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【医師監修】パーキンソン病の初期症状とは?セルフチェック法や受診の目安を解説
「最近、片方の手がふるえることがある」
「歩くのが遅くなった気がする」
「動作が以前よりもぎこちない」などの変化があると、加齢によるものなのか、それとも病気のサインなのか不安になる方も多いのではないでしょうか。
パーキンソン病では、静止時のふるえ、動作緩慢、筋強剛などの運動症状に加え、便秘や嗅覚低下、睡眠の異常、意欲低下などの非運動症状がみられることもあります。
この記事では、パーキンソン病の初期症状をセルフチェックの視点から整理し、非運動症状、受診の目安、検査、初期治療の基本までわかりやすく解説します。
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目次
【セルフチェック一覧】パーキンソン病の初期症状
パーキンソン病の初期にみられる運動症状は、主に4つに分類されます。(文献1)
以下の一覧で気になる症状がある場合は、各項目の詳細もご確認ください。
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初期症状 |
主な特徴 |
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力を入れていないときに手や指がふるえやすく、動かすと目立ちにくくなる |
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歩く速度が落ちる、歩幅が小さくなる、最初の一歩が出にくくなる |
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ボタンかけ、字を書く、箸を使うなど細かい動作がしにくくなる |
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筋肉がこわばり、動かしにくさや肩・腕の違和感として気づくことがある |
初発症状は手指のふるえ(振戦)が最も多く、次いで動作の拙劣さが続くとされています。(文献2)
複数の症状が重なる場合や、片側から始まっている場合は受診の目安になります。
自己判断で「加齢のせい」と決めつけず、気になる症状が続くようであれば受診を検討してください。
パーキンソン病の症状以外の原因や治療法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
静止時の手指のふるえ
パーキンソン病の初期症状として多いのが、手指のふるえである振戦(しんせん)です。
パーキンソン病では、力を入れていないときに手指がふるえる静止時振戦が特徴です。
物を持ったり手を動かしたりするとふるえが目立ちにくくなる点で、動作時にふるえが強くなる本態性振戦とは異なります。
振戦は約60%の割合で初期症状として現れると報告があります。(文献1)
左右どちらか一方から始まることもあり、初期には片側だけに違和感が出る場合があります。
ただし、ふるえがないタイプのパーキンソン病も存在するため、ふるえの有無だけで判断せず、ほかの症状もあわせて確認することが重要です。
歩行困難
初期には、次のような変化が現れます。
- 歩くのが遅くなる
- 歩幅が小さくなる
- 最初の一歩が出にくい
腕の振りが減る、つまずきやすさや足の出しにくさがみられることも特徴の一つです。
歩行障害は約24%の割合で初期症状として現れると報告されています。(文献1)
進行すると姿勢保持障害や転倒が問題になるケースもありますが、これらは初期から目立つとは限りません。
「以前より歩き方が変わった」と家族から指摘されることで気づくケースもあります。
緩慢な動作
パーキンソン病では、動き全体が遅くなる運動緩慢がみられます。
ボタンをかける、字を書く、箸を使うといった細かい動作がしにくくなり、以前より時間がかかることがあります。
起き上がりや方向転換にも、もたつきを感じやすくなります。
動きの遅さは約21%の割合で初期症状として現れると報告されています。(文献1)
一方で、すべての動作が遅くなるわけではなく、主に大きな動きが遅くなる傾向があります。
日常生活で「以前より動作がもたつく」と感じることが受診のきっかけになるケースも少なくありません。
体のこわばり
筋肉がこわばり、関節を動かしにくくなります。
本人は「肩や腕が動かしにくい」「体が硬くなった気がする」といった違和感として気づくことがあります。
表情が乏しく見えたり、歩行時に腕の振りがうまくできなくなったりすることもあります。
これらは本人では気づきにくく、周囲から指摘されて初めて自覚するケースも報告されています。
パーキンソン病の初期にみられる非運動症状
パーキンソン病では、手のふるえや動作の遅れなどの運動症状だけでなく、睡眠や精神・認知機能、自律神経、感覚にかかわる非運動症状もみられます。
これらは運動症状より早い段階で生じることもあり、初期から生活の質に影響を与えます。(文献2)
非運動症状は加齢や別の不調と受け止められやすく、パーキンソン病と結びつけて考えにくい点に注意が必要です。
睡眠障害
パーキンソン病の睡眠障害には、以下のようなものがあります。
- 日中に強い眠気が現れる、または食事や会話、運転など活動中に突然眠り込む
- 寝つきが悪い、夜間に目が覚める、早朝に起きてしまうなどの不眠
- 入眠中に夢の内容と一致した行動(大声・手足の動き)が現れるレム睡眠行動障害
- 入眠時に下肢の不快感や、足を動かしたい強い欲求が現れる下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)
これらは運動症状よりも前から現れることがあり、睡眠中の異常な行動を家族が先に気づくケースもあります。
とくに突発的な睡眠は運転や機械の操作中などに起こると大変危険です。
該当する症状がある場合は医師に相談し、運転については慎重に判断することが大切です。
精神・認知・行動障害
パーキンソン病の精神・認知・行動障害には以下のようなものがあります。
- 抑うつ、不安、意欲低下などの気分障害
- 作業をやり通す能力の低下、注意力の低下などの認知機能障害
- 「あるはずのないものが見える」などの幻覚・妄想
- 病的な賭博、性欲の亢進、むちゃ食いなどの行動障害
初期症状としては、「気分が落ち込みやすい」「以前よりやる気が出ない」といった抑うつ・不安・意欲低下などが中心で、本人や家族が年齢や疲れの影響と受け止めてしまう場合もあります。
幻覚・妄想・衝動制御障害は、進行期や治療薬の副作用として現れるケースもあります。
治療を開始してから普段と異なる行動が見られたら、すぐ医師に相談してください。
自律神経障害
パーキンソン病の自律神経障害には、以下のようなものがあります。
- 便秘
- 排尿回数が増える、強い尿意が生じるなどの排尿障害
- 急に立ち上がった際にふらつきやめまいが現れる起立性低血圧
- 発汗が多くなる、または少なくなる発汗障害
- 飲み込みが悪くなりむせやすくなる嚥下障害、よだれが口から流れ出る流涎
とくに便秘は早い段階から現れることがあり、パーキンソン病の前触れとして知られている症状の一つです。便秘だけでパーキンソン病を疑うことはできませんが、手のふるえや動作の遅れ、嗅覚低下などほかの症状もある場合は注意が必要です。
自律神経障害は日常生活に大きく影響します。これらは適切な治療や生活習慣の改善で軽減できる場合があるため、我慢せずに医師に相談してください。
感覚障害
パーキンソン病の感覚障害には、以下のようなものがあります。
- においを感じにくくなる
- 嗅覚障害
- 肩や背中などに現れる痛み(筋強剛が原因となる場合もある)
嗅覚障害は、パーキンソン病の初期から現れることが多く、運動症状よりも早期に出現する場合があり、においがわかりにくいという訴えがパーキンソン病の初期サインとなるケースもあります。
痛みについては、筋肉のこわばりが原因の場合、適切なリハビリや薬物治療で改善が期待できます。
嗅覚低下や痛みがほかの症状とあわせて続く場合は、受診を検討することが大切です。
パーキンソン病が疑われるときの受診の目安
手指のふるえ、歩行の変化、動作の遅さ、体のこわばりなどが続く場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
とくに、左右どちらか一方から症状が始まっている場合や、便秘、嗅覚低下、睡眠の異常などの非運動症状も伴う場合は、受診を検討してください。
受診先は脳神経内科が中心ですが、迷う場合はかかりつけ医に相談して紹介を受けることでも問題ありません。
自己判断で加齢のせいと決めつけず、気になる症状が続く場合は早めに医療機関へ相談することが大切です。
パーキンソン病初期症状の検査
パーキンソン病の診断は、問診と神経学的診察が中心です。必要に応じてMRIなどの画像検査を行い、他の病気を除外します。(文献3)
検査・診断の流れは以下の通りです。
- 問診:症状の内容・始まり方・経過を詳しく確認する
- 神経学的診察:静止時振戦、筋強剛、動作緩慢などの症状を確認する
- 画像検査(MRIなど):ほかの脳疾患との鑑別が必要な場合に行う
- 薬への反応の確認:パーキンソン病治療薬(L-ドパなど)への反応が診断の参考になることがある
なお、パーキンソン病は血液検査だけで確定できる病気ではありません。症状の経過や診察所見、必要に応じた検査結果を総合して診断します。
検査で大きな異常が見つからない場合でも、気になる症状が続くときは受診を先延ばしにしないことが大切です。
パーキンソン病初期の治療
パーキンソン病の初期治療では、薬物療法を基本に、必要に応じてリハビリテーションを組み合わせます。
初期から適切に治療を開始することで、症状の進行を遅らせることが期待できます。(文献3)
薬物療法
パーキンソン病の初期治療薬として、L-ドパ(レボドパ)やドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などが選択肢になります。
どの薬を選択するかは、年齢や症状の程度、生活状況によって異なるため、医師と相談しながら決定します。
なお、薬物療法を進める上で、自己判断による中断・減量は避けるべきです。
パーキンソン病の薬を急に中断すると、高熱・意識障害・筋強剛・自律神経症状などを伴う悪性症候群を引き起こすリスクがあります。
場合によっては生命にかかわる状態になることもあるため、変更を希望する場合は必ず医師の指示に従ってください。
パーキンソン病の治療薬について、詳しくは以下の記事もご覧ください。
リハビリテーション
薬物療法とあわせてリハビリテーションを行うことで、症状の改善やQOLの向上が期待できます。
初期から取り入れることで、歩行・姿勢・日常動作の維持に役立ちます。
なお、リハビリは症状や進行度に応じて異なりますが、主な内容は次の通りです。
- 歩行訓練:歩幅や腕の振りを意識した歩き方の練習
- バランス訓練:転倒予防を目的とした姿勢の安定化
- 筋力・柔軟性の維持:こわばりや動作緩慢の改善を目的とした運動
医師やリハビリスタッフと相談しながら、無理のない範囲で継続的に取り組むことが重要です。
パーキンソン病のリハビリ内容については、以下の記事もご参照ください。
パーキンソン病の初期症状の悪化を防ぐために大切なこと
パーキンソン病の進行には個人差がありますが、早期から適切な対応を取ることで生活の質の維持につながります。具体的には次の3点を意識することが大切です。
- 医師の指示通りに薬物療法を継続する(自己判断での中断・減量は避ける)
- リハビリテーションを日常生活に取り入れ、歩行や姿勢の維持に努める
- 転倒予防のため住環境を整える(段差の解消、手すりの設置など)
症状が軽い日があっても、治療を継続しながら生活リズムを整えることが進行抑制に役立ちます。
パーキンソン病の初期症状が疑われたら早めに受診しよう
パーキンソン病の初期症状は、手指のふるえだけでなく、歩行の変化、動作の遅さ、体のこわばりなど多岐にわたり、便秘や嗅覚低下、睡眠の異常といった非運動症状から気づくケースもあります。
こうした変化が続く場合は、年齢や疲れの影響と決めつけず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
早期に診断を受け、症状に応じた薬物療法やリハビリテーションを適切に開始することで、生活機能の維持につながります。
気になる症状がある方は、自己判断で経過を見続けず、早めに脳神経内科を受診してください。
なお、再生医療についても研究は進められていますが、現時点ではパーキンソン病初期治療の中心として確立しているわけではありません。
当院では、脳出血とパーキンソン病のある60代女性で、ふらつきや手の動きづらさの改善がみられた症例も紹介していますのでご参照ください。
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パーキンソン病の初期症状に関するよくある質問
パーキンソン病初期では何科を受診すれば良いですか?
パーキンソン病が疑われる場合は、脳神経内科の受診が基本です。
近くに専門科がない場合や、どこを受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて脳神経内科を紹介してもらう方法もあります。
若年性パーキンソン病は20代・30代でも起こりますか?
パーキンソン病の発症は50〜65歳に多いとされていますが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病もあります。(文献2)
頻度は高くありませんが、手のふるえや動作の遅さなど、気になる症状が続く場合は受診を検討してください。
パーキンソン病と間違えられやすい病気はありますか?
たとえば、本態性振戦、薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズムなどでは、パーキンソン病と似た症状がみられます。(文献3)
似た症状でも原因や治療方針は異なるため、自己判断せず専門医による診察を受けることが大切です。
パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いは何ですか?
パーキンソン病は、脳内のドパミン産生細胞が減少することで起こる病気の一つです。
一方、パーキンソン症候群はパーキンソン病と似た症状(ふるえ・動作緩慢・筋強剛など)を示す病気の総称です。
初期から姿勢保持障害が強い場合など、非典型的な症状がみられるときは別の疾患も考慮されます。
いずれも自己判断は難しいため、専門医への受診をおすすめします。
参考文献


















