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シンスプリントにおける休む期間を解説|休息時のやるべきことや再発防止を紹介

シンスプリント(すねの内側に走る痛み)に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
とくにランナーやジャンプ動作の多いスポーツ選手は、この痛みで思うように練習ができず、「いつになったら治るのか」と不安を抱えてしまいます。
シンスプリントは放置すると慢性化し、練習や試合への影響も長引く恐れがあるため、早期のケアと原因の把握が重要です。
本記事では、シンスプリントの原因やメカニズムを丁寧に解説しつつ、よく混同される疲労骨折との違いにも触れます。
痛みの出方や回復のスピードは人それぞれですが、症状と向き合い適切に休養を取ることで、回復を早めることが期待できます。
「どのくらい休む必要があるのか」「休んでいる間にできることは?」といった不安を解消し、スポーツに早く復帰するためのヒントを見つけていただければ幸いです。
目次
シンスプリントの原因・メカニズム
シンスプリントとは、別名で脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、すねの内側(脛骨内側)に慢性的な痛みや違和感が生じる障害の総称です。
使いすぎ症候群(オーバーユース)のひとつで、走ったり飛んだりする激しい運動のスポーツに多く見られます。
バスケットボールやサッカー、ランニングを伴うスポーツを頻繁にしている選手に多く、日本では春先にクラブ活動が活発になる新学期の4月ごろから発症が増加します。
発生要因はさまざまですが、過剰なトレーニングや足に負担のかかるランニングフォームのような内的要因から、硬いグラウンドや路面でのトレーニング、クッションが薄いシューズの使用で足に負担がかかることで起きる外的要因などが考えられます。
すねには前脛骨筋や後脛骨筋をはじめとする複数の筋肉が付着しており、これらが強い衝撃や過度な運動量にさらされることで、脛骨(けいこつ)の周りにある骨膜が炎症を起こし、痛みが発生します。
とくに練習量を急激に増やしたり、柔軟不足のままハードなトレーニングを続けたりすると、負荷が一気にかかりシンスプリントが起こりやすくなります。
症状としては、初期段階では走り始めやジャンプ前後に鈍い痛みを感じ、休めばある程度治まります。
しかし、進行すると何もしていないときでも痛むようになり、さらに放置すると慢性化して長期離脱を余儀なくされるケースも珍しくありません。
早い段階で休養に入り、運動量の調整が大切です。
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疲労骨折との違い
シンスプリントと同じように「すねの痛み」を伴う症状として、疲労骨折がよく挙げられます。
どちらもランナーやスポーツ選手に多い障害ですが、症状は根本的には大きく異なる状態です。
- シンスプリント:すねの骨膜が炎症を起こしている
- 疲労骨折:骨自体にひび(亀裂)が入った状態
シンスプリントはあくまで炎症や微細な負荷が蓄積した結果であり、骨折とは段階が違います。
痛みの出方や治り方も異なるため、痛みが強く「骨がじんじんする」「力をかけるとさらに痛い」と感じた場合は、単なるシンスプリントではなく疲労骨折を疑う必要があります。
ただ、混合して認識されてしまう点としては、痛みの発生カ所が似ている点です。
疲労骨折もシンスプリントもふくらはぎの内側に痛みを感じるため、区別が難しいとされています。
いずれにせよ、疲労骨折が進行してしまった場合、医療機関でレントゲンやMRIで骨折かどうか判断してもらえるので、自己判断で放置せず専門家に相談が重要です。
シンスプリントと疲労骨折を混同したまま練習を続けると、回復までに長期間かかるリスクが一気に高まりますので、早めの対処を心がけましょう。
シンスプリント完治まで休む期間
シンスプリントは症状の度合いによって休む期間や復帰に向けたアクションも変わります。
身体と相談しながら休む期間を設定しましょう。
軽症~中度の目安
シンスプリントが比較的軽度の段階であれば、目安として2週間程度の安静を保つことで痛みがかなり和らぐケースが多いとされています。
ただし、痛みが引いたからといってすぐに元の運動量に戻してしまうと、再び負荷がかかって再発するリスクが高まります。
軽度から中度の場合でも、無理をせず段階的に運動を再開しましょう。
運動を完全に休む期間は、人によっては「1週間程度で痛みがおさまる」こともありますが、痛みがなくなった直後が最も危険ともいえます。
焦って運動強度を以前の水準まで一気に戻すと、痛みがぶり返して長引く原因になるからです。
そのため、「痛みが消えたあともしばらくは負荷を抑え、様子をみながら徐々に復帰する」ことが大切になります。
重症例や慢性化したときの休む期間
痛みが強い場合や、何度も繰り返して慢性化してしまったケースでは、完治までに2〜3カ月以上の休養が必要になることがあります。
さらに、痛みがずっと続く難治性のシンスプリントでは、半年以上にわたって治療とリハビリを続ける必要が生じることも珍しくありません。
とくに慢性化すると炎症が長期間にわたって続き、骨膜や周囲組織へのダメージが深刻になりがちです。
こうした場合は、痛みの度合いや経過を慎重に観察しながら、医療機関での検査やリハビリ指導を受ける必要があります。
短期間で無理に運動を再開すると、さらに症状が悪化し復帰までの期間が長期化してしまう可能性があるため注意しましょう。
シンスプリントで休んでいる期間にするべきこと
シンスプリントによる痛みが強いときは、患部への負荷への負担を減らし、炎症を抑えましょう。(文献1) 痛みがあるまま運動を続けると症状が悪化し、結果的に長期離脱につながるリスクがあります。以下のポイントを意識して早期復帰を目指しましょう。
発症直後の治療法
シンスプリントを発症して痛みが強い急性期には、まず患部の安静が欠かせません。
以下のような保存療法を組み合わせると、痛みの軽減と回復を早めることが期待できます。
安静 | 痛みが出る運動を控え、患部への負担を極力減らす |
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アイシング | 炎症や痛みが強いときは、1回15〜20分程度を目安に1日数回冷やす |
痛み止めの内服・外用 | 必要に応じて使用し、炎症や痛みを抑える |
物理療法 | 病院やクリニックで電気療法・超音波治療によって、血流促進や組織の回復を助ける |
装具療法(インソール) | その方の足に合ったオリジナルのインソールを作成します。足底のアーチを足の形と合わせて作成し、痛みを軽減する |
急性期の炎症が落ち着くと痛みも和らぎますが、ここで安易に「もう大丈夫だろう」と判断すると再発リスクが高まります。
痛みがある程度引いた状態でも、医師やトレーナーの指導を受けながら慎重に運動量を調整しましょう。
シンスプリントの一般的な治療法
痛みが落ち着いた後や、慢性期においては、以下のようなアプローチで症状の改善や再発防止を目指します。
ストレッチ・マッサージ | ふくらはぎや足首まわりの筋肉が硬くなると、すねへの負荷が増しやすくなります。適切なストレッチやマッサージで、筋肉を柔軟に保つことが大切です。 |
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テーピングやサポーター | 足首やすねの筋肉をサポートし、骨膜への負担を軽減できます。正しい貼り方や装着方法を学び、運動時に活用すると効果的です。 |
湿布の活用 | 痛みが強い場合や炎症を抑えたいときには、鎮痛成分や消炎成分を含む湿布を活用する方法もあります。運動後に患部へ貼ることで、熱感や腫れをある程度コントロールし、回復を促進するサポートになる可能性があります。ただし、肌がかぶれやすい方は注意が必要なため、医師や薬剤師に相談しながら使用しましょう。 |
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シンスプリントにおける再生医療の効果
近年では、自己の細胞や血液成分を活用した再生医療も注目を集めています。
なかでも「PRP療法(多血小板血漿療法)」は、損傷組織の修復や炎症の緩和を促進するとされ、シンスプリントの改善にも一定の可能性が期待されています。
PRP療法では、自分の血液を採取し、血小板を濃縮して患部に注入し、回復をサポートする成長因子を集中して届けます。
通常の保存療法と併用すると、より早期の回復や慢性化の予防につなげられる可能性があり、当クリニックでは、再生医療のプロフェッショナルとして、数多くの患者さまのお悩みを解決して参りました。
PRP療法にご興味がある方は是非以下のリンクにPRP療法についての詳細を記載しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。
また、当クリニックでは無料相談も行なっておりますので、不明点などございましたらお気軽にご連絡ください。
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シンスプリント完治後の再発予防ポイント
シンスプリントが完治した後は、再発を防ぐ工夫が必要になります。
痛みが完全に消えても以前と同じトレーニングをいきなり再開すると再発リスクが高まるため、以下の点を意識しましょう。
運動再開のタイミング
シンスプリントの痛みが落ち着いたあと、いつ・どの程度から運動を再開すべきかは悩みどころです。
治ったからといって、いきなり元の練習量に戻してしまうと、再発するリスクが高くなります。
以下のポイントを意識しながら少しずつ負荷を上げていくことが望ましいでしょう。
トレーニング計画の見直し | 急に過度な練習量や負荷をかけないようにします。シーズン初めや運動開始直後の時期には、走行距離やジャンプの回数を徐々に増やし、身体が慣れる時間を設けます 痛みが出始めたら早めに休養を取り、悪化する前の対処が重要です。 |
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シューズと練習環境の改善 | クッション性の高いシューズを使用し、靴底がすり減ってきたら早めに買い替えます。できるだけ柔らかい地面を選んで練習し、アスファルトなど硬い路面での長距離走は避けるようにしましょう。 |
柔軟性の向上 | 日頃から下腿のストレッチを習慣づけ、ヒラメ筋や後脛骨筋などふくらはぎ周囲の筋肉の柔軟性を高めておきます。運動前のウォーミングアップも入念に行い、筋肉や腱・骨膜への血流を良くしてからスポーツに臨みましょう。 |
筋力強化とフォーム改善 | 下肢の筋力、とくに着地の衝撃を支える太ももやふくらはぎの筋力を強化すると、ランニングやジャンプ時の負担を軽減できます。加えてランニングフォームを見直し、着地の際は膝とつま先の方向を揃える、ドスンドスンと音を立てずソフトに着地するといった動作を心がけます。必要に応じて専門家からフォーム指導を受けるのも良いでしょう。 |
足のアーチサポート |
偏平足で土踏まずのクッション機能が低下している人は、衝撃がダイレクトに脛骨へ伝わりやすいため注意が必要です。アーチを支えるインソールを用いることでアーチを強化し、衝撃を和らげましょう。 |
体重管理 | 急激な体重増加は下肢への負担を増やします。筋力が追いつかない状態で体重だけ増えるとシンスプリントが再発しやすくなるため、増えた体重を支えられるよう下半身の筋力トレーニングも並行して行ってください |
また、再発防止のためにはポイントだけでなく以下のステップを意識しましょう。焦らず徐々に身体を慣らしていくことが一番近道です。
歩くことから始める | 痛みや違和感がないか確認しながらウォーキングを取り入れてください。 |
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軽いジョギング | 短い距離や時間であれば問題ないかをチェックしましょう。 |
インターバルを十分に取りつつ運動量を増加する | 痛みが再発しない範囲で徐々に負荷を高めていき、本格的に復帰を果たしましょう。 |
もしウォーキング段階で痛みがぶり返すようであれば、再度休養や治療を挟む必要があります。焦らずに段階を踏み、身体の声を聞きながら復帰の速度をコントロールしましょう。
以上の対策を講じ、症状に注意しながら段階的に運動を再開できると、シンスプリントの再発リスクを下げ、スポーツを続けられます。
無理のない計画的なトレーニングとコンディション管理が再発予防の鍵となります。
シンスプリントは十分な休息期間を設けて改善に努めよう
シンスプリントは、無理してトレーニングを続ければ続けるほど、症状が長引きやすい障害です。
痛みが出始めた段階で対策を講じ、運動量を調整して、回復期間の短縮が期待できます。
休む期間をつくりたくない気持ちはアスリートであれば誰もが抱えるものですが、やむを得ず長期離脱するよりも、短期の休養や適切なケアを優先したほうが結果的にスポーツへの復帰が早まるケースも少なくありません。
自分だけでは回復の見通しが立たない場合や、慢性的な痛みで悩んでいる方は、医療機関の受診を検討してみてください。
痛みの原因を特定し、あなたの状態に合わせた治療プランを立ててもらうことで、再発リスクを抑えながら早期回復を目指せます。
休息をしっかりと取りつつ、シンスプリントの根本的な改善に取り組みましょう。
参考文献
日本スポーツ整形外科学会,「スポーツ損傷シリーズ 15.シンスプリント」 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s15.pdf (最終アクセス:2025年02月24日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。