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シンスプリント(すねの内側に走る痛み)に悩まされている方は多いのではないでしょうか。 とくにランナーやジャンプ動作の多いスポーツ選手は、この痛みで思うように練習ができず、「いつになったら治るのか」と不安を抱えてしまいます。 シンスプリントは放置すると慢性化し、練習や試合への影響も長引く恐れがあるため、早期のケアと原因の把握が重要です。 本記事では、シンスプリントの原因やメカニズムを丁寧に解説しつつ、よく混同される疲労骨折との違いにも触れます。 痛みの出方や回復のスピードは人それぞれですが、症状と向き合い適切に休養を取ることで、回復を早めることが期待できます。 「どのくらい休む必要があるのか」「休んでいる間にできることは?」といった不安を解消し、スポーツに早く復帰するためのヒントを見つけていただければ幸いです。 シンスプリントの原因・メカニズム シンスプリントとは、別名で脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれ、すねの内側(脛骨内側)に慢性的な痛みや違和感が生じる障害の総称です。 使いすぎ症候群(オーバーユース)のひとつで、走ったり飛んだりする激しい運動のスポーツに多く見られます。 バスケットボールやサッカー、ランニングを伴うスポーツを頻繁にしている選手に多く、日本では春先にクラブ活動が活発になる新学期の4月ごろから発症が増加します。 発生要因はさまざまですが、過剰なトレーニングや足に負担のかかるランニングフォームのような内的要因から、硬いグラウンドや路面でのトレーニング、クッションが薄いシューズの使用で足に負担がかかることで起きる外的要因などが考えられます。 すねには前脛骨筋や後脛骨筋をはじめとする複数の筋肉が付着しており、これらが強い衝撃や過度な運動量にさらされることで、脛骨(けいこつ)の周りにある骨膜が炎症を起こし、痛みが発生します。 とくに練習量を急激に増やしたり、柔軟不足のままハードなトレーニングを続けたりすると、負荷が一気にかかりシンスプリントが起こりやすくなります。 症状としては、初期段階では走り始めやジャンプ前後に鈍い痛みを感じ、休めばある程度治まります。 しかし、進行すると何もしていないときでも痛むようになり、さらに放置すると慢性化して長期離脱を余儀なくされるケースも珍しくありません。 早い段階で休養に入り、運動量の調整が大切です。 疲労骨折との違い シンスプリントと同じように「すねの痛み」を伴う症状として、疲労骨折がよく挙げられます。 どちらもランナーやスポーツ選手に多い障害ですが、症状は根本的には大きく異なる状態です。 シンスプリント:すねの骨膜が炎症を起こしている 疲労骨折:骨自体にひび(亀裂)が入った状態 シンスプリントはあくまで炎症や微細な負荷が蓄積した結果であり、骨折とは段階が違います。 痛みの出方や治り方も異なるため、痛みが強く「骨がじんじんする」「力をかけるとさらに痛い」と感じた場合は、単なるシンスプリントではなく疲労骨折を疑う必要があります。 ただ、混合して認識されてしまう点としては、痛みの発生カ所が似ている点です。 疲労骨折もシンスプリントもふくらはぎの内側に痛みを感じるため、区別が難しいとされています。 いずれにせよ、疲労骨折が進行してしまった場合、医療機関でレントゲンやMRIで骨折かどうか判断してもらえるので、自己判断で放置せず専門家に相談が重要です。 シンスプリントと疲労骨折を混同したまま練習を続けると、回復までに長期間かかるリスクが一気に高まりますので、早めの対処を心がけましょう。 シンスプリント完治まで休む期間 シンスプリントは症状の度合いによって休む期間や復帰に向けたアクションも変わります。 身体と相談しながら休む期間を設定しましょう。 軽症~中度の目安 シンスプリントが比較的軽度の段階であれば、目安として2週間程度の安静を保つことで痛みがかなり和らぐケースが多いとされています。 ただし、痛みが引いたからといってすぐに元の運動量に戻してしまうと、再び負荷がかかって再発するリスクが高まります。 軽度から中度の場合でも、無理をせず段階的に運動を再開しましょう。 運動を完全に休む期間は、人によっては「1週間程度で痛みがおさまる」こともありますが、痛みがなくなった直後が最も危険ともいえます。 焦って運動強度を以前の水準まで一気に戻すと、痛みがぶり返して長引く原因になるからです。 そのため、「痛みが消えたあともしばらくは負荷を抑え、様子をみながら徐々に復帰する」ことが大切になります。 重症例や慢性化したときの休む期間 痛みが強い場合や、何度も繰り返して慢性化してしまったケースでは、完治までに2〜3カ月以上の休養が必要になることがあります。 さらに、痛みがずっと続く難治性のシンスプリントでは、半年以上にわたって治療とリハビリを続ける必要が生じることも珍しくありません。 とくに慢性化すると炎症が長期間にわたって続き、骨膜や周囲組織へのダメージが深刻になりがちです。 こうした場合は、痛みの度合いや経過を慎重に観察しながら、医療機関での検査やリハビリ指導を受ける必要があります。 短期間で無理に運動を再開すると、さらに症状が悪化し復帰までの期間が長期化してしまう可能性があるため注意しましょう。 シンスプリントで休んでいる期間にするべきこと シンスプリントによる痛みが強いときは、患部への負荷への負担を減らし、炎症を抑えましょう。(文献1) 痛みがあるまま運動を続けると症状が悪化し、結果的に長期離脱につながるリスクがあります。以下のポイントを意識して早期復帰を目指しましょう。 発症直後の治療法 シンスプリントを発症して痛みが強い急性期には、まず患部の安静が欠かせません。 以下のような保存療法を組み合わせると、痛みの軽減と回復を早めることが期待できます。 安静 痛みが出る運動を控え、患部への負担を極力減らす アイシング 炎症や痛みが強いときは、1回15〜20分程度を目安に1日数回冷やす 痛み止めの内服・外用 必要に応じて使用し、炎症や痛みを抑える 物理療法 病院やクリニックで電気療法・超音波治療によって、血流促進や組織の回復を助ける 装具療法(インソール) その方の足に合ったオリジナルのインソールを作成します。足底のアーチを足の形と合わせて作成し、痛みを軽減する 急性期の炎症が落ち着くと痛みも和らぎますが、ここで安易に「もう大丈夫だろう」と判断すると再発リスクが高まります。 痛みがある程度引いた状態でも、医師やトレーナーの指導を受けながら慎重に運動量を調整しましょう。 シンスプリントの一般的な治療法 痛みが落ち着いた後や、慢性期においては、以下のようなアプローチで症状の改善や再発防止を目指します。 ストレッチ・マッサージ ふくらはぎや足首まわりの筋肉が硬くなると、すねへの負荷が増しやすくなります。適切なストレッチやマッサージで、筋肉を柔軟に保つことが大切です。 テーピングやサポーター 足首やすねの筋肉をサポートし、骨膜への負担を軽減できます。正しい貼り方や装着方法を学び、運動時に活用すると効果的です。 湿布の活用 痛みが強い場合や炎症を抑えたいときには、鎮痛成分や消炎成分を含む湿布を活用する方法もあります。運動後に患部へ貼ることで、熱感や腫れをある程度コントロールし、回復を促進するサポートになる可能性があります。ただし、肌がかぶれやすい方は注意が必要なため、医師や薬剤師に相談しながら使用しましょう。 シンスプリントにおける再生医療の効果 近年では、自己の細胞や血液成分を活用した再生医療も注目を集めています。 なかでも「PRP療法(多血小板血漿療法)」は、損傷組織の修復や炎症の緩和を促進するとされ、シンスプリントの改善にも一定の可能性が期待されています。 PRP療法では、自分の血液を採取し、血小板を濃縮して患部に注入し、回復をサポートする成長因子を集中して届けます。 通常の保存療法と併用すると、より早期の回復や慢性化の予防につなげられる可能性があり、当クリニックでは、再生医療のプロフェッショナルとして、数多くの患者さまのお悩みを解決して参りました。 PRP療法にご興味がある方は是非以下のリンクにPRP療法についての詳細を記載しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。 また、当クリニックでは無料相談も行なっておりますので、不明点などございましたらお気軽にご連絡ください。 シンスプリント完治後の再発予防ポイント シンスプリントが完治した後は、再発を防ぐ工夫が必要になります。 痛みが完全に消えても以前と同じトレーニングをいきなり再開すると再発リスクが高まるため、以下の点を意識しましょう。 運動再開のタイミング シンスプリントの痛みが落ち着いたあと、いつ・どの程度から運動を再開すべきかは悩みどころです。 治ったからといって、いきなり元の練習量に戻してしまうと、再発するリスクが高くなります。 以下のポイントを意識しながら少しずつ負荷を上げていくことが望ましいでしょう。 トレーニング計画の見直し 急に過度な練習量や負荷をかけないようにします。シーズン初めや運動開始直後の時期には、走行距離やジャンプの回数を徐々に増やし、身体が慣れる時間を設けます 痛みが出始めたら早めに休養を取り、悪化する前の対処が重要です。 シューズと練習環境の改善 クッション性の高いシューズを使用し、靴底がすり減ってきたら早めに買い替えます。できるだけ柔らかい地面を選んで練習し、アスファルトなど硬い路面での長距離走は避けるようにしましょう。 柔軟性の向上 日頃から下腿のストレッチを習慣づけ、ヒラメ筋や後脛骨筋などふくらはぎ周囲の筋肉の柔軟性を高めておきます。運動前のウォーミングアップも入念に行い、筋肉や腱・骨膜への血流を良くしてからスポーツに臨みましょう。 筋力強化とフォーム改善 下肢の筋力、とくに着地の衝撃を支える太ももやふくらはぎの筋力を強化すると、ランニングやジャンプ時の負担を軽減できます。加えてランニングフォームを見直し、着地の際は膝とつま先の方向を揃える、ドスンドスンと音を立てずソフトに着地するといった動作を心がけます。必要に応じて専門家からフォーム指導を受けるのも良いでしょう。 足のアーチサポート 偏平足で土踏まずのクッション機能が低下している人は、衝撃がダイレクトに脛骨へ伝わりやすいため注意が必要です。アーチを支えるインソールを用いることでアーチを強化し、衝撃を和らげましょう。 体重管理 急激な体重増加は下肢への負担を増やします。筋力が追いつかない状態で体重だけ増えるとシンスプリントが再発しやすくなるため、増えた体重を支えられるよう下半身の筋力トレーニングも並行して行ってください また、再発防止のためにはポイントだけでなく以下のステップを意識しましょう。焦らず徐々に身体を慣らしていくことが一番近道です。 歩くことから始める 痛みや違和感がないか確認しながらウォーキングを取り入れてください。 軽いジョギング 短い距離や時間であれば問題ないかをチェックしましょう。 インターバルを十分に取りつつ運動量を増加する 痛みが再発しない範囲で徐々に負荷を高めていき、本格的に復帰を果たしましょう。 もしウォーキング段階で痛みがぶり返すようであれば、再度休養や治療を挟む必要があります。焦らずに段階を踏み、身体の声を聞きながら復帰の速度をコントロールしましょう。 以上の対策を講じ、症状に注意しながら段階的に運動を再開できると、シンスプリントの再発リスクを下げ、スポーツを続けられます。 無理のない計画的なトレーニングとコンディション管理が再発予防の鍵となります。 シンスプリントは十分な休息期間を設けて改善に努めよう シンスプリントは、無理してトレーニングを続ければ続けるほど、症状が長引きやすい障害です。 痛みが出始めた段階で対策を講じ、運動量を調整して、回復期間の短縮が期待できます。 休む期間をつくりたくない気持ちはアスリートであれば誰もが抱えるものですが、やむを得ず長期離脱するよりも、短期の休養や適切なケアを優先したほうが結果的にスポーツへの復帰が早まるケースも少なくありません。 自分だけでは回復の見通しが立たない場合や、慢性的な痛みで悩んでいる方は、医療機関の受診を検討してみてください。 痛みの原因を特定し、あなたの状態に合わせた治療プランを立ててもらうことで、再発リスクを抑えながら早期回復を目指せます。 休息をしっかりと取りつつ、シンスプリントの根本的な改善に取り組みましょう。 参考文献 (文献1) 日本スポーツ整形外科学会,「スポーツ損傷シリーズ 15.シンスプリント」 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s15.pdf (最終アクセス:2025年02月24日)
2025.02.28 -
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シンスプリントと診断されたけど、テーピングの方法がわからない 自分でもできる、テーピング方法を知りたい シンスプリントのテーピング方法でお困りではありませんか。 シンスプリントは、適切な処置をせずに放置しておくと症状が悪化する可能性があります。負担を減らすためには、正しい方法でテーピングを行う必要があります。 そこで、本記事では以下について解説します。 シンスプリントについて テーピングが効果的な理由 テーピングした方が良いのか テーピングの巻き方・貼り方 間違ったテーピングの巻き方・貼り方 治癒と予防策 テーピングについて、正しい知識と手順を身につけ、快適なコンディションを目指しましょう。 シンスプリントとは シンスプリントは、脛骨(けいこつ)の内側下部に炎症を起こすスポーツ障害で、過労性脛骨骨膜炎(かろうせいけいこつこつまくえん)とも呼ばれています。 症状の特徴は、運動時や運動後に脛骨(けいこつ)の内側の中央付近にズキズキとした違和感があることです。 主にランニングやジャンプをよく行うスポーツ選手に見られる症状で、バスケットボール、サッカー選手、陸上選手などが発症しやすいといわれています。 また、発症しやすい年齢としては12〜16歳がピークで、女性の方が男性の約1.5倍多いのも特徴です。 シンスプリントの原因は過度の運動や固いグラウンドなどの練習で発症します。症状のステージは1〜4あり、ステージ3になると運動に支障が出るため、練習の中止が必要です。 以下の記事ではシンスプリントの原因を詳しく解説しています。 テーピングがシンスプリントに効果的な理由 テーピングは、筋肉のサポートや関節の安定性を高める役割があります。効果として、負担の軽減・筋・骨膜のサポート・血流促進などが期待できるでしょう。(文献1) 以下では、テーピングがシンスプリントに効果的な理由を解説します。 筋肉・骨膜の負担を軽減できる テーピングは脛骨(けいこつ)周囲の筋肉を適度に圧迫し、過剰な振動や引っ張りを抑制するため、炎症の進行を防ぐ効果が期待できます。 筋肉の動きをサポートするだけでなく、過度な負担やストレスから守るのも、テーピングの役割です。 また、日本サッカー協会(JFA)が発行した、サッカー医学マニュアルでは、シンスプリントに関する記述があり、テーピングが筋肉や骨膜への負担を軽減し、症状の緩和に寄与する可能性が示唆されています。(文献2) 運動を継続しながらも回復をサポート テーピングは、運動中の患部をサポートし、症状を和らげる効果が期待できます。ただしテーピングはあくまで対症療法であり、根本的な原因の解決にはなりません。(文献2) テーピング中の無理な運動はNGです。違和感が長引くようであれば、自己判断はせずに医師に相談しましょう。 シンスプリントはテーピングした方が良いのか 効果 解説 筋肉・骨膜の負担軽減 筋肉の動きを補助し、脛骨(けいこつ)周囲の負担を軽くする。 運動時の衝撃吸収 筋肉の振動を抑え、地面からの衝撃を和らげる。 足首の安定性向上 首の過度な動きを防ぎ、脛骨(けいこつ)へのストレスを軽減する。 (文献3)(文献4)(文献5) テーピングはシンスプリントの症状に対して、負担を軽減する手段として有効です。テーピングの主な目的は、ふくらはぎの筋肉や骨膜への負担を減らし、衝撃を分散させることです。 適切にテーピングを行うことで、脛骨(けいこつ)周囲の筋肉をサポートし、過度な引っ張りを抑える効果が期待されます。 とくにスポーツ時の地面から衝撃が脚に伝わるのを和らげる効果や筋肉の振動を押さえられ、内側に過剰な負担がかかるオーバープロネーション(過回内)を防ぐ役割も果たします。 ただし、テーピングは補助的な手段のため、根本的な改善には適切な運動やストレッチ、休息が不可欠です。テーピングはあくまで、対症療法であることを念頭に置きましょう。 シンスプリントのテーピングの巻き方・貼り方 テーピングの用途 概要 注意点 日常生活のテーピング 伸縮性テープを使用し、足の甲からすねの内側を通り、膝下まで貼る。 適度な張力をかけ、皮膚にシワができないように注意する。 スポーツ競技時のテーピング 足首を90度に保ち、足の甲の中央からすねの内側を通り、膝下までテープを貼る。踵骨(かかとの骨)をサポートする方向に張力を調整。(文献2) かかとの骨を適切にサポートするように張力を調整。(文献2) シンスプリントのテーピングには、主に日常生活用とスポーツ競技用の2種類があります。日常生活でのテーピングは、患部のサポートと症状の軽減を目的とします。 一方でスポーツ競技時のテーピングは、運動中の負担を軽減するのが目的です。以下では、目的別のテーピング方法を解説します。 日常的生活のテーピング 順番 テーピング方法 注意点 1本目 足の外側から始め、脛骨(けいこつ)の内側に沿って膝下まで貼る。 テープの張力が強すぎないように注意する。皮膚にシワができないように貼る。 2本目 1本目に半分から2/3程度重ねて、同様に貼る。 重ねる際は、均等に張力をかけすぎないよう注意し、重ねすぎないようにする。 3本目 外くるぶしの上から脛骨(けいこつ)の内側へ、少し斜め上に向かって貼る。 斜めに貼る方向を間違えると、サポートが不十分になる。 4本目 1本目とクロスするように貼り、テンションをかけながら固定する。 クロスする位置を適切に調整し、違和感の中心部をサポートするようにする。 5本目以降 症状のある部位を中心に、テープをクロスさせながら貼る。 貼りすぎると圧迫が強すぎる可能性がある。 仕上げ 必要に応じて、バンデージテープを上から巻いて固定する。 バンデージテープがきつすぎると血行が悪くなるため、圧力に注意。 日常生活でのテーピングは、シンスプリントによる症状の軽減と患部のサポートを目的としています。症状を和らげ、患部をサポートするために、足の甲から脛骨(けいこつ)内側を通り、膝下までテーピングします。 テープは適度な張力で、皮膚にシワができないように貼りつつ、過度な圧力を避けることが大切です。血行を保つため、適切な圧力で貼りましょう。 スポーツ競技時のテーピング 順番 テーピング方法 注意点 1本目 足首を90度に保ち、足の甲の中央から、すねの内側を通り、膝下までテープを貼る。 テープの張力が強すぎないように、動きやすさを考慮して貼ること。 2本目 1本目に半分から2/3程度重ねて、同様に貼る。 重ねすぎないように注意し、過度な圧迫を避けること。 3本目 足首を90度に保ち、足の甲の中央からすねの内側を通り、膝下までテープを貼る。 斜めの貼り方で足のアーチを支えるため、適切な方向に貼ることが重要。 4本目 足首の外くるぶしの上から、少し斜め上に向かって脛の内側を通り、膝下まで貼る。 クロスする位置を考慮し、脛骨(けいこつ)への過度な負担を避けるように調整。 5本目以降 足首の安定性をサポートするため、テープをクロスさせながら必要な部位を覆う。 過剰に貼ると足首の動きが制限され、競技中のパフォーマンスに影響が出るため、適度な圧力で貼ること。 仕上げ 必要に応じて、バンデージテープを上から巻いてテープを固定する。 バンデージテープがきつすぎると血行を妨げることがあるため、圧力に注意。 スポーツ競技時のテーピングは、動きやすさを保ちつつ負担の軽減が目的です。日常生活のテーピングとは異なり、運動中の衝撃吸収や足首の安定性を意識して貼るようにしましょう。 シンスプリントにおける間違ったテーピングの巻き方・貼り方 テーピングは正しく行うことで、負担の軽減や患部のサポートができます。間違ったやり方は、効果を得られないだけでなく、逆効果になる可能性もあります。 以下では、間違ったテーピングの巻き方・貼り方と正しい貼り方について解説します。 きつすぎる 問題点 正しい貼り方 テーピングを強く巻きすぎると血流が悪くなり、しびれやむくみの原因となる。 貼る際は適度なテンションをかけ、圧迫しすぎないようにする。 筋肉や関節の動きを妨げ、パフォーマンス低下につながる。 貼った後に指一本が入る程度の余裕を持たせる。 長時間の使用で皮膚に負担がかかり、かゆみやかぶれを引き起こすことがある。 こまめに状態を確認し、違和感があればすぐに貼り直す。 脛骨(けいこつ)やふくらはぎの筋肉に適切なサポートを与えられず、テーピングの効果が半減する。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)に沿って貼る。 違和感の部位に直接貼るのではなく、筋肉の動きをサポートする位置に貼ることが重要。 テーピングを貼る前に、違和感がある場所を確認し、サポートすべき筋肉を意識する。 テーピングを強く巻きすぎると、血流が悪くなり、違和感やしびれを引き起こす可能性があります。テーピングを巻くときは、適度な圧力を意識するようにしましょう。 緩すぎる 問題点 正しい貼り方 テーピングが緩すぎると、適切なサポートが得られず、症状を軽減する効果が低減する。 適度なテンションをかけて密着させる。 テーピングが緩いと筋肉のブレを抑えられない。 テーピングする際に、筋肉が適切にサポートされるよう意識する。 運動中にズレやすくなり、適切な圧力が維持できない。 テーピング後、指一本が入る程度の圧迫感があるか確認する。 テープが動くことで摩擦が生じ、皮膚トラブルの原因になる。 運動前にテープがズレていないかチェックし、必要に応じて貼り直す。 テーピングが緩すぎると効果が得られず、運動中にズレやすくなります。また、テープが動くことで摩擦が生じ、皮膚トラブルを引き起こす可能性もあります。適度なテンションで密着させてテーピングしましょう。 貼る位置を間違えている 問題点 正しい貼り方 脛骨(けいこつ)やふくらはぎの筋肉に適切なサポートを与えられないため、テーピングの効果が半減する。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)に沿って貼る。 違和感のある部位に直接貼るだけでは、十分なサポートにならず、根本的な負担軽減につながらない。 テーピングをする前に、違和感のある場所を確認し、サポートすべき筋肉の位置を意識する。 筋肉の動きを考慮せずに貼ると、適切なサポートが得られず、運動時の負担が軽減されない。 貼る位置を確認し、適切な方向にサポートするよう調整する。 間違ったカ所に貼ることで、テープのズレや剥がれが起こりやすくなる。 皮膚に密着させ、動きに対応できるよう貼り方を工夫する。 テーピングは貼る位置が重要であり、間違えると効果が得られません。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)を確認し、肌に密着させて動きに合わせてフィットさせましょう。 伸縮テープの伸ばしすぎ 問題点 正しい貼り方 伸縮性のあるキネシオテープを強く引っ張りすぎると逆効果。筋肉への負担が増加。 伸縮テープは最大限に引っ張らない。 過度なテンションで貼ると、皮膚に過剰なストレスがかかり、かゆみや炎症の原因になることも 貼った後に皮膚が突っ張りすぎていないか確認する。 強く引っ張ることで血流が悪くなり、むくみや違和感を引き起こす可能性がある。 適度なテンションで貼り、血流を妨げないようにする。 身体の動きに合わせてテープが剥がれやすくなり、効果が持続しにくい。 テープの端は引っ張らずに貼り、密着させる。 伸縮テープを伸ばしすぎるとかえって筋肉への負担が増すリスクがあります。伸縮テープは最大限に引っ張らず、適度なテンションで貼りましょう。 汗や皮脂を拭かずにそのまま貼る 問題点 正しい貼り方 汗や皮脂がついたままテーピングを貼ると、すぐに剥がれてしまう。 テーピングをする前に肌を清潔にし、乾燥させる。 とくに運動中は発汗しやすいため、テープが剥がれやすくなる。 汗をかきやすい人は、スプレー式の粘着剤(プレタップスプレー)を使うと持続時間が長くなる。 剥がれたテープが摩擦を引き起こし、皮膚トラブルの原因になる。 貼る前にタオルやウェットティッシュで汗や皮脂を拭き取る。 テーピングがズレやすく、効果を十分に発揮できない。 テープを貼る際にしっかり押さえ、肌に密着させる。 汗や皮脂がついたままテーピングをすると、すぐに剥がれてしまいます。テーピングを行う前に必ず、肌を水で洗い、タオルで拭いた後に数分乾燥させましょう。 長時間つけっぱなしにする 問題点 正しい貼り方 何日も貼りっぱなしにすると、皮膚かぶれや、汗による蒸れでかゆみが発生する。 1日ごとに貼り替える(運動後は特に剥がす) テーピングの粘着力が弱まり、適切なサポートができなくなる。 使用する際は、しっかりと密着するように貼り、時間が経ったら新しいものに交換する。 皮膚に負担がかかり、炎症やかぶれが悪化する可能性がある。 肌に異常が出た場合はすぐに外し、保湿を行う。 何日もテープを貼りっぱなしにすると、皮膚かぶれや汗による蒸れでかゆみを引き起こす可能性があります。また、テーピングの粘着力も弱まり効果を得られません。 テーピングは1日ごとに張り替え、運動後には剥がして新しいものに取り替えるようにしましょう。 シンスプリントの治療と予防|テーピング以外の対策 シンスプリントの治療には、テーピングに加えて適切な治癒と予防が重要です。以下ではシンスプリントの治癒と予防策について解説します。 安静 シンスプリントを発症し、脚に違和感を感じた場合は、激しい運動を控え安静にしましょう。違和感を抱えたまま運動を続けると、炎症の悪化や、疲労骨折を引き起こす恐れがあります。 無理せず、アイシングや軽いストレッチを行い、改善しない場合は医師に相談しましょう。 アイシング 手順 詳細 1. アイシング用具を準備 氷を袋に入れ、タオルで包むか、冷却パッドを使用する。 2. アイシングの時間 15~20分間、冷却を行う。 3. 休憩時間 1時間以上の間隔をあけ、再度アイシングを行う。 4. 直接肌に氷を当てない 氷が直接肌に触れると凍傷のリスクがあるため、タオルで包む。 5. アイシングの回数 日に数回(最大で4回)繰り返す。運動後や症状を感じたときに行う。 (文献6) シンスプリントに対して、アイシングは炎症などを抑えられる有効な手段です。冷却によって血管が収縮し、炎症を引き起こす物質の流れを抑制します。 アイシングを行う際は、凍傷を避けるためにも氷を肌に直接当てたり、長時間同じカ所を触れさせたりしないようにしましょう。 ストレッチ 無理のないストレッチを行うことで、筋肉の緊張やストレスを軽減できます。シンスプリント時に効果的なストレッチ方法として、後脛骨筋のストレッチやヒラメ筋のストレッチがあります。 どれも一定のスペースがあれば、自宅で行えるストレッチ方法です。ストレッチを行う際は、無理に負荷をかけるのではなく、ゆっくり筋肉を慣らしていく感覚で行うことが大切です。 以下の記事では、シンスプリントに効果的なストレッチの方法を詳しく解説しています。 適切なシューズの選択 項目 ポイント サイズ かかとがフィットし、つま先に約1cmの余裕を確保する。 クッション性 着地時の衝撃を吸収し、関節や筋肉への負担を軽減する。しかし、クッション性と怪我の予防に関する明確なエビデンスはないため、過信は禁物。(文献7)(文献8) アーチサポート 足のアーチ(扁平足・ハイアーチ)に適した設計を選ぶ。 通気性 汗や湿気を逃がし、快適性を維持するメッシュ素材が望ましい。 アウトソールのグリップ スポーツの種類に適した滑りにくいソールを選ぶ。 耐久性 長期間使用できる素材と構造の靴を選ぶ。 シンスプリントを引き起こさないためには、適切なシューズを選ぶことも大切です。クッション性の低いシューズの使用や、かかとのすり減った靴は脛骨(けいこつ)に負荷がかかります。 シューズの寿命は、約400〜800キロメートルとされており、使い古したシューズは買い換えるようにしましょう。 シューズ選びに不安がある方は、専門店でフィッティング(足に合った靴の選定や履き心地の確認など)を受けると良いでしょう。 テーピングで改善しないシンスプリントは当院にご相談ください シンスプリントの症状に対してテーピングは適切に行えば、効果を得られます。しかし、間違えた巻き方・貼り方をすると効果が得られません。それどころか症状を悪化させる可能性があります。 テーピングは正しく行うようにし、貼ったカ所にかゆみやかぶれなどの違和感を感じた場合はすぐに剥がすようにしましょう。 また、テーピングで改善しない場合は、当院「リペアクリニック」にご相談ください。再生医療を活用して組織の回復を助け、シンスプリントの改善を目指した診察を行っています。 テーピングで改善せず、辛いシンスプリントでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) シンスプリントに対する治療コストの比較 ─テーピングと装具との比較から─JPTA 三浦雅史,川口徹 pp.1-1 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Cb1152/_pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日) (文献2) 財団法人日本サッカー協会「F-MARCサッカー医学マニュアル」2007年 https://www.jfa.jp/medical/pdf/F-MARC_Football_Medicine_Manual.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2007年3月30日) (文献3) Urvashi Sharma&AkhouryGourang Kumar Sinha(2010),Comparison of effectiveness of kinesio taping with nonelastic taping and no taping in players with acute shin splints,ResarchGate,11(1)1-10 https://journals.lww.com/iaph/fulltext/2017/11010/comparison_of_effectiveness_of_kinesio_taping_with.6.aspx(Accessed:2025-02-24) (文献4) Mehran Mostafavifar&Jess Wertz,James Borchers(2012),A systematic review of the effectiveness of kinesio taping for musculoskeletal injury - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23306413/(Accessed:2025-02-24) (文献5) Jae-Hong Kim, et al. (2018),The effects of Kinesiotape on acute lateral ankle sprain: study protocol for a randomized controlled trial - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5819177/(Accessed:2025-02-24) (文献6) Chris M Bleakley,et al. (2012 ),Should athletes return to sport after applying ice? A systematic review of the effect of local cooling on functional performance - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22121908/(Accessed:2025-02-24) (文献7) Laurent Malisoux, et al. (2020),Shoe Cushioning Influences the Running Injury Risk According to Body Mass: A Randomized Controlled Trial Involving 848 Recreational Runners - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31877062/(Accessed:2025-02-24) (文献8) Naoko Aminaka,et al.(2018),NO IMMEDIATE EFFECTS OF HIGHLY CUSHIONED SHOES ON BASIC RUNNING BIOMECHANICS,1-10 https://hrcak.srce.hr/file/283953(Accessed:2025-02-24)
2025.02.28 -
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外反母趾とは、母趾(足の親指)が小趾(足の小ゆび)側に曲がることで、痛みや腫れを引き起こす症状です。女性が外反母趾になりやすいといわれますが、立ち仕事が多い方や自分の足に合っていない靴を履いている男性でも母趾が変形してしまいます。 外反母趾の治療法について以下のような不安はありませんか? 予防のための対策が分からない 悪化を防ぐための対策が分からない 痛みが強い場合に手術が必要か分からない この記事では、外反母趾の治療法をどのように選択してよいか分からないとお悩みの方について解説しています。 外反母趾は適切な治療法を選択することで悪化を予防できます。 また、今すでに外反母趾による痛みが強くお困りの方でも、適切な治療法を選択できるようになりましょう。 外反母趾の非外科的(手術しない)治療法 外反母趾の治療法の1つに、手術せず症状を改善する『非外科的治療法』があり、具体的には以下の3つです。 1. インソール(オルソティックス)の使用 2. 足の運動や体操・ストレッチ 3. 日常生活で気をつけること 非外科的治療法は、外反母趾の程度が軽度から中等度の場合に有効です。外反母趾の悪化を防ぐためにも日頃からの予防がとても大切です。 ここでは、上記3つの非外科的治療法について詳しく解説します。 1. インソール(オルソティックス)の使用 インソール(オルソティックス)の使用は、外反母趾の予防や症状の改善に有効です。なぜなら、外反母趾の原因には、足の骨が弓状に並んで形成されたアーチの崩れが関係しているからです。また、足のアーチが崩れる原因には、加齢や肥満、運動不足や足に合わない靴の使用が挙げられます。足の縦アーチが崩れると『扁平足』、足の横アーチが崩れると『開張足』となり、それぞれ外反母趾を引き起こす要因です。 このため、インソールを使用することで、足のアーチをサポートするため、アーチの崩れを防ぎます。また、足全体に圧力を分散し母趾にかかる負荷を軽減するため、立っている時や歩く時の痛みを和らげる効果もあります。 足のアーチの崩れを予防する目的であれば、市販のインソールを購入するだけでも足のアーチの崩れ防止効果を実感でき、靴屋またはスポーツショップで数千円で購入できます。しかし、すでに外反母趾による痛みがある方の場合は、オーダーメイドのインソールを使用しなければ症状を改善できない可能性があるのです。オーダーメイドのインソールは数万円と高額ですが、足型を測りその方の足に合うようにインソールを作成するため、市販の物よりも足をサポートするため痛みの軽減につながります。 インソールの使用は最も簡単に行える対策ですが、あくまで症状の緩和や予防の一環であり、根本的な治療法ではないことを理解しておきましょう。 2. 足の運動や体操・ストレッチ 外反母趾の予防や痛みや進行を緩和するためには、以下2つの足の運動やストレッチが有効です。 足ゆびを開く運動 足指でタオルを引き寄せる運動 『足指を開く運動』は、自分の力で足指で「パー」の形を作ることです。足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 また、『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できるのです。 外反母趾に対する足指の体操・ストレッチでは『Hohmann(ホーマン)体操』が推奨されています。ホーマン体操では、幅の広いゴムを両足の親指にかけ、かかとを合わせたまま両足のつま先を開き5〜10秒間キープさせ、20回ほど繰り返します。この体操では小指側に曲がった母趾を元の位置に戻す効果があります。ゴムがない場合は、自分の手で母趾を元の位置に戻すように動かすだけでも同様の効果を得られるのです。 これらの運動やストレッチは、日常生活の中で簡単に取り入れることができますが、すぐに効果が出ないため、日頃からの継続が大切です。 3. 日常生活で気をつけること 外反母趾の発症や進行は、以下3つの生活習慣が大きく影響しています。 幅の狭い靴の着用 長時間の立ち仕事 乱れた食生活 幅の狭い靴、特に革靴やハイヒールを頻繁に履くことは、母趾が小指側へ押し付けられてしまうため、外反母趾のリスクを高めます。そのため、幅が広く適切な大きさの靴を選ぶことが大切です。またハイヒールの場合は、かかとの低い靴を使用することが推奨されています。 また、長時間の立ち仕事や歩行は足のアーチの崩れの原因となるため、適度な休息が必要です。仕事により長時間の立ち仕事が避けられない方の場合は、インソールを使用することで足のアーチを支えてくれるため、外反母趾の予防につながります。 上記に加えて、外反母趾の予防や改善を図るためには、食生活についても注意が必要です。外反母趾の原因の1つに”肥満”が挙げられているので、体重の増加は足のアーチの崩れにつながり、外反母趾を発症、悪化させる可能性があります。そのため、バランスの良い食事を行い、体重を増やさないように注意しましょう。 外反母趾の外科的(手術)治療法 外科的(手術)治療法は、外反母趾の症状が重度である場合や、痛みが強く日常生活に支障が出ている際に選択されることが多いです。 ここでは外科的治療法にかかわる以下3つの事柄について紹介します。 1. 手術の種類と適応 2. 手術のメリットとリスク 3. 手術後に行うリハビリテーション それぞれ詳しく解説していきます。 1. 手術の適応と種類 外反母趾は重度になると手術の適応となりますが、具体的な指標は以下の通りです。 母趾の見た目が気になる。 母趾の付け根が痛く日常生活が大変になる 母趾の付け根が飛び出し靴が合わなくない 上記の場合には手術の適応となることが多いですが、手術にはリスクが伴います。外反母趾の手術に伴うリスクについては次項で解説します。そのため、手術を受ける際にはリスクをしっかり把握した状態で臨みましょう。 また、外反母趾の外科的治療法には多くの種類が存在し、大きく分けると以下の3つに分類されます。 遠位骨切り術 骨幹部骨切り術 近位骨切り術 それぞれ母趾の付け根の骨を切りアライメントを矯正する手法ですが、骨を切る場所により上記のように術式が異なります。一般的に、外反母趾が軽度から中等度の場合には『遠位骨切り術』、重度の場合には『骨幹部骨切り術』または『近位骨切り術』が選択されるのです。 2. 手術のメリットとリスク 外反母趾の手術により、痛みの改善や見た目の改善を図ることができます。痛みが改善されることで、日常生活を快適に過ごせるようになり、運動やウォーキングを楽しめるようになります。また、母趾の付け根の出っ張りが解消されるため、好きな靴を履けるようになり、おしゃれを楽しめるようになるかもしれません。 しかし、手術には以下のリスクがあることも理解しましょう。 感染症 骨の癒合には個人差があること 痛みや変形の再発 感染症のリスクは、外反母趾の手術に限った話ではなく、手術する際には必ず伴うリスクです。手術後に骨が癒合するまでには時間がかかり、特に骨粗鬆症の方の場合はさらに時間を要します。 また、手術後に一部の方は外反母趾が再発する可能性があり、術式による再発の可能性は以下の通りです。 遠位骨切り術の再発率:2.5〜19% 近位骨切り術の再発率:10〜15% このように、外反母趾の手術を行う際には、メリットとリスクを理解したうえで医師と十分に話し合い、治療法を選択することが重要です。 3. 手術後に行うリハビリテーション 外反母趾の手術後は、積極的に母趾を動かしたり体重をかけたりできないため、手術後すぐは患部の腫れや痛みを抑えるため、冷却パッドの使用や軽度のストレッチから始めます。 リハビリテーションは理学療法士の指導のもと、横になった状態や座った状態で太ももやふくらはぎの筋力トレーニングを行います。また、松葉杖を使用して自力で移動できるように歩行練習も行うのです。 リハビリテーションでは、運動療法だけでなく正しい靴の選び方もお伝えし、外反母趾の再発の予防にもつとめます。 退院まで手術後から約3週間ですが、その後は定期的に外来で受診しリハビリテーションの継続が必要です。手術後2〜3カ月経過すると、手術部の腫れがなくなり骨の癒合も完了するため、靴を履いて歩くことができますが、長時間歩くことは難しい状況です。この段階のリハビリテーションでは、母趾に負担のかからない正しい歩き方を指導します。 手術後、約4カ月経過すると立ち仕事や長時間の歩行が可能になり、約6ヶ月を経過すると運動ができるようになり、日常生活への支障がなくなります。 外反母趾の治療法を選ぶ際に検討すべきこと 外反母趾の治療法を選ぶ際には、以下の3つを検討しなければいけません。 外反母趾の症状や日常生活への影響度合い 外科的治療にかかる時間や費用 治療法の効果やリスク 外反母趾の症状が軽度で日常生活への影響が少ない場合には、非外科的(手術しない)治療法を選択します。非外科的治療法では効果をすぐに実感できない場合もありますが、運動やストレッチを継続することで、外反母趾の悪化を予防できます。 外反母趾の程度が重度の場合は医師から外科的(手術)治療法を勧められますが、治療にかかる時間や費用、手術の効果やリスクの検討が必要です。これらを判断して、手術を行うのか行わないのか、行う場合はいつ行うのかを医師としっかり相談しましょう。 まとめ・自分に合った外反母趾の治療法を選択できるようにしましょう 外反母趾の治療法を選択する際には、非外科的治療と外科的治療法のそれぞれで行うことを理解しなければいけません。 非外科的治療では、足の運動やストレッチ、インソールを使用使用すると、足のアーチ崩れを予防できます。また、日常生活では幅の広い靴を履き食生活を整えることでも外反母趾の予防につながります。 外科的治療法を行う際は以下の3つ内容を把握しましょう。 手術の種類と適応 手術のメリットとリスク 手術後に行うリハビリテーション このような場合には外科的治療法を選択することを視野に入れなければいけませんが、外反母趾の手術に限らず、手術にはリスクが伴います。そのため、手術を行うにはメリットとリスクを十分に理解したうえで医師と話し合い、最終的な判断を下すことが大切です。 外反母趾の治療法には非外科的治療と外科的治療法の2種類ありますが、それぞれの特性を理解したうえで自分の症状に合った治療法を選択しましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 吉野匠,初期の外反母趾は運動でよくなると聞いたが・・・,吉野整形外科 同友会グループ,ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方,2020年1月号 仁木久照,専門医インタビュー,外反母趾の痛み・変形は早期治療が大切です。放置しないで足の外科医に相談を,人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト 湯浅慶朗,湯浅慶朗の「一生自分で歩く足育塾」1,外反母趾の原因は足の筋力低下!治療方法や改善策は?,まいにち好きがみつかるハルメク365 滝正徳,専門医インタビュー,外反母趾の痛みは我慢しないで専門医へ 靴選びなどの工夫で緩和されることもあります,人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト
2024.11.20 -
- 足部、その他疾患
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外反母趾とは、母趾(足の親ゆび)の付け根の関節(MTP関節)が小指側に20°以上曲がっている状態であり、約3割の大人に認められています。MTP関節の曲がりが20°〜30°の場合は軽度、30°〜40°の場合は中等度、40°以上の場合は重度と分類されています。 この30年で外反母趾になる方は最大8倍にも増加し、外反母趾に悩む方が増えている背景の1つには、靴を履く習慣が関係しているのです。 外反母趾について以下のような心配なことはないでしょうか? 日常の生活自体が大変になりそう 立ち仕事が大変になりそう ウォーキングやランニングが楽しめなさそう この記事では、外反母趾を予防するための正しい知識を身につけ、原因や生活習慣、予防策について解説しています。 将来、自分の足が外反母趾になるのを防ぐためにも、適切な対策を行えるようになりましょう。 外反母趾を引き起こす3つの原因 外反母趾には、一般的に以下の3つの原因があります。 ⓵遺伝子的要因 ②不適切な靴の履き方 ③足の構造的な問題 それぞれ、先天的な要因と後天的な要因があります。先天的な要因については変えられませんが、後天的な要因については対策可能です。外反母趾になる原因を減らすためにも理解していきましょう。 ⓵遺伝的要因 人間の足指の長さは遺伝により決まり、外反母趾になる可能性が異なります。 足の構造は3種類あり、それぞれの特徴は以下の通りです。 ギリシャ型:親指よりも人差し指が長い(全体の25%) エジプト型:親指が人差し指よりも長い(全体の70%) スクエア型:足指全体的に同じ長さ(全体の5%) 上記3つの方の中でも「エジプト型」が外反母趾になりやすいと言われています。 なぜなら、体重がかかった際に親指が一番長いため小指側に曲がりやすいからです。日本人の7割はエジプト型であるため、外反母趾になりやすい足の構造をしています。 ただし、ギリシア型やスクエア型の場合でも外反母趾にはなる可能性があるので注意しましょう。 ②不適切な靴の履き方 男女ともに足指を圧迫するつま先の細い不適切な靴の履き方をすると外反母趾の原因となります。 なぜなら、足指が圧迫されると、親指が小指側へ曲げられてしまうからです。 不適切な靴とは、男性の場合は「つま先の細い革靴」、女性の場合は「つま先の細いハイヒール」のことです。 特につま先の細いハイヒールを履いている女性の方は注意が必要です。親指が小指側に曲がるのを抑えるための靭帯があり、足指が真っ直ぐの場合、靭帯は機能を果たします。しかし、ハイヒールを履きかかとが高く、足指が反った状態では靭帯が緩んでしまうため、外反母趾を引き起こしやすくなります。 このため、外反母趾を予防するための靴を選ぶ際には、自分の足に負担がかからない幅の広い靴であることが大切です。詳しくは、下記の『適切な靴の選び方』で紹介しますので、ぜひご参考ください。 ③足の構造的な問題 足の縦アーチがつぶれると「扁平足」、横アーチがつぶれると「開帳足」になると、外反母趾の原因となります。 足の縦アーチとは「土踏まず」のことで、体重の分散や歩く時のバランスに欠かせない足の構造です。外反母趾は、筋力低下や加齢、肥満により引き起こされます。扁平足になると、立っている時の重心が母趾側(土踏まず)にかかるため、母趾が小指側へ押されてしまいます。その結果、母趾内転筋が短縮してしまい、外反母趾となるのです。 足の横アーチには、足裏にある血管や神経を体重の圧迫から防ぎ、体重がかかったときのエネルギーをバネのように機能する役割があります。また、足の横アーチがつぶれると横中足靭帯が緩んでしまうため開帳足が引き起こされます。その結果、母趾内転筋が緩んでしまうため、外反母趾となってしまうのです。 そのため、外反母趾を防ぐためにも、足のアーチが崩れるのを予防しましょう。 生活習慣による外反母趾への影響 外反母趾の原因は3つあると分かりましたが、生活習慣と外反母趾にはどのような関係があるのでしょうか? 外反母趾は座る時間が長かったり、立っている時間がなかったりすると発症しやすいといわれています。 特に以下の2つが外反母趾の発症に大きく関わります。 運動不足による足の筋力低下 職業と生活習慣の影響 生活習慣と外反母趾は大きく関係しているため、予防するためにもしっかり理解していきましょう。 運動不足による足の筋力低下 運動不足により足だけでなく体全体の筋力が低下します。 厚生労働省の発表によると、筋力を維持するためには1日に以下の運動量が必要と言われています。 成人の場合:8,000歩以上 高齢者の場合:6,000歩以上 しかし、成人の1日の平均歩数は6,278歩、60歳以上の場合は50%以上が6,000歩未満と大半の方が運動不足です。日本人が平日1日座っている時間は、男性38%、女性33%であり、世界20カ国における平日の総座位時間を調査した研究でも、日本人の総座位時間は世界的にみてかなり長いと言われています。 また、運動不足になると足の縦アーチを支えている「長母趾屈筋」・「長趾屈筋」・「前脛骨筋」・「後脛骨筋」の4つの筋肉も低下するため、扁平足になりやすく、外反母趾の要因となります。 日本における歩数の経年変化 6000/歩以上歩いている高齢者の割合 職業や足に負担のかかる靴の着用 立ち仕事が多いオフィスワーカーの方やつま先の細い靴を履く習慣がある方は、外反母趾になる可能性が高いので注意が必要です。 なぜなら、立ち仕事が多い場合には体重により足の縦アーチがつぶれやすくなってしまうからです。また、つま先が細い靴を履く習慣がある方は、靴が母趾を圧迫するため外反母趾の要因となります。特にハイヒールの場合の親指への負担は以下のようにかかっています。 かかとの高さが4cmの場合:裸足と比較して1.5倍 かかとの高さが9cmの場合:裸足と比較して3倍 上記のようにハイヒールのかかとが高いほど、母趾には大きな負荷がかかっています。そのため、職業柄ハイヒールを履かなければいけない方はかかとの低い物を選ぶことが大切です。 外反母趾の予防策と改善策 外反母趾を予防するためには以下の3つが有効です。 足に合った適切な靴を選ぶ インソールを使用して足の負担を軽減する 足の筋力強化や体操を行う また、現在すでに外反母趾で痛みがある方でも上記の3つを行うと症状の改善を図れる可能性があります。 足に合った適切な靴を選ぶ 外反母趾を防止するためには適切な靴選びが重要です。靴を選ぶ際には以下3つの項目を満たしているか確認しましょう。 つま先に1cmほどの余裕があること つま先が細くなくゆとりがあること スニーカーのようなかかとが低い靴であること ただし、女性の方で仕事や冠婚葬祭でハイヒールやパンプスを履かなければいけない場合は、ヒールが低くつま先にゆとりがある物を選び、履いている時間を最低限にしましょう。 適切な靴のサイズを知るためには、自分の足の大きさを把握することが重要です。自分の足のサイズを知っているつもりでも測ってみると少し誤差があるかもしれません。適切な大きさの靴を選ぶためにも、自分の足の大きさを一度測ってみましょう。また靴を選ぶ際にはサイズの他に幅も大切です。靴の幅は一般的に『E』で表記され、Eから5Eまでの5段階あり、数字が多くなるほど幅広い靴になります。ただし、Eでも幅が広い場合は『D』というEよりも幅が狭いサイズもあります。さらに大切なことは『靴の購入前には試し履きする』ことです。靴のサイズや幅を確認しても、メーカーによりサイズ感は少し異なり、自分の足に靴がフィットするか分かりません。自分の足に合わない靴を履き続けることで外反母趾の原因となるため、靴の購入前の試着は重要です。 インソールを使用して足の負担を軽減する 日常生活や仕事で長時間立っている方は、足のアーチをサポートするインソール(中敷)に変更してみましょう。 なぜなら、足裏の筋力がしっかりしていても立っている時間が長ければ、体重により足のアーチがつぶれてしまうからです。 靴を購入したときにはインソールが敷かれていますが、平らな形状で足のアーチはサポートされません。外反母趾が軽度の場合、市販されているインソールで十分に対応可能です。足のアーチをサポートするインソールは靴屋さんやスポーツショップで購入できます。インソールの価格は数千円と高く感じますが、一生使う足を保護できると思えば安い金額です。 ただし、外反母趾の変形が強い場合にはインソールを変更しただけでは痛みを予防できないため、専用の靴の作成や手術が適応になる可能性があります。 足の筋力強化や体操の運動療法を行う 外反母趾を予防、改善するためには以下2つの足指の筋力強化が有効です。 足指を開く運動 足指でタオルを引き寄せる運動 足指を開く運動は、自分の力で足指を外側へ広げ「パー」の形を作り「母趾外転筋」という筋肉を強化するトレーニングです。母趾外転筋を鍛えることで、母趾が小指側に曲がるのを抑えるため外反母趾の予防につながります。 足指でタオルを引き寄せる運動は、タオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離すを繰り返しタオルを自分の方に引き寄せます。この運動により「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」の筋肉が強化され、縦アーチがつぶれにくくなり、扁平足や外反母趾の予防につながるのです。 また、筋力強化の運動ではないですが、外反母趾にはHohmann(ホーマン)体操も有効です。Hohmann(ホーマン)体操はのやり方は以下の通りです。 ゴムひもを両方の親指にかける 両方のかかとを合わせた状態で足先を広げる ゴムが張った状態で10秒数える 上記の『3』を20回繰り返す Hohmann(ホーマン)体操では、小指の方に曲がった親指を正しい位置に戻す方向へ動かします。Hohmann(ホーマン)体操を行うことで、軽度か中等度の外反母趾の改善を図れます。 外反母趾の原因を理解して適切に予防していきましょう 外反母趾になる方は、この30年で最大8倍にも増加している疾患であり、以下3つの原因により引き起こされます。 遺伝子的要因 足の構造的な問題 不適切な靴の履き方 遺伝的要因では足指の長さが関係し、日本人の70%は親指が人差し指よりも長い『エジプト型』に該当します。エジプト型では、親指が小指側へ曲がりやすいため外反母趾になりやすい傾向にあります。 また、足の構造的な問題では『扁平足』や『開帳足』が外反母趾の原因です。どちらも筋力低下や加齢、肥満により引き起こされる可能性があるので、日頃からの運動習慣が欠かせません。 特に、不適切な靴の履き方と足の構造的な問題については、しっかり対策を講じることで予防可能です。 靴を選ぶ際にはつま先にゆとりがあり、スニーカーのようにかかとが低い物が望ましいです。 今後も、足の痛みを軽減し外反母趾にならないためにも、外反母趾についてさらに理解していきましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 厚生労働省「令和5年 患者調査 傷病分類編(傷病別年次推移表)」 久光製薬株式会社,外反母趾,日本の足外科学会,2022-11 佐賀県理学療法士会,4人に1人!?身近に潜む糖尿病と怖い合併症運動で出来ることは!!,佐賀県理学療法士会広報誌,2022-3-31 健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂 に関する検討会,健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023,厚生労働省,令和5年11月27日 井上敏生,日本フットケア学会雑誌,16版,(一社)日本フットケア・足病医学会,2018,p.145-147
2024.11.18 -
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外反母趾は足の親ゆびが小指側に曲がる症状で、親指の付け根が腫れ上がったり、痛みが出現したります。外反母趾の原因には遺伝的な足指の長さが関係していますが、足に適さない靴の着用や運動不足などの生活習慣も関係しています。しかし、外反母趾は適切に対処することで予防可能です。 では、外反母趾の予防について以下のようなお悩みはありませんか? どのような靴を選ぶと良いか分からない どのように運動やストレッチを行うと良いか分からない 日常生活で気をつけることを知りたい この記事では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方や簡単に行える運動・体操、日常での足への配慮について解説しています。 外反母趾になると痛みによりウォーキングやランニング、スポーツなどの趣味活動ができなくなる可能性があります。これからも楽しく痛みなく生活するためにも、外反母趾の予防を適切に行えるようになりましょう。 外反母趾を予防するための正しい靴の選び方 外反母趾を予防するためには、自分の足に適した靴を着用しなければいけません。自分の足に適した靴を着用しなければ「扁平足」や「開張足」さらには「外反母趾」になってしまう確率が高まります。 ここでは、外反母趾を予防するために以下2点について解説します。 靴選びのポイント 避けるべき靴の特徴 それぞれ以下で詳しく解説します。 靴選びのポイント 靴選びは外反母趾を予防する上で非常に重要なポイントであり、予防するためには以下の4つを満たした靴を選びましょう。 かかとの芯がしっかりしていること 靴底が固く、適切な位置で屈曲すること 自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと ハイヒールやパンプスのヒールは4cm以下であること 上記が満たされない靴の場合は、歩いている時に足を地面に接地した際にかかとが不安定になり、外反母趾を助長する可能性があります。 また、靴を購入する際は必ず試着を行いましょう。靴の大きさや幅はメーカーにより多少異なるため、同じ靴のサイズであっても少し大きく感じたり、小さく感じたりする場合があります。このため、靴のサイズや幅の表記だけでは判断せず、実際に履いてみて自分の足にフィットしているのか確認することが大切です。 避けるべき靴の特徴 前項では外反母趾を予防するための正しい靴の選び方について解説しました。 ここでは、外反母趾を助長する可能性がある避けるべき靴の特徴を4つ紹介します。 靴のサイズが大きすぎること つま先が窮屈な靴 幅が広すぎる靴 ハイヒールやパンプスのヒールの高さが4cm以上 靴のサイズが大きすぎる場合は靴の中で足が滑ってしまい、「浮き指」や「屈み指」という足ゆびの変形につながる恐れがあります。足指が変形すると足のアーチの変形にもかかわるため、外反母趾のリスクを高めます。 つま先が窮屈な靴の場合は靴が親指を小指側へ圧迫するため、外反母趾を助長する可能性があります。そのため、幅の広い靴の着用が推奨されていますが、幅が広すぎてもいけません。靴の幅が広すぎると、靴のサイズが大きすぎる場合と同様に、靴の中で足が滑ってしまい足のアーチの変形に繋がるため外反母趾を助長する可能性があります。 また、ヒールが高い場合はつま先に体重がかかりやすくなり、外反母趾を助長してしまいます。以下の表ではヒールの高さによるつま先とかかとの体重の割合を紹介します。 かかとにかかる割合 つま先にかかる割合 ヒールの高さ3cm 50% 50% ヒールの高さ8cm 20% 80% 以上のような特徴を持つ靴を避け適切な靴を選ぶことで、外反母趾の予防が可能です。 外反母趾を予防するために簡単にできる運動や体操 外反母趾は、足の構造や日常生活の習慣が影響し、時間をかけて進行する足の変形症状の1つです。そのため、症状が現れてから対策を始めるのではなく、日々の生活の中で予防することが大切です。ここでは外反母趾を予防するために簡単にできる以下の2点について解説します。 外反母趾を予防するためのストレッチ 足アーチの崩れを予防するための運動 『外反母趾を予防するためのストレッチ』は、親指が小指側へ変形するのを抑える効果があります。また、『足のアーチの崩れを予防するための運動』は、外反母趾の主な要因の1つである足の形状の変化を防ぐために重要な方法です。これらの運動を定期的に行うことで、外反母趾の予防を期待できます。 外反母趾を予防するためのストレッチ 外反母趾を予防するためには以下3つのストレッチが有効です。 Hohmann(ホーマン)体操 手で足の親指を広げるストレッチ 母趾内転筋のストレッチ Hohmann(ホーマン)体操はのやり方は以下の通りです。 ゴムひもを両方の親指にかける 両方のかかとを合わせた状態で足先を広げる ゴムが張った状態で10秒数える 上記の『3』を20回繰り返す Hohmann(ホーマン)体操では、小指の方に曲がった親指の付け根の関節を正しい位置に矯正する方向へ動かします。Hohmann(ホーマン)体操を行うことで、軽度か中等度の外反母趾の改善を図れます。 手で足の親指を広げるストレッチは、Hohmann(ホーマン)体操と同様に足の親指の関節を外側へ広げますが、ゴムではなく自分の手を使用して広げます。施行時間や回数はHohmann(ホーマン)体操と同じです。 母趾内転筋のストレッチでは、自分の手で母趾内転筋を直接圧迫してストレッチします。母趾内転筋が固くなると足の親指が小指側へ引っ張られてしまい、外反母趾の要因となってしまいます。手でストレッチが難しい方は、座った状態でゴルフボールやテニスボールを足の下に入れて、全体的にコロコロ転がすだけでもストレッチ効果を得られます。 上記のストレッチはどれも簡単に行えるので、隙間時間で実践してみましょう。 ただし、既に外反母趾により痛みが強い場合には整形外科の病院への受診をおすすめします。 足のアーチの崩れを予防するための運動 足のアーチは筋肉により維持されているため、筋力が低下するとアーチが崩れやすくなります。ここでは、足のアーチを支える筋肉を鍛えるための運動メニューを2つ紹介します。 足指を開く運動 足指でタオルを引き寄せる運動 『足指を開く運動』は、自分の力で足指で「パー」の形を作ることです。足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 また、『足指でタオルを引き寄せる運動』は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。この運動では「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できるのです。 これらの運動は、空いた時間に簡単にでき、特別な器具も必要ないため、誰でも始めやすいです。自宅での運動だけでなく、職場や外出先でも行えるため、日常的に取り入れやすいのも大きなメリットです。 外反母趾を予防するために日常で欠かせない足への配慮 外反母趾を予防するためには、日々の生活の中で足への配慮を意識することも大切です。 ここでは以下の2点について解説します。 職場での足の休息法 足の健康を守るための日常の工夫 長時間の立ち仕事は足に負担をかけ、外反母趾を引き起こす可能性があります。また、継続的に足への配慮を心がけることで、外反母趾の予防に効果的です。どちらも、すぐにでも実践できるので、ぜひ参考にしてみてください。 職場での足の休息法 長時間の立ち仕事では、足のアーチを支える筋肉が疲労してしまい、足のアーチの崩れにつながる可能性があるため、適度に休憩して筋肉を休ませる必要があります。 また、立った状態でかかとを上げてつま先立ちをすることで「下腿三頭筋」や「ヒラメ筋」が刺激され、足への血流が良くなり疲労しにくくなります。 さらに、職場での靴選びも重要です。外反母趾を予防するためには、上記で解説したような靴を履きましょう。大切な項目ですので、以下で再度確認します。 かかとの芯がしっかりしていること 靴底が固いこと 自分の足に適したサイズ・幅の靴を選ぶこと 以上のような職場での足を休めるための工夫、正しい靴を選ぶことで外反母趾の予防につながります。 足の健康を守るための日常の工夫 日常生活の中で外反母趾を予防するためには、足のアーチ(土踏まず)をサポートするインソール(中敷)に変更することが有効です。 なぜなら、インソールは足のアーチをを支えてくれるからです。 足のアーチが崩れる原因はさまざまありますが、インソールを変更することでそれぞれの要因に対処できます。 靴を購入した際にはインソールが敷かれていますが、平らな形状で足のアーチをサポートする機能がないものが一般的です。そのため、靴屋さんやスポーツショップで販売されている足のアーチをサポートする機能があるインソールの購入がおすすめです。インソールだけで数千円しますが、将来、外反母趾を予防できることを考えると高い買い物ではありません。 ただし、既に外反母趾により痛みが出現している場合は、インソールを変更しても痛みを改善することは難しい場合が多くあります。この場合は、医療機関へ受診し医師に相談しましょう。 まとめ・外反母趾の対策をしっかり行い予防しましょう 外反母趾は適切に対策を行うと予防できる疾患であり、以下3つを実践することが大切です。 自分の足に合った靴を選ぶこと 足のストレッチや運動を行うこと 日常から足へ配慮すること この30年で外反母趾になる方は最大8倍にも増加し、外反母趾に悩む方が増えている背景の1つには、靴を履く習慣が関係しているといわれます。外反母趾は女性に多い関節の変形ですが、男性も外反母趾にならないとは限りません。このため、外反母趾を予防するためには適切な靴選びが必須です。 また、外反母趾の原因には筋力低下や疲労も関係しています。外反母趾を予防する運動では『足指を開く運動』と『足指でタオルを引き寄せる運動』を行うことで、足のアーチを支える「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」を強化できます。 日常から足へ配慮するには、自分の足に適した靴を履くことやインソールを使用することです。 上記のように、適切な対処を行うことで外反母趾は予防できます。足の健康を長期間保ち、ウォーキングやランニング、スポーツなどの活動を楽しみたい方は、今から少しずつ外反母趾の予防を実践していきましょう。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献一覧 渡辺淳,外反母趾は重症化する前に足の外科医に相談を!治療選択肢は広がっています,人工関節ドットコム.
2024.11.15 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
「足の指の付け根に、ピリピリとした痛みやしびれを感じる」 「病院に行くほどではないけれど、自分でできる対処法があれば知りたい」 モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れず、上記のように悩む人もいるでしょう。 モートン病は、足指に痛みやしびれを感じる神経の病気で、放置すると日常生活に支障をきたすケースがあるのも事実です。しかし、ツボ押しやストレッチなどの対処法を知っていれば、症状を緩和する効果が期待できます。 この記事では、モートン病に対してツボの効果はあるのか解説します。ツボ押しと一緒に行うと効果的な治療法や、再発予防のための生活習慣についても紹介するので、ぜひチェックしてください。 モートン病はツボで治る? モートン病は、足の指にしびれ・痛み・焼けるような感覚などの神経症状が現れる病気です。中指と薬指の間に多くみられますが、人差し指と中指、薬指と小指の間に症状が出る場合もあります。 ツボ押しはモートン病の症状を緩和する効果が期待できますが、モートン病自体が完全に治るわけではありません。 ツボ押しは、血行を促進し筋肉の緊張を和らげたり、痛みを軽減したりする効果があります。モートン病の症状が軽いケースでは、ツボ押しで症状が改善する可能性があります。しかし、症状が進行していると、ツボ押しだけでは十分な効果が得られないケースがあるのも事実です。 ツボ押しはあくまで補助的な手段として考え、整形外科での治療と並行して行うと、より効果的です。症状が改善しない人や悪化する人は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。 モートン病に関しては、こちらの記事もご参照ください。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病の症状を緩和させる効果が期待できるツボは、主に4つあります。ツボとは経穴(けいけつ)ともいわれ、身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。押し方は、以下を参考にしてください。 <押し方> 両手の親指を重ねて、ツボを5〜10秒かけてゆっくり押す 痛気持ち良いぐらいの強さで押す 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 1セット3〜5回を目安に行う 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山(しょうざん)は、ふくらはぎの中央で、アキレス腱から少し上にあるツボです。つま先立ちをした際、ふくらはぎにできるへこみを探すと見つけやすいでしょう。 承山は足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くといわれており、多くの症状に対応できる万能なツボです。押す際は、親指を重ねてツボに当て、ゆっくりと押してください。 「下承山」の特徴 下承山(しもしょうざん)は、承山から指幅3本分下にあるツボです。承山と同様に、ふくらはぎの筋肉とアキレス腱の境目あたりに位置します。 下承山は、足底における痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられます。親指をツボに当て、ゆっくりと押し上げるようにしましょう。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、内くるぶしの1番高い部分から、指幅7本分上にあるツボです。 腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられるだけでなく、下半身全体の血流が良くなるといわれ、手足の冷えに対する効果もあります。指で押す以外にも、かかとでアキレス腱から築賓までこするように押すのもおすすめです。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、内くるぶしから指幅8本分ほど上に位置するツボです。 腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられるケースが多くみられます。他にも、下肢の疲れやむくみの緩和にも効果が期待できます。指の腹で円を描くように、優しくマッサージしましょう。 ツボ押しの注意点 正しくツボ押しをするには、力加減やタイミングを守る必要があります。ツボ押しで注意すべきポイントを解説するので、ぜひチェックしてください。 強く押しすぎない ツボを刺激するときは、強く押しすぎないように注意してください。ツボ押しは、強く押せば効果が高まるわけではありません。強く押しすぎると、筋肉や組織を傷つけ、揉み返しを起こす可能性があります。 「痛気持ち良い」と感じるくらいの適度な力で押すと、症状改善につながります。また、長く押すほど効果が出るわけではないため、5〜10秒ほどの時間で刺激しましょう。 ツボ押しは、症状が出ている側と同じ側を刺激するのが基本です。右足に症状がある場合は、右側のツボにゆっくりと圧をかけると、無理なく効果を引き出せます。 避けるべきタイミングに注意する ツボ押しには、以下の避けるべきタイミングがあります。 怪我をしているとき 感染症にかかっているとき 妊娠中 食後 飲酒後 ツボを押す前から痛むとき 上記の状態では、怪我や体調が悪化する可能性があるため、注意してください。入浴後や就寝前などのリラックスしているときにツボ押しを実践しするのがおすすめです。 ツボを押す前から痛みを感じている場合は、炎症を起こしている可能性があります。無理にツボ押しするのではなく、整形外科を受診し相談しましょう。 モートン病の症状 モートン病の主な症状は、以下のとおりです。 足指の痛み しびれ 焼けるような感覚 とくに、中指と薬指の間に多くみられます。他にも、人差し指と中指の間や薬指と小指の間に発症するケースも少なくありません。 歩行時やつま先立ちをした際に、足指の付け根付近に鋭い痛みを感じます。痛み以外には、足の指がしびれたり、熱く感じたりするケースもあります。 人によっては「足の裏に小石があるような感覚」や「靴下の中でシワが寄っているような感覚」といった違和感を訴える場合があるのも事実です。症状の感じ方には個人差があるため、気になる症状がある人は、整形外科を受診しましょう。 些細な違和感でも、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。 モートン病の原因 モートン病の主な原因は、足指の付け根にある神経が圧迫されることです。 具体的な生活習慣は、以下のとおりです。 ハイヒールやつま先が狭い靴を履く機会が多い 長時間の立ち仕事をしている つま先立ちを繰り返す ランニングをやりすぎる モートン病は、ハイヒールを履く機会が多い中年以降の女性に多く発症するといわれています。また、足のアーチ構造が崩れやすい外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)も足指への負担が大きくなりやすくモートン病のリスクが高まると考えられています。 モートン病でツボ押しにプラスすると効果的な治療 モートン病における症状緩和には、ツボ押しだけではなく、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入を補助的に行うのが効果的です。 具体的に解説するので、参考にしてください。 ①ストレッチと運動 モートン病の症状を緩和させるには、ストレッチや運動が効果的です。 足指5本の付け根を結ぶ横アーチは、足裏の血管や神経を守る役割を持つものです。偏平足などでアーチが低下すると、モートン病を発症するリスクが高まります。 偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出るため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられています。モートン病で重要な横アーチを引き上げるには「タオルギャザーエクササイズ」が効果的です。 <タオルギャザーエクササイズの方法> バスタオルを床に敷き、両足を置く 足指の力でたぐり寄せる すべてたぐり寄せたら戻す タオルギャザーエクササイズは1〜3回を目安に行いましょう。椅子に座った状態でも、立った状態でも可能です。簡単に3回できる人は、タオルの端に1〜2kgの重りや1〜2Lの水が入ったペットボトルを置くと、より運動効果が高まります。 他にも、詳しいマッサージ方法については、こちらも記事をご参照ください。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。具体的には、以下のような靴がおすすめです。 中足骨(ちゅうそくこつ)パッドがある靴 クッション性が高い靴 靴底がロッカーソールになっている靴 中足骨パッドとは、靴の中敷きに取り付ける小さなクッションのことです。足裏の横アーチを支える機能を備えており、地面からの衝撃を緩和し神経を圧迫しにくくする効果が期待できます。 歩く際に地面からの衝撃を吸収できるクッション性が高い靴は、神経の圧迫を和らげます。 ロッカーソールとは、つま先部分が上向きに反っている形状をしている靴底を指します。一般的なインソールより歩く際に親指が屈曲しない構造のため、足への負担をかけずに歩けるでしょう。 ③インソール・足底挿板の挿入 モートン病の症状緩和には、靴の中に入れるインソールや足底挿板(そくていそうばん)を活用すると効果的です。インソールには、足裏のアーチを支え、足底にかかる圧力を分散させる効果が期待できます。 整形外科や取り扱いがある専門店でクッション性のあるインソールを購入するか、オーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は靴の中敷と似た装具で、義肢装具士に依頼して自分の足に合わせて作成可能です。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。整形外科で足底挿板の必要性が認められると、保険で作成できます。 また、代わりとして市販のインソールを購入するのもおすすめです。市販で売られているインソールは手軽に購入できますが、オーダーメイドではない商品が多いため、整形外科医や理学療法士などにどの商品が良いか相談してみましょう。 モートン病の再発を予防するための生活習慣 モートン病は1度改善しても、再発する可能性があります。再発を予防するためにも、日常的な足のケアや定期的な受診などの生活習慣に気を付けましょう。 足のケア モートン病の再発を防ぐには、日常的な足のケアが欠かせません。入浴後など血行が良くなったタイミングで、ふくらはぎや足裏のマッサージを行いましょう。マッサージ方法は以下のとおりです。 <足のマッサージ方法> 足の裏全体を親指で優しく押す 土踏まずや足の付け根を重点的にマッサージする 足の指を広げ、指の付け根を円を描くようにマッサージする 足首を回したりアキレス腱を伸ばしたりするストレッチをする マッサージすると、筋肉の緊張が緩み、神経への圧迫が緩和されます。痛みを感じるようなら、無理せず優しく触れる程度の力で行ってください。 長時間立ち仕事や長時間歩行すると、モートン病の症状は悪化しやすくなります。足が痛かったり疲れていたりするときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチが低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な健診を受ける モートン病が良くなってからも、定期的に受診すると再発防止につながります。 保存療法や手術療法で症状が改善しても、モートン病が再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 まとめ|モートン病の症状がツボ押しだけでは緩和しない場合は早めに医療機関へ モートン病は、足の指に痛みやしびれが生じる神経の病気です。 ツボ押しは、モートン病の症状緩和に有効な手段ですが、ツボ押しだけで完治するわけではありません。 とくに、症状が進行している人や、ツボ押しで改善がみられない人は、早めに医療機関を受診しましょう。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人がいるのも事実です。 再発予防のためには、治療後も足のケアを行い、定期的に健診を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、モートン病の治療法として再生医療を提供しています。 再生医療には主に「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 手術と比べて体に傷跡が残らず、リハビリの必要もありません。また、体への負担も少なく治療後の早期社会復帰にも期待ができる治療法です。
2024.10.23 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病は足指の付け根が立位や歩行などで負荷がかかり痛みが生じる疾患です。 足の痛みは日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。 この記事では、モートン病の原因や初期症状、治療法などを詳しく解説しています。セルフチェックも用意していますので、足の状態を把握したい方はご活用ください。 モートン病とは? モートン病は、足指の間のしびれ、痛み、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。症状が出現するのは主に中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。 モートン病の原因と初期症状について、詳しく見ていきましょう。 モートン病の原因は主に「つま先立ちのような姿勢」 モートン病の原因は、つま先立ちの姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足指につながる神経を圧迫するため神経障害を発症します。 以下はつま先立ちの姿勢を引き起こす要因です。 ヒールの高い靴の着用 外反母趾や扁平足などの足の形態異常 ダンスやバレエなど足を酷使するスポーツ ジョギングやランニングなど前足に繰り返し力がかかる運動 モートン病は中年以降の40代〜60代の女性に多く発症すると言われています。しかし、年代問わずつま先に負担がかかる姿勢が続くと、発症する可能性があります。 モートン病の初期症状は「つま先のしびれ、痛み」など 以下は、モートン病の初期症状です。 靴を脱ぐと痛みやしびれが軽減する 足指の付け根に違和感や軽い痛みが生じる 足の指で握ったり、足の指を広げたりすると痛む 最初は、足指の感覚に対する違和感や軽い痛みからはじまります。初期段階は症状が一時的で、時間が経つと症状がおさまるケースも少なくありません。 悪化してくると、強い痛みやしびれなどが長時間続いたり、突然激痛が走ったりする症状が見られます。 モートン病のセルフチェック方法 以下はモートン病のセルフチェックポイントです。当てはまるものがないか確認してみてください。 足の指の付け根に痛みやしびれを感じる 足の付け根をつまむ、押す、叩くと痛む 歩行時や長時間の立ち仕事で足裏に痛みが走る 足の指を曲げたり広げたりすると痛みが強まる 靴を履いていると痛みが強まり、脱ぐと和らぐ ヒールや先の細い靴を履くと、痛みやしびれが悪化する モートン病を正確に診断するには整形外科の受診が必要です。当てはまる項目があれば、近くの整形外科での診察を検討してみましょう。 モートン病の治療 モートン病は放置すると症状が悪化し、歩行が困難になる場合もあります。 症状の進行を防ぐための治療法としては、主に以下5つがあります。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) 薬物療法 手術療法 再生医療 順番に解説します。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) モートン病の治療では、マッサージやツボ押しなどの保存治療が行われます。 ツボ押し(指圧療法)は、足の血流を改善し、痛みをやわらげる方法です。とくに、以下4つのツボが症状の緩和に役立つと考えられています。 承山(しょうざん):ふくらはぎの裏面 下承山(げしょうざん):ふくらはぎの裏側 築賓(ちくひん):ふくらはぎの内側 漏谷(ろうこく):すねの内側 ただし、ツボ押しの効果には個人差があり、医学的に確立された治療法ではありません。 筋力を鍛える運動もモートン病の症状緩和につながります。 横アーチ(足の横方向のカーブ)を支えるために、足の裏の筋肉を強化しましょう。 たとえば、タオルギャザーは簡単にできる運動です。床にタオルを敷き、指を使って手前に引き寄せると、足の裏の筋肉が鍛えられます。 意識的に指を広げたり、指を上げたりする運動もモートン病に効果があります。 【関連記事】 モートン病のマッサージ方法とは?痛みに効果的なセルフケアを解説【医師監修】 モートン病に対するツボの効果とは?代替治療を取り入れて症状を改善しましょう 靴の変更・足底挿板の作成 靴の変更・足底挿板の作成も保存療法の1つです。 足に合った靴やインソール(靴の中敷き)を選ぶと、歩くときの痛みを軽減できます。 靴を選ぶ際は、足に優しいデザインを意識しましょう。以下は、モートン病で負担のかかりにくい靴の特徴です。 靴底が柔らかい かかとが低い つま先が広め 自分に合った靴を選べば、歩くときの負担が軽減します。 足底挿板(そくていそうばん)は、足を正しい位置に保つための特別な中敷きです。専門の技術者に依頼して、足の形や状態に合わせて作ってもらいます。 モートン病は、足のアーチ(土踏まずのようなカーブ)が低下することで神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こします。そのため、アーチを支える足底挿板を使うと、負担が減り、症状が楽になりやすいです。 市販のインソールも使えますが、形や厚みがさまざまなので、専門家に相談して選ぶのがおすすめです。足に合っていないものを使うと、逆に痛みが増すリスクがあります。 薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。 これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。 痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。 手術療法 手術は、運動療法や薬の治療を試しても症状が良くならない場合に選ばれます。 モートン病で代表的なのは、痛みが出ている部位周囲の組織を取り除く手術です。 神経ごと取り除くため、そこから先の感覚はなくなってしまいます。、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 再生医療 モートン病の治療法には「再生医療」の選択肢もあります。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療では、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促す治療法です。 PRP療法では、自分の血液を採取して血小板を濃縮し、修復を助ける成分を含んだ液体を患部に注射します。血小板は体の傷を治す働きを持つため、損傷した組織の修復や痛みの軽減が期待できます。 どちらも注射のみの治療なので、手術のように傷跡が残る心配や術後のリハビリの必要がありません。体への負担が少ないため、再生医療は早い回復が期待できる治療法です。 モートン病でやってはいけないこと モートン病では、症状を悪化させないためにやってはいけないことがあります。 長時間同じ姿勢を取らない ハイヒールや幅の狭い靴は避ける 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。 仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。 また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。 とくにハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 まとめ|モートン病の理解を深めて適切な治療を進めよう モートン病は、放置すると痛みが強くなり、歩行が困難になる場合もあります。症状が悪化すると手術が必要になるケースもあるため、早めの対処が大切です。 本記事で紹介したセルフチェックを活用し、万が一、モートン病が疑われれば、整形外科の受診を検討しましょう。 「できるだけ身体に負担の少ない治療を進めたい…」という方に、選択肢の1つとして考えてほしいのが「再生医療」という新しい治療法です。 再生医療は、傷ついた組織の修復と再生を促し、治療期間の短縮が期待できます。 モートン病に関するよくある質問 モートン病は再発のリスクがありますか? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診すれば、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 モートン病は何科を受診すればいいですか? モートン病が疑われる場合は、整形外科を受診しましょう。整形外科では、歩行時の痛みやしびれの原因を詳しく調べ、適切な治療方法を提案します。 参考文献 長田瑞穂ほか「モートン病の足部タイプと足底挿板療法について」『骨・関節系理学療法』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_C0442/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年2月25日) 梅﨑泰侑ほか「足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果」『理学療法科学』38(6)pp444-450 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/6/38_444/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月25日) 厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html(最終アクセス:2025年2月25日) 三森 経世「関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開」『日本内科学会雑誌』第97巻 第10号pp17-22 平成20年10月10日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/10/97_2393/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日)
2024.10.21 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病によるつらい痛みで悩んでいませんか。モートン病は自宅でのマッサージにて症状の緩和が期待できます。 モートン病による足の指や足裏の痛みは、自宅でマッサージを行うことで症状の緩和が期待できます。症状を放置すると歩行が難しくなる場合もあるため、早めのケアや専門機関の受診をおすすめします。 この記事では、モートン病に効果的なマッサージやセルフケアについて解説します。 今回紹介しているマッサージを実践して、足の痛みから解放されましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病のマッサージ方法3選 モートン病の症状軽減に効果的なマッサージを3つご紹介します。 青竹踏みマッサージ 足指のマッサージ 足首のマッサージ いずれも自宅の隙間時間でできるマッサージ方法です。モートン病の症状でお悩みの方は、上記のマッサージ方法を実践してみてください。 青竹踏みマッサージ 青竹踏みは、縦に半分に割った竹を踏むことで足裏をマッサージする方法です。本物の竹を用意するのが難しい場合、100円ショップにてプラスチック製の青竹の購入が可能です。 実際には、下記の3ステップで行います。 1.裸足になって青竹の上に乗る 2.青竹の上で足踏みをする 3.1.~2.を数分繰り返す 青竹踏みマッサージには、以下のような効果が期待できます。ぜひ青竹踏みマッサージを実践してみてください。 血の巡りを良くする 浮腫みを軽減する 冷え性を軽減する ストレスを解消する モートン病の症状にも効果的なマッサージです。足裏を刺激するため、痛みが強い場合は無理のない範囲で行いましょう。 足指のマッサージ モートン病に効果的な足指のマッサージは、以下の2つです。椅子または床に座りながら行ってみてください。 期待できる効果 方法 指圧マッサージ 足指をほぐす 1.痛みが出ている箇所の足裏と足の甲を手の指で挟める 2.心地良い圧で押す 3.上記を30~50回繰り返す 横アーチのマッサージ つま先立ちで重心がかかっている部分の負担を軽減する 1.足指をぎゅっと強く握る 2.足裏のしわが寄っている部分に両手の親指を当てる 3.親指に強めに圧をかけ、外側に滑らせる 4.上記を数回繰り返す モートン病の症状がつらく、足の指がうまく曲がらない方もいるかもしれません。その場合は、手で足の指を押すようにサポートして曲げると、少し楽に曲げられるでしょう。 また、痛みや熱感がつらい場合は無理して行わないようにしてください。 足首のマッサージ 足首のマッサージも、モートン病の症状緩和におすすめです。以下の5ステップで実践してみてください。 1・立った状態で、手で床を押す 2.右足を後ろに下げ、踵を床につける 3.左足に重心を乗せ、膝を曲げる 4.3.の状態で数秒キープ 5.左右の足を交代し、2.~4.を同様に行う つま先を外に向けると、モートン病が悪化する可能性があります。つま先はまっすぐ前に向けるように意識して行ってみてください。 足首を動かせる範囲が狭いと、モートン病で痛みが出ている部分に負担がかかりやすくなります。そのため、足首のマッサージにて足首の可動域を広げると、足の前側の負担が和らいで痛みの改善が期待できるでしょう。 モートン病の痛みに効果的なマッサージ以外の方法3選 モートン病の症状の緩和に効果的なセルフケアは、以下の3つです。 湿布の貼付 靴の変更 ツボ押し モートン病の症状で悩まれている方は、前述で紹介したマッサージとあわせて実践してみてください。 湿布の貼付 モートン病による痛みがつらい場合は、消炎鎮痛効果のある湿布剤またはテープ剤の使用がおすすめです。痛む場所や足裏の上にあるアーチ部分に直接貼付しましょう。 また、貼り薬のタイプには以下の2種類が存在します。 貼り薬の種類 特徴 メリット 湿布(パップ剤) 外側が布になっているジェル状の張り薬 貼る部分がジェル状になっており、皮膚への負担が少ない テープ剤 ガムテープのようにペラペラな貼り薬 粘着力が強く、関節のような動かす部分にも密着する 靴や靴下を履いて仕事をする方には、テープ剤がおすすめです。その反面、かぶれやすいデメリットも存在するため、気になる方は湿布(パップ剤)を使用しましょう。 消炎鎮痛効果のある貼り薬は、多くの薬局やドラッグストアで販売されています。痛みや炎症がつらい場合は、貼り薬の使用も試してみてください。 靴の変更 モートン病の改善には、いつも使用している靴の見直しも大切です。ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴に変えてみましょう。 つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫され、モートン病の症状が悪化しやすくなります。そのため、踵が低くつま先の幅がゆったりしている靴に変えると症状の軽減が期待できます。 また、以下の方法も足に負担をかけないためおすすめです。 スニーカーのような靴の幅を足やベルトで調整できる靴にする クッション性のあるインソールを靴に入れる 市販で売られている靴のインソールは薄いものが多く、衝撃から足を十分に保護できない可能性があります。市販のインソールでも痛みが続く場合はオーダーメイドで注文するのも一つの手です。 ツボ押し ツボ押しは、モートン病の根本的な改善にはつながりません。しかし、痛みを緩和する可能性がはあります。 とくに以下の3つは、モートン病に効果的なツボであるといわれています。 承山(しょうざん) 位置:つま先立ちをしたとき、ふくらはぎにできるくぼみの位置 期待できる効果:足の痛みやしびれ 築賓(ちくひん) 位置:ふくらはぎのふくらみの内側で、内くるぶしから指7本くらい上の位置 期待できる効果:下半身の血行促進 漏谷(ろうこく) 位置:内くるぶしの上部から指8本くらい上のむこうずねの後ろ側にあるへこみ 期待できる効果:足底の痛み モートン病に対するツボの効果を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてください。 つま先立ちが続くとモートン病になりやすい つま先立ちが続くと、足底の前の部分に負担がかかりモートン病になりやすい傾向があります。 つま先立ちにより足指の付け根が圧迫されると、そこに通っている神経も傷ついてしまいます。その結果、モートン病が発症する可能性があるのです。 モートン病になりやすい一因として、下記のような行動があります。 踵の高いハイヒールやパンプスを履く 長時間にわたり中腰の作業を行う バレエのようなつま先立ちが続くスポーツをする 思い当たる方は、上記の行動を避けるようにしてみてください。 モートン病の初期症状は「足指間の痛みやしびれ」 モートン病は、しびれや痛み・灼熱感などの神経症状が足の指の間にあらわれる病気です。 つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足指につながる神経の圧迫が要因として考えられています。 モートン病は、足の中指や薬指の間に症状があらわれる場合が数多く見られます。ただし、人差し指と中指、薬指と小指の間などに発症することも少なくありません。 モートン病になりやすい人は、ハイヒールをよく履く女性や、長時間にわたる立ち仕事をしている方です。日頃の靴や仕事環境を見直すことで改善につながる可能性が期待できるでしょう。 モートン病を放置すると痛みが足全体に行きわたる モートン病を放置して悪化すると、痛みやしびれが足全体にいきわたり、最悪歩行困難に陥る場合もあります。また、立っているときだけではなく、静止状態のときにも痛みやしびれを強く感じることもあるでしょう。 モートン病を発症した初期は歩行が難しくなるほどではなく、少し違和感がある程度の場合が多くみられます。そのため、ひどくなるまで放置されてしまうことも少なくありません。 症状によっては、痛みがある部分を切開する手術をする可能性もあります。場合によっては神経を取り除いて痛みの緩和を試みます。その結果、取り除いた神経がある指先の感覚がなくなり、日常生活に支障が出るリスクもあるでしょう。 そのため、モートン病の症状が見られた際は、重症化する前に早めの対処が大切です。 マッサージをしても改善しない場合は受診の検討を マッサージやセルフケアをしても症状が改善されない、または何度も繰り返される場合は、受診をおすすめします。 我慢できないほど症状が強くなっている場合は、セルフケアのみでは症状が緩和されにくいほど悪化している可能性があります。また、モートン病以外の病気の疑いも考えられるでしょう。そのため、専門家による診断や治療が適切です。 病院では、以下のようなモートン病の検査が行われます。 マルダーテスト:足指の間の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、痛みがある確認する MRI検査:骨以外にも神経や靭帯の様子まで画像検査できるため、モートン病による障害部分を確認できる モートン病の治療法では以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は、下記のコラムも参考にしてください。 まとめ|モートン病の症状を緩和させて足の痛みから解放されましょう モートン病の症状は、マッサージやセルフケアで早期の緩和が期待できます。しかし、放置すると歩行困難になり手術するリスクも否定できません。 マッサージやセルフケアで改善が見られない場合は、放置せず早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病についてよくある質問 モートン病のときにやってはいけないことはありますか? モートン病が疑われるときは、長時間の立ちっぱなしや歩行は避けるようにしましょう。足に負担がかかり続けてしまい、痛みがあらわれる要因になります。 とくに、モートン病のときには、足にかかる衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすい状態です。 仕事でやむを得ず長時間立たなければならない場合もあるかもしれません。その際は、ヒールの低い靴へ変えたり、靴の中にインソールを入れたりすると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病になったら何科を受診したら良いですか? 整形外科への受診をお勧めします。整形外科では主に足のような運動器官の病気やけがを専門領域としています。そのため、モートン病も整形外科の専門領域のため、適切な処置をしてくれるでしょう。 病院では、モートン病に対して以下のような治療を行います。 足底挿板(インソール)の作成 運動療法 薬物療法(痛みが強いときはブロック注射をする場合もあり) モートン病の治療について詳しく知りたい方は、下記のコラムも参考にしてください。
2024.10.14 -
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足のくるぶしや甲、指の付け根などに「しこり」ができていることに気づき、「もしかしてガングリオン?」と不安に感じていませんか? 痛みはなくても、見た目が気になったり、将来的に悪化しないか心配になったりしますよね。 ガングリオンは多くの場合、良性の腫瘍であり、すぐに治療が必要となるケースは少ないですが放置して大きくなると痛みやしびれの原因になることもあります。 この記事では足にできるガングリオンの症状や原因、治療法を画像付きで詳しく解説し、そして自分でできる予防策について詳しく解説します。 また、できれば手術は避けたいとお考えの方のために、外科的な手術を必要としない再生医療に関する情報をLINEで配信中。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療に関する専門機関として数々の症状に対応しておりますので、ご自身の状況に合った対処法を見つけるためにお役立てください。 ▼再生医療の基礎知識を無料配信中! 足にできるガングリオンの具体例を画像付きで紹介 足にしこりができた場合、脂肪腫や粉瘤の可能性もあるため、自己判断でガングリオンと見分けるのは難しいことです。 また、目視だけでは判断ができないため、医師の判断で画像検査や吸引検査などを受けることをおすすめします。 この章では、足にできたガングリオンの一例をご紹介します。 また、足に発生するガングリオンは、内くるぶしや外くるぶし、足の甲、裏、ゆびの関節に起こりやすいのが特徴です。具体例として以下のようなエピソードがあります。 ガングリオンは関節にできる良性腫瘍 ガングリオンとは、関節周囲に発生する「コブのようにふくらんだ良性腫瘍」です。良性腫瘍のため症状がなく、しこりが気にならない程度なら積極的に治療をしなくても問題ありません。 しかし、ガングリオンの特性として大きくなってくる可能性があるため早めの診断や治療が必要です。また、しこりができた場所によっては、目立つため見た目が気になるという方もいます。 さらに、ガングリオンは20代~50代の女性に発症しやすいですが、足や関節をよく動かす方が発症と関係しているわけではありません。そのため、職業や趣味、生活スタイルは直接的にガングリオンができる原因と関係はないとされています。 また、治療を繰り返しても再発しやすいというのもガングリオンの特徴です。 ガングリオンの2つの検査方法 ガングリオンは医師による診察での視診・触診などで予測が可能です。 加えて、適切な治療のために「画像検査」と「吸引検査」により脂肪腫や粉瘤などの他の疾患との鑑別を行います。 本章では、「画像検査」と「吸引検査」について詳しく解説します。 画像検査 MRIや超音波検査によって、本当にガングリオンなのか、また体の表面からは触れられない隠れたガングリオンがあるかどうかが確認できます。画像検査では、痛みや違和感といった症状を感じていないガングリオンも見つけられます。 液状の内容物が見られるかや、しこりの大きさと周囲の組織との位置関係などから他の疾患との鑑別を行います。 吸引検査 しこりに注射を刺し、内容物がゼリー状であればガングリオンと診断されます。内容物を確認することで、ガングリオンと診断できます。 ガングリオンの原因は主に関節に負担がかかること ガングリオンが形成される原因について、残念ながら詳しくは解明されていません。 関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などの損傷をきっかけにできるのではないかと考えられています。転倒やケガなどで足の関節を痛め、関節に強い負担がかかる場合や、姿勢などの問題で関節に継続的な負担がかかっている場合、足にしこりができやすい状態といえます。 繰り返し足に負荷がかかるのは、以下のような状況です。 ケガ 一部分に負荷がかかる歩き方や姿勢 激しいスポーツ 合わない靴をはき続ける 立ちっぱなしや歩きすぎ これらの状況は、繰り返し足に負荷がかかっているといえますが、だからといって必ずしもしこりができるわけではありません。「しこりができるきっかけになるかもしれない」程度の要因ととらえておきましょう。 また、しこりや関節の痛みで苦しんでいる方は、ガングリオン以外にも何かしらの原因があるかもしれません。 再生医療を専門とする当院(リペアセルクリニック)では、手術を必要としない医療技術における多くの改善症例をLINEにて限定配信中。 しこりや足のしびれに対して長期的な予防を考えている方は、ぜひLINEにご登録ください。 ▼無料のオンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら ガングリオンは進行に伴い痛みが出現 ガングリオンが原因でできたしこりは、基本的に症状はありません。しかし、大きくなることで、違和感や痛み、しびれなどを訴える方が多いです。 しこりが大きくなると関節周囲の神経や血管を圧迫するためです。ガングリオンは進行すると、主に以下のような症状があらわれます。 痛み しびれ 圧迫感 運動障害 また、関節を圧迫するために、違和感や不快感、関節の動かしにくさを感じるでしょう。たとえば、靴が入らなくなる、歩きにくい、しゃがみにくいなど、悪化すると日常生活にも影響を及ぼします。 ガングリオンと似ている症状は内容物や部位で判断する しこりがあらわれる病気は他にもありますが、ガングリオンとほかの病気には症状の違いがあります。 なかでも、紛瘤や脂肪腫はしこりのように皮膚が膨らみ異物感があり、見た目はガングリオンと似ていますが、しこりの内容物やできる部位に違いがあります。 紛瘤 しこりの内容物は垢や皮脂などの老廃物 良性の腫瘍だが放置すると悪化する 炎症を起こし痛みや悪臭がする 脂肪腫 背中や肩、首への発生が多い 痛みはなくゆっくりと大きくなる 内容物は脂肪 まれに悪性のものがある 腱鞘巨細胞腫 手足の腱鞘への発生が多い 良性腫瘍 痛みはない 染色体異常により起こるともいわれている 上記いずれにおいても、治療が必要な場合、一般的には手術で取り除きます。 しこりの存在に気づいていても症状がない場合、「痛くないし平気だろう」と、様子をみて受診を後回しにしてしまうことがあります。しかし、別の病気との鑑別も必要なため、しこりの存在に気づいたら、一度医療機関を受診しておくと安心でしょう。 当クリニックの公式LINEでも無料相談を受け付けておりますので、他の症状も気になる方はご登録ください。 ▼無料のオンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら 足のガングリオンの2つの治療法 ガングリオンの治療は、主に以下の2つの方法でおこなわれます。 非侵襲的治療(保存的療法) 侵襲的治療(手術療法) ここでは、各治療法や、自然治癒の可能性、治療効果や費用について紹介していきます。 非侵襲的治療(保存的療法) まず、保存的療法における自然治癒の可能性や、治療方法、その効果について解説します。 自然治癒の可能性 ガングリオンは、30%~40%は自然に消失するといわれており、治療をしなくても自然治癒の可能性があります。しこりは、大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、その経過の中で自然に治癒するケースがあります。 ガングリオンならば、良性腫瘍のため目立った症状がなければ経過観察でも良いでしょう。 注射治療の方法と効果 ガングリオンの治療は、まず、注射器で内容物の吸引治療がおこなわれます。 <注射器でおこなう吸引治療の特徴> 注射器で穿刺してガングリオンの内容物を吸引し排出する 内容物の排出後は圧迫固定が必要 外来でできる処置のため侵襲が少ない ガングリオンの袋は残るため再発の可能性がある 注射の針程度の傷しかつかないため、比較的痛みも少ない処置といえます。傷跡も残らず痛みも少ないため、外来で処置が可能です。 内容物の吸引をしたあとにステロイドの注入をおこなう場合があります。これは、患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果を期待しておこなう処置です。ステロイドの注入は必ずおこなうわけではなく、医師の診察と判断により実施が検討されます。 一般的に、まずは注射器での内容物の吸引治療をおこない、再発を繰り返す場合には手術療法が検討されます。 侵襲的治療(手術療法) ここでは、手術の詳細や費用について解説します。 手術の詳細と費用 手術療法では、以下の2つの手術方法があります。 腫瘤だけでなく、関節包や腱鞘の一部も一緒に切除する方法 皮膚を小さく切り開き、関節専用の内視鏡で腫瘤につながっている関節包を切除する方法 手術自体は、日帰りでできる場合も多く、手術時間は20分~30分程度で終わります。 ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、まれに治療が難しいケースがあります。そのような場合には、日帰り手術ではなく入院治療が必要です。術後2週間後に抜糸をおこない、術後3週間程度は激しい動きは控え安静にしましょう。 手術には以下のようなリスクがあります。 感染を起こす 神経を傷つける 傷跡がのこる 手術といわれると、治療に対して不安が大きくなりますよね。医師からの説明をよく聞き、わからないことは手術の前に確認しておくと安心です。不安な気持ちがあることも伝えておきましょう。 一般的な手術の費用は以下の通りです。 負担割合 負担金額 1割負担 約3,000円前後 3割負担 約9,000円前後 そのほか、診察代や検査代、処方箋代などがかかります。手術部位によっても費用が異なるため、詳しくは手術を受ける病院に確認してください。 ガングリオンは治療後再発の可能性もある ガングリオンは治療法により再発率が変化します。 注射治療では約半数、手術療法では約10%の方が再発するといわれています。 再発を繰り返すと、治療や手術に伴う体への侵襲や医療費がかかる部分も懸念されるため、治療のあとは予防に力を入れていきましょう。 ガングリオンの2つの予防法 ガングリオンの原因ははっきりと解明されていないため、確実な予防策はありません。しかし、対策をすれば、発症のリスクを下げることができます。 ここでは、ガングリオンの発症予防や悪化予防のためにできる日常生活での注意点や、スポーツをするときの注意点について解説します。 日常生活での注意点 足のガングリオンは、合わない靴をはき続けたり、歩き方や姿勢が悪かったりすると、一部の関節に負担がかかります。そのような状態はガングリオンを発症するきっかけになったり、すでにあるガングリオンを悪化させたりする可能性があります。靴はサイズの合った履きやすい靴を選び、歩き方や姿勢にも気をつけましょう。 ガングリオンを強い力でマッサージするのも良くありません。軽くさする程度なら問題ありませんが、力を加えマッサージをおこなうと、痛みが悪化したりしこりが大きくなったりする可能性があります。 また、痛みが出てきた場合には、無理に動かさず安静にしましょう。患部に熱感がある場合には炎症が起きている可能性が考えられます。保冷剤や濡らしたタオルで冷やし、早めに医療機関を受診しましょう。 スポーツ時の注意点 スポーツをするときには、関節に負担をかけないようにし、ケガに気をつけましょう。 ガングリオンは、関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などを損傷した場合にできると考えられています。ケガがきっかけでガングリオンができる可能性があるため、スポーツをする前にはしっかり準備運動やストレッチをしてから始めましょう。 また、ケガをしにくい体作りも大切です。関節の柔軟性を高めるストレッチや筋トレを取り入れ、ケガをしにくい強い関節をつくりましょう。 ガングリオンは早期発見と治療が大切 ガングリオンは良性の腫瘍ですが、早期発見するに越したことはありません。しこりが大きくなる前に治療ができれば、痛みやしびれなどの症状を起こさずに済みます。 また、まれにガングリオンではなく悪性腫瘍だったケースもあります。しこりがあると感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。 ガングリオンは、適切な治療と管理をおこなえば再発のリスクを下げられます。ただし、ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、治療が難しいケースがあります。 いくつものガングリオンが、ブドウの房のようにできた症例もあり、必ずしもできたガングリオンがひとつとは限りません。 受診する医療機関は、整形外科が一般的です。そのほか、形成外科、皮膚科、外科でも治療が受けられます。適切な治療を受けるためには、医療機関を受診し、担当の医師と治療方針について十分話をしておく必要があるでしょう。 まとめ|足のガングリオンは良性腫瘍だが適切な治療と管理を要する ガングリオンは良性腫瘍ですが、痛みやしびれ、見た目の問題など、気になる症状があれば早めに専門医に相談することが大切です。 また、ご自身の判断だけでなく、他の病気の可能性も考慮して一度は医療機関で診察を受けることをおすすめします。 良性腫瘍のため治療はしなくても問題はありません。しかし、痛みやしびれなどの症状が出てきた場合には、早めに整形外科を受診し適切な検査と処置を受けましょう。 もしガングリオンのようなしこりがあって不安な場合には、当院のオンラインカウンセリングをお気軽にご利用ください。 当院は関節の痛みや機能改善に対して、ご自身の細胞を活用する再生医療(幹細胞治療)を提供しておりますので、ご不安な症状に対してスタッフが丁寧にご回答いたします。 参考文献一覧 日本整形外科学会|「症状・病気をしらべる ガングリオン」 日本手外科学会「手外科シリーズ ガングリオン」 日本医放会誌 第59巻第7号「関節周囲の嚢胞性病変―ガングリオンと滑液包炎―」 メディカルノート「ガングリオン」 徳島県医師会「足のガングリオン」
2024.09.16 -
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スポーツなどで起こりやすいとされるアキレス腱断裂は、足首を動かすことが困難になり、日常生活が大きく制限されてしまいます。 アキレス腱断裂では、保存療法と手術どちらでもリハビリが必要ですが、実際にどんなリハビリをするか気になる人もいるのではないでしょうか。 実はリハビリをすすめていく上で、必ず守らないといけない注意事項や効果的な方法があるため、実際にリハビリを進めていく際には注意が必要です。 そこで本記事では、アキレス腱断裂をした後のリハビリメニューや治療法などを詳しく解説します。アキレス腱断裂をしてその後のリハビリメニューや治療法が気になる方はぜひ最後までチェックしてください。 アキレス腱断裂でのリハビリメニューは「アキレス腱以外の部位も行う」 アキレス腱断裂をした後のリハビリで重要なポイントは以下の3つです。 治療は手術と保存療法がある どちらの場合でもアキレス腱以外の部位を怪我した直後から動かす 患部は装具を使ってゆっくりと動かしていく アキレス腱断裂の治療は、外科的にくっつける手術と自然治癒を待つ保存療法の2択ですがどちらもリハビリが欠かせません。 とくにアキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)といった部位は、怪我した直後から積極的に動かすようにしましょう。 手術・保存療法どちらの場合でも、アキレス腱に負担をかけないために、踵を挙げた状態で固定する装具を装着してリハビリを行います。 なお、当院リペアセルクリニックでは手術・保存療法のほか再生医療の提供も可能です。もし気になる方はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 また、アキレス腱治療における再生医療については、以下の記事でも解説していますので、ぜひチェックしましょう。 アキレス腱以外のリハビリは「足首以外を弱らせないため」に大切 アキレス腱断裂後のリハビリでは、足首以外の筋力を維持するために、アキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)などを積極的に動かします。とくに問題がなければ、怪我した直後から動かしていくメニューが一般的です。 とくにアキレス腱断裂の場合、足首以外の関節を装具で固定するケースも多くあります。関節を保護しすぎて動かす量が減ると、下肢筋力が大きく低下してしまう可能性も考えられます。 社会復帰を早めるためにも、足首以外の筋力強化は積極的におこないましょう。 足首が固まらないことを優先する アキレス腱断裂では、アキレス腱の再生を促す目的で、足首を固定する期間を設けるケースがほとんどです。足首が固まってしまい可動域が制限されることが多いため、リハビリでは足首の可動域を維持することが大切です。 具体的には、装具を使ってアキレス腱に負担がかからないようにしながら体重をかける練習や、足首周囲のマッサージを積極的におこないます。 アキレス腱に負担がかからない範囲で足首のリハビリをおこなうことで、足首の可動域制限を最小限にとどめることが大切です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱】 アキレス腱断裂後におこなうアキレス腱のリハビリメニューには、以下の4つがあります。 足首を反らして可動域を広げる運動 アキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 体重を乗せる練習 スポーツや社会復帰に向けた動作練習 これらのリハビリは、アキレス腱への負担を考慮しながら進める必要があります。痛みが出たら即中止し、無理をしないようにこころがけてください。 関節可動域運動足首を反らして可動域を広げる運動 足首の関節が固まらないように、関節可動域運動(かんせつかどういきうんどう:ROM運動)を行います。 つま先を上に持ち上げるような動き(背屈運動:はいくつうんどう)はアキレス腱が伸ばされるため、慎重に始めて再断裂を予防するのが大切です。 アキレス腱の強度が高まれば、立ってアキレス腱を伸ばすようにストレッチをして関節の動きを改善します。 Step1 自分でゆっくり動かす アキレス腱の組織が癒着しているのをはがす Step2 最初はつっぱり感があり、痛みも出やすい 優しく行うのが重要です Step3 徐々に理学療法士によるマッサージやストレッチを加えながら関節を動かす アキレス腱の柔軟性を改善します。 筋力トレーニングアキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 アキレス腱が十分修復されてくれば、日常の動作やスポーツに必要な筋力を戻すためのトレーニングを実施します。 まずはゴムバンドなどを使用して体重をかけない状態で負荷をかけましょう。筋力や痛みの有無に合わせて、体重をかけた状態でのトレーニングに移行します。最初は無理をせず、徐々に負荷を高めていくことが重要です。 トレーニング 1. 座って踵上げ(座位カーフレイズ)から始める ⇩ 2. 両脚で立っての踵上げ(両脚カーフレイズ) ⇩ 3. 片足で立っての踵上げ(片脚カーフレイズ) 荷重練習体重を乗せる練習 アキレス腱の修復状況に合わせて、体重をかける時期や量を調整します。体重を乗せる練習は装具を使って、アキレス腱が無理に伸ばされないようにこころがけてください。 なお、保存療法に比べ、手術療法の方が早くから体重をかけることができます。 荷重は装具を使用しながら調整します。装具については、後ほど詳しく解説します。 動作練習スポーツや社会復帰に向けた動作練習 アキレス腱の強度や筋力が十分になれば、装具を外してのウォーキングやジョギング、ランニング、ジャンプといった動作を実施していきます。 スポーツ動作は複雑な動きや強い瞬発力を必要とするため、短くても6カ月ヶ月程度の期間が必要です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱以外】 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニューとして、以下の4つをご紹介します。 足趾の強化(タオルギャザー) 太ももの筋力強化 膝を伸ばす運動 お尻の外側の筋力強化 これらの運動は、体重がかかったときにアキレス腱の働きを補助する筋肉を鍛えるメニューです。これらのリハビリを行うことで、アキレス腱の負担軽減につながります。 いずれもアキレス腱への負担がかかりにくい運動であり、アキレス腱断裂後、早期から実施可能です。 しかし、慣れないうちは足首に力を入れてしまうこともあるかもしれません。もしリハビリの実施中に痛みを感じた場合は、無理せず中止してください。 足趾の強化(タオルギャザー) 用意するもの:フェイスタオル等やや厚手のタオル 1.裸足で立位または椅子に座り、指先でタオルをたぐり寄せる。 2.たぐり寄せたタオルを指先で元の位置に広げる。 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 1セット10回を1日3セット程度から開始して、余裕があれば増やします。実践する際にはタオルを引き寄せるときに指を大きく動かすことが重要です。また、足首を反らしながら指を曲げてしまう人が多いため、つま先を床につけたままおこなう意識を持ってください。 太ももの筋力強化運動 用意するもの:バスタオル(またはクッション) 1.仰向けになり、まっすぐに伸ばした膝裏に丸めたタオルを挟む。 2.膝裏でタオルを力強く押すと同時に、つま先は上に持ち上げる。(5 秒ほど) 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 体重がかかったときに踏ん張って体を支えてくれる太もも(大腿四頭筋)の筋力強化運動です。1セット10回で1日3セット程度を目安に進めていきましょう。 ポイントはしっかりと膝を伸ばしながら足を持ち上げることで、膝を伸ばす意識を持てば太ももの筋肉に大きく刺激が入ります。また、足首に力を入れてしまう人が多いため、足首の力は抜くようにしてください。 膝を伸ばす運動 用意するもの:背もたれのある椅子か机などつかまれるもの 1.立位で椅子の背もたれなどに摑まり、片足を後ろに引き、膝を伸ばす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 後ろに引いた足の膝を伸ばして太ももの筋肉(大腿四頭筋)に刺激を入れる運動です。1セット10回で1日3セットを目安におこないます。体重をかけることで太ももの筋肉により強い刺激が入るでしょう。 この練習をするときはアキレス腱保護のため装具を必ず装着してください。体重をかけることで痛みを感じるようであれば、無理をしないように気をつけましょう。 お尻の外側の筋力強化 1.横向きになり、上側の足をゆっくりと持ち上げ、ゆっくりと下ろす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 立ったときに骨盤を横から支えてくれるお尻の筋肉(中臀筋)を鍛える運動です。1セット10回を2〜3セットを目安におこないましょう。 ポイントとして足を上げ下ろしする角度が大切です。骨盤より前で足を上げ下ろしすると太ももの筋肉に力が入りやすいので、足を骨盤と同じ角度か少し後ろに引く気持ちで上げ下ろしするとお尻への刺激が入りやすいでしょう。 日常生活やスポーツへの復帰を早めたいなら「手術」も検討する もし早期の社会復帰・スポーツ復帰をしたいと考えているならば、手術を受けることも検討しましょう。 手術ではアキレス腱を縫合するため、再生を早められるほか、保存療法による自然治癒よりも強固に修復できるためです。 アキレス腱断裂後に早く日常生活やスポーツに復帰したい人は、主治医と相談の上、手術も視野に入れても良いかもしれません。 本章ではアキレス腱断裂後のリハビリにかかる経過を、保存療法をおこなったケースと手術をしたケースでそれぞれご紹介します。 保存療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜2週間 ・体重はまったくかけてはいけない ・患部以外のトレーニングの実施 2週間〜6週間 ・足首を下に向けた状態で固定 ・床に触れる程度から体重をかけ始める ・4周目以降に全体重をかけ始める ・足首をゆっくり自分で動かす 6週間〜8週間 ・足首をストレッチする 8週間〜12週間 ・徐々に筋力トレーニングを開始 ・ゴムバンドなどを使ったトレーニングを開始 ・筋力が向上すれば座位カーフレイズ開始 ・両脚カーフレイズ、片脚カーフレイズを段階的に実施 3カ月〜4カ月 ・装具を外してウォーキングやジョギングを開始 4カ月〜6カ月 ・ランニングやジャンプ開始 6カ月〜 ・スポーツ復帰 アキレス腱断裂後、保存療法を行う場合は、受傷からアキレス腱の修復状況に合わせて、段階的にリハビリメニューを変更していきます。 アキレス腱の修復状況や痛みの程度、合併症の有無などによって、上記のメニューのようにいかない場合もあるため、都度強度の調整が重要です。 受傷直後はギプス固定をして、足首が完全に動かないようにしばらく固定をする場合もあります。あくまでもアキレス腱の修復や再断裂の予防が最優先ですので、医師や理学療法士としっかり連携をとり、リハビリを進めていくのが大切です。 手術療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜4週間 ・体重はまったくかけない。 ・患部以外のトレーニングの実施 ・痛みに合わせて徐々に足首の運動を実施 ・徐々に体重をかける量を増やしながら荷重する 4週間〜6週間 ・つま先を下に向ける ・徐々に戻していき、全体重をかけていく 6週間〜8週間 ・立った状態 ・ストレッチや足首の筋力トレーニングを始める ・筋力がつけば両足カーフレイズを実施(両手支持から始める) 8週間〜3カ月 ・装具を外してのウォーキング開始 ・片脚カーフレイズで筋力を向上させる 3カ月〜5カ月 ・ジョギングやランニング ・ジャンプなどを段階的に実施 5カ月〜 ・スポーツ復帰を目指す アキレス腱断裂後、手術を行う場合は、保存療法よりも早期に体重を乗せるリハビリをはじめます。 手術療法は比較的アキレス腱の修復が早く、体重を早くかけられるようになります。そのため、保存療法よりも早く社会復帰・スポーツ復帰が可能です。 メリットは手術でアキレス腱を強固に修復でき、スポーツ復帰が早いことです。しかし、費用や手術での感染・神経損傷リスクはデメリットといえるでしょう。 なお、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生治療に取り組んでいます。興味がある人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 また、アキレス腱断裂後の手術については以下の記事でも解説しています。手術を検討している人はぜひチェックしてください。 まとめ|アキレス腱断裂後のリハビリメニューは下肢全体を鍛えよう!治療法で悩んだら受診がおすすめ アキレス腱断裂後のリハビリメニューは、断裂したアキレス腱以外の部位も含めて下肢全体を鍛えるように行う必要があります。 また、アキレス腱断裂後のリハビリ内容や経過は、保存療法か手術療法によって異なります。治療方法は医師としっかり相談して、個人個人のライフスタイルに合わせて選択してください。 いずれの治療方法でも、アキレス腱の修復を待ちながら、段階的にリハビリを進めて、日常生活やスポーツに復帰することが大切です。 ちなみに、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生医療をおこなっています。保存療法の選択肢として検討してみたい人は、お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 本記事を参考にアキレス腱断裂後のリハビリについての理解を深めて、医師や理学療法士と連携しながら回復を目指しましょう。 アキレス腱断裂についてよくある質問 アキレス腱断裂は手術が必要ですか? A:必ず手術というわけではありません。 アキレス腱断裂では必ずしも手術が必要ではなく、保存療法という選択肢もあります。しかし手術をした方がスポーツ・社会復帰が早くできるため、ライフスタイルに合わせて治療方法を選択してください。 アキレス腱断裂後はどんなリハビリをしますか? A:足首だけでなく、下肢全体で運動を進めていきます。 アキレス腱断裂後はアキレス腱に負担がかからないように、股関節や膝などを動かしていきます。アキレス腱の修復度をみながら、足首も徐々に負荷をかけていき、無理せず動かすことが重要です。なお、リハビリも手術をした方が経過が早く進みます。
2023.06.13 -
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アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は中高年の方によく起こる代表的なスポーツ外傷です。 仕事やスポーツへの早期復帰を希望する場合には従来は手術治療がよく選択されてきました。一方で、手術治療を選択してもケガをする前の状態まで戻るには長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症など手術自体の合併症などの問題がありました。 その中で、最近では最新医療である「再生医療」が注目されてきており、アキレス腱断裂でも治癒を促進する治療として「自己多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma; PRP)療法」が行われてきています。 再生医療を行うことで、手術をしない場合でも早期に仕事復帰、スポーツ復帰が可能になると期待できますし、手術の合併症のリスクも回避することができます。 この記事では、最新医療として期待されている、アキレス腱断裂に対するPRP療法での再生医療について解説していきます。 アキレス腱断裂に対するPRP治療について PRP療法は、患者さんから採血した血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を患者さんの傷んでいる場所に注射する再生医療です。 PRPは、採血した血液を特殊な血液分離機器を用いて精製することで、通常の血液に比べて血小板や様々なサイトカインや成長促進因子を含んでいることがわかっています。 再生医療と聞くと、「自分の細胞を培養して投与する複雑な治療?」と想像されるかもしれませんが、PRP療法は精製したPRPを局所に注射するだけですので、身体への負担が少なく、短時間で終わるため、外来で受けることが可能です。 PRP治療のメリット 身体への負担が少ない 治療が短時間で終わる 外来で受けることが可能 簡単かつ、自分の組織のため安全なので、普及しつつある治療法なのです。 PRP療法のメリット、デメリット PRP療法は、入院、手術が不要なばかりか、外来で治療ができるため、とても有効です。 メリット 1.副作用が少ない 自分から採取した組織で治すため、アレルギー症状などの拒絶反応などを引き起こしにくい 副作用もほとんどありません 2.身体を傷つける心配がない 身体への負担は、採血と精製した組織の注射だけ 手術などで身体にメスを入れる必要がありません 3.外来で治療が可能 PRP療法は、通院による治療が可能です。 実施後すぐ日常生活に戻れる 負担が非常に少ない治療法です デメリット 1.効果の個人差 PRP療法の効果には個人差があります ヒトの血液の中には様々な因子が含まれており、その量には個人差があります 精製過程で割合も変化するので、効果に個人差があることは知っておく必要があります。 2.処置部位の痛み 注射をするという医療行為の特性として、注射をした後の数日間は、痛みや腫れ、赤みなどの症状が出ることがある 心配な場合には一度治療された病院を受診されるすることをおすすめします。 アキレス腱断裂に対するPRP療法の有効性 PRP療法は最新の治療のため、現在様々な研究が行われ効果が検証され始めています。 一般的にアキレス腱などの腱は腱自体への血流が乏しいので治りにくく、復帰に時間を要するのですが、PRPを投与することで腱の修復を早くすることができます。複数の研究をまとめたシステマティックレビューというエビデンスレベルの高い論文では、PRP療法を行った場合、足関節の可動域が他の治療と比べて良好であるという報告がなされています。(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34731144/) PRP療法を行うことで最短で治りつつ、機能的にも良好な成績が得られると考えられています。 再生医療に対するよくある質問 再生医療は、まだまだ馴染みのない治療方法です。そこでよく質問される内容から抜粋して以下に記しましたのでご参考美してください。 Q1.PRP療法は他にどのような疾患に適応がありますか。 A:PRP療法は様々な疾患で受けることができます。アキレス腱断裂のほかに、半月板や膝の靭帯損傷、ジャンパー膝などの腱の炎症、変形性膝関節症や変形性股関節症などの軟骨が摩耗する疾患、五十肩など痛みを伴う整形外科の疾患の多くに適応があります。 飲み薬や注射でも治らず、手術しかないと言われている方で手術をせずに治したい方、はやく痛みを和らげたい方は、適応があるか是非医療機関にご相談してみてください。 Q2.PRP療法はどこで受けることができますか。 回答:2023年5月時点ではPRP療法は自由診療ですので、行っている施設は限られています。当院では最新の再生医療としてPRP療法に加えて、独自の細胞培養技術を用いた自己脂肪由来幹細胞治療も行っています。 治療についてのご相談は、経験豊富な医師、アドバイザーが無料で行っており、内容についてご納得していただいた上で治療を受けることができます。 ご予約は電話、メール、WEBで可能ですので、治療について悩んでいる方は是非お気軽にご相談ください。 ▶リペアセルクリニック「メール・WEBで相談する」 まとめ・アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は特に中高年に多く見られるスポーツ外傷で、従来は手術が一般的な治療法とされてきました。しかし、手術には長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症のリスクが伴うために最新医療の一つであるPRP(自己多血小板血漿)療法という再生医療が注目されています。 PRP療法は、患者自身の血液から抽出した「多血小板血漿」を用いる再生医療です。この方法は、血小板や成長因子を多く含むPRPを患部に注射することで、自然治癒力を高め、腱の修復を促進します。手術を避けられるため、体への負担が少なく、入院することなく、短時間で外来で受けられる利便性があります。 PRP療法のメリットには、アレルギーや拒絶反応のリスクが少なく、副作用がほとんどないことが挙げられます。また、注射のみで済むため、入院はもちろん手術の必要がなく、治療後すぐに日常生活に戻れる点も大きな利点です。しかし、効果には個人差があり、注射部位の痛みや腫れが数日続く可能性もあります。 PRP療法はアキレス腱の修復を早め、他の治療法に比べて足関節の可動域の改善が期待できるとされています 。腱の血流が乏しいために治癒が遅れがちなアキレス腱断裂に対して、PRP療法は有効な治療法となり得ます。 再生医療はまだ新しい分野であり、疑問や不安を持つ方も多いかと思ことでしょう。中でもPRP療法はアキレス腱断裂以外にも、膝や肩の靭帯損傷、変形性関節症など、多くの整形外科疾患に適用されています。治療できる医療機関は厚生労働省の認可が必要で限られていますが、再生医療専門クリニックである当院にご相談いただければ詳しくご説明させて頂きます。 アキレス腱断裂の治療法として、手術以外の選択肢を探している方や、早期の回復を望む方は、PRP療法をご検討されてはいかがでしょうか。 手術や入院をせずに早くケガを治したいなど、興味のある方はぜひお気軽に当院にご相談ください。 ▼アキレス腱が切れてしまう前に知るための方法は以下をご覧ください 【アキレス腱断裂】アキレス腱が切れる予兆の症状とその原因
2023.06.08 -
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「アキレス腱断裂の予防方法を知りたい」「再発するのが怖い」 これらの疑問や悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。 アキレス腱断裂は突然の激痛とともに起こり、長期間の治療を必要とするため、日常生活や仕事に大きな支障をきたす怪我です。 おもに40代以上の方や運動不足の人は発症リスクが高いと言われていますが、予防法をよく知らないまま運動を始めて後悔する人が多いのも現状です。 本記事では医師監修のもと、アキレス腱断裂の予防法と再発防止策を、具体的かつ実践しやすい方法でわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱断裂の治療も提供しています。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 アキレス腱断裂を予防する3つのポイント アキレス腱断裂を予防するには、適切な運動習慣や靴選びなど日頃からできることはたくさんあります。 ここでは、アキレス腱断裂予防に効果的な3つのポイントを紹介します。 適切な運動習慣でアキレス腱を鍛える アキレス腱をサポートできる靴を選ぶ 運動後はアキレス腱のケアを行う どれも簡単に取り入れられるものばかりなので、ぜひ今日から実践してみましょう。 適切な運動習慣でアキレス腱を鍛える アキレス腱を鍛えるためには、日常的な運動習慣が大切です。 運動不足の状態では、アキレス腱が硬くなり断裂しやすくなってしまうためです。 まずはウォーキングや軽いジョギングなど、アキレス腱に負担をかけすぎない運動を習慣化しましょう。 運動する際は、準備運動を入念に行いアキレス腱をしっかりと伸ばすことも大切です。 毎日少しずつでも良いので運動を続けていくと、アキレス腱は強化されて柔軟性が高まり、断裂リスクも低下します。 適度な運動によりアキレス腱を鍛え、断裂を予防しましょう。 アキレス腱をサポートできる靴を選ぶ アキレス腱断裂の予防には靴選びも重要です。 靴のかかと部分が硬いものや、サイズが合っていないものはアキレス腱に負担をかけてしまい、断裂のリスクを高めます。 アキレス腱をサポートしてくれる靴を選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。 かかと部分がしっかりとしていて、安定感がある 自分の足に合ったサイズで、締め付け感がない クッション性があり、衝撃を吸収してくれる 通気性が良く、蒸れにくい 4つのポイントを踏まえ、各スポーツの種目に適したスポーツシューズを着用するようにしましょう。 運動後はアキレス腱のケアを行う 運動後には、アキレス腱は疲労し炎症を起こしている可能性があるため、しっかりとケアを行ってください。 アイシングやストレッチによる、アキレス腱のクールダウンが大切です。 また、アキレス腱周りにある筋肉のマッサージをすると、血行を促進し疲労回復を早める効果も期待できます。 日頃からのケアによって、アキレス腱の状態を整え断裂リスクも減らせるでしょう。 アキレス腱が切れないために行うべきストレッチ・トレーニング アキレス腱断裂を予防するには、日頃からストレッチやトレーニングを取り入れ、アキレス腱周りの筋肉を柔らかく保つことが大切です。 とくに、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と呼ばれるふくらはぎの筋肉のストレッチ・トレーニングは、アキレス腱断裂の予防に効果的です。 本章では、アキレス腱強化に役立つ2つのストレッチ・トレーニングを紹介します。 下腿三頭筋のストレッチで予防する方法 下腿三頭筋の筋力トレーニング方法 これらを正しく実践し、怪我のリスクを減らしましょう。 下腿三頭筋のストレッチで予防する方法 アキレス腱の負担を減らすには、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)をストレッチで柔らかくすることが重要です。 下腿三頭筋は、腓腹筋とヒラメ筋という二つの筋肉が合わさってできています。 ストレッチの方法も筋肉によって違うので、それぞれ適切な方法で行いましょう。 まずは、腓腹筋のストレッチ方法から紹介します。 <腓腹筋のストレッチ> 1. 立った状態で左足を後ろに引く 2. 右足の膝を曲げながら体重を前にかけていく 3. 左足の膝は伸ばして踵を地面から離さないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右に変えて同じようにする。 次にヒラメ筋のストレッチ方法です。 <ヒラメ筋のストレッチ> 1. しゃがんだ状態で左脚を立てて片膝立ちになる 2. 左足に体重をかけるように前に重心を移動させる 3. 左足の踵が地面から離れないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右に変えて同じようにする。 ヒラメ筋は膝を曲げながらストレッチをかけるのがポイントです。膝を曲げると腓腹筋が緩んだ状態になるので、ヒラメ筋を単独でストレッチできます。 下腿三頭筋の筋力トレーニング方法 下腿三頭筋(かたいさんとうきん)のトレーニングでは、立った状態でゆっくり踵の上げ下ろしをする「カーフレイズ」が有名です。 <カーフレイズ> 膝を伸ばした状態と曲げた状態の両方で行うと、腓腹筋、ヒラメ筋を両方鍛えられます。バランスがとりづらい方は椅子やテーブルを持って行うと良いでしょう。 10回を最初の目標にして、ふくらはぎが疲れない程度に取り組みましょう。 アキレス腱断裂が起きやすい人の特徴3つ アキレス腱断裂は誰にでも起こりうる怪我ですが、とくにアキレス腱断裂のリスクが高い人の特徴は以下のとおりです。 40代以上の運動不足の方 急に運動を再開した方 立ち仕事が多い方 1つでも当てはまる方は、日頃からアキレス腱をケアし、断裂予防を心がけるようにしましょう。 40代以上の運動不足の方が危険 40代以上で運動不足の方は、アキレス腱断裂のリスクが高まります。 年齢を重ねると、アキレス腱の柔軟性や強度が低下していくためです。 また、運動不足によって下腿三頭筋(かたいさんとうきん)が衰えると、アキレス腱への負担が増加し断裂しやすくなります。 40代以上で運動不足の人は、定期的にストレッチや軽い屈伸運動を行い、アキレス腱を鍛えるよう意識しましょう。 急な運動再開はとくに注意が必要 運動不足の人が急に激しい運動を始めると、アキレス腱断裂のリスクが高まります。 アキレス腱は、日頃から使われていないと急な負荷に対応できません。 そのため、久しぶりに運動を再開する際は、準備運動をしっかり行い徐々に運動強度を上げていく意識が大切です。 いきなり激しい運動をするのではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどから始めて体を慣らしていきましょう。 立ち仕事が多い方もリスクがある 立ち仕事が多い人も、アキレス腱断裂に注意が必要です。 長時間立ちっぱなしの状態だと、アキレス腱に常に負担がかかり続けて疲労が蓄積しやすくなります。 また、立ち仕事は同じ体勢を続ける場合が多いため、アキレス腱が硬くなり柔軟性が低下する傾向があります。 そのため、立ち仕事の人はこまめな休憩を挟んだり、習慣的にストレッチを行ったりして、アキレス腱への負担をできるだけ軽減しましょう。 【再発防止】アキレス腱の再断裂を防ぐ2つのポイント アキレス腱断裂から回復するまでの過程で再断裂してしまうと、治療期間がさらに長引いてしまう可能性があります。 再断裂を防ぐために注意すべきポイントは以下の2つです。 医師の指示通りにリハビリを続ける 運動復帰時は軽い動きから始める 本章を参考に再断裂のリスクを減らし、日常生活へのスムーズな復帰を目指しましょう。 また、当院ではアキレス腱断裂の治療も提供しておりますので、治療方法や再断裂に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 医師の指示通りにリハビリを続ける アキレス腱断裂の回復には、医師の指導に基づいたリハビリが欠かせません。 リハビリでは、負荷を徐々に上げていく計画が重要ですが、焦って無理をすると回復が遅れるだけでなく再断裂のリスクが高まります。 したがって、ストレッチや筋力トレーニングで徐々に強化し、柔軟性を保つように心がけましょう。 医師のアドバイスを守り、地道に取り組む姿勢がアキレス腱の再断裂を防ぐポイントです。 運動復帰時は軽い動きから始める アキレス腱の再断裂を防ぐために、運動復帰時は軽い動きから始めるのがポイントです。 急な負荷や激しい運動はアキレス腱に大きな負担をかけ、再断裂につながる可能性が高まります。 ウォーキングや軽いストレッチからスタートし、段階的に運動強度を上げるのが理想です。 ただし、違和感や痛みがある場合は無理をせず、すぐに医師に相談するようにしましょう。 アキレス腱断裂の治療法や断裂後のリハビリメニューについては、以下の記事でも詳しく紹介しております。アキレス腱断裂後、運動への復帰を予定している方は目を通しておきましょう。 まとめ|アキレス腱断裂しないためにも常に予防対策を意識しよう アキレス腱断裂を予防するには、日頃からの適度な運動によりアキレス腱を鍛えておくことが大切です。 ストレッチや軽いトレーニングを通じて、アキレス腱を少しずつ丈夫にしていきましょう。 また、準備運動を怠らず、運動時は必ずクッション性の高い靴を選び、運動後のケアも忘れずに行ってください。 アキレス腱だけでなく、ふくらはぎの筋肉下腿三頭筋を柔軟に保つことで、アキレス腱への負担も軽減できます。 この記事を参考に、ぜひアキレス腱断裂の予防に取り組んでみてください。 当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱断裂の治療に役立つ再生医療を提供しています。 リハビリ方法も含め、気になる症状や疑問がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 アキレス腱断裂の予防に関してよくある質問 アキレス腱断裂してから完治するまでどのくらいの期間がかかりますか? アキレス腱断裂の治療期間は、保存療法か手術療法によって異なります。 ギプスなどによる固定期間と、スポーツ復帰できるまでの完治期間は以下のとおりです。 治療方法 保存療法 手術療法 ギプスなどの固定期間 6〜10週間 4〜8週間 スポーツ復帰までの期間 7〜9か月程度 6〜9か月程度 ただし、スポーツの種目によっても復帰時期は異なるため、主治医と相談することが大切です。(文献1) アキレス腱断裂の全治期間については、以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 アキレス腱断裂後の癒着をほぐす方法はありますか? アキレス腱の癒着を予防・改善するには、医師の指導のもと適切なマッサージとストレッチが効果的です。 まずは、足首を優しく前後に動かす運動から始めましょう。 痛みの出ない範囲で、アキレス腱周辺を指でマッサージするのも有効です。 また、入浴後は血行が良くなっているため、ストレッチに適したタイミングだといえます。 ただし、強い痛みを感じる場合は即座に中止し、医師への相談をお勧めします。 参考文献一覧 文献1 伊佐整形外科_アキレス腱断裂
2023.06.01