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シンスプリントの症状をチェックしよう!ステージ分類や診断方法も解説

「すねが痛くシンスプリントかもしれない」「シンスプリントの代表的な症状を知りたい」
上記のように、すねに痛みを抱えており、シンスプリントを疑っている方もいるでしょう。
シンスプリントとは、すねの内側に痛みが生じるスポーツ障害の一種です。ジャンプをしたり、走ったりなど脚に負荷がかかるスポーツをしている方に多く見られます。
本記事では、シンスプリントの症状チェックリストを紹介します。シンスプリントの原因や、診断方法も解説しているので、すねの痛みに悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
目次
シンスプリントの症状チェックリスト
シンスプリントは、すねの内側で主に下部1/3くらいに痛みが生じます。シンスプリントの主な症状は、以下の通りです。
- ジャンプやダッシュする際に痛みが生じる
- 運動後、安静にしていても痛い
- すねの下の方の内側を押すと痛い
シンスプリントの初期段階では、痛みだけでなく不快感が生じるケースもあります。痛みや不快感は持続せず、運動中は気にならないのが特徴です。
次第に運動中や安静時も痛みが生じ、最終的には、歩行困難になるケースもあります。
上記で紹介したチェックリストに当てはまる方は、一過性の痛みだと判断せず、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。
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シンスプリントの症状による4つの分類
シンスプリントは、以下を参考に自身の進行状態をチェックしましょう。ただし、個人差があるため医療機関での正確な診断が重要です。
ステージ1
シンスプリントのステージ1は、運動後のみ痛みが生じる初期段階です。
運動中や安静時に痛みはないため、日常生活への問題はありません。たとえ痛みが生じたとしても軽度であり、軽い運動によって治まります。
ステージ2
ステージ2は、運動前後に痛みが生じ始めます。
ウォーミングアップ時に痛みが生じたとしても、体が温まってくれば痛みは治まるのが特徴です。運動後も痛みが生じますが、運動中は問題ありません。
ステージ3
運動前後だけでなく、運動中に痛みが生じ始めるのがステージ3です。
運動中も痛みが生じるため、競技によってはプレーに支障を与える可能性もあります。
ステージ3になると、痛みが顕著になり悪化するため、早い段階で医療機関を受診しなくてはなりません。
ステージ4
ステージ4は、シンスプリントによる痛みが常に生じる状態です。
運動中だけでなく日常生活でも痛みが続くため、日常生活にも支障が出ます。ステージ4になると、疲労骨折の疑いも考えられます。
症状から間違えやすい|シンスプリントと疲労骨折の見分け方
シンスプリントと疲労骨折の症状は似ており、間違えてしまいがちな疾患です。
シンスプリントが悪化していると考えていたら、疲労骨折で長期間スポーツができなくなるケースもあるため、注意が必要です。
シンスプリントと疲労骨折の見分け方を以下にまとめました。
シンスプリント |
疲労骨折 |
|
---|---|---|
痛みが生じる部位 |
・10cm程度で広い |
・5cm以下で狭い |
痛みの特徴 |
・鈍痛 |
・鋭い痛み |
痛みが生じるタイミング |
・初期段階で安静時に生じるケースは少ない |
・安静時にも痛みが生じる |
腫れ |
・広範囲に軽微な腫れや熱感が生じる |
・局所的に腫れる |
シンスプリントは、痛みが生じる部位が10cm程度と広いのが特徴です。
疲労骨折は、5cm以下とピンポイントで鋭い痛みが生じます。腫れが見られたり、安静時にも痛みが生じたりする場合は、疲労骨折の可能性も考えられます。
ただし、症状に当てはまるからといって、必ずしも疲労骨折だとは言い切れません。
シンスプリントや疲労骨折は、人によって症状が異なるためです。症状に当てはまる方は、一度医療機関を受診して診断してもらいましょう。
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シンスプリントの原因
シンスプリントの原因は、脚の筋肉に過度な負荷がかかっていたり、シューズや練習環境に問題があったりなどさまざまです。
シンスプリントを改善・再発防止するには、原因を取り除かなくてはなりません。
ここからは、シンスプリントの原因を3つ紹介します。
筋肉に過度な負荷がかかっている
ジャンプやランニングで脚の筋肉に過度な負荷がかかっていたり、無理なトレーニングを続けていたりすると、シンスプリントを起こしやすくなります。
すねに付着している「ヒラメ筋」や「後脛骨筋」などに過度な負荷がかかると、筋肉が炎症を起こすためです。筋肉疲労による炎症を防ぐには、過度な負荷がかからないよう、トレーニング量を調整しましょう。
トレーニングをしていない時期があったり、怪我から復帰したりする際は、過度な負荷を与えると筋肉が炎症を起こしやすい傾向にあります。
休息期間があった際は、低負荷からはじめ、徐々に通常トレーニングに戻すよう意識しましょう。
扁平足やO脚など脚の形に問題がある
扁平足やO脚など脚の形に問題があるケースも、シンスプリントの原因になります。
扁平足とは、足の裏のアーチ(土踏まず)がない足の形を指します。
土踏まずは、着地による衝撃を和らげるのが主な役割です。土踏まずがないと、地面からの衝撃がダイレクトに伝わり、シンスプリントになりやすくなります。
さらに、O脚やX脚など脚の形に問題がある方も注意が必要です。膝が内側や外側に湾曲していると、歩いたり走ったりする際に、すねの負担が大きくなるためです。
扁平足やO脚など脚の形に問題がある方は、医療機関や整骨院などで脚の形を矯正して、シンスプリントを予防しましょう。
シューズや練習環境が悪い
シンスプリントの原因は、シューズや練習環境が悪いケースもあります。
靴底が薄かったり、かかとが削れていたりするシューズでスポーツをすると、脚に負担がかかりやすくなります。
靴底が薄いと、踏み込んだ際の体重によって、足裏のアーチが崩れやすくなるため、注意しましょう。足裏のアーチが崩れると、シンスプリントの原因になりやすい扁平足を引き起こしやすくなります。
また、シューズのかかとが削れていると、削れている方向にすねが倒れやすくなります。片方のすねが倒れると、筋肉が異常に緊張してしまい、シンスプリントを引き起こす原因になりかねません。
シンスプリントを防ぐためにも、シューズや練習環境も意識しましょう。
シンスプリントの症状を悪化させないための方法
シンスプリントの症状を悪化させないためには、安静に過ごすことが大切です。
「すぐに治るだろう」と考え、トレーニングを続けると「オーバーユース(使いすぎ)」につながり、悪化させる恐れがあります。
ここからは、シンスプリントの症状を悪化させないための方法を2つ紹介します。
安静にする
シンスプリントによる痛みがある場合は、練習は控え安静に過ごしましょう。
痛みを我慢してトレーニングを続けていると、悪化するリスクがあります。安静期間は個人差があるものの、3〜5週間が目安です。
安静時にも痛みが生じる場合は、湿布や鎮痛消炎剤などを使うのもおすすめです。
ただし、湿布や鎮痛消炎剤は、一時的に痛みが治まるものの、根本的な改善にはつながらない可能性があります。「治った」と自己判断せず、一度医療機関を受診しましょう。
アイシングをする
運動後にシンスプリントの痛みが生じている場合は、アイシングが効果的です。
すね周辺の炎症を起こしている部位を冷やすと、痛みが緩和されます。一時的な効果ですが、練習後に痛みが治まらない場合はコールドスプレーや保冷剤を用いて、痛みがある部分を冷やしましょう。
シンスプリントの診断方法
シンスプリントの診断方法は、レントゲン検査や疼痛誘発検査などいくつかの方法があげられます。
場合によっては、複数の検査を組み合わせてシンスプリントを診断するケースもあります。
ここからは、シンスプリントの代表的な診断方法を4つ見ていきましょう。
レントゲン検査
シンスプリントの診断方法に、レントゲン検査があげられます。シンスプリントは、骨膜に炎症を起こす障害のため、レントゲンには写りません。
レントゲン検査をする場合は、シンスプリントが悪化し、骨に支障をきたしているケースに行われます。骨に影響をきたしていると、該当部分が白くレントゲン写真に写ります。
ただし、疲労骨折の初期段階ではレントゲン写真に写らないため、MRI検査が行われる可能性がある点に留意しておきましょう。
疼痛誘発検査
疼痛誘発検査とは、シンスプリントによる炎症が起きている部分を押して症状を確認する検査方法です。
シンスプリントの痛みは「脛骨(けいこつ)」と呼ばれるすねの骨の内側、特に下部1/3付近に生じるのが特徴です。
疲労骨折は、痛みの生じる部位が局所的なため、疼痛誘発検査で判断しやすい傾向にあります。
痛みが局所的な場合は、MRI検査やレントゲンを用いて、疲労骨折の可能性をチェックするのが一般的です。
超音波検査
超音波検査とは、痛みが生じる部分に超音波をあて、脛骨周囲の骨膜が腫れているかを確認する検査方法です。骨膜の腫れ具合や症状を確認し、シンスプリントかを判断します。
超音波検査は、動的な症状の確認が可能なため、検査時の組織状態や、治療後の変化を観察するのに有効です。
MRI検査
シンスプリントの診断では、MRI検査を用いるケースもあります。
MRI検査とは、強い磁石と電磁波を使って体の断面図を写し出す検査方法です。とくにシンスプリントでは、疲労骨折と見分ける際にMRI検査が行われます。
疲労骨折と区別する際には「T2脂肪抑制」と呼ばれる特殊な撮影方法が採用されます。
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シンスプリントの治療法
シンスプリントを改善するには、適切な治療を受ける必要があります。
リハビリテーションや薬物療法による治療が一般的です。よほど慢性化していない限り、手術療法が選択されるケースは少ない傾向にあります。
ここからは、シンスプリントの治療法を4つ紹介します。
リハビリテーション
シンスプリントの代表的な治療法が、リハビリテーションです。
シンスプリントの原因となるふくらはぎの硬さや筋力不足などを探り、筋力トレーニングやストレッチなど1人ひとりに合った方法でアプローチします。下腿(かたい)の後脛骨筋、長趾屈筋、ヒラメ筋などの筋肉のストレッチや、足関節の可動域訓練が行われることが多いです。
脚の形や筋力不足だけでなく、全身の筋力バランスや機能の偏りがシンスプリントの原因となるケースもあるため、リハビリテーションで全身のコンディションをチェックします。
必要に応じて、テーピングで患部の負担を軽減したり、電気療法や超音波治療などの物理療法を取り入れたりするケースも少なくありません。
薬物治療
シンスプリントの炎症によって、痛みが生じている場合は、薬物療法が行われます。
医療機関では、痛み緩和を期待できる「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」が処方されるケースが多い傾向にあります。
ただし、非ステロイド性抗炎症薬は、副作用が生じるリスクもあるため、医師指導のもと用法用量を守って使用するのが大切です。
痛み止めは、症状を一時的に緩和する効果は期待できますが、根本的な改善にはつながりません。
薬物療法によって治ったと勘違いし、激しい運動をしてしまうと、シンスプリントが悪化したり再発したりするリスクもあるため、注意が必要です。
装具療法
装具療法は、1人ひとりの足に合ったインソールを作成し、運動時の衝撃や痛みを軽減させる治療法です。足の形に合ったインソールをシューズに入れると、土踏まずの機能を補正できます。
痛みが強い場合は、足裏に加わる衝撃を軽減するため、クッション性の高いインソールを入れて衝撃を吸収します。
またシンスプリント専用のサポーターはありませんが、必要に応じて足関節にサポーターを巻いてサポートするケースもあり、装具療法もさまざまです。
再生医療
シンスプリントは、再生医療で痛みの改善を期待できる可能性もあります。再生医療は、幹細胞治療やPRP治療などが代表的です。
従来の薬物療法や装具療法で効果を期待できなかった方は、再生医療で改善を目指せるケースもあります。
リペアセルクリニックでは、再生医療を提供しています。従来の治療法で改善が見られなかった方は、再生医療を検討するのもおすすめです。
またリペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。
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シンスプリントの治療後スポーツ復帰にはどのくらい時間がかかる?
シンスプリントの治療後、スポーツ復帰は、初期であれば2週間程度休んでから復帰しましょう。重症だと2〜3カ月程度休んでから復帰するのがおすすめです。
ただし、一定期間安静にしたからといって、すぐに激しい運動をするのは控えましょう。運動していない状態から負荷がかかると、シンスプリントが再発するリスクが高まるためです。
スポーツ復帰後は、ウォーキングやジョギングなど軽い運動からはじめ、徐々にジャンプやランニングをはじめましょう。段階的に負荷をあげてから復帰すると、再発リスクを軽減できます。
また状態によっては目安の期間よりも復帰時期が、早くなったり遅くなったりする可能性があります。
医師指導のもと、復帰時期や運動量を調整しましょう。
まとめ|シンスプリントの症状に当てはまる方は医療機関を受診しよう
シンスプリントの初期段階では、運動後に痛みや違和感が生じます。
悪化すると、運動中や日常生活でも痛みが生じるため、シンスプリントの症状に当てはまる方は、速やかに医療機関を受診しましょう。
また、シンスプリントの診断方法は、レントゲン検査や疼痛誘発検査などがあげられます。シンスプリントと間違えやすい疲労骨折の可能性を判断するため、MRI検査が用いられるケースもあります。
シンスプリントの悪化を防ぐためにも、早い段階で医療機関を受診し、治療を開始しましょう。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。