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【医師監修】カイロで肩こりは改善する?効果的な方法や注意点を解説

カイロ 肩こり
公開日: 2025.12.13

「肩こりは温めると良いと聞いたのでカイロを貼っているが、効果がわからない」

「カイロを貼っても、肩こりが和らぐのは一時的」

「カイロを効果的に使って、肩こりを和らげたい」

慢性的な肩こりにお悩みの方の中には、このようにお考えの方もいらっしゃることでしょう。

カイロは肩こりにおける有効なセルフケアの1つですが、正しい使い方や注意点を理解する必要があります。

本記事ではカイロで肩こりが和らぐ仕組みや、カイロを使った肩こり改善法を中心に解説します。

より効果的に肩こりを緩和できる方法も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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カイロの活用と肩こりの関係性

この章では、以下の内容を解説します。

  • カイロで肩こりが和らぐ仕組み
  • カイロによる肩こり改善の利点と注意点

カイロで肩こりが和らぐ仕組み

カイロは身体を局所的に温めるもので、温熱療法の1つに含まれます。

肩こりの主な原因は、血流の悪化と筋肉の緊張です。血流が悪化すると老廃物や疲労物質がたまり、筋緊張が高まります。

とくに冬は、寒さによって血流悪化や筋緊張を引き起こしやすく、肩こりの発症や悪化が多い時期です。

温熱療法では以下のような効果が期待できます。(文献1)(文献2)

  • 皮膚温度の上昇
  • 関節内および筋肉の温度上昇
  • 血管拡張による血流改善
  • 筋肉疲労軽減

血流改善により老廃物がスムーズに排出され、その結果筋緊張が和らぎ、こりや痛みが軽減されることが温熱療法の仕組みです。

冬に肩こりが起きやすい理由については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

カイロによる肩こり改善の利点と注意点

カイロによる肩こり改善の主な利点は、手軽に温熱療法を行えることです。

温熱療法は、筋骨格系の痛みや傷に対する薬を使わないアプローチの1つであり、身体の浅い部分にも深い部分にも適用可能です。カイロは、体の浅い部分に対する温熱療法に含まれます。

カイロ使用時の注意点は、長時間使用による低温やけどのリスクです。電気温熱パッドやホットパック、床暖房などでも、低温やけどが生じやすいとされています。(文献3)

もう1つの注意点は、肩こりの原因によってはカイロを使うと悪化する可能性があることです。炎症および外傷による肩の痛みやこりの場合、温めると悪化する可能性があります。カイロ使用前には、必ず肩こりの原因を確認しましょう。(文献4)

カイロを含めた温熱療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

カイロを使った肩こり改善法

カイロを使って肩こりを改善するためのポイントは、主に以下の3点です。

  • 肩こりに効果的なカイロを貼る場所
  • カイロを使う時間と低温やけど予防のポイント
  • 妊娠中や高齢者のカイロ使用における注意点

肩こりに効果的なカイロを貼る場所

肩こりに効果的なカイロを貼る場所は、肩甲骨まわりや首の付け根です。

肩甲骨回りには、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋(りょうけいきん)などの筋肉が存在しています。いずれも、頭や両腕を支える役割を果たすため、負担が大きくこりやすい筋肉です。そのため肩甲骨回りは、肩こりを引き起こしやすい部位です。

肩甲骨回りの筋肉をあたためると、血流がよくなったり筋肉の緊張が和らいだりするため、肩こり改善につながります。

首の付け根には、僧帽筋の上部繊維と呼ばれる部分や肩甲挙筋に加えて、太い血管も存在しています。この部分を温めると血液循環が良くなるため、肩こり改善が期待できるのです。

カイロを使う時間と低温やけど予防のポイント

カイロを使う時間は、1回につき4〜6時間程度が目安です。長時間使用は低温やけどのリスクがあるため、避けましょう。就寝時の使用も避けてください。

低温やけどは、心地良いと感じる温度(40~50℃程度)に長時間皮膚が接した結果生じるやけどです。42℃のものに6時間接触していると、細胞が変化するとの報告もあります。(文献5)

低温やけどは、高温のものに触れたときよりも自覚症状が現れにくい点が特徴です。そのため、気づかないうちに皮膚の奥まで損傷しているケースも少なくありません。

カイロによる低温やけどを防ぐため、必ず下着やインナーウェアの上からカイロを貼ってください。

低温やけどのリスクは、温度と接触時間の組み合わせによって変わります。化学製品PL相談センターの報告では、44℃では3〜4時間以上、46℃では30分〜1時間程度で低温やけどが発生する可能性があると示されました。(文献6)これらを考慮して、カイロを使用するときは、1〜2時間おきに肌の状態を確認しましょう。

妊娠中や高齢者のカイロ使用における注意点

妊娠中の方がカイロを使用するときは、背中や腰など、お腹以外に貼るようにしましょう。お腹を温め過ぎると汗が出てしまい、結果として身体を冷やすリスクがあるためです。

高齢者は皮膚が薄く、皮膚感覚も鈍くなっているため、低温やけどを起こしやすく重症化しやすい状況です。(文献7)

カイロを長時間使用すると、低温やけどを引き起こす可能性があります。妊娠中の方や高齢者の方も、使用方法や注意書きをよく守ってご使用ください。

カイロを日常生活に取り入れて肩こりを緩和させる工夫

この章では、以下の内容について解説します。

  • デスクワークや家事の合間でカイロを取り入れる方法
  • 外出時に役立つカイロの使い方
  • 肩こりを悪化させない生活習慣との組み合わせ

デスクワークや家事の合間で取り入れる方法

デスクワークで肩や首のこりを感じたときには、首の付け根や肩甲骨の内側にカイロを貼ってみましょう。血流改善や筋緊張緩和の効果が期待できます。

冷房の効いた環境で肩が冷えた場合も、肩にカイロを貼ると良いでしょう。冷えからくる肩こりの改善に役立ちます。

家事の合間や立ち仕事の後にもカイロの使用がおすすめです。洗濯や掃除、料理などの家事や立ち仕事では前かがみの姿勢になることが多く、筋肉もこわばりやすくなります。

デスクワークのときと同様に、首の付け根や肩回りにカイロを貼ると良いでしょう。血流を促され、筋肉疲労の回復に役立ちます。

首肩用の温熱グッズとカイロを併用するのもおすすめの方法です。

外出時に役立つカイロの使い方

外出時にカイロを使う場合も、首の後ろから肩にかけての部分にカイロを貼りましょう。肌に直接貼るのではなく、下着やインナーウェアの上から貼るようにしてください。

貼らないタイプのカイロであれば、マフラーやネックウォーマーのポケットに入れるのも効果的です。冷たい風の侵入を防ぎながら、肩から首の血行を促進できます。

腰にカイロを貼ると、上半身全体の冷えを防げます。温熱効果が腰から上に広がるため、肩回りの筋緊張予防や緩和にもつながるでしょう。

貼らないタイプのカイロを上着やコートのポケットに入れて手先を温めるのもおすすめです。手先を温めると全身の緊張がほぐれるため、肩こり予防の間接的な効果が期待できます。

肩こりを悪化させない生活習慣との組み合わせ

肩こりを悪化させないためには、ストレッチや軽い体操もおすすめです。カイロの温熱効果で筋肉が柔らかくなったタイミングで軽く動かすと、血流が促進されやすくなります。

首回しや肩甲骨回し、背伸びなどを、無理のない範囲で取り入れるのがポイントです。

肩こり予防のためには、正しい姿勢を取ることや長時間同じ姿勢を取らないことを心がけてください。姿勢を整えることで、筋肉の緊張を軽減できます。1時間に1回程度、姿勢をリセットする時間をとると望ましいでしょう。

カイロの使用は、あくまでも補助的なセルフケアであると考えておきましょう。

カイロで一時的に肩こりは緩和できますが、根本的な解消のためにはストレッチや姿勢改善などの工夫が欠かせません。

温めて肩こりを緩和しつつ、根本対策も意識するといったバランスが必要です。

「カイロ」と「カイロプラクティック」の違い

カイロは温熱グッズの1つであり、カイロプラクティックは背骨や骨盤の矯正を目的とした施術です。

この2つは語感が似ているため混同されやすいものですが、まったく異なるものであると認識しておきましょう。

カイロプラクティックの特徴

カイロプラクティックは、背骨や骨盤の矯正を目的とした手技療法です。神経や筋肉への圧迫を和らげるアプローチが中心の施術であり、いわゆる「医業類似行為」にあたります。

カイロプラクティックの施術者の資格は、国家資格ではなく民間資格です。

厚生労働省の「医業類似行為に対する取扱いについて」では、カイロプラクティックが適切ではない疾患として、以下のものがあげられています。(文献8)

  • 腫瘍性疾患
  • 出血性疾患
  • 感染性疾患
  • リュウマチ
  • 筋萎縮性疾患
  • 心疾患

加えて、手技によって症状が悪化する頻度が高いとされる疾患も、カイロプラクティック実施が適切ではないと記されています。

例を挙げると、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などです。

肩こりにおけるカイロとカイロプラクティックの使い分け

カイロは、自宅でのセルフケアや寒さ対策に有効です。これに対しカイロプラクティックは、骨格の調整や慢性症状の軽減を目的とした施術です。

両者はアプローチも役割も異なるため、目的に応じて使い分けましょう。カイロを使った温熱ケアを試しつつ、必要に応じてカイロプラクティック施術を活用するのも一つの方法です。

カイロおよびカイロプラクティックを活用しても症状が長引いたり強くなったりする場合は、医療機関を受診して原因を明確にしましょう。

カイロを適切に活用して肩こりの緩和を目指そう

カイロは血行促進や筋肉の緊張緩和に役立ち、肩こり緩和の一助となります。しかし、長時間貼り続けたり皮膚に直接貼ったりすると、低温やけどのリスクがあります。

カイロは使用方法や注意書きを守って正しく使用しましょう。

カイロを正しく使いつつ日常生活を工夫することで、効果的な肩こりケアが期待できます。

カイロと似た言葉がカイロプラクティックです。しかし、両者の意味はまったく異なります。カイロプラクティックは、背骨や骨盤の矯正を目的とした施術です。

カイロを適切に活用しても肩こりが長引いたり、強い痛みやしびれを伴ったりする場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。

医師の診察を受けることで、肩こりの背景に潜んでいる病気の有無がわかります。

当院リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。肩こりにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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カイロの活用と肩こりに関するよくある質問

肩こりでカイロを使う場合寝るときに貼っても良いですか?

寝るときにカイロを貼ることは望ましくありません。体の同じ場所に長時間カイロを貼り続けると、低温やけどを発症する可能性があるためです。

また、寝ている間は熱さや皮膚の異変に気づきにくいため、仮に低温やけどを発症した場合も発見が遅れるリスクがあります。

このような理由があるため、寝るときのカイロ使用は控えましょう。

肩こりは冷やすと温めるどちらが良いですか?

慢性的な肩こりの場合は温める、急性期の肩こりで炎症を起こしているものは冷やすと覚えておきましょう。急性期とは、痛みが生じてすぐの時期です。

急激に肩を使ったために肩が炎症を起こしている場合は、冷やす方が望ましいといえます。炎症が起きているときに温めると、かえって炎症が悪化する可能性があります。

急な肩こりはなんらかの疾患が隠れている可能性があるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

急な肩こりの危険性についてはこちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

参考文献

(文献1)

Thermotherapy Plus Neck Stabilization Exercise for Chronic Nonspecific Neck Pain in Elderly: A Single-Blinded Randomized Controlled Trial|PubMed Central

(文献2)

Local Heat Applications as a Treatment of Physical and Functional Parameters in Acute and Chronic Musculoskeletal Disorders or Pain|SciencesDirect

(文献3)

Early Intervention for Low-Temperature Burns: Comparison between Early and Late Hospital Visit Patients|PubMed Central

(文献4)

Potential Risks and Contraindications of Heat Therapy|Spine-health

(文献5)

熱傷(やけど)に関する簡単な知識|一般社団法人日本熱傷学会

(文献6)

低温やけどに注意|化学製品PL相談センター

(文献7)

高齢者のやけどに御注意ください!|消費者庁

(文献8)

医業類似行為に対する取扱いについて|厚生労働省