肩腱板損傷の画像診断|CT、MRI以外、関節の造影検査をご存知ですか
投稿日: 2021.08.04更新日: 2024.10.07
目次
肩腱板損傷の画像診断|CT、MRI以外、関節の造影検査をご存知ですか
肩関節疾患の診断において、CTや、MRIの飛躍的な進歩にもかかわらず、造影検査は依然として重要な補助診断法の一つです。この造影検査方法には3種類あります。
- 1)陽性造影:ヨード製剤を用います。
- 2)陰性造影:空気を用います。
- 3)二重造影:ヨード製剤と空気の両方を用います。
- この3種類の中では、「1)陽性造影」が広く行われています。
動態関節造影と肩峰下滑液包造影
それぞれの方法をご説明します。
動態関節造影
イメージ透視の映像をビデオなどに連続的に記録する方法で、造影剤のダイナミックな移動が観察でき、所見の見落としを防ぐ事もできるので、肩関節造影時に同時に行っています。
肩峰下滑液包造影
主に腱板滑液包面断裂の診断に用いられています。造影剤(ウログラフイン、イソビストなどの水溶性のもの) 5mLと1%キシロカイン5mLを混和した注射器に、23G短針を接続して、立位または座位で透視下にて、肩峰外側縁のやや下方から AHI(acromio-humeral interval:肩峰前下面の骨皮質と上腕骨頭の頂点との間の距離)の中上 1/3を目標にして、肩峰下滑液包内に刺入します。
二重造影では造影剤1mLと空気10mLを注入します。造影剤が腱板内に入り込んだり、腱板滑液包、局所に貯留したりする場合は腱板滑液包面断裂を疑います。
腱板断裂の関節造影について
関節造影について詳しくご説明します。
腱板断裂で疑われる画像所見
造影剤が肩峰下滑液包に漏出すれば、腱板の全層断裂 (full-thickness tear)の診断が確定します。外旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘上筋腱の断裂を疑い、内旋位前後像で大結節直上に造影剤の漏出があれば棘下筋腱の断裂を疑います。
scapular Y像
腱板の断裂部への造影剤の漏出だけでなく、水平断裂像の描出も可能です。長期間経過した腱板小断裂や腱板不全断裂 (関節包面断裂や水平断裂)の描出は難しいので、他動的に肩関節をよく動かして、関節内圧を上げてから再度調べる必要があります。
動態撮影を併用すると、断裂の大きさや断裂部位がより明らかとなります。また、腱板滑液包面断裂の診断には、肩峰下滑液包造影が用いられます。
腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます
一般的な肩関節造影法について
以下で詳しくご説明いたします。
前方刺入法
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正常の画像所見
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以上、肩腱板損傷の画像診断について、CT、MRI以外の検査方法である関節の「造影検査」についてご説明いたしました。今回は、専門的な内容で難しかったかもしれませんが、ご不明な点があればご遠慮なくお問い合わせください。
少しでも参考にしていただけたなら幸いです。
腱板損傷は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます
▼以下の検査方法もご参考下さい
腱板損傷の診断法、超音波(エコー)による画像検査について