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セルフチェックで乳がんはわかる?やり方やしこりの感触を医師が解説

「乳がんはセルフチェックで見つけられるのかな?」
「どこをどう触れば良いの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
乳がんは、早期に見つけることで治療の選択肢が広がり、からだへの負担も軽くなる可能性があります。
乳房の異変に気づいたきっかけの多くは「セルフチェック」であるともいう報告もあり、日ごろから自分のからだに目を向けることが早期発見につながります。(文献1)
とはいえ「どうチェックすれば良いのか」「乳がんのしこりはどんな感触なのか」と、わからないことも多いですよね。
本記事では、乳がんセルフチェックのやり方やしこりの特徴などをくわしく紹介します。
乳がんの罹患率が高まりはじめる30代以降の女性にとって、正しい方法を知るきっかけとなれば幸いです。(文献2)
目次
乳がんにおけるセルフチェックのやり方
乳がんのセルフチェックは、以下のような方法で行います。
- 鏡の前で「見て」チェック
- 指の腹で「触って」チェック
- 「乳首の変化」をチェック
- 「わきの下」をチェック
どれも特別な道具は必要なく、少しの時間で始められるやり方です。
それぞれのチェック方法を、具体的に説明します。
鏡の前で「見て」チェック
鏡の前に立ち、両腕を自然に下ろして乳房をじっくり観察します。
腕を上げたり、腰に手を当てて前かがみになったりしてみて、以下のポイントで乳房の状態を確かめましょう。
- 赤みやただれがないか
- 色が変わっている部分はないか
- 乳房の形に変化がないか
- ひきつれやくぼみ、ふくらみがないか
見た目の変化は、小さな異変に自分で気づくきっかけになります。
少しでも気になる違和感があれば、早めに受診しましょう。
指の腹で「触って」チェック
指の腹を使って乳房をやさしく触りながら確認します。
項目 |
くわしい説明 |
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触り方 |
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触る場所 |
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チェックポイント |
|
お風呂やシャワー中に濡れた手や石けんを使用すると、指の腹が肌の上をすべりやすくスムーズにまんべんなくチェックできます。
入浴タイムは、セルフチェックを習慣にするのにおすすめのタイミングです。
「乳首の変化」をチェック
乳首周りの変化にも注目しましょう。
乳首に左右差やひきつれ、ただれがないかを目で見て確認します。
乳首を軽くつまんでみて、分泌物が出ないかもチェックしてください。
血の混じった分泌物や異常な分泌物があれば、すぐに専門医へ相談しましょう。
「わきの下」をチェック
わきの下も忘れずにチェックしましょう。
乳がんは、わきの下のリンパ節に影響を与えることがあるためです。
反対側の手でわきの下をやさしく触り、しこりや腫れがないかを調べます。
違和感やふくらみを感じた場合は、すぐに医師に相談してください。
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乳がんにおけるしこりの特徴
乳がんのしこりは、以下のような特徴があげられます。(文献1)
- 石のように硬い
- 根が張ったように動かない
- 豆のようないびつな形である
ただし、医師であっても触診のみでがんかどうかを判断するのは困難です。
そのため、これまでなかったしこりに気づいた時点で放置せず、専門家に相談しましょう。
乳がんがもっともできやすいのは「外側上部分」
乳がんがもっとも発症しやすい部位は、外側上部と言われています。(文献3)
乳房の外側上部は胸の前面やわきの近くに位置しており、しこりや異常が気づきやすい位置でもあります。
ただし、乳がんは乳腺のある場所ならどこにでも発生する可能性があるため、上部のみのセルフチェックでは不十分です。
セルフチェックの際は、乳房全体をまんべんなく触りつつ、外側上部を念入りに確認するようにしてみてください。
セルフチェックで乳がんを早期発見するポイント
乳がんを早期に見つけるポイントは、以下のとおりです。
- 月1回の月経後のタイミングで行う
- ブレスト・アウェアネスと身につける
自分の乳房を知ることで、小さな変化にも気づきやすくなります。
くわしく見ていきましょう。
月1回の月経後のタイミングで行う
月経後はホルモンの影響で乳房がやわらかくなり、しこりや変化を確かめやすくなる時期です。
月に1回、自分の乳房に触れる習慣をもつことで、普段との違いに気づきやすくなります。
ただし「毎月1日」と日付で決めてしまうと、月経周期のズレによって乳房の状態が変わり、チェックの精度が下がることがあります。
そのため「月経後1週間」を目安にタイミングを決めておくと、毎回近い状態でセルフチェックができ、より正確に判断できるでしょう。
ブレスト・アウェアネスを身につける
ブレスト・アウェアネスとは「自分の乳房に意識を向けて日常生活を送ること」を意味する、乳がん予防の新しい考え方です。(文献3)
従来の「しこりを探す自己検診」とは違い、より自然に自分の乳房の異常に気づくことを大切にしています。
実践のポイントは、次の4つです。(文献4)
- 自分の乳房の状態を知っておく(大きさや硬さ、左右差など)
- 日々の変化に目を向ける(へこみや赤み、分泌物など)
- 少しでも気になる変化を感じたら、すぐに医師に相談する
- 40歳を過ぎたら、2年に1回の乳がん検診を受ける
ブレスト・アウェアネスは、検診だけに頼らず自分のからだを日常的に見守るためのセルフケアです。
検診の対象ではない方にも役立つため、若い世代を含めたすべての女性にとって大切な習慣といえるでしょう。
乳がんのセルフチェックで気になる症状があったときの対処法
セルフチェックで「しこりのようなものがある」「乳首から分泌物が出る」「皮膚にひきつれがある」といった変化に気づいた場合は、できるだけ早く乳腺外来や婦人科を受診しましょう。
良性のしこりやホルモンの影響による一時的な変化である場合も多いため、自分で判断せず、検査で確かめることが大切です。
受診の際は、変化に気づいた日や場所、くわしい症状などをメモしておくと診察がスムーズです。
「そのうち検診があるから」と先延ばしにせず、早めの行動が早期発見・早期治療につながります。
以下の記事では、乳がんの治療法やステージ分類について説明しています。
まとめ|セルフチェックで乳がんを疑う際は迷わず医療機関を受診しましょう
乳がんのセルフチェックは、自分のからだを守る大切な習慣です。
月に1回、月経後のタイミングでチェックし、日ごろから自分の乳房の状態を意識する「ブレスト・アウェアネス」を身につけておくことで、わずかな変化にも気づきやすくなります。
しこりや皮膚のひきつれ、乳首からの分泌物など、気になる症状があれば「大したことない」と自己判断せず、早めに乳腺外来をはじめとした専門医を受診しましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、乳がん治療後の後遺症に対して、幹細胞治療を提供しています。乳がんについて気になる点がある方は、メール相談またはオンラインカウンセリングまで気軽にご連絡ください。
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乳がんのセルフチェックについてよくある質問
乳がんのセルフチェックのやりすぎはよくありませんか?
乳がんのセルフチェックは、基本的に月1回程度が目安です。
毎日のように行うと、小さな変化に過敏になりすぎて、不安が強くなることがあります。
大切なのは、自分の乳房の通常状態を知ることです。
月経後1週間ほど経過した、乳房がやわらかくなっている時期にチェックしてみましょう。
授乳中や妊娠中でも乳がんのセルフチェックはできますか?
授乳中や妊娠中でもセルフチェックは可能です。
ただし、授乳中や妊娠中はホルモンの影響で乳腺が発達し、乳房が張ったり硬く感じやすかったりするため、通常よりもしこりがわかりづらくなる可能性があります。
いつもと違う変化があるかどうかを意識して、気になる点があれば医師に相談しましょう。
乳がんのセルフチェックにおけるひきつれとは、どんな感覚ですか?
「ひきつれ」とは、乳房の皮膚や乳首が引っぱられたようにくぼんで見える、すじ状に引っぱられている状態です。
ひきつれによって皮膚のなめらかさが失われたり、動きに左右差が出たりする場合もあります。
鏡の前で腕を上げたり動かしたりして、左右差や皮膚の変化がないか確かめましょう。
少しでも違和感を覚えたら、早めに専門医の診察を受けてください。
参考文献
(文献1)乳がん | KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトhttps://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000050/
(文献2)乳房:[国立がん研究センター がん統計]|がん情報サービスhttps://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html
(文献3)乳がんの基礎知識|東京医科大学病院https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/cancer/breast/knowledge.html
(文献4)乳癌診療ガイドライン2022年版|日本乳癌学会https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/k_index/s1/