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くも膜下出血発症後は後遺症があることも少なくありません、以前のような日常生活を送れるのか、退院後の生活に不安は絶えないですよね。 くも膜下出血の退院後は、リハビリを定期的に行うことが大切です。普段の食事や入浴などはリハビリの一環となるため、自発的に行いましょう。 本記事では、くも膜下出血で退院後に気を付ける点や後遺症について詳しく解説します。くも膜下出血の再発を防いで日常生活を取り戻すヒントとなれれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 くも膜下出血の退院後の生活で気をつけるべきこと7選【再発予防】 くも膜下出血再発予防のため、退院後に気をつけるべきことは以下の7つです。 体調の変化があったら医師の指示に従う 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 定期的に血圧を測る ストレスを溜めず規則正しい生活を送る 過度な飲酒を控える・禁煙をする 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける 身の回りのことはできる限り自分で行う 退院後は上記を意識しながら日常生活を送りましょう。 体調の変化があったら主治医の指示に従う 身体のしびれやろれつが回らないなど、いつもと違う体調の変化があれば、くも膜下出血の可能性があります。早めに主治医へ相談しましょう。 くも膜下出血は発症から処置までのスピードが遅れると、その後の死亡率に影響します。自己判断で受診せず様子をみることは当面控えるようにしてください。 また、主治医以外の意見を聞きたい場合は、セカンドオピニオンもひとつの手です。ただし、体調変化があれば、すぐに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳卒中の治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 くも膜下出血の再発については、以下の記事でも詳しく解説しています。 処方薬は主治医・薬剤師の指示通りに服用する 降圧薬や糖尿病薬など、処方された薬がある場合は指示通りに服用しましょう。 くも膜下出血の一因として、高血圧症や糖尿病といったほかの病気が考えられます。(文献1) 処方薬を正しく服用しないと血圧や血糖値はもちろんのこと、くも膜下出血の再発のリスクにつながります。 ただし、副作用がみられる場合は自己判断で辞めず、医師や薬剤師に相談してください。 定期的に血圧を測る 高血圧症によるくも膜下出血の再発を防ぐためには、日頃から定期的に血圧を測定し、記録しておきましょう。 血圧に急激な変化があったときに、主治医が適切な治療の判断をしやすくなります。 また、病院と自宅で血圧の数値が異なるケースもあります。(文献2)そのため、自宅でも血圧測定が大切です。 家庭用の測定器は、薬局や家電製品などで手軽に購入ができます。また、毎日の血圧は血圧手帳に記載し、定期受診の際に主治医へ見せるようにしましょう。 ストレスを溜めず規則正しい生活を送る ストレスや不規則な生活は血圧に影響する可能性があります。ストレスによりくも膜下出血の一因である高血圧のリスクが2倍に上がるという報告もあるのです。(文献2) そのため、自分なりのストレス発散方法を持っておくことが大切です。また、起床時間や就寝時間は毎日同じ時間に設定し、規則正しい生活を送りましょう。 再発リスクを減らす予防法は、以下の記事でも詳しく解説しています。 過度な飲酒を控える・禁煙をする 飲酒や喫煙も血圧を上昇させるため、くも膜下出血のリスクがあります。飲酒・喫煙も可能な限り退院後は控えましょう。 また、飲酒量が多いほど、くも膜下出血のリスクが上がるという報告もあります。(文献2) 普段から飲酒の習慣がある方は休肝日を設け、適度な飲酒量に調整するよう心がけてみてください。 喫煙は血圧上昇につながるため禁煙しましょう。自分だけで禁煙が難しい場合は、禁煙外来へ受診する方法もあります。 塩分の取りすぎに注意してバランスの良い食事を心がける 塩分の過剰摂取に注意した栄養バランスの良い食事も、くも膜下出血の再発予防につながります。 塩分の取りすぎは血圧を上げすぎてしまいます。以下のような点を意識して、減塩に取り組んでみてください。 食事量を腹八分目にとどめる 調味料を減塩タイプに切り替える また、便秘気味の人は排便の際に、血圧が上がってしまうリスクがあります。こまめな水分補給や食物繊維が豊富な食べ物の摂取にて便秘解消を心がけてみてください。 生活習慣の見直しのみで便秘が改善しない場合は我慢せず、便秘薬の服用もひとつの手です。 身の回りのことはできる限り自分で行う くも膜下出血で退院後は、日常生活に必要な運動機能を低下させないようにする必要があります。食事や入浴など日常生活の行動がリハビリになるため、無理のない範囲で積極的に自分で行いましょう。 また、軽めの運動も効果的です。歩行困難をきたしていない場合は、定期的な散歩やストレッチを日々の日課に取り入れてみてください。 デイサービスなどの施設で定期的にリハビリへ通うのも、くも膜下出血の再発予防に効果的でしょう。 くも膜下出血で退院後の生活はリハビリが重要 日常生活の行動のみならず、病院での定期的なリハビリも大切です。病院でリハビリをするよう指示のある方は、定期的な受診を欠かさないようにしましょう。 また、リハビリの内容は発症後の経過期間によって変わります。 目的 リハビリ方法 急性期リハビリ (治療後~14 日程度) 寝たきり状態の予防 座ったままできる運動 (膝伸ばし運動や肩の上げ下げ運動など) 回復期リハビリ 日常生活の基本的な動作を行える 歩行訓練や手芸、嚥下(えんげ)訓練など 維持期リハビリ(デイサービス) 回復期で得た機能を維持する 軽い運動(散歩やストレッチなど) 退院後に行うのは「回復期リハビリ」または「維持期リハビリ」です。主治医の指示に従い、自分の症状に合ったリハビリを行いましょう。 くも膜下出血のリハビリについては以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。 くも膜下出血の退院後にみられる6つの後遺症 くも膜下出血の退院後も、以下6つの後遺症がみられる可能性があります。 手足が動かしにくい 触覚が鈍くなる 食べ物が飲み込みにくくなる 視野が狭くなる うまく話せない 最近の出来事を思い出せない 出血部位や出血量、合併症の有無などによって重症度は変わります。軽度の場合は発症前と同じ生活が可能となる一方で、重度では日常生活に大きな支障をきたすリスクがあります。 くも膜下出血の詳細は以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。 くも膜下出血の退院後も定期的な治療で再発を予防しよう くも膜下出血の退院後には、定期的なリハビリや血圧管理、生活習慣を整えることが大切です。退院後も定期受診は欠かさず、体調変化があればすぐに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、元々人体にある幹細胞を利用した再生医療による治療を行っております。気になる方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 再生医療による脳卒中の治療について気になる方は、下記のぺージをご覧ください。 くも膜下出血の退院後によくあるQ&A くも膜下出血で退院後の仕事復帰はできる? 社会復帰できる確率は半分以下と言われています。 社会復帰ができても、くも膜下出血の発症から数カ月かかる可能性もあるでしょう。その後の経過は重症度によって異なるため、早期発見が大切です。 軽症のうちに治療を行うと、仕事復帰できる可能性は高まります。 くも膜下出血の生存率は? 5年生存は、およそ55%程度と報告があります。(文献3)ただし、意識不明な状態で緊急搬送された人よりも、軽度の段階で自ら受診した人の方が生存率が高い傾向があるため、早期発見が大切です。 くも膜下出血後の食事で避けた方が良い食べ物は? くも膜下出血後に避けた方が良い食べ物は、以下の成分が多く含まれた食べ物です。 多量摂取を避けた方が良い成分 食品例 リスク 塩分 たらこ ウインナー 血圧上昇 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸 バター インスタント食品 動脈硬化 糖質(炭水化物) スナック菓子 菓子パン 動脈硬化 常に摂取しており完全に控えるのが難しい場合は、食べる頻度を減らすことからはじめましょう。 参考文献一覧 文献1 四條克倫. 脳卒中ガイドライン2021(改訂2023). 日本医誌. 2023, 82(6), p325-332 文献2 高血圧治療ガイドライン2019作成委員会, 高血圧治療ガイドライン2019, ライフサイエンス出版株式会社, 2019,p281 文献3 今井明 鈴木ひろみ 渡辺晃紀 梅山典子 塚田三夫 中村勤 松崎圭一 加藤開一郎 冨保 和宏. 脳卒中患者の生命予後と死因の 5 年間にわたる観察研究:栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較. 脳卒中. 2010,32,p572–578.
2022.11.30 -
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くも膜下出血とは、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)で出血が伴う病気です。 くも膜下出血は女性の方がなりやすい傾向にあり、発症率は男性のおよそ2倍との報告もあります。発症原因には、女性ホルモンの減少や、育児・家事と仕事の両立といったストレスが大きく関係しているとされています。 本記事では、くも膜下出血の性別による発症率の違いを詳しく解説します。女性特有の発症原因や予防法も紹介しているので、くも膜下出血と女性の関係性を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。 女性のくも膜下出血の発症率は男性の2倍【20代・30代の若さで発症するケースも】 くも膜下出血の男女別における発症率は、男性よりも女性のほうが高い傾向にあります。比率としてはおよそ2倍であると示す報告書もあります。(文献1) 女性のくも膜下出血の発症年齢も見ていきましょう。 以下のグラフは、日本脳卒中データバンクの報告書に掲載されている、男女別のくも膜下出血の発症時年齢を示したものです。 出典:日本脳卒中データバンク|「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」報告書2023年(発症時年齢・脳梗塞) 女性がくも膜下出血を発症する年齢は、50〜70代に多く、ピークは70歳後半です。一方で男性のピークは50歳代で、女性のほうが発症年齢が高い傾向にあります。 また、男女問わずですが、くも膜下出血は20代・30代の若さで発症するケースもあります。(文献2) くも膜下出血の有効な治療法の1つに「再生医療」があります。 これまで一度死んだ脳細胞は戻らないとされてきました。しかし、再生医療は脳細胞を復活させ、くも膜下出血を含む脳卒中の後遺症を改善できることがわかってきたのです。 詳しい治療法や効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 くも膜下出血における女性特有の2つの原因 ここでは、くも膜下出血を発症する女性特有の原因を解説します。 主な原因は以下の2つです。 女性ホルモンが減少するから ストレスがかかりやすい生活環境にいるから 順番に見ていきましょう。 なお、くも膜出血は脳疾患の中でも症状が重いと言われており、早期の治療が大切です。以下の記事では、くも膜下出血の10年後の生存率や治療法について解説しているので、詳細が気になる方はぜひあわせてご覧ください。 女性ホルモンが減少するから くも膜下出血のにおける女性特有の要因は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。 とくにエストロゲンという女性ホルモンは、血管を健康に保つ働きがあります。しかし、女性は年齢とともに閉経を迎え、50歳以上になるとエストロゲンの分泌量が大幅に減少します。エストロゲンが減ると、血管を保護する力が弱まり、血管が傷つきやすくなるのです。 結果として、動脈瘤と呼ばれるこぶのようなものが血管にできやすくなり、それが破裂することでくも膜下出血が起こるリスクが高まります。(文献3) ストレスがかかりやすい生活環境にいるから ストレスには、血圧を上昇させたり、血管を傷つけたりする作用があります。くも膜下出血の原因の1つは高血圧であるため、慢性的なストレスは発症率を高める可能性があります。(文献4) 現代社会において女性は、仕事と家庭の両立で多重役割によるストレスを抱えやすい立場にいるといえるでしょう。このような状況が、女性のくも膜下出血発症率の上昇につながっているとも考えられます。 なお、くも膜下出血の前兆には首の痛みがあります。以下の記事では、具体的な症状を解説しているので、早期発見の知識を深めたい方はぜひあわせてご覧ください。 男女共通のくも膜下出血の原因 くも膜下出血の原因は複数ありますが、とくに気をつけたいのが高血圧です。血圧が高い状態が続くと、血管に負担がかかり破裂しやすくなるためです。 そのほかにも、くも膜下出血の可能性を高めるリスク要因には以下のようなものがあります。 喫煙 動脈瘤の家族歴 多発性嚢胞腎の病歴 過度のアルコール飲酒歴 以前に破裂した脳動脈瘤の病歴 ワーファリンなどの血液希釈剤の使用 脳または体の他の場所にある未破裂の動脈瘤 線維筋性異形成(FMD)などの結合組織状態 くも膜下出血を予防するには、日頃から血圧管理を心がけ、定期的に健康診断を受ける意識が大切です。 【女性必見】くも膜下出血に対する5つの予防法 原因を把握したあとは、くも膜下出血の予防法について解説します。 女性に焦点を当てた内容となっていますが、男性にも該当する予防法が含まれます。 女性ホルモンのバランスを整える ストレスケアをおこなう 定期的に運動する コーヒーを含むカフェインを飲みすぎないようにする 禁煙する 順番に見ていきましょう。 女性ホルモンのバランスを整える 女性ホルモン(エストロゲン)は血管の健康維持に不可欠です。ホルモンバランスが崩れると、血管が弱くなり、くも膜下出血のリスクが高まります。 以下は、女性ホルモンのバランスを整えるために有効な方法です。 適度な運動 十分な睡眠時間の確保 栄養バランスの良い食事 食事の際は、大豆製品やイソフラボンを含む食品を積極的に食べるのが良いとされています。これらには女性ホルモンに似た成分が含まれており、ホルモンバランスの改善に役立ちます。 ストレスケアをおこなう ストレスは、血管を傷つけ、くも膜下出血のリスクを高める要因の1つです。そのため、ストレスケアがくも膜下出血の予防につながります。 以下は、ストレスケアに有効な取り組みです。 十分な睡眠 適度な運動 趣味の時間に没頭 ヨガ・ストレッチ 自分に合ったストレスケア方法を見つけ、日常的に実践していきましょう。 定期的に運動する 運動を習慣化すれば血圧の安定化が期待でき、くも膜下出血の予防にもつながります。 以下は、無理なくはじめられる運動メニューです。 ストレッチや体操 軽い筋力トレーニング 家庭菜園やガーデニングなどの日常活動 早歩きやサイクリングなどの有酸素運動 運動には血圧の安定化とストレス解消の二重効果があります。無理のない範囲で継続的に体を動かして、健康的な血圧水準を維持しましょう。 コーヒーを含むカフェインを飲みすぎないようにする カフェインの過剰摂取は血圧上昇を引き起こします。以下は、カフェインを含む飲み物なので、飲みすぎないようにしましょう。 紅茶 コーラ コーヒー エナジードリンク 適度な量であれば、大きな問題はありません。コーヒーの場合は1日4杯以上飲むと、血圧が上昇する可能性があるといわれているので、3杯を目安に抑えるのが良いでしょう。 禁煙する たばこの煙には、血管を傷つけたり、狭くしたりする有害な物質が含まれています。そのため、喫煙の習慣があると、くも膜下出血のリスクを高めてしまいます。 禁煙を考えている方は、以下のような手段でタバコを吸う機会を減らしてみてください。 禁煙外来の利用 ニコチンガムの活用 ニコチンパッチの使用 禁煙イベントの参加 タバコを吸うとくも膜下出血の発症リスクが高まるだけでなく、肺がんや心疾患といった別の病気を引き起こす原因になります。健康的な生活を送るためにも、タバコを断つ努力をするのが良いでしょう。 まとめ|くも膜下出血における女性特有の原因を知って予防に努めよう くも膜下出血は、女性の方が男性よりもなりやすい病気です。女性ホルモンの低下や育児・家事といった女性ならではのストレスなど、性別特有の要因でくも膜下出血を発症するケースもあります。 そのほかにも、くも膜下出血の原因には、カフェインの過剰摂取や運動不足、喫煙などの生活習慣が大きく関係しています。 くも膜下出血の発症リスクを軽減させるためにも、男女問わず、生活習慣の改善と定期的な健康診断を心がけましょう。とくに女性はホルモンバランスが崩れやすい更年期以降、より意識的な健康管理が必要です。 なお、くも膜下出血の治療には「再生医療」が有効です。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、身体機能(後遺症)の回復や脳卒中における再発予防の効果が期待できます。 具体的な治療方法が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【参考文献】 文献1:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_04.pdf 文献2:https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/38/3/38_3_186/_pdf 文献3:出典|国立医学図書館https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16381192/ Jamous MA, Nagahiro S, Kitazato KT, Tamura T, Kuwayama K, Satoh K. Role of estrogen deficiency in the formation and progression of cerebral aneurysms. Part II: experimental study of the effects of hormone replacement therapy in rats. J Neurosurg. 2005 Dec;103(6):1052-7. doi: 10.3171/jns.2005.103.6.1052. PMID: 16381192. 文献4:https://www.jstage.jst.go.jp/article/joh1995/37/3/37_3_169/_pdf
2022.11.23 -
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くも膜下出血は、脳を覆う薄い組織との間の領域で起こる出血です。突然起こる激しい頭痛で気づくことの多い病気ですが、首の痛みを伴う頭痛としても知られています。 「最近首の後ろが痛いけど原因がわからない」「痛みが引かなくて不安だ」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事は、くも膜下出血の前兆として引き起こす首の痛みについて紹介します。 【くも膜下出血の前兆】首の痛みを伴う頭痛は要注意! 頭痛を伴う首の痛みは、くも膜下出血の代表的な前兆症状のひとつです。 ただし、首の痛みが必ずしも膜下出血につながるわけではなく、髄膜炎と呼ばれる病気を発症した際も似たような症状が現れます。 くも膜下出血の主な前兆 髄膜炎の主な前兆 首裏付近の痛み及び頭痛 血圧の乱れ 視覚の異常 めまい・吐き気 首裏付近の痛み及び頭痛 発熱・発疹 肩こり 活気の低下 上記の特徴をもとに区別する必要がありますが、いずれにせよ頭痛を伴う首の痛みは要注意であることは確かです。少しでも不安な方は最寄りの医療機関にご相談ください。 髄膜炎との区別にはMRI検査が重要 前兆(症状)だけでは自己判断が難しいため、精密な検査を実施し病院で詳しく調べてもらう必要があります。 精密検査の代表格であるMRI検査では、脳内の出血を検出できます。また、血管に造影剤を注入して動脈と静脈の流れを詳細に表示 (造影MRI検査)し、血流に注力した検査も可能です。 CT検査では見抜きにくい「くも膜下出血の徴候」をいち早く見つけることができます。 くも膜下出血とは? そもそもくも膜下出血とは、くも膜下腔(くも膜と脳を取り囲む軟膜間の領域) への出血です。 主な前兆としては、急速に発症する重度の頭痛・嘔吐・意識レベルの低下・発熱時の発作が挙げられます。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血の典型的な症状は、頭を蹴られたような激しい頭痛で、数秒から数分かけて発症します。後頭部付近に発症する特徴をもち、吐き気や嘔吐を伴う場合もあります。 首の凝りや首の痛みを伴う頭痛も代表的な前兆症状であることから、早めの行動が重要です。 首の痛みを伴う頭痛があるときの行動と対処法 首の痛みとくも膜下出血の関係性について解説したところで、この項目では発症後の行動と対策について紹介します。 くも膜下出血の悪化や早期発見につながるため、発症後は以下の事項を厳守しましょう。 誘発の恐れのある行動は避ける 首の痛みを伴う頭痛がある場合はくも膜下出血を常に疑い、出血を誘発するような行動は避けましょう。 以下の行動は、くも膜下出血を誘発する恐れがあります。 速やかに病院を受診する くも膜下出血の症状は状況によって緊急度は異なる場合もあります。 雷鳴のような頭痛があるなど、以下のような症状が発症した場合は大変危険です。すぐに最寄りの病院に行きましょう。 その他、くも膜下出血の発症から 6 時間後に現れる頸部硬直や、瞳孔の散大などの症状発症は緊急を要します。 身近にいる方は速やかに119番通報を心がけましょう。 まとめ|くも膜下出血の前兆をいち早く察知しよう くも膜下出血は非常に危険であり、突然発生した首の痛みを伴う頭痛は前兆とされているため注意が必要です。。 また、緊急を要する病気であるため、発症後の迅速な診察と治療が必要となります。前兆を含む典型的な症状、くわえて対処法を知っておくことが重要です。 首の痛みを伴う慢性的な頭痛にあっては、当クリニックにご相談いただくことも可能です。お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 膜下出血と首の痛みに関するQ&A 最後に、首の痛みを伴う場合のくも膜下出血に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。首の痛みにお悩みの方や不安を抱く方は、ぜひ参考にしてみてください。 くも膜下出血で首が痛くなるのはなぜ? 頭の中に出血が発生することで、頭の中の圧力が上がり、これによって脳が圧迫されて痛みが出ます。 首の痛みがある場合はどのように他の病気と区別する? 他の原因に心当たりがなく、首の凝りと激しい頭痛を経験した場合、くも膜下出血の兆候である可能性があります。 また、病院受診時のCT検査やMRI検査により他の病気と区別します。 CT検査は、脳をめぐる周りの血管の検出と、付随する脳の異常を特定します。さらに、出血の原因を明らかにするために造影剤を用いることにより、詳しく検査が可能です。 さらにMRI検査は頭の内部の詳細な画像として出力し、出血やその他の血管の異常問題を特定します。 くも膜下出血の前兆を感じたときは何科を受診すべき? くも膜下出血を疑う際は、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。 緊急度の高い病気であるため前兆の段階であっても、予約なしでもすぐに受診ができる救急外来に対応した病院を探すべきです。 また、受診先がすぐに見つからない場合は救急車を呼ぶのも手段のひとつです。
2022.11.21 -
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- くも膜下出血
くも膜下出血は予後が悪い病気というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 一度発症すると、その後の生活や生存率についての不安が絶えず、「10年持つのだろうか」と考えることもあるかもしれません。 結論からいえば、くも膜下出血における10年後の生存率について明確なデータはありませんが、5年生存率は55%前後といわれています。 生存率は年齢や出血量などの要因で変わりますが、早期かつ適切な治療で改善が期待できるでしょう。 本記事では、くも膜下出血の生存率についてや予後を左右する要因などについて詳しく解説しています。 くも膜下出血の治療を検討する際の参考になれれば幸いです。 くも膜下出血の10年後の生存率は「重症度・治療の早さ」によって変わる くも膜下出血の主な原因は、脳動脈瘤(脳血管が膨らんだ状態)です。(文献1) その生存率は重症度と診断および治療の早さによって変わる傾向があり、統計では、以下のデータが報告されています。(文献2)(文献3) 初回のくも膜下出血出血で約35%が死亡 その後数週間以内に15%が再破裂で死亡 6カ月以降は年間約3%の割合で再破裂のリスクあり くも膜下出血の10年生存率は不明ですが、5年生存率は55%前後といわれており、生存率は年々改善傾向です。(文献4) くも膜下出血の予後を左右する4つの要因【10年後以降にもかかわる】 くも膜下出血の予後は、以下4つの要因により左右されます。 発症時の年齢 出血の場所と量 発症から治療までの時間 合併症の有無 本章を参考に、くも膜下出血の予後の改善に役立ててください。 発症時の年齢 くも膜下出血になる年齢が高いほど、予後が悪化しやすくなります。年齢を重ねるにつれ、高血圧や糖尿病などの病気によって動脈硬化が進行するためです。 その結果、出血時に止血しても回復しにくくなり、再出血の可能性が高まります。 首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は、くも膜下出血の前兆の可能性があるため注意が必要です。気になる方は下記の記事も参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では高齢の患者様にも可能なくも膜下出血の治療方法を提案しています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 出血の場所と量 出血量が多いほど脳が圧迫されるため、重症になり予後が悪くなります。 くも膜下出血が起こりやすい脳の部位は、脳血管が枝わかれする場所です。(文献5)脳血管が枝わかれする場所は、血管の壁が弱いため脳動脈瘤になりやすい傾向があります。 出血量が多く意識障害がある場合は、予後も不良になる可能性が高くなります。そのため、発症から早めの治療が重要です。 発症から治療までの時間 くも膜下出血の治療は、いかに早期発見をしてすぐに処置できるかが大切です。出血してから72時間以内に外科的治療を行うと、それ以降に治療を行ったときよりもその後の入院期間の短縮や予後が良好になるというデータがあります。(文献6) くも膜下出血でよくある初期症状は以下の3つです。(文献7) 顔が下がって動かない 腕の力が入らない ろれつが回らない これらの症状がみられたら、すぐに救急車を呼びましょう。 合併症の有無 以下のような合併症の有無も、くも膜下出血の予後に深くかかわります。(文献3) 再出血:脳出血が再発し、死亡率が高まる 脳血管れん縮:脳血管の収縮により血流が悪くなり、脳梗塞のリスクが高まる 水頭症:脳脊髄液の流れが悪くなり、歩行困難や認知症のリスクが高まる くも膜下出血の発症後は、上記のような合併症を防ぐ治療が大切です。 くも膜下出血の予後を改善するには「再出血の予防」と「適切な治療・リハビリ」が重要 くも膜下出血は、再出血を起こすと高確率で予後が悪化するため、血圧の管理や定期的な検査など、予防に努めることが重要です。 また、くも膜下出血発症後は、外科的治療とリハビリを組み合わせることで予後の改善が期待できます。主治医と相談の上、適切な治療・リハビリを続けましょう。 くも膜下出血の再発についての記事はこちら くも膜下出血のリハビリについての記事はこちら まとめ|適切な治療によりくも膜下出血の予後の改善を目指そう くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。 早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後の改善が期待できます。今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。 当院「リペアクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、くも膜下出血後の治療が可能です。「メール」や「オンラインでの無料カウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 くも膜下出血の予後や生存率についてよくある質問 くも膜下出血で意識不明で運ばれた場合の生存率はどのくらいですか? 意識不明で搬送された場合の生存率は低い傾向です。 生存しても日常生活に支障をきたすような重い後遺症が出る可能性もあるでしょう。そのため、早期の段階で前兆に気がつき適切な治療を受けることが重要です。 くも膜下出血で最も多い後遺症は? くも膜下出血では、以下のような後遺症がよくみられます。 手足が動かしにくい しびれや脱力感 上手く話せず、会話が困難 記憶障害 くも膜下出血の後遺症の詳細は、以下の記事を参考にしてください。 参考文献 文献1 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因 とくも膜下出血発症の諸要因.日本循環器管理研究協議会雑誌.1998;33(1):25-29. 文献2 デニス・J・ ニューカンプ医学a d.nieuwkamp@umcutrecht.nl ∙ ラリッサ・E a ∙ アレ・ アルグラ、MD a,b ∙ フランシスカ HH リン、医学博士a,c ∙ ニコリエン・K・ デ・ロイ、a ∙ ガブリエル・J・E .Changes in case fatality of aneurysmal subarachnoid haemorrhage over time, according to age, sex, and region: a meta-analysis. Fast track.2009. Volume 8. Issue 7.p635-642 文献3 Andrei V. Alexandrov, MD, The University of Tennessee Health Science Center;Balaji Krishnaiah, MD, The University of Tennessee Health Science Center.くも膜下出血 (SAH).MSDマニュアルプロフェッショナル版.2023年 7月改訂, 2024年10月21日. 文献4 今井明,鈴木ひろみ,渡辺晃紀,梅山典子,塚田三夫,中村勤,松崎圭一,加藤開一郎,冨保和宏.脳卒中患者の生命予後と死因の5年間にわたる観察研究: 栃木県の調査結果とアメリカの報告との比較. 第35回日本脳卒中学会 シンポジウム2. 2010年, 32巻,6号, P572-578. 文献5 上畑鉄之丞.脳動脈瘤の成因とくも膜下出血発症の諸要因.日循協誌. 1998年.第33巻.第1号.P25-29. 文献6 脳卒中合同ガイドライン委員会. 第4章くも膜下出血. 脳卒中治療ガイドライン2009.2009.P182-213.pdf 文献7 日本脳卒中協会.読んで学ぶ脳卒中. 脳卒中の予防と患者・家族の支援を目指して 公益社団法人日本脳卒中協会. 2018年3月19日更新.2024年10月21日.
2022.11.18 -
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くも膜下出血は脳疾患のなかでも症状が重いことで知られています。 発症時の一年死亡率は65%以上とも言われています。 後遺症や再発のリスクもあり、十分な警戒が必要な疾患と言えるでしょう。 本記事ではくも膜下出血の症状や合併症、治療法や再発予防法などを解説します。 くも膜下出血の概要・症状・治療法 くも膜下出血とは、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)で出血が起こる疾患です。 くも膜下で出血があると、脳に対して十分な血液が供給されません。虚血状態になり、心身にさまざまな症状が現れます。 ほとんどの出血は、生活習慣の乱れによって形成される「脳動脈瘤」の破裂に原因があると言われます。 直接の原因である脳動脈瘤が発生する理由は正確にはわかっていません。 ただ、次の特定の危険因子が関与していると見られます。 発症の危険 喫煙 過度のアルコール摂取 頭部外傷 喫煙やアルコール摂取は動脈硬化のリスクを高め、脳動脈瘤の発生や破裂を引き起こします。 また事故などによる外傷によっても、くも膜下出血は起こりえます。 くも膜下出血を発症した場合の予後は良くありません。一度発症した場合の一年死亡率は約65%と高く、生存した場合でも後遺症や再発リスクが生じます。 くも膜下出血の前兆には突如の強い頭痛や吐き気などがあり、これで発症に気づくケースが大半です。 発症は、激しい咳や運動、性行為など身体的負担が大きい生理反応や活動があった際に起こるケースが多いです。 くも膜下出血の初期症状 くも膜下出血では、以下の初期症状が突発的に起こります。 くも膜下出血の症状例 これまで経験したことない強さの、突発的な頭痛 極度の疲労感や気分不良 吐き気、嘔吐 光に対する過敏(羞明) かすみ目、複視、眼瞼下垂 脳梗塞のような症状(ろれつが回らない、体の片側の麻痺など) 意識消失 全身の痙攣 最初に強い頭痛を感じるケースが多いでしょう。 痛みの程度は「雷に打たれたかのよう」と表現されるほど激しいものです。 しかし頭痛は時間経過により緩和する傾向にあり、「治ったので問題がない」と判断して、前兆を見逃すケースが少なくありません。 また、くも膜下出血があったあとの数か月間は、極度の疲労を感じるケースがあります。 たとえば、普段の通勤通学や買い物に対して従来よりも明らかに強い疲労感が生じます。 不眠症や睡眠不足、手足の痺れや感覚の喪失を訴えるケースも少なくありません。 しかし、これらの初期症状は数か月かけて徐々に改善するため、頭痛が発生した際と同様、「治ったので問題がない」と誤解されることがあります。 基本的な治療法 くも膜下出血が疑われる場合、病院でCT検査をおこない、脳の周囲に出血の兆候がないか確認します。 発症が認められた際には「動脈瘤クリッピング術」と「脳動脈瘤コイル塞栓」などの治療法が用いられます。 動脈瘤クリッピング術は、頭部を切開し、頭蓋骨に穴を開けて、脳動脈瘤を取り除くもの。 脳動脈瘤コイル塞栓は、すでにある脳動脈瘤の破裂を塞ぐ目的でおこなわれます。 脳動脈瘤コイル塞栓では頭部を切開しません。鼠蹊部(足の付け根)から特殊なカテーテルを挿入し、脳動脈瘤内にコイル(プラチナ製の小さな機器)を送り込みます。 コイルにより、脳動脈瘤への血液の流入を遮断し、破裂が予防されるしくみ。 その他対症療法として、降圧薬や鎮痛薬などの投与もなされます。 また近年では、再生医療による治療法も注目されています。再生医療とは、自己脂肪由来幹細胞やPRP療法などを用いた新しい医術。 くも膜下出血に対しては、失われた脳機能の回復や、脳内血管の再生などによる再発予防などの効果が期待されます。 くも膜下出血の合併症 くも膜下出血は、治療を行う際に以下のような短期的および長期的な合併症を引き起こす可能性があります。 くも膜下出血の合併症 水頭症 出血 深刻な合併症には、動脈瘤の再出血や、脳への血液供給の減少によって引き起こされる脳の損傷によるさまざまな機能低下があるため、合併症を起こさない治療が大切です。 治療後のリハビリ計画 くも膜下出血から回復するのにかかる時間は、その重症度によって異なります。 とくに出血の部位は、手足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症にも関連します。 そこで、治療後は急性期〜回復期にかけて理学療法士の下で実施されるリハビリ計画は、影響を受けた手足の感覚と動きを回復するのに役立ちます。 くも膜下出血の後遺症にはどのようなものがある? くも膜下出血は、適切な治療を早期に受けても後遺症が出る場合があります。 一般的に多くみられる後遺症 くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。 くも膜下出血の後遺症 1.運動麻痺 右か左の手足が動かしづらくなる 2.感覚障害 痺れや脱力感 3.嚥下障害 物が飲み込みづらい 4.視野障害 半分の空間がうまく認識できない 5.高次脳機能障害 言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない 6.認知や行動の障害 物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう その他にみられる後遺症 そのほかにも次のような後遺症が現れることもあります。 くも膜下出血、後遺症 歩行不安定、尿便失禁 てんかん繰り返す発作 記憶などの認知機能障害 うつ病などの気分の変化 特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。 記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。 気分や思考にみられる後遺症 また、以下のような気分や思考の問題も現れます。 1.うつ病 気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない 2.不安障害 何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感 3. 心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。 このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。 くも膜下出血の再発リスクを減らす予防法 くも膜下出血を発症したあとも、再発の可能性が残ります。 再発した場合にも高い死亡リスクが残るため、予防は重要です。 予防法として以下が考えられるでしょう。 喫煙や飲酒を控える 定期的な運動に取り組む 健康的な食事を心がける 喫煙や飲酒を制限する まず、喫煙や飲酒を制限するのが重要です。 喫煙はくも膜下出血の主な原因になる脳動脈瘤を発生させる要因です。 したがって再発を防止する上では禁煙するのが基本となるでしょう。 飲酒は高血圧の原因になります。血圧が上昇すると膜下出血の主な要因である脳動脈瘤の破裂が起こりやすくなるため、飲酒は大きなリスクとなるでしょう。 上記の理由から喫煙や飲酒は控える、可能なら禁煙禁酒するのが望ましいです。 定期的な運動に取り組む 定期的な運動は、以下の効果をもたらすことから必要です。 血行不良の促進 高血圧の予防 ストレスの原因 血行不良や高血圧、ストレスは、すべてくも膜下出血の再発の原因です。 一方で定期的な運動の実施により、これらの影響をある程度解消できるでしょう。 とくにランニングやウォーキングなどの有酸素運動などが効果的です。 再発防止には、これらの運動を日常に取り入れるのが重要です。 健康的な食事を心がける 以下の健康的な食事は、くも膜下出血の再発防止に有効です。 緑黄色野菜や果物 青魚(イワシ、サバなど) ナッツ類 大豆製品 オリーブオイル、菜種油(トランス脂肪酸が含まれていないため) 塩分が少ない食事 栄養バランスが偏ると、くも膜下出血の原因になる高血圧や血行不良につながります。 一方で上記の食物や食事には、血圧を下げ、血行を促進する効果があると言われています。 再発防止には、不健康なものを遠ざけ、健康的な食事を摂るのが重要になるでしょう。 くも膜下出血によくあるQ&A 最後にくも膜下出血に関するよくある質問をまとめました。 後遺症がどのくらいで治るのか、仕事復帰の目安などを解説します。 Q.くも膜下出血に特徴的な前兆はありますか? A.くも膜下出血に特徴的な前兆としては、血圧の乱高下があります。 激しく上昇、下降する場合は可能性が高いです。 また脳梗塞などと同じように頭痛や吐き気などの前兆が現れることもあります。 Q.後遺症を残さずに仕事復帰はできますか? A.くも膜下出血で後遺症なく仕事復帰できるのは、3~4割程度といわれています。 完全に後遺症を残さないためにはリハビリが大切になります。 Q.くも膜下出血の後遺症で性格が変わりますか? A.くも膜下出血が原因で高次脳機能障害を患った場合、性格が変わるかもしれません。 高次脳機能障害は、脳に対するダメージが原因で、脳機能に影響が出る障害です。 とくに「意欲や情動のコントロールが困難になる」症状があり、これが現れると行動や言動に変化が生じます。 結果として「性格が変わった」と表される状態になるかもしれません。 まとめ:くも膜下出血を予防するには早期受診が重要! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、突然起こると思われがちですが、血圧の変動や頭痛など特徴的な前兆があるため、少しでも不調があれば病院を受診するのが大切です。 くも膜下出血は、突然におこる激しい頭痛が特徴的です。後遺症が出ることもあります。 そのため、適切な治療や、リハビリのプランが重要です。 喫煙や、高血圧といった危険因子を管理し、健康的な生活習慣を心がけることが再発を予防するポイントです。 また、後遺症の程度によっては、仕事復帰に時間がかかる場合もありますが、治療後のリハビリは再発リスクを低減させて、回復を早めるためにも大切ですので医療機関の指導の下、前向きお取組みされることをお勧めします。 いずれにしましても、くも膜下出血で後遺症を残さないためには早期治療、そしてリハビリが大切です。 今回の記事を参考にして症状や、後遺症などに関して少しでも参考になれば幸いです。
2022.11.10 -
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くも膜下出血|その症状と原因、怖い再発について解説します 「くも膜下出血」は、脳と、くも膜の間に出血した血が溜ることをいいます。尚、くも膜とは、脳の周りを保護している3層の膜(硬膜、くも膜、軟膜)の一つです。 「脳」に関する病気は、死亡を伴う、命を落とす危険性が高いため、とても怖いものです。その意味で「くも膜下出血」も脳に関わる怖い病気の一つです。 ちなみに、この疾患は中年期40代以降から、発症リスクが高まるほか、男性よりも女性に多く発症しています。特に、喫煙や飲酒といった習慣がある場合や、高血圧の場合は、発症するリスク、その確率が高くなるとされています。 くも膜下出血が起こると激しい頭痛がおこるほか、死亡に至らずとも重い後遺症が残る可能性が高いことが知られていますが、実際には具体的なことは「よく知らない!」という人も少なくないのではないでしょうか。 そこで今回は、くも膜下出血の症状や原因、治療方法などの概要に合わせて、再発予防の観点からも、その注意点を紹介してまいりましょう。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血を発症した際の症状で、代表的なものとして挙げられるのが「頭痛」です。くも膜下出血に場合、痛みは徐々に訪れるのではなく、数秒でピークに達するのが特徴です。 症状としては、これまでに経験したことがないような激しい頭痛で、大げさではなく「ハンマーで思いっきり叩かれたような痛み」が突然起こるという具合に例えられています。脳内での出血量が少ないと痛みも少ないのですが、出血量が多くなると痛みも強なりく、意識障害を引き起こすケースも少なくありません。 また、くも膜下出血によって脳が圧迫されると脳細胞が破壊されてしうことで「麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症」が残るケースは珍しくありません。 そこで、これまで体験したことのない激しい痛みが突然、頭に覚えた場合は、大至急、救急車の手配など緊急で医療機関の受診が必要であることを忘れてはなりません。意識がある状態で病院に到着することが生死を分けると言います。 ぜひ前兆や初期症状を見逃すことなく対応下さい。 くも膜下出血の特徴 急激な頭痛 経験したことのない激しい痛み 意識障害が起こる可能性も 後遺症つぉいて「麻痺やしびれ、言語障害」が起こる可能性がある くも膜下出血の原因 くも膜下出血は、「激しい頭痛に見舞われる」「後遺症が残る」など、危険で怖い病気の一つです。くも膜下出血の原因は、脳動脈にできる瘤(こぶ:脳動脈瘤/のうどうみゃくりゅう)にあります。 血管には、膜が薄く弱い部位あります。その弱い部位が強い血流を受けると膨らんで瘤ができてしまいます。その瘤に、高い血圧がかかるなどした場合に破裂してしまうのが「くも膜下出血」です。 脳動脈瘤は血流が強くなる部分、血管が分岐している箇所などにできやすいのが特徴です。 くも膜下出血の治療 くも膜下出血の治療法は、原因となる脳動脈瘤が再び破裂しないように、頭痛や後遺症が発症するのを防ぐことが目的になります。ただし、脳動脈瘤を小さくしたり、脳動脈瘤を消したり、無くしたりする方法は無いことから、脳動脈瘤へ血液が流れないようにする手術的治療が行われます。 脳動脈瘤へ血液が行かないようにする手術方法として代表的なものの一つは、開頭して行う手術で動脈本管と動脈瘤がつながっている部分(ネック)を専用のクリップで挟む「ネック・クリッピング」という治療法です。 また、二つ目に、脳動脈瘤のなかに血液が入らないようにするために、開頭をせずに血管を使ってカテーテルを動脈瘤まで進め、破裂した部位にプラチナ製のコイルを詰める方法があり「コイル塞栓術」という治療方法になります。 いずれの治療法であっても必要なのは術後の経過観察です。定期的な診察を受けることが大切です。 くも膜下出血の治療(手術) ネック・クリッピング(開頭) コイル塞栓術(血管から) くも膜下出血が危険で怖い理由は「再発」です くも膜下出血が起こった際に適切な治療が行われても安心してはいけません。くも膜下出血は、非常に恐ろしく危険な病気だと呼ばれるのは、「命にかかわる病気であること」、そして何よりも「再発率の高さ」が挙げられます。 その「再発には前兆」があります。そこで再発を防ぐために気を付けて欲しいことを記しました。 くも膜下出血を発症した場合、治療を受けることは当然ですが、それに満足しないでください。その後、再発しないように気をつけることが重要なテーマになります。くも膜下出血の再発を防ぐためには、その前兆を知っておき、常日ごろから注意するという意識が大切です。 今回は、「くも膜下出血の再発の前兆」と題して既に発症し、治療をうけたものの再発に注意すべき人に向けて、覚えておいて欲しい点を解説しました。また、併せて発症後の後遺症に対してもご説明してまいります。 1.くも膜下出血の再発の前兆、初期症状「動眼神経麻痺」とは くも膜下出血の再発の前兆、初期症状として代表的な症状が目に現れます。それが動眼神経麻痺」です。動眼神経麻痺とは、片方の瞼が開かなくなって、両目で物を見ようとすると物が2つに見えるようになる状態をいいます。 動眼神経麻痺は、大きくなった動脈瘤が動眼神経を圧迫するために起こります。そのため、「動眼神経麻痺になってしまうと動脈瘤が大きくなっている可能性があるります。 この動脈瘤が破裂してしまうと、くも膜下出血が再発してしまう可能性があるいため、この症状を忘れないでくださいす。また、大きくなった動脈瘤は動眼神経だけではなく、「視神経を圧迫」することもあります。 そうなると視力が低下したり視野が欠けたりするケースもあるのでそのような症状に気が付いたときは、何よりも早く病院で脳外科、脳神経外科などの医療機関を受診し、治療を受けてください。 動眼神経麻痺の特徴 両目でモノを見るとモノが二つに見える 視力の低下 視野が欠ける 2.くも膜下出血の再発の前兆、初期症状「頭痛」に注意 動眼神経麻痺のほかにも、くも膜下出血の再発の前兆、初期症状として「頭痛」があります。視野の乱れと共に起こることがあり、くも膜下出血が再発する兆候として頭痛も疑って欲しいと思います。 その症状を感じた場合は、すでに少量の出血が生じている可能性が高いため、早急に治療すべきとの意識を持ってください。この際に「軽い頭痛」についてご注意ください。 初期症状として頭痛の程度はそれぞれで、例えば「軽い頭痛」の場合、「くも膜下出血」の再発の前兆とは考えずに見過ごしてしまいかねないことがあります。軽い頭痛であっても異常を感じたら念のため病院へ向かいましょう。 受診する際には、過去の既往症として「くも膜下出血を発症した」という情報を与えなければなりません。そうで無い場合、単なる風邪などと診断されてしまうケースが少なくないからです。 ついては、過去に「くも膜下出血」を発症したことがあるなら、重い軽いに、関わらず頭痛がある場合には明確に「過去、くも膜下出血を患った」という情報を伝えるようにすることが大切です。 その他にも症状を感じたなら、「いつもと違う」「初めての痛み」などと、症状の内容を詳しく医師に伝えるよう努めてください。 くも膜下出血の再発の前兆 動眼神経麻痺 めまい 視力低下 頭痛(症状は様々、軽い場合も要注意) くも膜下出血の再発を防ぐのは定期的な検査 ここまで「くも膜下出血の再発防止」のために、知っておきたい前兆について記してまいりましたが、再発防止には定期的に検査を受けることが非常に重要です。 くも膜下出血の原因となる動脈瘤を検査で発見することができれば、動脈瘤が破裂してしまう前に処置することができるからです。くも膜下出血を発症して10年くらい経過してから治療した動脈瘤が再び大きくなったり、新しい動脈瘤ができて破裂したりする可能性もあります。 一度検査して問題なかったからと安心や、油断をせずに定期的に検査を受けるようにしましょう。 再発を防ぐために 定期的な検査を受け続けることが何より大切 まとめ・くも膜下出血とは|その原因と治療、怖い再発について くも膜下出血の特徴について簡単に分かりやすいようにご紹介しました。発症時にハンマーやバットで突然殴られたような激しい頭痛に見舞われること。再発率が非常に高いため、くも膜下出血を経験したなら再発防止にも力を入れる必要があること等をご説明しました。 また、くも膜下出血は、危険です。死亡を免れても後遺症が残る可能性が高いとても怖い病気です。ここで記したような症状を感じたらすぐに病院の脳外科や、脳神経外科等の専門医療機関を受診してください。 手術による方法としては「ネック・クリッピング」や、「コイル塞栓術」というものがあります。 また、治療後であっても再発率は高いため、くも膜下出血の前兆を知っておくことは大切です。早期に対処すれば再発を防ぐ可能性が高まります。何度も申しますが何か頭に違和感を感じたら迷わず医療機関を頼りましょう。 ただ、くも膜下出血が早期に発見され、適切な処置を受けた場合でも麻痺や痺れといった障害が残る可能性が高いのが現実です。 障害については治療後、リハビリに励むことで改善を目指せますが慢性期に移行すると機能の回復は困難となり、最終的に身体を動かせなくなってしまいかねません。 そんな、くも膜下出血の後遺症でお困りの方へ再生医療の可能性を伝えることができればと考えています。興味があれば以下のリンクをクリックして下さい。 以上、くも膜下出血とは、その原因と治療、怖い再発について、記させていただきました。ご参考にしていただければ幸いです。 ▼ 再生医療で脳卒中の治療する 脳卒中(脳梗塞、脳内出血)は、再生医療による幹細胞治療で復活を目指せます ▼こちらも参照されませんか くも膜下出血"女性は男性の2倍ものリスク!今日からしたい本気の予防策!
2022.03.14 -
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脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法について 厚生労働省によると、脳卒中は、2018年の1年間における死因別死亡総数のうち、脳血管疾患は10万8,186人で全体の7.9%を占め、死因の上位から4番目という結果となっています。 その翌年、2019年においても、10万6,552人で全体の7.7%となり、こちらも2018年同様に死因の上位から4番目という結果になっています。 脳血管疾患で亡くなった方のうち、60%にあたるおよそ7万人の方が脳梗塞で亡くなっており、一命を取り留めたとしても、後遺症である麻痺が残り、寝たきりになってしまう場合も少なくない怖い病気です。 しかし以前、1950年頃より約30年間、脳卒中は日本人の死因の第1位でした。 少しではあるものの順位が下がったのは、1960年頃より脳卒中発症において最大のリスク原因である高血圧に対する治療が広く行われるようになり、脳卒中の発症を一定以上抑制することが可能になったからです。 また、脳梗塞の発症直後に閉塞した血管を再開通させ、神経細胞死を防止する血栓溶解薬(t-PA)が日本でも認可(2005年)され、さらにカテーテルで脳血管を閉塞している血栓を除去する血管内治療も認可(2010年)されるなど、脳卒中直後の超急性期において神経細胞死を防ぐ治療法も進歩してきました。 脳卒中の兆候を見つけたら即病院を受診 脳卒中は、その兆候を発見したら直ちに病院へ向かいましょう。 早期に治療を開始することで「後遺症が軽くなる可能性」があるからです。 治療を行うには検査が必要となり、その検査に1時間程度必要ですので症状を発見したら早急!遅くとも2時間以内を目処に速やかに病院で受診すべきです。この時間が症状を左右する可能性があります。 病院ではまず、問診、診察、採血、胸部レントゲン、心電図、頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、心エコーなどの検査を行います。検査の結果、脳卒中と診断されると次は治療に移ります。 脳卒中の中でも「脳出血」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」など各症状別に治療法は少し異なり、点滴や飲み薬による脳血流改善、血栓をできにくくする抗凝固療法や抗血小板療法、脳梗塞後に脳内で発生する活性酸素などの有害な物質を除去して、脳の障害を予防する脳保護薬の使用などがメインで行われます。 また、血圧、体温、脈拍などの全身状態の管理も行い、併せて日常生活動作の改善を目的としてリハビリも行います。 脳卒中の3つの症状とその治療法 1)脳出血 高血圧が脳出血の原因になることが多いので、降圧薬(血圧を下げる)を投与します。また、出血を止めるために止血剤を使用されることもあります。 さらに、出血によって脳が圧迫されるので、浮腫をとるための薬剤(抗浮腫剤)も投与します。また出血量が多い場合には、命にかかわる事もあるので、開頭手術によって血のかたまりを取り除く手術を行うこともあります。 2)くも膜下出血 脳の血管にできた「こぶ」が破裂して出血するので、破裂した部位をふさぐ手術をします。手術の方法は2通りあります。 開頭クリッピング術 頭の骨をはずして、「こぶ」の根元を洗濯ばさみのような道具(クリップ)ではさんでふさぎます。 血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術) 「こぶ」の中にコイルと呼ばれる細い金属をいれて「こぶ」全体をふさいでしまいます。カテーテルという細いストローのような道具を使って血管を通し、「こぶ」までコイルを運ぶので、開頭手術をすることはありません。 3)脳梗塞 脳梗塞は、脳の血管の動脈硬化が起きた部位に形成された血栓、あるいは心臓で出来た血栓によって脳の血管が詰まり脳が壊死してしまうものです。 脳梗塞がおこってから4.5時間くらいまでを超急性期といい、この時間内に詰まった血管を再開通させることができると、劇的に症状が改善する可能性があります。 脳梗塞がおこってから48時間以内であれば、血が固まるのを抑制する抗凝固薬を投与します。 脳梗塞の急性期のみに施行される治療には「t-PA」という点滴や、血管内治療などがあります。これらの治療を受けるには、発症してからの経過時間をはじめ、さまざまな条件があります。 それらをクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の2~5% (100人中で2~5人)程度しか、この治療は行われていません。 さらに、ルールを守って使っても 6%(100人に6人)程度の確率で症状が悪化するような脳出血を生じます。 うまくいけば劇的に症状が改善する一方で、効果が期待できなかったり、症状が悪化したりする可能性がある治療法であることを知っておいていただければと思います。 t-PA:組織型プラスミノゲン・アクティベーター(tissue-type plasminogen activator:t-PA) こちらの薬を点滴して血栓を溶かし、脳の血流を再開させます。t-PAを使用することで、3ヶ月後に自立した生活を送れる患者さんが、使用しなかった時と比べて約50%増加するとされています。 脳梗塞により脳神経細胞が死に至る経過は早く、適切なタイミングを逃すと、出血などの合併症で逆に症状が悪化する危険があります。基本的には発症してから4.5時間以内に治療が開始できる患者さんに限り、治療の対象となります。 (t-PAは2005年10月から日本で認可され、発症後3時間以内の患者さんを対象に使用されていましたが、2012年9月より対象となる治療間が4.5時間に延長されています。) 血管内治療 脳梗塞の血管内治療は、発症してから8時間以内の患者さんが対象となる治療です。 細いビニールの管(カテーテル)を足の血管から挿入して、脳の血管へ進めて、血管の詰まりの原因となっている血栓を溶解したり、回収したりして、閉塞した脳血管を再度開通させます。 具体的な方法として、カテーテルを閉塞した血管に導入し、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)を投与する方法、バルーンを閉塞した血管に留置し血栓を破壊する方法。 また、メルシーリトリーバーという、先端がらせん状になっている柔らかいワイヤーで、脳の血管をつめている血栓をからめとって回収する方法。 ペナンブラという血栓を吸引する器具で、まるで掃除機のように血栓を吸引し回収する方法(柔らかい血栓も回収することが可能)などがあります。 t-PA療法の注意点 問題点としては、t-PA療法の適応対象となる時間「4.5時間」が強調されるあまり、「4.5時間を過ぎた場合は治療してもあまり意味がない」と誤解されることが多く、専門病院への受診を躊躇されるケースもみられます。 また発症時刻がはっきりとわからない場合では、発見から早急に病院へ搬送してもt-PA療法の適応とならないことがありました。しかし2019年3月より、頭部MRI検査で「発症からあまり経過していない可能性が高い」という所見がみられる場合には、t-PA療法を検討できるようになりました。 そして、脳卒中専門の病棟であるSCU(脳卒中ケアユニット)で従来使用される薬を用いた治療や急性期のリハビリテーションを積極的に行うことで、発症後4.5時間を過ぎて来院された患者さんでも良い治療効果が現れることも少なくないので時間にかかわらず専門施設でしっかりとした初期治療を始めることが重要です。 脳梗塞の再発予防 一度脳梗塞を起こすと再発しやすい傾向があり注意が必要です。統計的には脳梗塞発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%もの人が再発しています。 そこで、脳卒中の再発を予防するには、まず生活習慣の改善を行うことです。脳卒中の危険因子とされている高血圧や喫煙、多量の飲酒、糖尿病、肥満、運動不足などは脳卒中の発症の危険性が高まります。 医師、薬剤師、栄養士など専門職の指導に従い、規則正しい生活や禁煙、減塩や減量に取り組みましょう。 また再発予防として、抗血栓薬を処方されることがあります。脳卒中の原因によって処方される薬剤は違い、心臓が原因で発症した心原性脳塞栓症には抗凝固薬が、心臓以外の原因(血管由来)の非心原性脳梗塞には抗血小板薬が使用されます。 ①具体的な再発予防~危険因子のコントロール~ 脳卒中の危険因子は、再発の危険因子でもあります。過去に一度脳卒中を発症しているということは、すでに危険因子があるということなので、十分注意をしましょう。 脳卒中の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、多量飲酒、肥満、喫煙、運動不足などです。これらを予防し、さらにコントロールしていくことが再発予防につながりますので、以下のようなことを心がけましょう。 禁煙 文字通りタバコを止めましょう 塩分の取り過ぎを控える 成人男性8g未満、女性7g未満で高血圧患者では6g未満 減量 標準体重を知ってダイエットを行う 食事に気を付ける 毎日5種類以上の野菜(350g/日以上)、魚、果物の摂取 減塩、低カロリー、低コレステロール入浴 節酒 アルコール換算20g程度(日本酒1合程度)に抑える 既往症に注意する 高血圧、脂質異常症、糖尿病、心臓病などがある場合には適切に治療する 運動 適度な運動を行う、ストレスや疲労をやめない 定期健診 定期的に健診を受け、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖などをチェックする 水分を取る 脱水症状にも注意 ②具体的な再発予防~定期的な検査~ 脳梗塞が治まった後も年に1回程度専門病院へ行き、検査を受けることが重要です。CT、MRIの他に頸部の血管を検査する頚動脈エコーも脳梗塞再発予防には有用です。 ③具体的な再発予防~服薬継続~ 再発予防のためには、処方された薬をきちんと服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく継続して服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど気になることがある場合は、すぐに相談しましょう。 まとめ・脳卒中の3つの症状と治療法!脳梗塞の再発を予防するコントロール方法 脳卒中の治療には、手術・点滴・内服薬などがあります。 これらの中で内服薬な自分で管理をする必要があります。ところが、処方された量を決められた日数できちんと飲みきる人は意外と多くありません。実際のところ、薬を飲み残してしまう理由の大半は単なる飲み忘れです。 服薬カレンダーの使用や一包化するといった工夫で、その時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。 定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォン・携帯を利用してアラームや通知を設定し、飲み忘れを防ぎましょう。 以上、脳卒中の3つの症状とそれぞれの治療法、再発を予防する具体的なコントロール方法について解説にしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼脳卒中の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳卒中の先端治療法として脚光を浴びています ▼以下のご覧いただけます 脳卒中の治療!リハビリについての予後予測 1.くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! 2.脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 3.脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
2021.12.21