側弯症でやってはいけないこと!日常やスポーツで注意すべき動作とは
側弯症の人がやってはいけないことはある?
側弯症を悪化させないために心がけるべきことは?
側弯症と診断されたけれど、筋トレやスポーツはやっていいの?
この記事を読んでいるあなたは、側弯症の人がやってはいけない動作や運動があるか気になっているのではないでしょうか。
「無意識に側弯症が悪化する動作をやっているのではないか?」と不安になることもあるかもしれません。
結論からいえば、側弯症の人がやってはいけない動作や運動は、明確になっていないのが現状です。ただし、長時間の崩れた姿勢や過度な運動は歪み・痛みの原因になるため、普段から正しい姿勢を保つよう心がけましょう。
本記事では側弯症の人がやってはいけない・注意すべき動作や運動について解説します。
記事を最後まで読めば、側弯症を悪化させないために普段から意識すべきことがわかるでしょう。
目次
側弯症の人がやってはいけない・注意すべきことは?
結論からいうと、側弯症の人がやってはいけない動作は、科学的に証明されていません。ただし、通常よりも背骨の歪みや痛みが出やすいため、日常から正しい姿勢を保ち、無理な運動は避ける必要があります。
まずは側弯症がやってはいけない・注意すべきことを、以下のポイントごとに解説します。
- 日常動作
- 筋トレ・ストレッチ
- スポーツ
本章を参考にして、側弯症の人が避けるべき動作や運動をひと通り理解しておきましょう。また、側弯症の症状については以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
側弯症の人がやってはいけない・注意すべき日常動作
多くの日常生活習慣・動作は、側弯症と直接的な関係がないという研究があります(文献)。そのため、側弯症の人がやってはいけないことは明確にわかっていないのが事実です。
ただ、側弯症の人は姿勢が傾きやすく、腰痛や姿勢の歪みが生じやすい傾向があります。見た目上の歪みや腰痛予防のためにも、長時間崩れた姿勢を取らないようにしましょう。
また、腰痛があるときは重いものを持ったり、無理に運動することを控えてください。
側弯症の人がやってはいけない筋トレ・ストレッチ
側弯症の人が姿勢矯正のために筋トレをおこなう場合は、湾曲している凸側を鍛えましょう。誤って凹側の筋力を強化してしまうと、かえって背骨のゆがみを強めてしまいます。
また、ストレッチをする場合は、痛みが出るまで伸ばしたり、反動や勢いをつけたりしないよう注意が必要です。無理なストレッチは、変形した背骨に負荷をかける原因になります。
筋トレやストレッチは、側弯の状態に合わせて適切な方法でおこないましょう。整形外科などで姿勢を評価してもらい、専門家の助言を受けることをおすすめします。
側弯症の人におすすめのエクササイズ・ストレッチは以下の記事でご紹介していますので興味がある方はぜひご覧ください。
側弯症の人がやってはいけない・注意すべきスポーツ
現時点で特定のスポーツが原因で側弯症の発症が増える可能性について、科学的な根拠は明らかになっていません。
よって側弯症でも特定のスポーツを避ける必要はないでしょう。
ある研究では、クラシックバレエの経験がある女子に側弯が発生しやすいといわれています(文献)。しかしバレエが側弯に影響しているのか、側弯になりやすい体型の子がバレエをやっていることが多いのかはわかっていないのが現状です。
よって、側弯症の悪化や予防といった観点でいえば、特定のスポーツを制限する必要はありません。
ただし、腰痛などの症状が出ている場合は、腰に大きな負担がかかるような種目や動きは控えましょう。
側弯症における3つの治療法
側弯症と診断された場合、主に以下3つの治療を行います。
- 経過観察
- 装具による矯正
- 手術
側弯症と診断され、治療を検討している方の参考になれば嬉しく思います。
経過観察
側弯症が軽度(背骨の曲がり角度が30度未満)の場合は、経過観察として定期的に整形外科での診察・レントゲン検査を受けるのが一般的です。
とくに子どもの側弯症の場合、成長期が終わるとともに側弯の進行も止まるケースも多くあります。経過観察で悪化が見られなければ、矯正など特段の治療を行わないこともあるでしょう。
装具による矯正
背骨の曲がり角度が30度以上50度未満の場合は、中等度の側弯症と診断されます。
中等度の側弯症の場合は、症状の進行を抑えるため「アンダーアーム装具」と呼ばれる装具を使って矯正を行います。
装具による矯正治療は、側弯症を根本的に改善する効果はなく、あくまでも進行を止める手段として行われます。
手術
背骨の曲がり角度が50度以上と重度の側弯症である場合、外科手術を検討するケースもあります。
側弯症の手術は、以下2つの方法が一般的です。
- 後方矯正固定術
- 前方矯正固定術
「後方矯正固定術」は背中側から皮膚を切開し、脊椎にロッド等を取り付けて固定するものです。一方「前方矯正固定術」では、身体の側面から皮膚を切開して胸椎や腰椎を固定します。
入院期間の目安は約2週間~3週間で、その後リハビリ期間を経て退院する流れが一般的です。
側弯症の外科手術については以下の記事もご覧ください。
まとめ|日常から正しい姿勢・適度な運動を継続して側弯症とうまく付き合おう
本記事では、側弯症の人がやってはいけない、あるいは注意すべき動作や運動について解説しました。
日常生活や運動において、側弯症の人がやってはいけないことは明確ではありません。しかし、無理な姿勢や運動は症状を悪化させる可能性があるため、整形外科など医療機関に相談し、専門家の助言を受けましょう。
この記事を読んだあなたが、側弯症の人が注意すべき姿勢や運動を理解し、普段から意識して生活できるようになれば嬉しく思います。
側弯症でやってはいけないことについてよくある質問
側弯症に良い運動はありますか?
姿勢改善の効果があるヨガやストレッチがおすすめです。スポーツなら姿勢や体重が偏りにくい水泳、ウォーキングなどが良いでしょう。
ただし、いずれも無理のない範囲で行い、痛みがあるときは安静にする必要があります。
側弯症は年をとるとどうなりますか?
側弯症が悪化するタイミングは思春期に多く、成長してから悪化するケースは比較的少ない傾向があります。
しかし、中高年になってから進行する場合もゼロではないため、定期的に整形外科での受診、レントゲン検査を受けましょう。
中高年で側弯症が悪化した場合、脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアなどの合併症リスクもあります。早期発見・早期治療のためにも、経過観察を続ける必要があります。
監修:医師 加藤 秀一