トピックスtopics
  • HOME
  • トピックス
  • 腸脛靭帯炎(ランナー膝)の悩み!テーピングやストレッチ、靴選び!

腸脛靭帯炎(ランナー膝)の悩み!テーピングやストレッチ、靴選び!

腸脛靭帯炎(ランナー膝)の悩み!テーピングやストレッチ、靴選びを解説!

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)って聞きなれない言葉ですよね。そもそも読み方が分からない人もいるのではないでしょうか。

しかし、意外と腸脛靭帯炎で悩む人は多いのが実情です。特に有酸素運動の代表格であるランニングや、ジョギングなどをやり始めた人に多くみられます。

動けないほど酷くはないけど…なってしまうと悩まされる…そんな腸脛靭帯炎についてお話します。

腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは?

この病気がどのようなものか説明する前に、まずは腸脛靭帯について簡単にお伝えしますしょう。

腸脛靭帯とは、骨盤の外側に出っ張っている腸骨(ちょうこつ)から、膝下にある脛骨(けいこつ)に繋がっていて太ももの外側部分に長く伸びるように位置しています。。

また、腸脛靭帯は大臀筋と大腿筋膜腸筋(だいたいきんまくちょうきん)という、これまた長くて難しい名前の筋肉とつながって身体をぐらつかせず安定して保つという大切な役目を担っています。

膝上の太もも部分の外側を押すと、硬いスジ状のものに触れることができますが、これが腸脛靭帯になります。

 

腸脛靭帯炎

特に大きな動きに対して大臀筋と呼ばれる大きな筋肉と大腿筋膜張筋とにつながることで、それらの力を脚に伝える役割があります。腸脛靭帯の働きのおかげで骨盤や膝が安定し、歩くことは勿論、スムーズなランニングを助けてくれるという訳です。

そんな腸脛靭帯が炎症を起こした状態が『腸脛靭帯炎』というものになります。

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん:ランナー膝)ってどんなケガ?

腸脛靭帯炎は別名ランナー膝と呼ばれるくらい、「ランニング愛好家に多いケガ」の一つです。ここでは腸脛靭帯炎の症状、原因、診断について簡単に説明します。ご自身に当てはまる点はないか、チェックしてみましょう。

腸脛靭帯炎の症状

腸脛靭帯炎の初期症状は、運動後に膝の外側に痛みが出ることです。痛みが出る場所は、外側上顆(がいそくじょうか)と言われる膝外側の出っ張り部分で、安静にしていれば治まってまいります。

しかし、炎症がひどい場合や、痛みを我慢して無理を続けると、歩く時や膝の曲げ伸ばしをしただけでも痛みが出ることがあります。久しぶりにランニングやジョギング、ウォーキングを頑張った人によくみられる症状です。

「さぁ、健康のために頑張って走ろう!!」という矢先につまずいてしまうと、やる気も削がれますよね…

腸脛靭帯炎になってしまう原因

なぜ腸脛靭帯炎はランナーに多いのでしょうか?それは、腸脛靭帯炎になってしまうメカニズムを知れば分かります。

腸脛靭帯炎の発生メカニズム

腸脛靭帯炎は、繰り返される『摩擦』によって生じます。摩擦が起こる場所は、大腿骨の外側上顆という場所です。

そこは骨が隆起しており、膝を曲げ伸ばしすることで腸脛靭帯が外側上顆を乗り越えてしまいます。

特に膝を軽く曲げた状態(屈曲30°くらい)でちょうど乗り越えるため、0〜30°くらいの曲げ伸ばしを繰り返すランニングでは、より摩擦がかかりやすくなってしまうのです。

外側上顆の摩擦

骨盤や下肢のアライメント(骨の位置関係)によってより負荷がかかる

ただ、ランナー全員が腸脛靭帯炎になるわけではありません。なってしまう理由は他にもあります。

  • ・股関節の筋力低下
  • ・膝のO脚
  • ・足の扁平足

上記のような股関節の機能や骨の位置関係を乱すアライメント異常が腸脛靭帯炎を誘発してしまうとも言われています。

腸脛靭帯炎の診断

腸脛靭帯炎は問診や触診である程度は鑑別することができます。ただ、炎症の状態や他の疾患と見分けるためにレントゲンやMRI、エコー検査をしていくことがあります。

また、腸脛靭帯炎特有のテストがあります。それがGrasping Test(グラスピングテスト)というものです。

【Grasping Testの方法】

  • ①患者さんの膝を90°ほど曲げる。
  • ②痛みが出ている場所の少し上を親指で強く押さえる。
  • ③その状態で膝をゆっくり伸ばしていく。
  • ④その時に痛みが出るのであれば、腸脛靭帯炎が疑われる。
    グランスピングテスト

やり方はそこまで難しくありませんので、もしかしたら…と思われた方はぜひ試してみてください。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)の治療3つのポイント

①腸脛靭帯炎の初期対応

腸脛靭帯は足首や他の膝の靭帯と違い、断裂など重症化するケースはほとんどありません。そのため、基本的には普段と同じような生活を送っていただいて結構です。

しかし、原因がランニングなどスポーツによるものであれば、その症状が落ち着くまでお休みされるようオススメします。

腸脛靭帯そのものや、その周囲の滑液包(摩擦を減らす袋のようなもの)に炎症が起こるため、炎症をおさえるお薬や、局所に注射をする場合もあります。

場合によっては、患部にアイシングや湿布を貼付することで症状の緩和が得られます。

以上のように、特に急性期では患部の安静と炎症を抑えることを最優先させます。

②腸脛靭帯炎に有効なストレッチ

腸脛靭帯炎による痛みが落ち着いたら、徐々にストレッチを開始します。

腸脛靭帯炎を発症する人の特徴として、身体のケア不足により筋肉の伸び縮みの動きが悪くなっていることがあります。ここでは、腸脛靭帯と連結している大腿筋膜張筋と股関節および大腿部前面の筋肉の3つのストレッチ方法をお伝えします。

1.大腿筋膜張筋のストレッチ

大腿筋膜張筋stretch

2.股関節前面の筋肉のストレッチ

股関節前面stretch

3.大腿部前面の筋肉のストレッチ

大腿部前面stretch

※ ストレッチは、無理をせず、痛くなりすぎない範囲で行ってください。

③腸脛靭帯炎にならないためのトレーニング

下肢のアライメント(ゆがみ)の異常により腸脛靭帯炎になりやすいことは前述しました。

股関節の筋力の低下や足元のぐらつきにより、ランニング時に膝が内外にぐらつくと腸脛靭帯への摩擦が増加してしまいます。安静期間により症状が落ち着いても、同じような状態だとまた腸脛靭帯炎を繰り返してしまうでしょう。

そのため、ランニングなどのスポーツに復帰するにあたり、腸脛靭帯への負荷を減らすためのトレーニングを推奨しています。ここでは以下の3つの方法を紹介します。

1,股関節の外側の筋肉:大臀筋、中臀筋

股関節外側筋training

上になっているほうの足を持ち上げる→下ろす を繰り返す

2,股関節の内側の筋肉:内転筋

股関節内側筋

下になっている方の足を持ち上げる→下ろす を繰り返す

3,ふくらはぎの筋肉:下腿三頭筋(ヒラメ筋、腓腹筋)

ふくらはぎの筋肉:下腿三頭筋(ヒラメ筋、腓腹筋)

つま先立ち→かかとを降ろす を繰り返す

やみくもに動かすのではなく、いずれも体を安定させ、姿勢を意識して行うことがポイントです。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)とスポーツとの関係

腸脛靭帯炎のテーピングで大事なことは、腸脛靭帯の負担を減らしてあげることです。

そのため、腸脛靭帯自体をサポートするテーピングと、膝の動きをサポートするテーピングの2種類を用いて行います。

腸脛靭帯炎のテーピング

テーピング

あくまでテーピングは補助的な役割に過ぎません。また、その人によってテーピングの効果が十分に発揮できない場合もあります。

可能な限り、専門の医療機関にご相談のうえ、テーピングを施行するようにしましょう。このようなテーピング以外もサポーター等の装具を用いて腸脛靭帯を支え、安定を図る方法もあります。

腸脛靭帯炎と靴(シューズ)選び

腸脛靱帯炎の対策の中では靴選びも大切です。

足が左右にぐらつくと腸脛靱帯につながる大腿筋膜張筋が頑張ってぐらつきを止めようとします。

そうすると、筋肉が過剰に働き、ピンと張った状態になります。その状態で走り続けると、腸脛靭帯への摩擦が助長されて腸脛靭帯炎を引き起こしかねません。

シューズ選びの際は以下の3つのポイントを意識してみましょう。

1.シューズの後ろ、カップの部分がしっかりしているか

カップ部分

2.指の付け根で曲がるのか

シューズ

3.シューズが過度に捻じれやすくなっていないか

シューズ③

靴は使用に伴い消耗します。定期的、或いは、いま一度ご自身の靴をチェックして自分に合った最適な靴を選びましょう。

まとめ・腸脛靭帯炎(ランナー膝)でのテーピングやストレッチ、靴選び!

今回は、腸脛靭帯炎について、病態とその対策を中心にお話しました。

腸脛靭帯炎は誰にでも起こりうるケガです。これから運動を始める人も、ランニング愛好家の皆さんも運動前の準備運動、そして運動後のカラダのケアをしっかり行いながら、自分に合ったペースで頑張りましょう。

No.094

監修:医師 坂本貞範

 

▼ 腸脛靭帯炎はじめ、スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療
当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています

 

カテゴリ

人気記事ランキング

イメージ画像トップ