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腸脛靭帯炎(ランナー膝)に効果的なストレッチ3選!症状や主な原因、治療法も解説

腸脛靭帯 ストレッチ
公開日: 2022.11.04 更新日: 2026.05.30

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、有酸素運動に取り組む場合によく見られる炎症です。

とくに習慣的にランニングを楽しむ方の間で頻発することから、ランナー膝とも呼ばれます。

腸脛靭帯炎の症状や治療法、予防法などはあまり知られていませんが、発症しやすい炎症であるため、事前に知識を知って対処するのが重要です。

本記事では腸脛靭帯炎の症状や治療法、効果的なストレッチやテーピングなどを解説します。

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腸脛靭帯炎に効果的なストレッチ3選

腸脛靭帯炎の症状が落ち着いてきたら、徐々にストレッチを開始して症状の改善に取り組むのがおすすめです。

以下3つのストレッチは、腸脛靭帯炎を予防する際にも役立ちます。

  • 大腿筋膜張筋のストレッチ
  • 股関節前面の筋肉のストレッチ
  • 大腿部前面の筋肉のストレッチ

ぞれぞれのストレッチについて、正しいやり方やポイントを解説します。

大腿筋膜張筋のストレッチ

大腿筋膜張筋は骨盤と股関節をつなぐ筋肉で、腸脛靭帯に移行して脛骨(すねの骨)に付着しています。

大腿筋膜張筋が硬くなると腸脛靭帯を介して膝に負担がかかるため、ストレッチで柔軟性を確保するのが重要です。

ストレッチの順は以下のとおりです。

1.布団やヨガマットにあおむけで寝て両ひざを立てる
2.片足をあぐらをかくように反対側のひざに乗せる
3.足を乗せた側に下半身をひねって倒す
4.30秒たったら反対側も同様に行う

下半身を倒した際に膝が痛む方は中断し、その他のストレッチを試してください。

股関節前面の筋肉のストレッチ

股関節の前面には腸腰筋(大腰筋と腸骨筋の総称)があり、股関節を屈曲させる(足を持ち上げる)際に重要な役割を果たします。

腸腰筋が硬くなると足が上がりにくくなるため、ストレッチで柔軟性を保つようにしましょう。

ストレッチの手順は以下のとおりです。

1.両足を前後に開いて立つ
2.上半身をまっすぐ下げる
3.前の太ももが床と平行になったら30秒キープする
4.反対側も同様に行う

膝を曲げたときにフラフラする方は、片手で壁に触れながらストレッチしてください。

大腿部前面の筋肉のストレッチ

大腿部前面(太ももの前側)には大腿四頭筋と呼ばれる大きな筋肉群があり、膝を伸ばしたり股関節を曲げたりする役割があります。

運動時の膝の曲げ伸ばしをスムーズに行うためにも、大腿部前面を柔軟に保つのが重要です。

ストレッチの手順は以下のとおりです。

1.布団やヨガマットにあおむけで寝る
2.右足をまげてかかとをおしりの横に持ってくる
3.30秒たったら反対側も同様に行う

寝た状態がつらい方は、上半身を起こし両手を後ろについた状態でストレッチしてください。

腸脛靭帯炎に効果的なマッサージ

自分でできる簡単なマッサージで、腸脛靭帯炎の症状を緩和する方法があります。

たとえば膝蓋骨(膝のお皿)の周囲にある筋肉をマッサージで緩める方法は簡単に取り組めるのでおすすめです。

1.左右の親指と人差し指で、膝蓋骨を軽くつかむ
2.内側の方向に軽く押し込む
3.内側から外側に軽く押し込む
4.2と3を繰り返す

また膝蓋骨を手のひらで包み、円を描くように回すのも効果的です。

このストレッチは腸脛靭帯炎の改善だけでなく、再発を予防する目的で取り組むのもおすすめです。 

腸脛靭帯炎に効果的な筋トレ

ランニングの際に膝が内外にぐらつくと、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆が擦れ合い、腸脛靭帯炎の発症リスクが増加します。

膝関節の動揺を防ぐためには、腸脛靭帯への負荷を減らすための筋トレが有効です。
普段から以下3つの筋トレに取り組み、腸脛靭帯炎の改善・予防に取り組みましょう。

  • 大臀筋・中臀筋の筋トレ
  • 内転筋の筋トレ
  • 下腿三頭筋の筋トレ

それぞれについて解説します。

大臀筋・中臀筋の筋トレ

大殿筋(だいでんきん)はお尻の表面を覆う大きな筋肉で、歩行時や走行時などに骨盤を安定させる重要な役割があります。

中殿筋(ちゅうでんきん)は骨盤と股関節をつなぐ筋肉で、片足立ちになる際に骨盤を水平に保つ役目を持つ大切な筋肉です。

筋トレで大殿筋・中殿筋を鍛えると、走行時の左右へのふらつきを抑制する効果が期待できます。

布団やヨガマットに横向きで寝て、上になっているほうの足の上げ下ろしを繰り返すと大殿筋・中殿筋を鍛えられます。

股関節外側筋training

内転筋の筋トレ

内転筋(ないてんきん)は太ももの内側にある筋肉の総称です。骨盤を安定させたり、歩行時・走行時の左右へのふらつきを抑制する際にはたらく重要な筋肉です。

内転筋の筋力が低下するとO脚につながりやすくなるため、将来の変形性膝関節症を予防するためにも普段から筋トレしておくのがおすすめです。

布団やヨガマットに横向きで寝て、下になっている方の足の上げ下ろしを繰り返すと、内転筋を鍛えられます。

股関節内側筋

下腿三頭筋の筋トレ

下腿三頭筋(かたいさんとうきん)は、ふくらはぎにある腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋の総称です。

足首を底屈させる際にはたらく筋肉で、走行時に地面をしっかりと蹴る際に大切な役割を果たします。また、下腿三頭筋は第2の心臓とも呼ばれており、全身の血液循環をサポートする重要な筋肉です。

下腿三頭筋を鍛える際にはカーフレイズ(つま先立ちになり、かかとの上げ下ろしを繰り返す)のが効果的です。

ふくらはぎの筋肉:下腿三頭筋(ヒラメ筋、腓腹筋)

腸脛靭帯炎(ランナー膝)の基礎知識

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、膝の外側に痛みが出るスポーツ障害の一つです。ランニングをする方に多くみられるため、「ランナー膝」とも呼ばれます。

前十字靭帯断裂やねんざのように一度の強い外力で起こるけがとは異なり、膝の曲げ伸ばしによる負担が繰り返しかかることで発症しやすくなります。

また、ランニングやサイクリングなどの運動だけでなく、歩き方の癖、日常的な身体の使い方、足に合っていない靴などが影響する場合もあります。

ここでは、腸脛靭帯の役割や腸脛靭帯炎が起こる仕組み、症状、主な原因について解説します。

「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」とは?

腸脛靭帯の概念図

腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)とは、骨盤の外側から膝の下あたりまで、太ももの外側に沿って伸びる組織です。

腸脛靭帯は大臀筋や大腿筋膜張筋とつながっており、これらの筋肉の働きと連動しながら、骨盤や膝を安定させる役割があります。そのため、歩行やランニングの際には下半身のぐらつきを抑え、スムーズな動きを支えています。

膝の少し上から太ももの外側を触ると、硬いすじ状の組織に触れることがあります。この腸脛靭帯に繰り返し負担がかかり、炎症が起きた状態が腸脛靭帯炎です。

腸脛靭帯炎の発生メカニズム

外側上顆の摩擦

腸脛靭帯炎は、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆と呼ばれる膝の外側の骨の出っ張り部分が、繰り返しこすれることで起こると考えられています。

膝を曲げ伸ばしすると、腸脛靭帯は大腿骨外側上顆の上を前後に移動します。とくに膝を軽く曲げた状態では摩擦が生じやすく、ランニングのように同じ動作を繰り返す運動では、膝の外側に負担がかかりやすくなります。

その結果、膝の外側に炎症が起こり、痛みにつながることがあります。

腸脛靭帯炎の症状

腸脛靭帯炎では、主に膝の外側に痛みが現れます。初期は運動中や運動後に痛みが出ても、休むと落ち着くことがあります。

主な症状は以下の通りです。

  • 走っている途中から膝の外側が痛くなる
  • 初期は運動を終えると痛みが落ち着く
  • 進行すると運動後にも痛みが残りやすくなる
  • 階段の昇り降りや歩行など、日常動作でも痛みが出ることがある

痛みが出やすい場所は、膝の外側にある大腿骨外側上顆の周辺です。症状が進行すると、走りはじめや膝の曲げ伸ばしだけでも痛みを感じることがあります。

痛みを我慢して運動を続けると悪化する可能性があるため、違和感がある場合は運動量を調整し、必要に応じて医療機関を受診してください。

腸脛靭帯炎の主な原因

腸脛靭帯炎は、膝の外側に繰り返し負担がかかることで発症しやすくなります。主な原因としては、以下が挙げられます。

  • ランニングやサイクリングなどによる反復的な膝への負担
  • 膝を何度も曲げ伸ばしする動作
  • 股関節の可動域低下
  • 足首の柔軟性低下
  • ランニングフォームの乱れ
  • 足に合っていない靴の使用
  • 膝関節や下肢アライメントの問題
  • 扁平足など足部の構造的な問題

とくに、ランニングやサイクリングなど同じ動きを繰り返す運動では、腸脛靭帯に負担がかかりやすくなります。

また、股関節まわりの筋力不足や柔軟性の低下、フォームの乱れ、靴の不適合なども、膝の外側への負担を増やす要因になります。

O脚や扁平足など下肢のアライメントに問題がある場合も、腸脛靭帯炎につながることがあります。そのため、ランナーだけでなく、日常的に膝へ負担がかかっている方にも起こる可能性があります。

腸脛靭帯炎の診断方法

腸脛靭帯炎は整形外科で多く見られるスポーツ障害の一種のため、専門医による問診や触診である程度は鑑別が可能です。

しかし、症状の程度を判断したり、確定診断を下したりするため、レントゲンやMRI検査、エコー(超音波)検査などを実施するのが一般的です。

また、「Grasping Test(グラスピングテスト)」と呼ばれる整形外科的な徒手検査で、腸脛靭帯炎を発症しているか確認する方法があります。

【Grasping Testの方法】

グランスピングテスト
1.患者さんの膝を90°ほど曲げる。
2.痛みが出ている場所の少し上を親指で強く押さえる。
3.その状態で膝をゆっくり伸ばしていく。
4.その時に痛みが出るのであれば、腸脛靭帯炎が疑われる。

腸脛靭帯炎の治療法

腸脛靭帯炎を発症した場合は、主に以下3つの治療法で改善を図るのが一般的です。

  • 保存療法
  • 手術療法
  • 再生医療

腸脛靭帯炎を発症したからと言っていきなり手術になるケースは極めてまれで、通常は安静にした上で保存療法を行います。

また、症状の悪化を防ぐための運動量の調節も重要なポイントです。

保存療法

腸脛靭帯炎を発症した場合、まずは保存療法を実施するのが一般的です。

保存療法は外科的な手術を行うのではなく、電気治療や薬物療法、リハビリテーション、テーピングなど、身体が持つ自然治癒力で症状の改善・予防を図るのが特徴です。

たとえばテーピングにより腸脛靭帯の負担を減らすと、症状の緩和・予防に役立ちます。

腸脛靭帯自体をサポートするテーピングと、膝の動きをサポートするテーピングの2種類を用いて行います。

テーピング

また、腸脛靭帯への負担を軽減するため、以下3つのポイントを意識して靴を選ぶのも重要です。

1.シューズの後ろ、カップの部分がしっかりしているか
カップ部分

2.指の付け根で曲がるのか
シューズ

3.シューズが過度に捻じれやすくなっていないか
シューズ③

運動を休止している期間も適度な負荷をかけると、腸脛靭帯炎の改善を早める効果が期待できます。

ただし、自分の判断ではなく作業療法士や理学療法士の指示を仰ぐのがポイントです。

痛みがひどい場合には、消炎鎮痛剤を配合した外用薬や内服薬を用いるケースもあります。

手術療法

保存療法で症状の改善が見られない場合には、手術療法が検討されるケースもあります。

腸脛靭帯炎に対する外科手術の技法として以下4つが挙げられます。

技法 特徴
腸脛靭帯の切除・切開(リリーステクニック) 大腿骨外側上顆との摩擦を防ぐ目的で、腸脛靭帯の一部を切除する
滑液包の除去 大腿骨と腸脛靭帯の間にある滑液包を一部、もしくはすべて取り除く
大腿骨外側上顆の切除 腸脛靭帯と擦れ合う大腿骨外側上顆の隆起部を切除する
腸脛靭帯延長術 腸脛靭帯を延長して大腿骨外側上顆との摩擦を防ぐ

ただし、腸脛靭帯炎を改善するために手術療法が選択されるケースはまれです。

手術を避けるためにも、痛みがあるうちは専門医や理学療法士などの指示に従い、適切な措置を講じるのが大切です。

再生医療

近年では自己脂肪由来幹細胞などを用いた再生医療による腸脛靭帯炎の治療の研究も進められています。

自分の細胞を活用した治療法のため拒絶反応のリスクが低く、副作用が起こりにくいのがメリットです。

日帰りで治療が受けられるため、入院を避けたい方にも適した治療法です。

腸脛靭帯炎や膝の症状にお悩みの方で、手術以外の治療法について興味がある方は「再生医療」もご検討ください。

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腸脛靭帯炎にはストレッチが効果的!改善しない場合はクリニックで相談

今回は、腸脛靭帯炎に関して、病態や、ストレッチ、テーピング、靴選びなどの角度から、その対策をお話しました。

腸脛靭帯炎はランニングやスポーツ愛好家に多く見られるスポーツ障害の一種で、多くは「使い過ぎ」が原因で起こります。

適切な休養期間と専門医による指導・治療により、腸脛靭帯炎の多くは快方に向かうのが一般的です。

手術を避けるためにも症状が軽微な場合をのぞき、医療機関を受診し、適切な指示を得るようにしましょう。

初期の対応としては、炎症を抑えるための安静やストレッチ、適切なテーピングが有効です。また、腸脛靭帯炎を予防するためには、股関節やふくらはぎの筋力を鍛えるトレーニングや、適切な靴選びも重要です。

日常生活での意識や対策を行い、ランニングやスポーツを安全に楽しむために、ストレッチをはじめ、適切なケアを心がけましょう。

腸脛靭帯炎は誰にでも起こりうるケガです。これから運動を始める人も、ランニング愛好家の皆さんも運動前の準備運動、そして運動後のカラダのケアをしっかり行いながら、自分に合ったペースで頑張りましょう。

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腸脛靭帯炎に関するよくある質問

腸脛靭帯炎は自然に治りますか?

腸脛靭帯炎の発症に伴う症状が軽度であれば、運動量を減らして安静にすると改善に向かう傾向にあります。

ただし、痛みを我慢して運動を続けると悪化し、治療期間が長引くため注意が必要です。

腸脛靭帯炎は前十字靭帯断裂のような瞬間的に起こるケガではなく、局所に繰り返しかかる負荷が原因で発症するため、改善のためには運動量の調節が求められます。

腸脛靭帯炎はどれくらいで治りますか?

腸脛靭帯炎が治るまでの期間は症状の程度や運動経験、年齢、関節の柔軟性、身体の使い方などにより一人ひとり異なります。

軽度の腸脛靭帯炎であれば適切な処置により数週間程度で改善するケースが多いですが、症状が強い場合や再発を繰り返している場合は数カ月かかる場合もあります。

しっかり治してから運動をはじめないと再発リスクが高くなるため、完治させるためには適切なリハビリやフォームの改善が必要です。

腸脛靭帯炎は再発しやすいですか?

腸脛靭帯炎は局所への繰り返しの負荷で起こるスポーツ障害のため、再発しやすい疾患と言えます。

安静にしていれば次第に痛みは治まりますが、ランニングの再開により再発する可能性が高いとされています。(文献1

とくにフォームの癖や筋力不足、柔軟性低下などの原因が改善されていないと再発しやすいため注意が必要です。

参考文献
(文献1)
腸脛靱帯炎の誘因となる筋力および下肢動作的要因|筑波大学陸上競技研究室