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視野欠損とは?原因や実際の見え方の種類、緊急性の高い病気を解説

視野欠損
公開日: 2025.12.31

「視野が欠けるまたは狭くなる原因は?」
「どのような見え方の種類があるのかを知りたい」

「視野が欠ける」症状を視野欠損と言い、脳や網膜などがなんらかの原因で障害されると引き起こされます。視野欠損が起きる原因には、脳梗塞脳出血などの病気が隠れているおそれがあるため放置してはいけません。

本記事では視野欠損に関する以下のことを解説します。

視野欠損を引き起こす病気には、緩やかに進行するものから、数時間で急激に進行するものがあります。視野欠損を引き起こす病気の理解を深めるために本記事を参考にしてください。

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視野欠損とは視野が欠ける症状のこと

視野欠損とは、見える範囲(視野)の一部が欠ける症状のことです

視野欠損は大別すると以下のように分けられます。

種類 見え方
視野狭窄 視野の一部または全体が狭くなる
暗点 視野の中に見えない部分がある
半盲 視野の右半分または左半分が見えなくなる

そのほかにも、視野がぼやけたり、カーテンがかかったように見えたりとさまざまな見え方があります。これらの症状は病気により現れ方が異なります。

視野欠損が起きる原因

視野欠損が起きる原因は多岐にわたります。

例えば、以下のような部位が障害されることで視野欠損が引き起こされます。

部位 障害されると視野欠損が起きる部位
後頭葉

・視覚の機能に関わる脳の一部
・脳卒中や脳腫瘍などが原因となる

網膜

・眼球の内側にある神経の膜で光を感じ取る役割を持つ
・網膜が剥がれたり、網膜の血管が詰まったりすることが原因となる

黄斑

・網膜の中心部分で神経繊維が密集しており、ものを見るときに最も重要な部位
・加齢や打撲などによって痛んでしまうことが原因となる

原因によって治療方法や緊急性が異なるため、専門医による正確な診断と適切な治療が重要です。

視野欠損が起きた際の見え方の種類

視野欠損が起きた際の見え方には、以下のような種類があります。

種類 見え方
同名半盲
(どうめいはんもう)
両目ともまたは片眼どちらかの視野半分が欠損する
水平性視野欠損

視野のすべてもしくは上半分、下半分、一部が欠損する

両耳側半盲

両目の視野の外側半分すべてまたは一部が欠損する

両鼻側視野欠損

両目の視野の内側半分すべてまたは一部が欠損する

弓状暗点

視野の中に弓のような形をした暗点が現れる

中心暗点

視野の中心が黒っぽく見えなくなる

閃輝暗点
(せんきあんてん)
視野の一部にギザギザした光の波が現れ一部が見えにくくなる

これらの症状は、危険な病気を示す場合もあります。自己判断はしないで医療機関の受診を推奨します。

緊急性が高い視野欠損を引き起こす病気

緊急性が高い視野欠損を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。

病名 起こりうる視野障害

脳卒中(脳梗塞・脳出血)

同名半盲、四分盲

網膜中心動脈閉塞症
(もうまくちゅうしんどうみゃくへいそくしょう)

突然の急激な視力低下、視野の一部欠損

閉塞隅角緑内障
(へいそくぐうかくりょくないしょう)

急激な視野狭窄
裂孔原性網膜剥離
(れっこうげんせいもうまくはくり)

カーテンをかぶせられたような視野の一部欠損

それぞれの病気について詳しく解説します。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)

脳卒中は、脳の重要な血管が詰まったり破れたりする病気です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などによる動脈硬化によって、引き起こされることが多いです。

脳卒中では、後遺症として同名半盲や視野が4分の1欠損する四分盲が現れることがあります。

また、他にも以下のようなさまざまな後遺症が現れるおそれがあります。

  • 片側の手足の麻痺やしびれ
  • 呂律がまわらない
  • 他人の言うことが理解できない
  • 立位や歩行のバランスがとれない

また、これらは後遺症としてではなく、発症した際の症状としても現れることがあります。後遺症の程度は発症してからどれくらい経過したかによって変わります。疑われる症状が現れている場合は、速やかに救急車を要請してください。

脳卒中の後遺症に対する再生医療

脳卒中の後遺症の治療や再発予防の選択肢に再生医療があります。再生医療とは、人が本来持つ再生能力を活用した治療方法です。

例えば、以下のような後遺症が治療の対象です。

  • 手足のしびれや麻痺
  • 歩行や立位のバランス感覚の低下
  • 関節や筋肉の痛み
  • 言語能力や飲み込む力の低下
  • 排泄に関する障害

当院「リペアセルクリニック」で行っている、脳卒中の後遺症に対する再生医療については以下の症例をご覧ください。

網膜中心動脈閉塞症

網膜中心動脈閉塞症とは、血栓(けっせん:血の塊)や塞栓(そくせん:脂肪などの異物)により網膜の血管が詰まり、突然急激な視力低下が起きる病気です。多くは片眼だけですが、まれに両目に起きることもあります。視野の一部だけが欠けることもあります。

血栓や塞栓ができる原因は、高血圧や糖尿病、動脈硬化、脳血管障害などです。ほかにも、手術やカテーテル検査により発生するケースもあります。

この病気は、発症から24時間以内(1〜2時間以内が望ましい)に血管を広げる治療などをしなければなりません。文献1)突然の視力低下や視野欠損が起きた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)

閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)とは、眼圧が急激に上昇する緑内障のことです。

発作が起きた際は以下のような症状が現れます。

  • 激しい眼の痛み
  • 眼の充血
  • 眼のかすみ
  • 頭痛
  • 吐き気

この状態が続くと急激に視野狭窄が進行します。閉塞隅角の状態にある方は、急性発作を予防する治療を受けることが重要です。治療方法にはレーザーによる手術や白内障手術などの選択肢があります。医師に十分な相談をして検討してください。

裂孔原性網膜剥離

裂孔原性網膜剥離とは、網膜に孔(あな)が開き、眼の中にある水分がその孔に入り込んで網膜が剥がれる病気です。網膜剥離の中でも最も多く見られる種類です。進行すると、カーテンをかぶせられたように視野の一部が欠ける症状が現れます。

また、視野欠損の症状が起きる前触れとして、以下のような症状が現れることもあります。

前触れとなる症状 詳細
飛蚊症(ひぶんしょう)

視野の中に小さな糸くず状やゴマ状のようなものが見える

光視症

光源がないにも関わらず視野の中にチカチカと閃光のようなものが見える

これらの症状は現れないこともあります。網膜剥離は放置すると失明するおそれがあります。疑われる症状が現れている際は、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けてください。

継続治療が必要な視野欠損を引き起こす病気

継続治療が必要な視野欠損を引き起こす病気には、以下のようなものがあります。

病名 起こりうる視野障害
緑内障 視野狭窄
糖尿病網膜症 視野狭窄、視力低下
網膜色素変性症 夜盲、視野狭窄、視力低下
加齢黄斑変性 中心暗点、視力低下

それぞれの病気について詳しく解説します。

緑内障

緑内障とは、眼圧上昇により眼から脳へ視覚情報を伝える神経線維が障害されて、視野が徐々に狭くなる病気です。緑内障にはいくつか種類があり、最も多いのが開放隅角緑内障です。原因ははっきりしていませんが、加齢や遺伝、免疫などさまざまなことが関与していると考えられています。

症状の進行が非常にゆっくりであるため、その変化に気づかないことが多いです。ある程度進行して視野欠損が広がると、自覚できます。初期段階に視野検査を行うと視野欠損を発見できます。

眼圧の上昇で障害された神経線維は回復しません。基本治療となる眼圧を下げる点眼などを早期から始めることが重要です。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、高血糖により網膜の細かい血管が障害される病気です。高血糖状態は、血液の流れが悪くなってしまい、とくに網膜のような細かい血管は影響を受けやすいです。進行すると視野狭窄や視力低下が起きてしまいます。

糖尿病網膜症はかなり進行しても自覚症状がほとんど現れません。明らかな視野狭窄や視力低下が起こるころには、重度の状態になっているケースがあります。糖尿病の方は、定期的に眼の検査を受けることが推奨されます。

網膜色素変性症

網膜色素変性症とは、網膜に異常が見られる遺伝性の病気です。

進行すると以下のような順番で症状が現れる傾向があります。

  • 暗いところが見えにくい「夜盲」が初めに現れる
  • 視野狭窄が現れる
  • 視力低下を自覚するようになる

この病気の進行は非常にゆっくりで、数年から数十年かけて進行します。ただし、個人差があり症状の出る順番も人により異なります。根本的な治療方法なく、症状を遅らせる薬物療法は行われていますが、十分な効果は証明されていません。

加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは、物を正面からはっきり見るために重要な「黄斑」という部分が、年齢とともに障害される目の病気です。原因は老化や喫煙、遺伝、生活習慣などが関連しています。

進行すると以下のような症状が現れます。

  • 中心暗点
  • 視力低下
  • 色覚異常(色が識別できなくなる)

中心がゆがんで見えることもあります。この病気には萎縮型と滲出型があり、萎縮型には明確な治療方法はありません。

滲出型であれば、視力が正常に戻ることは難しいですが、薬物療法やレーザー凝固療法などいくつかの治療方法があります。加齢黄斑変性は早期発見が重要です。疑われる症状が現れていたら早期に医療機関を受診してください。

視野欠損を回復させる方法

視野欠損を引き起こす病気は、病気それぞれによって治療方法は異なり、回復の可能性も変わります。いずれにしても、早期に発見して適切な治療を受けることが重要です。

緑内障や糖尿病網膜症、網膜色素変性症などでは、視野欠損に気づきにくいことがあります。「物によくぶつかるようになった」「車の運転で急な飛び出しに気づきにくくなった」などは、視野の一部が欠けている徴候の可能性もあります。

まとめ|視野欠損が起きたら医療機関を受診しよう

視野欠損はさまざまな原因で起こり、緊急性の高いものから徐々に進行するものまであります。突然の視野欠損や視力低下、目の痛み、頭痛などを伴う場合は、脳卒中や網膜中心動脈閉塞症、閉塞隅角緑内障などのおそれもあるため、速やかに医療機関を受診してください。

また、緩やかに進行する病気が原因の場合は、視野欠損に気づかない場合もあります。視力低下や視野狭窄を自覚したころには、重度となっているおそれもあります。

「物によくぶつかるようになった」「車の運転で急な飛び出しに気づきにくくなった」などは、自覚のない視野欠損が起きている可能性もあります。とくになんらかの生活習慣病を持っている方は注意してください。

視野欠損の原因の一つである脳卒中の予防や後遺症に対する再生医療に関しては以下を参考にしてください。

手術しなくても治療できる時代です。

脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。

視野欠損に関するよくある質問

Q.一時的なストレスにより視野が欠けることはある?

強い心理的ストレスにより、一時的に視覚障害が現れる心因性視覚障害というものがあります。主に7〜12歳の女児に多い病気です。大人もまれに起きるといわれています。視力低下や視覚異常が現れることがあります。

Q.視野が欠けて一時的に灰色に見える症状は?

片眼の血管が血栓などにより詰まり発症する一過性黒内障のおそれがあります。重度の動脈硬化が原因です。

発症すると以下のような症状が片眼に現れます。

  • 灰色の幕が徐々に降りてきて幕は黒色に近づいていく
  • 視野が徐々に狭窄していく

血栓が自然に溶けると症状は改善します。しかし、一過性黒内障は脳梗塞の前触れともいわれています。症状が現れた際は医療機関を受診してください。

Q.視野欠損していても運転免許は更新できる?

運転免許の更新には視力と視野の基準があります。例えば、普通免許の場合は「片方の視力が0.3に達しない場合は、もう片方の視力が0.7以上かつ視野が左右150度以上必要」とあります。文献2)詳細は警察庁ホームページを確認してください。

参考文献

(文献1)
網膜中心動脈閉塞症とは|千葉大学大学院医学研究院眼科学

(文献2)
適性試験の合格基準|警視庁