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- 脊椎、その他疾患
ご自身あるいは家族が側弯症と診断された方の中には「なぜ側弯症になったのか?」と疑問をもつ方もいることでしょう。 側弯症は思春期に多く発症する疾患で、発症する原因は現時点で完全には特定されていません。しかし、先天性異常や遺伝的要因が影響していると考えられています。 本記事では、側弯症の原因や発症リスクに関する最新の知見をわかりやすく解説します。治療の選択肢も紹介しているので、治療方針の検討にお役立てください。 【基礎知識】側弯症とは? 側弯症とは、文字通り、背骨が横側に弯曲する病気です。多くは思春期に診断されますが、大人になって発症するケースもあります。 ごく軽度の側弯症の場合は、経過観察で問題ありません。しかし、弯曲の角度が大きいと装具の着用や手術が必要となってきます。 側弯症の原因|姿勢や遺伝との関連性 側弯症は、原因が特定されていません。ただし、家族内で発症するケースがあるため、遺伝的要因が関係している可能性が考えられています。 原因がわからない側弯症は、特発性側弯症と呼ばれています。特発性側弯症の特徴を以下にまとめました。 年齢:一般的に思春期に始まる 性別:女児に多くみられる 進行リスク:女児の方が側弯が悪化し、治療を必要とするリスクが高い 家族歴:家族に遺伝する可能性がある(全く家族歴がない場合もある) そのほか、脳性麻痺や筋ジストロフィーなどの特定の神経筋疾患、脊椎の骨の発育に影響を及ぼす先天性異常、乳児期に胸壁の手術を受けたことなどが影響する場合もあります。 側弯症の症状 側弯症の症状には、以下のようなものがあります。 肩の位置が左右で異なる 腰の位置が異なる 片方の肩甲骨が飛び出して見える 胸郭の片側が前に突き出ている 前屈みになったとき背中の片側が隆起する 進行すると胸郭が肺に圧迫され、呼吸が困難になる場合があります。また、体の中心が片方へ傾いてしまうため、運動や生活に支障をきたすケースも珍しくありません。 適切に治療されていないと、慢性的な背中の痛みを抱えやすくなるため、早期発見・早期治療が大事になってきます。 側弯症の治し方 ここでは、側弯症の治し方について解説します。側弯症の代表的な治療方法は以下の3つです。 装具の着用 外科手術 ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善 弯曲の重症度によって治療法が異なるので、医師と相談の上で最適な方法を選択しましょう。 装具の着用 骨がまだ成長過程で側弯症が中程度の場合、装具(主にコルセット)の着用が検討されます。 装具をつけても側弯症が完全に治るわけではありませんが、弯曲の進行を防ぐ効果があります。 一般的な装具はプラスチック製で、胴体にぴったり合うように作られます。腕の下や胸の周り、腰にフィットするため、服を着ればほとんど目立ちません。 装着時間は症例により異なるため、医師の指示に従って装着することが重要です。 装具をつけていても、普段の生活に大きな支障はありません。スポーツや運動に参加する際は、必要に応じて装具を外せる場合もあります。 装具の使用は、身長の伸びが止まるまで続けます。 外科手術 重度の側弯症は、時間がたつにつれて悪化しやすいため、手術の選択が視野に入ってきます。手術の治療目的は、背骨の歪みを矯正し、進行を防ぐことです。 一般的な手術方法は「脊椎固定術」です。この方法では、背骨のいくつかの骨(椎骨)をつなぎ合わせて、それ以上の進行を防ぎます。 成長期に急速に進行しているときは「ロッド」と呼ばれる矯正器具を背骨に沿って取り付ける手術をする場合もあります。ロッドは長さを変えられ、成長に合わせて定期的に調節可能です。 なお手術にはリスクもあります。具体的には、手術部位による感染症や、周辺神経の損傷などです。 手術の必要性やリスクについては、専門医とよく相談した上で判断する姿勢が大切です。 脊髄損傷の治療においては「再生医療」も選択肢として挙げられます。近年、研究が進み幹細胞を使った再生医療により脊髄損傷の後遺症が回復した症例が数多く報告されています。 「再生医療で脊髄損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善 体のバランスが崩れると、筋肉への負担が増し、姿勢を維持するために余計な力が入りやすくなります。 そこで効果的なケアが、ストレッチ・エクササイズ・姿勢の改善です。 それぞれのケア方法と期待される効果を以下の表にまとめました。 <td">姿勢の改善 ケア方法 期待される効果 ストレッチ 筋肉の緊張を和らげる エクササイズ (筋力トレーニングやフィットネス、体操など) 適切な運動で体幹を強化できる 姿勢の改善 正しい姿勢の維持で症状改善が期待できる 医師に相談のもと、無理のない範囲でケアを行い症状の改善を目指しましょう。 まとめ|側弯症の原因を知って理解を深めながら治療を進めよう 側弯症は、背骨が横側に弯曲する病気です。主に思春期に診断されることが多い病気です。 原因が特定されていない特発性側弯症が最も一般的で、家族歴や性別、年齢が関連している場合があります。 早い段階で発見し、適切に治療すれば、症状の進行を抑制できる可能性が高くなります。 専門医との相談のもと適切な治療を進めながら、日常生活での姿勢や運動習慣にも気を配り、改善を目指していきましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 側弯症に関するよくある質問 大人で側弯症を発症するケースはありますか? 側弯症は、思春期の子どもに多い疾患ですが、大人になって急に発症し、進行が始まるケースもあります。 大人になって側弯症を発症する原因は主に以下の2つです。 子どもの頃に発症した側弯症が老化により進行した 中高年になって加齢により急速に症状が進んだ 大人の側弯症の代表的な症状は、腰痛と下半身に出る神経痛です。側弯症の疑いがあれば、早めに専門医へ受診をしましょう。 側弯症は寿命に影響しますか? 側弯症自体が、直接的に寿命を縮めることはありません。 しかし、側弯が進行し、背骨の歪みが大きくなると心臓や肺を圧迫し、呼吸機能に悪影響を与えるケースがあります。 その結果、平均寿命が短くなるリスクが高まります。
2022.08.08 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「坐骨神経痛でやってはいけないことは?」 「坐骨神経痛を和らげる方法は?」 坐骨神経痛の痛みは、慢性的な背骨への刺激によってできた骨の棘を始め、椎間板ヘルニアが腰の脊髄神経根を圧迫して背中や足、臀部に耐え難い不快感をもたらします。 坐骨神経痛に悩んでおられる方は内服薬に始まり、理学療法、硬膜外注射など、痛みを止めるためにあらゆる方法を試されているかもしれません。 しかし、日常的によくとりがちな行動が、症状を悪化させてしまう場合があるのです。 この記事では、坐骨神経痛に悩まれている方が「やってはいけないこと9つ」をご紹介します。最後まで読んでいただければ、日常生活での注意点を理解できるはずです。 坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)でやってはいけないこと9つ 坐骨神経痛になったときは、無理に負担をかける動作をしないのが大切です。 日常生活で気をつけたいポイントを知るためにも、坐骨神経痛でやってはいけないことを9つ解説します。 ただし、人によって坐骨神経痛の症状などの度合いは変わります。必ずかかりつけの医師に相談しながら、日常生活の注意点に配慮してみてください。 重いものを持ち上げない 長時間の座りっぱなしは良くない ハムストリングスのストレッチをしない 前かがみにならない 間違ったサイズの椅子に座らない 背骨をねじりすぎない 柔らかすぎるマットレスで寝ない 体を冷やしすぎない 太ってはいけない 重いものを持ち上げない 坐骨神経痛の急性期は、たとえ数kgであっても、荷物などを持ち上げるのは控えましょう。 体に負担がかかるので、坐骨神経痛を悪化させる場合があります。 なるべく荷物を持ち上げないのが大切ですが、どうしても持ち上げが必要なときは、無理のない範囲で、以下の流れを参考にしてみてください。 【腰への負担を減らす荷物などの持ち上げ方】 足を肩幅に開き、持ち上げる物の近くに立つ 頭、背中、お尻を直線にする意識で膝を曲げてしゃがむ 臀部と腹部の筋肉を引き締める しゃがんだ状態から、物をできるだけ体の近くで持つ 頭、背中、お尻を直線にする意識で、足の筋力で持ち上げる 持ち上げるときに左右の手を使いながら、体から遠い位置にある物を持ち上げないようにするのがポイントです。 上記のような持ち上げ方をすると、腰にかかる負荷を抑えやすくなります。 長時間の座りっぱなしは良くない 長時間座っていると、腰に負担がかかるのでなるべく避けましょう。 たとえば、オフィスであれば20~30分ほど経ったら、立ち上がって少し歩いてから座り直します。 長時間乗り物に乗るときは、坐骨神経痛の痛みを避けるためにも、適度に体を動かすのを目的にして、こまめに休憩を取りましょう。 また、座るときは前屈みにならないようにするのがコツです。柔らかいソファーに座ると、腰に負担がかかるのでなるべく避けるようにします。 以下で、腰への負担を減らすときのポイントをまとめているので、参考にしてみてください。 【腰に負担をかけない座り方】 深く腰かける 背筋を伸ばす 頭や肩を後ろに引くイメージで猫背にならない 足を組まない 同じ姿勢を続けない 急な動きを行わない 他に気をつけたい点として、一日のなかで座る時間が長いと、腰や背中の筋肉が硬直してしまい、運動能力が低下します。 数時間おきに休憩を入れて、しっかりと歩き回りながら、背筋を伸ばしましょう。 座りっぱなしをやめて体を適度に動かせると、負担を減らしながら症状を乗り越える力を蓄えられるはずです。 ハムストリングスのストレッチをしない ハムストリングスとは、太ももの内側の半腱様筋、半膜様筋、外側にある大腿二頭筋からなる3つの筋肉の総称です。 ふくらはぎの筋肉であるハムストリングのストレッチをすると、坐骨神経痛が悪化する可能性があるので注意が必要です。 たとえば、準備運動などの一環でよく行われる動作になります。ただ、ハムストリングを伸ばすと、坐骨神経に刺激を加えてしまい、痛みを増強させる場合があります。 そのため、坐骨神経痛の痛みがあるときは、全身の筋肉を温めるウォーキングや、水の浮力を使って背中に体重をかけない水泳を試してみてください。 前かがみにならない 前かがみの姿勢で物を取ろうとすると、背骨にかかる力が増えてしまいます。 さらに、持ち上げようとしている物の重さが組み合わさると靭帯、骨、椎間板に負荷がかかり、坐骨神経痛が悪化する可能性があります。 前かがみの動作をするときの対処法として、まずは背骨をまっすぐにして、そのままの姿勢で膝を曲げて腰を落とすのがポイントです。 たとえば、以下のようなシチュエーションがあげられます。 地面に落ちている物を拾うとき 洗濯機から洗濯物を出し入れするとき など また、日常生活の家事では、洗濯機から洗濯物を取り出すときなどは、一気にまとめて行わずに少しずつ行うのが大切です。 腰に負担がかかるのを避けるために、家事などにおいても、重い物の持ち運びを避けてみてください。 間違ったサイズの椅子に座らない 座り心地の悪い椅子は、腰椎(ようつい)を支えきれず、坐骨神経痛の症状を悪化させる可能性があります。逆に沈み込み過ぎるような椅子も避けたいものです。 坐骨神経痛のときにおすすめの椅子は、背骨を伸ばしたままでニュートラルな姿勢を保てるような、人間工学に基づいた椅子があげられます。 股関節と膝の角度が90度の状態で、足の裏を床にフラットにつけて座っていられる椅子が良いでしょう。 背骨をねじりすぎない 背骨をひねる動作を始め、前屈(上半身を前に曲げる動作)や側屈(上半身を左右に曲げる動作)など、他の動作を組み合わせると、腰の痛みを悪化させる場合があります。 たとえば、冬の期間なら雪かきの動作や、間違った方法で物を持ち上げるといった内容があげられます。 重いものを持ち上げないの項目でも説明したように、まずは腰に負担をかけない物の持ち上げ方を学ぶのが大切です。 あわせて体幹のコアマッスルを強化するエクササイズを行い、柔軟性や可動域を向上させましょう。 また、怪我を防ぐために運動や活動をする前は、無理のない範囲でストレッチを行ってみてください。 柔らかすぎるマットレスで寝ない 柔らかいマットレスも腰に負担がかかるため、ある程度硬いマットレスのほうが良いでしょう。 マットレス以外の注意点として、ベッドで仰向けになると腰に負担がかかります。ベッドで休むときは横向きになるのがおすすめです。 また、ベッドから立ち上がるときは、ゆっくりと起き上がるだけでなく、腰に負担がかからない動作を意識します。 とくにベッドから腰を上げるときは、両手を膝につきながら、膝の力を使って動作を行うのも有効でしょう。 体を冷やしすぎない 腰や足を冷やしすぎると自律神経が興奮し、つねに体が緊張状態になってしまいます。 そのため、筋肉が固まってしまい、さらに神経を圧迫してしまうと考えられています。 とくに夏場は、冷房の効いた部屋に長くいると症状が悪化しやすいので、ブランケットや薄手の上着を持ち歩くなど、冷え対策を行いましょう。 太ってはいけない 体の脂肪をつけすぎず、太らないように配慮するのも、坐骨神経痛の症状を悪化させないために重要です。 食べすぎや運動不足により、上半身に脂肪が付きすぎると、腰に大きな負担がかかります。 坐骨神経痛の症状がある方は、医師などに相談しながら食事量や運動量を調節して、脂肪がつきすぎないように注意しましょう。 坐骨神経痛でやったほうが良いこと【無理のない軽めの運動】 坐骨神経痛のときにやったほうが良いことには、腰に負担がかからないような軽めの運動があげられます。 無理のない範囲で軽いストレッチや体操を行うと、体の筋力を低下させない働きかけにつながります。 また、間違った運動で腰に負担をかける状況を避けるためにも、理学療法士など、医療の専門家に相談しながら行ってみてください。 まとめ|坐骨神経痛でやってはいけないことを知って悪化を防ごう 坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されて引き起こされる症状で、背中や足、臀部に激しい痛みやしびれをともないます。 症状を改善するには、日常生活において、以下のやってはいけない9つのことに注意しましょう。 【坐骨神経痛でやってはいけないこと9つ】 重いものを持ち上げない 長時間の座りっぱなしは良くない ハムストリングスのストレッチをしない 前かがみにならない 間違ったサイズの椅子に座らない 背骨をねじりすぎない 柔らかすぎるマットレスで寝ない 体を冷やしすぎない 太ってはいけない 以上のポイントに気をつけると、坐骨神経痛の症状を軽減できるでしょう。しかし、注意点を意識するだけでは、根本的な解決にはなりません。 坐骨神経痛の原因は人それぞれで異なりますので、医師や理学療法士などの専門家に相談し、適切な治療を受けるのが重要です。 とくに腰への負担を減らす立ち方や、物の持ち上げ方は、専門家からアドバイスや訓練を受けるとより効果的に行えるようになります。 ぜひかかりつけの整形外科医やリハビリの担当者に相談してみてください。 坐骨神経痛でやってはいけないことに関するQ&A 坐骨神経痛でやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをまとめました。 Q.坐骨神経痛の原因は? A.坐骨神経痛は一般的に「腰椎椎間板ヘルニア」もしくは「腰部脊柱管狭窄症」などが原因です。 どちらも腰椎の部分に引き起こされる異常により、脊髄の神経根が圧迫されてしまい、下半身などに痺れるような痛みを引き起こすと考えられています。 坐骨神経痛は、重労働やスポーツ、長時間のデスクワークなどがきっかけになる場合もあります。 Q.坐骨神経痛の治療法は? A.坐骨神経痛の治療法はさまざまですが、まずは保存療法などを中心に行う傾向にあります。 たとえば、薬物療法や神経ブロック療法、理学療法や物理療法など、状態に応じて治療を進めます。 坐骨神経痛の治療法については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
2022.08.03 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰に小さな痛みや違和感があり、「ぎっくり腰なのではないか」と不安を覚えていませんか? ぎっくり腰は、歩けなくなるほど痛いと言われることも多く、できれば悪化させたくないと考えている人もいるでしょう。 結論、「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 この記事では、ぎっくり腰になりそうなときの対処法や、病院を受診したほうが良いケースを解説します。 ぎっくり腰の不安の解消や、症状の緩和にお役立てください。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」 ぎっくり腰の前兆については、明らかなものがないと言われています。 しかし、以下のようなタイミングで「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」があれば、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたとき 座ったり歩いたりしているとき 前かがみになったとき 咳やくしゃみをしたとき 寝ているとき 身体を起こしたとき 前兆を見過ごしてしまうと、症状が悪化してぎっくり腰になってしまうかもしれません。 ぎっくり腰を未然に防ぐためにも、次の章で解説する対処法を試してみましょう。 【前兆】ぎっくり腰になりそうなときの対処法4つ 腰に違和感があり、ぎっくり腰になりそうなときには、以下4つの対処法を試してみてください。 無理な姿勢を避ける 痛みがある場合は冷やす 身体を軽く動かす ストレスを解消する 各対処法について、ぎっくり腰の原因とともに詳しく解説していきます。 無理な姿勢を避ける ぎっくり腰になりそうなときは、無理な姿勢を避けましょう。 ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」といい、腰や背骨を支える組織に傷が付いて痛みを引き起こすと言われています。 腰や背骨を支える組織は、椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管などさまざまで、どの部分に原因があるかは感覚だけではわかりません。 そのため、まずは無理な姿勢を避けて、腰周りに負担をかけないことが大切です。 痛みがある場合は冷やす ぎっくり腰の前兆である「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」を通り越して、すでに痛みがある場合は、湿布や氷枕などで患部を冷やしましょう。 痛みの原因は腰周りの組織の炎症であるため、冷やすことで症状の改善に効果があると言われています。 ただ、冷やしすぎると皮膚を刺激し、かえって痛みが悪化してしまうおそれがあるため注意しましょう。 身体を軽く動かす ストレッチなどで身体を軽く動かすのも、ぎっくり腰になりそうなときの対処法として有効だと言われています。 ぎっくり腰の症状は、安静にしすぎると治りが遅くなる可能性があるためです。 ストレッチで腰周りにある筋肉の緊張をほぐし、血行が促進されたり可動域が広がったりすることで、腰椎への負担を減らせます。 痛みがない、または痛みが引いたら、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。 また、マッサージの良否は症状によって異なるため、自己判断で実施せず医師に相談してください。 ストレスを解消する ぎっくり腰になりそうなときは、ストレスを解消することも大切です。 ストレスは筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こすため、ぎっくり腰の原因のひとつだと考えられています。 すべてのストレスを解消することは難しいかもしれませんが、十分な睡眠や休息を取るなど、リフレッシュできるよう心がけてみてください。 ぎっくり腰になると「耐えられないほどの激痛」が走ることも 前兆を放置し、ぎっくり腰になってしまうと「耐えられないほどの激痛」が走ることもあります。 正式名称である「急性腰痛症」という文字のとおり、急激に発症するのが、ぎっくり腰の怖いところです。 重いものを持ち上げたときや、前かがみになったときなどのタイミングで腰に激痛が走った場合、ぎっくり腰の可能性が高いでしょう。 ぎっくり腰の症状や原因については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。 ぎっくり腰ではない?病院を受診したほうが良い3つのケース ぎっくり腰やその前兆のような症状が出ており、以下のような状態の場合は、一度病院を受診してください。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 高齢である 発熱がある 「ぎっくり腰かと思いきや、骨折や他の病気だった」という可能性があります。 それぞれの症状について、詳しく解説します。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 腰周りの痛みが2週間以上続いている、またはしびれがある場合は、以下の病気が隠れている疑いがあります。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) そのままにしておくと痛みが長引いたり、手術が必要になったりするおそれがあるため、早めに病院を受診することが大切です。 高齢である 高齢でぎっくり腰のような痛みがある場合、「圧迫骨折」で背中の骨が折れている可能性があります。 高齢者は「骨粗しょう症」の人が多く、骨が折れやすいためです。 骨折が原因で寝たきりになってしまうこともあるため、ただのぎっくり腰だと自己判断せず、一度背中や腰の状態を診てもらいましょう。 発熱がある 腰の痛みに加えて発熱がある場合に考えられるのは、細菌やウイルスへの感染です。 脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」の可能性もあります。 感染は抗生物質などの薬で治療する必要があるため、発熱がある場合は病院を受診しましょう。 そのまま入院となるような、重大な病気が隠れているケースもあります。 以下の記事では、ぎっくり腰で病院を受診する目安に加えて、病院に行く前の応急処置を紹介しています。 まとめ|ぎっくり腰の前兆は4つの対処法で乗り切ろう 「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたときや前かがみになったとき、咳やくしゃみをしたときなど、前兆が現れるタイミングはさまざまです。 ぎっくり腰になりそうなときには、無理な姿勢を避けるなど、この記事で解説した4つの対処法で乗り切りましょう。 2週間以上続く痛み・しびれ・高齢者・発熱を伴うなどの場合は、ぎっくり腰ではない病気が隠れているおそれがあるため、一度病院を受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、腰痛治療の選択肢として再生医療を提供しています。 ぎっくり腰の前兆についてよくある質問 ぎっくり腰の前兆を感じたらどうしたらいいですか? ぎっくり腰の前兆に有効な対処法は、「無理な姿勢を避ける」「身体を軽く動かす」「ストレスを解消する」です。 痛みがある場合は、まず患部を冷やし、腰回りの組織の炎症を抑えましょう。 ぎっくり腰になりそうなときにやってはいけないことは? 重い物を持ち上げたり、痛みがあるのに無理に動いたりと、腰に負担がかかることは避けましょう。 症状が悪化し、激痛が走るぎっくり腰になってしまうおそれがあります。
2022.06.06 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
「坐骨神経痛が死ぬほど痛くて辛い。」「坐骨神経痛を和らげる方法は?」 このように、坐骨神経痛の激痛に悩まされている方は多いのではないでしょうか。我慢できないほどの痛みに襲われると、座るのも寝るのもままならず辛いかもしれません。 坐骨神経痛は、薬物療法や理学療法を行うことで緩和できる可能性があります。ただし「死ぬほど痛い」と感じるほど重度で、保存療法の効果がみられない場合は、手術を検討するケースもあるでしょう。 そこで本記事では、坐骨神経痛の原因や改善方法を解説します。 少しでも痛みを軽減したい方や医師による適切な治療法を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげる7つの治療法 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげるための治療法は主に以下の7つです。 痛みを緩和する薬物療法 神経ブロック療法 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 認知行動療法 装具療法 重度の場合に行われる手術療法 自分にあった症状に合わせて、治療法も検討していきましょう。 痛みを緩和する薬物療法 坐骨神経痛の痛みに対して、まず試される治療法が薬物療法です。痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで、辛い症状を和らげる効果が期待できます。 最初は市販の痛み止めから始め、症状が重い場合は医師が処方する鎮痛剤や抗炎症薬を使用するケースもあります。薬には副作用のリスクもあるため、自己判断での服用は避けて必ず医師に相談しましょう。 神経ブロック療法 痛みの原因となっている神経に直接アプローチするのが神経ブロック療法です。 局所麻酔薬を注射して、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑制します。 神経ブロック療法は、比較的即効性があり重度の痛みにも効果を期待できるのが特徴です。 また、効果の持続時間には個人差があり、数時間から数カ月以上継続する方もいます。(文献1) 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 理学療法により、坐骨神経周辺の筋肉をほぐし血行を改善するのも、坐骨神経痛に効果が期待できます。 理学療法を受ける場合は、専門家の指導のもとストレッチや運動療法を行います。温熱療法やマッサージなども組み合わせることで、こわばった筋肉がリラックスし痛みの軽減につながるでしょう。 また、リハビリでは痛みの少ない範囲で軽い運動から始め、徐々に負荷を上げていく段階的なプログラムを実施します。 自宅でも医師や理学療法士の指導のもと、簡単なストレッチや運動を続けることで、より早い回復が期待できます。 認知行動療法 認知行動療法とは、物事の考え方・捉え方や行動に働きかけてストレスを軽減する治療法です。 専門家との定期的な面談を通じて、痛みと上手に付き合うコツを学びます。また、リラックス法や呼吸法なども取り入れるとより効果的です。 継続的な取り組みが必要ですが、痛みへの不安が軽減されることで生活の質の向上も期待できます。 装具療法 坐骨神経痛が辛いときは、腰椎を安定させて痛みを和らげるために、コルセットなどの装具を使用することがあります。 ただし、長期の装着は体力低下を引き起こす可能性があるため、医師に相談しながら、使用期間は1カ月程度を目安に調整しましょう。 装具の使用で痛みが改善したら、徐々に体を動かし筋力の回復を目指すのがおすすめです。 重度の場合に行われる手術療法 保存的治療で改善が見られない重症例では、神経を圧迫している椎間板や骨を取り除き、症状の改善を目指す手術療法が検討されます。 近年は、内視鏡手術など身体への負担が少ない手術方法も発達してきており、比較的早い段階で退院や日常生活への復帰ができる傾向があります。 ただし、手術にはリスクも伴うため慎重な判断が必要ですので、医師と十分に相談し手術の必要性を見極めましょう。 再生医療 再生医療とは、自己の細胞や成長因子を利用して損傷した組織の修復を促進する治療法です。 PRP療法や幹細胞治療など、さまざまな方法が研究されていますが、従来の治療法と比べて体への負担が少ないのが特徴です。 再生医療はまだ発展途上の分野ではありますが、将来的に一般的な治療法となる可能性があります。 当院リペアセルクリニックでは、再生医療による坐骨神経痛の治療について「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けております。お気軽にお問合せください。 \まずは当院にお問い合わせください/ そもそも坐骨神経痛とは?辛い3つの症状 坐骨神経痛とは、体の中で最も太い神経である坐骨神経に沿って痛みが走る症状です。 主な症状としては以下3つが挙げられます。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ お尻から脚にかけての持続的な痛み 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 人によって症状は異なりますが「死ぬほど痛い」と表現されるケースもあり、日常生活に支障をきたすほどの痛みもあります。 本章では、坐骨神経痛の主な症状を解説します。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ 坐骨神経に沿って走る電気が走るような鋭い痛みは、最も特徴的な症状の1つです。 突然襲ってくる激痛は、まるで雷に打たれたかのような衝撃を伴います。多くの方が「今まで経験したことのない痛さ」と表現するほどです。 さらに、痛みの強さは時間帯や動作によって変化し、夜間に悪化する場合もあります。 もしも我慢できないほどの痛みに襲われたら、すぐに医療機関での受診をおすすめします。 お尻から脚にかけての持続的な痛み 坐骨神経痛特有の「ズキズキ」「ジンジン」した痛みは長時間続くのが特徴です。 お尻から太ももの裏側、ふくらはぎにかけて痛みが持続し、座る姿勢がとくにつらくなります。 また、痛みで姿勢が崩れてさらに症状が悪化する可能性もあるため、早期の段階で適切な治療を受けて慢性化を防ぎましょう。 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 座っているときや歩行時に増す「違和感や麻痺感」も見逃せない重要な症状です。 たとえば長時間の座位で痺れが強くなったり、歩行時にふらつきを感じたりする場合もあります。 また、日常生活での何気ない動作が困難になり、仕事や家事に支障も出てきます。そのため、症状の進行を防ぐためにも、早めの対策と生活習慣の見直しが重要です。 坐骨神経痛の主な原因3選! 坐骨神経痛の代表的な原因は以下の3つが挙げられます。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 加齢や筋力低下 主な原因を理解してから適切な治療法を選択できます。 ここでは症状との関連性や予防法を含めて詳しく解説します。 椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアとは「加齢」や「日常的に腰部に負担をかける」ことにより、クッション役である椎間板が飛び出し神経を圧迫する症状です。 デスクワークが多い30〜50代の方が発症しやすく、座っているだけでも激痛に襲われるケースもあります。 早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受ければ多くの方が症状改善を実感できます。 また、腰椎椎間板ヘルニアの詳しい症状や重症度が気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、年齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される症状です。 とくに50代以降の方に多く見られ、立ち仕事や長時間の歩行で症状が悪化します。 また、前かがみで痛みが和らぎ、背筋を伸ばすと痛みが強くなるのが特徴です。 しかし、多くの場合が適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできます。 脊柱管狭窄症で注意すべきポイントや、症状と治療法については以下の記事も参考にしてみてください。 加齢や筋力低下 加齢による筋力低下も坐骨神経痛の原因の1つです。 腰回りの筋肉が衰えると、背骨を支える力が弱まり神経への負担が増加するため、日常生活での些細な動作で激痛が走ることもあります。 しかし、正しい運動習慣と筋力トレーニングの継続で症状の改善や予防が期待できます。 また、加齢や筋力低下で気になる症状があれば「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。 坐骨神経痛の予防法とセルフケア 坐骨神経痛の痛みは日々のケアで和らげることができます。 ここでは、痛みに悩まされている方にも効果的な3つの予防方法をご紹介します。 日常的にできる簡単なストレッチ 正しい姿勢を保つための意識づけ 適度な運動で筋力を強化する 継続的に行うと辛い症状の改善や予防に期待できるでしょう。 日常的にできる簡単なストレッチ 朝晩5分から始められるストレッチで、硬くなった筋肉をほぐしていきます。 とくに効果的なのが、仰向けで行う膝抱えストレッチです。 背中を床につけ、片膝を胸に向かってゆっくり引き寄せます 反対側の足はまっすぐ伸ばしたまま30秒キープ 左右2セットずつ行うのがおすすめです。 無理のない範囲で継続していると、徐々に筋肉の柔軟性が高まり痛みの予防につながります。 正しい姿勢を保つための意識づけ 猫背やストレートネックは坐骨神経痛の原因になりやすいため要注意です。 デスクワークが多い方は背筋を伸ばし、足裏を床につけた姿勢を心がけましょう。 長時間同じ姿勢も避けたいポイントですので、1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。 正しい姿勢を保っていれば、神経への負担が軽減され痛みの予防に効果的です。 適度な運動で筋力を強化する 急激な運動は逆効果ですが、適度な運動は予防にも効果的です。 ウォーキングや水中歩行から始めるのがおすすめで、とくに体幹を鍛えると腰への負担が軽減されます。 まずは1日10分からでもOKですので、徐々に時間を延ばして体を強化していきましょう。 まとめ|死ぬほど痛い坐骨神経痛は適切な治療法で改善しよう 坐骨神経痛の痛みは確かに辛いものですが、適切な治療とケアで改善に期待できます。まずは専門医に相談し、あなたに合った効果的な治療を検討してみてください。 治療には薬物療法や神経ブロック、リハビリなど症状に合わせて選択できます。本記事を参考に簡単なセルフケアも取り入れつつ、日常的に予防も意識してみてください。 坐骨神経痛でお悩みの方に向けて、当院では「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 坐骨神経痛が死ぬほど痛いときによくある質問 Q:坐骨神経痛と間違える病気はありますか? 坐骨神経痛に似た症状に「梨状筋症候群」や「変形性股関節症」があげられます。 しかし、正確な診断のためには整形外科での検査が欠かせません。 レントゲンやMRI検査で原因を特定し適切な治療を受けましょう。 Q:坐骨神経痛でやってはいけないことは何ですか? 坐骨神経痛の症状を悪化させないために、主に以下の動作が挙げられます。 長時間の同じ姿勢 無理な運動 重いものを持ち上げる とくに急激な動きや、ねじる動作は症状を悪化させる原因となります。 また、坐骨神経痛でやってはいけないことについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック
2022.04.13 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
頚椎すべり症とはどんな疾患なのか、どのような症状が現れるのか知りたい方はいませんか。 頚椎すべり症は首の痛みだけでなく、手足のしびれや感覚障害などの神経症状が生じる恐れもあります。症状が進行すると日常生活にも支障をきたすため、早期からの治療が重要です。 この記事では、頚椎すべり症の症状や生活で避けるべきこと、治療法についてご紹介します。どのような疾患なのかを知ることで、発症時の早期からの適切な対処につながるでしょう。 頚椎すべり症とは 頚椎すべり症とは、頚椎(首部分の背骨)が前後にずれてしまう状態のことです。 背骨は「椎体(ついたい)」と呼ばれる骨がつながってできており、それがなんらかの原因でずれることで発症します。頚椎すべり症を発症すると、首の痛みやしびれなどのさまざま原因が現れるのが特徴です。 ここでは、頚椎すべり症の症状や原因について詳しく解説します。 頚椎すべり症の症状 頚椎すべり症は神経が圧迫される可能性があるため、首の痛みや肩こりだけでなく、しびれや感覚障害などの症状が現れることがあります。発症時の初期症状としては、まず腰痛や下肢の痛みなどが出現するケースが多いです。 下肢に現れる症状としては、歩くときのふらつきや間欠性跛行(かんけつせいはこう)があげられます。 間欠性跛行とは、歩き続けると下肢の痛みやしびれが強くなる症状で、休憩すると軽快するのが特徴です。これらに加えて腕や指のしびれを伴うこともあり、生活では以下のような影響が現れます。 指の動きがぎこちなくなる ボタンがうまく止められなくなる 字が書きづらくなる このような症状はゆっくり出現し、徐々に悪化することが一般的です。また、頚椎は脳へとつながる血管の通り道にもなっています。 そのため、すべり症で首の骨がずれると、血管を強く圧迫して頭痛が現れることもあります。慢性的な頭痛や症状の悪化がみられた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 頚椎すべり症の原因 頚椎すべり症の原因としては、加齢や長期間の首へのストレスなどがあげられます。これらの原因によって、椎体の間にあるクッションの役割を持った「椎間板(ついかんばん)」が変性を起こし、骨がずれやすくなります。 また、頚椎周囲の靭帯や筋肉のゆるみによって、骨を固定できずに発症することもあるでしょう。とくに普段から姿勢が悪く、首に慢性的な負担がかかっている方や高齢者は、頚椎すべり症には十分に注意する必要があります。 頚椎すべり症の種類 腰椎すべり症は大きく分けて2種類あり、「分離すべり症」と「変性すべり症」があります。 それぞれの背骨をつなげている場所が分離した状態を、分離すべり症と呼びます。椎体の間にある椎間板が老化し、変性したことが原因で発症したものが変性すべり症です。 変性すべり症は分離すべり症と比較して、中年以降の女性にみられやすいことから、女性ホルモンが関係していると考えられています。どちらの種類も神経が圧迫されやすくなるため、出現する症状には大きな差はないとされています。 頚椎すべり症の診断方法 頚椎すべり症の診断では、まずは問診を行い、その後レントゲン撮影にて以下のような状態を確認します。 骨の変形の程度 姿勢の状態 靱帯骨化の有無 さらにMRI検査を行い、神経の状態も確認します。頚椎を前後に曲げた状態で撮影を行うことで、不安定性の程度も診断可能です。似たような症状が現れる疾患として、「椎間板ヘルニア」や「脊髄腫瘍」なども考えられるため、これらとの鑑別も重要となります。 椎間板ヘルニアは、腰椎に起こりやすい疾患の1つです。腰椎椎間板ヘルニアについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。 頚椎すべり症の治療法 頚椎すべり症の治療では、おもに「保存療法」と「手術療法」の2種類があげられます。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法では、頚椎すべり症の症状に応じてさまざまな治療が行われます。たとえば、首の痛みや肩こりなどの症状に対して行われる治療は、以下のとおりです。 温熱療法 マッサージ 電気治療 鍼灸治療 牽引療法 これらに加えて、消炎鎮痛剤やブロック注射などの薬物療法によって痛み、しびれの症状軽減を図ります。リハビリでストレッチや首まわりの筋力訓練などを行うことも有効とされています。このように、強い痛みが出ていない段階であれば、保存治療を継続します。 手術療法 保存療法を行っても症状が軽減されず、日常生活に支障をきたしている場合は、手術による治療が検討されます。とくに痛みが強く、手足の神経症状が出現している場合は早めの手術が望まれます。 代表的な手術は、骨同士をボルトで固定する「固定術」です。この手術法では、顕微鏡や内視鏡を使ってできるだけ身体の負担を少なくしながら行い、手術後の早期離床を図ります。手術後は 安静やコルセットなどによる保護が必要となりますが、多くの場合は翌日から歩行ができます。 すべり症による症状が強くない場合は、内視鏡を用いて神経の圧迫をとる低侵襲の手術が選択されるケースもあります。 頚椎すべり症でやってはいけないこと 頚椎すべり症でやってはいけないこととして、仕事で常に首を曲げ続ける、同じ体勢で長時間首に負荷をかけ続けるなどがあげられます。 そのような生活を送っている方は、出来るだけ避けて首に負担をかけないように心がけてください。日常的に姿勢を正すように意識することで、首の負担軽減につながります。 例として、首を10度下に傾けると頚椎の負荷が2倍になるとされています。そのため、デスクワークやパソコンを長時間する場合は、仕事でもこまめに休憩をとりましょう。またスマホはうつむきながら見ることが多く、首に負担をかける原因となるため、長時間の使用には注意が必要です。 まとめ|頚椎すべり症による痛みを感じたら早めに受診しよう 頚椎すべり症は首の骨がずれることで生じる疾患で、発症すると痛みをはじめとした症状が現れます。歩きにくさや手足のしびれ、感覚障害などの症状が強く出ている場合は、早めに専門医に診てもらうことをおすすめします。 また、普段の生活で避けるべきポイントをおさえて、症状の悪化防止に努めることも大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、頚椎すべり症に対する早めの対応を心がけましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 頚椎すべり症に関するよくある質問 ここでは、頚椎すべり症に関するよくある質問についてお答えします。頚椎すべり症に関して疑問に感じているものがあれば、ぜひこちらも参考にしてみてください。 Q.首の骨のずれにおすすめのストレッチは? A.頚椎すべり症におすすめのストレッチとしては、以下のとおりです。 背中全体の筋肉を伸ばすストレッチです。 太もも前面についている「大腿四頭筋」を伸ばすストレッチです。大腿四頭筋は骨盤にもついているため、硬くなると背骨全体の歪みにつながる恐れがあります。 Q.首の骨のずれは自分で治せる? A.首の骨のずれは、自分で治すことはおすすめできません。無理に治そうとすると、かえって首に負担をかけてしまい、症状の悪化につながります。神経を傷つけてしまうと、取り返しのつかない事態になることもあります。 決して自己判断で対処するのではなく、必ず医療機関に受診し、医師に相談しましょう。
2021.11.30 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰痛の中でも、ぎっくり腰の痛みは特別です。ある日突然、何の前触れもなく「グキッ!」という感じで急激な痛みに襲われます。 まさに秒速、たった1秒くらいで急激な痛みが襲うので、ドイツ語では、ぎっくり腰のことを魔女の一撃(Hexenschuss ヘクセンシュース)というほどです。 この記事では、ぎっくり腰かどうかを判断できる症状チェックリストを公開しています。ぎっくり腰を早く治して日常生活を快適に送るためにも、症状や原因、対処法を把握しておきましょう。 なお、腰痛は決して軽視できる症状ではありません。ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、重大な病気が隠れていたケースもあります。「なにかおかしい」と感じたら、迷わず医療機関を受診しましょう。 ぎっくり腰の症状チェックリスト ぎっくり腰は突然発症します。以下は、ぎっくり腰の症状を判別いただくためのチェックリストを準備いたしましたので、ぜひご活用ください。 該当する項目が多いほどぎっくり腰の可能性が高いです。 ◻︎腰に突然電気が走るような急激な痛みを感じた ◻︎物を持ち上げたときに腰が痛くなった ◻︎咳やくしゃみをしたときに腰が痛くなった ◻︎前かがみになったときに腰が痛くなった ◻︎腰が痛くて動けない ◻︎痛みがなかなか引かない ◻︎ずっと同じ姿勢でいるのがつらい ◻︎体勢や姿勢を変えると症状が悪化、もしくは改善する ◻︎腰の痛みで歩くのがつらい ◻︎しびれが出てくる ◻︎過去にぎっくり腰になったことがある ◻︎姿勢が悪い、中腰の姿勢が多い ◻︎日常的に重い荷物を運ぶことが多い ◻︎デスクワークが多い ◻︎運動不足である ◻︎不規則な生活習慣をしている ◻︎子どもを抱っこすることが多い ◻︎ストレスが多い 該当する項目が多いほどぎっくり腰の可能性が高いため、心配な方は医療機関へ早めに受診することが大切です。 \まずは当院にお問い合わせください/ なおチェック項目に該当しているものの、病院に行こうか迷っている方は、下記の記事もぜひご覧ください。 ぎっくり腰の原因 前提として、ぎっくり腰は原因を特定できません。ぎっくり腰は、大きく分けて次の3つの原因によって引き起こされると考えられます。 筋肉疲労が蓄積している 骨格が歪んでいる 日常生活での動作・姿勢によるもの ぎっくり腰は、一説に50人に1人は経験するとまでいわれているほど日常的に起こりえる病なので注意が必要です。 筋肉疲労が蓄積している 本来であれば、筋肉疲労は自然と回復するメカニズムになっています。 ただし、以下のことを続けていくと、日常生活のなかで筋肉疲労が蓄積され、ぎっくり腰を引き起こす可能性が高まります。 日頃から筋肉疲労を蓄積するような生活を送っている方は、日常生活を改善するよう心がけましょう。運動不足や長時間同じ姿勢でいることが多い方は、たまにストレッチや体操をするだけでも効果的です。 骨格が歪んでいる 骨格の歪みも、ぎっくり腰を引き起こす原因のひとつです。身体のバランスを取ろうとした瞬間、周辺の筋肉への負担が大きくなることによってぎっくり腰が発症します。 骨格の歪みは、立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間の同じ姿勢でいることによって起こります。同じ姿勢でいると、同じ骨や筋肉を使い続けることになり、次第に身体の柔軟性が失われ、骨格の歪みが生じるのです。 日常生活での動作・姿勢によるもの ぎっくり腰は、日常のちょっとした動作や姿勢によって起きることもあります。 単に身をかがめた(あいさつでのお辞儀など) 後ろを振り向いた 咳をした 掃除機をかける前に体を少し折り曲げた 子どもを抱っこした 正座の姿勢から立ちあがろうとした ぎっくり腰は誰でも発症する可能性があります。ぎっくり腰を防ぐには、日頃からスクワットやプランクなど体幹を鍛えるトレーニングが有効です。 ぎっくり腰の放置や自己診断は危険 ぎっくり腰と一言でいっても、その痛み方や症状はさまざまです。典型的には、急に発症して激しい痛みを伴いますが、最初は軽い痛みだったのに、数時間から数日かけて徐々に痛みが強まり、最終的には身動きが取れなくなる場合もあります。 また、重い物を持つなどの明確なきっかけがないにもかかわらず、激痛になる非典型的なぎっくり腰もあります。 多くの場合、ぎっくり腰は2週間程度で自然に治ります。しかし、ぎっくり腰だと思い込んでいたら、実は病院で治療が必要なほどの重い病気だったといったケースもあります。 たとえば、ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、内科系の病気である「多発性骨髄腫」という血液の悪性腫瘍により腰椎が圧迫骨折を起こしていたケースがあります。また、泌尿器科系の病気が腰痛の原因となることもあり、前立腺癌が腰椎に転移して腰痛を引き起こしていた例もあります。 さらに、仮にぎっくり腰だったとしても、適切な治療をせず自己流で治療を試みると、かえって痛みが慢性化してしまうこともあります。 そのため、ぎっくり腰を発症した場合は自己診断せず、医師の正確な診断を受けることが重要です。「なにかおかしい」と感じたら、迷わず医療機関で専門家に相談しましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ ぎっくり腰の対処法と治療法 ぎっくり腰は、まずは冷やすと効果的だといわれています。しかし、冷やしすぎると皮膚を刺激し、症状が悪化してしまう恐れがあります。 また痛みに耐えられない場合は、鎮痛剤を服用して問題ありません。しかし、鎮痛剤を飲み過ぎると、胃炎や胃潰瘍などの胃腸障害を起こす可能性がありますので、過量服用や空腹時の服用は避け、たくさんの水で飲むことが大切です。 とくに、過去に胃潰瘍をなったことがある方は、鎮痛剤を飲むときにガスターなどの制酸剤を一緒に飲む必要があるかもしれません。 また、鎮痛消炎剤としてモーラステープなどの貼り薬も、「単なる貼り薬だから大丈夫」と侮ってはいけません。副作用として、光線過敏症や皮膚のかぶれなどが起きることがあります。 なお、発症した当日は、入浴を控えましょう。腰に炎症が起きている状態で温めるのは厳禁です。マッサージの可否についても、控えたほうが良いでしょう。 ぎっくり腰の具体的な対処法や治療法については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。 まとめ|ぎっくり腰のセルフチェックをして医療機関の受診を検討しよう ぎっくり腰の正確な発症メカニズムや原因は、詳しく解明されていない現状です。ぎっくり腰により激痛で動けず苦しんでいる多くの方のためにも、今後の研究が待たれるところです。 ぎっくり腰を発症した場合は、重症化させないためにも、自己判断せず、医療機関を受診し、指導を受けましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ また、腰痛になった場合は下記の記事も参考になるので、ぜひ読んでみてください。 ぎっくり腰に関するよくある質問 ぎっくり腰を早く治すための食生活はありますか? ぎっくり腰を早く直すために、いろいろな栄養素を挙げて、特定の食べ物を勧められることがあります。ただし、ぎっくり腰を確実に治せるものはありません。 正しい食生活も大切ですが、ぎっくり腰に確実に悪いアルコールを避けるほうが大切です。 アルコールを摂取すると、ビタミンBやミネラル、微量元素などが欠乏し、組織修復を妨げるばかりか、炎症を悪化させて、治りが遅くなります。 また、日頃からアルコールを多飲している方はぎっくり腰になりやすく、予防する上でも良くありません。「酒は百薬の長」などというのは、真っ赤な嘘です。ぎっくり腰の予防などについて、詳しくはこちらをご覧ください 仕事でぎっくり腰になったら労災が認められますか? 仕事中にぎっくり腰が起きた場合であっても、労災が認められないことが多いようです。厚生労働省のリーフレットには、次のように書いてあります。 「災害性の原因による腰痛」の労災認定要件①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 「災害性の原因によらない腰痛」の労災認定要件突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業時間からみて、仕事が原因で発症したと認められるもの(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 労災で認められるには、ぎっくり腰が業務に起因すること、それが業務遂行中であることが必要です。仕事中のぎっくり腰でも、業務とは関連性の乏しい理由で発症した場合は、労災に認定される可能性は低いでしょう。 ただし、労災がもらえなくても傷病手当金をもらうことは可能です。ぎっくり腰が起きた日に病院を受診しておけば、発症日の証明になります。ぎっくり腰が起きた日のうちに、病院を受診しておくと良いでしょう。ただし、痛みを我慢して仕事を続けるのは避けましょう。 ぎっくり腰は安静にした方が良いですか? ぎっくり腰は安静が必要ですが、長すぎる安静は回復するのを遅らせる可能性があります。安静にすべき期間は状態によって異なりますが、痛みが引いた時点で適度に動いたほうが安静を続けるより回復が早いといわれています。 痛みを避けるためには、無理のない楽な姿勢を意識した日常生活を送ることが大切です。組織の炎症を悪化させることもなく、組織の修復を助けてくれます。 なお、面倒だからといって、変な姿勢で何かを行わないようにしましょう。かがむ、腰を折る、腰を曲げるなどの姿勢は要注意です。膝を使うことを意識してください。
2021.11.17 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
ぎっくり腰で病院へ行っても意味ないって本当? ぎっくり腰は自宅で安静にしていればそのうち治るのかな。 この記事を読んでいるあなたは、ぎっくり腰は病院に行くべきなのかを迷っているのではないでしょうか。「安静にしていれば治るなら、受診せずに済ませたい」と思っているかもしれません。 結論、ぎっくり腰は病院に行かなくても治るケースが大半を占めます。 しかし、ぎっくり腰だと思った痛みが別の病気やケガだった場合、処置が遅れることで重症化してしまうリスクもあるでしょう。手術や入院が必要になってしまうケースもあるため、不安であれば一度受診するのがおすすめです。 本記事では、ぎっくり腰で受診する目安やおすすめの治療法を紹介します。 記事を最後まで読めば、ぎっくり腰の対処法がわかり、状況に応じた適切な対応ができるでしょう。 ぎっくり腰は病院に行っても意味ない? 結論からお伝えすると、ぎっくり腰の場合は必ずしも病院に行く必要はありません。病院に行かず自宅療養をしても2週間程度で痛みが治まるケースが一般的だからです。 しかし、ぎっくり腰だと思っていた腰の痛みは、以下のような別の病気やケガによって起きている可能性もあります。 椎間板ヘルニア 化膿性脊椎炎 骨折 これらの病気やケガを放置すると、重症化して手術や入院が必要になることも考えられます。 ぎっくり腰であると自己判断した場合でも「痛みがなかなか引かない」「下肢がしびれる」「発熱がある」などの症状があるときは、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。 なお、おもな症状が腰の痛みの場合、受診するのは整形外科です。診察の結果、他の病気を疑う場合は内科を始めとする別の診療科へ紹介するため、まずは整形外科を受診してください。 ぎっくり腰の原因や症状については、以下の記事も参考にしてください。 ぎっくり腰で病院に行く3つの目安 ぎっくり腰で病院に行く目安は以下の3つです。 痛みが2週間以上続く、あるいはぎっくり腰を繰り返す 発熱している 高齢である 本章を参考に、ぎっくり腰になった際の正しい受診タイミングを理解しておきましょう。 痛みが2週間以上続く、あるいはぎっくり腰を繰り返す 痛みが2週間以上続く、ぎっくり腰を繰り返すなどの場合は、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」などの疑いがあります。 椎間板ヘルニア:背骨の間でクッションの役割を果たす「椎間板」の中にある組織が外へ飛び出し、神経を圧迫して痛みやしびれが出る病気 脊柱管狭窄症:背骨の中にある神経の通り道(脊柱管)が何らかの要因で狭まることで圧迫され、腰や下半身の痛みやしびれが出る病気 原因となる病気に気づかず放置すると痛みが長引き、場合によっては手術が必要になるケースも考えられます。痛みの治りが悪い場合は、早めの受診が大切です。 発熱している 熱を伴う腰痛の場合、細菌やウイルスに感染している可能性が考えられます。 病名はいくつか考えられますが、整形外科的な疾患では、脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」がよく疑われます。 高齢、糖尿病、透析を受けている、免疫抑制剤を飲んでいるなどの人は免疫力が低いため、細菌感染から化膿性脊椎炎を発症しやすいのです。(文献1) 化膿性脊椎炎は抗生物質で治療を行いますが、薬で改善しないと手術が必要になるケースもあります。 高齢である 高齢になると骨がもろくなり折れやすくなる「骨粗しょう症」の人が増え、転倒時や中腰、重いものを持ったときなどに骨折するリスクが高まります。 ぎっくり腰だと思ったら、実際は背中の骨が折れる「圧迫骨折」だったというケースもあります。 骨折は2~3カ月の治療で良くなるケースが多いものの、ベッドでの生活が長くなると認知症や体力の低下によって、寝たきりになるリスクが高まり危険です。 高齢でぎっくり腰になった場合は、骨折の可能性も考えて念のため受診した方が良いでしょう。 病院で受けられるぎっくり腰の治療 ぎっくり腰で受診した場合、病院では以下のような治療を行います。 コルセットの装着 湿布・内服薬の処方 リハビリ 「病院に行っても意味がない」といわれることもありますが、受診することで症状に合わせた治療を受けられる可能性があります。 本章を参考に、受診した場合どのような治療が行われるか理解しておきましょう。 コルセットの装着 ぎっくり腰の急性期(発症直後)は、腰回りの筋肉をサポートして身体を支える「コルセット」を装着するケースがよく見られます。 「コルセットは筋力が下がる」という説もありますが、痛みが強い1〜2週間ほどの使用なら問題はありません。 ただし、痛みが治まった後に予防として使い続けると筋力が低下するリスクがあるため、医師の指示する期間を守って着用しましょう。 湿布・内服薬の処方 ぎっくり腰の発症直後は、消炎鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬)の「湿布」や「飲み薬」で痛みを落ち着かせます。 また、背中の神経に麻酔薬を注射する「神経ブロック療法」によって、脳に痛みを伝える信号を遮断してつらい症状をやわらげる治療が有効な場合もあります。(文献2) リハビリ 痛みが落ち着いた後は、医師の判断でリハビリを行うケースもあります。具体的には、腰や背中、太もものストレッチや腹筋、背筋などの筋肉トレーニングなどです。(文献3) ただし、リハビリを始めるタイミングや行う内容は、個人の症状によって異なります。自己判断でのリハビリは避け、医師の判断に従いましょう。 ぎっくり腰で病院に行く前にできる応急処置 ぎっくり腰になったときに自宅でできる応急処置は、以下の通りです。 発症直後は安静にする 痛みが落ち着くまで冷やす 人の助けを借りず自分で動く ぎっくり腰は再発するケースもあります。本章を参考に、今後再発した際に適切な対応ができるよう、応急処置の方法を理解しておきましょう。 発症直後は安静にする ぎっくり腰になると激痛が急に襲ってくるため、驚いてパニックになりがちです。 大切なのは、まず「落ち着くこと」です。無理しないようにゆっくりと正座の体勢になり、深く息を吸って長く吐き出すような「深呼吸」を行いましょう。数分すると、腰周りの筋肉の緊張がやわらぎ、少しずつ楽になります。 痛みがやわらいだら、少しずつゆっくりと動きましょう。動くときは机や椅子などの倒れにくいものをつかむのもおすすめです。 痛みが落ち着くまで冷やす ぎっくり腰の発症時は、腰が炎症を起こしている状態です。痛みがあるときは、氷枕や保冷剤などをタオルでくるみ、腰に当ててください。基本的には5〜10分くらいで痛みが軽減します。 ただし、冷やしすぎると逆効果になるケースがあるため、痛みが落ち着いたら冷やすのはやめましょう。 人の助けを借りず自分で動く ぎっくり腰の痛みが落ち着いて動くときは、人の助けを借りずに自分で動くことをおすすめします。 なぜなら、人の手を借りると予期せぬ場所に力が入り、痛みが悪化する可能性があるからです。 身体を起こす手伝いを人から申し出られた場合は、「自分で少しずつ動いた方が安心なので」と伝え、自分のペースで身体を動かしてみてください。 まとめ|ぎっくり腰の症状がつらいなら病院を受診しよう 本記事では、ぎっくり腰で受診する目安や受診して受けられる治療法、自分でできる応急処置などを詳しく解説しました。 ぎっくり腰は病院に行かなくても数日で痛みが治まるケースが一般的です。しかし、ぎっくり腰と思われる症状が「椎間板ヘルニア」「化膿性脊椎炎」「骨折」などの場合もあります。 病院では、痛み止めの湿布や飲み薬、注射などの治療を行います。必要に応じてコルセットの処方やリハビリなども受けられるため、痛みがつらい、長く続いていて心配などの場合は受診すると良いでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄損傷に対して幹細胞による治療を行っています。 脊髄の損傷部へ直接幹細胞を投与するため、神経再生の効果をより高めることが期待できます。 この記事がぎっくり腰の正しい対処法を知るのに役立ち、より早期に快適な生活に戻れるきっかけになれば幸いです。 ぎっくり腰で病院に行くべきか悩んでいるときによくある質問 ぎっくり腰の治療にストレッチやマッサージをやってもいいですか。 ぎっくり腰を発症してすぐにストレッチをしても、ぎっくり腰を悪化させることはありません。ただし、ストレッチに不安があるなら、安心できるまで待ちましょう。 また、ぎっくり腰でマッサージをやって良いかどうかは、症状によって異なります。マッサージについては自己判断せず、医師に相談しましょう。 ぎっくり腰の予防法はありますか。 ぎっくり腰の予防法は、以下の通りです。 朝起きるときは、腰を丸めて体をほぐしてからゆっくり起きる 洗顔は膝を曲げて重心を下げるようにして行い、腰への負担をやわらげる ものを拾うときは、膝も曲げて腰を落とすようにして拾う 背筋や腹筋の筋力トレーニングをする ストレッチで股関節を柔らかくする 太り気味なら腰の負担を軽くするため、ダイエットを心がける 太らないように体重管理をする 背筋を伸ばし、良い姿勢を心がける また、ぎっくり腰の再発予防には、適切な治療を受けてぎっくり腰を完治させることも大切です。 ぎっくり腰の予防法や再発防止策については、以下の記事もご覧ください。 参考文献一覧 文献1 一般社団法人日本脊髄外科学会,化膿性脊椎炎 文献2 菅尚義,宮崎昌利,吉田省二,三原茂.急性期腰痛に対する硬膜外ブロックについて.日本腰痛会誌.2006;10:77-84 文献3 千田益生,堅山佳美ら.腰痛のリハビリテーション-運動療法を中心に-.リハビリテーション医学 2006;43:661-667
2021.11.17