くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説!
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くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説!
くも膜下出血は、突然の激しい頭痛が特徴的であり、今まで感じた中で最悪の頭痛だと言う人もいます。
そして、後遺症がどのくらいで治るのか気になる方もいるかと思います。
そこで今回は、くも膜下出血の症状、後遺症について説明しますので、ぜひ参考にされてください。
くも膜下出血とは?
くも膜下出血とは、脳の血管 (脳動脈瘤) の破裂によって引き起こされる非常に深刻な状態であり、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)に出血があり、致命的になる可能性があります。
脳動脈瘤が破裂すると、脳への血液供給が低下することで、脳の正常な機能が損なわれてしまいます。
脳動脈瘤が発生する理由は正確にはわかっていませんが、次のような特定の危険因子が関与していることがわかっています。
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喫煙や高血圧は動脈硬化のリスクを高め、脳の動脈瘤や破裂を引き起こします。
また、重度の頭部外傷はくも膜下出血を引き起こす可能性がありますが、これは外傷性くも膜下出血として知られる病気です。
くも膜下出血は前兆なく突然起こる病気ですが、血圧の急激な変動や頭痛や吐き気、意識レベルの低下など特徴的な前兆があることがわかっています。
また、咳や、重いものを持ち上げる、性行為などの肉体的な激しい行動や緊張をきっかけにくも膜下出血が発生することがあります。
くも膜下出血の症状
くも膜下出血の主な症状は次のとおりです。
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くも膜下出血の後に頭痛が起こることがよくありますが、時間の経過とともに緩和する傾向があります。
また、最初の数か月間は、極度の疲労を感じるのが普通であり、買い物に行くなどの簡単な作業でも、疲れを感じることがあります。また、不眠症や睡眠不足を訴える場合もあります。
さらに、手足の動きが悪くなったり、感覚がなくなったり、視覚や嗅覚、味覚に変化が現れる方もいます。
しかし、これらの変化は通常一時的なものであり、脳の腫れが引くにつれて通常、数か月かけて徐々に改善するため、治ったと勘違いしてしまう危険性があります。
くも膜下出血の治療や合併症は?
くも膜下出血が疑われる人は、病院でCT検査を行い、脳の周囲に出血の兆候がないか確認して治療を行います。
通常、短期的な合併症を防ぐために薬が投与され、出血源を修復する治療が行われることがあります。
また、くも膜下出血は、治療を行う際に以下のような短期的および長期的な合併症を引き起こす可能性があります。
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深刻な併症には、動脈瘤の再出血や、脳への血液供給の減少によって引き起こされる脳の損傷によるさまざまな機能低下があるため、合併症を起こさない治療が大切です。
くも膜下出血の後遺症にはどんなものがある?
くも膜下出血は、適切な治療を早期に受けても後遺症が残る場合があります。
一般的に多くみられる後遺症
くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。
1.運動麻痺
右か左の手足が動かしづらくなる
2.感覚障害
痺れや脱力感
3.嚥下障害
物が飲み込みづらい
4.視野障害
半分の空間がうまく認識できない
5.高次脳機能障害
言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない、
6.認知や行動の障害
物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう
などが挙げられます。
その他にみられる後遺症
そのほかにも次のような後遺症が現れることもあります。
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特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。
記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。
気分や思考にみられる後遺症
また、以下のような気分や思考の問題も現れます。
1.うつ病
気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない
2.不安障害
何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感
3,心的外傷後ストレス障害 (PTSD)
人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。
このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。
くも膜下出血の後遺症を残さないための予防やリハビリについて
くも膜下出血から回復するのにかかる時間は、その重症度によって異なります。
特に出血の部位は、手足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症にも関連します。
治療後のリハビリ計画
そこで、治療後は急性期〜回復期にかけて理学療法士の下で実施されるリハビリ計画は、影響を受けた手足の感覚と動きを回復するのに役立ちます。
・リハビリ専門医
脳損傷による機能回復を専門とする医師
・理学療法士
エクササイズやマッサージなどの特定の技術の専門家
・言語療法士
コミュニケーションの問題を認識し、治療を支援する専門家
・作業療法士
着替えなどの日常生活で発生する可能性のある問題を特定する専門家
上記のようなさまざまな職種が関わっています。
くも膜下出血再発リスクを減らす予防法
また、治療後にくも膜下出血の再発リスクを減らすためにできることがいくつかあります。
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まずは、喫煙や過度の飲酒などの生活習慣を改めましょう。
毎日同じ時間に起きて寝るという日課を設定して、定期的な運動も行いましょう。また、リラクゼーションの時間も取っておく必要があります。
くも膜下出血によくあるQ&A
最後にくも膜下出血に関するよくある質問についてまとめました。
後遺症がどのくらいで治るのか、仕事復帰の目安などについて解説します。
Q.くも膜下出血に特徴的な前兆はありますか?
A.くも膜下出血に特徴的な前兆としては、血圧の乱高下があります。激しく上昇、下降する場合は可能性が高いです。
また脳梗塞などと同じように頭痛や吐き気などの前兆が現れることもあります。
Q.後遺症を残さずに仕事復帰はできますか?
A.くも膜下出血で後遺症なく仕事復帰できるのは、3~4割程度といわれています。完全に後遺症を残さないためにはリハビリが大切になります。
まとめ・くも膜下出血とは?その症状と後遺症について!医師が徹底解説!
いかがでしたでしょうか?
くも膜下出血は、突然起こると思われがちですが、血圧の変動や頭痛など特徴的な前兆があるため、少しでも不調があれば病院を受診することが大切です。
後遺症を残さないためには、早期治療、リハビリが大切になります。今回の記事を参考にして、改めて症状や後遺症に関して学んでおきましょう。
No.094
監修:医師 坂本貞範