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「腱板損傷は安静にすれば自然に治るのでは?」 「手術や注射を避けたい」 本記事では、腱板損傷が自然に治癒する可能性や治療期間、放置による悪化のリスクについて、医学的根拠に基づき現役医師が解説します。 記事の最後にはよくある質問をまとめています。まずは自分の症状と損傷の程度を正しく把握し、適切な治療と生活管理を始めましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板損傷の治療について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板損傷は自然治癒する? リスク項目 内容 断裂拡大 放置により断裂が広がる可能性 機能低下 肩の筋力や動きの制限による日常生活への支障 手術困難 長期放置で脂肪浸潤・変性が進み再縫合が困難になる可能性 関節症進行 腱板断裂性肩関節症への移行リスク 手術成績への影響 断裂が進行した状態での手術は術後の回復遅延や満足度低下のリスクが高い 腱板は肩の重要な働きを担う組織で、血流が乏しく自然治癒が極めて困難な部位です。1996年と2002年に行われたMRIによる経過観察では、完全断裂の約66%が拡大し、縮小例はゼロでした。中等度の部分断裂でも縮小は27%にとどまり、自然治癒はまれと報告されています。(文献1) 放置すると断裂拡大や筋力低下が進行し、洗濯干しや着替えなどの日常動作に支障をきたす恐れがあります。さらに、長期放置は手術の難易度を上げ、術後の回復や満足度に影響します。保存療法で痛みを抑えることは可能ですが、断裂そのものの修復はできません。早期に医療機関で画像検査を受け、適切な治療方針を立てることが重要です。 腱板損傷の原因や治療法など、包括的な内容に関しては「【医師監修】腱板損傷とは|症状・原因・治療法を詳しく解説」をご覧ください。 腱板損傷を放置するリスク 放置するリスク 詳細 断裂が進行し機能が低下する 断裂部の拡大による肩の可動域と筋力の低下。日常生活の基本動作が困難になる状態 手術が必要になる可能性 断裂の悪化で手術適応となるリスク増大。放置による筋肉の脂肪浸潤や変性による縫合困難 腱板断裂性肩関節症に進行するリスク 肩関節のバランス崩壊による軟骨・滑液包障害。人工肩関節置換を検討せざるを得ない段階 肩以外にも負担が広がる 周囲の筋肉や関節への過負荷。肩こり、腰痛、姿勢不良など他部位の不調の原因となる状態 腱板損傷を放置すると損傷が拡大し、肩の可動域が狭まり日常生活や仕事に支障が出ます。初期は保存療法で改善するケースもありますが、進行すれば手術が必要になる場合が多く、肩を酷使する人ほど悪化は早まります。 長期放置で肩関節が変形し腱板断裂性肩関節症に進行すると治療は複雑化します。また、肩をかばうことで首や背中、反対側の肩などにも負担がかかり、二次的な不調や全身バランスの崩れを招きます。早期診断と適切な治療が不可欠です。 以下の記事では、腱板断裂を放置するリスクを詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂を放置するとどうなる?日常生活や仕事への影響を現役医師が解説! 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 断裂が進行し機能が低下する 放置による影響 詳細 腱の裂け目拡大と張力の喪失 断裂部分の拡大による腱板の安定性低下。本来の張力喪失による腕の挙上・支え動作の困難 筋肉の萎縮・脂肪化 使われない腱板筋の萎縮と脂肪浸潤。不可逆的変化による筋力回復困難 肩の連携動作の乱れ 腱・筋連動の喪失による肩甲骨運動障害。負荷の偏りによる他の腱板や筋肉への損傷拡大 生活動作の制限 腕の動き制限による洗濯・着替え・整髪動作の困難。生活の質低下と介助依存のリスク増大 腱板損傷は、日常的な肩の使用により徐々に進行する可能性があります。とくに、断裂部に持続的な負荷が加わると、裂傷が拡大し、部分断裂から完全断裂へ移行することがあります。 断裂範囲が拡大すると、腕の挙上や物の把持といった基本的な動作が困難となり、肩の機能は顕著に低下します。 手術が必要になる可能性 断裂が進行すると修復は難しくなり、手術が複雑化して回復も遅れます。活動的な方や症状が長く続く場合は、断裂部を骨に縫合する手術で機能改善が期待できますが、リスクもあるため必ず医師と相談してください。 放置は将来的に手術が必要になるリスクを高めるため、早期の診断と適切な治療・リハビリの検討が重要です。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術と入院期間について詳しく解説しています。 腱板断裂性肩関節症に進行するリスク 進行する理由 詳細 腱板断裂による肩の安定感喪失 腱板の支え消失による上腕骨の位置異常と関節動作の不安定 骨同士の衝突と軟骨摩耗 上腕骨の上方移動による肩峰との接触と関節軟骨の持続的摩耗 関節変形と機能低下 軟骨消失による関節裂隙の狭小化、骨棘形成、骨変形による摩擦増加 筋肉バランスの崩れと関節不安定化 腱板機能の喪失による筋肉の不均衡と骨・軟骨への負荷増大 腱板損傷を長期間放置すると、肩関節の安定性が失われ、腱板断裂性肩関節症へ進行する可能性があります。これは肩関節内の軟骨が摩耗し、関節自体が変形する病態です。 一度変形した関節は元に戻らず、強い痛みが慢性化して日常生活に大きな障害をもたらします。 肩以外にも負担が広がる 腱板損傷で肩の機能が低下すると、首や肩甲骨周囲の筋肉、腰、肘、手首、反対側の肩などに過度な負担がかかり、こりや痛みが広がります。 これは肩の回復ではなく代償動作によるもので、全身のバランスを崩す原因となります。早期診察と適切な治療で負担拡大と症状悪化を防ぐことが重要です。 腱板損傷の治療期間 進行度 詳細 注意点 軽度の腱板損傷(保存療法で3〜6カ月) 安静、薬、リハビリにより約3カ月で日常動作が可能に。スポーツや重作業復帰は最大6カ月。断裂は修復されず症状コントロールが目的 年齢・筋力・仕事内容で回復に差。無理な運動は再断裂リスク。必ず医師・理学療法士の指導下で実施 中等度の腱板損傷(6〜12カ月) 2〜3カ月で日常生活復帰。可動域・筋力回復には6〜12カ月。軽作業は約3カ月で可能だが、高負荷作業・スポーツは6カ月が目安 3カ月以上改善が乏しい、断裂範囲が広い場合は手術検討。年齢・生活スタイルを踏まえ治療方針を決定 重度・広範囲断裂(手術必要例|6カ月〜1年以上) 手術後の回復は6カ月〜1年以上。年齢・断裂の大きさ・筋肉状態で差あり。MRIや超音波で定期評価しながらリハビリ継続 回復は長期計画が必要。自己判断で負荷増加しない。医師・リハビリ専門職と連携 腱板損傷の回復期間は損傷の程度によって異なります。軽度では、安静や薬、リハビリなどの保存療法で3〜6カ月が目安です。受傷から約3カ月で日常動作がほぼ可能になりますが、断裂が完治するわけではありません。 中等度では、日常生活復帰に2〜3カ月、肩の動きや筋力の回復に6〜12カ月かかります。軽作業は約3カ月で可能な場合もありますが、重い作業や高負荷スポーツは6カ月程度が目安です。3カ月以上治療しても改善がない場合や断裂が大きい場合は手術を検討します。 重度・広範囲では手術が必要で、回復には半年〜1年以上かかります。年齢や筋力、生活環境により差があるため、無理をせず医師や理学療法士の指導のもとで治療とリハビリを行うことが重要です。 腱板損傷の治療法 治療法 詳細 薬物療法 症状緩和目的の消炎鎮痛剤や湿布、関節内注射による炎症抑制 温冷療法 血流促進と筋肉の緊張緩和を狙う温熱・冷却処置。リハビリ補助療法 リハビリテーション 肩周囲筋の筋力維持・可動域拡大。残存機能の強化と動作指導 手術療法 断裂部の縫合修復。関節鏡による小切開手術が主流。重症例で適応 再生医療 幹細胞等を用いて損傷組織の再生促進。新規治療法として注目 腱板損傷の治療は、患者の年齢や活動レベル、損傷の範囲・重症度を総合的に考慮して決定されます。保存療法では、消炎鎮痛剤や湿布、関節内注射による炎症抑制、温熱や冷却による血流改善と筋緊張緩和、肩周囲筋の筋力維持や可動域拡大を目的としたリハビリテーションを行います。 重度の断裂や保存療法で改善が得られない場合は、関節鏡による小切開での縫合修復術などの手術が適応です。幹細胞を用いた組織再生を促す再生医療も、新たな選択肢として注目されています。 薬物療法 有効な理由 詳細 炎症や腫れの抑制 NSAIDsやステロイド注射による炎症抑制と腫れ軽減。夜間の不快感や動作時の負担軽減 リハビリ継続のための環境づくり 痛み軽減による可動域訓練や筋力トレーニング開始の容易化 日常動作のストレス軽減 家事や運転などの日常動作時の違和感や不安の軽減 保存療法の柱としての役割 保存療法構成要素の一つとして症状軽快の確率向上。手術回避の補助 腱板損傷に対する薬物療法は、炎症や腫れを抑えて痛みを軽減し、治療を円滑に進めるための重要な方法です。NSAIDs(消炎鎮痛薬)やステロイド注射は、痛みや可動制限を緩和し、夜間の不快感や日常生活での負担を減少させます。 ステロイド注射は腱の損傷を悪化させずに症状を改善し、その効果が半年以上続くため、リハビリ継続と肩機能の改善に寄与します。 薬物療法は腱を修復する治療ではありません。しかし、残存する腱や筋肉の機能を活かし、肩の使い方を改善するための支援となります。リハビリや他の治療と組み合わせることで、機能回復を効果的に支えます。 温冷療法 状況・時期 詳細 急性期(受傷〜48時間以内) アイスパックや冷湿布による炎症・腫れの抑制。痛みの緩和と患部保護 慢性期(炎症が落ち着いた後) 温湿布や温浴による血行促進。筋肉のこり緩和と関節可動性の向上 温→冷の交替使用 血流改善とこわばり軽減。疲労回復の補助 日常生活での取り入れやすさ 自宅でも実施可能な負担軽減法。リハビリ前後の補助にも有用 注意点 1回15分以内・1時間に1回目安。冷やす際は肌を保護。温め過ぎはやけどリスク。循環障害・皮膚脆弱部位は医師指示必須 温冷療法は、腱板損傷の症状や回復段階に応じて冷却と温熱を使い分ける方法です。受傷直後や炎症が強い急性期は、冷却により炎症と腫れを抑え、痛みを軽減します。炎症が落ち着いた慢性期には温めることで血流を促し、筋肉のこりを和らげ、肩関節の動きを改善しやすくします。 また、温めた後に冷やす交替浴により循環が促進され、こわばりの軽減にもつながります。自宅でも実践可能で、リハビリ前後の痛みコントロールや準備運動の補助として有効です。ただし、冷やしすぎや温めすぎは逆効果となる場合があり、皮膚の保護や時間管理が重要です。 また、循環障害や皮膚が弱い方は使用前に医師へ相談しましょう。温冷療法は腱断裂を直接治すものではなく、あくまで保存療法の一部として症状緩和と機能改善を支える補助的役割を果たします。 リハビリテーション 有効な理由 詳細 周囲の筋肉で肩を支える 残存する筋肉や肩甲骨周辺の動きを整え、三角筋などで断裂部を補う安定性の向上 可動域維持と拘縮予防 動かせる範囲を保ち、肩のこわばりや凍結肩の発症を防ぐ可動域練習 筋力回復による日常動作改善 手を挙げる・物を持つ動作を支える筋力強化による機能回復 正しい姿勢と使い方の習得 肩甲骨の動かし方や姿勢の修正による再断裂予防と負担軽減 手術回避や術後回復の促進 中等度以下では保存療法で症状改善、術後の機能回復促進 腱板損傷は断裂した腱の自然修復は極めて困難ですが、リハビリテーションにより残存する筋群や肩甲骨周囲の機能を整え、肩関節の安定性と可動性を向上させることが可能です。とくに三角筋などの働きが断裂部を補完し、日常生活動作の円滑化に寄与します。 長期間の不動は拘縮や凍結肩を招きやすいため、疼痛のない範囲で関節可動域を維持することが重要です。さらに、段階的な筋力強化により物の把持や挙上動作が改善し、生活復帰が促進されます。理学療法士による姿勢や肩の使用方法の適正化は、再発予防にも効果的です。 軽度〜中等度の損傷では手術回避が可能な場合があり、手術を行う場合でも術後の機能回復を支援します。定期的な評価と継続的介入が良好な治療成績と将来的な肩障害予防につながります。 以下の記事では、痛みを和らげる方法やストレッチの方法をわかりやすく解説しています。 手術療法 有効な理由 詳細 腱板断裂を元の位置につなげる唯一の方法 関節鏡や直視下手術による断裂部の再固定と修復 進行防止と肩機能維持 偽性麻痺や変形関節症への進行予防 関節鏡手術による低侵襲治療 約1.5cmの小切開から器具を挿入し、出血・感染・身体負担を軽減 手術は早期ほど有利 早期対応で医療費増加や再治療リスクを抑制 術後リハビリの重要性 可動性と筋力を段階的に回復させ結果を向上 腱板損傷の手術は、切れた腱を骨へ再固定できる唯一の方法です。自然治癒ではほとんど再接着しないため、進行すれば肩を上げられなくなる偽性麻痺(肩を上げられなくなる状態)や、関節の変形を伴う変形性関節症に至る危険があります。 現在は関節鏡を使った低侵襲手術が主流です。1.5cm程度の小切開から器具を挿入するため出血や感染のリスクが少なく、身体への負担も軽減されます。 腱板損傷は手術開始の遅れが再治療リスクを高める可能性があり、術後は理学療法士の指導による早期リハビリで可動域と筋力を回復させることが、長期的な肩機能の維持と生活の質向上に直結します。 再生医療 再生医療は、自身の身体から採取した幹細胞を培養・増殖させ、損傷部へ注射することで腱板の修復・再生を促す先進的治療法です。従来の薬物療法やリハビリでは改善が難しい場合でも、損傷した腱板の治癒力を高め、根本的な回復を目指せます。 手術のような大きな切開や入院を伴わず、注射で行うため身体への負担が少なく、感染症リスクも極めて低いことが特徴です。さらに、日常生活への制限がほぼなく、リハビリと併用することで機能回復をより効果的に進められる可能性があります。 ただし、実施している医療機関は限られているため、受診前に対応可否を確認することが必要です。痛みの軽減と腱板の再生を同時に実現し、手術を回避できる選択肢として有効性が期待されています。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷に対する再生医療の症例を紹介しています。 また、以下の記事では、再生医療について詳しく解説しているのでご覧ください。 【関連記事】 PRP療法のメリット・デメリットは?効果や費用も紹介 肩の腱板損傷にはテーピングが有効!巻き方やリハビリについて専門医が解説 腱板損傷は自然治癒に頼らず医療機関を受診しよう 腱板損傷は放置すると進行し、手術が必要となる可能性があります。軽度の場合でも、画像診断で損傷範囲を正確に把握し、適切な治療計画を立てることが重要です。早期に受診すれば保存療法による改善が期待でき、生活や仕事への影響を最小限に抑えることが可能です。 腱板損傷でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院は、腱板損傷の治癒に有効である再生医療を選択肢のひとつとしてご提案しています。再生医療は、手術に伴う感染症や薬物による副作用のリスクが低いメリットがあります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腱板損傷の自然治癒に関するよくある質問 サプリメントや市販品で腱板損傷は良くなりますか? 腱板損傷は、サプリメントだけで断裂が治る科学的根拠はありません。成分によって痛みの軽減など短期的な効果が期待できる場合はありますが、腱を物理的に修復する証拠はなく、機能改善の裏づけも不十分です。 サプリに頼りすぎることで治療のタイミングを逃し、症状が悪化する恐れがあります。まずは医師による診察と画像検査で損傷の程度を確認し、適切な治療計画を立てることが大切です。 腱板損傷を再発させない方法はありますか? 腱板手術後は、専門家の指導のもとで可動域回復から筋力強化まで、段階的にリハビリを行うことが推奨されます。 日常生活では、重い荷物の運搬や腕を大きく振る動作を避け、肩甲骨周囲の筋力と柔軟性を維持します。姿勢の改善、過負荷の回避、適切な栄養管理も再断裂予防に重要です。 参考文献 (文献1) 腱板断裂の自然経過|J-STAGE
2025.08.31 -
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「腱板損傷の症状が一向に良くなる兆しが見えない」 「腱板損傷はどれくらいで治るのか知りたい」 違和感や力の入りにくさを感じると、仕事や私生活に大きな支障が生じます。腱板損傷と診断されても、どのような治療法があり、どれくらいで回復できるのかがわからず、不安を抱く方は少なくありません。 とくに日常的に肩を酷使する人やスポーツ愛好者にとって、放置による悪化は避けたいものです。本記事では、腱板損傷の治療法について現役医師が詳しく解説します。記事の最後には、腱板損傷の治療についてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板損傷の治療法について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板損傷はどれくらいで治る? 進行度 詳細 軽度 保存療法による日常生活の改善期、症状の安定期(慢性化抑制)、3〜6カ月で日常生活動作の支障軽減、最大6カ月でスポーツ・肉体労働復帰の目安 中等度 保存療法とリハビリ継続、6カ月〜12カ月程度の治癒期間、症状の程度や個人差による回復期間の変動、日常生活や軽いスポーツ復帰の可能性 重度 手術が必要な場合が多い術後2〜3カ月で日常生活の支障が軽減し、3カ月頃から軽作業が可能、6カ月程度で重作業やスポーツ復帰目安、場合により1年以上の回復期間 腱板損傷の回復期間は、損傷の程度や治療方法、肩の使い方によって異なります。 軽度は保存療法で数週間〜3カ月で症状が安定し、3〜6カ月で日常生活に支障がほぼなくなります。中等度は6〜12カ月、重度は6カ月〜1年以上かかることもあります。(文献1) 広範囲の断裂では手術が必要となり、術後2~3週間の固定と2~3カ月のリハビリが必要です。(文献2) 年齢や基礎疾患、肩を酷使する習慣も影響するため、早期からの適切な治療とセルフケアが重要です。 腱板損傷の原因や治療法など、包括的な内容に関しては「【医師監修】腱板損傷とは|症状・原因・治療法を詳しく解説」をご覧ください。 腱板損傷|軽度 項目 内容 状態 腱板の一部に炎症や小さな損傷がある状態 主な治療法 安静、日常動作の見直し、物理療法(温熱・冷却)、消炎鎮痛薬、軽いリハビリ 回復までの目安 日常生活の改善は3〜6カ月、スポーツ・重作業復帰は最大6カ月ほど 注意点 肩に負担をかける動作の回避、症状が軽くても無理をしない 予後・見通し 早期治療により損傷拡大を防ぎ、数週間〜3カ月で症状を安定させる 軽度の腱板損傷は、腱の一部に炎症や小さな損傷がある状態です。原因は繰り返しの肩の使用や急な動作による負荷で、放置すると悪化し中等度・重度になる可能性が高い状態です。治療は安静、生活動作の見直し、物理療法、消炎鎮痛薬、リハビリを組み合わせて実施されます。 早期治療で損傷の拡大を防ぎ、症状は数週間〜3カ月で安定します。日常生活には早期復帰できますが、スポーツや重作業は3〜6カ月かかる場合があり、痛みが軽くても肩の酷使を避け、休養と段階的リハビリが必要です。 腱板損傷|中等度 項目 内容 状態 腱板の一部に部分断裂や炎症の拡大 主な治療法 安静、日常動作の見直し、物理療法(温熱・冷却)、消炎鎮痛薬、計画的なリハビリテーション 回復までの目安 日常生活復帰は約2〜3カ月。スポーツ・重作業復帰は一般的に6〜12カ月 注意点 痛みが軽減しても無理な復帰は再発リスク。リハビリ・保存療法で十分な改善が得られない場合は手術を検討 予後・見通し 計画的な治療・リハビリ継続で比較的円滑な社会・スポーツ復帰が可能(ただし症状や治療法により期間は前後) 中等度の腱板損傷は、腱の部分断裂や炎症が広がり、肩の可動域制限や筋力低下がみられる状態です。治療は安静、生活動作の見直し、物理療法、薬物療法、リハビリを組み合わせた保存療法が中心で、改善が乏しい場合や断裂範囲が広い場合は関節鏡手術を検討します。 保存療法では、日常生活復帰まで約2〜3カ月、スポーツ・重作業復帰まで約6カ月、治癒まで6〜12カ月かかる場合が多いです。手術を行った場合は術後リハビリを含め半年以上かかります。自然治癒は難しいため、無理な動作を避け、医師や理学療法士の指導に沿って段階的に回復を進めることが重要です。 腱板損傷|重度 項目 内容 状態 腱の完全断裂により日常動作や腕の挙上が著しく制限される状態 主な治療法 手術による腱の修復、術後3〜6週間の固定・安静後にリハビリ開始 回復までの目安 術後2〜3カ月で日常生活の支障が軽減し、3カ月頃から軽作業が可能、6カ月でスポーツ・重作業復帰が一般的だが個人差大 影響要因 放置による関節変形や機能回復の限界、再断裂リスク、リハビリの継続と医師指導の厳守が重要 注意点 年齢、損傷範囲、治療法、リハビリ状況などによる回復期間の差異 重度の腱板損傷は、腱が完全に断裂し、日常生活の動作や腕の挙上が著しく困難となる状態です。保存療法のみでの回復は難しく、多くの場合は手術による修復が必要です。手術後は約3〜6週間の安静期間を経てリハビリを開始し、縫合部の修復にはおよそ3カ月を要します。 日常生活への復帰は術後2〜3カ月、軽作業は術後3カ月頃から可能となる場合が多く、スポーツや重作業への復帰は術後6カ月以降が目安です。全体の回復期間は半年〜1年程度ですが、損傷範囲や年齢、肩の使用状況によっては1年以上を要することもあります。 保存療法を選択した場合でも、重度損傷では回復に半年以上かかることが多いため、放置による関節変形や機能低下を防ぐために、早期の医療介入と計画的なリハビリの実施が重要です。 以下の記事では、重度の腱板損傷について詳しく解説しています。 腱板損傷の治療法 治療法 詳細 セルフケアと生活上の工夫を実践する 肩への負担の軽減、姿勢・動作の見直し、日常生活での適切な休養と工夫 温冷療法 急性期の冷却による炎症抑制、慢性期の温熱による血流促進と筋肉のこわばり緩和 薬物療法 消炎鎮痛薬の内服、局所ステロイド注射による炎症抑制と症状の緩和 リハビリテーション 可動域改善、筋力強化、専門家指導のもと段階的に負荷を増やす運動療法 手術療法 重度断裂に対する腱の修復手術、術後の安静期間と段階的リハビリ 再生医療 幹細胞・PRP療法による腱修復促進、保存療法や手術の補完的治療 腱板損傷の治療は、症状や損傷の程度に応じて適切な方法を選択します。セルフケアでは、肩への負担を減らし、姿勢や動作を見直し、十分な休養を取ることが重要です。温冷療法は、急性期に冷却で炎症を抑え、慢性期に温熱で血流を促進します。 薬物療法では、消炎鎮痛薬の内服や局所ステロイド注射により炎症と痛みを軽減します。リハビリテーションは、可動域改善や筋力強化を目的に、専門家の指導のもと段階的に運動を行います。重度断裂では、腱修復手術が必要となり、術後には安静期間と継続的なリハビリが欠かせません。 再生医療は、幹細胞やPRP療法で腱修復を促す方法ですが、実施医療機関が限られており、事前に対応可否と適応の有無について医師の診察を受ける必要があります。 以下の記事では、肩腱板断裂(腱板損傷)の痛みについて詳しく解説しています。 セルフケアと生活上の工夫を実践する 内容 詳細 肩への負担を減らす生活習慣の見直し 重い物を持つ・腕を急に上げる動作の回避、姿勢改善による肩への負担の軽減 温冷療法の活用 怪我初期は冷却で炎症抑制、その後は温熱で血流促進と筋緊張緩和 適切なリハビリやストレッチの実践 医師の指導で痛みのない範囲の運動・可動域拡大、筋力強化 適切な安静と休息 無理な動作を避け、日常生活で安静時間を確保 医療機関でのフォローに併せた自宅ケア 注射・物理療法の補完として計画的なセルフケア継続 腱板損傷は自然治癒が難しく、肩への負担軽減と肩周囲筋の強化が症状の軽減と機能維持に重要です。セルフケアでは、無理な腕の挙上や高所への手の動きを避け、就寝時は肩を圧迫しない姿勢を保ち、必要に応じてタオルやクッションで支えます。 荷物は片手に偏らず両手や身体全体で分散し、デスクワークではモニター位置を調整して長時間同姿勢を避けることで、炎症悪化防止や可動域維持、再発予防につながります。医療機関での治療と併用することで、より効果的な症状管理が可能です。 以下の記事では、肩の腱板損傷のセルフケアに役立つテーピングについて詳しく解説しています。 温冷療法 方法 適用時期・目的 実施方法 注意点 冷却療法(アイシング) 急性期(受傷〜48時間以内)、炎症・腫れの抑制、二次損傷予防 氷嚢やアイスパックをタオルで包み、患部に15分程度あてる。15〜20分ごとに繰り返す 直接長時間あてない、皮膚の凍傷防止、間隔を空ける 温熱療法 慢性期・回復期、血行促進、筋肉や腱の柔軟性改善、可動域拡大 ホットパック、温タオル、入浴などで温める 急性期は避ける、皮膚低温やけど防止、持病がある場合は医師へ相談 温冷療法は、腱板損傷による痛みや炎症の管理に有効な方法です。冷却療法は、受傷直後や急性期に氷嚢やアイスパックをタオルで包み、15分程度患部にあてることで血管を収縮させ、炎症や腫れを抑えます。これにより二次的な組織損傷の予防にもつながります。 温熱療法は、炎症が落ち着いた慢性期や回復期に行います。ホットパックや入浴で肩を温めることで血流を促進し、筋肉や腱の柔軟性を高め、可動域の改善や痛みの緩和を図ります。症状や時期に応じた適切な使い分けが重要です。 冷やすべき時期に温めると悪化する恐れがあります。また、長時間の直接冷却や高温での長時間温熱は避け、持病がある場合は必ず医師に相談の上で実施する必要があります。 薬物療法 薬物療法の種類 詳細 消炎鎮痛剤(NSAIDs) 飲み薬や貼り薬による炎症物質生成の抑制と症状軽減、軽度〜中等度症状への初期対応、日常動作負担の軽減 局所ステロイド注射 関節内や周囲への直接注入による強力な炎症抑制、即効性のある一時的効果、4回以上の連続使用非推奨、医療機関での実施とリハビリ併用 その他の補助的薬物療法 筋弛緩薬や鎮痛補助薬による補助的対応、消炎鎮痛剤の補完的使用 薬物療法は、炎症を軽減し機能回復を支援する目的で行われます。一般的に使用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は炎症や疼痛の軽減に使用される薬剤です。 急性期や症状が強い場合は関節内ステロイド注射で炎症を抑え、リハビリや生活を行いやすくします。長期使用は副作用の恐れがあるため医師の指示に従い、生活改善やリハビリと併用して効果を高めます。 リハビリテーション 段階 詳細 急性期 安静、アイシング、無理のない範囲での肩関節可動域運動 回復期 ストレッチ開始、肩の柔軟性回復、肩甲骨・肩関節周囲筋の軽い筋力強化 強化期 抵抗トレーニング導入、肩周囲筋力と持久力向上 維持期 適切な負荷管理下での定期的運動継続、肩機能維持と再発防止 患者指導 痛みを悪化させる動作回避法、日常生活での肩負担軽減法 医療機関との連携 段階的運動負荷調整、安定したリハビリ進行のための医師・理学療法士の指導 腱板損傷の回復と疼痛軽減には、段階的かつ計画的なリハビリテーションが重要です。リハビリは可動域改善と筋力強化によって肩関節の安定性を高め、肩甲帯の適切な働きで関節への負担を減らします。 急性期は安静とアイシング、軽い可動域運動で炎症を抑え、回復期にはストレッチや軽い筋力トレーニングで柔軟性と支持力を回復します。 強化期には抵抗運動で筋力・持久力を高め、維持期では定期的な運動と負荷管理で再発を防ぎます。全過程を通じて、医師や理学療法士の指導のもと日常生活での負担軽減と安定した運動進行を実施することが大切です。 以下の記事では、腱板損傷に効果的なリハビリ方法について解説しています。 手術療法 項目 詳細 手術の目的 保存療法で改善しなかった場合、重度機能障害を伴う場合に有効 主な適応 大きな断裂、進行例、保存療法で改善が乏しい症例 手術方法 関節鏡視下手術による断裂腱の縫合固定、腱と骨の再連結 手術の流れ 肩に小切開を数か所、関節鏡と専用器具で断裂部確認・修復 手術後経過 数週間の固定後、専門的リハビリ開始、軽作業は数カ月、運動復帰は半年程度 期待される効果 肩機能改善、可動域制限や再断裂リスク低減、長期的予後の向上 保存療法(リハビリや薬物療法)では修復が困難な大きな断裂や進行例に有効です。対して手術療法は、重度の機能障害や保存療法で改善しない場合に推奨されています。 主流は関節鏡視下手術で、小切開からカメラと器具を挿入し断裂部を修復、腱を骨に縫合固定します。腱と骨の癒合により肩の安定性と可動域が改善します。術後は数週間固定し、その後リハビリを行い、軽作業は数カ月後、スポーツや重作業は半年程度で復帰可能です。 再生医療 腱板損傷に対する再生医療は、患者自身の幹細胞や血小板を培養し、損傷部へ注射して組織の修復・再生を促す治療法です。 自然治癒が難しい損傷に対し、痛みの緩和と正常に近い組織回復を目指します。手術や入院の負担がなく侵襲も少ないため、保存療法と併用して回復を促すこともあります。ただし、適応条件や症例は限られ、実施施設も限られているため、医師の慎重な判断が必要です。従来治療で効果が不十分な場合や手術を避けたい場合に選択されます。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひご確認いただき、再生医療も治療法の一つとしてご検討ください。 腱板損傷を放置するリスクと注意点 放置するリスク 詳細 症状の進行と機能低下 断裂部位の拡大、肩関節の筋力低下、可動域制限、日常生活動作の困難 炎症の慢性化と関節変形 慢性的な炎症の持続、滑膜炎、関節内の癒着、関節の変形や骨の摩耗 生活・仕事への影響 肩の動かしにくさ、作業や趣味の制限、睡眠障害や日常動作への支障 手術が必要になることもある 保存療法での改善困難、断裂の悪化、機能回復不全、最終的に手術や人工関節置換術の必要性 腱板損傷を放置すると損傷拡大や炎症慢性化により、筋力低下や関節変形、日常生活への支障が進行します。断裂が進めば手術が必要となり、回復期間が長期化する恐れがあります。 症状の進行防止と機能低下の抑制のため、早期に医療機関で診断を受け、適切な治療を開始することが重要です。 以下の記事では、腱板損傷を放置するリスクについて詳しく解説しています。 症状の進行と機能低下 理由 詳細 断裂部位の拡大 損傷部が自然修復されず裂け目が広がることで、肩の安定性低下 筋肉の萎縮 使わなくなった腱板筋のやせ細りによる筋力低下 可動域の制限 筋力低下や断裂の進行による関節の動きの狭まり 慢性炎症と拘縮 持続する炎症による組織の硬化と肩のこわばり 関節変形の進行 軟骨摩耗による骨同士の接触と変形性関節症の発症 腱板は肩関節の安定を保つ重要な組織ですが、血流が乏しく自然修復が難しいため、損傷を放置すると悪化しやすくなります。 時間の経過とともに断裂が拡大し筋力が低下、可動域制限や拘縮が進行して肩の動きが困難になります。長期間放置すると軟骨摩耗や骨の接触による変形が進み、痛みや機能低下で日常生活に影響を及ぼすため早期治療が必要です。 炎症の慢性化と関節変形 理由 詳細 炎症の慢性化 損傷部位の持続的刺激による炎症継続、組織の硬化と拘縮発生、肩可動域の制限、痛みや使いにくさの長期化 関節変形 腱板機能低下による軟骨摩耗、骨同士の直接接触、骨形態の変化(変形性肩関節症)、肩動作の制限と痛みの悪化 腱板損傷を放置すると肩関節内の炎症が慢性化し、周囲組織が硬くなる拘縮が生じることで、可動域が制限され、腕の動かせる範囲が狭くなります。 腱板機能の低下が長期化すると肩関節への負担が増え、軟骨摩耗や骨の変形を伴う変形性肩関節症へ進行する危険が高まります。変形が進行すると不可逆的な変化となり、手術を含む大規模な治療が必要になる場合があるため、早期診断と適切な治療で重度の関節障害を防ぐことが重要です。 生活・仕事への影響 リスク・注意点 詳細 炎症の慢性化 長期間の損傷による炎症持続、肩周囲組織の硬化(拘縮)、痛みや不快感の長期化 関節変形 腱板機能低下による軟骨摩耗、骨同士の接触、変形性肩関節症への進行と症状悪化 生活・仕事への影響 腱板筋力低下による動作不全、日常生活動作の困難化、睡眠や仕事への悪影響 腱板損傷を放置すると炎症が慢性化して拘縮が起こり、可動域が制限されます。さらに機能低下が進み、軟骨摩耗や骨の接触から変形性肩関節症へ進行し、痛みや動作制限が悪化します。 筋力低下による動作不全は日常生活や仕事、趣味に支障をきたし、生活の質低下や精神的負担を招くため、早期診断と適切な治療が重要です。 手術が必要になることもある 理由 詳細 断裂の拡大による修復困難 切れた腱板が自然修復されず裂け目が広がり、手術での修復難易度が上昇 症状悪化による生活支障 強い痛みや可動域制限による日常生活・仕事・趣味の制限 筋力低下・腱の退縮 長期放置による筋萎縮や腱の硬化による回復不良と再断裂リスク増加 重症化による手術の必要性 進行例で腱板修復が困難となり、筋膜移植や人工関節置換術が必要となる可能性 腱板損傷は肩関節の安定と動きを担う腱が切れる病態で、軽症なら保存療法で改善することもありますが、放置すると損傷が進行し、断裂拡大により手術が難しくなり、痛みや可動域制限で生活に支障をきたします。 長期放置は筋萎縮や腱退縮を招き、再断裂や機能回復不良のリスクを高め、重症化すれば大規模手術が必要になります。症状が悪化したり生活への影響が大きい場合は、早期に専門医を受診し、手術時期を含めた治療方針を検討することが重要です。 腱板損傷の再発を防止する方法 再発を防止する方法 詳細 適切なリハビリで肩周囲筋と肩甲帯を強化する 棘上筋・棘下筋・肩甲骨安定化筋の筋力向上、肩関節と肩甲帯の安定性確保 定期的なストレッチと可動域訓練で柔軟性を維持する 肩関節と肩甲骨周囲の筋群の柔軟性保持、関節可動域の正常化 姿勢や腕の動きを見直し肩への過負荷を抑える 猫背や巻き肩の矯正、腕の急激な挙上や過度な外旋の回避 回復期には運動強度を段階的に調整して進行させる 急激な負荷増加の回避、運動内容と強度の計画的漸増 腱板損傷の再発を防ぐには、回復後も肩周囲筋と肩甲帯の安定性を維持することが重要です。棘上筋・棘下筋・肩甲骨安定化筋を中心とした筋力強化と、定期的なストレッチや可動域訓練による柔軟性保持が欠かせません。 日常生活では猫背や巻き肩を避け、急激な腕の挙上や過度な外旋など肩に負担をかける動作を控えます。さらに、作業環境やスポーツ動作を見直し、運動強度は段階的に調整することが大切です。こうした継続的な取り組みにより、再発リスクを低減し、肩機能の長期的な維持が可能となります。 適切なリハビリで肩周囲筋と肩甲帯を強化する 項目 詳細 肩関節周囲のストレッチと可動域訓練 肩甲骨周囲の柔軟性向上、関節可動域の拡大 チューブや軽い抵抗を使った筋力トレーニング 回旋筋群(外旋・内旋)と肩甲帯の段階的強化、肩状態に応じた負荷調整 姿勢改善や動作指導 肩への過度な負担軽減、日常生活や仕事での適切な肩の使い方指導 医師の指導のもとでの段階的リハビリ 理学療法士などによる継続的な運動指導、再発予防 腱板損傷は、保存療法で改善が見込める段階を過ぎると腱の再接合が難しくなり、手術が必要になる場合があります。手術は有効な治療法ですが、身体的・精神的負担が大きく、術後には長期間のリハビリが必要です。 軽度〜中等度の損傷は、保存療法で回復することが一般的ですが、放置すると断裂の進行や慢性痛により手術が必要になるリスクが高まります。早期治療は手術回避や将来の機能低下防止に有効です。 定期的なストレッチと可動域訓練で柔軟性を維持する 運動名 詳細 振り子運動 前かがみ姿勢で反対腕を支え、痛む腕を下に垂らして左右・前後に小さく揺らす可動域拡大運動 クロスボディストレッチ 腕を肩の高さまで上げ、反対の手で肘を体側へ引き寄せ肩後方を伸ばす柔軟性向上運動 手のひら回し 両腕を肩の高さに上げ、手のひらを回して肩甲骨周囲を動かす可動性向上運動 腕の上げ下げ運動 椅子に座って背筋を伸ばし、痛みのない範囲で腕をゆっくり上げ下げする可動域維持運動 腱板損傷のリハビリでは、肩関節の柔軟性を保ち可動域を広げることが重要です。振り子運動やクロスボディストレッチ、手のひら回し、腕の上げ下げ運動などを痛みのない範囲で行いましょう。 筋肉が硬くなると可動域が狭まり、肩に過度な負担がかかりやすくなります。これを防ぐためには、定期的なストレッチや可動域訓練を習慣化することが大切です。肩回しや肩甲骨を意識したストレッチを日常に取り入れ、とくに起床時や運動前後に実施することで筋肉の柔軟性を維持し、再発リスクを減らせます。 姿勢や腕の動きを見直し肩への過負荷を抑える 項目 詳細 姿勢改善 猫背矯正と背筋伸展による肩甲骨位置の正常化、デスクワーク時のモニター高さ・椅子高さ調整 腕の動きの工夫 過度な挙上や急なねじり動作の回避、肩負担軽減を意識した動線確保 肩甲骨の動きを意識 肩甲骨安定化筋の活用による滑らかな肩・腕の動作、肩甲骨周囲ストレッチやエクササイズの実践 仕事・日常動作の見直し 両手での物の持ち運び、左右の腕の使用バランス確保による肩負担分散 腱板は肩関節の動きと安定性を支える重要な組織です。不適切な姿勢や腕の使い方は過剰な負担となり損傷や再発の原因になります。猫背や巻き肩は肩甲骨の動きを制限し、肩関節に不要なストレスを与えます。 腕の無理な高挙や急なひねり、誤ったスポーツフォームはリスクを高める原因です。日常生活や仕事では背筋を伸ばし、モニターや椅子の高さを調整して姿勢を整え、物は両手で持ち左右均等に使います。肩甲骨安定化筋を鍛える運動やストレッチも有効です。必要に応じて専門家の動作指導を受けることが望まれます。 回復期には運動強度を段階的に調整して進行させる 腱板損傷のリハビリでは、回復期に運動強度を段階的に調整することが重要です。損傷部が完治する前に強い負荷をかけると、腱や筋肉に過剰なストレスがかかり、再断裂や炎症悪化の恐れがあります。 初期は軽い可動域訓練から始め、回復状況に応じてチューブや軽負荷を使った筋力強化へ移行し、最終的には日常生活やスポーツ動作に進めます。 段階的な負荷増加は腱や筋肉の適応を促し、肩関節の安定性を高める上で効果的な方法です。医師や理学療法士の指導のもと、状態に合わせた調整を行うことで無理なく長期的な機能回復に寄与します。 腱板損傷の治療にお悩みの方は当院へご相談ください 腱板損傷は放置すると断裂の進行や慢性化を招き、痛みや可動域制限が悪化して日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。早期に正しい治療を開始し、継続的に取り組むことが回復への近道です。 腱板損傷が改善せずお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、損傷部位の修復を目的とした再生医療を選択肢のひとつとしてご案内し、症状や状態に応じた治療方針を検討いただけます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腱板損傷の治療に関するよくある質問 腱板断裂でやってはいけないことはありますか? 腱板断裂では、肩に大きな負担をかける動作は避けましょう。重い物を持ち上げる、遠くへ手を伸ばす、腕を強くひねる、急な動作や過度な力をかける、肩を後ろに回すなどは悪化や再断裂の原因になります。 とくに手術後3カ月ほどは無理な運動を控え、医師の指示に従って段階的に動かすことが大切です。 腱板損傷の筋力や痛みを確認する方法はありますか? 腱板損傷の状態を確認するには、自宅でできるセルフチェックと医療機関での検査があります。腕の挙上時に肩の中央付近で痛む(ペインフルアークサイン)、腕の内外旋で痛みや力の入りにくさがある、肩の外転時に筋力低下や痛みが出る場合は注意が必要です。 医療機関では徒手筋力テスト、視診・触診、超音波やMRIで損傷の程度を評価します。痛みや筋力低下が続く場合は早期受診が重要です。 腱板損傷で社会保険(労災・障害年金など)は受けられますか? 腱板損傷で社会保険を受けるには以下の条件を満たす必要があります。 種類 条件 労災保険 仕事中や業務関連の事故・負傷で「業務遂行性」と「業務起因性」が認められること 勤務中の作業や出張中の事故、業務に密接した活動中の負傷が対象 重作業の蓄積で発症した場合も対象となることがある MRIや診断書など医学的証拠が必要、原因の業務起因性の明確化が必須 障害年金 腱板損傷により肩の機能障害や可動域制限が残り、日常生活や労働に著しい支障がある場合 MRI画像や可動域制限の度合いにより12級や14級などの障害等級が認定されることがある 医師の診断書提出が申請に必須で、障害状況が詳細に評価される この表は、労災保険は業務に関連した明確な原因が認められ、医学的証拠が必要である点、障害年金は日常生活や労働に著しい支障をきたす機能障害が条件となることを示しています。 それぞれの制度で求められる証明や認定基準に基づいて申請されます。これにより患者様は、労災保険と障害年金の適用条件を理解し、適切な手続きを行うためのポイントが把握できます。 参考文献 (文献1) 肩腱板損傷はどのくらいで治る?日常生活への影響と回復のタイムライン|むとう整形外科・MRIクリニック (文献2) 「肩腱板断裂」|公益社団法人 日本整形外科学会
2025.08.31 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「肩に違和感がある」 「夜中に目が覚めるほどつらい」 それは腱板断裂のサインかもしれません。腱板断裂とは、肩の腱板が損傷または断裂し、腕が上がらない、筋力低下、夜間の痛みなどを引き起こす疾患です。とくに肩を長年酷使してきた人や中高年では発症リスクが高まります。 本記事では、腱板断裂について現役医師が詳しく解説します。 腱板断裂の原因 自分でできる腱板断裂のセルフチェック 腱板断裂の治療法 腱板断裂の予防法 腱板断裂と似ている症状 腱板断裂は、適切な診断と治療により症状の改善が期待できます。本記事を通じて症状を正しく理解し、治療法の選択に役立てください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板断裂とは 項目 内容 定義 肩の深部にある腱板の腱が、上腕骨の付着部から部分または完全に剥がれた状態 役割 肩関節の安定維持と腕の上下・回転動作の補助 構成筋 棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋 主な原因 加齢による腱の弱化、肩の酷使(スポーツ・肉体労働)、外傷(転倒や事故) 症状 腕の挙上や物を持つ力の低下、挙上制限、肩の不安定感、動作時や夜間の違和感 診断方法 MRI検査、超音波検査、医師による徒手テスト 要点 発症は中高年に多く、原因や症状は多様。早期診断と適切な治療が肩機能維持の鍵 腱板断裂は、肩の運動と安定性に重要な腱板が損傷または断裂した状態です。腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4つの筋肉の腱で構成され、上腕骨頭と肩甲骨をつなぎ、腕の挙上や回旋を担います。 損傷が生じると、肩の違和感や筋力低下、可動域の制限などが現れ、日常生活に支障を及ぼします。断裂にはすべての腱が切れる完全断裂と、一部のみが損傷する部分断裂があります。放置すると悪化し、回復が難しくなる場合があるため、症状が見られた場合は早期に医療機関で診断と適切な治療を受けることが重要です。 以下の記事では、肩腱板断裂(損傷)について詳しく解説しています。 腱板断裂の原因 原因 詳細 加齢による腱の変性と断裂のリスク 腱の老化・血流低下による組織の弱化および弾力低下 スポーツや肉体労働による肩の酷使 繰り返しの肩使用や過度の負荷による腱の摩耗・損傷 転倒や事故など外傷による断裂 強い衝撃や捻挫による急激な腱の断裂・損傷 腱板断裂は、加齢に伴う腱の老化や血流低下による組織の弱化・弾力低下、スポーツや肉体労働などでの繰り返しの肩使用による摩耗、さらに転倒や事故による強い衝撃や捻挫など、さまざまな要因で発症します。原因を理解することは、予防や早期発見のためにも重要です。 加齢による腱の変性と断裂のリスク 加齢により肩の腱は弾力や柔軟性を失い、損傷しやすくなります。原因はコラーゲン繊維の劣化、水分量の減少、血流低下による修復力の低下です。 日常生活や仕事、スポーツでの長年の使用による摩耗も影響し、わずかな負荷や軽い外傷でも断裂が起こります。40歳以降でリスクが高まり、60歳を超えると発症が増えます。(文献1)肩の違和感や動きの変化があれば、早期の医療機関への受診が重要です。 スポーツや肉体労働による肩の酷使 肩を繰り返し使うスポーツや肉体労働は腱板に負担をかけ、損傷や断裂の原因となります。野球やテニス、水泳、重量物の持ち運びなどの頭上動作は肩関節への負荷が大きく、腱板が骨にこすれて摩耗しやすくなります。 この摩耗が蓄積すると強度が低下し断裂に至ります。利き腕に多く、慢性的な酷使が主因ですが、転倒など一度の衝撃でも発症します。肩の痛みや違和感があれば早期の受診が必要です。 以下の記事では、腱板が再断裂する原因を詳しく解説しています。 転倒や事故など外傷による断裂 腱板は腕の動きと肩関節の安定に重要で、強い外力で急に損傷することがあります。高所からの転倒や交通事故、スポーツ中の衝突などで肩や腕に瞬間的な過負荷がかかると、とくに腕を伸ばして手をついた場合や肩から転倒した場合に断裂しやすくなります。 加齢や酷使で変性した腱板はわずかな外力でも断裂することがあるため、受傷後に肩の動きや筋力に異常を感じたときは早期に診察と画像検査を受けることが重要です。 自分でできる腱板断裂のセルフチェック セルフチェック 詳細 ドロップアームテスト 腱板の主に棘上筋の断裂や筋力低下の有無 リフトオフテスト 腱板の主に肩甲下筋の損傷や機能低下の有無 ホーンブローワーテスト 腱板の主に棘下筋や小円筋の損傷や外旋筋力低下の有無 腱板断裂が疑われる場合、自宅で行える簡易的な確認方法として、ドロップアームテスト・リフトオフテスト・ホーンブローワーテストがあります。ドロップアームテストは、腕を横に上げたまま保持できず途中で落ちる場合に棘上筋の損傷や筋力低下を調べる検査です。 リフトオフテストは、腰の後ろに回した手を背中から離せない場合、肩甲下筋の機能低下が疑われます。ホーンブローワーテストは、腕を外に開く動作で力が入らないず場合に棘下筋や小円筋など外旋筋の状態を確認する検査です。これらはいずれも目安であり、異常があれば医療機関での診断が必要です。 ドロップアームテスト 項目 詳細 目的 腱板のうち主に棘上筋の断裂や筋力低下の有無の確認 方法 腕を真横に90度(肩の高さ)まで上げ、そのまま支えずにゆっくり下ろす動作の観察 陽性所見 腕が途中で急に落ちる、または動作をコントロールできない状態 判定の意味 陽性の場合は棘上筋を中心とした腱板損傷の可能性 留意点 自分一人でも行える簡易的な確認方法だが、陽性時は医療機関での診察・画像検査が必須 ドロップアームテストは、棘上筋損傷を確認するための簡易検査です。腕を横に伸ばして肩の高さまで上げ、そのまま支えずにゆっくり下ろします。健康な腱板であれば滑らかに下ろせますが、損傷があると保持できず途中で落ち、動きが不安定になります。 棘上筋は腕を横に上げる筋肉で、損傷すると筋力低下や動作制限が起こるため、異常があれば早期の受診とMRIや超音波検査による診断が必要です。 リフトオフテスト 項目 詳細 目的 肩甲下筋の損傷や機能低下の確認 方法 片手を背中の腰あたりに回し、手の甲を背中につけた状態から背中から離す動作の実施 陽性所見 手を背中から離せない、動かしづらい状態 特徴 肩甲下筋の機能確認に有効な簡易的セルフチェック方法 注意点 異常を感じた場合は放置せず、医療機関での検査を推奨 リフトオフテストは、肩のインナーマッスルである肩甲下筋の損傷や機能低下を調べる簡易検査です。肩甲下筋は肩関節の内旋(腕を内側にひねる動き)を担い、腱板を構成する4つの筋肉のひとつです。 テスト方法は、背中の腰あたりに手を回し手の甲を背中につけ、その状態から手を背中から離そうとします。正常であれば手を浮かせられますが、損傷があると自力で離せなかったり、痛みで動かせなかったりします。この検査で異常がある場合は肩甲下筋の腱板断裂が疑われ、早期に整形外科で診察と画像検査を受けることが重要です。 ホーンブローワーテスト 項目 詳細 目的 棘下筋や小円筋の損傷や機能不全の確認 方法 腕を肩の高さ(外転90度)に上げ、肘を90度に曲げた状態で腕を外に押し出す動作の実施 陽性所見 腕がスムーズに動かない、力が入らない、または動作時の違和感 特徴 外旋筋群の機能を評価できる簡易的セルフチェック方法 注意点 陽性の場合は医師による診察と画像検査の受診推奨 ホーンブローワーテストは、肩の腱板の中でも主に棘下筋と小円筋の機能を評価するための検査です。方法は、腕を肩の高さ(外転90度)に上げ、肘を90度に曲げた状態で、腕を外に回す動作(外旋)を行い、その際に抵抗を加えます。 筋肉や腱の損傷があると動きが不自然になり、力が入らず違和感が生じ、これは腱板断裂の可能性を示します。自宅でも鏡を見ながら実施できますが、結果が陽性の場合や症状が続く場合は、早期に整形外科を受診し、MRIなどで状態を確認することが重要です。 腱板断裂の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物療法・注射・リハビリテーション) 薬剤や注射で痛みを抑え、リハビリで肩の動きを改善する方法 手術療法(関節鏡手術・縫合術など) 関節鏡などを使って断裂した腱板を修復する方法 再生医療 幹細胞やPRPで腱の修復を促す先進的な治療方法 腱板断裂の治療は、損傷の程度や症状、日常生活への影響に応じて方法を選びます。軽度の場合は、鎮痛薬や注射で痛みを抑え、リハビリで肩の動きや筋力を取り戻す、保存療法が行われます。これは手術をせずに回復を目指す方法です。 一方、大きな断裂や保存療法で改善が見られない場合は、関節鏡を用いて断裂した腱を縫い合わせる「手術療法」が選ばれます。適切な治療選択のためには、早めの診察と正確な診断が重要です。 近年では、幹細胞療法やPRP療法などの再生医療も腱の修復促進を目的に導入されていますが、実施する医療機関は限られているため、事前に対応の可否や症状が適応するかを確認することが重要です。 以下の記事では、肩関節の治療法について詳しく解説しています。 保存療法(薬物療法・注射・リハビリテーション) 項目 詳細 目的 症状の軽減と生活の質の向上 方法 消炎鎮痛薬や湿布、ステロイド注射による痛み・炎症の緩和 リハビリの役割 肩甲骨周囲筋の柔軟性と筋力の維持・強化、肩関節のバランス改善 適応 部分断裂、高齢者、持病による手術リスクが高い方 特徴 手術に比べ身体への負担が少なく開始しやすい方法 注意点 腱板断裂そのものは自然治癒せず、定期的な経過観察が必要 保存療法は、手術を行わずに症状を和らげ、日常生活を維持する方法です。薬物療法で炎症や痛みを抑え、リハビリで肩の筋力・柔軟性を回復させて関節の安定性を高めます。 保存療法は、手術のリスクが高い高齢者や部分断裂の方、持病のある患者に適しており、身体への負担が少ないことが特徴です。ただし、腱板断裂は自然に修復されないため、症状が落ち着いた後も定期的な診察と経過観察が必要です。 以下の記事では、肩腱板断裂の痛みを和らげる方法を詳しく解説しています。 手術療法(関節鏡手術・縫合術など) 項目 詳細 確実な再固定 関節鏡を用いて断裂した腱板を元の骨に縫い付けることで自然な形に修復可能 低侵襲 小さな切開で行うため体への負担や術後の痛みが少ない方法 症状進行の抑制 断裂拡大や筋萎縮・脂肪変性の進行を防ぐ効果 機能回復の促進 回復期間が比較的短く早期リハビリ開始が可能な利点 適応の柔軟性 年齢・断裂の程度・生活環境に応じた治療方針の選択 保存療法で症状が改善しない場合や、断裂が大きく日常生活に支障がある場合、さらに活動性が高く早期の機能回復を希望する方には手術が検討されます。 現在主流の関節鏡手術は、小さな切開から関節鏡を挿入し、モニターで内部を確認しながら損傷した腱板を修復する方法です。身体への負担が比較的少なく、回復が早い点が特徴です。 腱板縫合術では、断裂した腱板を骨に縫い付けて固定し、断裂の程度に応じて方法を選択します。術後は腱板が骨に癒着するまで安静が必要で、その後のリハビリテーションが機能回復に重要な役割を果たします。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術と入院期間について詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は損傷した腱板の修復や再生を促進します。幹細胞治療は、患者自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し、断裂部位へ注射で投与する方法です。 幹細胞は損傷部位で修復を促し、注射で行えるため負担が少なく、手術困難例や保存療法無効例に適します。幹細胞やPRP療法は炎症を抑えつつ腱組織を修復し、痛み軽減や可動域改善、断裂進行防止に寄与します。 ただし、再生医療は実施している医療機関が限られており、適応には事前の相談や診察が必要です。投与後は適切なリハビリを併用することで、肩の機能回復がより効果的に進みます。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板断裂に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひご確認いただき、再生医療も治療法の一つとしてご検討ください。 腱板断裂の予防法 予防法 詳細 肩の柔軟性&筋力維持 肩甲骨や肩周囲筋の柔軟性と筋力の維持・強化による肩関節の安定化 姿勢・使い方の見直し 胸を張り肩甲骨を適切な位置に保つ、正しい姿勢と肩への負担を減らす動作の習慣化 オーバーユース回避 肩の過剰使用を避けることによる筋肉や腱への負担軽減 生活管理と違和感への早期対応 肩の違和感や痛みの早期発見・専門医受診と適切なケアによる悪化防止 腱板断裂を予防するためには、肩甲骨や肩周囲の筋肉の柔軟性と筋力を維持・強化して肩関節の安定性を高めることが重要です。 胸を張り、肩甲骨を正しい位置に保つ、肩を過剰に使わず休養を取り、違和感があれば早期に受診して悪化を防ぎます。 以下の記事では、腱板断裂を放置するリスクを詳しく解説しています。 肩の柔軟性&筋力維持 項目 詳細 肩や肩甲骨の連動性維持 肩関節と肩甲骨の動きのバランスを保ち腱板への負担を軽減 可動域の維持 動きの制限による摩擦や腱の摩耗の防止 インナーマッスル強化 腱板筋群を中心に肩関節の安定性を高め負荷を分散 全体バランスの改善 偏った動きや代償動作の防止による怪我リスク低減 日常・スポーツ時の負担軽減 正しい肩の動きによる過度な使用からの保護 腱板断裂を予防するには、肩の柔軟性と筋力の維持が欠かせません。肩関節は肩甲骨と連動して動くため、柔軟性が落ちると動きのバランスが崩れ、腱板に負担が集中します。その結果、可動域が狭まり摩擦が増えて損傷を招く恐れがあります。 日常的なストレッチで柔軟性を保つことは、こうした負担の軽減に有効です。さらに、腱板を構成するインナーマッスルや周囲の筋力を維持・強化すると、肩関節の安定性が高まり、運動時や荷物を持つ際にも腱板への負荷を分散できます。柔軟性と筋力をバランスよく整えることで、スポーツや日常生活での無理な動きが減り、怪我や断裂のリスクが低下します。とくに肩を酷使する方は、予防のために日常的なストレッチと筋力トレーニングを継続することが重要です。 以下の記事では、右肩や左肩がズキズキと痛い症状について詳しく解説しています。 姿勢・使い方の見直し 肩甲骨や胸椎の位置と可動性を適切に保つことは、肩関節の動きを整え、腱板への負担を減らします。猫背や巻き肩では肩甲骨が前傾し、可動域が狭くなって筋肉や腱板が骨にこすれやすくなり、摩耗や断裂のリスクが高まります。 正しい姿勢を保ち肩甲骨を適正位置に維持すれば、摩擦と負荷の軽減が可能です。また、日常生活やスポーツでは腕の使い方も見直し、腕を高く上げすぎたり同じ姿勢を長時間続けることを避けます。重い物を持つ際は腕だけでなく体全体を使い、肩関節の安定性を保つことが腱板損傷の予防につながります。 オーバーユース回避 予防ポイント 理由 肩の使いすぎの回避 繰り返し動作による腱板への微細損傷の蓄積 適切な休息の確保 腱板の自然修復を促すための負荷軽減 正しいフォーム・作業姿勢の習得 肩関節への不要なストレスの軽減 負担の分散 肩のみで行わず、体幹や下半身も活用 痛みや違和感時の使用中止 傷の進行防止 腱板断裂は、肩の筋肉と骨をつなぐ腱板が損傷する疾患です。野球やテニスなどのスポーツや重い物を扱う仕事で肩を繰り返し酷使すると、腱板に小さな損傷が蓄積します。腱板は血流が乏しく修復力が弱いため、休息を取らずに使い続けると回復が追いつかず、摩耗や断裂が進行します。 予防には、肩の使用を適度に制限して休養を確保し、動作や姿勢を見直して負担を軽減することが重要です。また、体の他の部位を活用して負担を分散し、痛みや違和感があれば早めに使用を中止することが推奨されます。これらの対策によって、腱板断裂の発症や悪化を防ぐことができます。 以下の記事では、腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことを詳しく解説しています。 生活管理と違和感への早期対応 項目 詳細 肩への過度な負担回避 重労働やスポーツでの繰り返し負荷を避け、肩の筋力・柔軟性を維持 早期受診の重要性 違和感や動作制限を感じた段階で専門医を受診し画像検査で診断 進行予防による負担軽減 症状の進行抑制による手術回避や機能障害予防 全身状態の改善 血糖値管理や禁煙による腱の健康維持 無理な使用の回避 違和感がある場合の安静による損傷拡大防止 腱板断裂を予防するには、日常生活で肩への負担を減らし、症状への早期対応を徹底することが重要です。重労働やスポーツでの反復動作、無理な姿勢や動作は腱板損傷のリスクを高めます。 普段から肩周囲の筋力と柔軟性を保ち、過度な使用を避けることが予防の基本です。肩に違和感や動きの制限を感じた場合は、症状が軽くても早めに医療機関を受診し、MRIや超音波検査によって診断を受けます。 早期に保存療法やリハビリを開始すれば断裂の進行を防ぎ、手術を回避できる可能性が高まります。また、糖尿病や喫煙(文献2)は腱の健康を損なうため、生活習慣の改善も重要です。違和感がある時は無理な動作を控え、安静を保つことが損傷拡大の防止につながります。 以下の記事では、腱板断裂(損傷)における超音波(エコー)検査について詳しく解説しています。 腱板断裂と似ている症状 似ている症状 詳細 肩関節の炎症・拘縮(五十肩・肩関節周囲炎・石灰沈着性腱板炎) 肩関節周囲の炎症や拘縮による痛みと可動域制限。腕が上がりづらく動作時の痛みやこわばりが特徴 関節や骨の変性(変形性肩関節症・インピンジメント症候群) 肩関節の軟骨や骨の変性による運動時の痛み、インピンジメントは腱板が骨に挟まることで生じる痛み 腱や周囲組織の障害(上腕二頭筋長頭腱炎) 上腕二頭筋の腱の炎症で、肩の前方の疼痛や動作時痛、押すと痛みが出ることが多い 首からくる症状(頚椎症性神経根症など) 首の神経圧迫に伴う放散痛やしびれ、腕の筋力低下、肩の動かしにくさ。首の動作で症状が誘発されることも 腱板断裂と症状が似ている疾患はいくつか存在します。肩関節の炎症や拘縮を伴う五十肩(肩関節周囲炎)や石灰沈着性腱板炎では、肩の強い痛みや可動域の制限、腕の上げにくさ、こわばりが見られます。変形性肩関節症やインピンジメント症候群では、軟骨や骨の変性や腱板の挟み込みによって動作時の痛みが生じます。 上腕二頭筋長頭腱炎は、肩の前方に限局した痛みや押したときの圧痛、動作時痛が特徴です。さらに、頚椎症性神経根症など首からくる症状では、肩から腕にかけての放散痛やしびれ、筋力低下があり、首の動きで症状が誘発されることもあります。これらは腱板断裂と症状が似ているため、正確な診断には医師による診察と画像検査が欠かせません。 肩関節の炎症・拘縮(五十肩(肩関節周囲炎)・石灰沈着性腱板炎) 項目 腱板断裂 五十肩(肩関節周囲炎) 石灰沈着性腱板炎 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 慢性的な痛み・力が入りにくい 肩全体の広い痛みと動きの硬さと急な激痛や腫れ 原因 腱板腱の断裂 肩関節周囲の炎症と拘縮 腱板へのカルシウム沈着 痛みの特徴 特定動作や夜間で強く出やすい 夜間痛が強く、徐々に拘縮へ進行 発作的な強い痛みと寛解期 可動域制限 外転・外旋がとくに制限 全方向で強く制限 発作時は動かしにくい 経過 自然治癒は稀で、放置すると悪化しやすい 数年で自然回復傾向 数日〜数週間の発作後軽快しやすい 主な治療 保存療法または手術 保存療法主体 薬物・注射・石灰除去(手術は稀) 主な共通症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 腱板断裂、五十肩(肩関節周囲炎)、石灰沈着性腱板炎はいずれも肩の痛みと可動域制限を伴いますが、原因や経過が異なります。五十肩は関節全体の炎症と拘縮により全方向の動きが制限され、数年かけて自然回復することが多い疾患です。 腱板断裂は肩の腱が部分的または完全に切れ、特定動作で力が入らず自然治癒はほぼありません。石灰沈着性腱板炎は腱板にカルシウムが沈着し、急激な激痛発作を起こしますが多くは自然軽快します。症状が似ていても治療法は異なるため、正確な診断には医師による診察とMRIや超音波検査が重要です。 以下の記事では、五十肩(肩関節周囲炎)と石灰沈着性腱板炎の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違い|主な症状や治療法を解説 石灰沈着性腱板炎の原因とは?症状や痛みが続く際の治療法を紹介 関節や骨の変性(変形性肩関節症・インピンジメント症候群) 項目 腱板断裂 変形性肩関節症 インピンジメント症候群 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 (途中で力が入らないことも) 肩の痛み、可動域制限、関節変形、慢性痛 肩の痛み、特定動作や挙上で強まる痛み、可動域制限 原因 腱板腱の断裂 長年の摩耗や軟部組織損傷で関節軟骨のすり減り・骨変形 腱板の摩擦や圧迫 症状の特徴 肩から腕にかけて広がる・断裂部周辺 関節内部が中心、動作時や負荷時に増す痛み 肩前面、動作中に鋭い痛み 可動域制限 外転・外旋などに強く制限 全方向で強く制限 特定動作(挙上など)で制限 経過 保存療法で経過観察も多い 進行性で慢性化しやすい 保存療法で多くが改善傾向がある 主な治療 保存療法または手術 保存療法中心だが症状で手術選択 保存療法、重症時は手術 主な共通症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 腱板断裂と関節や骨の変性によって起こる疾患(変形性肩関節症やインピンジメント症候群)は、どちらも肩の痛みや動かしにくさを伴い、症状が似ているため混同されやすい疾患です。 腱板断裂は肩の腱が部分的または完全に切れて特定動作で力が入らず、夜間痛が出やすいのが特徴です。変形性肩関節症は軟骨の摩耗や骨変形で肩全体の動きが制限され、進行すると関節音を伴います。 インピンジメント症候群は腕を上げる際に腱板が骨に挟まれ炎症を起こし、特定の角度で痛みや引っかかり感が生じます。原因と治療は異なり、腱板断裂は保存療法や手術、変形性肩関節症は保存療法を基本に進行例で人工関節手術、インピンジメント症候群は保存療法が中心です。診断にはMRIやレントゲンなどの画像検査と専門医の診察が必要です。 以下の記事では、インピンジメント症候群について詳しく解説しています。 腱や周囲組織の障害(上腕二頭筋長頭腱炎) 項目 腱板断裂 上腕二頭筋長頭腱炎 主な症状 肩の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 肩前面の痛み、可動域制限、日常動作の困難、夜間痛 原因 腱板腱(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)の断裂 上腕二頭筋長頭腱の摩擦や炎症 症状の特徴 特定動作で力が入らない、肩の上・外側の痛み 肩前面、結節間溝付近の痛みや圧痛 可動域制限 外転・外旋の制限 肘の曲げや前腕の回内外で痛み増強 経過 自然治癒しにくく進行することあり 安静や保存療法で多くは改善 主な治療 保存療法または手術療法 保存療法(安静、薬物、リハビリ) 合併の可能性 発症により上腕二頭筋長頭腱炎を伴うことあり 腱板断裂を伴うことあり 主な共通症状 40歳以上の中高年に多い傾向、動作時や夜間に強まる肩前面や周囲の痛み、動かしにくさや筋力低下、スポーツや肉体労働による肩の反復使用による負担 腱板断裂と上腕二頭筋長頭腱炎は肩の痛みや動きの制限を引き起こしますが、原因や特徴に違いがあります。共通点として、肩の痛みや筋力低下、とくに40歳以上に多く、スポーツや肉体労働がリスク要因です。 腱板断裂はインナーマッスルの腱が断裂し、外転や外旋で痛みが生じます。一方、上腕二頭筋長頭腱炎は炎症により腕を曲げる動作で痛みが生じます。診断にはMRIや超音波検査が使用され、症状がひどい場合は手術が必要です。治療法としては、保存療法と手術が選択肢となります。 以下の記事では、腱や周囲組織の障害について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 上腕二頭筋長頭腱炎とは?医師が徹底解説 首からくる症状(頚椎症性神経根症など) 項目 腱板断裂 頚椎症性神経根症 主な症状 肩や腕の痛みやしびれ、動かしにくさや筋力低下、夜間痛 肩の痛み、とくに動作時の痛みと可動域制限、夜間痛 首から肩・腕・手にかけての痛みやしびれ、感覚鈍麻、筋力低下 原因 肩の腱板(棘上筋など)の部分または完全断裂 頚椎や椎間板の変性による神経根の圧迫 症状の特徴 腕を特定角度まで上げると痛みや力が入らなくなる(ドロップアーム) 首の動きや姿勢で悪化する放散痛・しびれ、片側の筋力低下 痛みの範囲 肩関節周囲の局所痛、動作に伴う痛み 首から肩・腕・手・指先までの放散痛やしびれ 可動域制限 特定の肩の動きで強く制限 首の動きで痛み増悪、上肢の動作制限 診断方法 肩のMRIや超音波検査で腱板の損傷確認 頚椎X線・MRIで変性や神経圧迫を確認 主な治療 保存療法(安静・薬物・リハビリ)、必要に応じ手術療法 薬物療法、神経根ブロック、まれに手術 主な共通症状 肩や腕の痛みやしびれ、動かしにくさや筋力低下、夜間痛 腱板断裂と頚椎症性神経根症は、肩や腕の痛みやしびれを引き起こしますが、原因や症状に違いがあります。共通点として、肩や腕の痛み、筋力低下、とくに夜間痛が見られ、腱板断裂は肩のインナーマッスルの腱が切れ、特定の動作で痛みが強くなります。 頚椎症性神経根症は首の骨の変形による神経圧迫で痛みやしびれが広がり、頚椎のX線・MRIで確認し、早期に医師の診察を受けることが重要です。 以下の記事では、頚椎症性神経根症について詳しく解説しています。 腱板断裂でお悩みなら当院へご相談ください 腱板断裂は、加齢やスポーツ、肉体労働により腱板が損傷または断裂し、肩の痛みや腕が上がらない原因となります。適切な治療を継続することで改善が期待できますが、症状が改善しない場合は手術が必要となることもあります。 腱板断裂の症状にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腱板断裂で損傷した組織の回復を促す治療法である再生医療を提案しています。再生医療は、手術に比べてリスクが少なく、断裂部分に直接アプローチできる治療法として近年注目されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 参考文献 文献1 一般人口における症候性および無症候性の回旋腱板断裂の有病率:ある村での集団スクリーニングから|PMC 文献2 腱板断裂:エビデンスに基づくアプローチ|PMC
2025.08.31 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「肩や腕に違和感がある」 「肩に力が入りにくい」 腱板損傷が疑われたとき、対処に迷う方は少なくありません。五十肩との違いがわからず、不安が強まるケースもあります。肩や腕の不調を放置すると症状が悪化する可能性があるため、早期の判断が重要です。腱板損傷の症状や原因を理解すれば、適切な対処方法が見えてきます。 腱板損傷の症状 腱板損傷の原因 腱板損傷の治療法 腱板損傷の予防と再発防止策 記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腱板損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板損傷とは 項目 内容 腱板損傷の症状 肩や腕の動かしにくさや特定角度での違和感、夜間の不快感、力が入りにくいことや筋力低下などが挙げられる 似た症状の病気との違い 五十肩(肩関節周囲炎):関節包の炎症が主な原因で、動かし始めの違和感が強く、時間の経過とともに可動域が制限されます。一方、腱板損傷は腱の損傷により筋力低下が生じる点が特徴です。 変形性肩関節症:軟骨のすり減りによる関節の変形と違和感が原因。画像診断で確認 神経由来の痛み:首の神経圧迫による肩・腕のしびれや痛み。腱板損傷は局所の腱損傷が原因 原因 加齢、肩の使いすぎ、外傷など 診断 肩の動かしにくさや特定の角度での違和感が続く場合は、整形外科への受診が必要 腱板損傷は、肩の筋肉と腱で構成される腱板が傷ついた状態です。腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす役割があります。負担や加齢によって腱に傷ができると、肩の動きが制限され、違和感が生じます。 日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な診断と治療が必要です。軽度の場合は保存療法が中心で、症状や生活環境によっては手術が検討されます。 以下の記事では、腱板損傷と断裂の違いについて詳しく解説しています。 腱板損傷の症状 症状 詳細 肩や腕を動かしにくい 肩や腕の動作制限、腕を上げる動作が困難になる 特定の動作で違和感が出る 腕を一定の角度に動かした際の引っかかり感や不快感 夜間や安静時に症状が強まる 夜間や休息時の肩の不快感、睡眠障害の可能性 肩の力が入りにくい 筋力低下による物を持つ・支える動作が困難になる 腱板損傷では、肩や腕の動かしにくさ、特定の動作での痛み、夜間痛、筋力低下などの症状がみられます。 これらの症状は、物を持つ、腕の挙上、寝返りを打つといった日常の動作を妨げ、生活の質を低下させます。症状が強く時間が経っても改善しない場合は損傷が進行する恐れがあるため、早期に整形外科を受診することが重要です。 以下の記事では、腱板損傷の筋力や痛み確認方法について詳しく解説しています。 肩や腕を動かしにくい 内容 詳細 力が入らない 腕を横や上に持ち上げようとしても途中で力が抜ける状態 特定の角度で止まる 肩を一定の角度までは上げられるが、それ以上は力が入らず動かない 日常生活での不便 洗濯物を干す、棚の上の物を取る、髪をとかす・結ぶなどの動作が難しい 他人が動かそうとしても動かない 違和感が強く出る場合、自分以外が肩を動かしても固まって動かせないことがある 似た症状との違い 五十肩と違い、急に力が入らなくなることや特定方向だけ動きにくい特徴がある 腱板損傷では、腕を上げる・横に広げる・後ろに回すなどの動作で肩の痛みが生じ、動きが制限されます。 高い所の物を取る、服を着替えるといった日常動作にも支障が出ます。これは損傷した腱が正常に機能せず、肩関節の動きが妨げられるためです。 特定の動作で違和感が出る 腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす役割を持つ組織で、動きの方向によって特定の部分が強く働きます。損傷があると、腕を横から90度まで上げる、後ろポケットに手を回す、頭上に物を持ち上げるなどの動作で負担が集中し、引っかかり感、脱力感、疼痛が生じやすくなります。 原因は腱が骨にこすれ、正常に収縮できず関節が不安定になるためです。腱板損傷では、できる動作とできない動作の差が特徴で、五十肩は方向に関係なく全体的に固くなります。また、動作中に「コキッ」という音や引っかかり感、腕を下ろす途中で力が抜けるドロップアームサインがある場合は、腱板の完全断裂が疑われます。 夜間や安静時に症状が強まる 原因 詳細 寝る姿勢と肩の負担 横向きで痛む側を下にすると体重で肩が圧迫され、仰向けでも腕の重みで肩に負担がかかる 筋肉の緊張と血流の悪化 筋肉が緊張して血流が悪くなり、酸素や栄養が届きにくくなるため、違和感が出やすくなる 関節の安定性低下による刺激 腱板損傷で筋肉と腱の連結が弱くなり、安静時でも肩関節内で組織が擦れ刺激を受けやすい 炎症の影響 損傷部位の炎症が夜間に強まり、血流悪化と体の休息中に違和感が増し、目が覚めることがある 肩の痛みは、腱板損傷により夜間や安静時に強まることがあります。寝る姿勢や腕の重みで肩に負担がかかり、筋肉の緊張や血流悪化で炎症が悪化するためです。 安静時でも肩内部で組織が擦れて刺激を受けやすく、痛みで目が覚めることもあります。姿勢の工夫と適切な治療が不可欠です。 肩の力が入りにくい 項目 詳細 腱板の役割と損傷の影響 肩関節の安定と腕を動かす筋腱複合体の損傷による力の伝わりにくさ 筋力低下のメカニズム 腱断裂による筋肉の付着不全と炎症による筋力低下 筋肉の萎縮や硬直 肩の使用減少による筋肉の細化と硬直 安定性低下に伴う不安定感 肩関節の緩みやずれ感による力の入りにくさと違和感・不安感 腱板は、肩関節を安定させながら腕を動かす重要な筋肉群の腱の集合体です。腕を上げる動きにも欠かせず、損傷すると肩に力が入りにくくなります。 とくに重い物を持つ時や腕を伸ばして物を取る時に力が出ず、腕が上がらないことがあります。これは、腱断裂により筋肉が骨にしっかり付着できなくなり、炎症や痛みによって筋力が低下するためです。 また、肩を使わない状態が続くと筋肉が痩せたり硬くなったりし、力が入りにくくなります。関節の安定性も損なわれ、動かす際にぶれやずれを感じることがあります。 腱板損傷の原因 原因 詳細 加齢による腱の変化 加齢に伴う腱の弾力性低下や摩耗による損傷の起こりやすさ 肩の使いすぎや外傷による負担 繰り返しの動作や急な衝撃による腱への過度な負担 生活習慣や体質の影響 姿勢不良や血流不足、体質的な腱の弱さによる損傷の起こりやすさ 腱板損傷は、加齢、肩の使いすぎ、外傷、姿勢不良、血流障害などによって腱が損傷し、肩関節の動きや腕の挙上が制限される状態を指します。 予防には肩への負担を減らしつつ、適度な運動で柔軟性を保つことが大切です。異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。 加齢による腱の変化 項目 詳細 腱の柔軟性や強さの低下 腱の弾力や強度の低下、腱の硬化による負担耐性の減少 血流の悪化と修復力低下 血管の細さや閉塞による栄養不足、腱の修復能力の低下 繰り返しの負荷による摩耗 長期間の肩使用による腱の摩耗と変性、断裂リスクの増加 気づかない損傷の進行 進行がゆっくりで自覚症状が遅れることによる突然の症状出現 腱板は肩の動きを支える重要な腱ですが、加齢や長年の使用で弾力や強さが低下し、変性しやすくなります。細胞やコラーゲンの劣化、血流悪化で修復力も落ち、小さな負荷で損傷が進みやすくなります。 この変化は自覚しにくく、突然の痛みや動かしにくさとして現れることが多いため、違和感が出た場合は、早めの受診が大切です。 肩の使いすぎや外傷による負担 肩を繰り返し使いすぎると腱板に小さな損傷が蓄積し、炎症や違和感が生じやすくなります。野球やテニス、バレーボールなどのスポーツや重量物を扱う重労働は、肩の骨と腱が擦れたり衝突したりして損傷する原因のひとつです。 転倒や打撲、重い物を持ち上げた際の急な力でも損傷が起こり、突然の痛みや動かしにくさが現れます。とくに棘上筋は骨の突起の下を通るため摩擦や衝突を受けやすく、損傷しやすい部位です。そのため、肩を日常的に酷使する人は損傷が進行しやすくなります。 生活習慣や体質の影響 原因 詳細 年齢による変性(体質的影響) 加齢に伴う腱の老化と血流低下による修復力の低下、高齢者や大きな断裂のリスク増加 喫煙 ニコチンなどによる腱の細血管損傷と代謝・回復能力の低下 肥満・高BMI 体重増加による肩関節と腱への負担増加、慢性的炎症による腱の劣化促進 姿勢の悪さ 猫背や前かがみによる肩の動きの不均衡と腱への異常圧力・摩擦 運動不足 筋肉や腱の弱化による支持力低下と損傷のリスク増加 家族歴(遺伝的体質) 家族に腱板損傷の経験があることで、同様の体質的弱点の存在 生活習慣性疾患 高血圧や糖尿病による微小血流障害と腱の修復力低下、とくに糖尿病患者の組織老化促進 腱板損傷や腱板不全症候群は、加齢や生活習慣、体質が関与し、とくに65歳以上や広範囲の断裂がある方、喫煙者、糖尿病患者、筋萎縮や脂肪浸潤がある方、術後ケアを守らない方で発症リスクが高くなります。 2008年の研究では断裂の発生率が50~59歳で13%、60~69歳で20%、70~79歳で31%、80歳以上では51%に増加しています。(文献1) 喫煙は腱への血流を悪化させ修復力を低下させ、糖尿病などの生活習慣病も組織の修復を妨げます。遺伝的な体質が腱板の脆弱性に関与する可能性もあります。予防には、禁煙や適正体重の維持、良い姿勢と肩周りの軽い運動、慢性疾患の適切な管理が重要です。 腱板損傷の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物療法・注射・理学療法) 痛み軽減のための薬物使用、炎症抑制のステロイド注射、関節可動域維持の理学療法 リハビリテーション 肩周辺筋肉のストレッチと強化訓練、肩関節の動きの改善、関連部位の調整 手術療法 関節鏡視下手術による腱板断裂の修復、必要に応じた上方関節包再建術や人工肩関節置換 再生医療 神経や筋肉の機能改善を目指す細胞治療や組織修復技術 腱板損傷の治療は、症状や損傷の程度に応じて保存療法、リハビリテーション、手術療法、再生医療が選択されます。保存療法では薬剤や注射で炎症や痛みを抑え、理学療法で肩の可動域を維持します。 リハビリテーションでは筋力や柔軟性を向上させて日常生活での負担を軽減し、損傷が大きい場合や改善が得られない場合には手術を行います。 腱板損傷の治療法として、幹細胞を活用した再生医療も選択肢のひとつです。しかし、取り扱う医療機関が限られているため、事前に問い合わせや診察を受ける必要があります。 以下の記事では、腱板損傷の治療および自然治癒する可能性について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷の治療法|どのくらいで治るのか・放置によるリスクを現役医師が解説 腱板損傷は自然に治癒する?放置のリスクと治療期間を現役医師が解説 保存療法(薬物療法・注射・理学療法) 治療法 詳細 薬物療法 違和感や炎症を和らげる消炎鎮痛剤の使用(飲み薬、湿布)による一時的な違和感の軽減と日常生活の改善 注射療法 超音波エコーで炎症部位を確認しながら行うステロイド注射やハイドロリリースによる炎症抑制と腱の拘縮を軽減 理学療法 理学療法士の指導による筋力強化運動、可動域拡大のストレッチ、温熱療法や電気治療を用いた負担を抑えた治療 注意点 腱の完全再生は困難で小康状態の維持を目指すこと、症状悪化時の医師受診の重要性、日常生活での肩負担軽減の工夫を含む 腱板損傷の保存療法は、手術を行わずに炎症や痛みを抑え、肩の機能維持を目指す治療法です。違和感や炎症を和らげる薬物療法(内服薬や外用薬)、直接炎症部位に注射をする注射療法(ステロイド注射やヒアルロン酸注射など)、そして温熱療法や電気療法を含む理学療法による血行促進や関節可動域の改善が行われます。 腱板が完全に治癒することは難しい場合もありますが、これらの方法で痛みの軽減や肩の動きの改善を目指します。 とくに加齢や軽度・部分断裂、高齢で活動量の少ない方では、保存療法で約75%の方に症状改善が見込まれます。(文献2) 以下の記事では、腱板損傷に対する保存療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 肩の腱板損傷にはテーピングが有効!巻き方やリハビリについて専門医が解説 【痛み止め】関節症に使うステロイド注射の効果は?気になる副作用も解説 膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因?効果を感じないのはなぜ? リハビリテーション リハビリ内容 詳細 段階的な運動療法 初期の軽い可動域訓練・ストレッチによる関節可動域回復、腱板筋群強化、肩甲骨運動によるバランス改善 物理療法の併用 アイシング・温熱療法・超音波治療・電気刺激による痛みと炎症の軽減、血流改善 姿勢や動作の指導 日常生活での正しい肩の使い方や姿勢指導、負担軽減動作の習得 医師による継続的サポート 理学療法士や医師による個別プログラム作成と症状・状態に応じた進行管理 注意点 段階的な負荷設定の重要性、自己判断での継続回避、強い違和感が出た場合の中止と医師への相談 リハビリテーションは、腱板損傷の症状を改善し、肩の動きをスムーズにしながら筋力を強化して関節の安定性を高め、日常生活への支障を減らす重要な治療です。 痛みを軽減し、硬くなった関節の可動域を広げ、肩を支える筋肉を鍛えることで再発や悪化を防ぎます。理学療法士の指導によるストレッチや筋力強化運動で正常な肩の機能を取り戻し、生活の質向上と予防につながります。 以下の記事では、腱板損傷のリハビリや痛みを和らげる方法について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板損傷に効果的なリハビリとは?NG行為や治るまでの期間も解説 肩腱板断裂の痛みを和らげる方法5選!ストレッチや治療方法を現役医師が解説 手術療法 項目 詳細 手術が有効な理由 自然治癒困難な腱を物理的に修復して機能回復を図る効果、科学的根拠に基づく症状改善、早期修復による悪化防止 手術方法 関節鏡視下腱板修復術(ARCR)による小切開での腱板縫合と身体の負担軽減 手術の流れと適応 急性完全断裂や大きな損傷、保存療法無効例、生活や仕事への支障例での早期手術検討 効果 術後2〜10年間での肩の動きと機能回復の持続、従来法より優れた長期成績 注意点 感染症・神経障害・再断裂リスク、術前術後管理の重要性 (文献3) 損傷した腱は自然治癒が難しいため、手術で物理的に修復することで肩の違和感や動きの改善が期待できます。また、放置すれば損傷が拡大し、関節機能の低下や将来的な関節炎につながります。したがって、早期修復は進行防止に有効です。 現在主流の関節鏡視下腱板修復術は、小切開で腱を骨に縫合する低侵襲手術であり、術後の回復や合併症リスクの軽減が見込まれます。ただし、手術には感染、神経損傷、再断裂などのリスクがあります。とくに高齢者や大きな断裂、脂肪浸潤がある場合は再断裂のリスクが高く、術後リハビリの質が治療結果を左右するため適切な管理が必要です。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術と入院期間について詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は、患者様自身の脂肪組織や血液から採取した幹細胞や血液成分を用い、損傷した腱板の修復や再生を目指す治療法です。手術を伴わないため身体への負担が少ないのが特徴です。 幹細胞の働きによって、従来の薬物療法やリハビリでは改善が難しい損傷にも根本的な回復が期待できます。細胞は培養後に損傷部位へ注射で投与され、治療後も通常の生活を送りやすいのが利点です。 当院「リペアセルクリニック」では、腱板損傷に対する再生医療の症例を紹介しています。ぜひご確認いただき、再生医療も治療法の一つとしてご検討ください。 腱板損傷の予防と再発防止策 予防と再発防止策 詳細 生活習慣の見直しで肩への負担を減らす 重い物の持ち上げを控える、無理な動作の回避、禁煙による血流改善、健康的な体重維持 運動とストレッチで肩の柔軟性を維持する 肩周りの筋力強化運動、肩甲骨の動きを良くするストレッチ、適切なウォームアップとクールダウン 定期的な検診で早期発見につなげる 医師による状態評価、リハビリ進行の確認、違和感や痛みの早期相談による再発予防 腱板損傷を防ぐには、日常生活や運動習慣の見直しが重要です。重い物を避け、無理な動作を控え、禁煙と適正体重の維持によって肩の負担を軽減し、血流を改善します。 肩周囲の筋力強化や肩甲骨のストレッチ、適切なウォームアップとクールダウンで柔軟性を保つことも大切です。また、定期的な診察で状態を確認し、違和感があれば早めに医師に相談することで再発を防げます。 生活習慣の見直しで肩への負担を減らす 理由 詳細 肩への過度な負担の軽減 繰り返しの動作や重い荷物、長時間同じ姿勢による腱への負担減少、腱の疲労や損傷予防 筋肉や腱の老化・劣化の遅延 適度な運動やストレッチによる筋肉の柔軟性維持、血流改善による腱の健康促進と損傷リスクの軽減 肩の安定性と動きのサポート 無理な動作の回避や正しい荷物の持ち方による関節負担の軽減とケガ予防 炎症や疲労の蓄積防止 休息・睡眠の確保、ストレス管理による炎症悪化防止と肩の健康維持 具体的な生活習慣の見直し例 休憩の確保、体全体を使った荷物の持ち方、姿勢改善、適度な運動とストレッチによる肩周辺筋力と柔軟性の維持 生活習慣の見直しは腱板損傷の予防と再発防止に効果的です。繰り返し動作や重い荷物の持ち運び、長時間同じ姿勢など肩に負担をかける行動を減らすことで、腱の疲労や損傷を防げます。 適度な運動やストレッチ、正しい姿勢は筋肉の柔軟性と血流を保ち、腱の老化や劣化を遅らせます。肩の使い方を工夫し、重い物は両手で持つ、長時間同じ姿勢を避ける、作業中は休憩を取る、睡眠時の枕や姿勢に配慮することが大切です。 運動とストレッチで肩の柔軟性を維持する 予防ポイント 詳細 肩の柔軟性維持 肩の筋肉や腱の硬さや動きの悪さを防ぎ、不自然な負担を軽減し腱の損傷リスクを抑制 筋力強化による関節安定性向上 肩周囲の筋肉を適度に鍛え、肩関節を安定させ腱板への負担を分散、損傷予防に寄与 血流改善による組織回復促進 運動やストレッチで肩周辺の血行促進、栄養と酸素供給を増やし腱や筋肉の修復と疲労回復を支援 こわばり予防と動作負担軽減 肩のこわばりや硬さを防ぎ、動かしやすくすることで動作時の負担を減らし腱板の保護を図る 運動時の注意点 無理のない範囲での定期的なストレッチ、痛みがある場合は中止し専門家相談、軽い筋力トレーニング推奨 肩の柔軟性維持は腱板損傷の予防に有効で、筋力強化は関節を安定させ負担を分散します。運動やストレッチは血流を促し修復を助け、こわばり予防で腱板を守ります。 違和感がある場合は無理をせず医師の指導を受けることが大切です。 定期的な検診で早期発見につなげる ポイント 詳細 軽い損傷や初期変化の発見 問診・動作チェック・エコー・MRIによる自覚症状が軽い段階での異常発見 早期発見による治療効果 保存療法や生活習慣の見直しで状態安定、悪化防止と手術回避の可能性向上 再発・悪化リスクの管理 継続的な肩の状態確認と再発防止のための指導 状態把握によるセルフケア 日常生活での肩の使い方指導により無理な動作を避けやすく、良好な状態維持支援 肩に違和感が出た場合、放置せず早めに整形外科を受診しましょう。早期診断と適切な治療・ケアで症状の悪化や重症化を防げます。 とくにスポーツや肉体労働で肩を酷使する方は、症状がなくても定期検診で小さな異変を早期発見し、予防対策を講じることが大切です。 以下の記事では、MRI検査について詳しく解説しています。 腱板損傷でお悩みなら当院へご相談ください 腱板損傷は、日常生活に支障をきたします。腱板損傷を改善するには原因の特定と正しい治療の継続が不可欠です。 腱板損傷の症状が改善しない、強い違和感にお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、腱板損傷の症状に直接アプローチする再生医療を、治療の選択肢のひとつとして提案しています。 再生医療は、薬物や手術を用いず、幹細胞を投与することで損傷した腱板を再生させる可能性がある治療法として、近年注目されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 腱板損傷に関するよくある質問 腱板損傷でやってはいけないことはありますか? 腱板断裂の悪化や再断裂を防ぐためには、肩への負担を避けて安静を保つことが重要です。 具体的には、重い物を持ち上げる動作(とくに頭上や水平位置)、無理に遠くや高所へ手を伸ばす動作、腕を強くひねる動作、急な動きや肩を大きく後ろに回す動作を控えましょう。症状や治療経過に応じて、医師の指示に従いましょう。 以下の記事では、腱板断裂の際にやってはいけないことを詳しく解説しています。 腱板損傷(断裂)は自然治癒で治りますか? 腱板断裂は程度によりますが、自然治癒は一般的に期待できません。完全断裂や広範囲断裂では自然には治らず、放置すると症状が悪化することがあります。 そのため、多くの場合は手術などによる治療が必要です。症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、腱板断裂の自然治癒について詳しく解説しています。 片桐作成KW(腱板損傷 自然治癒) 腱板損傷(断裂)を放置するとどうなりますか? 腱板断裂は自然に治癒せず、放置すると断裂が広がります。筋肉は萎縮して脂肪に置き換わり、修復が困難になります。 腱板の機能が失われると肩関節が変形し、違和感や動作制限、筋力低下で腕が挙がらなくなり、進行すると睡眠や服の着脱など日常生活にも支障が出るため、早期診断と適切な治療が重要です。 以下の記事では、腱板損傷を放置するリスクを詳しく解説しています。 腱板損傷を発症したスポーツ選手や有名人はいますか? 腱板損傷や断裂を経験したのは以下の日本人スポーツ選手です。 山本由伸(プロ野球・ドジャース) 由規(元ヤクルト) 浅尾拓也(元中日) 斉藤和巳(元ソフトバンク) 福田秀平(元ソフトバンク/ロッテ) 腱板損傷はプロスポーツ選手にも発症し、競技パフォーマンスや選手生命に大きな影響を与えることがあります。 以下の記事では、山本由伸選手が発症した腱板損傷について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 修正中 (文献2) What happens to patients when we do not repair their cuff tears? Five-year rotator cuff quality-of-life index outcomes following nonoperative treatment of patients with full-thickness rotator cuff tears|PubMed (文献3) At a 10-Year Follow-up, Tendon Repair Is Superior to Physiotherapy in the Treatment of Small and Medium-Sized Rotator Cuff Tears|PubMed
2025.08.31 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「肩腱板断裂の手術後の入院期間が知りたい」 「肩腱板断裂の手術後、すぐにでも復帰したい」 肩を上げるたびに違和感が慢性的に続き、MRIで腱板断裂と診断されると「手術になった場合、入院は何日か」「家事や仕事にいつ復帰できるのか」と先の予定が立たず不安になる方も多くいます。 退院後のリハビリが必要と聞くと、回復までの道筋が見えにくく、精神的な負担を感じる方もいます。肩腱板断裂の入院日数や復帰の目安は、手術方法・断裂の程度・全身状態によって異なりますが、治療の流れを把握しておくことで、生活面の準備を具体的に進められるでしょう。 本記事では、現役医師が肩腱板断裂の手術後の入院期間について詳しく解説します。記事の最後には、肩腱板断裂の手術後に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩腱板断裂の手術方法 手術方法 詳細 鏡視下腱板修復術 関節鏡と小さな切開による腱板縫合と付着部の修復 腱板移植 断裂部の補強目的の腱組織(移植片)による欠損部の再建 リバース型人工関節置換術 腱板機能不全時の人工関節への置換による肩の挙上機能の補助 肩腱板断裂の手術は、断裂した腱を骨に固定して肩の機能回復を目指す治療です。主流は関節鏡を用いる鏡視下腱板修復術で、傷が小さく術後の回復計画を立てやすい点が特徴です。 ただし断裂が大きい場合・腱の質が弱い場合・長期放置で筋萎縮が進んでいる場合は修復のみでは改善が難しく、腱板移植やリバース型人工関節置換術が検討されます。 いずれも装具固定とリハビリが必要で、入院日数や復帰時期は術式・断裂の程度・生活状況で変わります。 鏡視下腱板修復術 肩腱板修復術は、内視鏡(関節鏡)を用いて小さな切開で行う手術です。肩に1cm前後の孔を複数開け、そこからカメラや器具を挿入し、モニターで内部を確認しながら操作します。 断裂した腱はアンカーと縫合糸で骨に固定しますが、損傷が重い場合は通常の修復が難しいこともあります。 そのような状況では、患者の大腿部から採取した組織を補強材として使用したり、可能な範囲での部分的な修復を行ったりするなど、状況に応じた対応が必要です。また、術後は以下の装具(外転装具)を装着します。 術後は装具を約6週間装着し、約3カ月ごろから徐々に筋力トレーニングを開始して、術後6カ月程度までリハビリを行います。装具の着用は、医師の指導や指示に従いましょう。 腱板移植 項目 内容 対象となる方 比較的若い年齢層で、スポーツや仕事で肩を活発に動かす必要があり、腱板の損傷が大きい方 メリット 自分の組織(太ももの筋膜など)を使用するため、拒絶反応のリスクがないこと デメリット 腱採取部の痛み・違和感の残存、移植腱の定着不良による再断裂リスク、手術難易度の高さに伴う手術時間・入院期間の長期化傾向 腱板移植は、自身の組織(腱や筋膜など)を採取し、断裂した腱板の欠損部を補う手術です。主に断裂範囲が大きく、通常の腱板修復術では十分な修復が難しい場合に検討されます。 採取部位としては太もも(大腿部)や背部などが用いられることがあります。移植組織が周囲の組織と癒合し、新たな腱板として機能するまでには一定の時間を要するため、術後は装具固定と段階的なリハビリを適切に行うことが欠かせません。 リバース型人工関節置換術 項目 内容 メリット 大断裂でも挙上改善が期待できること、比較的早期の復帰が見込めること デメリット 内旋制限の可能性、金属音が出ることがある点 適応の傾向 高齢者中心から若年層にも拡大傾向 リバース型人工関節置換術は、特殊な人工関節を用いる手術方法です。通常の肩関節とはボールとソケットの位置関係が逆になるため、リバース型と呼ばれています。 一般的な肩関節では、上腕骨側にボール・肩甲骨側にソケットがあり、腱板がボールをソケットへ引き寄せることで関節の安定性が保たれています。しかし、腱板が大きく断裂すると関節の安定性が低下し、腕をスムーズに上げにくくなります。 リバース型人工関節置換術では、肩甲骨側にボール・上腕骨側にソケットを取り付ける構造に置換します。これにより腱板の機能が十分でなくても、三角筋の力を活用して腕を上げやすくなることが期待されます。 以下の記事では、人工関節のデメリットについて詳しく解説しています。 通常の人工関節置換術との違い 術式 目的・特徴 適応の目安 通常の人工関節置換術 肩本来の構造に近い形で置換(上腕骨側ボール・肩甲骨側ソケット) 腱板機能が一定程度保たれている場合 リバース型人工関節置換術 構造を逆転し三角筋で挙上を補う(肩甲骨側ボール・上腕骨側ソケット) 大断裂や腱板修復が困難な場合 通常の人工関節置換術は肩本来の構造に近づけて置換するため、腱板機能が一定程度残る場合に適応されます。 一方、リバース型人工関節置換術は構造を逆転させ、腱板機能が不十分でも三角筋の力で腕を上げやすくする術式です。いずれも再断裂や拘縮などのリスクがあるため、症状と生活支障を踏まえて手術適応を慎重に判断します。 肩腱板断裂手術後の入院期間 手術方法 入院期間の目安 鏡視下腱板修復術(関節鏡手術) 3泊4日~1週間 リバース型人工関節置換術 1~2週間 入院期間は、手術方法や患者の状態によって異なります。傷口が小さい内視鏡(鏡視下)手術では、順調であれば3泊4日程度で退院できる場合もあります。 一方、リバース型人工関節置換術は侵襲が大きく、術後の経過観察が必要なため、入院は1〜2週間が目安です。 また、装具の装着期間は目安として約3週間とされていますが、その期間中入院を続ける必要はありません。 入院期間は手術内容・回復状況・生活環境によって異なるため、医師・看護師・理学療法士と相談しながら決定します。 肩腱板断裂手術後の復帰目安 復帰目安 詳細 デスクワーク復帰の目安(作業姿勢・利き腕で差が出る) 体幹中心作業での早期復帰可能性、利き腕側手術や長時間作業による復帰の遅延傾向 家事(洗濯・掃除・料理)を再開する目安 片手で可能な軽作業から段階的再開、肩の挙上動作や負荷動作の制限 重い作業・スポーツ復帰の目安(焦らず段階的に) 腱の治癒と筋力回復を前提とした復帰、リハビリ進行に応じた負荷調整 肩腱板断裂手術後の復帰時期は、手術方法・断裂の程度に加え、利き腕かどうか、仕事内容や家事の内容によって大きく異なります。 まずは痛みと可動域の回復を優先し、デスクワークや軽い家事など負担の少ない動作から段階的に再開することが基本です。 重い作業やスポーツは腱の治癒と筋力回復が前提となるため、焦らずリハビリの進行に合わせて医師と相談しながら進めることが大切です。 以下の記事では、肩腱板断裂の症状やリハビリ方法などについて詳しく解説しています。 デスクワーク復帰の目安(作業姿勢・利き腕で差が出る) 腱板修復術後のデスクワーク復帰は、一般に数週単位での調整が必要です。NHS(イギリスの公的医療サービス)の患者向け資料では、デスクワーク(非肉体労働)はおおむね4〜6週が目安とされます。(文献1) 一方別のNHS資料は、オフィスワークは3〜6週程度と記載されています。(文献2) 復帰時期に直結する要因のひとつが装具で、腱が修復部で安定するまでスリング装着が最大6週前後必要になる場合が多いです。(文献3) また、利き腕側の手術や通勤動作、作業姿勢の負担で復帰が遅れる場合もあります。デスクワークでは、職場と調整した段階的復帰(業務軽減)が推奨されています。(文献1) 家事(洗濯・掃除・料理)を再開する目安 家事復帰の目安 内容 0〜6週 片手中心(非手術側)で可能な範囲のみ 6週以降 修復部の状態を見ながら、軽い家事を徐々に増やす 重量がかかる作業 鍋・やかんを持つ、アイロン作業などは3カ月程度注意(控える) 家事の再開は片手でできる軽い作業から始め、術後6週以降に徐々に広げるのが基本です。肩腱板断裂の手術後は一定期間スリング(装具)で固定する場合が多く、術後3〜5週前後はほぼ片手生活になるため、家事のやり方そのものを工夫する必要があります。(文献3) スリング装着中は、医療機関の生活指導でも食事の準備や飲み物作りなど、日常動作は非手術側で行うのが基本です。(文献4) 術後6週以降は、修復部の状態を確認しながら軽作業を増やしていきますが、重い動作は引き続き制限が必要です。 NHSの術後資料でも6週以降は軽作業は可能とされていますが、重量がかかる作業(やかん・鍋・アイロンを持つなど)は少なくとも3カ月程度避けるべきと明記されています。(文献5) 重い作業・スポーツ復帰の目安(焦らず段階的に) スポーツ・作業内容 復帰の目安 重い作業(力仕事・荷物運び) 4〜6カ月程度が目安(重い物・上肢挙上・強い手作業はしばらく制限) スポーツ(非接触) 6カ月以降が目安 スポーツ(接触) 9カ月〜1年が目安 共通の注意点 腱の定着と筋力・可動域の回復が前提、医師許可のもと段階的復帰 重い作業やスポーツ復帰は、腱が骨に定着して強度が戻るまで時間を要するため、焦らず段階的に進めることが大切です。 NHSの案内では、回復後もしばらくは重い物を持つ作業・頭より上での作業(上肢挙上)・手を強く使う作業は控えるよう示され、重い作業(力仕事・荷物運び)は4〜6カ月程度がひとつの目安とされています。理学療法プロトコルでも段階的にストレス量を上げる前提で、強い負荷は慎重にという位置づけです。(文献6) スポーツ復帰は種目の強度で差が大きく、NHSの資料では非接触スポーツは6カ月以降、接触スポーツは9カ月〜1年とまとめています。ただし復帰時期は一律ではなく、医師の許可に加えて筋力・可動域の回復が条件です。(文献7) 手術療法と併用して行われる肩腱板断裂の治療法 治療法 詳細 薬物療法 痛み・炎症の軽減を目的とした内服薬や外用薬の使用 装具療法 肩の安静保持と腱板修復部の保護を目的とした装具(スリング等)の使用 物理療法 温熱・電気刺激などによる疼痛緩和と血流改善の補助 再生医療 組織修復の促進を目的とした治療選択肢(適応の検討が必要) 肩腱板断裂の手術後は、回復を支えるために薬物療法・装具療法・物理療法を併用することが一般的です。 痛みや炎症を抑えつつ、装具で患部を保護し、物理療法で血流改善や疼痛緩和を図りながらリハビリを進めます。なお再生医療は、すべての症状に適用できる治療ではなく、実施している医療機関も限られています。そのため、導入の可否は医師と相談し、適応や実施状況を事前に確認しましょう。 リハビリテーション 肩腱板断裂の手術後は、組織の治癒を促し肩の機能を取り戻すために、計画的なリハビリテーションが欠かせません。 多くは手術翌日から開始し、入院中は医師の指導のもと可動域訓練や筋力訓練を行います。退院後も通院と自宅での運動を継続し、腱の治癒段階に合わせて内容と負荷を調整します。 早期に動かす方法は機能面でわずかな利点が示唆される一方、再断裂リスクも指摘されるため、自己判断せず医師・理学療法士の方針に沿って進めることが大切です。 以下の記事では、肩腱板断裂のリハビリテーションについて詳しく解説しています。 薬物療法 肩腱板断裂の手術後は、痛みや炎症を適切に抑えることで日常動作とリハビリを滞らせにくくなるため、薬物療法が有効です。 AAOS(米国整形外科学会)は術後の症状管理として、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)・アセトアミノフェン・必要に応じてオピオイド・局所麻酔薬などを組み合わせる考え方を示しています。また、複数の薬を組み合わせ、オピオイド使用を減らす意図が明記され、腱板修復術ではパラセタモール(アセトアミノフェン)とNSAIDsを含めることが推奨されています。(文献8) 研究では、腱板修復後にNSAIDsを短期間使用するとオピオイドの使用量が減る可能性が報告されていますが、薬は自己判断で調整せず医師の指示に従って使用することが重要です。(文献9) 装具療法 肩腱板断裂の手術後に装具(スリングなど)を装着する目的は、修復した腱に余計な負荷をかけず、腱が骨へ定着する時間を確保することです。 AAOSも、術後早期は修復部の保護が必要であり、腕の動きを制限するためスリングを用い、最初の4〜6週間は使用・負荷を避けると説明しています。(文献8) NHSの術後案内でも、夜間を含めて一定期間スリングを装着することが推奨され、夜は5〜6週間着用する旨が記載されています。(文献3) 修復の大きさにより期間は前後しますが、NHS資料によると装具の目安は最短3週〜最長6週程度です。(文献10) 物理療法 肩腱板断裂の手術後に物理療法(冷却・温熱など)を適切に用いる目的は、腫れや違和感を和らげて運動療法(リハビリ)を継続しやすい状態を整えることです。 術後早期は腫れや熱感が出やすく、NHSでは氷や冷却パックを用いる方法(皮膚保護を行い20分程度)が案内されています。(文献11) リハビリに関するレビューでも自宅管理として冷却を10〜14日ほど取り入れる考え方が紹介されていますが、根拠が十分ではありません。(文献12) 一方、硬さや動かしづらさが目立つ時期には、冷却に加えて温め(入浴・シャワー・温熱パック)で動かしやすい状態を作ることが一部の患者向け資料で案内されています。(文献13) 物理療法はあくまで補助であり、PROSPECTの術後管理ガイドラインでは圧迫冷却の明確な根拠は示されず、標準治療の中心は薬物療法や神経ブロック等の疼痛管理とされています。(文献14) 肩腱板断裂の手術・入院不要!再生医療という選択肢 肩腱板断裂の症状が続く場合、再生医療という治療の選択肢があります。リペアセルクリニックでは脂肪由来の幹細胞を用いた治療や、血小板に含まれる成長因子の働きを利用するPRP療法を行っています。 いずれも入院や手術を要さず日帰りで実施可能です。 リペアセルクリニックでは、肩腱板断裂に対する治療の選択肢として再生医療を実施しています。治療内容は、これまでの治療歴や症状の状態をふまえて医師が評価し、必要に応じて提案します。 なお、適応は一律ではなく、人工関節置換術後は対象外となるため、受診時に医師へご相談の上で判断することが大切です。気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。 再生医療を用いた治療に興味のある方は、こちらから当院独自の再生医療の特徴を紹介しています。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=VZP1_3i_qEwcVrsQ 肩腱板断裂手術後の注意点 注意点 詳細 装具の装着と肩の安静を守る 修復した腱への負荷軽減、治癒促進、再断裂予防 処方された薬は指示通りに服用する 術後痛・炎症のコントロール、リハビリ継続の支援、副作用回避 定期的な通院と経過観察を続ける 創部や腱の治癒確認、リハビリ内容の調整、合併症の早期発見 禁煙と栄養バランスの良い食事を心がける 血流・治癒環境の改善、筋力回復の土台づくり、体力維持 手術後は再断裂を防ぐため、装具を正しく装着し肩の安静を守ることが重要です。処方薬は自己判断で中止せず、指示通りに服用して術後痛や炎症を抑え、リハビリ継続につなげます。 定期通院で創部や腱の治癒を確認し、リハビリ内容の調整や合併症の早期発見を行います。合わせて禁煙と栄養バランスの良い食事で、血流改善と回復の土台を整えることが大切です。 以下の記事では、腱板断裂の注意点について詳しく解説しています。 【関連記事】 腱板断裂を放置するとどうなる?日常生活や仕事への影響を現役医師が解説! 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ!専門医が注意したい動作を解説 装具の装着と肩の安静を守る 肩腱板断裂の手術後は、装具(スリングなど)を装着して肩の安静を守ることが、修復した腱を保護し、骨への定着を促す上で欠かせません。腱板修復は縫合後すぐに強度が戻るわけではなく、治癒が進むまでの過ごし方が回復に影響します。 AAOSの患者向け情報では、腕が動かないようにするため術後4〜6週間はスリングを使用し、腕を使うことを避けると説明されています。(文献8) 装着期間は断裂の程度などで異なり、術後は寝返りやとっさの動きによる無意識の負荷がかかりやすいため、装具で保護する意義は大きいです。 NHSの患者資料でも、修復の大きさにより異なるものの、スリングは最短3週〜最長6週程度装着し、日中も夜間も外すのは運動や清潔ケアのときだけと具体的に示されています。(文献10) 処方された薬は指示通りに服用する 肩腱板断裂の手術後は、処方された薬を指示どおりに服用することで、術後の不快感を抑えて睡眠や日常生活動作を保ちつつ、リハビリを計画どおり進めやすくなります。 とくに神経ブロックを併用する場合は、麻酔が切れてから対応するよりも、切れる前から内服を開始したほうが症状が強く出にくいことがあります。 術後の薬は、強い薬を単独で長期使用するのではなく、作用の異なる薬を組み合わせて必要量を抑える方法が一般的です。 AAOSも、複数の薬を組み合わせて症状を抑えつつ、オピオイドの必要量を減らす考え方を示しています。(文献8) 自己判断で中止・追加・増量すると、副作用や治療の遅れにつながる可能性があるため注意が必要です。 定期的な通院と経過観察を続ける 肩腱板断裂の手術後は、定期的な通院と経過観察を続けることで、腱の治癒状況や肩の動き・筋力を医療者が評価でき、リハビリ内容や日常生活の負荷量を適切に調整しやすくなります。 腱板修復は術後すぐに完成する治療ではなく、数カ月単位で状態が段階的に変化するため、自己判断のみで進めると回復が遅くなる場合があります。 NHSの患者向け資料では、腱板修復後は4〜6週頃に術後外来でのレビューが予定されることが多いとされています。この時期は装具の扱い、運動量を増やすタイミング、生活動作の制限内容が変わりやすいため、通院での確認が欠かせません。(文献6) 以下の記事では、肩腱板断裂の検査について詳しく解説しています。 【関連記事】 肩腱板断裂に対するCT検査の役割|MRIや造影検査の重要性も解説 腱板断裂(損傷)における超音波(エコー)検査|特徴や画像所見を解説 禁煙と栄養バランスの良い食事を心がける 肩腱板断裂の手術後は、禁煙と栄養バランスの整った食事を心がけることが、腱の治癒と回復を支える不可欠な土台です。 患者向け資料でも、喫煙は創傷治癒を遅らせ、手術後の合併症リスクを高めると明記されており、禁煙が推奨されています。(文献5) 腱板修復後の成績に関しては、研究で喫煙が再断裂や再手術リスクの増加と関連することが示されています。(文献15) たんぱく質・ビタミン類などを意識し、組織修復と筋力回復を支えることも大切です。 以下の記事では、生活習慣改善について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】脂質異常症で食べてはいけないもの一覧|食べたほうがいい食材も紹介 脂質異常症の改善は食事と運動が基本|発症の原因と改善方法・おすすめの食事を解説 肩腱板断裂手術後の入院期間を把握し焦らず復帰を目指そう 肩腱板断裂の手術後は、入院日数だけでなく「退院後の生活で何が必要か」まで含めて把握することが大切です。 装具で肩を保護する期間は家事や通勤に制限が出やすく、通院リハビリの予定も入るため、準備不足だと退院後に生活が回らず不安が増える場合があります。 術式ごとの治療の流れや復帰の目安を事前に理解しておけば、家族の支援体制づくり・仕事の調整・家事の代替手段を具体化しやすくなります。肩の治療は復帰を急ぐほど負担が増えやすいため、焦らず段階的に進める姿勢が大切です。 肩腱板断裂の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、肩腱板断裂によって損傷した組織に対し、再生医療という治療の選択肢をご案内しています。 再生医療は、損傷部位へのアプローチを目的とした治療法として近年注目されており、薬物療法と比べて全身性の副作用が起こりにくい可能性があるのが特徴です。 ただし、すべての症状に適応できる治療ではなく、人工関節置換術後は対象外となります。適応の可否は症状や治療歴によって異なるため、受診時に医師へ相談の上で判断することが重要です。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩腱板断裂手術後の入院期間に関するよくある質問 肩腱板断裂の手術をしたことで後悔するケースはありますか? 肩腱板断裂の手術で後悔につながりやすいのは、回復に時間がかかること・肩のこわばりで動きが戻りにくいこと・腱の再断裂などです。 後悔を避けるには、回復は数カ月単位と理解し、装具と安静の指示を守り、通院・リハビリを継続しつつ、復帰計画を立てることが大切です。 肩腱板断裂の手術に痛みは伴いますか? 手術後は不快感が出るのが一般的です。 ただし多くの場合、手術中から直後は神経ブロック(腕や肩の感覚を一時的に鈍らせる麻酔)や鎮痛薬を用いて、不快感を抑えながら管理します。 肩腱板断裂に手術は必須ですか? 肩腱板断裂に手術は必須ではありません。断裂の大きさや症状の程度、日常生活・仕事への支障に応じて治療方針は変わり、まずはリハビリなどの保存療法を行い、改善が乏しい場合に手術を検討するのが一般的です。 AAOSでは、保存療法でも症状が続く場合や筋力低下が強い場合、腕をよく使う仕事・スポーツで機能回復が求められる場合などで手術が勧められやすいとしています。 NHSの患者向け資料でも、リハビリで改善する場合があり、手術が常に必要とは限らないとされています。(文献8) 参考文献 (文献1) Outpatient post-operative physiotherapy guidelines-rotator cuff repair|NHS (文献2) Information for patients Rotator Cuff Repair|NHS (文献3) Rotator cuff repair: after surgery care|NHS (文献4) 腱板修復術後におけるリハビリテーションプログラム (文献5) Rotator Cuff Repair|Gateshead Health (文献6) Rotator cuff repair - South Tees Hospitals|NHS (文献7) Now that it’s been 3 months since my operation, do I need to do anything different?|Norfolk & Waveney Community Musculoskeletal Services (文献8) Rotator Cuff Tears: Surgical Treatment Options|OrthoInfo (文献9) Effect of postoperative NSAID use on opioid consumption after rotator cuff repair - ScienceDirect (文献10) Rotator cuff repair advice and exercises|NHS (文献11) Rotator cuff repair | NHS (文献12) Rehabilitation after Rotator Cuff Repair|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) Rotator Cuff Related Shoulder Pain|NHS (文献14) PROSPECT guideline for rotator cuff repair surgery: systematic review and procedure-specific postoperative pain management recommendations|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献15) The effects of smoking on clinical and structural outcomes after rotator cuff repair: a systematic review and meta-analysis|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
2025.02.15 -
- 腱板損傷・断裂
- PRP治療
- 再生治療
「肩を上げたときにズキッと痛む」「夜眠ろうとすると肩の痛みで目が覚めてしまう」 その症状の背景にある代表的な病気のひとつが肩腱板断裂です。 腱板部分に損傷が起こると、ちょっとした動作でも痛みや違和感を感じやすくなります。 肩腱板断裂は、年齢や生活習慣によって誰にでも起こりうる病気ですが、五十肩(四十肩)と似た症状で区別しにくいため、受診が遅れてしまう方も少なくありません。 この記事では、肩腱板断裂の特徴的な症状や検査方法、治療法、リハビリテーション、再発予防などについて解説します。 適切な受診や治療の判断に役立つ情報としてご活用ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩腱板断裂について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩腱板断裂の症状4選 肩に痛みや動かしにくさを感じると、日常生活にも支障が出てきます。 肩腱板断裂の代表的な症状は、「痛み」「動かしにくさ」「力の入りにくさ」「異音」の4つです。 この章では、代表的な症状4選を日常生活に当てはめて解説します。 肩の痛み(運動時痛、夜間痛など) 肩腱板断裂の最も一般的な症状は肩の痛みです。 代表的な症状 説明 具体的な例 肩の痛み (運動時痛・夜間痛) 腕を挙げる途中(60度〜120度で)強い痛みを感じる 横向きでの就寝や寝返りでズキズキ痛む 仰向けで安静時にしていても肩の奥がジンジンする 睡眠が中断されやすい 高い位置に手を伸ばす瞬間(洗濯物を干す、吊り革につかまるなど)に痛みを感じる 上着を着る途中に痛みを感じる 夜中に痛みで目が覚める 睡眠が中断されるため、眠りが浅くなる 腕を上げたり、特定の動作をしたりする際に痛みを感じることが多く、これを運動時痛と呼びます。(文献1) 「洗濯物を干す」「高い棚に手を伸ばす」「上着を着る」など、腕をやや外側に広げたり、ひねるタイミングで痛みが走りやすいです。 腕を横に上げる途中(60度から120度の間)で鋭い痛みを感じる有痛弧(ゆうつうこ)という症状も肩腱板損傷の判断基準とされています。 また、夜間痛も特徴的な症状の一つです。 夜間に寝返りを打ったり、横向きに寝るときに患側の肩を下にすると圧迫され、ズキズキとした痛みが現れ、睡眠を妨げます。 肩の動かしにくさ(可動域制限) 肩腱板が断裂してしまうと、腕を上げたり回したりする動作が制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。 代表的な症状 説明 具体的な例 肩の動かしにくさ (可動域制限) 特定の角度で「つっかえる」感覚が出る 腕を回したり、頭上に上げる挙上の動作が困難になることが多い。 腰の後ろや背中に手が回しにくい 髪を洗うときに腕が上がらない 服を着るときに袖に腕を通しづらい 特定の動きでつっかえる感覚が出やすいのが特徴で、「腕を上げようとして途中で止まる」「上着の袖に腕が通しづらい」「腰の後ろに手が回しにくい」など、日常の細かな不自由が増えます。 筋力低下、脱力感 肩腱板が断裂すると、肩の痛みだけではなく、腕に力が入らない、または突然力が抜けるような脱力感を感じるといった症状が現れることがあります。 代表的な症状 説明 具体的な例 筋力低下・脱力感 物を持ち上げたり保ったりするのが難しい 物を持ち上げ続けようとしても、脱力感が出て落ちそうになることがある 腕を上げた位置でキープできない ペットボトルを持ち上げ続けられない 買い物袋を持ち上げると腕が落ちそうになる 「買い物袋などの重いものを持とうとしても腕が上がらない」「ものを持ち上げ続けられない」など、痛み以外の症状が現れたら、肩腱板断裂のサインかもしれません。 音(ジョリジョリ音、ゴリゴリ音など) 肩を動かしたときに、ジョリジョリ音やゴリゴリといった異音が鳴ることがあります。 これは、断裂した腱板が骨と擦れ合うことで発生する音です。 音は必ずしも肩腱板断裂を示すものではありませんが、関節の中で何かが引っかかったり、擦れたりするような感覚がありましたら、他の症状と合わせて診断の参考になります。 肩腱板断裂の症状と五十肩(四十肩)の違い 肩の痛みや動かしにくさを感じた際、「五十肩(四十肩)かな?」と考える方は少なくありません。 しかし、肩腱板断裂と五十肩は、症状が似ているようで異なる病態です。 適切な治療を受けるためには、この二つの違いを理解することが非常に重要です。 症状 肩腱板断裂 五十肩(四十肩) 原因 加齢、外傷、使いすぎなどによる腱の損傷 肩関節周囲の炎症、拘縮 痛み 夜間痛 特定の動作で痛みが強い(運動時痛や有痛弧) 安静にしていると痛みが落ち着くことがある 夜間痛 安静(肩を動かさなくても)にしていても痛む 可動域 他人に動かしてもらえば腕があがる 他人に動かしてもらっても腕はあがらない 筋力 筋力低下や脱力感が見られることがある 筋力低下は通常見られない 自然治癒 自然に治癒することはなく、治療が必要 自然回復が多い(数カ月~1年程度) 五十肩(四十肩)は、肩関節の炎症によって引き起こされる病気で、関節全体が硬くなり、痛みを伴いながら徐々に可動域が制限されていくのが特徴です。 一方、肩腱板断裂は、肩の腱が切れることで起こります。他人に腕を動かしてもらうと、ある程度動かせますが、自分では痛くて動かせないという特徴があります。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いについて、詳しくは以下の記事も併せてお読みください。 肩腱板断裂の症状を確認するセルフチェック|安全な手順 自宅でも簡易的に確認できるセルフチェックの方法を紹介します。 ただし、これから紹介するセルフチェックは受診の判断材料にするための簡易チェックです。 痛みを感じる場合は無理に行わず、中断してください。 ドロップアームの手順と注意点 ドロップアームとは、腕を支える筋力を確認するテストです。 腕を肩の高さまで上げ、腕を上げた状態を保持できるかを確認します。 手順 患者様は、椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 検査者は、患者様の腕を肩の高さまで真横に上げます。患者様の手のひらは下に向けます。 検査者は、患者様の腕を支持をしていた手を離します。 患者様は、腕をその位置でキープします。 腕の高さを保持できない場合は、陽性と判断されます。痛みがある場合は無理に行わないでください。 ホーキンス・ケネディの手順と注意点 ホーキンス・ケネディとは、肩峰下インピンジメント症候群(肩の痛みや運動制限を引き起こす病気)や腱断裂を確認するテストです。 腕を上げ、内側に回したときに痛みを感じるかを確認します。 手順 椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 腕を肩の高さまで前に上げ(肩関節90度屈曲)、肘を90度に曲げます。 その状態で、腕を内側に回します(内旋させます)。 腕を内旋させた際に、痛みを感じた場合は、陽性と判断されます。痛みがある場合は無理に行わず、必ず医師の診断を受けてください。 棘下筋テストの手順と注意点 棘下筋テストとは、棘下筋(腕を外にひねる動作で作用する筋肉)が、断裂によって筋力低下していないかを確認するテストです。 手順 患者様は、椅子に座る、または立ち姿勢をとります。 患者様は、脇をしめた状態で、肘を90度に曲げます。 その状態で、腕を外側に開いていきます。 検査者は、内旋方向に抵抗をかけていきます。 力が入らず、腕が内側へ戻されてしまう場合は、陽性と判断されます。 肩腱板断裂の症状が続く時の受診目安 肩腱板断裂を放置すると、症状が進んで日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 「夜間痛が2週間以上続く」「物が持てない・腕が上がらない」などが一つの受診の目安になります。 痛みがある場合は、我慢せず早めに受診するようにしましょう。 症状 受診の目安 受診の重要性 夜間痛 夜間痛が2週間以上続く 腱板断裂の可能性が高い 早期診断が重要 脱力感・筋力低下 物を持ち上げられない 物を持ち続けた状態を維持できない 腱板断裂の可能性が高い 早期診断が重要 診断方法(MRI検査、レントゲン検査、超音波検査など) 肩腱板断裂の診断は、問診、視診・触診、そして画像検査を組み合わせて行います。問診では、いつから痛み始めたのか、どんな時に痛みが増すのか、日常生活でどのような動作が困難になっているのかなど、詳しくお話を伺います。 視診・触診では、肩の腫れや変形、圧痛の有無などを確認します。また、腕をさまざまな方向に動かしてもらい、肩関節の可動域や筋力、痛みやしびれの有無などをチェックします。 これらの情報に加えて、画像検査を行うことで、より正確な診断が可能になります。代表的な画像検査は以下の3つです。 レントゲン検査:骨の状態を調べます。肩腱板は筋肉と骨をつなぐ腱なので、レントゲン写真には写りません。しかし、骨棘(こつきょく:骨の突起)といった腱板断裂に合併する症状や、他の骨の異常がないかを確認するために有用です。 超音波検査(エコー):超音波を使って腱板の状態をリアルタイムで観察します。手軽に検査でき、腱板の断裂の有無や大きさ、炎症の程度などを評価できます。 MRI検査:磁気と電波を使って、肩関節の断面画像を撮影します。腱板の状態を最も詳細に確認できる検査で、断裂の大きさや場所、周りの組織の状態などを正確に把握できます。レントゲンや超音波検査ではわからない小さな断裂や、断裂の周りの筋肉の状態まで詳しく知れます。 これらの検査結果は、診断の参考となります。場合によっては、他の病気との鑑別が必要になることもあります。 肩腱板断裂の症状に基づく治療法 肩の痛みや動かしにくさ、もしかしたら腱板断裂かも…と心配になりますよね。 でも、自己判断は禁物です。まずは医療機関を受診して、適切な検査と診断を受けることが大切です。 この章では、肩腱板断裂の検査方法とさまざまな治療法について、わかりやすく解説します。 具体的な検査方法や治療の選択肢を知ることで、不安を軽減し、治療への第一歩を踏み出せるはずです。 保存療法(投薬、リハビリテーション、注射など) 肩腱板断裂の治療は、断裂の大きさや症状、患者様の年齢や生活スタイル、仕事内容などを考慮して決定します。 保存療法は、手術をせずに痛みや炎症を抑え、肩関節の機能を回復させることを目的とした治療法です。 保存療法には、主に以下のような方法があります。 方法 説明 投薬 痛みや炎症を抑える薬を内服します。よく使われるのは、痛み止めや炎症を抑える薬です。 リハビリテーション 固まってしまった肩関節の動きを改善し、弱くなった筋力を強化するための運動療法を行います。 関節内注射 肩関節内にヒアルロン酸やステロイドを注射し、痛みや炎症を軽減します。ヒアルロン酸は関節の潤滑作用、ステロイドは強力な抗炎症作用により効果を発揮します。 保存療法は、軽症の肩腱板断裂や、手術のリスクが高い場合、手術を希望されない場合などに選択されます。 手術療法(関節鏡手術) 保存療法で効果が得られない場合や、断裂の程度が大きい場合、スポーツ選手や肉体労働者など肩を良く使う職業の方の場合には、手術療法が検討されます。 手術療法は、傷ついた腱板組織を修復し、肩の機能を回復させることを目指す治療法です。 関節鏡手術:内視鏡を用いて行う手術です。皮膚に小さな穴を数カ所開け、そこからカメラや手術器具を挿入します。 モニターを見ながら手術を行うため、傷が小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。ただし、 外科的治療には、術後感染や神経障害など、さまざまな合併症が起こる可能性があります。 肩腱板断裂の手術と入院期間について、併せてお読みください。 ただし、腱板が元の正常な組織に戻るわけではありません。手術では、あくまで腱の切れた部分を縫い合わせるだけとなります。 腱板の治療としては、幹細胞による再生医療があります。 肩腱板断裂の症状に対する再生医療|手術不要 肩腱板断裂に対する治療としては、再生医療という選択肢もあります。再生医療には主に幹細胞治療とPRP療法があります。 幹細胞治療では、脂肪組織由来の細胞を採取・培養し、患部に注射で投与します。 PRP療法は、患者様の血液から血小板を抽出した多血小板血漿(PRP)を患部に注射する方法です。 どちらも手術不要で身体への負担が少ない治療法なため、手術に不安がある方や長期間のリハビリを避けたい方は再生医療をご検討ください。 肩腱板断裂に対する再生医療の症例を以下の記事で紹介してます。再生医療の治療内容について興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 肩腱板断裂の症状を理解して治療の第一歩へ ここまで、肩腱板断裂の症状、五十肩との違い、セルフチェックの方法、診断方法、そして治療法について紹介しました。 症状が続く場合は早めに受診し、専門医から正確な診断を受けることが大切です。 保存療法、手術療法、損傷した組織を再生させる再生医療など、ご自身の生活や目標に合わせた治療法を選択しましょう。 痛みのない快適な日常生活を取り戻すために、適切な治療への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。 肩腱板断裂の症状に関するよくある質問 肩腱板断裂の症状はどのくらいで治る? 肩腱板断裂の症状が治るまでの期間は、断裂の大きさ、治療法、患者様の年齢や仕事や日常の活動レベルによって大きく異なります。 まず、手術をしない保存療法(薬・注射・リハビリなど)の場合、断裂が小さければ数週間〜数か月で痛みが和らぐことがあります。 手術を受けた場合は、縫った部分がくっつくまで安静が必要です。そのため、普段の生活に戻るまでおおよそ半年〜1年ほどかかるのが一般的です。 痛みを和らげるためにできることはある? 痛みを和らげるためには、以下のような方法があります。 方法 説明 ポイント 安静 肩関節を動かさないように安静にする 必要に応じて、三角巾で肩関節を動かさないように固定 肩を使うスポーツや仕事を制限することもある 薬物療法 肩腱板断裂による炎症を抑え、痛みを軽減する 非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服、湿布剤を処方 アイシングまたは温める 急性の痛みや断裂には「冷やす」と痛みが和らぐことがある 慢性的な痛みでは「温める」ことで血行がよくなり、痛みが軽減することがある どちらが症状が和らぐかを確認してから行う サポーターを使用する 日常生活で肩を使用する場合、サポーターを使用すると、関節を安定させ、痛みを軽減する効果がある 常時使用してしまうと、肩の筋肉や関節が硬くなったり、筋力が低下する問題がある 周辺の筋肉や関節を適度に動かす しびれは肩腱板断裂の症状に含まれる? 肩や腕に広がるしびれは、肩腱板断裂の直接的な症状ではありません。神経の圧迫など、他の原因も考えられます。 しかし、肩腱板断裂の可能性も否定はできませんので、痛みと一緒にしびれを感じる場合は、整形外科専門医も受診し、適切な診断を受けるようにしてください。 夜間痛を防ぐための寝方の工夫はある? うつ伏せや患側を下にする寝方は避けましょう。 仰向けで寝る場合には、胸と肘の間に丸めたタオルや小さな枕を入れて腕を支えると痛さが軽減されます。 横向きで寝る場合には、健側を下にして、抱き枕で患側の腕を胸の前に預けると肩が安定して、痛さが軽減されます。 参考文献 (文献1) 肩腱板断裂|公益社団法人日本整形外科学会
2025.02.15 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「右肩(左肩)がズキズキと痛い」 「肩の痛みが一向に改善しない」 右肩(左肩)が急にズキズキと痛むと重い疾患を心配する人も多いです。右肩(左肩)が痛む理由は主にデスクワークや長時間同じ姿勢でのスマホ視聴などですが、中には腱板損傷や五十肩、さらには内臓疾患などのサインが隠れている可能性もあります。 本記事では、現役医師がズキズキと痛む右肩(左肩)の症状の原因や対処法を詳しく解説します。記事の最後には、ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 改善しない肩の痛みについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因 ズキズキと痛む原因 詳細 肩腱板損傷(断裂) 腱板(肩の腱)の損傷による炎症・運動時痛、夜間痛、腕が上がりにくい状態 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 腱や周囲組織の炎症によるズキズキした痛み、石灰沈着による急激な強い痛み 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 関節包の炎症や軟骨変性による痛み、可動域制限、動作時の痛み 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 神経・血管の圧迫による肩や腕の痛み、しびれ、だるさ、握力低下 頸椎椎間板ヘルニア 首の神経根圧迫による肩や腕の放散痛、しびれ、首の動きで増悪する痛み 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 心臓・胆のうなど由来の関連痛(放散痛)、肩の動きと関係なく生じる痛み 帯状疱疹 神経の炎症によるピリピリ・ズキズキした痛み、遅れて発疹が出るケース 感染性関節炎 関節内感染による強い痛み、腫れ・熱感、発熱、動かせないほどの疼痛 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 肺尖部病変や横隔膜刺激による関連痛、肩の動きと関係しにくい痛み その他(外傷・腫瘍など) 打撲・骨折・脱臼など外傷性疼痛、骨や軟部腫瘍による持続痛 右肩(左肩)がズキズキと痛む原因は、腱板損傷や腱板炎、肩関節周囲炎など肩そのものの疾患だけではありません。 胸郭出口症候群や頸椎椎間板ヘルニアなど神経の圧迫でも痛みが起こり、しびれを伴うことがあります。 痛みの中には、狭心症や胆石症といった内臓疾患、帯状疱疹、感染性関節炎、胸部由来の疾患が隠れているケースもあるため、注意が必要です。 痛みが強い場合や発熱がある場合、急に症状が悪化した場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 肩腱板損傷(断裂) 肩腱板損傷(断裂)は、肩の周囲で腕の上げ下げや回旋を支える「腱板」がすり減ったり切れたりして痛みが出る疾患です。腕を上げた瞬間の痛み、夜間に増える違和感、力が入りにくい感覚が特徴です。 筋肉の中でも棘上筋が傷つきやすく、加齢変化に加えて使い過ぎや転倒などの外傷がきっかけで発症しやすいとされています。 軽度であれば保存療法で改善することもありますが、完全断裂の場合は筋力低下が目立ちます。放置すると腱が縮んで治療が難しくなるため、早めの対応が大切です。 急に腕が上がらなくなった、物を持てなくなった、夜間痛で眠れないといった症状がある場合は、整形外科で画像検査を含めた評価を受けましょう。 以下の記事では、肩腱板損傷について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】腱板損傷とは|症状・原因・治療法を詳しく解説 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 筋肉の炎症(腱板炎・石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。 炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化などさまざまです。たとえば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすくなるのが腱板炎の特徴です。 強い痛みが特徴で安静時にも出現し、圧痛点が明瞭な場合があり、石灰沈着例では炎症期に痛みが増強します。 石灰沈着性腱板炎は、40~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす疾患です。 カルシウムが腱板のところに沈着する理由は現在の医学では判明していません。考えられる原因は主に血流の問題や、年齢などが起因しているといわれています。 石灰沈着性腱板炎は、安静時でも強い痛みが出やすく、指で肩を押すと圧痛点がはっきりして痛む場所も特定しやすい疾患です。 以下の記事では、石灰沈着性腱板炎の原因について詳しく解説しています。 関節の異常(肩関節周囲炎・変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)は、肩の痛みと可動域制限を主症状とする疾患で、腕が上がりにくい、動かしづらい状態が続きます。40〜50代に多く見られますが、近年は長時間のデスクワークやスマホ使用により、若年層でも発症するケースが増えています。 まれに肩から腕にかけてしびれを伴うことがあり、その場合は頸椎椎間板ヘルニアなどとの鑑別が必要です。 一方、変形性肩関節症は軟骨の摩耗により痛みと炎症が生じる疾患です。進行すると痛みの増悪や可動域の低下、動かしたときの軋轢音が目立つようになります。X線(レントゲン)検査で骨棘の形成や関節裂隙の狭小化が確認できる点が特徴です。 以下の記事では、肩の痛みで疑われる疾患やがんの可能性について紹介しています。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、筋肉や関節だけでなく、神経の圧迫が原因で起こることもあります。代表的な疾患が胸郭出口症候群で、首から腕へ向かう神経や血管が鎖骨周辺や肋骨付近で圧迫されることにより、肩から腕、手にかけて痛み、しびれ、だるさなどが生じます。 主な背景としては、首や肩の筋緊張、鎖骨や肋骨の形態変化、猫背などの不良姿勢です。なで肩の女性や、重い荷物を持つ機会が多い方に多い傾向があり、スマホ使用時の前かがみ姿勢も症状を悪化させる要因となるため注意が必要です。 以下の記事では、胸郭出口症候群について詳しく解説しています。 胸郭出口症候群の原因とは?主な症状や4つの治療法を医師が解説! 【胸郭出口症候群】症状のセルフチェックリストやテスト方法を医師が解説 頸椎椎間板ヘルニア 頸椎椎間板ヘルニアでは、首の椎間板が突出して神経根を刺激することで、右肩(左肩)にズキズキした痛みが現れることがあります。痛みは肩だけにとどまらず腕から手指へ放散し、しびれや感覚の鈍さを伴いやすいのが特徴です。 多くは安静や薬物療法、リハビリなどの保存療法で軽快しますが、握力低下や筋力低下、動作の障害がある場合は早期の評価が必要です。 以下の記事では、頸椎椎間板ヘルニアについて詳しく解説しています。 【関連記事】 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?日常生活の注意点 頚椎椎間板ヘルニアの症状|発症しやすい部位も紹介 内臓疾患(狭心症・胆石症など) 肩の付け根の痛みは、整形外科の疾患だけでなく、内科領域の「関連痛」として現れることがあります。狭心症や心筋梗塞では、胸部の痛みが肩、背中、腕、あごなどへ放散することがあり、命に関わる状態の可能性があるため、注意が必要です。 また、胸部大動脈解離では、背部から肩にかけて強い痛みが出ることがあり、緊急対応が必要です。胆石症は、脂肪分の多い食事の後に上腹部の痛みとともに、右肩から右肩甲骨周囲へ痛みが放散し、吐き気、嘔吐、発熱を伴うことがあります。 肩の痛みに加えて胸痛、息苦しさ、冷汗、吐き気、発熱などを伴う場合は、自己判断せず早急に医療機関を受診しましょう。 帯状疱疹 帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こる疾患です。ウイルスは神経に潜むため、発症初期には右肩(左肩)のどちらか片側に「ピリピリ」「ズキズキ」する痛みが出ることがあります。 数日以内に肩から腕、背中にかけて赤みや水ぶくれが現れ、皮膚が触れるだけで過敏になることもあります。放置すると帯状疱疹後神経痛として痛みが長引く場合があるため、片側の痛みが続くときは早めに医療機関を受診しましょう。 以下の記事では、帯状疱疹について詳しく解説しています。 【関連記事】 【最新版】帯状疱疹後神経痛の解消法|後遺症でピリピリする際の治療法を紹介 帯状疱疹後神経痛に効く薬は?5つの薬の効果・副作用を解説 感染性関節炎 確認ポイント 典型的な内容 発症の速さ 数時間〜数日での急な出現・悪化 見た目の変化 腫れ・赤み・熱感 伴う症状 発熱・悪寒・強いだるさ 起こりやすい関節 膝が多いが肩でも起こり得る 放置リスク 関節破壊・機能障害の進行 受診の目安 急激な悪化と熱感や発熱の併発 (文献1)(文献2) 感染性関節炎は、関節内に細菌などが入り急速に炎症が進む疾患です。関節液の増加で内圧が上がり、肩にズキズキした強い痛みが出ます。 腫れ、赤み、熱感、動かせないほどの痛み、発熱を伴う場合は、早急に医療機関を受診する必要があります。 胸部由来(肺尖部腫瘍・横隔膜刺激) 疑う状況 出やすい症状 肩を動かしていないのに続く 安静でも続く 肺の上の病気(肺尖部など) 肩から腕へ広がる、しびれ 目の症状を伴う まぶたが下がる、瞳孔の左右差 胸膜や胸水の刺激 咳や深呼吸で増える、息苦しさ 放置してはいけない危険サイン 発熱、体重減少、脱力感 (文献3)(文献4) 肩がズキズキするのは、炎症だけでなく、胸の疾患が原因で起こる関連症状の場合もあります。 肩を動かしていないのに痛みが続く、咳や深呼吸で痛みが増える、息苦しさや発熱がある、体重減少がある、腕のしびれや脱力感があるといった症状がみられるときは注意が必要です。 整形外科で異常が見つからない場合も、内科や呼吸器内科で早めに評価を受けましょう。 その他(外傷・腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、関節や筋肉の炎症だけでなく、転倒や衝突などの外傷が原因で起こることもあります。 たとえば腱板断裂は、転倒時に肩へ強い衝撃が加わることで生じる場合があります。高齢者の場合、骨が脆くなっているため、軽い転倒でも上腕骨近位部骨折などを起こす恐れがあるため、注意が必要です。 また、スポーツ中に強い力が加わった場合には、肩関節脱臼や靱帯損傷を起こすことがあります。まれに腫瘍が痛みの原因となることもあり、その際は痛みに加えて、しびれ、腫れ、発熱などの症状を伴う場合があります。 右肩(左肩)がズキズキと痛いときの対処法 対処法 詳細 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) やさしい運動と冷温の使い分け 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 原因に応じた治療の検討 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 姿勢と睡眠と軽い運動による再発予防 肩の痛みは原因や性質によって対処法が異なるため、適切に対応することで悪化の予防と回復の促進につながります。痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬や湿布で一時的に症状を和らげます。 鎮痛薬には内服薬、貼付薬、外用薬などがあり、使いやすさや胃への負担を考慮して選びましょう。 湿布は、強い痛みが出た直後(急性期)は冷湿布、慢性的な痛みには温湿布の使用が一般的です。ただし、湿布の長時間貼付はかぶれの原因となるため注意が必要です。 市販薬を使用する際は用法・用量を守り、併用薬がある場合や妊娠・授乳中、持病がある場合は薬剤師や医師に相談しましょう。 以下の記事では、痛み止めについて詳しく解説しています。 家庭でできるケアを実施する(ストレッチ・マッサージ・温罨法・冷罨法など) ケア方法 目的・ポイント ストレッチ 可動域の改善とこわばりの軽減 マッサージ 筋緊張の緩和と血流促進 温罨法 慢性痛の緩和と回復促進 冷罨法 急性期の痛みと炎症の鎮静 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法があります。ストレッチは肩や首まわりの筋肉を柔らかくし、痛みの軽減や可動域の改善に役立ちますが、痛みが強いときに無理に行うのは避けましょう。 マッサージは筋緊張を和らげ、血流を促して回復を助けます。肩甲骨を意識して、無理のない範囲で動かすのがポイントです。温罨法は慢性的な痛みやこわばりが強いときに、冷罨法は痛みが強い急性期に適しています。 これらのケアで改善しない場合や、発熱・しびれを伴う場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 運動療法・ステロイド注射・手術療法などの治療 問診、視診、触診に加えX線などの画像検査で原因を確認し、診断を行います。痛みが強い場合は、注射で炎症や痛みを抑える治療が選択されます。 ステロイド注射は即効性が期待できますが、効果は永続的ではなく、頻回投与は副作用のリスクがあるため、適切な頻度で行うことが大切です。 肩関節の拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリ(運動療法)で機能改善を図ります。腱板断裂で痛みが強く日常生活に支障がある場合や、腕が上がらない場合は手術を検討します。 近年は関節鏡による低侵襲手術が主流です。 しかし、整形外科医の間では、肩の腱板手術はできるだけ避けたい治療のひとつです。 理由は、手術をしても痛みが十分に取れなかったり、かえって症状が悪化したりするケースが一定数あるためです。 さらに術後に肩が固まってしまう拘縮や、縫合した腱板の再断裂が起こることもあり、術後経過が思い通りにいかないこともあります。 こうした課題に対して、近年注目されているのが再生医療です。入院や手術を必要とせず、状態によっては手術に近い、あるいはそれ以上の改善が期待できる選択肢として検討されることがあります。 私自身、約10年にわたり再生医療に携わってきた中で、肩の治療には確かな希望があると感じています。詳しくは、ぜひこちらの動画をご覧ください。 <肩腱板損傷の症例動画> https://youtu.be/JtMLjwP174M 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活を整える(姿勢・運動・睡眠など) 日常生活では、正しい姿勢を保つことが大切です。猫背になると肩まわりに負担がかかり、症状が悪化しやすくなります。 デスクワークやパソコン作業が多い方は、1時間に1回を目安に休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を、5分でも行いましょう。 適度な運動は肩周囲の筋力と柔軟性の維持に役立つため、ウォーキングや水泳など負担の少ない運動を継続することが大切です。ただし痛みがある場合は、無理をせず医師に相談してから行うようにしましょう。 また、睡眠不足は痛みや炎症を助長する可能性があるため、十分な睡眠を確保しましょう。就寝時は痛む側の肩を下にしないよう注意し、抱き枕などで楽な姿勢を作るのも有効です。 右肩(左肩)のズキズキ痛みに対する予防法 予防法 詳細 適度の運動習慣を取り入れる 筋力と柔軟性の維持 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 猫背予防と肩負担の軽減 適切なストレッチやマッサージを取り入れる こわばり予防と血流改善 右肩(左肩)のズキズキした痛みを予防する基本は、肩に負担が集中する状況を減らし、肩甲骨まわりの柔軟性と筋力を保つことです。 スマホやPC作業、家事、育児などは姿勢が偏りやすく、同じ体勢が続くほど肩の緊張が残ります。強い運動を急に始めるより、短時間の運動やストレッチを毎日続けることが再発予防につながります。 適度の運動習慣を取り入れる 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。とくに、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕のさまざまな動きをサポートする重要な役割を担っています。 この肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。 周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩回し体操 肩回し体操です。腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行います。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 痛みを感じる時は、無理せずに回せる範囲で行いましょう。 肩甲骨はがし 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。 やり方は以下の画像を参考にしてみてください。 画像の動きを10回繰り返しましょう。この動きは、肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。こちらの動きも無理のない範囲で行うことが大切です。 腕立て伏せ 腕立て伏せも肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えられる効果的な運動です。 無理のない範囲で10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 スマホ・PC作業の姿勢を見直す 長時間のパソコン作業やスマホの使用は猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする原因になります。 猫背の姿勢が続くと肩甲骨が外側に開いた状態で固定され、肩関節への負担が増えて痛みが出やすくなります。 日常では、以下の点を意識して姿勢を整えることが大切です。 意識するポイント 内容 背筋を伸ばし、顎を引く 顎を引いて背筋を伸ばす 肩の力を抜いてリラックスする 肩の緊張を抜く 目線は正面に向ける 目線を下げない 足の裏全体を床につける 座位の安定を保つ 肘は90度を維持する 肩への負担を減らす こまめに休憩をとる 1時間に1回の休憩と軽いストレッチ 姿勢や作業環境を整えることで、症状の軽減が期待できます。それでも肩の痛みが改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 適切なストレッチやマッサージを取り入れる 予防目的のストレッチは、強く伸ばすのではなく「ゆっくり行い、呼吸を止めない」ことが基本です。肩だけでなく、胸の前(大胸筋)や首、肩甲骨周囲もほぐすと姿勢が整いやすくなります。 マッサージは短時間にとどめ、押して不快感が増す部位は避けましょう。運動前後や入浴後など身体が温まったタイミングに行うと継続しやすくなります。なお、しびれ・発疹・発熱を伴う場合は自己流のケアを優先せず、医療機関で原因を評価することが大切です。 肩回し 肩回しは前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 負荷をかけないやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 無理に早く回そうとしたり、大きく伸ばそうとしたりするとかえって肩の痛みを悪化させる可能性があります。大切なのは肩に負荷をかけることではなく、肩の痛みを軽減することを目的にすることです。 首のストレッチ 首のストレッチでは、ゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒し、それぞれ10秒間キープします。 キープのやり方は以下の画像を参考にしてみてください。 肩のストレッチなどを行なっても、しびれや発疹、発熱がある場合は自己流のケアを優先せず、原因の評価を先に行うことが大切です。 腕のストレッチ 腕のストレッチは、片腕を胸の前にまっすぐ伸ばし、反対の手で肘のあたりを軽く押さえながら10秒ほどキープします。 以下の画像を参考に反対側も同様に行いましょう。肩まわりの筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高める効果が期待できます。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。とくに肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛みの予防につながります。 ズキズキと痛い右肩(左肩)の悩みは当院へご相談ください 肩の付け根がズキズキ痛むと、不安を感じる方も多いでしょう。肩の痛みは原因によって対処法が異なるため、適切に対応することが悪化の予防と早期回復につながります。 肩の痛みは市販薬やセルフケアで様子を見ることも可能ですが、痛みが長引く場合は自己判断せず医療機関を受診しましょう。 日常生活では正しい姿勢を意識し、適度な運動やストレッチ、マッサージを継続することが予防に有効です。 ズキズキとした肩の痛みが改善せずお悩みの方は当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。 当院では、症状や検査所見を踏まえた上で、肩の痛みの原因となる病態に対し、再生医療を含む治療法を選択肢のひとつとしてご提案する場合があります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ズキズキと痛い右肩(左肩)に関するよくある質問 右肩(左肩)がズキズキするときは何科を受診すれば良いですか? 右肩(左肩)のズキズキした痛みは、原因により受診先が異なります。多くは整形外科領域のため、まず整形外科を受診するのがおすすめです。 整形外科で原因が特定できない場合や、整形外科以外の疾患が疑われる場合は、症状に応じて適切な診療科を受診しましょう。 以下の表では、症状別に受診を検討すべき診療科をまとめていますので、参考にしてください。 症状の特徴 受診する科 肩を動かすと痛い、腕が上がらない、五十肩や腱板損傷が疑わしい 整形外科 片側の肩がピリピリする、皮膚が過敏、数日以内に発疹や水ぶくれ 皮膚科(帯状疱疹の可能性) 胸の違和感、息苦しさ、冷汗、吐き気を伴う 救急外来(119)または循環器内科 みぞおちから右上腹部の不快感、吐き気、発熱を伴う 内科または消化器内科(強い症状は救急) 夜間や強い症状がある場合は、迷わず救急外来を利用することが大切です。 ズキズキと痛い右肩(左肩)は整体や鍼灸で改善しますか? 整体や鍼灸により、筋肉の緊張が和らいで一時的に症状が軽くなる可能性はありますが、痛みの原因そのものが改善するとは限りません。 とくに右肩(左肩)のズキズキした痛みが強い場合や急に出現した場合は、整形外科などの医療機関で原因を確認することが優先です。 鍼灸は、肩こりなどで短期的な軽減が示される報告もありますが、効果には個人差があります。(文献5) 以下の記事では、医学的観点から整体の効果について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 感染性関節炎|MSDマニュアル家庭版 (文献2) Acute Infectious Arthritis|MUSCULOSKELETAL AND CONNECTIVE TISSUE DISORDERS MERCK MANUAL (文献3) 胸水|肺疾患|MSDマニュアル プロフェッショナル版 (文献4) Pancoast Tumors: Symptoms, Causes (文献5) 13. 筋骨格系および結合組織の疾患|日本鍼灸エビデンスレポート(Evidence Reports of Japanese Acupuncture and Moxibustion: EJAM) 日本鍼灸エビデンスレポート・タスクフォース
2025.02.04 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
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- インピンジメント症候群
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- 再生治療
2024シーズンからメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手は、右肩の怪我により離脱を余儀なくされています。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手は、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」は「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使すると周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」は一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーション、または重症の場合は手術が行われてきました。しかし、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えてほしいものです。なぜなら、選手生命を護ることができるからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18 -
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メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「腱板損傷はどのようなケガか」「腱板損傷と断裂は何が違うのか」など、疑問を持っている方もいるでしょう。 腱板損傷と断裂は損傷の程度によって、呼び方を分ける場合があります。いずれも放っておくと重症化するため注意が必要です。 今回は、肩のケガの一種である「腱板損傷(断裂)」について、症状や治療法などを解説します。再生医療による治療の症例も紹介するので、腱板損傷(断裂)でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 腱板損傷と断裂の違いは「損傷の程度」 結論から述べると、腱板損傷と断裂の違いは「損傷の程度」です。 腱板損傷とは、組織が傷ついている状態を広く指す総称であり、断裂はその中でも特に組織が切れている状態を表します。 「腱板損傷」と呼ばれる場合、多くは腱板の部分断裂を含んでいると捉えて良いでしょう。 医師によっては、患者にわかりやすく伝えるために、軽度の場合を「腱板損傷」、より重度の切れた状態を「腱板断裂」と使い分けているケースもあります。 腱板損傷(断裂)とは 腱板損傷(断裂)とは、肩関節を安定させる4つのインナーマッスルからなる腱板の組織が傷ついたり切れたりした状態です。 正式名称は肩回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。 インナーマッスルは、その名の通り内側にある筋肉を意味し、より骨や関節に近い場所にあります。 腱板の大きな役割は、肩関節を安定化させることです。関節が安定すると、アウターマッスル(三角筋など)が働いたときに、より効率よくスムーズに腕を動かせます。 筋肉や腱、靭帯はいずれも繊維状の組織が集まってできており、その一部分が傷んでいる状態のことを損傷や炎症と呼びます。肩の腱板は構造や周囲の血流の状態から、一度損傷を起こしてしまうと自然修復が難しく、手術が必要になるケースも少なくありません。 腱板損傷(断裂)の症状 腱板損傷(断裂)では、以下のような症状が現れます。 就寝時に痛みが出る(夜間痛) 腕を挙げる際、挙げ始めや途中で痛みが出る 髪を洗う時に痛みが出る 腕を前に伸ばすと痛む(前の物を取ろうとしたときなど) エプロンの紐を後ろで結ぶ時に痛む また、腕を上げる途中で痛み、上まで伸ばしきってしまうと痛みが引くような症状もみられます。これは、インナーマッスルである腱板が働かなくなり、関節を安定化させられず、効率よく力を伝えられないために起こるものです。 腱板損傷(断裂)の原因 腱板損傷は50代の男性に多くみられる疾患です。中年以降の腱板は、組織に変性(老化のようなもの)がみられるケースが多く、損傷や断裂が起こりやすい状態です。 肩の変性に加えて、仕事や日常生活などで重いものを無理に持ったり、肩を捻るような動きをしたりして負荷がかかると、腱板が損傷を起こします。 なかには、若い世代であっても、スポーツや事故などにより強い負荷・衝撃がかかると腱板損傷を起こす場合があります。 腱板断裂の原因について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 腱板の部分断裂と完全断裂の違い 腱板断裂は、大きく「部分断裂(不全断裂)」と「完全断裂」の2つに分けられます。 部分断裂 腱板部分断裂(不全断裂)とは、以下のような状態を意味します。 関節面に近いところで起こる関節面断裂 腱板の表層を覆う滑液包に近いところで起こる滑液包面断裂 腱板の腱内部で起こる腱内断裂 完全断裂 腱板完全断裂とは、腱が深く切れており、腱板を上から見た際に中の関節が見えてしまっている状態のことです。 出典『肩関節インピンジメント症候群』臨床スポーツ医学.30(5).2013より引用 腱板の部分断裂(不全断裂)と完全断裂には、上記のような違いがあります。さらには、断裂の幅が狭い・広いなど、範囲の違いによって分類されるケースもあります。 腱板損傷(断裂)は進行すると重症化する 腱板部分断裂は進行すると、重症化して完全断裂へと移行します。 下の写真のようなペーパー状のゴムを例に見ていきましょう。 ペーパー状のゴムを腱板に見立てると、最初は小さかった穴が、繰り返し引っ張る力がかかることでどんどん広がっていきます。ゴムのように簡単には広がりませんが、腱板損傷も同様のイメージで進行するケースがほとんどです。 つまり、無理に患部を動かし続けることで、小さな穴(=腱板損傷、腱板部分断裂)が大きな穴(=腱板完全断裂、広範囲断裂)へと広がってしまいます。 腱板完全断裂が広範囲にわたると、リハビリテーションだけではなかなか症状を改善するのが難しくなる傾向です。そのため、腱板断裂の重症化を防ぐためには、いかに進行を抑えるかが重要です。 腱板損傷(断裂)を放置する危険性と自然治癒する可能性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 【関連記事】 腱板断裂を放置するとどうなる?日常生活や仕事への影響を現役医師が解説! 腱板損傷は自然に治癒する?放置のリスクと治療期間を現役医師が解説 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。腱板損傷(断裂)が重症化する前に、ぜひ気軽にご相談ください。 腱板損傷(断裂)の治療法 腱板損傷(断裂)の治療法は、大きく以下の3つに分けられます。 保存療法 手術療法 再生医療 どの治療法を選択するかは、損傷の程度や患者様の状況に応じて異なります。具体的な治療法については、医師と相談して、より良い方法を決定することが重要です。 保存療法 保存療法は、手術をしない治療法で、軽度から中度の腱板損傷に対して有効な場合があります。 リハビリテーション 保存療法のなかでも代表的なのがリハビリテーションです。リハビリテーションによって肩の筋力や柔軟性を回復させ、日常生活に支障が出ないようにします。腱板損傷(断裂)のリハビリテーションは、主に以下のような訓練内容です。 関節の動く範囲を広げる可動域訓練 損傷している筋・腱をカバーするための筋力訓練 肩の正常な動きを促す機能訓練 痛みを和らげるための物理療法(電気治療や温熱治療) テーピング処置(スポーツをおこなう人など) 日常生活の動作指導 なお、リハビリテーションは患者の状況に応じて、理学療法士や作業療法士などの専門家の指導のもとおこなわれます。 寝方指導 保存療法において、寝方指導をするケースもあります。腱板損傷(断裂)は夜間の就寝時に痛みが増強するのが一般的です。そのため、過度な負担が肩にかからないよう、寝る姿勢を適切に保って痛みの軽減を図ります。 薬物療法 強い痛みがある場合には、リハビリテーションや寝方指導と併せて、薬物療法を選択するケースもあります。 炎症を抑えるための消炎鎮痛薬を処方 関節内や関節外の軟部組織に対しての注射 なお、切れた腱板をつなげるための薬はありません。薬物療法はあくまで痛みをコントロールするための治療法です。 腱板損傷(断裂)における注意すべき動作については、以下の記事で詳しく解説しています。 手術療法 保存療法で効果がみられない場合や、重度の腱板損傷(断裂)の場合には、手術療法を選択します。 関節鏡視下手術 関節鏡視下手術は、肩腱板損傷の手術の多くを占めている術式です。傷口が小さくすみ、手術後の経過が早いのが特徴です。 具体的には、肩に複数の穴を空けて一方にカメラを、他方に操作する器具を入れて手術をおこないます。そして、切れた腱をもともとついている上腕骨に打ち込んで止めます。 手術後は、安静期間を経て徐々に関節を動かしていく流れです。一般的には、術後3カ月程度でほぼ問題なく日常生活を送れるようになります。 ただし、仕事で重労働を再開するためには、おおよそ術後6カ月必要となる点に注意してください。 人工肩関節置換術 広範囲の腱板断裂や関節変形がある場合、人工関節置換術が選択されることがあります。人工関節といえば、股関節や膝関節をイメージする方も多いと思いますが、腱板が機能していない場合は肩に使用するケースもあります。 関節の状態や、どのくらい動かせるかなどによって種類もさまざまですが、ある程度は痛みなく肩を使う動作が可能です。ただし、重いものを持ったりスポーツで激しい運動をしたりする場合は、手術方法について医師とよく話し合うことをおすすめします。 再生医療 血小板や幹細胞を用いる再生医療は、腱板損傷に対して実施される治療法のひとつです。 幹細胞には様々な組織に分化する性質があり、損傷部位で成長因子を分泌します。この治療は単独で行われることもあれば、従来の手術治療と組み合わせて用いられることもあります。 肩の痛みに対する再生医療については、以下のページで詳しく解説しています。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。再生医療をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。 【症例】再生医療による腱板損傷(断裂)の治療 腱板損傷(断裂)に対する治療法のひとつである再生医療による症例を紹介します。 ここでは、異なる年代・状況の患者様に対する再生医療の実際の治療例を紹介するので、再生医療がどのような治療なのか、参考までにご覧ください。 症例1.60代男性|再生医療とリハビリで左肩の痛みが軽減 60代の男性は、還暦を迎えてから突然左肩に痛みを感じるようになりました。とくにケガをしたり、スポーツや仕事で肩を酷使したりしたわけでもなかったため、健康状態に不安を持たれたそうです。 近くの整形外科でMRI検査をおこなうと、加齢現象として、腱板の変性断裂と診断されました。 手術療法を選択する場合、入院期間が1〜2カ月、装具による外固定が数週間、その後は数カ月にわたるリハビリテーションが必要になると説明を受けました。 それほど長期間仕事を休むわけにはいかないと思い、入院や外固定が必要ない再生医療に興味を持ったことが、当院を受診されたきっかけです。 肩関節に幹細胞5000万個を2回投与しました。また、並行して可動域訓練のリハビリテーションも実施しました。 当院における脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療は、身体に大きな負担をかけずに腱板損傷(断裂)に対する治療が可能です。投与後わずか約1カ月で、投与前に7あった痛みが1まで軽減しました。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 症例2.20代男性|再生医療によって右肩腱板損傷が完治 プロテニスプレーヤーを目指す20代の男性は、高校時代からすでにテニスのサーブの時に右肩痛が出現していたそうです。 痛みに耐えながらプレーを続けていたものの、安静時にも痛みが出現するようになり、スポーツ障害専門の医師には最終手段として、手術を提案されました。しかし、早期のスポーツ復帰は再断裂のリスクを高めること、術後の復帰には半年かかるといわれたそうです。 20代の男性は、スポーツ復帰にかかる時間だけではなく、肩関節の可動域制限によるパフォーマンスの低下も懸念されていました。そのなかで、幹細胞治療に希望を見出して当院を受診されました。 当院では独自の冷凍保存しない生き生きした生存率の高い幹細胞を用いており、腱板損傷に対する治療効果が見込めます。腱板の部分断裂に対し、2500万個の幹細胞を2回投与しました。投与後6週間で少しずつスポーツ復帰できるようになり、半年が経つ頃には、10段階の1まで痛みが軽減した事例です。 こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 まとめ・腱板損傷と断裂の違いを理解して適切な治療法を選択しよう 今回は、腱板損傷と腱板断裂の違いと共通点について解説しました。 腱板損傷と腱板断裂の違いは損傷の程度であり、医師によっては断裂も含めて「損傷」と呼ぶ場合もあります。 どの程度損傷しているのか、どのような治療が望ましいのか、具体的に確認するようにしてください。 軽度の痛みだからと放っておくと、広範囲にわたる腱板断裂を引き起こしかねません。肩の痛みや動かしづらさを感じた場合は、早めに専門の医師に相談しましょう。
2022.10.17 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
肩の痛みに悩まされていませんか?もしかしたら、その症状は「腱板損傷」かもしれません。 腱板損傷は自然修復が困難であるため、リハビリなどの保存療法を行う必要があります。また、スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、テーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 この記事では、腱板損傷の症状や原因、テーピングの巻き方、治療方法(保存療法)を中心に解説します。 そもそも肩の腱板損傷とは 肩の腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ肩の奥の筋肉で、正式名称は、回旋筋腱板(ローテーターカフ)です。肩の上腕骨の骨頭と呼ばれる部分を包み込むように付着し、一枚の板のように並んでいるため腱板と言われています。 肩の腱板は、以下の4つの筋肉からなります。 棘上筋 棘下筋 小円筋 肩甲下筋 肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。肩をあげるときに力が入らなくなったり、痛みの原因になったりします。 腱板損傷の症状 腱板を損傷すると、以下のような症状がみられます。 夜眠れないほどの痛みが出る 手を上げたときに、ある一定の範囲だけ痛みや引っかかり感が出る 手を水平の位置に保てない 手を上げるときに肩全体が上がってしまう 腕の上げ方が左右で違う 見た目でわかるほど肩の筋肉(とくに棘下筋)の萎縮が進む なかでも腱板損傷の症状で多くみられるのが、夜寝ているときに痛みがひどくなり眠れない「夜間痛」です。 下記の記事では腱板損傷の診断に役立つテスト方法を詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。 腱板の役割 肩の筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルの2つに大別され、それぞれの役割を果たしています。 インナーマッスルに属する腱板の4つの筋肉は、肩を動かす上で非常に重要な役割を担います。 筋肉の位置 筋肉の名称 役割 インナーマッスル 関節に近い位置 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋 関節を安定させてアウターマッスルを働きやすくする アウターマッスル 体の表層 三角筋、上腕二頭筋など 速くて強い力を生み出す 腱板損傷の原因 腱板損傷が起こる原因は、以下のとおりです。 加齢によって筋肉や腱などの軟部組織が変性した 重い荷物を持ち運んだ 野球など投げる動作を繰り返すスポーツをした 不自然な肩の動きをした 転んだ拍子に手もしくは肩を打った 腱板損傷は、加齢によって筋肉や腱などに変性がみられる中年以降に多くみられます。 また、重いものを抱える配送の仕事や、肩に強い負荷がかかる野球のピッチャーなど肩に負担のかかる動作を繰り返すと発症しやすくなります。 他にもさまざまな原因で腱板損傷が起こります。 腱板損傷の状態 腱板損傷とは、筋肉や腱の線維が部分的に傷んでいる、または切れている状態を指します。損傷がひどく、一部または大部分に断裂がみられるものは、腱板断裂と呼ばれています。 腱板損傷や腱板断裂は、筋肉や腱の変性が起きやすい50代以降の男性に多くみられます。発症のピークは60歳代です。 若い世代でも、肩を酷使するスポーツ選手などにもみられることもあるため、医療機関できちんと検査をすることがおすすめです。 腱板断裂および腱板損傷との違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考までにご覧ください。 【関連記事】 【医師監修】腱板断裂とは|原因・治療法・セルフチェックで知る症状のサインについて解説 腱板損傷と断裂の違いは?症状の進行や治療法について現役医師が解説 肩の腱板損傷にはテーピングが有効【巻き方も解説】 スポーツ中のケガで腱板損傷を発症した場合は、リハビリやトレーニング等で機能を戻すことが大前提ですが、場合によってはテーピングで腱板の機能の補助をすることも可能です。 上記の画像は、棘上筋、棘下筋、小円筋をサポートするテーピングの一例です。テーピングをすることで動きに違和感を覚えるかもしれませんが、安定性が増し、より安全にスポーツを行うことができます。 ただし、テーピングにも限界があります。痛みが強く出てしまう場合は無理に動かさず、患部の鎮痛および機能回復を待ちましょう。 関連記事:肩腱板損傷の痛みを和らげるテーピング法や治療法について解説 肩の腱板損傷の診断 腱板損傷はレントゲンではわかりにくく、五十肩と勘違いされがちです。そのため、正確に診断するためにMRIやエコー検査などが用いられます。 他にも、前述した腱板損傷の所見を視診や触診で確認することも重要です。他の肩関節疾患との鑑別を正確にすることで、今後の治療方針を早期に決めることができるため、気になる症状がある場合は早期に医療機関へ受診することがおすすめ。 肩の腱板損傷の保存療法(リハビリ) 腱板損傷の治療法は、外科的な処置を施す「手術療法」と、注射やリハビリなどで機能の改善を図る「保存療法」とに分けられます。ここでは、保存療法を中心に詳しくご紹介します。 腱板が傷んでしまうと、その性質から腱板自体が自然に修復するのは困難です。 保存療法では、以下の目的をもってリハビリ等の治療にあたります。 痛みを減らす 傷んだ腱板への負担をできる限り減らす 肩周囲の動きを良くする それぞれ順番に解説します。 また、腱板損傷の自然治癒については、以下の記事で解説しているのであわせてご覧ください。 ①痛みを減らす まず一番に対処すべき症状は痛みです。痛みが残っていると脳がその痛みを覚えてしまい、長引くことがあります。さらに、痛みが続いて無意識に患部を動かさなくなることで、関節の動きが悪くなり、肩関節の機能が低下します。 医療機関を受診すると、腱板損傷による痛みを減らすために、痛み止めの注射を打たれたりお薬が処方されたりすることがあります。痛み止めの注射やお薬の処方は、腱板損傷を根本的に治す治療ではありませんが、痛みを一時的に軽減するのに有効です。 また、寝る姿勢を調整することで、痛みの軽減が期待できます。 腱板損傷の方の多くは、夜間痛を訴えています。痛みのせいで悪い寝姿勢になっている方はぜひ試してみましょう。 夜間痛を軽減するための寝姿勢 上半身を少し高くして寝る 寝る時に痛いほうの腕の下にバスタオルを敷き、リラックスした姿勢を保つ 抱き枕で横向きに寝る しっかり睡眠をとることは、脳や体に良い休息を与え、自律神経の改善につながります。自律神経が改善されると、筋肉の余計な緊張が抜け、痛みが軽くなることがあります。 ②傷んだ腱板への負担をできる限り減らす 一度傷んでしまった腱板は自然修復が難しく、より重度の損傷が起きてしまうと手術が必要なケースもあります。そのため、以下の点に注意し、余計なストレスをかけず重症化を防ぐことが大切です。 ③肩周囲の動きを良くする 胸の中心にある胸骨、鎖骨、肩甲骨、肋骨など周辺にあるさまざまな骨や関節を総合して『肩』と言います。つまり、肩を効率的に動かすためには、これらの部位もしっかり動かせることが重要です。 とくに鎖骨周りや肩甲骨などは動きが悪くなることが多いので、鎖骨周りのセルフマッサージや、肩甲骨を意識した肩回しをするなど、意識的に動かしましょう。 まとめ|肩の腱板損傷はテーピングを活用しながら医療機関の受診もしよう 肩の腱板損傷とは、腱板が切れることにより肩の安定性が損なわれることをいいます。他の肩の疾患と見分けがつきにくいため、痛みがあったり長引いたりするときは迷わず医療機関にご相談ください。腱板損傷の所見を、視診や触診で確認することも重要です。 適切な治療を受けて不安を取り除き、快適な日常を少しでも早く取り戻しましょう。 以上、肩の腱板損傷の症状と機能改善を目指す保存療法(リハビリ)について解説しました。 ご参考になれば幸いです。
2022.10.08 -
- 腱板損傷・断裂
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
競技や趣味にかかわらず、ゴルフをプレイしていれば「ゴルフ肩(スイングショルダー)」という症状を一度は耳にしたことがあるでしょう。また、既にゴルフ肩に悩まされている方も多いことと存じます。 そこで本記事では、ゴルフ肩(スイングショルダー)の症状や原因・治療法について当クリニックの医師が解説いたします。すでに悩まれている方、もしくは疑いのある方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、個別の症状などについては各自で判断することなく医療機関にてご相談されることをおすすめします。 【左肩が痛む?】ゴルフ肩(スイングショルダー)とは ゴルフ肩(スイングショルダー)とは特定の病名ではなく、日常的にゴルフを行うことにより引き起こされる「肩関節周囲組織の損傷」による症状全般を指します。症状は傷害される部位によって異なりますが、肩関節から肩甲骨周囲の痛みや腕にかけての痺れなどが一般的です。 多くの場合スイングの際に前方に位置する肩に傷害が起きやすく、とく特に右利きのゴルファーの左肩が怪我をしやすいと言われています。 ゴルフ肩(スイングショルダー)に含まれる具体的な疾患名(または症候名)は以下のとおりです。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因 ゴルフは、クラブをスイングする際の非常に特殊な肩の動きを必要とするスポーツです。左右の肩がまった全く逆の動作をしなければならず、前方の肩はバックスイングの頂点で極端な内転姿勢になり、後方の肩は外転姿勢になるように伸ばされます。 この特殊な動作に加え、非常に重量のあるクラブを振り回し、地面の抵抗なども加わり、肩の障害を引き起こしかねません。 さらにゴルフでは、スイングを行う際にしばしば90°以上の水平および垂直の肩関節の運動を必要とします。 このような複数の動きが組み合わさることにより、肩の傷害の原因となることが指摘されています。頻繁にゴルフを行うことや長時間プレーすることも肩関節の障害のリスクと考えられています。 いずれの肩においても、「肩峰下インピンジメント」と呼ばれる病態が多くのゴルフ肩の原因となります。 ゴルフ肩の検査 ゴルフ肩(スイングショルダー)は病名ではなく一連の状況が起こす症状の総称であるため、その診断は主に症状が発生するに至った経緯と症状の部位によりなされることが一般的です。 しかし、肩関節には骨や筋肉だけでなく神経や靭帯などさまざまな組織が存在するため、これらの傷害を詳細に検討するために関節のMRIを施行するケースもあります。 より高齢のゴルファーの場合には、インピンジメントなどの徴候や関節内組織の傷害だけでなく、肩甲骨と鎖骨のつなぎ目である肩鎖関節の位置関係や形態の変化を調べるためのレントゲン検査を施行します。 また、関節超音波(エコー)検査はさまざまな体勢で施行することができるだけでなく、関節注射などの処置のガイドにもなるため施行されることがあります。 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療法 https://www.youtube.com/watch?v=kyCLmM6YdvI ゴルフ肩(スイングショルダー)は一般的に専門家によるリハビリテーションが主な治療となることが多く、提供されるリハビリプログラムは専門家によって違います。 肩関節に負担をかけない肩甲骨の運動矯正、肩関節の内外転・内外旋のバランス調整、およびスイングの矯正などゴルフに特化したリハビリテーションが含まれます。 とくにゴルフでは体幹を安定させることとスイング動作における全身運動の改善が不可欠です。一方で、関節唇損傷など、手術による治療などの特殊な治療を要する場合もありますので、まずは専門家に相談しましょう。 なお、当院でも再生医療に注目した診療を実施しているため、まずはお気軽にご相談ください。 【プロセス】ゴルフ肩の完治期間 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療から競技への復帰は一般的に以下のようなプロセスを必要とします。 STEP1.症状の改善 運動負荷を減らし、状況に応じて消炎・鎮痛を行うなどして症状の改善に努めます。 症状が強いと協調運動に制限が出たり、リハビリテーションがうまく進まなかったりする可能性があるためまずは運動負荷を減らして症状の改善に努めます。 STEP2.筋力と柔軟性の強化 肩関節周囲の筋力と柔軟性を強化し、症状の改善だけでなく再発の予防や競技能力の向上を目指します。 競技前にウォームアップの習慣をつけることが効果的です。 STEP3.軽負荷による競技再開 ゴルフ肩(スイングショルダー)の治療と並行してゴルフの動作に特化(ゴルフ復帰)したリハビリを行います。 手術などの体の負担の大きな治療を要した場合でも、3~4週間以内には患部の腕を使った片手のパッティングを開始できて、ゴルフに特化したリハビリを進められます。 また、症状やリハビリの進行状況に応じてスイングを模した簡単な体のひねり運動を行うことも可能です。 経過後は体幹と全身の協調運動の強化を徐々に再開します。 専門家の指導のもと段階的に競技負荷を強くし、2~3ヶ月目には徐々に競技への復帰を目指します。 まとめ|症状が改善しないゴルフ肩は再生医療も検討してみよう ゴルフ肩(スイングショルダー)の原因や治療について解説しました。ゴルフのスイングによる肩関節周囲組織の傷害は競技特有のものです。 リハビリテーションを含む治療には医師や理学療法士などのさまざまな職種の連携が不可欠となりますので、治療にあたっては、早期に整形外科・専門診療科に相談するようにしましょう。 また、手術を避けるための再生医療も注目されています。 注射だけの幹細胞治療を採用しており、手術や入院なしで当日帰宅が可能です。日常生活に支障をきたすことなく治療に取り組めますので、気になる方は下記のバナーより詳細をご覧ください。
2022.08.15







