割負担:約450円 血液検査 全額自己負担:約1万円 3割負担:約3,000円 レントゲン検査 全額自己負担:約2,500円 3割負担:約650円 自治体の検診や健康保険組合の補助で検査を受けるときは、自己負担が無料または数百円程度と安くすむことがあります。 骨粗鬆症の検査を受けるタイミング 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下がおすすめです。 市町村の健診時期になったら 40歳を超えたら 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 自身の状況と照らし合わせて、受けるタイミングを検討する参考にしてください。 市区町村の健診時期になったら 市区町村で実施される特定健診やがん検診の機会に、対象年齢に該当する場合や、追加で申し込むことで、骨粗鬆症の検査を受けられます。 骨粗鬆症の検診は、健康増進法にもとづき40歳〜70歳の女性を対象に5歳刻みの年齢でおこなわれています。(文献5) 自治体によっては男性も対象にしていたり、対象年齢を拡大したりしている場合もあるため、お住まいの市区町村のホームページで確認し、積極的に活用しましょう。 40歳を超えたら 骨粗鬆症は、閉経後の女性や50歳以上の高齢者に多い病気です。(文献7) 「まだ若いから大丈夫」と思いがちですが、実は骨の量は20代〜30代で最大となり、その後は徐々に減少します。そのため、40歳を過ぎたら一度骨の健康状態をチェックしておくことをおすすめします。 また、男性も決して他人事ではありません。 女性と同じく、年齢を重ねるごとに骨密度が低下するリスクは高まるため、少なくとも50歳を過ぎたら一度は検査を受けておきましょう。 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 突然の背中や腰の違和感、身長が縮んだ感覚、姿勢の変化などがあれば骨折の兆候かもしれません。 骨粗鬆症が進み、気づかぬうちに骨折していることもあるため、気になる症状が現れたら早めに医療機関で検査を受けましょう。 骨粗鬆症の検査で「要注意」と言われたらすべきこと 骨粗鬆症の検査の結果「骨密度が少し低い」「要注意」などの診断を受けたときにすべきことは、以下のとおりです。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 転倒を防ぐ生活環境へ整える 一つずつ見ていきましょう。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 検査結果について医師から詳しい説明を受け、今後の対応について相談しましょう。 必要に応じて、再検査や生活習慣の改善のアドバイスを受けたり、薬物治療を検討したりします。 「まだ大丈夫だろう」と自己判断で放置してしまうと、骨がもろくなり、骨折のリスクを高めてしまう恐れがあります。 医師の指示を守り、適切な対策を講じることが大切です。 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」によると、以下の3つの栄養素が骨粗鬆症の治療で重視されています。(文献2) 栄養素 骨への作用 おもな食材 カルシウム ・骨の主成分となる ・骨密度を維持する ・牛乳 ・チーズ ・ヨーグルト ・干しえび ビタミンD ・カルシウムの吸収を助けて骨に定着させる ・日光を浴びると体内でもつくられる ・鮭 ・サンマ ・きくらげ ・干ししいたけ ビタミンK ・骨にカルシウムを取り込むのを助ける ・納豆 ・ブロッコリー ・小松菜 ・ほうれん草 参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会(文献2) とくにカルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収率がアップします。 ヨーグルトにきな粉をかける、鮭ときのこを一緒に調理するのも、手軽に取り入れられるためおすすめです。 これらを取り入れた、バランスの良い食生活を心がけましょう。 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 活発にからだを動かしている方は、骨粗鬆症による骨折が少ないとした研究結果が多く報告されています。(文献2) 具体的には、以下の運動が骨密度の上昇をもたらしたとされています。(文献2) ウォーキング ジョギング ダンス ジャンプ まずは、自身に合った無理のない運動を見つけて、習慣にすることから始めてみましょう。 転倒を防ぐ生活環境へ整える 骨粗鬆症の方は骨がもろくなっているため、転倒による骨折のリスクが高まります。 日常生活の中に以下のような工夫を取り入れて、転倒を防ぎましょう。 室内の段差をなくす 滑りにくいマットを使用する 足元が明るいように照明を工夫する 階段や廊下には手すりを設置する 転倒防止が、骨折や寝たきりを防ぐ第一歩になります。 自宅内に危険な場所がないか、改めて確認してみてください。 生活習慣を見直す 喫煙や過度の飲酒は、骨折のリスクを高めることがわかっています。(文献2) ガイドラインでも、以下のように推奨されています。(文献2) 喫煙を始めない 喫煙習慣のある方は禁煙する 1日のエタノール量を24g未満とする また、塩分やカフェインの過剰摂取もカルシウムをからだの外に出しやすくしてしまうことがわかっています。(文献9) 骨の健康を守るため、これらの成分の摂りすぎには注意しましょう。 骨粗鬆症の検査で自分の骨の状態を知ろう 骨粗鬆症は静かに進行し、骨折として突然現れることがあります。 だからこそ、骨密度をはじめとする検査で、早期に骨の状態を知ることが大切です。 とくに女性や高齢の方、生活習慣に不安を感じる方には、積極的な検査をおすすめします。 「要注意」と診断された場合も、適切な食事や運動、医師との連携によって、骨の健康を維持できます。 自身の骨の状態と向き合うために、まずは検査を受けるところから始めましょう。 「自分の骨の状態は大丈夫なのかな」と不安を感じたら、当院「リペアセルクリニック」のメール相談またはオンラインカウンセリングまでお気軽にご相談ください。 骨粗鬆症の検査についてよくある質問 骨密度の検査はどうやってやるのですか? 骨密度の検査は、骨の中にあるカルシウムをはじめとしたミネラルの量を測定し、骨の強さ(密度)を数値化するものです。 もっとも一般的なのはDXA法と呼ばれる検査で、腰の骨や太ももの骨にX線を当てて測定します。 検査時間は、準備や着替えを含めて10〜15分程度です。 ほかにも手首やかかとを使うMD法やQUS法といった簡易検査もありますが、精度はDXA法がもっとも高いと言われています。 骨密度測定は自宅でできますか? 原則として、正確な骨密度測定は医療機関でおこなう必要があります。とくに検査の精度が高いDXA法は、医療機関の専用装置が不可欠です。 家庭用の体組成計で「推定骨量」を計測できるものも存在しますが、骨密度を測定するものではありません。 手首やかかとで骨密度を測れるものも家庭用で作られていないため、自宅で骨密度測定をおこなうのは現実的ではないでしょう。 本格的な診断を希望する場合は、医療機関で検査を受けるのをおすすめします。 参考文献 (文献1) 骨代謝とは|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/basic/kotutaisha_ma.html (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会 https://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf (文献3) Q&A Vol.337 【どうやって見ればいい?】骨粗鬆症の画像に関するQ&A | 日本離床学会 https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-337#/ (文献4) 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html (文献5) 健康増進事業実施要領|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/14.pdf (文献6) どんな人がなりやすい|公益社団法人骨粗鬆症財団 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid250.html (文献7) International Osteoporosis Foundation. Epidemiology. https://www.osteoporosis.foundation/health-professionals/about-osteoporosis/epidemiology (文献8) 骨そして筋肉の健康における栄養素・非栄養素の役割 骨と栄養素の視点から|田中清ら https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/76/5/76_283/_pdf
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