- 再生治療
【医師監修】ES細胞とiPS細胞の違いとは?共通点や課題をわかりやすく解説

「ES細胞とiPS細胞とはどんな細胞?」
「ES細胞とiPS細胞とはどのような場面で活躍するのか?」
近年、iPS細胞によるノーベル賞受賞や、ES細胞を用いた再生医療の進展が大きな注目を集めています。
ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、いずれも多能性を持ち、さまざまな組織や臓器の細胞に分化できる幹細胞です。しかし、その作製方法や倫理的課題、臨床応用の現状には明確な違いがあります。
ES細胞は受精卵の内部細胞塊から樹立されるため、胚の破壊を伴い、生命倫理上の議論が避けられません。これに対し、iPS細胞は患者自身の皮膚や血液などの体細胞に特定の遺伝子を導入することで作製できるため、倫理的障壁が低く、さらに移植時の免疫拒絶反応のリスクも軽減できるのが利点です。
このような特性から、現在の再生医療研究ではiPS細胞が中心的役割を担い、パーキンソン病や脊髄損傷、心筋梗塞など、多岐にわたる疾患への応用が期待されています。
本記事では、現役医師がES細胞とiPS細胞の違いを詳しく説明し、共通点や課題についてわかりやすく紹介します。
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目次
ES細胞とiPS細胞の違い
| 比較項目 | ES細胞(胚性幹細胞) | iPS細胞(人工多能性幹細胞) |
|---|---|---|
| 作られ方・由来 | 受精卵(胚盤胞)由来の細胞 | 成体の体細胞を再プログラミングした細胞 |
| 倫理的・免疫的特徴 | 受精卵を使用するため倫理的議論が伴う。免疫拒絶反応の可能性あり | 受精卵を使わず倫理的負担が少ない。自己細胞由来なら拒絶反応が起きにくい |
| 研究・実用化の特徴 | 早期から研究進行、分化機構の解明に活用 | 新技術として創薬・疾患への研究が進行 |
(文献1)
ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞(人工多能性幹細胞)は、いずれも体内のあらゆる細胞へ分化できる多能性幹細胞です。
ES細胞は、受精後数日が経過した胚盤胞の内部細胞塊から樹立されます。基礎研究において長年活用されており、細胞分化の仕組みの解明に多大な貢献を果たしてきました。しかし、ヒト胚を使用することから倫理的な課題があります。
一方、iPS細胞は、皮膚や血液などの体細胞に特定の転写因子を導入して、多能性を持つ未分化状態に初期化した細胞です。ヒト胚を必要としないため倫理的なハードルが低く、患者自身の細胞から作製することで、移植時の免疫拒絶反応を回避できる可能性があります。
両細胞は、再生医療や創薬研究における重要な基盤技術として、今後さらなる臨床応用が期待されています。
ES細胞の特徴
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 受精卵由来であらゆる細胞に変化できる | 受精後数日が経過した胚盤胞の内部細胞塊から樹立される細胞で、神経・心筋・肝臓など多様な細胞へ分化可能な多能性幹細胞 |
| 倫理的課題と免疫拒絶反応の問題がある | 受精卵を使用するため生命倫理上の議論が生じること、他人由来の細胞を移植する際に免疫拒絶反応が起こる可能性 |
| 再生医療や創薬研究での活用が期待される | 組織や臓器の再生研究、疾患の仕組み解明、薬の効果や安全性評価への応用が期待される研究基盤技術 |
ES細胞(胚性幹細胞)は、受精後数日経過した胚盤胞の内部細胞塊から樹立される細胞です。ただし、ヒト胚を使用する点で生命倫理上の課題があり、他人由来の細胞移植では免疫拒絶のリスクも伴います。
現在、ES細胞は再生医療や創薬研究の分野で、組織再生や疾患メカニズムの解明に向けた応用が期待される、重要な研究基盤です。
受精卵由来であらゆる細胞に変化できる
ES細胞(胚性幹細胞)は、生命が形成される初期段階で得られるため、身体を構成するあらゆる細胞へ分化できる多能性を備えています。
神経や筋肉、血液、肝臓など多様な細胞に分化できることから、失われた組織や臓器を再生する再生医療への応用が期待されています。
また、適切な培養環境下で長期間増殖させることができ、目的とする細胞へ効率的に誘導できるのも大きな利点です。
一方で、ヒト胚を使用することによる生命倫理上の課題や、他人由来の細胞を移植する際の免疫拒絶反応といった問題点も指摘されています。
倫理的課題と免疫拒絶反応の問題がある
| 課題の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 倫理的課題 | 受精卵を利用するため、生命の始まりや胚の扱いをめぐる倫理的議論の対象。厳格な法的・倫理的管理の必要性 |
| 免疫拒絶反応の問題 | 他人由来の細胞を移植する際に、免疫系が異物と認識して拒絶反応を起こす可能性。HLA型の不一致が課題 |
(文献2)
ES細胞は、受精卵から作製される多能性幹細胞で、再生医療の可能性を大きく広げる画期的な技術です。
しかし、「将来人間となる可能性のあるヒト胚を研究目的で使用すること」について、倫理的に慎重な議論が必要です。そのため、日本では法律と倫理指針に基づき、厳格な審査体制のもとで研究が実施されています。
また、ES細胞は他人由来であるため移植時に免疫拒絶反応のリスクがあり、免疫適合性を高める研究が進められています。
再生医療や創薬研究での活用が期待される
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 多能性による応用範囲 | ES細胞・iPS細胞は体のあらゆる細胞に変化できる多能性細胞。損傷した臓器や組織の再生を目指す研究段階 |
| 心筋再生への応用 | 心筋梗塞などで失われた心臓の筋肉を再生する研究。幹細胞を心筋細胞へ分化させ、心機能の改善を目指す治療応用 |
| 神経再生への応用 | 脊髄損傷などで失われた神経を再生する研究。幹細胞を神経細胞へ誘導し、麻痺や機能低下の回復を目指す試み |
| その他の臓器再生 | 肝臓・膵臓・網膜など、難治性疾患や臓器移植の代替を期待する治療開発 |
(文献3)
ES細胞とiPS細胞は、体内のさまざまな細胞へ分化できる多能性幹細胞です。この性質を活かし、心筋梗塞や脊髄損傷などで失われた組織を再生させる研究が進められています。
また、これらの幹細胞は再生医療に加え、疾患メカニズムの解析や薬剤評価を行う創薬研究にも応用され、精度の高い新薬開発に貢献しています。
ES細胞とiPS細胞の有用性は、現在も研究段階です。しかし、治療と創薬の両面において将来性の高い技術として注目されています。
iPS細胞の特徴
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 受精卵を使わないため「倫理的な問題」が少ない | 皮膚や血液など、成体の体細胞から作製されるため、受精卵を使用せずに済む倫理的に配慮された技術 |
| 拒絶反応が少なく個別化医療に期待される | 患者本人の細胞をもとに作製できるため、移植時の免疫拒絶反応が起こりにくい特性 |
| 多能性を活かし再生医療や研究に応用されている | あらゆる種類の細胞に変化できる多能性を活かし、再生医療・創薬・疾患のメカニズム解明に利用される技術 |
iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、皮膚や血液などの体細胞に特定の遺伝子を導入して作製される細胞です。受精卵を使用しないため、ES細胞と比べて倫理的な課題が少ない点が特徴です。
また、患者自身の細胞から作製できるため、移植時の免疫拒絶反応が低リスクであり、個別化医療への応用が期待されています。
さらに、あらゆる細胞へ分化できる多能性を活かし、再生医療や創薬研究、疾患メカニズムの解明など、幅広い分野で活用が進められています。
以下の記事ではiPS細胞の作り方を詳しく解説しています。
受精卵を使わないため「倫理的な問題」が少ない
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 背景 | ES細胞は受精卵(胚)から作製される細胞で、生命の始まりを扱うことへの倫理的議論が伴う研究対象 |
| iPS細胞の特徴 | 皮膚や血液など、既に分化した体細胞を利用するため、受精卵や胚を破壊する必要がない技術 |
| 倫理的利点 | 胚を利用しないことで、「生命尊重」や「胚の扱い」に関する倫理的ハードルを回避できる |
| 残る課題 | 生殖細胞の作製や体細胞の提供・同意・個人情報・知的財産など、研究利用に伴う新たな倫理・法的課題 |
iPS細胞は皮膚や血液などの体細胞から作製されるため、受精卵を使用するES細胞とは異なり、ヒト胚を破壊する必要がありません。生命の始まりに関わる倫理的な懸念を回避できるのが大きな利点です。
これにより「胚の扱い」や「生命の尊厳」に関する社会的議論が緩和され、研究の推進が可能になりました。
一方で、iPS細胞にも新たな倫理的課題が存在します。生殖細胞への分化誘導研究、体細胞提供時の同意取得、個人情報の保護、知的財産権、研究利用の妥当性など、多方面での法的・倫理的配慮が必要とされています。(文献4)
拒絶反応が少なく個別化医療に期待される
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 拒絶反応が少ない理由 | 患者本人の体細胞から作製される自己由来の細胞。免疫系が異物と認識しにくく、拒絶反応のリスクが低い特性 |
| 個別化医療との関連 | 患者ごとの遺伝情報や病態に合わせた治療設計を可能にする技術。薬の効果や副作用を事前に評価できる応用 |
| 注意点・課題 | 拒絶反応を完全に防ぐわけではなく、作製コストや品質の確保など、実用化に向けた課題が残る研究段階 |
iPS細胞は患者本人の体細胞から作製されるため、移植時に免疫系が異物と認識しにくく、拒絶反応のリスクが低いとされています。
この性質により、自分の細胞を使用したオーダーメイド型治療や、薬の効果や副作用を事前に評価する個別化医療への応用が期待されています。ただし、品質の確保や作製コストなどの課題があり、まだ研究段階にある技術です。
多能性を活かし再生医療や研究に応用されている
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 多能性とは | iPS細胞が神経・心筋など、多様な細胞に分化できる能力 |
| 再生医療での応用 | 損傷した臓器や組織の細胞を作り、移植して機能回復を目指す治療法。パーキンソン病・脊髄損傷・心筋梗塞などの臨床研究 |
| 疾患の原因解明・創薬研究 | 患者由来のiPS細胞を使い、疾患の過程を再現して原因を解明。薬の効果や副作用の評価に利用 |
| 実用化への進展 | 日本国内で複数の疾患に対する臨床試験が進行。再生医療の実用化に向けた研究が着実に前進 |
iPS細胞は、体内のあらゆる細胞へ分化できる多能性を持つ細胞です。この能力を活かして、損傷した臓器や組織を修復する再生医療の研究が進められています。
パーキンソン病や心筋梗塞などへの臨床応用が始まり、実用化に向けた取り組みが進む一方で、疾患の仕組み解明や創薬研究にも活用され、日本では複数の臨床試験が進展しています。
ES細胞とiPS細胞の共通点
| 共通点 | 詳細 |
|---|---|
| どちらも多能性を持つ万能細胞 | ES細胞もiPS細胞も、多能性を持ち体のさまざまな細胞に分化できる幹細胞。心臓・神経・肝臓など多様な細胞を作り出せる再生医療の基盤 |
| 再生医療や創薬研究で活用されている | 臓器や組織の修復を目指す再生医療、薬の効果や副作用を調べる創薬研究、疾患の仕組みを探る研究などへの応用 |
| 細胞を分化・培養して新しい治療法の開発に役立つ | 人工的に培養・分化させ、特定の疾患や臓器に対応する細胞を作り出す研究。新しい治療法や薬の開発につながる基盤技術 |
ES細胞とiPS細胞はいずれも、体内のあらゆる細胞へ分化できる多能性を持つ万能細胞です。
この性質を活かし、損傷した臓器や組織の修復を目指す再生医療の研究や、創薬研究における薬剤評価に利用されています。
細胞を人工的に分化・培養して治療や研究に応用することで、将来の医療の可能性を大きく広げる重要な基盤技術です。
どちらも多能性を持つ万能細胞
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 多能性とは | 身体のほとんどすべての細胞に分化できる能力。神経・筋肉・血液など多様な細胞を生成できる性質 |
| 万能細胞としての特徴 | あらゆる臓器や組織の細胞を生成できる万能細胞。再生医療や基礎研究で重要な役割を果たす細胞 |
| 自己複製能力 | 自らを増やし続ける能力を持ち、大量の細胞を安定的に生成できる特性 |
(文献10)
ES細胞とiPS細胞はいずれも多能性と自己複製能力を持つ万能細胞であり、身体のさまざまな細胞に変化できる点が共通しています。
神経や筋肉、血液など幅広い種類の細胞を生成できるため、再生医療や新薬開発、疾患の研究に欠かせない存在です。
由来する細胞は異なりますが性質は類似しており、将来の医療や治療法開発を支える重要な基盤技術といえます。
再生医療や創薬研究で活用されている
iPS細胞は、体内のあらゆる細胞へ分化できる能力を持ち、疾患や事故で損傷・喪失した細胞や組織を補う再生医療の素材として研究が進められており、心疾患や神経疾患、肝疾患などへの応用も進展しています。(文献11)
動物実験ではiPS細胞由来の前駆細胞を移植して損傷部位の再生を促せたという報告もあります。(文献12)
さらに、患者本人の体細胞から作製したiPS細胞を用い、疾患の状態を再現した細胞モデルを作ることで、薬の効果や副作用を個人単位で評価できる研究も進行中です。このような研究は、疾患のメカニズム解明や新しい治療法の開発において重要な役割を担っています。(文献13)
以下の記事では、iPS細胞と再生医療の関係性について詳しく解説しています。
細胞を分化・培養して新しい治療法の開発に役立つ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 分化誘導とは | iPS細胞を目的に応じて神経細胞・心筋細胞・肝細胞などに変化させるプロセス。必要な細胞を作り出すための工程 |
| 培養技術の重要性 | 細胞が均一に分化・成長する環境を整える技術。三次元培養などの進歩により、高品質な細胞を大量に培養可能 |
| 新しい治療法への応用 | 作製した細胞を移植し、臓器機能を回復させる再生医療への応用。疾患の仕組みの解明や薬の効果評価への利用 |
iPS細胞は、そのままでは特定の機能を持たないため、神経や心筋、肝臓など目的とする細胞へ分化させる分化誘導という工程が必要です。
また、均一で高品質な細胞を得るための培養技術も重要であり、近年は三次元培養技術などの進歩により、大量培養が可能になりました。
こうして作製された細胞は、失われた臓器機能を補う再生医療や、疾患メカニズムの解明、薬剤の安全性評価などに活用されています。
ES細胞とiPS細胞が抱える課題
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 腫瘍化や遺伝子異常などリスクの課題がある | 分化が不十分な細胞が体内で増殖し、腫瘍を形成する可能性。遺伝子導入過程での変異や異常が生じるリスク |
| 品質や安定性を保つための技術的な課題がある | 細胞の品質を一定に保ち、安定した状態で培養・分化させることの難しさ。長期培養での変異やばらつきの発生 |
| 実用化の壁(倫理・コスト・法規制など) | 倫理的配慮や安全性確保のための法的手続き、培養コストや時間などの負担。社会的合意形成の必要性 |
ES細胞とiPS細胞には、実用化に向けていくつかの課題があります。もっとも重要な課題は、分化が不完全な細胞による腫瘍化リスクや、遺伝子導入過程で生じる変異の管理です。
また、細胞の品質を均一に保ち、長期培養での安定性を確保する技術的な難しさも指摘されています。
さらに、倫理的配慮や法的手続き、高額な培養コストなどの実用化に向けた課題もあり、これらを克服するための研究が国内外で進められています。
腫瘍化や遺伝子異常などリスクの課題がある
ES細胞やiPS細胞は無限に増殖できる特性を持つ一方で、腫瘍化や遺伝子異常といったリスクが課題です。
腫瘍化とは、分化が不完全な細胞が制御を失って増殖し、腫瘍を形成する可能性のある現象です。
とくにiPS細胞では、細胞の初期化過程でDNAや染色体に変化が生じることがあり、「染色体の変異やがん関連遺伝子の変化が観察された」とする報告もあります。(文献14)
このようなリスクに対応するため、現在はがん化遺伝子を使わない作製法や、未分化細胞を除去する技術、厳密な品質管理体制の構築など、リスク管理を徹底する取り組みが進められています。
品質や安定性を保つための技術的な課題がある
ES細胞やiPS細胞を医療や研究へ活用するには、細胞の性質や状態を安定して保つ品質管理が不可欠です。品質にばらつきがあると、治療効果が不安定になったり、予期しない有害事象が生じたりするリスクがあります。
とくにiPS細胞では、由来する体細胞や培養履歴の違いによって作成された細胞株間で品質にばらつきが生じることが課題です。(文献15)
近年では、培養中の細胞を非破壊的にリアルタイムで評価する技術や、遺伝子異常を迅速に検出するキット、全自動培養・管理装置などが開発され、品質の均一化と安定性の向上に貢献しています。(文献16)
実用化の壁(倫理・コスト・法規制など)
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 倫理的課題 | 遺伝子改変やクローン技術、キメラ動物作製などに伴う倫理的懸念。生殖細胞や人のクローン作製、体内での臓器合成をめぐる議論 |
| コストの高さ | 作製・培養・品質管理に高額な費用を要する現状。臨床応用や普及を妨げる経済的負担 |
| 法規制と制度面の課題 | リスク面・有効性を担保するための基準整備が追いつかず、臨床試験や実用化に制約が生じる状況 |
| 製造工程・品質の安定性 | 大量生産や長期保存の技術が未確立。品質のばらつきや不良細胞の発生リスク |
ES細胞やiPS細胞は再生医療の発展に期待される一方で、倫理的・技術的・制度的な課題を抱えています。
クローン技術や生殖細胞作製に関する倫理的な議論に加え、細胞の培養や品質管理に多額の費用がかかることが、普及への大きな障壁となっています。
また、リスク管理を徹底するための法整備や、品質管理技術の標準化も十分に進んでいるとはいえません。今後は、倫理規制の明確化やコスト削減、製造技術の向上が重要な課題といえます。
ES細胞とiPS細胞の違いを深く理解するために共通点と課題の両面も知っておこう
ES細胞とiPS細胞はいずれも再生医療に不可欠な技術で、ES細胞は基礎研究に優れ、iPS細胞は倫理的課題が少なく個別化医療に適しています。
両者の特性と違いを理解することで、医療ニュースや臨床研究の進展をより深く理解できるようになるでしょう。
再生医療は今後も急速に進歩していく分野です。ES細胞とiPS細胞の共通点と課題の両面を知ることが、これからの医療を理解するための大切な基礎知識といえます。
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ES細胞とiPS細胞の違いについてよくある質問
ES細胞とiPS細胞はどんな疾患に有効ですか?
ES細胞は心不全、糖尿病、脊髄損傷、加齢黄斑変性などで、iPS細胞はパーキンソン病、網膜疾患、心筋梗塞、肝疾患などで研究が進められています。
いずれも損傷した細胞を新しい細胞で補うことを目的としており、多くは臨床試験段階ですが、将来的な治療応用が期待されています。
以下の記事では、iPS細胞で治せる疾患を一覧で紹介しています。
ES細胞とiPS細胞はどちらが優れていますか?
ES細胞とiPS細胞にはそれぞれ長所と課題があり、優劣をつけることはできません。ES細胞は受精卵由来で分化の安定性が高く、豊富な研究実績があります。
一方、iPS細胞は患者自身の体細胞から作れるため、倫理的課題が少なく免疫拒絶のリスクが低いことが特徴です。
両者は目的に応じて使い分けられており、再生医療や創薬研究において互いを補完しながら発展を続けています。
ES細胞とiPS細胞の治療を受けるにはどうすればいいですか
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 参加条件・募集案内 | 対象疾患・年齢・健康状態・治療歴などの条件に基づく募集。大学病院や専門病院のウェブサイト、公募情報、医師からの案内で確認 |
| 同意取得・倫理審査 | 患者本人または家族への十分な説明と同意(インフォームド・コンセント)の取得。倫理審査を通過した安全性・信頼性の確保 |
| 現在の治療段階 | ES細胞・iPS細胞を用いた治療は臨床研究・治験段階。参加には医学的適応と条件を満たす必要あり |
| 情報収集と相談 | 信頼できる医療機関・研究機関で情報を確認。医師への相談・紹介の重要性 |
現在、ES細胞やiPS細胞を使った治療は、主に臨床研究や治験の段階です。対象疾患や年齢などの条件を満たす患者が、大学病院や専門機関で募集されています。
参加には、治療内容やリスクについて十分な説明を受けて同意するインフォームド・コンセントと、信頼できる医療機関での医師の診察と紹介が必要です。
参考文献
ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方 平成12年3月6日 科学技術会議生命倫理委員会 ヒト胚研究小委員会
Feature 2 New Developments in Regenerative Medicine and Innovative Drugs Using Human iPS Cells
iPS細胞研究の社会的・倫理的課題への取り組み-国際的動向について(スペインでのクローズド・ワークショップでの議論を中心に)|生命倫理専門調査会 2010年1月19日
iPS細胞由来の生殖細胞作成とARTへの利用における倫理的問題|J-SRAGE
History of iPS cells – from birth to medical application|Glycoforum
Induced Pluripotent Stem Cells for Regenerative Medicine|PMC PubMed Central®
Pluripotent Stem Cells: Current Understanding and Future Directions|PMC PubMed Central®
Tumorigenicity-associated characteristics of human iPS cell lines|PLOS One
No.87再生医療トッピクス iPS治療研究センター開設加齢黄斑変性の移植手術から5年、自家培養角膜上皮の保険収載|NPO法人再生医療推進センター















