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- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
- 膝の慢性障害
- スポーツ外傷
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、有酸素運動に取り組む場合によく見られる炎症です。 とくに習慣的にランニングを楽しむ方の間で頻発することから、ランナー膝とも呼ばれます。 しかし腸脛靭帯炎の症状や治療法、予防法などはあまり知られていません。しかし発症しやすい炎症であるため、事前に知識を知って対処するのが重要です。 本記事では腸脛靭帯炎の症状や治療法、効果的なストレッチやテーピングなどを解説します。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の基礎知識 まず、腸脛靭帯炎がどのような炎症か解説します。 そのあと、発生の原因やメカニズム、診断方法などを解説します。 事前に腸脛靭帯炎に関して理解し、発症した際、冷静に対処できるようにしておきましょう。 「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」とは? この病気がどのようなものか説明するには腸脛靭帯に関して知る必要があり、簡単にお伝えします。 腸脛靭帯とは、骨盤の外側に出っ張っている腸骨(ちょうこつ)から、膝下にある脛骨(けいこつ)につながっていて太ももの外側部分に長く伸びるように位置しています。 また、腸脛靭帯は大臀筋と大腿筋膜腸筋(だいたいきんまくちょうきん)という、これまた長くて難しい名前の筋肉とつながることで身体をぐらつかせることなく、さらに身体を安定して保つ大切な役目を担っています。 膝上の太もも部分の外側を押すと、硬いスジ状のものに触れることができますが、これが腸脛靭帯です。 とくに大きな動きに対して大臀筋と呼ばれる大きな筋肉と大腿筋膜張筋とにつながることで、それらの力を脚に伝える役割があります。 腸脛靭帯の働きのおかげで骨盤や膝が安定し、歩くことは勿論、スムーズなランニングを助けてくれます。 そんな腸脛靭帯が炎症を起こした状態が「腸脛靭帯炎」です。 メール相談 オンラインカウンセリング 「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん:ランナー膝)」とは 腸脛靭帯炎は、別名「ランナー膝」と呼ばれるくらい、「ランニングの愛好家にとって多いケガ」の一つです。ここでは腸脛靭帯炎の症状、原因、診断に関して簡単に説明します。 自分に当てはまる点はないか、チェックしてみましょう。 腸脛靭帯炎の症状 腸脛靭帯炎の初期症状は、運動後に膝の外側に痛みが出ることです。痛みが出る場所は、外側上顆(がいそくじょうか)と言われる膝外側の出っ張り部分です。 痛みは安静にすれば徐々に収まります。 しかし、炎症がひどい場合や、痛みを我慢して無理を続けた場合、歩いたり、膝を曲げ伸ばしをしただけでも痛みが出ることがあります。 久しぶりにランニングやジョギング、ウォーキングを頑張った人によくみられる症状です。 「さぁ、健康のために頑張って走ろう!!」という矢先につまずいてしまうと、やる気も削がれかねません。 腸脛靭帯炎の発生メカニズム 腸脛靭帯炎は、繰り返される『摩擦』によって生じます。 摩擦が起こる場所は、大腿骨の外側上顆という場所です。 そこは骨が隆起しており、膝を曲げ伸ばしすることで腸脛靭帯が外側上顆を乗り越えてしまいます。 とくに膝を軽く曲げた状態(屈曲30°くらい)でちょうど乗り越えるため、ランニングのように、0〜30°くらいの曲げ伸ばしを繰り返すことで摩擦がかかりやすくなってしまいます。 発症の主な原因 腸脛靭帯炎の原因の大半はランニングやサイクリングなどの反復的な運動、もしくは運動に対する筋力不足です。 ただし以下の原因で発症する可能性があります。 ・O足 ・扁平足 ・股関節周囲の筋肉の老化 O足や扁平足などは、股関節の機能低下や骨同士の位置関係を乱します。これが原因で腸脛靭帯炎を発症するケースもあります。 また股関節周囲の老化が原因になるかもしれません。 したがってランナー以外の方でも腸脛靭帯炎が発症しうると言えます。 腸脛靭帯炎の初期対応 原因がランニングなどの運動なら、症状が落ち着くまで休養します。 場合によっては、患部にアイシングや湿布を貼付すれば症状の緩和が得られます。 とくに急性期では患部の安静と炎症を抑えることを最優先させましょう。 また症状がごく軽微な場合をのぞき、医療機関で診察を受けることをおすすめします。 その理由として、腸脛靭帯炎でなく、半月板損傷などの重篤な障害が生じている可能性があるからです。 また医療機関で診察を受ければ、症状の緩和や、周辺にある滑液包での炎症の予防に効果的な、投薬や注射が受けられるでしょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 腸脛靭帯炎の診断 腸脛靭帯炎は、問診や触診である程度は鑑別できます。 ただ、炎症の状態や他の疾患と見分けるためにレントゲンやMRI、エコー検査が必要なことがあります。 また、腸脛靭帯炎には、特有のテストがあります。 それが「Grasping Test(グラスピングテスト)」です。 やり方は、難しくありませんので、もしかしたら腸脛靭帯炎かもしれない、と思われた方は、試してみましょう。 【Grasping Testの方法】 ①患者さんの膝を90°ほど曲げる。 ②痛みが出ている場所の少し上を親指で強く押さえる。 ③その状態で膝をゆっくり伸ばしていく。 ④その時に痛みが出るのであれば、腸脛靭帯炎が疑われる。 腸脛靭帯炎にならないためのトレーニング ここまで、股関節機能の低下や骨の位置関係の乱れにより、腸脛靭帯炎を発症しうると解説してきました。 股関節の筋力の低下や足元のぐらつきにより、ランニング時に膝が内外にぐらつくと腸脛靭帯への摩擦が増加してしまいます。 安静期間により症状が落ち着いても、同じような状態だとまた腸脛靭帯炎を繰り返してしまうでしょう。 そのため、ランニングなどのスポーツに復帰するにあたり、腸脛靭帯への負荷を減らすためのトレーニングを推奨しています。 ここでは以下の3つの方法を紹介します。 各トレーニングは、やみくもに動かすのではなく、いずれも体を安定させ、姿勢を意識して行うことがポイントです。 1,股関節の外側の筋肉:大臀筋、中臀筋 上になっているほうの足を持ち上げる→下ろす を繰り返す 2,股関節の内側の筋肉:内転筋 下になっている方の足を持ち上げる→下ろす を繰り返す 3,ふくらはぎの筋肉:下腿三頭筋(ヒラメ筋、腓腹筋) つま先立ち→かかとを降ろす を繰り返す 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療や予防に役立つストレッチ・セルフケア 腸脛靭帯は、足首や他の膝の靭帯と違い、断裂など重症化するケースはほとんどありません。 そのため、基本的には普段と同じような生活を送っていただいて結構です。 ①腸脛靭帯炎に有効なストレッチ 腸脛靭帯炎による痛みが落ち着いたら、徐々にストレッチを開始します。 腸脛靭帯炎を発症する人の特徴として、身体のケア不足により筋肉の伸び縮みの動きが悪くなっていることがあります。 ここでは、腸脛靭帯と連結している大腿筋膜張筋と股関節および大腿部前面の筋肉の3つのストレッチ方法をお伝えします。 1.大腿筋膜張筋のストレッチ 各ストレッチは、無理をせず、痛くなりすぎない範囲で行いましょう。 2.股関節前面の筋肉のストレッチ 3.大腿部前面の筋肉のストレッチ ②腸脛靭帯炎(ランナー膝)に有効なマッサージとセルフケア またマッサージによっても、腸脛靭帯炎の症状を緩和できます。 たとえば以下の半月板(膝のお皿)をマッサージする方法は簡単に取り組めるのでおすすめです。 ・左右の親指と人差し指で、半月板を軽くつかむ ・内側の方向に半月板を軽く押し込む ・内側から外側に軽く押し込む ・2と3を繰り返す また半月板を手のひらで包み、円を描くように回すのも効果的です。 セルフケアとして、運動後や風呂上がりにアイシングをおこなうのも良いでしょう。 熱を取り除くことで、腸脛靭帯炎を予防できます。 ③重度の場合は外科手術も検討 腸脛靭帯炎の症状が顕著な場合は、外科手術が有効です。 腸脛靭帯炎の治療では以下の手術が用いられます。 ・腸脛靭帯炎の切開|腸脛靭帯炎の患部周辺を解放し摩擦を減らす ・滑液包の除去|腸脛靭帯炎と大腿骨の隙間にある滑液包の一部または全部を取り除く ・腸炎靭帯延長手術|腸脛靭帯を伸ばすなどして、症状の改善や再発防止を図る 手術と保存療法どちらが適切か、専門家でなければ判断できません。 自身で判断せず、医療機関で受診して医師の判断を仰ぎましょう。 近年では、自己脂肪由来幹細胞などを用いた、再生医療による腸脛靭帯炎の治療の研究も進められています。 再生医療を用いれば、従来よりも効果的な治療が受けられるかもしれません。 再生医療については、以下の記事を参考にしてください。 関連記事:再生医療とは|リペアセルクリニック メール相談 オンラインカウンセリング 腸脛靭帯炎(ランナー膝)とスポーツとの関係 腸脛靭帯炎のテーピングで大事なことは、腸脛靭帯の負担を減らしてあげることです。 そのため、腸脛靭帯自体をサポートするテーピングと、膝の動きをサポートするテーピングの2種類を用いて行います。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)のテーピング あくまでテーピングは補助的な役割にしか過ぎません。また、その人によってテーピングの効果が十分に発揮できない場合もあります。 可能な限り、専門の医療機関にご相談の上、「テーピング」を施行するようにしましょう。 このようなテーピング以外にも「サポーター等の装具」を用いて腸脛靭帯を支え、安定を図る方法もあります。 腸脛靭帯炎と靴(シューズ)選び 腸脛靱帯炎の対策のなかでは靴選びも大切です。 足が左右にぐらつくと腸脛靱帯につながる大腿筋膜張筋が頑張ってぐらつきを止めようとします。 そうすると、筋肉が過剰に働き、ピンと張った状態になります。 その状態で走り続けると、腸脛靭帯への摩擦が助長されて腸脛靭帯炎を引き起こしかねません。シューズ選びの際は以下の3つのポイントを意識してみましょう。 靴は使用に伴い消耗します。 定期的、あるいは、いま一度自身の靴をチェックして自分に合った最適な靴を選びましょう。 1.シューズの後ろ、カップの部分がしっかりしているか 2.指の付け根で曲がるのか 3.シューズが過度に捻じれやすくなっていないか まとめ・腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療では医師の指示を受けるのが重要 今回は、腸脛靭帯炎に関して、病態や、ストレッチ、テーピング、靴選びなどの角度から、その対策をお話しました。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)は、ランニングやスポーツをする人に多い症状ですが、正しい対処法を知っていれば予防や治療が可能です。 まずは症状や原因を理解し、痛みが出た場合には早めの対処が重要です。 また症状が軽微な場合をのぞき、医療機関を受診し、適切な指示を得るようにしましょう。 初期の対応としては、炎症を抑えるための安静やストレッチ、適切なテーピングが有効です。 また、腸脛靭帯炎を予防するためには、股関節やふくらはぎの筋力を鍛えるトレーニングや、適切な靴選びも重要です。 日常生活での意識や対策を行い、ランニングやスポーツを安全に楽しむために、ストレッチをはじめ、適切なケアを心がけましょう。 腸脛靭帯炎は誰にでも起こりうるケガです。 これから運動を始める人も、ランニング愛好家の皆さんも運動前の準備運動、そして運動後のカラダのケアをしっかり行いながら、自分に合ったペースで頑張りましょう。 メール相談 オンラインカウンセリング ▼ 腸脛靭帯炎はじめ、スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています ▼以下も参考にしていただけます 腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)を早く治すポイント
2022.11.04 -
- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
「腸脛靭帯炎が長引いていて辛い。」「早く治すにはどうしたらいい?」 腸脛靭帯炎は、ランナー膝とも呼ばれるスポーツ障害で、膝の外側が痛むのが特徴です。放置すると回復まで数か月かかることもあり、早く治したいと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。 結論からお伝えすると、腸脛靭帯炎を早く治すためには、まず安静にして痛み・炎症を落ち着かせることが大切です。その後、軽いストレッチやトレーニングを行いつつ、段階的に運動を再開しましょう。 本記事では、腸脛靭帯炎を早く治す方法について、医師監修のもとストレッチから日常生活での注意点を解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」では腸脛靭帯炎に効果が期待できる再生医療を提供しています。 腸脛靭帯炎の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 腸脛靭帯炎を早く治すためのケア方法4選 腸脛靭帯炎を早く治すためには、痛みを和らげる対処から始め、段階的にストレッチや筋トレを取り入れていきましょう。 ここでは以下の4つのポイントを紹介します。 安静 おしりや太ももの外側・ふくらはぎのストレッチ おしりの横の筋力トレーニング 痛みが少ない適度な運動 それぞれ詳しく解説していきます。 安静 腸脛靭帯炎の初期症状で最も大切なのは、安静にして休養を取ることです。 痛みを我慢してランニングやスポーツを続けると、炎症が悪化して長期化するリスクが高まります。 そのため、痛みが強い場合は最低でも2〜3日は安静にすることをおすすめします。 痛みが強い場合は整形外科を受診して、炎症や痛みを抑える薬の使用も検討してください。 おしりや太ももの外側・ふくらはぎのストレッチ 腸脛靱帯にかかる負担を減少させるため「おしりや太ももの外側の硬さを改善するストレッチ」もおすすめです。 以下の手順で1日2〜3回、各部位15〜30秒ずつ行うのが理想的です。 1.立った状態で両足を交差させる(足同士はこぶし1つ分ほど離します) 2.両手を組んで頭の上にあげて後ろになっている足に向かって体を横に倒す 3.できるだけ体を倒した状態で15秒〜30秒キープする ただし、痛みを感じるような強いストレッチは逆効果となるため、気持ちよく伸びる程度の強さで実施しましょう。 おしりの横の筋力トレーニング 腸脛靭帯炎の早期回復には、おしりの横の筋肉(中殿筋)を鍛えておくのも効果的です。 なぜなら、中殿筋は膝の安定性を高め腸脛靭帯への負担を軽減する働きがあるためです。 おしりの横の筋肉を鍛えるには以下の手順で行ってみましょう。 1.横向きになり両膝を曲げる 2.上になっている足の膝をまっすぐ伸ばした状態で持ち上げる 3.足の付け根が曲がらないように意識しながら10秒キープする 徐々に回数や強度を上げていくと効果的な筋力アップに期待できます。 痛みが少ない適度な運動 症状が落ち着いてきたら段階的に運動を再開していきましょう。 まずは、ウォーキングや水中歩行など膝への負担が少ない運動から始め、痛みがない状態が続いたら、ゆっくりとしたジョギングに移行していきます。 万が一運動後に痛みが出た場合は、すぐに運動を中止して安静にしてください。焦らず段階的に運動強度を上げていくと、早期の回復も見込めます。 さらに詳しく腸脛靭帯炎(ランナー膝)治療法について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)は何日で治る? 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の回復期間は、症状の程度や日常生活での対処法によって大きく異なります。 軽症の場合は数週間から1カ月ほどで治ることがほとんどですが、中度以上の腸脛靭帯炎は完治まで1~3カ月かかることもあります。 本章では、軽度から中度以上の症状まで、それぞれの回復にかかる期間と適切な対処法についてみていきましょう。 軽症の腸脛靭帯炎は数週間〜1カ月で治ることが多い 軽症の腸脛靭帯炎は適切な対処によって「数週間〜1カ月」での回復が見込めます。 初期症状の特徴はランニング中や運動後に膝の外側に軽い痛みを感じる程度です。 この段階で休息を取り、適切なケアを始めれば早期に改善するケースが多く見られます。 ただし、痛みが軽いからといって運動を継続してしまうと、症状が悪化する可能性が高まりますので注意してください。 中度以上の腸脛靭帯炎は1〜3カ月かかる場合がある 中度以上の腸脛靭帯炎では、日常生活にも支障をきたすほどの痛みを伴います。 階段の上り下りや長時間の歩行で強い痛みを感じ、夜間に痛みで目が覚めることもあるはずです。 このような状態からの回復には「通常1〜3カ月程度」の時間が必要です。 ただし、適切な治療とケアの継続によって症状は改善していきます。 焦って早期復帰を目指すのではなく、段階的なリハビリを行いながら、じっくりと回復を目指していきましょう。 ランナー膝の詳しい症状については、以下の記事を参考にチェックしてみてください。 腸脛靭帯炎を早く治すためにやってはいけないこと 腸脛靭帯炎を早く治すためには、症状を悪化させる行動を知り避けることが重要です。 腸脛靭帯炎の治療中に控えるべき動作には、以下の4つが挙げられます。 過度な運動や負荷のかかる動作 長時間の立ち仕事や同じ姿勢の維持 急激な方向転換やジャンプ 間違ったストレッチ それぞれ詳しく解説していきますのでチェックしておきましょう。 過度な運動や負荷のかかる動作 ランニングやジョギングなど、膝に直接負荷がかかる運動は要注意です。 痛みを感じているにもかかわらず運動を続けると、炎症が悪化して治療期間が長引いてしまいます。 そのため、まずは痛みが落ち着くまで、膝に負担のかかる運動は控えめにしましょう。 代わりに水中ウォーキングなど、負荷の少ない運動であればおすすめです。 長時間の立ち仕事や同じ姿勢の維持 立ち仕事や座りっぱなしの姿勢は、膝への負担が蓄積していく原因となります。 そのため、同じ姿勢を長時間続けていると腸脛靭帯炎の症状が悪化するリスクが高まりますので避けてください。 もし、立ち仕事が避けられない方は30分おきに軽い屈伸運動を行うなど、こまめに姿勢を変えてみましょう。 また、座る時は膝を90度に保ち足を組まないよう心がけるのも大切です。 急激な方向転換やジャンプ スポーツ時の急な方向転換やジャンプによる着地の衝撃は、腸脛靭帯に大きな負担をかけます。 とくにバスケットボールやテニスなど、急な動きの多いスポーツは要注意です。 回復の期間中はこれらの動作を極力避け、膝への負担が少ない動きを心がけましょう。 どうしてもスポーツを行う必要がある場合は、事前のウォーミングアップを丁寧に行い、動きをコントロールするのが重要です。 間違ったストレッチ ストレッチは腸脛靭帯炎に効果的なケア方法でもありますが、誤った方法で行うと逆効果となります。 とくに痛みを我慢して無理に伸ばす動作は症状を悪化させる原因となります。 痛みを感じない範囲でゆっくりと行うのがベストであり、炎症が強い時期は避けるべきです。 腸脛靭帯炎の回復初期の段階では、医師や理学療法士に相談しながら、適切な方法でストレッチを実施しましょう。 腸脛靭帯炎の具体的な治療方法 腸脛靭帯炎の治療方法は、症状の程度に応じて段階的なアプローチを取ります。 多くの場合、以下の治療法を組み合わせることで改善が期待できます。 保存療法として安静・ストレッチ・リハビリを行う 運動環境やフォームを改善して負担を軽減する 保存療法で効果がない場合に外科的治療を検討する 再生医療で腸脛靭帯の修復を促進する まずは炎症を抑えるのが重要です。適度な安静を保ちながら、専門家の指導でストレッチやリハビリに取り組みましょう。 次に大切なのが環境改善です。シューズの選び方や走り方のフォームを見直すと膝への負担を大幅に軽減できます。 ただし、これらの保存療法で改善が見られない場合は、外科的治療も選択肢として検討していきます。 また、新しい治療法としてPRP療法などの再生医療も注目を集めています。 体内の治癒力を高め、より効果的な回復が期待できるでしょう。 腸脛靭帯炎の具体的な治療法について、さらに詳しく知りたい方はぜひ以下の記事もご覧ください。 まとめ|腸脛靭帯炎を早く治すためには正しいケア方法を理解しよう この記事では腸脛靭帯炎を早く治す方法から予防法まで詳しく解説してきました。 症状は人それぞれ異なりますが、基本的なケア方法を理解し実践していくと改善は十分に見込めます。 今回ご紹介した治療中にやってはいけない動作を避けつつ、あなたに合った回復プランを見つけてください。 腸脛靭帯炎の治療を検討している方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング 腸脛靭帯炎を早く治す方法についてよくある質問 痛みを和らげるためのサポーターは効果がありますか? サポーターには一時的な痛み軽減効果があり、膝を安定させて過度な負担を防ぐ役割を果たします。 しかし、長期的な使用は筋力低下を招く可能性もあります。 そのため、初期の痛み軽減時のみ使用し、症状が改善したら徐々に使用を控えるのが良いでしょう。 また、テーピングや靴選びについては以下の記事も参考にしてください。 腸脛靭帯炎とランナー膝は同じものですか? 腸脛靭帯炎は医学的な正式名称で、ランナー膝は一般的な呼び名であるため、同じ症状を指します。 長距離走者に多い症状のため「ランナー膝」と呼ばれていますが、運動習慣のない方でも発症する可能性があります。 また、立ち仕事や急な運動開始でも起こりうるため、運動経験に関係なく注意が必要な症状です。 ランナー膝の治し方について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
2022.10.12 -
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
- ひざ関節
「半月板損傷を早く治したい」「1日でも早くスポーツへの復帰を目指したい」といった方も多いでしょう。 膝の障害と聞くと年配者のイメージですが、若年者であっても過度な運動などによってスポーツ傷害を引き起こすリスクがあります。 なかでも、頻繁に認められる疾患が半月板損傷といえます。半月板を損傷し、万が一慢性化すると、将来的に変形性膝関節症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 半月板損傷は、リハビリテーションを視野に入れながら適切に治療を行うことが重要です。今回は、半月板損傷を慢性化させず、早く治すための方法について詳しく解説していきます。 半月板損傷とは 半月板とは、繊維軟骨でできている組織で、Cの型や半月状の形をしていることが特徴です。膝関節の大腿骨と脛骨の間にあり、膝の内側と外側に存在している組織です。 半月板は、膝の滑らかな動きを可能にするほか、膝を安定させて荷重を分散させたり、物理的な外力による衝撃を吸収したりする機能を果たしています。 半月板が損傷すると膝部に疼痛が生じ、膝を屈曲・伸展する際に引っかかりを感じるようになります。ひどいケースでは、激痛のために歩行できなくなったり、関節内部で強い炎症を引き起こして膝全体が腫れあがったりするケースも珍しくありません。 半月板損傷の主な原因 半月板損傷は、スポーツの際に起きる怪我から発症するのみならず、加齢に伴う場合が多いのも事実です。 傷つきやすくなっている半月板組織に外部からわずかな力が加わることで、損傷・断裂を引き起こす症例もあるため注意が必要です。 外傷性の半月板損傷は、激しいスポーツのほか、長時間のランニングや急に立ち止まる動作などによって起こります。また、事故などによって膝が物理的なダメージを負ったときにも、外傷性の半月板損傷につながる可能性が考えられます。 また、年齢とともに長い年月をかけて半月板への負担が蓄積されると、わずかな衝撃や力が加わっただけでも損傷するケースが少なくありません。 とくに、長時間のウォーキングや膝をねじるような動きをした際に損傷リスクが高まります。 半月板損傷は自然に治らないため治療が必要 半月板損傷は、基本的に自然には治りません。 なぜなら、半月板は血管が乏しく、修復に必要な栄養素が運ばれにくいためです。 膝に痛みや違和感を感じるからといって、半月板損傷を発症しているとは限りません。しかし、半月板損傷を放置してしまうと、膝の軟骨部分が露出してすり減ったり関節の変形が進行したりするリスクが高まるため注意が必要です。 膝に痛みや違和感を感じる場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。検査の結果、半月板損傷と診断された場合には、早く治すためにも適切な治療を受けましょう。 半月板損傷を早く治す方法 半月板損傷を発症した際の主な治療法としては、以下の3つが挙げられます。 保存療法 手術療法 再生医療 個別の症状や生活習慣に応じて、早く治すための治療法を選択する必要があります。 保存療法 保存療法とは、薬物の内服や適切なリハビリテーションを通じて回復を目指す方法です。軽度な痛みや半月板損傷に対して優先的に試みる方法で、3カ月程度を目安に治療を続けるのが一般的です。 具体的には、膝に負担をかけないよう安静を保ちながら、抗炎症薬の投与やヒアルロン酸注射、筋力強化のためのリハビリテーションを行って痛みの緩和を目指します。なお、保存療法を続けても症状が改善されない場合は、手術療法に進むかどうかを判断する必要があります。 手術療法 手術療法は、保存療法で効果がない場合や、膝の安定性を維持するために半月板の修復が必要な場合に検討すべき治療法です。 手術療法の主な目的は、膝関節の機能を回復させ、半月板損傷の再発や関節の変形を防ぐことです。 半月板損傷の手術には、縫合術と切除術の2種類があります。 半月板縫合術 半月板が部分的に切れたり裂けたりした場合に選択する術式 半月板切除術 半月板が広範囲に損傷しており、縫合による修復が難しい場合に選択する術式 半月板は血流がもともと少なく、損傷したところが修復されにくい組織です。そのため、縫い合わせても元の通りにくっつかないことが多く、手術の9割は切除術を選択せざるを得ない状況だといわれています。 ▼ 半月板損傷の手術について詳しく知りたい方は、以下をご参考ください。 再生医療 保存療法で効果が得られない場合、手術に代わる治療法として、再生医療という選択肢があります。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出す医療技術です。 幹細胞を投与することで、半月板損傷に対する高い治療効果が期待できます。 再生医療なら、半月板を切り取る手術をしなくて良い分、膝の関節が変形するリスクを避けられるメリットがあります。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みや半月板損傷の治療が可能です。当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、ぜひ気軽にご連絡ください。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます 半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションの4ステップ 半月板損傷を早く治すためには、適切なリハビリテーションが欠かせません。 運動器リハビリテーションは、患者の運動能力や生活機能を回復させた上で、レベルの維持を目指す治療法です。 半月板の損傷度や症状は一人ひとり異なるため、実際にリハビリテーションを実践するタイミングはさまざまです。 しかし、リハビリテーションの基本的なステップはほとんど変わらないため、以下で解説する内容を参考に、担当の理学療法士とよく相談して進めましょう。 1.関節可動域を増やすために訓練する リハビリテーションにおける最初のステップは、関節可動域の訓練です。具体的には、膝関節を曲げ伸ばしできる角度を改善するために、リハビリテーションを行います。 半月板損傷を発症すると、一般的に膝の曲げ伸ばしが困難になって日常生活に多大な支障が生じます。そのため、可動域を増やすことを目標にした理学的な訓練を実施することが大切です。 また、膝関節をかばって股関節や足関節が拘縮すると、かえって膝に負荷が集中してしまうため注意が必要です。半月板損傷を早く治すためには、膝関節のみならず、股関節や足関節に対するリハビリテーションも行う必要があります。 2.筋肉をつける 関節の可動域を増やすための訓練や、股関節あるいは足関節のリハビリに慣れてきたら、並行して膝周辺の筋力増強を図ります。具体的には、膝関節を支えやすくなるようなトレーニングを取り入れていくことがポイントです。 半月板が損傷している状況では、膝周りにあるほかの構造物で半月板を代理して体を支えなければなりません。半月板損傷の再発を防止するためにも、膝周辺の筋力強化によって膝を安定化させ、身体を支えられるようにすることが大切です。 3.バランストレーニングを行う リハビリテーションが後半に差し掛かると、バランストレーニングを始めます。バランストレーニングとは、本来の膝領域におけるバランス感覚を取り戻すためのリハビリテーションです。 半月板は膝関節を安定させる機能を有しており、損傷によって膝が不安定になると、身体を支えられずに怪我を引き起こす危険性があります。 そのため、バランスを取り戻すための理学療法は、半月板損傷のリハビリテーションにおける重要なトレーニングの一つであるといえるでしょう。 4.アスレチック・リハビリテーションを実践する リハビリテーションの最終段階になると、スポーツ競技や運動動作の再開を見据えて、アスレチック・リハビリテーションを実践します。 アスレチック・リハビリテーションは、筋力がある程度回復し、膝関節の痛みをほとんど自覚しない状態になった場合に、本格的なスポーツへの復帰に向けて行う理学療法です。 まずはジョギングに取り組み、ひざの痛みが悪化しないかを確認します。とくに問題がないようであれば、徐々に梯子を用いたラダートレーニングや両脚ジャンプなどの動作を取り入れていくのが一般的です。最終段階では、競技に応じた特有の動きがスムーズにできるように、より実践的な運動動作を確認していきます。 半月板損傷を早く治すためは手術前のリハビリも効果的 半月板損傷を早く治すためには、手術後に限らず、手術前のリハビリテーションも効果的です。 とくに、術後すぐに動けない場合は、足首周りや股関節周りなど、ほかの部位の関節機能を低下させる可能性が高いため注意が必要です。半月板の手術後、スムーズに回復・リハビリテーションを進めるためには、手術前から筋力トレーニングを行ったり、生活指導を受けたりしておくと良いでしょう。 また、半月板損傷を早く治すために何をすべきか、術後のリハビリテーションについて理解を深めておくことも大切です。 軽度の半月板損傷|術後のリハビリ期間の目安 半月板を損傷した場合、治療法や症状によってリハビリテーションの方法や期間が異なります。以下で、手術後のリハビリテーションについて詳しく解説します。 半月板縫合術は術後6〜10週間で運動しても良い 半月板縫合術による施術の場合、損傷の程度や部位によってリハビリテーションのスケジュールが異なるため注意してください。 縫合部分が再び断裂してしまうことを防ぐため、術後2週間程度は松葉杖での生活になるでしょう。また、膝の曲げ伸ばしにも制限があるため、激しい運動はできません。 術後6週程度から、軽めのジョギング等の運動が可能になります。スポーツなどへの復帰は10週程度で段階を経て行っていくのが一般的です。 ただし、重症のケースや経過によってはスポーツへの復帰が半年前後かかる場合もあります。術後の経過や回復に応じて臨機応変に対応していくことがポイントになります。 半月板切除術は術後2〜4週間で運動しても良い 半月板切除による施術の場合、縫合術と比べてリハビリテーションを早く進められます。多くの場合は、松葉杖やサポーターを使用しながら、術後すぐに体重をかけて歩行できるでしょう。 術後2週間程度で軽めのジョギングなどをはじめ、膝の安定性を高めるための筋力トレーニングを段階的に行っていくのが一般的です。日常生活の動作に支障がなくなったら、スポーツへの復帰に向けて徐々に運動強度を上げていきます。 半月板切除による施術の場合、1カ月前後でスポーツへの復帰が可能です。 半月板損傷を早く治すためにやってはいけないこと 半月板損傷を早く治すためには、治療の過程でやってはいけないことがあります。半月板損傷を悪化させたり、回復を遅らせたりしないためにも、以下のような動きには注意してください。 膝をひねるような動き 膝の過度な曲げ伸ばし 長時間の歩行 座りっぱなしや立ちっぱなし 階段の上り下り 半月板損傷の治療中は、膝に負担をかける姿勢や動作を避けることが大切です。 なかには、日常生活でうっかりやってしまう可能性も考えられます。これらの動作をしていることに気がついたら、できるだけ短時間でやめるようにしてください。 半月板を早く治すためには、慎重なアプローチが必要です。リハビリ期間中は、無理をせず専門家の指導に従って回復を目指しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、半月板損傷の治療に不安がある方は、気軽にご連絡ください。 ▼ 半月板損傷の治療における注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。 【医師監修】半月板損傷でやってはいけないこと!放置するリスクや治療方法も解説 まとめ・半月板損傷を早く治すためにはリハビリテーションが効果的 半月板損傷とはどのような病気なのか、早く治すためのリハビリテーションを4つのステップに分けて詳しく解説しました。 半月板は、膝関節の内部にある軟骨様の構造物で、軟骨部に負荷がかかるような外からの物理的な力を和らげる重要な役割を担っています。半月板を損傷した場合には、損傷度合いに応じて具体的な治療期間やリハビリテーションの内容を個別に決めなければなりません。 半月板のような軟骨組織は、完全に治癒するまでにかなりの時間を要します。身体機能をカバー出来るよう、患部はもちろん身体の状況を判断しながら計画的にリハビリテーションに取り組む必要があります。 決して無理をせずにトレーナーや理学療法士と相談して適切な治療を行いましょう。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます ▼ヒアルロン酸注射による治療について詳しく知りたい方は、以下もご参考ください。
2022.07.26 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
スポーツをする方や高齢者の中には、膝を痛めて半月板損傷になった方もいらっしゃるでしょう。手術によって本当に治るのか、悪化や再手術にならないのか治療に対し不安を抱える方もいるかもしれません。 半月板損傷の手術は、変形性膝関節症のリスクを減らせるメリットがある一方で、再手術の可能性があるデメリットもあります。メリットとデメリットを考慮し、医師と相談の上で手術するかどうかを検討すると良いでしょう。 本記事では、半月板損傷の手術の種類やメリットデメリットについて詳しく解説しています。本記事が半月板損傷になった方が手術を検討する材料となれれば幸いです。 半月板損傷はスポーツマンや高齢者に多い 半月板損傷は高齢者やスポーツマンに多くみられる外傷です。 半月板は膝の内側と外側に位置し、膝関節に起こる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。加齢とともに弱くなるため、半月板損傷は老化現象のひとつとして普通に起こりうることです。 また、スポーツにおいては、急に体を曲げたりひねったりする動作を繰り返すと、半月板への負担が増して損傷するリスクが高まります。 半月板が損傷すると膝の曲げ伸ばしが不安定になったり、痛みや腫れで膝が動かなくなったりする場合もあります。 半月板損傷の原因や症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術半月板損傷における2つの手術方法 半月板損傷後は、手術が必要な場合と不要な場合があります。最終的には損傷のレベルや年齢など個人の状態に合わせて手術を検討します。 半月板損傷の手術の種類は下記の2種類です。 縫合術 切除術 自分自身でもどのような手術があるのかを理解して、医師に相談して決めましょう。 軟骨をつなげる「縫合術」 「縫合術」は、その名の通り損傷した軟骨を縫い合わせて修復する手術です。 一般的に縫合術は以下の手順で行われます。 1.膝の蓋近くに数か所穴をあける 2.手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 3.関節鏡で患部を確認しながら縫い合わせる 縫合術は傷ついた軟膏を取り除く「切除法」と比べて、半月板の温存しやすいメリットがあります。そのため、縫合術が可能な状態であれば、こちらが優先的に選択されます。 その反面、考えられるリスクは半月板の再損傷と再手術です。半月板の再発は高くて5人に1人と低い確率ではありません。(文献1) その他、下記の合併症のリスクの可能性があります。 感染症 関節水腫(関節液が関節にたまり腫れ・痛みを生じる) リスクも踏まえて慎重に検討しましょう。 損傷した部分を取り除く「切除法」 切除法は、文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術です。損傷部位の縫合が難しい場合、多くの場合は切除術が選択されます。 一般的に切除法は、下記の手順で行います。 1.膝の蓋近くに数か所穴をあける 2.手術に関節鏡(小型カメラ)と使用する器材を体内に入れる 3.関節鏡で患部を確認しながら少しずつ専用のハサミで切除する 半月板の損傷状態によっては、傷ついた軟骨のみ取り除いて正常な部分は残す方法も選択されます。 縫合術よりも感染症の合併リスクが少ない一方で、ロッキングの繰り返しが多くなり変形性膝関節症のリスクが高まるリスクもあります。 半月板の治療についてより詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 半月板損傷の手術をするメリットは「変形性膝関節症のリスクを減らせる」 半月板損傷の手術を受けることで、半月板損傷が重症化して起こる「変形性膝関節症」のリスクを低減できる可能性があります。 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨が摩擦によって変形することで膝の腫れや痛みを伴う病気です。加齢や肥満により膝関節に負担がかかって発症するケースが多くみられます。 変形性膝関節症の症状によっては、人工関節を入れる手術が必要になることもあります。 半月板損傷の手術は、長期的な目線で見ると、このような2次的な病気を防げるメリットがあるといえるでしょう。 半月板損傷の手術をするデメリットは「再手術の可能性がある」 半月板損傷は、早期の手術により慢性的な膝関節の病気を防げるのがメリットである一方、再手術のリスクがあるのがデメリットです。 手術により半月板の痛みや損傷が一時的に改善しても、再度激しい運動の繰り返しや加齢によって再発し、再手術となる可能性も否定できません。 膝の変性に伴う半月板損傷の場合、切除法は縫合術よりも変形性膝関節症へ進行する可能性が高まります。 半月板損傷の手術を検討する上で、どのようなリスクがあるのか不安がある方は、かかりつけの医師に相談しましょう。 半月板損傷の手術によって歩けるまでの期間が違う 半月板損傷をする場合、治療期間の目安は以下のとおりです。 縫合術 切除術 入院期間 約2週間 約4日間 歩行可能期間 術後約2週間 術後の翌日から スポーツ復帰 術後約3カ月 術後約1~2カ月 退院後はリハビリが必要になるため、定期的な通院が必要です。医師や理学療法士の指示に従って適切なリハビリを行いましょう。 半月板損傷の術後のリハビリについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 まとめ|半月板損傷の手術に臨む前にメリットとデメリットを考えましょう 半月板損傷の手術には、メリット・デメリットがそれぞれ存在します。これらを十分に理解した上で、手術を受けるべきか検討しましょう。 また、手術を受けても膝の痛みが改善されない場合、治療法の選択肢として、「再生医療」が挙げられます。 とくに幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を抽出し培養、患部に投与すると膝の痛みの改善が期待できる可能性があります。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による半月板損傷の治療が可能です。メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 また、膝の症状を改善する再生医療が気になる方は、下記リンクも参考にしていただければ幸いです。 半月板損傷の手術に関してよくある質問 手術にはどのくらいの費用がかかりますか? 手術にかかる費用は、病院や治療内容によって変動します。半月板損傷の治療は健康保険適応です。3割負担の方の場合、負担金は7〜20万円程度と考えられるでしょう。 いずれにしても、手術にかかる費用は高額です。負担が大きい場合は、高額療養費制度や限度額適用認定証の活用で費用の負担を減らすことも可能です。(文献2)(文献3) 費用を減らせる金額は自身の収入や加入している保険区分によって変動します。詳しく知りたい方は、自身が加入している健康保険組合に問い合わせてみてください。 半月板損傷で手術をしない選択肢はないのでしょうか? 半月板損傷になっても、必ず手術しなければいけないわけではありません。半月板損傷が軽度の場合は、手術をしない方法を選択できます。 手術をしない治療法の例として、以下があります。 ・ヒアルロン酸の注入 ・関節穿刺(かんせつせんし) ・鎮痛剤の服用 このほか、近年では自身の幹細胞を利用した再生医療による治療も可能です。当院「リペアセルクリニック」でも、再生医療による膝の痛みを対象とした治療を行っています。メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング 参考文献一覧 (文献1) 緒方 悠太, 佐藤 孝二, 木内 正太郎, 田渕 幸祐. 外側半月板縫合術後3 ヵ月における身体機能の特徴. J-STAGE]. 2022年11月. https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushupt/2022/0/2022_54/_article/-char/ja/, 2024.11.10. (文献2) 高額療養費制度を利用される皆さまへ. 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html, 2024.11.10. (文献3) マイナ保険証または限度額適用認定証をご利用ください . 全国健康保険協会.https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/,2024.11.10.
2022.06.18 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
「膝の痛みが気になっているけれど手術するか悩む……」 「手術をしたあと後遺症が心配……」など、気になっていませんか? 半月板損傷の手術で起こる後遺症が心配になり、放置すると症状を悪化させる可能性があります。 そこで本記事では、半月板損傷で施す手術療法の種類とともに、治療の注意点を解説しています。 手術をして起こりうる後遺症、手術しないリスクについてもまとめました。半月板損傷でおすすめしたい治療法も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 半月板損傷とは 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とスネの骨(脛骨:けいこつ)の間にある軟骨で、衝撃を吸収する役割があります。 「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。上半身の負荷や関節をスムーズに動かす大切な存在ですが、実は半月板には約10〜20%しか血が通っていません。 一度損傷してしまうと自然に治癒するのは極めて困難です。 再発防止やスポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もいます。 40歳を超えたら半月板損傷がよくみられるので、以下の症状がある方は手術を検討しましょう。 【半月板損傷の主な症状】 膝の痛みや腫れがある 膝の動きが制限される 普段より膝に水が溜まりやすくなる など 膝の半月板手術を受ける上で、先に細かい注意点が知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 半月板損傷の手術療法の違いとそれぞれの注意点 半月板損傷の手術療法は大きく分けて以下の手術を行います。 内視鏡術 縫合術 切除術 手術療法の違いについて、それぞれの違いや注意点を解説していきます。 内視鏡術 半月板損傷の症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。 内視鏡術は腰椎麻酔で行うケースが多く、手術中は意識があるので希望する方に向け、説明をしながら手術を受けられるのが特徴です。 しかし画像上で半月板に損傷がみられても、痛みの程度や動作による支障があまり出ていない症状も考えられるでしょう。 症状によっては、投薬し安静にしていれば症状が軽くなる場合もあります。 縫合術 半月板損傷の手術は、安定した生活動作や若年層の方、スポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り縫合術で行います。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。 損傷の度合いや形態を観察し、損傷しているカ所の激しい患部を優先的に処置する施術です。 血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していく流れです。 糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷しているカ所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らず済む方法もあります。 ただし縫合術を終えたあとは、以下の点には注意しましょう。 入院期間である術後2週間は足を床につけてはいけない 固定具を装着し膝を伸ばした状態をキープする 2週間後は経過観察の上で適切なリハビリを実施する 詳しいリハビリ法については、以下の記事でまとめていますので、ぜひあわせてご覧ください。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるわけではありません。 手術をしても「痛みが取れない」「手術前よりも痛くなった」とよく言われます。 リスクを回避する方法については、以下のページで詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 切除術 半月板損傷で行う切除術は、断裂している部分に血行がなく、断裂しているカ所が縫合しても改善されないほど損傷が大きい場合に適応されます。 損傷範囲が広い症状では、断裂している部分を専用器具で切り取り除去します。 半月板の辺縁部分には血行があるため、縫合術で対応するのが大半です。 しかし、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整える必要があるので、切除術が選択肢になります。 傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦せず、軟骨の損傷をも防げます。 注意点として、切除術は半月板の機能を低下させるリスクやデメリットがあるので注意が必要です。 可能な限り温存させる方向で、必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 他にも以下のケースで切除術が行われるので、症状によって適切に判断しましょう。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している(縫合術との組み合わせ) 円板状半月板の方 半月板の治療で切除術を選択した場合、関節軟骨が変形する「膝関節症」になる可能性もあります。 術後1〜2カ月は水が溜まりやすく、むくみが生じるリスクもあるので注意しましょう。 縫合術との違いは、術後翌日には歩行になり、退院も4日程度なので比較的すぐ歩けるようになる点です。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れず、むしろ余計に痛みを感じた方もいます。 半月板損傷の手術後の後遺症 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 感染 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) しびれ それぞれの後遺症について、詳しく解説していきます。 感染 半月板の手術で起こる可能性がある後遺症でまず挙げられるのが細菌感染です。 手術時の傷跡から細菌に感染し、化膿すると発症します。 内視鏡術の場合で細菌感染する可能性は、1%と言われていますが、一度感染すると半月板損傷としての治療以外を行うリスクが伴います。 あらかじめ細菌感染の後遺症が発症しないよう、抗生物質を使うケースもあるので、専門医のカウンセリングで相談しておくのが無難です。 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症) 静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)は、半月板の手術で発症する後遺症ではないものの、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります。 名の通り、足の静脈にできた血栓が、肺の動脈で詰まってしまう症状です。 長時間座ったままでいたときにも起こる可能性がある症状なので、胸の痛みや呼吸困難を感じた方は要注意です。 半月板の手術自体で発症する後遺症ではなくても、気になる症状がある方は、ぜひ以下の記事も参考にしてください。 膝の痛みを感じた方がよく処置を受ける「膝の水を抜く」治療を行ったあとの注意点をまとめています。 しびれ 半月板損傷の手術をすると、患部にしびれを感じます。 手術の過程で下肢への血流を遮断しているので、しびれが起きます。 しかし多くの場合で術後数日ほどで、しびれが改善するので、改善されない場合は必ず担当医師に相談しましょう。 半月板損傷の手術をしたあとの後遺症を含め、不安に感じている点があれば、当院ではオンラインカウンセリングも実施しています。 「1週間経ってもしびれが改善されない」「痛みが軽減されない……」など、お気軽にご連絡ください。 半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷が発症していて、手術を検討していても、後遺症が心配な方のなかには「後遺症があるならそのままにしよう」と考える方もいるでしょう。 半月板損傷の手術で起こる可能性がある後遺症が気になり、放置してしまうと、以下のリスクが起きてしまいます。 ロッキング現象が起こる 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷を放置するリスクも、把握できるよう順番に解説していきます。 ロッキング現象が起こる 半月板損傷を放置すると、ロッキング現象が起こります。 ロッキング現象とは、膝の痛みだけでなくロックされたように動かなくなる症状です。 ロッキング現象は何かの予兆があるわけではなく、急に起こる可能性があります。半月板損傷で発症した破片が膝に引っ掛かり起こる症状なので、目で見て判断するのは困難です。 ロッキング現象が起こると、膝の曲げ伸ばしなどの動きが制限されるので、手術をしなければいけなくなります。 水が溜まり運動機能が低下する 半月板損傷が発症すると水が溜まりやすくなり、何度も溜まった結果、運動機能が低下する可能性もあります。 膝に水が溜まったら抜けば良いと思われがちですが、根本的な治療を施さない限り、また溜まってしまいます。 半月板損傷の慢性化により発症する傾向にあるので、放置するより手術で根本的な治療をするのが良いでしょう。 以下の記事では、半月板損傷が発症したときにやってはいけない項目をまとめています。 放置するリスクとともに、リスク回避の参考にしてもらえると幸いです。 手術後の後遺症を抑えたいなら再生医療がおすすめ! 半月板損傷の手術には縫合術・切除術ともにリスクを伴います。 実は幹細胞を用いた再生医療では、手術による後遺症のリスクを負わず治療を受けられるのです。 縫合術との比較 縫合術の場合、縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。 縫合をしても半月板がしっかりとくっついていないため発生するのです。 一方で幹細胞治療の再生医療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復するので、日常生活だけでなくスポーツ復帰も可能です。 縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられます。 再生医療では、治療を受けた当日に歩いて帰れるのが特徴です。 切除術との比較 切除術の場合、半月板の一部を取り除くので、関節のクッション性がなくなります。 数年後には関節軟骨がすり減り、変形性膝関節症になる方が大半です。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方であれば30%、スポーツをしている方は70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。 切除術をすると切った部分から再び断裂が生じる可能性もあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを感じるでしょう。 一方で幹細胞治療は、半月板をそのまま温存できるので、クッション性がなくなる心配がありません。 変形性膝関節症や再断裂のリスクも減らしてくれるのが再生医療の魅力です。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻りません。 後戻りができない治療を受ける前だけでなく、術後の再断裂の予防にも再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、より強固に半月板が修復されるでしょう。切除術を受けた後も同様に、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。 しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている新たな半月板損傷の治療としても有効です。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます まとめ・後遺症が不安なら受診とともに再生医療を検討しよう! 本記事では半月板損傷の手術をしたあとに起こる可能性がある後遺症について解説しました。 膝の痛みや腫れ、動きが制限されるなどの症状が伴う半月板損傷の手術をしても、感染、静脈血栓塞栓症などの後遺症が挙げられます。 後遺症になるのは避けたく、手術せずに放置するとロッキング現象や水が溜まりやすくなり運動機能の低下が起きてしまいます。 膝の曲げ伸ばしができず歩きにくくなるので、半月板損傷を放置するのは避けるべきでしょう。 適切な処置をするためにも、自分で判断せず病院やクリニックで受診するのをおすすめします。 ▼以下もご参考にしてください
2022.05.04 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 変形性膝関節症
「インターネットで膝の痛みについて検索しても、自分の膝の症状に当てはまるのかわからない」と悩んでいませんか。 自分の膝の痛みは放置しても治るのか、病院で治療を受けるべきなのかが判断できず、不安になることもあるかもしれません。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織が存在し、損傷や炎症を起こしている部位によって疾患名が変わる可能性があります。自己判断が難しい場合もあるため、気になる場合は早めに整形外科の受診も検討しましょう。 本記事では膝の部位ごとに痛みを感じる病気と対処方法を解説します。 記事を最後まで読めば膝の痛みがある部位ごとに疑われる疾患名がわかり、病院に行くべきか判断する際の参考になるでしょう。 「膝が痛む場所」によって診断結果が変わる可能性が高い 結論から言えば、膝の痛みが出ている場所によって、診断される病名は変わる可能性が高いでしょう。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織があり、どの組織が損傷・炎症しているかによって疾患名が変わるためです。 言い換えると、痛みが出る部位が明確であれば、損傷・炎症している膝の組織や疾患名も予測しやすいといえます。 「膝の内側」が痛む2つの病気 膝の内側が痛い場合は、以下2つの病気が考えられます。 変形性膝関節症 鵞足炎 膝の内側の痛みに悩んでいる方は、自分自身の症状に当てはまるかチェックしてみましょう。また、変形性膝関節症と鵞足炎の詳細については、以下の記事もご参照ください。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで膝関節が変形していく病気です。加齢や筋力低下のほかにも、骨折•感染症も原因となる可能性があります。 主な症状は変形した関節の痛みや可動域の制限、関節水腫などです。初期症状では痛みがある程度ですが、進行していくにつれて変形が大きくなり、炎症反応がみられるようになります。 末期になれば変形が強く関節面がゆがむために関節可動域制限が大きくなり、日常生活に支障がでることも珍しくありません。 鵞足炎 鵞足炎とは、膝の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こす病気です。 ダッシュからのストップやジャンプ動作を繰り返すことで生じる、いわゆるオーバーユース症候群に分類されます。スポーツ選手に多く発症しますが、階段の上り下りや長距離歩行が多い人に発症することも少なくありません。 主な症状は歩くときや椅子からの立ち上がりなど、足に力を入れたときに膝の内側、下方に生じる痛みです。重症化すると荷重時だけでなく、安静時にも痛みを感じることがあります。 「膝の外側」が痛む2つの病気 実際に膝の外側が痛い場合、以下に挙げる2つの病気が考えられます。 腸脛靭帯炎 外側半月板損傷 膝の外側に痛みを感じている方にはこれらの病気が当てはまるかもしれません。痛みで悩んでいる方はぜひチェックして、ご自身の症状と比較してください。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎とはランナー膝とも呼ばれ、膝の外側にある腸脛靭帯という組織に炎症がみられる病気です。 膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで腸脛靭帯が膝の外側の出っ張り(大腿骨外顆)とこすれ、摩擦によって炎症が起きます。そのため、ランニングなど膝の曲げ伸ばしが多いスポーツが主な原因です。 症状は膝の外側の痛みで、初期では膝を動かしたときのみに痛みを感じます。重症化してくると安静時にも痛みを感じるようになり、痛みがなかなかひきません。 外側半月板損傷 外側半月板損傷とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)の間にあるクッションの損傷です。 膝関節の内側と外側にそれぞれありますが、外側にある半月板の損傷が膝の外側の痛みにつながります。損傷の原因はスポーツや日常生活のなかで膝の外側に大きな負担がかかり続けることや、加齢に伴う関節の変性、筋力低下などです。 外側半月板損傷では痛みのほか、関節可動域の制限がみられます。関節運動が不安定になり、膝の曲げ伸ばしの途中で半月板が引っかかることで動かなくなる「ロッキング」も外側半月板損傷の特徴です。 「膝の上側」が痛む2つの病気 膝の上側に痛みを出す病気で考えられるものは以下の2つです。 大腿四頭筋付着部炎 膝蓋大腿関節症 膝の曲げ伸ばしなどで膝の上に痛みを感じる人はこれらの病気が当てはまる可能性があります。自分の症状と照らし合わせてみてください。 また、膝の上の痛みについては以下の記事でも解説していますので、気になる方はこちらもチェックしましょう。 大腿四頭筋付着部炎 大腿四頭筋付着部炎とは、太ももの前にある大腿四頭筋が付着する膝蓋骨(膝のお皿)上部に痛みを生じる病気で、ジャンパー膝とも呼ばれます。 いわゆるオーバーユース症候群に分類され、大腿四頭筋を使いすぎることが原因です。ジャンプ動作やダッシュを繰り返すスポーツ選手に多く発症します。 初期症状ではスポーツ時に限定される痛みが特徴ですが、悪化すると歩行や階段昇降など日常生活でも痛みを感じるようになります。 大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)の原因や治療は、以下の記事も参考にしてください。 膝蓋大腿関節症 膝蓋大腿関節症は、大腿骨と膝蓋骨の間にある軟骨が変性することで痛みや関節可動域制限が生じる病気です。 膝の運動に伴い上下に動く膝蓋骨の軟骨が変性することで動きが悪くなり、関節の変形へとつながります。 主な原因は加齢と膝蓋骨の骨折・脱臼です。これらの原因によって膝蓋骨の軟骨が変性、摩耗し、膝の上部に痛みが生じます。 また、膝蓋骨の動きが悪くなることで膝全体の可動域が制限されることもあるでしょう。 「膝の裏側」が痛む2つの病気 膝の裏側に痛みが出る場合に疑われるのは、以下の2つの病気です。 関節リウマチ 膝靭帯損傷 これらの病気は放置すると危険なため、膝の裏側に痛みを感じる方は注意が必要です。ご自身の症状とこの2つの病気が当てはまるかどうか必ずチェックしてください。 また以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節の中にある滑膜という組織がなんらかの原因で異常増殖し、炎症を起こす進行性の疾患です。 症状が進行すると関節が破壊され、痛みや関節の変形を伴います。全身の関節に起こる病気ですが、膝であれば膝裏にも痛みを感じることが特徴的です。 関節リウマチは自己免疫疾患だと考えられていて、発症する原因はわかっていません。しかし、30〜40代の女性に発症しやすい傾向があります。 早期発見・早期治療によって症状の進行を抑えることが重要な疾患です。 膝靭帯損傷 膝靭帯損傷は膝にある4種類の靭帯のいずれかが損傷する疾患で、膝の裏の痛みではとくに後十字靭帯損傷が疑われます。 後十字靭帯損傷は事故やスポーツによって損傷しやすい靭帯で、損傷すると膝裏の痛みや膝の伸ばしにくさが出るのが特徴です。 後十字靭帯は自然治癒が難しいため、損傷すると時間経過とともに元どおりになることがありません。すぐに手術をする必要はありませんが、サポーターなどの装具での補強やリハビリが必要です。 【場所別】膝が痛むときの対処法 膝の痛みは、痛む場所によって対処法が異なります。主な対策は以下のとおりです。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 本章を参考に、自分の膝の痛みに合った対処法を試してみましょう。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の内側が痛い場合は、「鵞足炎」もしくは「変形性膝関節症」の可能性があるため、膝関節へ負担をかけないことが大切です。 病名によって対処法がやや異なるため、以下の表を参考に試してみましょう。 病気名 対処法 鵞足炎 ・安静にすること ・鵞足につく太ももの内側・裏側の筋肉をストレッチする ・お尻の筋力強化 変形性膝関節症 ・適切な体重にコントロールする ・膝の筋力強化 ・痛み止め(消炎鎮痛剤)の服用 これらの疾患は圧痛の位置によっておおまかに見分けられます。 鵞足炎では膝の内側・下方に圧痛があるのに対し、変形性膝関節症では大腿骨と脛骨の関節面付近に圧痛があります。 圧痛の場所を確認し、可能性のある疾患を見極めた上で適切な対処を行いましょう。 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の外側に痛みを感じる場合「腸脛靭帯炎」もしくは「側半月板損傷」が考えられます。これらの疾患への対処法として、股関節周囲の筋力強化やストレッチが重要です。 腸脛靭帯は股関節の外側から膝に向かって伸びている靭帯で、膝を支える役割がある組織です。お尻の筋肉とつながっているため、股関節の筋力強化やストレッチで強くしなやかになり、腸脛靭帯炎の予防になるでしょう。 外側半月板は膝の中にあるクッションで2つある半月板のうち、外側にあるものを指します。身体の外側に体重がかかると外側半月板の負担になるため、股関節の筋力強化・ストレッチを行い、体重のかかり方をコントロールする必要があります。 股関節を捻るストレッチやあぐらをかくストレッチが効果的です。筋力強化は仰向けでのお尻上げやスクワットといったお尻の筋肉に力をいれるトレーニングを取り入れてください。 また、どちらの疾患もオーバーユースが要因となるため、痛みが強いときには安静も重要です。 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の上に痛みを感じる場合「大腿四頭筋付着部炎」や「膝蓋大腿関節症」の可能性があるため、太ももの筋肉の柔軟性を高めましょう。 大腿四頭筋付着部炎と膝蓋大腿関節症は大腿四頭筋の柔軟性が低下することで発症しやすくなります。膝を深くまで曲げるストレッチや、足を後ろに引いて骨盤を前に出すストレッチで大腿四頭筋の柔軟性が高まるでしょう。 また、ストレッチだけでなく筋力強化も重要です。大腿四頭筋を強化することで膝蓋骨の動きがスムーズになり、また付着部の炎症も起きにくくなります。仰向けでの脚上げやスクワット、段差昇降が有効なため、ぜひ試してみてください。 なお、大腿四頭筋のストレッチの詳しいやり方はこちらでも解説しています。ぜひご覧ください。 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 膝の裏に痛みを感じるときは「関節リウマチ」や「膝靭帯損傷」が疑われます。自分での対処が難しいケースがほとんどであるため、可能な限り早く整形外科を受診しましょう。 整形外科を受診する場合には、MRIがある施設がおすすめです。MRIがあれば関節の変形や炎症の程度がわかるため、適切な診断を受けられます。 また、関節リウマチを疑う場合には採血も必要なため、受診する前に採血が可能か問い合わせておくと安心です。 まとめ|膝の痛みは場所によって原因が違う!気になる人は早めの受診がおすすめ 今回は膝が痛む場所からわかる膝の病気について詳しく解説しました。 個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることはいうまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝の病気があることも事実です。 もし膝の痛みの原因が自分で特定できない場合は、病院で受診することをおすすめします。 また、当院「リペアクリニック」では、膝の痛みに関する治療法として、再生医療を行っています。 2023年12月には、国内初の「分化誘導による関節の再生医療」による治療を厚生労働省に特許申請し、受理されました。 「分化誘導による関節の再生医療」は、従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療であり、幅広い膝疾患への効果が期待できます。 膝の痛みにおいて、手術以外の選択肢を持ちたいと考えている方は、ぜひ当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。 この記事が、膝の痛みの原因や対処法を知り、適切な治療を受けるための参考資料になれば嬉しく思います。 膝の痛みについてよくある質問 膝の痛みの原因はなんですか? 損傷・炎症がある組織によって異なります。 膝の痛みは靭帯や軟骨といった組織が損傷・炎症を起こすことで生じます。これらの組織は部位によって違うため、痛みの部位だけでは原因組織の断定はできません。 そのため、原因を特定するためには病院を受診しましょう。とくにMRI検査をすれば詳細な組織の評価ができるため、MRI撮影ができる施設がおすすめです。 膝が痛むとき受診は必要ですか? 受診することをおすすめします。 もし痛みの原因が軟骨や靭帯である場合、自然治癒が見込めません。そのため、正しい治療をしなければ痛みが長引く可能性があります。 病院を受診して痛みの原因を特定できれば、痛みの改善に向けた正しい治療が受けられるでしょう。また、再発防止に向けたアドバイスももらえるため、可能なら早めの受診をおすすめします。
2022.03.23 -
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半月板損傷|ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板組織は、膝関節内部の内側(内側半月板と呼ばれる)と外側(外側半月板と呼ばれる)にひとつずつ存在しています。 半月板は主に大腿骨と脛骨などで形成される関節面に介在して膝関節の動きをスムーズにし、膝関節において屈曲伸展などあらゆる動きで膝関節を安定化させる役割を有しています。 更に、運動を行った場合、ジャンプなど、強度の外的なストレス、物理的な衝撃をできるだけ分散させるクッションのような機能を果たすなど大切な役割を担っています。 半月板の機能 ・膝関節なスムーズな動きをアシスト ・膝関節の安定性の確保 ・膝関節への衝撃を分散(クッション的な機能) したがって、これらの重要な役割を担っている半月板が、仮にスポーツ活動や日常動作などによって損傷してしまうと膝関節部の痛みや関節の可動域の制限といった症状が現れます。 半月板が損傷した初期にはその部分の安静を保ち、患部に対してヒアルロン酸注射による治療を実施することが主流になっていますが、このヒアルロン酸による注射投与について様々な理由で限界があることが知られています。 今回は、「半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性や限界点」などについて順番に解説していきます。 1.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性 半月板損傷は、ジャンプをした際の着地や、ストップやターンを繰り返すような膝に大きく負担がかかる動作でバランスを崩した際などに起こりやすく、そんな場合、同時に側副靱帯や前十字靱帯など周囲組織の損傷を合併するケースも見受けられます。 半月板を損傷した場合には、多くの場合で対症療法にて様子を観察をし、保存的治療を行うことで症状が軽快すると考えられています。 半月板が断裂した程度が軽症の部類であれば、サポーターなどの装具やテーピングなどの補助器具による補強、あるいは疼痛軽減を目的として鎮痛剤などの投薬治療や運動器によるリハビリテーションを実践します。 スポーツや運動などで半月板を損傷したケースの初期では、患部の局所的な安静を保って関節部に注射を使って関節液を吸引、局所麻酔剤やヒアルロン酸注射による療法が主流となっています。 従来、抗炎症作用を狙って患部にステロイド注射を頻回に行っていた時代がありました。このステロイドは魔法の薬と呼ばれ炎症を抑制できるのですが、その逆の面もあり、様々な副作用に注意が必要です。 特に、最近では半月板を損傷した後にヒアルロン酸ナトリウム(商品名アルツなど)を関節内に注入する注射療法が一定の効果を示すと考えられています。 実は、膝関節軟骨の一成分でもあるヒアルロン酸物質は、水分の保有率が高いことが知られており、関節軟骨組織や半月板そのものが損傷した際に関節内部において潤滑油のような働きをして関節部の可動性を改善させると伝えられています。 ヒアルロン酸注射は、屈曲伸展などの関節可動域を拡大するのみならず、関節痛や腫れの改善にもある程度の効果が期待できるようです。 このヒアルロン酸による方法は、もともと高齢者における変形性膝関節症の治療用として開発され、普及してきたものですが、最近では外傷を起こしやすいスポーツ選手にもこのヒアルロン酸療法が使用されるようになりました。 実際にスポーツ選手における円板状半月板形成的切除術後のスポーツ復帰を考察した文献によると、術後3~6ヵ月で関節水腫を合併する症例が見られましたがヒアルロン酸の関節内注入と2~3週間の運動制限によって症状は消失したと報告されています。 ヒアルロン酸ナトリウムは、軟骨細胞に対する増殖作用や軟骨基質産生を促進する作用が報告されており、線維性軟骨からなる半月板組織にも好影響を与えることが予測されています。 2.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の限界 前章でも説明した通り、ヒアルロン酸というのは関節の内部を満たしている関節内溶液の主成分とも言われるものです。このヒアルロン酸には、関節部の軟骨を保護して関節内部や滑膜周囲組織の炎症を軽減させる効果や、軟骨そのものの破壊を防止する機能があると伝えられています。 半月板損傷でヒアルロン酸注射を行う場合には、軟骨の主成分であるヒアルロン酸物質を関節内に注射を用いて直接、注入することになります。 この注射治療は、まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多く、次の段階では、間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 これらの治療を施行しても関節の疼痛が軽快しなければ、また元通り、週に1回にタイミングを調整しながら、概ね3か月程度様子を観察し、それでも著効しないケースでは根治的な手術治療を考慮することになります。 仮に半月板組織が損傷すると、損傷部位の炎症の広がることによって関節液が増えることになり、関節液内部のヒアルロン酸成分が分解されてしまうことで関節内のヒアルロン酸濃度が減少します。そのため内包液の粘度や弾力性が低下することに繋がります。 このような場合に、患部にヒアルロン酸を注射すると、関節液の粘り気や弾力度合いが一時的に回復する結果、膝関節の疼痛も改善するという治療効果が起こります。 しかし、気を付けて欲しい点として、「ヒアルロン酸の注射で得られる効果はあくまで短期的」であり、必ずしも長期間に渡って改善効果が続かないというものです。 1回のヒアルロン酸注射で期待できる効果(持続期間)は、長く見積もってもせいぜい1~2週間程度と言われています。ただ、長期間立て続けに繰り返しヒアルロン酸注射を実施した場合には、痛みを軽減する効果は徐々に減弱して、耐性が付いてくると効果も薄れてくることになります。 このことは、ヒアルロン酸自体が膝関節に悪影響を及ぼしているからではなく、注射によって一時的に症状が改善して痛みが緩和されることで日常生活において膝を酷使してしまい、関節機能を悪化させるといった原因が重なり、組織損傷のスピードを助長させてしまうからです。 また、ヒアルロン酸を半月板損傷部に注射して、痛みが薄れても、その部分の軟骨が自動的に再生するわけではないことも知っておくべきです。 このようにヒアルロン酸注射はあくまで緊急的にその場をしのぐ対症療法であり、根本的な解決にならないことは十分に認識して実践するようにしてください。 ヒアルロン酸注射の限界 ・ヒアルロン酸注射(治療)で得られる効果は短期的 ・症状の改善効果は一時的となる ・長期に投与すると耐性が付き効果が薄れる ・痛みが薄れても軟骨が再生するわけではない(根本的解決にはならない) まとめ・ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板損傷において、膝の痛みを和らげて軽快させる治療法として期待され、広く普及しているのが「ヒアルロン酸注射」です。 この療法は、注射をするだけ、治療時間そのものの短さも魅力的な要素であり、膝関節内部の潤滑油のような役割を果たしているヒアルロン酸自体を補充することによって軟骨組織を保護して半月板周囲の痛みを軽減させることで炎症の抑制に繋げることができるといた一定の効果を示しています。 しかし、ヒアルロン酸成分は時間が経って代謝の過程で分解されて体外に排出されると、その効果は失われますので、症状改善効果はあくまで一時的なものであることを念頭に置いておきましょう。 ヒアルロン酸注射による療法は単純な注射治療になりますので、忙しい日常生活を大幅に制限することはありませんが、ヒアルロン酸注射のみで根本的な治療は達成できないことを知っていただければと思います。 今回は、ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について記しました。 記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 半月板損傷|不可能といわれた軟骨を再生する再生医療 再生医療なら半月板損傷は、手術、入院をせずに軟骨を再生、症状の改善ができます ▼以下もご参考に! 半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法
2022.03.11 -
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スポーツや運動をする際に、走ったりジャンプをしたりする動きは膝に大きな負担をかけます。膝への負荷が長く続くと、靭帯や腱の組織が損傷して炎症を起こし、痛みを引き起こす可能性が高まります。 このような膝の痛みは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。運動による膝の使い過ぎが原因となるため、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも呼ばれています。 今回は、膝の使い過ぎによって発症する慢性障害の症状と対処法について詳しく解説します。スポーツによる膝の痛みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。 スポーツによる膝の痛みを引き起こす3つの要因 スポーツによる膝の痛みは、軽度であれば、通常通りトレーニングやプレーできるため、大きな影響はないでしょう。しかし、症状が進行すると常に膝が痛むようになり、プレーに支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱が断裂をしたりするなど、スポーツによる膝の慢性障害につながるため注意が必要です。 スポーツによる膝の痛みは、主に3つの要因があります。 身体要因 環境要因 トレーニング要因 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 1.身体要因 スポーツによる膝の痛みを引き起こす要因の一つが、身体要因です。 太ももやふくらはぎなど、膝を支える筋力が不足していると、膝にかかる負担が大きくなり、痛みを引き起こしやすくなります。また、筋肉のバランスが悪い場合や身体の柔軟性が不足している場合にも、膝に不均衡な力がかかったり、動きを制限したりする原因になります。 2.環境要因 スポーツによる膝の痛みは、環境要因によって引き起こされるケースも少なくありません。主な環境要因として考えられるのが、足に合わない靴や地面の硬さなどです。 たとえば、不適切な靴を履いていると足の動きが不自然になり、膝への負担が増加します。また、外でジョギングやランニングをする際、地面が硬すぎると膝への衝撃が大きくなり、柔らかすぎると足が沈んで膝に過度な負担がかかってしまいます。 3.トレーニング要因 トレーニング要因も膝の痛みを引き起こす原因の一つです。運動やトレーニングにおける過度な負荷や不適切な練習方法などによって、膝に痛みが生じるケースです。 たとえば、トレーニング量が多すぎたり、体力や技術に合わない運動をしたりすると、膝にかかる負担が蓄積されやすくなります。適切な休養を設けずに連続して運動すると、膝の筋力の回復を妨げ、慢性障害を引き起こすリスクを高めます。 なお、膝の痛みは、それぞれの要因が複合的に影響して引き起こされるケースがほとんどです。そのため、スポーツや運動をする際は、適切な休養を取りながら、膝に負担がかかりすぎないための配慮が必要です。 スポーツによる膝の痛み|代表的な4つの慢性疾患 前述の要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状として、以下の4つが挙げられます。 鵞足炎 大腿四頭筋腱付着部炎 膝蓋腱炎 腸脛靭帯炎 それぞれの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるもので、特定の動きにより発症しやすくなります。 1.鵞足炎 鵞足(がそく)とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位のことです。とくに、ランニングや急な方向転換、足を後ろに蹴り出す動作などを繰り返すことで、鷲足がすれて炎症を引き起こします。 主な症状は、内側膝部の痛みや曲げるときの違和感などです。長時間または高頻度で膝に負担をかけるような動作を続けていると、鷲足炎を発症するリスクが高まります。 ▼ 鵞足炎の治療法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 2.大腿四頭筋腱付着部炎 大腿四頭筋腱とは、膝の前面から膝蓋骨(膝の皿)を通って、膝の下部に付着する筋肉の腱です。大腿四頭筋腱付着部炎は、膝関節の外側の炎症によって症状が現れます。膝の前面に痛みを感じるほか、膝を屈伸する際に痛みが強くなる傾向です。 大腿四頭筋腱付着部炎は、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やジョギングなど、膝に衝撃が加わる動作を繰り返すことで発症しやすくなります。 ▼ 大腿四頭筋腱付着部炎の治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。 3.膝蓋腱炎 膝蓋腱炎は、膝蓋骨(膝の皿)の下部からすぐ下の靭帯にかけて炎症が生じる疾患です。バレーボールやバスケットボールなど、ジャンプ動作の繰り返しが多いスポーツで発症しやすいとされています。 主な症状は膝蓋骨の下部の痛みで、とくにジャンプをした後やランニング後に痛みが強くなることが特徴です。また、膝を屈伸する動作でも痛みを感じることがあります。 ▼ 膝蓋腱炎について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 4.腸脛靭帯炎 腸脛靭帯は、膝の外側を通る大きな靭帯で、太ももの筋肉と膝をつなぐ役割を担っています。腸脛靭帯炎は、長距離のランニングや長時間の膝の屈伸運動などによって、腸脛靭帯が外側の骨と擦れ合って炎症を起こし、発症する疾患です。 膝の外側に痛みを感じ、ランニング後や歩行後には痛みが強くなることもあります。また、症状が進行すると歩行に支障をきたす場合があるため注意が必要です。 ▼ 腸脛靭帯炎を早く治す方法を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 スポーツによる膝の痛みに対する再生医療の可能性 スポーツによる膝の痛みの治療法は、疾患の種類や程度によって異なります。膝の痛みに対する治療法として、主に以下のような選択肢があります。 手術療法 物理療法 リハビリテーション 再生医療 物理療法で効果が得られない場合に、手術に代わる治療法として注目されているのが再生医療です。再生医療とは、自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術です。自己脂肪由来幹細胞の投与によって、膝の痛みに対する治療効果が期待できます。 リペアセルクリニックでは、再生医療による膝の痛みの治療が可能です。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、治療法でお悩みの方はぜひ気軽にご連絡ください。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の慢性障害への対処法としては、症状が出るのを予防したり、発症してしまった症状を改善したりすることが重要となります。そして、膝の痛みを予防するためには、自己対処も必要です。 以下で、スポーツによる膝の慢性障害への代表的な対処法をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 ストレッチ 体の柔軟性を高めるために、運動開始前には十分なストレッチを行うことが大切です。運動前に体の筋を十分伸縮させて筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげられます。また、ストレッチによって関節の可動域を広げることで、ケガのリスクを減らせます。 なお、膝に痛みを感じているときは、できるだけ足を伸ばしたり、痛みが強くなる前にストレッチを終えたりするなど、無理なく行うことが大切です。 アイシング 運動後に膝の痛みや違和感を感じたときは、アイシングが効果的です。氷や水などで膝を局所的に冷やすことで、急性炎症を抑えられます。冷却効果によって血流が制限されると、炎症が鎮まって痛みの軽減につながります。アイシングは15分程度、痛みが強い場合には数回に分けて行うと良いでしょう。 なお、膝を冷やすときは直接肌に氷を当てないよう、タオルに包んだり専用のアイシングバッグを使用したりしてください。また、過度に冷やしすぎないように注意しましょう。 筋トレやリハビリテーション スポーツによる膝の痛みに対して、筋力トレーニングやリハビリテーションが必要になるケースもあります。膝周りの筋力を強化すると、効率的に回復を目指せるほか、再発防止にもつながります。 膝の慢性障害を発症してしまったら、適度に休憩を取ったり、強度の低いトレーニングに変更したりして、調整することが大切です。また、症状が重い場合には、リハビリテーション専門のトレーナーや理学療法士と連携しながら、トレーニングに取り組む必要があります。 まとめ・スポーツによる膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しよう 健康意識の高まりとともに、趣味で競技スポーツをする方が年々増加傾向にあります。 体に過度な負担がかからない範囲で運動するのは良いでしょう。しかし、無理な運動をしたり足に合わない靴を履いて膝に負荷をかけ続けたりしていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなるため注意が必要です。 また、我慢できる程度の痛みだからといって、ストレッチや運動後のケアを怠らないよう気をつけてください。場合によっては、症状が悪化して日常生活に支障が出る可能性も考えられます。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒が難しくなり、手術が必要になるケースも珍しくありません。そのため、スポーツによる膝の痛みを感じたら、できるだけ早めに医療機関に相談しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。スポーツによる膝の痛みでお困りの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 ▼ 症状別に考えられる膝の病気について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
2022.02.10 -
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半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン スポーツや運動動作によって負う膝の外傷性疾患には、大きく分類して骨折や靱帯損傷、あるいは半月板損傷、腱板断裂、軟骨損傷などが挙げられます。そして、このなかでも日常的に頻繁にみられるのが「半月板損傷」でしょう。 基本的には、半月板損傷という病気は膝関節内部に位置している半月板組織に亀裂が生じて、その一部が欠けて欠損する状態を指します。 一般的に、半月板損傷は若年者から高齢者まで幅広く発症すると言われており、症状を放置して慢性化してしまうと将来的に「変形性膝関節症」などを引き起こす可能性が懸念されるため、半月板損傷を認めた場合には適切な診断と早期の治療が重要となります。 そもそも半月板というのは、膝関節部に付着している大腿骨と脛骨の間に存在する線維性軟骨(コラーゲンが束になったもの)で、できています。 通常では、膝の内側と外側の各々に存在していて膝にかかる荷重をバランス良く分散することで外部からの衝撃をうまく吸収するクッションのような役割を担っています。 また、膝関節部の半月板には、関節の滑動性を維持して膝関節の安定性を保つなど多くの機能を有している組織ではありますが、解剖学的に血行や血流に乏しく、いったん損傷を受けた半月板の治癒力は他の組織よりも低いと考えられています。 今回は、半月板損傷の中でも様々な視点から考えられる症例と手術の種類について、その症状(断裂のタイプ)を5つに分けて、順番に解説していきます。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは さて、半月板損傷と一言でいいますが実際にはどのような種類のものがあるのでしょうか。半月板損傷の原因としては、例えば重い体重が加わった状態で膝関節を捻挫する、または外部から衝撃が強く加わることによって起こるとされています。 また、外傷を受傷した時に前十字靭帯を損傷すると同時に半月板を痛めてしまう方もおられます。一般的に半月板損傷で多く見られるのはスポーツ外傷と言われるスポーツを行っている場合のアクシデントが原因となるものです。 その一方で、この組織は加齢によっても脆弱化して傷つきやすくなります。そのため、高齢者でもちょっとしたケガや日常的な生活動作をしただけで半月板を損傷する場合があるので注意が必要です。 この半月板損傷は、損傷のタイプによって例えば「縦断裂」、「横断裂」、あるいは「円板状断裂」、「フラップ状断裂」、「水平断裂」など合計5つのタイプに分類されます。 半月板損傷の断裂5つ症状/タイプ 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 そして、それぞれの半月板における断裂の形や部位などによって治療パターンが異なっています。 過去の症例によりますと靱帯損傷を合併しない半月板損傷1485例を対象とした場合、内側半月板単独損傷例が最も多く、約7割、外側半月板単独損傷例が2割、また内側および外側合併損傷例が1割程度の発症率であったとのことです。 円盤状半月板 また、半月板が生まれつき丸く、厚みがあることが小児にみられることがあり、このような場合には円板状半月板が疑われて仮に強度的な外傷がなくても半月板や周囲の関節軟骨組織を損傷しやすいと考えられています。 通常の健常な半月板では、三日月のような姿をしていますが、円板状半月板になれば中央部も覆っているような構造をしていて外側の半月板に生じやすいと言われています。 円板状半月板は人種によって異なると言われており、特に膝外側部の円板状半月板の発生頻度としては欧米人では数%前後とされている一方で、日本人をはじめとするアジア系人種では10%程度とより高いとされています。 半月板損傷の症状で異なる手術の種類 一般的には、半月板組織において損傷あるいは断裂部位の幅が1センチメートル以上と比較的サイズが大きい場合や、自然治癒が期待できないようなケースでは、手術治療が選択されることが多あります。 昨今では、いずれの術式を選択するにしても多くは関節鏡を用いた鏡視下手術が行われます。 通常では手術法には、主に損傷した部分のみを切り取って切除する方法、あるいは損傷して断裂した箇所を縫い合わせて修復する縫合形成術の二種類があると言われています。 半月板損傷・手術の種類(術式) 関節鏡での鏡視下手術 損傷した部分のみを切除 損傷して断裂した箇所を縫い合わせる縫合形成術 1.縫合術 大体の適応基準として、半月板組織の辺縁部分の約3分の1には血管が走行しているため、組織の修復の可能性があり、その場合は治癒を期待して縫合形成術という縫い合わせる手術が考慮されます。 2.切除術 ところが一方で、半月板の中央3分の2の箇所には血管がなく、一旦、この部分の半月板が損傷を受けてしまうと血流が乏しい為に組織が修復されにくいため、単純に切除術のみが実施されることが多いと考えられます。 また、断裂の形態が横断裂や水平断裂の場合には、損傷のパターンの都合により、従来では切除術が実践されるケースが殆どでしたが、半月板を切除してしまうと関節軟骨部の摩耗が増大することが懸念されるため、近年は縫合術を選択することもあります。 このように半月板組織は膝関節機能の維持に重要な役割を果たしており、半月板組織を出来る限り温存するために関節鏡視下で縫合形成術が行われる機会が多くなってはきました。 3.円盤状半月板の場合の術式 ところが、円板状半月板損傷に対しては、未だに縫合手術は困難とされており、半月板の一部あるいは全切除術が行われています。 中には円板状半月板損傷に対しても機能温存を目指して円板状半月板をいったん正常型の半月板組織へ形成してから切除する方法なども報告されてはいますが実際のところでは、それら手術の成績や、術後の機能性などの面からみて安定的とは言えないとの議論が分かれています。 術式について いずれの術式にしても主治医や、かかりつけ医から治療法や、手術術式に関する説明を十分に受けて、それぞれの「メリットは何ですか?」、「デメリットを教えてください」とお願いして十分に理解することが大切です。 その上で自分に適した治療方法を選択することが重要であると言えます。尚、最後になりましたが今回の半月板損傷について、手術以外の治療法として再生医療という先端医療もあることをご報告しておきます。 この治療法の場合は、そもそも手術が必要ではなく、治療も日帰りで可能という新しい時代の治療分野です。興味があればお問い合わせください。 まとめ・半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン 半月板損傷における主要な原因としては、スポーツなどの怪我から発症する場合、また加齢に伴って傷つきやすくなっている半月板に日常動作など微妙でも外的な加重が積み重なって損傷するケースがあります。 手術法には大きく分類すると、半月板のなかでも損傷した部分を切り取る方法である切除術、そして半月板組織の損傷した部分を縫い合わせる手段を用いる縫合術の2タイプがあって、一般的には関節鏡を駆使した鏡視下手術が実践されています。 半月板を切除する術式では、膝関節部への衝撃をクッションのように吸収して関節構造の安定性を保持する役割を担っている半月板の機能が生涯に渡って損なわれます。 ですから、切除術においては半月板と隣接している関節軟骨組織が摩耗して変形性膝関節症へ進行する割合が高いことが徐々に判明してきました。 このような背景もあって、近年では可能な限り縫合術を選択して半月板を温存するという考え方が主流的な傾向となってきています。 両者がいずれも選択できる損傷形態であるならば、それぞれの手術治療の長所や短所を検討してかかりつけ医ともよく相談して手術方法を決定することになりますから念頭に置いておきましょう。 最後に言及した手術を避けられる「再生医療」は、整形外科医であっても不明のことが多い「新しい治療法」であるため、正確な意見を得られないことがあります。検討及び、選択肢に入れる場合は必ず再生医療専門医に診断を仰ぐことをお勧めします。 ▼以下もご参考にしてください 変形性膝関節症と半月板損傷の違いをご存知ですか
2021.12.16 -
- ひざ関節
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- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
変形性膝関節症と半月板損傷の違い、症状と治療について 膝に痛みを感じる代表的な疾患が、変形性膝関節症と半月板損傷です。変形性膝関節症は加齢や筋力低下から発生し、長い年月をかけてゆっくりと進行します。一方、半月板損傷は運動時に足を捻ったなど明らかな要因があることを特徴とします。 両者とも膝に痛みが発生する疾患ではあるものの、発生原因や診断方法・治療法などは異なります。ですので、間違えた治療法を施してしまうと余計に悪化する恐れから、自分で判断しないなど注意が必要です。 そこで今回の記事では、変形性膝関節症と半月板損傷の違いから、治療の注意点・両者の関連性まで解説しますので、膝に痛みを抱えている方はぜひご覧ください。 変形性膝関節症とは 変形性膝関節症は50代に女性に多い疾患です。加齢や筋力低下から関節内で軟骨が摩耗し、その骨片が滑膜を刺激することで痛みを感じる疾患です。進行すると骨の増殖がみられたり、外見からわかるO脚やX脚(日本人ではほとんどがO脚)がみられたりと、膝関節の内外を問わず変形がみられます。 変形性膝関節症の症状 最初は膝の違和感程度ですが、進行すると立ち上がり、動き出しに痛みを感じるようになります。進行すると痛みで歩行が困難になるほか、痛みをかばうことで関節に可動域制限がみられ、正座ができなくなど悪循環に陥ります。さらに末期になると、安静時にも痛みを感じるようにまでなります。 変形性膝関節症の診断 変形性膝関節症はX線検査(X-ray)で診断されます。画像診断では関節の隙間や、骨の硬化・増殖の程度から進行度を確認します。初期には膝に違和感を感じたとしても、画像上では明確な所見を確認できないこともおおく、長い年月をかけて進行する病気です。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症を発症すると、まずは保存療法です。膝に負荷がかかる動作を止めるなど、生活習慣を見直したり、筋力をつけるために運動に取り組んだりします。保存療法でも効果が見られない場合には手術が適応されます。 半月板損傷とは 半月板損傷は、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の間にある半月板を損傷することです。半月板は膝にかかる荷重の分散や吸収の役割をすることから、立つ・歩くだけでなく激しい動作を必要とするスポーツには欠かせない存在です。 しかしバレー・バスケット・野球・陸上などの急激な方向転換や、瞬間的に発揮される力が膝への負担になり、スポーツ障害の中でも頻発する疾患です。発症年齢はスポーツをしている子供から大人まで年齢を問わず発生します。 半月板損傷の症状 半月板を損傷すると、膝に痛みや腫れ、可動域制限が出現します。特に患側の脚に体重を乗せた時に感じる荷重痛や、関節の隙間に半月板が入り込むことで膝を伸ばせなくなる”ロッキング”が起こります。 半月板損傷の診断 半月板損傷の診断には、マックマレー(McMurray)テストや圧迫アプライ(Apley)テストのような徒手検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging)といった画像検査などを複合して診断されます。 半月板損傷の治療法 半月板を損傷するとRICE処置を行います。安静(Rest)をベースに、患部を冷却(Ice)圧拍(Compression)挙上(Elevation)します。RICE処置により血管を収縮させ、さらなる炎症を抑えます。保存的に経過を観ても関節水腫を繰り返す場合、ロッキングがみられる場合には手術検討されます。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いと関連性 発症の違い 変形性膝関節症は、加齢や筋力低下を原因に長年かけて進行する疾患なので、スポーツで脚を捻るほか、瞬発的な力が働くことが原因で起こる半月板損傷とは違いがあります。 経過による痛み方の違い 変形性膝関節症の初期は、膝に違和感や痛みを感じますが、歩けば馴染むことがあります。しかし変形が進行すると痛みが増すことが特徴です。 一方半月板損傷は、受傷直後が1番腫れや痛みが強く、荷重をかけると痛みが強調されますが、経過とともに徐々に緩和されていく特徴があります。しかし損傷の程度が大きい場合や、その後の過ごし方が悪ければ、時間の経過とともにさらに損傷が悪化し、痛みが増強することから注意が必要です。 治療方針の違い 変形性膝関節症は、膝に痛みが出ない範囲で無理なく筋力トレーニングを実施します。半月板損傷は運動時の突発的な怪我なので、治癒するまでは安静が原則です。 まとめ・変形性膝関節症と半月板損傷の違い いかがでしたか?ここまで変形性膝関節症と半月板損傷の違いを解説しました。変形性膝関節症は長年にわたり進行または慢性化する疾患ですが、半月板損傷はスポーツなどの突発的な怪我が原因で発生することが多い疾患と違いがあります。 しかし半月板を損傷すると、変形性膝関節症につながるケースがあることから、損傷が治癒したとしても膝周囲(特に大腿四頭筋)を鍛え予防に努めましょう。 また半月板損傷はスポーツ時の怪我と紹介してきましたが、中には生まれつき半月板に形態的異常を認める、“円板状半月”が原因で痛みを感じる場合があるため、「脚を捻った」など思い当たることがないからといって安心ではありません。 以上、変形性膝関節症と半月板損傷の違いについて解説してまいりました。 膝に痛みを抱える方は、くれぐれも自身で判断せず医師の診断・治療を受けましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症に再生医療という選択肢!幹細胞治療なら入院も手術もせずに症状が改善 ▼こちらもご参考下さい 半月板損傷!そもそも半月板とは?膝が痛むその原因、検査と治療法
2021.12.13