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【医師監修】腹痛とは?原因や考えられる病気を詳しく解説

腹痛
公開日: 2026.02.22

「突然の腹痛で困っている」

「何日も腹痛に悩んでいる」

突然の腹痛は、食べ過ぎや体の冷え、ストレスなど、身近な原因で起こることもあります。しかし腹痛のなかには、消化管の病気が関係していたり、早急な受診が必要だったりするケースもあるため注意が必要です。

とくに、痛みが数日以上続く場合や、発熱・嘔吐を伴う場合は、重い病気が隠れている可能性があります。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

本記事では、現役医師が腹痛について詳しく解説します。

腹痛の原因

  • 【腹部別】腹痛で考えられる病気
  • 受診すべき腹痛の症状
  • 腹痛の対処法
  • 腹痛の予防法

記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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腹痛とは

腹痛とは、お腹に痛み・不快感・違和感を覚える症状の総称です。原因は胃腸だけでなく、肝臓・胆嚢・膵臓、腎臓、婦人科臓器など多岐にわたります。

食べ過ぎや冷え、生活リズムの乱れなど日常的な要因でも起こりますが、臓器の伸展、運動変化、炎症などにより刺激が神経を介して脳に伝わることで生じます。

腸はストレスや自律神経の影響で検査異常がなくても痛むことがありますが、痛みが続く・強まる・繰り返す場合や、発熱・嘔吐・下痢を伴う場合は医療機関を受診しましょう。

腹痛の原因

原因 詳細
日常的な生活習慣によるもの 食べ過ぎ・飲み過ぎ、冷え、ストレス、睡眠不足、生活リズムの乱れなどによる一時的な腹部不調
消化管に関連する病気によるもの 胃炎・胃潰瘍、感染性胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群(IBS)などに伴う胃腸の炎症や機能低下
急性で注意が必要な病気によるもの 虫垂炎(盲腸)、腸閉塞、消化管穿孔、急性膵炎などによる強い腹痛や重症化リスク
消化器以外の病気によるもの 尿路結石、腎盂腎炎、婦人科疾患(卵巣嚢腫・子宮外妊娠など)など腹部以外の臓器由来の痛み

腹痛の原因は主に、食べ過ぎや冷え、ストレス、睡眠不足など日常的な生活習慣による一時的な不調です。

一方で、胃炎・胃潰瘍、感染性胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群など消化管の病気が関与する場合もあります。

さらに虫垂炎や腸閉塞、急性膵炎など急性で重症化しうる病気、尿路結石や婦人科疾患といった消化器以外の病気が原因となることもあります。

日常的な生活習慣によるもの

日常的な生活習慣が関係する腹痛は、病気ほど深刻ではないものの、胃腸への負担や腸の動きの変化によって起こります。

たとえば、食べ過ぎや早食いで消化が追いつかないと、胃もたれや膨満感、ガスによる不快感が生じます。

また、水分不足や運動不足、食事内容の偏りも腹痛を引き起こす要因です。それらは、腸のぜん動運動を乱し、便秘・下痢を引き起こし腹痛につながります。

さらにストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、腸の働きが過敏または低下し、腹部の不調や便通異常が出やすくなります。

このような腹痛は生活習慣の見直しで改善することも多いですが、症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

消化管に関連する病気によるもの

病名 症状の特徴
急性胃炎・慢性胃炎 みぞおちの不快感や痛み、食後・空腹時の症状、ストレス・薬剤・飲酒の関与
胃・十二指腸潰瘍 みぞおち〜上腹部の痛み、胸やけ、食後に増悪する不快感
機能性ディスペプシア 検査で異常が乏しいのに続くみぞおちの不快感、食後のもたれ、慢性的な軽い痛み
感染性胃腸炎 腹部全体の痛みや不快感、下痢・嘔吐・発熱の併発、ウイルス・細菌の関与
腸閉塞(イレウス) 強い張り感と痛み、嘔吐、便やガスが出ない状態
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病 慢性的な腹痛、下痢、血便、腸の持続的炎症
憩室炎 左下腹部の痛み、発熱を伴うことのある大腸憩室の炎症
虫垂炎(盲腸炎) みぞおち付近の不快感から右下腹部へ移る痛み、発熱、食欲不振

腹痛の原因には、胃腸など消化管の病気が関与することがあります。胃炎や潰瘍ではみぞおちの症状が目立ち、感染性胃腸炎では下痢・嘔吐・発熱を伴いやすいです。

腸閉塞では強い張り感と嘔吐、便やガスが出ない状態が重要なサインとされています。痛みが強い場合や続く場合、発熱や血便を伴う場合は早めの受診が必要です。

急性で注意が必要な病気によるもの

病名 症状の特徴
急性虫垂炎(盲腸炎) へそ周りから右下腹部へ移る痛み、吐き気、食欲不振、発熱、腹膜炎リスク
急性胆嚢炎・胆石発作 右上腹部痛、発熱、背中や右肩甲骨への放散痛、入院・手術リスク
急性膵炎 みぞおち〜上腹部の強い持続痛、背部への放散痛、飲酒・胆石などの誘因
消化管穿孔・腹膜炎 腹部全体の激痛、腹部の硬直、発熱、生命危機を伴う緊急性
大腸憩室炎 左下腹部の痛み、発熱、排便異常、穿孔・膿瘍形成リスク

急性で注意が必要な腹痛には、短時間で悪化し、緊急治療が必要となる病気が含まれます。

右下腹部へ移る痛みは虫垂炎、便やガスが出ず嘔吐を伴う場合は腸閉塞、右上腹部の痛みは胆道系疾患、みぞおちの強い痛みは膵炎が疑われます。

腹部全体の激痛や硬直、発熱を伴う場合は穿孔や腹膜炎の可能性があるため速やかな受診が必要です。

消化器以外の病気によるもの

病名 症状の特徴
尿管結石 腰〜脇腹(側腹部)〜下腹部に及ぶ激痛、血尿、吐き気の併発
膀胱炎・尿路感染症 恥骨上の下腹部の痛みや不快感、排尿時痛、頻尿、残尿感、血尿
卵巣のトラブル(卵巣嚢腫・茎捻転・出血など) 下腹部の片側〜全体の痛み、突然の激痛、吐き気の併発
子宮関連疾患(子宮内膜症・子宮筋腫・月経痛など) 月経周期に関連する下腹部の痛み、鈍痛、違和感の持続
骨盤内感染・膿瘍 下腹部全体〜左右の痛み、発熱、悪臭を伴う分泌物
腹壁由来の痛み(神経絞扼・筋筋膜痛など) 狭い範囲に限局する痛み、体位や動作で増悪する痛み、消化管検査で異常が乏しい所見
血管系の異常(大動脈瘤・血管攣縮など) 激しい腹痛や背部痛、冷や汗、ショック症状を伴う緊急性
胸部や腹部以外の関連痛(心臓・肺疾患など) 腹痛として感じる痛み、胸痛や呼吸困難の併発

消化器以外の病気による腹痛には、泌尿器系・婦人科系・血管系・神経系などさまざまな原因があります。

尿管結石は激しい側腹部痛を、膀胱炎は排尿時の症状を伴うのが特徴です。女性の場合、卵巣や子宮の異常により下腹部の痛みが生じることがあり、月経周期との関連も重要な手がかりです。

また、大動脈瘤や心臓病など生命に関わる疾患が腹痛として現れることもあるため、激痛やショック症状がある場合は速やかな受診が必要です。

渡久地 政尚
渡久地 政尚
腹痛だと思っていた症状が、実は心臓や大動脈が原因だったというケースはそれほど多くはありませんが、一分一秒を争う命に関わる状態であることもあります。
特に表情が苦しそうだったり、のたうつほどの激しい痛みを訴える場合には、心疾患や大動脈疾患といった重篤な病気も念頭に置きながら診察しています。

【腹部別】腹痛で考えられる病気

考えられる病気 詳細
右上腹部の痛み(胆石・胆嚢炎・肝疾患・膵炎) 胆石や胆嚢の炎症による右上腹部痛、肝臓障害による鈍痛、膵炎によるみぞおち〜右上腹部痛
左上腹部(胃炎・潰瘍・膵炎・脾臓の異常) 胃炎・潰瘍によるみぞおち〜左上腹部痛、膵炎による上腹部痛、脾臓の腫大や損傷による左上腹部痛
右下腹部(虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患) 虫垂炎による右下腹部の痛み、憩室炎による下腹部の痛み、尿路結石による下腹部〜腰の痛み、卵巣疾患などによる片側下腹部の痛み
左下腹部(大腸憩室炎・過敏性腸症候群・尿路疾患・婦人科疾患) 大腸憩室炎による左下腹部の痛み、過敏性腸症候群による腹痛と便通異常、尿路感染症による下腹部不快感、婦人科疾患による下腹部の痛み
全腹部(腸炎・食中毒・便秘・ガスなど) 腸炎や食中毒による腹痛と下痢・嘔吐、便秘やガス貯留による腹部膨満と痛み

腹痛は痛む部位によって、疑われる病気の傾向が異なります。右上腹部では胆石・胆嚢炎や肝疾患、膵炎が関与し、左上腹部では胃炎・胃潰瘍、膵炎、脾臓の異常が原因となることがあります。

右下腹部は虫垂炎や尿路結石、婦人科疾患、左下腹部は大腸憩室炎や過敏性腸症候群、尿路・婦人科疾患が代表的です。腹部全体の痛みは腸炎や食中毒、便秘、ガスなどが考えられます。

右上腹部の痛み(胆石・胆嚢炎・肝疾患・膵炎)

病名 症状の特徴
胆石・胆石発作 脂っこい食後に出やすい右上腹部〜みぞおちの差し込み痛、数十分〜数時間の持続、吐き気・嘔吐の併発
急性胆嚢炎 右上腹部の持続痛、発熱・嘔吐の併発、深呼吸や体動で増悪する痛み、右肩・背部への放散痛
肝疾患(肝炎・脂肪肝など) 右上腹部の鈍い不快感、だるさ・食欲不振の併発、黄疸を伴うことのある慢性的経過
膵炎(膵臓の炎症) みぞおち〜右上腹部の強い持続痛、背部への放散痛、吐き気・嘔吐・発熱の併発、重症化リスク

右上腹部の痛みは胆嚢・肝臓・膵臓の病気で起こることがあり、脂っこい食事後の発作的な痛みは胆石、痛みが続いて発熱を伴う場合は胆嚢炎が疑われます。

鈍い不快感にだるさや黄疸を伴う場合は肝疾患、みぞおちの強い痛みが背中へ広がる場合は膵炎が考えられます。症状が強い場合や続く場合は早急に医療機関を受診しましょう。

以下の記事では、肝臓に関する症状について詳しく解説しています。

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左上腹部(胃炎・潰瘍・膵炎・脾臓の異常)

病名 症状の特徴
胃炎(急性・慢性) 左上腹部〜みぞおちの不快感や鈍痛、食後・空腹時の増悪、胸やけ・むかつきの併発、ストレス・暴飲暴食・薬剤・ピロリ菌の関与
胃潰瘍 左上腹部〜みぞおちの焼けるような痛み、空腹時や夜間の増悪、黒色便を伴うことのある出血リスク、慢性化による貧血リスク
膵炎(膵臓の炎症) 左上腹部〜みぞおちの強い持続痛、背部への放散痛、吐き気・嘔吐・発熱の併発、重症化リスク、飲酒・高脂肪食・胆石の誘因
脾臓の異常(脾腫・脾梗塞など) 左上腹部の膨満感や鈍痛、背中や肩への関連痛、易疲労、感染症や血液疾患の関与

左上腹部の痛みは、胃・膵臓・脾臓の異常を示唆します。胃炎や胃潰瘍はみぞおち周辺の不快感が特徴で、食事との関連が見られます。膵炎は激しい痛みが背中に放散し、嘔吐や発熱を伴うため緊急性が高い場合があります。

脾臓の異常は比較的まれですが、膨満感や易疲労感がみられる場合は、血液疾患が関与している可能性もあります。症状が持続する場合や強い痛みがある場合は早めの受診が必要です。

以下の記事では、潰瘍性大腸炎について詳しく解説しています。

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右下腹部(虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患)

病名 症状の特徴
虫垂炎(盲腸炎) みぞおち・へそ周りから右下腹部へ移る持続痛、押すと増悪する痛み、吐き気・嘔吐・食欲不振・発熱の併発、腹膜炎リスク
憩室炎(右側型) 右下腹部の持続痛、発熱・下痢の併発、血便を伴うことのある炎症所見
尿路結石(尿管結石) 背部〜側腹から右下腹部へ放散する激痛、血尿・排尿時痛・吐き気の併発
婦人科疾患(女性のみ) 片側下腹部の痛み、突然の激痛や持続痛、嘔吐・発熱・不正出血を伴うことのある緊急性(卵巣出血・茎捻転・PID・子宮外妊娠など)

右下腹部の痛みは、虫垂炎・憩室炎・尿路結石・婦人科疾患などが原因となります。虫垂炎では、みぞおちやへそ周りの不快感から右下腹部へ痛みが移動し、発熱や吐き気を伴う点が特徴的です。

尿路結石は背中から下腹部へ放散する激痛と血尿が見られます。女性の場合、卵巣疾患や子宮外妊娠など緊急性の高い原因もあるため、強い痛みが続く場合は早急に医療機関を受診しましょう。

渡久地 政尚
渡久地 政尚
虫垂炎は「盲腸」として広く知られている病気ですが、典型的な痛みの経過をたどらないケースも多く、診断が難しくなる場合があります。
痛みの場所だけでなく、その他の症状や身体所見なども含めて総合的に判断していくことが大切です。

以下の記事では、左脇の腹の痛みについて詳しく解説しています。

左下腹部(大腸憩室炎・過敏性腸症候群・尿路疾患・婦人科疾患)

病名 症状の特徴
大腸憩室炎 左下腹部の局所的な鋭い痛み、発熱、下痢・便秘などの便通異常、血便を伴うことのある炎症所見
過敏性腸症候群(IBS) 左下腹部を含む腹部全体の断続的な腹痛・不快感、便秘・下痢・交互性などの便通異常、腹部膨満感、ストレスや生活習慣の関与
尿路疾患(尿路結石・尿管炎・膀胱炎) 側腹〜左下腹部へ放散する痛み、波のある疝痛(結石)、血尿、排尿時痛、頻尿、感染時の発熱
婦人科疾患(女性に特有の原因) 左下腹部の片側性疼痛、突然の激痛(卵巣茎捻転など)、持続する下腹部の痛み(子宮内膜症など)、月経異常・不正出血の併発

左下腹部の痛みは、大腸憩室炎・過敏性腸症候群(IBS)・尿路疾患・婦人科疾患などで見られます。

憩室炎では左下腹部の局所痛に加え、発熱や便通異常、血便を伴うケースがあります。IBSは検査で異常が見られなくても腹痛と便通異常を繰り返し、ストレスが誘因となることが多いです。

尿路結石や感染症では、側腹から下腹部へ放散する痛みや排尿症状が見られます。女性の場合、卵巣・子宮の病気も鑑別が必要となります。

全腹部(腸炎・食中毒・便秘・ガスなど)

病名 症状の特徴
腸炎・感染性胃腸炎(腸全体の炎症) 腹部全体のけいれん様の痛み、下痢・嘔吐・発熱の併発、脱水リスク
食中毒 腹部全体の不快感やけいれん様の痛み、下痢・吐き気・嘔吐、発熱や血便を伴うことのある急性症状
便秘 腹部全体の張り感や鈍痛、圧迫感、腹部膨満、排便困難、ガス貯留
ガス(おなら・ガス溜まり) 腹部全体の圧迫感や張り、腹部膨満、おならの増加、便通不良に伴う不快感

腹部全体の痛みは、腸の炎症や腸内ガス、便の滞留などで起こりやすい症状です。下痢・嘔吐・発熱を伴う場合、腸炎や食中毒が疑われるため、脱水には注意が必要です。

また、便秘やガスによる痛みでは張りや圧迫感が目立ち、排便状況との関連が見られます。血便・高熱・強い痛みがある場合や症状が持続する場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

受診すべき腹痛の症状

受診すべき症状 詳細
強い・持続する腹痛や悪化 我慢できない強い痛み、数時間以上続く痛み、徐々に増悪する痛み、動くと悪化する痛み
発熱・嘔吐・持続する消化器症状がある 38℃以上の発熱、繰り返す嘔吐、水分摂取困難、下痢・便秘の長期化、強い吐き気、脱水兆候(口渇・尿量減少)
出血や異常な排泄物がある場合 血便・黒色便、吐血、コーヒー残渣様の嘔吐、血尿、膿や粘液を伴う便、便が極端に細い状態の持続
めまい・意識障害・特別な状況がある 立ちくらみ・冷や汗・顔面蒼白、意識がぼんやりする状態、ショック症状(脈が速い・息苦しさ)、妊娠中の腹痛、高齢者・小児の強い腹痛、腹部手術歴のある腹痛

腹痛の多くは一時的に軽快しますが、強い痛みが続く場合や時間とともに悪化する場合は、急性疾患が隠れている可能性があります。

発熱・嘔吐・下痢が止まらず水分が取れないときは脱水にも注意が必要です。血便や黒色便、吐血などの出血症状は緊急性が高い所見となります。

また、めまいや意識の低下、妊娠中の腹痛、小児・高齢者の強い腹痛の場合、早急に医療機関を受診する必要があります。

渡久地 政尚
渡久地 政尚
受診が遅れがちなのは、症状が出た時間帯が土日祝日や夜間の場合です。救急外来への受診をためらい、かかりつけの病院が開くまで様子を見ようとする方が多い印象があります。
軽度の腹痛であれば様子を見ること自体は問題ありませんが、重篤な疾患ほど症状の進行が急激なことがあります。痛みがひどくなってきている場合には、時間帯を問わず救急外来を受診することをおすすめします。

強い・持続する腹痛や悪化

強い腹痛が続く場合や時間とともに悪化する場合は、医療機関の受診が必要です。激しい痛みは虫垂炎・腸閉塞・消化管穿孔・膵炎・胆嚢炎など急性疾患の可能性があります。

また、数時間から数日以上痛みが続く場合は単なる消化不良や軽い胃腸炎ではなく、感染・血流障害・臓器の損傷や閉塞などが疑われます。

さらに発熱・嘔吐・血便・黒色便・食欲不振などを伴うと重症化のリスクが高まるため注意が必要です。

放置すると腹膜炎や敗血症など命に関わる合併症を招くおそれがあります。

発熱・嘔吐・持続する消化器症状がある

腹痛に発熱・嘔吐・下痢などの消化器症状が加わり、数日たっても改善しない場合は受診が必要です。

発熱を伴う腹痛は、感染性胃腸炎など消化管の炎症や感染が関与している可能性が高く、症状の経過や脱水リスクを含めた評価が重要になります。

また、虫垂炎のように初期は消化不良に似た症状でも、進行すると痛みが増し、重症化する場合もあります。

嘔吐が続くと水分と電解質が失われ、脱水や全身状態の悪化を招くおそれがあり、とくに小児や高齢者では注意が必要です。

出血や異常な排泄物がある場合

腹痛に血便・黒色便・粘液便などの排泄物の異常を伴う場合、消化管の出血や炎症が背景にあるため、受診が必要です。

鮮血は肛門や大腸下部からの出血が疑われます。黒色便(タール便)は胃・十二指腸など上部消化管出血のサインです。

痔など良性の原因もありますが、潰瘍性大腸炎・感染性腸炎・虚血性腸炎・大腸がん・憩室出血などの病気が隠れている場合もあります。

血の量が多い場合、繰り返す場合、血の塊が出る場合は緊急性が高く、発熱・下痢・体重減少・めまいを伴うときも医療機関での受診が必要です。

以下の記事では、腹痛を伴う下痢の症状について詳しく解説しています。

めまい・意識障害・特別な状況がある

腹痛にめまい・ふらつき・ぐったり感・意識がはっきりしない状態を伴う場合は、受診が必要です。嘔吐や下痢、発熱で水分が失われると脱水や血圧低下を起こしやすく、脳への血流が減少して立ちくらみが出ることがあります。

さらに反応が鈍い場合や意識障害が見られる場合は、ショック・重い感染症(敗血症)・内臓出血など重篤な病態の可能性があり、救急受診の目安となります。(文献1

とくに妊娠中の方や高齢者、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、注意が必要です。

腹痛の対処法

対処法 詳細
基本的な応急対応(安静・姿勢・休息) 無理をせず安静保持、膝を曲げた楽な姿勢(横向き・仰向け)での休息、腹圧をかけない動作、症状の経過観察
水分補給と消化に優しい食事 少量頻回の水分補給(経口補水液・白湯など)、嘔吐がある場合の段階的摂取、消化に良い食事(おかゆ・うどんなど)、脂質や刺激物の回避
お腹を温める・身体を冷やさないようにする 腹部の保温(カイロ・腹巻など)、入浴や温かい飲み物による体温維持、冷たい飲食の回避、薄着や冷えの予防

腹痛がある場合は、まず無理をせず安静にし、膝を曲げた楽な姿勢で休むことが基本です。嘔吐や下痢がある場合は脱水を防ぐため、白湯や経口補水液などを少量ずつこまめに摂取しましょう。

食事は症状が落ち着いてから、おかゆやうどんなど消化にやさしいものから再開します。また、脂っこいものや刺激物は避けましょう。

冷えが原因となる腹痛もあるため、腹部を温めることや身体を冷やさない工夫も大切です。

以下の記事では、腹痛の治し方について詳しく解説しています。

基本的な応急対応(安静・姿勢・休息)

腹痛が起きたときは、まず安静にして楽な姿勢で休むのが基本です。身体を動かし続けると腹部の筋肉が緊張し、胃腸の動きが刺激されて痛みが強くなることがあります。

横になる、仰向けで膝を曲げる、横向きになるなど負担の少ない体位をとることで、腹部の緊張が和らぎ痛みが落ち着く場合があります。

また、休息は消化不良やストレスなどで乱れた体の回復を助け、症状の改善につながります。安静にしても痛みが軽くならない場合や悪化する場合は、重症化する前に医療機関を受診しましょう。

水分補給と消化に優しい食事

腹痛があるときは、水分補給と消化にやさしい食事が回復を助けます。水分は消化・栄養吸収・便の通過に必要です。それらが不足すると消化が遅れたり便が硬くなったりして、便秘や腹部不快感が悪化することがあります。

とくに下痢や嘔吐を伴う場合は脱水や電解質異常を起こしやすいため、経口補水液などを少量ずつこまめに摂取することが重要です。

食事は脂っこいものや刺激物を避け、おかゆ・うどん・スープなど胃腸に負担の少ないものを少量から再開することで、腸への刺激を抑えた栄養補給が期待できます。

お腹を温める・身体を冷やさないようにする

腹痛があるときにお腹を温め、身体を冷やさないようにすることは、症状の緩和に役立つ場合があります。

温めることで血流が促され、腹部周囲の筋肉の緊張がほぐれやすくなるため、こわばりによる不快感の緩和が期待されます。

また、冷えは腸の動きを乱して腹痛や便通の不調につながることがあるため、腹部を保温し、湯たんぽや温熱パッド、温かい飲み物などで無理のない範囲で温めることが大切です。

ただし、強い痛みや発熱を伴う腹痛では炎症性疾患の可能性も示唆されます。自己判断で温め続けると症状が悪化するおそれがあるため、医療機関を受診しましょう。

渡久地 政尚
渡久地 政尚
お腹を温めることは腹痛を和らげる方法として一般的ですが、注意が必要なケースもあります。
発熱を伴っていたり、痛みが強く顔をしかめるほどだったり、症状が徐々に強くなっている場合は、温めることで一時的に楽になり受診のタイミングが遅れたり、炎症を悪化させたりする可能性があります。
このような症状がある際は、温めずに早めに医療機関を受診してください。

腹痛の予防法

予防法 詳細
生活習慣を整える 規則正しい睡眠と休養、適度な運動習慣、ストレス管理、冷えの予防、暴飲暴食の回避
食事の工夫で腸内環境を整える 食物繊維・発酵食品の適量摂取、脂っこい食事や刺激物の控え、よく噛む習慣、腸に負担をかけにくい食事内容
水分補給と消化にやさしい生活を心がける こまめな水分摂取、アルコール・カフェインの過剰摂取回避、冷たい飲食の控え、腹部を冷やさない生活、便秘予防の習慣化

腹痛は、生活習慣や食事内容の乱れ、ストレス、冷えなどが引き金となって起こることがあります。予防には睡眠や運動を含めた生活リズムを整え、暴飲暴食を避けることが大切です。

食事は食物繊維や発酵食品を適量取り入れ、脂っこいものや刺激物を控えることで腸内環境の安定につながります。さらにこまめな水分補給や身体を冷やさない工夫を続けることで、便通の乱れや胃腸への負担を減らし、腹痛の再発予防に役立ちます。

生活習慣を整える

生活習慣を整えることは腹痛の予防に欠かせません。腸の働きは自律神経の影響を受けるため、規則正しい起床・就寝・食事のリズムを保つことで自律神経のバランスが整い、腸のぜん動運動がスムーズになります。

また、規則正しい生活は腸内環境や消化機能を安定させて腹痛や便通異常を起こしにくくする一方、ストレスや不規則な生活は腸の動きを乱し、腹痛・下痢・便秘などの症状を招くおそれがあるため注意が必要です。

研究では、規則正しい食生活・適度な運動・良好な睡眠といった生活習慣の改善が、過敏性腸症候群(IBS)など慢性的な腹部症状の発症リスクを減らす可能性が示唆されています。(文献2

食事の工夫で腸内環境を整える

食事の工夫で腸内環境を整えることは、腹痛の予防において大切です。腸内細菌は消化・栄養吸収・免疫・炎症の調整に関わり、バランスが崩れると腹痛や便通異常を招きやすくなります。

野菜・果物・豆類・全粒穀物などに多い食物繊維は善玉菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を通じて腸のバリア機能や便通の改善に役立つほか、ヨーグルト・納豆・味噌などの発酵食品は善玉菌を補い、腹部膨満や不快感の予防につながります。

一方で高脂肪・高糖質の食事や加工食品に偏ると腸内環境が乱れやすいため、多様な食品をバランスよく摂ることが大切です。

水分補給と消化にやさしい生活を心がける

適切な水分補給は、消化と便通を支える大切な習慣です。水分は食べ物の分解や栄養吸収を助け、便を柔らかくして排出をスムーズにします。

不足すると便秘や腹部の張りなど不快感が出やすくなります。また、腸のぜん動運動(内容物を送る動き)にも関与しており、脱水状態では腸の動きが低下し、便通異常の原因となります。

さらに水分は栄養素が腸から血液へ吸収される過程にも必要です。水分が欠乏すると体調不良につながる可能性があります。

胃腸が弱っているときは冷たい飲み物を避け、白湯や麦茶など刺激の少ない飲み物をこまめに摂取することが大切です。

改善しない腹痛は当院へご相談ください

腹痛は一時的に落ち着くこともありますが、繰り返す、長引く、以前より強くなる場合は原因の確認が必要です。

腹痛の背景には胃腸の不調だけでなく、胆嚢・膵臓・尿路・婦人科など腹部のさまざまな臓器の異常が関与することがあります。

症状の経過や痛む部位、便の変化、発熱や吐き気の有無を整理しておくと、受診時に必要な検査や診療につながりやすくなります。

改善しない腹痛についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腹痛の症状や状態によっては、再生医療を用いた治療を提案しています。

再生医療は、患者さん自身の細胞(幹細胞など)を用いる治療法のひとつです。治療内容によっては手術のような侵襲や薬物療法に伴う副作用のリスクを抑えられる可能性があります。ただし、適応や有効性は疾患や治療法によって異なるため、医師と十分に相談した上で検討されます。

ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

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腹痛に関するよくある質問

腹痛に関する難病ってありますか?

病名(指定難病) 症状の特徴
潰瘍性大腸炎 大腸粘膜の慢性炎症・潰瘍、腹痛・下痢・粘血便が中心で原因不明
クローン病 小腸〜大腸の慢性炎症、腹痛・下痢・血便・体重減少、症状の長期化

文献3)(文献4

腹痛の原因となる難病として、代表例が潰瘍性大腸炎とクローン病です。いずれも厚生労働省の指定難病に含まれる炎症性腸疾患(IBD)です。

大腸や小腸に慢性的な炎症が起こり、腹痛に加えて下痢・粘血便(血便)・体重減少などが続くことがあります。症状が長引く場合は早めに消化器内科を受診しましょう。

以下の記事では、腹痛に関する難病について詳しく解説しています。

渡久地 政尚
渡久地 政尚
腹痛に加えて、血便や1週間以上続く下痢があれば早めに受診してください。

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性行為をした後に下痢になるのはなぜですか?

性行為のあとに下痢や腹部不快感が出る場合、骨盤内への刺激や体勢による腹部圧迫で腸の動きが一時的に活発になることがあります。

もともと過敏性腸症候群(IBS)など腸が敏感な体質では、刺激で下痢が起こりやすい傾向があります。

また、肛門・直腸への接触がある場合は感染症(性感染症など)による腸症状の可能性も否定できません。症状が続く、発熱や血便を伴う場合は医療機関を受診しましょう。

腹痛に効くツボはありますか?

腹痛に対して「確実に有効」と結論づけられるツボは、現時点では十分な医学的根拠が限られています。ツボ押し(指圧・鍼灸)で一時的に不快感が軽くなる方もいますが、原因となる病気を治す根拠は十分ではなく、標準治療として位置づけられていません。

合谷(手の甲)・足三里(膝下)・中脘(みぞおちとへその中間)などが知られていますが、効果には個人差が大きく科学的エビデンスは限定的です。強い腹痛・発熱・出血・症状の持続がある場合は、ツボに頼らず医療機関を受診しましょう。

以下の記事では、腹痛とツボとの関係性について詳しく解説しています。

参考文献

(文献1)

緊急度判定プロトコルVer.1救急受診ガイド(家庭自己判断)|消防庁

(文献2)

Lifestyle Factors Associated with Abdominal Pain in Quiescent Inflammatory Bowel Disease|PubMed Central®

(文献3)

潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター

(文献4)

クローン病(指定難病96)|難病情報センター