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「最近、足が妙に重だるい」 「ふくらはぎに違和感がある」 その症状は閉塞性動脈硬化症のサインかもしれません。このサインを放置すると症状が悪化し、最悪の場合は壊死や足の切断につながるかもしれません。 本記事では、閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法や足に現れる具体的なサインについて、わかりやすく解説します。あわせて、重症度の目安や症状に応じた治療法についてもわかりやすく解説します。 閉塞性動脈硬化症のセルフチェック|1つでも当てはまる場合は要注意 チェック項目 詳細説明 タバコを吸う 喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進める 血糖値が高いと診断された 糖尿病は血管をもろくし、動脈硬化の大きな要因 コレステロール・中性脂肪が高いと診断された 脂質が血管内にたまり、血流を妨げる 高血圧と診断された 血圧が高いと血管に負担がかかり、動脈硬化が進行する 過去に心筋梗塞を起こした 血管障害の既往があり、他の動脈にも影響する恐れがある 過去に脳卒中を起こした 一度脳卒中を起こすと動脈硬化を発症しやすい傾向がある 家族に心筋梗塞や脳卒中の人がいる 遺伝的に動脈硬化を発症しやすい傾向がある 閉経している 女性ホルモンの低下により、血管の柔軟性が失われやすくなる 透析を受けている 透析によって血管に負担がかかり、動脈硬化が進行しやすくなる 65歳以上である 加齢に伴い血管は硬くなりやすくなる 肥満体型である 生活習慣病のリスクが高く、動脈硬化を招く 閉塞性動脈硬化症は、動脈が徐々に細くなり血流が悪化する病気です。とくに足の血管に障害が出ると、歩行時のだるさやしびれといった症状が現れます。 初期の段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。そのため、早い段階で閉塞性動脈硬化症に気づくには自分でできるセルフチェックを行うことが不可欠です。 1つでもセルフチェック項目に当てはまる場合は要注意です。 以下の記事では、閉塞性動脈硬化症の初期症状について詳しく解説しています。 タバコを吸う タバコが及ぼす影響 リスクとメカニズム 血管の収縮を引き起こす ニコチンなどにより血管が狭くなり、血流が悪化 血管内皮細胞を傷つける 血管内面が損傷し、動脈硬化の原因となるプラークがたまりやすくなる LDLコレステロールの酸化 酸化されたLDLコレステロールが血管壁に沈着しやすくなる 血小板の凝集促進 血液が固まりやすくなり、血栓形成のリスクが高まる HDLコレステロールの減少 善玉コレステロールが減り、血管の修復力が低下 血管壁の慢性的炎症 炎症により動脈硬化が進行 (文献1)(文献2) タバコは血管に多面的な悪影響を与え、閉塞性動脈硬化症の大きなリスク因子となります。喫煙により血管が収縮し、内皮細胞が損傷を受けることで、動脈硬化が進行しやすくなります。 また、血液が固まりやすくなり血栓のリスクも高まるため、喫煙歴のある方は足の違和感や冷えといった小さなサインも見逃さず、早めの受診が大切です。 血糖値が高いと診断されたことがある 高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化を進行させます。血流が悪化すると足先まで血液が届きにくくなり、冷えやしびれを感じることがあります。 糖尿病の方は神経障害を伴いやすく、足の異常に気づきにくいため要注意です。血糖値がやや高めと診断された方も、足の症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。 コレステロールや中性脂肪が高いと診断されたことがある 項目 概要 プラークの形成 悪玉コレステロールや中性脂肪が血管にたまり、プラークと呼ばれる塊を作り、血管を狭くする 血管の壁が弱る コレステロールが血管の内側にダメージを与え、血管がもろくなる 酸化LDLの影響 悪玉コレステロールが酸化すると、血管に炎症を起こして、さらに詰まりやすくなる 善玉コレステロールの働き低下 善玉コレステロールが少ないと、血管の掃除がうまくできず、脂質がたまりやすくなる 血栓ができやすくなる 傷ついた血管には血のかたまり(血栓)ができやすくなり、詰まりの原因になる 血管が硬くなる 血管に脂質がたまると、血管の弾力が失われ、血流が悪化する (文献3) コレステロールや中性脂肪が高い状態が続くと、血管の内側に脂質がたまり、血管が狭くなって血流が悪くなります。とくにLDLコレステロール(悪玉)が多いと動脈硬化が進み、血栓ができやすくなります。 逆に、HDLコレステロール(善玉)が少ないと、余分な脂質を回収できずリスクがさらに高まります。足の冷えやしびれ、歩きにくさを感じる方は、閉塞性動脈硬化症の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。 高血圧と診断されたことがある 高血圧は血管に強い圧力がかかる状態が続き、血管の内側を傷つけます。そこに脂質などがたまり、プラークができて血管が狭くなり、動脈硬化を引き起こします。とくに足の血管は細くて傷つきやすいため、冷えやしびれを引き起こしやすくなります。 高血圧と診断されたことがあり、冷えやしびれの症状が続く場合、閉塞性動脈硬化症の疑いがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。 過去に心筋梗塞を起こしたことがある 観点 解説 全身の動脈硬化の可能性 心筋梗塞は全身の動脈硬化が進んでいる恐れがある 共通する生活習慣や病気 両者には高血圧や糖尿病など共通のリスク因子がある 血管の機能が低下している可能性 血管内の機能が弱まっており、足の血管も詰まりやすくなっている 血栓ができやすい状態 血栓ができやすい体質になっており、足の血管にも詰まりのリスクがある 慢性的な炎症の影響 慢性的な炎症が全身に及び、足の動脈硬化を進める可能性がある (文献4) 心筋梗塞を経験した方は、すでに全身の血管に動脈硬化が広がっている可能性があります。心臓だけでなく、足の血管にも同じような詰まりや変化が起きていることが考えられます。動脈硬化は一部の血管だけでなく、全身に影響する病気です。 そのため、足のしびれや冷えなどの違和感がある場合、単なる疲れではなく血管の詰まりによる症状の可能性も考えられます。再発を防ぐためにも、足の血流チェックを早めに受けることが大切です。 過去に脳卒中を起こしたことがある 観点 解説 全身の動脈硬化の可能性 脳の血管に問題が起きた方は、足など他の血管でも動脈硬化が進んでいる可能性がある 共通の危険因子がある 脳卒中と閉塞性動脈硬化症は、生活習慣病や喫煙など共通のリスク要因で起こる 血管の働きが弱っている 脳卒中を経験した方は、血管の内側の機能が低下している可能性がある 血栓ができやすい状態 脳の血管にできた血栓と同じように、足の血管にも詰まりが起こるリスクがある 慢性的な炎症の影響 脳卒中後は、体の中で炎症が続いており、それが足の血管にも悪影響を及ぼすことがある (文献5) 脳卒中(とくに脳梗塞)は、脳の血管が動脈硬化によって詰まることで起こる病気です。脳卒中を経験された方は、すでに全身の血管に動脈硬化が進行している可能性があり、足の血管も例外ではありません。 そのため、閉塞性動脈硬化症のリスクも高くなる恐れがあります。また、脳卒中と閉塞性動脈硬化症には、高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などの共通する危険因子があります。足の冷えやしびれは、動脈の詰まりのサインかもしれません。気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。 家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした人がいる 観点 解説 遺伝の影響 コレステロールや血圧が高くなりやすい体質が、家族で受け継がれていることがある 生活習慣の共通性 家族内で似た食事や運動習慣は、動脈硬化を起こす傾向が強くなる 若いうちからの発症リスク 家族に若くして発症した人がいると、自分も早く発症するリスクが高まる可能性がある 血管が弱い体質の可能性 血管の構造や性質に遺伝的な傾向があり、動脈硬化を起こしやすいことがある リスクの見落としに注意 家族に心筋梗塞や脳卒中の方がいる場合は、自分もリスクがあると考え、早めの対策が重要です (文献6) 家族に心筋梗塞や脳卒中を起こした方がいる場合、自分も動脈硬化を起こしやすい体質を持っている可能性があります。 高血圧や脂質異常、糖尿病などのリスク因子は遺伝しやすく、生活習慣も似ていることが多いため、同じような病気を発症するリスクがあります。とくに家族に若くして発症した人がいる場合は、注意が必要です。 閉経している 観点 解説 女性ホルモンの減少 閉経でエストロゲンが減り、血管を守る働きが弱くなる 脂質のバランスが変わる 悪玉コレステロールや中性脂肪が増え、動脈硬化が進みやすくなる 血圧が上がりやすくなる 血管が収縮し、血圧が上がりやすくなる 血管の働きが低下する 血管の内側の機能が落ち、詰まりやすくなる エストロゲンには血管をしなやかに保つ働きがありますが、閉経後はその分泌が減り、血管が硬くなりやすくなります。 コレステロールもたまりやすくなり、動脈硬化が進行しやすくなります。閉経後に体調の変化を感じたら、足の冷えやしびれなどにも注意し、異変があれば早めに医療機関を受診しましょう。 透析を受けている 観点 解説 血管に負担がかかっている 高血圧や糖尿病などの合併症により、血管が常にダメージを受けやすい状態 血管が硬くなりやすい カルシウムなどの影響で血管に石のような物質がたまり、硬くなりやすくなる 体にサビがたまりやすい 老廃物がうまく排出されず、酸化ストレスが血管に悪影響を与える 炎症が起こりやすい 体の中で炎症が続きやすく、それが血管を傷つける原因になる 血管の働きが弱くなる 血管の内側の細胞がうまく働かなくなり、詰まりやすくなる 透析の影響そのもの 透析中の体内環境の変化も、血管に負担をかけやすい要因 (文献7)(文献8) 透析を受けている方は、老廃物が体にたまりやすく、カルシウムやリンの代謝異常により血管が硬く狭くなりやすくなります。さらに、糖尿病や高血圧の併発も多く、動脈硬化を進行させる原因です。 透析中に足の冷えやしびれを感じたら、血流障害の可能性があります。放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。 65歳以上である 観点 解説 血管の老化 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が起こりやすくなる 生活習慣病が増加する 高血圧や糖尿病など、動脈硬化の原因になる病気にかかりやすくなる 血管の調整機能が低下 血管を広げたり縮めたりする働きが弱まり、詰まりやすくなる 酸化ストレスがたまりやすい 長年の代謝活動で体内に有害物質がたまり、血管に悪影響を与える 血管の修復力が低下 傷ついた血管を元に戻す力が弱くなり、動脈硬化が進みやすくなる (文献9) 加齢とともに動脈の壁は硬くなり、血管の内腔も狭くなります。とくに65歳を超えると、血管の老化が進みやすく、血流が滞ることで足に冷えやしびれなどの異常が現れやすくなります。 65歳以上の方は、足の冷えやしびれを感じるようであれば、手遅れになる前に早めに医療機関を受診しましょう。 肥満体型である 肥満体型の方は、動脈硬化を進めるさまざまなリスクを抱えています。肥満は、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしやすく、血管に大きな負担をかけます。 さらに、インスリンの働きが低下して血糖や脂質のバランスが乱れやすくなり、動脈硬化のリスクが高まります。加えて、脂肪細胞から分泌される炎症物質が血管を傷つけ、悪玉コレステロールの増加や善玉コレステロールの減少も進行を助長します。血圧も上がりやすくなるため、注意が必要です。 【セルフチェックとあわせて確認】閉塞性動脈硬化症の重症度と治療法 重症度 症状・状態 詳細 治療法の概要 Ⅰ度|冷感やしびれがある重症度 足先に冷えや軽いしびれがあるが、歩行には支障がない状態 血流の低下による軽度の末梢循環障害 生活習慣の改善(食事・運動・禁煙)と薬物療法(抗血小板薬、血圧・脂質のコントロール) Ⅱ度|長距離が歩けない 歩行中に足がだるくなり、休むと症状が軽くなる(間欠性跛行) 歩行による酸素不足に伴う下肢筋肉の循環障害 運動療法と薬物療法の併用、必要に応じてカテーテル治療や生活習慣の見直し Ⅲ度|安静時に違和感が現れる 夜間や横になっているときにも足先に違和感が生じる・ヒリヒリする 安静時にも続く深刻な血流不足による末梢虚血 血管再建(バルーン・ステント・バイパス)、創傷ケア、感染管理 Ⅳ度|潰瘍や壊疽がある 皮膚が黒ずむ、潰瘍ができる、足先が腐りはじめるなどの末期状態 血流途絶による組織壊死および感染リスクの高い状態 外科的血行再建や壊死部の切除、重症時は切断、全身管理を含む包括的治療 閉塞性動脈硬化症は、足の血管が徐々に狭くなり血流が悪くなる病気です。初期(Ⅰ度)は冷えやしびれなど軽い症状ですが、進行すると歩行が困難になり(Ⅱ度)、さらに進むと安静時にも違和感が現れます(Ⅲ度)。 末期(Ⅳ度)では潰瘍や壊死が起き、非常に重篤な状態です。生活習慣の改善や適切な治療を継続すれば、重症化や足の切断リスクを減らせます。 以下の記事では、閉塞性動脈硬化症におけるマッサージについて詳しく解説しております。 Ⅰ度|冷感やしびれがある 項目 内容 症状の特徴 自覚症状はほとんどなく、健康診断や検査で偶然見つかることが多い状態 よくある症状 足先の冷えや軽いしびれ、皮膚の蒼白、足の脈が弱くなることがある 日常生活への影響 日常生活に支障はなく、多くの場合は無症状で気づかれにくい段階 治療法 禁煙や減塩、運動などの生活習慣改善と、必要に応じた薬物治療が行われる 注意点 初期でも放置せず、早めの対策が進行を防ぐ重要なポイント (文献10) Ⅰ度は閉塞性動脈硬化症の初期段階で、足先に冷たさや軽いしびれを感じる状態です。しびれや冷えは血管の内腔が少し狭くなり、血液の流れが悪化しているサインです。 歩行障害はないものの、足の皮膚が乾燥したり、爪の伸びが遅くなったりするケースもあり、血流の低下が進んでいる状態です。この段階で異変に気づければ、進行を防げます。 少しでも違和感を覚えたら、まずは循環器内科などでチェックを受けることをおすすめします。 Ⅰ度の治療法 項目 内容 治療の目的 動脈硬化の進行抑制と将来的な重症化の予防 治療の基本方針 生活習慣の改善と予防的薬物療法の併用 生活習慣の見直し 禁煙の徹底、適度な有酸素運動、減塩・低脂質の食事 薬物療法(予防目的) 抗血小板薬による血栓予防、スタチンによる脂質管理、ARB/ACE阻害薬による血管保護 生活習慣病の管理 糖尿病、高血圧、脂質異常症の安定化と定期的な内科受診 Ⅰ度の特徴 歩行時の違和感や強い症状がなく、検査で血流低下を指摘されることが多い段階 発見のきっかけ 健康診断や動脈硬化検査中の偶発的な発見 Ⅰ度の段階では、生活習慣の見直しと薬物療法が中心です。禁煙や塩分・脂質の摂取制限、適度な運動を通じて血管への負担を減らします。 血液の流れを良くする抗血小板薬や、血圧・コレステロールを下げる薬も併用されることがあります。自覚症状が軽いからといって油断せず、医師の指導のもとで早めに予防策を始めることが大切です。 Ⅱ度|長距離が歩けない 項目 内容 症状の特徴 歩行中にふくらはぎや太ももに違和感・だるさが出る間欠性跛行 具体的な状態 一定の距離を歩いた後に違和感やしびれが出て、立ち止まって休むと軽減する状態 歩行距離の変化 歩ける距離が徐々に短くなり、途中で休憩が必要になる状態 その他の症状 足の冷感やしびれの頻度や強さが増し、足の脈が弱くなるか触れなくなる状態 診断の手がかり 違和感が出る歩行距離の短縮と間欠性跛行の出現 重症度の目安 歩行可能距離によって進行度を評価する段階 治療法 生活習慣の見直し、有酸素運動を取り入れた運動療法、血流改善を目的とした薬物療法、必要に応じたカテーテル治療 (文献10) Ⅱ度では、一定の距離を歩くとふくらはぎにだるさやしびれが出て、立ち止まると症状が和らぐ間欠跛行が現れます。この状態は、運動に伴う酸素不足が足の筋肉に起きているためで、足の動脈が狭くなっている証拠です。 Ⅱ度の症状では、日常生活に支障が出始め、買い物や散歩など、歩くことが負担に感じる場面が多くなります。血流障害はまだ一定の回復が見込める段階であり、適切な対処により改善が期待できる状態です。 以下の記事では、間欠跛行について詳しく解説しています。 Ⅱ度の治療法 項目 内容 治療の目的 違和感の軽減、歩行距離の延長、重症化の防止、生活の質の維持、心血管疾患のリスク低減 治療の基本方針 生活習慣の改善を土台とした多角的な治療アプローチ 生活習慣の改善 禁煙の徹底、減塩・低脂質・糖質管理の食事、継続可能な有酸素運動の実施 歩行療法の導入 違和感が出たら休み、治ったら再開する反復歩行による血流改善 薬物療法 抗血小板薬による血栓予防、血管拡張薬・血流改善薬による間欠性跛行の軽減 血管内治療(必要時) バルーンによる血管拡張、ステント留置による血流確保と再狭窄防止 重要なポイント 医師との連携による個別治療計画の作成と定期的な経過観察の実施 Ⅱ度では、運動療法と薬物療法を組み合わせて治療を行います。ウォーキングにより血流の新たな経路が作られ、足の血行が改善されます。 さらに、抗血小板薬や血管拡張薬を使用し、血液の流れをスムーズに保ちます。あわせて、食事内容の見直しや禁煙、血圧の管理を継続し、症状の悪化を防ぐことが期待されます。 Ⅲ度|安静時に違和感が現れる 項目 内容 症状の特徴 安静時でも足に違和感が出る(とくに夜間や就寝時に強くなる) 違和感が出る部位 足先・かかと・すねなどに、焼けるような・締めつけるような違和感がある 姿勢による変化 足を下げる(椅子に座る、ベッドから足を下ろす)と違和感が軽くなる 冷感・しびれ 足の冷たさやしびれが強くなり、常に感じるようになる 皮膚の変化 皮膚が白っぽく乾燥し光沢が出る、毛が抜ける、爪が厚くなる・変形する 傷の治りにくさ 小さな傷が治りにくく、悪化すると潰瘍や壊死の原因になる可能性がある 足の脈拍 足の動脈の脈が弱くなる、またはまったく触れなくなる 病気の段階 重症な状態(重症下肢虚血:CLI)であり、早急な治療が必要 治療の目的 違和感の軽減・血流の改善・足の切断を避けるための救肢治療 (文献10) Ⅲ度になると、歩いていなくても足先にしびれや冷感、ヒリヒリした違和感が続くようになります。Ⅲ度では血流が極度に悪化している状態であり、安静にしていても筋肉や皮膚に必要な酸素が届かなくなっているサインです。 Ⅲ度の状態は非常に重篤であり、安静にしていても足に強い違和感が現れる段階です。下肢の血流が著しく低下し、組織が酸素不足に陥っている状態といえます。 放置すれば皮膚潰瘍や壊死に進行し、足の切断に至る可能性もあります。そのため、医療機関の早急な受診が必要です。 Ⅲ度の治療法 項目 内容 治療の目標 足の違和感を和げて血流を改善し、足の切断を防ぎながら、生活の質を保ち、心筋梗塞や脳卒中も予防する 生活習慣の改善 血圧・血糖・コレステロールの管理。禁煙、バランスの取れた食事、体重管理の徹底 薬物療法 血液をさらさらにする薬や血管拡張薬の使用を行いつつ、必要に応じた鎮痛薬の併用 血行再建治療 カテーテル治療による血管の拡張や、バイパス手術による血流の確保 疼痛管理・QOL維持 足の位置調整、皮膚・爪のケア、鎮痛薬の活用による不快感の軽減と生活の質の向上 Ⅲ度では、薬や運動だけでの対応が難しくなることも多く、血管の再建が必要となる場合があります。カテーテルを用いた血管拡張術(バルーン療法やステント留置)や、バイパス手術が検討される状態です。同時に、皮膚の状態によっては創傷ケアや感染管理も併せて行います。 放置すれば症状が急激に悪化するため、速やかに必要な治療方針を決めることが重要な段階です。 Ⅳ度|皮膚に潰瘍ができたり足先が腐ったりする 分類 解説 皮膚潰瘍 足先やかかと、指先などに潰瘍ができる状態であり、血流障害により小さな傷も治りにくく、感染を起こしやすい 壊疽(腐敗) 足先や指先が黒色や紫色に変色し、組織が死滅していく状態であり、酸素と血液の供給が完全に途絶える 激しい安静時痛 安静にしていても激しい違和感が続き、鎮痛薬でも効果が乏しいことがある 感染症の合併 潰瘍や壊疽部位から細菌感染が広がり、蜂窩織炎や敗血症など全身性の重篤な感染症を引き起こす危険がある 冷感と感覚麻痺 足が極端に冷たくなり、感覚が鈍くなるか麻痺する状態。神経への血流も止まっている可能性が高い 脈拍の消失 足の動脈の脈拍が触れず、血流がほぼ完全に停止している状態 重要なポイント 足の切断を回避が困難な段階であり、命に関わる可能性もあるため、速やかな診断と緊急治療が必要 (文献10) 閉塞性動脈硬化症のⅣ度は末期の状態で、足に潰瘍や壊死が起こり、感染や足の切断の危険が非常に高まります。足の変色や治りにくい傷などが見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。 Ⅳ度の治療法 治療項目 内容 治療の目的 感染の制御、違和感の緩和、血流改善による救肢、QOLと生命予後の改善 血流の回復(カテーテル治療) 動脈を内側から広げて血流を回復する治療法 血流の回復(バイパス手術) 血流の新しい通り道を外科的に作る手術 感染の管理と創傷 抗生物質の投与、壊死組織の除去(デブリードマン)、創傷管理(陰圧療法など)、フットケア 切断(最終手段) 血流改善や感染制御が困難な場合に実施され、足趾や膝下など、可能な限り小範囲に留める 再生医療(一部施設) 幹細胞移植などで血管新生を促す治療 重要なポイント 救肢には早期対応と多職種による集学的治療が不可欠 Ⅳ度の治療では、壊死した組織を除去し、足をできる限り温存するために血行再建術(カテーテル治療やバイパス手術)が行われます。 血流の改善が困難な場合や感染が重度な場合には、足指や膝下の一部を切断する処置が必要になるケースもあります。切断は壊死や感染の拡大を防ぎ、命を守るための最終手段です。 近年では、再生医療を活用した新たな治療法も注目されています。自家幹細胞の移植によって血流の回復を図る方法で、重度のCLI(重症下肢虚血)患者に対し、標準治療が困難な場合に選択肢として検討されます。再生医療の実施には専門的な判断が必要なため、対応している医療機関で医師とよく相談した上で進めることが大切です。 以下の記事では、リペアセルクリニックの再生医療について詳しく解説しております。 閉塞性動脈硬化症のセルフチェックで早めの受診を心がけよう 閉塞性動脈硬化症は、足の冷感や違和感など軽い症状から始まり、放置すると歩行障害や壊死に進行する可能性があります。初期の段階で気づき、適切に対処すれば進行を防止できます。 セルフチェックで1つでも当てはまる項目がある方、または足の異変を感じている方は、早めに医療機関で血管の状態を確認しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、再生医療を用いた閉塞性動脈硬化症の治療を行っております。症状にお悩みの方は、「メール相談」や「オンラインカウンセリング」を通じて、お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本動脈硬化学会|禁煙は動脈硬化予防の第一歩 (文献2) 一般財団法人 京浜保健衛生協会|喫煙と動脈硬化の関係 (文献3) 岡村 智教|動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年) (文献4) 磯部 光章ほか|急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版) (文献5) 全国健康保険協会|閉塞性動脈硬化症(ASO) (文献6) 尾崎 浩一|閉塞性動脈硬化症感受性遺伝子の同定と機能解析 (文献7) 赤松 眞ほか|血液透析患者における閉塞性動脈硬化症の診断と治療 (文献8) 新城 孝道|透析患者の下肢閉塞性動脈硬化症に対する薬物療法とフットケア(2004年) (文献9) 植山さゆりほか|下肢閉塞性動脈硬化症バイパス手術後の二人暮らし高齢男性患者と配偶者の在宅での日常生活体験(老年看護学,2021年) (文献10) 東 信良|2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン
2025.05.30 -
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「ふくらはぎが重だるく感じることが増えた」 「歩いていると途中で立ち止まることが多い」 足のだるさは、年齢や疲れのせいと考えがちですが、実は閉塞性動脈硬化症と呼ばれる血管の病気が原因かもしれません。症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、最悪の場合、足が壊死してしまう恐れがあります。 本記事では、閉塞性動脈硬化症の症状とともに以下について解説します。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 閉塞性動脈硬化症の原因 閉塞性動脈硬化症の診療科 閉塞性動脈硬化症の治療法 閉塞性動脈硬化症は、早期発見と適切な治療により改善が期待できます。本記事では詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 閉塞性動脈硬化症とは 閉塞性動脈硬化症とは足の血管に動脈硬化が起こり、血液の流れが悪くなる病気です。足の動脈が徐々に細くなり、十分な血液が届かなくなることでさまざまな症状を引き起こします。 主な原因としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などの生活習慣が引き金となり、血管が硬く、狭くなることで進行します。閉塞性動脈硬化症は進行すると血液の流れは悪化し、皮膚の色が変化したりただれたりするのが特徴です。重症化すると足の組織が壊死し、切断の可能性も危惧されます。 原因や症状 概要 足の血管の詰まり 足の動脈が狭くなったり詰まったりする 血流が悪くなる 足への血液の流れが悪くなる 動脈硬化が原因 血管に脂肪が溜まり、それが原因で血管が硬くなって発症 生活習慣が影響 高血圧、糖尿病、喫煙などが影響する 初期症状として歩くと違和感を感じる 運動時に足に違和感が走る(間欠性跛行) 症状が悪化する 違和感がひどくなり、安静時でも症状が出るようになる 傷が治りにくくなる 小さな傷も治りにくくなる 皮膚の色が変わる 足の皮膚が青紫色になる(チアノーゼ) 皮膚がただれる 潰瘍(かいよう)ができる 壊死が起こる 足の組織が腐ってしまう 切断のリスク 足を切断しなければならないこともある (文献1) 足の血流障害は全身の動脈硬化のサインでもあり、少しでも足に違和感が出た場合は、手遅れになる前に医療機関を受診しましょう。 閉塞性動脈硬化症の初期症状 症状の種類 概要 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 歩行中にふくらはぎが張る・疲れる・力が入らないが、休むと楽になる 足の冷え・しびれが続く 血流が悪くなることで、足が冷たく感じたり、しびれが続いたりする 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 皮膚の血流が悪く、小さな傷が治らず、色が青白く変化するケースがある 足の脈拍の低下・消失 足先の血流が極端に悪くなり、脈が触れなくなることがある 閉塞性動脈硬化症の初期症状の多くは、年齢や疲れのせいと見過ごされてしまいがちです。しかし、歩いていると違和感や足の冷えやしびれが続く場合は閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れた場合は、早めの受診が必要です。 以下の記事では、自分でできる閉塞性動脈硬化症のセルフチェック方法について詳しく解説しています。 歩くと足に違和感を覚える(間欠性跛行) 状態 症状の内容 原因のしくみ 歩き始め ふくらはぎや太ももに違和感・しびれ・張り感 運動時に筋肉が酸素不足になり、違和感が出る 少し休むと改善 数分の休憩で症状が和らぐ・消える 筋肉の酸素需要が減り、一時的に血流が追いつく 再び歩くと再発 同じ場所・感覚でまた症状が現れる 血流が根本的に不足しているため繰り返される 進行すると悪化 歩ける距離が短くなり、日常生活に支障 血管の狭窄が進み、血流不足がさらに深刻になる (文献2) 閉塞性動脈硬化症の初期には、歩くと足に違和感やしびれ、重だるさなどが現れます。ふくらはぎや太もも、お尻に症状が出やすく、休むと治まるため、放置されがちです。しかし、症状を放置すると徐々に進行し、足の血管が狭くなり、運動に必要な酸素や栄養が筋肉に届きにくくなります。 血流不足が深刻化する前に、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、間欠跛行の症状について詳しく解説しています。 足の冷え・しびれが続く 症状の特徴 概要 慢性的な冷え 温めても改善せず、常に足が冷たいと感じる しびれの頻度が増加 ピリピリ・ジンジンとしたしびれが続くようになる 安静時にも感じる 座っている時や寝ている時にも症状を感じる 夜間に悪化しやすい 夜になると冷えやしびれが強くなることがある 左右差があることも 片足だけ、または左右で症状の程度が異なる場合がある 他の症状を伴う可能性 足の皮膚の色が悪くなったり、むくみが出ることがある (文献3)(文献4) 気温とは関係なく、片方の足だけ冷たく感じたり、しびれが続く場合、血流障害を引き起こしている可能性があります。閉塞性動脈硬化症では、血流が悪くなって足先に酸素や栄養が届きにくくなり、その影響で神経に異常が起き、しびれや冷えが生じます。 足の冷え・しびれは年齢からくるものだと思われがちですが、足の左右で温度に差や頻度が多い場合は、閉塞性動脈硬化症を疑うべきサインです。重症化すると足が壊死する可能性があるため、早めの医療機関への受診が大切です。 足の傷が治りにくい・色が悪い(蒼白やチアノーゼ) 症状の特徴 説明 小さなキズの治癒遅延 切り傷や擦り傷が通常より治りにくい 感染しやすい 傷口から細菌が入りやすく感染しやすい 皮膚の色が悪い(蒼白) 足を高く上げた時などに皮膚が白っぽく見える 皮膚の色が悪い(チアノーゼ) 皮膚が紫色や暗赤色になることがある 皮膚が薄く、つやがある 皮膚が栄養不足で薄く光沢を帯びる 毛が抜けやすい 足の毛が抜けやすくなる 爪の変形・変色 爪が厚くなる、変形・変色する (文献3) 閉塞性動脈硬化症が進行すると、血流が著しく低下し、足の皮膚や組織への酸素供給が不足します。酸素供給が不足するとちょっとした傷でも治りにくくなり、皮膚の色も悪く見えるようになります。足先が白くなったり、紫がかって見える状態はチアノーゼと呼ばれ、重度の血流不足状態です。 また、皮膚の乾燥や光沢、爪の変形も血流低下のサインであり、進行すると皮膚潰瘍や壊死に至る危険性もあります。チアノーゼは皮膚の色の変化として現れるため、足のしびれや歩行時の違和感よりも気づきやすいのが特徴です。皮膚が紫色や暗赤色に変色している場合は、早急に医療機関を受診してください。 足の脈拍の低下・消失 症状の特徴 説明 脈拍の触れにくさ 足の甲や足首で脈が弱くなったり、触れなくなったりする 左右差がある 片足だけ脈が弱い、または触れない場合がある 冷えやしびれを伴う 脈の変化と一緒に冷えやしびれを感じることが多い 皮膚の色や温度の変化 皮膚が青白くなり、足が冷たく感じることがある 運動後の変化 運動後に脈がさらに触れにくくなる場合がある 自己チェックの限界 自分で確認できても正確な判断は難しく、医師の検査が重要 (文献3) 足の甲や足首の脈が触れにくくなる、あるいはまったく触れなくなるのも、閉塞性動脈硬化症のサインです。足の動脈の詰まりが進行すると、足首や足の甲で触れる脈拍が弱くなったり、ほとんど感じられなくなったりするケースがあります。 足の脈拍の変化は自分ではわかりにくいため、医師の診察や超音波検査が必要です。とくに左右の脈に差がある場合や片足だけ脈が感じにくい場合は、動脈の詰まりが疑われます。早めに対応すれば血流を改善でき、重篤な合併症を防止できる可能性があります。 閉塞性動脈硬化症の原因 原因 なぜ関係するのか 防止策 具体的な説明 加齢 年齢とともに血管が硬くなり、動脈硬化が進行しやすくなる 血管をいたわる生活を心がける 食事の塩分や脂質を控え、適度な運動や定期的な健康診断を習慣にする 糖尿病 高血糖が血管の内側を傷つけ、血管が詰まりやすくなる 血糖値のコントロールが重要 食事療法・運動療法・内服治療などで血糖を安定させ、合併症の予防につなげる 脂質異常症 LDLコレステロールが血管にたまり、プラークとなって血流を妨げる 脂質管理と生活習慣の改善 動物性脂肪を控えた食事と、必要に応じたコレステロール低下薬の服用 喫煙 タバコに含まれる成分が血管を傷つけ、血流を悪くする 禁煙が最大の予防 禁煙外来の活用や代替品(ニコチンパッチなど)を利用して、段階的に習慣を断ち切る 閉塞性動脈硬化症は、動脈の内側にコレステロールなどの脂質がたまり、血管が狭くなる動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化が引き起こされる原因は以下の4つです。 加齢 糖尿病 脂質異常症(高コレステロール血症など) 喫煙 以下では、閉塞性動脈硬化症の原因を詳しく解説します。 加齢 加齢に伴う変化 対策・予防方法 血管内皮細胞の機能低下 抗酸化作用のある食品をとる(野菜・果物)、定期的な検査を受ける 血管壁の弾力性の低下 ウォーキングなどの有酸素運動で血管の柔軟性を維持 酸化ストレスの増加 禁煙やバランスの良い食事で活性酸素を抑える 炎症反応の亢進 規則正しい生活・ストレス管理やEPAやDHAを含む食品 生活習慣病のリスク増加 高血圧・糖尿病・脂質異常症をきちんと治療・管理する (文献3)(文献5) 年を重ねると血管の弾力性が失われ、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症を発症し、軽い動作でも足に違和感が出ることがあります。 年齢とともに血管は弱くなりますが、運動や食生活を見直すことで健康を保てます。足の冷えやしびれが気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 糖尿病 影響の種類 概要 血管を傷つけやすい 高血糖が続くと血管の内壁が傷つきやすくなる 動脈硬化を促進 脂肪が血管壁にたまりやすく、動脈硬化が進行しやすい 末梢血管が障害されやすい 足先など細い血管が多い部分で血流障害が起こりやすい 神経障害を合併しやすい 足の感覚が鈍くなり、違和感に気づきにくくなる 小さな傷に気づきにくく、治りにくい 小さな傷に気づかず、治りにくくなることで悪化しやすい 感染症のリスクが高い 免疫力が低下し、傷口からの感染症リスクが高まる 血管の石灰化が起こりやすい 血管にカルシウムがたまり、血管が硬くなりやすい 他の危険因子を合併しやすい 高血圧や脂質異常症を併発しやすく、動脈硬化が進みやすい (文献6)(文献7) 血糖値が高い状態が続くと、血管の内側が傷つき、脂質や血小板がたまりやすくなります。脂質や血小板がたまると血管が詰まりやすくなります。糖尿病では神経障害も起こりやすく、足のしびれや違和感に気づきにくいため、とくに注意が必要です。 血管と神経の障害が重なると、傷の治りが遅くなり、感染が悪化しやすくなります。その結果、閉塞性動脈硬化症のリスクが高まります。糖尿病の方は、足の違和感や傷に気を配り、異常があれば早急に医療機関を受診しましょう。 脂質異常症(高コレステロール血症など) 影響の種類 概要 血管壁への脂質沈着 悪玉コレステロールが血管の内壁にたまりやすくなる プラーク形成の促進 たまった脂質がプラークを作り、血管を狭める 初期症状の発現を早める可能性 動脈硬化が早く進み、若いうちから症状が出ることがある 症状の悪化を加速 血流がさらに悪化し、違和感や歩行障害が進行する 他の危険因子との相乗効果 高血圧や糖尿病などと合併しやすく、リスクがさらに高まる 血管内皮機能の障害 血管の柔軟性が低下し、血栓ができやすくなる (文献8)(文献9) 血液中のコレステロールや中性脂肪が多いと、動脈の内壁に脂質が沈着し、プラークと呼ばれる塊ができやすくなります。プラークは血管を狭め、血流を妨げる原因です。 とくにLDL(悪玉)コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化が進行しやすくなり、閉塞性動脈硬化症を引き起こしやすくなります。脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘された場合は放置せず、食生活の見直しや適切な治療を行うことが大切です。 喫煙 喫煙が与える影響 概要 血管の内側が傷つく タバコの有害物質が血管内皮細胞を傷つけ、血管機能が低下 動脈硬化が進みやすくなる コレステロールなどが沈着しやすくなり、血管が狭くなる 血管が収縮して血流が悪くなる ニコチンの作用で血管が細くなり、足の血流が悪化する 血液がドロドロになる 喫煙により血液の粘り気が増し、流れにくくなる 血栓ができやすくなる 血のかたまり(血栓)ができやすくなり、血管を詰まらせる 症状が早く現れる可能性が高くなる 非喫煙者より若い年齢で冷えやしびれなどの症状が出やすい 症状が急速に悪化しやすくなる 歩ける距離が短くなる、安静時にも違和感が出てくるなど悪化が早い 治療の効果が出にくくなる 薬や治療の効果が弱まり、改善しにくくなる (文献10) タバコに含まれる有害物質は血管の内側を傷つけ、炎症や動脈硬化を進行させます。とくにニコチンは血管を収縮させ、足の血流を悪化させる原因です。 そのため、喫煙者は非喫煙者より閉塞性動脈硬化症の発症リスクが約3〜5倍高く、若年で発症する傾向もあります。動脈硬化の予防や治療には禁煙が不可欠です。(文献11) 閉塞性動脈硬化症は何科を受診するべき? 診療科名 役割・特徴 受診の目安 循環器内科 血流や動脈硬化の評価・管理が可能。動脈の状態を総合的に診断 足の冷え・しびれ・歩行時の違和感などがある場合に最優先で受診 血管外科 動脈の狭窄・閉塞に対する検査・手術(カテーテル治療など)に対応 検査や手術が必要な場合、循環器内科から紹介されることも多い 内科(かかりつけ医) 必要に応じて専門科へ紹介してもらえる 専門科がない場合にまず相談。早期の受診・紹介が重要 整形外科(注意) 神経や筋肉の疾患が専門。血流の問題を見落とす可能性あり しびれや違和感で来院しても、血流障害が見逃されることがある 皮膚科(注意) 皮膚の異常は診られるが、血流の異常に気づかれにくいことがある 足の傷で受診しても、原因が血流障害と判断されにくい 閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、まず循環器内科または血管外科の受診が推奨されます。循環器内科または血管外科では、血管の状態を詳しく調べる検査や適切な治療方針の判断ができます。 とくに足が冷たい、足の色が悪いといった症状がある場合は、末梢動脈疾患の可能性があるため、早期受診が大切です。 どこを受診すべきか迷う場合は、内科やかかりつけ医に相談しましょう。初期診察で必要性があれば、専門科への紹介を受けられます。症状を放置すると潰瘍や壊死など重症化する恐れがあるため、異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 「どの診療科に行けば良いのかわからない」とお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。当院では、どんな小さなお悩みにも丁寧に耳を傾け、患者様一人ひとりに寄り添った治療のご提案をいたします。「メール相談」や「オンラインカウンセリング」もご利用いただけますので、ご不安なことがあればいつでもご相談ください。 閉塞性動脈硬化症の治療法 治療法 内容 適しているケース 注意点・ポイント 保存療法 ウォーキングや生活習慣の見直し 初期の症状がある方 運動を継続が大切。禁煙や減塩も効果的 薬物療法 抗血小板薬や高血圧・糖尿病の治療薬 軽度から中等度の症状がある方 医師の指示に従って服薬を継続が重要 手術療法 カテーテル治療やバイパス手術 血管の詰まりが進行し、日常生活に支障がある方 術式は症状によって異なるため、専門医とよく相談する 再生医療 幹細胞などを用いて血管の再生を促す治療 他の治療が難しく、重症の状態にある方 保険が適用されない場合があり、限られた施設で実施されている 閉塞性動脈硬化症の治療は、症状の進行度や原因となる病気の有無によって異なります。 保存療法 薬物療法 手術療法 再生医療 閉塞性動脈硬化症の治療法は医師の診断と指導のもと行われます。治療法について解説します。 保存療法 取り組み内容 概要 禁煙 最も重要な改善点。喫煙は血管を傷つけ動脈硬化を進行させるため、禁煙が必須 食事の見直し 塩分や脂質を控えた食事で動脈硬化の進行を抑える 適度な運動 ウォーキングなどの軽めの有酸素運動が血流改善に効果的 体重・血圧・血糖・脂質の管理 生活習慣病の管理を通じて、血管への負担を減らし、病気の進行を防ぐ (文献12) 保存療法とは、薬や手術を用いず、生活習慣の改善などで進行を抑える治療法です。代表的なのが運動療法であり、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行い、血流の改善を促します。また、運動だけでなく、生活習慣の見直しも大切です。 禁煙や高カロリーな食事を控えるなど、動脈硬化の進行を抑える上で基本となります。保存療法は、医師の指導のもとで行うことが大切です。運動や食事制限は無理のない範囲で続け、少しでも違和感があれば、すぐに医師に相談しましょう。 以下の記事では、下肢閉塞性動脈硬化症でやってはいけないマッサージ方法について詳しく解説しています。 薬物療法 治癒カテゴリー 薬剤例 効果の概要 抗血小板薬 アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾール 血小板の凝集を抑え血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも有効 血管拡張薬 シロスタゾール、プロスタグランジン製剤 血管を広げて血流を改善し、歩行距離の延長や冷え・しびれに有効 プロスタグランジン製剤 プロスタグランジンE1製剤(注射・点滴) 末梢血流を改善し、潰瘍や壊死などの重症症状を緩和・治癒促進 脂質異常症治療薬 スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチンなど) LDLコレステロールを下げて動脈硬化を予防。心血管リスクの低減にもつながる 高血圧治療薬 ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、β遮断薬 血圧を下げて血管の負担を軽減し、動脈硬化の進行を抑える 糖尿病治療薬 SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬 血糖管理に加え血管保護作用もあり、心血管リスクの抑制に貢献 (文献13)(文献14) 閉塞性動脈硬化症の薬物療法は、病気の進行を抑え、症状を和らげるために行います。抗血小板薬は血栓を防ぎ、血流を保つのに役立ちます。 高血圧や糖尿病、脂質異常症がある場合は、それぞれの治療薬も併用します。薬は根本的な治療ではなく、進行を止めることが目的です。薬剤は医師の指示のもと、継続しての服用が大切です。 手術療法 治療法 手術方法 効果・特徴 適応病変 バイパス手術(外科的血行再建術) 閉塞部位の上下をつなぎ、静脈や人工血管で血流のバイパスを作る 長い範囲の血管閉塞に効果があり、歩行距離の改善や潰瘍の治癒、さらには足の切断を回避できる可能性がある 長い範囲の閉塞や血管内治療が難しい場合に向いている 血管内治療(カテーテル治療) カテーテルで血管を内側から広げ、必要に応じてステントを入れる 早期に血流改善が期待でき、違和感や冷えの症状が軽減しやすい 比較的短い範囲の狭窄・閉塞に対して有効 閉塞性動脈硬化症が進行し、薬や運動では十分な改善が見込めない場合、手術療法が検討されます。とくに足の血管が高度に狭くなったり詰まったりしている場合、血液の流れを回復させるには物理的な処置が必要です。 代表的なのがカテーテル治療で、狭くなった血管内に細い管を入れ、バルーンで広げ、金属製のステントを留置する方法です。より重度の場合には、詰まった血管を迂回するバイパス手術を行います。 手術療法は誰にでも適応できるわけではなく、血管や全身の状態を見て慎重に判断する必要があります。また、カテーテル治療後の再狭窄やバイパス手術後の感染などのリスクもあるため、医師とよく相談し、メリットとリスクを理解した上で治療を選ぶことが大切です。 再生医療 再生医療は、薬や手術で改善が難しい場合に検討されます。再生医療は患者自身の細胞を使用し、新たな血管の形成を促す治療です。 再生医療は比較的新しい治療アプローチであり、一部では保険適用外となりますが、重症例における有効性が報告されており現在も研究が進められています。名古屋大学大学院の報告によると、血管内治療やバイパス手術が難しい末期の患者でも、再生医療によって血流が改善し、足の切断を回避できたケースが確認されています。(文献13) また、京都府立医科大学附属病院の資料によると、バージャー病に対する再生医療では、足の切断を1年後・3年後ともに95.5%の確率で回避できたことが示されています。(文献15) 再生医療は限られた医療機関での実施となるため、事前に取り扱いのある医療機関への受診が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 閉塞性動脈硬化症の初期症状が現れたらすぐに医療機関を受診しよう 閉塞性動脈硬化症の初期症状は見過ごされやすいですが、放置すると壊死を起こし、最悪の場合は足の切断に至ることもあります。 違和感を覚えた場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、動脈硬化は全身に起こるため、足の症状だけでなく心臓病や脳卒中といった重篤な病気につながる可能性もあります。 当院リペアセルクリニックでは、症状や受診科の悩みに丁寧に対応し、必要に応じて幹細胞を使った再生医療で治療をサポートしています。 閉塞性動脈硬化症が改善せずお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考資料 (文献1) 肢閉塞性動脈硬化症に対する治療法の評価とQOL日血学会誌 (文献2) 末梢閉塞性動脈疾患|MSD マニュアル 家庭版 (文献3) 末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)|日本循環器学会 / 日本血管外科学会合同ガイドライン (文献4) 臨床研究の概要をできる限り平易な用語を用いて記載した要旨|九州大学病院 (文献5) 動脈硬化は怖い病気のはじまり|一般社団法人 日本動脈硬化学会 (文献6) 糖尿病合併症について|一般社団法人日本糖尿病学会 (文献7) 糖尿病|厚生労働省 (文献8) 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会・日本医師会 (文献9) 脂質異常症|国立循環器病研究センター (文献10) 禁煙は動脈硬化予防の第一歩|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献11) Smoking as a risk factor for lower extremity peripheral artery disease in women compared to men: A systematic review and meta-analysis|PLoS One (文献12) 下肢閉塞性動脈硬化症のリハビリテーション|特定非営利活動法人 ジャパンハートクラブ (文献13) 皮下脂肪由来幹細胞で血管病を治療|Angiogenesis (文献14) 閉塞性動脈硬化症(PAD)の薬物療法 〜循環器内科医の立場から〜|日本フットケア学会雑誌 (文献15) 先進医療B 総括報告書に関する評価表(告示旧24)|第154回先進医療技術審査部会
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「歩いていると足がしびれてきて、立ち止まらないと前に進めない」 「ふくらはぎが重だるくなり、少し休むとまた歩けるようになる」 上記のような症状でお困りではないでしょうか。 歩くと足がつらくなり、休むと回復する特徴的な症状は「間欠跛行(かんけつはこう)」と呼ばれます。年齢のせいと見過ごされがちですが、放置すると歩ける距離がどんどん短くなり、日常生活に支障が出てきます。 本記事では、間欠跛行の原因や神経性・血管性の見分け方、治る可能性と治療法、自宅でできるストレッチや日常生活の注意点までを医師監修のもと解説します。歩行時の違和感でお悩みの方はぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。足のしびれや歩きにくさでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 間欠跛行とは 間欠跛行(かんけつはこう)とは、一定の距離を歩くと足やふくらはぎにしびれ・だるさ・違和感が生じて歩けなくなり、少し休むと再び歩けるようになる症状のことです。 歩くと症状が出て、休むと和らぐ状態を繰り返すため、「間欠」と呼ばれます。 ※間欠=一定の時間を置いて、起こったりやんだりすること 具体的な症状は、以下を参考にしてください。 影響の種類 具体的な内容 外出の制限 違和感が出る距離が短くなり、買い物や散歩などの外出が億劫になる 活動量の低下 しびれを恐れて活動量が減り、筋力や体力が低下する可能性がある 精神的な負担 症状の再発への不安が常にあり、ストレスを感じやすくなる 生活の質の低下 趣味や社会活動が難しくなり、生活の満足度が低下する なお、放置すると歩行可能な距離が次第に短くなります。また、症状が進行すると足の潰瘍・壊死を招いたり、心筋梗塞・脳梗塞などの重篤な合併症につながるおそれもあります。 少しでも異変を感じたら、医療機関を受診してください。 間欠跛行を引き起こす2つの原因と見分け方 間欠跛行の主な原因は、大きく分けて以下の2つです。 脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性) 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性) どちらも「歩くと足がつらくなり、休むと楽になる」という共通点がありますが、原因となる病気や治療法は異なります。 それぞれのタイプの特徴と見分けるポイントを以下で順に説明します。 脊柱管狭窄症による間欠跛行(神経性) 神経性の間欠跛行は、加齢などによって背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、腰の神経が圧迫されることで起こります。代表的な原因となる病気は腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)です。 脊柱管狭窄症による神経性間欠跛行の特徴をまとめると、以下のとおりです。 項目 内容 原因 脊柱管が狭くなり腰の神経が圧迫される 代表的な疾患 腰部脊柱管狭窄症 主な症状 ・足のしびれ ・脱力感 ・つっぱるような違和感 楽になる姿勢 前かがみ・座位で軽くなる 特徴 自転車には乗れるが歩行がつらい (文献1) 神経が圧迫されると、歩行中に足のしびれや脱力感が生じ、続けて歩くことが難しくなります。また、前かがみになったり座ったりすると神経への圧迫がゆるむため、症状が軽くなる点が特徴です。 なお、以下の記事では、脊柱管狭窄症術後の症状に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひ参考にしてください。 閉塞性動脈硬化症による間欠跛行(血管性) 血管性の間欠跛行は、動脈硬化により足の血管が狭くなったり詰まったりして、歩行中の筋肉に十分な血液が届かなくなることで起こります。代表的な原因となる病気は閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう:ASO)です。 閉塞性動脈硬化症による血管性間欠跛行の特徴は、以下のとおりです。 項目 内容 原因 動脈硬化で足の血管が狭くなり血流が不足する 代表的な疾患 閉塞性動脈硬化症(ASO) 主な症状 ・ふくらはぎの重だるさ ・締めつけ感 ・冷感 楽になる姿勢 姿勢に関係なく立ち止まれば回復 特徴 自転車でも足の筋肉を使うと症状が出る (文献2) 血管性の間欠跛行の場合、一定の距離を歩くと、ふくらはぎや太ももに重だるさや締めつけるような違和感が現れます。しかし、立ち止まって休むと血流が回復し、再び歩けるようになります。 また、症状が進行すると、安静にしていても違和感が続き、足先の冷え・皮膚の色の変化・潰瘍などに発展するおそれがあります。なお、高血圧・糖尿病・喫煙などが動脈硬化を進める要因となるため、生活習慣の改善が重要です。 以下の記事では、閉塞性動脈硬化症について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 神経性と血管性の間欠跛行の見分け方 神経性と血管性は症状が似ていても、原因と治療法がまったく異なります。適切な治療を行うためにも、見分けるためのポイントを押さえておきましょう。 両者の代表的な違いは、以下のとおりです。 比較項目 神経性(脊柱管狭窄症) 血管性(閉塞性動脈硬化症) 原因 神経の圧迫・神経の血流障害 足の動脈の狭窄や閉塞 楽になる姿勢 前かがみで楽になる 姿勢に関係なく立ち止まれば楽になる 自転車運転 前傾姿勢のため長時間乗れる 足の筋肉を使うため乗っていても違和感が出やすい 足の脈拍 正常に触れる 弱い、または触れない 症状の現れ方 しびれや脱力感が中心 筋肉の痛み・つっぱり感が中心 なお、簡易的な見分け方として、足の甲にある足背動脈の拍動を確認する方法があります。 足の甲の親指と人差し指の骨の間あたりを指先で軽く押さえ、ドクンドクンと脈拍を感じ取れるか確認してみてください。神経性では脈拍が正常に触れますが、血管性では脈拍が弱い、または触れないことが多いです。 いずれの方法もあくまで目安のため、正確な診断は医療機関での画像検査や血流検査が必要です。 間欠跛行が治る可能性について 間欠跛行は、原因に合った治療を早期に受けることで、歩ける距離が伸び、日常生活に支障がないレベルまで症状を改善できる場合があります。また、運動療法や生活習慣の改善を継続すれば、生活の質も大きく向上します。 ただし、原因疾患そのものを完全にもとの状態に戻すことは難しい場合が多いため、症状の軽減と進行予防が治療の中心となります。とくに血管性では、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を防ぐことも重要な目的です。 間欠跛行の治療法 間欠跛行の治療法には、主に以下の3つがあります。 保存療法 手術療法 再生医療 症状の程度や原因、全身状態によって適した治療法は異なります。自己判断せず、医師と相談しながら選ぶことが大切です。 なお、受診先は原因によって異なります。神経性が疑われる場合は整形外科、血管性が疑われる場合は循環器内科または血管外科を受診しましょう。 原因がはっきりしない初期段階では、まず整形外科を受診して画像検査を受けるのがおすすめです。 それぞれの治療法について以下で詳しく解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに症状の緩和と進行抑制を目指す治療法で、間欠跛行の治療の基本となります。運動療法・薬物療法・生活習慣の改善を組み合わせて、歩行能力の維持と向上を目指します。 保存療法の主な内容は、以下のとおりです。 治療法 内容 期待される効果・ポイント 運動療法 計画的な歩行訓練、下肢筋力トレーニング、ストレッチなど 側副血行路の発達、酸素利用効率向上、歩行距離の延長 薬物療法 抗血小板薬、血管拡張薬、鎮痛薬など(医師の判断で処方) 血流改善、血栓予防、症状の緩和 生活習慣の改善 禁煙、食事改善、体重・血糖・血圧管理、ストレス・冷え対策 動脈硬化の進行抑制、生活習慣病の改善、薬の効果を引き出す 運動療法では歩行訓練によって血流を改善し、歩行可能な距離を少しずつ延ばしていきます。薬物療法では、血液が固まりにくくする薬や血管を広げる薬で症状の軽減を目指します。 また、生活習慣を根本から改善するのも間欠跛行を防ぐ上で大切です。 保存療法はすぐに大きな変化が出るものではありませんが、長期的な継続で歩行能力の維持や改善が見込めます。 手術療法 手術療法は、保存療法で十分な改善が得られない場合や、日常生活に大きな支障がある場合に検討されます。 また、手術の方法は神経性と血管性で異なります。 神経性 神経性(脊柱管狭窄症)の手術には、大きく「除圧術」と「固定術」の2種類があります。 それぞれの手術の違いをまとめると、以下のとおりです。 手術の種類 内容 適応となる主な状況 除圧術 神経を圧迫している骨や靭帯を取り除き脊柱管を広げる 神経の圧迫が強く保存療法で改善しない場合 固定術 除圧に加えボルトなどで骨同士を固定する すべり症など腰椎の不安定性が強い場合 除圧術は、神経を圧迫している骨の一部や厚みが増した黄色靭帯を削り、脊柱管を広げる手術です。近年は内視鏡や顕微鏡を用いた小切開での手術が主流で、筋肉への負担が少なく早期回復が見込めます。 固定術は、背骨のずれ(すべり症)や腰椎の不安定性が強い場合に行われ、除圧した上でボルトやスクリューで骨を固定します。 なお、手術が検討される主な状況は、薬やリハビリを3カ月以上続けても効果が乏しい・歩行距離が数百メートル以下で外出が難しい・足に力が入らないなどの神経脱落症状がある場合です。とくに、尿漏れや便秘といった膀胱直腸障害がある場合は、手術が強く考慮されます。 血管性 血管性の間欠跛行で代表的なのがバイパス手術です。狭くなった血管を迂回するように新しい通り道を作り、足への血流の改善を目指します。 主な特徴は以下のとおりです。 項目 バイパス手術(血管バイパス術) 血栓除去術(血行再建術) 目的 狭くなった血管を迂回して、新たな血液の通り道を作る 詰まった血管から血栓(血のかたまり)を取り除いて血流を再開させる 対象となる状態 慢性的な血流障害(閉塞性動脈硬化症など) 急に血流が止まった場合(急性動脈閉塞など) 使用される血管 自分の静脈(自家血管)または人工血管 既存の血管を利用し、血栓を除去 麻酔・方法 全身または局所麻酔で行い、血管を縫い合わせる 同様に麻酔下で血管を開き、器具で血栓を取り出す 効果 血流の大幅な改善、歩行症状の軽減や重症化の予防 早期の血流回復で壊死や切断リスクを低下させ、症状の改善が見込める 注意点 感染、出血、再閉塞などの合併症リスクあり 同様に合併症や再閉塞のリスクがあり、術後管理が大切 どちらの手術も血流を改善し、歩行時の違和感や足の壊死リスクを軽減する効果が期待できます。ただし、保存療法に比べると体への負担は大きいです。また、感染や出血、バイパス血管の詰まりといった合併症のリスクがあり、入院期間も長くなる傾向があります。 手術を検討する際は、医師とよく相談した上で決めることが大切です。 再生医療 間欠跛行は、神経の圧迫や血管の詰まりが原因で起こる症状です。再生医療では、体が本来持つ修復力を利用して神経や血管の機能回復を目指す治療法であり、しびれや違和感の軽減、血流の改善が期待されます。 再生医療の概要については、以下を参考にしてください。 原因のタイプ 再生医療のアプローチ 期待される効果 神経性(脊柱管狭窄症) 幹細胞などを用いて、傷ついた神経の修復や炎症の抑制 神経の伝達が改善し、しびれや違和感が軽くなる 血管性(動脈硬化) 新しい毛細血管をつくる(血管新生)よう促す治療を行う 足への血流が改善し、歩くときの違和感が緩和される可能性がある なお、再生医療は手術療法と比べ、長期の入院や感染症のリスクが少ないのがメリットです。 以下の記事では、間欠跛行と下肢(足)のしびれに悩まされていた患者様の症例を紹介しています。再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。 間欠跛行に効果的なストレッチとリハビリ方法 間欠跛行のリハビリでは、下肢や股関節まわりの柔軟性を高めるストレッチが有効です。血流が促進され、筋肉の緊張がほぐれるため、歩行時の違和感の軽減が見込めます。 ここでは、自宅で取り入れやすい4つのストレッチを紹介します。 ふくらはぎのストレッチ 太もも裏のストレッチ お尻のストレッチ 股関節のストレッチ なお、ストレッチ中にしびれや強い違和感を覚えた場合は、すぐに中止して医師に相談してください。 ふくらはぎのストレッチ ふくらはぎのストレッチは、歩行時に酷使される下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性を高め、血流を改善する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 壁から一歩分離れて立ち、両手を壁につく 伸ばしたい脚を後ろに引き、かかとを床につけたままにする 前の脚の膝を曲げながら、体を前方に倒す ふくらはぎが伸びている感覚を感じたまま、20〜30秒キープする 反対側の脚も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に、毎日続けてみてください。反動をつけず、ゆっくり伸ばすことがポイントです。 違和感や痛みが出ない範囲で行いましょう。 太もも裏のストレッチ 太もも裏のストレッチは、ハムストリング(太ももの裏側の筋肉)の柔軟性を高め、骨盤の動きをスムーズにする目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 床に座り、片脚をまっすぐ前に伸ばす もう片方の脚は楽に曲げておく 背筋を伸ばしたまま、上半身をゆっくりと前に倒す 太ももの裏が伸びている感覚を感じながら20〜30秒キープする 反対側の脚も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に実施します。背中を丸めすぎると腰に負担がかかるため、胸を張って骨盤から前に倒すイメージで行いましょう。 お尻のストレッチ お尻のストレッチは、臀部の筋肉(大殿筋・梨状筋など)をゆるめ、股関節の動きや神経の通り道への圧迫を軽減する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 仰向けに寝て、両膝を立てる 片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、数字の「4」の形を作る 両手で下側の脚の太もも裏を抱え、ゆっくり胸に引き寄せる お尻が伸びている感覚のところで20〜30秒キープする 反対側も同様に行う 左右2〜3回ずつを目安に実施してください。呼吸は止めず、ゆっくり深呼吸しながら行うと、筋肉がよりほぐれやすくなります。 股関節のストレッチ 股関節まわりのストレッチは、お尻や太ももまわりの筋肉(中殿筋・大殿筋・ハムストリング・梨状筋など)の柔軟性を高め、血行を改善する目的で行います。 実施手順は以下のとおりです。 足の裏が床にしっかりつく高さのイスに、やや浅めに腰かける 片方の足首を、反対側の膝の上にそっと乗せる 背中や腰を丸めすぎないように意識し、胸を脚へ近づけるイメージで、上半身を股関節からゆっくり前へ倒す お尻の筋肉が心地よく伸びる位置で止め、30秒〜1分キープする 上半身をゆっくり戻し、反対側の脚でも同じように行う 左右2〜3回ずつを目安に実施してください。なお、痛みで姿勢が取りにくい場合や、姿勢を取ることで症状が悪化する場合は、すぐに中止して医師にご相談ください。 間欠跛行を悪化させない歩き方や注意点 間欠跛行の症状を悪化させないためには、日常の歩き方の工夫が大切です。毎日の歩き方で意識したいポイントは、以下のとおりです。 ポイント 意識したいこと 正しい姿勢で歩く 耳・肩・かかとが一直線になるよう意識し、反り腰や猫背を避ける 小さめの歩幅で歩く 大股を避け、ゆっくりとした歩幅で腰への負担を抑える 違和感が出たらすぐ休む 我慢して歩き続けず、立ち止まる・座る・前かがみで休憩を取る また、歩き方に加えて、日常生活で気をつけたい注意点を以下にまとめましたので、毎日のセルフケアに役立ててください。 項目 内容 無理に歩きすぎない 違和感を我慢すると悪化のリスクがあるため、無理せず休憩を挟む 姿勢に注意する 神経性の場合は前かがみの姿勢が楽になることが多い 禁煙・食生活の改善 喫煙や高脂肪食は動脈硬化を進めるため、生活習慣の見直しが重要 血圧・血糖・コレステロール管理 生活習慣病のコントロールで症状の進行を抑える 適度な運動を継続する ウォーキングなど違和感が出ない範囲での運動が予防と改善につながる 足の状態を毎日チェックする 傷や潰瘍ができていないか確認し、早めに対処する 症状の変化があれば受診 一時的に良くなっても、病気が進行している可能性がある とくに、喫煙や高コレステロールは動脈硬化を進める要因となるため注意が必要です。足に傷や潰瘍がないかを毎日確認し、異常があれば早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ|間欠跛行が疑われる場合は迷わず医療機関へ 間欠跛行は「歩くとつらくなり、休むと楽になる」症状を繰り返すのが特徴で、神経性と血管性の2つのタイプがあります。軽視して放置すると、歩ける距離がどんどん短くなり、重症化すると足の潰瘍や壊死を招きかねません。 しかし、原因に合った治療を早期に始めると、歩行距離の延長や生活の質の向上が見込めます。また、保存療法や手術療法で改善が難しい場合や、手術を避けたい場合は、再生医療という第3の選択肢も検討してみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。間欠跛行でお悩みの方は、ぜひ一度ご登録ください。 間欠跛行の症状に関してよくある質問 間欠跛行は何科を受診するべき? 初期段階では原因の特定が難しいため、まずは整形外科の受診をおすすめします。腰の神経が原因の神経性間欠跛行であれば、整形外科や脳神経外科で画像検査(MRIなど)を受けられます。 なお、動脈硬化がすでに判明している場合や、足の冷感・皮膚の色の変化がある場合は、循環器内科または血管外科の受診が適しています。 間欠跛行の症状は自然に治る? 間欠跛行が自然に治るケースはほとんどありません。 原因となっている神経の圧迫や動脈硬化は時間の経過とともに進行することが多く、放置すると歩行距離がどんどん短くなります。気になる症状がある段階で、医療機関を受診しましょう。 間欠跛行になったら運動はまったくしてはいけない? 無理のない範囲であれば、適度な運動は症状改善に役立ちます。とくにウォーキングやストレッチは、血流を改善し、歩行能力の維持・向上に有効です。 ただし、違和感や痛みが出た場合はすぐに中止し、休憩を挟みましょう。運動の種類や強度は、医師や理学療法士と相談して決めると安心です。 間欠跛行の症状とがんは関係ある? 間欠跛行の主な原因は脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症であり、がんとの直接的な関係はありません。 ただし、がんが神経や血管を圧迫し、間欠跛行に似た症状が現れるケースもあります。原因がはっきりしない場合は、医療機関で精密検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) 「腰部脊柱管狭窄症」『整形外科シリーズ8』|日本整形外科学会 (文献2) 閉塞性動脈硬化症|国立循環器病研究センター
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
骨粗鬆症は治るのか、将来の健康に対して漠然とした不安を抱いていませんか。加齢とともに骨がもろくなる病気とされ「もう治らないのでは」と心配になる方も多いでしょう。 たしかに、骨粗鬆症は完治が難しい病気です。しかし、適切な治療と生活習慣の見直しによって進行を防げば、骨密度の改善や骨折のリスク軽減に期待できます。 この記事では、医師が骨粗鬆症の治療法や薬の種類、さらに食事や運動による予防法までわかりやすく解説します。 本記事を参考に「完治させる」のではなく「これ以上悪化させない」ことに目を向け、骨粗鬆症の治療や予防に前向きに取り組んでみましょう。 骨粗鬆症の完治は難しいが進行を抑えることは可能 骨粗鬆症の治療目的は、完治ではなく、進行を抑えて骨折を防ぐことです。(文献1) 骨は常に「骨吸収(骨を壊す)」と「骨形成(骨を作る)」を繰り返しています。(文献2)加齢やホルモンバランスの変化で骨を作り変えるリズムが崩れると、骨吸収が優位になり、骨密度が低下していきます。これが骨粗鬆症の本質です。 現在の医学では、一度減少した骨密度を完全に若年時の状態に戻すことは困難です。しかし、薬物療法や食生活・運動習慣の改善を継続すると、骨量の減少を抑えたり、骨密度を高めたりすることも可能です。 骨折リスクを減らして健康寿命を延ばすには、骨粗鬆症の完治を目指すよりも、進行を抑えることが大切です。早期から治療と予防に取り組み、骨の健康を守りましょう。 なお、骨粗鬆症の進行を防ぐには、原因を理解しておくことも重要です。原因については、以下の記事にて詳しく解説しています。気になる方は、あわせて参考にしてください。 骨粗鬆症の進行を防ぐ方法 食事や運動により、骨粗鬆症の進行を防ぐ方法として以下の2つがあります。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、日々の食事や運動が進行防止に大切です。ぜひ本章を参考に、生活習慣を見直してみてください。 カルシウムやビタミンDなど骨を強くする栄養素を摂る 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨の材料となる栄養素を意識的に摂取しましょう。 中でもカルシウム・ビタミンD・ビタミンK・たんぱく質は、骨の形成や維持に欠かせません。骨に必要な栄養素が豊富に含まれている食材として、以下のようなものがあります。 栄養素 食材例 カルシウム 牛乳 えび ビタミンD 鮭 きくらげ ビタミンK ほうれん草 納豆 たんぱく質 卵 豚肉 これらの栄養素を含む食材を、毎日の食事にバランスよく取り入れることが理想です。急に食生活を変えるのが難しい場合は、納豆や牛乳など取り入れやすい1品から始めてみると良いでしょう。 かかと落としやウオーキングで骨に刺激を与える 骨粗鬆症の進行を防ぐには、骨に刺激を与える運動を日常に取り入れることが有効です。 運動で骨に適度な刺激が加わると、骨の形成が促され、骨密度の維持や向上につながります。実際に、50代男性に片脚ジャンプを1年間続けてもらったところ、大腿骨の骨密度が上昇したとの研究結果もあります。(文献3) ただし、骨折の経験がある方や高齢者の場合、無理をせずに医師や理学療法士の指導のもとで安全に行うことが大切です。日常生活に無理のない範囲で、継続しやすい運動を取り入れていきましょう。 骨粗鬆症の治療薬について 病院では、骨粗鬆症の進行を抑える薬を使った治療が一般的に行われています。本章では、病院で用いられる主な治療薬の種類と副作用について詳しく解説します。 納得して治療に取り組むためにも、薬の種類や副作用を知っておきましょう。 薬の種類 骨粗鬆症の治療薬は、大きく分けると「骨の吸収を抑える薬」と「骨代謝を調節する薬」の2種類です。また、骨の代謝バランスを整え、穏やかに両方の作用を助けるものもあります。 それぞれの薬は、患者の年齢や骨折歴、骨密度などをもとに、治療の目的に合わせて選択されます。 代表的な薬は以下の通りです。 薬の種類 代表例 骨の吸収を抑える アレンドロン酸(フォサマック®) デノスマブ(プラリア®) 骨を作る力を促す テリパラチド(フォルテオ®) 骨の代謝を調節する エルデカルシトール(エディロール®) 薬によっては、注射薬や週1回、月1回などの服用で済むものもあり、ライフスタイルに合わせて治療薬を選択できます。どの薬が適しているかは個人によって異なるため、定期的に検査を受け、医師と相談しながら治療を続けましょう。 薬の副作用 骨粗鬆症の薬は副作用リスクもあるため、医師の指導を受けながら正しく使用しましょう。 たとえば、ビスホスホネート系のような骨吸収抑制薬では、まれに「あごの骨に異常をきたす(顎骨壊死・がっこつえし)」の副作用が報告されています。(文献1)そのため、歯科治療を受ける際は、事前に歯科医と連携することが推奨されます。また、内服薬では胃もたれや吐き気などの消化器症状が出ることもあるため、服用方法や体調の変化には注意が必要です。 副作用は必ず起こるものではありませんが、適切に対策を取ることで症状の軽減や予防が可能です。副作用が疑われる場合でも、自己判断で薬を中止するとかえって悪化するおそれがあるため、必ず医師の指示を仰いでください。 なお、骨粗鬆症は薬だけに頼るのではなく、食事や運動といった生活習慣の見直しも予防に役立ちます。詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 治療薬にかかる値段の目安 骨粗鬆症の薬には保険が適用されており、多くの場合自己負担は3割です。ただし、薬の種類や投与方法によって費用は異なるため、治療を継続するには経済面の確認も大切です。 たとえば、6カ月に1回の注射薬「デノスマブ(プラリア®)」は、3割負担の場合自己負担額が1回あたり5,000~8,000円程度かかります。 さらに毎日服用が必要な薬でも、月に数千円以上の医療費がかかるケースは珍しくありません。このように、骨粗鬆症の治療には一定の費用がかかるため、経済的な負担を感じる方も多いでしょう。 負担が大きい場合、一定の条件を満たすと「高額療養費制度」という一定金額以上の自己負担額が払い戻される制度を利用できる場合があります。(文献4)費用に不安がある方は、こうした制度を活用すると経済的負担を軽減できるでしょう。 骨粗鬆症は完治を目指すよりも進行を防ぐことが大切 骨粗鬆症の治療目的は完治ではなく、進行を抑えて骨折リスクを減らし、健康寿命をのばすことです。 薬の服用に加え、食事や運動の改善を組み合わせると骨の健康にも良いでしょう。ぜひ本記事を参考に、骨粗鬆症の進行予防に取り組んでみてください。 なお、薬や生活習慣の改善に加え、運動機能の維持も骨粗鬆症対策の一環として重要です。とくに膝や股関節に痛みを抱える方は、日常の運動が制限されてしまうこともあります。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みや半月板損傷などの運動器疾患に対して比較的新しい治療法「再生医療」をご提案しています。「痛みの少ない治療を検討したい」「手術以外の方法を探している」という方は、ぜひメール相談やオンラインカウンセリングをご利用ください。 骨粗鬆症についてよくある質問 骨粗鬆症はいつまで治療を続ける必要があるの? 骨粗鬆症の治療は長期間に及ぶことが多く、医師の判断に基づいて継続の可否を決めることが大切です。 治療により一時的に骨密度が改善しても、薬の中断により再び骨密度が低下し、骨折リスクが高まる可能性があります。 実際にデノスマブ(プラリア®)による治療を中断した後、急激な骨密度の減少と骨折の発生件数が増えたとの報告もありました。(文献3) 「薬はいつまで続ければ良いのか」と不安になった場合は、自己判断で中断はせず、必ず主治医と相談して今後の治療計画を立てましょう。 骨粗鬆症になったら避けるべきことは? 骨粗鬆症の進行を防ぐには、日常生活での悪習慣を見直すことが重要です。とくに喫煙・過度の飲酒・運動不足は、骨の形成や維持に悪影響を及ぼすリスクがあります。以下に、それぞれの習慣が骨に与える具体的な影響をまとめました。(文献1) 避けるべき生活習慣 骨に与える悪影響 喫煙 骨の材料であるカルシウムの吸収を阻害したり、尿への排出を促したりする 過度の飲酒 カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる 運動不足 骨への刺激が減り、骨の強度が弱くなる まずは「禁煙に挑戦する」「お酒の量を1日1杯までに抑える」「週2回は軽い運動をする」など、無理のない範囲で行動を変えることから始めましょう。 骨粗鬆症の薬には後遺症がありますか? 骨粗鬆症治療薬によって後遺症のような障害が残るケースはごくまれですが、なかには注意すべき副作用も存在します。代表的な例として、以下のようなものが報告されています。 薬の成分の例 重篤な副作用の例 アレンドロン酸(ビスホスホネート系) 顎骨壊死(文献4) デノスマブ 低カルシウム血症(文献5) テリパラチド 骨肉腫(文献6) 定期的な血液検査や歯科受診などにより、重篤な副作用は予防・早期発見が可能です。気になることがある場合は、医師に相談し、治療内容に納得した上で進めていきましょう。 参考文献 文献1 日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」2015年,http://www.josteo.com/data/publications/guideline/2015_01.pdf 文献2 川口浩.「骨粗鬆症の基礎と最近の話題」『脊髄外科』29巻(3号), p.259-p.266, 2015年,https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/29/3/29_259/_pdf 文献3 藤田 博曉.「骨粗鬆症に対する運動療法」『日本内科学会雑誌』111巻(4号), p765-p771, 2022年.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/4/111_765/_pdf 文献4 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ベネット錠2.5mg 添付文書」2024年3月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400256_3999019F1034_1_29 文献5 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プラリア皮下注60mgシリンジ 添付文書」2023年11月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/430574_3999435G1023_1_15 文献6 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「フォルテオ皮下注キット600μg 添付文書」2022年10月改訂https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530471_2439400G1020_1_18
2025.05.30 -
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骨粗鬆症の予防・改善には、年齢を重ねても無理なく続けられる運動習慣を身につけることが重要です。 運動によって骨に適度な刺激が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、骨密度の低下を抑制しやすくなります。 ただし、骨粗鬆症を抱える高齢者は、転倒や骨折のリスクに注意が必要です。 本記事では、骨粗鬆症に対する運動の効果的な仕組みと具体的な実践メニューに加え、高齢者が注意すべきポイントや、食生活との組み合わせ方も解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、運動の妨げになる関節リウマチなどの治療にも用いられている、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 なぜ運動が骨粗鬆症の予防・改善に効果があるのか 骨粗鬆症の予防や進行の抑制には、日常的な運動が重要です。 人間の骨は常に「骨代謝」という仕組みによって古い骨が壊され、新しい骨がつくられる過程を繰り返しています。 骨代謝を促進する方法のひとつが、運動による刺激です。 運動によって骨に適度な負荷が加わると、骨をつくる細胞が活性化し、新しい骨の形成が促されます。 たとえば、片足立ちのようなバランス運動や足腰の筋力を鍛えるトレーニングを取り入れると、転倒のリスクを減らし、歩行の安定性を高めることが可能です。 加えて、骨粗鬆症の主な原因を正しく理解し、なぜ運動が必要なのかに納得できれば、予防行動を長く続けるための意識づけにもつながります。 骨粗鬆症の原因や予防策については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。 骨粗鬆症におすすめの運動法|今すぐできる具体例を紹介 骨粗鬆症対策として推奨される運動には、次の4種類があります。 かかと落とし ウォーキング 下半身の筋力トレーニング バランス運動 いずれも骨に適度な刺激を与えることで、骨密度の低下を抑える効果が期待できます。 また、筋力やバランス感覚の維持にもつながり、結果的に転倒や骨折のリスクを軽減できるので、自分の体力や生活スタイルに合わせて少しずつ取り入れてみてください。 かかと落とし かかと落としは、床にかかとを落とす際の軽い衝撃が骨に適度な刺激を与え、太ももの骨を強くする効果が期待できる運動です。(文献1) 以下のように特別な器具は必要なく、自宅でテレビを見ながらでも行えるため手軽に始められます。 やり方は次の通りです。 1.壁や椅子に手を添えて、足を肩幅に開く 2.ゆっくりとつま先立ちになる 3.ストンと音を立てるように、かかとを床に落とす 転倒が心配な場合は、手すりや壁に手を添えて行いましょう。 1日10〜20回を3セット行うのが理想ですが、最初は無理せず少ない回数から始めてください。 慣れてきたら、徐々に回数を増やすと継続しやすくなります。 ウォーキング ウォーキングは、骨に適度な負荷を与えながら全身の健康維持にもつながります。 日常生活の中で通勤や買い物のついでに取り入れられるため、習慣化しやすい手軽さが魅力です。 歩行中にかかる骨への刺激が骨密度の維持や向上を促し、下半身の筋力アップにも貢献します。 その結果、転倒による骨折のリスクを抑える効果も期待できるので、以下のポイントを意識しながら実践しましょう。 背筋をしっかり伸ばす 歩幅を大きくとる 腕をしっかり振る いつもより少し速いペースで歩く 1日30分を週に3〜5回行うのが目安です。 最初は短時間から始め、少しずつ歩く時間を増やすと無理なく継続できます。 下半身の筋トレ 下半身を鍛える筋力トレーニングは、骨に適度な刺激を与えられるため、骨粗鬆症の予防に役立ちます。 筋力を高めることで転倒リスクが下がり、骨折の防止につながるのもメリットです。 高齢者の場合、筋肉量の低下が骨折の要因となるため、以下のような下半身の筋トレを行いましょう。 スクワット 膝の屈伸運動で、太もも全体を鍛える筋トレです。 1.足を肩幅に広げて立ち、安定した姿勢をとります。 2.お尻を後ろに引くことを意識しながら、2~3秒かけてゆっくりと膝を曲げます。 3.同じく2~3秒かけて、膝を伸ばしてゆっくり元の姿勢に戻ります。 カーフレイズ つま先立ちを繰り返して、ふくらはぎを鍛える筋トレです。 1.安定した椅子に座り、膝を曲げた姿勢をとります。 2.足裏を床につけたままつま先で床を押しながら、かかとを持ち上げます。 3.かかとを持ち上げたあと、ゆっくりかかとを下ろしていき、スタート時の姿勢に戻します。 4.同じ動作を10~20回繰り返します。 バランス運動 体のバランスを保つ力を鍛えることで、体幹が安定し、歩行中のふらつきを抑えられます。 体のバランス力を高めると日常生活で転びにくくなるため、とくに骨粗鬆症の方にとっては重要な対策のひとつです。 骨粗鬆症は骨がもろくなるため、わずかな転倒でも骨折のリスクが高まります。 バランス感覚を養い、転倒を未然に防ぎましょう。 自宅で手軽に取り組めるバランス運動として、以下のような方法があります。 バランス運動の例 具体的な方法 片足立ち 壁や椅子に軽く手を添え、片足を上げて数秒間キープする 体重移動 足を肩幅に開き、ゆっくりと左右に体重を移動させる 上体ひねり運動 椅子に浅く腰掛け、両手を広げてゆっくりと上体を左右にひねる こうした運動を続けて平衡感覚が養われると、転倒への不安を減らせます。無理のない範囲で、こまめに取り組んでみてください。 ダンベルなど器具を使った筋トレ ダンベルを使った筋力トレーニングは、骨に適度な負荷をかけることで骨形成を促し、骨粗鬆症の予防に効果がある運動のひとつです。 重いダンベルを使う必要はなく、1〜2kg程度の軽い重量でも回数を重ねることで、骨密度の維持・向上が期待できます。 また、ダンベルの代わりに、水を入れたペットボトルでも代用可能です。 自宅でも手軽に始められるので、有酸素運動と組み合わせて行うと骨への刺激も増大し、予防効果がさらに高まります。 骨粗鬆症の高齢者が運動する際の注意点 骨粗鬆症の方が運動をする際の注意点は、以下の4つです。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 痛みや違和感が出たらすぐに中止する 症状に不安がある場合は事前に医師へ相談する 骨粗鬆症の方は、転倒や骨折のリスクを避けるためにも、安全な運動を心がけることが大切です。 以下で詳しく解説します。 急激な動作や転倒リスクの高い運動は避ける 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であり、わずかな衝撃でも骨折につながる恐れがあります。 さらに、バランス能力が低下していると、転倒による大腿骨や背骨の骨折リスクがより高まるため注意が必要です。 次のような運動や動作は避けてください。 急な方向転換やひねりを伴うスポーツ 前かがみや強いひねりを加える体勢 重すぎるダンベルを使った無理な筋トレ 少しでも不安がある場合は医師や理学療法士に相談し、自分に合った安全な運動プランを立てましょう。 運動のしすぎと誤ったフォームは避ける 骨粗鬆症予防に運動は効果的ですが、やり方を誤ると逆に体を痛めてしまいます。 とくに高齢者は、筋力や柔軟性の低下により、正しい姿勢を保つのが難しくなる傾向があります。 以下のようなケースに注意してください。 長時間の歩行で膝を痛めるケース 背中を丸めた姿勢でウォーキングして腰を痛めるケース 無理な回数のスクワットで膝に過剰な負担がかかるケース 大切なのは、量より質です。 運動回数や時間にこだわらず、自分の体力や体調に合わせて無理なく続けていきましょう。 痛みや違和感が出たときは中止する 運動中に膝や腰などに痛みや違和感を覚えた場合は、直ちに中止してください。 骨粗鬆症は骨がもろくなっている状態であるため、軽い痛みであっても骨や関節の損傷、または骨折・捻挫の兆候かもしれません。 筋肉痛のようなごく軽い違和感であれば問題ありませんが、鋭い痛みや数日続く痛みがある場合は要注意です。 無理せず休養を取り、必要に応じて整形外科で診察を受けましょう。 症状に不安がある場合は医師に相談する 運動は骨粗鬆症の予防や改善に有効ですが、骨の状態や体力には個人差があります。 すべての人に同じ運動が適しているわけではありません。 無理に運動を行うと、かえって骨や関節を痛める原因になります。 少しでも不安がある場合は、運動を始める前に医師に相談しておくと安心です。 とくに、次のような方は医師や理学療法士への相談を強くおすすめします。 過去に骨折を経験したことがある 歩くときにふらつきやすい 心臓病や糖尿病などの持病がある 上記に該当する方は、思わぬけがや病状の悪化を防ぐためにも、必ず専門家の指導を受けながら運動を行ってください。 骨粗鬆症対策では安全を最優先し、自分に合った運動を無理なく継続することが大切です。 骨粗鬆症の予防・改善は運動と食習慣の組み合わせが大切 骨粗鬆症の予防や改善には、運動だけでなく食習慣の見直しも欠かせません。 丈夫な骨をつくるには、カルシウムとビタミンDが必要です。 栄養バランスの良い食事を摂ることで、体内でのカルシウムの吸収や利用効率が高まります。 骨粗鬆症の予防・改善には、とくに以下の食品を日々の食事に取り入れましょう。 <カルシウムが豊富な食品> 牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品 小魚・豆腐・納豆・青菜・海藻類など <ビタミンDが豊富な食品> サケ・サンマ・イワシなどの魚 しいたけ・まいたけなどのキノコ類 さまざまな食材を組み合わせながら、1日3食を規則正しく、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。 加えて、日光に当たる機会を増やすと、体内でのビタミンD合成も促進されます。 また、喫煙は骨密度の低下を早める要因ですので、骨の健康を守るためにも禁煙しましょう。 以下の記事では、薬を飲まずに骨粗鬆症を予防する方法を解説しています。あわせてご覧ください。 骨粗鬆症を合併しやすいリウマチなどは治療を優先|再生医療も選択肢 関節リウマチなどの疾患を抱えている方は、炎症や治療薬の影響、運動不足などにより骨粗鬆症を合併しやすいことが知られています。 しかし、関節の炎症や痛みが強い場合は、無理に運動を続けるよりも原因となる疾患の治療を優先することが大切です。 関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし、進行すると関節の破壊や変形につながる疾患です。 痛みが強い時期は安静を保ちつつ、医師の管理下で治療を進めていきます。 炎症や痛みを抑えて寛解(日常生活に支障のない状態)を目指す薬物療法を基本に、症状や関節の状態に応じてリハビリテーションや手術療法が選択されます。 また、幹細胞治療やPRP療法などの再生医療も選択肢のひとつです。 再生医療には、自身の脂肪から採取した幹細胞を培養して点滴や注射で投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板を濃縮して患部に注入する「PRP療法」があります。 いずれも自身の細胞や血液を利用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが低いのが特徴です。また、入院や手術を必要とせず、日帰りで受けられます。 以下の記事では、関節リウマチの治療に再生医療を活用した症例を紹介していますので、参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症予防のためにも今日から運動を始めてみよう! 骨粗鬆症の進行を抑えるためには、日常生活に適度な運動を取り入れることが重要です。 骨に適切な刺激を与えると骨密度の維持が促され、筋力やバランス感覚の向上によって転倒リスクも軽減できます。ウォーキングや軽い筋トレなど、できることから少しずつ始めてみてください。 ただし、骨粗鬆症の方は関節や筋肉の機能が低下しており、運動によって膝や股関節に痛みが出る場合があります。 状態によっては手術が必要となるケースもありますが、外科的な治療に抵抗がある方には手術の必要がない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。移動機能に不安がある方は、ぜひお気軽に公式LINEをご利用ください。 骨粗鬆症の運動に関してよくある質問 骨粗鬆症の運動での禁忌事項は? 骨粗鬆症の方が運動する際は、骨折を防ぐための転倒予防が重要です。 運動の効果を最大限に引き出すためにも、以下の点に注意しましょう。 段差のある場所では運動しない 暗くて足元が見えにくい場所は避ける 床に物が散らばっていないか確認する 電源コードやマットの端などに、引っかかるものがないか点検する 上記のポイントを意識するだけで、自宅での運動による転倒リスクを大幅に減らせます。 骨粗鬆症の運動に役立つ厚生労働省のサイトを教えて 厚生労働省が運営する「健康日本21アクション支援システム」は、骨粗鬆症の運動や予防に関する情報を探す際に役立ちます。(文献3) 生活習慣病全般に関する情報とあわせて、健康づくりに関連するツールなどを体系的に網羅しているのが特徴です。 基礎知識から実践方法まで、信頼できる内容を効率よく確認できます。 骨粗鬆症の予防・改善にはどのくらいのペースで運動すればいい? 骨粗鬆症の予防・改善には、週に2〜3回の運動が効果的です。(文献4) 定期的な運動によって骨に適度な刺激が加わり、骨密度や骨質の向上が期待できます。 ただし、運動の頻度が少なすぎると、十分な効果が得られません。 一方で、過剰な運動は疲労やけがの原因となるため、無理のないペースで継続することが重要です。 骨粗鬆症と運動のエビデンスとなる論文はある? 骨粗鬆症と運動の関係については、日本内科学会雑誌に掲載された論文「骨粗鬆症に対する運動療法」で詳しく解説されています。 たとえば、55〜74歳の男女を対象に、週2〜3回の筋力トレーニングを40週間継続した研究では、大腿骨近位部および腰椎の骨密度が上昇したことが報告されています。(文献2) 骨におすすめの食べ物や飲み物は? 骨を強く保つには、以下のようなカルシウム・ビタミンD・ビタミンKが含まれた食材の摂取がおすすめです。 栄養素 働き 主な食材例(文献7) カルシウム 骨量を維持する 魚介類(えびやかに)、牛乳など ビタミンD カルシウムの吸収を補助する キノコ類(きくらげ)、魚介類(かつおやいわし)など ビタミンK 骨代謝のバランスを整える 緑茶類、藻類(わかめやのり)など 毎日の食事で不足しがちな栄養素を意識的に摂取すると、運動との組み合わせで骨の健康維持効果が期待できます。 ただし、カルシウムやビタミンDに関しては過剰症も報告されているため、摂りすぎには注意しましょう。(文献5) かかと落としの効果が出るまでどのくらいかかりますか? かかと落としによる骨粗鬆症予防の効果を実感するためには、ある程度の継続期間が必要です。 骨は常に作り替えられていますが、同じ部位が再び新しくなるまでには1〜4年かかるとされています。 そのため、運動の効果が骨密度に反映されるまでには時間が必要です。(文献6) 短期間で効果を求めるのではなく、日常の中に取り入れて長く続けることが大切です。 骨粗鬆症の予防を目的として運動するなら焦らず、コツコツと習慣にする意識を持ちましょう。 骨密度が高い人の特徴はなんですか? 骨密度を高く保っている人には、以下のような共通する生活習慣があります。 日常的に体を動かす習慣がある カルシウムやビタミンDを意識的に摂取している 栄養バランスのとれた食事を心がけている 階段を利用するなど、日常で自然に身体を動かしている 骨密度は、一般的に20〜30代で最も高くなり、その後は加齢に伴って少しずつ減少していきます。(文献4) 老後を健やかに過ごすためにも、できるだけ早い段階から骨の健康を意識した生活を始めましょう。 参考文献 (文献1) かかと落とし運動で骨密度をあげよう!|やら整形外科 (文献2) 骨粗鬆症に対する運動療法|『日本内科学会雑誌 (文献3) 健康日本21アクション支援システム|厚生労働省 (文献4) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版|日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団 (文献5) 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」|厚生労働省 (文献6) 健康寿命を延ばすためには『骨』にも目を向けて!|東邦大学医療センター (文献7) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
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加齢とともに骨密度は徐々に低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。 丈夫な骨を保つためには、食事を見直してさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 本記事では、骨の健康をサポートするおすすめの食材や栄養素、食べ合わせの工夫、避けたい食品の注意点などをわかりやすく解説します。 さらに、毎日の食事に取り入れやすいレシピも紹介していますので、骨粗鬆症が気になる方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ物 骨を丈夫に保つには、特定の栄養だけでなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。 ここでは、なかでも骨粗鬆症予防に効果が期待できる食べ物をご紹介します。 牛乳・乳製品|カルシウムが豊富で骨を強くする カルシウムは、骨や歯の主成分として欠かせない栄養素であり、筋肉の収縮や神経の伝達にも重要な役割を果たしています。 カルシウムが不足すると、骨が弱くなりやすく、将来的に骨粗鬆症のリスクが高まるため、日々の食事で意識して摂取することが大切です。 たとえば、コップ1杯(200g)の牛乳には約220mgのカルシウムが含まれており、成人が1日に必要とするカルシウム量の約3分の1に相当します。(文献1) さらに、チーズやヨーグルトといった乳製品を組み合わせれば、より手軽にカルシウムを補うことが可能です。 骨の健康を守る第一歩として、毎日の習慣にコップ1杯の牛乳を取り入れることから始めてみましょう。 骨を強くする食べ物については、以下の記事でも詳しく解説しています。 肉・魚|たんぱく質がコラーゲンの材料になる 肉や魚などのたんぱく質を意識して摂取すると、骨粗鬆症の予防や治療に役立ちます。 骨はカルシウムとコラーゲンで構成されており、コラーゲンの材料になるのがたんぱく質です。 骨にあるコラーゲンは、鉄筋コンクリートの鉄筋のような役割を果たし、骨の強さを支える土台になります。 たんぱく質が不足すると、コラーゲンが十分に作られず骨がもろくなりやすいため要注意です。 また、たんぱく質は骨だけでなく筋肉の材料にもなり、転びにくい体作りにもつながります。 毎日の食事で肉や魚からたんぱく質を取り入れて、骨粗鬆症対策に活かしていきましょう。 干ししいたけ・魚の干物|ビタミンDがカルシウムとリンの吸収を促進 干ししいたけや魚の干物を食事に取り入れると、骨粗鬆症対策に重要なビタミンDを補給できます。 ビタミンDは、腸や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進する働きを持ち、血液中のカルシウム維持に関わる栄養素です。 たとえば、以下のような食材に多く含まれています。 イワシの丸干し サンマ カレイ シラス干し 干ししいたけ ビタミンDが不足すると腸からのカルシウムの吸収が少なくなり、低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低下した状態)になりやすくなります。 低カルシウム血症になると骨からカルシウムが溶け出し、骨が弱くなっていくため注意しなければなりません。 干ししいたけや魚の干物を摂取し、ビタミンDを意識した食生活を心がけましょう。 野菜|ビタミンKで骨にカルシウムを定着 カルシウムを十分に摂取していても、骨にしっかりと沈着しなければ骨は強くなりません。 ビタミンKには、カルシウムが骨に取り込まれるのを促進する働きがあり、骨粗鬆症の予防薬としても利用されています。 ビタミンKを多く含む食品には、緑色の葉野菜である小松菜やほうれん草、納豆などがあり、おひたし、みそ汁や炒め物など、日常の食事で無理なく取り入れられます。 毎日の食事に少しずつでも野菜を取り入れて、健康な骨づくりを目指しましょう。 大豆製品|イソフラボンが閉経後の女性に必要 大豆に含まれているイソフラボンには、女性ホルモンに似た作用があります。 女性ホルモンは骨密度の維持に関与しており、閉経後に分泌が減少すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。 イソフラボンは、骨密度の低下を緩やかにする効果が期待できるため、とくに中高年の女性は意識的に摂取したい成分です。 たとえば、味噌汁や納豆など、身近な和食を中心としたメニューを取り入れて、骨を強く保つ食生活を実践していきましょう。 海藻類・アーモンド|マグネシウムが不足すると骨が弱くなる 人の体内には約25gのマグネシウムが存在し、そのうちの50〜60%は骨に含まれています。(文献2) 食事からの摂取が不足すると、骨の中のマグネシウムが溶け出して補う仕組みになっており、この状態が続くと骨の強度が低下しやすくなるため注意が必要です。 マグネシウムは、以下のような食材に多く含まれています。 あおさやあおのり、わかめなど海藻類 米ぬか バジル 純ココア アーモンド これらの食材を毎日の食事に取り入れて、骨の健康を支える土台を整えていきましょう。 【過剰摂取に注意】骨粗鬆症で食べてはいけないもの 食品によっては、カルシウムの吸収を妨げたり、カルシウムの排泄を促進したりする場合があります。 ここでは、骨の健康を守るために、摂取を控えた方が良い食品を見ていきましょう。 インスタント食品や加工食品|塩分が多い食べ物 一般的に、インスタントラーメンやスナック菓子、加工食品などには多くの塩分が含まれているのが特徴です。 塩分を過剰に摂取すると、体内でナトリウムと一緒にカルシウムが尿へ排泄されやすくなり、結果として骨からカルシウムが失われてしまいます。 このような状態が続くと、骨密度の低下につながる恐れがあるため、日常的に塩分の摂取量を意識することが大切です。 加えて、調味料の使い方を見直すなどして、日々の食事で塩分を摂り過ぎないように意識しましょう。 コーヒーや紅茶|カフェインを含む飲み物 コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインを摂取すると、カルシウムの吸収が若干低下するとされています。(文献3) カフェインには、腸からのカルシウム吸収を妨げたり、体外へのカルシウム排出を促したりする作用があるため、過剰に摂取すると体内のカルシウムが不足しやすくなるのです。 具体的に「1日何杯までが適量か」という明確な基準は示されていませんが、1日5杯以上のコーヒーを飲むと骨に影響を及ぼすといわれています。(文献4) 骨の健康を守るためには、飲みすぎを避けて適量を心がけることが大切です。 炭酸飲料|リンを多く含む飲み物 炭酸飲料(ソフトドリンク)の過剰摂取が、骨密度を低下させることが報告されています。(文献5) 炭酸飲料はリン酸やカフェインの含量が高く、カルシウムの吸収を妨げる可能性があるのです。 とくに、成長期の子どもや高齢者にとっては、骨の形成や維持に悪影響を及ぼしかねません。 飲みすぎには注意し、牛乳などのカルシウムを豊富に含む飲み物を積極的に摂取しましょう。 お酒|アルコールは骨を作る細胞を破壊 お酒の飲みすぎは、骨粗鬆症のリスクを高める要因となります。 アルコールは、骨を形成する骨芽細胞を傷つけたり、体内の酸化ストレスを増加させたりすることで、骨の新陳代謝に悪影響を与えます。 その結果、骨の形成が抑制され、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、大量の飲酒は骨密度の減少を招き、骨粗鬆症や骨折のリスクを高めるため、日常的に飲酒する人や一度に多量のアルコールを摂取する人は注意が必要です。 厚生労働省では、女性の適切な飲酒量を純アルコール量で1日約20gまでと示しており、これはビール500mlまたは日本酒1合に相当します。(文献6) 骨の健康を守るためにも飲酒習慣を見直し、過度な摂取を避けるよう心がけましょう。 骨粗鬆症の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。 骨粗鬆症に必要な栄養素一覧 骨の健康を守るには、摂取すべき栄養がどれくらい必要なのかを把握しておくことも重要です。 次の表では、60代女性に必要な摂取量と実際の平均摂取量を比べています。(文献2)(文献3)(文献7)(文献8) <骨粗鬆症予防で大切な栄養素の目標量と平均摂取量> 栄養素 推奨量・目安量 平均摂取量(60代女性) カルシウム 650mg/日 476mg/日 ビタミンD 9.0μg/日(目安量) 6.6μg/日 ビタミンK 150μg/日(目安量) 236μg/日 たんぱく質 50g/日 68.3g/日 マグネシウム 280~290mg/日 235mg/日 ビタミンKやたんぱく質が足りている一方で、ビタミンDやカルシウム、マグネシウムは不足しがちなことがわかります。 日々の食事では、これらの不足しがちな栄養素を積極的に摂取しましょう。 骨粗鬆症予防におすすめの食べ合わせ5選 ここでは、毎日の食事に取り入れやすい、骨粗鬆症予防に効果的な食べ合わせをご紹介します。 骨を健康な状態に保つためにも、ぜひ参考にしてみてください。 ヨーグルト × きな粉 ヨーグルトにきな粉を加えるだけで、骨の健康に役立つ栄養素を効率よく摂取できます。 ヨーグルトにはカルシウムとたんぱく質が、きな粉にはイソフラボンと植物性たんぱく質が含まれており、組み合わせると骨の形成や維持に必要な栄養素を一度に補うことが可能です。 また、ヨーグルトの乳酸菌と食物繊維を含むきな粉の組み合わせは、腸内環境の改善にも役立ちます。 骨の健康だけでなく、腸内環境も整えたい方にとっても相性の良い食べ方で、朝食や間食として取り入れやすく、日常的に続けやすいのもおすすめポイントです。 なお、きな粉はそのままだとむせやすいため、ヨーグルトとよく混ぜてから食べるようにすると、高齢者の方でも安心して摂取できます。 納豆 × 小松菜 × 味噌汁 納豆には、たんぱく質やイソフラボン、ビタミンKが豊富に含まれており、小松菜にもビタミンKやカルシウムが多く含まれています。 味噌汁の具にすることで、骨の形成や維持に必要な栄養素をバランスよく補えるのがおすすめポイントです。 納豆はご飯にかけるだけでなく、味噌汁の具として活用したり、ゆでた小松菜などの葉物野菜と和えたりと、さまざまな食べ方で楽しめます。 身近な食材を上手に活用して、毎日の食事に取り入れていきましょう。 鮭 × 干ししいたけ × オリーブオイル 鮭と干ししいたけには、脂溶性であるビタミンDが豊富に含まれており、オリーブオイルと一緒に調理することで吸収率が高まります。 とくに、干ししいたけは、調理前に30分ほど日光に当てるとビタミンDの量が増加するため、日干ししてから使うのがおすすめです。 また、炒め物やホイル焼きなどにすると、おいしく味わいながら手軽に栄養を補えます。 豆腐 × ひじき 豆腐とひじきを組み合わせると、マグネシウム、カルシウム、たんぱく質、イソフラボンなど、骨の形成や維持に欠かせない栄養素をまとめて摂取できます。 白和えや煮物として調理すれば、日々の副菜として食卓に取り入れやすく、栄養バランスを整えるのにもおすすめです。 チーズ × ブロッコリー × 卵 カルシウムとビタミンK、たんぱく質が一皿で摂れる、骨の健康に理想的なおすすめの組み合わせです。 たとえば、チーズ入りのオムレツにブロッコリーを添えるだけで、見た目にも彩りが良く、食欲をそそる一品になります。 簡単に作れるので、朝食や昼食にも取り入れやすいでしょう。 骨粗鬆症におすすめの食べ物を使ったレシピ 骨の健康をサポートする、おすすめレシピの簡単な作り方を紹介します。 手軽に作れる料理ばかりなので、日々の食事にぜひ取り入れてみてください。 白身魚の南部揚げ 白身魚とごまを組み合わせた主菜です。 骨粗鬆症予防には毎日カルシウムを摂ることが大切であり、ごまなどカルシウムを多く含む素材を料理に取り入れると、無理なくカルシウムを補えます。 1.白身魚の骨を取り除き、食べやすい大きさに切る。 2.白身魚の水気をふき取り、薄力粉を薄くまぶす。 3.卵白を溶きほぐし、黒ごまと白ごまを混ぜて衣を用意する。 4.白身魚を卵白にくぐらせ、ごまを全体にしっかりとつける。 5.170度程度の油で、白身魚の両面が色よく揚がるまで揚げる。 6.器に盛りつけ、好みの野菜とともに仕上げる。 ひじき入り肉団子と小松菜のうま煮 ひじきと小松菜を使った煮物です。 海藻類や野菜、肉類を組み合わせており、カルシウムを中心とした栄養素を補給できます。 1.乾燥ひじきを水で戻し、食べやすい長さに切る。 2.小松菜を洗い、茎と葉に分けてから食べやすい長さに切る。 3.鶏ひき肉に塩や調味料を加え、ひじきも混ぜて肉だねをつくる。 4.肉だねを丸めて肉団子を作り、鍋にだしと調味料を入れて煮立てる。 5.肉団子を鍋に加え、火が通るまで煮る。 6.小松菜やほかの具材を加え、全体に味がなじむまで煮詰める。 茹で野菜のヨーグルトソース 水切りヨーグルトを使った、野菜を食べる副菜です。 野菜とともに、ヨーグルト由来のカルシウムを摂りやすく工夫しています。 1.プレーンヨーグルトをあらかじめ水切りしておく。 2.ブロッコリーやかぼちゃ、さやいんげんなどの野菜を一口大に切る。 3.野菜を下茹でし、冷ましておく。 4.水切りヨーグルトにマヨネーズや調味料を加え、ソースを作る。 5.皿に茹で野菜を盛りつけ、ヨーグルトソースをかける。 まとめ|骨粗鬆症におすすめの食べ物でしっかり予防しよう 加齢に伴い、カルシウムやたんぱく質などの栄養素が不足しやすくなり、骨がもろくなりやすくなります。 骨粗鬆症を予防するためには、毎日の食事を通じて必要な栄養をしっかり補うのが基本です。 カルシウムやビタミンDをはじめ、骨を支える栄養素を意識的に摂取することで、将来の骨折リスクを軽減できます。 本記事でご紹介したおすすめレシピや食材の組み合わせを参考にしながら、骨の健康を守っていきましょう。 また、骨の状態に不安がある場合には、早めに医師へ相談することも大切です。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の食事に関するよくある質問 骨粗鬆症におすすめの飲み物はありますか? 牛乳や豆乳は、骨粗鬆症対策として取り入れたいおすすめの飲み物です。 カルシウムやたんぱく質が豊富に含まれており、骨の形成や維持に役立ちます。 とくに、豆乳には大豆由来のイソフラボンも含み、骨密度の低下が気になる女性にとってうれしいポイントです。 たとえば、小松菜やバナナ、牛乳や豆乳、ヨーグルトをミキサーで混ぜてスムージーを作ってみましょう。 カルシウム・ビタミン・たんぱく質・食物繊維などをバランス良く摂取でき、骨の健康維持に効果的です。 忙しい朝にも手軽に栄養補給ができるので、朝食の一杯として栄養たっぷりのスムージーを日常に取り入れてみてください。 骨粗鬆症にお酢は良くないですか? 「酢を摂取すると骨が柔らかくなるのでは?」という疑問を持つ方もいますが、そのような心配はありません。 むしろ、酢にはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。 魚の骨が酢で柔らかくなるのは、加熱調理による物理的な変化であり、酢を摂取したからといって体内の骨が溶けるわけではありません。(文献4) 酢の物や魚の酢煮など、酢を使った料理はカルシウムと相性が良く、骨の健康を支える食事の一部として取り入れるのにおすすめです。 酢でいつもと違う味の変化を楽しみながら、無理なく骨粗鬆症対策を続けていきましょう。 参考文献 (文献1) 大切な栄養素カルシウム|農林水産省 (文献2) マグネシウム|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献3) カルシウム|eJIMサイト(厚生労働省) (文献4) 予防について|日本骨粗鬆症財団 (文献5) アクティブシニア社会の食品開発指針|津志田藤二郎ほか (文献6) 生活習慣病などの情報|健康日本21アクション支援システム(厚生労働省) (文献7) 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント|厚生労働省 (文献8) ビタミンKの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
2025.05.30 -
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骨粗鬆症は自覚症状が少ないまま進行し、ある日突然、骨折や慢性的な痛みにつながることもある病気です。 とくに閉経後の女性に多く見られ、背中の曲がりや身長の低下、転倒による骨折など、日常生活にも大きな影響を及ぼすため注意しなければなりません。 本記事では、骨粗鬆症の初期サインや原因、進行によるリスク、予防や治療に役立つ運動・栄養・生活習慣の工夫を詳しく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 骨粗鬆症はどんな痛み?主な症状 骨粗鬆症の初期は自覚症状が乏しいものの、進行するとさまざまな痛みや変化となって現れます。 とくに背中や腰の鈍い痛み、身長の減少、軽い衝撃での骨折などは、骨がもろくなっているサインかもしれません。 ここでは、骨粗鬆症による代表的な症状と、見逃してはいけない身体の変化について解説します。 背中や腰の鈍い痛みが続く 骨粗鬆症では、骨の強度が低下し、背骨を構成する椎体が体の重みや日常動作による負担でつぶれるように折れる「脊椎圧迫骨折」が起こる場合があります。 圧迫骨折が起こると、寝起きや体動時に慢性的に痛みが続くようになるのが特徴です。 痛みが続くと、体を動かして外出する意欲が低下してしまい、寝たきりや引きこもりの原因にもなります。 骨が弱くなっているため小さな力でも骨折しやすく、気づかないうちに生じているケースも少なくありません。 実際、骨粗鬆症に関連した圧迫骨折の多くは、明らかな外傷がなくても発生するケースがあるのです。(文献1) 身長が縮む・姿勢が悪くなる 骨粗鬆症が進行すると背骨の骨がもろくなり、つぶれるように骨折や変形を起こすことがあります。 次第に背中が丸くなって姿勢も前かがみになりやすく、結果的に身長が数cm縮むケースもあるのです。 とくに、若いころと比べて男性で6cm以上、女性で4cm以上の身長の減少が見られる場合は、脊椎の骨折がすでに進行している可能性が高いとされています。(文献2) 転倒や軽い動作でも骨折するようになる 骨粗鬆症が進行すると、骨がもろくなり、わずかな衝撃でも骨折してしまう場合があります。 とくに、背中・太ももの付け根・手首・腕の付け根・肋骨などが骨折しやすい部位です。 骨折が重なると痛みで動くのがつらくなり、日常生活に支障をきたします。 症状が進行しないうちの早期予防と、ケアがとても大切です。 骨粗鬆症の初期症状に注意しよう 骨粗鬆症は気づかないうちに進行し、ある日突然骨折して初めて気づくケースも珍しくありません。 しかし実際には、日常の中に初期症状と呼べるサインが隠れている場合があるのです。 ここでは、見過ごしやすい骨粗鬆症の初期症状について見ていきます。 身長が縮む 身長が以前より明らかに低くなっている場合、骨粗鬆症の進行が関係している可能性を否定できません。 骨密度が低下すると背骨に負担がかかりやすくなり、骨折や変形によって徐々に身長が縮んでいく場合があります。 とくに、最近の健康診断や人間ドックで身長の変化を指摘された方は要注意です。 加齢によるものと決めつけず、骨粗鬆症の検査を受けましょう。 猫背が悪化する 背中が丸くなってきたり、姿勢の悪さを感じるようになったりしているなら、骨粗鬆症が進行しているサインかもしれません。 骨が弱くなると背骨に変形が生じやすくなり、前かがみの姿勢になりがちです。 鏡や写真に写った自分の姿が以前より猫背に見えたり、周囲から「腰が曲がってきた」と指摘されたりする場合は、骨の健康状態をチェックするきっかけにしてください。 何気ないことで骨折する 軽く転んだり、段差でつまずいて尻もちをついたりした程度で骨折したなら、骨粗鬆症によって骨がもろくなっている可能性があります。 通常なら骨折しないようなわずかな衝撃で骨が折れる状態は、骨粗鬆症の典型的な特徴のひとつです。 骨折をきっかけに寝たきりになる心配もあるため、思い当たる骨折歴がある方は、早めに整形外科を受診して骨密度をチェックしましょう。 骨粗鬆症はどんな人に多い?主な原因 骨粗鬆症は、閉経後の女性に多く見られます。 閉経をきっかけに、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減るのが原因のひとつです。 エストロゲンは、骨を丈夫に保つために重要なホルモンで、骨の新陳代謝のバランスを整える働きがあります。 ホルモンが減少すると、古い骨を壊すスピードが新しい骨をつくるスピードを上回り、骨密度が低下しやすくなるのです。 とくに、閉経前後の時期は骨密度が急激に落ちやすく、気づかないうちに骨粗鬆症が進行してしまうケースも少なくありません。 骨粗鬆症の原因についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状セルフチェックリスト 骨粗鬆症の予防や進行を防ぐには、早く兆候に気づくことが重要です。まずは自分の体の変化をチェックしてみましょう。 以下のチェックリストは、公益財団法人 骨粗鬆症財団が公開している「骨の健康度チェック表」です。(文献3) 次の項目のうち、当てはまるものの点数を合計すると、骨の健康度がわかるようになっています。 1 牛乳、乳製品をあまりとらない 2点 2 小魚、豆腐をあまりとらない 2点 3 たばこをよく吸う 2点 4 お酒はよく飲む方だ 1点 5 天気のいい日でも、あまり外に出ない 2点 6 体を動かすことが少ない 4点 7 最近、背が縮んだような気がする 6点 8 最近、背中が丸くなり、腰が曲がってきた気がする 6点 9 ちょっとしたことで骨折した 10点 10 体格はどちらかと言えば細身だ 2点 11 家族に「骨粗鬆症」と診断された人がいる 2点 12 糖尿病や、消化管の手術を受けたことがある 2点 13 (女性)閉経を迎えた (男性)70歳以上である 4点 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) <結果の見方> 2点以下 今は心配ないと考えられます。これからも骨の健康を維持しましょう。 改善できる生活習慣があれば、改善しましょう。 3点~5点 骨が弱くなる可能性があります。気を付けましょう。 6点~9点 骨が弱くなっている危険性があります。注意しましょう。 10点以上 骨が弱くなっていると考えられます。 一度医師の診察を受けてみてはいかがですか。 引用:公益財団法人 骨粗鬆症財団|骨の健康度チェック表(文献3) ご自身の骨の状態を知る目安として、参考にしてみてください。 骨粗鬆症の症状を放置するリスク3選 骨粗鬆症の症状を放置すると、以下のようなリスクが懸念されます。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 寝たきりや介護が必要な状態になる それぞれ詳しく解説するので、骨粗鬆症の早期発見・早期対策にお役立てください。 骨折の連鎖で、さらに骨がもろくなる 背骨が一カ所でも骨折すると、その部分にかかる負担が大きくなり、周囲の骨まで次々と骨折しやすくなるため注意が必要です。 たとえば、太ももの付け根(大腿骨近位部)を骨折した人のうち、およそ10人に1人が反対側の太ももの骨もその後に骨折しているという報告があります。(文献4) 骨折の連鎖が起こる背景には、もともと骨が弱っていることに加えて、以下が関係しているとされています。 骨折によって転びやすくなる 片側をかばう動作で、反対側に余計な負担がかかる 痛みや動きにくさで、日常生活が制限される 骨粗鬆症によって背中や腰が骨折すると、痛みや動きづらさが日常生活にじわじわと影響を及ぼすようになります。 たとえば、掃除・洗濯・買い物といった家事がつらくなったり、重い荷物を持つことに不安を感じたりなど、以前は当たり前にできていた動作が難しくなってしまうことも少なくありません。 また、痛みのせいで外出を控えるようになったり、孫を抱っこしたくてもできなかったりと、行動範囲が狭くなることで生活の質(QOL)が低下します。 骨粗鬆症による骨折は、日々の楽しみや穏やかな暮らしに大きな影響を及ぼしかねないのです。 寝たきりや介護が必要な状態になる 骨粗鬆症による背中や腰の痛み、繰り返される骨折は、日常生活の自由を奪うだけでなく、寝たきりになるリスクを高める要因にもなります。 とくに注意したいのが、太ももの付け根にあたる「大腿骨」の骨折です。 大腿骨の骨折は手術や長期のリハビリが必要になるケースも多く、高齢者にとって身体的な負担が大きくなります。 結果的に、体力や筋力が急激に低下し、自分の足で歩けなくなるケースも珍しくありません。 最終的には、介護が必要な生活へと移行せざるを得ないため注意しましょう。 骨粗鬆症で痛みが出る前に見直したい生活習慣 骨粗鬆症は、骨折して初めて気づくケースが少なくありません。 ここでは、早い段階から取り組みたい生活習慣の見直しについて解説します。 骨に負荷をかける運動 骨粗鬆症の予防には、骨に適度な刺激を与える運動を日常に取り入れましょう。 骨は重力や体重といった外からの刺激を受けることで強くなり、骨密度の維持や向上に役立ちます。 とくに、以下のような運動が効果的です。 ウォーキングや階段の昇り降りといった、自分の体重を支える有酸素運動 片足立ちや椅子からの立ち座り運動など、バランス感覚と筋力を鍛える動き スクワットのように、太ももやお尻まわりの大きな筋肉を使う運動 これらの運動は、体に無理なく骨に刺激を与えられるため、高齢者に適しています。 無理のない範囲で継続して取り組み、筋力と骨密度をしっかり守っていきましょう。 骨に有効な食生活 骨粗鬆症の予防には、栄養バランスの良い食生活も欠かせません。 骨は日々の食事から得た栄養によって作られるため、必要な栄養素が不足すると、運動だけでは十分な骨量を維持するのが難しくなります。 とくに意識して摂りたい栄養素と、代表的な食品は以下の通りです。 カルシウム:牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など ビタミンD:鮭やサバなどの魚、きのこ類、卵など ビタミンK:納豆、ほうれん草などの緑の野菜 たんぱく質:肉、魚、卵、大豆製品、穀類など なかでも、カルシウムの吸収を高めるために、ビタミンDやビタミンKを一緒に摂るのがおすすめです。 一方で、加工食品やアルコールの摂りすぎには注意し、日々の食事のバランスをしっかり整えていきましょう。 日光浴でビタミンDを合成 骨粗鬆症の予防には、食事や運動だけでなく、日光浴によるビタミンDの生成も欠かせません。 ビタミンDには腸からのカルシウム吸収を促し、食事で摂ったカルシウムを効率よく骨に届ける働きがあります。 季節や体調に合わせて、無理のない時間帯に外へ出て、散歩やウォーキングを楽しみながら日光を浴びましょう。 外出が難しく室内で過ごす時間が多い人も、ベランダや窓辺で日差しを浴びるなど、できる範囲から始めても効果が期待できます。 骨粗鬆症で痛みが出たときの治療法 骨粗鬆症の治療には、以下のような方法があります。 外科治療 薬物療法 生活習慣の見直し 進行しないうちにかかりつけ医と相談しながら、適切に治療を進めていきましょう。 では、それぞれ解説します。 外科治療 骨折が見つかった場合は、状態に応じて外科的な治療が行われます。 もっとも一般的なのは、コルセットやギプスなどで骨を固定し、安静に過ごす保存的治療です。 背骨の圧迫骨折では、簡易的なコルセットを数週間着用するだけで症状が改善するケースもあります。 ただし、以下のような場合は手術が検討される場合もあります。 痛みが強い 骨のつぶれが大きい 骨の安定性が保てない 手術には骨を金属で固定する方法や、骨に医療用セメントを注入する方法があります。 どちらも骨の安定性を確保し、早期の回復を促すのが目的です。 薬物療法 骨粗鬆症では、薬による治療も行われます。 使用される薬は主に2種類あり、ひとつは骨の吸収を抑える薬、もうひとつは骨を新しく作る働きを助ける薬です。 どちらも、骨密度の改善や骨折リスクの低下を目指して使われますが、即効性は期待できません。 継続的な使用で徐々に効果が現れるため、根気よく治療を続けることが大切です。 また、自己判断で薬を中断してしまうと、改善していた骨密度が再び低下し、骨折のリスクが高くなる可能性があります。 治療効果をしっかり得るためにも、医師の指示に従いながら、定期的な検査とあわせて継続的に薬を活用していきましょう。 以下の記事では、骨粗鬆症の薬を飲まない治療法を紹介していますので、気になる方は参考にしてみてください。 まとめ|骨粗鬆症で痛みが出たら早めに受診しよう 骨粗鬆症は、年齢とともに誰にでも起こり得る身近な疾患ですが、正しい知識と日々のケアで予防や進行の抑制が可能です。 運動や食事、日光浴などの生活習慣の見直しと必要に応じた治療により、健康的な毎日を取り戻せます。 「年齢のせい」と放置せず、小さな異変に気づいた時点で早めの対応を心がけましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、さまざまな治療に用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 骨粗鬆症の症状に関するよくある質問 骨粗鬆症で骨折するとどんな痛みがある? 骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折では、「体動時腰痛」と呼ばれる特有の痛みが現れる場合があります。 寝た姿勢から起き上がろうとする際など、体を動かしたときに鋭い痛みが走るのが特徴です。 一方で、一度立ち上がって姿勢が安定すると、痛みが和らぐことも知られています。 骨粗鬆症で腰痛を発症した場合に緩和する方法はある? 骨粗鬆症では、腰椎の圧迫骨折が原因で腰痛を発症する場合がありますが、痛みを和らげるために鎮痛薬や筋弛緩薬が使われます。 鎮痛薬や筋弛緩薬での治療は、日常生活を少しでも楽に送れるようにするのが目的です。 骨粗鬆症で足の付け根の痛みを感じる場合はある? 骨粗鬆症によって大腿骨頸部(太ももの付け根)を骨折すると、股関節まわりに強い痛みが生じ、立ったり歩いたりがほぼ不可能になります。 無理に動こうとすると痛みがさらに悪化するため、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 骨粗鬆症で痛み止め薬を使うのはどんなとき? 骨粗鬆症に伴う痛みが慢性化している場合は、鎮痛薬を使って痛みをコントロールする場合があります。 痛みを和らげることで日常生活の負担を軽減し、他の治療やリハビリテーションにも取り組みやすくするのが目的です。 骨粗鬆症は男性でもなりますか? 骨粗鬆症は女性に多いイメージですが、実際には男性でも発症するケースがあります。 患者の約4人に1人は男性とされており、病気や薬の影響、栄養不足などが重なることで骨密度が低下しやすくなるのです。(文献5) 男性だから大丈夫と思い込まず、少しでも違和感があれば早めに検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) Vertebral compression fractures: Still an unpredictable aspect of osteoporosis|PMC (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版|骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 (文献3) 骨の健康度チェック表|公益財団法人骨粗鬆症財団 (文献4) 骨粗鬆症の診断とガイドラインの変遷|日本内科学会雑誌第111巻第4号 (文献5) 男性の骨粗鬆症|日本医師会日医ニュース
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骨粗鬆症が気になって検査を考えたとき、「どの検査を受ければよいのだろう」と迷う方は多いのではないでしょうか。 骨粗鬆症の検査は、骨の量だけでなく「骨の代謝」もあわせて調べ、現在の骨の状態を総合的に評価します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨粗鬆症の検査方法 骨粗鬆症の検査では、「骨の量を測る検査」と「骨の働きを調べる検査」の2つの側面から、総合的に骨の健康状態を判断します。 骨密度検査:骨の密度を調べる骨粗鬆症の基本的な検査 血液検査・尿検査:骨密度測定ではわからない骨の代謝を調べる レントゲン検査:骨折や変形などを確認する 身長測定:簡易的なチェック方法 これらの検査は単独で行うのではなく症状や年齢、リスクに応じて組み合わせて実施されます。 ここからは、骨粗鬆症の検査方法として代表的な4つの検査について、それぞれの役割と特徴をわかりやすく解説します。 骨密度検査(骨量測定) 骨密度検査は、骨粗鬆症の診断の中でも最も基本となる検査で、骨の中にどのくらいのミネラル成分が含まれているかを調べる検査です。 一般的に、ミネラル成分が少ないほど骨密度が低いとされ、骨がもろく骨折しやすい状態だと考えられています。 同じ骨密度検査でも測定する部位や精度に違いがあります。 骨密度のおもな測定方法は、以下のとおりです。 骨量の測定方法 説明 使用する機械 DXA(デキサ)法 脚の付け根と腰の骨密度を測定する 精度が高い分、時間がかかる レントゲン(X線) MD法 手の骨密度を測る 簡単だが、精度が下がる QUS法 かかとの骨密度を測る 被ばくせず簡便だが、精度の誤差が大きい 超音波 自身の希望や、医療機関によって検査方法は異なります。 より精度の高い検査を希望する場合は、DXA法が選ばれることが多い検査です。一方、「まずは手軽に検査してみたい」と考える方にはQUS法が適しています。 まずは、近くの医療機関にどんな検査があるか問い合わせてみるのが良いでしょう。 血液検査・尿検査(骨代謝マーカーの検査) 血液検査や尿検査による骨代謝マーカーは、骨密度検査ではわからない骨の動きを把握するための検査です。 ヒトの骨は、新しい骨が作られ、古い骨が壊されて吸収される「骨代謝」のサイクルを常にくり返しています。(文献1) 骨代謝マーカーは骨の代謝の過程で出てくる物質を指し、これらの数値を調べることで骨がどれくらいの速さで壊れ、どれくらいの速さで作られているかがわかるのです。 おもに以下の項目をチェックします。 骨代謝マーカーの種類 検査項目 説明 骨吸収マーカー TRAPC-5b (酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ) DPD (デオキシピリジノリン) NTX (Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド) CTX (Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド) 1CTP (Ⅰ型コラーゲンC末端テロペプチド) 高い場合:骨吸収(骨の破壊)が進んで骨密度の低下を招くリスクがある 低い場合:骨の代謝が低下している可能性がある 骨形成マーカー BAP (骨型アルカリフォスファターゼ) OC (オステオカルシン) ucOC (低カルボキシル化オステオカルシン) P1NP (Ⅰ型コラーゲンN-プロペプチド) P1CP (Ⅰ型コラーゲンC-プロペプチド) 骨吸収が起こってはじめて骨形成がはじまるため、単独で高くなることは少ない (文献1) たとえば、骨吸収マーカーが高く、骨形成マーカーが正常である場合「骨が壊れるスピードは速くなっているのに、新しく骨が作られるスピードは変わらない」といった状態を示しています。 つまり、骨の破壊に形成が追いつかず、骨の量が減少しやすい状況です。 骨代謝マーカーの検査は、骨の代謝のどの部分に異常があるのかを明らかにします。それによって、将来的に骨密度がどのくらい減少しやすいのか、骨折のリスクが高いのかを評価できるのです。 レントゲン検査 レントゲン検査は、骨密度検査ではわかりにくい骨折や骨の変形の有無、骨の状態を画像で確認するためにおこないます。(文献2) 骨粗鬆症が進行している場合、骨が薄く見えたり、背骨の形が変形して見えたりすることがあります。(文献3)また、気づかないうちに起きている背骨の小さな骨折を発見するのにも、レントゲン検査は有効です。 骨粗鬆症が進行すると、日常生活の中のわずかな衝撃でも背骨の骨折が起こることがあります。(文献4) こうした骨折を早期に発見し、治療や予防につなげる役割を果たすのが、レントゲン検査です。なお、骨粗鬆症の検査で使用するレントゲンの被ばく線量は非常に少なく、一般的に健康への影響はほとんどないとされています。 身長測定 身長の変化は、背骨の骨折や変形に気づく手がかりになります。とくに背骨がつぶれるように変形すると、数センチ単位で身長が縮むことも少なくありません。 いくつかの海外研究では、若いころと比較して身長の低下がある場合、背骨の骨折のリスクが高まると報告しています。(文献2) 25歳頃の身長と比較してどの程度縮んでいるかの確認が、骨粗鬆症の診断に役立ちます。 【検査推奨】骨粗鬆症になりやすい人の特徴 骨粗鬆症は、以下にあてはまる方に起こりやすいと言われています。(文献5) 閉経後の女性 高齢 やせ型 運動不足 喫煙、飲酒 骨折既往歴 ステロイド服用歴 遺伝(家族に骨粗鬆症の人がいる) これらの項目にあてはまるようでしたら、一度、骨の健康状態について検査を受けることをおすすめします。 以下の記事は、骨粗鬆症の原因について解説しているので参考にしてください。 骨粗鬆症の検査は「整形外科」で受けるのが一般的 骨粗鬆症の検査は、整形外科で受けるのが一般的です。 整形外科は「骨の専門家」であり、検査から診断、治療までスムーズに進められるメリットがあります。 整形外科に限らず、内科や婦人科でも検査に対応している場合があります。とくに女性ホルモンの影響が気になる方は、婦人科で相談するのも選択肢の一つです。 また、自治体によっては健康診断の一環として骨密度検診を実施していることもあり、多くは指定された医療機関や検診センターで検査を受けます。 骨密度検査は専用の機器が必要なため、すべての医療機関で受けられるわけではありません。どこで検査を受けるか迷ったら、まずはかかりつけ医に相談したり、近くの整形外科のホームページで検査の実施状況を確認したりしてみましょう。 骨粗鬆症の検査を受けるタイミング 骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下がおすすめです。 市町村の健診時期になったら 40歳を超えたら 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 自身の状況と照らし合わせて、受けるタイミングを検討する参考にしてください。 市区町村の健診時期になったら 市区町村で実施される特定健診やがん検診の機会に、対象年齢に該当する場合や、追加で申し込むことで、骨粗鬆症の検査を受けられます。 自治体により異なりますが健康増進法にもとづき、40歳〜70歳の女性を対象に5歳刻みで実施されることが多い検診です。(文献6) 自治体によっては男性も対象にしていたり、対象年齢を拡大したりしている場合もあるため、お住まいの市区町村のホームページで確認し、積極的に活用しましょう。 40歳を超えたら 骨粗鬆症は、閉経後の女性や50歳以上の高齢者に多い病気です。女性は閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、骨を壊す細胞の働きが強くなることで骨密度が低下しやすくなります。(文献2) 骨の量は20〜30代をピークに、その後は徐々に減少します。(文献7)そのため、40歳を過ぎたら骨の健康状態をチェックしましょう。 また、男性も決して他人事ではありません。女性と同じく、年齢を重ねるごとに骨密度が低下するリスクは高まるため、少なくとも50歳を過ぎたら一度は検査を受けておきましょう。 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状が現れたら 突然の背中や腰の違和感、身長が縮んだ感覚、姿勢の変化などがあれば骨折の兆候かもしれません。 骨粗鬆症が進み、気づかぬうちに骨折していることもあるため、気になる症状が現れたら早めに医療機関で検査を受けましょう。 骨粗鬆症の検査で「要注意」と言われたらすべきこと 骨粗鬆症の検査で「要注意」と言われると、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、要注意=すぐに骨折する状態とは限りません。 骨粗鬆症の評価は、骨密度の数値だけで決めるわけではなく、血液検査や既往歴、年齢、体格などを含めて総合的に判断されます。 以下のポイントを意識して、適切に対応していきましょう。 医師の指示をもとに再検査や適切な治療を受ける 骨を強くする栄養を意識した食生活に見直す 運動習慣を取り入れて骨への刺激を増やす 禁煙・禁酒を心がける 転倒を防ぐ生活環境へ整える 骨粗鬆症の検査結果は、今の骨の状態を知るためのものです。対策によって、進行の抑制や骨折の予防を目指しましょう。 以下の記事では、骨粗鬆症における骨密度の改善や、骨折のリスク軽減について解説しているので参考にしてください。 まとめ|骨粗鬆症の検査で自分の骨の状態を知ろう 骨粗鬆症の検査は、骨密度の数値だけを見るものではありません。実際の診療では、骨密度検査に加えて血液検査やレントゲン検査などを組み合わせ、骨の量と骨の代謝の両面から現在の骨の状態を評価しています。 検査は、今の骨の状態を知るためのものです。結果を参考に、できる対策から始めましょう。 「自分は検査を受けたほうが良いのだろうか」「どの検査が必要なのかわからない」と迷った場合は、まずは整形外科で相談してください。 専門医のもとで適切な検査を受け、将来の骨折予防につなげましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 骨粗鬆症の検査についてよくある質問 骨密度の検査はどうやってやるのですか? 骨密度の検査は、骨の中にあるカルシウムをはじめとしたミネラルの量を測定し、骨の強さ(密度)を数値化するものです。 もっとも一般的なのはDXA法と呼ばれる検査で、腰の骨や太ももの骨にX線を当てて測定します。 検査時間は、準備や着替えを含めて10〜15分程度です。 ほかにも手首やかかとを使うMD法やQUS法といった簡易検査もありますが、一般的にDXA法は精度が高い検査方法とされています。 骨密度測定は自宅でできますか? 原則として、正確な骨密度測定は医療機関で行う必要があります。とくに検査の精度が高いDXA法は、医療機関の専用装置が不可欠です。 家庭用の体組成計で推定骨量を計測できるものも存在しますが、骨密度を測定するものではありません。 手首やかかとで骨密度を測定できる家庭用機器は現時点では一般的に普及していないため、自宅で正確な骨密度を測定することは難しい状況です。 本格的な診断を希望する場合は、医療機関で検査を受けるのをおすすめします。 骨粗鬆症の検査の費用はどのくらいですか? 骨粗鬆症の検査を医療機関で受けた場合にかかる費用の目安は、以下のとおりです。 検査の種類 費用相場 骨密度検査(DXA法) 全額自己負担:約4,500円 3割負担:約1,350円 1割負担:約450円 血液検査 全額自己負担:約1万円 3割負担:約3,000円 レントゲン検査 全額自己負担:約2,500円 3割負担:約650円 自治体の検診や健康保険組合の補助で検査を受けるときは、自己負担が無料または数百円程度と安くすむことがあります。 参考文献 (文献1) 骨代謝とは|日本骨代謝学会 (文献2) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン|日本骨代謝学会 (文献3) Q&A Vol.337【どうやって見ればいい?】骨粗鬆症の画像に関するQ&A | 日本離床学会 (文献4) 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 (文献5) どんな人がなりやすい|公益社団法人骨粗鬆症財団 (文献6) 骨粗鬆症検健診|財団法人骨粗鬆症財団 (文献7) 骨粗鬆症の予防のための食生活|健康日本21アクション支援システム
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「中枢神経障害とは何か知りたい」「中枢神経障害の原因や治療法を知りたい」といった疑問を持っている方もいるでしょう。 中枢神経障害は、脳や脊髄に異常が生じることで、運動・感覚・言語・認知などに影響が現れる神経疾患です。 放置することで麻痺やしびれなどの症状が固定化・悪化する・言語障害や認知機能の低下が進行するなどリスクがあるため注意が必要です。 原因疾患によって適切な治療法が異なるため、中枢神経障害が疑われる場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。 今回は、中枢神経障害の初期症状から治療法までわかりやすく解説します。中枢神経障害について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。 また既存の治療で改善が難しい場合、 再生医療が新たな選択肢となることがあります。 \神経障害に対する再生医療という選択肢/ 再生医療とは、ご自身の細胞(幹細胞など)を活用し、損傷した神経組織の修復や機能回復を目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても麻痺・感覚障害・言語障害が改善しない リハビリを続けても症状の改善が頭打ちになっている 薬の副作用がつらい・これ以上薬を増やしたくない 手術以外の選択肢を探している 後遺症による運動・認知・日常生活の支障が続いている >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する(9:00〜18:00) 従来の治療が「症状の維持・悪化防止」を目的とするのに対し、再生医療は神経機能そのものの回復を目指す治療として期待されています。 患者さまご自身の細胞を活用するため拒絶反応リスクが低く、脳・脊髄への幹細胞の働きかけによる神経機能の回復と後遺症の改善が期待できます。 治療法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=Dc0ftyAzLoASrI5o 「リハビリ・投薬以外の選択肢」として、まずは当院(リペアセルクリニック)の 無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。 神経障害の根本改善を目指すなら、まずは無料相談! 中枢神経障害とは 中枢神経障害とは、中枢神経系を形成する脳または脊髄の構造や機能に異常が生じて発症する神経疾患です。 中枢神経は、身体の動きや感覚、思考、記憶、感情など、あらゆる機能を制御する司令塔の役割を果たしています。そのため、中枢神経系に異常が生じると、障害を受けた部位やその範囲に応じて、さまざまな症状が現れる可能性があります。 なお、中枢神経障害は原因によって症状や治療法が異なるため、早期の診断と適切な治療が重要です。 「しびれや麻痺が改善しない」「今の治療だけでよいのか不安」「少しでも機能回復を目指したい」という方は、当院(リペアセルクリニック)へ一度ご相談ください。 神経障害の根本改善を目指すなら、まずは無料相談! 中枢神経障害の原因と種類 中枢神経障害の原因は、主に以下の5つに分類できます。 血管性疾患 神経変性疾患 炎症性疾患 外傷性疾患 感染性疾患 原因疾患の特定は、中枢神経障害の適切な診断と治療につながります。以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 血管性疾患 血管性疾患は、中枢神経障害の原因の一つです。血流が悪くなったり遮断されたりすると、脳や脊髄の神経細胞が損傷を受けます。代表的な血管性疾患は、以下の通りです。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 身体の麻痺のほか、言語障害・視覚障害・意識障害などが現れる場合があります。 神経変性疾患 神経変性疾患も中枢神経障害の一因になります。神経変性疾患とは、神経細胞が徐々に変性・消失する疾患です。主な神経変性疾患は、以下の通りです。 パーキンソン病 アルツハイマー病 ALS(筋萎縮性側索硬化症) パーキンソン病を発症すると、ドーパミンを生産する神経細胞が減少し、運動障害を引き起こします。また、アルツハイマー病を発症すると、記憶を司る脳の神経細胞が徐々に破壊されることにより、認知機能が低下します。 炎症性疾患 免疫系の異常や感染症によって引き起こされる炎症性疾患も、中枢神経障害の原因の一つです。炎症性疾患の代表例は、以下の通りです。 多発性硬化症 脳炎 多発性硬化症を発症すると、免疫系が神経の保護膜を攻撃し、神経伝達に障害を引き起こします。また、ウイルスや細菌感染による脳の炎症も中枢神経障害の原因になります。 外傷性疾患 外傷性疾患も中枢神経障害の原因の一つです。交通事故やスポーツなど、外部からの物理的な衝撃が中枢神経に影響を与える場合があります。 脊髄損傷 頭部外傷 外傷性疾患による中枢神経障害は回復に時間がかかるほか、重篤な後遺症が残るケースも珍しくありません。 感染性疾患 ウイルスや細菌による感染性疾患によって、中枢神経障害に陥ることもあります。中枢神経障害の原因になる感染疾患は、主に以下の通りです。 髄膜炎 日本脳炎 中枢神経系がウイルスや細菌に感染すると、炎症を引き起こします。感染性疾患による後遺症が深刻化しないよう、適切な治療が必要です。 中枢神経障害の症状 中枢神経障害の症状はダメージを負った部位や程度によってさまざまです。具体的には、主に以下のような症状が現れます。 障害の種類 具体的な症状 主な原因疾患 運動障害 手足の麻痺や震え 手足が動かしにくい 脳卒中 パーキンソン病 感覚障害 視覚や聴覚、触覚に異常を感じる 脳腫瘍 脳卒中 認知機能障害 記憶力の低下 判断力の低下 アルツハイマー病 精神的障害 不安 抑うつ 幻覚 パーキンソン病 アルツハイマー病 なお、原因疾患によって、症状の進行は異なります。症状を改善するためには、それぞれ原因疾患に対する治療が必要です。 中枢神経障害の治療法 中枢神経障害の治療法として、主に以下の選択肢があります。 薬物療法 リハビリテーション 再生医療 中枢神経障害の原因疾患のなかには、根治が難しい疾患も少なくありません。それぞれの治療法について解説するので、医師と相談しながら、適切な治療法を検討してください。 薬物療法 中枢神経障害の治療では、原因疾患に応じて薬物療法が選択されることが多いです。症状に応じて、痛みを軽減するための鎮痛剤や、精神的な不安を抑える精神安定剤のほか、抗てんかん薬や抗うつ薬などが投与されます。 たとえば、神経変性疾患やパーキンソン病、アルツハイマー病などに対しては、症状の進行を遅らせるために薬物療法が選択されるのが一般的です。なお、中枢神経障害の疾患の多くは治療法が確立されておらず、薬物療法は単なる対症療法に留まるとされています。(文献1) リハビリテーション 中枢神経障害において、リハビリテーションは疾患により低下した運動機能や、認知機能の改善を目指す治療法です。 具体的には、理学療法士による運動療法、作業療法士による日常生活動作の訓練、言語聴覚士によるコミュニケーション能力の向上を図る訓練などがおこなわれます。 また、認知機能を維持・向上させるための脳トレーニングや、心理的な支援も中枢神経障害におけるリハビリテーションの一環です。 なお、中枢神経疾患のリハビリテーションは、数週間から数カ月にわたって継続されることが多いです。なかでも、パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など、進行性の疾患に対しては、リハビリ期間が長期化する場合があります。 再生医療 中枢神経障害は、従来の治療では修復を目指すのが難しいとされています。 改善が頭打ちになった方の新しい選択肢として注目されているのが、再生医療です。 再生医療はご自身の幹細胞や血小板を活用し、従来の治療では難しいとされてきた神経組織そのものへの働きかけを目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 処方された薬を続けても麻痺・感覚障害・言語障害が改善しない リハビリを続けても症状の改善が頭打ちになっている 薬の副作用がつらい・これ以上薬を増やしたくない 手術以外の選択肢を探している 後遺症による運動・認知・日常生活の支障が続いている >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する(9:00〜18:00) 当院(リペアセルクリニック)では、中枢神経障害の原因となる脳梗塞や脳卒中、脊髄損傷に対する再生医療をおこなっています。 当院の幹細胞治療は、少量の脂肪を採取するだけで、十分な量の細胞を培養できるため、身体への負担も少ないです。 「リハビリを続けても症状の改善が頭打ちになってきた」「薬を続けても麻痺やしびれが改善しない」「手術以外の選択肢を探している」という方は、ぜひ当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 神経障害の根本改善を目指すなら、まずは無料相談! 中枢神経障害は原因に合わせて適切な治療法を検討しよう 中枢神経障害とは、脳や脊髄などの中枢神経に異常が生じ、手足のしびれや感覚異常、認知機能の低下といったさまざまな症状を引き起こす疾患です。原因は脳卒中や脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病など多岐にわたり、疾患ごとに治療法が異なります。 中枢神経障害は、早期発見と適切な治療により、症状を改善したり進行を遅らせたりすることが可能です。薬物療法やリハビリテーション、再生医療など、医師の診断のもと適切な治療法を検討しましょう。 中枢神経障害に関するよくある質問 中枢神経障害の診断方法は? 中枢神経障害の診断には、主に以下の検査が用いられます。 MRI(磁気共鳴画像法) CT(コンピュータ断層撮影) 脳波検査 脳脊髄液検査 脳や脊髄の構造や機能を評価するため、一般的に複数の手法を用いて診断されます。 中枢神経障害と末梢神経障害の違いは? 中枢神経障害は、脳や脊髄などの中枢神経系に発生する障害です。 一方で、末梢神経障害は、手足や体幹に伸びる末梢神経に生じる障害のことです。末梢神経障害は、糖尿病や自己免疫疾患などが原因で、手足のしびれや筋力低下といった症状を引き起こします。 中枢神経障害は治る? 中枢神経には再生を阻害する因子が多く存在し、自然に修復されにくいといわれています。(文献2)そのため、中枢神経障害は、原因疾患によって根治が難しい疾患です。 ただし、近年の医療技術の進歩により、リハビリテーションや再生医療を通じて、一定の改善が見込まれる場合もあります。 参考文献 ((文献1) 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「中枢神経疾患治療薬の承認審査の現状と DDS への期待」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/34/5/34_385/_pdf (最終アクセス:2025年5月20日) (文献2) 大阪大学大学院 医学系研究科 分子神経科学「失われた神経回路を取り戻すために」 https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molneu/researchp1.html (最終アクセス:2025年5月20日)
2025.05.30 -
- 関節リウマチ
- 内科疾患
「最近、手や膝が痛むようになってきた」 「更年期の影響だと思っていたが、もしかするとリウマチなのではないか?」 更年期に入り、関節痛に悩まされている方の中には、このような不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。 ご家族にリウマチの方がいる場合は、とくに不安が強いのではないでしょうか。更年期関節痛とリウマチには、発症年齢や関節痛以外の症状などの違いがあります。 本記事では、更年期関節痛とリウマチの違いや治療法、セルフケアについて解説します。両者の違いを理解して適切な治療を受けるためにも、ぜひ最後までご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違い この章では、更年期関節痛とリウマチの違いについて説明します。 更年期関節痛とは 更年期関節痛とは、更年期に伴う身体症状の1つです。 近年になって、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、関節痛や腫れ、しびれが生じることが明らかになりました。エストロゲンには、関節や腱を保護する滑膜の腫れを抑える働きがあります。エストロゲン減少により生じた関節痛や腫れなどが、更年期関節痛と呼ばれます。 主な更年期関節痛は、以下のとおりです。 関節痛の種類 特徴 へバーデン結節 手指の第1関節に症状が現れる ブシャール結節 手指の第2関節に症状が現れる 母指CM関節症 親指の付け根に症状が現れる ばね指 曲げた手指が伸ばしにくくなる ドケルバン病 親指側の手首が痛む 手根管症候群 手のひらが痛んだりしびれたりする 手の関節だけではなく、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる場合もあります。 以下の記事では、更年期と指の痛みの関係性について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 リウマチとは 関節リウマチは自己免疫疾患の1つです。 関節内の滑膜が自分の免疫によって攻撃されたために、手指の関節痛や腫れ、朝のこわばりといった症状が現れます。進行すると関節の変形や破壊が見られるようになります。 免疫システムの異常や、喫煙をはじめとする環境要因、遺伝的要因が発症に関与していると考えられていますが、現時点で原因は特定されていません。 関節リウマチについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いを見分けるポイント 更年期関節痛とリウマチの違いを以下に示します。 更年期関節痛 関節リウマチ 発症年齢と性別による違い 40~50代の女性に多い 閉経前後の10年間に発症しやすい 30~50代の女性に多い 60代以上で発症する場合は、性別による差は少ない。 症状による違い 手指以外にも、膝や肩など複数の部分で関節痛が生じる 関節の腫れは見られない、もしくは軽度 更年期が過ぎると自然に軽減する 関節痛以外の症状としては、体のほてり、発汗、動悸、イライラなどが見られる 手指の関節痛が特徴的(膝や足にも症状が出る場合もある) 関節の腫れやこわばり、熱感などが見られる 徐々に進行し、関節の変形や破壊が生じるケースもある 関節痛以外に、微熱や食欲不振、倦怠感などが見られる 更年期関節痛では時間の経過とともに症状が軽減するケースが多い一方で、関節リウマチは症状が徐々に進行する点が大きな違いといえるでしょう。 更年期関節痛の治療とケア方法 更年期関節痛の治療やケア方法は、主に以下のとおりです。 ホルモン補充療法 薬物療法 日常生活におけるセルフケア ホルモン補充療法 更年期で減少したエストロゲンを補充する治療法です。 子宮を摘出された方の場合はエストロゲンのみを補充しますが、それ以外の方は、エストロゲンと黄体ホルモンを併用します。子宮がある方の場合、エストロゲンのみを補充すると、子宮内膜が異常に増殖する「子宮内膜増殖症」のリスクがあるためです。(文献1) 薬物療法 ホルモン剤以外の薬物療法では、アスピリンやロキソニンといった消炎鎮痛剤や漢方薬などが多く用いられます。 関節痛以外の症状がある場合は、向精神薬や自律神経調整薬も処方されます。 日常生活におけるセルフケア 痛みのない範囲でのストレッチやマッサージは、セルフケアとしておすすめです。血行が促進されて、関節が動きやすくなります。ただし、強く痛むときは安静にしましょう。 バランスの良い食事や適度な運動、睡眠などで生活リズムを整えることもセルフケアの1つです。規則正しい生活は、ホルモンバランスを整えることにつながります。 食事においては、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンや、ホルモンバランスを整える働きがあるビタミンEなどを積極的に摂りましょう。ビタミンEが多く含まれる食品は、かぼちゃやほうれん草、アーモンドなどです。 更年期関節痛のセルフケアについては、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 リウマチの治療とケア方法 関節リウマチの治療の中心は薬物療法です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などが主に用いられるほか、ステロイド剤や非ステロイド性の消炎鎮痛剤が処方される場合もあります。 関節の変形や破壊が進んだ場合は、手術も選択肢に含まれます。 セルフケアとして第一に挙げられるのは禁煙です。それ以外のセルフケアとしては、栄養バランスの良い食事や適度な運動、休息などが挙げられます。 関節リウマチの治療や予防策については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関わらず早めの受診を心がけよう 更年期関節痛とリウマチは原因や発症時期、症状に違いはあるものの、どちらも関節痛が続く疾患です。 更年期関節痛の場合は更年期が終わると徐々に回復しますが、リウマチは進行性であるため、放置しておくと関節の変形や破壊などの症状も現れます。 どちらの場合でも早期発見および、早期治療が大切です。関節痛が続いている方は、整形外科やリウマチ科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 更年期関節痛とリウマチの違いに関するよくある質問 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はありますか? 更年期関節痛とリウマチを同時に発症する可能性はあります。 更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲン減少によりさまざまな心身の症状が発生する時期です。エストロゲンは、免疫系にも影響を与えるホルモンで、炎症を抑える働きがあります。 エストロゲン減少で免疫のバランスが崩れると、リウマチを発症するリスクが高まります。関節痛がある場合は、原因に関わらず、早急に医療機関を受診しましょう。 更年期障害による関節痛はいつまで続きますか? 更年期障害による関節痛は、更年期が終わると徐々に回復に向かいます。しかし、関節痛の原因が更年期ではなくリウマチの可能性もあります。 更年期関節痛とリウマチを同時に発症している場合もあるため、関節痛が続くときは放置せず、早急に医療機関を受診しましょう。 (参考文献) (文献1) 東京医科大学病院 薬剤部「お薬のしおり 更年期障害について」2022年 https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/data/240.pdf (最終アクセス:2025年5月22日)
2025.05.30 -
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「関節リウマチで治療を受けているけれど、最近いつもと違う症状が出てきた」 「関節リウマチの合併症にはどのようなものがあるのだろう?」 関節リウマチの治療を受けている方の中には、合併症に関する不安を抱えている方も多いことでしょう。関節リウマチの合併症には、間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などがあります。 本記事では、関節リウマチの合併症および原因、予防のポイントなどを解説します。合併症に関する疑問や不安解消のきっかけになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの主な合併症 関節リウマチの主な合併症として挙げられる7つの疾患を以下に示します。 間質性肺炎 骨粗しょう症 シェーグレン症候群 貧血 アミロイドーシス 肝機能障害 腎機能障害 間質性肺炎 間質性肺炎とは、肺の間質(肺胞壁および肺胞を支える組織)を中心に炎症をきたす疾患です。炎症が進むと、肺全体が固くなります。 主な症状は、息苦しさや乾いた咳(痰を伴わない咳)などです。 進行すると呼吸不全の状態になるケースもありますが、呼吸不全まで進まない種類の間質性肺炎もあります。 骨粗しょう症 骨粗しょう症とは、骨量の減少や骨質の劣化などが原因で骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。骨粗しょう症の患者数は、全国で約1,280万人といわれています。(文献1) 骨粗しょう症には閉経後骨粗しょう症や続発性骨粗しょう症などの種類があり、関節リウマチ合併症由来のものは、続発性骨粗しょう症に分類されます。 骨粗しょう症自体は、自覚症状を感じにくい疾患です。症状がないまま徐々に骨が弱くなり、腰椎や大腿骨の骨折などを引き起こす可能性があります。 大腿骨の骨折は、歩行困難や寝たきりを引き起こす大きな原因の1つとされています。 骨粗しょう症については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群は、関節リウマチと同様、自己免疫疾患の1つです。(文献2) 涙腺や唾液腺などの慢性的な炎症が起こり、ドライアイやドライマウス、鼻の乾燥などの症状が現れます。 関節リウマチの合併症は二次性シェーグレン症候群と呼ばれており、他の合併症が見られないものは、一次性シェーグレン症候群と呼ばれます。一次性シェーグレン症候群には、病変が全身に及ぶタイプも存在します。(文献2) 貧血 関節リウマチの方は、慢性的な炎症や抗リウマチ薬の副作用などにより、貧血を合併しやすい状況です。 貧血にはさまざまな種類があり、関節リウマチによるものは、鉄分が足りなくなることで起こる小球性低色素性貧血に分類されます。 関節リウマチと貧血の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 アミロイドーシス アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が、脳や心臓、腎臓、消化管、神経などのさまざまな臓器に付着し、機能障害を起こす疾患です。 アミロイドーシスには、複数の臓器にアミロイドが付着する全身性と、特定の臓器にアミロイドが付着する限局性があります。 また、アミロイドーシスは遺伝性と非遺伝性にわかれており、多くの患者は非遺伝性です。関節リウマチ合併症によるものも、非遺伝性アミロイドーシスに分類されます。 肝機能障害 関節リウマチに合併する肝機能障害の多くは、薬剤性のものです。とくに、抗リウマチ薬であるメトトレキサートの副作用で肝機能障害が起こりやすいとされています。 リウマチの薬の影響でB型肝炎やC型肝炎のウイルスが活性化し、無症状の方が発症する場合もあります。 自己免疫疾患の一つである関節リウマチでは、他の自己免疫疾患を合併するケースも少なくありません。肝臓疾患としては、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎などがあります。 腎機能障害 関節リウマチ合併症としての腎機能障害は、ネフローゼ症候群や腎不全などアミロイドーシスに関係しているものが多い状況です。抗リウマチ薬や消炎鎮痛剤の副作用による腎機能障害もあります。 腎機能障害の症状としては、全身の倦怠感やむくみ、タンパク尿などが挙げられます。 関節リウマチと腎機能障害の関係については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチの合併症が生じる原因 関節リウマチの合併症が生じる原因としては、疾患そのものに加えて薬の副作用が挙げられます。 間質性肺炎や骨粗しょう症、シェーグレン症候群などは関節リウマチ由来の合併症であり、肝機能障害は、薬の副作用であることが多い状況です。 腎機能障害には、アミロイドーシスに由来するものや薬の副作用によるものがあります。 関節リウマチの合併症予防と早期発見のポイント 関節リウマチの合併症予防および早期発見のポイントは、主に以下の2つです。 生活管理 定期的な受診 生活管理 関節リウマチ悪化予防のために一番望ましい行動は、禁煙です。(文献3)寝る前や食後の歯磨きや、歯科検診などの歯周病予防も欠かせません。歯周病は関節リウマチ発症や悪化に関係するためです。 貧血や骨粗しょう症といった合併症予防のためには、カルシウムや鉄分の多い、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。 関節リウマチは抗リウマチ薬やステロイド剤の影響で、感染症を引き起こしやすいとされています。(文献4)手洗いやうがいといった日頃からの感染予防に加えて、必要に応じて各種予防接種を受けましょう。 定期的な受診 合併症の予防や早期発見のためには、定期的に医療機関を受診し、必要な診察および検査を受けることが大切です。いつもと違う症状があるときは、ためらわずに受診し、主治医へ状況を伝えましょう。 症状がないときに受診や内服を中断すると、関節リウマチそのものが悪化してしまい、合併症のリスクも高まります。自己判断での服薬中断は避けてください。 関節リウマチの薬については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。 関節リウマチで合併症を引き起こさないためにも継続的な治療が大切 関節リウマチの合併症は、疾患そのものによるものから薬の副作用まで多くの種類が存在します。 合併症予防および早期発見・治療のためにも、日頃から薬の内服を続け、いつもと違う症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。いつもと違う症状を放置しないことが大切です。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチおよび合併症についても、お気軽にご相談ください。 関節リウマチの合併症に関するよくある質問 関節リウマチの合併症で亡くなることはありますか? 関節リウマチ合併症の中でも、狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの心血管イベントを発症すると、重症の場合亡くなることもあります。(文献5) 関節リウマチは、関節だけではなく血管にも炎症を起こすことがあるため、血管の狭窄や血栓が発生しやすい状況です。そのため心血管イベントにつながる可能性が高いとされています。 合併症の1つである間質性肺炎も、重症化したり急激に悪化したりすると命に関わる場合も少なくありません。(文献6) シェーグレン症候群を治療しないとどうなりますか? シェーグレン症候群を治療しないと、別の病気を発症していることに気づけないリスクがあります。 シェーグレン症候群は現段階では完治が難しいものの、予後は良好とされる疾患です。しかし、経過観察中に間質性肺炎や腎不全、リンパ腫を発症する場合もあります。(文献2)そのため発症後は、定期的な治療や経過観察が必要です。 関節リウマチの合併症で多いのは何ですか? 関節リウマチの合併症はさまざまであるため、どれが一番多いとの断定は難しい状況です。 合併症の1つである間質性肺炎は、関節リウマチ患者の約10~30%に見られています。(文献6) それ以外の合併症としては、肝機能障害や腎機能障害、骨粗しょう症、貧血、シェーグレン症候群、各種感染症などがあります。 (参考文献) (文献1) 公益財団法人 骨粗鬆財団「病気について」 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/faq/faqabout.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献2) 順天堂大学医学部附属順天堂医院「シェーグレン症候群」膠原病・リウマチ内科 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease03.html(最終アクセス:2025年5月22日) (文献3) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマチ・膠原病を心配したら」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/general/collagen-diseases/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献4) ファイザー株式会社「日常生活の注意点 関節リウマチと感染予防」リウマチeネット https://www.riumachi.jp/life/caution/infectionprevention(最終アクセス:2025年5月22日) (文献5) 公益財団法人日本リウマチ財団「心血管イベント」リウマチ情報センター https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/complications/shinkekkan_event/(最終アクセス:2025年5月22日) (文献6) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「肺炎,間質性肺炎」,2015年6月1日 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/ra-complications/ip.html(最終アクセス:2025年5月22日)
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「手の指が腫れていて、こわばる感じがする。」「血縁者にリウマチ患者がいるので、遺伝したのでは?」などと、関節リウマチの症状や遺伝について不安を抱える方もいるのではないでしょうか。 関節リウマチ発症には遺伝的要素もありますが、環境要因も発症に関係するため、確実に遺伝するわけではありません。 本記事では、関節リウマチと遺伝の関係性やその他の要因、予防法などについて解説します。 関節リウマチと遺伝に関する疑問を解消したい方は、参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。 気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチは遺伝要因と生活習慣が関係する 関節リウマチは、自分の免疫細胞が関節の滑膜を攻撃することで関節炎を引き起こす疾患です。 関節リウマチを発症する原因は、現在も完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に加えて生活習慣が背景にあるとされています。 たとえば、家族内では食習慣や喫煙習慣などが受け継がれるケースがあるため、関節リウマチの発症リスクと間接的に関係する場合があるのです。 遺伝要因としては、「HLA-DR4」や「HLA-DR1」など、ヒト白血球抗原(HLA)に分類される特定の遺伝子の存在が関与しているとされています。 ただし、関節リウマチの遺伝は、いわゆる単一遺伝子疾患とは異なり、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しています。 つまり、特定の遺伝子を持っているからといって、必ずしも関節リウマチを発症するわけではありません。 関節リウマチと遺伝の関係については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチが遺伝する確率 家族歴がある場合、関節リウマチの発症リスクは高くなることが知られています。複数の研究により、親や兄弟姉妹が関節リウマチである場合、発症リスクは一般人口の約3〜12倍になると報告されています。(文献1)(文献2) 一卵性双生児での発症一致率は12~15%程度、二卵性双生児や兄弟姉妹間の発症一致率は2~4%程度とされています。(文献3) しかし、関節リウマチは遺伝的背景に加えて環境要因も関係するため、確実に遺伝する疾患ではありません。 血縁者に関節リウマチ患者がいても発症しない場合がありますし、血縁者に関節リウマチ患者がいない方でも発症するケースがある点に留意しておきましょう。 男性より女性のほうが遺伝しやすい 関節リウマチは女性に多く見られる疾患であり、発症には男女差が大きく影響していることが知られています。 日本リウマチ学会によると、男女比はおよそ1:3.21で女性に多いとされ、女性ホルモンや免疫機能の違いが関与している可能性があると考えられています。(文献4) また、関節リウマチの発症年齢は一般的に40~60代に多く見られますが、最近では高齢になってから症状が現れるケースが増加傾向にある点も見逃せません。 高齢の発症例では、男女比は1:2~3程度と報告されており、全体と比較して性別による差がやや小さくなる傾向があります。(文献4) したがって、高齢者の場合は、男女の区別なく関節リウマチに注意すべきであるといえるでしょう。 関節リウマチの遺伝と発症メカニズム 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関与しています。 ここでは、関節リウマチに関連する遺伝子や発症メカニズムについて詳しく見ていきましょう。 関節リウマチの発症に関わる遺伝子 関節リウマチの発症には、複数の遺伝子が関与しています。 なかでも「HLA遺伝子(ヒト白血球抗原遺伝子)」は、発症リスクにもっとも大きな影響を与える遺伝的要因とされています。 HLA遺伝子は、免疫機能を調整する働きを持ち、体内の異物を識別して排除するための重要な役割を果たしているのが特徴です。 HLA遺伝子は「クラスI」「クラスII」「クラスIII」の3つの領域に分類されます。(文献5) とくに、クラスII領域のひとつである「HLA-DRB1遺伝子」が関節リウマチと強く関連していることが、近年の研究で明らかになっています。(文献6) 関節リウマチとの関連が判明している代表的な遺伝子は、以下のとおりです。 HLA PTPN22(免疫の働きを調整する遺伝子) PADI4(炎症反応に関与) CCR6(免疫細胞の移動に関与) IL2RA(免疫応答を調節) TNFAIP3(炎症抑制因子の調整) TYK2(免疫関連シグナル伝達に関与) IRF5(免疫応答の転写因子) IRAK1(炎症応答の活性化に関与) CD40(免疫細胞の活性化に関与) 関節リウマチの原因は完全に解明されていない 関節リウマチの明確な原因は、完全に解明されていません。本来自身を守るはずの免疫が誤って自分自身の関節の組織を攻撃する「自己免疫疾患」であり、誤作動によって関節の滑膜と呼ばれる組織に炎症が起き、腫れや痛み、関節の変形が進行していきます。 なぜ免疫が誤って反応してしまうのかについては、遺伝的素因と環境的要因(感染、喫煙、ストレスなど)が複雑に関係していると考えられています。つまり、特定の遺伝子を持つ人が外的な刺激を受けたことをきっかけに、免疫の異常を引き起こす可能性があるわけです。 このように、関節リウマチはひとつの原因で発症するわけではなく、複数の要因が重なり合って発症に至る「多因子性疾患」である点を理解しておきましょう。 炎症性サイトカインが骨を壊す破骨細胞を活性化させる 関節リウマチの発症や進行には、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が深く関係しています。サイトカインとは免疫細胞が出すタンパク質の一種で、体内で炎症や感染をコントロールする働きを担っているのが特徴です。 代表的な炎症性サイトカインには、TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)やIL-6(インターロイキン6)などがあります。本来、病原体と戦うために必要な物質ですが、関節リウマチではこれらのサイトカインが必要以上に作られ、関節内に慢性的な炎症を引き起こすのです。 さらに、炎症性サイトカインは「破骨細胞」という骨を壊す細胞を活性化させます。破骨細胞が過剰に働くと関節の骨が次第に溶かされ、骨そのものが破壊されていきます。 その結果、関節の変形が進んで動かしづらくなるなど、日常生活に大きな支障をきたすようになるわけです。 関節リウマチにおける主な検査 関節リウマチにおける主な検査は、血液検査と画像診断です。 血液検査では免疫反応や炎症反応を調べ、画像診断では関節の炎症や破壊の状況を確認します。 なお、一部の民間遺伝子解析サービスで関節リウマチの遺伝子検査が実施されていますが、医療機関で診断に用いられているケースはまれです。 また、一部の自己炎症性疾患に対して遺伝子検査を実施している医療機関もありますが、確定診断ではなく、発症リスクの評価や治療方針の決定に用いられています。 関節リウマチの検査については、下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関節リウマチを予防する生活習慣改善のポイント 関節リウマチは、遺伝的な素因を持つ人が、さまざまな環境因子の影響を受けて発症する疾患とされています。 完全に予防することは困難ですが、発症リスクを低下させるために取り組める生活習慣の改善ポイントがいくつか明らかになっているのでチェックしておきましょう。 禁煙する 喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高める要因のひとつです。 タバコに含まれる有害物質が免疫機能に影響を与え、自己免疫反応を誘導する可能性があると考えられています。 関節リウマチの予防と治療において、禁煙は極めて重要です。 喫煙は、一度関節リウマチを発症したあとの病状悪化にも関与するとされ、薬が効きにくくなるなど治療効果の低下にもつながる恐れがあります。 とくに、遺伝的素因がある人は、速やかに禁煙しましょう。 適切な体重を管理する 肥満も、関節リウマチの発症と進行に関わるリスク要因です。 体脂肪が増加すると、炎症性サイトカインの産生が活性化され、免疫のバランスが崩れることで関節リウマチのリスクが高まると考えられています。 さらに、肥満は関節に過剰な負担をかけるだけでなく、発症後の症状悪化や治療効果の低下にも影響を及ぼしかねません。 バランスの取れた食事や適度な運動を通じて適正な体重を維持し、予防につなげていきましょう。 歯周病を予防する 歯周病と関節リウマチには、強い関連があるとされています。 歯周病を引き起こす細菌が免疫系に異常な反応を誘発する可能性があり、自己免疫疾患の発症に関与するとされているのです。 歯周病を予防するためには、日常的な歯磨きに加えて定期的に歯科検診を受けましょう。 とくに、家族に関節リウマチの患者がいる場合や、すでに歯周病の兆候が見られる人は、早めに対処してください。 早期に医療機関を受診する 関節リウマチは、早期発見・早期治療が重要な疾患です。 初期には、以下のような症状が現れます。 朝の手のこわばり 指や手首の関節の違和感 左右対称に出る腫れや痛み これらの症状を放置すると関節の破壊が進み、元の機能を取り戻せなくなる恐れがあるため注意が必要です。 発症の兆候に早く気づき、医療機関で適切な検査と診断を受ければ、関節の機能を保ちつつ進行を抑えることが可能になります。 関節リウマチで注意すべき食生活と運動については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。 関節リウマチの痛みに対する「再生医療」の選択肢 近年、関節リウマチによる痛みや炎症に対して「再生医療」が新たな選択肢になっています。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 再生医療には、主に2つの方法があります。 他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」 血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを活用する「PRP療法」 いずれの治療法も入院や手術は不要で、日帰りでの対応が可能です。 体への負担を抑えた治療を検討している方にとって、手術を伴わない選択肢のひとつとなっています。 当院で行っている関節リウマチに対する再生医療については、以下の症例記事をご覧ください。 まとめ|関節リウマチは遺伝の有無にかかわらず早めに医療機関を受診しよう 関節リウマチは遺伝的な素因が関与しているものの、必ずしも遺伝性疾患とは言い切れません。 関節リウマチが疑われる症状がある場合、家族に患者がいるかどうかにかかわらず、早期の受診が極めて重要です。 初期段階で適切な治療を開始することで、関節の破壊や日常生活への支障を最小限に抑えられます。 また、喫煙や感染、歯周病などの環境要因も発症に関係があるため、生活習慣も改善していきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録いただき、ご利用ください。 関節リウマチと遺伝に関するよくある質問 関節リウマチになりやすいのはどのような人ですか? 日本での関節リウマチ患者数は60万人~100万人程度といわれており、人口の約0.5%から1%が関節リウマチ患者とされています。(文献7) 関節リウマチは女性に多い疾患であり、男女比は1:3.21です。 年齢で見ると、最も多いのは40代から60代とされてきましたが、近年では65歳以上で発症する「高齢発症関節リウマチ」も増えています。 関節リウマチは父母、もしくは祖母から孫へ隔世遺伝する? 関節リウマチは、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 確かに遺伝的な素因が発症リスクに関与することは知られていますが、発症しやすい体質が受け継がれる可能性を示すものであり、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 生活習慣や環境要因の影響も大きいため、過度に不安になる必要はありません。 関節リウマチ発症における遺伝以外の要因とは何ですか? 関節リウマチの発症は、遺伝的な要因だけではなく、以下のような環境要因も関与します。 細菌やウイルスへの感染 過労・精神的ストレス 喫煙 外傷 出産 上記のような要因が重なって自己免疫反応が活性化し、関節の炎症を引き起こすと考えられています。 参考文献 (文献1) Familial aggregation of rheumatoid arthritis and co-aggregation of autoimmune diseases in affected families: a nationwide population-based study|Rheumatology (Oxford) (文献2) Familial risks and heritability of rheumatoid arthritis: role of rheumatoid factor/anti-citrullinated protein antibody status, number and type of affected relatives, sex, and age|Arthritis Rheum (文献3) 関節リウマチ(RA):トピックス診断と治療の進歩|日本内科学会雑誌 (文献4) 関節リウマチの基礎知識|一般社団法人 日本リウマチ学会 (文献5) 関節リウマチのゲノム医療の入り口としてのHLA遺伝子|臨床リウマチ (文献6) Imputing Variants in HLA-DR Beta Genes Reveals That HLA-DRB1 Is Solely Associated with Rheumatoid Arthritis and Systemic Lupus Erythematosus.|PLOS ONE (文献7) リウマチ等対策委員会報告書」について|厚生労働省
2025.05.30 -
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「健康診断の血液検査でリウマチの数値が高いと指摘された」 「リウマチの数値が高い上に、関節が痛んだり腫れたりしている」 「関節リウマチの血液検査の内容を知りたい」 このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。 結論から申し上げますと、関節リウマチの血液検査にはさまざまな種類があります。血液検査で異常がなくても関節リウマチと診断される場合も少なくありません。 本記事では関節リウマチの血液検査について詳しく紹介します。 お悩みの症状が関節リウマチに関係しているかの目安がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチにおける血液検査の種類 関節リウマチにおける血液検査の種類は、主に以下の3つです。 免疫に関する検査 炎症に関する検査 その他の血液検査 免疫に関する検査 ここでは免疫に関する検査として、リウマトイド因子と抗CCP抗体、MMP-3について説明します。 リウマトイド因子 リウマトイド因子とは、リウマチの診断および治療に有効な検査値で、一般的な基準値は15IU/ml以下です。(文献1) リウマトイド因子が50や100といった高値を示し、関節症状がある場合、リウマチである可能性が高いとされています。 ただし、関節リウマチ以外でも高値を示すこともあるため、この検査だけでリウマチと確定させることは難しいでしょう。 抗CCP抗体 抗CCP抗体とは、関節リウマチの診断や予後の予測に関する検査値で、一般的な基準値は4.5U/ml未満です。(文献2)、(文献3) 検査値が高く、関節症状がある場合、関節リウマチの可能性がきわめて高いといえるでしょう。他のリウマチ因子とは異なり、リウマチ以外の疾患で高値を示すことはまれであるため、関節リウマチの診断に有効な検査です。 抗CCP抗体の数値が高い場合は、関節リウマチの中でも関節や骨の破壊が進みやすいタイプであることを意味します。 MMP-3 MMP-3は、関節リウマチにより炎症を起こしている滑膜で多く分泌される酵素であり、リウマチによる軟骨破壊の程度をあらわします。 MMP-3 の基準値は、以下のとおりです。 男性:36.9~121.0 ng/ml 女性:17.3~59.7 ng/ml (文献3) 関節リウマチの初期段階から上昇するといわれていますが、関節リウマチ以外の疾患やステロイド内服時でも高値を示す場合もあります。 関節リウマチ以外でMMP-3 が高値を示す疾患として挙げられるのは、全身性エリテマトーデスやリウマチ性多発筋痛症などです。 炎症に関する検査 ここでは炎症に関する検査として、CRPと赤血球沈降速度について説明します。 CRP CRPは、全身の急性炎症を示す指標です。 正常値は0.3mg/dl未満であり、炎症が強いときには10mg/dlを超える場合もあります。(文献3)、(文献4) 炎症や組織の破壊が起きたときに、白血球の仲間であるリンパ球や単球、マクロファージが炎症性サイトカインを分泌します。炎症性サイトカインにより肝臓の細胞が刺激された結果分泌されるタンパク質が、CRPです。 CRP値が高値を示す疾患は、関節リウマチ以外に複数存在します。主な疾患としては、以下のようなものが挙げられます。 肺炎 ウイルス性肝炎 腎盂腎炎 そのため、CRP値のみでの関節リウマチ診断は難しいといえるでしょう。 赤血球沈降速度 赤血球沈降速度は慢性炎症の指標です。 細長いガラス管の中に抗凝固剤(クエン酸)を加えた血液を入れて、1~2時間立てておきます。この間に、赤血球が沈んだ深さを検査値とします。 正常値は以下のとおりです。(文献3) 男性:1時間に10㎜未満 女性:1時間に20㎜未満 炎症が起こっているときは赤血球の沈む速度が速くなり、関節リウマチ患者では50㎜前後といわれています。(文献4) その他の血液検査 その他の血液検査として挙げられるのは、主に以下の4項目です。 貧血検査 肝機能検査 腎機能検査 肺機能検査 貧血検査 関節リウマチ患者は慢性的な炎症が原因で、貧血傾向にあります。これは炎症性サイトカインが原因で鉄分の吸収が抑制されるためです。 抗リウマチ薬(メトトレキサート)の副作用で貧血が出現する場合もあります。 貧血の程度を測るための検査値が、赤血球数やヘモグロビン値、血色素量などです。WHO(世界保健機構)の定義によると、成人男性ではヘモグロビン値13.0g/dl以下、成人女性ではヘモグロビン値12.0g/dl以下が貧血とされます。 貧血に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 肝機能検査 関節リウマチ患者は、メトトレキサートをはじめとした薬の副作用により肝機能が低下する場合があるため、定期的に検査を実施します。 主な肝機能検査は、AST(別名GOT)やALT(別名GPT)です。医療機関ごとに異なりますが、どちらかの検査値が100U/Lを超えた場合は、内服薬を調整するケースが一般的です。(文献5) B型肝炎およびC型肝炎ウイルス検査を実施するケースもあります。肝炎ウイルスは感染しても無症状のことが多いのですが、リウマチの薬により免疫力が低下して、ウイルスが活性化する場合もあるためです。 関節リウマチと薬の関係については以下の記事でも解説しますので、あわせてご覧ください。 腎機能検査 関節リウマチ患者は薬の副作用により腎機能が低下する場合があるため、血液検査で経過を観察します。 主な腎機能検査は、クレアチニンやeGFRです。基準値は医療機関によって異なりますが、クレアチニン値が高い、もしくはeGFR値が低いと腎機能低下の疑いがあります。 リウマチのコントロールが不良の場合、「アミロイドーシス」と呼ばれる合併症を引き起こす可能性があります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が過剰に作られて、さまざまな臓器に付着した結果起こる疾患の総称です。 腎臓でアミロイドーシスが起きると、ネフローゼ症候群や腎不全を発症する場合があります。 肺機能検査 関節リウマチの合併症および副作用の1つとして、呼吸器疾患があります。重要な呼吸器疾患の1つが間質性肺炎(肺線維症)です。 一般的な肺炎は細菌やウイルス感染により肺に炎症が起こりますが、間質性肺炎は、肺胞の壁に当たる部分(肺胞壁)や肺胞を支える組織に炎症が起きます。その結果、肺全体が固くなります。 間質性肺炎の度合いを表す血液検査の1つが、KL-6です。医療機関ごとに異なりますが、一般的な基準値は500U/ml未満です。KL-6が高い場合は、間質性肺炎の発症もしくは悪化が考えられます。 関節リウマチにおける血液以外の検査 関節リウマチにおける血液検査以外の検査としては、画像検査があります。具体的には、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査などです。 レントゲン検査では関節周囲の骨が薄くなる骨粗しょう症や、骨が削られたように欠ける骨びらんなどの状況がわかります。 超音波検査では炎症の状態がリアルタイムに把握できるほか、骨の状況も高感度で確認可能です。 MRI検査では、関節周囲の筋肉や軟骨などの炎症や腫れを確認できます。 血液検査で異常なしでも関節リウマチを発症している場合がある リウマトイド因子や抗CCP抗体などの血液検査が陰性であっても、関節リウマチと診断されるケースがあります。主に挙げられるのが、血清反応陰性関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症です。 血清反応陰性関節リウマチの症状や治療法は、一般的な関節リウマチと同様です。血液検査が陰性であるため、超音波検査で関節の腫れや炎症を確認します。 60歳以上で発症する関節リウマチの場合、血清反応陰性例が多いとされています。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は、両肩周囲のこわばりや痛みで発症し、手指や足指の腫れや関節痛が少ないのが特徴的です。(文献6) リウマチ性多発筋痛症は関節リウマチと異なり、少量のステロイド剤が治療に使われます。ステロイド剤の量は患者の状況によって調整します。リウマチ性多発筋痛症も高齢での発症が多い疾患です。 関節リウマチの治療については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 血液検査の理解を深めて関節リウマチの改善に努めよう 関節リウマチにおける血液検査は、免疫や炎症に関する項目に加えて、貧血や肝機能、腎機能、肺機能などに関する項目があります。貧血や肝機能などの検査は、薬の副作用や合併症に関連したものです。 関節リウマチの場合、血液検査だけではなく画像診断も大事な指標です。 また、血液検査で異常なしであってもリウマチを発症しているケースもあります。関節痛や腫れ、変形など、リウマチと思われる症状でお悩みの方は、早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの方が日常で避けるべき行動について、下記の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。血液検査の結果に疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチと血液検査に関するよくある質問 関節リウマチの有無は検査後にすぐわかるものですか? 関節リウマチの有無は、検査後すぐにわからないことが多いとされています。 血液検査、とくにリウマトイド因子や抗CCP抗体などは検査結果が判明するまでに数日から1週間程度かかるためです。 画像検査においても、レントゲン検査や超音波検査はすぐに結果がわかりますが、MRI検査の場合は結果がわかるまで数日かかることがあります。 これらの状況から見ても、関節リウマチの有無は検査後すぐにはわからないと考えた方が良いでしょう。 関節リウマチの検査は何科を受診すれば良いですか? リウマチ科や膠原病内科、整形外科などのリウマチ専門医がいる科の受診が望ましいでしょう。 近くの医療機関にこれらの診療科がない場合は、かかりつけの内科を受診して、専門医への紹介状を書いてもらうことをおすすめします。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による関節リウマチの治療を実施しております。お気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 一般社団法人日本リウマチ学会「リウマトイド因子標準化のガイドライン」一般社団法人日本リウマチ学会ホームページ https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news110817/(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 京都大学医学部附属病院リウマチセンター「関節リウマチに関わる血液の検査結果の見方」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2013/01/ra2013011702.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 順天堂越谷病院「膠原病・リウマチの検査」2020年 https://hosp-koshigaya.juntendo.ac.jp/wp-content/uploads/2020/05/49a86a7ddc1e3f5f01e26b8a369af6e8.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献4) Doctors Me 「健康診断の血液検査項目「CRP」 知っておきたい数値の意味」 https://doctors-me.com/column/detail/4886(最終アクセス:2025年5月19日) (文献5) 京都大学医学部附属病院 リウマチセンター「京大リウマチ通信 リウマチで注意する血液データ」2013年 https://www.racenter.kuhp.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2011/05/ra201303.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献6) 桑名正隆.「高齢者における診断・治療の進歩:関節リウマチ」『日本内科学会雑誌』111(3), pp.454-460, 2022 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/3/111_454/_pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.30 -
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「関節リウマチと診断されて薬を飲み始めた」 「自分が今飲んでいる薬は、どのような効果があるのだろう」 「リウマチの薬は一生飲み続けるものだろうか」 このような疑問や不安を抱えている方も多く、とくに、関節リウマチと診断されて間もない方にとっては切実な問題です。 本記事では、関節リウマチの薬に関して詳しく解説します。 病気の進行が落ち着く「寛解状態」を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。 関節リウマチの薬は主に5種類 関節リウマチの治療で用いられる薬は、主に以下の5種類です。 抗リウマチ薬 生物学的製剤 JAK阻害剤 非ステロイド性消炎鎮痛剤 副腎皮質ステロイド剤 抗リウマチ薬 抗リウマチ薬には、免疫異常や、関節の炎症およびリウマチの活動性を抑制するはたらきがあります。 メトトレキサート 抗リウマチ薬の第一選択肢がメトトレキサートです。一般的に抗リウマチ薬は、効果が出るまで1~2か月程度かかりますが、メトトレキサートは2~3週間程度で効果が出るといわれています。(文献1) メトトレキサートは、1週間に1日もしくは2日だけ内服する薬です。副作用軽減のために、内服日の2日後に葉酸を内服します。 メトトレキサートの副作用として挙げられるのは、口内炎や貧血、肝機能異常、間質性肺炎などです。 メトトレキサート以外の抗リウマチ薬 メトトレキサート以外の主な抗リウマチ薬を以下に示します。 薬剤名 特徴 内服方法 副作用 サラゾスルファピリジン 軽症から中等症の患者に有用 メトトレキサート内服不可の患者に用いられる 内服開始後1~2か月程度で効果が出る 朝食後と夕食後に1錠内服 1錠は250mgもしくは500㎎ 皮疹 かゆみ 発熱 肝機能障害 ブシラミン 日本で開発された抗リウマチ薬 軽症から中等症の患者に有用 内服開始後1~3か月程度で効果が出る 1日50㎎もしくは100㎎から開始 通常は1日100~200mg 消化器症状 皮疹 肝機能障害 腎機能障害 タンパク尿が出た場合は内服中止 タクロリムス 日本で開発された免疫抑制剤の一種 2005年に関節リウマチへの適応が認められた 血中濃度測定が保険適応になっている 夕食後に内服 成人は1回2錠(3㎎) 高齢者は1回1錠(1.5㎎) 腎機能障害 耐糖能異常 下痢 腹痛 (文献1) タクロリムス内服時にグレープフルーツを食べたり、他の薬剤を内服したりすると、血中濃度が必要以上に上昇する場合があります。 生物学的製剤 生物学的製剤とは、生物から産生されるタンパク質を応用して作られた薬の総称です。 関節リウマチは、免疫に関わる物質であるサイトカインが通常より増えて、関節の炎症や破壊が生じる疾患です。 生物学的製剤は、点滴や皮下注射によって、サイトカインおよびサイトカインを産み出す細胞の働きを抑えます。これにより炎症を和らげ、関節痛や腫れなどの症状を軽減させる仕組みです。 サイトカイン産生細胞には、炎症を引き起こすTNF-αや炎症に関与するIL-6などがあります。 主な生物学的製剤を以下に示します。 薬剤名 特徴 投与方法 投与間隔 インフリキシマブ TNF-αに作用する 点滴 4~8週間に1回 エタネルセプト TNF-αに作用する 皮下注射 1週間に2回 アダリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 ゴリムマブ TNF-αに作用する 皮下注射 4週間に1回 セルトリズマブ TNF-αに作用する 皮下注射 2週間に1回 トシリズマブ IL-6に作用する 点滴 4週間に1回 サリルマブ IL-6に作用する 皮下注射 2週間に1回 アバタセプト T細胞に作用する 点滴 4週間に1回 T細胞とは、白血球の仲間であるリンパ球の1つであり、免疫機能をつかさどる細胞です。 生物学的製剤については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 JAK阻害薬 JAK阻害薬は、分子標的型のリウマチ治療薬であり、関節に炎症を起こす分子「JAK」の働きを抑える効果があります。2013年3月にトファシチニブが日本で承認され、同年7月に発売されました。(文献2) 生物学的製剤は注射もしくは点滴での投与ですが、JAK阻害薬は内服可能な薬です。 トファシチニブ以外の主なJAK阻害剤としては、以下のようなものが挙げられます。(文献2) バリシチニブ ベフィシチニブ ウパダシチニブ フィルゴチニブ JAK阻害薬の副作用では、帯状疱疹の発症リスクが高いとされています。加えて、悪性腫瘍や狭心症、心筋梗塞などにも注意が必要です。 JAK阻害薬は費用が高額であるため、医療保険で自己負担3割の方の場合、毎月5万円程度の医療費が発生します。 非ステロイド性消炎鎮痛剤 主な非ステロイド性消炎鎮痛剤は、アスピリンやロキソニン、インドメタシンなどです。プロスタグランジンと呼ばれる、炎症を引き起こす物質の産生を抑えて、関節痛や腫れを軽減させる役割があります。 効き目が速い点が特徴ですが、関節変形を抑える効果は期待できないとされています。 主な副作用は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍や、腎機能低下などです。 最近では、COX-2阻害薬と呼ばれる新しいタイプの薬剤が使用可能になりました。(文献3) 副腎皮質ステロイド剤 関節リウマチでは、症例により少量のステロイド剤を用いるケースがあります。主なステロイド剤は、プレドニンやリンデロン、デカドロンなどです。 炎症を抑える作用や免疫抑制作用が強く、はやく効果が出ます。しかし、骨粗しょう症や消化性潰瘍など、副作用も多いこともあり、リウマチ治療においては補助的な役割です。 抗リウマチ薬や生物学的製剤の使用により、ステロイドを減量もしくは中止する例も増えています。 関節リウマチにおける薬物療法の目的 関節リウマチにおける薬物療法の目的は、「症状を抑えること」から「寛解導入」に移行しています。寛解とは、病気の進行が落ち着いている状態です。 現在、関節リウマチ治療の最終ゴールは、以下3点の達成・維持とされています。 臨床的寛解(炎症がほぼ消えた状態) 構造的寛解(関節破壊の進行が抑えられている状態) 機能的寛解(身体機能の低下がみられない状態) 関節リウマチは進行性の疾患であり、進行を止めることは難しいと考えられていました。その考えに変化が生じたのは、2000年前後です。 1999年に抗リウマチ薬の1つであるメトトレキサートが保険適用され、2003年には生物学的製剤が国内で発売開始されました。これらの変化により、関節リウマチの進行を抑えられるようになったのです。 リウマチの薬を飲まないとどうなるのか 副作用が怖い、症状が改善されたなどの理由により、自己判断でリウマチの薬を飲まなくなる方も少なくありません。しかし、自己判断で薬を中止すると、症状が悪化する可能性が高まります。 とくに、メトトレキサートを中心とする抗リウマチ薬のみの治療を受けている場合は、自己判断で中止すべきではありません。内服をやめた場合、症状の悪化率が倍になったという研究データもあります。 日本リウマチ学会による「関節リウマチ治療ガイドライン2014」を要約すると、減薬の優先度は以下のとおりです。 ステロイド 生物学的製剤 抗リウマチ薬 薬を飲むことに不安や疑問がある方は、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談しましょう。 関節リウマチの薬について理解した上で治療を受けよう 節リウマチの薬は、免疫に関係して関節の炎症を抑えたり、関節痛や腫れ、変形を軽減したりする効果があります。 関節リウマチは進行性の疾患ですが、新たな薬の開発が進んでいることもあり、寛解を目標にできるようになりました。しかし、寛解を目標にできるのは、指示どおりに薬を内服している場合です。 自己判断で薬を減らしたり止めたりすると、病気に良くない影響を与えます。副作用が不安である、症状が軽減されたなどの理由で、薬の減量や中止を考えている方は必ず主治医に相談しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。関節リウマチの薬や治療について疑問や不安のある方は、お気軽にお問い合わせください。 関節リウマチの薬に関するよくある質問 関節リウマチの薬が効かず症状が改善されない場合もありますか? 薬物治療の効果が得られないケースもあり、その場合は薬を見直します。 抗リウマチ薬の内服を始めて3か月経過しても効果が不十分であれば、量を増やすか、生物学的製剤に切り替えます。 生物学的製剤を投与する場合も、3~6か月程度の経過観察が必要です。経過観察の結果、効果が不十分と判明したときは、他の生物学的製剤やJAK阻害剤に変更します。 内服・投与治療による効果が見られない場合は、手術療法も選択肢に入ります。 リウマチの治療費が高すぎると感じます。医療費の補助はありますか? 生物学的製剤やJAK阻害剤などは薬代が高いため、医療保険で自己負担3割の方の場合、1か月の医療費が3万円以上になることも少なくありません。(文献4) 医療費を軽減する主な制度が、高額療養費制度です。1か月の医療費が所定の自己負担上限額を超えたときに、加入している医療保険から上限を超えた分が支給されます。 高額療養費制度について詳しく知りたい方は、加入している健康保険組合やお住まいの市区町村役場などにお問い合わせください。通院先の医療機関で確認できる場合もあります。 参考文献 (文献1) 順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科「関節リウマチ」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease01.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献2) 東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター「JAK阻害薬(ジャックそがいやく)」 https://twmu-rheum-ior.jp/diagnosis/ra/medication/biologics/jak.html(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ情報センター「非ステロイド抗炎症薬(消炎鎮痛薬)」 https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/dtherapy/nsaids/(最終アクセス:2025年5月16日) (文献4) 松野博明.「医療費を考慮した関節リウマチの治療」『臨床リウマチ』34(4), pp.268-274, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/34/4/34_268/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月16日)
2025.05.30 -
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関節リウマチの発症には、さまざまな原因が関係していると考えられています。 現時点で原因は完全には解明されていませんが、発症の仕組みやリスクを理解することは、予防や悪化防止の観点からも重要です。 本記事では、免疫・遺伝・生活環境といった基本的な要因に加え、ストレス・喫煙・飲酒・歯周病・性格傾向といった身近な要素との関連性についても解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、関節リウマチなどの治療にも用いられている「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状があれば、ぜひご活用ください。 関節リウマチの原因 ここでは、関節リウマチの発症に関係する免疫・遺伝・環境の3つの要因を中心に、原因をわかりやすく解説します。 免疫システム 関節リウマチは、免疫の働きに異常が生じる「自己免疫疾患」の一種です。 本来は細菌やウイルスなどを攻撃する免疫システムが、自分の体の一部である関節の内側にある「滑膜(かつまく)」という組織を誤って攻撃し、炎症を引き起こします。 炎症の原因となるのが、「サイトカイン」と呼ばれるたんぱく質です。 サイトカインは免疫細胞から分泌され、なかでも「IL-6(インターロイキン6)」や「TNF-α(腫瘍壊死因子アルファ)」は、炎症を強く進める働きを持っています。 サイトカインが過剰に分泌されることで、炎症が悪化していくのです。 環境要因 関節リウマチの発症には、もともとの体質に加えて生活環境も関わってきます。 免疫の働きに異常が起こると、関節の滑膜や骨などを自分で攻撃してしまい、そこに環境要因が重なることで発症しやすくなるのです。 代表的な環境要因には、以下のようなものがあります。 喫煙 ウイルスや細菌の感染 歯周病 腸内細菌叢の変化 家族に関節リウマチの人がいる場合は、上記のような環境要因をできるだけ避けると発症リスクを減らすことにつながります。 遺伝的要因 関節リウマチの発症には、遺伝的な要因も深く関わっていることがわかっています。 なかでも、代表的なのが「HLA(ヒト白血球型抗原)」という遺伝子です。 HLAは免疫の働きを調整する重要な役割を持っており、特定のタイプをもつ人は関節リウマチを発症しやすいとされています。 また、家族の中に関節リウマチの患者がいる場合、発症リスクが高まることも知られていますが、親や祖父母が患者であっても、必ず子や孫に遺伝するわけではありません。 発症しやすい体質が受け継がれる可能性があるだけで、直接的な遺伝性疾患とは異なります。 関節リウマチの遺伝は、発症に関与する複数の遺伝子が複雑に関係しており、特定の遺伝子を持っているだけで必ずしも関節リウマチを発症するわけではないのです。 関節リウマチと遺伝の関係は下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 発症の原因?関節リウマチと各要因の関係性 ここでは、関節リウマチと関係があると考えられている具体的な要因について、詳しく解説します。 関節リウマチとストレスの関係性 現時点では、ストレスが関節リウマチの直接的な原因であるという明確な根拠は見つかっていません。 しかし、ストレスによって免疫の働きが弱まることがあるため、発症に間接的な影響を与える可能性はあると考えられています。 そのため、日頃から規則正しい生活を意識し、しっかりと休養をとることが大切です。 体に負担をかけすぎないよう、身体的なストレスを減らす工夫も心がけましょう。 趣味に没頭する時間をつくったり、信頼できる友人と話したりすることでも、精神的なストレスを軽減できます。 関節リウマチと喫煙の関連性 関節リウマチは、喫煙によって発症リスクが高まることがわかっています。(文献1) 喫煙は心臓や肺などの臓器に悪影響を及ぼすだけでなく、関節の炎症を悪化させたり、治療薬の効果を弱めたりする可能性があるため、関節リウマチの管理においても大きなリスク要因です。 もし自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来でサポートを受ける方法もあります。 また、間質性肺疾患などの合併症を防ぐためにも、禁煙は重要な生活改善のひとつです。 関節リウマチと歯周病の関連性 関節リウマチは、歯周病との関係にも注意が必要です。 歯ぐきの炎症によって起こる歯周病は、単なる口のトラブルにとどまらず、関節リウマチの発症や症状の悪化に関与する可能性があります。 メカニズムは完全に解明されていませんが、歯周病によって口腔内の細菌バランスが乱れると、免疫の異常を引き起こしやすくなるのです。(文献2) 具体的には、次のような対策を行いましょう。 毎日丁寧に歯磨きする 歯科医院で定期的に歯石除去やクリーニングをする 歯科医院で正しい歯の磨き方や、自分に合った歯ブラシの選び方を指導してもらう また、歯の健康状態が悪いと、骨粗鬆症など他の治療にも悪影響を及ぼす可能性があります。 口腔ケアを積極的に行い、全身の健康を守ることにつなげていきましょう。 関節リウマチと飲酒の関係性 現時点では、飲酒が関節リウマチの発症を直接引き起こすという明確な証拠はありません。 一方、アメリカの大規模研究では、純アルコール量に換算して1日5〜10g程度の適度な飲酒をしていた女性は、全く飲まない女性と比べて関節リウマチの発症リスクが低かったと報告されています。(文献3) アルコール10g未満とは、おおよそ以下の量に相当します。 ワイングラス1杯(約120ml) 日本酒0.5合(約90ml) ただし、この研究は女性を対象としたものであり、飲酒を推奨するものではありません。 飲酒において注意したいのが、関節リウマチの治療でよく使われる「メトトレキサート」という薬です。 肝機能に負担をかける副作用があるため、服用する日には禁酒が望ましいとされています。 メトトレキサートは通常、週に1〜2回の服用となるため、主治医の指示に従って飲酒のタイミングを調整しましょう。 関節リウマチと性格の関係性 関節リウマチの原因に、性格そのものが直接関係するという医学的な根拠はありません。 しかし、性格の傾向によってストレスの感じやすさや病気との向き合い方が変わるため、間接的に影響を与える可能性はあります。 たとえば、ストレスに弱いタイプの方は、日常のちょっとした出来事でも精神的な負担を感じやすく、免疫機能が低下しやすい傾向があります。 また、ネガティブな感情に振り回されやすい性格の方は、関節の痛みや腫れが気になると何度も触ってしまい、かえって症状を悪化させてしまうケースも少なくありません。 一方で、我慢強い性格の方は症状があっても医療機関を受診せず、「まだ大丈夫」と無理をして、関節リウマチの重症化リスクを高めてしまう場合もあるでしょう。 このように、性格そのものが発症の直接的な原因ではないものの、ストレスや治療行動に影響がないとは言い切れないのです。 関節リウマチの治療方法 ここでは、関節リウマチに対して行われる代表的な治療法について見ていきましょう。 薬物療法 関節リウマチの治療では、免疫の異常に働きかけて病気の進行を抑える薬と、痛みや炎症を和らげる薬が使われます。 中心となる治療薬は「抗リウマチ薬(DMARDs)」と呼ばれるもので、なかでも代表的なのが「メトトレキサート」です。 メトトレキサートを最大量まで使用しても効果が不十分な場合は、「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬を使用することがあります。(文献4) また、炎症を引き起こすシグナル伝達を抑える「JAK阻害薬」という飲み薬を使うケースもあります。 さらに、炎症を抑えるために少量のステロイドを併用することもあり、痛みや腫れのコントロールが可能です。 関節リウマチの薬についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 手術療法 関節リウマチによる変形や可動域の制限が著しくなった場合には、手術が検討されることがあります。 手術の目的は、関節の痛みや機能障害の改善と日常生活の質(QOL)向上です。 関節リウマチに対して行われる主な手術には、以下のような方法があります。 人工関節置換術 頚椎や腰椎に対する手術 手指の腱断裂に対する再建手術 外反母趾の矯正手術 足関節の固定術 人工関節置換術が最も一般的で、膝・股関節・足・肘・指など、関節の状態に応じてさまざまな部位に適用されます。 リハビリ 関節リウマチのリハビリは、薬による治療と並行して行われます。 関節の痛みや炎症を和らげること、関節の変形や機能低下を防ぐことが主な目的です。 リハビリには、大きく分けて「理学療法」と「作業療法」があります。 理学療法 ・関節を動かせる範囲を保つための訓練 ・筋力を維持・強化するトレーニング ・温めて血流を促す温熱療法 作業療法 ・食事や着替えなどの日常生活の動作を無理なく続けられるように練習 ・関節に負担をかけない動作の指導 ・サポーターや専用道具の使い方の指導 ただし、痛みや腫れが強い急性期には無理に動かさず、安静にすることも大切です。 再生医療 関節リウマチの治療には、再生医療も選択肢のひとつになっています。 再生医療とは、手術を避けたい方や日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適した治療法です。 代表的な方法としては、「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 幹細胞治療:患者様の細胞から幹細胞を採取・培養して患部へ投与する治療法 PRP療法:患者様の血液を採取し、血小板を濃縮した液体を作製し注射で投与する治療法 いずれも注射や点滴による治療のため、入院や手術を必要とせず日帰りで受けられます。 以下の記事は、当院「リペアセルクリニック」で行った関節リウマチに対する再生医療の症例です。再生医療についてもっと知りたい方は参考にしてみてください。 関節リウマチの悪化を防ぐ4つの生活習慣 関節リウマチの悪化を防ぐには、治療だけでなく生活習慣を整えることも重要です。 ここでは、関節リウマチの悪化を防ぐ、4つの生活習慣について解説します。 適度に運動する 関節リウマチの治療では薬だけでなく、体を適度に動かして関節や筋肉の機能を保つことも大切です。 長く安静にしすぎると、筋力の低下や関節のこわばりが進み、日常生活の動きがさらに難しくなる可能性があります。 ただし、痛みや腫れが強い時期の無理は禁物です。症状が落ち着いてきたら、ウォーキングなど関節に負担の少ない運動から始めてみましょう。 また、自宅でできるスクワットや簡単な体操、エアロバイクなども筋力アップに有効です。 バランスの良い食事を摂る 関節リウマチの方にとって、栄養バランスの整った食生活も大切です。 食事の量が減って栄養不足になると、体力が落ちるだけでなく、筋肉量の低下や骨粗鬆症のリスクも高まります。 魚や乳製品、大豆製品などから良質なたんぱく質を摂取し、カルシウムやビタミンDを含む食品も意識的に取り入れましょう。 一方で、白米やパン、菓子類、脂っこい料理などを食べすぎて体重が増えると、膝などの関節に余計な負担がかかるため注意が必要です。 しっかり休息・睡眠時間を確保する 関節リウマチの治療では、十分な睡眠と休養も重要です。 身体的・精神的な疲れがたまると、痛みや炎症が悪化しやすくなり、日常生活への負担も大きくなってしまいます。 毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい生活リズムに整え、疲労回復やストレス軽減につなげていきましょう。 また、肉体労働や夜勤など、体への負担が大きい仕事をしている場合は、主治医と相談しながら勤務時間や業務内容の調整も検討してください。 関節に負担をかけない生活を心がける 関節リウマチでは、関節に負担をかけにくい生活を心がけ、症状の悪化を防ぐことが大切です。 たとえば、和式トイレや正座の姿勢は、膝や股関節に大きな負担がかかります。洋式トイレや椅子、ベッドを中心とした生活に切り替えると、立ち座りの動作が楽になるでしょう。 また、浴室にシャワーチェアを置いたり、玄関に手すりやスロープを設置したりすると、移動や出入りの際の転倒リスクを減らせます。 身の回りの道具や住環境を自分の状態に合わせて見直し、無理なく安心して暮らせる環境に整えましょう。 まとめ|関節リウマチの原因を理解して悪化を防ごう 関節リウマチの発症には、免疫異常や遺伝的要因、環境要因が複雑に関係しています。 関節リウマチと診断された場合は、薬物療法を続けつつ、生活習慣の見直しで悪化を防ぐことも大切です。 とくに、30代から50代の女性で、関節の腫れや痛み、原因不明の微熱や倦怠感などがある方は、早めに医療機関を受診しましょう。 外科的な治療に抵抗がある方には、手術不要で身体への負担が少ない「再生医療」も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひお気軽にご利用ください。 関節リウマチの原因に関するよくある質問 関節リウマチの原因になるかもしれない食べ物は? 関節リウマチにおいて、特定の食べ物が発症の直接的な原因になると明確に示されたものはありません。 ただし、ステロイド薬を服用している方は、体重の増加や糖尿病、コレステロールの上昇などが起こりやすくなる傾向があります。 過食を控え、脂っこい料理を減らすなど、できるだけバランスの取れた食生活を心がけると良いでしょう。 肥満は関節リウマチを悪化させる原因になる? 肥満は、関節リウマチの症状を悪化させる要因となる可能性があるため、日常的な体重管理が重要です。 体重が増えると、膝や股関節などの大きな関節にかかる負担が増え、痛みや腫れが強くなるリスクが高まります。 症状を安定させるためには、バランスの良い食事と無理のない運動を継続し、適正な体重を保つことが大切です。 関節リウマチの方がやってはいけない仕事はある? 関節リウマチがあるからといって、すべての仕事が制限されるわけではなく、「絶対にしてはいけない職業」というものはありません。 ただし、仕事内容によっては関節に強い負担がかかり、症状を悪化させる恐れがあります。 たとえば、長時間の立ち仕事や歩行、重い荷物の運搬、寒い環境での作業などは注意が必要です。 無理を続けることで関節の炎症が悪化し、仕事の継続が難しくなるケースもあります。 主治医と相談しながら、業務内容や勤務時間を調整することも有効です。 関節リウマチは治る病気? 関節リウマチは、現時点の医学では完全に治すことが難しい病気とされています。 しかし、適切な薬物療法の継続によって症状をしっかり抑えれば、普段どおりの生活を送れる状態に保つことは可能です。 とくに、発症の早い段階から治療を始めると、関節の破壊を防ぎ、病気の進行をゆるやかにする効果が期待できます。 関節リウマチの治療の目標は「完治」ではなく、症状がほとんど現れず、病気の活動性が十分に抑えられた状態「寛解(かんかい)」です。 無理をしない地道なケアの積み重ねが、将来の生活の質を大きく左右します。 関節リウマチは男性でも発症する? 国内の関節リウマチ患者全体を見ると、男女比はおよそ1:3.2で女性に多くみられますが、男性でも発症する可能性があります。(文献5) 高齢になってから発症するケースでは、男女比が1:2〜3程度と小さくなり、男性の発症リスクが高まるため注意が必要です。 気になる症状があれば、性別に関係なく早めに医療機関を受診しましょう。 関節リウマチの初期症状は? 関節リウマチの初期には、関節の症状だけでなく、全身の不調を伴うケースが多いのが特徴です。 たとえば、体がだるい・重い感じがする、食欲が落ちる、体重が減る、微熱が続くといった症状が現れることがあります。 この段階では、関節の痛みや腫れはまだ軽度であり、見過ごされがちです。 病気が進行すると、手指や手首、肩、膝、足首、足の指などの関節に腫れや痛みが生じ、朝起きたときのこわばりが目立つようになります。 倦怠感が続く、関節がはれて痛むといった症状が見られる場合は、早めに整形外科やリウマチ専門の医師に相談しましょう。 早期の診断と治療開始が、関節リウマチの進行を防ぐ上で非常に重要です。 参考文献 (文献1) 関節リウマチ|慶應義塾大学病院(COMPAS) (文献2) 歯周病と関節リウマチの新たな関連メカニズムの可能性|J-STAGE(日本歯周病学会会誌) (文献3) Alcohol consumption and risk of incident rheumatoid arthritis in women: a prospective study|PubMed Central (文献4) Q: 最新の関節リウマチ治療―関節リウマチ|富山大学附属病院 (文献5) 第1部 関節リウマチの基礎|一般社団法人 日本リウマチ学会
2025.05.30 -
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「リウマチ検査は陰性なのに指や膝がズキズキする」 原因がわからず不安で情報の検索を続けていませんか? 本記事では変形性関節症や痛風など、リウマチ以外で関節痛を引き起こす主な疾患と見分け方、検査・治療の流れを整形外科医の視点で解説します。痛みを放置せず、早期に適切な対応を取るヒントを見つけてください。 リウマチではない関節痛とは 関節痛は多くの方が経験する症状ですが、必ずしも関節リウマチとは限りません。加齢や過度の使用、外傷、ほかの疾患によって引き起こされることがあります。適切な診断と治療で症状を緩和できることが多いので、長引く症状がある場合は早めに医師にご相談ください。 ここからは、リウマチではない関節痛について詳しく説明していきます。 関節リウマチとの決定的な違い 関節痛とリウマチは似た症状を示すことがありますが、決定的な違いがあります。一般的な関節痛は、使い過ぎや加齢による軽い違和感から始まることが多く、肩や手指、膝などに痛みやこわばり、腫れという症状です。関節の使用後に悪化し、休むと和らぐ傾向があります。 一方、関節リウマチは自己免疫疾患であり、関節の痛み・腫れ・こわばりといった症状に加え、関節を押したり動かしたりすると痛みが強まるのが特徴です。左右対称に症状が現れることが多く、両手の同じ指に症状が出るパターンが見られます。寒い季節や朝起きた直後に症状が強く出やすい傾向があります。 もっとも大きな違いは、リウマチが自己免疫疾患である点です。血液検査でリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体の存在を確認すると、診断の手がかりが得られます。リウマチは多発性の関節炎として左右対称に現れることが多いのに対し、一般的な関節痛は単関節に限られることもあります。 よくある誤解とチェックポイント 関節リウマチについては多くの誤解が存在します。まず、朝のこわばり=リウマチという考えがありますが、必ずしもそうとは限りません。朝のこわばりは変形性関節症や筋肉の硬直でも起こる症状であり、リウマチに特化したものではありません。 リウマチはどの年齢でも発症する可能性があります。日本リウマチ財団によると、人口の0.4%〜0.5%、30歳以上の人口の1%にあたる人が関節リウマチにかかると言われています。発症のピークは60歳代です。しかし、若い方でも症状が続く場合は専門医の診察を受けることが重要です。(文献1) リウマチの症状は個人差が大きく、典型的な症状が現れないこともあります。持続する関節の痛みや腫れがある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。早期発見・早期治療により、関節の変形や機能障害を最小限に抑えられます。適切な治療を受けることで、多くの方が日常生活の質を維持しています。 リウマチではない関節痛を起こす主な疾患 関節痛の原因は実に多様で、リウマチ以外にも多くの疾患が関係しています。症状の特徴や現れ方を理解すると、より適切な対処につながります。以下の表では、リウマチと間違えやすい主な疾患とその特徴を紹介します。ご自身の症状に心当たりがある場合は、専門医にご相談ください。 疾患名 主な症状と特徴 更年期障害 ホルモンバランスの変化による関節痛、こわばり。肩や膝、手首などに現れやすく、他の更年期症状(ほてり、発汗など)を伴うことが多い。 変形性関節症(OA) 関節の軟骨がすり減ることで起こる痛み。負荷のかかる膝や股関節に多く、動かし始めに痛みが強く、徐々に和らぐ。年齢とともに発症リスクが高まる。 痛風 尿酸結晶が関節内にたまることで炎症を起こす。突然の激しい痛みが特徴で、足の親指の付け根など単関節に発症しやすい。 腱鞘炎・ばね指 指や手首を動かすための腱とその鞘の炎症。曲げ伸ばしで痛みが生じ、とくに朝に症状が強い。指が引っかかる感じや「バネ」のような動きが特徴的。 関節炎 手の関節の炎症。関節のこわばり、腫れ、痛みを伴うことが多い。 線維筋痛症 全身の広範囲に及ぶ慢性的な痛みがあり、中年以降の女性に多いのが特徴。手足のしびれや動悸、呼吸困難などを伴うことも多い。 手根管症候群 手首の「正中神経」と呼ばれる部分で神経が圧迫される状態。手のしびれや痛みを起こす。手首の反復運動や長時間のデスクワークなどが原因。 リウマチと通常の関節痛を見抜くセルフチェック方法 関節の痛みを感じたとき、それがリウマチなのか一般的な関節痛なのか気になるでしょう。医師の診断を受ける前に、ご自身でチェックできるポイントがいくつかあります。以下の項目を参考に症状を観察してみましょう。 ただし、これはあくまで目安です。正確に診断してもらうためにも医師の診察を受けてください。 痛みが強く出る時間帯・動作 痛みのパターンは疾患を見分ける重要な手がかりです。リウマチの場合、とくに朝起きたときや長時間同じ姿勢でいた後のこわばりがあり、微熱が出る場合もあります。また、だるさや食欲低下も見られます。 変形性関節症などの一般的な関節痛は、動き始めや負荷をかけたときに痛み、休むと痛みが和らぐ場合が多いです。日常生活の中で、どのようなときに痛みが増すのかを記録しておくと診断の参考になるでしょう。 部位と左右差 リウマチの特徴の一つに、左右対称に症状が現れることがあります。たとえば両手の同じ指や両膝など、体の左右で同じ部位に痛みや腫れが生じるケースです。対して、変形性関節症や腱鞘炎などは、使い過ぎや負担のかかり方によって片側に症状が出やすいことが多いです。 リウマチは手首や指の小さな関節から症状が現れることが多いのに対し、変形性関節症は主に体重のかかる膝や股関節などの大きな関節に生じやすいという違いもあります。 腫れ・熱感・発赤・可動域制限の有無 関節の炎症サインの有無も、リウマチを見分ける重要な手がかりです。リウマチでは、関節の腫れや熱感、発赤(赤み)などの炎症症状が明らかに見られることが多く、関節を動かす範囲(可動域)が制限されることもあります。全身症状として微熱や倦怠感、食欲不振などを伴うこともあります。 一方、一般的な関節痛では、軽度の腫れはあっても熱感や発赤が目立たないことが多く、全身症状も少ない傾向です。これらの症状に気づいたら、できるだけ早く医師に相談しましょう。 リウマチと関節痛における検査方法 関節痛の原因を特定するためには、さまざまな検査が必要です。医師は症状や経過に基づいて、適切な検査を選択します。 リウマチの診断には、画像検査と血液検査がとくに重要です。検査を組み合わせると、リウマチかそれ以外の関節痛かを見極められ、適切な治療につなげることができます。 画像検査 画像検査は関節の状態を視覚的に評価する重要な検査です。画像検査には以下の種類があります。 レントゲン検査:骨の変形や関節間隙の狭小化などを確認できる MRI:軟部組織の評価に優れており、関節の滑膜炎や骨髄浮腫、靭帯・腱の状態などを詳しく観察できる 関節超音波検査:リアルタイムで関節の炎症状態を評価でき、滑膜の肥厚や関節液の貯留、血流増加などを非侵襲的に検出できる 画像検査を適切に組み合わせれば、リウマチの早期発見や経過観察、ほかの関節疾患との鑑別が可能です。 血液検査 血液検査はリウマチの診断において必須の検査です。主な検査項目は以下のようになります。 検査項目 特徴 リウマトイド因子(RF) リウマチ患者の約80%で陽性となるが、健康な人やほかの疾患でも陽性になることがあるため、単独での診断確定は難しいとされている CRP(C反応性タンパク) 炎症の程度を示す指標で、関節の炎症が強いと値も高くなる 抗CCP抗体検査 リウマチの早期診断や予後予測に有用とされている 抗核抗体(ANA) リウマチだけでなく、ほかの膠原病の鑑別にも重要 (文献2) 血液検査の結果を総合的に判断し、臨床症状や画像所見と併せて診断が進められます。定期的な血液検査によって、病気の活動性や治療効果の評価も重要です。 リウマチではない関節痛の治療方法 関節リウマチではない関節痛の治療は、原因となる疾患や症状の重症度によって異なります。治療の目標は、痛みの軽減や炎症の抑制、関節機能の維持・改善、そして日常生活の質の向上です。 治療法は大きく分けて、薬物療法と注射治療があり、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。ここから詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法は関節痛の治療においてもっとも一般的に用いられる方法です。症状や原因疾患に合わせて、適切な薬剤が選択されます。 非リウマチ性の関節痛に対しては、主に痛みや炎症を抑える対症療法が中心となります。使用される薬剤はさまざまですが、どの薬剤も効果と副作用のバランスを考慮して慎重に使用することが重要です。 自己判断での服用は避け、医師の指示に従いましょう。症状の変化や副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。 主な薬剤は以下のとおりです。 薬剤 特徴と効果 非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs) 炎症と痛みを抑える効果があり、速効性がある。胃腸障害や腎機能障害などの副作用に注意が必要。 アセトアミノフェン 鎮痛効果があり安全性が高い。比較的副作用が少なく、高齢者や他の薬剤が使用しづらい患者にも使用される。 オピオイド 強力な鎮痛効果があるが、依存性や呼吸抑制などの副作用があり、慎重に使用される。 漢方薬 さまざまな生薬の組み合わせにより、体質に応じた処方ができる。副作用が起こる場合もある。 注射治療 注射治療は、薬物療法で十分な効果が得られない場合や、より局所的な治療が必要な場合に選択されます。関節内や周囲の組織に直接薬剤を注入すれば、全身への副作用を最小限に抑えつつ、効果的に症状を緩和できるでしょう。 注射治療の種類によって効果の持続期間や適応疾患が異なるため、症状や病態に合わせて適切な治療法が選択されます。いずれの注射治療も、感染や出血などのリスクがあるため、清潔な環境で専門医により実施されることが重要です。 治療効果は個人差があり、一時的に症状が悪化する場合もありますので、医師の説明をよく聞いて判断しましょう。 以下は主な注射治療です。 注射治療 特徴と効果 ヒアルロン酸注射 関節内の潤滑機能を高め、クッション作用を補うため、直接患部に注射を行う。即効性はないが、定期的な注射で効果が持続する。 ステロイド注射 強力な抗炎症作用があり、即効性がある。頻回の使用は副作用をおこす可能性がある。 PFC-FD療法 自己血由来の成長因子を利用し、組織の修復・再生を促進する。比較的新しい治療法。 リウマチではない関節痛は放置せず早期の受診を心がけよう 関節痛を感じたとき、年齢のせいや、しばらく様子を見ようと放置してしまいがちです。しかし、持続する痛みは早めに医療機関を受診しましょう。 早期受診のメリットは多くあります。痛みの原因を正確に特定でき、早期に治療を開始すると効果が高まります。日常生活への支障も、最小限に抑えられるでしょう。 関節痛が起きたら、自己判断せず医師への相談が必要です。関節痛でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 公益財団法人 日本リウマチ財団「関節リウマチとは」公益財団法人 日本リウマチ財団 ホームぺージ https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rheuma/ (最終アクセス:2025年5月14日) 文献2 シーズン神奈川リウマチクリニック「リウマチで重要な3つの血液検査」シーズン神奈川リウマチクリニック ホームぺージ https://seasons-kanagawa.jp/blog/ra-bloodtest/ (最終アクセス:2025年5月14日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
背中の痛みや手足のしびれが続くと「強いストレスが脊髄腫瘍を招いたのでは?」と不安になる方は少なくありません。 現代社会においてストレスは避けて通れないものとなっており、さまざまな健康問題との関連性が指摘されています。しかし、ストレスが腫瘍を直接つくるという科学的根拠は現時点で確認されていません。一方、慢性的なストレスは免疫低下や血流悪化を通じて症状を悪化させる恐れがあります。 本記事では脊髄腫瘍の主な原因とストレスとの関係性、早期発見のポイント、日常でできるセルフケアについてわかりやすく解説します。 脊髄腫瘍の原因とストレスの関係性 脊髄腫瘍の発生メカニズムについては、現在の医学でもまだ完全には解明されていません。しかし、もっとも有力な原因として考えられているのは、遺伝子の突然変異です。正常な細胞の遺伝子に変異が生じることで、細胞の増殖が制御できなくなり、腫瘍が形成されると考えられています。 まれなケースですが、家族性に発生する場合もあります。特定の遺伝子異常を持つ家系では、脊髄腫瘍を含むさまざまな腫瘍が発生するリスクが高まることが知られているのです。 現在の医学的知見では、ストレスそのものが脊髄腫瘍を引き起こす明確なエビデンス(科学的根拠)は確立されていません。しかし、後から説明するように、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性は否定できないと言えます。 脊髄腫瘍の主な原因 脊髄腫瘍は大きく分けて「原発性」と「転移性」の二つに分類されます。それぞれの特徴と発生原因について詳しく見ていきましょう。 原発性脊髄腫瘍 原発性脊髄腫瘍とは、脊髄や脊柱自体から発生する腫瘍のことを指します。これらの腫瘍は良性(進行が遅く、他の組織に広がりにくいもの)と悪性(進行が早く、浸潤性が高いもの)の両方があります。 原発性脊髄腫瘍の代表的なものには以下のようなタイプがあります。 髄膜腫:脊髄を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性 神経鞘腫:神経の保護層(シュワン細胞)から発生する腫瘍で、多くは良性 星細胞腫:星状神経膠細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま 上衣腫:脳や脊髄の中心にある脳室系や中心管を覆う上衣細胞から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざま これらの腫瘍は通常、遺伝子の突然変異によって発生すると考えられていますが、その具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。 転移性脊髄腫瘍 転移性脊髄腫瘍は、他の臓器で発生したがん細胞が血流やリンパ流を通じて脊髄に広がった場合に発生します。脊髄腫瘍全体の中では、この転移性のものが多くを占めています。 とくに転移しやすい原発巣(最初にがんが発生した場所)としては以下のがんが挙げられます。 肺がん 乳がん 前立腺がん 腎臓がん 甲状腺がん リンパ腫 黒色腫 (文献1) これらのがんは転移を起こしやすく、脊椎や脊髄周囲に転移する場合があります。転移性脊髄腫瘍の場合、原発巣でのがん発生が関与していることになります。 遺伝性疾患・放射線治療・年齢 脊髄腫瘍の発生リスクを高める要因として、いくつかの遺伝性疾患や環境因子、年齢などが挙げられます。 遺伝性疾患については、神経線維腫症2型が代表的です。この疾患では聴神経鞘腫を主とする腫瘍が特徴的であり、脊髄腫瘍のリスクも高まります。また、フォン・ヒッペル・リンドウ病では脳や脊髄のさまざまな部位に血管芽腫が発生することが知られています。 放射線治療との関連では、過去にほかの疾患の治療目的で放射線治療を受けた部位に、数年から数十年後に腫瘍が発生しているケースです。これは放射線被曝が、腫瘍形成のリスクを高める可能性があるといえます。 年齢も重要な要因の一つです。脊髄腫瘍はさまざまな年齢層で発生しますが、転移性脊髄腫瘍では中高年層での発症リスクが多い傾向です。 ストレスが脊髄腫瘍に及ぼす影響 ストレスそのものが脊髄腫瘍の直接的な原因となる明確な科学的根拠はありませんが、すでに発症した脊髄腫瘍の症状や経過に影響を与える可能性はあります。ここでは、ストレスが脊髄腫瘍患者の身体にどのような影響を与えうるのかを解説します。 免疫低下・炎症促進 ストレスが長期間続くと、体内でさまざまな生理的変化が起こります。とくに注目すべきは、免疫系への影響です。 長期的な心理ストレスが続くと、副腎皮質から分泌されるホルモンであるコルチゾールの分泌が慢性的に高まります。コルチゾールは本来、体のストレス応答を調整する重要なホルモンですが、過剰に分泌され続けると免疫機能に悪影響を及ぼします。具体的には、がん細胞を破壊するナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞などの細胞性免疫の働きが鈍くなるのです。 コルチゾールは炎症性サイトカインの産生も促進し、神経組織にむくみや痛みを引き起こしやすい状態をつくります。免疫低下と炎症は、腫瘍そのものの増殖を直接促進する証拠はないものの、疼痛・しびれ・倦怠感といった自覚症状を強め、治療後の回復を遅らせる要因になる可能性があります。 痛み・しびれを増幅 慢性的なストレス状態では、交感神経が優位になり、痛み刺激を増幅する「中枢性感作」という現象が起こりやすくなります。中枢性感作とは、脊髄や脳の痛み伝達経路が過敏になり、通常なら痛みとして感じない程度の刺激でも痛みとして感じるようになる状態です。(文献2) 脊髄腫瘍による神経への圧迫がわずかであっても、中枢性感作によって実際に感じる痛みやしびれが強くなり、QOL(生活の質)が大きく低下する場合があります。痛みによる不眠や食欲不振が重なると、さらに痛みの閾値が下がる悪循環に陥りやすくなります。 脊髄腫瘍の予防につながるストレス解消法 現時点では、ストレスが脊髄腫瘍を直接引き起こす明確な科学的証拠はありません。しかし、ストレスが免疫機能に影響を与え、すでに発症した腫瘍の症状を悪化させる可能性は否定できません。 ここでは、日常生活で実践できるストレス解消法をご紹介します。脊髄腫瘍の直接的な予防にはならないかもしれませんが、全身の健康維持や症状緩和に役立つ可能性があります。 自律神経を整える 自律神経のバランスを整えることは、ストレス耐性を高め、免疫機能を維持する上で非常に重要です。食生活、運動、睡眠の3つの観点から自律神経を整える方法をご紹介します。 まず食生活については、規則正しく、バランスの良い食事を心がけることが基本です。とくに抗酸化物質を多く含む野菜や果物を積極的に摂取し、カフェインや刺激物の過剰摂取は避けましょう。また、日々の適切な水分補給も忘れないようにしましょう。 運動面では、ウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動を定期的に行うことがおすすめです。ただし、過度な運動は逆にストレスになるため、自分のペースで続けられる運動を選ぶことが大切です。可能であれば、自然の中で運動すると、より高いリラックス効果が得られます。 質の良い睡眠も自律神経のバランスを整えるために欠かせません。規則正しい睡眠スケジュールを維持し、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は控えましょう。ブルーライトは睡眠の質を下げることが知られています。 寝室の環境を整え(適切な温度、湿度、静けさを保つ)、就寝前には温かい入浴やストレッチ、読書などのリラックスルーティンを取り入れると良いでしょう。 趣味を楽しむ 日常生活の中で自分が純粋に楽しめる時間を持つことは、ストレス解消に非常に効果的です。音楽を聴くことはストレスホルモンの分泌を抑制し、リラックス効果をもたらします。読書によって物語の世界に没頭すれば、現実の悩みから一時的に離れられるでしょう。 また、以下のような趣味もおすすめです。 絵を描く 楽器を演奏する 料理をする 創作活動は脳内の報酬系を刺激し、幸福感をもたらします。 園芸や散歩など、自然と触れ合う活動もストレスホルモンの低下に効果的です。自分が心から楽しめる趣味を見つけ、定期的な時間の確保が重要です。 趣味の時間は「自分だけの時間」として大切にしましょう。日々の忙しさや責任から解放される時間を持つことで、心に余裕が生まれます。同じ趣味を持つ人々との交流も、新たな刺激や喜びをもたらしてくれます。趣味のサークルやオンラインコミュニティに参加すると、社会的つながりが広がり、それ自体がストレス耐性を高める効果があります。 脊髄腫瘍の治療中や経過観察中の患者さんにとっても、体調と相談しながら無理のない範囲で趣味の時間を持つことは、QOL(生活の質)の向上につながります。身体的な負担が少ない趣味から始めて、徐々に活動の幅を広げていくことも一つの方法です。趣味に没頭することで得られる時間は、痛みの知覚を和らげる効果もあるといわれています。 マインドフルネスを実践する マインドフルネスとは、「今この瞬間の体験に、評価や判断をせずに意識を向けること」を意味します。日常的にマインドフルネスを実践すれば、ストレスへの反応パターンを変え、心の平静を保ちやすくなるでしょう。 マインドフルネス瞑想の基本は、背筋を伸ばしリラックスした姿勢で座り、自然な呼吸に意識を向けることから始まります。息が入ってくる感覚、出ていく感覚に注意を払い、雑念が浮かんでも判断せず、優しく呼吸に意識を戻します。初めは5分程度から始め、徐々に時間を延ばしていきます。 日常生活の中でも、食事をするときは味や香り、食感に意識を向け、歩くときは足の裏の感覚や体のバランスを意識するなど、日常の行動に注意を向けることでマインドフルネスが実践可能です。何かを待つ時間があるときも、その間の呼吸や体の感覚に注意を向けてみましょう。 マインドフルネス実践は、特別な道具や場所を必要とせず、日常生活の中で簡単に取り入れられます。 ストレス解消を心がけて脊髄腫瘍の悪化・発症を防ごう 脊髄腫瘍の直接的な原因はストレスではありません。現在の医学的知見では、脊髄腫瘍の主な発生メカニズムは遺伝子の突然変異であり、家族性の要因や放射線被曝、加齢などがリスク因子となります。 しかし、すでに発症した脊髄腫瘍患者では、ストレスが免疫機能の低下や炎症の促進、痛みの増幅などを通じて症状を悪化させる可能性があります。そのため、日常生活におけるストレス管理が重要です。 脊髄腫瘍の症状(背部痛、しびれ、脱力感など)に気づいたら、早めに専門医を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄腫瘍をはじめとする神経系疾患の診断・治療に経験豊富な医師が、一人ひとりに寄り添った医療を提供しています。メール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 文献1 MSDマニュアル家庭版「脊髄腫瘍」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%B3%BB%E3%81%AE%E8%85%AB%E7%98%8D/%E8%84%8A%E9%AB%84%E8%85%AB%E7%98%8D(最終アクセス:2025年5月13日) 文献2 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター「心理的因子と痛みの関係における中枢性感作の媒介効果」畿央大学ニューロリハビリテーション研究センターホームぺージ https://www.kio.ac.jp/nrc/2019/04/11/kio_nrc_press_20190411/(最終アクセス:2025年5月13日)
2025.05.30 -
- その他、整形外科疾患
「最近、足に力が入らない」「歩くときにふらつく」そんな症状が続き、病院で脊髄腫瘍と診断された方もいるかもしれません。 脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はあります。 この記事では、脊髄腫瘍によって歩けなくなる原因や、その後の治療・歩行機能回復の見通しについてわかりやすく解説します。 また、脊髄腫瘍に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 患者様ご自身の細胞を活用し、損傷した神経や組織の修復を促す治療であり、多くの場合は入院を必要とせず通院で実施可能なため、体への負担が少ないとされています。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄腫瘍のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 実際の症例については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/t0J9vVVGGXU 【結論】脊髄腫瘍で歩けなくなる可能性はある 脊髄腫瘍は、脊髄や周辺の神経・血管を圧迫し、歩けなくなる可能性があります。 脊髄腫瘍によって歩けなくなる過程は次のとおりです。 背骨(脊柱)内の脊髄に腫瘍ができ、徐々に大きくなる 腫瘍が脊髄やその周囲の血管を圧迫し、神経の電気信号や血流が遮断される 筋肉に指令が届きにくくなり、脚の力が入らない・しびれるなどの初期症状が現れる 腫瘍の増大や出血、骨折を起こすと、急激に麻痺が進行する場合がある 首・胸・腰といった発生部位によって症状の出方は異なりますが、放置すればするほど症状は進行しやすく、回復が難しくなる傾向にあります。 歩きづらさやしびれ、ふらつきといった症状が続く場合は、医療機関を受診し適切な治療を受けましょう。 脊髄腫瘍の歩行回復の可能性 脊髄腫瘍によって歩けなくなっても、手術後に歩行機能が回復する可能性はあります。 国立病院機構整形外科の研究によると、脊髄内の腫瘍を手術で切除した患者の84.6%がサポートなしで歩けるようになったという報告もありました。(文献1) 腫瘍が神経を圧迫すると歩けなくなることがありますが、原因を取り除けば再び歩ける可能性があります。 しかし、以下のようなケースでは、歩行の回復が難しい傾向にあるため注意が必要です。 腫瘍の発見が遅れ、長期間ベッド上での生活を送っていた方 高齢で神経や筋力の回復力が低下している方 脊髄腫瘍で歩けなくなる症状は、早期の発見と治療で回復の可能性が高まります。歩行に不安がある場合は、ひとりで抱え込まず脊椎や脳神経の専門医に相談しましょう。 脊髄腫瘍の症状|しびれや歩行障害 腫瘍ができた部位によって異なりますが、脊髄腫瘍の主な症状はしびれや筋力の低下、歩行のふらつきです。 一般的には手足の違和感や痛み、しびれといった軽度の神経症状から始まり、徐々に感覚障害や筋力の低下が進行します。放置すると歩くのが難しくなり、転倒を繰り返すようになる場合もあります。 脊髄腫瘍の症状は加齢による神経の衰えや腰痛と誤解されやすいため、注意が必要です。 腫瘍の発生部位ごとの主な症状と歩行への影響は、以下の通りです。 発生部位 主な症状 歩行への影響 頸髄(首) 手足や体幹の感覚障害や麻痺 首の痛み 足の感覚低下 しびれ ふらつき 転倒 胸髄(胸) 胸部以下の感覚障害 両足の筋力低下 背部痛 歩行時のふらつき バランス喪失 腰髄(腰) 足の痛みやしびれ 腰痛 下肢の筋力低下 歩行時に足が痛む しびれ 足がもつれる また、以下の症状がみられる場合は、脳神経外科や整形外科を受診しましょう。 首や腰、背中の痛みが長く続く 温度の感覚が鈍くなる 歩きにくい 症状に気づいた段階で専門医に相談できれば、進行を抑える可能性が高まります。 しかし「手術は成功したのに、しびれが取れない」「リハビリを続けているが、思うように改善しない」といった、治療後の後遺症や神経障害に対して、幹細胞を用いた再生医療が新たな治療の選択肢として注目されています。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄腫瘍の手術後も神経症状が残っている方 手足のしびれや感覚障害が改善しない方 歩行のふらつきや転倒の不安がある方 リハビリを続けているが効果を感じない方 手術は避けたいが症状を改善したい方再生医療 脊髄腫瘍治療後の後遺症や神経障害でお困りの方、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 脊髄腫瘍の治療法 脊髄腫瘍によって歩けない場合の一般的な治療法は、以下の通りです。 外科的手術 放射線療法 投薬治療 再生医療 腫瘍を取り除き神経の圧迫を緩和できれば、症状の改善が期待できます。 手術を伴わない再生医療という新しい治療法も選択肢の一つとして紹介します。 外科的手術 脊髄腫瘍の外科的手術は、神経を圧迫している腫瘍を直接取り除く治療法です。良性腫瘍や、症状が進行しているケースでは第一選択となります。 以下は、手術のおおまかな手順の一例です。 全身麻酔をかける 顕微鏡で神経や腫瘍を確認しながら腫瘍を少しずつ摘出 背骨が不安定な場合は金属や人工骨で固定 術後は経過観察とリハビリを実施 良性腫瘍の場合、腫瘍が完全に摘出できれば再発の可能性はほとんどありません。一方で、腫瘍がすべて取り切れなかったり、再発のリスクがあったりする場合は、放射線などの治療を追加で行うこともあります。 入院期間は一般的に2〜3週間程度が目安で、術後にはリハビリが必要です。 脊髄腫瘍の外科的手術は、腫瘍を取り除くことで神経の働きが回復し、しびれや歩けない状態の改善が期待できます。しかし、脊髄を損傷するリスクもあるため、治療方針は医師と十分に相談しましょう。 放射線療法 脊髄腫瘍の放射線療法は、手術で取りきれなかった腫瘍や、切除が難しい部位に対して体の外から放射線を照射して、腫瘍細胞の弱体化や縮小を目指します。 脊髄腫瘍の放射線療法は、以下の副作用がみられることがあります。 疲労感 食欲不振 白血球や赤血球の減少など そのため、治療中は体調管理や定期的な検査が欠かせません。腫瘍の種類や部位によって効果に差があるため、医師と相談して治療計画を立てましょう。 投薬治療 脊髄腫瘍に対する投薬治療は、痛みや麻痺、排尿障害などの症状を和らげるための対症療法や、手術・放射線と組み合わせる補助療法として行われます。 腫瘍の種類や症状の程度に応じて、主に以下のような薬が使われます。 薬の名前 使用する場面 コルチコステロイド 多くは手術を前提とした処置 腫瘍が脊髄を圧迫している場合に腫れを抑える目的で使用 痛み止め 手術ができないケース 術後に腰や背中の痛み・しびれが残る場合 排尿しにくさを改善する薬 排尿コントロールが難しいとき 抗がん剤(化学療法) がん細胞の増殖を抑制する目的 主に悪性腫瘍や転移において使用 投薬治療には副作用のリスクも伴うため、定期的な検査が必要です。医師と相談しながら、症状や体調に合った薬を選びましょう。 再生医療 再生医療は、脊髄腫瘍による歩きにくさに対する治療の選択肢の一つです。 自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経や組織にアプローチします。多くの場合、手術を伴わず通院で治療が可能なため、体への負担が少ないのも特徴です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?feature=shared 以下のお悩みを抱えている方は、再生医療による治療も選択肢としてご検討ください。 脊髄腫瘍で歩けないことに不安を抱えている 手術以外の治療法を探している 長期の入院が難しい リハビリの効果が十分に感じられない 手術後のしびれや痛みに悩んでいる 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療に対応しています。治療に関するご不安やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。 脊髄腫瘍のリハビリ 脊髄腫瘍の治療では、手術や放射線治療と並行して行うリハビリが重要です。 主なリハビリの流れは、以下の通りです。 時期の目安 主なリハビリ内容 術後すぐ~2週間程度 関節の曲げ伸ばしをして可動域を保つ 呼吸に使う筋肉を鍛え、持久力の向上を図る 症状が安定し、訓練が可能になったら 寝返りや起き上がり、食事、排泄の訓練 松葉杖や歩行器の使用 体幹や太ももなどのトレーニング 関節の位置感覚を取り戻す訓練 手術後半年以降 残った機能の維持と強化を継続する 神経の損傷や圧迫によって低下した運動機能・感覚機能を取り戻すために、手術後できるだけ早い段階からリハビリが開始されます。 歩けるようになるためには、単に筋力を鍛えるだけでなく足やつま先が今どこにあるかを感じ取る感覚を取り戻すことも重要です。胸部の背骨にできた脊椎腫瘍の手術を受けた方では、この感覚が足の親指で低下していると、術後に歩けるようになるまで時間がかかるという報告があります。(文献2) 退院後も、外来・訪問・通所リハビリなどを活用して、残存機能の維持と強化を継続しましょう。医師やリハビリスタッフと相談しながら、無理のないプランを立てることが大切です。 脊髄腫瘍で歩けないことにお悩みの方は当院へご相談ください 歩こうとしたときのふらつきや脚に力が入らない感覚は、脊髄腫瘍が神経を圧迫している可能性があります。 脊髄腫瘍が進行すると、歩けない・立てないなど日常生活に影響を及ぼす状態につながるため、早期の受診が重要です。 脊髄腫瘍は、手術や放射線治療によって歩けるようになる場合があります。 また、再生医療も、脊髄腫瘍に対する治療法のひとつです。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を利用する治療法です。手術や入院が不要なため、手術のリスクを避けたい方、長期入院が難しい方は、一度ご検討ください。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様一人ひとりの状態に応じた治療計画を提案し、十分な説明とご相談の上で治療を進めております。 再生医療による治療に興味がある方は、お気軽にご相談ください。 脊髄腫瘍で歩けない方からよくある質問 脊髄腫瘍とはどんな病気ですか? 脊髄腫瘍とは、背骨の中を通る脊髄と呼ばれる神経の周囲に腫瘍ができ、神経を圧迫する病気です。発生部位や性質によって良性・悪性に分かれ、治療法も異なります。 脊髄腫瘍の発生場所や特徴は、以下の通りです。 場所 主な発生源 特徴 治療の考え方 硬膜外(骨と脊髄の外側) ほかの臓器からの転移が最多 骨を壊しながら大きくなり、神経を強く圧迫 手術+放射線・薬でコントロール 硬膜内髄外(脊髄の内側、脊髄の外) 神経の膜や鞘からできる良性腫瘍 大きくなるまで無症状のこともある 小さければ経過観察、大きければ手術 硬膜内髄内(脊髄そのもの) 脊髄内部の細胞 悪性が多く進行が速い 早期に手術・放射線を検討 腫瘍が大きくなると、背中や手足の痛み・しびれ、力の入りにくさが出現し、放置すると歩けなくなったり排尿が難しくなったりすることもあります。 症状が軽いうちにMRIなどの精密検査を受け、専門医と治療方針を相談しましょう。 脊髄腫瘍の診断・検査方法は? 脊髄腫瘍の診断では、痛みやしびれ、ふらつき、筋力低下、排尿・排便障害といった神経症状を確認します。 さらに、腫瘍の有無や位置を特定するために、必要に応じて以下のような検査を行います。 検査名 検査内容 実施の目的 MRI トンネル状の装置を使用し身体の断面を画像化する 神経や腫瘍の形・位置・血流を詳細に確認 CT レントゲンと同じX線を照射し、断面の画像を作成する 骨の破壊や変形の有無を確認 電気生理検査 筋肉に細い針を刺して筋肉の収縮を調べる ヘルニアとの鑑別・神経伝導の状態を確認 生検 細い針を刺して腫瘍の組織を採り顕微鏡で調べる 良性・悪性の確認や種類を確定 なお、脊髄腫瘍の確定診断には画像検査が不可欠です。 脊髄腫瘍の原因は? 脊髄腫瘍のはっきりとした原因は、まだ明らかになっていません。 原因として考えられている要因には、以下のようなものがあります。 体内の細胞がなんらかの理由で異常増殖する 肺がんや乳がんなど他の臓器からの転移 また、ストレスが免疫力や自律神経に影響を与えることで、症状の悪化や体調不良を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 脊髄腫瘍の予後は? 脊髄腫瘍の予後は、腫瘍の種類によって大きく異なります。 腫瘍の種類と生存率について、253人を対象とした研究では以下のような結果が報告されています。(文献3) 腫瘍の種類 上衣腫瘍 血管芽腫 星状細胞腫瘍 特徴 脊髄の上衣細胞から発生する 比較的手術で取りやすい 脊髄内の血管が増殖してできる良性の腫瘍 全摘出しやすい 星状細胞(神経膠細胞)由来 悪性の場合もあり、手術で全摘出が難しい 5年後の生存率 86.7% 88.7% 67.8% 10年後の生存率 86.7% 88.7% 58.1% 15年後の生存率 76.3% 53.2% 記載なし 上衣腫瘍と血管芽腫は比較的全摘出が可能で、長期生存率も高い傾向にあります。一方、星状細胞腫瘍は全摘出が難しいことが多く、5年・10年後の生存率も低めです。 腫瘍の種類を正確に見極めることが、治療方針や予後の予測において重要です。 参考文献 (文献1) 硬膜内髄外脊髄腫瘍患者における腫瘍切除後も術前の歩行障害の程度は残るか? | 国際脊髄学会誌 (文献2) 足の親指の関節位置感覚の障害を伴う脊椎腫瘍患者では、初期段階での歩行機能の術後回復が遅れる|J-STAGE (文献3) 髄内脊髄腫瘍の外科的切除後の生存と機能的転帰:22年間にわたる253人の患者のシリーズ | PubMed
2025.05.30 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
普段から坐骨神経痛に悩まされていて、痛みのせいで眠れずにお困りの方もいるのではないでしょうか。 坐骨神経痛の痛みが和らいだ状態で眠れる寝方は、いくつかあります。 本記事では、坐骨神経痛の痛みを和らげる寝方や、妊娠中の痛みを軽減する寝方、痛みで眠れないときの対処法を徹底解説します。 坐骨神経痛の痛みを軽減して眠る方法やポイントを理解し、今夜から少しでも楽にお休みください。 \坐骨神経痛に対する再生医療とは/ 慢性的でつらい坐骨神経痛に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは、患者様ご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用し、損傷した神経や周囲組織の修復を促す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手足のしびれや痛みが長期間続いている 保存療法(薬・注射・リハビリ)では改善がみられない 手術はできるだけ避けたいと考えている 手術を受けたが、痛みが残っている、あるいは再発してしまった >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 坐骨神経痛を緩和する寝方 「朝起きたら腰やお尻が痛い」「起き上がるときに足がビリビリして最初の一歩が出づらい」そのような症状に悩まされていませんか。 就寝中は体温が低下して筋肉が硬くなりやすいため、寝方が悪いと坐骨神経が圧迫されやすくなります。 朝起きるときに坐骨神経痛の症状が強く出る方は、寝ている間の姿勢に気をつける必要があります。とくにうつぶせ寝は腰椎(腰の骨)が反り、神経が強く圧迫されるため推奨できません。 ここでは、坐骨神経痛の症状が和らぐ以下2つの寝方を紹介します。 横向き寝 仰向け寝 腰の痛みに加えて、お尻から脚に至る範囲でしびれを伴う坐骨神経痛は、日常生活にさまざまな悪影響を及ぼします。 坐骨神経痛では、痛みやしびれにより熟睡できないことも多くあります。しかし、寝方を工夫するだけで、痛みを和らげながら眠れます。 坐骨神経痛の原因や治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 横向き寝 坐骨神経痛の症状が出ている方は、基本的に横向きで寝るよう意識してください。 横向きで眠る際には、膝を曲げ膝の間にクッションを挟むと痛みが和らぎ、熟睡が期待できます。(文献1) 抱き枕や使っていない掛け布団を、上になった方の膝や腕の下に敷くのもおすすめです。クッションや抱き枕、掛け布団などに膝や腕を乗せると、腰にかかる負担が軽減します。 坐骨神経痛の方が横向きに寝ると痛みを感じやすい理由は、腰の中心を腰椎が通るのに対し、周辺には筋肉や内臓しかないためです。 横向きの場合、腰回りの筋肉が体を支えようと緊張するため、骨盤内を通る坐骨神経が筋肉に圧迫されて痛みが強まってしまうのです。 横向きで寝るときは、痛い部位を上に向けることがポイントです。これにより、筋肉による神経の圧迫で生じる痛みを抑えられます。さらに、膝の間にクッションを挟むと、クッションが腰を支えて足の筋肉が緩むため、痛みが軽減されます。 仰向け寝 坐骨神経痛の症状が出ていて横向きで寝られない方は、仰向けで寝てみましょう。 仰向けで寝るときは、膝を立てた姿勢を意識するのがポイントです。 坐骨神経痛の方が通常の仰向け姿勢で眠るだけでは、腰椎(腰の骨)が前方に反りすぎて(前弯)敷布団から浮いた状態になるためです。腰痛の前弯状態が続くと、腰からお尻、脚につながる坐骨神経が圧迫され、痛みが強まる原因となります。 膝を立てた姿勢で仰向けになると腰の反りが緩和され、神経の圧迫が緩んで痛みを抑えられます。ただし、意識的に膝を立てて寝ようとすると熟睡できない可能性があるため注意が必要です。 仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや丸めたタオルを置いてみましょう。(文献1)クッションや丸めたタオルの高さによって自然に膝が曲がり、腰への負担を減らしながら、無理のない姿勢で眠れます。 坐骨神経痛があるときに朝起き上がる動作のポイント 坐骨神経痛があるときは、以下4つのポイントを意識して起き上がるようにしてください。 急に布団から起き上がらない 起きる前に布団の中で手足を伸ばす 仰向けになり両膝を曲げて左右に倒す 横を向いてから起き上がる 坐骨神経痛があるときに、急に布団から起き上がるのは禁物です。就寝中は血圧や心拍数が低下して血流が悪くなり、腰やお尻の回りの筋肉が硬くなっています。 急に起き上がると硬くなった筋肉によって神経が強く圧迫されたり、筋線維自体が切れたりする恐れがあります。 起き上がる前に布団の中で手足を伸ばし、血液の循環を促進するよう意識してください。 あおむけの状態になれる方は、両膝を立てた状態から左右に倒してみましょう。両膝を繰り返し左右に倒すと、骨盤の中央にある仙腸関節の動きが良くなり、坐骨神経痛の症状を緩和する効果が期待できます。 坐骨神経痛の多くは検査をしても原因が見つかりませんが、仙腸関節の可動域減少により症状が出やすくなると考えられています。(文献2) 布団から起き上がる際は、横を向いてから両手で布団を押して上体を起こすのがポイントです。 妊娠中に坐骨神経痛を緩和する寝方 妊娠中に坐骨神経痛を感じる場合は、横向きに寝て、痛みが出やすい側を上にする姿勢が基本です。 併せて膝を軽く曲げ、両膝の間にクッションなどを挟むと、骨盤や腰への負担が和らぎます。横向きで膝を軽く曲げることで体のバランスが安定し、坐骨神経への圧迫を軽減しやすくなります。 また、就寝時はお腹や腰周りへの冷えを防ぐことで、坐骨神経痛の症状を緩和できます。 なお、横向きに寝る際は、胎児への影響を考慮し、あらかじめ主治医にもご相談ください。 坐骨神経痛の痛みで眠れないときの対処法 坐骨神経痛の発症にともなってお尻や足の痛みが出たり、しびれが強くなったりすると、布団に入ってもなかなか寝付けなくなります。 就寝中も寝返りの際に痛みが出ると途中で目が覚めるなど、睡眠の質が著しく低下するおそれがあります。睡眠不足や睡眠の質の低下は症状の回復を遅らせるだけでなく、日中の行動にも影響をおよぼすため早めの対処が必要です。 坐骨神経痛の痛みで眠れないときの対処法は、以下のとおりです。 寝方の変更 就寝前の水分摂取 寝冷えの防止 もし坐骨神経痛で眠れないときは、以下の方法をお試しください。 寝方の変更 坐骨神経痛の痛みで眠れないときは、以下の点を意識してみましょう。 横向きに寝た状態で両膝を軽く曲げ、その間に枕やクッションを挟む 横向きになった際、ウエスト部分とマットレスの間にできた隙間を丸めたタオルなどで埋める 仰向けの場合は膝の下に枕やクッションを置いたり、腰の下に丸めたバスタオルなどを差し込んだりする 横向き姿勢で寝ると、仰向けよりも腰や足への負担が軽くなるとされています。横向きの際は痛みを感じる部位を上に向けるのがポイントです。 なお、抱き枕やタオルなどを抱えて寝ると、横向き姿勢が維持しやすくなります。 就寝前の水分摂取 坐骨神経痛で寝られないときは、就寝前の十分な水分摂取も有効な対処法です。人間は寝ている間も汗をかくため、睡眠中は水分が不足しがちです。 寝ている間に体内の水分が不足すると、筋肉や神経がこわばり、筋肉の緊張や、神経の興奮状態を引き起こすため、痛みやしびれを感じやすくなります。 就寝前に水や白湯を飲むことで、夜中の急激な痛みやしびれを和らげる効果が期待できます。 寝冷えの防止 夜間に体を冷やさない工夫も、坐骨神経痛で眠れない対策として重要です。空調や冬の寒さなどで体が冷えると、血行不良になります。 坐骨神経の周りには多くの血管が張り巡らされているため、冷えの影響で血行不良が起きると、筋肉が硬くなったり緊張したりして、痛みを感じやすくなります。 夏場は部屋を冷やしすぎないように、冬場はしっかり布団をかけるなどの工夫が求められます。 坐骨神経痛を悪化させない寝返り方法 坐骨神経痛を悪化させないためには、寝返りを打つ際に以下のポイントを押さえておくのが大切です。 自然な寝返りが打てる布団の硬さや枕の高さを意識する 仰向けになり両膝を立てる 上半身と下半身を同時に動かして寝返りを打つ 就寝中に寝返りを打つのは、体への負担を分散させるために必要な自然な動きです。しかし、坐骨神経痛を抱えている方では、寝返りの際に痛みを感じることがよくあります。 痛みを悪化させずに寝返りを打つには、まず仰向けの姿勢で両膝を立てましょう。この際、股関節も深く曲げると、腰への負担が軽減されます。 次に、腹筋に軽く力を入れながら、上半身と下半身を同時に動かすように意識して、寝返りを打ちます。上下同時に動かすことで、腰や坐骨神経への余計な刺激が抑えられます。 寝返りを打って横向きになったら、膝の間にクッションや枕をはさんだり、抱き枕を抱えたりするのがおすすめです。 クッションや枕、抱き枕があると上半身と下半身のねじれを予防し、坐骨神経の圧迫を緩和する効果が期待できます。 坐骨神経痛におすすめの寝具の選び方 坐骨神経痛の症状を和らげるには、寝具の選び方も重要です。 ここでは、坐骨神経痛におすすめのマットレスや枕などの選び方を解説します。 マットレス 坐骨神経痛の方が理想的なマットレスを選ぶポイントは、次の通りです。 適度な反発性がある 体圧が分散されやすい 厚みが十分あり、寝返りを打ちやすい 坐骨神経痛の方は、適度な反発性があるマットレスを選ぶのが重要です。 適度な反発性のあるマットレスは、寝ているときでも立っているときに近い姿勢が保ちやすく、背骨のS字カーブが維持できます。そのため、背骨や腰への負担が軽減され、坐骨神経痛でも痛みが軽減されやすくなります。 極端に柔らかいマットレスや、体が沈み込むマットレスの場合、就寝中に自然な寝返りが打てなくなるため避けた方が無難です。 「体圧が分散されやすい」マットレスは、背中や腰など特定の部位に圧力が集中しにくいため、腰への負担が和らぎ、坐骨神経痛による痛みを感じにくくします。 適度な反発性があり体圧が分散されやすいマットレスを使用すると、柔らかいマットレスに比べて起き上がりやすいのもメリットの一つです。 さらに、十分な厚みがあれば、寝返りの際に腰への負担を軽減できます。長期にわたりマットレスを使用している方は、マットレスの寿命にも注意が必要です。 快適な睡眠を得るためにも、5年〜10年ごとに使用しているマットレスを見直すのがポイントです。 枕 坐骨神経痛に悩まされている方は、マットレス以外に、枕も適切なものを選ぶことが大切です。 枕を選ぶ際は以下3つのポイントを押さえておきましょう。 頭が沈み過ぎない硬さと高さ 首から背骨のラインが自然につながる形状 寝返りが打ちやすい長さ 枕を選ぶ際は自分に合った適切な高さで、頭が沈み過ぎない商品を選びましょう。 枕が高すぎると寝ている間に頚椎が圧迫され、ストレートネックのリスクが高くなります。 ストレートネックになると顔の位置が前方に移動し、骨盤を後ろに傾けてバランスを取るため、坐骨神経が圧迫されやすくなります。 枕が柔らかすぎると、就寝中に自然な寝返りが打てなくなるため注意が必要です。 また、枕は首から背骨のラインが自然につながる形状の商品がおすすめです。仰向けで寝たときに目線がやや下を向く枕や、横向きになった際に背骨の延長線上に頭が来る枕が自分に合っていると考えられます。 自分でどの枕を選んで良いかわからない方は、整形外科医に相談したり、布団の専門家に相談したりする方法があります。 その他 坐骨神経痛をお持ちの方は、自分に合ったマットレスや枕を選んだ上で、抱き枕やクッションを併用するのがおすすめです。 横向きで寝るのが楽な方は、上になった方の膝や腕の下に抱き枕をはさんでみましょう。 抱き枕があると上半身と下半身のねじれが生じにくくなるため、就寝中の坐骨神経の圧迫を予防する効果が期待できます。 あおむけで寝る方は、クッションを膝の下に入れるのがおすすめです。 膝を立てて寝ることで、腰椎の過度の前弯を抑制し、坐骨神経の圧迫を予防できます。 坐骨神経痛で注意すべき3つの寝方 坐骨神経痛では、痛みを和らげる寝方がある一方で、症状を悪化させてしまう寝方もあり、注意が必要です。 坐骨神経痛の方が避けたい代表的な寝方は以下の3つです。 うつ伏せ寝 痛い方が下 長時間同じ姿勢 坐骨神経痛に限らず、心身の不調を改善するためには十分かつ快適な睡眠が欠かせません。 注意すべき3つの寝方について理解し、坐骨神経痛の早期改善を目指しましょう。 うつ伏せ寝 坐骨神経痛では、うつ伏せ寝は基本的に避けた方が良い寝方です。うつ伏せでは、腰椎が反った状態になりやすく、坐骨神経に負担がかかり強く痛みが出ます。 また、腰椎だけでなく首や背中にも無理な力がかかるため、坐骨神経痛の悪化だけでなく、首や肩にも痛みが出てくる場合もあります。 基本的にはおすすめできない寝方ですが、ご本人が楽な場合はうつ伏せ寝も可能とされています。(文献1) 痛い方が下 横向きで眠る場合に、痛みを感じる側が下になる寝方は避けましょう。痛い方を下にした場合、坐骨神経が腰回りの筋肉と寝床に挟まれるため、神経が圧迫され強い痛みが生じます。 このため、坐骨神経痛を抱えている方は、痛む部位が上になるように、横向きに寝るのがおすすめです。 長時間同じ姿勢 長時間同じ姿勢での睡眠も、坐骨神経痛を悪化させる原因となり、避ける必要があります。寝返りを打たずに同じ姿勢で寝続けていると、特定の筋肉や神経に負荷がかかり続けるためです。 就寝中に気付いたときは、無理のない程度に寝返りを打つなどして、極力同じ姿勢の寝方にならないようにしましょう。もし、寝返りが打ちづらい場合は、日ごろから筋トレやストレッチなどで筋肉の柔軟性を高めておくのがおすすめです。 なお、坐骨神経痛では就寝中だけでなく、起きている間の座りっぱなしにも注意が必要です。座りっぱなしの場合は、30分に1回をめどに立ち上がり、体を動かす習慣をつけましょう。 坐骨神経痛を寝方以外で緩和する3つの方法 坐骨神経痛を寝方以外で緩和する代表的な3つの方法を紹介します。 保存療法 手術療法 再生医療 坐骨神経痛の痛みは、安静にしていると自然に軽減するケースもあります。実際、発症直後であれば、無理をせず数日ほど体を休めると症状が和らぐことも少なくありません。 ただし、長期間の安静は注意が必要です。動かない状態が続くと筋力が低下し、かえって回復までに時間がかかる場合があります。(文献1) 症状の程度や原因に応じて、寝方の工夫以外にも適切な治療や対処法を知っておきましょう。 保存療法 保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。坐骨神経痛の初期~中期の段階で広く行われ、主に冷温療法、薬物療法、リハビリテーションがあります。 冷温療法:痛みが強い急性期には冷やして炎症を鎮め、慢性期になると温めて血流を促し筋肉の緊張を和らげます。 薬物療法:消炎鎮痛薬や筋肉の緊張を和らげる薬などを用いて、痛みやしびれの軽減を図ります。 リハビリテーション:ストレッチや筋力トレーニングを通して、腰や骨盤周囲の筋肉のバランスを整え、神経への負担を減らします。 保存療法は体への負担が比較的少ない一方で、効果を実感するまでに時間がかかるのが特徴です。 手術療法 椎間板ヘルニアなどにより坐骨神経への圧迫が強く、痛みやしびれが長期間持続している場合には、手術が検討されることがあります。(文献1) 保存療法を続けても改善が見られないケースや、日常生活に大きな支障が出ている場合は、神経の圧迫を直接取り除く目的で選択されます。 ただし、手術には体への負担や回復期間を要するため、症状の程度や生活への影響を踏まえて慎重な判断が大切です。 再生医療 近年では、手術と保存療法の中間的な選択肢として「再生医療」という治療法があります。 当院で行っている再生医療は、患者様自身の脂肪由来の幹細胞を用いて、傷ついた組織の修復や炎症の抑制を促す治療法です。坐骨神経痛では、原因となる椎間板や周囲組織への負担軽減が期待されます。 「保存療法では改善しないけれど手術は避けたい」と感じている方にとって、新たな選択肢の一つとなる可能性があります。 くわしくは、以下の腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛が改善した症例をご覧ください。 坐骨神経痛の寝方を理解し快適な睡眠をとろう 坐骨神経痛の方は、膝の間にクッションを挟みながらの横向き寝や、膝を立てた状態の仰向け寝がおすすめです。 これらの寝方は、坐骨神経の通る足腰への負担を軽減し、痛みが和らいだ状態での睡眠が期待できます。 あわせて、適度な反発性と厚みのある寝具を選ぶことも、坐骨神経痛の痛みを抑えながらの睡眠に効果的です。 ただし、痛みが長引く場合や睡眠の質が改善しない場合は、椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・梨状筋症候群といった疾患が原因として隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 坐骨神経痛の治療法には保存療法や手術療法のほか、症状や状態によっては再生医療も選択肢の一つです。実際の治療法については以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/zYow3yFsNgw?si=3Rq6RmvZUslu8JDD \坐骨神経痛に対する再生医療とは/ 慢性的でつらい坐骨神経痛に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。 再生医療とは、患者様ご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用し、損傷した神経や周囲組織の修復を促す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手足のしびれや痛みが長期間続いている 保存療法(薬・注射・リハビリ)では改善がみられない 手術はできるだけ避けたいと考えている 手術を受けたが、痛みが残っている、あるいは再発してしまった >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 坐骨神経痛は、適切な治療を受けずに放置すると、歩行困難や日常生活への支障が大きくなる可能性があります。 坐骨神経痛の寝方に関するよくある質問 坐骨神経痛で寝るときにクッションを足に挟むのはなぜですか? 坐骨神経痛で横向きに寝るときにクッションを足に挟むと、腰への負担を軽減できるだけでなく、骨盤のゆがみを防げます。また、痛む側の足の筋肉が緩むため、より痛みを気にせずに眠りやすくなります。 なお、仰向けに寝る場合は、膝の下にクッションを置くと良いでしょう。 坐骨神経痛で夜中に激痛が現れるのはなぜですか? 坐骨神経痛で夜中に激痛が来るのは、寝ている間に坐骨神経に大きな負担がかかっているためです。とくにうつ伏せや寝返りの少ない寝方は、坐骨神経や腰回りに負担が集中しやすく、激痛に悩まされることがあります。 そのほか、夜間の水分不足や冷えによる血行不良でも、激痛に襲われるケースがあるため、注意が必要です。 坐骨神経痛でお尻に負担をかけない寝方はありますか? お尻に負担をかけないためには、腰や骨盤にかかる圧力を分散させる寝方が重要です。具体的には、横向きで膝を軽く曲げ、両膝の間にクッションを挟む寝方や、仰向けで膝の下にクッションを置く寝方が有効とされています。 これらの姿勢は、腰の反りを抑えたり、骨盤の傾きを安定させたりするため、坐骨神経が通るお尻周辺への圧迫を和らげる効果が期待できます。 一方で、うつ伏せ寝や痛みのある側を下にすると、お尻や腰に体重が集中しやすく、症状を悪化させる可能性があります。長時間の同じ姿勢での睡眠も、お尻の筋肉に負担がかかるため注意が必要です。 ご自身が楽に感じる姿勢を探し、無理のない体勢で眠ることが、坐骨神経痛によるお尻の痛みを軽減するポイントです。 参考文献 (文献1) 坐骨神経痛|MSDマニュアル (文献2) 仙腸関節障害とはどのような病気ですか?|日本仙腸関節研究会
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
転倒などが原因で脊椎圧迫骨折と診断された時、日常生活に向けてどのようなリハビリが行われるのか気になるのではないのでしょうか。 脊椎圧迫骨折のリハビリは骨折直後から始まり、最初はベッド上でもできる簡単なものが行われます。続いて回復の度合いに応じて、歩行訓練などを行っていく流れです。 本記事では、脊椎圧迫骨折のリハビリ方法を、やってはいけないことや病院探しの方法とともに徹底解説します。 脊椎圧迫骨折のリハビリの内容を知っておくと、万が一骨折しても心の準備を済ませた上でリハビリに取り組めます。 【病期別】脊椎圧迫骨折のリハビリ方法 脊椎圧迫骨折の治療は安静が基本ではあるものの、日常生活への復帰を目指すリハビリも並行して進められます。 リハビリは安静にしている時期の筋力低下をなるべく防ぐため、骨折への治療開始直後から始められるケースが多いです。ただし、病期によってリハビリの内容は異なります。 ここでは、急性期・回復期・退院後それぞれのリハビリ内容を紹介します。 急性期リハビリ方法 脊椎圧迫骨折の痛みなどの症状が強く出る急性期は、骨折した後に患部を外側から支えるコルセットの完成を待つ時期です。コルセットの完成までの1週間程度、安静に過ごしながらもベッド上でできる内容でリハビリを進めます。 ベッド上での関節可動域(ROM)訓練 まず、ベッド上での関節可動域(ROM)訓練は、関節を動かせる範囲である関節可動域を維持するための訓練です。ベッドで安静にしてばかりいると、関節を自在に曲げ伸ばしできる範囲が狭くなります。関節可動域が狭くなると、骨折による痛みを感じやすかったり、運動能力が衰えたりするためです。 ベッドでできる関節可動域訓練は、患者様の状態に応じてスタッフに関節を動かしてもらったり、ご自身で関節を動かしたりします。具体的な内容も、ベッドで寝たり座ったりしながらの、手の曲げ伸ばしや足首や足指の運動などです。 腕や足の筋力をつける訓練 急性期のリハビリでは、腕や足の筋力をつける訓練も進めていくのが一般的です。関節可動域訓練よりも数日程度遅れて始まるもので、最初はベッド上でペットボトルの上げ下げや、膝の曲げ伸ばしなどを行います。 日数が経って、当初より痛みが落ち着いてきたら、ベッドから離れる離床訓練も始まる流れです。離床訓練では、まずベッドでの寝返りから起き上がり動作までの一連の動きを訓練します。 回復期リハビリ方法 治療が始まってからある程度症状が落ち着く回復期に入ると、リハビリも日常生活への復帰を目指して本格化するのが一般的です。以前のような日常生活を送れるように、歩行や筋力関係の訓練が行われます。 下半身の筋力の回復訓練 下半身の筋力を回復する訓練は、ベッドで安静にしている間に衰えた脚の部分の筋力を元に戻すために行うものです。 脊椎圧迫骨折は、骨粗鬆症によって骨密度が低下したところに、ちょっとしたつまづきや転倒が原因で起こります。そのため、足腰に筋力を回復させることは、脊椎圧迫骨折の再発を予防する上で欠かせません。 歩く訓練 歩く訓練(歩行訓練)は、回復期のリハビリで最も主要なものです。杖や歩行器を使いながら、歩幅やバランスを意識しつつ訓練を積み重ねていきます。 なお、訓練は平行棒の間を移動する形で進められるのが一般的です。すぐ近くには指導や何かあった場合に備えてリハビリスタッフが付き添います。 体幹を鍛える運動 体幹を鍛える運動も、回復期のリハビリで重要です。回復期の間は、骨折した脊椎がくっつくまでコルセットを装着します。コルセットは骨折から2ヶ月程度は装着するため、その間に体幹の筋力が衰えやすいです。 コルセットが外れた後に日常生活を徐々に再開できるように、歩行訓練や下肢の筋力回復と合わせて、体幹トレーニングを行います。腹筋運動やブリッジなどのストレッチで腹筋や背筋を鍛えたり、柔軟性を高めたりする流れです。 退院後の在宅リハビリ方法 退院した後は、定期的に通院しながら自宅でリハビリを継続します。そのため、自宅でできるリハビリの方法を知っていると、退院後もリハビリを頑張る上での助けになるでしょう。 ドローイン 「ドローイン」は、息を吐きながらお腹をへこませることで体幹を鍛えるエクササイズです。治療が進んでコルセットを外した直後は、体幹が骨折前よりも衰えているため、体幹を鍛え直すのに向いています。 ドローインに取り組むことで、安定した姿勢を維持する腹横筋をはじめとする腰回りの複数の筋肉を鍛えられるため、退院後のリハビリのメニューにおすすめです。 両手上げ 「両手上げ」は、椅子に座った状態で両手をゆっくり上げ下げします。背中の筋肉を鍛えられるのが特徴です。 とくに退院後で、コルセットが外れた段階であれば、じっくりと背中の筋力をつけられます。ただし、肩に痛みを感じる場合は、あまり無理に上げないようにするべきです。 スクワット 退院後のリハビリでは、スクワットもできます。肩幅程度に足を広げた状態で、まっすぐ前を見た状態で膝を曲げては戻すのが特徴です。 なお、膝を曲げる角度は最大で90度程度にしておくと、過度な負担がかかりません。下半身を鍛えられるため、転倒やつまづきによる圧迫骨折の再発を防ぐ上でも役に立ちます。 脊椎圧迫骨折リハビリ中のコルセット着用について 脊椎圧迫骨折の治療・リハビリで欠かせないものが、患部を固定するコルセットの着用です。コルセットは骨がくっつくまでの間はずっと着用する分、どの程度の期間にわたって装着するのかや注意すべき点が気になるかと思います。 脊椎圧迫骨折の治療を行っている間のコルセット着用のポイントは、次のとおりです。 コルセット着用期間の目安 まず、コルセットを着用する期間は、骨折してから2ヶ月程度が一般的とされます。骨折してから骨がくっつくまでの期間が2ヶ月前後とされているためです。ただし、骨折の程度が深刻だったり骨粗鬆症が進行していたりする方などは、着用期間が延びるケースがあります。 なお、コルセットを外すべき時期は、担当医師が痛みの程度や骨の癒合の状況から判断します。 コルセット着用時の注意点 コルセットを着用している間は、寝る時も含めてずっと着けっぱなしです。ただ、痩せている方はコルセットによる皮膚の圧迫で床ずれができる場合があります。もし、床ずれができることに不安を感じるのであれば、医師などと相談の上で眠る時のみ外すのも1つの方法です。 また、コルセットは骨折部位を外側から固定するものですが、体幹をねじる動きはできます。そのため、過度に体をねじりすぎると骨折部位の状態が悪化する点に注意が必要です。 さらに、強い勢いでの椅子への着席も避ける必要があります。着席した瞬間の反動で、再度圧迫骨折に至るケースがあるためです。 脊椎圧迫骨折のリハビリでの禁忌・やってはいけないこと 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、禁忌(タブー)・やってはいけないこともいくつかあります。前もってやってはいけないことを知っておくと、リハビリの際に意識を払いやすいです。 体を丸めたりねじったりする まず、体を丸めたりねじったりする行為は避ける必要があります。とくに骨が癒合する前の時期にひねるなどした場合、患部の状態が悪化したり、さらに骨折箇所が増えたりしかねません。 治療期間が長引いて、退院の時期も後にずれるため、無理に体をねじるなどしない方が良いでしょう。 重いものを持たない また、脊椎圧迫骨折の治療中は、重い物を持ってはいけません。とくに床に置いてある物をいきなり持ち上げると、背骨に大きな負荷がかかります。 コルセットが外れるまでは、ご家族などに代わりに持ち上げてもらうのがおすすめです。 転倒に注意する さらに、高齢者であれば転倒に注意する必要があります。高齢者は若い年代に比べて足腰の筋力が衰えているため、些細なつまづきや転倒で骨折するケースも多いです。 手すりや杖を使って歩くことや、足元にものを散乱させないことなどと、安全に歩ける工夫が大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリができる病院の探し方 脊椎圧迫骨折してしまった場合、なるべく早めに受診やリハビリのできる病院を探しておく必要があります。 もし、リハビリが可能な病院を探す際には、回復期リハビリテーション病棟を備えた病院を探すのがおすすめです。回復期リハビリテーション病棟は、病気やけがが急性期から回復期に入った患者様向けに、専門スタッフのチームが集中的にリハビリを施す病棟を指します。 回復期リハビリテーション病棟のある病院を探す際に簡単な方法が、「回復期リハビリテーション病棟協会」の公式サイトを調べることです。公式サイトでは都道府県別に専門病棟のある医療機関を探せます。もし、インターネットの扱いが得意ではない方も、各地の協会や医療機関への電話で問い合わせられます。 まとめ|脊椎圧迫骨折のリハビリは無理なく続けよう 脊椎圧迫骨折のリハビリは、骨折直後から徐々に始まります。最初はベッド上での関節可動域訓練や筋力をつける訓練から行い、回復期に入ったところで歩行訓練などに入るのが一般的です。 治療が進んでコルセットを外した後も、自宅などで通院を続けていく必要があります。脊椎圧迫骨折からの回復には筋力を付けていくことが欠かせないため、無理のない範囲で継続していくことが大切です。 脊椎圧迫骨折のリハビリでよくある質問 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリの内容は? 腰椎や脊椎の圧迫骨折で行うリハビリは、骨折して間もない頃はベッド上での関節可動域(ROM)訓練やベッド上でできる簡単なストレッチを中心に行います。 その後、コルセットを装着した後は歩行訓練や下半身の筋力を付ける訓練を通じて、日常生活に復帰していく準備を進める流れです。退院後も自宅でできる筋トレなどの運動を行います。 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチとは? 腰椎や脊椎の圧迫骨折のリハビリで行うストレッチ(筋力トレーニング)で主なものは、次のとおりです。 腹筋運動 ブリッジ(お尻上げ運動):仰向けに寝た後で、両膝を曲げながらお尻を持ち上げる ドローイン:両膝を曲げた仰向けの姿勢から腹筋に力を入れつつ、ゆっくり息を吐く スクワット:まっすぐな姿勢から膝を曲げ伸ばす。曲げ伸ばしの角度は最大でも90度 四つん這いでの下肢伸展:四つん這いの状態から、片足を上げて後ろに伸ばす これらのストレッチや運動は、患者様の回復段階に応じて段階的に取り入れられます。 実施する際は、痛みを感じない範囲で無理をせず、理学療法士などの専門スタッフの指導のもとで行いましょう。 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際の評価項目とは? 脊椎圧迫骨折のリハビリを進める際、「評価項目」に基づいて患者様の状態などを確認・評価します。評価項目の具体的なポイントは、基本的に以下のとおりです。 コミュニケーション:認知症などの精神障害の有無 疼痛(とうつう):痛みの見られる部位や原因 関節可動域や筋力:体幹や股関節の状況。 姿勢 歩行能力:歩行できるかどうかや、歩ける距離・歩行器の必要性 バランス能力:転倒リスクの確認 なお、医療機関によって評価項目の内容が異なることもあります。
2025.05.29 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
高齢で脊椎圧迫骨折と診断され、今後の治療の方法が気になる方もいるのではないでしょうか。 高齢者の脊椎圧迫骨折はコルセットなどを着けて安静にしながらリハビリに取り組んでいくのが一般的ですが、脊椎圧迫骨折には骨粗鬆症(骨粗しょう症)が関わっていることが多く、日常生活を見直しながら骨を強くする習慣も欠かせません。 安静やリハビリで痛みが和らぐ方が多い一方、なかには痛みが長引くケースもあり、適切に対処しないと痛みが慢性化したり、しびれや脱力感などの神経症状が残る恐れがあります。 本記事では、高齢者の脊椎圧迫骨折の治療方法や期間、予防の方法について解説しています。 コルセットやリハビリを続けても圧迫骨折の痛みが改善しない場合や、今すぐお悩みを解消したい方には、再生医療が新たな選択肢となることがあります。 \圧迫骨折の長引く痛み・後遺症に対する再生医療という選択肢/ 再生医療とは、患者さまご自身の脂肪から採取した幹細胞や血液を活用し、人間が本来持つ自然治癒力を高めることを目指す治療法です。 患者さまご自身の細胞・血液で培養するため拒絶反応やアレルギーのリスクが低く、注射による治療のため手術不要・入院不要で受けていただけます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 3ヶ月以上続く圧迫骨折の痛みを早く改善したい 痛みだけでなく、しびれや脱力感がある 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 手術は避けたいが痛みを何とかしたい 慢性的な痛み・神経症状で日常生活に支障が出ている >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する 「コルセットやリハビリを続けても痛みが引かない」「しびれや脱力感が残っていて日常生活がつらい」といった症状が長引いてしまう前に、まずは当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 根本改善を目指すなら、まずは無料相談! 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療法 脊椎圧迫骨折の治療は、基本的には安静にすることが大切です。ただし、安静だけでなく、患者さんの状態に応じてさまざまな治療法を組み合わせて行います。 主な治療法には以下のようなものがあります。 保存療法 薬物療法 手術療法 リハビリテーション それぞれの治療法について、詳しく解説していきます。 保存療法|コルセットやギプスの着用 保存療法は脊椎圧迫骨折の治療で、最も基本的な手段です。とりわけ高齢者の場合は、体力の負担を抑えながら回復を図れる方法としてよく用いられます。 具体的には、硬めのコルセットやギプスを腰回りに装着することで、脊椎や腰を安定させるものです。脊椎圧迫骨折が起きてから1ヶ月は、骨折部位が不安定な状態で変形もしやすいため、コルセットなどで安定させます。 保存療法では月日が経つ中で、骨折部位が固定するのを待つのがポイントです。同時に痛みも2週間から1ヶ月程度で、次第に収まってきます。ただ、骨折部位の完全な回復までは数ヶ月はかかるため、その間はコルセットなどを装着するのが一般的です。 薬物療法|鎮痛薬や骨粗しょう症の治療薬 続いて薬物療法は、骨折した箇所の痛みが特に強い場合に用いられます。基本的に湿布や飲み薬などの、市販薬や病院で処方された薬物を使用するやり方です。痛みの程度によっては、骨折部位の筋肉の緊張を和らげる目的で、筋弛緩薬も使われます。 加えて、症状が落ち着いて床を離れられる段階に、高齢者の脊椎圧迫骨折の主な要因である骨粗しょう症の治療薬も投与されます。 手術療法|骨セメント注入術や固定術 手術療法は、保存療法で状況が好転しない場合や骨折部位の変形が著しいなどの状況が見られる時に用いられる方法です。手術療法では、つぶれた骨の内部をバルーンで広げた後、骨セメントを注入して骨自体を安定化させる「骨セメント注入術」が活用されます。骨セメント注入術は手術療法でも、患者の体への負担が少ない点も特徴です。 骨セメント注入術以外にも、骨をボルトなどで固定する「固定術」もあります。固定術は骨折が3箇所以上見られるなどの深刻な状況で使われる術式です。 リハビリテーション|筋力維持が目的 リハビリテーションは、基本的には骨折や手術の直後から始まります。治療が始まって間もない頃は、ベッドで安静にしていることが大切ではあるものの、安静にしている間は筋力が低下しやすいです。筋力が低下した場合、再度骨折する危険性さえあります。 骨折や手術から1週間は、専門スタッフの指導を受けながらベッドでできるエクササイズを行う流れです。1週間経過してコルセットで骨折部位を固定した後は、歩行訓練やバランス訓練を積極的に行います。 さらにコルセットやギプスを外した後は、足腰の筋力を回復させるための体幹トレーニングを進めていくのが一般的です。 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療期間の目安 高齢者が脊椎圧迫骨折してしまった時、具体的にどの程度の期間にわたって治療が必要なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。 脊椎圧迫骨折の治療期間は、数週間から数ヶ月程度が目安です。特に最初の1ヶ月は、安静と可能な範囲での筋力回復が欠かせません。順調に治療や回復が進んだ場合は、3~4ヶ月程度で骨折部位が癒合(骨がくっついて治癒)していきます。 ただし、高齢者は若い年代の方よりも骨の修復に時間がかかるため、骨折の状況や程度などによって治療期間が長引く場合もあります。 高齢者の脊椎圧迫骨折の予防法 脊椎圧迫骨折の要因は、骨の量や密度が減ってしまう骨粗しょう症です。そのため、普段から骨を強く丈夫に保つことが、脊椎圧迫骨折の予防につながります。 また、一度脊椎圧迫骨折を経験した方は、再発リスクが高いため、予防対策がより重要です。ここでは、脊椎圧迫骨折の具体的な予防法を解説します。 骨を強くする食生活が大切 脊椎圧迫骨折や骨粗しょう症を防ぐには、まず骨を強くする食生活を意識します。 骨を強くする栄養素には骨を生成するカルシウムや、カルシウムの吸収を促すビタミンD、筋力の強化や骨の形成を助けるたんぱく質などが挙げられます。カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品や、カタクチイワシのような小魚に多く含まれる栄養素です。 またビタミンDは、鮭やサンマなどの魚類や、マイタケやキクラゲなどのキノコ類から多く摂取できます。たんぱく質も肉や魚のほか、納豆や味噌のような大豆食品に多いです。 なお、ビタミンDは、食事以外にも日光を浴びることでも生成されるため、意識的な外出や日光浴もおすすめできます。 適度な運動を取り入れる 骨粗しょう症、ひいては脊椎圧迫骨折を防ぐ上で適度な運動も効果的とされる方法です。 運動は骨に負荷を与えることで、骨密度を高めます。同時に筋力の維持・強化によって足腰が鍛えられ、脊椎への負荷が分散されるため、骨折のリスクを下げる効果も期待できます。 脊椎圧迫骨折の予防に役立つ運動には、ウォーキングが挙げられます。適度な負荷で骨の強化が期待でき、運動習慣がない方でも気軽に始められます。慣れてきたら、ジョギングなどより強度の高い運動に段階的に取り組むのも効果的です。 自宅内の歩行にも注意 脊椎圧迫骨折を予防するには、自宅内での歩行にも注意を払う必要があります。脊椎圧迫骨折を引き起こす人は、骨粗しょう症で骨密度が下がっている分、ちょっとした転倒や尻もちで骨折しやすいためです。 自宅内で歩く際には、段差や滑りやすい床は特に注意すべき箇所です。玄関や階段などにはあらかじめ手すりを設置し、歩く際もつかまるようにすれば転倒による骨折のリスクを下げられます。同時に滑りやすい床には、滑り止めシートやマットを敷くのもおすすめです。 脊椎圧迫骨折の治療でやってはいけないことは? 脊椎圧迫骨折の治療では、やってはいけない行為もいくつかあります。具体的には次のとおりです。 あおむけの状態で寝る:背中への負荷が大きくなるため、横向きの姿勢を推奨。 前かがみになる:骨折した部位に負荷がかかるため。 重い物を持つ:背骨に強い力や負荷がかかる。特に床に置いてあるものの持ち上げは禁忌。 体をひねる・反らす:骨折部位に負荷がかかり悪化の原因となるため。 飲酒・喫煙:骨の強度や密度を弱めるため。 これらの注意点を守ることで、症状の悪化や再発を防ぐことにつながります。不明な点があれば、必ず医師に相談してから行動しましょう。 まとめ|脊椎圧迫骨折は日頃からの予防が大事です 高齢者の脊椎圧迫骨折では、コルセットの装着や安静、薬物療法などの保存療法を行いながら、症状に応じて運動やリハビリテーションを進めるのが一般的です。 一方で、脊椎圧迫骨折の背景には、骨がもろくなる骨粗しょう症が隠れていることも少なくありません。そのため、目の前の骨折を治療するだけでなく、食生活や運動習慣を見直し、骨を健康な状態に保つことも重要です。 日頃から以下のような対策を意識しましょう。 カルシウムやビタミンDを意識した食事をとる 無理のない範囲で運動を続ける 転倒しにくい生活環境を整える 定期的に骨密度検査を受ける 一方で、保存療法やリハビリを続けても痛みやしびれが残る場合は、骨折後の変形や偽関節などが関係している可能性があります。 症状を我慢せず、医療機関で原因を確認し、状態に合った治療を受けることが大切です。 それでも十分な改善がみられない場合は、患者様ご自身の細胞を用いて、損傷した組織の修復や症状の改善を目指す再生医療も選択肢のひとつです。 現在の治療で十分な改善がみられない方、圧迫骨折後の痛みやしびれに悩んでいる方は、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 圧迫骨折の治療について、まずは無料相談! 高齢者の脊椎圧迫骨折の治療に関してよくある質問 高齢者の圧迫骨折は治る? 高齢者の圧迫骨折は、コルセットなどで固定した状態での安静と運動を行うことで、2~3ヶ月程度で治るケースが多いです。 根本的な原因として骨粗しょう症があるため、日常生活の見直しや骨の強化で再発を防止できます。 高齢者の腰椎圧迫骨折の入院期間はどのくらい? 高齢者が腰椎圧迫骨折の手術を目的にした入院期間は、基本的には1週間程度が一般的です。 ただし、まれに合併症を引き起こす場合があり、その際には入院期間が延びることがあります。 なお、退院後も経過の確認のために、定期的な通院が必要です。 高齢者の圧迫骨折は寝たきりになりやすい? 高齢者は圧迫骨折がきっかけで寝たきりになるケースがあります。 骨折によって寝たり起きたりするだけでも痛みに苦しめられるため、体を動かす気力が下がってしまうためです。 痛みを恐れて体を動かさない状態が続くと筋力が低下し、さらに動くことが困難になり、寝たきりになってしまうことがあります。 圧迫骨折は放置するとどうなる? 圧迫骨折を適切に治療せずに放置すると、骨折した骨がつぶれたまま固まってしまい、背中が曲がった状態になることがあります。また、骨がきちんとくっつかずに、長期間痛みが続く場合もあります。 さらに、圧迫骨折を起こす方は骨がもろくなっていることが多いため、他の背骨や別の部位でも骨折を起こしやすいです。このため、一度圧迫骨折を起こした場合は、骨密度の検査や骨粗しょう症の治療を受けることが重要です。
2025.05.29






