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「筋肉がやせてきた」「歩き方が変わってきた」 そんな変化をきっかけに「脊髄性筋萎縮症(SMA)」や「筋ジストロフィー」という病名を初めて目にした人も多いのではないでしょうか。 両者は似たような病名ですが、原因も治療法も異なります。 この記事では、脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの違いや、見分け方のポイントを解説します。 不安な気持ちが少しでも和らぎ「今できること」が見つかるきっかけとなれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの原因の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも遺伝子の異常によって筋力が低下していく病気ですが「どこに異常があるか」が大きく異なります。 両者の違いは、以下のとおりです。 病名 異常が起こる場所 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋肉を動かすための神経 筋ジストロフィー 筋肉細胞そのもの 本章をもとに、両者の原因の違いを理解しておきましょう。 脊髄性筋萎縮症は神経の障害によって起こる 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、遺伝子の異常により筋肉を動かす指令を出す神経に障害が起こり、発症します。 具体的には、脊髄にある「運動神経細胞(脊髄前角細胞)」がうまく働かなくなり、筋肉が使われにくくなってやせていく病気です。 使われない筋肉は少しずつ力を失い、筋力の低下や筋肉の萎縮(やせ細り)を引き起こします。(文献1) 筋ジストロフィーは筋肉そのものが壊れやすくなる 筋ジストロフィーは、遺伝子の異常によって筋肉の細胞が壊れやすくなり、再生が上手くいかなくなる病気です。 その結果、筋肉の変性や壊死が進み、やせて力を失っていきます。 進行すると、筋力の低下や運動機能の障害だけでなく、呼吸や心臓、消化などの内臓機能に影響が及ぶこともあります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの症状の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、出やすい症状にも違いがあります。 脊髄性筋萎縮症は体幹や手足の筋力低下から始まる 脊髄性筋萎縮症(SMA)はおもに体幹や四肢の筋力低下から始まり、発症時期や進行の速さ、症状の程度はタイプによって異なります。 代表的なタイプは、以下の4種類です。(文献1) 型 発症時期 主な特徴 I型 生後6か月まで 体幹を自力で動かせず、 支えなしに座るのがむずかしい II型 生後7か月~1歳半 座れるが立てない、歩けない III型 幼児期、小児期 歩行できるが筋力低下が進む IV型 成人以降 ゆっくりと筋力が落ちる これらすべてのタイプで共通する症状は、以下の通りです。 筋力低下 筋萎縮(やせ細り) 深部腱反射の減弱や消失 深部腱反射とは、膝の下をゴムハンマーで叩いたときに足がポンと前に出るような、体に備わった自然な反応のことです。 脊髄性筋萎縮症(SMA)は、このような通常みられる反応が出にくくなる症状がみられます。(文献1) 筋ジストロフィーは転びやすさや歩行困難から気づかれる 筋ジストロフィーは、筋肉のはたらきが弱くなり、日常動作に支障が出る病気です。 筋力の低下や歩きにくさ、姿勢の変化などが徐々に現れ、生活の中で気づかれます。(文献2)(文献3) タイプによって進行の速さや現れ方は異なりますが、以下のような症状が見られることがあります。 転びやすくなる 疲れやすくなる 関節がかたくなる 腕を上げづらくなる 心臓の機能に問題が出る 階段の上り下りが難しくなる 背中や腰が曲がりやすくなる 歩いたり走ったりするのが遅くなる 食べ物の飲み込み(嚥下)に問題が出る また、病型によっては、知的障害や発達の遅れ、目・耳の症状など、筋力以外の不調が先に現れることもあります。 代表的な病型は、以下の通りです。 ジストロフィン異常症(デュシェンヌ型/ベッカー型) 肢帯型筋ジストロフィー 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー 眼咽頭筋型筋ジストロフィー 福山型先天性筋ジストロフィー 筋強直性ジストロフィー それぞれ症状や発症年齢、遺伝のされ方などが異なります。(文献2) 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの診断方法の違い 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーの症状で気になることがあれば、医療機関での検査が必要です。 それぞれの病気に応じた診断方法があります。 脊髄性筋萎縮症の診断方法 脊髄性筋萎縮症(SMA)の診断では、まず症状や筋力の状態などを医師が確認します。 今出ている症状が、他の病気ではないことを確認するためです。 その上で、SMN1という遺伝子に異常があるかどうかを調べる遺伝子検査が行われます。 また、必要に応じて、筋電図検査や血液検査も実施されます。(文献1) 筋ジストロフィーの診断方法 筋ジストロフィーの診断では、進行する筋力の低下や、病気特有の症状・合併症の有無の確認が必要です。 家族の中に同じような病気の人がいないかも確認します。 検査としては、血液検査や筋電図検査、確定診断のために遺伝子検査をします。(文献2) 筋ジストロフィーは、症状の進行具合や治療法などが病型ごとに変わってくるため、早い段階で正確にタイプを見きわめることが重要です。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーの治療法 どちらの病気も根本的な治療はまだ確立されていません。そのため、症状の進行を抑えるための治療が行われています。 おもな治療法の違いを、以下にまとめました。 脊髄性筋萎縮症(SMA) 筋ジストロフィー 基本的な治療方針 進行を抑える薬の使用とリハビリ 進行を緩やかにするケアとリハビリ 薬による進行抑制 可能なケースが増えている 一部の型のみに限られる それぞれの病気の治療法について、順番に見ていきましょう。 脊髄性筋萎縮症の基本的な治療法 脊髄性筋萎縮症(SMA)では、進行を抑える薬の使用や、生活の質を保つためのリハビリが中心となります。 とくにI型では人工呼吸器が必要になることもあり、呼吸の管理が重要です。 また、栄養面のサポートとして、経管栄養が行われるケースもあります。 いずれの場合でも、現在の機能を長く維持できるよう、医師やリハビリテーションスタッフなどさまざまな専門家との連携が大切です。 近年、脊髄性筋萎縮症に対して世界的に治療薬の研究や臨床試験が進められており、日本国内でも3種類の疾患修飾薬(病気の進行を遅らせたり抑えたりする効果が期待できる薬)が承認されています。 今後も治療の選択肢が広がっていくことが期待されます。(文献1) 筋ジストロフィーの基本的な治療法 筋ジストロフィーでは、呼吸機能や体の機能維持のためのリハビリテーションが基本です。 デュシェンヌ型においては、症状の進行をゆるやかにするステロイド治療が行われています。 また、病気のタイプによっては、心臓のペースメーカーや人工呼吸器を使うこともあります。 在宅での療養生活が長くなるケースも多く、定期的な検査や日々のリハビリが大切です。(文献2) 筋ジストロフィーについては、以下の記事でも詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。 再生医療という選択肢もある 近年では、失われた機能の回復を目指す「再生医療」にも注目が集まっています。 幹細胞を使って傷んだ筋肉や神経を修復する研究が進んでおり、今後の新しい治療法として期待されています。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脊髄損傷などさまざまな疾患の再生医療を提供しています。 気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。 再生医療については、こちらの記事も合わせてご覧ください。 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーの違いを理解して適切な治療を受けよう 脊髄性筋萎縮症(SMA)と筋ジストロフィーは、どちらも筋力が低下していく病気ですが、原因や症状、進み方、治療法に違いがあります。 それぞれに合った適切な治療や支援を受けるためには、まず正確な診断が欠かせません。 「筋肉がやせてきた」「最近ふらつく」「家族の病気が気になる」など、小さな変化でも気になることがあれば、ひとりで抱え込まず、できるだけ早く医療機関に相談しましょう。 診断がつくことで、進行を抑える治療や生活のサポートにつながる可能性があります。 当院リペアセルクリニックでは、電話相談やオンラインカウンセリングにも対応しています。 受診を迷っている段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。 脊髄性筋萎縮症と筋ジストロフィーに関するよくある質問 脊髄性筋萎縮症や筋ジストロフィーは大人になってから発症することもありますか? どちらの病気にも「成人型」があり、大人になってから発症するケースがあります。 脊髄性筋萎縮症(SMA)の場合は「IV型」が該当し、成人期以降にゆっくりと筋力の低下が進みます。 症状の進行は比較的緩やかで、日常生活に大きな支障が出にくいことも特徴です。(文献1) 筋ジストロフィーでは「筋強直性ジストロフィー」や「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)」などが成人期に発症しやすいタイプとして知られています。(文献4)(文献5) これらは、歩行や筋力だけでなく、全身のさまざまな機能に影響を及ぼすこともあります。 大人の筋ジストロフィーについては、こちらの記事でも詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。 子どもの場合、筋ジストロフィーの初期症状はどのようなものですか? 筋ジストロフィーの中でも、デュシェンヌ型や顔面肩甲上腕型など一部の病型では、子どものころから以下のような動きの変化がみられることがあります。(文献6)(文献7) 転びやすい 走るのが苦手 ふくらはぎが異常に太く見える 床から立ち上がるとき、一度四つん這いになり、手で太ももを押して立ち上がる 目がしっかり閉じられない 腕を上げるのが難しい 日常の中で「あれ?」と思うような動きがあれば、早めに小児科や神経内科で相談してみましょう。 参考文献 (文献1) 脊髄性筋萎縮症(指定難病3)|難病情報センター (文献2) 筋ジストロフィー(指定難病113):病気の解説|難病情報センター (文献3) 筋ジストロフィー(指定難病113):概要診断基準等|難病情報センター (文献4) 筋疾患分野|筋強直性ジストロフィー(筋緊張性ジストロフィー)(平成22年度)|難病情報センター (文献5) FSHD 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|神経筋疾患ポータルサイト (文献6) 筋ジストロフィーの症状とリハビリテーションについて|独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院 (文献7) 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー|MSDマニュアル家庭版
2025.07.31 -
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「失調性歩行って何?」「ふらつく歩き方は治るの?」「どんな病気が関係しているの?」 このような疑問をお持ちではありませんか。 医師から「失調性歩行」と言われたものの、詳しい説明がなく不安を感じている方もいるかもしれません。 失調性歩行とは、バランスがとりにくく、まっすぐ歩けなくなる歩行障害のひとつです。 本記事では、失調性歩行の症状や原因、リハビリによる改善の可能性について解説します。 診断後の不安を少しでも和らげるヒントとして、参考にしていただけたら幸いです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 失調性歩行について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 失調性歩行の特徴は「歩くときのふらつき」 失調性歩行とは、体のバランスをうまく保てず、ふらつきながら歩く状態を指します。 症状のあらわれ方にはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。 ふらふら揺れながら歩く 体のバランスを保つのが難しくなり、左右にふらふらと揺れながら歩くのが特徴です。(文献1) 一見すると酔っているように見えるため、「酩酊歩行」とも呼ばれます。 歩いている途中で急に向きを変えようとすると、動きがぎこちなくなり、強くふらつくこともあります。(文献2) 足を大きく広げて歩く 歩くときに足を大きく開いて進むのも、失調性歩行の典型的なパターンです。(文献1) 重心を安定させようとする無意識の反応で、転ばないように下半身を広く使って支えようとするのです。 このとき、ひざを伸ばしたまま大きく踏み出すような歩き方になりやすく、本来のように膝を柔らかく曲げて歩く動きが見られなくなります。 階段の上り下りが難しくなるのも、このようなバランスの崩れが関係しています。(文献2) 失調性歩行を引き起こす主な原因 失調性歩行にはいくつかのタイプがあり、それぞれ背景にある病気や障害が異なります。 歩行障害の詳しい種類や原因は、こちらの記事でも詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 小脳の障害|脊髄小脳変性症・小脳出血など 小脳は体の動きをスムーズにし、バランスをとる役割をもっています。 ここに障害があると、歩くときに体が左右に揺れ、足がもつれるなどの症状が現れます。 代表的な病気は、脊髄小脳変性症、小脳出血、多発性硬化症などです。(文献3) 脊髄の障害|脊髄腫瘍・脊髄空洞症など 脊髄は背骨の中を通る神経の束で、脳からの指令を体に伝える通り道です。 この部分に異常があると、足の動きや位置の感覚がうまく伝わらなくなり、歩き方がぎこちなくなります。 脊髄腫瘍や脊髄空洞症などが関係していることがあります。(文献4) 前庭の障害|メニエール病・前庭神経炎など 前庭とは、耳の奥にあるバランスを感じ取る器官です。 ここがうまく働かなくなると、立っているときや歩いているときにぐらぐらする感覚が続きます。 メニエール病、前庭神経炎、感染性髄膜炎などが代表的です。(文献4) 大脳の障害|多発性脳梗塞など 大脳は、動きの「司令塔」として働く部分です。 脳内の前頭葉、頭頂葉といった部位に異常があると、筋力に問題がなくても体のバランスが崩れたような歩き方になることがあります。(文献4) 小脳の障害に似た症状が見られることがあり、原因の特定が難しいケースがあることも大脳の障害の特徴です。 また、明らかな麻痺がなくても歩行が不安定になることもあるため、脳全体の状態を丁寧に確認する必要があります。(文献4) これらの病気は、早めに気づいて対応することが大切です。 失調性歩行には専門的なリハビリが効果的 失調性歩行の症状がみられた場合、原因となる障害に合わせたリハビリをすることで、歩行の安定を目指せます。 協調運動を助ける「フレンケル体操」 フレンケル体操は、目で見ながらゆっくりと体を動かすリハビリ方法です。 手足を「どう動かすか」を意識しながら反復練習をして、バランス感覚や動きの調整力を取り戻す目的があります。 たとえば、以下のような動作をします。 椅子に座って床に置いた目印をなぞるように足を動かす 仰向けになり、片脚のかかとを床につけたまま、かかとをゆっくり滑らせるようにしながら膝を曲げ伸ばす 床に平行線を引き、その上を歩く シンプルな動作を自分の目で確認しながら繰り返します。 特別な器具は不要で、ベッドや椅子があれば始められるため、自宅でも取り入れやすい訓練のひとつです。 感覚のずれを補う「重りや包帯」 失調性歩行では、手足の動きと感覚がうまく一致しないことがあります。 自分では足をまっすぐ出したつもりでも、実際にはずれていたり、力を入れすぎてしまったりするのです。 こうした「感覚のずれ」を補う方法として、手足に軽い重りや包帯をつけるリハビリがあります。 重さや圧迫感があることで、手足の位置や動きを意識しやすくなり、「動きすぎ」「力の入れすぎ」といったミスを防ぎやすくなるのです。 重りや包帯の量は状態に合わせて調整でき、歩く・立つ・座るなど、基本動作の安定にもつながります。 体幹の安定性を高める「筋力トレーニング」 筋力や体力が落ちていると、バランスをとる力も弱くなり、ふらつきや転倒のリスクが高まります。 そのため、失調性歩行のリハビリでは筋力をつけることも大切です。 筋力トレーニングには、筋力向上に加えて筋肉の協調性やリズミカルな動作を改善する効果も期待できます。 また、柔軟体操を取り入れて、関節のこわばりを防ぐことも行います。 無理なく体を支える力をつけていくことで、転倒予防や日常生活の自立にもつながるため、継続がカギになるでしょう。 失調性歩行の改善を目指すなら医療機関を受診しよう 失調性歩行には、小脳や脊髄、大脳、耳のバランス器官など、さまざまな原因が関係しています。 原因によって対処法も異なるため、医療機関での検査やリハビリが大切です。 歩き方に違和感があるときや、家族に「おかしい」と言われたときは、迷わず専門の医師に相談してください。 リペアセルクリニックでは「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も行っています。 失調性歩行でお悩みの方は当院へお気軽にご相談ください。 失調性歩行に関するよくある質問 失調性歩行はリハビリで改善しますか? 失調性歩行の改善は、原因となる病気や障害によって異なります。 ただし、フレンケル体操や筋トレなどのリハビリを継続することで、歩行が安定し、日常生活の質も向上する可能性があります。 専門の病院を受診し、医師やリハビリスタッフの指導を受けながら継続していきましょう。 小脳が原因の失調性歩行は治りますか? 小脳性の失調は、根本的な治療が難しいこともありますが、リハビリや再生医療などによって歩行の質が改善する可能性があります。 早めに医療機関で相談し、状態に合った対応を始めることが大切です。 小脳梗塞の後遺症の治療や予後については、こちらの記事で詳しく紹介しているため、合わせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 歩行障害の種類と原因疾患|Jpn J Rehabil Med (文献2) 失調症のリハビリテーション|リハビリテーション医学 (文献3) 3.小脳失調症の病態と治療―最近の進歩―|日本内科学会雑誌 (文献4) 運動失調に対するアプローチ|関西理学
2025.07.31 -
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「ウェルニッケ脳症の治療をしているのに、歩きにくさの症状が出ている」 「ウェルニッケ脳症を発症した親に記憶障害がある気がする」 このような不安を抱えている方もいるでしょう。 ウェルニッケ脳症は、治療後も運動性失調や眼球運動障害、記憶障害などの後遺症が出ることがあります。とくに、治療の開始が遅れたり、治療が不十分だったりした場合に後遺症が残りやすい傾向です。本人も記憶障害によって混乱している場合があるため、周囲のサポートが欠かせません。 本記事では、ウェルニッケ脳症の後遺症として現れる症状や原因を詳しく解説します。ご家族にできるサポート方法もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 気になる症状や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ウェルニッケ脳症の後遺症における主な症状 ウェルニッケ脳症の後遺症には、さまざまな症状が見られます。代表的な症状は以下の3つです。 運動性失調 眼球運動障害 記憶障害・作話 1つずつ詳しく見ていきましょう。 運動性失調|ふらつきやまっすぐ歩けない 運動性失調は、ウェルニッケ脳症の原因であるビタミンB1の欠乏によって、小脳や前庭核といった体のバランスを保つ部位が障害されることで現れます。 主な症状は、お酒に酔ったときのようなふらつきや、まっすぐな線をたどって歩くのが難しいといった体幹の失調です。 体幹の失調は、数日から数カ月にわたって続く場合があります。ある報告によると、運動性失調が改善したのは全体の40%であり、残りの60%の方には症状が残ったとされています。(文献1) そのため、長期的なケアやリハビリが必要になるケースも少なくありません。体幹の失調については以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。 眼球運動障害|目の動きに異常が出る ウェルニッケ脳症の急性期に見られる目の動きの異常が、後遺症として残ることがあります。具体的には以下の症状です。 眼振:自分の意思とは関係なく目が動く 麻痺:目の筋肉が部分的に動かなくなる 眼振があると、景色が揺れて見えたり、一点を見つめるのが難しくなったりします。また、眼筋麻痺によって物が二重に見える複視が起き、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。 適切な治療により一部の患者で回復へ向かうとされる眼球運動障害ですが、目の麻痺は改善したものの、約60%の症例で水平方向への眼振が後遺症として残ったとの報告も存在します。(文献1) 回復の程度には個人差があるため、症状が続く場合は主治医や眼科医へ相談しましょう。 記憶障害・作話|物忘れや作り話をする ウェルニッケ脳症の後遺症として、新しいことを覚える機能や過去の出来事を思い出す機能に障害が残る場合があります。ある報告によれば、記憶障害が完全に回復したのは20%にとどまるとの結果でした。(文献1) 数分前の会話を忘れる、新しいことを覚えられないといった「記銘力障害」が慢性化し、「コルサコフ症候群」へと移行する場合があります。 コルサコフ症候群の特徴的な症状の1つが、記憶の空白を埋めるために無意識に創作した話をしてしまう「作話」です。本人は嘘をついている自覚がないため、周囲は戸惑うかもしれません。 また、時間や場所がわからなくなる見当識障害も現れます。これらの症状は本人の混乱や不安を招くため、家族の理解と適切な対応が求められます。 ウェルニッケ脳症で後遺症が出る原因 ウェルニッケ脳症で後遺症が出る主な原因は、治療開始の遅れや、適切な治療を受けられなかった点にあります。そのため、後遺症を残さない、あるいは症状を軽くするためには、早期の診断と治療が重要です。 しかし、たとえ早期に治療を始めても、ビタミンB1の補充が不十分といった適切な治療がおこなわれないと、完全な回復は難しくなります。その結果、認知機能の障害を主症状とするコルサコフ症候群に移行するケースも少なくありません。(文献2) ウェルニッケ脳症を未治療のまま放置した場合、約80%がコルサコフ症候群へ移行するとされています。また、治療をおこなった場合でも、アルコール摂取が原因のウェルニッケ脳症では、16.9%の確率でコルサコフ症候群を発症するとのデータもあります。(文献3) アルコールを多量に摂取する方は、ウェルニッケ脳症だけでなく、肝臓疾患のリスクも高くなります。肝臓疾患については以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。 【関連記事】 アルコール性肝炎の初期症状|進行サインや放置するリスク【医師が解説】 肝硬変で腹水が溜まっているときの余命はどれくらい?予後や治療方法を解説 肝臓疾患の治療方法として再生医療が選択肢の1つです。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 ウェルニッケ脳症の後遺症に対する治療法 ウェルニッケ脳症の後遺症が残った場合、症状の安定や生活の質の維持を目指した治療が必要です。主な治療法は以下の通りです。 食事療法 薬物療法 リハビリ 1つずつ詳しく見ていきます。 食事療法 ウェルニッケ脳症の根本的な原因は、ビタミンB1(チアミン)の不足です。チアミンは体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。体内に貯蔵できる量も、主に骨格筋や心臓、脳、肝臓、腎臓を合わせても約30mgとごくわずかしかありません。 アメリカの国立衛生研究所によると、成人が1日に必要とするチアミンの量は1.1〜1.2mgとされています。もし、食事からまったく摂取しない場合は2〜3週間で枯渇するとの報告があります。(文献1) そのため、後遺症の治療においても継続的なチアミンの摂取が重要です。チアミンは以下の食材に多く含まれます。 豚肉 うなぎ 玄米 全粒穀物 豆類 ウェルニッケ脳症の後遺症の治療では、これらの食品を意識して食事に取り入れましょう。 薬物療法 ウェルニッケ脳症の後遺症がある場合、食事だけでは十分な量のビタミンB1補給が難しいケースも少なくありません。また、アルコールの多飲などで消化管の吸収能力が低下している可能性も考えられるでしょう。 そのため、食事療法と並行してビタミンB1製剤を内服する薬物療法がおこなわれます。医師の指導のもと、1日に100mg程度のビタミンB1製剤の継続的な服用が推奨されています。(文献1) 薬の服用により期待できる効果は以下の通りです。 体内のビタミンB1濃度を安定させる 症状の悪化を防ぐ 残された神経機能の回復をサポートする 治療効果を高めるには、医師の指示に従い、適切な量を服用し続ける必要があります。 リハビリ 運動性失調によるふらつきや歩行の不安定さが残った場合には、継続的なリハビリテーションが必要です。失調に対するリハビリには、以下のような種類があります。 フレンケル体操:正確な動きを反復練習して運動コントロールの改善を目指す 重錘負荷運動:手足に重りをつけて運動の制御能力向上を目指す また、本人が記憶障害を合併している可能性も考慮する必要があります。リハビリの前後で「前回はここまでできた」「今日はこれができるようになった」といった具体的なフィードバックや記録の比較をおこなうと良いでしょう。 これにより自身の状態を客観的に把握できるため、リハビリを続けるモチベーションの維持につながります。 運動性失調に対するリハビリの具体的な方法については、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。 ウェルニッケ脳症の後遺症患者に対するサポート方法 ウェルニッケ脳症の後遺症とともに生活していく上で、本人の努力はもちろんですが、家族をはじめとする周囲の方々のサポートも必要です。 具体的なサポートのポイントとしては、以下の点が挙げられます。 コミュニケーションを工夫する 安全な生活環境を整える まずはできるところから1つずつ始めていきましょう。 コミュニケーションを工夫する コルサコフ症候群の症状は認知症と似ている点が多いため、認知症の方への接し方が参考になります。大切なのは、作り話などを頭ごなしに否定するのではなく、まずは本人の話に耳を傾けて安心感を与える姿勢です。 たとえば、「はい」か「いいえ」で答えられる短い質問をしたり、選択肢を示したりすると良いでしょう。また、話の内容を一度受け止めた上で「カレンダーを見てみましょうか」と、穏やかに現実の情報を補う対応も役立ちます。 頭ごなしに否定すると本人のストレスが溜まり、不安から再び飲酒に頼るリスクを高めてしまいかねません。 安全な生活環境を整える ウェルニッケ脳症の後遺症である運動性失調や眼振は、体のバランスを崩しやすく、転倒のリスクを高めます。思わぬ事故を防ぐには、本人が安全に過ごせる生活環境を整える必要があります。 たとえば、廊下や階段に手すりを設置したり、屋内の小さな段差をスロープで解消したりする対策が有効です。また、電気の配線コードやティッシュ箱など、つまずきの原因になりそうな物は床に置かないようにしましょう。 本人の自室をトイレや浴室の近くに移動させて、家の中の動線を短くするのも1つの方法です。さらに、転倒時に机の角などで頭を打たないように、クッション性のカバーを取り付けるといった配慮も怪我の防止につながります。 ウェルニッケ脳症の後遺症を理解して献身的なサポートを心がけよう ウェルニッケ脳症の後遺症としては、以下の症状が挙げられます。 運動性失調 眼球運動障害 記憶障害 運動性失調と水平方向の眼振が残存する確率は、それぞれ約60%です。(文献1)また、記憶障害を主症状とするコルサコフ症候群へ移行する可能性は、未治療の場合で約80%、治療後もアルコールが原因であれば約17%にのぼると報告されています。(文献3) 後遺症が残った場合、本人が不安や怪我なく暮らせるように、食事管理やコミュニケーションの工夫、安全な生活環境の整備といった周囲のサポートが必要です。 なお、同じくアルコールが原因となりうる疾患に肝硬変などの肝臓疾患があり、その治療法の1つとして再生医療といった選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 ウェルニッケ脳症や後遺症に対するよくある質問 ウェルニッケ脳症及び後遺症の予後・死亡率は? ウェルニッケ脳症は、早期に適切な治療がおこなわれれば、症状が改善する可能性のある疾患です。しかし、治療が遅れたり、コルサコフ症候群に移行したりした場合は、予後が良いとはいえません。 ある研究で、ウェルニッケ・コルサコフ症候群の患者様を対象に調査したところ、5年後・10年後の生存率は以下の通りでした。 5年後の生存率 10年後の生存率 男性 67.7% 48.3% 女性 79.0% 62.9% また、同研究では死因の32.6%がアルコール関連だったと報告されています。(文献4) これらの結果から、断酒の継続とアルコールでダメージを受けた他の臓器(とくに肝臓)の治療は、ウェルニッケ脳症の予後に少なくない影響を与えます。 アルコールの多量摂取による肝臓疾患治療の選択肢の1つが再生医療です。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 ウェルニッケ脳症は難病指定されていますか? 現在、ウェルニッケ脳症は国の難病には指定されていません。難病指定とは、以下のような疾患を対象とする制度です。 原因が不明 治療法が確立していない 長期の療養が必要 ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1の欠乏といった原因が明確であり、ビタミンB1の補充のような治療法も確立しているため、この要件には当てはまりません。 ただし、以下のような症状が出ている場合は、同じく目の動きや筋力に異常をきたす難病指定の「重症筋無力症」との鑑別が必要になるケースがあります。(文献5) 眼筋の麻痺 手足の筋力低下 飲み込みにくさ(嚥下障害) 呼吸のしづらさ 主治医の指示のもと適切な検査を受けましょう。 参考文献 (文献1) Wernicke脳症の診断と治療|愛仁会高槻病院 総合内科 (文献2) Wernicke’s Encephalopathyの治療法|日本ビタミン学会学術誌「ビタミン」 (文献3) Hospital Outcomes in Medical Patients With Alcohol-Related and Non-Alcohol-Related Wernicke Encephalopathy|Mayo Clin Proc. (文献4) Incidence and mortality of alcohol‐related dementia and Wernicke‐Korsakoff syndrome: A nationwide register study|Int J Geriatr Psychiatry. (文献5) 指定難病とすべき疾病の支給認定にかかる基準|厚生労働省
2025.07.31 -
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視界にギザギザとした光やキラキラと輝く模様が現れ、徐々に拡大しながら視野の一部が欠けるような症状は「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれ、片頭痛の前兆としてよく知られる現象です。 しかし、閃輝暗点が頻繁に繰り返し起こると、「もしかしたら、何か重篤な病気の前兆ではないか」と強い不安を覚える方もいるでしょう。 本記事では、閃輝暗点が繰り返し発生するメカニズムとその背景にある要因を掘り下げて解説します。また、症状を放置すると生じる潜在的なリスクについても詳しく説明します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。 閃輝暗点が繰り返し起こる場合は要注意!早急な受診がおすすめ 閃輝暗点が一度きりの現象であれば、片頭痛の前兆として経過観察されることもあります。 しかし、閃輝暗点が頻繁に繰り返し起こる場合は、単なる片頭痛だけでなく、脳に起因する重大な疾患の可能性も視野に入れる必要があります。(文献1) とくに、これまで経験したことのない症状を伴う場合や、頭痛を伴わない閃輝暗点が続く際は、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。また、両目に閃輝暗点の症状が現れる場合は、脳神経外科や脳神経内科への受診が推奨されます。 一方で、片目のみに症状が限定される際は、眼球自体の病気の可能性も考えられるため、眼科での受診を検討しましょう。適切な診断のもと、治療方針を決めることが大切です。 閃輝暗点の見え方について詳細は、以下の記事もお読みください。 閃輝暗点を繰り返す主な原因 閃輝暗点を繰り返す背景には、さまざまな生活習慣や身体の状態が関係しています。以下では主な原因を詳しく解説します。 ストレス過多・疲労の蓄積 睡眠不足(不規則な生活) カフェイン・ポリフェノール等の特定の食材の成分の摂りすぎ スマホ・パソコンの長時間使用 ホルモンバランスの乱れ 閃輝暗点の初期症状や治療法など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説」をご覧ください。 ストレス過多・疲労の蓄積 閃輝暗点が繰り返し起こる原因の一つとして、過度なストレスや慢性的な疲労の蓄積が挙げられます。 精神的・肉体的なストレスは、自律神経のバランスを大きく崩し、脳の血管の収縮と拡張をコントロールする機能に影響を及ぼし、血流に変化が生じる場合があります。(文献2) その結果、脳の血管が一時的に過度に拡張し、神経の興奮を誘発することで閃輝暗点が発生しやすくなると考えられています。 睡眠不足(不規則な生活) 睡眠不足や不規則な生活リズムは、閃輝暗点を繰り返す大きな要因となりえます。人間の体内時計は睡眠によって調整されており、そのリズムが乱れると自律神経のバランスが崩れやすくなります。 自律神経は血管の収縮・拡張を制御しているため、バランスが乱れることで、脳の血管が過敏になり、閃輝暗点が繰り返し発生しやすくなるのです。 カフェイン・ポリフェノール等の特定の食材の成分の摂りすぎ 特定の食材に含まれる成分の過剰摂取が、閃輝暗点の引き金となる可能性が指摘されています。とくに、カフェインやポリフェノール、チラミンなどがその代表例です。 食材 主な成分・栄養素 誘引のメカニズム・特徴 チョコレート チラミン、カフェイン、テオブロミン 血管を拡張し神経を刺激する チーズ チラミン 血管の収縮と拡張を引き起こす ナッツ チラミン 血管反応を変化させる コーヒー カフェイン 中枢神経を過剰に刺激する 赤ワイン ポリフェノール、チラミン 血管を刺激し神経過敏を促す これらの成分は血管に作用したり、神経伝達物質に影響を与えたりすることで、脳の血管の収縮・拡張に影響を及ぼし、閃輝暗点の発作を誘発する場合があります。 スマホ・パソコンの長時間使用 閃輝暗点が繰り返し起こる原因の一つとして、スマホやパソコンの長時間利用が挙げられます。 画面から放たれる強い光や、反射光などの眩しい光は、目に大きな負担をかけ、眼精疲労を引き起こすだけでなく、脳の視覚処理系に影響を与える可能性があります。また、長時間の集中作業による脳の疲労も、閃輝暗点の発症リスクを高める要因となります。 ホルモンバランスの乱れ 女性の場合、ホルモンバランスの乱れが繰り返す閃輝暗点の原因となる場合があります。とくに、月経周期に伴うエストロゲンの変動は、脳の血管の収縮・拡張に影響を及ぼし、片頭痛やそれに伴う閃輝暗点の引き金となりやすいです。 生理前や生理中、あるいは更年期にはホルモンレベルが大きく変化するため、この時期に症状が現れやすい傾向が見られます。 片頭痛もちの人は閃輝暗点を繰り返しやすい 閃輝暗点は、片頭痛の前兆として現れることが多く、この視覚症状は片頭痛もちの方によく見られます。(文献3) 特徴的なのは、視界に現れるギザギザとした光の模様や点滅が数分から数十分続き、光の消失後に、多くの場合ズキズキとした拍動性の頭痛が始まる点です。 頭痛は日常生活に支障をきたすほど強く感じられることがあります。さらに、頭痛と同時に吐き気や嘔吐を伴うこともあり、普段は気にならない程度の音や光、匂いに対して異常に敏感になる症状を併発する場合もあります。 これらの症状が複合的に現れることは、片頭痛における特徴的なサインの一つといえるでしょう。 閃輝暗点を繰り返す場合は脳の病気(脳梗塞)のリスクがある 閃輝暗点が繰り返し出現する状況は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳の重大な疾患のサインの可能性があります。(文献4) 閃輝暗点のパターンが普段と異なる場合や、以前とは異なる視覚症状を伴う場合は、とくに警戒が必要です。頭痛を伴わない場合でも、脳血管系の問題が関与している可能性は十分に存在します。 さらに、閃輝暗点に加えて、以下の神経症状が同時に現れた場合は、非常に緊急性が高い状態です。 顔の左右どちらかに麻痺がある 片側の手足に力が入らない 感覚が鈍い 言葉が出にくい ろれつが回らない すぐに救急車を呼ぶか、至急医療機関を受診する必要があります。脳の血流に異常が生じている可能性があるため、早期の対応が事態の悪化を防ぐためには不可欠です。 繰り返す閃輝暗点に有効な治療方法はある? 閃輝暗点には特効薬や明確な治療法はありません。 対処法として、下記の対症療法などの実践が一般的です。 片頭痛の治療薬を服用する 生活習慣を改善する 水分補給をこまめに実施する サプリメントを摂取する 安静にする(症状が出た場合) また、閃輝暗点の治し方については以下の記事で詳しく解説しています。閃輝暗点にお悩みの方は参考にご覧ください。 片頭痛の治療薬を服用する 閃輝暗点が繰り返し起こる場合、片頭痛の治療薬が有効な手段の一つです。 症状が現れた際に服用するトリプタン製剤(例:イミグラン)は、片頭痛発作の進行を止め、その後の頭痛を和らげる効果が期待できます。(文献5) 加えて、症状の頻度が高い方には、塩酸ロメリジンなどの予防薬が処方されることがあります。予防薬を日常的に服用して片頭痛の発作を抑制し、閃輝暗点のリスク低減を目指します。 生活習慣を改善する 繰り返す閃輝暗点を減らすためには、生活習慣の改善が重要です。 過度なストレスは脳の血管に影響を及ぼし、症状を誘発する一因となります。そのため、ストレスを適切に管理し、心身のリフレッシュを図りましょう。 また、睡眠不足や不規則な生活リズムは自律神経の乱れにつながり、脳の過敏性を高める可能性があります。規則正しい睡眠を心がけ、生活リズムを整えることが、症状の軽減につながります。特定の食品成分の過剰摂取も誘発因子となるため、食生活の見直しも有効です。 水分補給をこまめに実施する 閃輝暗点の症状悪化を防ぐためには、こまめな水分補給が重要です。 体内の水分量が不足すると、脱水状態に陥り、血液の循環が悪くなることで脳の血管に影響を与える可能性があります。 その結果、閃輝暗点の発作や症状の悪化を招くことがあります。日頃から意識して水分を摂取して、身体が常にうるおった状態を保ち、症状を軽減しましょう。 サプリメントを摂取する 繰り返す閃輝暗点に対する補助的な手段として、サプリメントの摂取が有効な場合があります。 脳の健康維持や血管機能に寄与するマグネシウムは、片頭痛の予防にも関連が示されており、積極的な摂取が推奨される栄養素です。 また、細胞のエネルギー生成に関わるビタミンB2も、脳の働きをサポートし、閃輝暗点の症状軽減に役立つ可能性が指摘されています。加えて、神経機能に重要な役割を果たす亜鉛も、積極的な摂取が望ましい栄養素の一つです。 安静にする(症状が出た場合) 閃輝暗点の症状が発現した際には、無理をせず速やかに安静にすることが大切です。 強い光や音、動きは症状を悪化させる可能性があるため、できる限り静かで暗い場所へ移動し、目を閉じて横になるなどの対処が推奨されます。 心身を落ち着かせ脳への刺激を最小限に抑えることが、症状の持続時間を短縮し、その後の頭痛の軽減につながります。 閃輝暗点を繰り返す人によくある質問 閃輝暗点が繰り返し現れると、不安や疑問を抱える方も少なくありません。ここでは、繰り返す閃輝暗点に関してよくある質問を解説します。 閃輝暗点が毎日起こる場合は放置すると危険? 片目だけ閃輝暗点を繰り返す場合は? 閃輝暗点が毎日起こる場合は放置すると危険? 閃輝暗点が繰り返し毎日発生する状況は、身体になんらかの異常が生じている明確なサインです。 とくに、過度なストレスや疲労の蓄積が主な原因として考えられます。まず十分な休息を確保し、心身の疲労回復に努めることが重要です。 その上で、閃輝暗点に加えて以下の神経症状が見られる場合は、脳の病気の可能性も視野に入れ、直ちに専門の医療機関を受診しましょう。 激しい頭痛 片側の手足のしびれ 力が入らない 言葉がもつれる 自己判断で放置すると非常に危険なので、早めに医師の診察を受けてください。 片目だけ閃輝暗点を繰り返す場合は? 閃輝暗点が常に片方の視界のみに現れる場合、網膜剥離や眼底出血など、目の病気が原因である可能性があります。 片目だけに異常が生じている際は、失明などの重篤な状態に至る前に、速やかに眼科を受診しましょう。 まとめ|閃輝暗点を繰り返して脳梗塞が不安なら再生医療をご検討ください 閃輝暗点は片頭痛の前兆として現れることが多い症状ですが、頻繁に繰り返される場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳血管系の疾患の可能性も考えられます。 また、症状が片目のみの場合は目の病気、手足のしびれや言葉のもつれを伴う場合は緊急性の高い脳疾患の兆候も考えられるため、早期の専門医の受診が不可欠です。 近年では、こうした脳血管のトラブルに対する治療法として再生医療への関心が高まっています。 当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に対して丁寧にカウンセリングを行い、再生医療(幹細胞治療)を中心とした治療を、症状に合わせてご提案しております。 ご質問・ご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 日本医事新報社「一過性脳虚血発作」 https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_12424(最終アクセス:2025年6月12日) (文献2) 日本視能矯正学会「片頭痛発症中に動的量的視野検査を施行し、一過性暗点を記録できた一例」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic/46/0/46_046F106/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年6月12日) (文献3) 日本頭痛学会「片頭痛/片頭痛の治療」 https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_02.html(最終アクセス:2025年6月12日) (文献4) フレーミングハム研究「片頭痛の視覚的随伴症状は晩年では珍しくない」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9707189/(最終アクセス:2025年6月12日) (文献5) 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」 https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/zutsu_2021.pdf(最終アクセス:2025年6月12日)
2025.06.30 -
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閃輝暗点は視界の一部にキラキラ・ギザギザした光や模様があらわれ、徐々に拡大して視野の欠損を引き起こす症状です。 片頭痛の前兆としてよく知られる閃輝暗点ですが、必ずしも頭痛を伴うわけではありません。(文献1) 閃輝暗点を起こす有力な説としては後頭葉の血流低下が挙げられており、コーヒーの過剰摂取が発症リスクを高めるのではないかと考えられています。 閃輝暗点は眼科系疾患ではなく、脳の機能の一時的変化により引き起こされるため、発症すると脳の病気を心配する方もいるでしょう。 本記事では閃輝暗点とコーヒーの関係について解説するとともに、1日当たりの摂取目安を紹介します。閃輝暗点にお悩みのコーヒー好きの方は参考にしてください。 コーヒーが原因で閃輝暗点を引き起こすことがある コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用があり、過剰摂取により閃輝暗点のリスクを高める可能性があります。 一方で、カフェインには抗酸化作用があり、血管機能の改善が見込めるためデメリットばかりではないのも事実です。 はじめに、コーヒーと閃輝暗点および血管機能との関係について詳しく解説します。 閃輝暗点の見え方や初期症状や治療法などについては、以下の記事もご覧ください。 【関連記事】 【医師監修】閃輝暗点の見え方について解説|片目だけ・初めての症状は危険? 【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説 カフェインが脳血管収縮を助長することで起こる コーヒーが原因で閃輝暗点を起こす理由は、カフェインの過剰摂取により脳の血管収縮が助長されるためです。 コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させ、血液の循環を阻害する作用があります。 閃輝暗点は後頭葉に送られる血流量の減少により発症リスクが増加すると考えられており、カフェインの過剰な摂取は脳の血管を収縮させ、閃輝暗点のリスクを高める可能性があります。 カフェインは神経を鎮静させるアデノシンと似た構造を持つのも特徴です。 カフェインを過剰摂取すると、本来であればアデノシンが結合するはずの受容体にカフェインが結合し、神経の鎮静作用が阻害されます。(文献2) コーヒーを飲み過ぎると睡眠の質が低下すると言われるのは、カフェインの過剰摂取により神経が興奮状態に陥るためです。 睡眠不足も自律神経のバランスを乱して血管の収縮を起こすため、閃輝暗点の発症リスクを高める一因となります。(文献3) クロロゲン酸の抗酸化作用で血管機能の改善が見込める コーヒーにはカフェイン以外にも多くの成分が含まれていますが、なかでもクロロゲン酸には高い抗酸化作用があり、血管機能の改善が見込める点がメリットです。 クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、LDLコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化の予防に役立つことで知られています。 クロロゲン酸による血管機能の改善効果は、FMD値(血流依存性血管拡張反応)を調べることで明らかになります。 FMD値に関して462名の高血圧患者を対象に、コーヒー摂取量と血管機能についての評価が行われました。 その結果、コーヒーを摂取した群では非摂取群に比べ、FMD値に有意な増加が見られました。(文献4) カフェインの過剰摂取は血管収縮のリスクを高めますが、1日あたりコーヒー2杯(400ml)程度であれば、むしろ血管拡張作用が得られるとわかります。 閃輝暗点はコーヒー以外のカフェインにも起因する 閃輝暗点はコーヒーだけでなく、カフェインを含むその他の飲料にも起因するため注意が必要です。 カフェインが含まれる主な飲料および含有量の目安は以下のとおりです。(文献5) 飲料 カフェイン含有量(100mlあたり) コーヒー 60mg ほうじ茶 20mg ココア 14mg ウーロン茶 20mg 紅茶 30mg 抹茶 48mg コカ・コーラ 9.5mg エナジードリンク 32~300mg エナジードリンクのなかにはカフェイン含有量が多い商品もあるため、閃輝暗点を起こしやすい方は注意が必要です。(文献6) 眠気覚ましにエナジードリンクを気軽に飲む方もいますが、1本飲むだけでコーヒー2〜3杯分のカフェインを摂取するケースもあるため、何本も飲まないようにしましょう。 エナジードリンクの過剰摂取は閃輝暗点のリスクを高めるだけでなく、糖尿病の発症リスクも増加するため注意する必要があります。(文献7) コーヒーが原因で起こる閃輝暗点のリスクを下げるコツ コーヒーが原因で起こる閃輝暗点のリスクを下げるコツは以下の2つです。 1日に摂取するコーヒーは2杯(400ml)ほどに留める コーヒーの合間に水分を意識的に補給する それぞれについて解説します。 1日に摂取するコーヒーは2杯(400ml)ほどに留める コーヒーが原因で起こる閃輝暗点のリスクを下げるためには、1日の摂取量を400ml(カップ2杯分)程度にとどめるのがポイントです。 1日400ml程度のコーヒーであれば、クロロゲン酸の作用によりFMD値が増加し、血管機能の改善が見込めるとわかっています。 一方、カフェインの過剰摂取は心拍数や血圧を増加させ、心血管疾患のリスクを高めることも示唆されています。 ACCアジアで発表された研究では、1日に400ml以上のコーヒーの摂取が自律神経に重大な影響を与え、心拍数と血圧を徐々に増加させるとわかりました。(文献8) 適量のコーヒーは心身に良い影響をもたらしますが、過剰摂取は健康被害のリスクを高めると覚えておきましょう。 コーヒーの合間に水分を意識的に補給する コーヒーが原因で起こる閃輝暗点のリスクを下げるためには、水分を意識的に補給するよう意識しましょう。 コーヒーに含まれるカフェインは腎臓で行われる水分の吸収を妨げる作用があるため、摂取量が増えると排尿の回数が増加しがちです。(文献9) 排尿の回数が増えると血液中に含まれるカフェインの濃度が相対的に上昇するため、閃輝暗点のリスクを高めやすくなります。 コーヒーを常飲する方は合間に意識的に水分を補給し、血中カフェイン濃度が上がり過ぎないよう注意してください。 コーヒーの利尿作用に悩まされる方には、カフェインを取り除いたデカフェがおすすめです。 コーヒーの飲み方を改善しても閃輝暗点を繰り返すなら脳の病気の疑いあり 上記の対策を講じても閃輝暗点を繰り返す方は、脳の病気の疑いもあると覚えておいてください。 閃輝暗点は片頭痛の前兆としてよく知られていますが、脳梗塞などが原因で発現する例も見られるためです。 閃輝暗点の後に片頭痛の発作が見られない場合、脳梗塞や脳腫瘍、一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attack)の疑いがあると考えられています。(文献10) 一過性脳虚血発作(TIA)を発症すると突然の言語障害や感覚障害など脳梗塞と似た症状があらわれますが、通常は24時間以内に消失します。しかし、症状が消失したからといって安心はできません。一過性脳虚血発作(TIA)は脳梗塞に移行する可能性が高いため注意が必要です。 なお、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である可能性は低いと考えられているため、過度に心配する必要はありません。 脳の病気が疑われる閃輝暗点が気になるなら早急に受診しましょう 脳の病気が疑われる閃輝暗点をたびたび繰り返す方は、早急に専門の医療機関を受診しましょう。 閃輝暗点の原因の一つである脳梗塞を発症すると、身体の片側のしびれや麻痺、ろれつが回らない、手にしたコップを取り落とすなどの症状があらわれます。 閃輝暗点だけでなく上記の症状が見られる方は、脳神経外科や脳神経内科、神経内科などを受診してください。 脳梗塞の発症から時間が経過するほど脳細胞が破壊され続けるため、一刻も早く専門医による治療を受けることが大切です。(文献11) まとめ|閃輝暗点が落ち着くようにコーヒーの飲み方を調整しよう 閃輝暗点を発症すると視界の一部にキラキラ・ギザギザした光や模様があらわれ、徐々に拡大して視野の欠損を引き起こします。 片頭痛の前兆としてよく知られる現象の一つですが、閃輝暗点の後に頭痛の発作が起きないケースでは、脳梗塞や脳腫瘍、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性も疑われます。 コーヒーに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用があるため、頻繁に閃輝暗点を起こす方は摂取量の調整が必要です。 健康な成人であれば1日に400mgのカフェインを摂取しても問題ないとされますが、妊婦や妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は300mgまでにとどめてください。 閃輝暗点の原因でもある脳梗塞の治療法として、近年になり再生医療への関心が高まっています。 リペアセルクリニックでは脳梗塞の後遺症治療・再発予防に再生医療(幹細胞治療)をご提案しております。ご質問やご相談がございましたら、気軽に無料カウンセリングまでお越しください。 (文献1) 徳島県医師会「閃輝暗点」 https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/1663-2018-11-22-00-41-33(最終アクセス:2025年6月18日) (文献2) 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html(最終アクセス:2025年6月18日) (文献3) 溜池山王伊藤眼科「急に視界の一部が見えない:閃輝暗点の原因・症状・対処法」 https://ts-itoeyeclinic.com/diary/scintillating_scotoma/(最終アクセス:2025年6月18日) (文献4)血管 Vol47 No.2「高血圧患者におけるコーヒー摂取:血管機能に与える影響について」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcircres/47/2/47_1/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年6月18日) (文献5) 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html(最終アクセス:2025年6月18日) (文献6)ニューロテックメディカル「コーヒー摂取と閃輝暗点発症の関係性とは」 https://neurotech.jp/medical-information/coffee-intake-and-the-development-of-scintillating-scotoma/#1link(最終アクセス:2025年6月18日) (文献7)NHK「「エナジードリンク」 飲みすぎの危険性とは」 https://www.nhk.jp/p/nhkjournal/rs/L6ZQ2NX1NL/episode/re/YX4128VJRR/(最終アクセス:2025年10月09日) (文献8)AMERICAN COLLEGE of CARDIOLOGY「慢性的なカフェイン摂取は活動後の心拍数や血圧に影響を与え、CVDのリスクを高める」(英文による解説)」 https://www.acc.org/Latest-in-Cardiology/Articles/2024/08/14/16/39/Chronic-High-Caffeine-Consumption-Impacts-Heart-Rate-BP(最終アクセス:2025年6月18日) (文献9) ウィスパー「【医師監修】コーヒーと頻尿の関係」 https://www.whisper.jp/article-top/learn-urinary-incontinence/coffee/(最終アクセス:2025年6月18日) (文献10) 横濱もえぎ野クリニック「閃輝暗点」 https://www.ymc3838.com/scintillating-scotoma/(最終アクセス:2025年6月18日) (文献11) 名古屋徳洲会総合病院「脳梗塞」 https://www.nagoya.tokushukai.or.jp/wp/depts/neurosurgery-2/disease-3/cerebral-infarction(最終アクセス:2025年6月18日)
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パーキンソン病は進行性の疾患であり、完治しない病気として知られています。 しかし、遠くない未来、パーキンソン病が「完治する」時代がくるかもしれません。 近年の研究では、パーキンソン病の新たな治療法が模索されています。 iPS細胞を活用した研究や、再生医療による治療など、既存の治療とは異なったアプローチがなされています。 この記事では、パーキンソン病に対する先進医療や研究について紹介します。 パーキンソン病が治る時代は来るのか?治らないとされている理由 パーキンソン病が治らないとされている理由は、根本原因の解明が困難であるからだと言われています。 パーキンソン病は脳内のドパミン神経細胞が減少することで発生します。 脳内の細胞の観察は極めて困難であるため、完治するための対策が立てられないのです。 現在は減少するドパミンを補うための薬物療法や手術療法が主流ですが、いずれも症状の緩和が目的です。 ドパミンの減少を止める治療法はいまだ見つかっていません。 以下の記事では、パーキンソン病の原因や症状、治療法について解説しています。あわせてご覧ください。 パーキンソン病の根本治療を叶える先進医療の研究 パーキンソン病の治療法はさまざまな角度から研究がなされてきました。 その中でも注目を集めているのは、iPS細胞を活用した「再生医療」、L-ドパの効果を補うことが期待されている「遺伝子治療」です。 それぞれのどのような治療なのか解説します。 iPS細胞を用いた研究 パーキンソン病の根本治療を目指す研究の中で、とくに注目されているのがiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用したアプローチです。 iPS細胞は、皮膚や血液などの体細胞に特定の遺伝子を導入することで作られる、あらゆる細胞に変化できる能力を持つ画期的な細胞です。 このiPS細胞を活用し、失われたドパミン神経細胞を体外で作り出して脳内に移植する治療法や、病気のメカニズムを詳しく解明する研究が活発に進められています。 iPS細胞を実際の治療に用いた事例 2025年4月、パーキンソン病の患者の脳にiPS細胞から作り出した細胞を移植する治療法を開発、研究している京都大学の研究チームが行った治験で、同治療の安全性と有効性が示されたという発表がありました。(文献1) この治験は50歳から69歳の男女7名の患者を対象に行われ、ヒトのiPS細胞から作ったドーパミンを作る神経細胞を脳に移植しました。 その結果、すべての患者で健康上の大きな問題は見られなかった上、治験患者のうち6名は移植した細胞からドーパミンが作り出されていることが確認されています。(文献1) iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態研究 順天堂大学医学部ゲノム・再生医療センターでは、パーキンソン病患者のドパミン神経細胞からiPS細胞を作製し、その細胞をもとにさまざまな研究を進めています。 iPS細胞を用いることで、原因解明が困難であるとされていた発症のメカニズムの研究や、iPS細胞を用いた薬の効果の検証などを効率的に行うことが可能となりました。 今後パーキンソン病の根本治療法が見つかる可能性もあります。(文献2) 遺伝子治療 パーキンソン病の遺伝子治療とは、特定の遺伝子を脳に注入することで症状の改善を目指す治療法です。(文献3) パーキンソン病の原因であるドパミン減少を補うため、ドパミンを生成する効果のある酵素を脳に送り込み、L-ドパの効果を助ける役割を担います。 L-ドパとは、脳内でドパミンに変換され、パーキンソン病の症状を緩和する代表的な治療薬です。 遺伝子治療によってL-ドパから効率よくドパミンが生成されるようになり、症状が改善することが期待されています。 現状治験段階であるため、実際の治療として確立されるまではまだ時間がかかる治療だといえます。 パーキンソン病を改善するために「今」できること この記事で紹介した先進医療が実際に治療法として浸透するまでにはまだ時間はかかります。 現在できるパーキンソン病の改善策としては、減少したドパミン神経細胞を補う薬物療法や、手術療法が有効です。 そのほか、適度な運動や栄養バランスの取れた食事、十分な水分補給といった生活習慣の見直しも効果が見込めます。 とくに運動は身体の筋肉の動かしづらさを改善するだけでなく、うつや不安症状を改善する精神ケアの役割も担っています。医師と相談のもと、無理のない範囲で生活に取り入れてみましょう。 パーキンソン病が治る時代は近い?治療の可能性について 現在研究は進んでいるものの、これらの研究が実際の治療に用いられるまでは長い年月が必要です。 一般的には治験を進めて結果が出るまで数年以上かかる場合もありますし、その後医療の現場に浸透してすべての患者に治療が広まるのがいつになるのかはまだわかりません。 その一方、京都大学の研究チームによって行われたiPS細胞を用いた治療は、実際に患者の症状も緩和され、調査の結果安全性、有効性が証明されたと発表されています。 今後新たな治療として、導入される未来も遠くないかもしれません。 症状緩和に期待される再生医療の可能性 https://www.youtube.com/watch?v=2oF89MxTXnY パーキンソン病の完治は現在も困難とされていますが、症状の改善や進行抑制を目指す再生医療技術が着実に進歩しています。 iPS細胞を用いた治療や遺伝子治療といった先進的なアプローチは、根本的な問題に対処する可能性を秘めています。 これらの再生医療技術は、失われた神経細胞の機能を回復させることで、患者の生活の質を大きく向上させることが期待されています。 完治には至らなくても、症状の進行を遅らせ、日常生活をより快適に送れるようになる未来が見えてきました。 再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 まとめ|パーキンソン病は「治らない病気」から「治る可能性のある病気」へ変化している パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であるため、完治はできないと言われています。 しかし、近年、根本治療に向けた先進医療の研究が進み、今までとは異なった新たな治療法が模索されています。 注目されているのはiPS細胞による再生医療と遺伝子治療です。とくにiPS細胞を用いた脳内移植の治験では、安全性と有効性が確認されており、今後の実用化が期待されています。 遺伝子治療もL-ドパの効果を高める方法として注目されており、今後の研究が待たれます。 しかし、新たな治療が確立されるのがいつになるのかは不透明です。現在パーキンソン病を患っている人は、薬物療法や運動、食事療法の中で症状の緩和に努めましょう。 治療の実現までは時間がかかるものの、遠くない未来にパーキンソン病は「治る病気」になるかもしれません。 参考文献 (文献1) 「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が示唆|京都大学医学部附属病院 https://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/press/20250417.html(最終アクセス:2025年10月09日) (文献2) 順天堂大学「iPS細胞を用いた再生医療の実現に向けた研究を推進」Juntendo Research 2024年5月20日 https://www.juntendo.ac.jp/branding/report/genome/(最終アクセス:2025年6月26日) (文献3) 厚生労働省「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」2019年(2023年一部改訂) https://www.mhlw.go.jp/content/001077219.pdf(最終アクセス:2025年6月24日)
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パーキンソン病の治療中に「バナナは食べないほうが良い」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。 バナナに含まれる栄養素が、パーキンソン病の一部の治療薬に影響を与える可能性があるためです。 ただし、薬との関係や食べ方を正しく理解すれば、過剰に心配する必要はありません。 この記事では、バナナとパーキンソン病治療薬の関係を中心に、注意したい食事・積極的にとりたい食事・食事管理の考え方まで解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 パーキンソン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 パーキンソン病ではバナナに注意といわれる理由 パーキンソン病の人がバナナに注意が必要と言われる理由は、バナナに含まれるビタミンB6が大きく関係しています。 パーキンソン病の治療で中心になる薬の一つがレボドパ(L-ドパ)です。 レボドパは体内でドパミンに変わり、不足したドパミンを補う目的で使われます。 ビタミンB6には、L-ドパが脳に届く前に末梢(脳以外の組織)でドパミンに変えてしまう作用があり、脳に届くL-ドパの量が減ることで薬の効果が弱まるおそれがあります。(文献1) しかし、現在、処方されるL-ドパ製剤の多くには、末梢でのL-ドパの分解を防ぐ成分(カルビドパ・ベンセラジドなど)が配合されています。そのため、ビタミンB6によるL-ドパの分解が抑えられ、バナナを通常の範囲で食べる分には治療に大きな影響を及ぼすものではありません。 パーキンソン病について詳しく知りたい方は以下をご参照ください。 バナナを食べるときに意識したいポイント バナナは必ずしも避けなくてはならない食品ではありません。 ただし、食べる量や服薬とのタイミングなど、食べる際に気を付けたいポイントもあります。 1日の摂取量 バナナ1本(100g程度)に含まれるビタミンB6は約0.4mgです。(文献2) 通常の食事の範囲であれば、L-ドパへの影響は少ないと報告されています。 ただし、バナナを大量に食べたり、ビタミンB6を多く含む食品をあわせて摂取したりする場合は注意が必要です。 摂取量の具体的な目安は、服用している薬の種類や体の状態によって異なります。 毎日何本も食べる習慣がある場合や、ビタミンB6を含むサプリメントを併用している場合は、主治医・薬剤師に相談してください。 タイミング L-ドパは空腹時に服用すると吸収が良くなるとされています。 服薬と食事のタイミングが近いと、薬の吸収に影響を及ぼすため、服薬直後にバナナを食べる習慣がある場合は、食事とのタイミングを見直すことをおすすめします。 また、具体的なタイミングは服用している薬や治療の状況によって異なります。主治医・薬剤師に確認しながら調整してください。 パーキンソン病患者がバナナ以外に注意したい食べ物 パーキンソン病の治療中には、バナナ以外にも注意が必要な食品があります。 しかし、いずれも過剰な摂取を控え、食事のタイミングに気を付けることで対応できます。 ビタミンB6を多く含む食品 ビタミンB6は、大量摂取するとL-ドパの吸収を妨げる可能性があります。 ビタミンB6はバナナ以外にも、アボカド、にんにく、かつお、鶏レバーなど多くの食品に含まれています。 近年の研究では、ビタミンB6がL-ドパの薬効に影響するのは、1日50mg以上を摂取した場合と報告されています。(文献1) 通常の食事の範囲であれば大きな問題にはなりにくい一方で、複数の食品を重ねて大量に摂取する場合や、サプリメントを使用する場合は注意が必要です。 また、サプリメントはビタミンB6を高用量で摂取しやすいため、使用前に必ず主治医・薬剤師に相談してください。 投薬直後の高たんぱく食 たんぱく質はパーキンソン病の方にとって積極的に摂るべき重要な栄養素です。 ただし、服薬直後の高たんぱく食には注意が必要です。 L-ドパは腸から吸収される際に、たんぱく質の分解産物であるアミノ酸と同じ経路を使います。そのため、服薬直後に高たんぱくな食事をとると、アミノ酸との競合によりL-ドパの吸収が妨げられる可能性があるためです。 たんぱく質の摂取自体を控えるのではなく、服薬と食事のタイミングを調整します。 具体的な間隔は主治医・薬剤師に確認してください。 飲み込みにくい固形物 パーキンソン病が進行すると、のどの周囲の筋肉の動きが低下し、飲み込みにくさ(嚥下障害)が生じます。 嚥下障害が起こると、固い食品や飲み込みにくい食品は誤嚥のリスクにつながります。 以下のような食品は、症状の状態に応じて注意が必要です。 固くてかみ砕くのに時間がかかるもの 口の中でまとまりにくいもの(パサパサした食感のもの) 水分が少なく飲み込みにくいもの 食事の際はゆっくりよく噛むことを心がけ、嚥下に不安がある場合は主治医に相談してください。 パーキンソン病患者がとったほうが良い食べ物・栄養成分 パーキンソン病の食事では、避けるものばかりに意識が向きやすい一方、必要な栄養をきちんと摂ることも欠かせません。 便秘、体重減少、骨の健康、筋力低下などに配慮しながら、無理なく続けやすい食事に整えることが大切です。 食物繊維 パーキンソン病の方は便秘になりやすい傾向にあります。 腸の動きをコントロールする自律神経に影響が出やすいためです。 便秘が続くと薬の吸収にも影響することがあるため、食物繊維を意識して摂ることが大切です。 なお、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、どちらか一方に偏らずバランス良く摂取しましょう。 不溶性食物繊維:きのこ類、野菜類など 水溶性食物繊維:果物、海藻類など 水分 パーキンソン病では発汗異常や嚥下障害により、水分不足に陥りやすいとされています。 便秘の改善にも水分補給は欠かせません。 飲み込みに不安がある場合は、とろみをつけるなど飲みやすい形状に工夫することも有効です。 摂取量や水分補給の方法については主治医に相談してください。 たんぱく質 たんぱく質は、筋肉をつくる上で欠かせない栄養素です。 パーキンソン病では筋肉や関節が動かしにくくなるため、筋肉量を維持することが日常生活の質に直結します。 たんぱく質を多く含む食品の例は以下の通りです。 鶏肉、豚肉をはじめとする肉類 魚介類 大豆・豆腐などの大豆製品 牛乳・チーズなどの乳製品 なお、服薬直後の高たんぱく食はL-ドパの吸収を妨げる可能性があります。 服薬とのタイミングを調整しながら、積極的に摂取しましょう。 ビタミンD・カルシウム パーキンソン病では、体の動かしにくさから活動量が低下しやすく、骨粗しょう症のリスクが高まることが指摘されています。 ビタミンDとカルシウムは骨の維持に関わるため、意識して摂りたい栄養素です。 栄養素 多く含む食品 カルシウム 牛乳・チーズ・小松菜・豆腐・しらす干しなど ビタミンD 鮭・さんま・しらす干し・卵・干ししいたけなど しらす干しはカルシウムとビタミンDをあわせて摂れる、日常の食事に取り入れやすい食材のひとつです。 抗酸化物質を含む食品 パーキンソン病では、酸化ストレスとの関連が指摘されています。 抗酸化物質を含む食品は、栄養バランスを整えるうえでも取り入れやすい食材です。 ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを含む食品を、無理のない範囲で食事に取り入れると良いでしょう。 抗酸化作用が期待される主な栄養素と食品は以下の通りです。 栄養素 多く含む食品 ビタミンC パプリカ・ブロッコリー・いちごなど ビタミンE アーモンド・ほうれん草・かぼちゃなど ポリフェノール ブルーベリー・りんご・緑茶など ビタミンA にんじん・トマト・ほうれん草など パーキンソン病の食事管理の考え方 パーキンソン病の食事管理では、何を避けるかだけでなく、どのように食べるかという視点が大切です。 レボドパを使っている方では、たんぱく質の摂り方を調整する方法として蛋白再配分療法が知られています。 これは、朝食や昼食のたんぱく質を控えめにして、夕食で多めに摂る考え方で、L-ドパの日中の薬効改善に有効との報告があります。(文献3) しかし、すべての方に適応される方法ではなく、服用している薬の種類や病状によって向き不向きがあるため注意が必要です。 薬に影響するかもしれないという理由で、たんぱく質やビタミンB6を含む食品を過剰に制限してしまうケースも少なくありません。 しかし、極端な食事制限は栄養不足につながり、筋力低下や体重減少などにつながるおそれがあります。 食事内容だけでなく、服薬のタイミングや薬の種類を見直した方が良い場合もあります。 症状や治療方針そのものに不安がある場合は、自己判断せず主治医に相談してください。 パーキンソン病では量に注意しながらバナナを食べよう パーキンソン病の治療中だからといって、バナナは必ず避けなくてはならないわけではありません。 パーキンソン病の人にとってバナナが良くないと言われている理由は、バナナに含まれるビタミンB6が、薬を体内で分解してしまい効果を弱めてしまうためです。 注意したいのは、レボドパ製剤などとの関係、高用量のビタミンB6を含むサプリメントの併用、食べ方やタイミングです。 毎日大量にバナナを食べる習慣がある場合や、服薬との兼ね合いが気になる場合は確認した方が安心です。 食事管理はパーキンソン病の治療を支える重要な要素ですが、食事だけで症状をコントロールしようとするのではなく、薬物療法・リハビリテーション・専門医への相談と組み合わせて取り組むことが大切です。 なお、近年では研究が進んでいる分野として再生医療もあります。 当院では、脳出血とパーキンソン病のある60代女性で、ふらつきや手の動きづらさの改善がみられた症例があります。以下の記事もご参照ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 パーキンソン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 パーキンソン病とバナナに関するよくある質問 パーキンソン病で気をつけたい飲み物・食べ物はありますか? バナナ・アボカド・鶏レバーなどビタミンB6を多く含む食品や、服薬直後の高たんぱく食はL-ドパの吸収に影響する可能性があるため注意が必要です。 コーヒーについては、カフェイン摂取とパーキンソン病リスク低減の関連を示す研究報告がありますが、治療中の方への影響は服用している薬や体の状態によって異なるため、摂取量については主治医に確認してください。(文献4) チョコレートとパーキンソン病の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。 パーキンソン病の人が食事で意識したいポイントは何ですか? 必要な栄養を不足させない意識が重要です。 以下の3点が基本的な考え方です。 服薬タイミングと食事の間隔をあける 特定の食品を過剰に制限せず、栄養バランスを維持する 食物繊維・水分・たんぱく質・ビタミンD・カルシウムを意識して摂る 食事内容に迷う場合は、自己判断で制限するのではなく、主治医・薬剤師に相談しながら調整してください。 パーキンソン病の人を家族が食事面でどう支えれば良いですか? 食べやすく、続けやすい食事環境を整えることが重要です。 以下の点を意識すると、日常の食事管理をサポートしやすくなります。 服薬のタイミングに合わせて食事の時間を調整する 嚥下に不安がある場合は、食品の硬さや形状を工夫する 便秘対策として食物繊維・水分を意識した献立にする 栄養バランスを考慮し、過剰な食事制限をしない 食事管理の具体的な方針は症状や治療内容によって異なります。 便秘が続いていないか、体重が落ちていないか、むせが増えていないかを確認し、気になる変化があれば早めに相談してください。 パーキンソン病の進行を遅らせるには食事で何ができますか? 食事だけでパーキンソン病の進行を止めることはできませんが、栄養状態を整えることは症状の安定や生活の質の維持に寄与すると考えられています。 とくに以下の点が重要です。 抗酸化物質を含む食品(緑黄色野菜・ベリー類など)を取り入れる 筋力維持のためにたんぱく質を適切に摂る 骨粗しょう症予防のためにビタミンD・カルシウムを意識する 便秘を防ぐために食物繊維と水分を十分に摂る 薬物療法・リハビリテーションと組み合わせながら、総合的に取り組むことが大切です。 体調や症状に変化がある場合は、食事だけで解決しようとせず、医療機関に相談してください。 参考文献 (文献1) レボドパの薬効に影響を与えるビタミンB6摂取量に関する系統的レビュー|食品衛生学雑誌 (文献2) バナナ|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 (文献3) 日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」p215 (文献4) カフェインとその代謝産物がパーキンソン病診断のバイオマーカーになる―血液による診断とカフェイン補充治療への期待―|日本医療研究開発機構
2025.06.30 -
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「最近、片方の手がふるえることがある」 「歩くのが遅くなった気がする」 「動作が以前よりもぎこちない」などの変化があると、加齢によるものなのか、それとも病気のサインなのか不安になる方も多いのではないでしょうか。 パーキンソン病では、静止時のふるえ、動作緩慢、筋強剛などの運動症状に加え、便秘や嗅覚低下、睡眠の異常、意欲低下などの非運動症状がみられることもあります。 この記事では、パーキンソン病の初期症状をセルフチェックの視点から整理し、非運動症状、受診の目安、検査、初期治療の基本までわかりやすく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 パーキンソン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【セルフチェック一覧】パーキンソン病の初期症状 パーキンソン病の初期にみられる運動症状は、主に4つに分類されます。(文献1) 以下の一覧で気になる症状がある場合は、各項目の詳細もご確認ください。 初期症状 主な特徴 静止時の手指のふるえ 力を入れていないときに手や指がふるえやすく、動かすと目立ちにくくなる 歩行困難 歩く速度が落ちる、歩幅が小さくなる、最初の一歩が出にくくなる 緩慢な動作 ボタンかけ、字を書く、箸を使うなど細かい動作がしにくくなる 体のこわばり 筋肉がこわばり、動かしにくさや肩・腕の違和感として気づくことがある 初発症状は手指のふるえ(振戦)が最も多く、次いで動作の拙劣さが続くとされています。(文献2) 複数の症状が重なる場合や、片側から始まっている場合は受診の目安になります。 自己判断で「加齢のせい」と決めつけず、気になる症状が続くようであれば受診を検討してください。 パーキンソン病の症状以外の原因や治療法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 静止時の手指のふるえ パーキンソン病の初期症状として多いのが、手指のふるえである振戦(しんせん)です。 パーキンソン病では、力を入れていないときに手指がふるえる静止時振戦が特徴です。 物を持ったり手を動かしたりするとふるえが目立ちにくくなる点で、動作時にふるえが強くなる本態性振戦とは異なります。 振戦は約60%の割合で初期症状として現れると報告があります。(文献1) 左右どちらか一方から始まることもあり、初期には片側だけに違和感が出る場合があります。 ただし、ふるえがないタイプのパーキンソン病も存在するため、ふるえの有無だけで判断せず、ほかの症状もあわせて確認することが重要です。 歩行困難 初期には、次のような変化が現れます。 歩くのが遅くなる 歩幅が小さくなる 最初の一歩が出にくい 腕の振りが減る、つまずきやすさや足の出しにくさがみられることも特徴の一つです。 歩行障害は約24%の割合で初期症状として現れると報告されています。(文献1) 進行すると姿勢保持障害や転倒が問題になるケースもありますが、これらは初期から目立つとは限りません。 「以前より歩き方が変わった」と家族から指摘されることで気づくケースもあります。 緩慢な動作 パーキンソン病では、動き全体が遅くなる運動緩慢がみられます。 ボタンをかける、字を書く、箸を使うといった細かい動作がしにくくなり、以前より時間がかかることがあります。 起き上がりや方向転換にも、もたつきを感じやすくなります。 動きの遅さは約21%の割合で初期症状として現れると報告されています。(文献1) 一方で、すべての動作が遅くなるわけではなく、主に大きな動きが遅くなる傾向があります。 日常生活で「以前より動作がもたつく」と感じることが受診のきっかけになるケースも少なくありません。 体のこわばり 筋肉がこわばり、関節を動かしにくくなります。 本人は「肩や腕が動かしにくい」「体が硬くなった気がする」といった違和感として気づくことがあります。 表情が乏しく見えたり、歩行時に腕の振りがうまくできなくなったりすることもあります。 これらは本人では気づきにくく、周囲から指摘されて初めて自覚するケースも報告されています。 パーキンソン病の初期にみられる非運動症状 パーキンソン病では、手のふるえや動作の遅れなどの運動症状だけでなく、睡眠や精神・認知機能、自律神経、感覚にかかわる非運動症状もみられます。 これらは運動症状より早い段階で生じることもあり、初期から生活の質に影響を与えます。(文献2) 非運動症状は加齢や別の不調と受け止められやすく、パーキンソン病と結びつけて考えにくい点に注意が必要です。 睡眠障害 パーキンソン病の睡眠障害には、以下のようなものがあります。 日中に強い眠気が現れる、または食事や会話、運転など活動中に突然眠り込む 寝つきが悪い、夜間に目が覚める、早朝に起きてしまうなどの不眠 入眠中に夢の内容と一致した行動(大声・手足の動き)が現れるレム睡眠行動障害 入眠時に下肢の不快感や、足を動かしたい強い欲求が現れる下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群) これらは運動症状よりも前から現れることがあり、睡眠中の異常な行動を家族が先に気づくケースもあります。 とくに突発的な睡眠は運転や機械の操作中などに起こると大変危険です。 該当する症状がある場合は医師に相談し、運転については慎重に判断することが大切です。 精神・認知・行動障害 パーキンソン病の精神・認知・行動障害には以下のようなものがあります。 抑うつ、不安、意欲低下などの気分障害 作業をやり通す能力の低下、注意力の低下などの認知機能障害 「あるはずのないものが見える」などの幻覚・妄想 病的な賭博、性欲の亢進、むちゃ食いなどの行動障害 初期症状としては、「気分が落ち込みやすい」「以前よりやる気が出ない」といった抑うつ・不安・意欲低下などが中心で、本人や家族が年齢や疲れの影響と受け止めてしまう場合もあります。 幻覚・妄想・衝動制御障害は、進行期や治療薬の副作用として現れるケースもあります。 治療を開始してから普段と異なる行動が見られたら、すぐ医師に相談してください。 自律神経障害 パーキンソン病の自律神経障害には、以下のようなものがあります。 便秘 排尿回数が増える、強い尿意が生じるなどの排尿障害 急に立ち上がった際にふらつきやめまいが現れる起立性低血圧 発汗が多くなる、または少なくなる発汗障害 飲み込みが悪くなりむせやすくなる嚥下障害、よだれが口から流れ出る流涎 とくに便秘は早い段階から現れることがあり、パーキンソン病の前触れとして知られている症状の一つです。便秘だけでパーキンソン病を疑うことはできませんが、手のふるえや動作の遅れ、嗅覚低下などほかの症状もある場合は注意が必要です。 自律神経障害は日常生活に大きく影響します。これらは適切な治療や生活習慣の改善で軽減できる場合があるため、我慢せずに医師に相談してください。 感覚障害 パーキンソン病の感覚障害には、以下のようなものがあります。 においを感じにくくなる 嗅覚障害 肩や背中などに現れる痛み(筋強剛が原因となる場合もある) 嗅覚障害は、パーキンソン病の初期から現れることが多く、運動症状よりも早期に出現する場合があり、においがわかりにくいという訴えがパーキンソン病の初期サインとなるケースもあります。 痛みについては、筋肉のこわばりが原因の場合、適切なリハビリや薬物治療で改善が期待できます。 嗅覚低下や痛みがほかの症状とあわせて続く場合は、受診を検討することが大切です。 パーキンソン病が疑われるときの受診の目安 手指のふるえ、歩行の変化、動作の遅さ、体のこわばりなどが続く場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。 とくに、左右どちらか一方から症状が始まっている場合や、便秘、嗅覚低下、睡眠の異常などの非運動症状も伴う場合は、受診を検討してください。 受診先は脳神経内科が中心ですが、迷う場合はかかりつけ医に相談して紹介を受けることでも問題ありません。 自己判断で加齢のせいと決めつけず、気になる症状が続く場合は早めに医療機関へ相談することが大切です。 パーキンソン病初期症状の検査 パーキンソン病の診断は、問診と神経学的診察が中心です。必要に応じてMRIなどの画像検査を行い、他の病気を除外します。(文献3) 検査・診断の流れは以下の通りです。 問診:症状の内容・始まり方・経過を詳しく確認する 神経学的診察:静止時振戦、筋強剛、動作緩慢などの症状を確認する 画像検査(MRIなど):ほかの脳疾患との鑑別が必要な場合に行う 薬への反応の確認:パーキンソン病治療薬(L-ドパなど)への反応が診断の参考になることがある なお、パーキンソン病は血液検査だけで確定できる病気ではありません。症状の経過や診察所見、必要に応じた検査結果を総合して診断します。 検査で大きな異常が見つからない場合でも、気になる症状が続くときは受診を先延ばしにしないことが大切です。 パーキンソン病初期の治療 パーキンソン病の初期治療では、薬物療法を基本に、必要に応じてリハビリテーションを組み合わせます。 初期から適切に治療を開始することで、症状の進行を遅らせることが期待できます。(文献3) 薬物療法 パーキンソン病の初期治療薬として、L-ドパ(レボドパ)やドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬などが選択肢になります。 どの薬を選択するかは、年齢や症状の程度、生活状況によって異なるため、医師と相談しながら決定します。 なお、薬物療法を進める上で、自己判断による中断・減量は避けるべきです。 パーキンソン病の薬を急に中断すると、高熱・意識障害・筋強剛・自律神経症状などを伴う悪性症候群を引き起こすリスクがあります。 場合によっては生命にかかわる状態になることもあるため、変更を希望する場合は必ず医師の指示に従ってください。 パーキンソン病の治療薬について、詳しくは以下の記事もご覧ください。 リハビリテーション 薬物療法とあわせてリハビリテーションを行うことで、症状の改善やQOLの向上が期待できます。 初期から取り入れることで、歩行・姿勢・日常動作の維持に役立ちます。 なお、リハビリは症状や進行度に応じて異なりますが、主な内容は次の通りです。 歩行訓練:歩幅や腕の振りを意識した歩き方の練習 バランス訓練:転倒予防を目的とした姿勢の安定化 筋力・柔軟性の維持:こわばりや動作緩慢の改善を目的とした運動 医師やリハビリスタッフと相談しながら、無理のない範囲で継続的に取り組むことが重要です。 パーキンソン病のリハビリ内容については、以下の記事もご参照ください。 パーキンソン病の初期症状の悪化を防ぐために大切なこと パーキンソン病の進行には個人差がありますが、早期から適切な対応を取ることで生活の質の維持につながります。具体的には次の3点を意識することが大切です。 医師の指示通りに薬物療法を継続する(自己判断での中断・減量は避ける) リハビリテーションを日常生活に取り入れ、歩行や姿勢の維持に努める 転倒予防のため住環境を整える(段差の解消、手すりの設置など) 症状が軽い日があっても、治療を継続しながら生活リズムを整えることが進行抑制に役立ちます。 パーキンソン病の初期症状が疑われたら早めに受診しよう パーキンソン病の初期症状は、手指のふるえだけでなく、歩行の変化、動作の遅さ、体のこわばりなど多岐にわたり、便秘や嗅覚低下、睡眠の異常といった非運動症状から気づくケースもあります。 こうした変化が続く場合は、年齢や疲れの影響と決めつけず、早めに医療機関へ相談することが大切です。 早期に診断を受け、症状に応じた薬物療法やリハビリテーションを適切に開始することで、生活機能の維持につながります。 気になる症状がある方は、自己判断で経過を見続けず、早めに脳神経内科を受診してください。 なお、再生医療についても研究は進められていますが、現時点ではパーキンソン病初期治療の中心として確立しているわけではありません。 当院では、脳出血とパーキンソン病のある60代女性で、ふらつきや手の動きづらさの改善がみられた症例も紹介していますのでご参照ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 パーキンソン病について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 パーキンソン病の初期症状に関するよくある質問 パーキンソン病初期では何科を受診すれば良いですか? パーキンソン病が疑われる場合は、脳神経内科の受診が基本です。 近くに専門科がない場合や、どこを受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談し、必要に応じて脳神経内科を紹介してもらう方法もあります。 若年性パーキンソン病は20代・30代でも起こりますか? パーキンソン病の発症は50〜65歳に多いとされていますが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病もあります。(文献2) 頻度は高くありませんが、手のふるえや動作の遅さなど、気になる症状が続く場合は受診を検討してください。 パーキンソン病と間違えられやすい病気はありますか? たとえば、本態性振戦、薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソニズムなどでは、パーキンソン病と似た症状がみられます。(文献3) 似た症状でも原因や治療方針は異なるため、自己判断せず専門医による診察を受けることが大切です。 パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いは何ですか? パーキンソン病は、脳内のドパミン産生細胞が減少することで起こる病気の一つです。 一方、パーキンソン症候群はパーキンソン病と似た症状(ふるえ・動作緩慢・筋強剛など)を示す病気の総称です。 初期から姿勢保持障害が強い場合など、非典型的な症状がみられるときは別の疾患も考慮されます。 いずれも自己判断は難しいため、専門医への受診をおすすめします。 参考文献 (文献1) 1.パーキンソン病の初期症状と診断|日本内科学会雑誌 (文献2) パーキンソン病(指定難病6)|難病情報センター (文献3) パーキンソン病診療ガイドライン2018|日本神経学会
2025.06.30 -
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「ALS(筋萎縮性側索硬化症)は食べ物が原因なのでは?」 「化学調味料は身体に有害と聞いたけど、実際どうなのか?」 外食や加工食品を頻繁に摂取する人の中には、「食べ物がALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因ではないか」と不安を抱く方もいるでしょう。なかでも、化学調味料がALSを引き起こす噂が広まっており、不安に感じる方も少なくありません。 本記事では、ALSの原因と食べ物との関係について、現役医師が科学的根拠に基づいて解説します。記事の最後には、ALSの原因となり得る食べ物に関するよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 ALSと食生活の関係性は?科学的に見た因果関係 項目 内容 明確な原因食の有無 現時点でALSの原因となる特定の食品は確認されていない グルタミン酸の影響 神経細胞に影響を及ぼす、興奮毒性の可能性が一部で指摘されている グルタミン酸ナトリウムの評価 通常の摂取量であれば、健康リスクはないと評価されている 食品添加物のリスク 適量であればALSを含む神経疾患との因果関係は認められていない 推奨される食生活 極端な摂取を避け、栄養バランスの取れた食事を継続する (文献1)(文献2) ALSと食生活の関連についてはさまざまな説がありますが、現在の科学的知見では、特定の食べ物がALSの原因になる証拠は確認されていません。うま味成分として使われるグルタミン酸や味の素に含まれるグルタミン酸ナトリウムも、通常の摂取量であれば健康への悪影響はないとされています。 ただし、ALSの発症には遺伝や環境要因などが複雑に関与しており、日常的な食生活で過度に心配しすぎる必要はありません。神経の健康維持には、バランスの良い食事を心がけることが大切です。 ALSの原因になりうる食べ物 食品・調味料 詳細 グルタミン酸を含むうま味調味料 味の素などに含まれるグルタミン酸ナトリウム。通常の摂取量では健康リスクはないとされているが、ALS患者の一部ではグルタミン酸の代謝異常が指摘されていることもある BMAAを含む可能性がある食品 藍藻類(シアノバクテリア)に含まれる神経毒性物質。特定地域での摂取との関連が報告されているが、日本の食環境での曝露リスクは極めて低いとされる 鉛や水銀などの重金属を含む食品 一部の大型魚介類などに含まれることがある。過剰摂取で神経に影響を与える可能性があるが、通常の食生活で可能性は低い 現在のところ、特定の食品がALSを引き起こす明確な科学的根拠はありません。一方では、神経毒性物質との関連が一部研究で示唆されています。たとえば、うま味調味料に含まれるグルタミン酸、藍藻由来のBMAA、一部の魚介類に含まれる重金属などがあげられます。 ですが、通常の摂取量でリスクが高まるとは考えにくく、食事に過度な不安を抱える必要はありません。普段からバランスの良い食生活を意識することが大切です。 グルタミン酸を含んでいる調味料 項目 内容 グルタミン酸毒性仮説 脳や脊髄でグルタミン酸が過剰になると運動神経細胞が過剰に刺激され、細胞死を招く仮説があるが、現時点では因果関係を裏付けるエビデンスは不足している ALS患者のグルタミン酸異常 脳脊髄液や細胞外液でグルタミン酸濃度が高い傾向。アストロサイトや受容体の異常も関与しているのではないかといわれている グルタミン酸ナトリウムとの関連 食品添加物として広く利用。摂取がALSリスクになるとの誤解が生まれやすい 明確な科学的根拠 通常の食事や調味料の使用量でALSリスクが上がる明確な証拠はない (文献1)(文献3) ALSの発症メカニズムのひとつに、グルタミン酸毒性仮説があります。これは、神経伝達物質であるグルタミン酸が過剰に存在することで神経細胞が過度に刺激され、細胞死が引き起こされる考え方です。 ALS患者の一部では脳脊髄液中のグルタミン酸濃度の上昇や、グルタミン酸を回収するアストロサイトの機能低下が確認されています。 こうした背景から、うま味調味料に含まれるグルタミン酸ナトリウムとの関連が取り沙汰されることがありますが、経口摂取されたグルタミン酸が直接脳に影響するわけではありません。現時点では、グルタミン酸の摂取がALSリスクを高める科学的証拠はありません。 BMAA(β-N-メチルアミノ-L-アラニン)を含む食品 項目 内容 神経毒性作用 BMAAは運動ニューロンの興奮性受容体を介して毒性を示し、長期間の摂取で神経細胞死を引き起こす可能性がある 疫学的観察 グアム島や紀伊半島南部などでALS・PDCが多発し、BMAAを含む食物(ソテツやそれを食べた動物)が伝統的に摂取されてきた 生体内蓄積の報告 グアムのALS・PDC患者の脳内にBMAAが高濃度で蓄積している例が報告されている 動物実験での再現 BMAAを投与されたラットでは神経変性や運動障害が認められ、ALSモデル動物として利用される 科学的限界 すべてのALS患者にBMAA蓄積があるわけではなく、地域や食習慣に依存した限定的なリスク因子と考えられている (文献4)(文献5)(文献6)(文献7) BMAA(β-N-メチルアミノ-L-アラニン)は、藍藻や一部の珪藻が産生する天然の神経毒性アミノ酸で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経疾患との関連が指摘されています。グアム島や紀伊半島南部などでは、BMAAを含む植物やそれを食べた動物を摂取する文化があり、患者の脳内からBMAAが検出された例も報告されています。 動物実験でも神経障害を引き起こすことが確認されていますが、すべてのALS患者に該当するわけではありません。日本の一般的な食生活ではBMAAへの曝露はごくわずかであり、現時点では普遍的なリスク因子である確定的な結論は得られていません。 鉛や水銀などの重金属を含む食品 項目 内容 重金属の神経毒性 鉛や水銀は神経細胞の機能障害や炎症、酸化ストレス、ミトコンドリア障害、タンパク質の異常蓄積などを引き起こすことが報告されている 疫学調査・症例報告 鉛や水銀への曝露とALS発症リスクの上昇を示す研究や、ALS患者の生体試料で重金属濃度が高いケースが報告されている 地域性や生活習慣との関連 特定地域で飲料水や食事を通じた重金属曝露が多く、ALS患者の血液や髪の毛から高濃度の鉛や水銀が検出されている 他疾患との関連 鉛や水銀はALSだけでなく、アルツハイマー病など他の神経変性疾患との関連も指摘されている 因果関係の整理 重金属曝露とALS発症リスクの相関関係は示されているが、直接的な因果関係を証明するデータは現時点でない 食品を通じた曝露例 大型魚介類(マグロ、カジキ等)に水銀、土壌汚染を受けた野菜や穀物に鉛が蓄積することがある (文献8)(文献9)(文献10) 鉛や水銀などの重金属は神経への毒性が強く、長期間体内に蓄積すると神経細胞の障害や酸化ストレス、ミトコンドリア異常などを引き起こすことが知られています。これらの重金属が神経変性に関与する可能性が示唆されており、魚介類や飲料水などを通じた環境因子との関連も指摘されました。 特定地域では、飲料水や食事を通じて重金属に曝露される機会が多く、疫学調査でも重金属曝露とALS発症率の相関が報告されています。また、米国神経学会第69回年次総会で発表された予備研究によると、魚に含まれる水銀の摂取量が多いグループでは、ALSの発症率が少ないグループの2倍に上昇する調査結果もあります。(文献10) ただし、これらの研究は相関関係を示しているにとどまり、重金属がALSの普遍的な原因であるとは断定できません。通常の食生活でリスクは高くありませんが、汚染源を避けた食品選びが大切といえます。 ALSを予防・抑制するための食習慣 食習慣 詳細 注意点 高カロリー・高脂肪食の摂取 進行に伴う体重減少を補う目的でカロリー摂取を意識する。オリーブオイルや魚の脂に含まれる良質な脂肪が推奨されている 栄養バランスを考慮し、自己判断での極端な摂取は避け、医師や管理栄養士の指導のもとで行うこと 高GI・高GL食品の摂取 糖質によるエネルギー確保の手段として、一部で取り入れられている 糖尿病や血糖異常がある場合はリスク増大。医師と相談しながら適切な範囲で活用する 食物繊維と水分の摂取 運動量低下による便秘予防として、野菜や果物、海藻類の摂取が推奨されている 摂り過ぎは下痢や腹部膨満の原因になるため、適量を守り医療者の助言を得ること 嚥下機能に応じた食事形態の調整 嚥下障害に対応し、誤嚥を防ぐためにとろみ付けやきざみ食などの工夫を行う 誤嚥性肺炎のリスクを避けるため、医師や言語聴覚士の評価を受けて実施する ALSの進行に伴い、体重減少や便秘、嚥下障害などの栄養面での問題が生じやすくなります。これに対しては、高カロリー・高脂肪の食事、食物繊維と水分の十分な摂取、嚥下機能に応じた食事形態の調整が有効とされています。 これらの食事法がALSの進行を確実に抑える明確な根拠はなく、過剰な摂取や自己判断での食事変更は避けるべきです。ALSの栄養管理は、医師の指導のもと、個々の状態に合わせて適切に行うことが重要です。 高カロリー・高脂肪食の摂取 項目 内容 代謝亢進によるエネルギー不足 ALS患者の多くが代謝亢進状態となり、通常より多くのエネルギーが必要。高カロリー・高脂肪食で不足分を補う 体重減少と生命予後の関連 体重減少が進行や生命予後の悪化に関与する。高カロリー・高脂肪食で体重維持や増加を目指すことが重要 進行の速い患者への効果 高脂肪食の追加で生存期間延長や体重維持が認められた臨床試験の報告あり。とくに進行が速い患者で有効性が示唆 脂質代謝異常との関連 ALSでは脂質代謝異常が進行の予測因子。高カロリー・高脂肪食による栄養療法が生命予後改善に寄与する可能性 (文献11)(文献12) ALSでは発症初期から代謝が活発になり、通常より多くのエネルギーを消費するのが特徴です。間接カロリーメーターによる測定でも、約40%の患者が病初期に代謝亢進状態にあり、1日の総消費エネルギー量は25〜40kcal/kgと高いことが報告されています。(文献12) この代謝亢進は生命予後不良の予測因子とされ、エネルギー不足による体重減少や筋力低下を防ぐため、高カロリー・高脂肪食の摂取が推奨されることがあります。とくに進行が速い患者では体重維持や生存期間延長が期待されていますが、根本的なエビデンスは十分ではありません。 また、過剰摂取は糖尿病や脂質異常症など他の病気を引き起こす可能性もあるため、医師の指導のもとで行うことが大切です。 高GI・高GL食品の摂取 項目 内容 ALS患者の代謝特性 安静時でもエネルギー消費が多く、体重減少が進行因子となる傾向 高GI・高GL食品の特徴 白米やパン、じゃがいもなど。短時間で血糖とエネルギーを上げやすい食品群 摂取の意義 少量で効率よくエネルギーを補える利点がある。進行抑制との関係が示唆されている 注意点 根本的なエビデンスは乏しく、過剰摂取で生活習慣病リスクもあるため、医師の指導が必要 (文献11) ALSでは病気の影響により代謝が亢進し、体重減少が進行や予後の悪化に関与するとされています。高GI・高GL食品(白米、パン、じゃがいもなど)は、消化吸収が速く、短時間で効率的にエネルギーを補えるため、食事量が限られがちなALS患者にとって有用と考えられています。近年の研究では、これらの食品を多く摂取していた患者で進行が緩やかだった報告もあります。(文献11) ただし、こうした栄養戦略の有効性については根本的なエビデンスがまだ十分とはいえず、過剰摂取は糖尿病や肥満など他の疾患リスクを高める可能性もあります。自己判断での摂取は避け、医師や管理栄養士と相談しながら、個々の状態に応じた適切な量を取り入れることが重要です。 便秘予防のための食物繊維と水分の摂取 項目 内容 ALSと便秘の関係 筋力低下・活動量減少・嚥下障害による便秘発生 便秘の影響 QOL低下、不快感、食欲不振の原因 食物繊維の効果 水溶性:便をやわらかくし善玉菌増加 不溶性:便のかさ増・腸運動促進 水分摂取の効果 便をやわらかくし排便をスムーズに。脱水は便秘や食欲低下の悪循環原因 摂取の注意点 食物繊維は水分と一緒に摂取、過剰摂取は便秘悪化の恐れ 便秘対策の基本 バランスの良い食事、十分な水分、適度な運動、排便習慣の確立 (文献2)(文献13) ALSでは筋力の低下や活動量の減少により、便秘が起こりやすくなります。便秘は日常生活の質(QOL)を下げるだけでなく、食欲不振や不快感の原因にもなるため、予防と対策が重要です。水溶性食物繊維は便をやわらかくし、不溶性食物繊維は腸の動きを促すことで、排便を助けます。これらの効果を高めるには、1日2リットル程度の水分摂取が目安です。 ただし、食物繊維を摂りすぎると便秘が悪化するおそれがあるため、過不足のないバランスが大切です。排便習慣の確立や適度な運動もあわせて取り入れることで、ALS患者の便秘予防とQOL向上に役立ちます。 嚥下機能に応じた食事形態の調整 項目 内容 誤嚥・窒息リスクの軽減 嚥下機能に応じたとろみ付けや刻み食による誤嚥防止 栄養・水分摂取量の確保 疲労や食事量減少への対応として食形態を工夫 QOL(生活の質)の維持 食べやすさを保ちつつ、食事の満足感を維持 進行抑制・予後の改善 低栄養・体重減少の予防による進行リスクの抑制 工夫の具体例 ペースト状・とろみ付き・ゼリー状の活用による飲み込みやすさの向上 (文献14)(文献15) ALSの進行に伴い、多くの患者で嚥下障害が現れ、誤嚥や窒息、低栄養、脱水のリスクが高まります。固形食や水分の摂取が困難になるため、ペースト状やゼリー状、とろみをつけた食事へ調整することで、無理なく摂取できるようになります。 嚥下の負担を軽減することで、食事量や水分量の維持が可能となり、体重減少や予後の悪化を防ぐ一助になります。とくに、細かく刻んだ食事よりも、まとまりのある形態の方が飲み込みやすい場合も多く、個々の状態に応じた工夫が重要です。食事形態の調整は、栄養状態の管理だけでなく、生活の質を保つためにも早期からの対応が求められます。 ALSの原因となりうる食べ物を把握して食生活に気をつけよう 現在、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症に直接関与する特定の食品や添加物は、科学的に明確には特定されていません。 そのため、特定の食品を過剰に避けるのではなく、栄養バランスの取れた食生活を継続することが、健康的な体調管理において重要です。疑わしい症状や不安がある場合は、医師に相談し、適切な検査や指導を受けましょう。 また、症状の進行や体調の変化に応じた適切な栄養管理を行うことで、日常生活の質(QOL)を維持しやすくなります。 食生活の不安や疑問がある方は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。当院では、ALSに関する具体的な栄養指導や、患者様一人ひとりに合わせた食事支援を行っております。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ALSの原因になる食べ物についてよくある質問 紀伊半島でALSの発症が多いのは飲食物と関係があるのでしょうか? 紀伊半島南部、とくに古座川地区や穂原地区は、世界的にALSの多発地域として知られています。この地域では、遺伝子変異による家族性ALSに加え、グアム島型に類似した病理を示す孤発性ALSの症例も報告されています。(文献16) グアム島では、ソテツの実に含まれる神経毒BMAAや、それを摂取した動物の食用が発症リスクと考えられてきました。一方、紀伊半島においては、水や特定の食品などの飲食物とALSの関連を示す明確な証拠は、これまでの疫学調査では確認されていません。(文献4) 現時点では、紀伊半島でのALS多発には遺伝的要因や地域特有の病理が関与していると考えられており、環境要因や生活習慣を含めたさらなる研究が必要とされています。 ALSの原因は食べ物以外に何がありますか? ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、食べ物だけでなく、さまざまな要因が複雑に関与して発症すると考えられています。まず、ALSの約90%は孤発性(遺伝とは関係のない発症)であり、約10%は家族性で、SOD1、C9orf72、FUS、TARDBPなどの遺伝子変異が関与しています。 また、紀伊半島やグアム島など特定地域で発症率が高いことも、環境要因の存在を示唆していますが、明確な原因物質は特定されていません。(文献4) さらに、神経細胞の老化、グルタミン酸の代謝異常、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、タンパク質分解の異常など、生物学的・分子的な異常もALSの発症に関与していると考えられています。現在では、遺伝的要因・環境因子・加齢など、複数の要素が長期にわたり相互作用する多因子モデルが有力視されており、ALSは、単一の原因で発症する疾患ではないと考えられています。 以下の記事では、ALSの原因について詳しく解説しております。 特定の栄養素の不足がALSの発症に影響を与えることはありますか? 特定の栄養素の不足がALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症リスクを直接的に高めるという明確な証拠は、現時点では確認されていません。ただし、栄養不良や特定の栄養素の欠乏が、ALSの進行や生命予後に悪影響を及ぼすことは多くの研究で示されています。(文献17) ALS患者の一部では、嚥下障害や筋力低下、代謝亢進の影響により、エネルギーやたんぱく質、ビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。 筋力や免疫機能の低下、全身状態の悪化を招き、症状の進行や予後の悪化につながる可能性があります。たとえば、たんぱく質やエネルギー不足は筋肉量の低下を招き、ビタミンB群、鉄、亜鉛、カルシウムなどの欠乏は神経・筋機能に悪影響を及ぼすとされています。また、L-アルギニンなどのアミノ酸補給により、体重維持や予後改善が期待される報告もあります。(文献17) 参考資料 (文献1) 公益財団法人長寿科学振興財団「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因」健康長寿ネット, 2016年7月25日 https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/als/shindan.html(最終アクセス:2016年06月16日) (文献2) 中島健二ほか.「筋萎縮性側割索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」『南江党』, pp.1-311, 2023年 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/als_2023.pdf?20231212(最終アクセス:2016年06月16日) (文献3) 柴田 亮行ほか.「筋萎縮性側索硬化症における興奮性神経毒性に関する研究」『新潟大学脳研究所「脳神経病理標本資源活用の先端的共同研究拠点」共同利用・共同研究報告書』, pp.1-2 https://www.bri.niigata-u.ac.jp/uploads/2013/07/2220%E6%9F%B4%E7%94%B0H24.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献4) 小久保康昌.「紀伊半島の家族性認知症-パーキンソン症候群における」『厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)三重県南部に多発する家族性認知症-パーキンソン症候群 発症因子の探索と治療介入研究班(分担)研究報告書』, pp.1-47 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123151/201231159A_upload/201231159A0012.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献5) JTS 国立研究開発法人科学技術復興機構「J-GLOBAL」BMAAの新たな科学:シアノバクテリアは神経変性疾患に関与しているか?, 2021年3月 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201202250044503100(最終アクセス:2016年06月16日) (文献6) 草間(江口)國子.「天然物に由来する運動神経疾患に関する研究―ニューロラチリズムを中心に―」, pp.1-7, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/139/4/139_18-00202/_pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献7) 株式会社エクスメディオ「L-BMAA処理ラットで見られる形態計測および神経化学的変化」Bibgraph(ビブグラフ), 2015年4月22日 https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/26002186?click_by=rel_abst(最終アクセス:2016年06月16日) (文献8) Free Peter E A Ash, et al. (2023) Heavy Metal Neurotoxicants Induce ALS-Linked TDP-43 Pathology. Oxford Academic https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30371865/(最終アクセス:2016年06月16日) (文献9) 紀平 為子.「科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書」『科研費』, pp.1-6, 2013年 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-22590967/22590967seika.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献10) Mercury in Fish, Seafood May Be Linked to Higher Risk of ALS. American Academy of Neurology: Neurology Resources | AAN https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/1522(最終アクセス:2016年06月16日) (文献11) 日本神経摂食嚥下・栄養学会「ALSにおける栄養療法 UP TO DATE(2013/07)」日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会, 2013年 https://www.jsdnnm.com/column/als%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%A0%84%E9%A4%8A%E7%99%82%E6%B3%95%E3%80%80up-to-date%EF%BC%88201307%EF%BC%89/?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2016年06月16日) (文献12) 株式会社日本医事新報社「筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する栄養療法について」日本医事新報社, 2024年6月17日 https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_24463(最終アクセス:2016年06月16日) (文献13) 著者名,著者名.「ALS(筋 萎縮性側索硬化症)」『特集:神経筋疾患における入工呼器 治療のリスクマネジメント』, pp.1-3, 2002年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/56/5/56_5_271/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2016年06月16日) (文献14) 兵庫県難病相談センター「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」兵庫県難病相談センター https://agmc.hyogo.jp/nanbyo/ncurable_disease/disease05_shiryo.html(最終アクセス:2016年06月16日) (文献15) 清水 俊夫.「筋萎縮症側索硬化症(ALS)の嚥下障害,栄養障害とその対策*」『特集/シンポジウム18:筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療の最前線–4』, pp.1-5,2023年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/40/4/40_580/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2016年06月16日) (文献16) 小久保康晶ほか.「紀伊半島南部に多発するALSとALS-parkinsonism-dementina complexに関する診療マニュアル」, pp.1-31, 2019年 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/als_pdc.pdf(最終アクセス:2016年06月16日) (文献17) 公益財団法人難病医学研究財団「筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)」難病情報センター, 2023年 https://www.nanbyou.or.jp/entry/52(最終アクセス:2016年06月16日)
2025.06.29 -
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「高次脳機能障害と認知症はどう違うのか、併発はするのか」 高次脳機能障害と認知症は、どちらも記憶や判断力に影響を及ぼすため混同されやすいものの、実際には原因や進行、症状に明確な違いがあります。本記事では、両者の違いや併発の可能性、それぞれの症状や治療法についてわかりやすく解説します。 また、記事の最後には、高次脳機能障害と認知症に関する質問をまとめておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 高次脳機能障害と認知症の違い 項目 高次脳機能障害 認知症 原因 脳外傷、脳卒中、脳腫瘍など突然の脳損傷 アルツハイマー病など進行性の脳疾患、急性の脳損傷による脳血管性の脳疾患 発症の経過 急性(原因となる出来事の直後) 急性のものもあるが、徐々に発症し進行する傾向にある 症状 記憶障害、注意障害、感情コントロールの低下、遂行機能障害など 記憶障害、見当識障害、判断力低下、徘徊・妄想など 症状の進行 基本的には進行しない(リハビリで回復可能性あり) 徐々に進行する(根本的な治療は困難) 意識レベル 通常はっきりしている 初期ははっきりしているが、進行で低下する場合も 支援の方向性 機能の回復と代償を目指すリハビリ中心 進行を遅らせ、生活支援を重視 その他の特徴 症状は損傷部位により多様 記憶障害が中核症状となることが多い 高次脳機能障害と認知症は、記憶力や判断力に影響を及ぼす点では共通しているものの、発症の経緯や進行、支援の方法には大きな違いがあります。 高次脳機能障害は、脳卒中や事故など外的な要因によって突然起こるのに対し、認知症は加齢や神経変性によって徐々に進行するのが特徴です。症状の内容や治療法も異なるため、正しく区別して対応することが重要です。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状 症状カテゴリ 内容 記憶障害 新しいことが覚えられない、過去の出来事を思い出せない、体で覚えた動作の記憶の障害 注意障害 集中力の低下、注意の持続・切り替え・分配の困難 遂行機能障害 計画立案・実行・自己評価の困難、柔軟な対応の低下 社会的行動障害 感情コントロールの難しさ、意欲低下、対人トラブル、依存傾向 失語症 話す・聞く・読む・書く・名前をいうことの困難 失行症 動作の指示や模倣ができない、物の使い方の混乱、衣服の着脱の困難 失認症 見る・聞く・触る情報の認識障害、自分の病気への無自覚、片側への注意欠如 高次脳機能障害の症状は、損傷を受けた脳の部位や程度によって多岐にわたります。記憶障害、注意力の低下、遂行機能障害、失語、失認、行為障害、感情や行動の変化などが症状として現れます。 高次脳機能障害の症状の現れ方には大きな個人差があり、単一の症状だけでなく複数が同時に見られることもあります。 以下の記事では、高次脳機能障害の症状について詳しく解説しております。 認知症の症状 症状カテゴリ 内容 記憶障害 新しい情報の保持の困難、物の置き場所の忘却、同じ質問の繰り返し 見当識障害 日付や場所の混乱、家族や知人の認識困難 実行機能障害 手順や計画の立案の困難、複数作業の同時実行の困難 言語障害(失語) 適切な言葉が出てこない状態、会話や内容理解の困難 行動・心理症状(BPSD) 妄想や幻覚、徘徊・暴言・暴力、抑うつや不安の出現 認知症の主な症状は、記憶障害、見当識障害、理解力や判断力の低下、実行機能障害などが挙げられます。 発症初期には物忘れが目立つことが多く、進行するにつれて日常生活を送る上でのさまざまな能力が低下していきます。また、抑うつや不安、妄想などの精神症状や行動の変化が伴うのも特徴です。 以下の記事では、認知症について詳しく解説しております。 高次脳機能障害と認知症は併発する可能性がある 観点 内容 高次脳機能障害がある場合 脳の損傷により将来的に認知症の発症リスクが高まる可能性あり(再発・加齢・刺激不足が影響) 認知症が高次脳機能障害を起こすか 認知症が直接の原因となって高次脳機能障害を起こすことは基本的にない 症状の似ている点 記憶障害・判断力の低下・感情の不安定さなどが共通し、初期は区別が難しいこともある 両者の本質的な違い 高次脳機能障害は非進行性(改善が見込める)認知症は進行性(徐々に悪化) 正確な診断のために必要なこと 医師による問診、画像検査、神経心理検査などでの専門的な鑑別 (文献1) 高次脳機能障害と認知症は異なる病気です。しかし、症状が似ているため混同されやすく、併発するケースもあります。とくに高次脳機能障害のある方は、脳の脆弱性により将来的に認知症を発症しやすくなる可能性があります。 一方で、認知症が直接的に高次脳機能障害を引き起こすことは稀です。両者には明確な因果関係はありません。症状が重なる場合もあるため、診断後も経過観察が必要です。 併発が疑われる際は、それぞれに適した治療や支援を組み合わせ、医師による診断と対応が必要になります。 高次脳機能障害になったときの対処法 対処法 内容 リハビリテーション 作業療法・理学療法・言語療法・心理療法などを組み合わせ、機能の回復・改善を目指す訓練 薬物療法(症状のコントロール) 抑うつ、不眠、易怒性などの症状に対し、必要に応じて薬を用いてコントロールする治療法 再生医療(損傷神経の修復) 損傷した脳神経の修復や機能回復を目指す新たな治療法 高次脳機能障害と診断された場合は、早期の対応が大切です。治療の中心はリハビリテーションで、必要に応じて薬物療法も併用されます。 さらに近年では、損傷した神経の修復を目指す再生医療も注目されており、新たな治療の選択肢として期待されています。 リハビリテーション 訓練対象 内容 目的・背景 記憶障害 カードや絵の記憶、聴覚的記憶、日付や時間の確認、メモやアラームの活用 残された脳機能を活用し、記憶力の再学習と代償手段の習得を図る 注意障害 間違い探しや時間内課題、ラジオを聞きながら作業、集中できる環境調整 注意力を高める訓練と、日常生活での適応力の回復を促す 遂行機能障害 料理や買い物の段取り、問題解決、時間管理の練習 計画立案や柔軟な思考を再習得し、日常生活の自立を支援 言語障害 発語・理解・読み書きの練習、ジェスチャーや絵カードの活用 言語能力の再構築と、代替的なコミュニケーション手段の習得 視空間認知障害 図形模写、地図や迷路の把握、着替え・食事などの動作訓練 空間認識力の再学習と、日常動作の確保 心理的サポート カウンセリング、家族への支援と相談 抑うつや意欲低下など二次的問題の予防と精神面の安定 総合的な目標 各機能訓練を個別に組み合わせて実施 脳の可塑性を活かし、生活の質の向上と自立を目指す リハビリテーションは、高次脳機能障害からの回復において重要な役割を果たします。 作業療法士や言語聴覚士の指導のもと、記憶力や注意力、行動面の改善を目指した訓練を行い、日常生活に即した動作を段階的に練習しながら、低下した機能の補完や再習得を図ります。 少しずつリハビリを積み重ね、生活の自立や社会復帰を前向きに目指していくことが大切です。 以下の記事では、高次脳機能障害のリハビリについて詳しく解説しています。 【関連記事】 高次脳機能障害への対応の仕方は?介護疲れを軽減するコツを解説 高次脳機能障害のリハビリ効果とは?方法や内容をあわせて紹介 薬物療法(症状のコントロール) 項目 内容 目的 症状のコントロールと生活の質(QOL)の向上 脳機能の調整 神経伝達物質のバランス調整による注意力・記憶力・感情コントロールの改善 精神症状への対応 抑うつ・不安・興奮・攻撃性の緩和による情緒の安定と行動の安定化 主な使用薬剤 不安や抑うつに用いる抗うつ薬(SSRIなど) 治療上の注意点 副作用への配慮と、症状に応じた個別の薬剤調整 治療の進め方 リハビリテーションや心理的支援との併用による相乗的な治療効果 (文献2) 高次脳機能障害に対して、根本的な治療薬はありませんが、抑うつや不安、興奮といった精神的な症状には薬物療法が行われます。このような症状を和らげることで、情緒が安定し、生活しやすくなることがあります。 薬剤は症状や体調に応じて医師が判断し、リハビリや心理的支援と併用して生活の質の向上を目指すとともに、副作用への配慮や継続的な調整も大切です。 再生医療(損傷神経の修復) 高次脳機能障害に対する再生医療は、損傷した神経細胞の修復や再生を促す治療法で、記憶力・注意力・言語能力の改善が期待されています。 幹細胞には、炎症を抑制し神経ネットワークの再構築を促進する効果が期待されています。現在は一部の医療機関でのみ実施されており、適用には医師との事前相談が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 認知症になったときの対処法 対処法 内容 薬物療法(進行抑制と症状緩和) 症状の進行を遅らせる、記憶障害や精神症状を一時的に改善する薬を使用 生活環境を整える 物の配置を工夫し、過ごしやすい環境をつくる 再生医療(脳の神経細胞を修復・保護) 神経細胞の修復や保護を目指す治療で、認知機能の維持・改善に期待 認知症と診断された場合も、進行を遅らせたり症状を和らげたりする方法があります。 薬物療法では記憶障害や精神症状の改善を目指し、再生医療も将来の治療法として注目されている治療法です。 薬物療法(進行抑制と症状緩和) 項目 内容 目的 認知機能の低下を遅らせ、行動・心理症状(BPSD)を緩和し、生活の質を保つ 主な薬の種類 アセチルコリンの働きを保つ薬や、神経の過剰な興奮を抑える薬が使われる 代表的な薬剤 ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチン 作用のしくみ 記憶や学習に関わる神経伝達を助けたり、神経細胞の損傷を防いだりする 副作用の例 吐き気、下痢、食欲不振、めまい、頭痛、便秘など 治療の工夫 複数の薬を組み合わせることで、より高い効果が期待できることもある (文献3) 薬物療法で認知症の進行を根本から止めることは困難ですが、一部の薬剤は記憶障害や行動症状を軽減する効果があります。代表的な薬としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬があり、認知症の進行を遅らせ、自立した生活の維持に役立つとされています。 薬物療法では、自己判断で量を変えたり中断したりせず、医師の指示に従って継続的な服用が大切です。 生活環境を整える 項目 内容 目的 不安や混乱の軽減、自立支援、介護負担の軽減 認識のサポート 時計・カレンダーの設置、季節感や思い出の品の活用 残された力の活用 物の定位置化、ラベル表示、自分でできる環境の工夫 行動・心理症状の緩和 混乱や不安の軽減により、徘徊や興奮を予防 地域・社会との関わり 外出支援、地域活動への参加、近隣住民との協力体制 円滑なコミュニケーション ゆっくり話す、笑顔、ジェスチャーや絵の活用、否定しない姿勢 認知症のある方にとって、環境の変化は混乱や不安の原因になりやすいため、過ごしやすい生活環境を整えることが大切です。 たとえば、物にラベルを貼る、大きな時計を設置するなど、ちょっとした工夫が日常生活を支える助けになります。 このような環境づくりは、本人の残された力を引き出すだけでなく、徘徊や興奮などの症状を和らげ、介護する家族の負担も軽減します。 再生医療(脳の神経細胞を修復・保護) 再生医療は、認知症で失われた神経細胞を補ったり、傷んだ細胞を修復したりすることを目指す治療法です。たとえば、幹細胞を脳に移植し、それが神経細胞に成長することで、脳の機能回復が期待されています。 再生医療は受けられる医療機関が限られており、適用できるかどうかは事前に医師へ相談しましょう。 高次脳機能障害と認知症の違いを理解し適切な治療を受けよう 高次脳機能障害と認知症は、原因や進行の経過は異なるものの、似たような症状が見られることがあります。正しく見分けて適切な診断と治療を受けることは、生活の質を向上させる上で大切です。 当院リペアセルクリニックでは、症状に応じた治療をご提案しており、再生医療も選択肢のひとつとしてご利用になれます。 高次脳機能障害もしくは、認知症の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 高次脳機能障害と認知症に関するよくある質問 高次脳機能障害と認知症どちらかわかりませんが病院を受診するときは何科に行けばいいですか? 高次脳機能障害や認知症が疑われる場合は、神経内科や脳神経外科の受診が基本です。 精神症状があれば精神科や心療内科、高齢者の場合は老年内科も適しています。診断後はリハビリ科の支援も有効です。迷ったときは、まずかかりつけ医に相談しましょう。 高次脳機能障害や認知症は遺伝しますか? 高次脳機能障害は脳の損傷によるもので、遺伝はしません。一方で、家族性アルツハイマー病など一部の認知症では遺伝的要因が強く関与するものもあります。心配な場合は医師に相談しましょう。 高次脳機能障害と認知症は支援制度や保険は適用できますか? 高次脳機能障害や認知症のある方は、症状や年齢、生活状況に応じてさまざまな支援制度や保険の適用を受けられます。高次脳機能障害では障害者手帳、自立支援医療、障害年金、福祉サービスなどが利用できます。 認知症では介護保険制度や高額療養費制度、精神障害者保健福祉手帳の取得などが対象です。制度の利用には、市区町村の福祉窓口での相談や申請が必要です。 参考資料 (文献1) 宮永和夫.「高次脳機能障害者と認知症-鑑別診断と社会支援-」, pp.1-26 https://www.minamiuonumahp.jp/wp/wp-content/uploads/2018/10/2018.9.22.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献2) 溝神文博.「切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド」, pp.1-76, 2025年 https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/news/documents/20250331guide.pdf(最終アクセス:2025年5月19日) (文献3) 一宮洋介.「アルツハイマー型認知症の新たな治療戦略」『順天堂東京江東高齢者医療センターメンタルクリニック』, pp.1-52 https://medical-society-production-tkypa.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/theme/pdf/479/20130309_003.pdf(最終アクセス:2025年5月19日)
2025.05.30 -
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脳膿瘍の手術は症状の改善が見込まれる一方で、運動麻痺・言語障害・てんかん・高次脳機能障害などの後遺症が生じるリスクもあります。 本記事では、脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症について解説します。 また、手術やリハビリを行っても後遺症が十分に改善しない場合の選択肢として、再生医療も検討しましょう。 \脳膿瘍の後遺症改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療とは、患者さまご自身の脂肪から採取した幹細胞を投与し、損傷した神経組織の修復や機能回復を支える環境づくりを目指す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手術後も麻痺や言語障害が残っている リハビリを続けても改善を実感できない 手術や薬以外の治療法を検討したい >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する 傷ついた神経細胞の修復環境を整えることで、身体機能(後遺症)の回復やリハビリ効果の向上、再発・症状悪化の予防が期待できます。 実際の治療内容については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 脳膿瘍の手術後に残った症状でお悩みの方は、治療の選択肢の一つとして当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 後遺症改善を目指すなら、まずは無料相談! 脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症 脳膿瘍の手術は、症状の改善が期待される一方で、運動麻痺や感覚障害などの後遺症が出る可能性があります。 運動麻痺 手足の動かしにくさや筋力低下、歩行困難 感覚障害 手足のしびれや触覚の鈍さ、感覚の違和感 言語障害 言葉が出にくい、話すスピードの低下、語彙の思い出しづらさ 高次脳機能障害 記憶力・注意力・判断力の低下、段取りの悪さ、集中困難 てんかん 手術部位周囲の瘢痕や炎症によって、けいれん発作が新たに起きたり、術前にあった発作が再発したりする可能性がある 頭痛 圧力変化や術後の影響による一時的または慢性的な頭痛 以下で、脳膿瘍の手術で起こりうる後遺症を詳しく解説していきます。 運動麻痺 原因 内容 膿瘍の圧迫の影響 手術前に神経が長期間押しつぶされていたことによる機能の低下 手術操作による刺激や損傷 膿瘍除去時の操作による神経線維への負担 血管の損傷や血流の障害 手術中の出血や血流の一時的な停止による神経の栄養不足 術後の脳のむくみ(浮腫) 炎症によって運動に関わる部位が一時的に腫れることによる圧迫 神経線維の切断や妨害 手術時に神経の通り道が遮られたことによる指令の伝達障害 (文献3) 脳膿瘍が運動を司る脳領域に及ぶと、手足の動かしにくさや筋力低下といった運動麻痺が起こることがあります。 この状態は、膿瘍の圧迫による神経機能の低下、手術時の操作による刺激、血流障害や脳の腫れ(浮腫)などが原因です。 術後に神経伝達経路が一時的に遮られることで、麻痺が現れることもあります。 症状の程度には個人差があり、軽度であればリハビリにより改善が期待できるものの、重度の場合は回復に時間を要するケースもあります。 脳膿瘍の治療後に手足の動かしにくさや筋力低下が続く場合は、日常生活への影響が大きくなる前に、医師へ相談して適切な治療やリハビリを受けることが重要です。 また、リハビリを続けても十分な改善がみられない場合には、損傷した神経機能の回復を目指す治療として、再生医療が選択肢となることもあります。 >>運動麻痺に対する「再生医療」についてはこちら 感覚障害 項目 内容 膿瘍の位置と手術操作 感覚をつかさどる脳の部位や神経経路への影響 術中・術後の脳の変化 血流の変化、腫れ、炎症による一時的または永続的な障害 術前からの神経圧迫 膿瘍による慢性的な圧迫や損傷の影響が持続し、血流の変化や脳が腫れる、炎症による一時的または永続的な障害 起こりうる感覚障害の例 触れた感覚の鈍さ、違和感や温度の異常な感じ方、しびれ、自身で感じる手足の位置感低下 (文献3) 脳膿瘍が感覚を司る脳の領域に及ぶと、手足のしびれや感覚の鈍さ、温度の感じ方の異常、位置感覚の低下などが現れることがあります。 膿瘍の圧迫や炎症、または手術操作の影響で神経が傷ついたり、血流が一時的に障害されたりするためです。膿瘍による感覚障害は術後にも残ることがありますが、リハビリや時間経過で改善する可能性もあります。 言語障害 項目 内容 手術による直接的な影響 言語をつかさどる脳の領域が手術中に傷つく可能性 手術による間接的な影響 脳の腫れ・血流の変化・脳圧の上昇による言語機能への影響 運動性失語 言葉が出にくくなり、話す速度が遅くなる状態 感覚性失語 話はできても意味が通じず、相手の言葉も理解しづらくなる状態 全失語 話す・聞く・読む・書く能力が全体的に障害される状態 健忘性失語 人や物の名前が思い出せなくなる状態 構音障害 舌や口の動きがうまくいかず、発音が不明瞭になる状態 嚥下障害(関連症状) 飲み込みが難しくなる障害(発声や会話と同じ筋肉の影響) (文献4) 脳膿瘍の手術後に言語障害を訴える方が一定数見られます。これは、脳膿瘍が言語中枢に近い場合や、手術による刺激・腫れ・血流の変化が原因と考えられます。また、日常会話に支障が出ると大きなストレス、周囲とのコミュニケーションが難しくなることがあります。 手術後にこうした言語障害が現れた場合には、言語聴覚士によるリハビリが有効です。症状の程度は人によって異なるため、焦らず少しずつ会話ができるように努めていくことが大切です。 高次脳機能障害 原因 内容 脳組織の損傷 記憶・判断・言語などを担う脳の部位への直接的な影響 血流の障害 手術中の血管損傷や血流不足による脳細胞のダメージ 圧力変化や脳の腫れ 術後の脳圧上昇や脳浮腫による周囲組織への機能障害 術後の合併症 感染症・出血などによる追加の脳ダメージ 神経ネットワークの損傷 複数の脳領域をつなぐ神経回路の分断による連携機能の低下 高次脳機能障害は、脳の損傷によって、記憶力・注意力・判断力・言語能力などの認知機能が低下する状態です。 脳膿瘍がこれらの機能を担う領域に及んだ場合や、手術に伴って脳組織や血流に影響が生じた場合、術後に高次脳機能障害がみられることがあります。 高次脳機能障害は、外見や手足の動きに目立った変化がなく、本人が症状に気づきにくいことも特徴です。 たとえば、以下のような変化がみられることがあります。 物忘れが増えた 集中力が続かなくなった 会話がかみ合わなくなった 言葉が出にくくなった 文字の読み書きや計算が難しくなった 以前できていた仕事や家事ができなくなった >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する また、症状の改善には、医療機関での継続的な治療に加えて、家族や周囲の方が高次脳機能障害の特徴を理解し、適切に支援することも重要です。 高次脳機能障害の症状が続いている場合、従来のリハビリに加えて、脳の神経細胞の修復・再生を促す再生医療という選択肢もあります。 実際に、脳梗塞後に「言葉が出ない」「文字を理解できない」「計算が難しい」といった高次脳機能障害がみられた患者様が、幹細胞治療後に会話や読解、計算などの機能に変化がみられた症例もあります。 >>実際に当院の症例を受けられた方の症例はこちら 「リハビリを続けているものの改善を実感できない」「言葉や記憶の障害が残り、今後の生活に不安がある」といったようなお悩みがある方は、まずは現在の症状やこれまでの治療経過について、当院(リペアセルクリニック)へご相談ください。 後遺症改善を目指すなら、まずは無料相談! てんかん 項目 内容 脳組織への手術の影響 神経細胞の不安定化や過剰な電気活動の誘発 術後の瘢痕形成 傷跡による電気信号の異常伝播 化学物質のバランス変化 興奮性や抑制性の神経伝達物質の乱れ 残存するてんかんの焦点 手術前にあったてんかんの原因部位の持続的な活動 術後の合併症 出血や感染による新たな脳ダメージ 脳膿瘍の手術後は、膿瘍周囲の脳組織がダメージを受け、けいれん発作が生じやすくなるのが特徴です。 とくに、術後1週間以降に起こる晩期発作は、てんかんと診断される場合があります。膿瘍が存在していた部位の神経細胞が興奮しやすくなるリスクがあり、傷跡(瘢痕)や血流障害、神経伝達物質のアンバランスが発作の引き金となるケースもあります。抗てんかん薬による予防や生活環境の整備が、再発予防には大切です。 頭痛 項目 内容 手術による刺激 頭皮・筋肉・硬膜の切開や縫合による違和感の発生 脳の腫れ 手術後の炎症による一時的な脳の腫れ(脳浮腫) 髄液の変化 術後の髄液循環障害や低髄液圧状態が頭痛を誘発する場合もある 血流の乱れ 脳内の血管の拡張・収縮による違和感の発生 経過 多くは自然に軽快、まれに慢性頭痛として残ることもありうる (文献1) 脳膿瘍の手術後に、頭痛が生じることがあります。開頭手術での頭皮・硬膜切開や、術中操作による周辺組織への刺激や、脳の腫れ(脳浮腫)、髄液の流れの変化、血流の乱れなどが原因としてあげられます。 多くの場合は時間とともに軽快しますが、まれに慢性頭痛として続くケースもあります。後遺症による頭痛が日常生活に支障をきたす場合は、早めに医師へ相談が大切です。 また、まれに片頭痛の前兆として、閃輝暗点のような視覚症状が現れる場合もあります。視界にキラキラした光やギザギザした模様が見える場合は、閃輝暗点かもしれません。 以下の記事では、閃輝暗点の見え方について詳しく解説しています。 脳膿瘍の手術で期待される効果 症状の軽減 圧迫による視野障害・麻痺・けいれん発作などの症状の改善 神経機能の回復 脳機能の回復や維持を目指す 病状進行の抑制 膿瘍の切除により再発や悪化のリスク軽減 将来的な機能障害の予防 適切な時期の手術が機能障害の発症を防ぐことにつながる (文献1) 脳膿瘍の手術は、脳内に膿がたまり圧迫で生じる頭痛や麻痺、意識障害などの症状を軽減するために実施されます。 膿瘍を外科的に取り除くことで、神経への負担が減り、症状の改善や回復が期待できます。また、膿を取り除くことで抗菌薬が患部に届きやすくなり、感染の再発や重症化を防ぐ効果も高まります。適切なタイミングで治療を行い、将来的な後遺症の予防も視野に入れることが大切です。 脳膿瘍の手術内容 項目 内容 膿瘍の摘出による症状の改善 膿の除去や感染源の除去 頭蓋内圧の正常化 頭痛・吐き気・視覚異常・意識障害の改善 神経症状の改善 しびれ・運動障害・視覚や聴覚の異常の軽減 抗菌薬治療の効果を高める 膿瘍の縮小による薬剤効果向上 生活の質の向上 歩行や会話のしやすさ、社会復帰やコミュニケーションの円滑化 脳膿瘍の手術は、患者の全身状態や膿瘍の大きさ・部位を総合的に判断したうえで実施されます。 膿瘍の摘出による症状の改善 項目 内容 膿の除去 膿瘍によって生じる脳圧の上昇や周囲組織の圧迫が軽減される 頭痛や意識障害の改善 圧迫による神経症状(頭痛、吐き気、意識障害など)が軽減される可能性がある 神経機能の回復 膿瘍の位置によっては、言語障害や麻痺といった症状が手術後に改善する場合もある 感染源の除去 抗菌薬が届きやすくなり、全身状態の改善が促される (文献1) 脳膿瘍の手術では、膿を取り除くことで頭痛や吐き気、意識障害、手足の麻痺などの症状が改善することがあります。 膿の除去で脳の圧迫が和らぎ、抗菌薬が届きやすくなるため、全身の回復にもつながります。このような理由から、膿の除去は治療の重要な基盤です。 頭蓋内圧の正常化 項目 内容 頭蓋内圧が上がる原因 膿瘍の圧迫、脳の腫れ、脳脊髄液の流れの障害、出血によるスペースの圧迫 上昇による症状 頭痛、吐き気、意識障害、視覚異常、脈の乱れ、高血圧 手術による改善効果 膿瘍や出血の除去、脳の腫れの軽減、脳脊髄液の流れの回復 期待される結果 頭蓋内圧の正常化による症状の改善と脳機能の安定化 脳膿瘍が進行すると、膿の塊が脳を圧迫し、頭痛・吐き気・視覚異常・意識障害などの症状が起こるのが特徴です。 とくに、脳の腫れ(浮腫)や炎症により頭蓋内圧が上昇すると、命に関わるリスクも高まります。手術で膿瘍を除去し、脳の圧迫が軽減し、頭蓋内圧が正常に近づくことが期待されており、症状の改善と脳機能の安定化が見込まれます。 神経症状の改善 項目 内容 圧迫の解除 膿瘍による脳組織や神経への圧力の除去 脳脊髄液の流れの改善 膿瘍が脳脊髄液の通過路を圧迫している場合、摘出によりCSFの流れが正常化するケースがある 機能障害の原因除去 炎症や浮腫により障害されていた神経伝達機能の回復が期待される 薬剤効果の向上 抗菌薬治療の効果向上による間接的な症状の改善 改善が期待される主な症状 麻痺、感覚障害、言語障害、視力障害、頭痛、てんかんなど 膿瘍の場所や大きさによっては、運動麻痺や感覚障害、言語障害など、さまざまな神経症状が現れます。手術で膿瘍摘出を行うことで、運動麻痺などの症状が軽快する可能性があります。 ただし、神経細胞は一度損傷を受けると回復が難しい場合もあるため、早期の治療が大切です。 抗菌薬治療の効果を高める 要因 解説 膿瘍の除去 感染源である膿を取り除くことで、残った病巣に薬が届きやすくなる 脳圧の軽減 圧迫が減ると周囲組織の血流が改善し、薬剤が浸透しやすくなる 酸素環境の改善 酸素が届きやすくなることで、薬の効果が発揮されやすくなる (文献1)(文献2) 脳膿瘍では、抗菌薬による治療が実施されますが、膿が厚い膜に包まれているため、薬が届きにくいことがあります。手術で膿を取り除くと、薬が患部に届きやすくなり、治療効果の向上が望めます。そのため、手術は薬の効果を引き出す大切な治療法です。 生活の質の向上 項目 内容 症状の軽減・消失 頭痛・吐き気・麻痺・視力障害などの不快な症状の緩和 自立性の向上 着替え・移動・会話など日常動作の回復 精神的な安定 不安やストレスの軽減、前向きな気持ちの回復 社会生活への復帰 仕事や学校、家族・友人との交流の再開 将来への希望 手術を通じた治療効果の向上による予後改善への期待 注意点 QOLの感じ方には個人差があり、手術の効果にもばらつきがあるため注意が必要 膿瘍による症状が軽減されることで、日常生活における動作や思考の自由度が広がり、生活の質(QOL)が改善する可能性があります。 頭痛や麻痺などの症状がある程度改善されることで、家事や通勤に対する不安が軽減され、日常生活への自信が戻ってきます。その結果、社会復帰への意欲も高まりやすくなるでしょう。生活の質の向上は、身体機能だけでなく精神的な安定にもつながるため、術後の目標の一つといえます。 脳膿瘍手術における後遺症のリハビリ方法 脳膿瘍の手術後は、以下のように症状に合わせたリハビリが必要です。 リハビリの種類 対象となる症状 目的 理学療法 麻痺・筋力低下・歩行障害 体力回復と動作の自立支援 作業療法 日常生活動作(食事・着替えなど)の困難 実生活に即した動作の訓練と自信回復 言語聴覚療法 発語障害・言語理解障害・嚥下障害 会話や飲み込みの改善を通じた生活の質の向上 神経心理リハビリ 記憶障害・注意力低下・思考力の低下 認知機能の回復と社会復帰に向けた段階的支援 効果を高めるには早期に始め、自己判断せず医師の指導のもとで行うことが大切です。 リハビリは中断せず継続することで、回復の可能性を最大限引き出せます。 理学療法 項目 内容 目的 麻痺・筋力低下・歩行障害の改善、日常生活動作の自立支援 訓練方法 筋力訓練、関節の柔軟性保持、歩行・バランス訓練、起居動作の練習 有効性 運動機能の回復、転倒や合併症の予防、体力向上、違和感の軽減 サポート体制 医師や専門職による個別指導、家族支援、他職種との連携による総合的サポート (文献4) 理学療法は、手足の麻痺や筋力低下、バランス障害といった身体的な後遺症に対して行われます。医師の指導のもと歩行訓練や関節の動きを保つ運動を継続的に実施します。 脳膿瘍の手術後は、安静による筋力低下も起こりやすいため、体力低下による合併症予防や再感染リスク軽減にもつながる有効な治療法です。リハビリは早期の開始で、効果が高まりやすくなります。 作業療法 項目 内容 目的 食事・着替え・入浴などの日常動作の自立支援 練習内容 動作練習、家事訓練、補助具の使い方指導 環境調整 自宅内の物の配置などの改善 支援面 自信回復、家族への介助指導 作業療法は、食事や着替え、家事などの日常生活動作(ADL)を自立して行えるよう支援するリハビリです。 脳膿瘍の手術後、手先がうまく使えないケースもあるため、作業療法は症状の改善を目指して実施されます。症状の回復には、患者と医師だけでなく、家族や周囲のサポートも大切です。 言語聴覚療法 項目 内容 目的 話す・聞く・読む・書く・飲み込む機能の回復、コミュニケーションの再構築 訓練例 発声練習、言葉の理解訓練、注意力や記憶のトレーニング、補助手段の活用、嚥下訓練 有効性 言語機能や飲み込みの改善、意思疎通の支援、認知機能の補強、生活の質の向上 (文献5) 言語聴覚療法は、言葉が出にくい・聞き取れない・飲み込みにくいといった症状に対して行われる訓練です。脳膿瘍が言語や嚥下を司る部位に影響していた場合、術後に会話や食事が難しくなるケースがあります。 言語聴覚療法では、発声・発語・理解のトレーニングや、食べ物の誤嚥を防ぐための嚥下訓練を医師の指導のもと行います。また、家族の協力で、日常生活における不安の軽減にもつながるでしょう。 神経心理リハビリテーション 項目 内容 目的 記憶力・注意力・判断力など認知機能の改善と、社会復帰への支援 訓練例 課題遂行訓練、集中力訓練、記憶訓練、見当識訓練、心理的サポート 有効性 認知機能障害への直接的対応、日常生活への適応支援、感情コントロールの強化、自己理解の促進 (文献6)(文献7) 神経心理リハビリは、記憶力・注意力・思考力などの認知機能に障害が残った場合に行われます。具体的には、課題を使って集中力を高める訓練や、日常生活での物忘れを補う工夫を習得するなどが挙げられます。 高次脳機能障害は見た目ではわかりにくく、本人だけでなく家族にも負担がかかりやすいのが特徴です。神経心理リハビリでは、段階的に機能回復を目指しながら、社会復帰につなげていくことが大切です。 脳膿瘍手術の後遺症でお悩みなら再生医療も選択肢のひとつ 脳膿瘍の手術後は、運動麻痺やしびれ、言語機能・認知機能の低下など、長期的に後遺症が残ることがあります。 後遺症の改善にはリハビリが重要ですが、症状によってはリハビリだけでは思うような回復が得られないケースも少なくありません。 そのような場合、損傷した神経や血管の修復を促す治療として、幹細胞を用いた再生医療も選択肢のひとつになります。 再生医療は、患者さまご自身の細胞を活用し、体が本来持つ修復力を引き出すことで、後遺症の改善を目指す治療です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 身体機能(後遺症)の回復をめざしたい リハビリの効果をより高めたい 再発や症状の進行をできる限り防ぎたい >>再生医療専門「リペアセルクリニック」に無料電話相談する 実際の治療内容については、以下の動画でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs?si=PO0F3fzBrHUy7WC0 患者さまご自身の脂肪から採取した幹細胞を培養し、点滴で投与することで、損傷した神経や血管の修復を促し、後遺症の改善を目指します。 脳膿瘍手術後の後遺症でお悩みの方、リハビリを続けても改善に限界を感じている方は、少しでも改善の可能性を探すために、まずは当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 後遺症改善を目指すなら、まずは無料相談! 脳膿瘍の手術と後遺症に関するよくある質問 脳膿瘍の手術と後遺症に関するよくある質問と回答は、以下の通りです。 脳膿瘍の手術は必須ですか? 入院期間はどれくらいですか? 脳膿瘍は再発しますか? 脳膿瘍の手術に不安を感じていますが事前にできることはありますか? 脳膿瘍の開頭手術後、日常生活にどのような影響がありますか? 脳膿瘍の手術は必須ですか? 脳膿瘍の治療は薬物療法と手術が基本で、手術の必要性は膿瘍の大きさや症状の進行度などで判断されます。 治療方針は自己判断せず、脳神経外科の医師の診断に従いましょう。 入院期間はどれくらいですか? 脳膿瘍の入院期間は、膿瘍の大きさ・部位・症状の程度や、治療に対する反応により異なります。 重症例や多発例、外科的な排膿処置が必要な場合は、抗菌薬治療の継続や合併症管理のために数週間から数カ月の入院が必要になるケースもあります。 退院後も通院による経過観察や内服治療が必要になることが多いです。 脳膿瘍は再発しますか? 脳膿瘍は手術後に再発する可能性があります。 原因菌の残存や感染源の治療不十分、免疫力の低下などが主な要因です。 再発を防ぐには、適切な手術と抗菌薬治療、原因疾患の治療、定期的な経過観察、免疫力の維持が大切です。 脳膿瘍の手術に不安を感じていますが事前にできることはありますか? 脳膿瘍の手術を受ける前には、医師と話し合い、治療内容をきちんと理解しておくことが大切です。 また、少しの悩みでも医師や家族に話しておくことで、不安を軽減できます。 手術に対して少しでも不安や迷いがある方は、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。 リペアセルクリニックでは、どんなに小さな悩みでも、丁寧に対応いたします。「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 脳膿瘍の開頭手術後、日常生活にどのような影響がありますか? 脳膿瘍に対して開頭手術を受けたあとは、脳や身体の回復に時間がかかるため、しばらくの間は日常生活に制限や注意が必要となります。 術後しばらくの生活としては以下の点に注意が必要です。 安静が必要 手術直後はベッド上での安静が中心となり、少しずつ歩行や動作を再開していく 清潔の管理 頭部の管が抜けるまではシャワーを控え、抜去後に医師の指示のもとで洗髪や入浴が可能になる 食事・排泄 最初は点滴や制限がある場合もあるが、状態が安定すれば通常の食事やトイレでの排泄に戻れる また退院後の日常生活の注意点としては以下の通りです。 転倒予防 退院直後はふらつきや疲れやすさが残ることがあるため、歩行には注意が必要 再発・感染のチェック 発熱や強い頭痛、意識の変化があれば、すぐに医療機関へ連絡する 生活習慣の整え バランスのとれた食事や十分な睡眠を行う 社会復帰のタイミング 仕事や車の運転などは、主治医の判断に基づいて再開の時期を決める 脳膿瘍の開頭手術後は、回復に合わせて少しずつ日常生活を取り戻していく流れになります。 退院できる頃には基本的な生活は可能になりますが、体力や神経の働きが完全に戻るには時間がかかる場合もあります。 焦らずに医師や看護師、リハビリスタッフと相談しながら、安心できる生活を取り戻していくことが大切です。 参考資料 (文献1) 川副雄史ほか.「地域医療支援病院における細菌性脳膿瘍の臨床的特徴と 転帰不良因子の検討」, pp.1-14, 2022年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsne/27/1/27_15/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献2) 山根 清美ほか.「臨床クイズ解答 突然右麻痺を呈した 1症例」『日本内科学会雑誌』97(6),, pp.1-3, 2008年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/6/97_1395/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献3) 白井 誠「随意運動改善のための運動療法」, pp.1-5, 2003年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/icpt/2/1/2_1_15/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献4) 鶴川俊洋,生駒一憲.「脳腫瘍・頭頸部がんのリハビリテーション」『ガンのリハビリテーション エビセンス&プラクティス』, pp.1-6, 2016 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/53/2/53_124/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献5) 温井 めぐみほか.「小児脳腫瘍治療後の神経心理学的合併症についての手引き」『JCCG』, pp.1-59 https://jccg.jp/wp-content/uploads/tebiki_ver1.2_2020.9.30.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献6) 日本学術振興会「間脳・脳室内腫瘍患者の神経心理学的合併症および社会生活機能に関する調査研究」KAKEN, 2020年4月28日 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K19342/(最終アクセス:2025年5月12日)
2025.05.30 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「側頭葉てんかんの手術後の後遺症に強い不安を感じている」 「側頭葉てんかんの手術の内容が気になる」 側頭葉てんかんと診断され、手術を勧められているものの、術後の生活や後遺症に不安を抱えている方も多いでしょう。手術への不安を抱えたままでは、冷静な判断が難しくなります。 本記事では、側頭葉てんかん手術について解説します。 記事の最後には、側頭葉のてんかん手術と後遺症に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 \側頭葉てんかんの後遺症改善が期待できる再生医療とは/ 側頭葉てんかんは手術によって発作の軽減・消失が期待できる一方で、記憶障害・言語障害・視野障害などの後遺症が生じる可能性があります。 近年、こうした術後の機能低下や慢性的な神経症状の改善を後押しする選択肢として、幹細胞を用いた再生医療が注目されています。 身体機能(後遺症)の回復 リハビリ効果の向上 再発や症状悪化の予防 当院(リペアセルクリニック)では、側頭葉てんかん手術後の後遺症や機能回復に関する再生医療について無料カウンセリングを実施していますので、ぜひご相談ください。 また再生医療については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/WDZayyLiOYc?feature=shared 側頭葉てんかん手術の内容 区分 項目 内容 手術の基本 手術の対象 側頭葉が原因のてんかん発作 適応の目安 薬で発作が抑えられない場合 手術の目的 発作の軽減・消失、生活の質の向上 主な術式 選択的海馬扁桃体摘出術 海馬と扁桃体の摘出による発作源の除去 海馬多切術 海馬に小さな切れ目を入れて異常信号を遮断 前側頭葉切除術 側頭葉前部と海馬・扁桃体の広範囲な切除 手術後の効果と注意点 得られる効果 発作の回数や強さの軽減、薬の減量、精神的負担の軽減 手術後の注意点 記憶障害・視野障害などの後遺症の可能性 術後の評価 発作の変化と機能障害の有無を定期的に観察 (文献1) 側頭葉てんかんは、脳の側頭葉から発作が始まるタイプのてんかんです。薬だけでは発作を十分に抑えられない場合は手術が検討されます。手術の目的は、発作の原因となる異常な脳組織を切除し、発作の頻度や強さを減らすことです。 代表的な術式には前側頭葉切除術や選択的扁桃体海馬切除術があり、いずれも発作の原因部位に直接アプローチする手術です。 手術によって発作の改善が期待できる一方で、記憶障害や視野障害などの後遺症が生じるリスクもあります。また、まれに術後てんかんと呼ばれる新たな発作が起こることもあり、手術を受けるかどうかは、リスクや効果、今後の生活への影響について医師とよく相談し、納得した上での判断が大切です。 側頭葉のてんかん手術で期待される効果 効果 内容 発作の消失・軽減 発作の制御による生活の自由度の向上、転倒やけがの予防、運転・就労・学業への支障の軽減 高い発作抑制率 発作の軽減や消失が期待される 薬の減量・中止の可能性 長期服薬からの解放、副作用(眠気・集中力低下など)の軽減、薬剤数の減少 生活の快適さの向上 薬への依存度の低下による自立度や活動範囲の拡大 精神的負担の軽減 発作への不安や孤立感の緩和、気分の落ち込みや不安感の改善 社会生活への前向きさの回復 自己肯定感の向上、人間関係や仕事・学業への意欲の回復 生活の質(QOL)の向上 安定した日常の獲得 側頭葉てんかんに対する外科的治療は、発作のコントロールを目的とした有効な選択肢です。 発作の消失・大幅な軽減が期待できる 抗てんかん薬の減量・服用から解放される可能性がある 精神的・心理的負担の軽減が期待できる 手術にはリスクも伴いますが、てんかんの発作を根本から改善する手段として、期待できるため、医師と相談した上で実施されます。 発作の消失・大幅な軽減が期待できる 項目 内容 発作の完全消失 発作の原因となる脳組織の切除による根本的な発作の消失 発作頻度の減少 発作の回数や強さの大幅な軽減による生活の安定 社会生活への前進 就労・運転・学業などへの制限の緩和 QOLの改善 発作の心配が減ることで得られる日常生活への不安解消 手術の主な目的は、発作の繰り返しを抑えることです。意識を失うような発作が続く場合は、運転や就労などに大きな支障が出るため、手術によって障壁を取り除ける可能性があります。 手術効果の程度には個人差があるものの、術前に発作の焦点が明確であるほど効果が期待できます。 抗てんかん薬の減量・服用から解放される可能性がある 項目 内容 薬の必要性の低下 発作の消失・軽減による服薬依存度の軽減 副作用からの解放 眠気・倦怠感・認知機能低下などからの回復 生活の質の向上 薬の影響を受けにくい、自由な日常生活の実現 活動範囲の拡大 集中力や意欲の改善による社会参加の促進 薬剤数の減少 多剤併用からの移行による身体への負担軽減 薬だけで発作を抑えきれない場合や副作用が日常生活に支障をきたす場合、手術は選択肢です。側頭葉てんかんの手術によって発作が十分に抑制されれば、薬の量を減らす、または中止できる可能性があります。 臨床報告でも、手術によって薬を減らせた実績が示されています。東京医科歯科大学のデータでは、発作が消失した患者の84%のうち、35%が抗てんかん薬の中止に成功しています。(参考:東京医科歯科大学脳神経機能外科) さらに、静岡てんかん・神経医療センターの調査では、術後2年で91%、15年以上経過しても85%の患者が発作のない、またはごく軽い状態を維持し、薬に頼らず安定した生活を送っていることが報告されています。(文献2) 精神的・心理的負担の軽減が期待できる 項目 内容 発作間欠期の精神症状の改善 発作がない時に生じる不安や抑うつ、感情の不安定さの軽減 感情コントロールの安定 脳の電気的な不安定さの改善による情緒の安定化 自己効力感の向上 発作への不安の軽減による自信と行動範囲の拡大 社会参加の再開 就労・学業・趣味・交流の再開による生活満足度の向上 生活の質の向上 精神的な充実感と生活全体の質の向上 薬の副作用の軽減 抗てんかん薬の減量・中止による眠気や気分変化の改善 精神的負担の軽減 薬や発作によるストレスの緩和と心理的な安定 (文献3) てんかん発作は、単なる身体症状にとどまらず、精神的なストレスや社会的な孤立感にもつながります。側頭葉てんかん手術によって発作が軽減されることで、精神的負担も軽減されます。 また、抗てんかん薬の副作用として見られる気分の落ち込みや集中力の低下も、服用量の減少によって改善する可能性があります。 手術の効果は、発作の抑制だけでなく、日常の不安解消や人間関係の改善といった心理的側面にも良い影響をもたらすことが期待されます。 側頭葉のてんかん手術で起こりうる後遺症 後遺症の種類 内容 認知機能の低下 記憶力・注意力・思考力の低下による日常動作の困難 視野障害 見える範囲が狭くなることによる歩行や運転時の支障 言語機能の低下 言葉の理解や表現の困難、会話時の不自由さ 感情の不安定さ 怒りや不安、落ち込みなど情緒の変動の起こりやすさ 運動麻痺・感覚障害 手足の動かしにくさや、しびれ・感覚の低下 側頭葉は、記憶や言語、感情などの重要な機能を担っています。そのため、手術によって発作が抑制される一方で、一定の後遺症が生じる可能性もあります。 手術の有効性だけでなく後遺症についても理解しておく必要があります。 認知機能の低下 障害の種類 症状 発症のメカニズム 記憶障害 新しい情報の記憶困難、過去の出来事の想起困難 新しい情報の記憶困難、過去の出来事の想起困難 側頭葉(とくに海馬)への影響による記銘力・想起力の低下。左右で記憶の種類に差異あり 言語機能の低下 単語が出てこない、話や文章の理解が難しくなる 左側頭葉の損傷による言語中枢への影響(ウェルニッケ野など) 注意・集中力の低下 情報処理速度の低下、同時処理の困難 側頭葉と前頭葉の連携低下による認知負荷の上昇 遂行機能の低下 計画性の低下、問題解決の困難、行動の抑制低下 前頭葉とのネットワーク機能の変化による高次認知機能の障害 感情・社会性の変化 感情の起伏の変化、他者理解の困難 扁桃体や前頭側頭ネットワークの影響による情動調整や社会的認知の変化 側頭葉は記憶や理解力に関わる重要な領域です。そのため、側頭葉てんかんの手術後には、記憶力や集中力といった認知機能の低下がまれに起こることがあります。 記憶障害や注意力の低下といった認知面の変化が生活に支障をきたす可能性があるため、手術を検討する際は、このようなリスクもしっかり理解した上で、医師と相談しながら判断するのが大切です。 視野障害 障害の種類 原因 特徴や補足 上方視野欠損(上方同名性四分盲) 手術中の視放線下位線維の損傷 上1/4の視野が見えにくくなる。本の上部が読みづらい、標識に気づきにくいなど 半盲などの広範な視野欠損 広範囲の視覚経路の損傷 左右どちらかの視野が半分見えない可能性 一時的な視野障害 術後の脳浮腫や出血による圧迫 一時的に視覚情報の伝達が障害されることがある (文献4) 後遺症として起こる視覚障害は、手術によって視覚情報を処理する神経の一部が影響を受けた場合に生じるものです。視覚障害の中でも上1/4の視野が見えにくくなる症状が報告されています。 1/4の視野が見えにくくなる症状は日常生活に支障をきたすこともありますが、失明ではないため、見えない範囲を他の視覚で補う動作が習慣化し、時間とともに生活の不便さは軽減されていく傾向があります。 言語機能の低下 障害の種類 特徴 聴覚性言語理解の低下(ウェルニッケ失語) 他人の話す内容の理解困難、返答の不自然さ、自身の発話の意味不明瞭化 語想起困難(健忘失語) 名前や言葉の思い出し困難、指示語の多用、会話中の言葉詰まり 構文理解の低下 複雑な文や受動表現の理解困難 発語の流暢性の低下(ブローカ失語) 単語の区切り話し、不自然な文法、話すスピードの低下 呼称の錯誤 物の名前の言い間違い(例:「りんご」を「みかん」と言う) 失読・失書 読む力・書く力の低下(失読・失書) 高次言語機能の障害 比喩や冗談、文脈の理解の困難、不適切な言葉の選択 (文献5) 側頭葉の中でも、とくに左側にはウェルニッケ野や側頭回といった言語理解・記憶に関わる重要な領域が存在します。手術で影響を受けると、言語理解や発語の流暢性、記憶といった機能に障害(失語症)が生じる可能性があり、会話や業務に支障を及ぼしかねません。 対して、術後の言語リハビリで徐々に回復するケースも少なくありません。元の状態に戻るとは限りませんが、継続的なトレーニングで日常生活へ復帰は期待できます。 感情が不安定になる 側頭葉は感情のコントロールに関わる脳の重要な領域であり、内側には扁桃体や海馬など、感情処理を担う構造が含まれます。手術によってこれらの部位や、前頭葉との神経ネットワークに影響が及ぶことで、一時的に怒りっぽくなったり、涙もろくなったりするなど、感情の変化が生じることがあります。 感情の変化には個人差があるため、術後は医師やカウンセラー、家族と連携し、心のケアも含めたサポートを受けることが大切です。 運動麻痺や感覚障害 障害の種類 症状 片側の運動麻痺(不全麻痺を含む) 手足の力の入りにくさ、動作の鈍さ、細かい作業の困難 顔面神経麻痺(軽度なことが多い) 口角の下がり、まぶたの閉じにくさ 片側の感覚障害 手足のしびれ、ピリピリ感、鈍さ、ジンジンとした違和感 顔面の感覚障害 頬や唇などの感覚低下や違和感 側頭葉てんかんの手術は、通常、運動や感覚を司る領域からは離れていますが、まれに脳の深部にある神経経路(内包や視放線など)に近づくことで、影響が及ぶことがあります。その結果、手足の麻痺やしびれ、顔の感覚異常などが術後に現れる可能性があります。 万が一、術後に一時的な麻痺やしびれが現れた場合でも、早期からのリハビリによって改善が見込めるため、手や足の動き、顔や体の感覚に違和感を覚えた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 側頭葉てんかん手術で起こりうる後遺症の対策 対策 内容 手術前の準備を怠らない 精密検査によるリスクの把握と手術計画を立てる 手術後のリハビリテーション 運動・言語・感情面の機能回復を目指す継続的な訓練 メンタルケアを怠らない 感情の変化や不安への対応としてのカウンセリングや薬物療法 家族や職場への情報共有 周囲の理解とサポートを得るための適切な説明と連携 側頭葉てんかんの手術後に生じる後遺症に備えるには、事前の対策と周囲の協力が大切です。 術後は、運動や言語機能、感情面のリハビリを継続的に行うことで、回復が期待できます。 手術前の準備を怠らない カテゴリー 項目 内容 術前評価と情報収集 神経学的検査 運動や感覚の異常の有無を確認 MRI・脳波検査 病巣や発作の場所の特定と切除範囲の計画 神経心理学的検査 記憶・言語・注意などの認知機能の評価 MEG・PET検査 脳の活動領域や血流の確認 医師とのコミュニケーション 手術内容・効果・リスクの十分な理解と納得 健康状態の管理 基礎疾患の管理 高血圧・糖尿病などの安定化 禁煙・禁酒 術後合併症リスクの低減 栄養改善・睡眠 体力と免疫力の維持、心身の安定 感染予防 手洗い・うがいの徹底 術後の生活準備 リハビリ計画 術後の身体・言語機能の回復支援 生活環境の整備 家の段差・手すり設置などへの対策 精神的サポート 家族・専門家との連携による心のケア (文献6) 側頭葉てんかん手術に備えるには、術前の精密検査と体調管理が重要です。MRIや脳波、心理検査で脳の状態を把握し、医師と手術計画を立てます。 高血圧や糖尿病の管理、禁煙・禁酒、栄養や睡眠の改善、感染予防も大切です。術後に向けては、リハビリや生活環境の準備、家族との連携を整えることで、スムーズな回復と社会復帰が目指せます。 手術後のリハビリテーション 項目 内容 リハビリの目的 機能回復、日常生活の自立支援、社会復帰の促進 開始時期 容体安定後、医師の許可を得て開始 リハビリ内容 筋力や動作の訓練、感覚刺激、記憶や注意のトレーニング、言語や嚥下の練習 実施場所と期間 病院内または外来・訪問、数週間〜数カ月以上の継続もあり (文献7) 側頭葉てんかんの手術後は、発作の軽減に加え、機能の回復を目的としたリハビリが大切です。術後に現れる可能性のある運動麻痺、感覚障害、言語障害、記憶や注意力の低下、感情の不安定さなどに対して、医師の指導のもと、リハビリが実施されます。 理学療法では筋力やバランスの回復を、作業療法では日常動作の改善を目指します。言語聴覚療法では、言葉の理解や発話、飲み込みの訓練を行い、心理的な不安にはカウンセリングが効果的です。リハビリは術後の安定を確認し、早期に始めるのが望ましく、脳の回復力を引き出す上でも重要です。 期間には個人差がありますが、数週間から数カ月以上に及ぶこともあります。リハビリの継続や家族や医師のサポートが社会復帰への大きな助けとなります。 メンタルケアを怠らない メンタルケアの工夫 内容 感情の変化を受け止めること 不安・落ち込み・イライラを否定せず、手術後の一時的な影響として受け入れる姿勢 誰かに悩みを話すこと 家族・友人・医療スタッフとの会話による気持ちの整理 リラックスできる時間を持つこと 趣味、音楽、散歩、入浴など、心地よく過ごせる時間の確保 質の高い睡眠と休息の確保 睡眠環境の整備と、日中の適切な休憩による心身の回復 適度な運動の継続 医師の指導のもとでの軽い運動による気分転換とストレス軽減 栄養バランスの取れた食事 規則正しい食生活による心身の安定 焦らず自分のペースで回復を目指すこと 比較を避け、少しずつの変化を前向きに捉える姿勢 サポートグループへの参加(可能な範囲で) 同じ経験を持つ人との交流による孤独感の緩和と情報共有 (文献8)(文献9) 側頭葉てんかんの手術後は、身体的な回復だけでなく、心のケアも欠かせません。一方で後遺症や再発、社会復帰などの不安を抱える方もいます。また、側頭葉は感情を司る脳領域と深く関係しているため、術後に気分の浮き沈みや情緒の不安定さが生じることもあります。 このような変化は一時的な場合もありますが、放置すれば生活や人間関係に悪影響を及ぼすことがあるため、早めの対処が大切です。 家族や職場への情報共有 共有のタイミング 内容 手術前 検査内容の説明や不安の共有を行う 手術直後 手術結果や一時的な症状の可能性を家族に伝えておku 入院中 リハビリの進み具合や接し方の注意点を家族に理解してもらう 退院時 自宅での注意点や服薬・体調管理について家族と連携する 職場・学校への伝達 復帰時期や配慮が必要な症状について職場や学校と相談する 長期的なサポート 院や体調変化への理解と協力を周囲に求めておく (文献8)(文献10) 側頭葉てんかんの手術後の生活を円滑に進めるには、家族や職場との情報共有が欠かせません。術後は一時的に認知機能や感情面に変化が現れることがあり、周囲の理解があるかどうかで支援の質や生活のしやすさが大きく変わります。 家族には、手術内容や後遺症の可能性、リハビリの方針、日常生活での注意点をわかりやすく伝えることが大切です。職場にも復職に向けて、通院リハビリの調整や業務内容の見直しなどを相談しましょう。 不安を一人で抱え込まず、周囲と協力しながら環境を整えることが、回復に役立ちます。 側頭葉てんかん手術後の後遺症でお悩みの方はご相談ください 側頭葉てんかんの手術後に現れる後遺症は、生活の質に影響しやすく、人には相談しづらい悩みも多くあります。 当院(リペアセルクリニック)では、そうした術後のお悩みに丁寧に耳を傾け、幹細胞を用いた再生医療を組み合わせることで回復をサポートしています。 【再生医療で期待できること】 身体機能(後遺症)の回復 リハビリ効果の向上 再発や症状悪化の予防 リハビリだけでは改善が難しい慢性的な神経症状に対しても、新たな治療の選択肢として再生医療が注目されています。 一人で悩まずに少しでも改善の可能性を探したいという方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談にてお気軽にご相談ください。 側頭葉のてんかん手術と後遺症に関するよくある質問 側頭葉てんかんの手術は誰でも受けられますか? 側頭葉てんかんの手術は、すべての方が受けられるわけではありません。薬で発作が十分に抑えられないことや、発作の原因となる部位が明確に特定できること、さらに手術による効果とリスクのバランスが取れていることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。 手術を受けるタイミングはいつですか? 側頭葉てんかんの手術を受けるタイミングは一概に決まっておらず、病状や年齢、生活状況、治療への希望によって異なります。医療機関での診察結果に基づき、医師の指示に従いましょう。(文献11) 手術の後遺症は元に戻すことはできますか? 側頭葉てんかんの手術後に生じる後遺症の回復には個人差があり、軽度なものは自然回復やリハビリによる改善が期待できます。 一方で、脳の損傷が大きい場合は、回復が難しいこともあります。根本的な治療法は限られますが、環境整備やリハビリによって機能の維持や生活の質の向上を図ることは可能です。(文献12) 退院後すぐに元の生活に戻れますか? 側頭葉てんかんの手術後の生活復帰には個人差があり、回復状況や生活の内容によって大きく異なります。 一般的にはすぐに元の生活に戻るのは難しく、術後は安静を保ちながら段階的に復帰を目指します。復帰までには数週間から数カ月かかることが一般的です。 参考資料 (文献1) 奥村 修三.「頭蓋内手術後の突発性脳波異常の出現とてんかん性痙攣発作の危険性及び抗痙攣剤の使用について」35(6), pp.1-4, https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/35/6/35_6_527/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献2) 国立保険医療科学院「側頭葉てんかん外科手術後の記憶障害機構の解明」厚生労働科学研究成果データベース , 2015年5月21日 https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/21416(最終アクセス:2025年5月12日) (文献3) 原 広一郎ほか.「てんかんとメンタルヘルスについて」『千葉県循環器病センター/てんかんセンター医療法人静和会 浅井病院』, pp.1-20, 2024年 https://www.pref.chiba.lg.jp/junkan/shinryoka/shinkate/documents/mentaruherusu.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献4) 岩崎 真樹.「てんかんの外科治療」『国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経外科』, pp.1-21, 2020年 https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/200808_document_03.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献5) 曽根大地ほか.「世界で初めて側頭葉てんかんの根治治療に最適な脳の切除範囲を同定〜術後の言語記憶障害のリスクを従来の 8 分の1に〜」『東京慈恵会医科大学』, pp.1-4, 2021年 https://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20211126.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献6) 三嶋健司.「てんかん外科に必要な看護」『国立精神・神経研究センター病看護部3階南病棟』, pp.1-15, https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/201219_document_07.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献7) 藤川真由.「てんかんリハビリテーションと社会制度の今」, pp.1-5, 2021年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/38/4/38_569/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年5月12日) (文献9) 「てんかんとともに働き暮らすために」『社団法人日本てんかん協会』, pp.1-128 https://www.jea-net.jp/wp-content/uploads/2018/11/useful_pdf_08.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献9) 田中優.「てんかん患者さんの社会復帰支援・精神科デイケアについて」『NCNP病医院 国立精神・神経医療研究センター』, pp.1-12 https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/240721_document1_08.pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献10) 福智 寿彦.「てんかん患者の自立と社会参加支援」, pp.1-7,2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjghp/26/1/26_21/_pdf(最終アクセス:2025年5月12日) (文献11) 石下 洋平,川合 謙介.「てんかん外科治療の適切なタイミング」『脳と発達』, pp.1-7, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/52/4/52_223/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年5月12日) (文献12) 向野 隆彦.「側頭葉てんかんにおける記憶障害」『臨床神経学』34(7), pp.1-7, 2024年 https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/064070453.pdf(最終アクセス:2025年5月12日)
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