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頚椎すべり症でやってはいけないこと 頚椎すべり症の症状とは、首の痛みや肩こりだけではなく、圧迫される神経の障害によって、手足の症状が出現します。初期症状としてはまず腰痛と下肢の痛みが出現することが多いです。 それに加えて上肢の症状としては腕や指のしびれ、指の動きがぎこちなくなり、ボタンがうまく止められなくなったり、字が書きづらくなったりといった症状があります。 下肢の症状としては、歩くときのふらつき、間欠性跛行といって、おしりと、ふともも、ふくらはぎなど下肢を中心に痛みや痺れが出ることもあります。また、しびれや感覚障害が出ることもあります。 これらの症状がゆっくり出現して悪化することが一般的に多いです。また他にも頭痛などの症状もあります。頚椎は脳へと繋がる神経や血管の通り道になっています。そのため、すべり症などが原因で首の骨がずれたりすると、神経や血管を強く圧迫してしまうことがよくあります。 その代表的な症状が慢性的な偏頭痛です。急激に悪化した場合は早めに病院等の医療機関で専門医を受診することが必要です。 頚椎すべり症の種類 腰椎すべり症は大きく分けて2種類あり、分離すべり症、変性すべり症があります。個々の背骨を繋げている場所が分離した状態を分離すべり症と呼び、骨と骨の間にある椎間板が老化し、変性したことが原因でずれた状態を変性すべり症と呼びます。 「変性すべり症」は「分離すべり症」と比較し、中年以降の女性に見られることから女性ホルモンの影響を受けているのではないかとも考えられています。分離すべり症も変性すべり症も脊髄神経の圧迫が症状の主な原因となるため、出現する症状自体には大きな差はないとされています。 頚椎すべり症 分離すべり症 変性すべり症 頚椎すべり症の診断方法 診断は問診、医師の診察の後レントゲン撮影にて骨の変形の程度や姿勢の状態、靱帯骨化の有無を確認します。それに加えて神経学的診察に加え、MRI検査を行います。 腰椎の「ずれ」に関しては、腰椎を前後に曲げた状態での撮影を行うことで不安定性の程度を診断できます。似たような症状をきたす疾患としては椎間板ヘルニアや脊髄腫瘍なども考えられるため、これらとの鑑別も重要となります。 頚椎すべり症の治療・保存療法 これらの症状に対して、現在まで様々な治療が行われています。首の痛みや肩こりが主な症状であれば温熱療法、マッサージ、電気治療、鍼灸治療が行われ、一部の施設では牽引療法が行われます。さらに消炎鎮痛剤や、ブロック注射などで痛み、しびれなどの軽減を図ります。 さらにリハビリにてストレッチや腰まわりの筋力訓練などを行うことも有効とされています。痛みとうまく付き合っていけるのであれば、保存治療を継続します。しかし痛みや、しびれが、ひどくなり生活の質の低下があった場合は手術療法が検討されます。 特に首や肩こりの症状が重く手足の症状が出現している場合は、症状の悪化を来す可能性もあるため、早めの専門的加療が望まれます。痛みやしびれが激烈であったり、足が動かなくなったり、麻痺が出現している場合などは手術療法が検討されます。 手足の症状が進行している場合、症状を回復させるためには神経の圧迫を解除する手術治療が唯一有効な手段となります。 保存療法 ・温熱療法 ・マッサージ ・電気治療 ・鍼灸治療 ・牽引療法 ・リハビリテーション(ストレッチ) 手術療法 代表的な手術は、骨どうしをボルトで固定する固定術という方法になります。これは、顕微鏡や内視鏡を使ってできるだけ低侵襲(お身体への負担を少ない手法)に手術を行うことで早期離床、早期のリハビリテーションを開始することが可能になります。 手術方式によって固定の力や切開の大きさに差があるため、患状態や病状によって使い分けがされています。術後は安静やコルセットなどによる保護が必要となりますが多くの場合、手術の翌日より歩行や食事を開始いただけます。 すべり症でも不安定な状態が強くない場合は、内視鏡を用いて神経の圧迫をとる低侵襲の手術も選択に挙げられます。 頚椎すべり症でやってはいけないこと 上記に挙げたように様々な症状が出現しますが、歩きにくさや、手足のしびれ、感覚障害などがひどい場合は早めに専門医にかかることをお勧めします。また仕事や日常生活で首や腰に負担がかかる作業がある場合には早めにやめてコルセットなどを使用するべきでしょう。 また、普段の姿勢など生活態度の改善によって予防できる病気でもあり頚椎すべり症にならないためにも、普段の生活で負担を掛けないようにすることが大切です。 仕事で常に首を曲げ続けたり、同じ体勢で長時間首に負荷をかけ続けているという人は、そのような生活を見直して、出来るだけ首に負担をかけないよう心がけて下さい。日常的に姿勢を正すように意識して過ごすようにしてください。 首を10度下に傾けると頚椎の負荷が2倍になります。デスクワークやパソコンを長時間する場合は、仕事でもこまめに休憩をとるようにしましょう。また、スマホはうつむき加減になりがちで首に負担が大きくなるので特に注意が必要です。 また、お風呂はぬるめのお湯で(38度~40度)、ゆっくりとお入りください。ぬるめのお風呂は副交感神経を刺激し、血行を良くします。熱いお風呂(42度以上)は交感神経を刺激し、血行不良を起こす可能性があるため控えましょう。その場合は症状を悪化させる可能性があります。 頸椎すべり症で「やってはいけない」こと ・仕事で常に首を曲げ続けたり、同じ体勢で長時間首に負荷をかけ続けない ・意識して姿勢を正す癖を付けましょう ・首を10度下に傾けると頚椎の負荷が2倍になる ・デスクワークや、パソコン、長時間しないように気を付け、仕事の場合でもこまめに休憩をとる ・特にスマホは、うつむき加減井なりがち首への負担が多いので気を付けましょう ひどい首の痛みや肩こり。手足のしびれを感じたり、慢性的な偏頭痛でお悩みなら早期に病院をはじめとした医療機関で診療を受けるようにしましょう。 以上、頚椎すべり症でやってはいけないことについてご説明させていただきました。 ▼ すべり症による「しびれ・痛み」などのお悩みに幹細胞治療という先端医療分野があります 再生医療は、ご自身の幹細胞を用いた治療方法でこれまで難しかった症状の緩和を目指せます
2021.11.30 -
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ぎっくり腰を、ただの腰痛と侮るなかれ!自己診断厳禁 腰痛の中でも、ぎっくり腰の痛みは特別です。 ある日突然、何の前触れもなくグキッ!という感じで急激な痛みに襲われます。その痛みは激しく、突然起こった精神的な驚きはかなりのものです。 まさに秒速、たった1秒くらいで急激な痛みが襲うので、ドイツ語では、ぎっくり腰のことを魔女の一撃(Hexenschuss ヘクセンシュース)と言うくらいです。 ぎっくり腰の痛みは、数秒で起きるので、他の腰痛のように数か月~数年で徐々に痛みがひどくなる「腰椎症」。そして、数日で痛みがひどくなるスポーツによる腰痛などと区別できます。 ぎっくり腰の原因 ぎっくり腰は、一説に50人に1人は経験するとまで言われているほど日常的に起こりえる病なので注意が必要です。原因としては、変な体勢で重いものを持ち上げるなど、通常でない力が、筋膜や椎間板に加わって、組織の炎症が瞬間的、急激に起こるものです。 しかし、重いものを持ち上げるなど無理な姿勢からの大きい負荷だけで起こるのではなく、姿勢によっては簡単な事であっても、ぎっくり腰が起きることがあります。 たとえば、単に身をかがめただけ(あいさつでのお辞儀など)、後ろを振り向いただけ、ただ咳をしただけ、掃除機をかける時に少し体を折り曲げただけ、子どもを抱っこしただけ、正座などの座った体勢から立ち上がろうとしただけ、これら普通の生活でありえる動作でも「ぎっくり」が起きることがあるので困ります。 ぎっくり腰を侮るなかれ 痛み方についても一定ではなく、典型的な急激に発症する際の激痛型のぎっくり腰だけではなく、最初は、痛みが軽度だったのに、数時間から数日かけて、身動きがとれなくなるくらい徐々に痛くなる場合もあります。 また、重い物を持ったからといった、きっかけが全くない状況なのに段々と身動きがとれないほどの激痛になるという非典型的な、ぎっくり腰もあります。 多くの場合、ぎっくり腰は2週間程度で自然経過で治ることが多いのですが、実のところ、ぎっくり腰だと思い込んでいたら、実は全く違う病気で、病院での治療が必要な重い病気だった・・・ ということが実際にあることを覚えておかねばりません。 そのため自己診断は避け、医師による正確な診断が必要です。最も怖いのは、ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、調べてみると内科の病気で多発性骨髄腫という血液の悪性腫瘍で、腰椎が圧迫骨折を起こしていたための腰痛だった人もいます。 または、泌尿器科の病気が、腰痛を引き起こしている可能性もあります。中には前立腺癌の腰椎転移で腰痛を起こしていた人もいます。 仮に自己診断の通り、ぎっくり腰だったとしても、適切な治療をせず、自分勝手な自己流の方法で治そうとしたために、かえって痛みが慢性化してしまうこともあります。 やはり、自己診断や症状を過信せず「何かおかしい?!」と思ったら、迷わず病院等、医療機関の専門家に相談することが大事ということです。 ぎっくり腰と日常生活 日常生活について、「ぎっくり腰は、安静にし過ぎても、かえって治りが遅くなる」ことがあります。安静は必要なのすが、長すぎる安静は回復するのを遅らせる可能性があります。。 安静にしている長さは個人の状態によって変わりますが、痛みが引いた時点で適度に動いたほうが安静を続けるより回復が早いと言われています。 痛みを避けるためには「この姿勢なら楽だ」という無理のない楽な姿勢を意識した日常生活を送ることが大切です。楽な姿勢なら、組織の炎症を悪化させることもなく、組織の修復を助けてくれるからです。 面倒だからと、つい変な姿勢で何かを行ってしまうなどのことが無いようにしましょう。かがむ、腰を折る、腰を曲げるなどの姿勢は要注意。膝を折ることを意識してください。 ぎっくり腰のお薬 ぎっくり腰は最初、冷やすと効果的と言われています。そのため湿布を貼って患部を冷やす方法もありますが、冷やしすぎるのも皮膚を刺激することで症状が悪化してしまう恐れがあります。 また、痛みについて「耐えられない」という場合は、鎮痛剤の服用に頼ってもいいですが痛み止めの薬を飲み過ぎると、胃炎や胃潰瘍などの胃腸障害を起こすので、過量服用や空腹時は避け、多くの水と共に飲むことが大事です 特に、「胃潰瘍を過去に起こしたことがある」という人の場合は、鎮痛剤を飲む場合にはガスターなどの制酸剤を一緒に飲む必要があるかもしれません。 また、鎮痛消炎剤としてモーラステープなどの貼り薬でも、副作用として、光線過敏症や皮膚のかぶれなどが起きることがあるので、「単なる貼り薬だから大丈夫」と侮ってはいけません。 なお、発症した当日など腰に炎症が起こった状態になっているため、その当日の入浴は控えた方が無難です。当初、温めるのは厳禁です。よく聞かれるのがマッサージの良否ですが、これも控えたほうが良いと思われます。 仕事でぎっくり腰 ぎっくり腰が会社の仕事で起きた場合ですが、労災が認められないことが多いようです。厚生労働省のリーフレットには、次のように書いてあります。 「災害性の原因による腰痛」の労災認定要件①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 「災害性の原因によらない腰痛」の労災認定要件突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業時間からみて、仕事が原因で発症したと認められるもの(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 労災で認められるには、「ぎっくり腰」が、業務に起因すること、それが業務遂行中であることが必要です。 つまり、仕事中のぎっくり腰でも、業務とは関連性の乏しい理由で発症した場合は、労災に認められる可能性は低くなります。 ぎっくり腰が仕事中に起きて、2週間程度、休まなくてはならない場合でも、上記を明確に証明しなけらば労災にならないとは、厳しいですね。 労災がダメでも傷病手当金をもらうことは可能なので、ぎっくり腰が起きた日に病院を受診しておけば、発症日の証明になります。そのため、ぎっくり腰が起きた日に、病院を受診しておくのは、いいかもしれませんね。 ただ、避けるべきは痛みを我慢して仕事を続けることです。 ぎっくり腰を早く治すための食生活 いろいろな栄養素を挙げて、特定の食べ物を勧められることがありますが、絶対確実なものはありません。それよりも、「絶対確実に悪い!」というものがあります。 アルコールです。アルコールでビタミンBやミネラル、微量元素などが欠乏し、組織修復を妨げるばかりか、炎症を悪化させて、治りが遅くなります。 また、日頃からアルコールを多飲している人は、ぎっくり腰になりやすく、予防の上でも良くありません。「酒は百薬の長」などというのは、真っ赤な嘘です。 また、ぎっくり腰の予防などについて、詳しくはこちらをご覧ください ぎっくり腰の原因と予防|やって良いこと、悪いこと! まとめ・ぎっくり腰は、ただの腰痛ではない!自己判断厳禁 以上、「ぎっくり腰の症状を、ただの腰痛と侮るなかれ」と題して話をしましたが、実のところぎっくり腰の正確な発症メカニズムや原因については詳しく解明されていないことが多い状況です。 ぎっくり腰を発症し、激痛で動けない期間が生じて多くの人が苦しむことになるため、今後の研究が待たれるところです。 くれぐれも、ギックリ腰を自己判断で侮って重症化しないよう、繰り返し発症させないよう、発症したら病院などの医療機関を受診し、指導を受けるようにしましょう。 ▼以下もぎっくり腰の情報を公開しています。 ぎっくり腰の前兆はあるのか?まずは原因を知って予防する! また、腰痛になった場合は下記の記事も参考になるので、ぜひ読んでみてください。
2021.11.17 -
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ぎっくり腰で病院へ行っても意味ないって本当? ぎっくり腰は自宅で安静にしていればそのうち治るのかな。 この記事を読んでいるあなたは、ぎっくり腰は病院に行くべきなのかを迷っているのではないでしょうか。「安静にしていれば治るなら、受診せずに済ませたい」と思っているかもしれません。 結論、ぎっくり腰は病院に行かなくても治るケースが大半を占めます。 しかし、ぎっくり腰だと思った痛みが別の病気やケガだった場合、処置が遅れることで重症化してしまうリスクもあるでしょう。手術や入院が必要になってしまうケースもあるため、不安であれば一度受診するのがおすすめです。 本記事では、ぎっくり腰で受診する目安やおすすめの治療法を紹介します。 記事を最後まで読めば、ぎっくり腰の対処法がわかり、状況に応じた適切な対応ができるでしょう。 ぎっくり腰は病院に行っても意味ない? 結論からお伝えすると、ぎっくり腰の場合は必ずしも病院に行く必要はありません。病院に行かず自宅療養をしても2週間程度で痛みが治まるケースが一般的だからです。 しかし、ぎっくり腰だと思っていた腰の痛みは、以下のような別の病気やケガによって起きている可能性もあります。 椎間板ヘルニア 化膿性脊椎炎 骨折 これらの病気やケガを放置すると、重症化して手術や入院が必要になることも考えられます。 ぎっくり腰であると自己判断した場合でも「痛みがなかなか引かない」「下肢がしびれる」「発熱がある」などの症状があるときは、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。 なお、おもな症状が腰の痛みの場合、受診するのは整形外科です。診察の結果、他の病気を疑う場合は内科を始めとする別の診療科へ紹介するため、まずは整形外科を受診してください。 ぎっくり腰の原因や症状については、以下の記事も参考にしてください。 ぎっくり腰で病院に行く3つの目安 ぎっくり腰で病院に行く目安は以下の3つです。 痛みが2週間以上続く、あるいはぎっくり腰を繰り返す 発熱している 高齢である 本章を参考に、ぎっくり腰になった際の正しい受診タイミングを理解しておきましょう。 痛みが2週間以上続く、あるいはぎっくり腰を繰り返す 痛みが2週間以上続く、ぎっくり腰を繰り返すなどの場合は、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」などの疑いがあります。 椎間板ヘルニア:背骨の間でクッションの役割を果たす「椎間板」の中にある組織が外へ飛び出し、神経を圧迫して痛みやしびれが出る病気 脊柱管狭窄症:背骨の中にある神経の通り道(脊柱管)が何らかの要因で狭まることで圧迫され、腰や下半身の痛みやしびれが出る病気 原因となる病気に気づかず放置すると痛みが長引き、場合によっては手術が必要になるケースも考えられます。痛みの治りが悪い場合は、早めの受診が大切です。 発熱している 熱を伴う腰痛の場合、細菌やウイルスに感染している可能性が考えられます。 病名はいくつか考えられますが、整形外科的な疾患では、脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」がよく疑われます。 高齢、糖尿病、透析を受けている、免疫抑制剤を飲んでいるなどの人は免疫力が低いため、細菌感染から化膿性脊椎炎を発症しやすいのです。(文献1) 化膿性脊椎炎は抗生物質で治療を行いますが、薬で改善しないと手術が必要になるケースもあります。 高齢である 高齢になると骨がもろくなり折れやすくなる「骨粗しょう症」の人が増え、転倒時や中腰、重いものを持ったときなどに骨折するリスクが高まります。 ぎっくり腰だと思ったら、実際は背中の骨が折れる「圧迫骨折」だったというケースもあります。 骨折は2~3カ月の治療で良くなるケースが多いものの、ベッドでの生活が長くなると認知症や体力の低下によって、寝たきりになるリスクが高まり危険です。 高齢でぎっくり腰になった場合は、骨折の可能性も考えて念のため受診した方が良いでしょう。 病院で受けられるぎっくり腰の治療 ぎっくり腰で受診した場合、病院では以下のような治療を行います。 コルセットの装着 湿布・内服薬の処方 リハビリ 「病院に行っても意味がない」といわれることもありますが、受診することで症状に合わせた治療を受けられる可能性があります。 本章を参考に、受診した場合どのような治療が行われるか理解しておきましょう。 コルセットの装着 ぎっくり腰の急性期(発症直後)は、腰回りの筋肉をサポートして身体を支える「コルセット」を装着するケースがよく見られます。 「コルセットは筋力が下がる」という説もありますが、痛みが強い1〜2週間ほどの使用なら問題はありません。 ただし、痛みが治まった後に予防として使い続けると筋力が低下するリスクがあるため、医師の指示する期間を守って着用しましょう。 湿布・内服薬の処方 ぎっくり腰の発症直後は、消炎鎮痛薬(非ステロイド系抗炎症薬)の「湿布」や「飲み薬」で痛みを落ち着かせます。 また、背中の神経に麻酔薬を注射する「神経ブロック療法」によって、脳に痛みを伝える信号を遮断してつらい症状をやわらげる治療が有効な場合もあります。(文献2) リハビリ 痛みが落ち着いた後は、医師の判断でリハビリを行うケースもあります。具体的には、腰や背中、太もものストレッチや腹筋、背筋などの筋肉トレーニングなどです。(文献3) ただし、リハビリを始めるタイミングや行う内容は、個人の症状によって異なります。自己判断でのリハビリは避け、医師の判断に従いましょう。 ぎっくり腰で病院に行く前にできる応急処置 ぎっくり腰になったときに自宅でできる応急処置は、以下の通りです。 発症直後は安静にする 痛みが落ち着くまで冷やす 人の助けを借りず自分で動く ぎっくり腰は再発するケースもあります。本章を参考に、今後再発した際に適切な対応ができるよう、応急処置の方法を理解しておきましょう。 発症直後は安静にする ぎっくり腰になると激痛が急に襲ってくるため、驚いてパニックになりがちです。 大切なのは、まず「落ち着くこと」です。無理しないようにゆっくりと正座の体勢になり、深く息を吸って長く吐き出すような「深呼吸」を行いましょう。数分すると、腰周りの筋肉の緊張がやわらぎ、少しずつ楽になります。 痛みがやわらいだら、少しずつゆっくりと動きましょう。動くときは机や椅子などの倒れにくいものをつかむのもおすすめです。 痛みが落ち着くまで冷やす ぎっくり腰の発症時は、腰が炎症を起こしている状態です。痛みがあるときは、氷枕や保冷剤などをタオルでくるみ、腰に当ててください。基本的には5〜10分くらいで痛みが軽減します。 ただし、冷やしすぎると逆効果になるケースがあるため、痛みが落ち着いたら冷やすのはやめましょう。 人の助けを借りず自分で動く ぎっくり腰の痛みが落ち着いて動くときは、人の助けを借りずに自分で動くことをおすすめします。 なぜなら、人の手を借りると予期せぬ場所に力が入り、痛みが悪化する可能性があるからです。 身体を起こす手伝いを人から申し出られた場合は、「自分で少しずつ動いた方が安心なので」と伝え、自分のペースで身体を動かしてみてください。 まとめ|ぎっくり腰の症状がつらいなら病院を受診しよう 本記事では、ぎっくり腰で受診する目安や受診して受けられる治療法、自分でできる応急処置などを詳しく解説しました。 ぎっくり腰は病院に行かなくても数日で痛みが治まるケースが一般的です。しかし、ぎっくり腰と思われる症状が「椎間板ヘルニア」「化膿性脊椎炎」「骨折」などの場合もあります。 病院では、痛み止めの湿布や飲み薬、注射などの治療を行います。必要に応じてコルセットの処方やリハビリなども受けられるため、痛みがつらい、長く続いていて心配などの場合は受診すると良いでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脊髄損傷に対して幹細胞による治療を行っています。 脊髄の損傷部へ直接幹細胞を投与するため、神経再生の効果をより高めることが期待できます。 この記事がぎっくり腰の正しい対処法を知るのに役立ち、より早期に快適な生活に戻れるきっかけになれば幸いです。 ぎっくり腰で病院に行くべきか悩んでいるときによくある質問 ぎっくり腰の治療にストレッチやマッサージをやってもいいですか。 ぎっくり腰を発症してすぐにストレッチをしても、ぎっくり腰を悪化させることはありません。ただし、ストレッチに不安があるなら、安心できるまで待ちましょう。 また、ぎっくり腰でマッサージをやって良いかどうかは、症状によって異なります。マッサージについては自己判断せず、医師に相談しましょう。 ぎっくり腰の予防法はありますか。 ぎっくり腰の予防法は、以下の通りです。 朝起きるときは、腰を丸めて体をほぐしてからゆっくり起きる 洗顔は膝を曲げて重心を下げるようにして行い、腰への負担をやわらげる ものを拾うときは、膝も曲げて腰を落とすようにして拾う 背筋や腹筋の筋力トレーニングをする ストレッチで股関節を柔らかくする 太り気味なら腰の負担を軽くするため、ダイエットを心がける 太らないように体重管理をする 背筋を伸ばし、良い姿勢を心がける また、ぎっくり腰の再発予防には、適切な治療を受けてぎっくり腰を完治させることも大切です。 ぎっくり腰の予防法や再発防止策については、以下の記事もご覧ください。 参考文献一覧 文献1 一般社団法人日本脊髄外科学会,化膿性脊椎炎 文献2 菅尚義,宮崎昌利,吉田省二,三原茂.急性期腰痛に対する硬膜外ブロックについて.日本腰痛会誌.2006;10:77-84 文献3 千田益生,堅山佳美ら.腰痛のリハビリテーション-運動療法を中心に-.リハビリテーション医学 2006;43:661-667
2021.11.17