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PLDDの有効性と術後の痛みや経過について 首や腰の痛みを引き起こすとともに、手や足へ分布する神経を圧迫して厄介な痺れを引き起こす椎間板ヘルニア。進行すると、筋力低下をきたしたり、排尿障害を起こしたりもします。 つらいヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、 手術療法の中でも体への負担が非常に低いとされています。傷は小さく日帰り手術もできる、一見魅力的な方法と思えますが、有効性や安全性はどうなのでしょうか。 この記事ではPLDDについての紹介や、有効性・術後の経過などについて解説します。 椎間板ヘルニアの治療とPLDD 椎間板ヘルニアの治療の基本は、 痛み止めやリハビリなどの「保存療法」です。しかし、保存療法の効果がない場合には手術が検討されます。 現在、椎間板ヘルニアの手術は多くの種類があります。特に「体への負担が少ない」とされている治療の一つがPLDDです。 PLDDはPercutaneous Laser Disc Decompressionの略称で、日本語では経皮的レーザー椎間板減圧術と呼ばれている術式です。現在、いくつかの病院で腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアに対する治療として行われています。 PLDDでは特殊な針を使って背中から椎間板の中央へとレーザーファイバーを通します。椎間板の中央部には「髄核」というゲル状の柔らかい物質があり、髄核が飛び出してくるのがヘルニアの原因です。 PLDDではこの髄核をレーザーで焼いて気化させてしまうのです。これにより、椎間板の内圧を下げることができます。焼いた部分は空洞化し、椎間板は穴を埋めようと縮むため、ヘルニアが改善するのです。 PLDDで用いる針は細く柔軟性が高いものです。局所麻酔のみで手術が可能で、侵襲(手術の傷) が少ないため、病院によっては日帰り手術も可能となっています。傷も非常に小さくて済みます。 PLDDの費用は? PLDDは公的健康保険の適応として認められていません。そのため、治療に関連する医療費全てが自費になります。 つまり、手術手技に関連した費用のみでなく、適否を見極めるための診察や検査の費用・関連した処方などもすべて患者さんの自己負担となるのです。病院によって費用は異なりますが、数十万の医療費がかかります。 かつてPLDDは厚生労働省の指定する「先進医療」であり、特定の医療機関では保険診療との併用が認められていました。この場合は手術に関連した費用のみ自費で、その他の診察や検査・処方にかかわる費用は公的保険を用いることが可能でした。 しかし、平成24年に「有効性や効率性が十分に示されていない」ということで先進医療の指定から削除されたのです。 PLDDって効果がないの? 先進医療から取り消されたということは、 効果がないということでしょうか。 PLDDの有効率は文献によってばらつきますが、おおむね70%程度と報告されています。もしかしたら、「そんなに悪くないのでは」と感じた人もいるかもしれません。 腰椎椎間板ヘルニアにおいては、診療ガイドライン上手術療法で推奨されるのは「椎間板切除術」です。椎間板切除術後、ヘルニアが再発して再手術が必要になるのは、術後5年で1.5〜8.5%と報告されています。 単純比較はできませんがPLDDはこれらよりも治療成績に劣るとされています。 もう一つ、頭に入れておかなければいけないことは、PLDDが効かないヘルニアがあるということです。先ほどの「70%の人に有効」というのは、PLDDの効果が期待できる人を選んで行った成績です。 PLDDが適しているのは、保存療法が効かない患者さんのうち、ヘルニアが「後縦靭帯」を突破していない患者さんです。 図1,2 後縦靭帯を突破していない図 引用)腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 PLDDは,椎間板の内圧を下げることでヘルニアによる圧迫を改善させる効果があります。しかし、後縦靭帯を破って外に出てしまったヘルニアの場合はすでに椎間板内圧が下がってしまっていて、髄核を焼き飛ばしてもヘルニアは縮みません。 残念ながら適切でない方に行われるケースもあり、そうなると「効果がない」のです。 PLDDの手術中や手術後の痛みはどのくらい? PLDDは小さな針を刺すだけなので、他の手術のように手術に伴う痛みが少ないことがメリットの一つです。 最初に皮膚に局所麻酔を行うことで、針を刺すときの痛みもカバーされます。そして、切開をする必要がないため、手術後に「傷の痛みがつらい」ということがありません。 したがって、手術に関連した痛みは最小限で済む術式と言えるでしょう。 PLDDの術後の経過は? PLDDは他の手術よりも即効性には乏しいです。 ヘルニアが退縮することで、神経の圧迫が軽くなっていきますが、それには時間がかかるのです。個人差はありますが、術後1週間程度から徐々に症状が改善され、2〜3ヶ月ほどで良くなったことが実感されてきます。 そのため、すぐにでも良くしたい、という人は他の方法を選んだ方が良いでしょう。 PLDDにも合併症はあるの? 傷が小さく一見安全な手術のように思えるPLDDにも、合併症が起こるリスクがあります。 合併症の例として、感染やレーザーの影響による骨壊死などが挙げられます。 中でも、術後後遺症として長期に日常生活に深刻な影響を与えるのが神経障害です。レーザーの誤照射や針による損傷、血腫を作ることで圧迫されることで神経が傷つき、もともとあった痺れが悪化したり新規に痺れたりすることがあります。 まとめ・PLDDの有効性と術後の痛みや経過について 椎間板ヘルニアの治療法の一つであるPLDDは、低侵襲であることから、早く日常生活に復帰したい人にとっては良い選択肢かもしれません。 しかし、高額な費用負担、有効性の問題、また適応が広くないことなど手術を受ける上での問題も少なくありません。 また、いくら体への負担が少ないといっても、神経障害をはじめとした合併症リスクもあるため、慎重な選択が必要です。 なお、当院ではPLDDを含めたヘルニアの術後後遺症に対して再生医療の一つである「幹細胞治療」を提供しています。これは万能細胞である幹細胞を障害部位へ届けることで組織の再生を促すものです。 従来、神経損傷に対する幹細胞治療では点滴で幹細胞を投与してきました。当院では、点滴に加えて脊髄腔内に直接幹細胞を注入する手法も行っています。 脊髄腔内ダイレクト注射療法により、さらに多くの幹細胞を損傷した神経に届けることができるようになりました。 さらに国内でも有数の細胞加工室の高い技術により、幹細胞を凍結することなく保存しています。フレッシュな幹細胞の投与により、良好な治療成績をおさめています。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4&t=3s ▶PLDDの術後後遺症でお悩みであれば、ぜひ当院の最新治療をご検討ください。 参考文献 小坂理也. 整形外科看護 10(4): 329-333, 2005. 加藤昌代, 西山敬浩, 加藤篤史, 笹生豊, 大橋健二郎. 東日本整形災害外科学会雑誌 15(1): 111-114, 2003. 井上和彦, 橋本俊彦, 関根千晶, 千葉純司. 日本レーザー医学会誌 22(1): 5-14, 2001. 慢性疼痛診療ガイドライン 宮本雅史, 中嶋隆夫. 日内会誌 105:2210-2214, 2016. 佐藤正人, 石原美弥, 荒井恒憲, 菊地眞, 持田譲治. 日本レーザー医学会誌 31(2): 146-151, 2010. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. 厚生労働省 HP 腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44 ▼以下のご覧いただけます PLDD治療、そのメリット・デメリットやリスクとは?
2024.03.05 -
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PELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板摘出術)の術後にやってはいけないこと 椎間板ヘルニアは、背骨のつなぎ目にある椎間板がつぶれて飛び出すことにより、脊髄を圧迫し症状が出現します。椎間板ヘルニアによる腰痛や下肢痛、下肢の痺れを改善するには、脊髄を圧迫しているヘルニアを削り取って圧迫を除去しなくてはなりません。以前は4,5cm皮膚を切開して背骨まで達し、背骨を露出してこのヘルニアを除去する切開法が行われていました。 近年、経皮的内視鏡下 腰椎椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy: PELDまたはPED)という内視鏡手術によって、このヘルニアを摘出する方法が多くの医療機関で行われるようになりました。 患者さんへの負担が少なく、非常に良い手術なのですが、手術に「リスクゼロ」はありません。手術中はもちろん、術後の生活の仕方によっても、脊髄損傷など後遺症が生じる可能性があります。 今回は、PELD(PED)の術後にやってはいけないことや注意点をお話しします。 PELD(PED)とは? PELD(PED)は、脊髄を圧迫している状態のヘルニアを、内視鏡で取り除く手術です。従来全身麻酔が主でしたが、局所麻酔で行う施設も多くあります。傷口も従来の方法とは異なり、内視鏡を挿入する穴を作るだけなので、患者さんの身体への負担が非常に小さい手術です。 しかし、神経の束である脊髄に最接近して行う手術ですので、非常に高度な技術が必要です。手術が成功しても術後の生活動作によって脊髄を損傷してしまうこともあり、術後も注意が必要です。 PELD術後にやってはいけないこと、注意点 PELD(PED)は、脊髄の近くを処置する手術です。内視鏡手術のため、傷口はとても小さく済み、術後の痛みも従来と比べると痛みは少ないです。そのため、術後は腰の痛みも軽減し、日常の生活は普通にできます。 しかし、PELDの術後は腰に負担をかけるような運動は、3か月程度は控える必要があります。 まず、術後1週間は、かがむ際には腰を曲げずに、膝など下肢を曲げて姿勢を低くしてください。腰を曲げて床に落ちたものを拾うことなどはやってはいけません。腰の痛みがずいぶん楽になるので動けてしまうと思いますが、気を付けましょう。 腰を曲げる動作だけではなく、腰をひねる動作もやってはいけません。ふいに振り向く時が非常に危険です。足踏みなど足を使って、身体全体で振り向くようにしましょう。 ヘルニアを手術で削るとき、腰の背骨を支えるじん帯にもある程度の障害が起こります。その傷が安定するまでは腰をひねることはPELD(PED)の術後にはやってはいけません。 2週間後から、通学・通勤可と言われるケースが多いのですが、引き続き腰を曲げる動作や腰をひねる動作もしてはいけません。大体3週間後からは通常の日常生活は問題なく行えるようになることが多くあります。 それでも腰を曲げたり、ひねったりする動作は医師と相談をして、気を付けてゆっくり行いましょう。 術後に注意して欲しいこと かがむ際には腰を曲げずに、膝など下肢を曲げて姿勢を低くする 腰を曲げて床に落ちたものを拾うことはNG ふいに振り向くなど、腰をひねる動作 腰に負担のかかること 手術後3か月経つ頃には、ラグビーなど激しいスポーツも可能となります。 しかし、腰は大切な部分です。今後もヘルニアが起こる可能性や、ぎっくり腰にも注意しつつ、腰に負担をかけないような工夫をして生活しましょう。 PELD(PED)の術後に脊髄損傷が起こってしまったら? PELDの術後にやってはいけないことや注意点をお話ししてきましたが、術後早期に腰を曲げたり、腰をひねると、脊椎の中を通る神経の束である脊髄が傷ついてしまい、脊髄損傷を起こしてしまうことがあるのです。 脊髄損傷は一度起こってしまうと自然には治りません。現代の通常医学、保険診療などでも損傷を修復することはほぼ不可能です。PELD(PED)の手術後は、腰を大切に行動することが必要なのです。 大切に過ごしていても、脊髄損傷が起こってしまう可能性は十分あります。 PELD(PED)の術後の脊髄損傷の主な症状としては、下肢の知覚低下や、痺れ、麻痺などがあります。PELD(PED)の術後にそのような症状が現れたら、手術をした医療機関に連絡をしましょう。 脊髄損傷に効果的な先進技術!再生医療 一般的に、損傷した大きな神経は修復することができません。PELD(PED)での脊髄損傷は、下肢の麻痺による歩行困難となる可能性があります。この場合、車いすでの生活を余儀なくされる可能性もあります。 脊髄損傷に対して、現在では効果的な最新医療があります。それは、幹細胞を使用した再生医療です。幹細胞とは、体のさまざまな組織に変化をすることができる細胞で、損傷した組織に投与することで、組織の修復を促すのです。 脊髄損傷では、脊髄にその幹細胞が届くように投与し、損傷した脊髄の再生を促します。当院では、脊髄腔内に直接幹細胞を注射するダイレクト注射療法を行っており、脊髄損傷の部位に効果的に幹細胞を投与できる独自の技術を持っています。 脊椎という背骨の中に脊髄は入っているのですが、脊髄は膜に包まれて背骨の中に入っています。髄腔とは、その膜と脊髄の間の空間です。当院では、その髄腔に注射で幹細胞を投与するので、脊髄損傷部位に幹細胞が入っていきやすいのです。 まとめ・PELD(PED)の術後にやってはいけないことや注意点 今回は、PELD(PED)の術後にやってはいけないことや注意点を解説しました。 PELD(PED)は、椎間板ヘルニアによる腰痛や下肢痛を改善するための内視鏡を用いた手術です。しかし、手術後には注意が必要で手術の直後から3か月間は、腰に負担をかけるような動作を控えることが重要です。 かがむ際には腰を曲げたり、腰をひねるような動作は避けなければなりません。また術後には、脊髄損傷が起こる可能性もあるため注意が必要です。違和感を感じたら、早めに医療機関に相談してください。 尚、脊髄損傷に対しては再生医療という新しい治療法も注目されています。特に幹細胞は、体のさまざまな組織に変化をする細胞で損傷した組織に働きかけて修復を促します。 PELDの術後の後遺症で悩まれている方は現代医学の最先端である、幹細胞を使った再生医療も選択肢に加えられてはいかがでしょうか。当院は厚生労働省から認可を受けた再生医療専門クリニクですのでお気軽にご相談ください。 腰を守り、健康な生活を送るために、適切なケアを心がけましょう。 参考文献 Mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles for immunomodutation aregeneration:a next generation therapeutic tool? Kou M,Huang L, Yang J, et al Cell Death Dis.2022;13:580. ▼以下も参考にしていただけます 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは
2024.03.01 -
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椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いについて 椎間板ヘルニアに対する手術治療法として、現在内視鏡を用いたPELD(PED)やMEDといった方法が普及しつつあります。いずれも内視鏡を使用した、従来よりも体への負担が小さい手術ですが、それぞれには違いもあります。 今回の記事では、そのようなPELD(PED)やMEDの違い、そして術後の後遺症に対する再生医療の可能性について解説していきます。 椎間板ヘルニアとは まずは、椎間板ヘルニアについて簡単にご説明します。 背骨である椎体と椎体の間には、椎間板というクッションのような構造があります。この椎間板は、髄核(ずいかく)というゲル状の部分と、それを包む線維輪(せんいりん)という構造からできています。 椎間板ヘルニアは、髄核を取り囲んでいる線維輪の後方部分、つまり背中側の部分が破れ、髄核が断裂した部分から背中側にはみ出してしまうことで、脊髄などが圧迫されてしまう病気のことです。 この中でも腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨である腰椎で起こるものです。 そして、男女比は約2〜3:1、20〜40歳代の方に多く、好発する部位は腰椎第4番と第5番の間、もしくは腰椎第5番と仙椎第1番の間が多いとされています。 後ろ側に飛び出した椎間板が脊髄や神経根などの神経を圧迫することで、下半身に痛みが生じてくるといった症状が現れてきます。また、腰椎椎間板ヘルニアの他の症状としては、急に起こる激しい腰痛や下半身の痛みがあります。 そして、ヘルニアが進行すると下半身に力が入りにくいという症状がでてきます。また馬尾という脊髄の一番下の方にある糸のような神経部分が圧迫されると、排尿や排便が障害されることがあります。 椎間板ヘルニア手術の種類とそれぞれの特徴 さて、椎間板ヘルニアについての治療法について解説していきます。 腰椎椎間板ヘルニアでは、ヘルニアによって神経が圧迫されるような場合に手術が行われます。最近では、より小さな傷で手術を行う、低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)が広がりつつあります。 例えば、経皮的内視鏡下腰椎椎間板切除術(Percutaneous Endoscopic Lumber Discectomy : PELD)や、内視鏡下ヘルニア摘出術(Micro Endoscopic Discectomy : MED)などの手術です。なお、PELDとPEDは、腰椎(つまりLumber)が入っているかどうかの違いなので、ほぼ同義と考えて問題ないでしょう。 では、従来の手術、そしてPELDとMEDについて詳しく解説しましょう。 従来の手術法 一般的な手術として、背中の側からアプローチし、椎弓(ついきゅう)という背骨の一部を切り取り、椎間板を取り除くという手術が最も行われています。 この方法は、皮膚や筋肉、骨を削り取るというもので、手術は全身麻酔が基本となり術後2〜3日後ほどで歩行を開始し、入院期間は2〜3週間程度が目安です。 PELD(経皮的内視鏡下 腰椎椎間板切除術) PELDは、7mmほどの細い筒をまず背中側から直接ヘルニア部分まで挿入し、生理食塩水を流しながら、その筒の中へ針のような専用内視鏡を刺入していき、直接ヘルニアを摘出するというものです。 細い内視鏡でヘルニアへアプローチすることが可能であるため、筋肉や骨などの組織への負担が少ないというメリットがあります。その他の利点は、局所麻酔や硬膜外麻酔で治療可能な点、また日帰り手術も可能という点です。 また、傷口が小さいため、術後の回復が早いことも期待できます。 欠点としては、大きなヘルニアや椎体の変形が強い場合、また脊柱管狭窄症などが併存する場合には適応とならない場合があることです。 MED(内視鏡下ヘルニア摘出術) MEDは、PELDと同じように内視鏡を使う技術です。 皮膚を切開して内視鏡や器具を挿入し、ヘルニアの部分まで進めていきます。PELDよりも内視鏡の筒の径が大きくなるため、筋肉が引っ張られたり視野を確保するために骨を削ったりといった操作が加わります。そのため、PELDと比較するとヘルニアの周囲の組織への負担が大きくなるという欠点があります。 一方で、複数の椎間に渡るようなヘルニアでも手術可能なことが多く、またPELDと比較すると全国的にこのMEDの手術を行っている病院が多いという利点があります。 特徴 PELD MED 従来の手術法 皮膚の切開の大きさ 7mm程度 16mm程度 3〜4cm 麻酔の方法 局所麻酔可能 全身麻酔 全身麻酔 手術の時間 1時間程度 2時間程度 1時間程度 術後の入院期間 日帰り可能 1週間程度 1週間程度 体に与える負担 軽い 軽いがPELDに比べると骨や筋肉などに侵襲が大きい 傷口が大きいため負担になる可能性あり PELDとMED、従来の手術の違い まとめ・椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いについて 今回の記事では、椎間板ヘルニアの症状や治療法としてのPELD(PED)、MEDについて解説しました。PELDとMEDの違いについても表にし詳しく述べました。 これらのPELD、MEDといった手術は、従来のような皮膚を大きく切り、直接ヘルニア病変を摘出するという方法に比べると傷口も小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。 一方で、どのような手術であっても脊髄損傷や神経損傷の可能性は少ないですが、一定数あり得ることには注意が必要です。また、椎間板ヘルニアが進行していた場合などは、しびれや下半身麻痺などの症状が手術後にも残ってしまうこともあるでしょう。 そのような後遺症に対する治療法を探しているという方に対して、再生医療という方法があります。 当院では、脊髄損傷に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。これは、自分の脂肪組織や血液から幹細胞を培養し、点滴で静脈注射する方法や、あるいは当院独自の技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内ダイレクト注射療法をご用意しています。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE ▶椎間板ヘルニアや、その術後の後遺症などにお悩みの方で再生医療に興味のある方は、ぜひ当院までご相談ください。 参考文献 腰椎椎間板ヘルニア 診療ガイドライン 改訂第2版.日内会誌.2016:105;2210-2214. 脊椎脊髄疾患について・主な疾患 腰椎椎間板ヘルニア 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 腰椎椎間板ヘルニアにおける内視鏡下 ヘルニア摘出術.整形外科と災害外科.2002.51(1);47-50. 腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界.脳外誌.2017:26(5);346-352. p347 経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2016:30(2);152-158. p152 腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界.脳外誌.2017:26(5);346-352. p351 ▼椎間板ヘルニアの手術について参考記事 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット
2024.02.28 -
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ヘルニア治療|PELD(PED)術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて PELD(PED)は、内視鏡を用いて腰椎椎間板ヘルニアを取り除く手術のことで、傷口が小さく、筋肉や骨に対するダメージが少ないというメリットがある一方、手術による術後後遺症のリスクもあります。 今回の記事では、PELD(PED)の術後に生じたしびれや痛みの後遺症に対する再生医療の可能性についても解説していきます。 PELD(PED)とは 経皮的内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術(Percutaneous Endoscopic Lumber Discectomy:PELD)とは、椎間板ヘルニアを7mmまたは8mmという細い専用の内視鏡を用いて、生理食塩水を流しながら摘出することができる手術のことです。 細い針が直接椎間板ヘルニアに到達するため、筋肉や脊柱などのダメージを最小限に抑えることが可能です。 なお、PEDとはPELDから腰椎(英語でlumberといいます)を省いただけですので、これらの言葉はほぼ同義になります。 PELD(PED)の術後後遺症 PELDの術後の後遺症として、合併症など以下のようなものがあります。 神経根の損傷 椎間板ヘルニア病変を取り出すために針を進める時に、神経根という脊柱管から脊髄が出る部分に針が触ると、神経根に刺激を加えることで感覚障害をきたす可能性があります。これは、postoperative dysethesia(POD)といい、しびれ感などが生じてきます。 針が触ってしまっただけの場合は短期間で改善することが多いとされていますが、直接損傷してしまった場合には永続的なものになることもあります。 感染 針先で腸管損傷した際に併発する椎間板炎、腸腰筋膿瘍が報告されています。 硬膜の損傷 針の指す方法によっては、脊髄を包む硬膜を損傷してしまう恐れもあります。 髄液漏 皮膚の切開が小さいので、脳脊髄液が漏れてしまう髄液漏(ずいえきろう)を起こすことは少ないとされていますが、馬尾(ばび)という脊髄の先端部分が傷などにはまりこんでしまうことで痛みが生じることもあります。 血腫 針を刺す際に出血し、血腫が出来てしまうこともあります。 てんかん発作 手術を行う際に流す生理食塩水の圧力が高い場合や長時間の手術の場合には、頭蓋骨の中の圧力が高まり、脳への負担がかかってしまい、首や頭の痛みのあとにてんかん発作が起こることもあります。 PELD(PED)術後後遺症に対する再生医療とは それでは、PELD(PED)術後の痛みとしびれに対する再生医療について解説していきます。 再生医療の基本概念 再生医療は、体の損傷や機能の喪失を修復し、細胞や組織を再生するための革新的なアプローチです。これには、自分自身の細胞を活用する方法や、幹細胞を利用する手法などが含まれます。 再生医療と幹細胞治療のアプローチ では、実際には再生医療ならびに幹細胞治療がどのように利用されているのかを解説します。 患者自身の細胞の利用 再生医療において、患者自身の細胞を活用する方法があります。これには、自分から採取された組織や血液中の成分を使用して、治療に必要な細胞を増殖・活性化させる手法が含まれます。この一つとして、多血小板血漿(PRP)による治療もあります。 幹細胞治療 幹細胞は、さまざまな種類の細胞に分化、つまり成長する能力があります。患者の体内から採取された幹細胞が、損傷した組織や神経を修復するのに役立つ可能性があります。特に、ヘルニアや脊髄損傷の治療において、幹細胞治療が注目されています。 痛み管理 術後の痛みは、しばしば患者の生活の質を著しく低下させます。従来の痛み管理に加えて、再生医療では、成長因子や細胞治療を組み合わせたアプローチが検討されています。これにより、神経の再生や炎症抑制が期待されます。 神経保護と再生 幹細胞治療は、損傷した神経組織の再生を促進する可能性があります。これにより、術後のしびれや感覚の喪失を軽減し、機能回復が期待されます。 それぞれに適した治療が可能 自分自身それぞれの細胞などから培養された幹細胞を使った再生医療は、拒絶反応などの副作用が出にくいことが期待されます。これにより、治療の効果が最大限に発揮されることも期待できます。 まとめ・ヘルニア治療|PELD(PED)術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて 今回の記事ではPELD(PED)手術とは何か、そしてその後遺症について述べました。そして、PELD(PED)手術後の痛みやしびれの後遺症に対する最新治療として、再生医療と幹細胞治療に期待が持たれていることも解説しました。 これらの治療法は患者の生活の質を向上させ、持続的な症状の緩和を目指すことが期待されます。当院では、再生医療の治療のひとつに、自己脂肪由来幹細胞治療をご用意しています。 これは、脊髄損傷などからの神経の回復に対する効果が期待できるもので、当院では静脈注射で点滴にて投与するものと、脊髄腔内に直接注射をしていくものがあります。 特に、後者の直接脊髄腔内投与法は当院独自とも言え、今までにも脊髄や神経の損傷によるしびれや痛みなどの術後後遺症の症状が改善したという治療成績があります。 https://www.youtube.com/watch?v=5JqLxbYwLJ4 PELD(PED)手術後の後遺症にお悩みの方も、ぜひ一度当院までご相談ください。 ▼ヘルニアの手術について以下も参考にされませんか ヘルニア治療:PELD手術のリスクと副作用とは 参考文献 経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2016:30(2);152-158. p152 再生医療の現状と展望 第3回再生・細胞医療・遺伝子治療開発協議会 令和3年1月27日 脳梗塞と脊髄損傷の再生治療
2024.02.22 -
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「椎間板ヘルニアの手術にはどんなリスクがある?」「手術の後遺症が不安……。」 椎間板ヘルニアの手術を勧められたものの、リスクが気になり決断できない人も多いのではないでしょうか。 手術には合併症や後遺症、再発のリスクが伴います。これらを正しく理解した上で、手術を受けるべきか判断することが大切です。 本記事では、椎間板ヘルニア手術のリスクとその対策を医師が詳しく解説します。リスクを理解した上で適切な治療方法を選択できるように、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニアの症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニア手術による合併症リスク 椎間板ヘルニアの手術は、症状を改善する有効な治療法ですが、合併症のリスクも伴います。椎間板ヘルニアの手術による主な合併症リスクには以下の4つが挙げられます。 出血や血腫形成 術後感染(化膿)や骨髄炎の可能性 硬膜損傷による髄液漏れ 血栓症や癒着 本章を参考に、椎間板ヘルニアの手術にはどのようなリスクがあるのか、理解を深めておきましょう。 出血や血腫形成 手術では出血が避けられませんが、過度な出血や血腫が形成されると、神経の圧迫による痛みの悪化や運動機能の低下を引き起こす場合があります。 内視鏡下椎間板摘出術(FELD)では、止血操作が困難な場合があり、顕微鏡下手術に切り替える可能性もあります。(文献1) リスクを最小限に抑えるためには、手術中の止血処置が重要です。 また、抗凝固薬を服用している方は、手術前に医師へ相談しておきましょう。 術後感染(化膿)や骨髄炎の可能性 手術部位の感染が起こると、創部が化膿するだけでなく、重症化して骨髄炎を引き起こす場合があります。 術後の免疫力低下や傷口の管理不足が原因となる場合が多く、全内視鏡下手術(FELD)では、約0.5%の確率で細菌感染が発生すると報告されています。(文献1) 感染を防ぐためには、術後の傷口の清潔を保ち、医師の指示に従って抗生物質を適切に服用することが重要です。 硬膜損傷による髄液漏れ 椎間板ヘルニアの手術では、脊髄を包む硬膜が損傷し、髄液が漏れ出すリスクがあります。 とくに、内視鏡下手術(FELD)では、硬膜に穴が開く場合があり、術後3~30日後に髄液漏が発生する可能性もあるため、注意が必要です。(文献1) 髄液漏れが発生すると、術後に強い頭痛を伴い、場合によっては髄膜炎を引き起こすケースもあります。 そのため、硬膜損傷を防ぐためには、経験豊富な医師のもとで手術を受けるのが良いでしょう。 血栓症や癒着 術後に長時間動かずにいると、血流が滞り血栓が形成されるリスクが高まります。 たとえば、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症は重篤な合併症となる可能性があるため、注意が必要です。(文献2) また、手術部位の組織が癒着すると、神経が圧迫され、術後の痛みが長引くケースもあります。(文献5) そのため、術後のリハビリは、合併症を防ぐためにも非常に重要です。 医師の指示に従い、適切なタイミングで開始するのが良いでしょう。 椎間板ヘルニアの手術後に起こり得る後遺症リスク 手術後の経過が順調でも、しびれや痛みが一時的に残る場合があります。これは、神経が圧迫されている状態が続いていた場合、手術後もしばらく神経の回復に時間がかかるためです。 本章では、椎間板ヘルニアの手術後に起こり得る後遺症リスクとして、以下の2つを紹介します。 一時的なしびれ・痛みのリスク 神経の損傷による麻痺・筋力低下のリスク それぞれ詳しくみていきましょう。 一時的なしびれ・痛みのリスク 椎間板ヘルニアの手術後には、しびれや痛みが一時的に悪化するケースがあります。 これは、術中に神経根や神経節が圧迫されるために起こる現象です。(文献1) 術後のしびれや痛みを軽減するには、リハビリやストレッチが有効です。 神経の回復には時間がかかるため、焦らず経過を見守る必要があります。 術後1〜2カ月で症状が軽減するケースが多く、長引く場合は医師と相談し、追加の治療を検討しましょう。 神経の損傷による麻痺・筋力低下のリスク 手術時の器具操作によって神経が傷つくと、運動麻痺や筋力低下が残る可能性があります。(文献1) このリスクを減らすためには、経験豊富な医師を選ぶことが重要です。 また、術後のリハビリを積極的に行い、神経機能の回復を促すのも大切だといえます。 椎間板ヘルニアに関する手術後の後遺症や治療法については以下の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。 椎間板ヘルニア手術後の再発リスク 椎間板ヘルニアの手術は痛みを軽減する有効な手段ですが、再発の可能性があることも理解しておく必要があります。 ヘルニアの再発率は6〜10%前後といわれています。(文献1) 椎間板ヘルニアは、飛び出した椎間板の一部を取り除く手術ですが、完全に除去できるわけではありません。残った部分が再び突出することで、ヘルニアが再発するケースもあります。 また、過度な運動や姿勢の悪さ、椎間板の老化なども再発リスクを高める要因です。とくに、手術後すぐに無理な動作を行うと再発の可能性が高まります。 再発予防のためにも、適切なリハビリを行いつつ、普段の生活習慣の見直しを行いましょう。 椎間板ヘルニア手術の麻酔時のリスク 手術には麻酔が不可欠ですが、全身麻酔と局所麻酔のそれぞれにリスクが存在します。 麻酔の種類 リスク 副作用 全身麻酔 血圧低下、呼吸抑制、心肺機能への負担 術後の吐き気、めまい、のどの違和感 局所麻酔 神経損傷、麻酔が効かない場合の痛み 注射部位の違和感、軽度のしびれ 本章では、全身麻酔と局所麻酔のリスクや副作用について、さらに詳しく解説します。 全身麻酔のリスクと副作用 全身麻酔は、意識を完全に失わせるため、呼吸や血圧の管理が重要です。 麻酔の影響で血圧が低下し、心肺機能に負担をかける場合があり、術後には、吐き気やめまい、のどの違和感が生じるケースもあります。 また、これらの副作用は一時的なものですが、高齢者や持病を持つ人は注意が必要です。 手術前に医師と相談し、適切な麻酔方法を選ぶことでリスクを軽減できます。 局所麻酔によるリスクや副作用 局所麻酔は、手術部位のみに作用し、意識を保ったまま行う方法です。 全身麻酔に比べて体への負担は少ないですが、神経損傷や血圧変動が起こる可能性があります。 また、局所麻酔が十分に効かない場合、手術中に痛みを感じる場合もあるとされています。 そのため、麻酔が適切に作用しているかを医師が確認しながら進めるのが一般的です。 椎間板ヘルニア手術の後遺症には再生医療も検討しよう 手術による後遺症が出る場合、近年注目されている再生医療を検討するのも選択肢の一つです。 神経損傷や筋力低下が長引く場合には、幹細胞治療やPRP療法など、再生医療による治療が有効な可能性があります。 手術後の回復が思わしくない場合は、再生医療の専門医に相談してみるのも良いでしょう。 以下の記事では、術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて、再生医療に期待できる有効性を紹介しています。 治療法の選択肢を広げたい方は、ぜひあわせてご覧ください。 【関連記事】 ヘルニア治療|PELD(PED)術後のつらい後遺症、痺れや痛みについて ヘルニア治療、PLDDの術後後遺症に対する最新治療とは!? まとめ|椎間板ヘルニアの手術はリスクを理解した上で医療機関を選ぼう! 椎間板ヘルニアの手術には、合併症や後遺症、再発、麻酔のリスクが伴います。 成功率が高いとはいえ、リスクを軽視すると術後のトラブルにつながる可能性があります。 そのため、手術を検討する際は、医師と十分に相談し、自身の症状に合わせた治療方法を選ぶことが重要です。 また、手術後のリハビリや生活習慣の見直しも、回復や再発予防のために欠かせません。 リスクを理解し、信頼できる医療機関を選択することで、安全かつ納得のいく治療が受けられるでしょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。 椎間板ヘルニア手術の後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 椎間板ヘルニア手術のリスクに関するQ&A 椎間板ヘルニアの手術で失敗する確率は? 手術効果や手術の有効性は70〜80%といわれています。(文献1) そのため、「失敗」の定義にもよりますが、再発リスクを含めると20%程度はなんらかのトラブルを考慮する必要があるでしょう。 ただし、合併症の多くは一時的なものであったり、適切な処置で改善が見込めます。 ヘルニア手術はしたほうがいいですか? 手術はあくまで選択肢の一つです。 保存療法で改善が見込まれる場合は、無理に手術を受ける必要はありません。 また、手術を検討する際は、医師と相談し、他の治療法と比較した上で適切な選択をすることが重要です。 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術に関する詳細や、メリットについては以下の記事も参考にご覧ください。 リペアセルクリニックは再生医療専門クリニックです。 椎間板ヘルニアの手術でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 香川労災病院「全内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出手術」 https://www.kagawah.johas.go.jp/wp-content/themes/kagawarousai/assets/doc/hospital/department/neurosurgery/department-neurosurgery_002.pdf(最終アクセス:2025年2月26日) (文献2) 日本整形外科学会「術後肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症」 https://www.joa.or.jp/public/pdf/joa_033.pdf(最終アクセス:2025年2月26日)
2024.02.19 -
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「ヘルニアの内視鏡手術って本当に安全なの?」 「PELDやPEDってよく聞くけど、デメリットもあるのかな?」 このような疑問をお持ちではないでしょうか? 腰椎椎間板ヘルニアの代表的な手術に、 PELD(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)とPED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術) があります。 これらの手術は、傷口が小さく回復が早いというメリットがありますが、すべての患者様に適しているわけではありません。 たとえば、再発のリスクや適応範囲の限界 など、事前に知っておくべきポイントがあります。 そこで本記事では、ヘルニアの内視鏡手術(PELD・PED)のデメリットについて詳しく解説します。手術の詳細がわかれば、後悔のない選択ができるでしょう。 【前提知識】椎間板ヘルニアの内視鏡手術PELD(PED)とは? 椎間板ヘルニアを手術する方法のひとつに、経皮的内視鏡下椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Discectomy:PED)があります。 PEDのうち、特に腰椎に対して行うものを経皮的内視鏡的腰椎椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy:PELD)と呼びます。 この手術は7mmか8mmの細い内視鏡を使い、生理食塩水を流しながらヘルニアを取り除きます。 手術の目的は、神経を圧迫しているヘルニアの部分だけを取り除くことです。健康な椎間板はできるだけ残すため、手術後に腰痛が起こるリスクを減らせます。 この手術が適応となる疾患には、主に神経根型の椎間板ヘルニアなどの変性疾患や、化膿性椎間板炎という炎症性疾患があります。 PED/PELDは神経を圧迫しているヘルニアの突出部分を取り除き、痛みやしびれを軽減することを目的としています。 ただし、これらの手術は、すべてのヘルニア患者に適しているわけではありません。 手術を受ける前には、詳細をよく理解し、医師としっかり相談することが大切です。 なお、椎間板ヘルニアの治療においては「再生医療」も選択肢として挙げられます。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した医療技術で、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促します。 具体的な治療方法が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のデメリット 内視鏡手術は体への負担が少なく、回復が早いとされていますが、いくつかのデメリットもあります。 後悔しない治療選択をするために、注意すべきポイントを5つ紹介します。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 再発のリスクがある 手術ができないケースもある 手術できる病院が限られる 1回で2箇所以上の手術ができない 手術を検討している方は、リスクも含めてしっかりと理解しておきましょう。 手術後に合併症や後遺症が出る可能性がある 頻度としては低いものの、ヘルニアを摘出する際の神経損傷や脊髄損傷が起こり、後遺症として手足のしびれや麻痺などが出てしまう場合があります。 また、椎間板の再突出などの合併症が生じる可能性もあります。 再発のリスクがある 椎間板ヘルニアの内視鏡手術を受けたとしても、症状が再び現れる可能性はゼロではありません。 なぜなら、手術で取り除けるのは、あくまでも飛び出した椎間板の一部だからです。 手術後に、残った椎間板に負担がかかったり、別の場所が新たに飛び出したりすると、再び痛みやしびれなどの症状があらわれることがあります。 手術ができないケースもある 内視鏡手術は、すべての椎間板ヘルニアに適用できるわけではありません。 PELDは細い内視鏡を使用するため、ヘルニアの突出が大きい場合は、手術ができない場合があります。 また、骨の変形がひどいと、内視鏡を正しい位置に挿入できず、手術自体が危険になる可能性があります。 そのため、PELDを受ける前には、MRIを含む画像検査でヘルニアの状態を詳しく調べ、医師とよく相談した上で手術方法を決める意識が大切です。 手術できる病院が限られる 内視鏡手術は、どの病院でも受けられるわけではありません。 高度な技術が必要なため、経験豊富な医師がいる医療機関でのみ対応しています。専門的な知識と技術が求められ、設備が整っていない病院では対応が難しいです。 通院可能な範囲に手術ができる病院があるとは限らず、遠方まで行く必要がある場合もあります。 手術を希望する場合は、対応している病院を事前に調べ、適切な医療機関を選びましょう。 1回で2箇所以上の手術ができない 椎間板ヘルニアの内視鏡手術では、一度に2箇所以上の手術ができない場合があります。 手術は身体への負担が大きく、一度に多くの場所を手術すると、回復に時間がかかったり、合併症のリスクが高まったりするからです。 椎間板ヘルニアが2箇所以上にある場合は、症状がとくにひどい場所から手術をおこないます。そして、手術後の状態を見ながら、症状が改善しないようであれば、数カ月後に別の場所を手術する流れがよく採用されます。 椎間板ヘルニア内視鏡手術のメリット 次に、椎間板ヘルニア内視鏡手術における主なメリットを解説します。 体に与えるダメージが低い 脊柱周囲のダメージを抑えられる 局所麻酔下でも手術が行える 日帰りで手術が行える 手術成績が良好である メリットを把握すれば、手術を決断した際の不安が軽減されるでしょう。 体に与えるダメージが低い 内視鏡手術は、体への負担が少ない治療法です。 皮膚の切開が小さく済むため、傷跡が目立ちにくく、回復も早くなります。 開放手術では大きく切開するため、術後の痛みが強くなる傾向がありますが、内視鏡を使う方法なら最小限のダメージで済みます。そのため、日常生活への復帰もスムーズに進みやすいです。 負担の少ない治療法を選びたい方に適しているでしょう。 脊柱周囲のダメージを抑えられる 内視鏡手術は、背骨の周りの筋肉や組織へのダメージを最小限におさえられます。内視鏡を使ってヘルニアの部分に直接アプローチできるからです。 従来の切開手術では、背骨の周りの筋肉を大きく切開する必要がありました。しかし、内視鏡手術では小さな穴から内視鏡を挿入するだけで済みます。 手術後の筋肉や組織のダメージが少ないため、入院期間が短縮され、早期の社会復帰が期待できます。 局所麻酔下でも手術が行える 内視鏡手術では、部分的な麻酔(局所麻酔)で手術が受けられる場合があります。 麻酔は、高齢者や肥満の方に負担がかかります。そのため、局所麻酔を選択できるのは、麻酔が負担になる患者さんにとって大きなメリットといえるでしょう。 ただし、局所麻酔では、手術中に痛みを感じれば、治療を中断せざるを得ません。強い痛みを伴う場合は、全身麻酔が推奨されます。 日帰りで手術が行える 日帰り手術が可能な点も、内視鏡手術のメリットです。内視鏡手術は、小さな切開で済むため、入院せずに治療を終えられる可能性があります。 長期の入院が難しい人や、仕事や家庭の都合で休みを取りづらい人にとって、大きな利点となるでしょう。 手術成績が良好である 多くの研究で内視鏡手術の高い成功率が報告されています。とくに、足のしびれや痛みの緩和に効果が高いです。 身体への負担が少ない手術なので、合併症のリスクも低いことがわかっています。 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症には「再生医療」の選択肢もある 椎間板ヘルニアの治療や術後の後遺症における治療法に「再生医療」の選択肢が挙げられます。 再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しい医療技術です。 椎間板ヘルニアの症状である手足のしびれ・歩きにくさが改善した症例が数多く報告されています。 当院リペアセルクリニックでは、椎間板ヘルニアの治療についてご相談を受け付けております。メール相談やオンラインカウンセリングより気軽にお問い合わせください。 まとめ|椎間板ヘルニアの内視鏡手術のデメリットも理解した上で手術を検討しましょう 内視鏡手術が失敗してしまう可能性は低いと考えられていますが、脊髄損傷や神経損傷の可能性は「0」ではありません。 しかし、内視鏡手術は体への負担が少ない手術なので、早期の社会復帰が期待できます。 手術のメリット・デメリットの両面を理解した上で治療方針を固めていくと、不安が軽減されるでしょう。 体に負担の少ない治療においては再生医療も選択肢として挙げられます。 椎間板ヘルニアの治療や後遺症などにお悩みの方で再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。 参考文献 尾原裕康ほか「経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL30(2)pp.152-158 2016年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/30/2/30_152/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界」『脳外誌』:26(5)pp.346-352. p347 2017年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/26/5/26_346/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日) 平野仁祟ほか「経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy:PELD)の現状と今後の展望」『脊髄外科』VOL28(3)pp.310-312 2014年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/28/3/28_310/_pdf(最終アクセス:2025年2月21日)
2024.02.08 -
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腰椎椎間板ヘルニアのPELD(PED)内視鏡下手術ついて つらい腰椎椎間板ヘルニアの症状にお困りではありませんか? 「薬もリハビリも効かず、根本的に良くしたい」「でも、できれば体に大きな負担がかかる手術はしたくない」 そう思っておられる方も多いでしょう。そんな方でも、近年技術の進歩が目覚ましい内視鏡を用いた負担の少ない手術なら、抵抗感が少ないかもしれません。 本記事では、内視鏡による椎間板ヘルニアの手術の一つである「PELD(PED)」の概要についてご説明します。PELD(PED)の費用や合併症、術後のしびれ、痛みなどの後遺症への治療についても解説をしていきます。 腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡手術について 腰椎椎間板ヘルニアは、痛み止めやリハビリなど保存療法を行なっているうちに自然に改善する可能性のある疾患です。多くの場合、3ヶ月以内にはヘルニアは吸収されると言われています。ところが、一部の方は症状が残ってしまうことがあります。また、ヘルニアが神経を圧迫し、足の運動麻痺や排尿障害をきたすなど日常生活に影響を及ぼすケースもあるのです。 「早期の症状改善を希望する場合」「保存療法の効果が不充分である場合」「神経の症状が出た場合」は手術療法を行います。 手術療法の適応 早期の症状改善を希望する場合 保存療法の効果が不充分である場合 神経の症状が出た場合 その中でも、内視鏡による手術は手術の創(手術でできる傷)が小さく、体に負担がかかりにくいため注目を集めています。 内視鏡による椎間板ヘルニアの手術は、PELD(PED)とMED(※)と呼ばれる二つの術式に分かれます。とりわけ、手術侵襲が最小限に抑えられるのがPELD(PED)です。病院によっては日帰り手術が可能としているところもあるくらいです。 PELD(PED)とは PELD(PED)はPercutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy (Percutaneous Endoscopic Discectomy)の略です。日本語では、経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術と呼びます。おおよそ7mm程度のとても細い筒状の手術器具を用います。内視鏡を見ながら椎間板内に直接アプローチして脱出したヘルニアそのものを摘出する手術です。 なお、PELDとPEDの2つの違いはなく、どちらも同じものを指します。 近年は、同様の手術手技の適応が広がっています。ヘルニア以外の疾患の治療や、腰椎ではなく頚椎の疾患にも用いられることもあるのです。そのため、腰椎という意味の”Lumbar”ではなく、脊椎という意味の「スパイン」“Spine”という単語を使ってFESS: Full Endoscopic Spine Surgery(あるいはFED: Full Endoscopic Discectomy)とも呼ばれます。 PELD(PED) の適応 PELD(PED)は従来の手術よりも小さい手術の傷のみで手術ができます。そのため、体への負担が軽いです。また、全身麻酔を用いることもありますが、局所麻酔のみでも行う病院もあります。術後の安静が必要な期間も短く、日帰り〜数日の入院のみで退院できます。 PELD(PED)中は内視鏡の映像のみで進めていきます。視野を見やすくするため内視鏡の使用時には生理食塩水を流し続けます。そのため、従来の内視鏡を用いた手術よりも術後の癒着が起こりにくいです。 これらの特徴から、PELD(PED)は学業や仕事を休みにくい若い人・早く復帰をしたいスポーツ選手・全身麻酔のリスクが高いお年寄りや肥満の患者さんには良い治療法です。 PELD(PED)が向いている人 学業や仕事を休みにくい若い人 早く復帰をしたいスポーツ選手 全身麻酔のリスクが高いお年寄りや肥満の患者さん また、全身麻酔が必ずしもいらないので、急速に神経症状が進んだり排尿障害が起こったりなど緊急を要する場合にも良い選択肢となります。 PELD(PED)の弱点 一方で、PELD(PED)の手術に用いる器具がとても細いがゆえの弱点もあります。 まず、狭い筒を介してアプローチすることになるため、大きくて固いヘルニアに対応するのは困難です。 また、内視鏡をヘルニアに入れられる方向にも制限が生じるため、ヘルニアの飛び出し方によっては不向きと判断されることもあります。 PELD(PED)が不向きな人 大きくて固いヘルニア ヘルニアの飛び出し方の状態 上記のように、病状によっては不向きなことがあります。 PELD(PED)の手術費用 PELD(PED)は、公的医療保険の対象となっています。手術を受ける方の状況により1〜3割負担で治療を受けることができます。さらに「高額療養費制度」を使うことができるため、医療費は最終的に上限額を超えることはありません。 保険適応の場合の最終的な費用負担は、数万〜20万円程度と考えられます。手術の内容や入院の有無・期間、患者さんの世帯の収入などによって負担額は異なりますので注意が必要です。 ただし、病院によっては自費診療でPELD(PED)を行なっているところもあります。自費診療のほうが柔軟な対応ができるのです。公的保険は検査の日程や手術器具などにおいて様々な制約が生じます。 一方で自費診療では高額な費用がかかります。その金額もそれぞれの病院が設定するため、一概にいくらとは言えません。さらに、自費診療の場合、高額療養費制度の対象外となります。 PELD(PED)の合併症 PELD(PED)は比較的体への負担が少ない手術ではありますが、どのような手術でも合併症の可能性はあります。 特に注意すべき合併症は次の4つです。 注意したい合併症 神経障害 硬膜損傷 術後血腫 感染 ひとつずつ解説していきます。 神経障害 まず、神経障害が挙げられます。手術中にヘルニアの近くの脊髄やそこから伸びる神経の根本(神経根)を触ってしまうことで、神経の損傷が起こることがあります。足がしびれたり痛んだり、足の筋力が落ちたり、排尿機能の障害が起こったりすることがあるのです。 硬膜損傷 硬膜損傷とは、脊髄を包んでいる硬膜が手術手技により破れてしまうことです。脊髄神経は硬膜に包まれて、脳脊髄液に浮いています。硬膜が破れると、そこから脳脊髄液が漏れ出します。とくに起き上がった時に脳脊髄液が漏れ出して脳や脊髄を引っ張ることが多く、頭痛の原因になります。 術後血腫 また、手術後に出血がコントロールできずに血の塊(血腫)を作ってしまうことがあります。血腫が脊髄から出てくる神経を圧迫してしまうとやはりしびれ・痛みや麻痺などの原因となるのです。 感染 さらには、手術の傷が感染を起こすことがあります。ただし、PELD(PED)は非常に傷が小さく、しかも手術中に生理食塩水を流し続ける術式です。創の感染は他の術式に比べて非常に少ないとされています。 合併症による後遺症に対する再生医療の可能性 PELD(PED)による合併症が起こった時に心配すべきは、後遺症が残ってしまうことです。特に神経の損傷が起こると、しびれや痛み・麻痺などが残ってしまう可能性があります。 従来、神経が傷つくと再生は困難と言われていました。しかし、最先端の再生医療である幹細胞治療は組織の再生力を高めることができます。 再生医療により、治らないとされていた脊髄損傷など神経の障害も、改善する可能性が出てきたのです。PELD(PED)の術後後遺症も幹細胞治療の適応です。 当院では脊髄損傷後の後遺症に対して、幹細胞治療を行っております。当院の細胞加工室は細胞を冷凍することなく輸送・保存しています。そのため、生き生きとした幹細胞を大量に投与することが可能です。 さらに、点滴投与に加えて、損傷した脊髄に対して直接幹細胞を投与できるように脊髄腔内ダイレクト注射療法を行なっております。点滴単独よりも脊髄に届く幹細胞の数が多くなります。 「フレッシュな細胞」を「より多く」損傷部位に届けることで、脊髄損傷の治療において良好な治療成績をおさめてきました。 さらに、患者さん本人の脂肪細胞・血液を培養に用いることで、アレルギーや感染などのリスクを極力減らして安全性の高い治療を提供しております。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアのPELD(PED)内視鏡下手術とは PELD(PED)手術は、ヘルニアのつらい症状に対して有効な治療法の一つです。内視鏡を使用して行う治療で、傷は小さく体への負担も最小限です。手術後の安静期間も短く、早い社会復帰も望めます。 ただし、病状によっては不向きなこともあります。また、どんなに体への負担が小さいといっても、手術による合併症のリスクが全くないわけではありません。術前に事前情報をしっかり把握し、納得した上で受けましょう。 ▼何も起こらないことが一番ですが、万が一後遺症が残ってしまった場合には最先端の再生医療である幹細胞治療が適応になります。もし術後の後遺症にお困りであれば、ぜひ一度、当院にご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=GcUDE6GCblE 参考文献 八木 貴, 木内 博之. 日本医事新報 (4843): 54-54, 2017. 平野 仁崇, 伊藤 康信, 水野 順一, 沼澤 真一, 渡邉 貞義, 渡邉 一夫. 脊髄外科, 28(3):310-312, 2014. 平野 仁崇, 水野 順一, 沼澤 真一, 伊藤 康信, 渡邉 貞義, 渡邉 一夫. 脳神経外科ジャーナル, 26(5): 346-352, 2017. 南出晃人. 整形外科看護 25(11): 1094-1099, 2020. 出沢明. Loco CURE 5(2): 156-163, 2019. 日本整形外科学会, 日本脊椎脊髄病学会. 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021 改訂第3版. ▼ヘルニアの治療法について 腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルとは?医師が詳しく解説
2024.02.05 -
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ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性がある疾患の1つです。椎間板ヘルニアでは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術よりも、その後の後遺症に困ることがあり、注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 痛み止めの飲み薬や注射 コルセットなどの装具療法 リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。 当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 先天性(生まれつき) 重い荷物を持つ 排便時にお腹に力を入れる 加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 大人:肥満、妊娠など 再生医療 再生医療とは、自身の体を再生する力(治癒力)を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻す体への負担も少ない方法です。 自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を投与することが可能です。 新鮮で元気、質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。当クリニックは、独自の技術により幹細胞を1億個以上、増やせるため、高い治療効果を見込むことができます。 また、培養には余分な薬剤や不純物を使いません。さらに牛などの代替血液を用いません。ご自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に再生医療という選択肢 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択するのですが手術後に手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後、後遺症が出ることがあるため注意が必要です。 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には、最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を数多く行っています。ご不明点がございましたらご遠慮なくお問合せ下さい。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=sQ9ws8CluU_SRVWQ まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について ヘルニアは様々な種類があり、その中でも代表的な椎間板ヘルニアは比較的発症する可能性が高い病態です。保存療法での治療もできるものの、症状が強い場合には手術が必要となることもあります ただ手術は、術後に後遺症が残るケースも少なくありません。 そこで、注目されているのが再生医療です。再生医療はご自身の幹細胞を培養し、身体の治癒力を活用して再生を即す治療法です。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、最新の再生医療である幹細胞治療をお勧めしています。 この治療法は、幹細胞を直接損傷部位に投与することで高い効果を期待できます。また、治療自体は注射のみであり、身体にも優しく、安全性が高いとされています。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に悩む方にとって、再生医療は新たな希望となるかもしれません。当クリニックでは独自の技術と豊富な経験を活かし、患者様の健康と快適な生活のために最善の治療を提供しています。 気になる点やご相談事がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。 椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひご相談ください。 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
2023.11.20 -
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- 再生治療
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椎間板ヘルニアとはどのような病気? どのような治療をするの? 後遺症は残る? このような疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか。 椎間板ヘルニアは高齢者はもとより、スポーツや重労働に取り組む方にもよく見られる疾患のひとつです。 手足の痺れなど、重大な症状があり、仕事や生活の妨げになりえます。 治療にも時間がかかり、後遺症のリスクもあるため、警戒が必要な疾患といえるでしょう。 一方で再生医療を用いた治療法や後遺症予防も確立されつつあります。 本記事では椎間板ヘルニアの症状や治療法、再生医療の有効性などを解説します。 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 椎間板ヘルニアは、高齢者はもちろんのこと、スポーツや重労働をする若い方もなりうる病気の1つです。 手や足の痺れや痛みが出てくるので、生活の質を低下させてしまいます。 治療法として保存治療や手術がありますが、術後でも症状が残ってしまう可能性があります。 これまでは術後の後遺症に対しては、対症療法が中心でしたが、再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、根治につながるのではないかと期待されています。 そこで、本記事では椎間板ヘルニアの概略から再生医療を用いた治療までを紹介していきます。 椎間板ヘルニアとは 人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板から構成されます。 脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。 また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。 椎間板ヘルニアとは、なんらかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。 椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。 椎間板ヘルニアの原因 原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることがあげられています。 脊椎のなかでも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最も多いです。 椎間板ヘルニアの症状 椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激し痛みや痺れが生じます。 どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。 たとえば、頚椎では首や肩、手の痺れや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足の痺れや痛みが生じます。 椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法がおこなわれます。 保存療法 保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、痺れや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法がおこなわれます。 椎間板ヘルニア治療、保存療法の種類 鎮痛薬の内服 神経ブロック リハビリテーション これらの保存療法をおこなっても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討します。 手術療法 たとえば、椎間板ヘルニアで最も多い腰椎の手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、「経皮的髄核摘出術」があります。 また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。 これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射し、ヘルニア内に空洞を形成します。 それにより神経への圧迫を減らせます。 各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減するのが目的です。 椎間板ヘルニアの手術療法 顕微鏡下椎間板摘出術 内視鏡下ヘルニア摘出術 経皮的髄核摘出術 経皮的レーザー椎間板減圧術 <関連記事> 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは 椎間板ヘルニアの手術後のリスクと後遺症 椎間板ヘルニアは、根気よく治療すれば、完治が目指せる疾患です。 しかし治療後は、以下のリスクが残る点を知っておきましょう。 椎間板ヘルニアの再発 脊髄神経の損傷による後遺症 それぞれ解説するので参考にしてください。 椎間板ヘルニアの再発 まず椎間板ヘルニアには再発のリスクがあります。 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によれば、症状の有無にかかわらず、手術を受けた患者の23.1%(25/108)が、2年後に再発していたとのこと。 もちろん、ヘルニアを発症した場所によって再発率は異なりますが、どの場所でも再発リスクがあるのは同じです。 再発すると、また保存療法などに取り組むので、日常生活や仕事での活動が制限されるでしょう。 また再手術が必要でも、以前の手術の影響で難易度が高くなり、実施できない、できても十分な効果が得られないなどの問題が生じます。 脊髄神経に関する後遺症 また、脊髄神経の損傷による後遺症が出るかもしれません。 椎間板ヘルニアを発症した際、脊髄神経に不可逆的な損傷が起こる可能性があります。 その場合、損傷した部位は元どおりにはなりません。 さらに手術の際に脊髄神経を傷つけてしまい、元どおりにならない、もしくはもとに戻るまで相当な時間を要する損傷が残ることもあります。 後遺症が残った場合、以下の症状が長く続く可能性があります。 下半身などの麻痺 感覚の鈍麻 患部を中心とした痛みや痺れ 背骨の変形 姿勢を保つための筋肉の硬直 排尿困難 後遺症を残さないためには、適切な治療や再発防止に取り組むのが重要です。 \まずは当院にお問い合わせください/ 再生医療による椎間板ヘルニアおよび後遺症の治療 再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療のことです。 とくに注目されているのが、幹細胞を利用した再生医療です。 人間の体にある細胞は体細胞と生殖細胞に分けられます。 体細胞は心臓や肺などの各臓器を構成する一般的な細胞で、生殖細胞は精子や卵子のように遺伝情報を伝えることのできる細胞です。 この2つの細胞の元となるのが幹細胞で、その他の細胞と異なり自己複製能と多分化能をもちます。 この2つの能力が再生医療に応用されています。 脊髄腔内 幹細胞療法 椎間板ヘルニアに対しては、脊髄腔内幹細胞療法が有力視されています。 これは幹細胞を直接脊髄に投与するものです。 損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させるのを目的とします。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、点滴による血管への幹細胞の投与もおこなわれています。 それと比較し、脊髄腔内幹細胞療法では脊髄に直接投与するため、幹細胞が届きやすく、高い効果が期待できるでしょう。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、血管内に点滴で幹細胞を投与するその治療と比較すると脊髄に直接投与するため、損傷している神経に行き届く幹細胞が多くなります。 その結果、損傷した神経の再生効果を高められます。 従来の対症療法に過ぎなかった治療法と異なり、脊髄腔内幹細胞療法は根本的な治療法になりえると考えられます。 また後遺症が残っている場合でも、再生医療による治療法を用いれば改善できるかもしれません。 まとめ・椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法に関してお話しました。 再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法は、上述のように症状を根本的に改善させる可能性があるため、期待されている治療法です。 ▶椎間板ヘルニア術後の後遺症に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度この治療法に関して検討してはいかかでしょうか。 お困りの方はぜひ一度ご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 腰椎椎間板ヘルニアガイドライン2021年版
2023.11.16 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
腰椎椎間板ヘルニアの症状に悩まされた経験がある方は、このような不安や疑問があるかもしれません。 「腰椎椎間板ヘルニアが再発しないか不安……」 「腰のヘルニアの再発を予防する方法はないの?」 不良姿勢や腰に負担のかかる動作を繰り返すことで起こる腰椎椎間板ヘルニアは、手術で症状が改善しても再発する可能性があります。再発を予防するには、正しい姿勢を保つために身体の柔軟性を保ち、腰に負担をかけないことが重要です。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの再発予防に大切なストレッチの方法を5つ紹介します。自宅で簡単にできる方法なので、ぜひ参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ5選【悪化・再発防止】 背骨は部位によって以下に分かれており、それぞれ連動して動いています。 腰椎(腰の位置の背骨) 胸椎(胸の位置の背骨) 頸椎(首の位置の背骨) そして腰椎の下には骨盤があり、背骨の動きは股関節にも大きく関係しています。 たとえば、股関節が固くなって十分に曲がらなくなると、腰椎がその分の動きを補おうとするのです。腰椎が過剰に曲がると椎間板へのストレスが強まるため、ヘルニアのリスクを高めてしまいます。 このように、腰椎にかかるストレスを減らすには、背骨や股関節の柔軟性を高めることが重要です。ここでは、腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチをご紹介します。 前提として、自己判断でのストレッチは症状を悪化させる恐れがあるので、心配な方は医師に相談してから行いましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 1.股関節のストレッチ まずは股関節を曲げるストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝る 2. 右足を両手で抱えて、できる限り胸に近づけ股関節を曲げる 3. できるだけ股関節を曲げた状態を30秒キープする 4. 左足も同様に行う 股関節を深く曲げると腰椎も連動して動くため、痛みが出ない範囲で行いましょう。 2.ハムストリングスのストレッチ 太ももの裏側には、ハムストリングスと呼ばれる筋肉がついています。 ハムストリングスが固くなると股関節や骨盤がスムーズに動かなくなるため、腰椎に負担がかかりやすくなります。 ここでは、ハムストリングスのストレッチ方法についてみていきましょう。 1. あお向けに寝る 2. 膝をできるだけ伸ばした状態で右足を抱えてお腹に近づける 3. 太ももの裏が伸びるのを感じた状態で30秒キープする 4. 左足も同様に行う 足を抱えにくいときは、バスタオルを足の裏に引っ掛けて行うとストレッチしやすいです。 3.背骨を反らすストレッチ 背骨を連動させてスムーズに動かすために、ここでは背中全体をゆっくり反らすストレッチをご紹介します。 1. うつ伏せに寝る 2. 両手をつけて身体をゆっくり起こす 3. 首、背中、腰と順番に反るようなイメージで、できる限り反らした状態を30秒キープする 痛みの出ない範囲でゆっくりストレッチをしましょう。 4.背骨をひねるストレッチ 背骨は曲げ伸ばしだけでなく、回旋する動きも必要です。ここでは、背骨をスムーズに回旋するためのストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝て両膝を立てる 2. 両膝をゆっくり右に倒す 3. 倒しきった状態で30秒キープする 4. 左も同様に行う 勢いよく倒すと腰に負担がかかるので、ゆっくり行うのがポイントです。 5.胸椎のストレッチ 胸椎の動きが制限されると、その分腰椎の負担が増え、ストレスがかかりやすくなります。ここでは、胸椎の柔軟性を高めるストレッチをご紹介します。 1. 左半身を下にして横向きに寝る(両膝は軽く曲げた状態にする) 2. 両手を「前ならえ」のようにまっすぐ伸ばした状態で手を合わせる 3. 胸を開くように右手をゆっくり動かす 4. 右手の動きに合わせて顔も右へ回旋させて30秒キープする 5. 左側も同様に行う 胸を開いたときに床に手がつかなくても良いので、痛みのない範囲で動かしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にストレッチがおすすめな理由 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防として、なぜストレッチがおすすめなのでしょうか。 ここでは、ストレッチがおすすめといわれる理由について解説します。再発の原因や再発率についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアは改善後も再発の危険性があるから【再発率は術後2年で23%】 腰椎椎間板ヘルニアは、たとえ改善しても再発の恐れがあるため、その予防策としてストレッチが重要視されています。 腰椎椎間板ヘルニアの原因は、重量物の持ち上げやスポーツなどで、腰椎やその間にある椎間板(クッションのような役割がある組織)に繰り返し負担がかかることです。 治療によって症状が改善されたとしても、腰椎や椎間板の負担を減らさないと再発のリスクが残ります。腰椎椎間板ヘルニアの手術後の再発率は、術後2年で23%程度とされています。手術後も 痛みが続いていたり、術前のような症状が現れたりした場合は、再発の前兆の可能性があり注意が必要です。 このように、治療後のヘルニアの再発を防ぐためには、ストレッチを継続して腰の負担を軽減する必要があるのです。 胸椎椎間板ヘルニアの治療方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。 ストレッチにより腰椎の過剰な運動を防げるから ストレッチによって筋肉の柔軟性が高まれば、腰椎のストレス軽減につながります。背骨や股関節が固くなると、腰椎が過剰に働いてしまい、椎間板にかかる負担が増加します。 腰椎の正常な運動を保つためには、ストレッチによって背骨や股関節の柔軟性を改善させることが大切です。腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法をもっと知りたい方は、ぜひこちらも記事も参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチ 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチを行う際は、腰を大きく丸めるような動作は避けましょう。 腰を過剰に丸めるような動作は椎間板にストレスがかかりやすく、ヘルニアの症状を悪化させる原因となります。 腰まわりの筋肉にも負担がかかりやすいので、ストレッチの際はできるだけ腰椎を曲げすぎないように心がけてください。 まとめ|腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のストレッチは無理のない範囲でコツコツ続けよう 腰椎椎間板ヘルニアが改善したからといって、発症前と同じように生活していると再発の恐れがあります。 再発予防のためには、ストレッチを継続して背骨や股関節の柔軟性を保つことが大切です。ストレッチは1つの種目からでも良いので、できるだけ毎日取り組むようにしましょう。 また再発の前兆がある場合は、まずは整形外科を受診し、状態の確認を優先してください。 そして、どの程度の運動やストレッチをして良いのかなどを確認すると良いでしょう。ぜひ本記事を参考にして、腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防し、腰痛のない元気で健康な生活を送りましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp256-259. 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」 Mindsガイドラインライブラリ 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp417-426.
2023.11.13 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「ブロック注射って効果ある?」「効果はどのくらい持続する?」 ブロック注射には神経の痛みの緩和、炎症の抑制、血流改善といった効果があります。 しかし、具体的な持続効果や副作用について気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、ブロック注射の3つの効果と持続時間について医師が徹底解説いたします。 辛い痛みの改善に向けて、ブロック注射を検討している方はぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、腰椎椎間板ヘルニアなどの症状を和らげるブロック注射を行っております。 辛い症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ブロック注射の3つの効果 ブロック注射は、痛みを緩和する治療法です。 単に痛みを和らげるだけでなく、痛みの原因に働きかける効果があります。 具体的な効果は以下の3つです。 神経の痛みを直接和らげる 炎症を抑えて痛みを和らげる 血流改善で自然治癒力を高める ここでは、ブロック注射の主な3つの効果について、詳しく解説していきます。 それぞれがどのように作用し、痛みを和らげるのか参考にしてください。 神経の痛みを直接和らげる ブロック注射の効果のひとつは、神経の痛みを直接和らげることです。 注射により、痛みの信号を脳に伝える神経を遮断し、一時的に痛みを感じにくくします。 そのため、腰痛や神経痛がひどい方は効果が強く実感できることが多いでしょう。 ただし、効果の強さや感じ方には個人差がありますので、施術前に医師と十分に相談するのがおすすめです。 炎症を抑えて痛みを和らげる ブロック注射は、炎症を抑えて痛みを軽減する効果も期待できます。 炎症によって周辺組織が刺激を受けて、痛みを感じている場合にとくに有効です。 また、腰や肩の慢性的な痛みだけでなく、一時的な炎症に対しても適応されることがあります。 ブロック注射によって炎症が抑えられることで、日常生活の負担も軽減されるでしょう。 血流改善で自然治癒力を高める ブロック注射には血流を改善し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 血流が悪い状態が続くと、組織が酸素不足になり痛みが長引く原因になります。 しかし、注射によって血流が良くなれば、組織の回復が促されて痛みも軽減されやすくなるでしょう。 このようなメカニズムから、ブロック注射はとくに冷えやすい部位の痛みに対して効果を実感しやすいといえます。 ブロック注射の効果はいつまで続く? ブロック注射は、効果の持続時間に個人差があります。 注射の種類や症状によっても異なり、効果がすぐに現れることもあれば、数日後に感じる場合もあるでしょう。 本章では、即効性や効果の長さ、複数回の施術による違いについて詳しく解説します。 治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。 即効性はあるが個人差がある ブロック注射は即効性が期待できる治療法です。 注射後すぐに痛みが軽減されるケースが多く、おもに急性の痛みに有効とされています。 しかし、効果が現れるスピードや強さには個人差があります。 体質や症状によっては効果を感じにくい場合もあるため、即効性には個人差がある点を認識しておきましょう。 持続期間の目安は数時間から数週間 ブロック注射の効果が続く時間は個人差があるため、数時間の方もいれば数週間にわたり継続するケースもあります。 一般的に数時間から数週間です。 たとえば、一時的な痛みの軽減が目的の場合、効果は数日程度で薄れることがあります。 一方、炎症の抑制や神経の回復を促すことで、数週間効果が続くケースも少なくありません。 あくまで目安ですが、症状や体質によって効果の持続期間は変わる点を理解しておきましょう。 慢性痛は複数回の施術で効果が長続きする 慢性的な痛みには、ブロック注射を繰り返し行うことによって効果の持続が期待できます。 1回の注射だけでは効果が一時的なケースも多いため、定期的に施術を行うのが一般的です。 繰り返し行うことで痛みが軽減され、日常生活の質が向上するケースもあります。 慢性痛に悩んでいる方は、主治医と治療計画をしっかりと立ててブロック注射治療も取り入れていきましょう。(文献1) ブロック注射の種類と効果の違い ブロック注射と一言で言っても実はさまざまな種類があり、以下の表のとおり期待できる効果や特徴が異なります。(文献2) ブロック注射の種類 詳細 神経ブロック注射 痛みの原因となる神経を直接ブロックする注射 硬膜外ブロック注射 脊髄周辺に薬剤を注入し、広範囲の痛みを抑える 星状神経節ブロック注射 自律神経を整え、血流改善や痛みの軽減を促す注射 トリガーポイント注射 筋肉のコリや緊張を緩和し、痛みを和らげる注射 代表的な4つのブロック注射の種類と、それぞれの効果の違いについて詳しく解説していきます。 また、腰部脊柱管狭窄の治療としてブロック注射を用いることもあります。腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方は、以下の記事をチェックしてみてください。 神経ブロック注射 神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経の近くに直接麻酔薬を注射する方法です。 神経の興奮を抑え、痛みの信号が脳に伝わるのをブロックするため、痛みを素早く和らげる効果が期待できます。 たとえば、坐骨神経痛や帯状疱疹後神経痛など、特定の神経が原因の痛みに有効です。 また、痛みの原因を特定するための検査としても活用されています。 硬膜外ブロック注射 硬膜外ブロック注射は、脊髄を包む「硬膜外腔」という部分に薬剤を注入し痛みを抑える方法です。 主に腰痛や坐骨神経痛など、広範囲の痛みや慢性痛に効果的です。 また、硬膜外腔に薬が広がることで、神経の圧迫や炎症を和らげます。 硬膜外ブロック注射は比較的広い範囲に効果を発揮するため、日常生活の負担軽減が期待できるでしょう。 星状神経節ブロック注射 星状神経節ブロック注射は、首にある星状神経節に薬剤を注入し自律神経を整える方法です。 血流を改善し、痛みの軽減や冷え性の改善にも効果が期待されます。 とくに、顔や腕、肩周辺の痛みや自律神経の不調に用いられるケースが多いです。 星状神経節ブロック注射は、冷えやすい部位の痛みに悩む方には、効果を実感しやすいでしょう。 トリガーポイント注射 トリガーポイント注射は、筋肉のコリやしこり(トリガーポイント)に薬剤を注入する治療法です。 筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで痛みを和らげます。 肩こりや腰痛、筋肉疲労に伴う痛みに効果があるため、比較的軽度の痛みにも適応されます。 トリガーポイント注射は、痛みの原因が筋肉にある方には、非常に有効な選択肢といえるでしょう。 ブロック注射の副作用とリスク5選 ブロック注射は、痛みを和らげる効果が期待できる一方で、副作用やリスクも伴います。 安心して治療を受けるためにも、主に以下の5つのリスクを理解しておきましょう。 注射部位の痛みや腫れ 感染症のリスク 神経損傷のリスク アレルギー反応 しびれや麻 本章では、ブロック注射で起こりうる副作用とリスクについて詳しく解説していきます。 注射部位の痛みや腫れ ブロック注射後には、注射した部位に痛みや腫れが生じる可能性があります。 これは注射針による刺激や、注入した薬剤に対する反応と考えられますが、通常は数日から1週間程度で自然に治まることが多いでしょう。 しかし、痛みが強かったり、腫れが引かない場合は医療機関を受診するようにしてください。 また、注射部位は清潔に保ち、触りすぎないように注意しましょう。 感染症のリスク ブロック注射は、皮膚に針を刺すため、細菌が侵入することで感染症のリスクも伴います。 感染症を防ぐためのポイントは、注射部位を消毒したり、清潔な状態を保つことです。 もし、注射後に発熱や強い痛み、赤みなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。 神経損傷のリスク ブロック注射は、注射針が神経に直接触れてしまう可能性があるため、まれに神経損傷を引き起こすリスクもゼロではありません。 神経損傷が起こると、しびれや麻痺、痛みなどが生じることも考えられます。 通常は一時的なものですが、まれに神経損傷の症状が残ってしまう場合もあります。 そのため、ブロック注射を受ける際は、神経の構造を熟知した医師を選ぶのがおすすめです。 アレルギー反応 ブロック注射では「発疹・かゆみ・呼吸困難」など、アレルギー反応を起こす場合があります。 そのため、過去に薬でアレルギーを起こした経験がある方は、事前に医師に伝えておきましょう。 また、注射後に体調が悪くなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。 適切な処置をすることで症状の悪化を防げます。 しびれや麻痺 ブロック注射後、一時的にしびれや麻痺を感じる場合があります。 これは、注射した麻酔薬が神経に作用することで起こる症状です。 麻酔薬の効果が切れるにつれて症状は自然に改善しますが、症状が長く続く場合や日常生活に支障が出る場合は、医師に相談しましょう。 また、注射後に車の運転など、危険を伴う行為は避けるようにしてください。(文献3) まとめ|ブロック注射の効果は個人差あり!治療時は主治医に相談しよう ブロック注射は、痛みを和らげるための有効な治療法の一つですが、効果の現れ方や持続時間には個人差があります。 また、副作用やリスクも伴うため、治療を受ける際には医師と十分に相談することが大切です。 症状や体質に合わせて、適切な治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアの症状には再生医療による治療も行っております。 お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ブロック注射の効果に関するよくある質問 腰椎椎間板ヘルニアの治療にも効果的ですか? 腰椎椎間板ヘルニアの治療にブロック注射は効果的な場合があります。 理由として、ヘルニアによって圧迫された神経の炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できるためです。 ただし、ブロック注射は根本的な治療ではなく、あくまで痛みをコントロールする治療法です。 そのため、症状によっては手術やリハビリテーションなど、他の治療法と併用する必要があるでしょう。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状や治療法については以下の記事でも詳しく解説しています。 頸椎椎間板ヘルニアでブロック注射を受けるべきか悩んでいる方は参考にしていただければ幸いです。 ブロック注射はめちゃくちゃ痛いって本当ですか? ブロック注射の痛みについては、個人差が大きいのが現状です。 注射する部位や使用する針の太さによっても感じ方が異なるでしょう。 もし、痛みに不安がある場合は、事前に医師に相談してみてください。 ブロック注射が効かない人はいますか? ブロック注射は、すべての人に効果があるとは限りません。 痛みの原因や体の状態によっては、効果を感じにくい場合があるためです。 たとえば、神経の損傷がひどい場合や、痛みが慢性化しているケースでは、ブロック注射の効果が限定的になる可能性があります。 そのため、ブロック注射で効果が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があるでしょう。 医師と相談しながら、適切な治療法を見つけてください。 ブロック注射による効果や副作用に関して不安な方は、当院「リペアセルクリニック」の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック 文献2 クリニックマガジン_主なブロック注射と適応症などの内規 文献3 一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)_疼痛治療剤(局所注射用)
2023.11.09 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「最近前屈で腰が痛い」「なんとなく足がしびれる気がする」そんなときにインターネットで検索すると、ヘルニアの可能性があると目にするかもしれません。 「今出ている症状がヘルニアなのかセルフチェックできる?」「病院に行った方がいいのかな?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、腰の痛みや足のしびれはヘルニアの初期症状の可能性があります。 放置すると症状が悪化し、治療が長引くリスクもあるため、早めに整形外科を受診しましょう。 本記事ではヘルニアの初期症状について詳しく解説するほか、自分でチェックする方法や対処方法までご紹介します。 「ヘルニアの初期症状かもしれない」と悩んでいる人は、ぜひ最後までチェックしてください。 ヘルニアの初期症状は主に「腰の痛み」と「足のしびれ」 ヘルニアの初期症状は、主に「腰の痛み」と「足のしびれ」です。 ヘルニアは腰の骨である「腰椎」の間にある「椎間板」が変性(もろく変化すること)して起きる疾患で、椎間板の中にある髄核(ずいかく:椎間板の中心にあるゼリー状の組織)が神経を圧迫するために痛みやしびれを生じます。 このとき神経は圧迫を受けているだけでまだ損傷までは至っていないため、初期症状では腰や足に広がる軽い痛み・しびれが特徴です。もし放置して神経が損傷した場合には、筋力低下や感覚の麻痺といった症状がみられるでしょう。 なお、ヘルニアについて詳しくは以下の記事で解説しています。興味がある人はぜひこちらもご覧ください。 ヘルニアの初期症状はとくに前屈みや中腰姿勢で生じやすい ヘルニアの初期症状は、とくに前屈や中腰姿勢で感じやすいため注意してください。 ヘルニアは前述のとおり椎間板がもろく変化して生じる疾患です。椎間板が変性すると中にある髄核(ずいかく:椎間板の中心にあるゼリー状の組織)の周囲がもろくなってしまい、後ろに押し出されやすくなります。椎間板の後ろには神経が通っていて、押し出された髄核によって神経が圧迫されるために痛み・しびれを感じるのがヘルニアです。 この髄核の後方への突出は、腰を屈める動きでより強くなります。そのため、前屈や中腰姿勢では通常の姿勢よりも髄核が後ろに押し出されやすくなるので、痛みやしびれを感じやすくなるでしょう。 症状が進行すると強い痛みや筋力低下がみられる ヘルニアを放置しておくと、神経が椎間板内の髄核に強く圧迫され、損傷してしまうことがあります。 神経が損傷した結果、みられる症状は以下のとおりです。 腰の強い痛み 足の筋力低下 お尻から足にかけての痺れ 腰から下の感覚が鈍くなる 尿や便のコントロールができなくなる これらの症状はヘルニアが重症化したときに生じます。 ヘルニアがきっかけで坐骨神経痛などの坐骨神経症状も強くなり、日常生活に支障が出るケースも多いため注意が必要です。 なお、坐骨神経症状については以下の記事で詳しくまとめているため、こちらもチェックしてみてください。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」で実施している再生医療はヘルニアにも効果が期待できる治療法です。 ヘルニアの辛い症状にお悩みの方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【セルフチェック】ヘルニアの初期症状が出る動作一覧 ヘルニアで腰の椎間板に負担がかかると、痛みやしびれなどの症状が出る場合があります。 ヘルニアの初期症状が出やすくなる動作は以下のとおりです。 歯磨き・顔洗いなどでの前屈み 座りっぱなし・立ちっぱなし 寝返り 重たいものを持ち上げる 咳・くしゃみ 上記の動作で腰の痛みや足のしびれを感じた場合、ヘルニアの初期症状である可能性があります。 また、強い痛みや脱力感があり、立つことや座ること、物を持ち上げられないといった場合には、ヘルニアが進行しているかもしれないため早めに受診しましょう。 ヘルニアの初期症状がみられたら早めに整形外科を受診しよう 前屈みや座りっぱなし、立ちっぱなしなどの動作で痛みがあり「ヘルニアかも?」と感じたら、早めに整形外科への受診をおすすめします。 早めに受診すればヘルニアが重症化する前に治療を受けられるため、症状が緩和する可能性が高くなるでしょう。また、早い段階で痛みが緩和されれば日常生活も楽になり、生活の質が向上します。 ヘルニアの症状悪化を予防するためには、適切な方法で運動したり、避けるべき動作を実践したりすることが大切です。そのためにも、早めに整形外科を受診して医師や理学療法士の指導を受けてください。 ヘルニアの初期症状に効果的な治療法2選 ヘルニアの初期症状に対しては、以下の2つが効果的といわれています。 ストレッチや筋トレ 内服や注射 これらの治療を、医師や理学療法士の指導を受けて適切におこなっていくことが重要です。 インターネットで検索するとさまざまな治療法が紹介されていますが、その情報がすべての人に当てはまるとは限りません。 患者さんそれぞれに合わせた治療をしていくために、必ず医師や理学療法士のアドバイスを実践しましょう。 体幹や股関節の筋トレ・ストレッチ ヘルニアの初期症状には、体幹や股関節の筋トレ・ストレッチが有効です。 体幹を鍛えると腰椎の支えが強くなり、椎間板への負担が軽減されます。 また、股関節は腰椎のすぐ下にある関節であるため、柔軟性を高めることで腰椎の動きを助ける効果があります。ストレッチを行えば腰椎や椎間板の負担が軽減され、ヘルニアの症状の軽減につながるでしょう。 ヘルニアに効果的な筋トレやストレッチの方法は以下の記事で解説しています。ヘルニアの初期症状でお困りの人はぜひご覧ください。 痛み止めの内服や注射 ヘルニアには痛み止めの飲み薬や注射も有効です。 椎間板が神経を圧迫し炎症が起きている場合は、炎症止めや神経症状を抑える薬を内服することで痛みを軽減できる可能性があります。 また、ヘルニアの症状には、麻酔で神経の働きを抑える「ブロック注射」も有効とされています。 ブロック注射は以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひこちらもチェックしてください。 ヘルニアを悪化させないための注意点 ヘルニアを悪化させないためには、椎間板への負担をかけないことが大切です。 具体的には、椎間板に大きな負担がかかる動作を避けることと、寝方を工夫すると良いでしょう。 以下に挙げる動作は椎間板へ大きな負担がかかるため、注意してください。 重量物を持ち上げる 繰り返し腰を捻る 長時間座り続けたり中腰を続けたりする また、夜の寝方にも注意が必要です。横向きに寝ていると、くの字に丸まってしまい、椎間板への負担が大きくなります。 仰向けで腰の下にタオルを入れるなど、腰が丸くならないようにすると良いでしょう。 まとめ|初期症状を察知してヘルニアの悪化を防ごう ヘルニアの初期段階では、腰の痛みや足のしびれといった症状を感じることがあります。椎間板の負担が大きくなったときに痛みが出やすいのが特徴です。 放置して重症になると、痛みが強くなったり、筋力低下や感覚の麻痺が起こったりすることがあります。 ヘルニアの疑いがある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では自己の幹細胞を用いた再生医療に取り組んでいます。 ヘルニアによって傷ついた神経の修復にも効果が期待できるため、気になる人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ ヘルニアについてよくある質問 ヘルニアの初期症状はどんな症状ですか? 腰の痛みや足のしびれといった症状が出ることが多くあります。腰の骨(腰椎)の間にある椎間板の中の髄核が後ろに飛び出し、神経を圧迫するために生じる症状です。 ヘルニアでは病院を受診した方が良いですか? 痛みやしびれなどの症状が続く場合は受診しましょう。 ヘルニアは症状が進行すると痛みが強くなるほか、筋力低下や感覚麻痺といった症状が出てくる可能性があります。 ヘルニアの初期段階で受診すれば、早めに治療を開始できるため、重症化を防ぎやすくなります。
2023.11.06