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半月板損傷の手術!メリットとデメリット

半月板損傷の手術!メリットと、デメリットについて解説

半月板損傷は、激しく走ったり、ジャンプをしたりするアスリートの膝にとって、つきものであるとも言える外傷です。また加齢などによって組織がもろくなる高齢者にも起こります。

治療のためには、手術が必要となることがありますが手術には、メリットとデメリットが存在します。

この記事では膝の半月板について概要をご説明した上で手術が必要な場合、手術を受ける場合のメリットとデメリットもご説明します。

納得して治療をお受けいただくための一助になればと記しました。半月板損傷に治療に対してご参考にして頂ければ幸いです。

半月板損傷

半月板損傷について

わたしたちの膝には、膝の内側に大きい内側半月板、膝の外側に外側半月板という2つの半月板が存在します。この半月板は上から見るとアルファベットの「C」の型をしています。

材質的なイメージはゴムのように、衝撃に対するクッションとして膝関節に起こる衝撃吸収材として機能しています。

そのほかにも膝の半月板には、接触する面の形状が異なっている脛骨と大腿骨の接触面積が増加し、互いにフィットしやすくなります。そのために、膝関節がより安定するようになり、正しい荷重配分する役割を担っています。

また、半月板は大腿骨と脛骨の間にあるため、両方の骨と骨が直接こすれ合うのを防いでいます。半月板の損傷は、スポーツをされる人にとって、起こりがちな症状ですので注意が必要です。

急に体をひねったり、曲げたり、衝突やジャンプを繰り返していると、半月板の負担が増して損傷する危険性が高くなります。

また、高齢者にとって半月板は加齢とともに弱くなり、損傷したり、断裂しやすくなります。事実、半月板の断裂は、老化現象として普通に起こりうることです。

半月板が損傷すると、膝を曲げたり、伸ばしたりする動作が不安定になり、痛みや腫れが生じて膝が動かなくなったりすることがあります。

半月板損傷の手術

半月板を損傷しても、手術が必要な人もいれば、そうでない人もいます。

その判断は、保存的治療での状況に加え、どのような損傷を受けているのか(損傷の大きさ、部位)、また受傷した方の年齢、活動レベル、ライフスタイルなどをもとに検討します。同時に靭帯損傷の有無や臨床症状も考慮されます。

関節鏡下 半月板手術の種類

半月板損傷に対する手術は、一般的に関節鏡を用いて行われます。その手術は大きく分けて2種類があります。

まずは損傷された軟骨の断裂した部分を縫い合わせ、自然治癒するように修復する半月板修復術(ラスピング、縫合術)です。しかし、損傷のタイプや、損傷部位への血液供給の関係で、修復可能な事例は多くはありません。

もうひとつは、損傷した軟骨を切除し、損傷を受けていない半月板組織を残す、半月板切除術、あるいは半月板部分切除術です。

  • 半月板損傷の手術の種類

  • 1)半月板修復術(縫合術、ラスピング)
  • 2)半月板切除術、部分切除術

痛みを軽減または、ほぼ取り除ける可能性があります。その結果、リハビリを経てスポーツやその他の活動に復帰できる可能性が高まります。

半月板を外科的に修正することで関節損傷のリスクが軽減される、また損傷部位からの関節炎の発症を防ぐ、または遅らせることも期待できます。

半月板の手術には、切除術と、修復術の二つの種類があります。

  • 半月板損傷、手術の種類

  • 1)切除術
  • ・文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術
  • ・損傷部位の縫合が難しい場合に行われ、多くの場合がこちらが選択される
  • 2)縫合術
  • ・半月板の損傷部位を縫合する手術
  • ・切除と比べ半月板の温存が可能
  • ・縫合が可能ならこちらが選ばれる
  • ・注意:再断裂という可能性が高い
  • ・注意:その際は再度手術が必要

手術のメリット

それでは、膝半月板手術のメリットをご説明します。

メリット:「変形性関節症への進行を遅らせ、人工膝関節置換術を減らせる」

手術を行うメリットについて、実例から検証された結果についてご説明します。

これによると平均74ヶ月の追跡調査において、半月板を切除する手術群では40%、保存的治療を行った群では27%が人工膝関節置換術を必要としました。

しかし、半月板修復(ラスピング、縫合術)群では人工膝関節全置換術を必要とするほど進行した人はいませんでした。更に変形性関節症の進行を遅らせる可能性がありました。

事例

2020年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された論文で外傷により半月板を損傷した45人のうち、保存的治療を受けた15人、半月板切除術を受けた15人、半月板修復術(ラスピング、縫合術)を受けた15人を観察。

  • 事例(平均74ヶ月の追跡調査)
  • ・保存的治療群:15人
  • ・半月板切除術群:15人
  • ・半月板修復術群(ラスピング、縫合術):15人
  •  
  • 上記について「人工膝関節置換術」を必要とした割合
  • ・保存的治療群: 27%
  • ・半月板切除術群:40%
  • ・半月板修復群 :進行しなかった。変形性関節症の進行を遅らせる可能性が高い

また2019年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された研究では、半月板修復術、半月板切除術、および保存的治療結果を比較した過去の論文を、科学的手法を用いて厳格に検証するメタアナリシスが実施されました。

この論文では、半月板修復術を受けた229人、半月板切除術を受けた74人、手術を行わずに保存的治療を行った41人が対象となっています。

  • 10年後のフォローアップでは
  • 変形性関節症へ進行率
  • ・半月板修復群では53.0%
  • ・半月板切除群では99.3%
  • ・非手術群では95.1%
  •  
  • 人工膝関節置換術の実施率
  • ・半月板修復術群33.5%
  • ・半月板切除術群51.5%
  • ・非手術群45.5%でした。
  •  
  • 対象者
  • ・半月板修復術を受けた229人
  • ・半月板切除術を受けた74人
  • ・手術を行わずに保存的治療を行った41人

10年後のフォローアップでは、半月板修復群では53.0%、半月板切除群では99.3%、非手術群では95.1%に変形性関節症の進行が認められました。また人工膝関節置換術の実施率は、半月板修復術群33.5%、半月板切除術群51.5%、非手術群45.5%でした。

このことから、半月板修復術が非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクを低減することが期待できます。できる限り半月板の完全性を維持することで、より長期的に大きなメリットを得られることが期待できます。

  • 結果より
  • 半月板修復術は、非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクの低減できる可能性
  • 半月板の完全性を維持すれば、長期的に大きなメリットを得られる可能性

半月板手術のデメリット

過去数十年の間に、半月板をできるだけ多く保存することの重要性が明らかになってきました。

先に説明したように、半月板は膝への衝撃を吸収するために非常に重要な役割を担っています。半月板が破壊されると、関節軟骨の接触圧が増加するため、変形性膝関節症の進行が早まる可能性があります。

加齢などによる変性に起因する内側半月板損傷に対し、関節鏡下半月板切除術と保存的治療の臨床的・放射線学的結果を比較した研究があります。

この研究では、146人の患者(半月板切除術群、90人、保存療法群、56人)を評価対象としています。治療後、すべての臨床結果は両群で有意に改善されましたが、変形性膝関節症は、半月板切除群で有意に進行していました。

先に紹介した外傷による半月板損傷に対する治療結果の論文も含め、変性に起因する半月板損傷半月板損傷であっても半月板切除術は、変形性膝関節症をきたすデメリットがあります。

  • 半月板損傷の手術:デメリット

  • 切除術
  • ・変形性膝関節症へ進行する可能性
  • ・人工関節への再手術の可能性がある
  • 縫合術
  • ・半月板を温存できる
  • ・変形性膝関節症へ進行を遅らせる
  • ・再断裂の可能性があり、再手術(切除術の可能性が高い)が必要

まとめ・半月板損傷の二つの手術!そのメリットと、デメリット

半月板損傷に対する手術のメリットと、デメリットをご説明しました。

ほんの数十年前までは、一般的に半月板損傷後は、半月板を完全に切除していましたが、最近は残された半月板を温存すること、できる限り半月板を修復することが一般的です。

半月板損傷の結果手術が必要だと判断された場合は、しっかりと担当医と相談し、メリット・デメリットを理解して手術に臨まれることをお勧めいたします。

手術を受けたがそれでも改善されないなら、再生医療という最新の医療を考慮することが可能です。特に幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を抽出し培養、患部に投与することで膝の状態を大きく改善できる可能性があります。

手術の経過が思わしくない、手術をしたくないという場合を含め興味があればいつでもご相談ください

 

No.068

監修:医師 坂本貞範

再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える!
膝の治療の新たな選択肢、再生医療で手術せずに症状を改善できます 

 

▼以下もご参照下さい
膝半月板損傷の治療法と手術のリスクを徹底解説

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