脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いについて
目次
脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いとセルフチェックの方法
脊柱管狭窄症は、腰椎ヘルニアと並び、最も代表的な腰部の疾患の一つです。
神経への影響という部分では、ヘルニアと似ているところもありますが、原因や症状、治療法などが微妙に違ってきます。
今回は、脊柱管狭窄症の病態や自分でできるチェック方法、治療について解説します。
脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、脊柱(背骨)で構成される脊柱管というトンネルが狭くなる疾患です。
脊柱管が狭くなる原因は、椎間板の突出と黄色靱帯の肥厚が面の原因となって、脊髄神経の前側と後ろ側を圧迫するのです。
その脊柱管の中には、脳と全身の器官を繋ぐ脊髄神経が通り、感覚や運動の指令を伝達するとても重要な役割を果たしています。
脊柱管狭窄症では、脊髄神経が通るトンネルが狭くなるため、脊髄神経は圧迫されてしまい、痛みやしびれ、力の入りづらさなど様々な症状で大きく悩まされる疾患です。
脊柱管狭窄症は部位によって分類される
脊柱は、7 個の頸椎と 12 個の胸椎、5 個の腰椎が連なって構成されます。
そのため、脊柱のどの部分で狭窄が起きているかで、呼び名が変わるのです。
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割合としては、腰部脊柱管狭窄症が 1 番多くみられるため、本記事でも腰部脊柱管狭窄症について述べていきます。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症は、圧迫される場所によりタイプ分けされており、それぞれ症状が違います。
タイプは以下の2つに分けられます。
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また、この 2 つが組み合わさった混合型というのもあります。
①馬尾型の症状
脊柱管狭窄症の 1 割程度でみられ、脊柱管の中心部に近いところで圧迫が起きます。
馬尾型では、両下肢のしびれやだるさ、膀胱直腸障害(排尿・排便障害)などがあり、症状が出現した場合は、すみやかに整形外科を受診するようにしましょう。
②神経根型の症状
脊柱管狭窄症の 7 割が、神経根型といわれています。
多くは、片方の臀部や脚にかけてのしびれやピリピリする痛みがあります。
症状がなかなか落ち着かない場合は、整形外科に受診し、圧迫の程度や身体機能のチェックをおすすめします。
長時間(一定時間)の歩行で症状が増強する間欠性跛行
馬尾型、神経根型のいずれにおいても、長時間の歩行で痛みやしびれの増強がみられます。これが間欠性跛行です。
これは脊柱管狭窄症と診断された患者さんの大部分が訴える症状です。
いつもなら何事もなく歩ける距離が、急に辛くなった、休まないといけなくなった、などの症状が出たら、脊柱管狭窄症を疑いましょう。
この間欠性破行は前かがみ、つまり前屈によって症状は軽快します。自転車を乗ると全然痺れが出ないなどもこの背中の前屈によるものとされます。
もちろん、下肢の循環障害などでも同様の症状が出てくる可能性もあるので、専門機関でしっかり診断してもらうことが大切です。
出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html
脊柱管狭窄症の原因
脊柱管狭窄症は、脊髄神経が通る脊柱管が狭くなることで引き起こされる疾患です。
では、どうして狭くなってしまうのでしょうか?
脊柱管が狭窄を起こしてしまう原因は、以下の 3 つが考えられます。
①加齢による骨や周囲の軟部組織の変化
人の体は20歳をピークに徐々に衰え始め、中高年の時期に急激に変化していきます。
脊柱でも同様のことが起こり、脊柱管狭窄につながる変化としては以下のものが挙げられます。
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椎骨は脊柱の骨組みになるものであり、椎間板は背骨と背骨の間に入り込みクッションのような役割を果たし、靭帯は背骨を安定させるために働いてくれます。
これらの機能が落ちてくると、上記の 3 つのような変化が現れ、脊柱管を狭くし脊髄神経を圧迫、そしてしびれや痛み、脚の脱力感などの症状が出てしまうのです。
②姿勢や動作習慣など日常的な体の使い方によるもの
加齢による背骨やその周りの組織の変化が起こると同時に、問題になるのが姿勢や動作習慣です。
脊柱管狭窄症の人は反り腰となっていることが多く、その原因は猫背姿勢や運動不足による体幹筋力の低下、股関節や上半身を上手に使えない誤った動作習慣が挙げられます。
腰を反らした姿勢では、脊柱管はより狭くなってしまい、症状が強く現れます。
反対に、腰を少し前かがみにすれば、脊柱管が広がり、痛みやしびれが軽くなります。
脊柱管狭窄症の人が、痛みがある時に腰を一時的に曲げる動作をとるのは、このような理由があるからです。
③先天的な疾患によるもの
割合としては非常に少ないですが、先天的な骨の形態異常により脊柱管が狭くなってしまい発症する脊柱管狭窄症もあります。
脊柱管狭窄症は、中高年の年齢から発症することが圧倒的に多いですが、この先天的なものが原因となる脊柱管狭窄症では、発育途上の若い年代で起こることが多いです。
側弯症もその一つで、脊柱管が曲がって狭くなることで神経症状が出ることがあります。
脊柱管狭窄症とヘルニアの違い
脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアは、腰部の疾患に挙げられる代表的なものですが、その違いは以下です。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、脊椎と脊椎の間にあるクッションの役割をする椎間板が後方へ飛び出てしまい、神経を圧迫して症状が出ます。
よく発症する年齢は、50 歳代ですが、10 〜 20 歳代の若い男性に多くみられることがあります。
腰椎椎間板ヘルニアの場合、脊柱管狭窄症と違って、間欠性跛行の症状はありません。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、そこを通る神経が圧迫され発症します。
主に椎間板と黄色靭帯による前後からの圧迫によって生じることが多く見られます。黄色靭帯の肥厚は若い人にはほとんどみられることはありません。
脊柱管狭窄症は、ヘルニアを伴うこともあり、完全に違う病気であるとは言い切れない部分もあるため、鑑別が難しいです。
好発年齢は 60 〜 70 歳代以降の人に多く、背骨の変形や姿勢の変化を伴うことが多いです。
脊柱管狭窄症のセルフチェック
脊柱管狭窄症は、特徴的な症状がいくつかあるため、セルフチェックができます。
下記の項目にチェックを付けて下さい
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いかがでしたか?
ひとつでも当てはまるものがある方は、注意が必要です。
脊柱管狭窄症になっている可能性がある人や、今後脊柱管狭窄症になりやすい人は複数の項目でチェックが入るかもしれません。
特に下半身のしびれや長時間の歩行での痛み、尿漏れなどの症状が出ている人は、放置せずにできるだけ早めに専門の医療機関に相談しましょう。
脊柱管狭窄症の治療
脊柱管狭窄症の治療法は様々あります。
【脊柱管狭窄症の治療方法】
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重度の脊柱管狭窄症の場合は、早急に神経の圧迫を取り除く必要があるため、手術療法が用いられます。
また、体にメスを入れない保存療法では、リハビリテーション、薬物療法、装具療法があります。
保存療法では、神経的な痛みに対する薬を処方し、まずは症状を抑えることが多いです。そして、症状の原因となる姿勢の改善や、誤った動作習慣を改善する目的でリハビリテーションを行います。
高齢になると、どうしても活動量が落ちてしまい、同一姿勢をとる時間が長くなります。そうすると、脊柱の柔軟性や体幹を保とうとする筋力が低下し、脊柱にかかる負荷が増えてしまうのです。
そんな悪循環を断ち切るために、気になる症状が出てきた時は、専門の整形外科へ相談しあなたにあった治療方法を探してみましょう。
まとめ・脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いについて
今回は、脊柱管狭窄症の病態や、他の腰部疾患であるヘルニアとの違い、セルフチェック、治療方法について紹介しました。
中高齢の方に多い疾患ですが、その多くがそれ以前の姿勢や動作習慣が原因となって起こります。
今、症状が出ている人は、できるだけ早めに医療機関へ相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
まだ症状が出ていない方、そして年齢的にもまだまだ若い方は、脊柱への過剰な負荷がかからないように、今のうちから姿勢や体の使い方を見直し、予防に努めましょう。
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