トピックスtopics

肩腱板損傷における画像診断【関節造影検査法】

肩の診察
肩関節疾患の診断において、CTやMRIの飛躍的な進歩にもかかわらず、造影検査は依然として重要な補助診断法の一つで、造影検査方法に3種類あります。

陽性造影:ヨード製剤を用います。
陰性造影:空気を用います。
二重造影:ヨード製剤と空気の両方を用います。

その中で、陽性造影が広く行われています。

動態関節造影と肩峰下滑液包造影

動態関節造影 

イメージ透視の映像をビデオなどに連続的に記録する方法で、造影剤のダイナミックな移動が観察でき、所見の見落としを防ぐ事もできるので、肩関節造影時に同時に行っています。

肩峰下滑液包造影

主に腱板滑液包面断裂の診断に用いられています。造影剤(ウログラフイン、イソビストなどの水溶性のもの) 5mLと1%キシロカイン5mLを混和した注射器に、23G短針を接続して、立位または座位で透視下にて、肩峰外側縁のやや下方から AHI(acromio-humeral interval:肩峰前下面の骨皮質と上腕骨頭の頂点との間の距離)の中上 1/3を目標にして、肩峰下滑液包内に刺入します。

二重造影では造影剤1mLと空気10mLを注入します。造影剤が腱板内に入り込んだり、腱板滑液包、局所に貯留したりする場合は腱板滑液包面断裂を疑います。

腱板断裂の関節造影について

腱板断裂で疑われる画像所見

造影剤が肩峰下滑液包に漏出すれば、腱板の全層断裂 (full-thickness tear)の診断が確定します。外旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘上筋腱の断裂を疑い、内旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘下筋腱の断裂を疑います。

scapular Y像

腱板の断裂部への造影剤の漏出だけでなく、水平断裂像の描出も可能です。長期間経過した腱板小断裂や腱板不全断裂 (関節包面断裂や水平断裂)の描出は難しいので、他動的に肩関節をよく動かして、関節内圧を上げてから再度調べる必要があります。

動態撮影を併用すると、断裂の大きさや断裂部位がより明らかとなります。また、腱板滑液包面断裂の診断には、肩峰下滑液包造影が用いられます。

一般的な肩関節造影法について

前方刺入法

① 検査前にヨードや局所麻酔薬に対するアレルギー反応の有無について確認します。

② 透視台の上に仰臥位になって貰い、上肢を体側に接して透視台の上に置いた状態で外旋位になるように体位を調整します。

③ 烏口突起を中心に広範囲に消毒をします。

④ 1%キシロカイン10mLの入った注射器に21Gスパイナル針を接続して、透視下にて烏口突起先端の1cm尾側で、1cm外側から関節裂隙に垂直に刺入します。

⑤ 少量の局所麻酔薬を注入して抵抗がないことと、上肢を少し内外旋して針先が関節内にあることを確認します。

⑥ 21Gスパイナル針を留置したまま、造影剤 (ウログラフィン、イソビストなどの水溶性のもの) 10mLと1 %キシロカイン10m Lを混和した延長チューブ付きの注射器に交換して、透視下にて確認しながら、ゆっくり注入します。(注入量は約 20rnLとされています。)

⑦ 造影は内旋位、外旋位および挙上位の3枚の前後像を撮影していますが、肩関節疾患に応じて軸射位像と scapular Y像などの撮影を追加しています。

正常の画像所見

内旋位像
肩関節の前方組織が弛緩するので、内側に肩甲下筋滑液包(subscapularis bursa)、内下方に関節包前部 (anterior pouch)、および下方に関節包下部(腋窩陥凹; axillary pouchまたは inferior pouch) が描出されます。

外旋位像
肩関節の前方組織が緊張するので、肩甲下筋滑液包、関節包前部、および関節包下部は縮小します。外側に上腕二頭筋長頭腱腱鞘 (bicipital tendon sheath) が描出されます。

挙上位像
肩関節の下方組織が緊張するので、関節包下部は縮小します。上方に上腕二頭筋長頭腱腱 鞘、内側に肩甲下筋滑液位が描出されます。

軸射位像
関節窩の前縁と後縁に関節唇が三角形の陰影として描出され、前方には肩甲下筋滑液包も描出されます。

scapular Y像
前方に肩甲下筋滑液包、前下方に関節包前部、下方に関節包下部、および後下方に関節包後部 (posterior pouch)が描出されます。

 

 

No.0017

監修:院長 坂本貞範

トップ