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腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、有酸素運動に取り組む場合によく見られる炎症です。 とくに習慣的にランニングを楽しむ方の間で頻発することから、ランナー膝とも呼ばれます。 しかし腸脛靭帯炎の症状や治療法、予防法などはあまり知られていません。しかし発症しやすい炎症であるため、事前に知識を知って対処するのが重要です。 本記事では腸脛靭帯炎の症状や治療法、効果的なストレッチやテーピングなどを解説します。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の基礎知識 まず、腸脛靭帯炎がどのような炎症か解説します。 そのあと、発生の原因やメカニズム、診断方法などを解説します。 事前に腸脛靭帯炎に関して理解し、発症した際、冷静に対処できるようにしておきましょう。 「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」とは? この病気がどのようなものか説明するには腸脛靭帯に関して知る必要があり、簡単にお伝えします。 腸脛靭帯とは、骨盤の外側に出っ張っている腸骨(ちょうこつ)から、膝下にある脛骨(けいこつ)につながっていて太ももの外側部分に長く伸びるように位置しています。 また、腸脛靭帯は大臀筋と大腿筋膜腸筋(だいたいきんまくちょうきん)という、これまた長くて難しい名前の筋肉とつながることで身体をぐらつかせることなく、さらに身体を安定して保つ大切な役目を担っています。 膝上の太もも部分の外側を押すと、硬いスジ状のものに触れることができますが、これが腸脛靭帯です。 とくに大きな動きに対して大臀筋と呼ばれる大きな筋肉と大腿筋膜張筋とにつながることで、それらの力を脚に伝える役割があります。 腸脛靭帯の働きのおかげで骨盤や膝が安定し、歩くことは勿論、スムーズなランニングを助けてくれます。 そんな腸脛靭帯が炎症を起こした状態が「腸脛靭帯炎」です。 メール相談 オンラインカウンセリング 「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん:ランナー膝)」とは 腸脛靭帯炎は、別名「ランナー膝」と呼ばれるくらい、「ランニングの愛好家にとって多いケガ」の一つです。ここでは腸脛靭帯炎の症状、原因、診断に関して簡単に説明します。 自分に当てはまる点はないか、チェックしてみましょう。 腸脛靭帯炎の症状 腸脛靭帯炎の初期症状は、運動後に膝の外側に痛みが出ることです。痛みが出る場所は、外側上顆(がいそくじょうか)と言われる膝外側の出っ張り部分です。 痛みは安静にすれば徐々に収まります。 しかし、炎症がひどい場合や、痛みを我慢して無理を続けた場合、歩いたり、膝を曲げ伸ばしをしただけでも痛みが出ることがあります。 久しぶりにランニングやジョギング、ウォーキングを頑張った人によくみられる症状です。 「さぁ、健康のために頑張って走ろう!!」という矢先につまずいてしまうと、やる気も削がれかねません。 腸脛靭帯炎の発生メカニズム 腸脛靭帯炎は、繰り返される『摩擦』によって生じます。 摩擦が起こる場所は、大腿骨の外側上顆という場所です。 そこは骨が隆起しており、膝を曲げ伸ばしすることで腸脛靭帯が外側上顆を乗り越えてしまいます。 とくに膝を軽く曲げた状態(屈曲30°くらい)でちょうど乗り越えるため、ランニングのように、0〜30°くらいの曲げ伸ばしを繰り返すことで摩擦がかかりやすくなってしまいます。 発症の主な原因 腸脛靭帯炎の原因の大半はランニングやサイクリングなどの反復的な運動、もしくは運動に対する筋力不足です。 ただし以下の原因で発症する可能性があります。 ・O足 ・扁平足 ・股関節周囲の筋肉の老化 O足や扁平足などは、股関節の機能低下や骨同士の位置関係を乱します。これが原因で腸脛靭帯炎を発症するケースもあります。 また股関節周囲の老化が原因になるかもしれません。 したがってランナー以外の方でも腸脛靭帯炎が発症しうると言えます。 腸脛靭帯炎の初期対応 原因がランニングなどの運動なら、症状が落ち着くまで休養します。 場合によっては、患部にアイシングや湿布を貼付すれば症状の緩和が得られます。 とくに急性期では患部の安静と炎症を抑えることを最優先させましょう。 また症状がごく軽微な場合をのぞき、医療機関で診察を受けることをおすすめします。 その理由として、腸脛靭帯炎でなく、半月板損傷などの重篤な障害が生じている可能性があるからです。 また医療機関で診察を受ければ、症状の緩和や、周辺にある滑液包での炎症の予防に効果的な、投薬や注射が受けられるでしょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 腸脛靭帯炎の診断 腸脛靭帯炎は、問診や触診である程度は鑑別できます。 ただ、炎症の状態や他の疾患と見分けるためにレントゲンやMRI、エコー検査が必要なことがあります。 また、腸脛靭帯炎には、特有のテストがあります。 それが「Grasping Test(グラスピングテスト)」です。 やり方は、難しくありませんので、もしかしたら腸脛靭帯炎かもしれない、と思われた方は、試してみましょう。 【Grasping Testの方法】 ①患者さんの膝を90°ほど曲げる。 ②痛みが出ている場所の少し上を親指で強く押さえる。 ③その状態で膝をゆっくり伸ばしていく。 ④その時に痛みが出るのであれば、腸脛靭帯炎が疑われる。 腸脛靭帯炎にならないためのトレーニング ここまで、股関節機能の低下や骨の位置関係の乱れにより、腸脛靭帯炎を発症しうると解説してきました。 股関節の筋力の低下や足元のぐらつきにより、ランニング時に膝が内外にぐらつくと腸脛靭帯への摩擦が増加してしまいます。 安静期間により症状が落ち着いても、同じような状態だとまた腸脛靭帯炎を繰り返してしまうでしょう。 そのため、ランニングなどのスポーツに復帰するにあたり、腸脛靭帯への負荷を減らすためのトレーニングを推奨しています。 ここでは以下の3つの方法を紹介します。 各トレーニングは、やみくもに動かすのではなく、いずれも体を安定させ、姿勢を意識して行うことがポイントです。 1,股関節の外側の筋肉:大臀筋、中臀筋 上になっているほうの足を持ち上げる→下ろす を繰り返す 2,股関節の内側の筋肉:内転筋 下になっている方の足を持ち上げる→下ろす を繰り返す 3,ふくらはぎの筋肉:下腿三頭筋(ヒラメ筋、腓腹筋) つま先立ち→かかとを降ろす を繰り返す 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療や予防に役立つストレッチ・セルフケア 腸脛靭帯は、足首や他の膝の靭帯と違い、断裂など重症化するケースはほとんどありません。 そのため、基本的には普段と同じような生活を送っていただいて結構です。 ①腸脛靭帯炎に有効なストレッチ 腸脛靭帯炎による痛みが落ち着いたら、徐々にストレッチを開始します。 腸脛靭帯炎を発症する人の特徴として、身体のケア不足により筋肉の伸び縮みの動きが悪くなっていることがあります。 ここでは、腸脛靭帯と連結している大腿筋膜張筋と股関節および大腿部前面の筋肉の3つのストレッチ方法をお伝えします。 1.大腿筋膜張筋のストレッチ 各ストレッチは、無理をせず、痛くなりすぎない範囲で行いましょう。 2.股関節前面の筋肉のストレッチ 3.大腿部前面の筋肉のストレッチ ②腸脛靭帯炎(ランナー膝)に有効なマッサージとセルフケア またマッサージによっても、腸脛靭帯炎の症状を緩和できます。 たとえば以下の半月板(膝のお皿)をマッサージする方法は簡単に取り組めるのでおすすめです。 ・左右の親指と人差し指で、半月板を軽くつかむ ・内側の方向に半月板を軽く押し込む ・内側から外側に軽く押し込む ・2と3を繰り返す また半月板を手のひらで包み、円を描くように回すのも効果的です。 セルフケアとして、運動後や風呂上がりにアイシングをおこなうのも良いでしょう。 熱を取り除くことで、腸脛靭帯炎を予防できます。 ③重度の場合は外科手術も検討 腸脛靭帯炎の症状が顕著な場合は、外科手術が有効です。 腸脛靭帯炎の治療では以下の手術が用いられます。 ・腸脛靭帯炎の切開|腸脛靭帯炎の患部周辺を解放し摩擦を減らす ・滑液包の除去|腸脛靭帯炎と大腿骨の隙間にある滑液包の一部または全部を取り除く ・腸炎靭帯延長手術|腸脛靭帯を伸ばすなどして、症状の改善や再発防止を図る 手術と保存療法どちらが適切か、専門家でなければ判断できません。 自身で判断せず、医療機関で受診して医師の判断を仰ぎましょう。 近年では、自己脂肪由来幹細胞などを用いた、再生医療による腸脛靭帯炎の治療の研究も進められています。 再生医療を用いれば、従来よりも効果的な治療が受けられるかもしれません。 再生医療については、以下の記事を参考にしてください。 関連記事:再生医療とは|リペアセルクリニック メール相談 オンラインカウンセリング 腸脛靭帯炎(ランナー膝)とスポーツとの関係 腸脛靭帯炎のテーピングで大事なことは、腸脛靭帯の負担を減らしてあげることです。 そのため、腸脛靭帯自体をサポートするテーピングと、膝の動きをサポートするテーピングの2種類を用いて行います。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)のテーピング あくまでテーピングは補助的な役割にしか過ぎません。また、その人によってテーピングの効果が十分に発揮できない場合もあります。 可能な限り、専門の医療機関にご相談の上、「テーピング」を施行するようにしましょう。 このようなテーピング以外にも「サポーター等の装具」を用いて腸脛靭帯を支え、安定を図る方法もあります。 腸脛靭帯炎と靴(シューズ)選び 腸脛靱帯炎の対策のなかでは靴選びも大切です。 足が左右にぐらつくと腸脛靱帯につながる大腿筋膜張筋が頑張ってぐらつきを止めようとします。 そうすると、筋肉が過剰に働き、ピンと張った状態になります。 その状態で走り続けると、腸脛靭帯への摩擦が助長されて腸脛靭帯炎を引き起こしかねません。シューズ選びの際は以下の3つのポイントを意識してみましょう。 靴は使用に伴い消耗します。 定期的、あるいは、いま一度自身の靴をチェックして自分に合った最適な靴を選びましょう。 1.シューズの後ろ、カップの部分がしっかりしているか 2.指の付け根で曲がるのか 3.シューズが過度に捻じれやすくなっていないか まとめ・腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療では医師の指示を受けるのが重要 今回は、腸脛靭帯炎に関して、病態や、ストレッチ、テーピング、靴選びなどの角度から、その対策をお話しました。 腸脛靭帯炎(ランナー膝)は、ランニングやスポーツをする人に多い症状ですが、正しい対処法を知っていれば予防や治療が可能です。 まずは症状や原因を理解し、痛みが出た場合には早めの対処が重要です。 また症状が軽微な場合をのぞき、医療機関を受診し、適切な指示を得るようにしましょう。 初期の対応としては、炎症を抑えるための安静やストレッチ、適切なテーピングが有効です。 また、腸脛靭帯炎を予防するためには、股関節やふくらはぎの筋力を鍛えるトレーニングや、適切な靴選びも重要です。 日常生活での意識や対策を行い、ランニングやスポーツを安全に楽しむために、ストレッチをはじめ、適切なケアを心がけましょう。 腸脛靭帯炎は誰にでも起こりうるケガです。 これから運動を始める人も、ランニング愛好家の皆さんも運動前の準備運動、そして運動後のカラダのケアをしっかり行いながら、自分に合ったペースで頑張りましょう。 メール相談 オンラインカウンセリング ▼ 腸脛靭帯炎はじめ、スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています ▼以下も参考にしていただけます 腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)を早く治すポイント
最終更新日:2024.11.10 -
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腸脛靭帯炎|原因と早く治す改善ポイントとは 「ランニングすると膝の外側が痛い…」 その症状、もしかすると、その痛みの原因は腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)かもしれません。今回はランニングで起こりやすい腸脛靱帯炎について、できるだけ早く治すための改善ポイントを解説します。 腸脛靱帯炎とは?特徴や症状 腸脛靱帯は、太ももの外側を通る靱帯です。ランニングなどで膝の屈伸を繰り返すと膝の外側の骨と靱帯が摩擦を起こします。この摩擦が刺激となり靱帯に炎症が生じてしまい、腸脛靱帯炎を発症してしまいます。 症状は膝の外側の痛みで、走り始めでは痛みが出ないものの、ランニングやサイクリングの距離が増えると痛みが現れます。また、膝の外側を押さえたときに痛みがみられ、軽く腫れる場合もあります。 腸脛靱帯炎の原因 腸脛靱帯炎の原因は大きく分けて「体の要因」「環境の要因」「トレーニングの要因」の3つに分けられます。 体の要因 腸脛靱帯が硬くなると、膝の外側の骨と靱帯の摩擦が強くなってしまうため、靱帯の炎症が起こりやすくなります。また、O脚(膝が外側にカーブした状態)やおしりの外側の筋力が低下することで、骨盤が傾きやすくなります。 そうすると、体の左右への安定性が低下してしまい、膝の外側にかかる負担が増えてしまいます。結果的に腸脛靱帯にかかる負担が増加して炎症を生じやすくなります。 環境の要因 ランニングをする環境も靱帯の炎症を引き起こす大きな原因です。 例えば、アスファルトなどの固い地面や舗装されていない路面を走ることで腸脛靱帯に負担がかかってしまいます。傾斜があったり、下り坂だったりといった環境も靱帯に悪影響を及ぼします。 また、ランニングで使用するシューズも腸脛靱帯炎の発生と関係があります。シューズのサイズがあっていなかったり、クッション性の低いシューズを使ったりすることで人体にかかる負担が増えて炎症の原因になります。 トレーニングの要因 ランニングの時間が増加したり、距離が長くなったりすると、膝の屈伸をたくさん繰り返すことになるため、脛靱帯炎を引き起こすリスクが高くなります。 また、トラックなど同じ場所を周回するようなケースでは、同じ方向を繰り返し走ることで、常に一定の負荷が腸脛靱帯にかかり炎症を起こす原因になります。 腸脛靱帯炎を早く改善する「4つのポイント!」 腸脛靱帯炎を改善させるには、「安静」「ストレッチ」「筋力トレーニング」「適切な環境の調整」です。 1.痛みの出始めは安静に 痛みが出はじめた時期は炎症が起こっているので、ランニングやスポーツを中断して安静にしましょう。痛みが強い場合は、整形外科を受診して、炎症や痛みを抑える薬などの使用も必要です。 また、無理をして痛みが出た場合は、温めるのではなく、太ももの横をアイシングするようにしましょう。 2.おしりや太ももの外側やふくらはぎのストレッチ 腸脛靱帯にかかる負担を減少させるため、おしりや太ももの外側の硬さを改善するストレッチをしましょう。 まずは、おしりや、太ももの外側を伸ばすストレッチの方法を紹介します。 腸脛靱帯炎が改善した後でも、ストレッチを継続して柔軟性を保つことで再発の予防につながります。 おしりや、太ももの外側のストレッチ 1.立った状態で両足を交差させる(足同士はこぶし1つ分ほど離します) 2.両手を組んで頭の上にあげて後ろになっている足に向かって体を横に倒す 3.出来るだけ体を倒した状態で15秒〜30秒キープする 3.おしりの横の筋力トレーニング おしりの横の筋肉を鍛えることで、腸脛靱帯にかかる負担を減らします。 オススメのトレーニングを紹介します。 おしりの横の筋肉を鍛える方法 1.横向きになり両膝を曲げる 2.上になっている足の膝をまっすぐ伸ばした状態で持ち上げる 3.足の付け根が曲がらないように意識しながら10秒キープする 4.適切な環境の調整 痛みが徐々に緩和してランニングができるようになった場合も、長い距離や時間のランニングは再発や悪化を招きかねません。痛みが出ないように加減しながらランニングを再開しましょう。 また、原因のところで解説したように、固い地面や不整地は出来るだけ避け、下り坂が多い場所や傾斜のきつい場所でのランニングも行わないようにしましょう。 新調したばかりの馴染まない靴や靴底が薄くクッション性の少ない靴などは避け、ランニングやウォーキング用のシューズで、しっかり足のサイズを合わせたものを使いましょう。 まとめ・腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)早く治すポイント 今回は、腸脛靭帯の原因や症状、早く治すためのポイントをお伝えしました。 腸脛靱帯炎は無理な負荷を減らして、炎症を早く治すとともに、運動や環境調整で負担がかからないようにすることが重要です。また、痛みが出た場合に早めに整形外科を受診することで、他の病気との判別をして適切な治療を受けることが大切です。 ランニングは誰でも気軽に体を動かせるオススメの運動です。ぜひ、腸脛靱帯炎に対する正しい知識を持ち、安静・運動・環境調整で腸脛靱帯炎を早く治して、いつまでも楽しくランニングを続けましょう! ▼以下もご覧になりませんか 腸脛靭帯炎(ランナー膝)とは?原因と症状、治療法
最終更新日:2024.11.06 -
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半月板損傷の治療と効果的なリハビリテーション 半月板という組織は、繊維軟骨でできていてCの型、まさに半月状の形をした組織です。部位は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にあり、膝の内側と外側の場所に存在しています。 この半月板は、膝の滑らかな動きを可能にするほか、膝を安定させて荷重を分散させたり、物理的な外力による衝撃を吸収する機能を果たしています。 このような役割を持つ半月板が事故や、スポーツなどの激しい動きなどによって損傷し、万一慢性化すると将来的に変形性膝関節症を引き起こす懸念があります。 そのため本疾患に対しては、「リハビリテーション」を視野に入れながら適切に治療を行うことが重要になります。今回は、半月板損傷を慢性化させず、早く治すためのリハビリテーションについて詳しく解説していきます。 半月板損傷とは 膝の障害というと年配者のイメージがありますが若年者であっても過度な運動などによってスポーツ傷害を引き起こすリスクが危惧されており、その中でも特に頻繁に認められる疾患が半月板損傷と言っても過言ではありません。 半月板損傷は、スポーツの際に起きる怪我から発症するのみならず、加齢に伴う場合が多いのも事実です。傷つきやすくなっている半月板組織にわずかな外力が負担となって、加重されることにより、損傷し断裂を起こす症例も存在します。 半月板が損傷すると膝部に疼痛が生じて運動時や、膝を屈曲・伸展する場合に膝に引っかかり感を覚えることがあり、ひどいケースでは激痛のために歩行できなくなる、もしくは関節内部で強い炎症を引き起こして水が溜まり、膝部分が明らかに腫脹することもあります。 半月板損傷を発症した際の主な治療手段としては、「保存治療」と「手術療法」が挙げられ、特に前者では安静を保持して抗炎症薬などの薬物を内服する、あるいはリハビリテーションを実践することになります。 半月板損傷の手術後のリハビリテーションについて 半月板損傷も、治療や症状によってリハビリテーションの方法が異なります。手術による治療を行った後のリハビリテーションについても事前に確認しておきましょう。 半月板縫合術における術後のリハビリテーション 半月板縫合術による施術の場合、損傷の程度や部位によってリハビリテーションにおけるスケジュールが異なりますので注意してください。 縫合箇所が再び断裂してしまうことを防ぐため、2週間程度は松葉杖での生活になるでしょう。また、膝の曲げ伸ばしにも制限があるため、激しい運動はできません。 術後6週程度から、軽めのジョギング等の運動が可能になります。スポーツなどへの復帰は10週程度で段階を経て行っていくのが一般的です。 ただし、重症のケースや経過によってはスポーツへの復帰が半年前後かかる場合もあります。術後の経過や回復に応じて臨機応変に対応していくことがポイントになります。 半月板切除における術後のリハビリテーション 半月板切除による施術の場合、ほとんどは術後すぐに体重をかけることが可能です。2週間程度で軽めのジョギング、1ヶ月前後でスポーツへの復帰が可能になります。 手術前のリハビリテーション 術後、スムーズに回復・リハビリテーションを行っていくためにも手術を行う前からリハビリに取り組んでおくことが望ましいでしょう。 あらかじめ松葉杖の使い方や、術後に行う予定のリハビリテーションを理解しておくことで、スムーズな術後のリハビリテーションへと移行することができるでしょう。 また、術後すぐに動けない場合は、足首周りや股関節周りなど、他の箇所の関節機能を低下させないためにも手術前のリハビリは重要です。 https://youtu.be/0pKuIuYNqcA?si=1b3hWw7PRlZ0KXpS 半月板損傷の早期治療|早く治すためのリハビリテーションの3ステップ ここからはより具体的に半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションについてお話を進めて参ります。 運動器リハビリテーションの分野では、通常であれば患者さんの運動能力や生活機能を回復させて、そのレベルを維持するために、原因疾患の治療と並行して個々における生活の実態を把握しつつ、綿密な治療計画を立案して実践します。。 個々のケースによって半月板の損傷度や状態が異なるために、実際にリハビリテーションを実践するタイミングは様々です。ただ基本的なメニューは、ほとんど変わりませんので担当の理学療法士ともよく相談しながら進めていきましょう。 1)リハビリ最初の1ステップ 最初の段階では、関節可動域の訓練を行うことが多く、膝関節の曲げ伸ばしができる角度を改善するためにリハビリテーションを行います。 半月板損傷を発症すると、通常であれば膝の曲げ伸ばし動作が困難になって日常生活に多大な支障が生じますので、徐々に曲げ伸ばしできる範囲を回復させるために可動域を増やすことを目標にした理学的な訓練を実施します。 特に股関節や足関節が固まるなど拘縮すると、膝関節に代償されて膝に負荷が集中してしまい、半月板損傷を抱えた膝の部位に更に重い負担がかかってしまいます。 そのため、半月板損傷を早く治すためには「膝関節のみならず、股関節や足関節もリハビリテーション」を行うことをお勧めします。 2)リハビリ次の2ステップ 次の段階として、関節の可動域を増やしたり、維持する訓練や、股関節あるいは足関節のリハビリに慣れてきたら、並行して膝周辺の筋力そのものを増強して膝関節を支えやすいよう補助できるようなトレーニングを取り入れていきます。 半月板が損傷している状況では、膝周りにあるほかの構造物で半月板を代理して体を支えなければなりません。半月板損傷が再発しないように防止するための観点からも膝周辺の筋力を強化することで膝を安定化させて身体を支えられるようにすることは非常に大切です。 3)リハビリ最終の3ステップ そして、後半戦に入ると本来の膝領域におけるバランス感覚を取り戻すためのリハビリテーションとして「バランストレーニング」を行っていくことになります。 半月板は、膝関節を安定させる機能を有しており、半月板が損傷することで膝が不安定となり、身体を支えることができず怪我を引き起こす危険性もありますのでバランスを取り戻すための理学療法は重要なトレーニングのひとつでと考えられます。 リハビリテーション治療の最終段階になってくると、いよいよ実践的なスポーツ競技や運動動作に復帰することを見据えて行う「アスレチック・リハビリテーション」を実践する運びになります。 このリハビリテーション・プログラムでは、筋力がある程度、元のレベルに回復して、膝関節の可動域を一定以上に獲得でき、膝関節の痛みもほとんど自覚しない状態になった場合に本格的なスポーツ能力を得るために準備する理学療法となります。 ジョギングに取り組み、ひざ痛が悪化しないかを確認して特に問題を認めないようであれば、梯子を用いたラダートレーニング、両脚ジャンプなどの動作を取り入れて、最終段階では復帰したい競技に応じて特有の動きがスムーズに出来るようにリハビリを実践することになります。 まとめ・半月板損傷を早く治す!効果的なリハビリテーションの3ステップ 今回は、半月板損傷とはどのような病気なのか、半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションを3つのステップに分けて詳しく解説してきました。 半月板という組織は、膝関節の内部にある軟骨様の構造物であって、その軟骨部に負荷がかかる外からの物理的な力を和らげるための重要な役割を有しており、もし半月板を損傷した場合には、その受傷度合いに応じて個々に治療期間やリハビリテーションの内容が異なるため、具体的な内容は個別に決めなければなりません。 半月板のような軟骨組織は、完全に治癒するまでかなり時間を要します。身体機能をカバー出来るよう、患部はもちろん身体の状況を判断しながら計画的に取り組む治療がリハビリテーションです。 重要なことは、決して無理をせずにトレーナーや理学療法士と相談して適切なプログラムを行うことです。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます ▼以下もご参考下さい 半月板損傷|ヒアルロン酸注射による治療の限界
最終更新日:2024.11.06 -
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半月板損傷の手術!メリットと、デメリットについて解説 半月板損傷は、激しく走ったり、ジャンプをしたりするアスリートの膝にとって、つきものであるとも言える外傷です。また加齢などによって組織がもろくなる高齢者にも起こります。 治療のためには、手術が必要となることがありますが手術には、メリットとデメリットが存在します。 この記事では膝の半月板について概要をご説明した上で手術が必要な場合、手術を受ける場合のメリットとデメリットもご説明します。 納得して治療をお受けいただくための一助になればと記しました。半月板損傷に治療に対してご参考にして頂ければ幸いです。 半月板損傷について わたしたちの膝には、膝の内側に大きい内側半月板、膝の外側に外側半月板という2つの半月板が存在します。この半月板は上から見るとアルファベットの「C」の型をしています。 材質的なイメージはゴムのように、衝撃に対するクッションとして膝関節に起こる衝撃吸収材として機能しています。 そのほかにも膝の半月板には、接触する面の形状が異なっている脛骨と大腿骨の接触面積が増加し、互いにフィットしやすくなります。そのために、膝関節がより安定するようになり、正しい荷重配分する役割を担っています。 また、半月板は大腿骨と脛骨の間にあるため、両方の骨と骨が直接こすれ合うのを防いでいます。半月板の損傷は、スポーツをされる人にとって、起こりがちな症状ですので注意が必要です。 急に体をひねったり、曲げたり、衝突やジャンプを繰り返していると、半月板の負担が増して損傷する危険性が高くなります。 また、高齢者にとって半月板は加齢とともに弱くなり、損傷したり、断裂しやすくなります。事実、半月板の断裂は、老化現象として普通に起こりうることです。 半月板が損傷すると、膝を曲げたり、伸ばしたりする動作が不安定になり、痛みや腫れが生じて膝が動かなくなったりすることがあります。 半月板損傷の手術 半月板を損傷しても、手術が必要な人もいれば、そうでない人もいます。 その判断は、保存的治療での状況に加え、どのような損傷を受けているのか(損傷の大きさ、部位)、また受傷した方の年齢、活動レベル、ライフスタイルなどをもとに検討します。同時に靭帯損傷の有無や臨床症状も考慮されます。 関節鏡下 半月板手術の種類 半月板損傷に対する手術は、一般的に関節鏡を用いて行われます。その手術は大きく分けて2種類があります。 まずは損傷された軟骨の断裂した部分を縫い合わせ、自然治癒するように修復する半月板修復術(ラスピング、縫合術)です。しかし、損傷のタイプや、損傷部位への血液供給の関係で、修復可能な事例は多くはありません。 もうひとつは、損傷した軟骨を切除し、損傷を受けていない半月板組織を残す、半月板切除術、あるいは半月板部分切除術です。 半月板損傷の手術の種類 1)半月板修復術(縫合術、ラスピング) 2)半月板切除術、部分切除術 https://youtu.be/qH46jDFK9Mc?si=hBwHXPr4IxFpdBZ8 痛みを軽減または、ほぼ取り除ける可能性があります。その結果、リハビリを経てスポーツやその他の活動に復帰できる可能性が高まります。 半月板を外科的に修正することで関節損傷のリスクが軽減される、また損傷部位からの関節炎の発症を防ぐ、または遅らせることも期待できます。 半月板の手術には、切除術と、修復術の二つの種類があります。 半月板損傷、手術の種類 1)切除術 ・文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術 ・損傷部位の縫合が難しい場合に行われ、多くの場合がこちらが選択される 2)縫合術 ・半月板の損傷部位を縫合する手術 ・切除と比べ半月板の温存が可能 ・縫合が可能ならこちらが選ばれる ・注意:再断裂という可能性が高い ・注意:その際は再度手術が必要 手術のメリット それでは、膝半月板手術のメリットをご説明します。 メリット:「変形性関節症への進行を遅らせ、人工膝関節置換術を減らせる」 手術を行うメリットについて、実例から検証された結果についてご説明します。 これによると平均74ヶ月の追跡調査において、半月板を切除する手術群では40%、保存的治療を行った群では27%が人工膝関節置換術を必要としました。 しかし、半月板修復(ラスピング、縫合術)群では人工膝関節全置換術を必要とするほど進行した人はいませんでした。更に変形性関節症の進行を遅らせる可能性がありました。 事例 2020年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された論文で外傷により半月板を損傷した45人のうち、保存的治療を受けた15人、半月板切除術を受けた15人、半月板修復術(ラスピング、縫合術)を受けた15人を観察。 事例(平均74ヶ月の追跡調査) ・保存的治療群:15人 ・半月板切除術群:15人 ・半月板修復術群(ラスピング、縫合術):15人 上記について「人工膝関節置換術」を必要とした割合 ・保存的治療群: 27% ・半月板切除術群:40% ・半月板修復群 :進行しなかった。変形性関節症の進行を遅らせる可能性が高い また2019年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された研究では、半月板修復術、半月板切除術、および保存的治療結果を比較した過去の論文を、科学的手法を用いて厳格に検証するメタアナリシスが実施されました。 この論文では、半月板修復術を受けた229人、半月板切除術を受けた74人、手術を行わずに保存的治療を行った41人が対象となっています。 10年後のフォローアップでは 変形性関節症へ進行率 ・半月板修復群では53.0% ・半月板切除群では99.3% ・非手術群では95.1% 人工膝関節置換術の実施率 ・半月板修復術群33.5% ・半月板切除術群51.5% ・非手術群45.5%でした。 対象者 ・半月板修復術を受けた229人 ・半月板切除術を受けた74人 ・手術を行わずに保存的治療を行った41人 10年後のフォローアップでは、半月板修復群では53.0%、半月板切除群では99.3%、非手術群では95.1%に変形性関節症の進行が認められました。また人工膝関節置換術の実施率は、半月板修復術群33.5%、半月板切除術群51.5%、非手術群45.5%でした。 このことから、半月板修復術が非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクを低減することが期待できます。できる限り半月板の完全性を維持することで、より長期的に大きなメリットを得られることが期待できます。 結果より 半月板修復術は、非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクの低減できる可能性 半月板の完全性を維持すれば、長期的に大きなメリットを得られる可能性 半月板手術のデメリット 過去数十年の間に、半月板をできるだけ多く保存することの重要性が明らかになってきました。 先に説明したように、半月板は膝への衝撃を吸収するために非常に重要な役割を担っています。半月板が破壊されると、関節軟骨の接触圧が増加するため、変形性膝関節症の進行が早まる可能性があります。 加齢などによる変性に起因する内側半月板損傷に対し、関節鏡下半月板切除術と保存的治療の臨床的・放射線学的結果を比較した研究があります。 この研究では、146人の患者(半月板切除術群、90人、保存療法群、56人)を評価対象としています。治療後、すべての臨床結果は両群で有意に改善されましたが、変形性膝関節症は、半月板切除群で有意に進行していました。 先に紹介した外傷による半月板損傷に対する治療結果の論文も含め、変性に起因する半月板損傷半月板損傷であっても半月板切除術は、変形性膝関節症をきたすデメリットがあります。 半月板損傷の手術:デメリット 切除術 ・変形性膝関節症へ進行する可能性 ・人工関節への再手術の可能性がある ・ 縫合術 ・半月板を温存できる ・変形性膝関節症へ進行を遅らせる ・再断裂の可能性があり、再手術(切除術の可能性が高い)が必要 まとめ・半月板損傷の二つの手術!そのメリットと、デメリット 半月板損傷に対する手術のメリットと、デメリットをご説明しました。 ほんの数十年前までは、一般的に半月板損傷後は、半月板を完全に切除していましたが、最近は残された半月板を温存すること、できる限り半月板を修復することが一般的です。 半月板損傷の結果手術が必要だと判断された場合は、しっかりと担当医と相談し、メリット・デメリットを理解して手術に臨まれることをお勧めいたします。 手術を受けたがそれでも改善されないなら、再生医療という最新の医療を考慮することが可能です。特に幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を抽出し培養、患部に投与することで膝の状態を大きく改善できる可能性があります。 手術の経過が思わしくない、手術をしたくないという場合を含め興味があればいつでもご相談ください。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える! 膝の治療の新たな選択肢、再生医療で手術せずに症状を改善できます ▼以下もご参照下さい 膝半月板損傷の治療法と手術のリスクを徹底解説
最終更新日:2024.11.06 -
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膝の半月板損傷の治療法と手術のリスクを解説 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の間にある、「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。 この半月板があることで上半身の負荷や、動作時の衝撃から膝を守ることができ、更に関節をスムーズに動かすことが可能となる大切な存在です。その半月板が損傷した場合の治療法と万一、手術を選択した場合のリスクについてご説明いたします。 ひざ半月板損傷の治療、保存療法と手術療法について まずは、ひざの半月板損傷について、この半月板を治療するには、「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。保存療法では抗炎症薬の投与や、リハビリ テーションを行うことで症状が落ち着くことがあります。 しかし、保存療法を用いた治療で改善がみられない場合や、症状が顕著で日常生活に支障がでる場合には手術が適応となります。 実は、半月板には、約10~20%しか血が通っていません。そのため、一度損傷してしまうと自然に治癒することが非常に困難なのです。結果として再発防止や、スポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もおられます。 手術療法としては、傷ついた箇所を縫い合わせる「縫合術」と、傷ついた箇所を切り取る「切除術」の2種類があり、手術方法は、関節鏡を使った関節鏡視下手術(かんせつきょうしかしゅじゅつ)という手法で行われます。 手術療法 1)縫合術:傷ついた箇所を縫い合わせる 2)切除術:傷ついた箇所を切り取る ※縫合術も切除術も、どちらも手術なので合併症等、それなりのリスクは存在します ※どちらの術式を選択するか「半月板の損傷レベル」、「損傷の程度」を診断の上、適切な方を選択します また、スポーツ選手が復帰を目指した場合などは、リハビリ期間を含めて、そのスポーツの種類や、大会の時期などに復帰に合わせて治療方法を変えるケースもあります。 各手術療法とそのリスクについて 半月板損傷の手術療法のリスクについて解説いたします 内視鏡術の概要 画像上で半月板に損傷がみられても、症状として痛みの程度や、動作による支障があまり出ていなければ、投薬し、安静にすることで症状が軽くなる可能性を考えます。 しかし、症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。手術は、腰椎麻酔で行うことが多く、内視鏡手術中は意識があり、モニターに膝の画像が映し出され、希望するなら説明を聞きながら手術を受けることも可能です。 また、半月板を修復する際には、同時に損傷を受けやすい前十字靭帯、内側側副靭帯も損傷していないかをチェックしていきます。 縫合術 半月板は、安定した生活動作やスポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り切除術ではなく、縫合術で行い半月板を温存する方向で進めていきます。また若年者の場合も可能な限り切除術ではなく縫合術を行うようにします。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。損傷の度合いや形態を観察し、損傷箇所の激しいところを優先的に処置したあとで、血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 縫合術の方法としては、膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していきます。 このケースでは糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷箇所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らずに済む方法もあります。 縫合手術が可能な損傷とは、半月板の辺縁部に損傷が起こる「辺縁縦断裂」になります。辺縁部は血流のあるエリアで、辺縁にそって断裂し、スポーツ外傷で起こることが多くみられます。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるということはありません。せっかく手術をしても、痛みが取れない、手術前よりも痛くなった、という声はよく効かれます。そういう「リスク」も必ず含まれています。 > リスクを回避する再生医療という選択肢 縫合術の術後の注意 関節軟骨にかかる負担は少なくて済みますが、入院は2週間ほど必要で、術後2週間は足を床につけてはならず荷重してはいけません。術後は固定具を装着して膝を伸ばした状態を保つようにします。 術後から2週間ほど経過観察をした上で屈曲練習を開始して行きます。そして3週間目からは90°まで屈曲し、4週間目からは120°までと段階的にリハビリを行うようにします。半月板が癒合するには6週間ほど時間が必要なため、スポーツ復帰は術後3カ月が経ってからになります。 切除術 切除術は、断裂している部分に血行がないことや、断裂箇所が縫合しても改善されないほど損傷が大きいときに適応されます。損傷範囲が広い場合は、断裂している部分を専用器具で切り取り、除去します。 また、半月板の辺縁部分では血行があるため基本的には縫合術で対応しますが、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整えるようにします。 この処置を行うことで、傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦することがなくなり、軟骨の損傷をも防ぐことができます。 しかし、半月板は関節の機能としてなくてはならないものです。取り除くことで半月板の機能を低下させるというリスク!デメリットがあるため、可能な限り温存させる方向で必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 また手術をした患側の足には、血栓が形成されやすいリスクがあるため、その予防に靴下を着用します。手術内容によっては、固定の為の装具を着ける場合もあります。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している場合は、縫合術と切除術を組み合わせて手術していきます。 また、生まれつき半月板が「C型」ではなく「円板状」になっている円板状半月板の人が半月板を損傷した場合は、通常の「C型」に近づけるように手術を行います。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れるという訳ではありません。手術をした数割の人は痛みが取れない、余計に痛くなったということもあり得ます。 > そこで!「手術を回避する」再生医療という選択肢 切除術の術後 切除術のあとは、関節軟骨へのストレスが大きくなり、関節軟骨の変形が進行して膝関節症になることがあります。また、1~2ヶ月間は水が溜まりやすくむくみが生じるリスクがあります。 ただ、日常生活への復帰は縫合術に比べて早く、術後翌日からは歩行が可能になり、膝の曲げ伸ばしにも特に制限はありません。入院は術前から術後の観察までを含め、だいたい4日間ほどで退院できます。スポーツの復帰は、術後から約1~2ヶ月後となります。 手術には合併症というリスクが存在 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 1.感染リスク 半月板手術での術後感染の確率は、全体の術後感染症のなかでも低い方になり、予防として抗生物質の投与を行います 2.静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)リスク 半月板の手術だけに起こるリスクではありませんが、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります 3.しびれが発生するリスク 手術の過程で下肢への血流を遮断するため、術後に下肢のしびれが発生することがあります。術後数日で改善することがほとんどです 再生医療という新たな選択肢 このように半月板損傷の手術には、「縫合術・切除術ともにリスクを伴う」ことがわかりました。ところが、なんと幹細胞を用いた再生医療では、これらのリスクを負うことなく治療を受けることができるのです。 縫合術のリスクと比較して 例えば縫合術の場合、実は縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。これは縫合をしても半月板がしっかりとくっついていない為に発生します。 ところが幹細胞治療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復しますので、日常生活だけでなくスポーツに復帰することも可能です。 また縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられることになりますが、再生医療では治療を受けたその日に歩いて帰ることができます。 切除術のリスクと比較して 切除術の場合では半月板の一部を取り除きますので、関節のクッションがなくなるのと同じです。すると数年後には関節軟骨がすり減って、変形性膝関節症になる方が多いです。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方の場合で30%、スポーツをしている場合では70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。 さらに切除術をすると切った部分から再び断裂が生じることもあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを訴えることがあります。 ところが幹細胞治療であれば半月板をそのまま温存できますので、クッションがなくなる心配がありません。これにより将来、変形性膝関節症になるリスクを大きく減らすことができます。もちろん再断裂のリスクもありません。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻ることはありません。後戻りができない治療を受ける前に、再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 そして術後の再断裂の予防にも幹細胞治療は有効です。縫合術を受けたけれどもスポーツ復帰をした後に再断裂しないか心配になる方も多いかと思いますが、縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、お互いの治療が相乗効果となり、より強固に半月板が修復されることが期待できます。 また切除術を受けた後、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている、新たな半月板損傷の治療としても有効です。 https://youtu.be/XvBHOHYYGd8?si=UMKs505wcfpN8nDY ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます ロッキングの場合は緊急手術が必要となることも 早急に手術が必要なケースは、痛みにプラスして半月板の引っかかりがあり、膝を動かせないなど、にロックがかかったようになる症状(ロッキング)の場合です。 ロッキングとは、傷ついた半月板が関節の中で挟まってしまい、膝をスムーズに伸ばせなかったり、曲げられずに、膝の動作に制限がある症状のことをいいます。 この場合は、膝が伸ばせないので歩行が困難となります。そのまま放置しておくと膝が拘縮を起こしてしまい、2度と膝をまっすぐ伸ばせない状態となることもあります。 ロッキングで異常をきたした場合には、すぐに病院やクリニックにかかることをお勧めいたします。 以上、膝半月板損傷の治療法と、手術のリスクについて解説いたしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼以下もご参考にしてください 半月板損傷の手術!損傷のタイプで異なる手術の種類について
最終更新日:2024.11.06 -
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「インターネットで膝の痛みについて検索しても、自分の膝の症状に当てはまるのかわからない」と悩んでいませんか。 自分の膝の痛みは放置しても治るのか、病院で治療を受けるべきなのかが判断できず、不安になることもあるかもしれません。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織が存在し、損傷や炎症を起こしている部位によって疾患名が変わる可能性があります。自己判断が難しい場合もあるため、気になる場合は早めに整形外科の受診も検討しましょう。 本記事では膝の部位ごとに痛みを感じる病気と対処方法を解説します。 記事を最後まで読めば膝の痛みがある部位ごとに疑われる疾患名がわかり、病院に行くべきか判断する際の参考になるでしょう。 「膝が痛む場所」によって診断結果が変わる可能性が高い 結論から言えば、膝の痛みが出ている場所によって、診断される病名は変わる可能性が高いでしょう。 膝には靭帯や軟骨、筋肉などさまざまな組織があり、どの組織が損傷・炎症しているかによって疾患名が変わるためです。 言い換えると、痛みが出る部位が明確であれば、損傷・炎症している膝の組織や疾患名も予測しやすいといえます。 「膝の内側」が痛む2つの病気 膝の内側が痛い場合は、以下2つの病気が考えられます。 変形性膝関節症 鵞足炎 膝の内側の痛みに悩んでいる方は、自分自身の症状に当てはまるかチェックしてみましょう。また、変形性膝関節症と鵞足炎の詳細については、以下の記事もご参照ください。 変形性膝関節症 変形性膝関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで膝関節が変形していく病気です。加齢や筋力低下のほかにも、骨折•感染症も原因となる可能性があります。 主な症状は変形した関節の痛みや可動域の制限、関節水腫などです。初期症状では痛みがある程度ですが、進行していくにつれて変形が大きくなり、炎症反応がみられるようになります。 末期になれば変形が強く関節面がゆがむために関節可動域制限が大きくなり、日常生活に支障がでることも珍しくありません。 鵞足炎 鵞足炎とは、膝の内側に付着する筋肉の腱が炎症を起こす病気です。 ダッシュからのストップやジャンプ動作を繰り返すことで生じる、いわゆるオーバーユース症候群に分類されます。スポーツ選手に多く発症しますが、階段の上り下りや長距離歩行が多い人に発症することも少なくありません。 主な症状は歩くときや椅子からの立ち上がりなど、足に力を入れたときに膝の内側、下方に生じる痛みです。重症化すると荷重時だけでなく、安静時にも痛みを感じることがあります。 「膝の外側」が痛む2つの病気 実際に膝の外側が痛い場合、以下に挙げる2つの病気が考えられます。 腸脛靭帯炎 外側半月板損傷 膝の外側に痛みを感じている方にはこれらの病気が当てはまるかもしれません。痛みで悩んでいる方はぜひチェックして、ご自身の症状と比較してください。 腸脛靭帯炎 腸脛靭帯炎とはランナー膝とも呼ばれ、膝の外側にある腸脛靭帯という組織に炎症がみられる病気です。 膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで腸脛靭帯が膝の外側の出っ張り(大腿骨外顆)とこすれ、摩擦によって炎症が起きます。そのため、ランニングなど膝の曲げ伸ばしが多いスポーツが主な原因です。 症状は膝の外側の痛みで、初期では膝を動かしたときのみに痛みを感じます。重症化してくると安静時にも痛みを感じるようになり、痛みがなかなかひきません。 外側半月板損傷 外側半月板損傷とは、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)の間にあるクッションの損傷です。 膝関節の内側と外側にそれぞれありますが、外側にある半月板の損傷が膝の外側の痛みにつながります。損傷の原因はスポーツや日常生活のなかで膝の外側に大きな負担がかかり続けることや、加齢に伴う関節の変性、筋力低下などです。 外側半月板損傷では痛みのほか、関節可動域の制限がみられます。関節運動が不安定になり、膝の曲げ伸ばしの途中で半月板が引っかかることで動かなくなる「ロッキング」も外側半月板損傷の特徴です。 「膝の上側」が痛む2つの病気 膝の上側に痛みを出す病気で考えられるものは以下の2つです。 大腿四頭筋付着部炎 膝蓋大腿関節症 膝の曲げ伸ばしなどで膝の上に痛みを感じる人はこれらの病気が当てはまる可能性があります。自分の症状と照らし合わせてみてください。 また、膝の上の痛みについては以下の記事でも解説していますので、気になる方はこちらもチェックしましょう。 大腿四頭筋付着部炎 大腿四頭筋付着部炎とは、太ももの前にある大腿四頭筋が付着する膝蓋骨(膝のお皿)上部に痛みを生じる病気で、ジャンパー膝とも呼ばれます。 いわゆるオーバーユース症候群に分類され、大腿四頭筋を使いすぎることが原因です。ジャンプ動作やダッシュを繰り返すスポーツ選手に多く発症します。 初期症状ではスポーツ時に限定される痛みが特徴ですが、悪化すると歩行や階段昇降など日常生活でも痛みを感じるようになります。 大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)の原因や治療は、以下の記事も参考にしてください。 膝蓋大腿関節症 膝蓋大腿関節症は、大腿骨と膝蓋骨の間にある軟骨が変性することで痛みや関節可動域制限が生じる病気です。 膝の運動に伴い上下に動く膝蓋骨の軟骨が変性することで動きが悪くなり、関節の変形へとつながります。 主な原因は加齢と膝蓋骨の骨折・脱臼です。これらの原因によって膝蓋骨の軟骨が変性、摩耗し、膝の上部に痛みが生じます。 また、膝蓋骨の動きが悪くなることで膝全体の可動域が制限されることもあるでしょう。 「膝の裏側」が痛む2つの病気 膝の裏側に痛みが出る場合に疑われるのは、以下の2つの病気です。 関節リウマチ 膝靭帯損傷 これらの病気は放置すると危険なため、膝の裏側に痛みを感じる方は注意が必要です。ご自身の症状とこの2つの病気が当てはまるかどうか必ずチェックしてください。 また以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 関節リウマチ 関節リウマチは、関節の中にある滑膜という組織がなんらかの原因で異常増殖し、炎症を起こす進行性の疾患です。 症状が進行すると関節が破壊され、痛みや関節の変形を伴います。全身の関節に起こる病気ですが、膝であれば膝裏にも痛みを感じることが特徴的です。 関節リウマチは自己免疫疾患だと考えられていて、発症する原因はわかっていません。しかし、30〜40代の女性に発症しやすい傾向があります。 早期発見・早期治療によって症状の進行を抑えることが重要な疾患です。 膝靭帯損傷 膝靭帯損傷は膝にある4種類の靭帯のいずれかが損傷する疾患で、膝の裏の痛みではとくに後十字靭帯損傷が疑われます。 後十字靭帯損傷は事故やスポーツによって損傷しやすい靭帯で、損傷すると膝裏の痛みや膝の伸ばしにくさが出るのが特徴です。 後十字靭帯は自然治癒が難しいため、損傷すると時間経過とともに元どおりになることがありません。すぐに手術をする必要はありませんが、サポーターなどの装具での補強やリハビリが必要です。 【場所別】膝が痛むときの対処法 膝の痛みは、痛む場所によって対処法が異なります。主な対策は以下のとおりです。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 本章を参考に、自分の膝の痛みに合った対処法を試してみましょう。 膝の内側が痛む場合は「膝に負担をかけないようにする」 膝の内側が痛い場合は、「鵞足炎」もしくは「変形性膝関節症」の可能性があるため、膝関節へ負担をかけないことが大切です。 病名によって対処法がやや異なるため、以下の表を参考に試してみましょう。 病気名 対処法 鵞足炎 ・安静にすること ・鵞足につく太ももの内側・裏側の筋肉をストレッチする ・お尻の筋力強化 変形性膝関節症 ・適切な体重にコントロールする ・膝の筋力強化 ・痛み止め(消炎鎮痛剤)の服用 これらの疾患は圧痛の位置によっておおまかに見分けられます。 鵞足炎では膝の内側・下方に圧痛があるのに対し、変形性膝関節症では大腿骨と脛骨の関節面付近に圧痛があります。 圧痛の場所を確認し、可能性のある疾患を見極めた上で適切な対処を行いましょう。 膝の外側が痛む場合は「股関節の運動を心がける」 膝の外側に痛みを感じる場合「腸脛靭帯炎」もしくは「側半月板損傷」が考えられます。これらの疾患への対処法として、股関節周囲の筋力強化やストレッチが重要です。 腸脛靭帯は股関節の外側から膝に向かって伸びている靭帯で、膝を支える役割がある組織です。お尻の筋肉とつながっているため、股関節の筋力強化やストレッチで強くしなやかになり、腸脛靭帯炎の予防になるでしょう。 外側半月板は膝の中にあるクッションで2つある半月板のうち、外側にあるものを指します。身体の外側に体重がかかると外側半月板の負担になるため、股関節の筋力強化・ストレッチを行い、体重のかかり方をコントロールする必要があります。 股関節を捻るストレッチやあぐらをかくストレッチが効果的です。筋力強化は仰向けでのお尻上げやスクワットといったお尻の筋肉に力をいれるトレーニングを取り入れてください。 また、どちらの疾患もオーバーユースが要因となるため、痛みが強いときには安静も重要です。 膝の上側が痛む場合は「ストレッチと筋トレを行う」 膝の上に痛みを感じる場合「大腿四頭筋付着部炎」や「膝蓋大腿関節症」の可能性があるため、太ももの筋肉の柔軟性を高めましょう。 大腿四頭筋付着部炎と膝蓋大腿関節症は大腿四頭筋の柔軟性が低下することで発症しやすくなります。膝を深くまで曲げるストレッチや、足を後ろに引いて骨盤を前に出すストレッチで大腿四頭筋の柔軟性が高まるでしょう。 また、ストレッチだけでなく筋力強化も重要です。大腿四頭筋を強化することで膝蓋骨の動きがスムーズになり、また付着部の炎症も起きにくくなります。仰向けでの脚上げやスクワット、段差昇降が有効なため、ぜひ試してみてください。 なお、大腿四頭筋のストレッチの詳しいやり方はこちらでも解説しています。ぜひご覧ください。 膝の裏側が痛む場合は「無理をせず医療機関を受診する」 膝の裏に痛みを感じるときは「関節リウマチ」や「膝靭帯損傷」が疑われます。自分での対処が難しいケースがほとんどであるため、可能な限り早く整形外科を受診しましょう。 整形外科を受診する場合には、MRIがある施設がおすすめです。MRIがあれば関節の変形や炎症の程度がわかるため、適切な診断を受けられます。 また、関節リウマチを疑う場合には採血も必要なため、受診する前に採血が可能か問い合わせておくと安心です。 まとめ|膝の痛みは場所によって原因が違う!気になる人は早めの受診がおすすめ 今回は膝が痛む場所からわかる膝の病気について詳しく解説しました。 個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることはいうまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝の病気があることも事実です。 もし膝の痛みの原因が自分で特定できない場合は、病院で受診することをおすすめします。 また、当院「リペアクリニック」では、膝の痛みに関する治療法として、再生医療を行っています。 2023年12月には、国内初の「分化誘導による関節の再生医療」による治療を厚生労働省に特許申請し、受理されました。 「分化誘導による関節の再生医療」は、従来より高い再生能力を持った幹細胞による治療であり、幅広い膝疾患への効果が期待できます。 膝の痛みにおいて、手術以外の選択肢を持ちたいと考えている方は、ぜひ当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」からご相談ください。 この記事が、膝の痛みの原因や対処法を知り、適切な治療を受けるための参考資料になれば嬉しく思います。 膝の痛みについてよくある質問 膝の痛みの原因はなんですか? 損傷・炎症がある組織によって異なります。 膝の痛みは靭帯や軟骨といった組織が損傷・炎症を起こすことで生じます。これらの組織は部位によって違うため、痛みの部位だけでは原因組織の断定はできません。 そのため、原因を特定するためには病院を受診しましょう。とくにMRI検査をすれば詳細な組織の評価ができるため、MRI撮影ができる施設がおすすめです。 膝が痛むとき受診は必要ですか? 受診することをおすすめします。 もし痛みの原因が軟骨や靭帯である場合、自然治癒が見込めません。そのため、正しい治療をしなければ痛みが長引く可能性があります。 病院を受診して痛みの原因を特定できれば、痛みの改善に向けた正しい治療が受けられるでしょう。また、再発防止に向けたアドバイスももらえるため、可能なら早めの受診をおすすめします。
最終更新日:2024.11.06 -
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半月板損傷|ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板組織は、膝関節内部の内側(内側半月板と呼ばれる)と外側(外側半月板と呼ばれる)にひとつずつ存在しています。 半月板は主に大腿骨と脛骨などで形成される関節面に介在して膝関節の動きをスムーズにし、膝関節において屈曲伸展などあらゆる動きで膝関節を安定化させる役割を有しています。 更に、運動を行った場合、ジャンプなど、強度の外的なストレス、物理的な衝撃をできるだけ分散させるクッションのような機能を果たすなど大切な役割を担っています。 半月板の機能 ・膝関節なスムーズな動きをアシスト ・膝関節の安定性の確保 ・膝関節への衝撃を分散(クッション的な機能) したがって、これらの重要な役割を担っている半月板が、仮にスポーツ活動や日常動作などによって損傷してしまうと膝関節部の痛みや関節の可動域の制限といった症状が現れます。 半月板が損傷した初期にはその部分の安静を保ち、患部に対してヒアルロン酸注射による治療を実施することが主流になっていますが、このヒアルロン酸による注射投与について様々な理由で限界があることが知られています。 今回は、「半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性や限界点」などについて順番に解説していきます。 1.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性 半月板損傷は、ジャンプをした際の着地や、ストップやターンを繰り返すような膝に大きく負担がかかる動作でバランスを崩した際などに起こりやすく、そんな場合、同時に側副靱帯や前十字靱帯など周囲組織の損傷を合併するケースも見受けられます。 半月板を損傷した場合には、多くの場合で対症療法にて様子を観察をし、保存的治療を行うことで症状が軽快すると考えられています。 半月板が断裂した程度が軽症の部類であれば、サポーターなどの装具やテーピングなどの補助器具による補強、あるいは疼痛軽減を目的として鎮痛剤などの投薬治療や運動器によるリハビリテーションを実践します。 スポーツや運動などで半月板を損傷したケースの初期では、患部の局所的な安静を保って関節部に注射を使って関節液を吸引、局所麻酔剤やヒアルロン酸注射による療法が主流となっています。 従来、抗炎症作用を狙って患部にステロイド注射を頻回に行っていた時代がありました。このステロイドは魔法の薬と呼ばれ炎症を抑制できるのですが、その逆の面もあり、様々な副作用に注意が必要です。 特に、最近では半月板を損傷した後にヒアルロン酸ナトリウム(商品名アルツなど)を関節内に注入する注射療法が一定の効果を示すと考えられています。 実は、膝関節軟骨の一成分でもあるヒアルロン酸物質は、水分の保有率が高いことが知られており、関節軟骨組織や半月板そのものが損傷した際に関節内部において潤滑油のような働きをして関節部の可動性を改善させると伝えられています。 ヒアルロン酸注射は、屈曲伸展などの関節可動域を拡大するのみならず、関節痛や腫れの改善にもある程度の効果が期待できるようです。 このヒアルロン酸による方法は、もともと高齢者における変形性膝関節症の治療用として開発され、普及してきたものですが、最近では外傷を起こしやすいスポーツ選手にもこのヒアルロン酸療法が使用されるようになりました。 実際にスポーツ選手における円板状半月板形成的切除術後のスポーツ復帰を考察した文献によると、術後3~6ヵ月で関節水腫を合併する症例が見られましたがヒアルロン酸の関節内注入と2~3週間の運動制限によって症状は消失したと報告されています。 ヒアルロン酸ナトリウムは、軟骨細胞に対する増殖作用や軟骨基質産生を促進する作用が報告されており、線維性軟骨からなる半月板組織にも好影響を与えることが予測されています。 2.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の限界 前章でも説明した通り、ヒアルロン酸というのは関節の内部を満たしている関節内溶液の主成分とも言われるものです。このヒアルロン酸には、関節部の軟骨を保護して関節内部や滑膜周囲組織の炎症を軽減させる効果や、軟骨そのものの破壊を防止する機能があると伝えられています。 半月板損傷でヒアルロン酸注射を行う場合には、軟骨の主成分であるヒアルロン酸物質を関節内に注射を用いて直接、注入することになります。 この注射治療は、まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多く、次の段階では、間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 これらの治療を施行しても関節の疼痛が軽快しなければ、また元通り、週に1回にタイミングを調整しながら、概ね3か月程度様子を観察し、それでも著効しないケースでは根治的な手術治療を考慮することになります。 仮に半月板組織が損傷すると、損傷部位の炎症の広がることによって関節液が増えることになり、関節液内部のヒアルロン酸成分が分解されてしまうことで関節内のヒアルロン酸濃度が減少します。そのため内包液の粘度や弾力性が低下することに繋がります。 このような場合に、患部にヒアルロン酸を注射すると、関節液の粘り気や弾力度合いが一時的に回復する結果、膝関節の疼痛も改善するという治療効果が起こります。 しかし、気を付けて欲しい点として、「ヒアルロン酸の注射で得られる効果はあくまで短期的」であり、必ずしも長期間に渡って改善効果が続かないというものです。 1回のヒアルロン酸注射で期待できる効果(持続期間)は、長く見積もってもせいぜい1~2週間程度と言われています。ただ、長期間立て続けに繰り返しヒアルロン酸注射を実施した場合には、痛みを軽減する効果は徐々に減弱して、耐性が付いてくると効果も薄れてくることになります。 このことは、ヒアルロン酸自体が膝関節に悪影響を及ぼしているからではなく、注射によって一時的に症状が改善して痛みが緩和されることで日常生活において膝を酷使してしまい、関節機能を悪化させるといった原因が重なり、組織損傷のスピードを助長させてしまうからです。 また、ヒアルロン酸を半月板損傷部に注射して、痛みが薄れても、その部分の軟骨が自動的に再生するわけではないことも知っておくべきです。 このようにヒアルロン酸注射はあくまで緊急的にその場をしのぐ対症療法であり、根本的な解決にならないことは十分に認識して実践するようにしてください。 ヒアルロン酸注射の限界 ・ヒアルロン酸注射(治療)で得られる効果は短期的 ・症状の改善効果は一時的となる ・長期に投与すると耐性が付き効果が薄れる ・痛みが薄れても軟骨が再生するわけではない(根本的解決にはならない) まとめ・ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板損傷において、膝の痛みを和らげて軽快させる治療法として期待され、広く普及しているのが「ヒアルロン酸注射」です。 この療法は、注射をするだけ、治療時間そのものの短さも魅力的な要素であり、膝関節内部の潤滑油のような役割を果たしているヒアルロン酸自体を補充することによって軟骨組織を保護して半月板周囲の痛みを軽減させることで炎症の抑制に繋げることができるといた一定の効果を示しています。 しかし、ヒアルロン酸成分は時間が経って代謝の過程で分解されて体外に排出されると、その効果は失われますので、症状改善効果はあくまで一時的なものであることを念頭に置いておきましょう。 ヒアルロン酸注射による療法は単純な注射治療になりますので、忙しい日常生活を大幅に制限することはありませんが、ヒアルロン酸注射のみで根本的な治療は達成できないことを知っていただければと思います。 今回は、ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について記しました。 記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 半月板損傷|不可能といわれた軟骨を再生する再生医療 再生医療なら半月板損傷は、手術、入院をせずに軟骨を再生、症状の改善ができます ▼以下もご参考に! 半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法
最終更新日:2024.11.06 -
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膝の痛みを起こすスポーツで起こるの慢性障害3つの要因と4つの症状について 走ったり、ジャンプをするなどのスポーツ、運動をすると、膝に力が加わり続け、靭帯や腱の組織が損傷したり炎症を起こして、膝に痛みなどの障害を引き起こす場合があります。 これは、いわゆるスポーツ障害の一種で「膝の慢性障害」です。これは、運動による膝の使い過ぎが原因であり、スポーツによる「使い過ぎ症候群」とも言われています。そこで今回は、膝の使い過ぎにより発症するスポーツ障害のうち「膝の慢性障害」とその症状について、詳しく解説します。 膝の使いすぎによるスポーツ障害「膝の慢性障害を起こす3大要因」とは ① 身体要因 1つ目は、筋力不足や筋肉のアンバランス、体の柔軟性の不足など、体自体の発達具合に起因する身体要因です。 ② 環境要因 2つ目は、合わない靴を履いている、地面が固すぎたり柔らかすぎたりして膝に負担がかかるなどの環境要因です。 ③ トレーニング要因 3つ目は、過度な運動量、技量や体力に合わない運動をするなど、自分に合わないトレーニングやスポーツを行うことに起因するトレーニング要因です。 これらの要因が発生している状況で、膝の靭帯や腱に骨が付着する部分や、靭帯が骨の上を通る部分に繰り返し負荷がかかり続けると、付着部分や重なっている部分に摩擦が起き、損傷や炎症が生じて痛みを感じるようになります。 軽度な症状であれば、運動中や運動後に痛みを感じることもありますが、トレーニングやプレーは通常通りできるため、大きな影響はありません。しかし、進行すると運動中に常に痛むようになり、支障をきたすようになります。 さらに重症化してくると、運動が出来なくなったり、靭帯や腱の断裂を引き起こし、日常生活に支障が出るなど、スポーツによる膝の慢性障害を発症してしまいます。 スポーツ障害|膝への代表的な症状で4つの慢性障害とは 前述した要因により引き起こされる、スポーツによる膝の慢性障害の代表的な症状としては、以下の4つが挙げられます。 スポーツで起こる膝の慢性障害 ①鵞足炎 ②大腿四頭筋腱付着部炎 ③膝蓋腱炎 ④腸脛靭帯炎 これら4つの症状は、ひざ関節の外側や内部で生じるものですが、特定の動きにより発症しやすくなります。 ①鵞足炎の症状と原因 「鵞足」とは、ひざを曲げる筋肉や腱が付着する骨の部位をさしますが、ランニング動作などの、足を後ろに蹴り出す動作を繰り返したり、急に方向転換をする動きを繰り返すことで、鵞足がすれて炎症し痛みが出るようになります。 ②大腿四頭筋腱付着部炎の症状と原因 膝の関節の外側が炎症することで症状が出ますが、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作やサッカーボールを蹴る動作、ジョギングなどの走る動作を繰り返したことにより発症します。 ③膝蓋腱炎の症状と原因 膝蓋骨という通称「膝の皿」と言われる部分の下部からすぐ下の靭帯にかけて痛みが出るもので、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプ動作を繰り返すと発症しやすくなります。 ④腸脛靭帯炎の症状と原因 膝の外側を通る腸脛靭帯が、長距離ランニングなど、長時間の膝の屈伸運動により、炎症を起こして発症します。 以上のように、ジャンプをしたり、足を蹴り出したり、長時間動かし続けることで、各動作で使われる膝の周りの靭帯や腱と骨の付着部分に摩擦が生じて炎症を起こし、痛みが生じるようになります。 スポーツによる膝の慢性障害への対処法 スポーツによる膝の痛みなどの慢性障害の対処法としては、まず症状が出るのを予防すること、そして、発症してしまった症状を改善することが重要となってきます。そして、予防をするためには自己対処がとても大切です。 痛みに対して鎮痛剤を投与したり、装具療法や、時に手術が必要になるなど、各個人で症状や対処法は異なりますので、お近くの整形外科での診察を受け、個々の症状に応じた診断と適切な治療やアドバイスを受けるようにしてください。 ストレッチを行う 体の柔軟性を高めるために、運動開始前に十分にストレッチを行ってください。ストレッチを行うことにより、運動前に体の筋を十分伸縮させ筋肉の緊張をほぐすことで、運動による膝への衝撃を和らげることができます。 アイシングを行う 運動後に、急性炎症を抑えるために、氷や水などで膝を局所的に冷やすアイシングを15分程度行うのも効果的です。 その他 もしスポーツによる膝の慢性障害を発症してしまったら、無理をしないように休憩を適度にとったり、トレーニングメニューを強度の低いものに変更するなど、まずはご自身で調整しましょう。 症状が重い場合は、リハビリテーションを含む専門知識や技術が必要となる場合があります。 まとめ・膝の痛みを起こすスポーツで起こる慢性障害3つの要因と4つの症状 健康を意識する方が増え、運動を継続的に行ったり、趣味で競技スポーツを行う方が年々増加傾向にあります。 適度な運動を体に無理がかからない範囲で行うのは良いですが、過度な運動をしたり、合わない靴を履いての運動などをすることで、気づかないうちに膝に負担をかけ続けていると、スポーツによる膝の慢性障害を発症する確率が高くなります。 また、我慢できる程度の痛みだからと、準備運動のためのストレッチや運動後のケアを怠ったり、トレーニングメニューの調整をしないと、症状が悪化し日常生活に支障が出る場合があります。 スポーツによる膝の慢性障害は症状が進行すると、自然治癒することが難しく手術が必要になることもありますので、無理な運動をせず、日頃のコンディショニングをしっかりと行いつつ、トレーニングをするようにしてください。 以上、膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について解説させていただきました。参考になれば幸いです。 ▼以下も参考にしてください 膝の病気|膝から下が痛い、重い、だるい!症状から考えられる病気と治療法
最終更新日:2024.11.06 -
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半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン スポーツや運動動作によって負う膝の外傷性疾患には、大きく分類して骨折や靱帯損傷、あるいは半月板損傷、腱板断裂、軟骨損傷などが挙げられます。そして、このなかでも日常的に頻繁にみられるのが「半月板損傷」でしょう。 基本的には、半月板損傷という病気は膝関節内部に位置している半月板組織に亀裂が生じて、その一部が欠けて欠損する状態を指します。 一般的に、半月板損傷は若年者から高齢者まで幅広く発症すると言われており、症状を放置して慢性化してしまうと将来的に「変形性膝関節症」などを引き起こす可能性が懸念されるため、半月板損傷を認めた場合には適切な診断と早期の治療が重要となります。 そもそも半月板というのは、膝関節部に付着している大腿骨と脛骨の間に存在する線維性軟骨(コラーゲンが束になったもの)で、できています。 通常では、膝の内側と外側の各々に存在していて膝にかかる荷重をバランス良く分散することで外部からの衝撃をうまく吸収するクッションのような役割を担っています。 また、膝関節部の半月板には、関節の滑動性を維持して膝関節の安定性を保つなど多くの機能を有している組織ではありますが、解剖学的に血行や血流に乏しく、いったん損傷を受けた半月板の治癒力は他の組織よりも低いと考えられています。 今回は、半月板損傷の中でも様々な視点から考えられる症例と手術の種類について、その症状(断裂のタイプ)を5つに分けて、順番に解説していきます。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは さて、半月板損傷と一言でいいますが実際にはどのような種類のものがあるのでしょうか。半月板損傷の原因としては、例えば重い体重が加わった状態で膝関節を捻挫する、または外部から衝撃が強く加わることによって起こるとされています。 また、外傷を受傷した時に前十字靭帯を損傷すると同時に半月板を痛めてしまう方もおられます。一般的に半月板損傷で多く見られるのはスポーツ外傷と言われるスポーツを行っている場合のアクシデントが原因となるものです。 その一方で、この組織は加齢によっても脆弱化して傷つきやすくなります。そのため、高齢者でもちょっとしたケガや日常的な生活動作をしただけで半月板を損傷する場合があるので注意が必要です。 この半月板損傷は、損傷のタイプによって例えば「縦断裂」、「横断裂」、あるいは「円板状断裂」、「フラップ状断裂」、「水平断裂」など合計5つのタイプに分類されます。 半月板損傷の断裂5つ症状/タイプ 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 そして、それぞれの半月板における断裂の形や部位などによって治療パターンが異なっています。 過去の症例によりますと靱帯損傷を合併しない半月板損傷1485例を対象とした場合、内側半月板単独損傷例が最も多く、約7割、外側半月板単独損傷例が2割、また内側および外側合併損傷例が1割程度の発症率であったとのことです。 円盤状半月板 また、半月板が生まれつき丸く、厚みがあることが小児にみられることがあり、このような場合には円板状半月板が疑われて仮に強度的な外傷がなくても半月板や周囲の関節軟骨組織を損傷しやすいと考えられています。 通常の健常な半月板では、三日月のような姿をしていますが、円板状半月板になれば中央部も覆っているような構造をしていて外側の半月板に生じやすいと言われています。 円板状半月板は人種によって異なると言われており、特に膝外側部の円板状半月板の発生頻度としては欧米人では数%前後とされている一方で、日本人をはじめとするアジア系人種では10%程度とより高いとされています。 半月板損傷の症状で異なる手術の種類 一般的には、半月板組織において損傷あるいは断裂部位の幅が1センチメートル以上と比較的サイズが大きい場合や、自然治癒が期待できないようなケースでは、手術治療が選択されることが多あります。 昨今では、いずれの術式を選択するにしても多くは関節鏡を用いた鏡視下手術が行われます。 通常では手術法には、主に損傷した部分のみを切り取って切除する方法、あるいは損傷して断裂した箇所を縫い合わせて修復する縫合形成術の二種類があると言われています。 半月板損傷・手術の種類(術式) 関節鏡での鏡視下手術 損傷した部分のみを切除 損傷して断裂した箇所を縫い合わせる縫合形成術 1.縫合術 大体の適応基準として、半月板組織の辺縁部分の約3分の1には血管が走行しているため、組織の修復の可能性があり、その場合は治癒を期待して縫合形成術という縫い合わせる手術が考慮されます。 2.切除術 ところが一方で、半月板の中央3分の2の箇所には血管がなく、一旦、この部分の半月板が損傷を受けてしまうと血流が乏しい為に組織が修復されにくいため、単純に切除術のみが実施されることが多いと考えられます。 また、断裂の形態が横断裂や水平断裂の場合には、損傷のパターンの都合により、従来では切除術が実践されるケースが殆どでしたが、半月板を切除してしまうと関節軟骨部の摩耗が増大することが懸念されるため、近年は縫合術を選択することもあります。 このように半月板組織は膝関節機能の維持に重要な役割を果たしており、半月板組織を出来る限り温存するために関節鏡視下で縫合形成術が行われる機会が多くなってはきました。 3.円盤状半月板の場合の術式 ところが、円板状半月板損傷に対しては、未だに縫合手術は困難とされており、半月板の一部あるいは全切除術が行われています。 中には円板状半月板損傷に対しても機能温存を目指して円板状半月板をいったん正常型の半月板組織へ形成してから切除する方法なども報告されてはいますが実際のところでは、それら手術の成績や、術後の機能性などの面からみて安定的とは言えないとの議論が分かれています。 術式について いずれの術式にしても主治医や、かかりつけ医から治療法や、手術術式に関する説明を十分に受けて、それぞれの「メリットは何ですか?」、「デメリットを教えてください」とお願いして十分に理解することが大切です。 その上で自分に適した治療方法を選択することが重要であると言えます。尚、最後になりましたが今回の半月板損傷について、手術以外の治療法として再生医療という先端医療もあることをご報告しておきます。 この治療法の場合は、そもそも手術が必要ではなく、治療も日帰りで可能という新しい時代の治療分野です。興味があればお問い合わせください。 まとめ・半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン 半月板損傷における主要な原因としては、スポーツなどの怪我から発症する場合、また加齢に伴って傷つきやすくなっている半月板に日常動作など微妙でも外的な加重が積み重なって損傷するケースがあります。 手術法には大きく分類すると、半月板のなかでも損傷した部分を切り取る方法である切除術、そして半月板組織の損傷した部分を縫い合わせる手段を用いる縫合術の2タイプがあって、一般的には関節鏡を駆使した鏡視下手術が実践されています。 半月板を切除する術式では、膝関節部への衝撃をクッションのように吸収して関節構造の安定性を保持する役割を担っている半月板の機能が生涯に渡って損なわれます。 ですから、切除術においては半月板と隣接している関節軟骨組織が摩耗して変形性膝関節症へ進行する割合が高いことが徐々に判明してきました。 このような背景もあって、近年では可能な限り縫合術を選択して半月板を温存するという考え方が主流的な傾向となってきています。 両者がいずれも選択できる損傷形態であるならば、それぞれの手術治療の長所や短所を検討してかかりつけ医ともよく相談して手術方法を決定することになりますから念頭に置いておきましょう。 最後に言及した手術を避けられる「再生医療」は、整形外科医であっても不明のことが多い「新しい治療法」であるため、正確な意見を得られないことがあります。検討及び、選択肢に入れる場合は必ず再生医療専門医に診断を仰ぐことをお勧めします。 ▼以下もご参考にしてください 変形性膝関節症と半月板損傷の違いをご存知ですか
最終更新日:2024.11.06 -
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変形性膝関節症と半月板損傷の違い、症状と治療について 膝に痛みを感じる代表的な疾患が、変形性膝関節症と半月板損傷です。変形性膝関節症は加齢や筋力低下から発生し、長い年月をかけてゆっくりと進行します。一方、半月板損傷は運動時に足を捻ったなど明らかな要因があることを特徴とします。 両者とも膝に痛みが発生する疾患ではあるものの、発生原因や診断方法・治療法などは異なります。ですので、間違えた治療法を施してしまうと余計に悪化する恐れから、自分で判断しないなど注意が必要です。 そこで今回の記事では、変形性膝関節症と半月板損傷の違いから、治療の注意点・両者の関連性まで解説しますので、膝に痛みを抱えている方はぜひご覧ください。 変形性膝関節症とは 変形性膝関節症は50代に女性に多い疾患です。加齢や筋力低下から関節内で軟骨が摩耗し、その骨片が滑膜を刺激することで痛みを感じる疾患です。進行すると骨の増殖がみられたり、外見からわかるO脚やX脚(日本人ではほとんどがO脚)がみられたりと、膝関節の内外を問わず変形がみられます。 変形性膝関節症の症状 最初は膝の違和感程度ですが、進行すると立ち上がり、動き出しに痛みを感じるようになります。進行すると痛みで歩行が困難になるほか、痛みをかばうことで関節に可動域制限がみられ、正座ができなくなど悪循環に陥ります。さらに末期になると、安静時にも痛みを感じるようにまでなります。 変形性膝関節症の診断 変形性膝関節症はX線検査(X-ray)で診断されます。画像診断では関節の隙間や、骨の硬化・増殖の程度から進行度を確認します。初期には膝に違和感を感じたとしても、画像上では明確な所見を確認できないこともおおく、長い年月をかけて進行する病気です。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症を発症すると、まずは保存療法です。膝に負荷がかかる動作を止めるなど、生活習慣を見直したり、筋力をつけるために運動に取り組んだりします。保存療法でも効果が見られない場合には手術が適応されます。 半月板損傷とは 半月板損傷は、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の間にある半月板を損傷することです。半月板は膝にかかる荷重の分散や吸収の役割をすることから、立つ・歩くだけでなく激しい動作を必要とするスポーツには欠かせない存在です。 しかしバレー・バスケット・野球・陸上などの急激な方向転換や、瞬間的に発揮される力が膝への負担になり、スポーツ障害の中でも頻発する疾患です。発症年齢はスポーツをしている子供から大人まで年齢を問わず発生します。 半月板損傷の症状 半月板を損傷すると、膝に痛みや腫れ、可動域制限が出現します。特に患側の脚に体重を乗せた時に感じる荷重痛や、関節の隙間に半月板が入り込むことで膝を伸ばせなくなる”ロッキング”が起こります。 半月板損傷の診断 半月板損傷の診断には、マックマレー(McMurray)テストや圧迫アプライ(Apley)テストのような徒手検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging)といった画像検査などを複合して診断されます。 半月板損傷の治療法 半月板を損傷するとRICE処置を行います。安静(Rest)をベースに、患部を冷却(Ice)圧拍(Compression)挙上(Elevation)します。RICE処置により血管を収縮させ、さらなる炎症を抑えます。保存的に経過を観ても関節水腫を繰り返す場合、ロッキングがみられる場合には手術検討されます。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いと関連性 発症の違い 変形性膝関節症は、加齢や筋力低下を原因に長年かけて進行する疾患なので、スポーツで脚を捻るほか、瞬発的な力が働くことが原因で起こる半月板損傷とは違いがあります。 経過による痛み方の違い 変形性膝関節症の初期は、膝に違和感や痛みを感じますが、歩けば馴染むことがあります。しかし変形が進行すると痛みが増すことが特徴です。 一方半月板損傷は、受傷直後が1番腫れや痛みが強く、荷重をかけると痛みが強調されますが、経過とともに徐々に緩和されていく特徴があります。しかし損傷の程度が大きい場合や、その後の過ごし方が悪ければ、時間の経過とともにさらに損傷が悪化し、痛みが増強することから注意が必要です。 治療方針の違い 変形性膝関節症は、膝に痛みが出ない範囲で無理なく筋力トレーニングを実施します。半月板損傷は運動時の突発的な怪我なので、治癒するまでは安静が原則です。 まとめ・変形性膝関節症と半月板損傷の違い いかがでしたか?ここまで変形性膝関節症と半月板損傷の違いを解説しました。変形性膝関節症は長年にわたり進行または慢性化する疾患ですが、半月板損傷はスポーツなどの突発的な怪我が原因で発生することが多い疾患と違いがあります。 しかし半月板を損傷すると、変形性膝関節症につながるケースがあることから、損傷が治癒したとしても膝周囲(特に大腿四頭筋)を鍛え予防に努めましょう。 また半月板損傷はスポーツ時の怪我と紹介してきましたが、中には生まれつき半月板に形態的異常を認める、“円板状半月”が原因で痛みを感じる場合があるため、「脚を捻った」など思い当たることがないからといって安心ではありません。 以上、変形性膝関節症と半月板損傷の違いについて解説してまいりました。 膝に痛みを抱える方は、くれぐれも自身で判断せず医師の診断・治療を受けましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症に再生医療という選択肢!幹細胞治療なら入院も手術もせずに症状が改善 ▼こちらもご参考下さい 半月板損傷!そもそも半月板とは?膝が痛むその原因、検査と治療法
最終更新日:2024.11.06