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PLDDの後遺症|術後の最新治療の可能性

pldd 後遺症
公開日: 2024.03.08 更新日: 2025.11.17

PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、切らずに施術できる椎間板ヘルニア治療として注目されていますが、術後に予期せぬ症状が現れることもあります。

「しびれが残る」「痛みが強まる」「ヘルニアが再発した」といったケースもあり得るため、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、PLDDによって生じる恐れのある後遺症やリスク要因、近年注目されている再生医療による治療の可能性について詳しく解説します。

なお、椎間板ヘルニアに対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。

椎間板ヘルニアのお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。

PLDDの後遺症・合併症

PLDDは低侵襲な椎間板ヘルニア治療法として注目されていますが、すべての患者において合併症や後遺症のリスクがゼロになるわけではありません

術後にさまざまな症状が発生する可能性があるため、リスクを事前に把握しておくことは治療の選択において重要です。

ここでは、PLDDにおける代表的な後遺症や合併症について詳しく解説します。

神経障害

PLDDでは、レーザー照射で椎間板の中心にあるゼリー状の組織「髄核(ずいかく)」を減圧しますが、熱や操作によって神経に以下のような影響が及ぶリスクがあります。

  • 知覚異常(しびれ、感覚鈍麻)
  • 運動麻痺(筋力低下、動作困難)
  • 神経痛の持続または悪化

これらの症状は手術直後に発症するケースが多く、早期の対応により回復が見込まれることもあります。

神経障害が疑われる場合には、速やかな診察と神経学的検査が必要です。

炎症

PLDDによる熱処理は、局所的な炎症を引き起こす可能性があります。

術後にみられる主な炎症反応は、以下のとおりです。

  • 浮腫や腫脹による神経圧迫
  • 滑膜炎や線維化による可動域の制限
  • 発痛物質の増加による痛覚過敏

これらの症状は術後の痛みや違和感の一因となる場合があり、アイシングや消炎鎮痛薬が必要です。

症状が強い場合は画像検査などで評価し、追加の治療が検討されます。

ヘルニアの再発

PLDDは根治的な手術ではなく、髄核の圧力を一時的に軽減する治療方法です。

以下の要因により、再発のリスクを伴います。

  • 髄核減圧が不十分だった場合
  • 椎間板変性が進行している場合
  • 術後に過度な負荷がかかった場合

再発した場合には再度の保存療法やPLDDの再施行、もしくは別の治療が必要になるケースがあります。

椎間板損傷

PLDDでは、レーザーの熱によって椎間板自体が損傷を受ける可能性があります。

主な損傷例としては以下のとおりです。

  • 椎間板の線維輪に亀裂が生じる
  • 組織のタンパク質が変性し、弾性が低下する
  • 椎間板変性が加速する

これらは術後の疼痛や運動制限の原因となり、長期的には椎間板の機能低下につながる恐れがあります。

症状が持続する場合は、MRIなどで評価と追加の治療の検討が必要です。

感染症

PLDDは切開を伴わない低侵襲手技ですが、穿刺操作があるため感染のリスクを完全になくせるわけではありません。

以下のような感染症のリスクがあります。

  • 椎間板炎(椎間板内への細菌感染)
  • 硬膜外膿瘍(硬膜外腔への波及)
  • 皮膚および皮下組織の感染

感染が進行すると激しい痛みや発熱が起こるため、術後の経過観察が重要です。

感染が疑われる場合は、抗生剤の投与や外科的処置が必要になるケースもあります。

PLDD術後に症状が悪化するケースとその原因

PLDDは、切開を伴わない低侵襲治療として注目されていますが、術後にかえって症状が悪化するケースが報告されています。

ここでは、PLDD術後に症状が悪化する代表的な原因を2つの視点から見ていきましょう。

術後の痛みが増す理由

PLDDの術後に痛みが増す理由としては、以下のようなレーザー照射による炎症反応が挙げられます。

  • 椎間板組織や周囲の組織が熱刺激を受けることで炎症が起こる
  • 炎症による浮腫(むくみ)や発痛物質が神経根を圧迫・刺激する
  • 術後早期に一時的な痛みの増強が見られることがある

次に、神経そのものへの刺激や損傷も痛みの原因となります。

  • 照射位置や針の操作がずれた場合、神経線維を損傷するリスクがある
  • 熱や機械的刺激により、神経性疼痛が発生しやすくなる
  • しびれやビリビリとした感覚が持続することがある

また、PLDDの構造的な限界として、ヘルニア突出部が直接取り除かれない点が挙げられます。

  • 髄核の一部を蒸発させるだけで、飛び出た部分はそのまま残る
  • 除圧が不十分な場合、残存ヘルニアが神経を継続的に刺激し続ける
  • 結果として、術前よりも強い痛みを感じる場合がある

さらに、交感神経の過敏化や疼痛感作といった慢性痛の機序も関与します。

  • 手術による神経刺激が自律神経系を介し、痛みの過敏化を引き起こす
  • 中枢神経での痛覚調整が乱れ、慢性的な痛みが残ることがある

このように、PLDD術後に痛みが増す要因には、複数の要素が複合的に関係しているため、術後の経過観察と適切な対応が不可欠です。

PLDDが失敗する要因

PLDDが十分な効果を発揮しない、あるいは術後に症状が悪化する原因には複数の要因が複雑に関係しています。

以下のような症例では、PLDDの効果が限定的です。

  • 脱出型・遊離型のヘルニア:突出が大きく、髄核の蒸発だけでは物理的な除圧が不十分になる
  • 高度な椎間板変性:構造が劣化しており、減圧効果が発揮されにくい
  • 症状と画像所見の不一致:痛みの原因と照射対象が合致していない

以下のような術中操作の不備も失敗の一因となります。

  • 照射量が少なすぎる:十分な髄核蒸発が得られず、除圧効果が不十分
  • 照射方向の誤り:標的に正確に照射できず、効果が局所に偏る
  • 熱損傷や血腫形成:神経や周辺組織を損傷し、痛みやしびれを悪化させる

さらに、術後管理の不適切さも見逃せません。

  • 安静期間が不十分:早期の過度な動作が治癒を妨げ、炎症を助長
  • 再突出のリスク:負荷管理が徹底されていないと、再発や隣接椎間板の障害につながる

上記のリスクを最小限に抑えるためには、適応の厳密な判断と術中の精密な操作、術後の継続的フォローアップが不可欠です。

LDDを成功させるためには単に手技を実施するだけでなく、患者ごとの状態を的確に把握し、全過程を通じて一貫した管理が求められます。

PLDD術後後遺症の神経障害に対する再生医療の可能性とは

再生医療の「幹細胞治療」がPLDD術後後遺症への新たな希望となるかもしれません。

従来、神経が傷ついてしまうと完全にもとに戻すことは難しいとされてきました。

そのため椎間板ヘルニアの術後後遺症が残ってしまっても、薬やブロック注射などの対症療法を行うことしかできなかったのです。

しかし、再生医療の幹細胞治療により、神経の回復を目指せるのではないかと期待されています。

幹細胞治療は、他の細胞に変化できる「幹細胞」を使用するのが特徴で、体への負担が少ない低侵襲な新しい治療法です。

PLDDの術後の後遺症が心配な方、椎間板ヘルニアの症状でお困りの方はチェックしてみてください。

手術しなくても治療できる時代です。

ヘルニアのお悩みに対する新しい治療法があります。

PLDDの基本知識

ここでは、PLDDを理解するために必要な椎間板ヘルニアの発症メカニズムから、PLDDの具体的な治療内容・メリット・リスク・適応条件までわかりやすく解説します。

治療を検討しているなら、まず基本知識から理解を深めていきましょう。

椎間板ヘルニアのメカニズム

椎間板ヘルニアは、椎間板内部の構造の破綻によって、神経が圧迫されることで発症する疾患です。

人間の背骨は椎骨(ついこつ)という骨が縦に積み重なって形成されており、その間には「椎間板」という軟らかい組織が存在します。

椎間板は、以下の2つの構造で構成されています。

  • 髄核(ずいかく):中心部にあるゲル状の柔らかい組織で、水分を多く含み、衝撃を吸収する役割を担っている
  • 線維輪(せんいりん):髄核を外側から包む硬い繊維性の組織で、椎間板全体の形を保持する

通常、髄核は線維輪の内部に収まっていますが、過度な負荷や加齢による変性が進行すると、線維輪に亀裂が生じる場合があります。

髄核が亀裂から外へ飛び出し、近くを走行する神経根を物理的に圧迫すると、椎間板ヘルニアは発症するというメカニズムです。

圧迫が生じると、以下のような神経症状が引き起こされます。

  • 痛み(神経の圧迫による電気が走るような感覚)
  • しびれ(知覚神経の障害)
  • 筋力低下や麻痺(運動神経の障害)

腰椎や頚椎など、神経が密集している部位で髄核が飛び出すと、症状が強く現れる傾向があります。

したがって、治療では圧迫状態をいかに早く緩和するかが重要なポイントです。

治療方法

PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーによって椎間板内の圧力を下げ、神経への圧迫を軽減する低侵襲の治療法です。

背中から極細の針を刺して、内部にレーザーファイバーを通し、椎間板の中心部へレーザーを照射します。

照射されたレーザーは髄核の一部を熱で蒸散させて椎間板内の内圧を下げます。その結果、次のような変化が期待されます。

  • 髄核の体積が減少し、内部の圧力が緩和される
  • 椎間板の膨らみが小さくなり、神経の圧迫がやわらぐ
  • 神経根への圧迫が軽減され、痛みやしびれの改善が期待できる

メスを使用しない手術であり、皮膚に針を刺すだけの処置で切開・縫合は不要です。

ごく小さな刺し傷ができるのみで、出血や傷跡も最小限に抑えられます。

さらに、PLDDは体への負担が少ないため入院を必要とせず、医療機関によっては日帰り手術も可能です。

治療を検討する際は、MRIなどの画像検査をもとに、担当医と十分に相談しながら決めることが大切です。

メリット・デメリット

PLDDは、体への負担が少ない低侵襲手術として注目されていますが、デメリットも存在します。

以下に、主なメリットとデメリットをまとめました。

<主なメリット>

  • メスを使わないため、出血や傷跡がほとんど残らない
  • 局所麻酔で施術でき、全身麻酔が不要
  • 針穴程度の傷のみで、体への侵襲が極めて少ない
  • 1椎間あたりの手術時間が短い
  • 入院不要な場合が多く、日帰り手術が可能
  • 術後の回復が早く、社会復帰までの時間が短い
  • 神経や周辺組織への影響が少なく、合併症リスクが比較的低い

<主なデメリット>

  • 健康保険が適用されず、自費診療となる
  • 効果が現れるまで1〜3カ月かかることがある
  • すべての椎間板ヘルニアが適応になるわけではない
  • 術者の技量や施設によって治療成績に差が出る可能性がある
  • 稀に感染症や椎間板炎、神経障害などの合併症リスクがある
  • 一度で十分な効果が得られない場合、再施術が必要になる

上記の特性を把握したうえで後遺症の状態やヘルニア形態などを総合的に考慮し、治療を検討することが重要です。

PLDD治療のメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

安全性

PLDDは比較的安全性の高い手術法であり、日帰り手術でも実施されています。

出血や大きな傷がほとんどなく、周辺組織への直接的な損傷リスクが小さい点も特徴です。

ただし、術中・術後の合併症リスクはゼロではありません。

レーザーによる神経合併症の報告もあるため、治療の検討はさまざまな点を考慮しながら慎重に進めましょう。(文献1)

適している人

PLDDは、すべての椎間板ヘルニアに適応できるわけではありません

比較的効果が期待できる患者には、以下のような条件が挙げられます。

  • 膨隆型・突出型のヘルニア:髄核の飛び出しが比較的小さく、線維輪を突き破っていない
  • 椎間板の変性が軽度:加齢による変化が進みすぎておらず、椎間板に弾力性・可動性が残っている
  • 保存療法で効果が見られないケース:薬物療法やリハビリを3カ月以上行っても、症状が改善しない
  • 中等度の神経圧迫があるが、重度ではない:痛みやしびれはあるが、明確な麻痺や排尿障害は認められない

一方で、以下のような症例ではPLDDの効果が限定される、あるいは適応外となる場合があります。

  • 脱出型・遊離型の大きなヘルニア
  • 高度に変性した椎間板
  • 脊柱管狭窄症など、骨性の圧迫が主因
  • 広範囲な神経障害や運動麻痺、膀胱直腸障害を伴う重症例

このように、PLDDは限られた症例に対して効果が期待される治療法である点に留意しておきましょう。

費用目安

PLDDは自由診療(保険適用外)として提供している施設が多く、治療の費用は医療機関によって大きく異なります

一般的な相場は30万〜50万円程度ですが、施設によって価格設定が異なるため、事前に確認が必要です。

また、2カ所以上の複数椎間に対して行う場合には、追加の費用が発生するのが一般的です。

なお、費用に術前の検査費用や術中管理費用、術後フォロー費用がすべて含まれるかどうかも施設ごとに異なるので、しっかり確認しておきましょう。

PLDD治療と費用に関しては、以下の記事もご覧ください。

まとめ|PLDD術後後遺症に対する治療法をチェック

PLDDの術後に後遺症が起こらないことが一番ですが、どのようなリスクや症状があるのかを知っておくことは、治療法を検討するうえで大切です。

万が一後遺症が起こってしまった場合には、再生医療という選択肢もあります。

再生医療の幹細胞治療は、PLDDをはじめとした椎間板ヘルニアの術後後遺症に対応する新しい治療法のひとつです。

幹細胞治療では、患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与します。

幹細胞が他の細胞に変化する「分化能」という能力を活用する治療法です。

一般的には培養した幹細胞を冷凍保存して使用しますが、当院では患者様ごとに「その都度」培養を実施。細胞を凍結せずに保存・輸送することで、新鮮で生存率・活動率の高い幹細胞の提供に努めています。

以下は、当院のヘルニアに対する再生医療の症例です。

椎間板ヘルニアのお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、当院「リペアセルクリニック」までお気軽にご相談ください。

\無料相談受付中/

通話料無料/受付時間 09:00~18:00

PLDDの後遺症に関するよくある質問

PLDDの術後に悪化するケースはありますか?

PLDDは低侵襲な治療法ですが、術後に新たな腰痛やしびれ、太ももの筋肉の張りなどを感じるケースがあります。

術中の熱刺激や炎症反応によって周囲組織が過敏になったり、神経への一時的な負担が生じたりするのが主な原因です。

多くは一過性の症状で、時間の経過とともに軽快する傾向がありますが、症状が強い場合は早期に医師に相談しましょう。

ヘルニアの治療でPLDDが失敗するケースはある?

PLDDは比較的安全な治療法ですが、効果が十分に得られない・後遺症が残る・再発するといった結果により、患者が「失敗した」と感じるケースがあります。

なかでも、脱出型ヘルニアや変性が進んだ椎間板、複数部位の神経圧迫では効果が限定される可能性があるのです。

適応症の見極めや術者の技量、術後の管理が失敗を防ぐ上で重要となります。

以下の記事では、PLDD治療前のチェックポイントを解説しているので参考にしてみてください。

PLDDは先進医療として厚生労働省に指定されていますか?

PLDDは、かつて厚生労働省の先進医療に指定されていましたが、2012年に先進医療の対象から除外されています。

現在は公的医療保険の対象外であり、自由診療として各医療機関が独自に提供しているのが現状です。

治療を受ける際は費用や提供体制について、事前にしっかりと確認しておきましょう。

参考文献

(文献1)
腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版|日本内科学会雑誌(J-STAGE)