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痛風が影響を与える主な部位とその対策

痛風が影響を与える主な部位とその対策
公開日: 2024.10.18 更新日: 2025.02.28

「痛風って足の親指だけに起こるんじゃないの?」
「痛風が他の部位にも影響するなんて知らなかった!」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

痛風はたしかに足の親指の付け根に最も頻繁に発症しますが、実は他の関節や部位にも影響を及ぼす可能性があるのです。

それぞれの部位で痛風が起こった場合の対処法を理解しておくことが、効果的な痛風管理につながります。

本記事では、痛風が影響を与える主な部位と症状、部位別の対策について詳しく解説します。痛風とうまく付き合うための参考にしてください。

痛風の症状は足の甲にも現れる

痛風の症状は、足の指に最も多く現れるとされていますが、足の甲にも現れます。

足の甲に痛風が発症すると、歩行や立つことが困難になり、日常生活に大きな影響を与えます。

主な症状は激しい痛みや腫れ、発赤、熱感などで、足の指と同様に、急性の発作として突然起こることが特徴です。

痛風の発症は、過剰なアルコール摂取やプリン体を多く含む食品の摂取が引き金となるケースが多く、関節に激しい痛みを引き起こします。

痛風とは何か?

痛風は、体内で作られた尿酸が過剰に蓄積して発症する病気です。

尿酸は、プリン体と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は尿として体外に排出されます。

この尿酸が、なんらかの理由で体内に蓄積すると、針のような形の結晶となって関節内に沈着し、激しい炎症と痛みを引き起こすのです。

痛風は、主に40代以降の男性に多くみられる病気ですが、女性も閉経後に発症リスクが高まります。

そして、痛風発作は突然起こるため、日常生活に大きな支障をきたし、適切な治療を行わないと、関節の変形や腎臓の障害など、深刻な合併症につながる可能性もあります。

痛風の原因

痛風の主な原因は、次の3つが挙げられます。

  • 尿酸の過剰産生または排泄低下
  • プリン体の多い食事の摂取
  • 肥満や過度のアルコール摂取

それぞれ、具体例を交えて1つずつ説明します。

尿酸の過剰産生または排泄低下

体内で尿酸の生成が増加、または尿酸の排泄が減少すると、血中の尿酸値が上昇します。

尿酸が血中に過剰に存在すると、関節や周辺の組織に結晶として蓄積され、痛風発作が起こります。

具体例

  • 遺伝的要因(尿酸を作りやすい、または尿酸を排出しにくい体質)
  • 利尿剤や低用量アスピリンなど、特定の薬剤の使用

プリン体の多い食事の摂取

プリン体とよばれる肉類、魚介類、ビールなどの過剰摂取は、尿酸値を上昇させます。

具体例

  • 肉類(レバー、ささみなど)や魚介類(イカ、タラコなど)の多量摂取
  • ビールの大量飲酒

肥満や過度のアルコール摂取

肥満から起こるインスリン抵抗性は尿酸の排泄減少の可能性を高め、アルコール摂取は尿酸の生成促進と排泄を阻害する作用があります。

具体例

  • BMI(肥満指数)数値が25以上
  • 500ml以上(瓶ビール1本以上)のアルコールを毎日飲酒する

痛風の症状

痛風発作の症状には、以下3つの特徴があります。

  • 突然の激しい関節痛
  • 発赤、腫れ、熱感をともなう
  • 発症から24~36時間後が最も痛みのピーク

それぞれの特徴について、具体例を交えて1つずつ解説します。

突然の激しい関節痛

痛風の最も特徴的な症状で、発作的に現れます。

足の親指の付け根(第1中足趾節関節)に最初の発作が起こる場合が多いですが、他の関節(足首、膝、手首など)も侵される可能性があります。

具体例

  • 夜中や早朝に突然起こる激痛
  • 歩行や靴の着用が困難なほどの痛み

発赤、腫れ、熱感をともなう

尿酸の結晶が関節にたまると、免疫系が反応して炎症が起こり、関節周囲の皮膚が赤く腫れ上がって熱を持ちます。

この症状は、足の親指の付け根や足首、膝関節など、体重がかかる部位でよく見られ、軽い触れ合いでも痛みを感じる状態になる場合もあります。

具体例

  • 患部が赤く腫れ上がり、皮膚が光沢を帯びる
  • シーツの重みでも痛みを感じるほどの圧痛

発症から24~36時間後が最も痛みのピーク

発作が始まってから1〜2日で、痛みが最も強くなります。

炎症反応が最も活発になり、動かすことができないほど痛みが強くなるケースが多いです。

その後、数日から2週間ほどかけて徐々に症状が改善していきます。

具体例

  • 発症から1日半ほどで、痛みが最高潮に達する
  • 痛みのピークを過ぎると、徐々に腫れや痛みが引いていく

痛風が影響を及ぼす具体的な部位

足の親指の付け根だけでなく、痛風はさまざまな部位に影響を及ぼす可能性があります。

ここでは、その具体的な部位とそこに起こる症状について説明します。

足の親指の付け根:最も一般的な痛風発作の場所

足の親指の付け根(第一中足趾節関節)は、痛風発作が最も頻繁に起こる場所です。

この部位は、体重を支える重要な関節の一つであり、歩行時に大きな負担がかかります。

そのため、この関節に尿酸結晶が沈着すると、以下のような症状が現れます。

症状 説明
靴を履くことも困難なほどの激しい痛み 痛風発作が起こると、激しい痛みが生じ、痛みのために、靴を履くことさえ困難になります。
安静時でも持続する痛み 痛風発作による痛みは、安静にしていても持続します。痛みのために、夜も眠れなくなるほどの不快感をともなう場合もあります。
歩行困難 痛みと腫れにより、歩行が困難になり、痛みを避けるために、足を引きずるような歩き方になる場合もあります。
発作治まった後も関節の腫れや違和感が残る 痛風発作が治まった後も、関節の腫れや違和感が しばらく残る場合があります。完全に症状が消失するまでには、数日から数週間かかることもあります。

痛風が足の親指の付け根に好発する3つの理由

痛風で最も起こりやすい部位は足の親指の付け根です。

足の親指が好発部位となる理由は、主に次の3点が考えられています。

  • 体重負荷を受けやすい
  • 血流が滞りやすい
  • 体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

体重負荷を受けやすい

歩行時や立位時に、足の親指の付け根には体重が集中しやすいため、関節に負担がかかります。

また、圧力や摩擦も加わるので、尿酸結晶が集まりやすくなります。

血流が滞りやすい

足の末端は心臓から遠く、重力の影響もあるため、血流が滞りやすく、尿酸が結晶化して沈着しやすい場所です。

足の親指の付け根以外の関節(足首、膝、手首など)に発症することもあります。

体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい

足の末端は体の中心部と比べて体温が低めのため、尿酸結晶が沈着しやすい環境です。

冬場や長時間の座位、運動不足などの状況は、足の先端部分が冷えやすく、足の親指の付け根に尿酸結晶が沈着しやすくなります。

痛風は尿酸値の上昇が主な原因ですが、体の特定の部位に症状が現れやすいという特徴もあります。

尿酸値のコントロールとともに、この好発部位についても理解を深めることが大切です。

その他の関節:手、足首、膝、足の甲など

足の親指以外にも、痛風発作は以下のような部位に起こる可能性があります。

部位 説明
手の関節(指の関節、手首) 手の関節の痛風発作は、物を握ったり、ボタンを留めたりする動作を困難にします。
足首 足首の痛風発作は、歩行時の痛みや腫れが生じます。足首の可動域が制限され、階段の昇り降りなどの動作が困難になるケースもあります。
膝関節の痛風発作は、激しい痛みと腫れを伴います。膝を曲げ伸ばしする動作が困難になり、歩行や立ち座りに支障をきたすことがあります。
肘関節の痛風発作は、肘の痛みと腫れにより、腕を曲げ伸ばしする動作が制限されます。
アキレス腱の周辺 アキレス腱周辺の痛風発作は、歩行時の痛みや違和感が生じます。アキレス腱の炎症により、歩行パターンが変化することもあります。
足の甲 足の甲の痛風発作は、靴の着脱が困難になります。足の甲の腫れと痛みにより、歩行時の不快感が増すことがあります。

これらの部位での発作は、足の親指ほど頻繁ではありませんが、激しい痛みと腫れをともない、場合によっては、複数の関節に同時に発作が起こることもあります。

たとえば、足の親指と足の甲に同時に発作が起こった場合、歩行が極めて困難になります。

また、手の関節と膝関節に同時に発作が起こった場合、日常生活動作の多くが制限されることになります。

このように、痛風は特定の関節に発症しやすい傾向があります。

関節部位ごとの症状の違いを理解し、発作の初期段階から適切な対処を心がけることが大切です。

痛風発作の好発部位と一般的な症状について知識を深め、痛風が疑われる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

痛風発作時の場所別対策法

痛風が発症した部位によって、対処法に少し違いがあります。

ここでは、足の親指と他の部位における痛風発作の治療と対策方法について説明します。

足の親指に発生した痛風の治療と対策

足の親指に痛風発作が起こった場合、以下の対処が有効です。

対処法 説明
安静と冷却 発作時は、患部の安静と冷却が重要です。安静にすることで、関節への負担を軽減し、患部の冷却で、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。
水分補給 十分な水分を摂取し、尿酸の排泄を促すことも効果的です。尿量を増やすことで、体内の尿酸の効率的な排出が可能です。1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。
薬物療法 炎症を抑え、痛みを和らげる効果のある消炎鎮痛薬の服用が一般的ですが、必要に応じてコルヒチンやステロイド薬を医師が処方することもあります。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従った服用が大切です。
食事療法 プリン体の摂取制限などの食事療法が大切です。肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品の摂取を控えることで、尿酸値の上昇を防ぎます。
靴の選択 足の親指への負担軽減のために、適切な靴の選択も重要です。ゆったりとしたつま先、クッション性のある靴底、足首を支えるデザインの靴を選ぶことで、関節への負担を和らげます。
足の手入れ 足を清潔に保つことで、感染症のリスクを減らせます。また、足の爪を適切な長さに切り、肌の乾燥防止も大切です。

他の部位の痛風発作に対する対策

足の親指以外の関節(手、足首、膝、肘など)に痛風が発症した場合も、基本的な対処法は同様です。

対処法 説明
安静と冷却 発作時は、患部を安静にし、冷却することが大切です。安静と冷却は、関節の負担軽減と痛みや腫れの緩和、患部の炎症を抑えます。
水分補給 十分な水分補給(1日の摂取目安量:1.5~2リットル)を行い、尿酸の排泄を促し、尿量を増やすことで体内の尿酸の効率的な排出が可能です。
薬物療法 消炎鎮痛薬、コルヒチン、ステロイド薬などを服用し、炎症と痛みを抑えます。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従って適切な服用が大切です。
対策の追加 部位によっては関節の固定や運動療法、リハビリなど、対策の追加が必要となる場合があります。例えば、手関節に発作が起こった場合は、手首を固定する装具の使用、膝関節の発作には、適切な運動療法やリハビリで、関節の可動域を維持し、機能低下を防ぎます。

痛風発作の対処は発症部位によってある程度異なります。

足の親指であれば靴の選択が、手関節であれば運動療法がポイントになるなど、発症部位の特性を踏まえ、医師や理学療法士と相談しながら、適切な治療計画を立てることが大切です。

痛風が疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。

早期発見と適切な治療により、痛風発作による痛みや日常生活の制限を最小限に抑えることができます。

また、生活習慣の改善や薬物療法により、発作の頻度を減らし、関節の変形や機能障害の予防が期待できます。

痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した生活を送れるよう、医療従事者と協力して取り組んでいきましょう。

\まずは当院にお問い合わせください/

痛風発作の予防

痛風発作を予防するためには、日常生活の改善が欠かせません。

とくに食生活の管理と適切な運動・体重管理が重要になります。

ここでは、それぞれの詳細について説明します。

食生活の管理

痛風予防のための食事療法では、主に4つの注意が必要です。

注意点 説明
プリン体の多い食品を控える プリン体の多い食品(レバー、イカ、鶏皮、内臓肉)は控えめにすると尿酸値上昇を防げます。完全に避ける必要はありませんが、バランスを考えた適量摂取を心がけましょう。
アルコール、特にビールの摂取を控える アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる作用があります。とくにビールは、プリン体も多く含まれているため、痛風発作のリスクを高めます。アルコールは適量を心がけ、できればビールは控えめにしましょう。
十分な水分を意識的に摂取する 十分な水分摂取は、尿酸の排泄を促すために重要です。1日1.5~2リットルの水分摂取を目指しましょう。ただし、一度に大量の水を飲むのではなく、こまめに水分を補給することが大切です。
バランスの取れた食事を心がける 偏った食事は痛風発作のリスクを高めます。さまざまな食品群を偏りなく摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。とくに、野菜や果物、低脂肪乳製品、全粒穀物などを積極的に取り入れることが大切です。

これらのポイントを意識しながら、管理栄養士と相談して自分に合った食事計画を立てることが大切です。

一度に大幅な食事内容の変更を行うのではなく、少しずつ改善していくのがよいでしょう。

また、外食や食事会などの際は、プリン体の多い食品を控えめにするなど、工夫をしながら対応しましょう。

自分の体の反応を観察しながら、無理のない範囲で食生活の改善を進めていくことが重要です。


適切な運動と体重管理

運動は尿酸値を下げる効果が期待でき、痛風発作のリスクを減らすのに役立ちます。

運動の目安は以下の通りです。

項目 内容
頻度 週2~3回
時間 1回30分以上
種類 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など自分に合った続けやすいもの)

運動をはじめる際は、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。

ウォーキングであれば、1回10分からはじめ、徐々に時間を延ばしていくのがよいでしょう。

また、痛みや違和感がある場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談しましょう。

加えて、肥満は痛風のリスクを高めるため、適正体重の維持を心がける必要があります。

適正体重は、身長(m)の2乗×22が目安となります。

たとえば、身長170cmの方であれば、適正体重は約64kgです。

無理のない範囲で、徐々に体重を適正範囲に近づけていくことが大切です。

身長 適正体重の目安 適正体重の計算式:身長(m)の2乗 × 22
150cm 49.5~54.0kg 49.5kg
160cm 56.3~61.4kg 56.3kg
170cm 63.6~69.4kg 63.6kg
180cm 71.3~77.8kg 71.3kg

適正体重には個人差があります。

筋肉量が多い人や骨格が大きい方は、この目安よりも重めでも適正体重の範囲内である可能性があります。

運動療法は個人差が大きいため、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。

また、痛風発作時や回復期には無理な運動は控え、医師や理学療法士の指示に従うことが重要です。

食生活と運動、体重管理を総合的に見直すことが、痛風発作の予防につながります。

生活習慣の改善に取り組み、痛風とうまく付き合っていくことが大切です。

生活習慣の改善は簡単ではありません。長期的な視点を持って、自分のペースで無理のない継続が重要です。

痛風は再発や合併症のリスクあり|早期診断と治療が大切

痛風発作は、適切な治療を行わないと再発する可能性が高まります。

また、長期化すると関節の変形や腎臓などの合併症を引き起こすこともあるため、早期の診断と治療が重要です。

以下のような場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

  • 突然の激しい関節痛があり、関節が赤く腫れている
  • 発熱や風邪の症状をともなう関節痛がある
  • 痛風発作を繰り返し起こしている
  • 痛風発作が長引き、日常生活に支障をきたしている

痛風は、適切な治療と生活習慣の改善により、十分にコントロールできる病気です。

早期に診断を受け、医師の指導のもと、薬物療法や食事療法に取り組むことが大切です。

また、日頃から体重管理やアルコール摂取量の調整など、生活習慣の見直しを心がけることも重要です。

痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した人生を送れるよう、医療チームと協力して取り組んでいきましょう。

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まとめ:痛風発作への効果的なアプローチ

痛風は足の親指だけでなく、手の関節、足首、膝、肘などさまざまな関節に発症することがあります。

部位によって対処法は異なりますが、共通する発作時の対応としては安静・冷却・消炎鎮痛薬があります。

部位別の予防策

  • 手の関節:適切な道具の使用、運動療法、リハビリ
  • 足首・膝:固定装具、適切な靴の選択、運動療法、リハビリ
  • 肘:固定装具、適切な姿勢、運動療法、リハビリ

一般的な予防策

  • プリン体の多い食品の摂取を控える
  • 1日1.5~2リットルの水分をこまめに摂取
  • 週2~3回、30分以上の有酸素運動
  • 適正体重の維持(BMI 22程度)

痛風とうまく付き合うには、体の変化に早めに気づき適切に対処することが重要です。

症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、自分に合った管理法を見つけましょう。

\まずは当院にお問い合わせください/

監修者

渡久地 政尚

渡久地 政尚 医師 (医療法人美喜有会)

Masanao Toguchi

日本再生医療学会 所属

日本内科学会 所属

再生医療の可能性を追求しながら、体への負担が少なく効果的な治療を提供し、患者様が早期に活動的な生活に戻れるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。

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