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ヘルニアでバスケを諦めない!原因や治療法を解説

ヘルニアバスケ
公開日: 2025.06.30

バスケットボールの練習中や試合前に突然激しい腰痛に襲われ、「もうバスケができないのでは」という不安を抱えていませんか。

腰椎椎間板ヘルニアと診断されても、適切な治療とリハビリテーションにより、多くの選手が競技復帰を果たしています。

この記事では、バスケットボールという競技特有のヘルニア発症メカニズム、症状の詳細、治療法、そして段階的な復帰プロセスまで詳しく解説します。

あなたの不安を解消し、コート復帰への具体的な道筋を示します。

なぜバスケはヘルニアを招きやすいのか?原因となる動作

バスケットボールは椎間板ヘルニアの発症リスクが高いスポーツとして知られています。

日本整形外科学会のデータによると、スポーツ関連の腰椎損傷において、バスケットボールは上位にランクされており、NCAA大学バスケットボールの2009年から2014年までの統計では、男子で79件、女子で45件の腰椎脊椎損傷が報告されています(文献1)。

この高い発症率の背景には、バスケット特有の動作パターンが深く関係しています。

ジャンプ動作と着地衝撃

ジャンプをすると、背骨のクッション役である椎間板に大きな力が加わります。

とくにリバウンドやシュート後にひざが十分曲がらずに着地をすると、衝撃がまっすぐ腰へ伝わり、椎間板を傷めやすくなります。

さらに、着地と同時に体が前へ傾いたりねじれたりすると、「押しつぶす力」に「ひねり」が加わり、椎間板への負担が一段と増します。(文献2

前かがみディフェンスと回旋負荷

ディフェンスで腰を低く構え、前かがみの姿勢をとりますが、この際に背中が丸まった姿勢だと腰に慢性的に負担がかかります。

さらに、カッティングやピボットのように急に方向を変える動きでは、片足を軸に体がねじれるため、椎間板に「ひねり」のストレスが加わります。

シュート動作では体を伸ばしながらひねるので、「押しつぶす力」と「ひねり」が同時にかかり、腰への負担が大きくなります。

また、シュートフェイントの動きもしますが、フェイントのように急停止する動作も腰への負担が大きいです。

成長期のプレイヤーは骨や椎間板がまだ完全に強くなりきっていないうえ、急に身長が伸びると体の適応が追いつかず、こうした負担に弱い点にも注意が必要です。

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バスケによって起こるヘルニアの症状

バスケットボールではジャンプ・着地や急な切り返しで腰に大きな力がかかるため、突然「ズキッ」と強い腰痛が出るケースが目立ちます。ここではヘルニアの進行度別の症状と、ヘルニア発症後の休養期間の目安について説明します。(文献3

これらに加え、前かがみになったり咳・くしゃみをすると痛みが強くなるのもヘルニア症状の特徴です。

軽度の症状

発症直後は腰からお尻、太もも裏、ふくらはぎ、足先まで電気が走るような痛みやしびれが広がります。

咳やくしゃみ、前かがみ動作で一時的に痛みが強くなるものの、歩行も可能です。

この段階では、まず安静を保つことが大切です。同時に、睡眠環境の改善や日常生活の見直しを行い、腰への負担を軽減して症状の悪化を防ぎましょう。

中等度の症状

発症から数週間ほどで、神経圧迫が続くと筋力低下が現れます。

足首を上げにくいとつまずきやすくなり、つま先立ちもできなくなるため、ジャンプ力が大幅に落ちます。

歩行では患部をかばうための歩き方が目立ち、ジャンプや急ターンは痛みでできなくなってしまいます。(文献3

重度の症状

重度のヘルニアになると、単なる腰痛や足のしびれを超えて、より深刻な症状が現れます。

尿が出にくい・残尿感・便漏れといった排泄障害、股の感覚消失、両脚の強い麻痺などが起こります。これらは「馬尾症候群」と呼ばれ、飛び出した椎間板が腰の奥の太い神経束を圧迫する緊急事態です。

可能な限り早急な手術が必要で、一般的に24~48時間以内の手術が推奨されています。手術が遅れると後遺症のリスクが高まります。

こうした重症例では3~6カ月以上の長いリハビリが必要になり、再びコートに立てるかどうかは個々の回復状況を見ながら慎重に判断されます。

ヘルニアの症状が出たらバスケは何日休む?

休養期間は症状の程度によって幅があります。一般的な目安は次のとおりです。

症状 休養期間
軽度の症状(日常生活は可能) 約1~2週間の安静
中等度の症状(練習に支障をきたすレベル) 約1~3カ月の安静
重度の症状(歩行が困難・安静にしていても痛みがある) 約3~6カ月の長期休養

復帰の判断は自身で行わず、必ず医師の判断を仰いで競技復帰しましょう。

痛みが残る状態で無理に復帰すると再発のリスクが高まるため、焦らず治療とリハビリに専念しましょう。

バスケで発症したヘルニアの治療法について

椎間板ヘルニアの治療は、症状の重さに応じて段階的に進めるのが基本です。軽度から中等度の症状ではまず手術をしない保存療法から開始します。

そして、保存療法で効果がない場合や、重度の神経症状がある場合に手術を検討します。

近年では再生医療といった治療法も選択肢に加わり、とくにスポーツ選手の早期復帰を目指す治療として活用されています。

治療法の決定には、症状の重さ・年齢・競技レベル・復帰の緊急度などを総合的に判断することが重要です。

ヘルニア初期の保存療法

保存療法では以下のような方法を組み合わせて症状の改善を図ります。

治療法 解説
薬物療法

消炎鎮痛薬(NSAIDs)で神経の腫れを抑え、足の痛みやしびれには神経痛専用の薬(プレガバリンなど)を使用します。筋肉の緊張には筋弛緩薬を短期間併用することもあります。

ブロック注射 痛みが強い場合、硬膜外腔へのステロイド注射(神経ブロック)で一時的に痛みを緩和させます。ただし効果は一過性で、長期的な改善効果は限定的です。
理学療法(リハビリ)

症状に合わせて段階的に進めます。急性期は安静にしてコルセットで腰を保護。痛みが軽減したらストレッチや筋力トレーニングを開始します。慢性期は体幹筋強化や正しい動作の指導を行います。

コルセットの活用

腰部コルセットで腰椎を安定化させると痛みの軽減に役立ちます。ただし長期間の装着は筋力低下を招くため、痛みが強い初期に限定して使用し、症状が和らいだら外します。

外科手術での治療

手術が必要となる場合は大きく2つのケースに分けられます。

手術が必要なケース 説明
手術が必要な場合(緊急手術)

膀胱や直腸の障害、高度な運動麻痺、馬尾症候群など重篤な神経症状が現れた場合です。これらは時間との勝負であり、速やかに手術による神経圧迫の除去が必要です。(文献4

手術を検討する場合

発症から3カ月間の保存療法でも効果がない、競技者など早期社会復帰が強く求められる、あるいは患者本人が手術を希望する場合などです。

再生医療の可能性

再生医療は、主に幹細胞治療とPRP療法(多血小板血しょう療法)があります。

まず、幹細胞治療とは、患者様自身の脂肪組織から幹細胞を採取して培養し、増やした幹細胞を椎間板に注射する治療法です。

そして、PRP療法は患者さま自身の血液から血小板を高濃度に抽出し、成長因子を含む血しょうを患部に注射する治療法です。

臨床研究が進んでおり、腰痛軽減や機能改善が報告されつつありますが、効果には個人差があり、すべての患者様に同様の結果が得られるわけではありません。

再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」へお問い合わせください。患者様の症状や状況にあわせたご提案をいたします。

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ヘルニアからのバスケ復帰ロードマップ

安全かつ確実にコートに戻るためには、段階的に復帰プログラムを進めることが重要です。

復帰プロセスの期間や内容は人によって大きく異なり、年齢・症状の重さ・治療法・競技レベルによって調整が必要なので、専門医やコーチとの密な連携は欠かせません。

焦って復帰すると再発リスクが高まるため、専門医と相談しながら慎重に判断しましょう。

フェーズ別セルフケアのポイント

セルフケアのポイントを、急性期(発症~2週間)・回復期(2週間~3カ月)・復帰期(3カ月~6カ月)のフェーズ別にそれぞれ解説します。

急性期(発症~2週間)のセルフケア

まず炎症を抑えることが最優先です。この時期は安静を基本とし、発症後はしっかり休養してください。

回復期(2週間~3カ月)

痛みが落ち着いてきたら、徐々に身体機能の回復トレーニングを開始します。

以下の基本エクササイズと日常動作の工夫で、腰への負担を減らしながら筋力と柔軟性を取り戻していきます。

【基本エクササイズ】

エクササイズ 手順
ドローイン

仰向けで膝を立てて腹式呼吸をし行います。息を吐きながらお腹をへこませ、その状態で10秒キープ(呼吸は止めない)。

これを5回1セットで1日3セット実施し、腹横筋(インナーマッスル)を鍛えます。

キャット&ドッグ

四つん這いになり、息を吐きながら背中を丸め(猫のポーズ)、吸いながら背中を反らせる(牛のポーズ)。

ゆっくり10回繰り返し×2セット行います。背骨と周囲筋の柔軟性を高め、血流を促進します。

【日常動作の工夫】

動作 工夫する点
座る姿勢

椅子に座る際は深く腰掛け、背もたれに背中を預けます。

足裏を床にしっかりつけ、膝と股関節がそれぞれ直角になる高さの椅子を使いましょう。

立ち上がり動作

椅子から立つときは一旦軽く前かがみになり、上半身の重心を足の真上に移してから立ち上がります。

腰だけでなく太ももの力を使うことで腰への負担を軽減できます。

物の持ち上げ

床にあるボールや重い荷物を取るときは、背中を丸めず膝を曲げて腰を落とす(スクワット動作)ようにします。

背筋を伸ばした状態で太ももの筋力を使い、ゆっくり持ち上げましょう。

復帰期(3カ月~6カ月)

3カ月目以降は、競技復帰に向けた本格的なトレーニングに入ります。段階的に負荷と運動強度を高めましょう。あくまで目安となりますが、復帰に向けた準備を以下のステージ別に行います。

ステージ 説明
ステージ1(基礎体力回復)

長時間の運動に耐えられる体力を戻す段階です。痛みが出ない範囲でウォーキングを行います。

水中ウォーキングやエアロバイクも有効です。腰への衝撃が少ないメニューで持久力を養います。

ステージ2(基本動作回復)

ジョギングなど直線方向の軽いランニングを開始します。徐々に距離とスピードを上げ、ボールハンドリングやパス・シュートなどの基本ドリルも再開します。

急激な方向転換や激しいジャンプは避け、軽い切り返し動作までに留めます。

ステージ3(専門動作練習)

バスケット特有の動きを集中的に練習します。軽めのジャンプから始め、着地フォームを確認・矯正しながら練習を行います。

ディフェンス時の低姿勢や方向転換のステップワークも練習し、痛みなく実施できるか確認します。徐々に通常強度に近いアジリティドリルも加えます。

ステージ4(実戦復帰)

チーム練習への部分参加から始め、非接触メニュー(セットプレーの確認やシューティング練習など)をこなします。

問題なければ対人練習(1対1や5対5)に進み、最終的に試合形式のプレーに復帰します。コンタクトプレーで痛みや不安がなければ、公式戦出場が許可されます。

各ステージの移行は、痛みが出ないこと・動作がスムーズに行えること・専門医や理学療法士と問題がないか確認しながら慎重に行います。段階を飛ばさず着実にこなすことで、復帰後のパフォーマンス低下や再発を防げます。

再発率を抑える体幹メニュー

ヘルニア再発予防には体幹(コア)強化が最も重要な要素です。

段階的な体幹トレーニングプログラムを継続して、再発を防ぎましょう。

主に推奨されるトレーニングメニューとして、ドローインやプランク、バードドッグが腰に負担をかけずにできる筋トレメニューです。

以下の記事でヘルニアの際におすすめの筋トレメニューを紹介してますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

まとめ|バスケでヘルニアになっても復帰は可能

バスケ選手の腰椎椎間板ヘルニアでも、適切な治療とリハビリをすれば高い確率でコートに戻れます。

大切なのは早期に正確な診断を受け、症状に合った最善の治療法を選択することです。

近年は再生医療という新たな選択肢もあります。 

復帰を成功させるポイントは、段階的な復帰プロセスを守ること、継続的な体幹強化トレーニングを怠らないこと、そして再発予防の取り組みを続けることです。

これらによって長期的に競技を続けることが可能となります。ヘルニアと診断されても決してあきらめる必要はありません。

専門医と連携した計画的な治療とリハビリで、確実にコートに復帰しましょう。

ヘルニアに対する再生医療について詳細は、お気軽にお問い合わせください。

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通話料無料/受付時間 09:00~18:00

参考文献

(文献1)
Staysniak M, et al.”Epidemiology of Lumbar Spine Injuries in Men’s and Women’s National Collegiate Athletic Association Basketball Athletes”American Journal of Sports Medicine, 47(2),pp.428-434, 2019年
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6823986/
(最終アクセス:2025年6月24日)

(文献2)
Bisseling RW, et al.”Biomechanical factors associated with injury during landing in netball players”Clinical Journal of Sport Medicine, 18(2), pp.115-121, 2008年.
https://journals.lww.com/cjsportsmed/Abstract/2008/03000/Biomechanical_Factors_Associated_With_Injury.3.aspx (最終アクセス:2025年6月24日)

(文献3)
Nachemson AL.”Disc pressure measurements”Spine, 6(1), pp.93-97, 1981年.
https://journals.lww.com/spinejournal/Abstract/1981/01000/Disc_Pressure_Measurements.17.aspx (最終アクセス:2025年6月24日)

(文献4)
日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021」2021年
https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00645.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b (最終アクセス:2025年6月24日)

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