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「ストレートネックは整体の施術で治るの?」 「首への施術は危険と聞いたけれど本当?」 整体はストレートネックの根本治療にはなりません。ただし、痛みなどの症状を和らげる効果は期待できる可能性があります。整体には法的資格制度がなく、技術水準にばらつきがあるため利用の際には注意が必要です。 本記事では、ストレートネックに対する整体の有効性や施術を受けるリスク、注意点、整体院の選び方などを解説します。ストレートネックの受診の目安も解説しているため、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。日頃から首の痛みなど気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネックは整体で治るのか 整体を検討する上で、多くの方が気になるのが「本当に治るのかどうか」です。 整体を受ける前に知っておきたいポイントは、以下のとおりです。 整体は「根本治療」ではない 医学的エビデンスが乏しい それぞれについて詳しく解説します。 整体は「根本治療」ではない 整体はストレートネックの根本治療にはなりません。整体による効果が確認されている範囲は、あくまでも一時的な変化にとどまっているためです。 施術によって、筋肉の緊張がほぐれたり、血流が促進されたりすることで痛みなどの症状が一時的に和らぐ可能性はあります。しかし、日頃のうつむき姿勢や長時間の同一姿勢などの生活習慣を改善しないかぎり、根本的な治癒に至ることは難しいと考えられます。 医学的エビデンスが乏しい 整体で症状が改善するという医学的エビデンスは、現時点では乏しいです。 実際に慢性的な首の痛みに対して徒手療法(手技による施術)を行った47件の研究(参加者4,460例)があります。研究によると、痛みの軽減と機能の改善につながる可能性はあるものの、結果にばらつきがあり、エビデンスの質は低い、または中等度にとどまると結論づけられています。(文献1) 急性の首の痛みについても、6件の研究(参加者446例)で、痛みの軽減に役立つとの報告があります。ただし研究数が少なく、結果は慎重に解釈する必要があると言われています。(文献1) ストレートネックに対する整体の施術のリスク ストレートネックに対する整体の施術の主なリスクとして、以下が挙げられます。 重い副作用のリスクがある 施術の技術水準が一定ではない それぞれについて詳しく解説します。 重い副作用のリスクがある 首への施術は、神経障害や動脈損傷といった重い副作用が生じるリスクがあります。 厚生労働省のeJIMでは、脊椎の徒手療法のリスクと副作用について、以下のように整理しています。 程度 主な副作用 頻度 軽度から中等度 痛みや不快感の悪化、頭痛、こわばり 比較的よく起こる(多くは24時間以内に治まる) 重篤 脊椎・神経障害、首の動脈損傷を含む脳卒中 極めて少ない これらは、250件の論文からのエビデンスをまとめた結果です。(文献1) 施術の技術水準が一定ではない 整体は接骨院などとは違い、法的資格制度が設けられていないため、施術者によって技術水準にばらつきがあります。 実際に、国民生活センターに寄せられた相談件数を参考にすると、以下のような結果が出ています。 施術分類 相談割合 国家資格を持つ者のみが行うことができる施術 約17% 法的資格制度がない施術 約44% ※「マッサージ」など、施術者が国家資格を持つかどうか判別できない相談は、上記の分類には含まれていません。(文献2) 原則として、医業に類似する行為のうち、あん摩マッサージ指圧や柔道整復などは、国家資格を持つ者でなければ行えません。つまり、国家資格を持つ施術者であれば、一定の技術や水準が担保されていると考えられています。 ストレートネックで整体に通う前に知っておくべき注意点 整体に通う前に知っておくべきことは、自身の持病や既往歴です。 整体を含む徒手療法には、以下のように絶対的禁忌(実施してはならない)と注意が必要な状態があります。 対象となる状態 絶対的禁忌 ・脊髄(背骨の中を通る神経)や馬尾神経(脊髄の下部にある神経の束)を損傷している ・手足につながる神経を損傷している ・関節に強い炎症がある ・重度の骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨がもろくなる病気)である ・がんなどの腫瘍がある 注意が必要な状態 ・胸椎や腰椎にリウマチ症状がある ・骨粗鬆症である ・腰椎すべり症(背骨の一部が前後にずれている)である ・妊娠している ・めまいがある 医師に整体を受けても問題ないか事前に確認しておきましょう。 ストレートネックの受診の目安 以下のような症状が現れている場合は、なんらかの病気が隠れている可能性があります。 注意すべき症状 疑われる病気 首・肩・腕に痺れがある、ときおり足がもつれる 頸椎椎間板ヘルニア(首の骨の間にあるクッションが飛び出す病気)、頸椎症(首の骨が変形する病気) 腕を上げると痛む 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) 目の乾き、疲れ、かすみ、不快感がある ドライアイ ストレートネックは、筋肉の緊張により首を通る自律神経にも影響を与えるため、目の不調が現れることがあります。 頸椎椎間板ヘルニアは、悪化すると深刻な状態に移行するおそれもあります。とくに手や腕のしびれが続く場合、強い症状が1週間ほど続く場合は注意が必要です。疑わしい症状が現れている場合は、早めに医療機関を受診してください。 医療機関で行われるストレートネックの治療法 医療機関で行われるストレートネックの主な治療法として、以下が挙げられます。 治療法 詳細 運動療法 ストレッチや筋力トレーニングによる改善 徒手療法 理学療法士などの手技による緊張の緩和 薬物療法 消炎鎮痛剤や筋弛緩薬などによる症状の緩和 それぞれの治療法について解説します。 運動療法 ストレートネックには、首や肩周りのストレッチや筋力トレーニングといった運動療法が有効とされています。姿勢の崩れや筋力・柔軟性の低下といった根本的な原因に直接アプローチが可能です。 医療機関では、医師の診断や画像検査の結果を踏まえて、医師や理学療法士が一人ひとりの状態に応じた治療を検討します。さらに、日常生活における姿勢や生活習慣についても指導を受けられるため、セルフケアの習慣化や再発予防にもつながります。 徒手療法 徒手療法とは、理学療法士などが手技で首や筋肉の緊張を和らげるアプローチです。ストレートネックに対しては、徒手療法による筋膜リリースが有効とされています。 筋膜リリースとは、筋肉・骨・内臓を包む筋膜のねじれや緊張を本来の柔らかい状態にもどす施術です。しかし、前述のとおり、徒手療法は症状の緩和につながる可能性がある一方、エビデンスが少ない状態です。(文献1) 一方で、医療機関であれば、国家資格を有する医療従事者が施術を行うため、一定の技術や知識が担保されているメリットがあります。 薬物療法 ストレートネックにより痛みなどの症状がある場合は、以下のような薬物療法も検討します。 薬物療法 主な効果 消炎鎮痛剤 痛みや炎症を抑える 筋弛緩薬 筋肉の緊張やこわばりを和らげる 薬物療法も根本治療ではなく、あくまでも症状を和らげる対症療法です。長期使用による副作用にも注意が必要です。ストレートネックを改善するには、適切な運動や生活習慣の改善が重要です。 ストレートネックの改善・予防方法 ストレートネックを改善・予防するためには、以下のような日々のセルフケアに取り組むことが大切です。 姿勢を改善する 長時間の同一姿勢を避ける ストレッチを取り入れる それぞれについて詳しく解説します。 姿勢を改善する うつむき姿勢は、ストレートネックの原因の一つです。うつむき姿勢はデスクワークやスマートフォンの使用、読書中などになることが多いです。 例えば、デスクワークが中心でうつむき姿勢になりやすい方は、以下のような工夫を取り入れてみましょう。 モニターの上端を目の高さに合わせる 背筋を伸ばして椅子に深く腰掛ける 肘が90度になる位置にキーボードを置く 正しい姿勢を保つことは、ストレートネックだけでなく、反り腰や巻き肩、腰痛などの予防にもつながります。 長時間の同一姿勢を避ける 長時間の同一姿勢は、ストレートネックの原因になります。デスクワークなどで長時間の同一姿勢を続けると、無意識にうつむき姿勢になっている可能性があります。パソコンやスマートフォンを使う際は、30分に1回は休憩を挟み、ストレッチや体操を行いましょう。 ストレッチを取り入れる ストレートネックを改善・予防するために、日頃から首や肩周りのストレッチを取り入れることが大切です。 具体的なストレッチの方法は、以下のとおりです。 首のストレッチの種類 手順 首の前後ストレッチ 1.椅子に座り両手を膝の上に置いてリラックスする 2.ゆっくりと頭を倒して首の後ろを伸ばして10秒キープする 3.ゆっくりと頭を起こす 4.次に顔を天井に向けるように頭を後ろに倒し首の前を伸ばして10秒キープする 首の側面ストレッチ 1.背筋を伸ばして椅子に座り右手で椅子の座面を軽く握る 2.左手を頭の右側に置き、左手で頭を左側にゆっくり倒す 3.首の右側が伸びているのを感じながら15秒間キープ 4.反対側も同様に行う ストレートネックを根本から治すなら整体より医療機関に相談する ストレートネックを根本から治したいのであれば、医療機関に相談しましょう。整体には症状を和らげる効果が一定期待できますが、根本治療にはつながらないためです。 また、整体には法的資格制度が設けられていません。そのため、技術・知識の水準が担保されておらず、利用する際には注意が必要です。ストレートネックの症状の背景には、頸椎椎間板ヘルニアなどが隠れている可能性もあります。これらを確認するためにも、まずは医療機関の受診を検討してください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、頸椎椎間板ヘルニアに対する再生医療を行っています。日頃から首の痛みなど気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネックと整体に関するよくある質問 整体は保険を適用できますか? ストレートネックのケアで整体を利用する場合は、保険診療の対象にはなりません。整体は医療行為と認められておらず、公的な保険の対象外となっているためです。 整体は民間療法と聞きましたがどういう意味ですか? 民間療法とは、病院や医師に頼らず行われる健康法のことです。整体もそのひとつであり、ほかにも健康食品やリラクゼーション、ツボ押しなどが該当します。 マッサージなどの徒手療法は、症状の緩和につながる可能性がありますが、効果には個人差があります。一般的な整体は国家資格を持たない施術者が行う場合もあり、施術の技術水準にはばらつきがあります。症状がある場合は、まずは医療機関で適切な診断を受けましょう。 ストレートネックは病院に行くべきですか? 手や腕のしびれが続く場合や強い症状が1週間ほど続く場合は、首の神経や血管が圧迫されているおそれがあります。早めに医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) 脊椎マニピュレーション|厚生労働省 (文献2) 手技による医業類似行為の危害-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-|国民生活センター
2025.07.31 -
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「首や肩のこりがなかなか取れない」「スマホを見たあとに首が重い」と感じていませんか。こうした不調が続く場合、ストレートネックが原因の一つとして考えられます。 本記事では、ストレートネックの治し方として、自宅でできるストレッチや生活習慣の見直し、避けたいNGケア、医療機関での治療法や受診の目安までを医師の視点で解説します。首の不調が気になる方は、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。首や肩の不調にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ストレートネックとは?首の自然なカーブが失われた状態 ストレートネックとは、首の骨(頚椎)が本来持つゆるやかなカーブ(前弯)が減少し、まっすぐに近い状態になることです。(文献1) 正常なカーブが失われると、頭の重みが首に直接かかり、首・肩のこりや頭痛、めまい、しびれなどさまざまな症状を引き起こします。そのため、不調が長引く前に早期の対応が大切です。 なお、ストレートネックの主な原因は、スマートフォンやパソコンを見るときの前かがみ姿勢、運動不足による筋力低下、体に合わない枕や寝具などが挙げられます。 ストレートネックの治し方|自宅でできるストレッチ3選 ストレートネックの対策として、まず取り入れたいのが首まわりのストレッチです。硬くなった筋肉をほぐし、正しい姿勢を保ちやすくします。 自宅でできるストレッチは、以下の3つです。 あご引きストレッチ(チンタック) 【寝ながら】タオル枕を使った首のストレッチ 胸・肩甲骨まわりのストレッチ いずれも痛みが出ない範囲で、ゆっくり行いましょう。 1. あご引きストレッチ(チンタック) あご引きストレッチは、首を正しい位置に戻すサポートになります。また、背筋を伸ばして座った状態でいつでも手軽に行えるのが利点です。 背筋を伸ばして座る あごを軽く引き、頭を後方へスライドさせるように動かす 首の後ろが伸びる感覚を意識しながら、5秒間キープする 10回を目安に繰り返す なお、反動をつけず、首の後ろが伸びる感覚を意識して行うのがポイントです。 2. 【寝ながら】タオル枕を使った首のストレッチ 寝ながらできるストレッチは、就寝前や起床後に取り入れやすい方法です。仰向けでリラックスしながら行えます。 バスタオルを丸め、直径8〜10cmほどのロールを作る 首のカーブに沿う位置にロールを置く 仰向けになり、あごを軽く引く 10〜15分ほど、リラックスした姿勢を保つ 上記ストレッチは頚椎の自然なカーブをサポートする方法ですが、痛みが出ない範囲で無理なく行いましょう。 3. 胸・肩甲骨まわりのストレッチ 胸・肩甲骨まわりのストレッチは、硬くなった胸の筋肉を伸ばし、猫背の改善や正しい姿勢づくりをサポートします。 足を肩幅に開いて立つ 両手を背中のお尻あたりで組む 組んだ手をななめ下へ引き下げながら胸を張り、顔を上に向けて20秒キープする 20秒×3セットを目安に、継続して行いましょう。 ストレートネックの改善・予防に効果的な生活習慣の見直し ストレッチとあわせて、毎日の生活習慣を見直すことも、ストレートネックの改善や予防に役立ちます。とくに意識したいのが、以下の2つです。 枕・睡眠環境の見直し スマホ・デスク環境と姿勢の見直し それぞれ解説します。 枕・睡眠環境の見直し ストレートネックの改善や予防には、就寝中も首の自然なカーブを保てる睡眠環境が大切です。高すぎる枕や柔らかすぎる寝具は、首を不自然な位置に固定し、筋肉や関節に負担をかける原因になります。 そのため、自分に合った枕やマットレスを選ぶと、首や肩の負担軽減や血行促進につながります。また、高反発素材や寝返りしやすい寝具もおすすめです。 なお、枕やマットレスを選ぶ際は、仰向けや横向きで寝たときに、首から背中までが自然に支えられる状態を目安にしましょう。起床時に首や肩のこりを感じる場合は、枕の高さや寝具を見直してみてください。 スマホ・デスク環境と姿勢の見直し スマートフォンやパソコンを長時間使うと、画面をのぞき込むような姿勢になりやすく、頭が前に出て首や肩に力が入りやすくなります。 そのため、ストレートネックの改善や予防では、スマホやデスクまわりの環境を整え、首に負担がかかりにくい姿勢を保つことが大切です。 具体的には、以下のポイントを意識してください。 場面 見直したいポイント スマートフォンを使うとき ・画面を目の高さに近づける ・長時間見下ろす姿勢を避ける ・30分に1回を目安に休憩し、首や肩を軽く動かす デスクワークをするとき ・モニターの上端を目線の高さ、またはやや下に調整する ・椅子に深く腰掛け、背もたれで背中を支える ・足裏が床につく高さに椅子を調整する ・キーボードやマウスは、肘が90度ほどに曲がる位置へ置く 日常的にスマートフォンやパソコンを使う時間が長い方は、まず画面の高さや椅子の座り方から見直してみましょう。 ストレートネックを治すときにやってはいけないNGケア 自己流のケアのなかには、かえって症状を強めるものもあるため注意が必要です。とくに気をつけたいのが、首への強いマッサージです。 首は多くの神経が通るデリケートな部位のため、強い力でもんだり押したりするのは避けましょう。肩のマッサージは問題ない場合が多いものの、首への強い刺激は症状を悪化させるおそれがあります。 首の不調を和らげたいときは、無理に刺激するのではなく、まずは負担の少ない姿勢を意識し、首まわりを休ませましょう。 医療機関でのストレートネックの治療法 セルフケアで改善しない場合は、医療機関で検査や治療を受けましょう。主な内容は、以下のとおりです。 レントゲン検査による診断 リハビリテーション(理学療法) 薬物療法 生活習慣と姿勢改善の指導 それぞれ詳しく解説します。 レントゲン検査による診断 レントゲン検査は、ストレートネック診断の基本となる検査です。横からレントゲン撮影することで、頚椎のカーブの状態を詳しく確認できます。 なお、正常な頚椎には前弯がありますが、ストレートネックではこのカーブが減少または消失します。 また、あわせて、頚椎の配列や骨の変形の有無も調べられます。 リハビリテーション(理学療法) ストレートネックの治療では、理学療法士によるリハビリテーションが中心的な役割を担います。患者様の症状や生活習慣に合わせて、首や肩の柔軟性を回復させ、姿勢を保つための筋力を強化します。 また、超音波治療や低周波電気刺激療法、遠赤外線照射などの物理療法も有効です。筋肉の緊張を和らげ、血行を促す目的で行われます。 さらに、牽引療法では、頚椎に適度な力を加えて椎間板や神経への圧迫を軽減し、首の自然なカーブの回復を目指します。 薬物療法 薬物療法は、ストレートネックによる違和感や筋肉の緊張、炎症を一時的に和らげる目的で行われます。消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を使うことで、痛みやこりを抑え、日常生活の負担軽減につながります。 なお、薬は医師の診断にもとづき、症状や体調に合わせて処方されます。また、薬物療法は根本的な改善を目的とした治療ではないため、リハビリテーションや生活習慣の見直しとあわせて取り入れることが大切です。 生活習慣と姿勢改善の指導 ストレートネックは、長時間のスマホやパソコンの使用、悪い姿勢など、日常の習慣が大きく関係しています。そのため、医療機関では、正しい姿勢や作業環境の整え方、運動やストレッチの方法などを個別に指導する場合もあります。 なお、生活習慣や姿勢のくせは、自分では気づきにくいものです。医療機関で指導を受けることで、医学的な視点から首に負担がかかりやすい動作や環境を見直し、自分に合った対策を取り入れやすくなります。 ストレートネックが治るまでの期間と受診の目安 ストレートネックによる不調は、すぐに大きく変化するとは限りません。ストレッチや姿勢の見直しを続けながら、少しずつ改善を目指していくことが基本です。 また、変化を感じるまでの期間には個人差があります。症状の程度ごとのおおまかな目安は以下の表を参考にしてください。 状態の目安 みられやすい症状 改善までの目安 軽度 ・首や肩のこり ・軽い頭痛 1〜2カ月 中等度 ・慢性的な痛み ・頭痛 ・めまい ・疲れ目 3〜6カ月 重度 ・手や腕のしびれ ・眠りにくさ ・自律神経の乱れを思わせる不調 6カ月以上 上記はあくまで参考の目安であり、実際の改善期間は症状の程度や生活習慣によって異なります。 なお、手や腕のしびれ、力の入りにくさがある場合は、期間を待たず早めに整形外科を受診しましょう。 ストレートネックを治すには毎日のセルフケアを継続しよう ストレートネックの改善には、ストレッチや生活習慣の見直しを、毎日少しずつ続けることが大切です。あご引きストレッチやタオル枕、胸まわりのストレッチに加えて、枕やスマホ・デスク環境も見直してみましょう。 一方で、首への強いマッサージなどの自己流ケアは、症状を悪化させることがあるため注意が必要です。 数週間続けても改善しない場合や、しびれ・脱力があるときは、早めに整形外科を受診してください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。首や肩の不調にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 ストレートネックの治し方に関するよくある質問 ストレートネックは整体やマッサージで治りますか? 整体やマッサージで一時的に症状が和らぐことはありますが、医学的な診断を受けた上で取り組むことが大切です。とくに、自己判断で首を強く揉むのは、悪化のおそれがあるためおすすめできません。 整体でストレートネックの改善が期待できるのか気になる方は、以下の記事も参考にしてください。 ストレートネックの改善に筋トレは効果がありますか? 正しい姿勢を保つための筋力をつけることは、ストレートネックの改善に役立つとされています。ただし、首の筋肉を無理に鍛えると、かえって負担になる場合があるため注意が必要です。 効果的な筋トレの方法や注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 セルフケアで改善しない場合は病院を受診すべきですか? セルフケアを数週間続けても改善しない場合は、整形外科の受診を検討しましょう。とくに、手や腕のしびれ、力の入りにくさがあるときは、首の神経が圧迫されている可能性があります。 症状が長引くときや悪化するときは、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関へ相談してください。 ストレートネックは改善グッズを使って治せますか? 枕やネックサポーターなどのグッズは、首への負担を減らす補助として役立つことがあります。ただし、グッズだけでストレートネックが治るわけではありません。 ストレートネックは、長時間のスマホやパソコンの使用、前かがみの姿勢など、日常の習慣が関係していることが多いため、生活習慣や姿勢の見直しが重要です。また、体に合わないグッズを使うと、かえって首に負担がかかる場合もあります。 基本的にはグッズに頼りすぎず、本記事で紹介したストレッチや姿勢改善を継続しましょう。 参考文献 (文献1) Alterations of Cervical Lordosis in Neck Pain Patients|PMC
2025.07.31 -
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「筋肉がやせてきた」「歩き方が変わってきた」 そんな変化をきっかけに「脊髄性筋萎縮症(SMA)」や「筋ジストロフィー」という病名を初めて目にした人も多いのではないでしょうか。 両者は似たような病名ですが、原因も治療法も異なります。 この記事では、脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの違いや、見分け方のポイントを解説します。 不安な気持ちが少しでも和らぎ「今できること」が見つかるきっかけとなれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの原因の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも遺伝子の異常によって筋力が低下していく病気ですが「どこに異常があるか」が大きく異なります。 両者の違いは、以下のとおりです。 病名 異常が起こる場所 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋肉を動かすための神経 筋ジストロフィー 筋肉細胞そのもの 本章をもとに、両者の原因の違いを理解しておきましょう。 脊髄性筋萎縮症は神経の障害によって起こる 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、遺伝子の異常により筋肉を動かす指令を出す神経に障害が起こり、発症します。 具体的には、脊髄にある「運動神経細胞(脊髄前角細胞)」がうまく働かなくなり、筋肉が使われにくくなってやせていく病気です。 使われない筋肉は少しずつ力を失い、筋力の低下や筋肉の萎縮(やせ細り)を引き起こします。(文献1) 筋ジストロフィーは筋肉そのものが壊れやすくなる 筋ジストロフィーは、遺伝子の異常によって筋肉の細胞が壊れやすくなり、再生が上手くいかなくなる病気です。 その結果、筋肉の変性や壊死が進み、やせて力を失っていきます。 進行すると、筋力の低下や運動機能の障害だけでなく、呼吸や心臓、消化などの内臓機能に影響が及ぶこともあります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの症状の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、出やすい症状にも違いがあります。 脊髄性筋萎縮症は体幹や手足の筋力低下から始まる 脊髄性筋萎縮症(SMA)はおもに体幹や四肢の筋力低下から始まり、発症時期や進行の速さ、症状の程度はタイプによって異なります。 代表的なタイプは、以下の4種類です。(文献1) 型 発症時期 主な特徴 I型 生後6か月まで 体幹を自力で動かせず、 支えなしに座るのがむずかしい II型 生後7か月~1歳半 座れるが立てない、歩けない III型 幼児期、小児期 歩行できるが筋力低下が進む IV型 成人以降 ゆっくりと筋力が落ちる これらすべてのタイプで共通する症状は、以下の通りです。 筋力低下 筋萎縮(やせ細り) 深部腱反射の減弱や消失 深部腱反射とは、膝の下をゴムハンマーで叩いたときに足がポンと前に出るような、体に備わった自然な反応のことです。 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、このような通常みられる反応が出にくくなる症状がみられます。(文献1) 筋ジストロフィーは転びやすさや歩行困難から気づかれる 筋ジストロフィーは、筋肉のはたらきが弱くなり、日常動作に支障が出る病気です。 筋力の低下や歩きにくさ、姿勢の変化などが徐々に現れ、生活の中で気づかれます。(文献2)(文献3) タイプによって進行の速さや現れ方は異なりますが、以下のような症状が見られることがあります。 転びやすくなる 疲れやすくなる 関節がかたくなる 腕を上げづらくなる 心臓の機能に問題が出る 階段の上り下りが難しくなる 背中や腰が曲がりやすくなる 歩いたり走ったりするのが遅くなる 食べ物の飲み込み(嚥下)に問題が出る また、病型によっては、知的障害や発達の遅れ、目・耳の症状など、筋力以外の不調が先に現れることもあります。 代表的な病型は、以下の通りです。 ジストロフィン異常症(デュシェンヌ型/ベッカー型) 肢帯型筋ジストロフィー 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー 眼咽頭筋型筋ジストロフィー 福山型先天性筋ジストロフィー 筋強直性ジストロフィー それぞれ症状や発症年齢、遺伝のされ方などが異なります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの診断方法の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの症状で気になることがあれば、医療機関での検査が必要です。 それぞれの病気に応じた診断方法があります。 脊髄性筋萎縮症の診断方法 脊髄性筋萎縮症(SMA)の診断では、まず症状や筋力の状態などを医師が確認します。 今出ている症状が、他の病気ではないことを確認するためです。 その上で、SMN1という遺伝子に異常があるかどうかを調べる遺伝子検査が行われます。 また、必要に応じて、筋電図検査や血液検査も実施されます。(文献1) 筋ジストロフィーの診断方法 筋ジストロフィーの診断では、進行する筋力の低下や、病気特有の症状・合併症の有無の確認が必要です。 家族の中に同じような病気の人がいないかも確認します。 検査としては、血液検査や筋電図検査、確定診断のために遺伝子検査をします。(文献2) 筋ジストロフィーは、症状の進行具合や治療法などが病型ごとに変わってくるため、早い段階で正確にタイプを見きわめることが重要です。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの治療法 どちらの病気も根本的な治療はまだ確立されていません。そのため、症状の進行を抑えるための治療が行われています。 おもな治療法の違いを、以下にまとめました。 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋ジストロフィー 基本的な治療方針 進行を抑える薬の使用とリハビリ 進行を緩やかにするケアとリハビリ 薬による進行抑制 可能なケースが増えている 一部の型のみに限られる それぞれの病気の治療法について、順番に見ていきましょう。 脊髄性筋萎縮症の基本的な治療法 脊髄性筋萎縮症(SMA)では、進行を抑える薬の使用や、生活の質を保つためのリハビリが中心となります。 とくにI型では人工呼吸器が必要になることもあり、呼吸の管理が重要です。 また、栄養面のサポートとして、経管栄養が行われるケースもあります。 いずれの場合でも、現在の機能を長く維持できるよう、医師やリハビリテーションスタッフなどさまざまな専門家との連携が大切です。 近年、脊髄性筋萎縮症に対して世界的に治療薬の研究や臨床試験が進められており、日本国内でも3種類の疾患修飾薬(病気の進行を遅らせたり抑えたりする効果が期待できる薬)が承認されています。 今後も治療の選択肢が広がっていくことが期待されます。(文献1) 筋ジストロフィーの基本的な治療法 筋ジストロフィーでは、呼吸機能や体の機能維持のためのリハビリテーションが基本です。 デュシェンヌ型においては、症状の進行をゆるやかにするステロイド治療が行われています。 また、病気のタイプによっては、心臓のペースメーカーや人工呼吸器を使うこともあります。 在宅での療養生活が長くなるケースも多く、定期的な検査や日々のリハビリが大切です。(文献2) 筋ジストロフィーについては、以下の記事でも詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。 再生医療という選択肢もある 近年では、失われた機能の回復を目指す「再生医療」にも注目が集まっています。 幹細胞を使って傷んだ筋肉や神経を修復する研究が進んでおり、今後の新しい治療法として期待されています。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脊髄損傷などさまざまな疾患の再生医療を提供しています。 気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。 再生医療については、こちらの記事も合わせてご覧ください。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーの違いを理解して適切な治療を受けよう 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも筋力が低下していく病気ですが、原因や症状、進み方、治療法に違いがあります。 それぞれに合った適切な治療や支援を受けるためには、まず正確な診断が欠かせません。 「筋肉がやせてきた」「最近ふらつく」「家族の病気が気になる」など、小さな変化でも気になることがあれば、ひとりで抱え込まず、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。 診断がつくことで、進行を抑える治療や生活のサポートにつながる可能性があります。 当院リペアセルクリニックでは、電話相談やオンラインカウンセリングにも対応しています。 受診を迷っている段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーに関するよくある質問 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーは大人になってから発症することもありますか? どちらの病気にも「成人型」があり、大人になってから発症するケースがあります。 脊髄性筋萎縮症(SMA)の場合は「IV型」が該当し、成人期以降にゆっくりと筋力の低下が進みます。 症状の進行は比較的緩やかで、日常生活に大きな支障が出にくいことも特徴です。(文献1) 筋ジストロフィーでは「筋強直性ジストロフィー」や「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)」などが成人期に発症しやすいタイプとして知られています。(文献4)(文献5) これらは、歩行や筋力だけでなく、全身のさまざまな機能に影響を及ぼすこともあります。 大人の筋ジストロフィーについては、こちらの記事でも詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。 子どもの場合、筋ジストロフィーの初期症状はどのようなものですか? 筋ジストロフィーの中でも、デュシェンヌ型や顔面肩甲上腕型など一部の病型では、子どものころから以下のような動きの変化がみられることがあります。(文献6)(文献7) 転びやすい 走るのが苦手 ふくらはぎが異常に太く見える 床から立ち上がるとき、一度四つん這いになり、手で太ももを押して立ち上がる 目がしっかり閉じられない 腕を上げるのが難しい 日常の中で「あれ?」と思うような動きがあれば、早めに小児科や神経内科で相談してみましょう。 参考文献 (文献1) 脊髄性筋萎縮症(指定難病3)|難病情報センター (文献2) 筋ジストロフィー(指定難病113):病気の解説|難病情報センター (文献3) 筋ジストロフィー(指定難病113):概要診断基準等|難病情報センター (文献4) 筋疾患分野|筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)(平成22年度)|難病情報センター (文献5) FSHD 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|神経筋疾患ポータルサイト (文献6) 筋ジストロフィーの症状とリハビリテーションについて|独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 (文献7) 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|MSDマニュアル家庭版
2025.07.31 -
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「失調性歩行って何?」「ふらつく歩き方は治るの?」「どんな病気が関係しているの?」 このような疑問をお持ちではありませんか。 医師から「失調性歩行」と言われたものの、詳しい説明がなく不安を感じている方もいるかもしれません。 失調性歩行とは、バランスがとりにくく、まっすぐ歩けなくなる歩行障害のひとつです。 本記事では、失調性歩行の症状や原因、リハビリによる改善の可能性について解説します。 診断後の不安を少しでも和らげるヒントとして、参考にしていただけたら幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 失調性歩行について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 失調性歩行の特徴は「歩くときのふらつき」 失調性歩行とは、体のバランスをうまく保てず、ふらつきながら歩く状態を指します。 症状のあらわれ方にはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。 ふらふら揺れながら歩く 体のバランスを保つのが難しくなり、左右にふらふらと揺れながら歩くのが特徴です。(文献1) 一見すると酔っているように見えるため、「酩酊歩行」とも呼ばれます。 歩いている途中で急に向きを変えようとすると、動きがぎこちなくなり、強くふらつくこともあります。(文献2) 足を大きく広げて歩く 歩くときに足を大きく開いて進むのも、失調性歩行の典型的なパターンです。(文献1) 重心を安定させようとする無意識の反応で、転ばないように下半身を広く使って支えようとするのです。 このとき、ひざを伸ばしたまま大きく踏み出すような歩き方になりやすく、本来のように膝を柔らかく曲げて歩く動きが見られなくなります。 階段の上り下りが難しくなるのも、このようなバランスの崩れが関係しています。(文献2) 失調性歩行を引き起こす主な原因 失調性歩行にはいくつかのタイプがあり、それぞれ背景にある病気や障害が異なります。 歩行障害の詳しい種類や原因は、こちらの記事でも詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 小脳の障害|脊髄小脳変性症・小脳出血など 小脳は体の動きをスムーズにし、バランスをとる役割をもっています。 ここに障害があると、歩くときに体が左右に揺れ、足がもつれるなどの症状が現れます。 代表的な病気は、脊髄小脳変性症、小脳出血、多発性硬化症などです。(文献3) 脊髄の障害|脊髄腫瘍・脊髄空洞症など 脊髄は背骨の中を通る神経の束で、脳からの指令を体に伝える通り道です。 この部分に異常があると、足の動きや位置の感覚がうまく伝わらなくなり、歩き方がぎこちなくなります。 脊髄腫瘍や脊髄空洞症などが関係していることがあります。(文献4) 前庭の障害|メニエール病・前庭神経炎など 前庭とは、耳の奥にあるバランスを感じ取る器官です。 ここがうまく働かなくなると、立っているときや歩いているときにぐらぐらする感覚が続きます。 メニエール病、前庭神経炎、感染性髄膜炎などが代表的です。(文献4) 大脳の障害|多発性脳梗塞など 大脳は、動きの「司令塔」として働く部分です。 脳内の前頭葉、頭頂葉といった部位に異常があると、筋力に問題がなくても体のバランスが崩れたような歩き方になることがあります。(文献4) 小脳の障害に似た症状が見られることがあり、原因の特定が難しいケースがあることも大脳の障害の特徴です。 また、明らかな麻痺がなくても歩行が不安定になることもあるため、脳全体の状態を丁寧に確認する必要があります。(文献4) これらの病気は、早めに気づいて対応することが大切です。 失調性歩行には専門的なリハビリが効果的 失調性歩行の症状がみられた場合、原因となる障害に合わせたリハビリをすることで、歩行の安定を目指せます。 協調運動を助ける「フレンケル体操」 フレンケル体操は、目で見ながらゆっくりと体を動かすリハビリ方法です。 手足を「どう動かすか」を意識しながら反復練習をして、バランス感覚や動きの調整力を取り戻す目的があります。 たとえば、以下のような動作をします。 椅子に座って床に置いた目印をなぞるように足を動かす 仰向けになり、片脚のかかとを床につけたまま、かかとをゆっくり滑らせるようにしながら膝を曲げ伸ばす 床に平行線を引き、その上を歩く シンプルな動作を自分の目で確認しながら繰り返します。 特別な器具は不要で、ベッドや椅子があれば始められるため、自宅でも取り入れやすい訓練のひとつです。 感覚のずれを補う「重りや包帯」 失調性歩行では、手足の動きと感覚がうまく一致しないことがあります。 自分では足をまっすぐ出したつもりでも、実際にはずれていたり、力を入れすぎてしまったりするのです。 こうした「感覚のずれ」を補う方法として、手足に軽い重りや包帯をつけるリハビリがあります。 重さや圧迫感があることで、手足の位置や動きを意識しやすくなり、「動きすぎ」「力の入れすぎ」といったミスを防ぎやすくなるのです。 重りや包帯の量は状態に合わせて調整でき、歩く・立つ・座るなど、基本動作の安定にもつながります。 体幹の安定性を高める「筋力トレーニング」 筋力や体力が落ちていると、バランスをとる力も弱くなり、ふらつきや転倒のリスクが高まります。 そのため、失調性歩行のリハビリでは筋力をつけることも大切です。 筋力トレーニングには、筋力向上に加えて筋肉の協調性やリズミカルな動作を改善する効果も期待できます。 また、柔軟体操を取り入れて、関節のこわばりを防ぐことも行います。 無理なく体を支える力をつけていくことで、転倒予防や日常生活の自立にもつながるため、継続がカギになるでしょう。 失調性歩行の改善を目指すなら医療機関を受診しよう 失調性歩行には、小脳や脊髄、大脳、耳のバランス器官など、さまざまな原因が関係しています。 原因によって対処法も異なるため、医療機関での検査やリハビリが大切です。 歩き方に違和感があるときや、家族に「おかしい」と言われたときは、迷わず専門の医師に相談してください。 リペアセルクリニックでは「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も行っています。 失調性歩行でお悩みの方は当院へお気軽にご相談ください。 失調性歩行に関するよくある質問 失調性歩行はリハビリで改善しますか? 失調性歩行の改善は、原因となる病気や障害によって異なります。 ただし、フレンケル体操や筋トレなどのリハビリを継続することで、歩行が安定し、日常生活の質も向上する可能性があります。 専門の病院を受診し、医師やリハビリスタッフの指導を受けながら継続していきましょう。 小脳が原因の失調性歩行は治りますか? 小脳性の失調は、根本的な治療が難しいこともありますが、リハビリや再生医療などによって歩行の質が改善する可能性があります。 早めに医療機関で相談し、状態に合った対応を始めることが大切です。 小脳梗塞の後遺症の治療や予後については、こちらの記事で詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 歩行障害の種類と原因疾患|Jpn J Rehabil Med (文献2) 失調症のリハビリテーション|リハビリテーション医学 (文献3) 3.小脳失調症の病態と治療―最近の進歩―|日本内科学会雑誌 (文献4) 運動失調に対するアプローチ|関西理学
2025.07.31 -
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「下肢静脈瘤にコーヒーは良くないの?」 「静脈瘤に良くないのなら控えようと思うけれど、ストレスになりそう」 コーヒーを好まれる方の中には、このような不安や悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょう。 結論として、下肢静脈瘤とコーヒーに関する明確な因果関係は、現時点では認められていません。 ただし、コーヒーに含まれるカフェインには注意すべき作用があります。 本記事では、下肢静脈瘤とコーヒーの関係や、下肢静脈瘤の方もコーヒーを楽しむための方法などを解説します。 下肢静脈瘤への不安を解消し、コーヒーを安心して楽しむためにも、ぜひ最後までご覧ください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 コーヒーが下肢静脈瘤に関係する医学的根拠は確認されていない 現在の医学的見解では、「コーヒーを飲むことで下肢静脈瘤が悪化する」といった明確な根拠は確認されていません。スウェーデン及びアメリカの研究機関による共同研究においても、コーヒーと下肢静脈瘤発症の関係は不明との結果が示されました。(文献1) この章では、カフェインが持つ作用と下肢静脈瘤の関係性について解説します。 コーヒー(カフェイン)が血管に与える影響 カフェインには血管収縮作用があるとされています。アメリカの論文によると、コーヒーを飲んだときは飲まないときと比較して、脳の血流が速くなり脳血管が収縮しているとの結果が得られました。(文献2) 広島大学の研究では、カフェインは血管内壁の機能を上げて、血管を拡張させる作用があるとの結果が得られました。(文献3) カフェインは血管に少なからず影響を与えますが、静脈瘤の発症および悪化との関連は示されていません。 コーヒー(カフェイン)が持つ利尿作用 コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があります。フランスの論文では、「カフェインは、主に腎臓での血液ろ過機能の抑制により利尿作用を生じさせる」とのメカニズムが示されました。(文献4) そのため、コーヒーを飲み過ぎると体内の水分が減りやすくなります。水分不足により血液が濃くなると、足の血流がさらに滞り、静脈瘤のリスクを間接的に高める可能性があります。 カフェインの利尿作用が、下肢静脈瘤の発症や悪化を招く可能性もゼロではありません。 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむための工夫 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむための工夫として、以下の3つが挙げられます。 コーヒーとは別に水分も補給する 1日3杯を目安に適量飲む 夜間は控えて日中に飲む コーヒーとは別に水分も補給する コーヒーは水分補給にカウントせず、あくまで楽しみの1つと考えましょう。 人体の約60%は水分であり、それを維持するためにも1日2.5リットルの水分摂取が必要です。食事で摂れる水分が約1リットルであり、体内で作られる水分が約0.3リットルであるため、経口摂取する水分は約1.2リットルが目安です。(文献5) コーヒーを適量飲みつつ、その他に水や白湯、ノンカフェインのお茶などで水分を補給しましょう。適切な水分補給は血液の流れをスムーズにし、足のむくみやだるさを予防します。 1日3杯を目安に適量飲む 適切な量を守れば、下肢静脈瘤の方もコーヒーを楽しめます。 一般成人の場合、健康に悪影響を及ぼさないコーヒー摂取量は1日3杯程度です。 ドリップ式のコーヒーでは、マグカップ1杯(237ml)に約100mgのカフェインが含まれます。インスタントコーヒーでのカフェイン量も、ほぼ同量です。カナダ保健省では、健康な成人のカフェイン1日摂取目安量を400㎎としています。コーヒーに換算すると3~4杯程度です。(文献6) カフェインが多く含まれている飲み物の種類とカフェイン含有量を、表に示しました。(文献6) 飲み物 カフェイン含有量 ドリップ式コーヒー 100mlにつき60mg インスタントコーヒー 100mlにつき57mg 缶コーヒー・コーヒー飲料 100mlにつき10mg未満~90mg 玉露 100mlにつき160mg 紅茶 100mlにつき30mg 煎茶 100mlにつき20mg ほうじ茶 100mlにつき20mg ウーロン茶 100mlにつき20mg エナジードリンク 100mlにつき32~300mg この表を参考に、コーヒーを含むカフェイン飲料の1日量を設定すると良いでしょう。 夜間は控えて日中に飲む カフェインには覚醒作用があり、3時間程度持続します。就寝3~4時間前にコーヒーを飲むと、就寝時にも覚醒作用が続き、入眠を妨げたり睡眠が浅くなったりするなど、いわゆる「睡眠の質低下」を招きます。(文献7) そのため、コーヒーを飲むときは睡眠への影響が少ない日中の時間帯を選びましょう。 また、下肢静脈瘤の症状である足のこむら返りやむずむず感、かゆみなどにより睡眠の質が低下することがあります。睡眠不足は全身の健康に影響するため、良質な睡眠の確保が大切です。 コーヒーが体に及ぼす影響と望ましい飲み方については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 【コーヒー以外】下肢静脈瘤でお悩みの方が日常生活で気をつけるべきポイント 下肢静脈瘤でお悩みの方は、長時間の同じ姿勢や締め付けの強い衣服および、靴の着用を避けましょう。 長時間の同じ姿勢や圧迫は、下肢の血流を妨げてしまい、足先から心臓へ血液が戻りにくくなる状況をつくり出します。その結果、下肢静脈に負担がかかり、静脈瘤の発生や悪化を引き起こします。 喫煙も血管の機能障害につながり、下肢静脈瘤に間接的な悪影響を及ぼすため、禁煙につとめましょう。 足をこまめに動かす、圧迫する衣服や靴は控える、禁煙につとめるなどが、日常生活で気をつけるべきポイントです。 下肢静脈瘤でやってはいけないことやセルフケアの方法については、以下の2記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 下肢静脈瘤でやってはいけないことを現役医師が解説|日常生活から意識して悪化を防ごう 【医師監修】下肢静脈瘤を自分で治すことはできるのか|セルフケア方法とあわせて解説 コーヒーと上手に付き合いつつ下肢静脈瘤の予防につとめよう コーヒーが下肢静脈瘤を悪化させる医学的な根拠は存在していません。 カフェインが血管に与える影響は少なからず存在しますが、下肢静脈瘤との関係は現時点では不明です。ただし、コーヒーに含まれる利尿作用によって、体内の水分不足が生じ、下肢静脈瘤に良くない影響を与える可能性があります。 下肢静脈瘤でお悩みの方がコーヒーを楽しむためには、コーヒー以外の水分摂取も心がける、適量を守る、夕方以降のコーヒーを控えるなどの工夫が必要です。 コーヒーとの付き合い方に加えて、生活習慣の改善が必要な部分もあります。 好きなコーヒーを無理に我慢せず、本記事を参考にしつつ適度に楽しむ方法を見つけましょう。 その中で、下肢静脈瘤と思われる症状が出現、もしくは悪化した場合は我慢せず、医療機関を受診してください。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。下肢静脈瘤についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 下肢静脈瘤とコーヒーに関するよくある質問 下肢静脈瘤の場合アルコールはよくありませんか? アルコールもカフェイン同様に利尿作用があります。アルコールには、バソブレッシン(抗利尿ホルモン)の分泌を抑制する作用があるためです。 ビールを例にとると、1リットルのビールで1.1リットルの水分が失われるとされています。(文献8) そのためアルコールも、コーヒーと同じように下肢静脈瘤のリスクを間接的に高める可能性があります。 下肢静脈瘤に良い飲み物には何がありますか? 水や麦茶、白湯、ハーブティーなどカフェインが含まれていない飲み物が良いでしょう。 一度にたくさん飲むよりも、少量ずつ何回かに分けて飲む方が望ましいでしょう。人間の身体が吸収できる水分量は30分でコップ1杯ほどとされているためです。(文献9) 参考文献 (文献1) Cardiometabolic, Lifestyle, and Nutritional Factors in Relation to Varicose Veins: A Mendelian Randomization Study|Journal of the American Heart Association (文献2) Vascular effects of caffeine found in BOLD fMRI|Journal of Neuroscience Research (文献3) Effects of Acute Administration of Caffeine on Vascular Function|The American Journal of Cardiology (文献4) Mécanismes de l’effet diurétique de la caféine|médecine/sciences (文献5) 健康のため水を飲もう講座|厚生労働省 (文献6) カフェインと睡眠|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター (文献7) 健康づくりのための睡眠指針 2014|厚生労働省 (文献8) 毎日なんとなく飲んでいる人は要注意! 「お酒」との距離感を考えよう|関東百貨店健康保険組合 (文献9) 不調を防ぐ「水の正しい摂り方」|徳洲会健康保険組合
2025.07.31 -
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「医療ボトックスの効果を知りたい」 「医療ボトックスを打ち続けると、どうなるのか心配」 医療ボトックスを検討しているものの、「副作用が心配」「一度始めたらやめられなくなるのでは」と不安を感じていませんか。ボトックス治療は主に医療目的で使用され、症状の緩和や生活の質の向上に効果が期待できます。 一方で、「続けるうちに効きにくくなる」「中止すると症状が戻り悪化する」といった情報に不安を感じる方も少なくありません。正しい知識を持ち、自分に合った治療かどうか、慎重に判断しましょう。 本記事では、現役医師が医療ボトックスについて詳しく解説します。 医療ボトックスの効果 医療ボトックスを打ち続けるとどうなるのか 医療ボトックスをやめるとどうなるのか 医療ボトックスの副作用 医療ボトックスの治療期間 本記事の最後には、医療ボトックスに関するよくある相談について回答していきますので、ぜひ最後までご覧ください。 医療ボトックスとは 医療ボトックスは、ボツリヌス菌由来のタンパク質(ボツリヌス・トキシン)を少量注射し、筋肉の過剰な緊張や動きを一時的に抑える治療法です。 主に痙攣、筋肉のこわばり、多汗症、顎関節症、歯ぎしりなどの症状改善や機能回復を目的として用いられ、美容目的とは異なり、症状によっては健康保険の適用もあります。 効果は通常、注射後1〜2週間で現れ、1〜2カ月でピークに達します。その後、3〜6カ月ほど持続し、徐々に効果が薄れていきます。効果を維持するには、3〜6カ月ごとに注射を継続するのが一般的です。効果の持続期間や治療間隔には個人差があるため、実施前に医師への相談が不可欠です。 以下の記事では、脳梗塞に対してのボトックス効果について詳しく解説しています。 医療ボトックスの効果 期待できる効果 詳細 筋肉の過剰な緊張や痙縮の緩和 神経伝達の遮断による筋肉の収縮抑制 眼瞼けいれん・片側顔面けいれんの改善 けいれんを起こす筋肉の動きの抑制 多汗症の治療 発汗を促す神経信号の遮断による汗の抑制 顎関節症や歯ぎしりの緩和 咬筋の過活動抑制による顎や歯への負担軽減 医療ボトックスは、過剰に働く筋肉や神経の異常な伝達を一時的に抑えることで、症状を緩和する治療法です。もともとは眼瞼けいれんや斜視などの神経疾患に対して開発されましたが、現在では痙縮、顔面けいれん、多汗症、顎関節症、歯ぎしりなど、幅広い症状に対して効果が認められています。 注射により筋肉や汗腺の働きを抑え、日常生活への支障を軽減することが期待されます。効果は3〜6カ月程度持続します。効果や持続期間には個人差があるため、医師と相談の上で継続的に治療することが重要です。 筋肉の過剰な緊張や痙縮の緩和 適応疾患 症状の特徴 ボトックスの作用 期待される効果 痙性斜頸 首の筋肉が勝手に収縮し、頭が傾く・ねじれる状態 異常な筋肉の動きを抑制 姿勢の改善、違和感や不快感の軽減 脳性麻痺による運動障害 手足の筋肉がこわばり、動かしにくくなる状態 筋肉の緊張を和らげ、動きをスムーズにする 関節の可動域改善、歩行や手の動作の向上 脳卒中、脳性まひ、脊髄損傷などの後遺症では、筋肉がこわばり、思うように動かせなくなる痙縮(けいしゅく)と呼ばれる症状が現れることがあります。医療ボトックスは、過剰に収縮している筋肉への信号を一時的にブロックすることで筋肉の緊張を緩和する治療法です。 この作用により、関節の動かしやすさが改善し、日常動作がスムーズになるケースもあります。リハビリの効率が高まり、より効果的な訓練が可能となるのも利点のひとつです。また、強い筋緊張によって起こる違和感や変形、皮膚トラブルを防ぐ効果も期待されています。 このような症状に対するボトックスの効果は3〜4カ月ほど続き、時間の経過とともに効果が薄れ、徐々に元の状態に戻ることがあります。 再発を防ぐには、症状に応じて定期的な注射を検討することが大切です。適切なタイミングと用量で継続することで、生活の質の向上が見込めます。 眼瞼けいれん・片側顔面けいれんの改善 疾患名 症状の特徴 ボトックスの作用 期待される効果 眼瞼けいれん まぶたのけいれん、勝手に閉じてしまう状態 眼輪筋の異常収縮の抑制 まぶたの開けやすさの改善、けいれんの軽減 片側顔面けいれん 顔の片側の筋肉のピクピクとした不随意な動き 顔面筋の過剰な緊張やけいれんの抑制 表情のゆがみの軽減、不快感の改善 眼瞼けいれんは、まぶたが無意識にピクピク動いたり、強く閉じてしまう症状で、まぶしさや目の疲れ、視界の遮りを引き起こすことがあります。片側顔面けいれんは、顔の片側にけいれんが生じ、笑ったり話したりすると症状が強まるのが特徴です。いずれも筋肉の異常な収縮が原因とされ、医療ボトックスは有効な治療法です。 けいれんを起こしている筋肉にボトックスを注射することで、神経から筋肉への信号を一時的に抑え、不随意な動きを一定期間抑える効果があります。 効果は注射後2〜5日で現れ始め、2〜4週間で最大となり、2〜4カ月持続します。症状や筋肉の反応を見ながら、定期的に治療を行うことで、日常生活の不便を大きく軽減できる可能性があります。 多汗症の治療 医療ボトックスは、多汗症の原因となる神経の働きを一時的に抑え、汗の分泌を軽減する治療法です。脇や手のひらなど汗が気になる部位に注射することで、2〜3日後から効果が現れます。 効果は通常4〜9カ月続くため、再発時には定期的な治療が必要です。手術とは異なり、傷跡が残らず日常生活への影響もほとんどありません。発汗を抑えることで、日常の不快感や精神的なストレスの軽減に大きく役立ちます。 顎関節症や歯ぎしりの緩和 症状・効果 ボトックス治療の作用 顎関節症の緩和 咬筋の緊張を抑制し、顎関節への負担軽減。違和感や開口障害、クリック音の改善 歯ぎしり・食いしばりの軽減 無意識の歯ぎしり・食いしばりの減少。歯や顎関節へのダメージ予防 歯の摩耗や補綴物の破損予防 噛む力の抑制による歯のすり減りや詰め物・被せ物の破損リスク低減 顔の輪郭の変化 咬筋のボリューム減少によるエラ張りの改善。フェイスラインのすっきり感 効果の持続 効果は通常3~6カ月持続。時間経過とともに徐々に元の状態へ戻る。定期的な再注射で効果維持 治療の特徴 治療時間は短く、ダウンタイムほとんどなし。個人差あり 顎関節症や歯ぎしり(ブラキシズム)は、睡眠中の強い食いしばりや日中の無意識な筋緊張によって、顎やこめかみの違和感、咬筋の発達、歯のすり減りなどを引き起こす症状です。 これらに対して医療ボトックスを用いることで、噛む筋肉である咬筋の過剰な収縮を一時的に抑え、食いしばりや歯ぎしりの頻度や強さを軽減できます。 咬筋の緊張が緩和されることで、顎の違和感や開口障害が改善し、歯や関節への負担も軽減します。効果は3~6カ月程度持続し、筋緊張の軽減によりフェイスラインがすっきりする場合もあります。 治療を受ける際は、目的や副作用を十分に理解し、医師と相談しながら進めることが重要です。 医療ボトックスを打ち続けるとどうなる? 打ち続けると起こりうるリスク 詳細 効果の変化と抗体形成のリスク 抗体の産生により薬剤が効きにくくなる可能性 表情の変化や筋力低下の可能性 周囲の筋肉への影響による違和感や動きの制限 効果の減弱と元の状態への回帰 薬の効果が切れることで症状が再発する可能性 副作用のリスク 内出血・違和感・頭痛・倦怠感などが現れる可能性 医療ボトックスは効果の持続期間が限られているため、症状のコントロールには定期的な注射が必要です。ただし、長期間の治療に対して効果が薄れたり副作用が蓄積されたりすることに不安を感じる方も少なくありません。 実際には、ボトックスは時間とともに体外に排出されるため、成分が身体に蓄積することはありません。ただし、稀に抗体による効果の減弱、または表情の変化・筋力低下などの副作用が起こる可能性があります。そのため、治療は医師と相談の上、適切な間隔と投与量で行うことが求められます。 効果の変化と抗体形成のリスク 医療ボトックスは、筋肉の動きを一時的に抑えることで、しわやエラ張り、食いしばりなどの改善に用いられます。効果は通常3〜6カ月持続し、薬剤が分解されると徐々に筋肉の動きが戻るのが特徴です。継続的に適切な間隔(目安は3カ月以上)で治療を受けることで、効果が期待できます。筋肉が萎縮することで1回ごとの効果が長く続く場合もあります。 短期間に頻繁な注射を繰り返すと、ボトックスに対する抗体ができて効果が弱まるため、自己判断で注射の間隔を詰めるのは避け、必ず医師の指示に従うことが大切です。また、効果の変化には筋肉の状態や生活習慣も関係するため、定期的に診察を受け、治療間隔や投与量を調整しながら無理のない継続治療を行いましょう。 表情の変化や筋力低下の可能性 ボトックスは、筋肉の動きを一時的に抑えることでしわやたるみを改善しますが、同じ部位に繰り返し注射を行うと、表情筋の動きが制限されやすくなります。笑顔が不自然に見えたり、表情が乏しく感じられたりするのは、筋肉が長期間動かないことで徐々に萎縮し、筋力が落ちるためです。 また、咬筋などの大きな筋肉に繰り返し注射をすると、フェイスラインがすっきりする一方で、噛む力が弱くなるといった筋力低下も起こる可能性があります。額や目元などの部位では、表情のバリエーションが減ることもあります。 ボトックスの効果は3~6カ月程度持続し、回数を重ねることで効果が長く続く傾向がありますが、治療の頻度が高すぎると、副作用や表情の不自然さが目立ちやすくなります。そのため、3〜4カ月以上の間隔を空けることが、自然な表情と筋力を保つためには、重要です。 無理に回数を増やすのではなく、医師と相談の上、適切な量とタイミングで治療を継続することが、健康的で自然な仕上がりを保つポイントです。 効果の減弱と元の状態への回帰 医療ボトックスの効果は通常3〜4カ月程度持続し、時間とともに徐々に消失します。治療を中止すると、抑えられていた筋肉の活動が回復し、もともとの症状が元に戻る可能性があります。 たとえば、痙縮やけいれん、多汗症、食いしばり・歯ぎしりなどが再び現れることがあります。これは、薬の効果が切れて神経と筋肉の伝達が元に戻るためです。中には、再開後すぐに十分な効果が得られにくいケースもありますが、多くは再投与によって症状が再び緩和されます。 一方で、治療を中断しても症状が軽度のまま維持される場合もあるため、無理に継続せず一度経過を観察する選択も可能です。症状の戻り方には個人差があるため、医師と相談しながら、症状の経過に応じて柔軟に治療方針を決めていくことが大切です。 副作用のリスク 副作用の種類 内容と注意点 注射部位の腫れ・内出血・むくみ 針を刺すことで一時的に現れる反応。通常は数日〜1週間で自然に消失 アレルギー反応 発疹、赤み、かゆみ、息苦しさなど。ごく稀に発症し、早めの医師相談が必要 表情の違和感・筋力低下 筋肉の動きが抑制されることで起こる違和感や噛む力の低下。過剰投与でリスク増加 左右差や皮膚のたるみ 筋肉の使い方の偏りや注射の入り方による影響。個人差あり 頭痛・めまい・吐き気 一部の方に起こる全身症状。多くは軽度かつ一時的 嚥下障害・呼吸困難 首や咽頭周囲への注射、大量投与でごく稀に報告される重篤な副作用 医療ボトックスには、副作用のリスクがあります。注射部位に腫れや内出血、赤み、軽い違和感が出ることがありますが、これらは一時的で自然におさまることがほとんどです。まれに、隣接する筋肉に薬剤が拡がることで、意図しない筋力低下や表情の変化が起こることもあります。 また、ボトックスに対してアレルギー反応を示す人もごく少数ながら存在し、息苦しさや発疹などが現れる場合もあります。副作用の有無や治療前後の体調変化に気づいた際は、速やかに医療機関へ相談することが大切です。 医療ボトックスをやめるとどうなる? やめると起こりうる症状 詳細 もとに戻る可能性がある 抑えられていた症状の再発 見た目の変化に対する違和感 シワや輪郭の戻りによる印象の変化 筋肉の活動が再開する けいれんや緊張など筋肉の動きの再出現 医療ボトックスを中止すると、薬の効果が切れるのに伴い、神経と筋肉の伝達が徐々に元の状態へ戻ります。その結果、けいれんや痙縮、過度な発汗、歯ぎしりなど、これまで抑えられていた症状が再発する可能性があります。 ただし、症状が悪化するというよりは、治療前の状態に戻ると考えるのが一般的です。症状の戻り方や強さには個人差があり、すぐに再発する場合もあれば、一定期間は落ち着いた状態が続くこともあります。また、長期間治療を継続していた方ほど、効果が切れた際に見た目や感覚の変化に強い違和感を感じることがあります。 治療を継続するか中止するかは、症状の経過や日常生活への影響を踏まえ、医師と相談しながら柔軟に判断することが大切です。 もとに戻る可能性がある ボトックスは、筋肉にA型ボツリヌストキシンを注射し、神経と筋肉の伝達を一時的に遮断することで、筋肉の動きを抑え、しわ・エラ張り・食いしばりなどの症状を軽減する治療です。 ただし、効果は一時的で、通常3〜6カ月程度で薬剤が分解され、神経伝達が回復します。すると筋肉が再び動き始め、治療前の状態に戻る可能性が高くなります。 元に戻る現象は、ボトックスが筋肉を破壊するのではなく、動きを一時的に抑える仕組みであるためです。たとえばエラボトックスを中止すると、咬筋が再び発達し、エラ張りや食いしばりが戻ることがあります。治療を中止しても症状が悪化したり、老化が進むことはありません。 また、長期間(数年〜十数年)ボトックスを継続したごく一部のケースでは、筋肉の動きが弱まる廃用性萎縮に似た状態が起こることがありますが、非常に稀です。多くの場合は中止により自然回復します。継続治療を希望する場合は、症状や目的に応じて医師と相談し、適切なタイミングと頻度での治療が推奨されます。 見た目の変化に対する違和感 医療ボトックスの効果は3〜6カ月ほどで徐々に消失し、筋肉の動きが元に戻ります。それに伴い、しわやエラの張り、フェイスラインなどが治療前の状態に近づいていきます。 これはボトックスの効果が自然に切れた結果であり、異常ではありません。治療中の若々しく整った見た目に慣れていると、効果が切れて元の状態に戻ったときに老けた印象や疲れた印象を受けやすくなります。見た目が悪化したわけではなく、治療前の状態に戻っただけです。 また、長期間ボトックスを続けていた場合は、筋肉の動きが抑えられていた分、効果が切れたときに違和感を強く感じやすくなります。こうした見た目の変化は副作用ではなく、心理的なギャップによるものです。治療を中止する際は、あらかじめ医師と相談し、必要に応じて他の治療を検討することで、違和感を抑えながら自然な変化に対応できます。 筋肉の活動が再開する 医療ボトックスの効果は一時的で、3〜6カ月ほどで神経と筋肉のつながりが回復し、抑えられていた筋肉の活動が再開します。これは、神経から筋肉への信号をブロックするボトックスの作用が切れ、神経枝が再生するためです。 筋肉の動きが戻ると、けいれんや痙縮、歯ぎしりなどの症状が再び現れることがありますが、これは自然な反応であり異常ではありません。もともと症状が強かった人では、変化に違和感や不安を覚えることもあります。 ボトックスは筋肉を壊す薬ではないため、基本的に機能は元に戻ります。ただし、長期間にわたる連続使用では、まれに筋肉が使われにくくなり、萎縮が見られることもあります。再治療が必要かどうかは、症状や生活への影響を見ながら判断し、医師と相談の上で治療方針を決めることが大切です。 医療ボトックスの副作用 副作用 詳細 局所的な副作用 注射部位の腫れ・赤み・内出血・違和感など 筋力低下や動作の制限 力が入りにくい・動かしづらい感覚の一時的出現 全身的な副作用 頭痛・倦怠感・吐き気・まれにアレルギー反応など 医療ボトックスは高い治療効果が期待できる一方で、副作用の可能性もあります。多くは軽度かつ一時的なもので、注射部位の腫れ、赤み、内出血、違和感などが見られますが、通常は数日以内に自然に改善します。 注射する部位や筋肉の範囲によっては、表情が不自然に感じられたり、噛みにくさ、飲み込みにくさが出ることもあります。さらに、非常にまれではありますが、アレルギー反応、全身のだるさ、頭痛、吐き気などが起こるケースもあるため注意が必要です。これらの症状が現れた場合は、早めに医師へ相談することで適切に対応できます。 また、以下のような方にはボトックス治療は推奨されません。(文献1) 神経筋接合部の障害(例:重症筋無力症)を持つ方 妊娠中または授乳中の女性(影響が十分に明らかになっていないため) 副作用への理解を深め、体調や持病に応じて医師と十分に相談しながら治療を進めることが、医療ボトックスの活用につながります。 局所的な副作用 副作用の種類 主な原因 詳細 腫れ・内出血 注射針の刺激・血管損傷・身体の反応 注射時の物理的刺激による反応。多くは軽度で数日以内に自然に消退する 刺激・違和感 皮膚や筋肉への刺激・注入圧 注射直後に生じやすい一時的な感覚。数時間から数日で改善 赤み・かゆみ・発疹 アレルギー反応や炎症反応 ごく稀に発生する。軽度で短期間の経過が多い 副作用の対策 技術・衛生管理・事前の体調確認 適切な治療とリスク管理で副作用の頻度や重症化を最小限に抑えることが可能 医療ボトックスの局所的な副作用は、注射による物理的な刺激や体の自然な防御反応が原因で起こることがほとんどです。腫れ、内出血、違和感などは一時的な症状であり、通常は数日以内に自然に治まります。まれにかゆみや発疹、赤みが見られることもありますが、これらも軽度で、アレルギー反応としてはごく稀なケースです。 副作用を最小限に抑えるには、施術者の技術や衛生管理、アレルギー歴の確認が不可欠です。副作用が長引く場合や不安を感じた際は、早めに医師へ相談することが重要です。 筋力低下や動作の制限 ボトックスによる筋力低下や動作の制限は、神経から筋肉への信号が一時的に遮断されることで起こります。これは、しわを目立たなくするために筋肉の動きを抑える作用によるものです。 その結果、注射部位の筋肉に力が入りにくくなることがあります。ただし、これらの反応は一時的であり、時間の経過とともに自然に回復します。 これらは薬の効果が持続する2~4カ月間の一時的な変化です。ただし、左右差や違和感が強い場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 全身的な副作用 副作用の種類 原因・仕組み 特徴・注意点 頭痛 神経伝達の変化・炎症反応・筋緊張バランスの乱れ 多くは軽度で一時的。数日以内に自然に軽快 アレルギー反応 ボツリヌストキシンや添加物への免疫反応 発疹、かゆみ、腫れ。稀にアナフィラキシーなどの重篤反応 呼吸困難・嚥下困難 薬剤の過量・全身への広がり・基礎疾患の影響 重症筋無力症や呼吸器疾患のある方はとくに注意。異常を感じたら早期受診が必要 倦怠感・だるさ 神経や筋肉への作用による一時的な全身的影響 軽度で自然に回復することが多い 心臓への影響 ごく稀に報告される自律神経系や循環器系への影響 不整脈や心不全の既往がある方は慎重な判断が必要 医療ボトックスは主に局所に作用する治療ですが、ごく稀に全身的な副作用が現れることがあります。頭痛や倦怠感は比較的よく見られますが、多くは軽度で数日以内に自然に改善します。 稀にアレルギー反応として発疹やかゆみが出ることがあり、重症の場合はアナフィラキシーを起こす可能性もあるため注意が必要です。また、薬剤が広がることで呼吸や嚥下に関わる筋肉に作用し、呼吸困難や全身の筋力低下を引き起こすことがあります。 とくに、神経筋疾患や呼吸器疾患のある方には慎重な対応が求められます。症状が強く現れたり長引いたりする場合は、速やかに医師へ相談してください。 医療ボトックスの治療期間 項目 内容 効果発現時期 注射後2週間ほどで効果出現。1〜2カ月目にピーク 効果持続期間 通常3〜4カ月持続。その後徐々に消失 治療間隔・頻度 3〜4カ月ごとに年数回の注射が一般的 抗体形成リスク 過度な頻度での投与は抗体形成による効果減弱リスク増加 治療の目的 一時的な症状改善。根本治癒目的ではない 治療計画の調整 症状や目的、個人差に応じて調整。医師との継続的な相談が不可欠 (文献2) 医療ボトックスの効果は、注射後2週間ほどで現れ始め、1〜2カ月目に効果のピークを迎えます。効果は通常3〜4カ月持続し、その後徐々に消失します。症状の改善を継続したい場合は、3〜4カ月ごとに年数回の注射を繰り返すことが一般的です。ボトックスはあくまで一時的な治療であり、根本治癒を目的とするものではありません。効果を持続させるには、長期的な治療と定期的な経過観察が必要です。 治療間隔や期間は、症状や目的、個人差に応じて調整されます。無理のない治療計画を立てるためにも、医師との継続的な相談が重要です。 医療ボトックスで改善しない症状に再生医療という新たな選択肢 医療ボトックスは多くの神経筋疾患や過活動による症状に対して効果が期待できますが、すべての症状に適応するわけではありません。 たとえば、筋肉の損傷が進んでいる場合や、神経に重度の障害がある場合には、ボトックス単独では十分な改善が得られないことがあります。こうしたケースで注目されているのが再生医療です。 再生医療は、自己の幹細胞などを用いて損傷した組織や神経の修復を目指す治療法です。ボトックスでは改善が難しい症状に対して、新たな選択肢として注目されています。ただし、すべての症状が再生医療で改善するわけではなく、治療の適応や効果は症状によって異なります。 医療ボトックスに関するお悩みは、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、医療ボトックスに関するご相談に対応しており、症状やご希望に応じて再生医療のご提案も可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 医療ボトックスに関するよくある相談 医療ボトックスに関しての相談はどの診療科へするべきでしょうか? 医療ボトックスは、適応となる症状や疾患によって相談先の診療科が異なります。対応する診療科は以下を参考に受診ください。 主な症状・疾患 対応する診療科 顔面けいれん・眼瞼けいれん 神経内科、脳神経外科 手足の痙縮(脳卒中後など) リハビリテーション科、整形外科 多汗症(腋窩・手のひら・足の裏など) 皮膚科、形成外科、耳鼻咽喉科 咬筋の緊張・食いしばり・歯ぎしり 歯科口腔外科、矯正歯科 美容目的(表情じわ、エラ張りなど) 美容皮膚科、美容外科 ボトックス治療を実施しているかどうかは医療機関によって異なるため、事前にホームページや電話で確認するとスムーズです。 医療ボトックスの治療を受ける前に確認すべきポイントはありますか? 医療ボトックスの治療を受ける前に以下の7点をしっかり確認しましょう。 確認項目 内容 1.信頼できる医療機関か 症例数、製剤の種類、衛生管理、アフターケア体制を確認する 2.カウンセリングの内容 希望や不安を伝え、リスクや副作用の説明をしっかり受ける 3.持病や服薬の申告 神経筋疾患、重い心疾患、肝障害がある場合は治療できないことがある 4.妊娠・授乳の有無 妊娠中・授乳中・妊娠希望の方は治療を避ける 5.当日の体調管理 発熱や不調がある日は治療を延期する 6.薬や飲酒の管理 飲酒は控える。抗凝固薬や一部の薬は事前に医師へ申告する 7.治療前の準備 顔のバランスや筋肉の状態を医師が確認してから注射を行う 上記以外にも不安な点がある場合は、医師に事前に相談することが大切です。 医療費控除は適用されますか? 医療ボトックスが医療費控除の対象となるかどうかは、治療目的か美容目的かによって判断されます。医療費控除の対象となるケースとしては、歯ぎしり、食いしばり、顎関節症、多汗症など、医師の診断に基づく治療目的のボトックスは、医療費控除の対象です。確定申告時に、診断書や治療内容が記載された領収書を提出することで、控除を受けられます。 一方、医療費控除の対象外となるケースは、小顔やしわ取り、ガミースマイル改善など、美容を目的とした治療は医療費控除の対象にはなりません。また、医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額(通常10万円)を超えた場合、その超過分が控除されます。 治療目的であることを証明できるよう、診断書や領収書は必ず保管しておきましょう。 参考資料 (文献1) アッヴィ合同会社 アラガン・エステティックス「医療用医薬品 : ボトックスビスタ」 KEGG データベース, 2025年3月 https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056431(最終アクセス:2025年06月16日) (文献2) 医療法人社団永生会「ボツリヌス(ボトックス)療法」医療法人社団永生会 https://www.eisei.or.jp/clinic/eiseiclinic-gairai/botulinum/(最終アクセス:2025年06月16日)
2025.06.29 -
- その他、整形外科疾患
「若くてもサルコペニアになるって本当?」と疑問をお持ちではないでしょうか。 サルコペニアは高齢者に多い疾患であり、若年層で発症するイメージが湧かない方も多いかもしれません。 しかし、サルコペニアは20〜30代の若年層でも発症リスクがあります。 サルコペニアの進行を防ぐには、早めに気づき、定期的な運動や食事の見直しなどの対策を続けることが大切です。 本記事では、若年層のサルコペニアにおける原因やチェック方法、予防策までをわかりやすく解説します。 「サルコペニアかもしれない」と気になる方は、本記事を参考に症状をチェックしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。サルコペニアが疑われる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 若年層のサルコペニアの原因は「疾患」や「生活習慣」にある 前提として、若年層がサルコペニアを発症する背景には、日々の生活習慣や持病の影響が関わっているとされています。 サルコペニアは、加齢が主な原因となる「一次性」と、疾患や不活動など加齢以外の要因が関わる「二次性」の2つに分類されます。このうち二次性は年齢を問わず発症するため、若年層でも注意が必要です。 実際、10〜40代の男女773名を対象とした研究では、100名にサルコペニアの該当が認められました。(文献1) なお、若年層でとくに気をつけたい代表的な原因は以下の3つです。 疾患や長期安静による筋力低下 運動不足による筋力低下 筋肉をつくる栄養の不足 それぞれ詳しく解説します。 原因1. 疾患や長期安静による筋力低下 若年層であっても、疾患やケガによる長期安静は筋力低下を招き、二次性サルコペニアのリスクを高めます。とくに、ベッド上での安静が続くと、わずか1週間程度でも下肢を中心に筋肉量が減少すると報告されています。 若年層で注意したい主な要因は、以下のとおりです。 主な要因 具体例 長期の安静・不活動 骨折、手術後の入院、ギプス固定など 慢性疾患 糖尿病、甲状腺機能障害、慢性炎症性疾患など 低栄養 食欲不振、消化器疾患による吸収障害など 病気や手術後の回復期には、医師や理学療法士の指導のもとで早期からリハビリに取り組むことが、筋力低下の予防に役立ちます。持病のある方は主治医と相談しながら、無理のない範囲で体を動かす習慣を意識してみてください。 原因2. 運動不足による筋力低下 日常的に体を動かす機会が少ないと、筋肉量は徐々に減り、サルコペニアのリスクが高まります。とくに、日頃から運動習慣がない人は注意が必要です。 以下のような生活に心当たりがある方は、日常に運動を取り入れてみてください。 休日は家でゆっくり過ごすことが多い 階段よりもエレベーターやエスカレーターを使いがち デスクワーク中心の仕事をしている サルコペニアの進行による歩行困難や寝たきりを防ぐためにも、まずは「体を動かす意識」から始めることが大切です。階段を使う、少し早歩きするなど、日常の中に取り入れやすい行動から始めてみてください。 原因3. 筋肉をつくる栄養の不足 日々の偏食により栄養が不足すると、筋力の低下が進みサルコペニアのリスクが高まります。 なかでも、筋肉の材料となるたんぱく質や、筋肉の合成を助けるビタミン類が不足すると、筋力維持が難しくなります。 筋力を維持するのに必要な栄養素と、それを多く含む食品類の一例は以下のとおりです。 栄養素 豊富に含まれる食品類の例 たんぱく質 卵類 肉類 豆類 ビタミンD 魚類 キノコ類 ビタミンB6 肉類 くだもの類 (文献2)(文献3)(文献4) 偏食や欠食が続いているのであれば、まずはこれらの食品を1日に1食以上取り入れることから始めましょう。 若年層でもサルコペニアになりやすい人の特徴 若年層であっても、以下のような特徴がある人はサルコペニアになりやすい傾向があります。 過度な食事制限をしている人 座りっぱなしの生活をしている人 筋肉の少ない痩せ型の人 思い当たる項目があれば、本章を参考に生活習慣を見直してみましょう。 過度な食事制限をしている人 過度な食事制限による無理なダイエットは、脂肪と同時に筋肉も減らしてしまうおそれがあります。栄養不足により筋肉の合成も滞るため、若年層であってもサルコペニアの発症リスクが高まります。 とくに若年女性のあいだでは、痩せ願望からたんぱく質やエネルギーの摂取量が不足しがちで、筋肉量が少ない傾向にあります。 なお、避けたほうがよいダイエット法の代表例は、以下のとおりです。 単品ダイエット 自己流の極端な糖質制限 絶食ダイエット 野菜や果物のみの食生活 ダイエットは栄養バランスを意識し、無理のない方法で行いましょう。ダイエット法に不安がある場合は、管理栄養士などの専門家と相談しながら自分に合ったプランを立ててみてください。 座りっぱなしの生活をしている人 長時間座りっぱなしでいると、下半身の筋肉が使われず、気づかないうちに筋力が低下してしまうことがあります。 デスクワーク中心の方や、長時間車の運転をする仕事に従事している方などはとくに注意が必要です。体を動かさない時間が長くなると筋力が衰えやすくなり、歩行困難や寝たきりの原因にもなりかねません。 こうしたリスクを防ぐためにも、長時間座り続けないようこまめに体を動かすことが大切です。「1時間に1回は立ち上がる」「階段を使用する」「短時間の散歩をする」など、日常の中で無理なくできる工夫を取り入れてみてください。 筋肉の少ない痩せ型の人 細身でも筋肉が少なく脂肪が多い「痩せ型」の人は、サルコペニア肥満のリスクがあるため注意が必要です。 「サルコペニア肥満」とは、BMIが標準または低体重でありながら体脂肪率が高い状態を指し、見た目では判断が困難です。(文献5) 見た目は細くても、筋肉量と脂肪量のバランスによっては健康リスクが隠れている場合があります。「痩せているから肥満ではない」と決めつけず、体組成計を用いて筋肉量や脂肪量をチェックし、自分の体の状態を正しく把握するようにしましょう。 サルコペニア肥満については、以下の記事で詳しく紹介しています。 若年層のサルコペニアに見られる初期症状 若年層にも見られるサルコペニアの初期症状として、以下のようなものがあります。 ペットボトルの蓋が開けにくい 転びやすい ふくらはぎが細くなったと感じる 階段を登るのがつらい 手を使わないと立ち上がれない こうした兆候を見過ごすと、気づいたときにはサルコペニアが進行しているケースもあるため、初期のサインを見逃さないことが大切です。 なお、初期症状を放置したまま進行すると、日常生活に支障をきたし、将来的に介護が必要な状態や寝たきりを招くおそれもあります。 ただし、他の疾患でも同様の症状が現れることがあるため、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 サルコペニアの初期症状については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 若年層のサルコペニアのセルフチェック方法 すぐに実践できるサルコペニアのセルフチェック方法には、以下の3つがあります。 指輪っかテスト 片足立ち 歩行速度 「サルコペニアかもしれない」と感じたら、ぜひ試してみてください。 指輪っかテスト 指輪っかテストとは、ふくらはぎの太さから筋肉量を測る方法です。以下の手順で行ってみてください。(文献6) 両手親指と人差し指で輪をつくる つくった輪で、利き足と反対側のふくらはぎの一番太い部分を囲む 判定の目安は以下のとおりです。 指とふくらはぎの間に大きな隙間がある場合:サルコペニアのリスクが高い 指が届かない、またはぴったりと囲める場合:リスクは比較的低い ただし、指輪っかテストは主に高齢者向けの簡易的なセルフチェック方法のため、若年層のサルコペニアリスクを正確に評価できるかは不明確な部分があります。気になる場合は、日頃の食事や運動習慣を見直すとともに、必要に応じて専門医に相談しましょう。 片足立ち 片足立ちできる時間の測定は、下半身の筋力やバランス能力を確認する方法です。サルコペニア専用の評価項目ではありませんが、自宅での簡単なセルフチェックに役立ちます。やり方は以下のとおりです。 両手を腰に当てる 片足立ちをして立っていられる時間をタイマーで測る 片足立ちが15秒未満しか保てない場合は、バランス能力や筋力の低下が疑われるため注意が必要です。(文献7) また、片足立ちによるセルフチェックを行う場合は、転倒しないように壁や家具の近くで行うようにしましょう。 歩行速度 筋力が低下すると、普段の歩くスピードにも影響が出ることもあります。サルコペニアの進行により歩行速度が遅くなることは、よくある兆候のひとつです。 日常生活の中で歩行速度を確認する方法として「横断歩道を青信号のうちに渡り切れるか」を目安にするのも一つの手段です。 ただし、実際に試す場合は安全に配慮してください。 若年層のサルコペニアを予防する方法 若年層のサルコペニア予防には、以下の2つの方法が効果的です。 筋力トレーニングを定期的に行う たんぱく質を積極的に摂る いずれも手軽に始められる方法なので、自分のペースで今日から少しずつ取り組んでみてください。 筋力トレーニングを定期的に行う 運動不足を自覚している場合は、まずは軽い筋力トレーニングから始めて、定期的に続けてみましょう。 若年層が手軽に始められる筋トレの一例は、以下のとおりです。 スクワット プランク ウォーキング 階段の利用 これらは自宅や日常生活の中で取り入れやすく、続けると筋力維持やサルコペニア予防につながります。運動のハードルを上げすぎず、自分のペースで少しずつ習慣化することを心がけてみてください。 また、サルコペニア予防に効果的な筋力トレーニングは以下の記事にて詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。 たんぱく質を積極的に摂る サルコペニアの前兆があり、栄養不足を自覚している方は「たんぱく質」を十分に摂るよう意識しましょう。 いくら運動をしても、筋肉の材料となるたんぱく質が不足すると、筋肉はなかなかつきません。一方で、たんぱく質を十分に摂取できれば筋肉は効率よくつくられ、サルコペニアの予防にもつながります。 手軽に取り入れやすいたんぱく質が豊富な食材には、以下のようなものがあります。 豚肉 卵 鮭 ほたて貝 また、食事から十分にたんぱく質を摂れない場合、プロテインやサプリメントを活用するのもひとつの方法です。日頃からたんぱく質を取り入れた栄養バランスの良い食事を心がけ、サルコペニアの予防に取り組んでみてください。 若年層のサルコペニアは早めの対策で進行を防ごう 本記事で解説したとおり、サルコペニアは若年層でも起こり得る病気です。とくに運動不足・栄養不足など生活習慣が引き金となりサルコペニアのリスクもあります。 しかし、早期発見と適切な対策により進行を遅らせることが期待できます。本記事を参考にセルフチェックを行い、生活習慣を見直して若年からサルコペニアの予防に取り組んでみてください。 筋力の低下が進むと、膝や腰などの関節に負担がかかりやすくなり、痛みや動きにくさなど別の症状が生じることもあります。 こうした症状がある場合は、早めに専門医へ相談し、適切な処置を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しております。サルコペニアの初期症状に心当たりがある方は、ぜひ一度ご登録ください。 若年層のサルコペニアに関してよくある質問 サルコペニアは何科を受診すればいいですか? サルコペニアが疑われる場合は、整形外科やリハビリテーション科の受診が一つの目安となります。筋力や歩行機能の評価、運動指導、リハビリなどを総合的に受けられます。 受診先の選び方は、症状や背景によって以下のように検討してみてください。 症状・状況 受診の目安となる科 筋力低下や歩行のふらつきが気になる 整形外科・リハビリテーション科 持病(糖尿病、甲状腺疾患など)の影響が疑われる 内科 どこを受診すべきか判断できない かかりつけ医への相談 サルコペニアが疑われる場合は、気になる症状がある段階で早めに医療機関を頼ってみてください。 病院ではどんな治療をしますか? サルコペニアの治療は、主に「運動療法」と「栄養療法」が有用であるとされており、病院でもこの2つが中心に行われます。(文献5)特効薬は存在しないため、根本的な生活習慣の改善が治療の基本です。 具体的には、専門家のもとで以下のような治療が行われる場合がほとんどです。 治療の種類 治療内容の例 運動療法 医師が運動の可否を確認したのち、長期間かけて筋力トレーニングを行う 栄養療法 管理栄養士が個別に栄養指導を行う より詳しい治療については、以下の記事にて解説しています。気になる方は、併せて参考にしてください。 サルコペニアは何歳から進行しますか? サルコペニアは、30代頃から徐々に進行するリスクがあると言われています。実際に、骨格筋量は30代から毎年1〜2%ずつ減少するとの報告もあるため、若年層でも発症する可能性は否定できません。(文献8) 目立った症状がなくても、日頃から意識的に筋力を維持する食事や運動を心がけ、サルコペニアの予防に取り組んでいきましょう。 サルコペニアは女性に発症しやすいですか? 女性は男性に比べてもともと筋肉量が少なく、若年層であっても過度な食事制限や運動不足が重なるとサルコペニアを発症するリスクがあります。10〜40代の男女を対象とした調査でも、サルコペニア該当群の女性は全年代でBMIや骨格筋量、部位別の筋肉量が有意に低値を示したと報告されています。(文献1) とくに、以下のような生活習慣をしている女性は注意が必要です。 無理なダイエットで食事量を極端に減らしている たんぱく質をほとんど摂取していない 運動習慣がなく、筋トレやウォーキングを取り入れていない 月経不順や貧血など、体調不良を感じている 女性がサルコペニアを予防するためには、必要なエネルギーを確保した上で、たんぱく質・ビタミンD・ビタミンB6を意識した食事を心がけることが大切です。体重を落としたい場合も、筋肉量を維持しながら脂肪を減らす健康的な方法を選ぶようにしましょう。 参考文献 (文献1) 若年者におけるロコモティブシンドロームとサルコペニアの実態調査|J-STAGE (文献2) 「たんぱく質」e-ヘルスネット|厚生労働省 (文献3) 「ビタミンD」eJIM(イージム)|厚生労働省 (文献4) 「ビタミンB6」eJIM(イージム)|厚生労働省 (文献5) 「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」2020年|日本サルコペニア・フレイル学会 (文献6) 「新規考案した3種類の簡易スクリーニング法(指輪っかテスト・ピンチカ・第1-2 指間厚) における筋肉減弱症(サルコペニア)を視野に入れた臨床的有用性の検討 〜継続性の高いコミュニティー健康活動を目指して〜」|厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 分担研究報告書 (文献7) 運動器不安定症|日本整形外科学会 (文献8) サルコペニアの科学と臨床 1)サルコペニア診療ガイドライン|日本内科学会
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「最近つまずきやすくなった」「階段の上り下りがつらい」といった症状で悩んでいませんか。 それは、加齢による筋力の低下からくる「サルコペニア」の初期サインかもしれません。進行すると筋肉がさらに衰え、歩行や立ち上がりなど日常生活に支障をきたすこともあります。 サルコペニアを防ぐには、筋力トレーニングが効果的です。筋肉を定期的に動かすことで進行を抑えられ、結果として健康寿命を延ばすことにもつながります。 近年は2025年に改訂された国際的な診断基準「AWGS 2025」でも、50代からの早期予防が重要と位置付けられました。 この記事では、サルコペニア予防におすすめの筋力トレーニングや注意点、日常生活でできる工夫について解説します。 今日から筋力トレーニングを始め、サルコペニア予防に取り組んでみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。サルコペニアについて気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニング4選 サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニングを4つご紹介します。 椅子スクワット つま先立ち運動 膝の曲げ伸ばし運動 背筋トレーニング 本章を参考に、無理のない範囲で今日からチャレンジしてみてください。 椅子スクワット 椅子スクワットは、下半身を鍛えたいものの、転倒に不安のある方におすすめのトレーニングです。 以下の方法を参考に実践してみましょう。 足を肩幅に開いて立ち、椅子の背もたれを両手でつかむ ゆっくりと膝を落とし、しゃがむ 数秒キープしたら、元の立位の姿勢に戻る 数回繰り返す 目安は10回を1セットとして、週2〜3日行うと下肢の筋力低下を効果的に予防できます。膝がつま先より前に出ないように意識すると、膝関節への負担を抑えられます。 下半身の筋力低下が気になる方は、ぜひ取り入れてみてください。 つま先立ち運動 つま先立ち運動(ヒールレイズ)は、ふくらはぎの筋肉を鍛えるのに効果的なトレーニングです。 以下のステップで行ってみてください。 足を肩幅に開いて立つ 立った状態でかかとを上げる かかとをゆっくりと床に降ろす 1〜3の動作を10回程度繰り返す 10回を1セットとし、1日2〜3セットが目安です。 慣れてきたら、片足で行うとさらに効果的です。転倒が心配な方は、壁や椅子の背もたれ、手すりなどに手を添えて行いましょう。 膝の曲げ伸ばし 椅子に座ったまま行える膝の曲げ伸ばし運動です。 下半身の筋力を鍛え、膝関節の柔軟性を保つのに効果的です。 以下のステップで行ってみましょう。 背筋を伸ばした状態で、椅子に浅く座る 片足の膝をゆっくりと伸ばし、足を前方に上げる 膝が伸びた状態で数秒キープする ゆっくりと膝を曲げながら足を床に降ろす 反対側の足も同様に、左右交互に10回ずつ行う 左右10回ずつを1セットとして、1日2〜3セット行うと大腿四頭筋の維持に有効です。 長時間のデスクワークの合間や、自宅でテレビを見ているときなど、スキマ時間に始められます。こまめに続けることでより効果が期待できるため、ぜひ今日から取り入れてみてください。 背筋トレーニング サルコペニアを予防するには、背筋を鍛えることも大切です。 タオルを使って自宅で手軽に行える背筋トレーニングをご紹介します。以下の手順で、背筋トレーニングを行ってみましょう。 タオルの両端を持ち、ピンと張る 腕を肩より少し高く上げ、タオルを外側に引っ張るように力を入れる 肘を曲げながら、肩甲骨を寄せるように意識して、腕をゆっくり下ろす 肘を伸ばして再び腕を上げ、②の姿勢に戻る ②〜④を10回程度行う 背中の筋肉が衰えてしまうと、姿勢が崩れ、サルコペニアの悪化にもつながってしまいます。(文献1) 正しい姿勢を維持するためにも、背筋のトレーニングを日常的に取り入れていきましょう。 【余裕がある方向け】上半身と体幹の補助種目 上記の4種目に慣れてきた方や、もう少し追い込みたい方には、上半身と体幹をカバーする以下の補助種目もおすすめです。 クランチ(へそ覗き腹筋):仰向けで両膝を立て、おへそを覗き込むように上体をゆっくり起こす。10回×1〜2セット。腹圧を高め、立ち上がり動作が楽になります。 片脚立ち:椅子や壁に手を添えて、片足を数センチ持ち上げて20〜30秒キープ。左右交互に行うことで、バランス能力と転倒予防に直結します。 どちらも器具は不要です。無理のない範囲で、まずは1日1セットから始めてみてください。 サルコペニアに筋力トレーニングが効果的な理由 サルコペニアとは、加齢や生活習慣の影響で体を動かす筋肉量や力が減少する状態です。進行すると筋力の低下により、歩行困難や寝たきりになるリスクも高まります。 サルコペニアの予防には、骨格筋、とくに「抗重力筋」と呼ばれる太もも・お尻・背中の大きな筋肉を鍛えることが効果的です。 抗重力筋は重力に抗して姿勢を保つ筋肉で、加齢によって速筋線維(瞬発力を担う筋肉)から先に細くなっていく特徴があります。この速筋を刺激できるのがレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)です。 筋力トレーニングは特別な器具がなくても自宅で行えるものが多く、誰でも今日から始められます。 継続すると、健康寿命を延ばすことにもつながるため、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。 さらに筋トレは、サルコペニアだけではなく、将来的なフレイルやロコモティブシンドロームの予防にも有効です。これらの違いや特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 最新診断基準「AWGS 2025」で押さえたい3つのポイント 2025年11月、アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)が診断基準を改訂し、「AWGS 2025」として発表しました。従来(2019年版)から大きく変わった点のうち、予防に取り組む方が押さえておきたい3つのポイントを紹介します。(文献2) 対象年齢が50〜64歳まで拡大された これまでサルコペニアの診断は65歳以上の高齢者が中心でした。しかしAWGS 2025では、50〜64歳の中年層にも独自のカットオフ値(基準値)が設けられ、早い段階からの予防・介入が推奨される形になっています。 背景には「マッスルヘルス(Muscle Health)」という考え方があり、将来の寝たきりや要介護状態を防ぐには、40代・50代からの筋力維持が重要とされています。 BMI補正値が新たに加わった 従来は身長で補正した筋肉量だけを見ていましたが、BMIが高めの方(24〜25以上)では実際は筋肉量が不足しているのに見落とされるケースがありました。AWGS 2025では、BMIで補正した新しい基準値が追加され、いわゆる「サルコペニア肥満」を高精度で見つけられるようになっています。 体重は変わらないのに筋肉が落ちているのが心配な方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 「指輪っかテスト」が正式なスクリーニングに位置付けられた 道具もお金もかからない「指輪っかテスト」が、AWGS 2025では下腿周囲長(ふくらはぎの太さ)測定や質問票(SARC-Fなど)と並んで、家庭でできる正式なスクリーニング法として位置付けられました。 サルコペニア予防で筋トレをするときの注意点 筋トレをする際には、以下の4つの点に注意が必要です。 こまめに休憩をはさむ 呼吸を止めない 週2〜3回ほど定期的に行う 次の症状が出たらすぐ中止して医師に相談する トレーニングを始める前に本章の注意点を意識し、無理のない範囲で運動を続けましょう。 こまめに休憩をはさむ 長時間連続で筋力トレーニングをせず、途中でこまめに休憩をはさむことが大切です。 疲労や関節への負担を防ぐためにも、体調に合わせてペースを調整しながら取り組みましょう。 たとえば、「20分運動して5分休む」といったリズムがひとつの例です。 運動の強度やその日の体調に応じて、無理のない範囲で柔軟に休憩を取り入れてみてください。 呼吸を止めない 筋トレ中は力む際に息を止めがちですが、常に自然なリズムで呼吸するように意識しましょう。 呼吸を止めて力んでしまうと酸素が不足し、血圧の急上昇や頭痛・吐き気など体調不良を引き起こすおそれがあります。(文献3) これは「バルサルバ効果」と呼ばれる現象です。息をこらえて強く力むと胸腔内の圧力が急激に高まり、一時的に血圧が下がった直後に反動で急上昇します。この血圧変動が頭痛やめまいの原因となり、高血圧や動脈硬化のある方ではとくに注意が必要とされています。 筋トレ中の正しい呼吸法は以下のとおりです。 項目 呼吸 力を入れるとき 息を吐く 力を抜くとき 息を吸う このリズムを意識すると、筋トレ中の体への負担を軽減できます。 「息を細く長く吐きながら動く」を合言葉にすると、自然と呼吸が止まらなくなります。 なお、「筋トレ頭痛」の対策方法については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は、あわせてご覧ください。 週2〜3回ほど定期的に行う サルコペニアを予防するには、週に2〜3回のペースで筋トレを継続することが効果的です。 筋肉は一度きりの運動では鍛えられません。こまめに運動を重ねることで筋肉に刺激を与えられます。 また、厚労省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人・高齢者のどちらにも週2〜3回の筋トレを推奨しています。(文献4) 定期的な筋トレは、サルコペニアに加え、座りっぱなしによる代謝低下や筋力低下、糖尿病や高血圧などの合併予防にも効果的です。 忙しい方も1日15〜20分のスキマ時間から始めて、生活の一部に筋トレを取り入れてみてください。 次の症状が出たらすぐ中止して医師に相談 安全に筋トレを続けるために、次のような症状が出たときはすぐに運動を中止し、かかりつけの医師に相談してください。 運動中に息切れがひどく、休んでも5分以上呼吸が整わない 運動後1時間以上たっても、強い疲労感や関節・筋肉の痛みが残る 普段は問題なくできていた運動が、急にきつく感じるようになった 運動中や運動後に、胸の痛み・強い頭痛・めまいを感じた 高血圧の方で、運動中の血圧が持続的に上がり続けている とくに心疾患や高血圧、糖尿病などの持病がある方は、事前にかかりつけ医と相談した上で運動を始めると安心です。 【日常的にできる】筋トレ以外のサルコペニア予防法 忙しくて筋トレの時間が取れない人の場合、日常生活の中に「ながら運動」を取り入れましょう。 サルコペニアを予防するには、時間がなくても、普段から少しずつ体を動かすことが大切です。 活動量が増えることで筋肉に刺激を与えられるため、筋力の低下を防ぐ効果が期待できます。 以下を参考に、毎日の生活に取り入れやすい工夫を実践してみましょう。 エスカレーターやエレベーターではなく、階段を使う 通勤や買い物の際に、敢えて遠回りして歩く いつもより少し早歩きをする 食事のたびに、肉・魚・卵・大豆などのたんぱく質を1品加える これらを意識するだけでも、筋肉を鍛えられ、サルコペニアの予防につながります。 以下の記事では、サルコペニアの治療法について詳しく解説しています。 サルコペニア予防には筋力トレーニングを取り入れよう サルコペニアとは、加齢や生活習慣により筋力が低下する状態です。 放置すると、将来的に歩行困難や寝たきりのリスクがあります。 こまめに筋力トレーニングを行うことで筋肉が鍛えられ、サルコペニアの予防につながります。 本記事を参考に、今日からできる運動を実践してみてください。 なお、筋力の衰えが不安な方や、より専門的なケアを希望する方は、専門家に相談するのも一つの選択肢です。 当院「リペアセルクリニック」では、人体に備わる幹細胞を活用した再生医療を提供しています。今なら「メール」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付け中です。 「加齢による体の変化が気になる」「将来に向けて病気予防を始めたい」と感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。 サルコペニアと筋トレに関する質問 サルコペニアを防ぐ食事はありますか? サルコペニア予防には日頃から栄養バランスの良い食事を意識することが大切です。中でも、筋肉の材料となる「たんぱく質」は意識的に摂取するようにしましょう。 たんぱく質を多く含む食品には、次のようなものがあります。 豚肉 牛乳 卵 豆類 さけ・ます類 体重1kgあたり1g/日以上のたんぱく質の摂取が、サルコペニアの予防に効果的であるとされています。 たとえば体重60kgの人の場合、1日あたり約60gのたんぱく質の摂取が必要です。(文献5) なお、2025年4月には日本サルコペニア・フレイル学会と日本臨床栄養学会の共同編集による「サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025」が刊行されており、最新の栄養エビデンスが継続的に更新されています。(文献6) まずは、こうした食材を毎食の中に1品でも取り入れることから始めてみましょう。 サルコペニアの判断方法はありますか? サルコペニアは「指輪っかテスト」でセルフチェックが可能です。 両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んでみてください。(文献7) その際、指の輪とふくらはぎの間に隙間ができる場合は、サルコペニアのおそれがあります。 より詳しく確認したい方は、メジャーでふくらはぎの太さ(下腿周囲長)を測る方法もあります。目安は、男性34cm未満・女性33cm未満で筋肉量低下の疑いあり、とされています。 ただし「指輪っかテスト」はあくまで目安です。セルフチェックで不安がある場合は、医療機関にて詳しい検査を受けましょう。 50代からでも予防に取り組んだ方が良いでしょうか? 50代からの予防がもっとも効果的です。 先に紹介した「AWGS 2025」でも、50〜64歳の中年期からの介入が新しく重要視されています。筋肉量は40歳前後から減り始め、何もしなければ加速度的に落ちていきます。50代のうちから週2〜3回の筋トレを習慣にしておくと、60代・70代の生活の質を大きく左右します。 なお、20〜30代の若い世代でもサルコペニアが起こることがわかっています。若年層の方はこちらの記事もあわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) サルコぺニア(さるこぺにあ)|厚生労働省 (文献2) A focus shift from sarcopenia to muscle health in the Asian Working Group for Sarcopenia 2025 Consensus Update | nature aging (文献3) 【呼吸,循環】 (文献4) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|令和6年1月健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会 (文献5) サルコペニア診療ガイドライン2017年版|日本サルコペニア・フレイル学会 (文献6) サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025|日本サルコペニア・フレイル学会・日本臨床栄養学会 (文献7) 新規考案した3種類の簡易スクリーニング法 (指輪っかテスト・ピンチ力・第 1−2 指間厚) における筋肉減弱症(サルコペニア)を視野に入れた臨床的有用性の検討 〜継続性の高いコミュニティー健康活動を目指して〜|厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)分担研究報告書
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「サルコペニアの治療は何をすればいいの?」「普段から意識すべきことはある?」と疑問をお持ちではないでしょうか。 病院でサルコペニアと診断されたものの、実際どのような治療をするのかイメージが湧かない方も多いかもしれません。 サルコペニアの治療は「運動」と「栄養」を中心に行います。サルコペニアが進行すると転倒や寝たきりの原因になるため、早期に治療を開始することが大切です。 この記事では、現役医師の見解をもとに、サルコペニアの治療法や受診すべき病院、治療薬の現状までわかりやすく解説します。 できることから一歩ずつ行い、将来の健康を守っていきましょう。 サルコペニアの治療法 サルコペニアの治療は、運動と栄養の2本柱で進めていきます。 筋力トレーニングやウォーキングなどの運動 たんぱく質やビタミンなどの栄養素を摂取 今の生活に取り入れられることがないか、ぜひチェックしてみてください。 また、サルコペニア自体についてや要介護や寝たきりを防ぐ生活については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 【関連記事】 要介護や寝たきりを避ける!元気で自立した生活を送るため大切になこと フレイルサルコペニアとは|ロコモとの違いや症状・予防法を医師が解説 運動治療|筋肉の量や機能を維持 サルコペニアの改善において、運動は大切な要素のひとつです。 なかでもよく行われているのが、レジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせです。 これらを正しく取り入れることで、筋肉量や身体機能の維持・向上が期待できます。 日常生活に取り入れやすい運動から始める レジスタンス運動は、筋肉に抵抗をかけて鍛えるトレーニング、いわゆる「筋トレ」です。 スクワットや足の上げ下げ、かかと上げなどが代表的で、週2〜3回の頻度で行うと、筋力を保ちやすくなります。(文献1) 一方、有酸素運動は、ウォーキングや軽いジョギングなど、呼吸を意識しながら一定時間続ける運動です。 血流や代謝を促し、筋力だけでなく持久力や全身の機能向上にもつながります。(文献2) どちらも特別な器具や施設がなくても日常生活の中に取り入れやすい点が特徴です。 まずはウォーキングや軽いジョギングなどからスタートし、慣れてきたら筋トレを加えていきましょう。 筋肉の衰えを防ぐ生活習慣・運動については、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。 【関連記事】 介護のリスク!筋肉の衰えが心配な高齢者へ、必要な生活習慣とは サルコペニアの予防に効果的な筋力トレーニング一覧|やり方や注意点を医師が解説 理学療法士の指導の下運動する 運動に不安をもつ方や持病がある方は、理学療法士や医師と相談しながら運動を取り入れましょう。 自己流での運動はケガや悪化の原因になることもあります。 理学療法士や医師の指導のもとで、体の状態に合わせたプログラムを組んでもらうと、より効果的に続けられます。(文献1) 運動を治療として継続していくには、無理なく続けられる環境やサポート体制も大切です。 「自分の状態で何から始めれば良いかわからない」という方こそ、医療機関で相談してみると良いでしょう。 栄養療法|筋力強化を目指す 筋肉を保つには、以下の点を意識しながら必要な栄養をしっかりとることが大切です。 バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ 日々の食事で足りているか、振り返ってみましょう。 バランスの良い食事とたんぱく質摂取を意識する 筋肉の材料となるたんぱく質は、年齢とともに必要量が増えると言われています。 目安は、体重1kgあたり1.0g/日以上です。(文献1) 肉・魚・卵・大豆製品などを1日3食にバランスよく取り入れるよう意識しましょう。 また、ビタミンB群はエネルギー代謝や神経の働きを助け、ビタミンCは膝まわりの筋力や身体機能と関わるという報告があります。(文献3) さらにビタミンDには、筋肉の減少を防ぐはたらきもあるとされています。(文献4) 特定の食品や栄養素にかたよるのではなく、いろいろな食材を組み合わせて、バランスよく食べることが大切です。 食欲がわかないときでも、白ごはんにお味噌汁を添えたり、ヨーグルトを1品足したりして、少しでも品数を増やす工夫をしてみましょう。 サプリメントや栄養補助食品も選択肢のひとつ 「食事だけでは必要な栄養がとれていないかも」と感じるときは、サプリメントや栄養補助食品を使う方法もあります。 実際に、高齢女性を対象とした研究では、アミノ酸のサプリと運動を組み合わせることで、筋力や歩行スピードが改善したとの報告もあります。(文献5) 食事だけで無理なく補えるのが理想ですが、不足を感じるときは、医師や専門家と相談しながら取り入れてみましょう。 サルコペニアの治療薬について 現在のところ、サルコペニアに対して正式に承認された治療薬はありません。 サルコペニアは、2016年にようやく疾患として認められた比較的新しい概念です。 薬の研究や開発は進められているものの、実際に広く使える薬はまだ存在していないのが現状です。(文献6)(文献7) よって、今できるサルコペニア対策として、運動や食事の見直しが大切です。 「薬がないなら何もできない」と思わず、今取り組めることをひとつずつ実践していきましょう。 サルコペニアの治療で受診すべき医療機関 サルコペニアは、以下のような適切な医療機関での相談が大切です。 整形外科・老年科 専門外来 かかりつけ医 自分に合った受診先を確認しておきましょう。 整形外科や老年科 筋肉や骨、関節の不調があるときは、まず整形外科を受診します。 高齢者特有の体調変化が気になる場合は、老年科(老年内科)でも相談できます。(文献8) 「運動機能に不安がある」「筋力の衰えを指摘された」と感じたら、整形外科や老年科で評価を受けてみると今の状態がよりはっきりとわかるでしょう。 サルコペニア外来や長寿サポート外来などの専門外来 病院によっては、サルコペニアやフレイルに特化した外来を設けているところもあります。 これらの専門外来では、医師だけでなく理学療法士や栄養士などがチームとなって治療をサポートしています。 「専門的に診てもらいたい」「生活全体を見直したい」という方は、こうした専門外来のある病院を選ぶのも一つの選択肢です。 かかりつけ医 サルコペニアの疑いがあっても何科を受診すべきか悩んでいる場合、まずは身近なかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。 かかりつけ医は、普段の健康状態をよく知っている存在です。 必要に応じて、整形外科や老年科、リハビリテーション科など、専門的な評価や治療ができる医療機関を紹介してもらうことも可能です。 受診するか迷っている段階でも、一人で抱え込まず、かかりつけ医に相談してみましょう。 サルコペニアの治療は早期対応が大切 「年のせいかも」と思って見過ごしてしまう方が少なくありませんが、サルコペニアは放っておくと徐々に進行し、転倒や骨折、寝たきりのリスクを高めてしまいます。 少しの運動でも疲れやすい、ふくらはぎが細くなってきたなどの変化を感じたら、早めに医療機関で相談しましょう。 日常生活に支障が出てからでは、回復に時間がかかることもあります。「まだ大丈夫」と思えるうちにこそ、治療や予防を始めるタイミングです。 筋力の衰えが気になる方は、リペアセルクリニックの「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご活用いただけます。 まずはお気軽にお問い合わせください。 サルコペニアの治療に関するよくある質問 サルコペニアの初期症状はどのようなものですか? 初期症状として多いのは、「ふくらはぎが細くなった」「よくつまずくようになった」「階段の上り下りがつらい」など、日常の小さな変化です。(文献9) たとえば、以下のような症状もサルコペニアの初期症状の可能性があります。 重たい荷物が前より持ちにくい 椅子から立ち上がるのが大変になった 歩く速度が遅くなった気がする 日常の些細なことがサインになっていることも少なくありません。 思い当たることがあれば、我慢せずに一度かかりつけ医へ相談してみてください。 サルコペニアの治療は病院に行った方が良いですか? サルコペニアの治療をするなら、病院に行くことをおすすめします。 サルコペニアは専門的な評価と治療が必要な病気です。 自己流の運動や食事改善だけでは、思うような効果が出にくかったり、逆に体に負担がかかってしまうケースもあります。 専門の治療を行う医療機関では、筋肉量や身体機能を客観的に測定しながら、適切な運動メニューや栄養指導が受けられます。 「まだ軽い症状だから」と放置せず、できるだけ早く専門家に相談し、将来の介護リスクを減らしましょう。 参考文献 (文献1) 荒井 秀典「フレイル・サルコペニア」『日本内科学会雑誌』107(12),pp2444-2450,2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2444/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献2) 公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2025年2月12日 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/yusanso-undou.html(最終アクセス:2025年6月16日) (文献3) 清水 昭雄,藤島 一郎「高齢者・サルコペニアの栄養療法」『神経治療』39,pp13-17,2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/39/1/39_13/_pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献4) 亀井康富「ビタミンDは筋肉の萎縮を抑制し、高齢者のサルコペニアを予防・改善する」『あたらしいミルクの研究』2019年度 https://nutrition.life.kpu.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/%E4%BA%80%E4%BA%95%E5%85%88%E7%94%9F%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A63_0323.pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献5) Hun Kyung Kim「Effects of exercise and amino acid supplementation on body composition and physical function in community-dwelling elderly Japanese sarcopenic women: a randomized controlled trial」『J Am Geriatr Soc』60(1),pp16-23,2012 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22142410/(最終アクセス:2025年6月18日) (文献6) 早野元詞「サルコペニアに対する治療薬開発と老化創薬としての事業計画立案」慶応義塾大学 https://www.idp.ori.titech.ac.jp/wp-content/uploads/2021/09/%E6%85%B6%E5%BF%9C%E3%80%80%E6%97%A9%E9%87%8E.pdf(最終アクセス:2025年6月16日) (文献7) 一般社団法人 日本サルコペニア・フレイル学会「サルコペニア診療ガイドライン2017年版のCQとステートメント」日本サルコペニア・フレイル学会ホームページ https://www.jasf.jp/contents/guidelines.html(最終アクセス:2025年6月16日) (文献8) 東大病院「老年病科」東大病院ホームページ https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/rounen/(最終アクセス:2025年6月16日) (文献9) 公益財団法人 長寿科学振興財団「トレーニング:有酸素運動とは」健康長寿ネット 2023年7月14日 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-about.html(最終アクセス:2025年6月16日)
2025.06.29 -
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「最近よくつまずく」 「ペットボトルのキャップが開けにくい」 上記の症状に心当たりがある場合は、サルコペニア(加齢による筋肉量や筋力の低下)の初期症状が疑われます。 サルコペニアは、加齢や運動不足、栄養不足などが重なって進行し、放置すると転倒や要介護リスクが高まる状態です。 本記事では、サルコペニアの初期症状や原因、自宅でできる3つのセルフチェック法、今日から始められる予防策を医師の視点でわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。筋力の低下でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 サルコペニアの初期症状 サルコペニアによって筋力が低下すると、日常生活のなかでさまざまなサインが現れます。代表的な初期症状は、以下のとおりです。 転びやすくなる・頻繁につまずく 歩く速度が遅くなる 横断歩道を青信号の間に渡りきれない ペットボトルのキャップが開けにくい 手すりにつかまらないとなかなか階段を上がれない 手首やふくらはぎが細くなる うまく食べられない・飲み込めない いずれの症状も「歳をとった影響だろう」と軽く考えがちですが、サルコペニアの可能性があります。当てはまる項目が複数ある場合は、早めに生活習慣を見直したり、医療機関への相談を検討したりしましょう。 そもそもサルコペニアとは? サルコペニアとは、加齢や生活習慣などによって筋肉量と筋力が低下し、身体機能の低下が起こった状態を指します。 ここでは、以下の3つを解説します。 サルコペニアを引き起こす原因 サルコペニアになりやすい方の特徴 サルコペニア・フレイル・ロコモの違い それぞれ詳しく見ていきましょう。 サルコペニアを引き起こす原因 サルコペニアの原因やメカニズムは、完全には判明していないものの、加齢・運動不足・たんぱく質不足が主な原因と考えられています。 実際に、75歳から79歳までの男女の約20%、80歳以上では男性の約30%および女性の約半数がサルコペニアに該当します。また、サルコペニアの発症により、将来的な要介護化のリスクが約2倍に高まることも判明しました。(文献1) 人間の筋肉量は20代がピークとされ、年齢を重ねると合成される筋肉が減り、分解される量が増えるため、普段どおりの生活でも筋肉量が低下しやすくなります。 そこに活動量の低下や食生活の乱れが重なると、作られる筋肉量がさらに減り、身体機能の低下が進みやすくなるのです。 サルコペニアになりやすい方の特徴 サルコペニアを発症しやすい方には、以下のような特徴があります。 特徴 内容 高齢でやせ型 食事量が少なく、たんぱく質不足になりやすい 運動習慣がない 筋肉量が減りやすく、サルコペニアのリスクが高まる 食事制限中心のダイエット 若い方でも筋肉量が低下しやすい なお、高齢になると、消化機能の衰えから動物性たんぱく質を避けがちになる点も注意が必要です。 また、サルコペニアは高齢者だけでなく、若い世代にも起こり得ます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 サルコペニア・フレイル・ロコモの違い サルコペニア・フレイル・ロコモは、いずれも加齢による衰えに関する用語ですが、それぞれ意味や範囲が異なります。 種類 状態 特徴 フレイル 心身全体の活力が落ちた状態 些細なストレスでも体調を崩しやすく、精神的にも閉じこもりがちになる サルコペニア 筋肉量と筋力が低下した状態 高齢になると起こりやすく、フレイルの原因にもなる ロコモ 移動機能にかかわる体の衰え 立つ・歩く・座るが難しくなり、進行すると介護リスクが高まる それぞれの違いを理解した上で、自身に必要な対策を検討しましょう。 サルコペニアとパーキンソン病の初期症状の違いやチェック方法 「歩きづらさ」や「動作のぎこちなさ」はサルコペニアでも見られますが、パーキンソン病でも似た症状が現れます。 両者の特徴を比較すると、以下のようになります。 項目 サルコペニア パーキンソン病 主な原因 ・加齢 ・運動不足 ・栄養不足 中枢神経系(脳)の障害 筋力の特徴 筋量・筋力ともに低下 筋量はあるが力を素早く出しにくい 左右差 出にくい 出やすい 動作開始 全体的に遅くなる 動き出しがとくに遅い パーキンソン病の筋力低下は、単純な筋萎縮ではなく、力を素早く発揮しにくいことや左右差が出やすいのが特徴です。動作のぎこちなさや手の震えなどパーキンソン病が疑われる場合は、以下の記事もご確認ください。 自宅でできるサルコペニアの3つのチェック法 サルコペニアのセルフチェックは、自宅でも簡単に実施できます。ここでは、以下3つのチェック法を紹介します。 ふくらはぎの「指輪っかテスト」 椅子からの立ち上がりテスト 開眼片足立ちテスト それぞれ詳しく解説します。 ふくらはぎの「指輪っかテスト」 ふくらはぎの太さは、筋肉量の目安になります。指輪っかテストは、両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲うだけの簡単な方法です。 手順は以下のとおりです。 椅子に座り、利き足ではない方のふくらはぎを露出する 両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲む 指の輪とふくらはぎの隙間を確認する 囲んだときに「隙間ができる」場合は、サルコペニアの可能性があります。「ちょうど囲める」場合も筋肉量が少なめのサインといえるため、運動や食事の見直しを検討しましょう。 椅子からの立ち上がりテスト 下半身の筋力を確かめる代表的な方法が、椅子からの立ち上がりテストです。 手順は以下のとおりです。 肘掛けのない椅子に座り、両手を交差して胸に当て、足は肩幅程度に開く 座った状態から立ち上がり、再び座る動作を繰り返す 5回繰り返すまでにかかった時間を計測する 5回の立ち座りに12秒以上かかる場合は、サルコペニアの可能性があります。また、途中でふらつく、手を使わないと立てない場合も筋力低下のサインです。 なお、椅子からの立ち上がりテストは無理のない範囲で行い、転倒に十分注意しましょう。 開眼片足立ちテスト バランス機能と下半身の筋力を確認できるのが、開眼片足立ちテストです。 手順は以下のとおりです。 素足で、滑りにくい床に立ち、両手を腰に当てる 立ちやすい側の足で立ち、もう一方の足を床から5cmほど上げる 目を開けたまま、立っていられる時間を計測する 立っていられた時間が8秒未満の場合は、サルコペニアの可能性があります。なお、バランスを崩しやすい方は、必ず壁や手すりのそばで行い、転倒予防に配慮してください。 複数のテストで気になる結果が出た方は、医療機関への相談を検討しましょう。 サルコペニアに効果的な予防策3選 サルコペニアは、運動と食事、生活習慣を整えることで予防が期待できます。ここでは、以下3つの予防策を紹介します。 筋力トレーニング たんぱく質とビタミンDを意識した食事 生活習慣を整える それぞれ詳しく解説します。 1.筋力トレーニング サルコペニアの予防には、筋力トレーニングが有効とされています。なかでも転倒に不安のある方におすすめなのが、椅子につかまって行う「椅子スクワット」です。 手順は以下のとおりです。 足を肩幅に開いて立ち、椅子の背もたれを両手でつかむ ゆっくりと膝を落としてしゃがむ 数秒キープしたら、元の立位姿勢に戻る 数回繰り返す 膝がつま先より前に出ないよう意識し、痛みが出る場合は中止しましょう。その他のトレーニング方法を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 2.たんぱく質とビタミンDを意識した食事 サルコペニアを予防するためには、1日3食を基本にしながら、筋肉のもとになるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。肉類・魚介類・卵・大豆製品(豆腐、納豆など)から意識して取り入れましょう。 また、身体機能の低下を予防するには、骨を強くするカルシウムも重要です。あわせて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを含む食品も積極的に摂りましょう。 栄養素 含まれる食品 たんぱく質 肉・魚・卵・納豆・豆腐 カルシウム 牛乳・豆腐・小松菜・ほうれん草 ビタミンD きのこ類・鮭・いわし・卵 毎日の食卓に意識して取り入れてみてください。 3.生活習慣を整える 毎日の生活習慣もサルコペニアの予防に大きく関わります。注意したい習慣と、取り入れたい習慣は以下のとおりです。 注意したい習慣 取り入れたい習慣 睡眠不足 生活リズムを整える 閉じこもり 散歩や体操などを習慣化する 不規則な食生活 規則正しい食生活を心がける 強いストレス 地域活動・ボランティアに参加する 喫煙・過度の飲酒 他者との交流を続ける 上記の「注意したい習慣」は、活動量の低下や低栄養、生活習慣病などを招き、サルコペニアやフレイルの要因となります。また、社会とのつながりを持つことも、心身の健康維持に役立ちます。 サルコペニアは何科を受診すべき? サルコペニアが疑われる場合は、以下の医療機関へ相談しましょう。 整形外科・老年科 サルコペニア外来などの専門外来 かかりつけ医 整形外科や老年科では、筋力低下や運動機能の衰えについて診断してもらえます。また、専門外来では、医師に加えて理学療法士や栄養士などがチームで支援するケースも多いです。 なお、何科を受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらいましょう。 サルコペニアの詳しい治療法については、以下の記事もご覧ください。 まとめ|サルコペニアの初期症状を見逃さずに早めの対処を サルコペニアは、つまずきやすさや握力低下、歩行スピードの低下など、日常のささいな変化として現れます。「歳のせい」と片づけずに、指輪っかテストや立ち上がりテストなどで早めにチェックしてみましょう。 また、予防には筋力トレーニングやたんぱく質とビタミンDを意識した食事、規則正しい生活習慣の3つが効果的です。社会とのつながりを保つことも、心身の健康維持に役立ちます。 なお、セルフチェックで気になる結果が出た場合や、日常生活に不安を感じる場合は、整形外科や老年科、かかりつけ医への相談を検討してください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しております。筋力の低下でお悩みの方は、ぜひ一度ご登録ください。 サルコペニアの初期症状に関するよくある質問 サルコペニアの症状が出たら痛みを感じることはある? サルコペニア自体は、基本的に痛みを伴う病態ではありません。筋肉量や筋力が低下しても、それだけで痛みが出ることは少ないとされています。 ただし、サルコペニアによってバランスを崩しやすくなり、転倒・骨折などのケガにつながることで結果的に痛みを感じるケースはあります。とくに高齢の方は、転倒による大腿骨頸部骨折などが寝たきりにつながることもあるため、注意が必要です。 サルコペニアになったら余命に影響する? サルコペニアになると、余命に影響する可能性があります。日本人高齢者を平均約5.8年追跡した研究では、サルコペニアのある人はない人に比べて死亡リスクが男性で2.0倍、女性で2.3倍高いことが示されました。(文献1) また、要介護になるリスクも高まり、同じ研究では要介護発生リスクが男性で1.6倍、女性で1.7倍高くなることも報告されています。 ただし、サルコペニア予備群の段階では、死亡リスクや要介護リスクの有意な上昇はみられませんでした。早い段階で気づいて対策することが、健康寿命を延ばす上で重要です。
2025.06.29 -
- その他、整形外科疾患
「体重はあるのに筋力が落ちてきた気がする」 「最近疲れやすくなった」 このように感じている方は、サルコペニア肥満かもしれません。 肥満と筋肉減少が同時に進行する「サルコペニア肥満」になると、日常生活に不便を感じたり、病気のリスクが高まりやすくなったりします。 ただし、早期にリスクに気づいて対策をおこなえば、予防・改善が期待できる状態です。 本記事では、医師の視点からサルコペニア肥満の原因やリスク、予防・改善法を解説します。 「サルコペニア肥満かも」と不安を抱いている方は、セルフチェックで自身のリスクを知ることから始めてみましょう。 サルコペニア肥満とは サルコペニア肥満とは、体脂肪が多い「肥満」に、筋肉量が減少している状態の「サルコペニア」が合併している状態を指します。(文献1) 「肥満」と聞くと太っている人をイメージしがちですが、見た目は普通でも体内では筋肉が減少し、脂肪が多い「隠れ肥満」のようなケースもあります。 そのため、サルコペニア肥満の人がかならずしも太って見えるとは限りません。 筋肉が不足すると、体の基本的な動作にも支障が出やすくなり、次のような不調を感じることがあります。 疲れやすい 歩くときにふらつく 階段を上るのがつらい 重いものが持ちにくい このようにサルコペニア肥満は、見た目では気づきにくいにもかかわらず、日常生活の質を下げる原因となるのです。 サルコペニアについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。 肥満とサルコペニアの関係性|筋肉に与える悪影響 肥満、つまり体の中に脂肪組織が多い状態は筋肉を減らす方向に作用し、サルコペニアの進行を加速させてしまいます。 具体的には、以下の3つのメカニズムが考えられています。 運動不足 筋肉破壊 インスリン抵抗性 ひとつずつ見ていきましょう。 運動不足で筋肉が減少しやすくなる 肥満になると、体を動かすのが億劫になったり、関節に負担がかかったりして、無意識のうちに活動量が減少してしまいます。 筋肉は使用頻度が減ると萎縮し、筋力が低下していきます。 運動不足が続くと筋肉量がみるみる減少し、さらに体を動かすのがつらいと感じるようになるといった悪循環に陥りやすくなります。 筋肉内に脂肪が蓄積して筋力が落ちる 肥満の状態が続くと、全身に脂肪が過剰に蓄積されるだけでなく、筋肉の細胞内や筋肉と筋肉の間にも脂肪が入り込むことがあります。 この筋肉内への脂肪の蓄積は「異所性脂肪(いしょせいしぼう)」と呼ばれており、筋肉の質の低下を招きます。(文献2) 本来はぎっしり詰まっているべき筋肉の繊維の間に脂肪が入り込むことで、筋肉そのものの機能が落ちてしまうイメージです。 これによりインスリンの働きが妨げられたり、体内で炎症が引き起こされたりした結果、筋肉量の減少や筋力の低下が進むと考えられています。 インスリン抵抗性が筋肉の合成を妨げる 肥満は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」を引き起こすことがあります。(文献3) インスリンは、食べたものからエネルギーを身体に吸収させるだけでなく、筋肉の合成にもかかわるホルモンです。(文献4) そのため、肥満によってインスリン抵抗性が生じると筋肉が作られにくく、筋肉量の低下が進む恐れがあります。 サルコペニア肥満が引き起こすリスク サルコペニア肥満は、サルコペニアまたは肥満単体の場合と比べて代謝機能が低下しやすく、健康リスクが高まると言われています。(文献5) 具体的に見ていきましょう。 転倒や骨折のリスクが高まる 筋肉量の減少は、日々生活に欠かせない「動く力」そのものを奪います。 具体的には、以下のような状況です。 階段を上るのが以前よりつらくなった 重いものが持てなくなり買い物が大変になった 歩くスピードが遅くなり、信号を渡りきれないことがある サルコペニア肥満は、バランスを崩して転倒しやすくなる、骨折のリスクを高めるなど、日常生活への支障をきたすケースが多く見られます。 進行すると、一人で買い物に行けなくなる、着替えが困難になるなど、介護が必要な状態につながる危険性も秘めています。 生活習慣病につながりやすくなる 筋肉は、食事から摂った糖を取り込み、エネルギーとして利用する重要な組織です。 筋肉量が少ないと、摂取した糖を効率よく使えなくなり、血液中の糖分が増えて糖尿病のリスクが高まります。(文献6) また、筋肉はエネルギーを多く消費するため、筋肉量が少ないと体のエネルギー消費量である「基礎代謝」が落ち、脂肪が蓄積しやすくなるのも問題です。その結果、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を悪化させる要因にもなります。(文献7) 肥満と相まって、これらの生活習慣病のリスクはさらに増大してしまうのです。 【セルフチェック】サルコペニア肥満のリスクレベル サルコペニア肥満の診断基準は、世界的に統一されたものがなく、自己判断が困難なのが現状です。 しかし、サルコペニア肥満を放置すると将来的なリスクが高まるため、早期の気づきと対策が大切です。 まずは以下のセルフチェック表で、自身のサルコペニア肥満のリスクレベルを知っておきましょう。(文献1)(文献8) サルコペニア肥満と診断するものではありませんので、あくまでも目安としてとらえてください。 チェック内容 方法 サルコペニア肥満を疑う結果 指輪っかテスト ・両手の親指と人差し指で輪っかを作る ・ふくらはぎの一番太い部分を囲む ・隙間ができる場合は筋肉量の減少が疑われる 握力 ・握力計で計測する ・日常生活でチェックする 以下の場合で筋力低下が疑われる <握力の場合> ・男性:28kg未満 ・女性:18kg未満 <日常生活> ・ペットボトルのフタが自力で開けられない ・片足立ちで靴下を履けない 歩行速度 ・日常生活でチェックする 以下の場合で歩行速度の低下が疑われる ・横断歩道が青信号のうちに渡り切れない ・転びやすい、つまずきやすい BMI ・「体重(kg)÷身長(m)2」で計算する ・25以上 体脂肪率 ・体組成計で計測する ・32%以上 腹囲 ・メジャーで簡単に測定できる ・他者に計測してもらうと正確に測れる ・男性:85㎝以上 ・女性:90㎝以上 これらのチェック項目で当てはまるものが複数ある場合、サルコペニア肥満のリスクがあるかもしれません。 医療機関で相談することも検討しましょう。 サルコペニア肥満の予防・解消法 サルコペニア肥満の予防・解消するポイントは、筋肉量を増やして筋力を改善しつつ、体脂肪量の低下を目指すことです。(文献1) 紹介する予防・解消法をいくつか同時におこなうことで、脂肪の減少や筋力の改善に効果が期待できます。(文献9) ぜひ組み合わせて実施してみてください。 筋トレを中心とした運動習慣 筋肉を維持・増加させるためには、筋肉に適度な負荷を与える以下のような筋力トレーニングが効果的です。(文献2) 方法 具体例 筋トレ ・スクワット ・膝伸ばし ・後ろ蹴りだし 有酸素運動 ・ウォーキング ・水泳、アクアビクス ・早歩き ・階段を使用 時間は短時間でも、続けることが大切です。 はじめは10分程度から始め、徐々に時間や回数を増やしていきましょう。 筋肉と代謝を支える食事 筋肉を作るための材料となるタンパク質は、サルコペニア肥満の解消に欠かせません。 ダイエット中でも、タンパク質は不足させないように意識しましょう。 たんぱく質を毎食しっかり摂取する(肉・魚・卵・大豆製品など) 玄米や全粒粉パンなど、血糖値の上がりにくい炭水化物を選ぶ アボカド・ナッツ・青魚など、良質な脂質を適度に取り入れる 野菜や果物からビタミン・ミネラルをしっかり補給する サルコペニア肥満の改善には、バランスの取れた食事に加え、専門家の指導を受けることも重要です。 「この方法で本当にサルコペニア肥満のリスクを下げられる?」と感じたら、当院リペアセルクリニックのメール相談またはオンラインカウンセリングまでお気軽にご相談ください。 サルコペニア肥満を理解してできることから始めよう サルコペニア肥満は、肥満と筋肉の減少が合わさった状態で、見た目では気づきにくいのが特徴です。 早期に気づき適切な対策を始めることで改善できる可能性があります。 まずは自身のリスクを把握し、食事を見直す、体を動かす時間を少し増やすなど、できることから挑戦してみましょう。 「サルコペニア肥満のリスクが高いかもしれない。どうしたら良いの」と一人で悩んでしまうなら、専門家への相談をおすすめします。 当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを通じて、あなたの悩みをサポートしています。 自身の健康状態やライフスタイルに合わせた具体的なアドバイスをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。 サルコペニア肥満に関するよくある質問 サルコペニア肥満の診断基準はありますか? サルコペニア肥満は、診断基準が確立されていません。(文献1) これは、肥満や腹囲の基準が国によって異なることで、共通の基準を設けるのが難しいことが背景にあります。(文献1) しかし、医療機関での身体組成測定や専門家への相談によって、サルコペニア肥満のリスクを知ることは可能です。 ぜひ一度チェックしてみてください。 サルコペニア肥満は高齢者だけでなく若者もなりますか? サルコペニアと診断されるのは、原則的に65歳以上です。(文献8) ただし、病気をはじめとする何らかの原因によっては、若い方がなる可能性もあります。 また、今は問題なくても、以下のような生活をしている方は将来的にサルコペニア肥満になるリスクが高い可能性があるため、注意が必要です。 デスクワーク中心の仕事であるため運動不足である 加工食品中心の偏った食生活を送っている 無理なダイエットをしている 生活習慣が乱れがちな若い層では、見た目は痩せていても体脂肪が多く筋肉が少ない「隠れ肥満」の状態から、サルコペニア肥満に移行するリスクも考えられます。 「若いから」と油断せず、将来的なリスクを回避するためにも、運動習慣を身につけたりバランスの取れた食事を意識したりと準備しておきましょう。 サルコペニア肥満には症状があらわれますか? サルコペニア肥満は、初期にはっきりとした自覚症状があらわれにくいのが特徴です。 しかし、進行すると「疲れやすい」「つまずきやすくなった」「歩くのが遅くなった」といった身体機能の低下を感じる場合があります。 これらのサインに気づいたら、まずは医療機関で相談し、ほかの病気との区別をつけることが大切です。 サルコペニア肥満が女性に多いのはなぜですか? 男性に比べて女性は筋肉量が少なく脂肪量が多いため、サルコペニア肥満になりやすいと言われています。 しかし、サルコペニアの男女差についてはわかっていないことが多く、一概に「女性が多い」とも言い切れません。 とはいえ、女性の閉経後のホルモンバランスの変化は筋肉量の減少に関連する可能性があると指摘されていることから、早期のサルコペニア肥満対策が重要です。(文献10) 参考文献 (文献1) 若林秀隆「サルコペニア肥満」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/58/6/58_58.627/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献2) 名古屋大学「高齢者の筋肉内への脂肪蓄積は サルコペニアと運動機能低下に関係する」 https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20170209_htc.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献3) 石川耕,横手幸太郎「脂肪組織機能異常とインスリン抵抗性」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/10/102_2691/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献4) 下村吉治「運動後の筋タンパク質合成のためのタンパク質・アミノ酸栄養」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/62/1/62_16/_pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献5) PubMed「Muscle loss and obesity: the health implications of sarcopenia and sarcopenic obesity」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25913270/(最終アクセス:2025年6月13日) (文献6) 東京大学大学院医学系研究科「筋肉における新しい糖取り込み調節機構の解明―肥満に伴う 2 型糖尿病の病態解明と治療への応用―」 https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20110302.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献7) 山川佳那子ら「若年成人女性における安静時代謝量及び食事誘発性体熱産生と体組成との関連」 http://repo.kyoto-wu.ac.jp/dspace/bitstream/11173/3181/1/0100_075_002.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献8) 日本サルコペニア・フレイル学会、国立長寿医療研究センター「サルコペニア診療ガイドライン2017年版」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00426.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b(最終アクセス:2025年6月16日) (文献9) 日本肥満症学会「肥満症診療ガイドライン」 https://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/medicareguide2022_09.pdf(最終アクセス:2025年6月13日) (文献10) 熊本大学「骨格筋の発育と再生メカニズムに性差ありーエストロゲン受容体βの機能的重要性を解明ー」 https://www.kumamoto-u.ac.jp/whatsnew/seimei-sentankenkyu/20200821(最終アクセス:2025年6月13日)
2025.06.29 -
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「抗がん剤による末梢神経障害は治るのか」「しびれや痛みが続いている」など、不安に感じている方も多いでしょう。 抗がん剤による末梢神経障害は、多くのがん患者様に見られる副作用の一つです。 症状が進行・長期間続くと、歩行が困難になる、細かい作業がしづらくなるなど、生活の質(QOL)に影響を及ぼすことがあります。 今回は、抗がん剤による末梢神経障害の原因や対処法、治療薬について現役医師がわかりやすく解説します。 また従来の治療法では、末梢神経障害の改善が見られないという方は再生医療も選択肢の一つとして注目されています。 \末梢神経障害の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経に対してアプローチできる新しい治療法で、これまで根治が難しかった抗がん剤による末梢神経障害の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 抗がん剤による末梢神経障害の改善を目指したい 手足のしびれや痛みを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院(リペアセルクリニック)の「静脈注射(静脈点滴)」は、幹細胞を血液を通じて全身に運ばれることで、直接注射できない部位や臓器の修復、機能回復を促進する役割を果たします。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 抗がん剤による末梢神経障害を完全に治すのは難しい 抗がん剤による末梢神経障害は、有効な予防法が確立されておらず、症状を完全に抑えるのが難しい疾患です。(文献1) そのため、症状の進行を抑えたり、日常生活を維持したりするためのケアや対処に努めることが重要です。 なかには、抗がん剤の中止後に症状が改善するケースもあります。 一方で、しびれや痛みが長年にわたって残ることも少なくありません。 抗がん剤による末梢神経障害が疑われる場合は、医師との連携や早期対応が大切です。 また近年では、こうした末梢神経障害に対して、再生医療という新たなアプローチも注目されています。 再生医療とは、患者様ご自身の細胞を用いて、損傷した神経や組織の修復をサポートすることを目的とした治療法です。 https://youtu.be/iHqwMDfKID8?si=BoFAVgEeHtH-nEID 「抗がん剤治療後も、しびれや痛みが続いている方」「日常生活に支障が出ている方」という方は、一度、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 抗がん剤による末梢神経障害の症状 抗がん剤の副作用によって運動神経や感覚神経、自律神経がダメージを受けると、末梢神経障害として以下のような症状が現れます。(文献2) 神経の種類 主な症状 運動神経 手足の筋力低下 細かい動作の困難 歩行困難 など 感覚神経 手足のしびれや痛み 灼熱感 冷感過敏 感覚麻痺 など 自律神経 起立性低血圧 発汗異常 便秘 排尿障害 など なお、症状の現れ方には個人差があり、日常生活や社会活動に支障をきたすケースも少なくありません。 これらの症状に悩まされている方にとって、従来の薬物療法やリハビリに加え、自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療という選択肢も存在します。 当院(リペアセルクリニック)の幹細胞治療では、患者様ご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、損傷した神経組織の修復・再生を促します。 【治療の特徴】 幹細胞が損傷した神経組織に働きかけ、機能回復をサポート 患者さま自身の細胞を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低い 日帰り治療が可能で、手術による負担が少ない 抗がん剤による末梢神経障害でお困りの方、日常生活への影響にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 専門スタッフが患者様の症状やご状況を丁寧にお伺いし、再生医療が適応となるか、どのような効果が期待できるかを詳しくご説明いたします。 抗がん剤による末梢神経障害が起こる原因 抗がん剤による末梢神経障害は、薬剤が末梢神経系にダメージを与えることによって生じるとされています。 抗がん剤による末梢神経障害の原因は、すべてが解明されているわけではありませんが、軸索あるいは神経細胞体への影響が考えられます。(文献1)それぞれのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。 軸索障害 軸索障害とは、末梢神経の軸索(じくさく)が抗がん剤の攻撃を受けて生じる障害です。 軸索とは、神経細胞から伸びる長い神経線維のことです。次の細胞に情報を伝達するための役割を担っているほか、軸索には栄養素などを運ぶための微小管(びしょうかん)と呼ばれる細胞骨格があります。 抗がん剤のなかには、がん細胞の微小管を攻撃して増殖を抑える薬があります。このとき、軸索の微小菅が攻撃を受けて正常な働きができなくなると、神経の末端に必要な栄養や酵素が届かず、変性の進行につながりかねません。 長い軸索を持つ神経ほど、抗がん剤によるダメージを受けやすいのが特徴です。そのため、足先や手指などの遠位部を中心に、しびれやチクチク感、痛み、感覚鈍麻といった症状が現れやすくなります。 神経細胞体障害 神経細胞体が直接抗がん剤の攻撃を受けて、障害が生じるケースもあります。 神経細胞体とは、神経の中核部分で、タンパク質の合成や代謝、情報処理といった神経の生命維持に欠かせない機能を担っているのが特徴です。 抗がん剤の攻撃によって神経細胞体に障害が起こると、そのほかの部分も二次的にダメージを受け、神経全体の機能が失われやすくなります。 また、細胞体のダメージは神経再生能力の低下を招くとされています。一度損傷を受けると回復までに長期間を要したり、慢性的な神経障害としてしびれや異常感覚、感覚過敏といった症状が残存したりするケースも少なくありません。 そのため、神経細胞体への影響は、末梢神経障害の予後に大きく関与する重要な要素と考えられています。 末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤の種類 末梢神経障害の症状は、抗がん剤の種類や投与量によって個人差があります。 ここでは、末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤の種類をまとめました。 殺細胞性の抗がん剤 殺細胞性の抗がん剤は、化学物質を用いて細胞増殖が盛んながん細胞を死滅または抑制させる薬のことです。殺細胞性の抗がん剤は、主に以下のような種類があります。(文献1) 一般名 商品名 主な症状 パクリタキセル タキソール パクリタキセル 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ パクリタキセル (アルブミン懸濁型) アブラキサン 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ ドセタキセル タキソテール ワンタキソテール ドセタキセル 手足のしびれ 感覚の鈍さ カバジタキセル ジェブタナ 運動のまひ 感覚のまひ 手足のしびれや痛み ビノレルビン ナベルビン ロゼウス 知覚異常 腱反射減弱 対象になるがんの種類によって、ほかにもさまざまな種類の殺細胞性の抗がん剤があります。なお、殺細胞性抗がん剤は正常な細胞にも影響を及ぼすため、副作用の発生頻度が高い薬です。 分子標的型の抗がん剤 分子標的型の抗がん剤は、がん細胞に特異的に存在する分子を狙って、増殖や生存を抑制する薬です。代表的な分子標的型の抗がん剤として、以下のような薬が挙げられます。(文献1) 一般名 商品名 主な症状 ボルテゾミブ ベルケイド 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ 起立性低血圧 便秘 トラスツズマブエムタンシン カドサイラ 手足のしびれや痛み ブレンツキシマブベドチン アドセトリス 運動のまひ 感覚のまひ 手足のしびれや痛み サリドマイド サレドカプセル 手足のしびれや痛み 起立性低血圧 レナリドミド レブラミドカプセル 手足のしびれや痛み 感覚の鈍さ 起立性低血圧 分子標的型の抗がん剤は、正常な細胞には影響しないとされており、副作用の軽減が期待できます。(文献3) 抗がん剤による末梢神経障害は治る?ケアと対処法 抗がん剤による末梢神経障害では、手足のしびれや痛みなどの症状が現れます。 日常生活において症状とうまく付き合っていくためには、適切なケアや対処が必要です。 抗がん剤による末梢神経障害の対処法について解説するので、ぜひ参考にしてください。 医師に相談して治療薬を投与する 循環を良くする 寒冷刺激を避ける 転倒やケガに注意する 医師に相談して治療薬を投与する 抗がん剤による末梢神経障害が疑われる場合は、できるだけ早く医師に相談しましょう。 末梢神経障害に対しては、神経障害性疼痛に有効な薬剤による対症療法がおこなわれるのが一般的です。また、抗がん剤による治療中に末梢神経障害が悪化した場合は、原因となる薬剤の投与延期や減量、中止が検討されます。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。抗がん剤治療後に続くしびれや痛みなどでお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 循環を良くする 抗がん剤による末梢神経障害のケアとして、血液の循環を良くするのもポイントです。とくに、末梢部の血流を良くすると、しびれや痛みが軽減する場合があります。 たとえば、入浴時にマッサージをしたり、手を握ったり開いたりする動きを取り入れることで、末梢の血行が促されます。また、無理のない範囲で軽い運動をするのもおすすめです。体調に応じて医師と相談の上、無理のない範囲でマッサージや軽い運動を継続しましょう。 寒冷刺激を避ける 抗がん剤による末梢神経障害は、寒冷刺激によって症状が悪化するケースがあります。とくに、急性の末梢神経障害は、寒冷刺激によって強いしびれや痛みが誘発されるといわれています。 日常生活において以下のような工夫をして、寒冷刺激を避けましょう。 冷たい飲み物を避ける 冬場や冷房の効いた部屋では手袋や靴下で保温する 炊事や洗濯の際はゴム手袋を着用する 皮膚が濡れたときはすぐに水分を拭き取る 冷たい床などに直接座らない 寒冷刺激を避けることは、抗がん剤による末梢神経障害の症状の悪化を防ぐポイントの一つです。 転倒やケガに注意する 抗がん剤による末梢神経障害は、手足のしびれや痛みのほか、筋力やバランス感覚の低下を引き起こす場合があります。そのため、転倒やケガには十分な注意が必要です。 とくに、高齢者の場合、転倒によって骨折すると入院や寝たきりの状態が長期化するリスクもあります。転倒やケガを防ぐためにも、以下のような点を中心に、住環境を見直しましょう。 床に物を置かない コード類をまとめる 滑りにくい靴やスリッパを履く 手すりを設置する 段差を解消する 夜間は足元灯を使用する 神経障害による感覚異常がある場合は、自覚しにくい小さなケガにも注意が必要です。 【症例紹介】末梢神経障害に対する再生医療の可能性 再生医療は、末梢神経障害の治療における選択肢の一つです。 再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって自然治癒力を最大限に引き出し、症状改善を目指す治療法です。 ここでは、両足のしびれに長年悩まされてきた80代男性の症例をご紹介します。 >>症例紹介はこちら 【患者様の情報】 80代男性 40年以上の糖尿病歴 内科主治医より「糖尿病性末梢神経障害」と診断済み 80代の男性は、40年来の糖尿病患者で、内科主治医から糖尿病性末梢神経障害と診断されていました。 薬物療法や食事・運動療法により、血糖値のコントロールはある程度良好でしたが、両足の症状はなかなか改善が見られず、再生医療による治療を決めました。 当院では、患者様の状態に応じた幹細胞治療を行っており、本症例では、1億個の幹細胞を3回に分けて点滴投与。治療前後の状態としては以下の通りです。 治療前の状態 10年以上続く両足のしびれ 知覚鈍麻(感覚の鈍さ) 既存の治療法による効果は限定的 治療後の変化 両足のしびれが大幅に軽減 日常生活の質の向上 健康増進への積極的な姿勢の芽生え 治療に対する前向きな発言 当院の幹細胞治療は、米粒2〜3粒ほどの脂肪を採取するだけで、十分な量の細胞を培養できるため、身体への負担が少ない点が特徴です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?feature=shared なお、リペアセルクリニックでは、末梢神経障害の治療法でお悩みの方に対して無料電話相談も行っておりますので、ぜひ気軽にご相談ください。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 抗がん剤による末梢神経障害を治すには早期発見・対処に努めよう 抗がん剤による末梢神経障害の症状は、薬の種類や治療期間によって個人差があり、完治が難しい場合もあります。しかし、早期に症状を発見し、適切な対処をおこなうことで、進行を抑えたり症状を軽減したりできます。 抗がん剤による末梢神経症状の主な対処法は、治療薬の投与や日常的なセルフケアなどです。医師の診断のもと、適切なケアや対処法を組み合わせることで、しびれや痛みといった症状を和らげ、生活の質を保つことにつながります。 抗がん剤治療後に手足にしびれや感覚の鈍さが現れた場合は、早めに信頼できる医師に相談しましょう。 参考文献 (文献1) 静岡県立静岡がんセンター「抗がん剤治療と末梢神経障害」 https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2016/02/sonota_mshinkei.pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院「末梢神経障害 -症状とセルフケアについて- 」 https://www.kchnet.or.jp/kchnet/wp-content/uploads/departments/pdf_chemopamphlet_6.pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献3) 横浜市立大学附属病院 化学療法センター「抗がん剤」 https://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/section/central_section/chemotherapy/anti-cancer_agent.html (最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.30







