- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活は?ポイントや禁忌を徹底解説!

腰部脊柱管狭窄症の手術を経て、退院後の生活が気になる方もいるのではないでしょうか。
腰部脊柱管狭窄症で退院した後は、安静に過ごしたり少しずつ体を動かしたりするなど、気を付けたいポイントがいくつかあります。
今後退院を控えているのであれば、退院後の生活を知っておくと、腰の回復を図る上で役立つでしょう。
本記事では、腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活を、心掛けるべきポイントや避けるべき禁忌とともに徹底解説します。
目次
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活のポイント
腰部脊柱管狭窄症とは、脊椎を通る脊柱管と呼ばれる管が老化や椎間板ヘルニアなどの原因によって狭まり、神経を圧迫する疾患です。
腰部脊柱管狭窄症になると、足の痛みやしびれなどの症状が発生します。
治療は保存療法や手術を行うのが一般的ですが、手術が終わって退院した後の生活も大切です。
腰部脊柱管狭窄症で退院した後の生活で、欠かせないポイントをご紹介します。
コルセットを装着する
腰部脊柱管狭窄症の手術後は、腰椎コルセットを装着して腰の部分を安定させながら過ごします。
とくに、手術で腰椎を固定させた場合は、骨がくっつくまでの間に腰椎に負担がかからないように、固めのコルセットを装着するのが一般的です。
なお、コルセットは下着の上から装着します。
入浴時は姿勢に注意
腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後は、入浴時の姿勢にも注意が必要です。
手術や退院後の入浴はシャワーが基本で、医師が術後の傷口の状態を見ながら許可するかを決定します。
シャワーは手術した部位を保護した状態で、座った状態の姿勢で浴びます。
ただし、姿勢に不安を感じるときは、立った状態や椅子に腰かけた状態でのシャワーでも問題ありません。
なお、体を洗うときは、手術した背中の部位はこすらないようにするのもポイントです。
規則正しい生活を心掛ける
退院後は規則正しい生活を心掛けることも、重要なポイントといえます。
手術や退院してからはコルセットを着用しての生活が続くためです。
コルセットを外すまでの期間は腰が安定するため、背中やお腹周りの筋肉が衰えがちです。
退院後の筋力の低下を極力避けるには、定期的な医療機関でのリハビリと並行して、散歩などの軽いエクササイズも欠かせません。
ただし、骨がくっつくまで時間がかかるため、長時間の散歩のように痛みが出るエクササイズは禁物です。
またバランスの取れた栄養のある食事も、退院後の体力回復を促してくれます。
ただし、体重が増えると腰への負担も増加するため、食べすぎには注意が必要です。
仕事復帰は主治医と相談して決める
腰部脊柱管狭窄症の退院後に仕事に復帰したいのであれば、まずは主治医に相談しましょう。
主治医が術後や退院後の回復の度合いをチェックした上で判断します。
また、退院後に仕事を再開する時期は、復帰予定の仕事の内容によってさまざまです。
デスクワークでの再開を目指すのであれば、2~3週間程度で復帰できる可能性が十分あります。
一方、物の持ち運びのように腰を使う肉体労働であれば、2カ月以上かかるケースもあります。
ただし、患者様の体力や回復状況などによって復帰時期が前後することは理解しておきましょう。
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活【禁忌・注意点】
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、禁忌(してはいけないこと)や注意すべき点もいくつかあります。
退院後の生活で気を付けるべき点は、次のとおりです。
- 腰への負担を避ける
- コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる
- 手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる
退院後の生活のポイントとともに禁忌・注意点を理解しておくと、スムーズな回復を図れるでしょう。
それぞれ詳しく見ていきます。
腰への負担は避ける
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活では、腰に負担のかかる行為は避ける必要があります。
重い物の持ち運びはもちろんのこと、ゴルフや長時間の運動は控えることが大切です。
とくに腰椎を固定する手術を行った方は、腰を必要以上にねじったりひねったりすると、回復が遅れたり症状が悪化したりしかねません。
少なくとも、コルセットを装着している間は、安静にしながら腰にはあまり負担をかけないことがポイントです。
コルセットの汚染・破損は医療機関に知らせる
コルセットが汚染・破損したら、極力早めに医療機関に知らせます。
コルセットは、日常生活の中でかく汗や、入浴(シャワー)時のお湯などで汚れてしまいます。
軽度の汚染であれば、水ぶきや手洗いできれいにした後、ドライヤーで乾かせば問題ありません。
ただし、コルセットが壊れるなどしてしまった場合は、すぐにでも医療機関に連絡しましょう。
手術や退院後に痛みを感じる場合は主治医に知らせる
腰部脊柱管狭窄症の手術を経て退院した後に痛みを感じたときも、すぐに主治医に知らせましょう。
手術後に痛みを感じる場合は、手術で改善できなかった、あるいは改善はしたが再発したというケースが考えられます。また、手術時に神経を傷つけてしまう可能性も否定できません。
腰部脊柱管狭窄症で手術を受けても痛みを感じる場合は、無理は禁物です。
腰部脊柱管狭窄症の手術・退院後の流れ
腰部脊柱管狭窄症で手術を受けたあとや退院後は、どのように生活が変化するのでしょうか。
本章では手術後から退院後までの流れについて解説します。
手術や退院後の生活の流れを大まかに理解するだけでも、落ち着いて手術や術後の回復に専念できます。それぞれ見ていきましょう。
手術翌日からリハビリ開始
手術が終わると、回復の状況に応じて早くて翌日からリハビリが始まります。
リハビリ当初は、病室のベッドで起きる・座る動作を確認した上で、歩行器を使って少しずつ歩ける距離を伸ばしていく流れです。
なお、リハビリには専門家である理学療法士が付き添い、回復に向けてさまざまな指導を行っていきます。
リハビリは退院後も続くため、入院していた病院には定期的に通院します。
退院後は外出や軽い運動などが可能
退院後は各自での外出や軽い運動ができます。
コルセットを装着した状態での生活が続くため、筋力の維持や増進のために少しずつ動く量を増やしたり、移動範囲を広げたりしていくことが大切です。
ただし、退院して日が浅いうちは、極度に運動量を増やさないようにします。
手術後1~2週間程度で車の運転が可能な場合も
手術から1、2週間程度経過すると、退院後最初の診察です。
診察時に主治医が回復の状況や痛みの有無を問診し、回復状況によっては仕事の復帰や車の運転の許可を出す場合があります。
もし車を運転して問題ないと判断された際は、乗り降りで無理に腰をひねらないようにします。
乗るときはまず、座席に腰かけてから、両足を車の中に移すのがポイントです。
手術後3カ月程度でコルセットを外せる
腰部脊柱管狭窄症の手術から3カ月程度が経過すると、ようやくコルセットを外す許可が出ます。
ただし、コルセットを外せる時期は個人によって差が出るため、3カ月はあくまでも目安とお考えください。
コルセットを外す許可が出ることは、安静期間の終わりを意味します。とくに問題がなければ、肉体労働関係の仕事でも復帰を申し出られるでしょう。
腰部脊柱管狭窄症の治療では再生医療も注目されている
腰部脊柱管狭窄症の治療には、再生医療という選択肢もあります。
再生医療では、患者様自身の幹細胞を採取・培養する「幹細胞治療」と、血液に含まれる血小板を用いる「PRP療法」があります。
どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。
当院「リペアセルクリニック」では、脊椎損傷に対する治療として再生医療を行っています。
腰部脊柱管狭窄症の治療に再生医療をご検討の方は、当院へお気軽にご相談ください。
まとめ|腰部脊柱管狭窄症の退院後3カ月ほどはコルセットを着用して生活
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活は、基本的に腰椎コルセットを装着した状態で安静に過ごすことが求められます。
ただ、コルセットを装着した状態では筋力が衰えるため、無理のない運動や栄養の摂取も大切です。
手術から3カ月程度が経過すれば、コルセットを外せるケースが増えるため、それまでは安静と規則正しい生活を心掛けましょう。
腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方には、再生医療という治療選択肢もあります。
再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。
腰部脊柱管狭窄症の退院後の生活に関してよくある質問
腰部脊柱管狭窄症の手術後に歩けないときの対策は?
腰部脊柱管狭窄症で手術後に関節が痛くなる場合がありますが、安静にしていると次第に痛みが取れるケースが多いです。
ただし、痛みが長引く場合は、神経の損傷などの可能性もあるため、我慢せず主治医へ相談しましょう。
腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は何日間ですか?
腰部脊柱管狭窄症のリハビリ期間は、入院中に1~2週間、退院後はコルセットを外せるまでの約3カ月が目安です。
全体で合計すると、3カ月半程度と考えて良いでしょう。
ただし、患者様の回復度や健康状態などによって、前後する場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症の退院後にスポーツはOKですか?
腰部脊柱管狭窄症のスポーツは、退院後3カ月ほどしてコルセットが外せれば可能になります。
ゴルフや野球のような腰を使うスポーツは、退院直後の状態では大きな負担がかかります。
退院直後のスポーツであれば、リハビリも兼ねて簡単なウォーキングのような、腰に負担のかかりにくいものがおすすめです。
腰部脊柱管狭窄症の手術後に性行為はできますか?
腰部脊柱管狭窄症の手術後は腰に大きな負荷がかかる行為はタブーとされています。
このため、腰を激しく動かすことが多い性行為も、手術後しばらくは避けるのが無難です。
再開する際には必ず主治医に相談し、自分の回復状況に応じた指導を受けると良いでしょう。
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。