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スノーボード、スキーなど冬のスポーツで起こりやすい膝の怪我

スノーボード、スキーなど冬のスポーツで起こりやすい膝の怪我とは

冬のウィンタースポーツ!シーズンになるとスキーやスノーボードを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。

ただ、これらのスポーツは、スピードが出るために転倒や、衝突の危険性があるスポーツですので怪我のリスクについては、十分に知っておく必要があります。

本記事ではウィンタースポーツで起こりやすいスポーツ外傷、ウインタースポーツで起こりやすい膝の怪我に焦点を当てて解説していきます。

冬のスポーツは前十字靭帯・半月板損傷に注意

冬のスポーツ!膝の怪我で多いのは前十字靭帯損傷と半月板損傷

スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにおいては、膝の損傷、捻挫といった怪我が多く見られます。これは滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地、転倒時に大きな負担がかかってしまうためです。

膝の怪我の中で最も頻度が多いのが、「前十字靭帯損傷」「半月板損傷」です。

そこで、これら起こりやすい怪我について詳しく見ていきましょう。

スポーツ医療の治療

◇前十字靭帯損傷

  • 前十字靭帯とは、膝の関節の中にある靭帯のうちの一つで、膝関節を安定化させる働きをしています。前十字靭帯は主に膝の捻りと、前後方向のぐらつきを抑えています。
  • ◇症状
  • 受傷直後は激しい痛みのため、その場から動けなくなることが多いです。その際に「ぶちっ」という筋肉が切れるような音が聞こえることもあります。
  • 受傷直後に動けていた方でも、約70%に関節内血腫(関節内に血がたまる)が生じるとされており、時間が経過するとともに、痛みや腫れが強くなり、動くことが出来なくなっていきます。
  • 2~3週間後には腫れや痛みは軽減されることが多いですが、下記のような症状が継続してみられることがあります。
  • 前十字靭帯損傷の症状
  • ・膝の不安定感
  • ・膝が外れる感じがする
  • ・膝に力が入らない
  • ・膝がすぐ腫れてしまう
  • ・膝が伸びない
  • ・正座ができない

膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。

◇診断

医師による診察や、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。

MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。

◇治療

前十字靭帯損傷の治療法には、保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれについてみていきましょう。

保存療法

大腿四頭筋などの筋力訓練を行ったり、必要に応じて装具を作成して日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。

しかし、この場合は靭帯が完治したわけではなく、日常生活で膝が安定せず、痛みが続く場合もあります。症状が残る場合は、半月板の損傷などの二次損傷を起こすリスクが高くなります。

以前はスポーツをしない場合は、保存療法を選択する場合も多かったですが、現在では膝の老化の進行を早める可能性があり、若年者でも手術を勧められることが多くなっています。

手術療法

靭帯は自然に修復されることはなく、再建術が行われます。再建術は膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的に行われます。

手術後はリハビリが必須となりますが、術後10~12か月後に元のスポーツに復帰できることが多いです。

前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、膝崩れといいガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなります。

前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、クッションの役割をしている半月板や、関節軟骨に負荷が多くかかってしまいます。その結果、半月板損傷など二次的な障害が生じることがあります。

・半月板損傷

半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことです。内側と外側にそれぞれにあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。

◇症状

症状としては膝の曲げ伸ばしが困難になることが挙げられます。また、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。

重症の場合には、膝に水(関節液)が溜まり腫れてしまったり、激痛を伴って関節が動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れ、歩行困難になることもあります。

◇検査

医師による診察やMRIが行われます。また、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる、関節鏡検査を行う場合もあります。

◇治療法

半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法の2種類があります。

保存療法

サポーターなどで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリなどを行います。保存療法を行っても痛みや、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。

手術療法

断裂部位の幅が 1 cm以上と大きい場合や、保存療法を行っても症状が持続する場合は手術療法が検討されます。

手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術を行います。

切除術の場合は、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまうことがあるため、近年では縫合術が選択されることもあります。ただし、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。

手術後はリハビリが必須であり、スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。

まとめ・スノーボード、スキーなど冬のスポーツで起こりやすい膝の怪我

スキーや、スノーボードを行う際にはプロテクターを着用するようにしましょう。

これにより、怪我のリスクが格段に下がります。また自分の実力に見合った楽しみ方をすることも重要です。

治療後はケガをした時と同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため、スポーツの際などは特に注意が必要です。また、股関節や足首など下肢全体の関節が柔軟だと、膝へかかる負担が軽減されやすくなり、再発予防にもつながります。

下肢の筋力トレーニングも必須です。特に大腿四頭筋とハムストリングスを強化することが重要です。

普段からストレッチや筋トレを習慣づけ、運動する際には、準備運動や整理運動をしっかり行うようにして、体全体の柔軟性を保つようにしましょう。

スキーやスノーボードを行う際は、怪我のリスクについても備えておくことが重要です。膝の怪我は日常生活にも影響が出ることが多いので、安全にスポーツを楽しみましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

 

No.111

監修:医師 坂本貞範

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