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水頭症による高齢者の認知症は手術で治る?手術しないリスクとは【医師監修】

水頭症
公開日: 2023.03.17 更新日: 2025.01.15

水頭症によって認知症が現れた場合、その症状が治るのか知りたい方はいませんか。加齢にともなって発症しやすくなる認知症の原因の1つとして、「特発性正常圧水頭症」があげられます。

水頭症による認知症の場合、手術によって改善する可能性があります。水頭症は認知機能以外にもさまざまな症状が現れるため、早期からの治療が重要です。

この記事では、水頭症による症状や治療によって認知症が治るのかについてご紹介します。病気に対する知識を深めることで、適切な治療を行うきっかけになるでしょう。

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高齢者の認知症に多い「特発性正常圧水頭症」とは?

「特発性正常圧水頭症」とは、頭蓋内に脳脊髄液(脳梗塞を包んでいる液体)が過剰に溜まり、脳が圧迫された状態のことです。脳脊髄液は、脳室(脳内の空間のこと)で毎日一定の量が作られ、脳と脊髄の周囲を循環しています。しかし、なんらかの原因でこの循環に異常が生じると水頭症が発生します。

水頭症には3つのタイプがあり、もっとも多いとされているのが特発性正常圧水頭症です。

明確な原因はわかっていませんが、おもに高齢者に多く発症するとされています。そのほかにも、くも膜下出血や髄膜炎などを発症した後に生じる二次性正常圧水頭症、遺伝的要因が原因とされている家族性正常圧水頭症があります。これらは特発性正常圧水頭症と比較すると、発症頻度は極めてまれです。

水頭症の症状や治療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。

水頭症の症状

特発性正常圧水頭症を発症すると、脳の前頭葉(前側の部分)が広範囲に障害され、以下の3つの症状が現れることがあります。

  • ・歩行障害
  • ・排尿障害
  • ・認知障害

それぞれどのような症状なのかについて、以下の表にまとめました。

水頭症の3症状

特徴

歩行障害

  • ・開脚歩行(足が開き気味で歩く)
  • ・小刻み歩行(小股でよちよち歩く)
  • ・すり足歩行(膝を上げずに歩く)
  • ・不安定な歩行(方向転換の時にふらつきやすい)
  • ・歩き出しにくい
  • ・突進現象(歩き出すとうまく止まれない)

排尿障害

  • ・頻尿になる、尿意を感じにくくなる
  • ・症状が進行すると尿意を感じやすくなり、我慢ができず失禁しやすくなる

認知障害

  • ・物忘れや理解力の低下が現れる
  • ・ぼーっとするような時間が多くなる

特発性正常圧水頭症は、これらのうち歩行障害が初期症状で現れることが多いとされています。歩行障害に加えて、排尿障害や認知障害が生じた場合は特発性正常圧水頭症の可能性が高いため、その際は病院を受診しましょう。

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高齢者の水頭症は手術をしないとどうなるのか

高齢者の水頭症の場合、手術しないと症状が次第に悪化する恐れがあります。特発正常圧水頭症の症状である歩行障害が進むと、転倒する機会が増えて骨折や寝たきりなどに派生する可能性もあります。

さらに排尿障害や認知症なども進行すると、自立した生活が難しくなり、介護が必要になる場合もあるでしょう。このように、水頭症を放置するのは非常に危険なため、早期からの手術が推奨されます。

水頭症による高齢者の認知症は手術で治るのか

水頭症による高齢者の認知症は、手術によって改善が期待できます。実際に、手術によって歩行障害がみられる方の8〜9割、排尿障害や認知障害のある方の5〜7割で改善がみられたとされています。

しかし、特発性正常圧水頭症と正確に診断されて治療に至るケースは少ないのが現状です。早期発見、治療により生活の質が改善する可能性は十分にあるので、疑わしい症状がある場合は受診をおすすめします。

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水頭症の検査・治療法

水頭症では、どのような検査や治療が行われるのでしょうか。ここでは、実際に病院へ受診した際に行われる検査・治療法についてご紹介します。

水頭症の検査

特発性正常圧水頭症では、まず症状の程度をチェックするために身体診察が行われます。その後、MRIやCTによる脳の画像検査が行われ、特発性正常圧水頭症の疑いが濃厚になった時点で「タップテスト」が行われます。

タップテストとは、腰椎から脊髄液を30ml程度抜いた後、症状改善がみられるかどうかを確認するテストです。髄液を抜いた後、歩行機能や認知機能が良くなった場合は「水頭症」と診断され、手術(シャント術)がすすめられます。

水頭症の治療法

特発性正常圧水頭症の治療では、脳脊髄液の流れを良くする「髄液シャント術」と呼ばれる手術を行います。これは、カテーテル(管)を体内に埋め込み、過剰に溜まった脳脊髄液を排出する手術法です。

脳脊髄液による脳への圧迫から解放されるため、髄液循環や脳神経機能の改善が期待できます。髄液シャント術の方法には、以下のようなパターンがあります。

  • ・VPシャント(脳室-腹腔シャント)
  • ・VAシャント(脳室-心房シャント)
  • ・LPシャント(腰椎-腹腔シャント)

水頭症シャント術

上記のうちLPシャントが主流ですが、腰椎の変形などが強い場合には別のパターンで行います。いずれも手術時間はおよそ1時間程度と、脳神経外科のなかでは短い傾向にあります。

水頭症の手術費用【約7万円(3割負担)】

一般的な手術費用の目安としては、3割負担の場合は約7万円です。高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるので、最終的にはさらに費用が少なくなる可能性があります。

【高齢者】水頭症の手術後

多くのケースでは、水頭症を手術して約1週間程度で症状の改善がみられるとされています。どの程度改善がみられるかは、その方の状態によって大きく変わります。改善がどの程度持続するのかについては、明確な基準は決まっていません。

手術で植え込まれたカテーテルは、定期的に詰まったり壊れたりしていないかチェックする必要があります。また、カテーテルの途中には脳脊髄液圧を調節するバルブがついており、体外から設定できるようになっています。シャント圧を下げ過ぎると、頭蓋内圧が低下して低髄圧症候群を起こす恐れがあるので注意が必要です。

カテーテルから抜ける髄液量は生活の仕方や体格の変化によって変わります。CTやMRIによって頭に異常がないかを確認し、適切な髄液量を決める必要があるので、定期的な通院が重要です。

まとめ|高齢者の認知症は手術で治る可能性がある

水頭症は脳脊髄液が過剰になることで発症する病気で、歩行障害や認知症などの症状が現れます。水頭症は、現在のところ手術が唯一の治療法となります。水頭症をそのままにすると症状が進行し、手遅れになるリスクもあるため、早期からの手術が重要です。

ぜひ今回の記事を参考にして、水頭症になった際は早めの対処を心がけましょう。

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