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【医師監修】iPS細胞とは|メリット・デメリットをわかりやすく解説

ips細胞とは わかりやすく
公開日: 2026.01.29

「専門用語が多すぎて、iPS細胞のことがよくわからない」

「iPS細胞に関する資料や文献がわかりにくくて困っている」

iPS細胞の話題を目にする機会が増え、「医療の可能性が広がっているらしい」となんとなく理解している方は多い一方で、ニュースや資料を見るたびに「専門用語が多すぎて、何が何だかわからない」という声もよく聞かれます。

医学に精通していなくとも「iPS細胞について詳しく知りたい」と考えている方のために本記事では、現役医師がiPS細胞とはどんな細胞なのかをわかりやすく解説します。

  • iPS細胞の作り方
  • iPS細胞が注目される理由
  • iPS細胞を用いた治療のメリット
  • iPS細胞を用いた治療のデメリット
  • iPS細胞で治療が期待できる病気

記事の最後には、iPS細胞に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。

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iPS細胞とは

項目 詳細
iPS細胞とは 普通の細胞を「どんな細胞にもなれる状態」に戻した細胞
イメージ 一度リセットして、いろいろな細胞へ変身できる力を持つ細胞
作り方のポイント 皮膚や血液などの細胞に特別な遺伝子を加えて能力を再設定した細胞
医療で注目される理由 失われた組織を再生する可能性、薬づくりを進める助けとなる細胞
再生医療での期待 心臓・神経・角膜など、傷んだ部位を修復するための新しい細胞の供給源
創薬での役割 患者由来の細胞で薬の効果や副作用を確かめられる研究モデル
発見の背景 2006年に京都大学の山中教授がマウスで成功し、その後ヒトでも実現した技術
現在の進み具合 目の病気、パーキンソン病などでの臨床研究の進展
未来の期待 難病治療の選択肢拡大、再生医療と創薬の発展

iPS細胞は、皮膚や血液などの細胞に特定の因子を加えて作られた、さまざまな細胞へ変化できる特殊な細胞です。

元の細胞を初期化し、生まれ変わった状態に戻すことで、神経・筋肉・血液など多様な細胞へ変化できる性質を持ちます。

この特徴により、失われた組織の再生、難病の研究、薬の効果や安全性の確認など、幅広い分野での活用が期待されています。

まだ研究段階の内容も多く、現時点では応用が限られていますが、今後の医療を支える基盤技術として大きな意義があるといえるでしょう。

坂本 貞範
坂本 貞範
iPS細胞は、間違いなく医療に大きな影響をもたらしてくれます。
治療に限界がある病気なども10年後・20年後、もしかするともっと早期には治療可能な環境になっているかもしれません。
とにかく、再生医療は大きな希望をもたらしています。

以下の記事では、iPS細胞について詳しく解説しています。

【関連記事】

【医師監修】ES細胞とiPS細胞の違いとは?共通点や課題をわかりやすく解説

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iPS細胞の作り方

手順 詳細
1.普通の細胞を取り出す 皮膚や血液から採取した、ごく一般的で決められた働きを持つ細胞
2.細胞に特別な遺伝子を入れる 初期化因子と呼ばれる4つの遺伝子を入れて、細胞をリセットする作業
3.細胞を「赤ちゃんの状態」に戻す 成長した細胞を、どんな細胞にも変われる柔軟な状態へ戻す工程
4.「何にでもできる細胞」への変化 神経・心筋・肝臓など、体のさまざまな細胞に変わる力を持つ段階
5.iPS細胞の完成 リセットされた細胞が「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と呼ばれる状態に到達した段階

iPS細胞は、身体の細胞に「初期化因子」と呼ばれる複数の因子を導入して作製されます。

これによって、成熟した細胞がさまざまな細胞に変化できる状態へ戻ります。この工程には高度な専門技術が必要であり、細胞の状態管理や品質確認が欠かせません。

作製されたiPS細胞は、培養して数を増やし、必要な細胞へ誘導する工程を経て研究や治療に活用されます。すべての工程に綿密なチェックが必要であり、安定した品質の確保が重要な課題とされています。

iPS細胞が注目される理由

注目される理由 詳細
あらゆる細胞に変化できる多能性により難病治療が期待される 神経・心臓・目など、傷んだ組織を新しい細胞で補う可能性
患者自身の細胞を使うため拒絶反応や倫理的な問題が少ない 患者本人の細胞を使うことで、身体になじみやすい傾向である
新薬開発や病気の研究に役立つ 病気の状態を再現した細胞を使い、薬の効果や安全性を確かめる仕組み

iPS細胞が注目される背景には、治療と研究の両面で幅広い可能性が示されていることがあります。

神経細胞や心筋細胞など、これまで再生が難しかった組織への応用も検討され、失われた機能の回復をめざす研究が進んでいます。

さらに、患者自身の細胞をもとに作ることで、拒絶反応の心配を抑えやすいのも利点のひとつです。

薬の効果や副反応を調べる際にも利用され、病気の仕組みを理解するための手がかりとして役立つ点が評価されています。

あらゆる細胞に変化できる多能性により難病治療が期待される

病名 iPS細胞でできること
パーキンソン病 壊れてしまった神経細胞の代わりを作製し、動きの症状を和らげる可能性
心臓病 弱っている心臓の細胞を補い、心臓の働きを支える可能性
加齢黄斑変性 視力に関わる網膜の細胞を補い、見えにくさの改善をめざす可能性
糖尿病(主に1型) インスリンを作れなくなった細胞を補い、血糖のコントロールを助ける可能性

文献1

iPS細胞は、神経・血液・筋肉など多様な細胞へ変化できる力を持つ細胞です。

この特性により、治療の選択肢が限られている難病の研究や新しい治療法の開発が進んでいます。

とくに神経細胞が徐々に失われる病気では、失われた細胞を補う手段として大きな期待が寄せられており、将来の治療に結びつく可能性が示されています。

患者自身の細胞を使うため拒絶反応や倫理的な問題が少ない

iPS細胞が注目される理由として、患者自身の細胞から作製できる点が挙げられます。

自分の細胞を使うため、移植の際に起こりやすい拒絶反応が起こりにくく、身体に受け入れられやすいと考えられています。
また、受精卵を使うES細胞とは違い、倫理的な問題が生じにくい点も大きな利点です。

こうした特徴から、iPS細胞は安全性と受け入れやすさの両面で期待され、将来の医療に役立つ可能性が注目されています。

新薬開発や病気の研究に役立つ

iPS細胞は、治療だけでなく新薬づくりや病気の研究にも役立つ点が高く評価されています。

心臓や脳の細胞は採りにくいため、これまでの研究は動物実験に頼ることが多く、人の身体との違いが課題でした。

iPS細胞を使うことで患者の細胞から心臓や神経など必要な細胞を作製できます。そのため、薬の効き方や副作用をより正しく調べられます。

また、病気の進み方を再現して原因を探ることも可能です。こうした特徴から、新薬開発でも重要な役割を担っています。

iPS細胞を用いた治療のメリット

メリット 詳細
患者自身の細胞を使えるため拒絶反応を抑えやすい 自分の細胞をもとに作ることで、体に受け入れられやすい状態
失われた組織を再生できる可能性がある 傷んだ神経・心臓・目などの細胞を補う治療へのつながり
治療法がなかった難病への応用が期待できる 従来対応が難しかった病気に新しい選択肢を生む可能性

iPS細胞を使った治療には、患者自身の細胞を用いることで拒絶反応を抑えやすい利点があります。また、失われた組織を補える可能性がある点も重要です。

さらに、これまで治療法がなかった難病でも応用が検討されており、細胞の性質を活かし機能低下した部位へ新しい細胞を届けることで、症状の改善につながる可能性が示されています。

以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。

患者自身の細胞を使えるため拒絶反応を抑えやすい

項目 詳細
なぜ自分の細胞を使うのか もともと身体にあった細胞なので、身体が受け入れやすい
一般的な移植の問題点 他人の細胞だと「異物」と判断され、身体が攻撃してしまう(拒絶反応)
iPS細胞のメリット 皮膚や血液など、自分の細胞から作製できるため拒絶反応が起こりにくい
治療への良い影響 強い免疫抑制の薬を減らせる可能性があり、身体への負担が小さくなる
倫理面でのメリット 他人の細胞や受精卵を使わないため、倫理的な問題が少ない

文献2)(文献3

iPS細胞のメリットとして、患者自身の細胞をもとに作製できることが注目されています。

自分の細胞であれば身体が受け入れやすく、移植で起こりやすい拒絶反応を抑えられる可能性があります。

そのため、強い薬で免疫をおさえる必要が少なくなる点が期待されています。また、他人の細胞や受精卵を使わないため、倫理的な問題が少ないことも大きな利点です。

坂本 貞範
坂本 貞範
自己細胞を用いる利点は、「自分の細胞・血液のみで培養すれば体が受け入れやすい事」です。
他人の細胞や血液・上清液では拒絶反応やアレルギーのリスクが高まります。一度体に入れてしまうと何かあってからでは遅ため、自己細胞から培養することを推奨します。

失われた組織を再生できる可能性がある

項目 詳細
再生が難しい理由 壊れた細胞は自然には元に戻りにくい状態
iPS細胞の強み 心臓・神経・網膜など、さまざまな細胞へ変化できる柔軟さ
期待される病気 パーキンソン病・心臓病・加齢黄斑変性・糖尿病などで活用が検討される仕組み
治療の狙い 不足した細胞を新たに作り、機能回復をめざす治療へのつながり
現時点の状況 研究段階のものも多いが、新しい治療の候補として注目される状態

文献4

iPS細胞が注目される大きな理由は、病気やけがで失われた細胞を補う可能性がある点です。心臓や神経のように自然には再生しにくい組織でも、iPS細胞から新しい細胞を作製できる可能性が示されています。

パーキンソン病や心臓病、加齢黄斑変性、糖尿病などで研究が進んでおり、壊れた部分を補って機能を取り戻す治療法として期待されています。

治療法がなかった難病への応用が期待できる

項目 詳細
これまでの課題 壊れた細胞を元に戻せず、病気の進行を抑える治療が中心だった状態
iPS細胞の強み 神経・心臓・網膜など、身体のさまざまな細胞を作製できる柔軟さ
研究が進む病気 パーキンソン病・脊髄損傷・加齢黄斑変性・心不全などでの新しい治療候補
期待される効果 減ってしまった細胞を補い、機能回復をめざす治療へのつながり
現状と見通し 研究段階が多いものの、従来できなかった治療への道を広げる可能性

文献1)(文献5

iPS細胞は、これまで治療の選択肢が限られていた難病に対して、新しい可能性を開く技術として注目されています。

再生が難しい神経や心臓の細胞を作り出せるため、パーキンソン病、脊髄損傷、加齢黄斑変性、心不全などで研究が進んでいます。

減少してしまった細胞を補うという、従来にはなかった治療の考え方を実現できる点が大きな特徴です。まだ研究段階ではあるものの、将来の治療につながる可能性が期待されています。

iPS細胞を用いた治療のデメリット

デメリット 詳細
腫瘍化リスク(がん化の可能性)がある 作られた細胞が増えすぎるなど、予期しない変化を起こす可能性
安定した品質での製造が課題となる 治療に使う細胞を毎回一定の状態で作ることが難しい現状
治療コストが高く患者負担が大きくなる可能性がある 複雑な工程や設備が必要で、治療費が高額になりやすい状況

iPS細胞を使った治療には大きな期待がある一方で、いくつかの注意点もあります。作られた細胞が予想以上に増えてしまい、腫瘍のような変化を起こす可能性があります。

また、治療に使う細胞を毎回同じ品質で作ることが難しく、安全性を保つためには慎重な管理が必要です。さらに、工程が複雑で高度な設備を要するため、治療費が高額になり、患者の負担が大きくなる可能性もあります。

腫瘍化リスク(がん化の可能性)がある

項目 詳細
リスクが生じる背景 iPS細胞の作製過程で細胞が急速に増えやすい状態になること
増えすぎる危険性 増殖の制御がうまく働かないと、細胞が過剰に増えて塊になる可能性
遺伝子の変化 作製中に遺伝子の働きや構造が予期せず変わる場合がある
研究で進む対策 遺伝子を組み込まない方法や、危険な細胞を取り除く技術の開発
現在の課題 リスクを完全にゼロにできないため、安全管理が欠かせない現状

文献6)(文献7

iPS細胞は大きな可能性を持つ一方で、いくつかの課題もあります。作る過程で細胞が必要以上に増え続け、腫瘍のような塊ができてしまうリスクが指摘されています。

遺伝子の働きが予期せず変わったり、細胞が分裂する際に異常が起きたりすることで、がん化につながる恐れもあります。

そのため、より安定的に使えるようにする研究が続けられていますが、現時点ではリスクをゼロにすることは難しく、慎重な管理が欠かせません。

坂本 貞範
坂本 貞範
iPS細胞は製造コストが高く、培養が非常に難しいです。高い技術が必要となってくるため、実用化までは5〜10年ほどの期間を要する可能性があります。

安定した品質での製造が課題となる

項目 詳細
毎回同じ細胞にならない可能性 初期化や培養の条件で細胞の性質に差が出ること
細胞の混ざりやばらつき 成長スピードや遺伝子の働きが細胞ごとに異なること
品質基準の維持が難しい 治療に使える状態かどうかを厳しく確認する必要があること
大量生産の難しさ 細胞を増やす過程で性質が変化しやすいこと
安定性確保の負担 無菌管理・不純物チェック・遺伝子検査など多くの工程が必要なこと

文献8)(文献9

iPS細胞を治療に使うためには、毎回同じ品質の細胞を作製することが欠かせません。

しかし、初期化や培養の条件がわずかに違うだけで、細胞の性質や成長の速さにばらつきが生じることがあります。

さらに、大量に増やす過程で細胞の性質が変わってしまうことも課題です。治療に適した品質かどうかを確かめるには多くの検査や慎重な管理が必要です。

治療コストが高く患者負担が大きくなる可能性がある

iPS細胞を使った治療は、高度な技術が必要なため費用が高額になりやすい課題があります。細胞を作製するには、清潔な専用施設や特殊な機器、専門スタッフによる厳格な管理が欠かせず、準備だけで大きなコストがかかります。

さらに、安全性を確認する検査や、治療に使える量まで細胞を増やす工程にも時間と費用を要します。患者一人ひとりに合わせて細胞を作製する場合、大量生産ができないため費用はさらに膨らみます。

現時点では保険適用が限られており、患者自身の経済的負担が大きくなる点も課題となっています。

iPS細胞で治療が期待できる病気

治療が期待できる病気 詳細
脳・神経の病気(パーキンソン病など) 減少してしまった神経細胞を補い、動きや症状の改善をめざす仕組み
目の病気(加齢黄斑変性など) 傷んだ網膜の細胞を置き換え、見えにくさの改善をめざす治療
心臓・血管の病気 弱った心筋細胞を補い、心臓の働きを支える治療へのつながり
その他、研究が進められている分野(糖尿病・血液疾患など) インスリンを作製する細胞や血液の細胞を補う治療への応用

iPS細胞は、これまで治療が難しかった病気に対して、新しい選択肢を生み出す可能性があります。神経細胞や網膜の細胞、心臓の細胞など、身体の大切な部分を作り出せるため、パーキンソン病や加齢黄斑変性、心臓病などで研究が進んでいます。

また、糖尿病や血液の病気でも失われた細胞を補う治療が期待されており、まだ研究段階ながら将来の治療につながる可能性を持つ技術です。

以下の記事では、iPS細胞で治療が期待できる病気について詳しく解説しています。

脳・神経の病気(パーキンソン病など)

項目 内容
病気の状態 脳のドパミン神経細胞の減少により、身体の動きが悪くなる病気
従来の治療 薬でドパミンを補う方法。失われた神経細胞そのものは補えない
iPS細胞治療の仕組み 患者の細胞からドパミン神経細胞を作製し、脳に移植
期待される効果 失われた神経細胞を直接補い、症状の改善を目指す
現在の状況 研究段階。安全性と効果の確認を慎重に進めている

文献10)(文献11

パーキンソン病では、脳の中でドパミンと呼ばれる物質を作る神経細胞が減ってしまいます。現在の治療は薬でドパミンを補う方法が中心ですが、失われた神経細胞そのものを元に戻すことはできません。

iPS細胞を用いることで、患者自身の細胞から新しい神経細胞を作り、脳に移植して失われた機能を取り戻せる可能性があります。

脳の神経細胞は一度失われると自然には再生しないため、この技術は大きな期待を集めています。ただし、現在はまだ研究段階であり、実用化には効果やリスクの慎重な確認が必要です。

坂本 貞範
坂本 貞範
再生医療は、従来の神経は再生しないという常識を大きく覆します。そんな希望に満ちた治療法です。

以下の記事では再生医療とパーキンソン病の関係性について詳しく解説しています。

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【医師監修】iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の実用化はいつ?効果や課題を解説

パーキンソン病が治る時代になる?注目の先進医療を紹介

目の病気(加齢黄斑変性など)

項目 内容
病気の状態 網膜の中心部(黄斑)がダメージを受け、物がゆがんで見えたり中心が暗く見える病気
従来の治療 病気の進行を抑える方法が中心。傷ついた網膜細胞は元に戻せない
iPS細胞治療の仕組み 患者の細胞から、網膜色素上皮細胞を作り、シート状にして移植
期待される効果 失われた網膜細胞を補い、視力の維持や改善を目指す
現在の状況 日本で臨床研究が進行中。効果やリスクの確認段階

文献12

加齢黄斑変性は、網膜の中心部分がダメージを受けることで、物がゆがんで見えたり、見たい部分が暗くなったりする病気です。現在の治療では進行を遅らせることが中心で、傷ついた網膜細胞を元に戻すことはできません。

iPS細胞を用いることで、患者自身の細胞から網膜の細胞を作り、シート状にして目に移植することで失われた機能を補える可能性があります。

網膜の細胞は一度傷つくと自然には再生しないため、この技術は視力を守る新しい選択肢として期待されています。

心臓・血管の病気

項目 内容
病気の状態 心筋梗塞や心不全で心臓の筋肉がダメージを受け、心臓の力が低下する
従来の治療 薬やカテーテル治療で症状を抑える方法が中心。失われた心筋細胞は元に戻せない
iPS細胞治療の仕組み 患者の細胞から、心筋細胞や血管内皮細胞を作り、傷んだ部分に補う
期待される効果 失われた心筋を補い、心臓の働きを回復させる。血流の改善も目指す
現在の状況 研究段階。効果やリスクを段階的に確認中

文献13

心筋梗塞や心不全では、心臓の筋肉である心筋細胞がダメージを受け、心臓のポンプ機能が低下します。現在の治療は薬で症状を抑える方法が中心ですが、失われた心筋細胞を元に戻すことはできません。

iPS細胞を用いることで、患者自身の細胞から新しい心筋細胞や血管の細胞を作り出して傷んだ部分を補い、心臓の働きを回復できる可能性があります。

心筋細胞は一度失われると自然には再生しないため、この技術は心臓病治療の新しい選択肢として期待されています。

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その他・研究が進められている分野(糖尿病・血液疾患など)

疾患 治療の課題 iPS細胞による研究内容 現在の進捗
1型糖尿病 インスリンを作る膵β細胞が壊れ、血糖の調整が困難 患者の細胞から膵β細胞を作製し、インスリン分泌機能の再建を目指す 細胞作製の研究段階
血液疾患 血液を作る造血幹細胞に異常があり、正常な血液細胞が作れない 造血幹細胞を作り出し、病気の仕組みを解明。遺伝子異常の影響を調べる 病態解明の研究が進行中

文献14

糖尿病や血液の病気は、これまで根本的な治療が難しい領域でした。1型糖尿病では、本来インスリンを作るはずの膵臓の細胞が壊れてしまうため、毎日のインスリン注射が欠かせません。

血液疾患では、血液を作り出す大元の細胞に問題があり、正常な血液が作製できなくなります。iPS細胞の技術により、これらの病気で失われた細胞を人工的に作り出せる道が開けてきました。

とくに血液疾患では、患者の細胞から病気を再現することで、どこに問題があるのかを詳しく調べられるようになっています。実用化にはまだ時間がかかりますが、治療の選択肢を増やす研究として進められています。

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iPS細胞をわかりやすく表現すると将来の医療を変える可能性を持つ技術

iPS細胞は、さまざまな細胞へ変化できる性質を持つことから、再生医療や研究の基盤として期待されています。現時点では研究段階の領域も多いものの、将来の医療を大きく変える可能性がある技術として位置付けられています。

坂本 貞範
坂本 貞範
IPSは未来の治療で、治験ですらほとんで受けられません。
対して、当院で実施している脂肪由来の幹細胞はほぼ同等の効果かつ、費用的にも抑えられており、根本的な治療が行えます。
再生医療について知っているだけでも、いざというときの選択肢となりえます。
セカンドオピニオンとしても、一度再生医療の専門医の話を聞いておくと良いでしょう。

再生医療を用いた治療を検討されている方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、再生医療を応用した治療を提供しています。

ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

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iPS細胞に関するよくある質問

iPS細胞を用いた治療は保険適用されますか?

現在、iPS細胞を使った治療の多くは研究段階であるため、保険適用はされません。実際に行われているのは、安全性を確かめるための臨床研究が中心で、一般の医療機関で受けられる治療ではありません。

今後、効果と安全性がしっかり確認され、国の承認を受けることで保険が使える可能性がありますが、現時点では慎重に評価が続けられています。

iPS細胞を用いた治療はどうすれば受けられますか?

現在、iPS細胞を使った治療は一般の医療として受けられる段階ではありません。多くは臨床研究として行われており、治療を希望する場合は研究に参加する方法のみとなります。

参加には病気や健康状態などの条件があり、必ずしも効果が得られるわけではないため、十分な説明を受けた上で検討する必要があります。

iPS細胞が実用化されるのはいつですか?

iPS細胞を使った治療には大きな期待がありますが、現在のところ「いつ実用化されるか」は断言できません。

日本ではパーキンソン病や加齢黄斑変性などで臨床研究が進んでいますが、これは一般に治療として提供する前の段階です。そのため現時点では、すぐに医療機関で受けられる状況ではありません。

参考文献

(文献1)

指定難病の疾患特異的iPS細胞リソースを構築―希少難病の病態解明や治療法開発に役立つ疾患iPS細胞を多数作製―|京都大学 iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)

(文献2)

iPS細胞を利用した移植:拒絶反応なく定着-マウスiPS細胞とES細胞の免疫原性※1比較に成功-|国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構

(文献3)

再生医療における移植モデルの開発に初めて成功―iPS細胞を用いた移植医療への貢献に期待―|国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

(文献4)

iPS細胞の誕生から医療応用まで|Glycoforum

(文献5)

疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究|再生医療実現拠点ネットワーク事業 再生医療実現拠点ネットワークプログラム

(文献6)

iPS細胞の安全性について|Personal iPS

(文献7)

iPS細胞における造腫瘍性リスク評価に関して|国立がん研究センター がんゲノミクス研究分野 柴田 龍弘

(文献8)

ヒトiPS細胞の品質評価と安定供給への取り組み|産総研 TODAY 2012-06

(文献9)

再生医療用細胞加工物の品質・安全性確保のための科学的課題|国立医薬品㣗品衛生研究所 再生・細胞医療製品

(文献10)

Phase I/II trial of iPS-cell-derived dopaminergic cells for Parkinson’s disease|nature

(文献11)

2018年度 研究事業成果集 iPS細胞を用いたパーキンソン病に対する細胞移植治療の医師主導治験がスタート|国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

(文献12)

加齢黄斑変性に対する自己iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植-安全性検証のための臨床研究結果を論文発表-|京都大学 iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)

(文献13)

iPS細胞から作製した心筋細胞シートの医師主導治験の実施~治験計画前半の移植実施報告~|国立研究開発法人 日本医療研究開発機構

(文献14)

「iPS由来膵島細胞シート移植に関する医師主導治験」の開始について|京都大学医学部附属病院