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放置厳禁!膝に水が溜まる原因と治療法

【はじめに】

皆さんは、病院やクリニックに行って、「膝に水が溜まっていますね」と言われた経験はありませんか。膝に水が溜まっていると、膝が全体的に腫れぼったく重苦しい感じになり、膝の曲げ伸ばしが不自由になります。

少し専門的な話になり恐縮ですが、膝の関節は関節包という組織で覆われており、その内側に滑膜というものが存在します。その滑膜の中には「関節液(滑液)」という潤滑液とも呼べるもので満たされています。

この関節包の中の関節液は、膝関節の軟骨同士がぶつからないように関節の保護や潤滑を担い、スムーズな関節の曲げ伸ばしといった動きを実現するため存在し、歩いたり、走ったり、座ったりする仕草のあらゆる場面で無くてはならない大切な存在なのです。

機械に例えれば歯車に油をさして滑りを良くすることで、歯車の摩耗を防ぎつつ、滑らかな動きもサポートする。そんなイメージが近いと思われます。本当に良くできた仕組みです!

膝関節の仕組み

しかし、この滑膜部位に何らかの無理な負担がかかって傷つくことが原因になり一旦、滑膜が炎症を起こしてしまうと、この「関節液」が余分に出てしまう状態になることがあり、そうなると困ったことになってしまうのです。

 

この関節液こそが「膝の水」の正体なのです。
よく言う「膝に水が溜まるといった症状の原因」となるものです。

そこで今回は、膝関節に違和感を感じたら放置しないで早めに整形外科を受診してほしいとの思いから「放置厳禁!膝の水」と題して膝の違和感、痛みを我慢したり、放置することなく、ケアする大切さをお伝えするために「膝に水が溜まる病気」の原因とその治療法について解説させていただくことにしました。

 

【第1章】膝に水が溜まる原因とは?

さて、水が溜まる直接的な原因は、関節液の多量分泌。要は、風呂の水を出しっぱなしにして、あふれるような状況になってしまうことです。このような状況になってしまう原因は、通常の場合、滑膜の炎症が起こることによってもたらされます。

では、なぜ滑膜に炎症が起こるのでしょうか。

それは関節液の内部構造における質の変化が大きく関係しています。年齢的に若くてもスポーツなどで激しい動きや、無理、負担の大きな動きで膝の部位に無理な負荷がかかると膝の中の軟骨が損傷を受けてしまうことがあります。

また、40代以降の中年層や高齢者などでは、日常生活のちょっとした動作でも、その繰り返しで、最初は小さな損傷であっても膝レベルの動きが繰り返されることで自然とダメージが蓄積していくことになります。

その結果、少しずつ軟骨や、半月板などの膝周囲を囲む組織が摩耗して、削り取られてしまうのです。こうして削り取られた組織の一部のかけらが関節液の中を漂って、滑膜を刺激することになってしまいます。

膝に水が溜る

一般的に関節液は、関節内にある滑膜という膜から産生されています。

この関節液、正常では関節軟骨の表面を潤すくらいのわずかな量だけ貯留しているだけで良いのですが「変形性膝関節症」や、「半月板損傷」などにより膝関節の中に何らかの炎症が引き起こされると過剰に関節液が産生されることになります。

その結果、「水が溜まる」という現象が起こってしまうというわけです。。

それ以外にも骨折や、靭帯損傷などの外傷性の変化、感染、関節リウマチ、痛風、偽痛風などでも膝に水が溜まると言われています。

今日では膝の変形性関節症において、膝部における水腫や滑膜病変の存在自体変形性膝関節症に伴う痛み進行度の両方密接に関連することが明らかになってきています。つまり、水が溜ることで苦痛が増しかねないということです。

また、変形性膝関節症では軟骨下骨と、滑膜が重要な疼痛源(組織損傷が起こったとき、あるいは組織損傷が起こりそうなとき、あるいは痛みなどの不快な感覚体験)となっていることが知られております。

特に滑膜部では滑膜炎によって放出される炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質で炎症反応を促進する働きを持つタンパク質)などが増加することで侵害受容器の受容体や感覚神経のイオンチャネルの興奮性を亢進させることで膝痛が増悪すると言われています。

 

【第2章】膝に水が溜まった際の治療法とは?

さてここからは、膝に水が溜まった際の治療法について紹介していきます。

従来からよく耳にするのは、「膝の水を抜くと癖になる!だから抜かない方が良いのではないか?」という疑問点についてですが、その意見は必ずしも正しくはありません

前章でも説明した通り、膝に水が溜まっている原因は膝の炎症が強く関与しているため、水を抜くから癖になるというのではありません。ただしくは、炎症が続いているから→ 水が溜まり続けて→ 癖になってしまうのです

水を抜くから癖になる・・・違います!

膝の炎症が続き、水が溜って癖になる・・・正解!

 

したがって、重要なのは膝内部の炎症をしっかり抑制してコントロールすることにあります。時に水を抜かずに放置することは、滑膜部の炎症を長引かせる要因になりえます。

繰り返し水が溜まるという症状は、膝に溜まる関節液の中に炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が含まれていることをご存知でしょうか?そのため、まずは膝内部の炎症を鎮めることを念頭に治療を実践するのが良く理にかなっていると考えられます。

適切に治療に繋げるためには、まずは損傷部位を正しく把握して、同部に対してしっかりと炎症を制御するアプローチを行うことが大切です。

また、膝に水が溜まった際に水を抜く処置を行う理由は他にもあります。

例えば、水が溜まっている原因が細菌感染の場合では、放置すれば膝関節内部でどんどんと細菌が繁殖して、益々膝部が腫脹して自覚的にも痛くなってきます。

この場合にも、水が大量に溜まった状態のままで放置しますと、膝の重苦しい感じが持続して、膝の動きがさらに悪くなり、日常生活において正座が出来ない、あるいは左右の膝の伸展度が違うなどといったことを経験する事も起こり得ます。

さらに、正常とは言えない関節液には様々な物質が含まれていて、関節の軟骨そのものに悪影響を及ぼすことも十分に考えられます。

もし、水が溜まっている原因が「変形性膝関節症」であった場合には、そのまま放置していると、どんどん病状が進行してしまい、末期になると人工関節の手術を選択するなど選択肢が狭められてしまいます。それだけは避けたいですね。

再生医療、幹細胞治療

ただ、このような手術しかないとの診断を受けた方への朗報として近年、医学の目覚ましい発展で人工関節を避ける方法があることもご報告しておきます。これは人工関節を避けるだけではなく、手術すら不要。日帰りで治療できてしまう?というものです。

それが「再生医療」といわれる先端医療で傷ついた膝の軟骨を自力で再生させることで症状の改善を目指すものです。もしも、あなたが人工関節など、手術しかないとの診断を受けて迷われているなら、日進月歩のこのような分野を検討されても良いかもしれません。

このように治療方法に光明が見えては来ましたが、まずは放置せず、手遅れになる前に整形外科をはじめとした専門医に出向むいて、膝の状態を診てもらい、それに適した治療を受けることが重要な視点となります。

 

【まとめ】

一般的に、膝関節は関節包という袋で覆われており、その内側には「滑膜」という組織があります。関節包の内部は滑膜から分泌される関節液で満たされていますが、その量は通常では約1~3mL程度です。

ところが、いったん滑膜部が炎症を起こすと、関節液の量は概ね20〜30mLにまで増加傾向を示し、「水が膝に溜まる」とはこのような状態を指しています。

したがって、膝に水が溜まっている際には膝関節内の骨以外の組織である軟骨、靭帯、半月板などの状態を把握しやすいMRI画像なども基準にして専門医が詳しい状態を分かり安く評価した上で、生活スタイルを考慮した形で的確な治療を提案してもらいましょうね。

今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。

 

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監修:医師 加藤 秀一

関節の痛みは手術しないで
再生医療で治す時代です。

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