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坐骨神経痛(足のしびれ)の治し方|治療法や自宅でできるセルフケアを紹介

坐骨神経痛の足のしびれを治したい
病院で治療する方が良いのか、自宅でのケアでも治せるのかを知りたい
このようなお悩みを抱えていませんか?
坐骨神経痛とは、腰から臀部(お尻)を通り、膝の下まで伸びている神経が、圧迫されたり締め付けられたりすることにより生じるさまざまな症状です。(文献1)
足のしびれや腰痛も坐骨神経痛の症状に含まれます。また、坐骨神経痛による足のしびれの治し方は、大きく2つに分けられます。1つは病院での治療であり、もう1つは自宅でできるセルフケアです。
そこで本記事では、以下について解説します。
- 坐骨神経痛による足のしびれの治し方
- 坐骨神経痛の原因
- 坐骨神経痛で足がしびれるときにやってはいけないこと
坐骨神経痛が原因で足がしびれて辛いとお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
坐骨神経痛による足のしびれの治し方
坐骨神経痛による足のしびれの治し方は、大きく2つに分かれます。
- 病院での治療
- 家庭でできるセルフケア
それぞれ詳しく解説していきます。
病院で行われる6つの治療法
病院で行われる治療法は、主に以下の6つです。
- 内服治療
- ブロック注射
- 理学療法
- 装具療法
- 手術療法
- 再生医療
以下で、各治療法のポイントを詳しく解説していきます。
1.内服治療
薬を飲んでしびれや痛みを抑える治療法です。
内服治療で使われる主な薬剤を以下に示しました。
薬剤の種類 | 特徴 | 副作用 |
---|---|---|
非ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAID) |
|
胃潰瘍や喘息など |
アセトアミノフェン |
|
胃潰瘍や喘息など |
生物組織抽出物 |
|
発疹、じんましん、吐き気など |
神経障害性疼痛薬 |
|
めまいや眠気など |
オピオイド |
|
便秘や眠気、吐き気など |
抗うつ剤や抗てんかん薬を補助的に使う場合もあります。
2.ブロック注射
ブロック注射とは、症状がある部分の神経、およびその付近に行う注射です。
主なものとしては、以下の3種類があげられます。
- 神経ブロック
- 硬膜外ブロック
- 神経根ブロック
神経ブロックは、神経の周囲や神経内に局所麻酔やステロイド剤を注射する方法です。高周波の熱やアルコールを注入する方法もあります。
硬膜外ブロックは、背中から背骨に向かって針を指し、硬膜外腔(脊髄の外側)に局所麻酔を注射する方法です。
神経根ブロックは、レントゲンで神経が出てくる背骨の穴を確認しながら、神経に向けて局所麻酔薬や抗炎症薬(ステロイド)を注射するものです。
3.理学療法
理学療法とは、運動機能の維持や改善を目的として行う療法です。(文献2)
主な理学療法としてあげられるものは、以下の3つです。
- 温熱療法
- 低出力レーザー法
- 運動療法
温熱療法は、赤外線やホットパック、超音波などでしびれのある部分を温めるもので、血流改善効果があります。
通常よりも弱い、低出力レーザー光を症状がある部位に当てることも、理学療法の一環です。血流を増加させたり、痛みを抑えたりする効果が期待できます。
運動療法は、ストレッチや筋力トレーニングなどで、症状が安定している慢性期に行います。運動療法の目的は、筋力低下防止や再発予防などです。
4.装具療法
装具療法とは、コルセットやウイリアム型装具、腰部固定帯などを用いて、足のしびれをやわらげる治療法です。
各種装具には、腰を安定させる、脊椎(腰の下部分の背骨)のカーブを正しい位置にする、動き過ぎを防ぐなどの役割があります。(文献3)
ただし、長期間利用すると筋力が低下する可能性があります。1か月程度を利用目安にすると良いでしょう。
5.手術療法
足の痛みやしびれが強い場合や、下肢の筋力が低下している場合、膀胱および直腸に障害が認められる場合は、手術適応となります。(文献4)
手術療法の主な種類を以下に示しました。
- 椎間板ヘルニアの部分を摘出する手術
- 背中側の骨の一部を切除して脊柱管を広げる手術
- 曲がった脊椎を矯正するために金属を入れて固定する手術
現在は、内視鏡による手術が発達してきています。
6.再生医療
再生医療とは、病気やけがで働きが悪くなった組織や臓器を再生させる治療法です。これまで、完治が難しかった病気の治療法として期待が寄せられています。
再生医療に用いられる細胞としては、以下のようなものがあげられます。
- 受精卵から作られたES細胞(胚性幹細胞)
- iPS細胞(身体の細胞に特定の遺伝子を入れた細胞)
- 体性幹細胞(生物がもともと持っている細胞)
当院「リペアセルクリニック」では、坐骨神経痛治療においても再生医療を取り入れています。
メール相談やオンラインカウンセリングもございますので、お気軽にお問い合わせください。
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自宅でできる3つのセルフケア
坐骨神経痛による足のしびれへのセルフケアは、主に以下の3つです。
- 適度に運動する
- 正しい姿勢をとる
- 身体を温める
以下で、ポイントを詳しく解説していきます。
1.適度に運動する
再発予防のためにも、症状が軽いときには適度に運動しましょう。(文献5)
運動の具体例を以下に示しました。
- ストレッチ:あお向けの姿勢で膝を抱える、片足ずつ上げるなど
- 筋力トレーニング:スクワットや腹筋、背筋など
- 全身運動:ウォーキングや水中エクササイズなど
望ましい運動は、腰に負担をかけないものです。
ただし、腰痛やしびれがあるときは運動を控えてください。
2.正しい姿勢をとる
いすに座るときは、背筋を伸ばし、左右のお尻に均等に体重がかかるようにしましょう。足を組まないように心がけてください。
床に座るときは、あぐらや正座が望ましい姿勢です。(文献6)
長時間座ったままでいることは避けましょう。30分以上座ったままでいると、腰に負担がかかりやすくなります。
寝るときの正しい姿勢は、横向きとあお向けで異なります。
横向きのときは、しびれがある方を上にして、腰をかがめながら寝ましょう。
あお向けのときは、膝の下にまくらやクッションを入れてみましょう。坐骨神経にゆとりができて、しびれがやわらぎます。
3.身体を温める
使い捨てカイロで腰を温める、入浴時は湯船につかって身体を温めるといった方法があります。
温熱療法と同じく、血流改善の効果が期待できます。
ただし長風呂はおすすめできません。長時間入浴すると湯冷めしてしまい、かえって症状が増してしまうためです。入浴時間は15分から20分程度、お湯の温度は38〜40℃程度が望ましいでしょう。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛を引き起こす原因は、主に以下の5つです。
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 腰椎すべり症
- 感染症や腫瘍
- 加齢や筋力の低下
それぞれ詳しく解説していきます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎(腰の部分の背骨)にある椎間板(骨と骨の間にあるクッションの役割)が加齢とともに変化して、断裂した状態です。
椎間板の変化は20歳頃から始まるため、腰椎椎間板ヘルニアも20代~40代で多く発症し、女性より男性に多く見られる疾患です。
断裂した部分から、髄核という成分が飛び出して、腰から下の神経を圧迫してしまいます。
神経が圧迫されるために、足のしびれや腰痛、膀胱直腸障害(排尿および排便の障害)といった症状が見られます。足に力が入りにくくなり、転びやすくなる場合もあります。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症とは、腰椎が加齢とともに変形して、神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される状態です。(文献7)
50代から80代の方に多く、女性より男性に多いとされています。
主な症状は以下のとおりです。
- 足のしびれ
- 間欠性跛行
- 腰痛
- 足裏の違和感
- 膀胱直腸障害
間欠性跛行とは、安静時には無症状であるものの歩き続けると腰痛やしびれが生じ、休むと症状が改善する特徴的な症状です。(文献8)
膀胱直腸障害とは、脊髄にある神経が障害を受けて、膀胱や直腸の機能が低下するものです。
症状としては、尿や便の失禁、便秘、残尿感などがあげられます。
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは、加齢により腰椎が変形して前方もしくは後方にすべってしまう状態で、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類があります。(文献9)
中年以降の女性に多く、足のしびれや腰痛、間欠性跛行、膀胱直腸障害などが見られます。(文献10)
感染症や腫瘍
帯状疱疹ウイルスが坐骨神経に感染したことで、坐骨神経痛が生じる場合もあります。
直腸癌や膀胱癌といった、骨盤内の腫瘍により神経が圧迫されて坐骨神経痛が発生するケースもまれにあります。
加齢や筋力の低下
加齢により、腰から下および、おしりの筋力が衰えると腰椎を支える力が弱まり、神経が圧迫されやすくなります。(文献11)
神経が圧迫されたことにより、坐骨神経痛を発症し、足のしびれや腰痛など辛い症状に悩む方も少なくありません。
まとめ|坐骨神経痛(足がしびれ)は病院治療とセルフケアで治そう
坐骨神経痛による足のしびれは、加齢による筋力低下や、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などさまざまな原因で引き起こされます。
まれに、感染症や骨盤内の腫瘍などの内科疾患が原因で生じるケースもあるため、足のしびれが辛いときは、放置せず医療機関を受診する方が良いでしょう。
辛い症状を軽減させるための基本は、病院での治療と自宅でのセルフケアです。
本記事を参考に、しびれの軽減や再発予防に努めましょう。
坐骨神経痛による足のしびれでお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」のメール相談やオンラインカウンセリングにてお気軽にお問い合わせください。
坐骨神経痛(足のしびれ)の治し方に関するよくある質問
ここでは、坐骨神経痛(足のしびれ)の治し方に関するよくある質問を3つ紹介します。
坐骨神経痛で足がしびれるときにやってはいけないことは何ですか?
足がしびれるときにやってはいけないこととして、以下の4つがあげられます。(文献12)
- 重いものを持つ:椎間板に負担がかかるため
- 腰を反らせた姿勢を取る:神経が強く圧迫されるため
- 長時間座り続ける:腰に負担がかかるため
- 身体をひねる:椎間板に負担がかかるため
椅子や床に座るときは、30分をめどに立ち上がって休憩しましょう。
坐骨神経痛は自然に治りますか?
腰椎椎間板ヘルニアの場合は、ヘルニア部分が自然に吸収されて痛みが軽くなることも少なくありません。(文献13)
ただし、下肢の筋力低下や膀胱直腸障害が出てきた場合は、手術が必要です。
坐骨神経痛は、脊柱管狭窄症や腰椎すべり症などでも発症します。
脊柱管狭窄症は自然に治るケースと徐々に進行するケース、両方が存在します。脊柱管狭窄症と診断されただけでは、自然に治るか進行するかが不明であるため、継続して経過を見ていくことが必要です。
また腰椎すべり症は、自然に治ることが少ない疾患であるため、継続した治療が必要です。
坐骨神経痛の中には、まれに子宮癌や膀胱癌などの内科疾患が原因で発症するケースもあります。
足のしびれや腰痛などの症状が出たら、一度医療機関を受診してみましょう。
足のしびれ・腰痛は何科を受診するべきですか?
足のしびれや腰痛など、坐骨神経痛と思われる症状がある場合は、最初に整形外科を受診しましょう。
MRI検査やCT検査などで、原因となる病気を特定します。
整形外科で異常がない場合の受診先は、内科や脳神経外科、神経内科、ペインクリニックなどです。
当院「リペアセルクリニック」は、整形外科や内科、脳神経外科などに対応しております。
再生医療による治療も行っておりますので、メール相談やオンラインカウンセリングをご利用の上、お気軽にお問い合わせください。
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参考文献
(文献1)坐骨神経痛- 08.骨、関節、筋肉の病気 MSDマニュアル 家庭版 (最終アクセス:2025年2月20日)
(文献2)公益社団法人日本理学療法士協会 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献3)山陰労災病院「腰部脊柱管狭窄症」 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献4)聖路加国際病院「腰部脊柱管狭窄症の診断と治療」 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献5)千葉県医師会県民向け広報誌ミレニアム 「身近なのによく知られていない坐骨神経痛」,2021年6月10日(最終アクセス:2025年2月15日)
(文献6)株式会社リハサク 坐骨神経痛が楽になる座り方は?日常の注意点や簡単にできるストレッチも解説,2025年1月10日 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献7)慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト 腰部脊柱管狭窄症 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献8)北里大学北里研究所病院 腰部脊柱管狭窄症 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献9)国際医療福祉大学成田病院 脊椎脊髄センター (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献10)三宅洋一ほか 「画像診断シリーズ ロコモシリーズ2 腰椎変性すべり症」 日大医誌72(3):123_125 2013年 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献11)日本医学柔整鍼灸専門学校 坐骨神経痛とは,2020年12月9日 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献12)メディカルコンサルティング合同会社 坐骨神経痛でやってはいけないこと|交通事故の後遺障害,2022年12月21日 (最終アクセス:2025年2月15日)
(文献13)山陰労災病院整形外科 小畑哲哉「坐骨神経痛のはなし」 (最終アクセス:2025年2月15日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。