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痛風は歩くと悪化する?それとも治る?症状を緩和させる方法を解説

「足の親指が突然ズキズキ痛み出した…歩くと余計に悪化するの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
痛風は、尿酸が関節に蓄積することで炎症を引き起こし、激しい痛みを伴う病気です。特に足の親指に発作が起こると、歩行が困難になる場合もあります。
歩行自体が痛風を悪化させるわけではありませんが、運動の強度が高すぎると症状が悪化する可能性があります。そのため、運動に関する正しい知識を身につけておく意識が大切です。
本記事では、痛風と歩行の関係性や、痛風の症状改善に効果のある対処法を解説しています。正しい知識を覚えて、痛みの軽減や再発予防につなげましょう。
目次
痛風は歩くと悪化する可能性がある?
痛風は「風が当たるだけで痛みが走る」という意味から名付けられた、激しい痛みを特徴とする疾患です。血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇が痛風を発症する主な原因です。
「痛風は歩くと悪化するのか」という疑問を持つ人は多いですが、歩くこと自体は痛風を悪化させる行為ではありません。
ただし、過度な運動や関節に負担がかかりすぎる動きは、尿酸値を上昇させて痛風を誘発する可能性があります。そのため、山登りや急な坂道の往復といった関節に負担がかかる歩行は、事前に医師に相談しましょう。
以下は、歩行以外で尿酸値上昇のリスクを高める運動例です。
- 短距離走
- ベンチプレス
- ダッシュを繰り返す運動
症状を悪化させないためにも、運動強度は医師と相談しながら調整しましょう。
痛風とは?
痛風とは、足の親指のつけ根が急に赤く腫れ、強い痛みを感じる病気です。
痛風の症状は、足の親指だけでなく手足や膝の関節にも現れることがあります。また、耳に小さなしこりができたり、尿路結石が生じたりする場合もあります。
痛風の原因は、血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇です。尿酸が過剰に生成されると結晶化し、免疫細胞が結晶を処理する際に炎症が起こります。この炎症が痛風の症状となって出てくるのです。
尿酸が増える理由には、腎臓の働きが弱くなることや生活習慣の乱れが関係しています。特に、食べすぎや飲酒、肥満、激しい運動は尿酸を増やす主な原因です。
痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で、症状をコントロールできるので、正しい知識と対処法を覚えましょう。
痛風の初期症状や症状が出る部位について知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
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痛風の初期症状は?早期発見につなげて重症化を防ごう【医師監修】
痛風が影響を与える主な部位とその対策
痛風は適度に歩くと治る確率が高まる
適度な運動は、痛風の改善に効果があります。特に、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの軽めの有酸素運動がおすすめです。(文献1)
適度な運動は、痛風の原因となる肥満を改善するだけでなく、健康状態の維持にもつながります。
ただし、激しい運動はかえって尿酸値を上げてしまう可能性があるため、運動強度を高めすぎない意識が大切です。
痛風で適度に歩く以外に症状を緩和する6つの方法
ここでは、痛風の症状を緩和する6つの方法を紹介します。
- 患部を冷やす
- 食生活を見直す
- 水分を多く摂取する
- 禁煙または喫煙量を減らす
- ストレスをためないようにする
- 医師の指導のもと薬物治療を行う
順番に見ていきましょう。
患部を冷やす
患部を冷やせば、炎症や痛みが和らぎます。氷嚢(ひょうのう)やアイスパックを使うと、血管が収縮し、腫れが抑えられるためです。
ただし、冷やしすぎると血流が悪くなり、逆効果になる場合があります。
冷却は1回につき15分以内にとどめ、数時間おきに繰り返すのが適切です。
アイシングやジェルパックなどの冷却グッズを常備しておくと、急な痛みが出たときにも対応しやすくなります。冷却を行う際は、直接肌に当てず、タオルを挟んで使用してください。
食生活を見直す
痛風の予防と管理において、食事の改善は重要な役割を果たします。痛風に関連する食生活の注意点は以下のとおりです。
注意点 |
説明 |
---|---|
プリン体の多い食品を控える |
プリン体の多いレバーやイカ、青魚などは控えめにすることで、痛風発作のリスクを抑えられます |
アルコール、特にビールの摂取を控える |
アルコール(特にビール)は尿酸の排泄を妨げ、体内の尿酸値を上昇させる働きがあるため、摂取量を控えれば痛風の予防にもつながります。 |
低脂肪乳製品、野菜、果物を積極的に取り入れる |
低脂肪乳製品、野菜、果物は、尿酸値を下げる効果が期待できます。 |
コーヒーは1日3〜4杯程度に抑える |
コーヒーには尿酸値を下げる効果があります。飲みすぎは逆効果のリスクがあるため、1日3〜4杯程度に抑えるのが理想的です。 |
痛風を予防するには、これらの食事の注意点を日常的に意識することが大切です。個人の体質や健康状態に合わせて、管理栄養士など専門家のアドバイスを参考にしながら、適切な食事プランを立てることをおすすめします。
水分を多く摂取する
水分をしっかり摂ると、体の老廃物が尿と一緒に排出されやすくなります。
特に、尿酸を体の外へ出すためには、水を十分に飲むのが大切です。発作が起きているときは、意識してこまめに水分を補給してください。
目安として、1日に1.5〜2リットルの水を飲むと良いでしょう。水分が不足すると尿の量が減り、尿酸が体内にたまりやすくなります。
飲み物は水やお茶を中心にし、お酒や砂糖の多いジュースは控えましょう。
禁煙または喫煙量を減らす
喫煙は尿酸値を上昇させる要因の1つです。
禁煙または喫煙量の削減に努めれば、痛風発作のリスクを下げられます。禁煙が難しい場合は、内科やクリニックで相談してみるのも良いでしょう。
ストレスをためないようにする
ストレスは尿酸値を上昇させる原因の1つです。
ストレス管理とリラクゼーションを心がければ、痛風発作のリスクを下げられます。自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
医師の指導のもと薬物治療を行う
痛風の治療では、医師の指導のもとで薬を使用します。医師が処方する治療薬には以下のようなものがあります。
治療薬 |
説明 |
---|---|
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) |
ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの薬剤で、炎症を抑え、痛みを和らげます。 |
コルヒチン |
痛風発作の初期治療に用いられる薬剤で、炎症を引き起こす細胞の活動を抑制します。 |
ステロイド薬 |
プレドニゾロンなどの薬剤で、強力な抗炎症作用を持ちます。内服や関節内注射で用いられます。 |
症状の程度に応じて、これらの薬剤が単独または併用で使用されます。医師と相談しながら、最適な治療法を選択していきましょう。
まとめ|痛風は無理して歩くと悪化するので適度な運動を心がけよう
痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできる病気です。
運動に関しては、ウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動が効果的ですが、尿酸値の上昇につながる短距離走やベンチプレスなどの高強度の運動は避けましょう。
また、日常生活では、プリン体の多い食品やアルコールを控え、十分な水分摂取を心がけることが大切です。喫煙やストレスも尿酸値を上昇させる原因となるため、生活習慣全体の見直しが重要です。
症状の緩和には、適切な冷却処置や医師による薬物治療も効果的です。
医師と相談しながら、治療や生活習慣を改善することで、痛風の症状改善や再発予防につなげることができます。
当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みに対する治療として再生医療を行っております。
無料のメール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
痛風に関するよくある質問
痛風って1日で治るんですか?
痛風の発作は1日で治りません。
強い痛みや腫れは短期間で軽減する場合もありますが、完全に回復するまでには数日から数週間ほどかかります。
痛風でやってはいけないことはなんですか?
痛風は、尿酸値が高い状態が続くことで発症します。そのため、尿酸値を上げる行為は避けるようにしましょう。
具体的には、喫煙、暴飲暴食、激しい運動、ストレスなどが尿酸値を上げる要因となります。
参考文献
(文献1)
診断と治療者「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」
https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf (最終アクセス:2025年2月22日)
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沢井製薬株式会社「高尿酸血症・痛風ハンドブック」
https://med.sawai.co.jp/request/mate_attachement.php?attachment_file=02dfef5e-9b0d-452b-9fd9-be66eb21619c000000000678005F.pdf(最終アクセス:2025年2月22日)
監修者

渡久地 政尚 医師 (医療法人美喜有会)
Masanao Toguchi
日本再生医療学会 所属
日本内科学会 所属
再生医療の可能性を追求しながら、体への負担が少なく効果的な治療を提供し、患者様が早期に活動的な生活に戻れるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。
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