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【医師監修】脊柱管狭窄症でやってはいけないこと12選!悪化する動作と代わりの動き方を解説

脊柱管狭窄症でやってはいけないこと
公開日: 2022.10.06 更新日: 2026.10.01

「脊柱管狭窄症が日常生活でやってはいけないことは?」

「手術後にやってはいけないことはある?」

脊柱管狭窄症の人がやってはいけないことは「腰を反らす」「重い物を持つ」「腰をひねる」などです。手術後であってもやってはいけません。

とはいえ、洗濯物を干す、床の物を拾うといった動作を毎日避けて暮らすのは現実的ではないでしょう。大切なのは、動作そのものをやめることより、腰に負担のかからない動き方に置き換えることです。

本記事では、日常生活で脊柱管狭窄症の人がやってはいけないことをはじめとして以下を解説します。

  • やってはいけない運動・セルフケア
  • NG動作が悪化につながる仕組み
  • 手術後にやってはいけないこと
  • 悪化を防ぐための生活習慣
  • すぐに受診すべき危険なサイン
  • 主な治療方法

日常生活でよくある動作を例にして、具体的にやってはいけないことを解説しています。脊柱管狭窄症の悪化または発症を予防したい方は参考にしてください。

なお、脊柱管狭窄症に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。

【こんな方はご相談ください】

  • 足のしびれや痛みで、休まずに歩ける距離が短くなってきた
  • 薬やリハビリを続けているが、症状が変わらない
  • 手術はできるだけ避けたいと考えている
  • 手術を受けたが、しびれや痛みが残っている

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目次

日常生活で脊柱管狭窄症の人がやってはいけないこと

日常生活で脊柱管狭窄症の人がやってはいけないことは以下のとおりです。

  • 腰を反らす
  • 重い物を持ち上げる
  • 腰を勢いよくひねる
  • 長時間の立位や座位を保持する
  • 痛みを我慢して体を動かす
  • 前かがみの中腰で作業を続ける
  • うつ伏せで寝る・体が沈み込む寝具を使う
  • かかとの高い靴や底の薄い靴を履く

まずは一覧で確認しましょう。

場面 やってはいけない動作 代わりの動き方
高い所の物を取る・洗濯物を干す 背伸びをして腰を反らす 踏み台を使う、物干しの高さを下げる
床の物を持ち上げる 膝を伸ばしたまま腰だけ曲げて持つ 膝を曲げて腰を落とし、荷物を体に引き寄せて立ち上がる
振り返る・後ろの物を取る 足を止めたまま腰だけひねる 足ごと体の向きを変える
立ち仕事・デスクワーク 同じ姿勢を休みなく続ける 1時間に1〜2回は小休止し、座り作業では適宜立ち上がって姿勢を変える
歩く・階段を上る しびれを我慢して動き続ける 症状が出る前に休む。前かがみで休むと楽になりやすい
洗顔・台所仕事・掃除 前かがみの中腰を続ける 中腰を避け、洗面台に片手をつく、作業台の高さを合わせる
寝る うつ伏せ、沈み込む寝具 横向きで膝を軽く曲げる、仰向けなら膝の下にクッション
靴を選ぶ かかとの高い靴、底の薄い靴 かかとが低く、クッション性のある靴

(文献1)(文献2)(文献3)

それぞれについて詳しく解説します。

腰を反らす

腰を反らす動作は脊柱管を一時的に狭くし、神経への圧迫を強めます。

腰を反らす動作とは以下のようなことです。

  • 高い場所にある物を取ろうとして背伸びをする
  • 洗濯物を干す際に上を向いて腰を反らす
  • 仰向けで寝る姿勢を長時間続ける
  • 窓拭きや照明の掃除で上を向いた姿勢を続ける

これらと似たような動作で痛みやしびれが現れている場合は、腰を反らせすぎているおそれがあります。悪化するリスクがあるため避けてください。

腰を反らさずに作業する方法

腰が反るのは、作業する場所が目線より高いときです。作業面を目線の高さまで下げると、上を向かずに済みます。

具体的には、次のような工夫があります。

  • 高い所の物は、安定した踏み台に乗って目線の高さで取る
  • 物干し竿は、腕を上げすぎずに届く高さまで下げる
  • 照明や窓の掃除は、柄の長い道具を使って上を向く時間を短くする

よく使う物は、腰から目線の高さまでの棚に移しておくと、背伸びをする場面そのものを減らせます。

重い物を持ち上げる

重量物の持ち上げは、腰椎に過度な負荷をかけてしまいます。

具体的には以下のような動作です。

  • 灯油のポリタンクを運ぶ
  • 買い物袋を両手にたくさん持って運ぶ
  • 布団の上げ下ろしや運搬を行う
  • 孫や小さな子どもを抱き上げる
  • 米袋を持ち上げて運ぶ

医師から重量物の運搬等の作業を禁止する指示が出ることもあります。

腰に負担をかけずに物を持つ方法

厚生労働省の腰痛予防の指針では、床の荷物を持ち上げるときは膝を曲げて腰を十分に下ろし、荷物を抱えてから膝を伸ばして立ち上がる方法が示されています。同じ指針では、健康な成人男性が人力で扱う重さを体重のおおむね40%以下、女性はその60%程度までとしています。(文献1)

ただし、これは働く人全般に向けた目安です。脊柱管狭窄症の方は、主治医から指示された範囲を優先してください。

そもそも重い物を持つ機会を減らすことも大切です。日常では、次のような方法が取り入れやすいでしょう。

  • 買い物は小分けにして、キャリーカートを使う
  • 米や灯油は配達サービスを利用する
  • 孫を抱き上げるときは、先に座ってから膝の上に乗せる

腰を勢いよくひねる

勢いよく腰をひねる動作は、腰椎に過度な負荷をかけ神経を刺激してしまいます。

腰を勢いよくひねる動作とは以下のようなことです。

  • ゴルフやテニスのスイングで腰を大きく回転させる
  • 後部座席の物を取ろうと振り返る
  • 車の駐車時に後方確認で急に体をひねる

ゴルフやテニスなどのスポーツを趣味にしている方は医師に相談しましょう。

腰をひねらずに向きを変える方法

腰に負担がかかるのは、足を止めたまま上半身だけを回したときです。足から先に向きを変えることを意識すると、腰のひねりを抑えられます。

場面ごとの工夫は次のとおりです。

  • 振り返るときは、足を踏みかえて体ごと向きを変える
  • 後部座席の荷物は、一度車を降りてドアから取り出す
  • 駐車時は、バックモニターやミラーを活用する

急な呼びかけに振り向くときほど、腰だけが回りやすくなります。慌てずに体ごと向きを変える習慣をつけておきましょう。

長時間の立位や座位を保持する

長時間の立位や座位の保持は、痛みやしびれを悪化させるおそれがあります。

長時間の立位や座位を保持してしまう一例は以下のとおりです。

  • コンサートやライブで立ち見を続ける
  • 長距離バスや飛行機で数時間座り続ける
  • パソコン作業を休憩なしで何時間も行う

前かがみの姿勢で休憩を挟むと症状は軽減します。

同じ姿勢を続けないための工夫

厚生労働省の指針では、立ち作業はおおむね1時間に1〜2回の小休止をとり、座り作業では適宜立ち上がって姿勢を変えることが示されています。(文献1)

休憩のタイミングを決めておくほか、次のような工夫も取り入れてみてください。

  • キッチンなどの立ち仕事では、足元に低い台を置いて片足ずつ乗せかえる
  • 飛行機や長距離バスでは、通路側の席を選んで立ち上がりやすくする
  • デスクワークでは、タイマーを使って休憩のタイミングを決めておく

痛みやしびれを我慢して体を動かす

痛みやしびれを我慢した活動は、神経周囲の炎症を悪化させ症状が長引く原因になります。

  • しびれを感じながら階段の昇降を続ける
  • 違和感があるのに運動やストレッチを続行する
  • 痛みがあるのに孫の世話や子育てを休まず行う
  • 腰の重だるさを感じながら長時間の運転を続ける

脊柱管狭窄症は、悪化すると排尿障害や歩行困難などの症状が現れることがあります。我慢しないで適切な治療を受けてください。

済生会は、まったく歩けない、安静にしていても足がしびれる、尿が漏れるといった状態まで進むと、手術をしても改善が乏しくなるとしています。(文献4)我慢を続けるほど、治療の選択肢が狭まるおそれがあります。

前かがみの中腰で作業を続ける

前かがみは脊柱管を広げる姿勢ですが、腰を曲げたまま止まる「中腰」は別物です。腰まわりの筋肉が緊張し続け、腰への負担が大きくなります。日本整形外科学会も、腰痛の予防として中腰にならないよう日常の姿勢に注意することを挙げています。(文献3)

中腰になりやすい場面は以下のとおりです。

  • 洗面台で顔を洗う
  • 低いシンクで長時間洗い物をする
  • 掃除機をかける、床を拭く
  • 草むしりや畑仕事をする

中腰にならずに家事をする方法

中腰がつらいのは、腰を曲げた姿勢を上半身の重さごと支え続けるためです。手で体を支える、道具の長さを変える、座って作業するのいずれかで、腰にかかる負担を減らせます。

家事の場面ごとに、次のような方法があります。

  • 洗顔は、洗面台に片手をついて体重を支える
  • 掃除機は柄を長めに調整し、腰を曲げずに使う
  • 草むしりは、低い椅子に座って行う

一度にまとめて片づけようとせず、家事を小分けにして途中で休む時間をとることも大切です。

うつ伏せで寝る・体が沈み込む寝具を使う

うつ伏せで寝ると腰が反りやすく、その姿勢のまま長い時間を過ごすことになります。体が沈み込む柔らかすぎる寝具も、腰が反った状態になりやすく注意が必要です。

「腰を反らす」の項目でも触れたとおり、仰向けで寝る姿勢を長く続けることも腰が反る原因になります。

腰が反りにくい寝方と寝具の選び方

寝ている間は姿勢を変えにくいため、寝始めの姿勢と寝具の硬さが腰への負担を左右します。

腰が反りにくい寝方と寝具のポイントは次のとおりです。

  • 横向きになり、膝を軽く曲げて背中を少し丸める
  • 仰向けで寝るときは、膝の下にクッションや丸めたバスタオルを入れる
  • 寝具は、寝返りが打ちやすい適度な硬さのものを選ぶ

起床時に腰や足がつらい場合は、寝姿勢が合っていない可能性があります。上記の寝方を試しても変わらない場合は、主治医に相談してください。

かかとの高い靴や底の薄い靴を履く

かかとの高い靴を履くと、体が前に倒れないようにバランスをとるため、腰が反りやすくなります。底の薄い靴や硬いサンダルは、歩くたびの衝撃が腰に伝わりやすい点も気になるところです。

普段使いの靴は、かかとが低く、靴底にクッション性のあるものを選びましょう。足に合わない靴はつまずきの原因にもなるため、サイズの合ったものを選ぶことが大切です。

慢性的でつらい脊柱管狭窄症の痛みやしびれに対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療とは、患者さまご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用する治療法です。

再生医療についてご興味がある方は「LINE」や「メール」「オンラインカウンセリング」でご相談を受け付けております。お気軽に当院へお問い合わせください。

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脊柱管狭窄症でやってはいけない運動とセルフケア

健康や腰痛予防によいとされる運動やケアの中にも、脊柱管狭窄症の方には向かないものがあります。よかれと思って続けているケアが、実は悪化の原因になっていることもあります。

NGの運動・ケア なぜ避けるのか 代わりの選択肢
腰を反らすストレッチ・体操 脊柱管を狭める方向の動き 膝を抱えて背中を丸めるストレッチ
上体を勢いよく起こす腹筋運動 腰に強い負担が集中しやすい 医師や理学療法士が指導する体幹の運動
ジョギング・縄跳び 着地のたびに腰に衝撃が加わる 固定式の自転車、水中ウォーキング
強いマッサージ・自己流の矯正 炎症のある部位に刺激が加わる 医療機関でのリハビリ

腰を反らすストレッチ・ヨガのポーズ

うつ伏せで上体を起こす体操や、ヨガで背中を大きく反らすポーズは、脊柱管を狭める方向の動きです。立ったまま腰に手を当てて後ろに反らす体操も同じです。

反対に、仰向けで両膝を胸に引き寄せるストレッチは、背中を丸めて脊柱管を広げる方向の動きになります。ストレッチの種類ややり方は、以下の記事で詳しく紹介しています。

上体を勢いよく起こす腹筋運動

仰向けから反動をつけて上体を起こす腹筋運動は、腰に強い負担がかかりやすい運動です。体幹を鍛えたい場合も、自己流で回数を重ねるのはおすすめできません。

腰を反らさずに行える体幹の運動もあります。どの運動が合うかは症状によって異なるため、医師や理学療法士に相談して始めてください。

ジョギング・縄跳びなど着地の衝撃が大きい運動

ジョギングや縄跳び、ジャンプを伴う運動は、着地のたびに腰に衝撃が加わります。激しく飛び跳ねるスポーツを新たに始めることは勧められていません。

有酸素運動を続けたい方には、前かがみの姿勢で行える自転車こぎが向いています。済生会も、自転車こぎは痛みが起こりにくくよい運動になるとしています。(文献2)

強いマッサージ・自己流の矯正

腰やお尻を強く押す、テニスボールでぐりぐりと刺激する、骨をボキボキ鳴らす矯正を受けるといったケアは、症状を悪化させるおそれがあります。

筋肉のこわばりが気になる場合は、自己流で強い刺激を加えるのではなく、医療機関のリハビリで相談しましょう。

脊柱管狭窄症でやってはいけないことがある理由

脊柱管は、背骨の中にある神経の通り道です。加齢によって軟骨や骨、靱帯が傷むと、この通り道が狭くなります。狭くなった場所では、中を通る神経が圧迫されます。

2026年に公表された厚生労働省の調査では、自覚症状のある人のうち腰痛は男女とも1位でした。(文献5)日本整形外科学会は、加齢で生じる腰痛の主な原因のひとつとして脊柱管狭窄症を挙げています。(文献3)

やってはいけない動作が決まっているのは、姿勢によって神経の通り道の広さが変わるためです。

腰を反らすと狭くなり前かがみで広がる

腰を反らすと、脊柱管はさらに狭くなります。反対に、前かがみになると通り道が広がり、神経への圧迫がやわらぎます。

歩いていると足がしびれて止まり、少し休むとまた歩ける。この「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」は、脊柱管狭窄症の代表的な症状です。前かがみで休むと症状が軽くなるのも、脊柱管狭窄症による間欠性跛行の特徴とされています。

ここまで紹介したNG動作の多くは、腰を反らす方向の動きか、腰に強い負担が集中する動きのどちらかです。

足のしびれは血管の病気でも起こる

間欠性跛行は、足の血管が狭くなる病気(閉塞性動脈硬化症)でも起こります。原因によって対処法が異なるため、違いを知っておくことが大切です。

項目 脊柱管狭窄症(神経が原因) 閉塞性動脈硬化症(血管が原因)
症状の出る場所 両側に出やすく、お尻から足全体に広がる 片側に出やすく、ふくらはぎより下に出る
症状が出る場面 歩いたときのほか、立っているだけでも出ることがある 歩いたときに出ることが多い
楽になる姿勢 前かがみで軽くなる 姿勢による変化は少なく、立ち止まって休むと軽くなる
その他の特徴 自転車は比較的こぎやすい 足が冷たく感じることがある

(文献2)

足が冷たい、片足だけに症状が出るといった場合は、血管の病気の可能性もあります。自己判断せず、医療機関で原因を確かめてください。

脊柱管狭窄症の人が手術後にやってはいけないこと

手術後も、「腰を反らす」「重い物を持ち上げる」「腰を勢いよくひねる」などの日常生活での動作は、手術前と同じように避けてください。

その他の手術後にやってはいけないことは以下のとおりです。

  • 自己判断によるリハビリの中断
  • 早期のスポーツや仕事の復帰

それぞれについて詳しく解説します。

自己判断によるリハビリの中断

手術後に無事退院し痛みやしびれが改善したからといって、自己判断でリハビリを中断してはいけません。病状に応じたリハビリを行わなければ再発するおそれもあります。

これまでのとおりの生活に戻るためにも以下のようなリハビリが必要です。

  • 再発を防ぐための姿勢や動きを身につける訓練
  • 体の安定性を高める体幹トレーニング

医師と理学療法士の指示のもと適切なリハビリを受けてください。

早期のスポーツや仕事の復帰

早期のスポーツや仕事の復帰は、回復を妨げ再発のリスクとなります。例えば、スポーツの復帰の場合は、術後2カ月から半年のリハビリ期間が必要です。

また、新たに負荷の強い運動や激しく飛び跳ねるスポーツなどを始めることは、医学的には推奨されていません。いずれにしても、スポーツや負担の強い業務の復帰は、医師に相談してから決める必要があります。

退院後の生活で気をつけたいことは、以下の記事で詳しく解説しています。

脊柱管狭窄症でやってはいけないことと併せて身につけたい生活習慣

脊柱管狭窄症の悪化を防ぐためには、以下のような生活習慣を身につける必要があります。

  • 適度な運動習慣や体重管理
  • 適切なストレッチ
  • やや前傾姿勢の維持
  • しびれが出る前に休む歩き方

それぞれについて詳しく解説します。

適度な運動習慣や体重管理

適度な運動は筋力の維持・向上ができ悪化の予防につながります。適度な運動の例としてはウォーキングがあり、とくに水中ウォーキングは腰椎への負担の少ない運動としておすすめです。

過体重は腰椎への負荷を増大させて狭窄を促進してしまいます。適正な体重維持に努めましょう。

済生会も、手術をしない治療としてウォーキングを中心とした適度な運動を挙げています。(文献4)日本整形外科学会は、腰痛で日常生活が制限されると体力が落ち、腰を支える筋力も衰えるとしています。(文献3)痛みを恐れて動かなくなることも、悪化の一因になりえます。

適切なストレッチ

両膝抱えストレッチなどの脊柱管を広げる動作は症状緩和に効果的です。

両膝抱えストレッチは以下のように行います。

  • 仰向けに寝る
  • 背中を丸めながら膝を曲げていき胸に抱える
  • 抱えたらまた元通りに戻していく

この動作をゆっくりと行います。不適切な方法によるストレッチは、神経圧迫を増強させる危険性があります。方法がわからない場合は、医師や理学療法士に相談してください。

やや前傾姿勢の維持

脊柱管狭窄症では軽い前傾姿勢の維持が重要です。神経への圧迫を軽減でき悪化の予防につながるためです。

以下のような工夫をすれば日常生活で前傾姿勢を維持できます。

  • 歩くときはシルバーカーを利用する
  • 長距離移動は自転車を利用する
  • 椅子に座るときは膝を十分に曲げて背もたれに寄りかかる
  • 仰向けに寝るときはクッションを入れる

自転車は自然と軽い前傾姿勢になるため、長距離を移動する際におすすめです。

しびれが出る前に休む歩き方

「脊柱管狭窄症は歩いたほうがいいのか」と迷う方は多いでしょう。歩くこと自体は勧められていますが、しびれを我慢して歩き続けるのは避けてください。

ポイントは、症状が出てから止まるのではなく、出る前に休むことです。

  • 何分歩くとしびれが出るかを把握し、その少し手前で休む
  • 休むときは、ベンチに座るか、前かがみの姿勢をとる
  • シルバーカーや杖を使い、前かがみで体を支えながら歩く
  • 歩く距離は一度に伸ばさず、休憩を挟んで少しずつ積み重ねる

休まずに歩ける距離が以前より明らかに短くなった場合は、症状が進んでいるサインかもしれません。早めに医療機関を受診しましょう。

以下の記事では、ウォーキングの効果について詳しく解説しています。

脊柱管狭窄症でやってはいけない我慢|すぐに受診すべき危険なサイン

やってはいけないことを避けていても、症状が進むことはあります。以下のサインがある場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。

サイン 具体的な症状 考えられる状態
排尿・排便の異常 尿が出にくい、尿や便が漏れる 馬尾(ばび)と呼ばれる神経の束が強く圧迫されている
股やお尻まわりの感覚の異常 肛門のまわりがほてる、感覚が鈍い 同上
足に力が入らない 足首やつま先が上がらない、つまずきやすい 神経の圧迫による運動麻痺
安静時のしびれ 横になっていても足がしびれてつらい 症状が進行している
歩けなくなる まったく歩けない 症状が進行している

(文献4)(文献6)

排尿や排便の異常、股まわりの感覚の異常は、馬尾症候群と呼ばれる状態でみられる症状です。済生会は、急に起きた馬尾症候群は時間がたつと神経の回復が悪くなるため、緊急手術の対象になるとしています。(文献6)

また、首・胸・腰の広い範囲で脊柱管が狭くなる「広範脊柱管狭窄症」は、国の指定難病です。転倒などの軽いけがで急に症状が悪化し、重い麻痺が起こることがあるとされています。(文献7)つまずきやすくなった方は、段差をなくすなど転ばない環境づくりも大切です。

症状の進み方や手遅れになるリスクについては、以下の記事もご覧ください。

脊柱管狭窄症でやってはいけないことを避けても改善しないときの治療方法

脊柱管狭窄症に対する治療方法には、以下のようなものがあります。

  • 理学療法
  • 薬物療法
  • 手術療法
  • 再生医療

それぞれの治療方法について詳しく解説します。

治療の基本は、手術をしない保存的な治療です。保存的な治療で改善しない場合に、手術を検討します。診療の指針としては、日本整形外科学会と日本脊椎脊髄病学会による「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版)」があります。(文献8)

理学療法

理学療法では以下のような治療を行います。

項目 詳細
温熱療法 赤外線や超音波を用いて血流の改善を図る
装具療法 コルセットの装着によって腰椎の負担を軽減する
牽引療法 腰を引っ張ることで脊柱管を広げて圧迫を軽減する

脊柱管狭窄症は定期受診をして、脊柱管の状態を確認することも重要です。

薬物療法

薬物療法では以下のような薬を用います。

項目 詳細
非ステロイド性抗炎症薬 痛みや炎症を軽減する薬
リマプロストアルファデクス 神経の血流を促進する薬
プレガバリン 神経障害による痛みを軽減する薬

飲み薬だけで改善しない場合は、神経ブロック注射を検討します。

済生会は、手術をしない治療として内服薬のほか、点滴やブロック注射を挙げています。(文献4)

手術療法

手術療法は神経の圧迫部位を直接解除するのが目的です。

以下のような手術方法があります。

項目 詳細
除圧術 狭窄が起きている部位の骨または靱帯を取り除く手術
固定術 除圧した部位をスクリューやロッドで固定する手術

いきなり手術を検討することは通常ありません。まずは理学療法や薬物療法に取り組みます。

再生医療

脊柱管狭窄症の治療選択肢の一つとして、再生医療があります。再生医療とは、自己の細胞を特定の部位に投与して、体が持つ自然治癒力を活用する治療方法です。

脊柱管狭窄症に対する再生医療では幹細胞治療を行います。組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法です。細い針を用いて損傷している部位に直接投与します。

当院「リペアセルクリニック」での脊柱管狭窄症に対する再生医療の症例について詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。

【症例解説】
腰部脊柱管狭窄症術後 幹細胞治療 60代女性
【手術せずに改善!】 腰椎脊柱管狭窄症 70代女性

【こんな方は再生医療をご検討ください】

  • 手足のしびれや痛みが長期間続いている
  • 保存療法(薬・注射・リハビリ)では改善がみられない
  • 手術はできるだけ避けたいと考えている
  • 手術を受けたが、痛みが残っている、あるいは再発してしまった

症状や状態によって適応は異なり、効果には個人差があります。適応があるかどうかを含めて、医師とご相談のうえ検討することが大切です。

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まとめ|脊柱管狭窄症の人がやってはいけないことを避けて悪化を防ごう

脊柱管狭窄症の人がやってはいけない基本的なことは「腰を反らす」「重い物を持ち上げる」「腰をひねる」などです。手術後においては、自己判断によるリハビリの中断は控えて、スポーツや負担の強い業務の復帰は医師に相談してください。

動作を我慢して避けるより、踏み台を使う、膝を曲げて持ち上げる、足ごと向きを変えるといった「代わりの動き方」に置き換えるほうが、毎日続けやすくなります。

悪化予防においては、水中ウォーキングや両膝抱えストレッチがおすすめです。脊柱管狭窄症の治療は、まずは理学療法や薬物療法などの保存療法をしっかり行います。その後、改善が見られない場合は手術を検討します。

排尿や排便の異常、足に力が入らないといったサインがある場合は、様子を見ずに早めに受診してください。

手術以外にも再生医療も選択肢の一つです。当院「リペアセルクリニック」では、脊柱管狭窄症に対して再生医療の幹細胞治療を行っています。詳しくは、以下をご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

脊椎損傷のお悩みに対する新しい治療法があります。

脊柱管狭窄症の人がやってはいけないことに関する質問

やってはいけないストレッチは?

腰を反るまたはひねるようなストレッチはやってはいけません。前述した腰を丸める両膝抱えストレッチなどが有効です。

退院後の生活でやってはいけないことは?

退院後も「腰を反る」「重い物を持つ」「腰をひねる」などの動作は避けてください。痛みが続くまたは悪化するようであれば医療機関を受診してください。

脊柱管狭窄症は歩いたほうがいいですか?

歩くこと自体は勧められています。済生会も、手術をしない治療としてウォーキングを中心とした適度な運動を挙げています。(文献4)

ただし、しびれや痛みを我慢して歩き続けるのは避けてください。症状が出る前に休み、前かがみで体を休めながら歩くのがポイントです。長く歩くのがつらい場合は、自転車こぎも選択肢になります。

痛いときは安静にしていたほうがよいですか?

強い痛みがあるときに無理をする必要はありません。ただ、長く動かない状態が続くと体力や腰を支える筋力が落ち、かえって腰痛が続く悪循環につながります。

痛みが落ち着いてきたら、医師の指示のもとで少しずつ体を動かしていきましょう。

首の脊柱管狭窄症でもやってはいけないことは同じですか?

首(頸部)の脊柱管狭窄症でも、反らす動きで脊柱管が狭くなる点は共通しています。済生会は、首を反らす動きに注意し、枕の高さに気をつけ、重い物を持たないよう呼びかけています。(文献9)

首の場合は、手のしびれや、ボタンを留める・箸を使うといった細かい作業のしにくさが出ることがあります。わずかな段差でつまずいて転倒するリスクにも注意が必要です。

首の病気については、以下の記事でも詳しく解説しています。

コルセットはつけたほうがよいですか?

コルセットは、腰の負担を軽くする目的で使われることがあります。本記事の「理学療法」の表でも装具療法として紹介しています。

つける時間や場面、外すタイミングは症状によって異なります。自己判断で長時間つけ続けるのではなく、処方した医師の指示に従ってください。

参考文献

(文献1)

職場における腰痛予防対策指針及び解説|厚生労働省

(文献2)

間欠性跛行(かんけつせいはこう)|済生会

(文献3)

腰痛|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

(文献4)

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)|済生会

(文献5)

2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

(文献6)

馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)|済生会

(文献7)

広範脊柱管狭窄症(指定難病70)|難病情報センター

(文献8)

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版)|Mindsガイドラインライブラリ

(文献9)

頸部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)|済生会