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半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン スポーツや運動動作によって負う膝の外傷性疾患には、大きく分類して骨折や靱帯損傷、あるいは半月板損傷、腱板断裂、軟骨損傷などが挙げられます。そして、このなかでも日常的に頻繁にみられるのが「半月板損傷」でしょう。 基本的には、半月板損傷という病気は膝関節内部に位置している半月板組織に亀裂が生じて、その一部が欠けて欠損する状態を指します。 一般的に、半月板損傷は若年者から高齢者まで幅広く発症すると言われており、症状を放置して慢性化してしまうと将来的に「変形性膝関節症」などを引き起こす可能性が懸念されるため、半月板損傷を認めた場合には適切な診断と早期の治療が重要となります。 そもそも半月板というのは、膝関節部に付着している大腿骨と脛骨の間に存在する線維性軟骨(コラーゲンが束になったもの)で、できています。 通常では、膝の内側と外側の各々に存在していて膝にかかる荷重をバランス良く分散することで外部からの衝撃をうまく吸収するクッションのような役割を担っています。 また、膝関節部の半月板には、関節の滑動性を維持して膝関節の安定性を保つなど多くの機能を有している組織ではありますが、解剖学的に血行や血流に乏しく、いったん損傷を受けた半月板の治癒力は他の組織よりも低いと考えられています。 今回は、半月板損傷の中でも様々な視点から考えられる症例と手術の種類について、その症状(断裂のタイプ)を5つに分けて、順番に解説していきます。 半月板損傷の5つの症状(タイプ)とは さて、半月板損傷と一言でいいますが実際にはどのような種類のものがあるのでしょうか。半月板損傷の原因としては、例えば重い体重が加わった状態で膝関節を捻挫する、または外部から衝撃が強く加わることによって起こるとされています。 また、外傷を受傷した時に前十字靭帯を損傷すると同時に半月板を痛めてしまう方もおられます。一般的に半月板損傷で多く見られるのはスポーツ外傷と言われるスポーツを行っている場合のアクシデントが原因となるものです。 その一方で、この組織は加齢によっても脆弱化して傷つきやすくなります。そのため、高齢者でもちょっとしたケガや日常的な生活動作をしただけで半月板を損傷する場合があるので注意が必要です。 この半月板損傷は、損傷のタイプによって例えば「縦断裂」、「横断裂」、あるいは「円板状断裂」、「フラップ状断裂」、「水平断裂」など合計5つのタイプに分類されます。 半月板損傷の断裂5つ症状/タイプ 縦断裂 横断裂 円盤状断裂 フラップ状断裂 水平断裂 そして、それぞれの半月板における断裂の形や部位などによって治療パターンが異なっています。 過去の症例によりますと靱帯損傷を合併しない半月板損傷1485例を対象とした場合、内側半月板単独損傷例が最も多く、約7割、外側半月板単独損傷例が2割、また内側および外側合併損傷例が1割程度の発症率であったとのことです。 円盤状半月板 また、半月板が生まれつき丸く、厚みがあることが小児にみられることがあり、このような場合には円板状半月板が疑われて仮に強度的な外傷がなくても半月板や周囲の関節軟骨組織を損傷しやすいと考えられています。 通常の健常な半月板では、三日月のような姿をしていますが、円板状半月板になれば中央部も覆っているような構造をしていて外側の半月板に生じやすいと言われています。 円板状半月板は人種によって異なると言われており、特に膝外側部の円板状半月板の発生頻度としては欧米人では数%前後とされている一方で、日本人をはじめとするアジア系人種では10%程度とより高いとされています。 半月板損傷の症状で異なる手術の種類 一般的には、半月板組織において損傷あるいは断裂部位の幅が1センチメートル以上と比較的サイズが大きい場合や、自然治癒が期待できないようなケースでは、手術治療が選択されることが多あります。 昨今では、いずれの術式を選択するにしても多くは関節鏡を用いた鏡視下手術が行われます。 通常では手術法には、主に損傷した部分のみを切り取って切除する方法、あるいは損傷して断裂した箇所を縫い合わせて修復する縫合形成術の二種類があると言われています。 半月板損傷・手術の種類(術式) 関節鏡での鏡視下手術 損傷した部分のみを切除 損傷して断裂した箇所を縫い合わせる縫合形成術 1.縫合術 大体の適応基準として、半月板組織の辺縁部分の約3分の1には血管が走行しているため、組織の修復の可能性があり、その場合は治癒を期待して縫合形成術という縫い合わせる手術が考慮されます。 2.切除術 ところが一方で、半月板の中央3分の2の箇所には血管がなく、一旦、この部分の半月板が損傷を受けてしまうと血流が乏しい為に組織が修復されにくいため、単純に切除術のみが実施されることが多いと考えられます。 また、断裂の形態が横断裂や水平断裂の場合には、損傷のパターンの都合により、従来では切除術が実践されるケースが殆どでしたが、半月板を切除してしまうと関節軟骨部の摩耗が増大することが懸念されるため、近年は縫合術を選択することもあります。 このように半月板組織は膝関節機能の維持に重要な役割を果たしており、半月板組織を出来る限り温存するために関節鏡視下で縫合形成術が行われる機会が多くなってはきました。 3.円盤状半月板の場合の術式 ところが、円板状半月板損傷に対しては、未だに縫合手術は困難とされており、半月板の一部あるいは全切除術が行われています。 中には円板状半月板損傷に対しても機能温存を目指して円板状半月板をいったん正常型の半月板組織へ形成してから切除する方法なども報告されてはいますが実際のところでは、それら手術の成績や、術後の機能性などの面からみて安定的とは言えないとの議論が分かれています。 術式について いずれの術式にしても主治医や、かかりつけ医から治療法や、手術術式に関する説明を十分に受けて、それぞれの「メリットは何ですか?」、「デメリットを教えてください」とお願いして十分に理解することが大切です。 その上で自分に適した治療方法を選択することが重要であると言えます。尚、最後になりましたが今回の半月板損傷について、手術以外の治療法として再生医療という先端医療もあることをご報告しておきます。 この治療法の場合は、そもそも手術が必要ではなく、治療も日帰りで可能という新しい時代の治療分野です。興味があればお問い合わせください。 まとめ・半月板損傷、5つの症状|断裂の形や部位で異なる治療パターン 半月板損傷における主要な原因としては、スポーツなどの怪我から発症する場合、また加齢に伴って傷つきやすくなっている半月板に日常動作など微妙でも外的な加重が積み重なって損傷するケースがあります。 手術法には大きく分類すると、半月板のなかでも損傷した部分を切り取る方法である切除術、そして半月板組織の損傷した部分を縫い合わせる手段を用いる縫合術の2タイプがあって、一般的には関節鏡を駆使した鏡視下手術が実践されています。 半月板を切除する術式では、膝関節部への衝撃をクッションのように吸収して関節構造の安定性を保持する役割を担っている半月板の機能が生涯に渡って損なわれます。 ですから、切除術においては半月板と隣接している関節軟骨組織が摩耗して変形性膝関節症へ進行する割合が高いことが徐々に判明してきました。 このような背景もあって、近年では可能な限り縫合術を選択して半月板を温存するという考え方が主流的な傾向となってきています。 両者がいずれも選択できる損傷形態であるならば、それぞれの手術治療の長所や短所を検討してかかりつけ医ともよく相談して手術方法を決定することになりますから念頭に置いておきましょう。 最後に言及した手術を避けられる「再生医療」は、整形外科医であっても不明のことが多い「新しい治療法」であるため、正確な意見を得られないことがあります。検討及び、選択肢に入れる場合は必ず再生医療専門医に診断を仰ぐことをお勧めします。 ▼以下もご参考にしてください 変形性膝関節症と半月板損傷の違いをご存知ですか
2021.12.16 -
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変形性膝関節症と半月板損傷の違い、症状と治療について 膝に痛みを感じる代表的な疾患が、変形性膝関節症と半月板損傷です。変形性膝関節症は加齢や筋力低下から発生し、長い年月をかけてゆっくりと進行します。一方、半月板損傷は運動時に足を捻ったなど明らかな要因があることを特徴とします。 両者とも膝に痛みが発生する疾患ではあるものの、発生原因や診断方法・治療法などは異なります。ですので、間違えた治療法を施してしまうと余計に悪化する恐れから、自分で判断しないなど注意が必要です。 そこで今回の記事では、変形性膝関節症と半月板損傷の違いから、治療の注意点・両者の関連性まで解説しますので、膝に痛みを抱えている方はぜひご覧ください。 変形性膝関節症とは 変形性膝関節症は50代に女性に多い疾患です。加齢や筋力低下から関節内で軟骨が摩耗し、その骨片が滑膜を刺激することで痛みを感じる疾患です。進行すると骨の増殖がみられたり、外見からわかるO脚やX脚(日本人ではほとんどがO脚)がみられたりと、膝関節の内外を問わず変形がみられます。 変形性膝関節症の症状 最初は膝の違和感程度ですが、進行すると立ち上がり、動き出しに痛みを感じるようになります。進行すると痛みで歩行が困難になるほか、痛みをかばうことで関節に可動域制限がみられ、正座ができなくなど悪循環に陥ります。さらに末期になると、安静時にも痛みを感じるようにまでなります。 変形性膝関節症の診断 変形性膝関節症はX線検査(X-ray)で診断されます。画像診断では関節の隙間や、骨の硬化・増殖の程度から進行度を確認します。初期には膝に違和感を感じたとしても、画像上では明確な所見を確認できないこともおおく、長い年月をかけて進行する病気です。 変形性膝関節症の治療法 変形性膝関節症を発症すると、まずは保存療法です。膝に負荷がかかる動作を止めるなど、生活習慣を見直したり、筋力をつけるために運動に取り組んだりします。保存療法でも効果が見られない場合には手術が適応されます。 半月板損傷とは 半月板損傷は、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の間にある半月板を損傷することです。半月板は膝にかかる荷重の分散や吸収の役割をすることから、立つ・歩くだけでなく激しい動作を必要とするスポーツには欠かせない存在です。 しかしバレー・バスケット・野球・陸上などの急激な方向転換や、瞬間的に発揮される力が膝への負担になり、スポーツ障害の中でも頻発する疾患です。発症年齢はスポーツをしている子供から大人まで年齢を問わず発生します。 半月板損傷の症状 半月板を損傷すると、膝に痛みや腫れ、可動域制限が出現します。特に患側の脚に体重を乗せた時に感じる荷重痛や、関節の隙間に半月板が入り込むことで膝を伸ばせなくなる”ロッキング”が起こります。 半月板損傷の診断 半月板損傷の診断には、マックマレー(McMurray)テストや圧迫アプライ(Apley)テストのような徒手検査、MRI(Magnetic Resonance Imaging)といった画像検査などを複合して診断されます。 半月板損傷の治療法 半月板を損傷するとRICE処置を行います。安静(Rest)をベースに、患部を冷却(Ice)圧拍(Compression)挙上(Elevation)します。RICE処置により血管を収縮させ、さらなる炎症を抑えます。保存的に経過を観ても関節水腫を繰り返す場合、ロッキングがみられる場合には手術検討されます。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いと関連性 発症の違い 変形性膝関節症は、加齢や筋力低下を原因に長年かけて進行する疾患なので、スポーツで脚を捻るほか、瞬発的な力が働くことが原因で起こる半月板損傷とは違いがあります。 経過による痛み方の違い 変形性膝関節症の初期は、膝に違和感や痛みを感じますが、歩けば馴染むことがあります。しかし変形が進行すると痛みが増すことが特徴です。 一方半月板損傷は、受傷直後が1番腫れや痛みが強く、荷重をかけると痛みが強調されますが、経過とともに徐々に緩和されていく特徴があります。しかし損傷の程度が大きい場合や、その後の過ごし方が悪ければ、時間の経過とともにさらに損傷が悪化し、痛みが増強することから注意が必要です。 治療方針の違い 変形性膝関節症は、膝に痛みが出ない範囲で無理なく筋力トレーニングを実施します。半月板損傷は運動時の突発的な怪我なので、治癒するまでは安静が原則です。 まとめ・変形性膝関節症と半月板損傷の違い いかがでしたか?ここまで変形性膝関節症と半月板損傷の違いを解説しました。変形性膝関節症は長年にわたり進行または慢性化する疾患ですが、半月板損傷はスポーツなどの突発的な怪我が原因で発生することが多い疾患と違いがあります。 しかし半月板を損傷すると、変形性膝関節症につながるケースがあることから、損傷が治癒したとしても膝周囲(特に大腿四頭筋)を鍛え予防に努めましょう。 また半月板損傷はスポーツ時の怪我と紹介してきましたが、中には生まれつき半月板に形態的異常を認める、“円板状半月”が原因で痛みを感じる場合があるため、「脚を捻った」など思い当たることがないからといって安心ではありません。 以上、変形性膝関節症と半月板損傷の違いについて解説してまいりました。 膝に痛みを抱える方は、くれぐれも自身で判断せず医師の診断・治療を受けましょう。 ▼ 再生医療が変形性膝関節症の治療を変える 変形性膝関節症に再生医療という選択肢!幹細胞治療なら入院も手術もせずに症状が改善 ▼こちらもご参考下さい 半月板損傷!そもそも半月板とは?膝が痛むその原因、検査と治療法
2021.12.13